正しい指示・命令の出し方受け方

人を動かす

■人は理屈では動かない

 世の中にある説得術の書籍は、説得する術ではなく人を動かす術を解説したものがほとんどです。

 その内容は、理屈ではなく心理的なものです。

 私たちは、理屈で納得できてもなかなか行動を起こさないものです。

 たとえば、自家用車を走らせ空調機を使えば、地球温暖化を促進すると分かっていても、それを
 一切やめようという決断には至りません。

 そういう行動に駆り立てるには理屈ではなく情に強く訴えるなにかが必要なようです。

 ここでは、人を動かす心理的な術に関して、整理してみます。

□心理的利益を提供する

 人には、自分に得になることならやり、損になることはやらない、しごく当たり前な原則が
 あります。

 また、得にならないことでもやるのは、罰則や仕返しを恐れてのことであって、結局は得になる
 からやるのと同じ原則に行き着きます。

 さて、メリットを提供する手段に、そのものずばりで、現金や贈り物を提供する手段もありますが、
 あまり推奨できません。

 法に触れる場合もあるし、第一、スマートでありません。

 ゲンナマではなく、心理的なメリットを提供するのが説得の手法らしい奥の手です。

 以下の方法があります。

 過去の例になりますが、マラソンの高橋尚子選手を育てた故小出義雄氏が、選手をよく褒める
 ことによってやる気を引き出し、大成功を収めたのはつとに有名な話です。

 旧日本海軍山本五十六大将の「やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は
 動かじ」 という言葉も有名です。

 問題は、褒めることが人にはなかなかできないということです。

 どうして褒めてやれないのか、その原因を挙げることが役に立つかもしれません。

 一つは照れくさいこと。

 照れくさいのは挨拶と同じで、馴れの問題です。

 事実、いくら歳をとっても挨拶をしない人間はいるものですが、努めてやるようにすれば馴れる
 ものです。

 褒めるのも挨拶と同じで、馴れるように努めることです。

 2つめに、褒めるのにケチになっていること。

 「自分も褒めてもらえないのに、お前なんか褒めてやれるか」 という気分でしょう。

 しかし、褒めてもらえないのは、褒めてあげないお返しです。

 褒めるのはタダなのだからケチるのはおかしなことです。

 3つめは、褒めるとなにか資格を与えたような気分になって、自分が責任を感じてしまうこと。

 そんな手形を発行したわけではないのですから、無責任であって一向に構わないのです。

 4つめは、褒める題材に出会わないこと。

 人は、自分には甘く、他人には辛く評価する癖があるわけで、その現れです。

 他人の評価には努めて甘い基準を設定する必要があるのです。

 心理的利益提供の2番目の方法「親近感を示す」 は、誰でも、他人から好意をもたれ、親近感を
 示してくれる人には動いてあげたくなる心理を衝いたものです。

 その具体策として、

  ①挨拶をする

  ②努めて相手の名前を覚えて呼ぶ

  ③「われわれ」 「私たち」 という言い方をして同じ仲間であることを暗示する

 という方法があります。

 ②は、まず相手の名前を覚えるという努力が必要です。

 心理的利益提供の3番目は「話を聞いてあげる」です。

 これは誰でも持っている、自己主張の欲求を満足させるので、その気にさせる効果があるのです。

 できることなら、相手の自慢話でもただ聞くのではなく、いかにも面白い、という態度で聞くこと
 です。

 それは忍耐のいることですが、見返りの効果はあるでしょう。

□心理的なギブ・アンド・テイクを保つ

 心理的利益提供と似ているところもあるのですが、人を動かすという意図がよりはっきりしている
 のが心理的ギブ・アンド・テイクです。

 人は心理的なバランスをとっていないと不安定になります。

 「あの人には借りがある」という思いがあると少し不安定です。

 いつまでも気になります。

 「あの人には貸しがある」ときのほうが安定しています。

 人を動かすには、つねに相手側に「この人には借りがある」という思いを抱かせておいたほうが
 有利です。

 こちらからの依頼が相手にとって「借りを返せる」 機会になるからです。

 ですから、ものごとを頼むことがあるかもしれない相手には、日頃から貸しを作っておくように
 することです。

 よほどのことがない限り、頼まれたことは断らないことです。

 忙しいことを理由に断るようでは、逆にあなたが頼んだときに「忙しいから」 といって断られる
 でしょう。

 冠婚葬祭の義理も欠かさないことです。

 飲み会の付き合いにも応じることです。

□熱意・誠意・無私への共感を誘う

 人は自分の利益にならない行動でも応じることがあります。

 仕事でも報酬のために嫌々ながらやるとは限りません。

 仕事のなかにも自分の自由意志で選べる活動がかなりあります。

 もちろん定年退職した後の自由時間を充実させるボランティア活動もあります。

 そういう活動に「一肌脱いでほしい」という依頼にいくときの勧誘を考えてみます。

 そういう活動への勧誘では、勧誘する本人の熱意が何より決定的です。

 「たかがゴミ拾いとばかにするかもしれませんが、体を使って人のためになることをやった後の
 ビールはおいしいものですよ」と、自分自身がその活動に打ち込んでいることを話せば動かす
 効果は大きいのです。

 逆に自分自身が熱意を感じないこと、たとえば、組織ぐるみの選挙運動などに駆り出されたときの
 勧誘はあまり意気が上がらないでしょう。

 その場合は利益誘導による勧誘です。

 この手の説得の、歴史上の例を挙げれば、坂本龍馬が仕組んだ薩長連合を連想します。

 当時、薩摩と長州の互いの敵愾心は相当強かったので、薩長の手を結ばせるという龍馬の発想自体が
 奇抜ではあったのでしょうが、説得の原動力は何よりも龍馬の倒幕への熱意です。

 そういう熱意は並みの人間では発揮し得ないものかもしれませんが、参考にはなります。

 人の熱意は山をも動かすのです。

 もっとも、いくら熱意があっても、論理が通らないことには同意する必要はありません。

 ものごとなんでも熱意だけで片がつくわけではありません。

□繰り返しお願いする

 熱意と類似していますが、ボランティアではなくて、勧誘を業とするセールスパーソンの場合を
 考えます。

 一度お願いに上がって断られたらそれでおしまい、という淡白なことではセールスパーソンは
 務まりません。

 繰り返してお願いに上がるのは当然のことです。

 人は一般に繰り返し繰り返しお願いに来る相手には弱いのです。

 かの賢明な諸葛孔明でも、劉備の三顧の礼に屈して家来になったくらいです。

 顔なじみになってしまうからでしょう。

 情が移るともいいます。

 くり返しの懇願を断るにはエネルギーがいります。

 一つには、断る理由を上げなければならないこと。

 もう一つは、相手の労力を無に帰させるという心理的バランスを欠く負担に耐えることです。

 そのエネルギーが尽きるのを根負けといいます。

 しかし、繰り返しお願いに上がる場合、なにがしかの理由がなければ会ってもらえないでしょう。

 相手を怒らせたら断りのエネルギーを与えることになります

 だから、絶対に相手を怒らせてはいけません。

 相手を怒らせずに説得を続けるためには、勧誘する商品知識を十分仕入れるほか、説得の技術
 (論理的、擬似帰納法的、権威の借用、比喩、錯覚への付け入り、心理的利益提供)を駆使し、
 同じ理由で断れないように新手の訪問理由を考えます。

 そうすると相手は困り果てるかもしれませんが、一方で、あなたのすさまじいエネルギーと
 能力に感心してもくれるでしょう。

 すると自分自身が購入しなくても、有力な候補者を紹介してくれるかもしれません。

 以上はセールスを想定して述べましたが、一般の説得においても、一度の訪問で成功しそうにない
 場合はあっさり退散し、もう一度訪問することが戦術的に重要です。

 相手のほうが考え直している場合があります。

 相手はこちらの熱意を試している場合もあれば、迷っている場合もあるし、考え違いに気が付く
 場合もあります。念のためにもう一度掛け合ってみてください。

□反発させる、挑発する

 作用反作用の法則という物理学の法則がありますが、人間の心理にも似た法則があります。

 たとえば、うるさ型の人に対して、まともに話を切り出すと「要領を得ない」といって聞いて
 もらえそうにない場合、機先を制して「要領を得ない話でとても聞いて頂けないと思うのですが」
 と持っていくと、「なんだね、まあ話してごらん」と聞いてくれる可能性が高くなるでしょう。

 似たようなことで、「私は唄は苦手なので」とカラオケで歌わされるのを避けようとしても、
 「そんなことはない」と無理強いされるのがオチです。

 あきらめて下手くそな唄を歌ってやれば満足してもらえます。

 逆に、一度歌ったあとでマイクを離さなくなると、いくら唄がうまくても「いい加減にしろ」と
 ひんしゅくを買います。

 他人は自分がしたがるほうとは逆のことをさせたがる、という心理法則があるわけで、そういう
 状況に置かれたらそれに身を任すか、逆手にとってその法則を活用することです。

 ただ、相手がごく真面目な人の場合はそんな天邪鬼戦法に乗りません。

 相手がどんな性格の人かを見きわめてかかることです。

 あらかじめ、失敗することも覚悟しておくのです。

 「要領を得ない話で恐縮なのですが」 と切り出したら「じゃあ止めとけ」と言われ、すごすご
 引き下がるのではなく、「いいえ、今のは冗談です。手短かにやります」とすかさず修正する
 根性です。

 作用反作用法則のもっと積極的な活用は、挑発です。

 やる気が少し不足気味な部下の伊藤君に「隣の工藤君はすごいね、休日に英会話の学校に通って
 いるんだってね」と何気ないふうを装って話しかければ、伊藤君は心中おだやかではないでしょう。

 「君はやっていないんだね」と暗に非難されたようなものですから。

 さっそく伊藤君も別の方法で英会話を始めるかもしれません。

 このテクニックは、けしかけるとか挑発するという、いささか原始的な感情を利用したものです
 から、適用する対象は限定すべきです。

 世慣れた中高年にけしかけても「ええ、あの人は立派な方です」と柳に風で受け流されるでしょう。

□大義名分を与える

 これは言い訳に使う方法です。

 たとえば遊び友達からゴルフに誘われたとします。

 しかし細君に「あなたの給料でゴルフをやるのは10年早い」ときつく言われているので、それを
 理由に断ろうとします。

 しかし悪友は「そんなことで引き下がったらいかん。ゴルフやって人間関係をよくしておかないと
 出世に響くんだから、といえば許可が出るだろう」と理屈をいいます。

 これは大義名分を持ち出すことによって行為を正当化しようという方便です。

 その昔、豊臣秀吉が刀狩りでこの方便を使っています。

 集めた刀は大仏を建立するのに使うので供養になる、と宣伝したそうです。

 この説得はなにかおかしいと感じるでしょう。

 論理的に妥当でないからです。

 つまり、人間関係にしろ、供養にしろ、そういう目的ならゴルフとか、刀狩りよりもっと効果的な
 方法があるはずです。

 それを無意識に排除しているのです。

 騙されまいとしたら、そのからくりを見破って「人間関係をよくするならもっとお金がかからない
 方法がたくさんあるでしょう。たとえば・・・・」 とまくしたてるのです。

 しかし、大義名分を持ち出すのは、言い訳、弁解なのです。

 そこを察する度量が望まれます。

 「ゴルフに行きたいから行く、なにか文句があるか」とか「刀を差し出せ、秀吉様の命令だ」
 というよりは「かわいいこと」をいうではないですか。

 つまり大義名分を言い立てるのは、相手の気持ちを和らげる効果があるのです。

 精神安定剤のようなものです。

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正しい指示・命令の出し方受け方

業績を左右する指示(命令) 


  組織は指示(命令)によって動くのが原則です。

  ■指示命令とは

   命令とは、上司が部下一人ごとに、特定の業務を割り当てることで、この割り当てた
   業務ついて、その方法や手順を示すことを指示といいます。

   正しい仕事が出来るか否かは指示命令の出し方、受け方で決まります。

   すなわち、動機付がきちんと出来るためには、現地現場を確認し、ことの本質を見極
   めなければなりません。

   人はその人に合ったレベルで「やってみせ、言って聞かせ、やらせてみせ、褒めて
   あげる」ことも必要です。

   上司に対するメンバーから期待されていることに、テキパキとした決断力が第一位と
   なっています。 

  ■指示命令の原則 

   指示命令の受け方は、その命令の内容を上司の前で復唱し、間違いのないことを
   確認し、内容をノートにメモする習慣も大切です。

   また、業務遂行にあたり、受けた命令だけでは手順がわからない場合はその場で
   指示を求めます。

   以下のどれを欠いても指示命令でなくなってしまう点に注意しましょう。

    ①直接に  ②一人ごとに  ③目的を明示

    ④一般社員には一つの命令だけを、リーダーには重点を明示

    ⑤具体的に  ⑥結果は数値で表現  ⑦期限を設ける

    ⑧途中の確認  ⑨できないとき、反省させる  ⑩報告できる

   『指示命令』は組織人としてとしてやらなければならない行動であり、
   基本動作12項目の一つです。

  1.仕事の始まりであり、成果を左右する

    (1)業務活動は指示命令によって始まる。

    (2)指示・命令の仕方が適切でなければ努力は成果に結び付かない。

  2.仕事をやることに自信をつけさせる

    (1)目的・重点をはっきりとさせ、作業者に的確な作業をやらせる。

  3.自発性と協力心を呼び起こす

   (1)作業の重要度と期限・程度を知らせる事により、作業者に自発性と協力心を持た
     せる。

  4.リーダーシップの第一歩である

   タイプ別指示命令の出し方(時、場所、相手により、指示・命令の仕方が違う。)

   民主型指示命令
   <中堅社員等、自発性、協力的な人に
    対して>

    a.自我意職がある人間

    b.自立型人間

    c.判断力がある人間

    d.依存心がややある人間

   独裁型指示命令
   <判断力が乏しく迷いのある人(新人)や
    緊急時等>

    a.自我意識が非常に弱い人間

    b.機械型人間

    c.判断力が乏しい人間

    d.他人への依存心が強い人間


   放任型指示命令
   <能力があり、任せても必要な事は必ず報告できる人に対して>
    a.自我意識が非常に強い人間

    b.自立独歩型人間

    c.判断力がある人間

    d.依存心のない人間

  5.規律ある社風づくりとミスの発生を防ぐ

   タイミングとスピードそして復唱・復命を行う事により、リズム感ある社風とミスの
   発生を防ぐ。

   (1)指示命令の内容

     ①仕事の目的と意義・使命を明らかにして、受令者に腹の底から理解させ、
      自らの心にやる気の炎を燃え上がらせることが第一歩である。

     ②5W3Hで

      ア)When:     (いつ) 

      イ)Who:       (誰が)

      ウ)Where:    (どこで)

      エ)What:      (何を)

      オ)Why:       (なぜ)

      カ)How to:    (どのように)

      キ)How much:(いくらで)

      ク)How many:(いくつ)

      ③受令者の自主性と創造性を活かす余地を残す手段と手法はたくさんある。

   (2)口頭と書面による出し方

     ①口頭による指示命令

      ア)充分にやり方・考え方を理解させる必要があるときはメモをさせる。

      イ)やさしい仕事、短時間でできる仕事。

      ウ)受け方、聞き取り方に間違いが起こり易い場合は復唱させる。

     ②書面による指示命令

      ア)仕事が正確性を要するとき、特に数字に関係ある時。

      イ)客観的資料として必要な時。

      ウ)仕事が各部門に関連している時。

   (3)状況に応じた出し方

     ①民主型

      ア)「相談する」「誰がやってくれるか」等の有志を募る時。

      イ)危険な作業・不快な作業の時。

      ウ)激しい労働・特殊な仕事をさせる時。

      エ)担当以外の仕事をさせる時。

     ②独裁型

      ア)急を要する時・危険を警告する
        時。

      イ)現に無駄が行われている時。 

      ウ)現に規律が守られていない時。

      エ)判断力に乏しく迷いのある人に
        対して(新人)。

      オ)断定的に明快に命令する時。

     ③放任型

      ア)能力があり、常に報告・連絡・相談できる社員に対し自主性を尊重して。

      イ)「たのむ」式の信頼型の命令とし大綱とポイントだけで自発性を活かし
        任せる方法。

 

  ■指示命令徹底のチェックポイント

   1.目的、意義、使命が徹底しているか

     (1)何の為にやるのか、納得しているか。

     (2)やる気の炎を燃やしているか。

   2.指示命令の内容を整理し、明記しておく

    (1)案件について明確に。

    (2)内容を複雑多岐にせず、まとまったものにする。

    (3)命令の順序を論理的に首尾一貫させる。

    (4)命令の意味を的確に伝える言葉を用いる。

    (5)主なものは記録に残しておく。(忘れる場合社員の信頼を失う)

   3.指示系統の原則にかなった正規のルートで行う

    (1)民主、独裁、放任の3つのパターンを使い分ける。

    (2)時、所、相手の能力、性格によって言い方を変える。

   4.徹底させて確認する

    (1)内容の難易と重要度、相手の立場と能力などを考慮する。

    (2)一度に多くの命令をしない。

    (3)点を質問したり、復唱させたりして、納得のいくまで確かめる。

   5.意欲を持たせる

    (1)目的、方針の意義を納得させる。

    (2)最も適切な命令の型を選ぶ。

    (3)基準をハッキリ明示する。“然るべく主義”は使わない。

    (4)不快や反感をそそるような表現をしない。
      (どうせ満足に出来ないだろうが、君にできるかな?)など

  ■命令に対する報告

   命令を受けたら、これに対する報告は必ずしなければなりません。

   部下全員が報告することによって、上司は全体の能率を上げるための業務計画
   を立てることができるのです。

   業務が命令されたとおりできたときはもちろんのこと、そうでないときは、早めに
   その旨を報告しなければならない。

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正しい指示・命令の出し方受け方

部下への時間管理指導

部下への時間管理指導

  時間管理の重要性

   時間管理の大切さは新入社員のときからいわれることですが、新入社員など社会人
   経験の少ない頃には、時間管理の本当の大切さ、難しさを実感できる機会は意外と
   少ないものです。

   上司や周囲の人は、社会人経験の少ない人でも、就業時間内に無理なくこなせるように、
   業務量を少なくして、比較的簡単で定形的な業務を中心に担当させるなど配慮して
   います。


   また、社会人経験の少ない人の時間管理には、上司は常にきめ細かに指示しています。

   そのため、自分自身が時間管理に注意を払わなくても、問題が発生することはほとんど
   ないのです。

   しかし、中堅社員になると、こうした状況は徐々に変わってきます。

   担当業務は自分で考えなければならないものが増え、次第に難易度が高まると同時に

   業務量も増加します。

   また、突発的な仕事も多くなってきます。

   上司も、「一人前なのだから」と、時間管理を本人に任せるようになってきます。

   そのため、中堅社員になるに従って、時間管理ができる人、できない人というのが
   はっきりしてくるようになります。

   時間管理が苦手な人の中には、書籍やセミナーなどで、時間管理に関するさまざまな
   考え方や手法を学び、実践している人もいるかもしれません。

   しかし、時間管理が苦手な人は、実はそうした手法以前の部分に問題があることも
   少なくないようです。


  □部下への時間管理指導

   1.若手の育成は組織成長の要
     部下を育成するのは上司です。

     上司は、日々、部下と密に接しながらその成長を願って指導を続けています。

     しかし、上司の指示を一度で正確に理解し、正しい方法でビジネスを進め、決まっ
     た期日までに結果を出すことのできる部下はそう多くはありません。

     人材の育成は長期的な視点で取り組むものであり、すぐに結果が出るわけでは
     ありません。

     部下が新入社員でも、入社3〜5年の若手社員でも、課長など管理職になっていて
     も、上司の立場からみると、その成長度合いに満足できないのが実情かもしれ
     ません。

     上司は新入社員の段階では焦ってはいけません。

     よほどのことがない限り、人を評価するには短くとも1年間は必要でしょう。

     ここは気を長く持って育成する必要があります。

     一方、若手社員の育成はとても重要であることは言うまでもありません。

     年齢にして20歳代半ばから後半になりますが、ここで良質な教育を受けられない
     と、その後の成長が止まってしまうだけではなく、組織全体の戦力低下につながり
     ます。

     なぜなら、その若手社員はいずれ管理職になりますが、十分に仕事ができず、
     部下に対しても間違った考え方や仕事の進め方を教えてしまうことになるから 
     です。

     しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

     それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

     その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

     この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

     
     人材育成は目的によって重視すべきポイントが異なります。

     例えば、足元の戦力強化を図るなら、管理職の研修を行うことになります。

     一方、中長期的な視点で組織の「世代交代」を見据えるならば、若手社員の教育に
     力を注がなければなりません。

     入社3〜5年の若手社員を育成する上で管理職がぜひとも押さえたいポイントを
     「部下に指示を出すとき」「部下から報告を受けるとき」に分けて紹介します。

   2.部下には時間を決めて指示する
     部下に仕事の指示を出したのに、一向に手を付ける気配がないとイライラする
     上司は少なくないかもしれません。

     ただし、もし指示の中で「○時○分まで」という明確な時間を示していなかったの
     であれば上司にも問題があります。

     部下に指示を出すときには、「明日中」ではなく、「明日の14時00分まで」と時 
     間を決めなければなりません。

     それでも放っておくと、約束の時間になっても何も報告してこない部下がいます。

     そこで上司のほうから尋ねてみると、「終わりそうにありません」と言ってきたり
     します。

     こうした状況になってしまうのは、「部下は悪い報告をしたがらない」「部下に時
     間の感覚が無い」からです。

     (1)部下は悪い報告をしたがらない傾向がある
       悪い報告をしたくないのは人として当たり前の感覚であり、初めのうちはそ 
       れほど問題視する必要はないかもしれません。

       上司や周りの姿などを見たり、経験を積むうちに悪い報告こそ重要である
       ことが理解できてくると、勇気を振り絞って報告するようになります。

       人並みの責任感があれば、これと同じ変化が部下にも起きるはずです。

       この場合に上司がすべきことは、よく言われることですが、叱りたい気持ち
       をぐっと抑え、冷静に次のことを諭さなければなりません。

       ビジネスにおいて、「結果として遅れてしまうこと」よりも、「事前に
       遅れると分かっていながら報告をしないこと」のほうがよほど悪いのです。

       これを数回繰り返していくうちに部下の態度は改善されていくはずです。

       もし、改善されず、一向に悪い報告をしてこないようであれば、上司は次の  
       対策を講じなければなりません。

        ・その部下に任せるのは、チームなど小さなユニットで完結する仕事にする
        ・上司のほうから進捗状況を確認する

     (2)部下に時間の感覚がない
       「部下に時間の感覚がない(納期の重要性が分かっていない)」のはビジ
       ネスパーソンとして重大な問題ですが、これを正すことは容易ではありません。

       若手社員やそれ以上に勤続年数を重ねている部下がこうした状態にある 
       場合、それは当人だけの問題ではなく、それまでの直属の上司の指導がま
       ずかったのかもしれません。

       「若手」と呼ばれているうちはまだよいのですが、時間感覚に乏しい社員が
       上司になると、対外的な仕事でミスを犯し、顧客や取引先との関係を悪化   
       させてしまう恐れがあります。

       部下に時間感覚を身に付けてもらうためには、次のことを実践するしかあり
       ません。

       上司が、根気強く、一つひとつの業務について「○日の○時○分まで」という 
       納期を設定し続けることです。

       この指導を徹底することで、最初の1週間程度で部下は上司が本気で時間 
       を重視していることに気付き、きちんと「○日の○時○分までにはできます」と
       報告するようになります。

       しかし、それで安心してしまい、上司がこの指導をやめてしまうと、あっとい
       う間に部下は元の状態に戻ってしまいます。

       個人差はありますが、1年程度は指導を続けないと、時間を重視する感覚
       は部下の中に浸透していかないものです。

       「1年は長い…」と感じる上司がいるかもしれませんが、企業では人事異動
       によって上司と部下が定期的に変わることを忘れてはならない。

       自分の下に付いているときに、部下が「○日の○時○分までには完了します」  
       と報告できるようになることは当たり前。

       肝心なのは、自分の下を離れ、たとえ時間にルーズな上司の部下になって 
       もそれに流されずに「○日の○時○分までには完了します」と報告できる部下
       を育て上げること。

     (3)部下にはシンプルかつ手短に指示する
       指示はできるだけシンプルに出します。

       個人差はあるが、一度の指示で部下がヌケモレなく把握できるのは3つ程
       度です。

       丁寧に指導したいからといって、あれもこれも伝えようとすると、部下はか
       えって混乱し、上司が本当に伝えたいことが伝わらない。

       また、上司が部下に指示するときには、「基本的に…」「ケース・バイ・ケー 
       スだが…」などの言葉を使うのは必要最低限にするべきです。

       何も知らない部下は、まず基準となる考え方や数字を求めています。

       上司の仕事はそれを明確に伝えることです。

       その後に、必要に応じて「今伝えた考え方はケース・バイ・ケースであり、こ
       うしたケースでは…」と補足するとよいでしょう。 

       こうした指示を心掛けるには、

        指示の内容⇒(そのような指示を出す)理由⇒補足(例外となるケースなど)

       こうした指示を出すことで、部下は一番集中力の高い話の聞き始めで指示
       の内容を知ることができるので理解しやすくなります。

       なお、上司が「部下に自分の指示(話)を聞かせる」ときには、部下の時間
       を「消費」しているという側面があることも忘れてはならない。

       よく「○○さん、5分だけいいかな」などと部下を呼び止めて話を始める上司
       がいるが、ほとんどの場合は5分で終わりません。

       そればかりか上司の思考が整理されておらず、出口が明らかになっていな
       いままダラダラと話が続いたりして、部下が「結局、上司は何が言いたかっ 
       たのだろう…」と消化不良で終わることもあります。

       時間感覚は部下の手本となる上司にこそ必要です。

       コミュニケーションを取りたいなど特別な意図がある場合を除き、上司は、
       シンプルかつ手短な指示を心掛けましょう。

     (4)部下を社長と思って報告を聞く
       部下の報告を「主語と述語が入り乱れていて、時間軸もバラバラなので何
       を言っているのか分からない!」と感じ、途中で話を遮ってしまう上司も少
       なくないでしょう。

       そうした上司は、社長が自分に話をしているシーンをイメージしてみてくださ
       い。

       部下の報告は支離滅裂で理解できないことがありますが、社長の報告も壮 
       大過ぎる面があったり、複数の事業部に関連する話であったりと、部下とは 
       違った意味でよく理解できないことがあります。

       ここで上司は社長に対して、「社長、失礼ですが社長のお話の中で私には 
       よく理解できないところがあります。

       もう一度、説明していただけないでしょうか?」などと伝えるでしょう。

       そして、社長が話しているのだから重要なことに違いない。

       何とかして理解しなければならないと思い、さまざまな角度から考えてみた 
       り、質問したりしながら、社長と認識を合わせようと努めることでしょう。

       この社長に対する上司の思いや行動こそが、部下の話を聞くときにも上司  
       に求められる基本的な態度です。

       まず、部下に対して「君の報告は主語と述語が入り乱れているし、時間軸も 
       バラバラなのでよく分からない」と伝えることが重要です。

       これを聞いた部下は自分の報告で改善すべき点を知ることができ、次から
       生かしてくれるでしょう。

       また、何とか部下の言っていることを理解しようとさまざまな角度から考え
       てみたり、質問することが大切です。

       この過程を省略して自分勝手な結論を導き出してしまう上司がいますが、
       上司が導き出した答えと部下が伝えたかったことに相違があることが珍しく
       ありません。

       部下は現場の最前線にいます。

       そうした部下の報告は、場合によっては社長の報告よりも重要な内容であ
       ることを忘れないことです。

     (5)部下の話は限定質問で絞り込む
       コーチングでは、「Yes」か「No」で答える「限定質問」よりも、相手が深く考 
       えた上で答えを導き出す「拡大質問」を重視することが多くあります。

       部下育成においてコーチングは重要な手法ですが、常に実践できるわけで 
       はありません。

       例えば、本日の14時00分まで完了するように部下に指示していた資料作
       成が当日の11時00分になっても上がってこず、何ら報告もない状況で上
       司が考えるのは、「このタイミングで引き継がないと間に合わない。

       部下に任せた状態で資料作成が完了するのかしないのか」ということです。

       このときの上司に、「なぜ、資料の進捗状況について報告してこないんだ
       い?」などと拡大質問をしている余裕はありません。

       聞きたいのは、
       「本日の14時00分までに資料作成が完了する見込みはあるのか、ないの
       か?」

       厳しいように感じるかもしれないが、これは上司にとっては非常に重要な質
       問です。

       ここで部下が「完了する見込みがある」と答えたならば、「あとどれくらい 
       で?」「一緒に現状を確認しようか?」とお互いに確認しながら資料作成を
       進めることができます。

       一方、部下が「見込みなし」と答えたならば、上司はすぐに資料作成のピン
       チヒッターとして活動しなければなりません。

       このような、部下の「Yes or No」で上司の次のアクションが大きく変わる状 
       況では、初めに限定質問をして方向性を絞り込むことが先決です。

       なお、部下が資料作成に慣れていなかったり、混乱していたりすると、「見
       込みあり・なし」すら判断できないことがあります。

       ここで、悪い報告を避けたい部下が、根拠なく「見込みあり」と答え、上司が
       それをうのみにすると事態は取り返しのつかないほど悪化することがあり
       ます。

       このような事態が少しでも想定される場合、上司は、「見込みあり」と「見込
       みなし」の他に、「分かりません」という選択肢も用意するようにしましょう。

     (6)上司は「率先垂範」する
       部下育成のポイントは、上手に質問したり、話を聞いたりして意思疎通を図
       ることですが、部下にだけ要求してはいけません。

       上司は組織から「率先垂範」を求められています。

       次のように自問自答してみてください。

        「部下が自分のまねをすれば組織と部下は成長するだろうか?」

       部下は上司が考えている以上に上司のことをよく見ています。

       上司は、いつ、どの場面を見られても恥ずかしくない行動をし、自信を持っ 
       て「自分のことを、そっくりそのまま、まねてみろ。

       そうすれば君たちは成長できる!」と言えるようにならなければなりません。

 

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