〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
・自社のコンセプト
・商品の短命化とビジネスチャンス
・製品・サービス戦略
・自社の価値と商品の価値
・新商品開発と商品コンセプト
・企業コンセプトを確立する
■自社のコンセプト
企業経営において自社のコンセプトを確立することは非常に重要です。
コンセプトが不明確であったり、頻繁にブレが生じている状態では、新規顧客の心をつかむことは
難しく、また、リピート客へも不満や不安を与えることになります。
□自社コンセプトの確立手順
1.コンセプトの重要性
コンセプトとは自社の特徴を簡潔な言葉で示したものです。
「自社は○○業です」というだけでは、たんに自社の業種・業態を「名刺」のように示したに過ぎ
ません。
コンセプトとは、その事業を通して「自社は何をやろうとしているのか」が、新規顧客に対しても
十分に伝わるものでなくてはなりません。
また、コンセプトを明確化することは、競合他社との違いを理解してもらうことでもあります。
「その他大勢」に埋もれることなく、顧客に関心をもってもらうためには、コンセプトによって
「自社ならでは」の特徴を鮮明にする必要があります。
関連性のある言葉として、「USP」、「売り」、「付加価値」「ポジショニング」などがあります。
2.コンセプトに求められる3つの要素
たとえば、ある飲食店が「豊かな食生活でお客さまを幸せにする」という方針を掲げていたと
しても、それ自体ではコンセプトには成り得ません。
コンセプトは具体的でわかりやすく、かつ顧客にとって魅力的でなければなりません。
そのためには、「誰に対して」、「何を」、「どうやって」提供するかという3つの要素を備えておく
必要があります。
・誰に対して(ターゲット)
自社はどのような特性をもった顧客層(ターゲット)に向けて事業を行いたいのか、どの
ようなニーズをもっている人をターゲットにしたいのか
・何を(ベネフィット)
ターゲットのニーズを自社の商品のもつどのようなべネフィット(便益)で満たすのか、
商品にどのような価値を感じてもらうのか
・どうやって(根拠)
ベネフィットを可能にする自社独自の技術・ノウハウは何か、競合他社に比べてどの部分に
優位性があるのか
上記の3つの要素を踏まえて、前述の「豊かな食生活でお客さまを幸せにする」という方針を
具体化すると、たとえば、
・食の安全に関心が高いファミリー顧客に対して(ターゲット)、
・厳選素材を使ったオリジナル料理でおいしさとヘルシーさを(ベネフィット)、
・自社独自の調理ノウハウ、オリジナルソース、高い接客技術で(根拠)提供するという
コンセプトとして再定義することができます。
コンセプトを明確化することによって、顧客はこの飲食店が自分に対して何をしてくれるのかを
鮮明にイメージすることができるのです。
□ポジショニング
コンセプトを明確にする際には、その商品・サービスを、どのような相手に、どのように販売するか、
を設定することです。
自社の考え方を相手に伝える際にもよりわかりやすく表現することができます。
顧客ニーズが多様化・複雑化している現在、販売の土俵を決めて戦力を集中しなければなりません。
万人を対象に、あなたの扱う商品・サービスを販売すべきではありません。
市場のどこで勝負をかけるか、「販売する土俵」(他店と違う土俵)を設定することがポジショニングです。
□SWOT分析と事業領域(ドメイン)の決定
自社の外部環境分析と内部資源分析を行い、強みと弱みを把握します。
そして自社の事業領域(戦うべき市場)を設定するためには「どのような顧客集団(who)の」「どの
ようなニーズ(what)に対して」「どのような方法・技術(how to)で」が必要不可欠です。
中小企業の基本戦略のひとつは専門化です。
品揃え豊富なデパートを目指すのではなく、専門店を目指します。
この実現のためにも顧客に提供する製品やサービスの独自性を強めることです。
ニッチ市場でオンリーワンの地位を築けば、必然的に競争は回避され他企業に対し優位性を確保
できます。
限られた現有資産の中で確実に収益をあげるためにも、場当たりな自己流を断ち切ることが急務です。
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■製品・サービスの独自性(差別化要因)を作る 日本で作れるものは、今では中国などのアジアの国々で簡単に作れるようになった。 日本の加工技術が世界に輸出されたからですが、そのことが裏目に出ている現実 があります。 日本の技術の要、ノウハウまでもが真似されてしまっていることが実態です。 例えば、日本の大手電機メーカーが、アジア地域を拠点とするある工場に生産 委託してテレビを造っていた。 しかし、その製造方法を習得した現地会社は、同じ製造ラインで造ったテレビを 別のブランド名で、それもなんと日本に輸出しているという。 もともと日本から渡った技術が真似され、日本にフィードバックされ、市場を 乱す原因となってしまったのです。 日本でもアジアでも、どの企業もある一定の技術レベルやサービスレベルは持って います。 持っていなければ、持っている会社とコラボレーションすれば良いわけです。 だから、世の中は似たような製品・サービスだらけになってしまったのです。 こうした状況の中での問題は、このように増えた供給元(メーカーやサービス提供者) がすべて経済的に成り立つかということです。 つまり、供給過剰の問題です。 だから今では、大手メーカーといえども企業合併を繰り返して、資本力や技術の 相乗効果を利用して競争力をつけようとしているのです。 企業が大きいことは確かに良い点もありますが、大きさだけでは生き残っていけ ません。 なぜならば、さらに市場シェアの大きな会社が登場すればそれで終わりだからです。 そこで、重要とるのが、会社の独自性や差別化となる要因です。 製品やサービスを開発する場合には、その会社しかできない独自性を持つことが 重要なのです。 そうでなければ、資本力のある会社が、同じ製品をすぐに作り出して市場を制して しまいます。 食品メーカーの競争などはその良い例でしょう。 その会社しかできない差別化要因をもつことで、競争力がつくのです。 また、差別化要因が会社の位置づけとして決定し、顧客への浸透が進みます。 つまりブランド化です。 ですからあなたの会社では、何を差別化要因とするのかを徹底的に考えてもらいたい のです。 マーケティングとは、差別化要因を見つけ、それを具現化する作業と言い換える こともできるのです。 □コンセプトをつくる 製品、サービスを独自化するには、コンセプトづくりが大事です。 コンセプトとは、直訳すると「概念」と言えます。 ひと言で言えば、“ものごとを生みだすワンメッセージ”です。 「分かりやすいユニークな特徴をワンメッセージで表した、新たな気づきを 起こさせるもの」。 すべてがこれに集約できます。 なぜなら、分かりやすくなければ伝わらず、さらにユニークでなければ多くの人は 気づくことはありません。 評判にならないし、多くの社員を動かすこともできません。 この定義を内包したワンメッセージがコンセプトといえます。 例えば、今や工業製品や電化製品の分野などでは、どの会社でも技術力があり、 製造能力もあり、品質が高いものを生産することは可能だと言えます。 自動車業界も見れば分かる通り、1社がある新車で大ヒットをとばせば、 半年も経たないうちに他社が同じ仕様の自動車を投入してきます。 すると、もはや自動車メーカーの競争力の源泉は、技術力ではなく、デザイン であったり、ブランド力であったり、その自動車のフィーリングが大きな部分を 占めることになります。 このような他社には真似が難しいソフト(アイデア) 部分ならば、独自の差別化 をすることが可能です。 □コンセプトづくりの3つのポイント コンセプトづくりのポイントは、3つのポイントを押さえて検討することにあります。 ひとつは、ターゲット。 これは、購入するべき顧客層は誰かということです。 誰が購入すると最も高い価値を感じるかを考えてみましょう。 2つめは、利便性です。 マーケティングではベネフィットといっています。 これは、商品、サービスを得ることで、一番の利便性はどこにあるかを考える ことです。 購入する目的は、何らかの利便性を得るための消費活動であるので、それを追求 するのです。 しかし、ここで注意しなければならないのは、実用的な利便性よりも、その背後にある 購入の心理を読むということです。 これは、アンケート調査結果なども参考にして、未来の種をつかみましょう。 最後の3つめは、気づきのキーワードです。 これは、コンセプトは意外性が高くないと一般には浸透しません。 だから、多くの消費者が共感する、意外性のあるキーワードを導き出してみるのです。 このワードは、最終的にプロモーション展開をする時に参考となります。 このように3つのポイント、ターゲット、ベネフィット、気づきのキーワードを考える ことで1つのコンセプトの柱が整理されます。 それをワンワードで置きかえてみれば、コンセプトになってきます。 少し古い例ですが、任天堂 Wiiの開発コンセプトを考えてみます。 1.ターゲット:幼児〜小中学生層から大人まで包括する 2.ベネフィット:家族のみんなが楽しめる面白いゲーム 3.キーワード:お母さん 4.コンセプト:“お母さんに嫌われないゲーム” □コンセプトを理解しよう コンセプトづくりは、製品開発やサービス開発の要であす。 このコンセプトが明確になることで、マーケティングプロモーションやチャネル 開発が分かりやすくなります。 例えば、広告コピーの考えの背景となるのが、このコンセプトになるのです。 また、重点的に強化するチャネルなども、このコンセプトが柱になっています。 だから、多くの人が携わるマーケティングでは、最初のコンセプトづくりが重要な ポイントとなるのです。 地面に深い根をおろすことで、大木となるように、コンセプトは、深い根の柱であり、 これができれば、あとは大きくなるのを待つだけなのです。 □パッケージ力を高める パッケージとは、もともと梱包や包装することを言いますが、もう少し大きな意味で 捉えてみましょう。 ここでは、様々な技術、要素を1つのまとまり、固まりとして見せていくことができる という意味で考えるといいでしょう。 例えば、同じ技術であるならば、顧客は当然魅力的に映るほうの商品を選びます。 そこで様々な技術、サービスを集めて、このようにすれば活用できるということを 世の中に問わなければなりません。 これがライフスタイルの提案です。 例えば、アップル社の「iPod」について考えてみましょう。 アップルのデジタル機器が入っている箱は、黒をベースに、製品写真、ロゴが シンプルに配置され、非常におしゃれです。 彼らは、箱まで含めて商品であると考えており、そこには当然友達にプレゼント するとか、子供の記念日にあげるといった需要も含まれています。 商品を貰ったときに、思わず喜んでしまうという、サプライズまでを予想している のです。 また、 iPodそのものが非常におしゃれです。 品質ももちろん大事だが、それ以上にデザイン性が問われる時代なのです。 黒と白を基調としたカラーリングは、他人に見せてもかっこいいと思わせる、 感性に訴えかけるフォルムをしています。 さらに、ライフスタイルの提案は、iPodだけの提案だけにとどまりません。 iPodに音楽データを転送するためのパソコン上で動くソフトウェア「i-Tunes (音楽管理ソフト:アイチューンズ) 」を用意したり、音楽をネット上から購入 するための「iTunesミュージックストア」の立ち上げなど、トータルなライフスタイル の提案をしている点も重要です。 これら iPod、iTunes、iTunesミュージックストアは、アップル社が2001年に “デジタルハブ”というグランドデザインを描いており、この構想がベースになった ようです。 デジタルハブ構想とは、 “パソコンは画面サイズ、処理能力、扱いやすさなど、 どれをとっても優位であり、将来的にはパソコンをコアに周辺機器が連携されて いくと予想した将来像”です。 この構想を元に新規のビジネスモデルを次々と打ち出してきたのが、iPodと その周辺サービスなのです。 アップルは、このパッケージという概念をよく理解しており、消費者のニーズを 満たす便利な商品とサービスをワンパッケージで提案しているのです。 このパッケージとは、これからさらに重要なキーワードになると思われるので、 次にもう少し詳しく説明します。 商品、サービスをどういう形で提供するか 企業が顧客に商品やサービスを提供する 形には、分類のしかたにより様々な分け方があるが、顧客ニーズから考えた切り口は 3つあると考えています。 1つは、部品や素材で提供するパーツ型。 そして、2つめは、ソリューションで提供するやり方。 最後の3つめは、パッケージで提供するやり方。 パーツ型:最終商品、製品ではないが、その商品、製品の元となる 部品や材料を提供するパターン。 ゴム素材や食品の原材料、電子機器のパーツなどがこの 部類に入るでしょう。 ソリューション型:1つの商品、製品、サービスだけでは完結せず、 得意な部分を持ち寄って複数の組み合わせで 提供するパターン。 これをソリューション型と定義します。 課題解決型とも言え、パッケージ型と違うのは、 あくまでも解決、改善に向けてのそれぞれの 立場での提供という従来の枠組みを出ない ところにあります。これは、IT系メーカーが 機器を持ち寄ってソリューション提供する パターンなど代表的なものですが、顧客サー ビス、アフターフォローは、それぞれの会社が 個別に請け負うことになります。 パッケージ型:モノだけの提供ではなく、その製品の活用方法など のアフターサービスも含めたものをワンストップで 提供するパターン。 これをパッケージ型と定義します。 アップルは、まさにこのパッケージ型であり、機器の 提供からアフターフォロー、活用の方法の提案まで を、1企業だけで実現しているのです。 このようにモノを提供する場合、3つの型のどれか、あるいは複合して提供する ことになります。 近年では、パッケージ型の優位性が年々高まってきています。 なぜなら、私たちの生活を彩るためには、1つの製品、1つの商品だけでは不十分 であり、すべてがグループとして機能する必要があるからです。 例えば、あなたが映画館のように自宅でホームエンターテインメントを楽しみたい とすれば、映画を映すプロジェクター、音や映像を再生する機器としてアンプや スピーカー、また、映像を映すスクリーン、さらには肝心の映画ソフトなど あらゆる要素の機器、機材が必要になります。 これをユーザーがすべて自分で調達し、自分でセッティングしてやっと映画が 見られる環境を作り出せるのです。 オーディオマニアならともかく、一般の、オーディオにあまり興味のない人達が すぐに映画館と同じ環境をつくり出すことは不可能です。 最終目的は1つだけ、映画を鑑賞して喜びたい、満足したいだけでなのです。 それなのに、そこに至る過程は困難なのです。 だから、最終的にユーザーは、簡易的に映画館の環境がつくり出せるパッケージ商品 や個々の機器をパッケージにして提案している大型家電量販店などにますます 魅力を感じるようになったのです。 これは、製品の話に限ったことではありません。 ショッピングセンター“ららぽーと”ににある食堂はビュッフェ形式で、あらゆる 食のニーズを満たす食堂の店舗が入っています。(しかし今はコロナウィルス により中止となっています。 ここでは、食べたいものを各店舗の調理場窓口に行って注文する。 食べる席は自由であり、好きな食べものを好きなところで食べることができるのです。 これなども、食べるという行為をパッケージにして、1カ所で好きなものを注文 できることを売りにしたサービスといえるでしょう。 例えば、ラーメンを食べた後に、少し甘いものを食べたいこともあるでしょう。 そういう時、席を移さずに、1カ所でそのまま食べることができるのだから便利 になったものです。 しかも、入っている店舗は、全国から選ばれた名だたるお店なのです。 よくあるスーパーマーケットのフードコートとはまったく違うコンセプトで運営 されている。 今後の製品開発やサービスは、パッケージで提案できる企業が優勢になります。 また、パッケージで提案できないならば、複数の企業が自社製品を持ち寄って パッケージにして提案すればよいのです。 「ワンパッケージ」 や「ワンストップ」 はこれからの消費で重要なキーワード になっていくでしょう。 □付加価値を高めた企業が有利 商品やサービスの提供方法に3つの型があることを提示しましたが、結局デジタル ミュージック市場でアップルが有利になったのは、他社にまさる付加価値感を提供 したからです。 付加価値とは、希少性であったり、差異性であり、期待性のことです。 この人しかできない、この会社しかできないという希少性。 そして、この製品はほかと違うという差異性。 また、この製品を触るとワクワクするとか、成長していることが分かるなどの期待性。 この3つの価値観が付加価値となって伝わったからヒットしたのです。 あなたの会社でも、 「パッケージ」 を念頭に置きながら、付加価値を高めた製品、 サービスを開発できないか考えてもらいたい。 お問合せ・ご質問はこちら
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「いいものを安く」をやめよう |
■価値を高める 実際、日本よりも技術力の低い国に競り負けているケースは枚挙にいとまがない。 つまり、今までは営業力がなくても技術力で売れていたのです。 しかし、今では海外では売り負けています。 外国人は、自分の疑問や主張をどんどん前面に出す。 はっきりと言いたいことを言い、聞きたいことを聞いてくる。 売り手側も顧客に対して、自社の優位性を猛アピールしているのです。 日本人は、この点が弱い。 顧客に価値を提供する際にも同じ弱さがある。 伝える情報に工夫がなく、顧客が判断するために必要な自社の優位性を伝える たとえば、ある飲食店の経営者が、次のような実験を行った。 顧客に同じ料理を提供する。 果たして顧客は、どちらの料理を「おいしい」と判断したのだろうか? 答えは明白で、説明をされて提供された料理のほうである。 それはなぜでしょう? 顧客は「説明を受けた料理」が「スッと出された料理」と違うものだと判断した なぜ顧客は、同じ料理を違うものとして判断したのか? それは、顧客に価値ある情報を与えたからです。 顧客は「どちらがおいしいか」という選択を迫られたとき、「説明された情報」 差別化は、常に「顧客の頭の中」で行われる。 売る側には、提供する価値の「説明責任」がある。 この説明責任を果たさなければ、差別化はできない。 価値ある情報を提供するからこそ、差別化につながるのです。 高付加価値を提供できるからこそ、高価格が維持できているのです。 国内を見てみると、こんなに高付加価値とおもわれる商品があるのに、価格に転嫁 過去の「いいものを安く」というスローガンが、今でも当たり前のようにいわれて 商品・サービスの値段について、考え方をいくつか取り上げてみましょう。 ②企画・開発・デザインの値段=ブランド力 ③販売の値段=需給のバランス ④「コト(ソリューション)の値段=問題解決力 ①〜④のように、商品・サービスの値段は「価値」で決まります。 自社の商品・サービスの付加価値を高めていくために、自社はどのような しかし、持っている技術を売る力(営業力)が弱い上、国内では競合他社が そこで、ある会社は自社の強み(技術力)を生かせるマーケットを、国内で そして、その会社は技術を提供する代わりに、弱みである営業力を補うた 海外にこの会社と同様の製品をつくることができる企業が少なく、高付加価 現在もまだまだモノづくりに集中して、それによって顧客を満足させようとす しかし、これからの価値提供は、「生産したモノを通じて、どのようなコト(お 行動や思考、思い出(体験)などのソフト面に価値を求めるように変化して この、「価値をつくり出すための商品提供」という視点が必要である。 商品やサービスを単なる“モノ”として売るのではなく、“コト(価値)”を売る しかし、儲かっていないのが実情だ。 これは家電に限ったことではなく、多くの業界で「高性能、多機能だけど低収 高い性能や品質が「高収益」につながっていないのです。 ここで言えることは、企業が提供している高性能・多機能・高品質に対して、顧 「多くのお客さまの要望に応えよう」「ライバルにあって自社にない機能だから ここで起こる最悪のシナリオは同質化だ。 “違っていること”をしているようで、じつは同じコトを提供してしまうのです。 顧客が望まない強みは、どれほどさまざまなスペックを付け加えても差別化に したがって、自社にはなく、ライバルが提供している価値であっても、顧客が望 やるべきことは、顧客が自社を選んでくれる理由を明確にし、それを磨くことで 顧客は「自社に何が必要なのか」、つまり、「自らの課題」に気付いていたで 顧客は多くの要望を口にするが、それが本当のニーズかと言えば、そうではな 時には、その要望自体が間違っていることもある。 「要望=ニーズ」ではない。 だから、売る側としては、客観的に顧客を見つめ、「顧客が気付いていない問 それが、「差別化」と「高収益」につながってきます。 このことに気付けない企業は永遠に「低収益」体質が続くことになります。 ただ顧客の要望に応えるだけでは、満足も不満もないゼロの状態である。 顧客の要望に100パーセント応えるだけでは、差別化にならない。 「顧客の言う通りにした」、ただそれだけの話である。 これでは、ライバルと同じ(同質化)だ。 顧客から見ると、どの企業も同じように要望に応えてくれているので、違いが もちろん、顧客の要望にすら応えられない企業に商機はない。 大事なことは、顧客の要望(期待値)を超えていくことです。 それによって、初めて差別化が始まる。 期待値を超えるために必要なことは、「顧客の課題をつかむ」ことである。 しかし、単に「御社(あなた)の課題は何ですか?」と聞いても、的確に課題を また、誰もが顧客の話を聞いて、問題点に気付けるわけでもありません。 問題点に気付くためには、顧客が持っている「判断基準」を知っておかなけれ そうでなければ、問題点を見出すことができないからです。 さらに、顧客が問題だと思っている“部分”だけではなく、それを取り巻く全体を そして、要望に応えた後の「全体に及ぼす効果」を見せることがポイントだ。 これができれば、顧客は「価格は高いけれど、あなたから買う」と言うでしょう。 なぜなら、自社の「提供した価値」がライバルの提供した価値を上回るからです。 つまり、目先のメリットより将来のメリットが大きいと示すことが、最も効果的な 顧客は、現在取引していない企業から自社の課題に気付かされて初めて、現 顧客の言いなりになるのではなく、顧客の課題を徹底的に考え抜き、「自社な また、こうした顧客の問題点に気付くことのできる社員を育成することが、企業 安く買いたいときはあの会社、難易度の高いものはこの会社などと使い分け 顧客への価値提供の第一ポイントは、顧客における、自社のポジションをどう このポジションづくりが将来、大きな差別化につながるのです。 もちろんここでは「この企業(人)は、高付加価値を提供してくれる」と認識して つまり「顧客が望み、競合相手が提供できない、自社が提供できる強み」を示 そのためには、ファーストコンタクトで提供する情報が大事だ。 顧客のマインドの中に、自社をどう位置づけるかを考えて、ファーストコンタクト このひと手間が、将来の高収益を生むのです。 “楽な道”に成果は落ちていない。 メッセージは顧客に伝わって初めて顧客の行動につながる。 差別化は、顧客の頭の中で行われており、メッセージで大切なことは「情報が 発信するメッセージで、集まる顧客が変わります。 安さを訴求するメッセージを発信すれば、安さを求める顧客が集まってくる。 そのため付き合いたい顧客を選定し、メッセージを発信しなければ戦略と実行 どの会社もライバル会社を研究し、取り組んでいないことがあれば、すぐに取 こうした「いたちごっこ」により、同質化が加速しているのです。 例えば量販店では、チラシ合戦が行われ、ライバルよりも安く商品を提供しよ ドラッグストアやホームセンターでもEDLPをウリにしはじめている。 差別化を行っているつもりが、同質化を加速させているのです。 これでは顧客は店や商品の違いが分からず、安ければどこでもよいという状 顧客はこのような状態に慣れてしまい、顧客の判断基準が「安さ」になってい 一方で、顧客は企業が発信する情報をいち早くキャッチし、自分の考えを発信 FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のクチコミに 1人の顧客が発信する情報の影響力は大きく、見ず知らずの人が発信した情 したがって、企業が顧客に対して提供する情報やベネフィット(顧客の利便性) SNSを駆使する顧客は、自社とライバルを比較し、最適な店(会社)はどこか 特徴的なメッセージを発信しているのは、西友の『KY TIMES』で、同社はこ 季節に合った話題を取り上げ、特集記事が中心となっている。 業界で月2〜3回発行するところを月1回(700万部)としたことで、チラシのコ 読み物としての情報提供により、顧客の興味を引くことで他社と差別化できて こうした事例のように、時代に合った情報提供が必要である。 「顧客が受け入れるものは何か」「反応率が上がるメッセージは何か」を、ライ ある中小企業では、安さを軸にした情報発信を行っていた。 しかし年々、反応率が減少し、何千件とFAXを送っても、反応は数件にも満た すでに記載した通り、顧客が安さに慣れてしまっていたためだ。 そこでこの会社は、「自社がどのような会社なのか」「商品・サービスに対する 転換のきっかけは、顧客から電話がかかってきたことだ。 この会社の営業担当者は、安さのアピールだけでなく、自社の商品・サービス それを見た、一度も訪問したことのない顧客から、「いつも丁寧なご連絡あり 安さだけをアピールしていたFAXに対しては、「もうFAXを送らないでくださ だが、この担当者が送ったFAXは、顧客に「ほかの会社とは違う。とても丁寧 その後、この方法を全社で導入すると、顧客からの反応率は10倍以上に増 想像以上の成果だった。 顧客は、「会社の顧客に対する姿勢」「商品・サービスに対する考え方」に反応 世の中の変化や顧客の変化をつかみ、「今、顧客は何を求めているのか」とい 過去の成功体験にしがみついていては、未来の成功は保証されない。 過去の成功を現在の顧客が求めていないのであれば、捨てる決断が必要で また、情報発信が広告宣伝だったなら、テレビや新聞にも取り上げられない。 「企業の存在価値」「提供する価値」を発信する必要がある。 マスメディアからの取材は、無料の広告(パブリシティ)として絶大なパワーを 戦略的なメッセージの発信が、自社の明暗を分けると言っても過言ではない。 今すぐ同質化競争から脱却し、非価格競争を展開するべきだ。 ポイントは 顧客にメッセージを発信しない会社は、顧客から選ばれることは決してない。
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新商品開発と商品コンセプト |
市場の変化と競争の激化の中、一般消費者向けの商品を開発している会社は、社会構 具体的には、環境問題や規制緩和によって商品の仕様変更を余儀なくされ、商品の さらに自社の市場占有率を高めるためには、新商品の開発なども必要となります。 □商品のライフサイクル 商品にはライフサイクル(導入期→成長期→成熟期→衰退期)があります。 導入期は新商品を市場に投入した時期です。 販売が開始されたばかりのため競合商品は少なく価格も高めです。 成長期は競合商品も増え、市場でのシェア獲得のための販売戦略が重要となります。 そして成熟期に入ると値引きが行われ、価格競争が始まります。 衰退期では販売量は減少し、商品によっては大幅な値下げや在庫処分が行われます。 そこで新商品を開発して、新たな主力商品を確保する必要があります。 (1)アイディア 新商品の開発方法はさまざまですが、新商品のアイディアは、新商品の開発を目 前者の場合、ある一定期間を設けてアイディアをスタッフから募ったり、ブレーンス しかし、いざアイディアを捻出しようと思ってもなかなか、よいアイディアは浮か 偶然のアイディアを吸収する意味でも、社内で「提案制度」などを設けて定期的に 新商品のアイディアが出そろい、どのアイディアを採用するのかという段階では、 「市場規模」「競合商品」「将来性」などの市場分析を行い、一番よいアイディアを その際、「消費者へのアンケート調査」などを実施して好評だったアイディアを選ぶ なお、自社に市場分析を行うノウハウがない場合は、外部へのアウトソーシングを この段階では、各種スケジュールや予算、製造方法などを企画します。 具体的には「試作品」「消費者モニター」「販売代理店募集」「製造」「営業」 同時にそれぞれの項目ごとに、スケジュール、予算、品質などの管理責任者を決 その結果、利益の確保が望めないような企画であれば商品化は見送るようにします。 開発の段階では、まず仕様書を作成し、それを基に試作品を完成させます。 試作品はなるべく完成品に近いものが望ましいのですが、ここで問題となるのは製 いくらよいものでも製造コストが多大にかかるのであれば大量生産ができません。 大量生産を念頭において材料・素材の選定を行い、場合によっては外注を検討し 試作品が出来上がったら、その商品が本当に計画通りに売れるのかどうかを検 消費者モニターのほか、限られた地域での市場テストや営業テストなどを行い、予 その際、期待通りまたは期待以上の販売結果が得られれば、すぐにでも商品化し、 ここまでの開発費は無駄になりますが、売れない商品を市場に導入する意味はあ 再度アイデアまたは企画の段階からやり直します。 テストマーケティングが終了したら、いよいよ商品化となります。 大量生産を踏 まえた製造方法の確立、パッケージの選定、広告戦略の推進 その際、商品の種類にもよりますが、流通ルートの開拓も重要となります。企 また、顧客へのアフターフォローの仕方や、クレーム処理の対処方法などもこ 販売を開始した後は、ただ売ればよいというわけではありません。顧客からの 新商品の開発に当たっては、ただ開発し販売するだけでは、売れるものも売れません。 正確なマーケット分析とともに、販路の確保が重要となります。 通常、新商品というと、 1.今までにない全く新しい商品 今までにない全く新しい商品を開発して販売する場合、その市場規模は未知 商品を購入する消費者の「年齢層」「性別」「噂好」のほか、「デザイン」「販 これらのノウハウを自社が持っている場合は問題ありませんが、そうでない ・商品企画会社(売れる商品の企画) ・リサーチ会社(消費者へのアンケート調査やマーケット分析) これらの中で最も頼りにすべきは、商品企画会社(企画デザインプロダクショ リサーチ会社の場合、それぞれの商品に対して調査や分析を行うのが仕事 参考とはなるものの、実際の販路の開拓は期待できません。 一方、商品企画会社の中には強力な販路を持ち、その販路で販売すること そのような商品企画会社と提携し、将来的には自社で企画開発ができるよう なお、優れた商品企画会社を見つけるためには、今までの実績のほか、「具 商品企画が決定した後は、販路を探すこととなります。 販路はできれば企画の段階で見込みを立てておくことが望ましく、「このよう なお、今までにない全く新しい商品を開発して販売する場合、当初は、価格 しかし、競合商品が現れたときにはさらなる高付加価値化や生産コストの見 競合商品の動向を見据え、常に売れる商品開発を行うことが大切です。 他社では販売しているが自社にとっては初めて生産する商品の場合、既存 「他社商品と比べてどう思うか」「いくらなら購入するのか」などという商品そ できれば消費者アンケートの専門企業(リサーチ会社など)に依頼し、正確で 既存市場への新規参入は、通常「既存品よりも安くていいもの」、「既存品よ 前者の場合は、商品1個当たりの利益は少なくなるので、大量に販売しなけ 後者の場合は逆に高付加価値を前面に押し出し、なるべく商品1個当たりの 販路に関しては、大手の販売店や問屋への営業のほか、通信販売やイン 営業先の選定は、それぞれの業態や商品のカテゴリごとに業界団体を調 名簿を公表していない業界団体に関しては、大手企業を数社紹介してもらう 既存商品に何らかの改良を加えたものを新商品として販売する場合は、従 もっとも、現在の売れ行き状況や、競合の度合いによってデザインやパッ その際、商品が成長期にあるときは、機能強化や容量の増加、新材料の採 一方、商品が成熟期にあり、「買い換え需要を狙う」という状況の場合は、デ 商品の種類にもよりますが、新商品としての販売は、競合商品よりも新鮮な など、上記のように分類できます。 また、商品のライフサイクルによっても商品の仕様やコンセプトを変更する必要が ただし、自社(店)の今ある商品の売り上げが落ちてきたからといって、安易に上記1 1の「今までにない全く新しい商品」は売れると思いがちですが、今までにない全く新し 商品を購入する消費者の「年齢層」「性別」「嗜好(しこう)」のほか、「デザイン」 それよりも、今ある自社商品を分析し、まず上記3「既存商品に何らかの改良を加え 商品のアイデア、イベントや広告のアイデア、新規事業のアイデアなど、どれだけ新しい しかし、当然のことですが、アイデアを出すだけでは何も実現しません。 そこで、アイデアを具体的な企画に落とし込んでいくプロセスが重要になります。 つまり、企画力は、アイデアを発想する力、それを実行可能な計画に変える力が必要 アイデアを具体的な企画に落とし込むために、一定のフォーマットを使って、企画立案 新商品のアイデアを整理し、具体的な商品コンセプトをつくりあげていくためのツール 企画と一口にいっても、事業計画、プロジェクト企画、販売促進企画、広告企画などいろ その中でも、アイデアが最も重要な意味を持つもののひとつが商品企画です。 1.ネーミング 新商品のネーミングを考えます。 アイデア段階だからと、いい加減に考えるのではなく、「ここでいいネーミングが浮 それだけ商品にとってネーミングは重要な意味を持っています。 商品のイメージを絵にしてみましょう。 絵にすることで、漠然としていたイメージがはっきりとした形になるはずです。 また、絵にすることで発想が刺激されて、新しいアイデアが連鎖的に生まれてくる ここでは商品の仕様をまとめます。 色、大きさ、素材などをできるだけ具体的にまとめていきます。 何のための、何を実現する、どんな商品なのか、具体的にまとめていきます。 きれいな文章にまとめようとすると、かえって混乱してしまう場合が多いので、箇条 誰に向けた商品なのか、ターゲットを明確にします。 例えばビジネスマン向けの商品であれば、単純に「ビジネスマン」と書くのでは そうすることで、商品のコンセプトがよりはっきりと固まるはずです。 これまでにないまったく新しい商品であれば、商品そのものが「売り」になりま そこで、他の競合となるであろう商品とどこが違うのか、セールスポイントを考 ここで行き詰まってしまうと、競争力の強い商品を生み出すことはできません。 自社の持つ商品ラインナップの中で、どういった位置付に置くべき商品なのか考え 価格だけでなく、流通戦略、販売促進戦略なども併せて考えておきましょう。 当然のことですが、市場性・将来性がないものを商品化する企業はありません。 そういう意味では商品企画の基本中の基本です。 しっかりと情報を集め、分析し、市場性・将来性を見極めましょう。
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自社のコンセプトを確立 |
■自社のコンセプト 会社経営においてコンセプトを確立することは非常に重要です。 コンセプトが不明確であると、経営における様々な場面でブレが生じる要因となり、 企業コンセプトの構築に重要なことは、自社の経営理念の本質を理解することです。 そしてコンセプトの確立は自社ブランドの構築において重要となります。 1.コンセプトの重要性 コンセプトとは自社の特徴を簡潔な言葉で表現したものです。 「自社は○○業です」というだけでは、たんに自社の業種・業態を「名刺」のよう コンセプトとは、その事業を通して「自社は何をやろうとしているのか」が、お 「その他大勢」に埋没することなく、お客様に関心をもってもらうためには、コ 関連性のある言葉として、「USP」、「売り」、「付加価値」「ポジショニング」 たとえば、ある飲食店が「豊かな食生活でお客さまを幸せにする」という方針を掲 コンセプトは具体的でわかりやすく、お客様に ・誰に対して(ターゲット) 自社はどのような特性をもった顧客層(ター 市場を同質のニーズを持ついくつかの集団に細分化し、個々の市場にあっ これにより、企業は自社のヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を使って ターゲットのニーズを自社の商品のもつどのようなべネフィット(便益)で 自社の事業全体に関する「事業コンセプト」とともに、自社で扱っている 商品コンセプトとは、「この商品はどのようなものか」、「今までの商品とど コンセプトがまったく同じならば、そのようなラインナップにする必要はあり 似通ったコンセプトの新商品を投入すると、カニバリゼーション(自社の商 ベネフィットを可能にする自社独自の技術・ノウハウは何か、競合他社に比べ たとえば、 ・食の安全に関心が高いファミリー顧客に対して(ターゲット) ・厳選素材を使ったオリジナル料理でおいしさとヘルシーさを(ベネフィット) ・自社独自の調理ノウハウ、オリジナルソース、高い接客技術で(根拠) で、提供するというコンセプトとして定義することができます。 コンセプトを明確化することによって、顧客はこの飲食店が自分に対して何をしてく コンセプトを明確にする際には、その商品・サービスを、どのような相手に、どのように 自社の考え方を相手に伝える際にもよりわかりやすく表現することができます。 顧客ニーズが多様化・複雑化している現在、販売の土俵を決めて戦力を集中しなければ 万人を対象に、あなたの扱う商品・サービスを販売すべきではありません。 市場のどこで勝負をかけるか、「販売する土俵」(他社と違う土俵)を設定することが 自社の外部環境分析と内部資源分析を行い、強みと弱みを把握します。 そして自社の事業領域(戦うべき市場)を設定するためには「どのような顧客集団 中小企業の基本戦略のひとつは専門化です。 品揃え豊富なデパートを目指すのではなく、専門店を目指します。 ニッチ市場でオンリーワンの地位を築けば、必然的に競争は回避され他企業に対し優位 限られた現有資産の中で確実に収益をあげるためにも、場当たりな自己流を断ち切るこ さらに、自社の強みを活かしてた営業展開も重要です。 送り先であるマスコミに向け、自社の新製品・新サービスについての情報や記事を無料で メディアに取り上げられることで、商品・サービスだけでなく、自社のイメージや信用力
コンセプトを明確にする際には「ポジショニングマップ」を活用することで、視覚的・直 また、自社の考え方を相手に伝える際にもよりわかりやすく表現することができます。 ポジショニングマップとは自社のコンセプトを顧客にどのように理解してほしいのかを ポジショニングマップを作成することで、自社の「立ち位置(ポジション)」や競合企 1.Key Buying Factor(購買決定要因:KBF)を設定する KBFとは、顧客が数ある選択肢のなかから「この店で買う」、「この商品を買う」 自社にとっての複数のKBFを明確にし、そのなかから重要な2つの要因を縦 KBFにはさまざまな種類がありますが、もっともわかりやすいのは「他店に比 価格に敏感な顧客は多少遠くても安い店に足を運びます。 また、「品質」も重要なKBFであることはいうまでもありません。 日頃は価格に敏感な顧客であっても、自分のこだわりがある分野については、 自分のニーズをよりハイレベルで満たすために割高の支出を容認するのです。 次に自社だけではなく、競合他社がどのようなポジションにあるのかを書き出して 「敵を知り、己を知る」ために、それぞれの立ち位置を可視化します。 その際、事業の捉え方によって、競合とみなすべき相手の幅は変わります。 たとえば、飲食業の場合、事業を広く捉えれば、同業者のほかに、コンビニ、持ち しかし、自社が得意ジャンルの専門料理にこだわっているのであれば、同じ飲食業 それぞれの円の大きさは事業規模を表しています。 この場合、自社は「高価格・高品質」の領域で勝負していますが、同じ領域には数 また、「低価格・基本品質」の領域では、F社とG社がしのぎを削っています。 一方、「低価格・高品質」、「高価格・基本品質」の領域には競合企業が少なく、 つまり、競争が激しくない新たな「種目」にエントリーし、独自の技を磨き差別化し 一般にポジショニングマップ上に空白ゾーンがある場合、 (1)そのゾーンにはニーズがまったくないことが明白で (2)そのゾーンのニーズが高いことはわかっている (3)潜在的なニーズの可能性はあるが、誰も気づか 品質に比べて価格が高すぎる商品は誰も買いません。 「低価格・高品質」ゾーンではE社が健闘していますが、まだ これはおもに(2)の理由によるものでしょう。 また、極端な「高価格・高品質」ゾーン、極端な「低価格・基本品質」ゾーンについて このように分析していくと、自社の今後の戦略として、 ・未開拓有望ゾーン進出に向けて、コストダウンや技術開発を強化していく ・潜在ニーズの可能性を探り、そのニーズに応えられる要件を研究していく ・現在のポジションが厳しい競合にあることは承知のうえで、「同じ土俵」でライバ といった選択肢を検討することができます。 ここまでは「価格×品質」をKBFとしたポジショニングマップをみてきましたが、 これらを軸にしたさまざまなポジショニングマップを分析することで競合他社との差 それぞれのマップのどこにポジションを置くかは、業種・業態によって異なります。 たとえば、高級な専門ブランドショップのような業態に求められるポジションと、 また、業種・業態独自のKBFもあります。 製造業であれば、「技術力」、「開発力」、「設計力」、「製造力」、「納期」な 自社のコンセプトを確立することはブランド構築に共通します。 どんなに素晴らしい商品やサービスであっても、それを提案する従業員の品質 それが組織人として、ブランド構築に欠かせない基本動作12項目です。 1.事業コンセプトと商品コンセプト 事業コンセプトとは、自社が「誰に」、「何を」、「どのように」提供するかを決定 事業コンセプトは、いかに先行する競合他社と差別化できるコンセプトを発案し、 事業コンセプトは、「顧客ニーズの変化方向」と「事業のイノベーション方向を具体 (1)顧客ニーズの変化方向 現在、3年後、5年後の顧客ニーズの水準がどうなっていくのかを予測します。 プロジェクトメンバーを中心に徹底的に議論します。 顧客ニーズの変化方向を予測すると同時に、業界上位の動向から、事業特性 顧客ニーズの変化方向と事業のイノベーション方向の両方向から総合的に事 原則として、3年後または5年後の中核的考え方を選びます。 どちらを選ぶかは自社の実現可能性によります。 商品コンセプトとは、「この商品はどのようなものか」、「今までの商品とどこが 「A」、「B」、「C」の3つの商品があれば、それぞれの商品を通じて顧客に届けたい コンセプトがまったく同じならば、そのようなラインアップにする必要はありませ 似通ったコンセプトの新商品を投入すると、カニバリゼーション(自社の商品・サ それぞれの商品コンセプトはその共通の土台となる事業コンセプトに合致したも つまり、それぞれの商品コンセプトには「違い」が必要ですが、「矛盾」してはなら まずは自社の事業全体のコンセプトを確立し、それを踏まえたうえでベネフィットの たとえば、ある家電メーカーの商品について、縦軸に この場合、商品A〜Cについては、独自のポジションにな しかし、微妙な違いが顧客にとって意味のないものであれ この場合、商品E、Fの製造を中止し、商品Dに一本化した 前述のようにポジショニングマップ上で空白ゾーンがある場合の理由は、(1)ニーズが (2)、(3)の理由による場合は、ライバル企業がすでに販売している商品もポジショ そして、競合が少ない、あるいは自社商品のほうが優位に立てるという判断ができれば、
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