中小企業の人材育成のポイントは優秀な人材を採用時ではなく、採用後の育成でつくる

          

人材育成のポイント(優秀な人材は採用後の育成・教育によって) 


  「仕事を覚えない」、「人材が育たない」 こんな悩みを抱える経営者、部門責任者はこれ
  らの原因を社員の能力のせいだと思っていないでしょうか。

  これは大きな間違いです。

  原因は明白です。

  社員に覚えさせる環境・機会を与えていないからです。

  社員を育てるための投資(お金、時間)を怠るとどうなるか。

  本当に必要な投資までなくなり、さらなる人材難を招きます。結局、悪循環に陥ってしま
  うのです。

  中小企業にとって大企業のように初めから優秀な人材を採用することは困難を有します。

  中小企業が求める優秀な人材は採用時ではなく、採用後の人材の育成・教育によってつ
  くるものと考えるべきです。

  さらに、大企業と中小企業の「優秀な人材」は異なると考えていいでしょう。

  今、なぜ人材育成が重要なのでしょう?

  第一に、成熟化時代の中、扱い商品で差別化していくことは困難を要するからです。

  競合他社との差別化だからと「値引き」すれば価格競争に巻き込まれ、結局は自社の首
  を締めることにもなりかねません。

  第二に、ネット社会の中、バーチャル環境に慣れ親しんだ若手世代が不得意とするチー
  ムワーク、対人力、基本動作(挨拶、報連相等)などの弱点を克服することで競合他社に
  勝利するのです。

  「モノ、カネ」だけを武器にするかぎりは、ほんとうの「差別化」はできないのです。

  そのキーとなるのが人材を“人財”に育てるための「ヒト」の育成です。

  技術は他社でもすぐに真似されます。

  しかし、人を育てるにはそれなりの時間もかかり、簡単には真似のできるものではありま
  せん。

  従業員を育てていく際には明白なカリキュラムが不可欠だが、それが抽象的な表現や
  観念論的な単位では教育効果測定ができません。

  本人もやりがいがなく、自己育成について自発的なプランが作れないし、報酬とも無関
  係となってしまいます。 

  「育成・教育の仕組み」づくりはマニュアル体系を基に、評価基準、教育カリキュラム、
  報酬算定が三位一体
として連動していることが必要となります。 

  ●育成・教育のポイント

   目的を言う ⇒ 手順を言う ⇒ 理由を言う

    @「何のためにそれをやるか」という目的を明確にする

    A「どういう順番でやっていくか」を教える

    Bその理由を言う「なぜこういう手順でするのか」ということ

    C自分でやって見せる 人材育成.gif

    Dさせてみる

    E後は文字(文章)を見させる


  ●業績を伸ばす教育体制の仕組み

   1.ビジョン・目標の明確化(標準化

   2.役割の明確化(役割分担

   3.成果を生む行動の明確化(行動管理

   4.売上アップ、利益アップ策の明確化(中期・単年度 
    
月間・週間 ・ 日報計画

   5.目標(決定事項)の進捗状況を管理(決定事項

 

   上記の各項目について見てみましょう。

    1.ビジョン・目標の明確化

     経営者が真っ先に考えるのが、売上・利益目標の達成であり、同時に顧客満足
     の向上、中長期の目標なども描いているでしょう。

     それでは、その目標を社員に伝えているでしょうか。

     この質問に対して「朝礼や会議等で伝えている」「いつも耳にたこができるほど
     言っている」と言います。

     しかし、「その目標達成のために何をどのように取り組んでいるのですか?」と
     質問すると口を閉ざしてしまう経営者・部門責任者が多いのです。

     そして、社員も同様に方針や目標は言えても、具体的に何を取り組むか「決ま
     っていない」、あるいは「知らない」といった答えが返ってきます。

     単に、方針や目標を掲げるだけでなく、現場まで浸透させる工夫が必要です。

    2.役割の明確化

     経営者が方針や目標を伝えても、なかなか現場まで浸透しない原因に、部門
     (現場)のリーダー(責任者)の問題が挙げられます。

     本来、方針や目標を実行させるのは現場リーダーであり、彼らの言動によって
     業績が大きく左右されてきます。

     営業トップや現場のリーダーは、数字を考えて行動しなくてはいけません。

     その点を理解している(数字がはっきり具体的に見える)リーダーとそうでない
     リーダーとでは、部下への指示の仕方に違いが現れます。

     ただし、これは営業トップや現場のリーダーだけの問題ではなく、社長の指示・
     命令の中身(リーダーの役割を明確にしていない)にも問題があるといっていい
     でしょう。

     その結果、リーダーから社員への方針や目標も明確に伝わらないのです。

    3.成果を生む行動の明確化

     営業における行動管理は成果へ直結させるためのもので、企業にとって営業
     マンの行動管理は緊急課題です。 

     ここで言う行動管理とは、営業マンがサボらないよう、サボらせないようにし、
     まじめに仕事をさせるための管理と言う意味ではありません。

     営業マンの「行動管理」は収益に結び付けるための行動計画であり、情報収
     集のためのものです。

     また、情報交換の場を設け、部下が仕事で学んだ実例報告や提言の場を設
     定し、社員個人の有益情報を組織として取り入れることで、情報の共有化、
     ノウハウの蓄積を図ることができます。

     営業マンの行動を明確にするためには

      ・相手業界固有の知識の修得(相手を知る)  

      ・マーケティング営業の実行(「売る」から「売れる」営業)

      ・態度(基本動作、見た目の重要性)の体得

      ・行動力の発揮(準備に完璧を求めない)

      ・情報武装(「勘」「経験」による精神論営業からの脱却)があります。

     上記の点を理解しないまま営業活動を行うことで、社員からは「成果の出し方が
     わからない」という答えが返ってくるのです。

    4.売上アップ、利益アップ策の明確化

     目標が達成できない企業の特徴に計画が挙げられます。

     計画を行動に移す段階で、すでに計画自体が画餅に帰してしまっているのです。 

     計画が画餅に帰する原因に、 

      第1に、計画が具体化していないこと

        第2に、行動のための具体的なアイディアが少なすぎること

      第3に、スケジュール管理を行っていないこと

     の3つが主な原因です。

     「計画なきところに実行なし、実行なきところに成果なし。」

     経営方針(計画)書は、企業が計画的に経営を推進し、目標とする成果を収め
     るためのものです。

     単なる理想的数字の羅列ではなく、その目標を達成する為の戦略・戦術・戦闘
     が具体的に明示されていなくてはなりません。

     そして、その進捗状況を随時チェック・コントロールすることで、場当り主義から
     脱却を図り、計画経営・羅針盤経営の企業形態になるのです。

     経営方針(計画)書は、トップが全て作成するのではなく、トップが戦略を練り、
     幹部が戦術を明確にし、社員が戦闘するのです。

     即ち、全員参加が基本となります。

     この作成段階が実践的な訓練(教育)になり、経営参加意欲の増進を図ると共
     に、役割の認識、責任意識の高揚にもつながるのです。

    5.目標(決定事項)の進捗状況を管理

     会議等でいくら問題点についての結論(対策)が出されても、その実施チェック
     が行なわれなくてはなんにもなりません。

     結論(対策)が出たときに、誰が担当して、いつまでに実施するか定め、又、中
     間チェック日(経過報告)を設定して、次回の会議日では、冒頭に前回決定した
     事項の実施情況と結果を確認します。

     月1〜2回は進捗管理やミーティングが必要になってきます。

     達成のために立案した行動目標や活動プランをしっかりとリーダーが進捗管理
     することで遂行力が出てきます

     このようにすることによって、結果の出るのも早くなり、決めっ放しもなくなり、成
     果も期待できるものとなるのです。

     しかし、目標数字を達成しても、それを評価するシステムがないというケースが
     多数見受けられます。

     目標達成と評価が連動した仕組みが必要です。

  
  人材育成成否のポイントは過去の勘や経験のみに頼ったやり方から仕組みに基づき計
  画的に行うことが基本です。


  「企業は人なり」そして「リスクも人なり」です。

  企業における「ヒト」の育成・教育は「人材」を『人財』に育てることです。

  目先の売上げだけに目がいっていると、最悪「人材」が『人罪』になりかねません。 

 

リーダー(管理者、幹部)の育成

経営者による管理者(リーダー)の育成 


  経営者にとって、リーダーとは、自分の経営理念を理解し、与えられた組織の力を最大限
  に引き出し、その実現のために支援してくれる存在です。

  ■管理者(リーダー)に期待される役割

   ・会社および自部門が抱えている問題を正しく理解する

   ・トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、その実行
    計画を立て、業績目標を達成

   ・部門目標の達成に向けて部下を動機づけ(若手の人材育成)、自ら先頭に立っ
    て業務を遂行する

   ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革を推進

   ・しっかりトップを補佐し、リーダーシップを発揮し、社員の模範となる人物になる

   以上の行動をすべて行う必要があります。

  リーダーの存在は経営者の理念や考え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向
  に組織を導くことができ、また経営者のいないときには、経営者の代わりとして業務を遂
  行できることです。

  人材教育のなかで管理者教育に注力する企業が増えている背景には、リーダーのスキ
  ルアップ(リーダーシップ)が企業自体の活力の増大に大きく結びつき、管理者次第で会
  社は成長もすれば衰退もするのです。


  ■リーダー(管理者)育成・指導がうまくいかない

   ・経営者が管理者に「指導したこと」が行動にどのように活かせるかが明確でない。

   ・管理者に対して、どれだけ具体的な指導ができるか考えていない。

   ・経営者の管理者指導のフォロー(指導後の実施過程)不足

   ・経営者が管理者に「考えさせる」ことをていない


  ■教育・育成のポイント

   1.経営者自身が教育する

     管理者教育においてもっとも大切なことは、経営者自らが管理者と共に自社の
     存在する価値や将来的な経営戦略を語り合い、また、経営者が管理者各人に
     対し、「期待像を示す」ことが必要です。
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    2.管理者教育・育成の方針

     (1)自社の進むべき方向性

     (2)将来の自社の組織図と、そのなかに占め
       る各管理者の位置

     (3)各管理者に将来果たしてもらいたい役割

     (4)現在の各管理者の能力・行動

   以上の点を明確にし、そのうえで「期待像」と「現状」のギャップを埋めるためにどのよう
   な教育を行うべきかを考える必要があります。

   人材の育っていない組織では、管理者はプレイング・マネージャーとして組織の稼ぎ頭
   となり、かつ、部下の育成やモチベーションの技術も持ち合わせていることが求められ
   ます。


  ■教育・育成の手順

   (1)現状の問題点

   (2)問題解決の自社独自の基本的な考え方

   (3)商品政策と顧客に対する考え方と具体的にやるべきこと

   (4)ローコスト経営に対する考え方と具体的にやるべきこと

   (5)自社の目標を具体的に示す

   (6)自社の基本的な考え方を示す

   (7)自社の目標が達成された具体的イメージを示す

   (8)自社目標達成のための必要な機能を示す

  教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」と、「幹部の役割を全うするた
  めに必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み立てることが必要になります。