新規開拓より既存顧客の売上アップ

          

新規顧客より既存顧客の売上をアップ

   
  ■あなたの収入は顧客のサイフから

   あなたが安定して発展し続けるためには、リピーター、好意的な口コミ、顧客の満足、
   顧客がどう好意的に受け取るかが鍵となります。

   増収の秘訣は『顧客との接点拡大』と述べてきました。

   しかし、単に顧客に顔を見せればいいというわけではありません。

   あなたが顧客と面談するときには以下の点を心がけてください。

    1.お客様は、あなた(経営者、従業員問わず)が会社の代表であると
      認識して
いるということを忘れてはならないこと。

      あらゆるビジネスにおいて、顧客は最も身近で最も頻繁に接する人をその会
      社そのものとして認識します。

      そして、最も身近で最も頻繁に接する人とは、あなたに他なりません。

      あなたは周りに影響を与えているのです。

      あなたは、あなたが他の人々に及ぼす影響力を過小評価しているかもしれ
      ませんし、実際多くの人が、そのような影響力を過小評価しています。


    2.あなたは一人ひとりの顧客に対して、あなたの親友に対してする
      ように接す
ること。

      私たちは皆、人間として同じ基本的ニーズ、欲求、動機を持っています。

      あなたも私も、顧客もです。

      そして、最も基本的なニーズの一つが、「大切に扱われたい」という欲求で
      す。

      他と変わらない顧客の一人としては扱われたくはないのです。

      あなたも大切な顧客として顔を覚えてもらい、大切な顧客として扱われたいと
      思っているのではありませんか?

      だったら、他の人も同じです。


    3.顧客との接点が、常に最優先事項であること。

      あなたの仕事の中でどうでも良いことなど一つもありません。

      あなたの仕事は全て大切なことばかりです。

      大切でなければ、最初からしていないはずですから。

      どれも全部大切ですが、顧客を引き付け、彼らを満足させ続けるために、ほ
      んの少しだけ他の何よりも大切なこと、それが顧客との接点です。

      真に満足している顧客の数が増え続けることが大事なのです。

      アップセル(単価アップ)、クロスセル(追加販売)ができている顧客こそが堅
      固で安定したビジネスの基盤であり、単価アップや追加販売の顧客を作るこ
      とこそが最重要事項なのです。


    4.顧客こそが、あなたの収入を左右し、あなたの昇進や昇給、雇用の
      安定を左右するのだということを忘れないこと。

      ある企業が全従業員を対象に大規模なアンケートを実施しました。

      そのアンケートの質問の一つに、次のようなものがありました。

      「あなたの給料は、どこから支払われていますか?」

      80%以上の人が「経理部から」と答え、「銀行から」と答えた人も約10%い
      たそうです。

      目の前の顧客こそが、あなたの収入を左右しているのだということを思い出
      すことです。


    5.顧客との接点においては、常に、更なる「よりよい仕事」が求められる
      という
こと。

      あなたは自分で選んで今の仕事に就き、その仕事に自分の時間を注ぎ込ん
      でいるのです。

      であれば、その仕事に全力で取り組むべきです。

      常に報酬以上のサービスを心がけることです。

      どうしたら顧客の抱える問題解決に貢献できるか、どんなサービスを提供す
      れば、喜ばれ、感動されるかを。 

   上記のことを個々の営業担当者任せにせず、組織として仕組みを作ることが欠かせま
   せん。


  ■既存顧客の売上アップを図る

   IT化の進展にともない、取り扱う商品やサービスの多様化が進み、その形態も複雑化を
   増す傾向にあります。

   ただし、ビジネスの基本が「売り手と買い手の間で行われる商行為」である以上、会社
   (売り手)と顧客(買い手)とのリレーションシップを構築し、なおかつ維持すること
   は、ビジネスにおいて成功するための大原則です。

   営業会社にとって、顧客は大きく分けて

    ・新規顧客

    ・既存顧客

   の2種類があります。

   おさらいの意味も含めて、営業について考えてみましょう。

   新規顧客は、「従来は取引を行っていなかったが、何らかのきっかけにより新しく取引を
   開始するようになった顧客」をいい、既存顧客は、「従来より継続して一定量の取引を
   行っている顧客」をいいます。

   会社(店)がこれらの顧客に対して販売活動を行うことを営業といいます。

   営業におけるそれぞれの顧客への対応としては、

    ・新規顧客への対応:有効であると見込まれる顧客へ新規取引を提案し、徐々に
     取引を増加させてリレーションシップを構築する。

    ・既存顧客への対応:従来の取引に基づき、さらに新しい提案やサービスなどを行
     うことによってリレーションシップを維持する。

   新規顧客は取引実績を重ねることにより既存顧客となります。

   従って、売り上げ不調(前年比、予算比のいずれも含みます)の背景には、新規顧客
   と既存顧客のいずれか、あるいはその両方に何らかの問題があると考えられます。

   売り上げ不調に際して「新規顧客の獲得不足」
   が原因として挙げられるケースが多くみられます。

   しかし、新規顧客を獲得した場合でも、最初
   から大きな取引を行うことはありません。

   従って、一般的には、新規顧客の売り上げが
   企業の売り上げ全体に占める割合は、実の
   ところそれほど大きくありません。

   一方、既存顧客は新規顧客の陰に隠れてし
   まいがちですが、従来からの取引実績がある
   ため、新規顧客に比べて取引額が大きいの
   が特徴です。

   既存顧客の売り上げは、企業の売り上げの基盤と
   なっているため、既存顧客の売り上げ不調は、全体的な
   売り上げ不調につながります。

   従って、営業においては、まず既存顧客という足場をしっかりと固めて、それから新規
   顧客にアプローチを試みることが望ましいでしょう。
   
  □既存顧客の流出防止

   顧客が一生のうちにどれだけ自社に貢献をしてくれるか(ライフタイム・バリュー:顧客
   の生涯価値)に注意を向けるべきです。

   顧客の生涯価値をしっかり見据えて、契約を継続的に維持していくためには、顧客との
   良い関係を構築していかなくてはなりません。

   これからの営業は、より戦略的に顧客と結びつかなくてはなりません。

   競争はますます激しくなり、油断していれば顧客はすぐに浮気してしまうでしょう。

   自由競争、自由選択の時代が、顧客主導の市場をどんどん形成していくなかで、いかに
   して顧客をつなぎ止めるか?

   競争が激しい時代とはいえ、その背景には営業の正しい努力の不足が挙げられます。

   中小企業の営業スタイルの多くが、時代に大きく遅れを取っていることは間違いないでし
   ょう。

   ●顧客の流出防止チェックポイント 

    ・顧客別とコミュニケーションするために、独立した顧客データベースがあるか。

    ・1人の顧客を獲得、維持するのにかかるコストを把握しているか。

    ・休眠中の顧客を抽出でき、その顧客を再活性化させるための
     プロクラムがあるか。

    ・顧客別に単品だけの顧客であるか複数品の顧客であるか、成約
     頻度・商品単価の高い顧客であるか、少ない顧客であるか判別し、
     それに応じたマーケティングを実施しているか。

    ・ダイレクトメール・電話・ファックス・ハガキでの接触や訪問をする
     ときに、顧客1人当りの接触コストがいくらか理解しているか。

    ・1人の顧客が去ってしまった理由を知るために、顧客に連絡を取る
     などして、流出防止対策を講じているか。

    ・顧客はあなたの会社のビジヨン・使命・価値について知っているか。

    ・定期的(最低年に1回)に顧客の満足度を測定し、収集された情報は
     満足度を向上させるために使用しているか。

    ・1人の顧客が離れたために失ってしまう価値を理解し、流出を抑える
     ためのマーケティングプログラムあるか。

    ・継続的に契約していただくために顧客に投資しているか。
     その投資コストは見込まれる収益と関連させ、費用対効果を測定しているか。

    ・あなたは優良顧客とのリレーションシップ(関係性)を育てることに前向きか。

    ・既存顧客に向けて、商品やサービスのアップセル、クロスセルを実施
     するプログラムを持っており、その実施結果の測定を定期に実施しているか。

   基本的に顧客は「自分にとって」を優先します。

   熱意と根性で成約した契約は、さらに熱意のある、低価格のところに移ってしまう。

   頭を使わずに取れた契約は簡単に落ちると考えていいでしょう。

   顧客の流出を防止することと、顧客への追加販売・単価アップは連動しています。
   
  □自社の資産  

   中小企業の多くが「お客を集める目的は、商品を売るためだ」と考える一方で、優秀な
   営業マンは反対に、「顧客を獲得する(目的)ために、商品を売る」と考えます。 

   あなたにとって最も重要な資産は、『満足してくれていて、気に入ってくれている顧客
   のリスト』です。

   あなたは、その顧客とのコンタクトを年間最低でも12回とってください。

   そのとき、提供することは新商品の告知であったり、有益情報、ニュースレターなど。

   「そんなことは顧客はすでに知っている」という思い込みは捨てるべきです。

   既存顧客だからといって早回り(売り込み)をしてはいけません。

   同じ話を何度も繰り返したら退屈だろうと思う必要もありません。

   殆どのセールスパーソンが、既存顧客のリピート(追加販売・単価アップ)率を上げる
   ことにはあまりにも無関心です。

   一度満足した顧客は、「もう一度購入する」、「購入数を増やす」、「何か違うものを
   購入する」可能性が高いのです。

   新規顧客を獲得するより、既存顧客に再購入を働きかけるほうがコストが少なくて
   すむのです。

   顧客が移り気である理由は、あなたよりも他社(店)のほうが自分に、より以上に注意
   を払ってくれるからに過ぎないのです。

   頑張って新しい顧客を一人増やすよりも、あなたの商品やサービスに満足している
   顧客の購入額を増やすほうがずっと簡単で、より多くの利益を得ることができます。

  □売り上げ不調

   売り上げ不調の要因は、

    ・自社に起因する問題(内的要因)

    ・自社以外に起因する問題(外的要因)

   という2種類の問題に起因します。

   売り上げ不調には、さまざまな問題が存在しています。

   このため、売り上げを回復させるためには、これらの問題を一つずつ解決する必要があり
   ます。

   問題を解決するためには、現在自社が置かれている状況について正確に把握しなくては
   なりません。

  □自社の現状を把握

   売り上げ不調という状況に際しては、まず自社の売り上げ不調は、どのような原因によっ
   て生じているのか、自社が現在置かれている状況を正確に把握することが必要です。

   正確な状況把握なくしては、効果的な問題解決策を立てることはできません。

   売り上げ不調に際しては、まず、それが内的要因によるものなのか外的要因によるもの
   なのかを把握する必要があります。

   そのために、まず売り上げ不調が生じた期間に自社内に何らかの変化があったかどうか
   を考え、それを抽出します。

   例えば、

    ・従来は部内で営業パーソンの勉強会を定期的に開催していたが、
     最近は業務多忙につき開催できなくなっていた

    ・人事異動などにより担当営業パーソンの交替があった

    ・営業パーソンの担当エリアが広がったため、顧客への訪問頻度を
     1週間に1日から2週間に1日に変更した

   などです。

   この場合に重要なのは、どんなに小さな変化であっても、すべて漏れなく抽出する
   ことです。

   自社にとっては小さな変化であっても、顧客にとってはそれが大きな意味を持ち、売り上
   げ不調の原因となっている可能性もあります。

   次に、他社(店)の動向に注目し、他社の変化について調査します。

   この際に、併せて他社の受注、納品状況をみて、売り上げの増減を推測することが重要
   です。

   自社の売り上げが減少し、他社の売り上げが増加している場合、外的要因、内的要因の
   いずれかにより、自社の売り上げが他社に流れていることが考えられます。

   自社と他社の売り上げがともに減少していると思われる場合は、外的要因のうち、特に顧
   客に起因する問題の存在が考えられます。

   自社の売り上げ不調が内的要因、外的要因のいずれによるものかが判明したら、次はさら
   に細かくその問題を特定し、それぞれの問題について対処の方法を検討します。

  □各要因への対処

   1.内的要因の場合 

     (1)人的要因による問題

       人的要因による問題は、自社の営業パーソンに起因する問題です。

       営業パーソンには、「商品の特性や流通の仕組みを詳しく理解する知識」「顧
       客の話に耳を傾け、潜在的なニーズを引き出すコミュニケーションスキル」「顧
       客に商品の特性を効果的にアピールするプレゼンテーションスキル」といった
       知識やスキルが求められます。

       これらの知識やスキルは円滑に営業を進めるうえで必要不可欠なものである
       ため、営業パーソンにおいてこれらが低下すると、顧客の満足度も低下します。

       このような状況の下、他社が優秀な営業パーソンによって顧客に営業攻勢を
       かけた場合、顧客を他社に奪われ、自社の売り上げが他社に流れてしまう可
       能性があります。

       この問題への対処としては、営業パーソンの販売スキルの強化が急務となり
       ます。

       このため、

        ・ 部内で定期的に勉強会を行い、営業に必要な知識を補強する

        ・ ロールプレイングなどによる研修で、コミュニケーションスキルや
         プレゼンテーションスキルの充実を図る

        ・ 上司(部門長)が定期的に営業に同行し、適宜指導を行うなどの
         対処が必要です。

       また、既存顧客への訪問頻度の低下が売り上げ不調に結びつくケースもあり
       ます。

       このような場合、各営業パーソンの担当エリアを見直すなどして営業の効率化
       を図り、顧客への訪問時間をねん出するなどの対処方法が必要です。

       なお、訪問頻度の低下の背景に人員不足などの要因がある場合、人員補充、
       または他部署からの臨時応援によるバックアップ体制の強化などについても
       検討する必要があるでしょう。

       営業の多くは顧客に対する販売活動であるため、営業パーソンが重要な役割
       を持っています。

       また、自社にとっても営業パーソンは貴重な人的資源です。

       このため、営業パーソンの販売スキルを強化し、売り上げ回復を図ることは、
       長期的な視点からみても効果的な対処方法であるといえます。

     (2)物的要因による問題

       物的要因による問題は、自社のサービスやシステムなどに起因する問題です。

       具体的な事例としては、

        ・ 納品書、請求書などの書式を変更したところ、顧客の規定の
         書式に適合していなかった。

        ・ 商品の配送業者を変更したところ、毎回顧客の営業時間外に
         商品の配送が行われるようになってしまっていた。

        ・ 商品のこん包を変更したところ、顧客
         が商品を開封する際に従来以上に手
         間がかかるようになっていた。悩む人2.jpg

       などがあります。

       これらは顧客にとって負担となり、やがて
       は売り上げ不調に結びつく可能性があり
       ます。

       このため、自社のサービスやシステム
       が、あらゆる角度からみて顧客本位のも
       のとなっているかについて確認する必要
       があります。

       しかし、

        ・ 商品調達システムを改良したところ、
         商品の納入スピードが従来よりも大幅
         に速くなったが、その結果、顧客の受
         け入れ処理能力を超えてしまった。

        ・ 顧客の利便性を高めるため自社に新しくWeb受注システムを
         導入したが、顧客の通信環境下ではこのシステムが有効に作動
         しなかった。

       というように、顧客へのサービス強化を狙った取り組みが、逆に売り上げ不調
       の原因となってしまうケースもあります。

       これらはいずれも営業パーソンとは無関係に発生するものです。

       従って、顧客からの指摘があれば対応することができますが、顧客からの指摘
       がない場合、営業パーソンが状況を把握するのは困難です。

       このため、「気が付いたら自社の売り上げが落ちていたと」いう危険に陥る可能
       性があります。

       このようなことを防ぐためにも、システムやサービスなどを変更する場合は、
       どのような小さなことでも事前に顧客の了承を取り付けておくことが必要です。
       
    2.外的要因の場合

      (1)他社に起因する問題

         他社に起因する問題は、自社との比較のうえで現れる相対的な問題である
         といえます。

         この例としては、自社に比べて、

          ・ 他社の営業パーソンのほうが販売スキルが高い

          ・ 他社のほうが顧客の訪問頻度が高い

          ・ 他社のサービス、システムのほうが利便性が高い

         などのケースが考えられます。

         これらへの対処としては、前述の内的要因の項と同様、「自社の営業
         パーソンの営業スキル強化」「自社の訪問頻度の見直し」「システムや
         サービスの見直し」などが必要となりますが、その際に自社は他社と比
         較されているということをはっきりと自覚することが重要です。

         また、他社に起因する問題で最も対処が困難であるのは他社のほうが
         自社に比べて値引きが大きいという問題です。

         値引きの差についての対処は簡単であると思われがちです。

         すなわち、「他社よりもさらに値引きを大きくすればよい」という対処がと
         られるケースが多くみられます。

         しかし、値引きが問題となる場合、忘れてはならないのは、安易に値引
         きによる対処を行うと「業者同士の値引き競争」に陥ってしまうことがあ
         るということです。

         他社に対抗して自社が値引きを行うと、「他社がこれに対して値引きを
         行い、さらに自社も値引きを行う」といった値引き競争の悪循環が発生
         する可能性があります。

         このような値引き競争は、両者にとって不利益な状況を生みだすだけな
         のです。

         このため、値引きの問題に対しては、値引きで対処するのではなく、商
         品の付加価値を強化するという観点からの対処が望ましいといえるで
         しょう。

         例えば、

          ・ メールマガジンによる新商品情報の提供

          ・ 試用品の提供

          ・ 特定の商品に関して、本来顧客が行う納入処理の一部を自社で代
            行する

         など、値引き以外の付加価値による差異化が必要となります。

         ただし、これらに大きなコストを要するようでは、値引きを回避した意味
         がなく本末転倒となってしまうので、事前の十分なコスト計算が必要です。

         しかし、場合によっては、どうしても値引きによる対処をせざるを得ない
         場合もあります。

         このような場合、営業コストも勘案して価格の損益分岐点をしっかりと見極
         め、どの程度までの値引きであれば、確実に利益を確保できるかというこ
         とを把握する必要があります。

         あまりに値引き要請が強く、赤字取引となるような場合は、「取引を中止す
         る」といった判断も必要でしょう。

         また、近年では「発注から納入、在庫管理などの処理を一括して行うことが
         できるシステム」が登場していますが、これらの存在にも注意を払う必要が
         あります。

         顧客が他社のこのようなシステムを導入した場合、すべての発注が一気に
         他社に流れてしまう可能性があります。

         いったん顧客がこのようなシステムを導入してしまうと、以後の対処は大変
         困難です。

         このため、自社でシステム開発を行っていない場合は、外部の有力なシス
         テムベンダー(販社、メーカーなど)と提携して自社対応のシステムを
         構築し、他社に対して先手を打って顧客に提案を行うなどの対策が必
         要となるケースもあります。

      (2)商品に起因する問題

         売り上げ不調が、商品自体に起因している場合もあります。

         この例としては、「従来は商品Aが主流となっていたが、最近さらに強い商品
         力を持つ商品Bが登場した。

         このため、商品Aの訴求力が低下し、売れ行きが鈍くなった」などのケース
         が考えられます。

         この場合は、自社も商品Bを取り扱う必要があります。

         しかし、もし他社が既に商品Bを取り扱っている場合、自社は後発となるた
         め他社に対してアドバンテージ(優位性)を確保することは困難です。

         このため、同じように商品Bを取り扱うのであれば、価格やサービス面にお
         いて差異化が必要(ただし前述の通り、価格の値引きには十分な検討が必
         要です)となります。

         また、「顧客のニーズに併せて異なる商品を提案する」という対処方法も考
         えられます。

         例えば、顧客とのコミュニケーションから、潜在的なニーズを引き出し、
         「商品Bと組み合わせることによって、さらに顧客の満足度を高める」と
         いう観点から、顧客に商品Cや商品Dといった新たな商品の提案を行う
         ことも効果的な対処方法といえるでしょう。

         商品に起因する問題においては、従来に代わる商品やサービスを提供
         することにより、他社に対してアドバンテージ(優位性)を確保することが
         重要です。
    
      (3)顧客に起因する問題

         売り上げ不調が顧客に起因している場合もあります。

         この例としては、

          ・ 特定の業者に発注が集中することを防ぐため、多くの業者を
           新規参入させて発注を振り分けるようになった。

          ・ 顧客の全社的な予算が削減されてしまった

         などのケースが考えられます。

         このような場合、顧客との従来の取
         引実績を生かし、顧客内のほかの
         窓口(部署)や関係企業にも取引を
         提案するなどの対処が考えられま
         す。

         しかし、一般的に、顧客に起因する
         問題に対しては、企業側が解決
         のための対処をとることが困難で
         あることが多いのが実情です。

         従って、そのような場合にこそ新規開拓
         よる顧客の獲得に注力し、既存顧客数の
         底上げを図ることも検討する必要があります。
    
    3.内的要因と外的要因が混在している場合

      売り上げ不調において、内的要因と外的要因が混在しているケースもあります。

      このような場合、基本的にはそれぞれ個別の場合と同じ対処が必要です。

      しかし、この両方が混在している場合、どちらか一方だけが存在する場合と比べ
      て、売り上げ不調がより早く進行する可能性があります。

      このため、内的要因と外的要因が混在している場合は、より迅速な対応が必要
      となります。

      まずは比較的対処が簡単である内的要因について直ちに対処し、場合によって
      はそれと並行して、外的要因にも対処しなくてはなりません。

  □対処のポイント 

   1.費用対効果の検証

     既存顧客の売り上げ不調についての対処方法をみてきましたが、これらにおいて
     注意しなくてはならないのは、売り上げ不調という危機的状況に陥った場合、回
     復をあせるあまり、時として誤った対処がとられる可能性があるということです。

     例えば、売り上げ不調の原因が「人的要因に起因する問題」の「訪問頻度」である
     と判明した場合、即座に「営業パーソンを大幅に増員して顧客への対応を強化す
     る」という対処をとったとします。

     その結果として、たとえ売り上げが回復したとしても、人員増にともなう人件費など
     により、利益は従来を下回ってしまうかもしれません。

     しかし、上記のような場合、顧客に対して問題点のヒアリングを行った結果、「メ
     ールなどにより顧客と連絡を密に取り、また顧客の要望などをチェックシートで細
     かく聞き取るなどの工夫により、従来通りの訪問頻度であっても顧客とのコミュニ
     ケーションを充実させる」といった対処をとることが可能となれば、それほどコスト
     を要せずに売り上げ不調の回復を図ることができます。

     売り上げ不調という危機的状況にあればこそ、企業は冷静な判断力を持ち、費
     用対効果を常に念頭に置いて対処方法を検討しなくてはなりません。

   2.好調時の要因分析

     上記の通り、企業は売り上げ不調に際してはあらゆる手段を講じてこれを脱しよ
     うとします。

     その反面、売り上げが順調に増加している際に、その原因を分析することはあま
     り行われていません。

     しかし、売り上げ不調と同様、売り上げ好調にも要因があるということを忘れては
     いけません。

     売り上げ好調の要因を分析し、その情報を売り上げ不調の際の対処方法に活用
     することもできます。

     例えば、売り上げ好調の背景に「受注から納入までの期間は平均3日」「月に1度、
     発注担当者を自社ショールームに招き、実際に新商品を試用してもらう機会を設
     けていた」という要因があったとします。

     この要因が売り上げ不調の際には「受注から納入までの期間は平均4.5日」「新
     商品を試用してもらう機会がなくなっていた」となっていた場合、これらの要因を再
     び売り上げ好調時の条件に合わせることが、売り上げ回復につながるという可能
     性もあるのです。

     売り上げ動向から得られる経験は、自社の貴重な財産です。

     従って売り上げが好調な時にその要因をしっかりと把握し、不調時の対策に活用
     することが、自社の営業価値を高めるうえでも重要なカギとなるといえます。

   新規顧客、既存顧客の深耕どちらも営業会社にとって重要なのは言うまでもありません。

   しかし、まずは既存顧客を再点検することです。

   優良顧客とそうでない顧客との差異化を図り、どの顧客が自社(店)の収益に貢献してく
   れているかを知ることです。

   その顧客をもっと大切にするために、営業の仕組みを根本から見直す必要があるかもし
   れません。

   しかし、既存顧客の深耕だけでは頭打ちになるので、次に新規開拓を推進します。

   両方のバランスを考え、営業を推進していくことです。

                        組織力強化マニュアルについてはこちら

 

                        お問合せ・ご質問はこちら

 

                        メルマガ登録(無料)はこちらから

 

顧客固定化(ロックイン)戦略

           

顧客の固定化(ロックイン)戦略

  ■顧客ロックイン戦略

   1.固定客化の重要性

     企業が安定した売上を確保する際には、新親顧客を獲得するか既存顧客との
     関係の強化に着手するかという2つの方策を考える必要があります。

     2つの方策をバランスよく組み合わせ、最適な経営資源の配分を行うことで販
     売促進策の費用対効果が高められますが、マーケテイング戦略における命題
     にしたがえば、企業活動にとってより重要度の高い施策は、既存顧客との関
     係をさらによいものへと変えていく点にあります。

     ここで取り上げる顧客ロックイン戦略は保有する顧客を価値ある企業資産に
     するための考え方であり、

      もっとも重要なのは、顧客が購入せずにはいられない商品やサービスを
      提供する

     ことです。

     しかし実際の企業活動の場において、既存顧客の管理に成功している組織は
     必ずしも多くはありません。

     その理由はどこにあるのでしょうか。

     まず、既存顧客に配慮する戦略を採用するよりも、新規顧客を発掘・獲得する
     活動に面白みを感じるような価値観が組織風土として定着していることが考え
     られます。

     またそれと関連して、社内の報奨制度の不備も指摘できます。

     つまり、新親顧客の獲得に関しては金銭面での報奨制度が用意されていなが
     ら、既存顧客との長期的な関係維持を達成している部分への処遇が十分に
     整備されていないことです。

     そうした制度面の不十分さが、従業員の既存顧客に対する関心を低めていく
     と思われます。

     さらに、新規顧客獲得に向けた活動は予算計上されていても、既存顧客への
     対応を予算として計上していないなど、会計上の問題が含まれるケースも想
     定されます。

     予算計上されていなければ、経費のかかる活動に対する従業員のモチベー
     ションは必然的に低められます。

     図表は、顧客の行動を3分類して示したものです。

     企業が提供する商品やサービスの水準が顧客の期待を下回っていたならば
     顧客は離れていきますが、ほとんどの場合、不満の意思表示をすることなく
     黙ってほかの企業に流れていきます。

     このような状態をなくす企業努力が、新親顧客の獲得よりも重要です。

      究極的には企業へのロイヤルティ、つまり忠誠心が生まれる状態にまで
      顧客を育てていくことが求められます。

     ここで「期待以上」のサービスを提供するには、顧客ロックイン戦略を実践する
     のが有効です。

   2.顧客ロックイン戦略を実践する

     (1)7つの活動領域

       顧客ロックイン戦略は7つの活動領域から構成されます。

       インティマシー・ロックインは、企業や商品への親密さを高める活動をいい
       ます。

       高い専門知識をもつ店員が、顧客との接点において親密さを重要視した販
       売を手がけていくと、リピート購入の比率が高まります。

       紳士服大手で20年以上にわたってトップの成績を堅持する販売員は、顧
       客データを1500人分管理して、より高い顧客満足を追求しています。

       これはインティマシー・ロックインの好事例と判断してよいでしょう。

       「ブランド・ロックイン」は、企業の提供する商品やサービス、あるいは企業 
       自体のイメージ向上に寄与する活動を指します。

       「見えざる経営資源」としてのブランド力を高めるには、市場に提供する品
       質水準を高めながら口コミの効果を求めるとともに、広告などプル戦略
       緻密に計画して実施する必要があります。

          ※プル戦略とは、消費者側の需要を引き出し自然とその製品やサービスを
          欲しいと思わせるようにしていくという方法。反対にプッシュ戦略とは、企業
          側から顧客に積極的に製品・サービスをアピールしていき、売り込みによって
          多くの購入を促す方法。

       また、「シリーズ・ロックイン」は取り扱う商品の種類を増やす戦略を意味し
       ます。

       最適な商品の組み合わせ(プロダクト・ミックス)は売上の最大化につなが
       ります。

       続く「コンビニエンス・ロックイン」は、顧客の利便性を高める方策をいいま
       す。

       たとえば、店舗での販売に加え、ウェブサイトを活用した仮想空間上での販
       売環境を整備することは顧客の利便性を高めます。

       「メンバーシップ・ロックイン」は会員制を導入することで、ヘビーユーザーに
       対して特典を与えようとする戦略です。

       航空会社のマイレージサービスが成功事例として知られます。

       これは、自社商品やサービスの売上拡大に貢献の大きい顧客を重点的に
       管理する手法です。

       顧客ロックイン戦略では、すべての顧客を同等の力で管理していく必要は
       なく、むしろ重要度の高い顧客を選別し厚く待遇していくことが求められます。

       「ラーニング・ロックイン」は、学習効果を追求するものです。

       その学習効果には、たとえば「ラーニング・プラス」があります。

       これは顧客が学習効果を重ねることによって、その商品やサービスの消費
       から離れられなくなる現象をいいます。

       パソコンのOS(基本ソフト)でWindowsを使い続ける顧客は、ラーニング・
       ロックインにより固定客となったのは代表的な事例です。

       また「ラーニング・アウトソース」は、商品の選択と利用に関して専門家に完
       全に任せる消費者の行動が該当します。

       最後の「コミュニティ・ロックイン」は、顧客相互に影響を及ぼしあう集団を構
       築する活動です。

       企業がウェブサイトを活用して、顧客が共有できる場を整備することも該当
       しますし、仮想空間ではなく顧客同士がリアルな場でつながるような空間を
       創出することも考えられます。

       企業が固定客を獲得するには、7つのロックインから適宜必要な要素を選
       び出し、強弱をつけた管理が必要となってきます。

       すべてのロックインを採用するのは経営資源の分散・浪費につながり、効
       果的とはいえず、業種や事業の特性により最適なロックイン要素の組み合
       わせは変わってきます。

       最終的には自社にとり最適な販売促進策の組み合わせを決定する必要が
       あります。

     (2)顧客ロックイン戦略の事例

       ここで事例を紹介します。

       健康食品の製造販売を手がけるA社は、顧客ロックイン戦略を採用するこ
       とで固定客の獲得に成功しています。

       顧客のもとに定期的に届く情報誌には商品の紹介に加え、海外で調達す
       る材料の話や社長の経営理念、社員の生の声、愛用者の感想など手作り
       感覚あふれるコンテンツが満載で明るく楽しい雰囲気が十分に表現されて
       います。

       この情報誌を毎回楽しみにしている顧客も多いようであり、インティマシー・
       ロックイン戦略がうまく機能しているといえます。

       同社の商品は世界の食品分野で歴史と伝統のある「モンドセレクション」を
       受賞しています。

       2005年は26商品、2006年は34商品を出品してすべてが受賞しており、
       健康食品業界では最多の受賞件数を誇ります。

       これによってブランドイメージが高められると同時に、親しみやすいテレビ
       CMを放映することで企業そのもののブランドカの向上も実現されます。

       これはブランド・ロックイン戦略です。

       シリーズ・ロックイン戦略への対応も進められています。

       A社の創業時からの中核商品はブルーベリー関連商品です。

       社長自身が目に不自由を感じており、世の中で同じような悩みをもつ人た
       ちのために目によいサプリメントづくりに取り組んできたといいます。

       近年では健康と美に関連する商品を増やしており、顧客の多様化するニー
       ズに全方位的に対応しようとしています。

       さらに、コンビニエンス・ロックイン戦略ではウェブサイトからの購買に極力
       負荷がかからないような配慮がなされ、商品を毎月届けるコースには割引
       価格を提示したり、あるいは一定数以上の注文客に対しておまけをつけた
       りするサービスを導入しています。

       つまり、メンバーシップ・ロックイン戦略をも採用しているということです。

       A社は以上のように、複数のロックイン戦略を組み合わせて実践しています。

       先に触れた情報誌には、「5年間飲み続けでいます」「これからもずっと愛
       用します」「友人にも勧めようと思います」などの顧客の声が毎回紹介され
       ています。

       顧客ロックイン戦略の要は、自社の商品やサービスのない生活が考えられ
       ないような環境を創出することです。

       A社の事例は、顧客ロックイン戦略の有効性を示すものです。

   3.継続的な戦略の見直しを

     顧客ロックイン戦略は、企業が販売促進政策を多面的に検討・実施する際に
     参考となるひとつの物の見方です。

     考え方自体はきわめてシンプルですが、ロックイン戦略の最適な組み合わせ
     を実施し、その成果である収益を丁寧に追っていく必要があります。

     各ロックインの要素に投入する経営資源の量を変動させたときに、売上や利
     益がどのような動きをみせるかを分析しなければなりません。

     そうしてデータを蓄積していくと、さらに洗練度の高い顧客ロックイン戦略が可
     能となります。

     いったん最適な販売促進政策の組み合わせが発見された後も、継続的に見
     直しを実施していく作業が重要です。

     それぞれのロックイン戦略も、時間の経過とともに市場での効力を失っていく
     ケースも想定されるからです。

     そして効果のなくなったロックイン戦略については、別の方策を立案する必要
     があります。

     こうした企業努力は永続的に実施されるわけですが、その取り組みが組織文
     化として定着するような水準にまでなった時点では、おそらく顧客ロックインと
     いう概念そのものを経営陣や社員が改めて意識することもなくなっていること
     でしょう。

     それこそが真の顧客満足経営が実践されている、理想的な組織の状態といえ
     ます。

                           お問合せ・ご質問こちら

                          メルマガ登録(無料)はこちらから

 

既存顧客の掘り起こし

           

既存顧客を深堀りする

  ■新規顧客と既存顧客
   企業(売り手)と顧客(買い手)とのパートナーシップを構築し、なおかつ維持する
   こと
は、あらゆるビジネスにおいての成功するための大原則であるといえます。
   企業にとって、顧客は大きく分けて
    ・新規顧客
    ・既存顧客
   の2種類があります。

   新規顧客とは、「従来は取引を行っていなかったが、何らかのきっかけにより新しく
   取引を開始するようになった顧客」をいいます。
   一方、既存顧客とは、「従来より継続して一定量の取引を行っている顧客」をいいます。
   企業がこれらの顧客に対して販売活動を行うことを「
営業」といいます。

   営業におけるそれぞれの顧客への対応としては、
    ・新規顧客への対応:有効であると見込まれる顧客へ新規取引を提案し、
              徐々に取引を増加させてパートナーシップを構築する
    ・既存顧客への対応:従来の取引に基づき、さらに新しい提案やサービス
              などを行うことによってパートナーシップを維持する
   というものが一般的です。

   新規顧客は取引実績を重ねることにより既存顧客となります。
   従って、売り上げ不調(前年比、予算比のいずれも含みます)の背景は、新規顧客と
   既存顧客のいずれか、もしくはその両方における何らかの問題があると考えられます。
   新規顧客は目新しい存在であり、また「獲得の成功、不成功」という分かりやすい
   判断基準があるため、売り上げ不調に際して「新規顧客の獲得不足」が原因として
   挙げられるケースが多くみられます。

   しかし、新規顧客を獲得した場合でも、最初から大きな取引を行うことはありません。
   従って、一般的には、新規顧客の売り上げが企業の売り上げ全体に占める割合は、
   実のところそれほど大きくありません。
   一方、既存顧客は新規顧客の陰に隠れてしまいがちですが、従来からの取引実績が
   あるため、新規顧客に比べて取引額が大きいのが特徴です。

   既存顧客の売り上げは、企業の売り上げの基盤となっているため、既存顧客の
   売り上げ不調は、全体的な売り上げ不調につながります。
   従って、営業においては、まず既存顧客という足場をしっかりと固めて、それから
   新規顧客にアプローチを試みることが望ましいといえるでしょう。
 

  ■重点顧客の掘り起こし

   1.自社の客データは?

     (1)既存顧客への新規開拓
       営業機能がない会社はほとんどない。

       取引先が1社でもあれば、何らかの形で接点があり、そこには営業販売活
       動が存在する。

       一度関係を構築した後の予想される次の展開は、「より深くする」「現在の
       ペース・関係・ボリュームを維持する」か「次第に薄れる」「それきりで終わ
       り、2度と会わない」といったところだろう。

       新規開拓をして新たな口座を開設するよりも、既存顧客からリピート
       オーダー(単価アップ、追加販売)のほうが、さまざまなコストが安く
       済むことはすでに周知の事実です。

       しかし、ほとんどの会社で毎年のように「既存顧客への深耕」というテーマ
       が掲げられているにも関わらず、その既存顧客に対して、まるで新規開拓
       のような関係構築活動が行われていることが多い。

       例えば、関与先のある会社では、「随分前に、A部長がいたころは、B社に
       たくさん買ってもらっていた。A部長が辞めてからは誰も行っていないの
       か? 誰かあいさつに行って、B社の様子を見てきてくれ。うちの社名を出
       せば、誰か会ってくれるから大丈夫だよ」。

       これは「人の切れ目が縁の切れ目」という典型的なパターンである。

       これだけの情報で、相手先に行かされる担当者はたまったものではない。

       この指示からでは、「新規開拓よりも既存顧客からのリピートオーダーのほ

       うが、コストが安く済む」という原則など成り立つはずがない。

       現時点で先方が自社に発注していないということは、今はその事業を行っ
       ていないか、ほかの企業が十分に役割を果たしていることになるだろう。

       段階的に引き継ぎを行わなかった、もしくは組織的な対応を怠ったという脇
       の甘さが敗因であることに違いはない。

     (2)人脈は継承できない
       前任者の異動、退職に絡む担当者の交代で、良くも悪くも取引関係の潮目
       が変わることが多い。

       また、能動的に流れを引き戻すために担当者を変えることもある。

       ただし、こちらの思惑通りにいくかどうかは、これまでの取引の事実関係を
       正しく把握しているかどうかにかかっているのです。

       「購買する理由」もあれば、「購買しないという選択肢とその理由」もある。

       その意思決定の上に、両社の取引関係は成立している。

       どちらかの思惑だけでは成立しません。

       取締役、部長、課長など、役職者頼みの対顧客関係構築は日常的に存在
       する。

       そのことを否定するわけではないが、極度の依存症に陥ってはいないだろ
       うか。

       「誰々頼み」の業績基盤は脆弱である。

       なぜなら、その担当者の「気持ち・気分・やる気」に会社が寄りかかっている
       状態だからです。

       人脈依存の関係は、突然崩壊することが多い。

       こちらが点の接触であるにも関わらず、先方が組織だって対応してくれてい
       るケースはほぼない。

       こちらも点なら先方も点である。

       したがって、両社の関係構築ストーリーは、その点である個人の記憶と記
       録の中にしか存在せず、会社の財産になり得ていない。

       顧客が個人ではなく、企業であるにも関わらずである。

       会議でよく出る「私のお客さん」というセリフは大きな勘違いの証明である。

       “私の”であるはずがない。「会社の」顧客である。

       しかし「誰かの対応力」に依存し、どのような取引がどのように進められて

       いるのか、そして今後、相手先が自社にどういう期待をしているのかを組織
       だって押さえていないと、人脈の切れ目で取引が寸断することになる。

       これを確認するためには、企業規模に関わらず、自社の現在の顧客データ
       がどうなっているのかを見ることをお勧めします。

       顧客データは、どこにあるだろうか。

       担当者の記憶や手帳の中にしかないということはないか。

       あるいは、いつでも、誰でも見ることができる状態にあるだろうか。

       そして、次の行動を決めるヒントになっているだろうか。

     (3)単なる住所録から顧客データ・マーケティングへ
       関与先で、「顧客データ、各社との取引実績、満足度調査、クレーム実態調
       査などを見せてください」とお願いする。

       どの質問も、「顧客との関係構築がどの程度進んでいるのか」を可能な限
       り正しく把握するためのものです。

       対人関係を気にする人は多いにも関わらず、法人となると、顧客との関係
       に無頓着になる人が多い。

       もしくは、「自動的に更新されていくもの」と勘違いしている人にも出会う。

       これは、非常に怖い“無関心度合い”である。

       「顧客データ・マーケティング」とは、顧客データから自社が打つべき次の
       一手が見えてくるかどうか、もし見えないならば、いかに行うべきかを検討
       するものです。

       顧客データ・マーケティングの真意は、「顧客データに今後の関係構築のス

       トーリー付けを行うこと」にある。

       本来、顧客データにこそ、これまで行ってきた企業活動の足跡が現れてい
       るはずです。

       顧客データ上に現在の顧客の姿が現れているのか、埋もれているのか、そ
       れはこれまでの活用度合いによる。

       大半は埋もれており、掘り起こさなければ判断ができない。

       システム構築というレベルではなく、現存する顧客データ、またはリストを手
       元に広げていただければ十分なので、アプローチの手法に難しいものは何
       もない。

       まず、大枠を押さえるために、次の@〜Cを明確にします。

        @これまで、どういうお付き合いをしてきたか
        A今、どういうお付き合いをしているか
        B今後、先方はどうしたいのか、何を望んでいるのか
        C今後、自社はどうしたいのか

       現時点で、質問のすべてに何らかの回答ができない場合は、手元にあるリ
       ストは、単なる「住所録」にすぎないのです。

       住所録である場合は、その段階から脱出することを目標としなければなら
       ない。

       @〜Cに明確に回答していくためには、住所録に加えて「ストーリー」が必

       要だ。

       紹介する分析手法や、出口のアクション(ダイレクトメール、メルマガ、展示
       会への誘引など)は、本来@〜Cの分析をしっかり行った後のアクションで
       ある。

       顧客データ・マーケティングの大きな目的は、「属人的顧客データからの脱

       却」と、「顧客関係構築ストーリー構築力の向上」を目指すものとして進め
       る。
  
   2.顧客関係構築ストーリー
     (1)顧客関係構築ストーリーの出発点
       顧客関係構築ストーリーの目的は、顧客との取引関係をより良好、かつ強
       いものに育てていくことにある。

       したがって、新規開拓や既存客深耕活動の手前に位置し、かつ断続的に
       行わなければ本来の目的は達成できない。

       顧客創造活動の基本、「何を、誰に、どのように」の「誰に」を探し、決定す
       る活動になります。

       データマイニングという手法がある。

       「情報の中から有用な情報を選出し、有機的に結合、統合させ、ビジネスに
       展開する」というもの。

       顧客データ・マーケティングは、情報ソースを「顧客データ」に限定し、あら
       ゆるものに情報ソースを求めない。

       また、特殊な解析技術の紹介ではなく、一般的に普及しているPC環境、リ

       テラシーで実践できるものです。

       「会社として、全社を挙げて顧客に“関心”を持つ」というマーケティング・マ
       インド」が必要だことです。

       つまり、担当者個人の意識下に埋もれさせない活動を言う。

       人の健康状態が日々刻々と変化するのと同様に、企業の健康状態も変化
       する。

       それはあなたの会社でも同様だ。

       自社が付き合っている相手企業の健康状態は業績に直結するのです。

       相手社が風邪を引いたら自社も風邪を引く。

       現実にそういう企業は多い。

       密接な付き合いを否定するのではなく、“風邪”を予防するためには、自ら

       防衛対策を講じなければならない。

     (2)顧客企業の健康度合いを直視する
       「マーケティング・マインド」の必要性は先述の通りである。

       精神論だけでは、顧客との関係強化は図れない。

       顧客データ・マーケティングを実施することによるゴールイメージは、「顧客
       とともに未来を語り合い、目指すイメージを共有し、ゴールヘ向かうための
       提案ができる」ことです。

       まず、自社の成長過程、成長要因を探る一環として、過去に取引があった

       「ご縁先」を一覧にして検証する取り組みを行うことをお勧めする。

       年度ごとに既存顧客の優先深耕先順位を付け、営業戦力の重点配分を行
       うことは必要だ。

       問題なのは、優先順位を付ける段階で、「分からないから行かない、行けな

       い」「分からないから行かなくてよい」という理由で掌から顧客をこぼしてい
       ることに気付かないこと。

       小売店であれば重要な顧客の流出であり、機会損失である。

       顧客データ・マーケティングを実践する第一歩として、またマーケティング・
       マインドを育成する意味で、「顧客の健康度合いを直視する」活動からス
       タートすることをお勧めする。

       健康度合いを把握するためには、

        @顧客は今、何に最も関心があるのか(どこを向いているのか、内向き
          か、外向きか)
        A今後、顧客は伸びるのか

       を押さえたい。

       これが、単なる住所録でしかないリストにストーリーを注ぎ込み、「顧客リス
       ト」に昇華させていくためのスタートである。

       顧客リストの作成に時間を投資している会社は少ない。

       しかし、顧客に関心が高い企業は、人員、時間、費用を計画段階で予算に
       盛り込み、毎年必ず投資を行います。

       取り組みを継続できるのは、既存の顧客基盤が足元と将来の利益の源泉

       であることを、心底理解できているからだ。

       業績は顧客基盤と提案できる内容の積で決まる。

       そこに人材と仕組みを有機的に絡めることが重要である。

     (3)顧客データは経営判断に使えるものに昇華させる
       新入社員が社内になじみ始める時期、研修カリキュラムの一環で「わが社
       の顧客を覚えなさい」という指導をする会社は多いでしょう。

       だが、同じ取り組みは先輩・上司にも必要だ。

       新入社員は、顧客の名前だけ知っていればよいだろうが、先輩・上司に求
       められるのはそんなレベルではない。

       業種・業態だけ知っていても不十分である。

       本当に知りたいのは、「自社はその顧客にとって、どれだけ役に立つことが
       できるのか」。

       端的に表現すれば「自社の商品・サービスを買っていただける可能性がど
       れだけ高いか」である。

       取引継続の最低条件は、互いに“健康”であること。

       顧客を正しく知るためには自社が健康でなければならない。

       その上で、顧客が健康かどうかを知らなければならない。

       ◎顧客データ・マーケティングの全体像
        このマーケティング活動も、組織運営の基本であるPDCAの「マネジメント
        サイクル」に基づき設計することができる。

        ゴールは、「経営判断に使用できる顧客データを設計し、かつ断続的に運
        用すること」です。

        顧客リストは作成するものではなく、育成するもの。

        クライアント企業においても、自社の顧客リストを大切にし、育成するとい
        う意識を共有してもらう。

   3.ストーリーの仮説設計
     (1)「顧客を育てる」という考え方
       顧客データ・マーケティングの出発点は、「マーケティング・マインド」である
       ことを前項で説明しました。

       マーケティング・マインドとは換言すれば、「顧客に対する関心度合い」であ
       り、関心の対象は、「顧客は健康かどうか」である。

       この見極めいかんによって、「ストーリーの仮説設計」が大きく変わる。

       ストーリーの仮説設計には、ゴールがある。

       それは、「顧客にいかに変化していただくか(顧客をいかに変化させていく
       か)」です。

       最終的なゴールは一つではなく、双方の存在価値の認め方でゴールは変
       化する。

       単純に、「取引金額が高額」「取引期間が長期間」「注文回数が多頻度」で

       あればいいというわけではない。

       最終的にそのような状況になればよいが、一朝一夕でそうなるのは難し
       い。

       そこで、必要な思考転換は、「育成していく」というアプローチになる。

     (2)自社で顧客のステージを設計する
       頻繁に使用されている顧客分類として、「Aランク」「Bランク」「Cランク」
       などがある。

       こうしたステージ設計で重要なことは、「自社の軸」と「顧客のステージアッ
       プ」である。

       自社の軸とは、「顧客に選ばれる企業であること」である。

       これは、逆説的だが自社のあるべき姿(経営理念、中期ビジョン、基本方

       針)に照らし合わせ、「付き合うべき顧客」を選ぶ。

       この選択は、人間関係によく似ている。

       誰と人脈があり、どういう付き合い方をしているかで、人格が判断されるの
       と同じ。

       ここで再確認することは、自社のあるべき姿を照らし合わせ、「誰とでも付き
       合う会社」にはならないこと。

       顧客を選ばない会社は特徴を失い、結局、誰からも選ばれない会社とな
       る。

       顧客のステージアップは、現状の取引状況から、どのようなステージアップ

       を設計するかです。

       現状の業務内容を再確認していくと、取引先との付き合い方に関連してい
       るものが大半である。

       業務の棚卸しを行うと、顧客との付き合い方で業務や流れが決まっている
       場合が大半である。

       誰と付き合うか、どういう付き合いをするのかを明確にしておかなければ、

       社内で、あれもこれもやらなければならないことが際限なく増えていく。

       いかに自社が主体的に関係を構築するかを考えていく段階では、あらため
       て自社の軸を確認して、ステージアップのストーリーを構築していく。

       ステージを構築する中で、考慮するべき情報は、
        @提供するメニューの中の取引実績(スキマ分析)
        A双方向の人脈系列
        B取引期間
        C顧客の期待値
        D直近の取引時期
        E直近の取引金額

     (3)仮説には「判断」を入れる
       自社の一方的な思いだけではなく、これまでの経緯から考えられる「今後
       の展開は何か」を、仮説として設定する。

       重要なことは、担当者任せではなく、この仮説に組織、会社としての「判断」
       を入れるということです。
       この仮説設計の判断には「自社と取引を行うことで、将来的にどういう企業

       になってもらいたいのか」という目線と、「どういうアプローチとプロセスで深
       耕していくのか」という自社の動きの目線が必要である。

       よく使われるカテゴリーとして、「優良顧客」「得意顧客」「重要開拓顧客」
       「休眠顧客」「問題顧客」などがある。

       当然ながら、各分類には境界線がある。

       例えば、「どこからどこまでを優良顧客とするのか」という基準だ。

       ここを明確にしないと、“担当者の思い”や“トップの独断”のみで分類が行
       われてしまう。

       気を付けなければならないのは、ここでの判断が直接、営業活動に反映さ
       れることだ。

       分類された顧客ごとに、意思を持って活動をかける、かけないを決定する
       必要がある。

       これは顧客分類の事例である。各9象限が、顧客を分類するステージであ
       り、各ステージの意味合い、縦軸、横軸は、その都度設定していく。

       ここで定義付けを行う際に、偏ったメンバーのみで行うと、結局個人の記憶
       のみが根拠になってしまう。

       そのため、定義を裏付ける情報を事前に広く収集する必要がある。

       どの顧客がどのステージにいるかという現状を正しく理解することと、商品・
       サービスのスキマ分析、人脈スキマ分析を合わせると、付き合い方の実態
       が浮き彫りになってくる。

       こうなると次第に仮説が組めるようになり、行動レベルに落とし込み、具現
       化しやすくなる。

     4.顧客と向き合うということ
       (1)組織的活動が成長の核となる
         顧客という一括りの見方から脱却し、より詳しく顧客を見ることができる
         ように、顧客を九つのステージに分類し、「現在は、どういうお客さまな
         のか」を細かく検討することについて述べた。

         これからの自社は、どのステージの顧客にどういう姿を見せていかなけ
         ればならないかの検討を、大胆かつ繊細に行う必要がある。

         具体的な検討事項としては、誰に(どの顧客に)、何を(商品・サービ
         ス)、どのように(方法・手段)、誰が(主担当・責任者)、いつまでに
         (結論を出す期限)、いくらで(値頃感)、などが挙げられる。

         しかし、こうした要素の検討や決定に時間を割かず、個人任せにしてし
         まっては、その活動は“御用聞き”に成り下がる。

         もちろん「経営資源は有限」であり、検討や決定にどれだけの時間を投

         じるのかは重要な判断項目だ。

         しかし、個人の判断基準任せでは、その個人の限界が組織の限界と
         なってしまう。

         商品のライフサイクルがどんどん短くなっている現在では、個人任せで
         なく組織的な活動が、成長の核となる。

         こうした検討の場で、先に紹介した顧客分類に基づき、顧客の名前を
         「頻度」というフィルターに通す。

         そうすることで、検討するメンバーが、「あー、あのお客さん」となる。

         単なる活字だった顧客名が、どこの誰かが分かるのだ。

         次の段階は、その顧客が元気かどうか、どこに向いているのかを事実
         ベースで押さえることだ。

         事実ベースで押さえることが重要であるため、過去の顧客の行動を「取

         引期間」「購入回数」の軸で確認する。

         注意事項は、対象調査期間を区切ることだ。

         取引期間の例は、
          @初めて購入した時から現在
          A○○年△月〜○○年□月
          B直近○年間
         などで期間を限定する。

         目的は、顧客の状況をより鮮明に描き、打つ手を明確にすることにあり
         ます。

         行動に移すことが重要だからだ。

         行動パターンを判断する期間の設定は重要である。

         あまりにも長過ぎると、
          商品のライフサイクルが大幅に進行してしまう
          ライバルが出現する
          環境が大きく変化する
         などの弊害が出る。

         これらの要因が複雑に絡み合い、事実がつかみにくくなると、自社とし
         て誰にどういう手を打てるのかが検討しにくくなってしまう。

       (2)顧客の行動を変えるシーンをつくる
         このような調査を行った後、具体的にどのような行動を取ればよいか。

         その行動事例として、「近況確認ダイレクトメール(DM)」を実施する。

         例えば、美容院(A)、歯科(B)で行われているケースでは、両店に共通
         しているのは、意識の高い顧客ほど、来店、通院頻度が高く、また再来
         店(院)までの間隔(時間)が短い。

         ほとんどの美容院、歯科医院では、このステージに顧客を育てたいと考
         えている。

         つまりこの表に示す「試用顧客」「迷い顧客」「不活性顧客」を「継続顧
         客」「優良顧客」へとステージを上げるのです。

         美容院や医療機関のように店舗を構えて客を「待つ」事業の勘所は、顧
         客といかに膝を突き合わせて、記憶から消えないようにするか、そのア
         クションをマネジメントすることにある。

         勝手なもので、「忘れられたくない。また来てもらいたい」と言いながら、
         自ら顧客のことを忘れている(無視に近い)ケースも多い。

         美容院(A)、歯科(B)で実施している顧客、患者へのアプローチは、期
         間を区切り、その期限内に再来店がなかった顧客には近況確認をDM
         で実施している。

         そのレスポンスがそのまま自社に対する答えと理解できる。

         重要なことは、「顧客が今、どこを向いているかを知ること」にある。

         回答の有無だけでも仮説は成り立つ。

         つまり今後、資源を振り向けるべきかどうかの判断ができるようになる。

         顧客を知るための活動に普段から労力を使わず、売上げが下がった
         時、新商品ができた時、周年記念など、思い立った時だけ案内するとい
         う、行き当たりばったりでつじつま合わせの活動では、顧客の意識は動
         かない。

         顧客データ・マーケティングの成功の秘訣となる活動は、

          ・プロモーション計画・企画の実施期間と実施内容の周知徹底
           (社内で知らない社員をなくす)
          ・責任者と実務担当者を明確にする
          ・目標数字の周知
          ・実施に伴う内容と行動面での不明確、不鮮明な言葉の排除
          ・現場での準備事項の徹底と実行状況の把握
          ・実施状況をニュースにし、毎日共有
          ・電話応対など、担当者への周知と、基本動作の型決め

         を実行し、確認していくことである。

         調査した自社の顧客データを常にメンテナンスしている企業は、例外な
         く成功の秘訣となる上記の活動を徹底し、業務の中に組み込んでいる。

         毎日が、プロモーションの準備なのです。

       (3)顧客の意識に楔(くさび)を打つ
         顧客と向き合っている企業は、顧客の定義が明確だ。

         顧客に対するケアを行っていない会社の多くは、言葉だけで「お客さま
         第一主義」をうたい、平気で言行不一致を続けている。

         顧客は選ばなければならない。

         “なんでも屋”では、事業の継続は困難だからです。

         どこの企業と付き合うかの選択は、顧客の胸先三寸である。

         存在するだけでは選ばれない。

         自社で意志を持ち、どうしても選んでもらいたい顧客を目がけ、計画的
         にアプローチを続ける必要がある。

         また、根負けしない、息切れしないためには、組織での活動が必要だ。

         顧客に情報を届けることができない企業は、「存在しない」に等しい。

         先に示した顧客の分類により、顧客の中での自社のマインドシェアがど  
         の程度かという仮説が設定できる。

         ここからは、いかにアプローチするのかを考える段階である。

         次に、それぞれの顧客にどのようにアプローチするのかを検討する材
         料を示す。

         当然ながら、「追いかけない」という選択肢もある。

         総花的に追いかけても力が分散し、結局、中途半端になり、コストがか
         さむだけで期待した効果を得ることはできない。

         例えば「電話をかける」「アンケートを取る」「DM送付の準備」などの仕
         事は精神的な負担が大きいと感じた経験があるだろう。

         しかし、精神的な負担は、目的意識の欠如からくる準備不足に起因す
         る。

         いわゆる「やらされ感」である。

         このような虚脱感を味わうことがないよう、目的意識、価値意識につい
         て、計画をしっかり練ることにより、担当者の意識を醸成したい。

         アプローチの元となるリストの見直しは、「スキマ時間」に行われがちで
         ある。

         しかし、顧客創造の重要さを理解している会社は、しっかりと年間スケ
         ジュールに組み込んでいる。

       (4)顧客創造と育成の方向性
         当然ながら、顧客個人は、自分がどういう風に企業(店舗)でカテゴライ
         ズされているかを知らない。

         しかし、「自分はこんなにこの会社(店舗)を使っている」と感じている。

         最終目的は顧客との関係強化であり、そこから新たな縁が生まれること
         もある。

         一気にすべてのステージに異なったアプローチをかけるのは得策では
         ない。

         換言すれば、使用頻度をいかに高めてもらうか、そのストーリーがアプ
         ローチ手段に現れているかどうかである。

         DM、チラシ、ホームページのデザインやSEOに取り組む前に実施しな
         ければならないのは、顧客の選定とステップアップのストーリーづくりな
         のである。

 

既存客への定期訪問作戦

              

既存客への定期訪問作戦

  ■新規客にばかり目を向けていると既存客を失う

   事務機用品の卸し会社社長の悩みは、主力商品の電子コピー機の売上が“横ば  
   い”で、歩合制で新規客開拓に努力しているものの、いま一つパッとしない。

   どうしたらコピー機の売上が上がるかと悩んでいた。

   最近一年間の売上台数を新規客と既存(買い替え)客に分けて調べてみると、お
   よそ半々でした。

   「新規5対買い替え5」ということは、売上台数は横ばいですから、買い替え客、す
   なわち 既存客の半分を逃がしているということですよ。

   新親5割を開拓したけど既存客の5割を失ったということは、新規客5割を他社か
   ら奪って、既存客5割を他社に奪われたということです。

   同業他社同士で新親客と既存客を交換しているだけ。

   販売促進という経費を使って、お互いに客を交換し合っている。それなら、新規開
   拓などせずに、既存客を維持していけばいい。

   その方が余分な促進費用がかかりませんし、客単価が上がります。

  □販売促進活動は売り込み?

   なぜ新規、新規と声高に叫び、「もっと売らねば」と尻を叩くのでしょうか。

   そして「新規の見込客」とか「訪問効率」といったことがまことしやかに会議で議題
   になったりしています。

   一種の強迫観念です。

   販売活動を見込客に対する「売り込み」というように誤解しているんじゃないでしょ
   うか。

   この考えだと、コピー機を買ってから1〜3年のお客さんは、買う見込なし、更新の
   見込なしということですから、売り込み訪問をかけないでしょう。

   まさに釣った魚に餌をやる必要はないというわけです。

   買ってもらう時は3日にあげずどころか、毎日のように売り込み。

   いったん買ってしまうと、パタリとこなくなって、餌を与えないまま4〜5年放置。

   そして、買い替え時期が来たと見るや、やおら見込客と思い込んで、モミ手をしな
   がら「え〜、そろそろコピー機の買い替え時期かと思いまして・・・」とのたまう。

   この態度と姿勢、あなたがお客さんだったらどう思います。

   「現金な会社だ」と思いませんか。

   「勝手ばかりいう調子のいい営業マンだ」と思うでしょう。

   新規、新規と営業マンを煽ると、どうしても既存客へのアプローチはお留守になります。

   それは営業マンが悪いのではなく、そういう方針を打ち出した社長自身が悪いのです。

   こんなことをやってるから、せっかく自社と接点のある既存客の半分も失ってしま
   うのです。

   自社にとって、既存客は何物にも換えがたい大事な財産であり、既存客との人間
   関係なしでは、本当の意味の販売(気づいていない新しいニーズの提案)はあり
   ません。

   それを確保するのが販売活動であり、訪問活動の目的なのです。
 
  □訪問の目的は既存客確保であり売り込みではない

   それは訪問というよりは「巡回」といったほうが正確かもしれません。

   つまり、既存客のパトロールです。

   警官のパトロールの目的は泥棒を捕まえることではなく、犯罪の防止にあにあります。

   同様に既存客の巡回は、モノの売り込みではなく、既存客を他社に奪われないよ 
   うに確保することなのです。

  □売上ノルマではなく定期訪問をノルマづける

   その巡回は絶対に「定期訪問」。 

   毎月1回なら1回と決めて、その方針を着実に継続実行するのです。

   売上をノルマづけてはダメ。

   定期訪問をノルマづけるのです。

   売上、売上と焦らず、既存客訪問、既存客訪問と煩ってみて下さい。

   不定期訪問の方針はやめましょう。

   訪問するにはするが、できる時、できる日を選んでやればいいという曖昧なのは、
   結局は「既存客を巡回しなくてもよい」という指示を出したに等しいのです。

   この考え方を、誰よりもまず社長自身が持たなくてはなりません。

   社長が表敬訪問で率先垂範。

   そして、営業マンはもとより、幹部に対しても既存客訪問と巡回を厳しく指導しな
   ければなりません。

   社長の表敬訪問は効果があります。これは効きます。

   それ自体が販売活動の差別化要因です。

   訪問を受けた側では「社長がわざわざ来て下さった」と感激、強烈な印象を持つこ
   と疑いなし。

   これは裏を返せば、それだけ世間の社長はお客のところへ行っていないという証
   明でもあります。

   だからこそ、相手を感激させるのです。

   歩合制は廃止するべきです。

   歩合制を採用していると、既存客の定期訪問は笛吹けど踊らず、不可能になって
   しまいます。

   歩合制が、自分の収入だけに関心が集中して、またぞろ新規、新規ということに
   なって元の木阿弥です。

   釣った魚には絶対に餌をやらなくなります。

  □提案(有益情報)を土産に持つ

   定期訪問をするのに、手ブラでは芸がありません。

   「こんちわ〜、何かお困りのことはごさいませんでしょうか」は御用聞きの類。

   「何しにきた」でオシマイ。

   「コピー機を新しく更新しませんか」ではモノの売り込みになって下の下。

   「とにかく社命ですので、いわれた通り来ました」では会話になりません。

   ここで提案するんです、快適で能率的なオフィス・ライフを。

   モノを売らずにコトを売るのです。

   新型のコピー機や事務用品の新商品を紹介するのではなく、自分なりに考えたオ
   フィス空間の仮説を提案書にまとめて、それを検証してもらうのです。

   新規客と違って既存客なら、オフィスとか事務所での生活ぶりがある程度わかる
   でしょう。

   そのお客にふさわしいオフィスシーン、生活シーンをデザインするのは、それほど
   むずかしくないはずです。

  □提案⇒検証⇒提案⇒検証

   この繰り返しが定期訪問です。

   お客はその提案を見て、ここが気にいった、ここは不満だ、こっちはこうしたい、
   あっちはこうするというように意見をいいます。

   その意見や不満を持ち帰って修正し、再び訪問して再提案する。

   これを繰り返せば、そこに会話のキャッチボールが成立して、良好な人間関係が
   生まれるじゃないですか。

   そうなると、定期訪問される側もする側も、提案を煮詰めていくことが楽しみになり
   ます。

   そして、オフィスシーンの提案が納得するまで煮詰まった時、お客はそのシーンに
   ふさわしいオフィス用品を買うのです。

   これはモノの売り込みではありません。

   お客と会社が一緒になって、一つのニーズを突き詰めていく協同作業です。

   この協同作業が自社の信頼を生むのです。

   ○○社は立派だ。

   モノを売り込まない−−と。
 
  □定期訪問の効果予測

   <確率論>

    仮に、5年間毎月1回訪問し、6年目の最初の月にコピー機か事務機器を受注
    できたとすれば、延べ訪問回数は60回です。

    1日6社なら、10日で60回になって1台受注できる勘定になります。

    これは個々の訪問活動についていっているのではなく、訪問活動全体として
    の“確率”の問題。

    1日に6社で10日に1台の受注ですから、1日に10社訪問したら6日目に1台受
    注ということになります。

    間違わないでいただきたいのは、60回訪問というのは6年先の話をしているの
    ではなくて、上記の例でいえば、10日ごと、あるいは6日ごとに1台受注の可能
    性があるということを意味しているのです。

    今すぐに定期訪問を始めたら、10日後、あるいは6日後に必ず受注ができると
    いう話ではありません。

    定期訪問の効果として、上記の確率で受注が発生するようになるのは18ヶ月
    後、つまり1年半後と思って下さい。

    この1年半というのは、多くの会社での平均実績値です。

    1年半後には楽しみな成果が待っているのです。

    それまでは歯を食いしばって、定期訪問を繰り返す必要があります。

    1年半後だからといって、これを怠ったり手を抜いたりすると、いつまでたっても
    成果は上がりません。

  □1年半後に花開く

   上記事例の事務機用品の卸し会社社長は、会社が立ち直るウマイ手なんかはな
   いと観念し、とにかく1年半、死に物狂いの努力をしてみようと覚悟を決めたのです。

   もっとも、一口に1年半といっても、とてつもなく長い月日に感じることでしょう。

   でも、救いはあるのです。

   1年半金然受注がないわけではありません。

   先に述べた確率では発生しないというだけで、定期訪問をやればやるほど、今よ
   りはずっと多い受注がとれるのです。

   これは保証できます。

   そして、1年半がたちました。

   それまでは緩やかな上昇カーブだったものが、予想通り急速に受注が増え始め、
   アッという間に前年比3倍のペースになったのです。

   奇跡ではありません。

   地道な定期訪問がもたらした現実的な効果なんです。

                           お問合せ・ご質問はこちら 

                           メルマガ登録(無料)はこちらから