〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
■事務部門の生産性向上
会社経営において、経営全般にわたる効率化やコストダウンの推進は、恒久的な経営課題の一つです。
経営の効率化やコストダウン、あるいは生産性の向上といえば、従来はもっぱら生産現場(生産部門)
が重視されてきました。
このため、以下のような対策がとられ、生産部門ではやむことなく効率化とコストダウンが図られて
います。
1.新鋭機械設備の導入
2.生産工程、生産ラインの見直し
3.部品の標準化・共通化
4.不採算ラインの切り捨てや外注化
一方、人事・経理・総務などの事務管理部門では、生産部門に比べて効率化は遅れがちです。
言い換えれば、「生産部門は乾いた雑巾を絞り切った状態であるのに、事務管理部門は絞り切る前の
雑巾のままである」ということも少なくありません。
経営全体の効率化・コストダウンを図るには、事務管理部門の業務の効率化がポイントであることは、
経営者の多くが認識済みでしょう。
日本の賃金水準は、世界でもトップレベルでした(ただし今では低賃金でトップレベル)。
しかし、社会環境は円安により原材料費、物価上昇に歯止めがかかりません。
この高コストで競争していくには一層の効率化が求められます。
一般的に、事務管理部門で働いている人材は、生産部門の人材よりも賃金が高くなっています。
生産部門よりも賃金の高い事務管理部門の生産性が向上しなければ、企業力の低下は避けられません。
賃金は下方硬直性があり、カットすることは困難です。
会社は高賃金水準を前提にして、人材を有効活用して事務管理部門の効率化を図っていかなければ
なりません。
これには、事務管理部門の業務内容や遂行方法などを見直し、生産性を向上させることが必要です。
□役割分担の明確化
どんなに素晴らしい業務遂行計画であっても、業務の進行が場当たり的であっては生産性の向上は
不可能でしょう。
効率化を図るのに欠かせないのが業務(役割分)担です。
□業務遂行状況のチェックを徹底
事務管理部門の業務は、一般的に、次のような特徴があります。
1.業務の内容が非定型であり、その都度内容が異なる
2.判断や意思決定を行う業務が多い
3.業務の分担や担当分野が個人ごとに決まっており、業務の進め方や時間配分の
決定についても、個人の決定に任されている
4.社内他部門や社外と連絡を取り合ったり、情報交換をしながら進めていく業務が多い
事務管理部門の業務の効率化を一言集約すると、時間を上手に使って業務をすることです。
そのためには、あらかじめ業務にかけるべき時間を合理的に決め、その時間内に集中的に業務を完結
させる必要があります。
そのためには業務の基本である「PDCAサイクル」を回すことです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)
です。
業務遂行状況のチェックは、「担当の主な業務について、その業務に取り掛かる前に予定時間を決める」
「業務が終わったら、実際に要した時間をチェックする」「予定時間と実際の所要時間との間に超過、
または不足が生じたときには、その原因を検討する」ことです。
このチェックを行う方法には、「1日を単位」、「1週間を単位」、「1カ月を単位」として行うなどが
あります。
いずれの方法も生産性向上策のスタート時に取り組むべきものです。
業務遂行チェックシートは各社の実情に合わせて作ります。
□業務の計画化を実践する
朝出社してから、今日しなければならない業務を決めていたのでは、時間のムダが生じます。
1日のムダは少なくても、1カ月間、1年間になると大きなムダになります。
従って、業務の計画化が必要になります。
1日、1週間、1カ月についてあらかじめ業務のスケジュールが決まっていれば、業務の開始前に時間の
ムダが生じる可能性が少なくなる。
事務管理部門の業務を効率的に進めるためには、「今日、何をするか」「今週、何をするか」「何曜日
にはどういう業務をするか」といったスケジュールを明確にしておくことが必要です。
スケジュールは期間を単位として1日、1週間、1カ月、半期、1年間などで作成します。
スケジュールの目的は「作成すること」ではなく、「実行すること」です。
そのため各スケジュールが終了したら、次の点を社員一人ひとりがチェックする体制を確立する
ことが必要です。
1.時間を有効に活用して業務をしたか
2.業務に積極的に取り組んだか
3.業務の進ちょく状況を上司に報告したか
業務遂行チェックシートや業務スケジュール・シートを導入することで、自らの時間管理が効率的に
行える上、上司による部下の業務管理が容易になります。
こうした業務遂行チェックシートや業務スケジュール・シートを文書で管理するのが大変な場合は、
グループウエアやASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を導入して管理する方法も
あります。
□業務集中時間を設定
上司に呼ばれたり、電話やコピー取りなどのちょっとした仕事などで業務が中断されてしまうと、
どうしても業務の効率が上がらず、業務への集中力もそがれます。
それを避けるために、「社員が業務に集中するべき時間帯、社員が業務に集中できる時間帯を設ける」
必要があります。
この時間帯は、原則として会議やミーティングは開かないものとします。
また、急用がある場合などを除いて、お互いに話しかけるのを控えるようにするなど、できるだけ
業務に集中できるように配慮します。
□会議の効率化を図る
□報告書の見直し
企業では、多くの報告書が作成されています。
それらは定期的なものもあれば、不定期なものもあります。
定期的なものは、日報、週報、月報、四季報、年報などです。
報告書は情報収集や意思決定など会社経営上、必要不可欠なものですが、ともすれば、次のような
問題が生じる可能性があります。
1.あまり活用きれていない報告書に多くの手間と時間をかけている
2.報告書の作成のタイミングが悪く、せっかくの情報が生かし切れていない
3.情報の整理方法が悪く、使い勝手がよくない
4.極めて簡単な報告書を給料の高い社員が作成している
必要な報告書を簡潔に作成し、情報収集や意思決定に役立たせるのが理想です。
会議と同様、事務管理部門の効率化のために報告書の見直しを行います。
見直し手順は、
1.社内で作成きれている報告書をすべてリストアップする
2.報告書を受け取っている部課を対象として、報告書の活用度合いや重要 度と
使いやすきをアンケート調査する
3.アンケートの結果を報告書の作成部課に伝える
4.作成部課が改善策を策定する
5.改善策を実行する
□残業時間の上限規制
残業は、業務の必要性に基づいて会社が社員に対して命令するものです。
受注量が極めて多かったり、納期の短い業務が急に入ったりして所定時間内の作業で間に合わない
ときに、やむを得ず残業を行います。
生産部門ではこの原則が守られていますが、事務管理部門では、往々にして守られていません。
この部門では業務の進め方や業務の分担が個人に任されており、残業するかしないかも個人の判断に
よります。
従って、時間管理についても甘くなり、残業恒常化にもなりがちです。
所定の時間内に業務を効率的・集中的に処理するため、また、時間管理意識を醸成するために、1カ月
の残業時間の上限を決めて時間管理の徹底を図ることが必要です。
上限時間の設定には、次の方法があります。
1.全社員一律に決める
2.部門ごとに決める
3.月別に決める
そして、この制度の実効性を高めるため、以下の方法をとります。
1.すべての残業について事前届け出制とする
2.すべての残業について許可制とする
3.一定時刻以降の残業についてのみ、事前届け出制または許可制とする
4.一定時間数を超える残業についてのみ、事前届け出制とする
また、残業の上限規制と同時に残業をしない日や週を設けます。
所定の勤務時間内に効率的・計画的に業務を行い、定時に退社するのが理想であり、それにより、
社員はメリハリのある一層豊かな生活を送ることが可能になります。
そのため、ノー残業デーおよびノー残業ウイークを設定します。
ノー残業デーは一定の日(曜日)を決め、原則としてその日は残業を認めないで定時に退社させる
という制度です。
この日は残業ができないため、特に業務の優先順位、重要度を考えて業務を処理することになります。
ノー残業ウイークは1週間にわたって残業を認めず、毎日定時に退社させるという制度です。
これらの制度を導入する場合は、全社員にその趣旨と目的を理解させ協力を求めることが重要です。
□業務進ちょくの見える化
特定の社員ばかりが残業するケースは少なくありません。
その主な理由は次の3つに集約されます。
1.特定の社員が抱える業務の難易度が高い
2.特定の社員が抱える業務の王が多い
3.特定の社員の業務処理能力がほかの社員より低い
上記の1~3を解決するためには、適切な業務配分がなされることです。
しかし、処理するのが機械ではなく人間であるため、管理者が適正に業務配分したつもりでも、日次
や週次でみると誤差が生じます。
この誤差を平準化することができれば、特定の社員ばかりが残業するケースは少なくなります。
「3.特定の社員の業務処理能力がほかの社員より低い」を例に考えてみます。
仮に、業務処理能力がほかの社員より低い社員は1時間残業しなくては業務が完了しないとします。
このことが、終業時間の2時間前に分かっていたら、管理者はこの1時間残業分の業務を手の空いて
いる社員に振り替えることができます。
30分ほど手の空いている社員2名に業務を振り替えれば、誰も残業する必要はなくなります。
つまり、各社員の業務進ちょくが管理者やほかの社員に見えていれば、日次で適切な業務配分ができる
のです。
例えば、ホワイトボードに各社員の氏名を記入し、氏名の右に赤(1時間以上の残業で業務が完了)、
黄(定時に業務が完了)、青(定時前に業務が完了するため余裕がある)のマグネットを置くように
します。
社員の誰かが赤になった場合には、管理者は業務内容を確認し、青の社員に当該業務の一部を振り替え
るという運用をします。
業務進ちょく状況が分かれば、こうした対応が可能になります。
社員の業務進ちょくが赤黄育と信号機のように分かることから「業務進ちょく信号制度」と命名しても
よいでしょう。
□生産性向上策の推進体制
事務管理部門の生産性向上策を全社的に推進する方法は、「人事部(総務部)主導体制」と「プロジェ
クトチーム体制」の2通りが考えられます。
1.人事部(総務部)主導体制
この方式は人事担当の人事部(総務部)が中心となって事務管理部門の効率化を推進するもの
です。
どのような方法・手法を採用するかについて企画立案をはじめとし、各職場への指示・命令、
効率化の進状態のチェック、効率化の効果の確認、効率化手法の見直しなど効率化推進にかかる
一切のことを人事部で行います。
この体制は、「部長が部員を指揮命令することから、比較的スムーズに展開できる」という
メリットがあります。
その一方で、「人事部が各部課に指揮命令するため、全社的な運動として盛り上がりにくい」
「社員が業務効率化を上からの命令と受け止め、積極的に取り組まない恐れがある」などの
デメリットがあります。
2.プロジェクトチーム体制
これは事務管理部門の各セクションの代表者から構成されるチーム(委員会)をつくり、その
チームが中心となって業務の効率化、生産性の向上を推進していくものです。
この方式は、「多くの社員の知恵、アイデア、経験を共有できる」「全社的に業務の効率化、
生産性向上についての関心を高めることができる」「各部門の理解と協力が得やすい」などの
メリットがあります。
その一方で、
「各セクションの代表者が構成員となるので、意見の食い違いが生じやすい」「構成員が各自の
業務の傍らチームに参加しなければならず、十分な時間を確保しにくい」
などのデメリットがあります。
人事・経理・総務などといった事務管理部門では、生産部門に比べて効率化は遅れがちです。
「生産部門は雑巾を絞り切った状態であるのに、事務管理部門は絞り切る前の雑巾のままである」
ということも少なくない。
経営全体の効率化・コストダウンを図るには、事務管理部門の業務の効率化がポイントである
ことは、多くの経営者の共通認識となっている。
人事・経理・総務などの間接部門(事務管理部門)の改革改善は、多くの中小企業にとって緊急
課題です。
このことが生産性の向上を阻害しているのです。
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■生産性とは
「生産性」ということをよく耳にしますが、生産性について具体的に説明しろといわれると、言葉に
詰まってしまうのではないでしょうか。
漠然と理解しているはずなのですが、きちんと説明はできない、という人が多いはずです。
企業の経営活動の基本は、持っている経営資源を使って、儲けを生み出すことです。
生産性とは、「経営資源を投じた結果、どれだけの成果をあげることができたか」、を示すものです。
つまり「生産性を上げる」ということは、「より少ない経営資源で、より大きな成果をあげる」と
いうことになります。
生産性は、投入した経営資源によって大きく2種類に分けられます。
金や物、つまり資本を投入した結果、どれだけの成果が得られたのかを示す「資本生産性」です。
また、人、つまり労働力を投じた場合の成果をみるのが「労働生産性」です。
労働生産性を分析することで、「社員がどれだけ効率的な仕事をしているか」をみるものです。
労働生産性は、企業が生み出した新しい価値である「付加価値」を、従業員数で割って出します。
□付加価値とは
では、「付加価値」とはなんでしょうか。
例えば、ある企業が、100円で仕入れたものを加工して160円で売ったとします。
100円の価値だったものに、加工した結果、60円の「価値」が付加されたわけです。
この60円分の価値が「付加価値」なのです。
付加価値は、それを生み出すために使われた人件費や光熱費などのコストと、会社が得る利益から
成っています。
60円のうちの50円は費用、残りの10円は利益、といった具合です。
付加価値の計算方法には何通りかの方法がありますが、代表的なものに「控除方式(中小企業庁
方式)」と「加算方式(日銀方式)」の2つがあります。
控除方式では、付加価値は売上高から外部購入価値(他から購入した物やサービスの費用)を
のぞいたものになります。
この外部購入価値は、原材料費、外注加工費などです。
加算方式は、付加価値を生み出す項目を加算していく計算方法です。
加算する項目は、経常利益、人件費、賃借料、金融費用、減価償却費、租税公課の6項目です(減価
償却費は含まない場合もあります)。
◎控除法(中小企業庁方式)
付加価値=売上高-原材料・外注費等
◎加算方式(日銀方式)
付加価値=経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課
□労働生産性とは
前にも述べたように、労働生産性は、労働力を投入したことで、どれだけの付加価値を生み出した
かをみる指標です。
労働生産性は、従業員1人当たりの付加価値額を示し、付加価値を従業員数で割って求めます。
この場合、従業員数は、期首と期末の平均人数を用います。
◎労働生産性(円)=付加価値/従業員
この労働生産性が高ければ高いほど、従業員1人当たりの生み出す付加価値が高く、「効率よく儲けて
いる会社」ということになります。
□労働生産性を高めるには
では、労働生産性を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。
労働生産性は、付加価値と従業員数で計算されます。
ですから、計算式の分子となる付加価値を高めるか、分母となる従業負数を減らすか、またはその
両方を行えばよい、ということになります。
①付加価値を増加させる
付加価値を増加させることを考える場合、控除法の考え方を使うと理解しやすいと思います。
控除法では、付加価値を売上高から外部購入価値を引いたものとしてとらえます。
ですから、付加価値を高めるには、売上高を伸ばすか、外部購入費を引き下げればよいことが
わかります。
現在の経済状況では、売上高を増加させるのは簡単ではありません。
そこで、まず外部購入費を引き下げることを考えましょう。
具体的には、外部から調達していた製品・サービスのコストの引き下げをはかってください。
売上高を伸ばすには、単に販売価格の引き上げをしたり、販売数量の増加を狙ったりするだけ
ではむずかしいでしょう。
高付加価値な新製品を開発することなども必要になります。
②従業員数を減らす
これは、日本企業がこれまで最も苦手としてきたことと言えるでしょう。
早期退職制度を導入するなど、積極的な取り組みが必要かもしれません。
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■シェアードサービスの概要
1.高まるグループ経営の重要性
企業会計制度の改正にともない連結会計制度が導入され、連結決算、グループ経営が重要視
される傾向が強まっています。
企業経営は各企業単位での管理だけでなく、これまで以上にグループ企業全体の管理が求め
られるようになりました。
とはいえ、連結決算を行っている企業グループはあっても経営間で連結した「グループ経営」
を行っている企業はまだ少数です。
そのため間接部門の効率化についても、各企業単位の合理化による部分最適化にとどまって
いる企業グループが多くみられます。
しかし、企業価値がグループ全体の収益性、将来性を重視して評価されつつある今日、グループ
各社の部分最適化を積み重ねるだけではグループ全体の最適化には限界があり、効率面での
損失が発生することになります。
グループ全体の価値を高めるためには、グループ企業全体の視点から収益を増加させると同時に、
可能な限りコストを低減させる方策が必要です。
そこで登場したのが、シェアードサービスを用いたグループ企業全体の最適化手法です。
2.間接部門の業務を効率化するシェアードサービス
シェアードサービスとは、企業グループ内に散在している業務機能を集約・統合するための企業を
設立し、グループ各社がその機能をシェア(共有)することにより業務の効率化を追求する手法
です。
シェアードサービスが導入される業務としては、業務フローの標準化が比較的図りやすい、経理、
財務、人事、総務、システム管理などの、いわゆる間接部門の業務が一般的です。
個別の企業内で行ってきた業務を外部に委託するという点においては、シェアードサービスは
いわゆるアウトソーシングの一種といえるでしょう。
シェアードサービスがアウトソーシングと異なるのは、業務のアウトソーシング先が外部企業
ではなく、グループ内に設立されたシェアードサービスセンター(SSC)であるという点になり
ます。
そのため、シェアードサービスの導入は複数のグループ企業によって構成される一定以上の
規模を持つ企業であることが前提となります。
【シェアードサービスの概念図】
3.シェアードサービスのメリット
シェアードサービスの導入によるメリットとしては、以下の点が挙げられます。
(1)人件費コストの削減
コスト削減、その中でも業務の集中による人件費の削減は、シェアードサービスの導入に
よって見込める最大のメリットです。
こここで、経理業務を例にとってみましょう。
グループ各社が個別の管理方法と情報システム(ソフトウエア)を使用し、異なる処理日に
経理処理を行うよりも、グループ企業の経理業務を一カ所にまとめて集中的に処理を行った
ほうが効率的で、同じだけの経理処理量であっても必要な人員は少なくなることは明らかです。
そのため、SSCに業務を集中させれば、各グループ企業ごとに最低1名以上の人員が必要と
なっていた経理担当部署を統廃合がすることができます。
これによって、グループ全体でみたときの経理担当者の人員数を減らすことができ、人件費の
大幅な削減が可能になります。
(2)インフラコストの削減
SSCを利用した業務の統合は、IT基盤や基幹システムなどの設備の共有を可能にするため、
インフラコストの大幅な低減を可能にします。
設備インフラが分散している場合、もっとも問題となるのは各拠点ごとに発生する管理・運用の
コストですが、シェアードサービスならば基幹システムをSSCに集約し、グループ企業各社には
簡易な処理用の端末を置くなどの方法が可能になり、設備投資、保守・運用ともに大幅なコスト
の削減が図れます。
また、経理部門などの廃止によってオフィスの維持にかかるコストも削減されるため、施設
コストの低下も実現できます。
米国におけるシェアードサービスの導入事例では、顧客と折衝する必要がある営業関連部門は
都市部に残し、間接部門となるSSCを施設コストの低い地方部に集約させることで総コストを
削減しているケースがあります。
(3)コア・コンピタンスへの集中
企業の中核的な能力に経営資源を集中し、それ以外のノンコア(非中核)業務を効率化する
ことで企業の強みを伸ばす「コア・コンピタンス」経営に注目する企業が増えています。
コア事業、ノンコア事業という視点でみれば、一般的な企業においては間接部門の業務はまさに
ノンコアであり、積極的に効率化を進めて余剰の経営資源をコア業務に集約すべきであると
いえます。
シェアードサービスの導入によってグループ各企業はコア事業に経営資源を集中させることが
できます。
また、グループ企業の間接部門業務を一手に受託する形となるSSCにとっては間接部門の業務
受託こそがコア事業となるため、そこに経営資源を集約した効率的な業務運営ができることに
なります。
(4)標準化による業務の効率化
効率的な間接業務の処理を行うためには、業務の標準化が不可欠です。
そのためには、グループ企業の1社にしか通用しないような「独自ルール」の仕組みを改め、
グループ全体に適用できる業務ルールづくりが必要となります。
標準化の対象となるのは書類の書式、データの形式、経理処理の締め切り日などさまざまな
ものが考えられますが、これらを標準化することによって処理効率が高まりスピードの向上が
見込めるのに加え、グループ全体の経営動向を把握しやすくなります。
特に内部的に月次連結決算などを採用している場合は、業務の迅速性、正確性を高めるためにも
標準化の仕組みづくりは非常に効果的です。
(5)規模のメリットの実現
SSCへの間接業務集約によって得られるスケールメリットは、コストダウンに直結するとともに
サービスの充実にもつながります。
例えば、法務や税務・財務といった専門性が高い部門をSSCに集約すれば、小規模なグループ
企業1社では実現が困難である高度な専門性も実現できることになります。
シェアードサービスを導入することで、業務の集約によって得られる規模のメリットをグループ
企業全体で共有することができるのです。
同時に、SSCにグループ全体の情報が集約されることによる知識の共有も可能となり、企業
グループとしてのさまざまなノウハウも効率的に蓄積されることになります。
□シェアードサービス導入の実態
1.シェアードサービスの導入状況
(社)企業研究会が実施した調査によると、業種別に見ると「エネルギー・素材」「医療・生活」
「機械」などで導入の割合が高くなっていますが、これは分母となる導入企業の絶対数が少ない
ことから来るばらつきも考慮すべきでしょう。
また、建設業においてシェアードサービスの導入が進んでいないのは、作業現場が分散しがちな
建設業では、間接業務の運営をスムースにするために、現在のような通信インフラが整う以前から、
地方拠点における間接業務の分散処理と部分最適化の体制が整っており、シェアードサービスを
導入するメリットがさほど大きくないためと考えられます。
SSCのすべてが経理、人事のサービスを提供しており、現段階ではこれらの分野でのシェアード
サービス導入が先行しています。
2.中小企業による導入事例はみつからず
前述した通り、シェアードサービスはグループ経営という視点から間接部門業務の効率化を行い、
コストダウンや情報の共有を進めていこうという考え方です。
そのため、多くのグループ企業を持たない中小企業では、新会社の設立にともなうコストや
オフィスの維持に必要なコストを考えると、シェアードサービスが必ずしもコストダウンに
つながるとは限らない面があります。
未上場の中堅企業によるシェアードサービス導入の事例はいくつかあるようですが、この場合でも
従業員規模で少なくとも数百人、企業数で4~5社程度の企業グループを形成している企業でない
限りシェアードサービスの導入によるメリットは大きくないといえるでしょう。
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間接部門の目標管理 |
■目標管理の概要と導入状況 1.目標管理とは 目標管理とは、労働者各人に職務についての具体的な目標を設定させ、その達成度合いを 目標管理制度を導入するメリットとして、 ・従業員の自主的な業務への参加意識が高まり、モチベーションが向上する ・上司との面接によって具体的な目標を設定することで、所属部課の重点目標に ・設定した目標とそれに対する達成状況が比較的分かりやすいため、業績連動型 といったことが挙げられます。 目標管理を導入する企業は多いのですが、この制度は一般的に、総務や経理、人事 それには以下のような理由が挙げられる。 目標を設定する際に、目標は可能な限り数値化・定量化したほうが、その この点において、例えば営業部門などは売り上げや受注件数、利益額などの 間接部門の業務は多くが定型化されたものです。 そのため、例えば伝票整理などの定常的な業務を行っている人にとって、目標 なぜなら、定常業務に大きな効率化をもたらすような目標設定を定期的に行う 無理に設定された目標が達成される可能性は少なく、結果的に目標管理は意味を 目標管理では設定すべき目標として、従事している業務への改善提案や改革を 営業や開発・生産部門ならばこうした改善目標は売り上げ増加、コストダウン 自分の改善目標を目指し業務の合理化をすることにより、自分自身の仕事を このように、間接部門の業務と目標管理は相性が悪いといえます。 以下では、そうした間接部門に目標管理を導入する際のポイントを解説します。 1.目標は可能な限り数値化する 間接部門の目標設定の中にも、数値化して定量評価することが容易な業務もあります。 目標設定においてはまず、こうした数値化しやすい業務に対して数値目標を設定する 定量化しやすい目標としては、以下のようなものが挙げられます。 ●経費の節減 ・年間○○万円、○%節減など ・伝票ミス年間○件以下、クレーム件数○件以下、発生率 ・定型業務の標準化率○○%目標など ・月次決算資料作成日数を対前年比○日短縮など 数値化するに際しては、業務の主要な指標のデータ採取を行ない、数値目標が立て 例えば遅延日数、残業時間、ミスやクレームの件数、クレームや処理件数などについて、 一方、 「新しい法令を理解し、業務に生かす」「業務における部下との連携を強化し、指導 このような目標を数値化するのは困難ですが、目標を無理に数値化しなくてもよいと その場合には、達成状態のイメージをできるかぎり明確に表すようにします。 目標設定時点での面談では、達成状態のイメージのすり合わせを十分に行うことで 前述した通り、間接部門の目標設定は目標とするテーマの選定が難しいといわれます。 そこで、以下では目標を設定するに当たっての基本的なポイントを整理します。 個人の目標は全体目標や全体方針を助けるものであり、必ず企業や部門の全体 部下本人の立場ではいかに立派な目標をたてたつもりでいても、それが全体 目標設定に当たっては必ず上位組織目標との関連付けを行い、 「会社・部門目標」→「組織目標」→「個人目標」 を常に確認できるようにすることが重要です。 そのためにも、部署が目標と方針をしっかりとさせておくことが大切になる。 努力せずに達成できる目標では意味がありません。 目標は本人の能力よりやや高いもので、本人が努力することによって達成できる ただし、本人の能力に対して余りにも高い目標を設定してしまっては「あきらめ」 全体目標についても同様に、各自が努力することによって達成できるレベルの 目標の数が多すぎると、注力すべき業務が分散してしまい成果が上がらない 目標を多く設定してそのいずれもが中途半端に終わるくらいならば、目標を 目標設定に際しては重点項目を3〜5点ほどに絞り込むことが有効です。 また、それぞれの目標についても重要度に順序をつけ、優先順位を明確に 短期的な目標は早期の成果が求められる性質のものであり、期間単位での そのため、目標として設定しやすいという側面があります。 しかし、会社全体の成長を考えた場合、長期目標を設定することも重要な 目標を設定する際には長期と短期の目標のバランスをとることが重要です。 目標設定に際しては、各自が現在携わっている業務や部署内での役割を反映 例えば管理職ならば部署全体の業績に配慮し、さらに人材の育成を視点に入れた 間接部門における目標例としては、例えば以下のようなものがあります。 ●定量的な目標 ・教育訓練への参加者数(人事・労務) ・売上高人件費率(人事・労務) ・採用計画の達成度(人事・労務) ・人員削減目標達成率(人事・労務) ・月次決算の短縮日数(経理・財務) ・全社の経費節減金額(経理・財務) ・財務コストの削減金額(経理・財務) ・支払利子の低減率(経理・財務) ・新しい人事制度の立案(人事・労務) ・規定の改定・導入(人事・労務) ・教育制度の改訂(人事・労務) ・教育研修のマニュアル化(人事・労務) ・支払い業務の効率化(経理・財務) ・社内会計基準の改定(経理・財務) ・資産運用効率の向上(経理・財務) ・財務戦略の立案(経理・財務) ただし、定性的な目標として挙げた項目についても、例えば資産運用効率などについては 前述した通り、目標は可能な限り数値化して定量評価したほうが公正な評価が可能に 営業部門などと比べた間接部門における目標管理のメリットとしては、目標設定の 営業部門などでは、目標の項目が売上高、粗利益、新規開拓件数などの数字に固定化 しかもその数値も目標というよりはノルマに近い状態なために、目標設定でどれだけ 一方、間接部門では目標設定こそ難しい面があるものの、設定する目標の項目や達成 そのためには、各企業・部門が現在抱えている課題や業務内容に合わせて適切に全社 |
総務部門のコスト意識 |
経営の改善を考えるとき、経営者は売上を上げることのみ考えてしまう傾向があ 会社が消費している費用を一つひとつ見直して、いかに効率よく、いかにお金の その小さな積み重ねが大きな金額となって返ってきます。 会社のなかで高いコスト意識をもつべき部門が総務部です。 貴社の総務部のコスト意識はどうだろうか。 1.売上を伸ばす 2.支出を減らす もし売上を伸ばすことが難しい状況であるのならば、徹底したコストダウンを行わ ただし、思いつきのコストダウン活動ではかえって社内のモラールを下げてしまい 成功させるためにも、総務部等が中心となり全社的な活動として盛り上げること 以下の項目について、自社でのコストダウンが可能かどうか、ぜひ検討してみて (1)社内の通信費(とくに電話代)、交通費、印刷費など (2)正社員の採用から、派準社員への転換 (3)社員教育の方法 (4)上営業一敗売促進体制 (5)書類管理の方法 (6)給与の諸手当や役員報酬 (7)退職金準備のための保険 |
間接部門の経営計画 |
■経営計画の重要性 経済のグローバル化にともない、企業経営の判断指標は、売上高やシェアの重 こうした中、より効率的な経営のために企業では部門ごとの採算確保が重要視さ 計画的な業務の遂行を行い、成果のみえる経営を行うためには、しっかりとした 経営計画策定を通して会社の直面する課題や対応方法を検討し、明らかにする 部門計画は、全社的な経営計画を踏襲し、全体目標を達成することを目的として まずはじめに、以下で年度計画の策定に当たって基本的な手順を解説します。 1.自社の置かれた市場環境を把握する 年度経営計画を策定するためには、まず自社がおかれている市場環境を把 過去3年〜5年の市場環境を検討することにより、的確に自社の企業力を把 計画策定に当たっては、例えば以下のような視点で市場環境を把握すること ・業界全体の市場規模の変化 ・市場の成長性 ・市場の収益性 ・販売価格などの他社動向 また、上記以外にも、数字に表れない項目として ・主要顧客の購買動向 ・新製品の動向 ・生産技術の動向 などについても把握する必要があるでしょう。 社長のリーダーシップや自社の生産能力、人材および組織力、財務状況、 併せて、自社の過去の業績についても各種経営分析指標を利用して分析し 自社の経営資源を分析をすることの意義として次ページのようなものが挙げ これにより、自社が何をなすべきかが明確になります。 ・経営環境の変化に対応するという観点から、現在の自社に不足して ・同業他社や異業種の企業と自社を比較し、相対的に劣っていると 思われる点を明らかにし、改善策を検討する ・顕在化している経営上の問題点を整理し、その改善策を検討する ・管理会計の手法により、企業および各部門ごとの収益性、健全性、 ・自社が活性化された組織風土となっているか、近代化された経営 ・現在の自社の状況について見直し、その活用状況を分析して有効 年度経営方針は、その年度において必ず達成すべきことを、明確に、具体的 自社にとって必要なものだけをコンパクトに、要領よく明示することが重要。 また、年度の経営目標は、年度経営方針を具体的に達成するためのものな この際、市場環境の分析によって把握した数値をもとに実現可能なレベルで 企業の存続と発展は、利益の計上なくしてはありえません。 上記の分析、目標設定過程を経て策定された経営目標は、最終的には利益 目標利益の求め方には、経常利益率から求める方法や付加価値額から求 利益計画書は、目標利益をどのようにして達成するかを想定した、損益およ (1)目標利益の決定 (2)予想損益計算書の作成 (3)資金計画書の作成 (4)予想貸借対照表の作成 上記のような段階を踏んで全社的な経営計画・利益計画が策定されます。 これらを達成するために、各部門がどのような活動を行うべきかを策定する 1.部門別計画の策定 全社的な経営計画が完成したら、次はそれに基づいて各部門において部門別 例えば、営業部門であれば販売戦略や売り上げ・利益計画、製造部門ならば 以下では、総務、経理など非収益部門における部門計画策定のポイントにつ 一般に、非収益部門における業務は主に管理業務、スタッフ業務、事務業務 以下ではそれぞれの業務の特徴をまとめます。 (1)管理業務 管理業務には、情報収集および状況判断に関する業務、意思決定に関 管理者だけではなく担当者によっても行われる業務ですが、上位の管理 社内における専門家が行う業務で、経営者や上位管理者を支援する性 企画や管理に関する業務、人事・法務・経理に関する業務、研究・開発・ 各部門において事務的な活動を行う業務です。 さまざまな書類や情報を扱い、それらをファイリングやパソコンへの入力 製造や販売といった直接部門では定型作業が多く、例えば製造部門では また、TQCに代表されるような生産性改善手法がある程度確立されてい また、営業部門では売上高や利益という企業収益に直結する指標で年度 これに対して間接業務は上記でまとめたように非定型・非収益型の業務 そこで、以下では総務、人事、経理・財務の各部門別に年度計画策定の 企業において総務部門は、経営者のスタッフとしての役割から各部門の調整 そのため、総務部門における計画策定に当たっては、企業の業務全体を見渡 こうした点から、総務部門は全社的計画に則した部門計画を策定する必要が 総務部が部門計画で目標に掲げる項目としては、以下のようなものが挙げら (1)コストダウンの推進 家賃などの固定費や光熱費などの経費削減や、設備リース料の見直し 緊急災害や停電、コンピューター停止時の対応マニュアル作成や、緊急 新規事業部の設立など、経営者を補佐する形での活動などが考えられま (4)環境保護への対応 全社的な環境保護方針の作成や省エネルギー目標などの設定など、環 上記以外にも、企業が今なすべき課題や全社的な経営計画に応じてさまざま 総務部門の経営計画策定に当たっては、他部門との協力・連携が不可欠とな 設定した目標を達成するためにどの部門のどのような経営資源を投入するべ 会社の中で人事部門が担うべき役割は、限られた賃金の原資を適切に配分 また、それと同時に従業員の能力開発や福利厚生のための適切な制度を完 人事部門による部門計画の目標としては、例えば以下のようなものがある。 (1)適正な人員規模の検討・維持 現在の人員規模は適正か、雇用調整や増員の必要はあるかといったこと 各部門に配属された人員数は適切か、適材適所の配置ができているか、 (3)人件費の検討 1人当たりの人件費は適正な水準にあるか、業界の平均的な数字から大 成果・能力主義人事制度の導入や現行制度の実効性検証、評価に不公 社内・社外研修の実施などによる、従業員の能力開発支援。 上記以外にも、人事部門における検討事項としては中高年の活用や各 人事部門においては、自社の課題を整理したうえで、対応の方向性や具 経理・財務部門の業務は、資金の管理が中心となります。 特にキャッシュフロー経営が重視されており、資金の流出入の管理とその効率 経理・財務部門による部門計画の目標としては、以下のようなものがある。 (1)資金計画の立案 余剰資金の運用方法に関する立案。 資金ショートが起こらないような適切な資金繰り計画の策定と改善。 (4)支払い業務の効率化 支払い口座の集中化など、支払い業務の効率を高めるための検討。 社内会計基準の見直しが必要なケースもあります。 経理・財務部門でも他の部門と同様、連結対象企業の有無や環境会計へ |
総務の役割 |
■総務のコスト意識 経営の改善を考えるとき、社長は売上を上げることのみ考えてしまう傾向があり しかし、それと同じくらいに経費を下げる努力が必要です。 その小さな積み重ねが大きな金額となって返ってきます。 会社のなかで高いコスト意識をもつべき部門が総務です。 自社の総務部門のコスト意識はどうだろうか。 コスト意識をチェックリストで再確認してみましょう。 1.いまはインターネットでいろいろな情報が得られる時代です。 2.メール便は、上手に使えば、コスト削減にかなり有効です。宅配便の利用頻 3.かなりの金額をかけて名の通った求人雑誌に出しているものの、なかなか効 4.運転の仕方で、燃費はかわります。 5.通信費の料金プランは、頻繁にかわっています。 6.インターネットバンキングは、事務所にいながらにして、振込を行えますの 7.純正品にかえて、リサイクル品をつかうことはコストダウンに有効です。 8.すすめられるままにあまり必要のない保険に入っているケースも少なくありま 9.作業導線を工夫することで、効率的な作業ができるようにしておきましょう。 10.助成金は、一定の要件をクリアできれば、返還不要の非常に有利な制度。 1.売上を伸ばす 2.支出を減らす もし売上を伸ばすことが難しい状況であるのならば、徹底したコストダウンを行わなく ただし、思いつきのコストダウン活動ではかえって社内のモラールを下げてしまいます。 成功させるためにも、総務部等が中心となり全社的な活動として盛り上げることが 判定テストや下記項目について、自社でのコストダウンが可能かどうか、ぜひ検討 (1)社内の通信費(とくに電話代)、交通費、印刷費など (2)正社員の採用から、派遣社員への転換 (3)社員教育の方法 (4)営業・販売促進体制 (5)書類管理の方法 (6)給与の諸手当や役員報酬 (7)退職金準備のための保険 (8)設備投資、固定費 部門ではありません。 しかし、会社運営を行っていくうえでこの分野の業務は欠かせないものです。 大企業では、総務部の中にも庶務課が存在したり、人事部には、労務担当、教育研修 大企業のように、専属のスタッフを確保することが難しい中小企業では、限られた 複雑な内容の仕事を数人、あるいは1人の担当者が兼任しているのが実情ではないで 特に今、コンプライアンスの遵守が重要視されており、労働法関連においては、著しい また労使の紛争も増加の一途をたどっています。 こういったことへの対応は、大企業であろうが中小企業であろうが変わることはありま ますます、総務、人事、労務部門の担当者の負担は増えていくでしょう。 総務の仕事は、会社にとって影の力となるものです。 現場の業務がスムーズに遂行されるためのサポートや会社を代表する役割もあり また、時には法務的な役割も課されることがあります。 総務部門は、直接利益を生み出す部署ではありませんが、管理業務を行う重要な また、会社の経営トップと非常に近い位置にありますので、経営に関連した業務も 特にコロナ禍における総務の役割は大きくなっており、様々な業務で改善が必要です。 たとえば、採用、顧客データ、会議、各種社内規程の策定と見直し、整備、オフィスの コロナ後の社内体制の整備を今から始めましょう。
上手にパソコンを活用しましょう。 今では、情報の管理にパソコンの活用は不可欠です。 膨大な情報データを管理し、必要なものを必要なときに検索でき、取り出せるように工夫 ○取引先の名簿の管理と更新 管理する情報は、会社名や所在地、部署、担当者、連絡先はもとより、業種や 整理された情報は、社内の誰もが活用できるようなシステムを整備し、必要なと 社内サーバーにデータを格納することにより、社内の人が誰でもいつでも閲覧 また、取引先の情報は適宜更新しましょう。 得意先の担当者が部長に昇格しているのに、課長の宛名のまま書類を送付し データ管理の担当者を決めておき、毎月一定の時期に必ずチェック・更新を行う 日々の兼務で必事な備品や消耗品の調達、管理は総務の重要な仕事です。 ○少額備品と高額備品 筆記用具やコピー用紙、文房具など金額が少額なものは、経費で処理するこ 一方、机、ロッカー、コピー機、パソコンなどの金額が高額なものは固定資産と 固定資産の中でも会社で使用するこれらのものは、減価償却資産としての取 ただし、使用可能期間が1年未満もしくは購入価格が10万円未満のものにつ ①備品番号 ②製品名 ③メーカー名 ④シリアル番号 ⑤取得価額 ⑥使用開始年月日 ⑦使用部署 ⑧納入業者など 固定資産台帳は、単に固定資産の管理のみならず、修理の際などにも役立ちます。 またこれとともに、該当の備品に台帳と同じ情報を記載したシールを貼り付けておき どの備品がどれに該当するか一目で把握できます。 ○備品の状況を把握 各部門にて廃棄されることもあるので、廃棄の際は、必ず総務へ連絡するという 廃棄など備品の状況に変更があった場合には、固定資産台帳を改定します。 廃棄した場合には、①廃棄した日付 ②引取業者 ③売却価額 などを記載し 廃棄業者からは引取証明書や廃棄証明書を発行してもらい保管しましょう。 パソコン等の廃棄については、情報流出を避けるため、ハードディスクの中身を ○事務用品など消耗品の取扱い 在庫のチェックは総務の重要な仕事です。 定期的にチェックを行い、むだな使い方をしていないかも管理しましょう。 消耗品の管理には、受払帳をつけるとよいでしょう。 総務でストックを足したときは増加量とその時点での在庫を記載します。 消耗品を使用したときは帳簿に使用量と部門などの情報を記載してもらいま 総務は週に1回など定期的に在庫をチェックし、不足しそうな時期に発注をかけ またこの受払帳は、記録をとることによって、どのような物品がいつごろよく使用 ●登記簿謄本と印鑑証明 ○いろいろな場面で必要 また、他社の登記簿謄本も、取引先の会社の状況を把握するために入手する 重要な売買契約や、金融機関から融資を受ける場合などは実印をもって締結 その際、実印であることを証明する「印鑑証明書」の添付が必要となります。 ○登記簿謄本とは 登記簿謄本の交付は、以前は写しが交付されていましたが、現在では、法務 証明書には、「履歴事項全部証明書」と「現在事項全部証明書」の2種類があ 一般的には「履歴事項全部証明書」を登記簿謄本と呼びます。 ○実印の使用には「印鑑証明書」を添付 この登録された印鑑は「実印」として、契約書や重要な書類で使用されます。 「印鑑証明書」は、その印鑑が実印であることを法務局が証明するものです。 重要書類に実印を使用した場合には、ほとんどの場合この印鑑証明書の添 ○登記簿謄本、印鑑証明書の交付 交付の手数料は窓口交付の場合は600円、オンライン請求・送付の場合は ・印鑑証明書の交付申請 請求の際は、印鑑カードを添付します。 交付の手数料は窓口交付の場合は450円、オンライン請求・送付の場合は 担当者が代表者に代わって請求する場合は、委任状が必要となります。 ・契約書のチェック 中小企業の場合は、規模にもよりますが、独立した法務部門がない企業が そういった場合、法務業務を担うのは総務部門ということになります。 その中でも契約書は日々いろいろな部門で締結されることになります。 また継続契約の更新のチェックなども必要になるでしょう。 時期を決め、毎年、社内の契約書をチェックしましょう。 ○トラブルを未然に防ぐために、契約書は必要 契約は、必ずしも文書でなければならないということはなく、口頭でも成立しま しかし、後々のトラブルを未然に防ぐためにも文書による契約が必要といえま 双方が合意した契約の内容を文書にしたものが「契約書」です。 契約を書面で交わすことによって、契約の履行責任を双方が確認できたり、契 あとから挟め事に 発展しないためにも、「契約書」という文書で内容を書面化 ○契約書の形式 「契約書」「同意書」「覚書」など、タイトルにかかわらず内容によって契約書と 用紙の大きさは特に決まりはありませんが、統一しておくとファイリングなどに 最近はほとんどがA4サイズで作成されます。 ・契約の当事者 相手が法人の場合は、一般に当該会社の執行権を持つ代表取締役や理事 ・署名・記名・捺印 「署名」は自筆のサイン、「記名」はゴム印やワープロなどで記載されたもの ・実印と認印 重要な契約には実印で捺印します。 実印での捺印の場合は、印鑑証明書の添付を要求されることもあります。 契約書が複数ページになる場合は、契印を忘れないようにしましょう。 ・収入印紙 印紙には消印も必要です。 (例:不動産等又は営業の譲渡に関する契約書、土地の賃借権の譲渡に関す ※「不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成され ※「建築工事の請負に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成さ 平成26年3月31日まで 経理部門は「利益を生む」仕事をする部署。 少なくとも周囲が求める経理像というのは、時代に合わせて少しずつ変化を伴っている はずなので、自分がこれぞと思っている経理像も、時代の変化に合わせて、微調整して いかなければいけない 多くの経理社員が「ルーチンワーク」を抱えていると思う。 経費精算、支払請求書の支払、入金の突合などといったものから、試算表や会議資料の 作成まで、立場によってそのルーチン作業はさまざまだろう。 実際にそれらのルーチンワークに関して、皆さんはどれくらいの時間をかけて行って ある人は、週5日フルタイムでひたすら経費精算のチェックと起票だけをしている人も そのような環境の場合、これからの時代は、そうしたルーチン作業のすべては自動化が できなくても、一部分はクラウドをはじめとしたさらなる新しい技術で時間も短縮されて いくことだろう。 経理を単にコストのかかる部署ではなく、経理からの提案でも、売上や利益を確保して いくという「利益を生む部署」として経理の仕事を認識するということです。 最近の経理部の役割として挙げられるものとしては、会計帳簿の作成の他、財務諸表の 作成、税務申告のための資料作成、管理会計資料の作成、有価証券報告書や決算短信の 作成、月次決算の作成、といったものがある。 これらは非常に経営に密着した高度な資産管理能力が求められるものです。 経理部の仕事は一見限定的なもののようだが、広げて見ればお金という一つの資源を 間接的に会社の利益を高める役割の重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。
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業務計画書の書き方 |
■業務計画の重要性 毎日の入出金の管理や、手形の決済日の確認、それにともなう運転資金の手当や だからこそ、事務処理は資金状況などを把握したうえで効率良く行いたいものです。 そのためには、 しっかりとした業務計画をたてて、計画を確認しながら順次業務を 業務計画作成の重要性はまさにここにあります。 しっかりとした業務計画を立てることは、効率の良い仕事につながります。 そのうえ、業務計画作成の段階で、今後しなければならない業務をあらかじめ把握 業務計画書といっても、年度ごとの会社全体の運営方針を決定するいわゆる「事業 とりあえず、日常の事務処理を行ううえで把握しておきたいのは、業種にもよりますが、 しかし、だからといってむこう2〜3カ月のすべての仕事をただ闇雲に計画書に書き 経営者が把握しておくべき内容として業務計画書に特に記入しておくべきこととしては、 ・給与支払の確認 ・売掛金の回収 ・借入金の返済 ・そのほかの支出予定の確認 ・そのほかの入金予定の確認 ・棚卸予定 ・生産予定 ・商品納品日の確認 など、資金繰りや会社の基幹業務に関連する項目でしょう。 業務計画は単なる仕事の予定表ではなく、あくまでも把握しておくべき業務の計画書 最低限必要な項目だけの記入欄を用意した業務計画表フォーマットです。 資金繰りと納期管理だけが目的の計画表です。 記入方法は、 ・「入金」欄には入金予定金額と相手先。 ・「支出」欄には支出の予定金額と相手先。 ・手形の決済もこの欄に書く。 ・「納品」欄には客先に対する商品の納品予定を商品名、客先、数量まで書く。 ・単価と請求予定金額まで書く欄があればベター。 ・「搬入」欄には原材料などが納品される予定日を「納品」欄と同様に書き込む。 ・「事務処理」欄には給与振込の手続きや保険の手続き、請求書の発行日な ・一番右の「当座予定残高」欄にはその日にあるべきはずの当座預金の残高を 当座預金の流れが複雑な場合には、入・出金のプラスマイナスでも構いません。 さらにサンプルでは、上段に予定、下段に実績を書き込めるようにしてあります。 サンプルの表は1ページに掲載するためにかなり縮小してありますが、実際には2枚 なお、項目記入の順序は、 ・毎月かならずあるルーチンワーク(定期入金など) ・金額の大きな取引 ・金額の小さな取引 の順に書き込んで行けば間違いが少なくなるでしょう。 まずは、向こう2〜3カ月程の計画表を作成して見てください。 それをじっくり眺めていくと、日によって当座残高の多い日、少ない日が見えてくるで さらに見ていくと、月によっても当座の残高に余裕がある月とない月があることに気が 手形の決済期日の都合や入金予定日の関係で、会社の持っている現金残高は常に そこで、これを逆に利用して今後の計画を練っていきます。 現金に余裕がない月にはできるだけ支払は持ってこないようにし、銀行からの借り入 販売計画や生産計画も同様に一覧表に整理してじっくりと眺めて見ることによって、 例に挙げたのは最も簡単な形の業務計画表に基づいた業務計画の立て方ですが、 営業職においての業務計画の上手なたて方としては、以下のような方法が考えられ まず、業務計画表を作り ・月ごとの営業ターゲット先の整理 ・月ごとの売上高の整理 ・営業先の商談進行状況再確認 などを確認し、それらに基づいた ・中期目標 ・コスト削減などを目的とした予算目標 ・通常の業務に基づいた定常目標 といった内容を営業社員別や部課ごとに整理して、それを3カ月に一度程度の割合で ・行動計画 の形で各部署が持ち寄ります。 それらをすり合わせ、検討することによって ・類似の計画や業務の統合 ・社内の営業戦略の弱点の洗い出し ・営業目標の再検討 などがより分かりやすく整理された形でできるでしょう。 また、これらの作業によって社内体制の不備などの問題点も浮かび上がることになる |
管理(間接)部門の生産性向上 |
■管理部門の生産性 激しい技術革新の中で、労働態様は大きく変化し、間接部門(管理部門)と生産(造部・ 工場でロボットやME機器を操作している技能労働者とオフィスでキー・オペレーション しかし、それでもなお、間接部門と生産部門という区別に意味があるとすれば、生産= 間接部門と生産部門の区別が、労働形態によって鮮明に区分された時代には、 「何を作るか」、「どのように作るか」という問題は、「どれだけ作るか」、「どのよう それらの大部分は生産現場を通じて行われ、そのために少数の間接部門といわれる知的 労働に携わる人々が、「何を、どのように」という問題について考えていました。 しかし、今日、様相は一変しました。 商品企画(研究開発)と販売・営業、さらに事務、管理などの特別の任務を帯びた間接部門 こうして、間接部門の分業が進むなかで、付加価値の創造に直接関係する専門・技術職や ここでは、前者をライン型の間接部門、後者をスタッフ型の間接部門と呼ぶことにしますが、 そこで、間接部門をこのように分類したのち、各職種ごとの生産性をどのような尺度で計るのか
生産性とは、「投入(Input)」と「産出(Output)」との関係を示す指標です。 そこで、間接部門の生産性を考える場合に問題となるのは、「投入」と「産出」に ついて まず、「投入」については、間接部門の生産性を論ずる場合、「付加価値」と「人時」 つまり、「投入」に関しては、何人のホワイトカラーを何時間投入したかという指標で しかし、「産出」については、このように単純ではありません。 間接部門の「産出」の指標は必ずしも明確ではなく、また、職種によっても異なるからです。 例えば、専門・技術職は、一般に最も高度の知的労働とされ、付加価値そのものを大きく しかも、「産出」もかなり長いスパンで見なければその大きさを計ることができないし、 事務職(ホワイトカラー)は、付加価値の創造には直接かかわりませんが、その業務が停滞 したがって、事務職における「産出」は、ラインの生産性向上に必要な範囲で確実に行わ つまり、“「産出」は必要最小限の範囲で、最も適切な質と量を得る”というのが事務職 管理職は、ラインにもスタッフにも属しますが、いずれの場合にも、ラインまたはスタッフ したがって、管理職の場合にも「産出」は量を問うよりも、組織の「産出」を増大する これに対して、販売・営業職の場合には、付加価値を直接生みだす(注)役割を果 たし、 したがって、産出の「量」が問題とされます。 この点では、生産労働に共通した面を持っています。 (注)労働価値学説では、販売活動は、生産労働によって生みだされた価値を 次に職種別ごとの生産性向上対策についてみることにしましょう。 (1)専門・技術職 専門・技術職には、新商品、新技術の研究・開発、設計、デザイン、経営企画、経営 したがって、この職種では、単なる長時間労働は、成果の産出すなわち知的労働を これらの職種で創造性を発揮し生産性を向上するためには“ゆとり”が不可欠であって、 これらの職種では、成果は、むしろ人材そのものの資質と労働環境の整備如何に 多くの企業では、こうした観点から専門・技術職のためにフレックスタイム制を導入 中堅・中小企業では、専門・技術職に対するこうした取り組みはまだほとんど行われて いわゆる事務職は、経理、庶務、文書管理、営業事務(伝票処理等)などに代表 人員や労働時間(「人時」)を多く投入すれば「産出」もほぼ比例して増大します。 その意味では、生産ラインに近い業務形態が見られます。 したがって、この職種での生産性向上のためには、機械化、OA化が一見有効に しかし、前項で見たように、近年、一般事務職における機械化、OA化が急激に進んだ それはバブル期を通じて経済活動の拡大の幅が大きかったことにもよりますが、 しかもその結果は、付加価値の生産に直接貢献することのない「産出」が増えるだけで、 そこで、オフィスにおける機械化、OA化を進める際にも、機械化以前の事務処 理 その意味で、事務職での生産性向上のキーワードは、「不要な業務の整理=最少限 以上の視点から、具体的には、 ①業務全般の進め方を見直してアウトプットを必要最少限のものに削減 ②会議の効率化・短縮化などの直接的な時短策を実行するほか、 ③担当者のスキルズ・アップなどを図ることが大切です。 さらに、業務改善、分担の見直しなどを図りながら、時期によって業務の繁閑の格差 中堅・中小企業の事務部門でも、最少「産出量」の確保という基準で事務部門の いわゆる管理職は企業の中枢に位置し、その役割には、組織統治機能や戦略的 また、必要能力としては、全人格的統治能力、 先見性、判断力、組織力(リーダー 企業の生産性向上のためには、管理職の果たす役割は非常に大きなものとなって しかし、多くの企業では管理職が期待される役割を十分果たし切れておらず、むしろ これは、管理職の役割と職責が必ずしも明確でないことに伴って、管理職層が雑務 そこで、いわゆる管理職層の生産性向上のために、まず組織の統治責任者である 組織をシンプル化し、組織管理職を除く管理職層の専門職化を図ることが必要です。 また、処遇を管理職ポストで行うという年功型人事制度を見直し、能力と成果で評価 最近、多くの企業で賃金・人事制度の改革が進められていますが、中堅・中小企業 販売・営業職は、前述のように直接企業に付加価値をもたらす職種です。 しかし、バブル時代のように、経済の活況期には、「人海戦術」的に人と時間を投入 そこで、販売・営業職の生産性向上を実現するためには、その活動の質と時間効率 この会社の営業リーダーたちは、全社売り上げのうち、約25%の売り上げを上げて 一方、いわゆる社内業務であるデスクワークにとられる時間が半分近くを占めて そこで、この会社では、“デスクワークに時間をとられる”問題を解決するために その結果明らかになったことは、全社的な問題、部の問題、課の問題、リーダー自身の (注)図②は、まず、リーダーによってブレーンストーミング方式で問題を 販売・営業職の生産性向上対策は、生産現場におけるそれと同様に、1人ひとりの これまでほとんどの企業でこうした取り組みが行われてこなかったことを考えれば、
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対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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