コミュニケーションスキルをアップさせる社内環境 |
■ビジネス・コミュニケーション 社内におけるビジネス・コミュニケーションはコミュニケーションの一類型ですが、 日常的なコミュニケーションとは大きな違いを持っています。 それは「会社内、あるいは就業中に行われる」という点です(内容の違いについては 前述の通り) 。 この「会社内で行われる」という部分について考えてみてください。 会社内で行われるということは、そこには上司や部下、あるいは取引先の社員や顧客 といった、いわゆるステークホルダーが存在しているということを意味します。 つまり、ビジネス・コミュニケーションは、基本的に利害関係者の間で行われるやりとり だということになります。 □ステークホルダーとのコミュニケーション ビジネス・コミュニケーションを考える上では、「利害関係がある」 という事実が ネックになることが少なくありません。 例えば、自分よりも上位にいる上司や取引先、顧客などとやりとりする場合を考えて みてください。 ある程度経験を経たベテラン社員ならばともかく、新入社員や若手が上司や取引先の 社員とコミュニケーションを取る場合、自分に自信がない若手社員は、とにかく へりくだり、くどいほどの敬語を使用して呆れられるというケースがよく見られます。 あるいは、上司への業務報告の際、主観による感想や報告するまでもないこと (打ち合わせをした人物の印象やボツになった過程、自分の苦労話など) をくどくど と説明する若手もいます。 さらには、相手に自分のことを良く見せたい、あるいは自分の未熟さを隠したいという 思いから、専門用語や相手が不慣れな分野のトピックを多用する人もいます。 未熟な彼らがこれらの行為をしたくなる気持ちは分からないではないですが、日常の コミュニケーションとしてならまだしも、ビジネス・コミュニケーションとしては 大きな間違いであると言わざるをえません。 もし、これらの行動をビジネス・コミュニケーションだと思い込んでいる社員が いたときには、先輩や上司がきちんと正しい手法を教える必要があります。 それはOJTでも教育研修の場でも構いません。 コミュニケーションはとにかく経験を積むことで磨かれていきます。 サポートする場があれば、習得する速度も質も飛躍的に向上します。 経験豊かな上司などが正しい方向に導ける環境があること、それが日常のコミュニ ケーションとビジネス・コミュニケーションとの大きな相違点なのです。 □質の高いコミュニケーションをつくるコツ しかし、教えるべき立場の経営者や上司がビジネス・コミュニケーションを正しく 知らなければ、 「質の高い仕事」 をつくる「質の高いビジネス・コミュニケーション」は 生まれません。 質の高いコミュニケーションをつくる手法はいくつも存在していますが、その中でも 特に重要性が高いと考えられるコツを以下の表にまとめました。 ◎7つのコツ・その1〜社内環境 @正しい知識の習得・共有 ビジネス・コミュニケーションを取得するためには、まず正しい知識を 学び社員全員で共有すること、あるいは誤解を排除しなければ始まり ません。 多くの会社では入社時、あるいは内定時の教育研修において「ビジ ネス・マナー」や「ビジネス・パーソンの基本的な心得」 などとい う名称で、ビジネス・マナー(ビジネス・コミュニケーション含 む)を教えていると思います。 しかし、それをさらに一歩進めて「ビジネス・コミュニケーショ ン」 を単独の研修項目とし、集中的に教えてもいいかもしれません。 また、ベテラン社員や中途入社の社員、あるいは経営者本人が参加 する「ベテランのためのビジネス・コミュニケーション」 を用意 し、改めて部下との距離や溝をなくすようにしてもいいでしょう。 とにかく大切なことは、「ビジネス・コミュニケーション」という 言葉や、それが意味する内容を正しく認識させると同時に、ビジネ ス・コミュニケーションに対する意識を醸成させることです。 そのためには、経営者が率先して「学ぶ環境」と「使う環境」をつ くっていく必要があります。 そこで次の要素が出てきます。 A環境づくり 前段で説明した「正しい知識の習得・共有」は、部内やチーム内と いう小さな単位で行っていては真の効果が発揮できません。 社員「全員」 に同じ知識・同じ認識・同じ意識を身に付けさせるこ とが質の高い仕事を生み出す最低条件。 そのためには、社内環境で学び、使い、下の世代に伝えていく環境 を、経営者自らが率先して整えることが必要不可欠なのです。 ○人材教育 質の高い人材を教育するには、教育研修の一環として「ビジネ ス・コミュニケーション」 という研修テーマを用意し、毎年行 う社内行事として定着させるというのが一番確実な方法です。 また、不定期に360度評価を行い「どの部署がもっとも円滑な 人間関係を構築しているか」「どの上司・部下がコミュニケー ションの問題を抱えているか」 などを調査することも高い効果 を発揮します。 これらの調査結果を業績や仕事効率、残業度合いなどにリンク させることで、新たな問題が見つかるかもしれません。 また、コミュニケーションに問題がある社員を発見した場合、 それが本人の性格によるものなのか、それともメンタルヘルス 問題に関係したものなのかを分析することで、会社のメンタル ヘルス不全対策に役立てることが可能になるでしょう。 ○物理的環境整備 物理的環境とは、乱雑な机・床に置きっぱなしのダンボール・ ゴミ箱から溢れているゴミといったモノはもちろん、電話の着 信音・タバコの匂いや煙・湿気や熱気・頻繁な来客・外の騒 音・内外からの視線などを含んだ就業環境そのものを指します。 上司と社運をかけた打ち合わせをしようという際、これらのも のはすべて「障害物」となり、重要なビジネス・コミュニケー ションを阻害します。 臭い・汚い・暑いといった不快な環境下で話されては、せっか く事前準備を行った内容であっても、落ち着いて話そうという 気持ちになりませんし、環境によっては話の内容そのものに不 快さを感じるかもしれません。 また、上司との話に臨む際、本人がいかにきちんとした態度で あったとして、その人物の机が汚かったら、好印象が下がる恐 れもあります。 その他、「障害物を片付ける時間が無駄」「コミュニケーショ ンしている途中で邪魔が入り、目的が果たせないまま話を打ち 切られる」「セキュリティの問題(立ち聞き・盗み見など) 「周囲の雑音のせいで相手の声が聞こえない」 」といった問題 も考えられます。 そしてそれらの問題は社員への大きなストレスとなり、今度は そのストレスがコミュニケーションを阻害する要因になるとい う、負のスパイラルを生む可能性も十分にあります。 「質の高い仕事」とは、言い換えれば「効率的かつ円滑に行わ れる仕事」のこと。 話をする前に予め会議室を予約しておくのもいい方法ですが、 それよりも、いつ話を持ちかけられてもいいように、常に職場 環境を整備しておくことが肝要です。 もしあなたが経営者であれば、社内環境全体を見直し、問題が あるようなら大規模な修理や大掃除などを行うという選択肢も あります。 物理的環境整備は少し手間がかかるかもしれませんが、かけた 手間の分だけ仕事の効率が上がると考え、思い切った改革に着 手してみてはいかがでしょうか。 ○心理的環境整備 心理的環境とは、ビジネス・コミュニケーションを行うための 「雰囲気づくり」と言い換えることができます。 すなわち、前段の物理的環境が「モノや情報がつくる就業環 境」であるとすれば、この心理的環境はずばり「ヒト同士がつ くる心のつながり」であると言えるでしょう。 具体的には、「話しかける前に、相手の状況(忙しさ・心の余 裕・接客状況・次のスケジュールなど)を見極める」「話の冒 頭で、『今お話してもよろしいでしょうか?』などと相手の状 況を気遣う一言を入れる」「相手が忙しいようなら、『5分だ けよろしいでしょうか?』と断った上で手短に伝える工夫をす る」「基本的に話す内容は事前に端的にまとめておき、相手の 状況に応じて周辺の話題に触れるようにする」などの他、「積 極的に発言することが当たり前という雰囲気をつくる」「ミス を叱るのではなく、努力や成果を褒める雰囲気を醸成する」 「やる気が認められる、という認識を定着させる」「えこひい きをしない上司を育成する」「発言した内容が本題と多少ズレ ていても、発言したこと自体を褒める」「(成果が出た時に) 個人を褒めるだけにとどまらず、それにかかわった人間すべて を褒める」といった方策が考えられます。 これらの小さな心がけを社員全員が積み重ねていくことで、 徐々に全体に広げていきます。 要するに、「(部下・上司問わず)社員全員が相手を気遣う雰 囲気を、社員全員でつくりあげる」ことが大切なのです。 良好な人間関係を構築するためには当たり前のことですが、仕 事の忙しさに追われているためか、これがなかなかできていな いことは前述したとおりです。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
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■非言語コミュニケーション 非言語コミュニケーション(nonverbal communication)とは、言葉以外の手段に よるコミュニケーションのことをいいます。 この非言語的なコミュニケーションは、意識して用いていることもあれば、無意識的 に用いていることもあります。 ことば(音声言語)や文字を直接用いずに行なわれる情報伝達。 表情や視線、身ぶり(しぐさ)、動作、声の質・抑揚、相手との距離、姿勢といった 手段を用います。 「目は口ほどに物を言う」 という言葉があります。 これを直訳的に説明すると、「口から出る言葉と同等(もしくはそれ以上) に、目つきは 言外の意味や本音、気持ちを表現するものである」という意味になります。 また、これをさらに意訳すれば、 「うまい言葉や巧みな話術でごまかそうとしても、本人の 態度や視線、しぐさなどを見ればその本音が伝わってしまう」 、あるいは「真実や本当の 気持ちというものは、言葉などに頼らなくても目や表情で相手に伝えることができる」と 解釈できます。 いずれにせよこの言葉が意味するものは、とりもなおさず「非言語コミュニケーションの 有効性」に他なりません。 「百聞は一見に如かず」「沈黙は金、雄弁は銀」「以心伝心」といったことわざも、言葉が 持つ意味以上の「何か」の重要性を示したものだと言えるでしょう。 余談ですが、詐欺師やペテン師は多くの言葉を巧みに用います。 それは、言葉という盾(あるいは武器)に頼らなければあっという間にその本音がすけて 見えてしまい、相手を騙せなくなってしまうためです。 他者とコミュニケーションする際、(必要な)言葉を駆使することは非常に有効ではあり ますが、必要以上に多くの言葉を並べたててしまうと、その価値や重みが薄れ、かえって 相手に不信感や疑念を持たせてしまうことにもなりかねません。 その意味でも、言葉を伴わない「非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニ ケーション)」は、ビジネス・プライベート問わず、非常に重要な手法であると言える でしょう。 ここでは「非言語コミュニケーション」について掘り下げて説明します。 ■非言語コミュニケーションの有効性 米国の心理学者であり、非言語コミュニケーションの研究者でもあるアルバート・ メラビアンは1971年、「メラビアンの法則」を提唱しました。 これは、「人が感情や気持ちを伝えようとする際、メッセージの受け手側が発話者のどの 部分にもっとも大きな影響を受けるか」という実験結果を示したもので、コミュニ ケーションを考える上で重要な指標と考えられています。 これによると、受け手が影響を受ける割合は、言葉そのものや話の内容といった「言語」が 7%、声のトーンや話し方といった「聴覚情報」が38%、表情や身振り手振りといった 「視覚情報」が55%とされています。 つまり彼によれば、話の受け手側は話を聞く際、実に93%という高い割合で「非言語 コミュニケーション」に影響を受けているということになります。 逆に言えば、話の内容そのものにはそれほど影響を受けていないということになる でしょう。 この結果を受けて、メラビアンの法則は「7:38:55のルール」 、あるいは「言語 (Verbal)「聴覚 」(Vocal)「視覚 」(Visual)」のそれぞれの頭文字から「3Vの法則」 とも呼ばれています。 このように、「コミュニケーションを行う際には、非言語コミュニケーションが大きな 意味を持つ」という結論に達しています。 コミュニケーションは人と人によって形づくられるものであるため、これらの数値そのもの にはそれほど意味はないかもしれませんが、それでもこの結論には大きな意味があると 言っていいでしょう。 □非言語コミュニケーションの具体例 前段で説明した研究結果は、まったく言葉の通じない外国に行った時に肌で理解できる でしょう。 「自分も相手も、お互いの言葉が分からない」 、こんな状況の時、相手に自分の考えを 伝えるためには何をするでしょうか? 辞書があれば話は別ですが、そういったものを一切持っていない時は、当然「ボディ ランゲージ」に頼らざるをえません。 一所懸命身振り手振りを駆使しているうちに、あなたは「言葉がなくても意外に通じ合える ものだ」と思うはずです。 例えば、相手が首を傾げたら「分からない」「もう一度言ってくれ」 、笑顔でうなずいたら 「OK」「うれしい」 、険しい顔になったら「嫌な気分だ」「ダメだ」などと推測できます。 その土地の文化や個人の性格などによっては若干の解釈のズレはありますが、相手の ジェスチャーや表情を見ればなんとなく相手がどう思っているかが分かります。 これらは、人間がこれまで生きてきた中で自然と身に付いたコミュニケーション力。 その経験・知識の多寡はあるにせよ、社会人であればある程度以上の推測は可能なはず です。 しかし、お互いの言葉が分かっているという前提では、非言語コミュニケーションを軽視 してしまう人が少なくありません。 確かに言葉は、情報や感情を伝達する際には大きな意味を持ちます。 しかし、これほど本能的かつストレートに意思を伝える手段を放棄して、本来それほど 大きな意味を成さない言葉に頼ってしまうことは、間違いとは言えないまでも大きな メリットを手放すことになります。 だからこそ、言語だけでは足りない部分を非言語で補う、あるいはその逆を実行するという 意識でいることは、ビジネスパーソンにとって非常に効果的な武器になりえます。 言葉と非言語コミュニケーションの双方をうまく活用して、「言外の意味」や「相手の 本心」を見抜けるビジネスリーダーを目指しましょう。 以下の表に、非言語コミュニケーションの実例をいくつかまとめました。 □非言語コミュニケーションの活用例 では、実際に非言語コミュニケーションをビジネスシーンで活かすにはどうすればいいので しょうか。 前段では「非言語コミュニケーションから相手の意向を探る」ということについて説明 しました。 しかし、相手の意向を推測できたところで、相手に自分の意図を理解してもらえなければ 何の意味もありません。 そこで、ここでは「非言語コミュニケーションを用いて、相手をコントロールする方法」に ついて説明します。 心理学やカウンセリングでは、相手の緊張をほぐし、自分の話にきちんと耳を傾けてもらう ようにするためのテクニックが数多く存在します。 具体的には、「相手がリラックスできるような環境を作る(色彩・匂い・音楽・絵画・ 天井の高さ・部屋の広さなど)「傾聴」(相手の話にきちんと耳を傾ける)」「相手を刺激 しないような服装・香水・態度で接する」「相手の話を聞く際には、深く細かく相槌を 打つ」「表情豊かに、大きなボディランゲージで接する」 などが挙げられますが、 その中でも特に効果的な方法が「ミラーリング」と呼ばれる手法です。 この方法は、その名の通り「相手の行動やしぐさを鏡に映したかのように真似をすること」 です。 相手の表情・身振り手振り・うなずき方やそのタイミング・話し方・声のトーンや大小・ 話の内容・姿勢・座り方・呼吸のリズム・話すスピードなど、とにかくありとあらゆる点を 真似します。 例えば、相手が深くイスに座っていたらこちらも同じように深く座ったり、話に興が乗って 相手が身を乗り出してきたらこちらも同じように身を乗り出したりといった具合です。 このように相手の行動に自分の行動を合わせていくと、相手に対し、安心感や好意を与える ことができます。 これを繰り返すことで、相手の警戒心を徐々に薄れさせることができ、信頼関係を築く ようになっていきます。 これは、自分と同じように考え、同じように行動する人にシンパシーを感じ、その人に 親近感を持つという当り前の感情を利用したもので、シンプルながらも非常に大きな効果を 発揮します。 中でも「呼吸(のリズムや深さ)を同調させる」という手法は相手に気づかれにくく、 同時に高い効果が期待できるでしょう。 また、「表情を同期させる」というのも非常に有効な手法です。 言葉で「ごもっとも」と同調されるより、自分が楽しんで話している時、相手も同じように 楽しそうにしていてくれた方が大きな安心感があるのは言うまでもありません。 このように、非常に有効足り得るミラーリングですが、一つだけ注意する点があります。 それは「完全に真似しない」 こと。 先ほどの説明と矛盾しているように思うかもしれませんが、この意味は、例えば「相手が テーブルに置いてある水を飲むと同時にこちらも水を飲む必要はない」ということです。 まったく同じタイミングで同じ行動をされたら、相手は安心感を得るどころか、馬鹿に されているような気がして気分を害してしまうでしょう。 そうではなく、「同じ行動を、違ったタイミングで行う」ということが大切なのです。 ミラーリングにおいて、真似するものは相手の行動であって、タイミングではありません。 表情や相槌は同時でも構いませんが、足を組みなおしたり、手を挙げたり、頭をかいたり といった行動の場合は、若干遅らせて真似するといいでしょう。 また、真似しようと思うがあまり相手を凝視したり、一挙手一投足まで観察したりしては いけません。 真似する時はあくまでさりげなく。 視線も凝視ではなく、会話の流れで自然に目を配る感じで見るようにしましょう。 今回説明した非言語コミュニケーションには、無意識に行われるしぐさや、意識しても 直せない、あるいはうまく使いこなせない行為などが多分に含まれています。 これは、非言語コミュニケーションというものが頭で学んだ知識ではなく、自我が芽生える 以前から刷り込まれてきたもの、すなわちある意味本能的に身に付けたものであるからだと 考えられます。 多くの場合、言葉は「人の理性」に訴えかけます。 一方、非言語コミュニケーションは「人の心」 に訴えかけます。 そして人は、時に非合理とも言える後者に心を揺り動かされることが少なくありません。 非言語コミュニケーションを攻めと守りの双方でうまく活用できれば他者との人間関係が より良いものになり、ビジネスはもちろん、プライベートでも円滑なコミュニケーションが 取れるようになるはずです。 非言語コミュニケーションは、その人の性格や幼少時の家庭環境に左右されることが ありますが、それでもある程度までは知識や訓練によって改善できます。 これまで非言語の部分を軽視していた人は、これを機に自分の身振り手振りやクセ、話し方 などを見直してみてください。 ただし、テクニックありきの精神で非言語コミュニケーションを行っても、その意図は少な からず相手に伝わってしまい、思うような人間関係が構築できない可能性があります。 これから非言語コミュニケーションを身に付けようと考えている方は、テクニックや知識を 学ぶより先に、真摯に相手に向き合おうとする意識を持つこと。 まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
コミュニケーションの苦手意識
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■コミュニケーションは経営の生命線 問題として表面化していなくても「コミュニケーション不足で創造的なアイデアが 生まれにくい」といった機会損失も起こっているでしょう。 そして、このような状況は今回たまたま起こったわけではなく、以前から起こるべく コミュニケーションは放っておいても自然と改善することはありません。 原因を改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。 「コミュニケーションの阻害と改善」では、社員間のコミュニケーションを阻害する しかし中には、 「私は常日頃からコミュニケーションを重視して部下と接しているし、 確かに、上司 ― 部下間のコミュニケーションがうまく取れない場合、前回のように この場合は、自分がいかに正しいコミュニケーションスキルを持っていたり、 相手に歩み寄ったりしたとしても、なかなかうまくコミュニケーションがとることが できません。 かといって自分に非があるとはどうしても考えられず、問題のない側が悩んでしまい、 深みにはまってしまうこともあります。 現実的には、この「相手方(コミュニケーション対象者)に問題があって、うまくコミュニ ケーションをとることができない」という問題に頭を悩ませている社長の方が多いかも しれません。 そこで今回は、コミュニケーションを阻害するもう一つの要因、すなわち「コミュニ ケーションが苦手な人」 の特徴と対策について詳しく見ていきたいと思います。 なお今回に限り、ビジネス・コミュニケーションを広くコミュニケーションの一類型 として扱っています。 □コミュニケーションが成立する8段階 そもそも人が誰かとコミュニケーションをしようとする場合には、相手に何らかの アクションを起こす前に、自分の中でコミュニケーションを成立させようとする意識が 働きます。 具体的には、「この人ともっと仲良くなりたい」「上司に仕事の内容を正しく伝え なくては……」「友達に挨拶しよう」といった欲求がまず脳内に湧き起こり、その 後話しかけたり肩を叩いたりしてコミュニケーションをスタートさせます。 こう言うと、「そんなの当然だろう。むしろ、コミュニケーションをとろうとする時に いちいちそんなことを考えていないよ」と思う人も少なくないかもしれません。 しかしもし皆さんがそう考えたとすれば、それはおそらく、皆さんには(正しいか正しく ないかは別にして)コミュニケーション能力がすでに身についていることの証であると 言っても過言ではありません。 というのも、コミュニケーションがうまくとれない人にしてみれば、この「コミュ ニケーション 欲求の発生」→「アクション実行」 という流れは当然の流れではなく、 むしろ非常に困難で、不自然な流れにしか見えないからなのです。 通常、コミュニケーションを行う際には、基本的に上記のようなステップを踏んで いきます。 前述のように、「いちいちそんなことを考えない」 と言う人は、これらのステップを 無意識にクリアできているというわけです。 しかし、コミュニケーションが苦手、あるいは他者とのコミュニケーションがまったく とれないという人は、上記のステップのうちどこかがうまく機能せず、その後の流れが 頓挫している状態にあります。 これが軽度であれば、単に「コミュニケーションが苦手な人」ですみますが、重度になると 「コミュニケーション障害」 や「アスペルガー症候群」 といった心の病に陥ったり、 「社会不適合者」というレッテルを貼られてしまい、社会から隔絶されてしまったりと いった憂き目にあう可能性もあります。 重度の場合は専門家に相談するという措置をとらなくてはいけませんが、軽度の場合は ある程度の訓練を行えば克服できます。 もし会社内にコミュニケーションが苦手な人がいたら、まずはその程度を見極めるように しましょう。 □コミュニケーションが苦手な人の特徴 本来コミュニケーションというものは、人と人との心の距離を縮めたり仕事を円滑に 進めるきっかけになったりという機能を有しています。 その程度に差こそあれ、基本的にコミュニケーションは、人間関係を良好に保つ楽しい ツールであるはずです。 しかし前述した通り、それを楽しいと思うどころか、むしろ大きな負担や高いハードルと 感じてしまう人がいるのも事実です。 この受け取り方の違いはどこから生まれるのでしょうか。 先ほど挙げた(重度の) 心の病を除けば、コミュニケーションが苦手な人には、ある共通 した特徴があります。 それは、 「コミュニケーションを完璧にこなさなければいけない」という強迫観念に とらわれているという点です。 この特徴はコミュニケーションが苦手な人ほど強い傾向にあります。 また厄介なことに、本人がこの点を意識すればするほど、さらにコミュケーションが とれなくなるという負の連鎖を引き起こします。 冒頭でも説明したように、コミュニケーションが得意な人は、「コミュニケーションを うまくとろう」 などと考えていません。 そもそもそんなことを考えていては、話す内容や話し方、身振り手振りや表情といった 様々なパーツに気持ちが分散してしまい、肝心のコミュニケーションがガタガタになって しまいます。 にもかかわらず、コミュニケーションが苦手な人は、自分のコンプレックスを覆い隠そう とするあまり、そういった枝葉末節的な部分を気にしてしまう傾向にあるのです。 具体的に言うと、コミュニケーションに苦手意識を持っている人は、コミュニケーションを とる前に「明日はあの人と、こういうタイミングで、こういう話をしよう」と段取ります。 極端な例では、話す内容を原稿用紙に書き連ね、まるで芝居の台本のように話す内容を 暗記してコミュニケーションに臨む、といったケースもあります。 予め決めていた内容をうまくなぞれれば特に問題はありませんが、多くの場合、その内容を 途中で忘れたり、内容に対する相手のリアクションが予想と異なったりします。 すると、そのギャップに対する焦りから一気にコミュニケーションが崩れ、次の言葉が 出なくなり、その場から逃げ出すことになります。 また、仮に暗記していた内容をうまく話せたとしても、相手がその話し方に不自然さや 空々しさを感じてしまっては、うまくコミュニケーションがとれたとは言えません。 このように、 「自分が相手に何を伝えたいのか」 を設定する前に、「コミュニケーション そのものをうまく成立させる」 という目標を立ててしまい、その目標と自分のコミュニ ケーションスキルとのギャップに敗北を感じてしまう…というのが、コミュニケーション が苦手な人の特徴なのです。 その他の特徴を以下にまとめました。 <コミュニケーションが苦手な人の主な特徴> 1.相手の反応や言い分に耳を貸さず、自分が伝えたいことだけを 一方的に話す 2.言葉や表情に出さないのに、勝手に「相手に伝わっているはずだ」 と思い込む 3.自分が好きな人間としか話さない 4.自分が所属しているコミュニティ以外のコミュニティを敵視する 5.コミュニケーションがうまくいっていないと、途中でも話を切り 上げてしまう 6.自分の方に問題があるにもかかわらず、コミュニケーションが うまくいかない責任を相手に押し付ける 7.以前うまくコミュニケーションがとれなかった相手とのコミュニ ケーションを避ける、あるいはあからさまに嫌な顔やリアクション をとる、あるいは黙り込む □克服法は「こうなれたらいいな」 前段で説明したように、コミュニケーションがうまくとれない人には様々な特徴が ありますが、それらを克服するための方法はただ一つ、「相手を理解すること」に 尽きます。 コミュニケーションは「自分の言いたいことを相手に伝える」という目的以外に、「相手の 言いたいことを推し量り、意識を共有する」という目的、すなわち「双方向性」を持って います。 特にビジネス・コミュニケーションの場合、相手が発する言葉からその意図や気持ち、 時には言外の意味や言葉の裏にある内容を理解しなくてはいけません。 そこを無視したまま、自分の言いたいことだけを伝え、それが伝わらなければコミュニ ケーションを遮断するというのは、あまりにも幼稚であると言わざるを得ません。 しかし、他人を理解することを停止し、コミュニケーションを拒絶した人に、いきなり 「他人を理解しろ」 と言っても通じるはずもありません。 そこで、もしあなたの周りにコミュニケーションが苦手な人がいたら、まずはその人に 「相手を理解することの価値や意味」 を教えることから始めましょう。 「相手を理解すると、このような効果が出る。そしてその効果はビジネス・プライベート を問わず、自分自身に必ずいい結果をもたらす」 ということを根気強く説明して いきます。 そして徐々にその意識を植え付けることができてきたら、傾聴や共感、会話の構成や 話し方のマナーといった方法論を教えていき、最終的には実際に相手がいる状態で コミュニケーション回数を積み重ね、本当のコミュニケーション力を身につけさせ ましょう。 また、コミュニケーションを阻害する要素の一つである「こうならなくてはいけない」 という強迫観念を、「こうなれたらいいな」「コミュニケーションは多少失敗するくらいが ちょうどいい」という感じにやや弱め、その意識でもってコミュニケーションに臨ませる というやり方も大きな効果を発揮するでしょう。 ただし、くれぐれも「コミュニケーションなんて、何回もやっていれば慣れていく」 という根性論を押し付けてはいけません。 もしそのようなことをしたら、その人間(コミュニケーションが苦手な人)はそう言った 上司に対し、「この人には自分の言いたいことが通じない」と思い込み、それ以降の (上司との)コミュニケーションを遮断してしまうかもしれません。 最初は形だけでも構いません。 本当にコミュニケーション力を身につけさせたいと願うならば、ゆっくり時間をかけて 訓練をしてください。 コミュニケーションが苦手な人は、苦手意識を自分の中で大きくして、そのプレッシャーに 悩んでいることが往々にしてあります。 コミュニケーションは楽しいものだと本人が思うようになるまでには、少なからず長い 期間を要するかもしれません。 しかし、上記のような方法を通してそのプレッシャーを取り除けば、きっとコミュニ ケーションがとれるようになります。 1人の社員のコミュニケーション不全が改善すれば、そこにかかわる10人の仕事や心も 同時に改善していく可能性があります。 「コミュニケーションを教えるなんて面倒だ」などと切り捨てず、根気よく訓練を行って ください。 その行動が部内、ひいては会社全体に大きな成長や利益をもたらすかもしれません。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
コミュニケーションの改善
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■コミュニケーションの重要性 経営者であれば、コミュニケーションの重要性は誰しもが感じていることでしょう。 しかし、実際に「自社に不足しているコミュニケーションとは何か」、「コミュニケー コミュニケーションとは「空気」のように捉えどころのないものであり、活性化のために また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比べて □世代間の溝 会社にいる社員を世代で分類してみると、大きく「頑固で融通の利かないベテラン」 「常識がなく個人主義の若手」「間に挟まれ苦悩する中間管理職」という3つの層に 分けることができます。 それら世代の間には、いい意味でも悪い意味でも世代と世代の間に大きく横たわる 「世代間の溝」というものが存在しています。 この溝は生まれた時代、育った文化、経済・技術・社会的背景などの違いにより生み 出されたもので、これを本当の意味で完全になくすことは不可能だと言わざるをえません。 そして多くの会社は、この「世代間の溝」を原因として起きる対立や争いに頭を悩ませて います。 昨今の世界的な大不況により、各世代の会社や仕事に対する考え方や姿勢が大きく変化 した影響で、これらの対立は若干落ち着きを見せるようになりました。 しかしそれでも、「これからのビジネスを円滑に進めるためには、社内のコミュニ ケーションをしっかり構築することが大切だ」と考え、ビジネス・コミュニケーションの 教育研修に力を入れている経営者も少なくありません。 今の不況だけにとらわれず、いずれ来るであろう不況の終わりを見据え、このように 考えられる経営者は、先を見通す目と耐え忍ぶ心の強さを持った優れた経営者であると 言えるでしょう。 しかし、改めて考えてみると、そもそも「コミュニケーションを構築し、世代間の溝を 埋める」ということは、一体どんな状態のことを言っているのでしょうか。 社員同士が毎日積極的に会話をしていれば、立派なコミュニケーションが構築されていると 考えていいのでしょうか? それとも、毎晩一緒に飲みに行くくらい仲が良ければいいのでしょうか? 逆に、話し合いも飲み会もない部署は、コミュニケーションがとれていないと言える のでしょうか? 「ビジネス・コミュニケーション」の内容を覚えていれば、それは間違いだと分かって いただけるでしょう。 単に社員同士の仲がいいだけでは、本当のビジネス・コミュニケーションが構築されている とは言えません。 では、具体的にどのようにすればビジネス・コミュニケーション力が向上するので しょうか? そこでここでは、ビジネス・コミュニケーション構築を阻害する「世代間の溝」を中心に、 より良い社員関係を築くためのいくつかのトピックを紹介します。 □上司と部下は相容れない!? 多くの会社員は、最初に会社に入った時にコミュニケーションの大切さを何度も何度も 説かれたと思います。 新入社員の頃は、皆一様にその重要性を認識し、必死に自分の仕事をこなしつつも、 同時に他人とのコミュニケーションを大切にしていたはずです。 しかし長い年月を経て、部下が増え、上司が減ってきた今、その頃と同じように他者の 気持ちを慮り、コミュニケーションを大切にしている人が多いかといえば、必ずしも そうとは言い切れないのが実情です。 出世すればするほど、あるいはベテランになればなるほど、前回ダメな例として挙げた 「俺は一人でいい仕事をしている」 という思い込みにとらわれてしまう人も少なく ありません。 コミュニケーションへの考え方が変わるのか、初心を忘れてしまうのかは定かでは ありませんが、自分で直接動かなくてもプロジェクトが動き、かといって直接会社の 経営には直結していないくらいの役職になると、不思議と若手社員から「あの上司は 若手のことを考えてくれない」「話が通じない」 などと言われ始めるようになります (これが、自分で苦労して会社を立ち上げた経営者であれば、その限りではないことは 言うまでもありません)。 そこまでいかないまでも、昔から上司と部下というものは相容れないものと言われ続けて きました。 上司も、部下だった頃は「なんで上司は話を分かってくれないんだ」と思っていたはず。 しかしいざ自分が上司になると、「なぜ部下には私の話が通じないんだ」 と感じるように なります。 それはなぜでしょうか。 それを説明するために、以下の上司と部下の会話を見てください。 ◎ケーススタディ1:ある上司と部下の会話 ある会社で40歳の上司と25歳の部下が以下のような会話をしました。 上司: おい、君。部下: はい? 私でしょうか? 上司: 周りには君しかいないだろう。それはともかく、この前の件はどうなった? 部下:この前の件…というと? 上司:だから、この前お客様からきた製品クレームの件だよ。 部下:ああ、あれですか。あれ、大変だったんですよ。あの後いくつか同じような クレームが来まして、その対応に部署総出で一日中対応していました。 ウチの課長なんか、それで体を壊して昨日から会社を休んでいるんですよ。 上司:それがどうした? 聞きたいのはそういうことじゃない。 部下:も、申し訳ありません。 上司:謝る前に説明しろ。 部下:はい。クレームの内容を受けて詳しく製品を調べたところ、○×の部分に 不具合が見つかりました。その不具合は○×という部品の材料に不純物が 混じっていまして、それで…。 上司:不具合の内容は今朝会議で議題に出たから知っている!聞きたいのはクレームに どう対応したか、そして今後部署としてどう対処していくかだ! 部下:は、はい。それはですね。ええと、チームリーダーと話し合ってみないと 分からないので、詳しくは後ほどご報告を…。 上司:もういい! この会話の後、それぞれに話を聞くと、上司は「部下の話は要点を得なくて困る。 グズグズくだらない話をするし、こっちの意図するところを解する力もない。 話をするだけ無駄だ」 と言い、部下は部下で「せっかくこっちが雰囲気をやわらげようと しているのに、こっちの気も知らずに仕事の話しかしない。 しかも説明を最後まで聞かないで自分が言いたいことだけを言って帰っていった。 これじゃ弁解する隙もない。 もうあの上司とは話をしたくない」と言っています。 果たして上記の会話のどこに問題があったのでしょうか? 上記の例は、説明を分かりやすくするためにやや極端な例にしてみました。 実際には、意見の食い違いがあってもここまでけんか腰ではなく、もっとマイルドな やり取りに終始しているのが普通だと思います。 さて、上記の例で上司は「クレーム対応と今後の予定について、現場の社員の話を 聞きたかった」 、部下は「上司との話をなるべく穏和に進め、かつ複雑な技術的な 内容を上司に分かりやすく説明したかった」という気持ちで会話に臨んでいます。 しかし、うまくかみ合っていません。 その原因の一つは、前回説明した「ビジネス・コミュニケーションと普通のコミュニ ケーションとの違い」、そしてもう一つは「この二人の間には、日ごろからのビジネス・ コミュニケーションが欠けていた」という点にあります。 前者は前回説明しましたので割愛し、今回は後者を説明します。 問題点の第一は、この上司と部下の間にコミュニケーションが不足していたところに あります。 日ごろからある程度のコミュニケーションが取れていれば、上司の「あの件」 という 言葉に対して、部下は即座に「ああ、あのクレームの件だな」と思い出します。 同時に部下は「上司が求めているのはクレーム対応と予定だ」という認識をもとに、 会話に臨むことができます。 しかし、その段階(共通認識の醸成)を飛ばして「あの件についてなんだが…」 などと 言ったところで、相手に通じるわけもありません。 「あの件」が何なのかを知っているのは上司本人だけであるにもかかわらず、上記の 会話の冒頭ではその認識を部下に押し付けているところに、そもそもの食い違いが あったのです。 一方、部下は、話の内容はよく分からなくても上司がイライラしているのは分かるので、 何とか場を和らげようとしています。 しかし、そもそも話の入り口がズレているのですから、話がかみ合わないのも無理は ありません。 また、部下は上司が求めている内容を理解すると、何とか上司に機嫌を直してもらおうと、 不具合についてできるだけ詳しく、分かりやすく説明しようとしています。 しかし、上司はそれまでのイライラも手伝って、早く要点を聞き出そうと部下の話を 途中で切ってしまいました。 これでは部下もカチンとくるのは当然です。 さらに悪いことに、部下はチームリーダーとの認識の共有やクレーム対応などについて 話し合うことを怠っていました。 察するに、部下が在籍する部内は円満な人間関係が構築されているようですが、若干 仕事への意識が薄いようです。 対して、上司は仕事を第一に考えており、その分人間間の対話力に欠けていることは 否めません。 もし上司が日ごろからコミュニケーションを大切に考えていれば、そもそもこれほど 居丈高な物言いはしないでしょうし、会話の全体的な雰囲気がけんか腰になることも ありません。 仕事を第一に考え、これまで粉骨砕身会社に尽くしてきた上司と、親や社会から甘 やかされ、人間関係を大切にしてきた部下(ここで言う人間関係は「ごく親しい友人」 や 「自分のテリトリー内にいる仲間」を指します)では会話にならないのも当然です。 これだけの違いを「世代間の違い」の一言でまとめてしまうことは、いささか乱暴 ですが、それぞれの世代が生きてきた社会や経てきた人生が、現在の考え方や会話の 方法に如実に現れてしまうことは事実のようです。 もしこの二人が、しっかりビジネス・コミュニケーションを身につけていたらどうなって いたでしょうか? 以下のケースを見てみましょう。 ◎ケーススタディ・その2:ある上司と部下の会話・改善後 上司:山田君、ちょっと今時間取れるかい? 部下:はい、大丈夫です。何でしょうか? 上司:この前話した件、あれはどうなった? 部下:(ああ、先日話したクレームの件だな……) はい。クレーム対応については 部署内全員で対応し、お客様に納得していただけるように丁寧に説明 しました。今後の動きはチームリーダーの意向に従い、不具合が出た部分を 改良し、お客様に無料配布する予定です。すでにプロジェクトチームも編成 してあります。 上司:なるほど、分かった。そういえばあの製品の○×機能なんだが、もう少し こうするとより便利になると思うんだが…。 部下:なるほど、そうですね。分かりました。さっそくチームリーダーと相談 して、新しい製品に生かせるかどうかを検討してみます。ご指摘ありがとう ございます。 上司:うん。何か進展があったら、また報告に来てくれ。 部下: はい、分かりました。では失礼します。 上司: ではまた。 ここまでスムーズに会話ができれば最高ですが、実際はここまで行くにはかなりの 時間を要するでしょう。 しかし、最初に上司が丁寧に話しかければ、あるいは「あの件」 について日ごろから 話をしていれば、最初の例のようなギスギスした会話にはならないでしょう。 そして、そのやわらかな会話は新たな発想や自由闊達な意見を引き出します。 それらの意見を積み重ねることで、さらにいい結果につながる可能性が高くなります。 コミュニケーションは毎日積み重ねることで大きな成果を生み出します。 決して一朝一夕で成しえることはできません。 世代間の溝が大きい理由にはいろいろな要素がありますが、今回の視点で言えば、 「お互いが第一に考えるコミュニケーションの方法や認識にズレがあるにもかかわらず、 そのことに気づかず相手に押し付けようとしている点」にあると考えられます。 今回のケーススタディは極端な例でしたが、この二人に共感する部分が少しでも あった方は、もう一度自分のコミュニケーションのとり方を再確認し改善点を探して みてはいかがでしょうか。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
ビジネス・コミュニケーション
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■ビジネス・コミュニケーションの役割と意義 ある一定の地位、あるいはある年齢を超えた人たちは、口をそろえて「ビジネスマンに 限らず、最近の若者には「コミュニケーションスキル」 が欠けている。 これではいいビジネスや人間関係を構築することは難しい」 と言います。 「あいさつができない」「会社で会っても目を合わせない」「上司との会話を拒む」 「電話に出ない」「声が小さい」 ……。 彼らは、若手に対して日常的にこういった不満を感じているようです。 確かに統計的に見れば、これらは年齢が若くなればなるほど顕著に現れる特徴です。 IT発展が生み出したSNS やブログ、Twitter、メールといったネットワーク機能は、 人類に大きな恩恵を与えました。 しかし同時に、それらは「(生の) 直接的コミュニケーションの欠落」 という マイナス面を生み出しました。 利便性や機能性といった恩恵と引き換えに、私たちは人間味や心の機微という財産を 手放してしまったのかもしれません。 生まれた時からネットワークやパソコンに触れてきた現代の若者たち。 その社会的・技術的背景を鑑みれば、そうなってしまうのも必然であると言えるかも しれません。 ですが、こと「ビジネス・コミュニケーションスキルの欠落」 という点で言えば、 これらの特徴はなにも若者特有のものというわけではありません。 というのも、ITによって欠落した若者とは別の理由で、年配の人にも同様の傾向が 見られるようになってきているからです。 冒頭の年配の人が若者に持つ不満と同じような不満を、同様に若者は年配の人に 持っているのです。 つまり、双方の年代の本人たちは「自分はしっかりコミュニケーションをとっている のに、相手にコミュニケーションスキルがないから仕事がうまくいかないんだ」と 思い込んでいることが「年代間の認識のズレ」そのものであり、その結果、双方が コミュニケーションを避けてしまうことでビジネスが円滑に進まなくなるのではないか と考えられます。 しかし社会で、そして会社で生きていく以上、他者とのコミュニケーションから 逃れることは不可能です。経 営者はベテランと若手の乖離をなくし、社員同士、顧客、取引先などとのビジネス上の コミュニケーションの向上を目指していますが、なかなかうまく機能していない というのが実情です。 ここでは、日常的に使っている、そして実際にはそれほどうまく使いこなせていない 「ビジネス・コミュニケーション」 を、より詳細に、より具体的に掘り下げ、本当の ビジネス・コミュニケーションとは何なのかを考えながら、実効性のあるコミュニ ケーション構築法について解説していきます。 □一人ではいい仕事はできない 「ビジネス・コミュニケーション」 を考える前に、すべての前提となる考え方が あります。 それは「たった一人でいい仕事をする、あるいは大きな成果を上げることは不可能 である」ということです。 組織に属する会社員である以上、仕事を行う際には必ず自分以外の誰かと協力し、 連携し、打ち合わせをし、時には反発し、指示を仰がなくてはいけません。 そうして初めていい仕事ができるようになります。 たとえ、その結果が芳しくなかったとしても、それを指摘する人がいなければ、 その成果が良くなかったことにすら気づけず、次につながる成長も反省もないまま、 何度も同じ失敗を繰り返してしまうことでしょう。 このことは、会社員はもちろん、各種士業やフリーランサーとして独立し、活躍 している人に対しても当然当てはまります。 仕事自体は自分一人で達成することも可能でしょうが、そもそもその仕事には発注者 がおり、完成した仕事を受けとる人がおり、評価をする人がいます。 それらを無視して「俺はこれまで一人で仕事をやり遂げてきた」 と胸を張っている 人間がいたとしたら、その人間はよほど運が良かったか、天才的な技術があったか、 もしくは単なる勘違いの愚か者のどれかでしょう。 それほどビジネス・コミュニケーションは、仕事をする上で重要なものなのです。 □「ただのコミュニケーション」と「ビジネス・コミュニケーション」は違う 「普通のコミュニケーション」 と「ビジネス・コミュニケーション」 は似て非なるもので あるということを認識しておいていほしいと思います。 勘違いされやすいことなのですが、「ビジネス・コミュニケーション」 という言葉が持つ 意味は、単に「会社内、あるいは就業時に使うコミュニケーション」 ではありません。 もしこの定義に従うとするならば、例えば、会社内で話す「おはよう。今日も暑いね〜」 というあいさつも、「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」 という愚痴もビジネス・コミュニケーションということになってしまいます。 しかしこれでは、社員同士は仲良くなるかもしれませんが、むしろ仕事は遅々として 進まず、質も落ちていく可能性もあります。 これではビジネス・コミュニケーションとは言えません。 では「普通のコミュニケーション」 と「ビジネス・コミュニケーション」 の違いとは 一体どこにあるのでしょうか。 厳密に言えばいろいろな違いがありますが、もっとも端的な違いとしては「普通の コミュニケーションにはなくてもいいが、ビジネス・コミュニケーションには【目的】が なければならない」という点が挙げられます。 この「目的」についてもう少し詳しく説明します。 普通のコミュニケーションは、基本的に言いっぱなしであっても、結論がなくても、 これと言った内容がなくても特に問題はありません。 そもそも日常的な会話に目的や信念を乗せて話している人はごく一部で、大抵は とりとめのない、 無難で楽しいものに終始しています。 つまり、普通のコミュニケーションが持つ意味を強いて挙げるとすれば、それは とりもなおさず「他人に話しかけること」 、あるいは「他人の話を聞き、相応の返し (リアクション・相槌・返事等)をすること」に他なりません。 極論を言えば、相手が自分の話を聞いているにもかかわらず無言で頷くだけとか、 「ああ…」「ふーん」などというような反応しかしてくれなかったとしても、(普通の) コミュニケーションとしては成立していると言えます。 このように話すことそのものに意味があるのですから、普通のコミュニケーションには特に 内容や目的などを必要としないのです。 対してビジネス・コミュニケーションは、そこに大小さまざまの「目的」「結論」「信念」 「情報」「ゴール」「展開・発展」などがなければ成立しません。 先ほどの「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」 という会話を 思い出してみてください。 先ほどの例では、上記の会話を「普通のコミュニケーションの例」として挙げました。 もしこれを「ビジネス・コミュニケーションの例」とさせるならば、以下のように なります。 □ビジネス・コミュニケーションの例 × 「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」 ↓ ○「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長がこの前のプロジェクトの失敗 について愚痴り始めたんだよ。部長は企画自体に無理があったと言って いたんだけど、僕は人員の配置に問題があったと思うんだ。君はどこに 問題があったと思う?」 上記の例では、 「部長が愚痴を言っていた」 という漠然とした事実に、 「対象」 「詳細な情報」「部長の考え」「自分の意見」「他者への質問・問題提起」などを盛り込み ました。 これにより、この会話は「単なるとりとめのない会話」から「プロジェクトの反省と 改善点に関する意見交換の場」になりました。 これで発話者と受話者の間でいくつかの意見交換が行われるとともに、二人はお互いの 意見を共有することができるようになりました。 また同時に、今度同じような話題になった時、二人は「あ、これはこの前二人で意見交換 した件だ」と思い出すようになります。 すなわち上記の会話を予めしておくことで二人の距離は縮まり、お互いに親近感を持つ きっかけになったと言えます。 たとえ双方の意見が合致を見なかったとしても、その会話をしたことでお互いの意見の 共有はできます。 会話を通じて自分の意見について再認識したり、仕事へのモチベーションが上がったり といった効果も期待できるでしょう。 その場では目に見える成果が出なくても、社員が仕事に対して多少でも意識を向けることは、 いずれ「いい仕事をする」という目的につながっていくのは間違いありません。 またこの他にも、ビジネス・コミュニケーションは「相手に伝えること」「コミュニケーション (会話・議論・打ち合わせ)を通して、最初に提示された案件や目的よりも優れたものに すること」「人と人との心のつながりを醸成させ、人間関係を円滑なものにすること」といった 目的を持っています。 そして、これらの要素を全てひっくるめて「いい仕事をする」という最終的なゴールにつなげて いく、それがビジネス・コミュニケーションが担っている役割であり、普通のコミュニ ケーションと一線を画する所以なのです。 ただし、「ビジネス・コミュニケーション」 は、あくまで「コミュニケーション」です。 仕事の内容のみを議論するだけでは、社員の考えや職場の雰囲気が硬直化し、柔軟性も面白み も人間味もない会社になってしまいます。 ビジネス・コミュニケーションが優れていて、(普通の)コミュニケーションは劣っている」 というわけでは決してありません。 むしろ、使う側が二つのコミュニケーションスキルを適宜使い分け、総合的にその会社のために なるようにしていくことが成功の肝だと言えるでしょう。 ここでは、「ビジネス・コミュニケーション」 の根本的な概念について詳しく説明しました。 「上司とうまくコミュニケーションをとることができない」と悩んでいる若手社員、あるいは 「部下が私との会話を避けている気がする」と感じている上司がこのレポートを読むことで、 その現状が改善されることを期待しています。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
管理者に欠かせないコミュニケーション能力
管理者に欠かせないコミュニケーション能力 |
■部下との信頼関係づくりから 社長には、管理職と一般社員のコミュニケーションがうまくいっていないことを悩 なかには社長自らが、たびたび管理職である上司と一般社員の間に入って仲裁 よほど話がこじれた場合はこのようなことも仕方ないかもしれませんが、通常は上 ここでは管理職(=上司)に身につけさせるべきコミュニケーション能力について なお、本文中では管理職と一般社員という上下関係で説明していますが、自分 管理職が部下達をどの程度理解しているかを把握するには、 @「君の部門のA君は最近非常にがんばっているけど。 A「ついては社長賞を贈りたいのだが、A君が欲しがりそうな という2つの質問をしてみることです。 おそらく@の質問については、多くの上司が(たとえピント外れだとしても)何ら しかしながらAについて的確に答えられる上司はそう多くはないはずです。 なぜなら仕事面だけではなく、A君の趣味や最近の関心事などについても理 答えられない上司のなかには「そんな個人的なことは分からなくて当然」とば 上司は部下と日常的に接するなかで、部下の仕事以外の部分も理解するチャ そのチャンスをいかして部下のことを深く知ろうとするかどうかは、ひとえに上 上司が部下の個人的なことをほとんど知らないという場合、その逆もしかりで そしてこのような状態で上司と部下の信頼関係が十分にできているということ もちろん個人的なことをすべて理解し合う必要はありませんが、ある程度の個 最近の若手社員は昔に比べて仕事とプライベートを分けているといわれます 部下が上司から指示を受ける場面を考えてみても、信頼関係なしに「上司の しかし、信頼関係を作るのには通常長い時間がかかるのも事実です。 ところが何年も上司と部下でありながら部下からの信頼ゼロという上司がいる いったい両者の違いはどこからくるのでしょうか。 信頼関係を作るのがうまい上司の最大の特徴は、「部下の話をよく聞く」という 部下が「最近、仕事がうまくいかないんです」と真剣に相談してきたときに、上 できるだけ時間を作って話を聞くようにしますし、どうしても時間がないときに 明後日には必ず時間を作るから」という具合に、話を聞きたいという姿勢、そ どちらもすぐに話を聞いてもらえないのは同じですが、部下に与える印象は 部下との日頃のコミュニケーションでは、できるだけ部下と対等なスタンスを取 もちろん上司と部下ですから、厳然たる上下関係はあります。 だからこそなかなか本音をいえない部下に対して、自分のほうから降りていっ これは決して「部下の機嫌を取って人気を集める」というような卑屈な行為では それこそが上司の器量というものです。 たとえば、部下が元気のない様子なので、上司がその理由を聞いて、「こうす 元気を出せよ」と激励したとします。 このとき上司があくまで上からの立場で激励していたとしたら、部下に残る印 これでは「元気よくみせていないとまた叱られる」という新たなプレッシャーにし 一方、部下と同じ目線で、 親身な対応をしてくれた時点で、すでに元気を取り戻していることもあります。 上司のなかには、上司としての威厳が損なわれるとして、このようなやり方を しかし、上司としての威厳とは、上下関係を際立たせることではありません。 上司の威厳とは、上下関係ではなく信頼関係をベースに作り上げていくことな 部下が上司に信頼をおくいちばんの理由は「あの人はすごい」と思うことでは それもひとつの理由ではありますが、いくら上司のことを「すごい」と思ってもそ 部下は「上司が自分のことを気にかけてくれている」と感じることではじめて上 これは「上司が自分を評価してくれている」という話とは違います。 上司は全員の部下に人事考課上の高い評価を与えることはできません。 しかし、少なくとも全員を「気にかけている」姿勢を示すことはできます。 これが非常に大事なのです。 たとえば、1日1回、一人ひとりの部下に、「最近調子はどうだ?」などという その時点で上司が決定的に部下から嫌われていれば、逆に「ウザい」と感じら 「上司は自分に何か働きかけている」と思わせるだけでも前進です。 また、部下と小さな約束をして、確実にそれを実行することも効果的です。 たとえば部下と「来週の月曜日は一緒にランチを食べる」という約束をして、そ 当日になって、いきなり「今日ランチ一緒にどう?」と誘ったのでは、たまたま誘 これでは効果は期待できません。 何日か前から約束をすることによって、部下は「特別感」をもつのです。 そして実際にランチに行くことで、部下は「ちゃんと覚えていてくれた」と感謝す また当日までの間に一度くらいは「何を話そうかな」と考えるでしょうから、本当 約束することは、何でも構いません。 ランチのような単純な約束でもよいし、「目標を達成したら朝礼で表彰するよ」 部下にとっては約束の内容そのものよりも、「上司と約束している」ということ、 もちろんその上司が仕事面でも「すごい」と尊敬できるような人であれば、部下 そもそもほめる、叱るという行為は正反対のように理解されがちですが、どちら 部下が正しい方向に向かっていれば、「それでいいよ」とほめてやり、間違った このように考えると、部下のミスを指摘するだけの行為は「叱っている」のでは 部下の性格や成長度合いなどによっても必要なミスの指摘の仕方は変わって しかし、どのような言葉をかけるにせよ、それが部下を正しい方向に導くことに もうひとつ原則として理解しておきたいのは、ほめるにせよ、叱るにせよ、その つまり部下ががんばって目標を達成したら、部下のすべてがすごいのではな 特に叱る場合はこの点に十分に配慮する必要があります。 人格そのものを否定するような叱り方は許されるはずもありません。 叱るときだけではなく、ほめるときにも注意が必要な場合があります。 たとえば、部下が大きな業績をあげた場合、普通、上司はこれをほめます。 これ自体は何ら問題ないのですが、そのウラには「数字を追いかけるあまり、 そしてそのことにほかの部下は気付いていることも多いものです。 上司がそれを知らずに「今後もがんばれ」と手放しでほめたのでは、その部下 したがって、上司は特に部下が「大手柄」ともいえる成果をあげた場合には、 随分とうがった見方のようにも思えますが、「ほめる」、「叱る」の本来の目的が 大きな業績自体はほめてあげますが、後輩の面倒については、逆に指導しな そしてそのようなマイナス面がなく、本当の「大手柄」をあげた場合には、ほか 叱る場合は特に「どの点を叱っているのか」をはっきりさせることが必要です。 部下は叱られて萎縮していますから、「自分自身が否定された」という誤解を そして、上司は「次回からはこうしろ」と直接的な指示をするのではなく、「どうし 上司からいわれるよりも、自分で気付いた改善策のほうがやる気がわくからで そして部下のプライドも考えて叱るときは、できるだけ個室などの目立たない ただし、全員の前で叱ったほうがよいケースがあります。 それは特別な事情がないのに、遅刻などのようにルールを破った場合です。 規律の維持のためにあえて全員の前で叱るのです。 もちろんこの場合でも部下自身を否定するのではなく、遅刻した事実を叱るこ 上司のなかには、自部門の業績や部下の状況については十分な注意を払う 「自部門の目標達成のためには、ほかに関わっている余裕などない」というわ 当然ながらそんな上司がコントロールできるのは自分の部下だけです。 一方、上司のなかにはつねにほかの部門にも関心をもち、最新の状況を把握 「隣の部門で問題になっていることは何か」、「ほかの部門で成功している営業 そうすることによって、自部門だけではなくて、周囲の力も借りて成果を創出で たとえば、自部門で何か大きな問題が発生した場合、ほかの部門で過去に同 また難攻不落の営業先に他部門と共同して挑むことも可能でしょう。 いうまでもなく、上司が任されている部門は会社全体のなかの一部です。 自部門だけで仕事を完結させるわけではありません。 ほかの部門と協力しあって成果を出していくことは、当然の選択肢なのです。 しかし、あくまで相手の協力あってのものですから、他部門からの救援要請に ほとんどの中小企業の場合、上司は任されている自部門の長であるだけでは そんな上司にとって「自部門の目標は達成したから後は知らない」という無関 自部門の目標達成は当然として、日頃から他部門の達成状況もチェックし、危 上司は自分の部下だけではなく、非常時にはほかの部門も上手にコントロー このような動きが当たり前にできるようになるためには、社長が日頃から部 上司がほかの部門へも関心をもつべき理由はもうひとつあります。 それは上司自身の成長、能力向上のためです。 上司はその役職に応じて視野を広げていく必要があります。 この場合の視野とは全体を見渡して「総合的な状況を把握する能力」、「もっと たとえば、課長が課長として自分の課や部下にだけ関心をもっているだけで 自分の課だけではなく、ほかの課で何が起きているかに興味をもつことで視野 また、視野を広げるためには、自分の上司に関心をもつことも有効です。 自分が課長であれば、上司である部長が今どんな問題意識をもっているの これを続けることによって、次第に自分が「課」ではなくその上の「部」を擬似的 やがては社長の右腕として会社全体を統括する感覚も身に付いてくるでしょ ここまで、いかに上司のコミュニケーション能力を高めるかについて述べてきま たとえば社長から部長に「君の部は売上目標2倍」といった一見無茶な命令が これでは部下は理不尽に思うだけです。 さらに部下の機嫌を取るように「まったくうちの社長はいつも無茶ばかりいうか これは意訳ではなく言い訳です。 そんな発言を繰り返す上司に対しては、「この人はまったく頼りにならない」と このとき部長が上司としてやるべきことは、なぜそのような目標が設定された つまり、社長の言葉がもっとも効果的に部下に伝わるように意訳してあげるの その際には「そうしないと全社で赤字が出るから」といった部下からみると距離 逆に部下から会社全体に対する不満があがった場合、自分自身もその通りだ 私としてはこのような解決策を考えているのですが…」といった具合に自分の この翻訳力が不足していると「上からは締め付けられて、下からは突き上げら 逆に優れた上司は意訳によって上と下に挟まれるのではなく、それぞれに好 上司のなかには部下と意見が対立した場合に、自分の正当性を主張するあま 部下の反対意見に対して、まずは論理的に応じますが、形勢不利とみるや、 いうまでもないことですが、部下と勝負しても何もよいことはありません。 部下を叩きのめしている上司をみて、ほかの部下が「やっぱりあの上司はすご 「あの人は何と了見の狭い子どものような人なんだ」と評判を落とすのがオチ たとえば自分が正しく、部下が間違っていることが明らかな場合、部下が成長 まずは「なぜ君はそう思うの?」という具合に部下自身に間違っている点を考 逆に部下と意見を交わしているうちに、自分の意見が間違っているとわかった この際にメンツを気にして「情報が不足していたから」、「考える時間がなかっ 「そうか、そういう考え方もあったのか」と部下をほめてあげることです。 上司と部下に十分な信頼関係ができていれば、一度や二度、間違いを認めた ここでいう悪口とは、いわゆる「愚痴」のことです。 愚痴(自分の気分をすっきりさせることが目的)ではなく相談する(部下の欠点 さて、上司が軽々しく部下の悪口をいってはいけない理由は、それを聞いてい 部下が上司の悪口をいい合って留飲を下げたとしても、基本的に話はそれで そんなに罪深いものではありません。 ところが、上司同士の飲み会で「まったくうちの部下のAは消極的だ」という話 酒の席のことで「話半分」として聞いてもマイナスの印象は確実に残ります。 これは、人事異動などで今後その部下の上司になる可能性がある人達に向 飲み会ごとに同じ部下の悪口をいっているようだったら刷り込みはどんどん進 さらに「Aは消極的だ」という発言がまったくのいいがかりだったとしたら、これ お問合せ・ご質問はこちら
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社長に必要なコミュニケーション
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■なぜ自分の指示が伝わらないのか 「なぜ、自分の指示が部下にうまく伝わらないのか?」、このような疑問を抱いたこ 「きちんと指示しただろう」と苛立ったり、「そんなこと言われなくても常識だろう」と なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。 人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置 受け取る側はその言葉からメッセージを酌み取ります。 ここで注意したいのは、伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置 当然ながらそれぞれの感覚がまったく異なれば、伝える側のメッセージは相手 このことが、指示が部下に正確に伝わらない最大の原因です。 指示事項をきちんと伝えるためには、図のように指示事項だけではなく、指示 たとえば、A社長は、最近疎遠になりつつある大口取引先のB社長のことが気 「最近B社長から連絡がない。昔はよくゴルフにも誘われたが、それも音沙汰 もしかしたら取引を切るためにあえて疎遠にしているのではないか」といった具 しかしながら最終的にA社長が部下に発した質問は「最近B社とはうまくいって 質問を受けた部下としては、取引量が減っているわけではなく、B社の担当者 しかし、数カ月後にB社の社長から「もっと条件の良い会社が見つかったから、 もし「最近B社とはうまくいっているのか」という質問でなく、「B社の社長に直接 このケースでは、図(指示事項をきちんと伝える)の中の「指示の背景」につい 会社が小さなうちは取引先や事業内容も限られています。 そして、社員数も少なく必然的に会話も多いため、部下は比較的上司の指示 また、報告を受ける上司も、部下の業務の細かい部分まで目が行き届いてい しかしながら、会社が大きくなってくると徐々にそれが難しくなってきます。 社員がそれぞれ取引先対応や仕事をやるようになり、人数も増えて社員一人 そして、指示どおりの仕事や報告がなされないということがあちこちで起こって これを避けるためには、次項で紹介するような方法で、共通認識を構築する土 前項の図の「指示の背景」の下にさらに「常識」という階層があります。 これは社会人としてのマナー、仕事の仕方といったすべてのビジネスマンに共通 つまり、ある問題に直面したときに、他社の社員はこのように対応するかもしれな そして、その行動原則を規定するのが自社の経営理念ということになります。 経営理念とは「自分たちはこうありたい」「社会に対してこのような貢献をした 自分たちの行動を規定する価値観といってもよいでしょう。 社員が経営理念をきちんと理解し、共感していれば、理念に沿った行動をとる 部下は上司から出された業務指示に対して、具体的な遂行方法を考えるとき たとえば、「お客様とともに幸せになっていこう」といった経営理念がある会社 お客様の満足度も高まり、かつ自社も売上拡大できるような施策を何とかして 経営理念を社員に説明し、浸透させていくことは、社長にとってもっとも重要な しかし、実際には経営理念が作成されていない会社も多く、また、あったとして 経営理念を社員に浸透させるにはいくつかのステップがあります。 経営理念を作成し、その意味合いを経営者がしっかりと認識することです。 経営理念の言葉だけを一人歩きさせずに、その理念を作成するに至った背 それを社員一人ひとりにきちんと伝えることです。 朝礼などで繰り返し説明したり、経営理念を書いた紙を事務所に掲げるな 経営理念実現のためには日々の業務のなかでどのような行動をとるべきか もちろん経営者自身も経営理念実現のために、自分はこんな姿勢で業務に このようにして経営理念が浸透すると、日々の業務指示をするための土台が いったんそうなってしまえば、具体的な業務指示の際にも、単純なコミュニケー 指示を受けた部下は、無意識のうちに経営理念というフィルターでその指示を そのとき「おかしい?」と感じれば、質問して上司の指示の真意を確認するよう 経営理念浸透という土台構築に加え、日々のコミュニケーションのなかでも留意 そのいくつかのポイントを紹介します。 指示が的確に伝わらない大きな理由のひとつに、「その指示が遂行された結 たとえば、「今週中に新規見込客を5件訪問しろ」という指示を部下が額面どお 「新人営業マンに度胸をつけさせる」ということが目的であれば、この指示は的 しかし、ほとんどの場合は、「5件訪問して少なくともそのうち2件は、次の営業 したがって部下に指示をする際には、「何々を行え」という行動の指示ではな 部下に指示を出す際には、その指示を出すに至った背景もできるだけ詳しく説 先の例でいえば、5社を訪問して、うち2社を次の営業ステップにつなげるとい たとえば、「会社全体としての目標がこうなっているから、君にはこれだけがん そのように伝えることによって、指示内容がより明確になるだけでなく、部下は 現在社内で起こっていること、置かれている経営環境などを、メールなどを また、指示を出すだけでなく、同時に動機づけも行いましょう。 その際にはあまり難しく考える必要はありません。 「君の能力ならこれくらいは十分可能だろう」とか、「これができたら会社への どのような社員でも「評価されたい」という気持ちを強くもっています。 日頃から部下への期待感を伝えておくことは非常に重要です。 指示を伝える際には、部下がその指示内容を理解しているかをきちんと確認 その際には、指示の目的や背景を復唱させてみるのが効果的でしょう。 また、指示を出した事項について、その結果をいつまでにどのような形で報告 上司としては、結果が出たらすぐに知りたいと思っていても、社員は「次の営業 社長にとって重要なコミュニケーションとして、最後に紹介したいのが、「自分自身 人間は「あの人はこういう人だ」ということを認識したうえで、その人との適正な距 社長がいくら「自分は社員のことを本当に大切に考えている」と思っていても、社 実は「自分」が認識している自分と、「周囲」が認識している自分はまったくの この差が大きいほど「社員は社長である自分を理解していない」ということにな これは提唱者の名前と四角いその形から、「ジョハリの窓」と呼ばれているも このうち A「開いた窓」とは、自分も周囲も知っている自分です。 B「隠した窓」とは、自分は知っているが周囲に隠している自分です。 C「見えない窓」とは、自分は知らないが、周囲は知っている自分です。 最後に D「未知の窓」とは、自分も周囲もまだ気づいていないまさに未知の自分で 自分自身が考える自分とは、この図のAとBの窓から見える自分のことです。 一方、周囲が考える自分とはAとCの窓から見える姿になります。 それぞれが違う窓から自分を見ているわけですから、そこにズレが生じる、つ では、できるだけ正しく社員に自分を理解してもらうにはどうすればよいので 図のように「開いた窓」を大きくし、「隠した窓」、「見えない窓」を小さくして このようにすれば自分自身が知っている自分(AとB)と周囲が知っている自分 まず、「隠した窓」を小さくするためには、社長自身が胸に秘めていることを社 たとえば、「社員のことを大切に思っている」ということをもっときちんと伝えて また、「見えない窓」を小さくするためには、社員が社長に対して言いにくいこと 社員にとってやはり社長は絶対的な存在です。 なかなか社長の欠点などを指摘することはできません。 そして、その欠点に社長自身が気づいていなければ、社員との溝は埋められ ここまで紹介したのは「いかに自分のことを社員に知ってもらうか」ということ。 しかし、相互理解の観点からは、社長も社員一人ひとりについて、深く理解す そのためには、社員とじっくり話をする時間を取り、社員一人ひとりの「開いた しかし、社員数がある程度の規模に達すると、そのような時間をとることが難し そのような場合でも、「定期的に何人かの社員とランチをとる」、「特に心配な また、日々の業務のなかで報告や相談を受ける際にも、忙しさにかまけて、 もちろん業務報告は「まず結論・経過の順に伝え、背景などは要約して手短に しかし、それがあまりに度を超すと、社員は、社長から「おまえの報告など、忙 そして、社長にそのように思われていると感じた社員は、社長に対して一定の したがって、どんなに忙しくても、「忙しいから話は聞けなくて当然」ではなく、 社長が忙しいことを社員は皆知っています。 このような姿勢を示すことで、社員に余計な誤解を与えずに済むのです。
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はがきコミュニケーション
はがきコミュニケーション |
ある調査で、年賀状などを除いて年にどの程度ハガキを書くか尋ねたところ、「0枚」 この数字からもわかるように手紙ひとつ書くのも大変だが、みんなが敬遠する文字 一つは低い競争倍率、もう一つは高い伝達能力です。 面談のきっかけづくりのために同じ苦労をするなら、ライバルが敬遠する方法を選ん しかも競争倍率は下がる一方だ。 つまり、レターの効用はみんながやらない点が第一である。自分という存在を注目 「短く書け、ハッキリ書け、絵で書いたように書け」です。 1.省力化という名の手抜き 同一の内容、大量に印刷、一斉に発送。これらはすべて受け手に黙殺される 時間、手間、経費的な効率のみを考えていては自分を売り込み、自社商品を たとえ字が拙くても、心をこめたメッセージであれば一対一の「さし」の関係を 差出人の「顔」、受け手の気持ちを思い計る熱意、平均値を打ち破るパワー、 個人的に出すハガキは、上に「超」がつくほどパーソナルなコミュニケーション 効果があるDM(ダイレクト・メール)とは「ダイレクト・メッセージ」の略である。 すかさず、のがさず、おくれず、やめず。 営業レター成否のカギはタイミング。 内容や見栄えに気を取られ、つい油断すると時期を逸してしまう。 スピードで内容をカバーできても、その反対はまずあり得ない。 セールスという仕事は、効率ばかり考えていてもうまくいくものではない。 時間をかけずに、「すぐにでも商品を売りたい」といった短絡的な気持ちは相手 しかし、だからといって時間をかけて通い詰めれば、それがそのまま成績につ 実働時間も短くなりつつある。 となれば誰だって無駄なことはしたくない。 できるだけ効率よく、できるだけ成果が早く出る方法があればと思うのも人情 (1)顧客への接触度合いを高めること (2)仕事の効率化を図ること この二つの相反する問題を解決するのに役立つ方法はないものか。 そんな声をしばしば耳にするが、実はある。 ハガキを出せばいいのです。 直接会う、あるいは電話するというアプローチに比べて、ハガキは次の点でメリットが @ 時間や経費的な損失が小さい A 接触しやすくて嫌われにくい B 用がなくても声をかけられる きっかけをつくるためには、用がない状態を脱する必要があります。 ハガキを使って「用がない」状態を越えようとするときに、相手の気持ちをよく考え 具体的には、 (1)相手が「自分のために」と実感する内容であること。 (2)商売ッ気を抜きにした誠意ある内容であること。 「相手のため」と「売り込まない」を意識すれば、必ずピンとくるもの、書いて出そうと 何かアドバイスを受けたら、必ずその結果を報告するとよいでしょう。 相手への礼状。 「そうか、そうだったか」と言われるくらい、できるだけ早目に出すことが大切。 その経過や出くわしたいろんな話を伝えると喜ばれます。 このように、なんらかのきっかけを足掛りにして接触を深めていきます。 ときには、仕事という枠を離れてビジネスチャンスをつくるのも営業の仕事なのです。 そのためにも、あえて「用もないからこそ」ハガキを出す習慣をつける必要があるの 手紙・ハガキはワザワザ書いてくれたんだと思うもの、“ワザワザ”が入っているから ・超私的な情報の発信 読まれるハガキを書くのに求められる要素には次の2つがある。 @発信者の「顔」 A情報を発信する人間の意欲と熱意 1.継続するための工夫 ハガキを営業活動に使って成果を上げようとするなら、とにかく縦続すること。 そして同時に、継続できるような工夫が大切です。 なぜなら、 (2)粘り強く発信することによって少しずつ相手との距離が縮まる (3)労を惜しまずに書くという姿勢と実績が相手の心を動かす 営業ハガキは中身ももちろん重要だが、継続による積み重ね効果を最も重視 だが、継続はけっして楽ではありません。 それどころか、すぐに怠けたくなるのが人間の本性であり、続けられない理 したがって、継続できるような工夫をしなければ、ちょっとぐらいの心掛けでは 継続の工夫は「事前の用意」である。 書かなければと思う気持ちを邪魔するのは、ハガキに向かうまでの煩わしさに そこで、スムーズに運ぶようにするには次のようにする。 (1)デスク、カバン、車、上着のポケットなど、思いつくところにつねにハガキ (2)あらかじめハガキの裏面(通信文を書く面)にケイ線やマス目、または独 (3)名刺を交換したら、忘れないように裏に「一番印象に残ったこと」か「ひと できるだけ具体的に書き留めるとあとで活用しやすい。 (4)「面談後すぐに」か「その日の退社時までに」ハガキを書く。 文章が思いつかなければ、宛名だけでも書いてしまう。 (5)お礼、お詫び、連絡などの状況に応じて使える定例文をつくり、部分的に (6)「拝啓、秋風とともに」云々の形式を一切やめて、すぐに要件から書く。 多少雑で、乱暴で、稚拙でも、納得いかなくても、とにかく書いてしまう。 「失敗の防止」である。 これには次のような点に注意します。 (1)ハガキの裏と表、上と下とをよく確認する。 せっかく通信面を書いたのに表をひっくり返すと天地が逆。 こういった失敗は大きなダメージとなる。 最初に結論、次に説明、さらに余裕があれば補足、という順序で。 こうすれば、万一書くスペースが足りなくなって最後が尻切れになっても 伝えたいことが書けたらとりあえずそれでよし。 逆の場合の失敗は、たいてい余計なことが先にくる。 こうすると相手に失礼ではないかと考えるかもしれないが、けっしてそうで むしろ親近感すら感じてもらえる場合も少なくない。 あまり形式ばって考えない。 要は書いて出し、それが届くことが先決。 市販されている「はがき用ペン修正液」を使えばほとんど目立たずにすむ 長くなるとイヤになるし、負担になれば結果的には失敗である。 したがって、表現を選ばないで最初に浮かんだ言葉で一気に書き上げて いい意味の「手抜き」である。 とくに勧めたいのが、せっかく苦労して書いたハガキは必ず控えを取っておく。 さんざん苦労したハガキをボンとポストに投函してしまったが最後というのでは 次のハガキを書くときにまた同じような苦しみを味わうのは損である。 自分の書いたものは最良のお手本、使い勝手もいいのでコピーをとっておく。 (1)同じような文面を考えるときに、最初から頭を悩ます必要がない。 お礼やお詫び、報告、連絡、相談、お願い、案内など、ハガキを出す目的 それぞれ、標準的なものと、ちょっと変わったものとの二種類あれば十分 あとはその二つを参考にしながら、必要に応じて部分的にアレンジすれ 何日かして突然、「先日のハガキの件だが」と言われて「どんなこと書きま 記憶より控えが確実。 まずいことに、ハガキの内容というものは出す側より受け取る側のほうがよ その失敗を防ぐためにも、記憶にたよらず、控えを見て確認するほうが気 1.差別化 重要なのは、 (1)ハガキの書き手である営業マンの存在を感じさせること。 (2)そのために、とにかく何かで差をつけることである。 なんでもいいから、よその人とは違うように、違うようにと考えたい。 ハガキで営業マン自身のメッセージを発信するなら、パーソナルな情報の提供 この考え方に徹すると突破口が開けてくる。 具体的な提案として、パーソナルな情報を提供するのに、文字以外のものを たとえば、 @カラー写真を貼る A新聞や雑誌の切り抜きを貼る Bパッケージを貼る C見本の一部を切って貼る D現物を縮小コピーして貼る この他、頭をやわらかくして考えれば、いくらでもアイデアは出てくるはずです。 @カラー写真を貼る 住宅メーカーの営業マンは施主が契約後、遠方に単身赴任をしたため、工 ソフトハウスの営業マンは知名度が低くて苦戦していたところ、アプローチし 出張時には骨董店に寄って情報を収集し、マニアだけの品評会があるという 面談嫌いの相手が読書好きであることを聞きつけ、共通の話題をつくるため ハガキを受け取る側にしてみれば、読む・読まないの判断はハッキリしてい 次の4つのうちのどれかがあれば読む可能性は高い。 (1)もらう理由があるか (2)もらって役に立つか (3)もらってうれしいか (4)もらって楽しいか 「相手にとって」と「その人だけに」が必須条件である。 その発想を破って、写真や紙、ものによっては布やシールを貼りつけ、脇に短いコメ たった一人のためにわざわざ。 その手間ひまを惜しまないところに、ハガキを送った人の気持ちが伝わるのです。 そこで、オリジナリティをプラスして「型破り」に挑戦するのに、いくつかのヒントを 「前略葉書」のパターンをふつうにコピー、もしくは印刷すると黒色だが、季節に 「前略葉書」をアレンジして「冠省葉書」や「さわやか通信」、「ご無礼ながら柴田 イラストはアイキャッチャーとなり、存在感を訴えるのにも効果的。 一枚のカラー写真があるだけでビジュアル度はグンと高まる。 桜の花びらを文章に添えて貼ったり、パースを縮小したものを貼りつける。 そう提案する最大の理由は、効果があるから、やって損なしだからです。 ハガキを書いたが勝ち、というのが結論でもある。 なぜ効果があるかを説明すると、ハガキをはじめとする「文字コミ」は競争倍率が低 多くの営業マンはたいへんな筆不精で、とにかく文字を書かない、あるいはすすんで ということは、書くだけで差がつく。 ライバルが敬遠するのを尻目にどんどんハガキを書けば、それだけで目立つ。 しかも競争倍率は下がる一方。 さらにハガキを書いていると、次はどのようにアプローチすべきかも頭に浮かんでくる。 このように、ハガキを書くといろんな面で違ってくるし、変わってくる。 気づくこと、発見すること、感動すること、刺激されることなど、実に多い。 低い競争倍率、しかも、その数字は下がる一方という現実。 辛抱強くやり続ける者にビジネスチャンスは必ずやってくる。 それはわかっているはずなのだが、ほんのしばらくで、あるいは少し我慢しただけで 実に残念なことです。 文字によるコミュニケーションの効果は性急に求めてはならない。 ハガキを一、二度出したくらいで「書いてもなかなか反応がない」と決めつけない。 売り込みの言葉ばかり書いて先方の気を引こうと考えてはだめだ。 むやみに即効性を期待しないことです。 ではどうすれば書き続けられるのか。 解決策として、 (1)苦労して考えて書いたハガキはコピーを残すこと。 同じ苦労はなるべくしないために、工夫することで継続につながる。 訪問したときに相手がいなかったり、短い時間でも会えたら会えたで、商品に これで次のハガキが書きやすくなり、自然と続く習慣がつく。 拙速という言葉の意味は「へたでもできあがりの早いこと」である。 中身よりスピード優先、早い者勝ち、明日の100点より今日の60点。 「あとで」と思ってもまず実行できないのが人間の弱いところで、それを許さな
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コミュニケーション能力は経営の生命線
組織の活性化に欠かせないコミュニケーション能力 |
■コミュニケーション能力は経営の生命線 コミュニケーション活性化のためにどこから手をつければよいかわからないという人も また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比べて 経営において、コミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。 「社長の言いたいことが伝わらない」、「上司の指示が伝わらない」、「部門リーダーが コミュニケーションは自然に改善できるものではありません。 原因を究明し、改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。 各社員はコミュニケーションを通じて自分の行動を決定したり、部下に指示を与えたりし 「最近、社員に元気がない」、「会社の雰囲気が暗い」と感じた場合は危険信号です。 言い尽くされた言葉ですが、企業は「ヒト」です。 その「ヒト」の活性化がなくては単なる集団でしかありません。 全社員が結束して共通の目的に向かっていくためには、コミュニケーションの活性化 経営者であれば、コミュニケーションの重要性は誰しもが感じているはずです。 しかし、実際に「自社に不足しているコミュニケーションとは何か」、「コミュニケー コミュニケーションとは「空気」のように捉えどころのないものであり、活性化のた また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比 ここでは、自社のコミュニケーションを活性化するためのポイントについて紹介します。 経営においてはコミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。 「社長の言いたいことが伝わらない」、「上司の指示が伝わらない」、「管理者が部 また、問題として表面化していなくても「コミュニケーション不足で創造的なアイデ そして、このような状況は今回たまたま起こったわけではなく、以前から起こるべく コミュニケーションは放っておいても自然と改善することはありません。 原因を改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。 会社ではさまざまな組織が複雑に入り組んでおり、そのなかで次のような縦横無 ・社長と全社員のコミュニケーション ・管理職同士のコミュニケーション ・組織としての部門間のコミュニケーション ・上司と部下のコミュニケーション ・一般社員同士のコミュニケーション ・パート・アルバイト社員とのコミュニケーション ・顧客とのコミュニケーション ・仕入先とのコミュニケーション 社員たちはコミュニケーションを通じて自分の行動を決定したり、部下に指示を与 全社員が結束して共通の目的に向かっていくためには、コミュニケーションの活 コミュニケーションは会社の目標達成のためのたんなる手段ではなく、企業力を 企業におけるコミュニケーションの活性度は、「量」、「質」、「迅速さ」の3つの視 第一は「量」についてです。 これは社内でいわゆる「報連相」などの業務上のやりとりや、社員同士の日常 「社内全体での会話が極端に少ない」、あるいは「一般社員同士はよく話すが上 第二は「質」についてです。 いかに活発なやりとりがなされていたとしても、「上司の指示がうまく伝わらな 第三は「迅速さ」についてです。いかに正確な情報も迅速さを欠いていては価値 コミュニケーションの迅速さを高めるためには、組織形態や指揮命令系統といっ 少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも 組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が その方法には、ミーティングや日報の活用、気軽にコミュニケーションがとれるオフィ やみくもに時間と場所を確保しても内容のあるコミュニケーションでなければ意味が 目的を明確にし、結果として従業員の意識や行動が改善されることが大切です。 定例ミーティングは、各人の役割の再認識や目標に対する進捗度合いを 目標管理を実際に行う際には定例ミーティングは不可欠です。 ミーティングの効率性と生産性を高めるコツは、 (1)他人の話は最後まで聞き、正しく理解する (2)周りくどい表現ではなく、率直に指示を出したり、意見交換する (3)ミーティングで決定した事項は全面的に協力する などです。 コミュニケーション・ツールとして日報を活用することも有効です。 部下の日報をチェックし、関心の高さを示すことが人を動かすコツです。 日報をベースとした対話を行い、部下の意識・行動改善を図り、営業マン同士 組織が日報を管理してお客様情報として共有化することも大事です。 少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも 組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が コミュニケーションが良い状態の第一条件は、意思決定や指示・指導、報告・連絡・ 第二条件は、その形式ごとに、「口頭」または「文書」といったコミュニケーション 逆に、内部コミュニケーションが多すぎることは、会議や面談、稟議書や通知、会 何気ない会話や相談にのったりするなどして人間関係を深め、お互いに仕事をしや インフォーマルなコミュニケーションに偏りすぎると、形式的なコミュニケーションが 口頭のコミュニケーションでも重要な事項は記録に留めます。 口頭で済むコミュニケーションと記録に残しておきたい場合とをバランスよく使い分 意思や指示がリアルタイムで伝わらないなどのデメリットもあるので、口頭のコミュ 元気に、明るく挨拶をされて、気分を害する人はいません。 挨拶をするということは「相手に心を開き、よい人間関係を築きたい」という意思表示 明るく元気な挨拶は職場に活気を与え、良好な人間関係を築くための第一歩となり 社内、社外を問わず積極的に挨拶を行っていきましょう。 ビジネスパーソンは、社外においては顧客や他企業と、社内においては上司や部下と、 従って、ビジネスパーソンにとって、コミュニケーション力は最も重要かつ基本となる 一般的に、コミュニケーションにおいて重要なスキルとしては、論理的思考やプレゼン ビジネス上のさまざまな判断は、常に論理的思考に基づいて行われなくてはなりま また、その判断を第三者に効果的に伝えるためには高いプレゼンテーション能力が必要 しかし、論理的思考やプレゼンテーション能力を発揮する前段階には、相手の意見を 人は、それぞれ異なる文脈の形態や語い、会話のリズムなどを持っています。 このため、時として意見を発言する側と聞く側との間のコミュニケーションにギャップが このため、発言された意見が必ずしも相手の思考のすべてを正確に表しているとは限り 従って、相手の意見に接する時、その意見は「理解(理解した)」部分と「未理解(理 相手の意見を正確に理解することは、正確なコミュニケーションをとるための必須条 このため、もし「未理解」の部分が解決されないままであれば、たとえいかに優れた理 質問は、これらの「未理解」の部分を解消し、 すなわち、質問とは、 相手の意見を正確に理解し、 一般的に、質問には5W1Hといわれる「いつ・どこで・ 「なに?」の質問と「なぜ?」の質問は、ビジネス上のコミュニケーションだけでな この2つの質問は本質的に異なる性質を持っています。 一般的に、「なに?」の質問が具体的な情報を求めるものであるのに対して、「な コミュニケーションにおいては、客観的事実を問う「なに?」の質問と、主観的判断 このため、これらの2つの質問をTPOに応じて使い分けることが、正確なコミュニ 1.進め方の事例 以下では、「A社のB営業所における売り上げが減少している」という条件の まず、質問において、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問のどちらを使用する 個々の状況にもよりますが、一般的には、最初に「なに?」の質問で具体的な 相手の意見の背景にある具体的な情報は、意見を発言する側である相手の しかし、意見を聞く側にはそれらの情報がないため、そのような前提条件が分 そこで、その後のコミュニケーションを正確にとることができるように相手の意 ・「営業所の売り上げが減少し始めたのはいつですか?」 ・「競合他社のC社が新しく営業所を新設したのはどこですか?」 ・「他社のうち、どの企業が当社と最も激しい競合状態にありますか?」 ・「今月の売り上げは前年同月比で何%ですか?」 ・「営業担当者は顧客に対してどのような販促活動を行っていますか?」 という質問を行いました。 その結果、「売り上げの減少が始まったのは約6カ月前からである」「C社の営 具体的な情報がそろったら、次に売り上げ減少の原因を探ります。 ただし、この時に最初から「なぜ?」の質問を用いて、例えば、「なぜ売り上げ という質問をしても、質問が曖昧であるため明確な答えは望めないでしょう。 このため、現状をさらに詳しく把握するために、さらに「なに?」の質問を続けま △△部長は○○所長に対して、 ・「どの商品の売り上げが減少していますか?」 ・「どのエリアの売り上げが減少していますか?」 ・「どの営業担当者が担当している得意先の売り上げが減少して という質問を行いました。 その結果、「売り上げが落ちている商品は、定番商品である『商品X』である」 細かい状況が分かってきた時点で、いよいよ「なぜ?」の質問で原因を探る。 なお、「営業担当者による差はみられない」ので、この項目に関する質問は除 「なぜ?」の質問をすると、一般的に相手は何か一つの答えを探し出そうとしま このため、「なぜ?」の質問に対しては、答えを一つに絞らず、できるだけたくさ △△部長は○○所長に対して ・「なぜ『商品X』の売り上げが落ちていると考えられますか?」 ・「なぜそのエリアの商品の売り上げが落ちていると考えられますか?」 という質問を行い、それぞれについてできるだけ多くの答え(売り上げ減少の その結果、第一の質問に対しては、「他社のほうが価格が安い」「他社の販促 また、第二の質問に対しては、「C社の参入で自社のシェアが奪われている」 そして、最後にこれらの一つずつについて検証を進めます。 第一の質問に対する答えを先に得た情報と照らし合わせた末、以下の理由に ・「他社の販促が優れている」 → 自社でも販促に十分力を入れているため ・「『商品X』に訴求力がない」→ほかのエリアでは従来通りの売れ行きで ・「自社の営業担当のスキルに問題がある」 → 営業担当者による差は ・「そのエリア内の顧客の需要が低下している」 → ほかの商品は従来通り その結果、原因として最も確度が高いと思われるものとして、 ・「C社の参入で自社のシェアが奪われている」 の二つの答えが残り、これらを併せて考えると、「新規に当該エリアに参入して この仮説に基づき、B営業所の営業担当者が顧客について調査したところ、や しかし、B営業所は現時点で既に『商品X』について可能な限りの値引きを行っ このため、B営業所は「メンテナンス体制の充実や商品情報の提供など、『値 対策を立てるうえで仮説を形成するだけの情報は、実はもともと○○所長が把 ○○所長の意見に断片的に表れていたこれらの情報を△△部長が質問を通じ ある問題に対して、最初からそのすべてについて解決に取り組むよりも、それ このため、質問を進めるうえでは、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問を使い これまで述べてきたように、質問は相手の意見を正確に理解するためのもの しかし、問うことにより、逆に相手の意見を正しく理解することを妨げてしまう質 これらの質問は、いわば「してはいけない質問」であるといえるでしょう。 以下では、引き続き○○所長と△△部長のケースを例に、「してはいけない質 感情に基づく個人攻撃的な質問です。 例としては、 ・「一体、この責任をどう取るつもりなのですか?」などが挙げられます。 このような質問は、質問の形式をとってはいるものの、実質的には質問では このような質問に対しては、質問を受けた側は委縮したり反抗心を抱いてし これではコミュニケーションを図ることはできません。 質問は、相手の人格に対してするのではなく、相手の意見に対してするもの このため、感情を排し、常に冷静かつ論理的に行わなくてはなりません。 内容が具体的でなく、あいまいな質問です。 例としては、 ・「売り上げが減少していますが、営業担当者はちゃんとやっている などが挙げられます。 「ちゃんと」「しっかりと」などは一般の会話においてよく聞かれますが、このよ このため、質問を受けた側は、自分が何について問われているのかが分か その結果、このような具体性を欠く質問からは、「確かにいま一つです」「あと 「なに?」の質問、「なぜ?」の質問ともに、質問は具体的な事柄についてし 質問者の主観に基づいた質問です。 例としては、 ・「売り上げ減少は営業担当者の責任だと思われますが、現在、営業 などが挙げられます。 この質問は「売り上げの減少の原因は、営業担当者(の商品知識不足)にあ このような場合、例えば、売り上げ減少の原因が「他社の値引き攻勢による これでは、売り上げ減少という問題の本質は解決されません。 質問は、主観を排し、常に客観的な視点に基づいて行わなくてはならない。 問題の内部にある本質をすり替えてしまう質問です。 例としては、 ・「売り上げ減少にはいろいろな要因が考えられることがよく分かりました。 などが挙げられます。 この場合、「売り上げ減少にはいろいろな要因がある」と認識されていなが もちろん、キャンペーンを行うことによって売り上げに回復が見込まれるかも なお、「してはいけない質問」ではないものの、以下の二つの質問は、相手の 従って、これらの質問をする際には十分な注意が必要となります。 相手の答えを限定する質問です。 例としては、 ・「売り上げ減少の原因について、一つだけ挙げてください」 などが挙げられます。 幾つかの答えの中から相手に一つを選択させる質問です。 例としては、 ・「売り上げ減少に対する対策として『値引率のアップ』『営業担当者に などが挙げられます。 ただし、これまでの過程であらゆる要因について十分な検討がなされ、その (1)意見を論理的に聞く 一般的に、人間は頭の中で思考を組み立て、その筋道に沿って相手に分 しかし、会話を通じて相手の意見や態度に即応して自身の意見が変化して このような場合、意見を聞く側も相手につられて自分の意見を流されてしま 互いがそのような状況に陥ると論理的な質問はできなくなってしまいます。 このため、論理的な質問をするためには、 相手の意見を論理的に聞き、自分の意見と対比させながら ことが必要となります。 また、相手が発言をしている途中で質問を差しはさむと、その質問に答える このようなことが度々重なると、相手の思考がこま切れとなり、意見のポイ 従って、即時に確認をしなくてはならない問題などを除いては、相手が意見 特に、日本語では文末に動詞や否定語が置かれます。 このため、発言を最後まで聞かないと内容を正しく理解できない場合があ 質問の条件として、「論理的かつ具体的でなくてはならない」ということを説 例えば、「なぜそのように考えるのですか?」「何が原因ですか?」「ほかに このため、質問をする際には、相手の答えを論理的かつ真摯に受け止め、 また、いくら論理的かつ具体的であっても、顧客に対して、 ・「〜という考え方は改めるべきではありませんか?」 といった質問をすると、顧客との間に感情的な対立を起こしてしまうことに このような場合は、 ・「〜というような考え方もできるのではないでしょうか?」 といった肯定的な提案の形式をとった質問が有効です。 冒頭で述べたように、質問とは相手の意見を正確に理解し、正確なコミュニ 従って、質問は論理的かつ感情を排して行われなくてはなりません。 しかし、コミュニケーションの基本は、人間と人間との「相互対話」です。 これは、会話のうえでは言葉のキャッチボールであり、このキャッチボール 質問は相手の意見の本質に迫るものであるため、時として相手にとっては このため、質問をする際には、正確であることに加えて、「相手に自分の論 (1)社員の改革への意識が低い 社内コミュニケーションについて、友人同士のコミュニケーションと同様に「親し つまり、コミュニケーションは意図的に活性化していくものではなく、後から自 専門知識や技能の習得に対して積極的な社員であっても、自分のコミュニ また、実際にコミュニケーション不足を感じることがあっても、それは自分にで そして、自身のコミュニケーションに問題がある人ほどそのような感覚をもちや コミュニケーション活性化のためには「どのような状態をめざすのか」という目 たとえば、「部門間のコミュニケーション」を考える際には、「それぞれの部門長 人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置 受け取る側はその言葉からメッセージをくみ取ります。 伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置き換え、受け取る側は それぞれの感覚のズレが大きいほど、伝える側のメッセージは相手に理解さ 会社には年齢、役職、経験、資質などにさまざまな違いを抱えた人が集まって たとえば、同じ問題に遭遇しても経験豊富な人とそうでない人では感じ方が 経験豊富だから動じないということもあるでしょうし、問題の種類によっては経 つまり、ひとつの事象について、社員は異なったそれぞれの感覚で捉えるため コミュニケーション活性化を考える際には、このような感覚のズレを埋めていく 本来であればコミュニケーション促進の目的で導入されているメールやグルー たとえげ、メールは大変便利なツールですが、それに頼りすぎるのも考えもの 隣の席に座っている人に対して「口で言うより気軽だから」とメールで済ますの そもそも限られた文字情報のなかで相手に自分の真意を伝えるのはなかなか 口頭で伝えられるのであれば、それに越したことはないでしょう。 また、高度なグループウエアを導入して情報の共有化を図っているというケー しかし、それが不十分であれば、報告者は「きちんと情報をアップした」、閲覧 各種情報ツールは導入当初の目的に応じて正しく使われているか、システム コミュニケーション活性化のためには「社員一人ひとりのスキル向上」と「組織としての コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけではなく、 安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーションスキル 長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーション ・基本動作(挨拶、身だしなみ、整理整頓など)が徹底されている ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが用意されて ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に行っている ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている コミュニケーションスキルは日常的なコミュニケーションを活性化するために、社員 必要なスキルとして、 ・相手の話を真摯に最後まで聞くことができる ・相手の発言の目的(伝えたい、共感してほしい、意見が聞きたいなど)を ・相手が自分の考えを整理できるような相槌が打てる ・相手の言いたいことだけではなくその背景や理由も理解できる ・自分の必要な情報を聞き出すことができる ・自分がどれだけ理解できているかを相手に示し、質問することができる ・話の内容だけではなく、話し方、表情などから情報を補足できる ・複数の話し手の言いたいことの違いを整理して理解できる ・自分が伝えたい情報(事実・考えなど)を相手に正確に伝えることができる ・相手を納得させ、行動に影響を与えることができる ・相手が聞きやすい、聞きたいと思う話し方ができる ・場の雰囲気に合わせた話し方ができる ・要点や全体の構成を整理して話すことができる ・想定外の質問に対しても臨機応変に回答できる ・会社の方針を自分の言葉でかみ砕いて部下に説明できる ・複数の聞き手に対して全体の理解度を確かめながら話すことができる コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけでは 人事制度(職能資格制度など)と連動させて、職能等級ごとに必要なコミュニケー 自分のコミュニケーションスキルについては、自身では正確に把握しづらいもの 上司は部下一人ひとりの日常的なコミュニケーションを観察し、改善すべきポイン その際に大切なのは、できるだけ「行動レベル」の目標・課題を設定することです。 たとえば、上司の指示について理解が浅いままに動いてしまう部下に対しては、 この場合は、指示を受けた際に指示受け確認を徹底させ、「納期」、「目的」、「指 幹部陣の多くは経営者との付き合いも古く、対経営者に限定したコミュニケーショ しかし、幹部陣は経営者とだけではなく、全社のコミュニケーションの要となるべき そのためには、経営者は自ら幹部陣のコミュニケーションスキル向上に向けた教 また、幹部陣が自分のコミュニケーションの仕方が適切であるかをセルフチェ 長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニ たとえば、以下の仕組みが必要と考えられます。 ・トップがコミュニケーション活性化の重要性をはっきりと示している ・経営理念、行動規範などについて共通認識ができている ・顧客に対してどのような姿勢で接するかについての共通認識がある ・それぞれの部門が果たすべき役割についての共通認識がある ・役職ごとに果たすべきコミュニケーション上の役割が明確になっている ・頻繁に使われる社内用語(専門用語、業界用語)に関して用語の統一 ・自社のコミュニケーションの問題点と課題についてトップと幹部の間で ・朝礼などトップが定期的に全社員に語りかける場がある ・基本的な挨拶(「おはようございます」「お疲れ様です」など)が徹底 ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている (1)プロジェクトチームの組成 トップが中心となって、社内コミュニケーション活性化に向けたプロジェクト 幹部陣のなかからプロジェクトリーダーを選び、社内各部門の中堅クラス、一 トップはプロジェクトの重要性を全社員に向けて発信することが大切です。 どのような状態であれば自社としてコミュニケーションが活性化しているとい その際には一般論としてではなく、自社の業種業態や現状の問題点なども たとえば、製造部門と販売部門の連携に問題がある場合は、どのようなコ プロジェクトメンバーを中心に全社から意見を吸い上げることが必要です。 あるべき姿と現状を比較して、コミュニケーション活性化のための問題点を抽 前述のような「共通認識の構築」や「制度・ルールづくり」が現状でどの程度 問題解決のために取り組むべき具体的な過大を設定します。 たとえば、「報連相を徹底する」という課題であれば、具体的にいつまでにど 全社レベル、部門レベル、個人レベルなどさまざまな階層での課題設定が必 実際に課題解決に向けた施策を実施します。 そして、各施策が確実に実行されているか、その結果として自社のコミュニ バーコードなどの自動認識システム大手のA社には「三行提報」という報告制度 社員は3行127文字の文章で、その日に感じたことやアイデアなどを毎日トップ 「三行捏報」によって社長がさまざまな気づきを得られるとともに、情報をデータ また、毎日の報告によって、個々の社員の情報集力、分析力、提案力、文章力 このように自社に適した独自の仕組みを工夫して導入することも、コミュニケー コミュニケーションの活性はES(従業員満足)そしてCS(顧客満足)につながり、 逆に、コミュニケーション不足はモチベーションの低下、チームワークの乱れ、お客 人材が『人罪』になるのか、『人財』となるかは組織の風通し(コミュニケーション)の コミュニケーションで最も大切なことは、相手の言わない本音の部分を聞くことで メルマガ登録(無料)はこちらから
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