間接部門の目標管理

  ■目標管理の概要と導入状況

   1.目標管理とは

     目標管理とは、労働者各人に職務についての具体的な目標を設定さ
     せ、その達成度合いを評価する人事制度のことをいいます。

     目標管理制度を導入するメリットとして、

      ・従業員の自主的な業務への参加意識が高まり、モチベー
       ションが向上する

      ・上司との面接によって具体的な目標を設定することで、
       所属部課の重点目標に対する認識が高まるとともに、
       情報の共有、コミュニケーションが図れる

      ・設定した目標とそれに対する達成状況が比較的分かり
       やすいため、業績連動型人事評価との相性がよい

     といったことが挙げられます。

   2.間接部門と目標管理

     目標管理を導入する企業は多いのですが、この制度は一般的に、総
     務や経理、人事などの間接部門では、導入が難しいといわれます。

     それには以下のような理由が挙げられる。

    (1)目標の数値化・定量化がしにくい

       目標を設定する際に、目標は可能な限り数値化・定量化したほ
       うが、その到達度が計りやすくなります。

       この点において、例えば営業部門などは売り上げや受注件数、
       利益額などの数値化された目標を立てやすい業務ですが、間接
       部門の業務はその性格上成果を数値で表現しにくいことから目
       標が立てづらく、また、成果を評価に反映させにくい側面があ
       ります。

    (2)目標とするテーマが選びにくい

       間接部門の業務は多くが定型化されたものです。

       そのため、例えば伝票整理などの定常的な業務を行っている人
       にとって、目標設定は難しいものとなってしまいます。

       なぜなら、定常業務に大きな効率化をもたらすような目標設定
       を定期的に行うことは困難であり、結局は無理に何らかの目標
       を設定せざるを得なくなるからです。

       無理に設定された目標が達成される可能性は少なく、結果的に
       目標管理は意味をなさないものとなってしまう。

    (3)改善・改革を重視する目標設定は自分の首をしめる

       目標管理では設定すべき目標として、従事している業務への改
       善提案や改革を要求することが多くなっています。

       営業や開発・生産部門ならばこうした改善目標は売り上げ増
       加、コストダウンなどにつながるのですが、間接部門の生産性
       向上によって自部門の合理化が図られることは、結果として自
       分の首をしめることにつながります。

       自分の改善目標を目指し業務の合理化をすることにより、自分
       自身の仕事を奪ってしまうのではないかという恐怖感が、間接
       部門における積極的な目標管理活用を妨げている面もあるので
       しょう。

       このように、間接部門の業務と目標管理は相性が悪いといえ
       る。

       以下では、そうした間接部門に目標管理を導入する際のポイン
       トを解説します。

  □間接部門における目標設定のポイント

   1.目標は可能な限り数値化する

     間接部門の目標設定の中にも、数値化して定量評価することが容易
     な業務もあります。

     目標設定においてはまず、こうした数値化しやすい業務に対して数
     値目標を設定することからはじめるとよいでしょう。

     定量化しやすい目標としては、以下のようなものが挙げられます。

      ●経費の節減

       ・年間○○万円、○%節減など

      ●ミスやクレームなどの件数

       ・伝票ミス年間○件以下、クレーム件数○件以下、発生率
        ○%以下など

      ●ISOなどに関わる業務の標準化

       ・定型業務の標準化率○○%目標など

      ●処理時間の短縮

       ・月次決算資料作成日数を対前年比○日短縮など

     こうした定量化しやすい目標については、積極的に数値化し定量的

     に評価を行うのが有効です。

     数値化するに際しては、業務の主要な指標のデータ採取を行ない、
     数値目標が立てやすい状態にすることも大切でしょう。

     例えば遅延日数、残業時間、ミスやクレームの件数、クレームや処
     理件数などについて、過去の推移や一人当たりの平均件数を数値化
     すれば、目標が設定しやすくなります。

     一方、

      「新しい法令を理解し、業務に生かす」

      「業務における部下との連携を強化し、指導することで
      レベルを高める」

     などの、定性的な目標については数値化が困難な場合もあります。

     このような目標を数値化するのは困難ですが、目標を無理に数値化
     しなくてもよいという考え方もできます。

     その場合には、達成状態のイメージをできるかぎり明確に表すよう
     にします。

     目標設定時点での面談では、達成状態のイメージのすり合わせを十
     分に行うことで明確な評価ができるようにしなくてはなりません。

   2.目標のテーマをどのように決めるか

     前述した通り、間接部門の目標設定は目標とするテーマの選定が難
     しいといわれます。

     そこで、以下では目標を設定するに当たっての基本的なポイントを
     整理します。

     (1)目標は部門の全体目標と結びつくものを

        個人の目標は全体目標や全体方針を助けるものであり、必ず
        企業や部門の全体目標と結びついていることが必要です。

        部下本人の立場ではいかに立派な目標をたてたつもりでいて
        も、それが全体目標と結びついていなかったり、方針に反す
        るものであっては、企業の全体目標と結びつきません。

        目標設定に当たっては必ず上位組織目標との関連付けを行
        い、

         「会社・部門目標」→「組織目標」→「個人目標」

        を常に確認できるようにすることが重要です。

        そのためにも、部署が目標と方針をしっかりとさせておくこ
        とが大切になる。

     (2)現状維持の目標ではないか

        努力せずに達成できる目標では意味がありません。

        目標は本人の能力よりやや高いもので、本人が努力すること
        によって達成できる程度に設定しなくてはなりません。

        ただし、本人の能力に対して余りにも高い目標を設定してし
        まっては「あきらめ」から努力を放棄してしまう可能性があ
        ります。

        全体目標についても同様に、各自が努力することによって達
        成できるレベルの目標を設定することで、個人目標との関連
        付けも容易になります。

     (3)目標の数は増やしすぎない

        目標の数が多すぎると、注力すべき業務が分散してしまい成
        果が上がらない場合があります。

        目標を多く設定してそのいずれもが中途半端に終わるくらい
        ならば、目標をある程度絞り込んでその分野に注力したほう
        が成果は上がるでしょう。

        目標設定に際しては重点項目を3〜5点ほどに絞り込むことが
        有効です。

        また、それぞれの目標についても重要度に順序をつけ、優先
        順位を明確にすることも大切です。

     (4)目先の目標に偏重しない

        短期的な目標は早期の成果が求められる性質のものであり、
        期間単位での効果も測定しやすいものです。

        そのため、目標として設定しやすいという側面があります。

        しかし、会社全体の成長を考えた場合、長期目標を設定する
        ことも重要なポイントとなります。

        目標を設定する際には長期と短期の目標のバランスをとるこ
        とが重要です。

     (5)各自の役割を反映した目標を設定する

        目標設定に際しては、各自が現在携わっている業務や部署内
        での役割を反映させる必要があります。

        例えば管理職ならば部署全体の業績に配慮し、さらに人材の
        育成を視点に入れた目標を設定するべきであり、専門職につ
        いているのならばその専門性をさらに高めるような目標を設
        定することが求められます。

   3.間接部門における目標例

     間接部門における目標例としては、例えば以下のようなものがあり
     ます。

      ●定量的な目標

       ・教育訓練への参加者数(人事・労務)

       ・売上高人件費率(人事・労務)

       ・採用計画の達成度(人事・労務)

       ・人員削減目標達成率(人事・労務)

       ・月次決算の短縮日数(経理・財務)

       ・全社の経費節減金額(経理・財務)

       ・財務コストの削減金額(経理・財務)

       ・支払利子の低減率(経理・財務)

      ●定性的な目標

       ・新しい人事制度の立案(人事・労務)

       ・規定の改定・導入(人事・労務)

       ・教育制度の改訂(人事・労務)

       ・教育研修のマニュアル化(人事・労務)

       ・支払い業務の効率化(経理・財務)

       ・社内会計基準の改定(経理・財務)

       ・資産運用効率の向上(経理・財務)

       ・財務戦略の立案(経理・財務)

     一般的には、コスト削減や業務の合理化に関するテーマは定量的な

     目標となりやすく、新しい社内制度の整備や改革に関するテーマは
     定性的な目標となりやすいといえる。

     ただし、定性的な目標として挙げた項目についても、例えば資産運
     用効率などについては「新しい資産運用先の選定」などは定性的で
     すが「資産運用収支率○%向上」などの目標設定を行えば定量的な
     目標となります。

     前述した通り、目標は可能な限り数値化して定量評価したほうが公
     正な評価が可能になります。

   4.目標管理が有効に機能するケース

     営業部門などと比べた間接部門における目標管理のメリットとして
     は、目標設定の自
由度が高いという点が挙げられます。

     営業部門などでは、目標の項目が売上高、粗利益、新規開拓件数な
     どの数字に固定化されがちで、その目標数値だけの設定となってし
     まいがちです。

     しかもその数値も目標というよりはノルマに近い状態なために、目
     標設定でどれだけ低い数値を設定するかに社員の関心が向いてしま
     う可能性が否めません。

     一方、間接部門では目標設定こそ難しい面があるものの、設定する
     目標の項目や達成レベルに自由度が大きいため、制度をうまく利用
     することで社員のモチベーションを高めることが可能になります。

     そのためには、各企業・部門が現在抱えている課題や業務内容に合
     わせて適切に全社目標・部門目標を設定し、各個人にも全体目標に
     連動した適切な目標を設定させることが最も重要なのです。

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総務部門のコスト意識


  ■コスト意識の高い総務部が会社をまもる

   経営の改善を考えるとき、経営者は売上を上げることのみ考えてしまう傾向があ
   るが、それと同じくらいに経費を下げる努力が必要です。

   会社が消費している費用を一つひとつ見直して、いかに効率よく、いかにお金の
   かからないものにするか。

   その小さな積み重ねが大きな金額となって返ってきます。

   会社のなかで高いコスト意識をもつべき部門が総務部です。

   貴社の総務部のコスト意識はどうだろうか。

  □徹底したコストダウン
   この厳しい時代を生き抜きくためには次の2つの方向から検討する必要がある。

    1.売上を伸ばす

    2.支出を減らす

   もし売上を伸ばすことが難しい状況であるのならば、徹底したコストダウンを行わ
   なくてはなりません。

   ただし、思いつきのコストダウン活動ではかえって社内のモラールを下げてしまい
   ます。

   成功させるためにも、総務部等が中心となり全社的な活動として盛り上げること
   が大切です。

   以下の項目について、自社でのコストダウンが可能かどうか、ぜひ検討してみて
   ほしい。

    (1)社内の通信費(とくに電話代)、交通費、印刷費など

    (2)正社員の採用から、派準社員への転換

    (3)社員教育の方法

    (4)上営業一敗売促進体制

    (5)書類管理の方法

    (6)給与の諸手当や役員報酬

    (7)退職金準備のための保険

    (8)設備投資、固定費

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間接部門の経営計画

  ■経営計画の重要性

   経済のグローバル化にともない、企業経営の判断指標は、売上高やシェアの重 
   視から、キャッシュフロー、株価の重視へと変わってきました。

   こうした中、より効率的な経営のために企業では部門ごとの採算確保が重要視さ
   れている。

   計画的な業務の遂行を行い、成果のみえる経営を行うためには、しっかりとした
   経営計画を策定し、計画段階での数値目標の設定や、部門として実行すべき内
   容を文書にして明確にすることが必要です。

   経営計画策定を通して会社の直面する課題や対応方法を検討し、明らかにする
   ことで計画的に仕事を進められるだけではなく、計画化の作業そのものが従業員
   と会社との一体感を高める効果も生みます。

  □年度経営計画の具体的策定手順

   部門計画は、全社的な経営計画を踏襲し、全体目標を達成することを目的として
   策定される性質のものです。

   まずはじめに、以下で年度計画の策定に当たって基本的な手順を解説します。
   詳細は経営計画の項を参照ください。

    1.自社の置かれた市場環境を把握する

      年度経営計画を策定するためには、まず自社がおかれている市場環境を把
      握する必要があります。

      過去3年〜5年の市場環境を検討することにより、的確に自社の企業力を把
      握し、ライバル会社や業界水準との比較検討を行い、自社の強み、弱点を知
      ることが重要です。

      計画策定に当たっては、例えば以下のような視点で市場環境を把握すること
      になります。

       ・業界全体の市場規模の変化

       ・市場の成長性

       ・市場の収益性

       ・販売価格などの他社動向

      また、上記以外にも、数字に表れない項目として

       ・主要顧客の購買動向

       ・新製品の動向

       ・生産技術の動向

      などについても把握する必要があるでしょう。

    2.自社の経営資源を分析する

      社長のリーダーシップや自社の生産能力、人材および組織力、財務状況、
      情報システムの状況など、企業の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報などに
      ついて総合的に分析する必要があります。

      併せて、自社の過去の業績についても各種経営分析指標を利用して分析し
      ます。

      自社の経営資源を分析をすることの意義として次ページのようなものが挙げ
      られる。

      これにより、自社が何をなすべきかが明確になります。

       ・経営環境の変化に対応するという観点から、現在の自社に不足して
        いる経営資源や弱い機能を明確にし、それを充実するための方法を
        検討する

       ・同業他社や異業種の企業と自社を比較し、相対的に劣っていると

        思われる点を明らかにし、改善策を検討する

       ・顕在化している経営上の問題点を整理し、その改善策を検討する

       ・管理会計の手法により、企業および各部門ごとの収益性、健全性、
        生産性、成長 性について検討し、現在までに推進されてきた戦略
        や体制を見直す

       ・自社が活性化された組織風土となっているか、近代化された経営
        体質となっているかを客観的な観点で検討する

       ・現在の自社の状況について見直し、その活用状況を分析して有効
        活用が可能かどうかを検討する

    3.年度経営方針と経営計画の作成

      年度経営方針は、その年度において必ず達成すべきことを、明確に、具体的
      に明示する必要があります。

      自社にとって必要なものだけをコンパクトに、要領よく明示することが重要。

      また、年度の経営目標は、年度経営方針を具体的に達成するためのものな
      ので、売り上げ目標やシェア達成目標などは、具体的な数値で示す必要が
      ある。

      この際、市場環境の分析によって把握した数値をもとに実現可能なレベルで
      の目標設定を行うことが大切です。

    4.利益計画の作成

      企業の存続と発展は、利益の計上なくしてはありえません。

      上記の分析、目標設定過程を経て策定された経営目標は、最終的には利益
      計画書として形になります。

      目標利益の求め方には、経常利益率から求める方法や付加価値額から求
      める方法などさまざまな考え方がありますが、これらを総合的に検討、調整
      して決定することが大切です。

      利益計画書は、目標利益をどのようにして達成するかを想定した、損益およ
      び資金の計画です。

      利益計画書の作成手順は次のようになります。

       (1)目標利益の決定

       (2)予想損益計算書の作成

       (3)資金計画書の作成

       (4)予想貸借対照表の作成

      上記のような段階を踏んで全社的な経営計画・利益計画が策定されます。

      これらを達成するために、各部門がどのような活動を行うべきかを策定する
      のが、部門別年度計画です。
       
  □間接部門の部門計画策定ポイント

   1.部門別計画の策定

     全社的な経営計画が完成したら、次はそれに基づいて各部門において部門別
     の計画を立案・策定します。

     例えば、営業部門であれば販売戦略や売り上げ・利益計画、製造部門ならば
     生産の合理化計画などの形で年度計画が具体的な行動目標として定まる。

     以下では、総務、経理など非収益部門における部門計画策定のポイントにつ
     いてまとめます。

   2.間接業務の特徴と問題点

     一般に、非収益部門における業務は主に管理業務、スタッフ業務、事務業務
     の3種類に分けられます。

     以下ではそれぞれの業務の特徴をまとめます。

      (1)管理業務

        管理業務には、情報収集および状況判断に関する業務、意思決定に関
        する業務、部下の動機付けや育成に関する業務などが含まれます。

        管理者だけではなく担当者によっても行われる業務ですが、上位の管理
        者になるほど知的業務的な部分が多くなり、非定型的な業務内容となる
        傾向があります。

      (2)スタッフ業務

        社内における専門家が行う業務で、経営者や上位管理者を支援する性
        質を持っています。

        企画や管理に関する業務、人事・法務・経理に関する業務、研究・開発・
        技術などに関する業務などが代表的なものです。

      (3)事務業務

        各部門において事務的な活動を行う業務です。

        さまざまな書類や情報を扱い、それらをファイリングやパソコンへの入力
        などの方法で定型的・非定型的に処理し、帳票を作成したりする業務。

        製造や販売といった直接部門では定型作業が多く、例えば製造部門では
        生産数量や作業時間などの指標で生産性を測定することが比較的容易
        な側面があります。

        また、TQCに代表されるような生産性改善手法がある程度確立されてい
        ます。

        また、営業部門では売上高や利益という企業収益に直結する指標で年度
        計画を立てることが可能であり、直接部門における年度計画策定は比較
        的容易であるといえるでしょう。

        これに対して間接業務は上記でまとめたように非定型・非収益型の業務
        が主であるため、年度計画策定に当たっては定量的な指標を用いた計画
        策定が困難な部分があります。

        そこで、以下では総務、人事、経理・財務の各部門別に年度計画策定の
        ポイントを挙げてみます。

   3.総務部門の部門計画

     企業において総務部門は、経営者のスタッフとしての役割から各部門の調整
     役、広報的な役割など、非常に幅広い機能を担うという特性を持っています。

     そのため、総務部門における計画策定に当たっては、企業の業務全体を見渡
     す管理部門という視点での計画立案を行うことが重要となります。

     こうした点から、総務部門は全社的計画に則した部門計画を策定する必要が
     あり、定型的な計画を策定することは困難です。

     総務部が部門計画で目標に掲げる項目としては、以下のようなものが挙げら
     れます。

      (1)コストダウンの推進

        家賃などの固定費や光熱費などの経費削減や、設備リース料の見直し
        などがあります。

      (2)危機管理体制の確立

        緊急災害や停電、コンピューター停止時の対応マニュアル作成や、緊急
        連絡網の整備法を順守した行動規範の作成などです。

      (3)組織の再編

        新規事業部の設立など、経営者を補佐する形での活動などが考えられま
        す。

      (4)環境保護への対応

        全社的な環境保護方針の作成や省エネルギー目標などの設定など、環
        境保護に関する各部署の取りまとめなどが挙げられる。

     上記以外にも、企業が今なすべき課題や全社的な経営計画に応じてさまざま
     な経営目標が挙げられるでしょう。

     総務部門の経営計画策定に当たっては、他部門との協力・連携が不可欠とな
     ります。

     設定した目標を達成するためにどの部門のどのような経営資源を投入するべ
     きなのか、あるいは具体的にどの部分のコストをどの程度まで削減するのかと
     いった行動を計画にまとめる必要があります。

   4.人事部門の部門計画

     会社の中で人事部門が担うべき役割は、限られた賃金の原資を適切に配分
     するための制度を運用することにあります。

     また、それと同時に従業員の能力開発や福利厚生のための適切な制度を完
     備し、従業員の仕事に対するモチベーションを高めることも重要な仕事です。

     人事部門による部門計画の目標としては、例えば以下のようなものがある。

      (1)適正な人員規模の検討・維持

        現在の人員規模は適正か、雇用調整や増員の必要はあるかといったこと
        の検討。

      (2)適切な人員配置

        各部門に配属された人員数は適切か、適材適所の配置ができているか、
        各部門から受けた希望人員数の調整など。

      (3)人件費の検討

        1人当たりの人件費は適正な水準にあるか、業界の平均的な数字から大
        きく乖離していないか、削減の余地はあるかなど。

      (4)適正人事評価制度の確立

        成果・能力主義人事制度の導入や現行制度の実効性検証、評価に不公
        平感はないかなどの検討。

      (5)人材の能力開発

        社内・社外研修の実施などによる、従業員の能力開発支援。

        上記以外にも、人事部門における検討事項としては中高年の活用や各
        種手当などの見直し、定年制度の検討などがあります。

        人事部門においては、自社の課題を整理したうえで、対応の方向性や具
        体的な施策を計画にまとめることとなります。

   5.経理・財務部門

     経理・財務部門の業務は、資金の管理が中心となります。

     特にキャッシュフロー経営が重視されており、資金の流出入の管理とその効率
     化は重要性を増しています。

     経理・財務部門による部門計画の目標としては、以下のようなものがある。

     (1)資金計画の立案
       必要資金の見込みや効率的な資金の借り入れ、返済計画などの立案。

     (2)資金運用の計画   

       余剰資金の運用方法に関する立案。

     (3)資金繰りの改善

       資金ショートが起こらないような適切な資金繰り計画の策定と改善。

     (4)支払い業務の効率化

       支払い口座の集中化など、支払い業務の効率を高めるための検討。

     (5)社内会計基準の改定

       社内会計基準の見直しが必要なケースもあります。

       経理・財務部門でも他の部門と同様、連結対象企業の有無や環境会計へ
       の対応などによって、企業が直面する課題は異なってきます。

       自社の現状に応じた部門計画の策定が重要です。

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 総務の役割

 

  ■総務のコスト意識

   経営の改善を考えるとき、社長は売上を上げることのみ考えてしまう傾向があり
   ます。

   しかし、それと同じくらいに経費を下げる努力が必要です。
   会社が消費している費用を一つひとつ見直して、いかに効率よく、いかにお金の
   かからないものにするか。

   その小さな積み重ねが大きな金額となって返ってきます。

   会社のなかで高いコスト意識をもつべき部門が総務です。

   自社の総務部門のコスト意識はどうだろうか。

   コスト意識をチェックリストで再確認してみましょう。

    1.いまはインターネットでいろいろな情報が得られる時代です。
     インターネットを使って複数の企業間で価格の比較をすることは、有効なコスト
     削減策です。また、インターネットでの購入に切り替えるということも検討して
     みる。

    2.メール便は、上手に使えば、コスト削減にかなり有効です。宅配便の利用頻  
     度が高い場合は、単価を下げてもらうことや引取手数料をサービスしてもらう 
     など宅配業者に交渉をすることも検討してみる。

    3.かなりの金額をかけて名の通った求人雑誌に出しているものの、なかなか効 
     果があがらないという会社が見受けられます。
     無料の媒体を使ったとしても、ピーアールの仕方や、求職者へのアプローチの
     方法(先輩社員のコメントを載せたり、仕事の内容をわかりやすく紹介したりす
     るなど)を工夫することで、効果を上げることは可能です。

    4.運転の仕方で、燃費はかわります。
     エコドライブについて勉強会をするなど、社員の意識を高めましょう。
     上手に節約できた社員は、表彰するなどのイベント性をもたせることも効果的
     です。

    5.通信費の料金プランは、頻繁にかわっています。
     定期的に見直し、自社の使い方にあったプランにしておくことがコスト削減に効
     いてきます。

    6.インターネットバンキングは、事務所にいながらにして、振込を行えますの
     で、時間の節約にもなります。
     同じ銀行の支店間なら手数料が無料となる銀行もあるので、比較検討してみ 
     る。

    7.純正品にかえて、リサイクル品をつかうことはコストダウンに有効です。
     小さな努力の積み重ねが大切です。

    8.すすめられるままにあまり必要のない保険に入っているケースも少なくありま
     せん。
     自社にとって本当に必要な保険なのか、慎重に見直すことが大切です。

    9.作業導線を工夫することで、効率的な作業ができるようにしておきましょう。

    10.助成金は、一定の要件をクリアできれば、返還不要の非常に有利な制度。
     利用できるものがないか、専門家に相談してみることもお勧めします。

   この厳しい時代を生き抜きくためには次の2つの方向から検討する必要があります。

    1.売上を伸ばす

    2.支出を減らす

   もし売上を伸ばすことが難しい状況であるのならば、徹底したコストダウンを行わなく
   てはならない。

   ただし、思いつきのコストダウン活動ではかえって社内のモラールを下げてしまいます。

   成功させるためにも、総務部等が中心となり全社的な活動として盛り上げることが
   大切です。

   判定テストや下記項目について、自社でのコストダウンが可能かどうか、ぜひ検討
   してみてください。

    (1)社内の通信費(とくに電話代)、交通費、印刷費など

    (2)正社員の採用から、派遣社員への転換

    (3)社員教育の方法

    (4)営業・販売促進体制

    (5)書類管理の方法

    (6)給与の諸手当や役員報酬

    (7)退職金準備のための保険

    (8)設備投資、固定費

   会社組織のなかで、総務・人事・労務の分野は、間接部門であり、利益を生み出す

   部門ではありません。

   しかし、会社運営を行っていくうえでこの分野の業務は欠かせないものです。

   大企業では、総務部の中にも庶務課が存在したり、人事部には、労務担当、教育研修
   担当、採用担当など、業務が細分化され、業務体系や運用のシステムなども整備され
   ています。

   大企業のように、専属のスタッフを確保することが難しい中小企業では、限られた
   人材でこれらの業務をこなしていかなければなりません。

   複雑な内容の仕事を数人、あるいは1人の担当者が兼任しているのが実情ではないで
   しょうか。

   特に今、コンプライアンスの遵守が重要視されており、労働法関連においては、著しい
   改正が繰り返されています。

   また労使の紛争も増加の一途をたどっています。

   こういったことへの対応は、大企業であろうが中小企業であろうが変わることはありま
   せん。

   ますます、総務、人事、労務部門の担当者の負担は増えていくでしょう。

  ■総務の役割

   総務の仕事は、会社にとって影の力となるものです。

   現場の業務がスムーズに遂行されるためのサポートや会社を代表する役割もあり
   ます。

   また、時には法務的な役割も課されることがあります。

   総務部門は、直接利益を生み出す部署ではありませんが、管理業務を行う重要な
   部署なのです。

   また、会社の経営トップと非常に近い位置にありますので、経営に関連した業務も
   手がけます。

   特にコロナ禍における総務の役割は大きくなっており、様々な業務で改善が必要です。

   たとえば、採用、顧客データ、会議、各種社内規程の策定と見直し、整備、オフィスの
   移転・レイアウト、各種コスト削減、社内行事の運営、職場の安全対策、社員の
   健康管理、各種資産管理など挙げたらきりがありません。

   コロナ後の社内体制の整備を今から始めましょう。


  情報管理
   日々の業務の中で取り扱う膨大な情報を効率的に管理するのも総務の仕事です。

   上手にパソコンを活用しましょう。

   今では、情報の管理にパソコンの活用は不可欠です。

   膨大な情報データを管理し、必要なものを必要なときに検索でき、取り出せるように工夫
   します。

   ○取引先の名簿の管理と更新
    取引先である得意先や業者、所属団体などの情報をまとめて名簿にします。

    管理する情報は、会社名や所在地、部署、担当者、連絡先はもとより、業種や
    取扱商品、社内の担当、顧客・仕入先などを網羅しましょう。

    整理された情報は、社内の誰もが活用できるようなシステムを整備し、必要なと
    きに活用できるようにしましょう。

    社内サーバーにデータを格納することにより、社内の人が誰でもいつでも閲覧
    できるようになります。

    また、取引先の情報は適宜更新しましょう。

    得意先の担当者が部長に昇格しているのに、課長の宛名のまま書類を送付し
    てしまったといったことにならないためにも、随時更新し、いつも最新の状態にし
    ておくことがポイントです。

    データ管理の担当者を決めておき、毎月一定の時期に必ずチェック・更新を行う
    ようにしておくとよいでしょう。

   ●備品・消耗品管理

    日々の兼務で必事な備品や消耗品の調達、管理は総務の重要な仕事です。

    ○少額備品と高額備品
     備品といってもいろいろな種類がありますが、大きく2つに分類されます。

     筆記用具やコピー用紙、文房具など金額が少額なものは、経費で処理するこ
     とになります。

     一方、机、ロッカー、コピー機、パソコンなどの金額が高額なものは固定資産と
     なります。

     固定資産の中でも会社で使用するこれらのものは、減価償却資産としての取
     り扱いとなりますので、購入時から廃棄 まで一貫した管理が必要となります。

     ただし、使用可能期間が1年未満もしくは購入価格が10万円未満のものにつ
     いては、一括償却が可能です。

  □固定資産台帳での管理項目

   ①備品番号 ②製品名 ③メーカー名 ④シリアル番号 ⑤取得価額

   ⑥使用開始年月日 ⑦使用部署 ⑧納入業者など

   固定資産台帳は、単に固定資産の管理のみならず、修理の際などにも役立ちます。

   またこれとともに、該当の備品に台帳と同じ情報を記載したシールを貼り付けておき
   ましょう。

   どの備品がどれに該当するか一目で把握できます。

   ○備品の状況を把握
    備品は、定期的に使用状況を把握しましょう。

    各部門にて廃棄されることもあるので、廃棄の際は、必ず総務へ連絡するという
    ルール決めが必要です。

    廃棄など備品の状況に変更があった場合には、固定資産台帳を改定します。

    廃棄した場合には、①廃棄した日付 ②引取業者 ③売却価額 などを記載し
    ます。

    廃棄業者からは引取証明書や廃棄証明書を発行してもらい保管しましょう。

    パソコン等の廃棄については、情報流出を避けるため、ハードディスクの中身を
    物理的に消去するなどの処置をとった上で廃棄するようにしましょう。

   ○事務用品など消耗品の取扱い
    高額な備品は、購入すれば補充や買換えは頻繁には発生しませんが、事務用
    品などの消耗品は、いざというときにストックがないと、業務に支障をきたしてし
    まいます。

    在庫のチェックは総務の重要な仕事です。

    定期的にチェックを行い、むだな使い方をしていないかも管理しましょう。

    消耗品の管理には、受払帳をつけるとよいでしょう。

    総務でストックを足したときは増加量とその時点での在庫を記載します。

    消耗品を使用したときは帳簿に使用量と部門などの情報を記載してもらいま
    す。

    総務は週に1回など定期的に在庫をチェックし、不足しそうな時期に発注をかけ
    るようにします。

    またこの受払帳は、記録をとることによって、どのような物品がいつごろよく使用
    されるか、またどの部署がどの物品を使用する頻度が高いかなどの傾向を把握
    することにも役立ちます。

  □各種書類(文書)の管理
   対外的取引の際に必要となる書類や契約書等の管理暮チェックを行います。

   ●登記簿謄本と印鑑証明
    会社の戸籍ともいえる「登記簿謄本」、また「実印」と「印鑑証明書」は、会社の
    運営上の様々な場面で必要となりますので、理解しておきましょう。

    ○いろいろな場面で必要
     新規の取引開始のときや銀行口座開設、事務所の賃貸契約のときなどには、
     「登記簿謄本」が必要となります。

     また、他社の登記簿謄本も、取引先の会社の状況を把握するために入手する
     こともあります。

     重要な売買契約や、金融機関から融資を受ける場合などは実印をもって締結
     することが通例です。

     その際、実印であることを証明する「印鑑証明書」の添付が必要となります。

    ○登記簿謄本とは
     登記簿謄本とは、会社の商号、本店所在地、発行株式数、設立年月日、資本
     の額、役員の氏名など会社の基本的な情報が記載されているものです。

     登記簿謄本の交付は、以前は写しが交付されていましたが、現在では、法務
     局の管理がコンピュータ化されたことに伴い、写しではなく証明書が交付され
     るようになっています。

     証明書には、「履歴事項全部証明書」と「現在事項全部証明書」の2種類があ
     り、「現在事項全部証明書」には、抹消された情報など一部の情報は記載され
     ません。

     一般的には「履歴事項全部証明書」を登記簿謄本と呼びます。

    ○実印の使用には「印鑑証明書」を添付
     法人設立の際には、登記所で印鑑登録を行います。

     この登録された印鑑は「実印」として、契約書や重要な書類で使用されます。

     「印鑑証明書」は、その印鑑が実印であることを法務局が証明するものです。

     重要書類に実印を使用した場合には、ほとんどの場合この印鑑証明書の添
     が必要になります。

    ○登記簿謄本、印鑑証明書の交付
     ・登記簿謄本の交付申請
      法人の登記簿謄本は、本店所在地を管轄する登記所で請求しますが、オン
      ライン化によって、管轄外の登記所でも請求ができるようになっています。

      交付の手数料は窓口交付の場合は600円、オンライン請求・送付の場合は
      500円、オンライン請求・窓口交付の場合は480円です。

     ・印鑑証明書の交付申請
      印鑑証明書も登記所で申請します。
      印鑑証明書は本店所在地を管轄する登記所でなければ請求できません。

      請求の際は、印鑑カードを添付します。

      交付の手数料は窓口交付の場合は450円、オンライン請求・送付の場合は  
      410円、オンライン請求・窓口交付の場合は390円です。

      担当者が代表者に代わって請求する場合は、委任状が必要となります。

     ・契約書のチェック
      会社の仕事は、法律に従って行われています。

      中小企業の場合は、規模にもよりますが、独立した法務部門がない企業が
      多いのではないでしょうか。

      そういった場合、法務業務を担うのは総務部門ということになります。

      その中でも契約書は日々いろいろな部門で締結されることになります。

      また継続契約の更新のチェックなども必要になるでしょう。

      時期を決め、毎年、社内の契約書をチェックしましょう。

    ○トラブルを未然に防ぐために、契約書は必要
     ビジネスにおいては、日々様々な取引が発生しています。

     契約は、必ずしも文書でなければならないということはなく、口頭でも成立しま
     す。

     しかし、後々のトラブルを未然に防ぐためにも文書による契約が必要といえま
     す。

     双方が合意した契約の内容を文書にしたものが「契約書」です。

     契約を書面で交わすことによって、契約の履行責任を双方が確認できたり、契
     約の記録を残すことができるなどのメリットがあります。

     あとから挟め事に 発展しないためにも、「契約書」という文書で内容を書面化
     することが重要といえます。

    ○契約書の形式
     契約書の記載内容や書式は特に法律で定められているものではありません。

     「契約書」「同意書」「覚書」など、タイトルにかかわらず内容によって契約書と
     認められます。

     用紙の大きさは特に決まりはありませんが、統一しておくとファイリングなどに
     便利です。

     最近はほとんどがA4サイズで作成されます。

     ・契約の当事者
      当事者が契約締結権限(代表権もしくは代理権)を持つ権利者かどうか、確
      認します。

      相手が法人の場合は、一般に当該会社の執行権を持つ代表取締役や理事
      長などが権利者です。

     ・署名・記名・捺印
      必ず双方の署名・捺印を行います。

      「署名」は自筆のサイン、「記名」はゴム印やワープロなどで記載されたもの
      です。

     ・実印と認印
      契約書に使用する印は、実印でも認印でも問題ありません。

      重要な契約には実印で捺印します。

      実印での捺印の場合は、印鑑証明書の添付を要求されることもあります。

      契約書が複数ページになる場合は、契印を忘れないようにしましょう。

     ・収入印紙
      印紙税法の定めに従い、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書、請負
      契約書などには印紙の貼付が必要です。

      印紙には消印も必要です。

  □契約書に必要な印紙税額
   一般の売買契約書等

    (例:不動産等又は営業の譲渡に関する契約書、土地の賃借権の譲渡に関す
       る契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書 など)

    ※「不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成され
      るものについては、契約書の作成年月日により、税額が軽減されています。
      平成26年3月31日まで

   ●請負契約書
    (例:工事請負契約書、工事注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書 な
       ど)

    ※「建築工事の請負に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成さ
      れるものについては、契約書の作成年月日により、税額が軽減されていま
      す。

      平成26年3月31日まで

   ●継続取引の基本となる契約書 4千円
    (注)契約期間が3ケ月以内で、更新の定めがないものは除かれます。  


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業務計画書の書き方
 

  ■業務計画の重要性

   毎日の入出金の管理や、手形の決済日の確認、それにともなう運転資金の手当や
   当座残高の確認、生産計画や在庫確認など、会社の運営にかかわる日常の事務
   処理は、思いのほか繁雑で手間がかかります。

   だからこそ、事務処理は資金状況などを把握したうえで効率良く行いたいものです。

   そのためには、 しっかりとした業務計画をたてて、計画を確認しながら順次業務を
   遂行していくのが最善といえます。

   業務計画作成の重要性はまさにここにあります。

   しっかりとした業務計画を立てることは、効率の良い仕事につながります。

   そのうえ、業務計画作成の段階で、今後しなければならない業務をあらかじめ把握
   することもできます。

  □業務計画書へ記入すべきこと

   業務計画書といっても、年度ごとの会社全体の運営方針を決定するいわゆる「事業
   計画」のように、大がかりで長期的な計画書を作成する必要はありません。

   とりあえず、日常の事務処理を行ううえで把握しておきたいのは、業種にもよりますが、
   むこう2〜3カ月の予定なのではないでしょうか。

   しかし、だからといってむこう2〜3カ月のすべての仕事をただ闇雲に計画書に書き
   さえすれば良いというわけではありません。

   経営者が把握しておくべき内容として業務計画書に特に記入しておくべきこととしては、

    ・給与支払の確認

    ・売掛金の回収

    ・借入金の返済

    ・そのほかの支出予定の確認

    ・そのほかの入金予定の確認

    ・棚卸予定

    ・生産予定

    ・商品納品日の確認

   など、資金繰りや会社の基幹業務に関連する項目でしょう。

   業務計画は単なる仕事の予定表ではなく、あくまでも把握しておくべき業務の計画書
   であり、あまり些細な事柄を書きすぎては繁雑になってしまいます。

  業務計画表の作成方法

   最低限必要な項目だけの記入欄を用意した業務計画表フォーマットです。

   資金繰りと納期管理だけが目的の計画表です。

   記入方法は、

    ・「入金」欄には入金予定金額と相手先。

    ・「支出」欄には支出の予定金額と相手先。

    ・手形の決済もこの欄に書く。

    ・「納品」欄には客先に対する商品の納品予定を商品名、客先、数量まで書く。

    ・単価と請求予定金額まで書く欄があればベター。

    ・「搬入」欄には原材料などが納品される予定日を「納品」欄と同様に書き込む。

    ・「事務処理」欄には給与振込の手続きや保険の手続き、請求書の発行日な 
     ど、しなければならないさまざまな事務処理を書き込む。

    ・一番右の「当座予定残高」欄にはその日にあるべきはずの当座預金の残高を 
     書き込む。

   月末の数字が分かっていれば、あとは入金、出金欄の数字を足し引きすれば自動的
   に算出できます。

   当座預金の流れが複雑な場合には、入・出金のプラスマイナスでも構いません。

   さらにサンプルでは、上段に予定、下段に実績を書き込めるようにしてあります。

   サンプルの表は1ページに掲載するためにかなり縮小してありますが、実際には2枚
   に分けたりもっと大きな表を作ったほうが書きやすいでしょう。

   これにより、向こう1カ月の会社のお金の流れ、商品の流れが一目瞭然になったこと
   になります。

   なお、項目記入の順序は、

    ・毎月かならずあるルーチンワーク(定期入金など)

    ・金額の大きな取引

    ・金額の小さな取引

   の順に書き込んで行けば間違いが少なくなるでしょう。

  □計画表を基に経営計画を検討する

   まずは、向こう2〜3カ月程の計画表を作成して見てください。

   それをじっくり眺めていくと、日によって当座残高の多い日、少ない日が見えてくるで
   しょう。

   さらに見ていくと、月によっても当座の残高に余裕がある月とない月があることに気が
   つくでしょう。

   手形の決済期日の都合や入金予定日の関係で、会社の持っている現金残高は常に
   変動してます。

   そこで、これを逆に利用して今後の計画を練っていきます。

   現金に余裕がない月にはできるだけ支払は持ってこないようにし、銀行からの借り入
   れで手形を決済するようなことはできるならばしないで、手形のサイトを延ばしてもら
   ったり、逆に現金がある月は手形のサイトを早める代わりに値引きしてくれるよう交渉
   するなど、向こう数カ月の会社の資金状況を把握しておくだけで、資金繰りにもひと
   工夫加えられるでしょう。

   販売計画生産計画も同様に一覧表に整理してじっくりと眺めて見ることによって、
   パートタイム労働者の効果的な導入時期や、在庫の出やすい季節、商品などの事実
   が見えてくるでしょう。

   例に挙げたのは最も簡単な形の業務計画表に基づいた業務計画の立て方ですが、
   これを応用してさらに長期の資金計画を練ったり、資金繰り以外の分野にこの方法を
   適用したりといったやり方も可能なので、それぞれの事情にあわせてやり方を検討
   してみるのも方法です。

  □営業分野における業務計画のたて方

   営業職においての業務計画の上手なたて方としては、以下のような方法が考えられ
   ます。

   まず、業務計画表を作り

    ・月ごとの営業ターゲット先の整理

    ・月ごとの売上高の整理

    ・営業先の商談進行状況再確認

   などを確認し、それらに基づいた

    ・中期目標

    ・コスト削減などを目的とした予算目標

    ・通常の業務に基づいた定常目標

   といった内容を営業社員別や部課ごとに整理して、それを3カ月に一度程度の割合で
   各社員ごとに

    ・行動計画

   の形で各部署が持ち寄ります。

   それらをすり合わせ、検討することによって

    ・類似の計画や業務の統合

    ・社内の営業戦略の弱点の洗い出し

    ・営業目標の再検討

   などがより分かりやすく整理された形でできるでしょう。

   また、これらの作業によって社内体制の不備などの問題点も浮かび上がることになる
   ので、組織改革の足掛りとしても有効な方法です。

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非生産(管理・ホワイトカラー)部門の生産性の向上

管理(非生産)部門の生産性向上
 

  ■管理部門の生産性

   激しい技術革新の中で、労働態様は大きく変化し、非生産部門(管理部門)と生  
   産(造部・ブルーカラー)部門の境界線はますますボーダーレス化してきています。

   工場でロボットやME機器を操作している技能労働者とオフィスでキー・オペレーション
   に従事する事務系労働者との差異を、労働形態だけで区別することは難しくなって
   います。

   しかし、それでもなお、非生産部門と生産部門という区別に意味があるとすれば、
   生産=付加価値の創造に直接タッチするかどうかという“付加価値”をめぐって区別する
   場合です。

   非生産部門と生産部門の区別が、労働形態によって鮮明に区分された時代には、
   「何を作るか」、「どのように作るか」という問題は、「どれだけ作るか」、「どのよう
   に売るか」の問題と一体として追求されていました。

   それらの大部分は生産現場を通じて行われ、そのために少数の非生産部門とい
   われる知的労働に携わる人々が、「何を、どのように」という問題について考えて
   いました。

   しかし、今日、様相は一変しました。

   商品企画(研究開発)と販売・営業、さらに事務、管理などの特別の任務を帯びた 
   非生産部門の職務が独立し、その数が生産(技能)労働者と数的にも拮抗するまでに
   至ったのです。

   こうして、非生産部門の分業が進むなかで、付加価値の創造に直接関係する専門・
   技術職や販売・営業職と、直接付加価値の生産にかかわることの少ない事務・管理職
   とに非生産部門が大きく分化しました。

   ここでは、前者をライン型の非生産部門、後者をスタッフ型の非生産部門と呼ぶことに
   しますが、一口に非生産部門の生産性という場合にも、直接付加価値に関与する 
   かどうかによって、ライン型とスタッフ型に分けられ、それに伴って生産性を考える視点も
   異なるのです。

   そこで、非生産部門をこのように分類したのち、各職種ごとの生産性をどのような尺度
   で計るのかについて考えてみることにしましょう。

  □非生産部門(ホワイトカラー)の生産性の指標

   生産性とは、「投入(Input)」と「産出(Output)」との関係を示す指標です。

   そこで、非生産部門の生産性を考える場合に問題となるのは、「投入」と「産出」に ついて
   それぞれどんな指標を用いるかどうかです。

   まず、「投入」については、非生産部門の生産性を論ずる場合、「付加価値」と「人時」
   すなわち「人数×時間」を指標とすることに問題はありません。

   つまり、「投入」に関しては、何人のホワイトカラーを何時間投入したかという指標で
   考えます。

   しかし、「産出」については、このように単純ではありません。

   非生産部門の「産出」の指標は必ずしも明確ではなく、また、職種によっても異なる
   からです。

   例えば、専門・技術職は、一般に最も高度の知的労働とされ、付加価値そのものを
   大きくする(例えば、新商品の開発や新しい技術の開発によって)役割を果たすが、
   専門・技術職の場合には、必ずしも「投入」量に比例して「産出」が大きくなるわけでは
   ありません。

   しかも、「産出」もかなり長いスパンで見なければその大きさを計ることができないし、
   産出は「量」よりも「質」で計らなければならないという特徴をもっています。

   事務職(ホワイトカラー)は、付加価値の創造には直接かかわりませんが、その業
   務が停滞すると、生産性をダウンさせる働きをします。

   したがって、事務職における「産出」は、ラインの生産性向上に必要な範囲で確実 に
   行われる必要がありますが、ラインが求める以上の「産出」を得る必要はなく、「産出」は
   できるだけ小さいほうがよいわけです。

   つまり、“「産出」は必要最小限の範囲で、最も適切な質と量を得る”というのが事務職
   の生産性に関する指標のポイントです。

   管理職は、ラインにもスタッフにも属しますが、いずれの場合にも、ラインまたはスタッフ
   の「産出」を最も効率的、効果的に確実に得るための潤滑油の役割を担っています。
   したがって、管理職の場合にも「産出」は量を問うよりも、組織の「産出」を増大する
   ためのプロセスの「質」で計ることになります(プレイングマネジャーの場合はライン的
   要素が加わるので、自らの「産出」量も指標とされる)。

   これに対して、販売・営業職の場合には、付加価値を直接生みだす(注)役割を果 たし、
   しかも、「投入」にある程度比例して「産出」が大きくなります。

   したがって、産出の「量」が問題とされます。

   この点では、生産労働に共通した面を持っています。

   (注)労働価値学説では、販売活動は、生産労働によって生みだされた価値を
   実現する役割を担うとされる。

   次に職種別ごとの生産性向上対策についてみることにしましょう。

  □職種別に見る非生産部門の生産性向上策

   (1)専門・技術職

    専門・技術職には、新商品、新技術の研究・開発、設計、デザイン、経営企画、経営
    管理などの職種が含まれますが、これらの職種では専門知識はもちろん、独創性、
    先見性などのセンスを必要とする最も高い知的労働とされています。

    したがって、この職種では、単なる長時間労働は、成果の産出すなわち知的労働を
    妨げることすらあります。

    これらの職種で創造性を発揮し生産性を向上するためには“ゆとり”が不可欠であって、
    極論すれば労働時の長さと成果は反比例することさえあります。

    これらの職種では、成果は、むしろ人材そのものの資質と労働環境の整備如何に
    大きく左右されることから、いかに優秀な人材(単に優等生という意味ではなく、個性
    豊かな天才型人材も含む)を確保するか、また、いかに自主性を尊重し、創造性を
    発揮させるための環境、条件を整備するかにかかっています。

    多くの企業では、こうした観点から専門・技術職のためにフレックスタイム制を導入
    していますが、先進的な企業では、コアタイムのないフレックスタイム制や裁量労働制
    を導入し、業務遂行と労働時間に大きな裁量制をもたせており、評価制度も成果
    志向を強めています。

    中堅・中小企業では、専門・技術職に対するこうした取り組みはまだほとんど行われて
    いませんが、この分野の職種の人々がその能力を発揮し、成果をあげることが、
    企業全体の生産性向上に大きな働きをすることに着目し、改善のために努める必要
    があるでしょう。

   (2)事務職

    いわゆる事務職は、経理、庶務、文書管理、営業事務(伝票処理等)などに代表
    されるように、定型的業務が中心です。

    人員や労働時間(「人時」)を多く投入すれば「産出」もほぼ比例して増大します。

    その意味では、生産ラインに近い業務形態が見られます。

    したがって、この職種での生産性向上のためには、機械化、OA化が一見有効に
    見えます。

    しかし、前項で見たように、近年、一般事務職における機械化、OA化が急激に進んだ
    にもかかわらず、事務職の就業者数は大きく増加しており、また労働時間の短縮も
    必ずしも進んでいません。

    それはバブル期を通じて経済活動の拡大の幅が大きかったことにもよりますが、
    もともと事務分野の業務はアウトプットに限りがない分野であり、放置すれば、業務量
    は無限に拡大していくという特徴によるものと思われます。

    しかもその結果は、付加価値の生産に直接貢献することのない「産出」が増えるだけで、
    「販管費率」を押し上げ、この職種の「投入」と「産出」の拡大は、結果として企業の
    生産性のダウンにつながります。

    そこで、オフィスにおける機械化、OA化を進める際にも、機械化以前の事務処 理
    システムを見直し、それが合理的かつ目的別に設計されているか、不要不急の会議や
    資料作成、漫然とした事務処理が行われていないかどうかなど、オフィスのワーク・
    エンジニアリング的な視点からの再点検が必要です。

    その意味で、事務職での生産性向上のキーワードは、「不要な業務の整理=最少限
    のアウトプット」に徹することであるといえます。

    以上の視点から、具体的には、

     ①業務全般の進め方を見直してアウトプットを必要最少限のものに削減
      するとともに、

     ②会議の効率化・短縮化などの直接的な時短策を実行するほか、

     ③担当者のスキルズ・アップなどを図ることが大切です。

    さらに、業務改善、分担の見直しなどを図りながら、時期によって業務の繁閑の格差
    の大きい経理・物流部門などで変形労働時間制を採用し、必要な「産出量」をコント
    ロールするなどの取り組みも効果的といえるでしょう。

    中堅・中小企業の事務部門でも、最少「産出量」の確保という基準で事務部門の
    業務量の縮小に努めたいものです。

   (3)管理職

    いわゆる管理職は企業の中枢に位置し、その役割には、組織統治機能や戦略的
    意思決定機能などがあります。

    また、必要能力としては、全人格的統治能力、 先見性、判断力、組織力(リーダー
    シップ)、問題解決力などがあります。

    企業の生産性向上のためには、管理職の果たす役割は非常に大きなものとなって
    います。

    しかし、多くの企業では管理職が期待される役割を十分果たし切れておらず、むしろ
    企業全体の生産性向上の足をひっぱる役割をすることも少なくありません。

    これは、管理職の役割と職責が必ずしも明確でないことに伴って、管理職層が雑務
    に追われたり、必要な職務能力を持たない管理者が増大していることに大きな要因
    があると思われます。

    そこで、いわゆる管理職層の生産性向上のために、まず組織の統治責任者である
    という管理職本来の役割を明確にし、組織と管理職の関係を見直すなかで、マネジ
    メント能力の向上を図るとともに、組織を持たない管理職層の一掃に努めなければ
    なりません。

    組織をシンプル化し、組織管理職を除く管理職層の専門職化を図ることが必要です。

    また、処遇を管理職ポストで行うという年功型人事制度を見直し、能力と成果で評価
    する能力主義人事制度への移行なしには、管理職の活性化は図れません。

    最近、多くの企業で賃金・人事制度の改革が進められていますが、中堅・中小企業
    では、この点では大企業より改革を進めやすい土壌があるので、思い切った人事
    制度、評価制度の改革を急いで断行したいものです。

   (4)販売・営業職

    販売・営業職は、前述のように直接企業に付加価値をもたらす職種です。

    しかし、バブル時代のように、経済の活況期には、「人海戦術」的に人と時間を投入
    すれば、それなりに売り上げ(粗利益)を伸ばすこともできましたが、昨今のように
    市場がダウンサイジング化し、限られたパイを奪い合う時期には、単なる人海戦術で
    期待する成果をあげることは困難となっています。

    そこで、販売・営業職の生産性向上を実現するためには、その活動の質と時間効率
    を高めることが必要となります。

    この会社の営業リーダーたちは、全社売り上げのうち、約25%の売り上げを上げて
    いるが、営業リーダーの1日の労働時間中、実際に営業活動(商談)を行っているのは、
    電話による商談も含めても27%にすぎません。

    一方、いわゆる社内業務であるデスクワークにとられる時間が半分近くを占めて
    います。

    そこで、この会社では、“デスクワークに時間をとられる”問題を解決するために
    リーダー会議で原因分析を行いました。

    その結果明らかになったことは、全社的な問題、部の問題、課の問題、リーダー自身の
    問題というように、デスクワークが非常に多くの発生源を持つということでした(注)。

    (注)図②は、まず、リーダーによってブレーンストーミング方式で問題を
    出し合い、KJ法で分類したあと特性要因図に整理した。
 
    この会社では、これらのデスクワーク発生要因を克服するため、プロジェクトチーム
    を編して改善に取り組み、生産性を大きく向上させました。

    販売・営業職の生産性向上対策は、生産現場におけるそれと同様に、1人ひとりの
    能力向上と併せて、間接作業(デスクワーク)時間をいかに減らし、「直接作業(商談)
    時間」をいかに増やすか、という問題に尽きます。

    これまでほとんどの企業でこうした取り組みが行われてこなかったことを考えれば、
    販売・営業職における生産性向上の可能性は、無限に近いほど多くの可能性を持って
    いるといえるでしょう。

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