取引先の経営状況

                               

取引先の経営状況

■「様子がおかしい」企業とは

 会社にとって、取引先の与信管理は非常に重要な業務です。

 とくに中小企業にとって取引先の倒産は自社の死活問題となります。

 取引先の信用度をチェックする方法としては、決算書や調査会社の信用調査レポートなど
 から判断する方法が一般的です。

 また、近年では、IR情報を公表している企業が増えているため、一定規模以上の企業との

 取引を行う際には、企業のホームページ上のIR情報、すなわち決算、四半期報告、各種
 プレスリリースなどを確認し、企業の財務状況や経営動向を把握することも有益です。

 しかし、経営を取り巻く環境の変化が著しい現在においては、1年に数回程度のこうした
 調査だけでは不安が残ります。

 これらの書類の定期的なチェックに加えて、営業担当者などが会社を訪問した際に、社長や

 従業長の行動、事務所の雰囲気などからその会社の危ない兆候を兢みとることも大切な
 信用調査といえます。

 会社が危ないときには、たとえ数値や評点におかしい点がなくとも、なんらかの兆候が
 みられるものです。

 倒産企業と直接取引していた企業の営業担当者に尋ねると、多くの場合は「そういえば

 あの会社はなにか変だった」と思い当たる節があるのだそうです。

 現場の担当者の感覚やほかの取引先から流れてくる噂は、ぱかにはできません。

  ・いち早くおかしなところに気づく感覚を磨き

  ・「おかしい」と感じたらすぐに調査を開始し、正確な現状把握を行う

 ような体制を整えておくことが必要でしょう。

 では、どのような企業が「おかしい」のでしょうか。

 次にチェックすべきおもなポイントをあげています。

 取引先を訪問する際には、このような兆候がないかどうかをつねに気にしておくことが
 肝心です。

 <チェックポイント>

  □社員の態度が悪い

   社員の表情が暗い/電話の声に覇気がない/伝言が伝わらなかったり、応対がだらだら

   しているなど、仕事に誠意が感じられない/公然と自社や社長を非難する

  □職場がなんとなく荒れている

   書類などが片づかず、雑然とした雰囲気がある/事務所やトイレが清掃されていない/ 

   空き机が多く、極端に片づいている/壁の額縁が曲がっていたり、机などの配置が
   乱れたままになっている/在庫が無造作に積まれ、整理されていない

  □会社の雰囲気が急に変わった

   頻繁に人がいなくなる(退職や解雇など)/知らない社員が増えた(出向受け入れなど) 

   /突然の人事異動が頻繁にある/急激に職場のムードが悪くなった

  □社長や経営幹部・経理担当者の挙動が不審である

   未回収の売掛金が増えてきた/自社に取引条件の変更を申し入れてきた/経営や後継者

   問題に関する話題をもち出すと話題をそらす/風邪だ出張だと、急に不在がちになった

   /社長の家庭に閉居があるらしい/役員の間でもめごとがある/幹部社員が急に退職した

  □ほかの取引先との関係がおかしい

   社員が電話で誰かともめていた/出入りの業者や仕入れ先・納入先、取引金融機関
   などの顔ぶれが変わった/評判の悪い企業と取引をしている

  業績の落ちてきた企業は、当然社員の士気も落ちてきますし、資金面が不安定になれば

  取引先とのトラブルも多くなります。

  営業担当者には、こうした情報を速やかに確実にキャッチできるように、普段から

   ・取引先社員のなかに複数の「親しい関係者」をつくっておき、なにかと情報が
    得られるようにする

   ・同業者の間にもできるだけ多くの人脈をもち、いち早く「噂」が集まるように
    するといった努力が求められます。

□警報が鳴らされたら

 営業担当者から、「あの会社はなにかおかしい」という警報が鳴らされたら、速やかに
 総務・経理担当者や営業部門の管理者が正確な状況を把壊するための調査を開始して、
 必要に応じて経営者など経営幹部に報告しなければなりません。

 ここでは、調査のための手順と方法をいくつかご紹介します。

 1.まず、聞き込み調査を

  同業者・下請け企業・取引金融機関などから問題の企業の信用状況について「さりげなく」
  情報を集めます。

  その際、自らその企業に対する信用不安をまき散らし、経営を悪化させないよう配慮
  しましょう。

  しかし、公然と「あの会社はおかしい」と答えてくれるところはまずありませんので、
  聞き込みには、

   ・知らないことでも知っているフリをして話をあわせる

   ・相手の言葉一つひとつのニュアンスから察しをつける

  などの要領が必事です。

  口の堅い相手でも、危ない会社と知っていながら「あの会社は絶対大丈夫」などと
  太鼓判を押すことはまずありませんので、聞き方を工夫すれば詳しい情報が得られる
  でしょう。

  <チェックポイント>

   □経営陣の状況はどうか
    社長や経営陣に関する悪い噂はないか/トップ同士の面談申し込みに快く応じて
    くれるか
   □取引先の状況はどうか
    取引額が一社だけ特別に大きいところはないか/特定の企業の取引が急に増えて
    いないか/評判の悪い企業や業績の悪い企業と取引していないか/主要取引先の
    倒産などはないか(=連鎖倒産の危険)
   □どんな取引をしているか
    支払い延期の申し入れがある/商品の納期遅れがある/取引高が急に増えたり
    減ったりしている/決済方法が急に変わった(手形ジャンプの依頼を受けた、
    債権相殺の申し出があったなど)/融通手形(融手)を扱っているらしい

 2.企業の人事・取引先動向をチェックする

  問題の企業について、経営者の交代や経営幹部の退職、主要取引先の倒産(=連鎖倒産の
  危険)などの目立った動きが起これば、業界紙や一般紙などでもチェックできます。

  <チェックポイント>

   □どこと取引をしているか

    取引額が一社だけ特別に大きいところはないか/特定の企業の取引が急に増えて
    いないか/評判の悪い企業や業績の悪い企業と取引していないか

   □どんな取引をしているか

    支払い延期の申し入れがある/商品の納期遅れがある/取引高が急に増えたり
    減ったり
している/決済方法が急に変わった(手形ジャンプの依頼を受けた、
    債権相殺の申し出
があったなど)

   □変な噂はないか

    メーンバンクを変えたらしい/手形が市中金融に出回っているらしい/融通手形
    (融手)を扱っているらしい


   経営が不安定で、納期遅れや商品トラブルをよく起こしている企業は、つねに業績
   悪化から倒産の危険をはらんでいます。

   また、ひとつの取引先に依存しすぎたり、危ない企業と取引している企業は、連鎖
   倒産を起こしやすいものです。

   このように、問題企業の取引先にまで目を光らせることで、より早く危険の芽を
   摘むことができるわけです。

 3.不動産登記簿を閲覧する

  不動産登記簿は、各都道府県庁所在地の地方法務局・支局・出張所に備え付けられて
  おり、誰でも閲覧することができます(不慣れな人は、謄本の申請を行うとよいで
  しょう)。

  不動産登記簿は、企業の資産にどのような担保が設定されているか、また担保設定
  状況がどのように変化しているかをみるうえできわめて有効な資料です。

  できれば営業担当者からの警報がなくてもすべての重要取引先については定期的に
  チェックするようにしておきましょう。

  <チェックポイント>

   □担保権が第何位まで設定されているか
    はじめに設定された担保権が抹消されず、次々と融資を受ける先が増えていないか 

   □資産を担保にいれてどのような取引をしているのか
    誰が担保を設定しているか/どのような債権によって担保を設定しているか/
    担保権の
粋が拡大されていないか/担保によって得られた資金は何に使われているか

   □担保設定時期は集中していないか

   □本社や工場など主要な不動産を処分していないか

   □担保設定者に不審な金融機開はないか

  不動産登記簿に登紀されているのがたとえ正規の金敵機開の担保権であっても、ひとつの
  不動産に複数の担保設定がある場合は、
とりもなおさず資金繰りが厳しくなっている
  ということです。

  また、担保権の設定者によっては次のような危険な状況も疑われます。

   ・市中金融やノンバンクの名が掲載されている場合=取引金融機関から受けられる
    融資だけでは資金が足りなくなっている

   ・取引先企業が担保権を設定している場合=売り掛け債権が回収できないかもしれない 

    と判断されて非常措置をとった企業がある

 4.決算書を入手する

  非上場企業の場合は上場企業に比べて手に入りにくいのですが、

  もし3年以上の期間について決算書が手に入れば、それを比較分析することで正確に
  取引先の経営状況が把握できます。

  とくに注目すべき点は、

   ・収益構造悪化の兆候

   ・資金繰り悪化の兆候

   ・粉飾決済の兆候

  の3点です。

  (1)収益構造の悪化

   具体的に次のような行動をとる企業は「危ない」と考えられます。

    ・販売力を超える生産

    ・無理な販売のための過剰な値引き

    ・販売促進のための過大な費用負担

    ・販路拡大のための売り上げ回収サイトの長期化

    ・貸し倒れなどのリスク管理不在

  <チェックポイント>

   □売上高が停滞または減少傾向にないか

   □経常利益が急に減少していないか

   □販売コスト、とくに宣伝広告費の急増と金利の負担増が起こっていないか

   □売上高の伸びを超えて未回収の債権が増えていないか

 

  (2)資金繰りの悪化

   リスク管理や資金の安定確保よりも、まず必要な資金を調達することだけを考える
   企業は、次のような行動をとります。

    ・借り入れ金融機関の数が増加

    ・受取手形のほとんどの割引や自振手形の市中金融での割引

    ・主要取引先に支払い条件の変更や手形ジャンプの依頼

    ・手元流動資産(現預金・有価証券)の取り崩し

  <チェックポイント>

   □借入金や金利負担が急に増えていないか

   □手もち受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか

   □手元流動資金が急に減っていないか

   □支払い延期によって仕入れ債務が増えていないか

  (3)粉飾決算

   正しい経理処理をしている会社であれば正しい分析も可能なのですが、財務データが
   順調であるにもかかわらず倒産に至る場合、ほとんど次のような手口で粉飾が行われて
   いるようです。

    ・売り上げの水増し
     架空売り上げ、架空在庫、架空の売掛金の計上など

    ・経費の過小計上
     期末棚卸し資産の水増し、不良債権の貸し倒れ処理、減価償却費の過小計上など

    ・会計操作
     支払手形と受取手形の相殺、借入金と貸付金の相殺など

  <チェックポイント>

   □売り上げが伸びているのに社長の士気が低下しているなど、日頃の観察と決算書
   上の数字に矛盾するところはないか

□取引先の経営悪化が確認されたら

 前項でご紹介したような兆候から取引先の信用に不安を感じたり、さらに調査機関など
 を利用して経営の悪化が確認されたら、即座に対策を打つ必要があります。

 <チェックポイント>

  □取引方法を変える必要はないか

   できるだけ与信限度額を減らし、現金取引を増やしたり、それが不可能な場合には
   手形
に変えてもらうようにして、極力売り掛けを減らします。

  □契約書などで債務・債権の所在を証明できるか

   債権を否定されてはおしまいです。

   万一のときのために取引の状況を確認できる書類(契約書、発注書、受領証、
   借用書など)をとっておき、もしそのような書類を介さずに取引していたような
   場合には、せめて先方の社長または担当者に「たしかに商品は受領しており未払いの
   売り掛けが残っている」という一筆をもらうことも考えます。

  □債権取り立ての手段を確保しているか

   担保取得の可能性を検討したり、取引先社長の個人保証をとりつけておく必要が
   あるでしょう。

   ほかにも代物弁済や差し押さえ、仮処分などの回収方法を検討し、同時に積極的な
   督促を行います。

   場合によっては、先方の承諾をとって商品の引き揚げなども検討します。

  □法的措置をとることはできるか

   危険度の高い相手に対しては、法的な措置が必要になる可能性もあります。

   いざというときのために、あらかじめ弁護士と協議しておくとよいでしょう。

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だいじょうぶ? 取引先の与信管理

         

だいじょうぶ? 取引先の経営状況(与信管理)

  ■与信管理

   会社にとって、取引先の与信管理は非常に重要な業務です。

   特に中小企業にとって取引先の倒産は自社の死活問題となります。

   取引先の信用度をチェックする方法としては、決算書や調査会社の信用調査レポー
   トなどから判断する方法が一般的です。

   最近では、IR情報を公表している企業が増えているため、一定規模以上の企業との
   取引を行う際には、企業のウェブサイト上のIR情報(決算、四半期報告、各種プレス
   リリース)などを確認し、企業の財務状況や経営動向を把握することも有益です。

   しかし、経営を取り巻く環境の変化が著しい現在においては、年に数回程度のこうした
   調査だけでは不安が残ります。
   
  □営業マンの情報収集能力

   これらの書類の定期的なチェックに加えて、営業マンなどが会社を訪問(出所:東京商
   工リサーチ)した際に、社長や従業員の行動、事務所の雰囲気などからその会社の
   危ない兆候を読みとることも大切な信用調査といえます。

   取引先の危ない兆候は、営業マンが一番キャッチする機会が多いのです。

   しかし、情報に興味がなく、観察力に劣っていたら情報はなかなかつかめません。

   「見逃すな」「見落とすな」「見過ごすな」の3Mを気にすることです。

   営業マンは注文をとって、売り上げを上げること
   だけに傾注すればよく、回収は経理がする仕事
   と割り切っている人がいます。

   しかし、営業の本来の仕事は、受注から納
   品、代金回収(手形決済まで)までです。

   自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の
   折れる仕事ではありません。

   得意先に一番接する機会が多く、信用情報
   の収集が容易にできる立場にもあります。

   自らの情報源と洞察力があれば、特別骨の
   折れる仕事ではありません。

   会社が危ないときには、たとえ数値や評点におか
   しい点がなくとも、なんらかの兆候がみられるもの
   です。

   現場の担当者の感覚やほかの取引先から流れてくる噂は、ばかにはできません。

   営業日報にチェックシートを添付しておくことも必要です。

    ・いち早くおかしなところに気づく感覚を磨き

    ・「おかしい」と感じたらすぐに調査を開始し、
     正確な現状把握を行うような体制を整えて
     おくことが必要です。

   では、どのような企業が「おかしい」のでしょうか。

   次にチェックすべきおもなポイントをあげています。

   取引先を訪問する際には、このような兆候がないかどうかをつねに気にしておくことが
   肝心です。

  □取引先訪問時チェック

   ○社員の態度が悪い

    ・社員の表情が暗い

    ・電話の声に覇気がない

    ・伝言が伝わらなかったり、応対がだらだらしているなど、
     仕事に誠意が感じられない

    ・公然と自社や社長を非難する

   ○職場がなんとなく荒れている

    ・書類などが片づかず、雑然とした雰囲気がある

    ・事務所やトイレが清掃されていない

    ・空き机が多く、極端に片づいている

    ・壁の額縁が曲がっていたり、机などの配置が乱れたままになっている

    ・在庫が無造作に積まれ、整理されていない

   ○会社の雰囲気が急に変わった

    ・頻繁に人がいなくなる(退職や解雇など)

    ・知らない社員が増えた(出向受け入れなど)

    ・突然の人事異動が頻繁にある

    ・急激に職場の雰囲気が悪くなった

   ○社長や経営幹部・経理担当者の挙動が不審である

    ・未回収の売掛金が増えてきた

    ・自社に取引条件の変更を申し入れてきた

    ・経営や後継者問題に関する話題をもち
     出すと話をそらす

    ・風邪だ出張だと、急に不在がちになった

    ・社長の家庭に問題があるらしい

    ・役員の間でもめごとがある

    ・幹部社員が急に退職した

   ○ほかの取引先との関係がおかしい

    ・社員が電話で誰かともめていた

    ・出入りの業者や仕入先・納入先、取引金融
     機関などの顔ぶれが変わった

    ・評判の悪い企業と取引をしている

   業績の落ちてきた企業は、当然社員の士気も落ちてくるし、資金面が不安定になれば
   取引先とのトラブルも多くなります。

   営業担当者には、こうした情報を速やかに確実にキャッチできるように、普段から、
    ・取引先社員のなかに複数の「親しい関係者」をつくっておき、情報が得
     られるようにする

    ・同業者の間にもできるだけ多くの人脈をもち、いち早く「噂」が集まるように
     する

   といった努力や対策を講じることが求められます。

  □危険信号が発せられたら

   営業担当者から、「あの会社は何かおかしい」という危険信号が発せられたら、速やか
   に総務・経理担当者や営業部門の管理者が正確な状況を把握するための調査を開始
   して、必要に応じて経営者など経営幹部に報告しなければなりません。

   ●調査のための手順と方法

    1.聞き込み調査

      同業者・下請け企業・取引先・取引金融機関などから問題企業の信用状況につ
      いて「さりげなく」情報を集めます。

      その際、自らその企業に対する信用不安をまき散らし、経営を悪化させないよう
      配慮しましょう。

      会社の異常は社長を始めとする経営陣の行動変化に表れやすいものです。

      この点について営業担当者から指摘があった場合には、特に注意して確認する
      ようにします。

      <チェック>

       ○経営陣の状況はどうか

        ・社長や経営陣に関する悪い噂はないか

        ・トップ同士の面談申し込みに快く応じて
         くれるか

       ○取引先の状況はどうか

        ・取引額が一社だけ特別に大きいところはないか

        ・特定の企業の取引が急に増えていないか

        ・評判の悪い企業や業績の悪い企業と取引していないか

        ・主要取引先の倒産などはないか(=連鎖倒産の危険)

       ○どんな取引をしているか

        ・支払い延期の申し入れがある

        ・商品の納期遅れがある

        ・取引高が急に増えたり減ったりしている

        ・決済方法が急に変わった(手形ジャンプの依頼を受けた、
                         債権相殺の申し出があったなど)

        ・融通手形(融手)を扱っているらしい


    2.不動産登記簿を閲覧

       不動産登記簿は、各都道府県庁所在地の地方法務局・支局・出張所に備え付
      けられており、誰でも閲覧することができます。

      不動産登記簿は、企業の資産にどのような担保権が設定されているか、担保権
      設定状況がどのように変化しているかをみるうえで極めて有効な資料です。

      できれば営業担当者からの警報がなくてもすべての重要取引先については定期
      的に与信管理チェックシートなどでチェックするようにしておきます。

      <チェック>

       ○担保権が第何位まで設定されているか

        ・はじめに設定された担保権が抹消されず、
         次々と融資を受ける先が増えていないか

       ○資産を担保にいれてどのような取引を
        しているのか

        ・誰が担保権を設定しているか

        ・どのような債権によって担保権が設定
         されているか

        ・担保権の枠が拡大されていないか

        ・担保によって得られた資金は何に
         使われているか

       ○担保権設定時期は集中していないか

       ○本社や工場など主要な不動産を処分していないか

       ○担保権設定者に不審な金融機関はないか

     不動産登記簿に登記されているのがたとえ正規の金融機関の担保権であっても、
     ひとつの不動産に複数の担保権設定がある場合は、資金繰りが厳しくなっている
     可能性が高いということです。

    ○担保権の設定者によっては次のような危険な状況も疑われます。

     ・聞き慣れない金融会社名が掲載されている場合

      ⇒取引金融機関から受けられる融資だけでは資金が足りなくなっている

     ・取引先企業が担保権を設定している場合

      ⇒売り掛け債権が回収できないかもしれないと判断して非常措置をとった企業
       がある

  3.決算書を入手

   非上場企業の場合は上場企業に比べて手に入りにくいですが、もし3年以上の期間
   について決算書が手に入れば、それを比較分析することで正確に取引先の経営状況
   が把握できます。

   特に注目すべき点は、以下の3点です。

    (1)収益構造悪化の兆候

      具体的に次のような行動をとる企業は「危ない」
      と考えられます。

       ・販売力を超える生産

       ・無理な販売のための過剰な値引き

       ・販売促進のための過大な費用負担

       ・販路拡大のための売上回収サイトの長期化

       ・貸し倒れなどのリスク管理不在

      <チェック>

       ・売上高が停滞または減少傾向にないか

       ・経常利益が急に減少していないか

       ・販売コスト、特に宣伝広告真の急増と金利の負担増が起こっていないか

       ・売上高の伸びを超えて未回収の債権が増えていないか

    (2)資金繰り悪化の兆候

      リスク管理や資金の安定確保よりも、まず必要な資金を調達することだけを考
      える企業は、次のような行動をとります。

       ・通常の金融機関以外からの借り入れ

       ・主要取引先に支払い条件の変更や手形ジャンプの依頼

       ・手元流動資産(現預金・有価証券)の取り崩し

      <チェック>

       ・借入金や金利負担が急に増えていないか

       ・受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか

       ・手元流動資金が急に減っていないか

       ・支払い延期によって仕入債務か増えていないか

    (3)粉飾決算の兆候

      粉飾決算とは、人為的に決算書の数字を操作(粉飾)した決算のことです。

      実態よりも、見栄えを良くするために、「売上の水増し」や「利益の水増し(経費
      の過少計上)」などが行われます。

      取引先相手の粉飾決算を見抜くことは大変困難ですが、相手の信用状況が疑
      わしい場合、最低でも「架空売上はないか」、「資産額が異常に伸びすぎて
      いないか」といった点については確認しておきましょう。

      <チェック>

       ・決算書の主要数字の根拠について、先方社長が即答できるか

       ・その根拠に矛盾する点はないか(特定の売上に対する原価が計上されて
        いないなど)

  □取引先の経営悪化が確認されたら

   取引先の信用に不安を感じたり、さらに調査機関
   などを利用して経営の悪化が確認されたら、即座
   に対策を打つ必要があります。

   <チェック>

    ○取引方法を変える必要はないか

     できるだけ与信限度額を減らし、現金取引を
     増やしたり、それが不可能な場合には手形
     に変えてもらうようにして、極力売り掛けを減ら
     します。

    ○契約書などで債務・債権の所在を証明できるか

     日頃から取引の状況を確認できる書類(契約書、
     発注書、受領証、借用書など)に不備がないように
     しておくことが大切です。

     もしそのような書類を介さずに取引していたような場合には、先方の社長に「たし
     かに商品は受領しており未払いの売り掛けが残っている」という一筆をもらうこと
     も必要でしょう。

    ○債権取り立ての手段を確保しているか

     担保取得の可能性を検討したり、取引先社長の個人保証をとりつけておく必要が
     あるでしょう。

     ほかにも代物弁済や差し押さえ、仮処分などの回収方法を検討し、同時に積極的
     な督促を行います。

     場合によっては、先方の承諾をとって商品の引き揚げなども検討します。

     法的手段を行使するためには、信頼できる弁護士に早めに相談することが大切
     です。

    ○法的処置をとることはできるか

     危険度の高い相手に対しては、法的処置が必要になる可能性もあります。

     いざという時のために、あらかじめ弁護士と協議しておくとよいでしょう。

    ○リスクヘッジのための保険への加入(取引信用保険

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危ない会社

          

危ない会社

  ■中小企業の倒産
   2020年度の中小企業基本法に基づく 中小企業の倒産件数 7,158件負債総額は
   1兆1,311憶6,200万円(前年度比9.8%減)と、2年連続で前年度を下回った。
   負債1,000万円以上の「新型コロナ」関連倒産は、2020年2月から 2021年3月
   までで累計1,162件に達しました。

   2020年10月に初めて100件を超え、その後は90件台となっていたが、11都府県に
   緊急事態宣言が再発令された1月は101件、2月は114件、3月は151件と、2カ月
   連続で最多記録を更新しています。
   倒産だけでなく休廃業・解散の動向にも注目が必要です。

   インバウンド需要の消失、外出自粛の広がりに加え、移動制限や時短営業の要請が
   客足に影響し、業績回復の遅れにつながっています 。
   再び新型コロナ感染者が拡大等、先行きが見通せず、事業継続を断念する動きも 。
   コロナ禍の金融支援は、 倒産抑止策として機能し、感染拡大の当初は、倒産回避策
   として「とにかく資金を出す」スタンスで、規模を問わず貸出が積極的に実施
   されました。

   ですが、新規借入が難しい企業にも貸出が行われ、さらに業績が落ち込むなかでの
   通常以上の貸出は「過剰債務」という副作用を招いているのです。
   返済が始まる 5月頃を境に返済能力への念が一段と深まっています。
                      出典:日本商工リサーチ

  与信管理の重要性

   ◎見えにくくなった倒産
     企業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。

     2000年度の企業倒産件数は18,769件で、、負債総額は23兆8,850億円と 
     なり、2015年度は8,812件で負債総額も2兆1,123億と大幅に下回ったもの
     の前年を7.7%上回り、3年ぶりの前年比増加となった。

     こうした倒産の背景として、「不況型倒産」の構成比は83.9%、、「円安関連倒

     産」、「チャイナリスク関連倒産」を中心とした倒産などが考えられる。

     最近は業種にもよりますが、売上高対負債総額の比率はほぼ100%と、ひと
     ころに比べ小口化している。

     つまり、倒産する会社がさらに見えにくくなっているということが言えます。

     こうした時代背景にあって、危ない会社をいかに見分けるか、俗に言う「パクリ
     屋」の手口を念頭におきながら、定性的・定量的に分析し、与信管理のシステ
     ム構築までのステップについて考えていきます。

  □新規大口取引やうまい話は要注意
   あなたの会社では、取引を始めるときに相手を疑ってかかっているだろうか。

   自社の営業マンはどうでしょうか。

   一体、パクリ屋はどんなふうに我々をだますのか。

   まず休眠会社の買い取りをする。

   次に本店を移転し、事務所の開設。

   そして移転先に銀行口座を開設する(当座取引)。

   そこから実際のアクションが始まる。

   電話で御社に「商品を買いたいので、うちの会社まできてくれないか」。

   飛んで行った営業マンは、受付から事務所に通される。

   待たされている間に、何やら奥のほうから電話の声。

   どうやら電話の相手は知名人、有名人、地元の有力者といった感じ。

   営業マンはそこで「凄いな!」と思い込んでしまう。

   そこへ相手が現われて名刺交換。

   かなり大口の契約話を持ちかけてくる。

   しかも取引先は農協、官公庁関連や自衛隊等。

   我々には調査しにくい特殊法人などが多い。

   最初の決済は現金。それを2、3回繰り返されると、こちらは信用しきってしまう。

   そこで取引額と量を増やしていき、半金半手、さらに全額手形にしたところで、事務所

   を引き払い、ドロンを決め込む。

   気が付いたときは、もぬけの殼というわけ。

  □商業登記簿謄本が語るウソ・本当
   新規取引の場合、相手先企業の商業登記簿謄本を見ることをぜひお勧めしたい。

   休眠会社を掘り起こすのがパクリ屋の常套手段です。

   信用できる会社か否かを見る着眼点は、第一に、本社が移転しているかどうか。

   移転している場合は、新しいサラの登記簿になってしまう。

   ところが人間の誕生日と同じで、会社の成立年月日は変えられません。

   そこで社歴を遡って見るには、閉鎖謄本、除去謄本を法務局から取り寄せるとよい
   でしょう。

   前の商号や、会社名と違っていたり、前後の関係に全く脈絡のないような会社は要
   注意です。

   その上、役員構成がガラッと変わっていたり、事業目的が多肢にわたっていて本業が
   わからないという場合は、ますます怪しいとみていいでしょう。

   さらに決定打は、増資の仕方。

   これが短期の間に不自然なくらい増えているのが、パクリ屋の典型的パターンです。

  □落ちる手形か、落ちない手形か
   倒産する会社の99%は手形取引が絡んでいる。

   最近の銀行は、当座の口座開設審査が厳しくなっているという。

   しかし、当座開設できない場合、パクリ屋にとっては便利な商売がある。

   倒産寸前の瀕死会社から、手形を詐取してくるのである。

   たった1枚の紙片にすぎない手形用紙に一旦、チェックライタ−で数字が打ち込
   まれ、ハンコを付いてしまえば、たちまち何千万、何億円に変身してしまう。

   着眼点の第二は受取手形のチェック。

   金額と支払いサイト、振出人、受取人の関連、ならびに裏書きを見てみる。

   まず通常取引の場合、600万円とか1,000万円というふうに端数がないのはお
   かしい。

   消費税もある。

   3ヵ月から4ヵ月が普通で、支払いサイトが異常に長いのも要注意。

   次に振出人が○○食料で受取人が××鉄工といった場合、なぜそれが商取引なのかを
   流れで考えてみる。

   その関連で今度は裏書きを見る。

   ××鉄工から△△製菓、そして○○インターナショナルといったカタカナ名の会社に
   なっている。

   何か不自然である。

   その他の着眼点としては、金融機関に訊く、信用調査機関を利用するという手段も
   ある。

   しかし、これらは定量的なもの(資本金など)であり、定性的(信用力)にはあまり当て
   にならない。

  □与信管理システム構築のステップ
   取引先との信用のなかで商いをしている我々にとって、どこに信用の基準をおく
   べきか。

   それを目に見える形で表わしていくことは非常に重要なことであり、優秀な営業マンを
   育てる教育の一環にもなるのです。

    1.商品別、規模別、業種別に顧客分析をする

    2.現状の売り掛けサイトの分析

    3.信用の定量化分析

    4.業務の処理分析

    5.与信決済、フロ−チャ−トの構築

    6.そのシミュレーション。

   なかでも3の信用の定量化分析は、日頃、「お客様は正しい」と、お客様の味方を
   して真実が見えなくなっている営業マンを開眼させる絶好の資料となる。

   今後ますます重要になるのは与信管理である。

   与信管理制度を導入し、信用取引の基準を決め、その物差しで客観的に判断して
   いくということが必要。

   与信管理の最終決定権者、つまり、誰に決裁をもらい、金額的にはどういうルールで
   決めていくのか、モノと伝票の動きを一致させ、そのすべてをコントロールし、各拠点間
   で実務管理をします。

   そうしたフローの概念はますます必要になってくるでしょう。

   また、不良債権の管理表をつくる。

   つまり、誰がどこでいつ、誰と会っていくら集金したか、どんな話をしたかといった簡単
   なものでいいから、管理表に記録をしておくのです。

   これが後々裁判沙汰になった場合、証拠となる。

   これをやるだけでも営業マンの見方、考え方、行動の仕方が違ってきます。

   やはり、焦げ付いて苦労した人間は慎重にならざるを得ない。

   知識と経験をもって、危ない会社にひっかからない体質をつくっていただきたい。

   危ない会社をどのようにして見分けるか。

   悪質な手口に引っかからないために、事前に心得るべきポイントは次の3点。

    1.いわゆるパクリ屋の手口を念頭におきながら、簡単にできる、お金もそれほ
      どかからないという調査にはどういうものがあるのか。

    2.貸倒れをつくってしまった場合、自社にはどの程度の被害があるのかを定性
      的・定量的に分析する。

    3.与信管理、与信限度である。

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危ない会社の共通点

          

危ない会社の共通点

  ■社長のプロ根性

   赤字が出たからといって会社はすぐに倒産するとは限りません。

   どん底から這いあがって成功した社長も少なくない。

   要は、断崖絶壁から生還しようとするプロ根性が最後の勝負となるのです。

   しかし、最初の峠は、損益分岐点の改善であり、従業員とその家族、取引先に迷惑を
   かける前に、命運をかけた改革を断行する勇気が必要です。

  □危ない会社のポイント

   1.赤字決算を3年以上も続ければ会社は倒産する。

     1期でも赤字決算となれば、その原因を突き止め対策をたてなければならな
     い。

     その原因が、
      ・一過性のものか
      ・少しの手直しで改善されるか
      ・体質的あるいは構造的(業界自体)のものか

     を見極め、体質的なものであれば大手術を決断しなければならない。

     決断が遅れるほどキズ口は深くなる。

   2.借入金が月商の6ヵ月分もある会社は、倒産街道を走っているのと同じ。
     借入金は月商の3〜4ヵ月分が限度とされる。

     借入金に伴う金利負担が経営を圧迫するからです。

     金利負担は、メーカーであれば売上高の3%までが適正、5%では資金繰りが
     苦しくなり、7%だと倒産は時間の問題である。

   3.放っておくと増えるのが在庫と売掛金
     在庫と売掛金は、日頃チェックをしていても現状維持が関の山。

     よほど、厳しく管理しないと増えていく性質のものです。

     販売計画と販売実績のギャップがそのまま在庫増につながる。

     売掛金の回収も、長期売掛の定義を決めて月々厳しくチェックしていくことが
     肝要。

     在庫も売掛金も増えると運転資金が不足し、借入金によって補わなければな
     らなくなる。

     やがて、借入限度に達して手形の乱発になる。

     転ばぬ先の杖で、ここを厳しく管理することが重要。

   4.仮払金、前払金、貸付金と棚卸資産、老朽設備等は不良資産が多い。
     実態を正確に把握することが改善への第一歩となる。

     仮払金や棚卸資産には、正常なものと、悪性のものがある。

     回収見込のないものや、資金価値のないものを計上して見かけの利益を出し
     ているのは、紛飾決算にも等しい。

     生きているのか死んでいるのか、常に実態を調べて発生するたびに整理して
     おくのが、経営の基本である。

   5.薄利多売の経営はいずれ壁につき当たる。
     適正利益の確保が、あるべき経営の本来の姿である。

     適正利益が取れないのは商品力がないか、売り先に問題があるかのどちらか
     である。

     抜本的な手を打たずに安易な方に流されるのは危険です。

   6.労働分配率が60%を超えると、経営は赤字に転落するのが一般的。
     人件費の削減に着手するのは最後の切り札として、まず付加価値の増加を意
     図しましょう。

     労働分配率は33%を理想とする。50%を超えると利益は殆ど出ない。

     経費を徹底的に切りつめると、赤字はまぬがれても当然使うべき金を使わな
     いから後遺症が出る。

     労働分配率が60%を超えると赤字転落はまぬがれない。

   7.うまくいかない原因をすべて他人のせいにする経営者には、経営者の資格は
     ない。

     「景気が悪いからだ」、「政府が何も手を打たないからだ」という原因を他人の
     せいにすることからは何も対策は出てこない。


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信用調査マニュアルの作成

          

信用調査マニュアルの作成

  ■信用調査の重要性

   1.信用調査の必要性

     相手の経営状態を把握せずに取引を開始したり、取引先の経営状況の変化
     を調査せずに当初の条件で取引を継続することは極めてリスクが大きいとい
     えます。

     現在のように、経営環境が日々激変する中で、企業の信用力も刻々と変化す
     るものです。

     従って、企業が取引先管理の一環として継続的な信用調査を行うことは非常
     に重要です。

     継続的な信用調査を行うことで、

      ・貸し倒れの発生を未然に防ぐ

      ・取引先の経営状態を逐一把握できる

     などのメリットを得ることができます。

     また、取引先の経営状況が把握できれば、積極的かつ的を射た営業努力によ
     る売り上げ増進などの販売戦略の展開も可能になります。

     売り上げ増進から取引量の増加につながり、その結果、取引先とより太いパイ
     プを持つことができます。

     このように信用調査は自社、取引先企業の双方の利益向上のために必要不
     可欠なものです。

   2.企業の実情

     企業が信用調査を行う必要性については前述した通りですが、実情として、販
     売部門のノルマ追求などの理由から信用調査の情報が無視されてしまう傾向
     があります。

     近年、企業の従業員評価は年功序列から能力・成果主義へと移り変わりつつ
     あります。

     しかし、能力・成果主義を導入した効果が空回りし、部署の責任者や従業員に
     必要以上のプレッシャーを与えてしまうこともあります。

     例えば、ノルマ達成のために本当に必要な取引先の情報を収集せずに、ある
     いは収集することを後回しにして取引量の確保だけに目を奪われてしまうなど
     の状況です。

     しかし、取引先の信用調査なしに、安定した経営取引や拡販は望みにくいの
     が現実であり、ひいては個々の従業員の成果が思うように上がらないといった
     弊害を招く可能性があります。

     信用調査は企業経営の中で必要不可欠といえるでしょう。

   3.信用調査を応用する

     企業に関する信用調査は、ほとんどの場合が取引先企業あるいは新規取引
     先見込み企業に対して行うものです。

     しかし、対取引先企業ばかりでなく、信用調査の活用方法として「社外からの
     自社に対する評価を確認するために活用する」ことも考えられます。

     自社が社外における自社の信用力を図り、社外ではどのように評価されてい
     るか確認することは、会社経営の見直しや今後の経営方針に非常に役立つ
     はずです。

     信用調査にはいくつかの方法がありますが、このように信用調査を応用する
     場合は、客観的なデータを入手することができるという点で興信所などの外部
     機関を利用して行うほうがより効果的です。

  □信用調査の方法

   1.金融機関調査

     メーンバンクを通じて信用照会を行い、取引先の経理状態などの概要を把握
     します。

     留意すべき点は、金融機関は取引先の悪い点にはあまり触れないことです。

     金融機関の報告の行間を読み、真相を予測することが大切です。

   2.興信所調査

     興信所を利用する場合は費用と時間がかかるため、調査事項を絞って依頼す
     ることがポイントです。

     依頼内容によっては、データの古い回答がされる場合もあるので、報告書作
     成日に注意する必要があります。

     また、利用する興信所の選定に際しては、大手の信用できる調査会社を選ん
     だ方が間違いないでしょう。

   3.同業者調査

     同業者間の情報交換により、取引先への売掛限度や一般的な信用の概要な
     どを知ることができます。

     しかし、同業者からの情報は、

     各業者で取引量や付き合いの年数が異なるなどの理由から評価内容がそれ 
     ぞれ異なるので注意が必要です。

     同業者から得られる情報はトピック的な要素が強く、本当に必要な情報は限ら
     れてきます。

   4.実態調査

     自社の営業担当者などが実際に取引先に出向いて、観察や面接などにより
     営業状況や一般信用などを細かく調査する方法です。実際に見聞きしたうえ
     での細かな調査なので調査内容は信頼できますが、営業担当者と取引先は
     日頃からの付き合いもあるため、先入観が入りやすくなります。

     そのため、客観的な調査を行う前提条件として、担当者の熟練した調査技術
     が要求されることになります。

     また、取引先の営業を妨げたり、心証を害して関係を悪化させないために、調
     査方法を慎重に選ぶ必要があります。

  信用調査の流れ

   信用調査は予備調査と実態調査に大別され、予備調査の結果を踏まえて実態調査を
   行う流れになります。

   予備調査は、取引先の概要を知り、どの程度の実態調査が必要かを調べるため
   の調査です。

   具体的には、前述の金融機関調査、興信所調査、同業者調査などが行われ、調
   査方向を決定した後に実態調査に移ります。

   実態調査は、予備調査で得た情報から、取引先の実情を面接などによって確認 
   する方法です。

   このような2つの調査結果から、売り掛けの限度など取引方針を決定し、実際の 
   営業活動に反映させていきます。

  □信用調査マニュアルの作成

   信用調査の具体的な手法については、経験の浅い営業担当者でも戸惑わずに行え
   るように「マニュアル化」することが必要です。

   作成するマニュアルは、文章よりも各項目のチェックリストによる○×式シート
   などが分かりやすく、調査実施の手間が省けると考えられます。

   マニュアルに盛り込む主な項目は次の4つです。

   1.資料分析・チェック(基礎資料から読みとれる情報のチェック)

     既存の基礎資料から予測される情報のチェックです。

     この調査は過去に行った

      ・金融機関調査や興信所調査、同業者調査

      ・任意協力的に提出される財務諸表、不動産、商業登記簿謄本

     などの定期的な点検のためのものです。

     従って、資料分析チェックは予備的調査といえます。

     資料の分析・チェックは取引先担当者が定期的に行い、そのデータを蓄積して
     おくとよいでしょう。

     具体的なチェック項目は、

     (1)基本事項       

・企業の経営形態 ・営業経歴
・従業員数 ・メーンバンク
・主要得意先 ・主要株主(出資者)
・主要役職員 ・本店、支店、工場、その他事業所の数や所在地

 

 

 

 

 









     (2)継続事項

        ○不動産登記簿謄本による

         ・所有権の移動  ・第三者の権利設定  ・消滅

       ○商業登記簿謄本による

         ・主要役員  ・資本金  ・支店  ・そのほか営業状況変化

       ○法人税、所得税の申告公示資料による

         ・好況法人  ・高額所得者

   2.信用情報のチェック(営業担当者からの日々の経営、営業情報のチェック)

     営業担当者に、日常の営業活動の中で積極的に取引先の経営、信用情報を
     収集・チェックさせる方法です。

     営業担当者は取引先だけではなく同業者、隣近所などからの情報収集も行う
     とより効果的です。

     具体的なチェック項目は以下の通りです。

     (1)経営概況

        □ 役員構成は創業者グループか、外部者か、生え抜きで固まっているか

        □ 役員の変更が頻繁にあったか、内紛や派閥争いはないか

        □ 株主構成はどうか

        □ 役員兼任とか、融資、取引関係との系列関係はどうか

        □ 取扱品の技術的優位性など特色はあるか

        □ 商品知名度は高いか

        □ 経営管理体制、組織は完全か

        □ 労働組合はあるか、上部団体はどこか

        □ 労使関係は円満か

        □ 社員の勤労意欲は高いか

     (2)営業状況

        □ 新規、多額の設備投資または未経験の分野への進出投資

        □ 新任経営者による営業方針、営業政策の急激な変更

        □ 従業員の目立った異動、増減

        □ 労使関係の対立激化ないし労働争議の発生

        □ 主要売り上げ先の変更、取引状況の急変

        □ 主要仕入先の変更、系列の転換

        □ 主要役職員の更迭、辞任、死亡、事故など

     (3)経営者の経営能力

        □ 人柄

        □ 対外折衝能力、社内管理能力、技術能力のバランスが取れているか
          足りない分野を補う幹部がいるか

        □ 社員から信頼されているか

     (4)財務・経理内容

        □ 主力銀行はどこか。またそこの評価はどうか

        □ 過去3カ年の業績はどうか

        □ 各種経営指標は業界標準と比較してどうか

        □ 過剰設備投資はないか

        □ 物的担保能力はあるか。その利用状況、優先順位はどうか

        □ 経営者並びに役員の資産はどの程度あるか。担保余力はあるか

     (5)資金繰り

        □ 融通手形の発行

        □ 取引先の倒産による多額の焦げ付き、貸し倒れの発生

        □ 金融業者などの高利資金の利用

        □ ほかの債権者の債権保全の状況、取立の強化

     (6)販売・仕入先(特に仕入状況のチェックは大切)

        □ 仕入代金の決済状況はどうか。
          現金払いか、手形払いか、サイトは何日か

        □ 約束した決済条件を守っているか

        □ 適正在庫を維持する仕入れを実施しているか

        □ 仕入価格は非常識的値下げを要求していないか

        □ 優良な仕入先をもっているか。その変更はなかったか

        □ 仕入担当者、または責任者が飲み食いを要求していないか

        □ 換金のための安売りをしていないか

     (7)工事状況

        □ 作業現場の状況は整理・整頓できているか

        □ 現場周辺の人の評判は

        □ 現場監督者や作業員のレベルはどうか

        □ 品質レベルはどうか

        □ 工期は守られているか

        □ コストダウンの工夫はされているか

        □ 協力業者の質と量は、また彼らの評判はどうか

     (8)経営者の私生活

        □ 経営者およびその家族の死亡、事故、病気など

        □ 夫婦間、家庭内の不和、不満、不遇

        □ 趣味、道楽、賭事などへの過度の熱中

        □ 名誉職、公職への過度の執心、熱中

        □ 本業外の投機的事業、相場などへの過分の投資、傾注

        □ 同族役員間の不和

        □ 取引先の倒産による多額の焦げ付き、貸し倒れの発生

        □ 金融業者などの高利資金の利用

        □ ほかの債権者の債権保全の状況

   3.実態観察・チェック(営業管理者の取引先訪問時の企業実態のチェック)

     得意先管理担当者などが取引先訪問時に、経営や営業状態を注意深く観察
     し、その異常をチェックする方法です。

     管理担当者は、店頭や工場内、倉庫内などを詳細にチェックして取引先の経
     営状況を調査します。

     具体的なチェック項目は次の通りです。

     (1)営業状況の変化

        □ 店内、現場における異常な雰囲気

        □ 店舗、工場、倉庫、特に本社事務所、社長私宅などの新築、増築、
          改築、拡張など

        □ 高額な機械装置、高級乗用車、そのほか高額資産の購入とその後の
          利用状況など

        □ 在庫の急激な増減、返品の急増、特定品の異常な荷動き

        □ 自動車、そのほか稼働率の高い営業用資産の買換え状況およびその
          整備状況

        □ 従業員の集団離職、幹部従業員の相次ぐ退社、労働争議の激化など

        □ セールス訪問時における来客、電話などの繁閑度、機械工具などの稼
          働、操業状況、従業員の勤務態度など

        □ 社内の告示、机上や黒板のメモなど

     (2)応対、支払振りの変化

        □ 当社に対する応対、支払態度の急激な変化

        □ 当社以外の仕入先、外注先に対する支払引延しの徴候、支払
          遅延のいい訳

        □ 一部債権者の債権取立て強化の動き、仮差押、仮処分差押、
          強制執行などの法的手続の進行

     (3)代表者および主要役員の変化

        □ 代表者および主要役員の交替
        □ 大口取引先、大口債権者、金融機関の担当者に対する役員などの
          接触状況、応対態度の変化

        □ 来訪客筋の急激な変化、特に本業外および好ましからざる来客の急増

        □ 役員相互の接触、また役員と従業員との接触態度の変化

        □ 趣味、道楽、新規事業、本業外への投資などへの傾注度合

   4.取引・支払状況チェック(事務担当者から記帳、管理情報チェック)

     事務担当者に、取引先ごとの売り上げ、代金回収の記帳・照合、監査事務、代
     金決済状況などをチェックさせる方法です。

     具体的なチェック項目は以下の通りです。

         (1)取引状況の変化

        □ 取引高(取引数量、取引金額、取引商品構成)の急激な増減、変化

        □ 取引条件の変更とその後の取引高変動

        □ 積立金、取引保証金などの急激な増減、リベート保証金などの積立お
          よび取り崩し条件の変更要求

        □ 設備投資、または新規事業進出後の取引情報、支払状況の変化

        □ 取引商品構成の異常な変動など

         (2)買掛支払手段の変化

        □ 現金(小切手)、手形による支払割合の変化

        □ 回し(裏書譲渡)手形の急増、特に直接営業取引がないと思われる
          企業の振出し手形の回し高の増加

        □ 先日付小切手の発行、異常な長期決済手形の振出

        □ 商取引名義人、正常銀行当座取引名義人以外の名義人振出しの
          手形、小切手による支払い

  □チェックリストシステムの具体的手順

   信用調査の具体的な手順は以下のようになります。

   上述の1〜4についての

   第1に、既存資料のチェック

    1.資料の分析・チエック

   を実施します。

   その後、営業・販売管理・事務部門などの合同会議を開いたうえで具体的な取引
   方針を決定します。

   さらに、

    2.信用情報のチェック

    3.取引、支払状況のチェック

   を随時行うことと並行して、得意先管理の責任者は定期的、あるいは必要とされ
   る時に

    4.実態の観察・チェック

   を行います。

   もし、不審な点が感じられれば、その内容を速やかに上司に報告します。

  □信用調査教育の実施

   自社独自の信用調査マニュアルを作成することは、経営の安定を図るだけでなく、
   社員に信用調査の意識を植え付ける意味でも非常に重要です。

   作成した信用調査マニュアルを効率的に活用するために、従業員に信用調査に関
   する教育を行うと効果的です。

   まず管理者には、債権管理などの問題を研修テーマに取り上げ、手続き方法や取引
   先の信用情報の収集や分析方法を修得させます。

   現場の営業担当者には、営業販売教育の中の一環として、その中で信用調査の重要
   性について理解させることが大切です。

   そして、企業経営者は朝礼、社内通達、各部連絡会議、社内報などを利用し、信用
   調査の重要性を社内に周知徹底させる必要があります。

  □明確なルールによって取引を開始する

   新規取引を始める場合のルールを明確にする。

    1.少なくとも相手方の同業者2軒以上に、相手方の評判を聞くこと

    2.出入の卸店、運送店の相手方に対する評判に注意すること

    3.相手方の顧客、近所の人の評判に注意すること

    4.相手方の経営者、仕入係の人柄、ことに誠実性に注意すること

    5.相手方の立地条件、販売方針を調査すること

    6.一流問屋との取引の有無を調査すること

    7.まず見込客の調査を行い、その結果によって売込みを図ること

    8.商談成立の見込みの大きいときは、挨拶と称して、金額に応じ、部長・役員ら
      が同行すること。

      ただし商談成立の実績はすべて担当販売員のものである

    9.取引開始に当たっては、所定の「売買契約書」を作成すること。

      やむを得ない事情がある売買は、受注御礼として部長等同行の上、当社の
      「注文書」による発注を依頼すること


   最後に、

    経営において、

      『100万円の利益を出すことと、100万円の損失を未然に防ぐことは
      同じ価値を持つ』

    ことを常に肝に銘じておくことです。  

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