社内独立制度

                                   

社内独立制度

■社内独立制度とは
 1.社内独立制度の概要 
  社内独立制度とは、身分は従業員のままでありながら、あたかもその人が独立した
  事業家であるかのように処遇する制度です。
  社内独立制度を導入する企業の目的はさまざまです。 

  例えば、自社が取り組む事業が成熟化を迎えている会社では、新規事業の開発が急務に
  なっており、部署や役職に関係なく幅広い人材から新事業企画を募集して、提案者
  自身が事業を推進していく社内独立制度(新規事業に取り組むことから、特に
  「社内ベンチャー制度」と呼ばれることが多くなっています)の導入が増えています。

  最近になって社内独立制度が注目されている背景には、ネットビジネスの台頭が挙げられ
  ます。
  ネットビジネスではアイデアさえよければ、従来型の事業に比べ、必要な経費や人員が
  少ない場合が多いためです。 

  企業の規模によっても、社内独立制度の目的や運用方法が異なってきます。
  例えば、資金が豊富な大企業では、収益面の改善よりもむしろ人材育成や優秀な人材の
  つなぎ止めを主な目的として社内独立制度を導入している場合もあります。

  一方、中小企業では、社内独立制度による事業を短期間で本業に並ぶような収益を
  上げられるものにすることが不可欠です。
  そのため、本業との相乗効果が得られる事業に取り組まざるを得ません。

  また、新規事業の他に、従来から行われている事業に対して社内独立制度を導入する
  場合があります。
  これは、従業員を独立した事業主として扱うことによって、仕事に対する意識を変革し、
  結果として収益性の改善を図ろうというものです。 

  さらに、中小企業などで、本来とやや異なる目的で社内独立制度が利用される場合が
  あります。
  例えば、他社から引き抜いた優秀な人材に対して、従来の枠組みを超えた高い報酬を
  用意しなくてはならないときに、他の従業員に配慮するために社内独立制度を導入する
  場合などです。

  その人材がいくら優秀でも、他の従業員と同じ給与体系のままで年収格差を大きくすると、
  今まで地道に努力してきた従業員との間に感情的なしこりを残しかねません。
  そこで、他社から引き抜いた人材にはハイリスク・ハイリターンの社内独立制度を適用
  することで、その優秀な人材も他の従業員も納得する形で、能力相応の報酬を与える
  ことができます。

 2.社内独立制度のメリット・デメリット 
  社内独立制度を成功させるには、事前に導入の目的を明確にすることはもちろん、企業や
  その制度を利用する従業員に対して、どのようなメリットやデメリットがあるのかを把握
  しておく必要があるでしょう。

  (1)企業側の視点から見た場合
    <メリット>
     ・沈滞した企業風土の変革を促進する
     ・優秀な若手従業員の発掘と社外流出防止につながる
     ・本業に並ぶ新規事業確立の可能性がある

    <デメリット>
     ・事業失敗による損失のリスクがある
     ・優秀な人材が制度を利用することにより、既存事業における戦力ダウンの
      可能性がある

  (2)従業員の視点から見た場合
    <メリット>
     ・年齢が若くても大きな権限をもつことができ、成功すれば公開企業のトップ
      になることも不可能ではない
     ・成功すれば、収入が大幅に増える
     ・自分の能力を試すことができる

    <デメリット>
     ・事業が軌道に乗るまでは年収がダウンすることも覚悟する必要がある
     ・休みが取れないほど多忙になることも覚悟しなくてはならない
     ・失敗したからといって、簡単に元の職場に戻れない場合がある

□社内独立支援制度の運用
 1.社内独立制度の形態 
  社内独立制度は、企業によってさまざまな形態で運用されています。
  自社の目的に合わせて、どのような形態の制度にするのかを組み立てていく必要が
  あります。

  (1)事業の取り扱い 
   既存事業を独立させる場合と従業員が提案するまったく新しい事業に取り組む場合が
   あります。
   また、独立後、該当事業や、それに携わる従業員をどのように扱うかによって、
   さらに以下の3つに分けられます。

    <会社設立型> 
     会社やその事業に携わる従業員などが資本金を出資して、独立会社を設立する
     方式です。
     緊張感を持たせるのに有効な従業員の出資割合は、上限と下限を決めておきます。

    <社内プロジェクト型> 
     独立会社を設立せずに、事業を社内プロジェクトとして、または1事業部門
     としてとらえる方式です。
     採算が合う見通しがたった時点で社内プロジェクトを事業部門として独立
     させたり、1事業部門を分社化することが考えられます。

    <契約社員型> 
     従業員を契約社員にして雇用契約を結ぶ方式です。
     契約は原則として毎年更新する必要があり、業績に応じた年収が設定され
     ます。
     終身雇用の保証がなくなるためリスクが高くなり、より高いインセンティブの
     設定が必要になります。

  (2)提案者の処遇 
   事業が成功した場合には、制度の適用者が高いインセンティブを受け取ることが
   できるようにします。
   社内プロジェクト型よりも会社設立型や契約社員型の方がリスクが高い分、
   インセンティブは高くします。
   インセンティブの設定方法はさまざまですが、例えば「申告所得の○%」と
   いった業績に連動した賞与の設定や、会社設立型では「株式の時価買い取り」
   「ストックオプション」などがあります。

  (3)撤退のルール 
   社内独立制度では、「累積赤字が○○円以上」「累積投資が○○円以上」「3年たっても
   経常利益が赤字の場合」「5年以上たっても累積損失が解消できない場合」など、
   事前に事業撤退のルールを決めておくことが大切です。

   万一失敗した場合でもその経験を今後に生かすことができるので、それに従事した
   従業員に対してはマイナスの評価はせず、原則として元の職場に復帰できるなどの
   処遇を設定しておきます。

   ただし、あまり簡単に復帰が許されるようでは緊張感が欠けたものとなってしまう
   ので、注意する必要があります。

  (4)会社からの支援 
   従業員が独立して事業を推進していくには、技術、マーケティング、管理事務など、
   さまざまな知識が必要になってきます。

   しかし、ほとんどの従業員はそのような知識や能力を持っていないため、制度の
   適用が決定した時点で一定期間の準備期間を設け、社内の各部門のスペシャリスト
   からバックアップを受けられるようにします。

   また、独立した従業員に対して、社内から共同で事業に取り組む者を募集させたり、
   既存の販売チャネルを利用させるなど、さまざまな支援を行います。 
   準備期間終了後もできる限りの支援を行いますが、例えば、商品の販売や会社施設
   の利用などに対しては、相応の費用を負担させるようにします。

 2.新規事業を行う場合の実行手順 
  社内独立制度により新規事業に取り組む場合、事業の公募・審査は以下のように行い
  ます。

  <提案書の公募> 
   独立を希望する従業員から新規事業の提案書を提出させます。
   提案書には、新規事業のアイデアだけでなく、人材やノウハウ、施設としてどの
   ようなものが必要なのかを明確にさせます。

  <審査> 
   企業は社内独立制度により従業員から挙がってくる提案書を審査する専門機関を
   設けます。
   そして、提案書の中から、事業化できそうな案件に対して、その提案者に改めて
   プレゼンテーションをさせます。
   ここでは、提案書の内容に加えて、事業開始後数年間の損益見通しまで立てさせ
   ます。
   以上の結果などから提案の採否を決定しますが、採算面だけでなく、その事業を
   自社で行う意味、提案者がその事業を何故やりたいのかを明確にしておきます。

□社内独立支援制度の事例
 1.会社設立型の事例 
  出版をメインに多角的な事業に進出しているA社では、2010年1月に社内独立制度を
  設けました。
  応募資格はグループ会社の従業員なら誰でもよく、通年で受け付けています。

  応募に対する審査・決定は経営会議により行われます。 
  設立する会社の資本金の額は経営会議で決定し、会社、提案者、第三者が出資します。
  提案者が中心となって事業を推進し、その成功報酬は申告所得の10%です。 

  また、同社では「アイデアを持ったものが必ずしも事業を推進する能力が高いとは
  いえない」ことから、アイデアのみの採用もあり、その場合はアイデアを出したものに
  50万円の報酬を支給し、5年のうちに収益が生み出された場合は申告所得の2%を支給
  しています。

  事業化の成否の判断基準は、「3年以内の黒字化」「5年以内の累損解消」です。
  新規事業が成功するまでは従業員としての身分を保証し、失敗の際にも現職復帰を
  原則としています。

 2.社内プロジェクト型の事例 
  大手商社のB社は、2009年6月から社内プロジェクト型社内独立制度を開始しました。
  同社の全従業員に応募資格があり、通年で受け付けています。
  応募に対する審査・決定は、この制度を運営する「事業開発部」による書類審査・
  プレゼンテーション審査に加えて社長面談により行います。 

  採用された企画の提案者は、事業開発部に社内出向し、事業化に専念します。
  その期間、必要とされる費用は会社が負担し、人材の確保や情報、知識の習得などに
  ついても全面的なバックアップを行います。

  2年間で単独事業部としての黒字化を目指し、成功の際には社内組織化または事業
  会社化します。
  失敗した場合もその経験を最大限活用できるよう処遇面で配慮します。

  提案者は業績に連動したボーナスやストックオプションなど、従来のボーナス制度を
  超えたインセンティブが用意されています。

 3.契約社員型の事例 
  携帯電話や自動車部品の金型メーカーC社は、93年より設計・生産部門に契約社員型の
  社内独立制度を導入しています。
  同社の場合、会社が「一人前の仕事ができる」と判定した従業員を退社させます。

  独立した従業員は独立前と同じ勤務地で同じ仕事に従事していても、会社からは外注先
  として扱われます。 
  独立した従業員は原則として会社と業務契約して仕事を続けられるので失業の心配は
  ありませんが、福利厚生面の処遇はなくなり、収入も前年度の成果などから決定されます。

  会社の機械設備を使うときにはテナント料を支払い、材料費も自己負担になります。
  さらに、税金申告も個人事業主として自分で行う必要があります。 
  C社では従来、同じ仕事でも未熟な従業員ほど時間が掛かるため、時間外手当の分、
  未熟な従業員の方が優秀な従業員より給料が高くなるという矛盾が生じていました。

  しかし、同制度の導入によりこれを解消しています。
  また、社内独立者間の収入格差は大きく設定していますが、平均でも独立前より収入が
  大幅に増加するようになっているため、多くの従業員は同制度を歓迎しています。 

  会社側としても社内独立制度を導入することは、生産性改善による収益向上や、固定費を
  変動費に転換できるなど経営面のメリットが得られるものなのです。

新規事業分野への進出

             

新規事業分野への進出

■新規事業分野への進出

 1.新規事業進出の意義

  企業をとりまく経営環境は、技術革新による競争の激化や、消費者ニーズの多様化
  による商品寿命の短期化など、今までにないスピードで変化を続けています。

  このようななかで、「現在の事業のみではいずれ経営が行き詰まってしまう」との
  危機感をもつ社長も少なくないでしょう。

  また起業家のあなたも、自身が経営者の立場でこの記事を読んでいただきたい。

  経営危機の打開策として将来性の見込める新しい事業分野へ進出する企業、もしくは
  新規事業進出を検討する企業が増えています。

 2.新規事業進出の留意点

  起業家やすでに事業を行っているあなたにとって新規事業で成功するのは容易な
  ことではありません。

  「儲かりそうな業種だから」「自分にでもできそうな業種だから」との理由だけで
  新規事業に進出することは大変危険です。

  誰でもできそうで儲かりそうな事業ほど新規参入も多く、激しい競争に陥る可能性が
  大きいとも考えられます。

  ですから、起業家を含め自社の企業理念や将来の自社像を実現させるために必要な
  事業を行なうという心構えで慎重に事業を選ぶことが望まれます。

  そして、その選択の際には、

   現在の事業とまったく関連のない事業よりも、

   現在の事業と相乗効果を発揮できる事業が好ましい 

  といえます。

□事業分野を決定する

 1.方向性

  一般的に新規事業の方向には、次の3つのパターンがあります表1

   (1)……既存販売ルートを使って新規商品を販売する

   (2)……新規販売ルートを開拓して既存商品を販売する

   (3)……新規販売ルートを開拓して新規商品を販売する


  以下、具体的に検討します。

  まず第一に自社の現状を分析することからはじめます。

  それには、現在の売上高を自社の商品・サービスと顧客(ターゲット)別に分類し、
  次に「商品、顧客マトリクス」を作成します表2

  たとえば、表2のような企業であれば次のように分析することができます。 

   a.この企業は女性を安定した顧客としてもっており、現時点で「女性に受け
    入れられる商品・サービス」が揃えられています。

    そこでこの企業が女性をタ}ゲットとする新商品(E、F)を開発販売すると、
    成長する可能性が高いと考えられます。

   b.この企業の商品(B)は、幅広い顧客層に受け入れられていることがわかります。

    したがって、この商品(B)を宣伝することにより、新たな顧客(丙、丁)にも
    そのまま販売ができるのではないか、あるいは少し改良すれば売れるのでは
    ないか、などが考えられます。
 

    こうして、表1のイやロの方向で新しい分野への進出を考えることができます。

    以上のように、現在の事業からの展開により新事業展開の可能性が見出され

    ましたが、自社を分析した結果、特別魅力的な商品がなく、絞り込むべきターゲット
    もないというケースもあります。

    そのときは、まったくの新規事業であるハの方向を重点的に検討する必要性が
    生じてきます。

    以上のような分析を通して、現在自社は、

     イ.ターゲットは成長しているが商品・サービスが不足している

     ロ.既存の商品・サービスを用いることによって、新たな成長の見込める
      ターゲットに進出できる

     ハ.現状のターゲットに成長が見込めず、現商品・サービスでは新たな
      ターゲットへの進出も難しい

    のいずれの状態にあるかが把握できます。

    そして、自社の現状とターゲットとの整合性から今後目指すべき新規事業分野が、
    表1のどの方向であるかを明確にします。

 2.新規事業分野の候補のリストアップ

  事業展開の方向が定まったところで、さらに次の3つの視点を加えて新規事業分野の
  候補を検討する必要があります。

  (1)本業との相乗効果が得られる分野への進出

  (2)業際的な領域への進出

  (3)成長業種への進出

  以下では、その一つひとつについて説明します。

  (1)本業との相乗効果が得られる分野への進出

   前述のイ、ロの場合に多いもので、新分野への進出が従来の商品(サービス)に
   プラスの効果を与え、相乗的な売り上げの拡大が見込まれるため、一般的には
   リスクも小さくなります。

   また、まったくの新分野への進出であっても、現業にそのノウハウが役立つ場合
   もあるので、そのような視点からの検討も必要となります。

  (2)業際(異なる事業分野にまたがる)的な領域への進出

   業界と業界との垣根、すなわち業界のすき間への進出です。

   たとえば、割烹、レストランと宅配業との関連事業として、ケータリングサービス
   を新規に手がけるケースが該当します。

  (3)成長業種への進出

   成長業種としては、たとえば、

    ・教育産業

    ・医療、健康関連産業

    ・その他サービス業

   などが考えられます。

 3.新発事業決定の留意点

  以上の3つの視点でさまざまな事業をリストアップし、進出する分野を決めていきます。

  しかし、どの事業に取り組んでもよいわけではなく、新規事業分野の候補案を評価し、
  その結果を比較して進出事業を決定することが必要となります。

  まず、考えられるプラス要因とマイナス要因をあげ、それぞれの要因に評価点を
  付け表3にまとめます。

  この表3を参考に、比較検討し新規事業分野を決定すれば、参入時のリスクを減らす
  ことが可能です。


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採算性を考えた事業計画

           

採算性を考えた事業計画

  ■事業採算計画

   新規事業を展開するに当たり「その事業は採算がとれるのか否か」が重要であ
   り、妥当な採算分析を行っているかが問われます。

   事業の採算性とは、

    1.初期投資をキャッシュフローで回収できるのか、さらに、その回収期間は
      どのくらいかかるのか

    2.損益分岐点比率が高く、早い時期から大きな利益が確保でき、かつ
      長期間にわたりそれが維持できるのか

   の2点から評価ができます。

   ここでは、「見積損益計算書」と「変動損益計算書」によって、収益面から事業の
   採算性を明らかにしていきます。

   1.事業採算シミュレーション

     (1)予想売上計画

       今後予想される市場規模と成長率を検討します。

       市場での自社のシェアを確定し売上高を予測します。

       市場の規模やシェアが予測できない場合は、

       「販売予想数量×販売予想平均単価」から売上高を算出することになります。

     (2)初期投資計画

       初期投資額は、事業を開始するのに必要な資金を指します。

       おもなものは土地・建物・設備機械類が中心です。

       事業の開始は初期投資額の資金集めにかかっています。

     (3)資金調達計画

       初期投資額や毎年の運転資金を見越し、資金の調達方法を計画化します。

       まずは自社の資金投入や私有財産による自己資金中心に検討しますが、
       ベンチャーキャピタルやパートナーからの出資も積極的に計画に入れてい
       きましょう。

       また、自己資本でまかなえない場合、金融機関からの借入を行いますが、
       国民生活金融公庫などの新規開業者向けの各種支援融資なども積極的
       に活用していきます。

       ◎Point

         楽観的な調達計画を立てないようにしましよう。

         まず自己資金で計膏をすすめ、次に出資受け入れ先や公的な
         融資制度を検討します。

     (4)事業採算シミュレーション(見積損益計算書)

       毎年の利益はどのくらいなのか、初期投資はどのくらいのペースで回収し
       ていくのかを明らかにします。

       状況にもるが、利益が出ない、大きな投資が必要で回収には10年以上の
       期間がかかるといった新規事業は考えものです。

       事業採算シミュレーションによって、妥当な資金回収計画が立ち、事業拡
       張のための追加資金の投資計画が成り立つようであれば、この利益を「目
       標利益」とします。

       主要な項目の記入の仕方を以下に記します。

       <作成ポイント>

        初期投資額…初年度は上記(2)の初期投資額を記入し、次年度
                 以降は追加の設備投資等の発生を見込み記入します。

        予想売上高…上記(l)の予想売上計画から転記します。

        税引後利益…毎年の予想売上から、製造・仕入原価や販売管理など
                 すべてのコストと税金を引いた、最終的に手元に残る
                 利益を記入します。

        減価償却費…上記(3)で計算した、毎年発生する減価償却費を記入
                 します。

        キャッシュフロー…税引後利益と減価償却費を合計した金額を記入
                    します。

        資金回収残…投資額から返済能力であるキャッシュフロー累計を
                 引いた額を記入します。
                 これが早期にゼロとなる経営を目指します。

       ◎Point

        事業性に応じた予想売上やコストに妥当性と現実性があり、シミュ
        レーションから早期の黒字化、資金の回収化が実現されているか
        確認しましょう。

   2.利益計画

     (1)損益分岐点売上高の考え方

       損益分岐点売上高とは利益がゼロの売上となる採算点を示し、目標売上
       高と対比して安全性を検討します。

       損益分岐点比率は、操業採算性における判定基準として使われます。

       この比率が高いほど、採算性が高くなります。

       言い換えれば、この比率が低かったり上昇傾向にないようであれば事業と
       しての採算性に問題があるといえます。

     (2)利益計画(変動損益計算書)

       目標利益をもとに利益計画を作成します。

       目標利益が妥当なものであれば、「見積損益計算書」をそのまま利益計画
       とすることができます。

       ここではさらに、損益分岐点によって事業の採算点を明らかにし、計画の
       実行にあわせてコストをコントロールしやすい「変動損益計算書」の作成を
       お勧めします。

       変動損益計算書は、費用項目を「変動費」と「管理可能な固定費」および
       「管理不能な固定費」を明らかにしているところに特徴があります。

       計画段階で採算性に問題がある場合や、計画の実行段階で目標売上の
       見込みがたたない場合、変動比率の低減と管理可能な固定費の削減を検
       討することになります。

       <作成ポイント>

        ・コストを固定費と変動費に分けて記入します。

        ・変動費はさらに、人件費などある程度統制余地のある「管理可能
         固定費」と、一度取得してしまうと継続的に費用の発生する「管理
         不能固定費」に分けて記入します。

       ◎Point

        損益分岐点比率が低い水準で推移しているか確認しましよう。

        また、固定費比率が抑制されているかを確証します。

  □計画書の内容(詳細計画)

   展開しようとする事業の規模や構想が大きいものであれば、事業部門や業務機
   能ごとの詳細計画が必要になります。

   前述してきた基本計画だけでは、各社員や部門が具体的な行動が起こせない場
   合がでてきます。

   自社の経営資源を詳細に把握したうえで、各業務ごとの部門計画を作成しましょう。

   1.自社の経営資源の詳細把握

     図表のように、新規事業を行うための「業務機能」と、ヒト・モノ・カネを中心とす
     る「経営資源」のマトリクスを作成します。

     この表より、業務機能面からの経営課題を抽出し、各個別計画での重点策を
     明らかにしていきます。

   2.各業務機能の個別計画

     (1)組織編成(要員)計画

       事業開始時における組織図を作成します。

       組織図には、必要な部門構成とどんな人材を何人配置するかを明らかにし
       ます。

       また、拡張に応じた、人員補強計画も明らかにします。

     (2)財務計画

       新規事業は予期せぬことが発生することも多く、財務上の計画と実績のズ
       レもしばしば大きいものになります。

       そこで、堅実な財務計画を立てるとともに、各部門のタイムリーな財務情報
       を入手し、柔軟な財務施策が講じられるような配慮を計画書に盛り込みます。

       <作成ポイント>

        ・年度、月次の資金繰り計画(キャッシュフロー計画)を作成します。

        ・各部門の予算計画を作成し、予算化決定のプロセスも明らかにします。

        ・計画と実績がタイムリーに比較、把握できる計画書を作成します。

     (3)生産・仕入計画

       品質のよい製品を納期どおりに安定供給できるような生産体制を計画化します。

       <作成ポイント>

        ・作業工程全般を明確にします。

        ・月々の生産量の計画に基づく、購買計画、在庫計画を作成します。

        ・品質基準の策定や、生産性向上(コストダウン、業務改善)のための
         計画を作成します。

        ・材料仕入や製品納品のための物流計画を作成します。

     (4)販売計画

       基本計画で掲げた「マーケティング方法」をさらにブレークダウンし、詳細な
       販売計画を立てていきます。

       <作成ポイント>

        ・製品別、販売チャネル別、販売員ごとの販売計画を作成します。

        ・見積書作成、値引きのタイミングなど価格の決定方法について
         規定化します。

        ・販売促進のためのプロモーション方法と実行計画を作成します。

        ・顧客との受注方法から納品、債権回収までの業務を設計します。

     (5)業務システム

       生産・仕入、在庫、受注、納品、資金回収といった加速のオペレーションを
       図表を用いて視覚的に明らかにします。

       とくにサービス業の場合は、業務システム自体が業務の中核能力となる場
       合が多く、重要な計画資料となります。

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起業家のための新規事業の方向性

           

起業家のための新規事業の方向性

  ■新規事業の方向性を探る

   新規事業の方向性の検討は、新しい着想や思いつきを一歩進め、そこから展開
   できそうな製品やサービス、ターゲットとなる顧客をイメージすることからはじまります。

   そして、新規事業の方向性の手がかりをつかむコツは、「自社(自分)の周辺から
   事業のネタをいかに導き出していくか」にあります。

   ここでは、新分野進出を検討する企業と、独立開業スタイルで事業を起こそうとす
   る起業家の2つの立場に分けて、基本的なアプローチ方法を紹介します。

  □既存事業から見た方向性の検討

   すでに事業を展開している企業では、新規事業の方向性を既存事業の延長線か
   ら見出していきます。

   たとえば事業展開の方向性を次の図で表わす4つのパターンから検討します。

   自社を取り巻く環境を踏まえながら、どの事業分野に進出したらよいのかを検討
   します。

   既存事業との相乗効果と経験をいかす観点から、「a → b → c → d」の順序で
   新規事業の方向性を探っていきます。

   この順番は一般的に事業リスクの高まる順番でもあります。

   b.新技術の展開、c.新市場の展開は、現有の事業ノウハウの技術や市場を軸
   に置き、新規事業を模索していくことから、比較的容易な事業が考えられます。

   しかし、d.新市場・新技術の展開となると、自社には事業ノウハウがまったく存在
   せず、リスクの高い事業分野であるといえます。

   実際に、自社の新規事業の可能性を「ワークシート:新規事業の方向性マトリクス
   に整理してみましょう。

   ワークシートでは、さらに、細かく9つの事業分野に分類しています。

   自社の既存事業を基点にして、順番に考えられる新規事業を列挙し、多角的に
   新規事業の方向性を見出していきます。

  □独立開業者から見た方向性の検討

   脱サラなど独立開業で新規事業を展開する場合、自分自身が保有しているノウ
   ハウや置かれた生活環境から新規事業の方向性を見出していきます。

   たとえば、次の4つの視点から事業のアイデアを整理し、新規事業の方向性を明
   らかにします。

   「ワークシート:起業の方向性分析」をあわせて参照し、実際に書き出してみましょう。

   (1)自分が保有している「強み」からのアプローチ

     独立開業者が保有している強みには次のようなものが考えられます。

      ・これまで培ってきた仕事での実績、経験

      ・製品、サービスにかかわる技術や技能、ノウハウ

      ・資格、免許などの顕在化している専門能力 

      ・独創的なアイデア

      ・豊富な個人資金

      ・広範な人的ネットワーク

      ・健康、若さ、精神力、やる気など

     これらの強みをいかすことから製品やサービスをイメージし、それに対しどの
     ような市場や顧客が見込まれるのかを構想していきます。

   (2)自分のやりたいことからのアプローチ

     「自分がやりたいことは何か」「自分の好きなことは何か」といったことを明らか
     にします。

     その延長線上に新事業の“ネタ”があると考えます。

   (3)自分のライフスタイルからのアプローチ

     家族を含めた自分のライフスタイルを整理してみます。

     仕事のスタイルとライフスタイルを融合させることで、思わぬ新規事業の可能
     性が拡がるかもしれません。

     たとえば、要介護の高齢者が自宅にいる場合、介護をしている経験を活かし
     介護ビジネスを構想してみるなどが考えられます。

   (4)社会の変化からのアプローチ

     社会の変化が思わぬビジネスチャンスを生み出します。

     これから有望なビジネスは何か、将来のトレンドになりそうなビジネスは何かと
     いう視点で、自分が興味あるビジネス分野から整理するのもひとつの方法です。

     ビジネスに栄枯盛衰があるという考えから、次のような事業ライフサイクルの
     各過程ごとに起業の方向性を探ってみましょう。

      未知ビジネス…ある特定の人が温めているようなビジネス

      ↓・方向性の例:自分が独創的な事業シーズを見出す

      有望ビジネス…将来有望視されているが、事業化はまだ本格化して
                いないビジネス

      ↓・方向性の例:事業を立ち上げるスピードを確保する

      成長ビジネス…成長の過程にあり、参入者が増加しているビジネス

      ↓・方向性の例:多数の競合に負けない差別化項目を見出す

      成熟ビジネス…市場の成長が止まり、価格競争、寡占状態が強まった
                ビジネス

      ↓・方向性の例:飽和、成熟した市場のすき間を狙うような事業アイデア
                をさがす

      衰退ビジネス…市場が縮小し、撤退企業が増加しているビジネス

      ↓・方向性の例:衰退した市場を蘇生させる事業アイデアをさがす

      事業の消滅または復活

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