マーケティングは集客の仕組み

マーケティングの基本的手法

■マーケティングの定義付け

 マーケティングの第一人者といわれているフィリップ・コトラーによると、マーケティングとは
 以下のように定義付けられています。

  マーケティングとは、個人や集団が製品および価値の交換を通じて、そのニーズやウォンツを
  満たす社会的・管理的プロセスである

 企業活動においてマーケティングとは、

  企業の利益を増加させることを目的とし、それを実現するために顧客にとってより良い
  モノやサービスを、顧客が買ってくれそうな価格を付け、効率的かつ顧客の手元に届き
  やすい流通経路で販売し、顧客にとってより訴求力のあるプロモーション活動を行う

 ことすべてを指しているといえるでしょう。

 例えばプリンターを製造販売しているA企業を例にとってみると、より多くのプリンターを販売
 して利益を得ることを目的とし、

  より高品質なプリンターを製造し、顧客が買ってくれそうな価格を付け、家電量販店での
  販売など顧客の手元に届きやすい流通経路で、テレビCMを放映したり販売員による販売
  促進活動などのプロモーション活動を行うこと

 すべてがマーケティングということになります。

□マーケティングの3Cの顧客分析

 1.マーケティングの3Cとは

  具体的なマーケティングの手法や戦略を考える際に必要なのが「マーケティングの3C」による
  分析です。

  3Cとは、

   Customer (カスタマー     顧客)

   Competitor(コンペティター 競争相手)

   Company  (カンパニー     自社)

  です。

   ・自社の顧客層や顧客の購買頻度などを分析し把握する

   ・自社にとってどのような企業が競争相手となるのかを見極め、

   ・競争相手の経営戦略や市場規模を把握する

   ・自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を把握する

  といったように、3Cを考えることは、マーケティングを行ううえで不可欠です。

  中でも、自社にとって直接的に利益をもたらしてくれる顧客について分析することが非常に
  重要です。

  以降では、3Cのうち企業には欠かせない「顧客分析」を行う際に役立つ代表的な考え方を紹介
  します。

 2.顧客分析に役立つAIDMAモデル

  例えば、茶類を中心に製造販売している飲料メーカーであれば、

   ・どれくらいの人数の顧客が

   ・どんな茶類を(銘柄を)

   ・どのようなシーンで

   ・どのくらいの頻度で購入しているのか

   ・なぜ購入したのか(購入の理由)

  などを把握しておく必要があります。

  そのためには、定期的に顧客を対象としたアンケート調査などを行って顧客からの生の声を
  収集し、その結果をデータベース化しておくなどの方法があります。

  また、顧客を分析するうえでは「顧客が製品を認知してから購買に至るまでのプロセス」を
  把握しておくとよいでしょう。

  これに役立つのが「AIDMA(アイドマ)モデル」です。

  AIDMAモデルとは、消費者が製品を認知してから購入に至るまでの心理的プロセスを段階的に
  モデル化したもので、

   ・Attention (アテンション 注意=注意を引き、目にとまる)

   ・Interest  (インタレスト 関心=興味を持つ)

   ・Desire   (デザイア   欲求=欲しいという欲求が発生する)

   ・Memory    (メモリー   記憶=心に刻み、あるいは思い出す)

   ・Action    (アクション  行動=購買という行動に出る)

  という5段階の心理的プロセスモデルの頭文字をとってAIDMA(アイドマ)モデルと呼ばれて
  います。

  このAIDMAモデルで顧客が茶類を購入するまでのプロセス考えてみると、例えば次のように
  なります。

   ・Attention →「へえ~○○茶っていうのが発売されたんだ」

   ・Interest  →「ダイエットに効果がある成分か~、興味あるな~」

   ・Desire   →「どんな効果があるか飲んでみたいな」

   ・Memory   →「そうだ、昼ご飯の時に○○茶飲んでみようか!」

   ・Action   →「よし買おう!」

  製品やサービスの種類によって、心理的プロセスには多少の違いがありますが、何に注意を
  引かれ、どんな風に興味を持ち、そしてどのような場面で購買を思い立つかを把握することが
  大切です。

 3.顧客識別に役立つRFM分析

  そのほか、顧客分析の一つの手法として「RFM分析による顧客の識別」があります。

  これは、自社の顧客を

   R:最新購買日(Recency)   最近いつ購入したか

   F:購買回数 (Frequency) どのくらいの頻度で購買しているか

   M:購買金額  (monetary) いくら使っているか

  の3項目で評価し、識別していく方法です。

  RFM分析では、それぞれの項目ごとに区分を決定し、段階を付けて評価していく方法が知られ
  ています。

  段階を付けた評価の目安は、表のように作成します。 

   例えば、ほぼ毎日来店し、必ず3000円分だけ購入する顧客Aがいるとします。

   上表に当てはめると、顧客AのRFMは、R=3日以内(ランク5)、F=20回以上(ランク5)、
   M=3000円以上(ランク5)であり、顧客AのRFM分析による評価は555(すべてがランク5)
   となります。

   RFM分析の評価は「555」が最高で、この評価の顧客は自社にとって申し分のない優良顧客
   といえます。

   「555」評価の顧客に対しては、末長くリピーターでいてもらうために、「季節のあいさつ
   などを欠かさず密に連絡を取る」「新製品が開発されたらいちはやく告知する」「顧客本人
   だけでなく家族の誕生日などにも何かサービスをする」などの「親密度合いを高め、顧客側
   が大事にされていると認識できる」方法を用いると効果的でしょう。

   このRFM分析では

    自社にとっての優良顧客を見極め、いかにして「555(すべてがランク5)の顧客」
    にするか

   を考えることがポイントです。

   RFM分析を活用して評価からの考察例と、顧客への対応策をまとめたものが表です。

   RFM評価を活用すると、顧客を識別することができます。

   例えば、R評価が同等の顧客の場合、F評価の高い顧客のほうが、購入頻度が高く自社に
   とってよい顧客ということになります。

   また、F評価は低いがM評価の高い顧客がいる場合、R評価で比較してR評価の高いほうに
   対して、優先的なアプローチを行うなどの方法が考えられます。

□マーケティングの4P 

 1.マーケティングの4Pとは

  マーケティングの手法や考え方にはさまざまなものがありますが、中でも基本とされているのは、

   マーケティングの4P

  です。

  マーケティングの4Pとは、

   「顧客にとってよりよい製品やサービスを、適正な価格で、効果的な販売チャネルによって
  より多く販売し利益を得る」ことを実現するための4つの要素です。

  これら4つの要素は一般的に以下のように呼ばれます。

   (1)Product (プロダクト   製品) 

   (2)Price  (プライス    価格) 

   (3)Place  (プレイス    流通) 

   (4)Promotion(プロモーション 広告などによる販売促進活動)

  以降ではマーケティングの基本である4Pについて、それぞれみていきます。

 2.Product(製品)戦略

  ここでは、自社製品開発や自社製品を見極める考え方などを紹介します。

  ◎新製品に重要なアイデアの発想

   製品開発にまず重要なのは「アイデア」です。

   アイデアを生み出す方法としては、消費者あるいは顧客のニーズから発想する「ニーズ的発想」
   と、企業内にある技術などのシーズ(種)から発想する「シーズ的発想」があります。

   ニーズに合った製品を開発するために、まずは「ニーズ的発想」によるアイデアを整理して、
   ターゲットとする顧客や、製品の活用シーンなどを明確にしておきましょう。

   アイデア整理方法としては以下のように、5W1H方式を用いるとよいでしょう。

   <エアコンの例>

    ・誰が     → 一人暮らしのビジネスパーソンが

    ・いつ     → 仕事から帰ったときに

    ・どこで    → 自宅で

    ・どんなふうに → 外からの遠隔操作によって暖房がきき、部屋が暖まっている

    ・なぜ     → 外から帰ってきたときに寒くないように

   「シーズ的発想」では、企業内にある技術などから新しいアイデアを得て新製品などを生み
   出すことになります。

   例えば、合成繊維製造メーカーが繊維の知識や技術などを利用して、繊維以外にも医薬品や
   プラスチック製品を開発するなどのケースがあります。

   ただし、製品開発に関するアイデアを生み出す際に「ニーズ的発想」と「シーズ的発想」の
   どちらか一つの方法のみで十分ということではありません。

   自社の既存の製品や技術を駆使し、さらに進化させ「いかにして多様化が進む顧客のニーズ
   に即した製品を販売し続けるか」を実現するうえでは、両方の発想方法から製品の開発を
   考えることが必要となるでしょう。

  ◎製品のライフサイクル

   人の一生と同様に、アイデアを基に製品化され、市場に投入された製品にも「一生」があり
   ます。

   これを「製品のライフサイクル(PLC=プロダクト・ライフ・サイクル)」といいます。

   製品のライフサイクルは、

    導入期、成長期、成熟期、衰退期

   に分けることができます。

   導入期は市場に製品が投入されたばかりのころで、その製品に対する認知度がそれほど高く
   ないため、製品の普及率は比較的スローペースで進みます。

   製品の普及が進み、その価値が認められるようになると、消費者に数多く購入されるように
   なり、次第に売り上げは増加していきます。

   これが成長期です。

   成長期には、製品価値が認められてさらに売り上げが増えるとともに、競合製品もどんどん
   現れ、競争が活発化します。

   製品がある程度まで普及してしまうと成長は鈍化します。

   これは成熟期に入ったということです。

   その後、製品は衰退期を迎え、売り上げは減少していき、代替品の登場などによってますます
   衰退し、市場から消えていくケースもあります。

   製品のライフサイクルにおける4つの時期それぞれに行うマーケティング活動の特徴は表の通り
   です。

    <導入期>

     最も重要なのは「製品を知ってもらう」ことです。そのため、広告や店頭での販売促進
     活動に注力する必要があります。

     メディアを使った宣伝広告や販売員による店頭でのPR活動などが非常に重要です。

     その際、製品によるメリットをより分かりやすい形で訴えかけることがポイントとなり
     ます。

    <成長期>

     成長期には、製品の売り上げが増え、市場が拡大するとともに競合製品も現れます。

     競合製品といかに差異化を図り、市場における揺るぎないポジションを獲得するかが
     ポイントになります。

    <成熟期>

     ある程度製品が市場に行き渡り、いわゆる「飽和状態」になっているため、「買い換え
     需要の創造」が重要です。

     新機能を付けたり、モデルチェンジを行うなどリバイタリゼーション(製品のデザインや
     品質などを少しずつ進化させて活性化させ、寿命を延ばすこと。

     いわゆる「テコ入れ」)などが有効でしょう。

    <衰退期>

     衰退期には、成熟期の戦略として挙げられるリバイタリゼーションも有効ですが、その
     製品にとって代わる新製品の開発販売も視野に入れ、速やかに撤退することも検討しな
     ければなりません。

 3.価格(Price)戦略

  価格は、企業にとっての目的である「利益」に直結する要素であり、顧客にとっては購買の
  意思決定を促す重要な要素となります。

  そのため、「価格戦略こそがマーケティングにおける“肝”である」とする見方もあります。

  価格の決定には、大別すると以下のような方法があります。

   ・費用重視型
    原価のみを基に一定の額の利益を上乗せして価格を決定していく方法です。
    機械的かつ簡単に価格設定を行うことができるため、販売品目が多岐にわたっている
    小売業などで用いられるケースが多くみられます。

   ・競争重視型
    競争相手となる競合他社製品の価格を参考にしながら自社製品の価格を決定する方法です。
    例えば、生鮮食品やガソリンなどは、価格以外の面で競争相手と差異化を図ることが難しい
    ことから、この方法を用いることが多いようです。

   ・需要重視型
    顧客の値ごろ感(この製品がこのくらいの値段だったら買ってもいいな、と顧客が思う値段)
    を調査し、それに合わせて価格を決定していく方法です。
    製品によって顧客の値ごろ感は異なります。

  顧客は価格が安ければ絶対に買うというものでもありません。

  求める製品によって顧客の値ごろ感は異なるものなのです。

  例えばジュースやガムが1000円であれば高くて買わないことがほとんどでしょう。

  しかし、海外の高級ブランド品のバッグであれば5万円でも「安い」と思って即座に購入して
  しまうかもしれません。

  消費者の心理的な特徴を考慮した価格設定を「心理的価格設定」といい、主に表のような方法
  に分類されます。

  「消費者にとって適正な価格」を付けるに当たって、この表例の考え方は非常に参考になる
  でしょう。   

  また、市場に新商品を投入する際の価格設定は、ターゲットとする顧客層によって次のような
  2種類の考え方に大別することができます。

  ◎上澄み吸収価格と市場浸透価格

   上澄み吸収価格は、「開発費用など新製品に対するコストの早期回収」や「市場における
   ブランドイメージの確立」などを目的として用いられる価格政策です。

   新製品が市場に投入されて間もない頃に購入するのは、財政的に余裕のある消費者や、高い
   価格でもその製品を購入したいというマニアなどが多いのです。

   そこで、価格を高く設定し、新製品にかかったコストをできるだけ早く回収しようという
   方法です。

   しかも、その製品が高価格で市場に定着すれば、「高級感のあるブランドイメージ」を確立
   することにもつながります。

   上澄み吸収価格の採用に適している製品は、

    ・新製品が高価格に見合った品質と技術を間違いなく保持していること

    ・新製品が市場において画期的な機能や技術を備えていること

    ・比較的余裕のある消費者層のニーズに応えられるような製品であること

   といった条件を満たしている製品であることが望ましいでしょう。

   上澄み吸収価格を設定する場合には、その新製品は「高価格にふさわしい価値」を持っていな
   ければならないということです。

   逆に、新製品投入時に低価格に設定して、多数の消費者に購入してもらうことによって急速に
   市場シェアを高めようというのが「市場浸透価格」と呼ばれる方法です。

   日用雑貨などに用いられることが多いようです。

   市場浸透価格の採用に適している製品は、

    ・低価格で販売することによって多数の消費者を獲得できるような製品であること

    ・価格によって変化する需要量の大きい(価格弾力性の大きい)製品であること

   といった条件を満たしていることが望ましいでしょう。

   多数の消費者に受け入れられ、しかも価格を低く設定することが需要量に跳ね返ってくるような
   製品でなければ、価格を低く設定する意味がなくなってしまいます。

 4.流通(Place)戦略

  製品がメーカーから顧客の手元に届く流通のプロセスは大まかに

   生産者(メーカー)→卸売業者→小売業者→顧客(消費者)

  となります。

  このようなメーカーから消費者への製品の流れを流通チャネルといいます。

  Place(流通)の大きな目的は、

   「顧客が必要な時に、必要な製品が必要な数量、必要な場所にあり、
   顧客の手に入れやすさを実現すること」

  です。

  流通チャネルの種類は、主に以下のように大別されます。

   ・開放的流通チャネル
    製品を扱う流通業者を制限しないことによって、幅広く販売する方法です。
    この方法は、顧客側からみるとどこの店でもその製品を買うことができることになります。
    そのため、購入頻度の高い日用雑貨や飲料などの製品に用いられることが多くあります。

   ・選択的流通チャネル
    流通業者を、ある程度選別する方法です。
    家電などのアフターサービスが必要な製品や高いブランドイメージを確立維持したい化粧品や
    アパレル製品などに適用されます。
    選別した小売業などに、メーカーから販売員を派遣したり、販売ノウハウを伝授したりする
    ケースもあります。

   ・排他的流通チャネル
    流通業者を制限する方法です。メーカーの意図を明確に反映させたい製品などに有効で、
    高級車や高級ブランド品などに用いられます。
    どこでも売られている製品ではないという希少性をアピールして価値を高めたい場合に
    有効です。
    排他的流通チャネルの代表的な手法として知られているのが「メーカーによる系列化」です。

  ◎メーカーによる系列化

   メーカー側は自社の目的や意思を流通にいかに浸透させるかがポイントです。

   そのため、メーカーが自社製品を扱う特定の卸売業者や小売業者に対し、販売のノウハウを伝授
   するなどの支援策を提供したり、売り上げに応じたリベートを支払うなどして、自社製品の販売
   に強力に協力させることを「メーカーによる系列化」といいます。

   系列化の代表的な方法は、主に以下の通りです。

    ・販売代理店
     特定の企業の製品を、ある一定の地域で販売権を得て卸売販売する業者です。
     海外からの輸入品をこの方法で販売しているケースもあります。

    ・特約店
     特定の企業と特定の条件で特約を結び、製品を販売する卸売業者や小売業者です。
     近年では量販店などが豊富な品揃えを実現するために複数のメーカーと特約を結ぶ
     ケースも増加しており、メーカー主導の本来の意味での「特約」とは異なってきた
     様子もうかがえます。

    ・販売会社(販社)
     特定のメーカーの製品のみを専属的に販売する卸売業者です。
     いわゆる「メーカーの卸売担当部門」と考えると分かりやすいでしょう。
     メーカー側が設立にかかわり、資本や人材を提供しているケースも多くみられます。

   系列化は、メーカー側からみれば流通における自社の意思を浸透させやすい、というメリット
   があります。

   また、流通業者側からみればノウハウを提供してもらえたり、支援してもらえるというメリット
   があります。

   ただし、近年ではメーカーによる系列化は「閉鎖的なシステムである」として批判されることも
   増えてきました。

  ◎流通における垂直的マーケティングシステム

   流通チャネルは、メーカー、卸売業者、小売業者がチームを組んで協力しあい、製品をより
   効率的に多く販売するという「垂直的マーケティングシステム」の考え方から、次のような
   3タイプに分類されることもあります。

    ・管理型
     メーカー、卸売業者、小売業者がそれぞれ独立してはいるが、メーカーがリーダーとなり、
     卸売業者や小売業者に対して販売促進活動面でさまざまな支援を行うタイプ。

    ・企業型
     一つの企業(あるいは企業グループ)が生産、卸売、小売のすべてを行うタイプ。
     自社生産の化粧品などを直 営店で販売するなどはこのタイプに含まれる。

    ・契約型
     メーカー、卸売業者、小売業者が契約を結んで協力体制で販売活動を行う。
     代表的な手法としてフランチャイズチェーンやボランタリーチェーンが挙げられる。

   メーカー、卸売業者、小売業者が協力しあいながら流通体制を整えることによって、

    情報の共有化が進む

   という大きなメリットがあります。

   特に、小売業者から収集される「性別、年齢層、地域による購買行動などの顧客情報」が共有化
   されることで流通戦略の目的である、

    顧客が必要な時に、必要な製品が必要な数量、必要な場所にあり、
    顧客が手に入れやすい

   を実現することができます。

   顧客の好みや購買傾向が多岐にわたっている現代、流通において重要なのは、

    流通チャネル内において、いかに「情報」をスムーズに流通させるか
    ということである

   といっても過言ではないでしょう。

 5.Promotion(プロモーション)戦略

  プロモーション活動は、大きく分けて以下のように大別されます。

   ・人的促進
    人による販売促進活動のことを指します。

   ・広告
    新聞、雑誌、テレビなどの有料媒体を使い、広告主のメッセージを消費者に伝える
    ものです。
    「人手」によるものではないことから「非人的促進」とも呼ばれることもあります。

   ・販売促進
    店頭での陳列や、店内での陳列広告、製品サンプルの無料配布など、消費者あるいは
    顧客に対して、購買意欲を促進するような活動すべてをいいます。

  ここでは、プロモーション活動における考え方や評価方法などについてみていきます。

  ◎広告効果測定

   広告によるプロモーション活動が中心の場合は、広告がどれだけの人の目に触れ、どれだけの
   人に接触したかという「広告効果の測定」が重要になります。

   あまり効果が上がっていないようなら、早い段階で軌道修正する必要があるからです。

   広告効果の測定方法としては、「地域限定トライアル的広告」という分かりやすい方法が
   あります。

   これは、実験的にある地域にだけ広告を発信し、広告が発信されていないほかの地域と比較
   してみる方法です。

   広告が発信された地域での消費者の購買行動などをチェックしてみるのです。

   そのほか、広告が発信された後、製品についての消費者の認知度について聞き取り調査を行う
   などの方法もあります。

   例えば、首都圏近隣のあるテーマパークでは、新しいジェットコースターが稼動した際に、
   関東地方ローカルでテレビCMを放映しました。

   その後、都内在住の20~30代の人々を対象に電話による認知度調査を行ったりしています。

   その結果、比較的認知度が高かったことと、その電話調査を行うことによって、認知度がさらに
   高まったことから、そのテーマパークでは全国的にCMを放映することを決定したということです。

   広告効果を測定する際の調査項目としては、以下のようなものがあります。

    ・広告到達測定 → 広告を知っているかどうか

    ・広告内容理解 → 広告の内容(製品についてなど)は理解したか

    ・広告好意度 → 広告に対して好意をもったか

    ・製品購買意向 → その製品を購入したか

  ◎ABC分析を販売促進活動に活用する

   販売促進活動は、「非常に手間がかかるもの」です。

   店頭でサンプル無料配布を行う、クーポン券を発行するなどさまざまな手法があり、どれも
   かなりの労力やコストを要します。

   また、顧客のニーズに即した販売促進活動を行わなければ、顧訴求力に欠けることになって
   しまいます。そこで、効率的かつ訴求力の高い販売促進活動を行う一つの考え方として、

    ABC分析に基づく販売促進活動

   を紹介します。

   ABC分析とは自社の製品を「売り上げへの貢献度」によって3段階に分けて、以下のように
   評価することです。

    A群・・・売り上げの8割を占める製品群

    B群・・・売り上げの2割程度を占める製品群

    C群・・・売り上げに影響を及ぼしていない、ほとんど貢献していない製品群

   これら3製品群によって、販売促進活動に注力すべき製品を選抜し、販促計画を検討していき
   ましょう。

   例えば、合計100品目を販売しているドラッグストアがあるとします。

   ABC分析を行ったところ、

    A群・・・化粧品、ヘアカラー用品などのおしゃれ用品が中心    (約20品目)

    B群・・・シャンプー、リンス、ボディソープなどのバス用品が中心 (約30品目)

    C群・・・包帯、バンドエイド、傷テープなどの救急手当て用品が中心(約50品目)

   という結果になったと仮定します。

   この場合、売り上げに本当に貢献しているのはA群の「おしゃれ用品」が中心となっている
   ことから、新しいヘアカラー用品が発売されたら即座に店頭の一番目立つところに陳列する、
   店の入り口に告知広告を張り出すなど、

    おしゃれ用品を重点的に販促する

   という計画が成り立ちます。

   このABC分析は、「販売促進活動のポイント」が分かるだけではありません。

   例えば、上記のドラッグストアでは、おしゃれ用品がよく売れることから、「おしゃれ用品の
   在庫をもっと増やそう」といった「在庫計画」や「おしゃれ用品を販売促進できるような美容
   部員を育成しよう」といった「人材育成計画」にも役立ちます。

  ◎AIDMAモデルをプロモーション活動に活用する

   さらに、先の項で、顧客分析の一つの手法として紹介したAIDMAモデルをプロモーション
   活動に活用することも効果的です。

   (1)Attention(注意=注意を引き、目にとまる)段階のプロモーション
    ・注意を引くという意味で、広告などが効果的 
    →顧客の心理「あれ?あの商品(広告)なんだろう?」

   (2)Interest (関心=興味を持つ)段階のプロモーション
    ・店頭でのサンプル無料配布、キャンペーンなどの販売促進活動が効果的
    →顧客の心理「試しに使ってみよう」「こんな味がするのか~」

   (3)Desire(欲求=欲しいという欲求が発生する)段階のプロモーション
    ・店頭においてメリットや機能を直接説明するなど人的促進が力を発揮しはじめる
    →顧客の心理「こんな商品があったらいいな~」「便利だな~」

   (4)Memory(記憶=心に刻み、あるいは思い出す)段階のプロモーション
    ・メリットを重ねて説明する人的促進だけでなく、クーポン券付き、
     今なら○割引などお得感をアピールする販売促進活動を併用する
    →顧客の心理「そういえばこの間のあの商品やっぱり欲しいな~」

   (5)Action(行動=購買という行動に出る)段階のプロモーション
    ・購入してくれた後も油断せずアフターフォローや関連製品の紹介を行うなどの
     人的促進に加え、次回類似製品購入の際には、試供品や関連商品のサンプルを
     無料で進呈にするなどの販売促進活動も併用する 
    →顧客の心理「よし買おう!」「次の新商品も楽しみだな~」

 6.マーケティングの4Pのまとめ

  これまで、マーケティングの基本ともいえる4Pの手法や考え方をみてきました。

  マーケティング活動を行ううえでは、4Pの要素がそれぞれ単独で存在するわけではなく、より
  よい形で組み合わせて、「顧客満足を高める」「利益を増加させる」ことを実現するように
  しなければなりません。

  今では、消費者や顧客の「モノやサービスに対する選択の自由度」は上昇しています。

  消費者はガムやスリッパなどの商品一つを購入する場合でも豊富な種類の商品の中から、機能や
  品質、価格などを比較検討し「どれかを選択して」「本当に欲しいモノを厳選して」購買する
  ようになったのです。

  そのため企業は、

   数多くの企業が提供するモノやサービスの中から、消費者に選択される
   モノやサービスを開発して販売

  しなければなりません。

  つまり、企業側は、顧客の好みや購買傾向の変化に応じて対策を練ったうえでモノやサービスを
  販売しなければ、競争を勝ち抜くことが難しくなっているのです。

  単なる顧客志向だけではない、顧客それぞれのニーズに合った、あるいは顧客それぞれに対して
  訴求力を持ったマーケティングが企業にとって重要な取り組みになることは間違いありません。
  
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マーケティングは集客の仕組み

マーケティングとは、なぜ必要か

マーケティングとは、なぜ必要か

■選ばれる企業が実践していること 
 中小企業が、大企業をはじめとした競合他社に先んじて特徴的な商品やサービスを生み出し
 続けることは容易ではありません。
 また、苦労してやっと他社の商品やサービスと差異化を図れたとしても、すぐに競合する
 商品やサービスが現れてしまうということも珍しいことではありません。

 こうした社長の悩みに対して、一つの方向性を示すのが「感性」という視点です。
 商品やサービスの開発など、企業のさまざまな取り組みを通じて消費者の感性に働きかけ、
 消費者の感動や共感を得ることによって、他社商品やサービスとの差異化を図ることが
 できる可能性があります。

 それでは、あなたの会社の商品、サービスは、なぜお客様に選ばれているのですか? 
 どこがすばらしいのですか? 
 どこがほかの会社と違うのですか? 

 あなたは、この質問に正確に答えられるだろうか。 
 たぶん多くの社長は、顔を歪めてしまい、すぐに答えを出すことを躊躇するでしょう。
 つまり多くの会社は、それだけ同業他社とあまり違いがないのです。

 考えてみれば分かりますが、あなたが使っているシャンプーや石けん、また、あなたが
 毎日見ているテレビや活用しているパソコン。
 どれだけ多くのメーカーがあるだろうか。

 だぶんシャンプーなどは、海外メーカーも入れれば50社以上あるのではないでしょうか。
 テレビにしても、国内の家電メーカーを数えただけで10社はあるでしょう。
 このようにそれぞれのマーケットには、無数の競合各社がひしめいている。

 それでは、このような状況で、あなたはどのようにして自分の会社の特徴をアピールする
 のでしょうか。 
 アピールしない会社は、市場で負けることになるのです。

 消費者に対してより上手に認知できる会社がマーケットで勝利する。 
 例えば、うまく認知され、消費者に選ばれた企業は、次のような活動をしたといえる
 でしょう。

  1.ユーザーの必要性を満たす製品、サービスを提供できた(マーケティングリサーチ
   とプロダクト)
  2.市場に対して、認知される仕組みをつくった(プロモーション)
  3.ユーザーが購入できる場所を提供した(流通チャネル) 

 このように消費者から選ばれるという事実の背景には、間違いなくマーケティングの要素が
 含まれているのです。

□マーケティングのチェーンを廻せ 
 マーケティング活動とは、「売れる仕組みづくり」と、マーケティングの入門書では、
 よく定義しています。
 しかし、もう少し大きな概念で捉えてみることが重要です。

 単純に企業のみが利益をあげる仕組みづくりではなく、顧客と企業の両方が継続して喜び、
 WIN&WINの関係を構築するということになるでしょう。
 なぜなら、1回きりの商売ならその場限りの対応でいいが、企業は、継続して売り上げを
 上げていかなければならないのです。

 顧客に対して1回の喜びを2回、3回と提供し続けなければならないのです。
つまり、時代が変わるととともに、その環境に応じた喜びを顧客に与えることが必要になる
 のです。

 また、顧客も、その価値に応じて、対価を払う。
 永遠に続く顧客と企業の関係です。 
 だからマーケティングを定義すると、「会社と顧客をつなぐ喜びづくり」と言えるのでは
 ないでしょうか。

 ここで大事な点は、“喜び”です。 
 お互いが喜ぶような関係でなければ、長くは続かない。
 企業は、顧客ニーズを捉えて、喜ばれる製品・サービスを作るように努め、購入して
 もらって喜ぶ。

 また顧客は、その製品・サービスを消費することで、自分の価値感、満足感を満たして
 喜び、そして企業に感謝する。 
 このような好循環の関係をつくることがマーケティングの究極の目的です。

 例えていえば、マーケティングは、自転車の前後輪をそれぞれ企業と顧客として、うまく
 両輪を廻していくチェーンのような存在です。 
 滑らかにチェーンを動かせれば、効率よく歯車に力をつなげ、両輪を廻すことができ、
 どんどん前進できるのです。

□芸能人にもマーケティング能力が必要な理由 
 マーケティングは、企業だけに必要な要素ではない。
 売れっ子の芸能人を見てみると、それが端的に分かるでしょう。 
 例えば、長く人気を保っていたビートたけしの強さはどこにあるのだろうか。

 彼は、最初は人気の漫才コンビ、ツービートの一人でした。
 それが、漫才ブームの終焉とともに、ビートたけし軍団を立ち上げました。
 その軍団として名前を売っていくことで、メディアの世界での露出度が高くなっていった。

 その後、映画の世界に入り、脚本、作家、監督、主演を自ら行い、独自の世界を作り上げ
 ました。 
 さらに活動範囲を広げ、司会業や後輩の支援を精力的に行い、マルチタレントぶりを
 遺憾なく発揮していました。

 つまり彼は時代の変化とともに、自分の価値を変化させ、つねに観客の需要を満たす行動を
 とっていたのです。

 もしかしたらそんな戦略はなく、やりたいことをやっているだけと思うかも知れないが、
 浮き沈みの激しい芸能界で、これだけ長い間トップランナーとして走り続けていたという
 ことは、かなりの戦略家であるとみた方がいいでしょう。

 ここにも、マーケティングは存在するのです。
 ビートたけしがやりたいこと、なりたい自分を具体化することで数多くのファンを獲得
 していった過程は、参考にすべきことではないでしょうか。

□マーケティング活動の最初のステップ 
 それでは、マーケティング活動の最初のステップは何でしょうか。 
 それは、まず自分を知る、自分の会社を知ることです。 
 そして、次に相手(顧客) を知ること。
 その相手の訴求するポイントをつかみ、製品・サービスを開発する。

 そして、顧客の受け入れられる価格設定を行い、紹介できるチャネルを探し、そこに
 製品・サービスを紹介する。
 購入される場が整ったら、そのことを顧客に向けてプロモーションし、購入される機会を
 待つ。 

 簡単に説明すれば、下のような流れになるが、うまくこの活動を実施していくには、
 様々なセオリー、ノウハウが必要となるのです。 

  ステップ1. 自分の強みを知る(USP) 
  ステップ2. 相手のニーズを探る(マーケティングリサーチ) 
  ステップ3. 製品、サービスを開発する(プロダクト) 
  ステップ4. 価格設定を行う(プライス) 
  ステップ5. 購入してもらう場を探す(流通チャネル) 
  ステップ6. 製品、サービスを認知してもらう(プロモーション)

 ここでは、全体の流れを把握していただきたい。

□マーケティング力を高めるには、センスが大事 
 マーケティング活動なら、常日ごろ実施している会社がほとんどでしょう。
 あえて、ここで取り上げなくても、こと足りるという会社も多いと思う。 
 しかし、実はマーケティングに定番のやり方はないということを知ってもらいたいのです。

 だから難しく、なかなか成果が上がらない活動の1つなのである。
 なぜなら、マーケティングは売れる仕組みを構築していくことであり、売れる仕組みは、
 時代やその会社の環境によって変化するからです。

 ほかの会社がうまい仕組みを作ったからといって、自分の会社でそれが成功するとは
 限らないのです。 
 それでは、何を頼りに成果を上げていけばいいのでしょうか。

 マーケティング力を高めるには、まず、「マーケティングセンスを身につけろ」という
 提案をしたい。 

 例えば、あなたは何か言葉を調べる時に、昔から使っている、分厚い辞書で調べますか? 
 たぶん今、ほとんどの学生は、電子辞書を使っているでしょう。
 紙の辞書から電子辞書へ、うまく時代の変化に対応できた企業は生存し、対応できなかった
 企業は滅びるのです。

 そう考えると、売れる仕組みそのものを学ぶよりも、時代への対応力といったマーケティング
 センスを磨いたほうが安全なのです。 

 マーケティング活動も同じで、成功している企業を見てみると、経営方針は変わらないが、
 売るための仕組みづくりやマーケティング方法は、年々変化させてきているところが多い。
 変化させるということは、マーケティングセンスを持っていると言っていいのです。 

 つまり、マーケティングで成果を上げている企業の例を見てみるのです。
 そこから、自分なりの気づく力、マーケティングセンスとは何かを考え、養っていきましょう。


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マーケティングは集客の仕組み

マーケテイング戦略

マーケテイング戦略

■マーケティング戦略の基本
 1.マーケティングとは何か   
  ・「会社と顧客をつなぐ喜びづくり」である。   
  ・会社と顧客が好循環の関係性をつくることが究極の目的。

 2.自分にとって有利な場所を見つけ出すには   
  ・3C(自社、競合、顧客)を知る。   
  ・独自性を探し、それを差別化要因とする。

 3.製品・サービス戦略のポイントとは   
  ・コンセプトを明確にして、製品、サービス企画を立てる。   
  ・顧客のニーズから製品、サービスを提供する型を考える。

 4.価格戦略のポイントとは   
  ・値ごろ感(顧客)、目標の価格(自社)と業界価格(市場)の3価格のバランスを
   考えて設定する。   
  ・価格とは、人々の意識に直結した価値であることを忘れない。

 5.流通チャネル戦略のポイントとは   
  ・顧客の声を重視したチャネル戦略を立てる。   
  ・チャネルは最終的にカスタマイズに向かう。

 6.プロモーション戦略のポイントとは   
  ・ターゲットとメディアを分析し、最適なコンタクトポイントを探す。
  ・独自性を要に、心の琴線に触れる長期的なブランド構築を考える。

 7.リレーションシップ・マーケティングのポイントとは   
  ・顧客の声から顧客との良好な関係性を維持する方法を考える。

 特に中小企業にとって、マーケティングは経営のエンジンとなります。

□A社社長の悩み 
 ・B社が、自社の主力製品と競合する製品の値下げを行いました。
  その影響でここ数カ月間、自社製品の売り上げは対前年同月比、対前月比のいずれも
 マイナスで推移しています。

 この状況が続けば、自社の存続すら危うくなりかねず、早く対策を立てる必要がありますが、
 有効と思われる案が浮かびません。
 値下げはしたくないが、やはり、自社でも値下げを行って「価格」には「価格」で対抗
 するしかないのか…。

 企業を経営していれば、こうしたケースに直面することは少なくありません。 
 市場の成熟化が進んだ現在、企業が提供する製品・サービス(以下「製品」)は
 多くの類似した機能を持つ他社の製品との競争にさらされています。

 また、時には競合他社の代替製品が自社の製品を脅かす場合もあります。
 一方、市場に目を移すと、多様で移ろいやすいニーズを持つ消費者が市場の大多数を
 占めており、企業はこうした「気ままな消費者」の動向をとらえながら事業活動を展開
 していく必要があります。

 こうした中、マーケティング活動は企業にとって不可欠な取り組みであり、その重要性は
 すべての社長が認識しているといえるでしょう。
 しかし、マーケティングの重要性が声高に叫ばれる一方で、「マーケティングとは何か」
 「マーケティング活動において、何を検討したらよいのか」といった点について、十分に
 理解していない経営者も少なくありません。 

 マーケティング活動は、企業活動と密接に関連しています。
 従って、製品を製造し、販売するといった基本的な企業活動を行っていれば、たとえ
 意識していなくてもマーケティング活動を実践していることになります。

 しかし、マーケティングの内容について十分理解している社長とそうでない社長には
 大きな違いがでます。
 例えば、冒頭で紹介したような状況に陥ったときに、検討すべきマーケティング戦略の
 選択肢の数や質に大きな違いが出てきます。

 自社を取り巻く環境が大きく変化している現在、こうした違いは時として自社の命運を
 左右する要因となります。
 ここに、マーケティングについて理解を深めることの重要性があります。
ここでは、経営に不可欠なマーケティングの全体像について紹介します。

□マーケティングの基本を確認する 
 マーケティングとは、どのようなものを指し、企業活動においてどのような役割を果たす
 ものなのでしょうか。
 ここでは、マーケティングの意味や企業活動におけるマーケティングの位置付けなど
 マーケティングの基本について確認します。

 1.「マーケティング」とは 
  マーケティングに関しては、さまざまな団体、研究者などが、自らの考え方と言葉で
  多種多様な「マーケティングに関する定義」を発表していますが、それらのほとんどには
  多くの共通点があります。
  ここでは、日本マーケティング協会が90年に発表したマーケティングの定義を基に
  マーケティングの意味について確認します。
  マーケティングについてその特徴を踏まえながら簡単にまとめると以下の通りと
  なります。

  ◎マーケティングを行う主体 
   企業および、教育・医療・行政など
  ◎マーケティングの目的 
   市場創造
  ◎マーケティングを行う対象 
   自社商品を利用する顧客や一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および
   地域住民といったステークホルダー
  ◎マーケティングとして行われる活動 
   リサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに
   かかわる諸活動
  ◎マーケティングに際して順守・尊重すべき事項 
   国内外の法令だけではなく、倫理観・文化・道徳、自然環境

 日本マーケティング協会の定義をみると、マーケティングとは、企業をはじめとした
 さまざまな主体が、「市場創造」という目的を遂行するために、外部の多様な対象に対して
 行われるさまざまな活動ということがいえるでしょう。 
 なお、ここでは、マーケティングを行う主体を企業であることを前提に話を進めていきます。

 2.マーケティングの位置づけを確認する 
  企業活動を規定するものには、マーケティングの方針を決定する「マーケティング戦略」
  のほかにも「事業戦略」「競争戦略」などさまざまなものがあります。
  ここでは、これらの関係性・位置づけについて確認します。 
  これらのさまざまな戦略などを体系的に示すと、下図のように整理することができます
  (事業分野が2つの企業の場合)。

  ◎企業理念 
   企業の存在理由やその役割・責任・行動指針などを簡潔な文章で表現したものです。
  ◎企業目標 
   企業が長期的に達成しようとしている最終到達点を示すものです。
  ◎企業戦略 企業全体に関する戦略であり、
   ・企業全体としての生存・活動領域である「企業ドメイン」
   ・どのような製品・市場領域で事業を行うかあるいは専業・多角化を図るかといった
    「製品・市場戦略」
   ・自社が行う事業範囲を決定するとともに、経営資源の配分を決定する 「資源
    ポートフォリオ」などを検討します。
  ◎事業戦略 
   特定の事業分野における事業展開や競争優位性の確立を図るための戦略であり、
   ・対等する事業部門が行う事業活動の領域を示す「事業ドメイン」
   ・事業部門の目標である「事業目標」・競争優位性を確立するための施策や資源
    展開を決定する「競争戦略」などが含まれる。
   なお、「経営戦略」という場合は、「企業戦略」と「事業戦略」の2つの戦略を
   示すことが一般的です。
  ◎機能別戦略 
   事業戦略を実行するために必要となる具体的な活動に関する戦略であり、
   マーケティング戦略は機能別戦略を構成する一つとなります。
   また、機能別戦略はマーケティング戦略に加えて、生産、研究開発、人事、財務、
   情報(IT)などの各戦略が検討されます。

  *なお、中小企業に多くみられる単一の事業を専業で行っている企業の場合は、「企業戦略」
   と「事業戦略」は同一のものとなります。


  企業が経営を継続していくためには、当事者である企業自身以外の人々(市場)に
  自社の商品を購入してもらい、収益をあげていかなければなりません。
  マーケティングとは、これを実現するために不可欠な自社と市場との相互関係を規定
  する中心的かつ具体的な活動となります。

□マーケティングの基本構造
 1.マーケティングの基本構造 
  マーケティングには、外部の多様な対象に対して行われるさまざまな活動が含まれ
  ます。
  これらの中で、マーケティングの中核的な活動とその構造を図示すると下図の通りと
  なります。

  マーケティング主体である企業は、目的である「市場創造(需要の開拓と拡大)」を
  実現するために、その主要な対象となる「市場(ターゲット顧客)」に対してさまざまな
  形で働きかけます。

  企業が市場に対する中心的なアプローチ方法、いいかえると企業が市場にアプローチ
  する際に企業自身がコントロールできる要素として「製品(Product)」「価格(Price)」
  「プロモーション(Promotion)」「チャネル(Place)」のいわゆる「4P」があります。

  マーケティングに際して、企業がコントロールできるこれらの要素を
   「マーケティングミックス
  と呼びます。
  すなわち、企業におけるマーケティングの中核となる活動は、マーケティングの目的を
  達成するために必要となる市場を選定し、その市場に働きかけるために最適なマーケ
  ティングミックスを決定して、それを実践していくということになります(マーケティング
  ミックスについては後述します)。

 2.3つの適合性 
  前項で示したように、マーケティングは企業理念や企業目標を実現するための
  「機能別戦略」の一つです。
  逆の見方をすると、マーケティングは企業理念や企業目標を実現するための活動である
  ことが必要となります。

  このため、マーケティングはほかのすべての企業活動と一体的なものでなければ
  なりません。
  この際に注意すべきことは「3つの適合性」です。

  「3つの適合性」とは、
   ・マーケティングミックス間の整合性 
   ・「マーケティングの対象」と「マーケティングミックス」の整合性
   ・マーケティングとほかの企業活動との整合性
  です。

  これら3つの適合性を確保することによって、はじめて企業は企業理念や企業目標を
  実現することのできるマーケティングを行うことができるようになります。

□市場(ターゲット顧客)の決定
 1.市場(ターゲット顧客)を軸としたマーケティングの基本方針 
  マーケティングの目的である「市場創造」を行う第一歩は、対象となる市場を決定
  することです。
  市場の決定に際しては、後述する市場細分化基準などを用いながら市場調査を行い、
  詳細に検討する必要があります。

  その基本方針は以下の3つに分類することができます。
  ◎マス・マーケティング 
   すべての市場をターゲットとして、単一のマーケティングミックスで対応する
   ものです。
  ◎差別的マーケティング 
   市場を特定の基準で細分化し、すべてのセグメントに対してそれぞれに適合した
   マーケティングミックスで対応するものです。
  ◎集中的マーケティング 市場を特定の基準で細分化し、特定の限られたセグメント
   に対してそれに適合したマーケティングミックスで対応するものです。

 2.市場細分化基準 
  差別的マーケティングや集中的マーケティングを実施する場合には、市場調査を行い、
  何らかの基準に基づいて市場を分類しなければなりません。
  その際の基準を市場細分化基準といいます。

  市場細分化を行う際の基本基準としては、
   ・デモグラフィック変数(人口動態的変数)
   ・サイコグラフィック変数(心理的変数)があります。 

  デモグラフィック変数には、年齢、性別、学歴、職業、所得水準などの変数があります。
  デモグラフィック変数は、「国勢調査」など公的な調査資料から容易にデータを入手
  できる、結果を定量的に把握しやすいといった特長があります。

  しかし、市場の成熟化やそれにともなう消費動向の多様化などの要因によって、
  「同じ年齢層の中でも消費者の持つニーズは大きく異なる」といったケースが多く
  みられるなど、近年はデモグラフィック変数のみで市場を細分化することが困難な傾向が
  あります。 

  こうしたデモグラフィック変数の問題点を克服する基準として用いられるのが、
  サイコグラフィック変数です。
  サイコグラフィック変数には、ライフスタイル、パーソナリティー、価値基準、購買
  動機などの変数があります。

  サイコグラフィック変数は、さまざまな心理的変数を用いることによって、消費者の
  購買スタイルを明確にすることができます。
  「単に快適な生活を求めるのではなく、環境・地域社会・健康といった点も重視する」
  というライフスタイル像を明らかにして、近年注目されている
  L O H A S(lifestyle of health and sustainability)はサイコグラフィック変数の
  例といえます。

  ただし、デモグラフィック変数と異なり、サイコグラフィック変数に関する公的な
  調査資料がほとんどないこと、調査に当たってはその手法などに専門的なノウハウが
  必要となることから、企業が単独で調査することが難しいという問題点があることには
  注意が必要です。

マーケティングミックス
 対象とするターゲット顧客を決定したら、その市場に適合したマーケティングミックスを
 検討します。
 企業が市場にアプローチする際に企業自身がコントロールできる要素は、業種によっても
 異なるなど、さまざまな要素がありますが、その基本的要素は
  「製品(Product)」「価格(Price)」「プロモーションPromotion)」「チャネル
  (Place)」の「4P」となります。

 マーケティングミックスについて検討する際には、4つのマーケティングミックスを独立
 して検討するのではなく、前述した3つの整合性に配慮することがポイントとなります。 
 4Pの概要は以下の通りです。

 ◎製品 
  ターゲット顧客に、どのような製品を提供するかを検討します。
  具体的には、どのようなコンセプトを持つ製品をどのように開発・製造あるいは
  仕入れるか、製品ライン(製品のアイテム数など)をどのように展開するかといった
  点を検討します。
  また、製品ブランドをどのように構築・管理していくかといった問題も検討する
  必要があります。

 ◎価格 
  開発・製造・仕入れた製品をいくらで販売するかを検討します。
  価格は企業の収益に直接的な影響を与える要因となります。
  また、消費者にとっては、製品の価値を判断する基準となるなど、価格は製品の
  消費動向に大きな影響を与える要因となるため慎重に検討する必要があります。

 ◎プロモーション 
  製品の販売促進や製品ブランドの構築・維持などを行うために不可欠な、広告や
  販売促進方法などについて検討します。
  プロモーションには、テレビCMなどのメディアを活用した広告や店頭による
  キャンペーンなどさまざまな手法があります。

  ここでは、いつ、どこで、どのような方法を使ってプロモーションを展開するのか、
  といった点を検討します。

 ◎チャネル 
  ターゲット顧客に製品を提供するための、製品の流通経路について検討します。
  具体的には、卸売業者を経由して製品を販売するのか、小売店に直接販売するのか、
  販売する小売店はGMSのような大型店にするのか、小型の専門店にするのかといった
  流通経路について検討します。


  また、選択した流通経路を効果的に運用するための方法などについても検討します。
  ここで、冒頭で紹介したA社のケースについて再び考えてみましょう。
  A社の経営者は不本意ながらも「価格の引き下げ」を行うしかないと考えていました。

  しかし、マーケティングの視点から考え直すと、
   ・B社では販売していない地域で自社製品の販売を開始する(「市場」の変更)
   ・新たなプロモーションを実施して自社製品の認知度を上げ、売り上げ向上を
    図る(「プロモーション」の変更)
   ・小売店経由の販売に加えて、インターネットを活用した直販を行う(「チャネル」
    の変更)
   といった、価格の引き下げ以外の方策についても体系的に検討することができる
   ようになります。
  本リポートを参考にマーケティングの観点から自社の取り組みを再検討してみると
  よいでしょう。


  THE NUNOBLOG

  フリーランス向けメディアで、「全方位のWebスキル習得をサポート」というコンセプトにて
  「マーケティング・デザイン・プログラミング・動画編集」を中心に、Webスキルの習得方法を
  しています。



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マーケティングは集客の仕組み

価値と価格

価値と価格

■フロントエンドとバックエンド
 過去の一時期、ポケットベルやPHS、携帯電話などが無料で配られていました。
 なぜ、無料で配るのか、不思議に思ったことはありませんか?
 新聞を見てみても、健康食品の通販などでは無料でサンプルを配っています。
 化粧品も同じです。

 7日間お試しプログラムや14日間お試しプログラム、こういったものが世の中には
 溢れかえっています。
 これこそが、まさにフロントエンドとバックエンドの考え方を如実に表しています。

 試しに一度、こういった無料サンプルを請求して見て下さい。
 サンプルと同時に、販促用のDMが届くはすです。
 そして、無料のサンプルとDMを見比べているうちにこの商品を買ってみようかという
 気持ちになり、実際に数%の方が商品を購入するのです。

 フロントエンドとは、お客様を集めてあなたの会社が信頼に値すると信じてもらうための
 商品。
 バックエンドとは、信じて頂いたお客様にあなたが渾身の力を込めて販売する商品の
 ことです。

 大切なポイントはここにあります。
 人は信用している人から、モノを買うのです。
 ここまで読んできて、なんで一回で高い商品を販売しないんだ?と不思議に思われた方も
 いるでしょう。

 なぜ、こんなに高いんだ?
 ここの会社信用できるのかな?
 使って効果が出なかったらどうしよう…。
 何かを購入する時、顧客の心に必ず起こる疑問の念。

 人は何かを買うとき、購入後の未来と同時にリスクを考えます。
 必ず、リスクを思います。
 こういった感情を起こさせないために、まずは何度か低額な商品、もしくは無料オファー
 を提供することで信用してもらうのです。

 いきなり高いものを買ってくれというのは、初めて出会った女性に結婚して下さいという
 ようなもの。
 あなたのことを知らない・信用していない顧客に商品を販売しようとセールストークを
 研究しても、多くの場合無駄な努力に終わります。

 信用という土台がないうちは、どんなにセールスをしても「売り込み」としか思われません。
 あなたのビジネスで、まず顧客に提供できるものはないでしょうか?
 無料サンプルを提供できないでしょうか?
 無料で情報提供をできないでしょうか?
 一ヶ月間無料でサービスを提供できないでしょうか?

 こういうサービスを提供することで、初回の取引のリスクをできるだけ少なくするのです。
 まずは、サービスの全貌を知って頂くために無料で顧客に与えるのです。
 「この商品を提供しないことは顧客の不幸になる」という信念に支えられているからです。

 あなたも、あなた自身のサービスをより広めるため、そして、つきつめて言えばあなたの
 理念をより広く行き渡らせるため、フロントエンドの低額商品をまずは作ってみて下さい。
 そして、フロントエンドで信用してくれたお客様に、より密着したサービスの高額商品を
 販売するのです。

 フロントエンドとバックエンド。
 この流れを一貫して作ることは、セールスファネルの構築といわれます。
 この商品戦略は、ルイ・ヴィトンをはじめとする有名ブランド、外商部隊を組織する
 百貨店、通信販売など、多くの業種・業態で取り入れられています。
 このバックエンドを構築できた時、あなたの収益は大きく上がります。
 ここも非常に大切な考え方で、1つの企業の浮沈を左右するといっても過言ではないのです。

□価格を安く感じさせるには?
 「全ての商品には2つの側面がある」と言いました。
 これは、コピーライターにとってとても基本的な知識であり、とても重要なものである
 ものの、多くのコピーがこれを無視してしまっています。

 実際、ある程度「慣れた」コピーライターであっても、このポイントをうっかり忘れて
 しまう事があります。
 このポイントをうっかり忘れてしまうと、あなたの提示する「価格」を見込み客に納得
 してもらうのが、とても難しくなります。

 2つの側面のうちの一つは、「物理的な側面」。
 車で言えば、鉄でできたボディや革でできたシート。ガラス。
 本で言えば、紙とインク。
 など、実際の商品を形作っているもののこと。

 もう一つは、「機能的な側面」。
 その商品の利用者(顧客)にもたらす「ベネフィット」のこと。
 セールスコピーでは、この2つの側面についてきちんと書かないといけません。

 物理的な側面では、あなたが売ろうとしているものが何なのか。
 買った人は何がもらえるのか。
 商品は何でできていて、一体何なのか?

 というのを書きますが、「売れるコピー」にするために重要なのはもう一つの側面。
 「機能的な側面」です。
 価格を安く感じさせるには?

 見込み客に「安い」、と感じてもらうには、見込み客が感じる価値を価格よりも高くする
 必要があります。
 見込み客がお金を払うのは、鉄のかたまりに対してでもガラスに対してでも紙とインクに
 対してでもありません。

 「価値」に対してです。
 だから安く感じてもらうためには、商品が本来持つ価値をきちんと見込み客に伝える事が
 ポイントになってきます。

 そしてそのためには、機能的な側面をうまくコピーに組み込まなければいけません。
 重要な考え方:商品の物理的な側面を表現する方法が、「この商品は○○です。」と
        いう風な、商品の特徴を表現するわけです。
        一方、商品の機能的な側面を表現する方法が、
        「この商品は△△をしてくれます。△△できます。」という方法です。

        私たちのお店は24時間営業です → だから私たちのお店はあなたに
        △△できます。
        これは、オーディオ教材です → だからこのオーディオ教材はあなたに
        △△できます。
        この商品は、防水加工がされています → だからこの商品はあなたに
        △△できます。

□「安い!」売れるコピー
 それも、歴史的に長期的に売れたような有名なコピーを読んでいると、ベネフィットが
 スペースの許す限り目一杯積み上げられて書かれているという事に気づきます。
 読むと興奮してきます。

 そして最後の方で商品の価格が提示されますが、それを見たら「安い!」と感じるのです。
 感じる価値が価格を大きく超えているわけです。
 あなたのコピーには、ベネフィット(機能的な側面)は表現されていますか?

 単なる商品の特徴(物理的側面)にとどまっていませんか?
 これでもか!というくらいベネフィットを積み上げていますか?
 見込み客がそのコピーを読んだ時の反応は、「安い!!」ですか?


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マーケティングは集客の仕組み

営業に欠かせない顧客の会員化と関係強化


  ロイヤルティ・マーケティング 

   過去の大量生産大量消費時代には「マーケットシェア」といった言葉ががもてはやされて
   きました。

   しかし、今ではあなたと顧客との一人ひとりの関係づくりが重視されることから
   「リレーションシップ・マーケティング」「ワン・ツウ・ワン・マーケティング」といわれ、
   「マーケットシェアの拡大」から「顧客シェアの拡大」へと変化していています。

       あなたが顧客一人ひとりとの長期的な関係づくりを重視し、
       一生涯にもたらしてくれるであろう利益の大きさ

   に、関心を払うことです。

   ロイヤルティー・マーケティングの手法は小売業、サービス業、航空業界などで関心の
   高いマーケティング手法です。

   その手法の一つである「顧客の会員化」については、各業界においてすでに実証済み
   です。

   何のために会員化を図るのでしょうか? 会員化にはさまざまな考えがあります。

   顧客間の差別化(優良顧客を優遇)、競合他社との差別化、顧客のファン化など。

   新規開拓は既存顧客開拓と比較し、5倍のコストが掛かります。

   一人の営業マンの活動コスト

    ・新規開拓のための1日の訪問コスト・・・

    ・既存客への訪問コスト・・・

   1人の営業マンが新規開拓で1日動けば、人件費と交通費その他を加えると、2万円
   程の費用がかかります。

   それと比較し、既存客開拓(訪問) は4千円。

   新規開拓はもちろん重要ですが、優先順位は既存客対策です。

   その既存客からの収益アップを図ることです。
    
   一般的に20%の優良顧客が80%の利益をもたらすとされています。(パレートの
   法則)

   優良顧客との長期的な関係を築くことが、より多くの利益をあなたにもたらしてくれ
   ます。

   特に、優良顧客の「口コミ」から得られる利益は大きいものがあります。

   既存客を末永く固定客としていくためには、現状のやり方に甘んじている
   わけにはいきません。

   それでは、顧客の会員化について考えてみましょう。

   すでにご承知のようにあなたの役割は、お客様の困っていること(抱える問題、悩み、
   不便、苦痛)は何か。

   その解決策があなたの商品・サービスとなります。

   そのためには異業種との提携や有益情報の購入などが必要になってくるでしょう。

   当然有料化するのであれば、顧客が満足する内容(魅力的なサービス・特典)でなく
   てはなりません。 

   料金設定も重要となります。

   一概には言えませんが、提供するサービス・特典によって違いますが、無料にだけは
   しない方がいいでしょう。

   単なる商品やサービスの購入者という希薄な関係だけでは競合他社との差別化を図る
   ことは不可能でしょう。
    
  ■既存客との関係強化

   顧客が一生のうちにどれだけの成約、多種目成約をしてくれるか(ライフタイム・
   バリュー:顧客の生涯価値)に注意を向けるべきである。

   顧客の生涯価値をしっかり見据えて、契約を継続的に維持していくためには、
   顧客との良い関係を構築していかなくてはならない。

   これからの営業は、より戦略的に顧客と結びつかなくてはならない。

   競争はますます激しくなり、油断していれば顧客はすぐに浮気してしまうでしょうう。

   自由競争、自由選択の時代が、顧客主導の市場をどんどん形成していくなかで、
   いかにして顧客をつなぎ止めるか?

   競争が激しい時代とはいえ、その背景には営業の努力不足があるのではないかと
   考えたくもなる。

   多くの営業スタイルは、時代に大きく遅れを取っているのは間違いないでしょう。   

 
  □顧客の流出防止チェックポイント

    ・顧客別にコミュニケーションするために、独立した顧客データベースがあるか。

    ・1人の顧客を獲得、維持するのにかかるコストを把握しているか。 
    ・休眠中の顧客を抽出でき、その顧客を再活性化させるためのプロクラムがあ
     るか。 

    ・顧客別に購入頻度や、成約頻度・単価の高い顧客であるか、少ない顧客で
     あるか判別し、それに応じたマーケティングを実施しているか。 

    ・ダイレクトメール・電話・ファックスでの接触や訪問をするときに、顧客1人当り
     の接触コストがいくらか理解しているか。 

    ・1人の顧客が去ってしまった理由を知るために、顧客に連絡を取るなどして、
     流出防止対策を講じているか。 

    ・顧客はあなたの会社のビジョン・使命・価値について知っているか。 

    ・定期的(最低年に1回)に顧客の満足度を測定し、収集された情報は満足度を
     向上させるために使用しているか。 

    ・新規顧客にたいし、クロスセルを促進するプログラムを持っているか。 

    ・1人の顧客が離れたために失ってしまう価値を理解し、流出を抑えるための
     マーケティングプログラムあるか。 

    ・継続的に契約していただくために顧客に投資しているか。
     その投資コストは見込まれる収益と関連させ、費用対効果を測定しているか。

    ・あなたは優良顧客とのリレーションシップ(関係性)を育てることに前向きか。

    ・既存顧客に向けて、商品やサービスのアップセル・クロスセルを実施する
     プログラムを持っており、その実施結果の測定を定期に実施しているか。

   基本的に顧客は浮気性である。

   まして熱意と根性で成約した契約は、さらに熱意のある、低価格のところに
   移ってしまう。

   頭を使わずに取れた契約は簡単に落ちると考えていいでしょう。

   顧客の流出を防止するためには、上記のポイントを抑え、顧客志向を高めたデータ
   ベース・マーケティングを導入することが急務となります。

   今までのようなセールススキル(売り込む方法を追求)のレベルアップから、顧客に
   充分に理解されて、納得されて、顧客から声がかかってくるような販売方法(マーケ
   ティング)に営業を改革していかなければならない。

   売り込むのではなく「売れる仕組み」を作り上げることがマーケティングです。

   欲しいと思われる商品・サービスを企画し開発する。

   それを消費者に認知してもらうように広告や販売促進を行なう。

   消費者の気持ちを考慮しながら売れるように組み立てることがマーケティングといえる
   でしょう。

   セールスのように一方的な売り込みではない。

   「売る」の間に「れ」が入るのと入らないのとでは大きな違いがある。

   必要なのは「売る」から「売れる」への発想転換です。

   例えるなら、セールスは顕在化している需要を片っ端から刈り取る狩猟型と言えます。

   マーケティングは種をまき、飼料を与え、果実になるまで時間をかけて市場を育成
   します。

   実になってはじめて収穫する農耕型の販売手法です。

   マーケティングは「将来にわたって継続して売り上げ・利益を確保する仕組みづくり」
   である。

   この手法を実践していくには大きく分けると2つの戦略が考えられます。

   同業他社とほとんど差異のない環境を打破して戦うには、

    ・同業他社にないサービスや機能・性能で戦う

    ・特殊な商品あるいは特定のエリアに集中して戦う

   そして、なにを武器に戦うのか、明確な方針を出して戦わなければ、ケンカに勝つこと
   はできない。

   あなたの商品は他社の商品に比べてどれだけの性能を持っているか、販売している
   商品の性能・価値を的確につかんでいなくては差別化はできない。

   お客様が契約を決意するのは、それを購入すれば必要が満たされるか、あるいは
   満足を手にすることができるからである。

   必要性も利便性も満足も感動も得られないのであれば、顧客は購入を決意しない
   でしょう。

   商品に名演技をさせるためには、営業マンがその商品の性能・価値を把捉していなけ
   ればならない。

   大切なのは、相手をうならせる「感動を呼ぶ提案」「理知的な提案」ができるかどうか。

   商品やサービスの特徴をつぶさに検討して、どの特徴をどのようなセールストークに
   展開するか、気の利いた材料を揃えて、あらかじめシナリオ(セールスプログラム)を
   作成しておく必要があります。

   御用聞き営業からマーケティング営業に変えていくためには、面談プロセスを一枚
   の表にきちんと整理し、頭の中に叩き込んでおかなくてはならない。

   面談プロセスなしに、ストーリーのあるセールストークを作ることはできません。

   複数のセールストークを整理し、用意しておかないと、セールス時点で顧客に聞かれ
   るままに答えてしまう受動的な営業に終わってしまう。

   いまやありきたりの便益や価格だけでは、顧客の購入意欲を呼び起こすことは
   難しい。

   ブランドイメージやサービスといったパフォーマンスを、より具体的に強く訴えかけて
   いく必要があります。

   顧客の心理的、社会的、あるいは感情的なニーズに訴えることを念頭におく。
   「こんなにたくさんの人が使っています」「知的生活者ならこの商品です」などは、
   相手の不安や喜びの感情を刺激している表現である。

   不安を与えたり、夢を与えたり、ユーモアを感じさせたりするには、感情に訴求する
   キーワードを巧みに使う必要がある。

   商品に「感情の言葉」で演技させるのです。

   そのためには、商品の特徴やサービスが、どのような「感情の言葉」を呼び起こすのか
   を明確に定義しておく必要がある。

   顧客ニーズが多様化・複雑化している現在、販売の土俵を決めて戦力を集中しなけれ
   ばならない。

   すべての人を対象にしたマーケットに、すべての商品やサービスを販売するデパートを
   目指すべきでない。

   しかし、ほとんどの営業パーソンがこの販売手法です。

   だからといって分野や数を絞っても、ただ漠然と販売を展開したのでは何の意味も
   成さない。

   その商品を、どのような相手に、どのように販売するか、明確に設定しなければなら
   ないのです。

   市場のどこで勝負をかけるか、「販売する土俵」(他社と違う土俵)を設定することが
   ポジショニングである。

   ポジショニングを明確にしなければ、自分がどこで誰を相手に勝負しているかもわか
   らず、ただ時間に流されて毎日が忙しいだけである。

   ポジションを決め、ターゲットを明確に定め、そのターゲットに向けてもっとも効果の
   高い販売戦略を展開する。

   ポジションを明確に設定しないと成功の確率がなかなか上がらない。

   あらかじめ攻める市場を狭く限定し、その市場のニーズ・ウォンツを見つけ
   (作り)だす、どんな提案が喜ばれ感動されるかを準備し、集中していく作戦こそが
   成功をもたらす。

   あなたのポジション・マーケットを明確にせず営業を推進していくことは、“下手な鉄砲
   も数打ちゃ当る”方式の「努力すれど成果あがらず」という結果に終わってしまいます。

   あなたの土俵設定(セグメンテーション:マーケットを細分化)の基本は、あなたの商品
   がどこを狙うべきかといった、ポジショニングを決めることです。

   そのために必要とする情報として、

    ・ビジネス環境の分析(外部環境分析)

    ・自社の経営状況(内部環境分析)

    ・強み、弱みの明確化(自社経営に影響ある機会脅威)

    ・強みをどうやって伸ばすか

    ・弱みをどうやって克服するか

   あなたが成功するには自己目標だけでは達成できない。

   あなたの成長は、マーケットとの良い関係を築いているかどうかにかかっている。

   つまり、顧客のニーズや欲求に合致しているかどうかで成功が決まるのです。

   よくマーケティングの書籍に、人の商品の購入動機は理屈ではなく感情によると言っ
   たことが書かれています。

   人の感情(心理)を洞察し、「人間の欲求にどのように対応していけばマーケティングを
   成功させられるか」という物差しである。

   あなたも聞いたことがあると思いますが、マーケティングにおいて十分に活用できる
   理論の1つに「マズローの欲求5段階」という有名な概念があります。

   マズローの説によれば、人間の欲求は、「生存の欲求」→「安全の欲求」→「所属の
   欲求」→「尊重の欲求」→「自己実現の欲求」と階段状に登っていくといわれています。

   人間の欲求はエスカレートし、欲求には際限がない。

   最初の欲求が満たされると、つぎの段階の欲求が芽生えてくる。

   たとえば、空腹さえ満たせばよかった欲求は、「食事を楽しむ」という欲求に変化する。

   防寒のための衣服は「美しく着飾りたい」という欲求に変化する。

   雨露を防げれば良かった住まいは「快適に過ごせる家」「安全な家」という欲求に変化
   する。

   それらが満たされると「誰かに認められたい」「尊重されたい」という欲求が起こり、
   社会参加が盛んになる。

   自己実現の欲求は「自分を磨きたい」とか「体を鍛えたい」とか「見聞を広めたい」とか
   「ゆとりある生活をしたい」とか「趣味を持ちたい」というような欲求に変化してくると
   いうわけです。

   欲求(感情)=ニーズ・ウォンツには、
   所有することの誇り 安全性 自己改善 身分 スタイル 世間体 野心 権力 利便
   性 安らぎ 向上 社会的認知(ステイタス) 健康と福祉 利益 貯蓄ないし経済性
   順応性といったことがあげられる。

   対象となるお客さんの真の欲求(裏の欲求)が何かを探ることが契約に結びつきます。

   顧客が欲する・望むことを、顧客が望む方法で提供する会社だけが、顧客の支持を
   得て成長することができる。

   顧客のどんなニーズ、どんな欲求に対応していくかという、貢献意志・貢献目標を
   決める必要があります。

   「○○のサービスならどこにも負けない」といったリーダーシップが顧客への貢献を
   生み、顧客からの評判を得て商売は成功するのです。

   もちろん、ただむやみに貢献すればいいというものではない。

   貢献目標が、結果としてあなたの利益にどう結びつくかを、あらかじめよく検討して
   おく必要があります。

   まずは顧客ニーズにどのように貢献していくか、大きな貢献テーマを明確にしよう。

   そして、ただ漠然と目標を掲げるだけでなく、なるべく細かく貢献できる要素を洗い
   出していき、それぞれの貢献度合を検討してみることが重要となります。

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マーケティングは集客の仕組み

価格設定の考え方
 

  ■「価格」を設定できる範囲

   商品の価格設定と販売量は、基本的には「価格を下げると販売量が上がり、逆に 
   価格を上げると販売量が下がる」という関係にあります。

   価格設定においては顧客を同一の集団として扱うのではなく、顧客をセグメントし
   て、セグメントごとに適切な価格設定をして総売上の最大化を図るという収益管理
   手法(レベニューマネジメント)の考えが欠かせません。

   価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者にとっては
   価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となり、購入する際の意思決定
   の決め手となるものです。

   すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってそ
   のつど決めています。

   したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は
   売れませんし、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることにな
   ります。

   しかしながら、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設
   定を行うと、会社経営に深刻なダメージを与える可能性もあります。

   これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売
   すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲内で決
   まることになります。

   また、自社が設定する価格は競合企業の価格政策に影響を与えることも忘れて
   はなりません。

   低価格化競争は、しばしば無用な乱売競争を招き、結局は競合企業とお互いの
   首を絞め合うことにつながる可能性もあります。

   これらのことを考えると、価格政策が企業にとっていかに重要な経営課題である
   かが分かります。

   そのため価格設定は、商品の特性や営業・販売構造などを総合的に判断して、
   自社にもっとも適した方法を検討する必要があるのです。

   現在、自社がどのような価格設定の方法をとっているのか、それが適切かどうか
   を定期的に確認することが必要です。

  □基本的な価格設定の方法

   価格は、前述の設定可能範囲のなかで景気に伴う需給動向、蒙合状況などさま
   ざまな要素が加味、集約されて決定されるため、絶対的な設定方法はありません。

   通常は原価・需要・競合状況の3つの要素を踏まえたうえで価格が決められてい
   ます。

   1.原価を考慮して決める方法

     企業サイドに立った考え方で、価格がいくらであれば原価を回収して適切な利 
     益を得ることができるか、ということを考慮して価格を決める方法です。

     このような視点から価格を設定する場合には、次の方法が考えられます。

     (1)コストプラス価格設定方式

       製造原価(または仕入原価)に利益を加えて価格を決定する方法です。

       この方法では、売り手となる企業側にコストダウンが意識されにくいという
       問題があります。

       したがって、この方法は需要に対して供給が不足する「売り手市場」の場合
       か、市場における競争が激しくない場合に限って有効な方法です。

     (2)マークアップ価格設定方式

       マークアップ価格設定方式は、理論的にはコストプラス価格設定方式と同
       じものです。

       投入した原価に一定の利益(値入れ額)を加えて販売価格を決める方法
       で、流通業界で多く用いられています。

        販売価格=仕入れ原価十底入れ額

       この利益は「値入れ(マークアップ)額」とよばれ、一般には次の要素をカ
       バーする必要があります。

        ・店舗もしくは部門経費(商品の管理費用や直接販売費など)

        ・商品の販売に先立って予想される破損・盗難・値下げなどの損失

        ・営業利益

       たとえば、ある小売店が仕入れ原価60万円(総額)の商品を販売するとき
       に、営業経費が3万円、破損などが1万円見込まれ、利益目標を5万円と見
       積もった場合、商品は総額で69万円程度で販売しなければならないことに
       なります。

       コストプラス価格設定方式やマークアップ価格設定方式のような価格設定
       方法は、比較的簡単な方法であり、企業にとっては一定の利益を確保しや
       すく使いやすい方法です。

       しかし、需要サイドを考慮していないため、設定した価格では市場に受け入
       れられなかったり、逆に消費者が支払ってもよいと考えている価格よりも低
       い価格を設定してしまい、利益を逃してしまうというリスクがあります。

   2.需要を考慮して決める方法

     消費者サイドに立った考え方で、「いくらなら商品を購入してもらえるか」という
     ことを考慮して価格を決める方法です。

     このような視点から価格を設定する場合には、次の方法が考えられます。

     (1)知覚価値価格設定方式

       商品の価値をユーザーがいくらでとらえるか、という知覚価値をなんらかの
       方法で測定し、それを基準に価格を決める方法です。

       つまり、最初に「売れる価格」を認識し、それに原価を合わせていく方法です。

       たとえば、新製品として有機栽培野菜ジュースを開発し、消費者アンケート
       で「110円なら購入するが150円なら購入しない」という結果がでた場合、
       原価を下げ、110円でも利益がでるようにするといった考え方です。

     (2)需要差別価格設定方式

       需要に差がある市場セグメント(区分)ごとに価格を設定する方法です。

       時間帯(早朝・深夜など)、顧客(女性)、期間(盆・正月などの繁忙期)など
       のセグメントごとに価格を設定します。

   3.競合状況を考慮して決める方法

     商品が差別化されておらず、市場内にある程度の競争相手が存在する場合
     に用いられます。

     つまり、競合商品の市場価格を考慮して価格を決定する方法です。

     したがって、決定した価格に適合するように原価を調整する必要があります。

     (1)市場価格より低く設定する方式

       低価格により薄利多売を行い需要の拡大を図るか、あるいは競合企業の
       シェアを奪回しようとする場合に用いられます。

       しかし、こうした戦略はしばしば価格競争を招き、売り手同士がダメージを
       受けるだけ、という結果にもなりかねないため注意が必要です。

       一般に、中小企業は仕入れチャネルや販売力にも限界があるため、こうし
       た価格競争に巻き込まれた場合、不利であり、この価格設定方法はあまり
       中小企業向きとはいえません。

     (2)市場価格より高くまたは同一価格に設定する方式

       販売価格を市場価格と同一または高く設定する戦略は、自社の商品が品
       質、機能、サービスなどの点において、競合商品よりも優れている場合に
       のみ用いられます。

  商品のライフサイクルと価格政策

   商品には、一般的に導入期・成長期・成熟期・衰退期という4つのライフサイクル
   がありますが、価格政策はこの各段階の特徴に応じた適切な戦略をとる必要が
   あります。

   なぜならば、各段階によって競争形態が異なり、また消費者の購入態度も変化し
   ていくからです。

   商品のライフサイクルにおいて、とくに問題となるのが導入期における赤字と、成
   熟期における利益率の悪化です。

   1.導入期の価格政策

     導入期の価格政策は、商品のイメージを確立し、その後の普及を左右する意
     味で重要です。

     導入期の価格設定の方法として代表的なものは、次の2つです。

     これらの設定方法の効果やリスクを十分検討したうえで、適切な価格設定を
     行う必要があります。

     (1)市場浸透価格設定方式〜販売数量を重視

       導入時から低価格を訴求し、販売数量と市場占有率を短期間で上昇させ
       利益を確保しようとする方法です。

       この手法は、販売数量が増加するにつれて商品1単位当たりのコストが下
       がるという仮定(規模の経済)に基づいています。

       そのため量産しやすい日用品や食品業界に多くみられる手法です。

       成功すれば早い時期に市場でのシェアを獲得でき、また、利幅が低いため
       競合企業の参入意欲を減退させる、という効果があります。

       しかし、販売数量が増加しても期待どおりに原価が下がらず、なかなか利
       益を確保できないというおそれもあります。

     (2)うわずみ吸収価格設定方式〜利益率を重視

       いわゆる高級品志向を狙う価格設定方法です。

       (1)とは逆に、導入期に高価格を設定し、収益性を重視し早期の資金回収
       を図ります。

       巨額の投資が必要な産業(半導体製造など)に多くみられます。

       高級自動車などのように、量産せず、低価格にせず、高級イメージを維持
       することで希少価値をアピールすることができます。

       また、高価格により投下資本を早期に回収し販売数量が増加すれば、競
       合商品と比較しながら、価格を下げて市場占有率を高めていくことができます。

       ただし、ターゲットとなる顧客層が限られるため市場への浸透力が弱く、資
       本回収に十分な販売数量を確保できないリスクがあります。

   2.成長期の価格政策

     商品が成長期に入ると、通常、価格は横ばいか低下の傾向をたどります。

     それは、市場の成長により競合が激化してくるとともに、生産・販売数量の増
     加からコストが低下してくるためです。

     したがって、企業として成長を維持していくためには、原価プラス利益方式を
     基本に適切なタイミングでの価格引き下げやサービスの付加を検討する必要
     があります。

     また、成長期の後半には拡販による利益の追求よりも、製造・販売原価の低
     減が重要な利益の源泉となってくることも忘れてはなりません。

   3.成熟期の価格政策

     商品が成熟期を迎えると、コストの低減が限界に達して企業間のコスト差は小
     さくなります。

     また、市場成長率が鈍化し企業間で少ないパイを奪い合うこととなるため、脱
     落する企業もでてきます。

     商品の差別化も困難となってくるため、どうしても価格中心の競争が激化して
     くることになります。

     その際の価格設定の考え方は需要を考慮した設定方法となります。

     しかし、この時期の競争は生き残った優良企業同士の競争となるため、単純
     な価格政策では不十分です。

     安易な安売り政策では、すぐに限界に達してしまいます。

     そのため、流通合理化やほかの製品との組み合わせ販売など、非価格政策
     を同時に駆使して対処することを検討するべきです。

   4.衰退期の価格政策

     商品が衰退期に入ると、販売数量は著しく減少します。

     さらに新製品の出現、消費者の噂好の変化によって市場シェアは急激に低下
     します。

     ただし、この傾向が自社だけの傾向なのか、それとも市場全体の傾向なのか
     によってとるべき方向性は異なってきます。

     すなわち、もし市場全体が衰退期にあるのであれば原則として市場から撤退
     することを考えますが、自社のみにみられる傾向であれば価格・品質などの再
     検討が必要です。

     また、市場全体が衰退期にあったとしても、多くの企業が撤退した場合、自社
     は残りの需要で着実に収益を上げることも可能です。

     したがって、この時期は新商品開発を本格化すると同時に、原価を考慮した価
     格設定で販売して、需要がどのくらいあれば存続していけるかを検討する必
     要があります。

     また、採算割れしない程度の価格を維持して在庫を処分し、近い将来の撤退
     に備えるといった視点も求められます。

  □価格設定のテクニック

   これまで、価格設定方法の基本的な考え方についてみてきました。

   ここでは、さまざまな業界で実践されている主要な価格設定方法をいくつか紹介
   します。

   1.固定費回収法による価格設定

     企業経営においては、ある部門が赤字でもほかの部門がその赤字をカバーし
     ていれば、会社全体としては赤字にはなりません。

     したがって、ある商品に割り当てられる固定費を小さくしたり大きくしたりして、
     販売価格を設定するという方法があります。

     たとえば、製造業の場合、戦略商品には材料費・仕入原価などの直接費に労
     務費・製造経費だけを加えた価格を販売価格とし、そのほかの商品に残りの
     販売・管理費など固定費を背負わせる、という方法です。(下表では「商品B」
     が戦略商品)

     また、同一製品で販売地域ごとに固定費負担に差をつける、という方法もあり
     ます。

     たとえば、東京や大阪など一般に競合が厳しい地域での販売価格は直接費
     のみにし、それ以外での地域の販売価格にそのほかの販売費・管理費・営業
     外費用などを振り分けるという方法です。

     このような方法を、段階的固定費回収法による攻撃価格政策といい、必要に
     応じて活用されています。

   2.ロスリーダー(目玉商品)価格政策

     前節の考え方を流通業界に取り入れた価格政策です。

     特定の商品を目玉商品として極端に価格を安く設定し、それを広告宣伝して
     多くの客を集め、ほかの商品を買ってもらうことで一定の利益を確保する方法
     です。

     目玉商品は仕入原価で販売し、ほかの商品には仕入原価に必要費用や利益
     を振り分けて販売します。

     この政策を成功させるためには、目玉商品が次のようなものであることが求め
     られます。

      ・一般消費者に広く普及している有名ブランド商品

      ・所得層に関係なく誰でも購入できる商品

      ・メーカー間の競争が激しい商品

   3.心理的価格政策

     心理的価格政策とは、消費者がある商品に対してもつ独特な購買心理に適し
     た価格設定の方法です。

     具体的には次のようなものがあります。   

     (1)端数価格

       たとえば、2000円の代わりに1980円としたり、5万円の代わりに4万
       9800円と付けた価格のことです。

       端数価格を付けることによって、「価格は最低水準にまで下げられている」
       という印象を消費者に与え、売り上げを増やすことができます。

     (2)慣習価格

       消費者が慣習的に認める価格があります。

       たとえば缶ジュースなどはどこの小売店でもほとんど変わらない価格で売
       られています。

       このような慣習価格が存在する場合には、これより安くしても売り上げはそ
       れほど伸びず、逆にこれより高くすると消費者に敬遠され、売り上げが著し
       く減少することがあります。

     (3)名声価格

       消費者が価格によって品質を評価する傾向が強く、しかも、比較的高級な
       品質が選考される場合(いわばブランド力がある場合)に、高い価格を付け
       ることがあります。

       たとえば、女性用の化粧品などがこれに該当します。

  価格設定のフローチャート

   ここでは価格を設定する際の基本的な視点と手順をまとめています。

   まず、その価格を設定することで自社をどのようにしたいのか「目的」を明らかに
   します。

   これによってとるべき設定方法が区分されます。

   たとえば、商品を製造・販売するのにかかったコストを確実に回収することを目的
   とした場合は、原価重視の価格設定方法をとることが基本となるでしょう。

   最終的には、原価・需要・競合状況という3つの要因だけでなく、販売方法などさ
   まざまな内部要因をも加味して決定することになります。

   
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マーケティングは集客の仕組み

ケティングで売り方を変える


  ■マーケティングとセールスの違い

   既にある商品やサービスをお客様に買っていただくための具体的な働きかけを
   「セールス」と呼ぶならば、「マーケティング」はより上位の概念として位置づけられ
   ます。

   どのようなお客様をターゲットとするのか、どのようにニーズを発掘するのか、ど
   のようにニーズに応えてゆくのか、どのように実際に購買行動に結びつけるか、
   どのように経営資源を有効活用するのか、ということを原理・原則に従って決めて
   いくことが「マーケティング」活動であり、単なる「セールス」活動よりも幅が広く奥
   も深いものと言えます。

   市場が成熟しつつある今日では、お客様シェアを拡大していく志向がより強くな
   り、お客様との長期的な関係を構築してゆくことが求められています。

   そのためには、お客様一人ひとりのニーズに対応する “One to one” のマーケ
   ティングが重要になってきます。

   従業員一人ひとりが、自社の経営理念・方針を守りながら “One to one” を実
   践することが、結果的に営業担当者自身のブランド、ひいては自社としてのブラン
   ド構築につながり、お客様との長期的な関係を構築していくことになるのです。

    ◎Point

     1.「セールス」とは既にある商品やサービスをマーケティング戦略に従って
       販売すること

     2.「マーケティング」とはお客様のニーズに基づいて、商品・サービス、販売
       価格、販売チャネル、販売促進を決めること

     3.自社のイメージや商品・サービスのイメージがお客様の頭の中に植え
       付けられることが「ブランド構築」である

  □自社を取り巻く環境把握

   「情報を制するものはビジネスを制す」という言葉があるが、ビジネス環境が目ま
   ぐるしく変化する今日では、次の一手を正しく迅速に打つためには情報の収集と
   活用が不可欠と言えます。

   情報収集には、一般的に、(1)統計資料や文献の収集、(2)観察、(3)インタ
   ビュー、(4)アンケート調査、といった4つの方法があります。

   官公庁発行の外部統計データ等は、最近ではホームページ上でダウンロードで
   きるものも数多くあるので収集には便利です。

   ただし、それをどのように分析し、分析結果をどのように読むかが大事です。

   競合他社の動向やお客様動向を意識的に観察し、統計データや文献による情報
   とリンクさせて、情報の質を高めるとより現実的になります。

   お客様アンケートはお客様ニーズを発見するのに有効です。

   一部の中小企業では積極的に活用されており、お客様一人ひとりのニーズに対
   応する“One to one” 営業に役立てています。

    ◎Point

     1.外部環境の各要因をどう捉えて、近未来をどう予測するかによって、
       経営のかじ取り(方向性)が変わる

     2.経営に与える外部環境のインパクトを「需要環境」「競争環境」「制度の
       変化」の3つの視点で捉える

     3.これらを把握するために、お客様や競合他社の動向を慎重に観察
       したり、社内外のデータを調査・分析する

  □競合エリアで自社が優位になる

   他社(店)との競争を意識して、独自の商品・サービスを市場に提供することで、
   自社(店)の優位を確保する方法を発見するプロセスをマーケティング用語で「ポ
   ジショニング分析」と言います。

   アサヒビールの「スーパードライ」の成功は、従来のビールの味を変えることで新
   しい市場を創造した典型例で、キリンがもっていた「ラガー」の味を「コク」と「キレ」
   という味に変えて市場制覇を狙い、成長した事例と言えます。

   自社(店)のテリトリー内にある競合A社(店)は、地域密着型で人脈も厚く、まさに
   地域一番店です。

   同じスタイルではA社(店)に対抗できないため、A社(店)でカバーしきれないお客
   様ニーズに応えるために、「地域・総合」から「特定・専門」といった専門店志向に
   変える(ポジショニングする)ことで、自社の優位性を確立することができます。

   このように、競合関係から自社(店)の独自色を打ち出し、新しい事業領域をつく
   る、または既存の事業領域を再設定する方法として、ポジショニング分析はよく使
   われる手法です。

    ◎Point

     1.自社(店)の独自色を打ち出し、事業領域を再設定することが求められる

     2.まず、自社の強みや弱み、自社を取り巻く環境の機会や脅威などを
       きちんと整理・考慮する

     3.自社(店)ならではの強みを機会で最大限に発揮できるアイデンティティ
       を確立する

  □どのようにお客様を選定するか

   他社(店)との差異化や自社(店)の事業領域が決まったら、次に行うマーケティン
   グプロセスが、「ターゲティング」です。

   ターゲティングとは、具体的にどのようなお客様を対象に自店の商品・サービスを
   販売していくか、を決めることです。

   一般的に、小さな会社の場合は、地理的要因である程度ターゲットとされるお客
   様が決まりますが、大事なことはそのテリトリーの中で、自社(店)の強みを発揮
   できる属性のお客様に絞ったり、あるいは弱みを克服するために新たな属性のお
   客様をターゲットとするなど、自社(店)のお客様構成を意識することです。

   そして、地理的要因、デモグラフィック要因(属性要因)でターゲット市場が決定さ
   れたら、そのお客様一人一人のニーズに対応する “One to one” を実践するこ
   とが大事です。

   個々のライフスタイルやライフステージによるニーズ、そのお客様の性格やタイプ
   によるニーズ、など様々ですが、それらをきちんと把握して一つ一つ応えてゆくこ
   とが、お客様との長期的な関係を築く上で不可欠と言えます。

    ◎Point

     1.地理的要因により、自社がターゲットとする市場はある程度決定される
     2.そのエリアの中で人口統計的基準で細分化し、自社の現在のお客様
       構成(強み・弱み)を意識してセグメントを決定
     3.そのセグメントのお客様のライフスタイル・ステージを意識したタイミング
       のよいアプローチで “One to one” を実践する

  □自社の独自性やコンセプトの事例

   自社(店)の独自性やコンセプトは、経営理念やビジョン、差異化要因などを、より
   消費者に分かりやすく、印象に残るように伝えるための表現です。

   フレーズやキャラクター性のある絵を用いた表現は、お客様に親密感をもたせる
   のに有効です。

   ものづくりでは商品コンセプトが企画段階で必ずあるように、社長自身も「何をウリ
   とするのか」、を明確にお客様に表現することが不可欠です。

   商品・サービスを通じ、社長自身がお客様にどのようなことを提供していきたいか
   という点についてわかりやすく掲げることが大切です。

    ◎Point

     1.自社(店)の価値を訴求する「キャッチフレーズ」や「キャラクター」などの
       自己表現を示すことがコンセプトの明確化

     2.コンセプトの明確化は、自社の競争優位の独自性発揮による訴求力の
       向上につながる

     3.自らのニーズに合致する会社を選べるといったお客様にとっても選択の
       利便性メリットがある

  マーケティング・ミックス 

    「どのような商品・サービスを(Product)」

    「どのような価格で(Price)」

    「どこで(Place)」

    「どのような方法で(Promotion)」

    お客様に提供するかという4つのPが、“マーケティング・ミックス”です。

   お客様のニーズに対して、これらの4つのPを最適となるようにミックスし(組み合
   わせ)、自社(店)の経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を戦略的に配分しながら実
   行していくことが、「マーケティング戦略」です。

    ◎Point

     1.自社(店)の掲げるコンセプトを「どのように」お客様に伝達し、購買行動
       に結びつけるかという方法を決める要素

     2.その要素である「商品・サービス」、「価格体系」、「エリア」、「販促」を
       お客様にとって最適となるように組合わせる

     3.最適な組合わせに対して、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源の
       選択と集中など配分を決める

  □すべてのお客様に同じように対応すべきか

   バブル全盛期までのマーケティングは、いい商品・サービスをつくり、訪問や広告
   によって商品内容をお客様に伝えれば「売上は伸びる」という、売り手サイドの考
   え方によるマーケティングでした。

   しかし社会の成熟化に伴いお客様の一人ひとりに“ゆとり”が生まれると、ライフス
   タイルの範囲が拡大し、お客様一人ひとりのもつ趣向や特性が多様化してきた。

   また、競合との競争も一層激しくなるなどビジネス環境も厳しくなるなか、お客様
   一人ひとりのニーズに対応する “One to one” がより一層求められるようになり
   ました。
 

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マーケティングは集客の仕組み

ーケティングの重要性


  ■中小企業のマーケティング

   1.マーケティングの重要性

     報道では「景気回復の兆しが見えてきた」といっているが、中小企業の経営者
     のなかで、景気回復を実感されている方はむしろ少数派なのではないでしょう
     か。

     大企業は業績を回復させるために、大規模なリストラや合併など、さまざまな
     痛みを伴った改革を実施してきました。

     そしてそのような大企業が取引相手として、中小企業を選ぶ際の基準が厳しく
     なっており、以前よりも大きなメリットを与えてくれる中小企業としか取引を行わ
     なくなってきているようです。

     ここに景気回復の波が、中小企業になかなか波及しない大きな原因がありま
     す。

     これまでのように、景気回復とともに仕事が増えるような状況ではなくなってい
     るのです。

     しかし、これは逆に考えると、以前は自動的に他社に流れていた大企業の仕
     事を、自社が獲得する可能性もあるということです。

     そして他社に先んじて仕事を獲得していくために必要なのが、ここに紹介する
     マーケティングの発想です。

     今こそ、中小企業にとってマーケティングが重要であるといえます。

   2.マーケティング

     マーケティングという言葉は、誰もが一度は聞いたことがあるはずです。

     しかしその意味については「わかったようで、じつはよくわからない」という方も
     多いのではないでしょうか。

     マーケティングとは簡単にいうと、
       商売の鉄則である「客のことは客に聞け」を、大規模に行うこと
     にほかなりません。

     少数の特定の相手とだけ取引するのであれば、鉄則の言葉通りにすべての
     顧客にそのニーズを聞くことができます。

     しかし事業が拡大し、多数の企業と取引するようになると、全員のニーズを直
     接聞くことは難しくなります。

     仮に聞けたとしても、それはあくまで既存客のニーズであり、まだ接触したこと
     がない見込み客のニーズはわかりません。

     また、顧客のニーズは絶えず変化し多様化しています。

     前述のように、大企業が取引先として中小企業に求めるニーズも変化してい
     ます。

     顧客のもつニーズをできるだけ正確に把握し、これに応えていくことがマーケ
     ティングの基本です。

  □顧客ニーズは商品ではない

   1.ニーズは商品・サービスがもたらす「効果」

     たとえばパソコンを販売している会社がお客様のニーズを考えるときに、「お客
     様はどんなパソコンを欲しがっているだろうか」というアプローチだけでは限界
     があります。

     というのも、お客様は機械そのものとしてのパソコンが欲しいわけではなく、
     「複雑な計算を自動的にやってくれる」、「簡単に文書作成ができる」といった
     パソコンがもたらすさまざまな利便性を求めているからです。

     もしパソコン以外の機械でこれらの利便性を享受できるならば、お客様はその
     機械も選択肢に入れて購入を検討するわけです。

     このように考えると、この会社の商売は表面上は「パソコン販売」ですが、本当
     は「計算処理効率向上支援業」、「文章作成支援業」であることがわかります。

     つまり、
      自社で扱っている商品やサービスがもたらしている効果は何であるかを
      改めて確認し、自社が本当は「何屋」なのかを再確認することが大切。

     そうすることによって、その効果をもっと大きくできないか、あるいはさらに違っ
     た効果を付加できないかを考えていくことによって、より一層ニーズに直結した
     商品開発、サービス開発につなげることができます。

     顧客ニーズを考えるときには「お客様がどんな商品を欲しがっているのか」で
     はなくて、「その商品によってどんな効果を得たがっているのか」をベースに考
     える必要があるのです。

   2.表面化していないニーズ

     また顧客ニーズとは別に「顧客ウォンツ」という言葉があります。

     これは顧客ニーズと違って、顧客自身まだどんな効果を得たいかがわかって
     いない、つまり、まだ顕在化していないニーズのことです。

     パソコンを例にとると、パソコンが登場した当初から表計算ソフトやワープロソ
     フトはありました。

     その頃の顧客ニーズの中心は「計算やワープロ機能の強化」にあったでしょ
     う。

     ところが今では通信環境の整備などによって、インターネット経由で動画も楽し
     めるようになりました。

     これは一昔前であれば考えられなかったことです。

     このようにパソコンが登場した当初からあった「計算やワープロ機能の強化」と
     いう顧客ニーズに対し、当時は誰も想像できなかった「動画を楽しみたい」とい
     うニーズのことをウォンツと呼びます。

     すでに顕在化している顧客ニーズに対してはさまざまな企業が凌ぎを削ってい
     ます。

     これに対して、まだ顕在化していないウォンツにいち早く気づき、それに対応で
     きれば、大きな成果が期待できるのです。

   3.ニーズやウォンツと自社の強みの接点を探る

     当然ながら世の中には、さまざまなニーズやウォンツが存在しますが、それら
     にすべて対応することは不可能です。

     そのなかから、自社のもつ強みがもっとも有効に機能しそうなニーズ、ウォンツ
     を選ぶことが大切です。

     そして、それに応えるために経営資源を集中していき、同業他社も同じような
     ターゲットを狙ってきた場合に、どのように打ち勝っていくかという差別化策も
     検討する必要があります。

     よく「経営は選択と集中」といわれますが、これはここまで述べてきたように、
     ニーズやウォンツと自社の強みを重ね合わせて適切な事業分野を選択し、そ
     こに集中して取り組むということなのです。
   
  マーケティングの4つの戦略  

   ところでマーケティングとは商品そのものを対象にした活動だけにとどまらない。

   たとえば、その商品が顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば多
   くの顧客はそれを手にすることができません。

   また製造方法にむだがあり、顧客のニーズ以下の価格を提示できないとやはりそ
   の商品は売れません。

   つまりマーケティングとは、製造方法、流通経路、販売促進、企業イメージなど、
   会社そのものを顧客のニーズに沿った形に変えていく活動といえます。

   マーケテイングの発想で会社そのものを変えていく際には、通常「マーケテイング
   の4P」、すなわち、「商品」(Product)、「価格」(Price)、「流通経路」(Place)、
   「販売促進」(Promotion)の4つの要素からアプローチしていきます。

   1.商品(Product)戦略

     最初の要素は商品そのものです。

     もっとも大切なのは企業の側から考えた「良い商品を作って売る」という発想で
     はなく、前述のように「顧客ニーズに応える商品を売る」という発想をもつこと。

     商品はニーズに応えるための手段に過ぎません。

     中小企業の商品戦略として、ニッチ(隙間)なニーズにきめ細かく応える商品を
     開発することがあげられます。

     これはニッチなニーズは、それだけ市場規模も小さいため、大企業が参入して
     くる可能性が低いからです。

     中小企業は、大企業がひしめく巨大市場で1%のシェアを狙うよりも、小さな市
     場で大企業との競合を避け、No.1(オンリー1)を目指すほうが向いている。

     顧客ニーズを考えるときに、ある商品を使ってさらに新たな利便性を提供でき
     ないかという視点(価値創出型)と、その商品が宿命的にもっている問題を解
     決できないかという視点(問題解決型)の、2つのアプローチで考えると、よりわ
     かりやすくなります。

     たとえば、携帯電話の新たな利便性を例にとると、価値創出型の視点としては
     「携帯で買い物の決済をしたい」、「携帯をコンサートのチケット代わりにした
     い」などが考えられます。 

     また問題解決型の視点としては、携帯電話であるがゆえの「バッテリーの問
     題」、「複雑な操作方法」などが考えられる。

     このうち、「複雑な操作方法」を解決した商品として、機能を最低限に絞り込ん
     だ簡単携帯が大ヒットしたのは記憶に新しいところです。

     自社で扱っている商品をこのような視点から再度見直してみると、新商品開発
     の方向性が見えてきます。

     なお、ある商品がヒットすると必ず同じようなニーズに応える商品が登場する。

     それらに対抗するためには、商品そのものの利便性(本質的価値)向上だけ
     ではなく、デザイン、包装、アフターサービスといった付加的な部分(付加的価
     値)を工夫することも一つの差別化策になります。

   2.価格(Price)戦略

     第2の要素は価格をいくらにするかということです。

     価格の決め方にはいくつかの方法がありますが、通常は以下の3つの方法を
     組み合わせて決定する。

     まずは商品の製造コストに、会社として確保したい利益を乗せる方法です。

     同じ商品であれば、通常は値段を下げたほうがたくさん売れますが、その分だ
     け利益が出にくくなります。

     そこで利益を確保できるギリギリのラインが、この方法での最低価格ということ
     になります。

     次の方法として、競合企業との競争を踏まえた価格の決め方があげられる。

     競合企業が同様の商品を出している場合、通常は、競合企業よりも価格を高
     くすると売れなくなります。

     そこで競合企業と同程度の価格、できればそれを下回る価格設定ができれば
     有利ということになります。

     しかしながら、スケールメリットの大きい大企業とそうではない中小企業が価格
     競争をした場合、大企業優位は否めません。

     他の要素で大企業と差別化し、価格競争にできるだけ巻き込まれない工夫を
     することが重要になります。

 
     3つ目の方法は、顧客の「これくらいなら払ってもいい」という値頃感からの決
     め方です。

     顧客は商品の価格に対して、「高過ぎる」、「高いけれど許容できる」、「割安感
     がある」、「安すぎて逆に不安だ」といった値頃感をもっています。

     人によって値頃感はさまざまですが、商品の価格が、多くの人の「高いけど許
     容できる」と「割安感がある」という値頃感の間に入っていれば、商品は売れや
     すくなります。

   3.流通経路(Place)戦略

     第3の要素は、商品供給者から顧客までの商品の流れである流通経路です。

     たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路として 
     は、自社(メーカー)→ 卸売業 → 小売業 → 消費者といった流れが考えられ
     ます。

     そして商品を欲しいと思った人がその商品を確実に買えるように流通経路を
     整備していくことが、この戦略の基本となる。

     流通経路は、できるだけたくさんの流通業者に扱ってもらう場合と、あえて流
     通業者を限定する、あるいは自社の直営店を出すなどして独自の流通経路を
     築く場合があります。

     前者は一気に大量販売できる可能性がある半面、最終的に誰がどのように 
     売っているか管理できないため、商品の最終価格のコントロールが利かない、
     会社や商品のイメージ維持が困難といったデメリットがあります。

     一方、後者は急速な大量販売が難しい、独自の流通経路の構築や維持に手
     間と費用がかかる半面、商品の価格やイメージをコントロールしやすいのが特
     徴といえます。

     また、最近では、通信販売、とくにインターネット通販を利用する消費者が急速
     に増えています。

     中小企業の流通経路を考えた場合、このインターネット通販はぜひとも利用を
     検討したいところです。

     販売の仕組みを作るのにほとんど費用がかからないうえ、通信販売を通じて
     入手できる顧客情報そのものが、常連客化してもらうための貴重な情報にな 
     るからです。

     顧客の了解を得られればメールマガジン配信などを通じて、自社商品の情報 
     を定期的に知らせることも可能になります。
      
   4.販売促進(Promotion)戦略

     第4の要素は販売促進です。

     販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格などの
     情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。

     具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝」、最終顧客や中
     間業者にインセンティプを提供する「セールスプロモーション(SP)活動」、個々 
     の顧客に直接に接する「人的販売」に大別できます。

     大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、S Pは「売るための
     仕掛けを作ること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が目的となる。

     これらの手法を自社の業種業態や規模に応じてうまく組み合わせて使うことが
     大切です。

     また、ここでも強調しておきたいのがインターネットの活用です。

     自社のホームページを立ち上げるだけで、ほとんど費用をかけずに情報を全
     国に配信することができる。

     その際、すでに人気のあるサイトにバナー広告(関心をもったユーザーがク
     リックすると、自社サイトにリンクする広告)を掲載したり、相互リンク(他社と協
     力して互いのホームページから相互にアクセスができるようにすること)を張る
     などして、アクセス数を増やすことが大切です。

     インターネット通販は広告宣伝、SP、人的販売をすべてネット上で完結させて
     いるのです。

     またニッチなニーズで勝負する中小企業にとって大切にしたいのが、いわゆる
     「口コミ」です。

     口コミは基本的に同じニーズをもった人に行われます。

     これは既存客が同様のニッチなニーズをもつ新規客を見つけてきてくれるとい
     うことです。

     そして口コミを成功させるためには、キャッチコピーを作るなどして、既存客が
     商品の特徴を上手に新規客に話せるように工夫することなどが有効になる。

     効果的なキャッチコピーの作り方として、商品の特徴を2つの側面から表現す
     る方法があります。

     具体的には「安くてうまい」、「高機能、簡単操作」といった具合になる。

     これは、商品の一番の特徴、ウリを最初に表現し、その特徴があるがゆえに
     生じるであろうマイナスイメージを2番目の言葉で打ち消してしまうやり方。

     「安い」だけでは「安かろう悪かろう」のイメージがあるところを、「安くて
     うまい」と表現すればその不安は払拭されます。

     また、「高機能」だけでは扱いが難しそうな印象を与えるところを、「高機能、簡
     単操作」といえば、その不安も払拭されるという訳です。

     この考え方を自社商品にあてはめて、口コミを誘発しやすいキャッチコピーを
     考えてみるのもよいでしょう。

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マーケティングは集客の仕組み

売る側「4P」から買う側「4C」の商品展開 
 

  ■選ばれる会社がしていること

   あなたの会社の商品、サービスは、なぜお客様に選ばれているのですか? どこが
   すばらしいのですか? 

   どこがほかの会社と違うのですか?

   あなたは、この質問に正確に答えられるだろうか。

   たぶん多くの経営者は、すぐに答えを出すことができないでしょう。

   つまり多くの会社は、それだけ同業他社とあまり違いがないからです。

   あなたが使っているシャンプーや石けんなどのバス用品、また、あなたが毎日見ている
   テレビや活用しているパソコン。

   どれだけ多くのメーカーがあるだろうか。

   バス用品の中でも、シャンプーなどは、海外メーカーも入れればブランドの数にして
   300以上ある。

   テレビにしても、国内の家電メーカーを数えただけで10社はあるでしょう。

   このようにそれぞれのマーケットには、無数の競合各社がひしめいています。

   それでは、このような状況で、あなたはどのようにして自社の特徴をアピールするのだ
   ろうか。

   アピールしない会社は、市場で負けることになる。

   消費者に対してより上手に認知できる会社がマーケットで勝利するのです。

   例えば、うまく認知され、消費者に選ばれた企業は、次のような活動をしたといえる
   でしょう。

    1.ユーザーの必要性を満たす製品、サー
      ビスを提供できた(マーケティングリサー
      チとプロダクト)

    2.市場に対して、認知される仕組みをつく
      った(プロモーション)

    3.ユーザーが購入できる場所を提供した
      (流通チャネル)

   このように消費者から選ばれるという事実の
   背景には、間違いなくマーケティングの要素
   (マーケティング・ミックス)が含まれているの
   です。
   
  □マーケティング活動とは

   マーケティング活動とは、単純に企業のみが
   利益をあげる仕組みづくりではなく、顧客と企
   業の両方が継続して喜び、Win Winの関係を構築するということになるでしょう。

   なぜなら、1回きりの商売ならその場限りの対応でいいが、企業は、継続して売り上げを
   上げていかなければならないからです。

   顧客に対して1回の喜びを2回、3回と提供し続けなければならないのです。

   つまり、時代の変化とともに、その環境に応じた喜びを顧客に与えることが必要になる。

   また、顧客も、その価値に応じて、対価を払う。

   永遠に続く顧客と企業の関係です。

   お互いが喜ぶような関係でなければ、長くは続きません。

   企業は、顧客ニーズを捉えて、喜ばれる製品・サービスを作るように努め、購入してもら
   って喜び、顧客は、その製品・サービスを消費することで、自分の価値感、満足感を満た
   して喜び、そして企業に感謝する。

   このような好循環の関係をつくることがマーケティングの究極の目的です。

  □マーケティング活動の最初のステップ

   それは、まず自分を知る、自社を知ることです。

   そして、次に相手(顧客)を知ること。

   その相手の訴求するポイントをつかみ、製品・サービスを開発する。

   そして、顧客の受け入れられる価格設定を行い、紹介できるチャネルを探し、そこに製品
   ・サービスを紹介する。

   購入される場が整ったら、そのことを顧客に向けてプロモーションし、購入される機会
   を待つ。

   簡単に説明すれば、下のような流れになるが、うまくこの活動を実施していくには、
   様々なセオリー、ノウハウが必要となります。

    ステップ1. 自社の強みを知る(USP

    ステップ2. 相手のニーズを探る(マーケティングリサーチ)

    ステップ3. 商品(製品、サービス)を開発する(プロダクト)

    ステップ4. 価格設定を行う(プライス

    ステップ5. 購入してもらう場を探す(プレイス:流通チャネル

    ステップ6. 商品(製品、サービス)を認知してもらう(プロモーション)

   ステップ3〜ステップ6:マーケティングミックス

   マーケティングは「売れる仕組み」を構築していくことであり、売れる仕組みは、時代や
   その会社の環境によって変化するのです。

   ほかの会社がうまい仕組みを作ったからといって、自分の会社でそれが成功するとは
   限りません。

   営業会社であれば利益を出し続けなければならない。

   そのためにあなたは様々なやり方・考えをもとに必死に取り組んでいるはずです。

   しかし利益が出ない。

   今までと同じやり方を続け、「努力すれば、一生懸命やれば必ず成功するはず
   だ」と、違う結果を求めている。

   「商品がいいのになぜ売れないのか?」「どう お客様を説得すればいいのか?」「うち
   の営業マンのセールススキル・商品知識のレベルが低いのか?」「価格が高いのか?」
   「営業マンの熱意・誠意が足りないのか?」「景気のせいか?」

   売れない理由のすべてを売り手側の視点に立って発想してしまっています。

   今まではこの視点からの商品づくりや売り方でもモノは売れたのです。

   過去の情報不足の時代には、売り手からの一方通行の情報発信が全てでした。

   しかし時代は変わり、顧客主導の時代に入り、お客様の買い方が変化したのです。

   それはITの進歩により、売り手側以上にお客様が豊富な商品知識を持ち始めたの
   です。

   買い方が変化したのだから売り方を変えるのは当然です。

   どう変えるのか。

   以下のように発想を変えるのです。
    
  □マーケティングにおける4Pとは

   マーケティング用語に有名な4Pがあります。

   4つのPを組み合わせるて戦略化することを
   「マーケティング・ミックス」といいます。

   あなたがターゲットとする市場で、望ましい反
   応を市場から引き出すため施策の組み合わ
   せが、「商品:Product」、「価格:Price」、「プ
   ロモーション:Promotion」「流通:Place」
   の「4P」が挙げられます。

    ◎商品(Product)

     最初の要素は商品そのものです。

     もっとも大切なのは企業の側から考えた
     「良い商品を作って売る」という発想では
     なく、「顧客ニーズに応える商品を売る」という発想を
     もつことです。

     商品はニーズに応えるための手段に過ぎません。

     中小企業の商品戦略として、ニッチ(隙間)なニーズにきめ細かく応える商品を
     開発することがあげられます。

     これはニッチなニーズは、それだけ市場規模も小さいため、大企業が参入して
     くる可能性が低いからです。

     中小企業は、大企業がひしめく巨大市場で1%のシェアを狙うよりも、小さな市
     場で大企業との競合を避け、No.1を目指すほうが向いています。

     顧客ニーズを考えるときに、ある商品を使ってさらに新たな利便性を提供でき
     ないかという視点(価値創出型)と、その商品が宿命的にもっている問題を解
     決できないかという視点(問題解決型)の、2つのアプローチで考えると、よりわ
     かりやすくなります。

     たとえば、携帯電話の新たな利便性を例にとると、価値創出型の視点としては
     「携帯で買い物の決済をしたい」、「携帯をコンサートのチケット代わりにした
     い」などが考えられます。

     また問題解決型の視点としては、携帯電話であるがゆえの「バッテリーの問
     題」、「複雑な操作方法」などが考えられます。

     このうち、「複雑な操作方法」を解決した商品として、機能を最低限に絞り込ん
     だ簡単携帯が大ヒットしたのは記憶に新しいところです。

     自社で扱っている商品をこのような視点から再度見直してみると、新商品開発
     の方向性が見えてきます。

     なお、ある商品がヒットすると必ず同じようなニーズに応える商品が登場しま
     す。

     それらに対抗するためには、商品そのものの利便性(本質的価値)向上だけ
     ではなく、デザイン、包装、アフターサービスといった付加的な部分(付加的価
     値)を工夫することも一つの差別化策になります。

     ターゲット顧客に、どのような商品を提供するかです。

     具体的には、どのようなコンセプトを持つ商品をどのように開発・製造するか、
     あるいは仕入れるか、商品のアイテム数など)を、どのように展開するかといっ
     た点を検討します。

     また、ブランドをどのように構築・管理していくかといった問題も検討する必要
     があります。

    ◎価格(Price)

     次の要素は価格をいくらにするかということです。

     価格の決め方にはいくつかの方法がありますが、通常は以下の3つの方法を
     組み合わせて決定します。

      1.商品の製造コストに、会社として確保したい利益を乗せる方法

        同じ商品であれば、通常は値段を下げたほうがたくさん売れますが、その
        分だけ利益が出にくくなります。

        そこで利益を確保できるギリギリのラインが、この方法での最低価格とい
        うことになります。

      2.競合企業との競争を踏まえた価格の決め方

        競合企業が同様の商品を出している場合、通常は、競合企業よりも価格
        を高くすると売れなくなります。

        そこで競合企業と同程度の価格、できればそれを下回る価格設定ができ
        れば有利ということになります。

        しかしながら、スケールメリットの大きい大企業とそうではない中小企業が
        価格競争をした場合、大企業優位は否めません。

        他の要素で大企業と差別化し、価格競争にできるだけ巻き込まれない工
        夫をすることが重要になります。

      3.顧客の「これくらいなら払ってもいい」という値頃感からの決め方

        顧客は商品の価格に対して、「高過ぎる」、「高いけれど許容できる」、「割
        安感がある」、「安すぎて逆に不安だ」といった値頃感をもっています。

        人によって値頃感はさまざまですが、商品の価格が、多くの人の「高いけ
        ど許容できる」と「割安感がある」という値頃感の間に入っていれば、商品
        は売れやすくなります。

        開発・製造した、あるいは仕入れた商品(製品・サービス)をいくらで販売
        するかを検討します。

        価格は企業の収益に直接的な影響を与える要因となります。

        また、消費者にとっては、商品の価値を判断する基準となるなど、価格は
        商品の消費動向に大きな影響を与える要因となるため慎重に検討する
        必要があります。

    ◎プロモーション(Promotion)

     次の要素は販売促進です。

     販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格などの 
     情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。

     具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝」、最終顧客や中

     間業者にインセンティプを提供する「セールスプロモーション(SP)活動」、個々
     の顧客に直接に接する「人的販売」に大別できます。

     大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、S Pは「売るための

     仕掛けを作ること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が目的となる。

     これらの手法を自社の業種業態や規模に応じてうまく組み合わせて使うことが
     大切です。

     また、ここでも強調しておきたいのがインターネットの活用です。

     自社のホームページを立ち上げるだけで、ほとんど費用をかけずに情報を全
     国に配信することができます。

     その際、すでに人気のあるサイトにバナー広告(関心をもったユーザーがク

     リックすると、自社サイトにリンクする広告)を掲載したり、相互リンク(他社と協
     力して互いのホームページから相互にアクセスができるようにすること)を張る
     などして、アクセス数を増やすことが大切です。

     インターネット通販は広告宣伝、SP、人的販売をすべてネット上で完結させて

     いるのです。

     またニッチなニーズで勝負する中小企業にとって大切にしたいのが、いわゆる
     「口コミ」です。

     口コミは基本的に同じニーズをもった人に行われます。

     これは既存客が同様のニッチなニーズをもつ新規客を見つけてきてくれるとい
     うことです。

     そして口コミを成功させるためには、キャッチコピーを作るなどして、既存客が

     商品の特徴を上手に新規客に話せるように工夫することなどが有効になる。

     効果的なキャッチコピーの作り方として、商品の特徴を2つの側面から表現す
     る方法があります。

     具体的には「安くてうまい」、「高機能、簡単操作」といった具合になります。

     これは、商品の一番の特徴、ウリを最初に表現し、その特徴があるがゆえに
     生じるであろうマイナスイメージを2番目の言葉で打ち消してしまうやり方。

     「安い」だけでは「安かろう悪かろう」のイメージがあるところを、「安くて

     うまい」と表現すればその不安は払拭されます。

     また、「高機能」だけでは扱いが難しそうな印象を与えるところを、「高機能、簡
     単操作」といえば、その不安も払拭されるという訳です。

     この考え方を自社商品にあてはめて、口コミを誘発しやすいキャッチコピーを

     考えてみるのもよいでしょう。

    ◎流通経路(Place)

     次の要素は、商品供給者から顧客までの商品の流れである流通経路です。

     たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路として
     は、自社(メーカー)→ 卸売業 → 小売業 → 消費者といった流れが考えられ
     ます。

     そして商品を欲しいと思った人がその商品を確実に買えるように流通経路を

     整備していくことが、この戦略の基本となります。

     流通経路は、できるだけたくさんの流通業者に扱ってもらう場合と、あえて流
     通業者を限定する、あるいは自社の直営店を出すなどして独自の流通経路を
     築く場合があります。

     前者は一気に大量販売できる可能性がある半面、最終的に誰がどのように

     売っているか管理できないため、商品の最終価格のコントロールが利かない、
     会社や商品のイメージ維持が困難といったデメリットがあります。

     一方、後者は急速な大量販売が難しい、独自の流通経路の構築や維持に手間と
     費用がかかる半面、商品の価格やイメージをコントロールしやすいのが特
徴と
     いえます。


     また、最近では、通信販売、とくにインターネット通販を利用する消費者が急速

     に増えています。

     中小企業の流通経路を考えた場合、このインターネット通販はぜひとも利用を
     検討したいところです。

     販売の仕組みを作るのにほとんど費用がかからないうえ、通信販売を通じて

     入手できる顧客情報そのものが、常連客化してもらうための貴重な情報にな
     るからです。

     顧客の了解を得られればメールマガジン配倍などを通じて、自社商品の情報

     を定期的に知らせることも可能になります。

     「4P」は企業側の視点に立った考え方です。

  □マーケティングにおける4Cとは

   これを顧客側の視点から見た場合に、「顧客価値」、「顧客コスト」、「利便性」、
   「コミュニケーション」というように「4C」に置き換えることができます。

    ・顧客価値(Customer value)

     その商品(製品・サービス)が顧客にとってどんな価値をもたらすか。

     顧客は、快適な生活を送るにはどのようにしたらよいか、時間や労力を軽減する
     にはどのようにしたらよいかという観点から、問題解決(ソリューション)の手段と
     して商品(製品・サービス)を購入します。

    ・顧客コスト(Customer Cost)

     その価値を手に入れるのにどれだけのコストが掛かるか。

     またその商品(製品・サービス)にいくらならコスト負担できるのか。

     顧客は、製品・サービスを購入する場合、支出金額(コスト)に見合うだけの効果が
     得られるかどうか、その費用対効果を考慮します。

    ・利便性(Convenience)

     顧客にとってその製品・サービスが入手しやすいかどうかというのは重要なこと
     です。
     最寄りの店舗で購入できるものか、通信販売で購入できるものかなど、入手(購
     入)の際の利便性は、顧客が製品・サービスの購入を決定するための重要なポイ
     ントの一つです。

    コミュニケーション(Communication)

     顧客に製品・サービスを知ってもらうためには、顧客はどのようにしてその製品・
     サービスについて知ることができるのか、
     顧客との双方向コミュニケーション手段
     が重要になります。

   現代は消費成熟時代といわれています。

   この消費成熟時代には、顧客ニーズをいか
   にして充足させるかが重要な課題であるた
   め、自社の視点に立った(4P)商品展開より
   も顧客の立場に立った(4C)商品展開が重要 
   であり優先されます。

   この4Cを十分検討したうえで4Pを構築する
   ことが重要となります。

   「どうしたら当社の商品を買ってくれるか?」
   「お客様のニーズは?」「お客様の抱える問題・悩みは?」
   など、顧客視点に立った発想が重要となります。

   そのためには、「顧客を知る」「競合他社を知る」「自社を知る」ことです。
    
  □3Cを知ることで分かること

   4Cの中で、自社(Company)、競合(Competition)、顧客(Customer)の3Cを押さ
   えることで、自社の立ち位置が明らかになってきます。

    1.自社(Company)を知る

      ・自社の強みと弱み(SWOT分析

      ・自社の得意とすること(USP)

      ・自社のミッションやビジョン

    2.競合他社(Competition)を知る

      ・市場のシェア

      ・競合の強み、弱み

      ・市場環境と成長性

    3.顧客(Customer)を知る

      ・市場のニーズ

      ・ターゲット(狙うお客)

      ・市場環境 

      ・購買行動や今後のトレンド

   市場には、様々な競合各社が存在する。

   あなたの会社だけが商品やサービスを提供しているわけではないのです。

   あなたよりももっとうまくお客さまを見つけ、大量に販売している強者もいるでしょう。

   また、わずかなニーズを満たす付加価値商品をつくり、少量で販売するような、すきま

   市場に活路を見出している会社もあるに違いない。
 
   それでは、あなたの会社にとって一番、理想的なのはどのようなパターンだろう。
 
   競合もなく、オンリーワンの状態で、引き合いも多く、値付けも自由に設定できる商売
   があれば文句はないだろう。

   そんな環境であれば、何もせずに黙っていても売れていくはずです。

   しかし、世の中にはそんな都合の良い商売はない。
 
   だから、現状の市場の中で、自社が得意とする分野で、且つ顧客のニーズを満たしてお
   り、さらに競合がまだ提供していないか、または販売力が弱い商品やサービスを提供
   できる商売というものが考えられます。

   実際に、そういう商売を探していくためには上記の3つのCを押さえることが重要になる
   のです。 

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マーケティングは集客の仕組み

マーケティングは農耕型の営業戦略

狩猟(刈り取り)型営業から農耕型営業への転換

  継続的に集客していくにはマーケティングが欠かせません。

  マーケティングは、集客(見込み客を集め)、その見込み客を新規顧客に育て、その新
  規
顧客の流出を防ぎ、固定客として維持管理していく仕組みです。

  これこそが、中小企業が継続して売上げアップを図るための売れる仕組みなのです。

  売れる仕組みづくりは、マンパワーに頼った営業を、組織の営業力を強化したチーム営業
  にシフトすることです。 

  マーケティング(marketing)とは、企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客
  が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得ら
  れるようにする活動」の全てを表す概念である。(Wikipedia)

   マーケティングを農業に例えるなら、

  マーケット(畑)を耕し、見込み客(種)に水をやり、肥料を与え、新規顧客(実)に育てること
  です。

  お客さんを継続的に集めなければ、間違いなく会社は倒産してしまいます。

  新規開拓において、まだ多くの営業マンが場当たりな刈取り型営業にまい進し、単価アップ
  や他商品の販売、新規顧客を固定客へと育てていくことには淡白な傾向にあります。

  なぜなんでしょう?

  それはトップに原因があります。

  会社に『仕組み』をつくっていないからです。

  まだまだ多くの中小企業の営業が「行って来い、やってこい、俺もやってきた」の、熱意
  と根性といった精神論を前面に社長が率先垂範していることです。

  いくらトップが『やって見せ、言ってきかせてさせてみてほめてやらねば、…』と思って
  も、10、20年前のやり方・考え方を従業員に押し付けても、『人は動かじ』です。

  集客の手法も時代にあったやり方・考え方を導入していかなくては勝ち残っていけません。

  これだけIT環境に恵まれながら、営業体制は昔のままのマンパワーに頼ったやり方を今も
  続け、十分に生かされ、機能していません。

  これはPCに限ったことではなく、せっかくある電話、FAX、プレスリリースといった営業手
  法を取り入れていないことです。


  ただ単に「モノを売る」だけの努力では売れない時代 

  あなたの商品は同業他社(店)と差別化された商品ですか?

  今、商品・サービスがあふれる時代のなかで、差別化された商品を販売しているのはほんの
  わずかな企業
であり、そこだけが売上げを伸ばしているのが現実です。

  その他多くの企業は、その他大勢の中で価格競争という差別化策で戦っています。

  なぜ気づかないのでしょう?

  あなたの扱っている商品・サービスはどこにでもあるのです。

  だからこそ、あなたの扱う商品・サービスを売る前にお客様が欲しいと思う商品・サービスを
  提供するのです。

  お客様のニーズに基づいて、差異化された商品やサービスを創出し、適切にお客さんへ提供
  していく。

  今までのような、ただ単にモノをモノとして「売るための努力」をしていては、モノは売れない
  
のです。

  日常の生活に必要なモノ(食って生きていくために必要なモノ)は、価格の安いモノを仕方なく
  買うにすぎません。

  今までと同じやり方を続けていませんか? 

  過去の延長線上のやり方でやっていては、頑張れば頑張るほど、利益が少なくなって、歯止めの
  きかない赤字体質が定着してしまいます。


       マーケティングは顧客からスタートする。

       顧客の現実、欲求、価値からスタートする。

       「我々の製品やサービスにできることはこれである。」

       ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている

       満足はこれである。」

 

                                    (P.F.ドラッカー)

      精神論をかざした営業はもうやめよう!

      『売るための努力』から『売れるしくみ』づくりを。

      今一度自社の営業を見直してみる時期です。

 

        組織の営業力強化(コンサル・セミナー・研修・講演)のご案内

  

  ■会社を動かすエンジン

   事業の成功も失敗も、すべてはマーケティングの善し悪しにかかっています。

   正しく活用すれば、企業経営においてマーケティングほど大きな利益を生んでくれる道具

   は他にはありません。

   マーケティングとは、自社の商品やサービスを中心に置くのではなく、お客様のニーズ

   に焦点を絞り、喜びや満足を叶えることです。

   ちなみに、マーケティングを抜きにあなたの扱う商品・サービスを売ろうとすれば、茨の

   道を歩むことになります。

   成熟化された今の市場では多くの商品がコモディティー化します。

   コモディティー(ありきたり)商品は価格が勝負となり、同じような商品なら、安いほう

   が良いに決まっています。

   安さの価値は、誰にとっても同じですから、マーケティングの仕組みは必要ありません。

   しかし、コモディティー商品と反するのが付加価値商品です。

   あなたの商品・サービスを付加価値商品にするためにはマーケティングが欠かせない。

   あなた(自社)の市場が何を望んでいるかを理解できていないことが、大半の会社が利益

   をあげられない最大の理由です。

   自分たち(お客様)のニーズや望みを満たしてくれて、不満や不安や心配を取り除いても

   らえるなら、人はいつでも喜んでお金を払うのです。

   顧客の望みは、明らかな(顕在的ニーズ)時もあれば、そうでない(潜在的ニーズ)時

   もあります。

   お客様を固有名詞で捉えることで、そこに埋もれている「隠れたニーズ」をくみ取ること

   で、そのお客様の「喜び、願望」を叶えることです。

   彼らが求めているものを見つけ出し、それに合わせて常に方向を修正していくことが、あ

   なたの責務です。
 

  □フリーミアム

   サービスについての定義はさまざまです。

   近年では、銀座にオープンした飲食店ではお酒が飲み放題(無料)というキャッチフレー

   ズで、口コミにより話題を呼んでいます。

   なぜ無料でも儲かっているのでしょう?

   オーナーいわく、

    広告宣伝費は使わず、口コミだけ。

    無料のお酒が広告宣伝とのこと。

   それだけでは儲かりません。 

   そうです。

   食べ物です。

   特に女性は食べ物の注文が多いのでしょう。

   これらは飲食業界に限らず、多くの業界で一般化されてきています。

   賛否はありますが、社会環境は顧客獲得のために「無料」が当たり前になってきているこ

   とは確かです。

 

   特にネットの世界では“FREE”がキーワードとなっています。

   “FREE”はクリス・アンダーソンの著邦訳『フリー(無料)からお金を生みだす新戦略』が

   基になっており、この中に“フリーミアム”という言葉があります。

 

   「フリーミアム」とは大多数の利用者は無料として、一部のユーザーだけ有料のプレミア

   ム会員とするやりかた。

   この本を販売する前に、日本語の公式解説サイトで無料でこの本が読めるといったこと

   を始めた先駆者でもあります。

 

   ●フリーは別のものの価値を高める

    フリーミアムとは「フリー(無料)」+「プレミアム(割増料金)」の造語で、基本

    サービスを無料で提供することで顧客を広く集め、その何割かに有料で高機能

    のプレミアム版に移行してもらうビジネスモデルです。

  

  □返報性(へんぽうせい)の法則

   あなたも、何がしかのことをしてもらったら、お返しをしたいという気持ちになりません

   か?

   返報性の法則とは、人は何かをいただいたり、してもらったりすると御礼をしたくなる心

   理が働くといった意味でしょうか。

   営業でよく聞く言葉に、give and give があります。

      与えてそしてさらに与える。

   take を求めないといった意味でしょうか。

   「これだけ一生懸命やってあげたのに」とか「こんなに足しげく訪問しているのに」

   といった、あなたの勝手な思い込みは捨てることです。

   感謝や感動がなくてはお客様、顧客は行動を起こしません。

   これはお客様が「欲しかった」、「望んでいた」ことが得られた時に発生します。

   簡単にいってしまうと、「自分にとって得か」といった判断なんです。

   お客様からの行動が起きなければ、いつまでたってもお願い営業から脱することは

   できません。

   「自分には感謝、感動されるノウハウなんてないよ」といった声が聞こえてきそうで す

   が、たとえば法人の興味・関心ごとは売上げ、資金繰り、人事・労務といったことで

   あり、個人ならば、年金・介護・医療・教育・健康に関する内容です。

   一番いい方法は、お客様に聞いてみることです。

   「○○さんの興味・関心ごとはどんなことですか?」と。

 

   人は見た目(挨拶、身だしなみ、足しげく訪問、礼状など)で判断するといいました。

   自分にとってのメリットで判断するんです。

   その判断される状況をあなた自身が作り出し、競合他社との差別化策にします。

   よそと同じことをやっていては、よそと同じ状況に陥ってしまいます。

   お客様から感謝され感動されることとは、どういったことかを全員で考えましょう。

   顧客から「あなたのところは売り込みの案内しかよこさないの?」とか「この前頼んで

   おいた○○やってくれました?」といった言葉を言われていませんか。

   1つでもいいですから、よそがやっていないことをやり続けよう!

   日本マクドナルドの経営が最悪の状況に陥ったとき、当時の社長(原田氏)の実践

   した施策が、

    ○他がやらないことをやる

    ○できない理由にこそチャンスがある

    ○変化は自らつくるもの

 

   この3点を実践したことで、V字回復を成し得えました。

   どのよな事業であっても、上記の3点は欠かせません。

 

  □「いいものが売れる」とは限らない

   あなたが開拓していこうとしている市場に、最も適した商品やサービスが必要だというこ

   とです。

   当たり前のように聞こえるかもしれないが、最高の商品やサービスが常に勝つとは

   限りません。

   まだ使っていない商品やサービスがいいものなのか、どうかはわかりません。

   よさそうに見えるから買うのです。

   その「よさそう」をアピールすることがマーケティングの力です。

   いちばん売れるのは、その市場の大半の買い手に最もアピールした商品やサービス

   です。

   そして、買い手にアピールするかどうかは、商品そのものではなく、ほとんどマーケティ

   ング力です。

   事業を成功させるために、市場の教育は常に必要です。

 

   市場にあなたの商品の「売り」はどこで、なぜよそで買うよりあなたから買った方がいい

   のかを教えることです。

   あなたの提供する商品・サービスがすでに市場に理解されているか、たとえまだでも、

   あなたの目標はお客様に、なぜあなたから買うべきかを教育するということになります。

 

   なぜ取引の相手としてあなたなり、あなたの会社なりを選ぶかという、なるほどと思わせ

   る理由を提示するのです。

   この教育ツールを「ユニーク・セリング・プロミス(USP)」といいます。

 

   マーケティングとは、営業における視点を変えることです。

    ・顧客を理解する

    ・顧客の気持ちになる

    ・顧客と関わる

    ・顧客を単なる販売先と見ない

    ・顧客の助けになる

    ・顧客の問題解決に貢献する

    ・すべての取引に付加価値をつける

 

   「あなたはどんな業界にいるのか」、「あなたはどんなものを売っているか」は無関係

   です。

   誰も、商品やサービスを相手に仕事をしているわけではありません。

 

   人はみな、人を相手に商品やサービスを売っているはずです。

   なぜなら、意思決定をし、お金を使うのは人です。

   だから、「マーケティングとはお客様の抱える問題を解決する」とも言えます。

   つまり、お客様の問題解決になることを考えればいいのです。

 

   事業を成功させるには、人のニーズや望みを認識し、それを満足させる方法を見つけ
   ることに長けていなくてはなりません。

   それをいつも、よそよりも速く、安く、上手くできて、手軽で、信用がおけて、誠実なら、
   必ず大きな利益が得られるようになるでしょう。

 

   今並べたすべての面に焦点を当てていけば、顧客の本当のニーズや望みがどこに
   あって、どんな問題を抱えていて、どうしたら解決を助けられるのか、よそよりも深く
   見抜けるはずです。

   そうしたことがわかっていれば、後はあなたの専門分野でのスキルや知識を応用して、

   ユニークな解決策を提供すればいいのです。

 

   そうすれば必ず売れます。

 

  ■マーケティング

 

   御用聞き営業からマーケティング営業に変えていくためには、営業プロセスを標準化(手

   順書)し、頭の中に叩き込んでおかなくてはならない。

 

   面談プロセスなしに、ストーリーのあるセールストークを作ることはできません。

 

   複数のセールストークを整理し、用意しておかないと、セールス時点で顧客に聞かれる

   ままに答えてしまう受動的な営業に終わってしまいます。

 

   今や商品の特徴や価格だけでは、顧客の購買意欲を呼び起こすのは難しい時代です。

 

   ブランドイメージやUSPといったパフォーマンスを、より具体的に強く訴えかけていく必

   要があります。

 

   顧客の心理的、社会的、あるいは感情的なニーズに訴えることを念頭におく必要があり

   ます。

 

   相手の不安や安心、喜びの感情を刺激している表現です。

 

   不安を与えたり、夢を与えたり、ユーモアを感じさせたりするには、感情に訴求するキー

   ワードを巧みに使う必要があります。

 

   商品に「感情の言葉」で演技させるのです。

 

   そのためには、商品の特徴ではなく、お客様のメリット(利点)を中心とし、どのような

   「感情の言葉」がニーズを呼び起こすのかを明確に定義しておく必要があります。

 

   顧客ニーズが多様化・複雑化している現在、販売の土俵を決めて戦力を集中しなければ

   ならなりません。

 

   すべての人を対象に、すべての商品を販売するデパート化を目指すべきではありません。

 

   その商品を、どのような相手に、どのように販売するか、明確に設定しなければならない

   のです。

 

   市場のどこで勝負をかけるか、「販売する土俵」(他店と違う土俵)を設定することが

   ポジショニングです。

 

   ポジショニングを明確にしなければ、自分がどこで誰を相手に勝負しているかもわから

   ず、ただ時間に流されて毎日が忙しいだけになってしまいます。

 

   ポジションを決め、ターゲットを明確に定め、そのターゲットに向けてもっとも効果の高

   い販売戦略を展開していきます。

 

   ポジションを明確に設定しないと成功の確率がなかなか上がりません。

 

   あらかじめ攻める市場を狭く限定し、その市場のニーズ・ウォンツを見つけ(作りだす)、

   どんな提案が喜ばれ感動されるかを準備し、集中していく作戦こそが成功をもたらすの

   です。

 

   あなたのポジション、マーケットを明確にせず営業を推進していくことは、“下手な鉄砲も

   数打ちゃ当る”方式の「努力すれど成果あがらず」という結果に終わってしまいます。

 

   あなたの土俵設定(セグメンテーション:マーケットを細分化)の基本は、あなたの商品が

   どこを狙うべきかといった、ポジショニングを決めることです。

 

   そのために必要とする情報として、

 

    ・ビジネス環境の分析(外部環境分析)

 

    ・自社の経営状況(内部環境分析)

 

    ・強み、弱みの明確化(自社経営に影響ある機会脅威)

 

    ・強みをどうやって伸ばすか

 

    ・弱みをどうやって克服するか

 

   あなたが成功するには自己目標を掲げるだけでは達成できません。

 

   あなたの成長は、ーケットとの良い関係を築いているかどうかにかかっているのです。

 

   つまり、顧客のニーズや欲求に合致しているかどうかで成功が決まるんです。

 

   よくマーケティングの本に、人の商品の購入動機は理屈ではなく感情によると言った

   ことが書かれています。

 

   人の感情(心理)を洞察し、「人間の欲求にどのように対応していけばマーケティングを

   成功させられるか」という物差しです。

 

   マーケティングにおいて十分に活用できる理論の1つに「マズローの欲求5段階」と

   いう有名な概念があります。

 

   マズローの説によれば、人間の欲求は、「生存の欲求」→「安全の欲求」→「所属の

   欲求」→「尊重の欲求」→「自己実現の欲求」と階段状に登っていくといわれています。

 

   人間の欲求はエスカレートし、欲求には際限がありません。

 

   最初の欲求が満たされると、つぎの段階の欲求が芽生えてくるのです。

 

   たとえば、空腹さえ満たせばよかった欲求は、「食事を楽しむ」という欲求に変化しま

   す。

 

   防寒のための衣服は「美しく着飾りたい」という欲求に変化します。

 

   雨露を防げれば良かった住まいは「快適に過ごせる家」「安全な家」という欲求に変化

   するのです。

 

   それらが満たされると「誰かに認められたい」「尊重されたい」という欲求が起こり、

   社会参加が盛んになります。

 

   自己実現の欲求は「自分を磨きたい」とか「体を鍛えたい」とか「見聞を広めたい」とか

   「ゆとりある生活をしたい」とか「趣味を持ちたい」というような欲求に変化してくる

   というわけです。

 

   対象となるお客さんの真の欲求(裏の欲求)が何かを探ることが契約に結びつきます。

 

   顧客が欲する・望むことを、顧客が望む方法で提供する会社(店)だけが、顧客の支持を

   得て成長することができるのです。

 

   「○○のサービスならどこにも負けない」といった強みが顧客への貢献を生み、顧客から

   の評判を得て商売は成功するのです。

 

   もちろん、ただむやみに貢献すればいいというものではありません。

 

   貢献目標が、結果としてあなたの利益にどう結びつくかを、あらかじめよく検討しておく

   必要があります。

 

   まずは顧客ニーズにどのように貢献していくか、大きな貢献テーマを明確にしましょう。

 

   そして、ただ漠然と目標を掲げるだけでなく、なるべく細かく貢献できる要素を洗い出し

   ていき、それぞれの貢献度合を検討してみることが重要となります。

 

   あなたの収入はお客様から成り立っています。

 

   お客様を単なる商品の販売先と考えるのではなく、商品がお客様の抱える問題解決の

   手段として、どのように貢献できるかが重要なのです。

 

   

  □あなたの商品の本質  

 

   化粧品のレブロンの創始者チャールズ・レブロンは「工場では、私たちは香水を作っ

   ています」と言った。

 

   「しかしお店では、希望を売っているのです」

 

   これはどんな業種につても言えます。

 

   どこでも、人々が買っている商品の本質は満足(幸福)感なのです。

 

   あなたが既存客や見込み客に送っている書類の中身はどうだろうか。

 

   もう一度読み返してみるべきでです。

 

   受け取った相手はどう感じるだろうか? 

 

   それは満足や、あるいはその満足を感じさせる内容だろうか?

 

   成約のために、あなたの実力以上の期待を持たせてしまうと、相手は結局、不信(不満)

   を抱いてしまいます。

 

   さらに悪いのは、あなたがウソ(誤解)をついたと曲解されてしまうことです。

 

   後々弁解に苦労するだけです。

 

   できないような期待を顧客に持たせないことです。

 

   それより、感謝の気持ちを形に表しましょう。

 

   あなたが想像するより、セールスとはこの程度のことで差がつくものです。

   (お礼のはがきを出す、たったこれだけのこと)

 

   セールススキルが優れているからではないのです。

 

   より経験が豊富なわけでもありません。

 

   今、あなたの実施しているサービスは「程度の低いサービス」と自覚すべきでしょう。

 

   そうでなければ、強化すべきサービスが何なのかを見つけ出す努力もしないし、結果、

   他の同業者と何ら変わず、淘汰されていく一人になってしまうからです。

 

   サービスの良し悪しの判断基準を決めるのは誰?(同業界の常識は、世間の非常識)

   同業界の論理?自らのエゴ? それともお客様? 

 

   お客様のサービスを見る目が高まる中、期待レベルに到達できないサービスに対して

   は、顧客は離れていってしまうでしょう。

 

   単に売る側の発想で提供するのではなく、消費者に迎え入れられるはずのものを創り出

   すのです。

 

   顧客を惹きつけ続けるために、他と違うどんなことができるか考えてみましょう。

 

   それも今すぐに!

 

   多くの成長のチャンスは、現状の業界の定義づけの外にあります。

 

   だから業界常識の枠組みの中で戦っている会社は、成熟産業全体に見られる、肉体的

   にも金銭的にも多大な出血を強いられる戦いをしなくてはりません。

 

   そして、あなたも・・・。

 

 

   あなたの本当の売り物は何か? 

 

   多くは「○○商品(サービス)の販売」と回答するでしょう。

 

   一昔前なら、その回答でよかったでしょう。

 

   しかし、今は違うのです。

 

   ほんのちょっとした小さな心遣いが、大きな違いを生むのです。

 

   この小さな心遣いが社会人・組織人としてやらなければならない行動である基本動作

   習得です。

 

   例えば、その小さなことと思われている電話の応対はどうでしょうか。

 

   ビジネスは一本の電話からスタートします。

 

   あなたの電話応対はどうだろうか?

 

    ・2回以内のコールで、でているか?

 

    ・3回以上ベルが鳴ってしまったら「お待たせいたしました」と言っているか?

 

    ・電話対応の導入で、最初に挨拶の言葉が出ているか?

 

    ・会社(店)名、担当者名まで名乗っているか?

 

    ・電話相手先の内容をメモし、話のあとにメモ内容を復唱し、確認しているか?

 

    ・終わりの挨拶の印象(明るい、親切、はきはきしている)は?

 

    ・かかってきた相手が切る音を確認してから静かに受話器を置いているか?

 

 

  以下は、集客に欠かせないマーケティング営業の武器についてまとめました。

 

        顧客情報(データベース)の管理

 

        テレマーケティング  ファックスマーケティング

 

        パブリシティ(プレスリリース)  組織営業のマーケティング戦略

 

        営業ツールは営業力強化の最大の武器  

 

  

 

  ここでの実践していただく手法は大きなコストをかけず、少予算で実践できることばかり

  です。

 

  大きなお金をかけずに、貴社に『売れる仕組み』はできるのです。

 

   DBMを導入し、成功を収めている事業所の事例を紹介しておきます。

 

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「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
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