リーダーのコミュニケーション


 リーダーのコミュニケーション

■チーム全体のモチベーションをアップ

 人が仕事・遊び・スポーツなどをする際に、「よーし、やるぞ」と積極的に取り組む場合と、
 「仕方がないから、少しだけやるか」と消極的に取り組む場合があります。
 ことの善しあしは別にして、前者と後者では結果が大きく異なります。 
 ここで、取り組む対象が仕事である場合を考えてみましょう。
 仕事は毎日続くことなので、やる気の有無によって、その結果には天と地の開きが出てきます。
 この仕事などの行動を「やる気」にさせる動機付けが一般にモチベーションと呼ばれるものです。
 仕事において、個人のモチベーションがダウンすれば、もちろんそのパフォーマンスも低下する
 でしょう。

 まして、実際の仕事の多くは、部門・課・チーム(以下「チーム」)といった一定の単位で行い
 ます。
 チーム全体のモチベーションが下がれば、パフォーマンスは低下し、業績にも影響を与えます。 
 リーダーはチーム全体のモチベーションをアップしたいと考えるでしょう。
 しかし、直接的にチーム全体のモチベーションをアップすることは簡単ではありません。
 チームは所属するメンバーの集合体であるため、メンバーの一人ひとりのモチベーションをアップ
 することでしか、チーム全体のモチベーションをアップすることはできないのです。 

 そこで、リーダーはメンバーのモチベーションをアップするために、
  ・メンバーのモチベーションが何であるのかを把握する
  ・メンバーのモチベーションを刺激するためのコミュニケーションをとること
 を実行しましょう。

 これによって、ある程度までメンバーのモチベーションをアップすることができます。 
 ここでは、多くのメンバーが持っている基本的なモチベーションを確認した上で、そのモチベーショ 
 ンを刺激するために、リーダーとしてコミュニケーションする際のポイントを紹介していきます。

□リーダーが知っておきたいモチベーションの3つのポイント 
 メンバーのモチベーションアップに取り組む上で、リーダーがぜひとも押さえておきたいモチベーシ
 ョンに関するポイントを3つ紹介します。

 <ポイント1>モチベーションはチームの総和で考える 
  チームというのは不思議なもので、全メンバーのモチベーションが同時にアップすることは
  ほとんどありません。
  チーム内には常にさまざまな意見があり、自分の意見が通ったメンバーのモチベーションはアップ 
  し、そうでないメンバーのモチベーションはダウンするためです。 
  例えば、リーダーが飲み会を開催したとします。

  そうすると、「親睦(しんぼく)を深めるためにぜひ、参加します」というメンバーがいる一方
  で、「飲みに行く暇があったら、仕事をしたほうがよい」と考えるメンバーも出てきます。
  このように、飲み会一つをとってもメンバーによって多様な考え方があるのです。

  飲み会はあくまで一例ですが、チームで仕事をする上では、リーダーの考え通りに物事が進まない 
  ことが少なくありません。
  ただし、リーダーが必要以上にメンバーの顔色をうかがうことはありません。
  リーダーの目標はチームのモチベーションをアップすることであり、注目すべきは、チーム全体の
  モチベーションの総和となります。
  個々のメンバーでモチベーションに差があっても、チーム全体のモチベーションの総和がアップ
  していれば、リーダーはひとまずその状態を維持したほうがよいでしょう。 
  メンバーは、最終的には所属するチームの雰囲気に影響されます。
  チーム全体のモチベーションがアップして活気付いてくれば、ほかのメンバーもそれにつられて
  元気になっていくものだからです。 
  しかし、その一方で、そうした流れに乗れずにどんどんモチベーションがダウンするメンバーも
  出てきます。

  そうしたメンバーはチームに大きな不信感を抱いていたり、自分抜きで活気付いている他のメンバ
  ーにねたみを抱いていることもあるので、リーダーが重点的にフォローするようにします。

 <ポイント2>ネガティブな要素でもモチベーションになる 
  メンバーのモチベーションアップを図るためには、メンバーのモチベーションが何であるのかを
  把握しなければなりません。
  一般的には高い労働条件や良好な人間関係などがメンバーのモチベーションになると考えられて
  いますが、実際はそればかりではなく、ネガティブの要素もモチベーションになり得ます。 
  ここで、ある求人広告を紹介します。

  ■伝説の求人広告■ 
   求む男子。至難の旅。わずかな報酬。極寒。暗黒の日々。絶えざる危険。
   生還の保証なし。成功の暁には、名誉と称賛を得る。

   この求人広告は、アーネスト・シャクルトンという冒険家が、自ら率いる南極探検隊の隊員を
   募集するために、1900年ごろにロンドンの新聞に出したものです。
   生還の保証すらない過酷な条件であるにもかかわらず5000人もの応募があったといわれること 
   で、今では“伝説の求人広告”と呼ばれるようになっています。 

  この求人広告のどこにそれほどの魅力があったのでしょうか。
  心の琴線に触れるものは人それぞれですが、おそらくは、

   ・とにかく逆境にチャレンジしたくて応募した人
   ・名誉と称賛を得るために応募した人
  などがいたのでしょう。

  応募者は逆境へのチャレンジや名誉と称賛などがモチベーションとなって、生還の保証のない過酷
  な冒険への参加を決心したのだと考えられます。 
  このようにモチベーションは多様で、ネガティブの要素を示しても、それを乗り切る「チャレンジ
  精神」がモチベーションになることもあります。
  「厳しい目標を与えることはメンバーのモチベーションダウンにつながる」と考えるリーダーが
  少なくありませんが、この求人広告をみる限り、必ずしもそうとは限らないようです。

 <ポイント3>仕事に対する「やる気」度合いは変わらない 
  人は生活をする上で仕事以外にも趣味や家族などにエネルギーを注いでいます。 
  なお、まれに人生における「やる気」度合いそのものが変わるメンバーがいます。
  例えば、大好きだったゴルフをきっぱりとやめ、そのエネルギーを仕事に振り向けるメンバー
  です。
  こうした行動は、メンバーの生活環境に何らかの変化があって、メンバー自身が「自発的」に仕事
  に取り組むことを動機付けた場合などに起きるものです。
  このような強烈な動機付けを他人であるリーダーが行うことは困難ですが、メンバーのモチベーシ
  ョンアップに継続して取り組むことで、メンバーの自発的な動機付けのきっかけを与えることはで
  きます。

□基本的なモチベーションとグループ別の接し方
 1.基本的なモチベーションを押さえる 
  個々のメンバーによってモチベーションは異なります。
  そうしたモチベーションを一つひとつ確認し刺激することが、リーダーによるモチベーション
  アップの理想だと言う人もいます。
  しかし、中には私生活に密接に関連するものがあるなど、どこまで踏み込んでよいものか迷うこと
  もあります。 
  また、メンバー固有のモチベーションを刺激しても効果は限定的で、ほかのメンバーへのフォロー
  がおろそかになってしまいます。 
  以上から、リーダーがメンバーのモチベーションアップを図る際は、まず、多くのメンバーに当て
  はまる基本的なモチベーションを押さえることが先決になります。

 2.メンバーのグループ分け 
  個々のメンバーによっていろいろな考え方があるため、それに応じてメンバーへの接し方を考慮し
  なければなりません。
  とはいえ、個別に接し方を変えるのは難しいため、リーダーはメンバーを類似した特徴を持ついく
  つかのグループに分類し、そのグループごとに接し方を工夫するようにします。 
  ここでは、メンバーを特徴ある3つのタイプに分けてみます。

  <1.支配的なタイプ> 
   自ら先頭に立って場を仕切ろうとするタイプです。自分の権力に関心があり、他人への影響力の
   強さを誇りとする傾向があります。
   物事の成功・達成に喜びを感じますが、自己中心的に行動してトラブルを招くこともあります。 
   支配的なタイプの場合、以下が強いモチベーションになります。

    ・チーム内の地位と役割に対する満足と安心
    ・業務遂行のために必要な権限の委譲

  <2.論理的なタイプ> 
   ある意味で計算高く、成功のための根拠を求めるタイプです。
   物事の真偽に関心があり、特定の分野を極めることを誇りとする傾向があります。
   知識の向上に喜びを感じるあまり自分の世界に入り込みがちで、他人を寄せ付けない面を持って
   います。 
   論理的なタイプの場合、以下が強いモチベーションになります。

    ・リーダーの成長戦略に対する納得と理解
    ・自分のやりたいことと現実のギャップの解消

  <3.協調的なタイプ> 
   争いを好まず、他人を立てるタイプです。
   調和に関心があり、周囲への心配りを誇りとする傾向があります。
   他人からの称賛や感謝に喜びを感じますが、周囲の視線に過敏な面があり、根も葉もない噂を
   気にしてモチベーションがダウンすることもあります。 
   協調的なタイプの場合、以下が強いモチベーションになります。

    ・なじみやすい企業風土とチームの雰囲気
    ・リーダーやほかのメンバーからの称賛、感謝

 3.グループごとの接し方 
  メンバーをグループ分けすることで、リーダーはグループごとにモチベーションを刺激するための
  接し方を整理することができます。
  ここでは、「業務遂行のために必要な権限の委譲」というモチベーションに注目し、グループごと
  の接し方の違いを示します。 
  以下は、リーダーが各グループのメンバーにプロジェクト遂行に必要な権限を与える際、それぞれ
  のモチベーションを刺激しやすい話し方の例です。

  <1.支配的なタイプ> 
   このプロジェクトには弱腰な関係者を力強く導いていく存在が不可欠で、仕切り役としてはパワ
   フルで頼りがいのある君が最適だ。
   プロジェクトに必要な権限は十二分に与えているし、これをうまく活用して成功すれば、君の
   キャリアアップにつながるだろう。期待しているよ。

  <2.論理的なタイプ> 
   このプロジェクトには調査能力に優れた存在が不可欠で、仕切り役としては冷静沈着な君が
   最適だ。
   必要と思われる権限は与えている。
   また、君のほうで追加すべき権限があれば報告してくれ。知識が豊富な君なら無事にプロジェク
   トを終了できると信じている。期待しているよ。

  <3.協調的なタイプ> 
   このプロジェクトには関係者間の協力体制を構築できる存在が不可欠で、仕切り役としては気配
   り屋の君が最適だ。必要な権限は与えているし、私もサポートを惜しまないので、周囲を気にせ
   ずやってもらっていい。君なら笑顔でプロジェクトを終えられるだろう。期待しているよ。

 4.メンバーの変化への対応 
  同じモチベーションであっても、接し方を変えることで、より強い刺激を与えることができます。
  ただし、メンバーがどのグループに属するのかは、そのときの生活環境や精神状態によっても変化
  するので注意が必要です。 
  例えば、支配的なタイプのメンバーが私生活のトラブルで他人と衝突して落ち込んでいるとしま 
  す。
  このメンバーが「もう人と衝突するのはこりごり。
  自分さえ我慢すればよいのだから、これからは仲良くやっていくのが一番」などと考えると、その
  行動は協調的なタイプのメンバーに近いものになっていきます。
  支配的なタイプが落ち込んで協調的なタイプになっているときは、協調的なタイプへの接し方をす
  るのがポイントです。 
  なお、通常は時間の経過とともにメンバーはもとのタイプに戻ります。
  人間の本質はそう簡単に変わるものではないのです。

□リーダーによるコミュニケーションのポイント
 1.リーダーのコミュニケーション術 
  メンバーのモチベーションは、リーダーとのコミュニケーションによって刺激されます。
  少し面倒に感じても、リーダーはメンバーへの心配りを忘れずに接することが重要です。
  コミュニケーションの具体的な方法はさまざまですが、例えば、

   ・その月に最も頑張ったメンバーに、称賛の言葉を記載したカードなどを贈る
   ・リーダーがメンバーとともに休憩を共にして雑談をする

  などに取り組んでいる企業があります。
  これらは、リーダーとメンバー、メンバー同士のコミュニケーションの一環として行われているも
  ので、皆の目の前で隠すことなく行われているのがポイントです。 
  リーダーやほかのメンバーから称賛、感謝をされて嫌な思いをするメンバーはいません。
  また、多少照れくさくても、皆の前で称賛、感謝されれば、メンバーは一層大きな喜びを感じるこ
  とができます。 
  このように、メンバーのモチベーションアップを図るためには、リーダーは日ごろのコミュニケー
  ションが非常に重要です。
  「それだけでメンバーのモチベーションがアップするの?」と感じるリーダーがいるかもしれませ
  んが、メンバーからみると、リーダーに声を掛けてもらうことは非常に大きなモチベーションにな
  るのです。
  ましてや、複数のメンバーの中から感謝の対象として選ばれれば、「自分は期待されている」と、
  大きなモチベーションになるものなのです。 
  ただし、リーダーはメンバーとのコミュニケーションの回数や密度を平等に保つようにしなければ
  なりません。

  つまらないことのようですが、
   ・メンバーAは、今日は10回声を掛けられた
   ・メンバーBは、今日は1回も声を掛けられていない
  といった状態になると、メンバーBのモチベーションがダウンします。
  また、メンバーBのモチベーションダウンは、リーダーが考える以上に大きなものです。
  なぜなら、メンバーBは、声を掛けてもらえなかったことがマイナス1ポイント、自分以外のメンバ
  ーが声を掛けられたことがマイナス1ポイントとなり、結果としてマイナス2ポイント分のモチベー
  ションがダウンするからです。
  そのため、リーダーはメンバーと満遍なくコミュニケーションをとるように意識しなければなりま
  せん。

 2.リーダーの行動の三原則 
  このように、リーダー自身はあまり自覚していませんが、リーダーの言動がメンバーに与える影響
  はとても大きなものです。
  そのためリーダーは自分のちょっとした言動がメンバーのモチベーションに大きな影響を与えるこ
  とを認識しつつ、慎重に行動しなければなりません。 
  リーダーは以下の行動の三原則を守るとよいでしょう。

   ・原則1:成長戦略の立案  
    リーダーは、常にチームの成長戦略を描き、それを唱え続けましょう。  
    チームの存在意義が固まっていきます。

   ・原則2:力強い活動  
    リーダーは、力強くエネルギッシュに活動しましょう。  
    チーム全体に活気と笑顔が宿ります。

   ・原則3:日ごろの気配り  
    リーダーは、誰よりも謙虚な姿勢でメンバーに気配りをしましょう。  
    チーム全体に相手を思いやる雰囲気が生まれます。

□おわりに 
 活気のあるチーム、笑顔のあるチーム、団結力のあるチームなど、理想のチーム像はさまざまです
 が、いずれを実現する際もメンバーのモチベーションアップが前提条件として挙げられます。
 それほどまでにメンバーのモチベーションアップが重要であるということです。 
 モチベーションを刺激するのはリーダーとメンバーのコミュニケーションですが、つかみどころのな
 い一つひとつのモチベーションを対象にするのは現実的とはいえません。
 そこで、リーダーは日ごろのコミュニケーションの中で、メンバーにチームに所属することの喜びを
 伝えていくようにしましょう。

 チームがやるべきこと、チームができること、リーダーがメンバーに求めていることをメンバーに伝
 え、メンバーとともに「NO.1のチーム」を目指していくのです。
 チームの一員としての自覚を持ち、そのチームで何らかの自己実現ができると感じたときにメンバー 
 のモチベーションは高まるといえるでしょう。 
 なお、ここではチームのリーダーとメンバーに注目し、チーム全体のモチベーションアップを考えて 
 きました。

 この内容はチームを含めた組織全体にも通用するものであり、リーダーを「経営者」、メンバーを
 「社員」と読み替えることもできます。
 

会議におけるコミュニケーションスキル

会議におけるコミュニケーションスキル

 ビジネス・コミュニケーションを行う際、根っこの部分(心構えや原則論の部分)と
 枝葉の部分(具体的なテクニック部分)のどちらが重要かと問われれば、それはやはり
 根っこの部分。

 昨今の(特に若手の)ビジネス・パーソンは、何をするにつけても「まずはテクニックを
 身に付けなければ……」 と考える人が少なくありません。
 確かに、優秀なビジネス・パーソンほど様々な知識やテクニックを身に付け、仕事に
 活用しています。 

 しかし、いくらテクニックを学んだところで、「なぜそのテクニックを身に付ける必要が
 あるのか?」や「そのテクニックが生まれた背景や過程」といった根源的な部分を知ら
 なければ、身に付けたテクニックは表面的で薄っぺらいものにすぎず、本当の意味で
 活用することは難しいでしょう。 

 あなたには、安易なテクニック論に走ってもらいたくないという思いから、根っこの部分
 を説明してきました。

 「相手のことを慮る」という気持ちの上に「正確に、迅速に、明確に伝える」 という
 目的論があり、その上にようやく詳細な手法や具体的なテクニックがあるということを、
 改めて理解してください。 

 ここからは、その「枝葉の部分」 について細かく説明していきます。 
 前述したように、ビジネス・コミュニケーションは日常的なコミュニケーションと根底を
 同じくしています。

 ということは、日常的なコミュニケーションのマナーや心がけを守っていれば、多少の
 ズレはあるにせよ、ある程度のレベルまではビジネス・コミュニケーションとして成立
 します。 

 しかし、ビジネス・コミュニケーションは前提として会社内、あるいは就業中に行われ
 ます。

 つまり日常のコミュニケーションにはない、会社独自のシチュエーションやタイミングで
 使われるという特徴があるのです。
 ビジネス・パーソンならば毎日のように経験する「会議・ミーティング・打ち合わせ」を
 テーマに説明していきます。

□会議におけるコミュニケーションの重要性
 会社内において、上司や同僚が一堂に会し、発言や質問を通してお互いに認識を共有する
 場は意外に多くありません。
 冒頭で紹介したように、日常の他愛のない会話をビジネス用にアレンジすることはでき
 ますが、相手にその気がなければその効果は半減します。

 反省会やミーティング前ミーティングなどと称して飲み会を行う会社もあるにはありますが、
 それにしても単なる愚痴や無責任な発言に終始し、意味のある会議と呼ぶにはいささか
 内容が薄いものであることがほとんどです。 

 そんな状況の中、就業中の会議やミーティングは、上司の考えや同僚の意見・不満
 などを聞ける、あるいは自身が温めていた企画や発想を部の仲間に伝えることができる
 貴重な場だと言えます。

 しかし、昨今海外の企業から「日本企業は会議にかける時間が長すぎる」「会議を行う
 回数も多すぎる」「それなのにその中身は薄くて無駄」などと揶揄されています。
 本来は非常に意味のある場であるのに、それがうまく機能していないのはなぜでしょうか。

□無駄な会議をつくっているのは誰なのか 
 会議が本来の意味を成していない、というのは社長にとって頭の痛い問題です。
 「当社の業績が芳しくないから、現場の人間を含めて会議を行おう」と計画したにもかか
 わらず、参加者の多くは聞き手に徹しているか、発言したとしても「人員配置が…」
 「モチベーションが…」「景気の悪化が…」といった一般的で漠然とした内容を言うだけ。

 そんな会議だから結論らしい結論も出ず、経営は改善するわけもありません。 
 社長は焦り、「それなら総員決起集会だ」 とばかりにさらなる会議を開き必死に社員を
 奮い立たせようとしますが、社長のやる気だけが空回りし、やはりそれほど成果が上がり
 ません。

 徐々に会議の回数や時間が増えていき、理由をつけて会議に参加しない社員も出始め、
 いつしか「会議を行う」ことが目的となってしまった…という会社は、(ここまでひどく
 ないにせよ)少なくありません。 

 こういったケースでは、多くの社長や上司は「ウチの社員はやる気がなくて困る」と不満
 をもらしがちですが、実は「無駄な会議」というのは、会議を開く側、すなわち社長や
 上司の質に問題があることが多いのです。

□会議を変えるビジネス・コミュニケーション
 「無駄な会議」は、ずばり「退屈な会議」と言い換えることができます。
 上司の訓示に始まり、現場の社員の現状報告・課題の抽出・改善点の立案と続き、最後は
 各社員の反省と上司の諫言(かんげん)で終わる…。

 この流れ自体には特に問題はありませんが、上司が前例を重視し、特に工夫したり刷新
 したりといった行動を起こさないまま慣習通りの会議をだらだら続けていては、やがて
 参加者が飽きてしまい、せっかくの会議が文字通り腐ることになります。

 では、意味のある会議をつくるにはどうすればいいのでしょうか。 
 環境が社員をつくるという前提に立てば、会議というコミュニケーション環境を物理的
 ・心理的に両面から整備すれば、社員は徐々に環境にそって成長を見せるはずです。

 これに「人材教育」を加えることで、会議は劇的に変化します。
 会議を蘇らせる具体的な方策を表にまとめました。
 私見では、会議の実施数や時間が多ければ多いほどその密度は薄まり、存在意義がぼやける
 と考えます。

 会社の規模や業種によっては、毎日・毎週の定例会議が必要になるかもしれませんが、
 短時間にスパッとやる方が結局は効率的で意味のある会議になるはずです。 
 上記に挙げた他にも様々な方策が考えられます。

 その業種や会社の持ち味を生かした工夫をして会議を盛り上げている会社も数多く
 見られます。
 これを機に自社の会議内容を見直し、どのような工夫ができるのかを話し合う会議を
 開いてみてはいかがでしょうか?

コミュニケーションスキル ビジネスメール

コミュニケーションスキル ビジネスメール

■ビジネスメール
 現代ではビジネス・プライベート問わず、メールが欠かせなくなりました。
 特に若者の間では、携帯電話のメール機能が重要なコミュニケーションツールとなって
 います。 

 重要な話もそうでない話も、基本的に電話ではなくメールを使って相手に伝える若者が
 大多数を占めているという現実。

 携帯電話はもちろん、PHSやポケットベルすらなかった時代に会社員となった人たちには、
 にわかには信じがたいかもしれませんが、最近では、急な欠勤や上司への業務連絡、
 果ては転退職願といった仕事上最重要とも言える内容ですら、Eメールや携帯メールで
 済ませる若手社員が増えているのです。 

 今ではコミュニケーションツールとして大きな役割を担っている「メール」 ですが、
 ここまで生活に浸透しているにもかかわらず、正しい使い方をよく分かっていない社員も
 少なくありません。

 しかもそれは若手社員とベテラン社員双方に言えることです。
 若手社員はIT機器の使い方に長け、メール機能を存分に使いこなせている反面、ビジネス
 文書の書き方や言葉の知識、基本的なマナーなどに不安があります。

 一方ベテラン社員は、ビジネス文書の書き方やマナーをきちんと身に付けているものの、
 肝心のメール機能がうまく使いこなせないという人が少なくありません。

 ビジネス、あるいはプライベートにおいて、 「メール」 はその使い方によって自分に
 利益をもたらす薬にも、自分を害する毒にもなる諸刃の剣。
 優秀なビジネス・パーソンやエクセレント・カンパニーはメールの重要性をしっかり認識し、
 その技術向上に大きな力を注いでいるのです。

□メールの基本的な注意点 
 ビジネスメールのマナーを説明する前に、メールの基本的な注意点を説明します。
 まず、日常の業務でメールを活用している人でも意外に知らない、 「CC」 と「BCC」の
 違いについてです。

 「CC」 は、 「カーボン・コピー(Carbon Copy) 」 の略で、ここに入力された複数の
 アドレス宛てに、作成したメールを同時に送信する機能のことを指します。
 「CC」 欄に表示された人は全受信者に知らされます。

 このメールを受け取った人は、相互に「この人も、このメールを読んでいる」 と認識
 することができるため、チーム内の情報共有や意見交換、相互管理などに活用されます。 

 一方「BCC」 は、 「ブラインド・カーボン・コピー(Blind Carbon Copy) 」の
 略で、基本的には「CC」 と同じく、複数のアドレスに同時にメールを送信することが
 できる機能のことです。

 一つだけ違うのは、「BCC」の場合、「BCC」欄に入力された人は、メールを送った人
 以外は知ることはできないこと(受信者に表示される情報は、「(自分の) 宛先」「差出人」
 「CC(に入力されているアドレス)「件名」 」「メール本文」のみ。「BCC」 欄は
 表示されません)。 CCとBCC

 「BCC」は、複数の「相互にアドレスを知られてはいけない人」宛てに同一メールを
 送りたい場合に使用する、プライバシーを守るための機能だと言えます。
 具体的には、交流会の案内やメールマガジンなど不特定多数の人に送信するときに
 使います。 

 いずれも、多数の人にメールを送る機会が多いビジネス・パーソンにとっては非常に
 便利な機能です。
 これらの機能を使い分けることで、より快適にメールを使うことができます。


□ビジネスメールの基本は、「簡潔に、明確に」 
 ではビジネスメールの書き方の基本について説明します。 
 まずビジネスメールの全体的な構造ですが、基本的に次の三段構成が基本となります。

  1.序文:宛名(受取人の肩書きや名前) ・自己紹介・挨拶
  2.本文:メールの目的・用件の具体的な内容・引用文を利用した返事など
  3.末文:結びの一言・追伸・署名

 それぞれのブロックには様々な要素が含まれていますが、それぞれを最小限の内容に
 抑えることで、全体を簡潔に、明確にさせることがビジネスメールの大前提になります。
 プライベートのメールとビジネスメールの一番の違いはここにあります。

 つまり、プライベートなメールでは伝えたい内容からちょっとズレていても、余計な
 一文があっても、ダラダラ長文を書いても、最後に肝心の内容が伝わればそれで構いません。

 しかしビジネスメールの場合は、メールを詳細に、最後まで読まなければ内容が分からない、
 あるいは読み方(解釈)によっては結論が異なってしまうような書き方ではNGです。 
 それを防止するための基本的なポイントを構成順に説明します。

 ◎ブロック別ポイント・その1「序文」
  「序文」には、①宛名、②自己紹介、③挨拶が入ります。

  ①宛名 
   最初に、誰宛のメールなのかを明確にします。
   この時、宛名には「相手が所属する正式な会社名と部署名」「相手の正式な肩書き」
   「相手の正確なフルネーム」「相手に適切な敬称」の順に書いていきます。

   ここで言う「正式な〜」というのは、例えば日常業務では(株)や(独)と略して
   いるところを、きちんと「株式会社」「独立行政法人」と書くということを意味して
   います。

   また、株式会社の場合は、いわゆる「前株」なのか「後株」なのかにも注意を払い
   ましょう。 

   また、「敬称」での「殿」「様」「さま」「御中」などの使い方を間違ってしまうと、
   メールを見る前に「この人は基本的な知識すら知らないのか」と見切られてしまい
   ますので、このような基本的な言葉遣いはきちんと確認しておきましょう。

  ②自己紹介 
   次に自分のことを説明します。
   この場合も、①と同じように、「会社名」「所属部署」「肩書き」「フルネーム」を
   書きます。

   この時、もしメールを初めて送る場合は「はじめまして。〜の際に名刺交換をさせて
   いただいた○○と申します。
   その節はお世話になりました」 と、具体的かつ簡潔なプロフィールを書くといい
   でしょう。

   また、何回かメールをやり取りしている人にメールを送る場合は「いつも大変お世話
   になっております。
   ○○会社の○○です」 という程度に抑えておいた方がスマートです。

  ③挨拶 
   ②とやや重複しますが、自分の名を名乗った後に、簡単な挨拶を書きます。
   ポピュラーなのものは「突然のメール、失礼いたします」「ご無沙汰しております」
   「いつもお世話になっております」「先日の会議では大変お世話になりました」など、
   相手との距離感で選択してください。 

   なお、普通の手紙の挨拶文のように、「初秋の候、貴社ますますご発展のことと
   お慶び申し上げます」や「拝啓〜」といったかしこまった挨拶文は、省略して
   構いません。

 ◎ブロック別ポイント・その2「本文」
  「本文」 には、④メールの目的、⑤用件の具体的な内容、⑥引用文を利用した返事
  などが入ります。

  ④メールの目的 
   後述する「⑤用件の具体的な内容」の概要や主旨を端的にまとめた一文を書きます。
   ここでは、「とりあえずこの一文だけ読めば大まかな内容が分かる」という文に
   しましょう。 

   具体的には、「○○プロジェクトの経過について報告いたします」「先日のチーム内
   会議の結果について部長のご意見をいただきたく、メールをお送りいたしました」
   「社内旅行の日程について、以下の候補日から希望のものをお答えください」と
   いった文にします。

   この時、質問やアンケートに対する回答を求める内容の場合は、上記の文に続いて
   「○月×日(水) までに返答していだければ幸いです」などといったデッドライン
   を記載するとよいでしょう。

  ⑤用件の具体的な内容 
   ここまできてようやく本題です。
   冒頭でも説明しましたが、ビジネスメールの主眼は分かりやすさに置かれています。
   つまり、この部分をいかに分かりやすく書くかでこのメールの成否が決まると
   いっても過言ではありません。
   他の項目に比べここは重要な要素がいくつもありますので、以下に箇条書きで
   まとめました。

   <本文を明確にするポイント>
    ・余計なことは書かない=必要な情報以外の部分はできるだけそぎ落とす
    ・一文を20字〜40字程度で改行して読みやすくする
    ・主張やテーマは一つに絞る=複数のテーマを盛り込まない
    ・箇条書きや段落番号をつけて見た目にも分かりやすい工夫をする
    ・内容を書く時は、「5W2H」にそってまとめるとスッキリする
     【What (何が・結論)、When(いつ・時間や日程)、Where(どこ・場所) 
      Why(なぜ・理由や背景)、Who(誰が・社員名)、How(どのように、
      方法・状況)、Howmuch(いくら・金額)】

  ⑥引用文を利用した返事 
   何回かメールをやりとりしていると、相手の質問に対する返事が必要になる時が
   出てきます。
   その場合は質問文を、引用符(一般的には「>」 ) を用いて以下のように引用し、
   その下に返事を書くと分かりやすくなります。 

   引用する場合には、質問の核の部分を含む文章を手短に抜き出すことが大切です。
   また、それに対する回答もなるべく短く、簡潔に書くことが望まれます。

   <引用符による質問文の引用>
    日程の希望日を下の候補日から選んでいただけますでしょうか?
    私の希望日は●月×日(月)です。

 ◎ブロック別ポイント・その3「末文」
  「末文」 には、⑦結びの一言、⑧追伸、⑨署名などが入ります。

  ⑦結びの一言 
   これも、「③挨拶」のように簡潔な一文を入れるのが一般的です。
   代表的な結びの一言は「今後ともよろしくお願いいたします」「これまで同様お引き
   立てくださるようにお願い申し上げます」「ご連絡いただきますようにお願い申し
   上げます」「誠に勝手なお願いではございますが、よろしくお願いいたします」
   「取り急ぎ、ご連絡申し上げます」「ご期待に沿えず、申し訳ありませんでした」
   など。

   これらのフレーズには様々な種類がありますので、メールの内容に合ったものを
   選ぶようにしましょう。

  ⑧追伸 
   本文の内容とは別に伝えたい内容がある時は、追伸という形で追記します。
   基本的に、ビジネスメールでは追伸を書かないのが一般的ですが、メールの内容が
   あまりにも無味乾燥な場合や、本当は親しくしたいということをアピールする時は、
   追伸として相手の心に響く一言を添えると相手の印象に残る度合いが格段にアップ
   します。

   しかし、あまり長く書きすぎたり、相手に全く関係ない内容を書き連ねたりすると、
   逆に「なれなれしい」 とマイナスイメージを持たれる可能性もありますので、長く
   ても数行にまとめるようにするのが無難です。

  ⑨署名 
   署名とは、メールの最後に改めて自分の名前や連絡先を載せるもので、ビジネス
   メールには大抵これが入っています。

   基本的に署名にはこれといった決まりはありませんが、一般的には、「自分の名前
   (および読みがな) 」「会社名」「部署名」「肩書き」「電話番号およびFAX番号
   (および携帯電話番号)」「Eメールアドレス」「(あれば)会社のウェブサイト
   のURL」といった情報を、飾り線や記号などを使って、名刺風にアレンジします。
   工夫次第で、非常に目立つ署名を作ることも可能ですが、大抵の会社では公式の
   「署名のテンプレート」がありますので、そちらを活用するようにしましょう。 

   なお、作った署名はメーラーの「差出人」 のところに保存しておけば、クリック
   一つで添付することができるので便利です。

 ◎その他の工夫 
  メールの宛先や件名などにも、分かりやすさやプライバシーに配慮することが大切です。
 

コミュニケーションスキルをアップさせる“内容” 

■ミュニケーションスキルをアップさせる「内容」

 ビジネス・コミュニケーションの「(自分が伝えたい内容を) 正確に、迅速に、明確に(相手に伝え、
 理解してもらう) 」 という原則を守るように心がけていれば自然と身に付くことでしょう。

 焦る必要はありません。

 以下に挙げるそれぞれの項目を一つずつチェックし、 「今日はこれを目標にしよう」「今日はこれができ
 たから、明日は次の項目にチャレンジしよう」 という意識でコツコツ積み重ねていってください。

□コツ・その2(下記記事『コミュニケーションスキルをアップさせる社内環境』の続き)

 ③言葉遣い

  コツの3つ目は、ビジネス・パーソンの基本「正しい言葉遣い」 です。

  以前説明した「非言語コミュニケーション」 を除けば、この③の項目は、ビジネス・コミュニケー
  ションの根幹を成す最も基本的な知識です。

  しかし昨今、この部分を間違えているビジネス・パーソンは意外なほど多いことはご存じのとおり
  です。

  たった一言、言葉選びを間違っただけで、今までの積み重ねてきた努力や好印象が台無しになることも
  少なくありません。

  こういった現状が背景として存在しているため、言葉を正しく使うだけで「おっ、この人は言葉という
  ものをきちんと分かっているな」 と一目置かれることがあるかもしれません。

  日本語を正しく理解し、きちんと話すことが大きな武器になるのならば、これを見逃す手はありま
  せん。

  ◎正しい言葉遣いの習得

   正しい言葉遣いにはいろいろありますが、ビジネス・コミュニケーションにおいて最も大切なのは
   「敬語」です。 

   「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」 の3つの使い分けは新入社員研修などで必須項目になっているはず
   ですが、「尊敬語」と「謙譲語」の区別があいまいであったり、誤用や誤解があったりと、正しく
   身に付いていない人が多いようです。

   めったにあることではありませんが、敬語を間違っているということに気づかないまま、若手社員を
   指導している講師や上司もいます。

   敬語で特に多い間違いが、「センスのいいネクタイでいらっしゃいますね」といった使い方。

   基本的に敬語は人に対して使うものであって、物には使いません。

   意外に年配の人も間違って覚えていることがあるので注意しましょう。

   また、相手を敬おうとする意識が強すぎるあまり尊敬語をくどいほど重ねたり、あるいは逆にへり
   くだりすぎる言葉遣いをしたり、あるいは尊敬語と謙譲語を混ぜたり(「おっしゃられました」
   「拝見させていただいてよろしいでしょうか」「お召し上がりになられました」「いただかせて
   いただきます」「ご覧になられましたか」「お客様が参られました」など)といった若手の失敗談を
   よく耳にします。

   尊敬する気持ちが痛いほど分かる分、これらの表現をすぐさま誤用と叱るのはいささか酷な気がしま
   すが、くどすぎる敬語はかえって失礼に当たる場合があります。

   使用する際は細心の注意を払いましょう。

   また、最近よく指摘される言葉遣いに、 「~の方」「~でよろしかったでしょうか?」などのような
   「誤った(?) 婉曲表現」や「ら抜き言葉」「確信犯」「暑いですね」といった「本来は間違って
   いるけれど、現代語として使用が認められている言葉遣い」などがあります。

   これらの言葉を「現代語として認められているから」 という意識で教養のある人の前でうっかり使用
   してしまうと、「この会社は若手に言葉遣いすら教えていないのか」と思われてしまう可能性があり
   ますので、使用する際には十分注意してください。

   正しい言葉が必ずしも正しい結果を生まないということです。

   これらのような線引きがあいまいな言葉を使用する際には、相手の年齢や性格などを考慮した上で
   使うようにしてください。

   他にも、「激を飛ばす」「的を得る」「役不足」「汚名挽回」「(目上の人への)ご苦労様」「喧喧
   諤諤(喧喧囂囂(けんけんごうごう) と侃侃諤諤(かんかんがくがく)の混成語)」といった誤用や
   誤解が多いようです。

   これを機に、間違いやすい日本語を見直してみてはいかがでしょうか。

  ◎敵をつくらない言い回し

   前段のくどいほどの尊敬語や「~の方」といった言い回しは、日本人特有の婉曲表現や奥ゆかしさの
   意識が生んだ誤用です。 

   「ずばりと本題に触れるのは下品だから、ワンクッション入れて柔らかな表現にしよう」という意識
   は非常に結構なのですが、年配の方にはそのワンクッションが癪(しゃく)に触るという方も少なく
   ありません。

   しかし、だからといって「先日の質問の回答はまだですか?」などと単刀直入に話を投げかけては、
   いらぬいさかいを生み出しかねません。

   その意味で言えば、会話をスムーズに行うための潤滑油としての「クッション言葉」は、ビジネス
   には必要不可欠なのです。

   と言っても、それほど難しい言葉を使う必要はありません。

   これまでたびたび説明してきた「相手の状況や気持ちを慮る」という意識を、簡単な言葉にする
   だけで十分クッションになります。

   具体的には、「今お時間よろしいですか?」「お手数をおかけして申し訳ありません」「差し支えな
   ければ、お教え願えますか」「恐れ入ります」「申し上げにくいことを言うようで恐縮ですが」 など
   が挙げられます。

   これらの言葉を会話の頭や最後に差し入れることで、相手は「この人はこちらの状況をくんでくれて
   いる」と感じ、気持ちよく会話に臨んでくれるはずです。

   また、人に頼みごとをする際、居丈高に「~しろ!」と命令口調で押し付けるのはもちろん、やや
   柔らかめに「~してください」 と言うのはビジネス・コミュニケーションとしてふさわしくあり
   ません。

   そこは、身分の上下にかかわらず「~してもらえるかな?」「~していただいてよろしいでしょう
   か?」と質問形式にするとスマートです。

   ビジネス・コミュニケーションの基本は「簡潔・迅速・明確」ですが、それは伝える内容そのものの
   話であって、コミュニケーション全体を合理化しろというわけではありません。

   ビジネス・コミュニケーションは、あくまで円滑な人間関係を構築するコミュニケーションの一つで
   あるということを念頭において、自分も相手も気持ちよく話ができる場づくりを心がけましょう。

 ④内容の整理

  コツの4つ目は、伝達内容そのものの工夫です。

  前段の「言葉遣い」が「相手に不快な気持ちを与えないための核となる術」だとすれば、これは「ビジ
  ネス・コミュニケーションそのものの核」と言える重要な要素です。

  具体的には、「伝える内容に具体性を出す」「言いたい部分をしっかり強調する」効果的な時間配分で
  話にメリハリをつける」「あいまいな言葉遣いを排除して、誤解を与えないようにする」などが挙げら
  れます。

  その他、「大きな声で話す」「話のトーンを変える」「繰り返し説明する」「身振り手振りを用いて
  熱く語る」「簡潔で明確な資料を提示する」「ポジティブな言葉を用いて、相手に好印象を与える」
  「プレゼン終了後(その日の夜や翌日) に、直接・メール・電話などで再度確認する」といった工夫も
  考えられるでしょう。

  カンのいい人ならばすでにお気づきかもしれませんが、これらの要素は、ずばり「プレゼンテーション
  力」 と同じものです。

  相手に自分の主張をしっかり伝え、相手の質問に誠実に答え、認識を共有させる……。

  これはビジネス・コミュニケーションの核であると同時に、ビジネス・スキルの核とも言える部分
  です。

  ここが弱ければ、有効なビジネスを構築することはできません。

  ビジネス・パーソンならばぜひとも身に付けておきたいポイントの一つです。

  ここでのコツは、「自分が言いたいことを相手に正しく理解させ、しっかり記憶させること」です。

  上で挙げた要素は、これを実現させるためのツールにすぎません。

  効果的に相手に伝えるテクニックはいろいろありますが、その中でも特に効果的なのが、「短時間ポイ
  ント型(結論→結論に至るまでの背景・理由→客観的なデータ→再度結論)」と「長時間説得型(全体
  の概要→詳細な各論→まとめ)」という2つの手法です。

  どちらもメリットとデメリットがあるため、使用する際には、話したい内容や相手の性格、時間配分
  などを考慮に入れて選ぶとよいでしょう。

  これらの工夫を重ねて、伝えたいポイントを相手の脳にしっかり記憶させてください。

  また、ビジネス・コミュニケーションでは、重要な決断を迫られることがあります。

  このときにありがちなのが、それまでに醸成した雰囲気を壊したくないという思いから、
  「とりあえず前向きに検討させていただくかもしれません」などと、結局何がしたいのか分からない
  ような、でもなんとなくいい感じに受け取れるような言葉でその場をまとめてしまうケースです。

  これは若手よりもむしろベテランにありがちな言い回しであり、このあいまいさのせいで後々大きな
  トラブルに発展することも少なくありません。

  商談やスケジュール調整といった重要な打ち合わせの際には、少なくとも「イエス/ノー」 といった
  意思表示はもちろん、「日程」「時間」「数値」「人数」「引用元」などははっきり伝え、さらに後日
  再確認するくらいの強い態度を見せましょう。

コミュニケーションスキルをアップさせる“社内環境”  

コミュニケーションスキルをアップさせる社内環境 


 ■ビジネス・コミュニケーション
  社内におけるビジネス・コミュニケーションはコミュニケーションの一類型ですが、
  日常的なコミュニケーションとは大きな違いを持っています。
  それは「会社内、あるいは就業中に行われる」という点です(内容の違いについては
  前述の通り) 。
  この「会社内で行われる」という部分について考えてみてください。

  会社内で行われるということは、そこには上司や部下、あるいは取引先の社員や顧客
  といった、いわゆるステークホルダーが存在しているということを意味します。
  つまり、ビジネス・コミュニケーションは、基本的に利害関係者の間で行われるやりとり
  だということになります。


 □ステークホルダーとのコミュニケーション
  ビジネス・コミュニケーションを考える上では、「利害関係がある」 という事実が
  ネックになることが少なくありません。
  例えば、自分よりも上位にいる上司や取引先、顧客などとやりとりする場合を考えて
  みてください。

  ある程度経験を経たベテラン社員ならばともかく、新入社員や若手が上司や取引先の
  社員とコミュニケーションを取る場合、自分に自信がない若手社員は、とにかく
  へりくだり、くどいほどの敬語を使用して呆れられるというケースがよく見られます。
  あるいは、上司への業務報告の際、主観による感想や報告するまでもないこと
  (打ち合わせをした人物の印象やボツになった過程、自分の苦労話など) をくどくど
  と説明する若手もいます。

  さらには、相手に自分のことを良く見せたい、あるいは自分の未熟さを隠したいという
  思いから、専門用語や相手が不慣れな分野のトピックを多用する人もいます。
  未熟な彼らがこれらの行為をしたくなる気持ちは分からないではないですが、日常の
  コミュニケーションとしてならまだしも、ビジネス・コミュニケーションとしては
  大きな間違いであると言わざるをえません。

  もし、これらの行動をビジネス・コミュニケーションだと思い込んでいる社員が
  いたときには、先輩や上司がきちんと正しい手法を教える必要があります。
  それはOJTでも教育研修の場でも構いません。
  コミュニケーションはとにかく経験を積むことで磨かれていきます。
  サポートする場があれば、習得する速度も質も飛躍的に向上します。
  経験豊かな上司などが正しい方向に導ける環境があること、それが日常のコミュニ
  ケーションとビジネス・コミュニケーションとの大きな相違点なのです。


 □質の高いコミュニケーションをつくるコツ
  しかし、教えるべき立場の経営者や上司がビジネス・コミュニケーションを正しく
  知らなければ、 「質の高い仕事」 をつくる「質の高いビジネス・コミュニケーション」は
  生まれません。
  質の高いコミュニケーションをつくる手法はいくつも存在していますが、その中でも
  特に重要性が高いと考えられるコツを以下の表にまとめました。


   ◎7つのコツ・その1〜社内環境

    ①正しい知識の習得・共有
     ビジネス・コミュニケーションを取得するためには、まず正しい知識を学び社員全員で共有  
     すること、あるいは誤解を排除しなければ始まりません。

     多くの会社では入社時、あるいは内定時の教育研修において「ビジネス・マナー」や「ビジ
     ネス・パーソンの基本的な心得」 などという名称で、ビジネス・マナー(ビジネス・コミュ
     ニケーション含む)を教えていると思います。

     しかし、それをさらに一歩進めて「ビジネス・コミュニケーション」 を単独の研修項目と 
     し、集中的に教えてもいいかもしれません。

     また、ベテラン社員や中途入社の社員、あるいは経営者本人が参加する「ベテランのための
     ビジネス・コミュニケーション」 を用意し、改めて部下との距離や溝をなくすようにしても
     い
いでしょう。

     とにかく大切なことは、「ビジネス・コミュニケーション」という言葉や、それが意味する
      内容を正しく認識させると同時に、ビジネス・コミュニケーションに対する意識を醸成さ
      せることです。

     そのためには、経営者が率先して「学ぶ環境」と「使う環境」をつくっていく必要があり
     ます。

     そこで次の要素が出てきます。

    ②環境づくり 
     前段で説明した「正しい知識の習得・共有」は、部内やチーム内と
     いう小さな単位で行っていては真の効果が発揮できません。
     社員「全員」 に同じ知識・同じ認識・同じ意識を身に付けさせるこ
     とが質の高い仕事を生み出す最低条件。
     そのためには、社内環境で学び、使い、下の世代に伝えていく環境
     を、経営者自らが率先して整えることが必要不可欠なのです。


      ○人材教育
       質の高い人材を教育するには、教育研修の一環として「ビジネ
       ス・コミュニケーション」 という研修テーマを用意し、毎年行
       う社内行事として定着させるというのが一番確実な方法です。
       また、不定期に360度評価を行い「どの部署がもっとも円滑な
       人間関係を構築しているか」「どの上司・部下がコミュニケー
       ションの問題を抱えているか」 などを調査することも高い効果
       を発揮します。

       これらの調査結果を業績や仕事効率、残業度合いなどにリンク
       させることで、新たな問題が見つかるかもしれません。
       また、コミュニケーションに問題がある社員を発見した場合、 
       それが本人の性格によるものなのか、それともメンタルヘルス
       問題に関係したものなのかを分析することで、会社のメンタル 
       ヘルス不全対策に役立てることが可能になるでしょう。
 

      ○物理的環境整備
       物理的環境とは、乱雑な机・床に置きっぱなしのダンボール・ 
       ゴミ箱から溢れているゴミといったモノはもちろん、電話の着
       信音・タバコの匂いや煙・湿気や熱気・頻繁な来客・外の騒
       音・内外からの視線などを含んだ就業環境そのものを指します。
       上司と社運をかけた打ち合わせをしようという際、これらのも
       のはすべて「障害物」となり、重要なビジネス・コミュニケー
       ションを阻害します。

       臭い・汚い・暑いといった不快な環境下で話されては、せっか
       く事前準備を行った内容であっても、落ち着いて話そうという
       気持ちになりませんし、環境によっては話の内容そのものに不
       快さを感じるかもしれません。
       また、上司との話に臨む際、本人がいかにきちんとした態度で
       あったとして、その人物の机が汚かったら、好印象が下がる恐
       れもあります。

       その他、「障害物を片付ける時間が無駄」「コミュニケーショ
       ンしている途中で邪魔が入り、目的が果たせないまま話を打ち
       切られる」「セキュリティの問題(立ち聞き・盗み見など)
       「周囲の雑音のせいで相手の声が聞こえない」 」といった問題
       も考えられます。

       そしてそれらの問題は社員への大きなストレスとなり、今度は
       そのストレスがコミュニケーションを阻害する要因になるとい
       う、負のスパイラルを生む可能性も十分にあります。
       「質の高い仕事」とは、言い換えれば「効率的かつ円滑に行わ
       れる仕事」のこと。

       話をする前に予め会議室を予約しておくのもいい方法ですが、
       それよりも、いつ話を持ちかけられてもいいように、常に職場
       環境を整備しておくことが肝要です。
       もしあなたが経営者であれば、社内環境全体を見直し、問題が
       あるようなら大規模な修理や大掃除などを行うという選択肢も
       あります。
       物理的環境整備は少し手間がかかるかもしれませんが、かけた
       手間の分だけ仕事の効率が上がると考え、思い切った改革に着
       手してみてはいかがでしょうか。


      ○心理的環境整備
       心理的環境とは、ビジネス・コミュニケーションを行うための 
       「雰囲気づくり」と言い換えることができます。
       すなわち、前段の物理的環境が「モノや情報がつくる就業環
       境」であるとすれば、この心理的環境はずばり「ヒト同士がつ
       くる心のつながり」であると言えるでしょう。

       具体的には、「話しかける前に、相手の状況(忙しさ・心の余
       裕・接客状況・次のスケジュールなど)を見極める」「話の冒
       頭で、『今お話してもよろしいでしょうか?』などと相手の状
       況を気遣う一言を入れる」「相手が忙しいようなら、『5分だ
       けよろしいでしょうか?』と断った上で手短に伝える工夫をす
       る」「基本的に話す内容は事前に端的にまとめておき、相手の
       状況に応じて周辺の話題に触れるようにする」などの他、「積
       極的に発言することが当たり前という雰囲気をつくる」「ミス
       を叱るのではなく、努力や成果を褒める雰囲気を醸成する」
       「やる気が認められる、という認識を定着させる」「えこひい
       きをしない上司を育成する」「発言した内容が本題と多少ズレ
       ていても、発言したこと自体を褒める」「(成果が出た時に)
       個人を褒めるだけにとどまらず、それにかかわった人間すべて
       を褒める」といった方策が考えられます。

       これらの小さな心がけを社員全員が積み重ねていくことで、
       徐々に全体に広げていきます。
       要するに、「(部下・上司問わず)社員全員が相手を気遣う雰
       囲気を、社員全員でつくりあげる」ことが大切なのです。
       良好な人間関係を構築するためには当たり前のことですが、仕
       事の忙しさに追われているためか、これがなかなかできていな
       いことは前述したとおりです。


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コミュニケーション・スキル

コミュニケーション・スキル

 ■非言語コミュニケーション
  非言語コミュニケーション(nonverbal communication)とは、言葉以外の手段に
  よるコミュニケーションのことをいいます。
  この非言語的なコミュニケーションは、意識して用いていることもあれば、無意識的
  に用いていることもあります。
  ことば(音声言語)や文字を直接用いずに行なわれる情報伝達。

  表情や視線、身ぶり(しぐさ)、動作、声の質・抑揚、相手との距離、姿勢といった
  手段を用います。
  「目は口ほどに物を言う」 という言葉があります。
  これを直訳的に説明すると、「口から出る言葉と同等(もしくはそれ以上) に、目つきは
  言外の意味や本音、気持ちを表現するものである」という意味になります。

  また、これをさらに意訳すれば、 「うまい言葉や巧みな話術でごまかそうとしても、本人の
  態度や視線、しぐさなどを見ればその本音が伝わってしまう」 、あるいは「真実や本当の
  気持ちというものは、言葉などに頼らなくても目や表情で相手に伝えることができる」と
  解釈できます。
  いずれにせよこの言葉が意味するものは、とりもなおさず「非言語コミュニケーションの
  有効性」に他なりません。

  「百聞は一見に如かず」「沈黙は金、雄弁は銀」「以心伝心」といったことわざも、言葉が
  持つ意味以上の「何か」の重要性を示したものだと言えるでしょう。
  余談ですが、詐欺師やペテン師は多くの言葉を巧みに用います。
  それは、言葉という盾(あるいは武器)に頼らなければあっという間にその本音がすけて
  見えてしまい、相手を騙せなくなってしまうためです。

  他者とコミュニケーションする際、(必要な)言葉を駆使することは非常に有効ではあり
  ますが、必要以上に多くの言葉を並べたててしまうと、その価値や重みが薄れ、かえって
  相手に不信感や疑念を持たせてしまうことにもなりかねません。
  その意味でも、言葉を伴わない「非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニ
  ケーション)」は、ビジネス・プライベート問わず、非常に重要な手法であると言える
  でしょう。
  ここでは「非言語コミュニケーション」について掘り下げて説明します。

 ■非言語コミュニケーションの有効性
  米国の心理学者であり、非言語コミュニケーションの研究者でもあるアルバート・
  メラビアンは1971年、「メラビアンの法則」を提唱しました。
  これは、「人が感情や気持ちを伝えようとする際、メッセージの受け手側が発話者のどの
  部分にもっとも大きな影響を受けるか」という実験結果を示したもので、コミュニ
  ケーションを考える上で重要な指標と考えられています。

  これによると、受け手が影響を受ける割合は、言葉そのものや話の内容といった「言語」が
  7%、声のトーンや話し方といった「聴覚情報」が38%、表情や身振り手振りといった
  「視覚情報」が55%とされています。
  つまり彼によれば、話の受け手側は話を聞く際、実に93%という高い割合で「非言語
  コミュニケーション」に影響を受けているということになります。

  逆に言えば、話の内容そのものにはそれほど影響を受けていないということになる
  でしょう。
  この結果を受けて、メラビアンの法則は「7:38:55のルール」 、あるいは「言語
  (Verbal)「聴覚 」(Vocal)「視覚 」(Visual)」のそれぞれの頭文字から「3Vの法則」
  とも呼ばれています。

  このように、「コミュニケーションを行う際には、非言語コミュニケーションが大きな
  意味を持つ」という結論に達しています。
  コミュニケーションは人と人によって形づくられるものであるため、これらの数値そのもの
  にはそれほど意味はないかもしれませんが、それでもこの結論には大きな意味があると
  言っていいでしょう。

 □非言語コミュニケーションの具体例
  前段で説明した研究結果は、まったく言葉の通じない外国に行った時に肌で理解できる
  でしょう。
  「自分も相手も、お互いの言葉が分からない」 、こんな状況の時、相手に自分の考えを
  伝えるためには何をするでしょうか?

  辞書があれば話は別ですが、そういったものを一切持っていない時は、当然「ボディ
  ランゲージ」に頼らざるをえません。
  一所懸命身振り手振りを駆使しているうちに、あなたは「言葉がなくても意外に通じ合える
  ものだ」と思うはずです。

  例えば、相手が首を傾げたら「分からない」「もう一度言ってくれ」 、笑顔でうなずいたら
  「OK」「うれしい」 、険しい顔になったら「嫌な気分だ」「ダメだ」などと推測できます。
  その土地の文化や個人の性格などによっては若干の解釈のズレはありますが、相手の
  ジェスチャーや表情を見ればなんとなく相手がどう思っているかが分かります。
  これらは、人間がこれまで生きてきた中で自然と身に付いたコミュニケーション力。

  その経験・知識の多寡はあるにせよ、社会人であればある程度以上の推測は可能なはず
  です。
  しかし、お互いの言葉が分かっているという前提では、非言語コミュニケーションを軽視
  してしまう人が少なくありません。
  確かに言葉は、情報や感情を伝達する際には大きな意味を持ちます。

  しかし、これほど本能的かつストレートに意思を伝える手段を放棄して、本来それほど
  大きな意味を成さない言葉に頼ってしまうことは、間違いとは言えないまでも大きな
  メリットを手放すことになります。

  だからこそ、言語だけでは足りない部分を非言語で補う、あるいはその逆を実行するという
  意識でいることは、ビジネスパーソンにとって非常に効果的な武器になりえます。
  言葉と非言語コミュニケーションの双方をうまく活用して、「言外の意味」や「相手の
  本心」を見抜けるビジネスリーダーを目指しましょう。
  以下の表に、非言語コミュニケーションの実例をいくつかまとめました。

 □非言語コミュニケーションの活用例
  では、実際に非言語コミュニケーションをビジネスシーンで活かすにはどうすればいいので
  しょうか。
  前段では「非言語コミュニケーションから相手の意向を探る」ということについて説明
  しました。
  しかし、相手の意向を推測できたところで、相手に自分の意図を理解してもらえなければ
  何の意味もありません。

  そこで、ここでは「非言語コミュニケーションを用いて、相手をコントロールする方法」に
  ついて説明します。
  心理学やカウンセリングでは、相手の緊張をほぐし、自分の話にきちんと耳を傾けてもらう
  ようにするためのテクニックが数多く存在します。

  具体的には、「相手がリラックスできるような環境を作る(色彩・匂い・音楽・絵画・
  天井の高さ・部屋の広さなど)「傾聴」(相手の話にきちんと耳を傾ける)」「相手を刺激
  しないような服装・香水・態度で接する」「相手の話を聞く際には、深く細かく相槌を
  打つ」「表情豊かに、大きなボディランゲージで接する」 などが挙げられますが、
  その中でも特に効果的な方法が「ミラーリング」と呼ばれる手法です。

  この方法は、その名の通り「相手の行動やしぐさを鏡に映したかのように真似をすること」
  です。
  相手の表情・身振り手振り・うなずき方やそのタイミング・話し方・声のトーンや大小・
  話の内容・姿勢・座り方・呼吸のリズム・話すスピードなど、とにかくありとあらゆる点を
  真似します。

  例えば、相手が深くイスに座っていたらこちらも同じように深く座ったり、話に興が乗って
  相手が身を乗り出してきたらこちらも同じように身を乗り出したりといった具合です。
  このように相手の行動に自分の行動を合わせていくと、相手に対し、安心感や好意を与える
  ことができます。

  これを繰り返すことで、相手の警戒心を徐々に薄れさせることができ、信頼関係を築く
  ようになっていきます。
  これは、自分と同じように考え、同じように行動する人にシンパシーを感じ、その人に
  親近感を持つという当り前の感情を利用したもので、シンプルながらも非常に大きな効果を
  発揮します。

  中でも「呼吸(のリズムや深さ)を同調させる」という手法は相手に気づかれにくく、
  同時に高い効果が期待できるでしょう。
  また、「表情を同期させる」というのも非常に有効な手法です。
  言葉で「ごもっとも」と同調されるより、自分が楽しんで話している時、相手も同じように
  楽しそうにしていてくれた方が大きな安心感があるのは言うまでもありません。

  このように、非常に有効足り得るミラーリングですが、一つだけ注意する点があります。
  それは「完全に真似しない」 こと。
  先ほどの説明と矛盾しているように思うかもしれませんが、この意味は、例えば「相手が
  テーブルに置いてある水を飲むと同時にこちらも水を飲む必要はない」ということです。

  まったく同じタイミングで同じ行動をされたら、相手は安心感を得るどころか、馬鹿に
  されているような気がして気分を害してしまうでしょう。
  そうではなく、「同じ行動を、違ったタイミングで行う」ということが大切なのです。
  ミラーリングにおいて、真似するものは相手の行動であって、タイミングではありません。

  表情や相槌は同時でも構いませんが、足を組みなおしたり、手を挙げたり、頭をかいたり
  といった行動の場合は、若干遅らせて真似するといいでしょう。
  また、真似しようと思うがあまり相手を凝視したり、一挙手一投足まで観察したりしては
  いけません。
  真似する時はあくまでさりげなく。

  視線も凝視ではなく、会話の流れで自然に目を配る感じで見るようにしましょう。
  今回説明した非言語コミュニケーションには、無意識に行われるしぐさや、意識しても
  直せない、あるいはうまく使いこなせない行為などが多分に含まれています。
  これは、非言語コミュニケーションというものが頭で学んだ知識ではなく、自我が芽生える
  以前から刷り込まれてきたもの、すなわちある意味本能的に身に付けたものであるからだと
  考えられます。

  多くの場合、言葉は「人の理性」に訴えかけます。
  一方、非言語コミュニケーションは「人の心」 に訴えかけます。
  そして人は、時に非合理とも言える後者に心を揺り動かされることが少なくありません。
  非言語コミュニケーションを攻めと守りの双方でうまく活用できれば他者との人間関係が
  より良いものになり、ビジネスはもちろん、プライベートでも円滑なコミュニケーションが
  取れるようになるはずです。

  非言語コミュニケーションは、その人の性格や幼少時の家庭環境に左右されることが
  ありますが、それでもある程度までは知識や訓練によって改善できます。
  これまで非言語の部分を軽視していた人は、これを機に自分の身振り手振りやクセ、話し方
  などを見直してみてください。

  ただし、テクニックありきの精神で非言語コミュニケーションを行っても、その意図は少な
  からず相手に伝わってしまい、思うような人間関係が構築できない可能性があります。
  これから非言語コミュニケーションを身に付けようと考えている方は、テクニックや知識を
  学ぶより先に、真摯に相手に向き合おうとする意識を持つこと。
  まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。

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コミュニケーションの苦手意識

コミュニケーションの苦手意識

 ■コミュニケーションは経営の生命線
  問題として表面化していなくても「コミュニケーション不足で創造的なアイデアが
  生まれにくい」といった機会損失も起こっているでしょう。

  そして、このような状況は今回たまたま起こったわけではなく、以前から起こるべく
  して起こっています。

  コミュニケーションは放っておいても自然と改善することはありません。

  原因を改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。

  経営においてはコミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。

  「コミュニケーションの阻害と改善」では、社員間のコミュニケーションを阻害する
  要因
として、部下と上司の年齢・仕事観に対する意識の差について説明しました。

  しかし中には、 「私は常日頃からコミュニケーションを重視して部下と接しているし、
  世代間の溝をきちん
と認識しているつもりだ。

  しかしそれでも若手社員とコミュニケーションをとれない時がある」と思った人もいた
  のではないでしょうか。

  確かに、上司 ― 部下間のコミュニケーションがうまく取れない場合、前回のように
  双方に問題があるというケースも多いのですが、その一方が大きな阻害要因
を持っていて、

  コミュニケーションを図ることができないというケースも少なくありません。

  この場合は、自分がいかに正しいコミュニケーションスキルを持っていたり、
  相手に歩み寄ったりしたとしても、なかなかうまくコミュニケーションがとることが
  できません。
  かといって自分に非があるとはどうしても考えられず、問題のない側が悩んでしまい、
  深みにはまってしまうこともあります。

  現実的には、この「相手方(コミュニケーション対象者)に問題があって、うまくコミュニ
  ケーションをとることができない」という問題に頭を悩ませている社長の方が多いかも
  しれません。
  そこで今回は、コミュニケーションを阻害するもう一つの要因、すなわち「コミュニ
  ケーションが苦手な人」 の特徴と対策について詳しく見ていきたいと思います。

  なお今回に限り、ビジネス・コミュニケーションを広くコミュニケーションの一類型
  として扱っています。

 □コミュニケーションが成立する8段階
  そもそも人が誰かとコミュニケーションをしようとする場合には、相手に何らかの
  アクションを起こす前に、自分の中でコミュニケーションを成立させようとする意識が
  働きます。
  具体的には、「この人ともっと仲良くなりたい」「上司に仕事の内容を正しく伝え
  なくては……」「友達に挨拶しよう」といった欲求がまず脳内に湧き起こり、その
  後話しかけたり肩を叩いたりしてコミュニケーションをスタートさせます。

  こう言うと、「そんなの当然だろう。むしろ、コミュニケーションをとろうとする時に
  いちいちそんなことを考えていないよ」と思う人も少なくないかもしれません。

  しかしもし皆さんがそう考えたとすれば、それはおそらく、皆さんには(正しいか正しく
  ないかは別にして)コミュニケーション能力がすでに身についていることの証であると
  言っても過言ではありません。
  というのも、コミュニケーションがうまくとれない人にしてみれば、この「コミュ
  ニケーション  欲求の発生」→「アクション実行」 という流れは当然の流れではなく、
  むしろ非常に困難で、不自然な流れにしか見えないからなのです。

  通常、コミュニケーションを行う際には、基本的に上記のようなステップを踏んで
  いきます。
  前述のように、「いちいちそんなことを考えない」 と言う人は、これらのステップを
  無意識にクリアできているというわけです。

  しかし、コミュニケーションが苦手、あるいは他者とのコミュニケーションがまったく
  とれないという人は、上記のステップのうちどこかがうまく機能せず、その後の流れが
  頓挫している状態にあります。

  これが軽度であれば、単に「コミュニケーションが苦手な人」ですみますが、重度になると
  「コミュニケーション障害」 や「アスペルガー症候群」 といった心の病に陥ったり、
  「社会不適合者」というレッテルを貼られてしまい、社会から隔絶されてしまったりと
  いった憂き目にあう可能性もあります。

  重度の場合は専門家に相談するという措置をとらなくてはいけませんが、軽度の場合は
  ある程度の訓練を行えば克服できます。
  もし会社内にコミュニケーションが苦手な人がいたら、まずはその程度を見極めるように
  しましょう。

 コミュニケーションが苦手な人の特徴
  本来コミュニケーションというものは、人と人との心の距離を縮めたり仕事を円滑に
  進めるきっかけになったりという機能を有しています。
  その程度に差こそあれ、基本的にコミュニケーションは、人間関係を良好に保つ楽しい
  ツールであるはずです。

  しかし前述した通り、それを楽しいと思うどころか、むしろ大きな負担や高いハードルと
  感じてしまう人がいるのも事実です。
  この受け取り方の違いはどこから生まれるのでしょうか。
  先ほど挙げた(重度の) 心の病を除けば、コミュニケーションが苦手な人には、ある共通
  した特徴があります。

  それは、 「コミュニケーションを完璧にこなさなければいけない」という強迫観念に
  とらわれているという点です。
  この特徴はコミュニケーションが苦手な人ほど強い傾向にあります。
  また厄介なことに、本人がこの点を意識すればするほど、さらにコミュケーションが
  とれなくなるという負の連鎖を引き起こします。

  冒頭でも説明したように、コミュニケーションが得意な人は、「コミュニケーションを
  うまくとろう」 などと考えていません。
  そもそもそんなことを考えていては、話す内容や話し方、身振り手振りや表情といった
  様々なパーツに気持ちが分散してしまい、肝心のコミュニケーションがガタガタになって
  しまいます。

  にもかかわらず、コミュニケーションが苦手な人は、自分のコンプレックスを覆い隠そう
  とするあまり、そういった枝葉末節的な部分を気にしてしまう傾向にあるのです。
  具体的に言うと、コミュニケーションに苦手意識を持っている人は、コミュニケーションを
  とる前に「明日はあの人と、こういうタイミングで、こういう話をしよう」と段取ります。

  極端な例では、話す内容を原稿用紙に書き連ね、まるで芝居の台本のように話す内容を
  暗記してコミュニケーションに臨む、といったケースもあります。
  予め決めていた内容をうまくなぞれれば特に問題はありませんが、多くの場合、その内容を
  途中で忘れたり、内容に対する相手のリアクションが予想と異なったりします。

  すると、そのギャップに対する焦りから一気にコミュニケーションが崩れ、次の言葉が
  出なくなり、その場から逃げ出すことになります。
  また、仮に暗記していた内容をうまく話せたとしても、相手がその話し方に不自然さや
  空々しさを感じてしまっては、うまくコミュニケーションがとれたとは言えません。

  このように、 「自分が相手に何を伝えたいのか」 を設定する前に、「コミュニケーション
  そのものをうまく成立させる」 という目標を立ててしまい、その目標と自分のコミュニ
  ケーションスキルとのギャップに敗北を感じてしまう…というのが、コミュニケーション
  が苦手な人の特徴なのです。
  その他の特徴を以下にまとめました。

  <コミュニケーションが苦手な人の主な特徴>
   1.相手の反応や言い分に耳を貸さず、自分が伝えたいことだけを
     一方的に話す
   2.言葉や表情に出さないのに、勝手に「相手に伝わっているはずだ」
     と思い込む
   3.自分が好きな人間としか話さない
   4.自分が所属しているコミュニティ以外のコミュニティを敵視する
   5.コミュニケーションがうまくいっていないと、途中でも話を切り
     上げてしまう
   6.自分の方に問題があるにもかかわらず、コミュニケーションが
     うまくいかない責任を相手に押し付ける
   7.以前うまくコミュニケーションがとれなかった相手とのコミュニ
     ケーションを避ける、あるいはあからさまに嫌な顔やリアクション 
     をとる、あるいは黙り込む

 □克服法は「こうなれたらいいな」
  前段で説明したように、コミュニケーションがうまくとれない人には様々な特徴が
  ありますが、それらを克服するための方法はただ一つ、「相手を理解すること」に
  尽きます。
  コミュニケーションは「自分の言いたいことを相手に伝える」という目的以外に、「相手の
  言いたいことを推し量り、意識を共有する」という目的、すなわち「双方向性」を持って
  います。

  特にビジネス・コミュニケーションの場合、相手が発する言葉からその意図や気持ち、
  時には言外の意味や言葉の裏にある内容を理解しなくてはいけません。
  そこを無視したまま、自分の言いたいことだけを伝え、それが伝わらなければコミュニ
  ケーションを遮断するというのは、あまりにも幼稚であると言わざるを得ません。

  しかし、他人を理解することを停止し、コミュニケーションを拒絶した人に、いきなり
  「他人を理解しろ」 と言っても通じるはずもありません。
  そこで、もしあなたの周りにコミュニケーションが苦手な人がいたら、まずはその人に
  「相手を理解することの価値や意味」 を教えることから始めましょう。

  「相手を理解すると、このような効果が出る。そしてその効果はビジネス・プライベート
  を問わず、自分自身に必ずいい結果をもたらす」 ということを根気強く説明して
  いきます。
  そして徐々にその意識を植え付けることができてきたら、傾聴や共感、会話の構成や
  話し方のマナーといった方法論を教えていき、最終的には実際に相手がいる状態で
  コミュニケーション回数を積み重ね、本当のコミュニケーション力を身につけさせ
  ましょう。

  また、コミュニケーションを阻害する要素の一つである「こうならなくてはいけない」
  という強迫観念を、「こうなれたらいいな」「コミュニケーションは多少失敗するくらいが
  ちょうどいい」という感じにやや弱め、その意識でもってコミュニケーションに臨ませる
  というやり方も大きな効果を発揮するでしょう。 

  ただし、くれぐれも「コミュニケーションなんて、何回もやっていれば慣れていく」
  という根性論を押し付けてはいけません。
  もしそのようなことをしたら、その人間(コミュニケーションが苦手な人)はそう言った
  上司に対し、「この人には自分の言いたいことが通じない」と思い込み、それ以降の
  (上司との)コミュニケーションを遮断してしまうかもしれません。

  最初は形だけでも構いません。
  本当にコミュニケーション力を身につけさせたいと願うならば、ゆっくり時間をかけて
  訓練をしてください。
  コミュニケーションが苦手な人は、苦手意識を自分の中で大きくして、そのプレッシャーに
  悩んでいることが往々にしてあります。

  コミュニケーションは楽しいものだと本人が思うようになるまでには、少なからず長い
  期間を要するかもしれません。
  しかし、上記のような方法を通してそのプレッシャーを取り除けば、きっとコミュニ
  ケーションがとれるようになります。

  1人の社員のコミュニケーション不全が改善すれば、そこにかかわる10人の仕事や心も
  同時に改善していく可能性があります。
  「コミュニケーションを教えるなんて面倒だ」などと切り捨てず、根気よく訓練を行って
  ください。
  その行動が部内、ひいては会社全体に大きな成長や利益をもたらすかもしれません。

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コミュニケーションの改善

コミュニケーションの改善

 ■コミュニケーションの重要性

  経営者であれば、コミュニケーションの重要性は誰しもが感じていることでしょう。

  しかし、実際に「自社に不足しているコミュニケーションとは何か」、「コミュニケー
  ション活性化のためにどうすればよいのか」といった一歩踏み込んだ問題意識をもっている
  人は少ないようです。

  コミュニケーションとは「空気」のように捉えどころのないものであり、活性化のために
  どこから手をつければよいかわからないという人もいます。

  また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比べて
  改善の優先順位が低いと認識されていることもあります。


 □世代間の溝 
  会社にいる社員を世代で分類してみると、大きく「頑固で融通の利かないベテラン」
  「常識がなく個人主義の若手」「間に挟まれ苦悩する中間管理職」という3つの層に
  分けることができます。 
  それら世代の間には、いい意味でも悪い意味でも世代と世代の間に大きく横たわる
  「世代間の溝」というものが存在しています。

  この溝は生まれた時代、育った文化、経済・技術・社会的背景などの違いにより生み
  出されたもので、これを本当の意味で完全になくすことは不可能だと言わざるをえません。
  そして多くの会社は、この「世代間の溝」を原因として起きる対立や争いに頭を悩ませて
  います。 

  昨今の世界的な大不況により、各世代の会社や仕事に対する考え方や姿勢が大きく変化
  した影響で、これらの対立は若干落ち着きを見せるようになりました。
  しかしそれでも、「これからのビジネスを円滑に進めるためには、社内のコミュニ
  ケーションをしっかり構築することが大切だ」と考え、ビジネス・コミュニケーションの
  教育研修に力を入れている経営者も少なくありません。

  今の不況だけにとらわれず、いずれ来るであろう不況の終わりを見据え、このように
  考えられる経営者は、先を見通す目と耐え忍ぶ心の強さを持った優れた経営者であると
  言えるでしょう。 
  しかし、改めて考えてみると、そもそも「コミュニケーションを構築し、世代間の溝を
  埋める」ということは、一体どんな状態のことを言っているのでしょうか。

  社員同士が毎日積極的に会話をしていれば、立派なコミュニケーションが構築されていると
  考えていいのでしょうか? 
  それとも、毎晩一緒に飲みに行くくらい仲が良ければいいのでしょうか? 
  逆に、話し合いも飲み会もない部署は、コミュニケーションがとれていないと言える
  のでしょうか? 

  「ビジネス・コミュニケーション」の内容を覚えていれば、それは間違いだと分かって 
  いただけるでしょう。
  単に社員同士の仲がいいだけでは、本当のビジネス・コミュニケーションが構築されている
  とは言えません。

  では、具体的にどのようにすればビジネス・コミュニケーション力が向上するので
  しょうか? 
  そこでここでは、ビジネス・コミュニケーション構築を阻害する「世代間の溝」を中心に、
  より良い社員関係を築くためのいくつかのトピックを紹介します。

 □上司と部下は相容れない!? 
  多くの会社員は、最初に会社に入った時にコミュニケーションの大切さを何度も何度も
  説かれたと思います。
  新入社員の頃は、皆一様にその重要性を認識し、必死に自分の仕事をこなしつつも、
  同時に他人とのコミュニケーションを大切にしていたはずです。

  しかし長い年月を経て、部下が増え、上司が減ってきた今、その頃と同じように他者の
  気持ちを慮り、コミュニケーションを大切にしている人が多いかといえば、必ずしも
  そうとは言い切れないのが実情です。 
  出世すればするほど、あるいはベテランになればなるほど、前回ダメな例として挙げた
  「俺は一人でいい仕事をしている」 という思い込みにとらわれてしまう人も少なく
  ありません。 

  コミュニケーションへの考え方が変わるのか、初心を忘れてしまうのかは定かでは
  ありませんが、自分で直接動かなくてもプロジェクトが動き、かといって直接会社の
  経営には直結していないくらいの役職になると、不思議と若手社員から「あの上司は
  若手のことを考えてくれない」「話が通じない」 などと言われ始めるようになります
  (これが、自分で苦労して会社を立ち上げた経営者であれば、その限りではないことは
  言うまでもありません)。

  そこまでいかないまでも、昔から上司と部下というものは相容れないものと言われ続けて
  きました。
  上司も、部下だった頃は「なんで上司は話を分かってくれないんだ」と思っていたはず。

  しかしいざ自分が上司になると、「なぜ部下には私の話が通じないんだ」 と感じるように
  なります。
  それはなぜでしょうか。 
  それを説明するために、以下の上司と部下の会話を見てください。

  ◎ケーススタディ1:ある上司と部下の会話 
   ある会社で40歳の上司と25歳の部下が以下のような会話をしました。
   上司: おい、君。部下: はい? 私でしょうか?
   上司: 周りには君しかいないだろう。それはともかく、この前の件はどうなった?
   部下:この前の件…というと?
   上司:だから、この前お客様からきた製品クレームの件だよ。
   部下:ああ、あれですか。あれ、大変だったんですよ。あの後いくつか同じような
      クレームが来まして、その対応に部署総出で一日中対応していました。
      ウチの課長なんか、それで体を壊して昨日から会社を休んでいるんですよ。
   上司:それがどうした? 聞きたいのはそういうことじゃない。
   部下:も、申し訳ありません。
   上司:謝る前に説明しろ。
   部下:はい。クレームの内容を受けて詳しく製品を調べたところ、○×の部分に
      不具合が見つかりました。その不具合は○×という部品の材料に不純物が
      混じっていまして、それで…。
   上司:不具合の内容は今朝会議で議題に出たから知っている!聞きたいのはクレームに
      どう対応したか、そして今後部署としてどう対処していくかだ!  
   部下:は、はい。それはですね。ええと、チームリーダーと話し合ってみないと
      分からないので、詳しくは後ほどご報告を…。
   上司:もういい! 

  この会話の後、それぞれに話を聞くと、上司は「部下の話は要点を得なくて困る。
  グズグズくだらない話をするし、こっちの意図するところを解する力もない。
  話をするだけ無駄だ」 と言い、部下は部下で「せっかくこっちが雰囲気をやわらげようと
  しているのに、こっちの気も知らずに仕事の話しかしない。
  しかも説明を最後まで聞かないで自分が言いたいことだけを言って帰っていった。
  これじゃ弁解する隙もない。

  もうあの上司とは話をしたくない」と言っています。 
  果たして上記の会話のどこに問題があったのでしょうか? 
  上記の例は、説明を分かりやすくするためにやや極端な例にしてみました。
  実際には、意見の食い違いがあってもここまでけんか腰ではなく、もっとマイルドな
  やり取りに終始しているのが普通だと思います。 

  さて、上記の例で上司は「クレーム対応と今後の予定について、現場の社員の話を
  聞きたかった」 、部下は「上司との話をなるべく穏和に進め、かつ複雑な技術的な
  内容を上司に分かりやすく説明したかった」という気持ちで会話に臨んでいます。
  しかし、うまくかみ合っていません。 

  その原因の一つは、前回説明した「ビジネス・コミュニケーションと普通のコミュニ
  ケーションとの違い」、そしてもう一つは「この二人の間には、日ごろからのビジネス・
  コミュニケーションが欠けていた」という点にあります。
  前者は前回説明しましたので割愛し、今回は後者を説明します。 

  問題点の第一は、この上司と部下の間にコミュニケーションが不足していたところに
  あります。
  日ごろからある程度のコミュニケーションが取れていれば、上司の「あの件」 という
  言葉に対して、部下は即座に「ああ、あのクレームの件だな」と思い出します。
  同時に部下は「上司が求めているのはクレーム対応と予定だ」という認識をもとに、
  会話に臨むことができます。 

  しかし、その段階(共通認識の醸成)を飛ばして「あの件についてなんだが…」 などと
  言ったところで、相手に通じるわけもありません。
  「あの件」が何なのかを知っているのは上司本人だけであるにもかかわらず、上記の
  会話の冒頭ではその認識を部下に押し付けているところに、そもそもの食い違いが
  あったのです。

  一方、部下は、話の内容はよく分からなくても上司がイライラしているのは分かるので、
  何とか場を和らげようとしています。
  しかし、そもそも話の入り口がズレているのですから、話がかみ合わないのも無理は
  ありません。 

  また、部下は上司が求めている内容を理解すると、何とか上司に機嫌を直してもらおうと、
  不具合についてできるだけ詳しく、分かりやすく説明しようとしています。
  しかし、上司はそれまでのイライラも手伝って、早く要点を聞き出そうと部下の話を
  途中で切ってしまいました。

  これでは部下もカチンとくるのは当然です。 
  さらに悪いことに、部下はチームリーダーとの認識の共有やクレーム対応などについて
  話し合うことを怠っていました。
  察するに、部下が在籍する部内は円満な人間関係が構築されているようですが、若干
  仕事への意識が薄いようです。 

  対して、上司は仕事を第一に考えており、その分人間間の対話力に欠けていることは
  否めません。
  もし上司が日ごろからコミュニケーションを大切に考えていれば、そもそもこれほど
  居丈高な物言いはしないでしょうし、会話の全体的な雰囲気がけんか腰になることも
  ありません。 

  仕事を第一に考え、これまで粉骨砕身会社に尽くしてきた上司と、親や社会から甘
  やかされ、人間関係を大切にしてきた部下(ここで言う人間関係は「ごく親しい友人」 や
  「自分のテリトリー内にいる仲間」を指します)では会話にならないのも当然です。 
  これだけの違いを「世代間の違い」の一言でまとめてしまうことは、いささか乱暴
  ですが、それぞれの世代が生きてきた社会や経てきた人生が、現在の考え方や会話の
  方法に如実に現れてしまうことは事実のようです。

  もしこの二人が、しっかりビジネス・コミュニケーションを身につけていたらどうなって
  いたでしょうか? 
  以下のケースを見てみましょう。

  ◎ケーススタディ・その2:ある上司と部下の会話・改善後
   上司:山田君、ちょっと今時間取れるかい?
   部下:はい、大丈夫です。何でしょうか?
   上司:この前話した件、あれはどうなった?
   部下:(ああ、先日話したクレームの件だな……) はい。クレーム対応については
      部署内全員で対応し、お客様に納得していただけるように丁寧に説明
      しました。今後の動きはチームリーダーの意向に従い、不具合が出た部分を
      改良し、お客様に無料配布する予定です。すでにプロジェクトチームも編成
      してあります。
   上司:なるほど、分かった。そういえばあの製品の○×機能なんだが、もう少し
      こうするとより便利になると思うんだが…。
   部下:なるほど、そうですね。分かりました。さっそくチームリーダーと相談
      して、新しい製品に生かせるかどうかを検討してみます。ご指摘ありがとう
      ございます。
   上司:うん。何か進展があったら、また報告に来てくれ。
   部下: はい、分かりました。では失礼します。
   上司: ではまた。 

  ここまでスムーズに会話ができれば最高ですが、実際はここまで行くにはかなりの
  時間を要するでしょう。
  しかし、最初に上司が丁寧に話しかければ、あるいは「あの件」 について日ごろから
  話をしていれば、最初の例のようなギスギスした会話にはならないでしょう。
  そして、そのやわらかな会話は新たな発想や自由闊達な意見を引き出します。

  それらの意見を積み重ねることで、さらにいい結果につながる可能性が高くなります。 
  コミュニケーションは毎日積み重ねることで大きな成果を生み出します。
  決して一朝一夕で成しえることはできません。
  世代間の溝が大きい理由にはいろいろな要素がありますが、今回の視点で言えば、
  「お互いが第一に考えるコミュニケーションの方法や認識にズレがあるにもかかわらず、
  そのことに気づかず相手に押し付けようとしている点」にあると考えられます。 

  今回のケーススタディは極端な例でしたが、この二人に共感する部分が少しでも
  あった方は、もう一度自分のコミュニケーションのとり方を再確認し改善点を探して
  みてはいかがでしょうか。

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ビジネス・コミュニケーション

ビジネス・コミュニケーション

 ■ビジネス・コミュニケーションの役割と意義 
  ある一定の地位、あるいはある年齢を超えた人たちは、口をそろえて「ビジネスマンに
  限らず、最近の若者には「コミュニケーションスキル」 が欠けている。
  これではいいビジネスや人間関係を構築することは難しい」 と言います。
  「あいさつができない」「会社で会っても目を合わせない」「上司との会話を拒む」
  「電話に出ない」「声が小さい」 ……。
  彼らは、若手に対して日常的にこういった不満を感じているようです。

  確かに統計的に見れば、これらは年齢が若くなればなるほど顕著に現れる特徴です。
  IT発展が生み出したSNS やブログ、Twitter、メールといったネットワーク機能は、
  人類に大きな恩恵を与えました。 
  しかし同時に、それらは「(生の) 直接的コミュニケーションの欠落」 という
  マイナス面を生み出しました。
  利便性や機能性といった恩恵と引き換えに、私たちは人間味や心の機微という財産を
  手放してしまったのかもしれません。 
  生まれた時からネットワークやパソコンに触れてきた現代の若者たち。
  その社会的・技術的背景を鑑みれば、そうなってしまうのも必然であると言えるかも
  しれません。

  ですが、こと「ビジネス・コミュニケーションスキルの欠落」 という点で言えば、
  これらの特徴はなにも若者特有のものというわけではありません。 
  というのも、ITによって欠落した若者とは別の理由で、年配の人にも同様の傾向が
  見られるようになってきているからです。
  冒頭の年配の人が若者に持つ不満と同じような不満を、同様に若者は年配の人に
  持っているのです。 
  つまり、双方の年代の本人たちは「自分はしっかりコミュニケーションをとっている
  のに、相手にコミュニケーションスキルがないから仕事がうまくいかないんだ」と
  思い込んでいることが「年代間の認識のズレ」そのものであり、その結果、双方が
  コミュニケーションを避けてしまうことでビジネスが円滑に進まなくなるのではないか
  と考えられます。 

  しかし社会で、そして会社で生きていく以上、他者とのコミュニケーションから
  逃れることは不可能です。経
  営者はベテランと若手の乖離をなくし、社員同士、顧客、取引先などとのビジネス上の
  コミュニケーションの向上を目指していますが、なかなかうまく機能していない
  というのが実情です。 
  ここでは、日常的に使っている、そして実際にはそれほどうまく使いこなせていない
  「ビジネス・コミュニケーション」 を、より詳細に、より具体的に掘り下げ、本当の
  ビジネス・コミュニケーションとは何なのかを考えながら、実効性のあるコミュニ
  ケーション構築法について解説していきます。

 □一人ではいい仕事はできない
  「ビジネス・コミュニケーション」 を考える前に、すべての前提となる考え方が
  あります。
  それは「たった一人でいい仕事をする、あるいは大きな成果を上げることは不可能
  である」ということです。 
  組織に属する会社員である以上、仕事を行う際には必ず自分以外の誰かと協力し、
  連携し、打ち合わせをし、時には反発し、指示を仰がなくてはいけません。
  そうして初めていい仕事ができるようになります。

  たとえ、その結果が芳しくなかったとしても、それを指摘する人がいなければ、
  その成果が良くなかったことにすら気づけず、次につながる成長も反省もないまま、
  何度も同じ失敗を繰り返してしまうことでしょう。 
  このことは、会社員はもちろん、各種士業やフリーランサーとして独立し、活躍
  している人に対しても当然当てはまります。

  仕事自体は自分一人で達成することも可能でしょうが、そもそもその仕事には発注者
  がおり、完成した仕事を受けとる人がおり、評価をする人がいます。
  それらを無視して「俺はこれまで一人で仕事をやり遂げてきた」 と胸を張っている
  人間がいたとしたら、その人間はよほど運が良かったか、天才的な技術があったか、
  もしくは単なる勘違いの愚か者のどれかでしょう。
  それほどビジネス・コミュニケーションは、仕事をする上で重要なものなのです。

 □「ただのコミュニケーション」と「ビジネス・コミュニケーション」は違う 
  「普通のコミュニケーション」 と「ビジネス・コミュニケーション」 は似て非なるもので
  あるということを認識しておいていほしいと思います。 
  勘違いされやすいことなのですが、「ビジネス・コミュニケーション」 という言葉が持つ
  意味は、単に「会社内、あるいは就業時に使うコミュニケーション」 ではありません。
  もしこの定義に従うとするならば、例えば、会社内で話す「おはよう。今日も暑いね〜」
  というあいさつも、「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」
  という愚痴もビジネス・コミュニケーションということになってしまいます。

  しかしこれでは、社員同士は仲良くなるかもしれませんが、むしろ仕事は遅々として
  進まず、質も落ちていく可能性もあります。
  これではビジネス・コミュニケーションとは言えません。 
  では「普通のコミュニケーション」 と「ビジネス・コミュニケーション」 の違いとは
  一体どこにあるのでしょうか。
  厳密に言えばいろいろな違いがありますが、もっとも端的な違いとしては「普通の
  コミュニケーションにはなくてもいいが、ビジネス・コミュニケーションには【目的】が
  なければならない」という点が挙げられます。 

  この「目的」についてもう少し詳しく説明します。
  普通のコミュニケーションは、基本的に言いっぱなしであっても、結論がなくても、
  これと言った内容がなくても特に問題はありません。
  そもそも日常的な会話に目的や信念を乗せて話している人はごく一部で、大抵は
  とりとめのない、
  無難で楽しいものに終始しています。 
  つまり、普通のコミュニケーションが持つ意味を強いて挙げるとすれば、それは
  とりもなおさず「他人に話しかけること」 、あるいは「他人の話を聞き、相応の返し
  (リアクション・相槌・返事等)をすること」に他なりません。

  極論を言えば、相手が自分の話を聞いているにもかかわらず無言で頷くだけとか、
  「ああ…」「ふーん」などというような反応しかしてくれなかったとしても、(普通の)
  コミュニケーションとしては成立していると言えます。
  このように話すことそのものに意味があるのですから、普通のコミュニケーションには特に
  内容や目的などを必要としないのです。 
  対してビジネス・コミュニケーションは、そこに大小さまざまの「目的」「結論」「信念」
  「情報」「ゴール」「展開・発展」などがなければ成立しません。

  先ほどの「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」 という会話を
  思い出してみてください。
  先ほどの例では、上記の会話を「普通のコミュニケーションの例」として挙げました。
  もしこれを「ビジネス・コミュニケーションの例」とさせるならば、以下のように
  なります。

 □ビジネス・コミュニケーションの例

  × 「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長が愚痴り始めて困ったよ」
  ↓
  ○「昨日部長と飲みに行ったんだけど、部長がこの前のプロジェクトの失敗
   について愚痴り始めたんだよ。部長は企画自体に無理があったと言って
   いたんだけど、僕は人員の配置に問題があったと思うんだ。君はどこに
   問題があったと思う?」 

  上記の例では、 「部長が愚痴を言っていた」 という漠然とした事実に、 「対象」
  「詳細な情報」「部長の考え」「自分の意見」「他者への質問・問題提起」などを盛り込み
  ました。
  これにより、この会話は「単なるとりとめのない会話」から「プロジェクトの反省と
  改善点に関する意見交換の場」になりました。

  これで発話者と受話者の間でいくつかの意見交換が行われるとともに、二人はお互いの
  意見を共有することができるようになりました。 
  また同時に、今度同じような話題になった時、二人は「あ、これはこの前二人で意見交換
  した件だ」と思い出すようになります。
  すなわち上記の会話を予めしておくことで二人の距離は縮まり、お互いに親近感を持つ
  きっかけになったと言えます。

  たとえ双方の意見が合致を見なかったとしても、その会話をしたことでお互いの意見の
  共有はできます。
  会話を通じて自分の意見について再認識したり、仕事へのモチベーションが上がったり
  といった効果も期待できるでしょう。 
  その場では目に見える成果が出なくても、社員が仕事に対して多少でも意識を向けることは、
  いずれ「いい仕事をする」という目的につながっていくのは間違いありません。 
  またこの他にも、ビジネス・コミュニケーションは「相手に伝えること」「コミュニケーション
  (会話・議論・打ち合わせ)を通して、最初に提示された案件や目的よりも優れたものに
  すること」「人と人との心のつながりを醸成させ、人間関係を円滑なものにすること」といった
  目的を持っています。

  そして、これらの要素を全てひっくるめて「いい仕事をする」という最終的なゴールにつなげて
  いく、それがビジネス・コミュニケーションが担っている役割であり、普通のコミュニ
  ケーションと一線を画する所以なのです。 
  ただし、「ビジネス・コミュニケーション」 は、あくまで「コミュニケーション」です。
  仕事の内容のみを議論するだけでは、社員の考えや職場の雰囲気が硬直化し、柔軟性も面白み
  も人間味もない会社になってしまいます。
  ビジネス・コミュニケーションが優れていて、(普通の)コミュニケーションは劣っている」
  というわけでは決してありません。

  むしろ、使う側が二つのコミュニケーションスキルを適宜使い分け、総合的にその会社のために
  なるようにしていくことが成功の肝だと言えるでしょう。 
  ここでは、「ビジネス・コミュニケーション」 の根本的な概念について詳しく説明しました。
  「上司とうまくコミュニケーションをとることができない」と悩んでいる若手社員、あるいは
  「部下が私との会話を避けている気がする」と感じている上司がこのレポートを読むことで、
  その現状が改善されることを期待しています。
                                      
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管理者に欠かせないコミュニケーション能力

  ■部下との信頼関係づくりから

   社長には、管理職と一般社員のコミュニケーションがうまくいっていないことを悩
   んでいる方がたくさんいます。

   なかには社長自らが、たびたび管理職である上司と一般社員の間に入って仲裁
   をしているような会社もあります。

   よほど話がこじれた場合はこのようなことも仕方ないかもしれませんが、通常は上
   司と部下が良好な関係を維持していく責任は上司自身にあるのは明らかです。

   ここでは管理職(=上司)に身につけさせるべきコミュニケーション能力について
   解説します。

   なお、本文中では管理職と一般社員という上下関係で説明していますが、自分
   (上司)と管理職(部下)の関係に置き換えることで、社長自身の日頃のコミュニ
   ケーションのあり方を振り返ることもできるでしょう。

   1.上司は部下をどの程度理解しているか

     管理職が部下達をどの程度理解しているかを把握するには、

      ①「君の部門のA君は最近非常にがんばっているけど。
       どんなコツがあるのかな」

      ②「ついては社長賞を贈りたいのだが、A君が欲しがりそうな
       ものは分かるかな」

     という2つの質問をしてみることです。

     おそらく①の質問については、多くの上司が(たとえピント外れだとしても)何ら
     かの答えをもっていることでしょう。

     しかしながら②について的確に答えられる上司はそう多くはないはずです。

     なぜなら仕事面だけではなく、A君の趣味や最近の関心事などについても理
     解していなければ答えられない質問だからです。

     答えられない上司のなかには「そんな個人的なことは分からなくて当然」とば
     かりに、「A君の個人的な好みは分かりませんし、関心もありません」などと開
     き直る人もいるかもしれません。 

     上司は部下と日常的に接するなかで、部下の仕事以外の部分も理解するチャ
     ンスをたくさんもっているはずです。

     そのチャンスをいかして部下のことを深く知ろうとするかどうかは、ひとえに上
     司の心がけにかかっています。

     上司が部下の個人的なことをほとんど知らないという場合、その逆もしかりで
     部下も上司の個人的なことをほとんど知りません。

     そしてこのような状態で上司と部下の信頼関係が十分にできているということ
     はまずありません。

     もちろん個人的なことをすべて理解し合う必要はありませんが、ある程度の個
     人の情報は信頼関係を築くための潤滑油として不可欠です。

     最近の若手社員は昔に比べて仕事とプライベートを分けているといわれます
     が、信頼できる上司には自分のことをもっと知って欲しいという気持ちは変わり
     ありません。

   2.部下との信頼関係づくりはまず「聞く」ことから

     部下が上司から指示を受ける場面を考えてみても、信頼関係なしに「上司の
     命令だから仕方ない」と割り切る場合と、信頼関係ができていて、「この人のい
     うことなら大丈夫」と前向きに取り組む場合では、その後の仕事ぶりに大きな
     差が出るのは当然のことです。

     しかし、信頼関係を作るのには通常長い時間がかかるのも事実です。

     ところが何年も上司と部下でありながら部下からの信頼ゼロという上司がいる
     一方で、着任してからわずか数カ月で「部下のハートをわしづかみ」という上司
     も存在するのです。

     いったい両者の違いはどこからくるのでしょうか。

     信頼関係を作るのがうまい上司の最大の特徴は、「部下の話をよく聞く」という
     ことです。

     部下が「最近、仕事がうまくいかないんです」と真剣に相談してきたときに、上
     司然として、「自分でなんとかしろ」とか「今、忙しい」などと返してしまうようなこ
     とは決してしません。

     できるだけ時間を作って話を聞くようにしますし、どうしても時間がないときに
     は、「君の話を聞いてあげたいのだけれど、今はどうしても時間がない。

     明後日には必ず時間を作るから」という具合に、話を聞きたいという姿勢、そ
     れでも今は無理だという状況説明、そして聞いてあげる予定も伝えます。

     どちらもすぐに話を聞いてもらえないのは同じですが、部下に与える印象は
     まったく違います。

   3.ときには部下と対等のスタンスで

     部下との日頃のコミュニケーションでは、できるだけ部下と対等なスタンスを取
     ることが大切です。

     もちろん上司と部下ですから、厳然たる上下関係はあります。

     だからこそなかなか本音をいえない部下に対して、自分のほうから降りていっ
     てできるだけ同じ目線で話すことが必要なのです。

     これは決して「部下の機嫌を取って人気を集める」というような卑屈な行為では
     ありません。

     それこそが上司の器量というものです。

     たとえば、部下が元気のない様子なので、上司がその理由を聞いて、「こうす
     れば大丈夫。

     元気を出せよ」と激励したとします。

     このとき上司があくまで上からの立場で激励していたとしたら、部下に残る印
     象は「元気を出せよ」という命令だけです。

     これでは「元気よくみせていないとまた叱られる」という新たなプレッシャーにし
     かなりません。

     一方、部下と同じ目線で、
      「自分も昔こんな壁にぶちあたったことがあるよ、俺のときにはな…」という接
      し方をしたとしたら、結論としては「こうすれば大丈夫。元気を出せよ」、
     と同じことをいったとしても、部下は親身な対応に感謝し「こうすれば大丈夫」と
     いうアドバイスを素直に受け入れます。

     親身な対応をしてくれた時点で、すでに元気を取り戻していることもあります。

     上司のなかには、上司としての威厳が損なわれるとして、このようなやり方を
     嫌う人もいます。

     しかし、上司としての威厳とは、上下関係を際立たせることではありません。

     上司の威厳とは、上下関係ではなく信頼関係をベースに作り上げていくことな
     のです。

   4.「すごい」だけでは信頼されない

     部下が上司に信頼をおくいちばんの理由は「あの人はすごい」と思うことでは
     ありません。

     それもひとつの理由ではありますが、いくら上司のことを「すごい」と思ってもそ
     れだけでは部下にとってはあくまで他人事です。

     部下は「上司が自分のことを気にかけてくれている」と感じることではじめて上
     司に信頼をおくようになります。

     これは「上司が自分を評価してくれている」という話とは違います。

     上司は全員の部下に人事考課上の高い評価を与えることはできません。

     しかし、少なくとも全員を「気にかけている」姿勢を示すことはできます。

     これが非常に大事なのです。

     たとえば、1日1回、一人ひとりの部下に、「最近調子はどうだ?」などという
     ちょっとした声がけをするだけでも、与える印象は全然違います。

     その時点で上司が決定的に部下から嫌われていれば、逆に「ウザい」と感じら
     れるかもしれませんが、それでも続けていれば効果は出てくるものです。

     「上司は自分に何か働きかけている」と思わせるだけでも前進です。

     また、部下と小さな約束をして、確実にそれを実行することも効果的です。

     たとえば部下と「来週の月曜日は一緒にランチを食べる」という約束をして、そ
     れを実行します。

     当日になって、いきなり「今日ランチ一緒にどう?」と誘ったのでは、たまたま誘
     う相手がその部下しかいなかっただけと思われる可能性があります。

     これでは効果は期待できません。

     何日か前から約束をすることによって、部下は「特別感」をもつのです。

     そして実際にランチに行くことで、部下は「ちゃんと覚えていてくれた」と感謝す
     るでしょう。

     また当日までの間に一度くらいは「何を話そうかな」と考えるでしょうから、本当
     の悩みなども聞けるかもしれません。

     約束することは、何でも構いません。

     ランチのような単純な約束でもよいし、「目標を達成したら朝礼で表彰するよ」
     といった、条件付き約束もアリです。

     部下にとっては約束の内容そのものよりも、「上司と約束している」ということ、
     そして「約束を実行してくれたこと」自体が、上司への信頼感につながるので
     す。

     もちろんその上司が仕事面でも「すごい」と尊敬できるような人であれば、部下
     の信頼感は一層高まることになります。

  □その気にさせるほめ方、叱り方

   1.「ほめる」、「叱る」の本来の目的は同じ

     そもそもほめる、叱るという行為は正反対のように理解されがちですが、どちら
     もその本来の目的は「部下を正しい方向に導く」ことです。

     部下が正しい方向に向かっていれば、「それでいいよ」とほめてやり、間違った
     方向に進んでいれば「そっちじやないよ」と間違いに気付かせてあげるだけの
     ことなのです。

     このように考えると、部下のミスを指摘するだけの行為は「叱っている」のでは
     なく、たんに「非難している」に過ぎないことがわかるはずです。

     部下の性格や成長度合いなどによっても必要なミスの指摘の仕方は変わって
     きます。

     しかし、どのような言葉をかけるにせよ、それが部下を正しい方向に導くことに
     つながらなければ「叱っている」ことにはならないのです。

   2.「ほめる」、「叱る」の対象は人ではなく行為

     もうひとつ原則として理解しておきたいのは、ほめるにせよ、叱るにせよ、その
     対象は部下そのものではなく、仕事の結果や取り組みのプロセスなど「部下の
     行為」であるということです。

     つまり部下ががんばって目標を達成したら、部下のすべてがすごいのではな
     く、目標を達成したことがすごい、逆に目標を達成できなかったら、部下のすべ
     てがダメなのではなく、目標達成できないことがダメということになります。

     特に叱る場合はこの点に十分に配慮する必要があります。

     人格そのものを否定するような叱り方は許されるはずもありません。

   3.「ほめる」ときにも注意が必要

     叱るときだけではなく、ほめるときにも注意が必要な場合があります。

     たとえば、部下が大きな業績をあげた場合、普通、上司はこれをほめます。

     これ自体は何ら問題ないのですが、そのウラには「数字を追いかけるあまり、
     まったく後輩の面倒をみていない」、といったマイナス面が隠れていることもあ
     ります。

     そしてそのことにほかの部下は気付いていることも多いものです。

     上司がそれを知らずに「今後もがんばれ」と手放しでほめたのでは、その部下
     だけでなく、ほかの部下も「後輩の面倒はみなくていいんだ」と勘違いしてしま
     うかもしれません。

     したがって、上司は特に部下が「大手柄」ともいえる成果をあげた場合には、
     隠れているマイナス面がないかも調べる必要があります。

     随分とうがった見方のようにも思えますが、「ほめる」、「叱る」の本来の目的が
     「部下を正しい方向に導く」ことにある以上、これは当然です。

     大きな業績自体はほめてあげますが、後輩の面倒については、逆に指導しな
     ければなりません。

     そしてそのようなマイナス面がなく、本当の「大手柄」をあげた場合には、ほか
     の部下の模範として、みんなの前で盛大にほめてあげることです。

   4.「叱る」ときには部下に考えさせる

     叱る場合は特に「どの点を叱っているのか」をはっきりさせることが必要です。

     部下は叱られて萎縮していますから、「自分自身が否定された」という誤解を
     招きやすいのです。

     そして、上司は「次回からはこうしろ」と直接的な指示をするのではなく、「どうし
     たら改善できると思う?」という具合に部下自身が改善策に気付くような指導
     をしてあげることが大切です。

     上司からいわれるよりも、自分で気付いた改善策のほうがやる気がわくからで
     す。

     そして部下のプライドも考えて叱るときは、できるだけ個室などの目立たない
     場所で1対1で叱るようにしましょう。

     ただし、全員の前で叱ったほうがよいケースがあります。

     それは特別な事情がないのに、遅刻などのようにルールを破った場合です。

     規律の維持のためにあえて全員の前で叱るのです。

     もちろんこの場合でも部下自身を否定するのではなく、遅刻した事実を叱るこ
     とに変わりはありません。

  □他部門にも関心をもたせる

   1.ほかの部門と協力しあって成果を出すのは当然

     上司のなかには、自部門の業績や部下の状況については十分な注意を払う
     が、ほかの部門の状況はよく分かっていない、あるいは関心がない人もいる。

     「自部門の目標達成のためには、ほかに関わっている余裕などない」というわ
     けです。

     当然ながらそんな上司がコントロールできるのは自分の部下だけです。

     一方、上司のなかにはつねにほかの部門にも関心をもち、最新の状況を把握
     するように努めている人もいます。

     「隣の部門で問題になっていることは何か」、「ほかの部門で成功している営業
     手法は何か」…などさまざまな情報を集めます。

     そうすることによって、自部門だけではなくて、周囲の力も借りて成果を創出で
     きるようになるからです。

     たとえば、自部門で何か大きな問題が発生した場合、ほかの部門で過去に同
     じような問題が起こっていたとすれば、問題解決のヒントが得られるかもしれま
     せん。

     また難攻不落の営業先に他部門と共同して挑むことも可能でしょう。

     いうまでもなく、上司が任されている部門は会社全体のなかの一部です。

     自部門だけで仕事を完結させるわけではありません。

     ほかの部門と協力しあって成果を出していくことは、当然の選択肢なのです。

     しかし、あくまで相手の協力あってのものですから、他部門からの救援要請に
     も可能な限り対応し、日頃から信頼関係を作っておくことが大切です。

   2.上司は経営幹部としての役割もある

     ほとんどの中小企業の場合、上司は任されている自部門の長であるだけでは
     なく、社長と共に会社を引っ張っていく経営幹部としての役割も担っているは
     ずです。

     そんな上司にとって「自部門の目標は達成したから後は知らない」という無関
     心は許されるはずもありません。

     自部門の目標達成は当然として、日頃から他部門の達成状況もチェックし、危
     ないと思ったら「経営幹部」の立場から必要な施策を社長に進言したり、自ら
     フォローに回ることが必要です。

     上司は自分の部下だけではなく、非常時にはほかの部門も上手にコントロー
     ルできるように、日頃から準備をしておく必要があるのです。

     このような動きが当たり前にできるようになるためには、社長が日頃から部
     長、課長の管理職に経営幹部として果たすべき役割を説いておくと同時に、
     「必要に応じて他部門に口を出すことは我が社では当たり前である」という雰
     囲気作りを行っておくことが必要です。

   3.擬似マネジメントが上司を成長させる

     上司がほかの部門へも関心をもつべき理由はもうひとつあります。

     それは上司自身の成長、能力向上のためです。

     上司はその役職に応じて視野を広げていく必要があります。

     この場合の視野とは全体を見渡して「総合的な状況を把握する能力」、「もっと
     も重要な問題点を発見する抽出能力」などを指します。

     たとえば、課長が課長として自分の課や部下にだけ関心をもっているだけで
     は、決して部長としての視野を手に入れることはできません。

     自分の課だけではなく、ほかの課で何が起きているかに興味をもつことで視野
     は広がっていきます。

     また、視野を広げるためには、自分の上司に関心をもつことも有効です。

     自分が課長であれば、上司である部長が今どんな問題意識をもっているの
     か、またそのような意識をもつようになった理由は何かについても自分なりに
     考えてみることが必要です。

     これを続けることによって、次第に自分が「課」ではなくその上の「部」を擬似的
     にマネジメントしているような感覚になります。

     やがては社長の右腕として会社全体を統括する感覚も身に付いてくるでしょ
     う。

  □こんな上司は今すぐ指導が必要

   1.社長の言葉を自分の言葉に「意訳」できない

     ここまで、いかに上司のコミュニケーション能力を高めるかについて述べてきま
     したが、ここでは今すぐにでも改めさせるべき問題上司の特徴をいくつかあげ
     ておきす。

     たとえば社長から部長に「君の部は売上目標2倍」といった一見無茶な命令が
     出たときに、「社長がこういっているから」と、社長の言葉をそのまま部下に伝
     える(直訳)ことしかできない部長はあきらかに上司として失格です。

     これでは部下は理不尽に思うだけです。

     さらに部下の機嫌を取るように「まったくうちの社長はいつも無茶ばかりいうか
     ら。みんな、ごめんね」などとやるのは最悪です。

     これは意訳ではなく言い訳です。

     そんな発言を繰り返す上司に対しては、「この人はまったく頼りにならない」と
     部下は早々に見切りをつけるでしょう。

     このとき部長が上司としてやるべきことは、なぜそのような目標が設定された
     のかをきちんと聞き、自分なりに咀嚼して、部下に目標を達成することの重要
     さを伝えることです。

     つまり、社長の言葉がもっとも効果的に部下に伝わるように意訳してあげるの
     です。

     その際には「そうしないと全社で赤字が出るから」といった部下からみると距離
     感のある理由ではなく、「それをすることで部下自身にどのようなメリットがある
     か」といった部下の不満をモチベーションに変えるような意訳能力が必要にな
     ります。

     逆に部下から会社全体に対する不満があがった場合、自分自身もその通りだ
     と感じたとしても、それを「部下からこんな不満があがっています」と伝えるので
     はなく、「このような問題が発生しており、それが部下の士気の低下を招いて
     いるようです。

     私としてはこのような解決策を考えているのですが…」といった具合に自分の
     言葉に置き換えて社長に具申する必要があります。

     この翻訳力が不足していると「上からは締め付けられて、下からは突き上げら
     れる」という中間管理職の悲哀にどっぷりと浸かることになります。

     逆に優れた上司は意訳によって上と下に挟まれるのではなく、それぞれに好
     影響を与えることができるのです。

   2.部下とまともに「喧嘩」する

     上司のなかには部下と意見が対立した場合に、自分の正当性を主張するあま
     り、部下とガチンコとも思える勝負を挑んでしまう人がいます。

     部下の反対意見に対して、まずは論理的に応じますが、形勢不利とみるや、
     上司としての立場を利用してでも完膚無きまでに部下を叩き潰そうとします。

     いうまでもないことですが、部下と勝負しても何もよいことはありません。

     部下を叩きのめしている上司をみて、ほかの部下が「やっぱりあの上司はすご
     い」と思うことなどあり得ません。

     「あの人は何と了見の狭い子どものような人なんだ」と評判を落とすのがオチ
     です。

     たとえば自分が正しく、部下が間違っていることが明らかな場合、部下が成長
     する大きなチャンスです。

     まずは「なぜ君はそう思うの?」という具合に部下自身に間違っている点を考
     えさせることで部下自らに間違いに気付かせることができます。

     逆に部下と意見を交わしているうちに、自分の意見が間違っているとわかった
     場合には、素直にそれを認めます。

     この際にメンツを気にして「情報が不足していたから」、「考える時間がなかっ
     たから」などと変な言い訳をするのは逆効果です。

     「そうか、そういう考え方もあったのか」と部下をほめてあげることです。

     上司と部下に十分な信頼関係ができていれば、一度や二度、間違いを認めた
     くらいでは、メンツが潰れることはありません。

   3.上司仲間に部下の悪口をいう

     ここでいう悪口とは、いわゆる「愚痴」のことです。

     愚痴(自分の気分をすっきりさせることが目的)ではなく相談する(部下の欠点
     を修正する方法について知恵を借りる)ことはまったく問題ありません。

     さて、上司が軽々しく部下の悪口をいってはいけない理由は、それを聞いてい
     るほかの上司の「評価」につながるからです。

     部下が上司の悪口をいい合って留飲を下げたとしても、基本的に話はそれで
     おしまいです。

     そんなに罪深いものではありません。

     ところが、上司同士の飲み会で「まったくうちの部下のAは消極的だ」という話
     が出たとしたら話は別です。

     酒の席のことで「話半分」として聞いてもマイナスの印象は確実に残ります。

     これは、人事異動などで今後その部下の上司になる可能性がある人達に向
     かって、部下のダメ振りを刷り込んでいるのと同じことです。

     飲み会ごとに同じ部下の悪口をいっているようだったら刷り込みはどんどん進
     みます。

     さらに「Aは消極的だ」という発言がまったくのいいがかりだったとしたら、これ
     はもうとんでもない悲劇です。

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社長に必要なコミュニケーション
 

  ■なぜ自分の指示が伝わらないのか

   「なぜ、自分の指示が部下にうまく伝わらないのか?」、このような疑問を抱いたこ
   とのある社長の方も多いと思います。

   「きちんと指示しただろう」と苛立ったり、「そんなこと言われなくても常識だろう」と
   あきれてしまうことさえあると思われます。

   なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

   1.部下は言葉から「推察」している

     人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置
     き換え、相手に伝えます。

     受け取る側はその言葉からメッセージを酌み取ります。

     ここで注意したいのは、伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置
     き換え、受け取る側は「受け取る側の感覚」で、言葉からメッセージを推察して
     いるという点です。

     当然ながらそれぞれの感覚がまったく異なれば、伝える側のメッセージは相手
     に理解されないということになります。

     このことが、指示が部下に正確に伝わらない最大の原因です。

     指示事項をきちんと伝えるためには、図のように指示事項だけではなく、指示
     を出すことになった背景や、さらに物事の考え方や常識といった部分も共通認
     識としておく必要があります。

     たとえば、A社長は、最近疎遠になりつつある大口取引先のB社長のことが気
     にかかっていたとします。

     「最近B社長から連絡がない。昔はよくゴルフにも誘われたが、それも音沙汰
     がない。

     もしかしたら取引を切るためにあえて疎遠にしているのではないか」といった具
     合に思いを巡らせています。

     しかしながら最終的にA社長が部下に発した質問は「最近B社とはうまくいって
     いるのか」という言葉になってしまいがちです。

     質問を受けた部下としては、取引量が減っているわけではなく、B社の担当者
     ともうまくいっているので「はい。特に変わりはありません」と答える以外にあり
     ません。

     しかし、数カ月後にB社の社長から「もっと条件の良い会社が見つかったから、
     おたくの会社とは取引をやめたい」という連絡が入ってしまいました。

     もし「最近B社とはうまくいっているのか」という質問でなく、「B社の社長に直接
     会って様子を確かめてこい」と指示していたら、このような事態を招かなかった
     かもしれないのです。

     このケースでは、図(指示事項をきちんと伝える)の中の「指示の背景」につい
     て、共通認識がまったくできていなかったことが原因になっています。

   2.会社が一定規模に達してきたら特に注意

     会社が小さなうちは取引先や事業内容も限られています。

     そして、社員数も少なく必然的に会話も多いため、部下は比較的上司の指示
     の背景を読み取りやすい環境にあります。

     また、報告を受ける上司も、部下の業務の細かい部分まで目が行き届いてい
     るため、その報告の背景を読み取ることができます。

     しかしながら、会社が大きくなってくると徐々にそれが難しくなってきます。

     社員がそれぞれ取引先対応や仕事をやるようになり、人数も増えて社員一人
     ひとりと言葉を交わすことさえ難しくなります。

     そして、指示どおりの仕事や報告がなされないということがあちこちで起こって
     しまいます。

     これを避けるためには、次項で紹介するような方法で、共通認識を構築する土
     台をつくったり、日々の業務指示の際に注意していくしかありません。

  □経営理念浸透が意思疎通の土台

   前項の図の「指示の背景」の下にさらに「常識」という階層があります。

   これは社会人としてのマナー、仕事の仕方といったすべてのビジネスマンに共通
   の常識だけではなく、自社の社員としての常識も含まれます。

   つまり、ある問題に直面したときに、他社の社員はこのように対応するかもしれな
   いが、自社社員はこのように対応してほしいという行動原則です。

   そして、その行動原則を規定するのが自社の経営理念ということになります。

   1.常識の根本は経営理念

     経営理念とは「自分たちはこうありたい」「社会に対してこのような貢献をした
     い」といった自社が存在する意義を明文化したものです。

     自分たちの行動を規定する価値観といってもよいでしょう。

     社員が経営理念をきちんと理解し、共感していれば、理念に沿った行動をとる
     ことができます。

     部下は上司から出された業務指示に対して、具体的な遂行方法を考えるとき
     には、そのやり方が経営理念に反していないかどうかを自問自答することに
     よって、自分の行動を規定することができるのです。

     たとえば、「お客様とともに幸せになっていこう」といった経営理念がある会社
     では、上司からどんなに「売上拡大」を指示されても、施策として、お客様に一
     方的な不利を強いるような販売条件へ変更することは、基本的には許されま
     せん。

     お客様の満足度も高まり、かつ自社も売上拡大できるような施策を何とかして
     生み出す必要があるのです。

   2.経営理念を浸透させる

     経営理念を社員に説明し、浸透させていくことは、社長にとってもっとも重要な
     コミュニケーションのひとつです。

     しかし、実際には経営理念が作成されていない会社も多く、また、あったとして
     も、非常にあいまいなもので一般社員はその意味がわからないケースもあり
     ます。

     経営理念を社員に浸透させるにはいくつかのステップがあります。

      ステップ1

      経営理念を作成し、その意味合いを経営者がしっかりと認識することです。

      経営理念の言葉だけを一人歩きさせずに、その理念を作成するに至った背
      景や、理念実現のためにはどのような姿勢が必要かなどを明確にします。

      ステップ2

      それを社員一人ひとりにきちんと伝えることです。

      朝礼などで繰り返し説明したり、経営理念を書いた紙を事務所に掲げるな
      ど、社員がつねにそれを意識する状態をつくることが必要です。

      ステップ3

      経営理念実現のためには日々の業務のなかでどのような行動をとるべきか
      を社員自身に考えさせます。

      もちろん経営者自身も経営理念実現のために、自分はこんな姿勢で業務に
      臨むということを宣言し、実際にそのような行動をとっていることを社員に手
      本として示す必要があります。

     このようにして経営理念が浸透すると、日々の業務指示をするための土台が
     できたことになります。

     いったんそうなってしまえば、具体的な業務指示の際にも、単純なコミュニケー
     ションミスは起こりにくくなります。

     指示を受けた部下は、無意識のうちに経営理念というフィルターでその指示を
     吟味します。

     そのとき「おかしい?」と感じれば、質問して上司の指示の真意を確認するよう
     になるからです。

  □行動ではなく目的と背景を指示する

   経営理念浸透という土台構築に加え、日々のコミュニケーションのなかでも留意
   すべき点はあります。

   そのいくつかのポイントを紹介します。

   1.行動ではなく目的を指示する

     指示が的確に伝わらない大きな理由のひとつに、「その指示が遂行された結
     果として、どういう状態になっているのか」という指示の目的が伝わっていない
     ことがあげられます。

     たとえば、「今週中に新規見込客を5件訪問しろ」という指示を部下が額面どお
     りに受け取ると、最終的な成功確率などまったく関係なく、ともかく5社を訪問し
     さえすれば指示を遂行したことになると考えるでしょう。

     「新人営業マンに度胸をつけさせる」ということが目的であれば、この指示は的
     確かもしれません。

     しかし、ほとんどの場合は、「5件訪問して少なくともそのうち2件は、次の営業
     ステップにつなげる」という本当の目的があるはずです。

     したがって部下に指示をする際には、「何々を行え」という行動の指示ではな
     く、「その結果このような状態をつくれ」という目的の指示でなくてはならない。

   2.指示の背景も説明する

     部下に指示を出す際には、その指示を出すに至った背景もできるだけ詳しく説
     明したほうが、より真意が伝わりやすくなります。

     先の例でいえば、5社を訪問して、うち2社を次の営業ステップにつなげるとい
     うことが、どのような意味をもつのかということも併せて伝えておくべきです。

     たとえば、「会社全体としての目標がこうなっているから、君にはこれだけがん
     ばってほしい」とか、「営業ステップのあがった2社に対しては、自分自身(上
     司)も同行して、必ずクロージングするつもりだ」といったこともあらかじめ伝え
     ておきます。

     そのように伝えることによって、指示内容がより明確になるだけでなく、部下は
     自らに出された指示を「点」としてではなく、「線」で捉えられるようになり、その
     指示の重要性をより深く認識することができるのです。

     現在社内で起こっていること、置かれている経営環境などを、メールなどを
     使って社員と日々共有しておくことで、社員は指示を受けた際にその指示の背
     景を理解しやすくなります。

   3.動機づけも同時に行う

     また、指示を出すだけでなく、同時に動機づけも行いましょう。

     その際にはあまり難しく考える必要はありません。  

     「君の能力ならこれくらいは十分可能だろう」とか、「これができたら会社への
     貢献度はとても大きいよ」などといった一言を添えるだけで、社員のやる気は
     格段に高まります。

     どのような社員でも「評価されたい」という気持ちを強くもっています。

     日頃から部下への期待感を伝えておくことは非常に重要です。

   4.部下が指示を理解したかを確認する

     指示を伝える際には、部下がその指示内容を理解しているかをきちんと確認
     します。

     その際には、指示の目的や背景を復唱させてみるのが効果的でしょう。

     また、指示を出した事項について、その結果をいつまでにどのような形で報告
     させるかについても、伝えておくことが大切です。

     上司としては、結果が出たらすぐに知りたいと思っていても、社員は「次の営業
     会議で報告すればよい」と考えてしまい、報告のダイミングが遅れてしまうこと
     もあり得るからです。
        
  □自分を正しく知ってもらうために

   社長にとって重要なコミュニケーションとして、最後に紹介したいのが、「自分自身
   について、社員に正しく知ってもらう」ということです。

   人間は「あの人はこういう人だ」ということを認識したうえで、その人との適正な距
   離感を保とうとします。

   社長がいくら「自分は社員のことを本当に大切に考えている」と思っていても、社
   員に「社長は社員に冷たい」あるいは「何を考えているのかわからない」という印
   象を与えてしまっていたら、コミュニケーションは深まりません。

   1.自分が知らない「自分」がいる

     実は「自分」が認識している自分と、「周囲」が認識している自分はまったくの
     別物です。

     この差が大きいほど「社員は社長である自分を理解していない」ということにな
     ります。

     これは提唱者の名前と四角いその形から、「ジョハリの窓」と呼ばれているも
     のです。

     このうち

      A「開いた窓」とは、自分も周囲も知っている自分です。

      B「隠した窓」とは、自分は知っているが周囲に隠している自分です。

      C「見えない窓」とは、自分は知らないが、周囲は知っている自分です。

     たとえば、自分では社員を大切にしているつもりなのに、社員からは「社長は
     社員に冷たい」と思われている場合などは、社員はこの窓を通じて社長の姿を
     見ていることになります。

     最後に

      D「未知の窓」とは、自分も周囲もまだ気づいていないまさに未知の自分で
      す。

     自分自身が考える自分とは、この図のAとBの窓から見える自分のことです。

     一方、周囲が考える自分とはAとCの窓から見える姿になります。

     それぞれが違う窓から自分を見ているわけですから、そこにズレが生じる、つ
     まり「社長が社員から理解されない」というのは、程度の差こそあれ、どの会社
     でも起こっていることなのです。

   2.「開いた窓」を大きくしてみる

     では、できるだけ正しく社員に自分を理解してもらうにはどうすればよいので
     しょうか。

     図のように「開いた窓」を大きくし、「隠した窓」、「見えない窓」を小さくして
     やることです。

     このようにすれば自分自身が知っている自分(AとB)と周囲が知っている自分
     (AとC)の差が小さくなり、両者の理解が近づき、より密接なコミュニケーション
     が可能になるのです。

     まず、「隠した窓」を小さくするためには、社長自身が胸に秘めていることを社
     員に積極的に伝える必要があります。

     たとえば、「社員のことを大切に思っている」ということをもっときちんと伝えて
     みるのです。

     また、「見えない窓」を小さくするためには、社員が社長に対して言いにくいこと
     でも言えるような状況をつくること、つまり自分の欠点などを指摘されても、そ
     れにきちんと耳を貸す謙虚さを示すことなどが重要になります。

     社員にとってやはり社長は絶対的な存在です。

     なかなか社長の欠点などを指摘することはできません。

     そして、その欠点に社長自身が気づいていなければ、社員との溝は埋められ
     ないことになります。

   3.社員のことを知りたいという姿勢も見せる

     ここまで紹介したのは「いかに自分のことを社員に知ってもらうか」ということ。

     しかし、相互理解の観点からは、社長も社員一人ひとりについて、深く理解す
     ることが理想です。

     そのためには、社員とじっくり話をする時間を取り、社員一人ひとりの「開いた
     窓」を広げてやることが大切になります。

     しかし、社員数がある程度の規模に達すると、そのような時間をとることが難し
     くなってきます。

     そのような場合でも、「定期的に何人かの社員とランチをとる」、「特に心配な
     社員には社長自らメールを送る」などして、「社長は社員のことを知りたがって
     いる」という姿勢を見せることは大切です。

     また、日々の業務のなかで報告や相談を受ける際にも、忙しさにかまけて、
     「まず結論から言え」とか「忙しいから要点だけ」を連発してしまうことは、でき
     れば避けたいものです。

     もちろん業務報告は「まず結論・経過の順に伝え、背景などは要約して手短に
     する」ことが基本です。

     しかし、それがあまりに度を超すと、社員は、社長から「おまえの報告など、忙
     しいおれの時間をたくさん割いて聞く価値がない」と言われているように感じて
     しまうこともあります。 

     そして、社長にそのように思われていると感じた社員は、社長に対して一定の
     距離感をもつようになってしまいます。

     したがって、どんなに忙しくても、「忙しいから話は聞けなくて当然」ではなく、
     「じっくりと話を聞きたいけれど、今は時間がなくて本当に申し訳ない」という姿
     勢だけは社員に示すことが必要でしょう。

     社長が忙しいことを社員は皆知っています。

     このような姿勢を示すことで、社員に余計な誤解を与えずに済むのです。

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はがきコミュニケーション


  ■文字コミ

   ある調査で、年賀状などを除いて年にどの程度ハガキを書くか尋ねたところ、「0枚」
   と応えた人が最も多くて41%だった。

   この数字からもわかるように手紙ひとつ書くのも大変だが、みんなが敬遠する文字
   コミには二つの注目すべき長所がある。

   一つは低い競争倍率、もう一つは高い伝達能力です。

   面談のきっかけづくりのために同じ苦労をするなら、ライバルが敬遠する方法を選ん
   だほうが得策、かつ効果的である。

   しかも競争倍率は下がる一方だ。

   つまり、レターの効用はみんながやらない点が第一である。自分という存在を注目
   してもらう、特徴や個性を理解してもらう、そしてライバルと比較してもらうことであり、
   これには自筆の手紙を書くと大きな効果が期待できるのです。

      「短く書け、ハッキリ書け、絵で書いたように書け」です。

  □レター作戦三つのタブー

   1.省力化という名の手抜き

     同一の内容、大量に印刷、一斉に発送。これらはすべて受け手に黙殺される
     原因となる。

     時間、手間、経費的な効率のみを考えていては自分を売り込み、自社商品を
     売り込むためのツールにはならない。

     たとえ字が拙くても、心をこめたメッセージであれば一対一の「さし」の関係を
     つくることは可能だ。

   2.一方的で中身が乏しい内容

     差出人の「顔」、受け手の気持ちを思い計る熱意、平均値を打ち破るパワー、
     の三つがないものは無視される。

     個人的に出すハガキは、上に「超」がつくほどパーソナルなコミュニケーション
     メディアでなければ価値がない。

     効果があるDM(ダイレクト・メール)とは「ダイレクト・メッセージ」の略である。

   3.見てくれよりタイミング

     すかさず、のがさず、おくれず、やめず。

     営業レター成否のカギはタイミング。

     内容や見栄えに気を取られ、つい油断すると時期を逸してしまう。

     スピードで内容をカバーできても、その反対はまずあり得ない。

     セールスという仕事は、効率ばかり考えていてもうまくいくものではない。

     時間をかけずに、「すぐにでも商品を売りたい」といった短絡的な気持ちは相手
     に見透かされてしまう。

     しかし、だからといって時間をかけて通い詰めれば、それがそのまま成績につ
     ながるとは限らない。

     実働時間も短くなりつつある。

     となれば誰だって無駄なことはしたくない。

     できるだけ効率よく、できるだけ成果が早く出る方法があればと思うのも人情
     でしょう。

      (1)顧客への接触度合いを高めること

      (2)仕事の効率化を図ること

     この二つの相反する問題を解決するのに役立つ方法はないものか。

     そんな声をしばしば耳にするが、実はある。

     ハガキを出せばいいのです。

  □御用聞き(用がない状態)の打破

   直接会う、あるいは電話するというアプローチに比べて、ハガキは次の点でメリットが
   ある。

    ① 時間や経費的な損失が小さい

    ② 接触しやすくて嫌われにくい

    ③ 用がなくても声をかけられる

   きっかけをつくるためには、用がない状態を脱する必要があります。

  □きっかけのタネまき

   ハガキを使って「用がない」状態を越えようとするときに、相手の気持ちをよく考え
   ることが大切になる。

   具体的には、

    (1)相手が「自分のために」と実感する内容であること。

    (2)商売ッ気を抜きにした誠意ある内容であること。

   「相手のため」と「売り込まない」を意識すれば、必ずピンとくるもの、書いて出そうと
   いうものは見つかるでしょう。

   何かアドバイスを受けたら、必ずその結果を報告するとよいでしょう。

   相手への礼状。

   「そうか、そうだったか」と言われるくらい、できるだけ早目に出すことが大切。

   その経過や出くわしたいろんな話を伝えると喜ばれます。

   このように、なんらかのきっかけを足掛りにして接触を深めていきます。

   ときには、仕事という枠を離れてビジネスチャンスをつくるのも営業の仕事なのです。 

   そのためにも、あえて「用もないからこそ」ハガキを出す習慣をつける必要があるの
   です。

   手紙・ハガキはワザワザ書いてくれたんだと思うもの、“ワザワザ”が入っているから
   好意が倍増する。

    ・超私的な情報の発信

   読まれるハガキを書くのに求められる要素には次の2つがある。

    ①発信者の「顔」

    ②情報を発信する人間の意欲と熱意

  □工夫

   1.継続するための工夫

     ハガキを営業活動に使って成果を上げようとするなら、とにかく縦続すること。

     そして同時に、継続できるような工夫が大切です。

     なぜなら、
      (1)数回程度ハガキを出すだけでは相手に通じず、認知もされない

      (2)粘り強く発信することによって少しずつ相手との距離が縮まる

      (3)労を惜しまずに書くという姿勢と実績が相手の心を動かす

     営業ハガキは中身ももちろん重要だが、継続による積み重ね効果を最も重視
     すべきです。

     だが、継続はけっして楽ではありません。

     それどころか、すぐに怠けたくなるのが人間の本性であり、続けられない理
     由、つまり言い訳も簡単に見つかる。

     したがって、継続できるような工夫をしなければ、ちょっとぐらいの心掛けでは
     すぐにダウンしてしまいやすい。

   2.パッと書き出す工夫

     継続の工夫は「事前の用意」である。

     書かなければと思う気持ちを邪魔するのは、ハガキに向かうまでの煩わしさに
     象徴されるように、“助走”の部分で手間取るためである場合が多い。

     そこで、スムーズに運ぶようにするには次のようにする。

      (1)デスク、カバン、車、上着のポケットなど、思いつくところにつねにハガキ
               を準備しておく。

      (2)あらかじめハガキの裏面(通信文を書く面)にケイ線やマス目、または独
        自のフォーマット(前略ハガキなど形式化したもの)を入れてすぐ書けるよ
        うにしておく。

      (3)名刺を交換したら、忘れないように裏に「一番印象に残ったこと」か「ひと
        こと言いたいこと」をメモする。

        できるだけ具体的に書き留めるとあとで活用しやすい。

      (4)「面談後すぐに」か「その日の退社時までに」ハガキを書く。

        文章が思いつかなければ、宛名だけでも書いてしまう。

      (5)お礼、お詫び、連絡などの状況に応じて使える定例文をつくり、部分的に
        アレンジする場所をマークしたお手本を用意しておく。

      (6)「拝啓、秋風とともに」云々の形式を一切やめて、すぐに要件から書く。

        多少雑で、乱暴で、稚拙でも、納得いかなくても、とにかく書いてしまう。

   3.極力失敗しない工夫

     「失敗の防止」である。

     これには次のような点に注意します。

      (1)ハガキの裏と表、上と下とをよく確認する。

        せっかく通信面を書いたのに表をひっくり返すと天地が逆。

        こういった失敗は大きなダメージとなる。

      (2)要件から書いていく。

        最初に結論、次に説明、さらに余裕があれば補足、という順序で。

        こうすれば、万一書くスペースが足りなくなって最後が尻切れになっても
        大丈夫です。

        伝えたいことが書けたらとりあえずそれでよし。

        逆の場合の失敗は、たいてい余計なことが先にくる。

      (3)通信面だけで文筆がまとまり切らない場合、表面にも書くか、
        それでもダメなら二枚書く。

        こうすると相手に失礼ではないかと考えるかもしれないが、けっしてそうで
        はない。

        むしろ親近感すら感じてもらえる場合も少なくない。

        あまり形式ばって考えない。

        要は書いて出し、それが届くことが先決。

      (4)字を書き間違えたり書き損じをしても、絶対に書き直さない。

        市販されている「はがき用ペン修正液」を使えばほとんど目立たずにすむ
        ので、その部分だけ塗って訂正する。

      (5)ハガキ一枚を書くのに要する時間は三分までにする。

        長くなるとイヤになるし、負担になれば結果的には失敗である。

        したがって、表現を選ばないで最初に浮かんだ言葉で一気に書き上げて
        しまうクセをつける。

   4.「手抜き」する

     いい意味の「手抜き」である。

     とくに勧めたいのが、せっかく苦労して書いたハガキは必ず控えを取っておく。

     さんざん苦労したハガキをボンとポストに投函してしまったが最後というのでは
     あまりにももったいない。

     次のハガキを書くときにまた同じような苦しみを味わうのは損である。

     自分の書いたものは最良のお手本、使い勝手もいいのでコピーをとっておく。

     【控えを残しておくメリット】

      (1)同じような文面を考えるときに、最初から頭を悩ます必要がない。

        お礼やお詫び、報告、連絡、相談、お願い、案内など、ハガキを出す目的
        はそんなにバリエーションが多いわけではない。

        それぞれ、標準的なものと、ちょっと変わったものとの二種類あれば十分
        役に立つ。

        あとはその二つを参考にしながら、必要に応じて部分的にアレンジすれ
        ばいい。

      (2)ハガキを投函した日に合わせて、営業日報やシステム手帳(この場合は
        縮小コピー)に貼っておけば、相手先からの電話や対応にもあわてずに
        すむ。

        何日かして突然、「先日のハガキの件だが」と言われて「どんなこと書きま
        したか?」では逆効果。

        記憶より控えが確実。

     (3)内容が前に書いたことと同じとか、重複する部分が多いハガキは相手の
       印象を悪くしがちである。

       まずいことに、ハガキの内容というものは出す側より受け取る側のほうがよ
       く覚えているものです。

       その失敗を防ぐためにも、記憶にたよらず、控えを見て確認するほうが気
       楽で、しかも間違いが少ない。

  □違いを感じさせる

   1.差別化

     重要なのは、

      (1)ハガキの書き手である営業マンの存在を感じさせること。

      (2)そのために、とにかく何かで差をつけることである。

     なんでもいいから、よその人とは違うように、違うようにと考えたい。   

     ハガキで営業マン自身のメッセージを発信するなら、パーソナルな情報の提供
     だけに絞り切る。

     この考え方に徹すると突破口が開けてくる。

   2.文字以外で目を引く

     具体的な提案として、パーソナルな情報を提供するのに、文字以外のものを
     ハガキに盛り込むことを考えてみる。

     たとえば、

      ①カラー写真を貼る

      ②新聞や雑誌の切り抜きを貼る

      ③パッケージを貼る

      ④見本の一部を切って貼る

      ⑤現物を縮小コピーして貼る

     この他、頭をやわらかくして考えれば、いくらでもアイデアは出てくるはずです。

    【成功事例】

     ①カラー写真を貼る

      住宅メーカーの営業マンは施主が契約後、遠方に単身赴任をしたため、工
      事の進み具合を確かめられずにいた。
      そこで工事現場の様子を同じ位置からカメラで撮り、写真をハガキに貼って、
      完成まで毎月送り続けた。
      ちなみに添え書きは「今月はここまで進みました」のみ。
      だが施主からは「わざわざウチのために、しかも毎月」と感謝され、二人の知
      人を紹介(その後成約)してもらったという。

     ②新聞などの切り抜きを貼る

      ソフトハウスの営業マンは知名度が低くて苦戦していたところ、アプローチし
      ていた会社の営業部長が刀剣マニアであることをたまたま知り、関連する新
      聞記事や雑誌の情報を切ってハガキに貼りつけ、おりある毎に送った。

      出張時には骨董店に寄って情報を収集し、マニアだけの品評会があるという
      ニュースも提供。
      書く内容は刀剣のみに徹した。
      やがて、相手先から「システムの変更を検討しているので、いちど詳しい話
        を」との電話が入る。
      決裁権をもつ営業部長に気に入られ、競合他社を抜いて契約にこぎつけた
      という。

     ③現物を縮小コピーして貼る、見本の一部を切って貼る

      面談嫌いの相手が読書好きであることを聞きつけ、共通の話題をつくるため 
      「今週はこんな本を読みました」というハガキを出し続ける。
      書籍の表紙を縮小コピーしたものをハガキに切って貼りつけ、短いコメントを
      書き添えた “手づくり情報が目を引き、面談に成功したという。

   3.相手の関心事を重視

     ハガキを受け取る側にしてみれば、読む・読まないの判断はハッキリしてい
     る。

     次の4つのうちのどれかがあれば読む可能性は高い。

      (1)もらう理由があるか

      (2)もらって役に立つか

      (3)もらってうれしいか

      (4)もらって楽しいか

     「相手にとって」と「その人だけに」が必須条件である。

  □ハガキ=文字

   その発想を破って、写真や紙、ものによっては布やシールを貼りつけ、脇に短いコメ
   ントを書き添えると、注目率はグツとアップする。

   たった一人のためにわざわざ。

   その手間ひまを惜しまないところに、ハガキを送った人の気持ちが伝わるのです。

   そこで、オリジナリティをプラスして「型破り」に挑戦するのに、いくつかのヒントを
   事例とともに紹介します。

   ①黒以外の色にする

    「前略葉書」のパターンをふつうにコピー、もしくは印刷すると黒色だが、季節に
    合わせて色を変えてみる。
    コピーショップで好みの色を指定するのもいいし、プリントゴッコのような簡易印
    刷器で季節感あふれる色に刷るのも注視効果がある。

   ②名前やデザインを変える

    「前略葉書」をアレンジして「冠省葉書」や「さわやか通信」、「ご無礼ながら柴田
    ○○です」など。
    デザインも横書きや縦の罫線だけのものなど、自分に合ったスタイルにする。

   ③自分の似顔絵を入れる

    イラストはアイキャッチャーとなり、存在感を訴えるのにも効果的。
    シンプルで親しみやすい感じにすると目を引く。

   ④写真を貼る

    一枚のカラー写真があるだけでビジュアル度はグンと高まる。
    全面びったり貼っていても、サービス判程度なら料金内で届く。

   ⑤現物を貼ったり絵を描く

    桜の花びらを文章に添えて貼ったり、パースを縮小したものを貼りつける。
    簡単なイラストをあしらうのも気が利いている。

   ハガキを超私的な営業ツールとして活用すべし、ということです。

   そう提案する最大の理由は、効果があるから、やって損なしだからです。

   ハガキを書いたが勝ち、というのが結論でもある。

   なぜ効果があるかを説明すると、ハガキをはじめとする「文字コミ」は競争倍率が低
   く、しかも伝達能力が高いからである。とくに、競争倍率の低さは注目に値する。

   多くの営業マンはたいへんな筆不精で、とにかく文字を書かない、あるいはすすんで
   書こうとしない。

   ということは、書くだけで差がつく。

   ライバルが敬遠するのを尻目にどんどんハガキを書けば、それだけで目立つ。

   しかも競争倍率は下がる一方。

   さらにハガキを書いていると、次はどのようにアプローチすべきかも頭に浮かんでくる。

   このように、ハガキを書くといろんな面で違ってくるし、変わってくる。

   気づくこと、発見すること、感動すること、刺激されることなど、実に多い。

   低い競争倍率、しかも、その数字は下がる一方という現実。

   辛抱強くやり続ける者にビジネスチャンスは必ずやってくる。

   それはわかっているはずなのだが、ほんのしばらくで、あるいは少し我慢しただけで
   書くのをやめてしまう営業マンが跡を絶ちません。

   実に残念なことです。

   文字によるコミュニケーションの効果は性急に求めてはならない。

   ハガキを一、二度出したくらいで「書いてもなかなか反応がない」と決めつけない。

   売り込みの言葉ばかり書いて先方の気を引こうと考えてはだめだ。

   むやみに即効性を期待しないことです。

  □ハガキは「約束と拙速」

   ではどうすれば書き続けられるのか。

   解決策として、

   (1)苦労して考えて書いたハガキはコピーを残すこと。
     自分の書いたものが手元にあれば、後で同じような内容の手紙を出すときに
     は、それをアレンジして書けるので助かる。

     同じ苦労はなるべくしないために、工夫することで継続につながる。

   (2)ハガキを出す際に、自分から勝手に約束すること。
     そしてその約束は必ず守る。

     訪問したときに相手がいなかったり、短い時間でも会えたら会えたで、商品に
     興味をもってもらえたらもらえたで、とにかくそれを材料にハガキを書き、同時
     に次はこうしますと約束をする。

     これで次のハガキが書きやすくなり、自然と続く習慣がつく。

   (3)拙速。

     拙速という言葉の意味は「へたでもできあがりの早いこと」である。

     中身よりスピード優先、早い者勝ち、明日の100点より今日の60点。

     「あとで」と思ってもまず実行できないのが人間の弱いところで、それを許さな
     いための考え方である。

        要はとにかく書いて出すことが重要なのだ。

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組織の活性化に欠かせないコミュニケーション能力 
 

  ■コミュニケーション能力は経営の生命線

   コミュニケーション活性化のためにどこから手をつければよいかわからないという人も
   います。

   また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比べて
   改善の優先順位が低いと認識されていることもあります。

   経営において、コミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。

   「社長の言いたいことが伝わらない」、「上司の指示が伝わらない」、「部門リーダーが
   部門全体を把握できていない」などさまざまです。

   コミュニケーションは自然に改善できるものではありません。

   原因を究明し、改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。

   各社員はコミュニケーションを通じて自分の行動を決定したり、部下に指示を与えたりし
   ています。

   組織の活力が会社の業績に大きな影響を与えることはいうまでもありません。

   「最近、社員に元気がない」、「会社の雰囲気が暗い」と感じた場合は危険信号です。

   言い尽くされた言葉ですが、企業は「ヒト」です。

   その「ヒト」の活性化がなくては単なる集団でしかありません。

   全社員が結束して共通の目的に向かっていくためには、コミュニケーションの活性化
   (組織力強化)は経営上の生命線ともいえます。

   コミュニケーションは会社の目標達成のための単なる手段ではなく、組織力強化を決定
   づける経営の本質にかかわる問題なのです。   

   経営者であれば、コミュニケーションの重要性は誰しもが感じているはずです。

   しかし、実際に「自社に不足しているコミュニケーションとは何か」、「コミュニケー
   ション活性化のためにどうすればよいのか」の問題意識を強くもっている人は少ない
   ようです。   

   コミュニケーションとは「空気」のように捉えどころのないものであり、活性化のた
   めにどこから手をつければよいかわからないという人もいます。

   また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比
   べて改善の優先順位が低いと認識されていることもあります。

   ここでは、自社のコミュニケーションを活性化するためのポイントについて紹介します。

  1.コミュニケーションは経営の生命線

   経営においてはコミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。

   「社長の言いたいことが伝わらない」、「上司の指示が伝わらない」、「管理者が部
   門全休を把握できていない」などさまざまです。

   また、問題として表面化していなくても「コミュニケーション不足で創造的なアイデ
   アが生まれにくい」といった機会損失も起こっているでしょう。

   そして、このような状況は今回たまたま起こったわけではなく、以前から起こるべく
   して起こっています。

   コミュニケーションは放っておいても自然と改善することはありません。

   原因を改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。

   会社ではさまざまな組織が複雑に入り組んでおり、そのなかで次のような縦横無
   尽なコミュニケーションが求められます。

   2.企業に求められるさまざまなコミュニケーション

     ・社長と全社員のコミュニケーション

     ・管理職同士のコミュニケーション

     ・組織としての部門間のコミュニケーション

     ・上司と部下のコミュニケーション

     ・一般社員同士のコミュニケーション

     ・パート・アルバイト社員とのコミュニケーション

     ・顧客とのコミュニケーション

     ・仕入先とのコミュニケーション 

    社員たちはコミュニケーションを通じて自分の行動を決定したり、部下に指示を与
    えたりしています。

    全社員が結束して共通の目的に向かっていくためには、コミュニケーションの活
    性化は経営上の生命線ともいえます。

    コミュニケーションは会社の目標達成のためのたんなる手段ではなく、企業力を
    決定づける経営の本質にかかわる問題として認識する必要があるのです。

   3.コミュニケーションの3つの視点

    企業におけるコミュニケーションの活性度は、「量」、「質」、「迅速さ」の3つの視
    点で考えることができます。

    第一は「量」についてです。

    これは社内でいわゆる「報連相」などの業務上のやりとりや、社員同士の日常
    会話などが十分にあるかどうかということです。

    「社内全体での会話が極端に少ない」、あるいは「一般社員同士はよく話すが上
    下間の風通しが良くない」といった場合は要注意です。

    第二は「質」についてです。

    いかに活発なやりとりがなされていたとしても、「上司の指示がうまく伝わらな
    い」、「社内での共通用語のニュアンスが伝わらない」という場合は質に問題が
    あることになります。

    第三は「迅速さ」についてです。いかに正確な情報も迅速さを欠いていては価値
    が半減します。

    コミュニケーションの迅速さを高めるためには、組織形態や指揮命令系統といっ
    た仕組みの改善も不可欠ですが、社員一人ひとりに情報伝達の迅速さの重要
    性を理解させることが大切です。
     
  □コミュニケーション強化のポイント

   少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも
   少なくありません。

   組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が
   大事です。

   その方法には、ミーティングや日報の活用、気軽にコミュニケーションがとれるオフィ
   スレイアウトなどがあります。

   最も大事なことは、「なぜコミュニケーションをとるのか」といった目的を明確にする こ
   とです。

   やみくもに時間と場所を確保しても内容のあるコミュニケーションでなければ意味が
   ありません。

   目的を明確にし、結果として従業員の意識や行動が改善されることが大切です。

   1.定例ミーティング

     定例ミーティングは、各人の役割の再認識や目標に対する進捗度合いを
     チェックし、意見交換や指示を出す(受ける)場です。

     目標管理を実際に行う際には定例ミーティングは不可欠です。

     ミーティングの効率性と生産性を高めるコツは、

      (1)他人の話は最後まで聞き、正しく理解する

      (2)周りくどい表現ではなく、率直に指示を出したり、意見交換する

      (3)ミーティングで決定した事項は全面的に協力する

     などです。

   2.日報を活用

      コミュニケーション・ツールとして日報を活用することも有効です。

     部下の日報をチェックし、関心の高さを示すことが人を動かすコツです。

     日報をベースとした対話を行い、部下の意識・行動改善を図り、営業マン同士
     で日報を共有することもお互いに刺激しあったり、意見交換ができるなど有効
     と言えます。

     組織が日報を管理してお客様情報として共有化することも大事です。

   ○社内のコミュニケーション

    少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも
    少なくありません。

    組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が
    大事です。

   ○良好なコミュニケーションの状態

    コミュニケーションが良い状態の第一条件は、意思決定や指示・指導、報告・連絡・
    相談、談話やあいさつ、などの場面によって、「フォーマル」か「インフォーマル」と
    いったコミュニケーション形式をうまく使い分けていることです。

    第二条件は、その形式ごとに、「口頭」または「文書」といったコミュニケーション
    形態をそれぞれのメリット・デメリットを考慮しながらうまく使い分けていることで 
    す。

    口頭によるコミュニケーション、文書によるコミュニケーションが内部でほとんど行わ
    れていないケースは、組織として機能していない状態です。

    逆に、内部コミュニケーションが多すぎることは、会議や面談、稟議書や通知、会
    話や電話などが頻繁に行われている状態で、内部コミュニケーションに忙殺されて
    対外的な活動が疎かになります。

    フォーマルに偏りすぎたコミュニケーションは、上司と部下といった縦のコミュニケー
    ションばかりで、同僚や仲間としての信頼関係が弱い状態です。

    何気ない会話や相談にのったりするなどして人間関係を深め、お互いに仕事をしや
    すい職場づくりや雰囲気づくりを心がけます。

    インフォーマルなコミュニケーションに偏りすぎると、形式的なコミュニケーションが
    あまり行われていない状態になり、組織としては仲良しクラブ的になってしまう。

    口頭でのコミュニケーションに偏りすぎると、記録に残らないなど、管理体制が弱い
    状態です。

    口頭のコミュニケーションでも重要な事項は記録に留めます。

    口頭で済むコミュニケーションと記録に残しておきたい場合とをバランスよく使い分
    けることが大事です。

    逆に、文書によるコミュニケーションに偏りすぎている場合は、口頭に比べて文書に
    する方が手間と時間がかかることから、効率が悪いと言えます。

    意思や指示がリアルタイムで伝わらないなどのデメリットもあるので、口頭のコミュ
    ニケーションも活用しましょう。

  □挨拶はコミュニケーションの第一歩

   元気に、明るく挨拶をされて、気分を害する人はいません。

   挨拶をするということは「相手に心を開き、よい人間関係を築きたい」という意思表示
   だからです。

   明るく元気な挨拶は職場に活気を与え、良好な人間関係を築くための第一歩となり
   ます。

   社内、社外を問わず積極的に挨拶を行っていきましょう。

  □コミュニケーションの基本は「質問

   ビジネスパーソンは、社外においては顧客や他企業と、社内においては上司や部下と、
   常にコミュニケーションをとる機会があります。

   従って、ビジネスパーソンにとって、コミュニケーション力は最も重要かつ基本となる
   スキルの一つであるといえるでしょう。

   一般的に、コミュニケーションにおいて重要なスキルとしては、論理的思考やプレゼン
   テーション能力などが挙げられます。

   ビジネス上のさまざまな判断は、常に論理的思考に基づいて行われなくてはなりま
   せん。

   また、その判断を第三者に効果的に伝えるためには高いプレゼンテーション能力が必要
   となります。 

   このため、論理的思考やプレゼンテーション能力は、ビジネスパーソンのコミュニケー
   ションにとって重要であるとされているのです。

   しかし、論理的思考やプレゼンテーション能力を発揮する前段階には、相手の意見を
   正しく理解するという過程があります。

   人は、それぞれ異なる文脈の形態や語い、会話のリズムなどを持っています。

   このため、時として意見を発言する側と聞く側との間のコミュニケーションにギャップが
   生じてしまい、相手の意見を正確に理解することができない場合があります。

   また、発言される意見は、その人の思考の一部にすぎず、意見の背景には相手の
   思考が存在しています。

   このため、発言された意見が必ずしも相手の思考のすべてを正確に表しているとは限り
   ません。

   従って、相手の意見に接する時、その意見は「理解(理解した)」部分と「未理解(理
   解できなかった)」部分に分かれます。 

   そして、「未理解」の部分については、不明な点・疑問に思う点・確認したい点などが
   出てくることと考えられます。 

   相手の意見を正確に理解することは、正確なコミュニケーションをとるための必須条
   件です。 

   このため、もし「未理解」の部分が解決されないままであれば、たとえいかに優れた理
   論的思考やプレゼンテーション能力を持っていたとしても、正確なコミュニケーション
   をとることはできません。

   この「未理解」を解決し、正確なコミュニケーションを図ることを可能とするのが質問
   です。

   質問は、これらの「未理解」の部分を解消し、
   相手の意見のすべてを「理解完了」とすることを
   目的としています。

   すなわち、質問とは、

     相手の意見を正確に理解し、
     正確なコミュニケーションをとるための基本的な
    手段

    なのです。

  □質問の種類

   一般的に、質問には5W1Hといわれる「いつ・どこで・
   誰が・なにを・なぜ・どのように」という疑問詞が付き、
   これらは性質別に以下の2つに大別することができる。

   ●「なに?」の質問(「いつ・どこで・だれが・なにを・
     どのように」が含まれる)
    「なに?」の質問は、客観的な物事の情報を問う質問です。
    このため、その事柄について正しい知識を持っていれば、
    誰が回答しても同じ答えが得られます。
    例としては、
     ・「今月の売り上げの前年同月比は何%ですか?」
    などが挙げられます。

   ●「なぜ?」の質問(「なぜ」が含まれる)
    「なぜ?」の質問は、物事の理由を問う質問です。
    このため、得られる答えは相手によって異なります。
    例としては、
     ・「なぜ今月の売り上げが減少したのでしょうか?」
    などが挙げられます。

   「なに?」の質問と「なぜ?」の質問は、ビジネス上のコミュニケーションだけでな
   く、すべてのコミュニケーションにおいて用いられています。

   この2つの質問は本質的に異なる性質を持っています。

   一般的に、「なに?」の質問が具体的な情報を求めるものであるのに対して、「な
   ぜ?」の質問は相手の判断を求めるものとなっています。

   コミュニケーションにおいては、客観的事実を問う「なに?」の質問と、主観的判断
   を問う「なぜ?」の質問は、どちらもともに重要です。

   このため、これらの2つの質問をTPOに応じて使い分けることが、正確なコミュニ
   ケーションをとるうえでの鍵となります。

  □質問の進め方

   1.進め方の事例

     以下では、「A社のB営業所における売り上げが減少している」という条件の
     下、B営業所の○○所長に対する上司△△部長による質問の進め方を紹介しま
     す。

     まず、質問において、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問のどちらを使用する
     かについて検討します。

     個々の状況にもよりますが、一般的には、最初に「なに?」の質問で具体的な
     情報を取り出し、判断材料が集まったところで「なぜ?」の質問で問題の本質
     を探るという方法が多くとられるようです。

     相手の意見の背景にある具体的な情報は、意見を発言する側である相手の
     頭の中では既に前提条件となっています。

     しかし、意見を聞く側にはそれらの情報がないため、そのような前提条件が分
     かりません。

     そこで、その後のコミュニケーションを正確にとることができるように相手の意
     見を形作っている頭の中の思考を明らかにして互いに共有することが必要で
     あり、そのために具体的な「なに?」の質問をするのです。

     この例では、△△部長は○○所長に対して

      ・「営業所の売り上げが減少し始めたのはいつですか?」

      ・「競合他社のC社が新しく営業所を新設したのはどこですか?」

      ・「他社のうち、どの企業が当社と最も激しい競合状態にありますか?」

      ・「今月の売り上げは前年同月比で何%ですか?」

      ・「営業担当者は顧客に対してどのような販促活動を行っていますか?」

     という質問を行いました。

     その結果、「売り上げの減少が始まったのは約6カ月前からである」「C社の営
     業所が、B営業所の担当エリア内に新設された」「当社と最も激しい競合状態
     にあるのはC社である」「今月の売り上げは前年同月比で85%である」「営業
     担当者は、すべての顧客に対して、カタログ配布・試供品提供など、精力的な
     販促活動を行っている」という答えが得られました。

     具体的な情報がそろったら、次に売り上げ減少の原因を探ります。

     ただし、この時に最初から「なぜ?」の質問を用いて、例えば、「なぜ売り上げ
     が減少したのでしょう?」

     という質問をしても、質問が曖昧であるため明確な答えは望めないでしょう。

     このため、現状をさらに詳しく把握するために、さらに「なに?」の質問を続けま
     す。

     △△部長は○○所長に対して、

      ・「どの商品の売り上げが減少していますか?」

      ・「どのエリアの売り上げが減少していますか?」

      ・「どの営業担当者が担当している得意先の売り上げが減少して
       いますか?」

     という質問を行いました。

     その結果、「売り上げが落ちている商品は、定番商品である『商品X』である」
     「売り上げが減少しているエリアは、C社の営業所が新設されたエリアである」
     「売り上げ減少に営業担当者による差はみられない」という答えが得られた。

     細かい状況が分かってきた時点で、いよいよ「なぜ?」の質問で原因を探る。

     なお、「営業担当者による差はみられない」ので、この項目に関する質問は除
     外します。

     「なぜ?」の質問をすると、一般的に相手は何か一つの答えを探し出そうとしま
     すが、最初から一つの答えを選ぶよりも、できるだけたくさんの答えを考え、そ
     れらについて取捨選択をするほうがよりよい答えにつながります。

     このため、「なぜ?」の質問に対しては、答えを一つに絞らず、できるだけたくさ 
     ん挙げてもらうことが重要です。

     △△部長は○○所長に対して

      ・「なぜ『商品X』の売り上げが落ちていると考えられますか?」

      ・「なぜそのエリアの商品の売り上げが落ちていると考えられますか?」

     という質問を行い、それぞれについてできるだけ多くの答え(売り上げ減少の
     原因であると思われる要因)を挙げてもらいました。

     その結果、第一の質問に対しては、「他社のほうが価格が安い」「他社の販促
     が優れている」「『商品X』自体に訴求力がない」という答えが得られました。

     また、第二の質問に対しては、「C社の参入で自社のシェアが奪われている」
     「自社の営業担当のスキルに問題がある」「そのエリア内の顧客の需要が低
     下している」という答えが得られました。

     そして、最後にこれらの一つずつについて検証を進めます。

     第一の質問に対する答えを先に得た情報と照らし合わせた末、以下の理由に
     より二つの答えが除外されることとなりました。

      ・「他社の販促が優れている」 → 自社でも販促に十分力を入れているため

      ・「『商品X』に訴求力がない」→ほかのエリアでは従来通りの売れ行きで
       あるため

     また、第2の質問に対する答えを先に得た情報と照らし合わせた末、以下の理
     由により2つの答えが除外されることとなりました。

      ・「自社の営業担当のスキルに問題がある」 → 営業担当者による差は
       ないため

      ・「そのエリア内の顧客の需要が低下している」 → ほかの商品は従来通り
       の売れ行きであるため

     その結果、原因として最も確度が高いと思われるものとして、
      ・「他社のほうが価格が安い」

      ・「C社の参入で自社のシェアが奪われている」

     の二つの答えが残り、これらを併せて考えると、「新規に当該エリアに参入して
     きたC社が、『商品X』と競合する商品を販売し、そのために自社のシェアが奪
     われている」という仮説がみえてきました。

     この仮説に基づき、B営業所の営業担当者が顧客について調査したところ、や
     はりC社が『商品X』と同等の性能をもつ『商品Y』を大幅な値引き価格で販売し
     て当該エリアの顧客に営業攻勢をかけており、このためB営業所のシェアが奪
     われていることが判明しました。

     しかし、B営業所は現時点で既に『商品X』について可能な限りの値引きを行っ
     ているため、これ以上の値引きでC社に対抗することは得策ではありません。

     このため、B営業所は「メンテナンス体制の充実や商品情報の提供など、『値
     引き以外のサービスの充実』を図り、加えて他エリアにおいて新規開拓に注力
     することで、C社に奪われたシェアを取り戻す」という対策を決定しました。

     対策を立てるうえで仮説を形成するだけの情報は、実はもともと○○所長が把
     握していたものです。

     ○○所長の意見に断片的に表れていたこれらの情報を△△部長が質問を通じ
     て引き出して共有化し、問題を抽出して一緒に論理的に思考したことにより、
     具体的な対策を立てることができたのです。

     ある問題に対して、最初からそのすべてについて解決に取り組むよりも、それ
     らを個々の要因に分解してそれぞれについて考えるほうが対策が立てやすく
     なります。

     このため、質問を進めるうえでは、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問を使い
     分けることにより、相手の意見から細かい情報を取り出し、問題をブレークダ
     ウンすることが重要となります。

   2.「してはいけない」質問

     これまで述べてきたように、質問は相手の意見を正確に理解するためのもの
     です。

     しかし、問うことにより、逆に相手の意見を正しく理解することを妨げてしまう質
     問があります。

     これらの質問は、いわば「してはいけない質問」であるといえるでしょう。

     以下では、引き続き○○所長と△△部長のケースを例に、「してはいけない質
     問」について説明します。

     ●攻撃的な質問 

      感情に基づく個人攻撃的な質問です。

      例としては、

       ・「一体、この責任をどう取るつもりなのですか?」などが挙げられます。

      このような質問は、質問の形式をとってはいるものの、実質的には質問では
      なく単に相手に感情をぶつけているにすぎません。

      このような質問に対しては、質問を受けた側は委縮したり反抗心を抱いてし
      まいます。

      これではコミュニケーションを図ることはできません。

      質問は、相手の人格に対してするのではなく、相手の意見に対してするもの
      です。

      このため、感情を排し、常に冷静かつ論理的に行わなくてはなりません。

     ●あいまいな質問

      内容が具体的でなく、あいまいな質問です。

      例としては、

        ・「売り上げが減少していますが、営業担当者はちゃんとやっている
        のですか?」

      などが挙げられます。

      「ちゃんと」「しっかりと」などは一般の会話においてよく聞かれますが、このよ
      うな言葉は極めてあいまいです。

      このため、質問を受けた側は、自分が何について問われているのかが分か
      らず、具体的な思考を行うことができません。

      その結果、このような具体性を欠く質問からは、「確かにいま一つです」「あと
      一歩なのですが」といったあいまいかつ漠然とした答えしか得られません。

      「なに?」の質問、「なぜ?」の質問ともに、質問は具体的な事柄についてし
      なくてはなりません。

     ●主観的な質問

      質問者の主観に基づいた質問です。

      例としては、

       ・「売り上げ減少は営業担当者の責任だと思われますが、現在、営業
        担当者に対してどのような商品知識研修を行っていますか?」

      などが挙げられます。

      この質問は「売り上げの減少の原因は、営業担当者(の商品知識不足)にあ
      る」という主観に基づいています。

      このような場合、例えば、売り上げ減少の原因が「他社の値引き攻勢による
      自社需要の低下」などであったとしても、質問を受けた側は営業担当者(の
      商品知識不足)に原因があると思い込んでしまい、それに対する対策を考え
      てしまうことになります。

      これでは、売り上げ減少という問題の本質は解決されません。

      質問は、主観を排し、常に客観的な視点に基づいて行わなくてはならない。

     ●問題の本質に関係がない質問

      問題の内部にある本質をすり替えてしまう質問です。

      例としては、

       ・「売り上げ減少にはいろいろな要因が考えられることがよく分かりました。
        そこで、今度発売される新商品のキャンペーンを展開することによって
        売り上げ増加を図ろうと思います。
        この場合、B営業所ではどのような展開をすべきでしょうか?」

      などが挙げられます。

      この場合、「売り上げ減少にはいろいろな要因がある」と認識されていなが
      ら、いつの間にか議論が「新商品キャンペーンによる売り上げ増加」にすり替
      えられています。

      もちろん、キャンペーンを行うことによって売り上げに回復が見込まれるかも
      しれませんが、主観的な質問と同様、結局は問題の本質が追究されないま
      まになってしまう危険性があります。

      なお、「してはいけない質問」ではないものの、以下の二つの質問は、相手の
      答えに制限を加えるものであるため、相手の自由な発想を阻害してしまう可
      能性があります。

      従って、これらの質問をする際には十分な注意が必要となります。

     ●限定的な質問

      相手の答えを限定する質問です。

      例としては、

       ・「売り上げ減少の原因について、一つだけ挙げてください」

      などが挙げられます。

     ●選択形式の質問

      幾つかの答えの中から相手に一つを選択させる質問です。

      例としては、

       ・「売り上げ減少に対する対策として『値引率のアップ』『営業担当者に
        対する商品知識研修』『販促カタログの作成』が考えられますが、
        どれが最も効果的ですか?」

      などが挙げられます。

      ただし、これまでの過程であらゆる要因について十分な検討がなされ、その
      結果、具体的な事柄についての確認として相手の答えを限定する質問がな
      されるのであれば問題はありません。

   3.質問の留意点

     (1)意見を論理的に聞く

       一般的に、人間は頭の中で思考を組み立て、その筋道に沿って相手に分
       かりやすいように意見を伝えようとします。

       しかし、会話を通じて相手の意見や態度に即応して自身の意見が変化して
       いき、その結果、意見の整合性が崩れてしまう場合も多々あります。

       このような場合、意見を聞く側も相手につられて自分の意見を流されてしま
       いがちです。

       互いがそのような状況に陥ると論理的な質問はできなくなってしまいます。

       このため、論理的な質問をするためには、

        相手の意見を論理的に聞き、自分の意見と対比させながら
        「何を質問するのか」を常に明確にしておく

       ことが必要となります。

       また、相手が発言をしている途中で質問を差しはさむと、その質問に答える
       ために相手の思考がいったん中断することとなります。

       このようなことが度々重なると、相手の思考がこま切れとなり、意見のポイ
       ントとなる部分にズレが生じてしまう可能性があります。

       従って、即時に確認をしなくてはならない問題などを除いては、相手が意見
       を発言している最中に質問することは基本的には避けたほうがよいでしょ
       う。

       特に、日本語では文末に動詞や否定語が置かれます。

       このため、発言を最後まで聞かないと内容を正しく理解できない場合があ
       るので注意が必要です。

     (2)マナーを守る

       質問の条件として、「論理的かつ具体的でなくてはならない」ということを説
       明してきましたが、それに加えて質問をする際には守るべきマナーがある。

       例えば、「なぜそのように考えるのですか?」「何が原因ですか?」「ほかに
       はどのような要因が挙げられますか?」などと矢継ぎ早に質問を繰り返す
       と、その質問が論理的であればあるほど相手は問い詰められているような
       気持ちになり、心のガードが堅くなってしまいます。そうすると、それ以上相
       手から情報を引き出すことが困難になり、正確なコミュニケーションがとれ
       なくなってしまいます。

       このため、質問をする際には、相手の答えを論理的かつ真摯に受け止め、
       相手に自分の論理を押し付けることがないよう配慮しなくてはならない。

       また、いくら論理的かつ具体的であっても、顧客に対して、

        ・「〜という考え方は改めるべきではありませんか?」

       といった質問をすると、顧客との間に感情的な対立を起こしてしまうことに
       なります。

       このような場合は、

        ・「〜というような考え方もできるのではないでしょうか?」

       といった肯定的な提案の形式をとった質問が有効です。

       冒頭で述べたように、質問とは相手の意見を正確に理解し、正確なコミュニ
       ケーションをとるための基本的な手段です。

       従って、質問は論理的かつ感情を排して行われなくてはなりません。

       しかし、コミュニケーションの基本は、人間と人間との「相互対話」です。

       これは、会話のうえでは言葉のキャッチボールであり、このキャッチボール
       をうまく行うためには、自分が相手のボールを正確に受け止めると同時に、
       相手が受け取りやすいボールを投げてあげなくてはなりません。

       質問は相手の意見の本質に迫るものであるため、時として相手にとっては
       デッドボールとなる危険性を持ち合わせています。

       このため、質問をする際には、正確であることに加えて、「相手に自分の論
       理を押し付ける」といったことのないよう、マナーを守って円滑なコミュニ
       ケーションをとることが重要であることを常に念頭に置く必要があるといえ
       るでしょう。

  □なぜ、活性化が進まないのか 

   (1)社員の改革への意識が低い

     社内コミュニケーションについて、友人同士のコミュニケーションと同様に「親し
     くなれば勝手に良くなる」としてあまり重要性を感じていない社員は多いものです。

     つまり、コミュニケーションは意図的に活性化していくものではなく、後から自
     然とついてくるものだという認識が強いのです。

     専門知識や技能の習得に対して積極的な社員であっても、自分のコミュニ
     ケーション改善についてはなかなか関心が向きません。

     また、実際にコミュニケーション不足を感じることがあっても、それは自分にで
     はなく相手に問題があると考えてしまうこともあります。

     そして、自身のコミュニケーションに問題がある人ほどそのような感覚をもちや
     すい傾向があるため、改善が進みにくいのです。

   (2)具体的な目標や施策が乏しい

     コミュニケーション活性化のためには「どのような状態をめざすのか」という目
     標と、「そのために何をするのか」という施策を具体的に設定する必要があります。

     たとえば、「部門間のコミュニケーション」を考える際には、「それぞれの部門長
     同士がどのような関係を構築すべきか」、「そのためにどのような会議をもつべ
     きか」、「日頃からどのような情報交流を行うか」といったレベルまで踏みこんだ
     計画づくりが求められます。

   (3)ベースとなる感覚のズレが大きい

     人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置
     き換え、相手に伝えます。

     受け取る側はその言葉からメッセージをくみ取ります。

     伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置き換え、受け取る側は
     「受け取る側の感覚」で言葉からメッセージを推察しています。

     それぞれの感覚のズレが大きいほど、伝える側のメッセージは相手に理解さ
     れにくくなります。

     会社には年齢、役職、経験、資質などにさまざまな違いを抱えた人が集まって
     おり、コミュニケーションのべ−スとなる感覚はバラバラです。

     たとえば、同じ問題に遭遇しても経験豊富な人とそうでない人では感じ方が
     まったく異なります。

     経験豊富だから動じないということもあるでしょうし、問題の種類によっては経
     験豊富だからこそ事態の深刻さがわかるということもあるでしょう。

     つまり、ひとつの事象について、社員は異なったそれぞれの感覚で捉えるため
     に、その事象がどのような意味をもつのかという共通認識が生まれにくいのです。

     コミュニケーション活性化を考える際には、このような感覚のズレを埋めていく
     ための施策も重要です。

   (4)情報ツール導入によるマイナス効果が生じている

     本来であればコミュニケーション促進の目的で導入されているメールやグルー
     プウエアなどが逆に問題をややこしくしていることがあります。

     たとえげ、メールは大変便利なツールですが、それに頼りすぎるのも考えもの
     です。

     隣の席に座っている人に対して「口で言うより気軽だから」とメールで済ますの
     はおかしなことです。

     そもそも限られた文字情報のなかで相手に自分の真意を伝えるのはなかなか
     大変なことです。

     口頭で伝えられるのであれば、それに越したことはないでしょう。

     また、高度なグループウエアを導入して情報の共有化を図っているというケー
     スでは、そのシステム設計や運用が完壁に行われていれば絶大な効果をもた
     らすでしょう。

     しかし、それが不十分であれば、報告者は「きちんと情報をアップした」、閲覧
     側は「そんな情報は見当たらない」といった、新たなギャップを生じさせる可能
     性があります。

     各種情報ツールは導入当初の目的に応じて正しく使われているか、システム
     は正常に作動しているか、運用方法の改善点はないかなどにつねに注意して
     おく必要があります。

  □スキルと仕組み

   コミュニケーション活性化のためには「社員一人ひとりのスキル向上」と「組織としての
   仕組み改善」が欠かせません。

   コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけではなく、
   社員個人の能力開発においても不可欠で重要なテーマです。

   安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーションスキル
   アップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡るような仕組
   みづくりも必要です。

  □ルールづくり

   長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーション
   スキルアップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡るよう
   な仕組みづくりも必要です。

    ・朝礼会議などトップが定期的に全社員に語りかける場がある

    ・基本動作(挨拶、身だしなみ、整理整頓など)が徹底されている

    ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが用意されて
     いる

    ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている

    ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に行っている

    ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている

    ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている

  ■コミュニケーション能力(スキル)

   コミュニケーションスキルは日常的なコミュニケーションを活性化するために、社員
   一人ひとりが保有しておくべき能力であり、コミュニケーションは社内に限らず、営業
   場面において欠かせないスキルです。

   必要なスキルとして、

  聞く(聴く)力 

    ・相手の話を真摯に最後まで聞くことができる

    ・相手の発言の目的(伝えたい、共感してほしい、意見が聞きたいなど)を
     理解できる

    ・相手が自分の考えを整理できるような相槌が打てる

    ・相手の言いたいことだけではなくその背景や理由も理解できる

    ・自分の必要な情報を聞き出すことができる

    ・自分がどれだけ理解できているかを相手に示し、質問することができる

    ・話の内容だけではなく、話し方、表情などから情報を補足できる

    ・複数の話し手の言いたいことの違いを整理して理解できる

  □話す力

    ・自分が伝えたい情報(事実・考えなど)を相手に正確に伝えることができる

    ・相手を納得させ、行動に影響を与えることができる

    ・相手が聞きやすい、聞きたいと思う話し方ができる

    ・場の雰囲気に合わせた話し方ができる

    ・要点や全体の構成を整理して話すことができる

    ・想定外の質問に対しても臨機応変に回答できる

    ・会社の方針を自分の言葉でかみ砕いて部下に説明できる

    ・複数の聞き手に対して全体の理解度を確かめながら話すことができる

   社内に安定したコミュニケーションを実現するためには、個々の社員のスキルアップだけ
   でなく、組織全体が習慣として定着するための仕組みづくりが必要です。

  □社員個々のスキルアップ

   1.十分な動機づけをする

     コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけでは
     なく、社員個人の能力開発においても不可欠で重要なテーマであることを理解させ
     ます。

     人事制度(職能資格制度など)と連動させて、職能等級ごとに必要なコミュニケー
     ションスキルを具体的に示しておくことなども有効です。

    2.目標を明確にして課題を与える

     自分のコミュニケーションスキルについては、自身では正確に把握しづらいもの
     です。

     上司は部下一人ひとりの日常的なコミュニケーションを観察し、改善すべきポイン
     トを指摘します。

     その際に大切なのは、できるだけ「行動レベル」の目標・課題を設定することです。

     たとえば、上司の指示について理解が浅いままに動いてしまう部下に対しては、
     「じっくりと考えろ」といった指示だけではなく、そのために具体的に必要な課題を
     行動レベルまで指示します。

     この場合は、指示を受けた際に指示受け確認を徹底させ、「納期」、「目的」、「指
     示内容」、「期待成果」などをシートに記入させるといった課題が考えられます。

    3.幹部陣のコミュニケーションスキルを向上させる

     幹部陣の多くは経営者との付き合いも古く、対経営者に限定したコミュニケーショ
     ンはほぼ問題なく行われているでしょう。

     しかし、幹部陣は経営者とだけではなく、全社のコミュニケーションの要となるべき
     存在であり、社内でもっとも高度なコミュニケーションスキルを身につけておく必要
     があります。

     そのためには、経営者は自ら幹部陣のコミュニケーションスキル向上に向けた教
     育を行うと同時に、「コーチング」によるコミュニケーション技法を学ばせること
     なども必要になります。

     また、幹部陣が自分のコミュニケーションの仕方が適切であるかをセルフチェ
     ックし、経営者がそれに対してアドバイスを与える機会を定期的にもちましょう。

  □組織としてのスキルアップの仕組み

   1.仕組みがなければ長続きしない

    長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニ
    ケーション・スキルアップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確
    実に行き渡るような仕組みがなければ長続きできません。

    たとえば、以下の仕組みが必要と考えられます。

    <共通認識構築の仕組み>

     ・トップがコミュニケーション活性化の重要性をはっきりと示している

     ・経営理念、行動規範などについて共通認識ができている

     ・顧客に対してどのような姿勢で接するかについての共通認識がある

     ・それぞれの部門が果たすべき役割についての共通認識がある

     ・役職ごとに果たすべきコミュニケーション上の役割が明確になっている

     ・頻繁に使われる社内用語(専門用語、業界用語)に関して用語の統一
      ができており、全員がその定義について共通認識がある

     ・自社のコミュニケーションの問題点と課題についてトップと幹部の間で
      共通認識がある

    <制度・ルール構築の仕組み>

     ・朝礼などトップが定期的に全社員に語りかける場がある

     ・基本的な挨拶(「おはようございます」「お疲れ様です」など)が徹底
      されている

     ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが
      用意されている

     ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている

     ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に
      行っている

     ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている

     ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている

   2.仕組み向上のためのステップ

    (1)プロジェクトチームの組成

      トップが中心となって、社内コミュニケーション活性化に向けたプロジェクト
      チームをつくります。

      幹部陣のなかからプロジェクトリーダーを選び、社内各部門の中堅クラス、一
      般社員クラスもメンバーに組み込んで全社横断的なチームを組成します。

      トップはプロジェクトの重要性を全社員に向けて発信することが大切です。

    (2)あるべき姿の明確化

      どのような状態であれば自社としてコミュニケーションが活性化しているとい
      えるのか、めざすべき姿を明らかにします。

      その際には一般論としてではなく、自社の業種業態や現状の問題点なども
      踏まえた形で検討します。

      たとえば、製造部門と販売部門の連携に問題がある場合は、どのようなコ
      ミュニケーションが実現すれば全社一丸となれるのかといった視点で考えます。

      プロジェクトメンバーを中心に全社から意見を吸い上げることが必要です。

    (3)問題点の明確化

      あるべき姿と現状を比較して、コミュニケーション活性化のための問題点を抽
      出します。

      前述のような「共通認識の構築」や「制度・ルールづくり」が現状でどの程度
      できているかを確認することなどで、優先順位の高い問題点を明確化します。

    (4)課題の設定

      問題解決のために取り組むべき具体的な過大を設定します。

      たとえば、「報連相を徹底する」という課題であれば、具体的にいつまでにど
      のような報連相を実現するのかについて、スケジュールや満たすべき要件を
      明らかにします。

      全社レベル、部門レベル、個人レベルなどさまざまな階層での課題設定が必
      要です。

    (5)課題の実施と評価

      実際に課題解決に向けた施策を実施します。

      そして、各施策が確実に実行されているか、その結果として自社のコミュニ
      ケーションはあるべき姿に確実に近づいているかどうかについて確認して、
      必要に新たな施策を講じていきます。
 

   3.コミュニケーションの仕組み事例

    バーコードなどの自動認識システム大手のA社には「三行提報」という報告制度
    があります。

    社員は3行127文字の文章で、その日に感じたことやアイデアなどを毎日トップ
    に報告しています。

    「三行捏報」によって社長がさまざまな気づきを得られるとともに、情報をデータ
    ベース化して社員に閲覧させることで、全社的な知恵の創造につなげています。

    また、毎日の報告によって、個々の社員の情報集力、分析力、提案力、文章力
    などが高まるといった効果も生んでいます。

    このように自社に適した独自の仕組みを工夫して導入することも、コミュニケー
    ション活性化のために大変有益といえるでしょう。

   営業会社にとってコミュニケーションの活性化は最優先課題です。

   コミュニケーションの活性はES(従業員満足)そしてCS(顧客満足)につながり、
   結果的に営業力の強化となって表れます。

   逆に、コミュニケーション不足はモチベーションの低下、チームワークの乱れ、お客
   様からのクレームの誘発など自社(店)にとって最悪の事態を招きかねません。

   人材が『人罪』になるのか、『人財』となるかは組織の風通し(コミュニケーション)の
   良否によって決まるのです。

    コミュニケーションで最も大切なことは、相手の言わない本音の部分を聞くことで
    ある。
                                (P.F.ドラッカー)

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