製造業における改善活動のチェックポイント

          

製造業
製造業における改善活動のチェックポイント


  品質管理のポイント

  作業管理のポイント

  生産計画・納期管理のポイント

 

TQC導入の留意点

          

TQC活動


  ■TQC活動とは

   まずTQC(トータル・クォリティ・コントロール=全社的品質管理)活動とは、いったいどういう
   ものなのかといった点を整理します。

   1.TQCの理念

    QC(クォリティ・コントロール=品質管理)サークル活動についての認識は、コストダウンや
    生産性向上のための運動と捉えるのが一般的です。

    まず、TQCの理念を述べる前提として、QC活動の発展過程について振り返ってみます。

    初期段階のQC活動におけるテーマは、「不良品は(工場から)出さない」でした。

    したがって、QC活動の対象は品質検査過程であり、

     不良品の識別をいかに確実に効率的に行うかという点が重要視されました。

    やがて不良品を識別するための品質管理から

     不良品を作らないための品質管理へと進化し、

    さらに一歩前進して

     顧客に喜ばれる品質の商品作りのための品質管理へと発展しました。

    こうなると、もう製造部門のみの問題ではなくなります。

    まず、営業部門が「顧客に喜ばれる品質」とはなにかをキャッチし、それを設計・開発部門に
    伝え、そして「顧客ニーズに適した商品」を開発してこれを製造部門ができる限り忠実に
    製造品質として実現するという「全社的」な流れとなる訳です。

     こうした一連の品質管理活動がTQCであり、
     QC活動をただ全社的に広めたものではなく
      「QC活動の目的や理念をさらに進化させたもの」なのです。

    このように見ていくと、

     TQCの理念が顧客第一主義にあるということが明らかになると思います。

    したがって、

     コストダウンや生産性向上は「顧客に喜ばれる品質作り」の一手段にすぎない
     ということを記載する必要があります。

    このように発展してきたQC活動において、「よりよい品質」を生み出すために管 理すべき
    対象は、結局従業員の仕事の内容、すなわち「仕事の質」ということになります。

    そしてこの「仕事の質」を従業員一人ひとりが高めていくことが、商品やサービスの品質を
    高めることにつながるのです。

   2.TQCの効果

    QCサークル活動の場合、グループで共通の改善目標に向かって作業を分担し、従業員
    一人ひとりが自分の仕事の品質改善に取り組むという習慣づけがなされます。

    これはいいかえれば、従業員一人ひとりが自己の能力を高め続ける人生を歩むことに
    なるということです。

    しかもQCサークル活動のなかには、問題発見能力を高めるものの見方や、QC手法と
    呼ばれる平易な手法を用いた問題解決能力を強化する考え方が組み込まれています。

    こうした点から

     TQCは自己の能力を高め続ける生き方を教える最高の教育訓練制度
     といっても過言ではないでしょう。

    次に、企業の存続・発展という視点からTQCを考えてみます。

    TQC活動は半永久的に継続し得る活動で、定着すると一層高度な改善活動となって
    いきます。

    さらにTQCの目的が「顧客に喜ばれる品質」作りである以上、その結果は企業全体が
    顧客の要望に沿って革新し続ける体質ができあがるということです。

    こうした顧客の要望に沿った品質の商品・サービスを作り続けることができれば、
    それはつねに利益を獲得し続けられるということを意味し、

     TQCは企業の存続と発展を保証してくれる可能性をもっているといえるのです。

  □TQC活動の導入手順と推進組織

   1.導入手順とポイント

    STEP1:方針と体制作り

    (1)TQC推進委員会の設置

      社長・役員直轄で、QCの準備・推進について責任をもち、QCの推進母体となる
      TQC推進委員会を設置します。

      ◎委員会の役割

       ・QC活動方針・目標作成

       ・QC活動の全社的スケジュールの作成

       ・QC関係の会合の統括

       ・QCサークル発表会の企画・運営

       ・QC活動活発化への環境作り

    (2)QC推進方針の明示

      「何をめざし、何を目的として行うのか」を、社長・役員名またはTQC推進委員長名で
      明示します。

      ◎明示方法

       ・社内報

       ・ポスター

        ・QCテキスト

    (3)QC事務局の設置

      実際にQCを展開していくために、未経験の社員を強力にリードし、後押ししていくための
      事務局を設置します。

      ◎設置のポイント

       ・役割の明確化…QC推進へのPR広報活動、QC教育の企画・推進、
                  サークル・テーマの登録と受理、サークル活動の
                  援助・アドバイス、QC発表会の準備 など

       ・設置の仕方 …事務局を専任体制にするか、兼任体制をとるか など

       ・担当者の適性…QCへの情熱と深い理解のあること、職場全体の事情
                  に精通していること、社員からの信頼が大きいこと、
                  計画力と説得力のあること など

       ・担当者の姿勢…QCサークル推進に当たって、指示・命令式の強制的
                  姿勢になってはならない

    (4)自社に合ったTQC推進体制作り

      QCサークル活動は原則として同じ職場の社員で組織された小集団で行われるため、
      現在の会社の組織が基礎になって、サークルが組織されます。

      1サークル3〜8名で編成し、TQC推進委員会、管理職のQC援助機能、QCサークルの
      リーダー会議などを組み込むことによって、社内の推進体制ができあがります。

    STEP2:動機付け

    (5)QC導入研修会の実施

      幹部、中間管理職およびリーダー候補者を対象とし、「QCの理解と導入への意思続一
      を図る」ため、QC導入研修会を開催します。

    (6)QCキックオフ会合の実施

      リーダー候補者への導入研修後、一般メンバーへの「QCサークル活動の導入提案と
      動機づけを行う」ことを目的として、キックオフ会合を実施します。

      ◎キックオフ会合実施のポイント

       ・抽象的説明は少なくして、できるだけ身近な例に結び付けて説明する

       ・「顧客サービスの向上」と同時に「自分達のやりがい作り」の活動である
        ことを納得させる

       ・各職場が力を合わせ、QCという統一手法で歩調を合わせると大きな
        成果が生まれることを説明する

       ・メンバーの年代層、職種が多様であるので、各々のグループを考慮しつ 
        つ動機づけをする

    STEP3:QCサークル活動の着手

    (7)特定部門からの導入

      QCサークル活動のはじめ方としては、全部門一斉にスタートするのが望ましいと思われ
      ますが、現実には各部門の体質の違い、バックアップ体制の未整備もあり、特定部門
      からスタートするのが適当です。

    (8)モデルサークル作り

      導入時には、特定部門から導入し、そのなかからモデルサークルを育成することが
      普及定着のポイントです。

      ◎モデルサークル作りのポイント

       ・QC活動方針・目標にしたがって行う

       ・メンバーに対し、1ステップずつ十分な教育をしつつ進める

       ・推進委員会、事務局等が重点的にバックアップする

      ◎モデルサークル作りの効果

       ・QCは「私たちの会社でも十分実行可能だ」という見本を、一般社員に
        提示できる

       ・QCは便利で役立つ手法であるということも一般社員に理解させる

       ・モデルサークルメンバーがQCの必要性をPRしてくれる

    STEP4:標準化

    QCサークル活動を進めて、改善のまとめまでに至ったモデルサークルの例などを基本にして、
    QC活動の進め方の標準化=マニュアル化(テキストの作成など)を行う必要があります。

      ◎マニュアル化に必要な資料

       ・テキスト…QCとは何か、私たちの会社のQC推進方針、QCサークル活動
               の進め方、問題点とは何か、QC改善の進め方 など

       ・帳票類 …QCサークル登録表、QC改善テーマ計画書、QC改善まとめ
               報告書 など

    STEP5:QC教育の推進

    (10)QC教育は計画的に推進

       QCサークル活動を進めていくに当たっては、QCサークル活動とは何かを考え、
       やる気を喚起することからはじめ、次に実践できる能力をつける訓練をし、自主的に
       活動できるよう育成していきますが、こうしたQC活動を進めていくには、最終目標
       として図のような総合教育プログラムが必要となってきます。

   2.推進組織図

    ここではTQC推進組織の標準的な例を示しています。

    推進委員が担当するサークルの数は7〜8個以下で、推進委員は3名以上いるほうが
    よいと思われます。

  □TQC活動導入に当たっての留意点

   1.トップ自身が積極的な推進役となる

    QCサークル活動は、

    導入期である1〜2年は社長自身が情熱的な推進役となり、
    強力なトップダウン方式でQCの思想・手法を従業員に理解きせるとよいでしょう。

    ただし、できる限り自主的な活動になるような指導を行うべきです。

   2.強力な推進組織を作る

    推進組織のメンバー選定に際しては充分な配慮が必要です。

     ●推進委員長 … 社長またはそれに代わりえる人

     ●推進委員 … 職制にかかわりなくQC活動の趣旨をもっともよく理解
               している人で、強いリーダーシップを発揮できる人

     ●サークルリーダー … 職場の信望の厚い人で、メンバーをまとめられる人

     ●事務局メンバー … 半ば専業でQC活動推進の世話役となるので、QCの
                   社内専門家としての見識を備えている人

    QCサークル活動の初期には、従業員は仕方なく参加しているというケースが多いと
    考えられます。

    そんなときに使命感をもった推進委員やサークルリーダーが献身的に努力することによって、
    従業員をサークル活動に向かわせることができます。

   3.徹底したQC教育を行う

    まずトップを含む経営陣がTQC活動について学び、見識をもち、次にTQC推進委員に
    対してしっかりとした教育を行います。

    その後はQCサークルを結成し、サークルリーダーに対して推進委員が徹底した教育を
    行うことによって「全社的なTQC思想の浸透」を図ります。

    教育はスタート時に集中して行われますが、引き続き定期的に勉強会などを実行する
    ことが重要です。

    すなわち、

     TQC活動がうまくいくかどうかは、メンバーに対する教育にかかっている

    といえるでしょう。

    それでは、TQC教育とはどんなものかを以下にまとめます。

    (1)使命感を与え、自己変革を決意させる教育

      第一段階 … TQCが定着している職場の実態を知らせることによって、自分
               達にもできることを認識させる。

      第二段階 … TQCの導入・定着のために献身的な仕事ぶりをしている管理
               者を紹介し、自分達の仕事ぶりと比較させる。

      第三段階 … 自分達の仕事・生き方のどこに問題があり、問題解決の努力を    
               どのようにしていくかについて明らかにさせる。

      第四段階…TQC活動が職場をどのように変化させるか、夢と希望をもたせる。

    (2)QCの考え方と手法をマスターさせる教育

      ◎QCの考え方とは

        ・問題意識をもつ

        ・問題の実態を調べ、データをとる(クレーム発生などが最大のチャンス)

        ・データを解析して、重点課題を明らかにする

        ・重点課題を解決するためにはどうすればいいかを考え、改善案を
         立案する

        ・改善案を実施し、その効果を調べ、データをとる

        ・改善の効果がデータに表れていれば、その改善案が今後とも確実に
         実行されるような施策を打つ

      ◎QC手法とは(7つ道具)

        ・層別       ・ヒストグラム(度数表)

        ・パレート図    ・散布図

        ・特性要因図   ・管理図

        ・チェッタシート

    (3)QCサークル活動を指導するノウハウの教育

      これには、QC活動を運営する主体、すなわち事務局の教育と各サークルの教育の
      2つが重要ポイントとなります。

      特に事務局の人材については教育のみならず、人選も重要となってきます。

    (4)活動テーマの選定

      QC活動は決して目先の利益を追うものではありませんが、

       活動の初期段階では、比較的簡単なテーマ設定を行い、
       早期に効果が上がるようにしたほうがよいと思われます。

      なぜならば、行動がすぐに効果に結びつくので、すぐに達成感を味わうことができ、
      活動が定着しやすいからです。

      具体的には、他の部門との協調をあまり必要としない、自分達の努力だけで成果の
      出るようなテーマ選定がより適しているでしょう。

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QC7つ道具のもつ意味と正しい使い方

           

QC7つ道具

  ■QC7つ道具のねらい

   職場の仕事を進めていくうえでは、データによって事実を正しく知ることが非常に大切です。

   データによる事実の正しい把握が、正しい判断を生み、大きな成果をかち取ることになるのです。

   しかしながら、データをとっただけでは事実の正しい把握はできません。

   QC7つ道具とは、たくさんのデータ、たくさんの意見を上手にまとめて、データのもっている
   情報を正しく引き出すための手法のことです。

   この手法のおもなねらいとしては、

    ・仕事の結果、できばえにバラツキがないようにする

    ・ムダのない経済的な仕事の仕方を作り出す

    ・ムリのない、安心してできる仕事のしくみを作り出す

    ・お客様に溝足してもらえる物やサービスをつくり出す

   ということがあげられます。

   ですから、よくいわれる「発表会のためのQC活動」のように、すでに結果のでているものに
   対してQC7つ道具を用いても何の意味もないのです。

   QC7つ道具を使って、バラツキ具合や因果関係を調べたり、層別にして客観的に事実を
   浮きぼりにし、解決策を導くことこそ、意義のあるQC活動なのです。

   実りあるQC活動を行うためには、なぜQC7つ道具が必要で、どのような場合に効果を発揮
   するのかを理解しておく必要があります。

   そこで、次項ではQC7つ道貝の目的と内容を、分かりやすく簡潔にまとめています。

   より深く理解するためにも、ぜひ、自社にあるQC7つ道具の各図を参照しながらご覧ください。

  □QC7つ道具

   1.層別

    職場で発生する問題、あるいは改善したい点をプレーン・ストーミングなどの方法で列挙
    していくと、思いのほかたくさん出てくるものです。

    層別とは、この山ほど出てくる問題を性質の似たいくつかのグループにまとめていく方法です。

    そのうえで、問題A・問題B・問題C…というように個別に問題点を検討していきます。

    層別の目的と内容をまとめると、次のようになります。

    (1)目的

      層別する前の全体の品質のバラツキと、層別後の小さなグループの品質のパラツキを
      比較することによって、品質に影管する原因をつかんだり、その原因の品質に対する
      影響度を推察するために層別が用いられます。

    (2)内容

      層別とは、ひとつの集団を何らかの特徴に基づいていくつかの部分に分け、分けた
      部分ごとに検討し、比較することによって問題解決の手がかりを得る手法です。

      【層別の項目例】

       @作業者別  ……男女別、年齢別、学歴別、技能別、勤続年数別など

       A機械・装置別……メーカー別、形式別、能力別など

       B原料・材料別……メーカー別、銘柄別、ロット別など

       C時間別   ……午前・午後別、曜日別、昼夜別、週別など

       D作業方法別 ……測定方法別、作業条件別など

       E測定・検査別……試験機別、計測機別、測定者別、検査員別など

       F組織別   ……部門別、工場別、地区別、課別など

   2.特性要因図(フィッシュ・ボーン図)

    QC活動では、層別したもののなかから重要と思われる間遠をひとつ選び出し、その間題に
    対して原因と思われる要因をあげていきます。

    これを原因と結果(特性)という観点で分類し一覧表にまとめたものが特性要因図です。

    その図の形からフィッシュ・ボーン(魚の骨)図とも呼ばれています。

    特性要因図作成の際には、原因をグループごとに分類して図に表すことで、後工程である
    要因分析が行いやすくなります。

    ◎特性要因図例

     特性要因図の目的と内容をまとめると、次のようになります。

     (1)目的

       問題としている製品の品質特性と、これに影響をおよぼすと考えられる要因との
       関係を体系的にまとめ、目で理解できるように図示したもので、これによって不良の
       原因を追求し、その改善に役立てようとするものが特性要因図です。

     (2)内容

       特性(結果)に影啓を与えていると思われる要因をすべて引き出し、ひとつの図で
       関係づけることで、ある工程について品質特性と要因との定性的な関係がはっきり
       して、原因の究明に役立ちます。

   3.パレート図

    パレート図とは、不良項目を件数や金額の大きさの順に並べ、不良項目のうち何が重点
    項目なのか見つけだす手法です。

    たとえば、不良項目を発生件数や損失金額の大きい順に左から順に並べていくことで、
    重点的に改善するべき点が明確になるのです。

    ◎パレート図例

     パレート図の目的と内容をまとめると、次のようになります。

     (1)目的

       不良項目のなかには、件数や金額が大きなものから小さなものまでたくさんの問題が
       あります。

       効率的に問題を解決していくためには、件数や金額の大きなものを重点的に改善して
       いくことが肝要です。 

       パレート図は、この件数や金額の大きなものを明確にするために用いられる手法です。

     (2)内容

       パレート図は、「多数の不良現象または原因のなかで重要なものは数項目にすぎない」
       という考え方がもとになっています。

       職場の問題をそれぞれ原因別・現象別に分類し、その件数や金額を大きさの順に
       並べた棒グラフと、累積の折れ線グラフを組み合わせたものです。

       この件数や金額を大きさの順に並べることを、重要順位判断または優先職位判断と
       いいます。

       この判断力をしっかりもち、実行するリーダーのいる職場では、改善の成果はいちじるしい
       ものがあります。

   4.ヒストグラム

    ヒストグラムとは、データなどが多数あるとき、その最小と最大の間をいくつかに区分し、
    各区分の発生度数を棒グラフに示したものです。

    これにより、データの全体的な分布の型や、大体の平均値やバラツキの大きさを知る
    ことができます。

    ヒストグラムの目的と内容をまとめると、次のようになります。

    (1)目的

      データ(サンプル)の全体的な分布の型や、大体の平均値やバラツキの大きさを知る
      ことにより、異常が発生している原因を見つけ出し、それを改善します。

    (2)内容

      この手法は、一定量のサンプルをとり出し、そのサンプルがどのようなバラツキ方を
      しているか調べることにより、異常を見つけ出す方法といえます。

   5.散布図

    散布図は「相関図」ともいい、2つの事象が関連しているかどうかを見極めるための図です。

    たとえば、電球のワット数とその照度、あるいは鋼材の処理温度と引っ張り強さ、というような
    相対応する測定値の間の関係をグラフにして調べます。

    具体的には、2種類のデータをそれぞれ横軸と縦軸に目盛り打点したグラフによって、
    相互の関係の強弱を推察します。

    これにより、たとえばXとYの相関関係において]が大きくなるとYも大きくなる「正の相関関係」、
    ]が大きくなるとYが小さくなる「負の相関関係」などが浮き彫りにされます。

    散布図の目的と内容をまとめると、次のようになります。

    (1)目的

      品質特性とそれに影響をおよぼしている要因との関係、要因と他の要因との関係、
      あるいは特性と他の特性との関係を知り、品質の維持、改善に役立てるために散布図が
      用いられます。

    (2)内容

      散布図とは、対になった2種類のデータをグラフ用紙にプロットしたもので、対応した
      データの関係をみるための手法です。

      散布図は20以上のデータが必要で、縦軸に結果のデータ、横軸に原因のデータをとり
      点を打っていき、その点が斜めに、直線に近い形で並ぶと相関は大、点が楕円型になると
      相関は小ということになります。

   6.管理図

    管理図とは、ヒストグラムを横に寝かせて、どこまでもデータの採取分析を続ける時系列グラフ
    のことです。

    横軸を時間軸として、毎日の仕事の出来栄えなどを管理していくための手法です。

    管理図の目的と内容をまとめると、次のようになります。

    (1)目的

      管理図は、製造工程が安定した状態にあったかどうかを調べたり、工程を安定した
      状態に保持するために用いられる手法です。

    (2)内容

      寸法、硬さ、キズ、歩留りなど、あらゆる製品特性には必ずパラツキがあるため、
      このバラツキを管理し、それが安定しているか、それとも異常な変化が起こっているか
      どうかを判断するのに用いられる手法が、管理図です。

      管理図の種類は、特性値の種類(計量値と計数値)によって分類されます。

      計量値とは長さ、時間、温度、厚さなどのように数値が連続して表される場合をいい、
      計数値は製品の不良数、欠勤者数、織物のキズなど、不良数や欠点数で表されるもの
      をいいます。

      このうち、いちばんよく使われるのが計量値の管理図です。

      これは、サンプルの平均値とバラツキの範囲を調べる2つの管理図を重ねて一覧表に
      した図です。

   7.チェックシート

    チェックシートとは、作業の結果や製品を基準と照合し、その結果を簡単な記号で記入する
    ことにより、確認漏れを防止すると同時に分析しやすいデータをとる図表のことをいいます。

    たとえば、不良発生箇所について、キズ・汚れなどの不良が、製品のどの位置にどれくらい
    発生しているのかを調べる場合に、チェックシートで管理しておけば、その部位が一目瞭然と
    なるのです。

    チェッタシートの目的と内容をまとめると、次のようになります。

    (1)目的

      項目別にデータをとったり、確認の抜けをなくすために、チェックをするだけで結果が
      わかるように作られた表や図がチェックシートです。

    (2)内容

      チェックシートには、次のようなものがあります。

      1.計数値用……おもな不良項目を事前に層別しておき、検査結果を
                 該当項目にマークしていくものです。

      2.計量値用……品質特性値のうち計量債に使用するもので、事前に
                 バラツキのクラス分けをしておき、測定したデータを
                 該当するクラスにマークしていくものです。

      3.位置別用……不良発生箇所の位置を示すもので、キズ、汚れなどの
                 不良が製品のどの位置に、どれくらい発生しているかを
                 把握するものです。

      以上の3つのチェックシートが記録用です。

      その他にも点検用チェックシートがあります。

      これは事前に点検項目を点検順に書き並べ、チェックするもので、個別生産に有効です。

  □QC7つ道具導入の意義

   品質管理は、概念や理論を理解するだけでなく、いかに企業内に上手に導入するかに
   その成否がかかっています。

   そのためには、品質管理の明確な方針を打ち立て、実践と経験を積み重ねていかなければ
   なりません。

   それが企業の利益確保、企業の体質改善など、あらゆる面の合理化につながります。

   品質管理活動は、なかなか定着しにくいものですが、

    ・作業の標準化

    ・チェック・測定の重視

    ・作業者の訓練

    ・不良品再発防止の対策

   の4点を品質管理の基本として、品質管理活動を活発に進め、定着につなげることが
   必要です。

   つまり、QC7つ道具をうまく活用することにより

    ・現場の実態を知る

    ・結果をよくするための原因の追求を行う

    ・対策の実行を行う

    ・対策前後の確認を行う

    ・歯止め(※)を行う

   といったことが可能になります。

   QC7つ道具を品質管理活動のなかで実際にいろいろな場面で適用して使い方に慣れ、
   問題解決に結びつけていくために定着させるということが大切です。

   ※歯止めとは、効果のあった解決策を継続するために、実施する施策のことを
    いいます。

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工場のレイアウト改善

             

工場のレイアウト改善

  ■レイアウト改善の進め方

   工場の生産性を向上させるうえで、「レイアウトの変更」という問題を避けて通るこ
   とはできません。

   ここでは、レイアウトを改善するにあたって押さえるべきポイントについて整理して
   みます。

   1.レイアウト改善とは

    レイアウトの改善は、

     工場内の建物や機械設備を流れ作業的に配置し、作業環境を改善する
     ことによって、運搬距離の短縮と運搬の容易化を図る

    ことです。

    そして、品種や生産量、加工方法などの基礎条件が少しでも変わった場合は、
    それに応じた改善を行うことが必要となります。

    具体的なレイアウト変更は、

     ・なるべく配置を工程順にして流れ作業に近い形にする

     ・通路・仕掛品置場・運搬方法などを改善して運搬を容易にする

    ことに取り組むのですが、そのためには、

     「主要通路の確保・舗装」と「建物の敷居の撤去」を行う

    ことが必要になります。

    次節以降では、

     ・レイアウト改善のための調査方法

     ・レイアウト変更の実施

    について整理しています。

   2.レイアウト改善のための調査方法

    レイアウトを改善するためには、一般に次の3つの調査を行います。

    (1)物の動きの調査………工程分析(「流れ線図」の作成)

      「流れ線図」とは、建物や設備配置の平面図を作り、加工品の移動経路を図
      示するものです。

      これは、職場全体にわたる仕事の流れ、各工程における前後工程との関係
      などを検討するのに適しています。

      この図をもとに各工程の分析を行い不合理に動いているものがないかを考
      えます。

    (2)人の動きの調査………作業分析(「作業者移動図」の作成)

      「作業者移動図」とは、作業中における人の動きを平面図に図示するものです。

      各工程における機械・作業台・材料置場・工具箱・通路関係などを検討する
      のに使用します。

      さらに、必要に応じて、準備や後始末作業の動きも分析し、無駄な動きがな
      いか、作業分担は妥当であるかを考えます。

    (3)相互関連図表の作成(多品種少量生産の場合)

      多品種少量生産の場合は上記2つの分析を行っても、人の流れが交錯した
      り、間接作業を行うスぺースが確保できなくなったりする可能性が高くなります。

      そこで、

       ・直接作業場所(設備)

       ・補助部門(工具庫・材料倉庫・検査場・部品置場)

       ・付帯設備(更衣室・食堂・洗面所)

      を一覧表に書き並べ、物の移動や人の動きの点から、各場所の相互関連性
      の程度(近接の重要度)を記号で表示します。

    3.レイアウト変更の実施

     レイアウト変更を実施するには、50分の1または100分の1の建物平面図上
     に、機械や作業台の型紙(平面図)を並べて、種々の案を比較検討します。

     検討すべき事項は、以下の4点です。

     (1)作業場における諸配置

       機械または作業台を中心として、作業者が能率的に動けるように、材料置
       場・完成品置場・道具箱・部品棚などの配置を行っていきます。

     (2)通路および隣接作業との関係

       工場内・職場内に運搬車を通すための通路を確保します。

       通路については運搬(積み降ろし)の便を考えるとともに、先に検討した諸
       配置が運搬の邪魔にならないかを考えます。

       また、流れ作業のように各工程が隣接して配置されている場合には、相互
       関係を考慮して、諸配置を決めます。

     (3)運搬方法との関係

       運搬はできるだけ機械化するのが好ましいのですが、これについてはレイ
       アウトとの関係を考慮に入れて決定する必要があります。

       特に、クレーンなどの配置には、構造物の建築構造についても検討しなけ
       ればなりません。

     (4)採光照明との関係

       昼間の作業には、なるべく窓からの日光を利用することが望ましいので、
       十分な採光が得られるような位置と方向を選ばなければなりません。

       電灯照明を利用する場合には、照明のとり方(特に直接照明の位置)が配
       置上の条件の1つとなります。

      以上が、レイアウト改善を行う際の留意点となります。

      さらに、次節4にてレイアウト改善の要点をまとめておきます。

    4.レイアウト改善の要点

     一般的に、中小規模の工場などではレイアウトに対する考え方が保守的であ
     り、一度決めた設備配置を積極的に変えていこうとする姿勢はあまり見られません。

     しかし、

      望ましいレイアウトとなっていない場合、
      工場全体を効率的に管理することは難しくなり、
      作業能率も落ちる

     ため、もっと前向きにレイアウト変更に取り組む必要があります。

     以下に、主なレイアウト改善の要点を述べておきます。

     <レイアウト改善の要点>

       ・建築物は将来、増築しやすいような構造形式にしておく。

       ・機械などは、床への固定度合いと移動しやすき(固定解除の容易き)
        を両立させる。

       ・小範囲の工程変更や設備の増設、入れ替えというような場合であっても、
        必要であれば部分的に設備配置を変えるほうが望ましい。

       ・現場の工程管理係の位置は、なるべく職場全体を見渡せる場所に配置
        するほうが良い。

  □その他の効率化の視点

   工場の効率化を検討する視点としては、レイアウトの改善に加え、以下のものが 
   あります。

    1.製品や仕掛品の品質を向上させる

    2.在庫量を適正に保つ(製品・仕掛品・原材料)

    3.人員の適正化を図る

   ここでは、これらについて簡単に取り上げてみます。

   1.製品や仕掛品の品質を向上させる

    生産工程のなかで

     最初に改善を図る必要があるのは、加工過程での「歩留まり」を向上きせる

    ことであると言われています。

     この改善によってもたらされる効果は、

      ・仕掛品の不良による損失を減少させる

      ・作業の「やり直し」の手間をなくす

     という2つのものがあり、生産性を大きく向上させることにつながります。

     その実現には、全社的な品質管理を行うTQC活動が効果的であると言われて
     います。

   2.在庫量を適正に保つ(製品・仕掛品・原材料)

    次に、

     製品や仕掛品、原材料に至るまですべての在庫を最少に抑える

    というものがあります。

    これは、トヨタのかんばん方式(必要なものを必要な時に必要なだけ作るという
    考え方に基づいた、在庫をできるだけ持たない生産の仕組み)に象徴されるも 
    ので、効率化(コストダウン)の有効な手段の1つであろうと考えます。

   3.人員の適正化を図る

    さらに、工場の効率を向上させるための3つ目の視点として、

     マンパワーの適正な活用

    があげられます。

    大量生産時代の到来、機械の高性能化、生産技術の向上などにより生産現場
    は設備が占領するようになりましたが、それを稼働させるのは「人」であることに
    は変わりありません。

    人員適正化の具体的な方策としては、

     工員の配置における「熟練者」と「非熟練者」とのバランスをとる

    ということにつきます。

    工場の生産性の向上に向けてはこれらすべてについての検討を行うことが重要
    になります。

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中小製造業における産学連携の取り組み

             

中小製造業における産学連携

  ■産学連携の現状

   近年、企業と大学が共同研究を行い新製品や新技術の開発を進める産学連携
   に、製造業の期待が高まっています。

   企業を取り巻く環境が変化するなか、競争力を維持していくための施策が必要と
   されており、特に中小企業においては、限られた経営資源で経営革新を行ってい
   くための手段としても産学連携が注目されています。

   また、最近では従来の企業と大学の連携である産学連携に行政が加わり産学官
   連携となるケースも多いようです。

   産学官連携では、行政が大学・研究機関と企業を結びつけたり、共同で技術開発
   を行ったりしています。

   文部科学省「平成16年度民間企業の研究活動に関する報告書」によると、資本
   金10億円以上の企業において産学官の共同研究や委託研究、受託研究などに 
   よって研究成果情報を入手したことがある企業は全体の半数以上にのぼっています。

   平成11年度の調査では約36%であったことから、確実に増加しています。

   中小企業における産学連携が注目されてきているものの、すでに取り組んでいる
   企業は大企業に比べると少なく、中小企業の約2割から4割程度と考えられます。

   東京商工会議所の「中堅・中小製造業における産学連携の取り組み状況に関す
   るアンケート調査結果」によると、産学連携の経験がある企業は18.2%となって
   います。

   また、近畿経済産業局の「近畿地域における中小企業の公設試験研究機関の利
   用実態と技術支援の充実化方策について」によると、近畿地域の中小企業のうち
   公設試験研究機関または大学を利用したことがある企業は32.7%となっています。

   資本金や売り上げ、従業員親模が大きい企業になるほど産学連携に取り組んで
   いる企業の割合が高くなる傾向にあります。

   全体として産学連携が進んでいる背景には、平成10年に制定された「大学等に
   おける技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」(通
   称、大学等技術移転促進法)の存在が大きいと考えられます。

   同法は、大学などによる研究成果をT LO(技術移転機関)を介して産業界への移
   転を促進し、産業技術の向上や新規産業の創出を図るとともに大学などにおける
   研究活動の活性化を図ることを目的としています。

   大学発ベンチャーが平成28年に2200社を突破したことを考えると、一定の成果
   をあげているといえるでしょう。

   また、平成16年4月に国立大学が法人化されたり、それ以前に公的研究機関が
   独立行政法人に移行されたことは、産学連携のさらなる発展につながるものとし
   て期待されています。

   実際に、企業からは法人化により

    ・国立大学が産学連携に組織として対応するようになった

    ・民間のニーズに沿った研究が行われるようになった

    ・共同研究や委託研究を行いやすくなった

   という声も聞かれています。

   さらに、文部科学省では独立行政法人科学技術振興機構のホームページ
   「産学官の道しるべ」を開設しています。

   同サイトでは企業が大学などの技術を検索したり、直接研究室や産学連携窓口
   にアクセスすることができるようになっています。

   また、産学官連携に特化した情報のみが抽出されるようになっています。

   このように、産学連携に取り組む企業にとっては、良好な環境が整いつつあります。

  □産学連携の効果

   1.産学連携の効果

    産業連携に取り組むメリットには、

     ・自社単独では困難な技術・製品の開発ができる

     ・高度かつ専門的な技術やノウハウ、知識が導入できる

     ・自社にはない設備が利用できる

     ・人材育成に効果がある

     ・国や自治体などの補助金を利用することができる

    などがあげられます。

    では、実際に、産学連携が企業業績に結びつくのでしょうか。

    産学連携に取り組んだ企業から、実際に事業化に成功し収益があがるように
    なったり、新技術や新製品を開発したなどの成果が報告されています。

    産学連携を開始してから3年未満で具体的な成果をあげる企業も少なくないよう
    ですが、5年以上して成果がでるという場合もあり、今後も産学連携による実績
    は増えていくものと考えられます。

                       産学連携の取り組み効果(東京商工会議所)

    また、企業のイノベーション力をはかる意味で特許出願についてみたところ、産
    学連携の成果を知的財産化したという企業も多くみられます。

    特許出願そのものは、直接的に企業の業績に結び付くものではないものの、企
    業の成長に貢献しているといえるでしょう。

   2.産学連携の取り組み

    産学連携に取り組む中小企業では、実際にどのように大学などの研究機開を
    活用しているのでしょうか。

    以下では、産学連携によって成果をあげた企業の事例をご紹介します。

    【事例1】

     金型製造加工業のA社は、光ファイバー通信用のプラスチック製多芯フェルー
     ル(光軸合わせ用部品)の量産化に成功したものの、歩留まりを向上させるこ
     とが課題となっていた。

     課題を解決するために、プラズマCVM(化学気化加工)を開発したB大学およ
     び同技術を応用展開しているC社と連携することにした。

     産学連携により、A社は非接触で高精度のバリ取りができる装置を開発し、高
     精度で安定した本格的な一貫生産ラインを構築した。

     なお、プラズマCVMは、大気圧高周波プラズマを利用し、化学反応により加工
     する超精密加工法である。

     プラズマCVMにより、光ファイバーを挿入する微小な挿入内面のバリ取り仕上
     げを高精度にかつ安定して生産できるようになる。

    【事例2】

     廃蛍光管処理業およびガラス器製造業のD社は、蛍光管のリサイクルを事業
     化するために、E大学と共同研究を行った。

     ガラス質の安定化や蛍光管をリサイクルするにあたり各種素材を分離させる
     技術などについてE大学より技術供与を得たことで、事業化するまでの時間を
     大幅に短縮させることができた。

    【事例3】

     自動車用品メーカーF社は、従来より付加機能のある自動車シート用クッショ
     ンの製造・販売をしている。

     新商品を開発するにあたり実施したマーケティング調査で、腰痛に悩むドライ
     バーが多いことがわかり、地元のインキュベーション(新規事業・起業家育成
     支援)事業者に相談したところ、G美術大学を紹介され共同開発を行うことと
     なった。

     産学連携により、人間工学や心理学などを取り入れ、腰への負担を軽減した
     自動車シート用クッションを開発した。

     クッションは大ヒットし、某自動車雑誌でグランプリを受賞するなどの評価を得た。

     また、トラックメーカー3社で純正のオプション品として採用された。

  □産学連携の課題と留意点

   1.産学連携の課題

    最近では数々の成果が報告されている産学連携ですが、一方では課題もあり
    ます。

    産学連携を経験した中小企業の経営者からは、特に、

     ・研究開発のスピードに対する意識に違いがある

     ・大学側とテーマにズレがある

     ・研究開発に要するコスト意識に違いがある

    など、基礎研究を重視する大学は市場化への意識が薄い傾向にあり、意識や
    テーマに対する相違があげられています。

    このことから、

     「いかに共同研究のビジネス的な成果をあげるか」という点で
     大学研究者の協力を得られるよう努力することが必要となります。

    また、産学連携に取り組むにあたっては、

     ・産学連携ノウハウについての情報不足

     ・研究シーズについての情報の入手が難しい

     ・大学などの相談窓口がわからない

     ・公的支援・施策の整備が進んでいない

    などの課題があげられています。

   2.企業主導の産学連携

    大学発ベンチャーの多くが大学の研究機関主導でできたものです。

    また、大学内の研究者がもつ特許技術や研究シーズをもとに事業化を図ること
    を目的とした機関がT LOであり、T LOは、大学側の立場から事業化する際に
    パートナーとしてふさわしい企業を選ぶという発想であることは否めません。

    したがって、中小製造業側が自社の技術革新や新製品開発を目的に、協力し
    てくれる大学の研究者を探すという場合、TLOを訪ねても、求めている研究者が
    いるとは限らず、いくつものTLOを訪ね歩くことになります。

    このような状況のなか、中小製造業はどのような点に留意しながら大学研究者
    との共同研究に取り組めばよいのかをみていきます。

    (1)大学・研究者を選ぶ

      研究テーマが決まったら、どの大学が自社のニーズに応えてくれるか、とい
      う視点で大学を探すことになります。

      このとき、知名度を基準にするべきではありません。

      有名ではなくても、優れた知識やノウハウをもち、ユニークな研究を行ってい
      る大学はたくさんあります。

      多くの大学は、研究者とその研究内容、特色や研究成果をインターネットな
      どを使って公開しています。

      地道ですが、公開資料を見て、いくつかの大学に的を絞り、産学連携の窓口
      に相談してみる、ということからスタートしなければなりません。

      さらに何人かの大学研究者に絞り込み、何度か協議をし、人柄や能力を見
      極めながら交渉を進める必要があります。

      これは一般的な企業間連携や社員採用のときに相手を選ぶのと同じです。

      「大学教授は敷居が高い」というイメージもありますが、最近では大学側も産
      学連携の必要性を認識しています。

      人物にもよりますが、こちらの研究目的や趣旨をきちんと説明すれば、「門前
      払い」といったことはおそらくないでしょう。

    (2)経営的視点を理解してもらう

      大学研究者はあくまでも研究の視点しかもっていません。

      しかし、企業主導の産学連携とは、大学研究者に立派な研究論文を書いて
      もらうのが目的ではありません。

      その研究が事業化できるか、自社にとってプラスになるかどうか、といった経
      営的視点で産学連携を進めなければなりません。

      したがって、研究目的と目標、納期や進行管理のあり方などをあいまいにし
      たまま共同研究に着手するのではなく、

       事前協議のうえ、こちらの意図を納得してもらうことが重要になります。 

 

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工場の生産性を向上

           

工場の生産性を向上

  ■生産性向上を考える際の視点

   生産性向上を考える場合、検討すべきことは数多くあるが、大きく「能率の向上
   と「稼働率の向上」に分けられます。

   それぞれ次のように休系図で整理しました。

    *1.7大口スとは、

       ・作り過ぎ ・過剰在庫 ・不良品の製作  ・手持ち

       ・運搬ロス ・動作ロス ・加工そのもの

      という7つのムダを指す

    *2.TPMとは、トータル・プロダクティブ・メンテナンスの略で、
        全員参加の設備保全活動のこと

  □生産性向上の具体策

   生産性の向上を検討するための視点については前述したが、ここでは実際に生
   産性向上を実現するための

    1.ムダ取り7手法

    2.VRP(部品半減計画)

    3.標準作業の設定

    4.TPM(設備保全活動)

    5.段取り替えの短縮

    6.レイアウトの改善

   という代表的な6つの手法について、ご紹介します。

   1.ムダ取り7手法

     作り過ぎ、過剰在庫、運搬ロスなど、前述した「7大口ス」に代表される様々な
     ムダをなくす、7つの手法をご紹介します。

     (1)標準化生産

       「販売のブレ」をできるだけ少なくして、生産現場の毎日の仕事量のばらつ
       きを少なく し、製作する製品(数量)をできるだけ均一にする手法。過剰設
       備や過剰人員を防止できる。

     (2)U字型レイアウト

       機械の台数が多くなると、作業者の歩行距離が大きくなりムダな動作にな
       りがち。

       U字型レイアウトは初工程と最終工程が近くなるため、カラ歩きや不必要な
       運搬を防止し、在庫のムダ、運搬のムダ、手持ちのムダ、動作のムダをなく
       すことができる。

     (3)ポカヨケ

       ちょっとしたミスを防止する手法。

       具体的には

        ・作業者がいちいち気を配らなくてもミスを防止できる工夫

        ・作業手順を誤った場合でも不良品がでない工夫

        ・条件が整わないと機械が作動しない工夫

       などがある。

     (4)作業の自動化

       自動化することによって、異常発生時には自動停止装置が作動したり、異
       常の原因を自動検出できるようにすることができる。

     (5)シングル段取り

       10分未満の段取り替えをシングル段取りという。

       シングル段取りを可能にするためには、内段取り(機械を止めて行うもの)
       と外段取り(機械の稼働中に行うもの)の区分、治工具などの取付け・取り
       外し作業の簡素化・標準化、調整作業の廃止などが必要。

     (6)多工程持ち

       加工する順番に機械を配置し1人の作業者が複数の工程を受け持てるよう
       にする。  

     (7)動作経済の原則

       人間の動作のムダを排除するための原則(*)に則る。

       *動作経済の原則について

         @基本原則

          ・動作の種類と数を減らし、不必要な動作をなくす

          ・最短距離で動く

          ・最も円滑に動けるようにする

          ・最も疲労の少ない動作にする

          ・動作に習慣性を持たせる

          ・作業標準を用いて事前に動作の訓練を行う

          ・動作の改善と適度な速度は製品の品質を向上させる

         A人体の使用に関する原則

          ・両手の動作は同時に始めて同時に終わるようにする

          ・両手の動作は同時に反対方向に、かつ対称的経路になるようにする

          ・慣性、動力、自然力をできるだけ利用する

          ・手の動作は低級レベルにする(肩から先を全て使うより肘から
           先の動作、肘から先全てを使うより手首から先の動作で済ま
           せるなど、できるだけ動かす部分を少なくする)

          ・急な方向転換は避ける

          ・できるだけ自然な姿勢に近づける

          ・リズムのある動作にする

         B作業場所に関する原則

          ・作業台や椅子の高さは姿勢に無理のないようにする

          ・工具、材料は作業に合わせて配置する

          ・加工品の送りは重力シュートを活用する

          ・加工品の工員は一目で見え、手の届く範囲内で、定位置に置く

          ・工具、材料は作業者に近い前面に置く

          ・工具、材料、設備はできるだけ作業者が歩く必要がないように
           配置する

         C工具、設備の設計に関する原則

          ・簡単な作業や力の必要な作業は、足を使う器具を使用する

          ・加工品を長時間持つときは保持具を利用する

          ・工具、材料は定位置に置くようにする

          ・複数の工具はできるだけ組み合わせる

          ・一定の運動経路を規制するには治具、ガイドを利用する

          ・できるだけ動力工具を利用する

          ・工具や器具の握りは、できるだけ広く手のひらに当たるようにする

   2.VRP(部品半減計画)

     VRP(バラエティ・リダクション・プログラム)は、(社)日本能率協会が開発した
     もので、

      「多品種・多部品・多工程」のもとで設計から生産までの総合的なコスト
      ダウンを行うための手法

     です。

     一般的に製品のライフサイクルに従ってその品種数は増加し、それと共に部
     品数や工程数も増加していきます。

     そして、ライフサイクルの末期になって売上げが落ち始めても、コストはそれに
     合わせて落ちていかず、収益を悪化させることになるのです。

      VRPは、市場の成熟化によって品種が増えても、
      部品数や工程数は増加させないような仕組みをつくり、
      それに適した作業の方法を検討する

     という考え方のもとにつくられるプログラムです。

     具体的には

      ・部品や工程の数や種類と、製品設計や生産方法との関連を分析する

      ・多工程、多部品が原因で発生するコストを分析する

      ・製品や生産システムの問題点に対して、「製品群」という視点で考える

      ・製品設計と生産システムの整合性を考える

     といったことから、生産性向上策やコストダウン策を考えていくわけです。

   3.標準作業の設定

     「標準作業」とは、作業条件・作業手順・作業要領などの作業方法を、様式を
     決めてまとめたものであり、作業者が作業を行うときの基準です。

     また、監督者が作業者の教育訓練を行うときの教材、作業管理の際の指標と
     もなります。

     基本的には

      ・作業遂行の目的(何を加工するか)

      ・作業条件(使用設備・治工具・標準時間)

      ・作業域のレイアウト

      ・作業手順

      ・要求される品質規格

      ・材料・部品の略図

      ・作業上の留意点(安全面、能率面なども含める)

     の7つの項目について作業方法を検討して、標準作業票を作成します。

     「標準作業票」の例を掲載します。

   4.TPM(設備保全活動)

     工場内の機械化・自動化・無人化が進んでいますが、せっかくの設備も専門
     知識をもたない作業員が運転していると、ちょっとした作業ミスや故障で機械
     が止まり、著しく稼働率を下げてしまうことになりかねません。

     TPMは、自分たちの大事な設備を、自分たちの手で保守できる部分は積極的
     に整備・修理していこうという活動です。

     つまり、

     TPMとは

      ・設備効率を最高の状態にすることを目標にして、

      ・設備の一生涯を対象とするPM(プロダクティブ・メンテナンス)の
       トータルシステムを確立し、

      ・その状態を維持保管するための人材を養成する。

      ・また設備の計画部門、使用部門、保管部門などあらゆる部門に
       わたって、経営者から第一線の作業者にいたるまで全員が参加し、

      ・小集団自主活動を中心にPMを推進する活動

     といえます。

   5.段取り替えの短縮

     段取り替えの時間短縮の手順は以下の通りです。

     (1)実態調査を行い現状を把握する

       IEの手法である「ワークサンプリング法」で、就業時間内の人と機械の
       稼働率を調査する。

     (2)改善目標を設定する

     (3)治工具を整理整頓する

     (4)内段取りの外段取り化を行う

       内段取りと外段取りの作業分解を行い、内段取りを外段取りとして行えるよ
       うにする。

     (5)内段取り自体の短縮化を行う

       機能の標準化、共同作業、仲介治具の使用、調整作業の廃止、締め付け
       の簡素化、能率・能力の向上などにより、段取りの時間を短縮する。

     (6)総時間の短縮と効果の確認を行う

   6.レイアウトの改善

     効率的なレイアウトは、ものの流れにそって配置することにあります。

     このためには、「ものの流れ分析」が有効です。

     これは、

      工場内のものの流れを把握し工程間の関連の強さを調べる手法

     です。

     この分析結果にもとづいて、レイアウト改善を検討します。

     レイアウトの改善は、以下のような場合に行うと効果的です。

      ・販売方法の変更時

      ・品種・生産量、流し方などの「生産システム」の変更時

      ・作業の機械化・自動化、材料や加工法などの技術の進歩や変化に応じて

      ・設計変更時

      ・現状のレイアウトの欠陥が見つかったとき

      ・生産量の増減があったとき

      ・工場の移転があったとき

      ・新製品を投入したとき

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ポカミスの原因と対策

            

ポカミスの原因と対策

  ■ミスが発生しやすい時間帯とその対策 

   現場では、どういうわけか午後2時〜3時に最も「ポカミス」が多く発生する。

   入力作業でも入力の欄を間違えたり、数字の桁を間違えるのです。

   対策は自分自身を叱咤して「集中力」を確保することです。

   「集中力」の持続時間の短い人に「ポカミス」が多いから、このようなタイプの人
   は、「集中!集中!」と常に自分に言い聞かせて、意識付けしながら仕事をするこ
   とです。

   会社として「リフレッシュ・タイム」を設けて体操をしてもらったりコーヒー・ブレイクタ
   イムを設けるのも効果的です。

   ミスをさせない空間、環境の設定が効果があるのです。

   特にこの時間帯は「セルフチェック」を入念に行う癖をつけてほしい。

   仕事の区切りごとに「セルフチェック」を必ず励行することで「ポカミス」は自分で発
   見できるのです。

   誰でも最大限「慎重さ」なるコンピテンシーを発揮する時間帯なのです。

  □中断後の仕事再開時のミスと対策

   仕事を一時中断したり、離席後に席に戻って仕事を再開するときに「ポカミス」が
   集中する。

   仕事をやりかけていて、休憩時間になる、昼休みになる、上司に呼ばれる、電話
   に出る、来客に応対する。

   このような場合、仕事を中断したり、離席する。

   そして仕事を再開するときにワナが待っているのです。

   対策は「離席管理」をしっかりやること。

   仕事の中断や席を離れるときは、どこまでやりかけたのかをしっかり分かるように
   記録を残しておくことです。

   その記録を確認して再開するようにすれば、ミスは激減できるのです。

   「離席カード」を作成し、席に戻ったらどこまでやりかけていたかをしっかり確認し
   再開するのも効果的です。

   全社的に「離席カード」を活用することをお勧めします。

  □ワークデザイン拙劣に対する対策

   仕事の中身、仕事のやり方そのものが間違いやすい、あるいは勘違いしやすい
   ように「ワークデザイン(仕事の設計)」されているものが職場には数多くある。

   組立現場には部品を反対に取り付けようと思えば取り付く構造や部品がありま
   す。

   そして必ず取り付けミスがある確率で発生するのです。

   事務の仕事にもミスを誘うソフトや不明朗な手順があります。

   これも「仕事の設計(ワークデザイン)」に欠陥があると考えるべきだ。

   部品の取り付けミスを撲滅するなら、反対に、あるいは逆には絶対に取り付かな
   い構造設計にすることです。

   しかし、設計者はなかなかこれを実行したがらない。

   そして現場の作業ミスだと言い張るのです。

   この場合は、あらかじめ取り付ける部品の「方向性」を決めて作業台に一旦置い
   てから作業させること。

   そうすることで取り付けミスは激減するのです。

   入力ミスしてもアラームを発してくれたり、「これで間違いないですか」と警告を発
   するソフトにすること。

   セルフチェックを促すことは、ミスに気付かせる上で有効です。

   ポカミスが発生しにくいように仕事のやり方、仕組みを盛り込んで「ワークデザイ
   ン」することが大切なのです。

  □4Mの変更管理拙劣に対する対策

   4Mの変更はポカミスの温床になっている。

   4Mとは、Man(人)、Machine(設備)、Material(材料など)、Method(やり方、
   方法)のことです。

   これらが変更になることは製造現場では日常茶飯事です。

   中でも「人が代わる」、「やり方が変わる」の二つは最もポカミスに敏感です。

   つまり不慣れが原因と言うわけです。

   「何かを変えたらミスが起こる」と考えてほしいのです。

   やむを得ずオペレーターが変更になる場合は、対象者にしっかり教育訓練して、
   「これなら大丈夫」というお墨付きを与えて作業をさせることが大事なのです。

   見本を見せて「この通りやってくれ」ではミスの元だ。

   技術的にやり方が変更になる場合も同様です。

  5Sが拙劣に対する対策

   「5S」は誰でも知っている「整理、整頓、清掃、清潔、躾」のこと。

   「言うは易く行なうは難し」で実際できていない現場が多い。

   「5S」と「識別表示管理」は一体と考えてほしい。

   「5S」ができていない現場はミスが多発することになっているのです。

   製造現場なら作業台の上をキッチリ「5S」を実施し、全社運動として定着させるこ
   とをお勧めします。

   事務部門においてもデスクの上や書類、パソコンのファイルやドキュメントを常日
   頃からきっちり整理、整頓し、識別管理をする習慣を身に付けることです。

  ホウレンソウ(報連相)不足に対する対策

   問題が起こると「言った」、「言わない」、「聞いた」、「聞かない」の言葉が飛び交う
   のです。

   明らかに「報連相不足」だ。

   つまりコミュニケーションがなっていない。 

   そして責任のなすり合いが始まる。

   ホウレンソウとは、「報告」、「連絡」、「相談」のこと。

   つまり、密接なコミュニケーションを常に図ることを習慣化することです。

   意思の疎通が図られればチームワークがよくなり、連係プレーが可能になるのです。

  □段取り不足に対する対策

   日常的な定型作業は同じことの繰り返しだが、たまにやる重要かつ特別な仕事や
   初めての仕事に着手すると言うのに「段取り」をキッチリやらない人は多い。

   段取りができていないからやるべきことを忘れたり、もの探しであっちにうろうろな
   どの歩行が多くなる。

   ミスを誘うばかりか効率も悪い。

   「段取り」をキッチリやってから着手すること。

   効率がよく、しかもつまらないミスは激減できるのです。


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ヒューマンエラー

                

ヒューマンエラー

  ■ヒューマンエラーに対応する

   1.ヒューマンエラーとは 

    近年、運輸機関における大事故や、金融機関におけるシステム障害や誤発
    注、医療機関における医療過誤などが社会的な問題となっています。

    これらの事故は、さまざまな要因がそれぞれ複雑に影響し合って発生して
    います。

    しかし、その根底には、ヒューマンエラー(人間の誤認識や誤動作によって
    引き起こされるミス)が存在しています。

    ヒューマンエラーによって引き起こされた事故の例です。

    このように、ヒューマンエラーによる事故はさまざまな分野で起こり得ます。

    企業の社会責任が重要視されている昨今、これらの事故は、「信頼の失墜」
    を招くばかりではなく、「顧客の安全性の損失」「多額の賠償責任の発生」な
    ど、取り返しのつかない大きな損害を顧客や企業に与える恐れがあります。

    また、近年、企業における機械化・IT化の進展により、一人の人間の作業
    により生じる影響力は、従来に比べて非常に大きくなりました。

    これにともない、ヒューマンエラーによって引き起こされる事故および損害の
    規模も増大しています。

    こうした背景から、企業にはヒューマンエラーに対する適切な対応が求めら
    れているのです。

   2.ヒューマンエラーのメカニズム

    (1)必ず発生するヒューマンエラー

      ヒューマンエラーへの対応を検討する上で、常に念頭に置かなくてはな
      らないのは、ヒューマンエラーは必ず発生するということです。

      もちろん、「ヒューマンエラーを起こさない」という意識を持ち、また、さま
      ざまな防止対策を講じることにより、ヒューマンエラーの発生をある程
      度防止することは可能です。

      しかし、人間は必ず何らかのミスを犯すため、ヒューマンエラーの発生
      を完全に防ぐことは不可能です。

      問題とされるべきは、ヒューマンエラーそのものではなく、ヒューマンエ
      ラーによって引き起こされる事故および損害への対応です。

      ヒューマンエラーへの対応としては、

       1.ヒューマンエラーの発生の芽をつみとる

       2.ヒューマンエラーが発生した場合、迅速に検知する

       3.ヒューマンエラーによる事故が発生した場合、迅速に対応する

      という、ヒューマンエラーの発生を想定した対策を講じることこそが重要
      なのです。

    (2)ヒューマンエラーの発生 

      人間の情報処理のプロセスは、

       ・入力のプロセス(情報を自身の中に取り込むプロセス)

       ・媒介のプロセス(取り込んだ情報を判断するプロセス)

       ・出力のプロセス(判断に基づいて行動を決定、実行するプロセス)

      の3つに大別することができます。

      ヒューマンエラーは、このいずれのプロセスにおいても発生する可能性
      があります。

      以下では、それぞれのプロセスにおけるヒューマンエラーについて具体
      的に説明します。

      ◎入力エラー

       情報を入力するプロセスで発生するエラーです。
       「見落とし」「見間違い」「聞き間違い」などにより、情報を正しく
       知覚・認知できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 操作中の機器が異常発生を知らせる警告を表示していた
         にもかかわらずそれを見落とし、事故を発生させてしまった

        ・ 設計図中の寸法の数字を見間違えたため、欠陥住宅を建築
         してしまった

        ・ 顧客の見積もり依頼に関する仕様を聞き間違えたため、規格
         に沿わない仕様の見積書を作成してしまった

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー

       情報を媒介するプロセスで発生するエラーです。
       「誤った知識」「経験への依存」「思い込み」などにより、情報を
       正しく判断・決定できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 新入社員が、商品に関する誤った知識のため、不当に低い
         見積価格を顧客に提示してしまった

        ・ 電車のベテラン運転士が、自身の経験を過信するあまり機器
         の危険表示を軽視し、事故を起こしてしまった

        ・ 「あまり重要ではないだろう」という思い込みにより、顧客から
         のクレームを放置し、結果としてさらに大きなクレームを発生
         させてしまった

       などが考えられます。

      ◎出力エラー

       判断によって決定された行動を出力するプロセスで発生する
       エラーです。
       「やり忘れ」「やり間違い」「勘違い」などにより、計画通りに正しく
       実行できないことをいいます。

       例としては、

        ・ 顧客に依頼されていた調査を行うことを忘れてしまった

        ・ 自動車の運転で、ブレーキとアクセルを誤って操作してしまった

        ・ パッケージがいつも使用している薬剤と似ていたので、中身
         を確認せずに別の薬剤を患者に使用してしまった

       などが考えられます。

       なお、各プロセスにおける一つひとつのエラーが軽微なものであって
       も、一連の情報処理のプロセスの中でそれらが連鎖することにより、
       より大きな事故を発生させる恐れがあります。

   3.ヒューマンエラーへの対応

    (1)情報収集と分析

      ヒューマンエラーへの対応を検討するには、ヒューマンエラーに関する
      情報を収集し、詳しく分析する必要があります。

      ヒューマンエラーへの対応の検討プロセスは図の通りです。

      ヒューマンエラーに関する情報を収集します。

      前述の通り、ヒューマンエラーにはさまざまな種類があります。

      また、複数のヒューマンエラーが相互に関係することにより、さらに新た
      なエラーを発生させるケースもあります。

      こうしたことを判別するために、できるだけ多くの情報(事例)を集める
      ことが重要となります。

      加えて、ヒューマンエラーには至らなかったものの、それにつながる可
      能性があった事例についても収集します。

      建設業界や医療業界では、これらを「ヒヤリ・ハット事例(エラーを起こ
      しそうになって「ひやり」「はっと」した事例)」として関係者全員で情報を
      共有しています。

      これらは、ヒューマンエラーを「芽」の段階でつみとるための非常に重要
      な情報となります。

      次に、これらのヒューマンエラーに関する情報を分析します。

      ヒューマンエラーは、発生するプロセスやその要素、要因により大きく
      異なります。

      従って、分析においては、そのヒューマンエラーが、情報処理の「どの
      時点で」「どのような理由により」発生したのかを詳細に検証し、エラー
      を発生させた本質を突きとめることが重要です。

      それぞれのヒューマンエラーを分析によってタイプ別に分類し、各タイ
      プの特性を勘案して対策を決定します。

      以下は、ヒューマンエラーへの対応として「ヒューマンエラー発生の防
      止」「ヒューマンエラーの検知」「ヒューマンエラーによる事故への対応」
      をまとめました。

    (2)ヒューマンエラー発生の防止

      前述の通り、ヒューマンエラーは「必ず発生するもの」です。

      しかし、さまざまな防止対策を講じることによって、ある程度発生を防止
      することが可能です。

      以下では、各プロセスにおけるヒューマンエラー防止対策を説明しま
      す。

      ◎入力エラー

       入力エラーは、情報を正しく知覚、認知できないエラーです。
       従って、入力エラーへの対応では、情報が正しく入力されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、

        ・ 見落としを防ぐために、機器や周辺状況について指差し確認
         などを行う

        ・ 見間違いを防ぐために、細かい数字や大量の数字などに
         ついては、複数の担当者の間で読み合わせを行う

        ・ 聞き間違いを防ぐために、情報は文書化して伝達する
         (やむを得ず口頭により伝達する場合は、必ず復唱を行う)

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー

       媒介エラーは、情報が正しく判断されないエラーです。
       誤った判断は、誤った知識および判断基準の不統一によって行われ
       ます。

      従って、媒介エラーへの対応では、正しい判断を行うための正しい知
      識の教育、および判断基準の統一が重要となります。

      具体的な防止対策としては、

       ・ 機器の操作や業務内容についての正しい知識を教育する

       ・ 判断基準を統一し(マニュアル作成など)、この基準に基づいて判
        断を行う

       ・ 上司によるチェックなど、複数のチェックポイントを設定することに
        より、判断の妥当性を多面的に検討する

      などが考えられます。

      ◎出力エラー

       出力エラーは、行動が実行されない、もしくは行動が正しく実行され
       ないエラーです。
       従って、出力エラーへの対応では、行動が正しく実行されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、

        ・ ToDoリスト(やるべき事柄をまとめたリスト)などを作成し、
         動作のもれを防ぐ

        ・ 落ち着いて、一つずつ作業や操作を行う

        ・ 作業、操作に際しては、目視などによる確認を行う

       などが考えられます。

       なお、出力エラーは、無意識の行動において発生しやすい特性をも
       っています。

       このため、無意識の行動に一定の制約を加えたり負担を軽減するこ
       とも効果的です。

       出力エラー防止対策の一例です。

    (3)ヒューマンエラーの検知

      ヒューマンエラー防止対策によってもヒューマンエラーを防ぐことができ
      なかった場合を想定し、それを検知するための対策を検討します。

      ヒューマンエラーの検知では、確認の機会を多く設け、目標と行為のズ
      レを少なくすることが重要となります。

      従って、具体的な対策としては、

       ・ エラーを発見しやすい仕組みをつくる

       ・ チェックリストを作成する

       ・ 複数の担当者によりダブルチェックを行う

      などが考えられます。

    (4)ヒューマンエラーによる事故への対応

      ヒューマンエラーを防ぐことができず、またそれを検知することができず
      に事故が発生した場合を想定し、これに備えるための対策を検討しま
      す。

      ヒューマンエラーによる事故への対応では、事故による損害の拡大を
      防ぐことが重要となります。

      具体的な対策としては、
       ・ 高所からの転落を想定して、安全ネットなどを張る

       ・ 伝票処理ミスや検品漏れによる目減りを想定して、ロス予算を
        計上する

       ・ 自社の製品により食中毒が発生した場合を想定して、迅速に
        被害者に対応するためのマニュアルを作成する

      などが考えられます。

      このように、ヒューマンエラーへの対応では、

      エラー発生の防止 ⇒ 発生したエラーの検知 ⇒ 発生した事故への対応

      という3つが、それぞれ適正に機能することが重要です。

   4.防止対策の運用上の留意点

    過去に発生したヒューマンエラーによる事故を検証してみると、「決められた
    手順通りに防止対策を実行しなかったため、ヒューマンエラーの発生防止
    や検知ができず、事故による損害を拡大させてしまった」という事例が少なく
    ありません。

    これらの多くは、
     ・ 指差し確認が面倒だったので、「安全と思われる」作業の確認を省略し
      た

     ・ システム上、エラーの警告が出たが、「問題ないと判断して」作業を続
      けた

     ・ 自分で「念入りに確認をした」ので、ダブルチェックをしなかった

    といった担当者の主観的な判断により、防止対策がしっかりと実行されなか
    ったことに起因しています。

    防止対策は、さまざまなプロセスに客観的なチェックポイントを設置すること
    でエラーの発生を防ぎ、またそれを検知することを目的としています。

    このため、担当者の主観的な判断によってこれらのチェックポイントを排除
    してしまっては、防止対策としての機能が全く失われてしまうこととなる。

    従って、防止対策を運用する際に最も重要なのは、いかなる場合でも、防
    止対策で定められている原則・ルールを順守し、実行させる
ことだといえま
    す。

    このためには、社内に「ヒューマンエラー防止対策委員会」といったチェック
    機関を設置し、
決定した原則・ルールが順守、実行されているかを定期的に
    確認する
などの施策が有効です。

    ただし、防止対策が実行されていたとしても、それが事実上形骸化してい
    ては意味がありません。

    例えば、ある機器の操作を行う際に指差し確認が義務付けられているとし
    ます。

    このような場合、長い期間を経るにともない防止対策が形骸化してしまい、
    結果として「表面上では指差し確認を実行していても、実質的には、確認者
    はただ無意識に指を差しているだけで確認していない」ということになってし
    まう恐れがあります

    このため、各人に、

     ・ その行動によって、どのようなヒューマンエラーが起き得るか

     ・ そのヒューマンエラーによって、どのような損害が起き得るか

    ということを十分に理解させ、防止対策を実行する重要性を認識させること
    が必要です。

    このためには、社内の各部署で発生した「ヒヤリ・ハット事例」について検証
    する「ヒヤリ・ハット意見交換会」を定期的に開催するなどして、ヒューマンエ
    ラーについての啓発活動を行うなどの施策が有効です。

    ヒューマンエラーは、もちろん発生させないに越したことはありません。

    しかし、その発生を完全に防ぐことができない以上、「ヒューマンエラーにと
    もなうリスクを、いかに少なくするか」という考え方を持つことが重要だといえ
    るでしょう。

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製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

         

製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

  ■下請体制の変化と経営革新の必要性

   1.下請分業体制の変化

     (1)日本の高度経済成長を支えてきた構造は、製造業における親事業者と下
       請企業とのネットワーク(下請分業体制)でした。

       下請企業は、複数の親事業者をもち、主要な親事業者とは長期にわたって
       取引を行い、所有する資産のうち主要親事業者向けの資産が約半分を占
       め、親事業者の要求によって設備投資や研究活動が行われるなど、親事
       業者による影響を大きく受けてきた。

       下請企業にとっては、仕事量の安定、独自での営業活動が不要、取引に
       関するリスクがない、技術指導が受けられるなどのメリットがありました。

       一方、親事業者側は、生産能力の不足分を外注で補う、外注先の専門的
       な技術や製造設備を活用する、外注先を活用して自社は得意な分野に集
       中するなど、下請企業とのネットワークを上手に利用して自社の強みを特
       化していこうという傾向がみられた。

       このように、長期安定的な取引関係を構築し、ネットワークである下請分業
       体制を、親事業者、下請企業の双方が上手に利用していました。

       しかし、中小製造業を支えてきた下請分業体制に、1980年代以降、大き
       な変化が起こり始めまた。

       「2013年版中小企業白書」によると、中小企業の下請比率は1981年の
       65.5%をピークに減少傾向(製造業で約18.6%、サービス業で
       約9.4%)にあり、この傾向は一部の業種(食料品、化学工業)を除いてほ
       ぼ全業種に共通しています。

       下請比率の低下に関係する大きな要因は、経済のグローバル化や不況が
       長引いたことで、大企業の生産拠点が海外へ移転したことがあげられる。

       また、日本の下請企業は、個々の部品を相互に調整・最適化しながら統合
       し、機能を発揮するように製品づくりを行う技術を得意としているのに対し、
       生産性向上のために、製品を部品ごとに分割、生産し、部品のつなぎ(イン
       ターフェース)の部分を標準規格化することで、単に部品を組み合わせるだ
       けで製品が完成する生産体制が世界的に進んだことも、下請比率の低下
       につながったとみられています。

       部品・半製品メーカーおよび素形材メーカーの状況をみると、10年前と比
       較して、下請取引を行う企業の割合はわずかに増加しているのに対し、各
       企業の売上に占める下請取引の割合は微減している。

       また、近年の傾向として、特定の取引先に売上のほとんどを依存する企業
       の割合が低下し、多数の取引先と薄く広い取引をする企業が増えている。

       これにより、下請企業が取引先より入手できる情報が、より表面的なもの
       や一般的なものとなり、技術開発や成長の方向性をつかみにくくなっている
       と懸念されています。

     (2)必要とされる国内基盤の強化

       大企業を中心に東アジアなどへ生産拠点を移し、生産体制の効率化を
       図ってきたが、近年、並行して国内の生産体制を再び強化する動きがみら
       れるようになった。

       とりわけ、電気・情報通信機械器具の分野では、アジア向けの投資が頭打
       ちとなり、その一方で国内向けの設備投資が持ち直す頼向がみられていま
       す。

       その背景には、最近の国内景気の回復基調により、企業の投資力がつい
       てきているうえに、ものづくりの基盤技術として、国内の中小企業の高い技
       術力が再評価されていることがあるようです。

       安価な海外製品の流入や親事業者の海外進出による受注減少に苦しむ
       中小企業があるなかで、こうした国内での需要に応えていくためには、環境
       の変化に対応し、自立した企業ともて強みを発揮していくことが求められて
       いる。

   2.基盤強化に求められる経営革新

     このような環境の変化に対応して、下請企業の企業活動も変化してきている。

     「2005年版中小企業白書」では、近年の中小製造業のおもな動きとして、輸
     出・輸入・海外直接投資を行う企業の増加、研究開発部門の従業員の増加、 

     デザイン・商品企画、研究開発関連の外部委託の増加をあげています。

     また、自社で生産設備を持たず生産工程をすべて外注する「ファブレス企
     業」、研究開発・試作品開発に特化する「研究開発型企業」、流通ルートを介さ
     ず自社で製造から小売までを一貫して行う「製造小売」など、業態も多様化し
     てきています。

     中小企業庁の調べによると、2005年11月末時点で、中小企業新事業活動促
     進法(旧法は中小企業経営革新支援法)に基づき、都道府県などより経営革
     新計画の承認を受けた計画件数は2万365件となっています。

     2005年3月末時点で承認を受けた企業の業種別割合をみると、製造業が
     43%ともっとも多くなっています。

     承認された中小製造業者の経営革新活動の割合は「新商品の開発又は生
     産」36%、「商品の新たな生産又は販売方式の導入」30%、「役務の新たな
     提供の方式の導入その他の新たな事業活動」20%、「新役務の開発又は提
     供」14%となっています。

     今後も下請体制の変化が進むことが予測されるなか、中小製造業者が自社
     の強みを強化していこうとする様子がうかがえます。

  □経営革新のヒント

   経営革新といった場合、どのようなものが経営革新といえるのでしょうか。

   もっともわかりやすい定義として、中小企業新事業活動促進法に定義されている
   「経営革新」の内容を確認していきましょう。

   中小企業新事業活動促進法では、経営革新として、

    1.新製品の開発又は生産

    2.新役務の開発又は渥供

    3.商品の新たな生産又は販売方式の導入

    4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業法動

   という4つを定義しています。

   それでは、これらの経営革新を行うためにはどのような工夫ができるかを考えて
   みましょう。

    1.製品・市場のマトリクスを利用する

      以下は、実際に中小企業経営革新支援法(現法は中小企業新事業活動促
      進法)の承認を受けた会社の事例です。

      金箔などの箔押し業者であったA社は、結婚式に代表されるお祝い物の金
      箔押しの印刷物が売上の中心でした。

      ところが、昨今では結婚式が多様化し、形式にとらわれない人が増えたこと
      や、パソコン印刷の普及に伴い、売上の激減に直面しました。

      そのため経営革新の必要を感じ、新たな市場開拓を決意した。

      現在の市場がなくなるという火急の事態ですので、新たな市場を緊急に開拓
      することが要求されました。

      その際考えたのは、今からまったく新しい製品や技術を開発していくことは資
      金力、人材力から無理があるため、現在もっている「箔押し」の基本技術をい
      かして市場開拓ができないかというものでした。

      現在は「紙」に箔を押しているが、これを別の素材に応用できるかどうかを検
      討し、たどり着いたのが食品への箔押しでした。

      紙のような形状の食品への箔押しを考え、「海苔」への金箔の箔押しが生み
      出されたのです。

      そして、贈答用の海苔や、すしネタに使用する海苔に、金箔で店舗名や広告
      を箔押しした製品を開発し、中小企業経営革新支援法の承認を受けることに
      成功しています。

      このA社の考え方に、経営革新を考えるひとつのヒントがみつかります。

      それは、以前からよく使われている方法で、
      「製品・技術」と「市場」の2つの軸で考えたマトリクスを利用する方法

      これは、縦軸に市場を、横軸に製品・製品・技術をとり、それぞれ既存と新規
      からなる4つのマトリクスを利用する方法です。

      現在もっている「箔押し」という技術を利用して、それを新しい市場に持ち込
      むという市場開拓の手法がA社の新製品開発にいかされています。

      中小製造業の場合、まったく新しい技術とまったく新しい市場からなるマト 
      リクスを狙うのは無理がありますから、A社のように、自社のもっている技術
      や市場をベースに考えることが一般的です。

      さらに、既存と新親の間に「他社は知っているが自社にとっては新規」という
      区分を入れることも役立つはずです。

      他社ではすでに開発されているが、自社はまだ手をつけていない製品分野
      や市場分野ですから、他社の取り組みを参考にすることによって自社にとっ
      ての経営革新が可能で、すでに先行している他社があるのでリスクも少ない
      分野です。

      このマトリクスを頭の中に入れて経営革新を考えることで、自社の資源を無
      理なく活用した経営革新を検討することが可能となります。

    2.顧客を知る

      もうひとつ、自社の新たな経営革新の対象となる顧客を知ることが、経営革
      新を図るうえで重要なポイントとなります。

      新製品を開発していく際に、製造業ではとかく自社の現在の技術に依存して
      考えがちです。

      そのこと自体は、先のマトリクスの考え方のように正攻法といえますが、問題
      は、自社の技術に縛られすぎて顧客がみえていない場合が少なくないという
      ことです。

      新しい製品や事業を考える瞭には、顆客を明確にイメージすることが重要。

      (1)市場細分化        

         新製品を発売する以前に、顧客を絞り込んで、具体的にイメージしておく

        と経営革新計画が立てやすくなります。

        顧客を絞り込む際に使われる基準が、「市場細分化」の基準です。

        すべての人を顧客に想定することはできませんので、自社の開発する製
        品を使ってもらいたい顧客を絞り込んで考えることがポイントです。

        たとえば歯磨きでも、口臭防止を目的に製品を利用する顧客、歯を白くす
        ることを目的にする顧客、磨いたときの爽快感を大切にする顧客など、顧
        客の要望にあわせた製品開発がなされています。

        この 要望=便益によって顧客を区分し、自社の開発した製品の真の顧
        客を絞ることが市場細分化です。

        市場細分化を考える際には、一般に4つの視点が必要です。

        @「測定可能性」

         新たに開発した製品が対象としている顧客の購買力を予想できるか
         どうかという視点です。
         たとえば、二輪車向けに新たに開発された二輪車用カーナビは、
         すでに販売されている二輪車用のアクセサリーなどの市場から
         購買力が測定可能となります。

       A「到達可能性」

        自社の新製品のターゲットを、たとえば「シンプルでナチュラルな生活
        を志向する20歳代の女性」と定義したとしても、そのターゲットに接近
        できる方法がなければ絵に描いた餅となってしまいます。
        たとえば、想定したライフスタイルをもつ消費者をおもな購読層にして
        いる雑誌に広告を出すことでターゲットに到達可能になる、といった
        視点から検討してみます。

       B「維持可能性」

        そのターゲット市場が採算のとれる規模があるかという視点です。
        たとえば、珍しい古着をリサイクルして和装バッグを製造しても、その
        対象となる市場の人口が数十人では採算がとれません。
        自社の生産能力やコストを考慮に入れながら、採算のとれる規模である
        かを確認することが求められます。

       C「実行可能性」

        自社の想定しているターゲットに対して、マーケティング・プログラムの実
        行が可能であるかどうかという視点です。
        中小製造業者が世界規模の販売網を必要とするマーケティング・プランを
        考えても容易には実行できないため、自社のマーケティング資源を確認し
        ながら、実行可能であるかどうかを検討することが求められます。

      (2)5W1H法

        このような視点から検討して市場細分化がなされたら、その市場をより具
        体的にイメージするために利用できる方法が「5W1H法」です。

        開発した製品が実際にどのように使用きれるかについて、5W1H=「誰
        が、どこで、何を、いつ、なぜ、どのように」使用するかを自問して、顧客の
        姿を明確にしていきます。

        市場細分化によって、ある程度顧客のイメージは決まっているはずです
        ので、それをさらに製品が使用されるシーンに従って具体的に想像するこ
        とで、開発製品のイメージを精巧度の高いものに近づけていきます。

        たとえば、市場細分化で自社の顧客を「40歳代の主婦」と想定していて
        も、都会の主婦の行動と地方都市の主婦の行動は買い物に行く手段(徒
        歩か車か)から違いますし、ニーズも異なってきます。

        「40歳代の主婦」をターゲットとしているといいながら、じつは「大都市に
        住む、40歳代で、子どもが高校生の主婦」だけに必要な製品を開発・製
        造しているケースなどが考えられる。

        このような誤差をなくすためにも、自社の開発・製造する製品がどのよう
        に使用されるかを5W1H法で確認することが有効です。

        5W1H法は、たとえば以下のように利用していきます。

         自社が新たに開発する製品が小型プリンターである場合、
         誰が:ビジネスマン、大学生、高校生、中学生
         どこで:仕事で、学校で、出張時に、遊びで、旅行で
         何を(プリントするのか):PCの内容、携帯電話で撮った画像
         (景色、友達)
         いつ:仕事中、帰宅後、学校で、電車の申
         なぜ:仕事の資料をつくるため、手帳に貼るため、写真シール
             にするため、自分の楽しみのため、シールをつくるため
         どのように:職場のプリンターを使用して出力する、家庭用
                 プリンターを使用して出力する、携帯用プリンター
                 を使用して出力する

        このような選択肢から、たとえば中学生が小型プリンターを使用するシー
        ンをさらに具体的に想定していきます。

         誰が:友達の多い中学生

         どこで:学校の休み時間、電車の申

         何を:携帯電話で撮影した友達の画像

         いつ:その場で

         なぜ:シールをつくるために

         どのように:携帯用小型プリンターで出力する

        このように具体的に想定していくと、たとえば「携帯電話で撮影した画像を

        その場でプリントできる」というニーズが想定されます。

        このニーズに基づいて、さらなる具体的なニーズ(たとえば、色、デザイ
        ン、サイズ、形、価格、重さなど)を明確にしていくことで、新製品の仕様を
        決定していくのです。

     経営革新を推進することが、下請体制の変化に負けない自立した企業となる
     ポイントです。

     自社の経営資源を製品・市場マトリクスで分析し、具体的な顧客を想定した新
     規開発をめざしていきましょう。

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