コミュニケーション能力は経営の生命線

          

組織の活性化に欠かせないコミュニケーション能力 

  ■コミュニケーション能力は経営の生命線

   コミュニケーション活性化のためにどこから手をつければよいかわからないという人も
   います。

   また、コミュニケーションはたんなる手段であり、技術向上や販売力向上などに比べて
   改善の優先順位が低いと認識されていることもあります。

   経営において、コミュニケーション不足に起因する問題が数多く生じます。

   「社長の言いたいことが伝わらない」、「上司の指示が伝わらない」、「部門リーダーが
   部門全体を把握できていない」などさまざまです。

   コミュニケーションは自然に改善できるものではありません。

   原因を究明し、改善しない限り今後も問題が発生することは確実です。

   各社員はコミュニケーションを通じて自分の行動を決定したり、部下に指示を与えたりし
   ています。

   組織の活力が会社の業績に大きな影響を与えることはいうまでもありません。

   「最近、社員に元気がない」、「会社の雰囲気が暗い」と感じた場合は危険信号です。

   言い尽くされた言葉ですが、企業は「ヒト」です。

   その「ヒト」の活性化がなくては単なる集団でしかありません。

   全社員が結束して共通の目的に向かっていくためには、コミュニケーションの活性化
   (組織力強化)は経営上の生命線ともいえます。

   コミュニケーションは会社の目標達成のための単なる手段ではなく、組織力強化を決定
   づける経営の本質にかかわる問題なのです。   

   経営者であれば、コミュニケーションの重要性は誰しもが感じているはずです。

   しかし、実際に「自社に不足しているコミュニケーションとは何か」、「コミュニケー
   ション活性化のためにどうすればよいのか」の問題意識を強くもっている人は少ない
   ようです。   

   ○活性化が進まない理由
    多くの企業ではコミュニケーションの活性化のための施策を講じているが、十分
    な成果が上げられていないのが実態のようです。

     ・社員の改善意識が低い
     ・具体的な目標や施策に乏しい
     ・発信する側と受け取る側の感覚のズレが大きい
     ・メールやグループウエアなど情報ツール導入によりマイナス効果が生じてい
      る

   ○スキルと仕組み
    コミュニケーション活性化のためには「社員一人ひとりのスキル向上」と「組織と
    しての仕組み改善」が欠かせません。

    コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけで
    はなく、社員個人の能力開発においても不可欠で重要なテーマです。

    安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーション
    スキルアップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡
    るような仕組みづくりも必要です。
     
  □コミュニケーション強化のポイント
   少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも
   少なくありません。

   組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が
   大事です。

   その方法には、ミーティングや日報の活用、気軽にコミュニケーションがとれるオフィ
   スレイアウトなどがあります。

   最も大事なことは、「なぜコミュニケーションをとるのか」といった目的を明確にする こ
   とです。

   やみくもに時間と場所を確保しても内容のあるコミュニケーションでなければ意味が
   ありません。

   目的を明確にし、結果として従業員の意識や行動が改善されることが大切です。

   1.定例ミーティング
     定例ミーティングは、各人の役割の再認識や目標に対する進捗度合いを
     チェックし、意見交換や指示を出す(受ける)場です。

     目標管理を実際に行う際には定例ミーティングは不可欠です。

     ミーティングの効率性と生産性を高めるコツは、
      (1)他人の話は最後まで聞き、正しく理解する
      (2)周りくどい表現ではなく、率直に指示を出したり、意見交換する
      (3)ミーティングで決定した事項は全面的に協力する

     などです。

   2.日報を活用
      コミュニケーション・ツールとして日報を活用することも有効です。

     部下の日報をチェックし、関心の高さを示すことが人を動かすコツです。

     日報をベースとした対話を行い、部下の意識・行動改善を図り、営業マン同士
     で日報を共有することもお互いに刺激しあったり、意見交換ができるなど有効
     と言えます。

     組織が日報を管理してお客様情報として共有化することも大事です。

   ○社内のコミュニケーション
    少人数の職場ほど、多忙でなかなかコミュニケーションがとれないといったケースも
    少なくありません。

    組織の活性化にはコミュニケーションの方法とその生産性や効率性を高める工夫が
    大事です。

   ○良好なコミュニケーションの状態
    コミュニケーションが良い状態の第一条件は、意思決定や指示・指導、報告・連絡・
    相談、談話やあいさつ、などの場面によって、「フォーマル」か「インフォーマル」と
    いったコミュニケーション形式をうまく使い分けていることです。

    第二条件は、その形式ごとに、「口頭」または「文書」といったコミュニケーション
    形態をそれぞれのメリット・デメリットを考慮しながらうまく使い分けていることで 
    す。

    口頭によるコミュニケーション、文書によるコミュニケーションが内部でほとんど行わ
    れていないケースは、組織として機能していない状態です。

    逆に、内部コミュニケーションが多すぎることは、会議や面談、稟議書や通知、会
    話や電話などが頻繁に行われている状態で、内部コミュニケーションに忙殺されて
    対外的な活動が疎かになります。

    フォーマルに偏りすぎたコミュニケーションは、上司と部下といった縦のコミュニケー
    ションばかりで、同僚や仲間としての信頼関係が弱い状態です。

    何気ない会話や相談にのったりするなどして人間関係を深め、お互いに仕事をしや
    すい職場づくりや雰囲気づくりを心がけます。

    インフォーマルなコミュニケーションに偏りすぎると、形式的なコミュニケーションが
    あまり行われていない状態になり、組織としては仲良しクラブ的になってしまう。

    口頭でのコミュニケーションに偏りすぎると、記録に残らないなど、管理体制が弱い
    状態です。

    口頭のコミュニケーションでも重要な事項は記録に留めます。

    口頭で済むコミュニケーションと記録に残しておきたい場合とをバランスよく使い分
    けることが大事です。

    逆に、文書によるコミュニケーションに偏りすぎている場合は、口頭に比べて文書に
    する方が手間と時間がかかることから、効率が悪いと言えます。

    意思や指示がリアルタイムで伝わらないなどのデメリットもあるので、口頭のコミュ
    ニケーションも活用しましょう。

  □挨拶はコミュニケーションの第一歩
   元気に、明るく挨拶をされて、気分を害する人はいません。

   挨拶をするということは「相手に心を開き、よい人間関係を築きたい」という意思表示
   だからです。

   明るく元気な挨拶は職場に活気を与え、良好な人間関係を築くための第一歩となり
   ます。

   社内、社外を問わず積極的に挨拶を行っていきましょう。

  □コミュニケーションの基本は「質問
   ビジネスパーソンは、社外においては顧客や他企業と、社内においては上司や部下と、
   常にコミュニケーションをとる機会があります。

   従って、ビジネスパーソンにとって、コミュニケーション力は最も重要かつ基本となる
   スキルの一つであるといえるでしょう。

   一般的に、コミュニケーションにおいて重要なスキルとしては、論理的思考やプレゼン
   テーション能力などが挙げられます。

   ビジネス上のさまざまな判断は、常に論理的思考に基づいて行われなくてはなりま
   せん。

   また、その判断を第三者に効果的に伝えるためには高いプレゼンテーション能力が必要
   となります。 

   このため、論理的思考やプレゼンテーション能力は、ビジネスパーソンのコミュニケー
   ションにとって重要であるとされているのです。

   しかし、論理的思考やプレゼンテーション能力を発揮する前段階には、相手の意見を
   正しく理解するという過程があります。

   人は、それぞれ異なる文脈の形態や語い、会話のリズムなどを持っています。

   このため、時として意見を発言する側と聞く側との間のコミュニケーションにギャップが
   生じてしまい、相手の意見を正確に理解することができない場合があります。

   また、発言される意見は、その人の思考の一部にすぎず、意見の背景には相手の
   思考が存在しています。

   このため、発言された意見が必ずしも相手の思考のすべてを正確に表しているとは限り
   ません。

   従って、相手の意見に接する時、その意見は「理解(理解した)」部分と「未理解(理
   解できなかった)」部分に分かれます。 

   そして、「未理解」の部分については、不明な点・疑問に思う点・確認したい点などが
   出てくることと考えられます。 

   相手の意見を正確に理解することは、正確なコミュニケーションをとるための必須条
   件です。 

   このため、もし「未理解」の部分が解決されないままであれば、たとえいかに優れた理
   論的思考やプレゼンテーション能力を持っていたとしても、正確なコミュニケーション
   をとることはできません。

   この「未理解」を解決し、正確なコミュニケーションを図ることを可能とするのが質問
   です。

   質問は、これらの「未理解」の部分を解消し、
   相手の意見のすべてを「理解完了」とコミュニケーション.gifすることを
   目的としています。

   すなわち、質問とは、

     相手の意見を正確に理解し、
     正確なコミュニケーションをとるための基本的な
    手段

    なのです。

  □質問の種類
   一般的に、質問には5W1Hといわれる「いつ・どこで・
   誰が・なにを・なぜ・どのように」という疑問詞が付き、
   これらは性質別に以下の2つに大別することができる。

   ●「なに?」の質問(「いつ・どこで・だれが・なにを・
     どのように」が含まれる)
    「なに?」の質問は、客観的な物事の情報を問う質問です。
    このため、その事柄について正しい知識を持っていれば、
    誰が回答しても同じ答えが得られます。
    例としては、
     ・「今月の売り上げの前年同月比は何%ですか?」
    などが挙げられます。

   ●「なぜ?」の質問(「なぜ」が含まれる)
    「なぜ?」の質問は、物事の理由を問う質問です。
    このため、得られる答えは相手によって異なります。
    例としては、
     ・「なぜ今月の売り上げが減少したのでしょうか?」
    などが挙げられます。

   「なに?」の質問と「なぜ?」の質問は、ビジネス上のコミュニケーションだけでな
   く、すべてのコミュニケーションにおいて用いられています。

   この2つの質問は本質的に異なる性質を持っています。

   一般的に、「なに?」の質問が具体的な情報を求めるものであるのに対して、「な
   ぜ?」の質問は相手の判断を求めるものとなっています。

   コミュニケーションにおいては、客観的事実を問う「なに?」の質問と、主観的判断
   を問う「なぜ?」の質問は、どちらもともに重要です。

   このため、これらの2つの質問をTPOに応じて使い分けることが、正確なコミュニ
   ケーションをとるうえでの鍵となります。

  □質問の進め方
   1.進め方の事例
     以下では、「A社のB営業所における売り上げが減少している」という条件の
     下、B営業所の○○所長に対する上司△△部長による質問の進め方を紹介しま
     す。

     まず、質問において、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問のどちらを使用する
     かについて検討します。

     個々の状況にもよりますが、一般的には、最初に「なに?」の質問で具体的な
     情報を取り出し、判断材料が集まったところで「なぜ?」の質問で問題の本質
     を探るという方法が多くとられるようです。

     相手の意見の背景にある具体的な情報は、意見を発言する側である相手の
     頭の中では既に前提条件となっています。

     しかし、意見を聞く側にはそれらの情報がないため、そのような前提条件が分
     かりません。

     そこで、その後のコミュニケーションを正確にとることができるように相手の意
     見を形作っている頭の中の思考を明らかにして互いに共有することが必要で
     あり、そのために具体的な「なに?」の質問をするのです。

     この例では、△△部長は○○所長に対して
      ・「営業所の売り上げが減少し始めたのはいつですか?」
      ・「競合他社のC社が新しく営業所を新設したのはどこですか?」
      ・「他社のうち、どの企業が当社と最も激しい競合状態にありますか?」
      ・「今月の売り上げは前年同月比で何%ですか?」
      ・「営業担当者は顧客に対してどのような販促活動を行っていますか?」
     という質問を行いました。

     その結果、「売り上げの減少が始まったのは約6カ月前からである」「C社の営
     業所が、B営業所の担当エリア内に新設された」「当社と最も激しい競合状態
     にあるのはC社である」「今月の売り上げは前年同月比で85%である」「営業
     担当者は、すべての顧客に対して、カタログ配布・試供品提供など、精力的な
     販促活動を行っている」という答えが得られました。

     具体的な情報がそろったら、次に売り上げ減少の原因を探ります。

     ただし、この時に最初から「なぜ?」の質問を用いて、例えば、「なぜ売り上げ
     が減少したのでしょう?」

     という質問をしても、質問が曖昧であるため明確な答えは望めないでしょう。

     このため、現状をさらに詳しく把握するために、さらに「なに?」の質問を続けま
     す。

     △△部長は○○所長に対して、
      ・「どの商品の売り上げが減少していますか?」
      ・「どのエリアの売り上げが減少していますか?」
      ・「どの営業担当者が担当している得意先の売り上げが減少して
       いますか?」
     という質問を行いました。

     その結果、「売り上げが落ちている商品は、定番商品である『商品X』である」
     「売り上げが減少しているエリアは、C社の営業所が新設されたエリアである」
     「売り上げ減少に営業担当者による差はみられない」という答えが得られた。

     細かい状況が分かってきた時点で、いよいよ「なぜ?」の質問で原因を探る。

     なお、「営業担当者による差はみられない」ので、この項目に関する質問は除
     外します。

     「なぜ?」の質問をすると、一般的に相手は何か一つの答えを探し出そうとしま
     すが、最初から一つの答えを選ぶよりも、できるだけたくさんの答えを考え、そ
     れらについて取捨選択をするほうがよりよい答えにつながります。

     このため、「なぜ?」の質問に対しては、答えを一つに絞らず、できるだけたくさ 
     ん挙げてもらうことが重要です。

     △△部長は○○所長に対して
      ・「なぜ『商品X』の売り上げが落ちていると考えられますか?」
      ・「なぜそのエリアの商品の売り上げが落ちていると考えられますか?」
     という質問を行い、それぞれについてできるだけ多くの答え(売り上げ減少の
     原因であると思われる要因)を挙げてもらいました。

     その結果、第一の質問に対しては、「他社のほうが価格が安い」「他社の販促
     が優れている」「『商品X』自体に訴求力がない」という答えが得られました。

     また、第二の質問に対しては、「C社の参入で自社のシェアが奪われている」
     「自社の営業担当のスキルに問題がある」「そのエリア内の顧客の需要が低
     下している」という答えが得られました。

     そして、最後にこれらの一つずつについて検証を進めます。

     第一の質問に対する答えを先に得た情報と照らし合わせた末、以下の理由に
     より二つの答えが除外されることとなりました。
      ・「他社の販促が優れている」 → 自社でも販促に十分力を入れているため
      ・「『商品X』に訴求力がない」→ほかのエリアでは従来通りの売れ行きで
       あるため

     また、第2の質問に対する答えを先に得た情報と照らし合わせた末、以下の理
     由により2つの答えが除外されることとなりました。
      ・「自社の営業担当のスキルに問題がある」 → 営業担当者による差は
       ないため
      ・「そのエリア内の顧客の需要が低下している」 → ほかの商品は従来通り
       の売れ行きであるため

     その結果、原因として最も確度が高いと思われるものとして、
      ・「他社のほうが価格が安い」
      ・「C社の参入で自社のシェアが奪われている」
     の二つの答えが残り、これらを併せて考えると、「新規に当該エリアに参入して
     きたC社が、『商品X』と競合する商品を販売し、そのために自社のシェアが奪
     われている」という仮説がみえてきました。

     この仮説に基づき、B営業所の営業担当者が顧客について調査したところ、や
     はりC社が『商品X』と同等の性能をもつ『商品Y』を大幅な値引き価格で販売し
     て当該エリアの顧客に営業攻勢をかけており、このためB営業所のシェアが奪
     われていることが判明しました。

     しかし、B営業所は現時点で既に『商品X』について可能な限りの値引きを行っ
     ているため、これ以上の値引きでC社に対抗することは得策ではありません。

     このため、B営業所は「メンテナンス体制の充実や商品情報の提供など、『値
     引き以外のサービスの充実』を図り、加えて他エリアにおいて新規開拓に注力
     することで、C社に奪われたシェアを取り戻す」という対策を決定しました。

     対策を立てるうえで仮説を形成するだけの情報は、実はもともと○○所長が把
     握していたものです。

     ○○所長の意見に断片的に表れていたこれらの情報を△△部長が質問を通じ
     て引き出して共有化し、問題を抽出して一緒に論理的に思考したことにより、
     具体的な対策を立てることができたのです。

     ある問題に対して、最初からそのすべてについて解決に取り組むよりも、それ
     らを個々の要因に分解してそれぞれについて考えるほうが対策が立てやすく
     なります。

     このため、質問を進めるうえでは、「なに?」の質問と「なぜ?」の質問を使い
     分けることにより、相手の意見から細かい情報を取り出し、問題をブレークダ
     ウンすることが重要となります。

   2.「してはいけない」質問
     これまで述べてきたように、質問は相手の意見を正確に理解するためのもの
     です。

     しかし、問うことにより、逆に相手の意見を正しく理解することを妨げてしまう質
     問があります。

     これらの質問は、いわば「してはいけない質問」であるといえるでしょう。

     以下では、引き続き○○所長と△△部長のケースを例に、「してはいけない質
     問」について説明します。

     ●攻撃的な質問 
      感情に基づく個人攻撃的な質問です。

      例としては、
       ・「一体、この責任をどう取るつもりなのですか?」などが挙げられます。

      このような質問は、質問の形式をとってはいるものの、実質的には質問では
      なく単に相手に感情をぶつけているにすぎません。

      このような質問に対しては、質問を受けた側は委縮したり反抗心を抱いてし
      まいます。

      これではコミュニケーションを図ることはできません。

      質問は、相手の人格に対してするのではなく、相手の意見に対してするもの
      です。

      このため、感情を排し、常に冷静かつ論理的に行わなくてはなりません。

     ●あいまいな質問
      内容が具体的でなく、あいまいな質問です。

      例としては、
        ・「売り上げが減少していますが、営業担当者はちゃんとやっている
        のですか?」
      などが挙げられます。

      「ちゃんと」「しっかりと」などは一般の会話においてよく聞かれますが、このよ
      うな言葉は極めてあいまいです。

      このため、質問を受けた側は、自分が何について問われているのかが分か
      らず、具体的な思考を行うことができません。

      その結果、このような具体性を欠く質問からは、「確かにいま一つです」「あと
      一歩なのですが」といったあいまいかつ漠然とした答えしか得られません。

      「なに?」の質問、「なぜ?」の質問ともに、質問は具体的な事柄についてし
      なくてはなりません。

     ●主観的な質問
      質問者の主観に基づいた質問です。

      例としては、
       ・「売り上げ減少は営業担当者の責任だと思われますが、現在、営業
        担当者に対してどのような商品知識研修を行っていますか?」
      などが挙げられます。

      この質問は「売り上げの減少の原因は、営業担当者(の商品知識不足)にあ
      る」という主観に基づいています。

      このような場合、例えば、売り上げ減少の原因が「他社の値引き攻勢による
      自社需要の低下」などであったとしても、質問を受けた側は営業担当者(の
      商品知識不足)に原因があると思い込んでしまい、それに対する対策を考え
      てしまうことになります。

      これでは、売り上げ減少という問題の本質は解決されません。

      質問は、主観を排し、常に客観的な視点に基づいて行わなくてはならない。

     ●問題の本質に関係がない質問
      問題の内部にある本質をすり替えてしまう質問です。

      例としては、
       ・「売り上げ減少にはいろいろな要因が考えられることがよく分かりました。
        そこで、今度発売される新商品のキャンペーンを展開することによって
        売り上げ増加を図ろうと思います。
        この場合、B営業所ではどのような展開をすべきでしょうか?」
      などが挙げられます。

      この場合、「売り上げ減少にはいろいろな要因がある」と認識されていなが
      ら、いつの間にか議論が「新商品キャンペーンによる売り上げ増加」にすり替
      えられています。

      もちろん、キャンペーンを行うことによって売り上げに回復が見込まれるかも
      しれませんが、主観的な質問と同様、結局は問題の本質が追究されないま
      まになってしまう危険性があります。

      なお、「してはいけない質問」ではないものの、以下の二つの質問は、相手の
      答えに制限を加えるものであるため、相手の自由な発想を阻害してしまう可
      能性があります。

      従って、これらの質問をする際には十分な注意が必要となります。

     ●限定的な質問
      相手の答えを限定する質問です。

      例としては、
       ・「売り上げ減少の原因について、一つだけ挙げてください」
      などが挙げられます。

     ●選択形式の質問
      幾つかの答えの中から相手に一つを選択させる質問です。

      例としては、
       ・「売り上げ減少に対する対策として『値引率のアップ』『営業担当者に
        対する商品知識研修』『販促カタログの作成』が考えられますが、
        どれが最も効果的ですか?」
      などが挙げられます。

      ただし、これまでの過程であらゆる要因について十分な検討がなされ、その
      結果、具体的な事柄についての確認として相手の答えを限定する質問がな
      されるのであれば問題はありません。

   3.質問の留意点
     (1)意見を論理的に聞く
       一般的に、人間は頭の中で思考を組み立て、その筋道に沿って相手に分
       かりやすいように意見を伝えようとします。

       しかし、会話を通じて相手の意見や態度に即応して自身の意見が変化して
       いき、その結果、意見の整合性が崩れてしまう場合も多々あります。

       このような場合、意見を聞く側も相手につられて自分の意見を流されてしま
       いがちです。

       互いがそのような状況に陥ると論理的な質問はできなくなってしまいます。

       このため、論理的な質問をするためには、
        相手の意見を論理的に聞き、自分の意見と対比させながら
        「何を質問するのか」を常に明確にしておく
       ことが必要となります。

       また、相手が発言をしている途中で質問を差しはさむと、その質問に答える
       ために相手の思考がいったん中断することとなります。

       このようなことが度々重なると、相手の思考がこま切れとなり、意見のポイ
       ントとなる部分にズレが生じてしまう可能性があります。

       従って、即時に確認をしなくてはならない問題などを除いては、相手が意見
       を発言している最中に質問することは基本的には避けたほうがよいでしょ
       う。

       特に、日本語では文末に動詞や否定語が置かれます。

       このため、発言を最後まで聞かないと内容を正しく理解できない場合があ
       るので注意が必要です。

     (2)マナーを守る
       質問の条件として、「論理的かつ具体的でなくてはならない」ということを説
       明してきましたが、それに加えて質問をする際には守るべきマナーがある。

       例えば、「なぜそのように考えるのですか?」「何が原因ですか?」「ほかに
       はどのような要因が挙げられますか?」などと矢継ぎ早に質問を繰り返す
       と、その質問が論理的であればあるほど相手は問い詰められているような
       気持ちになり、心のガードが堅くなってしまいます。そうすると、それ以上相
       手から情報を引き出すことが困難になり、正確なコミュニケーションがとれ
       なくなってしまいます。

       このため、質問をする際には、相手の答えを論理的かつ真摯に受け止め、
       相手に自分の論理を押し付けることがないよう配慮しなくてはならない。

       また、いくら論理的かつ具体的であっても、顧客に対して、
        ・「〜という考え方は改めるべきではありませんか?」
       といった質問をすると、顧客との間に感情的な対立を起こしてしまうことに
       なります。

       このような場合は、
        ・「〜というような考え方もできるのではないでしょうか?」
       といった肯定的な提案の形式をとった質問が有効です。

       冒頭で述べたように、質問とは相手の意見を正確に理解し、正確なコミュニ
       ケーションをとるための基本的な手段です。

       従って、質問は論理的かつ感情を排して行われなくてはなりません。

       しかし、コミュニケーションの基本は、人間と人間との「相互対話」です。

       これは、会話のうえでは言葉のキャッチボールであり、このキャッチボール
       をうまく行うためには、自分が相手のボールを正確に受け止めると同時に、
       相手が受け取りやすいボールを投げてあげなくてはなりません。

       質問は相手の意見の本質に迫るものであるため、時として相手にとっては
       デッドボールとなる危険性を持ち合わせています。

       このため、質問をする際には、正確であることに加えて、「相手に自分の論
       理を押し付ける」といったことのないよう、マナーを守って円滑なコミュニ
       ケーションをとることが重要であることを常に念頭に置く必要があるといえ
       るでしょう。

  □なぜ、活性化が進まないのか 

   (1)社員の改革への意識が低い
     コミュニケーションは意図的に活性化していくもの
     ではなく、後から自然とついてくるものだという認識
     が強い。

   (2)具体的な目標や施策が乏しい
     コミュニケーション活性化のためには、目標である
     「どのような環境をめざすのか」と、具体策「そのた
     めに何をするのか」を設定する。

   (3)基本となる「質問」の仕方の欠如
     質問は「いつ・どこで・誰が・なにを・なぜ・どのように」
     の5W1Hに基づいて行う。

   (4)「伝える側」と「受け取る側」の感覚のズレ
     人は相手に何か伝えるときは伝えたいことを言葉に置き換え、
     相手に伝えます。

     受け取る側はその言葉からメッセージをくみ取ります。

     伝える側は「伝える側の感覚」で伝え、受け取る側は「受け取る
     側の感覚」でメッセージを受け取ります。

     それぞれの感覚のズレが大きいほど、伝える側のメッセージは
     相手に理解されにくく、正しく伝わらない。

  □スキルと仕組み
   コミュニケーション活性化のためには「社員一人ひとりのスキル向上」と「組織としての
   仕組み改善」が欠かせません。

   コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけではなく、
   社員個人の能力開発においても不可欠で重要なテーマです。

   安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーションスキル
   アップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡るような仕組
   みづくりも必要です。

  □ルールづくり
   長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーション
   スキルアップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡るよう
   な仕組みづくりも必要です。

    ・朝礼会議などトップが定期的に全社員に語りかける場がある

    ・基本動作(挨拶、身だしなみ、整理整頓など)が徹底されている

    ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが用意されて
     いる

    ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている

    ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に行っている

    ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている

    ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている

  ■コミュニケーション能力(スキル)
   コミュニケーションスキルは日常的なコミュニケーションを活性化するために、社員
   一人ひとりが保有しておくべき能力であり、コミュニケーションは社内に限らず、営業
   場面において欠かせないスキルです。

   必要なスキルとして、

  聞く(聴く)力 
    ・相手の話を真摯に最後まで聞くことができる
    ・相手の発言の目的(伝えたい、共感してほしい、意見が聞きたいなど)を理解できる
    ・相手が自分の考えを整理できるような相槌が打てる
    ・相手の言いたいことだけではなくその背景や理由も理解できる
    ・自分の必要な情報を聞き出すことができる
    ・自分がどれだけ理解できているかを相手に示し、質問することができる
    ・話の内容だけではなく、話し方、表情などから情報を補足できる
    ・複数の話し手の言いたいことの違いを整理して理解できる

  □話す力
    ・自分が伝えたい情報(事実・考えなど)を相手に正確に伝えることができる
    ・相手を納得させ、行動に影響を与えることができる
    ・相手が聞きやすい、聞きたいと思う話し方ができる
    ・場の雰囲気に合わせた話し方ができる
    ・要点や全体の構成を整理して話すことができる
    ・想定外の質問に対しても臨機応変に回答できる
    ・会社の方針を自分の言葉でかみ砕いて部下に説明できる
    ・複数の聞き手に対して全体の理解度を確かめながら話すことができる

   社内に安定したコミュニケーションを実現するためには、個々の社員のスキルアップだけ
   でなく、組織全体が習慣として定着するための仕組みづくりが必要です。

  □社員個々のスキルアップ

   1.十分な動機づけをする
     コミュニケーションスキルを向上させることは会社全体として必要であるだけでは
     なく、社員個人の能力開発においても不可欠で重要なテーマであることを理解させ
     ます。

     人事制度(職能資格制度など)と連動させて、職能等級ごとに必要なコミュニケー
     ションスキルを具体的に示しておくことなども有効です。

    2.目標を明確にして課題を与える
     自分のコミュニケーションスキルについては、自身では正確に把握しづらいもの
     です。

     上司は部下一人ひとりの日常的なコミュニケーションを観察し、改善すべきポイン
     トを指摘します。

     その際に大切なのは、できるだけ「行動レベル」の目標・課題を設定することです。

     たとえば、上司の指示について理解が浅いままに動いてしまう部下に対しては、
     「じっくりと考えろ」といった指示だけではなく、そのために具体的に必要な課題を
     行動レベルまで指示します。

     この場合は、指示を受けた際に指示受け確認を徹底させ、「納期」、「目的」、「指
     示内容」、「期待成果」などをシートに記入させるといった課題が考えられます。

    3.幹部陣のコミュニケーションスキルを向上させる
     幹部陣の多くは経営者との付き合いも古く、対経営者に限定したコミュニケーショ
     ンはほぼ問題なく行われているでしょう。

     しかし、幹部陣は経営者とだけではなく、全社のコミュニケーションの要となるべき
     存在であり、社内でもっとも高度なコミュニケーションスキルを身につけておく必要
     があります。

     そのためには、経営者は自ら幹部陣のコミュニケーションスキル向上に向けた教
     育を行うと同時に、「コーチング」によるコミュニケーション技法を学ばせること
     なども必要になります。

     また、幹部陣が自分のコミュニケーションの仕方が適切であるかをセルフチェ
     ックし、経営者がそれに対してアドバイスを与える機会を定期的にもちましょう。

  □組織としてのスキルアップの仕組み
   長期的・安定的なコミュニケーション実現のためには、個々の社員のコミュニケーション
   ・スキルアップだけではなく、コミュニケーションが組織の隅々まで確実に行き渡るよう
   な仕組みがなければ長続きできません。

   たとえば、以下の仕組みが必要と考えられます。

   <共通認識構築の仕組み>
    ・トップがコミュニケーション活性化の重要性をはっきりと示している
    ・経営理念、行動規範などについて共通認識ができている
    ・顧客に対してどのような姿勢で接するかについての共通認識がある
    ・それぞれの部門が果たすべき役割についての共通認識がある
    ・役職ごとに果たすべきコミュニケーション上の役割が明確になっている
    ・頻繁に使われる社内用語(専門用語、業界用語)に関して用語の統一ができて
     おり、全員がその定義について共通認識がある
    ・自社のコミュニケーションの問題点と課題についてトップと幹部の間で共通認識
     がある

   <制度・ルール構築の仕組み>
    ・朝礼などトップが定期的に全社員に語りかける場がある
    ・基本的な挨拶(「おはようございます」「お疲れ様です」など)が徹底されている
    ・報連相(報告・連絡・相談)のルールがあり、必要なフォーマットなどが用意され
     ている
    ・会議体系が整理され目的に応じて適切な会議が運営されている
    ・社員のコミュニケーションスキル向上のための研修を定期的に行っている
    ・メールやグループウエアなどのツールが適切に運用されている
    ・一般社員がトップに対して直接に話ができる機会を設けている

   営業会社にとってコミュニケーションの活性化は最優先課題です。

   コミュニケーションの活性はES(従業員満足)そしてCS(顧客満足)につながり、結果的
   に営業力の強化となって表れます。

   逆に、コミュニケーション不足はモチベーションの低下、チームワークの乱れ、お客
   様からのクレームの誘発など自社(店)にとって最悪の事態を招きかねません。

   人材が『人罪』になるのか、『人財』となるかは組織の風通し(コミュニケーション)の
   良否によって決まるのです。

   コミュニケーションで最も大切なことは、相手の言わない本音の部分を聞くことである。
                                (P.F.ドラッカー)

 

 

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社長に必要なコミュニケーション

          

社長に必要なコミュニケーション

  ■なぜ自分の指示が伝わらないのか

   「なぜ、自分の指示が部下にうまく伝わらないのか?」、このような疑問を抱いたこ
   とのある社長の方も多いと思います。

   「きちんと指示しただろう」と苛立ったり、「そんなこと言われなくても常識だろう」と
   あきれてしまうことさえあると思われます。

   なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

   1.部下は言葉から「推察」している
     人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置
     き換え、相手に伝えます。

     受け取る側はその言葉からメッセージを酌み取ります。

     ここで注意したいのは、伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置
     き換え、受け取る側は「受け取る側の感覚」で、言葉からメッセージを推察して
     いるという点です。

     当然ながらそれぞれの感覚がまったく異なれば、伝える側のメッセージは相手
     に理解されないということになります。

     このことが、指示が部下に正確に伝わらない最大の原因です。

     指示事項をきちんと伝えるためには、図のように指示事項だけではなく、指示
     を出すことになった背景や、さらに物事の考え方や常識といった部分も共通認
     識としておく必要があります。

     たとえば、A社長は、最近疎遠になりつつある大口取引先のB社長のことが気
     にかかっていたとします。

     「最近B社長から連絡がない。昔はよくゴルフにも誘われたが、それも音沙汰
     がない。

     もしかしたら取引を切るためにあえて疎遠にしているのではないか」といった具
     合に思いを巡らせています。

     しかしながら最終的にA社長が部下に発した質問は「最近B社とはうまくいって
     いるのか」という言葉になってしまいがちです。

     質問を受けた部下としては、取引量が減っているわけではなく、B社の担当者
     ともうまくいっているので「はい。特に変わりはありません」と答える以外にあり
     ません。

     しかし、数カ月後にB社の社長から「もっと条件の良い会社が見つかったから、
     おたくの会社とは取引をやめたい」という連絡が入ってしまいました。

     もし「最近B社とはうまくいっているのか」という質問でなく、「B社の社長に直接
     会って様子を確かめてこい」と指示していたら、このような事態を招かなかった
     かもしれないのです。

     このケースでは、図(指示事項をきちんと伝える)の中の「指示の背景」につい
     て、共通認識がまったくできていなかったことが原因になっています。

   2.会社が一定規模に達してきたら特に注意
     会社が小さなうちは取引先や事業内容も限られています。

     そして、社員数も少なく必然的に会話も多いため、部下は比較的上司の指示
     の背景を読み取りやすい環境にあります。

     また、報告を受ける上司も、部下の業務の細かい部分まで目が行き届いてい
     るため、その報告の背景を読み取ることができます。

     しかしながら、会社が大きくなってくると徐々にそれが難しくなってきます。

     社員がそれぞれ取引先対応や仕事をやるようになり、人数も増えて社員一人
     ひとりと言葉を交わすことさえ難しくなります。

     そして、指示どおりの仕事や報告がなされないということがあちこちで起こって
     しまいます。

     これを避けるためには、次項で紹介するような方法で、共通認識を構築する土
     台をつくったり、日々の業務指示の際に注意していくしかありません。

  □経営理念浸透が意思疎通の土台
   前項の図の「指示の背景」の下にさらに「常識」という階層があります。

   これは社会人としてのマナー、仕事の仕方といったすべてのビジネスマンに共通
   の常識だけではなく、自社の社員としての常識も含まれます。

   つまり、ある問題に直面したときに、他社の社員はこのように対応するかもしれな
   いが、自社社員はこのように対応してほしいという行動原則です。

   そして、その行動原則を規定するのが自社の経営理念ということになります。

   1.常識の根本は経営理念
     経営理念とは「自分たちはこうありたい」「社会に対してこのような貢献をした
     い」といった自社が存在する意義を明文化したものです。

     自分たちの行動を規定する価値観といってもよいでしょう。

     社員が経営理念をきちんと理解し、共感していれば、理念に沿った行動をとる
     ことができます。

     部下は上司から出された業務指示に対して、具体的な遂行方法を考えるとき
     には、そのやり方が経営理念に反していないかどうかを自問自答することに
     よって、自分の行動を規定することができるのです。

     たとえば、「お客様とともに幸せになっていこう」といった経営理念がある会社
     では、上司からどんなに「売上拡大」を指示されても、施策として、お客様に一
     方的な不利を強いるような販売条件へ変更することは、基本的には許されま
     せん。

     お客様の満足度も高まり、かつ自社も売上拡大できるような施策を何とかして
     生み出す必要があるのです。

   2.経営理念を浸透させる
     経営理念を社員に説明し、浸透させていくことは、社長にとってもっとも重要な
     コミュニケーションのひとつです。

     しかし、実際には経営理念が作成されていない会社も多く、また、あったとして
     も、非常にあいまいなもので一般社員はその意味がわからないケースもあり
     ます。

     経営理念を社員に浸透させるにはいくつかのステップがあります。

      ステップ1
      経営理念を作成し、その意味合いを経営者がしっかりと認識することです。

      経営理念の言葉だけを一人歩きさせずに、その理念を作成するに至った背
      景や、理念実現のためにはどのような姿勢が必要かなどを明確にします。

      ステップ2
      それを社員一人ひとりにきちんと伝えることです。

      朝礼などで繰り返し説明したり、経営理念を書いた紙を事務所に掲げるな
      ど、社員がつねにそれを意識する状態をつくることが必要です。

      ステップ3
      経営理念実現のためには日々の業務のなかでどのような行動をとるべきか
      を社員自身に考えさせます。

      もちろん経営者自身も経営理念実現のために、自分はこんな姿勢で業務に
      臨むということを宣言し、実際にそのような行動をとっていることを社員に手
      本として示す必要があります。

     このようにして経営理念が浸透すると、日々の業務指示をするための土台が
     できたことになります。

     いったんそうなってしまえば、具体的な業務指示の際にも、単純なコミュニケー
     ションミスは起こりにくくなります。

     指示を受けた部下は、無意識のうちに経営理念というフィルターでその指示を
     吟味します。

     そのとき「おかしい?」と感じれば、質問して上司の指示の真意を確認するよう
     になるからです。

  □行動ではなく目的と背景を指示する
   経営理念浸透という土台構築に加え、日々のコミュニケーションのなかでも留意
   すべき点はあります。

   そのいくつかのポイントを紹介します。

   1.行動ではなく目的を指示する
     指示が的確に伝わらない大きな理由のひとつに、「その指示が遂行された結
     果として、どういう状態になっているのか」という指示の目的が伝わっていない
     ことがあげられます。

     たとえば、「今週中に新規見込客を5件訪問しろ」という指示を部下が額面どお
     りに受け取ると、最終的な成功確率などまったく関係なく、ともかく5社を訪問し
     さえすれば指示を遂行したことになると考えるでしょう。

     「新人営業マンに度胸をつけさせる」ということが目的であれば、この指示は的
     確かもしれません。

     しかし、ほとんどの場合は、「5件訪問して少なくともそのうち2件は、次の営業
     ステップにつなげる」という本当の目的があるはずです。

     したがって部下に指示をする際には、「何々を行え」という行動の指示ではな
     く、「その結果このような状態をつくれ」という目的の指示でなくてはならない。

   2.指示の背景も説明する
     部下に指示を出す際には、その指示を出すに至った背景もできるだけ詳しく説
     明したほうが、より真意が伝わりやすくなります。

     先の例でいえば、5社を訪問して、うち2社を次の営業ステップにつなげるとい
     うことが、どのような意味をもつのかということも併せて伝えておくべきです。

     たとえば、「会社全体としての目標がこうなっているから、君にはこれだけがん
     ばってほしい」とか、「営業ステップのあがった2社に対しては、自分自身(上
     司)も同行して、必ずクロージングするつもりだ」といったこともあらかじめ伝え
     ておきます。

     そのように伝えることによって、指示内容がより明確になるだけでなく、部下は
     自らに出された指示を「点」としてではなく、「線」で捉えられるようになり、その
     指示の重要性をより深く認識することができるのです。

     現在社内で起こっていること、置かれている経営環境などを、メールなどを
     使って社員と日々共有しておくことで、社員は指示を受けた際にその指示の背
     景を理解しやすくなります。

   3.動機づけも同時に行う
     また、指示を出すだけでなく、同時に動機づけも行いましょう。

     その際にはあまり難しく考える必要はありません。  

     「君の能力ならこれくらいは十分可能だろう」とか、「これができたら会社への
     貢献度はとても大きいよ」などといった一言を添えるだけで、社員のやる気は
     格段に高まります。

     どのような社員でも「評価されたい」という気持ちを強くもっています。

     日頃から部下への期待感を伝えておくことは非常に重要です。

   4.部下が指示を理解したかを確認する
     指示を伝える際には、部下がその指示内容を理解しているかをきちんと確認
     します。

     その際には、指示の目的や背景を復唱させてみるのが効果的でしょう。

     また、指示を出した事項について、その結果をいつまでにどのような形で報告
     させるかについても、伝えておくことが大切です。

     上司としては、結果が出たらすぐに知りたいと思っていても、社員は「次の営業
     会議で報告すればよい」と考えてしまい、報告のダイミングが遅れてしまうこと
     もあり得るからです。

  □自分を正しく知ってもらうために
   社長にとって重要なコミュニケーションとして、最後に紹介したいのが、「自分自身
   について、社員に正しく知ってもらう」ということです。

   人間は「あの人はこういう人だ」ということを認識したうえで、その人との適正な距
   離感を保とうとします。

   社長がいくら「自分は社員のことを本当に大切に考えている」と思っていても、社
   員に「社長は社員に冷たい」あるいは「何を考えているのかわからない」という印
   象を与えてしまっていたら、コミュニケーションは深まりません。

   1.自分が知らない「自分」がいる
     実は「自分」が認識している自分と、「周囲」が認識している自分はまったくの
     別物です。

     この差が大きいほど「社員は社長である自分を理解していない」ということにな
     ります。

     これは提唱者の名前と四角いその形から、「ジョハリの窓」と呼ばれているも
     のです。

     このうち
      A「開いた窓」とは、自分も周囲も知っている自分です。

      B「隠した窓」とは、自分は知っているが周囲に隠している自分です。

      C「見えない窓」とは、自分は知らないが、周囲は知っている自分です。

     たとえば、自分では社員を大切にしているつもりなのに、社員からは「社長は
     社員に冷たい」と思われている場合などは、社員はこの窓を通じて社長の姿を
     見ていることになります。

     最後に
      D「未知の窓」とは、自分も周囲もまだ気づいていないまさに未知の自分で
      す。

     自分自身が考える自分とは、この図のAとBの窓から見える自分のことです。

     一方、周囲が考える自分とはAとCの窓から見える姿になります。

     それぞれが違う窓から自分を見ているわけですから、そこにズレが生じる、つ
     まり「社長が社員から理解されない」というのは、程度の差こそあれ、どの会社
     でも起こっていることなのです。

   2.「開いた窓」を大きくしてみる
     では、できるだけ正しく社員に自分を理解してもらうにはどうすればよいので
     しょうか。

     図のように「開いた窓」を大きくし、「隠した窓」、「見えない窓」を小さくして
     やることです。

     このようにすれば自分自身が知っている自分(AとB)と周囲が知っている自分
     (AとC)の差が小さくなり、両者の理解が近づき、より密接なコミュニケーション
     が可能になるのです。

     まず、「隠した窓」を小さくするためには、社長自身が胸に秘めていることを社
     員に積極的に伝える必要があります。

     たとえば、「社員のことを大切に思っている」ということをもっときちんと伝えて
     みるのです。

     また、「見えない窓」を小さくするためには、社員が社長に対して言いにくいこと
     でも言えるような状況をつくること、つまり自分の欠点などを指摘されても、そ
     れにきちんと耳を貸す謙虚さを示すことなどが重要になります。

     社員にとってやはり社長は絶対的な存在です。

     なかなか社長の欠点などを指摘することはできません。

     そして、その欠点に社長自身が気づいていなければ、社員との溝は埋められ
     ないことになります。

   3.社員のことを知りたいという姿勢も見せる    
     ここまで紹介したのは「いかに自分のことを社員に知ってもらうか」ということ。

     しかし、相互理解の観点からは、社長も社員一人ひとりについて、深く理解す
     ることが理想です。

     そのためには、社員とじっくり話をする時間を取り、社員一人ひとりの「開いた
     窓」を広げてやることが大切になります。

     しかし、社員数がある程度の規模に達すると、そのような時間をとることが難し
     くなってきます。

     そのような場合でも、「定期的に何人かの社員とランチをとる」、「特に心配な
     社員には社長自らメールを送る」などして、「社長は社員のことを知りたがって
     いる」という姿勢を見せることは大切です。

     また、日々の業務のなかで報告や相談を受ける際にも、忙しさにかまけて、
     「まず結論から言え」とか「忙しいから要点だけ」を連発してしまうことは、でき
     れば避けたいものです。

     もちろん業務報告は「まず結論・経過の順に伝え、背景などは要約して手短に
     する」ことが基本です。

     しかし、それがあまりに度を超すと、社員は、社長から「おまえの報告など、忙
     しいおれの時間をたくさん割いて聞く価値がない」と言われているように感じて
     しまうこともあります。 

     そして、社長にそのように思われていると感じた社員は、社長に対して一定の
     距離感をもつようになってしまいます。

     したがって、どんなに忙しくても、「忙しいから話は聞けなくて当然」ではなく、
     「じっくりと話を聞きたいけれど、今は時間がなくて本当に申し訳ない」という姿
     勢だけは社員に示すことが必要でしょう。

     社長が忙しいことを社員は皆知っています。

     このような姿勢を示すことで、社員に余計な誤解を与えずに済むのです。

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はがきコミュニケーション

          

はがきコミュニケーション


  ■文字コミ

   ある調査で、年賀状などを除いて年にどの程度ハガキを書くか尋ねたところ、「0枚」
   と応えた人が最も多くて41%だった。

   この数字からもわかるように手紙ひとつ書くのも大変だが、みんなが敬遠する文字
   コミには二つの注目すべき長所がある。

   一つは低い競争倍率、もう一つは高い伝達能力です。

   面談のきっかけづくりのために同じ苦労をするなら、ライバルが敬遠する方法を選ん
   だほうが得策、かつ効果的である。

   しかも競争倍率は下がる一方だ。

   つまり、レターの効用はみんながやらない点が第一である。自分という存在を注目
   してもらう、特徴や個性を理解してもらう、そしてライバルと比較してもらうことであり、
   これには自筆の手紙を書くと大きな効果が期待できるのです。

      「短く書け、ハッキリ書け、絵で書いたように書け」です。

  □レター作戦三つのタブー
   1.省力化という名の手抜き
     同一の内容、大量に印刷、一斉に発送。これらはすべて受け手に黙殺される
     原因となる。

     時間、手間、経費的な効率のみを考えていては自分を売り込み、自社商品を
     売り込むためのツールにはならない。

     たとえ字が拙くても、心をこめたメッセージであれば一対一の「さし」の関係を
     つくることは可能だ。

   2.一方的で中身が乏しい内容
     差出人の「顔」、受け手の気持ちを思い計る熱意、平均値を打ち破るパワー、
     の三つがないものは無視される。

     個人的に出すハガキは、上に「超」がつくほどパーソナルなコミュニケーション
     メディアでなければ価値がない。

     効果があるDM(ダイレクト・メール)とは「ダイレクト・メッセージ」の略である。

   3.見てくれよりタイミング
     すかさず、のがさず、おくれず、やめず。

     営業レター成否のカギはタイミング。

     内容や見栄えに気を取られ、つい油断すると時期を逸してしまう。

     スピードで内容をカバーできても、その反対はまずあり得ない。

     セールスという仕事は、効率ばかり考えていてもうまくいくものではない。

     時間をかけずに、「すぐにでも商品を売りたい」といった短絡的な気持ちは相手
     に見透かされてしまう。

     しかし、だからといって時間をかけて通い詰めれば、それがそのまま成績につ
     ながるとは限らない。

     実働時間も短くなりつつある。

     となれば誰だって無駄なことはしたくない。

     できるだけ効率よく、できるだけ成果が早く出る方法があればと思うのも人情
     でしょう。

      (1)顧客への接触度合いを高めること
      (2)仕事の効率化を図ること

     この二つの相反する問題を解決するのに役立つ方法はないものか。

     そんな声をしばしば耳にするが、実はある。

     ハガキを出せばいいのです。

  □御用聞き(用がない状態)の打破
   直接会う、あるいは電話するというアプローチに比べて、ハガキは次の点でメリットが
   ある。

    @ 時間や経費的な損失が小さい
    A 接触しやすくて嫌われにくい
    B 用がなくても声をかけられる

   きっかけをつくるためには、用がない状態を脱する必要があります。

  □きっかけのタネまき
   ハガキを使って「用がない」状態を越えようとするときに、相手の気持ちをよく考え
   ることが大切になる。

   具体的には、
    (1)相手が「自分のために」と実感する内容であること。
    (2)商売ッ気を抜きにした誠意ある内容であること。

   「相手のため」と「売り込まない」を意識すれば、必ずピンとくるもの、書いて出そうと
   いうものは見つかるでしょう。

   何かアドバイスを受けたら、必ずその結果を報告するとよいでしょう。

   相手への礼状。

   「そうか、そうだったか」と言われるくらい、できるだけ早目に出すことが大切。

   その経過や出くわしたいろんな話を伝えると喜ばれます。

   このように、なんらかのきっかけを足掛りにして接触を深めていきます。

   ときには、仕事という枠を離れてビジネスチャンスをつくるのも営業の仕事なのです。 

   そのためにも、あえて「用もないからこそ」ハガキを出す習慣をつける必要があるの
   です。

   手紙・ハガキはワザワザ書いてくれたんだと思うもの、“ワザワザ”が入っているから
   好意が倍増する。

    ・超私的な情報の発信

   読まれるハガキを書くのに求められる要素には次の2つがある。

    @発信者の「顔」
    A情報を発信する人間の意欲と熱意

  □工夫
   1.継続するための工夫
     ハガキを営業活動に使って成果を上げようとするなら、とにかく縦続すること。

     そして同時に、継続できるような工夫が大切です。

     なぜなら、
      (1)数回程度ハガキを出すだけでは相手に通じず、認知もされない
      (2)粘り強く発信することによって少しずつ相手との距離が縮まる
      (3)労を惜しまずに書くという姿勢と実績が相手の心を動かす

     営業ハガキは中身ももちろん重要だが、継続による積み重ね効果を最も重視
     すべきです。

     だが、継続はけっして楽ではありません。

     それどころか、すぐに怠けたくなるのが人間の本性であり、続けられない理
     由、つまり言い訳も簡単に見つかる。

     したがって、継続できるような工夫をしなければ、ちょっとぐらいの心掛けでは
     すぐにダウンしてしまいやすい。

   2.パッと書き出す工夫
     継続の工夫は「事前の用意」である。

     書かなければと思う気持ちを邪魔するのは、ハガキに向かうまでの煩わしさに
     象徴されるように、“助走”の部分で手間取るためである場合が多い。

     そこで、スムーズに運ぶようにするには次のようにする。

      (1)デスク、カバン、車、上着のポケットなど、思いつくところにつねにハガキ
               を準備しておく。

      (2)あらかじめハガキの裏面(通信文を書く面)にケイ線やマス目、または独
        自のフォーマット(前略ハガキなど形式化したもの)を入れてすぐ書けるよ
        うにしておく。

      (3)名刺を交換したら、忘れないように裏に「一番印象に残ったこと」か「ひと
        こと言いたいこと」をメモする。

        できるだけ具体的に書き留めるとあとで活用しやすい。

      (4)「面談後すぐに」か「その日の退社時までに」ハガキを書く。

        文章が思いつかなければ、宛名だけでも書いてしまう。

      (5)お礼、お詫び、連絡などの状況に応じて使える定例文をつくり、部分的に
        アレンジする場所をマークしたお手本を用意しておく。

      (6)「拝啓、秋風とともに」云々の形式を一切やめて、すぐに要件から書く。

        多少雑で、乱暴で、稚拙でも、納得いかなくても、とにかく書いてしまう。

   3.極力失敗しない工夫
     「失敗の防止」である。

     これには次のような点に注意します。
      (1)ハガキの裏と表、上と下とをよく確認する。

        せっかく通信面を書いたのに表をひっくり返すと天地が逆。

        こういった失敗は大きなダメージとなる。

      (2)要件から書いていく。

        最初に結論、次に説明、さらに余裕があれば補足、という順序で。

        こうすれば、万一書くスペースが足りなくなって最後が尻切れになっても
        大丈夫です。

        伝えたいことが書けたらとりあえずそれでよし。

        逆の場合の失敗は、たいてい余計なことが先にくる。

      (3)通信面だけで文筆がまとまり切らない場合、表面にも書くか、それでもダ
        メなら二枚書く。

        こうすると相手に失礼ではないかと考えるかもしれないが、けっしてそうで
        はない。

        むしろ親近感すら感じてもらえる場合も少なくない。

        あまり形式ばって考えない。

        要は書いて出し、それが届くことが先決。

      (4)字を書き間違えたり書き損じをしても、絶対に書き直さない。

        市販されている「はがき用ペン修正液」を使えばほとんど目立たずにすむ
        ので、その部分だけ塗って訂正する。

      (5)ハガキ一枚を書くのに要する時間は三分までにする。

        長くなるとイヤになるし、負担になれば結果的には失敗である。

        したがって、表現を選ばないで最初に浮かんだ言葉で一気に書き上げて
        しまうクセをつける。

   4.「手抜き」する
     いい意味の「手抜き」である。

     とくに勧めたいのが、せっかく苦労して書いたハガキは必ず控えを取っておく。

     さんざん苦労したハガキをボンとポストに投函してしまったが最後というのでは
     あまりにももったいない。

     次のハガキを書くときにまた同じような苦しみを味わうのは損である。

     自分の書いたものは最良のお手本、使い勝手もいいのでコピーをとっておく。  

     【控えを残しておくメリット】
      (1)同じような文面を考えるときに、最初から頭を悩ます必要がない。

        お礼やお詫び、報告、連絡、相談、お願い、案内など、ハガキを出す目的
        はそんなにバリエーションが多いわけではない。

        それぞれ、標準的なものと、ちょっと変わったものとの二種類あれば十分
        役に立つ。

        あとはその二つを参考にしながら、必要に応じて部分的にアレンジすれ
        ばいい。

      (2)ハガキを投函した日に合わせて、営業日報やシステム手帳(この場合は
        縮小コピー)に貼っておけば、相手先からの電話や対応にもあわてずに
        すむ。

        何日かして突然、「先日のハガキの件だが」と言われて「どんなこと書きま
        したか?」では逆効果。

        記憶より控えが確実。

     (3)内容が前に書いたことと同じとか、重複する部分が多いハガキは相手の
       印象を悪くしがちである。

       まずいことに、ハガキの内容というものは出す側より受け取る側のほうがよ
       く覚えているものです。

       その失敗を防ぐためにも、記憶にたよらず、控えを見て確認するほうが気
       楽で、しかも間違いが少ない。

  □違いを感じさせる
   1.差別化
     重要なのは、
      (1)ハガキの書き手である営業マンの存在を感じさせること。
      (2)そのために、とにかく何かで差をつけることである。

     なんでもいいから、よその人とは違うように、違うようにと考えたい。   

     ハガキで営業マン自身のメッセージを発信するなら、パーソナルな情報の提供
     だけに絞り切る。

     この考え方に徹すると突破口が開けてくる。

   2.文字以外で目を引く
     具体的な提案として、パーソナルな情報を提供するのに、文字以外のものを
     ハガキに盛り込むことを考えてみる。

     たとえば、
      @カラー写真を貼る
      A新聞や雑誌の切り抜きを貼る
      Bパッケージを貼る
      C見本の一部を切って貼る
      D現物を縮小コピーして貼る

     この他、頭をやわらかくして考えれば、いくらでもアイデアは出てくるはずです。

     【成功事例】
     @カラー写真を貼る
      住宅メーカーの営業マンは施主が契約後、遠方に単身赴任をしたため、工
      事の進み具合を確かめられずにいた。
      そこで工事現場の様子を同じ位置からカメラで撮り、写真をハガキに貼って、
      完成まで毎月送り続けた。
      ちなみに添え書きは「今月はここまで進みました」のみ。
      だが施主からは「わざわざウチのために、しかも毎月」と感謝され、二人の知
      人を紹介(その後成約)してもらったという。

     A新聞などの切り抜きを貼る
      ソフトハウスの営業マンは知名度が低くて苦戦していたところ、アプローチし
      ていた会社の営業部長が刀剣マニアであることをたまたま知り、関連する新
      聞記事や雑誌の情報を切ってハガキに貼りつけ、おりある毎に送った。

      出張時には骨董店に寄って情報を収集し、マニアだけの品評会があるという
      ニュースも提供。
      書く内容は刀剣のみに徹した。
      やがて、相手先から「システムの変更を検討しているので、いちど詳しい話
        を」との電話が入る。
      決裁権をもつ営業部長に気に入られ、競合他社を抜いて契約にこぎつけた
      という。

     B現物を縮小コピーして貼る、見本の一部を切って貼る
      面談嫌いの相手が読書好きであることを聞きつけ、共通の話題をつくるため 
      「今週はこんな本を読みました」というハガキを出し続ける。
      書籍の表紙を縮小コピーしたものをハガキに切って貼りつけ、短いコメントを
      書き添えた “手づくり情報が目を引き、面談に成功したという。

   3.相手の関心事を重視
     ハガキを受け取る側にしてみれば、読む・読まないの判断はハッキリしてい
     る。

     次の4つのうちのどれかがあれば読む可能性は高い。
      (1)もらう理由があるか
      (2)もらって役に立つか
      (3)もらってうれしいか
      (4)もらって楽しいか

     「相手にとって」と「その人だけに」が必須条件である。

  □ハガキ=文字
   その発想を破って、写真や紙、ものによっては布やシールを貼りつけ、脇に短いコメ
   ントを書き添えると、注目率はグツとアップする。

   たった一人のためにわざわざ。

   その手間ひまを惜しまないところに、ハガキを送った人の気持ちが伝わるのです。

   そこで、オリジナリティをプラスして「型破り」に挑戦するのに、いくつかのヒントを事例
   とともに紹介します。

   @黒以外の色にする
    「前略葉書」のパターンをふつうにコピー、もしくは印刷すると黒色だが、季節に
    合わせて色を変えてみる。
    コピーショップで好みの色を指定するのもいいし、プリントゴッコのような簡易印
    刷器で季節感あふれる色に刷るのも注視効果がある。

   A名前やデザインを変える
    「前略葉書」をアレンジして「冠省葉書」や「さわやか通信」、「ご無礼ながら柴田
    ○○です」など。
    デザインも横書きや縦の罫線だけのものなど、自分に合ったスタイルにする。

   B自分の似顔絵を入れる
    イラストはアイキャッチャーとなり、存在感を訴えるのにも効果的。
    シンプルで親しみやすい感じにすると目を引く。

   C写真を貼る
    一枚のカラー写真があるだけでビジュアル度はグンと高まる。
    全面びったり貼っていても、サービス判程度なら料金内で届く。

   D現物を貼ったり絵を描く
    桜の花びらを文章に添えて貼ったり、パースを縮小したものを貼りつける。
    簡単なイラストをあしらうのも気が利いている。

   ハガキを超私的な営業ツールとして活用すべし、ということです。

   そう提案する最大の理由は、効果があるから、やって損なしだからです。

   ハガキを書いたが勝ち、というのが結論でもある。

   なぜ効果があるかを説明すると、ハガキをはじめとする「文字コミ」は競争倍率が低
   く、しかも伝達能力が高いからである。とくに、競争倍率の低さは注目に値する。

   多くの営業マンはたいへんな筆不精で、とにかく文字を書かない、あるいはすすんで
   書こうとしない。

   ということは、書くだけで差がつく。

   ライバルが敬遠するのを尻目にどんどんハガキを書けば、それだけで目立つ。

   しかも競争倍率は下がる一方。

   さらにハガキを書いていると、次はどのようにアプローチすべきかも頭に浮かんでくる。

   このように、ハガキを書くといろんな面で違ってくるし、変わってくる。

   気づくこと、発見すること、感動すること、刺激されることなど、実に多い。

   低い競争倍率、しかも、その数字は下がる一方という現実。

   辛抱強くやり続ける者にビジネスチャンスは必ずやってくる。

   それはわかっているはずなのだが、ほんのしばらくで、あるいは少し我慢しただけで
   書くのをやめてしまう営業マンが跡を絶ちません。

   実に残念なことです。

   文字によるコミュニケーションの効果は性急に求めてはならない。

   ハガキを一、二度出したくらいで「書いてもなかなか反応がない」と決めつけない。

   売り込みの言葉ばかり書いて先方の気を引こうと考えてはだめだ。

   むやみに即効性を期待しないことです。

  □ハガキは「約束と拙速」
   ではどうすれば書き続けられるのか。

   解決策として、
   (1)苦労して考えて書いたハガキはコピーを残すこと。
     自分の書いたものが手元にあれば、後で同じような内容の手紙を出すときに
     は、それをアレンジして書けるので助かる。

     同じ苦労はなるべくしないために、工夫することで継続につながる。

   (2)ハガキを出す際に、自分から勝手に約束すること。
     そしてその約束は必ず守る。

     訪問したときに相手がいなかったり、短い時間でも会えたら会えたで、商品に
     興味をもってもらえたらもらえたで、とにかくそれを材料にハガキを書き、同時
     に次はこうしますと約束をする。

     これで次のハガキが書きやすくなり、自然と続く習慣がつく。

   (3)拙速。
     拙速という言葉の意味は「へたでもできあがりの早いこと」である。

     中身よりスピード優先、早い者勝ち、明日の100点より今日の60点。

     「あとで」と思ってもまず実行できないのが人間の弱いところで、それを許さな
     いための考え方である。

        要はとにかく書いて出すことが重要なのだ。

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