中小企業の人材育成は優秀な人材を採用時ではなく、採用後の育成でつくる

          

人材育成(優秀な人材は採用後の育成によって) 


  部下に業務の実行を徹底させるための手段が教育(育成)です。

  「仕事を覚えない」、「人材が育たない」 こんな悩みを抱える経営者、部門責任者は
  これらの原因を社員の能力のせいだと思っていないでしょうか。

  これは大きな間違いです。

  原因は明白です。

  社員に覚えさせる環境・機会を与えていないからです。

  特殊なマーケットにいないかぎり、どこの会社も似たような商品やサービスを扱ってい
  ます。

  今、商品で他社と大きな差別化を図るのは非常に難しいことです。

  商品で差をつけることができなければ、「人で差別化を図る」ことです。

  『「 儲かる仕組み」をつくりなさい』の著者で有名な株式会社武蔵野(小山社長)は粗
  利益25億円のうち、約1億円を教育研修費に充てているとのことです。

  確かに中小企業にとって、社員教育にお金をかけるのは大変です。

  しかし、小山社長が指導してきた数百社の中で、「社員教育にお金をかけすぎて、倒産
  した会社は、1社もない」とのこと。

  中小企業は、「お金と手間をかけて社員を教育する」以外に、収益を上げ続ける道はないの
  です。
   
  ■厳しい経営環境だからこそ注力したい人材育成

   組織が遅滞なくスムースに動いていくためには組織人としてのマナーやルールが必要
   不可欠です。

   マナーやルールに関したことはさまざまあります。

   基本動作(報連相、指示、5S、挨拶 身だしなみ 朝礼 電話対応 会議 クレー
   ム対策 接遇など)、組織が機能するためには思いつくだけでもこれだけあります。

   これらは自然に身につくものではありません。

   そしてこれらがどれだけ重要かは既に承知のことです。

   このような厳しい状況のなかで中小企業経営者の人材育成への考え方はいくつかに
   分かれます。

   いずれの経営者も人材育成そのものへの重要性は十分に認識しているが、
    (1)日々の売上確保のためには人材育成への取り組みを最低限に抑えざるを得ない

    (2)業績低迷のなかでもできるだけ従来と同じレベルの人材育成を行っていきたい

    (3)業績回復に向けて従来の人材育成のあり方の抜本的な見直しや取り組み強化
      を行いたい

   といったパターンに分かれるのです。

   会社が置かれている状況によって、緊急避難的には(1)のような措置を取らざるを得
   ないかもしれません。

   しかし、「今こそ人材育成について一層本気で取り組むべき必要性があり、かつチャ
   ンスでもある」といえます。

   人材育成は「仕事ができる社員を育てる」といった単純な目的で行うものではありま
   せん。

   「会社は将来的にこうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。だから
   社員にはいつまでにこんな能力を身につけて欲しい」

   という会社としてのあるべき姿にリンクして行われるべきものです。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられています。

   生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所
   が「人材育成に問題がある」と回答しています。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

    
   長引く不況で先が読めない状況下だからこそ、自社のあるべき姿を再度見直し、それに
   リンクした形での人材育成方針が必要なのです。

   業績低迷下では自社の「問題」が否が応でも鮮明になります。

   好景気のときには好業績の陰に隠れていた「商品力不足」、「営業力不足」、「マネジメ
   ント力不足」などといった問題が浮き彫りになってきます。

   これらの問題を実際に解決し、将来に向けて経営体質を強化していくのは、ほかでもない
   自社の社員たちであり、できるだけ早期にそのための人材育成に着手しなければなりま
   せん。

   つまり、厳しい経営環境にある今だからこそ、

    ・現状明らかになっている問題点を踏まえて、自社の今後のあるべき姿を再度見直す

    ・あるべき姿の実現に向けて必要な人材像とその育成方針を明らかにする

    ・具体的な育成計画を策定し、できるだけ早く着手する

   といった長期的な視点に立ったうえでの人材育成に取り組む必要があるのです。

   顧客主導の時代である今、顧客視点に立った物の見方考え方を取り入れることが、生き
   残り勝ち残る条件となることは言うまでもありません。

  ■人材育成の出発点

   自社の人材育成を考えるうえで、「どんな人材を育てるべきか」を明確にすることが
   非常に大切です。

   社員を育成するということは、「仕事ができる人間を育てる」といった単純なものでは
   ありません。

   もちろんビジネスマンとしてのマナーや対人感受性など、どの会社で働くにせよ最低限
   必要な能力は欠かせません。

   「自社(店)で働く社員」の人材育成を考えるときには当然ながら、「自社でどのような
   力を発挿してもらうか」という視点が重要となります。

   そしてその際には、現在の社内の状況からの判断だけではなく、「会社は将来的に
   こうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。

    だから社員にはいつまでにこんな能力を身に付けて欲しい」といった長期的な視点も
   必要になります。

   このめざすべき社員像が明確になっていないと、社員は自分の能力をどのように伸ば
   していけばいいのかわかりません。

   人材育成とは目先の仕事を覚えさせるのではなく、自社の未来を担ってくれる人間を
   育てることです。

   会社として必要な人材像が明確になったら、社員自身に自分がどんな人材に育ち
   たいのかを真剣に考えさせることも大切です。

   たとえば、社員に自分自身の3年後の姿について考えさせます。

   「営業部門のトップになりたい」、「幹部として経営にかかわりたい」などいろいろな
   理想像が出てくるでしょう。

   それらが会社として必要な人材像と整合性がとれていれば、社員は実現に向けて
   努力していくことになります。

   ここでもっとも大切なのは、成長できるかどうかの責任はあくまで社員自身にあると
   認識させることです。

   社員が「会社が自分を育ててくれる」という意識をもっているうちは、その成長スピード
   は非常に遅く、また成長できない理由を会社のせいにしてしまいがちです。

   つまり、社員には日々の業績という「目先の成果」と自分の価値を高める「長期的な
   成長」という2つの責任を認識させる必要があるのです。

   3年後に自分の役職や給与がまったく上がっていなくても、それは育てなかった会社が
   悪いのではなく、自ら育とうとしなかった自分が悪いということになります。

   このような考え方を納得してもらうには、社員が理想像に向けて育っていくための万全
   の支援をする必要があります。

   たとえば、社員の能力開発計画やその進捗度合いについてきめ細かく指導したり、
   成長のために計画的な人事異動を行うなどの施策が必要です。

   つまり、会社として、社員が成長するためにできるだけの仕組みをつくり、社員はその
   仕組みを十分に活用して、自ら主体性をもって成長して欲しいという姿勢を示すの
   です。

   現在の社員は「終身雇用」や「年功序列」といった一昔前の常識がまったく通用しなく
   なっていることを理解しています。

   したがって、自分自身が成長しなくては先がないという意識はすでにもっているはず
   です。

   機能しはじめると、社員は日々の業務のなかでより困難なチャレンジをしたり、また  
   会社の外で自己啓発に取り組むなど自ら努力するようになるはずです。

   会社として「どんな人材を育てたいのか」、社員自身として「どんな人材に育ちたい
   のか」、この2点をできるだけ明確にすることが人材育成の出発点です。
   
  ■人材育成の基本
   人材育成の基本となるのが『基本動作』です。

   いつでも、どこでも、誰でもが、お金をかけずに実行できるものです。

   人が伸びて(成長して)いくためには、基本というものが必要です。

   基本動作とは「組織人としてやらねばならないこと」であり、挨拶、笑顔、報告するな
   ど、人材育成に欠かせない組織人としての基本です。

   育成・教育の有無は人材を「人罪」にも「人財」にもするのです。

   あなたは自分の時給がいくらかお分かりですか?

   もちろん時間給ですべてを推し測るという意味で言っているのではありません。

   あなたがトップであるならば当然意識していると思いますが、人件費が最大のコスト
   です。

   しかし、人件費を最大のコストと位置づけるかどうかは会社(店)のやり方次第です。

    1.人罪……反組織人であり、その集団に居ては、いけない人である。
            例えにもあるように、リンゴ箱に1つの腐ったリンゴがあれば、
            最後にはリンゴ箱のリンゴすべてが腐ってしまう。

            早期発見、早期治療をしなければ他のまともな人が潰れてしまう。
      
    2.人在……「存在するだけの組織人」、「返事だけの組織人」、「毒にも薬にも
            ならぬ組織人」等。

    3.人材……「言われた事はやるが、自ら創り出そうという気持ちが足りな
            い。」、「会社としても、生産性のみを追求しようとしているとこ
            ろは伸びない」等
 
    4.人財……文字どおり、その人が居るだけで組織が明るくなるとか、なくては
            ならない組織人という事である。

            新人には新人としての、女子社員は女子社員としての果すべき役
            割があるということ。

   社員を人材・人在と位置づけるのか、それとも人財とみなすかで大きく違ってきます。

   従業員個人の能力に頼ったやり方を変えなければ、上記の1〜3のジンザイを人財に
   変えることはできません。

   人材育成は教育というより訓練といったほうがいいでしょう。

   あなたにとって必要なことは、従業員が自身の役割を確実に実行するための訓練を
   おこなうことです。

   従業員個々の能力の有無ではなく、役割分担により、会社の業務がスムースに運営
   できるための仕組みをつくることが最優先の課題です。

   給与の高い人がパートでもできることをやっていては、穴の開いたバケツに水を入れ
   るようなものです。

   組織の再構築(仕組みづくり)は、「言うは易く 行うは難し」ですが、今の時代環境を
   見ても変化することを避けては通れないのです。

   “つくれば売れた時代”は当の昔に終わったことを認識すべきです。

   今の時代に合った、やり方・考えを導入することです。

   マンパワーに頼ったやり方から組織(チーム)を効果的に活用しない限り、いつまでた
   ってもコストに占める人件費の高コスト体質は代わりません。

   ムリ・ムダ・ムラを無くすことが増収するための条件です。

   どんなに社内環境をシステマティックにしても最後は人が関わらなくてはならない。

   データを入力しなければPCは単なる箱にすぎないのとおなじです。

   中小企業が競合他社との差別化を図るためには人材の品質向上が欠かせません。

   しかし多くの中小企業が人材育成に本気で取り組んでいない。

   理由として、

    ・短期間で成果が出ない
    ・必要性を感じない
    ・時間がない

   などといったことです。


   どんな製品・商品・サービスであっても売るのは「人」です。

   その「人」が商品であるといっても過言ではありません。

   礼儀正しく、身だしなみよく、情報提供に優れ、親身になってくれて、約束を守る、こん
   な好感の持てる営業マンであれば鬼に金棒です。

   男女問わず、相手に好かれることです。

   決して「媚を売る」のではありません。

   社会人・組織人として当たり前のことだと思いませんか。

   しかし、これができていない営業マンが多いのです。

   売れないのは扱う製品・商品・サービスの価格や機能のせいではないことを知ること
   です。

   組織は同じ目的・目標に向かうプロ集団であるはずです。

   中小企業では限られた現有資産を最大限に活かすこと。

   業務の全てを収益に貢献する体制にすることが求められます。

   そのためにも、収益に結びつかない、時間の無駄と言われている会議、朝礼を人材育成
   の場とし、基本動作の習得を徹底することです。

   そして、日報を人材育成のためのツールとして活用することも付け加えておきます。


   業務の複雑・煩雑化により様々なリスクが増す中、人材育成は会社(店)の浮沈に
   かかわる大きな問題であることだけは確かです。

   人材の採用では、どの経営者も当然優秀な人材採用を望んでいます。

   これは経営者にとって当然のことです。

   しかし、小規模事業所などは初めから優秀な人材を採用することは困難を有します。

   ですから、求める優秀な人材は採用時ではなく、採用後の人材育成によってつくる
   ものと考えるべきです。

   さらに、大規模事業所と中小規模事業所の「優秀な人材」は異なると考えていいで
   しょう。
   
  □教育は「人財」づくり
   人材育成に本腰を入れて取り組んでいる中小企業は多くありません。

   今日の糧を得るための行動が先行し、中長期的な計画がないのが実態ではないで
   しょうか。

   人材の育成には時間がかかります。

   しかし、これを抜きに会社の存続はないといっていいでしょう。

   それだけ重要であることはあなたもすでに承知のはずです。

   お客様はあなた(会社)を見ています。

   そして、お客様はあなたに期待しているのです。

   「その期待に応えている」と自信を持って言えますか?

   挨拶、態度、身だしなみ、等々はお客様から好感を持たれていますか。

   「嫌悪感をもたれている」なんてことはありませんね。

   「これらは時間が経てば自然と身につくもの」と思っていませんか。

   良し悪しは別として、習慣は一度身につくと直すのは至難の業です。

   早く、よい習慣を身に付けさせないと最悪の事態を招きかねません。

   ドラッカーの言葉にも、

    『人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
    人は最大の資産である』。

   最大の資産である「人財」にするには人を育てることが必要です。

   社員を育てるための投資(お金、時間)を怠るとどうなるか。

   本当に必要な投資までなくなり、さらなる人材難を招きます。

   結局、悪循環に陥ってしまうのです。

   中小企業にとって大企業のように初めから優秀な人材を採用することは困難を伴いま
   す。

   求める優秀な人材は採用時ではなく、採用後の人材の育成・教育によってつくるもの
   と考えるべきです。

   さらに、大企業と中小企業の求める「優秀な人材」は異なると考えていいでしょう。  

   しかし、その教育体制が今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育の横行です。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内の教育体制の内製化は不可能です。

   今、なぜ人材育成が重要なのでしょう?

   第一に、成熟化時代の中、扱い商品で差別化していくことは困難を要するからです。

   競合他社との差別化だからと「値引き」すれば価格競争に巻き込まれ、結局は自社の
   首を締めることにもなりかねません。

   第二に、ネット社会の中、バーチャル環境に慣れ親しんだ若手世代が不得意とする
   チームワーク、対人力、基本動作(挨拶、報連相等)などの弱点を克服することで競合
   他社に勝利するのです。

   「モノ、カネ」だけを武器にするかぎりは、ほんとうの差別化はできないのです。

   そのキーとなるのが人材を“人財”に育てるための「ヒト」の育成です。

   技術は他社でもすぐに真似されます。

   しかし、人を育てるにはそれなりの時間もかかり、簡単には真似のできるものではありま
   せん。
   
   教育は、自社(店)のビジョンに則した次世代の「人財」づくりを行う上で、欠かせない
   ものです。

   しかし、現場での教育は、会社の基本体制がきちんと整っていないと、属人的な指導
   や意欲的でない指導者による教育効果減や、最悪のケースだと、新人に対する指導者
   のイジメなどによるモチベーション低下などを引き起こす可能性もあります。

   したがって、指導者だけに任せるのではなく、会社全体として教育に取り組む姿勢・
   仕組み作りが大事です。
   
  ■OJTの課題と目的
 
  OJTとは、日常の仕事を通して、実務に必要な知識・技能を身に付けさせようとする
   職場内訓練法で、能力開発の重要な柱の一つです。

   この言葉を知らない経営者や管理職はいないと言っていいほど、OJTの考え方は一般的
   なものになっています。

   しかし、本当に効果的な方法で、きちんとしたOJTをやっているかと言うと、できている
   という人は多くありません。

   OJTがうまくいかない原因は大きく2つあります。

    1.OJTで指導をする側の管理職や中堅以上の社員が自分の業務で忙しすぎて、
      部下や後輩の指導ができない

    2.「自分でやったほうが早い」、「心配で見ていられない」と言って仕事を任せようと
      しない。

   これでは、OJT以前の問題です。

   また、積極的にOJTに取り組んでいても、やり方がまずくてなかなか効果があがらないと
   いった場合も少なくありません。

   もし、管理職や中堅社員が忙しすぎるなら、業務量の調整や時間管理の改善をしてOJT
   のための時間をつくる必要があります。

   そして、仕事を「任せられない」と思っているのであれば、考え方を根本的に変えなけ
   ればなりません。

   多少失敗はしても、任せなければ人は育たないということを肝に銘じておいてください。

   また、OJTに欠かせないことの一つに、実践的なマニュアルの作成がありますが、
   この作成だけで安心して、あとは現場に一任するようでは大きな教育効果は望めま
   せん。

   指導者側に意欲があり、指導するだけの能力を備えていることが重要です。

   また、指導がうまくいってるかどうかを、指導者の仕事の一つとして評価の対象にし、
   モチベーションや責任感の向上を図ることも必要です。

  □効果的なOJTを行うためのステップ
   (1)仕事に必要な能力を分析する
     ある仕事をこなすために、どのような能力が必要なのかを分析します。

   (2)部下の能力を把握する
     部下が現在どれだけの能力を持っているのかを把握します。

     そして、(1)で分析した仕事に必要な能力をもとに、その部下にどれだけの能
     力が必要とされているのか(目標レベル)を明確にします。

     部下の現在の能力と、必要とされている能力の差がOJTニーズになります。

   (3)OJT計画書をつくる
     (2)で把握したOJTニーズをもとに、部下の課題は何か、どこまで能力を引き
       上げるのか(目標)、そのためにどんな指導法を取るのか(指導法)、いつ
       までにOJTを終了するのか(期間)、といった具体的な計画をたてます。

       この計画づくりがOJTを成功させるための最大のポイントになります。

   (4)OJTの実施
     計画書に基づいて、OJTを実施します。

   (5)評価とフィードバック
     計画で決めたOJTの期間が終了したら、何ができて、何ができなかったかを評
     価します。

     実現できなかった目標については、なぜ実現できなかったのかを分析し、対策
     を考えて部下にフィードバックしたうえで次の計画へと進みます。 
  
  OJT計画書(フォーマット) 
   (1)課題項目
     OJTで何を指導するのか、具体的な課題テーマを記入します。

     手順としては、まず部下の現状の能力を把握した上で具体的なテーマを決定
     します。

   (2)現状の能力
     部下の現在の能力がどんなレベルなのかを記入します。

     ここは、目標となる能力レベルと対応するように書くとよいでしょう。

     ですから、作成に慣れるまでは、まず目標となる能力レベルを記入してから、
     それに対応する形で書くと書きやすいかもしれません。

     例えば、目標となる能力レベルを「○○規格をクリアするために作成が義務づけ
     られている書類をすべて作成し、適性に管理ができる」とした場合、現在の能
     力レベルは「規格をクリアするために必要な書類のうち、××と△△の作成が
     できていない。

     また、ファイリングが苦手なようで、過去に作成した書類を探すのに時間がか
     かることが多い」といった具合です。

   (3)目標となる能力レベル
     目標となる能力レベルを記入します。  

     目標が多すぎても、未達のものが増えてしまうことになりかねませんので、部
     下の能力をきちっと把握したうえで、多くても3〜4くらいの項目に絞るとよいで
     しょう。

     (2)の現状能力とともに、できるだけ具体的な項目をあげて記入することがポ
       イントです。

   (4)指導方法
     目標をクリアするために、どういう指導をするのか、何をさせるべきなのかを具
     体的に記入します。

   (5)スケジュール
     (4)で記入した指導方法をいつからいつまで実行するのか、その期間を指導
       方法の真横に棒線で記入します。

     ここでは、期間を1年間として1〜12月まで1ヶ月ずつに区切ってありますが、
     ケースに応じて例えば6ヶ月とか3ヶ月とか、自由に期間を設定してください。

     ちなみに、一般的にはOJTの期間は6ヶ月間といわれています。

   OJTはたんに教えることではなく、自己啓発意欲を高め、経験を積むことができるように
   仕事を任せ、任せた仕事をうまく遂行できるように教え、学習の場や機会を与えることで
   あると理解すべきです。

  □教育担当者
   OJTは、すべてを管理者が担当する必要はなく、先輩社員が指導するほうが、年齢的
   に違いがなく円滑に進む、という視点では効果的と言えます。

  □教育のポイント
   中小企業の多くが定期の研修はあまり行われていないのが現状です。

   しかし、人材に限りがあるからこそ「人財」が競争力に直結していると言っても過言
   ではないことから、OJTだけに頼らない教育体制が望ましいと言えます。

   大切なことは自社(店)の人材ビジョンに向けて必要なニーズと従業員のニーズの
   両者にあったものを活用することです。

   そして、中途採用者への教育においては職務経歴書の活用をおすすめします。

  □教育は体系づけて思考する訓練の場
   実務で身に付けた知識や能力は、時には断片的なものであるケースがあります。

   OJT研修は、それらの知識や技術を体系づけて深め、足りないものを補いながら幅を
   広げる効果があります。

   一方で、特殊な知識や新分野を学ぶなどといった、これからの実務に役立てるケース
   もあります。

   いずれにしても、研修の真の目的は、上記のように知識や技術を体系づけて思考
   する訓練の場を与えることと、そのコツを体得させて自己啓発という形で自主的に学ぶ
   習慣を身付けさせることです。

   教育・研修の効果を上げるには、従業員を研修に参加させたら、必ず報告書(研修受講
   記録は下記参照)を提出させて、何を学んだかを整理させることが必要です。

   できれば、他の従業員の前で発表する機会を与え、研修内容のフィードバックと共有化
   が図られれば効果は大きいものとなります。

  研修受講記録フォーマット 
   社員を対象に研修を実施している会社は少なくないことと思います。

   しかし、はたして個々の社員がどんな研修を受けて、どんな知識、能力を身につけて
   いるかを的確に把握できているでしょうか。

   それを把握し、研修の結果を有効に活用することができなければ、研修を行う意味は
   半減してしまいます。

   社員一人ひとりの研修の記録を残しておくことで、能力開発の計画や人事異動計画に
   役立つようにまとめておくのがこの「研修受講記録フォーマット」です。

   能力開発や人事異動の参考資料とすることが目的ですから、記録として残すものは
   できるだけ限定せず、広い範囲の事柄を記入することが望ましいでしょう。

   会社が実施した社内研修は当然のこととして、会社が業務に関わるものとして推薦し
   たり、申し込みの窓口となるなど仲介したりしたものの受講記録も記入しておくこと
   です。

   ただ、まったく業務に関係のないもの、自己啓発や趣味の勉強などについては、あまり
   にも範囲が広くなってしまうので、記録に残す、残さないは、会社の判断で決めるよう
   にしてください。

   会社が実施したり仲介したりしたものは、当然会社のほうで記録が取れますが、社員が
   個人的に受講したものについては、社員の申告がない限り、会社が把握することはでき
   ません。

   そこで、そうした情報を吸い上げるための仕組みづくり、例えば何か講座を受講して報告
   書を出すごとにポイントを加えていき、そのポイントに応じて報奨金を出すなどの工夫
   をしておくとよいでしょう。

   ○研修受講記録フォーマットの活用
    @研修名称
     社員が受講した研修や教育講座の名称を記入します。社内研修であればよい
     のですが、社外で社員が個人的に受けたものなどについては、名称を見て、
     その内容がわかるように記入しておきます。 

    A内容
     研修の内容を記入します。

     研修によって、社員が何を学び、どんな能力を身につけたのかを知ることが目
     的なわけですから、できるだけ具体的に研修の内容を書くことが重要になりま
     す。 

     能力開発計画や人事異動を考えるうえで最も重要な情報になりますので、十
     分注意して記録するようにしてください。

    B実施日・日数
     いつが受講開始で、いつ終了したのか。何日間の研修だったのかを記入して
     おきます。

    C講師名
     研修の講師名を記入します。

     社内研修の場合であれば、だれが何を教えたのかが明確になりますから、必
     ず記入しておくようにします。 

    D研修受講報告書提出の有無
     (研修受講)報告書、つまりレポートを提出したかどうかを記録しておきます。

     会社で行った研修であれば、当然、報告書の提出を義務づけているところは
     多いでしょう。

     社員教育、人材育成の一環として、社内での教育だけでなく外部の研修やセ
     ミナーを受講させることがあります。

     当然費用が発生しますが、せっかく費用をかけて教育を行うのですから、ただ
     研修受けただけで結局は何も身につかなかった、ということがあってはなりま
     せん。

     それでは、時間とコストの無駄以外の何ものでもありません。

     社外研修を受講する際には、事前に受講の目的を明確にしておくことが必要
     です。

     また、受講後には受講者が報告を行うことで、はじめて研修の効果が生まれ
     ると考えてください。

     報告を行う効果は2つあります。

     (1)受講者本人による受講内容の振り返り
       受講内容を振り返ることで、どんな内容の研修で何が重要なポイントだったの
       か、また、そこで学んだことを今後どう活かすべきなのかを、受講者本人が
       そしゃくし理解することができます。

       また、報告内容に対して上司が評価を行い、その結果をフィードバックするこ
       とで、さらに研修の効果を高めることができます。

     (2)受講内容を社内に還元し、情報の共有が図れる
       せっかくコストをかけて社外のノウハウや知識を学ぶのですから、そこで学んだ
       ものを受講者だけの財産にとどめておくのはもったいない話です。

       受講内容をきちんと報告させ、その内容を全社的に共有するべきでしょう。

       この2つの効果を最大限に引き出すためのツールが、「社外研修受講報告書」
       です。

       このフォーマットを受講者に作成させ、本人へのフィードバックを行うととも
       に、社内で管理することで社外研修の効果を最大限にすることが可能にな
       ります。

       このフォーマットを活用して社外研修を有効に活用してください。

       報告書はこの研修受講記録フォーマットとリンクさせて保存しておき、このフォ
       ーマットをもとにすぐに検索できるようにしておくことが大切です。

       すぐに検索できるように保管しておけば、例えば職場を異動した場合など、異
       動先の上司がこのフォーマットを活用して、社員本人がどの程度研修の内容を
       理解し、身につけているかをすぐに確認することができます。

       このフォーマットは、本人、上司が必要に応じて調べ、活用できるようにしてお
       くとよいでしょう。

       小さな会社になると、なかなか人材教育にまで手がまわらないことがあります
       が、社員が自発的に受講した教育講座なども記録しておき、積極的に活用す
       ることで、将来、人財という貴重な資産を有効活用することができるようになる
       はずです。
   
  ■人材育成はコーチングが決め手 
   上司と部下のコミュニケーション方法の一つである「コーチング」はすっかり定着した
   感があります。

   上司(教える側)が持っている経験や知識などを部下(教えられる側)に教育するティー
   チングに対し、コーチングでは、部下に質問を投げかけて考えるきっかけを与え、部下
   自身の答え・アイデア・本音を引き出すようにアプローチします。

   コーチングは上司から部下への指揮・命令による一方通行のコミュニケーションでは
   なく、部下に質問を投げかけて考えさせ、部下自身の答えを引き出し、それに基づい
   て自発的な行動を取るきっかけを与える「双方向のコミュニケーション」であるといえ
   ます。

   コーチングに成功すれば、部下に強いモチベーションを与えることができるだけでなく、
   自ら考え、行動することができる「自立型人材」を育成することができます。

   企業経営を取り巻く環境は急速に変化しており、企業はそれに対応するために革新しな
   ければなりません。

   営業においては、扱う商品・サービスその物を売るといったスタイルから、顧客視点の
   スタイルへと変化してきています。

   これは「作れば売れる」「足繁く通えば売れる」という時代ではないことを多くの企業が
   実感しているからです。

   言葉を換えれば、「顧客が求めているもの」「顧客が課題に感じているもの」を的確に
   把握し、迅速に応えることができなければ、競合他社に打ち勝つことが困難になって
   きているということです。

   このような変化に対応するためにも、自立型の人材育成が重要となります。

   コーチングは、企業が人材育成(上司と部下のコミュニケーション)の方法として導入
   するのに適した実践的な手法といえます。

   特に、自ら考え、行動することができる「自立型人材」の育成が急務とされる中小企業
   にとって、コーチングの実践は非常に重要となってきます。

  ■人材育成マニュアル
   従業員を育てていく際には明白なカリキュラムが不可欠だが、それが抽象的な表現や
   観念論的な単位では教育効果測定ができません。

   本人もやりがいがなく、自己育成について自発的なプランが作れないし、報酬とも無関係
   となってしまいます。 

   他社ではやっていない最もすぐれた方法をつくり出すことで、競争の武器ができ上
   がる。

   これこそ業務における競合他社との差別化である。

   そのためには、できる人のやり方を、表現方法を知っている人が表現し、休系づける
   ことです。

   そして、定期、必要に応じて見直しをしなくてはなりません。

   マニュアルは、事務部門、現場部門などすべての部門に欠かせないが、一挙には
   できないから、いちばん必要頻度の高い、そして会社としてマイナスの多い部分から
   確定していきます。

   「育成・教育の仕組み」づくりはマニュアル体系を基に、評価基準、教育カリキュラム、
   報
酬算定が三位一体として連動していることが必要となります。 
   
  □人材育成の方法とポイント
   (1)無理を要求しない
      ・相手によって教える内容を変え、やるべきことを全部決めてしまう。

   (2)繰り返し教えない
      ・最初は説明をする次に遂行基準(伝票の扱い方、陳列のしかた)を見せる
      ・教えたことはすべて書き留める
      ・1年経つと教育マニュアルができる

   教育の原則は、
   目的を言う ⇒ 手順を言う ⇒ 理由を言う

    @「何のためにそれをやるか」という目的を明確にする

    A「どういう順番でやっていくか」を教える

    Bその理由を言う「なぜこういう手順でするのか」ということ

    C自分でやって見せる 人材育成.gif

    Dさせてみる

    E後は文字(文章)を見させる

   経営改革の能率を上げるためには、まず組織
   から入らなければなりません。

   そのポイントは組織図をつくることです。

   組織図をつくらなければ従業員対策に入っても
   無理であり、組織図には権限が明記されなけれ
   ばなりません。

   それがなければ組織図をつくったことにはならな
   いのです。

   それに権限が規定されていないからです。

   承認を経営者が行っている以上は、決定権は経営者が持っていることになります。

   承認とは決定であり、決定とは権利です。

   そして、権利とは義務であり責任であるのです。

   部下に権限を委譲するということは、決定権、つまり承認権を与えるということです。

   その代わり経営者は、結果を追求しなければならないのです。

  □業績を伸ばす教育体制の仕組み

   1.ビジョン・目標の明確化(標準化

   2.役割の明確化(役割分担

   3.成果を生む行動の明確化(行動管理

   4.売上アップ、利益アップ策の明確化(中期・単年度 
    
月間・週間 ・ 日報計画

   5.目標(決定事項)の進捗状況を管理(決定事項) 

   上記の各項目について見てみましょう。

    1.ビジョン・目標の明確化

     経営者が真っ先に考えるのが、売上・利益目標の達成であり、同時に顧客満足
     の向上、中長期の目標なども描いているでしょう。

     それでは、その目標を社員に伝えているでしょうか。

     この質問に対して「朝礼や会議等で伝えている」「いつも耳にたこができるほど
     言っている」と言います。

     しかし、「その目標達成のために何をどのように取り組んでいるのですか?」と
     質問すると口を閉ざしてしまう経営者・部門責任者が多いのです。

     そして、社員も同様に方針や目標は言えても、具体的に何を取り組むか「決ま
     っていない」、あるいは「知らない」といった答えが返ってきます。

     単に、方針や目標を掲げるだけでなく、現場まで浸透させる工夫が必要です。

    2.役割の明確化

     経営者が方針や目標を伝えても、なかなか現場まで浸透しない原因に、部門
     (現場)のリーダー(責任者)の問題が挙げられます。

     本来、方針や目標を実行させるのは現場リーダーであり、彼らの言動によって
     業績が大きく左右されてきます。

     営業トップや現場のリーダーは、数字を考えて行動しなくてはいけません。

     その点を理解している(数字がはっきり具体的に見える)リーダーとそうでない
     リーダーとでは、部下への指示の仕方に違いが現れます。

     ただし、これは営業トップや現場のリーダーだけの問題ではなく、社長の指示・
     命令の中身(リーダーの役割を明確にしていない)にも問題があるといっていい
     でしょう。

     その結果、リーダーから社員への方針や目標も明確に伝わらないのです。

    3.成果を生む行動の明確化

     営業における行動管理は成果へ直結させるためのもので、企業にとって営業
     マンの行動管理は緊急課題です。 

     ここで言う行動管理とは、営業マンがサボらないよう、サボらせないようにし、
     まじめに仕事をさせるための管理と言う意味ではありません。

     営業マンの「行動管理」は収益に結び付けるための行動計画であり、情報収
     集のためのものです。

     また、情報交換の場を設け、部下が仕事で学んだ実例報告や提言の場を設
     定し、社員個人の有益情報を組織として取り入れることで、情報の共有化、
     ノウハウの蓄積を図ることができます。

     営業マンの行動を明確にするためには

      ・相手業界固有の知識の修得(相手を知る)  

      ・マーケティング営業の実行(「売る」から「売れる」営業)

      ・態度(基本動作、見た目の重要性)の体得

      ・行動力の発揮(準備に完璧を求めない)

      ・情報武装(「勘」「経験」による精神論営業からの脱却)があります。

     上記の点を理解しないまま営業活動を行うことで、社員からは「成果の出し方が
     わからない」という答えが返ってくるのです。

    4.売上アップ、利益アップ策の明確化

     目標が達成できない企業の特徴に計画が挙げられます。

     計画を行動に移す段階で、すでに計画自体が
     画餅に帰してしまっているのです。 

     計画が画餅に帰する原因に、 

      第1に、計画が具体化していないこと

        第2に、行動のための具体的なアイディ
      アが少なすぎる
こと

      第3に、スケジュール管理を行っていな
      い
こと

     の3つが主な原因です。

     「計画なきところに実行なし、実行なきところに成果なし。」

     経営方針(計画)書は、企業が計画的に経営を推進し、目標とする成果を収め
     るためのものです。

     単なる理想的数字の羅列ではなく、その目標を達成する為の戦略戦術・戦闘
     が具体的に明示されていなくてはなりません。

     そして、その進捗状況を随時チェック・コントロールすることで、場当り主義から
     脱却を図り、計画経営・羅針盤経営の企業形態になるのです。

     経営方針(計画)書は、トップが全て作成するのではなく、トップが戦略を練り、
     幹部が戦術を明確にし、社員が戦闘するのです。

     即ち、全員参加が基本となります。

     この作成段階が実践的な訓練(教育)になり、経営参加意欲の増進を図ると共
     に、役割の認識、責任意識の高揚にもつながるのです。

    5.目標(決定事項)の進捗状況を管理

     会議等でいくら問題点についての結論(対策)が出されても、その実施チェック
     が行なわれなくてはなんにもなりません。

     結論(対策)が出たときに、誰が担当して、いつまでに実施するか定め、又、中
     間チェック日(経過報告)を設定して、次回の会議日では、冒頭に前回決定した
     事項の実施情況と結果を確認します。

     月1〜2回は進捗管理やミーティングが必要になってきます。

     達成のために立案した行動目標や活動プランをしっかりとリーダーが進捗管理
     することで遂行力が出てきます

     このようにすることによって、結果の出るのも早くなり、決めっ放しもなくなり、成
     果も期待できるものとなるのです。

     しかし、目標数字を達成しても、それを評価するシステムがないというケースが
     多数見受けられます。

     目標達成と評価が連動した仕組みが必要です。   
  
   □業績を伸ばす教育のポイント

    人材育成成否のポイントは、過去の勘や経験のみに頼ったやり方から仕組みに基づき
    計画的に行うことが基本です。

    1.現場に精通した(経験済み)教育担当者を任命し、成果が上がる教育をつくらせる

    2.リーダーの役割をしっかり定義し、浸透させる教育を実施する

    3.目標達成できる行動計画の立案ができるシート、考えるツールを整備する

    4.営業のトップが目標達成のための進捗管理法を決めた上で、定期的に進捗管理する

    5.リーダーに、自部署で必要な数字を把握させ、行動計画と連動させる

    6.リーダーに、リーダーシップの意味を理解させ、部下の成功支援をさせる

    7.売上をつくる現場担当者に『売上を作り出す発想力を』をしっかり身に付けさせる

    8.売上をつくる現場担当者に『自社の効果的PR』を実施させる

    9.売上をつくる現場担当者に商品を売る力をつけさせる

    10.取引数(客数)を増やし、取引額(客単価)を増やす行動をさせる

    11.売上をつくる現場担当者への『売る意欲』を高める教育を充実させる


  「企業は人なり」そして「リスクも人なり」です。

  企業における「ヒト」の育成・教育は「人材」を『人財』に育てることです。

  目先の売上げだけに目がいっていると、最悪「人材」が『人罪』になりかねません。 

   貴社のジンザイは「人罪」それとも「人財」?

   人材は時間がたてば自然と育つものではありません。
   会社を永続的に繁栄させるためには継続的な人材育成が欠かせません。

    晴れ 人材育成の強化(コンサルティング・セミナー・研修・講演)のご案内 

 

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社員教育の基本

            

社員教育の基本

■社員教育の課題

 1.社員教育にあたり経営者が認識すべきこと
   今日、企業の社会的責任が以前に増して問われるようになってきました。

   あらゆる企業は社会に対して何らかの役に立つことによって社会的責任を果た
   し、存在価値のある会社となります。

   会社で働く社員も、自社に在籍していることによって、社会の役に立っているとい
   う実感ができるからこそ自らの仕事にプライドがもてるようになるのです。

   会社は自社での仕事を通じて、人格を鍛錬し社会に貢献できる人材をまさに育成
   しています。

   その際、社員が会社に入って企業の社会的責任をどのように果たしていくべきな
   のか、また自身の存在価値を高めるためにどのように努力すべきなのかといった
   基本的な姿勢は学校教育のなかで教えられるべきことなのかもしれません。

   しかし現実的には、企業(トップ)が、仕事を通じて社員の人間性教育を行ってい
   るというのが実態ではないでしょうか。

   このような意味で、企業は社会にとって重要な人材を育てる教育機関といっても
   過言ではない。

   また、仕事を通じた人間性教育を引き受けているのが中小企業経営者であるが
   ゆえに、企業経営者の社会的価値も高いといえます。

   人材教育は社長の社会的役割と認識することも重要です。

   さて、企業経営者は社員に対して以下のことを教える必要があるのではないで 
   しょうか。

   (1)社員が会社と仕事にプライドがもてるようにする
     自社の理念を実現すべく活動している会社の業績を常日頃話題にし、理想に
     向かって現在どの程度のところまで進んでいるのか進捗状況を理解させる。

     また、個々の社員の仕事が、社会にとってどのような価値があり、仕事の出来
     栄えによって自身の社会的存在価値も大いに高まっていくものであることをつ
     ねに語り聞かせます。

   (2)社員が夢をもてるようにする
     会社自体がどのようなビジョン=夢をもっているのかを社員に語る必要があり
     ます。

     現在の自社の実態ばかりではなく、将来の夢を繰り返し伝えることも重要。

     また、社員が自身の仕事の品質を上げるために努力をした結果、社員にとっ
     てどのようにすばらしい未来が開けていくのかを理解させることも重要です。

   (3)社員の人生の目標を理解し、支援する
     社員は自分の人生において、どの程度鮮明であるかは別にして生涯設計を描
     いているはずです。

     もし、描いていないとすれば生涯設計の仕方から教える必要があるでしょう。

     これら生涯設計を社長が理解し、支援するという姿勢をもつことによって、社員
     の目標と会社の目標が一致し、会社に感謝しながら、社員は自身の能力をよ
     り高めたいと思うようになるのです。

     以上のように、人材育成に取り組む前に、社員自身が能力を高めたいと思う
     環境作りがまず重要といえます。

     自身を高めたいと思っていない状況でいくら教育しても、まったくの徒労に終
     わってしまう可能性がある。

     そのうえで具体的な教育にあたっていくのですが、社員教育は個々の社員の
     過去の生育環境や、会社内でのキャリアによって個人ごとに状況は異なって
     おり、一筋縄ではいきません。

     しかし、トップ自身が社員の人生を預かり「なんとしても社員を一流に育て上げ
     る」という使命感と、愛情と根気をもって継続的に教育に取り組めば、何年か
     後には見違えるような成果となって返ってくるのです。

     苦労して育成し、実力のついた社員によって構成されている会社が本当に強
     い会社といえるでしょう。

  2.これからの社員教育の実務的な課題
    社員教育を進めていくにあたって実務的には以下のような課題に対応する必要
    があります。

    (1)業務革新への適応
      ・事業の再構築や再編成にともなう即戦力養成の必要性
      ・複雑化する企業環境に対応できる戦略的思考や起業家精神をもつ管理者
       養成の必要性
      ・市場や、製品の企画力・開発力・販売力強化のための技術部門と営業部
       門に対する教育の必要性

    (2)技術革新への適応
      ・加速する技術革新にともない、あらゆる分野において導入されるコンピュー
       タなどのOA機器に関する教育の必要性

    (3)国際化への適応
      ・言語をはじめ、政治・経済・文化・宗教・生活全般の基礎的な知識、事業や 
       経営に関する慣行、センスなどの教育の必要性

    (4)高齢化対策
      ・増加する中高年労働者を積極的に活用するための能力開発と再教育訓練
       の必要性

    (5)社会進出の著しい女性への対応
      ・男女雇用機会均等法への対応とともに、将来の労働力不足を考慮した女
       性社員戦力化教育の必要性

    以上のような社員数育の必要性と課題を十分に理解したたうえで、自社の活性
    化を進める能力開発の実現には、どういった教育が必要であり、どういう教育方
    法が有効なのかを考えていくことにしましょう。

  □社員教育を行う前に
   人材育成の目的は、現時点での人材の能力と、これから展開する経営目標や事
   業計画に必要な人材の能力とのギャップの解消にあります。

   そのためにはただ漫然と社員教育を行うのではなく、社員教育によって何をどの
   ように解決していくかを明らかにしなければなりません。

   まずはギャップを把握することによって教育活動の具体的な目標をたて、その目
   標に向けいかにしてギャップを埋めていくかという対策を講じます。

   つまり、
    社長教育の導入・改善を行う前には
    人材育成の目標を明確にすること
   が必要です。

   人材育成方針の策定、めざすべき人物像の明示など、目標を明確にすることが、
   計画的かつ効果的な教育活動の基本です。

   1.人材育成方針の策定
     人材育成はあくまでも経営活動の一環として行われます。

     このため、企業活動の背景となる「経営理念」「中期経営計画」「人事管理方
     針」「中期事業計画」「経営環境」などに基づき、しっかりとした教育体系を作り
     上げていくことが求められます。

     したがって、めざす能力開発の方向性を的確にとらえ、以下のように、企業の
     発展という最終目的につながる社員教育を策定します。

      社員の能力育成 ⇒ 人材の能力活用 ⇒ 組織の活性化 ⇒ 企業の発展

     なお、経費削減策の一環として、研修などの教育費用を抑える企業も多く、限
     られた予算内で企業の業務や考え方をいかに効率的に理解させるか、人事・
     教育担当者が頭を悩ませるところです。

     しかし、どのような状況下にあっても、自社のエネルギーを生み出すのは人材
     です。

     社員教育は企業力を向上させるためのものだという本来の目的が損なわれる
     ようなことがあってはなりません。

   2.目標となる人物像の明示
     目標となる人物像を明確にすることは、人材育成を行ううえで成功のポイント
     となります。

     企業が期待する、必要とする人材がはっきりしていると、社員も目標像がイ
     メージしやすく、取り組む方向性を誤ることもなくなります。

     抽象的な理想像を掲げる会社も少なくありませんが、事業や職務に即して、よ
     り具体的に表現するほうが望ましいと思われます。

     例としては、

     <必要とする人材例>
      ・価値観の多様化といった社会環境・企業環境の変化に適応できる
       幅広い知識と専門的な能力をもつ人材
      ・職務やプロジェクトごとに異なる業務環境に柔軟に適応できる高い
       応用力をもつ人材
      ・流動する構成員や職種・職能の異なる社員を受け入れ、活用して
       いくことができる豊かな人間性をもつ人材
      ・言語をはじめ国際的知識・センスを習得し、企業の国際化戦略に
       対し広い視野と行動力をもって戦力となることのできる人材

    目標への挑戦は社員の意欲を大いに刺激します。

    とくにそれが人物像として明確になっていると、成長した自己の想像が容易であ
    るため、より意欲が高められます。

    少々漠然としていても、「現代的な感覚をうまく織り込み、社員が共感をもって受
    け入れられるもの」であること、加えて「能力開発の重要性や必要性を訴えてい
    る」ことが大切です。
    
  □能力開発の3本柱
   企業における教育は3本の柱から成るといわれます。

   それは、OJTと呼ばれる職場内教育、これに対してOff−JTと呼ばれる職場外教
   育(集合教育)、そして自己啓発の3つです。

   これらは個々に独立し、それぞれ別個に成果を上げるものとしてとらえられがちで
   したが、最近ではこれらを効果的に組み合わせ、より高度な教育をめざすように
   なってきました。

   これら社員教育の3本柱について述べていきます。

   1.OJT
     職場内で、実際の職務を通して、計画的に、必要な知識や技能あるいは問題
     解決能力などを身につけさせる教育方法をOJT、職場内教育といいます。

     これには、業務のなかの、上司や先輩、ときには同僚が個別に行う教育・指導
     と、職場のミーティングや朝礼などが含まれています。

     実際に業務を体験しながら学ぶため、理解しやすく身につきやすい反面、指導
     者の能力により、育成される人材にばらつきが出るという問題があるため、事
     前に指導者の育成が必要となります。

     OJTは「仕事を通じて」行う点が強調されがちですが、達成しようとする能力開
     発の目標と期限を定め、たんに「目先の業務を教える」というスタンスではな
     く、長期的に能力をいかに高めていくかという「計画的」に行うことを忘れては
     いけません。

     業務のなかで行われるため「教育」としての意識が薄れがちなOJTをきちんと
     した能力開発のプログラムとして機能させるためには、目標とスケジュールが
     明確に設定されていることが必要です。

     (1)OJTのあり方
       OJTは、入社・異動・新技術導入などといった環境の変化があるときに対し
       て行われることが一般的です。

       最大の目的は、経験でしか得られないノウハウや技術を身につけることで
       すが、新しい環境への適応を促す機能もあります。

       OJTは、教わる側の能力や適性を配慮し、きめ細かなフォローのもとに個
       別教育を行うことができます。

       これはもっとも望ましい教育のあり方で、大きな効果が期待できます。

       OJTの基本的な流れをまとめると、次のようになります。

       @業務に必要とされる能力の確認
        部下が業務を遂行するうえで必要な能力を明らかにします。
        計算力・折衝力・管理力など、業務内容によって求められる
        能力は多様です。

       A部下の能力の把握
        OJTの対象となる部下の能力・知識・適性・関心領域などを
        把握します。
        先入観や偏見をもたないように注意が必要です。

       B育成目標の設定
        業務に必要な能力と部下の保有する能力に基づいて、育成
        目標を設定します。
        期間や教育環境も考慮して定めることが必要です。

       C育成計画の設定
        目標を踏まえたうえで、計画を立てます。
        教育項目・教育方法・期限などを決定します。

       D実施
        相手の能力に合わせて取り組ませます。
        指導いかんによっては新たな戦力となるかどうかが決まります。
        OJTの名のもと、たんに業務を教えるのではなく、仕事上での
        部下の問題点や考慮すべき点などを発見・解決しながら進めます。

       E途中および終了後のフォローアップ
        計画どおり進んでいるか、そうでないならば原因は何か、目標は
        達成できたか、できなかったのはなぜか、不足な点は何かなどの
        フォローが大切です。
        教育の効果や、問題点を明らかにすることで、OJTの質の向上を
        図ることができます。

     (2)OJTの有効な活用法
       OJTは教育予算をそれほど必要としない研修方式ですが、自社の教育体
       制の不備や、「指導者以上の成長が望めない」といった理由から、積極的
       に採用できない場合もあります。

       OJTを有効に行うためには、まず企業も社員も教育の必要性を理解し、意
       欲をもって臨めるように徹底していかなくてはなりません。

       これには、指導者の社員教育に対する努力と成果を人事評価の対象とす
       るなど、部下の指導に優れた社員にきちんと報いていく体制づくりが必要で
       す。

       評価制度と連動させることにより、指導者と指導を受ける者双方の意欲を
       高め、人材育成が日々の業務同様に重要であることを深く浸透させること
       ができます。

       また、OJTはジョブローテーションと組み合わせて用いられることも多くあり
       ます。

       これはさまざまな職務が経験できるため、ゼネラリスト育成には有効な手法
       ですが、人材育成までに時間がかかるうえ、配置された職場や職務が合わ
       ない、異動によって本人の能力がうまくいかせなくなったり、仕事への意欲
       がそがれたりするなど、教育効果を低下させてしまう場合もあります。

       適性に合わない職務下で長期的に我慢させることも多く、そうした場合、社
       員のモラール(士気)は極端に低下してしまいます。

       さらに異動が繰り返されると熟練が望めないという欠点もあります。

       OJTは優れた教育手段ではありますが、短所も少なくないため、有効な経
       験の積ませ方を十分に考慮したうえで採用していくべきだと思われます。

   2.Off‐JT
     企業内で行われる集団教育や企業外で行われる講習や通信教育などを、
     OJTに対してOff‐JT、職場外教育といいます。

     OJTでは学べない体系立った知識やノウハウなどを階層別や職種別の集合
     教育で補うもので、OJTと合わせて教育の2本柱とされます。

     OJTでは得られない、これまで自社になかったノウハウについても学ぶことが
     できます。

     Of f−JTでは「学ばせっぱなし」にせずに、いかに実際の業務にいかしている
     かをフォローする必要があります。

     また、社外の専門家から学んだ社員が、講師となって社内勉強会を開くことを
     習慣づけると、本人の理解が深まるだけでなく、ほかの社員も新しいノウハウ
     を学ぶことができます。

     内容としては、大きく分けて「階層別教育」「職能別教育」「課題別教育」があげ
     られます。

     (1)階層別教育
       新入社員から経営者にいたるまでのすべての階層の社員に対し、それぞ
       れに合わせて用意された教育が階層別教育です。

       これは、会社における生涯学習としてとらえることもできます。

       人事制度上の資格等級や職位の上昇に応じ、その節目ごとに行われるこ
       とが一般的ですが、「将来のための教育」として随時行うことも有効です。

       階層別教育のもっとも代表的なものは「新入社員教育」で、このほか「中堅
       社員教育」「監督者教育」「管理者教育」「経営者教育」などがあり、最近とく
       に注目されているのが「管理者教育」です。

       激しく変化する企業環境下で管理職に求められる能力は高度化し、戦略的
       思考力・業務改善力・問題解決力の開発が急務となっています。

       そのため、管理職の能力開発と再教育について見直しを図る企業が増え
       ています。

     (2)職能別教育
       同じ業務を担当する者を集めて行う教育を「職能別教育」といいます。

       代表的なものとしては、「技術職教育」「営業職教育」「事務職教育」「国際
       業務教育」などがあげられます。

       これらは専門職教育で、専門職全体のレベルアップを図ったり、優秀な社
       員をさらに「スペシャリスト」として育てることを目的としている。

     (3)課題別教育
       これは「重点施策対応教育」とも呼ばれ、その時々の企業の戦略やプロ
       ジェクトの遂行に必要な要員の養成が目的です。

       階層や所属部門にとらわれずに行われることが多く、最近では、「国際業
       務要員の養成」や「高年齢労働者の再教育」などが重要な課題となってい
       ます。

     (4)Off‐JTの有効な活用法
       Off‐JT は、「しょせんは座学」という意識から、実践をともなわない一方的
       な知識の詰め込みになりがちです。

       しかし、Off‐JT は、企業目標への意識の統一を図り、体系的な教育を行う
       ため、OJTを行ったときに応用・実践する能力へと結実することになります。

       基礎教育やフォロー教育として有効であり、ほかの教育と調整することに
       よって相乗効果が期待できる教育法です。

   3.自己啓発
     OJTやOff‐JT の欠点を補うための第3の柱として、自己啓発があります。

     これは、「顧客の志向を敏感に感じとり、自社経営に反映できる人材」を望む
     企業と、「能力主義的人事制度に応え、自らのキャリア形成に積極的に関与
     する」ようになった社員との双方の今日的な必要性の合致から、急速に取り組
     まれるようになりました。

     自己啓発とは、通信教育やEラーニングなど、個人単位で学習し、必要な知識
     を身につける方法で、資格取得のための学習など、長期的な教育に適してい
     ます。

     また、自己啓発はあくまで本人が主体的に学ぶものであるため、必ずしも現在
     の業務に直結しない分野を選択することもあります。

     たとえば、現時点では海外との取引がない企業の社員が英会話を学ぶ場合
     などはこれに該当します。

     最近では、業務と直結しない自己啓発に対しても支援を行う会社が増えてい
     るようですが、少なくとも自社がこのような自己啓発に対してどのようなスタン
     スをとるかについては、社員に明示しておいたほうがよいでしょう。

     能力開発は、最終的には社員個人の自発的・主体的取り組み次第ということ
     になりますが、自主的教育活動には「必要なのはわかっているが取り組めな
     い」といった個人的な事情もあります。

     そのため、会社からの働きかけが必要となるのです。

     実際に企業が取り入れている援助策としては次のようなものがあります。
      ・公的資格取得の奨励・援助
      ・外部講習会やセミナーの紹介・斡旋
      ・通信教育講座の受講斡旋・援助
      ・社内発表会やコンクールの開催
      ・研修制度、休暇制度による援助

     自己啓発の結果は、個人の満足や納得とともに企業にも利益をもたらすもの
     でなくてはなりません。

     社員が資格を取得したならば、極力その資格がいかせる業務につかせ、仕事
     に結びつけてそれをいかせるようにします。

     獲得した能力や技術を仕事に反映させることは、自社と社員双方の成長を促
     進する最良の策です。

  □組織の能力開発
   個人、職場、企業すべてに、より高い能力が求められる今日、個々の統合がさら
   に大きな能力となるよう、チームワークの重要性が注目されるようになってきた。

   職場全体の「組織能力」には、たんなる個人能力の寄せ集めではなく、各人の能
   力が有機的に統合されたものであることが要求されます。

   それを実現することで、組織的な業績の向上をめざすのです。

   職場という組織自体を活性化する教育方法は次のようにさまざまです。
    ・組織開発=OD(Organizational Development)
    ・全社的品質管理TQM(Total Quality Management)
    ・チームワーク形成(Team Building)
    ・感受性訓練(Sensitivity Training)

   これらの多くは、組織開発の主要な手法として海外の企業で多く取り入れられて
   いますが、日本企業ではおもにQC(Quality Control)サークルと称される「職場
   小集団活動」と「職場ぐるみ訓練(Family Training)」が実践されています。

   これらは職場全体での品質管理や教育を行い、全体で問題を提起し、解決し、発
   展していこうとするものです。

   こういった組織開発では、次の5つの過程を踏むことが一般的です。
    ・全員の討議によって、職場の問題点を明確にする
    ・問題の原因を全員で分析・診断する
    ・問題解決の目標とその手段を、全員によって決定する
    ・問題解決に向けて、全員の果たすべき役割を決定し、実行する
    ・実行結果に関し、全員で評価と検討を行う

   組織の団結した取り組みは、職場の人間関係の改善や業務のスムーズな運営を
   可能にします。

   さらに、個人能力の合計を上回る能力の発揮が期待できるのです。

  □能力開発のあるべき姿
   これまで述べてきたさまざまな教育法を組み合わせ、長期的視野で人材育成を
   図るものとしてCDP(Career Development Program)があります。

   これは、社員と会社がともに個人のキャリアアップに努める教育システムで、社員
   自身が自らの能力分析から目標設定、目標達成までの計画を策定し、社会や自
   社のニーズに合わせて自己の啓発に努め、企業はそれを支援します。

   CDPに代表されるように、会社の充実した教育支援と社員の自主的な能力開
   発、これらが効果的に整合して企業発展と個人の業務充実へと結びつくことが、
   社員教育体制のもっとも理想的なあり方です。

   能力開発は、最終的には社員個人の問題に帰着するものであり、自社における
   教育活動も、しょせんは社員の自己啓発を触発し、それを支援するものでしかあ
   りません。

   OJTやOff−JTも、最終的には個人が自発的・主体的に能力開発に取り組み、成
   長していく環境づくりといえます。

   理想的な能力開発とは、個人のキャリアアップとともに会社と個人それぞれが自
   らのニーズを満たしながらも、他方の目標へと歩み寄り、結果的には双方の目標
   を達成することです。

   互いの目標が近づけば近づくほど企業力と社員のモラールが向上するのです。

   <自己啓発による企業と個人の相互関係>
    このように、個人と会社双方による意識面・体制面からの能力開発の強化は、
    相互理解と活性化の促進や、大きな企業エネルギーの発動を実現することにな
    ります。

    中国古代の政治論集「管子」に、次のような言葉があります。
     一年の計は、穀を樹(う)うるに如くはなし
     十年の計は、木を樹うるに如くはなし
     百年の計は、人を樹うるに如くはなし

   この言葉を、企業の経営活動に当てはめてみてください。

   企業は一年の計を立てるため、十年の計を立てるため、その時々に設備投資や
   新製品開発などの対策を行います。

   しかし、百年の計を立てるのは人材です。

   人材を企業に根づかせ、育てていくことによって、企業の継続と繁栄が実現する
   のです。

   未来へと続く企業にとって、人への投資、人材の能力開発は、企業経営の重要な
   課題のひとつなのです。

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代表的な人材育成手法

          

代表的な人材育成手法

  ■代表的な人材育成手法

   人材育成の代表的な手法には、

   「OJT(On the Job Training)」、「OFF−JT(Off the JobTraining)」、「自己
   啓発」があります。

   OJTとは上司や先輩社員が実際の仕事を通じて必要な技術、能力、知識などを
   身につけさせる教育訓練のことです。

   職場のミーティングや朝礼などもOJTの一種です。

   OFF-JTとは日々の業務を離れて行う訓練のことで、代表的なものが自社内で集
      合教育を行うこと、外部の教育機関が主催するセミナーに参加させることなどで
   す。

   また、長期的な視点で他企業や研究機関などに出向させることなどがあります。

   自己啓発とは社員が自分の能力を高めるために自主的に行う学習のことです。

   あくまで社員の自主性次第ですが、会社としてはその自主性を引き出すための雰
   囲気作り、きっかけ作りなどの工夫が必要になります。

   人材育成においては、これらの3つの手法を上手に組み合わせて総合的に行っ
   ていくことが重要になります。

  OJT
   
OJTは「仕事を教える」ことではない
   1.長期的・計画的な視点が必要
     上記で紹介した3つの手法のうち、OJTについてはすべての会社において業
     務遂行のプロセスを通じて日々実践されているといってよいでしょう。

     「教え上手」な上司や先輩に恵まれた部下は、それだけ順調に育っていくこと
     が期待できます。 

     OJTを効果的に行ううえで忘れてはならないのは、
       個々の社員のどんな能力を、いつまでに、どの程度高めるのか
     という長期的・計画的な視点をもつことです。

     OJTは日々の業務を通じて行われるため、教える側は「目の前の業務の仕
     方」を教えることにどうしても目がいきがちです。

     もちろんこのこと自体は重要なのですが、それが社員のどのような能力向上に
     つながるのかを確認しながら進める必要があります。

     具体的には、以下のような手順で進めます。

     (1)自社の業務に必要な能力と程度を明らかにする
       現所属部門の業務範囲内だけではなく、全社レベルで考えることが大切。

       また現時点だけではなく、自社の将来に必要になる能力も抽出します。

     (2)部下の能力・志向性を把握する
       上記の能力について、現時点での部下の保有度合いや本人の将来的な成
       長の志向性を把握します。

     (3)育成方針を決定する
       必要な能力をどのように身につけさせるかについての方針を決定します。

       幹部候補生に幅広い能力を身につけさせるためには、部門を越えたロー
       テーションなども検討します。

     (4)育成計画を策定する
       育成方針にしたがって、今期末までにどのような能力をどの程度まで高め
       るか、誰がどのようにOJTを行うかなど、より具体的な育成計画に落とし込
       みます。

     (5)計画に基づくOJTを実施する
       部下に逐一細かい指示をするのではなく、部下本人にできるだけ自分で考
       えさせることが重要です。

     (6)定期的に進捗状況を確認する
       半期ごとなど適切なタイミングで進捗状況を確認し、計画未達成の場合に
       はOJTを行う側、受ける側双方についてその原因と対策を明らかにする。

     このように効果的なOJTを行うためには、
      日々のOJTの積み重ねが「結果として」能力向上に結びつくのではなく、
      能力向上を第一義として、そのためにはどのようなOJTが必要か
     という視点をもつことが重要です。

   2.OJTだけでは限界がある
     仮に最適なOJTが行われたとしても、OJTにはいくつかの限界があります。

     ひとつは、OJTで受け継がれるのは、先輩社員の考え方、知識やノウハウだ
     けであり、それ以上の効果は期待しにくいということです。

     たとえば、上司は自分がまったく知らない分野の専門知識や自分がまだ身に
     つけていないノウハウなどを部下に教えることは決してできません。

     また、「最近どのような消費者ニーズが高まっているか」といった目先の業務
     遂行とは少し離れたことについては、OJTの教育テーマには向いていません。

     さらにOJTには「幅広い分野を体系的に教える」ことには不向きであるという弱
     点もあります。

     たとえば、「新入社員」が一人前の「若手社員」になるためにはどのような要件
     があるか、「管理職」になるための要件は何かということなどについては、上司
     自身によるバイアスが強くかかる可能性があります。

     このようなテーマについては、会社全体としての統一した基準のもと教育して
     いく必要があります。

  □OFF-JT
   全社員の成長の方向性を示すOFF-JT
   1.軽視されがちなOFF-JT
     OFF-JTはその名前のとおり、日々の業務を離れて行うものです。

     形態としては社内での集合研修、外部機関の主催するセミナーへの参加など
     があります。

     OJTと違って目先の業務遂行に直接には結びつかないことや、プログラム作
     成の手間や外部機関へ支払う費用などがネックになり、企業によってはOFF- 
      JTをほとんど行っていないこともあります。

     しかしながら、上記のとおりOJTだけによる教育には限界があります。

     また、OFF-JTは「階層別教育(後述)」などを通じて、「社員にこのようなステッ
     プを積んで成長して欲しい」という会社全体としての意思を示す場でもある。

     受講する社員にとっても会社が必要とする能力のなかで、自分に不足してい
     る部分を確認できるというメリットがあります。

     社員全体のレベルを底上げし、さらに会社のあるべき姿に向けて社員の成長
     を促進していくためにも、OFF-JTは軽視すべきではありません。

   2.0FF−JTの分類
     OFF-JTの内容としては、大きく分けて「階層別教育」「職能別教育」「課題別教
     育」があげられます。

     (1)階層別教育
       新入社員から経営幹部に至るまでのすべての階層の社員に対し、それぞ
       れのレベルに合わせて実施する教育が階層別教育です。

       それぞれの階層ごとに必要な能力を身につけさせることがおもな目的で
       す。

       特に昇進したばかりの社員に対して、その役職に応じた研修を行うのが効
       果的です。

     (2)職能別教育
       同じ業種を担当する者を集めて行う教育を「職能別教育」といいます。

       代表的なものとしては、
        「技術職教育」「営業職教育」「事務職教育」

       などがあげられます。

       さらに「技術者上級」、「技術者中級」などの専門能力に応じて研修を行う場
       合もあります。

     (3)課題別教育
       その時々の企業の戦略やプロジェクトの遂行に必要な要員の養成が目的
       です。

       たとえば、新規事業に進出する場合に、当該分野の知識を新規事業に関
       わるメンバー全員が学ぶことなどがあげられます。

  □自己啓発
   
自己啓発には危機感が必要です。

   自己啓発はOJTやOFF-JTとは異なり、社員自らの意志で取り組むものです。

   そのため、自己啓発を促進するためのもっとも重要なポイントは、

    社員自身に自分がどんな人材に育ちたいのかを真剣に考えさせる

   ことにあります。

   たとえば、社員に3年後のめざすべき姿について考えさせます。

   現在営業マンとして活躍している社員は、「自ら営業部隊をマネジメントしたい」と
   いう目標をもつかもしれません。

   また、すでに管理者としての地位にある人は、「幹部として経営に関わりたい」とさ
   らなる成長の必要性を認識することもあるでしょう。

   このように「会社から勉強しろ」といわれたから仕方なくやるのではなく、「自分の
   めざすべき姿に近づくためには自己啓発は絶対に必要である」という危機感を社
   員自身にもたせることが重要なのです。

   自己啓発を促進するために「資格取得講座受講費用援助」などの金銭的支援を
   行っている会社はたくさんあります。

   もちろんこれらの支援も必要ですが、もっとも重要なのは、

    自己啓発への最大の原動力となる「成長への危機感」をいかにもたせることが
    できるか

   という点であるといえるでしょう。

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人材育成に欠かせない職務経歴書

           

人材育成に必要な職務経歴書


  ■職務経歴書

   社員個人の能力や技能、適性を有効に活用するとともに、人事異動や昇進・昇給管理な
   どを効率的に行うためには、社員各人の職務経歴や能力評価、適性などの情報をいつで
   も引き出せるように管理しておく必要があります。

   例えば、ある部署で欠員が生じた場合、または新部門を設立する場合、社員の誰を
   異動させればいいのか、もしくは現在いる社員より適性の高い人材を採用した方が
   よいのか、こうした判断をしなければならない状況が多々あります。

   社内で候補者が見つかっても、その候補者の人事情報がきちんと整理されていない
   と、本当に適性があるかどうかを判断するのは大変な作業です。

   「その候補者の上司に話を聞けばいい」と思われるかもしれません。

   ですが、上司がその候補者の過去の職歴や身につけている能力をすべて知っているわけ
   ではないので、適性を判断するといっても、どうしても主観的な要素が入ってしまい
   ます。

   また、その候補者が優秀な人材であればあるほど、上司が手放したくないからと、
   その人材を囲い込もうとするかもしれません。

   また、人材育成やキャリアアップを考えた場合も同様です。

   ある社員をどう育て、どんな能力を身につけていかせるべきかは、その社員のトータル
   な職務経歴や能力評価の情報がなければ正確には判断できないでしょう。

   会社が社員個人の能力や職務経歴といった情報を一元的に管理しておくことは重要
   なことなのです。

   職務経歴テンプレートは、社員が入社してからのトータルな職務経歴や能力について
   の情報を管理するためのテンプレートです。

   中途採用の場合は、入社前の職務経歴も重要な情報ですから、それにも対応できる
   ようになっています。

   ぜひ、人材育成や適正な人事異動の実現に役立ててください。

  職務経歴テンプレートの使い方
   上の欄には、社員の氏名、入社年月日等の個人情報を記入します。

    1.保有資格
      社員が持っている資格と、その取得日を記入しておきます。特に業務と関連性が
      ない資格であっても、なるべく書き込んでおきます。

    2.社外での職務経歴
      中途採用者の場合、前職での経歴を記入します。

      「職務内容」については、ただ「営業」とか「経理」と書き込むのではなく、職位
      や実際にどんな職務内容を担当していたのかまでがわかるように書いておく
      ことがポイントです。

    3.社内での職務経歴
      入社してから現在までの職務経歴がわかるように記入します。

      在籍期間は、何年何月から何年何月まで在籍していたのかという日付だけでな
      く、「○年×カ月」と一目で期間がわかるように書いておきます。

      担当職務については、A社外での職務経歴と同じように、実際にどんな仕事を
      していたのかがわかるように具体的な職務内容を書き込んでおきます。

      また、業績評価を行っている会社は、社員がどの職務でどんな評価を受けてい
      たかがすぐわかるように、過去の業績評価表と一緒にこのシートを管理しておく
      ことをおすすめします。

    4.特記事項
      この欄には、例えば健康状態や、住宅事情、健康状態、さらには賞罰の記録な
      ど、人事異動などの参考となる情報を書き込んでおきます。

    5.注意点
      このテンプレートの利用について注意したいのは、このテンプレートをつくること
      を目的化しないことです。

      このテンプレート一枚にすべての情報を書き込もうとはしないでください。

      このテンプレートは本でいえば、あくまでも表紙です。

      中身となる、自己申告書や人事考課記録、個人面談記録などを作成し、一緒に
      管理することで、社員の個人人事情報を体系的に管理することができるのです。

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