人事考課制度(規程)と評価

        

     あなたの会社には人事考課制度(規程)がありますか

           その規程は機能していますか?


  考課とは、業務の指示命令を出したときに的確に果たせなかった場合、その部下に不足
  する経験と知識を発見することです。

  企業にとって人事制度を導入する目的は何でしょうか? 

  言うまでもなく、最終的には、より高い業績を上げるためにあります。

  そのためには、会社は人事制度を導入することにより、継続的に社員のモチベーション
  を上げ続けなければなりません。
  
 ■成果主義制度

  成果主義制度は目標管理をベースに運用されます。

  成果主義の場合、社員の意識が「競争的」「守備的」「短期的」になりやすく、大企業にお
  いては競争意識、期間目標の必達意識が高い傾向にあり、効果的です。

  しかし、中小企業においては経営資源も少なく、成果達成度で評価を決める成果主義の
  場面では高い評価ができない、ということが起こり得ます。

  従って、現在主流となっている成果主義の評価は中小企業にとって最適な人事評価制度
  ではない、という見方もあります。
 
  ■マニュアルと人事評価
   人事評価 : いかに社員が働きやすい環境をつくるか

   業務成績が芳しくない場合では賞与の額が平均より下がる場合でも、
    ・なぜ賞与額が下がるのか

    ・平均とのギャップがどのくらいあるのか

   多くの会社では、   
    ・「○○を使用できる」という項目に対し、○×で評価する

    ・「行動が取れるか取れないか」を評価の判断基準としている

   評価システムの項目は、会社が望むことを「行動基準」で伝えることにもなります。

  □評価と連動した教育システム
   ・評価者と教育担当者が同一であること

   マニュアル活用の流れ 
     (1)業務の説明 → 目的の理解:重要性の説明

     (2)やってみせる → 模範を示す:手順、ポイントを説明しながら

     (3)やらせてみせる → 実践させる:できるまで反復練習

     (4)評価する → できばえを褒める:できない点を指摘する

   ●業務シート(稟議書)の工夫
    ・稟議書に稟議内容を審議するための材料を記載する欄を設ける


   ●就業規則(会社のルールブック)とマニュアル
    ・就業規則は業務マニュアルを作成する上での基準となる


  コミュニケーション 
   ●組織
    ・共通の目的に向かう社員が、機能別に目的達成のために動く

   ●コミュニケーション
    ・組織を混乱させず、意思の統一を図るために必要なコミュニケーション

   ○コミュニケーションの仕組みを設定
    ・命令系統を一元化
    ・専門的業務を集中
    ・業務ごとに分権化
    ・権限の行使を行うものに責任が課せられる
    ・組織は階層によって機能が異なる

         
   報連相 
    報告 → 任務を与えられたものが、その経過や結果などを述べること
    連絡 → 気持ちや考えなどを知らせること
    相談 → 問題解決の他に話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること


   ●見えない組織から目に見える組織に(経営・業務の見える化)
    ・業績をグラフ化する
    ・社是・社訓を文面化し、見えるところに掲げる
    ・組織図がある
    ・就業規則がいつでもどこでも見れるところにある
    ・マニュアル(チェックシート・業務の手順書)の充実


   ●仕事の意味づけ
    日常業務をこなすことばかり集中しすぎると、業務本来の意味がわからなくなって
    しまいます。

    すると、「完成図」がわからなくなり、「自分は何のために働いているのだろう?」と考
    えるようになり、モチベーションの低下につながる。

   ●社員自身が自分のやっている仕事に意味を見出す
    ・自身の仕事の価値に気づきを与えられる環境づくり

    「ただこなしているだけ」「上からの指示だからこなす」 → やらされ感

                環境づくり

            自ら考える組織(チーム)


   ●会社の進むべき方向
    ・「利益追求が手段ではなく、目的となる」から方向感を失う
    ・企業はゴーイングコンサーン


   ●自分の仕事をマニュアル化
    ・仕事が多く、優先順位がわからない
    ・予定を立てて仕事をしているが、割り込み仕事が多い
    ・書類の紛失
    ・PC内の整理ができていない
    ・仕事を整理し、ルーティンワーク(毎日行う業務)とそれ以外の業務とに区分けを行う
    ・毎日行う業務:自動的に、決めた時間でこなすことを体感させる


   ルーティンワークの自動化
    ルーティンワークの洗い出し → 行動する時間の設定 → 同じ時間に行動する →
    意識しなくなるまで行動を継続する → 習慣化し、自動化する


   ●期限の管理
    ・To Do リストの活用:実行したか、していないかを管理


   業務の改革・改善は自社(店)のノウハウとなり、商品となることを理解してください。  
    
 ■中小企業にとって最適な人事評価制度(人事評価シート

  最近の主流となっている人事評価制度は、「仕事のでき」「業務遂行能力」を評価しよ
  うとする傾向にありますが、中小企業に必要な評価対象項目は、「仕事の仕方」「仕事に
  向かう姿勢・意識」
であるほうが適切なのです。

  経営課題を達成するために必要な社員のモチベーションを高める評価制度でなくてはな
  りません。

  企業が存続するためには良いときだけではなく、今のような厳しい時代でも、モチベーシ
  ョンを維持し、活気をなくさない職場風土を作らなければならないのです。

  社員のモチベーションを高めるための人事制度のあり方は、当然、時代の変化に合わせ
  て考え方や手法を変えていかなければなりません。

  時代や世の中が変われば働く人のモチベーションの源も変わってくるからです。

  今、多くの企業では賃金制度の見直し迫られています。

  これまでの年功型の賃金制度のもとでは、業績回復のために不可欠となっている従業員
  の活性化が望めないばかりか、従業員の高齢化による人件費コストの増大が重くのしか
  かっているからです。

  高い料金を払って複雑な人事評価制度を導入しても、その制度が企業規模や企業風土に
  合ったものでなければお金をドブに捨てるだけです。

  大事な利益から捻出してつくる人事評価制度導入に「数百万円かかったけど結局続かな
  かった」・・・ では済まされないのです。

  中小規模企業の人事評価制度は、「社長の思いを形
  にする」ことから始まります。 eyes0803160.jpg

  経営者、管理職、社員が具体的に、人事評価制度の内
  容を理解でき、納得して、実行できる「わかりやすい人事
  制度」でなくてはなりません。 

  例えば、従業員20〜70名以下の中小企業の賃金評価
  制度は、その社員の現在の評価と今まで蓄積された
  評価
を抑えておけばよいのです。

  そして、その評価制度について誰に聞かれても、説得で
  きる理由を持っていればよいのです。

  中小零細企業が大企業の型をそのまま取り入れれば失敗する
  か、あるいはその場凌ぎに決定されてしまい、結果的に機能し
  ない評価制度になってしまっている状況はなかなか改善されま
  せん。

  人事考課制度の成否は「成果と目標」を正しく設定、プロセスを検証、的確に修正プロセ
  スを検証・修正
することです。

  人事考課は個々の従業員の勤務態度・職務能力・勤務実績を、直接に経営者が査定す
  る制度です。

  考課を行う際は、合理的に制定された一定の考課項目・スキームを予め定めておく必要
  があります。

  従業員は誰でも、自身の働き・成果・能力に対し公正に評価されたいと思っている訳です
  が、そうではなく経営者の好き嫌いや、性格の一致・不一致などで 評価されたのでは、
  従業員の能力開発はおろか、定着率は低迷し、専門性のある優秀なスタッフをかかえた
  プロフェショナルな体制を築くのは困難となります。

  そのような人事考課における経営者の主観をなくすために、公平かつ客観的で、従業員
  にオープンにできるような人事考課制度を持つことは、経営を安定化していく上で必要
  です。 
   
  ■人事考課の目的

   (1)従業員の指導・育成の指針とする。
     従業員に必要としている職務や課題と本人の能力や実績を比較・分析し、指導・
     教育、または自己啓発のための指針とする。

   (2)公正・公平な昇給・昇格の査定を行う。
     従業員の能力や実績を一貫した方法で評価し、公正で公平な昇給・昇格に結びつ
         け、処遇に対する納得感を持たせる。

   (3)安心して働けるルール作り
     就業規則もそうですが、給与体系や人事考課制度作成し、従業員にオープンにす
     ることにより安心感や公平感、納得感が得られ、従業員の定着化が図れます。

   人事考課の目的は単に昇給・昇格を決めるだけでなく、従業員の能力開発と育成を
   基本として、処遇に納得感がありやる気のある生き生きとした組織作りと、安心して
   働ける、即ち従業員の定着化を目指す制度であり、その観点に立った運用が求め
   られます。


  □人事考課を行う際のポイント
   (1)考課の評定基準や評価方法を客観的・明確に定めておく。

   (2)経営者以外に管理職がいる場合、第一次考課者をその管理職とし、経営者自身
     は第二次考課者になるなど、 複数名で考課する体制にする。

   (3)考課に当たり、生じやすい心理的偏向をできるだけ是正するよう努める。
     公正にしようとしても考課者が自然におかしてしまう心理的偏向には、主に次のよ
     うなものがあります。

      @中央化傾向
       評価が平均並みになり、優劣の差が生じない傾向(考課結果が中央に集中)。
       考課者に自信がない場合、考課基準が不明確な場合などに生じます。

      A寛大化傾向
       特定の特性について、評価が実際以上に甘くなってしまう傾向。(考課結果が
       上位に集中)

       考課者の観察不足、部下に対し必要以上に人情が働いている場合に発生し
       ます。

      Bハロー考課
       部下の評価要素の中に、一部特に優れたものや劣悪なものがあると、他の要
       素も良く思えたり、悪く思えたりするという傾向。

       部下についての印象ができあがってしまっている場合に生じます。
   
  □人事考課の進め方

   1.人事考課のステップ

    人事考課には次の2つの要素があります。

    (1)単年度評価
      考課対象期間である1年間の、能力の発揮度及び成果について評価しますので、
      毎年必ず行われることになります。

    (2)等級評定
      上記の単年度評価の結果など、一定条件を満たした者に対し、職務遂行能力に
      基づき等級評定を行います。

    単年度評価が1年間の能力の発揮度の評価であるのに対し、等級評定は入社以来蓄積
    された能力の保有度を評価するものです。

    等級が上がれば昇格、下がれば降格であり、それに連動して給与の職能給が上下する
    ことになります。

   2.単年度評価の仕方(評価給対応部分)

    (1)評価の大項目
      営業職・事務職どちらも基本的には職務能力と取組姿勢と成果の3つの大項目
      を評価項目としていますが、それぞれの求められる役割から、ウェイト配分し
      ます。

      3つの大項目の合計を100として各自でウェイト配分します。

       営業職、事務職の3つの大項目:職務能力、取組姿勢、成果


    (2)評価の小項目
      上記3つの大項目について正しく評価できるように、以下のように小項目を設け
      ます。

       <職務能力>
        営業職:職務知識、判断力、業務遂行力、指導力

        事務職:職務知識、判断力、対人対応力、指導力


       <取組姿勢>
        営業職:計画性、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性

        事務職:マナー、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性


       <成果>
        営業職:短期的成果、長期的成果

        事務職:正確性、効率性


    (3)評価の仕方
      職能等級表に基づき、小項目評価→大項目評価→評価ランク決定の手順とな
      ります。

     ☆小項目評価
       a〜eまでの5段階評価をします。

        a:特に優れている
        b:優れている
        c:普通
        d:努力を要する
        e:特に努力を要する

     ☆大項目評価
      小項目の評価を勘案して、大項目の評価を決めますが、小項目の評価結果と
      大項目評価の間には、点数化するなどのルールは特に設けず、経営者の考え
      で柔軟に対応します。

     ☆評価ランク決定
      「評価」欄を用い、大項目の評点を加算して合計点を出し、評価ランクを決定し
      ます。
      これは大項目の合計点により、次のように区分しています。

       A:91〜100 特に優れている
       B:81〜90 優れている
       C:71〜80 普通
       D:61〜70 努力を要する
       E:50〜60 特に努力を要する

      この評価ランクにより、給与テーブルの評価給が決まります。

  □等級評定の仕方(職能給対応部分)

     (1)実施条件
     等級評定は毎年行うものではなく、次の条件を満たす場合に実施します。

     (a)上位等級への等級評定(昇格)の場合
       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがAである。

       ・等級別の最短在留年数*を満たしている。

        ※「最短在留年数」とは、ある程度の期間一定の等級に在留させ、教育訓練、
         自己啓発により、各人の職務能力をじっくり養ってもらう事が望ましいこと
         から、一定期間は上位等級に昇格できないルールです。

          最短在留年数    等級

             2年       1等級

             3年       2等級

             4年       3等級

             4年       4等級
        
             4年       5等級

             4年       6等級


     (b)下位等級への等級評定(降格)の場合
       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがEである。


   (2)評価の仕方
 
    職能等級表および下記の職能等級概要記述に基づき、どの等級に格付けするの
     が適当かを判断します。

      1等級:自らの業務について、上司の指示を仰ぎながらも、ほぼ自立して行うこ
           とができる。
      2等級:自らの業務について、ほぼ自立して行うことができる。
      3等級:自らの業務は自立して対応し、下位者の指導も行うことができる。
      4等級:自らの業務は申し分なく対応し、下位者の指導・管理も行える。
      5等級:組織全体に目が行き届き、下位者に対し適切な指導・管理ができる。
      6等級:経営者的な視点から、問題点の把握・分析、対応策を立案し、実行する
           ことができる。


    等級評定における評価区分は次の通りです。
     優:上位等級の業務に十分対応できる (上位等級へ昇格)
     良:上位等級の業務に対応できる ( 〃 )
     可:現等級維持が相応しい (現等級のまま)
    不可:現等級の業務に対応できていない (下位等級へ降格)

   従って、上位等級へ昇格する場合の評価は、優・良のいずれかに、下位等級へ降格の場
   合には、不可が評価結果となります。


   (3)単年度評価ランクの調整
 
    等級変更があった場合には、単年度評価のランクについて、次の通り調整します。

     これは、給与の大幅な上下を防ぐために評価給で調整をするのと、同じ昇格でも
     優と良の評価で差を設ける意味があります。

      等級評定    単年度評価ランク

       優       上位等級のC
       良       上位等級のD
      不可       下位等級のA

  
  □職能等級と自己申告
   職能等級は職務遂行能力の程度によっていくつかの等級を設け、従業員を該当等級に格
   付けするものです。

   この等級は、職務能力の困難度や責任度などをベースに職能等級を設定し、各等級区分
   に該当する職務遂行能力の種類や程度を明確にした基準を設け、この基準にもとづいて
   人事考課を行う制度です。

   等級のアップが「昇格」ということになります。

   人事考課の限界として一般に言われているのは、あくまでも他人評価であるということ
   です。

   誰しも主観的な傾向から完全には脱し切れるものではなく、勤務成績や業績のような顕
   在的なものでしか見ることができません。

   そこで人事考課に加えて、従業員自身による自己申告制度などの自己評価の要素も入れ
   て調整を図るのが一般的です。

   その際、本人の潜在的能力および顕在的能力の把握を多角的に行い、総合的に勘案し
   て決めるのが望ましいと言えます。

   自己申告の具体的な内容としては、担当職務(職務の遂行状況、目標及び達成状況、
   新たな職務希望等)、自己の能力開発(能力の活用状況、今後伸ばしたい能力等)、
   その他(職場に対する要望、健康状態・家族の状況等)などです。
      
  ここに人事考課についての基礎知識について掲載しておきますので、貴社の制度構築
  ・見直しの参考にしてください。

 

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営業マンを活性化させる評価方法

         

営業マンを活性化させる評価

 

  人事考課と考課の際の留意点
   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長期的な
   人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

   考課の際の留意点は、従業員へのフィードバックを行うルールを設けること、評価項目・
   基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視すること、昇格や昇給へきちんと
   反映させるルールを設けること、などがあげられます。

  □評価は従業員へのメッセージ
   評価をする理由は賃金や賞与、昇格などを決めるためだけではありません。

   評価には経営者から従業員に対する様々なメッセージが込められています。

   まず第一に、長期的に人材を育成しようと考えているケースでは、例えば、その従業員
   が保有している「能力」を評価項目に加え、評価の対象とすることにより、従業員の能力
   開発が期待できます。

   一方で、保有している能力も発揮されてしかも実績として数字に表れなければ意味が
   ないと考える場合は、評価項目を実績重視にし、「やったらやっただけの給料がもら
   える」「やらなかったら給料は少ない」、という成果主義になります。

   大切なことは、自社の経営方針や風土を活かしながら、能力評価や成果評価の項目を 
   バランスよく取り入れてゆくことです。

   このように、評価項目一つとっても、従業員に対する考え方、言い換えれば従業員への
   メッセージを込めていることになるのです。

  □評価結果のフィードバック
   どんなに素晴らしい評価制度を設けても、評価結果を営業マンに納得のいくように
   フィードバックしなければ評価する本来の意味が伝
   わりません。

   「自分がなぜこのような評価なのか」「私は相対的に
   評価が高いのか、低いのか」といった評価.jpg疑問をもつ従
   業員も少なくありません。

   評価結果とその理由、相対的な位置付け、今後の仕
   事の取り組み方や能力開発など、効果者がきちんと
   従業員に伝えて、初めて評価する意味が生まれるの
   です。

   なぜなら、評価結果後の従業員の次の活動と成長が
   今後の自社の成長につながるからです。

  ■業績評価の目的や考え方
   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度
   を評価する「業績評価」と長期的な人材育成を目的と
   し、人物を評価する「人事考課」があります。

   「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる「定量的な結果」や、業務効率が
   どれだけ改善されたか、自社としての強みが確立されたか、などの「重点戦略の達成
   度」などを指します。

   一方、各人に課せられた使命に相応しい計画を策定し、それを実践の場で検証し、
   事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出したか、をチェックすることが
   「評価」です。

   業績評価とは、今を存続するための収益力確保や、将来の成長のために業務効率の改
   善や強みの確立などを展開してゆくための「マネジメントの仕組み」と言えます。

  □何を業績評価の項目とするか
   業績評価の項目は、職種によって異なります。

   営業マン個人の売上や粗利などが評価項目として広く使われています。

   チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても個人業績だけ
   でなく全社業績を加味することも必要です。

   また、このような全社業績と営業マン個人の業績が評価全体に占める割合などを検討す
   ることも必要になってきます。

   年度事業計画に示される予算の立て方についても前年度の実績をもとに慎重に設定
   する必要があります。

   なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るからです。

   重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標についても高い
   志があるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして年度末に実際にどれだけ遂行
   できたかといった「達成度」を評価します。


  ■営業マン活性化の評価とは
   営業管理者にとって、評価とは、たんに「できたか、できなかったか」という判断を下す
   だけではなく、それによって部下の努力の方向性を明確にするものでなければなりま
   せん。

   そして、評価が確実にモチベーションの向上、教育・育成の効果を上げるためには、
   次のような条件を満たす必要があります。 

  □あるべき姿が明確になっている
   ぶれない評価を行うためには、一般的な優秀な営業マンの姿ではなく、自社にとって
   あるべき営業マンの姿が明確になっていることが必要です。

   たとえば、「顧客第一主義」を経営理念としている会社においては、当然その理念に沿っ
   た形での営業マンの立ち居振る舞いが求められます。

   また、業種によって営業マンが保有しておくべき能力・知識などもさまざまです。

   つまり、全営業マンが自社のあるべき営業マンの姿を理解して、それにより早く近づくた
   めに努力しているという土壌があり、それがどの程度達成されているかを計る尺度が
   評価ということになります。

   評価基準作成の参考に評価シートを載せておきます。

  □役割に応じた目標が明確になっている
   あるべき営業マンの姿は共通していても、個々の営業マンの力量に応じて当面めざすべ
   き目標には違いがあります。

   新人営業マン、中堅営業マン、幹部の営業マンではその役割に応じた目標を達成してい
   かなければなりません。

   それぞれのクラスの営業マンが実際の営業活動に入る前に自分の目標をできるだけ
   鮮明にしておくことが大切です。

   そして、日々の活動を通じて目標の進捗度合いを確認し、それぞれの目標を上司と部下
   が共有して、上司は最終的な目標達成に向けて着実に指導していく営業管理の必要
   があります。

  □売上評価以外の「貢献」も評価
   営業マンの評価としてもっとも一般的に使われているのが、「売上」などの業績数値
   です。

   もちろんこれらの数値が一定期間における営業マンのパフォーマンスを計る重要な指標
   であることは間違いありません。

   ただし、営業マンに求められているのは最終的に数字を積み上げていくことだけでは
   ありません。

   たとえば、強引な営業でつねに高い売上を達成する営業マンがいるとします。

   彼は顧客ニーズや支払能力に対する配慮に欠けるところがあり、一度は売上が上が
   っても、「返品」や「クレーム」、「売掛金未回収」といったトラブルをよく起こしてい
   る、後輩の育成指導や新商品の提案など直接自分の成績にかかわらない活動は
   極力手を抜く、など広い視野でみれば会社にとって貢献度が低い社員です。

   彼に比べれば、目先の売上は上げられないにしろ、こつこつと見込客・新規顧客を
   増やし、確実にその信頼を得て、将来の受注構造を築いている営業マンのほうが余程
   会社にとって貢献度が高いはずです。

   ゆがんだ評価に陥らないためには、何をもって「成果」とするかについてできるだけ
   多面的に決めておくことが必要です。

  □成長度合いも評価する
   評価においては本人がどれだけ成長できたかを評価することも重要です。

   たとえば、顧客からの質問に十分に答えられなかった営業マンが、商品や業界について
   勉強して一人前に対応できるようになった場合などはその成長度合いも評価対象と
   します。

   逆に毎年平均以上の売上を達成している営業マンでも能力面の向上が認められなけ
   れば、その部分は評価しません。

   彼に対しては成長の余地がまだ十分に大きいことを理解させ、能力向上を促すことが求
   められます。

  □公平・公正な評価を行う
   上司は部下に対して自分の「好み」などによる悉意的な評価を絶対に避ける必要があり
   ます。

   「いくら頑張っても結局はあの人ばかりが評価される」というような雰囲気では、部下の
   やる気は高まりません。

   また、異なる部門で同様の成果を上げている営業マンについて、上司の違いによって
   評価に差が出ることも許されません。

   すべての営業管理者には統一した評価基準を正しく理解し、適切に運用することが求め
   られます。

  □その他の人事制度ともリンクさせる
   評価制度は賃金制度、職能資格制度、能力開発制度、人材配置など、その他の人事
   制度とリンクさせることで大きな意味をもちます。

   つまり、高い評価を得た人は昇給し、より重要なポジションに就き、さらなる成長に
   つなげていくといった構造が必要になります。

   ある時期に高評価を得た人が一時的に収入が増えるといったことだけでは評価制度の
   意義は半減します。


  ■評価項目の設定
   一般に人事評価制度の項目は次のような3つの要素から構成されます。

   営業マンの評価についても、これらの要素にしたがって自社に必要な評価項目を決定し
   ます。

   なお、前述のように売上などの業績面だけではなく、ほかの要素もバランスよく取り入
   れることが大切です。

  □人事評価における3つの要素

   1.業績評価
    業績評価とは、評価対象期間に業績面でどの程度貢献できたかを評価するもの
    です。

    具体的には次のような評価項目が考えられます。

    ○業績評価項目例
     ・売上額
     ・受注額
     ・粗利額
     ・売掛金回収額
     ・新規顧客開拓数 
     ・既存顧客満足度

   2.能力評価
    能力評価とは、どのような能力をどのような
    レベルで保有しているのかを評価するものです。

    具体的には次のような評価項目が考えられます。

    ○能力評価項目例
     ・業務知識
     ・専門技術
     ・問題解決力
     ・折衝力
     ・提案力
     ・企画力
     ・表現力
     ・スケジューリング力

    それぞれの評価項目にあらかじめ5段階程度の評価テーブルを設定しておきます。

    たとえば、業務知識については、次のような評価テーブルの例が考えられます。

    D社内のすべての部門における広範な業務知識を有している

    C複数部門の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    B自部門の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    A自分の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    @自分の担当する業務範囲内における日常的な業務遂行に必要な知識を有して
     いる

    このような評価テーブルに沿って、本人が現在どのような段階にあるのかを、項目ご
    とに評価します。

    なお、役職者については「リーダーシップカ」、「マネジメントカ」などの項目も評価
    し、役職の高さに応じてそれらの評価のウェートも上げていくのが通常です。


   3.情意評価
    情意評価とは、どのような姿勢で業務に取り組んでいるかを評価するものです。

    能力評価と同様にあらかじめ評価テーブルを定めておき、本人の現状に即して評価
    を定めていきます。

    なお、特に新入社員や若手社員に対しては、情意面の評価を重視することで、成長
    のための基礎を固めていくことが重要です。

    ○情意評価項目例
     ・規律遵守
     ・協調性
     ・積極性
     ・責任感
     ・成長意欲


  □効果的な評価ポイント
   1.営業計画策定段階から部下に関与させる
    営業活動は「計画を策定する」→「計画を実行する」→「実寮を評価する」といったプ
    ロセスで行われます。

    このうちの最初のプロセスである計画策定段階から部下を積極的に関与させ、計画
    値について部下自身が十分に納得していることが大切です。

    個人の営業計画については、上司がそれぞれの部下の能力などを考慮して、「ノル
    マ」として割り振っていることも多いでしょう。

    しかし、部下が自分の計画を「ノルマ」として認識している間は、「やらされ感」が
    強く、未達に終わった場合には「ノルマが高すぎた」という言い訳にもつながりかね
    ません。

    また、部下の成長を考えるうえでも、計画を一方的に与え続けるのは好ましいこと
    ではありません。

    いかに適切に計画策定を行うかということは、それ自体が重要な能力であり、部下
    には自分自身の計画を立てるだけではなく、将来的には組織全体の計画を立てる
    能力を身につけさせる必要があるからです。

    さらに、計画を部下が必ず達成することを約束する目標(約束目標)と、できるかど
    うかわからないが挑戦する目標(チャレンジ目標)の2段階で立てさせることも有効
    です。

    たとえば、月間の受注額について「約束目標400万円」、「チャレンジ目標600万
    円」といった設定ができます。

    なお、会社全体の受注計画を立てるときには、安全のために約束目標の合計を使
    います。

    そして、実際に活動してみて、約束目標はもちろんチャレンジ目標も達成できた場合、
    それは会社としては計画外のプラスなので、社員には特別な評価を与えるようにし
    ます。

    このように目標を2段階に設定することで、会社全体としての数値の見通しも立ちや
    すくなりますし、社員の挑戦意欲も引き出すことができます。

   2.定期的な評価を行う
    営業管理者は週次、月次などさまざまなタイミングで部下を評価し、改善指導や動
    機づけを行っていく必要があります。

    「必要に応じて評価を行う」というスタンスではなく、定期的な評価サイクルを設ける
    ことで、部下も評価を受けるための準備を行いやすくなります。

    たとえば、週次の評価では今週1週間の活動について、行動レベルまで評価します。

    顧客訪問に際してどのような準備をして、実際にどのような面談を行い、その結果営
    業ステップは狙い通りに向上したのかといった点まで踏み込んで評価します。

    さらに、部下にこれからの1週間のタイムテーブルを提出させ、適切な訪問計画が
    できているか、無駄な訪問がないか、社内での無駄な作業がないかということもチ
    ェックします。

    月次評価では今月の業績計画や能力(営業力)向上計画の進捗状況について総括
    します。

    さらに、それらの総括も踏まえた次月の計画について、最終的に年間計画を達成で
    きる水準になっているか、重点課題は明確になっているかなどを確認します。

   3.要因分析を部下自身に考えさせる
    評価を行う際には上司から一方的にコメントするのではなく、部下自身に達成・未
    達成の要因について考えさせることが大切です。

    目標が達成できたときにはその成功要因を、未達成だった場合はどのような問題が
    あったのか、また、その間題を解決するためには、どのような対策を講じるべきかを
    考えさせます。

    その際には、たとえば、(集客から顧客維持までの営業プロセス

     ・どうやって見込み客を見いだすか、客リストはどのように手に入れるか

     ・アポイントの電話はどのようにかけるのがよいか

     ・見込み客への効果的なアプローチには、具体的にどのような方法があるか

     ・見込み客に商品に対する関心を起こさせるプレゼンテーションとはどのよう
      なものか

     ・クロージングにこぎつけるための決め手は何か

    といった具体的な施策についてまで考えさせ、
    指導することが必要です。

   4.「褒める」、「叱る」の原則を意識する
    評価のなかでは目標を達成した部下に対し
    ては「褒める」、未達成の部下に対しては
    「叱る」ことも必要になるでしょう。

    その際つねに意識しておきたいのは「褒め
    る」、「叱る」ということは正反対の行為で
    はなく、どちらもその目的は「部下を正しい
    方向に導く」ことにあるということです。

    手放しで褒めることで慢心してしまう部下も
    いますし、厳しく叱り過ぎることで萎縮し、やる気を取り戻せなくなる部下もいます。

    上司には部下の性格や資質に応じた「褒め方」、「叱り方」が求められます。

    また、「褒める」、「叱る」の対象は、「部下そのもの」ではなく、あくまで部下がや
    った仕事の成果やプロセス、業務姿勢など「部下がやった行為」であることも忘
    れないことです。

    特に叱る場合は部下の人格そのものを否定するような言動は厳禁です。

    部下の行為のなかでどの部分が叱る対象となっているのかをはっきりと示す必要が
    あります。

 

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人事評価制度に関する意識調査

            

人事評価に「不満」4割


  日本経済新聞社とNTTコムオンラインマーケティング・ソリューションの NTTコムリ 
  サーチが共同で実施した人事評価制度に関する意識調査によると、評価制度に不
  満を感じているビジネスパーソンは4割弱だった。

  ここ10年で成果主義が広がり、人事評価制度を整備する企業が増えた。

  だが基準があいまいだったり、評価者の説明が不十分だったりと運営面に課題を
  残しているようだ。

  人事評価の仕組みについて聞いたところ、「不満」「どちらかというと不満」が
  37.8%と「満足」「どちらかというと満足」の19.0% を2倍近く上回った。

  一方で「どちらでもない」は43.3%だった。(中略)

  不満を感じている理由(3つまで回答可)のトップが「評価基準が明確に示されてい
  ない」(41.0%)。

  半数以上の人が評価結果のフィードバックを評価者から受けているものの、納得の
  いく説明がなされていないのが現状のようだ。

  「評価者の好き嫌いで評価される」(38.7%)、「評価者が直属の上司しかおらず、
  評価が一方的」(24.9%)も理由にあげた人が多かった。

  75.0%の人が課長・部長クラスの直属の上司が評価を決めていて、上司との相性
  が評価を左右することに不公平感があるようだ。

  自分の人事評価そのものについては「不満」「どちらかというと不満」と答えた人は
  33.7%となり、「満足」「どちらかというと満足」の22.9%を上回った。

  不満の理由は「評価基準が不明確」(67.0%)が最多。

  このほかに「自らが考える評価制度に比べて低い」「評価が恣意的で不公平」「評
  価に対し昇給が伴わない」といった不満の声が多かった。

  賃金制度を聞いたところ、成果主義が8割を占めた。

  行き過ぎた成果主義の失敗を反省し、企業は広い視野で従業員を評価しようと目
  標管理制度などを導入。

  だが運用する現場は十分な教育を受けておらず、機能していないことも少なくな
  い。

  人事評価で知りたい項目(3つまで回答可)については、「評価された実績や行動・
  態度」が66.4%と最も多かった。

  一方で「あまり評価されなかった理由」や「改善が必要な職務行動・役割意識」と
  いったマイナス面の評価理由ともに40%を超えた。