説得の基本

                                          

説得の基本

■ビジネスパーソンの必須スキル 
 私たちは社会生活を送るうえで、さまざまな他者とかかわっています。
 家族、友人、会社の同僚、取引先の担当者、そのかかわりは実に多岐にわたります。 
 そうした他者とのかかわりの中では、意見の対立が起こることは珍しくありません。

 他者と意見が対立した場合には、「自己の意見が正当であることを主張する」「相手の
 意見が間違っていることを指摘する」などをし、相手の意見を変えさせようとすることが
 あります。 

 このように、外部からの働きかけによって他者の意見・態度を変えさせようとする働きを
 「説得」といいます。
 説得というと少し物々しい感じもしますが、実際、説得は日常的に行われていることなの
 です。

 例えば、友人同士で食事に行き、お互いに食べたいものが違っていた場合、「今日は寒い
 から温かいものにしようよ」などと、自分の意見を通そうとすることは説得に当たります。

 これは友人同士の関係であり、説得自体が比較的容易であるうえ、説得に失敗しても食事
 のメニューが変わるだけで、説得者に損失はありません。
 しかし、ビジネスにおいて、説得は重要な意味を持ちます。

 「得意先に自社の商品を売り込む」「仕入先と原料の仕入価格について交渉する」「小売店に
 買い物に来たお客様に、商品をお勧めする」など、これらはすべて相手を説得して、自分の
 主張を通そうとする行為です。 

 このように、ビジネスシーンにおいて説得は、自社の業績を上げるために必要なものであり、
 ビジネスパーソンにとって、他者を説得する「説得力」は必要不可欠なスキルであるといえ
 ます。

□説得が難しい要因を考える
 1.説得で重要なこと 
  意見が対立した際、相手の間違いを逐一指摘し、相手に反論の隙を与えない完璧な理論
  を展開すれば、相手を説得することができるでしょうか。
  そうとは限りません。 

  説得とは相手があるものです。
  相手の心理を考慮しないと、いくら主張が正しくても、相手が納得するとは限らない
  のです。

  「言っていることが正しいのは分かるが、納得したくはない」というように、感情的に
  なって、相手が自分の意見に固持することも珍しくありません。 
  人は本来「自分は自由である」という意識を持っています。

  外部からの説得によって意見の変容を強要される場合には、「自分で意見を決定する
  自由が脅かされている」と感じ、そこに反発が生まれます。
  この反発は「心理的リアクタンス(抵抗)」と呼ばれ、説得を難しくしている一因で
  あるとされます。

  心理的リアクタンスは、被説得者の意見と対峙するような説得(被説得者の意見を変え
  させようとする説得)に対して発生するのはもちろんですが、被説得者の意見と合致する
  説得に対しても発生します。

  例えば、子供のころ「勉強しよう」と思っていたのに、親から「勉強しなさい」と言わ
  れたとたんにやる気がなくなったということがある人も多いものです。
  「勉強しよう」という本人の意思と、「勉強しなさい」という親の意見は合致しています。
  しかし、結果として本人は勉強をやる気をなくしています。

  これも心理的リアクタンスによるものです。 
  このように、心理的リアクタンスが発生すると、被説得者は説得者の意見に従った行動を
  とることに対し抵抗するようになります。

  つまり、心理的リアクタンスが発生した状態では、いくら正しい主張であっても、
  被説得者の意見を変えることは難しいといえます。 

  もちろん、説得の成否に影響を及ぼす要因は、心理的リアクタンスだけではなく、
  説得者と被説得者の関係・説得者の話し方・被説得者の知識などさまざまなものが
  あります。

  ここでは、説得の成否に影響を及ぼす要因の一つとして心理的リアクタンスを取り上げ、
  心理的リアクタンスを軽減するための方法について説明していきます。

 2.プライベートとビジネスシーンの違い 
  ここで注意すべきことがあります。
  それはプライベートとビジネスシーンでは被説得者の意思決定の方略が異なっている
  ということです。

  プライベートでは、意思決定に関する責任は自己にあり、そこから生じる利益・損失は
  自己に帰属します。
  プライベートでは被説得者は個人の感情に従って意思決定を行えるため、いったん心理的
  リアクタンスが発生してしまうと説得することは非常に困難です。

  しかし、ビジネスシーンでは、被説得者の意思決定によって生じる利益・損失は企業に
  帰属します。
  そのため、被説得者個人の感情よりも企業利益を優先し、心理的リアクタンスを抱えた
  ままでも、説得に応じることがあります。

  これは一見すると、説得が成功したようにみえますが、被説得者は内心では不満を抱き
  続けることになります。 
  こうした被説得者の抱える不満は外部からは分かりにくいため、説得者はうまくやって
  いるつもりでも、いつの間にか関係がぎくしゃくしてしまうということもあります。

  こうした状態のままで何か大きな問題が発生した際には、相手の不満が一気に噴出し、
  最悪の場合には、取引停止にまで発展する可能性もあります。 
  1回限りの交渉であれば多少強引にいってもよいかもしれません。

  しかし、長期的な関係を目指すのであれば、お互いに不満は少ないほうがよいことは
  当然です。
  そのため、ビジネスシーンにおいては、プライベート以上に心理的リアクタンスの軽減
  に注意を払っておく必要があるといえます。

□説得を成功させるための基本技術
 1.被説得者に自らの意思で意見を選択させる 
  心理的リアクタンスを軽減し、説得を成功させるにはどうすればよいのでしょうか。
  心理的リアクタンスは自己の自由が脅かされている状態に対して発生します。
  そのため、心理的リアクタンスを発生させないようにするためには、被説得者に自ら
  の意思で意見を選択させるようにしなければなりません。

 2.結論を提示しない 
  説得者は被説得者に対し、情報のみを提示し、結論は提示しないようにします。
  情報を提示することによって、被説得者が自ら結論を出すように誘導するのです。
  それによって、被説得者は「提示された情報から、自らの自由意志によってその意見を
  選択した」という意識を持つこととなり、心理的リアクタンスが発生しにくくなります。 

  商談の場などでは、「商談をまとめよう」と思うあまり、結論を急いでしまいがちです。
  しかし、それでは結論を押し付けることになったり、説得意図が如実に出てしまうなど、
  心理的リアクタンスを発生させてしまいます。 

  日常の場面で考えてみてください。
  あなたが家電量販店にデジタルカメラを買いに行ったとします。

  デジタルカメラを探している旨を告げると、店員がある1つの機種を指して「絶対に
  これがお勧めです。これにするべきですよ」と言ってきたとすると、どう感じるで
  しょうか。

  おそらく、「なぜ店員に決められなくてはいけないのか」と反感を抱くのではないで
  しょうか。
  これは、店員から「この機種を買うべきだ」という結論を押し付けられたために感じる
  反発であり、この反発が心理的リアクタンスです。 

  また、店員に押し切られる形でそのおすすめの機種を買ったとします。
  実際にその機種を使ってみると思ったより使いにくかったなど、その機種に対する
  不満が生じた場合、その不満はデジタルカメラそのものではなく、その機種を勧めて
  きた店員や、さらには家電量販店自体に向かうこととなります。

  そして「もうあの店には行かない」という結論に達するのです。 
  同じ機種でも自分で選択して購入した場合には、店員や店に対する不満は当然発生
  しません。

  それどころかデジタルカメラそのものに対する不満も発生しにくくなります。
  これは、自分で選択し購入した商品に対して不満を持つことは、「自分の選択が間違って
  いた」という結論につながるためです。

  人は「自分の選択は正しい」と思いたいので、「多少使い勝手は悪いが、デザインが
  素晴らしいから目をつぶろう」などと、ほかのよい点を見つけることで不満を軽減し、
  自分の選択に正当性を持たせようとします。 

  そのため、この「自ら選択した」という意識を持たせることは、説得後にも影響する、
  最も重要なポイントであるといえます。

 3.選択肢を提示する 
  被説得者が自ら意見を変えるように誘導するといっても、相手のことをよく知らない
  状況では難しいこともあるでしょう。
  そういう場合には、複数の案を提示して、その中から選択させるという手法も有効です。

  案は提示するものの、最終的には被説得者がその中から選択するため、被説得者は
  「自分で決めた」という意識を持ちやすくなります。
  また、選択肢を示すことで、「提示された選択肢の中から選ばなければ」という意識に
  なり、それ以外の選択を取りにくくなります。

  そのため、説得者は自分の思うように誘導しやすくなります。
  ただし、これは「提示した情報を基に被説得者とともに考えた結果、被説得者の状況に
  適した案をいくつか選んだ」という形で示すことが必要です。

  最初から用意してきた案を示して「この中から選んでください」では、やはり結論の
  押し付けになってしまいます。 
  先の家電量販店の例で考えてみましょう。

  おすすめの機種を聞いた時に店員が複数の機種について説明した後、「最も重視する
  点は何ですか?」と尋ね、説明した複数の機種の中からその条件に合ったものを4機種
  選んだとします。

  そうすると多くの人はそこでピックアップされた4機種の中から一つを選んで買う
  でしょう。

  しかし、もし最初からその4機種だけについて説明をされていたとしたら、「その
  4機種がすごいことは分かったけど、ほかの機種はどうなの」と、提示された機種以外
  にも興味を示すでしょう。 

  複数の中から4機種を選んで提案されると、「いろいろある中から自分の要望にあった
  ものを選んでくれた」と感じますが、最初から4機種に選択肢が絞られていると「店員の
  都合で選んでいるのではないか」と感じるからです。

 4.一面提示/両面提示 
  説得者は情報を提示することで被説得者を結論に誘導していきますが、その際には情報
  の提示の仕方も考える必要があります。
  情報の提示についての考え方はさまざまありますが、ここでは、説得者にとって不利な
  情報(ネガティブ情報)の取り扱いを考えてみましょう。

  説得者の主張を支持する情報だけを提示する(ネガティブ情報を提示しない)方法を
  一面提示といい、説得者の主張に反する情報も合わせて提示する(ネガティブ情報も
  提示する)方法を両面提示といいます。 

  一般に、「被説得者の立場と同一の方向に説得しようとする場合」「被説得者がその
  事項についてほとんど知らない場合」「被説得者の教育水準が低い場合」には一面提示
  が有効であるといわれます。

  逆に、「被説得者の立場と反対方向に説得しようとする場合」「被説得者がその事項に
  ついて詳しい場合」「説得者にとって不利な情報があることを被説得者が知っている場合」
  「被説得者の教育水準が高い場合」には両面提示が有効であるといわれます。

  ビジネスシーンにおいては、説得しようとする事項について、非説得者もある程度の
  知識を有していることが多いでしょう。
  また、不利な情報を意図的に隠したと思われれば、説得者に対する不信感にもつながり
  かねません。

  そのため、ビジネスシーンにおいては両面提示を行うべきであるといえます。 
  ただし、両面提示を行う際には、情報を提示する順番にも注意が必要です。
  人間の記憶は、最後に聞いたものが印象に残りやすいという特徴があります。

  ネガティブ情報を最後に提示してしまうと、その情報についての印象が強く残って
  しまいます。
  「価格は高いが、高機能である」と「高機能であるが、価格が高い」では内容は同じ
  ですが、受ける印象は大きく異なります。 

  また、最初に述べられる情報も印象に残りやすくなります。
  そのため、
   ポジティブ情報→ネガティブ情報→ポジティブ情報
  という順序で提示するのが効果的です。

  なお、最初のポジティブ情報は具体的なものでも感覚的なものでもかまいません。
  最後のポジティブ情報は具体的なものであるほうがよいでしょう。

  具体的な情報とは「高機能」「安価」「省エネルギー」など、事実に基づく情報です。
  感覚的な情報とは「素晴らしい」「おすすめ」「お得」など説得者の感覚・感情に
  基づく情報で、その意見に対する説得者自身の評価を表します。 

  これらを踏まえたうえで、両面提示の例を考えてみると、「こちらの製品は自信を
  持ってお勧めします(感覚的ポジティブ情報)。
  確かに、価格が高いとう点は否めません(ネガティブ情報)。
  しかし、なにより高機能で使いやすいという魅力があります(具体的ポジティブ情報)」
  という形です。

 5.その他 
  ここまでみてきたもの以外にも、心理的リアクタンスを軽減するために有効な方法が
  あります。 
  例えば、会話中にユーモアを交えることがあります。

  多くの心理学者によって、ユーモアには心理的リアクタンスの発生を抑制する効果が
  あることが認められています。 
  また、相手に同調するということも有効です。

  相手に同調するということは、相手の意見を否定しないということです。
  自分の意見を否定されるということは、気分のいいものではありません。
  人は自分のことを肯定してくれる相手に好意を抱きやすいものです。

  そして、相手に対して行為を抱いている場合には、そうでない場合に比べて心理的
  リアクタンスは発生しにくくなります。 
  とはいえ、交渉場面では自分の主張を通さなければならないため、相手の意見をすべて
  肯定することは難しいといえます。

  そこで、説得したい内容とは直接関係のないところで、積極的に相手に同調してみせる
  とよいでしょう。

□説得の活用例 
 以下では、具体的にビジネスシーンにおける説得の仕方について例を挙げて考えてみます。
 ここでは「小売店への商品の提案」という場面を考えます。 
 食品メーカーの営業担当者Aとスーパーの仕入れ担当者Bとの交渉です。
 Aは冬に向けて鍋用商材の営業に訪れました。

  A:Bさん、鍋商材の販売はいつごろから始めるんですか?
  B:それなんだけど、最近気候が変だろ。いつから始めるか迷ってるんだよね。
  A:天気予報ではそろそろ気温が下がってくるみたいですよ(情報の提示)。
  B:少しくらい下がっても、もとが暑すぎるから。
  A:確かにそうですね。今年の暑さは異常なほどですね(同調)。これから流れ星を
       見るたびに気温が下がるようにお願いしておきますよ(ユーモア)。
  B:ははは。ぜひそうしてくれ。
  A:周りの店もそろそろ置き始めるんじゃないですか?季節ものはスタートで遅れ
     たら厳しいでしょう。
  B:うん、それはそうなんだよね。季節感のない店って思われると困るしね。
  A:例年ですと、大体どこの店でも今月中には鍋商材を店頭に並べることが多い
     みたいですね(情報の提示)。
  B:そうか、うちも遅れるわけにはいかないな。
  A:そういえば近くの○○スーパーは来週から鍋商材を始めるみたいですよ(情報の提示)。
  B:来週から?○○さん、早いなー。お客さん取られちゃうわけにはいかないし、
     うちもそろそろ始めたほうがいいかな。でも季節ものはやっぱり怖いんだよね。
  A:じゃあ、鍋商材だけじゃなくて、ほかのものと一緒に置いてみるのはどうです? 
     鍋にも鍋以外の料理にも使える汎用性の高いもので特集を組んだり、秋冬の
     料理特集にして一部に鍋商材も置いてみるのはどう でしょう。鍋商材で特集を
     組みながら、鍋商材を使った変わった料理法を紹介してみるのも面白いと思い
     ますよ(鍋商材を置くことを前提に、選択肢を提示)。
  B:鍋商材を使った変わった料理法か。
  A:これは面白いと思いますよ。確かに鍋商材だけで特集を組むのは気温の影響も
     大きく少し危険かもしれませんが、特集は分かりやすいコンセプトで統一
     したほうがインパクトもあります。また、他店に先駆けて鍋商材で特集を組む
     こともお客へのアピールになるでしょう(両面提示)。
  B:そうだね。それでやってみようか。具体的にはどんな料理法があるの?
  A:はい。それはですね・・・

  ここでは、説得の成否にかかわる要因として、心理的リアクタンスを取り上げて説明
  してきました。
  もちろん、説得の成否はそれだけで決まるものではありませんが、心理的リアクタンス
  の解消を心掛けた説得とそうでない説得とでは、その成果に差が出るでしょう。 

  自社の社員の営業スキルを向上させるには、闇雲に経験を積ませるだけではなく、
  このようなちょっとしたヒントを与えてやることが重要です。

課題解決の基本的考え

                 

課題解決の基本的考え

■経営環境の変化と課題解決 
 日本の社会を取り巻く環境は、かつて経験したことのない構造変革の波に晒されています。
 各種の規制緩和を背景とした、企業間競争の激化、ウィズコロナの長期化、深まるばかりの
 政治の混迷、出口の見えない景気の低迷、かつての常識では考えられなかった出来事が、
 かつてないスピードで起こっているのです。 

 これを企業内の問題に置き換えてみると、自社の成長を促していた強みが、環境の変化に
 伴い通用しなくなった状態を意味するということもできます。 
 たとえば、モノ不足の時代においては、大量生産を可能とする生産能力が企業の成長を
 促す強みでした。

 ところが、現代のように消費者のニーズが多様化している時代においては、生産能力と
 いう強みが必ずしも自社の成長を約束してくれる要因といえなくなりました。 
 現代の企業には、会社の方向性の決定から業務上のトラブルまで解決すべき課題が山積み
 されています。

 しかし個別の企業の現状を見てみると、自社が解決すべき課題は何かということさえ明確に
 捉えられていないことが多いようです。

 また、解決すべき課題が明確であるにもかかわらず、過去の経験や常識にとらわれて、
 「有効な施策を打ち出せない」あるいは「結論に至るまで時間がかかる」というケースも
 見受けられます。

 これらは全て課題解決の基本的な考え方が欠如していることが原因です。
 無論、課題解決の切り口は様々ですが、絶対に外してはならない要素も存在します。 
 以降、絶対に外してはならない要素を解説の中心に据え、課題解決の基本をご紹介して
 いきます。

□課題解決に向けた基本的な考え方 
 課題を解決するための具体的な手法を学ぶ前に、まずは基本的な考え方を理解する必要が
 あります。
 といっても、これは単なる「心構え」的なものではありません。
 むしろ、この基本的な考え方を身に付けること自体が、課題解決そのものであるといっても
 過言ではありません。

  <課題解決に向けた基本的な考え方>
   1.危機感を抱く
   2.ゼロべースで考える
   3.仮説を立ててみる
   4.モレ・ダブリをなくす

 1.危機感を抱く 
  「危機感ならいつも感じている」と思われる方も多いことでしょう。
  しかし、それは果たして真の危機感といえるのでしょうか。
  まずは「課題」の意味を検証します。

  「課題」と「問題」は同義ではありません。
  広辞苑によれば、課題とは「問題を課すること」を意味します。
  つまり、ある問題について「解決しなければならない」という意識が芽生えてはじめて
  「課題」であるといえるのです。 

  多くの社長から「景気が悪く売上が減少している」という悩みをよく耳にしますが、
  当事者が解決の意思を持たないなら、この悩みは「問題」でしかありません。
  つまり、景気が悪いことを理由に(売上が減少していることに対する)解決の意思を
  放棄してしまっているわけです。

  この場合において、課題とは「売上の減少を防ぐことはできないか?」ということです。
  そして、「売上を増加させるにはどうすればよいか?」という前向きな気持ちを引き出す
  ものこそ真の危機感であるといえます。

   「景気が悪くて売上が減少している」  ……(問 題)
           ↓(危機感)  
   「売上の減少を防ぐことは出来ないか?」……(課 題)

 2.ゼロベースで考える 
  前項でも述べたように、企業を取り巻く経営環境は日々刻々と変化しており、過去の
  強み(成功要因)は現在の強み(成功要因)として通用しないことが多くなっています。
  野球にたとえるなら、前の打席では豪速球で三振に仕留めても、次の打席ではその
  豪速球は打たれる可能性があるということです。

  ところが、経営環境が大きく変化したにもかかわらず、相変わらず豪速球で押し通して
  いる会社が多く見受けられます。

  過去の経験に縛られ有効な解決策を見落としていたり、あるいはライバル企業が成功
  しているからというだけの理由で、安易に会社の方向性を決定する横並び行動も日常
  茶飯事です。

  これでは、有効な解決策を導くことは不可能です。 
  また、解決が難しいと考えていた課題でも、考えの枠を拡げることで新たなアイデアが
  生まれてくるかもしれません。 

  このように、
   「ゼロベースで考える」とは、既成概念にとらわれず幅広い視野で物事に
   取り組むこと
  であり、課題解決のためには欠かすことのできない重要な考え方です。

  また、ゼロベースで考えることは新たな可能性に挑戦することをも意味するため、
  (課題解決への)取り組み意欲を高める効果が期待できます。

 3.仮説を立ててみる 
  課題を解決するとなると(課題の程度にもよりますが)、様々な調査や会議が行われ、
  かつ詳細な分析、検討がなされることでしょう。
  しかし、経営環境は驚くほどのスピードで変化しており、解決策が提示される頃には
  すでに時代遅れとなっている(陳腐化している)ことも十分に考えられます。

  そのため、最初から精度の高い解決策を要求せずに「当てずっぽう」でもいいから、
  まずは仮説を立ててみることが重要となります。 
  つまり、「その仮説が正しいかどうか」を検証することのみが目的となるため、余分な
  情報収集や分析の時間を大幅に短縮することが可能となります。

  そして、検証を繰り返すことにより、解決策の精度も徐々に高まっていきます。 
  そもそもビジネスの場においては、「絶対的な解決策」は存在しません。
  少しでも早く(課題解決に向けた)具体的な行動に結びつくように、ベストではなく
  ベターな解決策を目標とすることが重要です。

 4.モレ・ダブリをなくす 
  解決策を模索する上で非常に重要となるのが、モレとダブリをなくすことです。
  たとえば、「新たな資金調達先を確保できないか?」という課題を例として考えてみま
  しょう。 

  A案はB案の民間金融機関のみしかカバーしておらず、モレが存在することは明らかです。
  一方B案は一見完壁のように思えますが、実はダブリが存在するのです。
  なぜなら、公的融資の種類によっては、民間金融機関が窓口となるケースもあるから
  です。

  A案のようにモレが存在することは、解決策として有効に機能するかもしれない重要な
  要素を見落としてしまっていることを意味します。
  一方、B案のようにダブリが存在する場合、それぞれ解決策の代替案を評価する手間が
  増えてしまい、課題解決の効率性を阻害することになります。

  このように、課題解決のプロセスにおいては、
   ・モレによる見落としはないか?
   ・ダブリによる無駄はないか?
  を十分にチェックする必要があります。

□課題解決の実際 
 前項で述べた基本的な考え方を念頭に置きながら、事例をもとに
  課題解決の具体的ステップ・手法
 について解説していきます。

  <事例>
   玩具製造会社Q社の業務は、ここ数年で大きく悪化し、営業利益率は前期比で
   5%も悪化している。

 1.P LAN(計画) 
  課題の解決に向けた計画段階であり、さらに5つのステップに細分化されます。
  課題解決プロセスにおける最大の山場であるといえます。

  【ステップ1:総合課題の設定】 
   まずはQ社の課題を設定します。最終的に解決したい課題(総合課題)として 
 「営業利益率を好転させることは可能か?」を設定することにします。

  【ステップ2:因果関係の究明=個別課題の設定】
   Q社の営業利益率が悪化している原因を探ります。
   『□ 課題解決に向けた基本的な考え方』で述べたように、既成概念にとらわれずに、
   かつモレ・ダブリがないよう根気強く因果関係を究明していきます。

   営業利益率悪化の因果関係を究明していくと、10個の問題(a〜j)に細分化する
   ことができました。
   さらに、これら10個の問題を「個別課題」として再設定します。

   ここでは細分化のレベルを10個に抑えましたが、たとえば「営業力が低下」という
   問題を「営業マンの人手が不足」「営業マンの能力が不足」「営業マンのやる気が
   不足」等々、さらに細分化することが可能です。

   もっとも、細分化はある意味際限がありません。
   そのため、個別課題の仮説が提示できるレベルまでが細分化の目安となります。

  【ステップ3:仮説の設定】 
   個別課題それぞれについて、仮説を提示していきます(後掲の表を参照)。
   実際には、1つの個別課題に対して複数の仮説が提示されることになりますが、
   ここでは仮説を1つに省略しています。

  【ステップ4:仮説の評価
   ステップ3で提示した個別課題に対する仮説をそれぞれ評価していきます。
   評価のポイント(評価項目)として、以下のようなものが考えられます。

    ・どれだけの効果が期待できるのか?          …A
    ・その仮説を実行するだけの余力(経営資源)はあるか? …B
    ・その仮説を実行した場合のリスクはどの程度か?    …C
    ・その仮説は素早く(スピーディー)実行に移せるか?  …D

   ここでは、評価項目として上述のA〜Dを用います。
   評価項目は解決すべき課題の性質によりそれぞれ異なります。
   評価の基準は、あくまで「個別課題を解決できるか?」という点であることに注意
   します。
   評価の際にも、既成概念にとらわれない客観的な判断が必要となります。

  《備考》
   a:現実性に乏しく、具体的な仮説を立てることが出来ないため却下。
   b:Q社が将来にわたり生き残っていくためには、市場ニーズを反映した魅力ある
     商品の開発が不可欠である。
     開発チームを編成し、長期的な視点で商品開発を行っていく必要がある。
   c:e〜jを包含する仮説。
     より具体化されたe〜jの評価に委ねる。
   d:現状よりは効果が上がるかもしれない。
     実行する価値はある。
   e:共同仕入の実現性は乏しいが、仕入先との価格交渉は実行する価値がある。
   f:外注部分の内製化は、現状の生産ラインを増設しない限り不可能。
     増設に伴う資金的余裕はない。
     ただし、外注先との価格交渉は実行する価値がある。
   g:生産現場には、まだまだ効率化の余地がある。3人1チームでQC活動を展開し、
     効率化に寄与したチームには報奨金を支給する制度を導入すれば、従業員の
     モラールアップにも効果がありそうだ。
   h:リストラとも受け取られかねない。
     従業員の反発は必至である。
   i:パンフレットを必要とする取引先は多く、たとえ廃止しても効果は小さい。
   j:効果は小さいが、従業員のコスト意識を高めることに一役買いそうだ。

  【ステップ5:実行策の選択】 
   実行策を選択する際の評価基準は、総合課題を解決できるかという点です。
   また、会社の方向性に関わるような仮説については、
    市場・競合・社内の3つの軸からも再度評価します。 

   《Q社が選択した実行策および実行者・責任者

 2.DO(実行)
  【ステップ6:仮説の実行】 
   ここでは省略していますが、実行にあたっては具体的な展開計画を立てておく
   必要があります。
   また、仮説を堅実に遂行していくためには、リーダーシップをとれる人材が必要
   不可欠です。

 3.CHECK(調整)
  【ステップ7:効果測定・フィードバック】
   あらかじめ一定の時期を定めておき、実行期間中に、

    ・課悪解決の効果はあったか?・新たな問題は生じなかったか?
    ・今後も継続することば妥当か?
    ・より良いアイデアは生まれたか?

  等をチェックし、仮説や実行計画へのフィードバックを行います。 
  このように「PLAN」→「DO」→「CHECK」→「PLAN」 …を繰り返すことで、
  仮説の精度が高まっていくことになります。 
  そして、課題解決の効果が明確に顕れて、はじめて仮説が解決策へと昇華することに
  なります。

 以上ご紹介した課題解決における基本的な考え方は、企業の方向性の決定(経営的意思
 決定)、社内の管理体制の問題解決(管理的意思決定)、日々の業務上の問題解決
(業務的意思決定)
 など、ビジネス上のあらゆる場面に活用することができます。

会社の器

                                     

会社の器

■会社はトップの器以上には大きくならない 
 1.器とは何か? 
  だれもが一度は聞いたことがあるでしょうが、「会社はトップの器以上には大きく
  ならない」とよく言われます。
  経営を語る上で、欠かせない一言です。

  なぜ、そのように言われるのでしょうか? 
  まず、器について考えてみましょう。
  器とは「どれだけ先を想えるか」と「どれだけ今を想えるか」で決まるのではないかと
  考えられます。

  自分のことしか考えられない人は、将来を想えても器はゼロに等しい。
  また、多くの人のことを想えても、目先しか想えなければやはり器はゼロに等しい。
  ちなみに松下幸之助氏は、松下電器産業(現パナソニック)の250年先の計画を立案し、
  水道哲学により世界の人のことを想っていた。
  大きな器であったと言えます。

 2.器を大きくすることが、会社を大きくさせる 
  器は大きくなるか? 
  その間いに対しては、「大きくなる」と答えたい。
  「人はテイク&テイクから始まり、テイク&ギブ、それを卒業するとギブ&テイクとなり、
  最も高い価値はギブ&ギブだ」と提案していた。

  幼いころは、大多数がテイク&テイクであり、物心がつくとテイク&ギブとなって、
  徐々にギブ&テイクを身に付ける。
  「与えて与えて与え続けることが大いなる得」と言う言葉があるが、ギブ&ギブが
  できる人間と言えば親でしょう。

  親の子供に対する愛情である。
  要は子供を愛するように、どれだけの人に愛情を注げるかということです。
  この想いは顧客創造につながり、成長戦略を構築する上で基本的な考え方になる。

  先述したように松下氏は、水道の蛇口をひねればだれでも水が飲めるように、スイッチを
  入れればだれもが簡単に電気の明るさを得られる豊かな暮らしができる社会を実現
  したいと考えていたという。

  崇高な使命感の確立こそ、器を大きくする第一歩と言えます。 
  成功経営者の4つのションとして「ビジョン、パッション、デシジョン、アクション」を
  提唱している。

  志である夢(ビジョン)と、それを続ける情熱(パッション)が器を大きくするのでは
  ないでしょうか。 
  ある瓦製造販売・施工会社の社長は、親から事業を継承して10年ほどたった時に、
  「何のためにこんなに苦労するのか」「人や金を使い、絶え間なく苦労が続くことが
  自分にとって幸せなのか」と考えたといいます。

  その時に、「この事業は自分だけのためではない。社会のためにある」と気づき、
  瓦を多くの人に理解してもらおうと決心した。
  業界の発展なくして自社の発展もないため、業界が発展するようにと自費で瓦会館を
  建設した。

  これがキッカケで会社はさらに発展し、今では県内ナンバーワン企業に成長した。 
  もう1つの器を決める要素は、どれだけ先を想えるかという点です。
  会社はゴーイングコンサーン、ゴールのない駅伝競走であり、自分の代だけ良ければ
  いいというものではない。

  先々まで想える力が求められるのです。
  創業当時は自分のことで精一杯だったのが、徐々に余裕が生まれて周囲のことや先の
  ことを考えるようになる。

  そうなった時に、自分で方向を決めて環境に適応しつつ生きていくことが必要になる。 
  これがビジョン経営の確立につながるのです。
  ビジョン経営とは、ビジョンを描くのでなく、ビジョンを創る経営である。

  描くのはだれでもできるが、どのように実現するかを具体化し、マネジメントする
  ことが重要になる。 
  中小企業の創業者は、現在から将来を見る習性からなかなか脱皮できない。

  しかし、ビジョン経営を実現するには、「ビジョン→戦略→戦術→戦闘、年→四半期
  →月次→週間→日、会社→部門一チームー個人」へとブレークダウンし、戦略思考を
  ベースとしたマネジメントを行わなければならない。
  この方法により企業の器を広げることが期待できるので、実践していただきたい。

 3.社員は自分の器以上の仕事はできない 
  企業が成長するには、社員が今まで以上の仕事をすることが必要です。
  そのためには、今まで以上に仕事ができる人材を育てなければならない。
  先述したトップの器と同様で、社員は自分の器以上の仕事はできない。

  まずは、社員の器を大きくしなければならない。
  社員の器を広げるには、「先を想う力」と「今を想う力」を養う必要がある。
  自分のことだけでなく、周囲の関係者(仕入れ先・得意先・同僚・部門など)のことを
  考える人材に変えなければならない。

  自分で考えない指示待ち人材から、自ら仕事を創造して言われなくても進んで仕事を
  する人材、人より一歩先が創造できる人材に変わると、社員の器は広がったと言えます。 
  社員育成の根本的な指導法は、「基本」の徹底に尽きる。

  基本とは、当たり前のことを当たり前にできること。
  当たり前のこととは、人間社会でうまくやっていくノウハウです。
  「あいさつ」「掃除」「報告・連絡」などといったこと。

  その本質的な狙いは、「相手に対する思いやりの醸成」にある。
  相手を顧客に置き換えると「顧客に対する思いやりの壌成」となる。
  顧客に対する思いやりが醸成されると、仕事が変わる。

  真に顧客のために行う仕事に変わり、生きた仕事をする集団に生まれ変わらせるのです。
  それがおのずと業績に反映されるのです。 
  A社は、「凡事徹底のしおり」を作成し、社員に熟読させるとともに、凡事の徹底
  委員会を毎月1回開催して、推進・徹底している。

  この会社は15年間、増収増益を続けている。
  小売業大手の創業者は、毎週の店長会議を数十年間継続している。
  その議事録から、毎週言っている言葉は「クレンリネス」「フレンドリー」「品ぞろえ」
  のほか、数種類しかなかったといいます。

  まさに当たり前のことの徹底にトップが進んで取り組んだことが、会社を大きく育てた
  秘訣とも言えます。
  基本の徹底とは、単に基本を徹底するだけでなく、業績の基盤づくりであると教えられる
  エピソードです。 

  トヨタ自動車の社員に、「あなたは何をしに会社に行っているのですか」と聞いたところ、
  「改善に行っている」という返答だったといいます。
  これこそ生きた仕事をする集団の姿勢ではないでしょうか。
  それは「相手を想う器」にほかならない。

□経営理念の徹底こそ、人材育成のための環境づくりの第一歩
 1.会社都合を優先できる人づくりがポイント 
  身内だけの家内工業である零細企業であれば、黙っていても皆が力を合わせて仕事に
  取り組み、会社=自分の人生だと受け入れている。
  そこに他人が入ると、個人の都合と会社の都合が存在するため、働く社員をその気に
  させる社会技術が必要となる。

  しかし零細企業の場合、大それたものである必要はない。
  「この社長についていこう」と思わせる、社長の人間力が問われるのです。
  その想いによって会社の都合を優先する意識が社員に芽生え、その気になって働く
  のです。

  どの会社の創業者もこの人間力があるからこそ、社員が集まり成長できたと考えられる。
  しかし、2代目社長は創業者と違って、この人間力を問われることが多い。

  そのため人間力に代わる社会技術でこれをクリアしなければならない。
  また、企業がある一定以上の規模になると社長1人では全社員に人間力が発揮しにくく
  なるため、社会技術が必要になるのです。

 2.会社都合の考え方を身につけるには、心の豊かさが不可欠
  「顧客第一主義」とはよく聞く言葉ですが、徹底できている会社は少ない。
  顧客第一主義とは、顧客優先でものを見て考えることであり、それに従うことは会社
  都合に従うことに通じる。

  なぜなら、会社は顧客のために存在するからです。 
  人間は生まれてから徐々に心豊かに成長する。
  生まれた時は、テイク&テイクの関係です。

  両親からもらうばかりで与えることはない。
  しかし、少し物心がついた幼児になるとテイク&ギブを覚える。
  さらに成長して幼稚園・小学校低学年までにギブ&テイクを覚える。

  それからはギブ&テイクとテイク&ギブを行ったり来たりしながら、恋をして愛する
  人ができるとギブ&ギブの豊かな心になる。
  さらに結婚して子供ができると、一般的には子供に対してギブ&ギブの豊かな心が宿る。 

  このことから人の心が成長する決め手は、他人に対する愛情の持ち方と言えるでしょう。
  会社で顧客慶鬼が第一主義と言っていても徹底できないのは、社員それぞれの心の
  成長度合いに要因があると考えられる。

  会社都合を優先できる人材や、顧客第一主義を実践できる人材を育てるには、豊かな
  心を育てることが必要になります。

 3.「社員」「顧客」「会社」満足度の善循環 
  社員満足と言っても、社員のわがままを聞くことではない。
  限られた条件の中で顧客満足を実現して会社満足を達成し、社員満満足をかなえる
  ことです。

  しかし、社員満足がなければ社員の心の豊かさから顧客満足を得られないし、会社
  満足を得るには顧客満足が得られなければできない。
  また会社満足がなげれば社員満足もかなえられない。

  これらは三つ巴の関係にあるということです。 
  ゆえに、3つの満足度を同時進行で高める必要がある。
  しかし、現実として同時進行には無理がある。

  まず顧客満足を高めるために社員に努力を要求し、会社満足を達成すれば社員にその
  利益を還元して社員満足を高め、その社員満足を勢いとしてさらに顧客満足を高める。
  この善循環が、本来のあるべき姿ではないでしょうか。 

  満足度の善循環サイクルを回すことこそ、企業成長につながる人材基盤づくりの
  ポイントと言えます。

 4.社員満足度の高い会社ほど経営理念が徹底 
  社員満足度を診断する方法として「モラールサーベイ」「組織サーベイ」があります。
  モラール・サーベイの効果には、
   ・会社が従業員のモラールを大切にしているという姿勢を示すことができる
   ・従業員に経営への参画意識をもたせることができる
   ・経営者・管理者の管理意識が高まる
   ・改善活動において全社一丸となった取り組みが期待できる
  などが挙げられます。

 5.「絶対」が社員を成長させる 
  会社で絶対に従わなければならないことを明確に持っている会社は、社員が育って
  特徴ある会社に成長している。
  絶対に従わなければならないこととは、経営理念や方針、指示命令、会社のルールなどを
  指します。

  社員だけでなく、トップさえも簡単に変えられないことが明確で徹底している。
  この絶対を守ることに徹し、与えられた目標を果たすために努力する姿勢が、社員を
  成長させる要素になる。

  そしてそれが特徴ある会社に育つことにつながるのです。
  「何でも好きなことを言え」と言われても、何を話したら良いのか分からないものです。
  人は条件や目標があれば、工夫をして問題を解決する。

  その経験が、人を成長させる要素になる。
  条件があって目標があれば、人の無限の知能を発揮して、多くの問題を解決してきた
  ことが人類の成長の歴史だったはずです。

  この成長原理を企業の人材育成に適応させるには、会社の中に絶対を設けて社員に
  目標を与え、目標を実現した場合の評価分配を明確にすることです。
  そうすると、人の能力を引き出すことにつながる。

  経営理念を徹底することは、社員の成長につながり、特徴ある企業に育てることに
  なるのです。

□生き残る中小企業とは?  
 ある会社を訪問した時の話です。
 この会社は、中型船の操舵室の装置をオーダーごとに設計・製作して顧客に納入し、
  現在も順調に業績を伸ばしている。

  大型船でなく中型船に事業額域を絞っているため市場規模は小さく、大手が参入しない
  領域でトップシェアを誇っており、知名度は高い。
  最近、下請けに出していた企業が廃業。

  ほかにその仕事を引き受けてくれるところがないため、仕方なく自社で処理することに
  したという。
  協力企業の廃業理由は、すべての原料が値上がりしたものの、得意先からグローバル競争
  の中で単価を上げられないと言われ、利益が圧迫されたことによる。

  このような状況は、現在の日本の中小企業が抱える代表的な課題ではないかと考えられ
  ます。
  このような協力工場は、原材料の値上がりやグローバル競争などによって廃業や倒産に
  追い込まれ、その機能はメーカーに取り込まれるか、海外での生産に切り替わる。

  そして「どうしても自社ではできない」「その企業にしかできない」ものなどは、
  特殊な技術を有する優秀な工場に発注することになる。 
  人口が減少する中、付加価値の高い事業へ転換していくことが必要だと、過去の歴史が
  答えを出している。

  さらに中小企業が生き残るには、グローバルな視点での展開が強く求められます。

 1.産業構造もグローバル化へ 
  ある大手機械メーカーの協力会社A社の社長から「3年後に自社の2割を占める仕事が
  なくなる」というショッキングな話を聞かされた。
  その理由は、ヨーロッパの部品メーカーB社が日本に参入して、機械メーカーに対して
  A社が請け負っていた部品を提案したためです。

  メーカーは総合的に考え、B社の部品を採用するようになったという。
   B社はヨーロッパでナンバーワンのメーカーで、強いブランドカを誇る。
  大手機械メーカーは、商品をヨーロッパで販売する際にB社の部品を使うことが、
  付加価値アップにつながると判断したのです。

  これまで下請け構造を形成してきた日本の産業構造も、グローバルな販売戦略に対応
  した生産調達戦略を求められるという構造へと大きく変わろうとしているのです。
  グローバルな視点による展開とブランド優位性は、ますます強まると考えられます。

 2.脱・下請けには企業付加価値アップが不可欠 
  では、中小企業はどうすれば良いのか? 
  それは企業付加価値を上げることです。
  企業付加価値とは、今の事業の価値を上げること、つまり開発部門を鍛えること。

  営業の下請け企業(代理店・小売店・販売会社)や生産の下請け企業、工事の下請け
  企業(土木施工・建築施工・設備工事)などといった中小企業も、開発部門を持つ
  ことです。 

  何をするべきかと言えば、既存商品やそれに関連する商品の改良、また開発研究に
  取り組むことです。
  また、メーカーから発注されている既存部品加工をトコトン研究し、改善点をメーカーに
  どんどん提案する。

  するとメーカーは、その部品の開発研究に費やす時間を他の付加価値向上につながる
  開発に使えるわけです。
  そして熱心な協力企業には、設計からオーダーするようになる。

  下請けに安住していると、いつかは見捨てられてしまう。
  技術を磨き、誰にもマネできない技術に仕上げ、その技術をべ−スに強いスタンスで
  仕事を受注することが必要です。

  営業の下請けである代理店や販売会社も同様だ。
  自社がお客さまに一番近いところにいるのだから、ニーズをいち早く察知して具体化して、
  メーカーに提案する。

  良い提案が採用されれば、自社が販売権を独占することも可能になる。
  メーカーを下請けに使い、営業の下請けから脱皮し、ファブレスメーカーへと進化する
  のです。 

  先述した船舶操舵装置の会社は、創業当初は造船所から小中型船舶の操舵装置の設置
  工事を請け負っていたそうです。
  しかし、社長はどうしても自分で商品をつくりたくて、「こうすればもっと良くなる」と
  改善策を常に考えていた。

  その想いが通じて徐々に大きな船舶の仕事の発注がくるようになり、装置全般を任せ
  てもらえることとなった。
  今は部品をメーカーから購入して組立を中心とした仕事から設置までを行っているが、
  社長は部品も自社でつくりたいと考えているそうです。

 3.一歩先を行く企業に育てる 
  得意先をリードして社会をリードするには、一歩先を行く、顧客創造のできる企業へと
  成長させる基本姿勢を持つことが重要だと提唱したい。
  企業も「人のごとし」で、会社の一般的な組織を見るとピラミッド形態が多い。

  社員がいて、その上に課長や部長がいる。
  それぞれの階層のリーダーの持つ役割は異なり、価値判断も違ってきます。
  多くの社員から社長になる人は、その中の1人だけ。

  部長になれるのは部門が5つであれば5人、課長になれるのは10課あれば10人という
  ことになる。
  出世できる人とは、自分の器を大きくしていける人材であり、顧客創造や仕事創造が
  できる人材である。

  『太閤記』に描かれる木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)が一農民から天下人へと出世した
  ように、「目的は何か」を常に考え、上司の仕事を進んで取って結果を残して、人の
  幸せを考えられる人材になることでしょう。
  企業も同じである。

  企業構造図も、企業の組織図と同様です。
  部品の協力工場でありながら、常に末端消費者のことを創造し、組立工場の仕事を
  1つでも取り、メーカーとともに社会貢献に挑戦することが会社を一人前に育てる
  思考と行動である。

  人も企業も器を大きくしていくことこそ、出世の早道なのです。
  そのためには、出世したいという意欲と情熱を持つことが必要不可欠であるのは言う
  までもありません。  

仕事のアマと仕事のプロ

                

仕事のアマと仕事のプロ

■プロ意識
 本来会社は「プロ」の職業人の集合体であるはずです。
 特に少数精鋭で勝負する中小企業では、プロ意識が欠如している社員が数人混ざっている
 だけで、経営は大きくダウンします。
 プロ意識の有無は、単に「給料以上の収益に貢献したか」といった成果だけでなく、
 仕事を通じて関係するすべての人に好影響を与え続けられる姿勢・行動といっていい
 でしょう。

□5%の仕事のプロ 
 会社のすべての社員が満足に働いてくれるわけではありません。
 それは、いつの時代でも、どこの国でも同じことです。 
 しかし、あと一歩で一流になれる社員が、ちょっとした考え違いのために、力を発揮でき
 ないでいるのも事実です。

 両者を分け隔てる「結果の差」は大きいと思います。
 ところが、土台となる「能力の差」はといえば、経験上、それほど大きなものでもあり
 ません。

 したがって、考え方や意識を少し変えるだけで、その差は埋められるのです。
 例えば、会社の経営再建に乗り出す時は、「人の再建」から着手します。
 最初にやる仕事は、その会社をこれから背負っていかなければならない社員を正しく選別
 して、指名することです。

 傾く会社は往々にして、こういう人材の選別ができていません。
 ですから選別さえうまくいけば、だいたいは会社もうまく回りはじめます。
 ここでコアな社員として選別される人たちは、能力やスキルが一定のラインに達しており、
 ビジネスに向いた基本的性格をすでに持っている人たちです。

 これから直面するであろう現場の重要問題に対処してもらう人たちです。
 どこの組織にも、こういう人たちが5パーセントはいます。
 彼らを「5パーセント社員」と呼んでみます。
 他の組織に出ていっても、「仕事のプロ」として通用する人材です。 

 そして、この下に、「あと一歩の社員」がいます。
 彼らはさまざまな事情によって、まだ戦うための能力が完全に備わっていない人たちです。
 仕事に対する意識は高くても、若すぎるゆえ、スキルや知識がプロのレベルに達して
 いない人や、また、能力は十分あるのに、別の問題に気を奪われてしまっており、本来の
 仕事に専念できていない人もいるでしょう。

 こういう社員を合わせると、相当な数になり、全社員の40パーセントくらいを占めています。
 プロのレベルに達しない、「仕事のアマ」といえる人たちです。

 一般的な会社の社員構成をまとめると、次のようになります。
  ・5パーセント社員……仕事のプロ。会社を背負っている社員
  ・40パーセントの社員……仕事のアマ。「5パーセント社員」の予備軍
  ・55パーセントの社員……その他の社員。ぶら下がり社員

 ここでこ大きな問題が出てきます。
 会社は永遠に5パーセントの「仕事のプロ」だけを頼って成長しつづけることはできない
 ということです。

 年長の人から順番に定年を迎えていきますし、途中で辞める人もいます。
 病気や家族の不幸で、仕事を中断しなくてはならない人がいます。
 プロのレベルから脱落する人もいます。

 ですから、会社の恒常的な成長は、ひとえに40パーセントの「仕事のアマ」の成長に
 かかっていることが、おわかりいただけると思います。
 野球にたとえれば、毎試合レギュラーで登場する十数人のカだけで、永遠にチームを維持
 することはできないということです。 

 ただしスポーツの世界とは異なり、仕事のプロとアマの差は、決して越えられない壁では
 ありません。
 しかし、自然には埋まってくれることのない溝のようなものです。

□50歳になっても成長しつづける人 
 ビジネスが、スポーツや囲碁・将棋の世界とは、明らかに異なっている点があります。 
 歳を取ると、体力や記憶力といったものは少しずつ鈍っていきますが、それでもビジネス
 においては、他の能力で補えば、どうにもならないということはありません。

 そして、この種の能力は、日々の鍛錬によって蓄積されていきます。
 人より劣っているものでも、途中で追い抜くことだってできます。
 ビジネスにおいて、「能力の限界」という言葉はありません。

 それが証拠に、「いまの自分だったら、あの時の危機に気づくことができたのになあと、
 後悔させられることが何度もあります。 
 危機や失敗を何度も経験すると、今度同じような事態にあったら、どう対処すべきだろう
 かと考えるようになります。

 考えるだけでは足りず、いろいろな書物や資料に当たって学ぶのです。
 こうして、その時は、「ああ、そういうことだったのか」といった答えをひとまず見つ
 けるわけですが、何年かして考え直すと、「いや、本当にそうだったんだろうか」と、
 また思い直すようになります。

 それで、当時読んだ本をもう一度開いてみると、同じ一文が、当時とはまったく違う意味を
 もって理解できることがあります。
 未熟な自分が、成長していることを実感するのです。

 このように、永遠に成長しつづけられるのが、すべてのビジネスパーソンに求められる
 資質の最たるものだと思います。
 仕事のプロたちは、40歳になっても、50歳になっても、成長しています。
 「いまは、まだまだ未熟だ」と考えられるということは、成長しつづけているということの
 証なのです。 

 どうか、「未熟だ」と思えることに誇りを持ってください。
 そして、経験を経験で終わらせず、そこから考える機会を持ってください。
 それを心にとどめて、答えが見つかるまで考えぬく習慣を持ってください。

□仕事の中に面白さを見つけ出す人 
 あなたは、いま楽しんで仕事をしていますか。 
 「仕事がイヤでたまらない。
 生活のためだけに働いているようなものだ」という人は、厳しい言い方ですが、さっさと
 辞めてしまったほうが、あなた自身のためになるし、会社や仲間のためになります。

 そして、いまは楽しくやれている人も、3年後、もう一度同じ問いかけをしてみてくだ
 さい。
 こうして、会社を去る日まで、楽しんで仕事を続けられたという人は本当に幸せな人
 でしょう。

 それは、大きな才能だと思います。 
 たいていの仕事は地味で辛いものです。
 毎日が同じ繰り返しです。お客様のクレームや、取引先の値引きの要求に耐えなくては
 なりません。

 この景気ですから、大きなマイナスを小さなマイナスに食い止めるような仕事がほとんど
 です。
 どれも、神経をすり減らし、大きな忍耐力を要する仕事ばかりです。

 その中で、「仕事が楽しい」を貫けるのは仕事というものが本来は、地味で辛いもので
 あることを知り尽くし、それでもなお小さな喜びを見出す力、いたるところで達成感を
 得ることのできる術を身につけているということでしょう。

 こういう人は、目の前の仕事をどこに落着させるのが最良か、ちゃんとわかっています。 
 華やかな仕事、笑いや冗談が絶えない仕事場を理想にしてしまっている人は、予想して
 いたような仕事ではなかったからと言って、さっさと辞めてしまいます。

 あるいは期待することをやめて、会社にぶら下がっています。
 しかし、こういう考え方のままで、「面白い仕事」に出会うことはないでしょう。
 「つまらないな」「辛いな」と思った時に、ぐっと我慢して、まずやりぬくことが大切です。

 地味で辛い仕事の中に、楽しみを見つけてやれる経験をした人は足もとがふらつくことが
 ありません。

 何億円、何十億円のお金が動く仕事についても、業界や全国のメディアが注目するような
 大仕事についても、決して場に呑み込まれることなく、浮かれることなく、淡々と正確に
 仕事をこなすことができるはずです。

□チャンスを有効に活かせる人 
 人生は運不運に左右される面があります。 
 仕事においては、特にそうです。 
 部下の提案をことごとくつぶす上司にあたってしまった、決まりそうだったプロジェクトが
 取引先の担当者が替わって、一方的に白紙にされたなど、自分のカではどうすることも
 できない理由で辛い経験をした人も多いでしょう。

 これまで生きてきて思うのは、人生に運不運はつきものではあるものの、運との出会い
 方は、人によってそれほど大きく変わらないということです。
 ずっと幸運にめぐまれる人、常に不運な人はいません。

 他の人より多少チャンスが多い人、少ない人という僅差はありますが、人生全体を総括
 すれば、どの人もほぼ同じくらいの確率でそれはめぐってきているのです。
 運の総量はみな、だいたい同じということです。 

 しかし、めぐってきたチャンスを有効に活かせたかどうかは、人によって大きな違いが
 あります。
 そして運を活かせたかどうかで、仕事も人生も大きく変わっていきます。

 運を最大限に活かすためには、それまでの地道な努力や準備が必要です。
 いくらチャンスがめぐってきても、その時のあなたの能力やスキルが満足いくものでは
 なく、やりたい仕事の準備を十分にしていなかったら、それを活かすことはできません。 

 マラソン指導者の小出義雄さんは、何人ものメダリストを育成してきました。 
 彼もその成功を「運」としながら、「僕は、自分の足下に運がくると100パーセント
 つかんでいる」と語っています。

 つまり小出さんは、日頃からしっかり準備して、運がめぐってくる時を虎視耽々と待って
 きたわけです。 
 また、横綱白鵬関は、「運もあると思うが、運は努力した人間にしか来ない」と新聞の
 取材に答えています。 

 一方、仕事の失敗を運のせいにする人にかぎって、日頃から地道な努力をしておらず、
 準備もしていないものです。
 本当は、運が悪かったのではなくて、せっかくの運のめぐりを準備不足のために活かせ
 なかったのです。 

 運不運は人がコントロールできるものではありません。
 しかし、運を最大限に活かす方法はあります。
 仕事のプロはそのことを熟知し、日頃から努力を重ね、運がめぐってくる時に備えて
 いるのです。

□説明上手より聞き上手 
 営業成績トップの「できる営業」といえば、一般には、立て板に水のごとく説明上手で、
 お客様の気をそらさないような人であると考えられがちです。
 しかし、実際にすばらしい営業実績を上げている人に会ってみると、饒舌なタイプは
 あまりいません。

 第一印象はむしろ、無口な人で、自分が話すよりもお客様の話を喜んで聞く「聞き上手」の
 タイプが圧倒的に多いのです。 
 マシンガントークで商品説明を流し込むタイプは、お客様から敬遠されてしまいます。

 これは、あなたが買う立場になってみればわかるでしょう。
 お店に入るなり、いきなり強い口調で商品を勧められても、気分は乗りません。
 立て板に水のようなセールストークによって、かえって「いらないものを売りつけられて
 いる」かのような警戒感が増し、その店員さんを避けたくなりませんか。

 セールスで、最初にしなくてはならないのは商品説明ではなく、お客様のことをよく知る
 ことです。
 どんなものを探しているのか、買う意欲はどの程度か、そして予算はどの程度か。

 つまり「ニーズ」と「懐具合」をしっかり把握する必要があります。
 そのためには注意深くお客様の話を聞かなくてはなりません。 
 なお「聞き上手」とは、ただ愛想よく相槌を打っていればいいといった「受け身」の行動
 ではありません

 お客様の話に、要所要所で的確な質問を差しはさみ、「必要な情報を聞き出す」という、
 高度なテクニックが求められます。
 プロの営業の「聞き方」を一度観察してみてください。

 楽しげに会話をしながら、お客様がどんな商品を探しているのか、商品購入にあたって
 迷っている点は何かといったことを、実に巧みに聞き出しています。
 その結果として、お客様にとって最良の商品をおすすめすることができ、商品を売る
 ことができるのです。

 上級の聞き上手になると、お客様に信頼され、お客様のほうからどんどん相談や質問を
 してもらえるようになります。
 それに対して丁寧なピントをはずさない説明で答えていきますから、そばで見ていると、
 いかにも説明上手の人に見えるほどです。

 プロの営業を目指すなら、聞くための技術を日々磨いて、まず聞き上手になりましょう。
 説明上手はあとから自然とついてきます。

□人を動かす人になる 
 常にたくさんの仕事を抱え、忙しく働いている人がいます。
 仕事ができないのではなく、むしろその反対で、能力やスキルの高い社員です。
 彼らの特徴は、「大切な仕事を人任せにできない」という点。

 仕事ができるゆえに、他人への要求水準が高く、部下や後輩たちに安心して仕事を任せ
 られないのです。
 人に手伝ってもらう場合も、個々のリサーチやデータ作成がメインで、あくまでも「手足」
 として使うのみ。

 上がってきた調査や資料を使って分析し、実際の仕事を進めていくのは、やはり自分です。
 ですから、仕事量はほとんど減りません。 
 はっきり言って、こういう仕事のやり方を続ける人は、プロとして通用しません。

 ポジションが上がれば、任される仕事の規模も次第に大きくなります。
 すべてを自分で見ようとすれば、作業の遅れや内容のレベル低下は避けられないでしょう。 
 あなたに任されている仕事は、他にもできる人がたくさんいます。

 また、いまはできない人もこやり方を習得しさえすれば、やがてはできるようになります。
 あなたは責任感や完壁主義のために人任せにできないのだと弁明するかもしれませんが、
 周りはそうとは思ってくれません。

 会社からも、「仕事を抱えこみ、うまく処理できない無能な人」「仕事を独占し、共有
 できない、協調性に欠く人」というふうに、予想もしないような低評価を受けかねません。
 結局のところ、「人に教えるより、自分でやったほうが早いし、正確」という考え方は、
 上司として職務怠慢です。 

 どうか部下には、あなたの仕事のやり方、価値判断、スキルなどをしっかり教え込んで
 いってください。
 これには時間も手間もかかります。

 人によって得意や不得意はありますし、仕事の経験にも差がありますから、そうした状況
 に応じてフォローする必要があるでしょう。
 何よりも、あなた自身の「人を育てる」能力が育たなくてはなりません。

 しかし、これこそが、会社があなたに求めている、あなたの新しい仕事です。
 「自分の手足」ではなく「自分の分身」となる人材を育てることができると、その後の
 仕事は大きく変わります。

 ひとつの塊となって仕事に臨むため、あなたは、全体としての進行や内容が正しい方向に
 進んでいるかを監督するだけでよくなるからです。
 これが、組織と人のマネジメント、つまり「人を動かす人になる」ということです。

□「濁」に精通しつつ「清」を貫ける人  
 日本には、会社や組織の利益のために、時には倫理に反することもあえて行う「清濁を
 併せのむ」タイプに対して寛容な風土があると思います。
「清濁を併せのむ人」と言えば、豪放磊落で度量の大きな「大物」としてみなされる場合が
 多いようです。

 いずれはそんな器の大きな人物になりたいと願っている人がいるかもしれません。
 しかし、それは大きな誤解です。
 実際のビジネスにおいて「清濁を併せのむ」ことは許されません。

 たとえ会社の利益になることだとしても、反倫理的なこと、不正なことは絶対にすべき
 ではないのです。 
 大手流通が商品の賞味期限をごまかしていた事件、産地を偽るといった食品偽装を行って
 いた事件などが盛んに取り上げられました。

 それぞれの会社は厳しく糾弾され、信用を著しく失いました。
 不正はいつか明らかになり、不正によって得た利益とは比べものにならない大きな不利益
 を会社にもたらします。
 場合によっては、倒産することもあります。

 プロは、「清濁を併せのむ人」といった幻想に惑わされません。
 倫理に反することは一切せず「清」を貫きます。
 しかしそれは、「濁」の世界について、無知・無関心であるということではありません。

 現実社会には、不正行為やルール違反を行う会社やビジネスパーソンが確実に存在します。
 もし取引先が不正行為を行っていたとすれば、自分たちの会社も経済的、社会的な不利益
 を被るおそれが十分にありうるのです。

 こうした事態を未然に防ぐには、つきあいをやめるしかありません。
 いくら、安く提供してくれても、昔からのじっこんの仲でも、つきあいを続けてはいけ
 ません。

 シビアなビジネス世界を生き残るためには、業界の悪弊や前時代からの慣習について
 知識を持ち、日々注視を怠らず、いざとなれば敢然と切り捨てなくてはいけないのです。
 近年では、企業コンプライアンス(法令遵守)やCSR(企業の社会的責任)が日本でも
 重視されるようになりました。

 「濁」に精通しつつ、それに決して染まらず、「清」を貫ける仕事のプロが、今後は
 以前にもまして必要とされる時代となっています。

□一流の人や本物に数多く触れる 
 会社が「仕事ができる人」と評価するのは、ビジネスの原理・原則や専門知識を十分に
 身につけ、さらに周囲の人たちを巻き込みながら仕事ができる社員です。
 頼りになる即戦力ですから、多くの社員を「できる人」のレベルに育て上げたいと管理職
 は考えています。

 しかし、仕事のプロには、さらに上のレベルがいます。 
 それは経営陣に加われる人材、つまり「経営のプロ」です。 
 実は、できる人の中で、経営のプロにまで上がれる人は限られています。

 できる人は専門知識や仕事のノウハウを身につけていなければなりませんが、経営の
 プロのレベルになると、それだけでは不十分であり、加えて「人間力」とでもいうべき
 ものが問われるからです。

 経営のプロには、ともすると世間の常識から逸脱するようなことがありながらも、その
 たぐいまれな人望・人徳によって、社員や取引先など多くの人がついてくるのです。
 そして、厳しい状況下にあっても、利益や結果をきっちり上げていくタイプがいます。

 それこそ、まさに人間力のなせる業と言えるのではないでしょうか。
 人間カのある人は、人を着きつけるカを持ち、かつ物事の本質を見抜く洞察力、直感力を
 持っています。 
 つまり、「経営のプロ」レベルになるためには、人間カを磨く修業が必要ということに
 なります。

 これには、ただ単に知識を幅広く身につけてもダメです。 
 人間力を身につける近道は、一流の人や本物と深く接触することです。
 仕事で尊敬すべき一流の人がいたら、直接会ってみましょう。
 そして、その人の仕事ぶりから、話し方、振る舞い方、生活ぶりまで学ぶのです。
 できれば、彼の懐に入ってしまうのが理想です。

 「できる人」からその先に進めるかどうかは、一流の人や本物に数多く触れ、そこから
 学んだことの質によって決まります。
 経営のプロになる人は、そのことに早くから気がついて、若い頃から修業を続けてきた
 人たちなのです。 

 このように、抜きん出ている人は、観察してみると、ある共通項が浮かび上がります。
 あなたの仕事の支えとなる要素を、この中から見つけ出し、今日から意識改革をして
 いただきたいと思います。

ビジネス文書

                               

ビジネス文書

■「一般の文章」と「仕事の文書」 
 「文章」と「文書」。 
 この2つの言葉には大きく分けて3つの違いがあります。 
  1.性質の違い 
   「文章」は仕事文のほかにも私信や日記などの私的なものも含みますが、「文書」
   は仕事の書類や案内状などの公的な文を指します。

  2.読み手の違い 
   文章は、一般の人や友人・知人などの私人に向けて書きますが、文書は社内外の
   仕事関係者や取引先、顧客などが対象です。 

  3.制約の多少 
   文章は、小説や散文、私的な手紙などに代表されるように、書き方も中身も自由
   ですが、文書は、仕事を成功に導くためのルールやマナーの遵守と一定のノウハウ
   の修得が求められます。

  しかし多くの職場で、そうした違いを無視した困った書類が蔓延していませんか? 
  この記事をお読みのあなたは、そうした書類をチェックしたり部下への指導や育成
  を行ったりする立場にあると思います。 
  日頃の社員教育のヒントとしても活用ください。

□基本ルール 
 社会生活やスポーツと同じように、文章にも絶対に守らなければならないルールがあります。 
 とくに、たった1通の書類や手紙が仕事の成否を左右しかねないビジネスの場では大切です。 
 代表的な5つのポイントを挙げてみましょう。

 1.正しい日本語で書く  
  どんな文章や文書でも不可欠なのが正しい日本語の使用です。  
  正しい文字、正しい言葉遣い、主語・述語・目的語などをはっきりと書く(例:総務部が、
  経費削減案を、全社に、指示した)などが重要です。  
  とくに、相手方との信用の構築や、正確で的確な情報伝達が求められるビジネス文書
  では大切です。

 2.正しい書式で書く  
  たとえば、紙に手書きや印刷で提出する書類や手紙(箇条書きの箇所やメール文を除く)
  では文頭(書き出し)を1字下げる。  
  文中で息継ぎをしたい部分などでは読点(、)を、文末には句点(。)を打つ。  
  手紙でも、目上の方や役職上位者に宛てたものでは「拝啓」で始まり「敬具」で止める
  (事務連絡などでは「前略・草々」)といった書式の基本を守る。  
  これらは市販の書き方の指南書や例文集などで復習しておきたいものです。

 3.記載事項とフォーマット  
  仕事の文書で欠かせないのが、必要な記載事項を漏れなく記載することです。  
  たとえば提出者名が抜けている「報告書」や、必要な費用や実施時期が示されて
  いない「企画書」などは問題外です。  
  こうしたミスを防ぐためにも有効なのが、書式(フォーマット)の設定や専用用紙の
  準備です。  
  作業の標準化による仕事の効率化にも役立ちます。

 4.3つの1−1の法則  
  仕事の生産性アップとスピード化を実現するためにビジネス文書で尊重したいのが
  「3つの1−1」です。   
  (1)1文書1件名……1つの文書に複数の案件を記さない。  
  (2)1文書1対象……案件によっては相手が異なる場合もあるため。
  (3)1件1枚……分かりやすく、速く読める簡潔明瞭な文面がベスト。

 5.5W1H  
  「報告書」や「会議招集状」などのように日時・場所・対象者・目的の記載が欠かせ
  ない文書では、文中に次の5WIHを盛り込むことが大切です。  
   (1)主体……誰が/WHO  
   (2)場所……どこで/WHERE  
   (3)内容……何を/WHAT  
   (4)理由……何のために/WHY  
   (5)時期……いっ/WHEN  
   (6)手法……どのように/HOW

  また、企画書などの重要な類では、さらに次の2つの要素を加えた6W2Hが求められる
  こともあります。  
   (7)対象……誰に/WHOM  
   (8)数値……どのくらい/HOW MANY

□5つの留意点 
 絶対に守るべきルールではなくても、よりよい文章(文書)を仕上げるために気をつけ
 たい留意点も少なくありません。 
 多くの職場で見落としがちな5つのポイントをおさらいしてみます。
  1.できるだけ短く(短文化)
   忙しい仕事の場で使う文書は、できるだけ短時間で書け、速く読めることが肝要。  
   そのためにも次の2つの短文化が欠かせません。  
   1つは「全件の分量を短くする」こと。  
   案内状や稟議書などはできるだけA4判1枚(パソコンの画面ならば20〜30行以内
   ぐらい)で収めたいもの。  
   もう1つは「1つの文を短くする」こと。  
   文頭から読点(。)までが40〜60字ぐらいをメドに。  
   1文が長すぎる場合は複数の文に分けるとよいでしょう。

 2.できるだけ読みやすく(明文化)
  仕事の文書では、文学作品のような「名文」は不要。  
  誰もが速く読め、分かりやすく、正しく伝わる「明文」をめざすべきです。  
  とくに難解な用語を避けてやさしい言葉遣いを心がける、漢字の分量を減らして
  文章を読みやすくする、などの気配りが大切でしょう。

 3.箇条書き  
  プライべートな手紙やメールなどは通常の文章(地の文)でつづりますが、その際に
  よく見られるのが、締まりがなくて長い「ダラダラ文」。  
  速く、分かりやすく伝えたい仕事文では、それを防ぐためにも箇条書きの活用をお薦め
  します。  
  たとえば「企画書jや「説明書」などにおいて、訴えたい要素が3つあれば、
  「1.2.3.……」や「(1)(2)(3)……」などの識別記号や項目見出しをつけたり、
  会議の案内状などでは「日時・会場・議題……」を箇条書きにしたりといった工夫で、
  読みやすくなります。

 4.身内言葉と敬語  
  仕事の文書でとくに気をつけたいのが身内言葉と敬語の使い方です。
  身内言葉の代表は「専門用語」。  
  とくに技術、医学、官庁、金融、保険、マーケティング関連などの分野の、一般人
  向けの文書では、分かりやすい表現に言い換えたり、補足の説明を加えたりといった
  配慮も必要です。  
  取引先や目上の方に出す手紙などでは「敬語」の使い方に細心の注意を。
  文例集などで定型の言い回しを学んでおくのが上達への近道でしょう。

 5.読み手への配慮  
  事務上の文書であっても、対象者は「生身の人間」。  
  どんな文書でも読み手に対する気配りや心遣いを忘れないことです。
  また、短文・明文に心かけるのは「忙しい読み手に余分な時間や労力をかけさせない」
  ため。  
  敬語は「相手を尊敬する(または、自分はへりくだる)態度を言葉で示す」などの
  円滑な人間関係の育成に欠かせないマナーです。

□文書別「書き方の要点」 
 そうした5つのルール・5つの留意点を前提にして、多くの職場やビジネス・シーンでよく
 登場する8パターンの文書について、もっとも大切な表現と気配りのポイントを整理して
 みます。

 1.連絡メモ・送り状  
  すぐに書け、すぐに読める簡潔な文面でも、5W1H(または6W2H)をしっかりと示し
  たいものです。  
  あわせて、読み手への心配りをさりげなく入れることも大切です。  
  外出中の同僚への「連絡メモ」では「お疲れさまでした」、取引先への送り状ならば
  「いつもお世話になっています。  
  ご依頼の××をお届けしました」など。

 2.案内文・通知文  
  連絡メモ・送り状の注意点に加えて、相手の立場に立った気配りも大切に。  
  たとえば、月末に取引先を招いた会合を行う際には「月末のお忙しいときに申し訳
  ありませんが〜」などのひと言を添えたいものです。

 3.報告書  
  簡潔、明瞭、正確はもちろんですが、さらに「事実」と「私感」の混同も避けるべきです。  
  たとえば、事実の記載部分には私感(個人的な感想など)を入れない。
  どうしても自分の意見や感想を述べたいときには、報告を終えた最後に「報告者の感想」
  などの別の見出しを立てて本文とは明確に区分を。

 4.企画書  
  「絶対に企画を通したい!」という思いが強すぎると、つい1つの文章がくどくなり、
  全体の分量が多くなるので注意を。  
  できるだけ簡潔に、手短にまとめるのが秘訣です。  
  また「その企画を実施することのメリット」や「費用対効果」をできるだけ具体的に
  示すこと。

 5.ビジネスレター  
  仕事の手紙には差出人の性格が素直に出ます。  
  誤字脱字の多い人は教養がなくて仕事が雑、敬語が下手な人は社会人のマナー欠落、
  抽象的でダラダラとした手紙を書くのは論理的な表現が苦手な人……など。  
  逆に、しっかりとした文字で手書き文字の手紙を出す人は几帳面で礼節をわきまえた人、
  封筒や切手に気を配るのはホスピタリティのある人……といえるかもしれません。

 6.PR文事  
  取引先向けの営業チラシやプレゼンテーション資料などの文書では、タイトルや見出し
  に魅力的なキーワードを盛り込むのが成功のコツです。

 7.リポート・論文  
  リポートや論文などを書く際には「上手に書かなければ」という気負いから、難しい
  言葉を使ったり文章が長くなったりする傾向があります。  
  いつも以上に短文・明文を心がけたいものです。

 8.あいさつ状  
  仕事の場でもプライベートな手紙や文章が使われることはあります。
  代表例が年賀状と異動・転勤・転居などの通知。  
  これらの書面では、たとえば本文や宛て名は印刷でも、手書きのひと言を添えたり、
  自分の名前だけは自筆でサインしたりして、書き手の人間性や暖かみを醸しだすのが
  秘訣です。

□eメールのルールとマナー 
 IT化が進んだ昨今では、連絡メモ・案内状・手紙などのビジネス文書の多くがペーパー
 からeメールに変わってきました。 
 もちろん、基本となるルールや留意点は同じですが、eメールの場合は次の9つの点に
 気をつけたい ものです。

 1.より簡潔で手短に  
  ITを活用する最大のメリットは仕事の効率化と時間の省略。  
  同じ内容を伝える際も、メールではより易しく、短く書きたいものです。
  とくに、画面をスクロールすれば無限に文面が打ち込めてしまうメールでは、つい
  文章が長くなりがちなので要注意。

 2.件名・宛て名・署名を忘れない  
  書類ではかならず本文の前に件名・宛先・差し出し人名を記しているのに、メールに
  なると忘れる人も少なくありません。  
  とくに件名は読み手が受信メールを素早く検索したりチェックしたりするための情報
  としても大切。

 3.書き出しはシンプルに  
  メールで大切なことは、とにかく速く読めることです。  
  たとえば、「平素は格別のお世話になり本当にありがとうございます」などの文頭の
  余分なあいさつは「いつもありがとうございます」などのように簡略化したり割愛
  したりして、すぐに本文に入るのがスマートでしょう。

 4.くだけすぎた言葉遣いにも注意  
  仕事上の相手に対して、友だちにメールを打つような感覚でくだけすぎた言葉遣いを
  する若手社員などをよく見かけませんか?  
  大切な得意先に「こんにちは」などはつつしむべきでしょう。

 5.冷たい表現・命令調は避ける  
  相手の顔が見えないメールでは、「〜してください」などの冷たい表現や「〜をするように」
  などの命令調の言葉遣いになりがちなので要注意。  
  口頭で伝えるよりも優しく、より丁重な言葉選びを心がけたいものです。

 6.画面レイアウトにも気配りを  
  とくに多いのが延々と改行のないメール。  
  3〜4行に一度は改行するぐらいのレイアウトに心がけたいもの。  
  また、話が変わる部分では空白行を設けるなどの気配りも読み手に親切です。

 7.変換ミスと誤字脱字に注意  
  キーボード換作で楽に文章が打て、変換機能を使えばどんな漢字でも打ててしまう
  のがパソコンの魅力であり怖さです。  
  その結果、つい誤字脱字に気づかなかったり、変換ミスで「東海商事様」を「倒壊障子様」
  と打ちこんだり。
  会社の信用を損ないトラブルやクレームの原因にもなるので要注意。

 8.すぐに送信しない  
  簡単に打ててスグに送信できるのもパソコンの長所ですが、ここまでの留意点を
  チェックするためにも欠かせないのが入念な「読みなおし」と「文面チェック」。 
  また、誤字脱字を見つけたりレイアウトの読みやすさを確認したりするためには、
  一度、プリントアウトして読んでみるのも一法です。

 9.手紙・電話・ファックスの使い分けを  
  いくら便利だからといって、すべてのビジネス文書をメールで済ませるのは間遠です。 
  丁重な連絡をしたいときには「手紙」を。
  相手と直接に話して意見を聞きたいときなどには「電話」を。
  「見積書」などのように相手が保存したい情報の場合は、時間にゆとりがあれば
  「封書」で、急ぎの場合は「ファックス」でといったように、相手先や目的や状況に
  応じた使い分けを心がけましょう。  
  こうして考えてみると、ビジネス文書の奥義は仕事相手への思いやりと人間関係づくり
  に尽きることがお分かりいただけるでしょう。
  確かに「しっかりと文を書く」ためには、手間と時間と労力がかかります。 
  しかし、基本をマスターし、読み手への思いやりと気配りを忘れなければ、努力に
  見合う評価と成果が確実に得られるはずです。 
  まさに「書き方上手」は「仕事上手」への近道なのです。

問題解決の方法

           

問題解決の方法

 ■問題解決の重要性

  問題解決の重要性がますます高まってきています。

  なぜでしょうか。

  それは、問題を解決できなければ、その問題に悩まされ続けるからというだけでは
  ありません。

  その「問題の枠を大きく超え、会社全体を揺るがせる問題に発展することさえある

  世の中になってきた」からです。

  その反対に、優れた問題解決ができる人材がいる組織はどうでしょうか。

  すばやく問題を解決してしまえば、将来の挑戦的な改革に取り組むことができます。

  マイナスの問題がいつまでも解決できない企業との差は開くばかりです。

  問題解決は組織の重要なスキルになってきたのです。

  もう一つ理由があります。

  それは、「問題がユニークになっている」ということです。

  これまで、問題解決というと、ある程度することは見えていました。

  自社製品の性能アップ、コストダウンなど、おおよその問題はそこにありました。

  おおよそ見えている問題をそれぞれの部門に落とし込み、その解決に向かって邁進する
  ことが、これまでの問題解決法でした。

  しかし、これからは違います。

  問題はとてもユニークです。

  誰に、いつ、どんな問題が発生するのか、予想もできません。

  このような事態に立ち向かうには、組織の構成員一人ひとりの問題解決スキルをアップ

  する必要があります。

  一方で、どこかに解決の良いヒントを与えてくれる人は組織のどこかにいるものです。

  “なぜもっと早く言ってくれなかったんだ”という、その人にいち早くたどり着ける
  ようにしなければなりません。

  それには、自分自身が問題解決スキルをアップさせるだけでなく、「問題解決に悩んで

  いる人がいたらコーチングをしてあげること」が、組織全体としても重要になります。

  ここでどう考えたらいいだろうか、私の考えに間違いがないだろうか、と誰かから
  問いかけられたとき、みんなからの適切な支援と励ましが得られる組織ほど強いものは
  ありません。

  ユニークな問題に前向きに取り組める組織風土になる必要があるのです。


 □問題とは何か
  辞書には、問題とは何かの説明がいくつか列挙されています。
  いくつもの辞書を調べた研究者によると、辞書類の説明は「問題とは解決が必要な
  未解決な事項である」となるそうです。
  この定義では「解決していない」とか「解決しなくてはならない」という面が強調
  されています。

  また、誰にとって解決していないのか、誰にとって解決しなくてはならないのか、
  という面もポイントです。
  学校で出される試験問題は、生徒にとっては問題ですが、先生にとっては問題では
  ありません。

  問題であるためには2つの条件が必要なようです。
  一つは立場です。
  「解かなくてはならない」という立場にあることが一つ。
  一方、解けるのが当たり前のことは問題ではないのです。

  「3+2=?」 は小学1年生にとって問題ではありますが、6年生にとっては問題では
  ありません。
  つまり容易にできることは問題ではないのです。
  たとえば、パソコンを使い慣れている人にとって、パソコンを仕事で使うことは
  (必須なことだけれど) 問題ではありません。

  しかし、パソコンを使って仕事を効率よくやってもらいたいのに、パソコンが使えない
  人は「問題児」です。
  その人にとってはパソコンを使えるようになることが立派な問題です。

  しかし「問題とは解決が必要な未解決な事項である」という定義は、仕事上の問題や
  人生で遭遇する問題に絞った場合、適当といえるのでしょうか。

  解決が必要だから問題になるのではなく、問題だから解決しなくてはならないのだろうに、
  ということです。
  しかも、問題によっては必ずしも解決に乗り出すとはかぎりません。
  つまり問題が重要でなければ、あるいは重要なのだけれど実現可能な解決策が
  見つからなければ、放置されていることがあります。

  地球の砂漠化の問題がそうです。
  放置されていても問題は問題なのです。
  問題解決の仕方を教えたり、コンサルテーションする人が大体賛成する定義があります。
  「問題とはあるべき姿と現状の姿との差である」というものです。

  あるべき姿に現状は達していない、その程度や範囲が大きいほど重大な問題だという
  ことになります。
  この定義では、解決が必要かどうかにはふれられていません。
  しかし、現状があるべき姿にないのなら、いつかはあるべき姿にしようとするのが
  人間の持つ本来の姿勢です。

  なお、TQM(Total Quality Management)では、「問題」 を標準状態から逸脱した
  状態を元に戻すこと、 「課題」を標準状態に向上させること、という定義を導入して
  います。
  課題は(辞書によると)課された題、つまり「解決せよ」と組織の上位者から指示された
  問題または自分自身で解決しようと決意した問題です。

  つまり課題とは、問題の種類ではなく実行するかしないかに関係した言葉です。
  問題は解決し、課題は達成する、と紛らわしくいいますが、問題を解決すること
  すなわち課題達成なのです。
  なお課題には、毎日1万歩歩くという課題のように、問題とはいえない(容易な)
  課題もあります。
  問題と課題の関係を図にすると次のようになります。

 □問題の種類
  どんな問題も一つの手順でやればよい、と主張する人がいますが、冷静に考えれば
  問題の種類はいくつかに分けたほうがよいでしょう。
  たとえば、製品事故が起こってしまい、その処理と再発防止の対策を講じなくては
  ならない問題と、新製品を早急に開発しなくてはならない問題を、同種の問題と考える
  のはいかがなものでしょうか。

  前者では問題が起こった原因を追究する必要があり、それが重要です。
  しかし、後者では原因など追究する必要はありません。
  いい仮説を思いついたり、仮設の検証を効率よくおこなうことが大事になります。
  また、コストを削減する問題は再発防止の問題とやはり違います。

  たとえば、ある特注部品が過剰品質であることが分かれば、それを汎用品に取り替えれば
  コストが下げられます。
  その場合、なぜ過剰品質の特注部品が使われたか、という
原因究明は必要ありません。
  このようにいろいろなケースを考えると、問題はいくつにも分類することが可能です。

  そもそも問題とはすべて固有だ、ということも可能です。
  しかし、問題の種類を数多く挙げればいいというものでもありません。
  種類はなるべく少ない方がいいのです。
  解決の方法がやたらと多くては覚えることができませんから。

  最低3つに分ける必要があるでしょう。
  発生型、分析型、開発型(設計型)
  その特徴を表にまとめて示しておきます。
  そのほかに、戦略型という問題もあってよいでしょうが、戦略型は問題を解くのとは
  違うもっと大掛かりなものと考えて別にしておきます。

 問題解決に共通な心得
  (1)問題を解決する責任者は誰かを明確にしておく
    問題を解決することになったらそれは課題であり、課題になったら担当者がかならず
    決められます。
    しかし、担当者が複数の場合は、役割を明確にしておくべきです。
    責任者(指揮者)は誰、支援者は誰、助言者は誰と決めておきます。
    責任者に指名されると心構えが違います。
    助言者は気楽な立場でものを発言しますが、かえってそれが客観的でよい場合も
    あります。

  (2)課題を定義する
    問題を、課題として上司から与えられた場合、あいまいな形で引き受けず、
    どこまでやらなくてはならないのかを明確にします。
    事故の対策を命じられたら、事故が及ぼした被害への処置対策をいうのか、
    事故の再発防止対策も講じなくてはならないのか、さらには他所での類似事故
    の発生を防止することまでも含むのか、ということを明らかにします。

    すると責任を分担したほうがよい、ということになる場合もあるでしょう。
    新製品開発なら、与えられた品質目標を実現する技術仕様書を確立することで
    終わりなのか、お客に試しに使っていただいて確認するまでなのか、最初の
    本格生産まで面倒みるのか、それぞれの責任者は違うのか、ということです。

    課題を明確にすれば目標も明確にできるでしょう。
    課題は定性的に表現され、目標は測定が可能なように定量的に表現することが
    望まれます。

  (3)現状をよく調べる
    何の問題であれ、現状をよく調べることがつねに大切です。先入観や偏見や
    独断で認識間違いをしていないか、現場に出かけ現物で確認します。
    あるなら過去の文献を調査します。事前の調査をちゃんとする人かそうでない
    人かで、問題解決の力量が歴然とわかれてしまいます。

    記録がない場合は関係者にヒアリングしなくてはなりません。
    データを採る必要がある場合もあります。
    そういう場合、サンプリングが偏らないようにしなくてはなりません。
    ヒアリングでは自分の思惑(仮説) を前面に出して相手を誘導するようなことを
    してはいけません。

    研究報告の結果がほんとうかどうか追試実験する場合もあります。
    新聞の報道などでも本当かどうかウラを取る必要があります。
    客観的な事実をつかむことに精力を使います。

  (4)柔軟に構える
    原因はこうではないかとか、こうすればコストが低減できるのではないか、
    という仮説を抱くのはよいことです。
    なんらかの仮説も持たないでやみくもに調査はできません。
    しかし、その仮説を裏切るようなデータが出てきたら、あっさり仮説を引っ込める
    ことです。

    はじめから「この問題はこうに違いないと思うよ」 などと言わないことです。
    後で引っ込みがつかなくなります。

  (5)責任追及ではなく仕組みの不具合を追究する
    問題の原因を人に持ってゆくのは問題解決法として得策ではありません。
    人が原因では、人を代えるしか解決策はないことになります。
    人の性格は簡単には変わらないからです。
    原因は究極的には仕組み、システムに求めるように持っていきます。

    根本的な解決策が人の訓練ということもあるにはありますが、その場合も、
    訓練の仕組みとか訓練の資料とかを対象にすればよいわけで、解決策の対象を
    人にしないことです。
    「解決策:作業員の教育訓練」などという答えは、答えになっていません。
    どんなことをどんなふうに教育訓練するのかが明示されてはじめて答えなのです。

  (6)問題の構造を考える
    複雑な問題では問題の構造を解きほぐす必要があります。
    構造とは、問題を構成しているものごとの関係を明らかにすることです。
    複雑な問題の構造を表現するには文章は適当ではなく、2次元的な図で表現
    するのが適切です。

    その図は、典型的には系統図(樹状図) かフローチャートです。
    系統図は原因結果の因果関係を表し、フローチャートはものと情報の流れを
    示します。

    系統図は全体と部分、結果と原因(目的と手段) の関係を表すときに適して
    います。

    特性要因図とか連関図と称する図で表しても基本は同じです。
    フローチャートはプロセスを表すのに適しています。
    プロセスとは何かをなしとげる過程のことで、硬く定義すれば「プロセスとは
    インプットをアウトプットに変換するために資源を使用する一連の活動」
    (ISO9000)です。

    機能(ファンクション) という言葉を使えば、機能と機能の順序を表すと
    プロセスになります。
    上のフローチャートの長方形は機能を表しています。
    楕円形は大きなプロセスの区切り(製造会社でいえば契約、受注、納入など)を
    示し、菱形はプロセスの中で行われる検査や判断を示しています。

    問題の構造(関係) を上のような図で表せれば、問題は半分解けたようなものです。
    問題が難しいとか、問題自体が分からない、というのは構造(関係) が分からない
    ということと同義なのです。
    難しい問題とは、構造が複雑なために図に表現できない問題か、構造の中で
    なにか不明な部分が残っている問題です。

    たとえば経済の問題がつねに難しいのは、その超複雑な構造を誰も図示できない
    からです。
    化学製品で、技術上のブラックボックスになっている部分があると標準通り
    作業をしてもときどき不良品が発生しますが、構造の細部が不明だからです。


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資金調達の仕組み

          

資金調達の仕組み

  ■知的財産信託

   知的財産信託とは、特許権や著作権などの知的財産を信託会社に信託することです。

   2004年12月の信託業法改正により、信託を活用した知的財産の証券化が可能と
   なりました。

   この信託は、次の2つの機能を合わせもちます。

   @財が将来生み出す利益に対して、投資家から資金を集める。

   A知的財産を保有する企業は、信託会社に管理を任せて知的財産を確実に
     管理・保護することができる。

   現在、利用が進んでいるものとして、映画やアニメなどの上映権といったものや、製造業
   のもつ加工技術などがあります。

  □資金調達に使いやすい知的財産とそうでない知的財産

   20世紀後半の日本は良質な「ものづくり」により飛躍的な復興を遂げてきました。

   しかし、今では、単純な「ものづくり」において低コストを武器とする中国に歯が立たなく
   なって久しい状況です。

   これは日本の製造業が衰退したからかといえば決してそのようなことはなく、より付加
   価値の高い分野に軸足を移しながら、国際的な競争優位を保っています。

   そしてこの競争優位の源泉こそが「知識」です。

   「知識」が企業に競争優位をもたらすとはつまり、知識が「利益」を生むということです。

   知識がお金に変わるのであれば、それを資金調達に活用することができます。

   知識は、@暗黙知→A形式知(知的財産)→B知的財産権、とわけることができます

   資金調達に使われる知識は、「知的財産権」に限定されます。

   もとをたどれば知識は個人に帰属するものです。

   たとえば、コンサルティング会社はいわば「知識」の宝庫ですが、その知識の大部分は
   個々のコンサルタントの頭のなかに蓄積されているものであり、組織全体で共有されて
   いない暗黙知のレベルにとどまっていることが多いといえます。

   暗黙知であっても確かに企業にとっては利益をもたらしますが、資金調達に活用する
   ことはできません。

   なぜなら、そのコンサルタントが他社に移籍してしまえば、その知識は自社ではなく他社の
   ものとなってしまうからです。

   したがって、「知識」を資金調達に活用するためには、暗黙知を形式知に変換して、組織
   全体で共有しうる知的財産を形成し、さらにそれが法的に保護されている知的財産権と
   なっていなければなりません。

   知的財産基本法では、知的財産権は以下のように定義されています。

   「知的財産権」とは、

    特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産
    に関して 法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利

   をいう。

  □知的財産権の評価

   日本の知的財産を活用した資金調達は、特許権や著作権に関わるものが多くなって
   います。

   知的財産権を活用した資金調達の実施にあたって最大の難問は、対象となる知的財産権
   をどの程度に評価するかということです。

   売掛債権などは、企業の帳簿に簿価が計上されており、「評価額」と「簿価」はそれほど
   かけ離れた水準にはなりません。

   また、時折企業のバランスシート上に「特許権」という項目が計上されていますが、それは
   評価額ではなく、特許権取得のために過去に支出した金額の集計です。

   評価額はその特許権を活用して将来入ってくる金額に基づいているものでなければ
   なりません。

   では、どうやって知的財産権を評価すればよいのでしょうか?

   評価手法は多数ありますが、その多くは将来の企業価値を基に算定するDCF
   (Discounted Cash Flow:ディスカウント・キャッシュフロー)法と呼ばれる手法の
   バリエーションです。

   DCF法は知的財産のみならず、株式・債券や土地などの幅広い資産の理論価格の算出に
   使用される手法です。

   この略語にその手法の基本が集約されています。

   下記の二段階がそれにあたります。

    @評価対象の資産が将来もたらすキャッシュフローを見積もる

    A見積もった将来のキャッシュフローを適切な割引率で割り引く

   DCF法による評価額の算出は、まずその資産を保有することによりいくらお金が入って
   くるかを、できる限り正確に見積もることから始まります。

   債券であれば、償還される元本と利息は確定しているので比較的容易です。

   しかし株式は将来の配当予測を行わねばなりませんし、土地であれば地域の需給動向を
   勘案しながら将来の賃料収入を見積もらねばなりません。

   そして、知的財産であれば、ロイヤルティ収入や、あるいはその知的財産を使って物品を
   製造販売したときの利益を、できる限り正確に見積もることが必要です。

   これらの見積もりは極めて不確実であるため、その不確実性を勘案しながら、リスクに応じた
   割引率により見積り額を割り引くということを行います。

   債券の将来キャッシュフローはその確実性が高いため、比較的小さな割引率で見積もる
   ことになります。

   割引率が小さければ、割り引かれた将来キャッシュフローは、あまり小さくなりません。

   土地の賃料収入では不確実性が増すため、債券より大きな割引率でなければなりません。

   さらに株式や知的財産ともなると、将来キャッシュフローは極めて不確実であるため、
   比較的大きな割引率を使用して割り引く必要があります。

   割引率が大きければ、割り引かれた将来キャッシュフローは小さくなってしまいます。

   つまり、

    不確実性が高いほど、DCF法で算出された「評価額」は小さくなる

   といえるのです。

   このような二段階を経て、知的財産の評価額を算出することになるのですが、その評価の
   プロセスはきわめて難しいものといえます。

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資金繰りの改善

            

資金繰りの改善


  ■営業活動と資金繰り

   1.資金とは

    事業活動に伴って、企業にはさまざまな支払いや決済義務が生じます。

    この支払いや決済の手段となるものが、資金繰りでいう「資金」と定義できます。

    ここでいう「資金」は、具体的には現金預金が中心になります。

    この現金預金とは、手許現金、手許現金に準ずる(他人振り出しの)小切手、いつでも自由に
    引き出すことのできる当座預金・普通預金、さらには定期預金(※)などを含んでいます。

    ※定期預金は借入金の担保などになっていない限り、いつでも解約して現金に
     換えることができます。
     逆に、担保などになっている定期預金は必要なときに自由に引き出すことがで
     きないため、ここでは「資金」に含まれません。

   2.営業活動と資金の流れ

    資金の流れにおいて注意すべきことは、商品を仕入れた際の仕入時期と資金支出時期
    との間や、商品を販売した際の売上時期と資金回収時期との間にズレが発生することです。

    このズレは、企業間の信用による掛け取引や手形取引によって生じています。

    この商品売買におけるズレの期間をそれぞれ「仕入債務支払サイト」、「売上債権回収
    サイト」といい、営業活動による資金繰りへの影響を分析するうえで重要な指標とされて  
    います。

    これをまとめると次のようになります。

     仕入債務支払サイト:商品などの仕入債務発生時から資金決済までの期間

     売上債権回収サイト:商品などの売上債権発生時から資金回収までの期間

    そして、仕入債務支払サイト・売上債権回収サイトと資金繰りとの間には、次のような関係が
    あります。

  □利益の確保か資金の確保か

   「勘定あって銭足らず」、「黒字倒産」などという言葉があります。

   これらが意味するのは、「経理上の利益(勘定が合う、黒字)が計上されている会社で
   あっても、資金不足(銭足らず)になり倒産する危険がある」ということです。

   つまり、「利益と資金繰りとは別物であり、利益があがっているからといって資金繰りを
   おろそかにしてはならない」といえるでしょう。

   1.利益と資金の関係

    たとえば、100万円で仕入れたものが200方円で売れたとしましょう。

    その販売のために諸経費が40万円かかったとします。

    利益は60万円ですから、それが資金繰りのプラスとして残ります。

    しかし、それは売上代金が販売先から入金された後の話です。

    通常、仕入や経費の支払いが先になりますので、この取引にかかる資金繰りは売上代金が
    回収されるまでの間は、先払いとなった仕入や経費の額だけ資金不足(▲140万円)となる
    のです。

    この例で、仕入代金と経費を支払った時点を(A)、その後に売上代金の回収をした時点を
    (B)とすると、利益と資金は時間の経過とともに次のように推移します。

    上の例からもわかるように、利益と資金の間には、一般的に

     ・売上代金回収前は、利益≠資金となり資金は営業支出の額だけ不足する

     ・売上代金回収後は、利益=資金となり資金は利益の額だけ増加する

    という関係が成立します。

    このことから、利益が獲得できているからといって、資金繰りにつねに余裕があるとは
    いえないことがわかります。

    しかし、最終的(売上代金回収後)には、利益と資金の増加量とは一致することから、
    利益は資金の源泉であり、利益がないところに資金繰りの改善はない、ということが
    できます。

   2.利益の確保か資金の確保か

    会社が複数の得意先へ商品販売を検討する際、それぞれの取引によって「見込まれる利益」
    と「資金繰りへの影響」のどちらを重視して商売をするべきか、といった問題に直面する
    ことがあります。

    このような場合、資金不足で苦労した経験のある経営者などはつい支払条件のよい
    (売上債権回収サイトの短い)取引先を、一方、苦労した経験のない経営者などは利益の多く
    見込まれる取引先を好む傾向があります。

    しかし、資金繰りに余裕が十分あるにもかかわらず、より多くの利益が期待できる取引を
    犠牲にして、支払条件のよい(回収サイトの短い)取引を選ぶことには疑問があります。

    逆に、資金不足があらかじめ見込まれているにもかかわらず、支払条件の良い取引を犠牲に
    してより多くの利益を望むことには危険が伴います。

    すなわち、得意先の倒産といった特殊な場合を除けば、商品の販売の際に利益を重視
    すべきか、それとも資金繰りを重視すべきかの判断は、一義的に決めることはできず、
    会社の状況に応じた判断が必要になるのです。

    そのため、できるだけ正確に見積もられた資金繰り表を作成することで自社のおかれている
    状況を把握し、会社として優先すべき取引条件を判断できるようにしておくことが重要と
    いえるでしょう。

    これらをまとめると、望ましい取引条件は次のように整理できます。

     利益率の高い取引  :資金繰りに余裕がある場合に重視

     回収サイトの短い取引:資金繰りが苦しい場合に重視

    なお、取引条件以外にも倒産の危険度、従前の取引実績や今後の得意先としての期待度
    などを考慮することはいうまでもありません。

  □資金繰り改善の2つのステップ

   資金繰りの改善には2つのステップがあります。

   1.第1のステップ(当面の危機回避)

    第1のステップは目先(3〜6カ月程度先まで)に見込まれる資金不足の手当てをする
    ことです。

    この場合、資金繰り表などによって見積もられた資金不足額を、その原因にかかわらず
    手当てすることこそが資金繰りの改善といえます。

    すでに資金不足が見込まれてしまっている以上、その不足額を手当てできなければ手形の
    不渡り、倒産といった最悪の事態になってしまうからです。

   2.第2のステップ(体質改善)

    資金繰り改善の第2のステップは、資金繰り表を、目先の資金手当てとしてではなく、
    資金繰りを悪化させている原因を究明し、資金繰りに強い企業体質をつくることです。

    この場合、資金繰りの改善策は、経営全般にわたる見直しによって実行可能となるものが
    ほとんどであるため、経理・財務担当者だけでなく、経営者はもちろん営業担当者なども
    含めた全社的取り組みが必要となります。

    資金繰りに関しては、第1のステップである目先の資金手当て(借り入れ)にばかり目が
    いきがちです。

    しかし、それだけでは「資金繰りの悪化」という結果に対処しているだけで、根本的な解決
    にはなりません。

    資金繰りに強い会社をめざすのであれば、第2のステップである、資金繰りを悪化させている
    原因の究明とその改善を検討しなければなりません。

    通常、資金繰りを悪化させている原因は、大きく分けて次の5つに分類できます。

    次項では、資金繰りに強い企業体質をめざすべく、第2のステップに焦点をあてて解説
    します。

  □資金繰りの体質改善策

   1.赤字経営からの脱却(利益の確保)

    赤字経営からの脱却は、資金繰りの改善策としてではなく、まさに経営課題として取り組む
    べきものでしょう。

    前述したように、利益と資金繰り(のプラス)は最終的に一致することから、利益拡大こそが
    資金繰り改善の源泉となります。

    利益向上のための着眼点としては、次のようなことがあげられます。

     ・売上高の向上

     ・各種利益率の分析、改善

     ・固定費の引き下げ

     ・赤字事業の見直し(テコ入れ、撤退)

     ・組織、人事戦略の見直し

     ・市場、製品戦略の見直し

    各種利益率の分析を行う際には、次の指標を参考にして収益構造の問題点を考察して
    いきます。

     ・売上高対総利益率  = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

     ・売上高対営業利益率 = 営業利益  ÷ 売上高 × 100

     ・売上高対経常利益率 = 経常利益  ÷ 売上高 × 100

   2.売上債権回収サイトの短縮、仕入債務支払サイトの延長

    資金繰りに余裕があり、資金繰りの管理をおろそかにしていると、いつの間にか売掛金と
    受取手形(割引手形を含む)の売上高に対する割合が高くなってしまう場合があります。

    これは、得意先からの要請などによって、売掛金の決済期日や受取手形のサイトの延長に
    応じることがおもな原因として考えられます。

    商品の販売による売掛金や受取手形は資金予備軍であり、代金が回収されるまでは
    資金ではありません。

    売上の増加以上に売掛金や受取手形の金額が増加すると、資金繰りを苦しくすることに
    なります。

    したがって、資金繰りの悪化を防ぎ、さらに改善するためには、受取手形のサイトの延長
    要請などには厳しく対応し、応じざるを得ない場合でも一度限りの例外として取り扱うように
    すべきでしょう。

    特に営業担当者は、立場上、得意先からの要請をそのまま受け入れがちです。

    得意先からの支払条件の変更要請については、営業担当者のみの裁量に任せるのではなく、
    会社として対応ルール(承認権限者の特定、承認基準、金利相当額の上乗せ方法など)を
    決めておく必要があります。

    一方、商品の仕入による買掛金、支払手形はいまだ資金が支出されていないため資金繰りを
    楽にする効果があります。

    仕入については、売上のときのようにいつの間にか決済条件が不利になることは通常
    ありません。

    しかし、業界平均に比して会社の支払サイトが短い(決済条件が悪い)場合などは、普段から
    支払条件の緩和(現金払いから手形払いへ、手形サイトの延長など)を要請・実行する
    ことで、資金繰りに強い企業体質にすることができるでしょう。

    ただし、資金繰りに余裕があり、業界平均より短いサイトで支払うことで仕入価格の割引を
    してもらっている会社の場合には、そのような仕入先を除いたところで、仕入債務支払
    サイトのチェックをすることになります。

    次に、これらをチェックする判断指標として、代表的なものを紹介します。

    (1)売上債権回収サイトの判断指標

      売上の回収状況を分析するには、売上債権回転日数が参考になります。

      この数値は商品が売れてから現金として回収されるまでの日数を示しており、
      日数が短いほど回収状況が良いとされます。

      しかし、この日数は業界慣行によるところが大きいので、属する業界の平均と比較
      することで自社の回収状況の良否を判断します。

    (2)仕入債務支払サイトの判断指標

      仕入の支払状況を分析するには、買入債務回転日数が参考になります。

      この数値は商品や原材料を購入してから現金決済するまでの日数を示しており、
      日数が長いほど資金繰りに余裕ができます。

      以下では、売上債権回収サイトの短縮、および仕入債務支払サイトの延長による
      資金繰りの改善効果の例を紹介します。

    (3)ケーススタディー

      @売上債権回収サイトの短縮と資金繰りの改善効果

       ケース1:2月の売上分から回収サイトを90日から60日に短縮できた場合

       ケース2:回収サイトが90日のままである場合

       ケース1では、2月の売上分の売掛金などが5月ではなく4月に前倒しで回
       収されることになるため、4月の回収分は1月の売掛金などと合わせて400
       となります。

       その結果、4月には、ケース2に比べて、200の資金余剰が生まれることに
       なります。

      A仕入債務支払サイトの延長と資金繰りの改善効果

       ケース1:2月の仕入分から支払サイトを60日から90日に延期できた場合

       ケース2:支払サイトが60日のままである場合

       ケース1では、2月の仕入分の買掛金などが4月ではなく5月に繰り越して
       支払われることになるため、4月の支払分は0となります。

       その結果、4月にはケース2に比べ200の資金余剰が生まれることになります。

   3.過剰な在庫の削減(適正在庫の把握・管理)

    「放っておくと増えるものは在庫と経費」といわれるように、在庫は過剰になりがちです。

    この原因のひとつとしては、営業活動は商品や製品の在庫を多くもっているほどやりやすく
    なることがあげられます。

    しかし、在庫は資金(購入代金)を寝かせていることになりますので、当然資金繰りを悪化
    させます。

    すなわち、営業部からの販売計画などに基づいて適正な在庫水準を把握・維持することで
    過剰在庫をもたないようにすることが必要なのです。

    さらに、デッドストック(不良在庫)は資金が寝てしまい資金繰りを悪化させる元凶と
    いえますので、在庫水準のみならず、市場動向などにも十分配慮した仕入活動を心掛けたい
    ものです。

    デッドストックが生じた場合は、仮に損となっても思い切って換金処分をしたほうが資金繰り
    を楽にします。

    在庫の保有状況を分析するには棚卸資産回転日数が参考になります。

    この数値は仕入から売上まで(製造業の場合は原材料を仕入れてから製品となって
    売り上げるまで)の日数を示しており、日数が短いほど販売効率がよく資金繰りに余裕が
    できます。

    会社にとって適正な在庫水準とは、営業活動に支障を来さない範囲で、各商品別に計算
    された最少の棚卸資産回転日数となる在庫量といえるでしょう。

      棚卸資産回転日数.bmp

   4.得意先の与信管理(倒産シグナルのチェック、債権保全)

    資金繰りを管理・改善するうえで特に注意したいのが、得意先の倒産です。

    しかし、得意先が公開企業でもない限り、なかなかその経営状態を把握することは困難です。

    日頃から、営業担当者と経理担当者が情報交換をすることで、得意先の倒産のシグナル
    (得意先の状況変化、手形サイト延長、現金入金の遅れなど)を見落とさないように心掛ける
    ことが重要といえます。

    また、業界の集まりは情報の宝庫です。

    そういった集まりでは、しばしば危険な取引先が話題に上ることがあります。

    そうした話題に自社の得意先が上っていないかどうか十分に注意しましょう。

    自社の得意先が危険な状況であることが判明した場合、現金取引に切り替えるなど迅速な
    対応をすることが重要です。

   5.その他

    資金繰りを悪くするものには、上述したもの以外に次のような原因が考えられます。

     ・無計画な投資による失敗

     ・無理な利益処分(株主配当、役員賞与)

     ・甘い売上予算に基づく資金繰り見込みなど

    たとえば、借り入れで多額の設備投資をする場合には、その失敗は命取りになりかねません。

    そのため、確実に見込まれた利益計画や資金繰り計画に裏付けされたものでなければ
    なりません。

    各年の自己金融額(※)の範囲内での返済額となるように余裕のある長期資金で借り入れる
    ようにしましょう。

    また、より有利な公的融資制度が利用できる場合は、それを活用したいものです。

    ※自己金融額とは、企業内部から生み出された資金のことをいいます。
      具体的には、会社の獲得した税引後の利益から配当金・役員賞与を控除し
      た金額(留保利益)に、減価償却費を加えた額となります。

       自己金融額.bmp

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財務諸表

          

財務諸表


 ■財務諸表

  「財務や経理などの煩わしいことには関わりたくないので、税理士や経理担当にすべて
  任せている」という中小企業経営者の方もいるかもしれないが、そのような意識で数字を
  避けていては適切な経営は覚束(おぼつか)ないと言わざるを得ません。

  税理士や経理担当者と経営者では役割や関心事が異なるのは当然であり、会社の現状を
  把握して経営戦略を立案したり、方向性を定めるのは経営者に求められる役割です。

  このような観点から、財務や経理に関することについても経営者本人が関与することは
  不可欠であり、税理士等の他人に任せ切りにしてはならないと言えます。  

  面倒な財務のことは税理士や経理担当者に任せて自分は営業に専念したいという経営者が
   少なくありませんが、それは危険な兆候です。

   健全な経営を実現するには、経営者自らが経営状況を表す財務諸表を常にウォッチ
   する姿勢が欠かせません。

   経営者が財務面に気を配ることにより、目標達成・業績向上に向けた打ち手が見えて
   くるのです。 

  利益を上げる

   「利益を計上すると税負担が増してしまうので、節税のためには経費を多めに計上して
   利益を上げないほうが得だ」と考える社長もいるかもしれません。

   また、「税負担を軽減するために多額の黒字を計上しないようにしましょう」と言う税理士や、
   「正直に申告して税金を納めるのは馬鹿らしい」などと公言してはばからない中小企業経営者が
   いることも事実です。

   しかしながら、目先の税負担ばかりを気にして実態以上に悪い業績を示す決算を続けていると、
   中長期的には弊害が目立ってきます。

   金融機関の融資姿勢は従前と比較して厳しさを増しており、赤字決算を続けたことにより
   借入残高を維持できずに資金繰りが破綻する企業もあるという実態を認識し、自社の
   中長期的な経営戦略を講じていくことが必要です。

  財務諸表の種類

   商法では「計算書類」、証券取引法に基づく財務諸表規則では「財務諸表」と呼ばれますが、
   実質的にはほとんど重複するので両者をともに「財務諸表」と総称することもあります。

   非上場の中小企業の場合、ほとんどのケースでは商法上の「計算書類」を作成すれば
   良いので、キャッシュフロー計算書は作成を義務づけられていません。

   財務諸表は原則として総勘定元帳などの会計帳簿を基に作成されますが、「営業報告書」は
   例外であり、以下の諸項目について記載することが定められています。
    (→商法計算書類規則第45条)

  各種財務諸表の必要性

   図は、
    1.期間中の企業の活動成果を端的に示すものが損益計算書 ⇒ [収益−費用=利益]

    2.期末時点における企業の財政状態を示すものが貸借対照表 ⇒ [資産=負債+資本]

    3.期間中の資金の流出入を示すものがキャッシュフロー計算書 ⇒ [収入−支出 
      =キャッシュフロー(現金等純増額)]
    

   財務諸表は会社の状況について財務的な側面から端的に示すものであり、目的・用途に
   合わせていくつかの形式で作成されます。

   最も重要視されるのが貸借対照表と損益計算書であり、近年はキャッシュフロー計算書への
   注目度も高まってきています。

   損益計算書は、期中の収益と費用を表示して、その差額を企業の活動成果ともいえる
   利益額(もしくは損失額)として計算するものです。

   貸借対照表は、期末時点における資産ならびに負債・資本の額を明示して、企業の財政
   状態を一覧するものです。

   キャッシュフロー計算書は、期中の収入と支出の額を明示して、期中におけるキャッシュ
   (現金および現金同等物)の増減額を大きく3つの活動区分に分けて計算するものです。

  損益計算書

   損益計算書は、期中に発生した収益とそれに対応する費用を表示して、収益から費用を
   差し引いた額を利益(もしくは損失)として計算する書類です。

   「期中に発生した」という部分が重要で、前期以前の活動にともなう収入(入金)や翌期以降
   の活動に関わる支出(出金)等については当期の損益計算に含めません。

   標準的な形式は図示したとおりであり、本業との関わりの度合いに応じて大きく3つの
   区分で収益と費用を集計します。

   純粋な営業活動の成果を示すのが営業損益の部で、営業収益(≒売上高)から営業費用
   (売上原価+販管費)を差し引いたものが営業利益です。

   営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を控除して求めるのが経常利益で、企業に
   おける通常の反復・継続的な活動の成果と位置付けられます。

   経常利益に特別利益と特別損失を加減して計算されるのが税引前当期利益であり、
   ここから法人税等を控除して最終的な経営成果ともいえる当期純利益が求められます。

   損益計算書におけるポイントは

    1. 期中の収益からそれに対応する費用を差し引くことで、期中の経営成果とし
      ての利益を測定するもの

    2.資金流出入の事実にしたがうキャッシュフローと異なり、収益と費用を「発生
      主義」で捉える点が特徴的

    3.「発生主義」は「現金主義」に比べて客観性の面で劣るが、期間業績を正しく
      把握すると言う面では優れている

  貸借対照表

   図で示しように、
    1. 資金調達源泉を示す貸方(負債・資本の部)と、その資金の運用形態を示す
      借方(資産の部)の関係により企業の財政状態を表すもの

    2.貸方の総額と借方の総額が常に一致することから、バランスシートと呼ばれる

    3.経営悪化により資本の部がマイナスになってしまうと、負債(債務)が資産額
     を上回るので「債務超過」と呼ばれる

   貸借対照表は、期末時点における企業の財政状態を表すものであり、企業を人に
   例えるならば、定期健康診断のカルテのようなものだと位置づけることができます。

   資産の部については短期間で現金化しやすい順に並べる流動性配列を用います。

   未収金や貸付金等の債権に関しては全額回収できない可能性もあるので、貸倒引当金を
   適宜マイナスで表記します。

   負債の部も同様に流動性配列にしたがって資本の部の上に記載します。

   資本の部は、資本金、法定準備金(資本準備金および利益準備金)、剰余金に大きく
   3区分できますが、計算上剰余金がマイナスとなる場合には欠損金として表示されます。

   純資産(資本の部合計額)がマイナスとなった状態を「債務超過」と呼び、純資産はプラス
   であっても欠損金が発生している状態を「資本欠損」と呼びます。

   いずれについても財務の健全性が損なわれた状態だと言えますので、収益性改善策や
   増資を通じた健全性回復が求められます。

  キャッシュフロー計算書  

   キャッシュフロー計算書は、期中における資金流出入の実態を「営業活動」、「投資活動」、
   「財務活動」の3つに区分してキャッシュ(現金および現金同等物)の増減を計算する
   ものです。

   損益計算書と貸借対照表については作成過程である程度企業の意思が反映される
   (減価償却方法を選択できる点など)のに対して、キャッシュフロー計算書は資金流出入の
   事実のみに基づいて作成されるという点が特徴的です。

   キャッシュフローの作成は上場企業等の大会社のみに義務づけられていますが、
   作成義務を負わない中小企業においても資金の流れを把握することは重要なので、
   自主的に作成されることをお勧めします。

   キャッシュフロー計算書は、英語で「Cash Flow Statement」ということから「CS」「C/S」
   と表記されることがあります。

   ◎ポイント
    1. 期中のキャッシュ(現金および当座預金等の現金同等物)の流出入を計算するもの

    2.大きく「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」に3区分してそれぞれの純増額を計
      算する

    3.通常は「投資活動によるキャッシュフロー」はマイナスとなり、業績不振でなければ
      「営業活動によるキャッシュフロー」はプラスとなる
 

  減価償却

   減価償却とは、長期にわたって効果を発揮する有形固定資産(土地は除く)の取得原価を
   取得時点における一時の費用とせずに複数年度に按分して費用化する仕組みです。

   発生主義にしたがって正しく期間損益を計算し、期末の資産価値を適切に評価するために
   必要な手続きだと言うこともできます。

   税法基準に則った減価償却費は損金に算入して課税所得に含めないことができ、
   税法では定額法と定率法の2種類の償却方法から選択することが認められています。
   (建物については定額法の適用が義務づけられています)

   定率法を選択すると損金を前倒しで計上できるので納税繰延効果が得られ、定額法を
   選択すると費用計上を繰り延べることで利益の前倒し計上が可能になります。

   なお、合理的な理由があれば税法基準によらない減価償却方法も適用可能ですが、
   その場合には税法基準を超えて償却する部分は損金不算入で課税所得とみなされるので、
   実務上の手間が大きく、採用されるケースは稀です。

   ◎ポイント
    1. 多年度にわたって効果を発揮する固定資産については取得時に全額費用
      計上せずに複数年度に按分して費用と認識する ⇒ 減価償却

    2.固定資産の価値は時間の経過にしたがって減耗していくと考え、期中の減耗
     額を減価償却費として計上する ⇒ 支出をともなわない費用

    3.減価償却の方法としては、税法の規定により「定額法」と「定率法」の2つが認
     められている(建物は「定額法」のみ)

  課税所得と税引前利益はどこが異なるのか

   会計上の損益計算と税法上の所得計算は必ずしも一致しません。

   損益計算書では期中の収益と費用の差を求めて利益としますが、所得計算においては
   益金から損金を差し引くこととされるので、収益と益金、費用と損金の差異がある場合には、
   税引前利益と課税所得が一致しないことになります。

   また、所得計算上の赤字決算となった場合はそれより5事業年度に限って複数期間における
   損益通算が認められることから、税引前利益と課税対象額が大幅に乖離することも
   あり得ます。

   ◎ポイント
    1. 会計上の利益と税務上の所得は一致しない部分があるため、税務申告時に
      は会計上の利益を基に調整して所得を計算する必要がある

    2.税務上の損金と認められない費用については課税対象となるので、それが
      多ければ会計上の利益に対する実効税率は高まってしまう

    3.損金不算入とされる費用として交際費の一部、寄付金の一部などが挙げら
      れ、逆に受取配当等の一部は益金不算入となる

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財務分析

           

財務分析


  ■財務分析

  □収益性を示す代表的な指標

   中小企業の収益性を最も端的に示す指標として用いられるのが「売上高営業利益率」
   です。

   これは本業の儲けである営業利益を売上高で除したもので、本業が効率的に営まれて
   いるかどうかを明らかにするものです。

   会社の資産が効率的に活用されているかどうかを見るならば、「総資産回転率」が参考に
   なります。

   これは年間売上高を総資産額で除したもので、計算結果としての数値が大きければ
   大きいほど効率的に資産が活用されたということになります。

   「ROE(自己資本利益率)」は、株主に属する自己資本に対する利回りを見るための
   指標として活用できます。

   この場合の「利益」には税引後当期純利益を用いるのが一般的です。

   出資を純粋な投資として捉えた場合、返済の保証のない株式投資は預金や貸付等の債権
   よりもリスクが高いので、そのリスクに見合った高い利回りが求められます。

   ◎ポイント
    1.本業の儲けである営業利益に着目した「売上高営業利益率」が代表的な指標

    2.資産の運用効率に着目するならば、「総資産回転率(=売上高÷総資産)」等を見るべき

    3.株主の立場で資本の利回りを見るならば、「ROE(自己資本利益率)」が重要な指標
     となる

  安全性を示す代表的な指標

   中小企業の財務安全性を見るならば、「流動比率」もしくは「当座比率」に着目すべき
   だと考えられます。

   前者は流動資産を流動負債で除して求めるもので、短期的な債務支払能力をチェック
   する指標です。

   後者も同じ考え方に基づくものですが、流動資産の代わりに当座資産を用いることで、
   チェックをより厳しく行うものです。

   いずれの指標についても、100%を下回ることは短期的な債務支払能力に懸念がある
   ことを示しますので、注意が必要です。

   「固定比率」は固定資産を自己資本の範囲で賄えているかどうかをチェックする指標であり、
   「固定長期適合率」は自己資本に固定負債を加えた固定的資金で固定資産を賄えているか
   どうかを見るものです。

   前者に比べて後者は基準を緩めたものといえ、この数値が100%を超えている場合は
   短期債務で固定資産を保有していることになり、危険だと判断されます。

   なお、「固定長期適合率」と「流動比率」は論理的に補完関係にあります。

   自己資本の充実度を示す指標である「自己資本比率」も安全性の観点でよく用いられる
   財務指標です。

   銀行などの債権者の立場からすれば、自己資本比率が高いことは債権の保全度が高い
   ことを意味し、自己資本比率が低ければ融資先として危険性が高いと判断します。

   ◎ポイント
    1.短期的な債務返済能力を表す「流動比率」あるいは「当座比率」が自社経営
     の安全性を考える上で重要な指標

    2.固定資産を保有するための調達源泉を見る「固定比率」あるいは「固定長期
     適合率」も財務健全性を考える上では有用

    3.総資本に占める自己資本の割合を示す「自己資本比率」も安全性指標として
     はポピュラーなもの

  □生産性を示す代表的な指標

   1.生産性とは

    「生産性」ということをよく言いますが、生産性について具体的に説明しろといわれると、
    言葉に詰まってしまうのではないでしょうか。

    漠然と理解しているはずなのですが、きちんと説明はできない、という人が多いはずです。

    企業の経営活動の基本は、持っている経営資源を使って、儲けを生み出すことです。

    生産性とは、「経営資源を投じた結果、どれだけの成果をあげることができたか」、
    を示すものです。

    つまり「生産性を上げる」ということは、「より少ない経営資源で、より大きな成果をあ
    げる」ということになります。

    生産性は、投入した経営資源によって大きく2種類に分けられます。

    金や物、つまり資本を投入した結果、どれだけの成果が得られたのかを示す「資本生産性」
    です。

    また、人、つまり労働力を投じた場合の成果をみるのが「労働生産性」です。

    労働生産性を分析することで、「社員がどれだけ効率的な仕事をしているか」をみるもの
    です。

    労働生産性は、企業が生み出した新しい価値である「付加価値」を、従業員数で割って
    出します。

   2.付加価値とは

    では、「付加価値」とはなんでしょうか。

    例えば、ある企業が、100円で仕入れたものを加工して160円で売ったとします。

    100円の価値だったものに、加工した結果、60円の「価値」が付加されたわけです。

    この60円分の価値が「付加価値」です。

    付加価値は、それを生み出すために使われた人件費や光熱費などのコストと、会社が
    得る利益から成っています。

    60円のうちの50円は費用、残りの10円は利益、といった具合です。

    付加価値の計算方法には何通りかの方法がありますが、代表的なものに「控除方式
    (中小企業庁方式)」と「加算方式(日銀方式)」の2つがあります。

    控除方式では、付加価値は売上高から外部購入価値(他から購入した物や 
    サービスの費用)をのぞいたものになります。

    この外部購入価値は、原材料費、外注加工費などです。

    加算方式は、付加価値を生み出す項目を加算していく計算方法です。

    加算する項目は、経常利益、人件費、賃借料、金融費用、減価償却費、租税公課の
    6項目です(減価仇却費は含まない場合もあります)。

     控除法(中小企業庁方式)
       付加価値=売上高一原材料t外注費等

     加算方式(日銀方式)
       付加価値=経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課

   3.労働生産性とは

    前述したように、労働生産性は、労働力を投入したことで、どれだけの付加価値を生み
    出したかをみる指標です。

    労働生産性は、従業員1人当たりの付加価値額を示し、付加価値を従業員数で割って
    求めます。

    この場合、従業員数は、期首と期末の平均人数を用います。

     労働生産性(円)=付加価値/従業員

    この労働生産性が高ければ高いほど、従業員1人当たりの生み出す付加価値が高く、
    「効率よく儲けている会社」ということになります。

   4.労働生産性を高めるには
    では、労働生産性を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。

    労働生産性は、付加価値と従業員数で計算されます。

    ですから、計算式の分子となる付加価値を高めるか、分母となる従業負数を減らすか、
    またはその両方を行えばよい、ということになります。

    @付加価値を増加させる
      付加価値を増加させることを考える場合、控除法の考え方を使うと理解しや
      すいと思います。

      控除法では、付加価値を売上高から外部購入価値を引いたものとしてとらえ
      ます。

      ですから、付加価値を高めるには、売上高を伸ばすか、外部購入費を引き下
      げればよいことがわかります。

      現在の経済状況では、売上高を増加させるのは簡単ではありません。

      そこで、まず外部購入費を引き下げることを考えましょう。

      具体的には、外部から調達していた製品・サービスのコストの引き下げをは
      かってください。

      売上高を伸ばすには、単に販売価格の引き上げをしたり、販売数量の増加
      を狙ったりするだけではむずかしいでしょう。

      高付加価値な新製品を開発することなども必要になります。

    A従業員数を減らす
      これは、日本企業がこれまで最も苦手としてきたことと言えるでしょう。

      期退職制度を導入するなど、積極的な取り組みが必要かもしれません。

    ●労働生産性分析シートの使い方

     日本的経営が終焉したといわれ、経営の「効率性」が何よりも求められている
     今、労働生産性の向上は企業にとって、非常に重要な課題になっています。
     このシートを使って、効率の高い経営を実現してください。

     従業員数を分母に、付加価値を分子にして、労働生産性を求めます。
     この数字が高ければ高いほど、社員が効率的よく仕事をし、付加価値を生み
     出しているということになります。
     労働生産性は、業種によっても大きく異なりますから、一概にどの程度が望ま
     しいとは言い切れません。
     ですが、一般的には1000万円以上であれば健全とされています。
     こうした経営分析の数字は・単純に他社と比較するだけでなく、自社の割合を
     定期的に分析することが重要です。
     月別と半期ごと、さらに決算期ごとに総資本経常利益率を計算してください。
     備考欄には、総資本経常利益率が大きく変動した場合にその原因などを書き
     留めておいてください。

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仕事の75%を標準化するための経営ツール

          

仕事の75%は標準(定型)化できる


 大企業の残業に罰則付き上限が導入された2019年4月以降も月80時間超の残業 
 をしている人が推計で約300万人に上ることが総務省の調査で分かった。

 労務管理の徹底でサービス残業があぶり出され、部下の仕事量が減ったしわ寄せで 
 管理職の残業が高止まりしている。

 今後は画一的に残業を減らすのではなく、生産性の向上で収益を高め、働き手にも
 還元していく改革が重要になりそうだ。(出典:朝日新聞)

  ■生産性の向上と効率化

   日本の労働生産性は低いと言われている理由に効率化が挙げられる。

    ・価格に転嫁されない部分にコストをかけすぎる

    ・日本だけにしか通用しない商品サービスのガラパゴス化

    ・形骸化された会議、アリバイのための書類

    ・人の評価があやふやなので能力も育たない

   など、生産性の悪化に拍車をかけている。

   日本生産性本部は、OECDデータベース等をもとに『労働生産性の国際比較
   2018』を公表した。

   『労働生産性の国際比較2018』によると、1人が1時間にどれくらいのモノやサー
   ビスを効率的に生み出すかの「労働生産性」で、日本は4,733円。

   ちなみに米国は7,169円。

   OECD加盟36カ国中では前年と変わらずの20位で、G7では47年連続の最下
   位となった。

   米国を100としたときの日本のサービス業は49.9%、一方、製造業の生産性は
   米国の69.7%と半分の水準で、サービス業に比べると差は小さい。

   生産性の低さには業務の標準(マニュアル)化が挙げられ、長時間労働も業務が
   標準化されていないことに起因する。

   人口減少に拍車がかかる今、中小企業だからこそ限られた現有資産を効率・効
   果的に活用することが求められている。

  経営に関するツール

   あなたは日々の仕事をただ漫然と行っていないだろうか。

   日常業務の中で「その業務は本当に必要だろうか」、「もっとシンプルにならない 
   だろうか」、「この部分はもっと無駄を省けるのではないだろうか」、「他の誰かに代  
   わってもできないだろうか」、「他の部門の人間が見てもわかるだろうか」など工夫
   や改善策を考えながら仕事をする必要がある。

   そのためには、よくいわれている見える化や標準化といった言葉です。

   日々の業務を勘と経験に頼ることなく行うことができれば、こんな楽なことはあり
   ません。

   それより会社にとって重要なことは、収益に直結した付加価値業務の時間を作る 
   ことです。 

   経営に関するツールをゼロから作ることは至難の業であり、その必要はありません。

   真似ることから始めてみましょう。   


  □仕事の75%は標準(定型)化できる

   それでは定型化できる75%の中身を見てみましょう。

   チェックシートは、現状を把握や、今後何をすべきか必要なのかを目に見える形
   にするツールです。

   人は頭だけで処理出来る容量は少なく、客観的に具現化することでミスやトラブ
   ルを防ぐことが出来るのです。

   残りの25%は付加価値業務となります。

   この75%を標準化することで業務の生産性は飛躍的に向上できるのです。

   これから日本においても外国人労働者の受入れ拡大が始まります。

   そのためにも自社の業務を標準化することは緊急課題です。

   前項でも書きましたが、米国と比較した労働生産性においても業務の効率化が挙
   げられます。

   米国の多くの企業では業務のかなりの部分をマニュアルに頼っているのが現状
   です。

   会議通知の時点においても、アジェンダ(協議事項)を書くようなフォーマットに
   なっているそうです。

   会議を開始すると、まずは会議の目的とアジェンダの確認、決定事項、決裁者を
   みんなで読み上げて確認です。

   これを見てもお分かりのように、各業務のルールが明確に決まっていないというこ
   とです。

   結果として、生産効率の悪化を招いているのです。   
    
  □なぜチェックシート・リストが欠かせないか

   チェックシートというと、製造業における品質管理を保持向上するためのツール
   「QC7つ道具」を思い出す人もいると思います。

   その中のツールのひとつで、業務品質を担保するため(仕事の抜け漏れがないよ
   うにするため)のものがチェックシートです。

   今まで、チェックシートは主に製造業で使われてきましたが、今では非製造業にお
   いても重要なツールとして使われてきてはいます。

   しかし、いまだ多くの中小企業が勘・経験に頼ったやり方が多数を占めているの
   が実態です。

   例えば、

    ・会社の顔となる電話対応の基本ができているか

    ・一日に売上処理を何回し、具体的にどんな作業をしたかを記録しているか

    ・営業マンによる取引先の経営状況のチェックは行われているか

    ・5S活動はしているが、評価はしているか

    ・クレーム対応は原因の調査と再発防止などの対応策を講じているか

    ・パワハラ防止が掛け声だけで対策を講じているか

    ・業務スケジュールに則って仕事を進めているか

    ・営業マンが収益に直結した行動かどうかの管理ができているか

    ・企画立案が我流や思いつきで行われ手順に沿って実施されているか

    ・取引先訪問時には相手先社内の環境をチェックしているか

    ・新入・中途社員の採用における仕組み(手順)はあるか

    ・自社商品の分析(強み・弱み)は定期に見直しされているか

    ・部門ごとの業務の見直し(ムダ・ムラ・ムリの排除)はされているか

    ・会社を守る社内規程・規定の整備は万全か

   等々、シンプルで、作業・業務の抜け漏れを防ぐことができ、いつ、だれが行った
   か、ダブルチェックはあったのかなども記録でき、業務の効率化には欠かせません。

   どんなに業務に習熟しているとしても品質低下や納品遅れ・漏れを防止するため
   に必ずリストにチェックを入れながら作業を進めます。

   エラーやムダを防止し、効率的な経営を目指すためにも、ここに挙げたツールを
   自社(店)用に加工し活用することをお勧めします。


  □チェックリストの効果

   ・仕事のモレがなくなる

   ・人に仕事を任せられる

   ・不必要な思考がなくなる

   ・何ができないかが明確になる

   ・やったかやっていないかが明らか

   ・ハイパフォーマーと同じ行動をとることができる

  弊社では過去から今日に至るまで、中小企業の経営効率に向けたコンサルティン
  グにおいて、500種以上の経営ツールを作成してきました。

    経営/経理/営業/企画/人事・労務/計画・事業計画/環境整備/

    人材育成/安全管理/改善/採用/規程・規定…等々。 

    業務を標準化できる経営ツールにはチェックシート・リスト、レポート、規程類な
    ど多種多様です。

  今年はぜひ自社の業務効率化に向けて、標準化にチャレンジしてみましょう。
   

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経営ツールの内容・目次と抜粋記事

            

経営ツールの内容・目次と抜粋記事

                 
  A.経営・改善・安全管理・企画 

   (経営:部門別診断チェックリスト目次と抜粋記事)

    経営部門 コンピュータ部門 市場開発部門 販売部門 開発部門 小売部門

    生産部門 資材仕入れ部門 事務部門 労務部門 経理部門 財務部門

     (目次に記載のページ番号が1.から始まりではないのは、弊社作成のマニュアル<600頁>
     から抽出した項目のためです)

  B.営業・採用   
 

  C.人事 労務・計画・経理 
     

  D.社内規程・環境整備・人材育成・管理 

    (管理:管理マニュアル目次と抜粋記事)
                   
     セールスマン管理 回収管理 拠点管理 決定事項実践 顧客管理 行動管理 

                                ご購入については

  

役員変更の登記申請

              

忘れていませんか 役員変更の登記申請

  ■役員変更の登記申請を忘れずに

   1.役員の任期も確認を

    貴社の取締役・監査役の任期は何年になっているでしょうか。

    定款を見ると、「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する
    定時株主総会の終結の時までとする」といった形で役員の任期が記載されています。

    つまり任期が2年であれば、選任から2年後の定時株主総会で任期を満了する
    ことになり、法務局に対し再選の手続き(=役員の変更登記)を行わなくてはな
    りません。

    たとえ全く同じメンバーが引き続き役員を務める場合でも同様です。

   2.登記すべき期間

    役員の再任手続きなど、会社の登記に関しては登記すべき期間(登記期間)が
    定められており、原則として変更後2週間以内に法務局で登記申請をする必要
    があります。

    もし仮に、登記期間内に登記の申請を怠り、その後申請をする場合、申請その
    ものが却下されることはありませんが、100万円以下の過料に処せられる恐れ
    があります。

    過料金額は登記を怠った期間が長ければ長いほど膨れる傾向にあります。

    実例としては数万〜10万円の過料が科されているようですが、基準は明らかに
    なっていません。

    また、過料の通知は代表者個人にされ、会社の損金に算入することができない
    点にも注意が必要です。

    参考<関連法規>

    会社法(変更の登記)

    第915条  会社において第911条第3項各号又は前3条各号に掲げる事項に
     変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登
     記をしなければならない。

    (第976条:過料に処すべき行為)出典Wikibooks

    会社法(第472条:休眠会社のみなし解散)出典Wikibooks

  
法人税法 (出典:電子政府の総合窓口e-Gov)

(不正行為等に係る費用等の損金不算入)
第55条  内国法人が、その所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装すること(以下この項及び次項において「隠ぺい仮装行為」という。)によりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、当該隠ぺい仮装行為に要する費用の額又は当該隠ぺい仮装行為により生ずる損失の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

四 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

(一)罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料

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経営課題の解決手法

          

経営課題の解決手法

  ■まずは分解して考える

   1.わからないことはまず分解して考えてみる

     経営課題の解決手法を身に付けるにあたっての第一歩は、わからないことは
     まず分解してみるということです。

     日々起こる問題を漠然として捉えるのではなく、なぜそうなっているのかをさま
     ざまな可能性に分解して考えてみるのです。

     たとえば、「3ケ月連続で利益が対前年比割れしている」という事態が生じた場
     合、単純に「利益が落ちている」ということを問題として捉えるだけでは、その
     課題としては「利益を上げる」ということになってしまい、先に進みません。

     このような場合に「ロジックツリー」というツールを使うと問題の原因を触り下げ
     て考えていくことができます。

     ロジックツリーとは、起こっている問題の本当の原因を探るために、問題を何
     段階にも網羅的・体系的に掘り下げていくためのツールです。

     事例では4階層になっていますが、状況に応じてさらに掘り下げる必要も生じ
     ます。

     たとえば「新規顧客」が減っている場合、小売店であれば、来店客数が減って
     いるのか、来店客数は減っていないが実際に買ってくれる客が減っているの
     か、といったことも掘り下げるべきポイントになります。

     問題が発生するたびにこのようなロジックツリーを作ってもいいのですが、過
     去に起こったさまざまな問題を整理して、あらかじめ自社にとってもっとも有効
     なロジックツリーを作っておけば、問題の早期発見と迅速な解決につながります。

     たとえば、顧客数の変動が激しい業種では、顧客分析に関するロジックツリー
     は広くかつ深くなりますし、仕入れ変動の大きい業種では原価に関するロジッ
     クツリーは広くかつ深くなるでしょう。

     また、同一の業界であっても、最適なロジックツリーは会社の置かれている状
     況によって、異なってきます。

     自社に適した実践的なロジックツリーを作ることが大切です。

     なお、現実には次から次に新しい問題が発生しますので、いったん作ったロ
     ジックツリーがずっと有効なわけではありません。

     新たな問題が発生したらロジックツリーを必要に応じて修正することが必要です。

   2.管理指標の活用で問題を事前に回避する

     あらかじめロジックツリーを作っておくメリットは、問題が発生したときに、解決
     の道筋が早く見つかるということだけではありません。

     むしろロジックツリーを活用することによって、大きな問題になる前に事前にそ
     れを回避できるメリットのほうが大きいのです。

     たとえば、小売店で女性客が主要ターゲットの店の場合、女性客の来店数、
     購買単価などがロジックツリーの重要な管理項目になります。

     管理項目が決定したら、業績の変動に関係なく、その項目を管理指標として設
     定し、データを定期的に取り続けます。

     データを定期的にチェックし、来店数の減少傾向などが見てとれた場合には、
     販促策を立てるなどによって大きな売上ダウンを事前に回避できます。

   3.事業拡大の検討材料としても活用できる

     事例として紹介したロジックツリーは「利益の減少」という問題を掘り下げるた
     めの例ですが、逆に「利益を拡大するためにはどうしたらいいか」といった、プ
     ラス方向を考える際にも活用できます。

     この場合には第2階層が「売上の拡大」「経費の削減」となり、第3階層には
     「顧客数の拡大」「客単価の上昇」などが、第4階層には「新規顧客数の拡大」
     「既存顧客の囲い込み」といった項目が並ぶことになります。

     そして「やはりうちの店はお得意様を大事にすることがもっとも大事だ」という
     結論になれば、既存顧客の囲い込み策をどうするかといった施策を検討して
     いくことができます。

   4.「問題」と「課題」の違いを理解する

     ここまで「問題」と「課題」という言葉を混在して使ってきましたが、実はこの2つ
     の言葉には明確な違いがあります。

     「問題」は、あるべき姿と現状のギャップのことであり、「課題」はそのギャップ
     を埋める方策のことです。

     前述の例でいえば、ロジックツリーを使う前の問題は「売上の減少」、課題は
     「売上の回復」という非常に抽象的で手の打ちようがないレベルのものです。

     これをロジックツリーを使い分解して掘り下げることで、たとえば問題は「女性
     客の減少」であり、その解決のための課題として「女性向けの少量商品を開発
     する」などの施策を設定することができるのです。

  □緊急性と重要性に分解して考える

   1.問題を「緊急性」と「重要性」で評価する

     会社経営にはさまざまな問題が次々に発生します。

     放っておくとあっという間に問題が山積みという状況になってしまいます。

     手当たり次第に対応していたのでは全部の問題にはとても対処できません。

     そこで、対応する問題に優先順位をつける必要が出てきます。

     そのようなときのひとつの方法が問題を「緊急性」と「重要性」に分解して評価
     してみることです。

     ◎「問題」を緊急性、重要性で評価する

       「緊急性の高い問題」

        今すぐ対応しないとデメリットが生じる問題。

        問題対応に必要な迅速性の評価

       「重要性の高い問題」

        対応しないと大きなデメリットが生じる問題。

        デメリットの大きさを評価

       このように評価した結果、緊急性も重要性も高い問題、つまり
       「今すぐ対応しないと大きなデメリットが生じる問題」に対して、
       最優先で取り組むことになります。

   2.評価結果をマトリクスで考える

     では実際に評価結果をマトリクス(表)にしてみましょう。

     縦軸が緊急性、横軸が重要性を示しています。

     それぞれ矢印の方向へいくほど、対応すべき度合いが高いことを表しています。

     緊急性、重要性ともに高い領域、つまりマトリクスの右上の太線で囲まれた領
     域に属する問題は、最優先で、できれば社長自身で対応すべき問題ということ
     になります。

     問題が発生したら頭の中でこのマトリクスを描いて、優先度に大体の検討をつ
     けると、問題対応の方針を決定することができます。

     上記の例では「大口顧客からのクレーム」を最優先の顔域に入れていますが、
     もちろん個々の会社の状況によって、優先順位の付け方は変わってきます。

     自社にとっての「緊急性」「重要性」の評価のポイントを考えて、それにふさわし
     いマトリクスを作成しましょう。

   3.課題の優先順位付けにも活用できる

     このマトリクスは、「問題」の優先順位付けだけではなく、「課題」に対する優先
     順位付けにも活用できます。

     ◎「課題」を緊急性、重要性で評価する

      「緊急性の高い課題」

       今すぐ対応するとメリットが生じる問題。問題対応に必要な迅速性の評価

      「重要性の高い問題」

       対応すると大きなメリットが生じる問題。メリットの大きさを評価

      このように評価した結果、緊急性も重要性も高い課題、つまり「今すぐ対応す
      ることによって大きなメリットが生じる問題」に対して、最優先で取り組むこと
      になります。

      たとえば新規取引先との詰めの交渉などは、マトリクスの右上の領域に属す
      ることになるでしょう。

      また、会社の事業計画の策定などは、今日明日という緊急性はありません
      が、策定することによって将来的に会社に大きなメリットをもたらすということ
      で、マトリクスの右の中段あたりに属することになります。

  □効果と難易度に分解して考える

   ここでは実現までに長期間を要するような比較的大きな課題解決の考え方を事
   例を使ってご紹介します。

   ここでもやはり基本は「分解して考える」ことになります。

   『事例』

    玩具製造会社A社の業績は、ここ数年で大きく悪化し、営業利益率は前期比で
    5%も下落している。抜本的な打開策を打ち出したい。

   【STEP1:問題の掘り下げ】

    A社の営業利益率が悪化している原因を探ります。

    ご紹介したロジックツリーを使って、問題点を掘り下げていきます。

    営業利益率悪化の原因を掘り下げていくと、10個の問題(a〜j)に
    細分化することができました。

    これら10個の問題を解決するために、それぞれの個別課題を設定します。

    ここでは細分化のレベルを10個に抑えましたが、たとえば「営業力が低下」
    という問題を「営業マンの人手が不足」「営業マンの能力が不足」「営業マン
    のやる気が不足」等々、さらに細分化することが可能です。

    もっとも、細分化はある意味では際限がありません。

    そのため、個別課題の具体的施策が提示できるレベルまでが細分化の
    目安となります。

    【STE P2:具体的施策の設定】

     個別課題それぞれについて、具体的施策を提示していきます。

     実際には、1つの個別課題に対して複数の施策が提示されますが、
     ここでは施策を1つに省略しています。

    【STEP3:施策を『効果』と『難易度』に評価】

     STE P3で提示した個別課題に対する施策をそれぞれ評価していきます。

     評価のポイント(評価項目)として、以下のようなものが考えられます。

     (効果の評価)

      ・どれだけの効果が期待できるのか?               …A

     (難易度の評価)

      ・その仮説を実行するだけの余力(経営資源)はあるか?     …B

      ・その仮説を実行した場合のリスクはどの程度か?       …C

      ・その仮説は素早く(スピーディーに)実行に移せるか?     …D

     ここでは、評価項目として上述のA〜Dを用います。

     評価項目は解決すべき課題の性質によりそれぞれ異なります。

     評価の基準は、あくまで「個別課題を解決できるか?」という点である
     ことに注意します。

      具体的施策案の効果と難易度による評価

     (判断結果)

      a:現実性に乏しく、具体的な仮説を立てることができないため却下。

      b:A社が将来にわたり生き残っていくためには、市場ニーズを反映
        した魅力ある商品の開発が不可欠である。開発チームを編成し、
        長期的な視点で商品開発を行っていく必要がある。

      c:e〜jを包含する仮説。より具体化されたe〜jの評価に委ねる。

      d:現状よりは効果が上がるかもしれない。実行する価値はある。

      e:共同仕入の実現性は乏しいが、仕入先との価格交渉は実行する
        価値がある。

      f:外注部分の内製化は、現状の生産ラインを増設しない限り不可能。
       増設に伴う資金的余裕はない。ただし、外注先との価格交渉は実行
       する価値がある。

      g:生産現場には、まだまだ効率化の余地がある。3人1チームでQC
       活動を展開し、効率化に寄与したチームには報奨金を支給する制度
       を導入すれば、従業員のモラールアップにも効果がありそうだ。

      h:リストラとも受け取られかねない。従業員の反発は必至である。

      i:パンフレットを必要とする取引先は多く、たとえ廃止しても効果は小さい。

      j:効果は小さいが、従業員のコスト意識を高めることに一役買いそうだ。

    【STE P4:実行策の選択】

     STE P3までは設定した個別課題を解決できるかという視点で検討して
     きましたが、最終的に実行策を選択する際には、それらを総合して「利益
     率低下を脱するための打開策立案」という総合的な視点で行います。

     そしてどのくらいの期間でどのような体制で行うかという基本プランを策定
     していきます。

     結局A杜では表のような6つの基本プランが策定されました。

   社内に生じるさまざまな課題を解決するための手法として活用をお勧めします。

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事業アイディア

            

事業アイディア

  アイディアを生み出すフレーム

   社長のなかには常日頃から新しい事業アイディアを考えている方も多いでしょう。

   たとえ現業が好調であってもその状態がいつまでも続くとは限りません。

   次のステップを見据えた事業アイディアはつねにもっておきたいものです。

   ここでは新しい事業アイディアを生み出すためのポイントについてご紹介します。

  1.自社が「何屋(業種)」であるかを再定義する
     事業アイディアを考えるときには、自社が「何屋」であるのか、つまり自社の商
     品・サービスによって顧客のどのようなニーズに応えようとしているのかを改め
     て考えてみる必要があります。

     たとえば、書店ではたくさんの本を売っています。

     普通に考えれば、本を売ることそのものが商売ですが、じつは、本を買う人は
     「モノ」としての本そのものが欲しくて買っているわけではありません(コト

     顧客は本を読むことによって新しい知識を得たり、感動することを期待して本
     を購入しているのです。

     このように考えると、書店とは単純に「本屋」ではなく、「知識提供業」、「感動提
     供業」であることがわかります。

     同様に考えると、パソコン販売店は「計算処理支援業」、「インターネット環境提
     供業」であり、住宅販売業は「快適な生活空間提供業」、「家族の団らん提供
     業」などと定義づけることができます。

     このように自社が現在行っているビジネスの本質を考え、その守備範囲をでき
     るだけ広く捉えることによって、新たな事業アイディアを発見する可能性が高ま
     ります。

   2.価値は3層構造で考える
     前述のように顧客は商品そのものではなく、その商品がもたらす効果に価値
     を感じています。

     この価値を3つの視点でさらに分解して考えることで事業アイディアの発想が
     広がります。

     たとえば本を例にすると、第一の価値は想定する顧客の読みたい内容になっ
     ているかという「本質的価値」です。

     顧客ニーズに本当に応えているかどうかという、もっとも重要な部分です。

     すぐに犯人がわかってしまうような推理小説は誰も買いません。

     第二の価値は手にとってみたいと思わせる形状、デザイン、材質になっている
     かという「付随的価値」です。

     物質としての本そのものの「つくり」が好ましいかどうかということです。

     あまりに文字が小さい本や持ち運ぶのに苦労する重たい本は敬遠されます。

     第三の価値は本が売られている「状況的価値」です。

     書籍の分類方法がわかりにくかったり、欠品していたりすると当然売れる確率
     は低下します。

     自社で扱っている商品の価値をこれらの3つの階層で捉えて、それぞれの階
     層で顧客が本当に欲している価値を生み出しているかを考えることも事業アイ
     ディアの発見に役立ちます。

     なおこの分析は新しい事業アイディアの創出だけでなく、既存事業の改善にも
     つなげることができます。

     ◎価値の3層構造 

     ◎事業アイディア創出の視点
      ・本質的価値
       求められるレベルの品質になっているか、違う価値を生み出すことは
       できないか など

      ・付随的価値
       パッケージやデザインは適切か、商品の説明が十分になされて
       いるか など

      ・状況的価値
       品揃えや販売手法は適切か、店頭販売のほかにデリバリー販売も
       可能か など

   3.2種類の顧客ニーズを考える
     さらに商品の価値を顧客ニーズの視点から2つに分けて考えることも有効で
     す。

     顧客ニーズを大きく2つに分けると、
      ・価値創出型ニーズ(やりたいことができるようになるニーズ)
      ・問題解決型ニーズ(やりたくないことをやらなくてすむニーズ)
     となります。

     普及が進んでいるハイビジョンテレビなどは、「より高画質でテレビがみられ
     る」という価値創出型ニーズと、大画面であるのに省スペースという問題解決
     型ニーズを同時に満たしています。

     またこれも普及が進んでいる食器洗浄機や洗濯乾燥機などは皿洗いや洗濯
     といった、できればやりたくないことを代わりにやってくれる典型的な問題解決
     型の商品です。

     自社で扱っている商品にちょっとした工夫をすることで、これまでできなかった
     ことも同時にできるようになったり(価値創出型)、面倒な手順が省力化できる
     (問題解決型)こともあるかもしれません。

     ここにも事業アイディアのヒントがありそうです。

     ここまでは自社の商品をさまざまな角度から捉えることによって事業アイディア
     を創出する方法について解説してきましたが、まったく新しい発想を得るため
     には日頃からの情報収集活動も欠かせません。

     事項以降では効果的な情報収集の方法について解説します。

  世の中全体のトレンドを把握する

   1.事業化のフィルターを通した「ネタ帳」を作る
     我々がテレビや新聞、インターネットなどで毎日受け取る情報量は膨大です。

     情報を受け取ったときには「なるほど」と感じても、放っておけばどんどん忘れ
     てしまいます。

     しかし、事業アイディア創出のためには、これらの情報に接する際に常日頃か
     ら「自社のビジネスに結びつかないか」というフィルターを通して接することが
     大切です。

     こうすることで膨大な情報から事業化のヒントになりそうな情報のみを抽出し、
     その他の情報とともに忘れてしまうことを防ぐことができます。

     ちょうど新聞をスクラップするように有益な情報のみを蓄積していくわけです。

     そして、抽出した情報は端的なキーワードなど、何らかの形で記録として残し
     ます。

     実際に事業アイディアを考える際の「ネタ帳」として活用するためです。

   2.業界情報だけではなくトレンドにも注目する
     それではどのような情報を「ネタ帳」として残していけばよいのでしょうか。

     すぐに思いつくのは、自社が属している業界の情報でしょう。

     同業他社の新商品などの情報は、当然気になるところです。

     実際にこれらの情報に注目し、業界紙や専門誌を購読している方も多いでしょ
     う。

     しかし、まったく新しい発想を得るためには、世の中全体の流れ、つまりトレン
     ドに関する情報収集も必要です。

     ビジネスとして広く受け入れられる事業アイディアを生み出すには、世の中全
     体のトレンド(時流)に関する情報にも敏感になる必要があるのです。

     たとえば、トレンドとしてすっかり定着した「癒し」という言葉について考えてみ
     ましょう。

     「癒し」という抽象的な言葉からは一見するとビジネスアイディアは浮かんで来
     ないように思えます。

     しかし、実際には最近は「癒し」を目的にしたビジネスがいずれも好調です。

     たとえば「ペット関連ビジネス」、「マッサージ」、「岩盤浴」、「家庭用プラネタリ
     ウム」、「自然食レストラン」、「アウトドア関連ビジネス」、「絵本」などさまざま。

     それぞれ売る商品やサービスそのものは違っていますが、ストレス社会に生き
     る現代人が強くもっている「癒されたい」というニーズに応えようとしている点は
     共通しているわけです。

     ◎トレンドをベースにさまざまなビジネスが興隆 
       このように考えると、
        ・自社の現状のビジネスに「癒し」という付加価値をつけられないか
        ・新規事業として「癒し」ビジネスに取り組めないか
       を検討することが事業アイディアの創出につながるとわかるでしょう。

       ちなみに「癒し」以外に最近注目されているビジネスに応用が利きそうな
       キーワードとしては、

       たとえば、
        「健康」、「安全・安心」、「少子化」、「シルバーエイジ」、「いきがい」、
        「3R(リサイクル、リユース、リデュース)」、「ロハス」、「地産地消」、
        「アンチエイジング」、「温暖化」
       などがあげられます。

   3.同じトレンドのなかでもニーズは微妙に変化する
     「癒し」についてもう一度考えてみると、少し前までは庶民の間では景気回復
     の実感などなかったから、基本的には「癒されたい、でも安く」というニーズが
     主流だったでしょう。

     しかしながらようやく景気回復の実感をもてるようになった人のなかには、「高
     くてもいいから癒されたい」という人も増えているでしょう。

     同じトレンドのなかでも必要とされるニーズは微妙に変わっているのです。

     このように、「世の中全体のトレンドは何か」、「そのなかで今必要とされている
     ニーズは何か」、「そのニーズに自社がどのように対応していくか」を考えること
     は事業アイディアを考えるうえで非常に有益なのです。

   4.トレンドとブームを取り違えない
     トレンドと似たような使われ方をする言葉に「ブーム」というものがありますが、
     事業アイディアを考えるうえでこの2つの概念は分けて考える必要がある。

     トレンドとは先にあげた「癒し」のようにはっきりとした根拠があり、長期的に安
     定した広い分野の需要が見込めるものだと考えることができます。

     一方ブームとは、確かにはやってはいるがその根拠がよくわからなかったり、
     極めて短期間に劇的に盛り上がる反面、ピークを越えると急速に消えていく一
     時的な現象のことです。

     事業アイディアに結びつきそうな世の中の現象を「トレンド」と捉えるか「ブー
     ム」と捉えるかによってその対応の仕方はまったく変わってきます。

     トレンドと捉えるのならば、じっくりと腰を落ち着けて長期的・本格的に取り組む
     価値があるでしょう。

     しかしブームと捉えるのであれば、事業化は見送るほうが無難でしょう。

     なぜなら「ブーム」に気づいた段階から自社が追随しても実際に事業化できる
     ころにはそのブームは終焉していることがほとんどだからです。

     自社にそのブームをとらえるだけの経営資源がすでにあり、ほとんど時間的ロ
     スがなく事業化できるといった特殊なケースは除いて、ブームに便乗した事業
     化は失敗する確率が高いといえるでしょう。

     ◎トレンドとブームの違い

   5.逆張りの発想をもつ
     ここまでトレンドを把握した事業アイディア創出の大切さについて述べてきまし
     たが、ときにはあえてトレンドと逆張りの発想をもつことが有効なこともありま
     す。

     ここで逆張りの発想の典型例を紹介しましょう。

     ある靴の貿易商の話です。

     嵐で船が流されて、文明の発達から取り残された離島に漂着してしまいまし
     た。転んでもただでは起きない貿易商は、その島で靴を売ることを思いつきま
     す。しかし出会う島民はみな裸足です。この島では「靴を履く」という習慣がま
     だないのです。

     つまりこの段階ではこの島のトレンドは「素足」なのです。

     そのときその貿易商は次のどちらの感想をもつでしょうか?
      @靴を履く習慣がない人たちを相手にしても仕方ないとがっかりする
      Aまだ誰も靴を履いていないということは、この島の靴の市場を独り
        占めできる可能性がある

     あくまでトレンド重視で考えれば貿易商の選択肢は@しかありません。

     しかしあえて自らがトレンドを切り開く(靴文化を根付かせる)という気概があれ
     ばAを選択し、大成功を収めることができる可能性もあるわけです。

     これとは逆にトレンドとしては終焉を迎えつつあり、同業他社が相次いで撤退
     している市場にあえて参入するという方法もあります。

     たとえば、レコードプレイヤーはあっという間にCDプレイヤーにその座を奪わ
     れましたが、一部のコアなオーディオファンのなかにはいまだにレコードプレイ
     ヤーの「柔らかい音」から離れられない人たちがいます。

     急速に市場は縮小したとはいえ、消滅したわけではありません。

     撤退企業を尻目にあえて参入し、小さい市場を独り占めすることも可能なので
     す。

  □地域特性を把握する

   1.地元の特性を理解する
     事業アイディアを考える際には、その地域の特性を把握することも欠かせない。

     とくに中小企業の多くは地元を基盤に活動しているので、そこに住んでいる人
     や企業の特性をできるだけ正確につかむことが大切です。

     世の中全体のトレンドを把握したうえで、活動する地域の特性に合わせて事業
     アイディアを修正する必要があるのです。

   2.こんなに大きい地域格差
     極端な例をひとつご紹介しましょう。

     総務省が発表した「家計調査」(平成16年〜平成18年の1世帯当たり年間の
     支出金額)によれば、県庁所在地のなかでもっとも喫茶代が使われているの
     は岐阜市で金額は16,845円、もっとも少ないのは宮崎市で2,359円でした
     (全国平均は5,275円)。

     岐阜市では実に宮崎市の7倍以上の支出をしているわけです。

     岐阜市の1回あたりの喫茶代が極端に高いとは考えにくいので、岐阜市民は
     とにかく頻繁に喫茶店に通っていることになります。

     一方、同じく総務省による「事業所・企業統計調査」で両市の喫茶店の数(平
     成16年)をみてみると、岐阜市は3,446店で、宮崎市392店の9倍近い喫茶
     店がひしめきあっています。

     もし自社で新規事業として喫茶店ビジネスを展開することを検討するとしたら、
     基盤とする地域が、喫茶店に通う文化が十分に根付いているが競争が厳しい
     「岐阜市型」か、喫茶店文化は低いが競争が少ない「宮崎市型」かによって戦
     い方が大きく異なってくるはずです。

     このように事業アイディアを考える際には、実際にそれを展開する地域の特性
     を把握することが非常に大切なのです。

     なお、地域特性を把握するためには、すでにあげた「家計調査」や「事業所・企
     業統計調査」などのほかに「国勢調査」も参考になります。

     国勢調査では平日昼間の人口や住んでいる人の数が市町村単位でわかるの 
     で、自社の商圏が「ビジネス街型」なのか「ベッドタウン型」なのかの傾向をつ
     かむことができます。

     さらに、朝日新聞社が発行している「民力」という書籍も非常に参考になる。

     「民力とは生産・消費・文化などの分野にわたって国民が持っているエネル
     ギーである」と定義されており、都道府県別・商圏別の各種データのほか、独
     自の指標として「民力総合指数」が掲載されています。

     自社の基盤である商圏の特性を把握するうえで、大変参考になるでしょう。

      家計調査報告(家計収支編)平成29(2017)年

      平成18(2006)年事業所・企業統計調査

      平成27(2015)年国勢調査


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自社の原点

          

自社の原点

  ■経営理念とは異なる
   「自分たちはこうありたい」「社会に対してこのような貢献をしたい」といった
   自社が存在する意義を明文化したものが
営理念です。
   企業の存在価値とは、顧客への価値を届けることであり、商品やサービスを通して
   実現されます。
   これらの提供する商品やサービスとは、買い手、すなわち顧客が喜んで支払うもので
   なければ価値を生み出せません。


  □企業の原点(存在価値)  
   企業の原点は「企業の存在価値」にあります。
   企業の存在価値とは「社会が求めていることと、その企業の持ち味の接点」です。
   いくら自社が得意とすることであったとしても、それが社会から求められていなければ
   存在価値はありません。  
   事業の目的と手段は異なります。
   目的を達成するための手段は時代の変化とともに変わっていくが、本質的な目的は
   短期間ですぐに変わるものではありません。
   その目的の達成が、企業の存在価値につながっていくはずである。

  □創業の原点

   どんな会社にも、事業を開始した“最初の日”があります。

   看板は掲げたけれども、本当にお客さまに来ていただけるのか、あるいは商品を
   買っていただけるのか。

   そんな不安がある中で、「こんなふうにお客さまに喜んでいただきたい」「自社の
   商品で社会に貢献していきたい」といった強い想いがあったはずです。

   逆に言えば、事業を始める前には、この“想い”しかなかったのです。

   この想いが、企業の「創業の原点」です。

   企業の不祥事は、この原点を忘れるから起こるのです。

   最初から「お客さまをだまして儲けてやろう」だとか、「商品をごまかして売って
   しまおう」といった想いではなかったはずです。

   しかし、長い時間、企業を経営していく中で、創業の原点が希薄になり、忘れ
   去られてしまった結果、不祥事につながることがある。

   経営理念などに、創業の原点や想いが表現されている企業も多い。

   言行一致、すなわち「言」に当たる「経営理念」「社是」「社訓」と「行」に当たる
   「日常の現場レベルの行動」が一致していなければならないのです。

   企業の不祥事は言行一致ではなく、言行不一致が引き起こしているものなのだ。

   1.原理原則(不易)で考える

     「不易流行」とは江戸時代の俳人・松尾芭蕉の言葉である。

     「不易」とは、どんなに時代や環境が変わったとしても、変えてはならない
     ものを言います。

     まさに、創業の想いや原点がこれに当たる代表的なものです。

     社是、社訓といった家訓の流れをくむものも、この不易の範疇(はんちゅう)に
     入るでしょう。

     また「流行」とは、時代や環境が変わるにつれ、変えなければならないものを
     指します。

     戦略や戦術、取り扱う商品やサービス、販売方法や販売チャネルなどがこれに
     当たるものです。


     「原理」とは、どんなに時代や環境が変わったとしても、変えてはならない

     ものを言います。

     まさに、創業の想いや原点がこれに当たる代表的なものです。

     社是、社訓といった家訓の流れをくむものも、この原理不易の範疇(はんちゅう)に
     入るだろう。

     また「流行」とは、時代や環境が変わるにつれ、変えなければならないものを

     指します。

     戦略戦術、取り扱う商品やサービス、販売方法や販売チャネルなどがこれに
     当たるものです。

     変えてはならないものを、変えてしまう。

     変えなければならないものを、変えようとしない。

     こうした姿勢が企業のバランスを危ういものにしてしまうのです。

     変えなければならないと思っているにも関わらず、変えていないものはないだ
     ろうか。

     あるいは、本当にこれを変えてもよかったのかと不安に思っている点はない
     でしょう
か。

     ぜひ、この二つの着眼で、経営に関する判断基準を再考していただきたい。

   2.自社の事業領域を考える

     「モノ」を売り続けなければならないと考えると、肉体的にも精神的にも疲労
     するだけでしょう。

     そのモノがどういう価値を提供しているのか、その点を押さえておく必要があ
     るのです。

     創業の時には、そのモノ自体を売ることが目的ではなかったはずだ。

     そのモノを通じて、社会にどう貢献していくのか、そこに事業の目的があったは

     ずです。

       「モノ」ではなく「コト」、「価値」の提供であり、そこに企業の存在意義
     があるのです。

     簡単に言えば、自社が「何屋さん」であるのか、そのことを役員や社員はどう
     認識しているのかが重要なのである。

     例えば、旧日本国有鉄道(国鉄、現在のJR)には、「お客さま」という言葉が
     存
在しなかったと言われています。

     これは国鉄が自社の事業をどのように認識していたかに深く関係する。

     国鉄は自らの事業を「鉄道業」と認識していた。

     鉄道そのものが事業であり、2本のレールとその上を走る列車が重要であっ
     た。

     したがって「お客さま」はレールと列車を利用する者、というわけで、国鉄では、

     「利用者」と呼んでいました。

     鉄道業そのものを事業とし、目的とした結果であった。

     もし、これを「安全かつ快適、スピーディーに人々の移動を支援する」ことを
     目的ととらえていたら、どうだったでしょう。

     快適さを追求するために、お客さまに対するあいさつや、トイレの清潔さを

     保つなど、打つべき手が変わっていたかもしれません。

     事業そのものを目的とすると、視野が狭くなり、柔軟な発想が難しくなります。

     事業を目的達成のための手段としてとらえることが必要なのです。

     国鉄の場合は、「安全、快適、スピーディーな移動の支援」を目的とし、それを

     具現化するための手段として「鉄道」という事業がある、ととらえるべきであっ
     たのかもしれない。

     このことは、どのような業種・事業にも当てはまります。

     製薬メーカーであれば「健康」という目的を実現するために、「医薬品」という
     手段を提供する。

     また、喫茶店であれば、「安さ」や「早さ」を目的にする店もあり、また

     「ゆったりとしたくつろぎ」「豊かな時間」を目的とする場合もあるでしょう。

     この場合の手段は、コーヒーや紅茶です。

     商品やサービスは、あくまでもその店の目的を達成するためのものなのです。

     日本を取り巻く環境が大きく変化しようとしている今こそ、再度、原点に立ち

     返って事業を見つめ直すタイミングではないでしょうか。

     創業の想いや目的から大きく逸脱してはいないだろうか、ましてやそれが
     忘れ去られてしまっているようなことはないだろうか。

     もう一度原点に立ち返って、問い直していただきたい。

  □企業の原点 
   「企業の原点」とは、言い換えれば「企業の存在価値」です。

   自社は何のために、この世の中に存在するのか、あるいは社会に対し、どのような
   価値を提供しているのか。

   今この世に存在する限りは、何らかの価値があるのです。

   逆に言えば、自社がなくなると、どこの誰が困るのか。

   そこに、企業の原点があるのです。

   どの企業にも原点がある。

   創業しようとした日には、今あるような経営資源はなかっただろうし、あったのは
   創業にかける想いだけだったはずです。

   ただし、ややもすると時間の経過とともに創業の想いが薄れ、異なった行動をとる

   ことも多くなるでしょう。

   これが、企業不祥事の芽となっていくのです。

   前述した「言行一致」ではなく、「言行不一致」です。

   1.経営理念ビジョン

    「経営理念」と「ビジョン」は、意味するものが異なります。

    経営理念とは、その企業の目的、存在価値を言い表したものであり、不易流行の
    “不易”に当たるものです。

    ビジョンは目標であり、3〜5年先の売上げ規模や社員数を表す「定量ビジョン」
    と、社風や風土を表す「定性ビジョン」があります。

    ある企業のトップが、「わが社は時価総額世界一になる」と高々に宣言したと

    します。

    しかし、時価総額世界一になるというのは単なる目標であり、世界一になるという
    ことが事業の目的そのものではありません。

    そして、その企業は迷走し、最後には不祥事を起こしてしまうでしょう。

    「不易流行」の考え方で、これらを整理すると、次のようになります。

     不易:経営理念、創業の精神、企業使命、経営哲学、企業文化

     流行:ビジョン、戦略、組織、管理システム、企業内の諸制度

    経営理念は、その企業に属する全社員が持つべき価値判断基準であり、日常の
    行動の中で「判断のモノサシ」として活用されるべきものです。

    単に経営理念があるというレベルではなく、日常の仕事の中で経営理念を判断
    基準として使っているというレベルを求めたいものです。

   2.経営理念の時代適応

    経営理念は「不易」であると述べました。

    しかし、現代は目まぐるしく変化しており、明らかに時代にマッチしていなければ
    価値がなくなります。

    少なくとも、次に示す八つの視点で検討し、ギャップがある場合には、時代や
    マーケット、社員の心にマッチした理念に再設定してほしい。

    ●経営理念再設定のポイント

     (1)主力商品の提供する価値は何か

     (2)主力商品の市場における位置づけと今後の見通しはどうか

     (3)主力商品のライフサイクル(成長期、成熟期、停滞期、衰退期)はどこか

     (4)真の顧客は誰か

     (5)真の顧客が求める真のニーズは何か

     (6)創業の精神は何か

     (7)人に対する考え方はどうか

     (8)地域・社会に対する責任はどうか

    これらを総合して、今後必要となる精神的なよりどころ、経営のバックボーン
    を策定する。

   3.経営のバックボーン

     経営理念が明確になっただけで、企業がよくなるわけではない。

     確固たる経営のバックボーンが必要となります。

     バックボーンとは「背骨」である。

     人間が2本足でしっかり立つことができるのは、この背骨のおかげなのです。

     企業もこれと同じです。

     正しく自立できる企業には、しっかりとしたバックボーンが存在するのです。

     経営理念(企業使命)をビジョンに、また年間での目標や行動を明らかにした
     年度方針へと落とし込む。

     そして、これらを具現化するための日常活動については、計画・実行・検討・
    対策というマネジメントサイクルで表現できるのです。

    こうした活動の成果や結果を管理し、評価し、分配するといったトータルな活動の

    流れが「経営のバックボーン」となる。

    いかに優れた理念やビジョンがあっても、それが組織に浸透し、社員が十分に
    理解し、納得し、共感を得られるものでなければ、その存在は無意味なのです。

    このバックボーンを意識し、愚直に実行することでバックボーンはより太く、

    強固なものになっていくのです。

    創業の原点に立ち返り、経営理念から始まる経営のバックボーンを再度見つめ
    直してはいかがでしょうか。

  □事業領域は何か

   戦略やマーケティングを考える際に、「事業領域(ドメイン)」という概念を用いる
   ことがあります。

   事業領域とは簡単に言えば、「自社は何をする会社なのか」ということです。

   誰に対し(顧客)、何を(商品・サービス)、どのように(チャネル)提供して
   いくのかを定義づけたものとも言えます。

   創業者であれば、自ら興した事業であるため、事業領域はある程度明確なはずです。

   しかし、2代目、3代目と事業が承継されるうちに、事業領域の概念が希薄となり、
   「目の前にある商品を売ること」自体が目的となってしまうことも多いでしょう。

   壁にぶつかったときや不振が続くときなど、よく「原点に返れ」「根本を見直せ」
   と言われるが、まさしく事業経営も同じであり、ときには原点に立ち返り、「そもそも
   自社は何をする会社であったのか」を再度確認することが必要です。

   1.ニーズとウォンツ

     ニーズとウォンツは混同して使われることが多いようです。

     今一度、その定義を確認すると、「ニーズ」とは欲求であり、「ウォンツ」とは
     欲求を満たすためのものを言います。

     「のどが渇いた」はニーズであり、ミネラルウオーターやスポーツドリンクが、
     この場合のウォンツになります。

     事業の原点はニーズがきっかけになることが多いです。

     世の中にこんなものがあったら便利だろう、こんなサービスを使ってもらえば、
     今、困っている人を助けられるのではないか。

     これらは人々が持っている欲求をどうすれば満たすことができるのか、
     どうしたら解決できるのかという視点です。

     ただ、時として原点であるニーズを忘れ、ウォンツを提供することが目的化

     してしまう場合があります。

     これを「マーケティング近視眼」と言い、意外に多くの企業でこの状態が
     見られます。

     どうしても人間は目に見えるものに意識を奪われがちです。

     目に見える商品、製品を売ることが事業の目的となってしまうのです。

     先述した後継経営者は、まさにこの状態です。

     アメリカの鉄道会社も、このマーケティング近視眼により衰退が始まったと
     言われています。

     本来、「人やモノを安全に快適に運ぶ輸送業」であるべきはずの自らの事業を、

     「鉄道業」と定義づけた結果、長距離バスやトラック、航空機に顧客を
     奪われていったのです。

     そしてアメリカの鉄道会社の事業領域をそのまま取り入れたのが日本の国鉄
     だったのです。

     その結果、どうなったのかは、すでに解説した通りです。

     もう一つ、分かりやすい事例があります。

     アメリカで映画を製作していたウォルト・ディズニーです。

     ウォルト・ディズニーは自社の事業の定義を「エンターテインメントの提供」
     としました。

     そのため、たまたま創業当時は「映画」という手段を使って社会にエンター

     テインメントを提供していたに過ぎません。

     決して、映画をつくって配給することを自社の事業の目的とはしていません
     でした。

     だからこそ、スクリーンという2次元の世界にいたミッキーマウスやドナルド

     ダックをディズニーランドという3次元の世界に登場させることができたのです。

     もしウォルト・ディズニーが事業の定義を「映画をつくること」としていたら、
     より面白く楽しい映画をつくったかもしれないが、ディズニーランドはこの世に
     存在しない可能性が高かったでしょう。

   2.手段と目的

     ニーズとウォンツを、それぞれ「目的」と「手段」ととらえてもよいかも
     しれません。

     自社が社会に提供する価値を目的とし、それを実現するものが手段となります。

     手段を売ること自体が目的となってしまうと、単なる「モノ売り」と化して
     しまいます。

     この場合、現象面では、粗利益率の低下という問題が表出します。

     なぜならモノを売ることが目的となるため、利益を削ってでも販売してしまう
     からです。

     また、目的を実現するものが手段であり、その方法は複数あるはずです。

     “近視眼”と言うように近くしか見ず、視野も狭くなってしまっては、目の前に

     ある手段に固執し、新たな発想も阻害されてしまいます。

     もしアメリカの鉄道会社が目的を正しくとらえていたならば、事業展開は変わって
     いたのではないでしょうか。

     安全に快適に輸送する手段として、バス事業や航空機事業を展開していたかも
     しれません。

     かつて経験をしたことがない大きな変化にさらされている「今」こそ、あらためて

     原点に立ち返り、再度事業の目的を全社員が共有する必要があるのではないで
     しょうか。

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自社の存在価値

            

自社の存在価値


 ■創業

  個人の生活においても誕生日や結婚記念日などの節目に、その意義をかみしめて心を
  新たにしますが、
会社にも、事業を開始した“最初の日”があります。

  看板は掲げたけれども、本当にお客さまに来ていただけるのか、あるいは商品を買って
  いただけるのか。

  そんな不安がある中で、「こんなふうにお客さまに喜んでいただきたい」「自社の商品で
  社会に貢献していきたい」といった強い想いがあったはずです。

  逆に言えば、事業を始める前には、この“想い”しかなかったのです。

  この想いが、自社の「創業の原点」です。

  ■自社の原点

   自社の原点は「存在価値」にあります。

   企業の存在価値とは「社会が求めていることと、その企業の持ち味の接点」です。

   いくら自社が得意とすることであったとしても、それが社会から求められていなければ
   存在価値はありません。

   事業の目的と手段は異なるのです。

   目的を達成するための手段は時代の変化とともに変わっていくが、本質的な目的は

   短期間ですぐに変わるものではありません。

   その目的の達成が、自社の存在価値につながっていくはずです。

   1.原点主義から見た自社のあるべき姿

     自社の原点、創業時にどのような想いを持って事業をスタートしたのか。

     自社の存在価値である創業の原点を忘れかけてはいないだろうか。

     迷いや壁にぶつかったとき、原点に立ち返ることが必要です。

     その創業の原点、自社の社会的存在価値を「あるべき姿」とした時の、「現状

     の姿」とのギャップが課題であり、問題であるのです。

     問題を解決するということは、すなわちこのギャップを埋めることにあります。

     企業を取り巻く環境が大きく変化する今だからこそ、目先の変化に振り回され

     てはなりません。

     じっくりと構える意味でも、原点主義で自社の「あるべき姿」を考えてみる
     ことです。

   2.原点づくりで押さえるべきポイント
     原点主義で考えるに当たって、押さえるべきポイントは次の7点です。

     (1)押さえるべきポイント

       @主力商品の提供する価値は何か
        ここで言う主力商品とは、限界利益の大半を稼ぐ商品である。
        その商品が顧客に対し、どのような価値を提供しているのか。
        手段と目的を取り違えることなく押さえる。

       A真の顧客は誰なのか
        いくらよい商品やサービスを持っていたとしても、提供する顧客を誤ると
        真の価値は発揮されない。
        自社の強みを理解し、受け入れてもらえる顧客は誰なのかを押さえる。

       B日常業務処理のやり方の原点は何か
        再現性のない属人的業務処理では業績をつくることが難しい。
        仕組み、システムとしての業務処理の流れでなければならない。
        真の商品の価値、真の顧客が分かっていたとしても、提供の方法を誤れ
        ば成功しません。
        また、あくまでも全社視点からの業務処理の仕組み、システムでなければ
        ならない。
        たとえ営業部門だけがよくても、ほかの部門で問題があれば、正しい企業
        価値を発揮することはままならないのです。

       C人づくりの原点は何か
        商品、顧客、提供するやり方が正しいのであれば、残る課題はそれらを
        運用する人です。
        自社にとって「あるべき社員像」を明確にする。

       D地域社会に対する責任は何か
        コーポレート・シチズンと言われるように、企業も地域社会の一員である。
        納税や雇用といった形で地域に貢献するだけでなく、場合によっては一
        企業が地域を変え、活性化させる事例も多いのです。
        こうした責任についても、意識しなければならない。

       E創業の精神は何か
        社是、社訓、経営理念、社歌といった中に、「あるべき姿」として判断基準
        を表現することも多い。
        日常、当たり前のように目にしている社是や経営理念にも、存在価値の
        エキスが込められている。
        また創業の想いや、使命感を描いたものも多い。

       F@〜E以外の押さえるべきポイント
        品質、技術、サービス、ブランドといった自社固有の特性を押さえる。
        @〜Fの例のように、推測や抽象論ではなく、事実として押さえることが
        重要です。
        これらの事実を集約し、自社の「あるべき姿」、社会的存在価値を明確に
        する。

  □あるべき姿の“モノサシ
   人は判断するとき、必ず何らかのモノサシを使います。

   日常で何かを判断する場面においても、何種頼ものモノサシを使い分けているはず
   です。

   今日の昼食は何を食べようかという場面でさえ、「昨日は何を食べたか」「今日の体調

   はどうか」「財布に入っている現金の額は多いか少ないか」といった複数のモノサシが
   登場します。

   そして、最終的に食べるものを判断し、意思決定しているのです。

   前項では「あるべき姿」を考える上で、主力商品が提供する価値などの事実をつかむ
   ことについて解説しました。

   ここでは「あるべき姿」に迫るため、どのように、それらの事実を集約するのかについ

   て述べてみます。

   1.自社原点の整理判断基準
     まずは出てきた事実に対して、全社的な視野から見て、何が重要な判断指標
     になるのかを考えることです。

     それは、真の商品価値、真の顧客、あるいは創業の精神になるのかもしれま
     せん。

     日常の意思決定や行動を行うための「判断のためのモノサシ」として優先順位

     を決めるのです。

     顧客の視点で整理するのであれば、単に顧客第一主義や顧客満足だけでは
     なく、何によってそれを具現化し、何を事業の目的とするのかも、押さえたい。

     例えば、

     「なぜお客さまは自社を選んでいるのか」「どこに魅力を感じ、取引をしている
     のか」「もし自社がなくなってしまったら、お客さまは何に因ってしまうのか」「そ
     の中で自社が行動し、判断するために、何を−番重要と考えればよいのか」

     こうした一連の「問いの先」に自社のあるべき姿があり、この世に存在している
     価値があるのである。

     これらが理念体系として整理され、それに沿って全社員が行動するところに、

     企業としての強さが生まれます。

     自社がこの世に存在する以上、必ず何らかの価値があるはずです。

     その価値が自社の特徴であり、企業存続の原動力になっているのです。

     もし、内部からの視点で見つけられなければ、先に述べた顧客の視点で考え
     てみると、発見できる可能性は高い。

   2.「あるべき姿」や「理念」を使う
     「あるべき姿」「行動するための重要指標」が決まったとしても、そこに“ある”だ
     けでは何も生まれない。

     「行動する」、すなわち、あるべき姿、理念を使うことが必要です。

  □あるべき姿の伝え方

   ●変化の軸をブレさせない(言行一致)
     前項では、日常の中で理念を判断基準として使うことを解説しました。

     言行一致、すなわち「言=企業原点、経営理念、志」「行=戦略、戦術、日常
     の行動」が一致することが重要です。

     経営理念や志は時間の経過に伴って簡単に変わるものではない。

     一方、戦略や戦術は時代の環境変化に合わせて変わるべきものです。

     だが、その変化の軸に「言」があることを忘れてはならない。

     では、あるべき姿はどう伝え続けていくのか。

  □ある会社の「CS(顧客満足)マニュアル例」
   あなたの過去の生き様、価値観、考え方は一人ひとり皆違います。
   これは、いたしかたないことです。

   なぜなら、今まであなたは固有の経験をし、固有の体験をして、
   そのたびに考え、判断し、意思決定し、新たな経験、体験の中で
   それを活かし、より良い道を選択しようという生物が持つ本能であり、
   人としての本質であるからです。

   ただ、あなたが働く組織の中で考えた場合はどうでしょう?
   皆がバラバラの考え方、価値観で、それぞれが勝手に動けば、組織
   は崩れてしまうでしょう。

   本来組織は放っておけばバラバラな集団となってしまうのです。
   そうならないために、皆さんが納得し、公正、公平に従業員としての
   満足を感じるためになくてはならないものなのです。

   では、どうやって「心構え」(経営理念をブレークダウンしたもの)を
   活かしていけば良いのでしょう?
   日常の仕事の中ですべての場面で活かしていただきたいと思いますが、特に、
   次のようなシーンでは、この「心構え」を是非声に出してみてください。

    ・お客様に挨拶、お声掛けをするとき

    ・お客様との応対時、どうしよう、困ったなあと感じたとき
    ・仕事に対する迷いがあるとき
    ・お客様からクレーム、上司から叱られてしまったとき
    ・朝仕事に行きたくないなと思ったとき
    ・壁にぶつかったとき
    ・つらいなあと感じたとき
    ・朝、家を出て今日が始まるとき

   ●すべてはひとりのお客様から始まった

    どんな会社にも創業の日があります。

    当社も同じです。
    開業初日、お客様をお迎えするために、最初のドアを開けた日があり
    ます。
    お客様が入店されます。
    それは当たり前のことなのでしょうか?
    ○○社(自社)というサービス業を創業しようと決意した日にはお客様は
    存在しないはずです。

    また、こんな会社にしようと語りかける社員はいないはずです。

    あるのはこんな会社、集団にしたいと思うトップの気持ちだけです。

    いろいろな迷い、希望がある中で、その思いを目一杯凝縮させたものが
    経営理念です。

    それだけ重いものです。

    当社で過ごすとき、また当社のメンバーであるときに「姿勢」として、持って

    いてもらいたい「あるべき姿」を表したものが経営理念であり、当社のメン
    バーとして、最大の「判断のモノサシ」としていつも心に置いておいてもら
    いたいものなのです。

    時間があるから働きたい、お金のために働きたい、当社が好きで働きたい、

    いろいろな人がいます。

    組織は統一体となって始めて本当の力を発揮します。

    組織をまとめるために、皆が同じ方向を見るために経営理念はどうしても
    必要なものです。

   ●「言」と「行」を結び付ける(言行一致)

    このマニュアルには、ほかに「あいさつ」や「電話応対」「クレーム対応」を記載
    し、CS(顧客満足)マニュアルとして整理してある。

    抜粋で引用した文章は、マニュアルの冒頭に掲載されている。

    すべては企業原点にあるという想いが経営理念の中に表現されており、日常の

    行動でどう示せばよいのかを、このマニュアルは伝えているのです。

    「言」と「行」を日常の中で意識し、両者を結び付けていくことが必要なのです。

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自社の存在意義

                        

自社の存在意義(価値)

 

  企業の存在意義(価値)は経営理念とは異なるものです。

  たとえば、「地域社会に貢献する」などの経営理念をよく見かけますが、存在価値とは、
  こうした経営理念とは異なります。

  『経営理念』は、経営者の心の中の叫びといえます。

  心の叫びが実を結ぶためには、自社の行っている事業が、理念に合致した存在価値を
  持たなければいけません。

  また、心の叫びが、経営目標、たとえば「売上の○%を地域の○○に寄付する」といった
  具合に具体化されていなければ、地域社会に貢献するという言葉はウソ
になります。

  事業に存在価値のない会社が、一種、見栄のため、このような目標を立てた場合、
  一定期間は続くかもしれませんが、確実に短命に終わります。

  「うちの創業は江戸時代です」を存在価値としていた和菓子店があります。

  しかし、周知のとおり、暖簾(のれん)だけで商売ができる時代ではなくなりました。

  暖簾はもはや過去の信用になってきたからです。

  大切なのはこれからの新しい信用の構築です。

  これこそが必要となる存在価値です。

  そして、その存在価値は、たとえば和菓子店であれば、和菓子という製品に表れて
  きます。

  そして製品の製造販売に携わっている人の行動に表れてきます。

  だから、存在価値が明確な会社は、みな元気がいいのです。

  ちなみにこの和菓子店は、ちょうど世代交代の時期も重なり、1年半をかけて事業の
  承継を行うと共に、これからの信用を生みだす製品を企画開発しました。

  仮に、存在価値が明確にならない場合でもあきらめる必要はありません。

  考え抜くことです。

  その際、嘘偽りの存在価値だけは掲げてはなりません。

  存在価値は、会社にとって重要な資産だからです。

  ■企業の存在価値

   会社の原点は「存在価値」にあります。

   会社存在価値とは「社会が求めていることと、その会社の持ち味の接点」である。

   いくら自社が得意とすることであったとしても、それが社会から求められていなければ
   存在価値はありません。

   事業の目的と手段は異なります。

   目的を達成するための手段は時代の変化とともに変わっていくが、本質的な目的は
   短期間ですぐに変わるものではありません。

   その目的の達成が、企業の存在価値につながっていくのです。

  □創業時の精神から見た自社のあるべき姿
   自社が創業時にどのような想いを持って事業をスタートしたのか。

   自社の存在価値である創業の精神を忘れかけてはいないだろうか。

   迷いや壁にぶつかったとき、創業の原点に立ち返ることが必要です。

   その創業の精神、自社の社会的存在価値を「あるべき姿」とした時の、「現状の姿」
   とのギャップが課題であり、問題なのです。

   問題を解決するということは、すなわちこのギャップを埋めることにあります。

   企業を取り巻く環境が大きく変化する今だからこそ、目先の変化に振り回されては
   なりません。

   じっくりと構える意味でも、創業時の精神に立ち返り自社の「あるべき姿」を考えてみて
   もよいのではないでしょうか。

   「ヒトなし、モノなし、カネもない、実績がないから信用もない。」ないないづくしの創
   業経営には創業の精神という素晴らしい財産があります。

   残念なことですが、そのことに気づかない経営者も少なくありません。

   熱意、創意、誠意の結晶が創業精神であり、創業精神を大切にする企業は繁栄し、
   粗末にする企業は粗末な末路を辿るのです。
    
  □創業の原点づくりのポイント
   原点主義で考えるに当たって、押さえるべきポイントは次の7点にあります。

    1.主力商品の提供する価値は何か

      ここで言う主力商品とは、限界利益(売上高から変動費を引いたもの)の大半を
      稼ぐ商品のことです。

      その商品が顧客に対し、どのような価値を提供しているのか。

    2.真の顧客は誰なのか

      いくらよい商品やサービスを持っていたとしても、提供する顧客を誤ると真の価値
      は発揮されません。

      自社の強みを理解し、受け入れてもらえる顧客は誰なのかを押さえることです。

    3.日常業務処理のやり方の原点は何か

      属人的業務処理では業績をつくることが難しいです。

      仕組み、システムとしての業務処理の流れでなければなりません。

      真の商品の価値、真の顧客が分かっていたとしても、提供の方法を誤れば成功
      はありません。

      また、あくまでも全社視点からの業務処理の仕組み、システムでなければならな
      いのです。

      たとえ営業部門だけがよくても、ほかの部門で問題があれば、正しい企業価値を
      発揮することはできません。

    4.人づくりの原点は何か

      商品、顧客、提供するやり方が正しいのであれば、残る課題はそれらを運用す
      る「人」です。

      自社にとって「あるべき社員像」を明確にします。

    5.地域社会に対する責任は何か

      企業も地域社会の一員です。

      納税や雇用といった形で地域に貢献するだけでなく、場合によっては一企業が地
      域を変え、活性化させる事例も多くあります。

      こうした責任についても、意識する必要があります。

    6.創業の精神は何か

      社是、社訓、経営理念、社歌といった中に、「あるべき姿」として判断基準を表現
      することも多いでしょう。

      日常、当たり前のように目にしている社是や経営理念にも、存在価値のエキス
      が込められているのです。

      また創業の想いや、使命感を描いたものも多くあります。

    7.1〜6以外の押さえるべきポイント

      品質、技術、サービス、ブランドといった自社固有の特性を押さえる。

      1〜6の例のように、推測や抽象論ではなく、事実として押さえることが重要とな
      ります。

      これらの事実を集約し、自社の「あるべき姿」、社会的存在価値を明確にします。
       
  □あるべき姿の“判断基準(モノサシ)”
   人は判断するとき、必ず何らかのモノサシを使います。

   日常で何かを判断する場面においても、何種頼ものモノサシを使い分けているはず
   です。

   今日の昼食は何を食べようかという場面でさえ、「昨日は何を食べたか」「今日の体調
   はどうか」「財布に入っている現金の額は?」といった複数のモノサシではかろうとし
   ます。

   そうして、最終的に食べるものを判断し、意思決定しています。

    1.企業原点の判断基準
      まずは出てきた事実に対して、全社的な視野から見て、何が重要な判断指標に
      なるのかを考えることです。

      それは、真の商品価値、真の顧客、あるいは創業の精神になるのかもしれない。

      日常の意思決定や行動を行うための「判断のためのモノサシ」として優先順位を
      決めるのです。

      顧客の視点で整理するのであれば、単に顧客第一主義や顧客満足だけではな
      く、何によってそれを具現化し、何を事業の目的とするのかも、押さえます。

      例えば、
       ・なぜお客さまは自社を選んでいるのか?
       ・どこに魅力を感じ、取引をしているのか?
       ・もし自社がなくなってしまったら、お客さまは何に因ってしまうのか?
       ・その中で自社が行動し、判断するために、何を−番重要と考えればよいのか?

      こうした一連の「問いの先」に自社のあるべき姿があり、この世に存在している
      価値があるのであるのです。

      これらが理念の体系として整理され、それに沿って全社員が行動するところに、
      企業としての強さが生まれます。

      「御社の特徴は何ですか」と問われたとき、あなたならどのように答えますか。

      この世に存在する以上、必ず何らかの価値があるはずです。

      その価値が自社の特徴であり、企業存続の原動力になっているのです。

      もし、内部からの視点で見つけられなければ、先に述べた顧客の視点で考えて
      みると、発見できる可能性は高くなります。

    2.「あるべき姿」や「理念」を使う
      「あるべき姿」「行動するための重要指標」が決まったとしても、お題目
      だけでは何も生まれません。

      「行動する」、すなわち、あるべき姿、理念を活かすことが必要です。


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当たり前のこと(原理原則)ができていない

             

ビジネスの基本となる原理原則を徹底


  当たり前のこと(原理原則)ができていない会社が多いのではないでしょうか。

  トップ自らが「忙しくて・・・」、「人がいなくて・・・」、「うちの業界は特殊だか
  ら・・・」と言い訳をすることが多いのです。

  関与先事業所の実態調査で、どの取引先がどのくらい利益を上げているのか、
  どの取扱商品が儲かっているのかを調べましたが、実際に管理しているのは、
  取引先別・商品別の売上高だけであり、利益については管理していない(デー
  タが整備されていない)状態です。
   
  ■継続は力  

   巷では営業に関する情報が氾濫していますが、多くが“インスタント”を売りにした
   言葉が飛び交っています。

   継続してこそ成果が出るといった言葉はそこにはありません。

   なぜなら、それではアナウンスしている商品・サービスが売れないからです。

   もちろん直ちに成果が出せるに越したことはありません。

   トップセールスマンなどのセミナーに参加し、どれだけの営業マンが成果を出し
   ているのか、はなはだ疑問です。

   かくいう私も過去に数多くのセミナーに参加した一人だからです。

   優秀な営業マンではなかった私にとって、収益アップのノウハウは垂涎の的だった
   のです。

   しかし、多くのセミナーに参加した結果どうだったのか?

   1、2ヶ月は気持ちも高揚し、モチベーションも高まり、参加した内容を試みました
   が上手くいきませんでした。

   そして、高揚した気持ちも冷め、「これではいけない」と思い、さらにセミナーに参
   加するといった繰り返しが数年続きました。

   それでは優秀な営業マンとそうでない営業マンの違いは何でしょう?

   優秀な営業マンが持っていて、そうでない営業マンが持っていないもの?

   それは、

    『センス+もうひとがんばり』 です。

   私見ですが、センスとはもって生まれた才能だと思うのですが、そのセンスに
   ついて朝日新聞(H.22.2.19記事)にこんな記事がありました。

     「オリンピック選手のDNAは特別か」

   そこには、日本人とアフリカ系の選手を調査したところ、瞬発力や持久力にすぐ
   れた選手はミトコンドリアDNA(細胞内で生命活動に欠かせないエネルギーをつ
   くり、母親からのみ引き継がれるDNA)を持つ割合が多いとのことです。


   それではセンスのない営業マンはどうしたらよいのでしょう?

   優秀な営業マンが持つセンスはムリにしても、我々にも『もうひとがんばり』はまね
   できるのではないでしょうか。

   人の心には「怠け癖」、「楽をしたい」、「手っ取り早く儲けたい」といった気持
   ちがうごめいています。

   このような気持ちがギャンブルや、ばくち的な金融商品に手を出し、最悪の結末に
   なった例を我々は多数見聞きしてきました。

   私たちはインスタント志向の強い社会に置かれています。

   電子レンジでチンするインスタント食品、コーヒーなど。

   しかし、インスタントな「成功」は滅多にありません。

  
   この『もうひとがんばり』を言い換えるなら、『仕組みをつくるための努力』と言っ
   てもいいでしょう。

   『仕組み』について簡単に言いますと、業務を標準化し、手順書(マニュアル)
   にすることです。

   優秀な営業マンは手順書がなくても、業務の手順を体(感覚)で覚えているのです。

   でも、数パーセントの優秀な営業マン以外の凡人営業マンは業務手順を文書に
   落とし、繰り返し手順書どおりに、体が覚えるまで繰り返し続けることです。

   これが『もうひとがんばり』の意味です。

   決して精神論的な「がんばり」ではありません。

   精神論でがんばることができる人は、やはりセンスに長けた少数の人しかいません。

   これらのことを踏まえ、凡人営業マンが収益を上げるには『もうひとがんばり』が
   欠かせません。

   結局のところ、平均的なこと、ほどほどのことをしていては、真の意味での効果や満
   足は得られないのです。
   
  ■プロダクト・アウトとマーケット・イン

   多くの企業が自社の販売・生産計画に基づいて、市場へ製品やサービスを投入
   する方法(プロダクト・アウト)をとってきました。

   国内の企業の多くが今日に至るまで、「良いものを作れば売れる」といった売り
   手側の視点での製造・販売してきましたが、海外では苦戦を強いられているよう
   です。

   要因は多々あるでしょうが、その中でも注目すべき点は日本製品のガラパゴス
   化と言われる「過剰な品質」にあるようです。

   そして、作ってからどこのマーケットに、どのように売るか(売り方)を決めている
   のです。

   これはたくさん売る(万人に)といったマスマーケティングの発想です。

   プロダクト・アウトと相反する言葉にマーケット・インがあります。

   これは、たくさん売るから確実に売るといった発想に基づいています。

   マーケット(消費者)のニーズを十分にくみ上げて、それを製品・サービスという
   カタチにして市場に出すという「はじめにマーケット(顧客)ありき」の考え方を言
   います。

   マスマーケティングと意を反するのが、市場の細分化により販売先を特定の顧客
   層に絞り込むターゲット・マーケティングです。

   マス・マーケティングと比べ、より「売る相手を知る」ことが求められるマーケティ
   ング手法といえます。

   さらに、「一人ひとりの顧客を知る」「一人ひとりの顧客に焦点をあてる」マーケテ
   ィング手法がOne to Oneマーケティングです。

   ワン・トウ・ワン・マーケティングでは、企業と顧客との一対一の関係づくりが重視
   され、各顧客のニーズに合った商品やサービスを提供し、顧客との長期的な関
   係づくりを目指します。

   お客様にとって、多くの選択肢の中から「自社を選んでもらうための違いをど
   こに見出
すか」という視点を抜きにしていては、マーケットイン、プロダクトアウト
   のどちらであれ、成果を上げることは難しいといえるでしょう。
 

  ■卵を一つの皿に盛るな

   会社にとって売り上げを上げることより重要なことは、会社をつぶさないことです。

   イギリスの有名な格言に、Don't put all your eggs in one basket (卵を一つ
   の皿に盛るな)があります。

   ここに卵が5個あり、それを盛りつける皿が一枚あるとします。

   この場合、5個の卵を一枚の皿の上に盛りつけて、
   その皿を落っことしてしまったら、たまご1.jpg卵の運命は
   どうなってしまうでしょうか。

   当然、皿が割れてしまうと同時に、卵も割れて 
   しまいます。

   もし、5個の卵を一枚の皿に盛りつけないで、
   一個づつ別々の皿に盛りつけていたら、皿を
   一枚落っことしても、その損害は卵一個ですみ
   ます。

   4個は無事安全で、全部の卵が割れることは 
   ありません。

   それと同様に、「一社危うし、一品危うし」があ
   ります。

   今置かれている環境が、得意先一社、一種類の扱い
   商品に自社の売上高を依存することは、「卵を一つの
   皿に盛りつけている」のと同じ状況なのです。

   得意先の意向にいいように使われ、度重なる要求も呑まざるを得ない状況になり
   かねません。

   世の中には、永久に売れ続ける商品など一つも存在しません。

   しかも、マーケットが成熟してくると、お客様が一つの商品に飽きるのが早く、必
   然的にライフサイクル(商品寿命)が短くなってきます。

   つくれば売れた時代は過去の話です。

   極端にいえば、昨日売れていた商品が、唐突にも今日には売れなくなり、今日売
   れている商品が、突然に明日には売れなくなるかもしれないのです。

   それほど商品のライフサイクルが短縮化してきているというのが、成熟期の特徴
   です。

   しかし、商品寿命の短かさを嘆いてみても始まりません。

   お客の好みとかニーズが常に変化するのは当たり前なのです。

   ならば、企業もまた常に変化し続け、お客様のニーズのありようを絶えず追求し
   ていく必要があります。

   ある特定の商品の売上が大きく、その他の商品の売上が小さい場合にも起こります。

   一つの商品の好調に酔い、次の商品の開発を怠る経営者は少なくありません。

   そこに「一品依存」の経営体質ができてしまうのです。 

   そのことを物語っているのが、最近の報道でもご存知のシャープの経営危機。

   危機の要因となったのが、亀山ブランドと呼ばれたシャープの液晶テレビです。


   一社との取引依存、一品依存、単品経営の恐ろしさは、売上減に対してのFail safe
   (安全装置)がなく、ニーズの変化に対して、会社を無防備状態に放置することです。

   主力商品は少なくとも三品は持っておきたいものです。

   そして、そのうちで最大の売上の主力商品でも、その依存度の比率は上限で
   20〜30%程度にとどめることが望ましいでしょう。

   これは最大の主力商品の売上をわざわざ落とし、その比率を30%程度の数字に
   することではなく、最大の主力商品の売上はそのまま維持し、その他の商品の売上
   を伸ばすことによって、最大商品の占める比率を相対的に低くすることを意味
   します。

   そのためには、小口の売上をバカにしないようにすることです。

   マーケットの成熟化という時代においては、需要が細かく細分化して、一つ一つの
   売上は小口化していきます。

   むしろ大口の売上は望外の幸せと考えて、小口の売上をコツコツと丁寧に拾い
   あげることが、何よりも大切になってきます。

   そうすれば、仮に最大売上を誇る主力商品のライフサイクルがつきても、最大でも
   売上の30%の損失ですみます。

   いや、小口需要を丁寧に拾っていれば、大きくカバーできることもあり、単品
   経営のように、会社全体の売上が根こそぎなくなってしまうという結果にはな
   らないのです。

   そして、もっと大事なことは、主力商品のライフサイクルが尽きることを想定して、
   次の新商品を用意周到に準備しておくことです。

   それを、旧商品の寿命がつきはじめた時期に発売すれば、売上減を招かなくて
   すみます。


   競合他社との競争がますます激化していく中で、中小企業が生き残っていく
   には大企業が手を出さない隙間市場をターゲットとし、他業種とのアライア
   ンス
やJV(ジョイントベンチャー)により、扱い商品・サービスの付加価値
   高めることです。


  ■問題点

   ○ 取引先別、商品別の利益に関するデータが
     整備されていない。

   ○ 販売先に対するリスク(与信)管理
     できていない。 商売ルール.gif

   ○ 社内での情報が共有化されていない。

   ○ 社内の環境整備が行き届いていない。

   ○ 挨拶が全員に徹底されていない。

   ○ パート、アルバイトの時間管理が徹底
    できていない。

  ■基本ができていない理由

   ○ 情報(データ)の重要性についての認識不足
    トップが情報管理の重要性およびその活用の
    有効性を認識していない

   ○ 売上重視への偏り
     トップが「売上重視」に固執しすぎると、「売上さえ上げればいいんだ」とい 
     うことになり、「利益をあげる」という商売の基本を忘れてしまう。

    「とにかく売上を上げよう」ということで、リスクを考えない販売をしていく
    ことになり、不良債権を抱え込む可能性が高くなります。

    商売をしていくうえで、「売上」は、とても重要です。

    売上がなければ会社は成り立ちません。

    「売上がすべてを癒す」というのは、社長の実感ではないでしょうか。

    売上が下がり始めてくると、とたんに不安に駆られるものです。

    しかし、売上は、代金を回収できて初めて 「売上」なのです。

    リスク管理ができないと、「売れども売れども赤字・資金繰りの苦労ばかり」
    ということになってしまうのです。

   ○ 個人の営業力への依存
     中小企業の多くが、会社の知名度が低いため、営業は個人の力によると 
     ころが大きく、会社として組織的な営業は無理だと考えてしまうトップが
     多く見られる。

     「優秀な人に付いていた顧客が逃げていってしまうのではないか」と考え、
     営業マンの担当先を替えることができず、優秀な営業マンのやり方が会
     社に広がっていく(営業の仕組み)ことがなく、会社としての営業ノウハウ
     が蓄積できずにいる。

     個人営業に依存しすぎず、会社としていかに 営業力を強化できるかを
     見据えた経営者の考え方と行動が必要なのです。

 

   ○ 顧客視点の欠如

    顧客視点がないと会社都合の行動がおこり、 商売の基本がおろそかになって
    いきます。


    売上を上げる為に、基本中の基本である基本動作(挨拶、電話対応、清掃、
    身だし なみ 等々)が重要視されず、基本動作の訓練に時間を取るよりも、
    商品を売る時間の確保が優先され、基本がおろそかになっていきます。

    基本動作しっかり とできていなくても、営業さえしていれば顧客は買って
    くれるはずだというように、都合のいいように考えてしまうのです。

    そして、会社の都合に 合わせた施策ばかりをとり、顧客がどんどん離れて
    いってしまう。

    社長が外部の視点・顧客の視点で自社を客観的に見て、自社にとって何が大切
    かをしっかりと認識することが重要なのだ。



   ○ トップの甘え
     ビジネスの基本的なことが徹底できない理由は、トップが本気になってい
     ないことが一番の原因ではないだろうか。

    上記の例のように、当たり前のことがきっち りとできていないとの自覚は
    あるが、「この程度できていればいいじゃないか」と妥協してしまうことが
    多いのです。

    「そこまでしなくてもいいじゃないか。賃金面で負い目もあるし、社員には
    徹底しづらいなあ」との意識があるのです。

    その甘えが徹底できないことの原因です。 甘えを捨てて社長が本気になって
    徹底しなければ、どんなこともできないのです。



  ■基本(原理原則)を徹底する

   ○現状を否定する
    過去の成功体験や業界の慣習が染み付いており、斬新な発想がしにくく
     なってしまう。

    他の業界では当たり前に行なわれていることも、「うちの会社では無理だ
    な」「うちの業界は特殊だから」と、できない理由をあげてしまう。

   ○ トップの覚悟と実践
     何事も実践して、定着させるにはトップが情熱を持ち、しゃかりきになって
     やらないとなかなか定着しません。

     どんなつらいことがあっても、やり抜くんだという覚悟を決めることが重要
     であり、やると決めたら、そこまでやるのかというくらい徹底する。

     「1つひとつのことをきっちりとやり切る」それを積み重ねていくことが、物
     事を定着させる唯一の方法である。

   ○ 1つのことを徹底する(凡事徹底)
    初めにあれもこれもと多くのことをやろうとすると、全部が中途半端に終
    わってしまうことがあります。

    まずは、ビジネスの基本である挨拶を徹底することです。

    ビジネスの基本となる「当たり前のことが当たり前にできている」ということ
    は、実は大変難しいことです。

    それができている会社は、とてもレベルが高く、業績もよい会社なのです。

  ■成約率を高めるセールスの基本

   あなたはセールスにおいて我流を押し通していませんか?

   見込み客への『プレゼン』や『マーケット』について、『お客様の心理』、『トー
   ク』、『ビジネスマナー』など、自分では良かれと思っていた言動により、せっ
   かくのチャンスを逃してしまっていないでしょうか。

   ほんの些細なことで、成約率はアップします。

   是非、ここに紹介する内容(基本)を身に付け、成約率を高めてください。
    
   ○全売り上げの80%を占めるのは20%の顧客(パレートの法則)
 
   上位20%の優良顧客への訪問時間、訪問頻度をもっと増やしていくことです。

    残りの80%の顧客への対応は、ドラスティックに判断すべきでしょう。

    物理的(時間、手間暇)には、手間暇かかっている顧客80%の内、一部20%の
    顧客にかかっているはずです。これを整理しましょう。

    コストの点では、全体の80%のコストがわずか20%の顧客によって消費されて
    いる。

    ならば、これらのコスト増の要因を調べ、コストがかからない仕組みをつくること
    です。

    たとえば、これらを新人に任せ、あなたは新規顧客に全力を傾けるといった
    方法もあります。

    すべての顧客に同品質のサービスをするのではなく、顧客をランク分けし、
    ランクごとにサービスの内容を変えることです。

   ○お客様の利益(メリット)   
    お客様が商品やサービスを通して手
    にする最終メリットのことで、利点とい
    ってもよいでしょう。

    つまり、人々や企業の願望(欲求)・抱
    える悩み・問題を解決するような商品 
    やサービが利益だということになりま
    す。

    販売成績をのばす秘訣は、「必要なもの
    を必要な人に必要なときに売る」という
    ことです。

    必要のないところに行って、契約がとれないと
        嘆いても無意味なことです。

    優秀な営業マン(セールスパーソン)は決して無理に売ろうとはしません。

    そのために、まず最初に、近日中に買ってくれそうなお客様(今すぐ客)と
    そうでないお客様(そのうち客)を見分け、アプローチしていきます。

    つまり、ニーズの有無を見分けながら、ニーズのありそうなお客様からアプ
    ローチをかけていくのです。

   ○マーケットありき
    セールスで成功するためには、最初に決めるのはマーケットです。 

    スキルにとらわれると、「売れないのはおかしい。客が悪い」という独善的な
    思考に囚われてしまうので要注意です。

    売れなくなったら、「マーケットの選択を間違えたかなあ?」と釣り場をすぐに
    替えられる柔軟性に富む営業マンが増収できるのです。

   挨拶
 
   「語先後礼」という言葉があります。

    先に言葉(あいさつ)、後に礼をするという意味で、これが、もっとも丁寧だと
    されています。

    初めて会う人には、目をしっかり見てあいさつをしてから、そのあとで頭を下げ
    た方がよいでしょう。

   ○目に見える商品にする
    目に見えないものを目に見える形で売るためには、どうしてもたとえ話でお客様
    のイメージに働きかけることが必要になります。

    対象がユーザー(個人)であれば、家族の話題、子どもの話題、仕事の苦労話
    や責任感といった話、人生を生きていくためのヒントなどによりニーズ喚起して
    いきます。

    事業所であれば、社長の創業の苦労話、業種にあわせて最近の事件事故の
    事例、従業員の不祥事、サービス残業問題、ハラスメント、等々。

   いいと思ったことはすぐに実験(実行)してみてましょう。

   商売を成功に導くのは、他の成功事例を「真似る」ことです。

   「学ぶは真似るに通じる」や「愚者は自分の経験から学び、賢者は他人の経験から学
   」の言葉にあるように、限られた時間や資金の中で経営していくためにも、「真
   似る」ことから始めましょう。

 


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自社の「売りモノ」は何か


   自社の「売りモノ」を明確にし、「売りモノ」でない作業に人員を投入したり、
   時間を使わないことです。

   しかし現実では、自社の「売りモノ」でない作業も当然発生してくる。

   会社にはサービスを低下させないために付随した業務活動があって、どうしても
   その業務をやらなければならないことが多いのです。

   ただその場合でも、それが自社で行う作業か、または外部にやってもらうべき作業
   なのか? まず区別して考えなければなりません。

   そうしなければ、売上げが増加すればするほど人員が増え、労働生産性が落ちて、
   儲からない会社になってしまいます。

   社員数を増やさずに儲かる体質をつくるには、以下の3点をしっかり押さえること
   です。

    ・自社の「売りモノ」は何かを、ハッキリさせているか?

    ・自社の「売りモノ」に直接かかわりのない繰り返し作業を他社に委託でき
     ているか?

    ・自社の社員の品質を上げ、専門的な業務活動の面で同業他社の社員よ
     り「質的なレベルアップ」をはかる指導をしているか?

  □人にかかるコスト
   小さな会社の場合は、けっこう人の出入りが多いものです。

   大企業ならば「寄らば大樹の陰」で、いったん入社した社員はたいてい定年まで
   勤めようとするが、小さな会社では、せっかく人を採用しても簡単にやめてしまう。

   ここが問題なのです。

   会社経営において、人のコストが一番高くつきます。

   人のコストは「入社させるコスト」、「在職中のコスト」、「退職させるコスト」と
   3つに分ければ、よくわかるはずです。

   過去に自社(店)をやめた人の「やめた理由」を一覧表にすることをお勧めします。

   採用時にその一覧表をもとに、会社の状態を説明することで採用時に人材の選別
   ができます。

  「労働生産性」と「労働分配率」
   小さな会社の経営で、一番重要視すべきは経営の収益基準である「労働生産性」と
   「労働分配率」です。

   たいていの中小企業は、粗利のうち約50〜60%を労働分配率が占めており、労
   働生産性も1名当たり60万円前後のレベルにあります。

   ここで問題になるのは、これらの労働生産性や労働分配率の数値が、標準より悪
   い時です。

   この場合は大体、売上規模と比較して、人員過多のケースが多いことです。   

   トップを含め、すべての社員が「総粗利の中に占める自分たちの総人件費は約
   50%」であるということを、知らしめ、認識させることです。

   小さな会社は、社員1人ひとりが複数の業務を兼務できる「多機能型人材」が欠か
   せません。

   そのためには、業務分担表の作成に始まり、業務の標準(マニュアル)化が必須
   です。 

                      組織力強化マニュアルについてはこちら

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