〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
□シーン別 席次の基本ルール
席次は、まず基本ルールを覚えましょう。
その上で、部屋の構造や個人の考え方(好み)を踏まえて、臨機応変に対応することが大切です。
1.応接室での席次の例
応接室での席次の例は次の通りです。
応接室での席次の基本ルールは「入り口から遠いほうが上座」「正面に窓が見えるほうが上座」
「正面に絵が見えるほうが上座」です。
お客様や上位者に心地良く過ごしてもらうことが大切です。
例えば、上座以外の席からきれいな景色が見えるときには、座席に案内するときに「景色が
きれいなので、こちらの席は、いかがですか」と声を掛けるなど、臨機応変に対応しましょう。
2.会議室での席次の例
会議室での席次の例は次の通りです。
会議室での席次の基本ルールは「入り口から遠いほうが上座」「『対面型(来客)』で3人掛け
の場合、中央が上座」「会議のときは、テーブルの形に関係なく、議長が一番奥」「議長から
見て右手前が1番目」です。
会議は議長を中心に参加者が活発に議論できるような配慮が必要です。
例えば、上座の近くに、プロジェクターやホワイトボードがあって窮屈になっていたり、室内
全体を見渡しにくくなっていたりするなど、議論に支障を来すときは、席次を変えるなど、
臨機応変に対応しましょう。
3.自動車での席次の例
自動車での席次の例は次の通りです。
自動車での席次の基本ルール「『相手の役職者が運転する場合』は、自社の上位者が助手席に座る」
「『タクシーの場合』は、運転席の後ろが上座」です。
タクシーに乗るときに、「すぐに降りられるから」といって助手席の後ろを好む人もいます。
こうしたときは、相手の意向をくんで臨機応変に対応しましょう。
4.列車での席次の例
列車での席次の例は次の通りです。
列車での席次の基本ルールは「窓側が上座、次が通路側」「横一列の場合、2人掛けの窓側が上座、
次は3人掛けの窓側」「向かい合わせの場合、進行方向を見る窓側が上座、次はその向かいの窓側」
です。
窓側が上座ですが、「通路に出やすいから」といって、通路側を好む人もいます。
こうしたときは、相手の意向をくんで臨機応変に対応しましょう。
また、「中央に座って、左右の人と話がしたい」といって中央を好む人もいます。
こうしたときは、「ありがとうどざいます」と言って、窓側に座らせてもらいましょう。
5.エレベーターでの席次の例
エレベーターでの席次の例は次の通りです。
エレベーターでの席次の基本ルールは「操作盤側の奥が上座。次はその隣」です。
ドアの開閉や人の出入りに煩わされない奥が上座ですが、「すぐに降りたいから」といって、
手前を好む人もいます。
こうしたときは、相手の意向をくんで臨機応変に対応しましょう。
なお、エレベーターへの乗り降りは、上位者は、一番最後に乗り込んでもらい、一番最初に降り
てもらいます。
逆に、新人は一番先に乗り込み、操作盤の前に立ちます。
ただし、新人が先に乗り込むと「失礼だ」と感じる人もいるので、「失礼します」と断ってから
先に乗り込むようにしましょう。
□ポイント
1.まずは基本を覚える
まずは、上座の位置など、各場面での席次の基本ルールを、しっかり覚えましょう。
2.臨機応変な対応を心掛ける
基本ルールを踏まえた上で、お客様や上位者の意向をくみながら、臨機応変に対応しましょう。
基本ルールと違う席を勧めるときは、「○○なので、こちらの席はいかがでしょうか」と、その
理由を伝えます。
「自分のことを思って勧めている」ということが相手に伝われば、基本ルールと違っても、失礼
だと感じる人はいないでしょう。
3.経験を積む
席次のルールが求められる場に積極的に参加し、経験を積むようにしましょう。
正式な場で相手と話をする訓練にもなります。
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□「訪問」を成功きせるための11のポイント
1.訪問目的の確認
新人にとって、お客様や取引先など社外の人と接するのはとても緊張するものですが、公式な
場では新人といえども会社の代表です。
会社の代表として恥ずかしくない振る舞いをするために、しっかりと事前準備をしましょう。
お客様や取引先を訪問することになったら、上司に質問して「訪問目的」を確認しましょう。
代表的な訪問目的は次の3つです。
1.定期的なあいさつ:相手とコミュニケーションを取るための“月1訪問”など
2.具体的な商談:商品のセールス、価格や納期の条件交渉、アライアンスの申し込みなど
3.業務の引き継ぎ:自社の正式な窓口担当者として新人を相手に紹介するなど
2.事前の情報収集と新人が使える情報源
訪問前に収集すべき情報は訪問目的によって違いますが、どのような場合でも、自社のプロ
フィルや相手との取引関係は理解しておかなければなりません。
情報源は「上司への質問、パンフレット、社内データベース、ホームページ、IR資料、インター
ネット、管轄官庁、業界団体、日刊・専門紙、業界の専門誌、書籍」などさまざまです。
上司に質問して、最も効率的に知りたいことにたどり着ける情報の収集方法を教えてもらうと
よいでしょう。
3.アポイントメントの取り方
アポイントメント(以下「アポイント」)は電話や電子メールで取ります。
訪問日時や場所は相手に合わせるのが基本ですが、こちらに任せてもらえる場合、日時は余裕を
持ちましょう。
場所は相手のオフィス(あるいはオフィスの近く)とするのが基本です。
アポイントを取るときの大きな流れは、
「自己紹介→訪問の目的や日時などの確認→復唱確認→お礼」
となります。
例えば、電話でアポイントを取るときは次のように進めます。
(1)自己紹介
いつもお世話になっております。
株式会社○○ △△部の□□(苗字)と申します。
当社の××(商品名など)をご採用いただき、誠にありがとうございます。
(2)目的と日時の確認
■■(訪問の目的)の件で、一度ご訪問をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?
(相手の了解を得たら)
ありがとうございます。来週ですと、いつ頃がご都合よろしいでしょうか?
(相手が「日時は任せる」と言ってきたら)
それでは、「1日の10時」か「3日の14時」のいずれかでいかがでしょうか?
(相手が日時は「3日の14時」を指定してきたら)
3日の14時、午後2時で承知いたしました。
(3)人数確認
当日は◆◆(相手の苗字)様の他に同席される予定の方はいらっしゃいますか?
(相手の回答が終わったら)
ありがとうございます。当方は、上司★★(苗字)と私の2名でご訪問いたします。
(4)お礼
それでは、当日、よろしくお願い申し上げます。
4.事前に準備しておくもの
忘れ物をしないように事前に持ち物の準備をしておきましょう。
当日に持っていくと便利なものは次の通りです。
・地図:詳細な地図。簡略化きれた地図だと迷う恐れがあるため
・名刺:スーツやカバンの決まったポケットにしまっておく
・ハンカチ:緊張して汗をかくかもしれないため
・筆記用具:ペン、ノート、手帳など必要に応じて準備する
・スマートフォンなど:会社や相手と連絡を取れるようにするため
・資料:参加人数プラスアルファ(飛び入り参加などに対応するため)
・モバイル:ノートパソコンやタブレットなど必要に応じて準備する
・手土産:必要に応じて準備。直前に駅や空港で焦って購入するのは避ける
・その他:上司に確認し、必要に応じて準備するもの
5.出発から到着までの注意点
(1)時間に余裕を持って会社を出る
当日は時間に余裕を持って会社を出発しましょう。
また、交通機関の遅れなどで遅刻しそうなときは、事前に相手に連絡します。
このとき、再び遅刻することの無いように、10分遅れそうな場合は「20分程度遅れそうです」
といったように、少し遅い時間を伝えましょう。
(2)5分前が基準
予定より早く現地に着いても、受け付けするのは5分前にしましょう。
それ以上早く受け付けすると、相手はその対応のために仕事のスケジュールを変えなければ
ならなくなってしまうからです。
(3)受け付け
受付では、自分の名刺を提示することがあるので、あらかじめ準備しておきましょう。
また、「株式会社○○の□□(自分の苗字)と申します。
本日、14時から☆☆部(相手の所属)の◆◆(相手の苗字)様とお約束しております」と
はっきり伝えるようにしましょう。
その後は、受付の指示に従って移動します。
応接室などに通されたら、指示された席に座って待ちます。
特に席の指定が無かった場合は下座に座ります。
6.名刺交換の流れと注意点
名刺交換の流れは次の通りです。
(1)名刺交換はお付き合いの始まり
テーブル越しに名刺交換したり、座ったまま名刺交換してはいけません。
必ず、相手のほうに歩み寄り、正面を向き合って名刺交換しましょう。
(2)興味を持って相手の名刺を見る
相手の名刺は自分の胸の高さで受け取り、そこに書かれている部署や肩書などの情報を
確認します。
名前の読み方が分からないときは、その場で確認するとよいでしょう。
(3)複数の人との名刺交換
アポイントを取る段階で、相手が何人出てくるか分かっているので、事前に人数分の
名刺を用意し、1枚を名刺入れの上、残りを名刺入れの下で持っておきます。
そして、l人と名刺交換したら、もらった相手の名刺を名刺入れの下に持っていきつつ
自分の名刺を1枚上に持ってきて、次の人と名刺交換します。
(4)テーブルの上に置く
もらった名刺は、相手が座っている順番と同じようにテーブルの上に置きます。
また、一般的には上位者の名刺を自分の「名刺入れ(座布団)」の上に置きますが、
最近はそうしない人も少なくありません。
7.名刺交換と紹介では順番が違う
複数の出席者がいる場合、名刺交換は相手優先・上位優先の法則で進めるのが基本です。
立場が上の人から名刺交換をすると覚えておけばよいでしょう。
1.相手の上司と自社の上司
2.相手の上司と自社の部下
3.相手の部下と自社の上司
4.相手の部下と自社の部下
複数の出席者がいる場合、紹介は自社が先・上位が先(下位が先と言う人もいる)の法則で進める
のが基本です。
立場が低い自社から名乗ると覚えておけばよいでしょう。
(1)自社の上司と部下:「(相手の上司と部下に対して)ご紹介します。こちらが当社の……」
(2)相手の上司と部下:「(自社の上司と部下に対して)紹介します。こちらが○○様
(相手の所属や苗字)です。……」
8.手土産を渡す
手土産は、正式なあいさつが終わったタイミングで渡すのが通常です。
よく「つまらないものですが」などと言いながら渡すのが礼儀正しいとされますが、最近は
「当社の近くでおいしいと評判の和菓子屋さんで買ってきました。私も大好きなお菓子です!」
などと言いながら渡す人もいます。
手土産は、相手に喜んでもらえるものを選ぶのが基本なので、“自分のお薦め”であることを
伝えても問題は無いでしょう。
手土産を選ぶときは、次のことに注意しましょう。
・「相手が喜ぶもの」「日持ちがするもの」「関係者が分けやすいもの(関係者全員長に
行きわたる数量)」を選ぶ。
ただし、4や9などの数字は避けたほうが無難
・直前に、駅や空港、訪問先の近くで買うことは避ける
・少し高級なものを選ぶくらいでちょうどよいが、会社の予算は事前に確認する
・紙袋から出して、紙袋と一緒に相手に渡す。きれいな紙袋を渡すために、できれば
お店から新しい紙袋をもらっておくとよい
9.お茶は全部飲むべきか
訪問先でお茶が出たら、お茶を運んできてくれた人に「ありがとうございます」とお礼を言い
ましょう。
相手が話しているときにお茶が運ばれてきた場合は、軽く頭を下げればよいでしょう。
お茶は、相手から「どうぞ」と勧めてくれた後に飲むのが基本です。
ただし、相手が話しているときは飲むのを控え、話が一区切りついたタイミングで飲むのが
礼儀です。
また、話に夢中になり、相手がお茶を勧めるのを忘れたまま訪問が終わることがあります。
その場合は、せっかく出してもらったお茶なので、「いただきます」と断ってから飲むと
よいでしょう。
お茶を全部飲むべきか否かについては意見が分かれます。
迷ったときは訪問相手や上司が飲んでいる量に合わせておけばよいでしょう。
10.終わりの合図を見逃すな
相手の「名刺を名刺入れにしまう」「ノートを閉じる」「時間を気にし始める」「前のめり
だった姿勢を変え、背もたれに寄り掛かる」といったしぐさは、そろそろ商談などを終わらせ
ようという合図の場合があるので、そこから新しい話を始めるのは避けたほうが無難です。
相手や上司のしぐさに合わせて荷物をしまう準備を始めるようにしましょう。
11.訪問後の情報整理
(1)訪問結果の確認
新人の頃は、訪問相手と上司が話していることがよく理解できないものです。
分からないことを分からないままにせず、必ず上司に確認しましょう。
(2)名刺の整理
名刺は個人情報です。
帰社後、すぐに名刺フォルダなどに入れて整理しましょう。
名刺の裏に訪問日時、相手の特徴や趣味などを書き込んでおくと、次の訪問時に便利です。
(3)お礼の電子メールを送信
訪問後、できるだけ早いタイミングでお礼の電子メールを出しておきましょう。
こうした電子メールをこまめに出しておくと、相手と良好な関係を築きやすくなります。
ただし、上司など、一緒に訪問した人が代表してお礼の電子メールを送ることもあるので、
事前に上司に確認しましょう。
□ポイント
1.とにかくインプットする
新人はとにかく情報が不足しています。
会社のこと、相手のこと、業界のことなどたくさんの情報を徹底的にインプットします。
分からない点は必ず上司に確認します。
上司に何でも聞けるというのは、新人の特権です。
2.ロールプレイングで予行演習
訪問時の会話をイメージして、ロールプレイングをしてみましょう。
「分かっているつもりで、実は分かっていなかった」という点を確認することができます。
また、自分のことを1分間でPRできるようにしておきましょう。
良い意味で自分を売り込むことは大切です。
3.話して良いこと、悪いことに注意
ビジネスでは、相手に伝えて良い情報と、伝えるべきでない情報があります。
事前に、「これは話して良いのだろうか?」と迷うことがあれば上司に確認しておきましょう。
また、訪問の場で迷うことがあったら、その話はしないようにするのが原則です。
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■電話に出る前に準備しておくこと
(1)電話対応に苦手意識はありませんか?
最初の頃は電話に出るだけで緊張してしまう新人も多いですが、上司の電話応対を参考に
しながら、たくさん電話に出て慣れていきましょう。
電話では新人もベテランも関係なく、通話者の応対が会社全体の印象につながることを忘れては
なりません。
(2)まずは暗記する
電話に出る前に、「自社(店)の組織体制(事業部名やそれぞれの担当業務)」「上司や部署が
関係するお客様・取引先の企業名と担当者名、簡単な取引内容」を暗記しましょう。
そうすれば、少なくとも電話の相手が誰であるのかは見当がつきますし、電話の取次先の部署や
人が分からずに、相手をたらい回しにすることもなくなります。
(3)ノートとペンを用意しておく
常にノートとペンをデスクの上に置いておき、メモを取れるようにしておきましょう。
電話の取次先の人が不在のときは、電話があった旨を次の4つの事項とともに伝えます。
①電話を受けた日時
②相手の企業名、所属、氏名、連絡先
③電話の用件(簡潔にまとめる)
④次のアクション(相手からの電話を待つ、こちらから折り返し電話をするなど)
□電話に出てみよう
(1)電話に出るコール数を意識する
相手を待たせないように、素早く電話に出るようにしましょう。
3コール以内を目安にしている会社が多いようです。
それ以上待たせてしまったときは、「お待たせしました。○○の□□(自分の名字)です」と
伝えましょう。
(2)好印象を持ってもらうための電話応対
電話に出る人は会社の顔です。
明るい声、聞き取りやすいスピード、ハキハキとした受け答えを心掛けましょう。
普段話しているときよりもワントーン高めの、“よそ行きの声”で話してみるとよいでしょう。
(3)相手を待たせない
相手の問い合わせに答えるために、電話を保留にして待ってもらうことがあります。
相手を待たせる時間は極力短くし、時間がかかるときは一旦電話を切って、折り返すように
しましょう。
目安は30~60秒とします。
(4)事業所によって異なるフレーズ
電話応対では、次のようなフレーズをよく使います。
これらのフレーズを覚えておくと便利ですが、会社によって違うことがあるので上司に確認
しましょう。
・いつもお世話になっております
・お電話ありがとうございます
・少々お待ちいただけますか
・あいにく、××(取次先)はただ今別のモ話に出ております
(5)電話応対の出口は3点
電話応対の出口は「取次案件(自分以外の人に取り次ぐ電話)」「自己処理案件(自分で
案件を処理する電話)」「断り案件(お断りをする電話)」の3つですが、新人の場合、
「自己処理案件」はほとんどありません。
また、新人が「断り案件」を1人で判断するのは難しいため、最初は周囲に取り次ぐことに
なります。
明らかに必要のない電話営業を受けてしまったら、「何かあれば、こちらからご連絡いたします」
などと言って断ります。
それでも相手が電話を切らなければ、「あいにく担当者が不在です。
こちらから折り返しご連絡いたしますので、御社名、お名前、ご連絡先を教えていただけますか?」
などと伝えます。
相手は自分の連絡先などを残すことを嫌うため、「またかけ直します」などと言って電話を切る
ことが多いです。
□ポイント
(1)周囲の人に分かるように話す
周囲の人は新人の電話をよく聞いています。
これは何かあったときにすぐに電話を代われるように準備しているからです。
そのため新人は、周囲の人が正確に状況を把握できるように電話の相手と話していることを、
声に出して復唱するようにしましょう。
(2)周囲に目を配る
電話に集中すると、周囲の状況に気が回らなくなります。
しかし上司などは、新人の電話を聞きながら、状況に応じて指示してきたり、電話を代わる
ようにと合図を出してきたりします。
それを見逃さないように電話中も周囲の状況を意識しましょう。
(3)他の人の電話をよく聞く
電話からは新しい営業案件やクレームなど、さまざまな情報が入ってきます。
特に上司の電話を積極的に聞き、上司がどのような話し方をしているのかを確認しつつ、
応対の流れを覚えておくと、その後のビジネスに必ず役立ちます。
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□「時間厳守」は基本中の基本
社会人が守るべきことはたくさんありますが、「時間を守る」ことは理屈抜きのルールです。
正当な理由の無い遅刻や納期遅れは論外です。
時間に対するシビアな意識を持つようにしましょう。
1.遅刻は論外
時間に余裕を持って家を出ましょう。
例えば、雨の日は交通機関に遅れが生じやすいものですが、だからといって遅刻をしてもよい
ということにはなりません。
いつもよりも早く家を出るようにしましょう。
それでも遅刻してしまいそうなときは、事前に上司に連絡しましょう。
2.始業15分前の出社が基本
9時始業だからといって、9時ギリギリに出社するようでは失格です。
始業時間とは「仕事を始める時間」であり、 9 時になってからパソコンを立ち上げるなど、
仕事の準備を始めるようでは遅いのです。
そうならないように、始業15分前を目安に出社するようにしましょう。
3.早めに連絡
体調不良などで休むとき は、始業前に上司に連絡します。
ただし、あまりに早い時間に連絡するのは問題です。
上司が会社に到着するくらいの時間に連絡するとよいでしょう。
なお、連絡は、本人が電話で直接上司に行うのが基本です。
メールだけで連絡を済ませたつもりにならないようにしましょう。
4. プライベートの時間管理も大切
仕事に支障を来すことの無いように、プライベートでも自己管理をしましょう。
例えば、夜更かしすると次の日の朝起きるのがつらくなりますし、体調も崩しやすくなります。
常に万全の体調で仕事に臨めるようにすることは、社会人にとってとても大切なことです。
□オフィスをきれいにする
オフィスは皆の共用スペースであることを意識しましょう。それは、自分のデスクについても
同じことです。
例えば、他の皆がデスクをきれいにしているのに、自分のデスクが整理されていないと、
オフィス全体の印象が悪くなってしまうからです。
1.落ちているゴミを拾う
オフィスは 1 日の長い時間を過ごす場所であり、場合によっては、今後何十年も通い続ける
大切な場所になります。
オフィスに愛着を持ち、落ちているゴミがあれば、「誰かが拾ってくれる」ではなく、自分から
率先して拾うようにしましょう。
2.デスクの上中下の整理整頓をする
デスクが整理されておらず、いつも探し物をしているようでは時間のロスです。
オフィスには個人情報などの機密があり、書類が整理整頓されていないと紛失のリスクが
高まります。
終業後、10 分でよいのでデスクの上と引き出しの中、さらに足元も整理することを習慣付け
ましょう。
3.朝の雑用は“三文の徳”
始業前、少し早めの時間に出社し、率先して備品の補充や共有スペースの掃除などをしている
姿は必ず上司の目に留まります。
また、上司も 朝は比較的時間に余裕があるため、新人にとってはいろいろなことを教えて
もらえるチャンスです。
□「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」のコツ
「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」は、ビジネスにおけるコミュニケーションの中心で
あり、社会人にとって大切な“仕事” の1 つです。
特に、新入社員は、上司の指示を仰いだり、自分1 人で判断したりすることができなかったり
するので、上司への「ホウ・レン・ソウ」は、密に行うようにしましょう。
1.整理してから話す
内容に抜けや漏れが無く、分かりやすいように伝えるために、上司に「ホウ・レン・ソウ」を
行う前に、自分の考えを整理するようにしましょう。
上手に「ホウ・レン・ソウ」を行うためのポイントは次の 5 つです。
1.事実と意見を明確に分ける
2.主語と述語を明確にする
3.時間の流れを明確にする
4.視点の大小を意萬する
5.「結果→それに至る 経緯」の順手を心掛ける
2.次のアクションを考えてから 話す
「ホウ・レン・ソウ」をした後に、上司から次のアクションを指示されるため、必ずノートと
ペンを持っていきましょう。
ただ上司の指示を待っているだけではなく、「ホウ・レン・ソウ」の前に、次のアクションを
自分なりに考える癖をつけましょう。
3. 分からないことは必ず確認する
上司の指示で分からないことがあったら、必ず質問して確認しましょう。
「分かったつもり」が一番危険で、上司の指示とは違う無駄な行動を取ってしまうことがある
からです。
また、自分なりに判断するのは大切ですが、最初のうちは 1 つずつ上司に相談したほうがよい
でしょう。
□ ポイント
1.時間は貴重な経営資源だという認識を持つ
学生時代は「5 分程度、時間に遅れても大丈夫」などと、甘えが許されたかもしれません。
しかし、ビジネスではそうはいきません。
計画を立て、常に時間には余裕を持って行動するようにしましょう。
遅れるときは、早めの報告を徹底します。
2.オフィスは“第 2 の我が家”であり“公共の場”であるという認識を持つ
1 日の長い時間を過ごすオフィスは、同僚とシェアしている第 2 の我が家のようなものです。
整理整頓はも ちろんのこと、換気のタイミング、人と話す声のボリューム、飲食時のにおい
などにも配慮することを忘れずに。
3.「ホウ・レン・ソウ」は遠慮しない
忙しそうにしている上司を見ると、声を掛けるタイミングがつかめずに、「ホウ・レン・ソウ」を
ちゅうちょすることもあるかもしれません。
しかし、「ホウ・レン・ソウ」は大切な仕事です。
遠慮をすること無く、しっかりと「ホウ・レン・ソウ」をしましょう。
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■敬語は 5 種類
会話はコミュニケーションの基本です。
正しい敬語を使って、失礼の無いように、自分の意思を相手に伝えられるようになりましょう。
1.尊敬語
相手側または第三者の行為・物事・状態などについて、その人物を立てて述べるものです。
相手の行為などに使うことで、相手を高めます。
◎動詞などの例
いらっしゃる、おっしゃる、なさ る、召し上がる、お使いになる、ご利用になる、読まれる、
始められる、お導き、ご出席、(立てるべき人物からの)ご説明
◎名詞の例
お名前、ご住所、(立てるべき人物からの)お手紙
◎形容詞の例
お忙しい、ご立派
2.謙譲語Ⅰ
自分側から相手側または第三者に向かう行為・物事などについて、その向かう先の人物を
立てて述べるものです。
自分の行為などに使うことで、相手を高めます。
◎例
伺う、申し上げる、お目に掛かる、差し上げる、お届けする、ご案内する、(立てる べき
人物への)お手紙、ご説明
3.謙譲語Ⅱ
自分側の行為・物事を、話や文章の相手に対して丁重に述べるものです。
自分側の行為などに使うことで、 相手を高めます。
◎例
参る、申す、いたす、おる、拙著
4.丁寧語
「自分側」のことに限らず、広くさまざまな内容を述べるのに使えます。話や文章の相手に
対して丁寧に述べます。
例)です、ます
5.美化語
物事を美化して述べるものです。
上記の狭い意味での敬語とは異なり、広い意味での位置付けとなります。
例)お酒、お料理
□尊敬語と謙譲語をマスターしよう
1. ビジネスでよく使う尊敬語と謙譲語
敬語で難しいのは尊敬語と謙譲語です。
ビジネスでよく使う言葉を覚えておくと便利です。
なお、以下では、謙譲語Ⅰ と謙譲語Ⅱを区別していません。
1.読む:(尊敬語)お読みになる、(謙鮨請)拝読する
2.言う:(尊敬語)おっしゃる、(謙薄青)申し上げる
3.見る:(尊敬語)ご覧になる、(謙譲語)拝見する
4.する:(尊敬語)なきる、(謙誇語)いたす
5.知っている:(尊敬語)ご存じ、 (謙譲語)承知する
6.行く:(尊敬語)いらっしゃる、おいでになる、(謙譲語)伺う、参上する
7.来る:(尊敬語)おいでになる、みえる、(謙籠詩)参る
8.知る:(尊敬語)お知りになる、(謙譲語)存じ上げる
9. 聞く :(尊敬語)お聞きになる、(謙譲語)伺う
10.食べる :(尊敬語)召し上がる、(謙譲語)いただく
11.見せる:(尊敬語)お見せになる、(謙譲語)お目に掛ける
2.二重敬語に注意
二重敬語とは、 1 つの語に同じ種類の敬語を二重に使った間違った表現です。
例えば、「お読みになられる」は、「お○○」と「なられる」という尊敬語が重複した
間違った表現です。
正しくは「お読みになる」となります。
一見、二重敬語のほうが丁寧な印象を受けますが、正しい用法ではないので注意しましょう。
□「クッション言葉」でマイルドな表現を
ビジネスでは正確に意思の疎通を図ることが大切ですが、言葉がストレート過ぎると、相手に
きつい印象を与えてしまいます。
そのときに便利なのが、クッション言葉です。
クッション言葉を取り入れることで、印象を柔らかくすることができます。
ビジネスでよく使うクッション言葉には次のようなものがあります。
恐れ入りますが、失礼ですが、申し訳ございませんが、あいにくでございますが、
ご迷惑とは存じますが、お差し支えなければ、勝手を申して恐頼ですが、お忙しい
ところお手数ですが
クッション言葉は便利ですが、使い過ぎると「まわりくどい」「わぎとらしい」といった悪い
印象を相手に与えてしまうことがあるので注意しましょう。
□これは NG! 学生言葉はやめよ う
友達と話すときのような癖のある言葉は、相手に不快感を与えるので注意しましょう。
「仕事とプライベートで言葉を使い分けている」と思っていても、緊張しているときや、
ふっと 気が緩んだときに学生言葉が出てしまうことがあります。
また、 自分では気付いていない癖もあります。
日ごろから正しい言葉遣いを心掛けましょう。
1.語尾を伸ばす:「わたしい~」 「だから ぁ ~」
2.重ね言葉:「はい、はい」
3.「ら」抜き 言葉:「食べれる」「着れる」
4. 学生言葉:「超かわいい」「マジっすか」
5.自分の癖:「なるほどですね~」「承知で~す」
□ポイント
1.敬語は恐れずにチャレンジする
積極的に使わないと敬語は上達しません。
基本を覚えたら、失敗を恐れずにチャレンジしましょう。
2.クッション言葉でこちらの配慮を示す
クッション言葉は、そのときのビジネスの状況や相手との関係性を把握することで、自然と
出てくるものです。
自分の相手に対する配慮を素直に言葉にしてみましょう。
3.ハキハキと元気よく話す
語尾を伸ばしたり、小声でもぞもぞ話したりすると、相手に不快感を与えます。
いつでも、ハキハキと元気よく話しましょう。
相手に聞こえやすくするためには、顔を上げて話すことです。
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■ビジネスの「身だしなみ」
ビジネスにふさわしい身だしなみは、 TPO(Time Place Occasion)をわきまえ、清潔感のある
スタイルです。
自分の好みで服装や髪形を楽しむお洒落とは少し違うことを意識しておきましょう。
業界や会社によって、 “かっちりした” 服装の人が多い、カジュアルな服装の人が多いなど雰囲気
が違うので、「この格好で大丈夫かな?」と迷ったときは上司に相談してみましょう。
□「あいさ つ」する 習慣を持つ
あいさつの基本は、「誰に対しても、自分から、笑顔で、明るく、相手に聞こえる声の大きさで」
です。
「あいさつしようとしたのに、何て言ったら良いのか分からず、黙ったままだった……」といった
ことがないように、ビジネスでよく使うあいさつのフレーズを覚えておきましょう。
・お礼の気持ちを伝えるときは、「ありがとうございます」
・出社したときは、「おはようございます」
・外出するときは、「行ってきます」
・外出から戻っ たときは、「ただいま戻りました」
・相手が外出から戻っ たときは、「お帰りなさ い」
・擦れ違ったときや、相手が帰宅するときは、「お疲れさまです」
・先に帰るときは、「お先に失礼いたします」
・ 何かを頼むときは、「お手数をお掛けしますが、よろしくお願いたします」
・何かを頼まれたときは、「かしこまりました」
・相手を待たせるときは、「○分程度、お待ちいただけますか」
・お客様がいらっしゃっ たときは、「いらっしやいませ」
・お客様が帰られるときは、「ありがとうございました」
・謝罪するときは、「(大変)申し訳ございません」
相手が帰るときなどに、「ご苦労さま」と言うのは避けましょう。
これは上位者が下位者に対して言うフレーズです。
また、時間をもらうときに「ちょっと待ってください」と言うのも避けま しょう。
表現が丁寧ではありませんし、「ちょっと」の基準は曖昧です。
表現を丁寧にする場合は「少々お待ちいただけますか」と言うようにします。
理想は、「○分程度、お待ちいただけますか」といったように、時間を明確にすることです。
□きれいな「おじぎ」のポイント
おじぎには 3 種類あります。
シーンによって使い分けましょう。
また、おじぎとあいさ つの順番は、「あいさつ→おじぎ」が基本です。
きれいなおじぎをするコツは次の 4 つです。
1.背中に定規を入れているイメージで、 頭から 腰まで真っすぐに固定する
2.お尻を突き出すイメージで、上半身を傾ける
3.手の指は真っすぐ伸ばす
4.男性は、腕を体の横に付ける。女性は、手のひらを自分の体のほうに向け、軽く重ね合わせる
□ポイント
1.良い意味でお洒落になる
会社の代表として、「いつ誰に見られても恥ずかしくない『身だしなみ』や『立ち居振る舞い』」
を心掛け、 TPO を外さない範囲でお洒落を楽しみましょう。
2.明るく元気にあいさつする
あいさつは相手に聞こえなければ意味がありません。
小さな声のあいさつ、下を向いたままのあいさつは、逆に相手に不快感を与えます。
明るく元気なあいさつができるようになりましょう。
常に背筋が伸び、おじぎのときはお尻をくっと引いてポーズを決めるなど、 さ っそうと行動
する社会人になりましょう。
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■学生気分から抜け出そう
1.プロとしての自覚を持つ
新人だからといって、周囲は甘やかしてはくれません。
例えば、お客様や取引先から見た場合、新人のミスであろうと、ベテラン社員のミスであろうと
「会社のミス」であることに変わりは無いのです。
もちろん、経験の少ない新人ができることは限られますが、どのような仕事であっても、プロと
しての自覚を持って全力で取り組むようにしましょう。
2.自分で考えて動く
自分で考えて、動く習慣を身に付けましょう。
会社は上司に指示されたことだけをやる「指示待ち社員」を求めているわけではありません。
自分で課題を見つけ、解決に動くことができる社員を求めています。
今は、上司の指示を常に仰いで、その指示に従いながら仕事を覚えなければならない段階です。
しかし、「新人だから、上司の指示が無ければ何もできない」ということではありません。
例えば、オフィスの掃除、コピー取りなど、新人でもできることはたくさんあります。
周囲に目を配り、自分にできることがあれば、率先して「私がやります!」と手を挙げてください。
それが、自分で考えて、動ける人になるための第一歩です。
3.競争社会に居るという意識を持つ
厳しい競争社会に居るという自覚を持ちましょう。
会社は社員を平等には扱いません。
能力の高い人、努力を怠らない人、結果を残し続ける人などを評価します。
入社間もない新人は「横一線」なので、競争しているという実感は無いかもしれません。
しかし、上司は、新人の仕事ぶりをしっかりと評価しています。
そして、見込みのある新人には、他の新人よりも早く、新しい仕事(チャンス)を与えます。
このように、新人といえども、競争は既に始まっているという意識を持って仕事に取り組むように
しましょう。
□成長の近道を探そう
1.自分の将来像をイメージする
社会人としての自分の将来像を描きましょう。
自分の将来像を明確にイメージすると、夢を持ち、前向きな気持ちで仕事に取り組むことができます。
また、今、自分がすべきことも明確になるので、自分の将来像の実現に向けて、自ら進んで努力できる
ようになります。
2.身近な目標を見つけ、まねをする
身近に目標となる先輩を見つけ、良いところをまねしましょう。
仕事を素早く正しく覚えるための近道は、“できる人のまねをする”ことです。
身近にいる先輩であれば、仕事ぶりをこまかな点まで見ることができるので、まねをする対象としては
最適です。
3.指示の意味を考える
新人だからといって、ただ指示に従っていれば良いということではありません。
仕事の指示を受けたら、上司がその指示を出した意味を考えるようにしましょう。
そして、上司と自分の考え方が違い、かつその理由が分からないときは、遠慮せずに質問しましょう。
こうしたやりとりを通じて、仕事に対する考え方や進め方など、多くのことを学ぶことができます。
□良好な人間関係を築こう
1.人脈を広げる
社内外で人脈を広げる努力をしましょう。
ビジネスは多くの人の協力を得ながら進めていくものです。
また、さまざまな人とコミュニケーションを図ることで、裾野も広がります。
そのため、人脈を広げることは、とても大切です。
人脈は一朝一夕にできるものではありません。
社内の人とのコミュニケーションはもちろん、社外セミナーなどに参加して社外での人脈づくりにも
取り組みましょう。
2.同期は最大の味方であり、ライバルでもある
同じ時期に入社した同期は最大の味方であり、ライバルでもあるという意識を持ちましょう。
同じ時期に入社し、苦楽を共にする同期は、他の社員とは違う特別な存在です。
これからの長い社会人生活の中で、さまざまな困難に直面したとき、上司や先輩とは違った立場から、
親身になって相談し、協力し合えるのは同期だけです。
一方で、同期は、同じ時期に社会人としてのスタートを切った最大のライバルでもあります。
同期は単なる仲良しサークルの仲間ではありません。
過度にライバル視する必要はありませんが、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、良い意味で競い
合える関係を目指しましょう。
3.“飲みニケーション”は大切なコミュニケーションの場
上司などとの飲み会である“飲みニケーション”は、大切なコミュニケーションの場だと心得ましょう。
最近はアルコール類を飲まない人、弱い人が多いこともあり、“飲みニケーション”を好まない人も
いるようです。
しかし、飲食店などで、料理やアルコール類を楽しみながら話をすると、社内とは違った話題が出た
り、会社では見せない相手の一面を知ることができたりと、親睦を深める良い機会になります。
□ポイント!
1.学生気分を抜く
まずは、学生気分から抜け出し、社会人としての自覚を持つようにしましょう。
それが、社会人としてのスタートを切るための必須条件です。
2.社会人は自分で成長するもの
会社の教育だけに頼っていては、厳しい競争社会の中で生き抜いていくことはできません。
自分で目標と夢を持ち、自分自身でそれを実現するための努力を惜しまないようにしましょう。
3.人脈は財産です
社会人にとって、人脈はかけがえの無い財産です。
社内外を問わず、人との出会いを大切にし、また、縁あって出会った人たちとの関係を大切に育む
ようにしましょう。
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■新人は社会人の赤ちゃん、教育担当者はその親役
新人を教育して一人前の戦力に育て上げることば簡単ではありません。
同じ業界で働いていた人材を中途採用した場合でも、過去に自社で働いた経験がないことに変わりは
なく、社風・業務内容など基本的なことを教育しなければなりません。
大卒など社会人経験のない新人の教育はなおさら困難です。
教育担当者はその親役となって根気強く教育していかなければなりません。
新人教育の担当者は何かと気苦労が多く、どのように教育すれば新人を早く戦力化できるのかと、日々、
頭を悩ませていることでしょう。
時には「効果的な新人教育」をテーマにした書籍やビデオを購入して勉強することもあるのではないでし
ょうか。
新人教育には基本的なルールがあります。
これを書籍などから学ぶことば、教育担当者として好ましい姿勢です。
しかし、ルールにとらわれすぎて自分の教育スタイルを見失ってしまうのは問題です。
新人の性格は個々に異なります。
強くしかって伸びるタイプもいれば、意気消沈してしまうタイプもいます。
新人の教育担当者に求められるのは、確固とした数百万針を持ちつつも、どんなタイプの新人にも臨機
応変に対応していく柔軟な姿勢なのです。
以降では、市販されている書籍とは少し異なる視点から、
・教育担当者と新人のタイプ別の相性
・教育担当者の心構え
などを考えていきます。
□新人教育の本質は「考えさせる」ことです
1.「覚えさせる教育」はできて当たり前
新人に教えなければならないことば山ほどありますが、次の内容は必須といえます。
・業務内容 :業界動向、取引先、競合先、サービス内容など
・ビジネスマナー:電話応対、名刺交換、接客応対など
これらは新人教育の基礎といえるもので、教育することもそれほど難しくありません。
業務内容もビジネスマナーも、新人に覚えさせる教育であるため、繰り返し教えることでクリアできる
からです。
例えば、ビジネスマナーには一般的なセオリーがあり、新人はこれを“覚えるだけ”です。そのため、
これらは、教育担当者は覚えさせる努力、新人は覚える努力さえしていれば必ず身に付くものです。
逆にいうと、ビジネスマナーや業務内容すら十分にマスターできないような新人に対しては、早期に
教育方針を考え直す必要があります。
少し厳しい言い方ですが、出来の悪い子にはそれなりに接していかなければならないということです。
よく教育は“飴とムチ”のバランスが大切といいます。
しかし、できて当たり前のことをクリアできない新人には飴もムチもありません。
この段階で、「もしかしたら、強くしかりすぎて意気消沈してしまうのではないか…」などと教育担当
者が悩む必要はありません。
厳しい姿勢で徹底的に覚えさせる態度が求められます。
2.「考えさせる教育」こそが重要なのですが……
新人が社会人として一人前の戦力に成長していく過程においては、入社後の早い段階で、
「将来、社会人としてどんな自分でありたいか?」
というテーマで真剣に考えることが重要です。
同時に、
これまでの自分の姿勢では社会人として歯が立たない
(真剣に社会人として業務に取り組まなければ通用しない)
とショックも受けなければなりません。
新人にとっては大きな試練となりますが、この“考えること”と“ショックを受けること”のトンネルを
抜けた新人は、
社会人として、自社の社員として具体的に何に取り組んでいけばよいのか
を明確に方向付けて目標を設定し、それを達成するために鍛錬していくのです。
入社後半年もたてば、どんぐりの背比べであった新人に少しずつ差がついてきます。
確固たる意思を持って業務に励む新人がいれば、日々の業務にただただ流され始める新人も出てくる
でしょう。
こうした違いは、入社後の早い段階で、“考えること”と“ショックを受けること”ができたか否かによると
ころが大きいのです。
従って、新人教育において考えさせる教育こそが重要といえるのですが、これは覚えさせる教育と違っ
て容易ではありません。
なぜなら、多くのことを新人に任せていかなければならないからです。
教育担当者が「君は社会人としてどんな目標を持っているんだい?」と問いかけて、トンネルの入り口
まで線路を敷いてあげることはできます。
しかし、「このように考えろ」「大きなショックを受けろ」と無理やりトンネルに押し込むことはでき
ません。
考えることの大切さを教えることばできても、その先で新人が実際にどのように考えるのか、あるいは
全く真剣に考えないのかはすべて新人次第ということです。
□「コーチ」タイプと「プレーヤー」タイプ
1.できる新人は放っておいても伸びてくる
新人教育には覚えさせる教育と考えさせる教育があり、重要なのは後者で、結論から紹介すると、
“できる新人”は教育担当者の教えがなくても勝手に成長していくのです。
誰に言われるでもなく自発的に宿題に取り組む学生がいるのと同じことです。
すべての新人が自発的に宿題に取り組むような人材なら、新人教育はそれほど困難ではないでしょう。
しかし、残念なことに現実はそうではありません。
多くの新人は、教育担当者の適切な指導なしには自発的に行動を起こすことができません。
教育担当者の重要な役割の一つは、新人に自発的に考えて行動する習慣を付けてあげることだといえる
のです。
2.「コーチ」タイプと「プレーヤー」タイプ
新人が自ら考えて行動するように誘導するには、教育担当者にもそれなりの適性が求められます。
教育担当者に求められる適性の一つはコーチタイプであることです。
例えば次のような場合、担当者であるならどのような行動を起こすでしょうか?
【事例】
あなたは新人Aの教育担当者です。
3日前から新人Aに報告書の作成を頼んでいました。
その際、あなたは、新人Aが報告書の完成形をイメージできるほど、繰り返し指示を出したつもり
でした。
ところが、納期前日の午後8時になっても報告書は完成していない様子です。
それどころか、新人Aから何の報告もありません。
このような状況に置かれた教育担当者のあなたは…。
1.自分で報告書を作成する
2.指示だけ与えて自分は帰る
3.指示を与え、新人Aが報告書を完成させるまで隣で待つ
【「1.自分で報告書を作成する」を選択した場合】
これを選択した人はプレーヤータイプに近いといえます。
プレーヤータイプとは、自分で仕事をするのは速いけれど、人に教えたり、人を使ったりする
ことが苦手な人です。
新人が自分の指示通りに業務を進められない時などは、新人に指示を出し直すことよりも、自分
でサッサと業務を終わらせることを選択しがちです。
プレーヤータイプが新人教育とは関係のない立場にいた場合、新人はプレーヤータイプを“仕事が
できる先輩”として尊敬します。
しかし、プレーヤータイプが教育担当者になってしまうと、
・新人は、自分で業務を進めるプレーヤータイプからは多くを学べない
・プレーヤータイプは、教育が負担となって業務遂行のスピードを失う
といった問題が生じます。
【「2.指示だけ与えて自分は帰る」を選択した場合】
これを選択した人はコーチタイプの素質があるかもしれません。
しかし、新人と良好な師弟関係を築くことが難しいケースもあるでしょう。
教育担当者が先に帰るのは、「新人が報告書を完成できるように指示を出し直したので大丈夫
だろう。
また、社会の厳しさを知ってもらうために、ここは心を鬼にして帰ろう」といった意図があって
のことかもしれません。
しかし、この意図を正確にくみ取ってくれる新人は多くありません。
逆に、「自分に仕事を押し付けて帰ってしまった」と誤解されることのほうが多いものです。
社内の人間関係がドライになってきているといわれますが、教育担当者と新人には、ある意味で
師弟関係が必要です。
誤解とはいえ、新人が教育担当者の愛情を感じられないようでは、良好な師弟関係など築けるは
ずもないのです。
また、こうした教育担当者の行動は非常に危険でもあります。
翌日の朝に新人がしっかりとした報告書を完成させていればよいのですが、そうでない場合、
納期遅れを引き起こしてしまい、企業としての信用にまで影響してしまいます。
【「3.指示を与え、新人Aが報告書を完成させるまで隣で待つ」を選択した場合】
これを選択した人はコーチタイプに近いといえます。
コーチタイプとは、人に教えたり、人を使ったりすることが得意な人です。
新人が自分の指示通りに業務を進められない場合にも、根気強くサポートします。
また、コーチタイプは人の長所を見つけることが上手で、新人は自分の良さを生かしてくれる
丁寧な教育態度に愛情を感じ、そこに良好な師弟関係が芽生えていきます。
新人の教育担当者は、コーチタイプの社員が適しているということだが、一つ問題もあります。
それは、
人に教えるのがうまくても、仕事ができるとは限らない
ことです。
「名プレーヤーが名監督になるわけではない」といわれるが、同様に「名監督が必ずしも名プレ
ーヤーであったわけではない」のです。
新人の立場からみた場合、いくら丁寧に指導してくれるコーチでも、プレーヤーとして尊敬でき
なければ、いつしか“教わる態度”をなくしてしまいます。
3.コーチとプレーヤーは一つのチームです
新人の教育担当者として理想なのはコーチ兼プレーヤータイプです。
つまり、
人に教えることが上手で、仕事もバリバリできる人材
です。
しかし、常にコーチであり、またプレーヤーであり続けることば簡単ではありません。
そこで、次のような取り組みをしてみてはいかがでしょうか。
【今、プレーヤータイプの人は…】
まず、意識してコーチタイプに徹しましょう。
純粋なプレーヤータイプがコーチタイプになるのは、“忍耐”以外の何物でもありません。
しかし、教育担当者という重要なポジションを任された以上、常に新人を信じて待つ姿勢を忘れて
はなりません。
また、プレーヤータイプの多くは「私は誰に教えられたわけでもなく、勝手にできるようになって
いた。だから、教えることはない」と言います。
しかし、プレーヤータイプが迅速かつ正確に業務をこなしているのは、正しい業務の進め方とノウ
ハウを持っているからにほかなりません。
改めて自分の業務遂行方法を整理して、誰でも理解できる分かりやすい知識に置き換える努力をし
てみましょう。
ただし、どうしてもコーチタイプに徹することができないようであれば、教育担当者から退くこと
も考えなければなりません。
コーチタイプに徹しきれないプレーヤータイプが教育担当を続けることは、プレーヤータイプに
とっても、新人にとっても、企業にとってもマイナスばかりだからです。
【今、コーチタイプの人は…】
業務もバリバリこなすプレーヤー的要素も兼ね備えたコーチタイプであれば、特に何の問題もあり
ません。
あなたは教育担当者としての適性が高い人材といえるでしょう。
一方、人に教えるのが上手でも、自分の仕事振りはいま一つである場合は、プレーヤータイプと協
力しましょう。
貝体的には、
コーチタイプが社会人としての考え方などを教え、
プレーヤータイプが実際の業務の進め方を見せる
のです。
新人の立場から考えると、信頼しているコーチタイプの言葉は受け入れやすいものです。
また、プレーヤータイプの業務の進めぶりを見て感心することで「自分も早く、あのようになろ
う」と刺激を受けます。
このように、コーチとプレーヤーがチームを結成することで、新人教育が進めやすくなるものなの
です。
□教育スタイルと新人との相性
1.教育スタイルはさまざま
教育担当者は、それぞれの教育スタイルを持っています。
たとえ教育担当者がコーチ兼プレーヤーで適性抜群であっても、その教育スタイルと新人の性格が
マッチしなければうまくいかないことがあります。
教育担当者のスタイルを分かりやすく表現すると、例えば次のようなタイプがあります。
【「俺の背中を見て育て」の浪花節タイプ】
浪花節タイプは、「仕事は見て盗むものだ」、あるいは「俺の仕事を横で見ていろ」といったスタイ
ルで教育を進めます。
仕事の進め方で新人から質問があったときも、「俺はこうしている…」といったように主語が自分自
身になりがちです。
こうした教育スタイルは時代遅れといわれることもあり、最近注目されているコーチングとも相反す
るスタイルといえます。
しかし、新人が「熱血タイプ」(詳細は後述)である場合など、教育担当者と新人の馬が合えば大き
な成果が期待できます。
新人は尊敬できる先輩の背中を常に意識して育ちますし、教育担当者は自分を慕ってくる新人がかわ
いくて仕方ないからです。
【「どんな時にも合理的」の理論派タイプ】
理論イプは、「業務は効率的に進めるものだ」、あるいは「常に業務の手順を確認しろ」といった
スタイルで教育を進めます。
教え方に無駄がないのがよいところで、どんなタイプの新人も納得しやすいものです。
しかし、ある意味で型にはまりすぎていて退屈でもあります。
少し冒険して、新人に新しい業務を任せる機会も少ないので、新人の新しい適性を発見する機会も
少なくなります。
理論派タイプと相性がいいのは「こだわりタイプ」の新人(詳細は後述)といえます。
こだわりタイプは自分の価値観を大切にしますが、半面、自分の価値観よりも正しいと納得した相手
のアドバイスは素直に聞き入れるものだからです。
【「新人に任せていますから」の放任タイプ】
放任タイプは、「自分の思う通りにやってみろ」、あるいは「仕事は自分で見つけるものだ」といっ
たスタイルで教育を進めます。
よくいえば新人を信じるタイプ、悪くいえば教育担当者としては無責任なタイプです。
いずれにしても、放任タイプは新人教育にはあまり向きません。
少なくとも入社から半年が過ぎるまでは、新人に付きっ切りで細かい指導をすることになるからで
す。
放任タイプの教育スタイルが成功するのは、先に紹介した「自発的に宿題に取り組むような新人で、
かつ熱血タイプ」です。
このタイプの新人は、放任タイプの教育スタイルを「自分は期待され、信頼されている」と解釈し、
それに応えようとするからです。
2.新人のタイプもさまざま
教育担当者にそれぞれのスタイルがあるように、新人にも社会人としてのスタイルがあります。
新人のスタイルを分かりやすく表現すると、例えば次のようなタイプがあります。
【「早く先輩を追い抜いてやる」の熱血タイプ】
熱血タイプは、新人らしい“生きの良さ”があるタイプです。
入社前から、社会人としての自分の姿を思い描いており、向上心もあります。
そのため、教育担当者は、熱血タイプのやる気の炎を絶やさないように気を配ってあげることが
大切です。
また、熱血タイプはやる気が空回りしたり、間違った方向にエネルギーを注ぐこともあるので、
この点も注意が必要です。
熱血タイプと相性のいい教育担当者は浪花節タイプか放任タイプです。
ただし、放任タイプが適しているのは、熱血タイプの新人が優秀である場合に限ります。
熱血タイプを放任しておくと、勇み足を踏むこともあるからです。
また、熱血タイプは理論派タイプの隙のない指示に物足りなさを感じることもあります。
「新しい業務をどんどんこなしたい」と考える熱血タイプにとって、「君にはまだ早い」という
慎重な理論派タイプは物足りないのです。
【「自分の価値観が大切」のこだわりタイプ】
こだわりタイプは、自分なりの考え、価値観を持ち、強くそれを信じるタイプの新人です。
熱血タイプのような“生きの良さ”はありませんが、冷静で新人とは思えない落ち着きをみせることも
あります。
このタイプは、自分の価値観と教育担当者(企業)の価値観が一致したとき、あるいは自分の価値観
を超える尊敬すべき教育担当者に出会ったとき、ほかのどのタイプの新人よりも大きく成長する可能
性を秘めています。
一方、自分の価値観と一致しなかったり、それが否定されたときに殻に閉じこもってしまう傾向があ
ります。
こだわりタイプと相性のいい教育担当者は理論派タイプです。
理論派タイプこそが、必要に応じて新人の考えを理論的に論破できるからです。
一方、放任タイプとはなかなか打ち解けることができません。
また、最も相性が悪いのは水と油の関係にある浪花節タイプといえるでしょう。
【「自分では決められない」のおどおどタイプ】
おどおどタイプは、自分で率先して仕事を見つけたり、学ぶべきことを決めたりすることが苦手な
タイプの新人です。
ある意味で社会人経験のない新人らしさがあり、教育担当者の指示に素直に従います。
このタイプは、教育担当者が指示を出したことについては確実にこなしていこうと努力するので、
成長の過程が見えやすく、教育しやすいタイプといえます。
一方で、指示されたこと以外に率先して行動を起こすことは少ないため、期待を上回る大きな成長は
期待しにくいのが実情です。
おどおどタイプと相性のいいのは、浪花節タイプか理論派タイプの教育担当者です。
いずれの教育担当者も、教え方は違っても、新人にしっかりと指示を出すことに変わりはないから
です。
最も相性が悪いのは、明確な指示を出すことが少ない放任タイプといえるでしょう。
3.ご機嫌を取るのではなく、臨機応変に対応すること
このように、教育担当者と新人のタイプによって相性の善しあしがあります。
タイプ別の教育担当者と新人の相性は下表の通りです。
師弟関係を築いていく上で、教育担当者が新人のタイプを理解することは重要です。
ただし、「新人のご機嫌を取ること」とは違います。
へりくだった態度をとると、新人が社会・企業・先輩を軽視してしまうことがあります。
教育担当者は、自分のスタイルに新人を従わせることを基本としつつ、新人が理解しやすい教え方を
臨機応変に選択していけばよいでしょう。
□教育担当者の悩み事
1.「飴とムチノ」のバランス?
教育の現場では「飴とムチ」が大切だといわれます。
確かに、よくできた時は褒め、だらしない時はしかることが教育の基本です。
これはいたってシンプルな考え方なのですが、必要以上に「飴とムチ」を意識してしまうと、「飴と
ムチのバランスはどれ位が適切なんだろう」などといらぬ心配をしてしまうことがあります。
要は、できた時に褒め、だらしない時にしかるだけのことなので、深く考える必要はありません。
ただし、新人教育で重要なポイントは、教育担当者は新人が行っている業務内容、成果の変化を必ず
確認してあげることです。
社会人として一般レベルの報告書でも、新人から見れば大仕事の達成です。
新人の仕事はそれなりに認め、褒めなければなりません。
2.「飲みに行くこと」は重要?
新人を盛んに飲みに誘う教育担当者がいます。
これは、新人と早く打ち解けたいという教育担当者の意図があってのことなのですが、最近は「今日は
ちょっと用事が…」と断る新人が多いようです。
コミュニケーションの手段として、新人と共通の時間を過ごし、仕事以外の話をすることは非常に大切
です。
しかし、断る新人を誘い続けるのは問題です。
新人は「本当は行きたくないが、あまり断ると心象が悪くなる」と考え、心ならずもついてくるでしょ
うが、これでは良好なコミュニケーションは成立しません。
入社したての新人にとって、身近な相談相手は教育担当者だけです。
新人に悩みがあれば、新人のほうから相談を持ちかけてくるものなのです。
従って、教育担当者は、いつでも新人が相談しやすい雰囲気をつくっていればよいのです。
3.「新人が自分から離れていく」のは力量不足?
ある時から、教育担当者を避けがちになる新人が少なくありません。
こんな新人をみた教育担当者は、「なぜ、自分に相談してくれないのか」と不安と寂しさを感じます。
しかし、少し前のことを思い出してみてください。
初めのころは、どんなささいな事柄でも教育担当者に相談していたはずです。
それが、教育担当者以外の社員に相談するようになったのは、新人が一人前としての第一歩を踏み出し
始めたからにほかなりません。
新人は、自ら考え行動しようとしているのです。
このように考えれば、新人の教育担当者離れは「親離れ」であり、好ましい傾向といえるのです。
教育担当者としては、新人がほかの社員にもいろいろと相談しやすい環境を作るために、プレーヤー
タイプの社員に少し時間を割いてくれるようにお願いするなど、根回しをしてあげることが大切です。
□教育担当者の心得10力条
新人の教育担当は、何かと気苦労の多い大変な仕事です。
時には自分の教育スタイルを見失ってしまうこともあるでしょう。
しかし、教える姿勢を失ってしまってはすべてが終わりです。
教育担当者は、自分の確固たる教育スタイルを持ちつつ、周囲の社員のアドバイスを受け入れながら臨機
応変に新人と向かい合っていくことが大切です。
以下で、新人の教育担当者が確認しておきたい心得10カ条を紹介します。
<教育担当者の心得10力条>
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中小企業にとって人材の採用は大企業のそれと違って重要な経営課題となります。 採用した人材を即戦力として活かしていかなければなりません。 しかし、新人や中途採用者への教育、研修が正しく行われていなかったり、不足している せっかく採用した新人、中途採用者の正しい研修や教育、フォローにより即戦力として 新入社員は企業の将来を担う大切な人材であり、さまざまな研修カリキュラムを企画 入社初期の社員の職業能力を形成していく中での問題として、「指示されたことはでき これらの問題は新入社員研修などを通じて解決していくべき課題といえます。 新入社員が、一人前のビジネスマンとして業務を遂行していくために必要な知識や したがって、最初に必要なのは、自社において必要な知識や見識を身につけるための しかし、躾と同様に「できない」「身につかない」状態のまま放っておくと、誤った これは本人だけの問題にとどまらず、会社にとっても大きな損失です。 せっかく採用した新人の正しい研修や教育、フォローにより即戦力として活かすため そのため、単なる知識を教え込むだけではなく、それを理解させ、実際の行動に移させ 上記の問題は、業務に関する知識や経験の不足が一因と考えられます。 知識や経験の不足は新入社員研修だけでなく、その後のOJTなどを通じて解決を 一方、「社会人・組織人としての基本的な常識やマナーが身についていない」とすれ このときにしっかりと常識や組織人としてのマナーを身につけさせておかなければ、 中小企業の多くが人材の育成をおざなりにしているのを多数見受けられます。 今日の糧を得ることばかりに目が行き、自社(店)の将来に向けての展望がない。 あっても機能しておらず、単にお題目と化している。 新人育成においても理念やビジョンは重要な要素となります。 新人や若手社員は夢、希望、やりがいを求めています。 トップ自らが彼らに語ることです。
明日を担う新しい戦力を育てなくては、どんなに素晴らしい社屋や商品、製品があっ 企業にとって人材育成はトレーニングと置き換えてもいいでしょう。 育成の成否が企業の望む『人財』に育つか『人罪』になってしまうかは育成次第です。 新人育成をおざなりにすることは新人や若年層の早期離職を助長しかねません。 育成をおざなりにすることが結果として、組織の形骸化、収益の悪化、信用の低下、 あるアンケートの結果をまとめてみると、最近の新入社員に「欠けている部分」には、 (1) 社会人としての規範、ルール、マナーを一から教え込み、受け身でない自主的 (2) そのためには入社時の導入研修から、まず組織人としての「意識の切り替え」 (3) 彼らのプラス面である自己PR能力を良い方向に引き出せるよう、個性を尊重し 何よりも問題なのが、新人に多く見られる「現実という困難、プレッシャー」に非 どの時代の新人も、新入社員は不安の塊という事実は、新人研修において最も見逃 ただでさえ「粘り強さがない」今の若者にとって、人生で初めて一人立ちした瞬間 ここまでに挙げてきた、若者像や新人教育の傾向、問題点は指導者側が現実を不安
・全社的な教育理念の明確化と意思統一 ・挨拶、名刺交換、電話応対など社会人、組織人としての基本動作 ・売上高、取引先など会社の基本的な状況 ・経費処理の流れ、就業規則など会社の基本的なルール 常に次の時代の社員や幹部クラスを育てなくては、ぬるま湯的組織からの脱却、変 業績は改善されず、社員からは不平、不満が必ず出てきます。 競合他社(店)に立ち向かうためには、トップの方針に会社の全員が本気で取り組 新人研修は、学生気分を払拭し、仕事への意欲づけを行い、企業人としての姿勢づ そのため、単なる知識を教え込むだけではなく、それを理解させ、実際の行動に移 新人研修を実施する際には、次のような点が重要です。 (1)企業文化を認識させる 自社固有の文化を浸透させ、企業風土形成の一役を担っていることを認識させ 組織への貢献によって初めて正当な報酬が符られるという価値観を形成させま 甘えの構造で育った「指示待ち」「他人依存」「責任転嫁」の姿勢を排除しま 求められる「人財」像に向けて成長するきっかけづくりをつねに行います。 教えるよりは自分で気づかせます。 教育は繰り返し行うことが重要です。 反復訓練により習得させます。 すべての業務は、何かを調べたり、まとめたり、誰かにものを聞いたり、交渉した 業務を分解するための6つのポイント (1)誰かに聞くことはないか (2)誰かに知らせることはないか (3)誰かに依頼することはないか (4)自分自身でやるべきことはないか (5)何か調査・検討すべきことはないか (6)誰かと交渉することはないか
しかし、「いまどきの新人は」というレッテルを貼るよりも、新人が育つ環境を整 それはあなたの会社の将来を担うことになるかもしれない若手社員の離職を防ぐこ (1)企業とは 企業は、商品やサービスを消費者に提供 しかし、消費者からすれば、ある「特定の企業」 消費者は同じ便益さえ受けられれば、どの会社でもかまわないのです。 会社を必要としているのは、その会社の構成員(経営者や従業員)にほかなり ・自社(店)を支えてくれているのは誰か ・自社(店)が存続するためにはどういったことが必要か についても考えさせることが大切です。 企業の格差はお客様にどれだけ満足を与え、信用されているかによって決まる 仕事の基本として教えておくべきポイントとしては、 ・仕事の始まりは「指示を受けること」であり、 ・実際に指示された仕事を進めていく際には、業務を があげられます。 つまり、正しい指示の受け方、正しい報告の仕方、業務の分解の仕方を身につ 「始業から終業」まで、1日のビジネスサイクルのなかで、これだけは新人と たとえば、次のようなものがあります。 ・家を出る……身だしなみチェック ・出社 ……遅刻しない。とくに無届欠勤は組織人として失格 ・電話 ……ベルがなったらすぐ取る。 ・報告 ……結論から手短に、事実を報告 ・何でも分からないことは質問する(自分勝手に処理しない) ・メモをとる(記憶より記録) ・前例、慣習、マニュアルなどを参考に考える 「ビジネスマナー」では、なぜマナーが大切かを指導することが大切です。 ①第一印象の重要性 人が人をみてその人となりを判断する際には、いくつかのポイントがありま ・ポイント2……立居振舞(態度、ものごし) ・ポイント3……話し方(言葉づかい) ・ポイント4……話の内容(ビジネス会話) 大切なのは、それぞれのポイントにおいて、相手によい印象を与えることで 各ポイントにおいて、自分自身の魅力を高めるには、日々の行動、すなわ 言葉づかいについては「敬語の使い方」「人の呼び方」に留意して、日常が 電話応対は実習を中心に行うほうが効果的であり、理解も深まります。 指導内容は次のとおりです。 ・電話応対の重要性 ・電話の受け方 ・電話のかけ方 職場において、最初に体験し、難しさを味わうのが電話応対です。 実習を多く積み、少しでも不安を解消し、自信をつけさせることが大切で 電話応対と同様、実習中心が効果的です。指導内容は次のとおりです。 ・接客応対における心構え ・受付から見送りまで 受付の仕方/案内の仕方/応接室での言動/お茶の出し方 ・その他応対 実習を中心に体得していく方法が効果的です。 指導内容は次のとおりです。 ・アポイントメントの取り方 ・訪問するときの注意点 ・名刺交換の仕方 ・紹介のマナー ・新入社員の接遇マナー 仕事の始まりは「指示を受けること」です。 いかに上手に指示を受けるかによって、仕事 ここでは、上司の立場に立った正しい指示の (1)メモをとらせる 上司から呼び出されたときは、必ずメモを でなければ少し複雑な指示を上司が出したときに、正しく記憶し、遂行されな そこで、まずは指示を受ける際には必ずメモをとらせるようにします。 このとき大切なことは、『無意識のうちにメモをとる習慣をつけさせる』こと メモを取る習慣が身につけば今度は、メモを正しくとることが必要になってき 上司が自分に出している指示は、最終的にどのような地点に到達すれば遂行さ ①期限あるいは最終納期を確認する ②望ましい完成時期を明らかにする ③その仕事を完成させたときの「形」を確認する ④業務の目的を明らかにする ⑤助けになる人物、資料が存在するかどうかを確認する 指示を与える際には、当然わかっているはずだと思ったことでも、新入社員に そこで、『わからない点があれば質問させる』ことを徹底し、自分のすべきこ そして、このような段取りで仕事をすれば、約束の成果物を仕上げることがで 指示を終えたら、その内容がきちんと理解されたかどうかを確認するために、 間違っている点があれば訂正し、十分に理解できていないようなら再度詳しく 指示の受け方や報告の仕方は、仕事を進めていくうえでの基本です。 流れとして次のことを理解させます。 ・仕事の主旨を理解……指示を受けた仕事の目的を理解し、成果・結果を検討す ・計画 ……仕事の全体を把握し、手順を考える ・実施、遂行 ……仕事を遂行するなかでの疑問点は速やかに相談する ・中間報告 ……長期にわたる仕事では、現状や今後の見通しを随時 ・終了報告 ……指示を受けた上司に「結論から」報告する ・反省 ……計画・手順・結果について反省し、今後に役立てる そして、指示を受けるときや報告をするときの誤解・勘違い、勝手な判断は大きな いかなる業務も「報告」によって完了します。 報告はひとつの業務の終わりの行動であ (1)タイムリーに報告するようにさせる 大切なのは、『ひとつの業務が終わり これは、与えられた期限前に仕事ができた場合でも同じです。 修正する必要があったり、次の仕事が待っている場合があるため、報告は 仕事はいつも順調に進むとは限りません。 とくに仕事に慣れない新人の場合には思わぬ失敗やミスがつきものです。 期限間近になってはじめて「自分ではどう対処することもできない」と報 このようなときに、「次から注意するように」というのはもちろんです これは習慣がつくまで繰り返し指導します。 こうした危険信号を出す習作を徹底させるためには、上司のほうでも、こ 「いつ仕上がりそうか」「現在、どういった状態か」という点についてこ 新人に限らず、 ・正式文書でもないのに、文章の一字一句にこだわっている ・簡単なメモ書きで十分なのに、丁寧にワープロ打ちをしている ・大まかな動向を伝えるだけで十分だったのに、時間をかけて といったことがよくあります。 このように不必要な業務まで行ったり、丁寧にし過ぎることは時間の浪費 こうした時間をもっと重要なほかの仕事に回すようにさせましょう。 『業務を与える際に、期待する成果やレベルを明確に知らせ、 ことを徹底する必要があります。 報告の仕方についても、慣れないうちは業務の流れをはじめからすべて説 これでは、聞く側も結論がよくつかめず、時間の無駄となっていらいらさ 『結論 → 理由 → 経過、といった流れで報告させる』 ように徹底することです。 習慣がつくまで繰り返し指導することが必要です。 また、基本中の基本ともいえることですが、 ・最後まではっきり伝える ・分かりやすい言葉で話す ・事実を話す ということも徹底させましょう。 「人財」を育てることは小さな組織にとって急務です。 人材は時間が経てば自然に育つと思いがちですが、決してそうではない。 ロープレなどによる訓練の繰り返しで身につくものなのです。 これまでは、仕事の基本のうち、「始まり」と「終わり」について述べてきました 経験を積んできた人ならば、無意識のうちに反射的に業務を分解し、一見複雑そ しかし、会社で行う業務はそれがどのように難しそうにみえる業務であろうとも、 すべての業務は、何かを調べたり、まとめたり、誰かにものを聞いたり、交渉した したがって、いかに複雑な業務でも、行動レベルに分解してしまえばあとはその分 ここで、業務を分解するということは、言い方を変えればその業務の遂行方法を 以下に、業務を分解するための6つの視点をあげてみました。 (1)誰かに聞くことはないか(Hear) (2)誰かに知らせることはないか(Inform) (3)誰かに依頼することはないか(Request) (4)自分自身でやるべきことはないか(Operate) (5)何か調査・検討すべきことはないか(Examine) (6)誰かと交渉することはないか(Negotiate) この6つの視点は、それぞれの頭文字をとって『HIROEN(披露宴)』と覚えるこ このような覚え方で、業務を分解し、整理して取り組み方や取り組む順序を設計 新卒者採用面接評価の目的は、中小企業の場合、限られた人員で業務をこなしてい そのため、定期的に新卒者を採用しているという中小企業はそう多くないでしょ ですが、新卒者にとって厳しい就職環境が続くだけでなく、人材の流動化も進みつ さらに、企業が求める人材像も変わってきており、以前は成績優秀な優等生的な人 そのため、面接の重要性はますます高まっており、短い時間でいかに相手の内面的 優秀な人材確保のためにも、勘や経験といったことに頼らない面接評価が重要とな 1.氏名、学校等 氏名、学校等の面接が始まる前に確認しておくべき情報(第一印象の欄より上 相手の内面的な部分を見るためには、「志望動機を言ってください」などとい 第一印象については、どんな表現でもかまわないので感じたままを書きます。 ポイントは相手の悪いところを書くのではなく、いいところを探して書くこと 最初に悪いところに目がいってしまうと、そこばかりが気になってしまって、 中途採用者と違い、職業経験がありませんから、本当に説得力のある志望動機 ですが、「何を甘いことを言っているんだ」と批判的に見てしまわないことで どれだけの熱意をもっているか、本当に自社で仕事をしたいと思っているかど 他社ではどんなところを受験しているのか、面接はどこまで進んでいるのかを 他社での評価も参考要素になります。 ただ注意しなくてはならないのは、他社の評価はあくまでも他社のものであ また本人がウソの申告をしていることも考えられるので、あくまでも評価のた 会話を進めながら、1~5の5段階で評価します。 ここで注意することは、なるべく3(どちらともいえない)の評価をしないよ そう意識することで、より深く相手を観察しようとするはずです。 「是非採用したい」から「不採用」のいずれかに丸をつけます。 そして、なぜ採用したいと思ったのか、またはなぜ不採用と判断したのか、具 そうすることで面接者は相手をしっかり見極めようとするはずですし、面接者 お問合せ・ご質問はこちら |
新人・若手社員の離職を防止 |
新卒者が入社後に短期間で離職してしまうと、採用活動や研修などに費やした時間 厚生労働省「新規学校卒業者の就職離職状況調査」によると、入社後3年目までに しかし、若手社員側だけに原因を求めるのではなく、若手社員の定着や成長を阻む 早期離職の要因の一つが教育不足です。 中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行している。 その原因に教育担当者の人材不足と能力不足が挙げられます。 若手社員と会社との間、あるいは年齢によって若干の差は ・給与などの労働条件に対する不満 例えば、離職理由として「仕事のストレスが大きい」を挙げ そのほか、「労働時間や休日・休暇に不満」「会社の経営者 このように、企業と求職者の離職理由のギャップが大きい また、求職者の離職理由に「セクハラ、パワハラがあった」が 企業はこうした項目にも十分な注意を払う必要があります。 数字の出典:(独)労働政策研究・研修機構
■新卒者・若手の早期離職防止策 □新卒者の入社後の仕事のミスマッチを防止 入社前のイメージと入社後の仕事のミスマッチを防止するための対策は、新卒者の ・仕事の内容や入社後数年の育成計画を明確に伝える ・先輩若手社員と接する場を設けて入社後数年の実際の仕事の内容を などが挙げられます。 業務内容が本人の能力をはるかに超えるものであったり、業務量が多すぎたりする 企業が新卒者に対して行うべき施策は、業務内容や業務上の単なる軽減ではなく 企業は新卒者がどのような点に大きなストレスを感じているかという率直な意見に 企業には人材開発の計画があり、各部署の受け入れ人数も限られているため、新卒 その場合に、希望する部署に配属されなかった新卒者に対しては、モチベーション また、新入社員研修などにおいて、上司や先輩からのさまざまな部署のやりがいに 入社後しばらくして社内の雰囲気や自社を取り巻く環境がみえてきた新卒者は、 キャリアアップを理由とした離職者の割合は、年齢が高くなるほど多くなる傾向に 新卒者がキャリアについての不安を持たないようにするためには、新卒者がスキル 社内での人間関係は離職理由の上位に挙げられているだけではなく、離職を思い 企業における人間関係は単に仲の良し悪しではなく、仕事上必要なコミュニケーシ ・上司や先輩とのコミュニケーション ・同期などとのコミュニケーション の2つの視点に分けて考える必要があります。 また、新卒者と上司や先輩とのコミュニケーション 新卒者が仕事を続けていく上で持つであろう悩み そのための一つの施策として注目されているのが「メンター制度」です。 単に仕事上のアドバイスをする教育係ではなく、人生の相談相手となるような人格 新年度には、新入社員が入社し、社内の異動もあります。 新年度を迎えてから慌ただしく準備をするのではなく、いまの時期から若手社員と コーチングは、コーチが相手に効果的な質問を行うことにより、その人の能力を引 コーチングはコーチが知識や経験を持たない分野でも支援活動を行うことがあるの
(独)労働政策研究・研修機構 お問合せ・ご質問はこちら
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パートの位置付けを確認
1.雇用形態の確認
企業はさまざまな条件(雇用契約の期間、賃金の支給水準など)で従業員を雇用します。
例えば雇用契約の期間に注目すると、雇用期間に定めがないのは正社員、雇用契約が
中期(1~5年程度)なのは契約社員といったように異なります。
このような企業が従業員を雇用する際の条件を「雇用形態」と呼びます。
さまざまな雇用形態の中で、パートは、
・雇用契約の期間が最も短い
・人件費が最も低い
・期待できる能力が低い
といった位置付けになるのが一般的です。
2.パート活用の考え方の変化
先の「雇用形態の中のパートの位置付け」で確認した通り、多くの企業のパートに対する
認識は“使い切りの廉価な労働力”といったものです。
しかし近年、パートの有効活用を積極的に進める企業が目立つようになってきました。
具体的な取り組みは個々の企業で異なりますが、多くみられるのは、全パートに同じ時給を適用
するのではなく、パートの能力によって時給に格差をつける動きです。
よく働く、あるいは能力の高いパートの時給を高くすることでインセンティブとし、パートの
やる気を引き出そうとしているのです。
もともとパートの人件費は低いため、少し時給を引き上げたとしても、あまり企業の負担とは
なりません。
その一方で、パートは数百円の時給引き上げでも歓迎するため、より積極的に業務に励むように
なるのです。
こうした動きは、多くのパートを活用することが多い流通業界や外食業界でよくみられます。
例えば、流通大手のイオンは全従業員の約80%がパートという体制です。
同社は、店頭で接客することが多いパートの能力向上が店舗の魅力を引き上げるうえで不可欠と考え、
2004年度より正社員とパートの職能資格制度を一本化しています。
これは、雇用形態の違いにとらわれることなく、「よく働く従業員、能力の高い従業員には平等に
チャンスを与える」といった考え方に基づく取り組みといえます。
このほか、「パートの働き次第で店長に昇格するチャンスを与える」などの取り組みを実施している
企業が多くあります。
□パートに成果給、職務給を適用する
パートの能力や経験に応じて格差のついた時給を支給することは、パートの有効活用を目指すうえで
重要な取り組みの一つといえます。
ここでは、パートに成果給や職務給を適用する際の基本的な考え方を紹介します。
1.時間当たりの生産性を高める
賃金は年齢給、成果給、職務給など複数の要素の組み合わせで成り立っています。
こうした賃金支給額を決定する要素の集まり(賃金全体の要素の組み合わせ)を賃金体系と
呼びます。
一方、月給制、日給制、時給制などといった賃金の計算および支払いの単位を「賃金形態」と
呼びます。
新たに成果給や職務給をパートに適用することは賃金体系の見直しとなります。
ただし、パートの賃金体系を見直す企業は多くても、時給制を月給制に変更するといった
ような賃金形態の見直しを行う企業は少なく、通常は時給制が継続されます。
そのため、パートを有効活用するために賃金支給水準を見直す際は、1時間当たりの生産性を
向上するような仕組みづくりを心がけることが重要なポイントとなります。
2.短期の評価の繰り返し
ここで、成果給と職務給の特徴を確認しておきましょう。
・成果給:販売件数・金額などパートが達成した成果に対して支払う賃金
・職務給:販売職、清掃職などパートが担当する職務に対して支払う賃金
成果給と職務給は、いずれも能力・成果主義的賃金制度を構築する際に導入されることが
多い賃金の要素です。
成果給などの導入により、がんばった分だけ賃金が上がることを従業員が認識し、より積極的に
業務に励むようになれば、賃金体系見直しに成功したといえます。
これはパートに成果給と職務給を導入した場合にも同様です。
やる気のあるパートは積極的に業務に励むため、結果として時間当たりの生産性が高まっていく
のです。
しかし、既に能力・成果主義人事制度を導入している多くの企業事例が示す通り、成果給や
職務給の運営は容易ではありません。
なぜなら、企業による従業員の評価と従業員の自己評価が一致することはほとんどないからです。
同様に、企業が妥当と考える賃金水準と従業員が望む賃金水準にも大きな開きがあります。
このような企業と従業員との間に存在するギャップを完全に払拭することは非常に難しい
のですが、明確で透明性の高い評価体制を構築することは最低限の取り組みとして実施
すべきでしょう。
そのため、パートに成果給と職務給を適用する場合、「時給800円」といった一元管理的な時給制
では必要のなかった人事考課などの仕組みづくりが求められます。
また、正社員などと異なりパートの雇用契約期間は短期です。
そのため、人事考課を実施する時期は3カ月ごとのような短期サイクルにする必要がある
かもしれません。
多くの場合、正社員の人事考課は半期に1度のペースで実施されますが、これと同じ運用をすると、
次の人事考課の時までにパートが辞めてしまっている可能性があるのです。
3.賃金体系デザインの考え方
パートに成果給や職務給を適用する際は、人事考課の整備と同時に賃金体系のデザインを
進めなければなりません。
ここで、パートの時給が成果給と職務給といった2つの要素で成り立つケースを考えて
みましょう。
◎職務給
前述の通り、職務給とは「担当する職務の難易度に応じて決定する賃金」です。
分かりやすい例を挙げると、
・販売職に従事するパートの時給:900円
・清掃職に従事するパートの時給:1000円
・事務職に従事するパートの時給:800円
といったように職務ごとに時給が決定します。
さらに、各職務をランク分けして、
・販売マネージャーの時給:1200円
・販売ミドルの時給:900円
・販売ジュニアの時給:800円
といったように格差をつける場合もあります。
こうした職務給はパートに適用しやすい賃金要素の一つといえます。
なぜなら、もともとのパートの時給相場は職務内容に応じて形成されているからです。
地域格差はあるものの、販売職と清掃職の時給が同じであることはないのです。
◎成果給
一方、成果給をパートに適用することは職務給ほど容易ではありません。
成果給は前述した人事考課と強く連動する賃金であり、パートの何を評価し、その結果を
賃金(時給)にどの程度反映するかを具体的に決定しなければならないからです。
例えば、販売職のパートであれば、売上件数あるいは売上金額を成果給の評価指標
としなければなりません。
また、売り上げの増加には結びついていなくても、丁寧な接客態度でファンを獲得したなどの
成果が上がっていれば、それも評価する必要があるでしょう。
□パートに成果給、職務給を適用する際の基本的な流れ
ここでは、従来の一元管理的な時給制を見直し、新たに成果給や能力給をベースとした
賃金体系を構築する際の基本的な流れを確認します。
1.パート人件費の確認
まず、企業がパートに支払っている人件費総額を把握します。
本来、成果給や職務給はパートの人件費を引き上げる、あるいは引き下げるために導入
するものではありません。
そのため、パートの働きぶりをみて、客観的に判断して時給を決定するべきです。
ただ一方で、企業には負担可能な人件費枠があります。
その時点でパートに支払っている人件費総額は企業が負担可能な範囲内にあるはずなので、
新たに成果給や職務給を導入した後も従前のレベルとほぼ同等の人件費負担になるように
心がけます。
2.パートの担当職務と時給格差の確認
パートが担当している職務とパートに支払っている時給格差を確認しましょう。
仮に、販売職など特定の職務(職種)でしかパートを活用していない場合、「販売職」と
「清掃職」といった区分で時給に格差をつけることができません。
そのため、「販売マネージャー」「販売ミドル」などのように販売職をレベル分けし、
それぞれの時給を決定していくことになります。
また時給については、既に時給に格差をつけているか否かを確認します。
格差がある場合には、何を基準に格差をつけているのかを確認します。
勤務期間など年功的な指標に基づいて格差をつけているのであれば、そうした運用は
成果給や職務給にはなじみにくいので廃止を検討します。
一方、個々のパートの能力などによって格差をつけているのであれば、どのような能力を
評価しているのかを明らかにし、賃金体系デザインのヒントとしていきます。
3.職務ごとのレベルと要件の決定
「販売職」や「清掃職」といった職務ごとのレベルを設定します。
何段階のレベルを設定するかはパートの人数などによって異なりますが、3~5段階程度
とすれば管理の煩雑さもないでしょう。
次に、各レベルごとに習得していなければならない要件を決定します。
例えば、販売職ジュニアであれば、基本的な接客対応ができ、お客様から難しい質問を
された時は先輩従業員にすぐに報告できるなどとなるでしょう。
4.レベルごとの職務給と成果給の決定
レベルに必要な要件を決定したら、販売職ジュニアなど各レベルごとの時給を決定し、
各レベルごとの習得要件とパートの能力を比較し、各レベルに該当するパートが何人
いるのかを確認します。
仮に最も高レベルの販売職マネージャーが多く誕生するようでは習得要件が甘いと
いわざるを得ないので、必要に応じて見直します。
また、成果給については、評価の明確な指標を作成すると同時に、パートが達成した
成果をどの程度時給に反映するかを決定します。
基本的には、職務給部分をメーンとしつつ、成果給は数十~数百円を上乗せすればよい
と思われます。
ただし、これだけの成果給ではパートの時間当たりの生産性を高めるには不十分なことも
あります。
そのような場合は、歩合給的な要素を取り入れ、月間で1万円以上を売り上げたら、
その10%を翌月に支給するといった仕組みを構築するのも一策です。
5.成果給、職務給導入後の確認
成果給や職務給を導入した後は、定期的に制度の運営状況を確認するようにしましょう。
成果給や職務給を導入するのは、パートをより有効に活用するためです。
成果給や職務給がパートのモチベーション向上につながっていないようであれば、
再度の見直しが必要となります。
□シンプルな制度設計がポイント
成果給や職務給を導入する際の基本的な流れは、正社員の場合とパートの場合で大きく
変わりません。
賃金は重要な労働条件の一つであり、それを変更するには、それなりの実務が発生し、
また従業員に対する配慮が必要ということです。
とはいえ、パート活用のメリットの一つが雇用管理の容易さであることを忘れてはなりません。
新たに成果給や職務給を導入したことによってパートの労務管理が複雑になり、それに
ともなうコストが上昇してしまうのでは意味がありません。
賃金制度に限らず、パートに対する各種制度は、労働基準法などに抵触しないことを前提に、
シンプルな仕組みとするのがポイントです。
また、パートから新しい時給制度について質問をされることもあるでしょうが、その場合は
真摯に対応することを心がけましょう。
就業者人口に占めるパートの比率が高まっている昨今、雇い止め(雇用契約期間の満了)に
関するトラブルが多発しています。
こうしたことを背景に、2003年10月にパートタイム指針が見直されるなどしており、
企業の安易な行動が大きなトラブルにつながってしまう危険性があります。
なお、パート専用の就業規則を作成しているなど、企業とパートの間で労働条件を書面に
よってルール化している場合は、成果給や職務給の導入にともなう就業規則の変更と所轄
労働基準監督署への届け出が必要です。
□成果給・職務給を採用した時給制の一例
ここでは、成果給と職務給によって構成される時給制の一例を紹介します。
1.A社の現行体制
流通業を営むA社(16時間営業)は、販売職と清掃職でパートを活用しています。
なお、A社は一元管理的な時給制を採用しており、パートの能力や経験によって時給に
格差をつけることはしていません。
A社のパート(販売職)活用の体制は、パートを5人ずつの4チームに分け、各チームに
チームリーダー(正社員)を置いていました。
A社は16時間営業のため、1勤務4時間とし、それを各チームがローテーションで担当する
といったものでした。
チームリーダーの下、5人のパートはすべて平等の取り扱いで、チームの中のパート
リーダーは存在しませんでした。
こうした体制に問題があってか、販売職に従事するパート(以下「販売職パート」)の
何人かがやる気を失っているようでした。
流通業を営むA社にとって、販売フロアに立ち、お客様と接するパートの士気低下は
重大な問題となっていました。
2.販売職に従事するパートの時給制の見直し
販売職パートのやる気喪失を重く受け止めたA社は、パートの時給制を見直すことを
決定めました。
しかしA社は、清掃職に従事するパートを販売職に従事するパートほど重要視して
おらず、「与えられた業務だけをこなしてくれればよい」というスタンスでした。
そのため、A社は販売職パートの時給見直しと並行して清掃職の時給を100円引き
下げる同時に、現行の5人体制から4人体制に切り替えることとしました。
ただし、それでは清掃が終わらない可能性があるので、労働時間は3時間から4時間に
延長することとしました。
販売職パートの時給制を見直すに当たり、A社は一元管理的な現行の時給制を改革し、
成果給と職務給から構成される新制度を構築する方向で検討を始めました。
A社が始めに決定したのは、販売職に3段階のレベルを設けることです。
前述の通り、A社は1人の正社員(チームリーダー)と5人のパートからなるチーム制を
採用しています。
このチーム制は継続しますが、チームリーダーの下ですべてのパートが平等な体制の
ままでは、パートのモチベーションを高めることが難しいと判断したためです。
そこで、A社は各チームごとに
・1人のマネージャー
・2人のミドル
・2人のジュニアを設けることにしました。
マネージャーは販売フロアの業務に精通しているレベルで、役割はチームリーダーの
直属の部下となり、チームリーダーを全面的にサポートすることです。
ミドルは基本的な業務を習得しているレベルで、役割はマネージャーとジュニアの橋渡し
となる中間管理職的なものです。
ジュニアは経験が浅く自分で判断できることが少ないレベルで、役割はマネージャー
あるいはミドルのサポートとなります。
3.レベル要件の決定
販売職に従事するパートをレベル分けするに当たり、A社は各レベルの要件を決定しました。
例えば、マネージャーの場合、
→販売フロアの商品棚構成を熟知している
→A社の商品販売方針を十分に理解している
→1人でも十分に接客対応することができる
→チームリーダーが不在の時もフロア全体を見わたすことができる
といったことを習得していなければなりません。
A社は「どのパートに、どのレベルを担当させるか」について検討しましたが、結局、
パートのことを一番よく知っているチームリーダーに決定権を委ねることとしました。
ここまでの取り組みにより、A社はピラミッド型の4つのチームを構成することができ
ました。
4.時給の決定
問題は時給の決定でした。
前述の通り、現行の一元管理的な時給制でA社が負担する1日当たりのパート人件費は
3万3000円です。
新たに成果給および職務給を導入するといっても、この水準から大きく逸脱することは
できません。
検討を重ねたA社は、前述した清掃職の時給引き下げと同時に、販売職ジュニアの時給も
100円引き下げることにしました。
販売職に従事するパートの時給引き下げについてA社内の意見は分かれましたが、
あえて時給を下げることで、「早く上のレベルに上がるよう努力する」といった奮起を
期待することで決着しました。
A社の取り組みは
・最も重要な販売職マネージャーの時給を300円引き上げて厚遇する
・販売職ミドルの時給は据え置く
・販売職ジュニアの時給は100円引き下げ、奮起を期待する
といったものです。
これだけの取り組みではA社が負担するパート人件費が上昇してしまいますが、清掃職の
時給引き下げと人数の見直しなどにより浮いた時給分をうまく活用することで、1日
当たりの人件費合計は過去の制度よりも200円低くなりました。
5.成果給の決定
販売職に従事するパートに対するA社の新しい時給制は、レベル分けされた職務給が
中心となります。
販売職パートのモチベーションをさらに高めたいと考えたA社は、成果給の導入を決定
しました。
問題は、「成果給を個人単位で支給するか、チーム単位で支給するか」という点でした。
この点について検討を重ね、チーム単位で支給することを決定しました。
これは、個人単位で支給する場合に多くの実務が発生し、労務管理の負担が重くなる
事態を回避するとともに、チーム単位で支給することで、チームの結束力が強まることを
期待したためです。
A社が導入した成果給はいたってシンプルで、3カ月ごとに各チームの売上高を集計し、
最も高い売り上げを記録したチームのメンバーに3000円ずつ支給するといったもの
でした。
販売職パートのレベルによる金額差はなく、一律に3000円支給することとしたのは、
パートのモチベーションを高めるとともに、ミドルやジュニアのマネージャーに対する
不公平感を払拭するためです。
このような成果給を導入することで、A社は3カ月ごとに1万5000円を販売職パートに
支払うことになったわけですが、これが新たな負担となっているわけではありません。
新しい時給制を導入した段階で、A社の1日当たりのパート人件費は全体で200円軽減
されています。
またA社の月平均の営業日数は25日であるため、200円×25日×3(3カ月)=1万5000円
となり、軽減された1日当たり 200円の人件費を3カ月間プールしていけば、成果給分が
確保できる仕組みを構築しているのです。
3000円の成果給は販売職パートにとって大きな刺激となります。
特に販売職ジュニアにとってみれば、1日分の時給とほぼ同じ金額です(販売ジュニアの
時給は800円で、1日当たり4時間労働)。
そのため、各チームは3カ月に1回の成果給獲得を目指し、これまで以上に積極的に業務に
励むようになりました。
6.まとめ
このように、A社は貴重な戦力である販売職パートのモチベーションを高めるため、
成果給と職務給を取り入れた新たな時給制度を構築しました。
一方、パートに対する人件費負担は新旧制度で変わりません。
パートに限らず賃金制度見直しの方向性は個々の企業で異なりますが、大切なことは、
→賃金制度を見直す目的を明確にすること
→従業員(パート)のやる気を高める制度とすること
→企業の人件費負担水準に大きな変化が生じないようにすること
といえるでしょう。
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パートの戦力アップ |
■良質のパートを着実に確保し育てる パートタイマー(以下パート)といった短時間もしくは短期間労働者は年々増加傾向に あります。 これは正社員を中心とした固定人件費の比率を下げ、変動人件費への転換を考える企業が 増えてきたことを示しています。 以前は、パートというと社員の補助業務が一般的でしたが、現在では社員と 変わらぬ 業務をこなし、責任を負う人材も少なくありません。 こうした状況から、社員の戦力を補って余りある良質のパートを着実に確保し育てて いくことは、いまや企業の将来をも左右する重要な課題です。 昨今、パートの雇用が契約社員や派遣社員などとともに増加定着しています。 これは、長期化する景気低迷で正規従業員を削減する一方、代替労働者としてこれらの 雇用形態を採用する企業が増えているからです。 こうした中で、特に数の多いパートの積極的な活用、戦力化は今後の企業の発展にとって 重要となっています。 そこで、パートの戦力化のためのいくつかの方策について見ることにしましょう。 1.パートの適正配置 近年、パートの就労動機や目的は大きな変貌を遂げつつあります。 かつては、家計費の足しや小遣い稼ぎを主な目的とする一方、責任のない単純補助作業 を希望する人が多かったのですが、今日のパートは、職業生活を求める主婦や独立生計者 が時間の拘束の少ない就業形態としてパートタイム労働を選ぶようになり、専門技能や 習熟した経験を生かしたいと希望する人がふえています。 したがって、今日のパートは、その就労動機や目的が多様であるばかりでなく、個々に みるとキャリアや能力も一律ではありません。 たとえば、過去に就労経験があり、仕事に社会との接点を求め、能力を発揮したいと 思っているタイプの人、いわば「キャリア・ウーマン型」 ともいうべきタイプの人が います。 このタイプの人は、事務能力や接客、商品管理等の作業においても要領がよく、全般に 応用力や柔軟性もあり、非常に優秀です。 こうしたベスト・パートタイマーは、細かく観察をしなくてもだいたい一目で分かり ますが、このタイプの人を適切に処遇していないケースもよく見られます。 また、このほかに「社交型」「コツコツ型」「ホドホド型」「疲れ気味型」など 性格や意欲、能力等によってさまざまなタイプに分けられます。 これらのタイプは、これまでの職業経験や生活体験、生活環境の違いを反映しており、 また就労動機や目的とも深くかかわっています。 したがって、職場での処遇や環境によって変化する可能性もあります。 現状での特徴をよく観察し、一人ひとりの状態に応じた対応が重要です。 いつも理想的なパートだけ確保できていればよいのですが、実際は玉石混交である ことが多いでしょう。 そこで、一人ひとりのパートタイマーの就労ニーズやキャリアを個別に管理し、どの タイプに属するかを見極めて、適切な配置、人事管理を行うことがその戦力化のために 重要です。 2.戦力化のための教育訓練 パートにその持てる力を発揮してもらうためには、教育訓練が不可欠です。 そこで、導入教育とその後の基本作業のOJT(基本トレーニング)の進め方について 見てみましょう。 (1)入社初日のオリエンテーション 新人パートタイマーを1日も早く戦力化するためには、導入教育を適正に行う ことが不可欠ですが、特に出社初日とその後の数日間の導入教育が重要です。 そこで、まず、出社初日の導入教育のスケジュールをつくり、それにそってオリエン テーションを行うことが大切です。 その際、 「エルダー」 の役割が非常に重要です。 エルダーとは新人導入指導担当者のことですが、職場生活全般にわたって世話役を 勤めます。 エルダーはベテランでしかも世話好きの人柄のよい人を選ぶようにするとよい でしょう。 (2)2日目以降の導入教育 2日目以降の現場での教育は、基本作業のOJTが中心になります。 初日のオリエンテーションだけでは作業についてはほとんどマスターしていません ので、1週間から10日の間OJT担当者(エルダーなど)を配置し、系統的に基本 トレーニングを繰り返して職場と仕事に慣れさせていくようにします。 パートは、一般に正社員に比べて職業人としての意識が弱く、学習意欲も必ずしも 旺盛ではない場合が少なくありませんので、教育(訓練) にあたっては、教育の 目的を明確にして対象に応じた内容と方法をとる必要があります。 パートの職場導入教育の主要な目的は、早く職場に慣れさせ、日常の作業手順を しっかり体得させることにあります。 導入教育を通じてムダ、ムラ、ムリをなくし、作業効率を上げて生産性向上を図る とともに、パートタイマー自身にも無用の疲労やトラブルをなくすことができます。 入社日から基本トレーニングに至る導入教育(訓練)では、こうした目的がスムーズ に実現できるように、よく練られたプログラムに基づいて行うことが肝要です。 (3)基本作業のトレーニングと教育マニュアルの作成 基本トレーニングに際しては、「就業マニュアル」と「オペレーションマニュアル」 の2種のマニュアルがほしいものです。 「就業マニュアル」 は、主として社員としての、 “心得”を主体としたものです。 <就業マニュアルの骨子(例)> 1.お客様と問屋さんを大事にしよう 2.いつも明るく、挨拶を忘れない 3.いつも清潔な服装、みだしなみ 4.店内を整理整頓、いつも清潔に 5.商品や備品を大切に 6.時間とルールを守る 7.連絡と報告を忘れな 8.動作はキビキビ、作業はテキパキと 9.創意と工夫をもって常に向上を 10.助け合いと思いやりの精神を忘れずに また、 「オペレーションマニュアル」 は、商(製)品の流れなど、仕事全体が わかるようなものとすることが大切です。 そして、できるだけ標準化された作業手順を示し、個々の作業の仕方がわかるような ものにしておきましょう。 その場合、定型・均質作業について説明し、できるだけシンプル、簡潔なものに することが肝要です。 マニュアルは初めから完全なものでなくても、その後必要によって改善していけば よいでしょう。 マニュアルがあれば、時期がずれてバラバラに入ってくる新しいパートの人みんなに 基本的な職場の作業について統一的な指導ができ、その積み重ねの結果、最低限 の標準化が図られることになります。 また、マニュアルがあれば、教育期間が終わったあと、あれも教えていない、これも 知らないということがなくなり、その後のパートタイマーの仕事のレベルが確かな ものとなるに違いありません。 3.動機づけのシステムの構築 パートに限ったことではありませんが、新人の戦力化のためには、教育訓練を徹底する とともに、やる気増進のための動機づけのための諸制度を確立することが大切です。 (1)参画型の雇用管理 パートの戦力化を実現するためには、できる限りパートにも経営情報を提供し、 参画型の雇用管理を行うことが大切です。 パートだからということで、情報を提供しなければ、それだけ仕事への参画意識が 弱くなるからです。 そこで、担当者(当番)を決め、朝礼時の伝達事項などをパートにも知らせるなど、 情報不足から疎外感を感じさせないようにします。 (2)定期面談による目標管理 パートの動機づけに成功するためには、部門の責任者が定期的に面談をし、職場 活動のレベルアップのための目標を提起することが大切です。 パートは、与えられた目標を自主的に管理し、ランクアップのために努力をする ことになるからです。 (3)コミュニケーション パートとのコミュニケーションをスムーズにすることもその戦力化のために重要な ポイントです。 部門の責任者は気軽に声をかけるなど人間関係に心配りをしたいものです。 4.戦力化(やる気増進)のための適正な評価と処遇 パートに活力を与え、意欲と能力を引き出すためには、まず働く意義を十分に理解 させ、思い切って仕事を任せることが大切ですが、それとともに適正な評価・処遇 が不可欠です。 人間だれしも、評価されない仕事をいつまでも続けるほど愚直ではないからです。 まして、能力が高く、ほかの人より生産性の高い人にとっては、正しく評価されない ことほど面白くないことはありません。 そこで、パート一人ひとりが自分の担当している仕事がどんな役割をもち、どの ように貢献しているのかを明らかにし、その結果を処遇に反映させることが大切に なってきます。 具体的な方策について、見ていきましょう。 (1)ジョブランク制度の導入 期待する仕事の遂行レベルを明確にし、その基準に基づいて適正に評価し、処遇する システム、いわゆるジョブランク制度ですが、パートに求める職務要件をいくつかの グレードに分け、さらに、そのグレード毎の標準(最短)習熟年数を設定しておき、 これに基づいて評価し、処遇を決定します。 評価方法は、正規従業員と同様、人事考課(成果認定)によって、職務給をアップ します。 こうした制度を確立することによって、パートの能力と意欲を引き出し、その 戦力化が実現できるでしょう。 (2)社員登用制度の導入 一定のグレードに達したパートには、一定の範囲で責任者(代行) として活躍して もらうようにします。 さらに、家庭の状況などが許せば、社員として登用するシステムも是非設けて おきたいものです。 一部の企業では、パートから取締役にまで取り立てているところもあります。 いずれにしても、パートの戦力化の可能性が無限にあることに目を向けることが 大切です。 (3)適正な就業条件の確保 パートを有効活用する上で、就業条件の整備や福利厚生の充実も重要です。 まず、就業条件を整備する上で大切なことは、労働時間(帯)の適切な設定です。 パートになる者は、短時間労働であるが故にパートタイム労働を選ぶ場合が多い わけですから、最も忙しい時間帯とパートの希望を加味して労働時間(帯)を決める ことがポイントとなります。 また、年次有給休日数を法定通り付与すること(所定労働日数に対応して比例付与 日数が定められている)、社会保険にも適正に加入させることが必要です。 社会保険には狭義の社会保険(厚生年金、健康保険)と労働保険(労災保険、雇用保険) がありますが、前者は労働時間が一般従業員の概ね3/4を超える者、後者のうち 雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上の者(30時間未満の者は、短時間 労働被保険者となる。 この場合、1年以上勤続することが見込まれる者に限られる)について加入させ なければなりません。 また、賞与や退職金についても制度化したいものです。 パートに賞与や退職金を支払うかどうかは使用者の裁量に属する問題であり、支給 してもしなくても法律上は何ら問題はありませんが、パートを戦力として長期に 確保、定着させるためには、必要といえましょう。 賞与については「扶養控除限度額」との関係で、これを支給すると勤務時間を短く する必要が出てくることがあります。 このようなときは、退職金積み立てに振り替える方法があります。 つまり、本来支給すべき賞与を退職金に振り替え、退職時まで積み立てておく わけです。 退職金については、前記の賞与振り替えのほか、中小企業退職金共済制度 (以下「中退共」 という)を利用するとよいでしょう。 中退共には「短時間労働者に係る掛金月額の最低額の特例」があり、いわゆる パート(短時間労働被共済者)も加入させることができるようになっており、 掛金月額は、 2,000円、3,000円、4,000円の3ランクが設けられています(一般の 被共済者の掛金月額最低額は5,000円)。 長期に定着してもらいたいパートには、この制度を活用するのも一策です。 5.まとめ 以上、パートを戦力として活用するための方策について見てきましたが、最も大切な ことは、パートを短時間労働者であるが故に“補助者”として位置づけるのではなく、 「短時間という時間的制約を持つが、多様な人材群である」と位置づけて活用する ことです。 こうした視点に立ったとき、パートをいっそう戦力化するための様々なアイデアや 工夫が生まれてくるに違いありません。 激変する環境変化の中で、企業が生きのびていくためには、このような視点からパートを 適正に戦力化していくことが不可欠となっていることを肝に銘じておきたいものです。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
パートの定着と戦力化 |
■パートの実態 昨今の厳しいコスト削減要請下で、雇用の現場では、正社員からパート等の非正社員への 代替が進み、パートの基幹労働力化が時代の流れとなっています。 しかし、パートの処遇は、それに見合ったものとなっておらず、パートと正社員との賃金 格差はむしろ広がっており、多くの問題をはらんでいます。 小売業や飲食業では、今日、パートタイマー(以下パート) の活用と戦力化は、企業の 存続、発展にとって至上命題ともなっています。 なぜなら、一日のうち、顧客が来店する時間帯に大きな波があり、フルタイムの従業員で 対応すると効率が大幅にダウンするからです。 すでに、スーパーやファミリーレストランなどでは、パートの比率が7〜8割に達して いますが、全産業的に見ても約3割を超え、1400万人を超えるまでになっています。 このようにパートは、企業にとって欠かせない存在となっているだけに、本格的にその 定着と戦力化を図らねばなりません。 そこで、まず「パートとは短時間勤務という時間的制約をもった多様な人材群である」という 戦略的な位置づけ(認識)をすることが大切です。 そして、これを前提に教育訓練や人事管理、評価や賃金・処遇などの仕組みを考えていく のです。 1.新人教育とフォローアップを確実に パートの定着と戦力化のためには、入社初日とその後の数日間の対応の仕方が非常に 重要です。 つまり、導入教育とフォローアップが決め手となるわけです。 パートの導入教育の目的は、一日も早く職場に慣れさせ、正しい作業方法や仕事の やり方(顧客や仕入先への対応を含む)を身につけさせることによって、仕事の効率化を 図ることにあります。 副次的な効果として、本人の疲労が軽減され、一方で、仕事への興味ややりがい、 意欲の増進にもつながり、定着にもプラスとなります。 そこで、表①のような教育プログラムを準備し、入社当日からしっかり教育します。 ここでは、エルダーの役割が非常に重要となります。 エルダーとは、主に職場生活の指導係といった役割を担う人のことですが、先輩パート から選ぶのも一策です。 その際、ベテランでしかも世話好きで人柄のよい人を選ぶようにします。 初日の教育では、オリエンテーション(導入指導) をしっかり行い、二日目以降は 基本作業のOJT(職場内訓練)を中心とした実務トレーニングを進めていきます。 その際、本人の職務経験や年齢、職業適性などによって習熟度に開きが出ることが ありますので、バラツキの出ないように教育指導することが大切です。 その後のフォローアップ教育では、教育用オペレーションマニュアルをぜひ作成して おきたいところです。 実務トレーニングを進める中で、「あれも教えていない、これも教えていない」 と いった"ないないづくし"を引き起こさないようにするためです。 なお、フォローアップ教育の段階では、エルダーに代わって、ベテラン社員の中から OJT指導担当者を任命し、しっかりした作業の進め方を教育することが大切です。 2.キャリア、能力別の適性配置と複線型の人事管理 パートのキャリアや能力は多様です(表②参照) 。 このため、これらのタイプを的確に把握し、適材適所の配置をすることが重要です。 配置に当たって特に注意したいことは、能力も意欲もある有能なパートを単純作業に 配属し、意欲をそいでしまうことのないようにすることです。 そこで、単能型の仕事を望むのか多能型を望むのか、本人の希望も入れながら、複線型 の人事管理を行うようにします。 単能型にも、単純作業型と単能専門職型があり、多能型にも総合職型と一専多能型が あります。 専門職型や多能型を望む人には、じっくりと教育訓練を行うとともに、一定の責任ある 仕事を担当してもらい、計画的に育成していくようにします。 また、同じ仕事を任せてもパートによってその仕事の出来、不出来がありますが、 それに対して適正な評価をすることが大切です。 そのためのツールとして、仕事のレベルをグレード化した職務基準書を作成しておきたい ものです。 職務基準書があれば、有能で意欲のあるパートは、それを目標にいっそう精励する ことになるでしょう。 また、評価する側が恣意的にならないという効果もあります。 パートの意欲を増進するためには、このように適正な評価ができるシステムを確立 するとともに、コミュニケーションをよくすることにも心掛けなければなりません。 コミュニケーションには、同僚間と上司間、つまり、ヨコとタテのコミュニケーション がありますが、特に大切なのは、タテのコミュニケーションをよくすることです。 そのために、定期的な面談(上司と一対一で話し合う場) 制度を設けると効果的です。 面談では、両者が率直に意見が出し合えるように進めます。 また、会社(店)の情報を可能な限り、パートにも共有させます。 情報の共有は、連帯感を生み、意欲増進の原動力となるからです。 3.パートの賃金と処遇の決め方 パートの賃金の決め方には、大きく分けて、職種給、職務給、職能給の三つがあります。 例えば、販売職給、チェッカー給などのように職種ごとに決める賃金が職種給であり、 職務給は、職種という大きなくくりの中でも担当する仕事の難易度や責任度に応じて 加給するものです。 また、職能給は、能力(習熟度)や勤務態度、仕事の出来ばえなどを評価してプラス する、いわゆる能力(能率)加給です。 以上のように、賃金面からパートの定着、やる気増進を図るためには、時給800円とか 1000円といった単一型の賃金制度でパートを一律管理するのではなく、職種給 (いわゆる本給で職種ごとに一律) に、職務給、職能給などを加えるなどのきめ細かな 賃金制度を導入したいものです。 なお、希望者の少ない時間帯や曜日に働いてくれるパートには、これとは別に、必要に 応じて時間帯(曜日) 加給をつけるといった工夫も必要となるでしょう。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
契約社員・パートの早期戦力化教育 |
契約社員(期間雇用者:期間限定で雇用される者)及び、パートタイマー(短時間労働者) は企業にとって欠かせない存在となっています。 契約社員・パートの戦力化のためには、入社初日とその後の数日間の対応の仕方が非常に 重要です。 つまり、導入教育とフォローアップが決め手となるわけです。 契約社員・パートの導入教育の目的は、一日も早く職場に慣れさせ、正しい作業方法や 仕事のやり方(顧客や仕入先への対応を含む) を身につけさせることによって、仕事の 効率化を図ることにあります。 これを前提に教育訓練や人事管理、評価や賃金・処遇などの仕組みを考えていくのです。 ここでは基礎教育、仕事の頼み方、コミュニケーション、活性化・戦力化の方法について 説明します。 □基礎教育の進め方 新入正社員の研修には、どの会社でも力を入れます。 ところが、新しく入った契約社員・パートだと、会社の概要説明もそこそこに、いきなり 仕事を指示して、以後何もフォローしないという会社も多いようです。 しかし、どのような形であれ、新しくその会社に勤務する人には、その会社で必要と 思われることは基礎的な事柄も教え、仕事に対して同じ情報、同じ知識を共有してもらう べきでしょう。 そこで、契約社員・パートに対する教育はどうしたらよいかをみていきましょう。 1.配置前の教育 採用した契約社員・パートを職場に配置する前には、最も基礎的な事柄について伝える ことが必要です。 具体的には、 ①会社概要、経営上のモットー、社会的な役割 ②製品、取扱商品 ③労働条件、福利厚生 ④服務上の心得、安全衛生面の注意事項 などをわかりやすく教えることです。 そして、その契約社員・パートが働く職場(部署)においても、さらに自社内での 位置づけなども含めて説明したいものです。 さて、業務に関して具体的に説明するとき、主婦パートなどに教える場合には、とくに 注意したい点があります。 つまり、主婦は長く家庭内にいる人が多いため、自分だけのペースでものごとを進めて いくことに慣れている人もいるかと思うので、そうした生活から、集団で動くことに 頭を切り替えてもらうことです。 たとえば、 ① 家事は一人で決定し、処理できるが、職場は組織として、チームワークを もって行動しなければならないこと ② 家事は自分のペースで処理できるが、職場は決められた時刻、手順に従って 働くこと ③ 賃金(報酬)は、各自の仕事の質と量によって決まること ④ 働くことは楽しいし、仕事を仕上げる喜びがあること などを、具体的な例を用いて説明し、理解してもらうことが大切です。 2.職場での教育訓練 職場では、部署全体の業務の流れ、各人の業務分担、仕事の内容と仕方、手順、ケガや 災害を防ぐための注意点、さらには電話のかけ方、言葉遣い、あいさつなどを具体的に 教育します。 たとえ 40 歳の人であろうと、社会人としては経験者であっても、その職場では新人 ですから新人の契約社員・パートには基本的な教育はきちんとすることです。 担当する仕事について、マニュアルや指示書がある場合は、その見方、利用の仕方を 教えます。 仕事を教える際の内容の順序としては、 ① やさしいことからむずかしいことへ ② 基礎的なことから応用的なことへ ③ いまただちに必要なことから、将来必要になることへ ④ できれば作業の順序に従って教育する のがよい方法です。 次に、教える手順としては、 ① 言ってきかせる ② やってみせる ③ 一緒にやらせる ④ 一人でやらせる ⑤ よくできたところはほめる ⑥ まちがっているところを直す ⑦ 繰り返しやらせて、体で覚えさせる という順序で行います。 また、教える際の留意点としては、 ① 教える側の立場からではなく、教えられる人の気持ち、水準、習得の速さ などを考慮して教えること ② 重要なことをまず最初に教える こと、はじめに正しく、しっかり教え、 悪い癖がつかないようにすること ③ 一度にたくさん教えすぎないこと ④ 教え方が速すぎないこと ⑤ 複雑な仕事はいくつかの段階に区切って教える ことが必要です。 契約社員・パートに対する教育訓練は、ほとんどの場合、日常の仕事のなかで行う OJT(職場の実地訓練)ですが、その場合も、計画を立て、習得状況を確認しながら 行うほうが効果が上がります。 さらに、新人に担当させる仕事の教育は、本人の仕事の内容を詳しく教えるだけでなく、 この部署の全体の役割、仕事の流れ、指揮命令の流れ、本人はだれの指示・命令に より働くかを教えることも必要です。 □ポイントを押さえた仕事の頼み方 契約社員・パートに、組織への帰属意識をもってもらい、イキイキ働いてもらうには、 どうしたらよいかを考えてみましょう。 1.きめ細かに情報を提供する 常日頃、契約社員・パートに対して、いま、会社の経営はどういう状態にあるか、 自分の仕事は会社にどのように役立っているのかなどを知らせないでおいて、 「うちのパートは帰属意識がない!」と嘆いてみても仕方ありません。 契約社員・パートに限らず、部下に、目的にかなった仕事をしてもらうためには、 日頃、こまめに必要な情報を提供しておくことが不可欠です。 そのことがやる気を起こさせ、職場の人間関係をよくすることにもつながります。 たとえば、 ①朝礼のときには全員に集合してもらう ②契約社員・パートにも必要な会議に出席してもらう ③回覧文書は、正社員だけに回す分と、正社員と契約社員・パートの 双方にす分の二種類に分けて作成する など、あらゆる機会をとらえて、こまめに情報伝達、働きかけを行うようにしましょう。 2.全体の仕事の流れをつかませる いま、契約社員・パートに頼んでいる仕事は、全体の流れにおいてどの部分なのか、 最終的に、どのような目的のために、いつまでに完成させるのかといった全体像を 教えないでおいて、「忙しいのだから、細かいことはいちいち質問せずに、自分 なりに工夫して完成させてほしいのに……」とボヤいてみてもはじまりません。 契約社員・パートに仕事を頼む際にも、全体の仕事の流れをまず知らせ、やってもらう 仕事は全体の流れのどの部分なのかを伝え、その後、忙しがらずに質問に詳しく応答 することが、仕事の指示者と指示された人の共通認識をつくり、目的にかなった 仕上がりを実現することにつながります。 また、仕事の指示の仕方も、その場で細切れに指示するというのではなく、早め 早めに全体像を知らせておき、契約社員・パートが、朝、自分のその日の仕事の計画を もって会社に来られるような仕事の頼み方が必要です。 3.目標をもたせる 正社員の場合は、一つ上のクラスへの昇進、人事異動後に新しい仕事をマスターする、 仕事に関連した資格を取るなど、働くうえでの目標はいろいろあります。 これに反して、契約社員・パートのほとんどは、自分の担当する仕事をスムーズに できるようになると、あとは働くうえでの目標がありません。 これではマンネリになります。 人間はだれしも、与えられた、あるいは自分で決めた目標に向かって進むことで、 仕事に関心をもち、日々向上しようと努めます。 そして、目標を達成したときに喜び、それが次の前進、向上につながります。 ぜひ契約社員・パートの人たちに目標をもたせてください。 ひとつは、作業班、チームとしての目標設定があります。 生産目標、販売目標といったものです。 また、小集団活動としての改善提案、作業マニュアルの作成といった方法もあります。 これらの目標は努力すれば達成できるものでなければなりません。 契約社員・パートにとって荷の重いものでは、かえってやる気をなくしたり、辞める 原因ともなります。 また、目標を達成したらどうなるか、会社に対する貢献度、あるいは報酬などを はっきりさせておきます。 そして、成果は、賞与や昇給に反映させる、ふだんは行くことのないホテル、高級 レストランで表彰式と昼食会を行うなど、ギブ・アンド・テイクの精神でいくことが 不可欠です。 もう一つは、契約社員・パート各個人を、チームリーダーに昇格させる、正社員、 準社員に登用するなど、昇進、昇格の面で目標を与えるというものです。 契約社員・パートを多数雇用している企業ではこのような制度をどんどん導入しています。 □コミュニケーションの大切さ 管理者として契約社員・パートとのコミュニケーションについて、次の点に配慮する ことが必要です。 1.「どうせ契約社員・パートだから……」という考えを捨てる 管理者のなかには、「契約社員・パートだから補助業務をやらせればよい」 「辞めても仕方がない」という気持ちの人もいます。 この気持ちが心の底にあると、たとえ口に出さなくとも、契約社員・パートの人たちに ピーンと伝わります。 いまや、契約社員・パートは基幹要員であり、なくてはならない存在です。 正社員に比べ勤務時間が短かったり、雇用期間が限定されているだけで、役割は限りなく 正社員に近づいてきています。 最初から契約社員・パートすべてをある固定観念だけでとらえてしまうと、契約社員・ パートのほうでも、それだけの反応しか返さなくなります。 もちろん、契約社員・パートそれぞれに、やる気や状況は違いますが、上司のほうから 積極的に働きかけなければ、契約社員・パートの人たちにイキイキと働いてもらう ことはできません。 2.公平に接する 上司のほうから、「おはよう」「お疲れさま」と声をかけることです。 それも、まんべんなく、公平に声をかけることです。 ともすると明るく、積極的な人に多く声をかけることになりがちです。 静かな人や消極的な人に、意識的に声をかけるように心がけることです。 また、ただ「おはよう」というのではなく、「沢口さん、おはよう」「三田さん、 お疲れさま」といったように、相手の名前を呼んでみてはどうでしょうか。 働いている人はだれしも、上司が自分のことに注目し、よくやったときは評価して ほしいと思っているものです。 そのほか、どんな小さなことでも公平に接することです。 3.催し物などは正社員と一緒に参加するように誘う 契約社員・パートには、入ってきた最初にその会社の人事システムを明確に提示し、 正社員との違いを本人にもはっきり示しておくことが必要です。 また、正社員や短時間正社員への登用制度などがあれば、あとで本人が正社員登用への 応募について判断できるように、きちんと伝えておくことはいうまでもありません。 契約社員・パートの側からすると、細かな点についての待遇の差が後日わかり、淋しい 思いをするということがしばしばあります。 その一方で、たとえば、誕生日パーティーや忘年会など職場の行事には必ず契約社員・ パートにも声をかけ、参加してもらうようにしましょう。 気軽に参加できるよう、昼食会にするといった配慮も必要です。 こうしたことで、契約社員・パートにも「同じ仕事をする一員だ」という自覚が生まれて くるものなのではないでしょうか。 また契約社員・パートの人が辞めるときも、ささやかでも送別会をします。 こうして、いなくなることが残念であり、できればいてほしかったことを素直に表す ことで、辞めていく本人も、働いてきたかいがあるでしょうし、また、残った人たちへの 好影響があることは明らかです。 4.インフォーマル・リーダーとのコミュニケーション 大勢の主婦パートがいる職場ですと、パート同士がグループ化する傾向があります。 管理者はそのグループの、いわゆるインフォーマル・リーダーとのコミュニケーションが 大切になります。 たとえば、パート同士の人間関係のトラブルの解決については、そのリーダーに相談し、 知恵を借りるとよいでしょう。 また、若い正社員が年上のパートに遠慮して指示できなくなることや、パートから はじかれることがあります。 一方、年長のパートの側からすると、「長年いると、新人とたいした時給差はないのに、 まとめ役や指導などの責任を負わされる」という不満があります。 そこで、パート同士の仲間意識を利用し、パートの取りまとめはパートのリーダーに 行わせるとともに、年長のパートをきちんと処遇する、グループリーダー制度を設ける のも有効です。 □活性化・戦力化の試み 契約社員・パートの能力を十二分に発揮させ、企業の有力な戦力として活用するためには、 処遇・賃金制度を改善するなどし、モラルを高めていくことが必要です。 近年、契約社員・パートを多数雇用し、中核としている企業では、さまざまな活性化、 戦力化の試みを行っています。 あるパートのAさんは、レストランで働く 45 歳の主婦です。 今春はじめてグループリーダーに任命され、新人パートの指導にあたっています。 「他人をまとめていくことがいかに大変なことであるかを日々痛感し、中間管理者である 夫の苦労の一端が理解できるようになった」と、毎日張り切って働いています。 人手不足が今後強まるなかで、契約社員・パートをいかに活性化し、戦力アップするかが 企業の人事管理上、ますます重要な課題となってきています。 この場合、他社のシステムの外形をただまねるのではなく、自社の実態にマッチする方策を 創意工夫することが必要です。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
パート・アルバイトによる顧客対応策 |
■多様化する雇用形態 企業はさまざまな方法で社員を雇用します。 例えば、正社員、契約社員、パート、アルバイトなどが代表例です。 「どのような形で社員を雇用するか」を一般に雇用形態と呼びます。 景気好調時のメーンの雇用形態は正社員でした。 企業は「新卒を正社員として採用し、定年までの雇用を保障する」ことを採用戦略の基本 としていたのです。 この仕組みは、終身雇用、年功序列の人事システムと連動して、おおむねスムーズに機能 してきました。 しかし、近年は雇用形態の多様化が急速に進んでいます。 □OJTの意味と重要性 1.OJTとは OJTとは「On the Job Training」の頭文字を取った言葉で、「仕事をしながら行う訓練」 という意味です。 日本では、OJTが一般的な職業訓練方法であり、社内で行われる教育や訓練全般を 漠然と指すことが多くなっています。 しかし、OJTとは本来、明確な育成プランのもと、 「手本を見せる」→「説明する」→「実際にさせてみる」→「評価・指導する」 といった手順を繰り返す一連の教育・訓練方法です。 従って、「先輩の仕事を見て覚えろ」といった説明がない、もしくは不十分な訓練や、 適宜分からない部分を教える無計画な指導はOJTとは呼びません。 ただ現場で仕事をさせるのではなく、手本と説明、そして実施後の適確な評価と指導が ともなってはじめて、本来のOJTとなり、仕事に対する姿勢や必要な知識・技術を 正確かつ効率的に身に付けさせることができるのです。 2.パート・アルバイト(以下P/A)の顧客応対に関するOJT 一般に、OJTの対象者というと、多くの人が新入社員(正社員)と答えるでしょう。 P/Aにとっても、OJTは極めて重要です。 まず、P/Aは、社員に比べ短期間の雇用を前提とし、担当させる仕事を 限定する場合が多いため、費用をかけて社外の研修を受けさせることは一般的では ありません。 また、P/Aは、計画的に採用されるというよりは、欠員補充や新店舗開設など即戦力 としての活躍を期待して採用される場合が多いのが特徴です。 従って、短期間で仕事(顧客)に対する姿勢や必要な知識・技術を身に付けさせなければ なりません。 そのためには、実戦的な訓練であるOJTを効果的に行うことで、いち早く一人前に育て 上げる必要があります。 さらに、顧客応対にかかわる場合は、応対が悪いと即クレームにつながってしまうため、 P/Aの応対に関して一定の品質がより厳しく求められることになります。 一方で、P/Aは、一般社員に比べて会社に対する帰属意識が低いため、OJTを含む 初期教育の失敗が大きくモチベーションを下げ、退職につながることも少なくありません。 このように考えると頭の痛いことばかりのようですが、一般に、P/Aの仕事は、社員に 比べると定型的かつ限定的な場合が多いため、OJTは行いやすいのです。 また一度ポイントを整理してしまえば、ほかの管理者も、そのOJTの手法を活用する ことができます。 特に、P/Aの人数が多い会社や入れ替わりの激しい会社では、効率面はもちろん、 一定の品質を生み出せるという意味でも特に威力を発揮するでしょう。 以下、P/Aの顧客応対に関するOJTについて、その位置づけや実施上のポイントに ついて考えます。 なお、顧客応対に関する仕事としては、何らかのかたちで顧客と話す機会がある仕事 (受付・案内、販売、飲食業などのホール、電話応対、レジなど)を想定しています。 □OJTの位置づけ P/Aの新人に顧客応対を教育する場合、以下のような手順が望ましいでしょう。 <顧客応対に関するパート・アルバイトの新人教育手順> 座学:仕事に対する姿勢や必要な知識を教える。 ↓ ロールプレイング:指導者も含めて、パート・アルバイトを顧客と 応対者に分け、実際の仕事を模した環境で、随時 手本を見せながら訓練する。 ↓ OJT(顧客応対):実際に顧客と応対して仕事をするが、指導者が 周囲にいて内容をチェックし、適宜アドバイス・指 導を行う。 ↓ デビュー(顧客応対):1人で、実際に顧客と応対して仕事をする。 このように、ここでは、OJTを実際の顧客に応対しながら訓練する「実戦教育」として 定義します。 OJT期間中は、指導者が周囲でサポートしますが、顧客応対の中心はあくまでP/Aです。 いかにP/Aを短期間で育成したいといっても、いきなりOJTで実業務に就かせては、ミスを 連発し、クレームにつながるだけです。 また、P/Aのモチベーションも大きく下がり、退職につながりかねません。 そこで、OJTの前にロールプレイングや座学を行う必要があります。 ロールプレイングとは、P/Aを顧客と応対者に分けて、代表的な事例をもとに、顧客 応対を行わせる訓練方法です。 適宜、指導者も顧客や応対者となって手本を示すことで、実戦に即した能力を高める ことができます。 また、必ず座学で、仕事に対する姿勢や必要な知識を教えましょう。 ただ、完璧に習得させる必要はなく、 ・仕事(顧客)に対する基本的な姿勢を理解させる ・仕事の流れと優先順位を理解させる ことに注力しましょう。 細かなことは、ロールプレイングやOJTを通じて、実際に身体を使って覚えたほうが 身に付きやすいものです。 ロールプレイングやOJTの段階に進んだときに、常に意識できるよう、また常に振り 返れるよう、この時期に仕事の流れと優先順位は必ず繰り返し指導する必要があります。 なぜなら、ロールプレイングやOJTにおいては、顧客とのやり取りに集中するあまり 全体がみえなくなりがちだからです。 このように、ロールプレイングで身に付けた顧客応対方法と、座学で学んだ姿勢や知識を 生かすことで、失敗によるクレームを最小限にとどめ、かつ効果的なOJTが可能になり、 デビュー(ひとり立ち)への道も早まります。 □OJTの流れと実施上のポイント OJTは、次の3段階に分けられます。 「準備」→「顧客応対中のサポート」→「フォロー」 以下、各段階ごとにOJT開始時のポイントをまとめた後、デビューに向けてどのように OJTを変化させていけばよいかについて考えます。 1.準備 ロールプレイング後、何の説明も準備もなく実際の仕事に就かせてしまっては、 P/Aはパニックを起こしやすく、また指導者も適確なサポートができません。 事前に以下の点を確認しておきましょう。 ◎P/Aごとに弱点を把握する 指導者は、P/Aごとに弱点を把握しておきましょう。 弱点に注意してサポートすることで、不適切な応対を防ぐとともに、弱点が克服 できたかどうかをチェックすることができます。 ◎P/Aへの確認 いざ本番、というときに細かい部分をやたらと確認しても混乱させるだけです。 顧客に失礼のないよう、また次の手順が分からなくなってパニックに陥らないよう、 ・仕事(顧客)に対する姿勢 ・仕事の基本的な流れと代表的な顧客応対事例 ・仕事の優先順位 といった基本的な事項のみの確認にとどめましょう。 これらの事項は、座学やロールプレイングで繰り返し指導していることです。 あえて同じことを言うことで、「分かっている」という気持ちにさせ、自信を 与えることも大切です。 最後に、分からないことや不安なことは指導者に聞くように伝えて安心感を与え ましょう。 ミスやクレームの防止にもつながります。 ◎OJTの開始日時および業務を選定する 最初は誰しも緊張するものです。 余裕を持って冷静に仕事ができるよう、OJTを開始する際は、 ・比較的仕事の量が少ない日時 ・イレギュラー処理の少ない仕事(窓口) ・指導者のサポートが行き届く日時 を選びましょう。 比較的簡単な仕事で成功体験を積み重ねて自信をつけさせるとともに、不適切な 応対があった場合、すぐサポートできる体制を整えることが重要です。 2.顧客応対中のサポート 指導者の焦りはP/Aにすぐ伝染します。 以下の点に注意して、サポートしましょう。 ◎危険を予測しながら広く見渡す P/Aに対するOJTの場合、指導者1人で複数の新人をサポートしなければならない 状況がほとんどでしょう。 従って、指導者は個々の応対に集中するのではなく全体を広く見渡して、ミスや クレームにつながりやすい状況、すなわち・各P/Aが苦手としている応対・処理・ イレギュラーな応対・処理・厳しい顧客、機嫌の悪そうな顧客をいち早くとらえ られる態勢を保ちましょう。 ◎できるだけP/Aにまかせる ミスをする ことも勉強です。 基本的にはP/Aが助けを求めてこない限り、1人で応対させるようにしましょう。 ただし、取り返しのつかないミスや、大きなクレームになりそうな場合は、指導者 からP/Aに声をかけて指導するようにします。 また、これまで教えた内容を応用しても無理なことは、指導者がすぐに代わって 応対するようにしましょう。 ◎弱点を覚えておく 指導者は、顧客応対後のフォローや今後の指導に活用するために、ミスの内容や 助けを求められた内容は覚えておくようにしましょう。 また、特にサポートはしていないが気になった点についても覚えておくとよい でしょう。 3.フォロー フォローとは、顧客応対後や休憩時間前後、勤務時間終了後に、P/Aに対して行う 声かけや指導のことです。 フォローを適切に行えば、 ・モチベーションを維持する(高める) ・弱点に気づかせて成長を早める ことができます。 以下の点に注意しましょう。 ◎顧客応対後のフォロー 指導者がP/Aの顧客応対に疑問や問題を感じた場合は、その顧客の応対が終了した 後のできるだけ早い段階でフォローしましょう。 ほかの多くの顧客に応対した後では、指導者が指摘した内容を忘れてしまったり、 実感がわかなかったりして、フォローの効果が薄まってしまいます。 また、すぐにフォローすることで、気にかけてもらっているという意識を与える ことができます。 そして、フォローする際は、簡潔に仕事の詳細レベルまでポイントを絞って行う ようにしましょう。 あまり多くのことを求めても混乱させるだけですし、全体的な話をしても仕事中は なかなか頭に入りません。 また、特に問題がなくても、ねぎらいや励ましの言葉を随時かけるようにしま しょう。 仕事が落ち着いているときは、仕事と全く関係ない話をしてリラックスさせるのも よいでしょう。 ◎休憩時間前後、勤務時間終了後のフォロー 指導者が気づいたP/Aの弱点などを総合して、1日を通じて感じたことを全体的に 伝えるようにしましょう。 仕事の詳細レベルにまで踏み込まず、一連の流れの中で改善したほうがいい部分、 特に弱い分野、顧客に対する姿勢などを中心に一歩ひいた視点でフォローすることで、 基本に立ち返らせるとともに、細かいミスを気にしすぎる・気にし続けるのを防ぐ ようにしましょう。 何回も同じミスが繰り返されるのでないなら、詳細レベルについて何度も指導する 必要はなく、顧客応対後のフォローで十分です。 また、不安を感じていたり、落ち込んでいたりするようなら、それとなく声をかけ、 必要に応じて相談に乗ったり、ロールプレイングの相手になったりすることも 大切です。 そして、特に問題がなかったとしても、勤務時間終了後にはねぎらいの言葉を かけるようにしましょう。 ◎フォローのスタンス フォロー時は、上記のように問題点を伝えて指導する一方で、 ・褒めて自信をつけさせる ・きめの細かいフォローで安心感を与える ことが大切です。 顧客応対はできる限りP/Aの力で行わせて、あとのフォローでモチベーションを 維持させつつ、軌道修正を図りましょう。 4.デビュー(ひとり立ち)に向けて 以上のようなOJTを続けていれば、P/Aは着実に力をつけていき、自然と知識面での サポートやフォローの回数は減っていくでしょう。 従って、知識面で力がついてきたことをP/Aに伝えて評価するとともに、これから 求められる点、例えば、正確さ以外の顧客応対の品質(分かりやすさ、印象の良さ、 速さなど)の向上を伝えて意識させるようにしましょう。 それにあわせて、達成すべきレベルを少しずつ上げていきます。 そして、もう少しでデビューさせられるかなという段階がきたら、 ・いつをめどにデビューさせたいか ・そのためにはどの部分を改善すればよいか を明確に伝えて、デビューを意識させましょう。 その際、まずここまでがんばってきたことを褒めるとともに、不安に思っている こと、言いにくそうにしていることがあれば聞きだし、相談に乗るようにしましょう。 □まとめ 指導者にとって、現場でその都度臨機応変に指導することは、準備もほとんど必要なく ある意味楽な方法です。 しかし、P/Aにとって、実際に顧客の前に立って応対するのは、いかに指導者のフォロー があっても、少なからずストレスを感じるものです。 まして、ろくに知識もなく、応対の練習もほとんどしていない状態で立たされれば、 大きなストレスを感じ、退職してしまうことも少なくないでしょう。 従って、先述のように、必ず座学とロールプレイングで必要な知識や基本的な顧客応対 方法について指導しましょう。 そうすることで、P/Aは、OJTの初期段階から基本的なことは自分たちの力で応対でき、 それをもとに経験を積むことによって自信を深めることができます。 OJTでは、 ・得た知識の使い方、応用の仕方を体得する ・状況に応じて臨機応変に応対できる力をつける ・より高いレベルの顧客応対を目指す(分かりやすさ、印象の良さ、速さなど) ことに集中させましょう。 また、やる気のあるP/Aが必要に応じて学習できるよう、分かりやすいマニュアルを配備 しておくとよいでしょう。 さらに、指導者はOJTを通じて、各P/Aに共通している弱点を収集し、必要に応じて 座学やロールプレイングの内容にフィードバックしましょう。 OJTで学ぶ範囲を集中させるとともに、座学やロールプレイングの内容と連携を深める ことで、P/Aを効率的かつ安定的に育成することができるのです。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
新入社員研修 |
■社会人としての基本的な常識やマナーの習得 「自ら考え行動することができない」「チャレンジする意欲が低い」といった問題は、 業務に関する知識や経験の不足が一因と考えられます。 知識や経験の不足は新入社員研修だけでなく、その後のOJT(On-theJob Training) などを通じて解決を図っていくことになるでしょう。 一方、「社会人としての基本的な常識やマナーが身についていない」とすれば、 新入社員研修で身につけさせなければなりません。 業務に関する知識を習得する研修と違って 業務に直接関係しないビジネスマナー研修の 機会を設けることは、新入社員研修時を除くと難しいものです。 このときにしっかりと常識やマナーを身につけさせておかなければ、新入社員が業務で 直面するさまざまなシーンで、自覚のないまま失態を演じ、本人のみならず企業自体 の信用が損なわれかねません。 企業は、新入社員に対してどのような成長を期待し、そのためには、どのように教育 ・キャリア形成を図っていくか、1年後、3年後、5年後・・・といった段階を見越して 計画的に取り組むことが求められます。 □真面目で協調性を重視する 近年の新入社員は、「バブル期の新入社員が、良くも悪くも自信家で積極的だった のと比べ、就職難になってからの新人は概しておとなしく、真面目に研修に取り組む。 まずいことをしでかすとクビになるのでは、という心配があるようで、どん欲さに 欠けます。 就職活動が厳しいだけに、さらにおとなしくなる」と見ています。 産業能率大学は2020年度 新入社員の会社生活調査産能大が95年の新入社員に実施した アンケートでも、そんな傾向が浮き彫りになります。 91年のアンケートで1位だった「自分にしかできない仕事をしたい」 という、自信過剰 ともいえるような楽天的な態度は影を潜めています。 代わりに95年は、「チームでする仕事」 や「あまり責任のない仕事」 をしたいとする 回答が増えています。 会社に役立つ自分の持ち味は、との質問にも、91年には上位10項目にも入っていなかった 「協調性」 が2位になる一方、「会社で最も不安なこと」は、「上司や周りとうまく やっていけるか」 だと答えるなど、周囲との人間関係を最も重視していることが 分かります。 □管理教育が強まる中で育った こうした傾向は、単に就職難だけでなく、彼らが育ってきた環境にも原因があります。 最近の新人達は、 1973年の石油ショック以降に生まれた世代です。 彼らが成長期を過ごした1980年代はどういう時代だったのでしょうか。 80年代は、小学校、中学校で管理教育が進行しました。 いじめや、いじめによる自殺が社会現象となってくるのもこの頃からです。 つまり彼らは、集団から外れた行動、教師に指示されないことをしてはいけないと 教えられ続けてきた世代であるわけです。 また、彼らは「マニュアル世代」でもあります。 “正解”がすぐに得られないと不安になるのがその特徴で、就職活動にもその傾向が 強く現れています。 東京都内のある私立大学の就職課長は、「会社への資料請求の書き方まで教えてもらおう とする学生が急に増えた」と嘆いています。 就職セミナーや面接指導でも、「何か即効性のある秘訣を教えてもらえると思いこんで いる生徒ばかり目につくようになった」(同)といいます。 例えば、文具メーカーのミドリ(東京・墨田)が95年2月、就職活動をする学生向けに 発売したバインダー式の「就職ノート」(2000円)は、面接の模範解答や会社データ を整理する用紙、丸の内の地図などをルーズリーフ形式で印刷し、バインダーにセット したものですが、「3万セットがあっと言う間に売り切れた」(ミドリ) ほどの人気 ぶりだそうでした。 確かに、マニュアルが無ければ行動できないのは彼らの欠点です。 しかし、逆に言えばマニュアルさえあれば、驚くほど素早く物事を覚え、達成する ともいえます。 要領良く合理的に行動する彼らは、例えば会社での人間関係にしても、相手が上司という だけでは目上とは見なしません。 その上司と一緒に仕事をすることで、自分の能力も伸びるような知識や能力を持って いることを納得させることが大事です。 □積極性を引き出す研修が中心に こうした傾向に合わせて、新入社員研修のプログラムも変わりつつあります。 積極性を引き出すため「ロールプレイングやシミュレーション、ゲームなど参加型の メニューを増やし、単なる講義は最小限にとどめる」(富士ゼロックス総合教育研究所) ようになってきました。 ゲームやロールプレイングの内容も、バブル期と比べて変化しています。 チームごとにグリーティングカードを作り、他チームを顧客に見立てて納入する 「ミニ企業ゲーム」を例にとって見てみましょう。 このゲームでは、デザインに懲りすぎて期限に間に合わなかったり、急ぎ過ぎて品質が 一定しなかったりすると、チームの売上げにはなりません。 品質管理や納期を守ることの重要性、難しさを学ばせるのが狙いのカリキュラムです。 バブル期には、「なぜ品質管理や納期が大切か」といった理由を説明してからゲームに 取り組ませていたのですが、最近はまずゲームをやらせた後、何もヒントを与えずに 問題点や解決方法を話し合わせ、最後に講師が解説する、という方法が主流になっています。 先に“正解”を教えてしまうと、そこで満足してしまい、頭に入らないからです。 「能動的に行動させるシカケ作りが大事」(高見研究員)ということです。 例えば、産能大が毎年4月初旬に各社の新入社員、約300人を集めて開くイベントでも、 新しい試みを始めています。 これまでの講演中心のプログラムをやめ、違う会社の参加者5〜6人で即席の「会社」を 作らせ、与えられたテーマに関する事業計画を2時間でまとめて提出させ、優秀な企画を 表彰するという方式に切り替えました。 新入社員が変わった一方で、トップや管理職も変わらなりません。 「黙って俺についてこい」方式では、そっぽを向かれることは必至です。 「今の若者はわがままだ、言われるまでやらない、一般常識がない」と批判するだけの トップが多いが、真剣に若手の力を伸ばそうとしたことがあるか。 仕事の喜びを感じる機会をきちんと与えているか、振り返ってみる必要があるでしょう。 □社長みずから講師役つとめる 中小企業家同友会(東京)では、約10人の社長達が中心となって新人研修の カリキュラム を作り、自ら講師役を務める新人研修に乗り出しました。 「一社2、3人、多くて5人程度しか採用しない会社が多く、自社だけでの教育はやりにくい。 そこで、まとめて研修をすることになった」というのが、忙しい社長達が自ら乗り出した 理由です。 しかし、実現にこぎ着けるまでは相当な苦労を積み重ねました。 何しろ、カリキュラムから研修で使う材料まで、すべてゼロから作らなければなりません。 毎月1回、朝9時から深夜まで激論を繰り返す日々が続いたそうです。 何度もカリキュラムを練り直し、事前に各社の社員を集めてリハーサルも行いました。 時間とエネルギーを注いだ甲斐あって、参加した約40人の新人達からは「社長自らが これだけ必死に教えてくれるなんて、期待されていると感じてやる気が出た」と大好評 だったそうです。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
飲食業のパートアルバイトを戦力化 |
■パートアルバイトは正社員と同等の存在 飲食業は他の業種と比較して従業員に占めるパートアルバイト(以下P/A)の比 接客や調理など、店のほとんどの業務にP/Aは関わっています。 お客様を直接もてなす機会も多く、その質の良し悪しは店の業績さえ左右しかね こうしたことから、「飲食業は教育産業である」といわれることがあります。 接客などにおいて従業員の質がサービスに大きく関係するため、そのP/Aのレ P/Aの戦力化がその店のレベルを引き上げることを ことが重要です。 社長のなかには「せっかく採用したのにすぐ辞めてしまう」「無断で店を休む」 「遅 それには、P/Aを単に一時的で補助的な存在と考えず、その能力に期待して教 そして、 仕事の結果を評価し、次の目標を与えるようにすることによって、 飲食店のP/Aは雇用形態が異なるだけで、接客サービスに求められることは正 これからの飲食店においてはP/Aを正社員と同等に教育する姿勢が求められます。 では飲食店においてP/Aをきちんと教育し戦力化するには、どのようなステップ まずは、P/Aを含めた全従業員の作業レベルを均一にするための、業務の標準化 次にそれにもとづいたP/A教育を行います。 さらに技術面だけではなく、P/Aの精神面への働きかけ、具体的にはP/Aのや 以上のことが整備されてはじめて、P/Aの戦力化が実現するのです。 マニュアルとは「現場での各作業を標準化し単純化することにより、合理的、効率 従業員のレベルを均一にするためには、マニュアルを整備し、それに基づき教育 接客サービスに特色のある店としてお客様からの支持を集めている店のなかに こういった店の接客レベルは、徹底したマニュアルによる教育によって保たれてい 次に、具体的にマニュアル作成上の留意点について解説していきます。 すでにマニュアルを整備している場合も、今一度、自店のマニュアルを見直して マニュアルとはあくまで“現場”レベルで考案された実効性のあるものでなくて いくら立派なマニュアルを作っても、現場の実態からかけ離れたものでは意味 したがって、 マニュアルを作る際には、 各作業は新人P/Aでもできるように分かりやすい方法・手順・道具を選び簡 また、作業時間の目安が明らかなもの、たとえば清掃作業や仕込み作業など このように現場担当者が作業を標準化したら、それをマニュアルとして整理し マニュアルに記載する表現はできるだけ短くし、箇条書きを基本とします。 そのうえで、絵や写真などを活用し、より分かりやすいように工夫することが必 いったんできあがったマニュアルは即全店に導入するのではなく、 このテストは新人など教育をあまりしていないスタッフで行うようにします。 新人スタッフでもマニュアルに沿って業務を進めることができなければ、マニュ そしてテスト段階でわかりにくい点、不備な点などがあればこれを改善し、マ P/Aはマニュアルによって自社の正しい作業手帳をマスターしていきます。 基本的にマニュアルに定める以外の方法や手順は認められません。 したがって、各P/Aがマニュアル通り作業を行っているかどうかをチェックし、 マニュアルという基準を作ることで、店長はP/A各個人の能力を評価でき、そ また、定期的に人事考課を行うことにより、P/A各個人の得意分野、不得意 また、店長が人事考課の結果を受けて、マニュアルに基づき再度P/Aを指 したがって、 マニュアルは指導育成のツールとしてだけでなく、 わけです。 マニュアルは、作成した時点における作業上の必要事項を網羅したものです。 つまり、店の状態や社会環境などが変化すれば、そのマニュアルは陳腐化し たとえば、POSレジを導入すれば、伝票の処理作業が変わりますし、メニュー また店もレベルアップしていかなければならないわけですから、それに合わせ 現実には、マニュアル作成後、マニュアルの見直しが行われず、各項目が現 これではマニュアルの意味がありません。 マニュアルはつねに現状を踏まえた内容にリニューアルしていくことが必要な マニュアルができあがったら、次はそれをP/Aに教え込む仕組み作りが必要に マニュアルが整備されている大きなチェーン店でも、教育トレーニングがうまく この原因の大半は、トレーニングプログラムの整備不足とトレーナーが正しい こうならないためには、P/Aに対しどのような順番で、誰がどのように教える 教育プログラム作成にあたっては、マニュアル同様に現場でのミーティングを また、実際に新人P/Aの指導にあたるトレーナーの教育も必要です。 ロープレ(ロールプレイング)を行いどのようにP/Aを指導するのか、言葉や 新人P/Aが入店するとすぐトレーニングを実施しがちですが、その前に自店 これが新人にどこまで「動機付け」できるかのポイントとなります。 このようにオリエンテーションは、P/Aのやる気を左右する重要なものですの 具体的な作業のトレーニングは、マニュアルを使用してOJTで行います。 トレーナーは新人P/A(トレーニー)に自己紹介し、これから行う作業の店内 次に、トレーナー自身が正しい作業のやり方の手本を示します。 また、「なぜそのような手順で行うか」といった理由もマニュアルをもとに説明し 次に同じ作業をトレーニーにやらせてみます。 そして、間違った箇所を具体的に手直しし、再度トレーニーに同じ作業をできる この段階で重要なことはマニュアル通りに正確に行うことです。 P/Aにはそれぞれ能力差があります。 マニュアルは最低基準を表したものですが、基準に達したらあとは各個人の このレベルになると、トレーナーはトレーニーと少し距離をとり、接客が終了し また、事例をもとに、トレーニーに解決策を考えさせることも効果があります。 ベテランの従業員になると、マニュアルを無視したり、勝手にやり方を変えてし そこでP/Aを教育するトレーナーには、ベテラン社員やベテランP/Aがあた トレーナーになると、つねに基準を正しく繰り返し新人P/Aに教えなければな 以上、おもにP/Aを技術面から戦力化する視点についてみてきましたが、これら P/Aを動機付けし、いかにやる気を引き出すか ということがあげられます。 それにはまず、P/Aがどういった理由で働きたいと思ったのか、その志望動機を では、P/Aは働くことに何を求めているのでしょうか。 まず第一に「お金」が考えられます。 しかし、P/Aの時給を上げても、一時的にはやる気を見せるものの、しばらくたつ P/Aであっても、お金のためだけではなく、将来を見据えて働き「自分のステップ ですから、ただ単に時給を上げるのではなく、キャリアアップに従って時給も上が 仕事面からP/Aのやる気を引き出すには、仕事の内容を徐々に高度にしたり、 キャリアアップの仕組みを作るときには貸金体系も連動させて作り、能力のある また、P/Aは職場を社会との接点として捉え、働く仲間達とふれあい、コミュニ そのため、店としては明るく楽しい職場作りを目指す必要があります。 たとえば、歓送迎会や忘年会などを開催するのもよいでしょう。 その際の運営にP/Aから幹事を選出するとさらに仲間意識が高まり、職場に楽
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少数採用時代の新人教育 |
■最近の若者像を理解する 最近の若者像を探る場合、本質的な部分では、「バブル期」の頃と「今」を比べて 「ブランド志向」と呼ばれたバブル期の若者像は不況の影響で多少は影を潜めて 各種経済誌やシンクタンクが行ったアンケートの結果をまとめてみると、 最近の新入社員に「欠けている部分」には、 ・粘り強さ ・社会的な規範や常識 ・ルールの順守 ・マナー、礼儀 が大抵上位を占めており、 逆にプラス面としては ・要領のよさ ・協調性 ・自己アピールのうまさ などが挙げられています。 これは、多くの会社において、20代の社員全般にみられる傾向でしょう。 そこで、今必要な新人教育の方針としては、以下のようなものが考えられます。 (1)社会人としての規範、ルール、マナーを一から教え込み、受け身でない自主 (2)それには入社時の導入研修から、まず企業人としての「意識の切り替え」を徹 (3)彼らのプラス面である自己PR能力を良い方向に引き出せるよう、個性を尊重 前述した意識の切り替えは多くの企業が必要性を感じるており、それだけ、どの 無理に企業人としてのルールやマナー、常識を押しつけても、すぐに嫌気がさし 何よりも問題なのが、前項で述べたように「現実という困難、プレッシャー」に非常 もちろん、逃げ出すとは「転職」を意味します。 この問題は新人教育の最大の課題として、もう少し踏み込んで考えてみます。 親の仕送りで暮らしてきた学生には、多少バイト先が減ったことくらいしか不況を しかし、就職活動を通して初めて世間の厳しさを肌で感じたことでしょう。 東京商工会議所「2017年新入社員の意識調査」 この結果をみると、やはり就職活動を通して不況を肌で感じたのでしょうか、 ただし、必要以上に会社生活に夢をなくすのは寂しいばかりで、何事にも極端に 「いつも仲間と一緒でなければ不安」といった傾向はこれからもみられるでしょう。 これは「今の若者だから」というよりも、新入社員は誰もが「不安」だからといえる。 かつての新人も、きっと知らず知らず集団の中にいたのではないでしょうか。 ただ、昔と違って、採用数が減ったといっても今の新入社員達には同期の仲間が 従って、余計に目立つのでしょう。 しかし、新入社員は不安の塊という事実は、新人研修において最も見逃してなら ただでさえ「粘り強さがない」今の若者にとって、人生で初めて一人立ちした瞬間 不安で押し潰されるのもうなずけます。 そんな時に、 ・いきなり個性を無視した体育会的合宿研修 ・意味や意義に触れないマニュアルの押しつけ ・OJTと称して何も教えずに仕事をさせるやり方 などをしていては、新人研修に最も求められる「意識改革」ができないばかりか、 ここまでに挙げてきた、若者像や新人教育の傾向、問題点は一部の現象かもし 今の新入社員の導入研修において最も注力すべきことは、 社会人、企業人としての「意識改革」 であると述べてきました。 その一方で、新入社員は現実に直面した際の脆さが問題としてあり、一度困難に 上司に「やる気がない」「何を考えているかわからない」といわしめるほど、 へと変身してしまいます。 しかし、入社前の面接では、彼らはとても自己アピールのうまい人達なのです。 せっかくの資質を伸ばしてあげるためにも、入社時の現実ショックを取り除き、ス 大半の企業では、新入社員が入社してからすぐに人事部による合宿方式の導 ここで考えてもらいたいのが、 人事部の行う合同研修と、職場の上司によるOJTとの2極体制による教育 の進め方です。 この体制自体にはもちろん問題はありません。 いくら不況で仕事が減ったとはいえ、1年間も新入社員を職場に配属させず教 ここで問題ありと指摘したいのは、 人事部と職場の間での教育方針の確認作業の有無 なのです。 最近、企業理念の明確化が叫ばれていますが、社員教育に関しても、 全社的な教育理念の明確化と意思統一 が必要なのではないでしょうか。 企業人としての教育は決して指導者個人の考えで行うものではありません。 確かに個性重視の最近の風潮では、教える側も個性でぶつかるのがいいの 入社したての頃、社員寮で話す話題は職場の上司のことばかりです。 ささいな事でも報告し合う中で、上司によって、言っていることや教育方針がて 「職場単位による教育方針の統一」の前に、やっておかなければならないこと それは、 入社時に行う人事部の導入研修の目的や方針を です。 職場で指導を受けていく中で、上司から 「こんなことも知らないのか」 と怒られるケースはよくあります。 しかし、こんな時、新人は恥ずかしさより不思議にとることが多いのです。 なぜなら、人事部の行う導入研修では 一度、白紙に戻しなさい と口酸っぱく指導しており、 学生時代に吸収した知識や社会の常識はビジネス社会では通用しない と教えられます。 ですから、自分なりに答えを持っていても、確認の意味で上司に聞くケースも その行為を、いきなりバカにされた態度で切り返されたら、恥ずかしさを通り越 しかし、人事部が導入研修時に新人を白紙に戻すことは当然といえます。 アルバイトを通して少しばかり実社会を知っている学生が非常に多い今日、会 会社の企業理念や、社風を一から教え、意識改革を行っていくにはまず、こう 従って、人事部のほうから、 一度、新入社員を白紙に戻したのだ ということを明確に各配属先に伝え、教育理念を相互確認する連携プレーが、 もっとも、 何でも聞けと言われたら、どんなにくだらないことでも聞いてくる のが今の若者の特徴です。 これは「素直だから」というわけではなさそうです。 その背景には、 ○×方式で教育を受けてきたこと が挙げられるかもしれません。 答えは常に一つしかない問題ばかり取り組んできたため、融通性がなく、応用 しかし、それは今の若者の特徴だと理解してあげましょう。 理解せずに、頭から彼らの人間性まで否定してしまう叱り方は逆効果です。 このような理解不足が 新人に現実ショックを引き起こす 要因となるのです。 新入社員が最初に「現実ショック」を受けるのは、実は 職場に配属された初日 だと唱える専門家もいます。 導入時の合同研修には、心強い「仲間」がいますが、配属初日になって、 初めて「一人」を感じる ものです。 つまり新人にとっての不安はピークに達しているのです。 期待と不安で職場の上司と初めて直面した時、忙しいことを理由に、まるで小 人事部と職場との連携を深める具体的項目に、 配属初日の新人社員とのコミュニケーションの取り方 をある程度マニュアル化する必要があるかもしれません。 この他、新人が現実ショックを受け、やる気を失う局面を列記すると、 ・雑用などの多さにイメージしていた仕事とのギャップを感じる時 ・上司の会社に対する愚痴を聞いて将来に不安を感じる時 ・マニュアルにない事態に直面した時 が挙げられます。 大抵の会社では導入研修の際に仕事の全体像や最低限のビジネスマナーを 社則も一つのマニュアルです。 前述したように○×方式で育った若者は融通性があまりなく、逆に教え込まれ ですからマニュアルが現代の便利な研修教材となりえるわけですが、 マニュアルに書いてない事態に直面すると逃げてしまう ことが問題です。 ではマニュアル教育がいけないのかというと、それは飛躍のしすぎで、大事な マニュアルの内容を考える ことです。 最初からマニュアルに 雑用まで含んだ仕事の意義と、年々蓄積される「非常事態」の事例と のです。 マニュアルの最大の欠点はそれを放っておくとすぐに陳腐化することです。 マニュアルが常に生きたものとして、誰にでも使えるようにするには、 定期的に新しい情報を折り込んでいく作業が大切です。
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新人(入)社員教育 |
まず初めに教えることは、仕事の基本です。 仕事の始まりは「指示を受けること」であり、仕事の終わりは「報告すること」です。 正しい指示を与えるためには、必ずメモ帳を用意する習慣をつけさせ、無意識にメモ 次にメモを正しく取ることが必要となります。 あなたが新人に出す指示が最終的にどのような結果を求めているかを明確にする そのためには、 1)指示されたことの期限の確認をさせる 2)期限とは別に上司が資料を事前にチェックする時間が必要であることを確認 3)指示した内容(仕事)を完成させたときのフォームを確認させる 4)指示した仕事の目的が何かを明らかにする 5)指示した内容に必要なサポート(協力依頼できる人、資料 等)
新人には理解できなかったり、知らないことが多いと認識すべきです。 わからない点があれば質問させることを徹底し、詳しく丁寧に伝えることが必要です。 そして、このような段取りで仕事をすれば、指示した内容の成果物を仕上げることが 指示を終えたら、指示内容をきちんと理解したかどうかを確認するためにも復唱させ 1)ひとつの業務が終わり次第タイムリーに報告するようにさせる 2)結論から先に報告させる 3)自身ですべてやろうとさせず、できなければ早めに報告させ、指示をあおぐこ
仕事魔は報告魔と言われるように、良い仕事をしている時は必ず報告が次から次に 「ホウレンソウが会社を強くする」という本も出版されたくらい、会社に於いてはこの 報連相を自社(店)に確立(習慣化)させるためには「受動的報連相」から ・ルールどおりにきちんと報告がなされているか? ・クレームなど緊急報告事項の基準があるか? ・社内メールの工夫など、効率的な情報伝達の仕組みがあるか? ・全社員が適切な報連相が会社を成長させるという認識を持っているか? ・社員の具体的な行動基準となる規定があるか? ・定期報告のルールがない、あるいは、あいまいになっていないか? ・報告しない部下を放置していないか? ・緊急度の判断は部下に任せっぱなしになっていないか? ・緊急時のルールがなく、上司不在の場合はそこで情報が止まっていないか? ・組織人としての常識を社員に任せきりにしていないか? ・人間関係がぎくしゃくし、社員間にほかの人と関わりたくないという雰囲気が (1)事前報告 行動を起こす前に、計画の主旨、目的、並びに予測される結果を確認する。 (2)中間報告 中間時点の進行状況と終了までの見通しを報告し、上司から判断を伺う。 (3)終了報告 結果→経過→内容→対策の順序で報告する。 異常事態の報告では迅速な報告と対応が不可欠です。 ◎報告する基本的な話し方は、結論→経過・内容→対策であり、
(1)「なに」を「だれ」に報告するのか (2)報告の筋道と要点を決める (3)口頭でよいか、報告書にするか (4)必要であれば実物、図書、資料を準備 (5)実例を調べる (6)報告する「とき」と「こころ」を考える (7)口頭報告の場合は、必ず報告に行く相手の都合を聞き、アポイントを取る (1)仕事が終了したら直ちにする (2)長期に渡る仕事の場合は中間で (3)特別な事が起こって、状況が著しく変化した時 (4)仕事が予定より長引くとき (5)結果の見通しが付いたとき (6)会議、打ち合わせ、出張から帰った時
(1)複雑な内容のとき (2)数字が必要なとき (3)記録を残す必要があるとき (4)関係先(社内・外)に報告するとき
(1)命令した人へ (2)結果→経過→内容→対策の順に (3)事実を正しく、要点を強調して (4)簡単、明確、具体的に (5)報告を受ける立場に立って (6)情報、資料の出所を明示する (1)報告する前に相手の都合を確かめて (2)相手が立っている場合は立って行う (3)くずれた態度、言葉づかいをしない (4)落ち着いて要点を報告する (5)相手の理解度を確かめながら行う (6)特に電話報告は、先に資料をFAXしてから ●5W3Hでまとめると良いでしょう。 (1) When (いつ) (2) Who (誰が) (3) Where (どこで) (4) What (何を) (5) Why (なぜ) (6) How to (どのように) (7) How much (いくらで) (8) How many (いくつ) ポイントが重複したり、抜け落ちたりしないように注意することです。
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新入社員 仕事の基本と心構え |
■新入社員に教えたいこと 新入社員が、一人前のビジネスマンとして業務を遂行していくために必要な知識や したがって、最初に必要なのは、自社において必要な知識や見識を身につけるための 「仕事の基本」を身につけるのは、現実にはなかなか難しいものです。 しかし、躾と同様に「できない」「身につかない」状態のまま放っておくと、誤った これは本人だけの問題にとどまらず、会社にとっても大きな損失です。 そのため、「鉄は熱いうちに打て」というように、何事も素直に受け入れる新人のうちに 仕事の基本として教えておくべきポイントとしては、 ・仕事の始まりは「指示を受けること」であり、 ・実際に指示された仕事を進めていく際には、兼務を分解して取り組む ということがあげられます。 つまり、正しい指示の受け方、正しい報告の仕方、業務の分解の仕方を身につけさせる 入社して少し時間が経ち、日々の業務に追われ、壁にぶつかってしまう新入社員も そうしたとき、直属の上司や人事担当者そして経営者は、新入社員に、今一度、 そこには新入社員自身が描いた目標と重なる部分があるはずです。 それを思い出せば、 新入社員は、 より積極的に仕事に向き合い、困難に直面しても 企業が一丸となって取り組んでいる姿を、一つの乗り物(会社)で同じ目的地(目標) 「新入社員を、一日も早く同じバスに迎え入れる」という観点から新入社員への 1.プロとしての自覚 例えば、お客様や取引先から見た場合、新人のミスであろうと、ベテラン社員 もちろん、経験の少ない新人ができることは限られますが、どのような仕事で 2.自分で考えて動く 会社は上司に指示されたことだけをやる「指示待ち社員」を求めているわけで 自分で課題を見つけ、解決に動くことができる社員を求めています。 最初は上司の指示に従いつつ、仕事を覚えていかなければなりませんが、 例えば、オフィスの掃除、コピー取りなど、新人でもできることはたくさんある。 周囲に目を配り、自分にできることがあれば、率先して「私がやります!」と手 それが、自分で考えて、動ける人になるための第一歩です。 厳しい競争社会にいるという自覚を持ちましょう。 会社は社員を平等には扱いません。 能力の高い人、努力を怠らない人、結果を残し続ける人などを評価します。 入社間もない新人は「横一線」なので、競争しているという実感は無いかもし そして、見込みのある新人には、他の新人よりも早く、新しい仕事(チャンス)を このように、新人といえども、競争は既に始まっているという意識を持って仕事 1.自分の将来像をイメージする 自分の未来像を明確にイメージすると、前向きな気持ちで仕事に取り組むこと また、今、自分がすべきことも明確になるので、自分の将来像の実現に向け 身近に目標となる先輩を見つけ、良いところをまねしよう。 仕事を素早く正しく覚えるための近道は、“できる人をまねをすること”です。 身近にいる先輩であれば、仕事ぶりを細かな点まで見ることができるので、ま 新人だからといって、ただ指示に従っていればよいということではない。 仕事の指示を受けたら、上司がその指示を出した意味を考えるようにしよう。 そして、上司と自分の考え方が違い、かつその理由が分からないときは、遠慮 こうしたやり取りを通じて、仕事に対する考え方や進め方など、多くのことを学 1.人脈を広げる ビジネスは多くの人の協力を得ながら進めていくものです。 また、さまざまな人とコミュニケーションを図ることで、視野も広がります。 そのため、人脈を広げることは、とても大切です。 人脈は一朝一夕にできるものではありません。 社内の人だけではなく、社外セミナーなどに参加して社外の人との人脈づく 同期は最大の味方であり、ライバルでもあるという意識を持とう。 同じ時期に入社し、苦楽を共にする同期は、他の社員とは違う特別な存在で これからの長い社会人生活の中で、さまざまな困難に直面したとき、上司や先 一方で、同期は、同じ時期に社会人としてのスタートを切った最大のライバル 同期は単なる仲良しグループの仲間ではありません。 過度にライバル視する必要はないが、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、良い 上司などとの飲み会である“飲みニケーション”は、大切なコミュニケーションの 最近はアルコール類を飲まない人、弱い人が多いこともあり、“飲みニケーショ また、「“飲みニケーション”なんかに参加しなくてもよい」という人もいます。 しかし、飲食店などで、料理やアルコール類を楽しみながら話をすると、社内と 無理に参加する必要はないが、「コミュニケーションの場」として有効に利用す 1. 学生気分を抜く それが、社会人としてのスタートを切るための必須条件です。 会社の教育だけに革頼っていては、厳しい競争社会の中で生き抜いていくこと 自分で目標と夢を持ち、自分自身でそれを実現するための努力を惜しまない 社会人にとって、人脈はかけがえのない財産です。 社内外を問わず、人との出会いを大切にし、また、縁あって出会った人たちと
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中途採用者への実践的育成 |
中途採用の場合、どうしても即戦力としての能力が求められているというプレッシャー また受け入れる側の職場でも、どんな人が入ってきたのかと、採用者の一挙一動を なかには「自分より実力がある人が来ては困る」とばかりに、仕事をすぐに回さずに、 こうしたケースは、中途採用の受け入れに慣れていない会社に多く起こるものです。 そうした場合、採用者にとっても採用した会社にとっても、お互いに不幸な結果になって そこで、中途採用者の入社から1〜3ヶ月後くらいに上司は積極的に中途採用者に また、中途採用者の適性や能力を把握することで、今後どういう職務を担当してほしい そうしたフォローアップを行うためにも、中途採用者の入社から、だいたい1ヶ月をめど 営業計画の展開に従っての採用が基本となりますが、それ以外にも以下の様な状況 ・年初の営業計画にない新たな企画を展開する ・事務量が見込み以上に多くなりつつある ・上記の結果として顧客サービスのための時間が十分に取れなくなってきた また、営業計画にリンクさせ採用に計画性を持たせても、営業はお客様あっての生き ・営業展開が予想以上に早く、人材が不足してきた ・一年のある時期にのみ営業、事務が集中するビジネスが発生した ・採用を公募しているが良い人材がなかなか見つからない このような場合には、正規従業員の採用が出来る迄の間、臨時のパートタイマーを 1.勤務態度 遅刻や欠勤などはもちろん、仕事中の様子にも気を配るようにします。 意欲的に業務に取り組んでいるかどうか、もし、とまどっているようなことがあれ 職場になじんでいるかどうかを確認します。 本人の性格にもよりますが、前述したように職場が採用者の「様子見」をする場合 採用者本人が、仕事の進め方、内容などについてどんな質問をしてきたのか、 質問の内容によって、本人がどういったことを理解できていないのか、どういう部 また、同じ質問を何度もするような場合は、本人に問題があるのか、また上司の指 そうした場合は、会社の望んでいるのとは違う方向に独走してしまうことが多いの 入社1カ月後にフォローアップシートを使った面談をすることで、そうした独走を方 仕事で具体的にどのような成果をあげたかを記入します。 面談の際に、仕事の結果について、具体的に上司が評価し、褒めることで本人の 本人の適性を見て、将来どのようにキャリアアップさせていくかを考えるうえで、 中途採用者に今後担当してほしい職務内容を、半年後、1年後、3年後などに区 もちろん、5年後、10年後といった長期で考えてもいいのですが、1〜3カ月後と ですから、面談の前におおまかな内容を上司が決めておいて、本人と話し合いな ⑥で考えた、今後担当してほしい職務内容を実現させるために、具体的な指導目 本人が現在、できていること、できていないことを把握し、将来の目標に向けて何 これがこのフォローアップ作業のなかで、一番の肝になる作業ですので、じっくり 中小企業の場合、定期的に新卒者を採用している、というところは少ないでしょう。 多くの会社では、事業の新規展開を行うときや、欠員が出た場合の補充として、即 また、新聞の募集広告欄や転職情報誌をみると、中途採用のマーケットは確実に拡大 それと同時に、転職に対するイメージも大きく変わってきていて、特に若い世代にとって たとえば、どんな業種のどんな職種で何年働いていて、どのような専門能力をもって しかし、短い面接時間のなかで、応募者のキャリアをうまく引き出すためには、そのた 1.氏名、生年月日など テンプレートの上の部分にある、氏名、年齢、前職といった情報は、応募書類や すでに前職を退職して、就職活動をしている人の場合、退職の理由は選考を進め 退職の理由は、だいたい健康上の理由、会社理由、個人理由のいずれかという 個人的理由の場合で、「前の職場が自分に合わなかった」とか「自分の能力を正 また会社都合の退職の場合、リストラにあったということも考えられますが、たとえ 健康上の理由の場合は、応募者の現在の健康状態を十分に確認する必要があ 志望動機はもっとも重要な評価項目のうちのひとつです。 これといって問題のない人なのに、なぜか魅力を感じない、相手の熱意も伝わっ 「この分野が好き」「この業務がやりたい」という強い志望動機は、入社後に仕事を 面接では、応募者のしゃべる言葉だけではなく、姿勢や態度などからも意識の高 応募の際、応募者は履歴書とともに職務経歴書を出していることと思います。 面接では職務経歴書にはあらわれていない、より具体的な仕事内容を聞き出しま また、たとえば「あなたが関わった仕事で、もっとも評価されたものを教えてくださ 4.で聞いた職務内容、仕事内容から、採用した場合、即戦力としてどんな実務能 何度か転職を重ねてきている人の場合、たとえば一貫して営業畑を歩んできてい 逆に、ただ何となく職を転々としてきた人の場合、採用はちょっと考えた方がいい 第一印象については、自由に感じたままを書き込んでください。 また、意欲・積極性、対話能力、人間的魅力などの各項目については、5段階で評 「キャリアプランニング(シート)」は、中途入社した社員が将来、どのようなキャリア 入社した際に、前職までに積み重ねてきたキャリア、つまりどんな仕事ができて、どんな 入社時点で作成することの意味は、会社と本人の間での考え方のズレをできるだけ 早い時点でキャリアプランを作成することで、会社は長期的な視点で能力開発や人事 将来のキャリアプランを考えるうえで役立つちます。 せっかく立てた目標も実現の可能性がなければ、本人のやる気は高まるどころか、 ですから、会社側はあくまでも本人の自主性を重視し、本人のため、という意識を持つ そういう意味では、直接の上司がシートの管理、運用をするよりも、会社全体の人事や しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。 それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。 その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。 この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。 1.前職での経験 ここでは、前職までに積み重ねてきたキャリアの総決算を行います。まず、どんな ただ「営業をやってきた」と書くのではなく、「ルートセールスで約10社の顧客を また、成功体験、失敗体験も書き込みます。特に失敗体験となると、なかなか書き 「会社から書かされる」となると、どうしても「評価につながるのでは・・・」、と 「これは目先の評価に関わるものではない」ということを十分に社員に理解させる ここでは将来どのような能力を身につけたいか、どのようなポジションにつきたい できれば、5年後、10年後といったように、具体的な期間を決めて考えたほうが、 現実とかけ離れた途方もない夢を書くのは困りものですが、逆に、下手に謙遜し 将来担当したい業務、磨いていきたい能力、そして、仕事に生かすために取りた これは、1の将来像・目標を実現するために、何をしたらいいのか、その具体策を 例えば、英会話を勉強する、技術力をつける、何かの検定試験を受ける、などい 当然、会社としては「そこまでは必要ない」と考えるものも多く出てくることでし ただ、ここに書かれたものは、社員自身が自分で考えた具体策ですから、いざ実 会社の人事政策や、個人のキャリアプランを考えるうえで、最も重要なことは、会社 そうしたうえで、お互いが納得できる部分を探すことが必要なのです。 上記のように営業会社は人材に負うところが非常に大きく、採用後の教育・育成が 以下を基軸として、業務知識や実務知識の初期教育を行うことで、その後の方向 ・お客様満足を目指す(経営理念) ・顧客満足を得るためのコンサルティングサービスを目指す ・顧客満足を通してお客様、自社(店)が共に成長・発展して行くことを目指す 即戦力を期待するあまり、これらの方向性の理解のないまま、知識の詰込みをし また、雇用の形態や採用の期間、仕事の内容により教育にあまり時間を費やす必 ・5S(躾、清潔、整理、整頓、清掃)の徹底 ・組織人としての基本動作の習得 ・クレームに対する初期対応 基本教育の一環として様々な知識、技術を教育していくとともに、会社として人材
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中小企業における若手教育の問題と解決策 |
「若手が育たない……」と、頭を悩ます中小企業の経営者は少なくありません。 若手に素養がないのであれば、それは採用選考の問題です。 しかし、素養があるのに伸ばせないということであれば、それは教育の問題であり、早急 若手が企業を見限るのは早く、教育体制への不満や将来のキャリアへの不安を感じる 中小企業の経営者は、若手の定着率向上を意識しつつ、若手が育つ教育体制を構築 しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。 それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。 その原因に教育担当者の人材不足と能力不足が挙げられます。 この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。 中小企業でありがちな若手教育の問題は、「十分な人と時間、コストを割くことができ この場合、若手は断片的な知識と経験しかない状態で新しい仕事を任されますが、 そうであるにもかかわらず、「もっと経験を積ませれば大丈夫」と仕事を任せ続ける この状況を打開し、若手教育の効果を高めるためのポイントは2つです。 若手教育で最も重要なことは、就業意識や時間管理はもちろん、マナーなど ここを中途半端に済ませると、後々、応用が効かなくなり、結果として成長のス ビジネスの基本動作を学ぶ上で最も優れたお手本は経営者です。 鞄持ちとして同行させたり、お礼状の代筆をさせることは若手のよい訓練にな また、若手は経営者から教えてもらっていることを「自分への期待」と受け取る “企業のトップ”からの期待を感じているうちは、離職しようとはなかなか考えないと |
新入社員に対する事前準備と入社時の必要書類 |
■新入社員に対する手続き 社員の採用は、会社にとって重要な問題です。 特に4月は、新卒者を中心とした社員の採用が多い時期です。 採用担当者として、社員を採用したときに必要な手続きについて説明します。 採用試験で社員の採用が決定したら、本人宛に入社案内を送付します。 入社案内には、出社に必要な情報である入社日、出社場所、出社時刻、当日 会社により準備するものは異なりますが、自社に必要なものを準備しておきます。 ①辞令、社章、身分証明書 ②制服、作業服 ③名刺 ④事務用品(机・ロッカーの鍵、文房具等)等 就業規則や社内ルールおよび社内設備等の説明と入社時教育を行うための 新入社員から会社所定の入社時の必要書類を提出期日までに回収します。 ①入社誓約書 ②身元保証書 ③住民票記載事項証明書 ④通勤届 ⑤給与振込依頼書 ⑥給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 ⑦資格証明書等 政管健保か組合健保かにもよりますが、健康保険証が即日発行されない場合 新入社員にその旨を連絡すると共に、もしものときの対応方法を事前に指示 ①健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ②雇用保険被保険者資格取得届 トラブル防止のため労働契約は締結するようにしましょう。 ①労働契約書 ②労働者名簿 ③出勤簿 ④賃金台帳 社内的な連絡網の書き換え等が必要となります。 ①組織図の書き換え ②内線(電話)一覧表の書き換え等
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初めての部下育成 |
■部下育成は上司の仕事 上司には、部下を一人前のビジネスパーソンに育て上げるという重要な仕事があります。 しかし、部下と真剣に向き合えば向き合うほど、「部下とうまくコミュニケーション 「何で分かってくれないんだ」と投げ出してしまいたくもなるでしょう。 しかし、諦めてはいけません。 分かってくれるまで根気強く伝え続けることも、部下育成では大切です。 中堅社員になると、部下を配属されるなど、徐々に「育成される立場」から「育成する ほとんどの中堅社員は、部下を持つ以前から、「新入社員にビジネスマナーや業務 しかし、上司と部下という関係の中で、上司に求められる役割は、先輩として指導する それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。 その原因に教育担当者の人材不足と能力不足が挙げられます。 この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。 上司にとって大切な役割の一つである「部下の育成」という観点から、上司としての 先輩の立場での指導は、ほかの人からの指示に従って特定業務に関する指導を行っ しかし、上司が負う責任は、こうした限定的なものではありません。 上司という立場は公式なものであり、部下に対して指示・命令する権限を有します。 中堅社員の場合、部下に対する最終的な責任は、部課長などの上席に当たる人が また、責任の範囲は、原則として「部下に関することすべて」に及びます。 例えば、部下の仕事に関することはもとより、日々の勤務態度といった会社生活に しかし、実際に上司になると、その責任の重さや範囲の広さに戸惑うはずです。 上司になる際には、まずは、こうした上司としての責任について、しっかりと自覚する しかし、中堅社員の部下となるケースが多い新入社員など、比較的社会人経験の それは「自立型人材」になってほしいということです。 指示されたことだけはやる(それ以外はやらない)ような「指示待ち人間」を会社は求め 上司は、こうした会社の期待を十分に認識して、自立型人材を理想の人材像として 例えば、極端な例ですが、いくら「自立型人材を育てる」といっても、右も左も分から 逆に、相応の経験を積んだ部下に対して、いつまでも事細かな指示を出しているよう 時には、「この仕事は君に任せるから」と、自立的に働くことができるような場をつくる ただし、「この仕事は君に任せるから」といっても、部下に仕事を“丸投げ”してはいけ ですから、時には“丸投げ”に見えるかもしれないほど無関心を装うこともありますが、 例えば、任せる仕事は、部下の能力、現在の仕事量、任せる仕事の納期や難易度、 このように、細かな点に配慮しながら、部下が成長できる場をつくることは、上司に そのため、上司の立場になると、「今の育成方法が部下にとって最良なのか」「部下に しかし、どのような時でも、忘れてはならないことがあります。 それは、部下のことを思い、成長を信じ続けることです。 そうした気持ちは、必ず部下に伝わり、部下の育成においてもよい効果をもたらす
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静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。
対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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