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中小企業におけるBCPの策定と活用 |
内閣府の調査によると、2013年度、BCPを策定済みである大企業は53.6%である もちろん、BCPの効果的な運用のためには、従業員向けの教育訓練を定期的に実施 しかし、BCP自体は、中小企業庁がウェブサイトで公開している「中小企業BCP策定 災害時の備えとしてだけでなく、BCPの策定にはさまざまなメリットがあります。 例えば、BCPの策定過程は、中核事業をはじめとした自社の事業内容や業務フロー また、BCPを策定している企業は、政府系金融機関等による貸付金利優遇制度や 災害はいつ起こるか分からないものです。 BCPの策定は難しいと考え、策定していない企業が多いのかもしれませんが、「難 そして、こうした姿勢こそが、災害発生後の企業の存続を左右する大きな要因になる 企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業 BCPは、人命保護や建物の倒壊防止といった従来からの「防災対第」を一歩進め、 「事業の継続」という視点で見れば、大企業のように事業拠点が分散しておらず、特定 中小企業庁は、BCPを策定する際の一助として「中小企業BCP策定運用指針」を 「中小企業BCP策定運用指針」を利用すれば、専門的な知識を有していなくても、 万一の際に事業を継続するために、企業として打つべき手をあらかじめ検討しておく 平成23年3月に発生した東日本大震災によって、我が国の企業・組織は、巨大な また、経済活動への影響は、サプライチェーンを介して、国内のみならず、海外の 我々は、この甚大な災害の教訓も踏まえ、今後発生が懸念されている大災害に立ち 有効な備えが無ければ、災害発生時に我が国の経済・社会が危機に陥ることにな そこで、我が国の企業・組織は、国内外における大災害のあらゆる可能性を直視し、 これまでの災害では、自社の事業継続計画や他社との連携が有効に働き、いち早く また、企業・組織の事業構造や活動環境が極めて多様化・複雑化している今日、災害 そこで、災害のみならず、どのような不測の事態に直面しても、強くしなやかに回復 既に我が国における事業継続の取組は一定の進捗が見られ、その有効性が発揮 これらを踏まえ、今後さらに一層の拡充に取り組む必要がある。 本ガイドラインは、我が国の企業・組織における、このような事業継続の取組の必要 また、企業・組織は、原因が何であれ重要な事業を継続できない場合に備え、常に そこで、経営者自らが責任を持ち、平常時から事業継続能力の強化に取り組む必要 そして、その取組を内外にアピールすることも求められる。 さらに、不測の事態の対応においても、経営者の的確な判断とリーダーシップが不可 このように、事業継続の取組は経営者が率先して取り組むべき重要な経営課題で 本ガイドラインでは、1.4章に経営者に求められる事項、Ⅷ章に経営者及び経済社会 経営者においては、これらを先に重点を置いて読まれることを勧める。 事業継続ガイドライン第三版(平成25年8月)(内閣府) 中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」 1.BCPの策定状況 内閣府が2014年7月に発表した「平成25年度企業の事業継続及び防災の 実態調査によると、BCPの策定状況(2013年度)は次の通りです。 BCPについて、大企業では「策定済みである」という回答(53.6%)と、「策定 一方、中堅企業では「策定済みである」「策定中である」という回答を合わせて BCP策定状況において「策定済みである」「策定中である」「策定を予定してい 全体を見ると「過去の災害、事故の経験等からの必要性」という回答の割合が これは2011年の東日本大震災の影響と考えられます。 次いで、「親会社・グループ会社の要請」「株主の要請、企業の社会的責任の (1)「中小企業BCP策定運用指針」の特徴 中小企業では、人材やコスト不足の問題からBCPの策定が大企業と比べて 中小企業では、BCPの知識がある人材が不足しているばかりか、新たに教 また、「いつ発生するか分からない(目に見えない)災害のために、多額の費 しかし、災害がいつ発生するか分からないからこそ、万一に備えて、自社の さらに、BCPの策定は平常時の「取引の維持・拡大」につながる取り組みとも BCPの第定を検討する際、手助けの一つとなるのが中小企業庁「中小企業 「中小企業BCP策定運用指針」では、様式に従って基本方針、責任者、緊急 「中小企業BCP策定連用指針」では、BCPの第定に投入できる人材・時間な 自社の中核事業を理解・把握した上で、「経営上最優先で復旧すべき事業は そして、自社の重要業務を継続するために必要な資源(ヒト・モノ・カネ・場 BCPの策定と活用は中核事業の継続に不可欠な経営資源ということです。 また、中核事業を復旧させるまでの期限の目安となる目標復旧時間も決め 目標復旧時間を決める際には、次のような方法があります。 地震などの災害が発生した際、自社の中核事業がどの程度の影響を受ける そのためには、地震などの災害によって「ボトルネック資源」がどの程度の影 また、「ボトルネック資源」を次のように区別しておくことが重要です。 ・目標復旧時間内に機能回復しないもの(させられないもの) ・目標復旧時間内に機能回復するもの(させられるもの) 建物が倒壊したり、設備が故障したりした場合の復旧費用や事業中断によ 「中小企業BCP策定運用指針」の「財務診断モデル」を利用すると作業がス 中小企業は、その結果に応じて事前対策を講じます。 具体的な対策には次のようなものがあります。 ・1カ月程度の操業停止に耐え得る資金の事前確保 ・適切な損害保険への加入 ・事前の対策実施 「中小企業BCP策定運用指針」には、平常時に実施しておく対策メニューの 中小企業は、自社にとって必要な対策や投入可能なコストを考慮して検討す また、ここには「事前対策を講じたいが資金がない」という中小企業のため ①BCP発動基準を明確にする 中核事業に甚大な影響を与える可能性のある災害とその規模に基づい BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間、次の機能を果たす組織 機能ごとにリーダーを配置し、そのリーダーに対しては経営者が指揮命 復旧対応機能:施設や設備の復旧など、社内における復旧対応 「BCPの発動フロー」「事業継続に必要な各種情報の帳票類」を文書化 「事業継続に必要な各種情報の帳票類」については、「中小企業BCP策 BCPは、策定していればよいということではなく、緊急事態発生時にそれを BCPを実効性の高いものにするために、万一の際に、BCPを利用して実際 そのためには、BCPに関する訓練や教育を積極的に行うとともに、BCPの運 こうした文化を「BCP文化」といいます。 BCPの運用は自社が存続する限り継続されるべき活動であり、維持・更新 従業員に対して行うBCP教育の目的は「従業員にBCPの運用を浸透させ 具体的には、次のような教育を実施するとよいでしょう。 ・BCPや防災に関する社内ディスカッション ・BCPや防災に関する勉強会 ・心肺蘇生(そせい)法などの応急救護の受講支援 ・BCPや防災対策関連のセミナーヘの参加支援 BCP訓練にはさまざまなレベルや種類がありますが、次のようなBCP発 ・机上訓練 ・電話連絡網および緊急時通報の演習 ・代替施設への移動訓練 ・バックアップしているデータを取り出す訓練 また、各自治体が主催する防災訓練などに従業員を参加させることで防 同時に、自治体と自社、近隣の企業同士の連携を深めることもできます。 BCP文化を醸成するためには、長期的な視点で経営者と従業員の意識 また、BCPの運用に対する従業員の認識を促進させるために、BCPや防 経営者が平常時から意識しておくべき点として次が挙げられます。 ・従業員との平常時からのコミュニケーション ・従業員のための安全対策の実施 ・取引先や協力会社、地域を大切にした事業の実践 ・その他、BCPや防災に関する各種活動の支援 時間の経過とともに企業を取り巻く環境は変化します。 また、会社自身も変化を続けることから、組織体制をはじめとしてさまざま そのため、常に実効性のあるBCPであるためには、定期的にBCPの有効 訓練などを通じて不備な点などが明らかになれば、BCPの内容を見直し また、「中小企業BCP策定運用指針」には、自己診断チェックリストが用意 このプロセスでBCPに問題点や不十分な点などがあれば、再び「自社中 その際、「中小企業BCP策定運用指針」の中にある、「BCP策定・運用況 チェックリストの設問ごとに、「はい」か「いいえ」で答えていくと判定結果が BCPの取り組みは非常に多岐にわたります。 とはいえ、企業活動に大きな影響を及ぼすリスクはさまざまであるため、どのよ また、より効果的なBCPを策定しようとするほど、多くの人材やコストが必要と 中小企業が、BCPの取り組みを始める際に大切なのは、完壁を求めず、できる 例えば、想定する緊急事態を絞り込むというのも一案です。 内閣府防災担当の事業継続計画策定促進方策に関する検討会「事業継続ガ そして、その後、段階的に想定する災害の種類を増やしていくという方法を示し BCPへ取り組む際には、まず自社ができる範囲からスタートし、BCPサイクル また、「中小企業BCP策定運用指針」は、原則として中小企業が独力でもBCP そのため「BCPの策定・運用は個々の企業の努力で行うもの」と感じた人もいた しかし、必ずしもBCPの策定を全て自社で行う必要はありません。 最近では、企業のBCPへの取り組みをサポートするサービスや専門家が多く見 例えば、BCPについて理解を深めたいという人であれば、セミナーなどに参加し また、最近では、コンサルティング会社などもBCPの策定支援などを行っていま より効果的なBCPを策定・運用していくためには、こうした専門家の活用も検討 1.BCPの策定 ここでは、前述した「基本コース」によって、BCPを策定するための手順を紹介 基本コースでは、主に経営者自身の主観を基に、指針で用意されている このファイルに入力すれば、シートの記入が容易に行えます)に記入すること 記入したシートの内容は、全従業員と共有し、緊急事態に備えることが望まれ まず自社において、指針に従ってBCPを策定し、日常的な運用を推進する社 次の点を考慮して、策定する体制と運用推進する体制を決めます。 検討した策定・運用推進体制を「BCPの様式類」に記入します。 ・経営者自らが率先して策定し、運用推進にあたる ・企業の規模や業務の役割分担に応じて人選する ・取引先企業や協力企業との意見交換や擦り合わせを行う ・BCPの策定および運用推進に取り組んでいることをすべての従業員に周 自社の中核事業(会社の存続にかかわる最も重要性・緊急性の高い事業)を 緊急時において、 ・経営上最優先で復旧すべき事業は何か ・いつまでに復旧することを目指すべきか を特定します。 そして、自社の重要業務を継続するために必要な資源(ヒト・モノ・カネ・場所・ 指針では、これらの資源を「ボトルネック資源」と呼んでいます。 ボトルネックの本来の意味は、瓶(ボトル)のくびれ(ネック)で、事業の継続や また、中核事業を復旧させるまでの期限の目安となる目標復旧時間も決めて 目標復旧時間を決める際は、「中核事業にかかわる取引先と事前に調整して 自社の中核事業が、地震・風水害・火災などの災害により、どの程度の影響 そのためには、前のステップで理解・把握した中核事業の継続に必要な資源 その際、災害別に中核事業の継続に必要な資源を、目標復旧時間内に機能 なぜなら、「目標復旧時間内に機能回復しないもの(させられないもの)」であ 自社が地震などにより被災した場合、建物・設備の復旧費用や事業中断によ その状況によっては、被害を軽減するための以下のような事前対策を取るべ ・1カ月程度の操業停止に耐え得る資金の事前確保 ・適切な損害保険への加入 ・事前の対策実施 指針では、「財務診断モデル」が掲載されており、財務診断を進めるための手 ダウンロードページから「財務診断モデル基本コース」をダウンロードし、指示 また、災害発生後、多くの中小企業で復旧資金の借り入れが必要になるもの このBCPを実行することによって、災害発生後に政府系中小企業金融機関・ 指針には、平常時に事前に実施しておく対策メニューの一覧が示されており、 自社において投入可能な資金額や弱点と思われる個所を踏まえて、対策を 事前対策を講じたいが手持ち資金がないという企業のために、災害復旧貸付 中核事業を継続するうえで欠かせない各種資源(ヒト・モノ・カネ・場所・情報) このプロセスでは、基本的なBCPの策定と、それを、いつ、どのような体制で (1)BCP発動基準を明確にする BCPの発動基準を設定する際のポイントは、自社の中核事業が何らかの そのため、中核事業に甚大な影響を与える可能性のある災害とその規模 BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間には、主として以下の機能 各機能にチームを構成してリーダーを立て、チームリーダーへの指揮命令 ・復旧対応機能 ・外部対応機能 ・財務管理機能 ・後方支援機能 ここで策定するBCPは、大きく分けて次の2つの要素からなります。 ・BCP(事業継続計画)の発動フロー ・事業継続に必要な各種情報の帳票類 指針には、情報を整理する帳票のひな型となる様式集が「PDF形式」と これにより、基本的なBCPが策定できます。 BCPは、策定していればよいということではなく、緊急事態発生時にそれを従 BCPを実効性の高いものにするならば、緊急事態発生時にBCPを利用して実 そのためには、BCPに関する訓練や教育を積極的に行うとともに、BCP運用 指針では、こうした文化のことを「BCP文化」と表現しています。 BCPの運用は企業が存続する限り継続されるべき活動であり、維持・更新と、 (1)従業員へのBCP教育を実施する 従業員に対して行うBCP教育の主な内容は次の通りです。 ・BCPや防災に関する社内ディスカッション ・BCPや防災に関する勉強会 ・心肺蘇生法などの応急救護の受講支援 ・BCPや防災対策関連のセミナーへの参加支援 BCP訓練にはさまざまなレベルや種類がありますが、以下のような、BCP ・机上訓練 ・電話連絡網および緊急時通報の演習 ・代替施設への移動訓練 ・バックアップしているデータを取り出す訓練 また、各自治体が主催する防災訓練も行われています。 こうした訓練に参加することは、社内の防災能力を高めるだけでなく、自治 なお、BCPに関する教育や訓練については、指針のBCP関連資料中の「教 「BCP文化の醸成」の実現には、長期的な視点で経営者と従業員の意識を また、BCP運用に対する従業員の認識を促進させるためには、BCPや防災 経営者が平時から意識しておくべき点は以下の通りです。 ・従業員との平時からのコミュニケーション ・従業員のための安全対策の実施 ・取引先や協力会社、地域を大切にした事業の実践 ・そのほか、BCPや防災に関する各種活動の支援 BCPを発動してみたものの、「整理されている情報が古くなっており、役に立た こうした事態に陥らないためには、BCPが企業の中核事業の復旧継続に本当 また、必要に応じてBCPの運用体制の見直しや運用資金(事前対策費用な BCP運用は継続的な活動であり、企業が存続する限り、BCPに関するこれら 指針のWeb上では、BCPの策定および運用の検討が一通り終了した後に、 チェックリストの設問ごとに、「はい」か「いいえ」で答えていくと、判定結果が出 かなり詳細なチェックリストであるため、経営者は毎年自己診断を行い、点数
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天災は忘れた頃に… 事業継続計画(BCP)策定を |
■事業継続計画(BCP) 1000年に一度の規模ともいわれる東北地方太平洋沖地震は、東北地方を中心 多くの方が命を落とされ、ライフラインも各地で寸断されました。 私たちはこのような想定外の災害に対して、万全な準備をしておくことは非常に困 しかし、だからこそ想定し得る範囲については、日頃からできるだけの対策を講じ 2011年3月11日、あれから8年の歳月がたち、「天災は忘れた頃にやってくる」 BCPの策定状況は、従業員規模が小さくなるほど進んでいない。 ここでは、企業が緊急事態のなかでもその披害を最小限に抑え、早期復旧を図っ BCPとは、企業が自然災害、大火災、感染症などの緊急事態に遭遇した場合に BCPがあらかじめ策定されていないと、緊急時に「何から着手してよいかわから 災害の発生直後には操業が完全にストップすることもあります。 また、その後の回復のスピードが遅ければ、競合他社に顧客を奪われ、最悪廃 ・災害後に活用できる資源に制限があると認識し、継続すべき重要業務を ・重要業務のそれぞれについて目標復汀1時間を設定する ・重要業務の継続に不可欠で、再調達や復旧に時間や手間がかかり、 ・つねに最新の企業の情報を反映するようにするため、定期的な更新、 BCPと似たような意味合いで使われる言葉に「防災計画」があります。 防災計画では災害そのものを起こさないこと、被害を最小限に抑えることに力 被災時には人・物・金などの経営資源が大幅に減少します。 そのような状況のなかでも限られた経営資源を活用して、自社の重要業務を遂 BCPは被害最小化への事前対策であるとともに、被災時の危機的な状況のな BCPは自社のみで完結するものではありません。 大災害が発生した場合は、自社だけではなく仕入れ先・販売先などの取引先企 たとえば、自社がBCPによって早期に操業体制を回復したとしても、重要部品の 同様に自社の製品の販売先企業が営業していなければ、納品不可能となり、在 つまりBCPは自社だけではなく、川上・川下企業においても策定されている必要 このような理由から、特に大手企業においては取引先企業にBCPの策定・充実 これは素材調達から最終製品販売に至るサプライチェーン全体を通じて、BCP 今後は取引先との関係の維持・強化のためにBCP策定の重要度がますます高 大規模災害時にはインフラがストップするなど国民生活にも大きな支障が生じ BCP策定によって会社機能を維持できていれば、地域住民への支援拠点として これは企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果た 日頃からこのような姿勢を打ち出しておくことで、企業イメージが向上し、結果と 以下にBCP策定・運用の大まかな流れを解説します。 1.BCP策定宣言と事業継続方針の決定 2.重大災害とその被害の想定 3.自社の存続にかかわる重要業務の確認 4.重要業務の精査 5.事前対策の検討・実施 6.目標復旧時間の設定 7.緊急対応マニュアルの策定と共有 8.訓練・計画の見直し 社長自らが自社でBCP策定に取り組むこと、策定の意義などを全社員に対して BCP策定には全社員の協力が不可欠であり、社長自らが宣言することで、社員 宣言後は幹部社員と話し合いながら、BCPの根幹となる事業継続方針を定めます。 事業継続方針とは、緊急時に企業が取るべき行動の優先順位を示すものです。 企業の業種や理念などによって異なりますが、一般的には次のような事業継続 ・従業員とその家族の安全を守る ・顧客への供給責任を果たす ・地域や顧客の復興を支援する ・業務を正常レベルに戻す この例では緊急時の限られた経営資源について、まずは従業員とその家族の 企業が直面する重大災害には、その地域全体で懸念される大地震、風水害、 このうち地震や洪水などの被害予測については、国土交通省のウェブサイトか また、都道府県や市町村の防災担当部署では、より細かい単位でハザードマッ まずは自社所在地について、どのような災害の可能性があり、どの程度の被害 さらに自社の周辺地域や重要な取引先の所在地の状況も確認します。 国土交通省/ハザードマップ(※)ポータルサイト ※ ハザードマップとは自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したもの 災害によって大きな被害を受けた場合、通常はベストの業務を行うことはできま そこで、優先して対応すべき重要業務を選定します。 まず業務を取引先別と製品別に整理します。 あるメーカーが甲、乙、丙社に対して自社製品A、B、Cを販売しているとすると、 たとえば、①は「甲社に対して製品Aを製造し、納品する業務」ということになります。 次にそれぞれの業務の自社経営への影響度を以下のような基準で一つひとつ 各基準の評価をした後で、総合的な判定を行います。 ※1 自社が製品を供給しないことで取引先が操業停止に陥るなど取引先に与える ※2 建設業におけるインフラ普及業務、小売店における食料販売業務などは社会的 これにより①〜⑨の業務の優先度を評価し、その結果を分析表に記入します。 ここでは以下のような結果になったとします。 表中の高、中、低は前述の評価結果一覧の総合判定結果を示したものです。 この評価結果では①「甲社に対して製品Aを製造し、納品する業務」、②「甲杜 したがってこのメーカーにとっての重要業務は①②⑦となり、災害時にはこの3 特に甲社向けの業務が2つあるため、納品のためのトラックなど物流の割り当 特定した重要業務のフローを分析し、業務遂行に必要な要素を整理します。 たとえば、前述の(D「甲社に対して製品Aを製造し、納品する業務」について ・原材料 ・工場設備 ・作業者、管理者 ・電力などのインフラ ・情報システム ・納品のための物流 地震などによってそれぞれの要素がどの程度のダメージを受ける可能性がある 特に工場設備の損壊など、復旧に時間がかかりそうな要素については漏れなく 重要業務の要素への被害を最小限にするための対策を検討し、実施します。 対策のなかには工場躯体の耐震性強化など一定の時間と費用のかかるものも できることはすぐにでも実施することが大切です。 また、長期的に進める対策については、資金面の手当ても含めて、いつまでに 災害によって停止してしまった業務について、どの程度の期間で通常レベルに 大震災によって工場のすべての生産ラインが停止してしまった場合などは、重 前述の例では重要業務のひとつに①②⑦があげられていましたので、まずはこ その際には自社の目標復旧時間について、取引先から合意を得ておくことが大 たとえば、 ①「甲社に対して製品Aを製造し、納品する業務」については、あらかじめ甲社と 実際に被災した際にはパニックに陥り、どのように対応すればよいかわからず、 そこで、災害発生時に「誰が何をするか」という行動レベルのマニュアルを策定 マニュアルのポイントとしては以下のようなものがあげられます。 ・BCP発動基準と方法 ・情報拠点の確保(本社や営業所が使えない場合は、社長宅など) ・指示・命令系統の確立(社長が執行不能の場合はA専務、A専務も執行 ・従業員の安否確認(連絡先リスト、連絡手順など) ・取引先の状況把握と支援要請の有無の確認 ・自社施設(本社、営業所、工場など)の被害状況把握(特に重要業務に ・自社施設が原因で起こる二次災害予防 ・自社周辺地域住民・施設・インフラ等の被災状況把握 ・帰宅困難者への対応 ・重要業務遂行状況の把握(誰がどのように把握するか) ・重要業務復旧のための初動 ・財務面に与える影響把握、公的な緊急融資制度等の利用検討 上記の緊急対応マニュアルを確実に実践するためには、日頃から訓練を積ん 災害の想定を毎回変更するなどして、臨機応変な行動力を高めていくことが大 また、社内外の経営環境の変化によって、BCP策定時に定めた当初の「重要業 そのため、状況変化に応じてBCPを更新していくことが必要です。 |
災害時における従業員の安全確保 |
■災害時における従業員の安全確保 1.防災対策取り組みの体制 そのため、いざというときに従業員が的確な行動を取り、安全を確保できるよう 防災対策を経常に関わる課題として位置付け、経常トップが統括し、対策を検 具体策としては以下の通りです。 ・対策の実施体制について話し合い、対策本部やチームの編成、活動 ・対策の目的、基本方針を共有し、各自の役割や取るべき対策を理解 ・研修や訓練で繰り返しマニュアルを確認し、実行性のある内容に改訂 具体策は以下の通りです。 ・社内のキャビネットや備品などの転倒対策を進める。 ・避難路となる廊下や出入り口に物を置かないよう日ごろから注意する。 ・ガラスなどは割れて飛散する危険性があるため、飛散防止フイルムを ・非常持ち出し品や救助活動を円滑にするための資材や機材、食料や ・かさばる重要事頬などは持ち出せないものとして、耐火金庫へ保管する、 自社の災害対応力を確認し、マニュアルや事業継続計画(BCP)の内容・手 また、被害軽減策として建物・設備の耐震性診断、危険物などの管理上の点 具体策は以下の通りです。 ・火災の初期消火に備えて、消火器などを設置し、正常に作動するか定期 ・危険物などの漏出や出火を発見した場合、直ちに消防、警察など、防災 1.安否確認方法の確立 出社した従業員が災害時に全員施設内にいるとは限りませんし、休日や休暇 企業には防災対策と同様、安否確認についても対策の実施体制について話し その上で、災害時には専任のチームが安否確認対応に当たるようにします。 災害時の緊急連絡先は、複数決めておき、どこかで安否確認が取れるように その上で、緊急連絡網を記入したカードを全従業員に配布し、常時携帯を義 カードは財布や定期入れに収まる大きさにするとよいでしょう。 また、携帯電話の番号やメールアドレスを登録しておけば、すぐに連絡が取れ とはいえ、災害時には通信回線が混み合ってしまい、思うように連絡が取れな そうした場合には、NTTの災害用伝言ダイヤルや携帯電話会社の災害用伝 なお、中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」のウェブサイトから、従業員 通常の電話がつながらない場合、比較的つながりやすいNTTの災害用伝言 ただし、これらのサービスを一度も使ったことがないといざというときに戸惑っ 災害用伝言ダイヤルなどのサービスの使い方は、次のウェブサイトで確認で ◎ 災害用伝言ダイヤル171 (操作方法) ◎ 災害用伝言板(web171) ◎ 災害用伝言板サービス また、東日本大震災後にサービス提供が開始されたLINEでは、メッセージが 従業員の安否確認にどのようなサービスを使うかば、企業ごとの判断によって こうした帰宅困難老が徒歩などで一斉に帰宅しようとすると、緊急車両の通行 帰宅困難者の一斉帰宅に伴う混乱を回避するため、政府や都道府県などから ・施設内待機のための備蓄をする(水:1人当たり1日3リットル、計 ・オフィス家具類の転倒防止や、ガラス飛散の防止などの対策を行う ・従業員への安否確認手段、従業員と家族との安否確認手段を確保する ・帰宅時間が集中しないような帰宅ルールを設定する ・年1回以上の訓練などにより定期的に手順を確認する ・災害関連情報を入手し、周辺の火災状況などを確認の上、施設内 ・建物や周辺が安全でない場合、一時滞在施設・災害時帰宅支援 (注)一時滞在施設は、集会所・庁舎やオフィスビル・ホテル・学校 |
自社の防災対策と防災管理規程 |
全国各地で発生している土砂災害の危険度が非常に高く、増水している河川もある。 日本の国土は地震や台風・豪雨といった自然災害が発生しやすいうえに、ライフ ラインや建築物が高度に集積した都市部では、火災や地震などの災害が起きると、 また、近年国内外で頻発した地震や津波・水害の災害は、あらためて防災への備えの 自然災害や事故などが企業活動に与える影響は少なくありません。 火災・地震・暴風雨・洪水などの自然災害や火災などの各種災害(以下「災害」)に こうした社会的要請に応え、発生した災害に伴う被害を最小限にするための取り組み 例えば、消防法では、「消防計画の作成などを行う防火管理者(甲種・乙種)の設置」 防火対象物と防火管理者の設置・資格区分(東京消防庁)および テナントの防火管理者の設置・資格区分は次の通りです。 防火管理者の設置基準以外にも、消防法では企業の業種・規模によって順守すべき 実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家へ相談することをお勧
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BCM( Business continuity management:事業継続経営) |
BCMは、「事業継続経営(管理)」と訳され、「企業経営者が、個々の事業形態・特性 BCMを取入れ、機能させることができれば企業の信用力向上につながり、競争力、 BCMは全ての事業の根幹をなすものであり、今後の企業活動のキーワードになると また、企業が事業を円滑に遂行していく体制を整備することは、昨今多くの企業で CSR活動のひとつとして、BCMへの取組がはじまり、取組が活発化していることも さらには、自然災害大国でありながら経済大国でもある日本で、災害時復旧が遅れた 内閣府での取組も今後国を挙げた取組とする方向で進んでおり、今後10年間で大 |
静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。
対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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