コストダウンを考える

           

コストダウンを考える


  ■コストダウンとは

   企業の業績が下がると、利益を上げる即効薬として「コストを下げろ、コストを削減
   しろ」の大合唱が起こるものです。

   しかし、かけ声だけのコストダウン活動では、大きな成果を期待することはできま
   せん。

   コストダウン活動に取り組むためには、より組織的に、より科学的にねばり強い活
   動を展開していかなければなりません。

    1.コストダウンとは何か 

      企業は利益を上げなければ存続していくことができません。

      利益は「売上−コスト」で計算され、利益を確保しようと企業は売上拡大に奔
      走します。

      しかし、売上があまり上がりそうにないならば、残された道は経費削減(コス
      トダウン)に取り組む以外にはありません。

      このように、コストダウンとは、全社的な総費用(トータルコスト)をターゲット
      にしてその低減を図り、利益を上げることを意味します。

      売上拡大のための方策と同様に、自社の主要課題としてコストダウンに取り
      組む必要があるのです。

    2.コストダウンを行う意義

      今日企業がコストダウン活動を進める意義として、環境変化に適応し競合他
      社との競争優位を確保するという戦略的な観点から、次の3つをあげること
      ができます。

      (1)顧客の価格引き下げ要求への対応

        顧客の価格引き下げ要求に応えつつ、一定の利益を確保し続けるため
        には、継続的なコストダウン活動が必要になる。

      (2)事業分野の整理・統合と重点商品へのシフト化

        目まぐるしく変化する顧客ニーズに対応するためには、不採算製品(分
        野)を整理・統合し、売れる分野や製品に重点を移し、最適な経営資源の
        配分を行う必要があります。

        そこで、不採算分野において再度コストダウン活動を実施し、利益が上が
        らない原因を追及することで、整理・統合に関する意思決定の材料としま
        す。

        逆に、コストダウン活動の展開により、不採算部門に再生の可能性が生
        まれることもあります。

      (3)競合他社に対する差別化商品・サービスの創出

        今日の企業間競争では、たんに価格による差別化を進める戦略には限
        界があります。

        そこで、競合他社と比べて優位な機能をもたせ、それに付随したサービス
        を新たに創出する必要があります。

        そのためには、「コストをかける部分」と「コストダウンを図る部分」とを明
        確にし、各製品に対するコストのかけ方を変えていくことが必要になる。

      このように最近の経営環境を考えると、コストダウン活動を従来にも増して強
      力に進めることが求められています。

    3.コストダウンの成果が上がらない理由

      コストダウン活動に取り組んでいるものの、なかなか成果が上がらないケー
      スも多いものです。

      この理由として次のようなことが考えられます。

       ・経営トップ、部門責任者の理解不足

       ・コストに対する認識の甘さと管理手法の欠如

       ・コストダウン技術の不足

       ・コストダウン技術を適用する範囲とタイミングのミスマッチ

       ・無計画で場当たり的な展開

       ・各部門間の協力体制の不備

       ・責任者の不在と目標設定のあいまいさ

       ・継続的な活動への意欲不足

      これらの問題点を最小限に抑え、コストダウンの成果を確実に出していくた
      めには、コストダウンに対する適切な考え方をもったうえで計画的に進め、つ
      ねに結果をチェックし、それを次のコストダウンにつなげていく必要がある。

  □正しいコストダウンを実現するためには

    ・コストダウン計画をゼロベースから策定し、

    ・その際は、各部門の実情に合わせてコストダウンの対象を決定し、

    ・さらには、各部門におけるコストダウンの負荷の均一化を図る

   ことが基本となります。

   しかしこれだけでは十分ではなく、
    ・全社的なマネジメント体制を整備する一方で、
    ・部門にまたがるコストダウン計画の策定、管理を行い、
    ・コストダウンの実施により偶発的に生じるトラブルなどには適切に対応する
   などが求められます。

   さらに、中長期にわたるマネジメントも欠かすことはできません。

   コストダウンの成果を1年間といった短期間で求めると、無謀なコストダウンをしが
   ちです。

   短期間のコストダウンであっても(短期間のコストダウンだからこそ)成果が上が
   れば、その期の損益計算書には反映されます。

   しかし、次年度にコストアップを招いてしまっては意味がありません。

   成果の反動が生ずるような無謀なコストダウンを防止する意味でも、中長期にわ 
   たるマネジメントが必要です。

  □コストダウンの考え方

   1.コストの考え方

     コストダウンについて考える前に、まずはコストの考え方について確認する必
     要があります。

      コストとは、ある目的を達成する(成果を得る)ために消費された価値、つま
      り、必要になった財貨および用役を貨幣の単位で計算したものである

     と定義できます。

     普段我々は、コストは「かかってしまうもの」と思いがちです。

     しかし、この考え方から、成果を得るためには「いかに最適なコストをかける
     か」という発想に切り替えることが大切です。

     つまり、コストに関する基本的な考え方として
      「コストはかかるもの」ではなく、「コストはかけるもの」
     という視点が必要です。

     そして、「どのような方法、どのようなシステム」を採用するかでコストの大き
     さが異なってきます。

     このようにコストを科学的に分析し、どうしたらもっとも経済的になるかを明確
     にしていくことが、コストダウンを考えるうえで大切なポイントとなります。

     以上のような観点から、コストコントロールとコストリダクションという2つのアプ
     ローチ方法があげられます。

   2.コストコントロール(原価維持活動)

     コストコントロールとは、業務の現実コストに対し、

      ・材料に無駄はないか

      ・人員に無駄はないか

      ・設備に無駄はないか

      ・エネルギーに無駄はないか

     などのコスト統制での無駄の排除によって、コストを低減していくことです。

     コストコントロールでは、従業員に与えられた仕事が計画どおりに遂行できる
     かどうかが問題になります。

     たとえば、

      ・計画(標準)が立てられているか、その計画は適当か

      ・計画(標準)は知らされているか、その知らせ方は適当か

      ・実績は計算されているか、その計算方法は適当か

      ・標準と実績の差を把握しているか、その差のつかみ方は適当か

      ・差を埋める行動はとられているか、その行動は適当か

     といったことが具体的な活動になります。

     計画どおりに仕事が進まないと、計画した標準コストと実質(現実)のコストと
     の間に差が生じます。

     そこで、いくらで作れると計画した標準コストと実質コストとの差、つまり実質ロ
     スをなくすことがコストコントロールの目標になります。

     そして、その差を埋めるためにコストダウン活動を実行することになるのです。

   3.コストリダクション(原価低減活動)

     コストリダクションとは、いわゆる標準コストを引き下げることを意味します。

     現在の標準または予算として決められているコストの大きさは、現在実施して
     いる方法やシステムによって確定されたものです。

     したがって、より経済的な方法やシステムに改善することができれば、現在用
     いられている標準や予算そのものを引き下げることが可能です。

     この活動では、現在の製造方法や販売方法、あるいは管理方法などを変えて
     もよいから、より安価にかつ迅速にできる方法やシステムがないかといった視
     点で考えます。

     つまり、現在もし、最善の方法・システムをとっていないがために、標準コスト
     が高く設定されていたり、機会ロスが生じているのであれば、これを削減する
     活動です。

     この改善のポイントは、現在の標準コストよりさらに低い目標コストを設定する
     ことからはじまります。

   4.コストダウンの考え方(コストコントロールとコストリダクション

     コストダウンを考えるときには、

      実質ロスをなくすためのコストコントロールと、機会ロスを
      排除しようとするコストリダクションとを完全に分けて検討する

     必要があります。

     コストコントロールは、標準(コスト)を正しく決め、標準を守らせ、守られている
     ことを確認する管理のことです。

     一方コストリダクションは、現在の標準コストを決めている要素・要因を見直し
     て、その製品の機能は何であるかを明確にし、その機能を果たすために投入
     している資源を組み替えたり、簡素化したりして改善活動を行っていく管理の
     ことです。 

     このように前者の「標準を守らせるための管理」と後者の「標準を変えるため
     の管理」は、まったく違った管理技術となります。

     したがって、これらを峻別して実施しなければ的確なコストダウンを実現するこ
     とはできません。

     また、2つのコストダウン活動が実施される部門も異なります。

     コストコントロールは、製造部門などの現場(ライン)を中心に実施され、あらか
     じめ設定された標準コストを維持するために、日々の生産活動などを行う。

     これらの活動を通じ、実質コストが標準コストと一致しはじめると、コストリダク
     ションにおいて、標準コストそのものを引き下げる活動を実施することになる。

     コストリダクションは、設計や企画部門(スタッフ)で実施され、目標コストの設
     定からはじまります。

     これらの部門では、標準コストをこの目標コストに近づけるため、製品や工程
     の再設計や新しい方法を生み出すことになります。

     コストダウン活動の基本的な考え方は、

      「コストコントロール → コストリダクション → コストコントロール → コスト
      リダクション」

     という形で、それぞれが適切な部門・タイミングで実行され、

      「実質ロス削減 → 機会ロス排除 → 実質ロス削減 → 機会ロス排除」
     が交互に繰り返されて、大幅なコスト ダウンが図られていくというものです。

  □コストダウンの進め方

   1.コストの体系
     具体的にコストダウンを進めるときに、コスト要素についても理解する必要が
         あります。

     コストを分解すると、

      ・製品を作るという目的を達成するために消費した価値を製造コスト

      ・それを販売する目的で使った価値をマーケテイングコスト(販売コスト)

      ・それを販売し商品を流通させるために消費した価値を物流コスト

      ・さらにこれら製造・販売・物流を効率よく行うために消費した価値を
       管理コスト

     とすることができます。

     さらにコストを費目別に分類すると次のようになります。

     また、これらのコスト以外にも、

      ・機会コスト:取引チャンスを逃すことなどにより発生するコスト

      ・時間コスト:時間をかけすぎてしまうことにより発生するコスト

      ・クレームコスト:顧客からのクレーム対応により発生するコスト

     といった顕在化しにくい目に見えないコストについても、場合によっては認識す
     る必要があります。

   2.コストダウンの手順

     コストダウン活動は、どのような手順で実施していけばよいのでしょうか。

     一般的には次のような手順により、コストダウンの目標を立て、必要部門・担
     当者が責任をもって実行していくことになります。

      <STEP 1>:製品別・部門別・費目別のコスト構成をつかむ

       コスト構成を明らかにすることで、どのようなコストがかかっているかを
       把握します。
       また、これによりコスト意識を担当者に自覚てもらうこともできます。

      <STEP 2>:コスト構成からコスト削減のターゲットを絞る 

       どのコストに削減のターゲットを絞ればよいか検討します。
       このとき、コスト項目のなかの金額の高いもの、コストが最近上昇して
       いるものなどを重点管理項目とします。

      <STEP 3>:コスト要因を分析する

       重点管理コストに対して、コスト発生の要因を分析します。 
       また、どのコストが低減可能で、コストダウンに効果的なのか考えます。

      <STEP 4>:2つのコストダウンの手法でアプローチする

       分析したコスト要因について、「□コストダウンの考え方」で述べた
       コストコントロールとコストリダクションの2つの手法で、どのように
       アプローチしたらよいのかを検討します。

      <STEP 5>:コストダウンの目標を設定する

       アプローチ方法を確定したら、具体的なコストダウンの目標を設定し、
       担当者に割り振り、いつまでに、どのように、どれだけコストダウンを
       図るのかを明示します。

   3.費目ごとのコストダウン

     具体的なコストダウンは、各製品、各部門、各費目別に実行されます。

     それでは、各費目コストについてどのような視点でコストダウンを考えたらよい
     のでしょうか。

     以下に各費目のコストダウン例をあげていきます。

      (1)材料費のコストダウン

        製造現場などで発生する材料費は、材料の消費量に単価を掛けたもの
        で計算されます。

        したがって材料費のコストダウンには、その要素である消費量か単価の
        低減を図る必要があり、次のような対策が考えられます。

        <材料消費量の削減策例>

         ・製品設計段階で部品点数の削減を検討しているか

         ・生産ロットは適切か・過剰な品質(部品の品質が要求性能を
          上回るなど)になっていないか

         ・適切な検収をしているか

        <単価の引き下げ策例>

         ・購買市場の調査に基づく購入先選定は適切か

         ・大量仕入れ、一括購入を検討しているか

         ・支払い条件は適切か

      (2)労務費・製造経費のコストダウン

        製品の生産過程において工場などで支出されるおもな費用は、現場で働
        く従業員の人件費と、工具やエネルギーなどの製造経費。

        これらのコストダウンを進めるには、作業の無駄を省くことと、作業の改善
        を図ることの2つの観点から次のような対策が考えられます。

        <作業の無駄の排除例>

         ・原材料の不足などによる手待ちの削減

         ・道具や設備の故障、トラブルの削減

         ・予定変更の多発の削減

        <作業の改善例>

         ・新設備導入による作業の自動化

         ・作業研究による作業の標準化

         ・工程の短縮や組み合わせによる簡素化

      (3)販売費のコストダウン

        販売費のコストダウンを図るには、マーケティングの基本的な考え方を理
        解する必要があります。

        つまり、顧客のニーズをつかみ、そのニーズを満足させるためにどのよう
        な製品・サービスを、どのような時期・場所で、どのような方法および価格
        帯で提供していけばよいのかという自社に適したマーケティング活動を行
        う必要があります。

        たとえば、高齢者向け製品の販売を考える場合にインターネットを広告媒
        体として活用しても、高齢者のインターネット利用率を考えるとあまり大き
        な効果を期待することはできません。

        そこで、インターネットによる広告が、果たして自社のターゲットに適した
        方法なのかを検討し(実質ロスの削減)、より効果的な広告媒体を模索す
        る(機会ロスの排除)のです。

      (4)管理費のコストダウン

        管理費は、人事、経理、総務などのスタッフ部門で発生する給与や経費
        がおもなものになります。

        ここで発生する費用は、直接売上の拡大に貢献するものではありません
        が、企業を効率よく運営していくには見直す必要のあるコストです。

        しかし日本では、生産現場での合理化は比較的進んでいるものの、これ
        らスタッフ部門を中心とした間接部門(オフィス等)の合理化はあまり進ん
        でいないのが実態のようです。

        したがって、事務の適正化や余剰人員の再配置などを進め、スタッフ部
        門の最適な規模と業務内容を維持することが管理費のコストダウンの主
        眼となります。

   4.トータルコストダウンの仕組みをつくる

     企業のあらゆる活動にはコストがかかります。

     コストダウンを検討するとき、これまで述べてきたように費目ごと、部門ごとに
     直接焦点をあてて改善策を練っていきますが、これも全社的な調整のなかで
     進めなくてはなりません。

     部門同士が敵対関係になると、たとえば、「売れればよいということでどんどん
     値下げする販売部門があるから、我々製造部門のコストダウンも水の泡に 
     なってしまう」という状況になりかねません。

     自部門の利益が他部門の損失にならないようにするためには、

      ・他部門の利益は自部門の利益

      ・他部門の損失は自部門の損失

     といった全社的なトータルコストダウンの仕組みが必要になる。

     トータルコストダウンの仕組みづくりには、強力なトップマネジメントに基づくプ
     ロジェクトチームを結成し、実行していくことが有効になります。

     具体的には次のような手順を踏んでいくことになります。

      <STEP 1>:トップによる組織の革新の提示

       ・利益確保におけるトータルコストダウンの必要性を全社員に徹底

      <STEP 2>:プロジェクトチームの発足

       ・プロジェクトの企画

       ・プロジェクト・マネージャーの任命

       ・各部門のメンバーで構成されるプロジェクトの発足

       ・各部門、各職場のコストダウン目標の設定

      <STEP 3>:トータルコストダウン活動の実行

       ・プロジェクトチーム主導の全社的な活動の実施

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医療機関のコストダウン

            

医療機関のコストダウン

  ■医療機関におけるコストダウン

   病医院を取り巻く経営環境が厳しくなるなかで、

    ・より多くの患者を集めるために資金を投入して院内環境の整備を行なうこと

    ・無駄な経費を減らして効率的な運営を行なうこと

   が病医院に求められています。

   患者サービス向上が重要視されている現在、病医院においては、コストダウンと
   同時に、集患のためにサービスの質を高めることが必要になります。

   病医院のコストのなかで大きな割合を占める項目には、

    ・人件費

    ・材料費

    ・委託費

    ・減価償却費

   があります。

   患者1人あたりの医療従事者数を増加させれば提供できるサービスの質を上げ
   ることはできますが、たんに人員や業務量を増やすのでは人件費の負担が重くな
   るばかりです。

   また、緊急の場合に備えてあらゆる備蓄品を整えておくようにすれば材料費がふ
   くらみ、過剰な在庫を抱えることになりかねません。

   近年では院内の一部業務を外部委託することで患者のアメニティーの充実と人
   員減を図っているところもみられますが、一方で委託費は増大することになります。

   このように、医療機関においてコストダウンの問題を考える場合には、

     その経費を使うことで、どの程度の収益増(患者獲得)につながるか
     という費用対効果のバランスを考えながら検討する必要があります。

  □業務改善によるコストダウン

   医療業は、収入に占める人件費の割合が高い労働集約型の産業です。

   したがって、残業手当やパートタイマーの給与の削減につながる業務の改善は、
   大きなコスト削減効果を期待できます。

   業務の改善を実現するためには、職員のミーティングの場で業務を見直し、次の
   ような視点から無駄を排除するための対策を検討していきます。

    ○不要業務の廃止・省略

     現在の業務の洗い出しを行ない、必要のない業務については、定例業務から
     はずす。 

     ただし、その業務が急に必要となったときは、いつでも要求に応じられるような
     体制だけは整えておく。

    ○簡素化

     定例業務をたえず見直し、短時間でできるよう、業務の簡素化を図る。

    ○OA化の推進

     各種業務にパソコンや一連の事務機器を活用しOA化を図る。

     また、そういった機器を使用して必要情報の共有化を図り連絡・打ち合わせの
     時間を短縮する。

    ○平準化

     1日、1カ月の業務計画を作成し、一時期に業務が集中しないよう、可能な限り
     平準化を行なう。

     どうしても業務が集中してしまう時期には相応の対策(パートの確保など)を検
     討する。

    ○統合化・集約化

     業務の重複がないよう、統合化・集約化を図る。

   ただ、注意しなければならないのは、

    あくまでも無駄な業務は排除するものの、
    患者へのサービスは向上させなければならないという点です。
    効率的に業務を行なうことで生じた時間を
    患者サービスのために振り分けることも大切です。

  ABC分析による在庫管理

   病医院において、人件費の次に医業費用に占める割合の高い項目が材料費、と
   くに医薬品費です。

   そこで、比較的容易に実施できる効果的な在庫管理手法として、ABC分析による
   在庫管理を紹介します。

   1.ABC分析の効果

    A B C分析による在庫管理は、

     ・比較的やりやすく、失敗することが少ない

     ・すでに導入している病医院も多く、効果が確認されている

     ・「小さな努力で大きな成果」を得ることが可能である

    と評価され、医薬品などの材料の在庫費用を圧縮することが可能になります。

    2.ABC分析の方法

     AB C分析の方法は、在庫品をA、B、Cの3つのグループに分け、それぞれに
     応じた管理を行なうことによって管理コストの低減を図るものです。

     具体的な導入の仕方を紹介します。

      (1)全医薬品について、「購入単価×購入数量」によって購入金額を算出する。

      (2)購入金額の多い順に、品目名と購入金額を並べた一覧表を作成する。

      (3)一覧表の上から順に購入金額を合算し、その額が総額の70%を超えた
        ところでやめて、そこまでの品目をAグループとする。

      (4)その次の品目から、上記と同様に合算し、その額が総額の20%になっ
        たところでやめ、そこまでをBグループとする。

      (5)残りの品目をCグループとする(A、B、C各グループの品目の割合は、通
        常、Aが10%、Bが20%、Cが70%程度になる)。

      (6)この分析が終わったら、ABC各グループごとの管理方式を定める。

         Aグループ…品目数は少量だが消費金額の高い医薬品のグループ。
                  Aグループの医薬品については、最低量にまで在庫を
                  圧縮すると同時に、在庫切れを起こさないよう、在庫
                  管理を徹底する。

         Bグループ…中程度の価格の常備医薬品がBグループに属する。
                 Bグループの医薬品については、適正な在庫量や
                 購入のタイミングなどを定めて管理を行なう。

         Cグループ…購入金額は低額だが属する品目数の多いグループ。
                 適正な在庫量の把握、期限切れ品の発生などには
                 留意する必要があるが、AグループやBグループに
                 比べ、 緩やかな管理を行なう。
                 大量購入による値引きを期待することができる。

     以上のことを実行すれば、無駄のない医薬品管理ができ、コストダウンにつな
     げることが可能になります。

  □その他のコストダウン策

   その他の日常業務におけるコストダウンの方法としては、次のようなものがあります。

    ○運搬・歩行のアクションロスをなくす

     ・運搬そのものをなくすよう検討する

     ・運搬業務を簡素化する

    ○パフォーマンスロスをなくす

     ・訓練・指導の徹底により職員の能力向上を図る

     ・誰にでもできる方法に変える

    ○単位別コストを把握する(1人1時間あたりの人件費・1平方メートルあたりの
     スペースコストなど)

    ○院内業務の外注化を検討する

     ・外部委託することで明らかに院内アメニティーが向上するものや人員
      削減につながる業務ほ外注化を検討する。
      その際には事前に費用対効果について十分に検討を行なう

     ・外部委託業者を選定する際には、ほかの病医院から情報を収集する、
      医療関連サービスマーク(*)取得業者を選ぶなど慎重な態度で臨む

      *医療関連サービスマーク

       在宅酸素供給装置(濃)保守点検サービス・滅菌消毒サービス・寝具類
       洗濯サー ビス・患者給食サービス・患者搬送サービス・院内清掃サー
       ビス・検体検査・医療用ガス供給設備保守点検サービスなどを営む
       業者のうち、ある一定の基準を満たしている事業者に対して医療関連
       サービス振興会が交付するマル適マーク

    ○医療機器などの使用状況を確認する

     ・現在、院内にある医療機器が有効に利用されているかどうかを再度確認
      して無駄な機器をなくすようにする。
      あるいは有益な活用法を考える

     ・新たな医療機器を購入する際には、投資額に見合うだけの効果を十分に
      検討してから行なう(リースにする際にも同様の検討が必要)

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交際費等の基礎と課税措置

           

交際費等の基礎と課税措置への対応策

  ■交際費等に該当する費用

   「冗費」、「濫費」として社会的に批判を受けがちな交際費等は、税法では原則とし
   て課税されることになっており、税金を含めた実質の負担はかなり大きいものに
   なっています。

   交際費等はほかの費用との区分が難しいため、本来ほかの費用に計上すべきも
   のまで交際費等として計上されている場合があります。

   このような費用をきちんと交際費等と区別して、課税されないようにすることが、
   税金対策になります。

   まず、交際費等とは何かについて説明します。

   交際費等とは、

    得意先や仕入先、その他事業に関係ある者(※)に対して
    接待、慰安、贈答などの行為をするために支出する費用

   を指します。

   ※「その他事業に関係ある者」には、取引関係のある者だけでなく、その法人の
     役員、従業員、株主も含まれます。 

   交際費等に含まれる費用をあげてみます。

    ・来客を接待するための飲食費、手みやげ代

    ・取引先への餞別、見舞金、お祝いなど

    ・ゴルフの接待など、取引先との親睦費用

    ・取引先の担当者に対して、取引の謝礼として支払う金品

    ・会社の創立記念などの行事での交通費、宴会費、記念品代

    ・中元や歳暮の贈答費用

    ・特約店会議などに伴う宴会費

    ・得意先に対して景品付き販売を行った場合の景品費用

    ・得意先開拓や、特約店・代理店となるための運動費用

    ・新規出店に際し、周辺の商店や住民の同意を得るための運動費用

   もっとも、これらのすべてが交際費等に該当するわけではありません。

   たとえば、「会社の創立記念などの行事での費用」は、飲食などに係る費用が通
   常社内で行う場合と同程度で、社員のみを対象として行われた場合は、「福利厚
   生費」として扱われます。

   また、このほかにも交際費等に含まれないケースがあります。

   ほかの費用との区分について、詳しくは『交際費等とほかの費用との区分』の項
   で説明します。

  □交際費等への課税措置

   交際費等は、会社の事業活動に必要な経費支出です。

   しかし、「冗費」、「濫費」というイメージが強いことからもわかるように、飲食や遊
   興に使われることが多いため、法人税の計算では、原則として、支出した全額を
   必要経費として損金に算入できないと定められています。

   したがって、交際費等を支出した場合、その支出額に対して法人税等が課される
   ことになります。

   ただし、

    資本金または出資の額が1億円以下の中小企業については、政策的
    理由から、例外として、一定限度までの交際費等の支出については、
    損金に算入できる

   とされています。

   なお、支出した交際費等のうち、相手先の名前を明らかにしないもの(いわゆる使
   途秘匿金)については、特別な課税(その支出額の40%相当額を法人税に加算)
   が行われます。

   法人税等の実質税率は約30%ですから、資本金または出資の額が1億円超の
   企業において、100万円の交際費等の支出は実質的には130万円の負担となり
   ます。

   ただし、個人事業では、支出したことが取引の記録として残っており、業務の遂行
   上直接必要であったことが認められる交際費等は、全額を必要経費に算入する
   ことが認められています。

   また、交際費等とは別に、1人当たり5000円以下の飲食費(役職員の間の飲食
   費を除く)については、損金算入が認められます。

    経済産業省(P25)

     交際費課税の特例措置は、2018年度税制改正により、適用期限を
     2020年3月末まで延長 

   詳しい要件等は次項で説明します。

  □1人当たり5000円以下の飲食費

   1.1人当たり5000円以下の飲食費であるかどうかの判定

     交際費等の範囲から除かれる飲食費は、次の算式で計算した1人当たりの金
     額が5000円以下の費用が対象となります。

     個々の得意先が飲食店等においてそれぞれどの程度の飲食等を実際に行っ
     たかどうかにかかわらず、単純に当該飲食等に参加した人数で除して計算し
     た金額で判定することになります。

   2.1人当たりの飲食費が5000円を超えた場合

     交際費等の範囲から除かれる飲食費は、1人当たりの金額が5000円以下の
     費用それ自体が対象となることから、1人当たりの金額が5000円を超える費
     用については、その費用のうちその超える部分だけが交際費等に該当するも
     のではなく、その費用のすべてが交際費等に該当することになります。

     1人当たりの飲食費のうち5000円相当額を控除するというような方式ではあ
     りません。

   3.飲食等が複数にわたって行われた場合

     1次会と2次会など連続した飲食等の行為が行われた場合においても、それ
     ぞれの行為が単独で行われていると認められるとき(たとえば、まったく別の
     業態の飲食店等を利用しているときなど)には、それぞれの行為に係る飲食
     費ごとに1人当たり5000円以下かどうかの判定を行って差し支えありません。

     しかしながら、それら連続する飲食等が一体の行為であると認められるとき 
     (たとえば、実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわら
     ず、その飲食等のために要する費用として支出する金額を分割して支払って
     いると認められるときなど)には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1
     人当たり5000円以下であるかどうかの判定を行うことになります。

   4.「支出する金額」に係る消費税等の額の取り扱い

     飲食費が1人当たり5000円以下であるかどうかは、その飲食費を支出した法
     人の適用している税抜経理方式または税込経理方式に応じ、その適用方式
     により算定した金額に基づいて判定します。

     したがって、その「飲食等のために要する費用として支出する金額」に係る消
     費税等の額については、税込経理方式を適用している場合には当該支出す
     る金額に含まれ、税抜経理方式を適用している場合には当該支出する金額に
     含まれないこととなります。

   5.会議に際して、1人当たり5000円超の飲食費が生じた場合

     会議に際して、1人当たり5000円超の飲食費が生じた場合、交際費に該当す
     るものとして取り扱われるのでしょうか。

     交際費等に該当していた飲食費(社内飲食費を除きます)のうち1人当たり
     5000円以下のものを、一定の要件のもとで一律に交際費等の範囲から除外
     しています。

     したがって、従来から交際費等に該当しないとされている会議費等(会議に関
     連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要す
     る費用など)については、1人当たり5000円超のものであっても、その費用が
     通常要する費用として認められるものである限りにおいて、交際費等に該当し
     ないものとされます。

   6.保存書類への記載事項

     交際費等の範囲から1人当たり5000円以下の飲食費を除外する要件として、

      飲食等のために要する費用について「の飲食等に参加した得意先、
      仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびの関係」
      を記載する

     必要があります。

     これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、飲食等を
     行った相手方である社外の得意先等に関する事項を、「○○会社・□□部、
     △△△△(氏名)、卸売先」というようにして記載する必要があります。

     なお、氏名の一部または全部が相当の理由があることにより明らかでないとき
     には、記載を省略して差し支えありません。

     したがって、通常の経理処理等に当たって把握していると思われる自己の役
     員や従業員等の氏名等まで記載を求めているものではない。

     では、一定の書類の保存要件としての記載事項について、注意すべき点には
     どのようなものがあるのでしょうか。

     記載に当たっては、原則として、相手方の名称や氏名のすべてが必要となり
     ますが、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したよう
     な場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、
     △△△△(氏名)部長ほか10名、卸売先」という表示であっても差し支えありま
     せん。

     また、その保存書類の様式は法定されているものではないので、記載事項を
     欠くものでなければ、適宜の様式で作成してよいとされます。

  □交際費等とほかの費用との区分

   交際費等には、さまざまな隣接費用があります。

   これまで交際費等として支出してきた経費を適切な隣接費用にすることで、税金
   対策ができます。

   隣接費用と交際費等との区分をみてみましょう。

   1.福利厚生費

     自社の従業員(親族を含む)に対して、慶弔禍福の際に、一定の基準にした 
     がって祝金や見舞金を支給する場合は、福利厚生費として取り扱われます。

     しかし、社外の者に対してこれらの金品を支出する場合は、次のように取り扱
     われることになります。

     (1)得意先など、社外の者に対して支出する場合

       得意先など、社外の事業関係者に対して支出する祝金・見舞金は、交際費
       等として取り扱われます。

       したがって、得意先の役員の葬儀に際して香典・花輪を供与した場合、そ
       の費用は交際費等とされます。

       なかには、「香典は、得意先ではなくその役員の親族に渡しているのに、な
       ぜ交際費等になるのだろう」と思う人もいることでしょう。

       しかし、税務上、その香典などの支出は、取引関係があったために支出し
       たとみなされるのです。

       ただし、

        事業上の関係ではなく、自社役員の個人的な関係から見舞金などが
        支払われた場合には、その役員に対する給与(賞与)とみなされます。

     (2)下請企業の従業員に対して支出する場合

       特約店のセールスマン(またはその親族など)の慶弔禍福や自社の工場な
       どにおいて、

        下請企業の従業員が業務の遂行に関連して災害を受けた場合
        などに、自社の従業員に準じて支払う見舞金などは、福利厚生費   

       として取り扱われます。

       また、一般的に福利厚生費と考えられている費用には、実際には交際費等
       に該当するものもあります。

       次のように、全社員が対象となっていなかったり、社外の人間が対象となっ
       ている場合、特別にお金をかけている行事などは、福利厚生費でなく、交
       際費等になるので注意が必要です。

        ・会社の行事で、社員だけでなく得意先も併せて招待した場合

        ・社員旅行であっても、「通常要する費用」以上のお金をかけた場合

        ・「役員だけ」など、特定の社員だけで新年会などを行った場合

   2.寄付金など

     その法人にとって功績の大きい役員が死亡した場合には、法人が主催して社
     葬を執り行うのが通例となっています。

     しかし、税務上、

      社葬費用が単純に損金とされるのは、死亡した役員の経歴、地位、
      法人の規模、そのほかの事情からみて、社葬を行うことが相当と
      認められる場合

     に限られています。

     もし、役員の死亡に際し、法人が社葬を行うことが妥当でないと判断された場
     合には、法人から遺族に対して贈与が行われたものとみなされ、寄付金に区
     分されることになります。

     この場合、遺族もその法人の役員であるならば、役員に対する給与(賞与)と
     されることになります。

     一方、利益を供与された遺族の側は、法人から贈与を受けたとみなされ、一
     時所得(または役員賞与)となります。

   3.旅費交通費

     (1)接待のための付随費用の範囲

       接待のために要した費用(交際費等)のうち、飲食費のほかに、得意先を
       送るためのタクシー代などの交通費や、店に支払うチップなども交際費等
       に含まれます。

       また、出張旅費が交際費等とみなされる場合もあります。

       たとえば、得意先などを温泉地に招待して接待する場合、社員が温泉地ま
       で出かけることになります。

       このような場合、税務上の交際費等の取り扱いから考えて、

        得意先を接待するためだけに出張するとみなされた場合、
        その出張旅費は交際費等に該当する

       ことになります。

       このようなケースに該当する場合は、海外旅行であっても、渡航旅費や
       宿泊費が同様に交際費等として取り扱われます。

     (2)祝賀会などに出席する場合の交通費

       法人の役員などが祝賀会に出席する場合、持参する祝金は交際費等に該
       当します。

       しかし旅費などについては、出席者は接待を受ける立場であることから、一
       般の業務と同様に、旅費交通費として取り扱い、交際費等には当たらない
       とされています。

   4.会議費

     得意先との商談の後、打ち上げと称して会食などを行う場合、

      通常会議を行う場所で、昼食程度の飲食物を供与する場合は会議費

     とされ、「昼食程度」の範囲を超える部分は交際費等となります。

     「昼食程度」の範囲は、おおむね1人当たり3000円程度といわれています。

     なお、アルコールが提供された食事は昼食として認められないというわけでは
     ありません。

     ビール1本程度ならば、会議費として認められます。

     また、旅行や観劇などに招待し、併せて新製品の説明などの会議を開催した
     場合は、会議に通常要する費用を会議費とすることができます。

   5.販売促進費

     ここでは、販売促進費と交際費等を区分するポイントを4つあげます。

      @売上高、売掛金の回収高に比例して(または売り上げの一定額ごとに)、
       得意先に金銭や事業用資産、少額物品(※)を供与する場合は、その
       費用を売上割戻として販売促進費に含めることができます。

      A売上割戻を上記で定めた形で支払わず、高額な物品を供与、または
       旅行等に招待する場合は、売上割戻と同様の基準で計算されていても、
       交際費等として取り扱われます。

      B商品券など、引換商品の種類が特定されていない物品を供与する
       場合は、購入単価が3000円以下であっても交際費等となります。

      C得意先に対する売上割戻として計算されたものであっても、その額を
       支払わずに積み立て、積立金が一定額に達したときに得意先を旅行
       等に招待する場合は、その招待等を行った事業年度の交際費等と
       なります。

      ※事業用資産とは、得意先で棚卸資産(または固定資産)として販売(使用)する
        ことが明らかな物品を指します。また、少額物品とは、その購入単価がおおむ
        ね3000円以下である物品を指します。


   6.広告宣伝費

     ここでは、広告宣伝費と交際費等を区別するポイントを3つあげます。

      @宣伝を目的として、不特定多数の一般消費者を対象に金品を交付
       する場合は、広告宣伝費とされます。これに対し、取引先など特定の
       者に対して、おもに贈答、謝礼の目的で金品を交付する場合は、交際
       費等として取り扱われます。

      A得意先などに対する贈答であっても、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、
       小額の金券(クオカードなど)を贈答するために通常要する費用は少額
       広告宣伝費となり、交際費等には該当しません。

      B得意先など、特定の者に対して景品付き販売を行う場合、その景品
       費用は原則として交際費等となります。ただし、その景品などの物品が
       少額物品や事業用資産に該当し、かつ、その物品の種類、金額などを
       交付する側で確認できる場合には、広告宣伝費(景品費)として取り扱う
       ことができます。

  □交際費等の削減例

   ここでは、交際費等を隣接費用に転換させた事例を3つ紹介します。

    例1:広告主伝費に転換

       A社は、毎年取引先を観劇や旅行に招待していたが、今年から広告宣伝用
       の自動車を交付することにした。その結果、交際費等から広告宣伝費に転
       換され、交際費等としては課税されなかった。

       車体の大部分に一定の色彩を塗装して、広告宣伝を目的としていることが
       明らかな自動車を贈与した場合、その広告宣伝用自動車の取得費用を繰
       延資産に計上したうえで、一定期間(その資産の法定耐用年数の7割、た
       だし最長5年)内に全額を償却することができます。

       たとえば、ある電器メーカーが自社のステレオの宣伝を車に表示し、その
       車を取引のある会社に贈与した場合、「自社製品(ステレオ)を宣伝してい
       る」ということになります。

    例2:売上割戻に転換

       B杜は、得意先に商品券を配布していたが、今年から売上割戻規定にした
       がって、金銭を交付することにした。その結果、交際費等から売上割戻に
       転換され、全額を損金に算入することができるようになった。

       製造業者または卸売業者が、その販売した商品などの販売業者に対し、そ
       の売上高もしくは売掛金の回収高に比例して、または、売上高の一定額ご
       とに支出する金銭や事業用資産の価額は、交際費等として取り扱わないこ
       とになっています。

        ・売上高もしくは売掛金の回収高に比例して、または売上高の一定額
         ごとに支出する金銭は、売上割戻とする

        ・販売量に応じて、一定の割増率により支給する商品は、その販売した
         商品を含めたところで販売したものとする

       なお、売上割戻は営業地域の特殊性や協力度合を加味して支給すること
       もできますが、明確な基準がない場合には、交際費等とされることになります。

       したがって、恣意的でないことを立証するために、「売上割戻規定」を作成
       しておく必要があるでしょう。

    例3:旅費交通費、会議費に転換

       C社は、毎年取引先を温泉旅行に招待していたが、今年から、特定の取引
       先の社長をC社の相談役として受け入れ、温泉旅行ではなく、相談役会議
       を開催することにした。その結果、これまで交際費等として処理していた経
       費支出の一部が旅費交通費、会議費に転換され、損金に算入することが
       できるようになった。

       ある得意先の社長を日本各地から熱海に呼び寄せ、宴会を開催したとします。

       通常ならば、これに要した一切の費用は、交際費等に該当することになり
       ます。

       しかし、その得意先の社長が自社の相談役であったらどうでしょうか。

       熱海に集まった主たる目的が、宴会ではなく相談役会議にあるとすれば、
       相談役を呼ぶための航空券代やホテル代は旅費交通費として処理するこ
       とができます。

       この場合、相談役会議が会議としての実態を備えていることはもちろん、相
       談役に就任してもらうことに相当の理由があることが前提となります。

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リースの基礎

            

リースの基礎

  ■リースの仕組み

   1.リースとは

    法律で「リース」を定義しているものはありませんが、

    一般にリースとは、

     企業が機械設備を導入しようとする際に、
     リース会社が代わって機械設備を購入し、その企業に対して比較的
     長期間、賃貸すること

    とされています。

    具体的には、リース会社が金融機関からの借入をはじめとする長期資金の調
    達を行い、その資金を基に必要とする企業に代わって機械・設備(リース物件)
    を購入し、一定のリース料によりその企業に長期間賃貸することです。

    たとえば、パソコンや冷蔵庫といった物件を導入する場合、直接お金の融資を
    受けるのではなく、リース会社にユーザーが指定した物件を購入してもらい、そ
    れを賃貸する形になります。

    したがって、その物件の所有権はリース会社にあり、リースを受けた企業の
    「物」ではありません。

    こうしたことから、リースは別名「物融」とも呼ばれ、「物」を介さない場合はリース
    の対象とはなりません。

    リースと混同しやすいものに、レンタルや割賦販売がありますが、その違いは以
    下のようになります。

    【レンタルとの違い】

     レンタルは、レンタカーやベビー用品、観葉植物など、不特定多数の人が使え
     る物件が対象となります。
     ユーザーはレンタル会社の在庫のなかから物件を選択します。
     短期間の賃貸借で、物件の保守・修繕義務はレンタル会社が負います。

    【割賦販売との違い】

     割賦販売とはいわゆる分割払い(クレジット)での販売のことで、代金を一定期
     間に分割して支払う販売形態です。
     割賦販売は支払い形態が違うだけで通常の売買契約と同じです。
     物件はユーザーの資産となり減価償却しますが、割賦料金を完済するまで所
     有権は留保されます。

   2.リース契約の手順

    一般にリース契約は次の手順で行われます。

     @ユーザーはメーカーやディーラーと、導入する物件の機種・価格・仕入れ
       条件・仕様・納期などについて打ち合わせをします。

     Aユーザーはリース会社とリース期間やリース料などのリース条件を話し
       合います。
       条件が決定した後、ユーザーはリース会社に正式にリースを申し込み
       ます。

     Bリース会社はユーザーから提出された事業報告書(決算書)を基に信用
       調査を行った後、リース契約を締結します。

     Cリース会社はメーカー・ディーラーと売買契約を締結し、物件を発注します。

     Dユーザーにメーカー・ディーラーから物件が納入されます。

     Eユーザーは納入物件の検品後、リース会社に物件受領書を渡します。
       この日がリース開始日(検収日)となり、その後毎月のリース料の支払い
       が発生します。

     Fリース会社はメーカー・ディーラーに物件代金を支払います。

     Gリース会社は検収日から物件を資産として計上します。
       保険料、税金なども毎年リース会社が支払います。

                               基本的なリース契約スキーム

     <リースに適した物件>

      ・技術革新や陳腐化のスピードが速い物件…コンピューター、OA機器など

      ・購入価格が高い物件…航空機や船舶など

      ・管理事務に手間がかかる物件…自動車など

     <リースに適さない物件>

      ・売買扱いになる物件…建築物など

      ・陳腐化しない物件…工具・備品など

      ・短期間しか使用しない物件…土木建築機械など

     リース期間の満了後は、ユーザーの希望により、

      ・リース会社が物件を引き取る

      ・再リースする

     のいずれかの方法をとります。

   3.リースの種類

    また、リースの種類には、大別して次の3つがあります。

    (1)ファイナンスリース

      リース料総額がリース物件の取得価額および諸費用のおおむね全額を回収
      するようになっており、中途解約が禁止されている契約です。

      現在、リースの9割以上がファイナンスリースといわれています。

      あらゆる機械設備がその対象物件となりますが、税務上、リースの対象とは
      ならない場合もあります。

    (2)オペレーティングリース(オペリース)

      リース期間がユーザーの使用期間に応じて設定されるため、同物件対象の
      ファイナンスリース契約よりリース期間が短くなります。

      リース料も物件の残価が見込まれるため低廉化が図れます。

      また、契約によっては中途解約が可能です。

      対象物件は、中途解約やリース期間終了時でも一定の価値があり、リース
      会社が容易に別のユーザーに再リースすることが可能か、または中古市場
      が整っている比較的汎用性の高い物件となります。

      日本ではオペリースの残高が大きい業種の中で目立つのは不動産業だ。

      中でもサブリース(大家さんが管理会社に部屋を賃貸し、管理会社が賃借し
      た部屋を第三者にあたる入居者に貸す事)を手掛ける企業の残高が大きい。

      日本会計基準で簿外になっている設備や不動産などのオペレーティングリー
      ス(オペリース)は資産計上されずに会計処理が簡単だった。

      会計基準の変更により貸借対照表に計上される見通しになった。

      「オフバランスのメリットが薄まり、企業の設備投資意欲が弱まるのでは」と
      の声もある。

      またリース料は税務上、損金算入できるメリットもあった。

      すべてのリースが企業の資産とみなされる。

      オペリースも例外ではなくなる。

      資産であれば減価償却が必要で、元本と利息は分けて計算する。

      経費処理に比べると煩雑だ。

      日本でもルールの国際化を進めなければ、投資家から日本の財務諸表の信
      頼性を疑う声が出かねないとの懸念が出ていた。

                                出典:日本経済新聞(2019/3/7)

    (3)サービスリース

      上記リースにサービス機能を付加したものです。

      このなかでもリース物件の修繕・保守管理のメンテナンスサービスをリース
      会社が提供するものをメンテナンスリースといい、自動車リースが典型的です。

  □リース料について

   1.リース料の算定

    リース料は、一般に

     ・物件取得価格

     ・残存価格(残価)

     ・金利コスト

     ・租税公課を含む各種経費

     ・リース会社の利益

    の5要素から構成されます。

    リース料の算出は一般に次のように計算されます。

    なお、契約されたリース料はリース期間中は変更されません。

     リース料の算定.bmp

    金利は各社の経営方針に沿って設定されています。

    また、通常は、戦略上の理由や取引先の信用度によって1件ごとに金利を調整
    しています。

    たとえば、財務内容の良好な上場企業で今後も継続して引き合いが見込める
    先の場合は、金利を低くしてリース料を下げることが多くなっています。

    反対にリース期間中の収益が安定して見込めないベンチャー企業などは、貸し
    倒れリスクを考慮して金利を高く設定します。

    このように同じ物件であっても契約先の財務内容や、リース会社の与信の考え
    方によってリース料が変わるため、リースに定価はないといわれています。

   2.リース料率

    月リース料はリース料率で表示することがあります。

    リース料率とは、物件総額に対しユーザーが1カ月に支払うリース料の割合です。

    たとえば、物件価格100万円につき月リース料が1万9000円の場合、月リース
    料率は1.9%となります。

  □リースのメリット

   ここでは、ユーザーにとっての一般的なリース導入のメリットをまとめています。

   (1)借入金であれば、ユーザーは借入枠や担保の設定状況により100%の融資
     は得られないことが多いのですが、リースを利用することによって、100%の
     借り入れをした場合と同じ効果が得られます。

   (2)借入金や自己資金で機械設備を購入すれば、投下した資金の回収は法定耐
     用年数が終了するまでは不可能であり、その間、資金を固定しなければなりま
     せん。

     しかし、リースを利用すれば、月々わずかなリース料を負担するだけで、残っ
     た資金をより有利な投資や研究開発費などに回すことができます。

     ユーザーは資金の固定化を防ぐことができると同時に、資金運用を図ることが
     可能となります。

   (3)リースした機械設備はリース会社の資産であるため、ユーザーはそれらを固
     定資産として計上する必要がありません。

     そのため、たとえ高額な設備を導入しても流動比率、固定比率などの財務比
     率が悪化することはありません(ただし、平成20年4月1日以降開始する事業
     年度からは、リース物件とこれに係る債務をリース資産およびリース債務とし
     て計上することが義務づけられたことから、このメリットはなくなりました)。

   (4)技術革新の目ざましい今日、機械設備のサイクルは短くなる一方ですが、
     リースなら将来の陳腐化を十分考慮して、経済的・物理的耐用年数に見合っ
     たリース期間を選ぶことができます。

     ユーザーはつねに業界をリードする新鋭機械設備を利用できます。

   (5)リースを利用すれば、機械設備導入にともなう資金調達、固定資産税や保険
     料の支払い、資産処分など、わずらわしい事務負担を大幅に削減できます。

   (6)税法上、毎月のリース料は全額会社の経費として処理できます。

   (7)契約期間中のリース料は物価の上昇などに関係なく一定であるため、ユー
     ザーはインフレや月々の支払い増加に対する不安から解放されます。

     なお、リース料は個々のケースで異なるため、リースと購入のどちらで導入し
     たほうが得かは一概にいえません。

     リース会社に経済比較表を提示してもらって、比較検討します。

     経済比較表とは、物件のリースと購入の純資金流出や節税効果を検証したも
     のです。

     導入する機械、設備の見積書をメーカーやディーラーから入手した後、リース
     会社にリース料金の見積もりと経済比較表を出してもらうよう依頼するとよい
     でしょう。

     リースより購入するほうがよいのは、数量がそれほど多くなく、低価格の機器
     などを現金で購入できる場合やその設備を長期間使用する場合です。

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時間管理によるコストダウン

              

時間管理によるコストダウンで生産性を向上


  ■時間管理によるコストダウン

   会社が取り組むコストダウンの方向性はさまざまです。

   近年では、景気低迷を背景として、残業の削減によってコストダウンを図る会社が
   多くなっています。

   そして、「残業代ゼロ」法案が閣議決定(2015年4月)された。

   ここで改めて注意したいのは、「残業の削減によるコストダウンは、生産性の向上に
   つながる取り組みでなければならない」という点です。

   「とにかく残業を減らしてくれ」という号令の下、やみくもに残業を減らした結果、やら
   なければならなかった業務が後回しになるなど業務に支障をきたすようでは、生産性
   の向上につながる取り組みとはいえない。

   そこで、重要となるのが「時間管理」の考え方です。

   全社的に時間管理を徹底することで「業務のムダ」をなくすなど業務効率化を図り、
   これまで業務に費やしてきた時間を短縮すれば、残業の削減、ひいては生産性の
   向上が実現できます。

   時間管理の徹底は、残業代の削減と同時に生産性の向上をもたらす、企業にとって
   効果的なコストダウンといえるでしょう。

   時間管理を徹底することでコストダウンを実現し、さらには生産性を向上させる手法に
   ついて考えてみましょう。

  □時間管理の考え方

   時間管理とはどのようなものであり、それがどのようにコストダウンに結びついていく
   かを整理してみます。

   生産現場における時間管理とは、もっとも効率的な作業内容を追求し、経常数値として
   取り扱えるレベルに定量化し、それを管理することです。

   身近な事例で時間管理を考えてみましょう。

   例えば、ある企業が新しいOA機器を導入するとします。

   100万円と50万円のどちらかの機器を導入する場合、「うちの会社は規模が小さい
   から、安い50万円のほうでよい」とすることは、一見当たり前のように思えるかもしれ
   ません。

   しかし、それは正しい選択のようにみえて実はそうではないこともあるのです。

   かといって単純に、値段の高い機器を導入すればよいということでもありません。

   包括的なコストダウンに立脚して考えた場合、機器導入に際しては、どちらの機器を
   導入すれば作業の効率化が図れるかに視点を置く必要がある。

   100万円の機器は、すべての従業員のコンピューターとネットワーク化され、印刷する
   原稿を自動で振り分けることができます。

   一方、50万円の機器は印刷した原稿を従業員の誰かが整理し、振り分けまでしない
   と、100万円の機器によるものと同品質になりません。

   従業員の生産性を向上させるのがどちらの機器であるかは一目瞭然です。

   この場合、50万円の投資を惜しむことで、その従業員がほかに振り分けられるであろう
   時間を奪ってしまうことになりかねません。

   この余分な時間が積み重なることで、会社全体の生産性を大きく低下させるかもしれ
   ないのです。

   ここで挙げた100万円と50万円のOA機器の話は非常に簡素化した事例ですが、
   身近にあるこのような事例こそ改善できる時間管理の一つといえるでしょう。

   つまり、時間管理とはまさに工夫、短縮、能率であり、それがコストダウンにつながる
   ということです。

  □意識改革から始める時間管理の徹底

   時間管理は社長と従業員の距離が近く、意思疎通が図りやすい中小企業が取り組み
   やすいコストダウンの一つです。

   時間管理を徹底することで、はっきりと効果が現れるのは残業にかかるコストの減少
   です。

   残業には「業務が過剰である」という理由よりも、「業務の効率が悪い」「従業員の意識
   に問題がある」ケースのほうが多いのです。

   業務の効率が悪くて発生する残業は、業務の手順を見直すことで大幅に改善します。

   また、従業員の間には「残業は美徳で、残業することが当たり前」という意識がある
   など従業員の意識に問題がある場合は、意識改革から取り組む必要があります。

   例えば、社長が日ごろから時間管理の大切さを口にすることで幹部社員にも時間管理
   の大切さが浸透し ひいては各従業員が業務時間中の時間の使い方を工夫するよう
   になります。

   これだけでも残業の削減につながるはずです。

   社長の中には、「我が社は実際に残業があったとしても一定枠以上の残業代を支給
   しなくてもよいのだから、従業員には残業をさせたほうが得である」と考える人がい
   ます。

   社長がこうした考え方では、残業に対する従業員の意識に変化は起きません。

   このままでは、企業は永続的に一定枠までの残業代を支給し続けなければならず、
   残業にともない発生する電気代などの光熱費の負担も減少しません。

   従業員の意識改革を行い、時間管理を徹底させる場合には、まず、社長自身が「時間
   管理の徹底で、絶対に残業を削減する」という意識を持って取り組む必要があります。

  □残業時間削減の取り組み

   残業を前提とした業務の進め方では生産性は向上しません。

   社長が時間管理を徹底させることで、幹部社員、従業員が時間の使い方を工夫する
   ようになり、そしてその工夫が生産性の向上につながるのです。

   そのために大切なのは、社長が「時間管理を徹底することで残業を廃止する」と宣言
   することです。

   この「残業廃止宣言」を行うと、営業部門の部門長が「うちの部門から残業をなくす
   ことは不可能です」と言ってくるかもしれません。

   そのほかの部門からもこうした意見が寄せられることもあるでしょう。

   確かに季節的要因などから業務過剰となり、止むを得ず残業が発生する部門がある
   かもしれません。

   しかし、残業をなくすことが不可能だという部門長の意識を経営者が戒めないと、自社
   が持つ残業体質は改善しません。

   仮に、止むを得ず残業が発生するのであれば「残業時間のすべてに対して残業手当
   を支給する」というルールを徹底させます。

   その上で、残業手当を含まない人件費に対する残業手当の比率を部門ごとに算出し、
   競わせましょう。

   あるいは、残業手当全額支給を前提に部門における年間残業費用に一定の枠を設け
   ましょう。

   止むを得ず残業をしなければならない従業員がいる場合は、残業申請書を提出させ
   るのも一案です。

   残業申請書の提出は残業当日の終業時間3時間前まで、申請書の内容確認は必ず
   直属の上司が行うこととします。

   上司は、重要度が高く緊急性が認められる事項以外は原則として残業は認めない
   ようにします。

   申請書の内容を直属の上司が確認することで、部下が行っている業務の内容・難易
   度・進ちょく度合いを正確に把握できるようになります。

   部下の業務の進め方に問題点があれば、それを修正する絶好の機会が到来したと
   いえるのです。

   時間管理は、工夫、短縮、能率を上げること(が直接コストダウンにつながる)そのもの
   なのです。

   そのためには、
    ・時間管理徹底の体質改善に対して、経営陣が明確な方向付けできるか
    ・従業員一人ひとりに時間に対して高い意識を持たせられるか
    ・従業員の能率を上げるためには、自社としてどのような施策が考えられるか
    ・自社の事務、作業の工程に工夫や短縮の余地はないか

   など、徹底的にとらえなおすことがまず時間管理の第一歩といえ、それに対しての
   取りみを行うことが、結果として企業全体の時間管理を有効なものとするのです。

     組織の焦点を合わせ、戦略を定め、実行し、目標とすべき成果を明らかにす
     る人間が必要である。
     このマネジメントには、大きな力が付与される。
     しかし、知識組織におけるマネジメントの仕事は、指揮命令ではない。
     方向付けである。
                          (ドラッカー名言集「経営の哲学」)

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広告宣伝費を見直す

               

広告宣伝費を見直す


  ■企業活動で発生するコスト

   コストダウンは、“目に見えやすいコスト”が削減の対象となりがちです。

   例えば、業務の効率アップのためのパソコン購入であっても、何十万というまとまった
   コストの発生が目に見えるために先送りになるケースがあります。

   しかし、これは正しいコストダウンではなく、一時的なコストの回避策でしかありま
   せん。

   ましてや、パソコン購入による業務効率のアップも達成できず、企業の体制は旧態
   依然としたままです。

   正しいコストダウンにおいて、削減対象とすべきは「利益を生まない活動から生じる
   コスト」です。

   利益を生み出さない活動にはムダ、ムラ、ムリがあり、そこから生じるコストこそが問題
   なのです。

   削減対象となるコストを見極めるためには、財務諸表の一般管理費の推移を確認し、
   コストダウン推進委員会などが中心となってムダ、ムラ、ムリの調査を進めることが
   重要です。

   これには多くの時間や手間がかかりますが、正しいコストダウンを推進することを決定
   したのであれば、コストダウン推進委員長(社長)の強力なリーダーシップのもとで進め
   ていくことが欠かせません。

   会社のすべての活動は連続的に関係し合っています。

   そのため、特定分野のコストを削減した結果、他分野に悪影響を及ぼす危険性もある
   ため、コストダウンを推進した後も、全体的な視野でコスト発生状況を確認し、フォロー
   を続けていくことが欠かせません。

  □広告宣伝費を見直すための基本

   1.広告宣伝費の「正しいコストダウン」

     広告宣伝費を見直し正しい方法で削減するために、改めて「広告宣伝」という
     ものに対する認識を明らかにしておきましょう。

     (1)広告宣伝に対する認識

       広告宣伝は、自社にとって「利益を生み出す」ための戦略の一つであって、
       広告宣伝を行うことで会社の利益を圧迫することがあってはならない。

       上記の認識は、広告宣伝方法を見直したり、広告宣伝費を削減するうえで
       の基本認識となります。

       また、自社における正しいコストダウンとは、ただ単純にコストを○%削減す
       ればいいというようなものではありません。

       広告宣伝費を見直す際には、以下のようなコストダウンに対する基本認識
       を心に刻み込んでおく必要があります。

     (2)コストダウンに対する認識

       正しいコストダウンとは、自社の生産性を高め、利益を向上させるものでな
       ければならない。  

       つまり、コストダウンをしなければならないからといって、広告宣伝費をむや
       みに削減することで、広告宣伝の質が悪くなり製品やサービスの認知度が
       低下し、結果的に企業の売り上げや利益を減少させたりすることがあって
       はならないのです。

       広告宣伝費の正しいコストダウンとは、自社の広告宣伝を見直し、ムダ、ム
       ラ、ムリを発見し、それを正すことによって自社の利益を向上させるような
       最適な広告宣伝を実現することなのです。

   2.広告宣伝を見直す

     ・あなたの会社は今どのような広告宣伝を行っていますか?

     ・その広告宣伝は自社にとって本当に必要ですか?

     ・その広告宣伝は自社の利益にとって本当に適正ですか?

     広告宣伝費の見直しを検討する際、この「自社の広告宣伝に対する内なる問
     いかけ」が大きな第一歩となります。

     会社はさまざまな方法で製品やサービスの広告宣伝を行います。

     顧客に直接アピールする機会となる広告宣伝は、会社にとって重要な戦略の
     一つです。

     しかし、ただ単純に広告宣伝を行えば製品やサービスが売れるというわけで
     はありません。

     広告宣伝方法が的外れなものであったり、明確な目的がなく「なんとなく」行っ
     ているものであれば、その広告宣伝は自社の利益に貢献するどころか、ムダ
     な広告宣伝費を発生させ、事業活動の足を引っ張ることとなるでしょう。

     このような製品の売り上げ増に結びつかないような誤った広告宣伝から発生
     する広告宣伝費は、利益を生まない活動から生じるコストそのものです。

     例えば、ターゲットを「静岡県下の法人」に絞った販売戦略を立案しているコ
     ピー機製造メーカーA社がいたとします。

     A社が以下のような広告宣伝を行っていたとしたら、果たしてそれはA社にとっ
     て「正しい広告宣伝」といえるでしょうか?

      両面フルカラー高速コピー機を若手お笑いタレントを起用し、コント形式での
      全国放送の10代向け深夜のラジオ広告のみで広告宣伝している

     顧客ターゲットが「静岡県下の法人」であるにもかかわらず、上記のような広告  
     宣伝をしていたのでは顧客に対する訴求力があるとはとても思えません。

     まず第一に、選択している媒体がラジオであっていいのかどうかが非常に疑
     問です。

     なぜなら、コピー機の「両面フルカラー」「高速」といった性能や外観を言葉の 
     説明のみで正確に伝えるのは非常に困難なためです。

     さらに、販売拠点が東北地方なのであれば地域限定の広告宣伝のほうがより  
     訴求力があるかもしれません。

     また、地域限定のほうが全国ネットに比べてよりコストを削減することができる
     でしょう。

     起用するタレントや、「コント形式」などの広告の企画も見直す必要があるかも
     しれません。

     このように、自社の販売戦略と方向性が異なる広告宣伝を行っているなら、そ
     もそも広告宣伝の意味を成さないと言わざるを得ません。

     従って、その広告宣伝のために発生するコストは「ムダ」であり、見直す必要が
     あります。

     このムダなコストを削減し、自社にとって利益をもたらす「正しい広告宣伝」を
     実現することが必要です。

     このように、広告宣伝費の正しいコストダウンでは、広告宣伝の妥当性を見直
     すことが重要で、これにより、自社にとって利益を生まない広告宣伝を、利益を
     生み出すような正しい広告宣伝へと導いてくれるのです。

  □広告宣伝を見直すための基本的な考え方

   これまでみてきたように、広告宣伝費のコストダウンには「自社の広告宣伝の妥当性
   の見直し」が欠かせません。

   これを行わず、ただむやみに広告宣伝費を削減してはならないのです。

   では、どのようにして「自社の広告宣伝の妥当性の見直し」を行ったらよいのでしょう
   か?

   ここでは、自社の広告宣伝の妥当性の見直しの基本的な考え方をみてみます。

   1.広告宣伝を見直す際の確認事項

     広告宣伝を見直す際に忘れてならないのは、

      ・広告宣伝は、会社の売り上げを伸ばし、利益を向上させる

      ・広告宣伝は、それ以外の要素と組み合わさって成り立っている

     ということです。

     広告宣伝は、会社の利益を向上させるための戦略の一つです。
      ・利益を増加させるために自社は何をしたらよいのか

     という、会社の方向性や
      ・自社は「何を」「だれに」「いくらで」「どんな手段で」「どれくらい」 
       売りたいのかという販売の計画などと関係し合っています。

       広告宣伝の見直しを行い妥当性を検討するためには、まず、自社の方向
       性を確認しておくことが大前提となります。

     そのうえで、

      ・どんな製品を(販売したい製品を知る)

      ・誰に対して (販売したいターゲットを知る)

      ・どんな風に (販売の方法を知る)

     などの基本的な事項を明確にしておく必要があります。

     自社の方向性の確認や、それに基づく基本的事項を明確に把握しておかなけ
     れば、先に紹介したコピー機製造メーカーA社のように、的外れな広告宣伝を
     行うことになってしまいます。

     A社は、

      ・どんな製品を →両面フルカラー高速コピー機を

      ・だれに対して →静岡県下の法人に対して

      ・どんな風に  →家電量販店での店頭販売や通信販売で

     というように、基本的事項を明確にしておけば、それに即した広告宣伝を検討
     し実行することができたでしょう。

   2.プロモーション活動のバランスを検討する

     広告宣伝を見直す場合、販売促進など、広告宣伝以外のプロモーション活動 
     とのバランスの取れた組み合わせを考える必要があります。

     プロモーション活動には、主に次の4種類の基本的な手法があります。

      広告宣伝:有料の媒体を利用することによるメッセージの提示

      人的販売:人による、あるいは人と人との接触による販売活動

      販売促進:クーポン券発行など、購買意欲を高めるためのあらゆる活動
      パブリシティ:自社の情報が媒体に掲載されるための広報活動

     現実的には、企業は、上記の4つの手法を組み合わせて、広告宣伝のほか、
     人的販売や販売促進といったプロモーション活動を行うはずです。

     例えば、ドラッグチェーンなどでは、テレビ広告や雑誌広告、店内のPOP広告
     に加え、店頭での販売員の呼び込みなどによる人的販売、クーポン券やサー
     ビスカードの発行などの販売促進など、広告宣伝のほかの手法を組み合わせ 
     てプロモーション活動を行っています。

     会社は、先に確認した基本的事項「何を」「だれに」「どんな風に」に基づいて、
     4つの手法を適正なバランスで組み合わせることを検討しなければなりませ
     ん。

     どの手法を選択してどのように組み合わせればよいのか、あるいはどの手法
     に注力するのかを考える必要があるのです。

     その結果、広告宣伝にあまり重きを置かず、販促活動や人的販売に注力した 
     ほうがよいのであれば、それによって広告宣伝費が削減され、その余剰分の
     コストをサービスデーの開催や販売員の提案力の向上に力を注ぐなど、ほか  
     のプロモーション活動に転用することも可能になるのです。

     これまでみてきたように、「広告宣伝は企業の方向性などを反映した企業戦略 
     の一環である」ため、広告宣伝費の見直しを行う場合、「広告宣伝部門では広
     告宣伝費を今期○%削減する」といった目標を立てることがあったとしても、実
     際には、広告宣伝部門内だけで広告宣伝費の見直しを完結させることは非常
     に困難なケースが多いでしょう。

     大元になる自社の方向性を確認し、それに基づいて製品開発部門、営業部
     門、販売部門などと連携しながら、プロモーション活動のバランスの取れた組
     み合わせを検討する必要があるでしょう。

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社会保険料の削減は大きなコスト軽減

           

社会保険料の削減方法


  法人税は収益によって変化し、赤字になれば払わなくても済みます。

  しかし、社会保険料の場合、社員に賃金を払う以上、企業は必ず負担しなければなりま
  せん。

  節税というと、法人税の節税だけに目が行きがちですが、社会保険料の負担率は、法人
  と個人の負担分を合わせると給与支給額の25 〜27%にもなります。 

  社会保険料は以下のような支払い方法の見直しによって削減できます。

   ・賞与の支払い方を変更する

   ・住宅手当の支払いを工夫する

   ・従業員の雇用の際に、「2ヶ月以内の有期雇用契約を利用して採用する」

   ・常勤役員を非常勤役員にする

   ・退職者は月末の前日にする

   ・高齢役員の報酬額を減額する

   ・定期昇給の時期を4月から7月に変更する

   ・通勤手当の支払い方法を変える

   ・親族を非常勤役員(従業員)にする

  社会保険料の削減は企業にとって大きなコスト軽減になります。

  たとえば、

  ○ 通勤手当の支払い方法を変える 

   もし、通勤費を1ヶ月定期の金額で支給していたら、6ヶ月定期の金額支給に変
   更する。

   定期代は社会保険料に影響してきます。

      6ヶ月定期を購入し、その金額を6で割り、1ヶ月分の金額を計算する。

      6ヶ月定期の金額÷6=1ヶ月定期の金額

      給与に加算する金額は6で割った1ヶ月定期の金額になります。
     (6ヶ月定期購入の方が1ヶ月定期購入より割引になる)

     ただし、社会保険料の負担が変わらない場合もあるが、一度計算してみる価値
   はあります。

  ○ 住宅手当の支払いを工夫する 

   住宅手当を毎月の基本給に上乗せする形で支払っているのをやめて、賃貸借
   契約を下記の形式に変更します。

        社員個人の賃貸借契約 → 法人契約の借上社宅の契約

   これにより、この社員の所得税、住民税も軽減されることになります。

   負担する家賃の額は以前と同じで、社会保険料の額は、社員も会社も減ること
   になります。

  ○ 親族を非常勤役員(従業員)にしている 

   親族を非常勤役員(従業員)にしている場合、以下の条件のいずれか1つを満
   たせば社会保険に加入する義務がありません。

    ・1日の労働時間が6時間未満

    ・1週間の勤務日数が4日未満

    ・1ヶ月の勤務日数が16日未満

   以上のようにちょっとした工夫で余分なお金を払わず、コスト削減が可能と
   なります。 

   他にも、

    ・従業員の退社日を末日より1日早める

    ・昇給月を7月にする

    ・通勤費の支払い方法を工夫する

    ・借り上げ社宅制度を導入する

    ・従業員の給与を年棒制にする

   賃金台帳の記載方法を変えるだけであっても、中小企業の多くがこのような削

   減方法を実行に移そうとしません。

   「めんどう」、「たいしたコスト削減にはならない」といった考えを持っています。

   社会保険料は利益と関係なく、赤字でも負担しなければらない制度です。

   この改訂を大きなチャンスと捕らえ、専門家とWin Win の関係を保ち、マー
   ケット開拓を推進することをお勧めします。

                         労務を切り口とした保険営業

                詳しくは、顧問の税理士、社労士にご確認ください。

   私もあなたも含め、人は自分にメリットのあることにしか反応(興味・関心)を
   示しません。

   無風状態でお客様にニーズ喚起しても反応は薄いでしょう。

   しかし、上記のように、法令、税、社会環境などの変化はチャンスなのです。


   保険に限らず、全ての商品・サービスを高確率で成約する秘訣は売れてい
   る人(会社)を真似ることです。

   彼らに共通するのは、商品・サービスそのものを売っているのではなく、その
   商品・サービスがお客様にもたらすメリット(利益)を販売しているのです。

   変化を見逃さないでください。

 

▼▼お問合せ・コンサルティング依頼▼▼

 

節税対策・コスト削減で浮いたお金は利益

           

事業運営における節税対策とコスト削減案


  社内における節税対策やコスト削減案にはさまざまあります。

   法人における節税対策の効果は利益となって表れます。

  節税対策その1 

  旅費規程を作って節税しよう

  節税対策その2

  小規模企業共済に加入して節税しよう

  節税対策その3

  中小企業倒産防止共済に加入して節税しよう 

   節税対策その4

   短期の前払費用

  節税対策その5

  社会保険料の削減  

 

経費削減.gif

  企業の多くがコスト削減というと、まず手がけ
  るのが固定費である人件費です。

  人の採用目的を明確にしなければ、収益
  が落ちたから人を減らす・給与を削減といっ
  た安易な発想になってしまいます。

  コスト削減案その1  

  大企業と違い資金に限りがある中小企業に
  とって一人の人材を採用するにも即戦力と
  なってもらわなくてはなりません。

  業務対策のコーナーでも記載しましたが、
  業務改善こそが大きなコスト削減につな
  がります。

  余分なお金のない中小企業こそ、徹底した
  業務改善が必要なのです。

  コスト削減案その2

  あなたは企業防衛のためにさまざまな保険に加入していると思います。
  複雑・多様化するリスクに対し、企業が保険を抜きに安心してに事業継続していくこ
  とは不可能な時代になってしまいました。

  過去の『水と安全はタダ』であった時代は、昔話になってしまったのです。
  ところが、その企業保険の加入状況があまりにずさんであることに、あなたは気づい
  ていません。

  なぜでしょう?

  「複雑だから」「面倒だから」「忙しいから」といった理由だけで、対策を先延ばし
  にしていないでしょうか。

  今まで、リスクマネジメントの観点から中小企業1427社にかかわり、損害保険や
  生命保険を適正に付保しているところは、現状皆無に近い状態です。

  なぜなら、企業に対して正しいリスクマネジメント提案のできる専門家(保険代理店)
  がほとんど存在していないからです。

  経営者に掛けている生命保険料がナント最大で1/10に削減に見直しできた事例
  も多数の企業でありましました。

  企業リスクを保険という一部分からしか見ることができず、業種によっては起こりえ
  ないリスクに保険をかけていたり、リスクに対する補償が重複していたりといった
  状況です。

  経営者側も、「安くなればいい」といった安易なコストの軽減目的で保険加入した結
  果、「軽減になっていない」、といった笑えない話も数多く見られます。

  企業にかける保険料の削減とは、単に保険料を安くするということではなく自社の
  抱えるリスクに対し、最適な補償内容を最小のコストで付保することです。 

  現在、企業の抱えるリスクはますます複雑化・多様化してきています。

  企業のリスクに対し、保険で対応できることをすべてを保険だけで手当てすることが
  コスト高を拡大させるのです。

  リスク対策イコール保険ではなく、リスクマネジメント(事故を起こさない・最小限に抑
  える)対策を講じることが重要です。

  たとえば、企業が加入している保険は事業計画書・就業規則と連動していることが
  重要です。  

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