中小企業にとって優秀な人材とは

               

中小企業にとって優秀な人材

■「人材力の強さ」は“企業力の強さ”につながる
 「企業は人なり」といわれるように、企業経営において人材(社員)は最も重要な経営資源
 の一つです。
 優秀でモチベーションの高い社員を多く雇用する企業は活気に満ちており、何らかの課題に
 直面した時に一致団結して立ち向かおうとする機運が生まれてくるものです。
 人材力の強さは企業力の強さにつながります。

 そのため、企業経営者や人事担当者は、社員が意欲的に業務に取り組めるような仕組みを
 作り上げていかなければなりません。
 「人力に頼る部分が大きかった製造の現場」や「ローラー作戦で顧客を獲得できた
 営業の現場」では、量は大きな威力を発揮していました。

 しかし、ITの普及などにより企業経営を取り巻く環境が急速に変化するようになると、
 量の確保だけでは十分に対応できなくなってきました。
 「高度にIT化された製造の現場」や「顧客志向を貫かなければならない営業の現場」では、
 個々の社員の質が強く問われます。

 企業経営のあらゆる場面で、社員は「業務をさらに効率化するにはどうしたらよいのか?」
 「顧客は何を求めているのか?」といったことを考え、判断していかなければならなく
 なったからです。

□優秀な人材とは 
 社長にとって優秀な人材の獲得は重要なテーマの一つです。
 景気回復によって企業の雇用過剰感が解消され、多くの企業が積極的な採用活動を展開
 し始める準備のために、企業がイメージ通りの人材を計画通りに採用することは、これまで
 以上に難しくなってきます。
 一方、「どのような人材が優秀であるか」についての考え方は個々の経営者で異なりますが、
 例えば以下のような資質を備えた人材は優秀であるといえるのではないでしょうか。

 1.優秀な人材の考え方
  ・社長の意向を十分に理解し、それに基づいて行動することができる
  ・高度で専門的な知識や技能を有している
  ・情報収集力・分析力があり、上司などに適切な進言ができる
  ・問題や課題に対して解決案を提案する企画力、プレゼン能力がある
  ・実務経験が長く、豊富なノウハウを有している

 優秀な人材は特別な存在といえる“人財(企業の財産)”です。
 人財は何ものにも代えがたい経営資源であり、どのような企業もその獲得に力を注いで
 います。

 2.優秀な人材の獲得は容易ではない
  労働市場において、優秀な人材の価値は非常に高いのが現状です。
  一方、景気好調時ほどではないにせよ、求職者のブランド志向(大企業志向)は
  なくなっていません。
  同時に、求職者は自らにとって有利な賃金、福利厚生などの労働条件を提示する企業を
  求めています。
  雇用環境が改善されない中で、中小企業が一般に優秀といわれる人材を獲得することは
  難しくなってきています。
  少し厳しい表現ですが、中小企業が従来通りの採用活動、募集条件を継続したままの
  状態で、大企業と競いながら優秀な人材を獲得することは容易ではないといえるのです。
  そこで、ここでは、中小企業が優秀な人材を獲得する際について考えてみることにします。

□中小企業に必要な人材とは
 1.大企業と中小企業では優秀な人材像が異なる
  中小企業では、社長自らが現場に立って指揮を取りながら、すべての社員が団結して
  総力戦で経営に臨みます。
  そのため、社員一人ひとりが顧客と接する立場にあり、同時にさまざまな業務を
  こなします。

  こうした中小企業にこそ優秀な人材が欠かせないといえるかもしれません。
  ただし、ここで考えたいのは、大企業が求める優秀な人材と中小企業が求める優秀な
  人材には少なからず違いがあるということです。
  大企業が歓迎する優秀な人材像の一つに、ある特定分野において誰にも負けない専門性を
  有する人がいます。

  例えば、研究室や商品開発室で手腕を振るう人材、人事制度改革に多くの実績を残して
  いる人材などが典型です。
  大企業は部課が明確に分かれているため、企業が優秀な人材を、その能力が発揮できる
  場所に配属すれば、その人材は実際に成果を上げていきます。

  もちろん、中小企業にも特定分野で専門的な能力を発揮する人材は必要です。
  しかし、大企業と中小企業の社員で異なるのは、中小企業に入社した優秀な人材は、
  自分の得意分野以外の業務にも率先して取り組む必要があるということです。
  前述したように、中小企業の経営は常に総力戦です。

  そのため、中堅・中小企業の社員には、特定分野で専門性を発挿するにとどまらず、
  多様な業務で平均点が取れ、問題点を素早く察知できるビジネス感覚の高さも求められる
  のです。
  こうした人材を総合点で評価すると、実は大企業が必要とする人材よりも評点は高い
  かもしれません。

 2.中小企業に求められる人材
  このように大企業と中小企業が求める優秀な人材像には少し違いがあります。
  中小企業が大企業以上の採用条件を提示して“完成された優秀な人材”を採用する
  ことは可能でしょう。
  しかし、それだけで「優秀な人材が採用できた!」と喜べるわけではありません。

  労働市場での価値が高い優秀な人材であっても、中小企業になじみやすい人材である
  とは限らないのです。
  中小企業の社員にはバランス感覚の良さが強く求められます。
  特定分野で100点満点を取る人材は多くいます。

  しかし中小企業では、それ以上に、多様な業務で平均点を出す万能な社員の存在の
  ほうが重要となることがあります。
  事項では、中小企業になじみやすい人材像を考えてみます。

  ◎どんな業務もこなすバランス感覚がある
   中小企業の社員は与えられた業務を確実にこなさなければなりません。
   全く携わったことのない業務でも、「それは自分の専門外です」は通用しません。
   100点満点でなくても構いません。
   与えられた業務を、短期間でそれなりの形にする能力が大切なのです。
   逆にこうした能力がなければ、日々新しい業務に取り組み続ける中小企業の“人財”
   とはなり得ません。

  ◎問題を発見し、早期に報告できる
   問題を発見して「何となく、これはおかしい」と感じるセンスが大切です。
   どんなに特定分野に強くても、「専門外なので、ほかの部課に任せておけばいい」と
   流してしまう人材は問題です。
   あらゆる問題をすべて自身で解決する能力までは必要なくても、問題を見つけ、
   早期に社長や上司に報告する姿勢は不可欠です。
   報告を受けた社長や上司は、皆で相談して善後策を検討すればよいのです。

 3.社長の誤解 
  中小企業の社長の中には、「優秀な人材を獲得」するということは、大企業が優秀と
  する人材を獲得することであると考える人がいます。
  しかし、ここまで紹介してきたように、中小企業にとって理想的な人材とは、特定の
  分野で専門的な能力を発揮すると同時に、どんな業務もバランスよくこなす万能な
  存在となります。

  けれど、こうした人材は多く存在するものではありません。
  これが、中小企業が優秀な人材を獲得することは容易でないということの由縁です。
  それならば、優秀な人材の獲得に注力するばかりでなく、基本的なビジネススキルを
  持つ人材を多く求め、社員一人ひとりが企業活動を支えるような企業風土をつくり
  上げるほうが重要といえます。

  大企業が採用するような、100点満点の能力を持った完成された人材ばかりを追い
  続ける必要はありません。
  どんなことでも平均点を取れる人材を採用し、その後の人材開発によって、
   →資格取得を奨励するなどして、特定分野の能力をさらに引き伸ばす
   →さまざまな業務を体験させるなどしてバランス感覚を養う

  といった努力をすればよいのです。
  採用した人材の中に、社長の意向を十分に理解し、同じビジョンに向かって進もうと
  する人材がいれば、社長自らが将来の幹部候補生として教育することもできます。

□中小企業の採用活動
 1.現在の採用活動を振り返る 
  現在、多くの中小企業は大企業的な採用活動を行っています。
  大企業の採用活動は、多くの応募者の中から、いかに効率的に優秀な人材を獲得するか
  に主眼をおいたものです。
  しかし、大企業とは応募者数や面接官の能力が異なる中小企業が大企業的採用活動を
  行ったとしても成果を上げることは困難です(大企業には人事部があり、活動などを
  専門に行っています)。
  ここで、中小企業が大企業的に行う採用の基本的な流れをみてみましょう。

  ◎履歴書の内容
   履歴書の内容がどのように判断されるのかはおおむね以下の通りです。  
    ・学歴:高学歴であるほど高ポイント。中退は好ましくない。
    ・職歴:大手企業、有名会社ほど高ポイント。転職回数は少ないほど良い。
    ・資格:高度な資格を持っていると高ポイント。
    ・趣味、性格:面接時の話題程度。

  ◎適正検査など
   応募者の知能・常識レベルを知るために行われます。 
    ・SPI:鶴亀算などにより、知能指数を知る。
    ・一般常識検査:時事的な経済用語から時の首相名など幅広く問われる。  ・適正検査:YG検査などにより、聴場への適正を知る。 

  ◎面接 
   面接の場では以下のような質問がされます。
    ・志望動機:自社業務に魅力を感じていれば高ポイント。
     賃金や勤務地での志望は好ましくない。
   ・態度、風貌、口調など:最低限のマナーがあれば良し。
               面接官の好みで左右されやすい。

  ◎採用の決定
   履歴書の内容、面接時の応対を検討したうえで、面接官が
    ・彼は物事をはっきりと話し、考え方がしっかりしている(ように見える) 
    ・彼女は明るい表情で、運動をしていたから頑張り屋さんだ(と思う)  
    ・彼のキャリアはすごい。きっとわが社でもバリバリやってくれる(だろう)
   と感じれば、採用される(次の面接に呼ばれる)わけです。

 2.求める人材は獲得できたか
  以上のような採用活動で、求める人材を獲得できた中小企業は多くないはずです。
  前述の通り、大企業の採用活動は、効率的に優秀な人材を選別するためのものですが、
  そもそも応募者数が少ない中小企業が同じ方法を取っても成功するのは困難であり、
  せっかくの人材を落としてしまうことにもなりかねません。

  そして何より、採用活動の早期から社長が参加し、応募者を選考できる中小企業の
  強みが生かされていません。
  中小企業が求める人材を獲得するためには、現在の採用活動を見直す必要がある
  でしょう。
  例えば以下の通りです。

  ◎履歴書の見直し
   履歴書は、応募者の属性を知るための重要な書類です。
   履歴書の書き方にも大きな差が出てくるものです。
   けれども、履歴書から得られる情報に極端に傾倒するのは問題です。
   履歴書から学歴や資格は分かっても、職場でどのような働きをするかを判断する
   ことはできません。

   また、履歴書の情報はかなり優秀でも、実際に採用してみると、それが見掛け倒し
   であることなどは頻繁に起こるのです。
   このような反省は多くの企業で行われており、履歴書の提出をなくした大企業も
   あります。

   採用活動がシンプルな中小企業なら、履歴書の活用方法は広がるはずです。 
   例えば、履歴書は採用のための応募シートと考え、そこからは、求職者の氏名、
   住所、連絡先などの情報を得るためのものとしてとらえます。
   その他、企業が本当に知りたい 前の企業ではどんな仕事に従事し、どんな成果を
   上げたのかなどの情報はレポート形式で別紙として提出させます。

   履歴書にも自己アピールの欄はありますが、スペースが小さいので十分では
   ありません。
   また、一つの事項を分かりやすく文書にまとめることは意外と難しく、レポートの
   内容、構成、誤字脱字などから履歴書からは分からない情報を得ることができます。

   このような方法を大企業が行おうとすれば、何百、何千といったレポートに目を
   通さなければならず、到底実現できるものではありません。
   けれど、応募者数が少ない中小企業ならば可能なのです。

  ◎適正検査の見直し 
   多くの企業では、採用活動の一環としてSPIなどの適正検査を行います。
   これは、求職者の常識や知能のレベルを探り、人数を削るためのもので、落とす
   ための試験です。
   このような試験形態を改め、
    ・過去にあったクレームの実例を紹介し、どのように対処するかを問う  
    ・自社の販売数量を伸ばすためのアイデアを問う
   など、より実践的なものとしてみてはいかがでしょう。
   学歴や職歴は人並み、他の応募者と比べて目立たない存在であった応募者から
   優れたアイデアが出されることもあります。

  ◎面接の見直し
   応募者は、緊張して面接に臨みます。
   それは、面接は、自分が審査される場であると考えるからです。
   実際、面接官はさまざまな質問を投げかけながら、求職者を審査します。
   企業として、これから戦力となる人材を採用するのですから、審査という意味合い
   が強くなるのも当然です。

   けれども、多くの面接の場を見れば分かるように、あまりに審査的な色彩が強く、
   応募者が緊張していては、その人本来の姿を現すものではなくなっています。
   世間には、面接の上手な受け方などのマニュアル本が多数出版されており、そこでは、
   質問されたことだけに明確に答え、不利になるような余計なことは一切口にしない
   などと書かれています。

   実際、多くの応募者はマニュアル通りの受け答えをします。
   そうした求職者は何か物足りないなと感じるのはこうした理由からでしょう。
   そこで、面接に対する考え方を少し転換して、面接は、「企業と社員が互いの条件を
   提示し合って、両者にとって有効な契約を交わすことを判断する場」としてみては
   どうでしょう。

   もちろん、志望動機など必要最低限の質問は欠かせませんが、後はリラックスした
   雰囲気で面談を進めます。
   そうすれば、これまでの採用活動では見えてこなかった応募者の特徴に気づくはず
   です。

 3.採用活動の視点を転換する
  大企業と同じような採用活動を展開し、特定分野にだけ強みを発揮するような人材を
  採用する必要はありません。
  中小企業にとって必要なのは、バランス感覚に優れた人材です。
  しかし、現在の中小企業の採用活動は、多くの応募者の中から優秀な人材を選考する
  大企業的なものがほとんどです。

  そして、優秀な人材を求めるあまり、出身校や職歴、資格に目を奪われ、せっかくの
  応募者の適性を見落としてしまっているのです。
  中小企業が、本当に戦力となる人材を獲得したいのであれば、現在の採用活動を見直し、
  社長自らが応募者と接する時間を設け、また応募者にはさまざまな角度から課題を
  与えてみることが大切なのです。

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若手社員の能力アップ

               

若手社員の能力アップ

なぜ、若手が育たないのか?
 「若手が育たない……」と、頭を悩ます中小企業の経営者は少なくありません。
 若手に素養がないのであれば、それは採用選考の問題です。
 しかし、素養があるのに伸ばせないということであれば、それは教育の問題であり 、早急に
 改善しなければなりません。

 若手が企業を見限るのは早く 、教育体制への不満や将来のキャリアへの不安を感じると、
 早期に離職してしまうことがあります。
 中小企業の社長は、若手の定着率向上を意識しつつ、若手が育つ教育体制を構築しなければ
 なりません。

 入社後2〜3年を経過した若手社員は、「企業という組織の中で業務をする」ということに
 慣れ、一人のビジネスパーソンとして自分なりのリズムを持ち始めています。
 また、自分が担当する業務だけではなく、関連する業務も含めて一通りの流れを把握
 できるようになり、比較的高い視点から、客観的に企業や自分のことを見つめることが
 できるようになっています。

 このように、「ビジネスパーソンとして自分なりのリズムを持つこと」「1段階高い
 視点から、客観的に企業や自分のことを見つめること」ができるようになったということは、
 ビジネスパーソンとして基本的な資質を備えつつあることを意味しています。
 上司の細かな指示を受け、その通りに業務を遂行することに精一杯だった新入社員のころ
 とは比べものにならないほど、大きな成長を遂げているといえるでしょう。

 一方、入社後2〜3年の社員は、自分が担当している業務に十分なやりがいを感じられなく
 なる時期でもあります。
 自分が担当する業務については、比較的処理スピードが速くなり、時間的・精神的な
 余裕ができるため、入社後2〜3年の社員の多くは「今の業務については、上司から最低限の
 指示を受ければ遂行できるでしょう。

 困難でもよいから、もっとやりがいのある業務を担当したい」と考えるようになります。
 しかし、心の中で「もっとやりがいのある業務を担当したい」と考えるだけでは、上司は
 新しい業務をなかなか担当させてくれません。
 やりがいのある業務を獲得するには、自らが上司(企業)の要求するレベルをクリアする
 能力を持つ、あるいはクリアしようとする強い意志があることを示さなければなりません。

 入社後2〜3年もたつと、業務は「与えられるもの」から「自ら引き寄せるもの」へと変化
 するのです。
 以降では、入社後2〜3年の若手社員が、一歩先に進み、“できる社員”になるために
 求められる能力を、下図のような5つのステージに分けて紹介していきます。

□遂行力
 1.積極的にビジネスの「なぜ?」を解き明かす
  (1)はじめに
   入社後2〜3年の若手社員に求められる遂行力とは、上司の指示通りに業務を進め、
   終了させることではありません。
   積極的にビジネスの「なぜ?」を明らかにして、業務の意味を理解した上で業務を
   遂行する能力を指します。

 2.言われたことを言われた通りにこなすのは新入社員まで
  上司の指示は、部下のキャリアや能力によって変化します。
  例えば、報告書作成の指示を例に挙げると以下のようになります。

  【第一段階:上司は業務のゴールと納期を指示する】
   例えば、入社したての社員にクライアントに提出するための報告書の作成を指示する
   場合、上司は報告書の完成形(ゴール)を示します。社内のひな型や過去の報告書を
   示し、それと同じように報告書を作成するための手順を伝えます。

   また、その手順通りに報告書を作成するのに要するであろう時間を示した上で、
   納期についても指示します。
   この段階の上司の指示は実にシンプルなもので、イメージ的には“作業”を遂行する
   ための指示に近いといえるでしょう。
   入社したての社員に報告書作成の意味や提出先での承認の仕方を細かく教えても、
   消化不良になってしまうことを知っているからです。

  【第二段階:上司は業務の意味を教える】
   上記の第一段階の作業手順をマスターしたころになると、上司の指示の質は変わります。
   上司は、相変わらず報告書の完成形(ゴール)と納期は指示しますが、それ以外に
   業務の意味についても教えるようになります。

   例えば、その報告書がクライアント向けのものであれば、
    ・なぜ、報告書を提出する必要があるのか?
    ・なぜ、報告書に記載する内容が現在のものに決められたのか?
    ・なぜ、報告書の提出頻度が月に1回なのか?
    ・提出した報告書を、クライアントの誰が読むのか?
    ・これまで、クライアントから報告書に関して質問を受けたことがあるのか?
   といった内容です。
   これにより、報告書を作成することの意味(作成の必要性、作成された報告書の流れ
   など)を知ることができるため、社員はより具体的なイメージを持って報告書を作成
   できるようになります。

  3.「なぜ?」を明らかにして遂行する
   入社後2〜3年の若手社員であれば、上の第二段階までクリアできているはずです。
   上司に教えられた内容を理解し、指示通りに業務を遂行することはビジネスパーソン
   としての基本です。
   入社後2〜3年の若手社員にとって大切なのはこの先の段階です。
   第二段階までクリアした社員に対する上司の指示の質は、さらに大きく変わります。

   例えば、先の報告書の例でいえば、
    「B社に対してもA社と同様の報告書を作成することになった。
    提出期限は今月末なので、それまでに作成しておいてもらえないかな」
   といったような指示になります。
   この指示には、報告書の完成形(ゴール)がないため、若手社員は自分で完成形
   (ゴール)を考え、またこれまで実践してきた方法などに基づいて自分で進め方を
   考え、報告書の作成に取りかからなければなりません。

   こうした時の業務の進め方が非常に重要で、
    入社後2〜3年の若手社員に求められる遂行力があるか否か
   が問われるところでもあります。
   上の指示を受けた若手社員が、「A社と同様に作成すればよい。
   イメージはあて名の社名をA社からB社に変更するだけだ」と考えたのでは失格です。

   一番大切な、
なぜ、B社に対して報告書を提出することになったのかの理由が明らかに
   なっていない状況で報告書の作成に取りかかっては、B社(または上司)が望む
   報告書を完成できるか疑問です。
   また、「なぜ?」を無視して業務を進めようとする若手社員の姿勢にも問題が
   あります。

   こうした場合は、必ず上司に、B社に報告書を提出することになった理由を質問
   しましょう。
   上司も、若手社員が初めからB社に報告書を提出する理由を理解しているとは思って
   いません。

   むしろ、若手社員が質問してくるのを待っているはずです。
   また、質問する際に、単に聞くだけではなく、これまでの経験を生かして「自分なりに
   B社に報告書を提出する必要性」をあらかじめイメージしてみることが大切です。

  4.一つひとつの業務には必ず意味がある
   ビジネスにおいて「なぜ?」を解き明かすことは非常に重要で、これによって完成形
   (ゴール)が明らかになってきます。
   仮に、A社とB社に同じフォーマットの報告書を提出することになったとしても、
   報告書の作りやすさだけを追求した場合と、「なぜ?」を確認した場合とでは、
    結果は同じでもプロセスに大きな違い
   があります。

   入社後2〜3年の若手社員に求められる遂行力とは、「なぜ?」を明らかにした上で
   業務を進める能力です。
   初めのころ、若手社員が「なぜ?」を解き明かそうとしても、なかなかイメージする
   ことができず、上司に確認するだけの作業になってしまうかもしれません。

   しかし、この確認作業を繰り返すことで、
    一つひとつの業務には必ず意味がある
   ことを十分に認識できるようになります。
   上司に質問しながら、「なぜ?」を解き明か そうとする姿勢を習慣化しましょう。
   現にこうした「なぜ?」を解き明かす訓練は、次に紹介する「想像力」にもつながって
   いくのです。

□想像力:“風が吹けば桶屋がもうかる“ことをイメージする
 1.はじめに
  想像力とは、タイムリーな情報収集と客観的な分析によって明らかになる「最高の
  シナリオ」と「最悪のシナリオ」をイメージすることです。
  ビジネスの「なぜ?」を明らかにするように、「風が吹けば桶屋がもうかる」理由を
  想像することが大切です。

 2.ビジネスに確証はない
  “風が吹けば桶屋がもうかる”ということわざを聞いたことがあるでしょう。
  風が吹いたら砂が舞い上がり、目の悪い人が増え……最終的には桶屋がもうかる
  といった話ですが、途中はかなり強引なところもあり、とても現実的とは思えない
  部分もあります。

  しかし、ビジネスの世界では、この「風が吹けば桶屋がもうかる」的な想像をする
  ことが非常に重要になることがあります。
  企業経営の目的の一つは利益向上であり、仮にこれを最高のシナリオと位置付けたと
  します。

  この場合、社長は、利益追求のためのさまざまなプロジェクトを企画し、実際に
  開始しますが、100%成功する確証があるわけではありません。
  例えば、新商品を開発する際、「この商品はきっと売れる」という自信と希望は
  あっても、“確証”はないのです。
  これは、株式の相場などについても同じことです。

  このように、ビジネスの多くの部分は、想像力を発揮した上で導き出された仮説に
  基づいているといえます。
  そのため、常に、
   風が吹いた → 砂が舞い上がった…… → 自社がもうかる
  といった仮説を立てることは非常に大切です。

 3.客観的に情報を分析して仮説を立てる訓練をする
  ただし、ビジネスの多くの部分が仮説に基づいているとはいえ、全く根拠がない、
  希望的観測に基づいた仮説はリスクが大きすぎます。
  先に利益向上が企業の最高のシナリオとしましたが、逆にいうと売上減少や倒産は
  最悪のシナリオです。

  企業は、最高のシナリオを目指しつつも、一方で最悪のシナリオだけは確実に回避
  しなければならないわけですが、これも希望的観測に基づいた仮説では危険です。
  それでは、一体、どのようにして想像力を発揮すれば、最高のシナリオを目指しつつ
  一方で最悪のシナリオを回避できるのでしょうか。

  その一つの答えは、タイムリーな情報収集と客観的な分析にあります。 
  入社後2〜3年になると、新聞や雑誌から入手できる一般的なビジネス情報のほかに、
  社内外の人脈からも貴重な情報を聞き出せる環境になってきます(人脈がない場合には、
  人脈づくりを進めましょう)。

  こうして集まってきた情報を、できるだけ高い視点から客観的に分析して仮説を
  立ててみます。
  初めは、現状を最高のシナリオと最悪のシナリオに強引に結びつける極端な想像
  であっても構いません。
  あくまでも、想像力を養う訓練です。

 4.遂行力で養った「なぜ?」の答えがエッセンスになる
  日ごろから、想像力を発揮することを習慣化した後は、少しずつ仮説のレベルを
  現実的なものに落とし込む訓練をしましょう。
  新聞や雑誌から入手できる情報は広く一般的すぎるため、よほど自社(あるいは
  自社が属する業界)にダイレクトに関係する情報をキャッチできない限り、その
  情報を出発点とした仮説は、壮大すぎるか、的外れなものになってしまうことが
  多いためです。

  仮説のレベルを現実的なものに落とし込む際に非常に重要となるのは、前述した、
   「遂行力」を養う段階で明らかにしてきたビジネスの「なぜ?」
  です。
  これらは、「現実に行われている業務」「現実に寄せられた顧客からの要求」
  「現実に寄せられた顧客からのクレーム」「現実に発売された自社の製品」
  「現実に発売された他社の製品」について、それぞれの意味や必要性などを解き
  明かしたものです。

  ビジネスの「なぜ?」を解き明かす努力をしてきたビジネスパーソンしか入手・
  体感することができない貴重な財産といえます。
  自らが解き明かしたビジネスの「なぜ?」をベースに想像力を発揮し、仮説を立てる
  ことは非常にスムーズに進み、しかも現実的なものになりやすくなります。

  例えば、先の報告書の例でいうと、
   A社やB社と同様のサービスを提供しているC社に対して報告書を
   提出していない状況
  であったとします。

  一方で、B社が報告書の提出を求めてきたのは、
   サービスの利用状況・問題点を把握・分析し、改善するための
   提案をして欲しい
  という理由があったとします。

  こうした状況からは、
   ・問題点を把握したいということは、B社はサービスに十分に満足していない
   ・同様のサービスを提供しているC社もサービスに満足していない恐れがある
   ・先手を打って、C社に報告書提出と問題点の洗い出しと改善策を提案すれば、
    C社の自社に対する信頼が大きくなる可能性がある
   といった仮説を立てることができるでしょう。

 5.スタートとゴールの両方から想像する
  想像力を発揮する際は、できるだけ高い視点から物事を判断したほうが、より
  現実的な仮説を立てることができるようになります。
  最高のシナリオと最悪のシナリオの両方をイメージするのはそのためです。
  さらに、物事をスタートとゴールの両方から考えることも習慣付けましょう。

  つまり、
   スタート:風が吹いたということは、桶屋がもうかるかもしれないな
   ゴール:桶屋がもうかったということは、風が吹いたのかもしれないな
  といった考え方です。

  こうすることで、スタートとゴールの道のり(ブラックボックス)の進み方も、
  より現実的なものに近づいていきます。
  このようにして、想像力を養うことは、次に紹介する「進言力」につながっていきます。
  「進言力」がある部下を上司は信頼します。
  そして、信頼する部下には、難易度の高い業務を任せてくれるようになります。

□進言力:上司の参謀的な役割を担う
 1.はじめに
  進言力とは、想像力を発揮して立てた仮説の中で、自社に大きな影響を及ぼしそうな
  ものを敏感に感じ取り、いち早く上司に進言する能力です。
  進言は、相談や報告、説得ではありません。
  客観的な事実とそこから想像される仮説を分かりやすく伝えることが何よりも大切です。

 2.上司からのより大きな信頼を獲得するきっかけ
  想像力を発揮することで、ビジネスのさまざまな可能性を探ることができるように
  なります。
  次のステップでは、想像したさまざまな仮説の中から、自社に大きな影響を及ぼす
  かもしれないものを敏感に感じ取り、それを上司に進言します。

  その際、入社後2〜3年の若手社員は、忙しそうに働く上司に自分が立てた仮説を
  話したところで、とても取り合ってくれないだろうと臆してしまうことがあります。
  しかし、ここで立ち止まっていては先に進むことができません。
  この「進言力」のステップをクリアすることは、上司からの信頼を得る意味でも
  非常に重要といえます。

  ここまで紹介してきた能力は、
   遂行力:ビジネスの「なぜ?」を上司に確認するなどしながら解き明かす
   想像力:解き明かした「なぜ?」などを利用し、自分なりにいろいろと仮説
       を立てる
  といったもので、上司からみれば、「部下は部下である」ことに変わりはありません。

  一方、進言力を発揮するということは、「上司が想像もしていなかったことを、部下が
  自発的に伝える」ということであり、上司からしてみれば、「いつの間にか、そんな
  ことを考えられるようになっていたのか」と部下の成長を実感する瞬間でもあります。
  そして、自分に進言するという参謀的な役割を果たす部下を頼もしく思い、それまで
  以上の信頼を寄せるようになります。

 3.進言する内容に迷った時は
  進言は業務の定期報告とは異なるため、毎日1回、毎月1回のように定期的にするもの
  ではありません。
  大切なのは、
   ・進言すべき想像ができたときに(仮説が立てられたときに)
   ・できるだけ早いタイミングで
   ・周辺情報を交えながら、分かりやすく事実を伝えること
  です。

  また、進言する際に重要なのは「最悪のシナリオにつながる恐れのあるものほど
  確実に上司に伝えなければならない」ということです。
  入社後2〜3年の若手社員は、最高のシナリオの実現を重要視しがちです。
  しかし、むしろ大切なのは、最悪のシナリオの確実な回避であり、上司はこのことを
  十分に理解しています。

  そのため、最悪のシナリオを回避するための進言であれば、耳を傾けてくれるはず
  です。
  そこで、自分の中で「これは進言すべきほどのことではないかもしれない」と迷う
  内容であっても、自分で勝手に「進言しなくてもよいはずだ」と判断せずに上司に
  進言したほうがよいでしょう。
  また、自分の第六感を軽視してはいけません。

  ビジネスには、「まさか、あの仮説が現実になるなんて」といったことが往々にして
  あります。
  ビジネスに確証がないことに加え、企業経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化する
  現在では、突如として予期せぬ事態が発生することがあるのです。

  「何となく嫌な予感がする」といったような場合には、進言とまではいかなくても、
  上司の耳に入れておくほうが無難かもしれません。

 4.進言の基本は「報告+相談」のつもりで
  進言と相談や報告は異なります。
  具体的には、
   ・進言:(できるだけ)客観的な事実と、そこから想像される仮説を伝える
   ・相談:自分では判断できない事柄について話し合い、方向性を探る
   ・報告:私見などを交えずに、客観的な事実を伝える
   ・説得:ある事柄をプレゼンテーションし、納得させる
  といったようにです。

  進言の大きな特徴は、背景に客観的な事実がありながらも、その先はあくまでも仮説
  であるということです。
  また、必ず何らかの行動を起こすきっかけになるものとも限りません。
  要は、進言とは、「現状分析の結果と将来の可能性や危険性を示唆するもの」です。
  そのため、進言は、最終的に判断を下す上司にとって分かりやすいものであることが
  大切です。

  しかし、上司に進言することに慣れていない入社後2〜3年の若手社員の場合、上司を
  恐れて口ごもってしまったり、自分の想像に酔って妙に熱っぽく語ってしまうことが
  あります。
  そこで、上司に進言するときは、
   「報告+相談」
  のつもりで行ってみましょう。

  「報告」の段階では、客観的な事実のみを伝えます。
  その際の基本は、
   Why:なぜ What:何を Where:どこに How:どのように
   When:いつまでに Who:誰が How much:いくらで
  といった5W2Hを意識することです。
  5W2Hが明確なら、報告したい内容と相手に伝わる内容が大きく食い違うことは
  ありません。

  次に、「相談」の段階では自分の仮説を伝え、「私は、このようにしたらよいと思う
  のですが」といったように進言します。
  その際、自分の進言によって何らかの行動を起こした場合に想像できるメリット・
  デメリット、逆に何も行動を起こさなかった場合に想像できるメリット・デメリットを
  対比しながら伝えるとよいでしょう。

 5.進言は企画の訓練にもつながる
  例えば、「このようなサービスがあれば喜ばれるかもしれない」という仮説を立てて
  上司に進言するとしましょう。
  この場合、
   ・仮説の根拠となる情報の収集と分析
   ・分析結果の5W2Hへの落とし込み
   ・想像できるメリットとデメリット
  を理路整然とまとめ、進言することができるようになれば、次に紹介する「企画力」に
  つながっていきます。


企画力:現実的な視点で整理し、まとめる
 1.企画力
  企画力とは、これまでの「遂行力」「想像力」「進言力」を使い、現実的な視点で
  企業(顧客)のメリットにつながる取り組みを考え、まとめる能力です。
  画力のポイントは、これまで立てた仮説のうちビジネスとして成り立つものを選別し、
  そこに新しい視点を加え、実際に「実現する道しるべを立てる」ことです。

 2.仮説(想像)から“企画の肝”に気付く
  進言力のステップをクリアした段階で若手社員に求められるのは、
   ・これまで立てた仮説(想像)に新しい視点を加えた上で、「この仮説(想像)なら
    ビジネスとして成り立つ」というポイントを見つけ、「実現可能かどうか」を
    検証して道筋を立てていくこと
  で、具体的な形のある「企画」をまとめることです。

  例えば、クライアントの業界に関連する法改正が行われることになったとします。
   ・法改正によってクライアント内部では従来と異なった対応や準備が必要になる
   ・クライアント内部では対応や準備への十分な対策が立っていない
  という客観的事実から次のような仮説が成り立ちます。
   ・クライアント内部だけでは法改正への対応や準備を整えるのが困難だろう
   ・法改正への対応や準備をサポートしてくれるようなサービスを欲しがっている
    かもしれない
   ・手軽に法改正への対応や準備をサポートするサービスを提案すれば導入される
    可能性が高い

  ただし、「手軽に法改正への対応や準備をサポートするサービス」といっても、あまりに
  漠然としていてどのようなサービスなのかがイメージできません。
  一方で、クライアントの業界内で「インターネットの活用があまり盛んではおらず、
  今後インターネットの活用を促進しなければならないと考えているようだ」という情報
  を入手したとします。

  この情報を、新しい視点としてとらえ、
手軽といえばインターネットを活用するサービス
  がいいかもしれない
ということを、客観的事実に基づく仮説に加えることによって、
  インターネットを通じて24時間いつでも手軽に法改正への対応や準備について相談に
  乗ってくれるようなサービスがあれば導入されるかもしれない
といった、“企画の肝”が
  ひらめくのです。

  新しい視点は、適当に思いつきだけで加えられるものではありません。
  上記の例のように、まず第一に、
「今後インターネットの活用促進を考えているようだ」
  という情報をキャッチすること
が大切で、
  なおかつキャッチした情報に対して、
「これは使えるかもしれない」と気づくことが
  重要です。


 3.企画には「価格のメリット」が必要
  「これだ」という企画の肝が見つかったら、今度はそれを実現するための具体策を
  練ります。
  これが企画の根幹となります。
  その際、念頭におかなければならないのは、
企画を実現することによる現実的なメリット
  を打ち出すこと
です。

  この際に考慮すべきなのは、
クライアントと自社と双方にメリットがあるかという
  点です。
  例えば、価格について考えてみましょう。
  自社が提案するサービスを導入することによってクライアントが多大なメリットを享受
  できるとしても、提案するサービスの提示価格が高すぎれば、クライアントは導入しない
  でしょう。

  また、クライアントへの導入を目指すあまり、提示価格があまりにも低すぎると、
  自社の利益にはつながらない恐れが 出てきます。
  そこで、クライアントに提示する価格は、
   ・クライアントが享受できるメリット
   ・クライアントが捻出できる予算
   ・サービス構築に際して自社で発生するコスト
  などから検討し、算出することが必要となります。

 4.実現が可能かどうかの検証
  前述した「法改正への対応や準備についてインターネットを通じて相談に乗るといった
  サービス」が実現可能か検証してみます(常に予算については、念頭においておきます)。
  この場合、検証する項目には次のようなものが考えられます。

   ・クライアントにはインターネットによるサービスを導入する素地があるか
     →クライアントにおける現状のIT環境
   ・インターネットによるサービスをどのようにして構築するか
     →社内に構築ノウハウがある場合は、社内における構築ノウハウのレベル
     →社内に構築ノウハウがない場合は、構築ノウハウのある提携先の有無
     →構築ノウハウのある提携先がない場合は、提携先の発掘方法
     →構築に際して発生するコスト
   ・法改正への対応や準備の相談を受けるというサービスは構築できるか
     →社内で対応の可能・不可能
     →既存の提携先の中で活用できる先の有無
     →新規の提携先を発掘する必要性の有無
     →相談を受けるサービスに関して発生するコスト

  上記のような項目について検討し、
   スタートからゴールまでの“一枚の絵を描く”
  のが企画を立案する能力です。
  そして、企画が実現するかどうかについて、一つひとつの項目について検証していく
  ことは、次のステップの「実現力」につながります。

□実現力:計画を立て、調整を図りながら必ず実現させる
 実現力とは、企業の利益につながる企画などを現実のものとする能力です。
 これまでの「遂行力」「想像力」「進言力」「企画力」をすべて駆使して、企画を実現
 するための計画を立てます。
 また、実現に際して生じるさまざまな事案やトラブルを調整します。

 1.4つの能力をフル回転
  「実現力」のステップまで到達した段階で求められるのは、企画を実行し、実際に
  企業にとってメリットと利益を生み出す能力
です。
  そのためには、計画の立案、関係各所との調整などが必要となります。

  計画を立てる、関係各所との調整を行うといったように、実際に企画を進めていく際には、
   ・強い意志と責任感を持って企画の実現を“遂行”すること
   ・どのような計画内容で進めれば「最適な方法で企画が実現できるか」や「最も
    効果を上げることができるか」を“想像”すること
   ・企画の軌道修正や変更などを上司や部門長などに“進言”すること
   ・状況に応じて企画に変更などを加えながら臨機応変に企画を調整していくこと
  などが必要となってきます。
  すなわち、実現力には、「遂行力」「想像力」「進言力」「企画力」といった、
  これまで紹介してきたすべての能力が求められることになります。

 2.実現に必要な計画と調整
  企画を実現するために、
   ・ゴール(明確な実現時期と成果物)
  を設定して、そこから逆算して計画を立案します。設定したゴールを起点として、
   ・ゴールにたどり着くために必要な業務の詳細
   ・必要な期間と詳細な日程
   ・実現に必要な人材
   ・コストの算出
   ・提携先との提携方法と提携する内容
  などについて詳細に計画を立てなければなりません。

  また、計画を立てる段階で、さまざまな調整が必要となってきます。
  「実現力」には「必要な関係各所などと調整する能力」が欠かせません。
  特に提携先との連携が必要な場合は、足並みをそろえるためにも、実現時期や成果物、
  実現によって得る利益などについての綿密な調整が不可欠です。

 3.実現にトラブルはつきもの
  企画を実現するプロセスではトラブルが少なからず発生します。「日程通りに進まない」
  「クライアントから実現時期を早めるよう要請される」「プロジェクトチーム内で
  業務の振り分けがうまくいかない」「思わぬところで予想外のコストが発生した」
  「提携先との足並みがそろわない」など、さまざまなトラブルの発生が想定されます。

  トラブルの内容に応じて、
   大:実現の可否にかかわり、企画そのものの再検討が必要な大きなトラブル
   中:実現は可能だが企画の内容に変更点を加えなければならない中程度のトラブル
   小:企画内容を変更するまでもなく進め方を改善すれば解決する小さいトラブル
  といったように大・中・小などでレベル分けし、対処方法を検討していくとよいでしょう。

  その際には部門内で話し合う、場合によって上司や部門長などに相談して判断を仰ぐ
  ことなどが必要です。
  また、トラブルによっては、実現しようとしている企画の内容などを変更しなければ
  ならないかもしれません。

  このような場合は、どんな変更をすれば、クライアント、提携先、自社にとって
  メリットがあるのかという仮説を立て、最も三者のメリットを最大限に引き出すことが
  できるよう、改めて企画を練り直すといった“企画力”が必要です。

 4.“できる社員”に求められる最も会得困難な能力
  これまで、入社して2〜3年目の若手社員が、一歩先に進み“できる社員”となるための
  プロセスを、以下の5つの能力に分けてみてきました。
   「遂行力」:積極的にビジネスの「なぜ?」を解き明かす
   「想像力」:“風が吹けば桶屋がもうかる”ことをイメージする
   「進言力」:上司の参謀的な役割を担う        
   「企画力」:的確な視点で整理し、まとめる      
   「実現力」:計画を立て、調整を図りながら必ず実現させる

  これらの能力は、それぞれが個別に保持しているわけではありません。
  例えば前述したように実現力にはほかのすべての能力が必要となります。
  企画力には必要に応じて上司に“進言”することや、「風が吹けば桶屋がもうかる」的な
  “想像”をすることが必ず求められます。

  “できる社員”になるためには、一つひとつの能力を正しく習得するよう、自ら業務
  目標などに盛り込んで実行していく姿勢が大切です。
  ただし、この5つの能力のみで“できる社員”が完成するわけではありません。
  “できる社員”になるための根底にあるのは、「業務に対して全力投球で努力する」という
  能力と「組織の中で同僚や上司、部下などとの信頼関係を築きチームワークを大切にする」
  という能力です。

  そして、この2つの能力を持続することが、最も習得が困難で最も自分自身を高めて
  くれる能力といえるかもしれません。
  また、“できる社員”は、一朝一夕でなれるものではありません。
  自分の能力の至らなさに挫折してしまいそうになることもあるでしょう。
  しかし、自分自身に負けることなく一歩一歩着実に進んでいく“強さ”を持ち続ける
  しかないのです。


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交渉力を高める

          

交渉力を高める


  ■交渉力とは

   すべてのビジネスマンにとって、交渉力が重要な能力であることはいうまでもあり
   ません。

   顧客との交渉、仕入れ先との交渉、社内的な交渉など日々の業務は交渉の連続
   です。

   ここではビジネスに必要な交渉力とは何か、交渉力を高めるポイントは何かにつ
   いて紹介します。

   1.交渉とは合意に向けた共同作業     

     交渉力向上について考えるためには、そもそも交渉とは何かについて確認す
     る必要があります。

     私たちは交渉についてその重要性を認識していながらも、同時に「交渉とは強
     引に相手を言いくるめて、自分の主張を押し通す」ことと考えてしまいがち。

     しかしながら、交渉とは「物事に白黒決着をつけること」でもなければ「相手を
     打ち倒すこと」でもありません。

     交渉とは、利害の異なる双方が歩み寄って、合意を形成し合いながらビジネス
     を前に進めることです。

     たとえば、売買交渉で売り手と買い手の提示する値段に大きな差があり、互い
     に一歩も引かないとすれば、双方にとって何のメリットもありません。

     時間と労力を浪費するだけです。

     そこで相手を「敵」ではなく「パートナー」として認識して、妥協点を見いだしてい
     く交渉が必要になります。

     交渉とは、自社のメリットのみを利己的に追求していくことではなく、お互いの
     ビジネスを前進させるために不可欠な潤滑油といえるのです。

   2.理想は両者の利益の最大化

     理想的な交渉とは互いの利益の総和を最大にすることです。

     理想的な交渉を示すためによく取り上げられるのが、「オレンジの分配」という
     話です。

     【オレンジの分配】

      ある姉妹が1つのオレンジを取り合っています。
      どちらかが強引に奪った場合、相手には大きな不満が残ります。
      結局半分に切って分け合うことになりましたが、最後にもう一度
      話し合ってみると、妹はオレンジの実が食べたい、姉はケーキを
      作るためにオレンジの皮が欲しいということがわかりました。
      そこで、オレンジを切って分け合うのではなく、妹はすべての実を、
      姉はすべての皮を得ることで双方が100%満足することができました。

     実際のビジネス交渉でも、相手の本当のニーズを確認してみると話がまとまる
     ことはよくあります。

     たとえば、Aという商品の売買交渉が価格面で難航していても、実は買い手の
     ニーズはAよりもグレード・価格の低いBという商品で十分満たせることがわか
     れば、売り手と買い手の双方が満足できる交渉結果が得られることになりま
     す。

     交渉では表面的な対立事項にのみとらわれるのではなく、双方の本当のニー
     ズを踏まえたうえで、問題を解決していく姿勢が求められます。

  □交渉者の要件

   1.社会人としての常識・業界知識が十分に身についている

     交渉者は次のような基本要件を備えている必要があります。

     特に社外交渉において要件不足の社員に対応させることは、交渉の成果が期
     待できないばかりか、先方との関係悪化にもつながりかねません。

     すべての交渉は人と人との間で行われます。

     そして、ビジネスにおける交渉は、社会人同士、特定の業界人同士で行われ
     ます。

     交渉に当たっては、少なくとも自社の社員が相手から「交渉者としてふさわし
     い人間である」と認めてもらわなければなりません。

     服装がだらしなかったり、基本的な挨拶ができない人は相手にされません。

     また、業界の慣習や専門用語がわからなければ話は進まないでしょう。

     当たり前のことですが、会社の代表として交渉役を任せる以上、これらの点は
     十分に教育しておく必要があります。

     【ポイント】

      ・挨拶、服装、身だしなみ、言葉遣い(敬語・丁寧語)などの基本的な
       マナーを習熟している(基本動作

      ・自社の業務内容・業務プロセスなどを正確に理解している

      ・自社業界の商慣習・専門用語、業界がおかれている環境、競合動向
       などを十分に理解している

   2.十分な対人感受性がある

     対人感受性とは相手の立場や心情を理解し、それに応じた自分の言動によっ
     て、より良好な人間関係を構築する能力のことです。

     交渉が合意に向けた共同作業である以上、対人感受性は不可欠な要素とな
     ります。

     【ポイント】

      ・自分と相手の双方のおかれている状況を客観的に認識できる

      ・相手の話を真摯に最後まで聞くことができる

      ・相手が話したくなるような相づちが打てる

      ・相手の発言の目的(伝えたい、共感してほしい、意見が聞きたいなど)
       を理解できる

      ・話の内容だけではなく、話し方、表情などから情報を補足できる

      ・要点や全体の構成を整理して話すことができる

      ・自分が伝えたい情報(事実、考えなど)を相手に正確に伝えることができる

      ・相手が聞きやすい、聞きたいと思う話し方ができる

   3.一定の論理的思考力がある

     論理的思考とは、物事を「筋道を立てて考える」ということです。

     交渉に当たっては、なぜ自分がこのような条件を提示するに至ったかを相手
     に説明する必要があります。

     提示内容に論拠が薄く、たんなる自分の「主張」に止まっている場合は、説得
     力がありません。

     また、実際の交渉の流れのなかで、双方が納得できる着地点を探る際には論
     理的思考をフル回転させる必要があります。

     【ポイント】

      ・物事を「客観的事実」、「推測」、「主張」に分けて考えることができる

      ・何かを主張するときには必ず「論拠」を示すようにする

      ・物事を「イメージ」ではなく、できるだけ「数字」で捉えようとする

      ・表面的な事象にとらわれずに、因果関係に沿って問題の本質を深掘り
       することができる

      ・業務に取りかかる前には、その目的とゴール(達成すべき姿)を意識
       している

      ・何かを決定する前には、まずは複数の選択肢を設定して、比較検討
       している

      ・つねにメリット・デメリットの両面を意識している

      ・一見すると解決不能に思える制約条件についても、解決に向けた
       前向きな思考をする

      ・自分のおかれている状況や議論の流れについてつねに客観的に捉え
       ることができる

      ・目標未達成の場合には、なぜそうなったのかを自己分析し、改善に
       つなげることができる

   4.「交渉」についての正しい理解がある

     交渉の目的は、ともに歩み寄って「双方の利益の最大化を実現すること」にあ
     ります。

     むやみに攻撃的になったり、逆に相手の言いなりになっていては、よい交渉結
     果は得られません。

     社員を交渉の場に送り込む際には、彼らが交渉について正しく理解している
     かどうかを確認することが大切です。

  □交渉成功のためのポイント

   ここでは実際の交渉成功のために必要なポイントについて、

    1.交渉準備

    2.交渉中

    3.交渉後

   の3つに分けて紹介します。

   なお、ここでは自社商品を先方に販売するための販売交渉を例として取り上げて
   みます。

   1.交渉準備

     交渉の成否は準備段階で大半が決まるといっても過言ではありません。

     交渉する本人にじっくりと考えさせるとともに、上司はきめ細かい指導を行うこ
     とが大切です。

     (1)「目的」と「ゴール」を明確にする

       通常、ビジネスの交渉は1回で決着するものではありません。

       これから何度か行う交渉によって、何をめざすのかが、交渉の「目的」です。

       自社商品を販売する交渉では、最終的には「商品販売」が目的となります。

       目的を設定する場合には、その妥当性についての確認が大切です。

       たとえば、交渉先の信用状況が明らかに低下しているのに、高額の商品を
       販売することは、現金決済である場合を除いて、適切とはいえません。

       一方、「ゴール」とは次回の交渉終了時にどのような状態を実現すべきかと
       いう短期的な目標です。

       たとえば交渉全体のステップが、

        @担当者の理解を得る

        A決裁権者の承認を得る

        B契約書に合意してもらう

       となっている場合には、初回交渉のゴールは「@担当者の理解を得る」とい
       うことになります。

       交渉を行う前には必ず目的とゴールを確認しておくことが必要です。

     (2)自社の「マスト(MUST)要件」と「ウォンツ(WANTS)要件」を明確にする
       マスト要件とは、交渉のなかで自社が絶対に死守すべき条件です。

       たとえば、販売交渉においては、売り手にはこれ以上下げられない値引き
       のラインがあるでしょう。

       相手がそれを大幅に上回る値引きを迫ってきた場合には応じることはでき
       ません。

       一方ウォンツ要件とは、マスト要件以外にさらに獲得できたら好ましいとい
       う要件です。

       逆にいえば、マスト要件死守のためには、切り捨てても構わないという交渉
       材料です。

       たとえば、値引率の下限をマスト要件にした場合には、「販売数量」、「支払
       い条件」などがウォンツ要件として考えられるでしょう。

       交渉を行う前にはマスト要件とウォンツ要件を明確に認識する必要があり
       ます。

       ウォンツ要件をすべて通すことができても、マスト要件が死守できなけれ
       ば、その交渉は失敗です。

     (3)交渉相手の情報を入手する

       交渉相手に関する情報を事前にできるだけ多く入手しておくことで、よりス
       ムーズな交渉が期待できます。

       具体的には次のような情報が役に立つでしょう。

        ・業界情報

         ……市場、競合、新技術、他業種からの参入、法規制、業界慣習、
            業界共通の課題など

        ・企業情報

         ……経営理念、経営戦略、経営者、強み・弱み、主要事業・商品、
            意思決定プロセス、主要取引先、業績推移、財務状態、組織
            体制、新規事業進出や撤退の状況、業界内の評判など

        ・交渉相手の情報

         ……経歴、年齢、社内でのキャリア、決裁範囲、責任範囲、主要
            関心事、性格など

       情報入手の方法としては、インターネットや業界紙の活用などが一般的で
       しょう。

       また、可能であれば取引先などからの生の情報を集めます。

     (4)先方の反応を予測して交渉をシュミレーションする

       自分が示す条件について、相手がどのような反応をするかを予測して、あ  
       らかじめ交渉のシミュレーションをしておくことも大切です。

       たとえば、こちらが希望する販売価格を提示した場合には、その根拠を求
       められることも多いでしょう。

       自社商品の特徴や競合品に対するメリットなどを、具体的に、かつできるだ
       け数字で示す準備をしておかなければなりません。

       また、交渉が進んでくれば、「提案されている倍の数量を発注するから、も
       う少し値引きしてくれ」といった要求をされることもあるでしょう。

       想定問答を十分に行っておきましょう。

   2.交渉中

     交渉中は、相手が今何を感じているか、どうしたいと考えているかなど、相手
     の心情をつねに理解することを心掛けます。

     (1)信頼関係を構築する

       交渉のスタート段階では相手との信頼関係構築に努めます。

       まずは相手が交渉の場についてくれたことに礼を述べることから始めます。

       そして自分はこちら側の都合を押しつけるのではなく、双方が納得できる交
       渉結果をめざしているという真摯な姿勢を示します。

     (2)相手のニーズを引き出す

       交渉は相手に先に話をさせて、こちらがそれに応える・質問するという流れ
       をつくることが基本です。

       相手に気持ちよく話をさせて、より多くの情報を引き出すためのポイントに
       は次のようなものがあります。

        ・相手の話を遮らない、最後まで聞く

        ・適切な「相づち」や「うなずき」を入れる

        ・特に重要な部分では相手の言葉を要約して繰り返す

        ・メモを取りながら聞く

       相手の話を最後まで聞いたら、疑問点を質問します。

       質問にはオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンがあります。

       @オープンクエスチョン

        相手が自由に答えられる質問。
        そのテーマについて幅広い情報を得たい場合に有効

        例)御社は仕入れに当たって、どのような点を重視していますか?

       Aクローズドクエスチョン

        イエスかノーの答えを求める質問。
        こちらが聞きたい点をピンポイントで確認する際に有効

        例)商品Aと商品BではAのほうに関心をおもちですね?

       このように、オープンクエスチョンで幅広い情報を集めたうえで、クローズド
       クエスチョンで本当に知りたいことを確認するというプロセスを繰り返します。

       適切な質問によって、相手の本当のニーズを明らかにしていきましょう。

     (3)論理的に主張する

       自分の考えを主張する際には、

        @明確な事実

        A自分の意見

        B提案・お願い

       の順で説明すると、説得力が増し合意を得やすくなります。

       たとえば、自社商品の値上げをお願いする際には以下のような方法が考え
       られます。

       @明確な事実

        世界的に原材料価格が高騰しており、弊社の材料仕入れ費も
        前年比20%増しになっています

       A自分の意意見

        社内でもさまざまなコストダウンを行っていますが、品質維持の
        ためには限界がきています

       B提案・お願い
        ついては5%の値上げにご了承いただけないでしょうか

     (4)妥協点を見いだす

       交渉で双方が歩み寄るということは、それぞれがマスト要件を死守しなが
       ら、ウォンツ要件を切り捨てていくことです。

       交渉の過程で先方のマスト要件が見えてきたら、その点は了承したうえ
       で、自分のウォンツ要件をどれだけ通せるかに頭を切り替えます。

       たとえば、相手の値引率の要求が5%であり、それが自分のマスト要件の
       範囲内であれば、「わかりました。

       その点については私が上司に掛け合って何とかします」と、こちらが折れた
       という姿勢を示します。

       これによって先方は「自分の主張が通った」(交渉に勝った)という満足感を
       得ることができるでしょう。

       そのうえで、「今回は特例ですので、支払い条件を通常よりも短期にしてく
       れませんか」という具合にお願いするのです。

       気をよくしている相手がこれを認めてくれれば、自分はマスト要件に加えて
       支払い条件の向上というウォンツ要件を獲得したことになります。

       このようにできるだけ相手に満足感を与えながら、自分にとって有利となる
       落としどころを探ることも交渉の重要なテクニックのひとつです。

   3.交渉後

     交渉後には今回の交渉についての振り返りを行います。

     最終的な交渉結果の善しあしだけではなく、準備段階も含めた交渉プロセス
     全体について、反省点や今後の課題などを明確にします。

     交渉した本人による振り返りだけではなく、上司がきちんと指導することが大
     切です。

     また、交渉が「うまく行きすぎた場合」にも注意が必要です。

     今回の交渉だけに限定して考えれば、大成功といえなくもありませんが、通常
     は相手との取引は今後も続くはずです。

     相手が無理強いされたという不満をもち、それが「不信」につながるようであれ
     ば、長い目でみれば決して好ましいことではありません。

     交渉後の振り返りは、双方が十分に満足できたかどうかという視点から行うこ
     とが大切です。

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プロの人材を育成

          

プロの人材を育成

  ■プロフが求められている 

   会社は「プロ」の職業人の集合体のはずです。

   特に少数精鋭で勝負する中小企業では、プロ意識が欠如している社員が数人
   混ざっているだけで、経営力は大きくダウンします。

   人生において仕事の位置付けを示すとするならば、そのことを人生の「目的」と
   するか「手段」とするかでしょう。

   食べるため、生きるため、遊ぶためのみであるならば、それは手段であり、つまりは

   「アマチュア」の域を抜けることはできません。

   「プロとは仕事を人生の目的とする」のであって、私たちは改めて仕事を通じて
   自己の豊かさづくりを目指すことが近道であることを知っていただきたいのです。

   情報通信技術の発達とグローバル化の進展が相まって、猛烈に早い社会の変化

   のなかで、「時代」を捉えた的確な経営判断をしていかなければ、あっという間に
   世の中の動きから取り残されてしまいます。

   これまでの「マスマーケティング」は通用せず、製造業、サービス業とも、「個」客に

   あわせたワンツーワン(One to one)マーケティングにやり方に変えなけれ
   ば、生きていけない時代となりました。

   小が大に打ち勝つ時代、新興企業が社会のニーズをすばやく捉えて、成長するこ
   とも可能です。

   中小企業にとっては、今は絶好のチャンス。

   まさに、チャンスとリスクが隣り合わせ、このような時代にめぐり合ったことを幸せ
   に思うべきかもしれない。

   現在では、企業規模の大小が問題ではなく、「変化への対応の有無」が勝敗を決
   めることとなります。

   「個」客のニーズを的確に捉え、「個」客の満足を得る商品、サービスを、客の期

   待する品質で、安く、タイムリーに提供できるかどうかが、勝負どころとなります。

   中小企業は資源を分散しては勝負に勝てないので、経営資源を一点に集中、ある分野
   で圧倒的な強みをもつ、ユニークな会社となるのが当面の目標となる。

   そのために重要なことは、経営トップが企業の将来ビジョンを社員と共有し、経営
   の迅速な舵取りをすることが求められます。

   すなわち、トップの思いを実現可能にする、プロフェッショナルの存在が不可欠と

   なります。

   いかにして、プロを育て、プロが育つ、プロが集まってくる会社とするのかが、勝敗
   の分かれ目となります。

  □仕事を任せられる存在
   中小企業の社長は、「わが社はもともと知名度がないから、いい人材がいない」
   「うちは賃金が安いから良い人が集まらない」、というような話をよくします。

   しかし、大手から中堅・中小までさまざまな会社に関与して感じるのは、必ずしも
   そうではないということです。

   大手企業は業務の細分化・分業化が進んでいるので、一見、一人ひとりの専門
   性はありそうに見えますが、実は、自社のことしか知らないという人も少なくない。

   むしろ、元気な中小企業は、社員がプロフェッショナルとして生き生きと働いてい

   ます。

   自社独自の事業コンセプトの実現のために、他社との厳しい競争環境のもと、日
   夜懸命に知恵を働かせることで、社員は自然と鍛えられているようです。

   また、社長が日常的に接していられる近い存在であるために、その考え方、行動
   を間近に見ているうちに、大きく.影響を受けるのでしょう。

   会社が小さいうちは、社長が何から何まで全てを自分でやらなければなりません

   が、それでは会社の成長に限界があります。

   一定の規模以上になれば、事業や機能ごとに、しかるべき腹心の部下を配してい
   くことになります。

   仕事を安心して任せられる人材でなければ、円滑な事業運営は適いません。

   そこで、中小企業ほど、多くのプロフェッショナルを必要とします。


  □プロフェッショナルの条件
   中小企業では、1つの職能しか担えない管理者だけでは、事業がうまく回らない。

   経理・財務と人事・総務の両方ともわかっている人、工場の「ものづくり」・製造管
   理を熟知している営業担当者といった、複数の異分野の仕事に精通している人
   材が戦力となります。

   プロフェッショナルには、等しく兼ね備えるべき、以下の4つの条件があります。

    1.高度な職業能力
      企業活動の実務実践のなかで培われ、確かな実績を上げてきた、他の追随
      を許さない、高度な職業能力を持っていることが基本となります。

      その人が担当する業務領域において、瞬時に状況を判断でき、短時間で的
      を射た最適な措置を講じられる力量が求められます。

    2.社外でも通用する市場価値
      その人が持つ職業能力が、社内で認められるだけでなく、社外でも通用する
      ものでなければならない。

      その会社での仕事のやり方を知っているだけならば、在職年数の長いベテラ
      ンの領域です。

      社内での実務に深く精通しているとともに、担当分野の一般論、他社事例や
      周辺分野との関係まで熟知しており、自分なりの理論体系、実践方法が確
      立している必要があります。

    3.業績への貢献
      その人の仕事の成果によって、所属企業の経営に現実に利益をもたらし、結
      果として会社の財務値に直接的・間接的に影響を与えることが求められる。

      仮に先端分野の難しいことを知っていても、会社経営のなかで活用されない
      のでは、単なる「物知り」であって、プロフェッショナルとは言えません。

    4.プロとしての職業倫理
      プロフェッショナルには、約束したことを納期までに何が何でもやり切り、結果
      を必ず出すことが求められる。

      その約束を果たせなかった時点で、プロではなくなります。

      また、社会やその業界のルールを遵守して、仕事をしていくのは当然です。

  □ひたむきな自己啓発
   人はいかにしてプロフェッショナルになるのでしょうか。

   はたして、プロフェッショナルは社内で「育成」できるのでしょうか。

   結論から先に言うと、残念ながら、「ノー」です。

   プロフェッショナルは「育成」されるものではなく、本人自身の意思で、勝手に「育っ
   ていく」というのが実際のところです。

   私たちは、自分の担当している仕事を極めることで、誰でもプロフェッショナルにな
   れます。

   プロフェッショナルになる機会は、平等に万人に与えられていますが、そこには、
   ふつうの努力では到達し得ない厳しいものがあります。

   プロフェッショナルとなる鍵は、あえて困難な仕事に挑戦して、懸命な努力を傾け
   ることと、自分の職業能力をさらに高めるためのひたむきな自己開発にあります。

   では、人はどのようにして、プロフェッショナルになっていくのでしょうか。

   次のようなステップがある。

    1.自己決定
      あることをきっかけにして、「自分はこの分野でひとかどの人物になる」ことを
      自分自身で決めることから、プロフェッショナルへの道は始まります。

      本人の「なりたい」との願望だけでは「なる」のは難しく、「なる」と周囲に宣言
      することで、目標を定め、強固な意志でプロとなる取り組みを開始します。

      会社や仕事のこともほぼわかりかけ、社会人・職業人としての方向を定めな
      ければならない、20歳代後半くらいの時期が、自己決定の適齢期といえる。

    2.自身を磨く
      日々あえて難しい仕事に挑戦し、その経験を一般化しながら、自分の目指す
      分野について、知識、技能の体系化を図ります。

      ここに、膨大な時間を要します。

      関連する情報を収集、分析、整理して、その分野の知識について自分なりの
      体系化を行なうとともに、技能が身に付いたかどうか、実際に模擬演習もし
      てみます。

    3.実践体験
      知識、技能が身に付いたところで、わかったことを、どんどん職場で実際に
      やってみます。

      職場での実践を重ねることで、その分野について、さらに多くの知見を蓄積し
      ていきます。

      実践体験を積み重ねることで、自分の専門分野の全体構造が見えてくる。

      だんだん社内の関係部暑からも頼られる存在になっていきます。

   4.武者修行
     やがて、自分の職場ではナンバーワンとなり、周囲からも一目を置かれる存在
     に成長していく。

     ある程度自信を持っても、そこで自己満足せず、さらなる高みを目指します。

     社外の同分野のプロとつきあい、その道の先達を求めて、教えを乞います。

     自分の位置付けがだんだんわかってくると、さらに学ぶべきことが何なのかが
     見えてきます。

   5.再び実践、さらに実践
     職場での実務実践を繰り返していくうちに、やがて、知る人ぞ知る存在になり、
     いつしか、第一人者、押しも押されもせぬ、プロフェッショナルに成長していく。

  □中小企業でのプロフェッショナルづくり
   中小企業では、さまざまな制約があるなかで、どのようにプロフェッショナルづくり
   をしていくのか、を考えてみましょう。

   プロフェッショナルづくりには、教育、人事両面からのアプローチがあります。

   ◎教育面からのアプローチ
    社内教育には、Off-JT(職場外での集合教育等)、OJT(上司・先輩からの指
    導・育成)、SD(自己開発)の3本柱があります。

    そのうち、自分自身が目指す分野を深耕する、自己開発がプロフェッショナルと
    なる決め手となります。

    しかし、本人がプロフェッショナルになろうとする気持ちを後押しし、本人の勉強
    をバックアップするのは、広義の教育として企業の役割です。

    まず、プロを目指す、自己決定にあたっては、上司・先輩からの刺激(OJT)に誘
    発される効果は大きいものがあります。

    身近な上司・先輩の仕事ぶりを見て、自分も将来あのように仕事をしたいと思
    い、あることを契機に、本格的に勉強を開始するのが、プロとなる第一歩です。

    プロを育てられるのはプロだけであり、上司・先輩が、日頃見本・手本となるよう
    な仕事をしていることが基礎となります。

    「この分野の基本書はこれだから、読んでみたら」とか、外部のセミナー受講に
    誘うといったことが、きっかけになります。

    また、日常の話のなかで、どのようなスタンスで仕事をするべきかについてアド
    バイスを与え、本人が自分の能力をさらに高めるように仕向けるのも有効です。

    その後、学会や研究会への参加、外部への論文投稿を勧めるなど、上司・先輩
    からの意識的な働きかけが、本人の自発的な学習行動を駆り立てます。

    中小企業では、この上司・先輩の役割を演じるのは、多くの場合、社長をはじめ
    とした幹部社員となる。

    会社としてOff-JTのなかで、「プロフェッショナル重視」を体現するためのさまざ
    まな施策を講じて、そのスタンスを明確にするのも有効な手段となります。

    集合研修では、新入社員・若手社員の頃から、会社としてのプロフェッショナル
    への期待、中堅社員にはプロフェッショナルとしての「自立」を促すといったこと
    が効果的です。

    また、本人が自ら能力向上に取り組もうとした時に、社内外の技術・技能研修、
    外部セミナー、通信教育等をバックアップする等、会社の施策も有効なものにな
    ります。

    中小企業では、規模での制約はあるものの、工夫の余地はあります。

  □人事・組織面からのアプローチ
   組織面では、プロフェッショナルが縦横無尽に活躍でき、プロ同士の連携が容易
   に可能となる、ネットワーク型組織が理想となります。

   一方、プロフェッショナルとしての本人の専門性、創造性がいかんなく発挿でき、
   仕事ができるように、上位者からの大幅な権限委譲があり、自由裁量の余地が
   大きく認められていることも重要な要素です。

   また、プロフェッショナルの本質である、「困難業務請負人」の業務遂行形態に合

   わせた、就業面や雇用・採用形態の見直しも考える必要があります。

   人事については、本人の能力と、本人の行う仕事の質を限りなく近づけ、その成
   果・業績を正しく評価することが基本であり、プロフェッショナルの仕事とその結果
   を適正に評価して、貸金に反映する、人事評価制度、賃金制度への見直しもする
   必要があります。

  □社員への明確なメッセージ
   会社として、プロフェッショナル人材育成を真剣に考え、どう実行しているのかが、 
   もっとも重要なこととなる。

   つまり、会社として「こうあって欲しいプロフェッショナル像」が明確かどうか、社員
   にメッセージとして伝えられているかどうかです。

   主要な職務ごとに、プロフェッショナル人材としての当面の目標(ゴール)人材像

   および、それとリンクした具体的職務評価基準が、社員に示されている必要があ
   ります。

   目標人材像とは、若手社員が仕事に打ち込み、かつ自己開発に努力すれば、10
   年くらいの期間で到達できる、モデルとなる、「あるべき人材の姿」のことを指す。

   工場長、店長、購買責任者、関連会社の人事課長その他、それぞれの会社・部

   門で共通認識が得られる職位を決めて、その日標人材の仕事のやり方のイメー
   ジを言葉にします。

   次に、そのために、必要とする職務経験、知識・技能を明らかにして、各人の成長
   段階ごとにどのように習得すればよいかを決めます。

   人事と教育は人づくりの両輪ですが、いかに整合性をとって進めて行くかが、ポイ

   ントとなります。

   目標人材像と具体的職務評価基準が社員にオープンにされ、経営・管理者がそ
   の目標・基準を常に意識しながら、日々部下と接触することで、プロフェッショナル
   が集まった、強い集団を形づくることができます。 

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社員のキャリアプラン

          

社員のキャリアプラン

  ■キャリアプラン作成の意義

   すべての社長は、自社の社員が仕事・プライベートの両面で幸せな人生を送ってほし
   いと考えているはずです。

   そして、「仕事」についてはできるだけ長く自社でその力を発揮してほしいとも願って
   いるでしょう。

  □まずは真剣に向き合わせる

   キャリアプランとは、「仕事人としてどのように能力を高めていきたいか」、「どのよう
   な経験を積んでいきたいか」などを示す社員の長期的な成長プランをいいます。

   キャリアプランを作成することで、社員は努力の方向性が定まり、自身の将来的な
   社内ポジションをイメージすることができます。

   多くの会社では社員にさまざまな形でキャリアプランを作成させていますが、形式的な
   ものにとどまり、ほとんど成果につながっていないケースも少なくありません。

   社員たちは「自分はこんな能力を高めたい」という漠然とした思いはもっています。

   しかし、その能力をいかして、これからの長いビジネスマン人生をどのように送るの
   か、たとえば、「40歳までに技術力とマネジメントカを鍛えて技術部門のトップになる」
   といった、キ ャリアプランをしっかりともっている社員は少ないと思います。

   そもそも「そんな先のことなんかわからない」、とキャリアプランを作成すること自体が
   無駄だと思っている社員もいるでしょう。

   たしかに10年、20年先のことを今考えたところで、そのとおりに話が進むほうがむし
   ろレアケースです。

   しかし、「10年後にこうなりたい」という目標を決めて臨む今後の3年間と、目標を何も
   定めずに過ごす今後の3年間では、その密度に大きな差が出ることは明らかです。

   当然成長のスピードもまったく違ってくるでしょう。

  □「会社価値」と「市場価値」

   そもそもビジネスマンの成長とは、現在所属している会社における「会社価値」基準
   での成長と、社内外を含めた「市場価値」基準での成長の2つの視点から捉えること
   ができます。

   1.「会社価値」基準での成長

     社内に限定した成長基準です。

     本人の能力そのものの成長よりも、その会社で求められている役割に応えて
     いくための成長が優先されます。

     会社の考え方や慣習もそのまま身につけていく必要があります。

     極端な表現をすれば「会社の型にはまっていくための成長」といえなくもありま
     せん。 

     転職が当たり前の昨今では、社内での成長のみを前提としたキャリアプランは
     社員にとって現実味が薄いかもしれません。

   2.「市場価値」基準での成長

     活躍の場を社外にまで広げた成長基準です。

     一人のビジネスマンとしてこうなりたいという夢の実現に向けた純粋な意味で
     の成長です。

     現在所属している会社はそのための修行の場ということになります。

     社員は「この会社ではもう修行する意味がない」と感じれば転職や独立も選択
     肢として考えます。

     会社が社員にキャリアプラン作成を命じる場合、通常は(1)「会社価値基準で
     の成長」を意図しています。

     仮に社員自身が(2)「市場価値基準での成長」を明確に描いていたとしても、
     たとえば、「5年後には一流の技術力を身につけてこの会社を卒業する」と表
     明できるものではありません。

     キャリアプラン上ではそれを取り繕って、「自社の経営幹部になりたい」と記入
     することもあり得ます。

     その場合、会社はその目標をかなえるために、成長ステップのひとつとして人
     事などのスタッフ職を用意するかもしれません。

     これではキャリアプラン作成は社員と会社双方にとってむしろマイナスになっ
     てしまいます。

  □「本音」のキャリアプラン

   社員の側に立ったキャリアプランとは、現在所属している会社のなかでどのようなキャ
   リアを積んでいくかということに限定されるものではなく、転職や独立も選択肢にあり
   ます。

   つまり、「会社価値基準での成長」よりも「市場価値基準での成長」が優先されます。

   会社として社員にどのようなキャリアを積んでほしいかという会社価値基準を示すこと
   は必要ですが、それ以外のキャリアプランを志向する社員についても、否定せずに
   自由に作成させることが大切です。

   つまり、「会社」のためではなく、「社員自身」のためのキャリアプランづくりを支援す
   るというスタンスで臨むのです。

   そうすることで社員は「この会社は自分の人生について損得抜きで真剣に考えてくれ
   ている」という信頼感を抱きます。

   そんな会社から社員は簡単には離れません。社員のスタンスに立つことが、結果と
   して社員流失の抑止につながります。

   また、「本音」のキャリアプランを聞くことで、優秀な社員に社内で働き続けてもらうた
   めに、会社自体がどのように成長していくべきかを考えることができます。

   彼らの期待に応えるために必要な業務レベル・職場環境・社内ポジション・待遇などに
   ついて明確化していくのです。

  □キャリアプラン作成の意義

   キャリアプラン作成の本当の意義を社員・会社双方の立場からまとめると以下のよう
   になります。

   1.社員にとっての意義

     ・現時点での自分のキャリア目標・成長ステップを「真剣に」考えて明確にする

     ・現在所属している会社の枠にとどまらず、「市場価値」に軸をおいたプランを
      作成する

   2.会社にとっての意義

     ・社員が建前ではなく「本音」で考えているキャリアプランを知ることで、それを
      社内で実現してもらうための会社自体の成長の方向性を明確にする

     ・「会社のため」ではなく、あくまでも「社員自身のため」に作成してもらうとい
      う、社員本位のスタンスを示す

     ・上記のような取り組みによって優秀な社員流出の抑止を図る

  □キャリアプランを作成させる

   キャリアプラン作成の際には、まずは会社にとって将来的に必要となる人材像やそこ
   に至るまでのモデルプラン(前述の「会社価値」)を示す必要があります。

   社員はそれを踏まえたうえで自身の「市場価値」も考慮しながら本音のキャリアプラン
   を作成します。

   まず、10年後の自分のめざすべき姿を描かせることから始め、その実現のための
   ステップを考えさせます。

   作成には直属の上司がマンツーマンで指導します。

   具体的には、以下の点を明確にします。

    ・キャリアゴールとキャリアコース

    ・10年後の理想像と理由

    ・その実現のために必要な知識・能力・経験とその度合い

    ・上記の必要条件と現状のギャップの整理

    ・ギャップ解消の課題

    ・5年後、3年後、1年後に到達しておくべきステップ

    ・今後1年間の詳細な計画、目標設定

    ・会社に期待する支援事項

   上司は部下が自分の作成したキャリアプランを読み返して、ワクワクしているか、本当
   にやる気になっているかを確認します。

   部下がワクワクしないキャリアプランであれば意味がありません。

   十分に時間をかけて部下にとって本当に魅力のあるプランになるように継続して支援
   します。

   そして、キャリアプランシートに落とし込みます。

   1.必要な人材像を示す

     自社の経営理念・ビジョン・戦略などを基に、将来的に必要となる人材像を明
     確にします。

     たとえば、一般的なメーカーであれば、「設計」、「製造」、「営業」、「スタッフ
     (経営企画、経理、人事など)」などの部門があるはずです。

     これらの部門ごとに10年後に必要な部門トップの人材像を設定します。

     当然ながら現在よりもハイレベルな人材が求められるでしょう。

     また、将来「研究開発」などの新たな部門を設けるのであれば、その部門トップ
     の人材像も設定します。

     これが会社価値基準のなかで社員たちがめざすべきゴールになります。

     次にそれぞれの人材に必要な知識・能力・経験などについて定義していきます。

     たとえば、製造部門のトップであれば、幅広い専門知識や技能、大規模な組
     織をまとめられるだけのリーダーシップやマネジメントカ、会社経営全体への
     提言力などが求められるでしょう。

   2.キャリアプランのモデルコース

     キャリアゴール実現に向けたモデルコースを設定します。

     一貫して特定の関連部門での成長をめざす「プロフェッショナルコース」、さま
     ざまな部門で経験を積んでスタッフ部門のトップをめざす「ゼネラルマネー
     ジャーコース」などが考えられます。

     どのようなモデルコースを設定するかはその会社の特性や社長の考え方次第
     です。

  □ライフプラン作成も推進

   ライフプランとは社員の人生全般に関する設計のことです。

   「何歳ぐらいで結締するか」、「子どもは何人欲しいか」、「趣味をどのように充実させ
   るか」といったプライべ−トな部分も含みます。

   社長のなかには「社員のプライベートな部分にまで会社が口出しするのは気がひける」
   と感じる人もいるでしょう。

   しかし、いうまでもなく会社が社員のライフプラン作成を奨励するのは、社員のプライ
   ベートを「のぞき見」したいからではありません。

   その目的は、仕事面だけではなく、社員の人生そのものを充実させることにあります。

   キャリアプランとライフプランを切り離して考えることは不可能です。

   住宅購入などでお金がたくさん必要になる時期には、それなりに出世していたいと
   考えるのが普通です。

   また、女性は出産や育児などで、一時的に仕事を離れたり、短時間勤務が必要な
   時期もあるでしょう。

   最近では男性でも長期の育児休暇を取得する人が増えています。

   社会的にもワークライフバランス(「仕事」と「生活」の調和)の重要性は高まって
   おり、社員に安心して働き続けてもらうためには、プライベートな事情にも配慮する
   ことが必要です。

   ライフプランシートを作成してもらうことで、社員一人ひとりに対する支援策が立てやす
   くなるのです。

   ライフプランシートは毎年分の作成は必要ありません。

   人生設計上、大きな節目を迎える年について、その状況を記入してもらうようにする。

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プロフェッショナル社員を育てる体制

          

プロフェッショナル社員を育てる

   
  ■プロ意識

   使命感とは、私たちが何のためにこの世に存在し、何をもって世の中に貢献するかを一言
   で表現したものであり、仕事人の心構え(職業観)を示すものです。

   企業が利益を追求するためだけにあるのではないように、私たちも単にお金のためだけ
   に働くのではありません。

   そこにはお金では買えない働く喜びや働き甲斐がなければ、どんな仕事でも一生をかけて
   やるだけの価値はないでしょう。

   使命感なき企業が、成功・存続し得ないように、使命感なき社員も、一つの仕事を全うし
   成功を手にすることはできないのです。

   あなたが社内でどのような立場であっても、生きがいがあるはずです。

    ・毎日が生きているという実感がある時

    ・目標に向かって、一生懸命努力している時

    ・社会頁献(人のため)になる仕事をする時

    ・目標達成がかなえられた時

    ・自分の存在を他人に認められた時

    ・自分がこの世で必要な人間である主自覚した時

    ・自分を必要とする人と出会い、愛し合える時

    ・自由を感じる時

    ・張り合いある仕事を持ち、元気に働くことが出来る時

    ・未来に対してはっきりとした目標のある時
      
  □プロ意識

   人生において仕事の位置付けを示すとするならば、そのことを人生の「目的」とするか
   「手段」とするかでしょう。

   食べるため、生きるため、遊ぶためのみであるならば、それは手段であり、つまりは
   「アマチュア」の域を抜けることはできません。

   「プロとは仕事を人生の目的とする」のであって、私たちは改めて仕事を通じて自己の
   豊かさづくりを目指すことが近道であることを知っていただきたいのです。
 
   それは自己や家庭を犠牲にすることではありません。

   よい仕事をすることが、お客さまや仲間、会社(店)にとって役立ち、まわりまわって
   あなたに返って来るのです。

   仕事を通じてあなた自身の人間的魅力を増し、社会常職を備え、社会人としても成長して
   いけるのです。

   そのためにも、正しい物の見方・考え方(心根・価値観)を理解することが大切です。

  □目標を持つ

   多くの成功した会社(店)、人には共通点があります。

   それは、まず目標を持っているということです。

   それも具体的な目標を持つことが成功の基本なのです。

   「光陰矢の如し」という言葉がありますが、私たちの人生は実に短いものなのです。

   人に平等に与えられたもの、それは唯一「時間」ですが、1日24時間、睡眠時間を引いて
   残った時間をみると、働く多くの人は仕事の場に多くの時間を置いています。

   人生を創る時間を考える時、仕事に身を置く時間が何と多いことでしょうか。

   納得できる人生、豊かな人生、充実した人生…、誰もが願うことです。

   しかし、仕事に入るきっかけは人さまざまですが、いったん仕事に入ったならば、その仕
   事を通じて目標を持ち、あなたの人生を創造することが課題となります。

   お客さまの喜びがあなたの喜びになる、そんな仕事があなたの仕事です。

  □三感(感心・感謝・感動)

   どんなにあなたが一生懸命やったつもりでも、残念ながらそれを評価するのは、第三者
   であるお客さまです。

   お客さまは元来、「わがまま」な存在です。

   決してあなたの思い通りになるとは限りません。

   だからといって自分を抑えて、また店の方針、会社の考えを曲げてでもお客さまの言う
   通りものごとをやったのでは、スタッフとして、また会社(店)としても魅力に欠けてし
   まいます。

   利用していただいたお客さまを「財産」と考え、お客さまに感謝するということだけでは
   軽く、感謝される、喜ばれることが肝要です。

   それは、すでに「感心、感動」をお客さまがされているからこそできることなのです。

   私たちは、「感謝される会社、喜ばれる会社」、あなたは「感謝されるスタッフ、喜ばれ
   るスタッフ」となることを目指すことです。

   そして、この基本は大きく2つに分けることができます。

   基本とはやらなければならないことであり、逆にやってはならないことはやらないこと、
   と理解して下さい。

   私たちの仕事は、やるべきことをやり、やってはいけないことをしないことが重要な
   ポイントになります。

   これは当たり前のことですが、非常に難しいことといえましょう。
 
   当たり前のことを当たり前にやって、初めてお客さまが認めてくれるのが私たちの
   仕事です。

   少数精鋭で勝負する中小企業では、プロ意識が欠如している社員が数人混ざっている
   だけで、経営力は大きくダウンします。

   自社(店)にとっての「プロ」とはどのような社員かを考え、社員のプロ意識を向上させ
   るポイントについて考えていきましょう

   本来会社は「プロ」の職業人の集合体であるはずです。

   特に人材に限りのある環境で勝負する中小企業では、プロ意識が欠如している社員が
   数人混ざっているだけで、経営力は大きくダウンします。

   多くの社長は「成果を出せない社員」、「真剣さが足りない社員」に対して、「もっとプ
   ロ意識をもて」と叱咤した経験をお持ちでしょう。

   しかし、この「もっとプロ意識をもて」という言葉は、叱咤する側もされる側も「もっと
   頑張れ」という意味合いでしか使われません。

   その結果、社員は一時的な瞬発力を発揮したとしても、すぐに元の状態に戻ってしま
   います。

   社員が正しい「プロ意識」をもち続けるためには、プロ意識の定義を明らかにし、それを
   満たすための努力の方向性を示すことが必要です。

   プロ意識の有無は、たんに「給料以上の売上を
   もたらしたか」という表面的な成果のみから判断
   することではありません。

   本当のプロ意識とは、仕事を通じて関係する
   すべての人に好影響を与え続けられるように
   真摯に努力する姿勢・行動と定義づけること
   ができます。

   自分自身が「任されている仕事に対して完全
   な当事者意識をもっていること」、「現時点で
   自分が保有する能力をフルに発揮しているこ
   と」など仕事にプライドをもつということであり、
   つねにべストな状態で臨めるように健康管理
   に気を配ることも重要なプロ意識です。

   社員のプロ意識のあり方が、自社の社会的な
   存在価値、実際の成果、一人ひとりの社員の
   成長などに大きな影響を与えます。

  □プロ意識とは

   (1)自分に対して

     自分自身が行っている仕事にプライドをもつことです。

     具体的には、「任されている仕事に対して完全な当事者意識をもっていること」、
     「現時点で自分が保有する能力をフルに発揮していること」などがあげられます。

     また、自分の将来を見据えて、「成長に向けた努力を継続していること」も重要
     です。

     自分の現状とめざすべき将来を認識し、そのギャップを自ら解消していくことが必要
     です。

   (2)同僚に対して

     同僚に対しては健全なライバル意識をもち、互いに切礎琢磨していくことが求められ
     ます。

     苦しいときには励まし合ったり、逆に同僚に慢心がみられるときは厳しく指摘するこ
     とも必要でしょう。

     また、チーム力を最大限に発揮するためには良好なコミュニケーションを心掛け、
     適切な人間関係を構築するのも同僚に対するプロ意識です。

   (3)組織・会社に対して

     社員には自分の所属する部門や会社全体を自らが主体となって、引っ張っていくと
     いう気概が求められます。

     パレートの法則(2:8の法則)では、組織において2割の優秀な人財が収益の8割を
     つくり、残り8割の人材(人在、人罪)で2割の収益をつくっているといわれるよ
     うに、「2割の優秀な人が残りの8割を養っている」と言われています。

     自分から進んで「8割」の側に入っている人は、会社に対するプロ意識を放棄してい
     ることになります。

     プロ意識を養うためにも、組織人としてやらなければならない行動である基本動作
     習得が急務です。

   (4)顧客に対して

     社員の給料の源泉は買い手である顧客からの支払いです。

     したがってプロであれば顧客に対して十分な満足を与えることが絶対条件です。

     約束した納期や品質を厳守することはもちろん、プロである以上、顧客が何を求め
     ているかをつねに意識し、それに対して高いレベルで応えることが求められます。

     逆に、自分に与えられたノルマをこなすために、顧客の利益不在のまま、無理やり
     商談を進めることなどは、プロ意識に明らかに反した行為です。

 

     自社の商品、サービスを買ってくれた顧客に満足感を与えることは当然として、プロ
     であれば顧客の背景にある社会全体に与える影響まで気を配る必要があります。

     いまさらのことではありませんが、厳しい環境の中で生き残り、勝ち残っていくのは

     「本物」だけです。

     やらねばならないことを当たり前実践するのがプロですが、これができていない人も
     少なくありません。

     プロである以上、一定の成果を出すことは当然ですが、成果を出しさえすればプロと
     いうことにはならないのです。

     また、成果創出のためには何をしてもよいということでもありません。

     トップはプロ意識の本当の意味、特に自社(店)にとってのプロ意識の意味を朝礼な
     どの場を通じて繰り返し伝えます。

     プロ意識の骨子部分は経営理念などとともに唱和させるのも有効です。

     さらに、プロ意識をテーマにした体験談を社員にスピーチさせ、トップや部門責任者
     が講評を行うことで効果は増します。

     社内の定例ミーティングなどで、各自がプロ意識に基づいた行動を取れているかを
     具体的な事例を交えて確認・指摘し合うことも大切です。

     社員のなかには与えられた短期的な数値目標に目を奪われるあまり、顧客に対し
     て不適切な行動を取る者もいるかもしれません。

     直接的に顧客と接する機会のない管理部門の社員などは、管理業務を提供する自
     社の社員が「顧客」ということになります。

   (5)社会に対して

     自社の商品・サービスを購入してくれた顧客に満足感を与えることは当然として、
     プロであれば顧客の背景にある社会全体に与える影響まで気を配る必要があり
     ます。

     たとえば、省エネ家電は購入者に電気代節約という直接的なメリットがあるばかりで
     はなく、社会全体のエネルギー問題解消にも貢献します。

     このように自分の仕事が社会全体にどのような影響を与えているのかを考えるのも
     プロ意識です。

     また、仕事以外の場で反社会的な行為をしないというのも、最低限のプロ意識です。

     いかに顧客や会社に多大な利益を与えている社員でも、飲酒運転などの法令違反
     を起こせば、自分が罰せられるだけではなく、関係者に多大な迷惑を与えることに
     なります。

  経営理念、社長の考え方

   自社の経営理念に、プロ意識に関する言葉
   や考え方がすでに含まれていることも多いで
   しょう。 

   また、明文化はされていなくても、社長の頭
   の中には「顧客にとってこのような存在であり 
   たい」、「社会にこのような貢献をしたい」とい
   う思いがあるはずです。


  □我が社に必要なプロ意識の骨子(例)

   自分に対して:毎年の成長を実感できるように自己啓発を継続する 

   同僚に対して:成長を共に考えアドバイスする

   組織・会社に対して:組織のビジネスモデルを理解し、改善提案する

   顧客に対して:顧客ニーズの変化を捉え、いち早く対応する 

   社会に対して:自社の社会的役割を理解し、貢献拡大に努める


  □プロ意識を浸透させる

   プロ意識を浸透させることは、社員の意識と行動を改革することであり、一朝一夕に進む
   ものではありません。

   また、プロ意識は自社にとって普遍的な原則であるにもかかわらず、業績好調時には
   慢心から、業績不調時には目先の売上偏重から、それを軽視してしまうこともあります。


  □社長のプロ意識

   社長自身に必要なプロ意識について確認します。

   社長は「経営のプロフェッショナル」であり続けなければなりません。

   会社のあるべき姿を示すリーダーシップや、その実現に向けて全社を最適に運営するマネ
   ジメントが求められます。

   次代を担う人材育成(特に経営幹部の育成)なども社長の重要な役割です。

   社長自身が自分の努力のあり方を確認するためにも、また、社員に自分の決意を示す意味
   でも、社長に必要なプロ意識について明確にしておきましょう。


  □プロ意識の本質を繰り返し伝える

   プロである以上、一定の成果を出すことは当然ですが、成果を出しさえすればプロと
   いうことではありません。

   また、成果創出のためには何をしてもよいということでもありません。

   プロ意識の本質は「仕事を通じて関係するすべての人に好影響を与え続けられるよう
   に真摯に努力する姿勢・行動」にあります。

   社長はプロ意識の本当の意味、特に自社にとってのプロ意識の意味を朝礼などの場
   を通じて繰り返し伝えます。

   プロ意識の骨子部分は経営理念などとともに唱和させるのも有効です。

   また、社長自身が「社長のプロ意識」をどのように実践しているかについても説明しま
   しょう。


  □確認・指摘の場を設ける(社内会議・ミーティング)

   部内の定例ミーティングなどで、各自がプロ意識に基づいた行動を取れているかを
   具体的な事例を交えて確認・指摘し合うことも大切です。

   各メンバーが実際の業務のなかで、部門のプロ意識に沿った行動ができているか
   どうかについて、実際のケーススタディーを通じて、確認・指摘し合う場を設けま
   しょう。


  日報の必須報告事項に加える

   日報のフォーマットに「プロ意識の実践」の報告欄を設けることで、自分の行動がプロ
   としてふさわしかったかどうかについて、毎日考える習慣を植えつけます。

   反省点がある場合はその原因と明日からの改善策についても記入させます。

   報告内容は些細なことでも構いません。

   たとえば、若手営業マンにとっては「顧客企業の属する業界の業界紙を読んで理解を
   深めた」といったことも、立派なプロ意識の実践といえます。

   上司は部下がプロ意識を理解しているかどうか、実践に移せているかどうかを確認し、
   必要な指導を行います。

   どの業界でも、プロとアマチュアの垣根が低くなってきているが、お客様からお金を
   いただくからには、それ以上の対価を支払う(提供)するのがプロとしての基本です。

  人事制度の整備

   人材育成を側面から支えていくうえで重要なのが人事制度の整備です。

   人事評価を適正に行うことは、人材育成を行ううえで社員のやる気を高めるために有効
   な手段といえます。 

   社員一人ひとりの能力・個性を大切にし、育成に結びつけるための人事制度を整備し
   ます。
  
   今、「プロフェッショナル社員」が求められています。

   総合的な能力が高ければいいというものではありません。

   与えられた仕事で結果を出しているかどうか、それが問われているのです。

   若手社員であっても中堅であっても、プロフェッショナル社員でなければ会社(組織)
   では用済みとみなされてしまう、そんな厳しい時代の中にあります。

   プロフェッショナル社員となるためにも、
    ・変化を受け入れる

    ・大きなアイディアをもつ

    ・言い訳をしない

    ・人の役に立つ

   を常に意識して取り組む必要があります。 

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