〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
■質・高度化を追究
「小よく大を制するには、小の力を結集して的を絞り、大の弱点をつけ」と、どの戦略本
にも書かれている。
1560年、今川義元の率いる2万5000の大軍団を、織田信長がわずか3000の兵で奇襲して
破った桶狭間の戦いは、それこそ「小よく大を制す」でした。
「中」では切れ味のある戦略は展開できないが、「小」ならば、思い切って鋭いとがった
戦略を展開できます。
「小」なるが故に勝てる戦もあるのです。
何でもかんでも抱え込む会社は、当然、スピードが遅くなる。
内部調整に縛られていては、原価率は全然下がりません。
それどころか、内部調達、内製化のエネルギーが増えれば増えるほど、人件費の上昇から
くる高コストのサイクルにはまってしまいます。
身軽な企業、小さなフットワークのある企業に変身するために、アウトソーシングは不可欠
ですが、では、アウトソーシングをいかに戦略的に展開すればいいのでしょうか。
具体的には、次のとおりです。
①変化に対応できる
②変化を創造できる
③生産性を飛躍的に上げる
④ビジネスの質を高度化する
⑤既存市場への深耕をはかる
⑥新規市場の開拓をする
⑦自分で考え、自立できる人材を輩出する
⑧組織自体が目的志向の考える組織にする
⑨「独創する企業」になる
どういう方向に導くかが、会社トップ、ミドルに求められるミッションです。
アウトソーシングは、そのスケールの大きさは別にして、将来の自社をとりまく環境を
考えれば不可欠です。
子会社、関連会社をつくって、人材の出向先などの受け皿をつくるのとは、意味が異なり
ます。
外部、専門性、生産性向上の3つのことがなければ、たんなる外注やOEM供給でしかない。
外部に業務を委託することで、内部の組織の高度化が実現されなければならないのです。
テーマである「小さな会社の成功法則」は、規模や効率を追うのではなく、質や高度化が
重要になります。
いかに質・高度化を追究するか、です。
戦略なき企業経営は滅びるしかない。
その戦略経営を展開するツールとして、アウトソーシング、アライアンス、IT(情報技術)
経営、バーチャル・コーポレーションがあります。
これらのツールの活用による戦略化が、小さな会社の成功法則です。
□活性化のカギを握るアウトソーシング
アウトソーシングとは、戦略経営をめざす「知業生産」の主体者を意識した企業の武器です。
知的資源、専門的資源を外部に求め、自社は、それらのコントロールやプロデュースを
めざす仕組みがアウトソーシングです。
時代の流れを感じ、組織の方向をその流れに合わせ、方向転換させる。
そんな身軽な企業が利益を伸ばしているのです。
小さな本社、小さな組織の集合体、プロの外部活用、リスクの分散。
これらが、アウトソーシングを戦略手段といわしめる背景です。
小さな会社、身軽な組織の会社が、新しい価値を創出するのです。
日本国内では、アウトソーシングについてあまり知られていません。
じつは、「エッ、これがアウトソーシングなの?」というものも多い。
身近なところでは、飛行機に乗るときのチケットの予約と搭乗手続きです。
各航空会社の制服を着て、「こちらは○○会社です」と対応して手続きするが、対応する
9割強の人間が委託先の社員です。
こうした委託がコスト削減に大きく寄与するのは明白ですが、入れ替わりの激しい
アルバイト的な社員が多いだけに、年々、トラブルが頻発して、サービスの質が低下して
きているのでは、競争力の低下を招いてしまいます。
「戦略のない外部委託は、優位性の放棄である」 わが国のアウトソーシングは、現状では
未成熟の感は否めない。
単純な業務代行の域を出ないものも多い。
アウトソーシング・マーケットの成長過程では、製造業の就業者をサービス業にゆるやかに
シフトさせ、大量の失業回避と、就業構造の転換がスムーズにはかられることにもなります。
しかもアウトソーシングが定着すれば、労働力の流動化が促進され、人的資源の有効活用
に貢献することにもなる。
マーケット形成のためにも、規制緩和や融資制度等の政策課題の検討も産官学で検討する
必要があります。
アウトソーシングは、「21世糸己の産業の新たなインフラストラクチャー」として、今後の
日本経済活性化のカギを握っているとさえいえるのです。
1990年以降の新規店頭公開のサービス業を見ると、その7割以上が、システム開発、情報
処理、各種コンサルティング、人材ビジネスなど事業所向けのアウトソーシング関連サービス
企業で占めています。
近年では、給与計算、伝票作成などを含む、企業の総務的な業務を一括して代行する企業や、
福利厚生部門の支援を行う企業が登場するなど、アウトソーシングのニーズの増大にともなって、
事業所向けサービスの供給分野格段に広がっています。
日本においても、新しいアウトソーシングの概念が拡がりつつあるといえます。
身軽で戦略的経営のためのアウトソーシングの方向です。
□アウトソーシングを成功させる法則
今日、アウトソーシングは、たんなる業務委託ではない、経営のパフォーマンスに対して
顧客とリスクを共有することが狙いとなる。
そのためには、顧客のビジネス・ゴールを理解する、ビジネス・ヒエラルキーの全体像を
押さえることが絶対条件になります。
これがアウトソーシングにおける最重要の成功法則です。
クライアント企業がどのようなビジネス事業の仕組みで収益をあげているかの根本の理解
がなくては、経営のパフォーマンスに寄与することはできない。
また、アウトソーシングがビジネスの問題としてではなく、技術的な問題として焦点が
あてられることになってはならない。
ビジネスに関わる目的論が第一義、技術論、方法論はその次であることを忘れてはいけない。
最重要成功法則を大前提として、3つの成功法則が導かれます。
<アウトソーシングにおける成功法則>
《成功法則1》
ビジネス・ゴールを達成するための戦略の本質をアウトソーサーと共有すること
《成功法則2》
どのような関係をアウトソーサーと築くかを早い段階に決定すること
《成功法則3》
成果の評価基準、報酬の算定方法を明確にすること
□変化への素早い対応をめざすアライアンス
「戦略的提携を積極的に進めたことが今日のマイクロソフトの成長を可能にした」「戦略的
提携は、市場や顧客に差別化製品を提供する最良の経営手段であり、市場での企業競争力
を高める」
この2つのコメントは、ともに時代を代表する戦略経営の実践者のコメントです。
前のコメントはビル・ゲイツ氏、あとのはGEのジャック・ウェルチ氏です。
彼らのコメントを借りて、アライアンスの重要性を指摘したのは、中小企業にとっての
アライアンスと、大企業にとってのアライアンスは各々別々の意義があるが、戦略的な
アライアンスは、企業の規模を超えて、国内企業であれ国際企業であれ、基本的に共通する
ことを強調するためです。
ビル・ゲイツ氏は、マイクロソフトを立ち上げてまだ間もないころ、巨人のIBMに対して、
臆することなく、「うまく(IBMを)使える」と考えていました。
アライアンスは、小さな企業にとっては、他社の力を利用して「より大きな規模にする」
ことを可能にし、大企業にとっては、自社開発によらずに他社の技術やチャネルなどを
活用することで、「効率的な経営資源配分」を可能にしようとします。
アライアンスとは、そういう意味で戦略的思考そのものに関わります。
イギリスの代表的な経済誌『ザ・エコノミスト』によれば、アライアンスは、「大半の
大企業の戦略にとって少なくとも買収と同程度の重要性を持っている」のです。
また、アメリカの中小企業向けの代表的な雑誌『インク』によれば、「アメリカで急速な
成長を享受している小企業は、3社に1社の割合で、大企業とのあいだの戦略的なアライアンス
を展開している」のです。
戦略的なアライアンスは、国内市場を対象にしている企業にとっては、次のような多くの
機会を提供しています。
①利益の増大
②製品およびサービスの追加
③コストの低下
また、すべての国家が単一のグローバル市場に統合されつつあるので、戦略的なアライアンス
は、次の2つの目的に対する膨大な機会を提供しています。
①国内市場における自社の事業を強化するために、外国企業とのあいだで共同作業を
行うこと
②海外市場における事業を構築すること
戦略的なアライアンスとは、「自社に足りないものを他社に求めること」を目的とします。
これまでの経営は、基本的に内部拡張主義に根づいた企業規模の拡大が主流でしたが、経営
環境がめまぐるしく変化する今日では、互いの強みを持ちよって、変化への素早い対応を
めざす戦略的提携が不可欠になっています。
日本の過去には、M&Aは、乗っ取りや業績不振企業の吸収合併といったネガティブな
イメージが強かったが、本来の意義は、強みを活かせる分野に特化し、足りない分野は
M&Aを含めパートナー企業にお願いするとし、中小であることの経営資源上の制約を
うまく克服することにあります。
M&Aは企業戦略としてのエッジをうまく効かせる必要があります。
<アライアンスの基本要件>
①目的が一致するか(双方に得るものがあるか)
②利害が相反しないか
③アライアンスを行う事業領域を明確にできるか
④企業文化が相入れるものか、あるいは、違いを理解した上で協力できるか
⑤相互のトップ・マネジメントに主体性が見られるか
□分業ネットワークを活用して空洞化に対応
ここで、中小企業におけるアライアンスの実例を見ておきましょう。
東京都大田区での実例です。
大田区の中小企業は、近隣の同業他社と仕事を分け合う分業ネットワークを活用して、
親企業の地方移転や海外進出にともなう空洞化に対応しています。
区がまとめた「大田区企業の広域展開の実態調査」によれば、製品メーカーの場合、
都内の企業からの受注は1985年度は30.9%を占めていたが、翌年には、16.8%まで
低下し、今日までこの低下傾向は続いている。
これは、親企業の地方移転や海外進出の増加を受け、移転先へ出向いて仕事を確保する
ことが増えているのが背景です。
一方、受注した仕事について、さらに外注している企業の所在地を見ると1985年度には
区内33.7%だったのが、10年後には、35.5%に上昇していました。
同区には「仲間まわし」と呼ばれ、得意分野に応じて仕事を外注に出し合う下請け企業
同士の独特のネットワークが存在するが、この連携がさらに強まっている様子です。
企業一社一社は小さくても、得意分野を持ち合うことで、ネットワークスタイルでは、
大きなアライアンスが実現することになるのです。
水平分業による連携の促進が起業活性化のカギを握る。
このような地域の分業ネットワークが今後、増えてくるでしょう。
あえて課題を提起すると、分業ネットワークそのものの強み(コア・コンビタンス)を
どこに設定するのか、何が他の分業ネットワークとの差別性、優位性なのかが明確で
なければ、ネットワーク間競争に打ち勝っていけない。
ネットワークとしての構想を誰が持って、リーダーシップをどう発揮するのかがカギに
なるのです。
公的機関を活用することは必要だが、頼ってはならない。
大きな期待は抱かないほうがいいでしょう。
自らの足と目で主体的に動かなければ、アライアンスは成功しません。
きっかけは公的機関でも銀行でも証券会社でもいいが、あとは自分でやるべきです。
□IT経営でイノベーションを起こせ
インターネットによる電子商取引きの決済手段や取引確認、制度などが整備されるに
したがって、新ビジネスとして台頭してきた。
そして、これを上手く導入した企業と出遅れた企業は、「勝ち組」と「負け組」に分かれ
てきました。
インターネットの普及を背景に、商品やサービスを広く広告する手段として、インター
ネット広告市場が急速に拡大しています。
しかも、新しいマーケティング・システムとして発展してきています。
インターネット広告は、横長の帯状で画面に表示される「バナー(看板)広告」と呼ばれる
形態が一般的です。
ユーザーがこの広告をクリックすると、製品情報や懸賞キャンペーンを紹介している企業
(広告主)のホームページにつながる仕組みになっています。
従来の広告と異なる点は、以下の通りです。
①どれだけの人が広告を見たかが容易にわかるため、既存のメディアより効果を
測定しやすい。
②見たいときにいつでも見ることができ、時間の制約を受けない。
③広告を見たユーザーからアンケートをとり、マーケティングや販促イベントの基礎
資料に活用できるなど、双方向性を活かせる。
米国では、インターネットを「ワン・トウ・ワン・マーケティング」として使おうという
考え方が主流になっているといいます。
今では、マスプロダクションを前提とした画一的なマーケティングには限界があります。
セグメント・マーケティング、ターゲット・マーケティングへと重心を移しています。
マスマーケティングでは、「いかに多くの客に商品を売るか」を主眼としています。
尺度は「市場シェア」です。
これに対してワン・トウ・ワン・マーケティングでは、「一人の顧客にいかに多くの商品を
売るか」であり、顧客シェアが尺度になるのです。
企業のリソースを個々の顧客に集中し、顧客と長期的に協働していくことで、顧客に
ぴったり合った商品やサービスを提供していきます。
顧客を生涯にわたって囲い込むのが狙いです。
また、新規の顧客を獲得するためのコストは、既存の顧客から追加取引きで受注した際の
コストの5倍はかかるといわれています。
既存の顧客との関係を深めていくことのメリットは非常に大きいのです。
しかしインターネットの場合、ホームページを立ち上げても、誰もアクセスしてくれなけ
れば、「ワン・トゥ・ワン」どころか、「ワン・トゥ・ナッシング」になってしまう。
インターネット・ユーザーにいかにアクセスしてもらうかが工夫のしどころといえます。
□成長するための方法論「持たざる経営」
規模の大小に関わらずに、成長するための方法論として「持たざる経営」の方向性を見定め
てきました。
アライアンス、アウトソーシング、IT経営などです。
もう一つの方向性は、究極の「小さな」組織を実現することである。
たいていの組織は、大きくなることで問題が生じているのです。
組織階層とコミュニケーション構造の問題、意思決定と責任・権限のずれ、企業が生み
出す付加価値と個人が上げる付加価値の誤解、コスト意識、ヤル気など。
ビジネスとしてより、組織として存続を優先させ、「会社は永遠だ」という発想を許す
かぎり、健全なパラノイア(偏執症)など生まれない。
安楽死を望むのであればそれもかまわないが、事業単位は大きくなりすぎると扱いにくく
なります。
上手な会社は、規模の不経済が始まる前に、事業単位を分割する方法を見出している。
そのひとつに、事業体を戦略的に細分化する戦略事業単位(SBU)という方法があります。
たとえば、商品およびサービスに対する外部市場を持ち、それに対して経営陣が他の事業
分野とは独立に目的を決定し、戦略を実行できるひとつの事業分野です。
極端にいうと、一人ひとりの社員がそれぞれ一つのビジネスとしての可能性を持っている
のです。
組織よりビジネスの論理を優先させ、組織をビジネスに変換するということは、常に企業の
パフォーマンスを高めます。
各人が一つの事業体で損益計算をしながら仕事をするというシステムは、すべての社員が
自分のやり方でお金を稼がなければならないし、ほかの従業員のサービスが必要なら、
それに対価を払うことにもなる。
対価に見合わないと評価されれば、アウトソーシングの対象となります。
こうなると、会社トータルでのサービス・レベルも飛躍的に向上します。
新時代の組織体のイメージは、一人ひとりの従業員が別のビジネスとして成立する
「一人でも事業体」組織である。
「一人でも事業体」にはワクワクするような健全なパラノイアがあります。
実現させるのが楽しくてしょうがないようなゴールがあります。
営業部門をアウトソーシング |
■アウトソーシングの現状 1.戦略的アウトソーシングの進展 アウトソーシングとは「自社内の業務の全部または一部を外部に委託する」ことです。 現在のアウトソーシングはかつての「外注・下請け」から「コスト削減」 「外部専門機関の活用」「経営資源の特化・集中」へと変化し、企業にとって より戦略的な経営手法となっています。 従来アウトソーシングは大企業の経営手法とされていましたが、最近では中堅・ 中小企業にまで広がっています。 何らかの業務をアウトソーシングしている企業は現在では80%にも上るといわれて います。 2.アウトソーシングを導入する理由 企業がアウトソーシングを導入する理由は →自社にない専門的な技術・ノウハウの活用 →人件費およびその他のコストの削減 →業務の効率化・スピード化 →人手不足への対応 →設備投資の削減 →コア業務(得意な分野)への経営資源の集中 などさまざまです。 また企業がアウトソーシングしている業務は、施設管理、物流、経理・財務、福利厚生、 製造、情報システム、総務、人事・研修、営業、経営企画などさまざまです。 もともとアウトソーシングは施設管理、経理・財務、物流などの業務で利用が 高かったのだが、最近では情報システム、製造などの業務でもアウトソーシングの 利用が進んでいます。 施設管理、経理・財務、物流などの業務をアウトソーシングすることで、 この業務にかかる人件費などのコストを削減できます。 これらの業務は企業活動に必要なものですが、人件費の高い正社員に任せる必要は ないのです。 情報システム、製造などの業務も、社外の専門機関を活用したほうが業務の効率化 が図れるうえ、その業務にかかる人件費や設備投資を削減できます。 3.製造部門をアウトソーシングするファブレス企業 製造業でありながら生産設備を持たないファブレス企業が注目を集めています。 ファブレス企業は、自社で開発・設計した製品の製造を生産設備を持つ企業に アウトソーシングしています。 ファブレス企業は「生産設備を持たないので固定負債が少ない」「企業形態が身軽で 市場の変化に対応しやすい」「製品の開発・設計に特化できる」「製造する製品 によって製造先を変更できる」などのメリットがあります。(ファブレス企業一覧) ファブレス型の事業モデルはパソコンや電子部品の分野に浸透し、企業設立から わずかな期間で急成長を遂げた企業も数多く出現しています。 ファブレス企業は製造部門を持たない代わりに、「マーケティング」「開発・設計」 「営業・販売」など、マーケットとの関連性の高い業務に注力しています。 ファブレス企業は、もともと過大な生産設備を持たない企業であったため、 生産部門をアウトソーシングせざるを得ない面があったことは事実ですが、 先に触れたアウトソーシングの導入目的のほとんどを実現しており、まさに戦略的 アウトソーシングを駆使した事業モデルといえるでしょう。 ファブレス企業がアウトソーサーとするべき企業の条件は、生産設備を持っている ことの他に、「自社と経営理念を共有化できる」「情報を共有化できる」 「自社が望むレベルで工程管理、品質管理などを達成できる」ことなどが挙げられ ます。 ファブレス企業の成功のポイントは、信頼できるアウトソーサーと提携することです。 これが実現すれば製造業の要である生産部門をアウトソーシングしても事業は 成立します。 4.これからのアウトソーシング 最近では営業、経営企画などの業務についてもアウトソーシングを利用する企業が 出てきています。 特に営業・販売をアウトソーシングしたいとする企業は多いようです。 しかし、営業、経営企画などはアウトソーシングしたい企業の業種がまちまちなため、 これらの業務を引き受ける有力なアウトソーサーが少ないのが現状です。 □営業業務をアウトソーシングする 1.アウトソーシング導入時のポイント ここで、アウトソーシングを導入する場合のポイントを考えてみます。 (1)既存業務の洗い出し コア業務以外の業務についてすべて洗い出します。 「専門性」「効率性」などの観点から、アウトソーシングするかどうかに かかわらず業務の見直しを行います。 (2)委託範囲の決定 導入を決めた業務を一度にすべてアウトソーシングすることはリスクを伴う ため、優先順位を決めて段階的に進めていきます。 (3)効果の算出 業務に関する直接コストとしての人件費を算出し、アウトソーシング費用と 比較します。 また、固定費の変動費化というメリットも考慮する必要があります。 (4)アウトソーサーの選定 専門性、信頼性、事業規模、実績などを選定のポイントとして、自社のニーズ により近いアウトソーサーを選定します。 (5)アウトソーサーの管理と定期的見直し 導入時には試験期間を設けて、一定期間の実績を評価して正式に契約を行う 方法もあります。 正式導入後も社内に担当者をおいて、アウトソーサーとのコミュニケーション を継続していくことも大切です。 また、期待した効果が得られているかを定期的にチェックし、必要に応じて 見直します。 場合によっては、アウトソーサーの変更も行います。 営業業務を専門分野としてとらえた場合、高度な販売力を持った営業社員を 自社で育成する代わりに業務ごとにアウトソーシングすれば「人件費の削減」 「業務の効率化」「経営資源のコア業務(得意な分野)への集中」などが可能 となります。 上記のポイントはあくまでアウトソーシングする際の一般的な手順を示したものです。 仮にアウトソーシングしたい業務が「営業」に決定しているのであれば(3)からの 手順を行えばよいでしょう。 2.営業をアウトソーシングする ◎営業を切り離す理由を検証する ここで考えるべきことは、企業にとってはコア業務である営業を切り離して、 アウトソーシングすべきか否かです。 営業をアウトソーシングし、製品の製造・開発に注力したいという企業は、 「営業・販売力が弱いものの、技術には自信を持つ技術開発型の企業に多い」 ようです。 技術に自信があるがゆえに「販売が軌道に乗らないのは営業・販売に原因がある」 と考えてしまうのです。 確かに技術的に優れているかもしれませんが、それだけでは自社の製品が市場で 競争力を持っているとはいえないのです。 「市場ニーズに合致した製品なのか」「価格競争力はあるのか」「サポート体制 は十分なのか」などさまざまな条件を満たさなければ、市場で勝ち残り顧客に 選択される製品とはなりえないのです。 上記の場合、アウトソーシングすべき業務は営業ではなく、市場ニーズを的確に 察知するマーケティングかもしれません。 ◎営業業務のアウトソーサーは少ない とはいうものの、高度なノウハウを持ち実績を確実に上げる営業専門機関が 社内で人材を育成するよりはるかに効率的であることはいうまでもありません。 戦略的アウトソーシングを実現したい企業の中には、営業業務をアウトソーシング したいところがあるはずです。 既に住宅販売は製造販売が分離し、営業業務をすべて販売会社にアウトソーシング している企業があります。 また、通販の一業務であるテレコールなどによる物品販売に関しても営業業務 のアウトソーサーがいます。 ただし、このように営業業務のアウトソーサーの存在する分野は現状では限 られています。 ◎営業業務のアウトソーサーの事例 前述したように営業業務のアウトソーサーはあまり多くないのです。 しかし、改正労働者派遣法などの施行により、営業・販売職などの派遣が原則 自由となったことから、営業業務のアウトソーサーが次第に出てきています。 (営業職・販売職派遣の現状 - 厚生労働省) 営業業務のアウトソーサーの多くは人材派遣会社です。 人材派遣会社は営業職を採用または登録し、企業からの依頼があれば、 当該ノウハウを有する人材を派遣するのです。 住宅販売やテレコールによる物販のように営業業務の全部をアウトソース できるわけではありませんが、「営業機能が確立していないベンチャー企業」 「営業部門の業績が思うに任せない企業」「季節的要因・新製品発売など 一定期間だけで営業力を必要とする企業」などに人材を派遣するようになって います。 ◎営業業務のアウトソーシングの留意点 営業業務のアウトソーシングの導入に当たっては、いくつかの留意点があります。 施設管理、物流、経理・財務など従来からアウトソーシングが活用されてきた 分野ではアウトソーサーのノウハウやシステムが確立していますが、営業業務 のような新しい分野においては、未成熟なところもあります。 このため、委託先の選定においては実績を十分に考慮する必要があります。 また、単に営業職を派遣してくれるといったようなアウトソーサーではなく、 営業戦略の立案などのノウハウを持つアウトソーサーでなければ高い成果が 期待できません。 アウトソーシングは委託企業と受託企業の共同作業の側面も多く、良好な コミュニケーションを持ちつつ委託分野を拡大していくことも必要です。 積極的なアウトソーシング活用は大いに検討すべきですが、具体的な導入に 当たっては、慎重に判断することも重要です。 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
アウトソーシングの考え方 |
多くの市場で競争状態が厳しさを増しており、企業は自社の経営資源をより効率的に また、目まぐるしく変化する企業の内部や外部の環境にいち早く対応していくことも、 こうした経営の効率化や環境変化に対応するための手法の一つが「アウトソーシング アウトソーシングは、さまざまな業務分野で活用されていますが、一般的にアウトソー 1.物流業務(配送・在庫管理など) 2.事務業務や受付業務(経理・総務など) 3.店舗運営に関する業務(店頭販売・販売促進など) 4.高度な専門的知識を要する業務 などが挙げられます。 例えば、「商品を販売する営業部門のみをアウトソーシングしたい」など、ある部門の 1.経営の効率性を高める 2.経営の有効性を高める 具体的には、当該業務に従事する従業員の雇用形態を正社員からパートに変更する この場合は、主に、自社の経営資源・人材を投入して、ノウハウが少ないままその また、この場合のアウトソーシングでは、「外部資源の活用」だけにとどまらず、「自社 アウトソーシングといえば、アウトソーサーと呼ばれる外部企業の資源を活用するという 「コストダウンにつながるアウトソーシング」は、単なる「経費削減」だけに着目してア 事業環境がめまぐるしく変化する今日、これまで以上に会社にとって“スピード”が重要に 自社が戦略的アウトソーシングに取り組む意義は大きいといえます。
アウトソーシングとは、特定の経営資源を外部に依存することを意味します。 各企業がアウトソーシングに着手しはじめた頃は、コンピューター関連業務を中心に しかしアウトソーシングが定着した近年では、対象業務が給与計算などの人事、経理、 こうして、従来のたんなる外注化とアウトソーシングとの違いが明確になってきていると このように外注化は、コストの大きい周辺業務をたんに外部委託することでコストを削減 一方、アウトソーシングは、周辺業務、とくに中核業務をサポートするような専門性の これまで企業がアウトソーシングを行う狙いは、主に自社内部で行うよりも「外部に委託 人件費をはじめとしたコストを出来る限り抑えたい企業にとって、アウトソーシングは有 しかし近年では、コストダウンに加えて、「外部の高い専門性を活用する」「自社の得 戦略的アウトソーシングを行ううえで欠かせないのが“コア・コンピタンス”の強化です。 コア・コンピタンスとは「他社がまねできない自社ならではの中核的(コア)な能力」の 激しい競争環境の中で企業が生き残っていくためには、「他社には絶対負けない」 そのためには企業の持つヒト、モノ、カネ、ジョウホウといった経営資源をコア・コンピ その代わり、ほかの分野はできる限り他の企業にアウトソーシングします。 このように、コア・コンピタンスを強化するためのアウトソーシングこそが“戦略的アウト 1.導入手順とポイント 中小企業にとって、ヒト・モノ・カネ・情報と しかし、高度なアウトソーシング・サービス (1)コア・コンピタンスの明確化 アウトソーシングを活用する前に、 自社がどのような市場に存在しており、 そのうえで、自社の強み・弱みをしっかりと分析し、自社にとってのコア・コ 一般的なアウトソーシングは、自社の経営資源をコア部門(本業)に集中さ 例えば、自社の強みや弱みを分析せずに、ある部門の正社員比率を下げる 自社の強み・弱みを見極めることによって、経営資源を投入すべきコア部門 自社の強み・弱みを見極めた後は、既存業務の洗い出しと見直しを行います。 これは、重複して行っている業務や作業のムダ・ムラ・ムリを把握すること 現在自社で行っている業務や作業のムダ・ムラ・ムリを把握し、それらを削減 例えば、これまで10人で行っていた業務を、重複作業を洗い出して見直しを また、中には、総務部門の福利厚生にかかわる業務や社員食堂の運営など、 「効果的なアウトソーシング」を実現するために必要となる施策が「人材の適 例えば、ある部門で行っている入力やチェック作業などの単純作業の一部を 正社員は単純作業から解放されることで、他の業務に集中して取り組むこと このように効果的なアウトソーシングを実現するためには、「アウトソーシン 自社の業務分野の中で、どの分野でアウトソーシングを活用すべきか検討し アウトソーシングする業務を決定した後は、その業務のすべてを一度に外部 チェックの結果、是正するポイントが見つかったら、すぐに改善できる仕組み Plan:アウトソーシングの計画(部門・委託範囲・規模など) Do:計画に基づいたアウトソーシングの実施 Check:実施中のアウトソーシングの効果や範囲などの確認 Action:効果などの確認から発見された是正ポイントを反映させる また、ある業務分野をアウトソーシングした場合、自社で行った場合と比較し また、アウトソーシングする業務が決まったら、関連する企業情報の管理方針 情報の不正流失を防ぐためには、当然守秘義務を課すなどの契約上対策を アウトソーシングの委託先企業のことをアウトソーサーといいます。 アウトソーシングで効果を上げるためには、優れたアウトソーサーに業務を委 このためには、アウトソーサーは慎重に選ばなければなりません。 一社のみから選ぶのではなく、複数のアウトソーサーから見積もりをとり、具 また、既にアウトソーサーを活用している同業他社に意見を聞くことも判断に役 アウトソーシングを実施するには、アウトソーサーに自社の業務内容をきちん そのため定期的に打ち合わせを行い、双方のコミュニケーションを深める必要 アウトソーシングの実施後には、定期的にアウトソーシングの効果をチェック 自社の期待水準とかけ離れていた場合には、別のアウトソーサーとの契約も また、アウトソーシングといっても、費用を投入して、生産性・競争力の向上を図ると 具体的には、自社の強み・弱みを明確にし、上記記載の 1.既存業務の洗い出しと見直しを行う 2.人材・業務遂行力を適正に配置する 3.効果の把握・問題点の改善などの仕組みを整備しておく などのポイントを踏まえた取り組みをしていくことです。 こうしたポイントを踏まえて「効果的なアウトソーシング」を検討することは、検討の 事業環境がめまぐるしく変化する今日、これまで以上に企業にとって“スピード”が重要に 企業が戦略的なアウトソーシングに取り組む意義は大きいといえます。 (1)コスト削減が実現できる ・安い外部委託費用によりコストダウンを実現できる ・情報システムなどをアウトソーシング ・最新技術の導入による製品・サービ ・外部専門家を活用することで、製品・ ・アウトソーシング先の最先端の技術を ・豊富なデータベースにアクセスすることで、 ・設備機械の陳腐化リスクを軽減できる ・業務量や仕事の内容の変化に対して、迅速な対応が可能となる ・自社の経営資源を中核事業へ重点配分することが可能となる ・アウトソーシング先のノウハウを吸収することが可能となる ・人材不足を解消できる ・自社にいない専門家を活用することで業務の効率化が進められる しかし、導入の仕方を誤るとその効果が期待できないばかりか、自社事業の存立 ・自社の中核業務、それに近い業務をアウトソーシングすることで自社の存在意義 ・アウトソーシングした業務は今後、ノウハウが蓄積できなくなる可能性がある ・外部へ自社の機密が漏洩してしまう可能性がある ・アウトソーシングする業務を担当していた従業員の士気低下につながる可能性が ・外部とのやり取りが増えることで、全体の業務がかえって煩雑化してしまう可能性 以上のように、安易にアウトソーシングを導入することは危険であるといえます。 十分に検討し、適切な手順を踏んで進めていくことが望まれます。
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アウトソーシングの進め方 |
■アウトソーシングの進め方 アウトソーシングは単純な業務の外注化とは異なり、企業の戦略的観点から展開 一般的には次のフローで示す各ステップにしたがって進められていきます。 アウトソーシングを行う最大の目的は、自社のもつ経営資源の有効活用を図 それにはまず、自社が10年後どのような企業をめざすのかという長期ビジョン 長期ビジョンとは、自社は何をもって社会に員献するかという将来のあるべき これが明確でない場合、アウトソーシングしてもよい業務か否かの判断が曖昧 通常、自社の長期ビジョンをもとに長期・中期経営計画を策定します。 策定された経営計画により各部門の戦略的な「使命(ミッション)」が明らかに 各部門の業務分掌規定や業務マニュアルおよび各担当者へのヒアリングを通 そして部門の「使命」に基づき、洗い出した業務を分類・整理します。 この作業は、図のようなマトリックスを作成し、各機能をこの図の各領域上に そしてここでは、それぞれの業務領域を次のように定義します。 (1)中核業務 戦略的に重要度が高く、かつ自社で判断する必要性が高いと認め 中核業務を遂行するための補完的業務 ルール化され一定の量と内容で繰り返し行われる業務 専門的な判断の必要性はあるが短期的には自社の利益に直結 また、(4)の裁量業務は、会社の施策的な諸条件が絡むことが少なくないの 一方、(3)の定型業務に属するものは基本的にアウトソーシング可能業務とし (2)のサポート業務についても業務機能の特徴などを考慮してアウトソーシン 抽出したアウトソーシング可能業務に対して、適切なアウトソーシング方法をリ 実際のアウトソーシングの方法は、一般的に次の5つのカテゴリーに分類でき (1)社内アウトソーシング 人材派遣サービスや請負サービスを利用したり、他部門へ業務を アウトソーシング・サービス会社へ業務を移管すること 特定事業などにおいて、他企業と経営資源を対等に相互補完しながら業 既存の関連会社に業務を移管すること アウトソーシング・サービス会社を設立し、そこに業務を移管すること この基準としては、 ・必要なコスト(初期費用、ランニング費用など) ・アウトプットの品質、納期、安定性 ・その他(例:関連会社を活用したほうがグループ全体として効果が高い) などが考えられます。 このように、諸条件の比較・検討を行い適切なアウトソーシング手法を選択し アウトソーシングの導入方法が確定した業務については、そのプロセスについ アウトソーシング先との連絡方法やアウトソーシング先のコントロール方法、必 また、場合によっては、組織の再編成なども視野に入れた抜本的な業務プロ こうした部分は一般的に軽視されがちですが、アウトソーシングが失敗する大 以上のようなステップでアウトソーシングを進めることを前提に、実行の際に ○自社の長期ビジョンは明確になっているか ○アウトソーシングすることにより存立基盤を失う危険性はないか ○何に経営資源を重点配分するかが明確になっているか ○アウトソーシングをした場合の効果は試算されているか ○全社的なアウトソーシングを検討・推進するための組織体制が ○適切なアウトソーシング方法およびアウトソーシング先は検討されているか ○アウトソーシングを実施するにあたって社内の啓蒙・周知活動をしているか 中小企業がアウトソーシングを進めるには、社外アウトソーシングである外部 そこで、ここではどのようなアウトソーシング・サービスがあるのか、それを利用す 1.各種アウトソーシング・サービス (1)人事 人事関連の業務は、もっともアウトソーシングが進んでいる領域のひとつ。 【アウトソーシングされる人事関連業務例】 ・雇用保険、社会保険、労災の手続き業務 ・就業規則の作成、改訂、届出業務 大手企業のなかには自社の人事部門自体を分社化し、人事の全業務を請 営業とひとくちにいっても業界や業種によって内容は異なります。 【アウトソーシングされる営業関連業務例】 ・電話取次代行、支店や営業所代行 ・ダイレクトメールの作成を含む販促物作成業務 ・相手先への実際の訪問による営業活動 ・顧客名簿の作成や管理 ・電話での営業や販売促進 経理業務は簿記の知識が必要になり、仕訳や記帳作業など多くの おもなサービスの内容としては、 ・仕訳、記帳サービス ・財務諸表作成サービス ・財務諸表の見方の指導や財務分析 ・税金対策や財務戦略に関する指導 などがあり、経営指導まで行う高度なサービスもあります。 購買業務を専門に行う業者も存在します。 メリットとしては、 ・高品質な製品や部品を大量に安定的に購入できる ・購買業者は多くの製品類を扱うことから、安く購入することができる ・最新の製品情報などを入手しやすくなる ・共同配送を行っているところは物流費も削減できる などがあります。 上記以外にも、次のようなサービスがあります。 ・情報システムの構築支援や運用サービス ・重要書類やデータを保管、管理するファイリングサービス ・郵便物の管理を一括して行うメールルームサービス ・インターネットのホームページ作成や企業情報の発信から収集まで こうしたアウトソーシング・サービスを選定、活用する際には、とくに次のことに ・委託したい業務とそれぞれの代行会社の特性(強い分野)を照らし ・代行できる業務範囲、納期、依頼側の行う作業を確認する ・代行会社の規模や体力を考慮する ・依頼することによって軽減される作業コストと委託費との比較を行う ・他の業務も併せて依頼できないかを検討する メルマガ登録(無料)はこちらから
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静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
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