顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客密着度アップは顧客満足度を向上

■顧客の行動サイクル把握

 1.A社の顧客密着度向上策

  A社は生産材の部品下請けメ ーカーで、現状は顧客にとっての利便性を磨く方針をとっている。

  その背景には、 顧客の下請け企業(A社にとっての競合他社)が数社あるため、技術提案のレベル
  に差別化要素が少なく、価格が受注の条件になりやすいからです。

  中長期的には開発要素を高め 、付加価値の高い差別化製品を提供できるように計画しているが、
  当面は顧客にどれだけ密着できるかがポイントとなっている。

  密着するほど開発のヒントも手に入りやすいという仮説のもと、営業・技術部門の顧客対応を進化
  させようと試みているのです。 

 2.3つのサイクル

  ある日の朝礼後、机に戻った 社員は伝票整理や受発注処理、人によっては出張報告や旅費精算を
  始めた。

  顧客が在社している可能性が最も高い時間帯は朝8~10時。

  それなのに、自分の都合で業務を行っていたのです。

  これでは顧客密着が 実現できるわけがない。

  そこで、A社の社長と部門長は、 顧客との密着度合いを高めるため、「顧客都合のアプローチ」
  という着眼でディスカッションを行った。

  その結果、「顧客の行動特性に合わせた社員の行動変革が必要である」との結論を得て、社員の
  行動改善を促す方策を検討した。

  第一歩として、「そもそも顧客の行動パターンを把握していない」という意見があったので、
  顧客がどのような行動をしているかを調べました。

  具体的には、顧客の行動に3つのサイクルがあることを認識し、そのサイクルを詳細につかむ
  ようにした。

  3つのサイクルとは、

   (1)日次のサイクル

   (2)週・月次のサイクル

   (3)年次のサイクル

  ――です。

  それぞれにチェック項目をつくり、自分たちが把握していること、把握すべきことを決めて、
  顧客へのアプローチを向上させる着眼とした。

  日次のサイクルを把握するのには、チェックリストを用いた。

  このチェックリストをしっかりと把握することで、A社の顧客との密着度は上がった。

  例えば、「顧客がメールを確認するのは午前中だけ」というサイクルを知らなかったときには、
  午後に送ったメールは翌日にチェックされることが分からなかった(実質1日返信が遅れる
  ことになる)のです。

  そのパターンをつかんでからは、顧客から「返答が早い」という評価をもらい、顧客満足度の
  向上につながった。

  「週・月次」と「年次」の行動サイクルの把握にもチェッ クリストを用いた。

  訪問の際、これらのチェックリストをもとにヒアリングを行うようにした。

  特に社歴の若い社員に対して、訪問前に先輩や上司がチェックリストの活用を促したところ、
  訪問時の顧客とのやり取りの精度が向上した。

  これまでは、朝礼が終わったら受発注業務や出張報告、旅費精算など、自分の都合で仕事をして
  いた社員が、3つのサイクルを把握してからは、お客さまの時間に合わせ、9時には営業パーソン
  が一斉に顧客へ電話をかけるようになったのです。

  また、電話での会話は「御社の今月の生産会議は確か、来週木曜日の昼からでしたね。来週の
  月曜日までに、まず資料をお送りしますので、それをご確認いただいて、火曜日中に修正した
  資料がお手元に届けばよろしいですか?」など、相手のスケジュールを踏まえた提案ができる
  ようになった。

  行動改善の取り組みによって、A社の社員が変わった(成果となった)点を整理すると、次の通り
  です。

   (1)顧客都合という意識

    自分の都合で業務を行うのではなく、顧客を優先する動きに変わってきた。

   (2)先行で業務を手配する意識

    顧客のスケジュールに合わせ、自分だけでなく 社内調整(営業と製造のやり取りなど)も
    事前に行うので、社内トラブルが少なくなった。

   (3)提案の意識

    相手のスケジュールを把握すると、「顧客の顧客」を意識するようになるので、自然と提案の
    要素が強い打ち合わせや商談が増えてきた。

    これらにより、得意先にとってR社の存在感が増してきている 。

    次第に、もともとの狙いであった新規開発の案件についても話をいただけるようになり、
    「ファーストコールカンパニー」(顧客から一番に選ばれる会社)への道を歩み始めている。

□顧客窓口の把握と開拓

 1.C社の顧客密着度向上策

  産業機械の機材下請けメーカーS社の取り組み事例について紹介します。

  C社の得意先は、大規模な機械や動力装置を取り扱うメーカーであり、C社はその基板の製造の
  一部を請け負っている。

  業界には大手企業が多く、新規開拓の余地はあまり残されていないため、主要な得意先の生産量が
  受注に直結します。

  景気が後退局面の際には、限られた会社のみに発注が来る構造になっているため、「顧客に一番に
  選ばれる企業」を目指して営業活動を推進している。

  具体的には、発注者との親密度を上げることを目標に、「スキマつぶし表」を活用している。

  スキマつぶし表は多くの企業で活用されています。

  基本的には縦軸に顧客が入り 、横軸に開拓要素が入ることが多い。

  各顧客に対し、それぞれの項目の進捗度合いを○、△、×などで表し、「できていない部分の
  見える化」を行うことが目的です。

  その上で、「業績向上のために重要だが、できていない箇所」である×や△を○にするために、
  「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を明確にして 、営業活動に反映させていきます。

  例えば、今まで会えなかった キーパーソンに会うため、上司の 同行をセッティングするなどの
  取り組みです。

 2.その密着度向上策は、顧客のためになっているか

  営業会議においても、実際にスキマつぶし表を用いて対策を立案していたが、本当にこのやり方は
  正しいのだろうか。

  ある日の会議で開拓する先として挙がったのは、資材(購買)部門だった。

  確かに、資材部門との密着度が向上することは、C社にとってプラスに働く。

  しかし、顧客の有する部門はそれだけではないはずです。

  しかし、顧客の資材部門以外の部門名とキーパーソンについて、多くの営業担当者は答えることが
  できなかった。

  理由を聞くと、「他の部門には行きづらい」「他の部門に行くと資材部が当社に悪い印象を持つ
  から行けない」などの 回答を得た。

  ここから分かるのは 、C社の営業担当者にとって「顧客=資材部門」であるということです。

  もちろん、C社にとって影響度の高い部門ですが、1つの部門からは偏った情報しか入手できない。

  例えば、資材部門は、すでに仕様が確定した案件に対して、で きるだけ高品質で安価な資材を購入
  することが部門の主要目的の1つです。

  その中で、技術や付加価値向上に関する提案をしても、受け入れられる可能性は低い。

  結局、価格が主要な関心となる。

  事実、C社の営業担当者は「結局価格だけなんですよ、この業界は」というフレーズをよく口に
  していました。

  “安価な資材の提供”は大事なことですが、必ずしも得意先の要望の全てではない。

  実はC社は、より高い利益率を目指し、新しい機材の提案を行うことが全社方針となっていた。

  「顧客の顧客」に対して付加価値の高い提案が可能になるような、新しい機材の提案。

  C社にとっても、C社の顧客にとってもプラスになることです。

  しかし、「提案の価値」を資材部門が認めることは少ないでしょう。

  それは、組織の機能として資材部門に求められるものではないからです。

  これらの事例は、必ずしも自社の顧客の「部分最適」を満たした(密着度を上げた)からといって、
  業績向上につながらない場合もあることを示唆し ている。

  その原因は、特定の部門をあたかも顧客全体のように捉え、限られた営業活動しかしてこなかった
  ことにあります。

 3.全社最適で顧客満足度の向上を図る

  C社はこれまで顧客との密着度を上げる対策を講じてきたが、 特定の部署(資材部)への営業しか
  できていないことが問題でした。

  この反省から、新たに「資材部門以外の窓口の開拓」というテーマに取り組み始めた。

  ある年の初め、C社の営業部長が新年のあいさつのために重点得意先のO社を訪問した。

  先方の担当役員にあいさつした際、「C社さんは、あまり熱心に営業へ来てくれませんね」と言わ
  れてしまった。

  ショッ クを受けた営業部長が詳細を聞くと、「全く提案をしてくれないから、どこでもできる
  安いモノしか発注できない」とのことでした。

  言い換えれば、何社ものライバルがいる中、パ ートナー企業としては完全に下位に甘んじている
  ということです。

  帰社した営業部長が、自社の営業担当者に現状を確認すると、「私は一生懸命に営業している」
  との答え。

  しかし、あ らためて「自社が提供できる価値」を整理させると、その担当者は、

   (1)機材の提供(担当:資材部)

   (2)材質の変更によるコス ト減少(担当:設計部、製造部)

   (3)工程の短縮によるコスト減少(担当:生産技術部、開発部)

  ――を挙げただけで、資材部以外の部署に対しては、商談どころか担当者やキーパーソンの名前
  すら把握していないことが分かった。

  これでは、O社全体から見れば「営業していない」と言われても反論できない。

  そこでC社は、前述したようなスキマつぶし表を作成し、資材部以外の部署の開拓を重点施策として
  営業活動を強化した。

  当初は開拓がうまく進まなかった。

  C社の営業担当者が、「別の部署を訪問すれば、資材部の課長が機嫌を損ねて発注量が減る」
  などと主張し、なかなか行動に移さなかったのです。

  しかし、実際は「初めて訪問する部署の開拓営業のやり方が分からない、怖い」というのが本音
  でした。

  そこで、営業部長がきめ細かくアドバイスを行い、ときには営業担当者に同行することによって、
  徐々に関係を築いていった。

  具体的には、

   (1)別部署を紹介してもらうためのト ークの型決めとロールプレーイング

   (2)別部署の紹介がO社全体の利益となることを理解してもらうツールづくり

   (3)紹介してもらった部署と密着度を高めるトークの型決めとロールプレーイング

  ――などを行い、実践を促した。

  また同時に、全ての営業担当者に対し、可能性のある取引先に ついて同様の取り組みをさせる水平
  展開を行った。

  その際、ゲームの要素を取り入れ、キャンペーンを開催して営業担当者に競争させた。

  密着度○=2点、△=1点、 ×=0点とし、半期という期間で、スキマつぶし表の△または○を
  どれだけ増やしたか、 対策前に比べ対策後の得点がどれだけアップしたかを競わせたのです。

  成績が優秀だった社員は全社員の前で表彰し、金一封も贈ったため、モチベーションアップに
  一役買うことができた。

  その後、O社の窓口開拓は順調に進み、 提案も受け入れられるようになってきた。

  翌年、C社の営業部長が前年同様に新年のあいさつへ伺った際は、O社の担当役員から、「わが社の
  VE(バリューエンジニア リング)提案に貢献してくれてありがとう」との言葉をもらうことが
  できました。

  顧客目線で考えたとき、顧客満足度を向上させるために、何が 一番大事なのか。

  学ぶことが多い事例である。

□顧客の意思決定プロセスに基づく自社プロセスの整理

 顧客満足度の向上を目的に顧客密着度を上げたA社とC社の事例を紹介しました。

 そのポイントとして、次の2点が挙げられます。

  (1)顧客の毎日、毎月、毎年の業務サイクルに合わせた最適な対応

  (2)顧客のさまざまな部門の業務に合わせた最適な対応

 顧客に評価され、満足度を上げるためには、顧客が抱えている課題が「今、どのプロセスにあるか」
 を見極めること が非常に重要です。

 例えば、喫緊の課題が明確になっている相手に対し、別の提案を行うのは、顧客にとって迷惑なだけ
 です。

 また、課題に対する対応方針がほぼ決まっており、社内で調整をしている相手に対し、新たに同等の
 提案を行ってもタイミングが遅いため、徒労に終わることが多い。

 このプロセスのサイクルは、 顧客や案件により1日の場合もあるし、3年以上を要することもある。

 長いサイクルで あれば、受注につながる機会の把握はとても大切になる。

 しかし、顧客のプロセスを理解しないまま、「自社都合」で営業活動や情報提供を行っている企業は
 意外と多い。

 繰り 返すが、相手が求めていないときに求めていないものを提示するのは、迷惑な行為となる 。

 ただし、顧客が気付いていない課題・ニーズ(潜在需要)を掘り起こすことは、提案・コンサル
 ティ ング営業につながるので、常に意識する必要がある。

 顧客のプロセスに合わせた最適な対応を行うには、「顧客都合の全体像」をいったん作成してみる
 ことです。

 そのポ イントは次の通りです。

  (1)顧客のプロセスを具体化し、要素をまとめる

  (2)プロセスに関わる担当部署と検討期間を加える(1つ前のプロセスがいつ発生するかを
     付け加える)

  (3)プロセスごとに最適な対応策を明記する

 この3つのポイントを書き込んだものが、顧客のプロセスの具体化、担当部署、検討期間、自社に
 必要なプロセスです 。

 これを活用すると、顧客の都合に合わせた「ちょっと前の対応」が可能となる。

 ぜひ作成していただきたい。

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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客満足向上への取り組み

■はじめに

 消費者は商品やサービスに満足することで、次回の購入や利用を考えます。

 反対に、大いに不満を感じれば、次回は自社を選択してもらうことはできません。

 消費成熟時代の消費者は、商品やサービスの購入・利用先も多様化しており、数多くの選択肢が
 あります。

 消費者は自分の評価基準に従って消費するようになります。商品知識が豊富になれば、店頭で現物を
 見て触れてみなくても、カタログやパンフレットなどを見るだけで、その機能や性能を判断することが
 できます。

 消費者は店舗に行かなくても、カタログ、テレビ、インターネットなどの通信販売によって、自分の評価
 基準に合った商品を購入することができます。

 消費成熟時代は、商品やサービスの種類が増え、それを提供する販売ルートも多様化します。

 顧客が商品やサービスを購入・利用する際の選択肢は多く、どこで何をどのように購入・利用したら、
 自身に最大のメリットをもたらされるかを比較検討して消費行動を起こすことができます。

□顧客満足とは

 1.期待とその充足

  顧客は、商品やサービスを購入・利用する際、それに対する期待があります。

  実際に購入・利用した後、当初抱いた期待と比較し、期待通りであれば満足し、期待がはずれれば
  不満足となります。

  もちろん、当初の期待度が低くく、実際に購入・利用した評価が同様に期待通りのものであった場合、
  これは満足とはいいません。これは当初から期待していない通りのレベルのものであるという不満足の
  再確認にすぎません。

  逆に、期待していなかったのに予想に反して期待以上のものであった場合、これは大きな満足となり
  ます。

  これは、期待を持っての次回の再購入・再利用につながります。

  顧客の期待する商品とサービスが提供できなくなった場合、顧客の評価は不満となり、次回以降、その
  商品やサービスには期待しなくなり、購入の機会も少なくなってしまいます。

  つまり、顧客に反復して、商品やサービスを購入・利用してもらうには、顧期待に応え続ける必要が
  あるのです。

 2.満足度の感じ方

  顧客の満足度は選択肢の数によって異なります。

  選択肢が多いほど満足は大きくなり、選択の余地がない場合、その満足度は低くなる傾向にあります。

  例えば、100種類の商品の中から気に入った商品を選ぶことができる店と商品が1種類しかない店があっ
  た場合、どちらの商店で購入するでしょうか。

  小売店の集客力は店舗規模に比例する関係にありますが、これは品ぞろえの充実度が影響します。

  顧客に多くの選択肢を提供できる店は顧客満足を充足することができ、集客力や売上高という数字
  表れます。

  そこで、中小規模の店は、専門店化するなどして取扱商品を絞り込み、絞り込んだ品種の品ぞろえを
  充実させることで消費者の選択肢を広げ、顧客満足を充足さ
せることなどが必要になります。

  また、当初期待していたことが実現した場合に満足につながるわけですが、感動は回を重ねるごとに
  小さくなるものです。

  期待は当然の内容であり、その実現も当然の内容であると感じるようにもなります。

  例えば、 過去の例で、米国におけるBSE(いわゆる狂牛病)の発生により、米国からの牛肉の輸入が停
  止されました。

  米国からの輸入牛肉に100%依存していた(株)吉野家ディー・アンド・シーは牛丼の販売を休止せざる
  を得なくなりました。

  最後の1杯を求める消費者が相次ぎ、吉野家の全国の来店客数は通常の2倍の200万人以上に達しまし
  た。

  「しばらく牛丼が食べられなくなる。今、食べておかなければ…」と、牛丼に希少価値が生まれたので
  す。

  これは数量と期間が限定されたことによって生じた希少価値です。

  「速い、安い、うまい」で慣れ親しまれた牛丼でしたが、改めて満足度の高い商品であることが再確認
  された格好です。

 
3.顧客満足のもたらす効果

  顧客満足の向上が企業にもたらす効果としては、

   ・ロイヤルティー(忠誠心)の向上

   ・口コミ情報

  の2つを挙げることができます。

  顧客満足度が高ければ、次回も同じ企業の同じ商品を購入することになるでしょう。

  満足した顧客は同じ商品を再購入するだけでなく、同社のほかの商品の購入にも結びつきます。

  消費者にとっては、商品に対するロイヤルティーに止まらず、企業に対するロイヤルティーにまで発展
  する可能性があります。

  顧客満足を上げることにより、ロイヤルティーの向上だけでなく、地域への口コミ情報の広がりを期待
  することができます。

  高い満足感を得た顧客は口コミという形で評判を広めるものです。

  特に、今ではインターネットや携帯電話の普及で、このような情報伝達は早く広範に行われるように
  なっています。


□顧客満足度調査の実施

 1.顧客満足度調査とは

  顧客満足度を向上させるには、顧客の満足度、不満足度を知る必要があります。

  そのためには、顧客満足度(不満足度)調査の実施が求められます。

  顧客満足は顧客が感じ判断することであり、企業が決めることではありません。

  企業が提供する商品やサービスの良し悪し、その評価は顧客が決めることです。

  顧客満足度向上には、

   現状の把握と問題点の抽出、問題解決に向けた活動

  が必要です。

  現状を把握し、問題点を抽出するには調査が必要です。

  アンケート調査の注意点としては、回答結果が顧客満足向上に向けた集計・分析のためだけに使用され
  るということを事前に伝えることです。

  「どの顧客がどういった回答をしたか」が分かるようなものでは、正直な回答を得ることはできませ
  ん。


 2.調査対象

  顧客満足度調査をするに当たり、まずは調査の対象を決める必要があります。

  商品の購入者やサービスの利用者全体を対象とした全数調査ができればベストでしょうが、自社の業種
  や予算などの関係で実際は困難です。

  そこで、全顧客リストからサンプルを無作為抽出して調査し、調査母集団(顧客全体)の傾向を把握す
  る方法が一般的です。

  調査対象は顧客である必要がありますが、それを最終ユーザーである消費者にするのか、取引先の販売
  店にするのかで、調査の意味合いは異なります。

  個人で使うパーソナル商品の場合、その調査対象者は購入した個人ですが、家族で使うホームユース
  商品の場合、購入の際の意思決定者は誰かなどを確認する必要がありそ
うです。

  購入したのは夫だが、実際の意思決定は妻がしているケースなどがあります。

 3.調査の実施時期

  商品やサービスを購入・利用した時点で調査するのか、それともしばらく時間をおいてから実施するの
  かによっても、調査結果に影響します。

  購入・利用した直後は比較的満足度は高いが、時間の経過とともに感動も薄れ、満足度にも影響しま
  す。


 4.調査項目

  顧客満足とは顧客の期待に応えることにより達成されます。

  従って、顧客の期待が何であるかを把握することが不可欠です。

  現在提供している商品やサービスの良し悪しについて質問するだけでは不十分です。

  これでは現状の再確認にすぎません。

  自社の描いている顧客像と実際の顧客像に差異が生じているかもしれません。

  その差異を発見し、それを埋めるための調査でなければなりません。

  調査項目と質問内容は、調査を企画するうえで最も重要な要素であるため、自社内で十分に議論する
  必要があります。

  事前に数人の顧客に直接取材し、生の声を聞いたり、クレームや問い合わせをヒントにしたりすること
  も効果的です。

  顧客の期待を調べるには、当社の選択理由「なぜ…、何のために…」というように質問する方式が採ら
  れます。

  顧客の期待が何であるかを明確にすることが大切だからです。

  従って、企業が調べたいことを調べるのではなく、顧客が思っていることを調べるという態度で望む
  必要があります。

  顧客満足度調査をするのならいろいろと多くのことを調査したいと思ってしまうものですが、調査に
  協力する顧客の負担を考慮し、調査項目が多すぎないように注意する必
要があります。

  調査項目全体が一目で分かる程度の量がいいでしょう。

  少なければ少ないほど顧客の労力は少なくて済みますが、少なすぎても何のための調査か分からなく
  なっ
てしまいます。

  多過ぎず少な過ぎない量は10項目程度でしょう。

   アンケート調査例

  満足度調査であると同時に不満足度調査でもあるので、回答の評価項目は、

   1.満足 2.不満

  と対比する項目が必要です。

  上の例では、

   1.よい 2.わるい

  となっています。

  しかし、日本人は、白黒をはっきりさせるのを好みません。

  そこで、もっと回答しやすくするためには、

   1.満足 2.やや満足 3.普通 4.やや不満 5.不満

  または、

   1.よい 2.まあまあ 3.ふつう 4.あまりよくない 5.わるい

  などのように選択肢を増やし、ニュートラルに近い回答項目を設けると回答しやすくなります。

  最後の自由書込み欄は、広いスペースを設けて、さまざまな希望、意見、不満を記入してもらえるよう
  にします。

  「もの静かな顧客は、何もいわずに黙って立ち去る」といいます。

  常に顧客に耳を傾ける姿勢を保つことが大切です。

□調査結果を経営に生かす

 1.調査結果の集計

  調査結果を集計し、その結果を企業経営に生かす必要があります。

  例えば、回答項目を点数表示し、

   よい=2点 まあまあ=1点 ふつう=0点 あまりよくない=-1点 わるい=-2点

  というように配点すると、集計結果を次のように点数表示することができるようになります。

   ・販売員の接客態度、言葉づかいは……… 20点

   ・販売員の商品知識、商品説明は………… 25点

   ・レジ担当者の接客態度は………………… 10点

   ・配送担当者の対応は……………………… 15点

   ・品ぞろえについては……………………… 10点

   ・販売価格については………………………-20点

   ・店の清潔感は…………………………………5点

   ・アフターサービスは………………………-20点

 
 顧客満足度調査を実施するうえでのポイントは、調査するのは自社の顧客であり、自社の顧客を対象に
  何を調査するのかを明確に定める必要があります。

  また、調査自体は目的ではなく手段です。

  調査結果は後で顧客満足の向上に役立てるための行動が可能な項目でなければなりません。

  ですから顧客満足度調査を行う企業は、顧客の要求事項や期待事項について学ぶ必要があり、さまざま
  な顧客満足の要素に関する情報収集にとどまらず、提供される製品・
サービスについて顧客が何を重視
  しているのか、その優先順位に関する検討も重要です。

  一般的に顧客満足度調査は、企業活動に反映されて、その結果の評価が継続的に行われることで、次第
  に手法が改善され効果性が高まると考えられます。

  顧客満足度調査は、1回実施すればよいというのではなく、継続して実施する必要があります。

  この継続の中で、調査をよりよいものにしていく必要があります。

  顧客満足度(不満足度)調査の結果は、その後の企業経営に生かさなければ、調査の価値はあり
  ません。

  また、調査結果が店舗運営、従業員教育、製品開発などに生かされれば、顧客もこうした調査への
  参加が自身のメリットにつながることを理解してくれま
す。

  例えば、上記の調査票例で、販売価格とアフターサービスの2つの項目への対応が求められたとします。

  しかも、優先順位は甲乙つけがたい状況です。

  そこで、低価格志向の顧客にはポイント2倍還元セールを行い、アフターサービスの充実を求める顧客に
  は、ポイントを2倍つける分をアフターサービス費用に振り分けること
にします。

  これにより、価格志向の強い顧客とアフターサービス志向の強い顧客、双方の満足度向上につなげる
  ことができます。

  ここでいうアフターサービスとは、製品保証などをいいます。

  例えば、家電製品などはメーカーの1年保証が付いていますが、これとは別に販売店独自に用意する
  5年間保証
などを指します。

 2.顧客満足への取り組みは継続が不可欠

  企業活動は継続します。

  従って、顧客満足向上への取り組みも継続することが不可欠です。

  今月、顧客は満足していても、来月も同様の満足が得られるとは限らないのです。

  アンケート調査の集計も、一定の期間ごとに区切って行い、調査結果の推移を比較します。

  アンケート結果がよい方向に向かっていれば、顧客満足向上への取り組みが順調であることになり
  ますし、逆にそうでない場合には、顧客満足向上への取り組み方を見
直す必要があります。

  顧客満足向上への取り組みは、基本的にPDCAサイクルと呼ばれる手法によって進められるべきです。

  PDCAサイクルは、問題解決のための基本的な過程(プロセス)を示したものです。

  具体的には、

   1.改善すべき目標を設定し、その達成のためのプログラムを立案する(Plan)

   2.プログラムを実施する(Do)

   3.定期的に達成状況を点検・評価する(Check)

   4.改善方法やPDCAサイクルの運用に不都合があれば処置・是正を行う(Act)

  
という手順となります。

  PDCAサイクルは、この1~4を繰り返し実行するサイクルを指します。

  従って、顧客満足度調査の実施は、このPDCAサイクル(顧客満足向上への取り組み)において、
  定期的に達成状況を点検・評価する(Check)機能の一端を顧客に担ってもら
うことになります。


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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客を満足させる

顧客を満足させる CSM

■CS=CSM
 商品の性能や技術力だけでは他社との差別化が難しくなっています。
 それだけに消費者や顧客に対するサービスや対応の仕方の優劣が企業の生き残りの大きな
 カギとなるのです。
 CS( Customer Satisfaction=顧客満足)といえば、誰もが理解しているように思って
 いるかもしれませんが、実際にはその解釈はまちまちです。
 例えば最も典型的なのが、挨拶の仕方、 電話のかけ方、名刺の出し方など、身近なマナー
 に関する捉え方です。

 また 「お客様は神様」「何が何でもお客様の言うことを聞かなければならない」「平身
 低頭し土下座すること」ということで 、現場のCSが嫌われ、しかも混乱を起こして
 いる組織もあります。

 本来は、CS =CSM( CS Management=CS経営)なのです。
 CSを語るときに最初に Management を入れておけばよかったのですが、これを省略
 したために部分の活動や現場だけの取り組みと捉えられてしまい、現在でも一面的な見方
 になっている企業がたくさんあります。

 ともあれ経営である限り、全社・全組織をあげて取り組むのが当然です。
 それにも係わらず、本社・本部が取り組まないで、支店、営業所、販売店などに
 「一所懸命に取り組め!」「何をやっているのだ。ちっとも成果が上がらないではないか!」
 と現場だけの活動にしてしまい、尻叩きするなどはCSを全く理解しておらず、大きな
 間違いです。

 従来からの作り手・売り手の発想、すな わち「どのようなモノを作れば売れるか、どの
 ようにして売ろうか」から「顧客が求めている要素は何か、顧客満足をもたらすために
 どのようにした らいいか」と、考え方がガラリと変わってしまったために、頭の中の
 スイ ッチが切り替えられていない場面が随所に現れているのです。

 さて、CS =CSMである限り、そこにはおのずと企業理念が伴います。
 また、経営哲学があるはずです。
 しかし、「多くの企業が取り組んでいるから当社も遅れず取り組もう」と、あたかも
 流行を追う考え方の企業もあり、こうした場合に共通するのは立派な額縁に納められた
 もっともらしい企業理念と称するお題目です。

 この場合、経営陣に「貴社の企業理念をお教えください」とお願いすると、「確か手帳に
 書いてあったな」とい うレベルの認識であり、自社の理念を情熱的に解説してくれる場面
 にはお目にかかれないことが多いのです。

 また、管理職の人たちにその内容の解説を頼むと十人十色となります。
 これで本当に企業理念なのでしょうか。
 CSがCSMである限り、経営陣が熱心でなければCSが成功しないのは当然です。
 管理者も現場もその姿をしっかりと見ているからです。

□まずは顧客理解がスタート
 1.顧客とは誰のことを意味するのか
  社内で語る顧客はそれぞれが異なった顧客を想定しているにもかかわらず、 話が
  通じているように感じて間違いを犯していることが多くあります。
  実際には世の中の大きな変化に従い、意識しなければならない対象顧客が異なって
  きているのです。

  例えば、今までの商流、すなわちM(メーカー)→W(商社・卸・問屋)→R(代理店・
  販売店)→CO/U(消費者・生活者・ユーザー)であったものが、現在では、
  M→R→CO/Uと なり、M→CO/Uと変化し、W→CO/Uという姿に移行して
  います。

  コストダウン、スピードアップ、短絡化が進んでいるために生じている現象で、その
  核にあるのがIT(情報技術)です。
  ここで共通する要素は限りなく最終顧客を意識し、そのために顧客の変化をリアル
  タイムにキャッチし、顧客に満足・感動をもたらす方向に向かっているということです。

  ところが、まだその変化が捉えられず、 最終顧客を全くといっていいほど意識して
  いない企業も多いのです。
  つまり、直接の商社・卸・問屋や販売店が一番大切な顧客であるという認識なのです。

  どのメーカーを選ぶか、どの商品を選定するか、どのお店で購入するか、お金を払うか
  どうかなどは、全て最終消費者・生活者・ユーザーが決めることです。
  全てのコストは顧客が負担してくれてい て、給料は顧客が払ってくれているのですが、
  これを理解せずに、なお、 顧客をありがたく認識していない企業が多いのが現実です。

  B to B( Business to Business=企業間取引)であったとしても、結果として
  誰が最終顧客なのか(B to C)を認識していないのです。
  以上は社外顧客を指していますが、社内顧客も大切にしなければなりません。
  企業にとって社員は全て顧客ですが 、中でも重要なのが、顧客接点担当者です。

  近年のようにアウトソーシン グが進んでいる時代は、顧客接点担当者は必ずしも社員とは
  限りません。
  コールセンターのオペレーターや物流の トラック運転手などがそれに該当しますが、
  これらの顧客接点担当者が雑であったり、顧客に不愉快な思いをもたらしてしまった
  のでは何もなりません。

  それこそ画竜点睛を欠くことになってしまいます。
  今では、ES( Employee Satisfaction=社員満足)が多く語られています。
  つまり、社長から始まるピラミッ ドの組織図は、社内論理で顧客は一番下にきてしまい
  ます。

  そこで、一番上に顧客をおき、その下が顧客接点担当者、そして逆ピラミッドの一番
  下にくるのが社長という図式です。

 2.顧客理解が先決
  顧客のことがわからない限り、顧客に満足提供はできません。
  ところが、現在の顧客は持ちたいモノを 一通り持ち、体験したいサービスを十二分に
  体験しているだけに「次に欲しい商品、身近な欲しいサービス(顕在化満足)」は
  表現できるものの、「現存しない心の底に潜んでいる商品やサービス(潜在化満足)」
  については要望を語ることはできません。

  これでは常に目先の対応に追われ、他社と同質競争に陥り、その結果、矢継ぎ早に
  目先の変わった商品やサービスの発売に力を注ぐことになってしまい、結局のところ、
  値引き合戦に陥って顧客のための前向きな価値提供競争に至りません。
  顧客満足を調べてもほとんど役に立たないのが現状です。

  その証拠に、毎年「顧客満足度調査」を実施している企業の満足度の点数が上昇して
  いるのに、業績は低迷、ないしは下降線という矛盾が非常に多く見られるからです。
  何のための調査かわからない状況に陥っているケースと、現状把握のマーケティング
  調査を行い、その結果を「正にその通り」とするものの、次の一手を打つための資料
  にはならず、時間と手間と費用をかけて何ら活用をしていないなどの結果となって
  います。

  それでは、どのようにして顧客の潜在化満足をキャッチしたらいいのかということに
  なりますが、現在のところ成果を上げている取り組みは以下のケースです。
  (1)「顧客不満足度調査」すなわち顧客の不満足を独特の手法・ノウハウにより
    捉え、掘り下げるアンケート 調査。
    顧客の不満を分析することにより、顧客が求めている要素を見つける方法。
  (2)顧客の何気ない一言をキャッチする方法。
    A.お客様電話相談室  B.お客様情報メモ活動などが主流。

  この調査結果から全社を挙げた活動がスタートするのです。
  つまり、調査結果から“経営者が解決する課題(戦略課題)“管理者が解決する課題”
  (戦術課題)“現場が解決する課題” システム革新・営業革新・物流革新、新製品
  開発・新サービス開発など”に取り組むのです。

  この場合、全ては顧客の生の声ですから、誰もが「それは嘘だ、データの加工だ」
  などという反論をしませんので全社・全組織活動になるのです。
  事実、近年の革新はこの方法で成功しているケースが増加しています。

□顧客不満足からの革新
 1.貴社に「営業とは?」の定義はありますか
  この質問をして明快に答えを返してくる企業はほとんどありません。
  そこで「それでは営業は何をしていますか?」と尋ねます。
  すると、電話をかける・受ける、 顧客と面談、 時には食事したり一杯飲んだり
  する・ ・・など、およそ 500 位の詳細な活動内容が披露されます。

  これが言うなれば営業の実態なのです。
  そこで、これらを時間の比率で整理して みます。
  すると、およそ次のような分類になります。

   ①デスクワーク
   ②移動時間
   ③会議
   ④トラブル対応
   ⑤その他雑務

  以上で85%以上となりますが、ほかに⑥顧客面談率=15%以下があります。
  しかし、これは面談であり、商談や企画・提案ではありません。
  単に顧客と会って話をしているだけの時間です。さて、顧客面談率 15%は、1日の
  時間の中ではおよそ 1.2〜 1.5 時間です。

  1年365日の内、土日・祝祭日・夏冬休み・会社の記念日、有給休暇などを合計
  すると約120日間となります。
  そこで 365日− 120日= 245 日が1年間に出社している日数です。
  1年間の顧客面談総時間数は、245 日×1.2〜 1.5 時間(h)= 294( 367.5)時間
  となります。

  もし現状のままで1日6時間を顧客との面談とした場合、
   294( 367.5)÷ 6h= 49 日( 61.25 日)となりますから、時間の配分を変えない
  限り、1年間でせいぜい2ヶ月から1ヶ月少々にしかならないわけです。
  これで営業成績が上昇するならこんなに楽なことはありません。

  ここでわかるのは一般的に営業とは①〜⑥までのことを意味し、現場の営業活動の
  時間配分をSFA(セールス・フォース・オートメーション)やモバイルを駆使した
  直行・直帰体制などに組み替えない限り、顧客との面談は大目に 見ても1年の内わずか
  2ヶ月程度ということです。

  つまり、少なくとも 85%:15%の比率を逆転させる必要があるということです。
  その上で、1日6時間の実質的な営業活動を行うならば、245 日× 6h= 1470 時間
  となり、その差が実質的な営業時間の増加となります。

  給料・賞与を含めて十数ヶ月分払うのですから、1日あたりどれほどの価値があるか、
  滅多に打たないホームラン バッターのような営業担当者ばかりでは、企業は成り立つ
  はずがありません。

 2.新しい営業体制のスタート
  しかし特に①〜⑤までをやらせているのは管理者ですから「ガンバレ、努力しろ!」と
  アクセルを踏んでいながら 、実はブレーキを踏んでいるような状況にしているのです。
  これでは営業担当者はスピンを起こします。

  どうしてこのようなことがわかったかと いうと、特にルートセールスなどの場合、
  顧客不満足度アンケート調査で、「おたくの営業担当者はなかなか来ない」「貴社の
  サービス担当者は来てほしいというのに来てくれない」という実態を知って、営業日報
  などを見ると、すべて訪問していることになっている。

  その落差を調べたら、①〜⑤ に追われ「取りあえず訪問したことにしておこう」という
  日報だったと言うことが判明したからです。
  おまけにそのような日報をみて赤字でコメントを書いている管理者がなんと滑稽な
  作業をしているかも判明しました。

  そこで、今までの営業システムを変えて①〜⑤の時間を短縮し、⑥を大幅に増やした
  のです。
  その際に営業活動の売り上げ目標を1日単位として、1日の目標が達成できないときは
  翌日2日分どのようにして販売するかの具体策を上司に報告・相談してからでないと
  帰れないようにしました。

  そして、1週間目標を達成できないときは直属上司の責任、2 週間達成できないときは
  その上の上司の責任、そして1ヶ月間達成できな いときは更にその上の上司の責任という
  (しっかりと部下をサポートしない責任)デイリー管理にしたのです。

  その他、顧客の不満を解消して顧客満足をもたらすための新たな方策を生んだ結果、
  市場が縮小し、顧客数が減少する時代に 100%、120%、150%、200%・・・
  というように業績貢献につながったのです。

  ともあれ一般的に行われている活動、す なわち「改善(穴埋め・修復など問題が発生
  してから行う後追い活動)」では当たり前のレベルにしか到達しないため、特に
  CS活動においては「革新(今までにない、業界のやり方、自社でやったことのない
  方法)」を顧客の意見に従って行う活動に切り替えるのです。

顧客との永いご縁を生み出す
 日本では今後さらに市場が縮小し、顧客数が減少します。
 だから一度ご縁があった顧客との永いコ ミュニケーションは大切にしなければなりません。
 もちろん新規顧客の開拓は大切ですが、しかし、顧客とのご縁が続かない限り、つまり、
 売れば売るほど顧客を失う活動に精を出していたのでは早晩、企業は立ち行かなくなって
 しまいます。

 加えて、新規顧客の開拓に要する経費と既購入顧客に再度購入を促す際に要する経費を
 比較すると、新規顧客に対してはアメリカで約5倍、日本では約8倍も要するため、
 新規顧客の開拓ばかりに力を注いでいると、経費負担が増加することになってしまいます。

 しかし、新規顧客の開拓をしなければ顧客は次第に目減りしていきますから、新規顧客
 の開拓をしながら、顧客の継続率を高める活動が必要となります。
 そこで大切になるのが、 Customer Relationship Management(CRM)です。

 顧客との永い良質なご縁を生み出し、継続し、永続的にする一連の顧客データ(情報)を
 基盤にした、前向きの活動です。

 <Customer Relationship Management>
  ・顧客を中核にした企業理念は明確か。
  ・「顧客を中核にして考え、行動する組織のDNAを生む経営」を行っているか。
  ・「業績=顧客の支持率」を達成する経営であるか。
  ・「顧客の満足、感激・感動、しあわせ感を醸成する」活動を行っているか。

  非常に重要なことは、顧客の価値観に合った商品・サービスの提供です。
  「安くなければ購入しない」という顧客は確かに存在しますが、良質なサービスを
  求めている顧客は必ずしも低価格にこだわっているわけではありません。

  ところが、バブル経済崩壊後から今日に至るまでの日本の在り方にはかなりの問題が
  発生していてゆゆしい事態に陥ることが増えてきました。
  企業倫理(CSR)やコンプライアンス 、モラルなどの表現に表れている問題がそれです。

  世間を騒がせる事件・事故やクレーム増加の方向にも、その根幹に共通する要素が
  存在しています。

   ・コストを下げて品質劣化を招いている
   ・スピードアップを図って雑にしている
   ・短絡化を図って付加価値喪失を招いている

  などはいずれも企業の実態を悪化させている共通要素です。
  本来の在り方は以下のポイントを充実させることですが、特に社長は組織に指示する
  とき、この両方を解説しなければなりません。

   ○コストを下げて品質向上を図りなさい
   ○スピードを上げてきめ細かくしなさい
   ○短絡化を図って付加価値を増大しなさい

  ところが、片方だけを言うために商品品質の悪化、 手抜きや価値の低下を招いている
  のです。
  そればかりか、その穴埋めのために多大なロスコストを生んでいるのです。

  ロスコストの内訳を大まかに言うと、新商品と交換する、部品代をタダにする、
  技術料を無料にする、その人件費をサービス部門(修理部門)の負担にする、この
  ようなマイナスの活動に 多大な経費を使用している。

  また営業担当者は顧客に謝って歩き、その間は営業活動をしていない、その経費は営業
  部門持ちといったコストです。
  設計・開発・工場などは、そのコストがどれだけかかっているか、縦型組織ほど理解
  していないのです。

  横軸で見てコストダウンの経費とロスコストを比較すると、いかにロスコストが大きく
  (大企業では年間使用のロスコストは優に100 億円を超える)、 しかも売った分だけ
  顧客を失う活動に精を出している不毛の活動に陥っているのです。

  「企業の生き残りのため」と称するこうした活動が、実は企業を衰退化、消滅化に
  導いているという笑えない現実が あるのです。
  それは、顧客を中核にして取り組んでいないからです。
  企業理念がしっかりしていないからです。

  顧客満足は企業も共に満足するイーブンな関係でなければなりません。
  企業は「生き残りを目指しても生き残れない」のです。
  「勝ち残りを目指さなければ結果として生き残れない」ということです。
  『業績=顧客の支持率』を達成する活動がCSだといえるでしょう。


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顧客満足度と従業員満足度の向上

CS経営

CS経営

 ■CS経営とは
  1.CS経営の効果 
   A社とB社という企業があり、仮にA社の商品、B社の商品ともに同じ価格、同じ品質、
   同じイメージであったとした場合、例えばA社の商品を購入することによって、
   何らかの付加価値・サービスが得られ、より高い満足度が期待できれば、消費者は
   A社の商品を購入することになります。 
   A社の提供する商品やサービスに満足した顧客は、再びその企業の商品やサービスを
   購入するようになり、固定客となります。

   満足度が高ければ高いほど固定客が増加し、その結果収益の増大が図れるのです。
   また、もう一つの効果は、CSによってその顧客は家族や友人など他の人に満足を話し、
   それによってよい口コミとなり、新しい顧客の獲得につながることです。
   口コミの効果は絶大で、「満足した顧客は、最もよいセールスマンです」という
   セールスの名言がありますが、この名言どおりの効果が期待できます。 

   反面、顧客の満足が得られなければ、一人の顧客を失うだけでなく、悪い口コミ
   により、多数の見込客を失うことになります。
   CSのメリットの第二は、最小の費用で最大の収益が得られることです。 
   収益を上げる方法には

    (1)新規顧客を開拓して収益を増やす方法
    (2)既存の顧客のCSを高め、1人当たりの収益を上げる方法

   の二つがあります。

   (1)の方法は市場が成長期にある場合は、容易に開拓することができました。
   しかし、現在のように市場が成熟期に達すると、成長期のように簡単にいかず、
   それにかかるコストも多くなります。 
   それに比べて(2)の方法は、ターゲットがはっきりしており、効率的にアプローチが
   できます。 

   顧客の満足を高めるために費用はかかるものの、1の方法より小さくてすみ、
   効果も大きいといえるでしょう。
   また、CS度を高めることによって、口コミにより、新規顧客を開拓することも
   期待できます。

  2.CS経営とは 
   CS経営とは顧客の満足度を高める経営です。
   つまり「自社の提供する商品・サービスなどについて、顧客がどれくらい満足したか、
   顧客の満足度を調査し、その結果にもとづいて、不満足な点を改善し、より高い
   顧客の満足を追求していく経営」といえます。 

   顧客満足の構成要素としては、
    ・商品・サービスの直接的要素
    ・企業イメージの間接的要素
   の二つからなります。

   これらの要素を総合したものがCSなのです。 
   以前は商品のハード面としての品質、機能、価格などのウエートが大きく、商品の
   品質がよくて、価格が安ければ、それで顧客の満足は得られました。
   しかし、市場が成熟化してきており、すでにハード面だけではCSが得られないのが
   現状です。

   CS達成においては、商品のソフト面のデザイン、カラー、使いやすさなどや、
   購入時の店の雰囲気、店員の応対マナーといったサービス面のウエートが高まって
   います。 
   また、商品・サービスといった直接的要素に加えて企業イメージなどの間接的要素も
   重要となっています。

 □CS経営の導入と推進 
  1.CS経営推進の手順 
   CS 経営を導入し、推進していくには、顧客の視点に立って新たな経営のシステム
   づくりを行う必要があります。 
   出発点は社長の「CS経営確立」という強い意思に始まり、CS経営推進の組織を
   つくり、全社員のマインド醸成を行い、意識改革を図ります。
   次に顧客満足度調査を行い、どこに自社の問題点があり、顧客が何を望んでいるかを
   的確に把握し、それぞれの問題点の改善、顧客の要望の実現への改善計画を立て
   実施することとなります。 

   改善計画が実施されれば、一応問題点は改善され顧客満足の向上は図られます。
   そして、その時点からさらに新しいCS項目への挑戦の始まりともなるのです。
   以下、手順に従って簡単に説明します。

   (1)CS経営理念の確立 
    CS経営の成功事例からいえることは、いずれも経営トップが先頭に立って、
    確固たる信念にもとづいて、CS経営理念の確立に当たったことです。
    トップ自らが「CS経営とは何か」を理解し、「どうすれば顧客の満足が得られるか」
    全社員と一丸となって、実施することによって成功することができます。

   (2)CS経営の組織 
    CS経営を推進するには、組織が必要です。 
    CS委員会の発足を推進のスタートとし、委員長は企業トップがなります。
    CS委員には、取締役や各部門の部長がなり、横断的な組織とします。
    この委員会によって、CS向上の内容が検討され決定されるわけです。
    決定された事項は、各部門において実施されることとなります。
    さらに、CS 委員会をスムーズに運営するために事務局を置き、CSマインドの
    醸成などを含めた活動をさせます。

   (3)CSマインド醸成 
    CS経営に対するトップの確固たる信念が、全社員に理解され、行動に移される
    ことが必要です。
    このような方向に進むためには、経営トップが「いまなぜCS経営なのか」
    「CSとは何か」について、やさしく語りかけることが求められます。

    そして「顧客の満足に向けて当社は何をすべきか」という企業目的を明確にし、
    「それに向かって、全社員が担当分野で何をすべきか」を明示することが必要
    です。
    CSの行動基準をより徹底するためには、わかりやすい言葉で表現することが
    大切です。

   (4)CS調査 
    CS理念が確立され、CSマインドが醸成されると、次は顧客の満足度を測定
    したり、顧客の要望を知るためのCS調査を実施します。
    CS調査は商品やサービスの改善計画の大切な資料となるため、十分な事前準備
    のもとに行う必要があります。

    CS調査は次の三つの原則に基づいて行います。
     ①継続性 
      これは定期的に、しかも継続的に行うことであり、これによって、
      顧客の満足度の状況や問題を時系列的に把握でき、比較検討がで
      きます。

     ②定量性 
      前年度との比較や時系列的な傾向を知るためには、調査結果が数字で
      表わされているとはっきり比較することができます。
      顧客の満足度を定量的に把握するには、質問項目を設定し、3〜5の
      回答項目によって、「大いに満足」は5点、「満足」は4点、「や
      や満足」は3点、というような評価点をつけるのがよいでしょう。
      こうすることにより、どの項目が満足度が高く、どの項目が低いかを
      知ることができます。

     ③正確性 
      せっかく、時間と費用をかけて調査をしても、調査結果が正確で
      なければ意味がありません。
      正確性実現のため、次の点に注意することが必要です。
       ・調査対象のサンプリング(抽出方法)が適切であるかどうか
       ・調査項目が経営実態を十分に調査できるものであるか
       ・調査方法が適切であるか
       ・調査担当者が適切であるかどうか

  2.CS調査分析と商品・サービスの改善 
   CS調査分析を実施し、次は分析の段階に入ります。 
   分析の段階で問題となるのは、顧客の満足度のとらえ方です。
   満足度は厳しく評価することにより、より正確性を期することができます。
   例えば「非常に満足」「満足」「やや満足」「やや不満足」「不満」の五肢択一
   のような場合は「満足」までを満足度の点数に入れるようにすると良いでしょう。

   また、回答者が特定の性別、年齢などの属性に片寄らないよう注意を払う必要が
   あります。 
   過去のデータと比較して、全体および項目ごとに満足度が上っているかどうか、
   下っている場合は、その理由は何か検討します。
   そして、問題点を抽出し、問題点の改善に向かって改善計画を立てて実施します。 
   改善計画の段階の大切なポイントは、満足度の低い分野への迅速な対応です。

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顧客満足度と従業員満足度の向上

従業員満足度の向上はワークライフバランス

従業員満足度の向上はワークライフバランス


■ワークライフバランス


ワークライフバランス(以下「WLB」)という言葉が社会に広く浸透してきました。
一般的にWLBは「仕事と生活の調和」を意味し、これが実現された社会では、
1人ひとりが、自ら望むバランスで仕事・家庭生活・趣味・地域活動などに取り組む
ことが可能になると考えられています。


財)社会経済生産性本部内にある次世代のための民間運動~ワークライフ

バランス推進会議~「ワーク・ライフ・バランスは新しい時代の生き方」

日本でWLBが大きく注目されるようになったのは2002~2003年からのことで、

当時は少子化対策としての印象が強かった。

しかし、最近ではいわゆる「偽装管理者(十分な権限などが与えられていない

名ばかりの管理者)」などの問題を背景に、適正な労働条件の確保の面からも

WLBが重視されるようになっています。

 

企業においては、WLBの実現は従業員に対する企業の社会的責任(「労働CSR」

とも呼ばれる)であるとの認識が広まりつつあり、大企業を中心にWLBを実現

するための取り組みが進められています。

例えば、資生堂の「カンガルースタッフ(来店客数が増える夕刻時間帯に、

育児時間を取得する美容職の代替要員として店頭に契約社員を派遣する制度)」

などは、比較的、知名度の高い取り組みといえるでしょう。 

また、従業員もWLBの実現を求めています。

最終的には、WLBは1人1人が就業環境や家庭環境に応じて決めていくべきもの

といえるが、少なくとも、「慢性的な長時間労働がない」「パワーハラスメントや

社内いじめがない」など、心身ともに健康で働くことができる職場環境が求められて

いることは間違いないでしょう。

そうした円満な職場環境を実現する上で、WLBの実現は重要なポイントとなります。 

以降では、WLBに対する従業員の意識を紹介した上で、中堅・中小企業がWLBを

実現して従業員満足度を高めるための具体的な方法について紹介していきます。



□ワーク・ライフ・バランスに対する意識 
 

WLBに対する従業員の意識として、内閣府「仕事と生活の調和(ワークライフ

バランス)に関する意識調査」(以下「意識調査」)を紹介します。

これは全国20歳以上60歳未満の男女2500人を対象に実施され、2018年9月に発表された調査である。




内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)

に関する意識調査」です。 


意識調査によると、生活の中での「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」

の優先度(性別)は表の通りです。

 

就業環境や家庭環境の違いなどがあるため一概にはいえないが、男女ともに

仕事の優先を希望する人は少ない。

ところが、現実には仕事が優先されており、希望と現実の間に大きなギャップが

生じています。

こうしたギャップを解消して、希望する生活の状態に近づけることでWLBが

実現し、従業員の満足が高まるといえます。 

では、どうすればWLBが実現するのでしょうか。

同じく意識調査によると、「WLBが実現された社会」に近づくため、企業の取り組み

のうちもっとも重要なものは表の通りです。

 

企業がWLBを実現するために重要とされる取り組みは多岐にわたるが、整理すると

「社長や取締役がリーダーシップを発揮しつつ、WLBの実現に必要な意識改革・

業務改善・制度構築を進める」ことが必要だといえるでしょう。

 

□中堅・中小企業のワーク・ライフ・バランス実践
1.企業がWLBを推進する際の考え方
 

WLBを実現する上では、従業員が多くの時間を費やす仕事と、家庭生活や地域

活動とのバランスを取ることが重要なポイントとなります。

中でも仕事と家庭生活のバランスを取ることはWLBの基本ですが、これは、

かねてより「両立支援」として多くの企業が取り組んでいる分野でする。

両立支援とは、法定以上の育児休業など従業員の仕事と家庭生活の両立を支援

するための各種の取り組みを指します。 

前述した意識調査でも分かるように、企業がWLBの実現を進める際には多面的な

取り組みが必要となりますが、必ずしも全く新しい取り組みが求められている

わけではありません。

なぜならば、WLB推進のための取り組みの中心は、これまで多くの企業が

何らかの形で取り組んできた両立支援の延長線上にあるからです。

WLB推進において重要なのは、両立支援の取り組みの実効性を高めることで

あります。

特に、WLB推進について大企業ほど時間とコストをかけることが難しい中堅・

中小企業にとっては、全く新しい取り組みを開始するよりも、既存の休暇制度の

取得率向上などを目指したほうが効率的だといえます。

 

2.企業がWLBを推進するための主な取り組み

企業がWLBを推進するための主な取り組みは表の通りである。

企業がWLBを推進するための取り組みはさまざまですが、少なくとも、育児

休業や介護休業のように、上表の「法定の有無」に○印があるものは整備しな

ければなりません。

万一、未整備である場合は法令違反となるため早急に対応しなければならない。


3.WLBの推進によって従業員満足度を高める

企業がWLBの推進によって従業員満足度を高めるためには、さまざまな制度を

新設して充実したメニューをそろえることが大切だという考え方もあります。

しかし、制度があっても利用することができなければ、従業員にとっては

“絵に描いた餅”であり、意味がないのです。

従業員の立場では、メニューの数もさることながら、実際に利用しやすいか

否かのほうが重要なのです。

休暇などの取得率を高めるためのポイントを以下で紹介します。

 

◎法定外の制度をうまく利用する 

WLBを推進するための取り組みの中には、法定の取り組みがあります。

こうしたものには確実に対応しなければなりません。 

しかし、法定の取り組みが従業員にとって利用しやすい制度であるとは

限りません。

例えば、育児休業に注目してみましょう。

育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育するための休業で、

1人の子につき1回しか取得することができない(育児休業の期間、取得

回数には例外があるが、ここでは割愛する)。 

育児休業を取得するのは主に女性従業員だが、最近は男性従業員の中にも

育児休業の取得を希望する人が増えています。

しかし、日本企業の就業環境を考慮すれば、男性従業員が1年という長期の

休業を取ることは難しいといわざるを得ません。

とはいえ、数カ月の比較的短い期間で育児休業を取得すると、その後、

同じ子については育児休業を取得することができません。 

このような状況に配慮して、従業員が利用しやすい制度を構築する場合は、

例えば、1歳に満たない子を持つ従業員を対象とした、

 特別育児休暇(有給):1回当たり最長3日で、年間16回まで取得可能

といった法定外の特別休暇を新設するとよいでしょう。 

男性従業員の多くは、1年間の育児休業を取得したいとは考えておらず、

「妻が育児で疲れているなど必要な場合は柔軟に休暇を取得して育児を

サポートできる」ような体制を望んでいるものです。

こうした男性従業員のニーズを満たすには、取得条件などの制約が大きい

法定の育児休業よりも、柔軟な設計が可能な法定外の制度のほうが適して

います。

また、特別休暇の新設であれば、会社の手間もそれほどかかりません。 

なお、上の特別育児休暇は、例として有給、1回当たり最長3日、年間16回

としているが、制度の運用は企業が独自に決めることができます。

 

◎企業が主導して実効性を高める 

育児休業と同様に代表的な法定の休暇制度に年次有給休暇があります。

年次有給休暇は、従業員にとって非常に好ましい制度です。

しかし、現実になかなか年次有給休暇を取得できない(取得しにくい)という

従業員が少なくありません。 

従業員が年次有給休暇を取得できない理由は、業務スケジュールの調整難や

同僚への気兼ねなどさまざまですが、放っておいてはいつまでも状況は

改善しません。

そこで、会社が主導して、従業員が年次有給休暇を取得できるようにする

ことが必要となる。

具体的には、「計画的付与」を利用するとよいでしょう。

計画的付与とは、従業員が有している年次有給休暇の日数から5日を除いた

部分について、会社が指定した時期に年次有給休暇を付与できる制度です。

計画的付与を利用することで、例えば職場ごとに休業日を定めて一斉に

年次有給休暇を付与することができます。

本来は、お盆の時期など年次有給休暇を取得する従業員が集中する時期の

対策(チームごとのローテーションなど)として利用されるものですが、

WLBを推進するための年次有給休暇の取得率向上策として利用することも

できるでしょう。


4.社長のリーダーシップ
 

ここまで、WLBを推進するための取り組みやその実効性を高めるためのポイント

を紹介してきました。

従業員が利用しやすい法定外の特別休暇を新設することなどを通じてWLBは

実現に近づき、従業員満足度も高まっていくでしょう。 

実際にWLB推進を決断するのは社長にほかならないのです。

WLB推進では、少なからず会社にも負担が生じます。

しかし、そうした取り組みを通じて従業員満足度が高まれば、従業員はそれまで

以上に積極的に業務に取り組むようになるなど、最終的には企業のメリット

にもつながるのです。

会社がWLBを実現するということは、従業員にとって働きやすく、会社に

とっても利益になる職場を作り上げることだといえます。社長はこの点を認識

した上で、WLBを推進していくとよいでしょう。 

中小企業がWLBを推進する上で、大企業のように多くの時間とコストをかける

必要はないでしょう。

繰り返しになりますが、大切なのはメニューの数ではなく取り組みの実効性を

高めることです。

前述した意識調査によると、自分のWLB度を点数化した場合の平均は51.2点

(100点満点)でした。

これを一気に100点にしようとするのではなく、60点、70点…といったように、

できることから少しずつ取り組んでWLB度の点数を高めていくことが、中小企業

のWLB推進におけるポイントといえるのです。


□労務管理上の手続き 
 

会社のWLB推進に関連する労務管理上の手続きとして、就業規則の変更を紹介

します。

常時10人以上の従業員を雇用する企業は、労働時間、賃金など必要な事項を

定めた就業規則を作成し、それを所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。

これは就業規則を変更した場合も同様です。 

WLB推進に当たり、「特別育児休暇」などの法定外の特別休暇を新設する場合、

就業規則の変更と所轄労働基準監督署への届出が必要となるので、確実に対応

しなければなりません。

また、変更した就業規則を従業員に周知することも必要です。



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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客満足(CS)度と従業員満足(ES)度の向上 


  ■購買後の評価

   商品・サービスの購入後も、消費者の一連の購買行動は終了するわけではあり
   ません。

   実際に購入した商品の使い勝手など、商品から得たさまざまな経験などは消費者
   の中に記憶され、次回の購買行動に影響を与えます。

   次回の購買行動に大きな影響を与える要因は「消費者の満足度」です。

   消費者が実際に商品・サービスを購入・使用して大きな満足を得ることができれば、
   次回に同様の商品を購買する際にも同じ商品を購入する可能性が高くなります。

   逆に、消費者が不満を感じれば次回は別の商品を購入することになります。

  □満足・不満足の要因

   「消費者(顧客)満足」の重要性はあらゆる場面で語られます。

   では、消費者の満足・不満足という評価はどのようにして形成されるのでしょうか。

   消費者は商品・サービスを購入する前にあらかじめ商品に対する「期待」を抱いて
   います。

   一般的には、この期待と実際に購入した商品から得られる「成果・経験」などの
   差異が、消費者の満足・不満足を決定するとされています。

   すなわち「期待<成果・経験」であれば消費者は満足し、逆に「期待>成果・経験」
   であれば不満足を感じるようになるのです。

   また、消費者は購買に際して料金を支払ったり、情報の収集を行ったり、実際に
   商品を購入するために店舗に足を運ぶなど、さまざまな経済的負担や労力を費や
   しています。

   これらの経済的負担や労力に見合った成果が購入した商品から得られるか否かも、
   消費者が感じる満足・不満足に影響を与えます。

   不満足を感じた消費者は、製造メーカーや商品・サービスを購買した店舗などに
   苦情を申し出るなど、なんらかの行動を起こす場合があります。

   しかし、製造メーカーや販売した店舗などに何らかの意思表示を行う消費者は
   非常に少なく、不満を感じた消費者の数%程度にしかすぎないといわれています。

   最も多いのは製造メーカーや商品を購買した店舗などに対して「何のアクションも
   起こさない」という消費者です。

   これらの消費者は、企業の全く知らないところで、他社(店)の商品に乗り換えて
   いるのです。

  □顧客主導

   顧客満足度(CS)とは顧客のルールによるものです。

   市場が成熟したことで、市場の主導権は企業から顧客に移っています。

   また、市場の成熟に伴い、顧客は多くの商品知識を持つようになり、顧客主導型の
   市場が確立されました。

   このような市場において、企業が差別化を図るために取るべき手段の一つが顧客
   満足度の向上です。

   顧客満足度の向上策に大きな効果を発揮するのがリレーションシップを図るための
   『顧客との関係強化』があります。

   リレーションシップの強化はCSの向上を図るだけでなく、クレームの予防策、
   営業力強化にも大きな効果を発揮します。

  ■顧客対応

   電話対応、事務処理などはあなたからみれば日常的な数多くある業務のうちの
   一つに過ぎませんが、多くの顧客にとってあなた(会社)を意識する機会は多くは
   ありません。
   (顧客との接点拡大はあなたを意識してもらう機会を増やす)

    ○約束したこと・時間は常に守られているか

    ○説明はわかりやすい言葉で丁寧に行われているか

    ○正しい言葉遣いで親切・丁寧に対応されているか

    ○『顧客の声』を取り入れ、それを改善する仕組みがあるか  

   これらのことはできて当たり前のことばかりです。

   自社に照らし合わせ、考えてみましょう。

  □お客様の期待に応える

   お客様が「〇〇してくれて当たり前」と思っていることを確実に実現する。

   言ったこと、約束したことを実行するのは当然ですが、言っていなくても、世間から
   みて「こうしてくれるのが当たり前」と思われていることも実行しなければなりま
   せん。

   お客様の期待に応えたいと思っていても、ついうっかりしたり、お客様の期待を
   誤解していたりすることもあります。

   理由はどうであれ、一度でもお客様の期待を裏切ってしまうと「万一の時は大丈夫
   か?」と不安にさせ、信頼を失ってしまうおそれがあります。

   お客様は100%期待通りにしてもらって当たり前だと思っており、組識全体が常に
   お客様の期待に応える体制作りが急務です。

   そのためにも業務の遂行を勘と経験で行うのではなく、標準化してマニュアルを
   作成し活用することで、自社(店)の品質を継続して維持していくことが欠か
   せません。

  □お客様が主語

   満足かどうかはお客様が判断します。

   ところがお客様に聞きもせず自分の判断基準で勝手に「こうすればお客様は不満はな
   いはずだ」と思い込んでいる場合はないでしょうか。

   「お客様のことはわからないのが当たり前」ではなく、「お客様のことを知っ
   ている」にするためにはお客様に謙虚に聴き、それにしたがって改善する姿勢と
   体制(顧客管理)が大切です。

    *あるアンケート調査によると、「折り返しお電話します」といった場合、お客様
     の時間の許容範囲は5分位と回答しており、それに対して15分後に電話し
     たら「遅い」という不満が残るでしょう。

     お客様の期待はわからないので、「○○分位でお電話できると思いますがよろ
     しいでしょうか?」と確認すれば期待通りに電話することができます。

  □お客様のことに注意を払う

   お客様は何を望んでいるか、どう思っているかなど、常にお客様のことを気にかけ、
   理解するように努めることです。

   それによってお客様の期待を知ることができれば期待に応えられ、不満そうな時には
   改善することもできます。

   また、お客様にとっても「気にかけられている」ことが、満足度の向上に大きく影響
   します。

  □初心を忘れない

   あなたにとっては慣れているので大した事はないと思えることでも、素人である
   お客様がとても気にしていることは少なくありません。

   慣れで対処すると、お客様にとっては事務的だったり冷たいと感じられ不満になる
   場合があり、実際にこのような苦情や不満はまだまだ数多く発生しています。

   初心を忘れず慎重かつ丁寧に対処するよう日頃から注意しましょう。

   いつの時代にあってもCSが語られないことはありません。

   業界問わずCSは経営における永遠のテーマであり、実践がおろそかになっている課
   題でもあります。
   
  □CSこそ差別化策

   商品の品質やイメージだけでは差別化できないこの時代に、高品質のサービス
   提供こそ数少ない差別化策なのです。

   しかし、現実には顧客が求めるサービスを実践しているところはほんの一握り
   しかありません。

   それがよく分かるのが、顧客との接点の最前線である営業や内務事務における
   電話対応といった現場においてである。

   そこでは、きわめて劣悪なサービスが日常茶飯事のように行われ、顧客満足
   どころか、不満やストレスを提供するといった経営がなされているのが実態です。

   これまでの活動が商品を“モノ”としての発想でしか見ていなかった会社(店)、
   経営者、社員が圧倒的に多かったのです。

   「買ってもらえばそれでおしまい」と考え、お客様に対して質の高いサービスや付加
   価値、気持ちよく契約してもらい、いつでも安心して任せられるといった“満足感を
   提供する”ことまでには考えが及んでいないのです。

   商売の基本となる

    商品の品質管理+サービスの品質管理=CS

   という構造に気付いていません。

   自分たちの都合を優先している多くの会社(店)を見受けるのです。

   情報が不足な時代の、つくれば売れた時代から、今「心の満足感、充足感」を実現
   するための努力が求められ時代になってきているのです。

   継続して収益を上げるのにインスタントな方法などありません。

     「あれもこれも」と手を出さず、まず1つのことを愚直なまでにやり続ければ、
   次にやるべきことが明確に見えてきます。


  □マインド × スキル × 仕組み

   お客様に伝わるサービスにはマインドが重要な要素です。

   正しいCSの実行は、基本を仕組み(マニュアル)で理解し、応用となるスキル
   (技術)は訓練で身につけ、マインド(心のこもった)で対応。

   CSは、お客様が判断するものであって、あなた(会社)が判断するものではあり
   ません。

   CSを実現するためには、お客様の要望・意見に真摯に耳を傾け、お客様の期待
   ・要望を把握し、お客様の期待を上回る商品やサービスを提供することが大切
   です。


  ■お客様を満足させる5つの基本

    1.信頼性 

      約束した事柄を約束どおりに実行する能力・信頼度・正確さ。

    2.迅速性

     すばやく直ちにお客様の役に立とうとする、やる気。
     (直接利益にならないことでもいやな顔を
     せずテキパキ処理をする)

    3.安心感

     お客様に示す知識・丁寧さ・確かさ

    4.共感性 

      お客様に示す配慮、個人的感情の度合
     い、問題を解決するのにお客様の立場
     を理解し、そのニ−ズ(不足)に細かく
     配慮する。

    5.仕事場の整理・整頓、身だしなみ

     ・現場スタッフが商品であり、CSのカギを握る

      ・現場スタッフが会社の代表者

      ・現場は会社の顔

 

   顧客満足とは、お客様が満足していること、すなわちお客様があなた(企業)の
   対応に喜びや感動、感謝といった感情をもつことです。

     『顧客は満足を買っている。 しかし、だれも、満足そのものを生産したり
     供給したりはできない。満足を得るための手段をつくって、引き渡せるに過
     ぎない』(ドラッカー)

   顧客満足で一番難しいのは、あくまでそれはお客様の判断、主観、感情であると
   いうことです。

   よくあるケースですが、お客様があなた(会社)のサービスに対する苦情を申し
   立ててきた場合に、苦情を受けた側に聞くと、「自分は、特にあのお客様には充分
   すぎるほどのサービスを提供してきた」という答が返ってきます。

   しかし、それはあなた(会社)の判断(すなわち、顧客ニーズとあなたの顧客サービ
   スとのミスマッチに気づかない)であって、お客様は実際には満足していないと
   いうケースが見受けられます。

   どんなにすばらしい商品・サービスを提供したとしても、お客様が本当に満足して
   いるのかどうかを自問すべきです。

   あなたの挨拶、身だしなみ、態度はお客様を不快にしていないだろうか。

   お客様はあなたを見た目で判断しています。

   このように、顧客満足度向上のためには社会人・組織人としての基本である
   基本動作の習得が不可欠です。

   お客様のニーズは、お客様に聞くのがもっとも確実な方法ですが、あなたとしては、
   日頃から顧客との関係づくりの強化を図っていくことがCSに繋がるのです。

   また、顧客満足、特にお客様のあなたに対しての満足度は、本質的には、お客様が
   購入した商品・サービスに支払った料金の額と、提供を受けるサービスの価値が
   同額か、それ以上の時に得られるものです。

   お客様から頂く料金とあなたがお客様へ提供するサービスは、必ず等価交換(または
   サービスがより大きい状態)でなければなりません。

   料金額に見合わないサービスしか提供しないあなたからは、やがてお客様は離れてい
   きます。

   ネットビジネスは別にして、あなたの価値は人間が介在して、お客様の目の前で
   提供されるサービス、すなわち提供する付加価値の一つ一つ、そしてそのことに
   よってもたらされるお客様の信頼感、満足感などです。

   お客様はそれらのことをあなたに求めているということがいえます。

   あなたの価値はまさにそこにあります。

  □それではお客様はどのような時に「満足」や「信頼」を感じるのでしょうか?

    ・ 担当者の顔を知っている

    ・ いつでも連絡がとれる

    ・ 常に自分のことを気にかけてくれている

    ・ 担当者は提供した商品・サービスについて何でも知っている

   あなたがお客様に自分の持っている価値やサービスを提供する場合、以下の点を明確
   に意識しておくことが重要です。

  □自分のもっている価値やサービスは何か、競合他社と差別化できる
   強みは何か。

      1.企業として当然提供しなければならない基本的な価値、サービス
         (基本業務サービス) 

      2.基本的な価値やサービスに付加して提供できる付加価値サービス 

      3.これだけは、自社しかできないと言える差別化サービス
         (セリングポイント

  □その価値やサービスは、誰が、どのような手順でお客様に提供していくのか。

    これは必ず「行動」として明確化し、実践していかなければなりません。


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従業員満足度(ES)とは 


  ■顧客満足(CS)より従業員満足(ES:Employee Satisfaction)

   近年の労働環境では「労働力の流動化」が当たり前になった状況下では、どんな
   会社であっても、この「定着・退職」の問題は、避けて通ることのできない事態に
   なってきています。

   各社が「理念」として「顧客満足」「社会貢献」といった内容の文言とともに、「社
   員一人ひとりがいきいきと仕事をする」「プロとしての誇りを持ち続ける」「成長
   していく実感を持つ」といった「ES」にかかわる内容のものを掲げていると思い
   ます。

   そうであれば、当然、そういった「ES」を実現することが、企業としての重要な業
   績指標の一つであるととらえるべきですし、逆に、この「ES」の実現無しに、
   「業績が良かった」とは言えないのです。

   従業員に対し、トップ・責任者が声を大にしてCSの重要性を訴えても、従業員の
   日常における業務におけるストレスを軽減しなければ掛け声だけに終わってしま
   います。

   ES対策は金銭面による報酬だけでなく、従業員がいい仕事ができるような社内
   環境をつくることです。

   CS(顧客満足)はよく使われる言葉ですが、ESがCSより後回しにされています。

   顧客満足の向上には、同時に従業員満足(ES)の向上も不可欠です。

   「従業員満足度」とは、従業員の仕事や会社・職場に対する満足感の総称として使
   われています。

   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることは
   できない。

   経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する
   従業員にその意志が理解されていなければ、顧客満足の向上は実現しません。

   そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高
   める必要があります。

   それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。

   例えば、ある従業員にとっては「給料が高い」という金銭的な満足が大きなウエ
   イトを占め、別の従業員にとっては、「仕事にやりがいを感じる」といった仕事の
   やりがいの満足が大きいかもしれません。

   このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経
   営や経営者に対する満足や、「人間関係がよいためストレスを感じない」といった
   人間関係面の満足もあるでしょう。

   このように、従業員満足を決める要素は、個々の従業員によって異なります。

   従業員の意識を把握することで労働条件や組織体制などの見直しに着手し、
   トップ・責任者が従業員満足を高めることの必要性を認識することです。

   トップ・責任者が本気で取り組む姿勢を見せることが重要であり、トップ・責任者
   は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、さらには自社の利益につな
   がることを改めて認識しなければなりません。
   
  ■ES(従業員満足)

  □会社全体で夢を共有する

   従業員と一緒に夢を見るために、企業経営者は朝礼の場などを利用して、

    ・事業の社会的な意義

    ・自社が尊重する価値基準

    ・自社が望む将来像

   を熱く語ることが大切です。


  □従業員がやる気を失うパターン

    ・会社(経営者)に夢を感じられなくなった

    ・賃金など労働条件に不満がある

    ・結婚、出産など家庭が心配で仕事に集中できなくなった

    ・実はもともと、やる気がなかった

    ・五月病など季節的なもの

   などが考えられます。

  □労使のニーズは一致しない

   理想的なのは、企業が提示する労働条件に従業員が心から満足することです。

   しかし現実問題として、これは不可能に近いといえます。

   従業員は少しでも多くの賃金をもらいたいと考えますが、企業がこれに応え続ける
   ことはできません。

  □会社が従業員評価の姿勢を見せる 

   一生懸命働いているのだから、もっと厚遇して欲しいと考えるのは自然なこと
   です。

   しかし、企業が従業員の希望を全面的にかなえることはできないため、その代わ
   り、企業として適正に従業員を評価している態度を示すことが重要となります。

   最近は、人事考課の基準を公開する企業が少しずつ増えてきています。

   こうした取り組みは、従業員を安心させるものなのです。

   また、評価基準の中心を年齢や勤続年数に置くのはやめ、能力や成果も総合的に
   判断しなければなりません。

  □社内制度の導入・見直し

   今までの人事制度から能力・成果主義的な賃金制度の導入が考えられます。

   賃金額決定の際に、能力、成果、成功へのプロセスを考慮することで、既存の賃金
   体系を見直します。

   同時に、人事効果の基準を公開すれば、「企業は従業員の何を評価しているのか」
   が従業員に伝わり、納得を得やすくなります。

   あるいは、企業の期待以上の水準の働きをした場合に、特別手当などを支給する
   ことも一つの方法です。

   育児・介護休業制度なども導入しただけでは不十分です。

   重要なのは、気兼ねなく育児・介護休業制度を利用できるような社内の雰囲気を作
   ることです。

   育児・介護休業制度は、性別に関係なく利用できる制度ですが、やはり、男性
   従業員は「取得しにくい」と考えらrます。

   男性の場合は、企業経営者のえほうから育児・介護休業制度の取得を勧めるくらい
   の配慮が求められるかもしれません。

   同時に、従業員の家庭環境に目を配り、出産を控えた従業員などの業務をほかの
   従業員も対応できるようにすることが大切です。
   
    □経営理念が徹底されている会社ほどES度が高い

    ・経営理念が明確

    ・経営方針が明確

    ・入社してよかった

    ・社内に活気がある

    ・将来性に期待できる

    ・やる気、意欲が高い


   社長は、従業員の笑顔が絶えない活気ある職場を目指していることでしょう。

   しかし、そのような社長の考えとは裏腹に、従業員はやる気を失ってしまうことが
   あります。

   社長にとってはショッキングなことでしょう。

   しかし、立ち止まっていてはいつまでたっても問題は解決しません。

   従業員がやる気を失ったことが分かったら、積極的にアプローチしていきましょう。

   これができるのは、社長と従業員の距離が近い、中小企業ならではの特権なの
   です。
   
  ■会社の競争力は従業員のスキルと気遣い

   本当の意味で人を大切にできている企業は千に一つもない。

   商品やサービスがどれほどすばらしくても、企業のすべては、そうした商品や
   サービスを作り出し、顧客に届けてくれる人にかかっているのです。

   この段階でさまざまな間違いが生まれる。

   企業の競争力は、従業員のスキルと気遣いにかかっています。

   競争相手が何をしようと、社員が仕事を喜びとし、顧客に接するのを楽しいと
   思い、心から顧客のことを思って働いてくれていれば、その影響力は絶対に真似の
   できないものになります。

   競合他社がどんなことをしても、この雰囲気だけは、おいそれと作り出せるもの
   ではないからです。

   優れた人材を採用し、その人を逃がさないようにするのは、事業をする上で最も
   難しいことなのです。

   しかし同時に、最も価値あることでもあるのです。

   人を得れば競争相手をぐっと引き離し、その地位を保てるようになる。

   人を雇うのは簡単だが、正しく人を選んで雇うのは、そう簡単なことではあり
   ません。

   あなたの雇った人があなたの会社を作るのです。

   企業文化やサービスや品質や評価、そして究極的には利益も、彼らが生み出すも
   のです。

   優れた人を雇えばあなたも優れた人になり、仕事は楽になる。

   逆に人の選び方を間違えると、あなたの仕事も会社の値打ちも、すべて台無し
   になってしまいます。
 
   自分よりも優れた技術を持ち、大きなビジョンを描ける人を雇えば、すばらしい会社
   ができるでしょう。

   しかし、正しく人を雇えるようになるためには、どのようにして人を選び、その人の
   特長をチェックして、人材として最大限に活用するのかを学ばなければならない。

   「顧客満足度」という言葉は頻繁に耳にしますが、その一方で従業員満足を高め
   る取り組みがおざなりで、「言葉と行動が一致していない」というケースも少なく
   ありません。

   あなたが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組みを進めて
   いくためには、経営者が本気で取り組む姿勢を見せることが重要です。

   そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、
   さらには自社の利益につながることを改めて認識しなければなりません。
   
  □ESそしてCS

   顧客満足実現のためには従業員満足度の向上が不可欠となります。

   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることは
   できません。

   トップがいくら顧客満足度の重要性を唱えても、顧客と実際に接する従業員に
   その意識が備わっていなければ、顧客満足の向上は実現しません。

   全社員が「顧客満足度を向上する」という共通の目標を持ち、一人一人がその目標
   に向かって意欲的に取り組むことが重要です。

   そのためには、組織として従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、
   従業員満足度を高める必要があります。   

   従業員満足(ES)の向上 顧客満足(CS)に対する従業員の意識の向上  顧客
   満足向上に向けた取り組み 顧客満足向上の実現

   従業員満足度を決める要素は、個々の従業員によって違ってきます。

   従業員満足度(ES)」とは、従業員の仕事、
   会社(職場)に対する満足感を意味します。

   「仕事に従事することで得られる各種の
   報酬が、自分自身の期待している基準
   に達している、もしくはそれ以上であるこ
   とよって得られる満足感」といっていいで
   しょう。

   満足度が高ければ高いほど、高業績が
   期待できます。

   逆に、「従業員満足度の低さが、退職や長期
   欠勤という結果につながっている」ということです。

   そして、それらのことが新たな募集・採用や教育訓練といった経費の増大を招き、
   さらに産性の低下につながるのです。  

   従業員満足を大きく高めるためにはどのような経営改善手法やツールの活用が
   考えられるでしょうか。

   成果主義

    従業員の人事制度を根本的に改めた成果主義に基づく人事制度。

    従業員の能力と成果に対して公平かつ正当に人事評価を行うことにより、
    従業員のモラールを高め、結果に対して責任感の強い従業員を育成しま
    す。


   目標管理 

    従業員一人ひとりの目標を明確にし、達成度合いにより評価する制度。

    会社の年度目標に基づいて個人の目標を設定し、目標の達成度合いをもと
    に個人を評価します。

    この制度を運用することで従業員1人1人の当事者意識を高め、モラールを高
    めます。

   「従業員満足度」という言葉は頻繁に耳にしますが、従業員満足を高めるための
   取り組みがおざなりで、「言葉と行動が一致していない」というケースも少なくない
   ようです。

   トップが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組む姿勢を見せ
   ることが重要です。

   そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、
   さらには自社(店)の利益につながることを強く認識しなければなりません。

   ○ワーク・ライフバランス(WLB)

    WLBは「仕事と生活の調和」を意味し、これが実現された社会では、一人ひと
    りが、自ら望むバランスで仕事・家庭生活・趣味・地域活動などに取り組むこと
    が可能になると考えられています。

    取り組み例として、フレックスタイム制、育児時間、ノー残業、年次有給休暇、
    手当(出産、保育、家族)などがあります。


   CSはもちろんですが、その前にESについての実践が重要となります。

   ESで代表的な事例として、東京ディズニーランド、サウスウエスト航空、リッツ
   カールトンホテルなどが挙げられます。

   これらの企業は常にCSにおいてトップクラスですが、言い換えるならどの企業も
   ESへの取り組みが結果としてCSに連動しているということです。

   顧客不満足のほとんどは人為的過誤や失敗(ミス)などのヒューマンエラー
   よるものです。

   これらのエラーはESに起因していることが大です。

   世界的な経営者であるジャック・ウェルチ(GEの前CEO)は従業員満足について
   「自社の健全度を測る3つの指標」の中で、

    ・従業員満足度
     熱意に満ちた社員がいなければ、会社は競争に勝てない。

    ・顧客満足度
     会社が長期的に生存していくためには成長がカギとなる。

     発注数が安定していないか減ってきたような難しいタイプの顧客のところに出
     向き、当社がもっと良くなるには何ができるでしょうかと質問して回る。

    ・キャッシュフロー
     キャッシュフローは嘘をつかない。

     純利益などの損益計算書の数字には、ちょっと「ごまかし」を施す余地がある。

     だが、フリー・キャッシュフローだけはビジネスの真の姿を教えてくれる。

   顧客の不満は「不満を持つ1人の顧客の背後には、29人、同じように不満足を
   感じている顧客がいる」ことを常に念頭に置き、従業員満足度の向上を目指しま
   しょう。

  ■従業員満足度の調査

   従業員の満足度を測る調査には、「モラールサーベイ(意識調査)」、「従業員満足
   度調査」などがあります。

   調査では、従業員の満足度を測るために、従業員に対してアンケート調査を行い
   ます。

   これにより従業員の意識がどのようなものであるかを統計的に把握し、労働条件
   や組織体制などの見直しに役立てます。

   主な調査項目は、以下のように、経営の方向性や仕事、福利厚生など幅広い
   分野に及びます。

   調査方法は、従業員にアンケート用紙を配布して、後で回収する方法が一般的
   です。

   【モラールサーベイにおける主な調査項目(例)】

    ・経営の方向性 
     経営ビジョン・経営者のリーダーシップ、組織風土など

    ・上司
     上司の人間性、上司からの動機付け、上司との人間関係など

    ・仕事
     仕事量、仕事に対するやりがい、権限や責任の範囲など

    ・コミュニケーション 
     チームワーク、他部門との連携、問題解決支援など

    ・能力向上
     教育トレーニング、自己啓発支援、仕事を通じた成長など

    ・職場環境や福利厚生
     設備機材、遊休休暇、安全対策など

    ・人事制度
     報酬、昇進昇格、人事評価、転勤など

  □調査結果の分析

   調査の結果、自社の従業員が働くうえでどのような要素を重要視しているかが分
   かります。

   例えば、モラールサーベイの調査結果を分析したところ、従業員は報酬や福利
   厚生には満足しているが、経営ビジョン・経営者のリーダーシップへの満足度は
   低いといった結果が出たとします。

   この場合に企業は、「経営ビジョンを明文化して従業員へ浸透させる」「経営者と
   従業員との意見交換の機会を増やす」といった対策を取ることが考えられます。

   また、従業員を全体としてではなく部門別や役職別にとらえれば、部門ごとある
   いは役職ごとの固有の課題を発見することができます。

   例えば、「生産部門の従業員は教育トレーニングの充実を望んでいる」「課長職は
   報酬に大きな不満をもっている」といった個別の意識を把握することができます。

  □従業員満足度を構成する各種報酬

   ・金銭、待遇:給与、福利厚生、休暇、その他優遇制度

   ・仕事の環境(条件):職場の環境・設備・機器、勤務時間、上司のマネジメ
    ント力(状況)、情報伝達(コミュニケーション)、社内のルール・諸制度

   ・所属、帰属意識:会社(経営トップ)に対する信頼感、知名度(評判)

   ・人間関係:職場の風土、同僚・上司との関係、チームワーク

   ・評価、承認:上司・同僚からの評価、人事考課、褒賞、昇進

   ・業務そのもの(モチベーション):達成感、充実感、成長感、貢献感

  上記の各種報酬を基に、自社独自の従業員満足(ES)の仕組みを構築してみて
  ください。 

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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客満足向上のポイント
 

  ■顧客満足発生のメカニズム

   多くの企業では顧客満足度向上を最重要課題のひとつとして捉えています。

   そのためにさまざまな施策に取り組んでいる企業も多いでしょう。

   顧客満足度を着実に向上させ、それを実際の業績拡大につなげていくためには、
   漫然と取り組むのではなく、「どうすれば効率的に満足度を上げることができるの
   か」、「そもそも何のために満足度向上を図るのか」といった合理的・目的的な視
   点が必要になります。

   ここでは、顧客満足度向上の具体的なポイントについて解説します。

   1.顧客満足の源泉

     顧客満足度とはその言葉通り、顧客が自社の商品やサービスを購入し、実際
     に使用してみて満足できたかどうかを示す尺度です。

     そして、顧客が「満足した」という感情をもつためには、使用後の評価が購買時
     の事前期待以上であることが基本的な条件になります。

     前記の図で「①事前期待>評価」のときには、期待以下の満足感しか得られ
     なかったわけですから、「裏切られた」という不満が発生します。

     「②事前期待=評価」では、期待通りですから一定の満足感はあるでしょう。

     そして、「③事前期待<評価」では予期せぬ満足も発生し、顧客に大きな満足
     感を与えることになります。

     このように顧客満足を得るためには、最低でも「②事前期待=評価」の状態が
     必要であり、さらに満足度を向上させるためには「③事前期待<評価」をめざ
     すことが求められます。

   2.高まる事前期待に応えていく

     ここで注意すべきは、顧客の事前期待は時間と共に自然と高まっていくという
     ことです。

     たとえば、80点の事前期待をもっている顧客に対して90点の商品を提供した
     場合、事前期待以上ですから最初は顧客も満足してくれるでしょう。

     しかし時間がたつにつれて、顧客にとって90点の商品はもはや当たり前にな
     り、事前期待そのものが90点に高まっていきます。

     ここでさらに顧客満足度を高めるためには100点の商品を投入する以外あり
     ません。

     そして、さらに時間がたてば顧客満足度向上のためには、110点、120点の
     商品が求められることになります。

     これは非常に大変なことではありますが、高まり続ける顧客の要求水準を上
     回る商品を提供し続けることは、競合企業との決定的な差別化要因になります。

     たとえば、A、B、Cの3つの競合する飲食店があって、ある顧客がたまたま訪
     れたB店で大きな満足度を得た場合、その顧客は次もB店に行きたいと考えます。

     そして、実際にまたB店に来店して事前期待を上回る料理やサービスが提供
     され続ければ、その顧客に「食事をするなら絶対にB店」という気持ちが生まれ
     ます。

     たとえA店、C店が強力な販促策を打ち出したとしても、この顧客の気持ちは
     簡単には揺らぎません。

     ここまでみてきたように顧客満足度を向上させていくための基本的な要件は、

      ・顧客の事前期待以上の評価を得られる商品を提供すること

      ・競合企業を上回る事前期待をもってもらうこと

     にあるといえるでしょう。

  □顧客の事前期待を理解する

   1.期待事項に沿った改善が不可欠

     顧客満足度を向上させるための基本は、顧客の事前期待を正しく理解するこ
     とです。

     この部分が明確になっていないと、商品やサービスの品質をどのような方向
     性で改善していけばよいのかがわかりません。

     満足度向上につながらない部分に注力することは単なる自己満足であり、収
     益圧迫要因にしかなりません。

     たとえば、飛行機のエコノミークラスとビジネスクラスの客がもっている事前期
     待に大きな違いがあることは容易に想像できます。

     前者は「目的地までできるだけ安く到着する」という経済性にもっとも大きな期
     待をもっています。

     もちろん快適であるに越したことはありませんが、そのために運賃が高くなるこ
     とには納得してくれません。

     逆に快適さを意識したサービスを前面に出しすぎると、「その分を削ってもっと
     運賃を安くしてくれ」という感情をもつかもしれません。

     これに対しビジネスクラスの客がもっている最大の期待は「目的地まで快適に
     過ごす」ことであり、より快適に過ごせるのであれば運賃が多少上がっても構
     わないと考えています。

     つまりエコノミークラスの客を対象にした顧客満足度向上の最大のポイントは
     「経済性」であり、ビジネスクラスのそれは「快適性」ということになります。

     同様に機能性が重視されるビジネスホテルのロビーに、高価な絵画を飾ること
     などは顧客からみればまったく無駄なサービスであり、満足度も高まりません。

   2.事前期待を階層化する

     では実際にどのような視点で、雇客の事前期待を捉えてそれに応える商品や
     サービスを強化していくべきなのでしょうか。

     顧客の事前期待は3つの階層に分解することで理解しやすくなります。

     (1)ベースとなる期待

       自社が提供している商品やサービスに対する顧客のもっとも基本的な期待
       です。

       飲食業であれば安全な食べ物を提供してくれること、製造業であれば仕様
       書通りの製品を納品してくれること、運送業であれば目的地まで確実に荷
       物を届けてくれることなどがそれに該当します。

       いずれも「当たり前」の話ですが、会社側の手抜きや不注意でこの部分を
       維持できていないケースもあります。

       実際に食品会社が産地を偽装したり、消費期限をごまかすといった事件は
       今も起こっています。

       また、基本的な部分であるがゆえに、社長は「全社員が当然できているだ
       ろう」と考えて、大きな問題に発展するまで気づかない可能性もあります。

       自社が「○○業」と名乗るにふさわしい商品やサービスを提供できているか
       については、つねに確認しておく必要があります。

     (2)自社の強みに対する期待

       次にあげられるのが、競合他社に比べて自社が優れていると顧客が考え
       ていることによる期待です。

       たとえば、「競合に比べて短納期で対応できること」を強みとしている製造
       業者に対しては、顧客は当然ながらその強みを期待して注文します。

       ここで実際に短納期対応ができれば、顧客は満足しますし、逆に競合他社
       と同レベルの日数がかかってしまえば、大きな不満を招きます。

       自社の強みを打ち出すことは顧客への宣伝であり、顧客との約束でもあり
       ます。

       自社が打ち出している強みに見合う商品・サービスを提供できているかどう
       かについての確認が大切です。

       また、前述のように顧客は時間経過と共に、より高い事前期待をもつように
       なります。それに応えていくためには強みに磨きをかけていくことが必要に
       なります。

     (3)個別対応に対する期待

       顧客は自分に対する個別対応も期待しています。

       標準的な商品やサービスを提供してくれるだけではなく、自分自身に何をし
       てくれるかという期待です。

       自分の抱える個別具体的な問題を解決してくれることへの期待と言い換え
       ることもできます。

       個別対応に関する期待はさらに、「①自分の特性に対応してくれる期待」と
       「②自分の状況変化に対応してくれる期待」に分けることができます。

       まず、「①自分の特性に対応してくれる期待」です。

       たとえば、飲食店の常連客のなかには特定の食材を苦手としていたり、肉
       の焼き加減にこだわる人もいます。

       このようなお客様に対して、店側が「Aさんはガーリックが苦手で、肉はウエ
       ルダンが好き」ということをわかっていれば、顧客からいちいち頼まれなくて
       も、顧客の特性に応じてアレンジした料理を提供することができます。

       顧客は「この店は自分のことを理解してそれに応じた対応をしてくれてい
       る」という満足感をもちます。

       たんにガーリック抜きのメニューも選択肢としてあるということではなく、黙っ
       ていても顧客の好みに応じた料理が自動的に提供されるというのがポイン
       トです。

       次に、「②自分の状況変化に対応してくれる期待」です。

       たとえば、通常は「100個の部品を2週間で納品している」顧客から、事情
       があって「200個の部品を1週間で納品してほしい」という依頼があったとし
       ます。

       顧客は無茶な注文であることは自覚していますが、「緊急事態であり何とか
       してほしい」という期待をもっています。

       このような期待に何とかして応えようという姿勢をみせること、そして、実際
       にできるだけ雇客の要望に近い形で納品することで、顧客満足度は大きく
       上がります。

       「あの会社はどんなときでも頼りになるパートナーである」という信頼感を勝
       ち得ることができるのです。

       ただし、特に「②自分の状況変化に対応してくれる期待」に十分に応えるた
       めには、会社側に求められる負担も大きくなります。

       次項で紹介するように特に注力すべき顧客の重要度を見極めることなどが
       必要になります。

  □組織的な顧客満足度向上活動

   顧客満足度向上活動は特定の社員が自主的に取り組んで、結果として全社の満
   足度が上がっていくという流れではなく、会社全体として「どのような目標に向かっ 
   て」、「いつまでに」、「どのように」改善していくかという計画的な取り組みが必要
   になります。

   1.顧客を分類する

     一般に既存顧客は「ロイヤルユーザー」、「リピーター」、「トライアルユーザー」
     に分けることができます。

     そして、それぞれの層に対して効果的かつ効率的な満足度向上策を講じるこ
     とで、「ロイヤルユーザー」の数を増やしていくことが顧客満足度向上活動の
     最終的な目標となります。

     それによって、

      ・ロイヤルユーザーからの安定受注が拡大する

      ・ロイヤルユーザーからの紹介による新規顧客を獲得する

      ・顧客満足度を高める活動を通じて自社の経営力を高める

     ことなどが可能になります。

     「ロイヤルユーザー」

     …多数の購買履歴があり自社に対して十分な信頼をもっている。自社の対応
       に余程の不手際がない限り、競合他社へ乗り換えることはない。

     「リピートユーザー」

     …2回以上の購買履歴がある。自社に対して一応の評価はしているが、ロイ
       ヤルユーザーほどの信頼感はもっていない。

     「トライアルユーザー」

     …自社から1何だけ購入したことがある。リピートオーダーするか迷っている、
       あるいはリピートせずに他社に乗り換えた。

     「見込み客」

     …自社に関心があるが、まだ利用したことがない。

     「潜在顧客」

     …自社を知らない、あるいは関心がない未利用客。

    このように自社の顧客を分類し、

     ・ロイヤルユーザーやリピートユーザーをいつまでに何社増やすかを決める

     ・そのためにどのような施策を展開するかを計画する

    ことが顧客満足度向上施策の根幹になります。

   2.顧客層分類に応じた施策を検討する

     自社の顧客を分類できたら、それぞれの層に向けどのような満足度向上施策
     を展開していくかを検討します。

     その際には前項で示した、顧客が自社に対してもっている「(1)べースとなる
     期待」、「(2)自社の強みに対する期待」、「(3)個別対応に対する期待」に分
     けて、顧客は具体的にどのような事前期待をもっているか、それに対して十分
     な対応ができているかどうかを考えます。

     そのうえで、満足度向上のためにそれぞれの顧客層に対してどのような施策
     を展開するのかを検討していきます。

     本来であればすべての層の顧客に対して◎の対応をすることが好ましいので
     すが、たとえば、「③個別対応に対する期待」への対応について、トライアル
     ユーザーにまで万全を期していくことは企業にとって大きな負担になります。

     そこで、絶対に手放してはならないロイヤルユーザーに対しては手厚く接する
     など顧客層に合わせて施策に強弱をつけていくことが大切になります。

     ただし、トライアルユーザーのなかでも会社の規模や成長性などから判断し
     て、将来的に特に重要になると考えられる顧客に対しては、早い段階から特
     別な対応をしていくことが求められます。

   3.部門計画・個人計画に落とし込む

     ここまでの段階で自社の顧客満足度向上に対する基本方針が明らかになった
     ことになります。

     これを全社員に徹底させるために、現在抱えている顧客に対して具体的にど
     のような活動を行っていくかを計画させます。

     その際には、「自分が担当しているAという雇客は現在リピートユーザーの段
     階であり、これを3カ月後にロイヤルユーザーにするためにこのような施策
     を行う」ということを個人レベルまで徹底させます。

     たんなる努力目標として、「日々の活動によって満足度を向上させていく」とい
     う漠然としたスタンスではなく、「いつまでにどのような施策でステップアップさ
     せる」ということを計画として明確に意識させることが大切です。
 

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顧客満足度と従業員満足度の向上

モラール・サーベイ


  ■モラール・サーベイ

   1.モラール・サーベイの対象
     モラール・サーベイ(Morale Survey)とは、士気調査あるいは意識調査のこ
     とで、仕事・職場・同僚・上司・待遇などに関する従業員満足度(ES:
     Employee Satisfaction)の実態についての測定調査を行い、満足度を定
     量的に分析・評価することです。

     モラール・サーベイは個々の従業員そのものではなく、従業員が集まってでき
     ている「集団」を対象にしています。

     したがって会社全体、特定部門、特定の役職者層などそれぞれの集団が抱え
     ている問題点を明らかにして改善していくことがモラール・サーベイの最大の
     目的です。

     たとえば、モラール・サーベイの結果、特定部門の従業員の士気が著しく低下
     していることが判明した場合でも、その責を個々の従業員に求めるのではな
     く、なぜそのような状況が生まれてしまったのかを組織面から解明していくの
     がモラール・サーベイです。

   2.従業員満足度の重要性
     厳しい経営環境のなか、他社との競争に打ち勝っていくためには、顧客満足
     度(CS)を高めることが重要です。

     そして、顧客満足度を高めるためには、まず商品やサービスの提供者である
     従業員の満足度を高めていかなければなりません。

     やる気に満ちた(モチベーションが高い)従業員たちこそが「顧客は何を求め
     ているか」ということを自主的に考え、日々の業務のなかで実践していくからで
     す。

     そのため、「CSを高めるためにはまずES向上から」という考え方をする会社
     が増えています。

     ところで従業員満足度とは、たんに従業員が現在の処遇や職場の雰囲気が
     気に入っているかで決まるものではありません。

     それらに加えて、「会社の将来性はどうか」、「自分自身は成長できているか」
     など、将来の安定性や、やりがいなども従業員満足度向上には重要な条件で
     す。

     つまり、従業員満足度向上に取り組むためには、

      直接的な処遇制度などはもちろん、会社の経営理念や経営戦略、管理体制
      など経営の屋台骨に関わる部分まで従業員にとって魅力的なものに変えて
      いく必要がある。

      たとえば、いくら従業員の待遇を改善しても、次のような状態が続いている限
      り従業員満足度は十分に向上しません。

       ・経営理念が不明確であり、従業員の行動基準もバラバラである
       ・社長の意思決定があいまいまたは遅く、組織機能が働いていない
       ・同じ問題に対して、幹部によってまったく異なる指示を出すことがある
       ・指揮系統があいまいで、指示・命令が行き渡らない
       ・権限と責任の所在が不明瞭である
       ・労務管理に関して、管理者個人の意見・主観が優先され、明確な
        基準がない
       ・教育体制が整っておらず、自己成長が見込めない
       ・目標管理が行われておらず、自分の役割や目標が不明瞭である

      モラール・サーベイによってさまざまな視点から自社の従業員満足度向上
      を阻害している要因、従業員不満足を引き起こしている要因を明らかにし、
      適切な対処をすることが必要です。

   3.モラール・サーベイの効果
     モラール・サーベイの最大の目的は従業員の満足度を上げていくことですが、
     実施するプロセスを通じて次のような効果も期待できます。

      ・会社が従業員のモラールを大切にしているという姿勢を示すことができる
      ・従業員に経営への参画意識をもたせることができる
      ・社長・管理者の管理意識が高まる
      ・改善活動において全社一丸となった取り組みが期待できる

     モラール・サーベイ実施においてはこれらの効果も享受できるように、計画的
     かつ慎重に進めていく必要があります。

  □モラール・サーベイの進め方
   一般にモラール・サーベイは次のような手順を踏んで行います。

   初めて行う場合は外部のコンサルタント会社の手を借りるのもひとつの方法です
   が、実施主体はあくまで社長であることに変わりはありません。

   1.モラール・サーベイ実施宣言
     全社的なモラール・サーベイを行うことを宣言します。

     その際には、社長自身の口から次のような点についてはっきりと説明する必
     要があります。

     なお、宣言後の実務的なとりまとめ役は人事担当の役員などを任命するとよ
     いでしょう。

      ・なぜモラール・サーベイを行うことに決めたのか
      ・モラール・サーベイの成否は会社の将来や従業員の幸福に大きな
       影響を及ぼすこと
      ・社長は従業員のこと大切に思っていること
      ・改善のための忌憚のない意見、前向きな意見を歓迎すること
      ・結果は集計・分析後公表すること(個人名は出さない)
      ・結果を受けて必ず改善策を実施すること

   2.事前ヒアリング
     社長はモラール・サーベイ実施を決意するにあたって、すでに従業員がどのよ
     うな点に不満を感じているか、そのためにどのような不具合が起こっているか
     などについてある程度問題意識をもっているはずです。

     この点について人事担当役員やその他の幹部陣(場合によってはキーとなる
     一般社員)に確認します。

     なお、幹部陣自体に問題がある場合も考えられるため、ヒアリングの際には余
     計なバイアス(偏り・偏見)がかからないように注意します。

   3.質問項目の設定
     従業員全体にアンケートを行うための質問票を作成します。

     従業員の満足度全般にかかわる項目を幅広く設定するほか、事前ヒアリング
     で確認した問題についても質問項目に反映させます。

     会社の状況やモラール・サーベイの狙いによってさまざまなパターンが考えら
     れるが、一般的には次のような分野ごとに複数の質問項目を設定することが
     考えられます。

     ◎質問分野の例
       (1) 会社・経営陣
       (2) やりがい
       (3) 人事制度
       (4) 人間関係
       (5) 職場環境

      質問ごとにその満足度を、「満足」、「ほぼ満足」、「普通」、「やや不満」、
      「不満」の5 段階で評価させます。

      次頁にアンケートシートの例を示しているので、自社の実情に応じてアレンジ
      してご活用ください。

   4.アンケート実施
     全従業員を対象にして従業員満足度のアンケート調査を行います。

     実施にあたってはアンケートの主旨を十分に説明することが大切です。

     また、従業員の正直な意見を得るために、アンケートは無記名方式にします。

     時間をおいてバラバラにアンケートを行うと、回答者はすでに回答済みの従業
     員からさまざまな情報を聞いて回答の際に何らかの影響を受ける可能性があ
     ります。

     アンケートはできれば全社一斉に行うのが好ましいでしょう。

  □アンケート結果の分析
   1.全般的な傾向分析
     まずは回収したアンケートを集計して全般的な傾向を見いだします。

     前頁のアンケートシートでは次の5つの分野から20の質問(それぞれの満点
     は5)を行っています。

     これらについて、それぞれの分野において満足度の平均がどのようになって
     いるかを確認します。

     たとえば、次のような平均点の分布になった場合、人事制度や人間関係にお
     ける満足度が特に低いことがわかります。

     このような場合、人事制度と人間関係の分野のそれぞれの質問項目の平均
     点の結果をみて、さらに問題点を掘り下げていきます。

   2.属性による傾向分析
     次に属性ごとに分類し、その傾向をみていきます。

     アンケートでは、「性別」、「年齢」、「職位」、「職種」、「勤続年数」について
     属性を取っています。

     それぞれの属性ごとの満足度の傾向を分析します。

     たとえば、年齢別に次のような平均点の分布になった場合、若手従業員ほど
     満足度が低いことがわかります。

     このような場合、若手従業員が特にどのような問題を抱えているかを掘り下げ
     ていきます。

     また、年齢だけではなく、その他の属性別にも分析を行います。

   3.重要度による傾向分析
     アンケートではそれぞれの質問項目の重要度についても聞いています。

     従業員が「第1位」にあげた項目は重要度5、「第2位」は重要度4(以下同じ、
     「第5位は重要度1」)として、全回答者分の重要度ポイントを積み上げて、それ
     ぞれの質問項目を重要度順に並べます。

     たとえば、次のような重要度と満足度の評価結果になった場合、従業員は人
     材育成やキャリアパスに関しては特に重要と認識しているにもかかわらず満
     足度が低いことになります。

     このように多くの従業員が重要と認識しているにもかかわらず、満足度が低い
     項目については最優先で対応策を講じる必要があります。

   4.フリースペース欄の記入を重視する
     アンケートの一番下に設けたフリースペース欄に記入された事項についても
     丁寧にみていきます。

     そこからはアンケート策定段階では想像できなかったような新たな満足度向上
     の視点が得られる可能性があります。

     また、従業員が特に「不満足」と感じている事項が記入されることも多く、質問
     の各項目への回答では示せなかった従業員の生の声を聞くこともできます。

  □対応策と実施状況を従業員に示す
   モラール・サーベイの分析結果はまとまり次第、従業員に公表します。

   その際には次のような点について明確に示す必要があります。

    ・結果全般(従業員にわかりやすい見せ方の工夫が必要)
    ・結果から抽出した重要な問題点
    ・問題点に対する経営者の認識
    ・問題点解決のために会社としていつまでに何をやるか
    ・問題点解決のために従業員にも協力してほしいこと

   さらに問題点解決のための施策の進捗状況についても定期的に告知します。

   従業員から質問があった際にも確実に答えるようにしましょう。

   モラール・サーベイでは、調査そのものよりも、それを踏まえた改善策を立案し
   て、実際にそれを実行していくことが大切です。

   万一低い満足度結果だったにもかかわらずそれを放置した場合、さらなる満足度
   の低下につながることが予想されます。

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顧客満足度と従業員満足度の向上

従業員満足で組織を活性化

従業員満足で組織を活性化

  ■従業員満足度(ES)とは
   「従業員満足度(ES)」とは、従業員の仕事や会社・職場に対する満足感の総称
   として使われる用語です。
   「満足」という語句の厳密な意味から言えば、「仕事に従事することによって得られる
   各種の報酬が、自分自身の期待している水準に達している、もしくはそれ以上である
   ことよって得られる快感情」といった定義ができると考えられます。

   「ESを向上させることは、個人・組織のパフォーマンスを向上させていく上で
   ある程度機能する 」と言えそうです。
   しかし、「だからESを向上させなければいけない」という ことだけではありません。
   「ESの向上は、本来それだけでもおおいに意味のあることである」という考え方
   を持つことも重要なのです。


  □人材育成システム

   企業が成長するということは、売上高や利益が増加し、規模・組織が充実すること 
   です。

   その際には、顧客満足度(CS)の向上が必要となります。

   CSを向上させるためには、まず製品・サービスを提供する社員の満足度(ES)を
   高め、組織活力を向上させることが重要となる。

   1.組織活力とはどのようなものか
     会社が指示や命令を出し、社員がそれに従って実行しているように見えても、
     それは表面上である場合が多い。

     「人は自分の仕事量を自分で決めている」と言われるように、到達点を自分で
     決めているものです。

     社員の本音の多くが、「目標は○○ですが、△△が限界ですよ。それなりに頑張
     ります」「『1日5件営業せよ』とは言われていますが、3件で十分だと思いま
     す」など、会社が示した目標や方針の内容とは違う到達点を、個々に持ってい
     ることが少なくない。

     社員のモチベーションが組織として機能しているかを、目に見えるカタチで示
     す「組織活力サーベイ」というものがあります。

     モチベーションが正しく機能する組織になっているか、成長を妨げる要因はな
     いかなど、組織としての活力を9つの着眼点から探ります。

     また、仕事内容・評価に対する従業員の満足度はどうか、ロイヤリティー(帰属
     意識)や今後の向上意欲はどうかなど、従業員のやる気・やりがいを5つの着
     眼で診ていきます。

     成長優良企業では、仕事へのやりがいや評価が高く、進んで自己啓発する人
     材であふれ、経営側も従業員のキャリアパス制度や教育支援制度を完備して
     いる。

     このような会社では組織活力サーベイを実施すると、「社員が会社で働く喜び
     を持ち、会社のビジョン・目標を十分に理解している」という結果が出ている。

     社員一人ひとりが自分の役割を認識し、成長意欲もおう盛であるからこそ、顧
     客に対しても常に高いモチベーションで対応できるのです。

     一方、低迷不振企業は、「会社の方向性が分からない」「キャリアアップできる
     環境でない」「いつまでもこの会社にいたいと思わない」などの意見が多く、不
     平不満に満ちている状態である。

     会社がどうしたいのかを理解していない上、仕事に不満を持って日々を過ごし
     ている社員が、顧客に満足してもらえる高品質なサービスを提供できるはずが
     ない。

     まず、企業は将来の方向性とビジョンを社員に浸透させ、仕事の喜び・やりが
     いに気付かせて、自分から成長しようとする社風を築かなければならない。

     そして、この会社と共に頑張りたいと思えるような環境をつくることです。

     会社(組織)には育った環境、年齢・性別、知識・技能・態度の善しあしなど、さ
     まざまな人材が存在する。

     そこで、一人ひとりの価値観の違いを前提として、自社の発展のため、お客さ
     まのために、自社に最適な環境をつくり上げなければならないのです。

     社員が会社での仕事を通じ、成長し続ける仕組み(システム)が必要なので
     す。

   2.教育体系のシステム構築
     このシステムの核となるのが、人材育成である。

     最高の資産、最大の戦力である人材を、計画的・継続的に育成し続けることが
     自社にとって重要なのです。

     人材育成は教育です。

     会社が社員に期待する知識・技能・態度と、その社員が保有する知識・技能・
     態度とはギャップがある。

     教育とは、職務で要求される資格要件と、彼らの保有する能力とのギャップを
     補うために必要なものなのです。

     このギャップを埋めることによって、人材は育ち、職務を遂行し、会社の発展に
     貢献できるようになる。

     そのために、採用から退職までの会社生活において一連の人材育成システム 
     を構築し、人材の能力を最大限に高めるための教育体系システムをつくり、運
     用することが重要なのです。

     教育体系のシステムとは、以下の4つである。
      (1)会社の経営理念・哲学を理解させる
      (2)職種別・階層別に教育ニーズを整理する
      (3)オリジナルの教育体系として設計する
      (4)教育カリキュラムを開発する

     これらにより、ピントの合った「モチベーションアップ」「モラールアップ」が
     もたらされ、効果的かつ効率的な人づくりができる。

  □教育体系システム
   組織力を高めるには「社員満足向上(ES)」と、採用から退職までの企業生活に 
   おける一連の「人材育成システムの構築が必要だと解説しました。

   そのためには、人材の能力を最大限に高めるための「教育体系システム」が重要
   です。

   1.教育体系システムとは
     教育体系システムとは義務教育のような画一的なものではなく、その企業の
     持っている哲学まで教育することを指す。

     どのような会社であるべきか、そのためには社員は何を意識し、日々何を磨い
     ていくべきかを浸透させなければならない。

     企業教育とは、あるべき姿に近付くための「不足能力の開発と必要能力の強
     化」である。

     教育体系システム構築は、次に挙げる三つの手順によって成り立っている。

   2.教育体系システム構築手順

     (1)自社人材能力の把握
       まず、自社風土、人材の棚卸しによる人材基盤の総点検をする。
       ①働く意識・ロイヤリティーを診る(社員モラール実態分析)階層別、
         職種別などのモラール実態と風土の詳細を分析・調査する。

       ②人材の高業績者の行動特性(コンピテンシー)、姿勢・態度・特性
        ・適性を診る
         経営哲学の理解度
          経営理念、社是・社訓、経営方針書、トップの新年度所感など、
          至るところで発信している情報を集め、あるべき社員像について
          理解を深める。

         あるべき成果を生み出す能力や姿勢
          個々の特性と人事考課資料などを組み合わせることで、人材の
          棚卸し(社員の適性把握)を行う。

       ③職種別・階層別知識や技術、能力の棚卸しを行い、不足能力を
        診る

         職種別・階層別スキルマップ(テクニカルスキル マネジメント
         スキル ヒューマンスキルの不足能力の明確化)を作成する。

          テクニカルスキル(専門技術)
            例:職種においての知識・技能はどうか?

          マネジメントスキル(管理技術)
            例:計画性はどうか?チェック機能はどうか?

          ヒューマンスキル(社会技術)
            例:プレゼンテーション能力はどうか?問題解決能力はどうか?

            営業社員にはどのような能力が必要なのか、何を鍛えないといけ
            ないのか、係長はどんな能力を身に付けないといけないのかを作
            成し、現在の人材がどのレベルにあるのかを診る。

             レベル1:ほとんど実施したことはない、または数回補助的に実施
                   したことがある
             レベル2:指示を受ければ何とか実行できる
             レベル3:内容を理解し1人で実行できる
             レベル4:経験もあり、高い品質で実行できる
             レベル5:熟練であり、ほかの社員を指導できる

       ④人事考課表から階層別不足能力を診る(人事考課表分析)

         階層別、職種別に人事考課表を分析し、不足能力を把握する。

    (2)スキル強化のための教育体系の設計
       ①教育体系の設計
        職種別・階層別スキルマップ(能力開発図)の策定
          「営業10年目なら、プレゼンテーションスキルはレベル4まで
          達成しないといけない」「係長なら、問題解決スキルはレベル3
          が条件」といった条件を各職種、階層に設定する。

        不足能力を補うためのオリジナル階層別・職種別教育プログラム
          の策定コスト対効果の観点から、能力開発のプライオリティーを
          決め、年間能力開発計画をつくる(例:対象職種・階層、教育方式、
          対象人数、開催時期、カリキュラムなど)。

       ②教育カリキュラムの策定
        現状認識に基づく重要度・緊急度の高い教育対象層とカリキュラム
          設計

        OJTカリキュラム設計
          社内研修(例):クレド(理念)浸透研修、考課者訓練、面接訓練、
                    テクニカルスキル訓練など

        Off−JTカリキュラム設計
          外部派遣・社外研修(例):中間管理職研修、コーチング研修、
                           メンタルヘルス研修など

    (3)運用の仕組みづくり(自己啓発力向上)
      ①あるべき人材像に基づく採用基準の明確化と採用戦略の策定

      ②社員の特性を活かすキャリアパスの策定

        キャリアアッププランで目標設定し、職能要件やスキルマップで現状認識
        をする。

        このことにより目標とのギャップが明確になり、明日からの行動が明確に
        なる。

        この設定は、「キャリアアッププランシート(各社員がキャリアアッププラン
        を明示していくシート)」を用いて行う。

        会社における目標、個人・家庭の目標を1枚のシートに記述することで目
        標が明確となる。

        その目標に向かって前向きに業務に取り組むことにより、自発的な行動
        が生まれる。

        上記の手順(1)〜(3)によって、教育体系システムを構築・運用してい 
        く。

        会社と社員が成長する喜びをつくっていくことこそが、組織力を高めること
        になるのです。
 

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顧客満足度と従業員満足度の向上

従業員満足の向上策

  顧客満足(CS)の前に従業員満足(ES)
   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることはできません。
   経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する
   従業員にその意志が理解されていなければ、顧客満足の向上は実現しません。
   そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高める
   必要があります。

   それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。
   例えば、ある従業員にとっては「給料が高い」という金銭的な満足が大きなウエイト
   を占め、別の従業員にとっては、「仕事にやりがいを感じる」といった仕事の
   やりがいの満足が大きいかもしれません。

   このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経営
   や経営者に対する満足や、「人間関係がよいためストレスを感じない」といった
   人間関係面の満足もあるでしょう。


  社長の思いを伝える

   1.給与明細の社長メッセージ
     トップのメッセージを社員に伝える方法として、給与明細に「社長メッセージ」
     を入れる企業は多いようです。

     社内報などの出版物がなくても、定期的かつ確実に社員の手元に届けられる
     ので、非常に有効なコミュニケーションツールです。

     その際に注意すべき点をいくつか紹介します。

     (1)常に感謝の気持ちを表す

        経営とは、「トップの思いを、働く人の協力を得て達成すること」である。

        経営者だけ、あるいは社員だけで会社は成り立たない。

        常に、自社で働いてもらえる感謝のスタンスを忘れないようにする。

     (2)「社員の家族が見る」ことを念頭に置く
        社員の家族は普段、会社の様子を知ることが難しい。

        給与明細にメッセージが添付されれば、家族の目にも留まりやすい。

        会社の様子や、社員や家族への感謝の言葉があれば、会社への
        信頼感が高まるでしょう。

     (3)ビジョンや方針の達成度合い・業績について触れる
        会社が将来に向けてやろうとしていることと、進捗度合いを(差し支え
        ない範囲で)示すことで、現状を共有します。

     (4)景況感を盛り込む
        外部環境の概況を記しておくと、いわゆる緊急時の対策(例えば、急な
        増産への協力や、一時的な生産ラインの休止など)にも理解を得やすく
        なります。

     (5)頑張った社員を褒める
        全社的な貢献をしてくれた社員を、折りに触れて褒める。

        社員のモチベーション向上策や、良い事例の共有化となります。
 
     (6)自分のプライベートを書く
        トップへの親しみが高まり、日常会話が弾むことにつながります。

        特別なことを書く必要はなく、「休日に何をした」などの趣味レベル
        でも十分に効果があります。


   社長メッセージは簡単に始められ、コストがかからず効果も高い。

   メッセージを入れていない社長は、この方法の採用をお勧めします。

  □古くて新しい「社内報」
   「社内活性化プロジェクト」の近年の傾向として、あらためて社内報を導入する事
   例がよく見受けられます。

   特に、複数の拠点がある会社などで、良い効果を発揮しているので紹介します。

   「社内の課題」というテーマでディスカッションを行うと、必ず「ほかの拠点でやって
   いることが見えず、多くのムダが見られる」という意見が上がってくる。

   各拠点の情報の共有化は古くて新しいテーマだが、社内報(社内新聞)といった 

   アナログな手段の導入も、検討の余地があると思われます。

   電子メールや社内ネットワーク環境は充実してきているものの、給与明細に入れ
   るトップメッセージと同様、紙媒体が伝える価値は高い。

   頻度としては月1回。

   ボリュームは、A3判で1枚程度が適量で、これをカラーコピーして、全社員に配布

   する。

   構成としては次のコンテンツが挙げられる。

    (1)トップコメント

      これは、社長でなくとも構いません。

      後継社長が発行責任者となり、自分の考えを社員に発信するツールとしても
      有効です。

      また、社内活性化プロジェクトからスタートした企画の場合、プロジェクトメン
      バーが交替で書く場合もあります。

    (2)業績短信

      業績や年度方針の進捗を記載する。

      全社的に知っておく情報を定期的に意
      識させることに役立つ。

    (3)拠点だより

      拠点の業績や取り組み具合、成功事例、クレームなどの注意事項を記載。

      拠点長の一言コメントを載せる会社もある。

    (4)全社共有化事項

      ここでは「社員が喜ぶ」ことを中心に、内容を検討することが効果的。

      経営目的に向けて頑張った社員、業績を残した社員だけでなく、ちょっとした
      気遣いができた事例や誕生日、在社歴(10年在社)など、人を喜ばせようと
      思えばネタはいくらでも見つかる。

    (5)個人の発表の場

      最近読んで面白かった本や自分の趣味など、社員個人をクローズアップす
      る場を設ける。

      この運営において大事なのは、3カ月先行で手配・依頼することである。

      情報は常に1〜2カ月分ストックできれば、安心して社内報を発行することが
      可能。

      これらを基本としながら、詳細内容や運用については、できれば総務部門の

      社員に任せるのがよいでしょう。

      総務部門は「社内活性化」が業務目的の一つだからです。

      主体的に総務部門の社員ができるようになれば、人材育成としての効果も
      高まってくる。

      紙だからと言って軽視せず、この古くて新しい手法に挑戦していただきたい。

  □従業員満足度(ES)
   製造業のA社は社員数約50名の企業である。

   特筆すべきは、A社の社長室の隣に「子ども用の教室」があることだ。

   社長にその理由を聞くと、社員の子どものための部屋だと言う。

   例えば、日曜日に運動会など学校のイベントがあると、子どもは月曜日が振替休
   日となる。

   だが共働きの場合、子どもは夕方まで1人で留守番をしなくてはならない。

   そこで、子ども連れで出勤できるように社長が計らい、それが転じて「教室」になっ
   たのだという。

   もちろん毎日子どもが在室しているわけではなく、言わば緊急措置的な場所とし
   て活用されているとのこと。

   部屋はもともとオフィスだから、特別な設備は何もない。

   しかし、子どもが喜びそうな絵が貼ってあり、社員が自宅から持ち寄った知育玩
   具や絵本が置いてある。

   子どもの相手を担当する社員がいるわけではなく、仕事の手が空いた人が宿題
   を見るなど相手をしてあげている。

   そして時には社長が手を引いて、工場で働く親の姿を見せに行くこともある。

   この教室のおかげで、社員は安心して働くことができるし、子どもは親の職場や
   働く姿を見て、会社にも親近感が増す。

   手作りで温かみがあるこの試みは好評で、社員の自慢の一つにもなっている。

   社長は「うちは余分な金もないし規模も大きくないが、何か社員の役に立ちたいと

   思ってやったことが評価されてうれしい」と語る。

   そのままマネをする必要はないが、A社の社長の言葉から学ぶべき点は多い。

  □顧客満足度(CS)手当
   特異な例であるが、会社が求める社員の行動特性と社員個人の給与を密接にリ
   ンクさせた事例を紹介する。

   B社は、技術系の社員を大手企業に派遣する会社である。

   普段からトップは、「顧客満足度が業績の重点ポイント」と言い続けていたが、残
   念ながら社員の行動を変革するまでには至っていなかった。

   そこで、トップは暫定的に「顧客満足度手当」を支給することに決めた。

   すなわち、顧客満足が高く、ほかの社員のモデルになると判断した社員には、そ
   のレベルに合わせて手当を支給するようにしたのです。

   これに社員が敏感に反応し、「どうしたら私もその手当がもらえるのですか?」と
   いう問い合わせが総務部に殺到した。

   感性的な評価が多分にある領域であり、厳密に公正な評価はできないが、B社は

   次のルールで運用した。

    (1)全員の意識を統一するために、3年間の期間限定で行う

    (2)対象者は、「業務に対する顧客の評価が高く、新規受注、あるいは
      リピート受注につながる成果を出した者」、または「行動特性が特別に
      ほかの社員のモデルとなる者」

    運用上ではいくつか誤解やトラブルが見られたが、結果としてB社の示す方向

    が全社員に共有化され、手当に関する納得性も高まった。

    最終的に、この仕組みは手当ではなく、人事考課の加点として評価制度に組み
    込まれた。

    制度自体の是非は別として、「会社がしてほしいことをすれば給与が上がる」と

     いうストレートな仕組みへの社員の納得度、満足度は予想以上に高かった。

    この制度そのものをマネすべきだとは言わないが、社員との意思疎通という意

    味において気付きの多い例である。

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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客満足のためのアンケート調査
 

  ■顧客満足のためのアンケート調査

   顧客が「もの」を求めて、不便でも高くても、また不愉快でも、我慢して買うという時代
   は過去の話です。

   たとえば誰でも、レストランで不愉 快なサービスを受け、もう二度と来るもんかと
   思っても、他にそれなりのレストランがないからまた行ってしまうという経験があった
   のではないでしょうか。

   お客が長い行列を作る行列店では、欲しいものを手に入れるために長い時間を
   待ちつづける「忍耐」が必要とされます。

   行列店に並ぶ人たちは自らの意志で行列に参加し、欲しいものを手に入れるため
   に進んで若干の犠牲を払っているのです。

   しかし、お客が犠牲を払ってまで商品を手に入れたいとは思わないような場所で
   不本意な犠牲を強いられたとしたら、それは即座に不満へと変わることになる。

   この傾向は、都市の規模によって違うということはありえない。

   こうした中で蓄積された、顧客の潜在的な不満を、売り手側が重要な経営課題と
   してとらえはじめたことが、企業が顧客満足度向上に力を注ぐ源になっていると
   いえるのではないでしょうか。

    →競合店や競合商品が増えた
    →商品情報や販売情報が広く行き渡って、従来の商圏概念が崩れた

   という状況下では、本当に顧客を満足させているかどうかが「売り手」側の死活問題
   となって当然です。
 
   このようにお客さんの意識の変化中で、「顧客満足度」調査のための顧客アンケ
   ートのポイントと手法について考えてみましょう。

   アンケート調査は、通りいっぺんの「イエス・ノー」式質問では、なかなか顧客の潜在
   意識の実態をつかめない。

   単なる「質問用紙」ではなく、質問の中にあなたの姿勢と喜ばれる顧客対応への
   決意ようなものが織り込まれていなければならないのです。

   一方的な調査を行っていたのでは、調査自体で顧客を逃がすことにさえなりかね
   ない。

  □アンケート調査で注意すべき点
   アンケート調査をすると、多くの人が「満足」と応えるのに、どうも実体は違うような
   気がすることは少なくありません。

   ある情報サービス会社が実施したアンケートでも、「現在提供される情報は『質』
   『量』ともにほぼ満足」という解答が一番多かったことがあった。

   それにもかかわらず、情報サービスに対する新しい引き合いはこないし、顧客が
   活性化するということもない。
  
   その依頼会社の社長は、これは質問の仕方に問題があるのではないかと考え、
   もう一度「イエス」「ノー」の質問ではなく、さまざまなタイプの情報提供を提案して
   「選択」してもらうことにした。

   その結果では、現有サービスを望ましいとして選んだ顧客は少数だった。

   つまり、「満足ですか」と質問されるのみでは、顧客も自分が満足しているのかど
   うか「イメージ」がわかないということだったのです。

   それが、「提案型」の質問形式になって、「イメージ」をつかむことができたのだと
   思う。

   特に「変化」が求められる「不満」社会では、何か「提案」がないと顧客の「深層」
   にアプローチすることは難しいと認識すべきです。

   有益なアンケート調査を実施するための要件として、
    ・調査対象を「マス」でとらえず、さまざまな角度から分類できること
    ・調査側の先入観が強過ぎないこと
    ・協力してくれない人を観察する方法が織り込まれていること
    ・すべてが「選択式」で、それぞれの選択基準が明快であること
    ・文書がきれいで読みやすいこと
    ・短か過ぎないこと、また長過ぎないこと

   以下に、上記それぞれの要件について、そのポイントを整理してみると、

   1.調査対象を特徴別に分類する
    例えば、「この一年間で通信販売を利用しましたか」という質問に対して、
    58%の人が「利用した」と答えたとする。

    これをどう判断するか。

    多いとも少ないともいいづらいのではないだろうか。

    しかし、分類をしてみると、もっと詳しいことが分かる。

    例えば、
     20歳代の女性は70%の人が通信販売を利用しているが、
     30歳代の女性では利用率が90%を超えるとか、
     40歳代の男性は、通信販売利用がほとんど0に近いが、
     20歳代の男性では、50%以上の利用率がある

    ということが分かる(以上の数値は実際の調査結果ではない。あくまでも参考 
    事例)。

    年齢や性別を聞くだけで、アンケートの価値は大きく変わる。

    さらに、「買い物(保険商品)はじっくり時間をかけて、いろいろ商品を比較し
    ますか」とか、「毎年バーゲンを利用していますか」などという質問結果と、通  
    信販売の活用の有無との「関係」を見ると、もっと面白いかも知れません。

    こうした分類を行う目的は、 

    お客様の満足度を得るためには、どうすべきかを考える前に今のサービスや
    商品でも十分満足してくれるお客様を捜し出すこと。

    にある。

    例えば、ある商品やサービスについて、30歳代で独身のOLが満足する傾向が
    強いことが分かれば、徹底的に30歳代女性をターゲットとした、宣伝やサービス
    や新商品を企画する。

    顧客を満足させる方法の第一は、
     満足しそうな人を捜して、商品やサービスの存在を伝えること 

    にあると考えるべきです。

    分類を行う2つ目の目的は、
     満足しない顧客層が何を考えているかを知って対応策を検討する

    ことにあります。

    例えば、40歳代の男性が、通信販売を利用しないからといって、この層が通 
    販の対象とならないと考える必要はありません。

    そもそも、この層には、自分で買い物をする人が少ないのです。

    そして、その理由が、
     どの店に買い物に行っても結局「女性」ばかりを相手にした店作りや商品設
     計をしており、働き盛りの男性が楽しめるものがない

    からであったりします。

    これが分かれば、

     男性の満足を犠牲にしても女性顧客を志向するか
     男性を取り込む企画を新たに考えるか

    という、次の検討項目が見えてくる。

    従って、アンケート調査作りでは、調査対象を分類する要素をどれだけおり 
    込めるかが真っ先にポイントとなるのです。

   顧客満足のためのアンケート調査の目的は、あなたに満足してもらい、新規の契約
   をしてもらい、固定客として継続して商品を購入してもらうことが目的。

   小冊子やニュースレターも顧客満足(増収)のためのツールであり、これを継続
   して活用することが、収益拡大につながります。

  □調査対象分類の例
   調査対象の分類目的は、次の行動につなげる
   ために行うのだから、分かりやすいものにしなければならない。

   あるいは、アプローチしやすい分類であることも重要です。

   そこで、以下に分類視点の例を整理してみると、
    1.見た目で分かる分類
      性別、年齢、体格、靴や服装の趣味、肌の色など

    2.場所を重視した分類
      自宅の住所、会社や学校の住所、通勤経路、通勤電車やバス会社、行き
      つけの店、リゾートスポットなど

    3.家庭を重視した分類
      既婚未婚、子供の有無、兄弟の有無、二世帯同居の有無、長男長女か
      どうか、離婚の有無、持家賃貸、一戸建てマンション、家庭のリーダーは
      誰?など

    4.社会的ステイタスを重視した分類
      役職、肩書、収入、学歴、資格など

    5.ライフスタイルを重視した分類
      趣味、特技、所属する私的団体、いつが休日か、自動車所有の有無、最
      新式電化製品の購入度合、ブランド志向の有無など

    6.行動パターンを重視した分類
      慎重:即断、目的意識:無目的行動、規則正しい:不規則、単独:集団、家
      族:友人、出たがり:引っ込みなど

    7.情報入手先を重視した分類
      新聞、定期購読雑誌、好きなテレビ番組、FAX所有の有無、コンピュータ
      ー所有の有無、親しい人など

   ●相関関係を見る
    ただし、単なる分類ではなく、「相関関係」を見ることも大切です。

    例えば、
    ミニスカートを好む女性はパスタを食べたがる傾向が強い
    ネクタイに凝る男性はアウトドア商品をよく買う
    茶髪の女性は、靴の趣味にうるさい

    などという傾向を、アンケート調査の中から見つけ出す必要があります。

    この点から考えると、一回行った調査を一回集計することで終えず、さまざま
    な角度から何度も見直すという姿勢も重要となることが分かります。

   ●効率のよい分類集計法
    以上のように、分類をすると、次にどんな手を打てばよいかが分かってくる
    が、アンケート結果を何通りもの分類で整理するのは大変な作業だと感じる
    かも知れない。

    しかし、だからといってコンピューターシステムが絶対に必要であるわけでは
    ありません。

    なぜなら、手作業でも十分用をなします。

    例として以下のような方法もあります。
     1.アンケートの回答用紙を、まず分類したい項目に従って分ける。

       例えば、年齢で分類したければ、年齢別に回答用紙を区分けすること
       から始める。

       バーゲンを利用したかどうかで分けたければ、その項目で区分けする。

     2.区分けされた「山」ごとに、他の項目を集計します。

     3.別の項目、例えば「買い物の際に時間をかけて選択するかどうか」という
       分類で、傾向を見たければ、同じような作業を再び行う。

     4.回答用紙の数が非常に多い場合は、何人かで同じ作業を分担し、その
       結果を集計する。

    コンピューターによる集計は、一見効率よく感じるかも知れないが、プログラム
    作成とデータインプットに時間がかかるため、1回きりしかないアンケート集計の
    ような作業では、人海戦術に劣るといわざるを得ない。


   2.先入観を持たない
     アンケート調査作成のポイントとして

      まず仮説を立てること

     が良く挙げられている。

     仮説をたてるとは、アンケートを行う前にあらかじめ結論を想定し、そこから
     逆に質問を作り上げるということ。

     つまり、まずアンケートによって「あきらかにしたいこと」を決め、それが「明
     らかになる質問は何か」を考える。
 
     以上の考え方は、アンケートに「社長や役員会を説得する材料作り」などの
     明確な目的がある場合には確かに有効な面もあるが、その反面アンケート
     の設問が自己満足的になってしまう危険もはらんでいる。

     もちろん、きちんとしたアンケート調査は、誰をも説得する力を持つが、意
     図的に作られたものには、正しい結果が反映されない場合もあると考えた
     方がよいでしょう。

     可能な限り顧客の実像を知るためのアンケートを作成するためには、先入
     観を排し、回答となる「選択肢」をできるだけ客観的にすることに尽きます。

     例えば、
      「あなたは大切な買い物に時間をかけますか」

     という質問の回答選択肢が、
      (1)十分な時間をかける
      (2)ほとんど時間をかけない

     というものであればどうだろう。

     (2)を選ぶ人はほとんどいないのではないだろうか。

     しかし、同じ質問で、
      ①商品を見てから考える
      ②買い物に出る前に買うものをだいたい決める

     という選択肢を用意すれば、意味のあるアンケートになる。

     有効な選択肢になるかどうか、については、気をつけて気をつけ過ぎること
     はない。

      何度も、まず自分で答えてみる
      次に身近な人に試しに答えてもらう

     という作業を繰り返すことが大切です。

   3.協力してくれない人を無視しない
     ある観光地の事例で、ホテル建設の準備を行うに際して、現地の業者を起用
     して、「ホテルニーズ」を調査した。

     わずか200程度のサンプル調査だったので、現地の業者はあっという間に調
     べてしまった。

     しかし彼らには、「聞きやすい人にしか聞かない」という欠点もある。

     それでは「調査にならないではないか」と言うと、街頭調査なのだから協力して
     もらえない人には聞けないという。

     そこで、
     呼びとめて応えてくれない人については、その人に性別、推定年齢、印象を記
     録するようにお願いした。

     例えば、「男、30歳代半ば、営業社員風」などという記録をとった。

     その結果、
     観光客は比較的よくアンケートに応えてくれるがビジネスマンにはほとんど無
     視されていることが分かった。

     人数は少なくともホテルの利用頻度が高いビジネス客のニーズを知ることがで
     きなければ、調査をしたことにならない。

     そのため、ビジネスマンの調査は、幾つかの企業にお願いすることで、別途行
     うことにした。

     結果として、
      ・暗い部屋が嫌われること
      ・ライティングデスクの必要性
      ・大きな風呂(できればジェットバス)がアピールすること
      ・ビジネスマンも仕事の合間の手軽な観光を求めていること

     などが分かった。

     これは、もっぱら観光と料理に目をむける観光客のみの調査からは出てこな
     いことだろう。
 
     以上のような例でなくても、調査に協力してくれない人は非常に重要なキーに
     なり得ることが、決して少なくない。

     非協力的な人は、とにかくどんな人であったかを記録し、別の機会に似た人の
     ニーズをさぐるという姿勢は、非常に大切なポイントを逃さない行動につながる。

   4.選択肢を明確にすること
     アンケート調査が、選択肢方式でなければ、集計できないため意味をなさな
     い、ということは、当然だといえる。

     また、単純な選択ではなく、書き込むことが多い調査は、調査される側にとって
     も大変面倒であるということも、忘れるべきではない。

     選択肢が明確かどうかもまた、重要な問題である。

     例えば、酒の量を聞くのに、「沢山飲む」「普通」「余り飲まない」では調査にな
     らないからだ。

     例えば、

     水割りなら5杯は飲む

     といった、誰が見てもあきらかな基準が必要となる。

     一方、日本酒2合という表現では、量が分からない人もいる。

     そのような場合には、

     おちょうし(とっくり)3本

     という、分かりやすい言葉に代える必要があります。

     さらに、一項目の選択肢は5つ前後が妥当。

     それ以上多いと、調査される側が選択に迷ってしまう。

     ただし、多くの選択肢がどうしても必要な場合は、複数回答も可という形で、選
     択の面倒さを軽減する工夫も必要。

     また例えば5つの選択肢が2ページにまたがるのは避けた方がよい。

     5つ選択肢があるなら、5つとも同時に眺められなければ、アンケートに応じる
     人はイライラするもの。

   5.その他の要件
     その他の要件としては、
      ・文書を読みやすくすること
      ・ちょうどよい長さにすること

     などがある。

     文書の「読みやすさ」は当然だが、とにかく1枚におさめたいという思い入れ
     が、非常に小さな文字のアンケート調査用紙を作る動機になることが少なくあ
     りません。

     しかし、それは調査側の理屈であり、小さい文字を読まされる側はたまったも
     のではないことを、忘れるべきではない。
 
     一方「長さ」は、アンケート調査の種類によっても違うが、顧客対象の場合は3
     問以上10問以下の間で考えるのがノーマルであろう。

     1つか2つの質問では、顧客がかえって警戒するし、10項目を超えるともう、答
     えるのが嫌になるから。

     これだけ情報武装(世界で1位)された環境の中で営業、管理に何も生かされ
     ていない。 

     電話・FAX・PCといった武器をどれだけ活用しているのか? 

     ちなみに、IT活用度は世界で21位というのもうなずけます。

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顧客満足度と従業員満足度の向上

顧客満足の向上策

顧客満足の向上策
 

  ■顧客満足度向上の必要性
   CS向上でお客様に選ばれる企業にならなければ、今後生き残っていけないという
   ことについては、誰もが頭では理解していても実感はなく、危機感がないまま
   これまで通りの企業活動を続けている会社が多いのも事実です。

   何故いまCSが大事か、念の為に確認してみましょう。

   1.マーケットの縮小

    1950年の8000万人から現在の1憶2800万人まで年間100万人弱の人口増加と

    一人当たりの給与所得の増加が日本の個人消費の増加を生んできました。

    しかし、人口は政府予想より早く2005年から減少に転じ、2050年の予測では
    8000万人程度にもなってしまうとの説もあります。

    1年平均およそ100万人ずつ減少する計算になります。

   2.顧客主導(お客様が主体的に判断する)
    ○ マーケットの主導権はお客様に
     日本経済が拡大していた時期とは異なり、物が溢れる時代では消費者の
     好みも多様化し、選別も厳しくり企業のいいなりにはならない時代になって
     います。

     お客様は勧められても納得しなければ購入しない、自分で選んだものしか
     購入しないといった傾向が強くなっています。
    ○ マーケットでは評判や口コミの噂が重要
     お客様は企業の宣伝文句を鵜呑みにせず、企業が宣伝をするよりも消費者の
     口コミによる効果が何倍も強いことは言わずもがなです。

     また、お客様が不満の場合に周りの人に言いふらす件数は、満足の時の
     何倍にもなると言われており、増幅されてブランドイメージを形成する
     影響があります。

  □企業は環境適応業

   究極の目的である「永続発展」のためには、常に外部環境の変化に敏感でなくては

   ならないのです。

   特に顧客の動向は、マーケットやライバルと並んで重要な要素です。

   顧客が何を求めているか、何を評価するかという点に関しては、「顧客満足度
   (CS)という切り口からアプローチすると分かりやすい。

   顧客への貢献なしに、企業の存続はありません。

   企業活動を改善していく価値判断基準の中心には、CSを据えて考えたい。

  □CS向上によるビジネスモデルの進化
   CSについては、多くの会社で経営目標の一つとして、ビジョン方針の中に掲げ
   られることが多いでしょう。

   しかし、トップが機会あるごとに「CSが大事だ」と社員に伝えたとしても、具体的に
   業務へ落とし込まれなければ、目に見える成果は表れにくいのです。

   特に「どのレベルまで顧客を満足させるのか」という点については、トップと社員の間で
   ギャップが発生しやすい。

   しかし、それ以上に「今、携わっている業務で、何を進化させればよいのか」という具体
   的な行動の変革を促す仕組みを、細かく設定することが大切です。

  □なぜCSの向上が必要か、その入り口は何か
   CSを高めるための社内改善に当たり、何から取り組むべきか。

   ここでは、「ビジネスモデルを革新する」という視点について考えたい。

   まず、ビジネスモデルのとらえ方について説明します。

   ビジネスモデルをとらえる時、自社を大きく三つの要素で分けて検討すると、シンプル
   に理解しやすくなります。

   ①事業戦略、②組織戦略、③収益構造で考えます。

   事業戦略とは「どこに(顧客)、何を(商品・サービス)」について検討することであ
   り、組織戦略は「誰(社員)に、どのように(経営システム)」させるかを検討するこ
   とです。

   事業戦略と組織戦略は常に進化させていかなければ、陳腐化していきます。

   顧客に合わせて機敏に変化させていくことを「ビジネスモデルを磨く」と表現する。

   変化の方向性は、

    ・どこに(顧客):顧客を新たに開拓したり、自社のよさを理解する顧客に絞る
    ・何を(商品・サービス):新たに開発するのか、既存のものを複合させて新たな
     付加価値を付ける
    ・誰に:どの社員に権限委譲するか
    ・どのように:業務活動を支えるコミュニケーションパイプ(会議)や経営システム 
     を進化させる

   などが挙げられる。

   ただし、変化させても自社の利益率が上がらなければ意味はないため、「収益構造」
   という要素を考慮しながら、戦略を検討する必要がある。

   このようにビジネスモデルを磨くことは、企業の永続発展に必要なことなのです。

   では、「変化」の入り口は何にすべきか。

   それが、「顧客にとっての価値」です。

   お客様が感じている不便、不快、不満などを解消する。

   または、これまで以上に快適、便利、楽しくなるなどのプラス要素を付加する。

   このように顧客が価値を感じることを提供するという視点で、自社の「何か」を変更
   することを検討するアプローチが大事です。

  □CS現状認識の手法
   前項では、企業の目的である「永続発展」のための入り口は、顧客の要求事項を 
   つかむことであり、そのポイントはCSを向上することだと述べました。

   CSを考える際に大切なのは、データを用いて何を導き出すかである。

   まずは、全体的な体系として「CSドック」の考え方から紹介し、各論に移りたい。

   1.CSドックとは何か
     課題に対する本質的なアプローチを試みる場合、「ドック」という手法を用いる
     ことが多い。

     「ドック」とは、人間ドックのドックであり、「点検を行い、異常事項を見つけ出
     し、修理の方針を出す」ことを指す。

     経営全般を見直したい時には「経営ドック」、人事機能の場合では「人事ドッ
     ク」、開発機能ならば「開発ドック」となる。

     同様に、CSをしっかりと見直す場合には、「CSドック」となる。

     CSを測定するには、さまざまな手法があります。

     しかし現象面だけをとらえていると、本質的な解決策に至らない恐れもある。

     CSドックを用いることで、問題の核心を突いた対策が可能となる。

   2.CSドックの構成
     CSドックは、次の四つのパーツで構成される。
      (1)仮説設定(目的の確認)
      (2)現状認識
      (3)改善の方向性
      (4)突破口作戦の実行

     一般に使用されるCSアンケートなどは、「現状認識」の手法に含まれる。

     CSアンケートだけでも十分な対策を得ることができるが、「ビジネスモデルを
     磨く」という視点から考えると、やはり(1)〜(4)のプロセスを通じ、本質的なア
     プローチをしていただきたい。

   3.本質的なアプローチとは
     では、本質的なアプローチを試みるとはどういうことか?

     例えば、

      あるビジネスパーソンが体調不良を訴えた。
      彼の症状をつらい順に並べていくと、「熱が出やすい」「頭が痛い」「よく眠れ
      ない」「イライラしがちである」などが挙げられた。
      そこで、常に解熱剤を携帯し、症状が出るたびに飲むようにした。
      確かに熱は治まったが、頭痛や不眠症は治らなかった。
      しかも新たに「定期的に胸が痛くなる」という症状が表れた。
      そこで彼は、「なぜ体調不良が起こるのか」を考えた。
      突き詰めて考えると、直接の原因はオーバーワークにあった。
      なぜオーバーワークになるかと言えば、「部下が信用できず、自分で仕事を
      抱え込み過ぎる」という原因に思い当たった。
      そこで、「安心して仕事を部下に任せる」ことを目的に、自分の仕事の標準化
      と部下へのトレーニングを実施した。
      結果、多少時間はかかったものの、最終的にオーバーワーク分の大半を部
      下に引き継ぐことができ、症状は徐々になくなった。

     この事例で説明すると、「熱があること」に対する対症療法の処方箋の一つは
     「解熱剤を飲む」ことである。   

     ただし、問題の本質を突いていないため、新たな症状が発生しやすい。

     それに対して、対因療法の処方箋の一つが「自分の仕事を標準化する」ことで
     ある。

     発熱に対して「仕事の標準化」という対処法は、一見結びつかない。

     しかし本質的なアプローチを行えば、効果的な具体策を導き出すことができる。

     これを体系化したものが「CSドック」の手法である。

     CSアンケートは有効な手段かもしれないが、“症状”ばかりが目につき、対策
     が対症療法になる恐れがある。

     よって、せっかくCSの向上に取り組むのであれば、本質的なアプローチをお
     願いしたい。

  □CS現状認識の精度を上げる「仮説」の設定①
   1.仮説の設定はなぜ必要か
     現状認識の入り口である「仮説設定」というプロセスを取り入れる重要性を説
     明する。

     CSアンケートなどで顧客満足度を測ろうとする企業は多いものの、十分に生
     かし切れている企業は少ない。

     原因の一つとして「実施側の目的が漠然としている」ことが挙げられる。

     しかも“漠然としている”という認識自体がない企業も多い。

     CSアンケートを進める際、ここが最も議論となる点である。

     簡単に言えば、「取り敢えずやってみよう」という意見と、「アンケート設計のプ
     ロセスにこそ時間と知恵を投入すべきだ」という意見が衝突するのです。

     例えば、

     日用品製造業のA社には直販部門があり、店舗を有している。
     その店舗の売上げ向上を目指し、来店者アンケートを実施した。
     アンケートの質問には、「店舗スタッフの接客態度はいかがですか? 5点満点 
     でお答え下さい」という項目をつくり、その集計結果は平均「3.5点」だった。

     この事実から何が分かるだろうか?
     「お客さまは、A社の接客をそれほど評価していない」と結論を出す人がいるか
     もしれない。
     しかし、導き出された点数には、あまり意味がない。
     つまり、この点数は活用できないデータなのだ。
     なぜなら、集計後に「自社の何かを変えることを促す結論」が出せない質問項
     目だからである。

     次回のアンケートで同じ質問をすれば「一定期間の顧客評価の変化」という比
     較はできるが、経営資源を投入する以上、同じ労力でより高い成果が出るよう
     に工夫したいものです。
     そのためには、アンケート作成時に、質問項目について議論する時間を増や
     す必要がある。

     A社のアンケートについてさらに深く考えてみよう。
     まず、そもそも「直販部門に何を求めるか」との議論が不足していたのではな
     いだろうか。
     単純に、部門業績を追うための改善活動でよいのか、メーカーのアンテナ
     ショップとしての情報発信のあり方、顧客の要望を積極的に取り入れる仕組み
     のあり方まで考えた議論ができていたのか。

     そう考えると、アンケート作成に関わった部門や階層は正しかったのかという
     視点につながる。
     CSアンケートは、「顧客の要望と自社の持ち味の接点を探る」という極めて高
     度な役割が求められる。
     よって、質問項目にはトップの考えが反映されなくてはならない領域である。

     次に、「質問の仕方は、それでよかったのか」という視点も必要だ。
     仮に、「接客態度が重要な要素である」との結論が得られたとする。
     しかし、前述のように接客態度の点数を聞くだけでは、接客のレベルは分かっ
     ても、何が良くて、何が悪かったかが分からない。

  □CS現状認識の精度を上げる「仮説」の設定②
   1.仮説の設定プロセス
     アンケートなどのCS現状認識ツールが「使える」ものであるためには、測定結
     果が自社の改善活動に利用できるものでなくてはならない。
     アンケートの質問項目を何にするかを決めるには、判断基準が必要だ。
     その判断基準の元となるものが「仮説」である。

     仮説は目的や時期(定期的なCSアンケートでも年により目的が異なる場合も
     ある)によって変化していく。
     端的に言えば、仮説を設定するということは、「自社の経営目的を達成するた
     めには、現在○○が不足している」という文章をつくることである。

     経営環境が変われば、不足している要素も異なってくる。
     常に、成長や衰退の要因を自社で捉えておく必要がある。

   ●仮説を立案する際に押さえておくべきポイント

    (1)自社の経営理念・社是
       自社が、存在意義・社会に対して提供している価値を再度認識する。売っ
       ているのは商品やサービスではなく、商品やサービスを通じた「何か」であ
       る。

       その存在価値を押さえて仮説を立案する。

    (2)経営方針
       現在取り組んでいる年度目標を仮説に反映させる。

       「今後も顧客に選ばれるためには、○○(年度目標の項目)を強化しなくては
       ならない」という仮説が導かれるはずです。

    (3)業績
       「現在の自社の業績が良い(悪い)のは、○○だからである」という仮説を設
       定し、実際に合っているかを確認する。

       ただし、この仮説がアンケート結果とずれていることが多い。

       「顧客が評価している自社の強み」が間違っていると、成長段階の変わり
       目で後手を踏むことになります。

    (4)環境の変化
       環境の変化により顧客が求めている要求事項の変化を押さえる。

       「コスト」は当たり前であり、その次に求められていることが差別化項目で
       す。

       自社と顧客の認識のずれがないか確認する。

       また、顧客が評価しているライバルの取り組みも押さえておくべきポイント
       です。

    (5)新しい取り組み
       新しく行っている、または行おうとすることに対する評価を問う。

       新商品・サービスなどは、「自社の思い」から始まることが多いため、できる
       だけ早い段階でユーザーの意見を聞き、反映させることが望ましい。

       これら5つを再認識した上で、再度「自社の経営目的を達成するためには、
       現在○○が不足している」という文章を作成してください。

       もちろん、仮説は複数になっても構いません。

       この仮説を検証し、経営活動の改善を促すために、アンケートやインタ
       ビューなどを実施する。

       このようなプロセスでアプローチすると、精度の高い顧客コミュニケーション
       が可能となる。


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