〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
■はじめに
消費者は商品やサービスに満足することで、次回の購入や利用を考えます。
反対に、大いに不満を感じれば、次回は自社を選択してもらうことはできません。
消費成熟時代の消費者は、商品やサービスの購入・利用先も多様化しており、数多くの選択肢が
あります。
消費者は自分の評価基準に従って消費するようになります。商品知識が豊富になれば、店頭で現物を
見て触れてみなくても、カタログやパンフレットなどを見るだけで、その機能や性能を判断することが
できます。
消費者は店舗に行かなくても、カタログ、テレビ、インターネットなどの通信販売によって、自分の評価
基準に合った商品を購入することができます。
消費成熟時代は、商品やサービスの種類が増え、それを提供する販売ルートも多様化します。
顧客が商品やサービスを購入・利用する際の選択肢は多く、どこで何をどのように購入・利用したら、
自身に最大のメリットをもたらされるかを比較検討して消費行動を起こすことができます。
□顧客満足とは
1.期待とその充足
顧客は、商品やサービスを購入・利用する際、それに対する期待があります。
実際に購入・利用した後、当初抱いた期待と比較し、期待通りであれば満足し、期待がはずれれば
不満足となります。
もちろん、当初の期待度が低くく、実際に購入・利用した評価が同様に期待通りのものであった場合、
これは満足とはいいません。これは当初から期待していない通りのレベルのものであるという不満足の
再確認にすぎません。
逆に、期待していなかったのに予想に反して期待以上のものであった場合、これは大きな満足となり
ます。
これは、期待を持っての次回の再購入・再利用につながります。
顧客の期待する商品とサービスが提供できなくなった場合、顧客の評価は不満となり、次回以降、その
商品やサービスには期待しなくなり、購入の機会も少なくなってしまいます。
つまり、顧客に反復して、商品やサービスを購入・利用してもらうには、顧期待に応え続ける必要が
あるのです。
2.満足度の感じ方
顧客の満足度は選択肢の数によって異なります。
選択肢が多いほど満足は大きくなり、選択の余地がない場合、その満足度は低くなる傾向にあります。
例えば、100種類の商品の中から気に入った商品を選ぶことができる店と商品が1種類しかない店があっ
た場合、どちらの商店で購入するでしょうか。
小売店の集客力は店舗規模に比例する関係にありますが、これは品ぞろえの充実度が影響します。
顧客に多くの選択肢を提供できる店は顧客満足を充足することができ、集客力や売上高という数字に
表れます。
そこで、中小規模の店は、専門店化するなどして取扱商品を絞り込み、絞り込んだ品種の品ぞろえを
充実させることで消費者の選択肢を広げ、顧客満足を充足させることなどが必要になります。
また、当初期待していたことが実現した場合に満足につながるわけですが、感動は回を重ねるごとに
小さくなるものです。
期待は当然の内容であり、その実現も当然の内容であると感じるようにもなります。
例えば、 過去の例で、米国におけるBSE(いわゆる狂牛病)の発生により、米国からの牛肉の輸入が停
止されました。
米国からの輸入牛肉に100%依存していた(株)吉野家ディー・アンド・シーは牛丼の販売を休止せざる
を得なくなりました。
最後の1杯を求める消費者が相次ぎ、吉野家の全国の来店客数は通常の2倍の200万人以上に達しまし
た。
「しばらく牛丼が食べられなくなる。今、食べておかなければ…」と、牛丼に希少価値が生まれたので
す。
これは数量と期間が限定されたことによって生じた希少価値です。
「速い、安い、うまい」で慣れ親しまれた牛丼でしたが、改めて満足度の高い商品であることが再確認
された格好です。
3.顧客満足のもたらす効果
顧客満足の向上が企業にもたらす効果としては、
・ロイヤルティー(忠誠心)の向上
・口コミ情報
の2つを挙げることができます。
顧客満足度が高ければ、次回も同じ企業の同じ商品を購入することになるでしょう。
満足した顧客は同じ商品を再購入するだけでなく、同社のほかの商品の購入にも結びつきます。
消費者にとっては、商品に対するロイヤルティーに止まらず、企業に対するロイヤルティーにまで発展
する可能性があります。
顧客満足を上げることにより、ロイヤルティーの向上だけでなく、地域への口コミ情報の広がりを期待
することができます。
高い満足感を得た顧客は口コミという形で評判を広めるものです。
特に、今ではインターネットや携帯電話の普及で、このような情報伝達は早く広範に行われるように
なっています。
□顧客満足度調査の実施
1.顧客満足度調査とは
顧客満足度を向上させるには、顧客の満足度、不満足度を知る必要があります。
そのためには、顧客満足度(不満足度)調査の実施が求められます。
顧客満足は顧客が感じ判断することであり、企業が決めることではありません。
企業が提供する商品やサービスの良し悪し、その評価は顧客が決めることです。
顧客満足度向上には、
現状の把握と問題点の抽出、問題解決に向けた活動
が必要です。
現状を把握し、問題点を抽出するには調査が必要です。
アンケート調査の注意点としては、回答結果が顧客満足向上に向けた集計・分析のためだけに使用され
るということを事前に伝えることです。
「どの顧客がどういった回答をしたか」が分かるようなものでは、正直な回答を得ることはできませ
ん。
2.調査対象
顧客満足度調査をするに当たり、まずは調査の対象を決める必要があります。
商品の購入者やサービスの利用者全体を対象とした全数調査ができればベストでしょうが、自社の業種
や予算などの関係で実際は困難です。
そこで、全顧客リストからサンプルを無作為抽出して調査し、調査母集団(顧客全体)の傾向を把握す
る方法が一般的です。
調査対象は顧客である必要がありますが、それを最終ユーザーである消費者にするのか、取引先の販売
店にするのかで、調査の意味合いは異なります。
個人で使うパーソナル商品の場合、その調査対象者は購入した個人ですが、家族で使うホームユース
商品の場合、購入の際の意思決定者は誰かなどを確認する必要がありそうです。
購入したのは夫だが、実際の意思決定は妻がしているケースなどがあります。
3.調査の実施時期
商品やサービスを購入・利用した時点で調査するのか、それともしばらく時間をおいてから実施するの
かによっても、調査結果に影響します。
購入・利用した直後は比較的満足度は高いが、時間の経過とともに感動も薄れ、満足度にも影響しま
す。
4.調査項目
顧客満足とは顧客の期待に応えることにより達成されます。
従って、顧客の期待が何であるかを把握することが不可欠です。
現在提供している商品やサービスの良し悪しについて質問するだけでは不十分です。
これでは現状の再確認にすぎません。
自社の描いている顧客像と実際の顧客像に差異が生じているかもしれません。
その差異を発見し、それを埋めるための調査でなければなりません。
調査項目と質問内容は、調査を企画するうえで最も重要な要素であるため、自社内で十分に議論する
必要があります。
事前に数人の顧客に直接取材し、生の声を聞いたり、クレームや問い合わせをヒントにしたりすること
も効果的です。
顧客の期待を調べるには、当社の選択理由「なぜ…、何のために…」というように質問する方式が採ら
れます。
顧客の期待が何であるかを明確にすることが大切だからです。
従って、企業が調べたいことを調べるのではなく、顧客が思っていることを調べるという態度で望む
必要があります。
顧客満足度調査をするのならいろいろと多くのことを調査したいと思ってしまうものですが、調査に
協力する顧客の負担を考慮し、調査項目が多すぎないように注意する必要があります。
調査項目全体が一目で分かる程度の量がいいでしょう。
少なければ少ないほど顧客の労力は少なくて済みますが、少なすぎても何のための調査か分からなく
なってしまいます。
多過ぎず少な過ぎない量は10項目程度でしょう。
<アンケート調査例>
満足度調査であると同時に不満足度調査でもあるので、回答の評価項目は、
1.満足 2.不満
と対比する項目が必要です。
上の例では、
1.よい 2.わるい
となっています。
しかし、日本人は、白黒をはっきりさせるのを好みません。
そこで、もっと回答しやすくするためには、
1.満足 2.やや満足 3.普通 4.やや不満 5.不満
または、
1.よい 2.まあまあ 3.ふつう 4.あまりよくない 5.わるい
などのように選択肢を増やし、ニュートラルに近い回答項目を設けると回答しやすくなります。
最後の自由書込み欄は、広いスペースを設けて、さまざまな希望、意見、不満を記入してもらえるよう
にします。
「もの静かな顧客は、何もいわずに黙って立ち去る」といいます。
常に顧客に耳を傾ける姿勢を保つことが大切です。
□調査結果を経営に生かす
1.調査結果の集計
調査結果を集計し、その結果を企業経営に生かす必要があります。
例えば、回答項目を点数表示し、
よい=2点 まあまあ=1点 ふつう=0点 あまりよくない=-1点 わるい=-2点
というように配点すると、集計結果を次のように点数表示することができるようになります。
・販売員の接客態度、言葉づかいは……… 20点
・販売員の商品知識、商品説明は………… 25点
・レジ担当者の接客態度は………………… 10点
・配送担当者の対応は……………………… 15点
・品ぞろえについては……………………… 10点
・販売価格については………………………-20点
・店の清潔感は…………………………………5点
・アフターサービスは………………………-20点
顧客満足度調査を実施するうえでのポイントは、調査するのは自社の顧客であり、自社の顧客を対象に
何を調査するのかを明確に定める必要があります。
また、調査自体は目的ではなく手段です。
調査結果は後で顧客満足の向上に役立てるための行動が可能な項目でなければなりません。
ですから顧客満足度調査を行う企業は、顧客の要求事項や期待事項について学ぶ必要があり、さまざま
な顧客満足の要素に関する情報収集にとどまらず、提供される製品・サービスについて顧客が何を重視
しているのか、その優先順位に関する検討も重要です。
一般的に顧客満足度調査は、企業活動に反映されて、その結果の評価が継続的に行われることで、次第
に手法が改善され効果性が高まると考えられます。
顧客満足度調査は、1回実施すればよいというのではなく、継続して実施する必要があります。
この継続の中で、調査をよりよいものにしていく必要があります。
顧客満足度(不満足度)調査の結果は、その後の企業経営に生かさなければ、調査の価値はあり
ません。
また、調査結果が店舗運営、従業員教育、製品開発などに生かされれば、顧客もこうした調査への
参加が自身のメリットにつながることを理解してくれます。
例えば、上記の調査票例で、販売価格とアフターサービスの2つの項目への対応が求められたとします。
しかも、優先順位は甲乙つけがたい状況です。
そこで、低価格志向の顧客にはポイント2倍還元セールを行い、アフターサービスの充実を求める顧客に
は、ポイントを2倍つける分をアフターサービス費用に振り分けることにします。
これにより、価格志向の強い顧客とアフターサービス志向の強い顧客、双方の満足度向上につなげる
ことができます。
ここでいうアフターサービスとは、製品保証などをいいます。
例えば、家電製品などはメーカーの1年保証が付いていますが、これとは別に販売店独自に用意する
5年間保証などを指します。
2.顧客満足への取り組みは継続が不可欠
企業活動は継続します。
従って、顧客満足向上への取り組みも継続することが不可欠です。
今月、顧客は満足していても、来月も同様の満足が得られるとは限らないのです。
アンケート調査の集計も、一定の期間ごとに区切って行い、調査結果の推移を比較します。
アンケート結果がよい方向に向かっていれば、顧客満足向上への取り組みが順調であることになり
ますし、逆にそうでない場合には、顧客満足向上への取り組み方を見直す必要があります。
顧客満足向上への取り組みは、基本的にPDCAサイクルと呼ばれる手法によって進められるべきです。
PDCAサイクルは、問題解決のための基本的な過程(プロセス)を示したものです。
具体的には、
1.改善すべき目標を設定し、その達成のためのプログラムを立案する(Plan)
2.プログラムを実施する(Do)
3.定期的に達成状況を点検・評価する(Check)
4.改善方法やPDCAサイクルの運用に不都合があれば処置・是正を行う(Act)
という手順となります。
PDCAサイクルは、この1~4を繰り返し実行するサイクルを指します。
従って、顧客満足度調査の実施は、このPDCAサイクル(顧客満足向上への取り組み)において、
定期的に達成状況を点検・評価する(Check)機能の一端を顧客に担ってもらうことになります。
顧客を満足させる CSM |
■CS=CSM 商品の性能や技術力だけでは他社との差別化が難しくなっています。 それだけに消費者や顧客に対するサービスや対応の仕方の優劣が企業の生き残りの大きな カギとなるのです。 CS( Customer Satisfaction=顧客満足)といえば、誰もが理解しているように思って いるかもしれませんが、実際にはその解釈はまちまちです。 例えば最も典型的なのが、挨拶の仕方、 電話のかけ方、名刺の出し方など、身近なマナー に関する捉え方です。 また 「お客様は神様」「何が何でもお客様の言うことを聞かなければならない」「平身 低頭し土下座すること」ということで 、現場のCSが嫌われ、しかも混乱を起こして いる組織もあります。 本来は、CS =CSM( CS Management=CS経営)なのです。 CSを語るときに最初に Management を入れておけばよかったのですが、これを省略 したために部分の活動や現場だけの取り組みと捉えられてしまい、現在でも一面的な見方 になっている企業がたくさんあります。 ともあれ経営である限り、全社・全組織をあげて取り組むのが当然です。 それにも係わらず、本社・本部が取り組まないで、支店、営業所、販売店などに 「一所懸命に取り組め!」「何をやっているのだ。ちっとも成果が上がらないではないか!」 と現場だけの活動にしてしまい、尻叩きするなどはCSを全く理解しておらず、大きな 間違いです。 従来からの作り手・売り手の発想、すな わち「どのようなモノを作れば売れるか、どの ようにして売ろうか」から「顧客が求めている要素は何か、顧客満足をもたらすために どのようにした らいいか」と、考え方がガラリと変わってしまったために、頭の中の スイ ッチが切り替えられていない場面が随所に現れているのです。 さて、CS =CSMである限り、そこにはおのずと企業理念が伴います。 また、経営哲学があるはずです。 しかし、「多くの企業が取り組んでいるから当社も遅れず取り組もう」と、あたかも 流行を追う考え方の企業もあり、こうした場合に共通するのは立派な額縁に納められた もっともらしい企業理念と称するお題目です。 この場合、経営陣に「貴社の企業理念をお教えください」とお願いすると、「確か手帳に 書いてあったな」とい うレベルの認識であり、自社の理念を情熱的に解説してくれる場面 にはお目にかかれないことが多いのです。 また、管理職の人たちにその内容の解説を頼むと十人十色となります。 これで本当に企業理念なのでしょうか。 CSがCSMである限り、経営陣が熱心でなければCSが成功しないのは当然です。 管理者も現場もその姿をしっかりと見ているからです。 □まずは顧客理解がスタート 1.顧客とは誰のことを意味するのか 社内で語る顧客はそれぞれが異なった顧客を想定しているにもかかわらず、 話が 通じているように感じて間違いを犯していることが多くあります。 実際には世の中の大きな変化に従い、意識しなければならない対象顧客が異なって きているのです。 例えば、今までの商流、すなわちM(メーカー)→W(商社・卸・問屋)→R(代理店・ 販売店)→CO/U(消費者・生活者・ユーザー)であったものが、現在では、 M→R→CO/Uと なり、M→CO/Uと変化し、W→CO/Uという姿に移行して います。 コストダウン、スピードアップ、短絡化が進んでいるために生じている現象で、その 核にあるのがIT(情報技術)です。 ここで共通する要素は限りなく最終顧客を意識し、そのために顧客の変化をリアル タイムにキャッチし、顧客に満足・感動をもたらす方向に向かっているということです。 ところが、まだその変化が捉えられず、 最終顧客を全くといっていいほど意識して いない企業も多いのです。 つまり、直接の商社・卸・問屋や販売店が一番大切な顧客であるという認識なのです。 どのメーカーを選ぶか、どの商品を選定するか、どのお店で購入するか、お金を払うか どうかなどは、全て最終消費者・生活者・ユーザーが決めることです。 全てのコストは顧客が負担してくれてい て、給料は顧客が払ってくれているのですが、 これを理解せずに、なお、 顧客をありがたく認識していない企業が多いのが現実です。 B to B( Business to Business=企業間取引)であったとしても、結果として 誰が最終顧客なのか(B to C)を認識していないのです。 以上は社外顧客を指していますが、社内顧客も大切にしなければなりません。 企業にとって社員は全て顧客ですが 、中でも重要なのが、顧客接点担当者です。 近年のようにアウトソーシン グが進んでいる時代は、顧客接点担当者は必ずしも社員とは 限りません。 コールセンターのオペレーターや物流の トラック運転手などがそれに該当しますが、 これらの顧客接点担当者が雑であったり、顧客に不愉快な思いをもたらしてしまった のでは何もなりません。 それこそ画竜点睛を欠くことになってしまいます。 今では、ES( Employee Satisfaction=社員満足)が多く語られています。 つまり、社長から始まるピラミッ ドの組織図は、社内論理で顧客は一番下にきてしまい ます。 そこで、一番上に顧客をおき、その下が顧客接点担当者、そして逆ピラミッドの一番 下にくるのが社長という図式です。 2.顧客理解が先決 顧客のことがわからない限り、顧客に満足提供はできません。 ところが、現在の顧客は持ちたいモノを 一通り持ち、体験したいサービスを十二分に 体験しているだけに「次に欲しい商品、身近な欲しいサービス(顕在化満足)」は 表現できるものの、「現存しない心の底に潜んでいる商品やサービス(潜在化満足)」 については要望を語ることはできません。 これでは常に目先の対応に追われ、他社と同質競争に陥り、その結果、矢継ぎ早に 目先の変わった商品やサービスの発売に力を注ぐことになってしまい、結局のところ、 値引き合戦に陥って顧客のための前向きな価値提供競争に至りません。 顧客満足を調べてもほとんど役に立たないのが現状です。 その証拠に、毎年「顧客満足度調査」を実施している企業の満足度の点数が上昇して いるのに、業績は低迷、ないしは下降線という矛盾が非常に多く見られるからです。 何のための調査かわからない状況に陥っているケースと、現状把握のマーケティング 調査を行い、その結果を「正にその通り」とするものの、次の一手を打つための資料 にはならず、時間と手間と費用をかけて何ら活用をしていないなどの結果となって います。 それでは、どのようにして顧客の潜在化満足をキャッチしたらいいのかということに なりますが、現在のところ成果を上げている取り組みは以下のケースです。 (1)「顧客不満足度調査」すなわち顧客の不満足を独特の手法・ノウハウにより 捉え、掘り下げるアンケート 調査。 顧客の不満を分析することにより、顧客が求めている要素を見つける方法。 (2)顧客の何気ない一言をキャッチする方法。 A.お客様電話相談室 B.お客様情報メモ活動などが主流。 この調査結果から全社を挙げた活動がスタートするのです。 つまり、調査結果から“経営者が解決する課題(戦略課題)“管理者が解決する課題” (戦術課題)“現場が解決する課題” “システム革新・営業革新・物流革新、新製品 開発・新サービス開発など”に取り組むのです。 この場合、全ては顧客の生の声ですから、誰もが「それは嘘だ、データの加工だ」 などという反論をしませんので全社・全組織活動になるのです。 事実、近年の革新はこの方法で成功しているケースが増加しています。 □顧客不満足からの革新 1.貴社に「営業とは?」の定義はありますか この質問をして明快に答えを返してくる企業はほとんどありません。 そこで「それでは営業は何をしていますか?」と尋ねます。 すると、電話をかける・受ける、 顧客と面談、 時には食事したり一杯飲んだり する・ ・・など、およそ 500 位の詳細な活動内容が披露されます。 これが言うなれば営業の実態なのです。 そこで、これらを時間の比率で整理して みます。 すると、およそ次のような分類になります。 ①デスクワーク ②移動時間 ③会議 ④トラブル対応 ⑤その他雑務 以上で85%以上となりますが、ほかに⑥顧客面談率=15%以下があります。 しかし、これは面談であり、商談や企画・提案ではありません。 単に顧客と会って話をしているだけの時間です。さて、顧客面談率 15%は、1日の 時間の中ではおよそ 1.2〜 1.5 時間です。 1年365日の内、土日・祝祭日・夏冬休み・会社の記念日、有給休暇などを合計 すると約120日間となります。 そこで 365日− 120日= 245 日が1年間に出社している日数です。 1年間の顧客面談総時間数は、245 日×1.2〜 1.5 時間(h)= 294( 367.5)時間 となります。 もし現状のままで1日6時間を顧客との面談とした場合、 294( 367.5)÷ 6h= 49 日( 61.25 日)となりますから、時間の配分を変えない 限り、1年間でせいぜい2ヶ月から1ヶ月少々にしかならないわけです。 これで営業成績が上昇するならこんなに楽なことはありません。 ここでわかるのは一般的に営業とは①〜⑥までのことを意味し、現場の営業活動の 時間配分をSFA(セールス・フォース・オートメーション)やモバイルを駆使した 直行・直帰体制などに組み替えない限り、顧客との面談は大目に 見ても1年の内わずか 2ヶ月程度ということです。 つまり、少なくとも 85%:15%の比率を逆転させる必要があるということです。 その上で、1日6時間の実質的な営業活動を行うならば、245 日× 6h= 1470 時間 となり、その差が実質的な営業時間の増加となります。 給料・賞与を含めて十数ヶ月分払うのですから、1日あたりどれほどの価値があるか、 滅多に打たないホームラン バッターのような営業担当者ばかりでは、企業は成り立つ はずがありません。 2.新しい営業体制のスタート しかし特に①〜⑤までをやらせているのは管理者ですから「ガンバレ、努力しろ!」と アクセルを踏んでいながら 、実はブレーキを踏んでいるような状況にしているのです。 これでは営業担当者はスピンを起こします。 どうしてこのようなことがわかったかと いうと、特にルートセールスなどの場合、 顧客不満足度アンケート調査で、「おたくの営業担当者はなかなか来ない」「貴社の サービス担当者は来てほしいというのに来てくれない」という実態を知って、営業日報 などを見ると、すべて訪問していることになっている。 その落差を調べたら、①〜⑤ に追われ「取りあえず訪問したことにしておこう」という 日報だったと言うことが判明したからです。 おまけにそのような日報をみて赤字でコメントを書いている管理者がなんと滑稽な 作業をしているかも判明しました。 そこで、今までの営業システムを変えて①〜⑤の時間を短縮し、⑥を大幅に増やした のです。 その際に営業活動の売り上げ目標を1日単位として、1日の目標が達成できないときは 翌日2日分どのようにして販売するかの具体策を上司に報告・相談してからでないと 帰れないようにしました。 そして、1週間目標を達成できないときは直属上司の責任、2 週間達成できないときは その上の上司の責任、そして1ヶ月間達成できな いときは更にその上の上司の責任という (しっかりと部下をサポートしない責任)デイリー管理にしたのです。 その他、顧客の不満を解消して顧客満足をもたらすための新たな方策を生んだ結果、 市場が縮小し、顧客数が減少する時代に 100%、120%、150%、200%・・・ というように業績貢献につながったのです。 ともあれ一般的に行われている活動、す なわち「改善(穴埋め・修復など問題が発生 してから行う後追い活動)」では当たり前のレベルにしか到達しないため、特に CS活動においては「革新(今までにない、業界のやり方、自社でやったことのない 方法)」を顧客の意見に従って行う活動に切り替えるのです。 □顧客との永いご縁を生み出す 日本では今後さらに市場が縮小し、顧客数が減少します。 だから一度ご縁があった顧客との永いコ ミュニケーションは大切にしなければなりません。 もちろん新規顧客の開拓は大切ですが、しかし、顧客とのご縁が続かない限り、つまり、 売れば売るほど顧客を失う活動に精を出していたのでは早晩、企業は立ち行かなくなって しまいます。 加えて、新規顧客の開拓に要する経費と既購入顧客に再度購入を促す際に要する経費を 比較すると、新規顧客に対してはアメリカで約5倍、日本では約8倍も要するため、 新規顧客の開拓ばかりに力を注いでいると、経費負担が増加することになってしまいます。 しかし、新規顧客の開拓をしなければ顧客は次第に目減りしていきますから、新規顧客 の開拓をしながら、顧客の継続率を高める活動が必要となります。 そこで大切になるのが、 Customer Relationship Management(CRM)です。 顧客との永い良質なご縁を生み出し、継続し、永続的にする一連の顧客データ(情報)を 基盤にした、前向きの活動です。 <Customer Relationship Management> ・顧客を中核にした企業理念は明確か。 ・「顧客を中核にして考え、行動する組織のDNAを生む経営」を行っているか。 ・「業績=顧客の支持率」を達成する経営であるか。 ・「顧客の満足、感激・感動、しあわせ感を醸成する」活動を行っているか。 非常に重要なことは、顧客の価値観に合った商品・サービスの提供です。 「安くなければ購入しない」という顧客は確かに存在しますが、良質なサービスを 求めている顧客は必ずしも低価格にこだわっているわけではありません。 ところが、バブル経済崩壊後から今日に至るまでの日本の在り方にはかなりの問題が 発生していてゆゆしい事態に陥ることが増えてきました。 企業倫理(CSR)やコンプライアンス 、モラルなどの表現に表れている問題がそれです。 世間を騒がせる事件・事故やクレーム増加の方向にも、その根幹に共通する要素が 存在しています。 ・コストを下げて品質劣化を招いている ・スピードアップを図って雑にしている ・短絡化を図って付加価値喪失を招いている などはいずれも企業の実態を悪化させている共通要素です。 本来の在り方は以下のポイントを充実させることですが、特に社長は組織に指示する とき、この両方を解説しなければなりません。 ○コストを下げて品質向上を図りなさい ○スピードを上げてきめ細かくしなさい ○短絡化を図って付加価値を増大しなさい ところが、片方だけを言うために商品品質の悪化、 手抜きや価値の低下を招いている のです。 そればかりか、その穴埋めのために多大なロスコストを生んでいるのです。 ロスコストの内訳を大まかに言うと、新商品と交換する、部品代をタダにする、 技術料を無料にする、その人件費をサービス部門(修理部門)の負担にする、この ようなマイナスの活動に 多大な経費を使用している。 また営業担当者は顧客に謝って歩き、その間は営業活動をしていない、その経費は営業 部門持ちといったコストです。 設計・開発・工場などは、そのコストがどれだけかかっているか、縦型組織ほど理解 していないのです。 横軸で見てコストダウンの経費とロスコストを比較すると、いかにロスコストが大きく (大企業では年間使用のロスコストは優に100 億円を超える)、 しかも売った分だけ 顧客を失う活動に精を出している不毛の活動に陥っているのです。 「企業の生き残りのため」と称するこうした活動が、実は企業を衰退化、消滅化に 導いているという笑えない現実が あるのです。 それは、顧客を中核にして取り組んでいないからです。 企業理念がしっかりしていないからです。 顧客満足は企業も共に満足するイーブンな関係でなければなりません。 企業は「生き残りを目指しても生き残れない」のです。 「勝ち残りを目指さなければ結果として生き残れない」ということです。 『業績=顧客の支持率』を達成する活動がCSだといえるでしょう。 |
CS経営 |
■CS経営とは 1.CS経営の効果 A社とB社という企業があり、仮にA社の商品、B社の商品ともに同じ価格、同じ品質、 同じイメージであったとした場合、例えばA社の商品を購入することによって、 何らかの付加価値・サービスが得られ、より高い満足度が期待できれば、消費者は A社の商品を購入することになります。 A社の提供する商品やサービスに満足した顧客は、再びその企業の商品やサービスを 購入するようになり、固定客となります。 満足度が高ければ高いほど固定客が増加し、その結果収益の増大が図れるのです。 また、もう一つの効果は、CSによってその顧客は家族や友人など他の人に満足を話し、 それによってよい口コミとなり、新しい顧客の獲得につながることです。 口コミの効果は絶大で、「満足した顧客は、最もよいセールスマンです」という セールスの名言がありますが、この名言どおりの効果が期待できます。 反面、顧客の満足が得られなければ、一人の顧客を失うだけでなく、悪い口コミ により、多数の見込客を失うことになります。 CSのメリットの第二は、最小の費用で最大の収益が得られることです。 収益を上げる方法には (1)新規顧客を開拓して収益を増やす方法 (2)既存の顧客のCSを高め、1人当たりの収益を上げる方法 の二つがあります。 (1)の方法は市場が成長期にある場合は、容易に開拓することができました。 しかし、現在のように市場が成熟期に達すると、成長期のように簡単にいかず、 それにかかるコストも多くなります。 それに比べて(2)の方法は、ターゲットがはっきりしており、効率的にアプローチが できます。 顧客の満足を高めるために費用はかかるものの、1の方法より小さくてすみ、 効果も大きいといえるでしょう。 また、CS度を高めることによって、口コミにより、新規顧客を開拓することも 期待できます。 2.CS経営とは CS経営とは顧客の満足度を高める経営です。 つまり「自社の提供する商品・サービスなどについて、顧客がどれくらい満足したか、 顧客の満足度を調査し、その結果にもとづいて、不満足な点を改善し、より高い 顧客の満足を追求していく経営」といえます。 顧客満足の構成要素としては、 ・商品・サービスの直接的要素 ・企業イメージの間接的要素 の二つからなります。 これらの要素を総合したものがCSなのです。 以前は商品のハード面としての品質、機能、価格などのウエートが大きく、商品の 品質がよくて、価格が安ければ、それで顧客の満足は得られました。 しかし、市場が成熟化してきており、すでにハード面だけではCSが得られないのが 現状です。 CS達成においては、商品のソフト面のデザイン、カラー、使いやすさなどや、 購入時の店の雰囲気、店員の応対マナーといったサービス面のウエートが高まって います。 また、商品・サービスといった直接的要素に加えて企業イメージなどの間接的要素も 重要となっています。 □CS経営の導入と推進 1.CS経営推進の手順 CS 経営を導入し、推進していくには、顧客の視点に立って新たな経営のシステム づくりを行う必要があります。 出発点は社長の「CS経営確立」という強い意思に始まり、CS経営推進の組織を つくり、全社員のマインド醸成を行い、意識改革を図ります。 次に顧客満足度調査を行い、どこに自社の問題点があり、顧客が何を望んでいるかを 的確に把握し、それぞれの問題点の改善、顧客の要望の実現への改善計画を立て 実施することとなります。 改善計画が実施されれば、一応問題点は改善され顧客満足の向上は図られます。 そして、その時点からさらに新しいCS項目への挑戦の始まりともなるのです。 以下、手順に従って簡単に説明します。 (1)CS経営理念の確立 CS経営の成功事例からいえることは、いずれも経営トップが先頭に立って、 確固たる信念にもとづいて、CS経営理念の確立に当たったことです。 トップ自らが「CS経営とは何か」を理解し、「どうすれば顧客の満足が得られるか」 全社員と一丸となって、実施することによって成功することができます。 (2)CS経営の組織 CS経営を推進するには、組織が必要です。 CS委員会の発足を推進のスタートとし、委員長は企業トップがなります。 CS委員には、取締役や各部門の部長がなり、横断的な組織とします。 この委員会によって、CS向上の内容が検討され決定されるわけです。 決定された事項は、各部門において実施されることとなります。 さらに、CS 委員会をスムーズに運営するために事務局を置き、CSマインドの 醸成などを含めた活動をさせます。 (3)CSマインド醸成 CS経営に対するトップの確固たる信念が、全社員に理解され、行動に移される ことが必要です。 このような方向に進むためには、経営トップが「いまなぜCS経営なのか」 「CSとは何か」について、やさしく語りかけることが求められます。 そして「顧客の満足に向けて当社は何をすべきか」という企業目的を明確にし、 「それに向かって、全社員が担当分野で何をすべきか」を明示することが必要 です。 CSの行動基準をより徹底するためには、わかりやすい言葉で表現することが 大切です。 (4)CS調査 CS理念が確立され、CSマインドが醸成されると、次は顧客の満足度を測定 したり、顧客の要望を知るためのCS調査を実施します。 CS調査は商品やサービスの改善計画の大切な資料となるため、十分な事前準備 のもとに行う必要があります。 CS調査は次の三つの原則に基づいて行います。 ①継続性 これは定期的に、しかも継続的に行うことであり、これによって、 顧客の満足度の状況や問題を時系列的に把握でき、比較検討がで きます。 ②定量性 前年度との比較や時系列的な傾向を知るためには、調査結果が数字で 表わされているとはっきり比較することができます。 顧客の満足度を定量的に把握するには、質問項目を設定し、3〜5の 回答項目によって、「大いに満足」は5点、「満足」は4点、「や や満足」は3点、というような評価点をつけるのがよいでしょう。 こうすることにより、どの項目が満足度が高く、どの項目が低いかを 知ることができます。 ③正確性 せっかく、時間と費用をかけて調査をしても、調査結果が正確で なければ意味がありません。 正確性実現のため、次の点に注意することが必要です。 ・調査対象のサンプリング(抽出方法)が適切であるかどうか ・調査項目が経営実態を十分に調査できるものであるか ・調査方法が適切であるか ・調査担当者が適切であるかどうか 2.CS調査分析と商品・サービスの改善 CS調査分析を実施し、次は分析の段階に入ります。 分析の段階で問題となるのは、顧客の満足度のとらえ方です。 満足度は厳しく評価することにより、より正確性を期することができます。 例えば「非常に満足」「満足」「やや満足」「やや不満足」「不満」の五肢択一 のような場合は「満足」までを満足度の点数に入れるようにすると良いでしょう。 また、回答者が特定の性別、年齢などの属性に片寄らないよう注意を払う必要が あります。 過去のデータと比較して、全体および項目ごとに満足度が上っているかどうか、 下っている場合は、その理由は何か検討します。 そして、問題点を抽出し、問題点の改善に向かって改善計画を立てて実施します。 改善計画の段階の大切なポイントは、満足度の低い分野への迅速な対応です。 お問合せ・ご質問はこちら
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従業員満足度の向上はワークライフバランス |
バランス推進会議~「ワーク・ライフ・バランスは新しい時代の生き方」 日本でWLBが大きく注目されるようになったのは2002~2003年からのことで、 当時は少子化対策としての印象が強かった。 しかし、最近ではいわゆる「偽装管理者(十分な権限などが与えられていない 名ばかりの管理者)」などの問題を背景に、適正な労働条件の確保の面からも WLBが重視されるようになっています。
企業においては、WLBの実現は従業員に対する企業の社会的責任(「労働CSR」 とも呼ばれる)であるとの認識が広まりつつあり、大企業を中心にWLBを実現 するための取り組みが進められています。 例えば、資生堂の「カンガルースタッフ(来店客数が増える夕刻時間帯に、 育児時間を取得する美容職の代替要員として店頭に契約社員を派遣する制度)」 などは、比較的、知名度の高い取り組みといえるでしょう。 また、従業員もWLBの実現を求めています。 最終的には、WLBは1人1人が就業環境や家庭環境に応じて決めていくべきもの といえるが、少なくとも、「慢性的な長時間労働がない」「パワーハラスメントや 社内いじめがない」など、心身ともに健康で働くことができる職場環境が求められて いることは間違いないでしょう。 そうした円満な職場環境を実現する上で、WLBの実現は重要なポイントとなります。 以降では、WLBに対する従業員の意識を紹介した上で、中堅・中小企業がWLBを 実現して従業員満足度を高めるための具体的な方法について紹介していきます。
WLBに対する従業員の意識として、内閣府「仕事と生活の調和(ワークライフ バランス)に関する意識調査」(以下「意識調査」)を紹介します。 これは全国20歳以上60歳未満の男女2500人を対象に実施され、2018年9月に発表された調査である。
に関する意識調査」です。
の優先度(性別)は表の通りです。
就業環境や家庭環境の違いなどがあるため一概にはいえないが、男女ともに 仕事の優先を希望する人は少ない。 ところが、現実には仕事が優先されており、希望と現実の間に大きなギャップが 生じています。 こうしたギャップを解消して、希望する生活の状態に近づけることでWLBが 実現し、従業員の満足が高まるといえます。 では、どうすればWLBが実現するのでしょうか。 同じく意識調査によると、「WLBが実現された社会」に近づくため、企業の取り組み のうちもっとも重要なものは表の通りです。
企業がWLBを実現するために重要とされる取り組みは多岐にわたるが、整理すると 「社長や取締役がリーダーシップを発揮しつつ、WLBの実現に必要な意識改革・ 業務改善・制度構築を進める」ことが必要だといえるでしょう。 □中堅・中小企業のワーク・ライフ・バランス実践 WLBを実現する上では、従業員が多くの時間を費やす仕事と、家庭生活や地域 活動とのバランスを取ることが重要なポイントとなります。 中でも仕事と家庭生活のバランスを取ることはWLBの基本ですが、これは、 かねてより「両立支援」として多くの企業が取り組んでいる分野でする。 両立支援とは、法定以上の育児休業など従業員の仕事と家庭生活の両立を支援 するための各種の取り組みを指します。 前述した意識調査でも分かるように、企業がWLBの実現を進める際には多面的な 取り組みが必要となりますが、必ずしも全く新しい取り組みが求められている わけではありません。 なぜならば、WLB推進のための取り組みの中心は、これまで多くの企業が 何らかの形で取り組んできた両立支援の延長線上にあるからです。 WLB推進において重要なのは、両立支援の取り組みの実効性を高めることで あります。 特に、WLB推進について大企業ほど時間とコストをかけることが難しい中堅・ 中小企業にとっては、全く新しい取り組みを開始するよりも、既存の休暇制度の 取得率向上などを目指したほうが効率的だといえます。 2.企業がWLBを推進するための主な取り組み 企業がWLBを推進するための主な取り組みは表の通りである。 企業がWLBを推進するための取り組みはさまざまですが、少なくとも、育児 休業や介護休業のように、上表の「法定の有無」に○印があるものは整備しな ければなりません。 万一、未整備である場合は法令違反となるため早急に対応しなければならない。
企業がWLBの推進によって従業員満足度を高めるためには、さまざまな制度を 新設して充実したメニューをそろえることが大切だという考え方もあります。 しかし、制度があっても利用することができなければ、従業員にとっては “絵に描いた餅”であり、意味がないのです。 従業員の立場では、メニューの数もさることながら、実際に利用しやすいか 否かのほうが重要なのです。 休暇などの取得率を高めるためのポイントを以下で紹介します。
◎法定外の制度をうまく利用する WLBを推進するための取り組みの中には、法定の取り組みがあります。 こうしたものには確実に対応しなければなりません。 しかし、法定の取り組みが従業員にとって利用しやすい制度であるとは 限りません。 例えば、育児休業に注目してみましょう。 育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育するための休業で、 1人の子につき1回しか取得することができない(育児休業の期間、取得 回数には例外があるが、ここでは割愛する)。 育児休業を取得するのは主に女性従業員だが、最近は男性従業員の中にも 育児休業の取得を希望する人が増えています。 しかし、日本企業の就業環境を考慮すれば、男性従業員が1年という長期の 休業を取ることは難しいといわざるを得ません。 とはいえ、数カ月の比較的短い期間で育児休業を取得すると、その後、 同じ子については育児休業を取得することができません。 このような状況に配慮して、従業員が利用しやすい制度を構築する場合は、 例えば、1歳に満たない子を持つ従業員を対象とした、 特別育児休暇(有給):1回当たり最長3日で、年間16回まで取得可能 といった法定外の特別休暇を新設するとよいでしょう。 男性従業員の多くは、1年間の育児休業を取得したいとは考えておらず、 「妻が育児で疲れているなど必要な場合は柔軟に休暇を取得して育児を サポートできる」ような体制を望んでいるものです。 こうした男性従業員のニーズを満たすには、取得条件などの制約が大きい 法定の育児休業よりも、柔軟な設計が可能な法定外の制度のほうが適して います。 また、特別休暇の新設であれば、会社の手間もそれほどかかりません。 なお、上の特別育児休暇は、例として有給、1回当たり最長3日、年間16回 としているが、制度の運用は企業が独自に決めることができます。
◎企業が主導して実効性を高める 育児休業と同様に代表的な法定の休暇制度に年次有給休暇があります。 年次有給休暇は、従業員にとって非常に好ましい制度です。 しかし、現実になかなか年次有給休暇を取得できない(取得しにくい)という 従業員が少なくありません。 従業員が年次有給休暇を取得できない理由は、業務スケジュールの調整難や 同僚への気兼ねなどさまざまですが、放っておいてはいつまでも状況は 改善しません。 そこで、会社が主導して、従業員が年次有給休暇を取得できるようにする ことが必要となる。 具体的には、「計画的付与」を利用するとよいでしょう。 計画的付与とは、従業員が有している年次有給休暇の日数から5日を除いた 部分について、会社が指定した時期に年次有給休暇を付与できる制度です。 計画的付与を利用することで、例えば職場ごとに休業日を定めて一斉に 年次有給休暇を付与することができます。 本来は、お盆の時期など年次有給休暇を取得する従業員が集中する時期の 対策(チームごとのローテーションなど)として利用されるものですが、 WLBを推進するための年次有給休暇の取得率向上策として利用することも できるでしょう。
ここまで、WLBを推進するための取り組みやその実効性を高めるためのポイント を紹介してきました。 従業員が利用しやすい法定外の特別休暇を新設することなどを通じてWLBは 実現に近づき、従業員満足度も高まっていくでしょう。 実際にWLB推進を決断するのは社長にほかならないのです。 WLB推進では、少なからず会社にも負担が生じます。 しかし、そうした取り組みを通じて従業員満足度が高まれば、従業員はそれまで 以上に積極的に業務に取り組むようになるなど、最終的には企業のメリット にもつながるのです。 会社がWLBを実現するということは、従業員にとって働きやすく、会社に とっても利益になる職場を作り上げることだといえます。社長はこの点を認識 した上で、WLBを推進していくとよいでしょう。 中小企業がWLBを推進する上で、大企業のように多くの時間とコストをかける 必要はないでしょう。 繰り返しになりますが、大切なのはメニューの数ではなく取り組みの実効性を 高めることです。 前述した意識調査によると、自分のWLB度を点数化した場合の平均は51.2点 (100点満点)でした。 これを一気に100点にしようとするのではなく、60点、70点…といったように、 できることから少しずつ取り組んでWLB度の点数を高めていくことが、中小企業 のWLB推進におけるポイントといえるのです。
会社のWLB推進に関連する労務管理上の手続きとして、就業規則の変更を紹介 します。 常時10人以上の従業員を雇用する企業は、労働時間、賃金など必要な事項を 定めた就業規則を作成し、それを所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。 これは就業規則を変更した場合も同様です。 WLB推進に当たり、「特別育児休暇」などの法定外の特別休暇を新設する場合、 就業規則の変更と所轄労働基準監督署への届出が必要となるので、確実に対応 しなければなりません。 また、変更した就業規則を従業員に周知することも必要です。
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顧客満足(CS)度と従業員満足(ES)度の向上 |
商品・サービスの購入後も、消費者の一連の購買行動は終了するわけではあり 実際に購入した商品の使い勝手など、商品から得たさまざまな経験などは消費者 次回の購買行動に大きな影響を与える要因は「消費者の満足度」です。 逆に、消費者が不満を感じれば次回は別の商品を購入することになります。 「消費者(顧客)満足」の重要性はあらゆる場面で語られます。 では、消費者の満足・不満足という評価はどのようにして形成されるのでしょうか。 消費者は商品・サービスを購入する前にあらかじめ商品に対する「期待」を抱いて 一般的には、この期待と実際に購入した商品から得られる「成果・経験」などの また、消費者は購買に際して料金を支払ったり、情報の収集を行ったり、実際に これらの経済的負担や労力に見合った成果が購入した商品から得られるか否かも、 しかし、製造メーカーや販売した店舗などに何らかの意思表示を行う消費者は これらの消費者は、企業の全く知らないところで、他社(店)の商品に乗り換えて 顧客満足度(CS)とは顧客のルールによるものです。 市場が成熟したことで、市場の主導権は企業から顧客に移っています。 また、市場の成熟に伴い、顧客は多くの商品知識を持つようになり、顧客主導型の このような市場において、企業が差別化を図るために取るべき手段の一つが顧客 リレーションシップの強化はCSの向上を図るだけでなく、クレームの予防策、 電話対応、事務処理などはあなたからみれば日常的な数多くある業務のうちの ○約束したこと・時間は常に守られているか ○説明はわかりやすい言葉で丁寧に行われているか ○正しい言葉遣いで親切・丁寧に対応されているか ○『顧客の声』を取り入れ、それを改善する仕組みがあるか これらのことはできて当たり前のことばかりです。 自社に照らし合わせ、考えてみましょう。 お客様が「〇〇してくれて当たり前」と思っていることを確実に実現する。 言ったこと、約束したことを実行するのは当然ですが、言っていなくても、世間から お客様の期待に応えたいと思っていても、ついうっかりしたり、お客様の期待を お客様は100%期待通りにしてもらって当たり前だと思っており、組識全体が常に そのためにも業務の遂行を勘と経験で行うのではなく、標準化してマニュアルを 満足かどうかはお客様が判断します。 ところがお客様に聞きもせず自分の判断基準で勝手に「こうすればお客様は不満はな 「お客様のことはわからないのが当たり前」ではなく、「お客様のことを知っ *あるアンケート調査によると、「折り返しお電話します」といった場合、お客様 お客様の期待はわからないので、「○○分位でお電話できると思いますがよろ お客様は何を望んでいるか、どう思っているかなど、常にお客様のことを気にかけ、 それによってお客様の期待を知ることができれば期待に応えられ、不満そうな時には また、お客様にとっても「気にかけられている」ことが、満足度の向上に大きく影響 あなたにとっては慣れているので大した事はないと思えることでも、素人である 慣れで対処すると、お客様にとっては事務的だったり冷たいと感じられ不満になる 初心を忘れず慎重かつ丁寧に対処するよう日頃から注意しましょう。 いつの時代にあってもCSが語られないことはありません。 商品の品質やイメージだけでは差別化できないこの時代に、高品質のサービス しかし、現実には顧客が求めるサービスを実践しているところはほんの一握り それがよく分かるのが、顧客との接点の最前線である営業や内務事務における これまでの活動が商品を“モノ”としての発想でしか見ていなかった会社(店)、 「買ってもらえばそれでおしまい」と考え、お客様に対して質の高いサービスや付加 商品の品質管理+サービスの品質管理=CS という構造に気付いていません。 自分たちの都合を優先している多くの会社(店)を見受けるのです。 情報が不足な時代の、つくれば売れた時代から、今「心の満足感、充足感」を実現 継続して収益を上げるのにインスタントな方法などありません。 「あれもこれも」と手を出さず、まず1つのことを愚直なまでにやり続ければ、
お客様に伝わるサービスにはマインドが重要な要素です。 正しいCSの実行は、基本を仕組み(マニュアル)で理解し、応用となるスキル CSは、お客様が判断するものであって、あなた(会社)が判断するものではあり CSを実現するためには、お客様の要望・意見に真摯に耳を傾け、お客様の期待
1.信頼性 約束した事柄を約束どおりに実行する能力・信頼度・正確さ。 すばやく直ちにお客様の役に立とうとする、やる気。 お客様に示す知識・丁寧さ・確かさ お客様に示す配慮、個人的感情の度合 ・現場スタッフが商品であり、CSのカギを握る ・現場スタッフが会社の代表者 ・現場は会社の顔
顧客満足とは、お客様が満足していること、すなわちお客様があなた(企業)の よくあるケースですが、お客様があなた(会社)のサービスに対する苦情を申し しかし、それはあなた(会社)の判断(すなわち、顧客ニーズとあなたの顧客サービ あなたの挨拶、身だしなみ、態度はお客様を不快にしていないだろうか。 お客様はあなたを見た目で判断しています。 このように、顧客満足度向上のためには社会人・組織人としての基本である また、顧客満足、特にお客様のあなたに対しての満足度は、本質的には、お客様が お客様から頂く料金とあなたがお客様へ提供するサービスは、必ず等価交換(または 料金額に見合わないサービスしか提供しないあなたからは、やがてお客様は離れてい お客様はそれらのことをあなたに求めているということがいえます。 あなたの価値はまさにそこにあります。 ・ 担当者の顔を知っている ・ いつでも連絡がとれる ・ 常に自分のことを気にかけてくれている ・ 担当者は提供した商品・サービスについて何でも知っている 1.企業として当然提供しなければならない基本的な価値、サービス これは必ず「行動」として明確化し、実践していかなければなりません。 |
従業員満足度(ES)とは |
近年の労働環境では「労働力の流動化」が当たり前になった状況下では、どんな 各社が「理念」として「顧客満足」「社会貢献」といった内容の文言とともに、「社 従業員に対し、トップ・責任者が声を大にしてCSの重要性を訴えても、従業員の CS(顧客満足)はよく使われる言葉ですが、ESがCSより後回しにされています。 顧客満足の向上には、同時に従業員満足(ES)の向上も不可欠です。 「従業員満足度」とは、従業員の仕事や会社・職場に対する満足感の総称として使 経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高 それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。 このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経 従業員の意識を把握することで労働条件や組織体制などの見直しに着手し、 トップ・責任者が本気で取り組む姿勢を見せることが重要であり、トップ・責任者 □会社全体で夢を共有する 従業員と一緒に夢を見るために、企業経営者は朝礼の場などを利用して、 ・事業の社会的な意義 ・自社が尊重する価値基準 ・自社が望む将来像 を熱く語ることが大切です。
・会社(経営者)に夢を感じられなくなった ・賃金など労働条件に不満がある ・結婚、出産など家庭が心配で仕事に集中できなくなった ・実はもともと、やる気がなかった ・五月病など季節的なもの などが考えられます。 理想的なのは、企業が提示する労働条件に従業員が心から満足することです。 しかし現実問題として、これは不可能に近いといえます。 従業員は少しでも多くの賃金をもらいたいと考えますが、企業がこれに応え続ける 一生懸命働いているのだから、もっと厚遇して欲しいと考えるのは自然なこと しかし、企業が従業員の希望を全面的にかなえることはできないため、その代わ 最近は、人事考課の基準を公開する企業が少しずつ増えてきています。 こうした取り組みは、従業員を安心させるものなのです。 また、評価基準の中心を年齢や勤続年数に置くのはやめ、能力や成果も総合的に 今までの人事制度から能力・成果主義的な賃金制度の導入が考えられます。 賃金額決定の際に、能力、成果、成功へのプロセスを考慮することで、既存の賃金 同時に、人事効果の基準を公開すれば、「企業は従業員の何を評価しているのか」 育児・介護休業制度なども導入しただけでは不十分です。 重要なのは、気兼ねなく育児・介護休業制度を利用できるような社内の雰囲気を作 男性の場合は、企業経営者のえほうから育児・介護休業制度の取得を勧めるくらい 同時に、従業員の家庭環境に目を配り、出産を控えた従業員などの業務をほかの ・経営理念が明確 ・経営方針が明確 ・入社してよかった ・社内に活気がある ・将来性に期待できる ・やる気、意欲が高い
しかし、そのような社長の考えとは裏腹に、従業員はやる気を失ってしまうことが 社長にとってはショッキングなことでしょう。 しかし、立ち止まっていてはいつまでたっても問題は解決しません。 従業員がやる気を失ったことが分かったら、積極的にアプローチしていきましょう。 これができるのは、社長と従業員の距離が近い、中小企業ならではの特権なの 本当の意味で人を大切にできている企業は千に一つもない。 商品やサービスがどれほどすばらしくても、企業のすべては、そうした商品や この段階でさまざまな間違いが生まれる。 企業の競争力は、従業員のスキルと気遣いにかかっています。 競合他社がどんなことをしても、この雰囲気だけは、おいそれと作り出せるもの しかし同時に、最も価値あることでもあるのです。 人を得れば競争相手をぐっと引き離し、その地位を保てるようになる。 人を雇うのは簡単だが、正しく人を選んで雇うのは、そう簡単なことではあり 企業文化やサービスや品質や評価、そして究極的には利益も、彼らが生み出すも 優れた人を雇えばあなたも優れた人になり、仕事は楽になる。 逆に人の選び方を間違えると、あなたの仕事も会社の値打ちも、すべて台無し しかし、正しく人を雇えるようになるためには、どのようにして人を選び、その人の あなたが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組みを進めて そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、 顧客満足実現のためには従業員満足度の向上が不可欠となります。 顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることは トップがいくら顧客満足度の重要性を唱えても、顧客と実際に接する従業員に 全社員が「顧客満足度を向上する」という共通の目標を持ち、一人一人がその目標 従業員満足(ES)の向上 ⇒ 顧客満足(CS)に対する従業員の意識の向上 ⇒ 顧客 従業員満足度(ES)」とは、従業員の仕事、 「仕事に従事することで得られる各種の 逆に、「従業員満足度の低さが、退職や長期 そして、それらのことが新たな募集・採用や教育訓練といった経費の増大を招き、 ○成果主義 従業員の人事制度を根本的に改めた成果主義に基づく人事制度。 従業員の能力と成果に対して公平かつ正当に人事評価を行うことにより、
従業員一人ひとりの目標を明確にし、達成度合いにより評価する制度。 会社の年度目標に基づいて個人の目標を設定し、目標の達成度合いをもと この制度を運用することで従業員1人1人の当事者意識を高め、モラールを高 トップが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組む姿勢を見せ そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、 WLBは「仕事と生活の調和」を意味し、これが実現された社会では、一人ひと 取り組み例として、フレックスタイム制、育児時間、ノー残業、年次有給休暇、
ESで代表的な事例として、東京ディズニーランド、サウスウエスト航空、リッツ これらの企業は常にCSにおいてトップクラスですが、言い換えるならどの企業も これらのエラーはESに起因していることが大です。 世界的な経営者であるジャック・ウェルチ(GEの前CEO)は従業員満足について ・従業員満足度 ・顧客満足度 発注数が安定していないか減ってきたような難しいタイプの顧客のところに出 ・キャッシュフロー 純利益などの損益計算書の数字には、ちょっと「ごまかし」を施す余地がある。 だが、フリー・キャッシュフローだけはビジネスの真の姿を教えてくれる。 従業員の満足度を測る調査には、「モラールサーベイ(意識調査)」、「従業員満足 調査では、従業員の満足度を測るために、従業員に対してアンケート調査を行い これにより従業員の意識がどのようなものであるかを統計的に把握し、労働条件 主な調査項目は、以下のように、経営の方向性や仕事、福利厚生など幅広い 調査方法は、従業員にアンケート用紙を配布して、後で回収する方法が一般的 【モラールサーベイにおける主な調査項目(例)】 ・経営の方向性 ・上司 ・仕事 ・コミュニケーション ・能力向上 ・職場環境や福利厚生 ・人事制度 調査の結果、自社の従業員が働くうえでどのような要素を重要視しているかが分 例えば、モラールサーベイの調査結果を分析したところ、従業員は報酬や福利 この場合に企業は、「経営ビジョンを明文化して従業員へ浸透させる」「経営者と また、従業員を全体としてではなく部門別や役職別にとらえれば、部門ごとある 例えば、「生産部門の従業員は教育トレーニングの充実を望んでいる」「課長職は ・金銭、待遇:給与、福利厚生、休暇、その他優遇制度 ・仕事の環境(条件):職場の環境・設備・機器、勤務時間、上司のマネジメ ・所属、帰属意識:会社(経営トップ)に対する信頼感、知名度(評判) ・人間関係:職場の風土、同僚・上司との関係、チームワーク ・評価、承認:上司・同僚からの評価、人事考課、褒賞、昇進 ・業務そのもの(モチベーション):達成感、充実感、成長感、貢献感 お問合せ・ご質問はこちら
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顧客満足向上のポイント |
■顧客満足発生のメカニズム 多くの企業では顧客満足度向上を最重要課題のひとつとして捉えています。 そのためにさまざまな施策に取り組んでいる企業も多いでしょう。 顧客満足度を着実に向上させ、それを実際の業績拡大につなげていくためには、 ここでは、顧客満足度向上の具体的なポイントについて解説します。 顧客満足度とはその言葉通り、顧客が自社の商品やサービスを購入し、実際 そして、顧客が「満足した」という感情をもつためには、使用後の評価が購買時 前記の図で「①事前期待>評価」のときには、期待以下の満足感しか得られ 「②事前期待=評価」では、期待通りですから一定の満足感はあるでしょう。 そして、「③事前期待<評価」では予期せぬ満足も発生し、顧客に大きな満足 このように顧客満足を得るためには、最低でも「②事前期待=評価」の状態が ここで注意すべきは、顧客の事前期待は時間と共に自然と高まっていくという たとえば、80点の事前期待をもっている顧客に対して90点の商品を提供した しかし時間がたつにつれて、顧客にとって90点の商品はもはや当たり前にな ここでさらに顧客満足度を高めるためには100点の商品を投入する以外あり そして、さらに時間がたてば顧客満足度向上のためには、110点、120点の これは非常に大変なことではありますが、高まり続ける顧客の要求水準を上 たとえば、A、B、Cの3つの競合する飲食店があって、ある顧客がたまたま訪 そして、実際にまたB店に来店して事前期待を上回る料理やサービスが提供 たとえA店、C店が強力な販促策を打ち出したとしても、この顧客の気持ちは ここまでみてきたように顧客満足度を向上させていくための基本的な要件は、 ・顧客の事前期待以上の評価を得られる商品を提供すること ・競合企業を上回る事前期待をもってもらうこと にあるといえるでしょう。 1.期待事項に沿った改善が不可欠 顧客満足度を向上させるための基本は、顧客の事前期待を正しく理解するこ この部分が明確になっていないと、商品やサービスの品質をどのような方向 満足度向上につながらない部分に注力することは単なる自己満足であり、収 たとえば、飛行機のエコノミークラスとビジネスクラスの客がもっている事前期 前者は「目的地までできるだけ安く到着する」という経済性にもっとも大きな期 もちろん快適であるに越したことはありませんが、そのために運賃が高くなるこ 逆に快適さを意識したサービスを前面に出しすぎると、「その分を削ってもっと これに対しビジネスクラスの客がもっている最大の期待は「目的地まで快適に つまりエコノミークラスの客を対象にした顧客満足度向上の最大のポイントは 同様に機能性が重視されるビジネスホテルのロビーに、高価な絵画を飾ること では実際にどのような視点で、雇客の事前期待を捉えてそれに応える商品や 顧客の事前期待は3つの階層に分解することで理解しやすくなります。 自社が提供している商品やサービスに対する顧客のもっとも基本的な期待 飲食業であれば安全な食べ物を提供してくれること、製造業であれば仕様 いずれも「当たり前」の話ですが、会社側の手抜きや不注意でこの部分を 実際に食品会社が産地を偽装したり、消費期限をごまかすといった事件は また、基本的な部分であるがゆえに、社長は「全社員が当然できているだ 自社が「○○業」と名乗るにふさわしい商品やサービスを提供できているか 次にあげられるのが、競合他社に比べて自社が優れていると顧客が考え たとえば、「競合に比べて短納期で対応できること」を強みとしている製造 ここで実際に短納期対応ができれば、顧客は満足しますし、逆に競合他社 自社の強みを打ち出すことは顧客への宣伝であり、顧客との約束でもあり 自社が打ち出している強みに見合う商品・サービスを提供できているかどう また、前述のように顧客は時間経過と共に、より高い事前期待をもつように 顧客は自分に対する個別対応も期待しています。 標準的な商品やサービスを提供してくれるだけではなく、自分自身に何をし 自分の抱える個別具体的な問題を解決してくれることへの期待と言い換え 個別対応に関する期待はさらに、「①自分の特性に対応してくれる期待」と まず、「①自分の特性に対応してくれる期待」です。 たとえば、飲食店の常連客のなかには特定の食材を苦手としていたり、肉 このようなお客様に対して、店側が「Aさんはガーリックが苦手で、肉はウエ 顧客は「この店は自分のことを理解してそれに応じた対応をしてくれてい たんにガーリック抜きのメニューも選択肢としてあるということではなく、黙っ 次に、「②自分の状況変化に対応してくれる期待」です。 たとえば、通常は「100個の部品を2週間で納品している」顧客から、事情 顧客は無茶な注文であることは自覚していますが、「緊急事態であり何とか このような期待に何とかして応えようという姿勢をみせること、そして、実際 「あの会社はどんなときでも頼りになるパートナーである」という信頼感を勝 ただし、特に「②自分の状況変化に対応してくれる期待」に十分に応えるた 次項で紹介するように特に注力すべき顧客の重要度を見極めることなどが 顧客満足度向上活動は特定の社員が自主的に取り組んで、結果として全社の満 一般に既存顧客は「ロイヤルユーザー」、「リピーター」、「トライアルユーザー」 そして、それぞれの層に対して効果的かつ効率的な満足度向上策を講じるこ それによって、 ・ロイヤルユーザーからの安定受注が拡大する ・ロイヤルユーザーからの紹介による新規顧客を獲得する ・顧客満足度を高める活動を通じて自社の経営力を高める ことなどが可能になります。 …多数の購買履歴があり自社に対して十分な信頼をもっている。自社の対応 …2回以上の購買履歴がある。自社に対して一応の評価はしているが、ロイ …自社から1何だけ購入したことがある。リピートオーダーするか迷っている、 …自社に関心があるが、まだ利用したことがない。 …自社を知らない、あるいは関心がない未利用客。 このように自社の顧客を分類し、 ・ロイヤルユーザーやリピートユーザーをいつまでに何社増やすかを決める ・そのためにどのような施策を展開するかを計画する ことが顧客満足度向上施策の根幹になります。 自社の顧客を分類できたら、それぞれの層に向けどのような満足度向上施策 その際には前項で示した、顧客が自社に対してもっている「(1)べースとなる そのうえで、満足度向上のためにそれぞれの顧客層に対してどのような施策 本来であればすべての層の顧客に対して◎の対応をすることが好ましいので そこで、絶対に手放してはならないロイヤルユーザーに対しては手厚く接する ただし、トライアルユーザーのなかでも会社の規模や成長性などから判断し ここまでの段階で自社の顧客満足度向上に対する基本方針が明らかになった これを全社員に徹底させるために、現在抱えている顧客に対して具体的にど その際には、「自分が担当しているAという雇客は現在リピートユーザーの段 たんなる努力目標として、「日々の活動によって満足度を向上させていく」とい
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モラール・サーベイ |
1.モラール・サーベイの対象 モラール・サーベイは個々の従業員そのものではなく、従業員が集まってでき したがって会社全体、特定部門、特定の役職者層などそれぞれの集団が抱え たとえば、モラール・サーベイの結果、特定部門の従業員の士気が著しく低下 そして、顧客満足度を高めるためには、まず商品やサービスの提供者である やる気に満ちた(モチベーションが高い)従業員たちこそが「顧客は何を求め そのため、「CSを高めるためにはまずES向上から」という考え方をする会社 ところで従業員満足度とは、たんに従業員が現在の処遇や職場の雰囲気が それらに加えて、「会社の将来性はどうか」、「自分自身は成長できているか」 つまり、従業員満足度向上に取り組むためには、 直接的な処遇制度などはもちろん、会社の経営理念や経営戦略、管理体制 たとえば、いくら従業員の待遇を改善しても、次のような状態が続いている限 ・経営理念が不明確であり、従業員の行動基準もバラバラである モラール・サーベイによってさまざまな視点から自社の従業員満足度向上 ・会社が従業員のモラールを大切にしているという姿勢を示すことができる モラール・サーベイ実施においてはこれらの効果も享受できるように、計画的 初めて行う場合は外部のコンサルタント会社の手を借りるのもひとつの方法です 1.モラール・サーベイ実施宣言 その際には、社長自身の口から次のような点についてはっきりと説明する必 なお、宣言後の実務的なとりまとめ役は人事担当の役員などを任命するとよ ・なぜモラール・サーベイを行うことに決めたのか この点について人事担当役員やその他の幹部陣(場合によってはキーとなる なお、幹部陣自体に問題がある場合も考えられるため、ヒアリングの際には余 従業員の満足度全般にかかわる項目を幅広く設定するほか、事前ヒアリング 会社の状況やモラール・サーベイの狙いによってさまざまなパターンが考えら ◎質問分野の例 質問ごとにその満足度を、「満足」、「ほぼ満足」、「普通」、「やや不満」、 次頁にアンケートシートの例を示しているので、自社の実情に応じてアレンジ 実施にあたってはアンケートの主旨を十分に説明することが大切です。 また、従業員の正直な意見を得るために、アンケートは無記名方式にします。 時間をおいてバラバラにアンケートを行うと、回答者はすでに回答済みの従業 アンケートはできれば全社一斉に行うのが好ましいでしょう。 前頁のアンケートシートでは次の5つの分野から20の質問(それぞれの満点 これらについて、それぞれの分野において満足度の平均がどのようになって たとえば、次のような平均点の分布になった場合、人事制度や人間関係にお このような場合、人事制度と人間関係の分野のそれぞれの質問項目の平均 アンケートでは、「性別」、「年齢」、「職位」、「職種」、「勤続年数」について それぞれの属性ごとの満足度の傾向を分析します。 たとえば、年齢別に次のような平均点の分布になった場合、若手従業員ほど このような場合、若手従業員が特にどのような問題を抱えているかを掘り下げ また、年齢だけではなく、その他の属性別にも分析を行います。 従業員が「第1位」にあげた項目は重要度5、「第2位」は重要度4(以下同じ、 たとえば、次のような重要度と満足度の評価結果になった場合、従業員は人 このように多くの従業員が重要と認識しているにもかかわらず、満足度が低い そこからはアンケート策定段階では想像できなかったような新たな満足度向上 また、従業員が特に「不満足」と感じている事項が記入されることも多く、質問 その際には次のような点について明確に示す必要があります。 ・結果全般(従業員にわかりやすい見せ方の工夫が必要) さらに問題点解決のための施策の進捗状況についても定期的に告知します。 従業員から質問があった際にも確実に答えるようにしましょう。 モラール・サーベイでは、調査そのものよりも、それを踏まえた改善策を立案し 万一低い満足度結果だったにもかかわらずそれを放置した場合、さらなる満足度
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従業員満足で組織を活性化 |
■従業員満足度(ES)とは 「従業員満足度(ES)」とは、従業員の仕事や会社・職場に対する満足感の総称 として使われる用語です。 「満足」という語句の厳密な意味から言えば、「仕事に従事することによって得られる 各種の報酬が、自分自身の期待している水準に達している、もしくはそれ以上である ことよって得られる快感情」といった定義ができると考えられます。 「ESを向上させることは、個人・組織のパフォーマンスを向上させていく上で ある程度機能する 」と言えそうです。 しかし、「だからESを向上させなければいけない」という ことだけではありません。 「ESの向上は、本来それだけでもおおいに意味のあることである」という考え方 を持つことも重要なのです。 □人材育成システム 企業が成長するということは、売上高や利益が増加し、規模・組織が充実すること その際には、顧客満足度(CS)の向上が必要となります。 CSを向上させるためには、まず製品・サービスを提供する社員の満足度(ES)を 「人は自分の仕事量を自分で決めている」と言われるように、到達点を自分で 社員の本音の多くが、「目標は○○ですが、△△が限界ですよ。それなりに頑張 社員のモチベーションが組織として機能しているかを、目に見えるカタチで示 モチベーションが正しく機能する組織になっているか、成長を妨げる要因はな また、仕事内容・評価に対する従業員の満足度はどうか、ロイヤリティー(帰属 成長優良企業では、仕事へのやりがいや評価が高く、進んで自己啓発する人 このような会社では組織活力サーベイを実施すると、「社員が会社で働く喜び 社員一人ひとりが自分の役割を認識し、成長意欲もおう盛であるからこそ、顧 一方、低迷不振企業は、「会社の方向性が分からない」「キャリアアップできる 会社がどうしたいのかを理解していない上、仕事に不満を持って日々を過ごし まず、企業は将来の方向性とビジョンを社員に浸透させ、仕事の喜び・やりが そして、この会社と共に頑張りたいと思えるような環境をつくることです。 会社(組織)には育った環境、年齢・性別、知識・技能・態度の善しあしなど、さ そこで、一人ひとりの価値観の違いを前提として、自社の発展のため、お客さ 社員が会社での仕事を通じ、成長し続ける仕組み(システム)が必要なので 最高の資産、最大の戦力である人材を、計画的・継続的に育成し続けることが 人材育成は教育です。 会社が社員に期待する知識・技能・態度と、その社員が保有する知識・技能・ 教育とは、職務で要求される資格要件と、彼らの保有する能力とのギャップを このギャップを埋めることによって、人材は育ち、職務を遂行し、会社の発展に そのために、採用から退職までの会社生活において一連の人材育成システム 教育体系のシステムとは、以下の4つである。 これらにより、ピントの合った「モチベーションアップ」「モラールアップ」が そのためには、人材の能力を最大限に高めるための「教育体系システム」が重要 1.教育体系システムとは どのような会社であるべきか、そのためには社員は何を意識し、日々何を磨い 企業教育とは、あるべき姿に近付くための「不足能力の開発と必要能力の強 教育体系システム構築は、次に挙げる三つの手順によって成り立っている。 (1)自社人材能力の把握 ②人材の高業績者の行動特性(コンピテンシー)、姿勢・態度・特性 あるべき成果を生み出す能力や姿勢 ③職種別・階層別知識や技術、能力の棚卸しを行い、不足能力を 職種別・階層別スキルマップ(テクニカルスキル マネジメント テクニカルスキル(専門技術) マネジメントスキル(管理技術) ヒューマンスキル(社会技術) レベル1:ほとんど実施したことはない、または数回補助的に実施 ④人事考課表から階層別不足能力を診る(人事考課表分析) 階層別、職種別に人事考課表を分析し、不足能力を把握する。 不足能力を補うためのオリジナル階層別・職種別教育プログラム ②教育カリキュラムの策定 OJTカリキュラム設計 Off−JTカリキュラム設計 ②社員の特性を活かすキャリアパスの策定 キャリアアッププランで目標設定し、職能要件やスキルマップで現状認識 このことにより目標とのギャップが明確になり、明日からの行動が明確に この設定は、「キャリアアッププランシート(各社員がキャリアアッププラン 会社における目標、個人・家庭の目標を1枚のシートに記述することで目 その目標に向かって前向きに業務に取り組むことにより、自発的な行動 上記の手順(1)〜(3)によって、教育体系システムを構築・運用してい 会社と社員が成長する喜びをつくっていくことこそが、組織力を高めること
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従業員満足の向上策 |
■顧客満足(CS)の前に従業員満足(ES) 顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることはできません。 経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する 従業員にその意志が理解されていなければ、顧客満足の向上は実現しません。 そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高める 必要があります。 それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。 例えば、ある従業員にとっては「給料が高い」という金銭的な満足が大きなウエイト を占め、別の従業員にとっては、「仕事にやりがいを感じる」といった仕事の やりがいの満足が大きいかもしれません。 このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経営 や経営者に対する満足や、「人間関係がよいためストレスを感じない」といった 人間関係面の満足もあるでしょう。 □社長の思いを伝える 1.給与明細の社長メッセージ 社内報などの出版物がなくても、定期的かつ確実に社員の手元に届けられる その際に注意すべき点をいくつか紹介します。 経営とは、「トップの思いを、働く人の協力を得て達成すること」である。 経営者だけ、あるいは社員だけで会社は成り立たない。 常に、自社で働いてもらえる感謝のスタンスを忘れないようにする。 (2)「社員の家族が見る」ことを念頭に置く 給与明細にメッセージが添付されれば、家族の目にも留まりやすい。 会社の様子や、社員や家族への感謝の言葉があれば、会社への (3)ビジョンや方針の達成度合い・業績について触れる (4)景況感を盛り込む (5)頑張った社員を褒める 社員のモチベーション向上策や、良い事例の共有化となります。 特別なことを書く必要はなく、「休日に何をした」などの趣味レベル
メッセージを入れていない社長は、この方法の採用をお勧めします。 特に、複数の拠点がある会社などで、良い効果を発揮しているので紹介します。 「社内の課題」というテーマでディスカッションを行うと、必ず「ほかの拠点でやって アナログな手段の導入も、検討の余地があると思われます。 電子メールや社内ネットワーク環境は充実してきているものの、給与明細に入れ 頻度としては月1回。 する。 構成としては次のコンテンツが挙げられる。 これは、社長でなくとも構いません。 後継社長が発行責任者となり、自分の考えを社員に発信するツールとしても また、社内活性化プロジェクトからスタートした企画の場合、プロジェクトメン 業績や年度方針の進捗を記載する。 全社的に知っておく情報を定期的に意 拠点の業績や取り組み具合、成功事例、クレームなどの注意事項を記載。 拠点長の一言コメントを載せる会社もある。 ここでは「社員が喜ぶ」ことを中心に、内容を検討することが効果的。 経営目的に向けて頑張った社員、業績を残した社員だけでなく、ちょっとした 最近読んで面白かった本や自分の趣味など、社員個人をクローズアップす この運営において大事なのは、3カ月先行で手配・依頼することである。 情報は常に1〜2カ月分ストックできれば、安心して社内報を発行することが 社員に任せるのがよいでしょう。 総務部門は「社内活性化」が業務目的の一つだからです。 主体的に総務部門の社員ができるようになれば、人材育成としての効果も 紙だからと言って軽視せず、この古くて新しい手法に挑戦していただきたい。 特筆すべきは、A社の社長室の隣に「子ども用の教室」があることだ。 社長にその理由を聞くと、社員の子どものための部屋だと言う。 例えば、日曜日に運動会など学校のイベントがあると、子どもは月曜日が振替休 そこで、子ども連れで出勤できるように社長が計らい、それが転じて「教室」になっ もちろん毎日子どもが在室しているわけではなく、言わば緊急措置的な場所とし しかし、子どもが喜びそうな絵が貼ってあり、社員が自宅から持ち寄った知育玩 子どもの相手を担当する社員がいるわけではなく、仕事の手が空いた人が宿題 この教室のおかげで、社員は安心して働くことができるし、子どもは親の職場や 手作りで温かみがあるこの試みは好評で、社員の自慢の一つにもなっている。 思ってやったことが評価されてうれしい」と語る。 そのままマネをする必要はないが、A社の社長の言葉から学ぶべき点は多い。 B社は、技術系の社員を大手企業に派遣する会社である。 普段からトップは、「顧客満足度が業績の重点ポイント」と言い続けていたが、残 すなわち、顧客満足が高く、ほかの社員のモデルになると判断した社員には、そ これに社員が敏感に反応し、「どうしたら私もその手当がもらえるのですか?」と 次のルールで運用した。 (1)全員の意識を統一するために、3年間の期間限定で行う (2)対象者は、「業務に対する顧客の評価が高く、新規受注、あるいは が全社員に共有化され、手当に関する納得性も高まった。 最終的に、この仕組みは手当ではなく、人事考課の加点として評価制度に組み いうストレートな仕組みへの社員の納得度、満足度は予想以上に高かった。 この制度そのものをマネすべきだとは言わないが、社員との意思疎通という意 味において気付きの多い例である。
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顧客満足のためのアンケート調査 |
■顧客満足のためのアンケート調査 顧客が「もの」を求めて、不便でも高くても、また不愉快でも、我慢して買うという時代 たとえば誰でも、レストランで不愉 快なサービスを受け、もう二度と来るもんかと 行列店に並ぶ人たちは自らの意志で行列に参加し、欲しいものを手に入れるため しかし、お客が犠牲を払ってまで商品を手に入れたいとは思わないような場所で こうした中で蓄積された、顧客の潜在的な不満を、売り手側が重要な経営課題と →競合店や競合商品が増えた という状況下では、本当に顧客を満足させているかどうかが「売り手」側の死活問題 アンケート調査は、通りいっぺんの「イエス・ノー」式質問では、なかなか顧客の潜在 単なる「質問用紙」ではなく、質問の中にあなたの姿勢と喜ばれる顧客対応への 一方的な調査を行っていたのでは、調査自体で顧客を逃がすことにさえなりかね ある情報サービス会社が実施したアンケートでも、「現在提供される情報は『質』 それにもかかわらず、情報サービスに対する新しい引き合いはこないし、顧客が その結果では、現有サービスを望ましいとして選んだ顧客は少数だった。 つまり、「満足ですか」と質問されるのみでは、顧客も自分が満足しているのかど 特に「変化」が求められる「不満」社会では、何か「提案」がないと顧客の「深層」 有益なアンケート調査を実施するための要件として、 1.調査対象を特徴別に分類する これをどう判断するか。 多いとも少ないともいいづらいのではないだろうか。 しかし、分類をしてみると、もっと詳しいことが分かる。 ということが分かる(以上の数値は実際の調査結果ではない。あくまでも参考 さらに、「買い物(保険商品)はじっくり時間をかけて、いろいろ商品を比較し こうした分類を行う目的は、 お客様の満足度を得るためには、どうすべきかを考える前に今のサービスや にある。 顧客を満足させる方法の第一は、 にあると考えるべきです。 ことにあります。 例えば、40歳代の男性が、通信販売を利用しないからといって、この層が通 そもそも、この層には、自分で買い物をする人が少ないのです。 そして、その理由が、 からであったりします。 これが分かれば、 男性の満足を犠牲にしても女性顧客を志向するか という、次の検討項目が見えてくる。 従って、アンケート調査作りでは、調査対象を分類する要素をどれだけおり 小冊子やニュースレターも顧客満足(増収)のためのツールであり、これを継続 あるいは、アプローチしやすい分類であることも重要です。 そこで、以下に分類視点の例を整理してみると、 2.場所を重視した分類 3.家庭を重視した分類 4.社会的ステイタスを重視した分類 5.ライフスタイルを重視した分類 6.行動パターンを重視した分類 7.情報入手先を重視した分類 例えば、 などという傾向を、アンケート調査の中から見つけ出す必要があります。 この点から考えると、一回行った調査を一回集計することで終えず、さまざま しかし、だからといってコンピューターシステムが絶対に必要であるわけでは なぜなら、手作業でも十分用をなします。 例として以下のような方法もあります。 例えば、年齢で分類したければ、年齢別に回答用紙を区分けすること バーゲンを利用したかどうかで分けたければ、その項目で区分けする。 2.区分けされた「山」ごとに、他の項目を集計します。 3.別の項目、例えば「買い物の際に時間をかけて選択するかどうか」という 4.回答用紙の数が非常に多い場合は、何人かで同じ作業を分担し、その
まず仮説を立てること が良く挙げられている。 仮説をたてるとは、アンケートを行う前にあらかじめ結論を想定し、そこから つまり、まずアンケートによって「あきらかにしたいこと」を決め、それが「明 もちろん、きちんとしたアンケート調査は、誰をも説得する力を持つが、意 例えば、 という質問の回答選択肢が、 というものであればどうだろう。 (2)を選ぶ人はほとんどいないのではないだろうか。 しかし、同じ質問で、 という選択肢を用意すれば、意味のあるアンケートになる。 有効な選択肢になるかどうか、については、気をつけて気をつけ過ぎること 何度も、まず自分で答えてみる という作業を繰り返すことが大切です。 わずか200程度のサンプル調査だったので、現地の業者はあっという間に調 しかし彼らには、「聞きやすい人にしか聞かない」という欠点もある。 それでは「調査にならないではないか」と言うと、街頭調査なのだから協力して 例えば、「男、30歳代半ば、営業社員風」などという記録をとった。 その結果、 そのため、ビジネスマンの調査は、幾つかの企業にお願いすることで、別途行 結果として、 などが分かった。 これは、もっぱら観光と料理に目をむける観光客のみの調査からは出てこな 非協力的な人は、とにかくどんな人であったかを記録し、別の機会に似た人の また、単純な選択ではなく、書き込むことが多い調査は、調査される側にとって 選択肢が明確かどうかもまた、重要な問題である。 例えば、酒の量を聞くのに、「沢山飲む」「普通」「余り飲まない」では調査にな 例えば、 水割りなら5杯は飲む といった、誰が見てもあきらかな基準が必要となる。 一方、日本酒2合という表現では、量が分からない人もいる。 そのような場合には、 おちょうし(とっくり)3本 という、分かりやすい言葉に代える必要があります。 さらに、一項目の選択肢は5つ前後が妥当。 それ以上多いと、調査される側が選択に迷ってしまう。 ただし、多くの選択肢がどうしても必要な場合は、複数回答も可という形で、選 また例えば5つの選択肢が2ページにまたがるのは避けた方がよい。 5つ選択肢があるなら、5つとも同時に眺められなければ、アンケートに応じる などがある。 文書の「読みやすさ」は当然だが、とにかく1枚におさめたいという思い入れ しかし、それは調査側の理屈であり、小さい文字を読まされる側はたまったも 1つか2つの質問では、顧客がかえって警戒するし、10項目を超えるともう、答 これだけ情報武装(世界で1位)された環境の中で営業、管理に何も生かされ 電話・FAX・PCといった武器をどれだけ活用しているのか? ちなみに、IT活用度は世界で21位というのもうなずけます。
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顧客満足の向上策 |
■顧客満足度向上の必要性 何故いまCSが大事か、念の為に確認してみましょう。 1950年の8000万人から現在の1憶2800万人まで年間100万人弱の人口増加と 一人当たりの給与所得の増加が日本の個人消費の増加を生んできました。 しかし、人口は政府予想より早く2005年から減少に転じ、2050年の予測では 1年平均およそ100万人ずつ減少する計算になります。 お客様は勧められても納得しなければ購入しない、自分で選んだものしか また、お客様が不満の場合に周りの人に言いふらす件数は、満足の時の 究極の目的である「永続発展」のためには、常に外部環境の変化に敏感でなくては ならないのです。 特に顧客の動向は、マーケットやライバルと並んで重要な要素です。 顧客が何を求めているか、何を評価するかという点に関しては、「顧客満足度」 顧客への貢献なしに、企業の存続はありません。 企業活動を改善していく価値判断基準の中心には、CSを据えて考えたい。 しかし、トップが機会あるごとに「CSが大事だ」と社員に伝えたとしても、具体的に 特に「どのレベルまで顧客を満足させるのか」という点については、トップと社員の間で しかし、それ以上に「今、携わっている業務で、何を進化させればよいのか」という具体 ここでは、「ビジネスモデルを革新する」という視点について考えたい。 まず、ビジネスモデルのとらえ方について説明します。 ビジネスモデルをとらえる時、自社を大きく三つの要素で分けて検討すると、シンプル ①事業戦略、②組織戦略、③収益構造で考えます。 事業戦略とは「どこに(顧客)、何を(商品・サービス)」について検討することであ 事業戦略と組織戦略は常に進化させていかなければ、陳腐化していきます。 顧客に合わせて機敏に変化させていくことを「ビジネスモデルを磨く」と表現する。 変化の方向性は、 ・どこに(顧客):顧客を新たに開拓したり、自社のよさを理解する顧客に絞る などが挙げられる。 ただし、変化させても自社の利益率が上がらなければ意味はないため、「収益構造」 このようにビジネスモデルを磨くことは、企業の永続発展に必要なことなのです。 では、「変化」の入り口は何にすべきか。 それが、「顧客にとっての価値」です。 お客様が感じている不便、不快、不満などを解消する。 または、これまで以上に快適、便利、楽しくなるなどのプラス要素を付加する。 このように顧客が価値を感じることを提供するという視点で、自社の「何か」を変更 CSを考える際に大切なのは、データを用いて何を導き出すかである。 まずは、全体的な体系として「CSドック」の考え方から紹介し、各論に移りたい。 1.CSドックとは何か 「ドック」とは、人間ドックのドックであり、「点検を行い、異常事項を見つけ出 経営全般を見直したい時には「経営ドック」、人事機能の場合では「人事ドッ 同様に、CSをしっかりと見直す場合には、「CSドック」となる。 CSを測定するには、さまざまな手法があります。 しかし現象面だけをとらえていると、本質的な解決策に至らない恐れもある。 CSドックを用いることで、問題の核心を突いた対策が可能となる。 一般に使用されるCSアンケートなどは、「現状認識」の手法に含まれる。 CSアンケートだけでも十分な対策を得ることができるが、「ビジネスモデルを 例えば、 あるビジネスパーソンが体調不良を訴えた。 この事例で説明すると、「熱があること」に対する対症療法の処方箋の一つは ただし、問題の本質を突いていないため、新たな症状が発生しやすい。 それに対して、対因療法の処方箋の一つが「自分の仕事を標準化する」ことで 発熱に対して「仕事の標準化」という対処法は、一見結びつかない。 しかし本質的なアプローチを行えば、効果的な具体策を導き出すことができる。 これを体系化したものが「CSドック」の手法である。 CSアンケートは有効な手段かもしれないが、“症状”ばかりが目につき、対策 よって、せっかくCSの向上に取り組むのであれば、本質的なアプローチをお CSアンケートなどで顧客満足度を測ろうとする企業は多いものの、十分に生 原因の一つとして「実施側の目的が漠然としている」ことが挙げられる。 しかも“漠然としている”という認識自体がない企業も多い。 CSアンケートを進める際、ここが最も議論となる点である。 簡単に言えば、「取り敢えずやってみよう」という意見と、「アンケート設計のプ 例えば、 日用品製造業のA社には直販部門があり、店舗を有している。 この事実から何が分かるだろうか? 次回のアンケートで同じ質問をすれば「一定期間の顧客評価の変化」という比 A社のアンケートについてさらに深く考えてみよう。 そう考えると、アンケート作成に関わった部門や階層は正しかったのかという 次に、「質問の仕方は、それでよかったのか」という視点も必要だ。 仮説は目的や時期(定期的なCSアンケートでも年により目的が異なる場合も 経営環境が変われば、不足している要素も異なってくる。 (1)自社の経営理念・社是 その存在価値を押さえて仮説を立案する。 (2)経営方針 「今後も顧客に選ばれるためには、○○(年度目標の項目)を強化しなくては (3)業績 ただし、この仮説がアンケート結果とずれていることが多い。 「顧客が評価している自社の強み」が間違っていると、成長段階の変わり (4)環境の変化 「コスト」は当たり前であり、その次に求められていることが差別化項目で 自社と顧客の認識のずれがないか確認する。 また、顧客が評価しているライバルの取り組みも押さえておくべきポイント (5)新しい取り組み 新商品・サービスなどは、「自社の思い」から始まることが多いため、できる これら5つを再認識した上で、再度「自社の経営目的を達成するためには、 もちろん、仮説は複数になっても構いません。 この仮説を検証し、経営活動の改善を促すために、アンケートやインタ このようなプロセスでアプローチすると、精度の高い顧客コミュニケーション
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静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
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対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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