社内教育のやり方を改善

                  

社内教育のやり方を改善

■社内教育の改善
 一般的に企業の人材育成が話題になるときは大企業の話で、その内容は制度面にかたより
 がちです。
 では、経営資源が乏しくて、教育制度を確立するのが難しい中小規模の企業では、人材
 育成ができていないのかというと、決してそんなことはありません。

 こうした中小企業では知恵を働かせ、経営理念や経営トップの思いを伝えることで、
 しっかり社員を育てているのです。
 企業として進むべき方向性を喪失した大企業が多い中、経営理念などの伝承は重要度を
 増しています。

 また、企業実績の優劣が人材育成で決まるとされている現在の状況を考えれば、知恵を
 働かせた人材育成は、他社との差異化を明確にし、競争を勝ち抜くうえでの源泉となる
 ことは間違いありません。
 ここでは、社内教育の進め方をシンプルにステップごとに解説していきます。

□教え方
 ステップ1 習う準備をさせる
  気楽にさせる
  何の作業をやるかを話す
  作業について知っている知識の程度を確かめる
  作業を覚えたい気持ちにさせる
  正しい位置につかせる

 ステップ2 作業を説明する
  一時に一事の方法で、主なステップを1つずつ
  言って聞かせ、やってみせ、書いてみせる
  急所を強調する
  はっきりと、ぬかりなく、根気よく
  理解する能力以上に強制しない

 ステップ3 やらせてみる
  やらせてみて、間違いを直す
  もう一度やらせながら急所をいわせる
  よくのみこんだかを確かめる
  相手がわかったとわかるまで続ける

 ステップ4 教えた後を見る
  手ばなしで自分の仕事につかせる
  わからぬときに、聞く人をきめておく
  たびたび調べる

□学習の原理
 1.注意の集中
  学習者の心身を、覚えさせたいことにひきつける

 2.環境の整備
  環境整備は学習の邪魔にならないよう、学習を助けるように整える

 3.成功の連続
  学習過程が学習者に成功の連続であるようにする

 4.五感の活用
  学習にはできるだけ多くの五感を利用させる

 5.注意の限界
  学習者の注意限界以上に早く教えたり、つめこんだりしない

 6.印象の強化
  学習者に与える印象は、明白で強いものとする

 7.連想の利用
  既知の事象と結びつけて未知の事象を呈示する

 8.具象化
  抽象的な事象は具体的な姿に直して呈示する

 9.実際的な事例の使用
  事例には仮定的なものを使わず、実際例を使う

 10.反復
  与えた知識や技能は繰り返し使わせる

□仕事の教え方
 用意の仕方
  1.訓練予定表を作る

   a.訓練の必要な問題を見つける
    生産上の変化
    人員の移動
    作業ぶり

   b.訓練の計画をたてる
    だれを
    どの作業に
    いつまでに

 2.作業を分解する
  主なステップを列記する
  急所をとり出す
  安全は常に急所である

 3.すべてのものを用意する
  正しい設備と道具、材料、その他の必要品

 4.作業場を整備する
  作業員が常に守ることになっているようにきちんと

□新従業員の育て方
 働く意欲をもり上がらせる最適の時期は、従業員の就業当初をおいて他にない

 1.親しく迎える
  a.本人に関する経歴などをあらかじめよく調べておく
  b.親しく話ができるように、話題について十分考えておく
  c.必ず立ってあいさつをし、歓迎期待の意を表してやる
  d.話の途中でも、ときどき名前を呼んでやる

 2.まじめな関心を示す
  a.本人に身近な話をしてやる
  b.質問は遠慮なくするように仕向ける

 3.仕事の内容を説明する
  a.仕事の概要を説明し、その重要性を強調する
  b.職場のしきたりを説明する
  c.安全規則を守らねばならぬ責務を強調する

 4.関係個所を案内する
  a.更衣室、休憩所、手洗、食堂、病院、事務所等、日常生活に関係ある個所に案内
   する
  b.安全に関係ある個所には必ず案内し、必要な注意を与える

 5.関係者に紹介する
  a.人まかせにせず自ら案内してやる
  b.おざなりでなく、趣味、特技等の紹介をも含めてお互いに親しみのわくように
  c.一度にあまりたくさんの人に紹介しない

 6.訓練の世話をする
  a.指導者は穏健な人を選ぶ
  b.教える技術を十分備えた人でなければならない

 7.補修指導を忘れない
  a.ときどき様子をみて、必要に応じて指導する
  b.通常の監督下で仕事ができるようになるまで

□代行者の育て方
 1.判断力“君はどう思うか” と質問することで
  a.激励を与え
  b.よく考え、その考えの実用化の機会を与え
  c.確かな判断をする習慣をつけさせる

 2.独行力“上役のところへやる ”ことによって
  a.上役と代行者の相互理解を深め
  b.管理者は代行者を信頼していることを示し
  c.権限を委任した証拠を示し
  d.自分で判断を下し、話しながら考えるという訓練の機会とする

 3.分析能力“事実をつかませる” ことによって
  a.慎重にことに当たる習慣をつけ
  b.処理する前にはまず事実をつかむ必要があることをわからせ
  c.行動の前によく考える習慣をつけさせ
  d.面倒な問題を処理解決する訓練を与える

 4.統率調和力“人を監督させる ”ことによって
  a.監督の実務をのみこませ
  b.人を使う能力、訓練能力を育て
  c.職場の人はどんなものか理解させる

 5.責任感“責任をとらせる” ことによって
  a.自分自身でよく考える習慣をつけさせ
  b.管理の仕事全般にわたる経験を実習させる

□代行者を育てる順序
 1.適任者を選び、お互いの思想の疎通を図って親しくなり
 2.監督させる職場と、その仕事全般をよく説明して理解させ
 3.そばに呼んで、監督の仕方を説明したり手伝わせ
 4.機会をみて、比較的簡単な仕事をやらせて指導し
 5.不在のとき、忙しいとき等に仕事をやらせ、その結果を報告させて指導し
 6.欠員ができたら任命する

  部下に責任感を持たせるには
   a.はっきりした、あまりくどくない指示を与える
   b.一度委任した以上は、あまりうるさく干渉しない
   c.何か質問しにきた場合は、すぐ答えない方がよい。かえってほかの質問を、
    こちらから出すぐらいが望ましい
   d.時々部下のところへ行って関心を示してやる

□計画的、定期的な面接指導
 1.関係資料を集める
  a.本人の長所、短所、実績を書きとめるb.仕事や人に対する態度について調べるc.趣味、家庭の事情等本人の資料をそろえる

 2.面接の内容について下準備する
  a.話のもち出し方と進め方を考える
  b.相手の回答を考える

 3.適当な時間と場所を選ぶ
  a.仕事場を避ける
  b.仕事の邪魔にならないとき忙しくないとき
  c.気持ちが安定し、話に応ずる気持ちのあるとき

 4.常に親しい態度をもって接する
  a.上に立つような態度を避ける
  b.話しやすい雰囲気をつくる
  c.言い訳や否認に腹を立てない
  d.防御的な状態のままにしておかない
  e.必要な事実を知らせる
  f.求めるところを率直にいう
  g.とるべき道を自分できめさせる

 5.面接の結果を検討し、あとの計画をたてる

参謀を育てる

                                       

参謀を育てる

■優秀な参謀の確保
 社長は、企業を支えていくうえで多くの悩みを抱えていますが、ひとりであれこれ悩んで
 いてもあまりよい結果が得られるものではありません。  

 もちろん、誰にでもその悩みを相談するわけにはいきませんが、信頼できる参謀となる
 人物がいれば、孤独になりがちな経営者の悩みを聞いてくれたり、矛盾点を  指摘してくれ
 たり、アイデアを冷静に評価してくれたりと、社長が次なる戦略を生み出すためのよき
 相談相手になります。

 自分の話を理解し、客観的に受けとめてくれる参謀がいることで、互いにアイデアを繰り
 返しめぐらせていくことも可能となります。

 そのようななかにこそ、よいアイデアが生まれ、ひとりで考えているよりは明らかに高度な
 思考を短時間でめぐらせることができるといえるのではないでしょうか。
 しかしながら、優秀な参謀を確保するのはたやすいことではありません。

□中小企業の現状
 1.一部の社員の能力に頼ることが多い 
  多くの中小企業では優秀な社員の確保がままならず、会社経営の多くの部分を一部の
  優秀な社員に頼っているのが実情です。
  こうした社員は社長にとって何にも代えがたい貴重な“人財”であり、多くのことを期待
  されます。

  例えば、
   →業績好調の部門に配置され、さらに業績を伸ばすよう指示される
   →業績不振の部門に配置され、業績改善するよう指示される

  などといったように、会社のあらゆる部分にかかわる大車輪の活躍が期待されるのです。 
  優秀な社員を上手に活用することは非常に重要です。
  しかし、一部の人材にだけ多くの期待を寄せている経営者は、「個人の力には限界が
  あること」を認識しなければならないでしょう。

  企業経営を取り巻く内部・外部の環境が目まぐるしく変化している現在、いかに優秀な
  社員であっても、社内のすべてをフォローすることは非常に困難です。
  また一部の社員に多くを頼りすぎると、その社員が退職した後の確実でスムーズな引き
  継ぎが困難となってしまいます。

  そのため、社長は優秀な社員の有効活用を進めるのと同時に、積極的な社員教育により
  社員全体のレベルアップを図らなければなりません。
  さらに、社長の考えをよく理解し、適切なアドバイスができる社内参謀の育成も重要と
  なってきます。

  本来の相談役である優秀な社員は、通常の業務のために多くの時間が取れないかも
  しれません。
  また、社長と一部の社員だけでは意見に偏りが生じてきてしまいます。

  こうした際、常に社長のそばにいながらも、客観的に状況を把握し、適切なアドバイスを
  する社内参謀の存在が重要となってくるのです。

 2.社内参謀を育てる 
  多くの社長は、相談役となる相手を何人も知っているはずです。
  例えば、弁護士や会計士といった専門家は代表的な例でしょう。
  深刻なクレームして対応しなければならないとき、会計基準が変更されたときなどには、
  こうした専門家は実に頼もしい存在となります。

  ただし、企業内弁護士などでない限り、専門家は常に社長のそばにいるわけではあり
  ません。
  また、社長が専門家に相談できる内容は、その専門家が得意とする限られた専門領域のみ
  となってします。 

  ここでいう参謀は上で紹介した弁護士のような存在ではなく、いつも社長の側にいて、
  会社経営全般の状況を知り、企業経営者に客観的な視点でアドバイスできる存在のこと
  なのです。
  このような人材は簡単に獲得できるものではありません。

  社内の人材の中から社長の右腕となるべき“参謀の卵”を見つけ出して教育していくことが
  重要となります。 
  以下では、社内参謀を育成する方法について考えていきます。

  特に、今後、企業経営を承継する後継者にとっては、補佐役たる社内参謀の存在は極めて
  重要にあると考えられます。

□社内参謀を育成するためのステップ
 1.参謀に必要な資質を確認する 
  社内参謀を獲得するためには、参謀としての十分な資質を持った社員を見つけ出すこと
  から始めなければなりません。
  参謀は優秀な社員でなければ務まらないといえますが、これは学校の成績や入社試験の
  結果のみで決められるものではありません。

  そもそも参謀とは
   →順風満帆の時にはさらなる利益を上げる準備ができる
   →窮地の時には解決策を見い出せる
  といったような、柔軟で適切な判断能力を持った社員でなければなりません。

  また、人間関係で余計なエネルギーを消費しないように、権力争いとは無縁の社員が
  適していると考えられます。 
  以上から、社内参謀に抜擢するために社長が見極めるべき資質には次ようなものがある
  といえるでしょう。

   ◎人と違うことをしていても平気であること
   ◎周囲の人の噂を気にしないこと
   ◎創造力が人より優れていること
   ◎社内の争いを拒むこと
   ◎リーダーシップを発揮できること 

  社内参謀に適した資質を持つ社員を見つけたら、その社員を教育し、名実ともに社長の
  右腕に育て上げることが重要です。 
  以下では、社員が社内参謀に成長していくステップを4つに分けて紹介していきます。

   ◎第1ステップ:「聞き手」としての能力を開発
   ◎第2ステップ:「批評家」としての能力を開発
   ◎第3ステップ:「企画家」としての能力を開発
   ◎第4ステップ:「根回し家」としての能力を開発

 2.「聞き手」としての能力を開発 
  このステップで参謀の卵が学習するのは、聞き手として「相手の話をひたすら聞く姿勢」
  や「ほどよいタイミングで相づちを入れる心づかい」だけではありません。 
  重要なのは、聞いた話しの要点を絞り込み、それをよく覚えていることです。

  ただし、話の端から端までメモする必要はありません。
  これでは話し手に無用のプレッシャーを与え、話す気を無くしてしまいます。
  そうではなく、必要最低限のメモだかで要点を記憶できるように、話のポイントを
  押さえる訓練をしなければなりません。 

  具体的な育成方法は、話し終わった後で、話し手の方からポイントを一つ一つ教える
  ことです。
  慣れてきたら、参謀の卵がどの程度ポイントを押さえられているか、話の後に質問して
  みるのもよいでしょう。 

  ここで重要なのは、参謀の卵に、何でもノートに記録したがる学生気質を卒業させる
  ことです。
  学生時代は試験の時だけ答えられれば十分だったので、ノートは非常に効果的でした。

  しかし、社会に出て働き始めると、いつ聞かれても答えられる知識でなければ、それは
  知識とはいえなくなることを分かってもらわなければなりません。
  学生気質は日ごろの訓練と習慣によって改善されてくるので、長期的な視点で慣らして
  いくのがよいでしょう。 

  また、この段階で挫折するようならば、その社員を参謀にすること諦めた方が無難
  でしょう。
  参謀とはそれほど重要なポストなのです。

 3.「批評家」としての能力を開発 
  第2ステップは、第1ステップで学習したポイント把握力や記憶力を使って、社長の
  話や会議の議論の矛盾点を指摘する訓練です。
  例えば、社内会議の中で若手社員がする質問は本人が知らないだけで、全体にとっては
  基本であることが多くあります。

  若手社員は一生懸命に質問したつもりでも、実際はまったく的外れであることが少なく
  ありません。 
  しかし、第1ステップをクリアした参謀の卵は、質問するということは、話し手の
  矛盾点や不足点を明らかにすることだと理解しているはずです。

  矛盾点を指摘することは容易ではありませんが、場数を踏んでいくうちに慣れてきます。 
  ただし、単に回数を重ねるだけではなく、周囲に飛び交う情報に敏感に反応させる訓練を
  しなければなりません。

  そのためには、抜き打ちで質問するなど、常に高い緊張感を保たせることが重要と
  なります。 
  このような訓練を通じて、参謀の卵は

   →自分の周りで何が起っているのか
   →そこで発生している問題は何であるのか
   →問題を回避するにはどうしたら良いのか

  について考えることを習慣化していきます。

 4.「企画家」としての能力を開発 
  多くの人を「アッ!」といわせるような素晴らしい企画を立案することは容易では
  ありません。

  しかし、企画の内容や質を問わず、ただ何らかの企画を立案する程度なら「聞く力」
  「矛盾を指摘する力」「人と違うことができる力」を持つ社員であれば、何とかこなせる
  ものです。

  従って、このステップまで進んできた参謀の卵は、何らかの企画はできるまでに成長
  しているはずです。
  現実的には、新鮮なアイデアがないと面白い企画はほとんど立案されません。

  しかし、経験を重ね、さまざまな視点から物事を判断できるようになってくると、
  次第に的を射た企画を立案できるようになります。 
  ここで社長が留意する点は、参謀の卵にさまざまな企画書を作らせることです。

  参謀の卵が立案した企画書は、企業経営者などが確認しますが、細かなレイアウトなどの
  テクニックを指摘してもあまり意味がありません。
  企画書作成のテクニックは、後からの指導でいくらでも発達するものです。

  この段階で重要なのは、自由に企画書を作成させて、自分の矛盾点や不足点について
  考える機会を多く与えることなのです。

 5.「根回し家」としての能力を開発 
  社内参謀育成の最終ステップは、企画を実行に移すために必要な根回しの学習です。
  根回しというと、政界の裏工作などを連想し、悪い印象を抱いてしまいがちです。

  しかし、経営上必要な根回しがすべて陰湿なものとばかりは限らないし、組織を動かす
  うえで重要な戦略なのです。 
  実際、企画を実行するためには、各方面への根回しが必要になることがあります。

  人付き合いが下手な社員でも参謀を務めることはできますが、根回しができない社員は、
  まず役に立たないと考えてよいかもしれません。 
  参謀は社長をサポートする社員です。

  そのため、企業経営者が動きやすいように「根回し」をすることは参謀にとって非常に
  重要な役割なのです。

 6.最後に 
  社内参謀を育成するために必要なことを4つのステップに分けて紹介してきました。
  参謀の卵のすべてのステップをクリアしたならば、社長は社内参謀を自分のパートナー
  として認識しなければなりません。

  参謀となるのは優秀な社員であり、訓練を通じてその能力はさらに開発されています。
  参謀は、自分が社内のどんなポジションにいるのか、社長は自分のことをどのように
  評価しているのいかを敏感に感じ取ります。

  そのため、参謀を「根回し役の使い捨て社員」などとして扱えば、参謀は 社長を全力で
  サポートしなくなるばかりか、その会社を去っていくかもしれません。

  社長は、社内参謀がパートナーであることを常に念頭に置いて接しなければならず、
  これができなければ、せっかく育て上げた貴重な社内参謀を失ってしまうことにも
  なりかねないのです。

会社を支える右腕の育成

           

会社を支える右腕の育成

■頼りになる“右腕” はいますか?
 人材の確保・育成は会社において重要な経営課題の一つですが、中でも社長にとって
 切実な課題の一つは、単なる“イエスマン”ではなく、時には経営者にも意見するような
 身近な相談相手、あるいは名参謀として社長を支える人材(以下「右腕」)の育成かも
 しれません。

 いくら優れた経営者であっても、一人でこなせることには限界があります。
 また、一人で決断を下すときに迷いが生じることもあるでしょう。
 そうした時に、社長に近い視点で、経営を考え、実践できる右腕が身近にいるか否かで、
 意思決定の質やスピードに大きな違いが出てきます。

 社長としては、こうした頼りになる右腕を育成したいところですが、その際には注意すべき
 ポイントがあります。

 ◎右腕育成のポイント1
  候補は選抜する右腕には、相応の高い能力が求められるため、誰もがなれるという
  ものではありません。
  従って、右腕育成の際には、まずは、右腕となる素養を持つ人材の選抜から始めなけ
  ればなりません。

  ポイントは、実績だけではなく、表のような能力を重視して選抜することです。
  一見すると、「社会人としての基礎能力」のようですが、経営者同様に多様な課題に
  対処するためには、これらの能力のすべてを、高いレベルで有した人材でなければ
  なりません。

  こうした優秀な人材が不足しているという会社もあるでしょうが、右腕候補の理想像
  として念頭に置きつつ、最善の人材を選抜する必要があります。

 ◎右腕育成のポイント2
  育成は経営者の役割選抜した右腕候補を、右腕へと育成する際のポイントは、社長自身
  が育成を行うことです。

  右腕となるためには、能力の向上も必要ですが、何より大切なことは経営に関する哲学
  や思考パターンなどを経営者と共有することです。
  そのためには、社長が、右腕候補を直接育成していかなければならないのです。

  右腕は一朝一夕に育成できるものではありません。
  多忙な社長にとっては、時には右腕の育成が負担に感じられることがあるかもしれ
  ません。

  しかし、頼りになる右腕は、社長の陰から会社を支える大切な人材であることを心に
  留めて、根気強く取り組むようにしましょう。

ディベート研修

                            

ディベート研修

■ディベート(debate)とは
 ある公的な主題について異なる立場に分かれ議論することをいう(広義のディベート)。
 討論(会)とも呼ばれている。 
                       出典:Wikipedia

 1.ディベート研修とは 
  IT(情報技術)の発達により、ビジネスパーソンがビジネスで扱う情報の量は飛躍的に
  増加しました。
  それにともないビジネスモデルは複雑多様化し、企業間の競争も激化しています。

  このため、企業にとって、人的資源を十分に活用し、企業力を高めることが重要な課題
  の一つとなっています。 
  企業にとっての人的資源は、社員であるビジネスパーソンにほかなりません。

  この人的資源を十分に活用するには、個々のビジネスパーソンのビジネススキル
  (ビジネスを円滑に進めるための技術)を高めることが重要です。 
  ここでは、ディベートの手法を用いて、ビジネスパーソンのビジネススキルを高める
  研修について紹介します。 

  ディベートとは、あるテーマに対して肯定と否定という2つの立場のグループに分かれ、
  ルールにのっとって議論を行うことをいいます。 
  ディベートの特徴として、「自分の意見に関係なくグループに分かれて議論を行う」という
  点が挙げられます。

  例えば、そのテーマに対して、本当は自分は肯定の意見を持っていたとしても、否定の
  グループの参加者になれば否定の立場で議論を行わなくてはなりません。
  このため、ディベートの参加者は議論を個人の意見と分けて考え、グループの主張を
  論理的に分析して議論を行うことが求められます。 

  このディベート研修(以下「研修」)では、ディベートおよびディベートを行う過程で
  必要となる手順を経験することを通じて、ビジネスパーソンにとって基礎となるビジネス
  スキルである、

   ・問題発掘力・資料作成力
   ・プレゼンテーション能力
   ・リーダーシップ
   ・論理的思考力

  を強化することを目的としています。 
  この研修の対象となるのは入社4〜5年目の社員で、参加人数は1グループ当たり3〜5人
  を目安とします。

  参加者は、1回の研修ごとに、
   ・リーダー
   ・ディベーター
  の2つの役に分かれます。 

  なお、ここで紹介するのは社内で行う研修目的のディベートです。
  そのため一般的なディベートとは形式や各人が担う役割は異なります。
  この研修への参加者は、1回の研修ごとにリーダーの役割とディベーターの役割を持ち
  回りで担当します。

  研修ごとに参加者の1人がリーダーとなり、ディベートのテーマの決定、資料の作成、
  スピーチ、ディベートの進行、ディベートの判定を行います。
  直属上司は研修後にリーダーと面談を行うため、常にディベーターとなりリーダーには
  なりません。

  なお、一般的なディベートには、ディベーターに加えてタイムキーパー(ディベート全体
  の時間配分をチェックする係)や審判(ディベートの判定を行う係)が存在しますが、
  このディベートはあくまでビジネススキルを高める研修の一環であるため、リーダーが
  タイムキーパーおよび審判の役割も兼ねます。

  ほかの参加者はディベーターとなり、2つのグループ(両グループとも同じ人数)に
  分かれてディベートを行います。 

  研修は、1年間に5〜6回を目途として行い、リーダーが二巡した時点で終了とします。
  なお、5人以上でも研修を行うことができますが、研修をスムーズに進めるためにも、
  参加者はあまり多くないほうがよいでしょう。 

  リーダーとディベーターは、それぞれの役割に応じたメニューを実行することで、
  前述のビジネススキルの強化が図れます。

□研修のメニューと進め方
 1.研修のメニュー 
  以下では、各メニューの具体的な進め方について説明します。

 2.研修の進め方
  (1)テーマの決定(リーダーが決定)
   このメニューは、リーダーの「問題発掘力」の強化を目的としています。 ビ
   ジネスには、さまざまな「問題のもと」が存在しており、それらを放置しておくと、
   やがて「トラブル」という問題となって顕在化し、その対応には多大な時間や費用が
   必要となります。

   このため、これらが問題となる前に「問題のもと」を見つけ出す「問題発掘力」が
   必要となります。 
   このメニューでは、リーダーは昨今の新聞や雑誌から記事を選び、それを基にして
   自由にテーマを決定します。

   例えば、「大学生の学力低下」という記事からは、「『ゆとり教育』は廃止するべき
   である」「高校や大学に『飛び級制度を導入するべきである』」などのテーマを
   取り出すことができます。 

   このように、リーダーの視点によって、一つの記事からさまざまなテーマを決定する
   ことができます。
   すなわち、一つの事柄について、さまざまな視点から洞察することを繰り返す
   ことが、「問題発掘力」の強化につながるのです。

  (2)資料の作成(リーダーが作成) 
   このメニューは、リーダーの「資料作成力」の強化を目的としています。 
   ビジネスパーソンが書類を作成する際は、「簡潔で分かりやすく」ということを常に
   心がけなくてはなりません。

   リーダーは、ディベーターがディベートを行うための資料を作成します。
   作成した資料は、研修の2〜3日前にディベーターへ配布します(ディベーターは
   研修当日までにその資料に目を通しておきます)。 

   この資料は、ディベーターにディベートのテーマを理解してもらうためのものです。 
   そのため、リーダーは「テーマを決定するに至った経緯・概要、肯定・否定と
   それぞれの主張」に関してディベーターが負担なく読めるように資料を作成しな
   くてはなりません。

   資料は、A4用紙1枚程度に簡潔にまとめることが望ましいでしょう。
   そのほか、参考となる資料なども添付すると、参加者がディベートを進めるうえで
   役に立ちます。 

   なお、資料にはリーダーの主観を入れないように気を付けます。
   例えば、「『学力低下の原因である』ゆとり教育の廃止は望ましい」といった一方的
   な主張を提示すると、これから論ずべきテーマの中立性が損なわれ、ディベートを
   行う前段階でテーマに対して偏向がかかってしまいます。

   この場合のテーマは大きなくくりとして「ゆとり教育の是非」と設定し、肯定・
   否定のどちらかにとって有利となるような表現は避けるようにしましょう。 
   上記2つのメニューは研修前のものであるため、リーダーは通常業務の空いた時間
   などを利用してこれらのメニューを実行します。

  (3)スピーチ(リーダーによるスピーチ) 
   このメニューは、リーダーの「プレゼンテーション能力」の強化を目的としています。 
   プレゼンテーションは、対外的なビジネスにおけるコミュニケーションの手段として
   だけでなく、社内でも上司や同僚に対するコミュニケーションの手段としても幅広く
   利用されます。

   このため、十分なコミュニケーションを取ってビジネスを円滑に進めるためには
   「プレゼンテーション能力」が求められます。 
   このメニューでは、リーダーはテーマの概要についてスピーチを行い、資料について
   の補足や強調したい点をフォローする説明を行います。

   この際、単なる資料の棒読みになってしまわないよう参加者(相手グループ)へ
   目線を配り、話し方にメリハリをつけるなど、「伝える意欲」を表すことを意識
   しながらスピーチを行います。

  (4)ディベート(リーダーとディベーター) 
   このメニューは、リーダーの「リーダーシップ」の強化、およびディベーターの
   「論理的思考力」「プレゼンテーション能力」の強化を目的としています。 
   「リーダーシップ」とは「目標を達成するために、集団をあるべき方向に向かわせる
   統率力」をいいます。

   ビジネスパーソンは、職位の上昇にともない「マネジメント」(集団が協力して
   目標を達成するために「部下の動機付け」「指導、育成」などの環境づくりを行うこと)
   能力が必要となりますが、効果的な「マネジメント」を行うためには、「リーダー
   シップ」の発揮による集団の統率が不可欠です。

   ディベートの際、リーダーは効果的な立論、質疑、反ばく(相手の主張に対して
   論じ返すこと)が行えるようにグループの意見の統一を図ったり、ディベーターに
   適切な助言をします。 

   また、ディベーターには「論理的思考力」「プレゼンテーション能力」が求められ
   ます。 
   「論理的思考力」は、ビジネスを進めるうえで生じるさまざまな判断を下す場面に
   おいて必要となります。

   例えば、「材料の仕入れ先を変更するかどうか」という問題について判断を下す
   場合、材料の価格だけを判断要因とするのではなく、「材料費以外のコスト(輸送費や
   加工費など)の増加の可能性」「仕入れ先変更にともなう生産性の変化」などを
   論理的に検証し、最終的に「仕入れ先を変更することによるメリットは、変更
   しないことによるデメリットをどのくらい上回るか」ということを明確にしなくては
   なりません。

   このため、ビジネスの判断では「論理的思考力」が必要となります。 
   そして、「論理的思考力」により導かれた主張をより効果的に発表するうえでは、
   「プレゼンテーション能力」が重要な役割を果たします。

   いかに優れた主張であっても、相手を納得させることができなくては意味がありません。
   このため、主張を簡潔な言葉で分かりやすく伝え、またジェスチャーなども加えて
   相手の共感を誘う「プレゼンテーション能力」が必要となります。

  (5)ディベートの流れ
   下表は、ディベートの項目・内容・所要時間を表したものです。
   まず、ディベーターを、くじ引きなどによりテーマに対して肯定と否定の2グループ
   に分けます。

   ここでのポイントは、ディベーター個人の意見に無関係にグループ分けをすること
   です。 
   いよいよ、ディベートの開始です。

   「肯定の立論」「否定の立論」では、それぞれのグループが最初のディベートを行い
   ます(この場合では、肯定が先攻となっています)。

   両グループはリーダーが作成した資料に基づいて主張を組み立て、発表を行います。
   この発表を立論といいますが、立論は、肯定側はテーマのメリットを、否定側は
   テーマのデメリットを中心に主張すると説得力が高まります。

   下表は、肯定・否定の立論例を表したものです。
   なお、肯定の立論の後には否定のグループが、否定の立論の後には肯定のグループが、
   それぞれ相手のグループに対して質疑を行います。

   相手の主張についての不明な点、明白にしたい点などは、この際に確認をします。  
   次に、「作戦タイム」では、両グループが互いに反ばくするポイントをまとめ、
   否定、肯定の順番で2回ずつ反ばくを行います。

   下表は、否定、肯定の反ばく例を表したものです。
   リーダーは、議論の流れをまとめて積極的にディベートを進行します。

   一般的な会議では、いわゆる「声が大きい人」(物理的に声が大きい人・議論上手な人
   ・最も職位が上級の人)などによって議論が引きずられてしまうケースがありますが、
   このような場合、リーダーは冷静な対応によって、議論を元の状態に戻さなくては
   なりません。 

   ディベーターは感情的にならず、主張の論点がずれないよう常に意識します。
   また、どのような話し方、ジェスチャー、強調の仕方を行えば最も効果的に相手に
   主張を伝えられるかについても常に意識します。

  (6)ディベートの判定(リーダーが判定)
   このメニューは、リーダーの「論理的思考力」の強化を目的としています。 
   一般的なディベートでは、複数の審判が両グループの主張を分析して判定を行い
   ますが、この研修では、前述の通りリーダーが審判を務め、判定を行います。

   リーダーはディベートの流れを理解し、論理的な判定を行わなくてはなりません。
   下表は、リーダーによる判定基準の例を表したものです。
   判定の根拠となるのは論理性です。

   リーダーは個々の議論に引きずられることなく、常に議論全体を客観的に判断する
   必要があります。
   そして、そのうえで、「どちらの主張に、より論理性があったか」を勘案して判定
   を行います。

   判定を発表した後、リーダーはその理由をディベーター全員に明示します。
   その後、ディベーターから判定についての質疑があれば、リーダーはこれに応答
   します。

  (7)参加者アンケートの記入(研修効果の測定)
   このメニューは、研修効果の測定を目的としています。 
   参加者は、リーダーの研修の進め方に対するアンケート(無記名)の記入を行います。
   アンケートには、メニューの構成に従って次のような質問を設けます。

   <テーマの決定> 
    ・「記事とテーマの間に明確な関連性があったか」 
    ・「テーマは分かりやすかったか」 
   <資料の作成> 
    ・「資料は適量だったか」  
    ・「資料は分かりやすかったか」
   <スピーチ> 
    ・「声の大きさは十分であったか」 
    ・「ジェスチャーなどを効果的に用いていたか」
   <ディベートの進行> 
    ・「積極的な進行を行っていたか」 
    ・「両グループの主張を正確に把握していたか」
   <ディベートの判定> 
    ・「論理的な基準に基づいていたか」 
    ・「検証は分かりやすかったか」
  などの項目を設け、それに対して「特によい」「よい」「改善の余地あり」の3種類
  の評価をつけます。

  (7)議事録の作成、自己アンケートの記入(研修効果の測定)
   リーダーは、ディベートの議事録の作成と自己アンケートの記入を行います。
   議事録は、大まかな議論の流れを書いたもので構いません(なお、直属上司も議事録
   を作成します)。

   また、自分自身の評価について自己アンケートを記入します。
   この自己アンケートは、ディベーターが記入するものと同じものを使用します。

  (8)面談(研修効果の測定)
   直属上司は、アンケートと議事録、自己アンケートを基にリーダーと面談を行います
   (詳細については以下で述べます)。

□研修効果の測定とフォローアップ
 1.効果の測定 
  面談は、研修についてのリーダーの自己評価と、ディベーターおよび直属上司の客観的
  評価をすり合わせることを目的としています。 
  まず、リーダーと直属上司は、ディベートの流れを振り返ります。

  この際に、互いの議事録を参照しながら「このときは論理的に正しい進行ができた」
  「このときはもう少しリーダーシップを発揮するべきであった」などの事柄について
  検証します。 

  次に、リーダーは自己アンケートを基にして、自分についての「特によい」「よい」
  「改善の余地あり」の3点を挙げます。
  一方、直属上司はディベーターのアンケートと自分の所見を基にして、リーダーについて
  「特によい」「よい」「改善の余地あり」の3点を挙げます。

  そのうえで、これらの一致および差異について検証します。 
  この面談で、リーダーは自分に対する客観的な評価を知ることができます。

  自分では「資料の分かりやすさ」が「よい」と思っていても、ディベーターのアンケート
  および直属上司が「改善の余地あり」としていれば、それは自分のビジネススキルが期待
  される基準に到達していないことを表します。

  面談の結果、「改善の余地あり」が最も多くなったメニューが、リーダーにとって今後
  アップさせるべきビジネススキルです。

 2.フォローアップ 
  直属上司は、研修報告書に研修の結果と自分の所見をまとめ、人事部門へ提出します。
  人事部門は、各部署、事業所から提出された研修報告書のデータを管理します。
  そして、同じメニューのビジネススキルのアップを必要とするリーダーを対象として、
  フォローアップ研修を行います。

  例えば、
   ・「書類作成」を強化する必要のあるリーダーを集めて、自社で研修を行う
   ・「プレゼンテーション能力」を強化する必要のあるリーダーを集めて、
    外部研修機関のプレゼンテーション研修などを受講させる

  などの対策も効果的でしょう。 
  また、評価が高かったリーダーからは、

   ・そのメニューを行う際に効果的だった方法や参考になった書籍
   ・そのメニューを行う際に最も気を付けたこと

  などの高評価につながったと思われる理由についての情報を抽出し、次回の研修に
  活用することも重要です。

□研修を行う際の留意点
 1.役割の交代のメリット 
  この研修は、リーダーとディベーターの両方を研修の対象者としています。
  両者は研修メニューにおいてそれぞれ異なる役割を担当しますが、この2つの役割は
  持ち回りになっているため、参加者は必ずどちらの役割も担当することになります。 

  このため、リーダーは「自分がディベーターとして研修に参加した経験」を、より
  分かりやすい資料作成や円滑なディベート進行に役立てることができます。 
  また、ディベーターは「自分がリーダーとして研修に参加した経験」を、より論理的な
  立案や反ばく、自分の主張の客観的な判断に役立てることができます。

  このように、自分が担当している役割以外についても状況を想定し経験を役立てる
  ことで、研修の効果をさらに高めることができます。

 2.個人の成長が基本 
  この研修により、リーダーとディベーターの自立性と自発性が養われます。
  自立性と自発性の発揮は、ビジネスパーソンにとっては重要なビジネススキルであり、
  いずれをも持ち合わせた個人を育てることにより、上司からの指示を待たずに自分の
  考えで動けるビジネスパーソンが育つのです。 

  こうした研修は、個々のビジネススキルを強化するのはもちろんのこと、研修で得られた
  「気づき」「発見」は、その部署や事業所、そして会社全体にとって貴重な財産と
  なるでしょう。

幹部の育成

                

幹部の育成

■社長が幹部に期待すること
 ・とにかく業績目標を達成してほしい   
 ・しっかりトップを補佐してほしい   
 ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい   
 ・若手人材の育成をしてほしい
 ・社員のモデルにふさわしい人物になってほしい

 また、社内における幹部教育は、
  ・経営会議、幹部会議などを通じてのトップ自らの実地指導(OJT)
  ・企業内で企画された社内層別研修
  ・外部の研修機関への集合教育派遣
  ・幹部自らの自己啓発
 が組み合わされて実施されています。

□自社を支える次世代人材の育成
 1.ジュニアボードの立ち上げ
  幹部人材の育成は、いつの時代の、どの会社においても、経営課題の中心の一つです。
  特に昨今は、戦後から高度成長期にかけて創業した多くの企業が承継時期を迎えており、
  さらに主力幹部であった団塊世代の定年も重なって、次世代(ネクスト・ジェネレー
  ション)を担う幹部人材を育てていくことが急務となっています。

  創業者とともに会社を成長させてきた古参幹部とは違い、これからの幹部は、現在ある
  ものをさらに発展させていく使命を担う。
  次世代幹部の育成においては、これまでの幹部と、これからの幹部は、求められる役割が
  違うということを認識しなければならない。

  創業時の幹部メンバーは、いわゆる「事業センス」が高い。
  すなわち、どこに成長マーケットがあるか、利益を生む事業は何かをつかむ感覚に
  優れていました。

  これは、ゼロから始まった会社を発展させる中で培われた能力です。
  一方、2代目以降の次世代幹部のメンバーは、「経営センス」に優れていることが多い。
  経営におけるバランス感覚を持っている人が多く、販売・生産・財務・開発などの要素を
  うまく使いこなし、運営していく。

  以前の経済環境であれば、それぞれのセンスの中で成長していけました。
  しかし近年では、環境変化のスピードが増々速まる中で、過去の延長線上のやり方では
  対応できなくなることが増えてきました。

  これからの環境変化に対応していくには、「事業センス」と「経営センス」を併せ持つ
  後継者・次世代幹部を育てていく必要があるのです。
  この事業センスと経営センスを磨き、新しい時代に対応できる次世代幹部を育てていく
  一つの手法として、ジュニアボードによるマネジメントの推進があります。

  ここでは、このジュニアボードを中心に、実際に次世代幹部の育成に取り組んでいる
  企業の事例を紹介していきたい。

  (1)ジュニアボードとは
   では、 ジュニアボードとは何か。
   どのように実施するのか。
   また、どう活用していけばよいのか。
   これらについて述べていきます。

   まずジュニアボードとは、「ジュニア=若手・中堅社員」「ボード=役員会」を
   掛け合わせた言葉で、「疑似役員会」という意味があります。

   本来は役員陣の話し合いで決定される企業のビジョン・事業戦略・経営戦略といった
   経営全般について、若手・中堅社員にも同じように討議させ、そこで出てきたアイデアを
   役員会で意見具申させ、経営に取り込んでいくという手法です。

   このジュニアボードは、最近になって考え出された仕組みではありません。
   1930年代のアメリカ企業で生まれたものです。
   当時、30代の後継者が社長に就任する際、従業員が参加する青年重役会を行い、
   経営に生かしたことが始まりです。

   以来、多くの日本企業で取り入れられてきました。
   “ジュニアボード”という名称は用いていないが、似たようなことは昔からやってきた
   という企業が多いかもしれません。

   しかし、実際に見てみると、QC活動の拡大版であったり、特定テーマについて議論
   する委員会であったりすることが多い。
   ジュニアボードは、そうした一般的な改善活動や委員会活動といった“小集団活動”
   とは異なります。

   自社の課題解決を図ることだけが目的ではなく、「経営者」という視点から全社
   戦略を構築していく手法であり、得られる効果の次元が違う。

  (2)ジュニアボードの効果
   若手・中堅社員が、自社の今後を検討することによって得られる効果には、次の
   3点が挙げられます。

    @全社ビジョン・戦略の策定に参画することで、「自分が経営者ならどうするか」。
     すなわち、会社のことを「わがこと」として取り組むことができる。

    ジュニアボードを通じて、マーケット を見る目、自社の事業の立ち位置を見る目、
    ライバルと比較する目を養い、今後どのような戦略を立てるべきかを考える力や、
    その戦略を実際に組み立てる力を身に付けながら、自社の成長ビジョンを構築する
    ことができる。

    A“次世代の役員会”という位置付けから、「会社の将来を支えていくのは自分
     たちである」という自覚が身に付く。
     経営理念や、従来の戦略の背景にあった経営陣の「思い」を理解するとともに、
     組織の中で自分たちが果たすべき役割を再認識することや、全社の中で自分
     たちの存在感を明確にすることを通じ、「自分たちがやらねばならないのだ」
     という主体的な実行意識・意欲が芽生える。

    B自社の現状認識とビジョン実現に向けて具体的な対策を講じることで、より
     実践的なマネジメント能力が向上する。
     役員や幹部には必須の「全社的視点」「意思決定力」「価値判断基準」
     「ビジョン構築力」を身に付けることができる。
     また、将来の役員・幹部としてのプロジェクトであるため、「モチベーション」
     や「使命感」が高まり、成長していくことができる。

  (3)後継体制の構築
   ここでは、ジュニアボードによって、どのような効果が得られるかを述べてきます。
   この手法は次世代幹部の育成だけに限らず、後継体制を構築していくことにも
   適しています。

   後継者自身に、経営者としての自覚を身に付けてもらい、「自分が経営者なら、
   どう経営していくか」を考える場となる上に、それを自分の将来のブレーンとなる
   であろう役員・幹部候補メンバーたちと膝を突き合わせて検討していくことで、
   相互の信頼感や人間関係を構築していくことができます。
   その点でも、優れた効果を発揮することが期待できる。

□ジュニアボードによる次世代人材育成の事例
 前項に引き続き 、次世代人材の育成手法としての「ジュニアボード」(疑似役員会)を
 紹介します。
 ここでは、実際に後継者と、その同世代の若手メンバーを中心としてジュニアボードを発足
 させ、後継体制づくりを行った事例を紹介しながら、推進方法について述べていきます。

 1.後継者と幹部人材の世代交代
  事例として紹介する企業は、売上高約300億円のサービス業A社です。
  後継者の専務への世代交代が迫っており、会社のビジョン・ミッションを見直し、
  これからどのような戦略展開を図るかを考えていた。

  後継者の専務はまだ若く、幹部は当時の社長を長年支えてきたメンバーでした。
  今後、後継者が経営を引き継いだ時の戦略展開と、それを実行する組織体制に不安を
  抱えていました。

  そこでA社はジュニアボードを発足させ、後継者の経営力強化、それをサポートする
  次期経営幹部の戦略構築力の強化、そして今後の会社としての戦略展開策の構築の推進
  を図りました。

  ジュニアボードは10名のメンバーでスタートしたが、いずれも後継者と同世代の
  30代半ばでした。
  現場での経験を多く積んでいるものの、自部門を中心とした業務を行っているメンバー
  であり、普段から会社の将来をどのようにしていくかを考えているわけではなかった。

  発足当時は、後継者・メンバーとも、ジュニアボードを社員研修のような位置付けで
  捉えており、「何かを教えてもらう場なのだ」という意識が強かった。
  このジュニアボードの目的は、 前項で紹介した通り、会社のことをわがこととして捉え、
  「将来をつくるのは私たちなのだ」という意識の醸成です。

  ジュニアボードで検討する内容というのは本来、決まったものはないが、会社のことを
  自分たちで考えていくことを目的にするのであれば、検討する内容は「会社の将来
  ビジョン、中期経営計画の策定」がベストとなります。

  A社のジュニアボードは、店舗の店長が1名、そのほかは本社メンバーという構成。
  合計7回(1回2日間)実施する中で、マーケットの見方から、競争力・組織・財務
  などの分析までを行いながら、全社としてのビジョンや各店舗エリアでの戦略展開策を
  構築していきました。

  その結果、今までの自店舗、あるいは自部署の中にとどまっていた考えから、「全社の
  エリア展開はどうなのか」「今後の出店戦略はどのようにしていくのか」という大きな
  視野で見ることができるようになり、各店舗で一律だった考え方が、会社の方向性に
  合わせながら 店舗の特性にも合わせた展開策を構築できるようになりました。

 2.現役員陣との検討がジュニアボードの課題
  ただ、ジュニアボードを展開していく中で課題もありました。
  それは、策定した戦略そのものを実行するかどうかの意思決定がなされないことでした。

  ジュニアボードに参加したメンバーのうち、 全社の意思決定に関わるメンバーは、
  後継者である専務だけだったため、実際に立てた戦略を局地的に実施することはできても、
  会社全体を動かすには至らなかった。

  つまり、ジュニアボードで検討した戦略を、現役員陣で検討する場がなかったのです。
  ジュニアボードでは、検討した戦略を、果たして実際に行えるかどうかという点がよく
  問題となる。

  ジュニアボードと現役員陣とのすり合わせをいかに行うか、そして、 構築した戦略を
  全社員へいかに周知させていくかも課題となってくる。

  これが実行できれば、つくり上げた戦略が実際に展開されることで、メンバーの
  モチベーションが高まり 、次世代幹部としての自覚が身に付いていくことになるのです。
  ジュニアボードで練り上げたビジョン・戦略について現役員と再度検討し、実際の
  実行計画に変えていくことが必要です。

  したがって、ジュニアボードの実施においては、「研修」という位置付けではなく、
  「経営戦略室」 や「企画開発室」といった捉え方で実行していくことが大切です。

  この事例では、現役員陣との検討の場を設けたことで、後継者を中心とした同世代
  メンバーは大局から物事を見ることができるようになり、後継者を支える体制が構築
  できました。

  現在は、後継者の専務が社長となり、ジュニアボードのメンバーの一部は部長に昇格し、
  全社業績をけん引しています。

□ジュニアボードによる部門間連携強化の事例
 ジュニアボードの狙いは、 若手メンバーが経営に関わり、今後のビジョン・戦略を検討して、
 役員へ意見具申を行う過程を通じ、メンバーのレベルアップを図るとともに、よい
 アイデアを取り入れていくことです 。

 このジュニアボードの機能を少し広げて、幹部研修のための取り組みとして30名編成で
 実施し、部門間連携を強めた企業がある。
 ここでは、次期幹部育成ツールとしてジュニアボードを活用した企業事例を、教育的
 側面から紹介します。

 1.3 部門間の連携を強める
  事例として紹介する会社は、売上高約100 億円の小売業B社で、三つの部門が同一
  顧客に対して商品・サービスを販売する形態です。
  ジュニアボードを始める前は、3部門が同一顧客と接しているにもかかわらず、
  各部門間の連携が弱く、それぞれが別々に動いているという経営課題を抱えていました。

  同一顧客に対し、それぞれの部門が販売活動を展開していくのだが、3部門の連携が
  弱いために顧客へのサポートレベルが低下しており、業績が悪化しやすい面があった。

  当時は、東日本大震災の復興需要の影響で業績面は好調だったが、そう長くは続かない
  との判断があり、業績が好調なうちに内部の体制や、特需後の戦略を構築する必要が
  ありました。
  この2点を解決していくために、B社はジュニアボードを立ち上げたのです。

  B社のジュニアボードは、30名(各部門から約10 名ずつ)のメンバー編成
  (部門長を除く)でスタートしました。
  30名という大所帯のメンバーで実施する場合、会社の役員会的な機能を持たせることが
  困難なため、同社では「分科会形式」とした。

  具体的には、全社の組織戦略や経営システム分析など、部門間にまたがって取り組む
  必要があるものは、3部門のメンバーが均等に割り振られるように班を構成した。
  また、各部門の事業戦略を構築する際は、部門ごとに分かれて討議・検討を行った。

  ただし、部門ごとの事業戦略には他部門の動きも関連するため、発表時間を設けて、
  互いの方向性を確認しながら修正を行っていった。
  従来、それぞれのメンバーは自分が所属する部門のことを中心に考え、業務を行って
  きました。

  しかし、これらを実施することにより、部門をまたいで会社の方向性を検討し、他部門の
  今後の事業戦略に触れることで、自部門がどのように動けばよいか、他部門とどのように
  連携する必要があるのかを理解できるようになった。

  それぞれの参加メンバーは、他部門の業務を分かっていたつもりでも、実際にどのような
  課題を抱え、それをいかに解決して前へ進めていくかまでは、理解していない人が多かった
  のです。

  3部門が同時に同じ内容で議論を重ね、会社全体としてどのような手を打っていけば
  よいか。

  これを何度も検討したことで、参加メンバーの視野が自部門だけでなく、他部門・全社
  にまで広がるようになった。
  ジュニアボードを教育的側面から捉えて実施すると、このような効果も得られるのです。

 2.「人数が多いこと」が引き起こす課題
  前項で紹介したA社とは異なり、 B社はジュニアボードの最後に役員が参加し、メンバーが
  まとめた中期ビジョン(事業戦略・経営戦略)を発表している。

  決裁権者である役員がいるため、具体的な指導・アドバイスをその場で受けることが
  できるほか、実行に移しやすい環境も整っていった。
  しかしながら、前述したように、同社のジュニアボードは30名編成である。

  研修などを実施したことのある企業ならお分かりかと思うが、何かしらの課題について
  検討した人数が多い場合、策定した成果物(意見具申や中期ビジョンなど)にそれぞれ
  が投じた意見や考えが反映されにくくなる。

  実際に討議を行う場合でも、参加人数が多いと、どうしても意見を言えない人も出てくる。
  同社の場合、その点が課題として残りました。

  実際の推進体制を構築したときに、「自分が考えて、決めた戦略・アクションプラン
  なんだ」「だから自分がやらずして、誰がやるんだ」といった推進力にやや欠けた点が
  見られたのです。

  「こういうやり方をすればできる」という推進・展開の方法を教わるための研修があれば、
  講義を聴いて、討議のまとめ方を見ることで、より理解が進んだかもしれない。
  ジュニアボードは、参加者が自ら動く主体性を身に付けることができ、「自分たちが
  会社のけん引役になる」という自覚を芽生えさせる効果がある。

  これを重視するのなら、少人数で実施した方が効果は高いと考える(ただし、 B社の
  ように「部門間連携を強める」など明確な目的がある場合は別です)。
  いずれにせよB社は、反省点を残しながらも3部門の連携強化という目的を達成する
  ことができた。

  やむを得ない事情により参加メンバーの人数が多くなっても、「皆と一緒に取り組む」
  という一体感により、一定の効果を上げることはできます。
  「わが社は各部門のセクショナリズムが強すぎる」と感じている企業は、連携強化の
  研修の一環として、ジュニアボードに取り組まれるのがよいでしょう。

新任管理者向け研修

                                      

新任管理者向け研修

■改革の推進役
 経営者にとって、管理者とは、自分の経営理念を理解し、その実現のために高い能力を
 もって支援してくれる存在です。

 会社の規模や方針などによっては、経営者がすべてを掌握し、とくに管理者をおかない
 場合もありますが、企業の規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片腕となって
 組織運営を行い、企業の発展を共に目指してくれる存在がいるという のは、大変心強い
 ものです。

 そうしたことを任せられる人材がいるということは、自社にとっても大きな強みである
 はずです。

 人材教育のなかであらためて管理者教育に注力する企業が増えている背景には、管理者の
 スキルアップが企業自体の活力の増大に大きく結びつくと見直されていることがあげられ
 ます。

 経営環境が大きな変化を遂げつつある現在、企業活動の中核となって働く管理者の役割は
 ますます大きく、重要になっています。 

 ここでは、新たに管理職になる新任管理者を対象に「管理」の基本を習得し、主体的に
 問題解決に取り組み、企業資質の向上に貢献できる管理者の育成ポイントについて簡潔に
 まとめてみます。 

 一般に研修の内容は、管理者としての基本的職能、職場管理と健全な労使関係、安全衛生
 に関する基本姿勢、会社の業績と経営効率化の習得、受注拡大を図るための営業活動など
 経営全般にわたり、厳しい経営環境を踏まえて、管理職の意識改革という面に重点を置いた
 取り組みが行われています。

 特に、経営効率化という命題については、日常の仕事を注意深く観察することが要望されて
 います。 
 なお、企業が求める管理者像は、

  →現状を打破して新たな企業の活路を見い出す管理者
  →厳しい目で見て業務の改善を行い、コスト削減や合理化が実践できる管理者

 といわれ、管理職の心得として「管理する前には計画がなくてはならない」とされ、
 自分はどのように物事を計画し、どのような方法で、どうやって実行していくかを考え、
 部下の協力を得ながら、計画的に職務を遂行するのが管理職の役割とされます。 

 すなわち、次のアクションにつなぐ手段として管理があり、初任管理者として既成概念に
 とらわれない改革の推進役になることが望まれています。

□新任管理者研修のプログラムのポイント 
 新任管理者研修のプログラムのポイントとしてよく取り上げられる項目を紹介します。

 1.管理者になるということはどういうことか
  →管理者の立場にはどんな特徴があるか(上司に対して、部下に対して)
  →管理者はどんな役割を果たさねばならないか(仕事の管理、部下の管理)
  →会社は管理者に何を期待しているか(ヒト・モノ・カネ・情報の活用)
  →環境変化と管理者→自社の基本事項の理解(経営方針、年間経営計画)

 2.組織の再認識
  →組織とは何か、その形態
  →組織運営の原則
  →組織人として自覚すべきこと

 3.管理者としての仕事の進め方
  →計画の正しい立て方(できるだけ多くの案を考える、最適案を選ぶ)
  →仕事の進め方(優先順位を考える、効率と効果を考える、チームワークで行う)
  →反省を面倒がらずに行う(事実を数字でとらえる)
  →仕事の改善

 4.部下の指導の基本
  →部下を育てる正しい手順(急所をしっかり教える、追跡指導を必ず行う)
  →部下を奮起させるほめ方、叱り方(正しいほめ方、奮起させる叱り方)
  →部下を鍛える方法(仕事の内容、仕事のやり方)
  →部下のやる気をひき出す(仕事をまかせる、正しい評価)

 5.活気ある職場をつくる
  →職場のチームワークをよくする(職場の情報をよく流す、業績を上げる)
  →リーダーシップを向上させる(決断力を磨く、人間関係力を強くする、 
   状況対応力を磨く、問題解決力を鍛える)

 6.自己啓発
  →変化への対応、高い目標への挑戦

□東京商工会議所の「新任管理者育成コース 
 ここでは、東京商工会議所研修センター(TEL:03-3283-7650)が行っている
 「新任管理者育成コース」の研修メニューを紹介します。

 この研修では、管理の原則、部下の育成・指導方法、目標管理、問題解決の方法、
 プレゼンテーションスキルなどを、管理者としての主体性・創造性に重点を置いて習得
 することを目指します。

 特に、事例研究やグループ・ディスカッションを通じて、問題の共有化と解決を図ります。

  <自己開拓型管理者をめざして>
  (1)組織と管理者 (管理者の役割・変革時代に求められる管理者)
  (2)仕事の管理(マネジメントの重要性・仕事のプライオリティ4分割)
  (3)問題の解決(問題解決の手順・部下と問題解決)
  (4)人財育成(人材育成と部下指導・事例研究)
  (5)部下の指導(部下指導の4つの段階・部下指導の手順)
  (6)組織のコミュニケーション(効果的なコミュニケーション)
  (7)部下とのコミュニケーション(効果的な説得、説得の基本ステップ・コーチング
                   の基本スタイル)
  (8)部下へのリーダーシップ(仕事の能力と新しいリーダーシップ)
  (9)部下の問題解決(実例研究)
  (10)管理者の自己開拓
  ※各項目ごとに事例研究・グループディスカッション・ビデオ学習などを交えながら
  講義します。


 研修のポイントは「思考する」つまり「考えさせる」ということです。
 今までは講師が一生懸命考えて受講者に解答を教えていったわけですが、この主役を変え、
 受講者自身に考えさせ、組み立てる力をどうつけさせるかさらに、自ら考え組み立てた
 ものをどのように表現するかに主眼が置かれた研修となっています。 
 表現する過程でグループのなかで磨かれ、グループに影響を与えながら、自分が気づく
 ことを“シンキング・プロセス”と呼ぶことがありますが、そのための方法には次のような
 特色があります。

  (1)受講者の思考をうながす研修ということで、受講者が研修をリードする
    スタイルを取ります。
  (2)考えていくためのツールとして、ケース・スタディーをふんだんに使います。
    事例に基づいていても、講師が答えを出すのではなく、受講者が与えられた
    内容に従って自分の考えをシートに書き込みます。
    書き込んだシートを基に、グループのなかで検討し講師に見解を求めるという
    形で進行します。
  (3)自分で考え、その考えを発表しなければならないので、個人に相当のウエート
    がかけられます。
    すなわち個人ワークが基本になります。 

  また、論点をはっきりさせ、自分の意見を主張できるようにディベート研修があります。 
  具体的には「セクハラ」「PL法」など身近なテーマを選び、肯定側と否定側に分かれて
  討論を行うといった研修です。 
  ここで、効果的と思われる研修の特徴を簡単にまとめておきます。

  <研修の特徴>
   ・理論に裏付けされた考え方や行動の一層の理解を深める演習を中心とした
    プログラム。
   ・考え方や行動が実践で生かせるように、個人の課題に焦点を当てて進める。
   ・PLAN→DO→CHECKで構成された研修であり、「まとめ」に時間をとり、
    今後の課題を洗い出し再設定することにより、研修終了後も行動が継続される。
   ・宿泊研修時には、講師を囲む交流会を取り入れ、講師または受講者間の親密度
    を高め、これからの行動に生かせるヒューマンネットワークの形成を 図る。

  なお、従来からの研修内容として以下のものが有名です。
  (1)コンセプチュアルスキル(課題解決力、問題発見力、目標設定能力、
    創造力、判断力)
     →状況を的確にとらえ、顕在化している問題を合理的に処理する能力ならびに
      問題を発見し、職場や仕事の改善・向上のための課題がつくれる能力

  (2)ヒューマンスキル
   (対人能力、リーダーシップ、説得力、柔軟性、自己認知力、共感性、感受性、
   コミュニケーション能力、口頭表現力、文章表現力、発表力、要点把握力、積極的傾聴)
    →組織目標の達成や課題解決にむけて、周囲の人へ働きかけ、方向づける
     ことができる能力
    →対人能力を発揮する上で前提となる能力で、自己の考え、意思を効果的に
     相手に伝えたり、また相手の考えや意見を気持ちを含めて理解できる能力

  (3)テクニカルスキル(業務処理能力、企業理解、業務知識、業種知識、
    商品知識、ビジネスマナー)
     →企業活動のメカニズムや業務内容の概要を理解したうえで、自らに割り
      当てられた業務を組織の期待通りに遂行できる能力 

  また、東京商工会議所研修センターでは「管理者能力実践コース」と銘打って、蓼科
  フォーラム(長野県茅野市)で2泊3日の合宿開催を実施しました。
  研修メニューは以下の通りです。

  <変化に強い戦略行動型部課長の育成>
   (1)経営戦略と管理者の役割
     ・変われる企業が伸びて行く
     ・部課長は現場の変革推進者
     ・経営戦略の実践ノウハウ〜強い会社への脱皮

   (2)ビジョン、課題を明確にする
     ・経営方針と自部門の課題整理〜5つの視点
     ・部門方針のブレークダウン、部下への浸透
     ・業績達成を阻む問題の解決力養成

   (3)目標管理の実践と達成
     ・目標管理はこう進める(PDCAマネジメント)
     ・予算管理の実行対策
     ・目標設定のポイント 
      (達成イメージの明確化、部門目標との連携など)
     ・部下の目標設定と達成指導法

   (4)部下の育成と戦力化
     ・アクティブな対話が育成の基本
     ・動機付け成功の秘訣
     ・自発性を引き出すコーチング
     ・部下を育てる的確な機会指導

   (5)職場はこうすれば変わる
     ・新しい戦略行動を阻むもの
     ・風土変革の具体策
      (価値観の革新と情報交流の活発化)
     ・IT活用を部門戦略の核とする

   (6)人を変えるにはまず自分が変わる
     ・変化対応に強い管理職になる
     ・自己革新5つのステップ

□研修成功の秘訣 
 講演には、短時間で受講者に強い感銘と大量の知識を教えられるメリットがあります。
 しかし、講師や研修機関任せにしてしまうと、思ったほどの効果が得られない場合も
 あります。

 そこで、異業種の管理職の立場にありながら成績を向上させた人を研修の特別講師に
 招き、話を聞くという方法があります。
 社長や役員の知り合いで管理職と同年代の人を迎え、現場の最前線の話に絞って講演を
 してもらうわけです。

 本音や裏話が聞け、職務遂行上の基本事項を習得するうえで勉強になるでしょう。 
 ある会社では役割をいろいろと変えるロールプレイング形式で、部下の質問にどう答えて
 いくかという実習を毎月行い、説得の方法について、言葉だけでなく、声の使い方や
 タイミングなどをチェックしています。

 そして、そこで行われたシミュレーションは冊子となって配られ、毎日の業務に役立たせ
 ています。 

 研修が成功するかどうかには、インストラクション技術とともに、いかに適切なガイダンス
 を事前に組み立てられるかという企画構成力と、テキスト自体の出来具合が大きく左右
 するといってよいでしょう。 
 研修には「綿密な打ち合わせを事前にしっかりしておく」のが成功の秘訣といえます。

顧客視点の人材育成

             

顧客視点の人材育成

■全ては顧客から始まる
 企業の全ての取り組みにおける価値判断の第一基準は、顧客である。
 強みを磨いていくのも、ライバルを蹴散らすためではなく、顧客に提供する価値を
 ブラッシュアップしていくためです。
 全ては顧客から始まるのだ。
 顧客が決まると「やるべきこと」(顧客の求めていること)が決まる。
 やるべきことが決まるから「ライバル」が決まる。

 顧客から選ばれるためにも、「ライバルが提供できない、自社だけが提供できる価値」
 (バリュープロポジション)を伝えなければならないのです。
 「売り上げを伸ばせ」という命令に比べ、「お客の心をつかめ」という指示は抽象的で
 徹底しにくい。
 だからこそ、社長が「なぜ必要なのか」「何をすればいいのか」を明確に示し、環境を
 整える努力が欠かせません。

 ◎動機づけを社内に徹底する
  社長が「顧客重視」 の旗を振り出しても、従業員はなかなか動かない。
  自ら実践して見せ、従業員が自発的に取り組むようなムードづくりが不可きません。
  横浜市の住宅街には、「近代ホーム通り」 と呼ばれる一角があります。
  立ち並ぶ20軒の住宅の多くを、市内の建築会社、近代ホーム(松本祐社長)が施工
  していることからついた名前です。

  住宅建設の現場では、騒音やゴミの問題が生じて、近隣の住民から苦情が寄せられる
  ケースが少なくありません。
  ところが、近代ホームの場合、「その時の社員や職人の印象が良かったから」 という
  理由で、隣家が建て直しをする時に同社を指名してくることがあります。
  近代ホーム通りはこうして誕生した。

  もちろん、同社の評判は一朝一夕に得たものではありません。
  82年の創業当初は、道具を散らかし、ゴミを放置したままで引き上げる職人が後を
  絶たなかったといいます。
  その状況を憂えた松本社長は、いきなり職人を叱責するのではなく、朝五時に現場を
  訪れ、一人で掃除をして回ったそうです。

  散らかした職人が現場に来てみると、いつもきれいに片づいている。
  住民から「社長が朝のうちにやってきて、掃除をしていった」と聞いた職人たちは、
  すぐに自発的に掃除に取り組むようになりました。
  施工件数が急増した90年代に入ると、さすがに松本社長がすべての現場を毎日回る
  ことは困難になった。

  そこで現場の指導は、自分の分身である社員に任せ、松本社長は研修などの機会を設けて、
  社員に「話して聞かせる」 役を買って出ました。
  特に力を入れているのは、新入社員への“イズム”の伝承でした。
  新入社員は毎日、その日の失敗談や先輩の仕事ぶりで理解できなかったことなどを
  電子メールで社長に送る。

  社長はそのメールに目を通し、毎日すべてに返事を書く。
  「失敗は誰にでもあるのだから、1回目は叱責しない。その代わりにメールできちんと
  報告させる。新人には、そうした姿勢が結果として、お客様の信頼を得る近道なのだと
  学んでもらいたい」(松本社長)。
  こうして、近代ホームの顧客重視の社風は脈々と続いていくのです。

  モチベーションを高めるためには、従業員に感動する機会を提供することも重要です。
  北海道土産の定番「マルセイバターサンド」などの菓子を製造販売する六花亭製菓
  (北海道帯広市)の小田豊社長は、「自分が感動すれば、お客様にも感動してもらいたい
  と思うもの」と話す。
  同社は、丁寧な接客をすることで、地元では有名な店です。

  従業員はどんなに忙しくても笑顔を絶やさず、レジの前に列ができれば、後ろに並んだ
  お客にもこまめに声をかける。
  同社は接客レベルの高さで他県の同業者からも注目を集めています。
  従業員に感動を体験させる機会として、同社は「最優秀社員賞」「優秀新人賞」など、
  様々な表彰制度を用意しています。

  表彰式で手渡される賞状の文面には、その従業員が仕事上の壁をどのように克服して
  成果を上げたのかが詳細に書かれています。
  賞状を受け取ると思わず涙ぐむ従業員も少なくないという。
  毎日発行する社内報「六輪」も従業員に感動を経験させる手段の一つ。
  B4判10ページにも及ぶ社内報は、従業員が職場の出来事や感じたことを書いて提出
  したカードを掲載している。

  社長は毎日コラムを執筆し、従業員の名前を挙げてほめることもあります。
  「精神が健康でなければ接客にも影響する」と考える小田社長は、年に2回、全従業員に
  「クレペリン検査」 という心理テストを実施。
  その結果に応じて、従業員にカウンセリングを受けることを勧めるそうです。
  こうして六花亭製菓は、感動を与える集団としての高いモチベーションを維持している。

 ◎お客の声を元に行動規範を設定
  従業員の間でモチベーションが高まったら、次に、社長は「一人ひとりが何をすべきか」
  の指針を与えるべきです。
  それにはお客の生の声を従業員に収集させ、行動規範を自らつくらせるとよいでしょう。
  国内有数の景勝地、京都府の天の橋立に三軒の旅館を持つ文殊荘(幾世淳紀前社長)は、
  約3500人の宿泊客の情報を一人ひとり一枚のカードに書き込み、各々のお客に合わせた
  きめ細やかなサービスを提供している。

  カードには客室係が聞き取った料理の好みはもちろん、花や掛け軸など装飾品の好みまで
  細大漏らさず記入されており、そのお客が宿泊する時は、内装も含めて大急ぎで好みの
  ものを整えるという。
  幾世社長は、「押しつけのサービスではお客様の満足を得ることはできない。
  一人ひとりの声に応えてこそ、自宅にいるかのような安心感を提供できる」といいます。

  もちろん、事前に収集した情報だけでは不十分な場合のほうが多い。
  そこで文殊荘では、宿泊客が門をくぐった瞬間から、そのお客が何を望んでいるか、
  全従業員が目を凝らす。
  フロントの従業員が「このお客様は疲れているようだ」と感じたら、それとなく客室
  係に耳打ちする。

  客室係は部屋に案内しながらお客の体調を聞き取り、さりげなく「夕食は少なめに
  しましょうか」と勧める。
  お客が「量は減らさなくていいが、肉料理よりも魚料理が食べたい」と言えば、客室係が
  すぐに厨房に要望を伝える。
  文殊荘は100年以上の歴史を持つ旅館。

  幾世元社長は「歴史が長いと、自分たちのサービスに自分たちが満足してしまい、
  お客様の声を聞き逃しがちになる」と話します。
  そこで、お客の声を一冊のノートにまとめ、従業員全員が閲覧できるようにフロントの
  すぐ近くに置きはじめた。

  ふと漏らした言葉や部屋からフロントにかかってきた苦情の電話、封書の礼状や電子
  メールもみな、ノートに転記する。
  「おほめの言葉やお叱りの言葉を見返すだけで、お客様が何を望んでいるか見えてくる」
  (幾世前社長)。

  落語などのイベント開催やチェックアウト時間の延長など、取り組んだ新サービスの
  多くは、こうしたお客の声をヒントに生み出したものだといいます。
  大企業から中小企業まで、約300社のクライアントに対して顧客満足度向上のための
  コンサルティングを手掛ける顧客・サービス研究所の武田哲男氏は、「顧客自身が
  自覚しているニーズに応えるだけでは不十分」と指摘する。 「情報を分析・整理する
  ことで、顧客自身も気づいていないニーズがわかり、より高いレベルの行動規範が
  できる」。

  静岡県浜松市の柳原新聞店(柳原一貴社長)は、購読客から寄せられる苦情をデータ
  ベース化することで、新たな苦情が生まれることを事前に防止している。
  同社では、お客から電話がかかると、発信者の電話番号を元に、顧客情報がパソコンの
  画面に表示される。CTI (コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)と
  呼ばれるシステムで、そのお客からの過去のクレームがわかるだけでなく、すべての
  クレームを集計することもできる。

  こうしたデータを分析することで、お客に合わせた、きめ細かなサービスが可能になった。
  例えば、ポストが野ざらしになっている家庭には新聞をビニール袋に詰めて配り、自宅に
  隣接して店を持つお客には「家に届けるか店に届けるか」を事前に聞くように徹底した。
  コンピューターを活用する一方で、全世帯の情報をカードに記入し、配達員が全員、
  担当する世帯のカードを持ち歩いている。

  そのカードには、「Aさんの家はおじいさんが早起きなので、5時前に朝刊を届けること」
  「Bさんは、朝刊は自宅のポストに、夕刊は隣の店に届けること」といった情報が
  記入されている。
  担当の配達員が休んだ時にも同じサービスを提供することを狙ったものです。 

  柳原社長は、「当社の場合、お客様の85%は1年以上前から購読してい「既存客」
  新聞配達店は新規客の獲得に血眼になる傾向があるが、既存客のクレームを丁寧に
  潰していったほうが、はるかに経営効率は高い」 と自信を見せます。

 ◎優良店員の姿勢を組織全体に浸透
  顧客サービスの改善は一時的なものに終わらせてはいけない。
  恒常的なサービスに高めてこそ、評価を勝ち得ることができる。
  そのためには、サービスの質を維持するための仕組みづくりが不可欠です。
  東京近郊に美容室「イッツ!」 を14店展開するトライアングル(東京都目黒区、
  松島信夫社長)は、美容師の技術やサービスの質を維持するユニークな制度を整えて
  います。

  同社では、美容師を正社員として雇用せず、業務委託契約を結ぶ形態を採っている。
  美容業界には徒弟制的な色が残っているが、美容師を独立事業主にすれば、先輩の
  顔を見て仕事をするのではなく、お客のために仕事をすることに専念すると考えた
  からです。

  働く美容師が正社員ではないために、同社では人事の面で過激なルールを設定する
  ことが可能になった。
  その最たるものが、「解雇」に関するルール。
  同社では、美容師が髪を切った後、お客にアンケートはがきを渡し、答えを記入して
  投函してもらうように頼んでいます。

  アンケートの質問は、店のサービスなどについて「満足」「普通」「不満」から
  選んでもらう内容だが、自由記入欄に、「Aさんはせっかちで対応も雑。2度とこんな
  気分になりたくない」といった深刻な苦情が書かれていた場合、松島社長は「クレーム」
  と判断する。
  原則として3回クレームを受けたら、その美容師は“解雇”。

  業務委託契約が解除される。
  もちろんクレームが1枚でも発生した時点で、松島社長は美容師と直接話し合い、
  解決策を一緒に考えている。
  それでもクレームが続くなら、「その美容師はお客様のことを真剣に考えていないと
  見なさざるを得ない」と松島社長はルールの意味を解説する。

  ただ、“解雇”というムチだけでは、美容師のモチベーションが落ちる可能性がある。
  それを防ぐために、同じアンケートはがきをもとに報奨金を与える制度を整えている。
  同社は、自由記述などをもとに、顧客アンケートの内容をポイント換算し、美容師に
  支払う報奨金の額を決めている。

  ポイントは、松島社長と役員で届いたはがきに目を通し、総合的に判断して決めて
  いく。
  「『Bさんは、対応がさわやかでカットもテキパキしていた』とほめられている記述が
  ある場合は、1通につき30ポイントくらいプラスする」(松島社長) 。
  美容師が獲得したポイントは、6月と12月の年2回、1ポイント50円で換金できる。

  最も優秀な人はすでに1632ポイントを獲得している。
  金額に直すと8万1600円分だ。
  一連の工夫の結果、トライアングルは99年2月の会社設立以来、4年で売上高を
  4億5000万円にまで伸ばしている。

   「大切なのは、美容師が社内事情を優先するような制度ではなく、お客様のことを
  最優先に考える仕組みをつくることだ」。
  こうした信念を持つ松島社長は、競争の激しい美容業界で「台風の目」 なることを
  目指している。
  高いレベルの接客を維持する方法は、何も過激なアメとムチだけではない。

  継続的に新しい制度を導入し、従業員がお客から学び続ける社風を定着させることも
  重要ですが、制度づくりは急いではいけない。
  「あくまでもモチベーションが主で、仕組みは従。従業員のモチベーションが低い状態で、
  仕組みづくりに熱中しても意味がない」。

  従業員に挨拶を励行しようと考えた時、地元の有力企業の従業員の接客を参考にした
  といいます。
  その会社とは、からし明太子の製造販売で業界最大手のふくや(福岡市、川原正孝社長)。
  同社は、1948年創業の老舗だが、接客を重視し始めたのは1980年から。
  同社の創業者、川原俊夫氏の次男で現社長の正孝氏が、勤めていた銀行を辞めて入社
  したことがきっかけだった。

  川原社長は銀行員時代に、「ふくやの店員は無愛想だ」という評判を聞き、危機感を
  抱いた。
  そこで、入社後、社内の改革に取り組みました。
  当時のふくやの従業員は売れ行きが好調なことから、注文を1秒でも早く処理する
  ことだけを考えていたが、そういった考え方を否定し、丁寧に来店客に応対してもらう
  ことにした。

  そのために、接客の研修にも力を入れました。
  研修を始めて約5年、接客が「ようやく、まともになってきた」(川原社長) ことを
  確認すると、今度は、店でお客にお茶を出すサービスを始めました。
  お客と販売員とがゆっくり話す機会を提供することが狙いです。

  お客に「あなたがいるから店に来るのが楽しみだ」とほめられたり、時には注意を
  受けたりすることが、従業員の顧客満足追求への刺激になっている。
  「お客様との対話の中で、従業員はどうすれば喜んでいただけるかを自然と考え続けます。
  いわば従業員をお客様に育てていただいている」と川原社長は話す。

  さらに90年からは、PTAや町内会の役員など社外活動に参加する従業員に手当を支給する
  というユニークな制度まで導入した。
  制度の狙いは、地域社会への貢献ということだけでなく、お客の気持ちを汲み取れる
  ように人間的な幅を広げることにもある。

  川原社長は、 「地域社会で何らかの役職を任されるには、周りの人に選ばれなければ
  ならない。
  そうした経験は仕事でも生かせるはず」と話します。
  時にはドラスチックな刺激を与えることもある。
  90年代末には、企業の交際費が減ったことから、法人向けの売り上げが激減。

  一般消費者向けを伸ばすために、旧来のやり方に染まっていない若手を登用する
  ことにしました。
  管理職になっていた30人の中高年社員が肩書きを失い、そのうち10人は配置転換
  された。

  もっとも、地位を失っても収入が極端に下がらないように配慮した結果、中高年社員の
  多くは新しい配属先で奮起した。
  その間、会社を去った中高年社員は定年退職を除けば1人もいない。
  「社長の仕事は、従業員の成長を手助けすること」と信じる川原社長は、20年以上の間、
  様々な仕組みを導入して会社全体に刺激を与え続けてきました。

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人材育成の現状と内製化

           

人材育成の現状と内製化

  ■多くの中小企業が実施している人材教育・研修

   日本経営協会「人材白書」から「実施している人材教育・研修の手法」と 
   「人材教育の目標」の2つの調査結果のデータを抜粋して紹介します。

   同調査の回答企業・団体数(723社)

   1.実施している人材教育・研修
     「集合研修(合宿研修を除く)」(84.9%)が最も多く、「OJT(職場内研修)」
     (78.0%)、「外部機関派遣研修(68.9%)と続いています。

     また、「自己啓発」(61.3%)や 「通信教育」(53.1%)も50%を超えている
     ことから、集合研修だけでなく、社(職)員が個人単位で行うことも多く、教育手
     法が多様化していることが分かります。

                    (出所:日本経営協会「人材白書2018」)

   2.人材教育の目標直面する課題

     (出所:日本経営協会「人材白書2018」)

     表からはリーダーや管理職などの現場のマネジメントを担う人材の育成を目
     標としているものの、育成がうまくいっておらず問題を抱えていることがうかが
     えます。

     最近は、働き方の多様化や職場のコミュニケーション不足などから、世代間の
     就業意識のギャップが顕著になっているといわれます。

     こうした中、特に管理職に対して、異なる意見を持つ人材をうまく取りまとめる
     マネジメント力やコミュニケーションカを期待する企業が増えています。

   3.企業規模による人材教育の違い

     1)大企業と中小企業の人材教育の主な違い
      人材教育の基本的な考え方やこれに期待する効果など基本的なところは、
      大企業も中小企業も大きく変わりません。

      人材教育の手法として0JT(職場内訓練)やOff-JT(職場外訓練)が確立さ
      れており、大企業も中小企業もこれらを組み合わせて人材教育を進めていま
      す。

      ただし、大企業と中小企業では、職務分掌の体制、人材教育に投入できる人
      材・時間・コストなどが異なるため、教育の内容に違いが生じています。

     2)教育担当者の育成が課題
      中小企業の人材教育では、教育担当者の役割が非常に重要になります。

      しかし、最近はOJTなどを行う課長などの教育担当者がプレイングマネ
      ジャーとなっており、人材教育に十分な時間を割くことができないなどの理由
      から、教育担当者の人数と能力の不足が課題となっています。

      また、いわゆる不景気時に採用された「就職氷河期」の世代に当たる社員た
      ちは、後輩がゼロや少ないといった環境でキャリアを積んできたことから、あ
      まり後輩を指導した経験が無いという人もいます。

      そうした人が、年次を経ていきなり部下を任されるといった状況に置かれて
      指導方法に困るということがあるようです。

      厚生労働省「令和2年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%
           の事業所が「人材育成に問題がある」と回答しています。

  □“場当たり的”な教育を改める

   1.「育てたい」社長と「育ちたい」社員
     ここ数年、企業の人材育成に対する意欲の高まりを感じます。

     このテーマである「教育システムづくり」を希望する声も増えています。

     どの社長も、間違いなく社員のレベルアップを望んでおり、社員自身もレベル
     アップを切望している。

     ある無記名アンケート調査で、「あなたは自分の知識や技能を高めたいと思います
     か?」という設問に対し、どの企業も9割の社員が「高めたいと思う」と回答。

     さらにその半数以上が「現在の仕事に活かすため(知識・技能を高めたい)」として
     いました。

   2.なぜ、教育効果が上がらないのか?
     社員のレベルアップに関して経営者と社員の思いは一致しているにもかかわ
     らず、「社員が思うように育たない」「研修成果が現れない」と嘆く経営者の声
     をよく耳にする。

     (1)あなた任せの教育

       @投資対効果を疑問視する声
         各会社に人材育成の取り組み方法を聞くと「OJTを中心に行っている。
         外部の専門家(集合研修やセミナー派遣)への委託は、金ばかりかかっ
         て成果が出ないのでやっていない」との返答である。
         あらゆる企業内教育の目的は、日常業務における教育成果の発揮。
         その観点から、OJTは最も即効性の高い教育技法と言えるでしょう。
         「集合研修やセミナー派遣は、金はかかるが成果は出ない」という声
         は、研修・セミナーのカリキュラム(研修内容)がその会社固有の業務に
         直接結び付いていないため、目に見える成果がすぐに現れないことに
         起因しているのです。

       AOJT偏重の落とし穴
         OJTはそれ自体、費用がかかるものではない。
         直接的な効果を得やすい技法であるため、偏重するのは至極当然で
         す。
         だがOJTには大きな課題がある。
         それは、OJTの実施者(上司・管理者)の力量によって、成果にバラつき
         が生じる点である。
         例えば、商品を売ることでは右に出る者がいないベテラン営業部長が、
         その商談技術・ノウハウを部下にうまく伝授できないため、部長だけが
         売上げ目標を達成し、チームは目標未達…というケースをよく目にす
         る。
         この営業部長もOJTをしていないわけではないが、「指導ノウハウ」の未
         熟さから部下を育てきれていない。
         要するに、部下を育てる能力・ノウハウが個人任せになっているので
         す。

     (2)指導力強化を望む経営者と、自信のない幹部
        経営者が幹部に望むテーマに「部下指導・育成力の強化」がある。

        幹部向けセミナーを開催する際、まず派遣対象者に対する指導要望書を 
        出してもらっているが、その内容を見ると「部下指導・育成力の強化」が多
        い。

        また、企業の幹部に行ったアンケート調査によると、部下や後輩の育成
        に対して自信が「ある」と回答したのはわずか13%、それ以外は「相手の
        タイプによって苦手意識あり」(72%)、「自信なし」(10%)となって
        いる。

        雇用の流動化や年上の部下の扱い方、職場内コミュニケーションの希薄
        化など、上司と部下との関係は以前にも増して複雑・困難になっている。

        勢い、上司は部下の指導・育成に自信が持てなくなっている。

        それにもかかわらず、部下の指導を幹部の力量に任せているのが現状
        です。

        このことが、OJT中心の人材育成の最大の課題ではないでしょうか。

     (3)人材育成の大原則「計画性」
        部下を指導し育てることは、幹部の果たすべき責任の最たるものです。

        しかし実際は、幹部自身も日々の実務に追われ、ともすると部下指導・育
        成がおろそかになっている。

        何か問題が起きたときだけ部下を厳しく指導し、それで「自分は部下を育
        てている」と錯覚している。

        専門家(経営コンサルティング)の立場からは、社員教育は「計画的に、
        体系的に、継続的に」行ってこそ、効果が出ると提唱している。

        そもそも人を育てるのは、時間がかかるものです。

        そのため、どのような育成理念の下で、どのように育成していくのかを明
        確にし、しっかりとした計画によって教育することが重要なのです。

        現実的には、中小企業が教育体系や中長期の教育計画をつくることは難
        しいでしょう。

        経営者の目が全社員に行き届くのであれば、その必要性もないのだが。

        ただし少なくとも、「自社にとって、どのような社員像が期待されるのか」
        「社員の何が課題なのか」「育成の重点テーマは何か」を明確にし、それ 
        を踏まえて「今年はだれに、何を教育するか」という単年度の計画は必要
        でしょう。

        また、とりわけ新卒の新入社員に対して「だれが、何を、いつまでに、どの
        ように指導するのか」という計画も大切。

        大半の会社が、育成計画がないまま新入社員を職場に放り込み、その育
        成を現場任せ、上司任せにしている。

        そして、新入社員は指導・育成の計画もノウハウも自信もない上司の下
        で「ほったらかし状態」になり、1年も経たずに辞めていく事態を招いてい
        る。

        このように社内における人材教育の現状は決して好ましい状況ではあり
        ません。

        その原因は教育担当者の人数と能力不足にあります。

        これを解決する対策は次項の「人材育成の内製化」です。 

  □人材育成の内製化
   
場当たりな社内教育に終止符を打つためにも、教育システムを確立していくことは
   経営において緊急課題である。

   企業が外部の専門家に委託していた業務を、自社内で行うことを「内製化」と呼びます。

   社長や経営幹部にとって、人材育成が重要であることに異論を挟む余地はないはず
   です。

   しかし人材育成は時間とコストがかかり、短時間で効果が表れるものではないことは
   既に承知のことです。

   最近では、大企業に続き中堅・中小企業においても外部の専門家に委託していた基本
   業務を、自社内で行う「内製化」が増加してきています。

   近年の収益環境の悪化に伴ない、コスト部門の予算削減が進むなか、教育研修をはじめ
   とする人材育成を、外注に頼らずに、社内で内製化する動きが目立ってきています。

   不況下の人材開発の取り組みでは、外注を抑えることによるコスト削減は避けて通れ
   ない課題です。

   研修の内製化への関心が高まる背景にもこうした流れがあることは間違いありま
   せん。

   しかし内製化を検討・選択した理由として、コストダウン以外にポジティブな側面に
   注目している企業も少なくないのです。

   人材育成の内製化には以下のような効果があります。

    ○自社の従業員のために最適化した教材やカリキュラムを活用、
     開発することで高い学習効果を実現でき、社内人材を講師として
     育成することで、指導や教育のノウハウを組織に蓄積できる。

    ○専門性の高い人材を活用する可能性が広がり、一部の専門家の
     暗黙知として個人の中に埋もれていたノウハウを組織の形式知
     として共有・継承できる。

    ○高齢社員対策
     事業環境や社内事情に精通したベテランの人材や体制を整備
     すれば、内製化によるメリットはより高まる。

   自社のニーズにマッチした研修を開発し、必要な人材や体制を整備すれば、内製化
   によるメリットは上記のように豊かなものとなります。

   内部人材による“自前”の教育を推進している企業の成功例といえば、国内ではトヨ
   タやソフトバンクの名前が挙げられます。

   しかし、コストダウンのことだけを考えて研修を内製化するのは危険です。

   内製化できるところとアウトソーシング(外部の専門家に委託)すべきところはきちんと
   見極めるべきです。

  □社内教育インストラクターを養成
   上記のように人材教育には教育のための人材が欠かせません。

   社内インストラクター養成講座開設は多くの経営者様からの要望がきっかけでした。

   会社経営において、社長が求める人材育成にご興味のある社長は、ぜひご一報ください。

 

業績アップの教育体制

          

業績アップの教育体制

■業績アップの教育体制
 人材育成の目的は、現時点での人材の能力と、これから展開する経営目標や事業計画に
 必要な人材の能力とのギャップの解消にあります。
 そのためにはただ漫然と社員教育を行うのではなく、社員教育によって何をどのように
 解決していくかを明らかにしなければなりません。
 まずはギャップを把握することによって教育活動の具体的な目標をたて、その目標に向け、
 いかにしてギャップを埋めていくかという対策を講じます。

 しかし、期待していた社員が辞めてしまった。
 こんな経験
1 度や 2 度、いやもっとあるという方もいるかもしれません。
 「なんだよ。期待していたのになあ、研修やらなんやらで投資したのに」など嘆きの声が
 聞こえてくるような気がします。

 様々な会社の現場を見る機会が多いので、よくこういったケース に出くわすことがあります。
 ここで多くの社長は「せっかく育てても直ぐ辞めてしまうんだから、即戦力になるような
 人間を外部から引っ張ってきたい」「社員を育てようなんて下手な投資なんてするもの
 ではない」など 考えがちです。

 気持ちはよく分かりますが、果たしてそれで良いのでしょうか?
 社員を育てるための投資(お金、時間)を怠るとどうなるか。
 本当に必要な投資までなくなり、さらなる人材難を招きます 。
 結局、悪循環に陥ります。

 昨今、お金のため、地位のためにモチベーシ ョンが上がる社員がグッと減ってきたように
 思います。
 どれだけこの会社で自分が成長できるかという視点が非常に大きくなってきたと思います。
 自社にとって最適な人材を採用する努力は怠ってはいけませんが、それを当てにするのは
 得策ではありません。

 やはり会社として人材を輩出できるような仕組みが必要です。
 ですが、頭では分かっ ていてもなかなか具体的に進めることができないというのが現状の
 ようです。
 ここでは、そういった悩みをもつ企業に「業績を伸ばす教育体制づくり」というテーマに
 ついて伝えていきたいと思います。

 まとめると次のようになります。
  1.目標の明確化
  2.期待役割の明確化
  3.成果を生む行動の明確化
  4.具体的売上アップ、利益アップ策の明確化
  5.目標の進捗状況の定期的管理

 業績を伸ばす教育体制というと、何やら社員全般に研修を行うと業績が上がると錯覚しがち
 ですが、そうではありません。
 正しい教育体制というのは完全に現場に密着した形で、全社員の力を業績・成果に結び
 つけるかをとことん考えて実行するということです 。
 ですから、魔法の杖のようなものではありません。

 1.目標の明確化
  経営者の方が真っ先に考えるのが、売上・利益目標の達成でありましょう。
  今期はこのくらい、来期はこのくらい、そして
10 年後にはこのくらいの売上を達成
  していたいとほとんどの社長は 頭に描いているかと思います。
  また、定量的な目標だけではなく、定性的な目標(地域で信頼一番、ブランド力一番、
  お客様満足一番など)も同時に描かれているかと思います。

  それでは目標を社員に伝えているかというとどうでしょうか。
  この質問に対しては「伝えている」「いつも口をすっぱくして伝えている」と回答する
  パターンが多いのです。
  しかし「その目標達成のためにどのようなことを取り組んでいるのですか?」と質問を
  変え ると案外口を閉ざしてしまう社長が多いのです。

  社員にも「社長が掲げる方針や目標とは ?」と質問すると同じように、答えられる
  ものの、「具体的な取組みは?」の質問に関してはモグモグしてしまう社員が多い
  のです。
  これは「火事だ!会社」と名付けています。

  どういうことかというと、例えば社長室で火災が発生し、社長が「火事だ!」と
  叫びます。
  それを聞いた幹部や部長クラスも同様に「火事だ!」と叫びます。
  そして、課長や一般社員も「 火事だ!」と叫び、誰も火を消そうとしないという会社
  です。

  この話だけ を聞くとそんなことあるわけないよと感じる人もいるかもしれないが、前述の
  方針や目標は言えても、具体的に何を取り組むか決まって いない会社とあまり変わらない
  ことに気付きます。
  方針や目標をお題目的に唱えるだけでは全く 意味がありません。

  ではどうすればよいか?
  先ほどの「火事だ!会社」の例に戻すと、社長が「火事だ!」と叫んだ後、幹部
  クラスが「火元はどこだ!」「火の勢いは!?」「消防車を呼べ!」と現場に指示を
  出し、そして課長クラスが「バケツに水を入れて並んで火を消せ!」「女子社員は
  非常口から逃げろ!」等指示を出していきます。

  どうでしょう。
  なんだか火は消えそうですね。
  最初の会社と何が違うでしょうか。
  この場合、指示が下に行くにつれて、どんどん具体的な形になっていることが分かります。
  最終的に火を消すという行動につながっていきます。

  あなたの会社が「火事だ!会社」になってはいませんか?
  目標を明確にするということは単に打ち出すだけではなく、現場に 浸透していくような
  工夫が伴います。
  相手に伝わったことが全てなの 、ぜひ根気よく取り組んでいただきたい。
  ではもう少し、現場への浸透策に触れてみます。

 2.期待役割の明確化
  1.にて目標の明確化について触れました。
  大きな課題点としては社長が方針や目標を伝えてもなかなか現場まで浸透しない
  ということでした。
  何が一番ネックになっているか、それは“現場の リーダークラス”の問題であると
  考えていいでしょう。

  そもそも方針や目標を実行させるのは現場リーダーです。
  彼らの働きによって業績が大きく左右されてきます。
  弊社の研修テーマも現場リーダークラスのスキルアップの場合が多くなってきました。
  業績を伸ばす教育体制というのも会社としてどんどん現場リーダーを輩出させることが
  業績に直結するという意味なのです。

  成果をもっと上げたい、成果が今ひとつなので、現場の教育研修をやってほしいという
  企業にヒアリングに行くと、「どういう成果をあげたいのか」という私どもの質問に
  答えられないことが多いのです。
  現場のリーダーも、何も役割を与えられていない状態で、日々の業務に取り組んで
  いることがよくあります。
  次に現場リ ーダーの役割を次のようにまとめます。

  (1)予算達成
   営業トップや現場のリーダーは、数字を考えて行動しなくてはいけません。
   その点をわかっているリーダーとそうでない リーダーとでは、部下への指示の仕方に
   違いが現れます。
   「がちがちに数字数字というのは・・・」というリーダーもいますが、逆に数字が
   はっきり具体的に見える方が楽になることが多いようです。

  (2)売上づくり
   どのような行動、仕掛けが成果に結びつくの か?
   その点をリーダーはミーティングで話し合わなくてはいけません。
   リーダ ーは同時にプレイングマネージャーでもあるので、話し合いの場を持たないと
   いつまでたっても、現場は動きません。
   詳細は後述します。

  (3)進捗管理
   現場リーダーが的確な指示を出せば必ず成果が出るわけではありません。
   状況の変化や見込み違いなど出てくるものですので 、月1〜2回は進捗管理や
   ミーティングが必要になってきます。
   達成のために立案した行動目標や活動プランをしっかりとリーダーが進捗管理する
   ことで遂行力が出てきます。

   昨年対比でマイナスの企業の多くは、社長をはじめとする経営陣が、現場サイドに
   明確な目標を与えていないのが現状です 。
   本部からリーダー、リーダーから個々のメンバーへと「目標と役割」を 設定し、
   すりあわせを行なってください。

 3.成果を生む行動の明確化
  成果を出していない企業の特徴として、社員が成果に執着していないことが挙げられ
  ます。
  ある会社の研修で、社員の人に、「自分が出せる知恵・エネルギーをどれくらい出して
  いるか?」と聞いたところ、「30%程度」という答えが返ってきました。

  色々な会社でも同じ質問をするのですが、30〜50%と答える方が多いのです。
  その 程度の力の発揮で果たして目標達成なんてできるのでしょうか?
  できるわけありません。
  やる気のない社員なんて基本的にはいないというのが私の持論です。

  しかし、なぜそのような状況になっているのでしょうか。
  原因としては成果の出し方が分からないということが多いのです。
  分からないまま、日々の業務を行なっている、そんな現場を何回も見てき ました。
  ではどうすればよいのか?

  第一に、リーダーを含め社員に対して成果を出す面白さを伝えなくてはいけません。
  意識は意識しないとなかなか高まりません。「今のままではだめだ。これ以上は俺も
  部下も伸びない。楽しくない 。もっと自身を変えていかねば」と「気付かせる」ことが
  社員教育の第一歩です。

  第二に現場からの知恵を吸い上げることです 。
  弊社の関与先例でいうと(特に中小企業の場合)、現場のスタッフ・従業員研修を
  社長立会いの下、会議を実施しています。
  成果を上げるいいアイデアが出てくるものです。

  社長が同席しているのでどんどん「すぐにや れ」と決済してもらえるので、実施
  して売上も伸びていきます。
  つまり 、成果を上げるための行動案というのは現場の社員がよく知っていることが
  多いのです。
  それをいかに吸い上げて気持ちよく実行させるかで大きく変わってくるものです。

 4.具体的売上アップ、利益アップ策の明確化
  3.において、成果を生む行動を吸い上げると説明しましたが、昨今、過去成功して
  きたことが通じないケースが増えてきています。
  会社としてそういった売上アップ、利益アップ策の明確化を図っていく必要がある
  でしょう。
  弊社でもそういった業務を依頼されることが多くなりました。

  つまり、成果を上げるために会社として最低限これだけやって下さいねというスタン
  ダードを作るということです。
  スタンダードを作っていく上で次のようなことが必要になってきます。

  (1)店舗力診断(小売店の場合)
   事前に店舗力診断チェックリストを作成し、それに基づいて店づくりができている
   かを診断します。
   お客様の目線で見ることにより、入りやすく、見やすく、買いやすい売場を作れる
   ようになってきます。
   特に複数店舗を持つ企業では定期的にリーダークラスが他店を見て回る機会が
   必要になってきます。

  (2)接客・商談力診断
   接客・商談を(1)と同様に取組み事項をチェックリストにして、それに基づいて
   行なわれているかを診断します。
   また、 特に優秀な店舗やスタッフをモデルにしたり、競合店舗の現状を調べる
   ことによって、より成果を見込めるものにすることができます。

   ある大型小売店では、診断により優秀な店舗とそうでない店舗とでは次のような
   違いがあることが判明しました。
    ●平均的な店舗 →
100 人のお客様が来店→ 20 人に接客→購入者 7
    ●優秀な店舗 →
100 人のお客様が来店→ 40 人に接客→購入者 16

   データが示すように、優秀な店舗は来店されたお客様のうちの4割が接客まで
   至っているのに対して、平均的なお店は来店されたお客様のうち2割しか接客
   まで至っていなかったのです。
   いったい優秀な店舗は何が違うのでしょうか?

   実はお客様が来店し、3〜5分経った頃、「何かお探しですか?」と声がけする、
   ただそれだけだったのです。
   この一言により店員に声を掛けやすい雰囲気を作ることができたため、購入者に
   大きな差が出ていることが分かりました。
   こういった情報があれば 他店舗にも導入することができ、成果にも直結しやすく
   なります。

  (3)ベンチマーク(優秀営業パーソン及びマネージャーへのインタビュー)
   優秀営業パーソン・マネージャーをモデルにて、そういった人の取組み事項を
   吸い上げ、他の社員にも真似してもらう ことでスピーディーに成果を出すことが
   可能になります。

 5.目標の進捗状況の定期的管理
  目標までは決めるものの、達成のための進捗管理となるとできていない企業様が
  多いのです。
  そのまま未達成のままで終わ ってしまうと、社員が目標を軽く考えてしまいかね
  ません。
  目標を達成さ せるための取組みについては次のようなりめます。


  (1)目標に対する納得感、意識
   店長に何故目標が未達だったのか尋ねると、「そもそも決められた目標・数字に
   納得していない」という答えが返ってくることが多いのです。
   目標に対する納得感がないまま、数字の管理をしている人がいかに多いか、これは
   トップである経営者の方から意識を変えなくてはなりません。
   非現実的な目標ばかり掲げてしまうと、社員はついてこなくなってしまいます。
   「俺はオーナーだから言うことは聞け!」というスタンスではなかなか成果は
   出にくくなってきています。

  (2)評価について
   目標に対して数字をやったとしても、それを評価するシステムがないなどのケースが
   後をたちません。
   目標達成と連動した評価が必要になってきます。

  (3)目標管理の与え方
   部下に達成できる『計画の立て方』を示すこ とがポイントです。
   簡単にまとめると予算(目標)に対して、現状どれだけ足りないかをはっきりさせる
   ことです。

   不足分が分かれば、それをどのように埋めるかを詰めていきます。
   基本は不足分の
1.32.0 倍の仕掛けが必要です。
   また、日々の活動管理を次のようなフレームで考えると良いかと思います。
   どれ だけ成果に結びつく活動の割合を増やすかが、短期的な成果アップには欠かせ
   ません。

  
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部下の育成方法

            

部下の育成方法

 ■はじめに
  部下を持つ立場にある人(上司)は、自分の業務に加えて、部下の育成もしていかなければ
  なりません。
  しかし、自分が部下であったときに上司からどういう指導を受けたかを考えても、
  仕事の内容や部下の仕事観の変化などから、自分の経験がそのまま当てはまらないことも
  多いものです。

  こうした 中、部下への接し方を誤ったために、部下のやる気を削いでしまい、成長の
  芽を摘んでしまうということもあります。
  多くみられるのは、部下への業務の与え方を誤る例です。具体的には、「詳しい説明
  もなく、ただ業務を与え続ける」「部下に任せるべき業務まで自分で片付けてしまう」
  といった例です。

  これでは、部下は「上司にいいように利用されているだけではないか」「自分は上司から
  信用されていないのではないか」と、上司への不満を募らせ、部下は業務に対して
  やる気を失ってしまいます。

  上司は、部下に与える業務についてしっかりと選択するともに、部下に業務を与える
  際には、その業務が会社にとってどういう意味を持つのか、なぜその業務が必要なのか
  という点を部下に対して説明し、業務の全体像を示すことがまず必要です。
  その上で、業務を与える際の指示の出し方などを工夫することで、部下のやる気を
  引き出していくことが求められます。


 □部下の育成方法
  1.部下の理解の仕方と指導のステップ
   生い立ちや、環境の違いが性格に反映しています。
   性格を一つの型にはめようとしても、難しい場合があります。
   態度、行動、考え方を型にはめたとしても、性格までも変わるとは言えません。
   ですから、同じことを言っても人によって、その受けとめ方に個人差があると思う
   ほうがいいでしょう。

   ◎人間の心理
    1.人間の心の二面性……「プラスの心」を引き出す
     人間の心には、「プラスの心」と「マイナスの心」があります。
     表現を変えれば「人を思いやる心」と「利己の心」という二面で表現しても
     いいでしょう。
     この「プラスの心」を引き出せば、対立なく理解し合えます。

     ですから、部下指導の場合でも、議論や説得の場面でも、「プラスの心」を
     引き出す努力が何よりも大切です。
     信頼関係ができていれば、少ない言葉でも「プラスの心」を引き出すことが
     できます。

     逆に、「マイナスの心」を引き出してしまいうと、いくら努力を重ねても、
     対立や誤解は解けないものです。
     不快な言葉を投げかけないこと。
     また、疑いの目で見ないようにしてください。
     上司の態度が部下の態度にも影響しますので、「プラスの心」を引き出そうと
     するときは、上司自身も「プラスの心」で接してください


    2.性格形成に関係する3要素(3方向からの指導育成が有効)
     性格の変化に関係する要素は、
      @環境や人間関係
      A考え方
      B経験
     の3つです。

     経営者や幹部なら、「自分の意思」や「役割の自覚」で心(性格)をコントロール
     できますが、それ以外の人では「環境や人間関係」に影響されやすいものです。
     ですから、
     (1)環境づくり
       部下にとって、気分の良い環境や人間関係をつくってください。
       すなわち、努力すれば皆が喜んでくれるとか、困ったときには皆が
       協力してくれるとか、我がことのように心配して相談に乗ってくれる
       など、安心して仕事ができる状態にする必要があります。

     (2)考え方の指導
       チームプレーの中での正しい考え方や、価値判断尺度をしっかり指導
       してください。
       そうすれば、不満や不安は出てこなくなるし、お互いに理解し合える
       ようになります。
       それだけでなく、メンバーそれぞれが自発的な行動をするようになります。

     (3)良い経験をさせること
       成果が上がるように、先輩が支援してやってください。
       また、成功事例や失敗事例を話して聞かせてやってください。
       それが、間接体験になるのです。
       間接体験が、次には自分の力で実際に目標達成するという直接体験に
       つながっていくのです。

    3.やる気の有無は何十倍の大差(潜在意識に成功イメージを染み
      込ます)
     やりたくない人が、叱られない程度にやる仕事量を1とすると、やる気を
     燃やしている人の仕事量は約10倍。

     これがチームとなると、さらにn倍(n:人数)。
     やる気にさせるには、「こうすればきっとこうなる」という成功のイメージを、
     頭の中に入れてやることが大切です。
     成功のイメージがどれほどの威力かを、少し説明しましょう。
     次のような原則があります。

     (1)人間の行動は「意志」よりも「イメージ」に支配されている
       成功の見通しが立っていないときに、「私はこれを実行しなければならない」
       と決意して行動を起こしてもダメ。
       そういう時は、いつも失敗に終わることになります。
       逆に、成功の見通しが頭に入っていれば、トントンと成果が上がるのです。

     (2)「イメージ」は自分で誘導できる
       成功の見通しを、頭に入れればよいわけだから、いろいろな場面を
       想定して自分でストーリーを組み立ててみるといいでしょう。
       また、現実に近づけるために、日頃から、見るもの、聞くもの、
       何でも先に組み立てたストーリーと結び付けて、修正を加えたり、
       対策を立てていくことです。

    4.判断尺度の体得と条件の組み替え
     実務では、多数のルールや条件を踏まえて、仕事の流れを作っていかなければ
     なりません。
     個人的な判断で仕事をしていると、必ず無理強いや甘えが出てきます。
     このことは、受け身の仕事につながりますし、会社の方針からずれていく
     ことになり、ひいては社内の意思統一が崩れることになります。
     仕事をするとは…」「お客様とは…」「利益とは…」「それぞれの担当業務とは…」
     など、判断のベースになるところをはっきり定義づけておくことが大切です。

    5.マネジメント力が要る
     仕事に追われ、未解決の問題を抱え、周囲の人たちと調和がとれない……
     という状態ではイメージを描けたとしても、現実に近づくことはできません。
     自分に与えられた条件の中で、課題を片づけていく力が必要です。 
     すなわち、マネジメント力。
     これを身につけさせようとするには、次のようなポイントがあります。

     (1)努力しようという気持ちにさせないといけない
       人間は信頼できる人から関心をもたれているとき、その期待に応え
       ようと努力するものです。
       特に独り立ちのできていない人たちは、この傾向が強く出ます。
       信頼を裏切れば、自分は生きていけないということが本能的に分かる
       のだと思います。
       職場のメンバーが、お互いに尊重し合い、協力し合う関係にならないと
       いけない理由はそこにあるのです。
       一対一の関係よりも、職場全体でこれができれば、想像もできない
       くらい大きな人材育成の推進力になります。

     (2)PDCAの行動サイクルを皆で実行
       目標があって反省がある。
       反省の結果、教訓を学び改善や成長がある。
       この行動サイクルが、日常的に社員全員で実行されれば、会社は
       止まることなく発展し続けることができるはずです。
       社員個人でも、職場全体でも「原因自分論」になり、問題をつぶして
       いけば社員も会社も大きく成長します。
       なぜなら、やればやっただけ満足感が得られるのですから、一人で
       満足しているより、皆で喜びを分かち合ったほうが、何倍も大き な
       喜びや充実感になり、「やる気」や「勇気」が再生産されるのです。
       それが会社の発展につながり、また、社員の成長につながっていくのです。

     (3)方針や現状認識について意思統一
       チームの人数が大きくなるほど、また、課題が複雑になるほど、
       意思統一が大切になります。
       細かいことを意思統一するのでなく、大きい幹の部分、すなわち、
       判断の元になるところを意思統一しておくことが大切です。
       そうすれば、それぞれの担当で最適の判断をすることができるわけです。
       また、報告、連絡、提案や相談をするにしても、話が早くなります。
       早くなるということは、信頼関係を維持していくのに役に立つのです。

     (4)先行管理でフィードフォワード
       フィードフォワードとはフィードバックの反意語で、「未来に向けた
       解決策」といった意味になります。

       実行した結果、問題があれば修正するというのは、現場実務の部分的な
       ところに限るのが望ましいと考えます。
       問題が出る前に、問題を予測して先にコントロールするぐらいに
       ならないといけません。
       問題が出てからオロオロしていては、意思統一も、信頼関係も、
       土台から崩れていくことになるのです。
       また、個人プレーに任せていると、個人的ネック(ニガテな部分)を
       避けるので、会社としてみると、成長すればするほど大きなネックを
       残すことになるのです。
       経営者だけでなく、現場サイドでもこのような先行管理を実行して
       いくには、仕事の区切りで関係者が集まって、反省会をするべきです。
       まだ印象の生々しいうちに、改善すべき点を確認し、ネックを事前に
       つぶす対策を、「知恵」を集めて立てて下さい。
       この知恵を生かせる者が、次期のリーダーになります。
       そうすることによっ て、会社の業績が安定し、人材が育ち、先の読める
       計画的経営ができるのです。

  □「何のために……」が指導の原点
   「指導はした。毎日皆がやっているのを見ている。なのにどうしてやらないのだろう」
   「昨日やらせてみればできたのに、なぜ今日は自分でやろうとしないのだろう」など
   という幹部の嘆きが聞こえてきます。
   その部下に直接カウンセリングをして聞いてみると、理由は千差万別。

    1.自信がないから
    2.人間関係を損ないたくないから
    3.恥ずかしいから
    4.面倒な問題を背負い込みたくないから
    5.自分の仕事とは思っていないから

   これらの言い分を抑えて、やる気にさせるのは大変なことだと思います。
   こんな時、どうすればいいのでしょう。
    「あなたはこの会社の社員ですか」
    「あなたの仕事はなんですか」
    「その仕事はうまくいっていますか」
   このようなことから質問しなければならないとしたら悲劇です。
   最初から「何のために…」をハッキリさせておいてください
   ここで一例をあげてみましょう。

   (1)給料が安いから、この会社では努力しようという気持ちになれない
   (2)この仕事は、こういう事情があってできない
   などと言う社員に対する動機付けをいかに行うか、表3に示してあります。
   判断尺度が会社として「明確」であれば、指導の方向も重点も狂わない。
   判断尺度が「不明確」であると、その人の判断レベルの中で問題解決されるため、
   社員としての成長があまり期待できない。
   だから、会社の方針、経営の理念、部門の役割、 本分、存在理由、仕事の目的、
   理由などを「明確」にしておくことが、人材育成にも大切なことなのです。

  □部下の心が理解できたか?
   ここでは、質問を投げかけてみますので答えてください。
   解説は後半にあります。

    問1:部下が、指示した通りに仕事をやっていないのを見つけました。
       あなたは次のうち、どのやりかたが一番好ましいと思いますか?

     @指示通りにやっていないことを指摘して、改めさせる。
      その時、「全部を聞かないで仕事にかかる悪い癖をなおすよう
      に」と、今後のことも考えて釘を刺しておく。
     A指示通りにやらない理由を、まず聞いてやる。そのうえで、今後
      のやり方について一緒に考える。
     B部下にも何か事情があるのだろうと考えて、「どうだ? うまくい
      っているかい」と声をかける程度にとどめる。

    問2:仕事の場面で、失敗の可能性が濃厚になってきた担当の部下が、
       盛んに言い訳を言っています。
       上司として、そこで何を言っておくべきでしょう。
       次の中から一番良いと思うものを選んでください。

     @「因果応報」、「自業自得」、「身から出た錆」、「蒔いた種は
      生える」……などと言って、反省を促そうとする。
     A言い訳を聞いてやる。その後で、君は組織(チーム)の一員とし
      てそれでよかったのかと問い詰める。
     B今ここで何をするべきか、失敗になるとしても、損失を最小限に
      する方法は何かについて話し合う。

    問3:部門管理の役割を与えられています。
       しかし、部下が何をしているのか、どんな問題で悩んでいるの
       かなど、細かいところまで把握できていません。
       業績低下の現在、私が部下にするべきことは何でしょう?

     @運命共同体だ。君達ももう少し努力しろ……と分担量を増やす。
     A皆も精一杯努力してくれている。だから、量より質の向上策をと
      るように経営者に訴える。
     B個人プレーでは、皆が成長できないので、忙しくても時間を工面 
      してミーティングをやり、共通目標に向かって協力し合えるよう
      に、また、皆がテーマを持った行動をするようにする。

    1.問1の解説
     @本人は、理解しているつもりで行動を起こしたわけです。
      全部理解せよと言われても、その時点では何をどうすれば良いの
      か分からないことでしょう。
      ですから、上司の尺度で欠点を指摘するよりも、今後は報告・連
      絡をさせ、次のステップを確認し合うようにするほうが良いでしょう。

     Aやらない理由を聞くのは良いことです。
      しかし、信頼関係ができていないと、その場しのぎの理由を言う
      ことになります。
      信頼関係ができるようにするには、部下が成果を上げ、人から尊 
      重されるように協力してやる必要があります。
      そうすれば、成果を上げるために腹を割って相談するようになります。

     B判断を任せていることになります。
      ですから、結果に責任を持たなければならなくなるのは部下のほうです。
      つまり、この指導法が一番良いわけですが、仕事の基本ができて
      いない人には通用しません。
      基本が身についている人かどうか、基本のできている部分かどう
      かを見極めることが大切です。

    2.問2の解説
     @気分がスッとするという指導者がおられます。
      しかし、それは大人気ない。
      自分の気持ちよりも、相手の気持ちを考えるようになってください。
      チームプレーでは、不愉快な気分の人をつくると、まとまりがつ
      かなくなるのですから。

     A「上司から期待されている」という感謝の気持ちが部下にない場  
      合は、問いつめるほど悪影響を残します。
      「そんなスケールの小さい人間になってほしくない」という気持
      ちを伝えるだけでなく、日頃から「育ててやろう」としてください。
      そうした上司であれば、この指導は有効です。

     B幹部としてやるべきことは、成果を上げることであり、損失を最 
      小限に抑えることです。
      ですから、言い訳を聞くことよりも、これからやるべきことに目
      を向けさせることのほうが大事です。
      判断力のある部下であれば、Bのやりかたで良いでしょう。
      また、指示で動くレベルの社員であれば、仕事の流れをもう一度
      整理して、「次に取り組むべき課題」を指示してやるのがよいでしょう。
      指導者が冷静に対処すれば、部下も指示した課題に集中するように
      なります。

    3.問3の解説
     @業績低迷の時期、各人バラバラに仕事をしていますと、メンバー
      の気持ちは世の中の平均以上に落ち込むものです。
      ですから、負担感を与えるような言い方は不適当です。

     A人に要求する場合には、相手のメリットを考えておく必要があり 
      ます。
      自分の方の言い分を一方的に要求し始めると、お互いに不満な気  
      持ちになり、信頼関係が崩れます。
      ですから、このような発想や行動は慎まなければいけません。
      やるとすれば、大きな視野で現状認識をして、会社として改善す 
      るべきことと、部門および社員としてやるべき課題をハッキリさ
      せていくことが大切です。

     Bいくら努力しても、すべてを理解し合えるものではありません。
      理解し合おうとすればお互いが「信頼」し合う以外にありません。
      信頼し合うには「コミュニケーション」と「協力」がカギです。
      方針や共通目標に向けて、皆の動きを調和させてください。


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人材育成の方法

        

人材育成の方法

 ■人材育成の必要性 

  コロナ禍の今だからこそできることから始めよう。

  多くの中小企業では、リモートワークなどの急激な環境変化の中で、社内の教育不足
  により、特に新入社員が置き去りになっているケースが多発しています。

  大人数が集まる研修などは開催が難しく、入社時から在宅勤務となった企業も増えて
  います。

  直接指導でスキルを学ぶ機会が失われたり、社内的な孤立につながったりすることへの
  不安を抱えてい新人も多いでしょう。

  新入社員向けアンケートでも毎日テレワークしたい人(24.6%)を除くと、75.4%が
  週1回以上の出社を求めていることが見えてきています。

   ・対面のほうが相談や報告をしやすい

   ・社内の人間関係も大切にしたい

  今ではeラーニングなどのオンライン研修におけるジャンルも多様化し精度も高くなって
  います。

  オフィスワークと異なり、リアルな接点がない状況下での教育ができていない今、
  コロナ後に備えて社員の基本的教育の低下を防止し、レベルアップを今始めましょう。

  企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。

  企業は社会的ニーズに応え、長く発展していくために、自社を支える人材の能力を
  アップさせる必要があります。

  しかし、あなたの職場を振り返ってみたときに、何か大きな変化はあったでしょうか。

  ここ数年の間に、とくに仕事のやり方に変化はありましたか。

  もし、何も変わっていないと感じているのならば、環境の変化に対応し、発展して
  いく会社であるとはいえません。

  1.人材育成はなぜ必要か

   環境の変化が激しいならば、それに応じて会社の体質を強化していく必要が
   あります。

   会社を変えるためには、まず職場が変わらなくてはなりません。

   職場はそれを構成する人材で成り立っているため、職場を変えるためには、個々の
   人材が変わることが必要となります。

   会社にとって人材は細胞のようなものです。

   個々の細胞がその能力を高め、効果的に刺激し合い成長すれば、その集合体である
   会社も当然発展します。

   コロナ禍の今、多くの企業で人材育成の必要性が問われている理由なのです。

   ただし、人材育成の必要性が理解できても、効果的な育成が実践できなければ意味が
   ありません。

   今のままでは社員の品質低下は免れません。

   まず、会社・職場・育成される個人それぞれにとって、どのような育成方法や教育が
   必要なのかを考え、計画的に実施する必要があります。

   会社全体を見まわして、現在どの部門に勢いがあり、どの部署に問題があるか、

   といったことを把握・分析し、重点的に注力すべき点を考えたうえで教育計画を
   立てます。

   職場においては、上からの方針がきちんと伝わっているか、部署間の風通しは

   悪くないか、などといった問題の把握に努め、個人に対しては、一人ひとりが
   能力を十分に発揮できているか、業務を通じて成長できる環境が整っているか、
   といったことを考え、どのような教育・育成方法が適切であるかを見きわめて
   いかなくてはなりません。

   コロナ禍だからという理由は通用しません。

   どんな環境であっても、全天候型経営を目指さなければ生き残っていけないのです。

   人材育成は、企業育成を支えるものです。

   自社を取り巻く環境の変化や自社の強み・弱みを分析し、会社・職場・個人それぞれに
   とってどのような教育が必要なのかを把握し、実践していくことが急務となります。

  2.ニーズに合った育成を

   自社を支える人材は、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態や、社歴や
   社会人経験・年齢・性別など、さまざまな面において異なります。

   また、職場や担当業務によって必要とされる知識や技能・意識も異なります。

   このように、多種多様な人材を多種多様な「必要とする戦力となる方向」に導く
   ためには、それぞれに適した育成方法を考えていかなくてはなりません。

   たとえば、全社員を集めて「社会人としての基本マナー」に関する研修を行なっても、
   新入社員以外にはとくに新たに得るものはありません。

   また、パート・アルバイトに対して会社の長期的経営方針などを説くこともふさわしい
   とはいえないでしょう。

   人材育成は、会社を支える戦力の向上につながる大変重要なものですが、時間や
   労力、
さらに費用もかかるものです。

   対象別に適切な方法で、適切な能力アップを目指した教育を、効率よく行なわなく
   てはなりません。

   人材育成の目的は自社の生産性を向上させるためです。

   そのためには社員の品質をレベルアップさせ、効率的・効果的な業務推進が
   欠かせません。

 □対象者に適した育成方法を考える

  人材育成、しかもニーズに合った教育の必要性については理解されたと思います。

  すでに集合研修や職場での教育などを取り入れ、職場の活性化や企業力のアップを
  目指している企業も多いことでしょう。

  人材を育成するときには、

   ・対象者を十分に把握し

   ・彼らのニーズを理解し

   ・会社側としては、どのような能力をつけてほしいのか、
    どのような人材となってほしいのか

  といったことを明確にしたうえで、人材ごとに適切な育成方法を実施していくことが
  重要です。

  これを誤ることなくできたならば、人材育成はほぼ成功したといっても過言では
  ありません。

  ここでは、人材ごとにどのような育成方法が効果的か、どのような教育が必要かと
  いったことについてみていくことにしましょう。

  1若い社員はどのように育てるか

   新入社員や若手社員を育成するときには、会社側も、職場の先輩たちも、まず
   「即戦力として貢献できる人材に育てよう」と期待し、頭を悩ませることでしょう。

   若い人材に教えるべきことは、社会人としての基本的なマナーから、会社独自の
   慣習、業務の進め方、職務に必要な知識や技能など、数え上げればきりがありません。

   しかしながら、いくら教えたいことが山ほどあったとしても、それを受け入れる
   側のキャパシティーも考える必要があります。

   一足飛びに何もかもをと望んではいけません。

   まず、どのような人材になってほしいのかを教育する側が明確にし、その目標に
   対して適正な能力アップを図ることが大切です。

   若者は、エネルギッシュで意欲にあふれているものですが、概して視野が狭いところが
   あります。

   これは経験不足に起因するところが大きく、自分という小さな世界で得られた情報
   だけで物事を判断する若者が少なくありません。

   そうした若者は、会社や業務もその狭い視野でとらえがちです。

   こうした若者に必要な教育は、「職場で社会人として自立させる」教育です。

   基本的なルールについては新入社員研修などで教えるものですが、さらにその必要性や
   遵守することの大切さを重ねて教育します。

   そして、それに加え、つねに社会人としてあるべき常識を説き、会社の存在理由や
   その使命を理解させ、組織の一員としての自覚をもたせます。

   このように、若い社員にまず教えなければならないことには、

    ・個人ではなく、会社組織の一員としての広い視野をもつこと

    ・会社の経営理念の達成のための−鼻であるということを自覚させること

    ・会社が自分に期待する能力などについての理解とそのための自己啓発を行なう

   ことなどがあげられます。

  2中堅の社員はどのように育てるか

   社員も中堅クラスになると、組織における位置づけも明確になり、仕事も問題なく
   こなせるようになっている一方で、仕事や職場に対する“慣れ”から、モラールが
   低下しがちです。

   しかし、中堅社員というと、会社にもっとも貢献し活躍してもらわなければならない
   重要な戦力です。

   仕事の緊張感の薄れがちなこの時期は、仕事に取り組む基本的姿勢の再確認のための
   教育を考える必要があります。

   中堅社員教育の場合、社会の変化、会社・職場の変化に対応していこうとする人材と、
   順応できずにあきらめかけている人材とを見極め、できるだけ多くの前向きな人材を
   育てていくことが重要になります。

   モラールが低下することなくこの時期を乗り越えた人材は、次には「何かライフワークを
   見つけなくては」とか「何か特殊技能を身につけたい」などといった意欲がわいて
   くるもの。

   この機会を逃さずに、会社として戦力強化を図りましょう。

   方法としては、まずスペシャリストとしての道を見いだすか、ゼネラリストとして
   組織の中枢に上っていく道を目指すのかといった方向性を示すことになるでしょう。

   個人のキャリアプラン・ライフプランとのすり合わせを行ない、必要とされる知識や
   技能、意識などを向上させるためのポイントを絞った教育を検討するのです。

   人材の高度化が進む今日では、人生の方向を決める時期も早期化し、早くから能力を
   磨き、適性を見いだす必要が生じています。

   しかし、時期が早ければ早いほど、自己の能力や志向を見極めきれない人材が多く
   なるため、会社側が各自の進むべき道をガイドしていかなくてはならないのです。

   なお、この時期の研修は、上司や先輩、講師などの実際の経験に基づいた内容である
   ことが望まれます。

   いまさら若い社員を対象とするような基本的な概念を教えても、心を動かすことは
   できないからです。

  3女性社員はどのように育てるか

   女性の能力をいかに向上させ、いかに活用していくかということは、会社にとって
   大変重要な経営課題となっています。

   男女雇用機会均等法により、女性の雇用や教育、配置などについて、男性と区別しては
   ならないこととなっていますが、それでもまだ、男性と同様の、女性の戦力アップ
   のための制度作りはこれからといった会社も少なくありません。

   女性はもはや男性社員の補助戦力ではありません。

   とくに中堅社員ともなれば、給与も高いため、補助業務だけをやらせていたのでは
   会社も採算が合いません。

   女性にも十分な教育を行ない、高度な業務に挑戦してもらう必要があります。

   女性活用のためには、まず女性自身の意識改革が必要です。

   男性社会で懸命に努力する女性がいるかと思えば、女性であることに甘えようと
   する女性が多いことも事実だからです。

   女性自身に企業の一員としての意識を芽生えさせ、自立しようという意識改革を
   しなくては、活性化は難しいと思われます。

   次に大切なのは、業務や会社に対する帰属意識をもたせることです。

   「女性は仕事に興味をもたない」「積極的でない」と嘆くだけで、企業の使命や
   目的をきちんと教えずに戦力化しようとしてもそれは無理というものです。

   まず、企業の社会的使命、経営者の理念を正しく理解させ、自分が担当している

   仕事が会社の使命とどのように結びついているかを把握させます。

   これは仕事にやりがいを見いださせることにもなります。

   仕事に意味を見いだし楽しくなると自信も能力もつくため、業務の拡大もそう難しい
   ことではなくなります。

   女性は一般的に向上心が高く、一度成功すると男性以上に自信をもち、さらに
   能力向上のための努力を惜しまない特性があるといわれます。

   もちろんこれには個人差があり、女性すべてが勤労意欲に目覚めているわけでは
   ありません。

   社会的地位の向上などはとくに望まない女性もいるでしょう。

   そうした女性にとって、過度の期待は負担にしかならないため、高度な技能研修
   などを行なうときには、個人の意思を確認する必要があります。

   ひとたび意欲を引き出せれば、そこからが本当の女性の活性化です。

   一段一段ステップを踏んで、高度な業務や新しい仕事へと担当分野を広げていく
   ことができるでしょう。

   女性の能力アップと有効活用のためには、

    ・性別による違いを意識しない、させない

    ・自分が会社にとって重要な存在であることを認識させる

    ・キャリア志向の強い人材を選別し、十分な教育を行なう

   といったことを充足させるような取り組みがもっとも大切になります。

   また、出産や育児といった性による負担を、会社側が配慮しフォローすることも
   求められています。

   人材を十分に活用しつつ、そうした面にも配慮するというのは、企業にとって簡単な
   ことではありませんが、大切な自社の課題として受け止める必要があります。

  4パート・アルバイトはどのように育てるか

   パート・アルバイトといった短時間もしくは短期間労働者は年々増加傾向にあります。

   これは正社員を中心とした固定人件費の比率を下げ、変動人件費への転換を考える
   企業が増えてきたことを示しています。

   以前は、パート・アルバイトというと社員の補助業務が一般的でしたが、現在では
   社員と変わらぬ業務をこなし、責任を負う人材も少なくありません。

   こうした状況から、社員の戦力を補って余りある良質のパート・アルバイトを着実に

   確保し育てていくことは、いまや企業の将来をも左右する重要な課題です。

   活用が広がり期待度が高まるなか、その教育問題は社員同様に考えていかなくては
   なりません。

   パート・アルバイトがこのような雇用形態を選ぶ理由としては、「勤務日や勤務時間を
   自分の都合に合わせることができる」「家事・育児などの家庭の都合のためフル
   タイムで働けない」などがあります。

   つまり、勤務形態が異なっても働くことに対する意欲が正社員に劣るとは限らない
   ので、効果的に活用すれば大きな戦力となる可能性があります。

   しかしながら、あくまでも「自分の都合」を優先せざるを得ない人材であるため、
   短期に職場で必要とする能力を身につけさせ即戦力としなくては、教育しただけで
   辞めてしまう場合が少なくありません。

   あくまでもポイントを絞った指導・教育を行ない、早期活用を目指すことが重要です。

   教育方法としては、やはり現場でその都度指導していくことが中心となりますが、
   入社時点で行なう研修も欠かせません。

   これまではパート・アルバイトに対して入社時研修を行なう企業は多くありません
   でしたが、企業理念や方針をきちんと伝え、組織の一員としての自覚をもたせると、
   活用の幅が広がり本人の意欲や責任感を促すことにもなります。

   パート・アルバイトに対しては、長期的視野に立った教育はできないため、「あなたの

   業務・能力では、これだけのことを習得してもらえれば十分です」というように
   担当業務・習得範囲を限定し、チャレンジしやすくすることも大切です。

   短期間で辞めていくことを予想し、学習期間を短縮して能力発揮の機会をより多く
   設けるなど、状況に合った教育プログラムが求められます。

  5.管理者はどのように育てるか

   管理者の能力はその人材が管理する職場全体の業務に影響します。

   どんなに高度な専門知識や技能を有していても、マネジメント能力が欠如していては、
   管理者としては失格です。

   そのため管理者教育としては、まず監督者候補研修・管理者登用のための評価研修と
   いった教育を行なう企業が増えています。

   これは、それまで部下として働いてきた人材がいきなり管理者になったのだから

   といわれても、管理者として適切な態度をとり十分な成果をあげることは困難
   だからです。

   そこで、実際に管理職になる前に、失敗も許され経験を積むことのできるリーダー
   シップ訓練の場が必要だと考えられます。

   リーダーシップとは何かを学ばせる基本的な研修と、リーダーシップをとっていく

   練習ができる場を与えるのです。

   組織の一部門として業績や目標達成といった厳しい責任を負わない段階にあるうちに、
   リーダーシップ理論を理解させ、実際に体験させるのです。

   日本の企業では、新任の監督者や管理者は、予備知識や訓練もなくいきなり役職を
   拝命することが少なくありません。

   上司や克輩たちを見てきて、どのようにしていけばよいか知っているはずだという
   考えがあるのです。

   しかし、初めて部下をもつような場合、新任管理者は期待に応えたい一心で、責任の
   重圧に押しつぶされてしまうことがあります。

   可能性のある人材によけいなストレスをかけることは、企業としても大きな損失です。

   また、そうした管理者を放置することは、その下で指導・教育されることになる
   部下にも悪影響を及ぼします。

   管理者の教育においては、部下をもち責任を負う前の段階での研修と、就任後、
   管理者としての責務をまっとうしているかどうかについてのフォローが重要に
   なりますが、どちらにおいても、知織・技能だけではなく、精神面についても十分に
   支援していく体制が必要になります。

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OJTは仕事を教えることではない

                           

OJTは仕事を教えることではない

 ■OJTは仕事を教えることではない
  1.長期的・計画的な視点が必要
   OJTについてはすべての会社において業務遂行のプロセスを通じて日々実践
   されているといってよいでしょう。
   「教え上手」な上司や先輩に恵まれた部下は、それだけ順調に育っていくことが
   期待できます。
   OJTを効果的に行ううえで忘れてはならないのは、
    個々の社員のどんな能力を、いつまでに、どの程度高めるのか
   という長期的・計画的な視点をもつことです。
   OJTは日々の業務を通じて行われるため、教える側は「目の前の業務の仕方」を
   教えることにどうしても目がいきがちです。
   もちろんこのこと自体は重要なのですが、それが社員のどのような能力向上に
   つながるのかを確認しながら進める必要があります。
   具体的には、以下のような手順で進めます。

   (1)自社の業務に必要な能力と程度を明らかにする
    現所属部門の業務範囲内だけではなく全社レベルで考えることが大切です。
    また現時点だけではなく、自社の将来に必要になる能力も抽出します。

   (2)部下の能力・志向性を把握する
    上記の能力について、現時点での部下の保有度合いや本人の将来的な成長の
    志向性を把握します。

   (3)教育方針を決定する
    必要な能力をどのように身につけさせるかについての方針を決定します。
    幹部候補生に幅広い能力を身につけさせるためには、部門を越えたローテー
    ションなども検討します。

   (4)教育計画を策定する
    育成方針にしたがって、今期末までにどのような能力をどの程度まで高めるか、
    誰がどのようにOJTを行うかなど、より具体的な育成計画に落とし込みます。

   (5)計画に基づくOJTを実施する
    部下に逐一細かい指示をするのではなく、部下本人にできるだけ自分で考え
    させることが重要です。

   (6)定期的に進捗状況を確認する
    半期ごとなど適切なタイミングで進捗状況を確認し、計画未達成の場合には
    OJTを行う側、受ける側双方についてその原因と対策を明らかにします。
    このように効果的なOJTを行うためには、

     日々のOJTの積み重ねが「結果として」能力向上に結びつくのではなく、
     能力向上を第一義として、そのためにはどのようなOJTが必要か

    という視点をもつことが重要です。

  2.OJTだけでは限界がある
   仮に最適なOJTが行われたとしても、OJTにはいくつかの限界があります。
   ひとつは、OJTで受け継がれるのは、先輩社員の考え方、知識やノウハウだけで
   あり、それ以上の効果は期待しにくいということです。
   たとえば、上司は自分がまったく知らない分野の専門知識や自分がまだ身につけて
   いないノウハウなどを部下に教えることは決してできません。
   また、「最近どのような消費者ニーズが高まっているか」といった目先の業務
   遂行とは少し離れたことについては、OJTの教育テーマには向いていません。
   さらにOJTには「幅広い分野を体系的に教える」ことには不向きであるという
   弱点もあります。
   たとえば、「新入社員」が一人前の「若手社員」になるためにはどのような
   要件があるか、「管理職」になるための要件は何かということなどについては、
   上司自身によるバイアスが強くかかる可能性があります。
   このようなテーマについては、会社全体としての統一した基準のもと教育して
   いく必要があります。

 □全社員の成長の方向性を示すOFF−JT
  1.軽視されがちなOFF-JT
   OFF−JTはその名前のとおり、日々の業務を離れて行うものです。
   形態としては社内での集合研修、外部機関の主催するセミナーヘの参加などが
   あります。
   OJTと違って目先の業務遂行に直接には結びつかないことや、プログラム作成の
   手間や外部機関へ支払う費用などがネックになり、企業によってはOFF−JTを
   ほとんど行っていないこともあります。
   しかしながら、前述のとおりOJTだけによる教育には限界があります。
   また、OFF−JTは「階層別教育(後述)」などを通じて、「社員にこのような
   ステップを積んで成長して欲しい」という会社全体としての意思を示す場でも
   あります。
   受講する社員にとっても会社が必要とする能力のなかで、自分に不足している
   部分を確認できるというメリットがあります。
   社員全体のレベルを底上げし、さらに会社のあるべき姿に向けて社員の成長を
   促進していくためにも、OFF−JTは軽視すべきではありません。

  2.OFF−JTの分類
   OFF−JTの内容としては、大きく分けて「階層別教育」「職能別教育」「課題別教育」
   があげられます。

   (1) 階層別教育
    新入社員から経営幹部に至るまでのすべての階層の社員に対し、それぞれの
    レベルに合わせて実施する教育が階層別教育です。
    それぞれの階層ごとに必要な能力を身につけさせることがおもな目的です。
    特に昇進したばかりの社員に対して、その役職に応じた研修を行うのが効果的
    です。

   (2) 職能別教育
    同じ業種を担当する者を集めて行う教育を「職能別教育」といいます。
    代表的なものとしては、「技術職教育」「営業職教育」「事務職教育」
    などがあげられます。
    さらに「技術者上級」「技術者中級」などの専門能力に応じて研修を行う
    場合もあります。

   (3)課題別教育
    その時々の企業の戦略やプロジェクトの遂行に必要な要員の養成が目的です。
    たとえば、新規事業に進出する場合に、当該分野の知識を新規事業に関わる
    メンバー全員が学ぶことなどがあげられます。

  3.自社で階層別教育を行う際のプログラム例
   以下にOFF−JTの一例として、入社3年日程度の社員を想定した、中堅社員研修
   のプログラム例を紹介します。

    ※1 ビジネス研修ゲーム
       ある模擬場面を設定し、グループで与えられた課題を解決するプロセス
       を通じて、問題意識を想定させたり、ビジネスに必要な知識、行動
       様式などを身につけさせたりする体験学習です。

    ※2 SWOT分析
       経営戦略を検討するうえでの内部環境・外部環境の要因分析を4つの
       パターンで分類する方法です。
       4つの分類として、強み(Strength)、弱み(Weakness)、
       機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を組み合わせて、
       SWOT分析と呼ばれています。

    ※3 マネジメントスキル
       組織の目標を効果的に達成するために、仕事で必要になる能力を
       指します。
       分類の方法はさまざまですが、問題解決力、コミュニケーション力、
       プレゼンテーション力、交渉力、リスク管理力、目標遂行力などが
       あります。

    ※4 ケーススタディ
       事例研究法のこと。具体的な問題を設定し、その事象を分析し、
       対処法などを研究しながら、問題を疑似体験します。
       解決のプロセスを通じて、課題解決手法や知識を学びます。

 □自己啓発には危機感が必要
  自己啓発はOJTやOFF−JTとは異なり、社員自らの意志で取り組むものです。
  そのため、自己啓発を促進するためのもっとも重要なポイントは、
  社員自身に自分がどんな人材に育ちたいのかを真剣に考えさせることにあります。
  たとえば、社員に3年後のめざすべき姿について考えさせます。
  現在営業マンとして活躍している社員は、「自ら営業部隊をマネジメントしたい」
  という目標をもつかもしれません。

  また、すでに管理者としての地位にある人は、「幹部として経営に関わりたい」
  とさらなる成長の必要性を認識することもあるでしょう。
  このように「会社から勉強しろ」といわれたから仕方なくやるのではなく、
  「自分のめざすべき姿に近づくためには自己啓発は絶対に必要である」という
  危機感を社員自身にもたせることが重要なのです。

  自己啓発を促進するために「資格取得講座受講費用援助」などの金銭的支援を
  行っている会社はたくさんあります。
  もちろんこれらの支援も必要ですが、もっとも重要なのは、
   自己啓発への最大の原動力となる「成長への危機感」をいかにもたせる
   ことができるか
  という点であるといえるでしょう。

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OJTは仕事を教えることではない 

 1.長期的・計画的な視点が必要 

 OJTについてはすべての会社において業務遂行のプロセスを通じて日々実践されているといってよいでしょう。「教え上手」な上司や先輩に恵まれた部下は、それだけ順調に育っていくことが期待できます。 

eラーニング

                   

eラーニン

  ■eラーニングの概要
   コロナウイルスの感染病対策として動画研修が評価され、注目を集めている中、
   「ビズアップ総研」では社会人向け教育サービスの提供を行っている

   1.eラーニングの仕組み 
    教育の現場で「eラーニング」という言葉が頻繁に使われるようになりました。
    eラーニングを一概に定義することは難しいのですが、一般的には電子メディア
    (パソコンなど)とネットワーク(インターネットなど)を利用した教育システム
    とまとめることができます。 
    これまでの教育は、講師と受講者が1カ所に集まり、リアルでやりとりをする
    ものでした。
    これに対してeラーニングでは、受講者はコンピューターをインターネットに
    接続し、そこに配信されてくる教材によって学習するなどします。
    そのため、受講者は好きな時間、好きな場所、好きなペースで学習を進める
    ことができ、この点がeラーニングの1つのメリットとなっています。
    現在、eラーニングは、学校教育、企業の社員教育などさまざまな場面で採用
    されています。 
    企業が社員教育のために導入しているeラーニングの基本的な流れは、
     →企業など教育の主催者が、
     →eラーニング業者からコンテンツを購入(レンタル)し、
     →パソコンを通じて社員に配信して教育を行い、
     →社員は学習した結果を、再び企業(教育の主催者)に送り返す
    のようになります。
    以下では、主に企業が社員教育のために導入しているeラーニングに注目し、
    その動向を紹介していきます。

   2.eラーニングの特長 
    eラーニングの主な特長は
     1.社員は、いつでも教育を受けられること
     2.社員は、どこでも教育を受けられること
     3.個々の社員ごとの個別教育を行えること
    などがあります。 
    例えば、企業が社員の営業力強化のためにeラーニングを導入した場合をイメージ
    してみましょう。
    企業は社員に対して「営業の基本マナーの習得」「自社サービスの熟知」
    「顧客別の提案書の作成」「商談の擬似体験」などのステップを設定し、
    それぞれに対応する講座を社員のパソコンに配信します。 
    社員は、与えられた課題に取り組み、その結果を再び企業に送り返します。
    企業は、社員から返ってきたデータを添削し、及第点であれば次の教育ステップに
    進めますが、それに達しないレベルならば問題点を指摘して、再度同じ課題を
    与えます。
    ここでのポイントは、すべての社員を同じスケジュールで教育するのではなく、
     社員個々のレベルに合わせて教育を進められることです。
    このように、eラーニングは個別教育を基本とするため、各社員の能力に合わせて
    教育を進めることができるのです。

   3.eラーニング普及の背景 
    eラーニングは米国で誕生した教育システムです。
    米国では、教育・研修を手がける多くの企業が新しい教育システムとして
    eラーニングを提供できる体制を整えました。
    米国はインターネット先進国で、eラーニングが普及する環境が整っていた
    こともあり、一般企業だけでなく学校などで導入されているケースもあります。 
    日本では米国ほどeラーニングは普及していません。
    しかし、ここ数年のインターネットの急速な普及などを背景に大きな注目を集めて
    います。
    eラーニングの導入形態はさまざまですが、現在は
     →企業内部に限定し、社員教育をするために導入
     →企業グループに範囲を広げ、販売代理店を支援するために導入
     →eラーニング業者が、不特定多数を対象に資格講座などを提供
    といった仕組みで、大企業を中心に社員教育や販売代理店のサポートにeラーニング
    を導入するケースが増えてきています。 
    また、eラーニング市場には
     →ネットワークなどインフラを提供する業者
     →教育ソフトを作成する業者
     →eラーニングの導入で芽生えたナレッジマネジメントを支援する業者
    など関連業者が多いのも特徴です。

   4.eラーニングの市場規模 
    eラーニングという考え方の範囲は非常に広範であるため、eラーニングの
    市場規模に対する統一的なデータはありません。    
    2018年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比9.3%増の2,185億円を
    見込む。
    内訳は、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が同4.8%増
    の650億円、個人向けのBtoC市場規模が同11.2%増の1,535億円であり、
    BtoB、BtoC両市場ともに市場拡大を継続させる見込みである。
    (出典:矢野経済研究所)
    内訳をみると、なかでも企業内教育の伸び率が最も高い。
    現在、eラーニングを導入している企業の多くは大企業ですが、今後、中堅・
    中小企業でも普及していけば、企業内教育分野のeラーニング市場はさらに大きく
    成長する可能性があります。

  □eラーニングの導入メリット

   1.eラーニングが注目される背景 
    eラーニングが注目されるようになった背景には、
     (1)インターネットの急速な普及
     (2)従来型の教育システムの非効率性の指摘
    があります。 
    eラーニングでは、教育を行う企業のパソコンと社員のパソコンとがインター
    ネットなどによりネットワークされた状態で教育を行います。
    従来型の教育システムの非効率性が強く指摘されていることもあります。
    ここで示す従来型の教育システムとは、
     →教育を受ける社員は、同じ日時に同じ場所に集合する
     →参加する社員人数分の教材を用意する
     →各社員の能力レベルに応じた教育スケジュールが組みにくい
    といったものです。
    このような社員教育のすべてが悪いわけではなく、
     →同じ場所・日時に集まることによって芽生える「協調性」
     →同期と同じ会場で受けることよって芽生える「競争意識」
    などのメリットがあります。 
    しかし、効率性の面からいえばデメリットも少なくありません。
    例えば、あらかじめ定められた場所、日時に集まる従来型の社員教育では、
    社員は自分の業務スケジュールを変更しなければなりません。
    なかには、遠方からやって来る社員もいるため、移動コストも大きくなります。
    また、数回にわたって社員教育を行う場合は、会場利用コスト、講師依頼コスト
    が回数に比例して高くなっていきます。

   2.eラーニングの主なメリット 
    現在、eラーニングが大きな注目を集めているのは従来型の社員教育で指摘
    されている非効率な面を少なからず解消できるからです。 
    eラーニングの特徴と導入メリットを、従来型の社員教育と比較する形で
    まとめたのが下表です。
     【eラーニングの特徴と導入メリット】

   3.注目される副次的な効果 
    eラーニングを導入することで、従来型の社員教育で問題となっていた
    「場所的、時間的な制約」「コスト的な制約」を解消することができます。
    こうした効率性の高さがeラーニングの主なメリットです。
    このほかにも、「ビジネスチャンス喪失の回避」などのメリットが挙げられます。
    こうしたメリットは
     時間的な制約がなくなる ⇒ 「ビジネスチャンス喪失の回避」
    といった副次的なメリットですが、その効果は思いのほか大きいといえます。

    ◎ビジネスチャンス喪失の回避 
     同じ時間、同じ場所に集まる従来型の社員教育では、社員は業務
     スケジュールと調整して参加します。
     その中には、社員教育に参加するために得意先に訪問する日程を
     ずらしたり、別の社員に依頼するかもしれません。 
     また、遠方の会場に移動する時間を営業に充てた場合の効果を
     考えると、従来型の社員教育では企業のビジネスチャンスを少
     なからず喪失しているのかもしれません。

    ◎社員教育のスピードアップ 
     従来型の社員研修では、基本的にすべての社員が同じペース、
     同じプログラムで教育を受けます。
     しかし、社員の能力レベルは均一ではなく、得意分野も異なり
     ます。 
     個別教育を基本とするeラーニングでは、能力の高い社員はどん
     どん次のステップに進んで成長していきます。
     これにより、全体的な社員教育の時間を短縮することができます。

    ◎即効性の高い社員教育 
     新商品の特徴やセールポイントなどに関する研修・教育は通常、
     実際に新商品が販売される数週間から数カ月前に行われます。
     しかし、これでは研修・教育から実際の営業・説明までに間隔が
     空くため、社員はせっかく学んだことを忘れてしまいます。 
     eラーニングでは、基本的にいつでも研修・教育を受けられる
     ため、営業・説明の数日前に研修・教育を受け、学習内容の記憶
     が鮮明な状態で営業に臨むことができます。

    ◎隠れた逸材の発見 
     従来型の社員教育の場合、多くの社員が同じ場所で教育を受け
     ます。
     その場で、優れたアイディアを思いつく社員がいたとしても、
     それを皆の前で発表することを恥ずかしがる場合があります。 
     eラーニングは個別の社員教育であり、自宅などで受講する
     場合もあるため、社員は周りに臆することなく自分のアイディア
     を発表することができます。
     社員から寄せられたアイディアの中には、今までとはまったく
     違った視点に立つ、斬新なものがあるかもしれません。

    ナレッジマネジメントへの発展 
     eラーニングでは、社員の教育履歴は電子データで保管されます。   
     そのため、保管スペースが必要ないばかりか、「どの社員が、
     どんな報告書を作成したのか」を分かりやすく管理できます。
     また、社員から寄せられた優れたアイディアはネットワークを
     通じて全社的に共有できるため、ナレッジマネジメントの導入
     にも寄与します。 
     eラーニングをナレッジマネジメントに結び付けることは、e
     ラーニング導入の最終目標ともいえるものです。
     実際、eラーニングを導入している多くの企業がナレッジマネジ
     メントへの発展を目指し、社員の知識の収集・整理に努めています。

   4.eラーニングの問題点 
    企業がeラーニングによる社員教育を行うことで多くのメリットを得ることが
    できます。
    しかし一方では、eラーニングを導入しても予定通りの効果が得られなかった
    というケースも少なくありません。
    eラーニングを導入する際に問題となるのは次のような点です。

    ◎社員の自己管理 
     多くの社員が一堂に会する従来型の社員教育では、参加する
     社員は周囲の視線も考えて教育に集中します。
     ところが、eラーニングは基本的に個別教育で、教育を受ける
     時間帯も同一ではありません。 
     社員は自宅でeラーニングを受けるかもしれません。
     社員はリラックスして教育を受けられるのですが、半面、何の
     プレッシャーもないため、集中力を保てないことがあります。
     「集中力維持の問題」は多くのeラーニングの経験者が指摘する
     問題です。

    ◎高速の通信環境 
     eラーニングには最新のネットワーク技術が欠かせません。
     データ配信にイライラすることなく、スムーズにデータのやり
     取りをするためには高速の通信環境を整備することが重要となる
     からです。 
     現在、「高速・常時接続」を基本とするブロードバンドは確実に
     普及してきています。
     eラーニングを導入する企業は、低コストでより快適な通信イン
     フラを整えることができるかが課題となります。

    ◎パソコン操作の知識 通信環境の問題がクリアされたとしても、
     社員がパソコンの操作に不慣れな場合、eラーニングの効果は
     損なわれてしまいます。 
     社員が基礎的なパソコン操作を知らなければ、パソコンの操作は
     苦痛であり、口頭で伝える方がはるかに早くなってしまうことも
     あります。

  □企業がeラーニングを導入する際の留意点

   1.eラーニングを導入する際の留意点 
    企業がeラーニングを導入するうえでの留意点は次の通りです。

    ◎どのような方法で導入するか 
     eラーニング市場には
      →eラーニングを実行するためのシステム構築を担当する業者
      →教育ソフトを作成する業者
      →eラーニングの副次的なメリットであるナレッジマネジメント
       の導入を支援する業者
     が存在します。
     企業がeラーニングを導入する際は、システム構築を担当する業者に
     委託するか、ASP(Application Service Provider、アプリケーシ
     ョンをインターネット経由で貸し出す事業者とその事業の総称)を
     利用することになります。
     中小企業の場合は、ASPを利用した方が低コストでeラーニングを導入
     することができます。

    ◎社員教育の理念と合致しているか 現在、eラーニングによる教育
     ソフトはさまざまなものが登場していますが、基本的にはエクセルや
     パワーポイントなどソフトの操作を習熟するためのものが中心です。
     そのため、現在eラーニングを導入している多くの企業では、eラ
     ーニング導入の目的を
      →社員のITスキルの向上
      →ナレッジマネジメントの導入
     としています。
     eラーニングを導入する目的がこれに合致していれば問題ありませんが、
     そうでない場合は、教育ソフトを作成する業者と話し合い、自社の社員
     教育理念に見合ったソフトを作成しなければなりません。

   2.中小企業がeラーニングから学ぶこと
    eラーニングを導入しているのは大企業が中心でしたが、今では中小企業
    でも浸透してきています。
    その理由として、「最近では、eラーニングの普及にともなって導入コスト
    やランニングコストは低くなってきています。
    中堅・中小企業におけるeラーニングの普及を遅らせているのは「OJT
    中心で現場主義の社員教育」でしょう。
    確かに、一人の社員が多くの業務を第一線で担当することの多い中小企業
    ではOJTが非常に適しているといえます。
    ただし、eラーニングから学べることはたくさんあります。
    eラーニングは、これまでの集合型研修の問題点を露呈させ、
     →社員教育の効率化の実現
     →個々の社員のレベルに合わせた個別教育体制の確立
    を提案しているからです。
    こうした考え方は、中小企業におけるOJTにも少なからず応用できるはず
    です。
    OJTには、「複数の先輩社員が同じことを繰り返し教育して時間を無駄に
    する」「自分ができたのだから……と受け手のレベルを考えずに教育する」
    などの問題が起こりがちです。
    eラーニングは、現在の教育体制を見直す1つのきっかけとなるでしょう。
 


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伸び悩む社員への対処

              

伸び悩む社員への対処


  ■「伸び悩み」は誰もが経験する

   「最近、彼はどうも伸び悩んでいるようだ」、社長の目から見てこのように感じる社員は
   いないでしょうか。

   「もともと能力もやる気もある社員が、ある段階で成長がとまってしまう」、これは
   誰にでも起こりうることです。

   問題はその程度です。

   社長は社員育成の最高責任者としての責務も負っています。

   事態が深刻化する前に、きちんとした対処をしなければなりません。

   ここでは伸び悩んでいる社員への対処法について具体的に紹介します。

   1.「右肩上がり」に成長し続ける社員はいない

    一般に社員は特別な指導をしなくても、一定程度は成長していきます。

    新しい仕事を覚え、様々な経験を積む中で、自信をつけて成果も出せるようになって
    いきます。

    このプロセスが特別に早い若手社員は「成長著しい」、「頭角を現している」という
    評判によって、社内でも注目される存在になっていきます。

    しかしこの若手社員がこのまま経営幹部にまで順風満帆に上りつめるかというと、
    そうはなりません。

    どこかの段階で必ず壁にぶち当たり、一時的に伸び悩みの時期を迎えるのが普通です。

    ではなぜそのようなことが起こるかといえば、ビジネスパーソンとしての成長には
    何段階かのステージがあり、そのステージの乗り換え(ステップアップ)には大変な
    苦労がつきものだからです。

    冒頭にあげた「最近伸び悩んでいる」と思える社員の多くはステップアップがうまく
    いっていないのです。

    たとえばこれまでは上司からの指示を完璧にこなし、他の若手社員よりも短期間に
    難易度の高い業務がこなせるようになったA君がいたとします。

    A君は「成長著しい」期待のホープです。

    周囲はA君のさらなる成長を期待して、一定の「判断」を求めるような業務を任せられる
    ステージに引き上げようとします。

    ここでステップアップがうまくいかないとA君は「伸び悩んでいる」と見られてしまう
    のです。

    同様に、これまで5人の部下を上手く使いこなしていた係長のBさんを20人の部下を
    任せる課長クラスのステージに引き上げようとした場合などにも、ステップアップの
    失敗は起こり得ます。

    この場合は「Bさんは所詮、課長の器ではない」とった烙印を押されることさえある
    のです。

    前述のA君は新入社員としての修行(期間A)を積んだ後、順調に成長(期間B)し、
    指示さえうければ難しい仕事もこなせるステージ2に短期間でステップアップしました。

    そこで周囲はさらにステージ3へのステップを期待したところで、長い伸び悩み期間
    (期間C)に入ってしまったのです。

    仮にA君がこの伸び悩み期間を何とか乗り切って再び成長してステージ3に達すれば、
    今度は短期間で伸び悩み(期間D)を乗り越えられるかもしれません。

    このように全ての社員は決して右肩あがりに直線的に成長するのではなく、期間の
    長短の差はあれ、一定の伸び悩み期間を乗り越えながら段階的に成長していく
    のです。

   2「伸び悩み」の責任は誰にあるのか

    弊社のコンサルティング先で、若手社員に接する時は「自分の成長は自分の責任
    である」と話しています。

    たとえば3年後に自分の役職や給与が全く上がっていなくても、それは育ててく
    れなかった会社が悪いのではなく、自ら育とうとしなかった自分が悪いということを
    認識させます。

    一方で管理者に話をするときは、「部下を成長させることは上司の最重要責任のひとつ
    である」ということを強調します。

    一見、矛盾する理屈ですが、社員が成長していくためには、まず部下本人が自分の
    成長に真剣に向き合い、それを上司が本気になって指導していくという目的・目標の
    共有化が欠かせません。

    両者が「成長したい」、「成長させたい」という強い当事者意識をもって取り組まない
    限り、社員の成長スピードはいっこうにあがらないのです。

    では、成長著しかった部下が、長い伸び悩みの時期を過ごしている場合、その主な
    責任は「上司」、「部下」のどちらにあるのでしょうか。

    当然ながら責任は伸び悩みを放置している「上司」にあります。

    後述するように伸び悩みの原因はいくつか考えられますが、部下はその原因に
    気づいていないか、あるいは気づいていたとしてもどのように対処していいかわ
    からないのです。

    これまでは順調に成長してきた訳ですから、その部下には能力もやる気もあり
    ます。

    そのような部下の力を持ってしても解決できない「伸び悩み」を救ってあげられるのは
    上司しかいないのです。

    なお、このことは中間管理職とその部下の間の関係のみの問題ではありません。

    共に会社の屋台骨を背負って欲しいと思って登用した経営幹部が伸び悩んでいる場合、
    それを解決してあげるのは社長の責任です。

    そもそも既に高いステージに達している部下をもう一段成長させられるのは、さらに
    高いステージから経営幹部達を見守っている社長以外には決してできないこと 
    なのです。

  □「伸び悩み」の原因別対処法

   ここでは「伸び悩み」が起こる原因をいくつかに分類します。

   伸び悩んでいる部下がどのパターンに該当するのか、考えてみましょう。

   1.自分へのさらなる成長期待に気づいていない

    本人は自分が周囲から一目置かれていることに気づいていますが、その実力を活かして
    さらなるステージに上がって欲しいという周囲の期待に気づいていない状態です。

    「自分は与えられた仕事を十分にこなしているし、それなりに能力も高まっている、
    今のままのペースのままで十分じゃないか」という認識しかありません。

    コンスタントに2割8分の打率を維持している打者が、現状に満足して3割打者になる
    ことを放棄しているようなものです。

    上司からは「君には期待しているよ」という漠然とした言葉はもらっているものの、
    具体的な目標などが明示されていないため「まあいいか」と適当に聞き流して
    いることもあります。

    つまり自分への期待度の高さを十分に理解していないのです。

    その結果、周囲からは「あいつは高いポテンシャルを持っているにもかかわらず、
    伸び悩んでいるな」という目でみられてしまいます。

    ◎対処法

     ・本人に周囲から自分が「伸び悩んでいる」と思われていることを分からせる

     ・本人の現在のステージ(役割や期待成果)と、目指して欲しい次のステージ
      を明確に示して、ステージアップのためには何をやるべきかを本人に考えさせる

     ・ステージを上げていくことが、長期的なキャリア形成向上につながることを
      示し、ステージアップヘの十分な動機付けを与える

   2.成長期待は理解しているが「本気」になっていない

    周囲からのステージアップ期待には気づいており、そのためには「こんなことが必要
    なんだろうな」とは何となくイメージもできています。

    しかし現在の抱えている業務の忙しさや、新しいことにチャレンジする面倒さを理由に
    ステージアップに向けて「本気」になっていない状態です。

    また自分は「出世には興味ないから」などとステージアップを表面上は拒否している
    ケースもあります。

    「自分は人並み以上の成果は出すが、会社にべったりじゃないよ」と公言して「斜に
    構える」ことをカッコイイと勘違いしているのです。

    場合によっては上司の指示を平然と無視するなどの行動をとります。

    なまじ優秀であるために、会社としても「辞められたら困る」という気遣いから、強く
    指導できないこともあります。

    しかしこのような社員を放置しておくことは、当該社員が伸び悩むだけではなく、
    周囲の「成長したいと前向きに努力している社員」に対しても、悪影響を与えることが
    確実です。
 
    ◎対処法

     ・会社として、現時点でもその社員を十分に評価していること、そして新たな
      ステージにアップして欲しいという期待を伝える

     ・会社への不平や不満を持っている場合には、まずは本人の話を十分に聞く。
      その上で、本人自身に改善してもらう点、会社として改善していく点について
      合意を得る

     ・当該社員がステップアップに本気になっていないことが、その他の前向きな
      社員に対して悪影響を与えていることを理解させる

   3.真摯に努力はしているがうまくいかない

    周囲からのステージアップへの期待を理解し、またそのために本人も真撃に努力して
    いるのに、なかなか成果が出ずに伸び悩んでいる状態です。

    本人も自分が伸び悩んでいることを認識しており、メンタル面で追いつめられている
    こともあります。

    このような社員に共通してみられる特徴は、ステージアップによって自分の役割が
    「変わる」のではなく、「さらに付加される」と考えてしまっている点です。

    たとえばステージ2の社員がステージ3に上がる際には、「自分はステージ2の役割に
    加えてステージ3の役割もこなさなければならない」という意識を持っています。

    そのため普通であればステージ2の社員がやるべきレベルの仕事についても、
    いつまでも自分がやってしまう、その結果、自分が本来的に求められているステージ3
    の役割まで手が回らないのです。

    言うまでもなく、ステージアップとは役割の「追加」ではなく「変化(向上)」です。

    もしステージアップが役割追加の積み重ねであったとしたら、最も高いステージの
    仕事をこなしている社長がステージ1の「コピー取り」までやらなければならないことに
    なってしまいます。

    ◎対処法

     ・現在のステージの役割と新たなステージの役割について十分に説明する。
      役割が違えば当然ながら担当すべき業務も変わることも分からせる

     ・新たなステージでの役割に集中するために、現ステージで自分自身が
      行っていた業務の中で、部下に任せてしまう(自分はチェックだけする)
      業務を明確にする

     ・ステージアップのために本人が伸ばすべき能力について、上司はきめ細か
      く指導する。
      能力向上の進捗管理も必ず行う

   4.成長が限界点に達したと感じられる

    ステージアップを期待され、本人も長年そのための努力を重ねてきたが、本人自身も
    周囲からの評価も「あの人はこのあたりのステージが限界だろう」という認識が
    固まってきた状態です。

    「本当に限界に達したのか」、この見極めは非常に大切です。

    前述のように伸び悩みの期間はかなり長期に渡ることがあります。

    特に「ステージ4からステージ5」といった高い水準でのステージアップには数年から
    場合によっては5年以上かかることもあります。

    たとえば、船が沈没して海中を何十メートルも必死に泳ぎ上がってきたとしても、水面
    まであと1メートルのところで「もうダメだ」と見切ってしまえば、それまでの苦労は
    報われません。
 
    ◎対処法

     ・自社の事業内容・必要とされている人材像に適した評価項目(尺度)を
      複数設定する

     ・それぞれの評価項目を丁寧に分析して、僅かでも向上している項目に
      ついては、その要因分析を行って、他の評価項目の向上に波及させる

     ・既に高い評価項目をさらに伸ばすためには、どのような努力が必要かに
      ついて上級の役職者(できれば社長)が直接に指導する

   5.プライべ−ト面で深刻な悩みを抱えている

    プライべ−ト面で深刻な問題を抱えているため、伸び悩んでいるケースもあります。

    特に女性であれば出産や育児の悩み、また高齢の親がいる場合には介護の問題を抱え、
    ワークライフバランス(「仕事」と「仕事以外の生活」の調和)が崩れていることも
    あります。

    また社員自身が長期的な体調不良に陥っている可能性もあるでしょう。

    このような場合には仕事に集中すること自体が困難です。

    放置しておけば心身共に取り返しがつかない状況を招いてしまう恐れもあります。

    長期間の伸び悩みは、社員が深刻な問題を抱えているシグナルかもしれないと考え
    なければなりません。

    社長であれば、誰でも社員の人生そのものを幸せにしてあげたいと考えているはず
    です。

    会社としては社員のプライベートな面も含めてサポートする必要があるのです。

    ◎対処法

     ・自社ではワークライフバランスの充実も含め、社員が公私ともに幸せに
      なって欲しいという願いを持っていることを社長自らが明確に示す

     ・上司は伸び悩んでいる部下への業務指導や個人面談において、部下の
      プライベート面にも関心を持つ。(興味本位ではなく、部下の悩みを本気
      で解決してあげたいという誠意を示す)

     ・プライベート面の相談窓口設置、メンタルヘルスサポート、短時間勤務
      制度創設など、会社としての支援の仕組みを充実する


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研修・教育訓練の内製化への取り組み

           

中小企業の研修・教育訓練の内製化への取り組み


  ■教育体制の現状

   近年、企業の人材育成に対する高まりとともに社内研修におけるコンサルティン
   グやセミナーの依頼も多く、中でも「教育の仕組みづくり」を希望する声が増えて
   います。

   しかしやってはみたが、「社員が思うように育たない」「研修成果が現れない」と嘆
   くトップが多く見られる。

   1.なぜ、教育効果が上がらないのか?

    OJTとは、日常の仕事を通して、実務に必要な知識・技能を身に付けさせようと
    する職場内訓練法で、能力開発の重要な柱の一つです。

    この言葉を知らない経営者や管理職はいないと言っていいほど、OJTの考え方
    は一般的なものになっています。

    しかし、本当に効果的な方法で、きちんとしたOJTをやっているかと言うと、でき
    ているという人は多くありません。

    OJTがうまくいかない原因は大きく2つあります。

    (1)OJTで指導をする側の管理職や中堅以上の社員が自分の業務で忙しすぎ
      て、部下や後輩の指導ができない

    (2)「自分でやったほうが早い」、「心配で見ていられない」と言って仕事を任せ
      ようとしない。

      これでは、OJT以前の問題です。

      また、積極的にOJTに取り組んでいても、やり方がまずくてなかなか効果が
      あがらないといった場合も少なくありません。

      もし、管理職や中堅社員が忙しすぎるなら、業務量の調整や時間管理の改
      善をしてOJTのための時間をつくる必要があります。

      そして、仕事を「任せられない」と思っているのであれば、考え方を根本的に
      変えなければなりません。

      多少失敗はしても、任せなければ人は育たないということを肝に銘じておい
      てください。

    この2点について以下で詳しく解説してみます。

    (1)任せっぱなしの教育

      @費用対効果を疑問視

       各会社に人材育成の取り組み方法を聞くと「OJTを中心に行っているが
       外部の専門家(集合研修やセミナー)への依頼は、お金ばかりかかって
       成果が出ないのでやっていない」との返答である。

       あらゆる社内教育の目的は、日常業務における教育成果の発揮です。

       その観点から、OJTは最も即効性の高い教育技法と言えるでしょう。

       「Off‐JTによる研修やセミナーは、金がかかり成果が出ない」という
       声は、研修・セミナーの研修内容がその企業固有の業務に直接結び
       付いていないため、目に見える成果がすぐに現れないことに起因して
       いるのです。

      AOJTに偏った教育

       OJTは、最も実践的な教育方法として多くの一般企業でも実施されています。
       直接的な効果を得やすい技法であるため、偏重するのは至極当然です。

       だがOJTには大きな課題がある。

       OJTの基本体制がきちんと整っていないと、属人的な指導や意欲的でない
       指導者による教育効果減や、最悪のケースだと、新人に対する指導者のイ
       ジメなどによるモチベーション低下などを引き起こす可能性もあります。

       したがって、指導者だけに任せるのではなく、店内全体としてOJTに取り組
       む姿勢・仕組み作りが大事です。

       OJTとは、日常の仕事を通して、実務に必要な知識・技能を身に付けさせ
       ようとする職場内訓練法で、能力開発の重要な柱の一つです。

       OJTに欠かせないことの一つに、実践的なマニュアルの作成があります 
       が、この作成だけで安心して、あとは現場に一任するようでは大きな教育
       効果は望めません。

       指導者側に意欲があり、指導するだけの能力を備えていることが重要です。

       指導者育成を行う場合、外部講師の研修を活用するのが有効です。

       また、指導がうまくいってるかどうかを、リーダー(指導者)の仕事の一つと
       して評価の対象にし、モチベーションや責任感の向上を図ることも必要です。

      B成果にバラつきが生じる

       それは、OJTの実施者(上司・管理者)の力量によって、成果にバラつきが
       生じる点である。

       例えば、商品を売ることでは右に出る者がいないベテラン営業部長が、そ
       の商談技術・ノウハウを部下にうまく伝授できないため、部長だけが売上げ
       目標を達成し、チームは目標未達… というケースをよく目にする。

       この営業部長もOJTをしていないわけではないが、「指導ノウハウ」の未熟
       さから部下を育てきれていない。

       要するに、部下を育てる能力・ノウハウが個人任せになっているのです。

    (2)リーダー(管理者)育成・指導がうまくいかない

       ・社長が管理者に「指導したこと」が行動にどのように活かせるかが
        明確でない。

       ・管理者に対して、どれだけ具体的な指導ができるか考えていない。

       ・社長の管理者指導のフォロー(指導後の実施過程)不足

       ・社長が管理者に「考えさせる」ことをていない

      社長自身を含め管理者(経営幹部)のマネジメント能力を点検し、欠けている
      部分を強化する必要があります。

      @管理者(リーダー)の役割

        ・会社および自部門が抱えている問題を正しく理解する

        ・トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、
         その実行計画を立て、業績目標を達成

        ・部門目標の達成に向けて部下を動機づけ(新人・若手の人材育成)、
         自ら先頭に立って業務を遂行する

        ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革を推進

        ・しっかりトップを補佐し、リーダーシップを発揮し、社員の模範となる
         人物になる

       以上の行動をすべて行う必要があります。

       リーダーの存在は経営者の理念や考え、気持ちを十分理解し、その意向
       に沿った方向に組織を導くことができ、また経営者のいないときには、経営
       者の代わりとして業務を遂行できることです。

       人材教育のなかで管理者教育に注力する企業が増えている背景には、 
       リーダーのスキルアップ(リーダーシップ)が企業自体の活力の増大に大き
       く結びつき、管理者次第で会社は成長もすれば衰退もするのです。

      Aトップが幹部に期待すること

        ・業績目標を達成してほしい

        ・しっかりトップを補佐してほしい

        ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい

        ・若手社員の育成をしてほしい

        ・社員の手本となる人物になってほしい

       それにもかかわらず、部下の指導を幹部の力量に任せているのが現状です。
       このことが、OJT中心の人材育成の最大の課題ではないでしょうか。

    (3)人材育成は計画の下に実践

      @課題項目

       育成で何を指導するのか、具体的な課題テーマを記入します。

       手順としては、まず部下の現状の能力を把握した上で具体的なテーマを
       決定します。

      A現状の能力

       部下の現在の能力がどんなレベルなのかを記入します。

       ここは、目標となる能力レベルと対応するように書くとよいでしょう。

       作成に慣れるまでは、まず目標となる能力レベルを記入してから、
       それに対応する形で書くと書きやすいかもしれません。

       例えば、目標となる能力レベルを「○○規格をクリアするために作成が
       義務づけられている書類をすべて作成し、適性に管理ができる」とした
       場合、現在の能力レベルは「規格をクリアするために必要な書類のうち、
       ××と△△の作成ができていない。

       また、ファイリングが苦手なようで、過去に作成した書類を探すのに時間
       がかかることが多い」といった具合です。

      B目標となる能力レベル

       目標となる能力レベルを記入します。  

       目標が多すぎても、未達のものが増えてしまうことになりかねないので、
       部下の能力をきちっと把握したうえで、多くても3〜4くらいの項目に絞る
       とよいでしょう。

       Aの現状能力とともに、できるだけ具体的な項目をあげて記入することが
       ポイントです。

      C指導方法

       目標をクリアするために、どういう指導をするのか、何をさせるべきなのか
       を具体的に記入します。

      Dスケジュール

       Cで記入した指導方法をいつからいつまで実行するのか、その期間を
        指導方法の真横に棒線で記入します。

       ここでは、期間を1年間として1〜12月まで1ヶ月ずつに区切ってあり
       ますが、ケースに応じて例えば6ヶ月とか3ヶ月とか、自由に期間を設定
       してください。

       ちなみに、一般的には期間は6ヶ月間といわれています。

       教育はたんに教えることではなく、自己啓発意欲を高め、経験を積むこと
       ができるように仕事を任せ、任せた仕事をうまく遂行できるように教え、
       学習の場や機会を与えることであると理解すべきです。

       部下を指導し育てるのは、幹部の果たすべき役割の一つです。

       しかし、幹部自身も日々の実務に追われ、部下指導・育成がおろそかに
       なっている。

       何か問題が起きたときだけ部下を厳しく指導し、それで「自分は部下を育て
       ている」と錯覚している。

       人を育てるには時間がかかることから、どのような理念の下で、どのように
       育成していくのかを明確にし、計画によって教育することが重要です。

       中小企業にとって教育体系や中長期の教育計画をつくることは難しいで
       しょう。

       社長の目が行き届く規模であれば、その必要性もないのだが。

       「自社にはどのような社員像を期待するのか」「社員の課題抱える課題は
       何か」「育成の重点テーマは何か」を明確にし、それを踏まえて「今年はだ
       れに、何を教育するか」という単年度の計画は必要でしょう。

       特に新卒の新入社員に対して「だれが、何を、いつまでに、どのように指導
       するのか」という計画も大切です。

       多くの会社が育成計画がないまま新入社員を職場に放り込み、その育成
       を現場任せ、上司任せにしている。

       そして、新入社員は指導・育成の計画もノウハウも自信もない上司の下で
       「ほったらかし状態」になり、1年も経たずに辞めていく事態を招いている。

       これらの問題を早急に解決しなければ社内教育制度の内製化は不可能です。

       社内の教育体制は今問題を抱えています。

       それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

       その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   2.育成マニュアル

    OJTに欠かせないことの一つに、実践的なマニュアルの作成がありますが、こ 
    の作成だけで安心して、あとは現場に一任するようでは大きな教育効果は望め
    ません。

    指導者側に意欲があり、指導するだけの能力を備えていることが重要です。

    また、指導がうまくいってるかどうかを、指導者の仕事の一つとして評価の対象
    にし、モチベーションや責任感の向上を図ることも必要です。

    従業員を育てていく際には明白なカリキュラムが不可欠だが、それが抽象的な
    表現や観念論的な単位では教育効果測定ができません。

    本人もやりがいがなく、自己育成について自発的なプランが作れないし、報酬と
    も無関係となってしまいます。 

    他社ではやっていない最もすぐれた方法をつくり出すことで、競争の武器ができ
    上がる。

    これこそ業務における競合他社との差別化である。

    そのためには、できる人のやり方を、表現方法を知っている人が表現し、休系づ 
    けることです。

    そして、定期、必要に応じて見直しをしなくてはなりません。

    マニュアルは、事務部門、現場部門などすべての部門に欠かせないが、一挙に 
    はできないから、いちばん必要頻度の高い、そして会社としてマイナスの多い部
    分から確定していきます。

    「育成・教育の仕組み」づくりはマニュアル体系を基に、評価基準、教育カリキュ
    ラム、報酬算定が三位一体として連動していることが必要となります。

    人材育成に関しても場当たり的な対応ではなく、自社の求める人材像を明確に
    し、中長期の計画に沿った実施が大切です。


  ■教育の内製化

   社内教育の内製化を推進するうえで欠かせないのが、仕事の定型(標準)化である。

   限られた人材の中で内製化を進めるには、労働生産性の向上と効率化が必須。

   「労働生産性の国際比較」でも米国を100としたときの日本のサービス業は 
   49.9%、一方、製造業の生産性は米国の69.7%と半分の水準で推移している。

   このことからも、中小企業が教育の内製化には、まず今行っている仕事の定型化
   が欠かせない。

   仕事の75%は標準(定型)化できる。

   今の仕事のやり方のままでは、収益に直結した仕事(付加価値業務)は25%の
   ままである。

   75%のルーチンワークを定型(標準)化することで、付加価値業務への時間が大
   幅に増えのは確かです。

   仕事のやらされ感や、マンネリ感は日々与えられた仕事をたんにこなすだけのム
   ダな時間になってしまうのです。

   大企業のように人材に余裕があれば別だが、中小企業が教育の内製化を始める
   には多くの課題があります。

    ・講師(教育担当者)になれる人材が不足あるいはいない

    ・業務多忙で社内講師を引き受けてもらえない 

    ・内製化のノウハウが不足している

    ・マンパワー不足で手が回らない

    ・人材育成を行う時間がない 

   教育の内製化を始めても途中でとん挫してしまうのはどうしてでしょう。

   制度自体が大企業と同じ内容であることが挙げられます。

   中小企業の教育内容は大企業とは違うことを理解する必要があります。

    ・いきなりレベルの高い課題から始める

    ・教育制度を階層別に設けていない

    ・内容が成果につながっていない

    ・教育のためのマニュアルがない

    ・いきなり個性を無視した体育会的合宿研修

    ・意味や意義に触れないマニュアルの押しつけ

    ・OJTと称して何も教えずに仕事をさせるやり方

  □社内教育制度の考え方

   中小企業の多くが定期の研修はあまり行われていないのが現状です。

   しかし、人材に限りがあるからこそ「人財」が競争力に直結していると言っても過
   言ではないことから、OJTだけに頼らない教育体制が望ましいと言えます。

   大切なことは自社(店)の人材ビジョンに向けて必要なニーズと従業員のニーズの
   両者にあったものを活用することです。

   そして、中途採用者への教育においては職務経歴書の活用をおすすめします。

   教育訓練とは、「役職・勤続年数・職種などに応じて、企業が社員に期待する能力
   レベルを定め、社員がそれをクリアできるように設計した一連の教育訓練」のことです。

   教育訓練による社員の能力向上と戦力化は企業の重要な経営課題です。

   グローバル対応、少子高齢化、働き方改革の推進など、経営を取り巻く環境が目
   まぐるしく変化する状況下、企業が新たな成長戦略を描いて生き残っていくには、
   人材の強化が必要不可欠です。

   特に人材不足が深刻な中小企業は、人材育成に力を注ぎ、全体の能力底上げと
   新入社員の早期戦力化を図る必要があります。

   研修は将来に向けた投資であり「研修の内製化」はコスト削減だけが、目的ではない。

  □中小企業が実施している研修・人材教育

   中小企業がどのような人材育成を行っているのか。
   集合研修だけでなく、社員が個人単位で行うことも多く、多様な教育手法が取り入
   れられています。

   また、人材開発の目標と直面している問題は表の通りです。

   リーダーや管理職などの現場のマネジメントを担う人材の育成を目標としているも 
   のの、育成がうまくいっておらず問題を抱えていることがうかがえます。

   最近は、働き方の多様化や職場のコミュニケーション不足などから、世代間の就
   業意識のギャップが顕著になっているといわれます。

   こうした中、特に管理職に対して、異なる意見を持つ人材をうまく取りまとめるマネ
   ジメント力やコミュニケーションカを期待する企業が増えています。

  □企業規模による人材育成の違いと中小企業の課題

   1.大企業と中小企業の教育訓練の違い

    人材育成の基本的な考え方やこれに期待する効果など基本的には、大企業も
    中小企業も大きく変わりません。

    人材育成の手法にはOJT(職場内訓練)やOff JT(職場外訓練)が確立されて
    おり、大企業も中小企業もこれらを組み合わせて人材育成を進めています。

    ただし、大企業と中小企業では、職務分掌の体制、人材育成に投入できる人
    材・時間・コストなどが異なるため、人材育成の内容に違いが生じています。

    教育訓練(人材育成)は、社員が入社してから退職するまでの間、計画的に実
    施されます。

    とはいえ、中小企業の職務分掌は大企業に比べてシンプルであることに加え
    て、人材育成に投入できる人材・時間・コストなども限られています。

    そのため、中小企業の中には体系的な人材育成を実施していなかったり、一通
    りの新人教育を行った後は、OJTを中心とした人材開発が進められたりすること
    が少なくありません。

    また、複数の人材育成のコースを整備しているケースは少なく、役職別・職種別
    に求められる能力については、必要に応じて外部教育機関の研修などを活用し
    ているのが実情です。

   2.教育担当者の育成

    OJTは、すべてを管理者が担当する必要はなく、先輩社員が指導するほうが、
    年齢的に違いがなく円滑に進む、という視点では効果的と言えます。

    中小企業の人材育成では、教育担当者の役割が非常に重要になります。

    しかし、最近はOJTなどを行う課長などの教育担当者がプレイングマネジャーと
    なっており、人材育成に十分な時間を割くことができないなどの理由から、教育
    担当者の人数と能力の不足が課題となっています。

    また、いわゆる不景気時に採用された「就職氷河期」の世代に当たる人たちは、
    後輩がゼロや少ないといった環境でキャリアを積んできたことから、あまり後輩
    を指導した経験が無いという人もいます。

    そうした人が、年次を経ていきなり部下を任されるといった状況に置かれて指導
    方法に困るということがあるようです。

    厚生労働省「平成29年度能力開発基本調査」においても、全体の75.4%の
    事業所が「人材育成に問題がある」と回答しています。

   3.人材育成に関する問題点

    実務で身に付けた知識や能力は、時には断片的なものであるケースがあります。

    OJT研修は、それらの知識や技術を体系づけて深め、足りないものを補いながら
    幅を広げる効果があります。

    一方で、特殊な知識や新分野を学ぶなどといった、これからの実務に役立てる
    ケースもあります。

    いずれにしても、研修の真の目的は、上記のように知識や技術を体系づけて思考
    する訓練の場を与えることと、そのコツを体得させて自己啓発という形で自主的に
    学ぶ習慣を身付けさせることです。

    教育・研修の効果を上げるには、従業員を研修に参加させたら、必ず報告書(研
    修受講記録は下記参照)を提出させて、何を学んだかを整理させることが必要です。

    できれば、他の従業員の前で発表する機会を与え、研修内容のフィードバックと
    共有化が図られれば効果は大きいものとなります。

    「学ばせっぱなし」にせずに、いかに実際の業務にいかしているかをフォローする
    必要があります。

    また、社外の専門家から学んだ社員が、講師となって社内勉強会を開くことを習 
    慣づけると、本人の理解が深まるだけでなく、ほかの社員も新しいノウハウを学
    ぶことができます。

    厚生労働省の調査によると「指導する人材が不足している」とする回答が
    54.2%と半数を超えており、教育担当者の人材の不足は早急に解決すべき重
    大な課題となっています。

    例えば、人材育成のスタートとなる新人教育では、入社後の早い段階で企業へ
    の帰属意識や就業意識を十分に教育することで定着率を高め、前向きな就業
    姿勢を引き出すことが求められます。

    新人の動機付けは教育担当者の役割ですが、教育担当者が忙しさにかまけて 
    十分にコミュニケーションを取れなかったり、そもそも人を教育する資質が不足
    していたりすると、新人教育がうまくいかず、最悪の場合はせっかく採用した新
    人が早期離職してしまうこともあります。

    そこで、社内では教育担当者同士の意見交換会を開催する他、外部教育機関
    の研修なども積極的に活用することを検討しましょう。

    最近は、教育を受ける社員の精神的なフォローを行うためのメンター制度を導
    入する中小企業が増えているようです。

    メンター制度とは、直属の上司とは別の社員がメンターとなって、教育を受ける
    社員の相談相手になることです。

    他の部門の社員をメンターにすることが難しい場合は、同じ部門の中で教育を
    受ける社員と年齢が近い社員をメンターにすると相談しやすくなります。  

    産労総合研究所の調査によれば、研修を内製化している企業の割合は2018
    年時点で69.3%となっています。

    研修内製化は企業規模に比例して高くなっており、1,000人以上では79.4%、 
    300-999人で67.4%、299人以下の企業で51.6%、となっいます。

    中小企業において研修は若手社員の即戦力、中堅・幹部社員のレベルアップを
    図っていくためには欠かせません。

    そうでないといつまでたっても勘と経験に頼った目先の

    そのためには自社で教育の内製化を構築することです。

    そして内製化を進めるためにも業務を標準化させなくてはなりません。

   研修の内製化を一過性で終わらせないためには、社内の仕事を改善していくこと
   が最優先となります。

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人材育成は優秀な人材を採用時ではなく、採用後の育成でつくる

          

人材育成(優秀な人材は採用後の育成によって) 


  部下に業務の実行を徹底させるための手段が教育(育成)です。

  「仕事を覚えない」、「人材が育たない」 こんな悩みを抱える経営者、部門責任者は
  これらの原因を社員の能力のせいだと思っていないでしょうか。

  これは大きな間違いです。

  原因は明白です。

  社員に覚えさせる環境・機会を与えていないからです。

  特殊なマーケットにいないかぎり、どこの会社も似たような商品やサービスを扱ってい
  ます。

  今、商品で他社と大きな差別化を図るのは非常に難しいことです。

  商品で差をつけることができなければ、「人で差別化を図る」ことです。

  『「 儲かる仕組み」をつくりなさい』の著者で有名な株式会社武蔵野(小山社長)は粗
  利益25億円のうち、約1億円を教育研修費に充てているとのことです。

  確かに中小企業にとって、社員教育にお金をかけるのは大変です。

  しかし、小山社長が指導してきた数百社の中で、「社員教育にお金をかけすぎて、倒産
  した会社は、1社もない」とのこと。

  中小企業は、「お金と手間をかけて社員を教育する」以外に、収益を上げ続ける道はないの
  です。
   
  ■厳しい経営環境だからこそ注力したい人材育成

   組織が遅滞なくスムースに動いていくためには組織人としてのマナーやルールが必要
   不可欠です。

   マナーやルールに関したことはさまざまあります。

   基本動作(報連相、指示、5S、挨拶 身だしなみ 朝礼 電話対応 会議 クレー
   ム対策 接遇など)、組織が機能するためには思いつくだけでもこれだけあります。

   これらは自然に身につくものではありません。

   そしてこれらがどれだけ重要かは既に承知のことです。

   このような厳しい状況のなかで中小企業経営者の人材育成への考え方はいくつかに
   分かれます。

   いずれの経営者も人材育成そのものへの重要性は十分に認識しているが、
    (1)日々の売上確保のためには人材育成への取り組みを最低限に抑えざるを得ない

    (2)業績低迷のなかでもできるだけ従来と同じレベルの人材育成を行っていきたい

    (3)業績回復に向けて従来の人材育成のあり方の抜本的な見直しや取り組み強化
      を行いたい

   といったパターンに分かれるのです。

   会社が置かれている状況によって、緊急避難的には(1)のような措置を取らざるを得
   ないかもしれません。

   しかし、「今こそ人材育成について一層本気で取り組むべき必要性があり、かつチャ
   ンスでもある」といえます。

   人材育成は「仕事ができる社員を育てる」といった単純な目的で行うものではありま
   せん。

   「会社は将来的にこうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。だから
   社員にはいつまでにこんな能力を身につけて欲しい」

   という会社としてのあるべき姿にリンクして行われるべきものです。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられています。

   生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所
   が「人材育成に問題がある」と回答しています。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

    
   長引く不況で先が読めない状況下だからこそ、自社のあるべき姿を再度見直し、それに
   リンクした形での人材育成方針が必要なのです。

   業績低迷下では自社の「問題」が否が応でも鮮明になります。

   好景気のときには好業績の陰に隠れていた「商品力不足」、「営業力不足」、「マネジメ
   ント力不足」などといった問題が浮き彫りになってきます。

   これらの問題を実際に解決し、将来に向けて経営体質を強化していくのは、ほかでもない
   自社の社員たちであり、できるだけ早期にそのための人材育成に着手しなければなりま
   せん。

   つまり、厳しい経営環境にある今だからこそ、

    ・現状明らかになっている問題点を踏まえて、自社の今後のあるべき姿を再度見直す

    ・あるべき姿の実現に向けて必要な人材像とその育成方針を明らかにする

    ・具体的な育成計画を策定し、できるだけ早く着手する

   といった長期的な視点に立ったうえでの人材育成に取り組む必要があるのです。

   顧客主導の時代である今、顧客視点に立った物の見方考え方を取り入れることが、生き
   残り勝ち残る条件となることは言うまでもありません。

                      組織力強化マニュアルについてはこちら

  ■人材育成の出発点

   自社の人材育成を考えるうえで、「どんな人材を育てるべきか」を明確にすることが
   非常に大切です。

   社員を育成するということは、「仕事ができる人間を育てる」といった単純なものでは
   ありません。

   もちろんビジネスマンとしてのマナーや対人感受性など、どの会社で働くにせよ最低限
   必要な能力は欠かせません。

   「自社(店)で働く社員」の人材育成を考えるときには当然ながら、「自社でどのような
   力を発挿してもらうか」という視点が重要となります。

   そしてその際には、現在の社内の状況からの判断だけではなく、「会社は将来的に
   こうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。

    だから社員にはいつまでにこんな能力を身に付けて欲しい」といった長期的な視点も
   必要になります。

   このめざすべき社員像が明確になっていないと、社員は自分の能力をどのように伸ば
   していけばいいのかわかりません。

   人材育成とは目先の仕事を覚えさせるのではなく、自社の未来を担ってくれる人間を
   育てることです。

   会社として必要な人材像が明確になったら、社員自身に自分がどんな人材に育ち
   たいのかを真剣に考えさせることも大切です。

   たとえば、社員に自分自身の3年後の姿について考えさせます。

   「営業部門のトップになりたい」、「幹部として経営にかかわりたい」などいろいろな
   理想像が出てくるでしょう。

   それらが会社として必要な人材像と整合性がとれていれば、社員は実現に向けて
   努力していくことになります。

   ここでもっとも大切なのは、成長できるかどうかの責任はあくまで社員自身にあると
   認識させることです。

   社員が「会社が自分を育ててくれる」という意識をもっているうちは、その成長スピード
   は非常に遅く、また成長できない理由を会社のせいにしてしまいがちです。

   つまり、社員には日々の業績という「目先の成果」と自分の価値を高める「長期的な
   成長」という2つの責任を認識させる必要があるのです。

   3年後に自分の役職や給与がまったく上がっていなくても、それは育てなかった会社が
   悪いのではなく、自ら育とうとしなかった自分が悪いということになります。

   このような考え方を納得してもらうには、社員が理想像に向けて育っていくための万全
   の支援をする必要があります。

   たとえば、社員の能力開発計画やその進捗度合いについてきめ細かく指導したり、
   成長のために計画的な人事異動を行うなどの施策が必要です。

   つまり、会社として、社員が成長するためにできるだけの仕組みをつくり、社員はその
   仕組みを十分に活用して、自ら主体性をもって成長して欲しいという姿勢を示すの
   です。

   現在の社員は「終身雇用」や「年功序列」といった一昔前の常識がまったく通用しなく
   なっていることを理解しています。

   したがって、自分自身が成長しなくては先がないという意識はすでにもっているはず
   です。

   機能しはじめると、社員は日々の業務のなかでより困難なチャレンジをしたり、また  
   会社の外で自己啓発に取り組むなど自ら努力するようになるはずです。

   会社として「どんな人材を育てたいのか」、社員自身として「どんな人材に育ちたい
   のか」、この2点をできるだけ明確にすることが人材育成の出発点です。
   
  ■人材育成の基本

   人材育成の基本となるのが『基本動作』です。

   いつでも、どこでも、誰でもが、お金をかけずに実行できるものです。

   人が伸びて(成長して)いくためには、基本というものが必要です。

   基本動作とは「組織人としてやらねばならないこと」であり、挨拶、笑顔、報告するな
   ど、人材育成に欠かせない組織人としての基本です。

   育成・教育の有無は人材を「人罪」にも「人財」にもするのです。

   あなたは自分の時給がいくらかお分かりですか?

   もちろん時間給ですべてを推し測るという意味で言っているのではありません。

   あなたがトップであるならば当然意識していると思いますが、人件費が最大のコスト
   です。

   しかし、人件費を最大のコストと位置づけるかどうかは会社(店)のやり方次第です。

    1.人罪……反組織人であり、その集団に居ては、いけない人である。
            例えにもあるように、リンゴ箱に1つの腐ったリンゴがあれば、
            最後にはリンゴ箱のリンゴすべてが腐ってしまう。

            早期発見、早期治療をしなければ他のまともな人が潰れてしまう。
      
    2.人在……「存在するだけの組織人」、「返事だけの組織人」、「毒にも薬にも
            ならぬ組織人」等。

    3.人材……「言われた事はやるが、自ら創り出そうという気持ちが足りな
            い。」、「会社としても、生産性のみを追求しようとしているとこ
            ろは伸びない」等
 
    4.人財……文字どおり、その人が居るだけで組織が明るくなるとか、なくては
            ならない組織人という事である。

            新人には新人としての、女子社員は女子社員としての果すべき役
            割があるということ。

   社員を人材・人在と位置づけるのか、それとも人財とみなすかで大きく違ってきます。

   従業員個人の能力に頼ったやり方を変えなければ、上記の1〜3のジンザイを人財に
   変えることはできません。

   人材育成は教育というより訓練といったほうがいいでしょう。

   あなたにとって必要なことは、従業員が自身の役割を確実に実行するための訓練を
   おこなうことです。

   従業員個々の能力の有無ではなく、役割分担により、会社の業務がスムースに運営
   できるための仕組みをつくることが最優先の課題です。

   給与の高い人がパートでもできることをやっていては、穴の開いたバケツに水を入れ
   るようなものです。

   組織の再構築(仕組みづくり)は、「言うは易く 行うは難し」ですが、今の時代環境を
   見ても変化することを避けては通れないのです。

   “つくれば売れた時代”は当の昔に終わったことを認識すべきです。

   今の時代に合った、やり方・考えを導入することです。

   マンパワーに頼ったやり方から組織(チーム)を効果的に活用しない限り、いつまでた
   ってもコストに占める人件費の高コスト体質は代わりません。

   ムリ・ムダ・ムラを無くすことが増収するための条件です。

   どんなに社内環境をシステマティックにしても最後は人が関わらなくてはならない。

   データを入力しなければPCは単なる箱にすぎないのとおなじです。

   中小企業が競合他社との差別化を図るためには人材の品質向上が欠かせません。

   しかし多くの中小企業が人材育成に本気で取り組んでいない。

   理由として、

    ・短期間で成果が出ない

    ・必要性を感じない

    ・時間がない

   などといったことです。


   どんな製品・商品・サービスであっても売るのは「人」です。

   その「人」が商品であるといっても過言ではありません。

   礼儀正しく、身だしなみよく、情報提供に優れ、親身になってくれて、約束を守る、こん
   な好感の持てる営業マンであれば鬼に金棒です。

   男女問わず、相手に好かれることです。

   決して「媚を売る」のではありません。

   社会人・組織人として当たり前のことだと思いませんか。

   しかし、これができていない営業マンが多いのです。

   売れないのは扱う製品・商品・サービスの価格や機能のせいではないことを知ること
   です。

   組織は同じ目的・目標に向かうプロ集団であるはずです。

   中小企業では限られた現有資産を最大限に活かすこと。

   業務の全てを収益に貢献する体制にすることが求められます。

   そのためにも、収益に結びつかない、時間の無駄と言われている会議、朝礼を人材育成
   の場とし、基本動作の習得を徹底することです。

   そして、日報を人材育成のためのツールとして活用することも付け加えておきます。


   業務の複雑・煩雑化により様々なリスクが増す中、人材育成は会社(店)の浮沈に
   かかわる大きな問題であることだけは確かです。

   人材の採用では、どの経営者も当然優秀な人材採用を望んでいます。

   これは経営者にとって当然のことです。

   しかし、小規模事業所などは初めから優秀な人材を採用することは困難を有します。

   ですから、求める優秀な人材は採用時ではなく、採用後の人材育成によってつくる
   ものと考えるべきです。

   さらに、大規模事業所と中小規模事業所の「優秀な人材」は異なると考えていいで
   しょう。
   
  □教育は「人財」づくり

   人材育成に本腰を入れて取り組んでいる中小企業は多くありません。

   今日の糧を得るための行動が先行し、中長期的な計画がないのが実態ではないで
   しょうか。

   人材の育成には時間がかかります。

   しかし、これを抜きに会社の存続はないといっていいでしょう。

   それだけ重要であることはあなたもすでに承知のはずです。

   お客様はあなた(会社)を見ています。

   そして、お客様はあなたに期待しているのです。

   「その期待に応えている」と自信を持って言えますか?

   挨拶、態度、身だしなみ、等々はお客様から好感を持たれていますか。

   「嫌悪感をもたれている」なんてことはありませんね。

   「これらは時間が経てば自然と身につくもの」と思っていませんか。

   良し悪しは別として、習慣は一度身につくと直すのは至難の業です。

   早く、よい習慣を身に付けさせないと最悪の事態を招きかねません。

   ドラッカーの言葉にも、

    『人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
    人は最大の資産である』。

   最大の資産である「人財」にするには人を育てることが必要です。

   社員を育てるための投資(お金、時間)を怠るとどうなるか。

   本当に必要な投資までなくなり、さらなる人材難を招きます。

   結局、悪循環に陥ってしまうのです。

   中小企業にとって大企業のように初めから優秀な人材を採用することは困難を伴いま
   す。

   求める優秀な人材は採用時ではなく、採用後の人材の育成・教育によってつくるもの
   と考えるべきです。

   さらに、大企業と中小企業の求める「優秀な人材」は異なると考えていいでしょう。  

   しかし、その教育体制が今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育の横行です。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内の教育体制の内製化は不可能です。

   今、なぜ人材育成が重要なのでしょう?

   第一に、成熟化時代の中、扱い商品で差別化していくことは困難を要するからです。

   競合他社との差別化だからと「値引き」すれば価格競争に巻き込まれ、結局は自社の
   首を締めることにもなりかねません。

   第二に、ネット社会の中、バーチャル環境に慣れ親しんだ若手世代が不得意とする
   チームワーク、対人力、基本動作(挨拶、報連相等)などの弱点を克服することで競合
   他社に勝利するのです。

   「モノ、カネ」だけを武器にするかぎりは、ほんとうの差別化はできないのです。

   そのキーとなるのが人材を“人財”に育てるための「ヒト」の育成です。

   技術は他社でもすぐに真似されます。

   しかし、人を育てるにはそれなりの時間もかかり、簡単には真似のできるものではありま
   せん。
   
   教育は、自社(店)のビジョンに則した次世代の「人財」づくりを行う上で、欠かせない
   ものです。

   しかし、現場での教育は、会社の基本体制がきちんと整っていないと、属人的な指導
   や意欲的でない指導者による教育効果減や、最悪のケースだと、新人に対する指導者
   のイジメなどによるモチベーション低下などを引き起こす可能性もあります。

   したがって、指導者だけに任せるのではなく、会社全体として教育に取り組む姿勢・
   仕組み作りが大事です。
   
  ■OJTの課題と目的

   OJTとは、日常の仕事を通して、実務に必要な知識・技能を身に付けさせようとする
   職場内訓練法で、能力開発の重要な柱の一つです。

   この言葉を知らない経営者や管理職はいないと言っていいほど、OJTの考え方は一般的
   なものになっています。

   しかし、本当に効果的な方法で、きちんとしたOJTをやっているかと言うと、できている
   という人は多くありません。

   OJTがうまくいかない原因は大きく2つあります。

    1.OJTで指導をする側の管理職や中堅以上の社員が自分の業務で忙しすぎて、
      部下や後輩の指導ができない

    2.「自分でやったほうが早い」、「心配で見ていられない」と言って仕事を任せようと
      しない。

   これでは、OJT以前の問題です。

   また、積極的にOJTに取り組んでいても、やり方がまずくてなかなか効果があがらないと
   いった場合も少なくありません。

   もし、管理職や中堅社員が忙しすぎるなら、業務量の調整や時間管理の改善をしてOJT
   のための時間をつくる必要があります。

   そして、仕事を「任せられない」と思っているのであれば、考え方を根本的に変えなけ
   ればなりません。

   多少失敗はしても、任せなければ人は育たないということを肝に銘じておいてください。

   また、OJTに欠かせないことの一つに、実践的なマニュアルの作成がありますが、
   この作成だけで安心して、あとは現場に一任するようでは大きな教育効果は望めま
   せん。

   指導者側に意欲があり、指導するだけの能力を備えていることが重要です。

   また、指導がうまくいってるかどうかを、指導者の仕事の一つとして評価の対象にし、
   モチベーションや責任感の向上を図ることも必要です。

  □効果的なOJTを行うためのステップ

   (1)仕事に必要な能力を分析する

     ある仕事をこなすために、どのような能力が必要なのかを分析します。

   (2)部下の能力を把握する

     部下が現在どれだけの能力を持っているのかを把握します。

     そして、(1)で分析した仕事に必要な能力をもとに、その部下にどれだけの能
     力が必要とされているのか(目標レベル)を明確にします。

     部下の現在の能力と、必要とされている能力の差がOJTニーズになります。

   (3)OJT計画書をつくる

     (2)で把握したOJTニーズをもとに、部下の課題は何か、どこまで能力を引き
       上げるのか(目標)、そのためにどんな指導法を取るのか(指導法)、いつ
       までにOJTを終了するのか(期間)、といった具体的な計画をたてます。

       この計画づくりがOJTを成功させるための最大のポイントになります。

   (4)OJTの実施

     計画書に基づいて、OJTを実施します。

   (5)評価とフィードバック

     計画で決めたOJTの期間が終了したら、何ができて、何ができなかったかを評
     価します。

     実現できなかった目標については、なぜ実現できなかったのかを分析し、対策
     を考えて部下にフィードバックしたうえで次の計画へと進みます。 
  
  OJT計画書 

   (1)課題項目

     OJTで何を指導するのか、具体的な課題テーマを記入します。

     手順としては、まず部下の現状の能力を把握した上で具体的なテーマを決定
     します。

   (2)現状の能力

     部下の現在の能力がどんなレベルなのかを記入します。

     ここは、目標となる能力レベルと対応するように書くとよいでしょう。

     ですから、作成に慣れるまでは、まず目標となる能力レベルを記入してから、
     それに対応する形で書くと書きやすいかもしれません。

     例えば、目標となる能力レベルを「○○規格をクリアするために作成が義務づけ
     られている書類をすべて作成し、適性に管理ができる」とした場合、現在の能
     力レベルは「規格をクリアするために必要な書類のうち、××と△△の作成が
     できていない。

     また、ファイリングが苦手なようで、過去に作成した書類を探すのに時間がか
     かることが多い」といった具合です。

   (3)目標となる能力レベル

     目標となる能力レベルを記入します。  

     目標が多すぎても、未達のものが増えてしまうことになりかねませんので、部
     下の能力をきちっと把握したうえで、多くても3〜4くらいの項目に絞るとよいで
     しょう。

     (2)の現状能力とともに、できるだけ具体的な項目をあげて記入することがポ
       イントです。

   (4)指導方法

     目標をクリアするために、どういう指導をするのか、何をさせるべきなのかを具
     体的に記入します。

   (5)スケジュール

     (4)で記入した指導方法をいつからいつまで実行するのか、その期間を指導
       方法の真横に棒線で記入します。

     ここでは、期間を1年間として1〜12月まで1ヶ月ずつに区切ってありますが、
     ケースに応じて例えば6ヶ月とか3ヶ月とか、自由に期間を設定してください。

     ちなみに、一般的にはOJTの期間は6ヶ月間といわれています。

   OJTはたんに教えることではなく、自己啓発意欲を高め、経験を積むことができるように
   仕事を任せ、任せた仕事をうまく遂行できるように教え、学習の場や機会を与えることで
   あると理解すべきです。

  □教育担当者

   OJTは、すべてを管理者が担当する必要はなく、先輩社員が指導するほうが、年齢的
   に違いがなく円滑に進む、という視点では効果的と言えます。

  □教育のポイント

   中小企業の多くが定期の研修はあまり行われていないのが現状です。

   しかし、人材に限りがあるからこそ「人財」が競争力に直結していると言っても過言
   ではないことから、OJTだけに頼らない教育体制が望ましいと言えます。

   大切なことは自社(店)の人材ビジョンに向けて必要なニーズと従業員のニーズの
   両者にあったものを活用することです。

   そして、中途採用者への教育においては職務経歴書の活用をおすすめします。

  □教育は体系づけて思考する訓練の場

   実務で身に付けた知識や能力は、時には断片的なものであるケースがあります。

   OJT研修は、それらの知識や技術を体系づけて深め、足りないものを補いながら幅を
   広げる効果があります。

   一方で、特殊な知識や新分野を学ぶなどといった、これからの実務に役立てるケース
   もあります。

   いずれにしても、研修の真の目的は、上記のように知識や技術を体系づけて思考
   する訓練の場を与えることと、そのコツを体得させて自己啓発という形で自主的に学ぶ
   習慣を身付けさせることです。

   教育・研修の効果を上げるには、従業員を研修に参加させたら、必ず報告書(研修受講
   記録は下記参照)を提出させて、何を学んだかを整理させることが必要です。

   できれば、他の従業員の前で発表する機会を与え、研修内容のフィードバックと共有化
   が図られれば効果は大きいものとなります。

  研修受講記録 

   社員を対象に研修を実施している会社は少なくないことと思います。

   しかし、はたして個々の社員がどんな研修を受けて、どんな知識、能力を身につけて
   いるかを的確に把握できているでしょうか。

   それを把握し、研修の結果を有効に活用することができなければ、研修を行う意味は
   半減してしまいます。

   社員一人ひとりの研修の記録を残しておくことで、能力開発の計画や人事異動計画に
   役立つようにまとめておくための記録が必要です。

   能力開発や人事異動の参考資料とすることが目的ですから、記録として残すものは
   できるだけ限定せず、広い範囲の事柄を記入することが望ましいでしょう。

   会社が実施した社内研修は当然のこととして、会社が業務に関わるものとして推薦し
   たり、申し込みの窓口となるなど仲介したりしたものの受講記録も記入しておくこと
   です。

   ただ、まったく業務に関係のないもの、自己啓発や趣味の勉強などについては、あまり
   にも範囲が広くなってしまうので、記録に残す、残さないは、会社の判断で決めるよう
   にしてください。

   会社が実施したり仲介したりしたものは、当然会社のほうで記録が取れますが、社員が
   個人的に受講したものについては、社員の申告がない限り、会社が把握することはでき
   ません。

   そこで、そうした情報を吸い上げるための仕組みづくり、例えば何か講座を受講して報告
   書を出すごとにポイントを加えていき、そのポイントに応じて報奨金を出すなどの工夫
   をしておくとよいでしょう。

   ○研修受講記録の活用

    @研修名称

     社員が受講した研修や教育講座の名称を記入します。社内研修であればよい
     のですが、社外で社員が個人的に受けたものなどについては、名称を見て、
     その内容がわかるように記入しておきます。 

    A内容

     研修の内容を記入します。

     研修によって、社員が何を学び、どんな能力を身につけたのかを知ることが目
     的なわけですから、できるだけ具体的に研修の内容を書くことが重要になりま
     す。 

     能力開発計画や人事異動を考えるうえで最も重要な情報になりますので、十
     分注意して記録するようにしてください。

    B実施日・日数

     いつが受講開始で、いつ終了したのか。何日間の研修だったのかを記入して
     おきます。

    C講師名

     研修の講師名を記入します。

     社内研修の場合であれば、だれが何を教えたのかが明確になりますから、必
     ず記入しておくようにします。 

    D研修受講報告書提出の有無

     (研修受講)報告書、つまりレポートを提出したかどうかを記録しておきます。

     会社で行った研修であれば、当然、報告書の提出を義務づけているところは
     多いでしょう。

     社員教育、人材育成の一環として、社内での教育だけでなく外部の研修やセ
     ミナーを受講させることがあります。

     当然費用が発生しますが、せっかく費用をかけて教育を行うのですから、ただ
     研修受けただけで結局は何も身につかなかった、ということがあってはなりま
     せん。

     それでは、時間とコストの無駄以外の何ものでもありません。

     社外研修を受講する際には、事前に受講の目的を明確にしておくことが必要
     です。

     また、受講後には受講者が報告を行うことで、はじめて研修の効果が生まれ
     ると考えてください。

     報告を行う効果は2つあります。

     (1)受講者本人による受講内容の振り返り

       受講内容を振り返ることで、どんな内容の研修で何が重要なポイントだったの
       か、また、そこで学んだことを今後どう活かすべきなのかを、受講者本人が
       そしゃくし理解することができます。

       また、報告内容に対して上司が評価を行い、その結果をフィードバックするこ
       とで、さらに研修の効果を高めることができます。

     (2)受講内容を社内に還元し、情報の共有が図れる

       せっかくコストをかけて社外のノウハウや知識を学ぶのですから、そこで学んだ
       ものを受講者だけの財産にとどめておくのはもったいない話です。

       受講内容をきちんと報告させ、その内容を全社的に共有するべきでしょう。

       この2つの効果を最大限に引き出すためのツールが、「社外研修受講報告書」
       です。

       このフォーマットを受講者に作成させ、本人へのフィードバックを行うととも
       に、社内で管理することで社外研修の効果を最大限にすることが可能にな
       ります。

       このフォーマットを活用して社外研修を有効に活用してください。

       報告書はこの研修受講記録フォーマットとリンクさせて保存しておき、このフォ
       ーマットをもとにすぐに検索できるようにしておくことが大切です。

       すぐに検索できるように保管しておけば、例えば職場を異動した場合など、異
       動先の上司がこのフォーマットを活用して、社員本人がどの程度研修の内容を
       理解し、身につけているかをすぐに確認することができます。

       このフォーマットは、本人、上司が必要に応じて調べ、活用できるようにしてお
       くとよいでしょう。

       小さな会社になると、なかなか人材教育にまで手がまわらないことがあります
       が、社員が自発的に受講した教育講座なども記録しておき、積極的に活用す
       ることで、将来、人財という貴重な資産を有効活用することができるようになる
       はずです。
   
  ■人材育成はコーチングが決め手 

   上司と部下のコミュニケーション方法の一つである「コーチング」はすっかり定着した
   感があります。

   上司(教える側)が持っている経験や知識などを部下(教えられる側)に教育するティー
   チングに対し、コーチングでは、部下に質問を投げかけて考えるきっかけを与え、部下
   自身の答え・アイデア・本音を引き出すようにアプローチします。

   コーチングは上司から部下への指揮・命令による一方通行のコミュニケーションでは
   なく、部下に質問を投げかけて考えさせ、部下自身の答えを引き出し、それに基づい
   て自発的な行動を取るきっかけを与える「双方向のコミュニケーション」であるといえ
   ます。

   コーチングに成功すれば、部下に強いモチベーションを与えることができるだけでなく、
   自ら考え、行動することができる「自立型人材」を育成することができます。

   企業経営を取り巻く環境は急速に変化しており、企業はそれに対応するために革新しな
   ければなりません。

   営業においては、扱う商品・サービスその物を売るといったスタイルから、顧客視点の
   スタイルへと変化してきています。

   これは「作れば売れる」「足繁く通えば売れる」という時代ではないことを多くの企業が
   実感しているからです。

   言葉を換えれば、「顧客が求めているもの」「顧客が課題に感じているもの」を的確に
   把握し、迅速に応えることができなければ、競合他社に打ち勝つことが困難になって
   きているということです。

   このような変化に対応するためにも、自立型の人材育成が重要となります。

   コーチングは、企業が人材育成(上司と部下のコミュニケーション)の方法として導入
   するのに適した実践的な手法といえます。

   特に、自ら考え、行動することができる「自立型人材」の育成が急務とされる中小企業
   にとって、コーチングの実践は非常に重要となってきます。

  ■人材育成マニュアル

   従業員を育てていく際には明白なカリキュラムが不可欠だが、それが抽象的な表現や
   観念論的な単位では教育効果測定ができません。

   本人もやりがいがなく、自己育成について自発的なプランが作れないし、報酬とも無関係
   となってしまいます。 

   他社ではやっていない最もすぐれた方法をつくり出すことで、競争の武器ができ上
   がる。

   これこそ業務における競合他社との差別化である。

   そのためには、できる人のやり方を、表現方法を知っている人が表現し、休系づける
   ことです。

   そして、定期、必要に応じて見直しをしなくてはなりません。

   マニュアルは、事務部門、現場部門などすべての部門に欠かせないが、一挙には
   できないから、いちばん必要頻度の高い、そして会社としてマイナスの多い部分から
   確定していきます。

   「育成・教育の仕組み」づくりはマニュアル体系を基に、評価基準、教育カリキュラム、
   報
酬算定が三位一体として連動していることが必要となります。 
   
  □人材育成の方法とポイント

   (1)無理を要求しない

      ・相手によって教える内容を変え、やるべきことを全部決めてしまう。

   (2)繰り返し教えない

      ・最初は説明をする次に遂行基準(伝票の扱い方、陳列のしかた)を見せる

      ・教えたことはすべて書き留める

      ・1年経つと教育マニュアルができる

   教育の原則は、

   目的を言う ⇒ 手順を言う ⇒ 理由を言う

    @「何のためにそれをやるか」という目的を明確にする

    A「どういう順番でやっていくか」を教える

    Bその理由を言う「なぜこういう手順でするのか」ということ

    C自分でやって見せる 人材育成.gif

    Dさせてみる

    E後は文字(文章)を見させる

   経営改革の能率を上げるためには、まず組織
   から入らなければなりません。

   そのポイントは組織図をつくることです。

   組織図をつくらなければ従業員対策に入っても
   無理であり、組織図には権限が明記されなけれ
   ばなりません。

   それがなければ組織図をつくったことにはならな
   いのです。

   それに権限が規定されていないからです。

   承認を経営者が行っている以上は、決定権は経営者が持っていることになります。

   承認とは決定であり、決定とは権利です。

   そして、権利とは義務であり責任であるのです。

   部下に権限を委譲するということは、決定権、つまり承認権を与えるということです。

   その代わり経営者は、結果を追求しなければならないのです。

  □業績を伸ばす教育体制の仕組み

   1.ビジョン・目標の明確化(標準化

   2.役割の明確化(役割分担

   3.成果を生む行動の明確化(行動管理

   4.売上アップ、利益アップ策の明確化(中期・単年度 
    
月間・週間 ・ 日報計画

   5.目標(決定事項)の進捗状況を管理(決定事項) 

   上記の各項目について見てみましょう。

    1.ビジョン・目標の明確化

     経営者が真っ先に考えるのが、売上・利益目標の達成であり、同時に顧客満足
     の向上、中長期の目標なども描いているでしょう。

     それでは、その目標を社員に伝えているでしょうか。

     この質問に対して「朝礼や会議等で伝えている」「いつも耳にたこができるほど
     言っている」と言います。

     しかし、「その目標達成のために何をどのように取り組んでいるのですか?」と
     質問すると口を閉ざしてしまう経営者・部門責任者が多いのです。

     そして、社員も同様に方針や目標は言えても、具体的に何を取り組むか「決ま
     っていない」、あるいは「知らない」といった答えが返ってきます。

     単に、方針や目標を掲げるだけでなく、現場まで浸透させる工夫が必要です。

    2.役割の明確化

     経営者が方針や目標を伝えても、なかなか現場まで浸透しない原因に、部門
     (現場)のリーダー(責任者)の問題が挙げられます。

     本来、方針や目標を実行させるのは現場リーダーであり、彼らの言動によって
     業績が大きく左右されてきます。

     営業トップや現場のリーダーは、数字を考えて行動しなくてはいけません。

     その点を理解している(数字がはっきり具体的に見える)リーダーとそうでない
     リーダーとでは、部下への指示の仕方に違いが現れます。

     ただし、これは営業トップや現場のリーダーだけの問題ではなく、社長の指示・
     命令の中身(リーダーの役割を明確にしていない)にも問題があるといっていい
     でしょう。

     その結果、リーダーから社員への方針や目標も明確に伝わらないのです。

    3.成果を生む行動の明確化

     営業における行動管理は成果へ直結させるためのもので、企業にとって営業
     マンの行動管理は緊急課題です。 

     ここで言う行動管理とは、営業マンがサボらないよう、サボらせないようにし、
     まじめに仕事をさせるための管理と言う意味ではありません。

     営業マンの「行動管理」は収益に結び付けるための行動計画であり、情報収
     集のためのものです。

     また、情報交換の場を設け、部下が仕事で学んだ実例報告や提言の場を設
     定し、社員個人の有益情報を組織として取り入れることで、情報の共有化、
     ノウハウの蓄積を図ることができます。

     営業マンの行動を明確にするためには

      ・相手業界固有の知識の修得(相手を知る)  

      ・マーケティング営業の実行(「売る」から「売れる」営業)

      ・態度(基本動作、見た目の重要性)の体得

      ・行動力の発揮(準備に完璧を求めない)

      ・情報武装(「勘」「経験」による精神論営業からの脱却)があります。

     上記の点を理解しないまま営業活動を行うことで、社員からは「成果の出し方が
     わからない」という答えが返ってくるのです。

    4.売上アップ、利益アップ策の明確化

     目標が達成できない企業の特徴に計画が挙げられます。

     計画を行動に移す段階で、すでに計画自体が
     画餅に帰してしまっているのです。 

     計画が画餅に帰する原因に、 

      第1に、計画が具体化していないこと

        第2に、行動のための具体的なアイディ
      アが少なすぎる
こと

      第3に、スケジュール管理を行っていな
      い
こと

     の3つが主な原因です。

     「計画なきところに実行なし、実行なきところに成果なし。」

     経営方針(計画)書は、企業が計画的に経営を推進し、
     目標とする成果を収めるためのものです。

     単なる理想的数字の羅列ではなく、その目標を達成する為の戦略戦術・戦闘
     が具体的に明示されていなくてはなりません。

     そして、その進捗状況を随時チェック・コントロールすることで、場当り主義から
     脱却を図り、計画経営・羅針盤経営の企業形態になるのです。

     経営方針(計画)書は、トップが全て作成するのではなく、トップが戦略を練り、
     幹部が戦術を明確にし、社員が戦闘するのです。

     即ち、全員参加が基本となります。

     この作成段階が実践的な訓練(教育)になり、経営参加意欲の増進を図ると共
     に、役割の認識、責任意識の高揚にもつながるのです。

    5.目標(決定事項)の進捗状況を管理

     会議等でいくら問題点についての結論(対策)が出されても、その実施チェック
     が行なわれなくてはなんにもなりません。

     結論(対策)が出たときに、誰が担当して、いつまでに実施するか定め、又、中
     間チェック日(経過報告)を設定して、次回の会議日では、冒頭に前回決定した
     事項の実施情況と結果を確認します。

     月1〜2回は進捗管理やミーティングが必要になってきます。

     達成のために立案した行動目標や活動プランをしっかりとリーダーが進捗管理
     することで遂行力が出てきます

     このようにすることによって、結果の出るのも早くなり、決めっ放しもなくなり、成
     果も期待できるものとなるのです。

     しかし、目標数字を達成しても、それを評価するシステムがないというケースが
     多数見受けられます。

     目標達成と評価が連動した仕組みが必要です。   
  
   □業績を伸ばす教育のポイント

    人材育成成否のポイントは、過去の勘や経験のみに頼ったやり方から仕組みに基づき
    計画的に行うことが基本です。

    1.現場に精通した(経験済み)教育担当者を任命し、成果が上がる教育をつくらせる

    2.リーダーの役割をしっかり定義し、浸透させる教育を実施する

    3.目標達成できる行動計画の立案ができるシート、考えるツールを整備する

    4.営業のトップが目標達成のための進捗管理法を決めた上で、定期的に進捗管理する

    5.リーダーに、自部署で必要な数字を把握させ、行動計画と連動させる

    6.リーダーに、リーダーシップの意味を理解させ、部下の成功支援をさせる

    7.売上をつくる現場担当者に『売上を作り出す発想力を』をしっかり身に付けさせる

    8.売上をつくる現場担当者に『自社の効果的PR』を実施させる

    9.売上をつくる現場担当者に商品を売る力をつけさせる

    10.取引数(客数)を増やし、取引額(客単価)を増やす行動をさせる

    11.売上をつくる現場担当者への『売る意欲』を高める教育を充実させる


  「企業は人なり」そして「リスクも人なり」です。

  企業における「ヒト」の育成・教育は「人材」を『人財』に育てることです。

  目先の売上げだけに目がいっていると、最悪「人材」が『人罪』になりかねません。 

   貴社のジンザイは「人罪」それとも「人財」?

   人材は時間がたてば自然と育つものではありません。
   会社を永続的に繁栄させるためには継続的な人材育成が欠かせません。

    晴れ 人材育成の強化(コンサルティング・セミナー・研修・講演)のご案内 

 

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販売員教育

           

販売員教育

  ■販売員教育と売上拡大

   1.教育効果を高める販売力診断

     販売員向けの研修でよく活用されている手法に「販売力診断」があります。

     これは、

      各種のロールプレイングの内容(場合によっては店舗での実務研修内容)
      をチェックして、販売員の販売力を総合的に評価する

     というものです。

     ロールプレイングによる個別シーンごとの行動改善に加えて、販売員の能力
     を体系的に把握し、長期的・計画的な育成につなげることが狙いです。

     また、診断結果を販売員にフィードバックすることで、本人は自分の努力すべ
     き点を明確に意識できるようになり、改善意欲も高まります。

   2.賃金制度とのリンク

     販売員のモチベーションアップのために、身につけている販売技能を評価
     して貸金とリンクさせている企業が、評価材料のひとつとして販売力診断を用  
     いるケースもあります。

     販売実績を貸金にリンクさせる事例は多くありますが、実績評価だけでは正し
     い販売技能をもたない販売員が販売実績を上げようとして顧客に押しつけ販
     売を行うことも考えられます。

     こうしたことからも、単純に売上高と貸金をリンクさせるだけではなく、販売力そ
     のものを評価することが大切なのです。

   2.販売力診断シートの作成と使用の留意点

     上記で紹介したシートはあくまでも見本ですので、実際に販売力診断シートを
     作成する際には、自社の業種・業態および必要とする人材像を考慮のうえ、必
     要な項目を盛り込む必要があります。

     販売力診断シート作成は次のようなステップで行います。

     (1)評価区分の設定

       まず、販売力向上にかかわると考えられる主要な区分を設定します。

       見本では、「基本動作」(「身だしなみ」、「言葉遣い」)、「商品説明」、
       「商品アピール」、「セールスタイミング」といった例をあげていますが、
       自社に合った内容で設定しましょう。

       また、本部のスタッフだけで設定するのではなく、現場のベテラン社員や販
       売成績のよい社員の意見を反映させることが必要です。

     (2)詳細項目の設定

       上記(1)で設定した区分ごとに、その能力を正しく評価できるような詳細項
       目を設定します。

       この詳細項目の設定においても、現場のベテラン社員などの意見を参考に
       します。

       彼らが「当たり前のこと」として、無意織に行っている優れた接客手法につ
       いても、ヒアリングによって、明らかにします。

     (3)配点の設定

       まずは区分ごとの配点を設定し、次に詳細項目の配点を設定します。

       配点については自社の状況に合わせて設定しますが、目安としては「身だ
       しなみ」や「言葉遣い」、「基本動作」といった販売員の基本にかかわるテー
       マが3〜5割、「商品説明」、「セールスタイミング」といった販売技能の部分
       が5〜7割となるようなウエート配分にするのが標準的です。

       なお、詳細項目の配点設定は、項目ごとの重要性を検討しながら行います。

     (4)評価ランクの設定

       販売員の得点を決めるのがランクの設定です。

       見本ではランクを3段階に分け、高得点をランク3とし、以下ランク2、ランク
       1と得点を下げています。

       配点が6点の場合、ランク3なら6点、以下ランク2なら4点、ランク1なら2点
       となります。

       ランク設定がしづらいときは、項目の条件を満たしていなければ0点という
       簡単なルールでもかまいません。

     (5)シート記入のポイント

       研修担当者は、評価ランクに基づいて評価を行い、得点を記入します。

       シートのコメント欄と総評欄については、販売員が販売力診断シートを受け
       取った後に自分の長所・短所を理解し、その後の改善にいかしたり、自信
       をもって業務を行ったりできるような内容を記載するよう心掛けます。

       なるべく詳しく記載しましょう。

     (6)その他の留意点

       せっかく販売力の診断を行っても、実際の業務に役立たなくては意味があ
       りません。

       診断結果は必ず販売員本人にフィードバックするとともに、店長や上司にも
       診断シートを提供し、その後の指導に役立てられるようにしましょう。
   

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ジョブカード制度

           

ジョブカード制度

  ■ジョブカード制度とは

   ジョブ・カード制度とは、職業能力を高める機会に恵まれなかった人(正規雇用を
   された経験の少ないフリーター、子育て終了後の女性、母子家庭の母親、新卒者
   など)(以下、対象者)の能力開発や安定雇用を支援する制度です。

   2008年(平成20年)4月から実施されたジョブカード制度は菅政権時に廃止と決
   まったが、その後一転存続といった経緯があった。

   ジョブカード制度が導入された背景には、労働力人口が減少するなかで、就職氷
   河期に非正規雇用されたフリーターなどについては、正規雇用をされたくても、職
   業能力を高める機会に恵まれず、非正規雇用からいつまでも抜け出せないという
   状況がありました。

   なお、「ジョブ・カード」は、

    「総括表」「職務経歴書」「学習歴・訓練度」「免許・資格取得」

    「キャリアシート」「評価シート」

   の書類をひとつのファイルとしてとりまとめたものの総称で、対象者は、ハロー
   ワークやジョブカフェなどで登録されたキャリア・コンサルタントによるキャリア・コ
   ンサルティングを受けながら、ジョブカードを作成します。

   対象者が、職業訓練を希望した場合には、企業における実習(OJT)と教育訓練
   施設などにおける座学(OFF−JT)を組み合わせた実践的な訓練を受講し、企業
   からの評価を受けたうえで、就職活動に臨みます。

  □企業における活用

   1.企業のメリットについて

     ジョブ・カード制度では、企業における実習(OJT)と教育訓練機関などにおけ
     る座学(OFF−JT)を組み合わせた訓練(以下、職業能力形成プログラム)を
     企業が計画し、(独)雇用・能力開発機構の認定を受けたうえで、訓練を実施し
     ます。

     企業がこの制度を活用することによって得られるメリットは、

      (1)人材ニーズに合った人材の育成・確保

      (2)専門家のアドバイスを受けながら訓練計画の策定や訓練の実施

      (3)助成制度の活用による訓練経費の負担の軽減

      (4)人材育成・能力開発に積極的な企業であることのPR

     などが可能になることです。

     企業が計画し実施できる訓練には、雇用型訓練(直接雇用して行う訓練)であ
     る「有期実習型訓練」と「実践型人材養成システム」があります。

     具体的には、会社が対象者を雇用し、職業能力形成プログラムを実施します。

     一方、対象者は、訓練を実施する会社の従業員となり、その間は貸金が支給
     されます。

     そして、訓練を実施した会社が対象者の能力評価を行い、評価シートを交付し
     ます。

     その後、対象者は、訓練を実施した企業で正規雇用、あるいは他の企業で正
     規雇用といった安定雇用への移行をめざすものです。

     人材育成のシステムが構築できていない会社にとっては、この制度を上手に
     活用することで、キャリア・コンサルタントなどの専門家の支援を受けながら仕
     事のノウハウやスキルを体系的に教えることのできる体制を整備することがで
     きます。

   2.有期実習型訓練について

     有期実習型訓練は、企業における実習(OJT)と、企業のニーズにマッチした
     教育訓練機関等における座学(OFF−JT)を組み合わせた実践的な訓練です。

     優秀な人材確保のため、新たに雇い入れて訓練を実施する場合(基本型)
     や、すでに雇用している自社内のパート・アルバイトなどの非正規雇用者に訓
     練を実施する場合(キャリア・アップ型)に活用できます。

   3.実践型人材養成システムについて

     実践型人材養成システムは、おもに新規学卒者に対して、職業能力形成プロ
     グラムを行うことにより、現場の中核人材を育成するものです。

     すでに企業で雇用しているパート・アルバイトなど(15歳以上40歳未満)の非
     正規雇用者を正規雇用者として転換する場合にも活用できます。

   4.評価シートの作成について

     訓練を実施する企業は、対象者に対して能力評価を行い、「評価シート」を交
     付します。

     能力評価実施の流れは次のとおりです。

     モデル評価シート、モデルカリキュラム、参考となる評価基準が、準備されて
     いるので、これらを上手に活用しながら実施することによって、自社に必要な
     能力評価体制を構築することができます。

     なお、モデル評価シート、モデルカリキュラムについては厚生労働省のウェブ 
     サイトを、参考となる基準(職業能力評価基準)については中央職業能力開発
     協会のウェブサイトをご参照ください。

      モデル評価シート モデルカリキュラム(厚生労働省)

      中央職業能力開発協会/職業能力評価基準とは 

  □その他の支援策の活用

   1.助成金の活用

     ジョブ・カード制度による「有期実習型訓練」、「実践型人材養成システム」など
     の訓練を行う企業にとって、助成制度を利用することができるのもメリットのひ
     とつです。

     (1)キャリア形成促進助成金

       企業が、対象者にOJTやOFF−JTを行うことに対する助成、訓練にかかっ
       た経費の一部や対象者に支払う貸金に対して助成が受けられます。

       ※なお、下記は、有期実習型訓練の場合です。実践型人材養成システム
         の場合は、内容や上限時間が異なります。

     (2)若年者等正規雇用化特別奨励金

       有期実習型訓練修了者(訓練開始日現在の満年齢が25歳以上40歳未満
       の者に限る)を、訓練開始日の翌日より、訓練を修了した日から起算して3
       カ月以内に正規雇用した事業主が対象となります。

       ただし、すでに雇用しているパートタイマーなどの非正規雇用者を対象と
       し、正規雇用する場合(キャリア・アップ型)には、対象とはなりません。

         中小企業:100万円

           大企業:50万円          

          ※奨励金は、3回に分けて支給されます。

   2.ジョブ・カードセンターの活用  

     ジョブ・カード制度の普及を推進するため、日本商工会議所に「ジョブ・カードセ
     ンター」が設置され、全国47都道府県においては、都道府県庁所在地の商工
     会議所等に「地域ジョブ・カードセンター」が設置されています。

     さらに、各都道府県内においては、地域ジョブ・カードセンターの拠点として「サ
     ポートセンター」が設置されています。

     ジョブ・カードセンターやサポートセンターでは、ジョブ・カード制度による訓練を
     実施しようとする企業に対して、モデル評価シート、モデルカリキュラムに関す
     る説明会や、評価シート、訓練カリキュラムの策定に関する個別相談などを
     行っています。

     また、より専門的な助言・指導が必要な場合には、相談内容に応じ、(独)雇
     用・能力開発機構等の専門機関への取り次ぎを行っています。

     これらの機関を上手に活用することで、企業は、ニーズに合致した人材の育成
     や確保を実現できます。

      【参考】ジョブ・カード制度の概要

 

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社内起業家制度

          

社内起業家制度

  ■社内起業家制度とは

   社内起業家制度とは、社内ベンチャーとも呼ばれ、新事業を開発するため、社内
   で自由に開発グループを作らせ、これをあたかも独立企業であるかのように運営
   させる仕組みであると定義されています。

   このような制度が産業界で注目されているのには、当然理由があります。

   たとえば、企業がある程.度大きくなると、どうしても官僚主義的な支配体系がで
   きてしまいがちです。

   官僚主義がはびこると社内調整などの社内政治に時間が多くとられ、マーケット
   への対応が遅れがちとなります。

   こうして、その会社は小回りのきく企業(新興企業であることが多い)にたびたび
   負けることになります。

   一般に、新事業・新サービスのアイディアは、事業を展開する最前線である「現
   場」から生まれてくるものです。

   ところが、事業化の意思決定が重層化され、何人もの担当責任者の調整が必要
   になると、アイディアが形骸化したり、事業化のタイミングを逸したりしてしまうこと
   も少なくありません。

   これでは、やる気のある社員に失望感を与えるだけです。

   組織はますます硬直化し、完全な大企業病にかかってしまうのです。

    企業内起業家制度には、

     事業アイディアをタイムリーに中枢機関に吸い上げる

    という効果もあるのです。

  □制度設計と運営上のポイント

   企業内起業家制度は、新事業を開発し、立ち上げ、軌道に乗せて、はじめて成功
   したといえます。

   この制度が成功するか否かは、次の4点にかかっています。

   1.新規事業をどう選択するか

     社内ベンチャーに限らず、新規事業がうまくいかない例では、選択した事業分
     野そのものに問題があるケースが非常に多いようです。

     選択段階での基準が曖昧で、製品や市場をよく理解せず、ただ成長分野だか
     らという二理由で選ぶと、ほとんど例外なく事業は失敗します。

     ある研究者グループでは、多数のケーススタディーから、以下の2つが有意義
     であると結論づけています。

     (1)その事業お参入に値する魅力があるか

       a.売上・利益の可能性はどうか

       b.市場は成長するか、またシェアを獲得できるか

       c.どのくらい激しい競争が予想されるか

       d.リスクを分散できるか

       e.革新的技術により業界の再構築ができるか

       f.特別な社会的状況はないか

     (2)参入する事業に自社は適しているか

       a.その事実に必要な資金はどのくらいか、また自社の資金力で
         対応可能か

       b.今ある販路で対応できるか、もしできないなら早期に対応できるか

       c.今ある製造・オペレーション力で対応できるか

       d.技術開発力や、顧客に喜んでもらえるサービスの企画力があるか

       e.原材料・商品・情報入手力は十分あるか

       f.トップの支援は期待できるか、強力な事業推進者がいるか

   2.公募や自己申請が活発となる企業風土をつくれるか

     社内起業家制度では、社員からの自発的な申し出(公募制をとる場合もある)
     が前提となります。

     ひょっとしたら制度を作っても誰も申し出てこないかもしれないと心配されるか
     もしれません。

     ここで、社員の立場から、なぜ申請しにくいのかを考えてみましょう。

     その理由として以下の2点があげられます。

     (1)どうやって申し出ればよいのか分からない

       社員の側に何らかのアイディアがあっても、それをどうやって文書化するか
       は非常に悩むところです。

       一般に「視点」が定まっていないと、散漫な文章になりがちです。

       そこで、先にあげた事業評価の視点を、そのままアイディア申請のフォー  
       マットとして利用すれば、申請する社員にアイデアを整理させるうえでも、ま
       た評価者(経営トップ)と議論を進めるうえでも有効かと思われます。

     (2)応募すると上司や人事部から不穏分子と思われないだろうか

       社員に人事上の不安を抱かせるようでは、社内起業家制度はまず機能し
       ないと考えたほうがよいでしょう。

       企業風土というのは、トップ階層から徐々に下部組織に染み渡っていくもの
       です。

       まず、管理者層の教育に力を入れなければなりません。

       募集ですが、疑心暗鬼にならないまでも、「社内公募?興味ないね」という
       社員が多くても困ります。

       対策としては、何よりも成功者を作ることです。

       身近に成功者がいると、人は奮い立つものです。

   3.起業家としての適性をもった人材を新事業に投入できるか

     新事業の難しさは既存事業とビジネス特性がまったく違う点にあります。

     したがって、既存事業で大きな成果を出している人を新事業のリーダーに据え
     ても、成功するとは限りません。

     むしろ、既存事業で成功体験を積んでいればいるほど、新事業で失敗する確
     率が高いという報告さえあります。

     なぜでしょうか。

     既存事業を進めるうえで必要なことは、そのビジネスでの知識をどれだけもっ
     ているか、そしてもっている知識を最大限に発揮できるか、です。

     これに対して新事業では知識を獲得することからはじめなければなりません。

     つまり、未知の新しいことを積極的に吸収しようとする好奇心(柔軟な頭)が第
     一になってきます。

     そして、新事業に携わる人には、

       内面から自分を支えるポリシーや行動哲学、

       他人を説得できるだけの自信と指導力、

       ハードワークに耐える強靭な肉体と精神力

     が求められます。

     この条件を満たしていない人は、そのアイディアの発案者だとしても、事業の
     責任者として適しているとはいえません。
 
   4.経営トップがどれだけ支援できるか

     事業の立ち上げ時から成功する幸運な例はほとんどありません。

     新事業は、最初は右往左往しながら遅々として進まず、うまくいって数年後に
     黒字転換するのが普通です。

     この最初の時期に社内政治に巻き込まれると、成功の芽はまず出てこないで
     しょう。

     この時期の経営トップの支援は非常に重要です。

     社内の反発から新事業を守り、有用な経営資源や人材を投入することは経営
     トップにしかできないことです。

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なぜ人が育たないのか

            

なぜ人が育たないのか
  

  ■なぜ人が育たないのか

   1.どんな人材を育てたいのか

     経営者の方と話をしていると、ほぼ全員が「我が社ではなかなか人材が育た
     ない」という悩みをもっています。

     しかし、「では、どんな人材を育てたいのですか」という質問をしてみると、それ
     に対して明確な答えを返せる方は多くはありません。

     自社の人材育成を考えるうえで、この「どんな人材を育てるべきか」を明確に
     することが非常に大切です。

     そもそも社員を育成するということは、「仕事ができる人間を育てる」といった単
     純なものではありません。

     もちろんビジネスマンとしてのマナーや対人感受性など、どのような会社で働く
     にせよ最低限必要な能力はあります。

     しかしながら、一般論ではなくあくまで「自社で働く社員」の人材育成を考える
     ときには、当然ながら「自社でどのような力を発揮してもらうか」という視点が欠
     かせません。

     そして、その際には現在の社内の状況からの判断だけではなく、「会社は将来
     的にこうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。

     だから社員にはいつまでにこんな能力を身につけてほしい」といった長期的な
     視点も必要になります。

     このめざすべき社員像が明確になっていないと、社員は自分の能力をどのよ
     うに伸ばしていけばよいのかわかりません。

      人材育成とは社員に目先の仕事を覚えさせることではなく、
      自社の未来を担ってくれる人間を育てることです。

     「自社に必要な人材とはどんな人材か」、まずこの点を明らかにする必要があ
     ります。

   2.どんな人材に育ちたいのか

     会社として必要な人材像が明確になったら、社員自身に自分がどんな人材に
     育ちたいのかを真剣に考えさせることも大切です。

     たとえば、社員に自分自身の3年後の姿について考えさせます。

     「営業部門のトップになりたい」、「幹部として経営にかかわりたい」などいろい
     ろな理想像が出てくるでしょう。

     それらが会社として必要な人材像と整合性がとれていれば、社員は実現に向
     けて努力していくことになります。

     ここでもっとも大切なのは、

      成長できるかどうかの責任はあくまで社員自身にあると認識させること

     です。

     ずいぶんと突き放したような言い方ですが、社員が「会社が自分を育ててくれ
     る」という意識をもっているうちは、その成長スピードは非常に遅く、また、成長
     できない理由を会社に求めてしまいがちです。

     つまり、社員には日々の業績という「目先の成果」と自分の価値を高める「長
     期的な成長」という2つの責任を認識させる必要があるのです。

     たとえば、3年後に自分の役職や給与がまったく上がっていなくても、それは育
     てなかった会社が悪いのではなく、自ら育とうとしなかった自分が悪いというこ
     とになります。

     このような考え方を納得してもらうには、社員が理想像に向けて育っていくた
     めの万全の支援をする必要があります。

     たとえば、社員の能力開発計画やその進捗度合いについてきめ細かく指導し
     たり、成長のために計画的な人事異動を行うなどの施策が必要です。

     つまり、

      会社として、社長が成長するためにできるだけの仕組みをつくる。
      社長はその仕組みを十分に活用して、自ら主体性をもって成長してほしい

     という姿勢を示すのです。

     現在のビジネスマンは「終身雇用」や「年功序列」といった一昔前の常識がまっ 
     たく通用しなくなっていることを理解しています。

     したがって、自分自身が成長しなくては先がないという意識はすでにもってい
     るはずです。

     この意識を高め、自ら成長に突き進んでいくためのスイッチを押してあげるの 
     です。

     そして、これがうまく機能しはじめると、社員は日々の業務のなかでより困難な
     チャレンジをしたり、また、会社の外で自己啓発に取り組むなど自ら努力する
     ようになるはずです。

     ここまでみてきたように、会社として「どんな人材を育てたいのか」、社員として
     「どんな人材に育ちたいのか」、この2点をできるだけ明確にすることが人材育
     成の出発点です。
   
  □3つの視点で能力向上を考える

   めざすべき人材像が明らかになったら、その人材像がもつべき能力、知識、経験
   などについて考え、獲得していくための計画を立てます。

   前項で「社員は自分自身の成長に責任をもつべき」と述べたとおり、個々の社員
   の育成計画は社員自身に作成させます。

   しかし計画の立て方やできあがった計画の妥当性などについては、きめ細かく指
   導する必要があります。

   また、個々の社員レベルではなく、会社全体としての人材育成計画(3年後にどの
   程度の技術をもった社員を何人育てるなど)は、当然ながら経営者などの経営幹
   部が考えることになります。

   ここでは人材育成を考えるための3つの能力について解説します。

   これらの3つの能力をいつまでにどの程度高めていくかについての長期的な計画
   を策定していくのです。

   1.専門能力

     専門能力とはその名前のとおり、個々の社員の専門分野における業務遂行
     能力のことです。

     たとえば、コンピュータの知識がなければソフト開発ができないように、その業
     務遂行のために必ず身につけておくべき知識、技能を指します。

     当然ながら、会社の業種業態や会社内の部署によっても必要とされる能力は
     変わってきます。

     専門能力はある程度までは社員自身の「勉強」で高めることができます。

     関連書籍を読ませたり、資格取得を促すなど、能力開発に向けた具体的な努
     力を指示しやすい分野です。

     専門分野に関する資格取得をバックアップし、資格保有者には手当を支給し
     ている会社も数多くあります。

     また、勉強してから業務にいかすというよりも、より高度な専門能力が必要な
     業務を与えて、遂行のため社員が自ら勉強せざるを得ないような状況に置くこ
     とも効果的です。

     個々の社員の能力開発目標の例としては、「自分の担当している仕事を3年
     後にはこれくらい高度なものにする」、「現在、先輩社員のアドバイスを受けな
     がら進めている実務を自分ひとりでできるようになる」などが考えられます。

     大切なのは「いつまでにどのレベルまで高めるか」という能力向上の期限と幅
     をはっきりとさせておくことです。

   2.対人能力

     これは他の人と相互理解する能力のことです。

     ここで求められている相互理解とは、日常生活で友人などとうまく付き合って
     いくというレベルのものではありません。

     ビジネスで必要な対人能力とは、相手に影響を与える能力、つまり「あの人の
     言うことは信頼できる」、「あの人が言うのだからそうしよう」と相手に思わせる
     だけの能力のことです。

     具体的には、コミュニケーションカ、部下指導育成力、交渉力などが含まれる。

     たとえば、上司が部下に指示を出す際には、相手に指示内容をきちんと伝え
     るだけでなく、どういう言い方をすれば部下がやる気を出すかということにも配
     慮しなければなりません。

     対人能力を磨くためにはいくつかの専門的な手法もありますが、日頃から「相
     手の話していることをきちんと聞く」、「相手の気持ちを考える」、「相手に関心
     をもつ」といった当たり前のことを意識して行うだけで、その能力は格段に向上
     します。

     また、若手社員には、社内で特に周囲から信頼されている人の行動や考え方
     を学ばせることが効果的です。

     「あの場面で○○さんは、なぜそのような発言や行動をしたのか」といったことを
     学ばせるのです。

     この場合の目標設定は、たとえば、「3年後には○○さんくらいの影響力を発揮
     する」というものが考えられます。

   3.問題解決能力

     これは今起こっている問題の本質は何かを特定し、その解決策を見いだし、実
     際に解決していく能力のことです。

     問題解決の流れをまとめると、おおむね次のようになります。

      @「目にみえる問題(現象としての問題)の把握」

      A「問題点の掘り下げ」

      B「真の問題点の特定」

      C「侯補となる複数の解決策の設定」

      D「解決策の選択、行動計画などの具体化」

      E「解決策確定」

      F「実行、進捗管理」

     @からBまでが問題の本質を見つけるプロセス、そして、CからFまでが課題
     を確定し、実際に問題を解決するプロセスです。

     問題解決能力が高い人とは、これらの一連のプロセスを正確かつスピー 
     ディーに考え、実行できる人のことです。

     たとえば、自分の営業成績が落ちているときに、やみくもに営業量を増やすの
     ではなく、まずはその原因を論理的に特定して、解決のための最善策を打ち
     出せるような人は、この能力が高い人ということになります。

     間題点を掘り下げるためには、日々の業務で発生する問題について、「なぜそ
     うなっているのか?」をつねに考え、それを習慣として身につけることが大切で
     す。

     また、一見問題にはみえない出来事についても、「本当にそれでよいのか?」
     という問題意識をつねにもち続けることも重要です。

     具体的な目標設定としては、たとえば、「3年後に自部署で発生する問題につ
     いては、自分自身で本当の原因を突き止め、かつ解決策を提案できるように
     なる」といったものが考えられます。

  幹部社員育成は社長の仕事

   人材育成に関する悩みのなかで特に多いのが、「安心して仕事を任せられる経営
   幹部社員が育たない」というものです。

   これは考えてみれば当然なことで、会社のなかでもっとも困難な意思決定を迫ら
   れる社長と同等レベルの人間が、そう簡単に育つはずはありません。

   幹部社員の育成は社長が「自分自身の重要な仕事」と認識して取り組む必要が
   あります。

   なぜなら、幹部社員として任命されている人たちは、ほかの社員よりもすでに高い
   能力をもっているはずです。

   幹部社員を育てられるのは社長だけなのです。

   そして、この幹部社員の育成が人材育成のなかでもっとも大きな課題といっても
   間違いはありません。

   1.バランス感覚をもった人間を任命する

     幹部候補社員のなかから実際に幹部を任命するときには、まず向き不向きを
     見極めなければなりません。

     幹部社員には経営者の視点が求められます。

     たんに「仕事ができる」だけでは不十分なのです。

     幹部候補社員のなかには、営業、技術など、それぞれの専門分野をもった社
     員も多いでしょう。

     正式に幹部となれば彼らは専門分野の業務遂行だけではなく、会社全体を社
     長と一緒に引っ張っていく存在にならなければなりません。

     それぞれの分野のプロフェッショナルであると同時に、経営者的なバランス感
     覚が求められるのです。

     専門分野のことしか考えられない社員は、残念ながら幹部社員には向いてい
     ません。

     それは本人の能力不足というよりも、適性、不適性の次元の問題であることが
     多いのです。

     たとえば、「自分はこの技術力を発揮するために入社した」という目的意識が
     特に強い社員については、幹部にして現場から距離を置かせると、急に元気
     を失うこともあります。

     本人は経営幹部として活躍したいと思っていても、やはり幹部としては向いて
     いないのです。

     そのような社員は経営幹部としてではなく、あくまで「技術のプロフェッショナ
     ル」に徹して活躍してもらうほうが適任でしょう。

   2.幹部育成のポイント

     実際に幹部候補社員を選定したら、次のようなポイントで育成していきます。

     前述のように幹部社員の育成は大変困難な仕事です。

     粘り強く取り組むことが大切です。

     (1)つねに危機感をもたせる

       社長は事業がうまくいっているときでも、心のなかで「顧客は満足している
       のだろうか」とか「これ以上事業を拡大しても大丈夫だろうか」といったこと
       をつねに自問自答しているはずです。

       残念ながら、このような危機感を社長以外の社員がもち続けることは大変
       難しいことです。

       社長は自分の人生をかけて会社を運営していますが、社員は最悪会社が
       潰れても、次の会社に就職すればすみます。

       それは幹部社員といえども結局は同じことです。

       しかし、だからこそ社長は幹部社員たちに対してつねに危機感をもつよう教
       育しなければなりません。

       危機感をどれだけ幹部社員にもたせることができるかが、幹部教育のすべ
       ての基礎となります。

       この基礎ができなければ、いくら経営知識を教えたり、経営理念を説いても
       十分な効果はありません。

       ではどうやって危機感をもたせるかというと、社長自身が抱いている危機感
       とは何か、幹部社員は一般社員と異なり、すでに経営陣の一角であるこ
       と、会社の維持・存続つまり社員の将来は幹部陣の活躍にかかっているこ
       となどを繰り返し伝えることが基本になります。

       そのうえで会社の将来について、幹部社員に経営者感覚で真剣に考えさ
       せることが重要になります。

       具体的には中期経営計画を策定させるなどが有効でしょう。

     (2)価値観の共有を徹底

       会社は本来、社長の経営理念に賛同した人たちが集まってつくる価値観の
       共有体であるべきです。

       基本的には全社員が仕事に対して同じ価値観をもっていることが必要。

       そのなかでも幹部社員は経営者の価値観を一般社員よりも高いレベルで
       共有していなければならない。

       具体的には幹部社員たちは、たんに「社長はこういう風に考えているんだ
       な」という考え方の理解だけではなく、「だから社長はこのような行動をとっ
       ているんだな」という行動レベルまで理解しておく必要があります。

       幹部社員たちは現場で陣頭指揮をとっているなかで重大なアクシデントが
       起こった場合、社長に相談する時間がなければ、その場で適切な判断を下
       し、措置をとらなければなりません。

       その際に社長の価値観を本当に理解できていれば、「おそらくこのような局
       面では社長はこういう行動に出るだろう」ということが予測できます。

       あたかも社長自身がそこにいるかのように、的確な指示を出し、被害を最
       小限に食い止めたり、ピンチをチャンスに変えることもできるのです。

       幹部社員育成のためには、社長の価値観をその深いレベルまで徹底して
       共有していく必要があります。

       そして、いくつかの困難な場面を想定して、その際に幹部としてどのように
       判断し、行動すべきかということを考えさせます。

       また、個々の幹部社員の成長度合いに応じて、権限委譲を進め、権限内
       のことはたとえ困難な場面に直面しても幹部社員自身に対処させることも
       効果的です。

       最初はいくつかの失敗をするかもしれませんが、実践での失敗から学ぶこ
       とは多いはずです。

       ある程度の失敗は人材への先行投資として割り切ることも必要です。

     (3)戦略を提言させる

       戦略とは自社のめざすべき将来の姿を描き、その姿を実現するためのシナ
       リオを描くことです。

       たとえば、「専門分野で唯一無二の技術を確立し、シェアナンバー1をめざ
       す」というのが「戦略」です。

       会社の方向性を決定づける戦略について最終的に決定するのは社長です
       が、幹部社員にも、戦略について進言させることが大切です。

       戦略を考えるためには社内外の経営環境について自分で必死に考える必
       要があり、結果として経営者感覚が磨かれるからです。

       社長が経営戦略をすべて策定してしまうのではなく、幹部社員がさまざまな
       戦略を社長に進言し、社長がそのなかから最良のものを選択する、あるい
       は進言された戦略を社長が組み合わせて、より優れた戦略を生み出すと
       いう形が理想的です。

       また、現場の最前線で指揮をとっている幹部社員にはさまざまな生の情報
       が入ってきます。

       その多くは個々の現場での個別の情報ですが、ときとして全社に大きな影
       響を与えるような情報も入ってきます。

       たとえば、連続して3社から取引停止の通告を受けたとします。

       3社とも取引額はわずかであり、それ自体は大したダメージではないが、連
       続して取引停止ということは、「たまたま」とは考えにくいでしょう。

       強力なライバルの出現や、自社の商品そのものが世の中に受け入れられ
       なくなってきている可能性もあります。

       幹部社員はそのような「におい」を敏感に感じ取り、戦略の変更あるいは修
       正を進言するという責務を負っています。

       社長は幹部社員たちがそのような役割を果たせるように、自社の強み、顧
       客ニーズ、兢合先など自社の事業が成り立っている仕組みについて常日
       頃から教育しておくと同時に、幹部社員からの進言を歓迎するという姿勢を
       示しておく必要があります。

   3.外部から幹部を採用する場合

     社内での幹部社員育成がうまくいかない場合に、幹部候補を外部から採用す
     ることも考えられます。

     しかし、中小企業に限定していえば、このやり方の成功確率はあまり高くない
     ようです。

     ここまで述べてきたように幹部社員は社長の分身ともいえる社員です。

     社長の価値観などを深いレベルで共有するためには、やはり長い時間がかか
     ります。

     また、古参社員との軋轢などもある程度は覚悟しなければなりません。

     幹部となる人材は時間をかけてもできるだけ社内で育てることを原則とし、や
     むを得ない場合にのみ、補完的に外部からの採用を実施するというやり方が
     好ましいでしょう。

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社員教育の基本

            

社員教育の基本

■社員教育の課題

 1.社員教育にあたり経営者が認識すべきこと

   今日、企業の社会的責任が以前に増して問われるようになってきました。

   あらゆる企業は社会に対して何らかの役に立つことによって社会的責任を果た
   し、存在価値のある会社となります。

   会社で働く社員も、自社に在籍していることによって、社会の役に立っているとい
   う実感ができるからこそ自らの仕事にプライドがもてるようになるのです。

   会社は自社での仕事を通じて、人格を鍛錬し社会に貢献できる人材をまさに育成
   しています。

   その際、社員が会社に入って企業の社会的責任をどのように果たしていくべきな
   のか、また自身の存在価値を高めるためにどのように努力すべきなのかといった
   基本的な姿勢は学校教育のなかで教えられるべきことなのかもしれません。

   しかし現実的には、企業(トップ)が、仕事を通じて社員の人間性教育を行ってい
   るというのが実態ではないでしょうか。

   このような意味で、企業は社会にとって重要な人材を育てる教育機関といっても
   過言ではない。

   また、仕事を通じた人間性教育を引き受けているのが中小企業経営者であるが
   ゆえに、企業経営者の社会的価値も高いといえます。

   人材教育は社長の社会的役割と認識することも重要です。

   さて、企業経営者は社員に対して以下のことを教える必要があるのではないで 
   しょうか。

   (1)社員が会社と仕事にプライドがもてるようにする

     自社の理念を実現すべく活動している会社の業績を常日頃話題にし、理想に
     向かって現在どの程度のところまで進んでいるのか進捗状況を理解させる。

     また、個々の社員の仕事が、社会にとってどのような価値があり、仕事の出来
     栄えによって自身の社会的存在価値も大いに高まっていくものであることをつ
     ねに語り聞かせます。

   (2)社員が夢をもてるようにする

     会社自体がどのようなビジョン=夢をもっているのかを社員に語る必要があり
     ます。

     現在の自社の実態ばかりではなく、将来の夢を繰り返し伝えることも重要。

     また、社員が自身の仕事の品質を上げるために努力をした結果、社員にとっ
     てどのようにすばらしい未来が開けていくのかを理解させることも重要です。

   (3)社員の人生の目標を理解し、支援する

     社員は自分の人生において、どの程度鮮明であるかは別にして生涯設計を描
     いているはずです。

     もし、描いていないとすれば生涯設計の仕方から教える必要があるでしょう。

     これら生涯設計を社長が理解し、支援するという姿勢をもつことによって、社員
     の目標と会社の目標が一致し、会社に感謝しながら、社員は自身の能力をよ
     り高めたいと思うようになるのです。

     以上のように、人材育成に取り組む前に、社員自身が能力を高めたいと思う
     環境作りがまず重要といえます。

     自身を高めたいと思っていない状況でいくら教育しても、まったくの徒労に終
     わってしまう可能性がある。

     そのうえで具体的な教育にあたっていくのですが、社員教育は個々の社員の
     過去の生育環境や、会社内でのキャリアによって個人ごとに状況は異なって
     おり、一筋縄ではいきません。

     しかし、トップ自身が社員の人生を預かり「なんとしても社員を一流に育て上げ
     る」という使命感と、愛情と根気をもって継続的に教育に取り組めば、何年か
     後には見違えるような成果となって返ってくるのです。

     苦労して育成し、実力のついた社員によって構成されている会社が本当に強
     い会社といえるでしょう。

  2.これからの社員教育の実務的な課題

    社員教育を進めていくにあたって実務的には以下のような課題に対応する必要
    があります。

    (1)業務革新への適応

      ・事業の再構築や再編成にともなう即戦力養成の必要性

      ・複雑化する企業環境に対応できる戦略的思考や起業家精神をもつ管理者
       養成の必要性

      ・市場や、製品の企画力・開発力・販売力強化のための技術部門と営業部
       門に対する教育の必要性

    (2)技術革新への適応

      ・加速する技術革新にともない、あらゆる分野において導入されるコンピュー
       タなどのOA機器に関する教育の必要性

    (3)国際化への適応

      ・言語をはじめ、政治・経済・文化・宗教・生活全般の基礎的な知識、事業や 
       経営に関する慣行、センスなどの教育の必要性

    (4)高齢化対策

      ・増加する中高年労働者を積極的に活用するための能力開発と再教育訓練
       の必要性

    (5)社会進出の著しい女性への対応

      ・男女雇用機会均等法への対応とともに、将来の労働力不足を考慮した女
       性社員戦力化教育の必要性

    以上のような社員数育の必要性と課題を十分に理解したたうえで、自社の活性
    化を進める能力開発の実現には、どういった教育が必要であり、どういう教育方
    法が有効なのかを考えていくことにしましょう。

  □社員教育を行う前に

   人材育成の目的は、現時点での人材の能力と、これから展開する経営目標や事
   業計画に必要な人材の能力とのギャップの解消にあります。

   そのためにはただ漫然と社員教育を行うのではなく、社員教育によって何をどの
   ように解決していくかを明らかにしなければなりません。

   まずはギャップを把握することによって教育活動の具体的な目標をたて、その目
   標に向けいかにしてギャップを埋めていくかという対策を講じます。

   つまり、
    社長教育の導入・改善を行う前には
    人材育成の目標を明確にすること
   が必要です。

   人材育成方針の策定、めざすべき人物像の明示など、目標を明確にすることが、
   計画的かつ効果的な教育活動の基本です。

   1.人材育成方針の策定

     人材育成はあくまでも経営活動の一環として行われます。

     このため、企業活動の背景となる「経営理念」「中期経営計画」「人事管理方
     針」「中期事業計画」「経営環境」などに基づき、しっかりとした教育体系を作り
     上げていくことが求められます。

     したがって、めざす能力開発の方向性を的確にとらえ、以下のように、企業の
     発展という最終目的につながる社員教育を策定します。

      社員の能力育成 ⇒ 人材の能力活用 ⇒ 組織の活性化 ⇒ 企業の発展

     なお、経費削減策の一環として、研修などの教育費用を抑える企業も多く、限
     られた予算内で企業の業務や考え方をいかに効率的に理解させるか、人事・
     教育担当者が頭を悩ませるところです。

     しかし、どのような状況下にあっても、自社のエネルギーを生み出すのは人材
     です。

     社員教育は企業力を向上させるためのものだという本来の目的が損なわれる
     ようなことがあってはなりません。

   2.目標となる人物像の明示

     目標となる人物像を明確にすることは、人材育成を行ううえで成功のポイント
     となります。

     企業が期待する、必要とする人材がはっきりしていると、社員も目標像がイ
     メージしやすく、取り組む方向性を誤ることもなくなります。

     抽象的な理想像を掲げる会社も少なくありませんが、事業や職務に即して、よ
     り具体的に表現するほうが望ましいと思われます。

     例としては、

     <必要とする人材例>

      ・価値観の多様化といった社会環境・企業環境の変化に適応できる
       幅広い知識と専門的な能力をもつ人材

      ・職務やプロジェクトごとに異なる業務環境に柔軟に適応できる高い
       応用力をもつ人材

      ・流動する構成員や職種・職能の異なる社員を受け入れ、活用して
       いくことができる豊かな人間性をもつ人材

      ・言語をはじめ国際的知識・センスを習得し、企業の国際化戦略に
       対し広い視野と行動力をもって戦力となることのできる人材

    目標への挑戦は社員の意欲を大いに刺激します。

    とくにそれが人物像として明確になっていると、成長した自己の想像が容易であ
    るため、より意欲が高められます。

    少々漠然としていても、「現代的な感覚をうまく織り込み、社員が共感をもって受
    け入れられるもの」であること、加えて「能力開発の重要性や必要性を訴えてい
    る」ことが大切です。
    
  □能力開発の3本柱

   企業における教育は3本の柱から成るといわれます。

   それは、OJTと呼ばれる職場内教育、これに対してOff−JTと呼ばれる職場外教
   育(集合教育)、そして自己啓発の3つです。

   これらは個々に独立し、それぞれ別個に成果を上げるものとしてとらえられがちで
   したが、最近ではこれらを効果的に組み合わせ、より高度な教育をめざすように
   なってきました。

   これら社員教育の3本柱について述べていきます。

   1.OJT

     職場内で、実際の職務を通して、計画的に、必要な知識や技能あるいは問題
     解決能力などを身につけさせる教育方法をOJT、職場内教育といいます。

     これには、業務のなかの、上司や先輩、ときには同僚が個別に行う教育・指導
     と、職場のミーティングや朝礼などが含まれています。

     実際に業務を体験しながら学ぶため、理解しやすく身につきやすい反面、指導
     者の能力により、育成される人材にばらつきが出るという問題があるため、事
     前に指導者の育成が必要となります。

     OJTは「仕事を通じて」行う点が強調されがちですが、達成しようとする能力開
     発の目標と期限を定め、たんに「目先の業務を教える」というスタンスではな
     く、長期的に能力をいかに高めていくかという「計画的」に行うことを忘れては
     いけません。

     業務のなかで行われるため「教育」としての意識が薄れがちなOJTをきちんと
     した能力開発のプログラムとして機能させるためには、目標とスケジュールが
     明確に設定されていることが必要です。

     (1)OJTのあり方

       OJTは、入社・異動・新技術導入などといった環境の変化があるときに対し
       て行われることが一般的です。

       最大の目的は、経験でしか得られないノウハウや技術を身につけることで
       すが、新しい環境への適応を促す機能もあります。

       OJTは、教わる側の能力や適性を配慮し、きめ細かなフォローのもとに個
       別教育を行うことができます。

       これはもっとも望ましい教育のあり方で、大きな効果が期待できます。

       OJTの基本的な流れをまとめると、次のようになります。

        @業務に必要とされる能力の確認
         部下が業務を遂行するうえで必要な能力を明らかにします。
         計算力・折衝力・管理力など、業務内容によって求められる
         能力は多様です。

        A部下の能力の把握
         OJTの対象となる部下の能力・知識・適性・関心領域などを
         把握します。
         先入観や偏見をもたないように注意が必要です。

        B育成目標の設定
         業務に必要な能力と部下の保有する能力に基づいて、育成
         目標を設定します。
         期間や教育環境も考慮して定めることが必要です。

        C育成計画の設定
         目標を踏まえたうえで、計画を立てます。
         教育項目・教育方法・期限などを決定します。

        D実施
         相手の能力に合わせて取り組ませます。
         指導いかんによっては新たな戦力となるかどうかが決まります。
         OJTの名のもと、たんに業務を教えるのではなく、仕事上での
         部下の問題点や考慮すべき点などを発見・解決しながら進めます。

        E途中および終了後のフォローアップ
         計画どおり進んでいるか、そうでないならば原因は何か、目標は
         達成できたか、できなかったのはなぜか、不足な点は何かなどの
         フォローが大切です。
         教育の効果や、問題点を明らかにすることで、OJTの質の向上を
         図ることができます。

     (2)OJTの有効な活用法

       OJTは教育予算をそれほど必要としない研修方式ですが、自社の教育体
       制の不備や、「指導者以上の成長が望めない」といった理由から、積極的
       に採用できない場合もあります。

       OJTを有効に行うためには、まず企業も社員も教育の必要性を理解し、意
       欲をもって臨めるように徹底していかなくてはなりません。

       これには、指導者の社員教育に対する努力と成果を人事評価の対象とす
       るなど、部下の指導に優れた社員にきちんと報いていく体制づくりが必要で
       す。

       評価制度と連動させることにより、指導者と指導を受ける者双方の意欲を
       高め、人材育成が日々の業務同様に重要であることを深く浸透させること
       ができます。

       また、OJTはジョブローテーションと組み合わせて用いられることも多くあり
       ます。

       これはさまざまな職務が経験できるため、ゼネラリスト育成には有効な手法
       ですが、人材育成までに時間がかかるうえ、配置された職場や職務が合わ
       ない、異動によって本人の能力がうまくいかせなくなったり、仕事への意欲
       がそがれたりするなど、教育効果を低下させてしまう場合もあります。

       適性に合わない職務下で長期的に我慢させることも多く、そうした場合、社
       員のモラール(士気)は極端に低下してしまいます。

       さらに異動が繰り返されると熟練が望めないという欠点もあります。

       OJTは優れた教育手段ではありますが、短所も少なくないため、有効な経
       験の積ませ方を十分に考慮したうえで採用していくべきだと思われます。

   2.Off‐JT

     企業内で行われる集団教育や企業外で行われる講習や通信教育などを、
     OJTに対してOff‐JT、職場外教育といいます。

     OJTでは学べない体系立った知識やノウハウなどを階層別や職種別の集合
     教育で補うもので、OJTと合わせて教育の2本柱とされます。

     OJTでは得られない、これまで自社になかったノウハウについても学ぶことが
     できます。

     Of f−JTでは「学ばせっぱなし」にせずに、いかに実際の業務にいかしている
     かをフォローする必要があります。

     また、社外の専門家から学んだ社員が、講師となって社内勉強会を開くことを
     習慣づけると、本人の理解が深まるだけでなく、ほかの社員も新しいノウハウ
     を学ぶことができます。

     内容としては、大きく分けて「階層別教育」「職能別教育」「課題別教育」があげ
     られます。

     (1)階層別教育

       新入社員から経営者にいたるまでのすべての階層の社員に対し、それぞ
       れに合わせて用意された教育が階層別教育です。

       これは、会社における生涯学習としてとらえることもできます。

       人事制度上の資格等級や職位の上昇に応じ、その節目ごとに行われるこ
       とが一般的ですが、「将来のための教育」として随時行うことも有効です。

       階層別教育のもっとも代表的なものは「新入社員教育」で、このほか「中堅
       社員教育」「監督者教育」「管理者教育」「経営者教育」などがあり、最近とく
       に注目されているのが「管理者教育」です。

       激しく変化する企業環境下で管理職に求められる能力は高度化し、戦略的
       思考力・業務改善力・問題解決力の開発が急務となっています。

       そのため、管理職の能力開発と再教育について見直しを図る企業が増え
       ています。

     (2)職能別教育

       同じ業務を担当する者を集めて行う教育を「職能別教育」といいます。

       代表的なものとしては、「技術職教育」「営業職教育」「事務職教育」「国際
       業務教育」などがあげられます。

       これらは専門職教育で、専門職全体のレベルアップを図ったり、優秀な社
       員をさらに「スペシャリスト」として育てることを目的としている。

     (3)課題別教育

       これは「重点施策対応教育」とも呼ばれ、その時々の企業の戦略やプロ
       ジェクトの遂行に必要な要員の養成が目的です。

       階層や所属部門にとらわれずに行われることが多く、最近では、「国際業
       務要員の養成」や「高年齢労働者の再教育」などが重要な課題となってい
       ます。

     (4)Off‐JTの有効な活用法

       Off‐JT は、「しょせんは座学」という意識から、実践をともなわない一方的
       な知識の詰め込みになりがちです。

       しかし、Off‐JT は、企業目標への意識の統一を図り、体系的な教育を行う
       ため、OJTを行ったときに応用・実践する能力へと結実することになります。

       基礎教育やフォロー教育として有効であり、ほかの教育と調整することに
       よって相乗効果が期待できる教育法です。
     
   3.自己啓発

     OJTやOff‐JT の欠点を補うための第3の柱として、自己啓発があります。

     これは、「顧客の志向を敏感に感じとり、自社経営に反映できる人材」を望む
     企業と、「能力主義的人事制度に応え、自らのキャリア形成に積極的に関与
     する」ようになった社員との双方の今日的な必要性の合致から、急速に取り組
     まれるようになりました。

     自己啓発とは、通信教育やEラーニングなど、個人単位で学習し、必要な知識
     を身につける方法で、資格取得のための学習など、長期的な教育に適してい
     ます。

     また、自己啓発はあくまで本人が主体的に学ぶものであるため、必ずしも現在
     の業務に直結しない分野を選択することもあります。

     たとえば、現時点では海外との取引がない企業の社員が英会話を学ぶ場合
     などはこれに該当します。

     最近では、業務と直結しない自己啓発に対しても支援を行う会社が増えてい
     るようですが、少なくとも自社がこのような自己啓発に対してどのようなスタン
     スをとるかについては、社員に明示しておいたほうがよいでしょう。

     能力開発は、最終的には社員個人の自発的・主体的取り組み次第ということ
     になりますが、自主的教育活動には「必要なのはわかっているが取り組めな
     い」といった個人的な事情もあります。

     そのため、会社からの働きかけが必要となるのです。

     実際に企業が取り入れている援助策としては次のようなものがあります。

      ・公的資格取得の奨励・援助

      ・外部講習会やセミナーの紹介・斡旋

      ・通信教育講座の受講斡旋・援助

      ・社内発表会やコンクールの開催

      ・研修制度、休暇制度による援助

     自己啓発の結果は、個人の満足や納得とともに企業にも利益をもたらすもの
     でなくてはなりません。

     社員が資格を取得したならば、極力その資格がいかせる業務につかせ、仕事
     に結びつけてそれをいかせるようにします。

     獲得した能力や技術を仕事に反映させることは、自社と社員双方の成長を促
     進する最良の策です。

  □組織の能力開発

   個人、職場、企業すべてに、より高い能力が求められる今日、個々の統合がさら
   に大きな能力となるよう、チームワークの重要性が注目されるようになってきた。

   職場全体の「組織能力」には、たんなる個人能力の寄せ集めではなく、各人の能
   力が有機的に統合されたものであることが要求されます。

   それを実現することで、組織的な業績の向上をめざすのです。

   職場という組織自体を活性化する教育方法は次のようにさまざまです。
    ・組織開発=OD(Organizational Development)

    ・全社的品質管理TQM(Total Quality Management)

    ・チームワーク形成(Team Building)

    ・感受性訓練(Sensitivity Training)

   これらの多くは、組織開発の主要な手法として海外の企業で多く取り入れられて
   いますが、日本企業ではおもにQC(Quality Control)サークルと称される「職場
   小集団活動」と「職場ぐるみ訓練(Family Training)」が実践されています。

   これらは職場全体での品質管理や教育を行い、全体で問題を提起し、解決し、発
   展していこうとするものです。

   こういった組織開発では、次の5つの過程を踏むことが一般的です。

    ・全員の討議によって、職場の問題点を明確にする

    ・問題の原因を全員で分析・診断する

    ・問題解決の目標とその手段を、全員によって決定する

    ・問題解決に向けて、全員の果たすべき役割を決定し、実行する

    ・実行結果に関し、全員で評価と検討を行う

   組織の団結した取り組みは、職場の人間関係の改善や業務のスムーズな運営を
   可能にします。

   さらに、個人能力の合計を上回る能力の発揮が期待できるのです。

  □能力開発のあるべき姿

   これまで述べてきたさまざまな教育法を組み合わせ、長期的視野で人材育成を
   図るものとしてCDP(Career Development Program)があります。

   これは、社員と会社がともに個人のキャリアアップに努める教育システムで、社員
   自身が自らの能力分析から目標設定、目標達成までの計画を策定し、社会や自
   社のニーズに合わせて自己の啓発に努め、企業はそれを支援します。

   CDPに代表されるように、会社の充実した教育支援と社員の自主的な能力開
   発、これらが効果的に整合して企業発展と個人の業務充実へと結びつくことが、
   社員教育体制のもっとも理想的なあり方です。

   能力開発は、最終的には社員個人の問題に帰着するものであり、自社における
   教育活動も、しょせんは社員の自己啓発を触発し、それを支援するものでしかあ
   りません。

   OJTやOff−JTも、最終的には個人が自発的・主体的に能力開発に取り組み、成
   長していく環境づくりといえます。

   理想的な能力開発とは、個人のキャリアアップとともに会社と個人それぞれが自
   らのニーズを満たしながらも、他方の目標へと歩み寄り、結果的には双方の目標
   を達成することです。

   互いの目標が近づけば近づくほど企業力と社員のモラールが向上するのです。

   <自己啓発による企業と個人の相互関係>

    このように、個人と会社双方による意識面・体制面からの能力開発の強化は、
    相互理解と活性化の促進や、大きな企業エネルギーの発動を実現することにな
    ります。

    中国古代の政治論集「管子」に、次のような言葉があります。

     一年の計は、穀を樹(う)うるに如くはなし
     十年の計は、木を樹うるに如くはなし
     百年の計は、人を樹うるに如くはなし

   この言葉を、自社の経営活動に当てはめてみてください。

   企業は一年の計を立てるため、十年の計を立てるため、その時々に設備投資や
   新製品開発などの対策を行います。

   しかし、百年の計を立てるのは人材です。

   人材を企業に根づかせ、育てていくことによって、企業の継続と繁栄が実現する
   のです。

   未来へと続く企業にとって、人への投資、人材の能力開発は、企業経営の重要な
   課題のひとつなのです。

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ヒューマンスキルとヒューマンエラー

           

ヒューマンスキルとヒューマンエラー

  ■ヒューマンスキルとヒューマンエラー
   ヒューマンスキルとは、「他者との良好な人間関係を構築・維持するために必要な
   能力や技術」のこと。
   対人関係能力とも言われており、業種・職種に関係なく、業務を遂行する上で
   求められる普遍的なスキルです。
   しかし常に念頭に置かなくてはならないのは、どんなにスキルを高めてもヒューマン
   エラーは必ず発生する
ということです。
   ヒューマンエラーとは人間の誤認識や誤動作によって引き起こされるミスのことを
   いいます。

   もちろん、「ヒューマンエラーを起こさない」という意識を持ち、また、さまざまな
   防止対策を講じることにより、ヒューマンエラーの発生をある程度防止することは可能
   です。
   しかし、人間は必ず何らかのミスを犯すため、ヒューマンエラーの発生を完全に防ぐ
   ことは不可能です。
   問題とされるべきは、ヒューマンエラーそのものではなく、ヒューマンエラーによって
   引き起こされる事故および損害への対応です。

   ここではミスを最小限に抑えるためのスキルアップについて解説します。

  コミュニケーション能力

   1.人づくりとコミュニケーション
     企業は、「環境適応業」である。

     目まぐるしく変化する社会・経済環境下にあって、経営の原理・原則を踏まえ
     ながら、的確にスピーディーに対応することが求められます。

     いくら過去の業績が良くとも、対応を誤ると変調をきたし、倒産軌道に足を踏
     み入れることにもなりかねない。

     そうならないための基本ストーリーは、自社の「勝てる場」をどこに置き直すか     
     (事業戦略の再設計)。  

     そして、その場で「勝てる条件」をどう整え直すか(経営戦略の再構築)です。

     どのような変更路線を描いたとしても、最後は顧客満足度をどれだけ高められ
     るかが決め手となるのです。

     これは不変の原則であり、どのような戦略も顧客満足の実現なくしては奏功し
     ない。

     その顧客満足度を現場でいかに高めることができるかは、社員の実行度に左
     右されます。

     したがって、環境変化の中で新たな顧客満足を追求するためには、社員のレ
     ベルアップをどのように図るかが重要なテーマとなります。

   2.「人をつくる」とは?
     自社の業績を向上させるために、社員の考え方や行動の習性をより高いレベ
     ルに変化させて、新たに定着させることを「人をつくる」と言います。

     そのためには、業績がどのようなプロセスを経てつくられているかを明らかに
     しておく必要があります。

     業績とは「成し遂げた仕事であり、その出来映え」である(広辞苑)。

     企業においては、売上げや利益、生産性、自己資本、品質や信用、ブランド
     どが挙げられます。

     いずれもその向上のためには、一過性の政策では太刀打ちできないものばか
     りです。

     会社の存続・発展にとって、重要な意味を持つ「業績」は一体、どのようなプロ
     セスでつくられるのでしょうか。

   3.KPIツリー
     前述した通り、短期、中・長期を問わず、社員1人ひとりが毎日実行した結果
     の集積が業績を生んでいることは間違いない。

     特に、顧客が自社の商品・サービスを評価してくれるか否かで好不調が決まる
     のです。

     つまり、ライバル他社に比べて自社の社員の実行度が勝っているかどうかが
     業績を左右する。

     では、社員の実行度は何で決まるのか?

     それは、社員1人ひとりの物の見方・考え方からくる「やる気」と「能力」が原因
     になっています。

     ロボットであればセットされるプログラムによって動きが決まるが、生身の人間
     は各人のヘッドワーク、ハートワークにより決まります。

     その物の見方や考え方は何から影響を受け、決まるのだでしょうか。

     これには大きく2つの経路がある。

     1つは社内からの影響であり、1つは社外からの影響、つまり各人が固有に
     持っている属性と環境変化によるものです。

     そして、社内にあってはどんなリーダーがどのようにリーダーシップを取り、ど
     んなメンバーとどのようなチームワークを展開するかで、各人の考えがコント
     ロールされる。

     しかし、社外からの影響因子が業績向上を阻害する状態を払拭できないまま
     では、期待する成果は生まれない。

     もちろん、より良きリーダーシップとチームワークが発揮されたとしても、その
     背景にある組織としての価値判断基準がピンボケであれば元も子もない。

     したがって、プロセスの根っ子にある理念・方針・社風などが「業績向上」に正
     しく、パワフルに備わっていなければならない(業績プロセス図D)。

     「戦略のミスは戦術・戦闘ではカバーできない」と言われるゆえんである。

   4.コミュニケーション
     偽装に代表される企業の社会的責任(CSR)が問われる事件が後を絶たな
     い。

     事件の発覚は、ほとんどが内部告発です。

     トップ自らの判断マヒは言語道断であるが、そうした醜態をさらすことはないこ
     とを大前提にして「業績プロセスツリー」を正しく育てるには、社内のコミュニ
     ケーション能力や風土を磨くことが欠かせません。

     「業績向上」という、テーマに対し、コミュニケーション向上策として整理すること
     で実行度を高めたい。

     「人間は心の中の文章記述を変えれば、考えや気持ちが変わる」という(論理
     療法)。

     経営リーダーとして、自分を変え、他人を変えるヒューマンスキルを磨くべく、コ 
     ミュニケーション能力に意を注いで自己啓発、相互啓発に取り組ましょう。

  □聞く力・見る力・伝える力
   「知彼知己、百戦不殆」(彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず:孫子の兵法)

   相手と自分を客観的に知ることが、良い成果につながると示唆している。

   言い換えれば、「的確な現状認識」がされなければ、どんな対策を打ってもピンボ
   ケになりかねないということ。

   部下・後輩を指導する時や、営業活動などの現場にあって、正しくコミュニケー
   ションを取りながら、相手に良い影響を与えるためにも、この現状認識は重要です。

   1.仮説と検証
     現状認識を的確に行い、物事の本質をつかみ、正しく判断すること。

     この大切さは、まさに「言うは易し、行うは難し」であり、実際には多くの困難が
     伴う。

     したがって、現実として「百戦、負けなし」とはなかなかうまくいかない。

     人の言動をもとに事実を整理し、真実に迫っていくためには、仮説を立てて検
     証していくことになる。

     そして、相手の思いや考えを知るためには会話を交わし、一歩一歩理解を深
     めて実態をつかまなければならないのです。

     それは最初に知り得た情報から一定の仮説を立て、Q&Aで検証することを
     意味する。

     検証レベルを上げるには、3つの力が必要となる。

     それが「聞く力」「見る力」、そして「伝える力」です。

   2.聞く(聴く)力
     「目は口ほどに物を言う」と言われるように、目は情報を発信できる。

     しかし、耳は受信オンリーの働きしかできない。

     それだけに十二分にその機能が発揮できるように「聞く力」を磨いてほしい。

     そのためのポイントは、次の3つです。

     @相手に話させる
       良質の情報入手につながるような内容を話してもらうこと。
       そのためには、自分が話しすぎないことが大切です。
       また、相手が答えやすい質問を投げ掛けることや、適度な相づちを
       打つことも必要。

     A本音をつかむ
       表面上の言葉の奥にある「本音」を聞き出すために、確認の言葉を
       投げ掛けたり、軽い質問をしたりすると良い。
       また、誘い水となるようなキーワードで相手に揺さぶりをかけることも有効
       です。

     B変化に気づく
       声の大きさや高さ、話すスピードなどの変化を機敏にキャッチすること。
       例えば、朝のあいさつであっても、悩みを持つ部下はいつもと異なる
       声のトーンになるものです。
       要は、相手に関心を持つことです。

   3.見る力
     「百聞は一見に如かず」である。「見る力」を鍛えることで、多くの情報を得られ
     る。

     そのポイントは、次の3つである。

     @空気を読む
      「空気が読めない人」と言われないように、大局的にその場の状況を
      見ること。
      5Sの状態や社員の動きなどから、職場の空気を読む。個人が醸し
      出す雰囲気に着眼する。

     A表情を見る
      「目力」という言い方があるように、気力の充実状態は目に表れる。
      キョロキョロと目が動くのは、心が定まっていない証拠と言える。
      正しい目や涼しい目、濁った目、優しい目、厳しい目といろいろな
      シグナルが発せられる。合わせて表情全般の特徴や変化を見抜く。

     B行動・態度を見る
      「ボディーランゲージ」と言うように、言葉で語らなくとも人の行動・態度
      が雄弁に物語っていることは多い。
      例えば、目を合わせない、斜に構える、腕組みをする(拒絶や自己
      保身のポーズ)、服装の乱れ、遅刻が増える、ソワソワするなど。
      このような兆候をしっかりと見抜くこと。

   4.伝える力
     「聞く力」「見る力」を駆使して、個人や集団とコミュニケーションを取って相手に
     影響を及ぼし、考え方と行動を変えることが求められるのです。

     現状認識を行いながら、こちらの思いや、判断基準をタイムリーに浸透させて
     いくためには、「伝える力」が重要になります。

     伝える媒体としては、声・文書・表情・態度が主なものである。

     さらにツールとして、肉声・電話・紙・メール・対話・講演・日常行動などが
              あります。

     限られた時間の中で、いかに信頼関係を得られるか、相手の立場や状況を思

     いやる精神作用が大前提です。

  □対応力のスキルアップ
   良い成果を得るためには「対応力」を磨く必要がある。

   自分の言葉や声、態度をどう改善するかということになります。

   もちろん、相手は十人十色、個人と集団の違いなど、さまざまな課題があり、一筋
   縄ではうまくいきません。

   「時」「所」「場合」により、対応を変えることも大切です。

   結局は、基本的なことをマスターした上で、臨機応変に使えるようにすることです。

   「言葉」「声」「態度」の3要素でコミュニケーション効果の測定を行うと、伝達効果
   のウエートは言葉だけだと7%にすぎない。

   これに声と態度が加わることで93%となる。

   具体的に伝達力のスキルアップを図るためのポイントを整理します。

   1.言葉選び
     言葉の持つ伝達効果はあまりにも小さい。

     だからと言って、言葉の重要度が低いということではなく、それだけ言葉
     選びには工夫が求められるということだ。

     小さな組織や、毎日のようにコミュニケーションが取れる職場であれば、
     声や態度で肉迫することが最も意を伝えやすい。

     しかし、現実にはそう密着もできないのが経営現場の実態でしょう。

     だから、言葉の持つ力を知り、工夫して活用して達意力を高めるべきです。

     結論を言えば、「短く、分かりやすい言葉や文章で、伝えたい中身(本質)
     を表現し、記憶に残るようにする」ことです。

     政治の世界に数多くあるが、例えばアメリカのリンカーン元大統領の
     「人民の、人民による、人民のための政治」や、 J・F・ケネディー元大統領
     の「国家が何をしてくれるかでなく、国家に対して何をなすべきかを考えよう」
     などが例である。

     また、日本では小泉純一郎元首相の「改革なくして成長なし」「郵政民営化」
     「殺されてもやる!」なども傑出している。

     経営の世界も理屈は全く同じ。

     しかし政治と違って、単なるアジテーション(扇動)で終わらせないことが大事で
     ある。

     したがって、次のような例が参考になる。
      ・顧客志向を社内に浸透させるために
       「売り場」 → 「買い場」、「販売員」 → 「相談員」、「売上高」 →
       「奉仕高」、「利益」 → 「満足実現高」などと表現を変える。

      ・接客サービス向上のために
       「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」(顧客に対して)、「イキイキ・ノビノビ・
       ワクワク」(社内の処遇制度づくり)などのスローガンを掲げる。

      ・目標数字への士気高揚のために
       「目標は責任数字」 → 「目標は自己成長のモノサシ」と言い換える。

   2.声の調整
     同じ言葉を使っても、声の出し方によってコミュニケーション効果は大きく変わ
     る。

     と言うのも、声にはさまざまなバリエーションがあり、ある時は大きく、ある時は
     微妙に伝わり方が変わるからです。

     声のバリエーションとしては、「音色」「大小」「強弱」「高低」「抑揚」
     「テンポ」「アクセント」などがあります。

      @音色
        耳触りの良い音色は受け入れやすい。
        しゃがれ声、金切り声などに注意する。

      A大小、強弱、高低
        相手が集団か個人か、重要度や内容などTPOに応じて変える。
        あえて小声で話すと相手の注意を喚起できる。
        高すぎると敬遠され、低すぎると聞き取りにくい。

      B抑揚、テンポ、アクセント
        緩急自在に変化させることで浸透度が上がる。
        一本調子では眠くなる。
        アクセントでメリハリをつける。
        方言や訛りに注意しながらも、積極的に活かす取り組みをする。

   3.態度の工夫
     いわゆるボティーランゲージです。

     表情や服装、身ぶり、手ぶり、姿勢などを工夫します。

     トップクラスの営業担当者には、笑顔と基本動作で相手を魅了する人が多い。

     さわやかな笑顔を見て気分を悪くする人はほとんどいない。

     TPOに合わせて嫌味のない自然体で、自らをコントロールできるように訓練す
     ること。

     喜怒哀楽の感情表現や視覚情報を付け加えることで、言葉や声以上に大きな
     影響を及ぼすことができる。

     ロボットのようなワンパターンにならないように注意したい。

   4.応酬話法を知る
     対話形式を取る中で、達意力を高めていくためのスキルアップに欠かせないも
     のに「応酬話法」がある。

     これは元来、営業活動の世界で語られるテクニックです。

     言葉や声、態度を総動員しながら、話法として正しく体得すれば極めて有用な
     ものとなる。

     具体的には、次の7種類からなる。
      @YES-YES法
       「おっしゃる通りです。
       だからこそ、この機会に…」とリズムアップさせる。
       相手の考えや主張を認めることが次のステップにつながるため、
       同意を得やすい。

      AYES-BUT法
       「おっしゃる通りです。しかし、このケースは…」といったん認めてから、
       違いを提示する。
       頭ごなしの否定ではないので、相手の抵抗が和らぐ。
       したがって、反対意見であっても受け入れられやすくなる。
       いつも否定から入る人は「心の架け橋」が築けないままになる。

      B質問法
       「と、おっしゃいますと?」「おっしゃる意味がよく分かりません」と反対
       理由の真意をつかむように聞く。
       仮説的に「こういうことを気にしているんですね?」と投げ掛けても良い。
       「なぜ?」と聞くよりも答えてもらいやすい。

      C聞き流し法
       相手の発言に取り合わずに話を進める。
       ただし、これは相手の発言内容がない時であり、本質的、真剣な
       場合はシッカリと受け止める。
       熱心に対応していないと相手ともめることにもなりかねない。

      D資料転換法
       資料などで注意を振り向け、会話の転換を図って説得効果を高める。
       話が堂々めぐりになったり、対話が途絶えたりした時に有効。

      E例話法
       「こんなケースがありました」というように、事例を紹介しながら理解を促す。
       相手にピタリとくる身近な例が望ましい。

      F正面撃退法
       「とんでもないです」と理不尽な指摘に対してキッパリと否定する。
       その上で、根拠を明快に示す。
       真剣な目力、表情が必要だ。
       これらの話法は、相手が上司か部下かを問わずに活用できる。
       上司に対しては「意見具申」、部下に対しては「指導」という達意力を
       補強してくれる。
       ただし、「生兵法は大ケガのもと」とならないよう、真摯な姿勢と誠実な
       関心を最優先していただきたい。

  メンタルヘルス
   近年、精神面でのストレスを理由とするメンタルヘルス問題が増加傾向にあります。

   前項で述べた「業績プロセス」の体系にも示した通り、社内外の影響が個人のも 
   のの見方・考え方に作用する中、「ストレス→メンタル不全」という流れを生むケー
   スが増えています。

   一般的に、社内においては同様の影響因子、例えば業務の忙しさや難しさ、人間
   関係の変化などであっても、ストレスの発生度合いは各人ごとに異なる。

   それは、社員1人ひとりの属性の違いにもよるが、まさに十人十色ではた目から
   はなかなか分かりにくい。

   場合によっては、当人も気づかないまま、身体面や行動面に変調を来たして初め
   て認知されることもままある。

   これからは、メンタルヘルスに対応するスキルアップについて考えたい。

   1.ストレス耐性
     ストレスの原因を「ストレッサー」と呼ぶが、同じストレッサーであっても、はね
     飛ばす人もいれば、大きく心に歪みが生じる人もいる。

     前者はストレスへの耐性が高く、後者はストレス耐性が低いと言える。

     「性格パターン」で見ると、ストレス耐性の高い人には「強い性格」「ネアカな性
     格」「大雑把な性格」「淡白な性格」などが当てはまる。

     一方、ストレス耐性の低い人には「弱い性格」「ネクラな性格」「几帳面な性格」
     「執着する性格」などが当てはまる。

     ところが難しいのは、「逆もまた真なり」で、あまりにも大きなストレッサーに
     遭遇すると、もともと強い性格の人がメンタル不全に見舞われることもある。

     いわゆる次の「Aタイプ」の行動パターンを持った人だ。

      <Aタイプの行動パターン>
       @競争心が人一倍強く、負けず嫌い
       A目標を自ら決めて突き進む
       Bさまざまなことに興味を持ち、挑戦する
       C短時間で業務を行おうとする
       D承認欲求が強く、周りの目が気になる

     このタイプの人は、もともと大きなストレスをバネに前進して、上昇エネルギー
     へと変えている。

     しかし、それが成果として達成されない時には、いわゆる「燃え尽き症候群」と
     化すことが多い。

     また、狭心症や心筋梗塞などの疾患にかかりやすいのも、このタイプの特徴と
     される。

     このようにストレス耐性とストレッサーのさまざまな組み合わせがある中で、職
     場のメンタルヘルスが問題となってくる。

     問題が起きた時に、不全を起こした人をサポートする役割を担うのが上司や
     先輩、同僚です。

     なかでも上司の役割は大きい。

     その上、上司自身が部下のストレッサーになる可能性は極めて高い。

     職場の活性化を図るために、上司のハートとスキルを磨くことが求められる。

   2.ブロッキング
     部下(相手)との心の交流を促進しながら、相手がストレスをうまくコントロール
     できるように支援することが大切です。

     しかし、現実には良きコミュニケーションを阻害しかねないことが存在する。

     「ブロッキング」の意味は、相手(話し手)の言葉や意識をさえぎるコミュニケー
     ションの取り方であり、次のようなことを指します。

      <ブロッキング>
       @自分の考えと異なると、それを言いたくなる
       A相手の価値観に反論したくなる
       B相手の価値観と同じだと、賛同したくなる
       C相手が全然分かっていないことを言うと、指導したくなる
       D興味や関心のあることは、深く聞きたくなる
       E興味からいろいろと質問したくなる
       Fハッキリしない態度に対しては、イライラする気持ちが起こる
       G相手の話しぶりから、勝手なイメージをつくり上げてしまう
       H自分の体験と似た話には、自分の感情がわき起こってしまう
       I言葉や態度、表情など、1つのことにとらわれて、他のポイントを
         とらえられない
       J言葉を言い換えて確認したくなる
       Kシナリオを持ってかかわってしまう
       L判断や方向性を誘導したくなる
       M別の用事が気になってしまう
       N初めのポイントにとらわれると、気持ちの変化についていけない
       O次に話すことを考えてしまう

     日常の指導や説得活動を通じ、これらのブロッキングが習慣となりがちです。

     しかし、メンタルヘルス上の課題を抱えた相手とのコミュニケーションでは要注
     意である。

   3.カウンセリング・スキル
     「カウンセリング」領域の確立に大きく貢献した、アメリカの心理学者カール・ロ
     ジャーズ氏の言葉に「人生の専門家は、その人自身である」というものがあ
     る。

     当人の考えを尊重し、当人の可能性を引き出すようなコミュニケーションスキ
     ルの大切さを教えてくれている。

     「ブロッキング」のクセから脱却し、正しいカウンセリング・スキルを身につける
     には、ロジャーズ氏の唱えた「傾聴」が役立つ。

     これは、相手が右か左かを簡単に答えが出せない岐路に立っているような場
     合に、真摯な態度で相手の言葉に耳を傾け、相談に乗ること。

     悩みが高じて、大きなストレスになっているケースです。

     いずれの選択が正解か、一般論ではなく当人の固有の課題として、当人固有
     の対処が求められる。

     まさに「人生の専門家は、その人自身」との考えが求められるのです。

     周りは、当人が自己責任でより正しい意思決定ができるように支援し、ストレス
     から解放されることを目指すものです。

     そのような良き相談相手となる「傾聴」をうまく進めていくには、3つの力、すな
     わち「共感力」「肯定力」「本音力」が必要となる。

     具体的には次の通りです。
      @共感力
       まるで自分自身のことのように、相手の感じていることを共有すること。
       つまり相手の心理状態になり切って相手の言葉を復唱する。
       例えば、「会社を辞めようと思っている」と言われれば、「辞めたいと
       思っているんだね」。
       「仕事が面白くないんです」と言われれば、「仕事が面白くないんだね」
       といったようにドンドン共感、共有するようにする。

      A肯定力
       自分の経験などから否定したくなっても、ひたすら温かく、無条件に
       肯定して話をさえぎらないようにする。
       そうすることで、新たな事実が出てくるケースが多い。

      B本音力
       あまりに理不尽だと思えることには、「理解できない」と本音で思いを
       伝えることも必要です。
       共感、肯定しつつ対話を進めるが、決して迎合はしない。
       自分自身の感じ方を素直に相手に語るのです。
       共感した状態の中で、モデル的に良き影響を与え、相手に自身の
       理不尽さを気づかせることになります。
       上司のカウンセリングマインドが豊かだと、部下の疲労やうつ傾向は
       少ない。
       上司としてしっかりと、自己改革を行っていただきたい。


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代表的な人材育成手法

          

人材育成の代表例

  ■代表的な人材育成手法

   人材育成の代表的な手法には、

   「OJT(On the Job Training)」、「OFF−JT(Off the JobTraining)」、「自己
   啓発」があります。

   OJTとは上司や先輩社員が実際の仕事を通じて必要な技術、能力、知識などを
   身につけさせる教育訓練のことです。

   職場のミーティングや朝礼などもOJTの一種です。

   
   OFF-JTとは日々の業務を離れて行う訓練のことで、代表的なものが自社内で集合
   教育を行うこと、外部の教育機関が主催するセミナーに参加させることなどです。

   また、長期的な視点で他企業や研究機関などに出向させることなどがあります。

   自己啓発とは社員が自分の能力を高めるために自主的に行う学習のことです。

   あくまで社員の自主性次第ですが、会社としてはその自主性を引き出すための雰
   囲気作り、きっかけ作りなどの工夫が必要になります。

   人材育成においては、これらの3つの手法を上手に組み合わせて総合的に行っ
   ていくことが重要になります。
     
  OJT

   OJTは「仕事を教える」ことではない

   1.長期的・計画的な視点が必要

     上記で紹介した3つの手法のうち、OJTについてはすべての会社において業
     務遂行のプロセスを通じて日々実践されているといってよいでしょう。

     「教え上手」な上司や先輩に恵まれた部下は、それだけ順調に育っていくこと
     が期待できます。 

     OJTを効果的に行ううえで忘れてはならないのは、
       個々の社員のどんな能力を、いつまでに、どの程度高めるのか
     という長期的・計画的な視点をもつことです。

     OJTは日々の業務を通じて行われるため、教える側は「目の前の業務の仕
     方」を教えることにどうしても目がいきがちです。

     もちろんこのこと自体は重要なのですが、それが社員のどのような能力向上に
     つながるのかを確認しながら進める必要があります。

     具体的には、以下のような手順で進めます。

     (1)自社の業務に必要な能力と程度を明らかにする

       現所属部門の業務範囲内だけではなく、全社レベルで考えることが大切。

       また現時点だけではなく、自社の将来に必要になる能力も抽出します。

     (2)部下の能力・志向性を把握する

       上記の能力について、現時点での部下の保有度合いや本人の将来的な成
       長の志向性を把握します。

     (3)育成方針を決定する

       必要な能力をどのように身につけさせるかについての方針を決定します。

       幹部候補生に幅広い能力を身につけさせるためには、部門を越えたロー
       テーションなども検討します。

     (4)育成計画を策定する

       育成方針にしたがって、今期末までにどのような能力をどの程度まで高め
       るか、誰がどのようにOJTを行うかなど、より具体的な育成計画に落とし込
       みます。

     (5)計画に基づくOJTを実施する

       部下に逐一細かい指示をするのではなく、部下本人にできるだけ自分で考
       えさせることが重要です。

     (6)定期的に進捗状況を確認する

       半期ごとなど適切なタイミングで進捗状況を確認し、計画未達成の場合に
       はOJTを行う側、受ける側双方についてその原因と対策を明らかにする。

     このように効果的なOJTを行うためには、

      日々のOJTの積み重ねが「結果として」能力向上に結びつくのではなく、
      能力向上を第一義として、そのためにはどのようなOJTが必要か

     という視点をもつことが重要です。

   2.OJTだけでは限界がある

     仮に最適なOJTが行われたとしても、OJTにはいくつかの限界があります。

     ひとつは、OJTで受け継がれるのは、先輩社員の考え方、知識やノウハウだ
     けであり、それ以上の効果は期待しにくいということです。

     たとえば、上司は自分がまったく知らない分野の専門知識や自分がまだ身に
     つけていないノウハウなどを部下に教えることは決してできません。

     また、「最近どのような消費者ニーズが高まっているか」といった目先の業務
     遂行とは少し離れたことについては、OJTの教育テーマには向いていません。

     さらにOJTには「幅広い分野を体系的に教える」ことには不向きであるという弱
     点もあります。

     たとえば、「新入社員」が一人前の「若手社員」になるためにはどのような要件
     があるか、「管理職」になるための要件は何かということなどについては、上司
     自身によるバイアスが強くかかる可能性があります。

     このようなテーマについては、会社全体としての統一した基準のもと教育して
     いく必要があります。
    
  □OFF-JT

   全社員の成長の方向性を示すOFF-JT

   1.軽視されがちなOFF-JT

     OFF-JTはその名前のとおり、日々の業務を離れて行うものです。

     形態としては社内での集合研修、外部機関の主催するセミナーへの参加など
     があります。

     OJTと違って目先の業務遂行に直接には結びつかないことや、プログラム作
     成の手間や外部機関へ支払う費用などがネックになり、企業によってはOFF- 
      JTをほとんど行っていないこともあります。

     しかしながら、上記のとおりOJTだけによる教育には限界があります。

     また、OFF-JTは「階層別教育(後述)」などを通じて、「社員にこのようなステッ
     プを積んで成長して欲しい」という会社全体としての意思を示す場でもある。

     受講する社員にとっても会社が必要とする能力のなかで、自分に不足してい
     る部分を確認できるというメリットがあります。

     社員全体のレベルを底上げし、さらに会社のあるべき姿に向けて社員の成長
     を促進していくためにも、OFF-JTは軽視すべきではありません。

   2.0FF−JTの分類

     OFF-JTの内容としては、大きく分けて「階層別教育」「職能別教育」「課題別教
     育」があげられます。

     (1)階層別教育

       新入社員から経営幹部に至るまでのすべての階層の社員に対し、それぞ
       れのレベルに合わせて実施する教育が階層別教育です。

       それぞれの階層ごとに必要な能力を身につけさせることがおもな目的で
       す。

       特に昇進したばかりの社員に対して、その役職に応じた研修を行うのが効
       果的です。

     (2)職能別教育

       同じ業種を担当する者を集めて行う教育を「職能別教育」といいます。

       代表的なものとしては、
        「技術職教育」「営業職教育」「事務職教育」

       などがあげられます。

       さらに「技術者上級」、「技術者中級」などの専門能力に応じて研修を行う場
       合もあります。

     (3)課題別教育

       その時々の企業の戦略やプロジェクトの遂行に必要な要員の養成が目的
       です。

       たとえば、新規事業に進出する場合に、当該分野の知識を新規事業に関
       わるメンバー全員が学ぶことなどがあげられます。
    
  □自己啓発

   自己啓発には危機感が必要です。

   自己啓発はOJTやOFF-JTとは異なり、社員自らの意志で取り組むものです。

   そのため、自己啓発を促進するためのもっとも重要なポイントは、

    社員自身に自分がどんな人材に育ちたいのかを真剣に考えさせる

   ことにあります。

   たとえば、社員に3年後のめざすべき姿について考えさせます。

   現在営業マンとして活躍している社員は、「自ら営業部隊をマネジメントしたい」と
   いう目標をもつかもしれません。

   また、すでに管理者としての地位にある人は、「幹部として経営に関わりたい」とさ
   らなる成長の必要性を認識することもあるでしょう。

   このように「会社から勉強しろ」といわれたから仕方なくやるのではなく、「自分の
   めざすべき姿に近づくためには自己啓発は絶対に必要である」という危機感を社
   員自身にもたせることが重要なのです。

   自己啓発を促進するために「資格取得講座受講費用援助」などの金銭的支援を
   行っている会社はたくさんあります。

   もちろんこれらの支援も必要ですが、もっとも重要なのは、

    自己啓発への最大の原動力となる「成長への危機感」をいかにもたせることが
    できるか

   という点であるといえるでしょう。

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人材育成プログラム

            

人材育成プログラム


  ■教育訓練の基本的な考え方

   教育訓練とは、「役職・勤続年数・職種などに応じて、企業が社員に期待する能力
   レベルを定め、社員がそれをクリアできるように設計した一連の教育訓練」のこと
   です。

   教育訓練による社員の能力向上と戦力化は企業の重要な経営課題です。

   特に人材不足が深刻な中小企業は、人材開発に力を注ぎ、全体の能力底上げと
   新入社員の早期戦力化を図る必要があります。

  □中小企業が実施している人材開発・教育・研修の手法
   中小企業がどのような人材開発を行っているのかについて、関連するデータを見
   ていきましょう。

   集合研修だけでなく、社(職)員が個人単位で行うことも多く、多様な教育手法が
   取り入れられていることが分かります。

   また、人材開発の目標と直面している問題には、リーダーや管理職などの現場の

   マネジメントを担う人材の育成を目標としているものの、育成がうまくいっておらず
   問題を抱えていることがうかがえます。

   最近は、働き方の多様化や職場のコミュニケーション不足などから、世代間の就

   意識のギャップが顕著になっているといわれます。

   こうした中、特に管理職に対して、異なる意見を持つ人材をうまく取りまとめるマネ
   ジメント力やコミュニケーションカを期待する企業が増えている。

  □企業規模による人材開発の違いと中小企業の課題

   1.大企業と中小企業の教育訓練の主な違い
     
人材開発の基本的な考え方やこれに期待する効果など基本的なところは、大
     企業も中小企業も大きく変わりません。

     人材開発の手法としてOJT(職場内訓練)やOff JT(職場外訓練)が確立され
     ており、大企業も中小企業もこれらを組み合わせて人材開発を進めています。

     ただし、大企業と中小企業では、職務分掌の体制、人材開発に投入できる人

     材・時間・コストなどが異なるため、人材開発の内容に違いが生じています。

     教育訓練(人材開発)は、社員が入社してから退職するまでの間、計画的に実
     施されます。

     とはいえ、中小企業の職務分掌は大企業に比べてシンプルであることに加え

     て、人材開発に投入できる人材・時間・コストなども限られています。

     そのため、中小企業の中には体系的な人材開発を実施していなかったり、一

     通りの新人教育を行った後は、OJTを中心とした人材開発が進められたりする
     ことが少なくありません。

     また、複数の人材開発のコースを整備しているケースは少なく、役職別・職種

     別に求められる能力については、必要に応じて外部教育機関の研修などを活
     用しているのが実情です。

   2.教育担当者の育成が課題
     中小企業の人材開発では、教育担当者の役割が非常に重要になります。

     しかし、最近はOJTなどを行う課長などの教育担当者がプレイングマネジャー
     となっており、人材開発に十分な時間を割くことができないなどの理由から、教
     育担当者の人数と能力の不足が課題となっています。

     また、いわゆる不景気時に採用された「就職氷河期」の世代に当たる人たち

     は、後輩がゼロや少ないといった環境でキャリアを積んできたことから、あまり
     後輩を指導した経験が無いという人もいます。

     そうした人が、年次を経ていきなり部下を任されるといった状況に置かれて指

     導方法に困るということがあるようです。

     厚生労働省「平成27年度能力開発基本調査」においても、全体の71.6%の
     事業所が「人材育成に問題がある」と回答しています。

     「指導する人材が不足している」とする回答が53.5%と半数を超えており、教
     担当者の人材の不足は早急に解決すべき重大な課題となっています。

     例えば、人材開発のスタートとなる新人教育では、入社後の早い段階で企業

     への帰属意識や就業意識を十分に教育することで定着率を高め、前向きな就
     業姿勢を引き出すことが求められます。

     新人の動機付けは教育担当者の役割ですが、教育担当者が忙しさにかまけ

     て十分にコミュニケーションを取れなかったり、そもそも人を教育する資質が不
     足していたりすると、新人教育がうまくいかず、最悪の場合はせっかく採用した
     新人が早期離職してしまうこともあります。

     そこで、社内では教育担当者同士の意見交換会を開催する他、外部教育機

     関の研修なども積極的に活用することを検討しましょう。

   最近は、教育を受ける社員の精神的なフォローを行うためのメンター制度を導入

   する中小企業が増えているようです。メンター制度とは、直属の上司とは別の社
   員がメンターとなって、教育を受ける社員の相談相手になることです。

   他の部門の社員をメンターにすることが難しい場合は、同じ部門の中で教育を受
   ける社員と年齢が近い社員をメンターにすると相談しやすくなります。

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経営幹部の育成

          

経営幹部の育成

 

  ■幹部育成の問題点

   経営課題のアンケートをとると、相変わらず上位にくるのが幹部育成です。

   社長は幹部に何を期待しているのだろうか。

   アンケート結果より抜粋すると、

    ・とにかく業績目標を達成してほしい

    ・しっかりトップを補佐してほしい

    ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい

    ・若手人材の育成をしてほしい

    ・社員のモデルにふさわしい人物になってほしい 等。

   また、社内における幹部教育は、

    ・経営会議、幹部会議などを通じてのトップ自らの実地指導(OJT)

    ・企業内で企画された社内層別研修

    ・外部の研修機関への集合教育派遣

    ・幹部自らの自己啓発

   が組み合わされて実施されています。

  □経営幹部の育成方法

   厳しい環境下で、企業も「勝ち残り」、「合併」、「廃業」、「倒産」といった
   四者択一に迫られています。

   それと同時に新しいビジネスチャンスも増えています。

   社長も、社員もプロだけが生き残り勝ち残る時代でもあるのです。

   プロはどんな環境におかれようと的確に、タイムリーに対応できる人であり、経営
   の定石を身につけ、正しい判断力と、スピーディな行動力を身についていることが
   要求されます。

   経営幹部(取締役)の育成方法には大きく分けて3ある。

    1.集合研修(経営幹部向け外部研修、役員養成研修等)Off-JT
    2.OJT
    3.自己啓発

   1.経営幹部としての認識
     (1)大変な激務である(勤務時間が長い)
       心身とも強健でないとつとまらない

     (2)仕事の質が高度、“判断”の連続である。
       困難をテキパキ処理する能力が要求される。

     (3)会う人の層が大きく変わる。
       ピンチに強く、楽しみながら仕事をするという心身のタフネスが経営幹部に
       は必要。

   2.経営幹部の条件
    (1)経営幹部に選ばれる人
       @過去の実績
         経営幹部になる為には中堅幹部時代に相当の実績をあげそれが
         評価されなくてはなれない。
         だから実績を上げる為には、販売、生産、財務、労務等いずかの
         部門について相当の知識と経験を持っている人であること。

       A勤勉である
         たゆまず勤勉に働くことが好きな人であること。
         家庭や遊びを犠牲にしても働こうという情熱や意志を持っている
         人でなければ経営幹部は務まらない。
         普通の人の3〜4倍は勉強し、精通する人である。

       B誠実であること
         ウソをつかない。
         会社に対して、仕事に対して、自分自身に対して、他人に対して
         誠実であること。

       C公私混同しない
         特に若くして経営幹部になると、公私混同が激しくなる。
         タクシー乗り放題、飲み代で会社に請求書をまわす。
         つまり権限を乱用して、公私混同する。
         その様な人はやがては部門や会社を、いずれは自分を破滅に
         追い込む。

       D報告グセをもっていること
         “報連相打の徹底”とはよく言われることだが、徹底の意味を理解
         していない。
         徹底とは、
          a 正確に
          b マイナス問題(悪いこと)から
          c スピーディーに
         の3原則をいう。
         「任されたら報告せよ」とはビジネスの基本ルールの1つである。
         特に経営幹部は自分で決裁しました、と必ず報告する習慣を身に
         つけること。

       E口が堅いこと
         経営幹部には企業の秘密にかかわる事が大変多くなる。
         これらを社内外の人に漏洩してはいけない、要は「口が堅いこと」。
         日常もそうであるが、酒を飲むとポロリと機密を漏らすような人も困る。
         酒グセが悪いかどうかも重要なポイント。

       F健康であること
         体の弱い人に経営幹部の激務は務まらない日頃から健康管理に
         気をつける人だ。
         年に2回は人間ドックを受ける。適度な運動バランスのとれた食事。
         嫌なことを忘れ熟睡する。
         入浴で疲れをとる。
         それらの根底には、生かされている=感謝・報恩の精神が必要である。

    (2)意欲、能力、人間関係
       経営がうまくいくか、どうかは次の3つの要素如何である。
        @問題を解決しようとする意欲
        A問題を解決する能力
        Bその問題に関連を持つ人々とうまくやっていく能力

       大事なのは意欲であり、経営幹部がその仕事を達成したいという意欲と情
       熱をもっていればそれが部下や周囲の人に伝わって、人を動かし協力させ
       ることが出来る。

       その場合大事なことはBの部下や関連する人とうまくやっていく能力。

       部下を萎縮させたり、部下の自主性を失わせてはいけない。

       また、部下の能力向上を図ってやれないなど、この様な部下のヤル気を損
       う様な経営幹部であってはならない。

   3.経営幹部の自己啓発
     前述したとおり、経営幹部の育成法(レベルアップ)は大きく3つあるが、経営
     幹部には激変する環境の中で自ら変化に対応して行こうとする意欲と情熱(努
     力)を持ち、新しい企業づくりに果敢に挑戦することが要求される。

     「昨日よりも今日、今日よりも明日へと能力を高めよう。すべてが豊かになる為
     に!」

     その為には自ら勉強して行かねばならない。

     (1)社外に友人を持つ
       同じ悩みをわかりあえ、情報を交換しあえる他社の経営幹部を友人にもつ
       のがよい。

       経営幹部向け外部研修等で、一諸に学んだ人達が生涯の友としてつき
       合っているケースは以外に多い。

       悩み事の相談から商売についての情報交換等、問題解決のヒントになるこ
       とが多い。

       友を選ぶことは器を大きくする上で大事なことである。

     (2)出合いを大切にする。
       ある人は結婚式や宴会、会合で同じテーブルの人と名刺交換をし、隣席の
       人に話しかける。

       我々の出会いはちょっとしたキッカケで始める。

       人との出会いがよいことが起こる原因になるか、その場かぎりのものに終
       わるか、当人の心がけ次第である。

       出会いを大切にし、そして新しい友人づくりを心がけて頂きたい。

       人間関係の量と質が経営幹部の成長を左右する。

        小人は縁に会って、縁に気づかず、中人は縁に会って、縁を活かせず、
        大人は袖刷りあう縁をも大きく活かす(柳生家の家訓)

     (3)本から学ぶ
       「人間とはその人の性格にあった事件に出会う」

       人生は出会いである。「会う人我以外皆師匠」と言われるが、前項(2)の他
       に、我々は本との出会いによって道が開かれその人の方向が決まったりし
       ます。

       情報過多の時代であっても、インタネット、ホームページ等通信手段も変化
       している時代、古典や名文と言われる書物は永遠にすたれない。

       論語や三国志、太閤記や家康など経営者としての決断のよりどころになる
       ものを古典から学んでおくことは重要である。

       毎年多くの新刊本がだされる世界1の出版国だが、いずれを選択しよう
       が、経営幹部は本を読む習慣をつけ、日々啓発を続けていただきたい。

       過去には、日本人はエコノミックアニマルと言われ、商売の話しかできない
       といわれたことがある。

       今や、名実とものグローバル社会をむかえ、日本を愛し、日本人としての
       誇りを持ちつつ、相手を認める心の広さを併せ持った真の国際人が望まれる。

   

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効果を発揮する人材育成

          

効果を発揮する人材育成


 ■今だからこそ人材育成が重要

  先行きが不透明で厳しい経営環境にあっても、社長の人材育成への意識は、どの会社も
  高い。

  特に、幹部・次世代リーダー(中堅幹部)の育成強化について必要性を感じている
  社長が多いのが実態です。

  しかし、人材を育てなければならないと分かっていながら育てることのできない企業は
  とても多いのです。

  では、なぜ人材を育て切れないのだろうか。

  その原因は以下の点です。
   @「育てろと指示しているんだが…」と、トップ・幹部の育成責任への関与が弱い

   Aどの階層も、人を育てることが自分の役割という認識が薄い

   Bどういう人材に育てたいかという、あるべき姿(理想の人物像)がない

   C自分さえよければいい、他人のことは二の次という意識が強い

   D互いに教え合い、学び合うという文化が途切れてしまっている(ベテランと
    若手のコミュニケーションレベルが浅い)


 ■社内の教育環境整備

  1.方針・計画の明確化
   (1)労務方針
     人は環境の動物でり、その特性は環境に左右されるところが大きい。

     人材育成がうまくいかない理由の多くは「人が育つ環境になっていない」こと
     です。

     その環境を整備するうえで、まず手をつけなければいけないところが、この
     労務方針づくりである。

     トップのポリシーや従業員への考え方、どういう社員になってほしいか、また
     どういう人間になってほしいか、どういった能力を身に付けてもらいたいか、
     など人に関して示すべきテーマは多い。

     そして、そういったテーマを実現していくために、会社として何に取り組んで
     いき、そして取り組むべきなのか、これを明確化しておく必要がある。

     営業戦略はきめ細かく立てるが、人材戦略はほとんどの企業が作成してい
     ない。

     これでは人が育つわけがなく、ましてや方針が定まっていない状態で、ISO
     などの導入より、形ばかりの教育訓練計画を作成しても全く意味がない。

   (2)人材育成計画

     労務方針という柱が決まったら、今度はどのように育てていくかを決める。

     「質」の向上のために何をすべきか、適切な「量」とするためには何をすべきか、
     を考える。

     次に職種別、階層別に検討する。

     必要なスキルは何か、何を伸ばしていくべきか、何を補っていくべきか、など
     検討する際には、労務部門だけでなく各部門の責任者、トップを交えた
     会議を実施します。

     多くの会社では固有技術(セールステクニック、原価管理、工程管理、簿記
     会計知識など)となっているが、思考技術、文書作成能力、リーダーシップ、
     コミュニケーション能力などの社会技術に属する能力の向上も当然、視野に
     入れておかなければなりません。

     中堅、若手社員の多くは「マニュアル頼り」的なところが多く、自ら考えて
     行動することや突発的なことへの対応が苦手のようです。

     またベテラン社員は相手に分かる言葉で、相手の視点で話すことが苦手です。

     こうした点の克服なしに、チームで仕事をして成果を上げることは困難と
     なります。

   (3)教育予算の計上

     教育予算の目安は人件費の5%であるが、「これまで一切教育を実施して
     こなかった」、もしくは「一部の社員しか対象にしていなかった」などの会社
     であれば、当面は10%を目標とすべきである。

     ライバルとの差は「組織」と「人」でしかつかないと言われる通り、良い施策
     を実施するのも、良い商品をお客さまに認めてもらえるのも社員の行動次第です。

     会社業績の良し悪しを決めるのもまた、社員の質次第。

     コストと思っているうちは効果が出ません。

     教育予算はあくまでも投資であり、元を取るため、効果を倍にしていくために
     どうすればよいのかを考えていくことが必要である。

  2.労務制度の整備

   (1)能力主義
     能力主義とは「能力の高い人」を評価するだけでは失敗する。「能力を高める
     姿勢のある人」「業績向上のための能力を発揮できる人」「やればできる、
     ではなく常にやっている人」を評価する仕組みとする。

     制度を難しくする必要はありません。

     自社の理想の社員像を明確にしていれば、それを基準にして何ができることが
     望ましいのか、何を実施している人が業績の貢献度が高いのか、を評価基準に
     盛り込めばよいのです。

     その社員の能力向上に関して、総務部門や人事部門が責任を取るのではなく、
     管理部門の役割は、その計画の実施と成果の管理であって、プロセスでの
     責任は現場のマネジャーである。

     よって、マネジャーの人事考課は部下の指導育成や部下(部門)の業績で
     評価されます。

     部下に間違った指示を与え、そのため指示通りにやったにもかかわらず、
     結果が出なかった場合、部下の査定以上に上司の査定が厳しくなる。

     部下には実行する責任があり、上司には結果を出す責任がある。

     ここの評価を間違うから「成果主義は間違っている」的な議論になってしまう
     のです。

   (2)権限委譲

     社員を伸ばしていくうえで、大きなポイントは権限委譲である。

     しかし、これは口で言うほど簡単ではありません。

     ほとんどの場合、任せているようで任せていないからです。

     「自由にやってみろ」と言っておいて、最後には指示を出してしまっている
     場合が多い。

     特に成果主義賃金となり、数値結果が評価の大きなウエートを占めるように
     なってから、管理職の職務遂行に関しての責任が重大となり、それが権限
     委譲を躊躇させる要因となっている。

     解決策の1つは、「協働の風土」づくりで、一緒に解決していく姿勢を、組織
     構成員が全員で共有することです。

     指示を出す前に、部下に解決策や実行策を考えさせます。

     もう1つは、各自が保有する能力の把握で、どこまで任せられるのか、どこまで
     本人にやりたいという意思があるのかを、ある程度まで正確に把握しておく
     必要があります。

     権限委譲は万能ではありません。

     すべての権限を委譲することはできないし、すべての人に委譲することも
     できません。

     どこまでの権限を誰に委譲できるのかを、正しく見極めなければならないと
       いうことです。

   (3)適正配置・ジョブローテーション

     中小企業、零細企業では社員の人数が限られているため、適正配置や
     ジョブローテーションがなかなか実施できないことが多い。

     しかし、この仕組みを「用意」しておかないと、いざという時に困ります。

     社員が急きょ退職した、入院したなどといった場合、そのつど対応することに
     なり、そのたびに戦力がダウンする。

     前もっていろいろな職務を経験させ、ある程度のゼネラリストも育成しておく
     必要があるのです。

     また、本人のマンネリ感や閉塞感を招かないためにも、5〜7年ぐらいで職務
     分担の見直しを図っていくことが重要です。

  3.社風の構築

   (1)社風づくり
     「組織行動」という経営学上の分野で、重要視されているのは「社員の仕事の
     やる気」です。

     では、どういった場合にやる気が高まるのかというと、「報酬」も大事ですが、
     まず「職務への魅力」が必要だということです。

     つまり、楽しく仕事ができるかどうかだ。

     そのためには、職場環境の充実も必要になるし、職場の人間関係も重要になり、
     大きな「目標」(大きな社会的な意義・使命に近い夢)も必要になる。

     これが「社是」や「経営理念」となってくるのです。

     それが全社員に浸透していくことで、社風になってくるのです。

     やる気の高まる社風であれば、社員は育っていくものなのです。

   (2)コミュニケーション

     情報の流れは人間の体で例えると血液の流れに等しく、一方通行はあり得ないし、
     滞ると組織が不活性化してしまいます。

     表面的にはコミュニケーションが取れているように見えても、意外と機能
     していないことが多い。

     本音で話せていなければ意味がないのです。

     建前で情報交換していても「協働」の風土は作れないし、一緒に考えることは
     できない。

     社員を伸ばしていこうと真剣に考えるならば、おのずとコミュニケーションは
     取らざるを得なくなりますが、会議、ミーティング、朝礼などにこだわる必要
     はない。

     形式ではなく、雑談、放談でも結構ですし、大いに語り合う場を設けるべき
       です。

 □育とうとする力を伸ばす

  1.社員のポテンシャル(保有能力)からの視点

   (1)なぜ今「コーチング」か
     育とうとする力(個人の力)を伸ばしてあげなければ、人は成長しない。

     成長の芽は意外と気づかないところにあり、水も肥料もやらずに“枯らして”
     しまうことが多い。

     これまでは雑草のように勝手に成長させればよかったが、現在のように競争が
     激しく、スピードまで求められる時代にあっては、成長を温かく見守る余裕や
     時間もない。

     とにかく今、目の前にいる人材を活かし切らないと勝負に負けてしまうのです。

     ならば「こうしろ」「ああしろ」という指示命令を出していればよいのでは、
     と思われるかもしれない。

     しかしこれは逆に部下が成長しないし、結果も思わしくないことが多いのが
 
     現実です。

     部下にいかに考えさせるか、「思考停止」に陥らせないようにどうするかが
     大事なのです。

     「部下の能力を最大限に活かす」このようなポイントからここ数年、注目を
     浴びているのが「コーチング」という手法である。

     すなわち「答えは部下の中にある」という考え方である。“経験の浅い部下が
     答えなど持っているはずがない”と思っていると、思わぬ落とし穴にはまります。

     そう言う自分は本当に分かっているのかを、自問自答すべきです。

     そうすることで、自分では気づいていない勘違いや思い込みがあることに
     気づくようになる。

     部下と一緒に考え、部下自身に何をすべきかを理解させることこそ、育成と
     課題解決への早道なのです。

   (2)今の位置付けを把握する

     その際、自分には何ができるのか、また何が課題なのかという「自分の位置
     づけ」が必要となるのです。

     現在の位置づけを見誤ると、伸びるための手段やプロセスを誤ることになって
     しまいます。

     上司は自分の判断を部下に正直に話し、部下もそれについて無理に同意せず、
     納得できない、または理解できないことを正直に質問することが大切です。

     当然、そのような「場」を用意するのは上司の役目。

     会社の応接室でも、事務所のそばの喫茶店でも、行きつけの飲み屋でもどこ
     でも構わない。

     互いに正直に、率直に話し合うことが大事なのです。

     営業の鉄則でもあるが、相手に本音で話をさせたければ、「相手のテリトリー」
     で話をさせる。

     つまり部下のフィールド内で話を聞くことがポイントです。

  2.伸びる社員の基本姿勢

   (1)「オールイエス」の精神
     これは、「ノー」(できません、知りません)を言わない、ということです。

     つまり言わない、言わせない環境が必要になってくる。

     このためには、失敗を許容できる風土となっているかがカギとなる。

     失敗すれば問い詰められる、吊るし上げられる、次のチャンスがもらえない、
     などが弊害となって、なかなか「イエス」(やります、やらせて下さい)と
     言えない会社が多い。

     失敗しても成功しても、「次のアクション」が大事なのです。

     なぜ失敗したのかという追及はもちろん大事だが、それにエネルギーを費やして
     いると進歩はない。

     そういった責任追及の会議をやると、疲労感だけが残り、その後で憂さ晴らし
     に飲みに行くことになり、そこですべてがグチに変わり、こうして1日がムダに
     終わってしまう。

   (2)会う人みな“師”

     どんな立場の人でも、目の前の人から何かを学び取る姿勢がない限り、人間は
     進歩しないものである。

     謙虚な心で学ぶ姿勢が必要であり、自分から“壁”を作っては自分の中にある
     「伸びる力」を発揮できない。

     「人から学ぶ姿勢」がある人は、人の話を聞くのがうまい。

     面談していて自分の話ばかりをしている人は、この「人から学ぶ姿勢」が希薄
     です。

     「オレの方が物知りだ」「オレが教える立場にある」などと思っていることが
     多い。

  3.基本動作を理解させる

   (1)習慣化すべき基本
     ビジネスマナーや社会人としての基礎訓練である「基本動作」も、ベテラン
     の社会人ほど軽視していることが多い。

     基本動作は先人たちの集大成です。

     「今さらあいさつなんて」「今さら発声訓練なんて」と感じている人に限って
     「あいさつすらできない」「正しい発声すらできない」のです。

     言われてできるのは、できるうちに入らない。

     「習慣化」して初めて、人に「できる」と言えるのです。

     ただし、その目的を間違えないでほしい。

     基本動作訓練をするのは「お客さまに失礼をしない」「好印象を与える」
     「伝えたいことを正しく伝える」といった能力を身に付けるためであり、
     単に大声を出すことではない。

   (2)徹底させて、継続させる

     できなければ「できるまで」続けることです。

     「どれくらい続ければ身に付くでしょうか」とよく聞かれるが、これは逆
     であり、身に付くまで続けることです。

     それぞれが勝手に期限を切ってしまうから、続かないのです(身に付く前に
     止めてしまう)。

     また「これくらいでいいだろう(8割主義)」も身に付かず、10割続けて
     ようやく本番で8、9割の出来となる。

     「部長、役員はいい」のではなく、全社員が、常時できるように徹底します。

     「1人ぐらい」「この時ぐらい」という小さな許容から、基本動作は崩れて
     いくのです。

  4.自己啓発と人間形成

   (1)情報キャッチのアンテナづくり
     本を読んだり、人の話を聞いたり、勉強会・セミナーに参加したりするのは、
     「情報をキャッチするアンテナ」づくりです。

     専門用語、業界知識、一般教養などを身に付けることで、巷にあふれ出ている
     情報の中から“有益”なものを見つけられるようになるのです。

     情報をキャッチできるだけでなく、その真贋や重要性を見極められるかが
     今後重要になってくるのです。

     そうした「高感度アンテナ」を用意しておかなければ、自分自身を伸ばす
     ことはできません。

   (2)器の大きい人間ほど成長は早く、大きい

     虚勢を張らなくてはいけないのは、自分自身の小ささに気づいているからです。

     器の大きな人は「さあ、来い」「いつでも来い」という姿勢で、待ち構えている。

     だから会った瞬間に「参りました」となる。

     自分の専門領域だけを学ぶのでなく、趣味の世界をいかに広げるか。

     仕事以外の人間との交流をいかに深めるか。

     自分の存在評価はあくまでも他人の評価です。

     人から必要とされているか、自分が目の前から消えて悲しむ人・困る人が
     いるか、常に自問自答し、成長を望むという社員を育てていかなくては
     いけない。

     器が大きくなると、人からの評価が変わり、自分に余裕が生まれ、人の話を
     聞けるようになる、他人の成功が羨ましくなくなる、自分の負けを謙虚に
     認められる(参りまし
た、申し訳ありませんでした、と素直に言えるようになる)、
     などの変化が現
れるのです。

     また、人間形成の大きなポイントとなるのは、一種の“修羅場”をいかに乗り
     越えてくるか、いくつ経験するかです。

     「若いうちの苦労は買ってでもせよ」とはよく言ったものであり、社員教育の
     原点となるのです。

     仕事を任せる側、仕事を任される側、ともに肝に銘じるべき言葉でしょう。

 □人材育成における現実のアプローチ例
  これまでに述べた人材育成について、実際の現場ではどのように実践されているのか、
  その取り組み方法を紹介します。

  1.賃金制度の改定時の活用

   (1)外部研修(研修受講記録フォーマット受講報告書フォーマットとの
      リンク

     外部研修への参加を昇格要件とリンクさせること。

     特にリーダー研修やマネジメント研修への参加は、幹部になるための必須条件
     とすることで、社員には分かりやすい指標となります。

     基本的には自己申告と上司の推薦を必要とするが、研修への派遣候補になる
     ということは、すなわち派遣される本人が幹部候補と見られているという
     ことであり、一種の「昇格内示」効果があります。

     来期の教育予算を作成する際に、派遣者決定の手続きを盛り込めば、実際に
     派遣する前から、自覚を促すきっかけにもなるのです。

     研修会が「次期リーダー」への大きな励みとなるでしょう。

  2.トップ方針の伝達の仕組み

   (1)トップを中心としたプロジェクト
     プロジェクトを組むのは、実際の制度運営を行う当事者の理解が重要であり、
     また専門知識が必要であることなどが主な目的だが、もう1つは次世代リーダー
     の育成が行えるということがあります。

     プロジェクトでは今後の制度構築を行うため、構成メンバーのマネジメント
     への関心を高め、経営への参画意識も高めることができ、優秀な社員が複数で
     取り組むため、互いに刺激にもなり、トップが参加メンバーを間近で比較する
     ことも可能になる。

     さらにトップが常時参加することで、メンバーはトップの考え方や物の見方を、
     実務を通して知ることが可能となるのです。

     実際、次世代の幹部社員とトップのベクトルを一致させることに成功している
     会社は多い。

   (2)トップが語るフリートーキングの時間

     プロジェクトを立ち上げずに、月1回の会食を通じて社長と語り合う場を設ける
     場合もあります。

     これは、創業社長の引退が間近にある中で、創業の精神が薄れてきた、または
     後継者へ十分にそれを語り継げない場合などに有効である。

     ただ、これはトップが一方的に話す場にしてしまうと長続きしない。

     ネタ切れを起こすためで、できるだけ「フリートーキングスタイル」がいい
     でしょう。

     多少アルコールが入った方が場は盛り上がり、より一体感を得られる。

  3.「研修」「会議」の活用

   (1)評価項目とのリンク
     評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と
     長期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

     人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

     中小企業における評価については、総人件費管理の視点と明確な職務区分が
     可能なことを考慮すると、能力や意欲・態度を中心とした人事考課よりも
     「実績」や従業員が担う「職務」を対象とした「業績評価」に重心を置いた
     方が望ましいと言えます。

     考課の際の留意点は、従業員へのフィードバックを行うルールを設けること、
     評価項目・基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視すること、
     昇格や昇給へきちんと反映させるルールを設けること、などがあげられます。


   (2)「組織横断的研修会」の実施
     研修は通常、「営業担当者研修」「経理担当者研修」などといった“部署単位”
     で行われることが多い。

     ただ、これでは実務上の問題解決とはならないことが多い。

      ◎目的別研修会
       この研修は「CS向上」「伝票回付日数半減」など目的別に、関係者を
       全員参加させる研修です。

       研修では、それぞれの部署を混在させた班編成とし、業務のフローチャート
       を作成させ、ネックとなっている工程を探させる。

       部署が異なると視点も異なり、新たな発見を得られることが多い。

       実務へのフィードバックが簡単であるということも、この研修の利点。

   (2)小規模企業は会議こそ社員教育の場

     会議の見直しをするだけでも、社員の行動を大きく変えられる。

     準備段階から、資料の整備や議事録の型決め、周知徹底の方法まで、会議を
     中心とした仕組みはいろいろと変えられます。

     その中で、問題解決のためのアプローチなり、考え方を個別にアドバイス
     していく。

     会議は、小規模企業であれば全社員が集まる場です。

     したがって会社の意思統一を図るには、最適な場となる。

     多くの会社では、会議は単に社員が集まる場でしかないのが実態である。

   (3)経営者としての「視点」を学ぶ

     会議では、必ずトップのコメントがある。

     それを“説教”としか聞けなければ、毎度同じことの繰り返しです。

     「トップのコメントは重要であり、メモを取らない社員は意識が低い」という
     ことを会議の前に言うと、社員は緊張して聞くようになります。

     すると、実際は説教ばかりしていた社長も、いろんな新聞・雑誌・書物から
     タメになりそうな記事のスクラップを用意するなどして、社員に話をする
     ようになります。

     会議前でのメモの催促は、社長へのプレッシャーをかけたことになる。

     これも意外と効果があります。

     社員が成長する「場」をいかに整えるか、もう一度原点に帰って検討して
     みてください。


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中小企業の教育システムと内製化

           

中小企業の教育システムと内製化


社員教育の基本

 今日、企業の社会的責任が以前に増して問われるようになってきました。

 あらゆる企業は社会に対して何らかの役に立つことによって社会的責任を果たし、存在価値
 のある会社となります。

 会社で働く社員も、自社に在籍していることによって、社会の役に立っているという実感が
 できるからこそ自らの仕事にプライドがもてるようになるのです。

 会社は自社での仕事を通じて、人格を鍛錬し社会に貢献できる人材をまさに育成して
 います。

 その際、社員が会社に入って企業の社会的責任をどのように果たしていくべきなのか、
 また自身の存在価値を高めるためにどのように努力すべきなのかといった基本的な姿勢は
 学校教育のなかで教えられるべきことなのかもしれません。

 しかし現実的には、社長が、仕事を通じて社員の人間性教育を行ってい
 るというのが実態ではないでしょうか。

 このような意味で、企業は社会にとって重要な人材を育てる教育機関といっても過言では
 ありません。

 また、仕事を通じた人間性教育を引き受けているのが中小企業経営者であるがゆえに、
 企業経営者の社会的価値も高いといえます。

 人材教育は経営者の社会的役割と認識することも重要です。

□どんな人材を育てたいのか

 経営者の方と話をしていると、ほぼ全員が「我が社ではなかなか人材が育たない」という
 悩みをもっています。

 しかし、「では、どんな人材を育てたいのですか」という質問をしてみると、それに
 対して明確な答えを返せる方は多くはありません。

 自社の人材育成を考えるうえで、この「どんな人材を育てるべきか」を明確にすることが
 非常に大切です。

 そもそも社員を育成するということは、「仕事ができる人間を育てる」といった単純な
 ものではありません。

 もちろんビジネスマンとしてのマナーや対人感受性など、どのような会社で働くにせよ
 最低限必要な能力はあります。

 しかしながら、一般論ではなくあくまで「自社で働く社員」の人材育成を考えるときには、
 当然ながら「自社でどのような力を発揮してもらうか」という視点が欠かせません。

 そして、その際には現在の社内の状況からの判断だけではなく、「会社は将来的にこう
 なっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要になる。

 だから社員にはいつまでにこんな能力を身につけてほしい」といった長期的な視点も
 必要になります。

 このめざすべき社員像が明確になっていないと、社員は自分の能力をどのように伸ばして
 いけばよいのかわかりません。

   人材育成とは社員に目先の仕事を覚えさせることではなく、
   自社の未来を担ってくれる人間を育てることです。

 「自社に必要な人材とはどんな人材か」、まずこの点を明らかにする必要があります。

□中小企業の社内教育システム

 ◎場当たり的な教育を改める

   1.「育てたい」経営者と「育ちたい」社員
     ここ数年、企業の人材育成に対する意欲の高まりを感じる。

     採用は活発化し、社内研修やセミナー派遣への要望も多い。

     このテーマである「教育システムづくり」を希望する声も増えています。

     どの経営者も、間違いなく社員のレベルアップを望んでおり、社員自身もレベル
     アップを切望している。

     ある無記名アンケート調査『組織活力サーベイ』で、「あなたは自分の知識や
     技能を高めたいと思いますか?」という設問に対し、どの企業も9割の社員が
     「高めたいと思う」と回答。

     さらにその半数以上が「現在の仕事に活かすため(知識・技能を高めたい)」と
     していました。

   2.なぜ、教育効果が上がらないのか?
     社員のレベルアップに関して経営者と社員の思いは一致しているにもかかわ
     らず、「社員が思うように育たない」「研修成果が現れない」と嘆く経営者の声
     をよく耳にする。

     (1)あなた任せの教育

       @投資対効果を疑問視する声
        各会社に人材育成の取り組み方法を聞くと「OJTを中心に行っている。
        外部の専門家(集合研修やセミナー派遣)への委託は、金ばかりかかっ
        て成果が出ないのでやっていない」との返答である。
        あらゆる企業内教育の目的は、日常業務における教育成果の発揮。
        その観点から、OJTは最も即効性の高い教育技法と言えるでしょう。
        「集合研修やセミナー派遣は、金はかかるが成果は出ない」という声
        は、研修・セミナーのカリキュラム(研修内容)がその企業固有の業務に
        直接結び付いていないため、目に見える成果がすぐに現れないことに
        起因しているのです。

       AOJT偏重の落とし穴
        OJTはそれ自体、費用がかかるものではない。
        直接的な効果を得やすい技法であるため、偏重するのは至極当然です。
        だがOJTには大きな課題がある。
        それは、OJTの実施者(上司・管理者)の力量によって、成果にバラつき
        が生じる点である。
        例えば、商品を売ることでは右に出る者がいないベテラン営業部長が、
        その商談技術・ノウハウを部下にうまく伝授できないため、部長だけが
        売上げ目標を達成し、チームは目標未達…というケースをよく目にする。
        この営業部長もOJTをしていないわけではないが、「指導ノウハウ」の
         未熟さから部下を育てきれていない。
         要するに、部下を育てる能力・ノウハウが個人任せになっているのです。

     (2)指導力強化を望む経営者と、自信のない幹部
       経営者が幹部に望むテーマに「部下指導・育成力の強化」がある。

       幹部向けセミナーを開催する際、まず派遣対象者に対する指導要望書を 
       出してもらっているが、その内容を見ると「部下指導・育成力の強化」
       が多い。

       また、企業の幹部に行ったアンケート調査によると、部下や後輩の育成
       に対して自信が「ある」と回答したのはわずか13%、それ以外は「相手の
       タイプによって苦手意識あり」(72%)、「自信なし」(10%)と
       なっている。

       雇用の流動化や年上の部下の扱い方、職場内コミュニケーションの希薄
       化など、上司と部下との関係は以前にも増して複雑・困難になっている。

       勢い、上司は部下の指導・育成に自信が持てなくなっている。

       それにもかかわらず、部下の指導を幹部の力量に任せているのが現状
       です。

       このことが、OJT中心の人材育成の最大の課題ではないでしょうか。

     (3)人材育成の大原則「計画性」
       部下を指導し育てることは、幹部の果たすべき責任の最たるものです。

       しかし実際は、幹部自身も日々の実務に追われ、ともすると部下指導・育成
       がおろそかになっている。

       何か問題が起きたときだけ部下を厳しく指導し、それで「自分は部下を育
       てている」と錯覚している。

       指導的立場においては、社員教育は「計画的に、体系的に、継続的に」
       行ってこそ、効果が出ると提唱している。

       そもそも人を育てるのは、時間がかかるものです。

       そのため、どのような育成理念の下で、どのように育成していくのかを明
       確にし、しっかりとした計画によって教育することが重要なのです。

       現実的には、中小企業が教育体系や中長期の教育計画をつくることは難
       しいでしょう。

       社長の目が全社員に行き届くのであれば、その必要性もないのだが。

       ただし少なくとも、「自社にとって、どのような社員像が期待されるのか」
       「社員の何が課題なのか」「育成の重点テーマは何か」を明確にし、それ 
       を踏まえて「今年はだれに、何を教育するか」という単年度の計画は必要
       でしょう。

       また、とりわけ新卒の新入社員に対して「だれが、何を、いつまでに、どの
       ように指導するのか」という計画も大切。

       大半の会社が、育成計画がないまま新入社員を職場に放り込み、その育
       成を現場任せ、上司任せにしている。

       そして、新入社員は指導・育成の計画もノウハウも自信もない上司の下
       で「ほったらかし状態」になり、1年も経たずに辞めていく事態を招いている。

       これらの問題を早急に解決しなければ社内教育制度の内製化は不可能
       です。

       しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

       それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

       その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

        
   3.教育のPDCAを確立する
     多くの企業が、社員の育成を本人もしくはその上司の力量に任せきりにしてお
     り、企業として計画的に自社の人材基盤を整備しようというスタンスを持てず
     にいる。

     そこで指導的立場においては、自社のあるべき人材像を明確にし、現状の人 
     材レベルを総点検するとともに理想像とのギャップ(=不足能力)を明らかに
     し、そのギャップを埋める教育カリキュラムを体系的に計画的に実施していくこ
     とを提唱している。

     人材育成に関しても場当たり的な対応ではなく、自社の求める人材像を明
      確にし、中長期の計画に沿った実施が大切。

     言い換えるなら、「教育のPDCAを確立する」ということです。

□求める人材像の明確化と教育体系・指針づくり

 1.求める人材像の明確化
   「自社が求める人材とは、どんな人材なのか」という問いに、即答できる経営
   者は意外と少ない。

   仮に即答できたとしてもそれがきちんと社員に示され、社員全員がそのような
   人材になるよう努力している企業となると、なかなかお目にかかれない。

   期待される人材像を経営者に聞くと「素直で、真面目で、意欲的で…」と返って
   きても、社員に聞くと「さあ、社長に聞いてみないと…」となる。

    (1)会社の歴史が期待人材像を形成する

      自社が求める人材像をつかむヒントは、自社の創業の経緯を知ることで得
      られる。

      創業当時の苦労を次代に伝えることは、それ自体大切なことだ。

      人も金も、信用もない状態からスタートした自社が、どのような苦労で現在
      に至ったのか。

      それを知れば、自社が顧客に提供してきた価値の本質や、顧客に対する
      姿勢が明確になる。

      「顧客第一主義」はどの企業でも掲げるが、創業以来の歴史に思いを馳せ
      ると大切なものが見えてくる。

      顧客に対する考え方は、会社によって微妙に異なる。

      自社と顧客を対等(パートナー)と見るか、あるいは神様と見るか。

      その違いは、会社の歴史の違いでもある。

    (2)理念・哲学が日常活動に反映されているか

      人に対する思いや哲学は、経営理念や社是・社訓にも示されている。

      しかしそれが形骸化し、現場での行動にまるっきり理念を反映してないと
      いうのでは問題です。

        組織力活性サーベイには、経営理念の理解・浸透度を社員に問う設問が
      ある。

      自分が思うほどに社員が理解していない結果に愕然とする経営者も多い。

      そのため抽象的・総体的な経営理念を、より具体的な行動規範として社員
      に示し、その実行・徹底を図っていきます。

      求められる人材像は、この行動規範の実現を担える人材となるのです。

    (3)求める人材か否かの測定
      求める人材像を明文化できたとしても、あくまでも抽象的なものであり、判
      定は難しい。

      テクニカルスキル(担当職務・職種の遂行能力)の保有度なら、その測定に
      苦労はない。

      「うちの設計部の社員である以上、2級建築士の資格は必須」というのは簡
      単だからです。

      しかし、自社の社員であるための全職種に共通したヒューマンスキル(人間
      性、基本素養)の測定は難しい。

      「明るく前向きな社員であってほしい」という期待像に対して、A氏が明るく
      前向きかどうかの判断はアバウトにならざるを得ません。

      そこである程度の客観性を持って判定するために、性格テストの活用をお薦
      めします。

 2.教育体系と教育指針
   (1)教育体系とは“レベルアップのストーリー”

     @「どうすれば部長になれる?」
      求める人材像が明確になれば、その人材をいかに育て上げるかを教育
      体系として示す。
      つまり、「入社時にはどのような研修が用意され、昇進時に必須の研修  
      は何で……」といったレベルアップのための育成ストーリーである)
      「自社は人材育成に力を入れている」と声高に叫んだところで、実際に
      どのようなプランで育てるつもりなのかを目に見える形で示さない限り、 
      社員には伝わらない。
      部長になるためには何を学ばなければならないのかを、社員に示すこと
      は重要だろう。

     A階層別・職種別に必要なスキルを整理する
      教育体系をつくるには、各階層・各職種にどのようなスキルや能力が必
      要かを押さえる必要がある。
      その整理が効果的な現状認識で明らかになる。
      職能資格等級基準書や職務基準書がある会社は、ぜひその内容を再確認
      してほしい。
      本来はそこに各階層・各職種に求められる能力やスキル(あるいはでき
      てほしい仕事)が示されているはずです。

   (2)教育指針は“人づくりへの決意表明”
     レベルアップのストーリーを示したら、次は育成に取り組む会社側の姿勢
     やスタンスを社員に示す。

     つまり、決意表明です。

     「教育予算はあるが使っていない」「教育計画はあるが実施されていない」
     「教育は実施したがその後はほったらかし」とならないために、どのような覚
     悟で人材育成に臨むのか。

     その覚悟を、例えば「○○という研修を修了しなければ、部長昇格はない」と
     いうルールで示すのも良いでしょう。

     人材育成の担当役員を任命し、教育規程を定めるのも良い。

     いずれにしても、トップの人材育成に対する思いを、具体的に示すことが重
     要です。

□教育の.重点を決める(だれに、何を教育するのか)

 1.職種・階層別必要能力の整理
   職能資格制度の人事制度を採用している企業であれば、職能資格等級基準書が
   それに近い内容となります。

   職能資格等級基準書は人事資料の1つとして認知されているが、あっても活用
   している企業は少ない。

   本来、上司は部下や後輩をより高いランクへと導くために、基準書に照らして
   「不足している能力は何か」をチェックし、その補完に努めるべきです。

 2.教育テーマはスキルマップで押さえる
   不足能力は何か、そして何を強化すべきかをスキルマップで押さえます。

   スキルマップとは仕事に必要なスキルの一覧表です。

   スキルマップを実施すると、具体的にどの点が弱いかが見えてきます。

 3.教育の重点はだれか
   教育体系をつくり、職種・階層別の必要能力が整理できたところで、全社員に
   対して一度に教育・研修を実施できるわけがない。

   「今年はだれを、来年はだれを…」といった具合に、教育対象の重点を決めて
   実施するのが現実的でしょう。

   どの階層の社員の不満度が高いのか、また年齢や勤続年数で分類・集計し、 
   レベルギャップの大きな階層が分かれば、重点対象がおのずと見えてくる。

   また、スキルマップの結果を年齢や勤続年数で分類・集計し、レベルギャップ
   の大きな階層が分かれば、重点対象がおのずと見えてきます。

 4.年度別重点施策
   だれに、何を教育するかという重点を、年度別に設定していくのが人材育成の
   「年度別重点施策」です

   注意すべきは、研修やセミナーの実施計画だけでなく、OJTや人事制度、方針
   管理などといったマネジメントシステムとの連動を考慮する点です。

   人は「育つ力(自己啓発意欲)」「育てる力(育成システムと指導力)」「育む力
   (土壌・社風)」の3つの力が備わって初めて育つのです。

   キャリアプランを示して社員の自己啓発意欲を刺激し、育成システムと上司の
   指導力を併せて育てます。

   それらを通じて互いに育て合う社風が醸成されれば、人は安定的に育っていく
   という考え方です。  


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組織を活かす人材育成

            

組織を活かす人材育成

  ■企業意識
   企業とは社会に役立つ製品やサービスを提供するための活動をする人間の集団です。
   よく例えられるが、人間の文字は「人の間」と書くように人間は人と人の間、
   つまり人間関係の中にあります。
   そこで“個人尊重”という言葉が行き過ぎると、 あたかも人間が絶対的に一人で存在する
   かのような錯覚になりやすいが、それでは問題です。

   人は複雑な人間関係の中に一人ひとりの特質をもって存在します。
   その意味で企業意識は、その組織の一員としての仲間意識つまり集団精神と考え
   られます。
   つまり企業意識による行動は、個人プレイにとどまるものであってはならないのです。
   集団活動として、仲間との分担、協働、相互補完といった具体的行動で捉えられる
   べきものであるのです。

   また、そうした企業の生産活動への積極的、自発的、創造的参画が、企業意識の
   発言とみなされるわけであるから、 単なる情報通や悲憤慷慨(ひふんこうがい)をする
   だけでは、企業意識のある行動とはいえません。
   まして、企業に隷属し、それだけで満足し、悟りきったようなタイプは、組織
   にとってプラスになるはずはありません。

   職業意識は、本人自身がそのおかれた環境なり条件の中から、自分で自分の心の
   なかにつくり上げるものです。
   また、こうした職業意識の行動も、それが企業活動の成果に結びつかぬものであっては、
   あまり意味がありません。
   自分の職業とそれに対する自分の能力に誇りと自信を持ち、これを職場の中で
   発揮することで満足感を得て、 その発揮のチャンスを与えてくれる職場、会社に
   対して愛着心を持つようになるという形で、企業意識に結びつくことが望ましい。

  □人材育成の意識とギャップ

   先行きが不透明で厳しい経営環境にあっても、経営者の人材育成への意識は、どの
   会社も高い。

   特に、幹部・次世代リーダー(中堅幹部)の育成強化について必要性を感じている
   経営者が多いのが実態です。

   しかし、人材を育てなければならないと分かっていながら育てることのできない企業は
   とても多いのです。

   では、なぜ人材を育て切れないのだろうか。

   その原因は以下の点です。
    @「育てろと指示しているんだが…」と、トップ・幹部の育成責任への関与が弱い
    Aどの階層も、人を育てることが自分の役割という認識が薄い
    Bどういう人材に育てたいかという、あるべき姿(理想の人物像)がない
    C自分さえよければいい、他人のことは二の次という意識が強い
    D互いに教え合い、学び合うという文化が途切れてしまっている(ベテランと若
      手のコミュニケーションレベルが浅い)

   上記@〜Dの課題を解決し、人が育つための風土づくりとその育成手法について、
   事例を中心に紹介します。

    1.人材育成の意識とギャップ
      トップは「幹部が育っていない」と言い、当の幹部は「部下(中堅)がダメだ」と 
      言い、部下は「若手が育たない、すぐにあきらめてしまう」と不平を言う。

      これは、誰が人を育てるのかという役割と責任がはっきりしていないから。

      しかし、業績がよいときは多忙であり、モチベーションも上向きのため、人材
      に対する不満は出にくい。

      そして、ひとたび業績が悪くなると、会社への不満として表れてくるのです。

      部下の育成がうまくいっていない原因について実際に調べてみると、「互い
      の信頼関係が築けていない」「やり方が分からない」「積極的になれない」と
      いった回答がよく上げられます。

      単に“忙しい”という理由だけで、人材育成がうまくいっていないわけではな
      いことが分かる。

      例えば、特にモノづくりの現場では、ベテランから若手への技術伝承と若手

      のスキルアップが課題となっている。

      しかし、人に教える習慣・風土がなかった会社では、どう教えるべきか分から
      ないまま、時間だけが過ぎてしまっているのです。

      「人を育てる人」を育てることも、トップ・幹部の責任である。

      これからの人材育成に当たっては、人に対する考え方を再確認し、自社とし

      て「何を教え、何を伝えていかなければならないか」を整理する必要がある。

      さらに、どうやって教えるのか、何からやるのか、その方法や関与の仕方を
      含めて見直すことも重要だ。

      その社内教育体制が今問題を抱えています。

      それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

      原因は教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

      この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

      ●伝承していくべきもの
       @理念や創業の原点(起業した当時の思い)
       A自社固有の技術・スキル
       B人から人へ受け継がれるべき知識・ノウハウ・スキル
       C自社を支えてくれる真の顧客

      中長期的な組織づくりや業績安定のためには、人が育つことが必須である。

      しかし、今までやってこなかったから、とにかく教育をするという「思い付きの 
      人材育成」では、本当の意味でチーム(会社)に貢献する人材を育てることは
      できません。      

      教え合う文化がなくなりつつある今、どうすればチーム意識を持ち、切磋琢
      磨する人材を育成できるだろうか。

      見直すべき点、強化すべき点、新たに取り入れるべき点(考え)について考え
      てみましょう。

    2.「人を育てる人」が育つ風土づくり
      人材育成を考えるに当たって、まず「人が育つ風土」とはどういうものなのか
      を押さえておきましょう。

      それは、「先輩・ベテラン社員が、後輩・若手社員を育てる意欲が高い」「チー
      ムで協力して仕事を進める意識が強い」「互いが教え合い、学び合う環境が
      ある」など。

      これらが当たり前になっているなら、あなたの会社には人が育つ風土(土壌)
      があると言えるでしょう。

      「人がいない」と嘆く前に、今までの自社の育成環境を振り返り、社員の一人
      ひとりに「育てる意識」がどれだけ浸透しているかを再確認してください。

      ここで、「企業風土」と「企業文化」について記載しておきます。

       「企業風土」とは
       職場の人間関係のあり方、職場の温度といった、社員ひとりひとりから見た
       労働環境のこと。
       職場の人間関係とは、いわゆる風通しといった上下の意思疎通のとりやす
       さや、ほめる叱るなどのコミュニケーションの傾向のことであり、職場の温
       度とは、挑戦的な目標に自律的に挑んでいるか否かといったような仕事に
       取り組む姿勢の共通点のことである。

       「企業文化」とは
       企業が継続的に業績をあげていくための、経営戦略の実行の仕方や、目
       的達成のためのプロセス上の各種のルールやしきたりのこと。
       中長期の計画があるのかないのか。
       PDCAの回し方がしっかりしているのかそうではないのか。
       目標の立て方がトップダウンであるのか、ボトムアップであるのか。
       目標の達成状況や業務の進捗確認のための会議の仕方はどうか?など。

       このように考えると私見ではありますが、「企業風土」は「暗黙知」的要素を

       含み、「企業文化」は「形式知」的な要素を含んでいるように感じられる。

      このように分けて考えると、企業風土は社員のやる気やエネルギーに影響を
      与えることができるが、業績を上げる方法に直接影響を与えるものではない。

      一方、企業文化は仕事の仕方に直接影響を与えるものであり、どんなに風

      土が良くても、業績の上げ方とも言える文化を作りあげなければ業績を上げ
      ることにはつながらないのである。

      風通しがよく、家族的で和気あいあいとしていて、社員のやる気が高いのに
      業績が伴わないという企業があるとすれば、それは企業風土作りには成功
      しているが、企業文化作りには意識が低いということになる。

      言い方を変えれば、企業風土作りは社員のやる気やエネルギーを上げる方
      法を考え実行する活動であり、企業文化作りは、順調に成果を上げるための
      方法を考え実行する活動である。

                  出典:GOOD and MORE(今野誠一氏)

      あるいは企業風土は、「企業の歴史とともに培われてきた社員に共通するも

      のの考え方(信念)・思考プロセス・行動パターン」など、企業の価値観を表す
      ものを指す。

      言い換えれば、企業全体を貫く行動規範のようなものである。

      この行動規範を全社員が理解し、共有できていると、組織内での意思疎通
      (コミュニケーションレベル)が容易になる。

      コミュニケーションのレベルが高いと、互いのためを思った指摘やアドバイス

      が増えるはずだ。

      また、意思決定のすり合わせもスムーズになる。

      つまり、組織内の「共通言語」がはっきりしていて、ものの考え方(信念)が統
      一できていれば、チームパワーを発揮する土壌がしっかりと維持されるので
      ある。

      結論として、悪い社風であればよい社風に変え、そしてよい社風を企業文化

      に改革していくことです。

    3.社風はトップ・幹部に左右される
      よい社風(企業風土)とは、「社員が前向きでやる気に満ちており、困難に進
      んで立ち向かう姿勢があり、経営者の考え方や理念・方針が末端社員まで
      行き届いていて一体感がある」ものであると言える。

      社風をつくり上げるのは、その会社に所属する人である。

      しかし、人のほかにも、企業が所属する業界や提供する製品・サービス、トッ
      プや幹部の態度・姿勢によっても、“社風”は異なってくる。

      特に、影響が大きいのはトップ・幹部の性格である。

      トップ・幹部の節約志向が強いならムダを極力省く風土、せっかちで判断ス
      ピードが速いならテキパキとした段取りと結論から話すことが当たり前の風
      土、優柔不断なら何事も決めるのが遅くのんびりした風土となる。

      逆に言えば、トップ・幹部の強い意志によって社風は変わっていく。

      社風を変えたいのなら、トップ・幹部は、まず自らの性格を省みてはいかがだ

      ろうか。

    4.教える、褒める、叱るのリズムを意識する
      実際に社風を変えていくには、育成の仕組みや人事制度もさることながら、
      社員の意識の変革が重要である。

      そして、社員の意識変革のきっかけとなるのは、トップ・幹部の関与の度合い
      であり、「人を育てる人」を育てるというトップ・幹部の強い意志だ。

      トップ・幹部の役割の一つに、「愛情を持って社員を育て、“志”の高い
      燃える
集団をつくること」がある。

      この役割を果たすには、情熱と愛情と厳しさがなければ務まらない。

      そのために必要な姿勢として、次の五つの基本姿勢ができているかをチェッ
      クしてみてください。

     ●5つの基本姿勢

      @「教える」という意識と行動を明示(共に成長するという動機付けを行う)
      A「こうなってもらいたい」という情熱(指導基準)を持つ
      B部下のプラスの行動や成果を褒める(部下を認める)
      C本人の成長のために正しく叱る(愛情と厳しさを持って部下に接する)
      D自らがモデルとなって言行一致を貫く(手本を示す)

    また、前述の通り、社風とは行動規範である。

    自社を貫く行動規範はあるだろうか?

    例えば、「集合は5分前に」「あいさつは進んで大きな声で」「言葉遣いは敬語・
    丁寧語で」「電話は3コール以内に出る」など、先輩から後輩に語り継がれる会
    社独自の習慣や、当たり前の行動基準である。

    もし、こうしたものがなければ、トップが自ら実践し、全社員に徹底させていくこと

    が必要である。

    どんなに優秀なトップ・幹部でも、一人で会社を経営することはできない。

    トップの分身を何人もつくり、トップの持つ正しい価値観(行動規範)を全社に浸 
    透させていくことで、よい社風が出来上がり、ひいては企業文化へ進化せること
    が望ましい。

    「人を育てる人材を育成する風土づくり」とは、「当たり前のことが当たり前にでき

    る体質づくり」である。

    教える、褒める、叱る時間を少しずつ増やし、正しい行動規範の実践をすぐに始
    めてみましょう。

  □求める人材像を明確にする
   「自社の求める人材像は?」「どういう人材に育ってほしいですか?」とトップ・
   幹部に聞くと、意外にも明確な答えが返ってこないことがある。

   確かに、中途採用を中心として人員補充を行っており、自社の働き方で理想となる
   社員像を持っていない。

   教育カリキュラムもなく、育てるかどうかは現場(担当者)任せ、育つ努力は本人

   次第という状態だと、明確な「人材像」は描けないでしょう。

   一方、理念や方針に「人材育成」をうたっていて、キャリアステップ(どういう流れで
   昇進・昇格していくのか)が示されており、育成ビジョン(育成方針・育成テーマ)が
   明確。

   さらに、教育カリキュラムが職種別・階層別に整っており、自らのキャリアプラン

   (人生設計)作成を義務付けている企業は、人材育成イメージが明確であると言
   える。

   1.人物像を描くための3つのアプローチ
     どのようにして自社に必要な人材像を描いていけばよいのか。

     次にそのアプローチ例を示す。

     (1)スキルマップ:必要とされる業務スキル(保有能力)から求める
       業務の重複解消や組織スリム化の検討などで活用する「スキルマップ」か
       ら見る方法である。

       スキルマップを活用すれば、どんなスキルを持った人材が必要なのか、ど
       の程度の経験年数で、どこまでのスキルを身に付けてほしいのかを明確に
       できる。

       仕事の難易度で分類をすると、役職ごとのレベルも明らかになるため、そ
       れを担当できる力はどの程度のものかを知ることができる。

     (2)仕事の洗い出し表:部門・役職ごとの仕事内容やその難易度から求める
       個人が担当している仕事を「毎日するもの、毎週のもの、毎月のもの、年単
       位のもの」と分類して全仕事の抽出を行い、部署ごとに分類・集計し、「仕
       事をくくる」方法。

       これを一覧にしたものが「職務基準書(職能要件書)」である。

       職務基準書があれば、階層・役職によって必要な業務遂行レベルを明確に
       できる。

       役職が上がれば、求められる業務や処理能力の期待値が上がる職能資
       格制度を策定する際にも重要となる。

     (3)マインドマップ:キーワードを中心にイメージする
       マインドマップの手法を用いて、実際の自社の人物像とその階層に期待す
       る行動や考え方から、理想とする人物像のイメージを膨らませていく方法で
       ある。

       そのほかにも、自社の理念・社風に人づくりに関して明文化された言葉が 
       あれば、それをまとめていけばよいし、代々伝えられている人材にかかわ
       る特質・素養があれば、一文にまとめればよい。

       人材育成方針を作成していれば、それが求める人材像そのものです。

       また、全従業員を年齢構成、男女比、役職構成などで分析し、今の人員が
       そのまま勤務し続けるとして、10年後、20年後の人員構成がどのように
       変化するかを見ることでも、将来に向けての補強階層・育成強化階層が分
       かる。

       長く新卒採用をしていなかった企業には、年齢構成比で全体の人員バラン
       スを見ることもお勧めします。

  □自社が求める能力と個人別スキルの判定
   求める人材像が明らかになったら、その「人材」が備えておかなければならない基本
   素養や業務知識、処理能力・遂行スキルを整理していくことが必要である。

   1.職務基準書をもとに能力開発をする
     何を教えてよいか分からない場合、具体的な教育内容を整理しなければなら
     ない。

     入社して1年間は基本レベル、5年目程度のチームリーダー層には応用レベ
     ルなど、監督層には「これができるような部下を育ててほしい」と示し、育成ポ
     イント・指導項目を共有化します。

     職階や役職ごとに求める能力(発揮してほしいスキル)はどんなものかをまと
     める。

     この事例では、営業職に求めるレベルと営業職の職務特性から見た能力基準
     が示されている。

     この基準に到達するように個人が努力をし、上司がサポートをしていく。

     教える側の得手不得手により、教え方には課題が残るにせよ、部下が身に付
     けなければならない内容やレベルが明確になるため、何を教えたらよいか分
     からないということはなくなるだろう。

     部下がどの程度の能力やスキルを持っているかを知ることで、教える内容や
     教え方も変わってくる。

     「仕事の洗い出し」から、営業部の仕事内容を一覧にしたものをスキルシー
     トに落とし込みます。

     スキルシートを活用することで、どんな仕事が未経験か、ある程度できること
     や一人でできることはどれかを把握することが可能となる。

     スキルシートにより自己評価をしてから、上司評価を行えば「できると本人が
     思っていても、不十分なところ」がはっきりする。

   2.月間スケジュールで育成時間を確保する
     「育成のための時間」、つまり「教える時間」をどのように確保するのかも、多忙
     なトップ・幹部に共通する悩みでしょう。

     この解決法として、教えるための時間を月間スケジュールの中で前もって決め
     てしまう方法がある。

     教える側と教えられる側の双方がスケジュールを調整し、例えば、毎週月曜日
     の午後3〜5時を先に押さえてしまい、その時間は、ほかの予定を入れないよ
     うにする。

     また、周囲にも協力を求め、育成時間中の業務サポートをお願いするのです。

     営業部であるなら、営業に同行した際や業務処理の発生時に教えていくこと
     がポイントである。

     「そのうち教えるから」と放っておいては、部下はいつまでたっても求めるレベ
     ルに到達しません。

     一定の能力(スキル)が身に付き、職務上で十分に発揮できるようになったら、 
     上位職へ昇格・昇進させ、より高い能力の発揮を目指してもらうことは言うまで
     もない。

     そのとき、教える側は自分の仕事(存在感)が奪われると考えてはならない。

     自分と同じ価値観を持ち、同等のレベルで仕事のできる部下が育てば、自分
     はもっと難しい仕事や新しいことに挑戦できる。

     部下の能力が上がれば業績は必ず伸びていく、安定していくと考えることが大
     切です。


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人材育成に欠かせない職務経歴書

           

人材育成に必要な職務経歴書


  ■職務経歴書

   社員個人の能力や技能、適性を有効に活用するとともに、人事異動や昇進・昇給管理な
   どを効率的に行うためには、社員各人の職務経歴や能力評価、適性などの情報をいつで
   も引き出せるように管理しておく必要があります。

   例えば、ある部署で欠員が生じた場合、または新部門を設立する場合、社員の誰を
   異動させればいいのか、もしくは現在いる社員より適性の高い人材を採用した方が
   よいのか、こうした判断をしなければならない状況が多々あります。

   社内で候補者が見つかっても、その候補者の人事情報がきちんと整理されていない
   と、本当に適性があるかどうかを判断するのは大変な作業です。

   「その候補者の上司に話を聞けばいい」と思われるかもしれません。

   ですが、上司がその候補者の過去の職歴や身につけている能力をすべて知っているわけ
   ではないので、適性を判断するといっても、どうしても主観的な要素が入ってしまい
   ます。

   また、その候補者が優秀な人材であればあるほど、上司が手放したくないからと、
   その人材を囲い込もうとするかもしれません。

   また、人材育成やキャリアアップを考えた場合も同様です。

   ある社員をどう育て、どんな能力を身につけていかせるべきかは、その社員のトータル
   な職務経歴や能力評価の情報がなければ正確には判断できないでしょう。

   会社が社員個人の能力や職務経歴といった情報を一元的に管理しておくことは重要
   なことなのです。

   職務経歴テンプレートは、社員が入社してからのトータルな職務経歴や能力について
   の情報を管理するためのテンプレートです。

   中途採用の場合は、入社前の職務経歴も重要な情報ですから、それにも対応できる
   ようになっています。

   ぜひ、人材育成や適正な人事異動の実現に役立ててください。

  職務経歴テンプレートの使い方

   上の欄には、社員の氏名、入社年月日等の個人情報を記入します。

    1.保有資格

      社員が持っている資格と、その取得日を記入しておきます。特に業務と関連性が
      ない資格であっても、なるべく書き込んでおきます。

    2.社外での職務経歴

      中途採用者の場合、前職での経歴を記入します。

      「職務内容」については、ただ「営業」とか「経理」と書き込むのではなく、職位
      や実際にどんな職務内容を担当していたのかまでがわかるように書いておく
      ことがポイントです。

    3.社内での職務経歴

      入社してから現在までの職務経歴がわかるように記入します。

      在籍期間は、何年何月から何年何月まで在籍していたのかという日付だけでな
      く、「○年×カ月」と一目で期間がわかるように書いておきます。

      担当職務については、A社外での職務経歴と同じように、実際にどんな仕事を
      していたのかがわかるように具体的な職務内容を書き込んでおきます。

      また、業績評価を行っている会社は、社員がどの職務でどんな評価を受けてい
      たかがすぐわかるように、過去の業績評価表と一緒にこのシートを管理しておく
      ことをおすすめします。

    4.特記事項

      この欄には、例えば健康状態や、住宅事情、健康状態、さらには賞罰の記録な
      ど、人事異動などの参考となる情報を書き込んでおきます。

    5.注意点

      このテンプレートの利用について注意したいのは、このテンプレートをつくること
      を目的化しないことです。

      このテンプレート一枚にすべての情報を書き込もうとはしないでください。

      このテンプレートは本でいえば、あくまでも表紙です。

      中身となる、自己申告書や人事考課記録、個人面談記録などを作成し、一緒に
      管理することで、社員の個人人事情報を体系的に管理することができるのです。

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コロナ禍の人材育成

         

コロナ禍の人材育成


  
  ■変化する新入社員像   

   リモートワークなどを導入している企業中には、OJTによる教育ができておらず、
   急激な環境の変化の中で新入社員が置き去りになっているケースが増えてきています。

   民間企業や公共サービスを提供する場所で、人々の価値観の多様化に対応しきれて
   いない状況が多発しています。

   オフィスワークであってもリモートワークであっても教育の基本は変わらない
   ことを理解しておいてください。

 

  1.人間関係構築スキルの低下
   コロナ禍以前のオフィースワークにおいて、挨拶ができない、会話ができない、
   敬語が使えない(謙譲語・丁寧語も同様)、本音で話せない、相談ができない
   などの問題を抱えて入社してくる新入社員が増えてきていました。

   知っていて当然とされる「常識」の範囲が、偏ってきているのです。

   コミュニケーション能力が欠如している一方で、一人で行えるスキル、PCの
   スキル、インターネットのスキル、ゲーム・音楽に関する知識などはこれまでの
   世代以上に保有しているのですが。

   コミュニケーション能力が欠如している、もしくは不足しているために、業務の
   「報連相打」のみならず、日常の意思疎通すらまともに機能しない可能性が増加
   しているのです。

   会話が成り立たないどころか、何を考えているのか(どうしたいのか、何をやりたい
   のか)を上司がつかめなくなっています。

   そしてコロナ禍においてはなおさらです。

  2.自己のポジションがつかめない
   人間関係の構築のための能力が不足しているのは、これまでそれを必要として
   いなかったからです。

   面識のない第三者同士が中心となる「メール」でのやり取りは、敬語も丁寧語も
   必要ない。

   したがって、上司・先輩を敬う、部下・後輩を思いやるという関係を構築する
   ためのスキルを必要としません。

   酒席で“無礼講”とすると、本当に無礼なヤツと化してしまう。

   また、チーム作業をする時のかかわり度合いも判断できない。

   これまでの人間関係が希薄であったため、「自分の役割を果たさないことによる
   周囲への影響」が測れないのである。

   また、八方美人にもなりやすく、接する人によって対応が変わってしまうなど、
   周囲との調和が取れない原因となるのです。

  3.入社前の社会人としての基本教育
   これらのことからも、入社前に「学生気分からの脱皮」「社会人として必要最低限
   のコミュニケーション能力の修得」の必要性が高まってきているのです。

   これは定期採用の学卒組に限らず、通年採用でもフリーターやアルバイトなど、
   熟練度を必要としない仕事に長年従事している応募者も増加しており、採用前の
   チェックが必ず必要となります。

   ルートセールスを3年やっていても、挨拶ができない営業マンもいるのです。

  □新入社員向け人材育成の考え方
   新入社員向けアンケートでは毎日テレワークしたい人(24.6%)を除くと、75.4%が

   週1回以上の出社を求めていることが見えてきています。

    ・対面のほうが相談や報告をしやすい

    ・社内の人間関係も大切にしたい

   などといった意見があります。

   1.OJTとOff-JTの使い分け
    入社時から在宅勤務となった企業も増えています。

    リモートワークになると、大人数が集まる研修などは開催が難しく、それにより
    直接指導でスキルを学ぶ機会が失われたり、社内的な孤立につながったりする
    ことへの不安を抱えてい新人も多いようです。

    新入社員向けアンケートでも毎日テレワークしたい人(24.6%)を除くと、
    75.4%が週1回以上の出社を求めていることがわかりました。

     ・対面のほうが相談や報告をしやすい

     ・社内の人間関係も大切にしたい 

    直接指導でスキルを学ぶ機会が失われたり、社内的な孤立につながったりする
    ことへの不安を抱えてい新人も多いようです。

    Off-JTにおいても、今ではeラーニングなどのオンライン研修のジャンルも
    多様化し精度も高くなっています。

    社会人としての常識だけでなく、それぞれの企業における専門知識や技能も
    身に付けてもらわなくてはなりません。

    それには、職場を通じてのOJTと職場外のOff-JTに分けて効率よく育成して 
    いかなくてはならないのです。

    OJTは目に見えるものであり、制度を整えればある程度はコントロールできる
    が、Off-JTは、管理できないために、実施状況の把握が困難である。

    しかし、時間や経費に限りがある以上、短期間で効果を出すためには、OJT
    のみでは無理があります。

    会社制度の見直しと同時に行う必要があるが、自己投資が当たり前の環境を
    整備することが重要である。 

    幹部になってからで十分という考えでは人材育成はできません。

    まず社会人として「当たり前」の環境にしておくことです。

    最初は、○○新聞の購読、専門書の購読などと指定する。

    これを最低限の課題とし、上司と部下の日常会話のなかにも、知的好奇心を
    呼び起こす要素、「よく知っているな」「ちゃんと勉強しているな」「それに
    ついての意見を聞かせてもらえるかな」などの会話を増やしていくことが
    必要です。

   2.マネジメントの中の教育(管理者に求められるもの)
    成果主義・能力主義型賃金制度にしても、コーチングの技法にしても管理職に
    求められる能力のレベルは以前に比べてはるかに高まっています。

    「言われた通りにやっていればいい」「先輩のやっていることを盗め」「分からない
    ことがあったら聞け。

    聞かないのは分かっていることと判断する」などの接し方では、人材育成には
    なりません。

    人は誰にでも「自分を分かって欲しい」という思いがある。

    報連相が徹底できない大きな理由は、ほとんど場合、上司にあるのです。

    「聞いてくれない」「文句ばかり言う」「内容にケチしか付けない」「ダメと
    言うばかりで適切なアドバイスがない」というケースがないか、常日ごろから
    チェックが必要である。

    「聞いてくれる」「自分を理解しようとしてくれている」と部下が感じたならば、
    必ず報連相が実施されるはずです。

     
    管理職にお勧めの書籍にカーネギーの『人を動かす』がある。

    この中で、
     ○人を動かす3原則
      1.批判も非難もしない。苦情もいわない。
      2.率直で、誠実な評価を与える。
      3.強い欲求を起させる。

     ○人に好かれる6原則
      1.誠実な関心を寄せる。
      2.笑顔で接する。
      3.名前は、当人にとって、最も快い、最も大切なひびきを
        持つことばであることを忘れない。
      4.聞き手にまわる。
      5.相手の関心を見抜いて話題にする。
      6.重要感を与える ― 誠意を込めて。

     ○人を説得する12原則
      1.議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
      2.相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
      3.自分の誤りをただちにこころよく認める。
      4.おだやかに話す。
      5.相手が即座に“イエス”と答える問題を選ぶ。
      6.相手にしゃべらせる。
      7.相手に思いつかせる。
      8.人の身になる。
      9.相手の考えや希望に対して同情を持つ。
       10.人の美しい心情に呼びかける。
       11.演出を考える。
       12.対抗意識を刺激する。

     ○人を変える9原則
      1.まずほめる。
      2.遠まわしに注意を与える。
      3.まず自分の誤りを話した後、注意を与える。
      4.命令をせず、意見を求める。
      5.顔を立てる。
      6.わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる。
      7.期待をかける。
      8.激励して、能力に自信を持たせる。
      9.喜んで協力させる。

    リーダー(管理職)の方は部下の指導において壁に当たった時、部下との関係
    が気まずくなった時に振り返るのに最適です。

    管理職には、業務が効率的に行われる社内環境を整備することが求められる。

    しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

    それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育の横行です。

    その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

    この問題を解決しなければ、社内の教育制度の内製化は不可能です。

     
  OUTPUTを習慣化させる
   ○OUT PUTの要求(成果を出す習慣付け)
    人材育成で最も難しいのが、成果を出させる習慣付けである。

    インプット(知識・技能の習得)は、幼少のころからの学習パターンであり、
    誰もがあまり抵抗なく実施できるものです。

    しかし、「人前で話す」「実演してみせる」「説得する」「理解させる」などの
    アウトプットの部分は苦手とする人が少なくありません。

    特にコミュニケーションの機会が少なかった人(人間関係の構築が希薄な人・
    人との接触が極端に少なかった人)は、ほとんどできません。

    また、そういう人に研修の結果を文章による報告書として提出させても「何を
    学んだのか」ではなく「何がカリキュラムだったか」という内容になってしまう
    ことが多い。

    インプットされた内容を自分なりに“消化”することなく、アウトプットされて
    しまうのです。
    そこで「図」を使った“理解”や“説明”は、そのような消化不良を治すには効果的
    な手法です。
    逆に相手に図を描かせることで、理解度を把握することにも利用できる。

    どんな場合でも(外部・内部研修参加後の報告書、自己啓発の結果報告、商談 
    経過の報告、会議などの個人成績の報告など)、必ず文章の作成や人前での
    発表を義務化することで、アウトプットの習慣を付けます。
    また、最初のうちは形式を指定せずに、未整理のものでもいいが、箇条書きに
    する、表を使う、図を使うなどのステップアップを図っていくことも効果的です。

  □人事制度のメンテナンス
   1.何を求めているのか
    (1)理念・哲学はあるか
     企業には、「創業以来の精神」と呼ばれるものや「経営理念」「創業の精神
     を成文化したものが存在する。
     形として存在しなくても、社内報で社長が常に語っていたり、朝礼で繰り返し
     言われる言葉から、何となく理解されている。
     しかし、その理念や哲学が「どんな社員になって欲しいか」「どういう社員が
     わが社の理想の社員か」を示していないことが多い。

     「人材がライバルに差をつける」と言われて久しいが、多くの会社はそこに
     手を付けているのだろうか。
     はなはだ疑問である。
     ゴールを示さないで「さあ頑張れ」と言われても、社員は途方に暮れてしまう。

    (2)年度方針に労務ビジョンはあるか
     年度ごとに目標は作成されるが、多くは販売目標である。
     人事制度をどうするか、評価制度をどうするか、人材育成をどうするかと
     いった「労務に関する目標」は、ほとんど見られない。
     制度を新しくする時以外でも、制度のメンテナンスは必要です。
     これだけ会社を取り巻く環境が変化しているなか、社員を測る物差しとなる
     評価制度を変えなくて済むわけがない。
     価値判断基準、会社の目標が変われば、当然制度の微調整が必要となる。

   2.どういう制度となっているか
    (1)労務管理のレベルは
     多くの会社に見られることだが、「労務管理」について「総務部の仕事だろう」
     とか「人事部の仕事だろう」と、他人事のように考える人が多い。
     しかし中小企業の場合、労務管理をライン管理者が行うことが多々ある。
     これが理解されていないことが多い。
     人事考課における1次考課者や2次考課者が、労務管理で重要な役割を
     果たしているのだ。
     しかし、労務管理を他人事だと考えている管理者では、労務管理レベルは
     お粗末な程度になってしまう。
     「社員が働きやすい環境をどうするか」「何に不満を抱いているか」という
     ことに気付き、改善を図るのも管理者の役割です。
     社員に点数を付けるだけが、管理者に課される労務管理ではないのです。

    (2)評価制度人材育成
     評価制度と人材育成を関連させているようで、関連させていない企業が多い。
     多くの社員が「商品知識が不足している」と感じている会社でも、商品知識
     を高める研修を用意していないかったり、知識の豊富な社員を評価する仕組み
     がなかったりします。
     評価シートを見て、この会社が「どんな社員を育てたいのか」が分かるレベル
     になっていなければ、評価制度と人材育成が関連しているとは言えません。

    (3)人事制度と人材育成
     配属の決定、配置転換、人材育成の三つが関連している企業となると、かなり
     少なくなる。
     これは、中小企業では人員が限られているため人材が不足し、ローテーション
     にする余裕のないことが一因とされています。
     しかし、これは全社員を対象とするからである。
     将来の幹部候補生は数人に限られているため、数年後を視野に入れて人材育成
     を行えば、必ずローテーションを行うタイミングが見えてくるはずです。
     また、人材育成と職能要件、職務基準を関連づけている会社も少なくありません。
     クラスごとに要求される知識・能力を明らかにし、その修得のために最低限
     必要となる研修や資格取得、講習の義務付けを明確にしておく必要がある。

  □会社・部門・個人の目標は一致しているか
   1.会社の目標と個人の目標の一致度
    (1)目標管理制度との関連
     目標管理制度を導入している会社は多いが、機能していない場合も多い。
     まず、目標の作成状況については、会社の目標と部門の目標が一致して
     いることが重要です。
     そこがずれていると、「頑張っているのに、誰からも評価されない」とか
     「目標に向かって頑張っているのに、業績が一向に良くならない」などの
     ずれが発生します。
     これは、制度への信頼を損なう原因になる。

     また、一度「問題なし」と感じたものも、評価する際に問題が発生することが
     あります。
     達成基準が不明瞭だったり、会社目標と部門目標が微妙にずれていることなど
     が原因です。
     問題に応じて改良を繰り返せば、制度の完成度が高まってきますが、
     「こういうものだ」とあきらめると、制度は形骸化してしまいます。
     労務担当者・人事担当者は目標の作成については、しつこく考課者への講習を
     実施する必要があるでしょう。

    (2)プロセス管理の仕組み
     わずか年に2、3回の考課時にしか、部下の目標を見ない、自分の目標を
     確認しない、という状態では目標管理制度は機能しません。
     日常業務に埋没しない仕組み作りが必要である。
     数値目標だけでなく、「それを達成するための手段・方法」を目標とする
     過程の管理が必要となります。  

     「彼が利益目標を達成するには、訪問件数を何件にすればいいのか」
     「提案件数を何件にすればいいのか」など、個別の手段・方法を明確化する
     必要があります。
     目標の作成が大事なのは、「結果」の評価だけでなく、「過程(プロセス)」の
     評価にも大きく関わってくるからです。
     手段・方法が明確化されていれば、管理者も数値の結果が悪かった場合、
     指示した手法が悪かったのか、やり方が悪かったのかという「内容の検証」
     が可能になります。

   2.過去の成長を振り返れる制度
    (1)結果のフィードバックと新たな目標設定へ
     結果が年度や半期で細切れになり、翌期の目標設定に生かされていない
     ケースも少なくありません。
     結果が給与の増減でしか、フィードバックされない会社も多い。
     評価の内容を本人に通知し、「だからここを伸ばして欲しい」「ここを改める
     べきだ」など、アドバイスすべきです。
     管理者の評価項目には、「部下の指導育成」「bQの育成」などがあるが、  
     「これは考課しなさい」と言っているのではなく、「育てなさい」なのです。

     したがって、必ず結果のフィードバック時には面接を行い、新たな目標設定
     を行う必要があります。
     ただし、注意しなければならないのは、会社の方針や部門の方針ができて
     いない段階で個人に対する来期目標を設定すると、矛盾が生じる可能性
     があります。
     会社・部門・個人といった三つの目標のベクトルが一致するよう、管理者は
     チェックする必要があります。

    (2)成長のスピードと得意分野の見極め
     これまでの終身雇用時代のように「同期入社の社員がライバルとなり、
     出世競争を行う」という考え方は能力主義にそぐわないのです

     能力に個人差があるように、進歩の速度にも個人差があるのです。
     また、向き不向きもあります。

     それを過去の成長から判断できる仕組みも必要になるのです。

     しかし、社員の履歴(入社から異動の記録、人事考課の記録など)が整備
     されている会社は少ない。

     「なぜ、このような異動だったのか、評価だったのか」「希望があったのか」
     などさまざまな角度から検証し、社員が能力を発揮できる環境を探すのも、
     人材育成の一環です。


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