従業員満足(ES)なくして顧客満足(CS)なし

        

      顧客満足(CS)度と従業員満足(ES)度の向上 


  ■購買後の評価

   商品・サービスの購入後も、消費者の一連の購買行動は終了するわけではあり
   ません。

   実際に購入した商品の使い勝手など、商品から得たさまざまな経験などは消費者
   の中に記憶され、次回の購買行動に影響を与えます。

   次回の購買行動に大きな影響を与える要因は「消費者の満足度」です。

   消費者が実際に商品・サービスを購入・使用して大きな満足を得ることができれば、
   次回に同様の商品を購買する際にも同じ商品を購入する可能性が高くなります。

   逆に、消費者が不満を感じれば次回は別の商品を購入することになります。

  □満足・不満足の要因
   「消費者(顧客)満足」の重要性はあらゆる場面で語られます。

   では、消費者の満足・不満足という評価はどのようにして形成されるのでしょうか。

   消費者は商品・サービスを購入する前にあらかじめ商品に対する「期待」を抱いて
   います。

   一般的には、この期待と実際に購入した商品から得られる「成果・経験」などの
   差異が、消費者の満足・不満足を決定するとされています。

   すなわち「期待<成果・経験」であれば消費者は満足し、逆に「期待>成果・経験」
   であれば不満足を感じるようになるのです。

   また、消費者は購買に際して料金を支払ったり、情報の収集を行ったり、実際に
   商品を購入するために店舗に足を運ぶなど、さまざまな経済的負担や労力を費や
   しています。

   これらの経済的負担や労力に見合った成果が購入した商品から得られるか否かも、
   消費者が感じる満足・不満足に影響を与えます。

   不満足を感じた消費者は、製造メーカーや商品・サービスを購買した店舗などに
   苦情を申し出るなど、なんらかの行動を起こす場合があります。

   しかし、製造メーカーや販売した店舗などに何らかの意思表示を行う消費者は
   非常に少なく、不満を感じた消費者の数%程度にしかすぎないといわれています。

   最も多いのは製造メーカーや商品を購買した店舗などに対して「何のアクションも
   起こさない」という消費者です。

   これらの消費者は、企業の全く知らないところで、他社(店)の商品に乗り換えて
   いるのです。

  □顧客主導
   顧客満足度(CS)とは顧客のルールによるものです。

   市場が成熟したことで、市場の主導権は企業から顧客に移っています。

   また、市場の成熟に伴い、顧客は多くの商品知識を持つようになり、顧客主導型の
   市場が確立されました。

   このような市場において、企業が差別化を図るために取るべき手段の一つが顧客
   満足度の向上です。

   顧客満足度の向上策に大きな効果を発揮するのがリレーションシップを図るための
   『顧客との関係強化』があります。

   リレーションシップの強化はCSの向上を図るだけでなく、クレームの予防策、
   営業力強化にも大きな効果を発揮します。

  ■顧客対応
   電話対応、事務処理などはあなたからみれば日常的な数多くある業務のうちの
   一つに過ぎませんが、多くの顧客にとってあなた(会社)を意識する機会は多くは
   ありません。
   (顧客との接点拡大はあなたを意識してもらう機会を増やす)

    ○約束したこと・時間は常に守られているか

    ○説明はわかりやすい言葉で丁寧に行われているか

    ○正しい言葉遣いで親切・丁寧に対応されているか

    ○『顧客の声』を取り入れ、それを改善する仕組みがあるか  

   これらのことはできて当たり前のことばかりです。

   自社に照らし合わせ、考えてみましょう。

  □お客様の期待に応える
   お客様が「〇〇してくれて当たり前」と思っていることを確実に実現する。

   言ったこと、約束したことを実行するのは当然ですが、言っていなくても、世間から
   みて「こうしてくれるのが当たり前」と思われていることも実行しなければなりま
   せん。

   お客様の期待に応えたいと思っていても、ついうっかりしたり、お客様の期待を
   誤解していたりすることもあります。

   理由はどうであれ、一度でもお客様の期待を裏切ってしまうと「万一の時は大丈夫
   か?」と不安にさせ、信頼を失ってしまうおそれがあります。

   お客様は100%期待通りにしてもらって当たり前だと思っており、組識全体が常に
   お客様の期待に応える体制作りが急務です。

   そのためにも業務の遂行を勘と経験で行うのではなく、標準化してマニュアルを
   作成し活用することで、自社(店)の品質を継続して維持していくことが欠か
   せません。

  □お客様が主語
   満足かどうかはお客様が判断します。

   ところがお客様に聞きもせず自分の判断基準で勝手に「こうすればお客様は不満はな
   いはずだ」と思い込んでいる場合はないでしょうか。

   「お客様のことはわからないのが当たり前」ではなく、「お客様のことを知っ
   ている」にするためにはお客様に謙虚に聴き、それにしたがって改善する姿勢と
   体制(顧客管理)が大切です。

    *あるアンケート調査によると、「折り返しお電話します」といった場合、お客様
     の時間の許容範囲は5分位と回答しており、それに対して15分後に電話し
     たら「遅い」という不満が残るでしょう。

     お客様の期待はわからないので、「○○分位でお電話できると思いますがよろ
     しいでしょうか?」と確認すれば期待通りに電話することができます。

  □お客様のことに注意を払う
   お客様は何を望んでいるか、どう思っているかなど、常にお客様のことを気にかけ、
   理解するように努めることです。

   それによってお客様の期待を知ることができれば期待に応えられ、不満そうな時には
   改善することもできます。

   また、お客様にとっても「気にかけられている」ことが、満足度の向上に大きく影響
   します。

  □初心を忘れない
   あなたにとっては慣れているので大した事はないと思えることでも、素人である
   お客様がとても気にしていることは少なくありません。

   慣れで対処すると、お客様にとっては事務的だったり冷たいと感じられ不満になる
   場合があり、実際にこのような苦情や不満はまだまだ数多く発生しています。

   初心を忘れず慎重かつ丁寧に対処するよう日頃から注意しましょう。

   いつの時代にあってもCSが語られないことはありません。

   業界問わずCSは経営における永遠のテーマであり、実践がおろそかになっている課
   題でもあります。
   
  □CSこそ差別化策
   商品の品質やイメージだけでは差別化できないこの時代に、高品質のサービス
   提供こそ数少ない差別化策なのです。

   しかし、現実には顧客が求めるサービスを実践しているところはほんの一握り
   しかありません。

   それがよく分かるのが、顧客との接点の最前線である営業や内務事務における
   電話対応といった現場においてである。

   そこでは、きわめて劣悪なサービスが日常茶飯事のように行われ、顧客満足
   どころか、不満やストレスを提供するといった経営がなされているのが実態です。

   これまでの活動が商品を“モノ”としての発想でしか見ていなかった会社(店)、
   経営者、社員が圧倒的に多かったのです。

   「買ってもらえばそれでおしまい」と考え、お客様に対して質の高いサービスや付加
   価値、気持ちよく契約してもらい、いつでも安心して任せられるといった“満足感を
   提供する”ことまでには考えが及んでいないのです。

   商売の基本となる

    商品の品質管理+サービスの品質管理=CS

   という構造に気付いていません。

   自分たちの都合を優先している多くの会社(店)を見受けるのです。

   情報が不足な時代の、つくれば売れた時代から、今「心の満足感、充足感」を実現
   するための努力が求められ時代になってきているのです。

   継続して収益を上げるのにインスタントな方法などありません。

     「あれもこれも」と手を出さず、まず1つのことを愚直なまでにやり続ければ、
   次にやるべきことが明確に見えてきます。


  □マインド × スキル × 仕組み
   お客様に伝わるサービスにはマインドが重要な要素です。

   正しいCSの実行は、基本を仕組み(マニュアル)で理解し、応用となるスキル
   (技術)は訓練で身につけ、マインド(心のこもった)で対応。

   CSは、お客様が判断するものであって、あなた(会社)が判断するものではあり
   ません。

   CSを実現するためには、お客様の要望・意見に真摯に耳を傾け、お客様の期待
   ・要望を把握し、お客様の期待を上回る商品やサービスを提供することが大切
   です。


  ■お客様を満足させる5つの基本

    1.信頼性 
      約束した事柄を約束どおりに実行する能力・信頼度・正確さ。

    2.迅速性
     すばやく直ちにお客様の役に立とうとする、やる気。
     (直接利益にならないことでもいやな顔を
     せずテキパキ処理をする)
顧客満足2.gif
    3.安心感
     お客様に示す知識・丁寧さ・確かさ

    4.共感性 
      お客様に示す配慮、個人的感情の度合
     い、問題を解決するのにお客様の立場
     を理解し、そのニ−ズ(不足)に細かく
     配慮する。

    5.仕事場の整理・整頓、身だしなみ
     ・現場スタッフが商品であり、CSのカギを握る

      ・現場スタッフが会社の代表者

      ・現場は会社の顔

 

   顧客満足とは、お客様が満足していること、すなわちお客様があなた(企業)の
   対応に喜びや感動、感謝といった感情をもつことです。

     『顧客は満足を買っている。 しかし、だれも、満足そのものを生産したり
     供給したりはできない。満足を得るための手段をつくって、引き渡せるに過
     ぎない』(ドラッカー)

   顧客満足で一番難しいのは、あくまでそれはお客様の判断、主観、感情であると
   いうことです。

   よくあるケースですが、お客様があなた(会社)のサービスに対する苦情を申し
   立ててきた場合に、苦情を受けた側に聞くと、「自分は、特にあのお客様には充分
   すぎるほどのサービスを提供してきた」という答が返ってきます。

   しかし、それはあなた(会社)の判断(すなわち、顧客ニーズとあなたの顧客サービ
   スとのミスマッチに気づかない)であって、お客様は実際には満足していないと
   いうケースが見受けられます。

   どんなにすばらしい商品・サービスを提供したとしても、お客様が本当に満足して
   いるのかどうかを自問すべきです。

   あなたの挨拶、身だしなみ、態度はお客様を不快にしていないだろうか。

   お客様はあなたを見た目で判断しています。

   このように、顧客満足度向上のためには社会人・組織人としての基本である
   基本動作の習得が不可欠です。

   お客様のニーズは、お客様に聞くのがもっとも確実な方法ですが、あなたとしては、
   日頃から顧客との関係づくりの強化を図っていくことがCSに繋がるのです。

   また、顧客満足、特にお客様のあなたに対しての満足度は、本質的には、お客様が
   購入した商品・サービスに支払った料金の額と、提供を受けるサービスの価値が
   同額か、それ以上の時に得られるものです。

   お客様から頂く料金とあなたがお客様へ提供するサービスは、必ず等価交換(または
   サービスがより大きい状態)でなければなりません。

   料金額に見合わないサービスしか提供しないあなたからは、やがてお客様は離れてい
   きます。

   ネットビジネスは別にして、あなたの価値は人間が介在して、お客様の目の前で
   提供されるサービス、すなわち提供する付加価値の一つ一つ、そしてそのことに
   よってもたらされるお客様の信頼感、満足感などです。

   お客様はそれらのことをあなたに求めているということがいえます。

   あなたの価値はまさにそこにあります。

  □それではお客様はどのような時に「満足」や「信頼」を感じるのでしょうか?

    ・ 担当者の顔を知っている

    ・ いつでも連絡がとれる

    ・ 常に自分のことを気にかけてくれている

    ・ 担当者は提供した商品・サービスについて何でも知っている

   あなたがお客様に自分の持っている価値やサービスを提供する場合、以下の点を明確
   に意識しておくことが重要です。

  □自分のもっている価値やサービスは何か、競合他社と差別化できる
   強みは何か。

      1.企業として当然提供しなければならない基本的な価値、サービス
         (基本業務サービス)

      2.基本的な価値やサービスに付加して提供できる付加価値サービス

      3.これだけは、自社しかできないと言える差別化サービス
         (セリングポイント

  □その価値やサービスは、誰が、どのような手順でお客様に提供していくのか。

    これは必ず「行動」として明確化し、実践していかなければなりません。

           

           従業員満足度(ES)とは 


  ■顧客満足(CS)より従業員満足(ES:Employee Satisfaction)

   近年の労働環境では「労働力の流動化」が当たり前になった状況下では、どんな
   会社であっても、この「定着・退職」の問題は、避けて通ることのできない事態に
   なってきています。

   各社が「理念」として「顧客満足」「社会貢献」といった内容の文言とともに、「社
   員一人ひとりがいきいきと仕事をする」「プロとしての誇りを持ち続ける」「成長
   していく実感を持つ」といった「ES」にかかわる内容のものを掲げていると思い
   ます。

   そうであれば、当然、そういった「ES」を実現することが、企業としての重要な業
   績指標の一つであるととらえるべきですし、逆に、この「ES」の実現無しに、
   「業績が良かった」とは言えないのです。

   従業員に対し、トップ・責任者が声を大にしてCSの重要性を訴えても、従業員の
   日常における業務におけるストレスを軽減しなければ掛け声だけに終わってしま
   います。

   ES対策は金銭面による報酬だけでなく、従業員がいい仕事ができるような社内
   環境をつくることです。

   CS(顧客満足)はよく使われる言葉ですが、ESがCSより後回しにされています。

   顧客満足の向上には、同時に従業員満足(ES)の向上も不可欠です。

   「従業員満足度」とは、従業員の仕事や会社・職場に対する満足感の総称として使
   われています。

   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることは
   できない。

   経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する
   従業員にその意志が理解されていなければ、顧客満足の向上は実現しません。

   そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高
   める必要があります。

   それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。

   例えば、ある従業員にとっては「給料が高い」という金銭的な満足が大きなウエ
   イトを占め、別の従業員にとっては、「仕事にやりがいを感じる」といった仕事の
   やりがいの満足が大きいかもしれません。

   このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経
   営や経営者に対する満足や、「人間関係がよいためストレスを感じない」といった
   人間関係面の満足もあるでしょう。

   このように、従業員満足を決める要素は、個々の従業員によって異なります。

   従業員の意識を把握することで労働条件や組織体制などの見直しに着手し、
   トップ・責任者が従業員満足を高めることの必要性を認識することです。

   トップ・責任者が本気で取り組む姿勢を見せることが重要であり、トップ・責任者
   は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、さらには自社の利益につな
   がることを改めて認識しなければなりません。
   
  ■ES(従業員満足)

  □会社全体で夢を共有する
   従業員と一緒に夢を見るために、企業経営者は朝礼の場などを利用して、
    ・事業の社会的な意義
    ・自社が尊重する価値基準
    ・自社が望む将来像

   を熱く語ることが大切です。


  □従業員がやる気を失うパターン
    ・会社(経営者)に夢を感じられなくなった
    ・賃金など労働条件に不満がある
    ・結婚、出産など家庭が心配で仕事に集中できなくなった
    ・実はもともと、やる気がなかった
    ・五月病など季節的なもの

   などが考えられます。

  □労使のニーズは一致しない
   理想的なのは、企業が提示する労働条件に従業員が心から満足することです。

   しかし現実問題として、これは不可能に近いといえます。

   従業員は少しでも多くの賃金をもらいたいと考えますが、企業がこれに応え続ける
   ことはできません。

  □会社が従業員評価の姿勢を見せる 
   一生懸命働いているのだから、もっと厚遇して欲しいと考えるのは自然なこと
   です。

   しかし、企業が従業員の希望を全面的にかなえることはできないため、その代わ
   り、企業として適正に従業員を評価している態度を示すことが重要となります。

   最近は、人事考課の基準を公開する企業が少しずつ増えてきています。

   こうした取り組みは、従業員を安心させるものなのです。

   また、評価基準の中心を年齢や勤続年数に置くのはやめ、能力や成果も総合的に
   判断しなければなりません。

  □社内制度の導入・見直し
   今までの人事制度から能力・成果主義的な賃金制度の導入が考えられます。

   賃金額決定の際に、能力、成果、成功へのプロセスを考慮することで、既存の賃金
   体系を見直します。

   同時に、人事効果の基準を公開すれば、「企業は従業員の何を評価しているのか」
   が従業員に伝わり、納得を得やすくなります。

   あるいは、企業の期待以上の水準の働きをした場合に、特別手当などを支給する
   ことも一つの方法です。

   育児・介護休業制度なども導入しただけでは不十分です。

   重要なのは、気兼ねなく育児・介護休業制度を利用できるような社内の雰囲気を作
   ることです。

   育児・介護休業制度は、性別に関係なく利用できる制度ですが、やはり、男性
   従業員は「取得しにくい」と考えらrます。

   男性の場合は、企業経営者のえほうから育児・介護休業制度の取得を勧めるくらい
   の配慮が求められるかもしれません。

   同時に、従業員の家庭環境に目を配り、出産を控えた従業員などの業務をほかの
   従業員も対応できるようにすることが大切です。
   
    □経営理念が徹底されている会社ほどES度が高い

    ・経営理念が明確
    ・経営方針が明確
    ・入社してよかった
    ・社内に活気がある
    ・将来性に期待できる
    ・やる気、意欲が高い


   社長は、従業員の笑顔が絶えない活気ある職場を目指していることでしょう。

   しかし、そのような社長の考えとは裏腹に、従業員はやる気を失ってしまうことが
   あります。

   社長にとってはショッキングなことでしょう。

   しかし、立ち止まっていてはいつまでたっても問題は解決しません。

   従業員がやる気を失ったことが分かったら、積極的にアプローチしていきましょう。

   これができるのは、社長と従業員の距離が近い、中小企業ならではの特権なの
   です。
   
  ■会社の競争力は従業員のスキルと気遣い

   本当の意味で人を大切にできている企業は千に一つもない。

   商品やサービスがどれほどすばらしくても、企業のすべては、そうした商品や
   サービスを作り出し、顧客に届けてくれる人にかかっているのです。

   この段階でさまざまな間違いが生まれる。

   企業の競争力は、従業員のスキルと気遣いにかかっています。

   競争相手が何をしようと、社員が仕事を喜びとし、顧客に接するのを楽しいと
   思い、心から顧客のことを思って働いてくれていれば、その影響力は絶対に真似の
   できないものになります。

   競合他社がどんなことをしても、この雰囲気だけは、おいそれと作り出せるもの
   ではないからです。

   優れた人材を採用し、その人を逃がさないようにするのは、事業をする上で最も
   難しいことなのです。

   しかし同時に、最も価値あることでもあるのです。

   人を得れば競争相手をぐっと引き離し、その地位を保てるようになる。

   人を雇うのは簡単だが、正しく人を選んで雇うのは、そう簡単なことではあり
   ません。

   あなたの雇った人があなたの会社を作るのです。

   企業文化やサービスや品質や評価、そして究極的には利益も、彼らが生み出すも
   のです。

   優れた人を雇えばあなたも優れた人になり、仕事は楽になる。

   逆に人の選び方を間違えると、あなたの仕事も会社の値打ちも、すべて台無し
   になってしまいます。
 
   自分よりも優れた技術を持ち、大きなビジョンを描ける人を雇えば、すばらしい会社
   ができるでしょう。

   しかし、正しく人を雇えるようになるためには、どのようにして人を選び、その人の
   特長をチェックして、人材として最大限に活用するのかを学ばなければならない。

   「顧客満足度」という言葉は頻繁に耳にしますが、その一方で従業員満足を高め
   る取り組みがおざなりで、「言葉と行動が一致していない」というケースも少なく
   ありません。

   あなたが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組みを進めて
   いくためには、経営者が本気で取り組む姿勢を見せることが重要です。

   そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、
   さらには自社の利益につながることを改めて認識しなければなりません。
   
  □ESそしてCS
   顧客満足実現のためには従業員満足度の向上が不可欠となります。

   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることは
   できません。

   トップがいくら顧客満足度の重要性を唱えても、顧客と実際に接する従業員に
   その意識が備わっていなければ、顧客満足の向上は実現しません。

   全社員が「顧客満足度を向上する」という共通の目標を持ち、一人一人がその目標
   に向かって意欲的に取り組むことが重要です。

   そのためには、組織として従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、
   従業員満足度を高める必要があります。   

   従業員満足(ES)の向上 顧客満足(CS)に対する従業員の意識の向上  顧客
   満足向上に向けた取り組み 顧客満足向上の実現

   従業員満足度を決める要素は、個々の従業員によって違ってきます。

   従業員満足度(ES)」とは、従業員の仕事、
   会社(職場)に対する満足感を意味します。 ES.gif

   「仕事に従事することで得られる各種の
   報酬が、自分自身の期待している基準
   に達している、もしくはそれ以上であるこ
   とよって得られる満足感」といっていいで
   しょう。

   満足度が高ければ高いほど、高業績が
   期待できます。

   逆に、「従業員満足度の低さが、退職や長期
   欠勤という結果につながっている」ということです。

   そして、それらのことが新たな募集・採用や教育訓練といった経費の増大を招き、
   さらに産性の低下につながるのです。  

   従業員満足を大きく高めるためにはどのような経営改善手法やツールの活用が
   考えられるでしょうか。

   成果主義
    従業員の人事制度を根本的に改めた成果主義に基づく人事制度。

    従業員の能力と成果に対して公平かつ正当に人事評価を行うことにより、
    従業員のモラールを高め、結果に対して責任感の強い従業員を育成しま
    す。


   目標管理 
    従業員一人ひとりの目標を明確にし、達成度合いにより評価する制度。

    会社の年度目標に基づいて個人の目標を設定し、目標の達成度合いをもと
    に個人を評価します。

    この制度を運用することで従業員1人1人の当事者意識を高め、モラールを高
    めます。

   「従業員満足度」という言葉は頻繁に耳にしますが、従業員満足を高めるための
   取り組みがおざなりで、「言葉と行動が一致していない」というケースも少なくない
   ようです。

   トップが従業員満足を高めることの必要性を認識し、本気で取り組む姿勢を見せ
   ることが重要です。

   そのためには、経営者は従業員満足を高めることが、顧客満足を向上させ、
   さらには自社(店)の利益につながることを強く認識しなければなりません。

   ○ワーク・ライフバランス(WLB)
    WLBは「仕事と生活の調和」を意味し、これが実現された社会では、一人ひと
    りが、自ら望むバランスで仕事・家庭生活・趣味・地域活動などに取り組むこと
    が可能になると考えられています。

    取り組み例として、フレックスタイム制、育児時間、ノー残業、年次有給休暇、
    手当(出産、保育、家族)などがあります。


   CSはもちろんですが、その前にESについての実践が重要となります。

   ESで代表的な事例として、東京ディズニーランド、サウスウエスト航空、リッツ
   カールトンホテルなどが挙げられます。

   これらの企業は常にCSにおいてトップクラスですが、言い換えるならどの企業も
   ESへの取り組みが結果としてCSに連動しているということです。

   顧客不満足のほとんどは人為的過誤や失敗(ミス)などのヒューマンエラー
   よるものです。

   これらのエラーはESに起因していることが大です。

   世界的な経営者であるジャック・ウェルチ(GEの前CEO)は従業員満足について
   「自社の健全度を測る3つの指標」の中で、

    ・従業員満足度
     熱意に満ちた社員がいなければ、会社は競争に勝てない。

    ・顧客満足度
     会社が長期的に生存していくためには成長がカギとなる。

     発注数が安定していないか減ってきたような難しいタイプの顧客のところに出
     向き、当社がもっと良くなるには何ができるでしょうかと質問して回る。

    ・キャッシュフロー
     キャッシュフローは嘘をつかない。

     純利益などの損益計算書の数字には、ちょっと「ごまかし」を施す余地がある。

     だが、フリー・キャッシュフローだけはビジネスの真の姿を教えてくれる。

   顧客の不満は「不満を持つ1人の顧客の背後には、29人、同じように不満足を
   感じている顧客がいる」ことを常に念頭に置き、従業員満足度の向上を目指しま
   しょう。

  ■従業員満足度の調査
   従業員の満足度を測る調査には、「モラールサーベイ(意識調査)」、「従業員満足
   度調査」などがあります。

   調査では、従業員の満足度を測るために、従業員に対してアンケート調査を行い
   ます。

   これにより従業員の意識がどのようなものであるかを統計的に把握し、労働条件
   や組織体制などの見直しに役立てます。

   主な調査項目は、以下のように、経営の方向性や仕事、福利厚生など幅広い
   分野に及びます。

   調査方法は、従業員にアンケート用紙を配布して、後で回収する方法が一般的
   です。

   【モラールサーベイにおける主な調査項目(例)】
    ・経営の方向性 
     経営ビジョン・経営者のリーダーシップ、組織風土など

    ・上司
     上司の人間性、上司からの動機付け、上司との人間関係など

    ・仕事
     仕事量、仕事に対するやりがい、権限や責任の範囲など

    ・コミュニケーション 
     チームワーク、他部門との連携、問題解決支援など

    ・能力向上
     教育トレーニング、自己啓発支援、仕事を通じた成長など

    ・職場環境や福利厚生
     設備機材、遊休休暇、安全対策など

    ・人事制度
     報酬、昇進昇格、人事評価、転勤など

  □調査結果の分析
   調査の結果、自社の従業員が働くうえでどのような要素を重要視しているかが分
   かります。

   例えば、モラールサーベイの調査結果を分析したところ、従業員は報酬や福利
   厚生には満足しているが、経営ビジョン・経営者のリーダーシップへの満足度は
   低いといった結果が出たとします。

   この場合に企業は、「経営ビジョンを明文化して従業員へ浸透させる」「経営者と
   従業員との意見交換の機会を増やす」といった対策を取ることが考えられます。

   また、従業員を全体としてではなく部門別や役職別にとらえれば、部門ごとある
   いは役職ごとの固有の課題を発見することができます。

   例えば、「生産部門の従業員は教育トレーニングの充実を望んでいる」「課長職は
   報酬に大きな不満をもっている」といった個別の意識を把握することができます。

  □従業員満足度を構成する各種報酬
   ・金銭、待遇:給与、福利厚生、休暇、その他優遇制度

   ・仕事の環境(条件):職場の環境・設備・機器、勤務時間、上司のマネジメ
    ント力(状況)、情報伝達(コミュニケーション)、社内のルール・諸制度

   ・所属、帰属意識:会社(経営トップ)に対する信頼感、知名度(評判)

   ・人間関係:職場の風土、同僚・上司との関係、チームワーク

   ・評価、承認:上司・同僚からの評価、人事考課、褒賞、昇進

   ・業務そのもの(モチベーション):達成感、充実感、成長感、貢献感

  上記の各種報酬を基に、自社独自の従業員満足(ES)の仕組みを構築してみて
  ください。

 

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   1.モラール・サーベイの対象
     モラール・サーベイ(Morale Survey)とは、士気調査あるいは意識調査のこ
     とで、仕事・職場・同僚・上司・待遇などに関する従業員満足度(ES:
     Employee Satisfaction)の実態についての測定調査を行い、満足度を定
     量的に分析・評価することです。

     モラール・サーベイは個々の従業員そのものではなく、従業員が集まってでき
     ている「集団」を対象にしています。

     したがって会社全体、特定部門、特定の役職者層などそれぞれの集団が抱え
     ている問題点を明らかにして改善していくことがモラール・サーベイの最大の
     目的です。

     たとえば、モラール・サーベイの結果、特定部門の従業員の士気が著しく低下
     していることが判明した場合でも、その責を個々の従業員に求めるのではな
     く、なぜそのような状況が生まれてしまったのかを組織面から解明していくの
     がモラール・サーベイです。

   2.従業員満足度の重要性
     厳しい経営環境のなか、他社との競争に打ち勝っていくためには、顧客満足
     度(CS)を高めることが重要です。

     そして、顧客満足度を高めるためには、まず商品やサービスの提供者である
     従業員の満足度を高めていかなければなりません。

     やる気に満ちた(モチベーションが高い)従業員たちこそが「顧客は何を求め
     ているか」ということを自主的に考え、日々の業務のなかで実践していくからで
     す。

     そのため、「CSを高めるためにはまずES向上から」という考え方をする会社
     が増えています。

     ところで従業員満足度とは、たんに従業員が現在の処遇や職場の雰囲気が
     気に入っているかで決まるものではありません。

     それらに加えて、「会社の将来性はどうか」、「自分自身は成長できているか」
     など、将来の安定性や、やりがいなども従業員満足度向上には重要な条件で
     す。

     つまり、従業員満足度向上に取り組むためには、

      直接的な処遇制度などはもちろん、会社の経営理念や経営戦略、管理体制
      など経営の屋台骨に関わる部分まで従業員にとって魅力的なものに変えて
      いく必要がある。

      たとえば、いくら従業員の待遇を改善しても、次のような状態が続いている限
      り従業員満足度は十分に向上しません。

       ・経営理念が不明確であり、従業員の行動基準もバラバラである
       ・社長の意思決定があいまいまたは遅く、組織機能が働いていない
       ・同じ問題に対して、幹部によってまったく異なる指示を出すことがある
       ・指揮系統があいまいで、指示・命令が行き渡らない
       ・権限と責任の所在が不明瞭である
       ・労務管理に関して、管理者個人の意見・主観が優先され、明確な
        基準がない
       ・教育体制が整っておらず、自己成長が見込めない
       ・目標管理が行われておらず、自分の役割や目標が不明瞭である

      モラール・サーベイによってさまざまな視点から自社の従業員満足度向上
      を阻害している要因、従業員不満足を引き起こしている要因を明らかにし、
      適切な対処をすることが必要です。

   3.モラール・サーベイの効果
     モラール・サーベイの最大の目的は従業員の満足度を上げていくことですが、
     実施するプロセスを通じて次のような効果も期待できます。

      ・会社が従業員のモラールを大切にしているという姿勢を示すことができる
      ・従業員に経営への参画意識をもたせることができる
      ・社長・管理者の管理意識が高まる
      ・改善活動において全社一丸となった取り組みが期待できる

     モラール・サーベイ実施においてはこれらの効果も享受できるように、計画的
     かつ慎重に進めていく必要があります。

  □モラール・サーベイの進め方
   一般にモラール・サーベイは次のような手順を踏んで行います。

   初めて行う場合は外部のコンサルタント会社の手を借りるのもひとつの方法です
   が、実施主体はあくまで社長であることに変わりはありません。

   1.モラール・サーベイ実施宣言
     全社的なモラール・サーベイを行うことを宣言します。

     その際には、社長自身の口から次のような点についてはっきりと説明する必
     要があります。

     なお、宣言後の実務的なとりまとめ役は人事担当の役員などを任命するとよ
     いでしょう。

      ・なぜモラール・サーベイを行うことに決めたのか
      ・モラール・サーベイの成否は会社の将来や従業員の幸福に大きな
       影響を及ぼすこと
      ・社長は従業員のこと大切に思っていること
      ・改善のための忌憚のない意見、前向きな意見を歓迎すること
      ・結果は集計・分析後公表すること(個人名は出さない)
      ・結果を受けて必ず改善策を実施すること

   2.事前ヒアリング
     社長はモラール・サーベイ実施を決意するにあたって、すでに従業員がどのよ
     うな点に不満を感じているか、そのためにどのような不具合が起こっているか
     などについてある程度問題意識をもっているはずです。

     この点について人事担当役員やその他の幹部陣(場合によってはキーとなる
     一般社員)に確認します。

     なお、幹部陣自体に問題がある場合も考えられるため、ヒアリングの際には余
     計なバイアス(偏り・偏見)がかからないように注意します。

   3.質問項目の設定
     従業員全体にアンケートを行うための質問票を作成します。

     従業員の満足度全般にかかわる項目を幅広く設定するほか、事前ヒアリング
     で確認した問題についても質問項目に反映させます。

     会社の状況やモラール・サーベイの狙いによってさまざまなパターンが考えら
     れるが、一般的には次のような分野ごとに複数の質問項目を設定することが
     考えられます。

     ◎質問分野の例
       (1) 会社・経営陣
       (2) やりがい
       (3) 人事制度
       (4) 人間関係
       (5) 職場環境

      質問ごとにその満足度を、「満足」、「ほぼ満足」、「普通」、「やや不満」、
      「不満」の5 段階で評価させます。

      次頁にアンケートシートの例を示しているので、自社の実情に応じてアレンジ
      してご活用ください。

   4.アンケート実施
     全従業員を対象にして従業員満足度のアンケート調査を行います。

     実施にあたってはアンケートの主旨を十分に説明することが大切です。

     また、従業員の正直な意見を得るために、アンケートは無記名方式にします。

     時間をおいてバラバラにアンケートを行うと、回答者はすでに回答済みの従業
     員からさまざまな情報を聞いて回答の際に何らかの影響を受ける可能性があ
     ります。

     アンケートはできれば全社一斉に行うのが好ましいでしょう。

  □アンケート結果の分析
   1.全般的な傾向分析
     まずは回収したアンケートを集計して全般的な傾向を見いだします。

     前頁のアンケートシートでは次の5つの分野から20の質問(それぞれの満点
     は5)を行っています。

     これらについて、それぞれの分野において満足度の平均がどのようになって
     いるかを確認します。

     たとえば、次のような平均点の分布になった場合、人事制度や人間関係にお
     ける満足度が特に低いことがわかります。

     このような場合、人事制度と人間関係の分野のそれぞれの質問項目の平均
     点の結果をみて、さらに問題点を掘り下げていきます。

   2.属性による傾向分析
     次に属性ごとに分類し、その傾向をみていきます。

     アンケートでは、「性別」、「年齢」、「職位」、「職種」、「勤続年数」について
     属性を取っています。

     それぞれの属性ごとの満足度の傾向を分析します。

     たとえば、年齢別に次のような平均点の分布になった場合、若手従業員ほど
     満足度が低いことがわかります。

     このような場合、若手従業員が特にどのような問題を抱えているかを掘り下げ
     ていきます。

     また、年齢だけではなく、その他の属性別にも分析を行います。

   3.重要度による傾向分析
     アンケートではそれぞれの質問項目の重要度についても聞いています。

     従業員が「第1位」にあげた項目は重要度5、「第2位」は重要度4(以下同じ、
     「第5位は重要度1」)として、全回答者分の重要度ポイントを積み上げて、それ
     ぞれの質問項目を重要度順に並べます。

     たとえば、次のような重要度と満足度の評価結果になった場合、従業員は人
     材育成やキャリアパスに関しては特に重要と認識しているにもかかわらず満
     足度が低いことになります。

     このように多くの従業員が重要と認識しているにもかかわらず、満足度が低い
     項目については最優先で対応策を講じる必要があります。

   4.フリースペース欄の記入を重視する
     アンケートの一番下に設けたフリースペース欄に記入された事項についても
     丁寧にみていきます。

     そこからはアンケート策定段階では想像できなかったような新たな満足度向上
     の視点が得られる可能性があります。

     また、従業員が特に「不満足」と感じている事項が記入されることも多く、質問
     の各項目への回答では示せなかった従業員の生の声を聞くこともできます。

  □対応策と実施状況を従業員に示す
   モラール・サーベイの分析結果はまとまり次第、従業員に公表します。

   その際には次のような点について明確に示す必要があります。

    ・結果全般(従業員にわかりやすい見せ方の工夫が必要)
    ・結果から抽出した重要な問題点
    ・問題点に対する経営者の認識
    ・問題点解決のために会社としていつまでに何をやるか
    ・問題点解決のために従業員にも協力してほしいこと

   さらに問題点解決のための施策の進捗状況についても定期的に告知します。

   従業員から質問があった際にも確実に答えるようにしましょう。

   モラール・サーベイでは、調査そのものよりも、それを踏まえた改善策を立案し
   て、実際にそれを実行していくことが大切です。

   万一低い満足度結果だったにもかかわらずそれを放置した場合、さらなる満足度
   の低下につながることが予想されます。

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顧客満足のためのアンケート調査

            

顧客満足のためのアンケート調査
 

  ■顧客満足のためのアンケート調査

   顧客が「もの」を求めて、不便でも高くても、また不愉快でも、我慢して買うという時代
   は過去の話です。

   たとえば誰でも、レストランで不愉 快なサービスを受け、もう二度と来るもんかと
   思っても、他にそれなりのレストランがないからまた行ってしまうという経験があった
   のではないでしょうか。

   お客が長い行列を作る行列店では、欲しいものを手に入れるために長い時間を
   待ちつづける「忍耐」が必要とされます。

   行列店に並ぶ人たちは自らの意志で行列に参加し、欲しいものを手に入れるため
   に進んで若干の犠牲を払っているのです。

   しかし、お客が犠牲を払ってまで商品を手に入れたいとは思わないような場所で
   不本意な犠牲を強いられたとしたら、それは即座に不満へと変わることになる。

   この傾向は、都市の規模によって違うということはありえない。

   こうした中で蓄積された、顧客の潜在的な不満を、売り手側が重要な経営課題と
   してとらえはじめたことが、企業が顧客満足度向上に力を注ぐ源になっていると
   いえるのではないでしょうか。

    →競合店や競合商品が増えた
    →商品情報や販売情報が広く行き渡って、従来の商圏概念が崩れた

   という状況下では、本当に顧客を満足させているかどうかが「売り手」側の死活問題
   となって当然です。
 
   このようにお客さんの意識の変化中で、「顧客満足度」調査のための顧客アンケ
   ートのポイントと手法について考えてみましょう。

   アンケート調査は、通りいっぺんの「イエス・ノー」式質問では、なかなか顧客の潜在
   意識の実態をつかめない。

   単なる「質問用紙」ではなく、質問の中にあなたの姿勢と喜ばれる顧客対応への
   決意ようなものが織り込まれていなければならないのです。

   一方的な調査を行っていたのでは、調査自体で顧客を逃がすことにさえなりかね
   ない。

  □アンケート調査で注意すべき点
   アンケート調査をすると、多くの人が「満足」と応えるのに、どうも実体は違うような
   気がすることは少なくありません。

   ある情報サービス会社が実施したアンケートでも、「現在提供される情報は『質』
   『量』ともにほぼ満足」という解答が一番多かったことがあった。

   それにもかかわらず、情報サービスに対する新しい引き合いはこないし、顧客が
   活性化するということもない。
  
   その依頼会社の社長は、これは質問の仕方に問題があるのではないかと考え、
   もう一度「イエス」「ノー」の質問ではなく、さまざまなタイプの情報提供を提案して
   「選択」してもらうことにした。

   その結果では、現有サービスを望ましいとして選んだ顧客は少数だった。

   つまり、「満足ですか」と質問されるのみでは、顧客も自分が満足しているのかど
   うか「イメージ」がわかないということだったのです。

   それが、「提案型」の質問形式になって、「イメージ」をつかむことができたのだと
   思う。

   特に「変化」が求められる「不満」社会では、何か「提案」がないと顧客の「深層」
   にアプローチすることは難しいと認識すべきです。

   有益なアンケート調査を実施するための要件として、
    ・調査対象を「マス」でとらえず、さまざまな角度から分類できること
    ・調査側の先入観が強過ぎないこと
    ・協力してくれない人を観察する方法が織り込まれていること
    ・すべてが「選択式」で、それぞれの選択基準が明快であること
    ・文書がきれいで読みやすいこと
    ・短か過ぎないこと、また長過ぎないこと

   以下に、上記それぞれの要件について、そのポイントを整理してみると、

   1.調査対象を特徴別に分類する
    例えば、「この一年間で通信販売を利用しましたか」という質問に対して、
    58%の人が「利用した」と答えたとする。

    これをどう判断するか。

    多いとも少ないともいいづらいのではないだろうか。

    しかし、分類をしてみると、もっと詳しいことが分かる。

    例えば、
     20歳代の女性は70%の人が通信販売を利用しているが、
     30歳代の女性では利用率が90%を超えるとか、
     40歳代の男性は、通信販売利用がほとんど0に近いが、
     20歳代の男性では、50%以上の利用率がある

    ということが分かる(以上の数値は実際の調査結果ではない。あくまでも参考 
    事例)。

    年齢や性別を聞くだけで、アンケートの価値は大きく変わる。

    さらに、「買い物(保険商品)はじっくり時間をかけて、いろいろ商品を比較し
    ますか」とか、「毎年バーゲンを利用していますか」などという質問結果と、通  
    信販売の活用の有無との「関係」を見ると、もっと面白いかも知れません。

    こうした分類を行う目的は、 

    お客様の満足度を得るためには、どうすべきかを考える前に今のサービスや
    商品でも十分満足してくれるお客様を捜し出すこと。

    にある。

    例えば、ある商品やサービスについて、30歳代で独身のOLが満足する傾向が
    強いことが分かれば、徹底的に30歳代女性をターゲットとした、宣伝やサービス
    や新商品を企画する。

    顧客を満足させる方法の第一は、
     満足しそうな人を捜して、商品やサービスの存在を伝えること 

    にあると考えるべきです。

    分類を行う2つ目の目的は、
     満足しない顧客層が何を考えているかを知って対応策を検討する

    ことにあります。

    例えば、40歳代の男性が、通信販売を利用しないからといって、この層が通 
    販の対象とならないと考える必要はありません。

    そもそも、この層には、自分で買い物をする人が少ないのです。

    そして、その理由が、
     どの店に買い物に行っても結局「女性」ばかりを相手にした店作りや商品設
     計をしており、働き盛りの男性が楽しめるものがない

    からであったりします。

    これが分かれば、

     男性の満足を犠牲にしても女性顧客を志向するか
     男性を取り込む企画を新たに考えるか

    という、次の検討項目が見えてくる。

    従って、アンケート調査作りでは、調査対象を分類する要素をどれだけおり 
    込めるかが真っ先にポイントとなるのです。

   顧客満足のためのアンケート調査の目的は、あなたに満足してもらい、新規の契約
   をしてもらい、固定客として継続して商品を購入してもらうことが目的。

   小冊子やニュースレターも顧客満足(増収)のためのツールであり、これを継続
   して活用することが、収益拡大につながります。

  □調査対象分類の例
   調査対象の分類目的は、次の行動につなげる
   ために行うのだから、分かりやすいものにしなければならない。

   あるいは、アプローチしやすい分類であることも重要です。

   そこで、以下に分類視点の例を整理してみると、
    1.見た目で分かる分類
      性別、年齢、体格、靴や服装の趣味、肌の色など

    2.場所を重視した分類
      自宅の住所、会社や学校の住所、通勤経路、通勤電車やバス会社、行き
      つけの店、リゾートスポットなど

    3.家庭を重視した分類
      既婚未婚、子供の有無、兄弟の有無、二世帯同居の有無、長男長女か
      どうか、離婚の有無、持家賃貸、一戸建てマンション、家庭のリーダーは
      誰?など

    4.社会的ステイタスを重視した分類
      役職、肩書、収入、学歴、資格など

    5.ライフスタイルを重視した分類
      趣味、特技、所属する私的団体、いつが休日か、自動車所有の有無、最
      新式電化製品の購入度合、ブランド志向の有無など

    6.行動パターンを重視した分類
      慎重:即断、目的意識:無目的行動、規則正しい:不規則、単独:集団、家
      族:友人、出たがり:引っ込みなど

    7.情報入手先を重視した分類
      新聞、定期購読雑誌、好きなテレビ番組、FAX所有の有無、コンピュータ
      ー所有の有無、親しい人など

   ●相関関係を見る
    ただし、単なる分類ではなく、「相関関係」を見ることも大切です。

    例えば、
    ミニスカートを好む女性はパスタを食べたがる傾向が強い
    ネクタイに凝る男性はアウトドア商品をよく買う
    茶髪の女性は、靴の趣味にうるさい

    などという傾向を、アンケート調査の中から見つけ出す必要があります。

    この点から考えると、一回行った調査を一回集計することで終えず、さまざま
    な角度から何度も見直すという姿勢も重要となることが分かります。

   ●効率のよい分類集計法
    以上のように、分類をすると、次にどんな手を打てばよいかが分かってくる
    が、アンケート結果を何通りもの分類で整理するのは大変な作業だと感じる
    かも知れない。

    しかし、だからといってコンピューターシステムが絶対に必要であるわけでは
    ありません。

    なぜなら、手作業でも十分用をなします。

    例として以下のような方法もあります。
     1.アンケートの回答用紙を、まず分類したい項目に従って分ける。

       例えば、年齢で分類したければ、年齢別に回答用紙を区分けすること
       から始める。

       バーゲンを利用したかどうかで分けたければ、その項目で区分けする。

     2.区分けされた「山」ごとに、他の項目を集計します。

     3.別の項目、例えば「買い物の際に時間をかけて選択するかどうか」という
       分類で、傾向を見たければ、同じような作業を再び行う。

     4.回答用紙の数が非常に多い場合は、何人かで同じ作業を分担し、その
       結果を集計する。

    コンピューターによる集計は、一見効率よく感じるかも知れないが、プログラム
    作成とデータインプットに時間がかかるため、1回きりしかないアンケート集計の
    ような作業では、人海戦術に劣るといわざるを得ない。


   2.先入観を持たない
     アンケート調査作成のポイントとして

      まず仮説を立てること

     が良く挙げられている。

     仮説をたてるとは、アンケートを行う前にあらかじめ結論を想定し、そこから
     逆に質問を作り上げるということ。

     つまり、まずアンケートによって「あきらかにしたいこと」を決め、それが「明
     らかになる質問は何か」を考える。
 
     以上の考え方は、アンケートに「社長や役員会を説得する材料作り」などの
     明確な目的がある場合には確かに有効な面もあるが、その反面アンケート
     の設問が自己満足的になってしまう危険もはらんでいる。

     もちろん、きちんとしたアンケート調査は、誰をも説得する力を持つが、意
     図的に作られたものには、正しい結果が反映されない場合もあると考えた
     方がよいでしょう。

     可能な限り顧客の実像を知るためのアンケートを作成するためには、先入
     観を排し、回答となる「選択肢」をできるだけ客観的にすることに尽きます。

     例えば、
      「あなたは大切な買い物に時間をかけますか」

     という質問の回答選択肢が、
      (1)十分な時間をかける
      (2)ほとんど時間をかけない

     というものであればどうだろう。

     (2)を選ぶ人はほとんどいないのではないだろうか。

     しかし、同じ質問で、
      @商品を見てから考える
      A買い物に出る前に買うものをだいたい決める

     という選択肢を用意すれば、意味のあるアンケートになる。

     有効な選択肢になるかどうか、については、気をつけて気をつけ過ぎること
     はない。

      何度も、まず自分で答えてみる
      次に身近な人に試しに答えてもらう

     という作業を繰り返すことが大切です。

   3.協力してくれない人を無視しない
     ある観光地の事例で、ホテル建設の準備を行うに際して、現地の業者を起用
     して、「ホテルニーズ」を調査した。

     わずか200程度のサンプル調査だったので、現地の業者はあっという間に調
     べてしまった。

     しかし彼らには、「聞きやすい人にしか聞かない」という欠点もある。

     それでは「調査にならないではないか」と言うと、街頭調査なのだから協力して
     もらえない人には聞けないという。

     そこで、
     呼びとめて応えてくれない人については、その人に性別、推定年齢、印象を記
     録するようにお願いした。

     例えば、「男、30歳代半ば、営業社員風」などという記録をとった。

     その結果、
     観光客は比較的よくアンケートに応えてくれるがビジネスマンにはほとんど無
     視されていることが分かった。

     人数は少なくともホテルの利用頻度が高いビジネス客のニーズを知ることがで
     きなければ、調査をしたことにならない。

     そのため、ビジネスマンの調査は、幾つかの企業にお願いすることで、別途行
     うことにした。

     結果として、
      ・暗い部屋が嫌われること
      ・ライティングデスクの必要性
      ・大きな風呂(できればジェットバス)がアピールすること
      ・ビジネスマンも仕事の合間の手軽な観光を求めていること

     などが分かった。

     これは、もっぱら観光と料理に目をむける観光客のみの調査からは出てこな
     いことだろう。
 
     以上のような例でなくても、調査に協力してくれない人は非常に重要なキーに
     なり得ることが、決して少なくない。

     非協力的な人は、とにかくどんな人であったかを記録し、別の機会に似た人の
     ニーズをさぐるという姿勢は、非常に大切なポイントを逃さない行動につながる。

   4.選択肢を明確にすること
     アンケート調査が、選択肢方式でなければ、集計できないため意味をなさな
     い、ということは、当然だといえる。

     また、単純な選択ではなく、書き込むことが多い調査は、調査される側にとって
     も大変面倒であるということも、忘れるべきではない。

     選択肢が明確かどうかもまた、重要な問題である。

     例えば、酒の量を聞くのに、「沢山飲む」「普通」「余り飲まない」では調査にな
     らないからだ。

     例えば、

     水割りなら5杯は飲む

     といった、誰が見てもあきらかな基準が必要となる。

     一方、日本酒2合という表現では、量が分からない人もいる。

     そのような場合には、

     おちょうし(とっくり)3本

     という、分かりやすい言葉に代える必要があります。

     さらに、一項目の選択肢は5つ前後が妥当。

     それ以上多いと、調査される側が選択に迷ってしまう。

     ただし、多くの選択肢がどうしても必要な場合は、複数回答も可という形で、選
     択の面倒さを軽減する工夫も必要。

     また例えば5つの選択肢が2ページにまたがるのは避けた方がよい。

     5つ選択肢があるなら、5つとも同時に眺められなければ、アンケートに応じる
     人はイライラするもの。

   5.その他の要件
     その他の要件としては、
      ・文書を読みやすくすること
      ・ちょうどよい長さにすること

     などがある。

     文書の「読みやすさ」は当然だが、とにかく1枚におさめたいという思い入れ
     が、非常に小さな文字のアンケート調査用紙を作る動機になることが少なくあ
     りません。

     しかし、それは調査側の理屈であり、小さい文字を読まされる側はたまったも
     のではないことを、忘れるべきではない。
 
     一方「長さ」は、アンケート調査の種類によっても違うが、顧客対象の場合は3
     問以上10問以下の間で考えるのがノーマルであろう。

     1つか2つの質問では、顧客がかえって警戒するし、10項目を超えるともう、答
     えるのが嫌になるから。

     これだけ情報武装(世界で1位)された環境の中で営業、管理に何も生かされ
     ていない。 

     電話・FAX・PCといった武器をどれだけ活用しているのか? 

     ちなみに、IT活用度は世界で21位というのもうなずけます。

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