〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
会社が組織として成り立っている以上、一部門でも欠落したり機能が停止すると企業運営はうまく
いかないものです。
逆に言えば、そんな組織の各部門を見ていくと、危ない会社を見分けることができるものです。
実際自分が関わっている会社が、そうした“危ない”企業に該当するのか、どこで見分ければいいのか、
となると意外にわからないものです。
「そんなことはわかっている」といった、“知っているつもり”が一番危ないのです。
企業を訪問したときに社内の様子から判断することができます。
・社員に覇気がない
・接待が派手になる
・社員が会社批判を口にする
・社員の言葉使いや電話対応が悪い
・退職者が急増
・最近幹部社員(特に経理部長)が辞めた
・商社や銀行などからの出向者がいる
・電話してもなかなか出ない
・担当者の遅刻や嘘が目立つ
・時期はずれの人事異動が頻繁に行われている
・オフィスが急に汚くなる
判断基準のポイントは
(1)玄関が整理整頓されているか
(2)社員の応対はいいか
(3)電話の応対にそつはないか
(4)社員間の会話が明るいか
(5)上司、部下の連絡はうまくとれているか
この辺でだいたい社員のやる気が見えてくるようです。
この点を自社にも当てはめて考えてみることです。
参考:与信管理チェックシート
◎営業マンの情報収集能力
取引先の危ない兆候は、営業マンが一番キャッチする機会が多いのです。
しかし、情報に興味がなく、観察力に劣っていたら情報はなかなかつかめません。
「見逃すな」「見落とすな」「見過ごすな」の3Mを気にすることです。
営業マンは注文をとって、売り上げを上げることだけに傾注すればよく、回収は経理がする
仕事と割り切っている人がいます。
しかし、営業の本来の仕事は、受注から納品、代金回収(手形決済まで)までです。
得意先に一番接する機会が多く、信用情報の収集が容易にできる立場にもあります。
自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の折れる仕事ではありません。
取引先訪問観察チェックリスト (出所:東京商工リサーチ)
協業のご案内
メルマガ登録(無料)はこちら
お問合せ・ご質問はこちら
■倒産と破綻
景気悪化から企業倒産が急増しています。
特に2023年(1-5月)の「飲食業」倒産は337件(前年同期比73.7%増)と飲食業ではコロナ関連
倒産の構成比が約7割(67.0%)と高止まりしている。
コロナ禍の影響から抜け出せず、コロナ融資で過剰債務に陥り、新たな資金調達が難しい飲食
業者は多い。(出所:東京商工リサーチ)
過去には日産生命、山一證券、北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行など、経営は破綻したが倒産
とは区別され、倒産に入っていない金融機関もあります。
経営継続が不可能になったことは同様ですが、では倒産と破綻はどう違うのでしょうか。
倒産には定義があります。
倒産法に基づいて本社所在地の地方裁判所に、破産、特別清算、和議、会社更生法、商法に基づく
会社整理などを申し立てる法的整理の事実があるか、または6カ月以内に2度にわたる不渡り手形
を出し、銀行取引停止処分を受けるか、1回目の不渡り後、会社経営の続行を断念した場合の任意
整理の、いずれかに該当している場合は倒産となりますが、免許を返上して経営続行を断念した
場合や、不渡りを出さずに行う廃業や合併解散、休業の場合は倒産には入りません。
とくに銀行、証券、保険会社などは、免許制度のもとに運営されていたため、免許の自主的返上や
債務超過による業務停止命令などを受けるとともに、業務を他社に移管し、廃業清算することから
破綻扱いされるものの、倒産とはなりません。
しかし、倒産も破綻も債権者には同じことで、債権管理に対する注意の度合いに強弱はありません。
□倒産原因の究明
景気変動に関わらず、常に倒産は起きます。
ただ、好景気時は倒産は減少し、その原因比率は「放漫経営」 が高くなりますが、不況時は倒産が
増加、販売不振、赤字累積、売掛金回収難など「不況型」 を主因とするものが50%を超え、加えて
「連鎖が連鎖」を呼ぶ、連鎖倒産の割合も10%を超えます。
好況時の不良債権で失う損失(利益、資金繰り、売り上げ減) を取り戻すのは容易ですが、不況時
の損失は企業の屋台骨を揺るがし、命取りにもなりかねないばかりか、対外的信用の失墜、銀行の
与信削減に結び付き、経営環境が悪化する恐れがあります。
倒産の責任はすべて経営者にあり、経営者の資質を知ることが大事ですが、あわせて倒産原因を
究明することで、ある程度倒産を予知することができます。
東京商工リサーチでは昭和27年に、信用調査に派生して起こる倒産会社の取材、集計を開始しまし
たが、当時よりその原因を次の10項目に分類しています。
◎倒産原因10カ条
①放漫経営
事業上の失敗、事業外の失敗、融通手形操作の失敗、市中金融の利用などが原因で行き詰まる。
②過小資本
自己資本が小さく運転資金が欠乏したり、借入過多で金利負担が資金繰りを圧迫する。
③他社倒産の余波
不良債権は金額の多少に関わらず、資金繰り圧迫要因となると同時に得意先や銀行の信用を
失墜する要因となる。
④既往のシワ寄せ
赤字が累積し、債務超過となって資金繰りが続かなくなる。
⑤信用性低下
取引先の支援打ち切りが原因で経営が不可能となる。
⑥販売不振
売上不振、受注不振で資金繰りが悪化する。
⑦売掛金回収難
約定通りの回収ができないと資金繰りの計画が大きく狂う。
⑧在庫状態の悪化
在庫増加は資金負担が増加し、資金繰りを圧迫する。
⑨設備投資過大
企業の成長を見込み設備投資を行っても、資金計画を誤ると長期にわたって資金が固定し、
資金繰りを圧迫する。
⑩偶発的要因
会社が火災にあったり、社長の事故死、社員の使い込み、手形・小切手の盗難、阪神大震災
などの予期せぬ出来事で資金繰りが続かなくなる。
複数の原因が重なり会社は倒産しますが、最も大きな原因を主原因として取り上げます。
□倒産へのプロセス
倒産は突然起きるものではありません。
古い例ですが、1998年に複写機の中堅メーカー三田工業が大阪地裁に会社更生法を申し立て倒産
したときは、突然のできごとで、債権者の多くは戸惑いを隠せませんでした。
その後長年に及ぶ粉飾決算の結果が原因と判明、改めて経営者のモラルハザードが問われることと
なりましたが、少しの疑問も見逃さないリスク管理が重要であることを再認識することとなりま
した。
同社については、数年前に粉飾決算の噂が流れたときがありました。ある大手会社は、決算書を
つぶさに分析、その疑いを強め、営業に対し一切の取引を中止し、グループ会社に対しても警戒の
指示を出した効果から、同社倒産時の債権はありませんでした。
会社の信用は、継続して「支払い能力があるか否か」 で決まります。
会社の知名度と規模で決めるものではありません。
資金繰りに支障が出るには、それなりの原因があり、その原因を探究すれば不良債権の回避や保全を
早めに行い、不良債権を最小限に食い止めることができるのです。
倒産に至るには、それなりのプロセスがあります。
即ち、業績悪化(為替金利市況変動、競争激化、設備投資失敗、不良債権発生)経営努力(資産売却、
経費削減、多角化、新製品開発、その他改善努力) 回復なし(赤字累積、粉飾決算、資金事情悪化、
ダンピング)金融努力(融通手形、高利利用、支払い条件の変更、回収を急ぐ)。
この段階になると経営者は、目先の資金繰りに追われ、事務所にいる時間がほとんどなくなります。
会社には見かけない人たち(市中金融業者) が出入りし、不動産の乙区の担保権利者の変化(一般
債権者、個人など) 、甲区には仮差押さえがつき、末期的症状を呈します。
巷での噂も頻繁に流れるようになり、不渡り、法的申立てが間近となります。
□営業マンの情報収集能力
取引先の危ない兆候は、営業マンが一番キャッチする機会が多いのです。
しかし、情報に興味がなく、観察力に劣っていたら情報はなかなかつかめません。
「見逃す」「見落とす」「見過ごす」 の3Mを気にすることで、簡単にできるチェックポイントを
列挙してみましょう。
・主力製品が輸入品との競合が激しい。また商品が市場性に乏しい。
・規制緩和の影響を受けている。
・営業赤字は2期赤字。
・営業利益は黒字でも、支払い金利が賄えない。
・内部保留が無く、自己資本比率が低い。
・経営の多角化をはじめた。
・本業以外(株式、不動産) への投資があり、資金が固定している。
・不動産の売却や人減らしをはじめた
・商品の換金や、出血受注の傾向が見られる。
・粉飾決算の疑いがある。
・手形割引ストップ(割止め) 、市中金融利用の噂が流れる。
・支払い遅延の噂が出る。
・取引先が次から次へと変わる。
・取引銀行(決済銀行) が変わった。
・不良債権が発生した。
・関連会社、兄弟会社が倒産した。
・支払い条件の変更要請があった。
・中堅社員や幹部社員、経理部長などの退社があった。
・経営者が健康を害している。
・経営者の不在が多くなった。
・役員の変更が激しい。
・社員の会社に対する愚痴や不満が聞こえる
・社内は整理整頓がなされてなく、活気や明るさがない。
・再建協力や合併話が持ち上がる
・調査会社の評点が低い。
などがあります。
営業マンは注文をとって、売り上げを上げることだけに傾注すればよく、回収は経理がする仕事と
割り切っている人がいます。
しかし、営業の本来の仕事は、受注から納品、代金回収(手形決済まで) までです。得意先に一番
接する機会が多く、信用情報の収集が容易にできる立場にもあります。
自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の折れる仕事ではありません。
あらゆる分野に強い情報ネットを張り、それなりの知識を身につけられるならそれに越したことは
ありません。
しかし、これは至難の業に等しく、それを補完する意味では人と人との情報ネットが必要です。
これからの人は、日頃の訓練が実を結ぶことから、次のようなことをやってみてはどうでしょう。
毎日の新聞広告(含む求人広告) チラシに目を通し、住居周辺の情報を拾う。
通勤電車の中吊広告などから、その時の社会情勢や景気の動きを考える。
家庭団らんの中で、最近消えたテレビCMや新登場のCMなどを話題として取り上げてみる。
最近のファッションをはじめ、流行についても家族の話題にする。
情報の増量や完成を高めるのに寄与し、対人関係を深め、得意先訪問の際、前回訪問時の印象と
今回との相違が肌で感じ取れるようになります。
変化を見落とさず、その原因探究ができるようになれば大きな財となります。
情報力の差は感性の差であるといえます。
情報は誰よりも早く入手することが大事です。
情報はもらっていては他社に後れをとることになります。
目で拾い、感性で感じる情報が第一なのです。
しかし、これには限りがあり、情報源は相手先、取引関係者、取引銀行、同業他社、知人友人、
調査機関などから耳で収集することが多いのです。
これも人との密接度で早くもなり遅くなることもあります。
したがって、当該者の行動、言動から取ることも忘れてはなりません。
人対会社、または会社対会社では、真の情報は取りにくいのです。
それはおしゃべりな人にうっかり情報を流し、当事者の耳に入って「損害賠償」 の訴訟に発展する
危険性が強いからです。
また、せっかく教えてくれたのに「関係ない」と最初から相手にしなければ、二度と教えてもらえず、
人間関係を弱めることにつながります。
まさに「情報は人との繋がり」であると同時に「情報はとるもの、拾うもの」 であるといえましょう。
□情報の管理と活用
情報は連想ゲームでもあります。
一つの情報が直接影響を及ぼさなくても、他の取引先へマイナスをもたらし、それがブーメランの
ごとくハネ返ってくるケースが多々あります。
関係ないと思われる情報もメモして保管しておくか、上司に届け出ておく心構えを常に持ちたい
ところです。
収集力がついても、伝達、分析、活用する組織や人がいなければ単なる「宝の持ち腐れ」 に終わって
しまいます。
会社の収集方法としては、必要項目を記載した情報連絡メモを作成し、このメモで報告する制度で
行う方法や、毎日の営業日報に訪問先の変化事項を赤ペンで記載して報告する方法、情報が集まら
ないときには、訪問先チェックリスト用紙(後掲) を複写で作成し、決算非公開先、他から入った
情報先、調査会社の評点の低いところなどを中心に、4カ月ごとに営業マンに記入報告させて、
管理者が前回提出したものと比較して、変化事項をチェックする方法などがあります。
集まった情報は、その真実性、正確性、鮮度などを分析しなければなりません。
当然、商業登記、不動産登記などで、資本金の増減、事業目的、役員変更、担保の変化などを確認、
情報の分析結果によっては、対応策まで決めて、保管責任者が整理保存しておきます。
事態の急変に備えておくことは、債権回収の際に、新幹線に乗れるのか、鈍行に乗らねばならない
のかのスピードの差となってあらわれます。
日本の慣習からすれば、契約は簡単なもので締結するか、一度結んだら期間が過ぎても再契約を
結ばず、口約束で継続して取り引きを行っているのが一般的です。
したがって相手が約束を履行しなかった場合、契約書は証拠とならず、裁判の際に不利な立場に
置かれ、債権回収はおぼつかなくなります。
これを回避するためには、債務者が債務の履行を行わない場合や、履行できない危険性のある場合、
債権回収について、債権者に有利になるような基本契約書を締結しておくことが必要(継続、単発
取引いずれにおいても) で、この基本契約書(裁判に持ち込んだ際、証拠となる)に基づき取り引き
を行うことを原則とするよう肝に銘じておかなくてはなりません。
債権回収が緊急を要する場合、
①商品の引き揚げ
②買掛を起こし、相殺できるようにする
③売掛金の譲渡を受ける
④連帯保証人を取る
⑤担保を取る
⑥手持ちの単名手形を他社の手形(裏書き譲渡手形) に差し替えるなどの方法があります。
債権回収は情報に強い企業に「一日の長」があります。
得意先の倒産に備えること、それは情報マンを数多く育て、収集、管理、運用の制度化を確立する
ことなのです。
協業のご案内
メルマガ登録(無料)はこちら
お問合せ・ご質問はこちら
取引先の経営状況 |
■「様子がおかしい」企業とは 会社にとって、取引先の与信管理は非常に重要な業務です。 とくに中小企業にとって取引先の倒産は自社の死活問題となります。 取引先の信用度をチェックする方法としては、決算書や調査会社の信用調査レポートなど 取引を行う際には、企業のホームページ上のIR情報、すなわち決算、四半期報告、各種 しかし、経営を取り巻く環境の変化が著しい現在においては、1年に数回程度のこうした 従業長の行動、事務所の雰囲気などからその会社の危ない兆候を兢みとることも大切な 会社が危ないときには、たとえ数値や評点におかしい点がなくとも、なんらかの兆候が あの会社はなにか変だった」と思い当たる節があるのだそうです。 現場の担当者の感覚やほかの取引先から流れてくる噂は、ぱかにはできません。 ・いち早くおかしなところに気づく感覚を磨き ・「おかしい」と感じたらすぐに調査を開始し、正確な現状把握を行う ような体制を整えておくことが必要でしょう。 次にチェックすべきおもなポイントをあげています。 取引先を訪問する際には、このような兆候がないかどうかをつねに気にしておくことが □社員の態度が悪い 社員の表情が暗い/電話の声に覇気がない/伝言が伝わらなかったり、応対がだらだら しているなど、仕事に誠意が感じられない/公然と自社や社長を非難する □職場がなんとなく荒れている 書類などが片づかず、雑然とした雰囲気がある/事務所やトイレが清掃されていない/ 空き机が多く、極端に片づいている/壁の額縁が曲がっていたり、机などの配置が □会社の雰囲気が急に変わった 頻繁に人がいなくなる(退職や解雇など)/知らない社員が増えた(出向受け入れなど) /突然の人事異動が頻繁にある/急激に職場のムードが悪くなった □社長や経営幹部・経理担当者の挙動が不審である 未回収の売掛金が増えてきた/自社に取引条件の変更を申し入れてきた/経営や後継者 問題に関する話題をもち出すと話題をそらす/風邪だ出張だと、急に不在がちになった /社長の家庭に閉居があるらしい/役員の間でもめごとがある/幹部社員が急に退職した □ほかの取引先との関係がおかしい 社員が電話で誰かともめていた/出入りの業者や仕入れ先・納入先、取引金融機関 まず、経営者自ら陣頭指揮を取って社内勉強会を実施する、あるいは営業マンの人事評価に売上 業績の落ちてきた企業は、当然社員の士気も落ちてきますし、資金面が不安定になれば 取引先とのトラブルも多くなります。 営業担当者には、こうした情報を速やかに確実にキャッチできるように、普段から ・取引先社員のなかに複数の「親しい関係者」をつくっておき、なにかと情報が ・同業者の間にもできるだけ多くの人脈をもち、いち早く「噂」が集まるように 営業担当者から、「あの会社はなにかおかしい」という警報が鳴らされたら、速やかに ここでは、調査のための手順と方法をいくつかご紹介します。 同業者・下請け企業・取引金融機関などから問題の企業の信用状況について「さりげなく」 その際、自らその企業に対する信用不安をまき散らし、経営を悪化させないよう配慮 しかし、公然と「あの会社はおかしい」と答えてくれるところはまずありませんので、 ・知らないことでも知っているフリをして話をあわせる ・相手の言葉一つひとつのニュアンスから察しをつける などの要領が必事です。 口の堅い相手でも、危ない会社と知っていながら「あの会社は絶対大丈夫」などと □経営陣の状況はどうか 問題の企業について、経営者の交代や経営幹部の退職、主要取引先の倒産(=連鎖倒産の □どこと取引をしているか 取引額が一社だけ特別に大きいところはないか/特定の企業の取引が急に増えて □どんな取引をしているか 支払い延期の申し入れがある/商品の納期遅れがある/取引高が急に増えたり □変な噂はないか メーンバンクを変えたらしい/手形が市中金融に出回っているらしい/融通手形
また、ひとつの取引先に依存しすぎたり、危ない企業と取引している企業は、連鎖 このように、問題企業の取引先にまで目を光らせることで、より早く危険の芽を 不動産登記簿は、各都道府県庁所在地の地方法務局・支局・出張所に備え付けられて 不動産登記簿は、企業の資産にどのような担保が設定されているか、また担保設定 できれば営業担当者からの警報がなくてもすべての重要取引先については定期的に □担保権が第何位まで設定されているか □資産を担保にいれてどのような取引をしているのか □担保設定時期は集中していないか □本社や工場など主要な不動産を処分していないか □担保設定者に不審な金融機開はないか また、担保権の設定者によっては次のような危険な状況も疑われます。 ・市中金融やノンバンクの名が掲載されている場合=取引金融機関から受けられる ・取引先企業が担保権を設定している場合=売り掛け債権が回収できないかもしれない と判断されて非常措置をとった企業がある 非上場企業の場合は上場企業に比べて手に入りにくいのですが、 もし3年以上の期間について決算書が手に入れば、それを比較分析することで正確に とくに注目すべき点は、 ・収益構造悪化の兆候 ・資金繰り悪化の兆候 ・粉飾決済の兆候 の3点です。 具体的に次のような行動をとる企業は「危ない」と考えられます。 ・販売力を超える生産 ・無理な販売のための過剰な値引き ・販売促進のための過大な費用負担 ・販路拡大のための売り上げ回収サイトの長期化 ・貸し倒れなどのリスク管理不在 □売上高が停滞または減少傾向にないか □経常利益が急に減少していないか □販売コスト、とくに宣伝広告費の急増と金利の負担増が起こっていないか □売上高の伸びを超えて未回収の債権が増えていないか リスク管理や資金の安定確保よりも、まず必要な資金を調達することだけを考える ・借り入れ金融機関の数が増加 ・受取手形のほとんどの割引や自振手形の市中金融での割引 ・主要取引先に支払い条件の変更や手形ジャンプの依頼 ・手元流動資産(現預金・有価証券)の取り崩し □借入金や金利負担が急に増えていないか □手もち受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか □手元流動資金が急に減っていないか □支払い延期によって仕入れ債務が増えていないか 正しい経理処理をしている会社であれば正しい分析も可能なのですが、財務データが ・売り上げの水増し ・経費の過小計上 ・会計操作 □売り上げが伸びているのに社長の士気が低下しているなど、日頃の観察と決算書 前項でご紹介したような兆候から取引先の信用に不安を感じたり、さらに調査機関など □取引方法を変える必要はないか できるだけ与信限度額を減らし、現金取引を増やしたり、それが不可能な場合には □契約書などで債務・債権の所在を証明できるか 債権を否定されてはおしまいです。 万一のときのために取引の状況を確認できる書類(契約書、発注書、受領証、 □債権取り立ての手段を確保しているか 担保取得の可能性を検討したり、取引先社長の個人保証をとりつけておく必要が ほかにも代物弁済や差し押さえ、仮処分などの回収方法を検討し、同時に積極的な 場合によっては、先方の承諾をとって商品の引き揚げなども検討します。 □法的措置をとることはできるか 危険度の高い相手に対しては、法的な措置が必要になる可能性もあります。 いざというときのために、あらかじめ弁護士と協議しておくとよいでしょう。 |
だいじょうぶ? 取引先の経営状況(与信管理) |
■与信管理 会社にとって、取引先の与信管理は非常に重要な業務です。 特に中小企業にとって取引先の倒産は自社の死活問題となります。 取引先の信用度をチェックする方法としては、決算書や調査会社の信用調査レポー 最近では、IR情報を公表している企業が増えているため、一定規模以上の企業との これらの書類の定期的なチェックに加えて、営業マンなどが会社を訪問(出所:東京商 取引先の危ない兆候は、営業マンが一番キャッチする機会が多いのです。 しかし、情報に興味がなく、観察力に劣っていたら情報はなかなかつかめません。 「見逃すな」「見落とすな」「見過ごすな」の3Mを気にすることです。 しかし、営業の本来の仕事は、受注から納 自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の 自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の 会社が危ないときには、たとえ数値や評点におか 営業日報にチェックシートを添付しておくことも必要です。 ・いち早くおかしなところに気づく感覚を磨き ・「おかしい」と感じたらすぐに調査を開始し、 次にチェックすべきおもなポイントをあげています。 取引先を訪問する際には、このような兆候がないかどうかをつねに気にしておくことが ○社員の態度が悪い ・社員の表情が暗い ・電話の声に覇気がない ・伝言が伝わらなかったり、応対がだらだらしているなど、 ・公然と自社や社長を非難する ・書類などが片づかず、雑然とした雰囲気がある ・事務所やトイレが清掃されていない ・空き机が多く、極端に片づいている ・壁の額縁が曲がっていたり、机などの配置が乱れたままになっている ・在庫が無造作に積まれ、整理されていない ・頻繁に人がいなくなる(退職や解雇など) ・知らない社員が増えた(出向受け入れなど) ・突然の人事異動が頻繁にある ・急激に職場の雰囲気が悪くなった ・未回収の売掛金が増えてきた ・自社に取引条件の変更を申し入れてきた ・経営や後継者問題に関する話題をもち ・風邪だ出張だと、急に不在がちになった ・社長の家庭に問題があるらしい ・役員の間でもめごとがある ・幹部社員が急に退職した ・社員が電話で誰かともめていた ・出入りの業者や仕入先・納入先、取引金融 ・評判の悪い企業と取引をしている 営業担当者には、こうした情報を速やかに確実にキャッチできるように、普段から、 ・同業者の間にもできるだけ多くの人脈をもち、いち早く「噂」が集まるように といった努力や対策を講じることが求められます。 営業担当者から、「あの会社は何かおかしい」という危険信号が発せられたら、速やか 1.聞き込み調査 同業者・下請け企業・取引先・取引金融機関などから問題企業の信用状況につ その際、自らその企業に対する信用不安をまき散らし、経営を悪化させないよう 会社の異常は社長を始めとする経営陣の行動変化に表れやすいものです。 この点について営業担当者から指摘があった場合には、特に注意して確認する ○経営陣の状況はどうか ・社長や経営陣に関する悪い噂はないか ・トップ同士の面談申し込みに快く応じて ・取引額が一社だけ特別に大きいところはないか ・特定の企業の取引が急に増えていないか ・評判の悪い企業や業績の悪い企業と取引していないか ・主要取引先の倒産などはないか(=連鎖倒産の危険) ・支払い延期の申し入れがある ・商品の納期遅れがある ・取引高が急に増えたり減ったりしている ・決済方法が急に変わった(手形ジャンプの依頼を受けた、 ・融通手形(融手)を扱っているらしい
不動産登記簿は、各都道府県庁所在地の地方法務局・支局・出張所に備え付 不動産登記簿は、企業の資産にどのような担保権が設定されているか、担保権 できれば営業担当者からの警報がなくてもすべての重要取引先については定期 ○担保権が第何位まで設定されているか ・はじめに設定された担保権が抹消されず、 ・誰が担保権を設定しているか ・どのような債権によって担保権が設定 ・担保権の枠が拡大されていないか ・担保によって得られた資金は何に ○担保権の設定者によっては次のような危険な状況も疑われます。 ・聞き慣れない金融会社名が掲載されている場合 ⇒取引金融機関から受けられる融資だけでは資金が足りなくなっている ・取引先企業が担保権を設定している場合 ⇒売り掛け債権が回収できないかもしれないと判断して非常措置をとった企業 非上場企業の場合は上場企業に比べて手に入りにくいですが、もし3年以上の期間 特に注目すべき点は、以下の3点です。 (1)収益構造悪化の兆候 具体的に次のような行動をとる企業は「危ない」 ・販売力を超える生産 ・無理な販売のための過剰な値引き ・販売促進のための過大な費用負担 ・販路拡大のための売上回収サイトの長期化 ・貸し倒れなどのリスク管理不在 ・売上高が停滞または減少傾向にないか ・経常利益が急に減少していないか ・販売コスト、特に宣伝広告真の急増と金利の負担増が起こっていないか ・売上高の伸びを超えて未回収の債権が増えていないか リスク管理や資金の安定確保よりも、まず必要な資金を調達することだけを考 ・通常の金融機関以外からの借り入れ ・主要取引先に支払い条件の変更や手形ジャンプの依頼 ・手元流動資産(現預金・有価証券)の取り崩し ・借入金や金利負担が急に増えていないか ・受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか ・手元流動資金が急に減っていないか ・支払い延期によって仕入債務か増えていないか 粉飾決算とは、人為的に決算書の数字を操作(粉飾)した決算のことです。 実態よりも、見栄えを良くするために、「売上の水増し」や「利益の水増し(経費 取引先相手の粉飾決算を見抜くことは大変困難ですが、相手の信用状況が疑 <チェック> ・決算書の主要数字の根拠について、先方社長が即答できるか ・その根拠に矛盾する点はないか(特定の売上に対する原価が計上されて 取引先の信用に不安を感じたり、さらに調査機関 ○取引方法を変える必要はないか できるだけ与信限度額を減らし、現金取引を 日頃から取引の状況を確認できる書類(契約書、 もしそのような書類を介さずに取引していたような場合には、先方の社長に「たし 担保取得の可能性を検討したり、取引先社長の個人保証をとりつけておく必要が ほかにも代物弁済や差し押さえ、仮処分などの回収方法を検討し、同時に積極的 場合によっては、先方の承諾をとって商品の引き揚げなども検討します。 法的手段を行使するためには、信頼できる弁護士に早めに相談することが大切 危険度の高い相手に対しては、法的処置が必要になる可能性もあります。 いざという時のために、あらかじめ弁護士と協議しておくとよいでしょう。 ○リスクヘッジのための保険への加入(取引信用保険) メルマガ登録(無料)はこちらから
|
危ない会社 |
■中小企業の倒産 2020年度の中小企業基本法に基づく 中小企業の倒産件数 7,158件負債総額は 1兆1,311憶6,200万円(前年度比9.8%減)と、2年連続で前年度を下回った。 負債1,000万円以上の「新型コロナ」関連倒産は、2020年2月から 2021年3月 までで累計1,162件に達しました。 2020年10月に初めて100件を超え、その後は90件台となっていたが、11都府県に 緊急事態宣言が再発令された1月は101件、2月は114件、3月は151件と、2カ月 連続で最多記録を更新しています。 倒産だけでなく休廃業・解散の動向にも注目が必要です。 インバウンド需要の消失、外出自粛の広がりに加え、移動制限や時短営業の要請が 客足に影響し、業績回復の遅れにつながっています 。 再び新型コロナ感染者が拡大等、先行きが見通せず、事業継続を断念する動きも 。 コロナ禍の金融支援は、 倒産抑止策として機能し、感染拡大の当初は、倒産回避策 として「とにかく資金を出す」スタンスで、規模を問わず貸出が積極的に実施 されました。 ですが、新規借入が難しい企業にも貸出が行われ、さらに業績が落ち込むなかでの 通常以上の貸出は「過剰債務」という副作用を招いているのです。 返済が始まる 5月頃を境に返済能力への念が一段と深まっています。 出典:日本商工リサーチ □与信管理の重要性 ◎見えにくくなった倒産 2000年度の企業倒産件数は18,769件で、、負債総額は23兆8,850億円と 産」、「チャイナリスク関連倒産」を中心とした倒産などが考えられる。 最近は業種にもよりますが、売上高対負債総額の比率はほぼ100%と、ひと こうした時代背景にあって、危ない会社をいかに見分けるか、俗に言う「パクリ 自社の営業マンはどうでしょうか。 一体、パクリ屋はどんなふうに我々をだますのか。 まず休眠会社の買い取りをする。 次に本店を移転し、事務所の開設。 そして移転先に銀行口座を開設する(当座取引)。 そこから実際のアクションが始まる。 飛んで行った営業マンは、受付から事務所に通される。 待たされている間に、何やら奥のほうから電話の声。 どうやら電話の相手は知名人、有名人、地元の有力者といった感じ。 営業マンはそこで「凄いな!」と思い込んでしまう。 そこへ相手が現われて名刺交換。 かなり大口の契約話を持ちかけてくる。 我々には調査しにくい特殊法人などが多い。 最初の決済は現金。それを2、3回繰り返されると、こちらは信用しきってしまう。 を引き払い、ドロンを決め込む。 気が付いたときは、もぬけの殼というわけ。 休眠会社を掘り起こすのがパクリ屋の常套手段です。 信用できる会社か否かを見る着眼点は、第一に、本社が移転しているかどうか。 移転している場合は、新しいサラの登記簿になってしまう。 そこで社歴を遡って見るには、閉鎖謄本、除去謄本を法務局から取り寄せるとよい その上、役員構成がガラッと変わっていたり、事業目的が多肢にわたっていて本業が さらに決定打は、増資の仕方。 これが短期の間に不自然なくらい増えているのが、パクリ屋の典型的パターンです。 最近の銀行は、当座の口座開設審査が厳しくなっているという。 しかし、当座開設できない場合、パクリ屋にとっては便利な商売がある。 倒産寸前の瀕死会社から、手形を詐取してくるのである。 たった1枚の紙片にすぎない手形用紙に一旦、チェックライタ−で数字が打ち込 着眼点の第二は受取手形のチェック。 まず通常取引の場合、600万円とか1,000万円というふうに端数がないのはお 消費税もある。 3ヵ月から4ヵ月が普通で、支払いサイトが異常に長いのも要注意。 次に振出人が○○食料で受取人が××鉄工といった場合、なぜそれが商取引なのかを ××鉄工から△△製菓、そして○○インターナショナルといったカタカナ名の会社に 何か不自然である。 その他の着眼点としては、金融機関に訊く、信用調査機関を利用するという手段も しかし、これらは定量的なもの(資本金など)であり、定性的(信用力)にはあまり当て それを目に見える形で表わしていくことは非常に重要なことであり、優秀な営業マンを 1.商品別、規模別、業種別に顧客分析をする 2.現状の売り掛けサイトの分析 3.信用の定量化分析 4.業務の処理分析 5.与信決済、フロ−チャ−トの構築 6.そのシミュレーション。 なかでも3の信用の定量化分析は、日頃、「お客様は正しい」と、お客様の味方を 与信管理制度を導入し、信用取引の基準を決め、その物差しで客観的に判断して 与信管理の最終決定権者、つまり、誰に決裁をもらい、金額的にはどういうルールで そうしたフローの概念はますます必要になってくるでしょう。 つまり、誰がどこでいつ、誰と会っていくら集金したか、どんな話をしたかといった簡単 これが後々裁判沙汰になった場合、証拠となる。 これをやるだけでも営業マンの見方、考え方、行動の仕方が違ってきます。 やはり、焦げ付いて苦労した人間は慎重にならざるを得ない。 知識と経験をもって、危ない会社にひっかからない体質をつくっていただきたい。 危ない会社をどのようにして見分けるか。 1.いわゆるパクリ屋の手口を念頭におきながら、簡単にできる、お金もそれほ 2.貸倒れをつくってしまった場合、自社にはどの程度の被害があるのかを定性 3.与信管理、与信限度である。
|
危ない会社の共通点 |
■社長のプロ根性 赤字が出たからといって会社はすぐに倒産するとは限りません。 どん底から這いあがって成功した社長も少なくない。 要は、断崖絶壁から生還しようとするプロ根性が最後の勝負となるのです。 しかし、最初の峠は、損益分岐点の改善であり、従業員とその家族、取引先に迷惑を 1.赤字決算を3年以上も続ければ会社は倒産する。 1期でも赤字決算となれば、その原因を突き止め対策をたてなければならな その原因が、 を見極め、体質的なものであれば大手術を決断しなければならない。 決断が遅れるほどキズ口は深くなる。 借入金に伴う金利負担が経営を圧迫するからです。 金利負担は、メーカーであれば売上高の3%までが適正、5%では資金繰りが よほど、厳しく管理しないと増えていく性質のものです。 販売計画と販売実績のギャップがそのまま在庫増につながる。 売掛金の回収も、長期売掛の定義を決めて月々厳しくチェックしていくことが 在庫も売掛金も増えると運転資金が不足し、借入金によって補わなければな やがて、借入限度に達して手形の乱発になる。 転ばぬ先の杖で、ここを厳しく管理することが重要。 仮払金や棚卸資産には、正常なものと、悪性のものがある。 回収見込のないものや、資金価値のないものを計上して見かけの利益を出し 生きているのか死んでいるのか、常に実態を調べて発生するたびに整理して 適正利益が取れないのは商品力がないか、売り先に問題があるかのどちらか 抜本的な手を打たずに安易な方に流されるのは危険です。 労働分配率は33%を理想とする。50%を超えると利益は殆ど出ない。 経費を徹底的に切りつめると、赤字はまぬがれても当然使うべき金を使わな 労働分配率が60%を超えると赤字転落はまぬがれない。 「景気が悪いからだ」、「政府が何も手を打たないからだ」という原因を他人の
|
信用調査マニュアルの作成 | ||||||||
■信用調査の重要性 1.信用調査の必要性 相手の経営状態を把握せずに取引を開始したり、取引先の経営状況の変化 現在のように、経営環境が日々激変する中で、企業の信用力も刻々と変化す 従って、企業が取引先管理の一環として継続的な信用調査を行うことは非常 継続的な信用調査を行うことで、 ・貸し倒れの発生を未然に防ぐ ・取引先の経営状態を逐一把握できる などのメリットを得ることができます。 また、取引先の経営状況が把握できれば、積極的かつ的を射た営業努力によ 売り上げ増進から取引量の増加につながり、その結果、取引先とより太いパイ このように信用調査は自社、取引先企業の双方の利益向上のために必要不 企業が信用調査を行う必要性については前述した通りですが、実情として、販 近年、企業の従業員評価は年功序列から能力・成果主義へと移り変わりつつ しかし、能力・成果主義を導入した効果が空回りし、部署の責任者や従業員に 例えば、ノルマ達成のために本当に必要な取引先の情報を収集せずに、ある しかし、取引先の信用調査なしに、安定した経営取引や拡販は望みにくいの 信用調査は企業経営の中で必要不可欠といえるでしょう。 企業に関する信用調査は、ほとんどの場合が取引先企業あるいは新規取引 しかし、対取引先企業ばかりでなく、信用調査の活用方法として「社外からの 自社が社外における自社の信用力を図り、社外ではどのように評価されてい 信用調査にはいくつかの方法がありますが、このように信用調査を応用する 1.金融機関調査 メーンバンクを通じて信用照会を行い、取引先の経理状態などの概要を把握 留意すべき点は、金融機関は取引先の悪い点にはあまり触れないことです。 金融機関の報告の行間を読み、真相を予測することが大切です。 興信所を利用する場合は費用と時間がかかるため、調査事項を絞って依頼す 依頼内容によっては、データの古い回答がされる場合もあるので、報告書作 また、利用する興信所の選定に際しては、大手の信用できる調査会社を選ん 同業者間の情報交換により、取引先への売掛限度や一般的な信用の概要な しかし、同業者からの情報は、 各業者で取引量や付き合いの年数が異なるなどの理由から評価内容がそれ 同業者から得られる情報はトピック的な要素が強く、本当に必要な情報は限ら 自社の営業担当者などが実際に取引先に出向いて、観察や面接などにより そのため、客観的な調査を行う前提条件として、担当者の熟練した調査技術 また、取引先の営業を妨げたり、心証を害して関係を悪化させないために、調 信用調査は予備調査と実態調査に大別され、予備調査の結果を踏まえて実態調査を 予備調査は、取引先の概要を知り、どの程度の実態調査が必要かを調べるため 具体的には、前述の金融機関調査、興信所調査、同業者調査などが行われ、調 実態調査は、予備調査で得た情報から、取引先の実情を面接などによって確認 このような2つの調査結果から、売り掛けの限度など取引方針を決定し、実際の 信用調査の具体的な手法については、経験の浅い営業担当者でも戸惑わずに行え 作成するマニュアルは、文章よりも各項目のチェックリストによる○×式シート マニュアルに盛り込む主な項目は次の4つです。 既存の基礎資料から予測される情報のチェックです。 この調査は過去に行った ・金融機関調査や興信所調査、同業者調査 ・任意協力的に提出される財務諸表、不動産、商業登記簿謄本 などの定期的な点検のためのものです。 従って、資料分析チェックは予備的調査といえます。 資料の分析・チェックは取引先担当者が定期的に行い、そのデータを蓄積して 具体的なチェック項目は、 (1)基本事項
(2)継続事項 ○不動産登記簿謄本による ・所有権の移動 ・第三者の権利設定 ・消滅 ・主要役員 ・資本金 ・支店 ・そのほか営業状況変化 ・好況法人 ・高額所得者 営業担当者に、日常の営業活動の中で積極的に取引先の経営、信用情報を 営業担当者は取引先だけではなく同業者、隣近所などからの情報収集も行う 具体的なチェック項目は以下の通りです。 □ 役員構成は創業者グループか、外部者か、生え抜きで固まっているか □ 役員の変更が頻繁にあったか、内紛や派閥争いはないか □ 株主構成はどうか □ 役員兼任とか、融資、取引関係との系列関係はどうか □ 取扱品の技術的優位性など特色はあるか □ 商品知名度は高いか □ 経営管理体制、組織は完全か □ 労働組合はあるか、上部団体はどこか □ 労使関係は円満か □ 社員の勤労意欲は高いか □ 新規、多額の設備投資または未経験の分野への進出投資 □ 新任経営者による営業方針、営業政策の急激な変更 □ 従業員の目立った異動、増減 □ 労使関係の対立激化ないし労働争議の発生 □ 主要売り上げ先の変更、取引状況の急変 □ 主要仕入先の変更、系列の転換 □ 主要役職員の更迭、辞任、死亡、事故など □ 人柄 □ 対外折衝能力、社内管理能力、技術能力のバランスが取れているか □ 社員から信頼されているか □ 主力銀行はどこか。またそこの評価はどうか □ 過去3カ年の業績はどうか □ 各種経営指標は業界標準と比較してどうか □ 過剰設備投資はないか □ 物的担保能力はあるか。その利用状況、優先順位はどうか □ 経営者並びに役員の資産はどの程度あるか。担保余力はあるか □ 融通手形の発行 □ 取引先の倒産による多額の焦げ付き、貸し倒れの発生 □ 金融業者などの高利資金の利用 □ ほかの債権者の債権保全の状況、取立の強化 □ 仕入代金の決済状況はどうか。 □ 約束した決済条件を守っているか □ 適正在庫を維持する仕入れを実施しているか □ 仕入価格は非常識的値下げを要求していないか □ 優良な仕入先をもっているか。その変更はなかったか □ 仕入担当者、または責任者が飲み食いを要求していないか □ 換金のための安売りをしていないか □ 作業現場の状況は整理・整頓できているか □ 現場周辺の人の評判は □ 現場監督者や作業員のレベルはどうか □ 品質レベルはどうか □ 工期は守られているか □ コストダウンの工夫はされているか □ 協力業者の質と量は、また彼らの評判はどうか □ 経営者およびその家族の死亡、事故、病気など □ 夫婦間、家庭内の不和、不満、不遇 □ 趣味、道楽、賭事などへの過度の熱中 □ 名誉職、公職への過度の執心、熱中 □ 本業外の投機的事業、相場などへの過分の投資、傾注 □ 同族役員間の不和 □ 取引先の倒産による多額の焦げ付き、貸し倒れの発生 □ 金融業者などの高利資金の利用 □ ほかの債権者の債権保全の状況 得意先管理担当者などが取引先訪問時に、経営や営業状態を注意深く観察 管理担当者は、店頭や工場内、倉庫内などを詳細にチェックして取引先の経 具体的なチェック項目は次の通りです。 □ 店内、現場における異常な雰囲気 □ 店舗、工場、倉庫、特に本社事務所、社長私宅などの新築、増築、 □ 高額な機械装置、高級乗用車、そのほか高額資産の購入とその後の □ 在庫の急激な増減、返品の急増、特定品の異常な荷動き □ 自動車、そのほか稼働率の高い営業用資産の買換え状況およびその □ 従業員の集団離職、幹部従業員の相次ぐ退社、労働争議の激化など □ セールス訪問時における来客、電話などの繁閑度、機械工具などの稼 □ 社内の告示、机上や黒板のメモなど □ 当社に対する応対、支払態度の急激な変化 □ 当社以外の仕入先、外注先に対する支払引延しの徴候、支払 □ 一部債権者の債権取立て強化の動き、仮差押、仮処分差押、 □ 代表者および主要役員の交替 □ 来訪客筋の急激な変化、特に本業外および好ましからざる来客の急増 □ 役員相互の接触、また役員と従業員との接触態度の変化 □ 趣味、道楽、新規事業、本業外への投資などへの傾注度合 事務担当者に、取引先ごとの売り上げ、代金回収の記帳・照合、監査事務、代 具体的なチェック項目は以下の通りです。 (1)取引状況の変化 □ 取引高(取引数量、取引金額、取引商品構成)の急激な増減、変化 □ 取引条件の変更とその後の取引高変動 □ 積立金、取引保証金などの急激な増減、リベート保証金などの積立お □ 設備投資、または新規事業進出後の取引情報、支払状況の変化 □ 取引商品構成の異常な変動など □ 現金(小切手)、手形による支払割合の変化 □ 回し(裏書譲渡)手形の急増、特に直接営業取引がないと思われる □ 先日付小切手の発行、異常な長期決済手形の振出 □ 商取引名義人、正常銀行当座取引名義人以外の名義人振出しの 信用調査の具体的な手順は以下のようになります。 上述の1〜4についての 第1に、既存資料のチェック 1.資料の分析・チエック を実施します。 その後、営業・販売管理・事務部門などの合同会議を開いたうえで具体的な取引 さらに、 2.信用情報のチェック 3.取引、支払状況のチェック を随時行うことと並行して、得意先管理の責任者は定期的、あるいは必要とされ 4.実態の観察・チェック を行います。 もし、不審な点が感じられれば、その内容を速やかに上司に報告します。 自社独自の信用調査マニュアルを作成することは、経営の安定を図るだけでなく、 作成した信用調査マニュアルを効率的に活用するために、従業員に信用調査に関 まず管理者には、債権管理などの問題を研修テーマに取り上げ、手続き方法や取引 現場の営業担当者には、営業販売教育の中の一環として、その中で信用調査の重要 そして、企業経営者は朝礼、社内通達、各部連絡会議、社内報などを利用し、信用 新規取引を始める場合のルールを明確にする。 1.少なくとも相手方の同業者2軒以上に、相手方の評判を聞くこと 2.出入の卸店、運送店の相手方に対する評判に注意すること 3.相手方の顧客、近所の人の評判に注意すること 4.相手方の経営者、仕入係の人柄、ことに誠実性に注意すること 5.相手方の立地条件、販売方針を調査すること 6.一流問屋との取引の有無を調査すること 7.まず見込客の調査を行い、その結果によって売込みを図ること 8.商談成立の見込みの大きいときは、挨拶と称して、金額に応じ、部長・役員ら ただし商談成立の実績はすべて担当販売員のものである 9.取引開始に当たっては、所定の「売買契約書」を作成すること。 やむを得ない事情がある売買は、受注御礼として部長等同行の上、当社の
経営において、 『100万円の利益を出すことと、100万円の損失を未然に防ぐことは ことを常に肝に銘じておくことです。
|
対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
---|