職務給・業績給の導入

            

職務給・業績給の導入

職務給・業績給の導入ポイント
 1.理想の賃金体系 

  賃金体系を整備することは活気ある職場づくりのために不可欠です。
  社員は自らの能力・成果・キャリアが高く評価され、それが賃金に反映された時、
  これまで以上に仕事に打ち込み、チャレンジしていくものだからです。

  しかし、社員の要望に応えることだけを考え、自社の財務状況や社員の年齢構成を無視
  した賃金体系を構築するのも問題です。
  企業の賃金負担が過度に重くなったり、評価基準が曖昧で不透明な賃金体系になって
  しまうことがあるからです。 

  現実は、企業と社員の双方が納得できる賃金体系の実現は非常に困難といわざるを
  得ません。
  多くの社長は、両者の理想に近い賃金体系を構築しようと試行錯誤しているのです。
  そうした中、多くの社長が注目している賃金に「職務給」「業績給」があります。

 2.賃金体系を整理する 
  ここで、職務給・業績給が賃金体系全体の中でどのようなポジションにあるかを確認
  してみましょう。
  基本的な賃金体系は図のように分類されます。

  <基本的な賃金体系>
  属人給と呼ばれる年齢給・勤続給・学歴給は、いわゆる年功序列的な賃金体系の中心
  となるものです。
  勤続年数や年齢に比例して賃金が上昇するため、社員は安定した生活設計を立てる
  ことができ、企業への定着率も高まります。

  ただし、賃金の上昇に社員の能力や業績などがあまり反映されないため、実績のある
  若手社員に不公平感が生まれ、モチベーションが下がることもあります。
  また、社員の高齢化が進むと企業の賃金負担が大きくなるのも問題です。

  一方、仕事給には職能給・職務給・業績給・年俸制があります。
  これらは基本的に成果(能力)主義に基づくもので、勤続年数や年齢に関係なく業務
  遂行能力や成果に応じて賃金が上昇します。

  こうした成果主義的な賃金体系は企業の人件費削減、優秀な人材の確保などを目的に
  多くの企業で導入されています。
  社員にとっても、成果・能力しだいで勤続年数が短くても高い賃金を得られるという
  メリットがあります。

  しかし、全賃金額に対する職務給・業績給などの比率が高すぎると、業績の上がらない
  社員の賃金は低くなり生活の安定という面で問題が生じます。 

  社員にとって属人給が「必ず上昇する安定的な賃金」ならば、仕事給は「成果や能力に
  よって変動する刺激的な賃金」といえ、一般的な賃金体系は属人給と仕事給を組み
  合わせて構築されています。

  例えば、全賃金のうち属人給を60%、仕事給40%といったようにです。
  こうして安定と刺激のバランスを取ることによって、社員の生活の安定を図るとともに、
  社員のやる気を刺激しているわけです。

  職務給や業績給を導入する際もこの点を認識しなければなりません。
  近年、成果主義的な賃金体系が大きく注目されていますが、自社の状況を考慮せずに
  無理やり導入しても、社員の理解が得られず逆効果となる危険性があります。

 3.職務給・業績給の特徴 
  導入の際の留意点を紹介する前に、職務給・業績給のメリット・デメリットを含めた
  特徴をみていきます。
  職務給・業績給が自社に適しているかを判断するうえで参考になるでしょう。

  ◎職務給 
   職務給の特徴は、従事している職務の価値によって賃金が決定することです。
   同じ職務を遂行している社員には、勤続年数・年齢などに関係なく同額の賃金が
   支払われます。

   職務給を導入することで賃金が標準化され、合理的で分かりやすい賃金体系を構築
   することができます。
   最近では、武田薬品工業が100%職務給の賃金制度を導入するなどの動きがあります。 

   しかし、職務給は主に米国で導入されているもので、日本企業の導入例はそれほど
   多くありません。
   その背景には、日本企業の頻繁な転勤や職務転換があります。

   例えば、優れた能力を持つ社員がその能力を活かせる職務に従事している場合は
   問題ありませんが、異動により全く異なる職務に従事することになり、それによって
   賃金が下がってしまうのでは、その社員はやる気を失ってしまいます。

  ◎業績給 
   業績給は仕事の成果や実績によって賃金を決定するのが特徴です。
   やればやっただけ賃金が上昇するので、社員のモチベーションを高め、活気ある
   職場を実現することができます。 

   ただし、社員の業績を正確に評価し、それを納得感のある賃金として算出することは
   容易ではありません。
   社員と会社の間には絶えず評価のギャップがあるのです。

   この「業績評価」(通常は人事考課を用います)の難しさが業績給導入の最大の
   難関といえるでしょう。 
   また、業績を上げることができなかった社員に対するフォローも必要です。

   いくら業績重視とはいえ、賃金が大きく減少する場合は社員の生活の安定を欠くと
   同時にモラールダウンを招きます。

□職務給導入のポイント
 1.職務分析 
  職務給を導入するには、現行の職務を細かく把握しなければなりません。
  また、どういった職務があるかだけでなく、「具体的な職務の内容」「それぞれの
  職務に必要な能力と責任」まで細かく調べる必要があります。
  そのための具体的な手法には以下のようなものがあります。

  ◎質問法  
   企業が把握したい項目をまとめた質問用紙を作成し、職務分析を行う職務分析
   担当者や部門管理者などに記入してもらう方法です。

  ◎観察法  
   職務分析担当者が実際に職場をまわって、職場の様子や作業環境を観察・確認
   する方法です。

  ◎面接法  
   職務分析担当者が職務分析に必要な質問事項をあらかじめリストアップしておき、
   それを基に部門管理者などを面接する方法です。

 2.職務評価 
  職務の相対的な価値を評価してランク付けします。
  そのための具体的な  手法には以下があります。

  ◎序列法  
   それぞれの職務を比較し、複雑度・困難度・責任度などに応じて価値の高いもの
   から低いものへとランク付けする方法です。

  ◎分類法  
   あらかじめ職務の熟練度・責任度などを基準に等級基準を作り、その等級基準に
   各職務を当てはめていく方法です。

  ◎点数法  
   職務の持つ責任度・努力度・作業条件などに評価基準ごとの点数を付けて、各職務
   ごとに採点し総得点によってランク付けする方法です。

 3.市場賃金との比較と職務給の導入 
  職務評価によって得られた情報を基に、その内容や性質を考慮して職種を分類します。
  職種を分類した後に市場賃金との比較を行います。
  具体的な比較要素には同一業界の企業の賃金・同職種の賃金・同規模企業の賃金などが
  あります。
  最後に、これまでの作業の結果を基にそれぞれの職務に対する賃金を決定します。

□業績給導入のポイント
 1.対象社員の決定 
  賃金体系を見直す際は、対象社員を明確に決定しなければなりません。
  業績給や年俸制を導入する際には特に重要です。 
  業績給や年俸制は業績や成果によって賃金の大部分が決定する制度であるため、事務
  部門など業績が評価しにくい社員を対象にするには難しい面があります。 
  実際に導入している企業では、期待する成果を満たすことのできる能力・実績を持った
  管理職クラスを対象とする例が多くなっています。

 2.職務分析・職務評価 
  業績給導入で難しいのは、「どの職務で、どの程度の業績を上げた社員に、いくらの
  賃金を支払うか」という点です。
  これらを決定するのは非常に難しいのですが、例えば先の職務給で紹介した職務分析
  ・職務評価などを実施することでおおよその目安が付けられます。

  また、各職務の遂行に必要なコストと利益への寄与率の関係から決定することも
  できます。 
  この際に、業績によってどの程度の賃金格差を設けるかを検討することも大切です。
  例えば、企業が定めた標準の業績を境に、それ以上の業績を上げた社員には最大10%の
  プラス、標準以下の場合には最大10%のマイナスといった具合にです。

 3.人事考課の整備 
  業績給を導入している企業の多くでは、年1〜2回行われる人事考課の結果を業績評価の
  主要な指標としています。
  従って、業績給を導入する際には人事考課の体制を改めて見直すことによって、透明度
  が高く、社員が納得する人事考課を行わなければなりません。 

  人事考課は「人が人を評価する」のでさまざまな問題が起こります。
  以下で紹介するような問題は回避しなければなりません。

  ◎ハロー効果  
   ある特定のことに目を奪われて、全体の判断を誤らせる傾向を示します。
   例えば、社員の優れた面(劣った面)だけに強い印象を受け、そのほかの劣った面
  (優れた面)を見落としてしまうなどの場合です。

  ◎寛大化傾向  
   考課対象社員の生活環境などで私情が入り、実際の業績よりも甘く考課してしまう
   傾向です。

  ◎中心化傾向  
   考課の結果が中心(標準)に集中してしまい、考課結果にほとんど差ができない
   傾向です。

□そのほかのポイント
 1.賃金支払い5原則 
  労働基準法では、賃金の支払いについて5つの原則を設けています。
  これは非常に基本的な事項ですが、必ず守らなければなりません。

  ◎通貨払いの原則  
   賃金は通貨で支払わなければなりません。

  ◎直接払いの原則  
   基本的に、賃金は社員に直接支払わなければなりません。

  ◎全額払いの原則  
   社会保険料など一部の例外を除き、賃金の全額を支払わなければなりません。

  ◎毎月1回以上払いの原則  
   賃金は毎月1回以上のペースで支払わなければなりません。

  ◎一定期日払いの原則  
   賃金は、毎月一定の期日に支払わなければなりません。

 2.労使の円満な話し合い
  賃金体系を見直すと、賃金が上がる社員と下がる社員が出てきます。
  これは仕方のないことではありますが、賃金が下がってしまう社員にとっては大きな
  不満となります。

  また、労働組合との団体交渉が必要になってくることもあります。 
  企業はこうしたトラブルを回避するために、真摯に社員の理解を得るように努めなけ
  ればなりません。

  先に触れたように、企業と社員の双方が理想的であると納得できる賃金体系を構築
  することは非常に難しいのが現状です。
  しかし、企業として、可能な限り社員に配慮しているという姿勢を示すことは大切です。 

  また、制度導入後も社内報などを通じて新制度のスキームを周知徹底させることが
  大切です。
  例えば業績給を導入した場合には、「標準となる賃金」と「上限の賃金」を紹介する
  などして社員のやる気を喚起するのです。

 3.安定と刺激のバランス 
  繰り返しになりますが、職務給・業績給はいわば刺激的な賃金です。
  刺激的な賃金を導入することは社員のモチベーションを高めるために重要ですが、
  それだけでは社員の生活は安定しません。 
  そのため、全体の賃金を職務給・業績給を40%、属人給を60%などのように配分し、
  刺激と安定のバランスをうまく取ることが大切です。

コンピテンシーと人事制度

               

コンピテンシーと人事制度

■コンピテンシー 
 「コンピテンシー(competency)」とは、優れた成果・業績をもたらす業務遂行能力の
 高い人物(ハイパフォーマ―)に共通した考え方や行動特性を意味する。
 仕事を進める上で何を意識しているか」、「どんな考えで、どういった行動をしているのか」
 など思考や行動を分析することで把握することができます。

 「コンピテンシー」で重視されるのは、行動そのものではない。
 むしろ、その行動をもたらす「性格」や「動機」、「価値観」といった要素に重きが
 置かれています。

 近年、人事制度の見直しを考える際に、「コンピテンシー」という考え方が注目を集める
 ようになりました。
 既に、武田薬品工業、富士ゼロックス、ソニーなどの大手企業がコンピテンシーを活用した
 人事制度を導入しています。

 また、現在、導入を検討している企業も数多くあります。 
 まだコンピテンシーという言葉になじみの無い方もいると思いますので、はじめに
 「コンピテンシーとは何か」について説明します。

 1.「コンピテンシー」誕生の背景 
  バブルが崩壊した1990年代以降、多くの日本企業が人事制度の見直しに取り組み
  始めました。
  日本企業の人事制度の象徴であった「年功主義」が限界に近づいてきたためでした。 

  年功主義は、勤続年数が長い社員を優遇する仕組みであるため、賃金は勤続年数に比例
  して上昇します。
  その一方で若手の賃金は、企業への貢献度が高くても、低く抑えられています。 

  年功主義は、企業内の社員の年齢構成がピラミッド型であれば問題ないのですが、
  社員の平均年齢が上昇すると企業の人件費負担は重くなります。
  収益の増加により、人件費の上昇分を賄えれば問題ありませんが、景気低迷が続く中、
  それは難しい状況にあります。

  そこで、年功主義から脱却するために生まれた考え方が「成果主義」です。
  成果主義は、各社員の成果に応じて給料を決定する仕組みであり、成果が低ければ
  給料を低く抑えることができることから、人件費をコントロールするのに適した
  マネジメント方法といえます。

  経営不振に苦しむ企業の中には、成果主義を積極的に取り入れているところが多く
  あります。 
  しかし、成果主義は必ずしも万能ではありません。
  その弊害として、成果と結果の混同という問題が挙げられます。 

  成果主義の本来のあり方は最終的な結果のみならず、それにいたるプロセスを評価する
  ことにあります。
  にもかかわらず、仕事の環境、運などに左右される「結果」のみで評価してしまう
  企業が少なくありません。

  結果だけで評価をしてしまうと、本当は評価に値する正しいプロセスで業務を遂行して
  いるのに、たまたま運が悪かったため良い結果を達成できなかった社員が低い評価を
  受けることがあります。

  それにショックを受けた社員が他社へ転職してしまった、という企業にとって好ましく
  ない事態が起こらないとも限りません。 
  さらに、結果しか評価されない体制の下では、

   ・社員は成果達成に対して過度のストレスを感じるようになる
   ・社員は達成できそうな容易な目標を設定するようになる
  などの問題も生じています。

  このような状況のなか、成果主義による弊害を無くすために生まれた能力評価基準が
  「コンピテンシー」なのです。

 2.コンピテンシーとは 
  コンピテンシーとは米国で生まれた考え方で、一般的に「ある職務遂行のために必要な
  能力・力量」「高業績者の行動特性」「成果や業績に直結する行動」などと訳されて
  います。

  つまり、ある仕事において、コンスタントに優秀な成果を上げている社員によって
  実証された効果のある行動パターンがコンピテンシーなのです。
  優秀な成果を上げている社員は、業務管理、対人関係構築、情報の収集・整理、状況適応
  などの面でほかの社員とは違う能力を持っています。

  その能力を発揮した結果、コンスタントに成果を上げることが可能なわけです。
  このような人たちの行動パターンを能力評価の際の基準にすることによって、結果のみを
  判断することに陥りがちな成果主義をサポートすることができます。
  なぜなら、結果だけでなく、それを導くに至ったプロセス(仕事の進め方)も評価の
  対象となるからです。

 3.コンピテンシーの項目 
  コンピテンシーは、それぞれの職種(営業、製造、総務、経理など)において、優秀な
  成果を上げている社員の行動パターンを分析することによって明らかになります。 
  例えば、営業で優秀な成果を上げているAさんの行動パターンを分析した結果、顧客に
  関する情報収集と話術に優れていることが分かったとします。

  このときAさんは、「顧客志向」「情報収集」「説得」のコンピテンシーを持っている
  といえます。 
  このように、コンピテンシーはいくつかの項目に分けることができ、それについて
  アメリカの研究者を中心に数多くの分析・発表が行われています。

  ここでは、代表的なコンピテンシーの項目について紹介します。
   ・他者理解 
    相手の行動や思考パターンから相手の意思や意図を読み取る能力
   ・顧客志向 
    顧客の身になって、自分が何をできるのかを考える能力
   ・人脈構築 
    新たな人脈を築き、良好な関係を維持する能力
   ・説得 
    自分の考えていることを適切な表現で相手に伝え、相手の理解と行動を促す能力
   ・チームワーク 
    上司や同僚などに積極的に協力し、組織や部署の発展に貢献する能力
   ・人材育成 
    部下の能力開発を支援する能力
   ・リーダーシップ 
    組織や部署の方向性を示し、部下を導く能力
   ・分析思考 
    さまざまな要素が入り組み複雑に絡んだ状況を分析して考える能力
   ・情報収集 
    情報の所在を素早く突き止め、最適な手段で収集する能力
   ・適応性・柔軟性 
    自身の置かれた状況に合わせて、臨機応変に対応の仕方を変える能力
   ・達成志向 
    高い目標を設定し、それに向かって努力する能力

 4.コンピテンシーに関するそのほかの留意事項 
  (1)それぞれのコンピテンシーには何段階かのレベルがある  
    例えば、前述したコンピテンシーの項目の中で「他者理解」について考えて
    みると、同じ「他者理解」でも、「相手の言ったことをしっかり聞き内容を
    理解する」ために要求されるレベルと、「相手の置かれている状況や役職などを
    考慮して、言外にある相手の真意を理解し適切な行動をとる」ために要求される
    レベルは異なります(後者の方が高いレベルを要求されます)。
    業務職の社員であれば、前者のレベルでも十分かもしれませんが、営業職で
    あれば、後者のレベルまで要求される可能性があります。

  (2)各社員がすべてのコンピテンシーを要求されているわけではない
    前項で示したコンピテンシーの項目は、あくまでも総合的なものであり、各社員
    がすべてのコンピテンシーを要求されているわけではありません。
    例えば、部下のいない営業マンであれば、「他者理解」「顧客志向」「人脈構築」
    の3つにおいて高レベルのコンピテンシーが要求され、「人材育成」「リーダー
    シップ」の2つのコンピテンシーは低レベルで十分かもしれません。

    また、顧客と接することのない業務職の課長であれば、「分析的思考」
    「リーダーシップ」の2つにおいて、高レベルのコンピテンシーが要求され、
    「人脈構築」のコンピテンシーは低レベルで十分かもしれません。

    このように職種が異なれば、要求されるコンピテンシーの組合せやレベルが
    異なってきます。
    また同じ職種でも、取り扱う商品や顧客のタイプが異なれば、要求される
    コンピテンシーの組合せやレベルが異なる可能性もあります。 

  (3)自社に適したコンピテンシーの項目を考える  
    上述したように同じ職種でも、要求されるコンピテンシーの組合せやレベルが
    異なる可能性があります。
    従って、自社と同じような業務を行っている他社のコンピテンシーの項目や
    レベルの設定をすべて模倣したのでは、自社に適したコンピテンシーは作成
    できません。

    代表的なコンピテンシーの項目(人脈構築、顧客志向、適応性・柔軟性など)
    を参考にしながらも、自社の高業績者の行動特性を分析して、独自のコンピ
  テンシーの項目やレベルを設定するのが最善の策です。

□コンピテンシーを活用した人事制度導入 
 ここまで、コンピテンシーとは高業績者の行動パターンであり、それを人事評価の際の
 参考にすることにより、結果だけではなくプロセスも重視た人事制度が可能になるとの
 説明をしました。

 次に、コンピテンシーを活用した人事制度を導入する際にはどのようなステップを踏めば
 よいか、また導入することによってどのような効果が得られるのかについて説明します。

 1.導入する前に
  まず、自社の人事制度の現状並びに問題点を整理し、次に自社の人事制度の問題点は
  コンピテンシーの活用によって解消される(はず)、という点について明確にします。
  これは、単に流行に流されてコンピテンシーの導入を図ったものの、結果として自社の
  実情に合わなかったのですぐに別の新たな人事制度を導入する、といった短いサイクル
  で人事制度の変更を繰り返す悪循環に陥ることを防ぐためです。

  また、自社はどのような成果を生み出すべきなのか、すなわち企業の方向性についても
  再確認しておく必要があります。
  なぜなら、適切な行動パターン(コンピテンシー)は、企業の方向性が明確になって
  はじめて定めることができるからです。

 2.導入 
 (1)高業績者の選出
   職種(営業、製造、総務、経理など)ごとに高業績者を選出します。
   このときに留意すべきことは以下の通りです。
    ・選出人数は、1つの職種ごとにそれぞれ2〜3名程度とします (1名では
     客観性が失われる可能性があります)
    ・選出する際、過去の評価や経営陣・現場の意見などを参考にします

 (2)高業績者へのインタビュー  
   高業績者の選出が終わったら、次に高業績者に対しインタビューを実施します。
   このときに留意すべきことは以下の通りです。
    ・インタビューをスムーズに進めるために、インタビューを受ける社員に
     関する情報収集(経歴、これまでの評価、担当業務の概要など)は事前に
     行います
    ・インタビューでは、高業績者の仕事上での成功体験を中心にヒアリング
     します
    ・日ごろ行っている自己啓発活動についてもヒアリングします

 (3)コンピテンシーモデルの作成  
   インタビューが終了したら、高業績者の行動パターンについて分析を行い、それ
   ぞれの職種ごとに、どのようなコンピテンシーをどの程度のレベルまで備えて
   いれば、コンスタントに成果を上げることができるのかについて基準(「コンピ
   テンシーモデル」 といいます)を作成します。
   このときに留意すべきことは以下の通りです。
    ・同じ職種内で、高業績者間のコンピテンシーの項目やレベルが極端に違う
     場合は、コンピテンシーモデル作成過程の見直しを行う
    ・高業績者の行動が必ずしも会社の方向性と一致しているとは限らないので、
     担当役員や経営者にコンピテンシーモデルを確認してもらう以上のプロセス
     を経ることによって、経営方針に合致した適切なコンピテンシーモ デルが
     完成します。

 3.導入による効果
  (1)適正な人事評価の実現 
   前述したように、コンピテンシーを活用した人事制度では、結果だけでなくプロセス
   (仕事の進め方)についても評価の対象になります。
   従って、結果のみを人事評価の対象としていた場合に比べ、社員にとって説得力
   のある人事評価制度が実現できます。

   具体的には、コンピテンシーモデルを参考に各社員が目標(成果)並びにそれを
   導くためにとるべき行動について期初に設定し、期末に自己評価をします。 
   上司は期末に行われる面接を通じ、社員の自己評価の内容についてヒアリングをし、
   もし社員の自己評価とヒアリング内容に矛盾点があった場合、社員の自己評価は
   信頼性に欠けると判断して、自己評価より低いランクで評価することになります。 

   このように評価を受ける社員の報告をベースに評価を行うことで、評価の透明性を
   高めることができます。

  (2)適材適所の実現 
   コンピテンシーを活用した人事制度は、人材と仕事のマッチングにおいても大きな
   力を発揮します。
   なぜなら、コンピテンシーモデル設計の際に、職種ごとに必要とされるコンピ
   テンシーの項目とそのレベルについて定義しているからです。

   例えば、営業職を中途採用するケースにおいて、人事担当者は、応募者から過去の
   職務経験などについて詳細にヒアリングをし、その結果から応募者の有する
   コンピテンシーの内容とレベルを特定します。

   そしてそれを、自社の営業職において要求されているコンピテンシーの項目と
   そのレベルと照合することによって、応募者の適性の有無を判断できるのです。

  (3)社員の能力向上 
   コンピテンシーモデルの活用により、社員は、高業績者の行動パターンを容易に
   把握することができます。
   そして、それを参考にすることにより、コンスタントに成果を上げることができる
   行動パターンを習得していきます。 

   またそれぞれの職種について、必要となるコンピテンシーの項目やそのレベルが
   定義されているため、将来的に担当したい職種がある社員は、早い時期から計画的
   なキャリアアップを行うことができます。

 最後に、コンピテンシーを上手に活用すれば、確かに社員の能力を最大限に活かした
 人事制度が可能になります。
 しかし、人事部の社員が努力してすばらしい制度を作りあげても、経営陣の支援や
 社員の理解が得られないのであれば、その制度は有効に機能しないでしょう。 

 コンピテンシーを活用した人事制度を成功させるには、制度構築の際、経営陣への
 経過報告や社員への情報開示を随時行い、社内の意思統一を図っていくことが何よりも
 大切なことなのです。

人材活性化のための人事制度

          

人材活性化のための人事制度


  ■人事労務管理のトレンド

   ここ数年の人事労務制度を見直す際の方向性としては、

    1.能力主義を強化する

    2.本人の自主性を活かす

    3.制度を複線化・流動化させる

   の3つを挙げることができます。  

   以下では、それぞれの傾向が見られるようになった背景と、これを実現するために導入
   されている具体的な制度に触れます。

   1.能力主義を強化する制度について

    能力主義とは文字どおり、能力に見合った適切な職務・ポストを提供し、これに相応の
    処遇を行なうというものです。

    能力主義が強化されているもっとも大きな要因は、従業員構成の中高年齢化の進展
    による人件費の増大です。

    企業の右肩上がりの収益力増大傾向が終わりを告げたにもかかわらず、団塊の世代が
    中高年層に達したことで、多くの企業では人件費の増大に苦しんでいます。

    従来の年功序列的な人事・賃金制度では、給料は上がることはあっても下がることは
    ありませんでした。

    というのは、日本の人事制度では、若年時には給料が低く抑えられており、退職時まで
    勤め上げることで若年時の低い給与分が埋め合わされるように設計されているからです。

    しかし、現在のように必ずしも継続的な企業の成長が約束されていない経営環境下に
    あっては、30年という長い期間で給与をとらえることは企業にとって大きなリスクを負う
    ことになります。

    事実、年度単位で見た場合、現在のような不況時では、高い給料を受け取っている中高年
    社員がその水準に応じた生産性を上げているとは限りません。

    そのため、成果を上げた人にはそれなりの処遇を次年度に行なうという能力主義的人事
    制度へと各社は制度を移行しつつあります。

    そして、大企業では、特に管理職など高賃金の層からこの制度を導入している傾向が
    目立ちます。

    また、能力意義導入の前向きな動機としては、新しい技術や商品・サービスの開発が
    企業の今後の展開を大きく左右する状況にあって、企業としても、年齢に関係なくこうした
    能力を発揮する人材の確保を強く望んでいるということが挙げられます。

    とりわけ、新規事業や国際化への対応、OA化・FA化への対応などから、これまで自社に
    いなかった人材を迎えたり、このような状況に対応できる社内の人材を登用する必要性が
    強く認識されています。

    能力主義を実践する制度としては、年俸制度、飛び級制度、登用・昇格試験制度および
    後述する管理職任期制度、分社制度などがあります。

   2.本人の自主性を活かす制度について

    “就社(会社に勤める)”から“就職(職業に就く)”という職業観の大きな変化に伴って、
    社員自ら自分のキャリアを築きたいという要望が強まっています。

    一方で企業の側としても、どんなに従順でも命令されたことしかしない社員よりもむしろ、
    自分から新しい仕事を作り出して新たな収益源を生み出していく原動力となるような人材を
    求めています。

    こうした状況を背景に、人事制度でも本人の自主性を活かす制度がいろいろと工夫されて
    取り入れられています。

    その最たるものは自己申告制度です。

    自己申告する内容は、将来したい仕事、身につけたい能力、業績の評価時の自己業績、
    就きたいポスト、などとなっています。

    そのほか、社内公募制度、チャレンジ制度などが、このようなニーズに対応する制度として
    挙げられます。

   3.制度の複線化・流動化について

    社員の生活パターンや職種に応じてさまざまな勤務形態やキャリアコースを設定する
    ことを制度の「複線化」といいます。

    制度の複線化が導入される背景には大きく分けて2つの理由があります。

    第1は、組織において、これまではゼネラルマネージャーとしてしか出世の道がなかった
    のに対して、近年では、研究・開発、営業、法務などの特殊な分野でのスペシャリスト
    としての地位も認める必要が生じてきたことです。

    すなわち、専門分野の高度化・変化のスピードアップに伴い、これを極めている人材が
    企業にとって非常に重要な存在となっています。

    また、研究成果などが優れているこうした人たちのなかには、部下を管理することなどに
    煩わされたくないと希望する人も増えています。

    こうしたニーズに対しては、ゼネラルマネージャーと専門職というキャリアの複線化を図る
    人事制度で対応がなされています。

    第2は、近年、さまざまな就業形態や職種が設定されており、これに合わせて自由に自分の
    キャリア設計ができる環境整備が必要となったことが挙げられます。

    すなわち、女性や高齢者の社会進出によって多様なライフスタイルの社員を支援する
    勤務形態を提供する必要性が出てきたことや、前述したような専門職の台頭などが勤務
    形態の多様化に一役買っていることです。

    このようなニーズを満たす制度としては、限定勤務地制度、コース別人材育成制度、人材
    登録制度などがあります。

    また、フレックスタイム制度や契約社員制度、裁量労働制度など制度の流動化による
    対応策も見られます。

    ちなみに、流動化というのは、さまざまに設定されたコース(労働条件のパターン)を本人の
    希望に応じて、条件さえ合えば自由に変更できるようにするというものです。

    次項では、これまで文中でご紹介した諸制度のうち、いくつかについてより詳しく解説
    しています。

  □テーマ別人事制度のご紹介

   1.能力主義を強化する制度

    a)年俸制度

     概 要:年初に、前年度の実績と当年度への期待に応じて給与の額をトップとの
          契約によって決定する。毎年度更新が原則

     手 順:1.年俸制度の対象者を決定する
          2.賞与分は年俸外とするか内とするか決定する
          3.年俸部分を給与のどの程度の比率にするか決定する
          4.トップとの間で、当年度の目標とこれに対する対価を相互に提示し決定
            ・契約する
          5.年度末に、当該年度の業績を確認するとともに次年度への契約へ
            向けてトップ、年俸対象者がそれぞれ評価を行なう

    b)管理職任期制度
     概 要:2年や3年といった任期を決め、役職を任命する制度。任期中の業績を
          評価し、再任するかどうか、また、昇格や降格をすべきかを判定する

     手 順:1.管理職への登用者を決定する
          2.任期(例:2年)を決めて発令する
          3.管理職として活躍させる
          4.満了時に任期中の業績を評価する
          5.再任の可否を決定する

    c)分社制度
     概 要:取扱商品や活動分野に応じていくつかの独立的な組織に分割しその
          組織に大きな権限を与え、責任者に独立採算を目指して運営させる
          という制度。会社が大幅な赤字にならなかったり、本社の方針に従って
          いる限り継続的に運営させる

     手 順:1.取扱商品や地域ごとに組織を分割する
          2.責任者を任命し権限を与える
          3.責任者の裁量で事業を経営させる
          4.業績に応じて責任者とメンバーを処遇する

   2.本人の自主性を活かす制度

    a)チャレンジ制度
     概 要:昇進昇格を自己申告制とし、「昇進昇格したい」と積極的に意思表示
          した者について、その能力などを審査して昇進昇格を決定する

     手 順:1.「昇進昇格したい」という社員を募る
          2.トップ・人事部による適格性を審査する
          3.試験的に昇進昇格させ業務に従事させる
          4.試験期間中の業績や行動を評価する
          5.昇進昇格の可否を正式に決定する

     適 性:販売組織などが細かく分かれていたりする会社に適する

    b)社内公募制度
     概 要:担当する業務の内容をあらかじめ明確にしておいて、それを担当する
          責任者を広く社内から募集する制度。「自分がぜひ担当したい」と手を
          挙げた者のなかから、これまでのキャリアや能力・適性などを総合的に
          勘案して担当者を決定する

     手 順:1.担当者を社内から公募する
           ・新事業への進出時
           ・新商品の開発開始時
           ・新販路の開拓開始時
           ・海外への進出時、など
          2.適性や意欲を審査する
          3.担当者を決定し発令する

     適 性:現在の配属部署の戦力が明らかに低下するため、それに対応できる
          だけの組織の柔軟性が求められるので、大規模な企業に向く

    c)自己評価システム
     概 要:人事考課制度の推進手順のなかに「自分自身で自分の仕事ぶりを評価
          する」というステップを盛り込む。実際に運用すると上司が知らなかった
          成果に気づいたり、本人が自分の仕事を反省する機会になったりする
          という効果がある

     手 順:1.会社側による評価項目(職種別)を決定する
          2.自己評価表を各人に配布する
          3.各人が自己評価表へ記入する
          4.自己評価表を基に上司と部下が話し合う
          5.今後の能力開発の方向を決定し実施する

   3.制度を複線化・流動化させる制度

    a)契約社員制度
     概 要:正社員以外の社員を、あらかじめ雇用期間を限定して採用し、雇用
          期間が満了となったときには、会社側が契約を更新するかあるいは
          取りやめるかを決定する制度。正社員とは別に、「学歴別の初任給」や
          「年齢別の賃金ベース」にとらわれずに、彼らの実力を公平かつ客観的
          に評価して処遇(多くの場合は年俸制)を決めるのが特徴である

     手 順:1.雇用契約期間を決める(3カ月〜1年が一般的でその後の延長もある)
          2.キャリア、期待する役割などを考慮して給与を決める
          3.賞与、退職金の有無・額を決める
          4.作業に応じて、労働時間・休日などを定める
          5.服務遵守事項を定める
          6.契約する(解約後の守秘義務を盛り込む)

     適 性:特殊な技術・技能経験を有する者を採用したい場合に向いている。
          またもうひとつのパターンとして、定年退職者を引き続き雇用する場合
          がある

    b)人材登録制度
     概 要:役職者が将来の役職者候補をトップに報告し、トップがその能力を判断
          して人材を登用していく

     手 順:1.役職者が部下の能力を観察・評価する
          2.役職者が昇進候補者をトップ・人事部に推薦する
          3.トップ・人事部による昇進候補者のチェック
          4.役職登用者を決定し発令する

    c)フレックスタイム制度
     概 要:就業規則に規定し労使協定を締結することで、従業員に始業・終業
          時刻の自由な選択を一定限度内で認める勤務形態。1カ月以内の一
          定期間の総労働時間を定め、労働者がその範囲内で各自の始業
          および終業の時刻を選択できる。
          一般的には、全員の就業を義務づける「コアタイム」を設定する

     手 順:1.フレックスタイム制導入によって得られるメリット、デメリットを考える
          2.時間管理のルールを確立する
            ・労働時間帯の設定
            ・契約時間の設定
            ・欠勤、代休、有給休暇の取り扱い
          3.社員間のコミュニケーションがスムーズにいく制度をつくる

     適 性:1.研究開発、設計、デザイン、編集といった創造的作業や研究を行
            なう職種
          2.国際的業務や、旅行会社、証券会社などの、海外とのやりとりが
            必要な職種など

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退職金問題の先送り

 

          

退職金問題の先送り

  ■退職金問題の先送り

   適格退職年金制度の廃止や従業員の高齢化など、中小企業の退職金を取り巻く環境
   は、大きな転換期となっています。

   しかし、中小企業の中には、こうした環境の変化に対応した「退職金制度」を構築でき
   ていないケースが少なくありません。

   こうした会社では、「高い支給水準による過大な負担」「退職金原資の積立不足」と
   いった問題が、今後大きな経営リスクとなっていくことが懸念されています。

   多くの会社にとって、退職金制度の改革は、決して先送りにしてはならない、非常に
   重要な経営課題となっているのです。

  □退職金制度見直しのプロセス
   自社の退職金制度の問題点の洗い出し ⇒ 制度設計
    ・支給水準は適正か
    ・現在の算出方法を維持していくことは適切か
    ・人事制度との関連はどうなっているか
    ・能力、成果が反映される仕組みを取り入れるか

   自社に最も適した資金準備手段を比較・検討する
    ・中小企業退職金共済制度
    ・確定給付企業年金
    ・確定拠出年金
    ・生命保険商品の活用

  □適切な退職金制度作り
   退職金制度改革のポイントは、以下の3つです。
    1.支給水準などを経営環境に応じた適切なものとする
    2.従業員の能力・成果を退職金に反映した制度の構築
    3.積み立て不足の起こりにくい退職金原資の準備方法の採用

   適切な退職金制度を作り上げるためには、まず、自社の退職金制度の問題点を洗い
   出すことから始めましょう。

   そして、上記ポイントに留意しながらすべての選択肢を比較・検討し、自社に適した
   退職金制度を導き出すのです。

   例えば、中退共などの公的な制度以外にも、生命保険商品を活用すれば、急な資金
   需要にも対応する柔軟な退職金制度が構築できます。

   「自社にとって、どのような制度が最も適しているのか」は、比較・検討を重ねるより
   ほかに方法はありません。

   退職金制度改革を上手に進めていくために、まずは、現在の退職金制度、自社の
   置かれている経営環境、従業員構成など、現状を正確に把挺することが第一歩です。

   ■退職金規程の作り方

   退職金は、労働契約期間の満了(定年退職)または途中終了(解雇や転職など)を
   事由として、会社が従業員に支給する金銭などを指します。

   退職金は月給などの賃金とは異なり、労働基準法(以下「労基法」)などでその実施が
   会社に義務付けられた労働条件ではありません(退職金規程などに定められ、会社に
   支払い義務がある場合は異なります)。

   つまり、会社には退職金制度を導入しないという選択値もあるわけですが、現実には
   多くの会社が退職金制度を導入しています。

   退職金制度は賃金制度や労働時間制度と並ぶ主要な労働条件の1つであり、これを
   きちんと運用するための拠り所となるのが退職金規程です。

  □退職金の位置付け
   1.任意的・恩恵的な退職金は賃金にはならない
     賃金とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象
     として使用者が労働者に支払うすべてのもの」を指します。

     賃金は「労働の対償」と示されているため、会社が任意的・恩恵的に支払う金銭
     (社長からの個人的な退職金など)は、原則として労基法の賃金には該当しま
     せん。

     労基法の賃金に該当しない任意的・恩恵的な退職金は労働条件ではないため、
     次のことは、会社が自由に決めることができます。
      (1)任意的・恩恵的な退職金を支払う従業員の範囲
      (2)任意的・恩恵的な退職金の支給額
      (3)任意的・恩恵的な退職金の支払い方法
      (4)任意的・恩恵的な退職金の支払いの時期

   2.退職金規程(就業規則)などに基づいて支払う退職金
     一方、退職金を支給する従業員の範囲や支給額などが退職金規程などにきちん
     と定められ、会社に支給義務が生じている退職金は労働条件の1つとなるため、
     労基法の賃金とほぼ同様の取り扱いとなります。 

     退職金規程は就業規則を別規則化したものです(退職金について就業規則の
     本体で定めることもできますが、通常は別規則化されます)。

     就業規則とは、常時10人以上の従業員を雇用する企業(実際は、本店や支店
     などの事業所単位となります。

     就業規則は所定の労働条件について定めた職場のルールブックといえるもの
     であり、これを作成あるいは変更したときは、所轄の労働基準監督署に届け出
     なければなりません。 

     退職金(退職手当)は就業規則の「相対的必要記載事項」です。

     任意の制度であっても、制度があるならば、それを運用するためのルールを退職
     金規程(就業規則)に定めなければなりません。

     定めるべき具体的な内容は次の通りです。  

     退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当
     の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

     会社と従業員が退職金などの労働条件を合意する方法には、賃金規程(就業
     規則)のほかに、労働協約などがあります。

     それぞれの基本的な力関係は、次のようになります。

     仮に、労働協約と退職金規程(就業規則)で記載内容が兜なる場合、基本的には
     労働協約が優先されます。

       労働契約 < 退職金規程(就業規則) < 労働協約 < 法令 

   3.退職金の法的知識
     退職金規程(就業規則)などに基づいて支払う退職金は、労基法の賃金とほぼ
     同様の取り扱いになります。

     ただし、次のように運用が異なるため、全く同じ取り扱いになるわけではありま
     せん。

       ・賃金:毎月1回以上のペースで支払う

       ・退職金:労働契約期間の満了または途中終了時に、1回だけ支払う

     また、会社は、従業員が死亡や退職などした場合、親族など権利者からの請求に
     応じて7日以内に賃金を支払わなければなりませんが、退職金については
     あらかじめ退職金規程などで定めた時期に支払えばよいことになっています。


  □主な退職金制度の分類と特徴
   一口に退職金といっても、その制度は多岐にわたります。

   退職金の支給形態と退職金原資の積立形態からみた主な退職金制度の分類と特長
   です。

   1.退職一時金
     銀行預金や生命保険商品の利用などによって会社が退職金原資を積み立て、
     それを一時金として従業員に支給する制度です。

     中小企業の退職金制度としては最も一般的です。

     銀行預金や生命保険商品などを利用した場合、必要に応じて積立金を事業資金
     に充てられるなど柔軟性が高くなります。

     なお、退職一時金と退職年金の違いについての詳細は後述します。

   2.確定給付企業年金
     確定給付企業年金法によって創設された制度で、次の2つに大別されます。

      (1)適格退職年金(注)の有力な受け皿として注目された「規約型企業年金」

      (2)厚生年金の代行を行わない基金である「基金型企業年金(企業年金基
        金)」

     確定給付年金の特徴は受給者の保護を徹底していることです。

     具体的には、企業には「事業年度の終了後4カ月以内に、制度の運営状況に関
     する報告書を厚生労働大臣に提出すること」などが義務付けられています。

   3.厚生年金基金
     厚生年金基金は確定給付型の制度です。

     退職年金でありながら公的年金(厚生年金保険)の一部も代行する“半官半民”
     的な制度です。

     現在、厚生年金基金の財政は極めて深刻な状況にあり、厚生労働省「厚生年金
     基金の財政状況等」によると、2012年度は17.7%の厚生年金基金が代行割れ
     (純資産が最低責任準備金に満たない状態)の状態です。これに加え、AIJ投資
     顧問による巨額損失の発覚に端を発し、年金資産のずさんな運用体制が露呈
     したことで、厚生年金基金を導入している企業や加入者に大きな衝撃を与えて
     います。

     このように厚生年金基金の制度そのものを揺るがす看過できない事態が続く中、
     改正厚生年金保険法が2013年6月に成立し、財政悪化の著しい厚生年金基金
     の早期解散のために特例解散制度(5年間の時限措置)が導入されました。

     また、基準を満たさない厚生年金基金についても厚生労働大臣が解散命令を
     出すことができるようになったため、多くの厚生年金基金が解散もしくは他制度
     への移行を余儀なくされることになるでしょう。 

   4.確定拠出年金
     確定拠出年金法によって創設された制度で、自己責任を原則としています。

     将来の退職金支給額は従業員が掛け金を運用した結果で決まり、その運用
     リスクは従凝員自身が負います。

     確定給付型の制度に比べると、企業のリスクを軽減することが可能な制度といえ
     ます。

     株価回復や、前述した厚生年金基金の問題を背景に、確定拠出年金に注目が
     集まっています。

   5.中小企業退職金共済制度(以下「中退共」)
     単独で充実した退職金制度を構築することが難しい中小企業が、共済方式に
     よって互いに助け合いながら制度を構築するイメージの制度です。

  □支給形態、積立形態、支給の考え方
   1.支給形態 
     退職金制度は支給形態によって、次のように大別されます。

     退職一時金は幅広い企業で導入されているのに対し、退職年金は大企業での
     導入率が高くなります。

     従って、中小企業の退職金制度は退職一時金のみ、大企業の退職金制度は退職
     一時金と退職年金の併用になることが多くなっています。
      ・退職一時金:退職金を一括で支給
      ・退職年金:退職金を年金として支給(企業年金とも呼ばれる)

   2.積立形態(支払準備形態) 
     退職金制度の積立形態(支払準備形態)とは、退職金原資の積立方法を指し、
     次のように大別されます。

     社内積立は、必要に応じて積立金を事業資金に充てられるなど柔軟性が高い
     ため、これを導入する中小企業が多くあります。

     一方、社外積立は選択肢が豊富なことが魅力です。

      ・社内積立:銀行預金などによる積み立て 
      ・社外積立:中退共、生命保険商品などの活用による積み立て

   3.支給額決定の考え方
     退職金制度は、退職金支給額の決定方法(決定の考え方)によっても分類され
     ます。

     退職一時金と退職年金に分けて、一般的な退職金支給額の決定方法を紹介
     します。

      (1)退職一時金
         @基本給連動型
          退職一時金を導入している企業の多くが、
          「算定基礎額×支給率+加算額」といったように退職金支給額を決定
          しています。

          算定基礎額は退職時の基本給など、支給率は退職事由や勤続年数
          に応じた係数、加算額は役職加算などとなります。

          この仕組みは、退職時の基本給をベースに退職金支給額を決定する
          ことから「基本給連動型」と呼ばれます。

          年功主義賃金を採用している企業の場合、勤続年数に応じた昇給に
          よって退職金支給額も増加します。

         A基本給非連動型
          退職金支給額を算出する際に、基本給とは別の指標を用いる仕組み
          を「基本給非連動型」と呼びます。

          「基本給非連動型」の代表例はポイント制です。

          ポイント制とは、従業員が退職時に獲得しているポイント数に所定の
          単価を乗じて退職金支給額を算出する仕組みです。

          多くの場合、「勤続ポイント(勤続年数に応じて獲得)」「能力ポイント
          (職務遂行能力に応じて獲得)」など、複数のポイント要素が設定され
          ます。

          全体のポイントに対する能力ポイントの割合を高めると、成果主義を
          反映した退職金制度とすることができます。
 

       (2)退職年金
         @確定給付型 
          確定給付型とは、あらかじめ退職金支給額が決定した後に、それを
          支給するために必要な掛け金を計算する仕組みです。

          退職金支給額が決定しているため、従業員は将来の生活設計を立て
          やすいというメリットがあります。

          一方、企業には、退職金原資の運用利回りが予定を下回った場合、
          不足額を追加拠出しなければならないというデメリットが生じます。

          確定給付型の退職金制度には、確定給付企業年金、厚生年金基
          金などがあります。

         A確定拠出型
          確定拠出型では、上の確定給付型と逆の考え方をします。

          具体的には、あらかじめ掛け金は決定されていますが、退職金支給
          額は未定で、掛け金の運用状況によって変化します。

          確定拠出型では、加入者である従業員が運用リスクを負い、退職金
          支給額が少なくなった場合でも企業が補てんすることなどはありませ
          ん。

          基本的に、企業は掛け金さえ負担していればよいことになっているか
          らです。

  □退職金規程の作成・変更
   1.退職金規程の作成義務(退職金制度は相対的記載事項) 
     前述した通り、「退職金規程」(ここでは、退職金制度がある企業を想定して、就業
     規則の本体に記載された退職金に関する規定、あるいは別規則された「退職金
     規程」を指しています。
     以降では本稿のテーマに合わせて「退職金規程」と表記します)の作成が必要
     なのは、常時10人以上の従業員を雇用する企業です。

     常時10人以上とは、常態として10人以上の従業員を便川していることを示して
     いるため、「通常は10人以上の従業員を使用しているが、時として10人を下回る
     ことがある場合」であっても、退職金規程の作成が必要です。

     従業員の中にはパート・アルバイトも含まれます。

     逆に、「通常は10人未満の従業員しか使用していないものの、時として10人を
     超えることがある場合」は退職金規程を作成する必要はありません。 

     ただし、労務管理をめぐるトラブルを回避するためには、常時10人未満の従業員
     を使用する企業においても「賃金規程に準じた書面」を作成することが望まれる。

     「退職金規程に準じた書面」によって、賃金規程とほぼ同様の効果を期待する
     ことができます。

   2.退職金規程の作成単位
     労基法の適用範囲は「事業場(本店や支店など)」単位であり、退職金規程の作成
     単位もこれと同じです。

     例えば、東京の本社と大阪の支店など離れた場所にある事業場は別々のもの
     となるので、それぞれ退職金規程を作成する必要があります。

     逆に、同じ建物の1階と2階など同じ場所にあれば、基本的に1つの事業場となり
     ます。

     ただし、次のような例外もあります。

       ・場所が離れていても、出張所など著しく小規模で独立性のないものは直
        近上位の機構と一括して1つの事業場とみなぎれる

       ・同一の場所にあっても、工場内の製造現場と診療所のように明らかに労
        働の様態(業務の種類)が異なり、独立性が認められる場合は別の事業
        場とみなされる

   3.所轄労働基準監督署への届け出
     退職金規程を新たに作成する、あるいは既存の退職金規程を変更する際は、
     作成あるいは変更した退職金規程に従業員の意見書を添付して所轄労働基準
     監督署に届け出なければなりません。

     この意見書は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組
     合、これがない場合は従業員の過半数を代表する者から意見を聴取したもので
     なければなりません。 

     なお、ここでは従業員の同意を得ることば求められておらず、あくまでも意見を
     聴取すればよいことになっています。

   4.従業員への周知義務
     一般的に、退職金規程は、従業員に周知された時点で効力を発生すると考えられ
     ています。

     そのため、企業は労基法に基づいて作成した退職金規程を、企業内の見やすい
     場所に備え付けるなどの方法で従業員に周知しなければなりません。 

  □退職金規程の記載内容 
   退職金規程に必ず記載しなければならない内容は、「退職手当の定めをする場合に
   おいては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに
   退職手当の支払の時期に関する事項」です。

   ただし、特に退職年金を導入する場合は、退職年金について各法令に定められた
   内容や退職年金の実態(給付のメニューなど)に応じて定めるべき内容が変わって
   きます。 

   以下では、中小企業で最も一般的な基本給連動型の退職一時金を導入する場合を
   想定し、退職金規程に定める内容を個別に紹介していきます。

   1.適用される従業員の範囲
     会社は正社員やパートなどさまざまな条件で従業員を雇用しており、適用される
     労働条件が異なります。

     多くの場合、退職金制度の対象となるのは正社員なので、その旨を明確に定め
     ます。

   2.退職金の決定、計算、支払いの方法
     退職金の決定、計算、支払いの方法では、退職金制度の基本的なルールを 定め
     ます。

     主な内容は次の通りです。 

     (1)退職金の支給事由
       退職金を支給する事由を定めます。

       一般的な支給事由は次の通りです。
        ・役員に就任した場合

        ・会社の都合により退職した場合

        ・自己の都合により退職した場合

        ・定年に達したため退職した場合

        ・在職中に死亡した場合

        ・業務上負傷し、または疾病にかかり、その職に耐えないため退職した
         場合

 

     (2)退職金の計算方法
       退職金の計算方法とは文字通り、どのように退職金支給額を計算するの
       かのルールです。

       基本給連動型の退職一時金を導入する場合、退職金支給額は、「算定基
       礎額×支給率+加算額」というように計算するのが一般的です。

       こうした計算方法を示すことはもとより、算定基礎額×支給率+加算額の
       各要素についても明確に定める必要があります。
 

       @算定基礎額
        算定基礎額とは退職金支給額を計算する際の基礎となる金額であり、多
        くの企業では退職時の基本給を算定基礎額としています。

        しかし、属人給(年齢給や勤続給など)を中心とした賃金体系の場合、従
        業員の基本給は年功序列で大きくなり、企業の退職金負担も重くなる。

        このような理由から、基本給とは別に、退職金を算出するための算定基
        礎額のテーブルを設ける企業もあります。

        これを「別テーブル方式」と呼びます。

       A支給率
        支給率とは退職事由や勤続年数に応じた係数であり、通常は次のように
        制度設計されます。

        特に、入社3年未満の従業員が自己都合で退職した場合は、支給率を
        「0」とし、退職金を支給しない企業も少なくありません。

         ・自己都合退職よりも会社都合退職のほうが有利(支給率が高い)

         ・勤続年数が長いほど有利(支給率が高い)

        このほか、業務災害や私傷病による休業期間、育児・介護のための休業
        期間などを退職金算定の期間に加えるか否かなどについても明確に定
        めます。

       B加算額
        加算額とは特定の事由に該当する従業員の退職金に加算されるもので
        あり、次ようなものがあります。

         ・役職加算:一定の役職の従業員が退職する場合

         ・功労加算:一定の功績があると会社が認めた従業員が退職する場合

     (3)退職金の支給方法
       退職金の支給方法では、どのように退職金を支給するのかについて定め
       ます。

       退職一時金の場合は、次のようなことを明確に定めます。

        ・原則として退職金を一括払いすること

        ・従業員があらかじめ指定した金融機関に振り込むこと

 

   3.退職金の支払い時期
     退職金の支払いの時期を定めます。

     会社によって異なるが、多くの場合は従業員の退職後1〜3カ月以内に設定
     されています。

   4.そのほかの記載内容
     (1)懲戒解雇された従業員の取り扱い
       懲戒解雇とは企業が従業員に与える最も重い制裁であり、通常、懲戒解
       雇された従業員には退職金を支給しません。

       この点を退職金規程に明確に定める必要があります。

     (2)従業員が死亡した場合の退職金の支給 
       従業員が死亡した場合、退職金は遺族に支給することになります。

       遺族の支給順位は、労働基準法施行規則第42条から第45条の定めに
       従って支給する企業が多くあります。 

       遺族の範囲と順位は次の通りです。 
        @配偶者(事実婚を含む)  
        A従業員の子  
        B従業員の父母(実父母より養父母を優先)  
        C従業員の孫
        D従業員の祖父母

       従業員の子・父母・孫・祖父母については、「従業員の死亡当時、従業員と
       生計を一つにしていた」などの条件があります。
    

 

業績向上にコンピテンシーを活用

                                 

業績向上にコンピテンシーを活用

■コンピテンシー導入 
 コンピテンシーとはアメリカで生まれた考え方で、一般的に「ある職務遂行のために必要な
 能力・力量」「高業績者の行動特性」「成果や業績に直結する行動」などと訳されています。

 つまり、ある仕事において、コンスタントに優秀な成果を上げている社員によって実証
 された効果のある行動パターンがコンピテンシーなのです。
 ここ数年、人事評価や人材育成など、人事制度の運用面で、このコンピテンシーを活用
 しようとする企業が増えています。

 こうした動きの背景には従来、多くの企業が導入してきた“職能資格制”や“職務等級制度“の
 限界があります。
 これらの制度は、社員の「保有能力」 を評価し、昇進昇格の対象としているため、結果的に
 人件費の高騰を招く年功的な運用となってしまっているのです。 

 また、単に社員の上げた成果(結果)だけを評価する”狭義の成果主義“では、社員の
 行動や取り組みといった面を評価しにくいといった問題が生じています。
 そのため、公正な評価が難しくなり、社員の不満につながっているケースもみられます。 
 人事制度にコンピテンシーを導入しようとする試みは、これらの弊害をコンピテンシーの
 活用によって回避しようとするものです。

コンピテンシーとは
 “コンピテンシー(Competency) ”とは、 “高業績者の行動特性”を意味します。
 分かりやすく言うと“高い成果を生み出している人が、どのような行動を行い、安定的に
 能力を発揮しているか”ということです。 

 コンピテンシーでは、従来の能力・技能・スキルなどと違い、行動スタイル・価値観
 などの目に見えにくい部分についても、それを個人の特性として明確にしていきます。
 こういった目に見えにくい部分を標準化し、社員全員に理解・習得させることによって
 「価値観や行動スタイル」を変革し、高いレベルの成果を安定的に発揮できる能力を養成
 しようとするのがコンピテンシーの特徴です。

□コンピテンシー項目例と項目概要 
 次に、具体的なコンピテンシー項目とはどういったものなのかを下表に示します。
 いずれの項目も、単に業務を行ううえで必要とされる知識や技術というよりは、それらを
 支えるための能力や姿勢といった要素であるといえます。

 ここでは一般的な項目を挙げていますが、実際の運用においては、職種別に求められる
 コンピテンシーを明らかにする必要があります。
 その場合、項目ごとに概要をさらにブレイクダウンすることになります。
 一例として、営業職および企画・開発職のコンピテンシーを示します。

  ◎コンピテンシー項目例と概要
   達成指向性:高い目標設定をし、困難が生じても目標を達成しようとする
   リーダーシップ:部下を効果的に動機付けし、まとめていく
   コミュニケーション力:相手と円滑にコミュニケーションを交わす
   顧客指向性:顧客のために行動し、顧客の要望に応える
   先行管理力:将来の成果を先行管理して考え、行動を起こす
   信頼構築力:初対面で信頼関係を築き、継続的に信頼関係を強化していく
   情報収集力:仕事で必要な情報を素早く幅広く収集する
   対人影響力:説得力のある言葉や行動を通じて影響を及ぼす
   チームワーク:メンバー間の信頼関係を深め円滑な業務運営を行う
   論理的思考力:物事を客観的に捉え、筋道を立てて自分の考えを展開する
   指示確認徹底力:業務遂行の際、ミスや漏れがないかを徹底的にチェックする

  ◎営業職のコンピテンシー項目と概要
   達成指向性:高い目標、高い業績数値を常に意識している、目標に
         対する執着心が強い。      
         あきらめない
   顧客指向性:顧客からの依頼・質問事項に対して直接業務に関係なくと  
         も誠実かつていねいに応えている、顧客の関心事・趣味な
         どについても関心が高く、把握している
   コミュニケーション力:相手の反応を読み取りながら分かりやすく論理
              的に話すことができる
   対人影響力:説得力のある言葉や行動を通じて相手に影響を及ぼすこと
         ができる

  ◎企画・開発職のコンピテンシー項目と概要
   達成指向性:目標達成のためにさまざまな障害を乗り越え、必要であれ
         ば周囲を動かすなどして成果実現を図る
   分析的思考力:問題、状況を正確に把握・整理して対応策を練ることが
          できる
   対人影響力:顧客はもちろんのこと関係部署や上司の了解を得ることの
         重要性を認識し、行動できる

  また、職種別にコンピテンシー項目を抽出するだけでなく、管理職、一般職などの
  職位別に考えることも必要です。 
  つまり職種や職位に応じて、職務を遂行するうえで必要となる行動特性は変わってくる
  ので、全社員同一のモノサシでコンピテンシーを論じることはマイナスにこそなれ
  プラスになることはありません。

□コンピテンシーの活用方法 
 コンピテンシーを企業の業績アップに活用するためには、コンピテンシー項目を明らかに
 したうえで、高業績を上げている社員のやり方や行動を広く社内にオープンにして、
 同じような行動が取れる社員、つまり高業績を上げることのできる社員を多く作っていく
 必要があります。

 広く社内にオープンにするとは、人事制度上のさまざまな場面でコンピテンシーを活用する
 と言い換えることができます。
 具体的には、評価や配置、能力開発の場面で活用することになります。
 下表に活用事例と基本的考え方を示します。

  ◎活用事例と基本的考え方
   職務における行動基準として:それぞれの企業が必要とするコンピテン
                 シーの抽出・整理により、優秀者のノウ 
                 ハウやコツの共有化(ナレッジマネジメ
                 ント) を実施し、社員の行動の質向上に
                 活用する
   人事評価・処遇の基準として:人事評価制度のプロセス評価(業績達成
                 のための具体的行動遂行度合い=コンピ
                 テンシーの発揮度) として活用する。
                 また昇進・昇格の基準として活用する
   人材配置の基準として:各社員の保有するスキル・適性に応じて適材適
              所の人材配置およびキャリア開発の基準として
              活用する
   能力開発の基準として:経営者(会社) が求める人材と各社員の強み・
              弱み・ギャップ等をコンピテンシーによって把
              握し、能力開発の基準として活用する
   採用計画基準として:経営者(会社) が求める人材像を基に職務ごとに
             必要とするコンピテンシーの抽出・整理により人
             材採用の基準として活用する

 前項でも説明しましたが、全社員に同じコンピテンシーを適用することは不可能であり、
 職種・職位ごとに要求されるコンピテンシー(行動特性) を適用しなければなりません。
 同一業種であっても会社が違えば、必要とされるコンピテンシーは違ってきます。 

 また、必ずしも上記の活用事例すべてを適用するのではなく、自社に必要な段階から導入
 していくことが望ましいといえます。
 その場合、全社員に対して一律に導入せず、管理職から導入するなどの方法をとって、
 自社独自のコンピテンシーとその活用方法を選択していくことが大切です。

業績評価の目的・考え方

         

何を業績評価の項目とするか


  ■
人事考課と考課の際の留意点

   1.評価は従業員へのメッセージ

    評価をする理由は賃金や賞与、昇格などを決めるためだけではありません。

    評価には経営者から従業員に対する様々なメッセージが込められています。

    まず第一に、長期的に人材を育成しようと考えているケースでは、例えば、その従業員が
    保有している「能力」を評価項目に加え、評価の対象とすることにより、従業員の能力
    開発が期待できます。

    一方で、保有している能力も発揮されてしかも実績として数字に表れなければ意味がない
    と考える場合は、評価項目を実績重視にし、「やったらやっただけの給料がもらえる」
    「やらなかったら給料は少ない」、という成果主義になります。

    大切なことは、自社の経営方針や風土を活かしながら、能力評価や成果評価の項目を 
    バランスよく取り入れていくことです。

    このように、評価項目一つとっても、従業員に対する考え方、言い換えれば従業員への
    メッセージを込めていることになるのです。

   2.大事なのは評価結果のフィードバック

    どんなに素晴らしい評価制度を設けても、評価結果を従業員に納得のいくように
    フィードバックしなければ評価する本来の意味が伝わりません。

    「自分がなぜこのような評価なのか」「私は相対的に評価が高いのか、低いのか」といった
    疑問をもつ従業員も少なくありません。

    評価結果とその理由、相対的な位置付け、今後の仕事の取り組み方や能力開発など、
    効果者がきちんと従業員に伝えて、初めて評価する意味が生まれるのです。

    なぜなら、評価結果後の従業員の次の活動と成長が今後の自社の成長につながる
    からです。

    ◎ポイント
     1.評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評
       価」と長期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。
       人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

     2.小規模な組織における評価については、総人件費管理の視点と明確な職
       務区分が可能なことを考慮すると、能力や意欲・態度を中心とした人事考課
       よりも「実績」や従業員が担う「職務」を対象とした「業績評価」に重心を置い
       た方が望ましいと言えます。

     3.考課の際の留意点は、従業員へのフィードバックを行うルールを設けるこ
       と、評価項目・基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視すること、
       昇格や昇給へきちんと反映させるルールを設けること、などがあげられます。

  業績評価の目的・考え方

   業績評価の項目は、職種によって異なります。

   営業職であれば個人の売上や粗利、事務職であれば全社の売上や粗利などが評価項目
   として広く使われています。

   チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても個人業績だけで
   なく全社業績を加味することも必要です。

   また、このような全社業績と個人業績の評価全体に占める割合などを検討することも
   必要になってきます。

   年度事業計画に示される予算の立て方についても前年度の実績をもとに慎重に設定する
   必要があります。

   なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るからです。

   重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標についても高い志が
   あるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして年度末に実際にどれだけ遂行できたか
   といった「達成度」を評価します。

   ◎ポイント
    1.評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」
      と長期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

    2.「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる「定量的な結果」や、業
      務効率がどれだけ改善されたか、自社としての強みが確立されたか、などの
      「重点戦略の達成度」などを指します。
      一方、(1)各人に課せられた使命に相応しい計画を策定し、(2)それを実践
      の場で検証し、(3)事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出
      したか、をチェックすることが「評価」です。

    3.業績評価とは、すなわち自社の未来像を見据え、今を存続するための収益
     力確保や、将来の成長のために業務効率の改善や強みの確立などを展開し
     てゆくための「マネジメントの仕組み」と言えます。

  □目標管理の意義  

   目標管理制度は、従業員が自ら目標を設定し、その達成度合いを評価するというものです。

   納得性が高く、従業員の意欲も向上させることができる有効的な評価ツールとして広く
   使われています。

   どのような目標にチャレンジするのか、といった目標の難易度も「意欲度」として評価します。

   この際、目標は、

    (1)明確・具体的であること

    (2)計測可能であること

    (3)達成可能な適切なレベルであること

    (4)目標とリンクしていること

   の4つの点を踏まえて設定することが大事です。

   途中経過をチェックし、常に上司がフィードバックしながら、従業員の能力を向上させる
   ことが望ましいと言えます。

   導入の際には、スケジューリングや、対象者の選定、面接などのフィードバックルールの
   策定、など十分な準備を行う必要があります。

  資格等級制度の意義と各種制度

   1.資格等級制度のメリット・デメリット

    資格等級制度のメリットは、従業員を能力や担う仕事で格付けし、賃金を決定できる
    ことが挙げられます。

    しかし、実際には、必ずしも能力に対応した仕事を担っている訳ではありません。

    これは、

     (1)職能基準・要件が曖昧なことが多いこと

     (2)年功的に運用されがちなこと

     (3)職種によっては適さない場合があること

    などの問題点があるからです。

    資格等級制度が広く活用されるようになった背景には、高度成長期における人員増加
    による役職不足を資格等級といった別の形態で解消し、モチベーションの低下を回避
    したことがあります。

    資格等級制度も、明確、納得性、公開性を重視し、メリハリのある運用がなされなければ、
    単なる“資格”を与えているだけとなり、モチベーションの向上にはつながりません。

   2.ポイント

    (1)資格等級制度は、評価制度・給与制度とともに、基本的人事制度の一つです。

      資格等級制度は、

       @能力のレベル

       A仕事のレベル

       B組織上の位置の高さ

       C賃金の額のレベル

      の4つのレベルの関係を決定する制度です。

    (2)資格等級制度は、従業員の能力を基準に決定する「能力等級」と仕事の責
      任・難易度を基準に決める職務等級があります。

      両者とも自社への貢献度や期待値で等級づけするのは同じですが、「能力」
      の側から測定するか、就いている「仕事」から測定するかという違いがあります。

    (3)一般的な能力等級制度は職能資格制度、職務等級制度の一般例には職務
      資格制度などがあります。

  役職位や対外呼称

   小規模な組織の場合(10人未満)には資格等級や資格呼称は必要がないかもしれません。 

   それらを制度化し、運用することを考えれば、むしろ時間と手間とコストがかかってしまい、
   マイナス効果を生んでしまう恐れがあります。

   また、事務系、営業系、経営管理系と職種が明確に区分されていることもあり、わざわざ
   資格を設けなくても、職種別に給与を決定し、業績に応じて賞与を変動させる、(つまり、
   資格等級制度のように能力に応じて変動させるわけではない)シンプルな制度が望ましい
   とも考えられます。

   ただし、対外的な呼称としての役職位は設けておいた方が好都合といえます。

   このとき、役職手当を設けるかどうかは、自社の経営方針に基づきます。

  □ポイント

   「資格等級」に関連する呼称には、「資格呼称」、「役職位」があります。

   資格呼称は資格等級の対外呼称として設けられていますが、役職位の方が広く使われ
   ています。

   資格等級制度を採用しているのであれば、資格等級は賃金(の一部)のレベルを決定する
   大きな要素になります。

   一方、役職位は対外的な呼称としての意味が大きく、給与との関係では役職手当などに
   留まっているケースが多いと言えます。

   資格呼称と資格等級は相互にリンクしていますが、役職位と資格等級は必ずしも一致
   しているとは限りません。

   特に従業員規模が大きい組織では、役職不足であることが多く、昇進が限られているため、
   昇格でモチベーションを上げる工夫をしているケースが多いと言えます。

  □コーポレート・ガバナンス(企業統治)の視点

   取締役の任期は原則2年とされていますが、最近の傾向では、コーポレート・ガバナンス
   (企業統治)の視点から任期を1年とするケースが多くの企業で見られます。

   これは、任期を2年から1年に短縮することにより、取締役の業務執行状況を株主が
   チェック・判断する機会を増やすためです。

   ※役員の退任に関する法的な留意点の詳細については弁護士などの専門家に
    ご相談ください。

  □ポイント

   役員は、会社の重要な意思決定に関与する立場にあります。

   したがって、不適格な役員を留任させていたのでは、経営にもマイナスの影響を与える
   ことになります。

   こういう場合には、役員を辞めていただくのが望ましいかもしれません。

   役員として不適格かどうかは、役員としての知識・経験が不足、役員としての自覚がない、
   リーダーシップや実行力がない、などの判断基準がありますが、最も重要な基準は、
   「会社業績に貢献していない」 ことです。

   不正を働いて会社に損害を与えた場合は、論外です。

   役員の退任(辞任、解任、任期満了)に関わる留意点は図に示したとおりです。

   手順としては、本人に役員としての適格性がないことを自覚させて「辞任」させること、
   次に任期満了まで待つこと、最後に「解任」という手段になります。

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給与制度

            

給与制度


  ■「望ましい」という給与制度はない

   本来、給与制度は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、会社の規模などにより各社
   さまざまです。

   したがって、一概に「給与制度の一般的なものはこれです」とは言えません。

   ただし、業界特性や人数規模などで絞り込むと大枠はある程度類似しているかもしれません。

   給与制度や評価制度、資格制度などは、時代の流れで新しい考え方などが登場し、
   少しづつ変化していく傾向もあります。

   給与制度を含む人事制度全体を一つのマネジメントツールと考え、自社に合った制度、
   時代の流れに合った制度を構築していくことが望ましいと言えます。

   また、組織は常に変化していく「生き物」です。

   その「生き物」を成長させるマネジメントツールの一つである給与制度も常に改善し、
   固定化しないことが重要です。

  □総人件費管理の考え方

   人件費は抑制傾向にあるのが一般的ですが、当然経営者にとって総人件費をマネージメント
   することが必要です。

   特に、売上増が期待できない場合には、限られた給与原資のパイのなかで、いかに不満の
   ない分配を行うかが経営者に課せられた課題です。

   したがって、「支払い能力」があることを前提に給与を支給することが企業存続の視点から 
   重要であると言えます。

   支払い能力をチェックする指標として、労働分配率がありますが、業種や規模により
   異なるものです。

   小規模な組織のケースでは労働分配率は50〜60%程度を目安として考えるのが
   一般的です。

   給与を支払う際に経営者として留意すべき事項として、総額賃金管理(組織全体の賃金総額
   の管理)があります。

   この管理手法としては、労働分配率による方法を考えています。

   これは付加価値(事業活動の結果、新たに生み出された価値=粗利)に労働分配率
   (粗利の中から支払われた賃金、社会保険・福利厚生費などの割合をいう)を乗じ、
   適正賃金総額を算定するやり方です。

     賃金総額(含む役員報酬)ファンド=粗利総額×55%

   ここで算出された賃金総額には、経営者・役員に支払われる役員報酬・役員賞与も
   含まれるので、従業員だけに支払われる賃金総額は、役員分をマイナスする必要が
   あります。

  □給与を制度化するメリット

   給与制度を定めることのメリットは概ね以下のようなものです。

    (1)給与を支払う条件を明らかにして従業員に安心感を与える。

    (2)制度はシンプルにすれば従業員も生活設計がしやすい。

    (3)制度が分かりやすくなれば従業員の仕事に対する士気が上がる。

  □役割期待、業績目標について

   各人の役割期待や業績目標を明確にし、その達成度に応じて公平に給与に格差が
   表れるようにする思想が成果主義です。

  □ポイント

   給与制度とは、従業員に対して支給する給与の決定方法や支払時期などを定めた
   制度です。

   給与は、生活保障、企業への貢献度、労働市場価値の考え方を中心に、年齢給や
   家族手当、職能給あるいは職務給などを組み合わせて構成します。

   これらの決定における考え方は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、規模などにより
   それぞれ異なります。

   支払時期や支払い方法についても個々の事情により異なります。

   また、どのような結果をどの給与要素に反映させるのかといった処遇の対象や、反映の
   際の方法論についてもさまざまなケースが見られます。

  給与制度策定における留意点

   給与だけでなく働きがいのある仕事・職場であることも大切です。

   給与は労働条件のなかで最も重要なポイントです。

   人は給与次第でやる気が出たり、無くなったりと、一番大きなモチベーターであると
   言えます。

   しかし、従業員が仕事を給与だけで決めるわけではないことも確かです。

   給与が多いことにこしたことはないのですが、その前に働きがい、やりがいのある仕事
   であるかどうか、やったことに対して納得できる評価がされているか、働きやすい職場
   環境であるか、といった自己実現の場や評価制度、職場環境がきちんと整備されている
   ことが大切です。

  □最低賃金法に注意する

   100%成果主義の給与制度、つまり100歩合給にすると業績が悪い月には最低賃金法
   に定められている最低賃金(下記掲載)を下回る可能性もでてきます。 

   したがって、固定給+成果給・歩合給などにするのが望ましいと言えます。

   令和2年度 地域別最低賃金改定(厚生労働省)

  □ポイント

   給与制度を定める際には、「経営」、「時代の流れ」、「労働基準法」の3つの視点を考慮
   することが大切です。

   「経営」の視点から“総人件費管理”、“人件費の変動費化”、「時代の流れ」から
   “能力よりも職務の大きさ”、“プロセスよりも結果”、「労働基準法」の視点から“労使
   対等の原則”、“均等待遇”、“男女同一賃金の原則”、などが挙げられます。

   ただし、労働基準法に定められた事項を除けば、これらの留意点はあくまでも自社の
   経営理念や経営方針、事情といったものにより異なります。

   大切なことは、自社にあった給与制度を定めることです。

  □月例給与と賞与の配分の決め方

   1.月例給与

    月例給与と賞与のどちらをどのくらい業績によって変動させるか、または保障給与とする
    かは、それぞれ自由に決定できますが、月例給与は生活保障としての意味が強く、固定
    されやすい性格があり、賞与は組織業績や個人業績に応じて変動させやすい性格をもって
    います。

    月例給与と賞与の配分の決定の際は、社会保険料の扱いや管理の手間、業界水準や慣習
    などを考慮することが大事です。

    月例給与も歩合給や業績給といった形で一部変動させ、人件費の固定化を回避しながら、
    経営上のリスクを軽減することも考えられます。

    給与の基本給を決めるものとして、属人的要素(年齢・勤続年数・学歴)によるものと、
    仕事的要素(職務遂行能力)によるものと2つがあります。

    前者を年功給、後者を能力給と呼ぶことができますが、我が国の企業の給与システムは、
    従来の「年功制」から「能力主義」へと大きく転換しています。

    経済の高度成長時代を終え、右肩上がりの成長が約束されない状況となった今日、年功制
    における次のような問題点が顕著になってきたからです。

     @従業員の年齢上昇により賃金コストが大きくなる。
     A能力と賃金額に格差があると、特に若年層のやる気を喪失させる。
     B年功給で将来の生活保障があると、安易な仕事の遂行になる。

   2.賞与

    賞与には報償金的性格や、企業の利潤分配的な性格がありますが、業績変動リスクに対応し、
    賃金総額を調整する安全弁的な機能を与えることもできます。

    すなわち決算の結果、思うように粗利収入が伸びず(または減収となり)、当初予定していた
    賃金総額の支払いが難しい見通しの場合、その調整を賞与支払額で行うことが可能です。

    こうすることにより、貴社経営をより安定させることができますし、従業員にとっても生活給
    としての毎月の給与(月例給)は保証されることになります。

    ◎賞与金額の決め方例

     ・従業員給与ファンドの内、20%を賞与分とする。
     ・決算の結果、賃金総額の調整が必要であれば、賞与ファンドで調整する。

     従って賞与金額については、業績により支給金額を決定するということですが、全員が
     頑張り予定以上に業績(粗利総額)が増えれば、多く配分されますし、逆もあるということ
     です。

     従業員個々の賞与金額決定方法は、年間の月例給合計額によって、賞与ファンドを按分
     配分する方法が簡便かつ納得感も得られやすいと思います。

     金額を賞与支給の都度、査定するという考え方もありますが、評価スキームが複雑に
     なりますので、避けた方が良いでしょう。

  □年俸制導入における留意点

   年俸制とは本来年単位で収入を決める制度のことですが最近では実力主義給与制度の総称
   として用いられる傾向があります。

   年俸制の特徴として、実力・実績評価、総年収管理、毎年ゼロベースで評価することなどが
   あげられます。

   ただし、毎年ゼロベースで評価するといっても年俸構成で保障給与的な固定部分が大きければ、
   ゼロベースの評価対象は残りの変動部分のみになってしまいます。

   公正で納得性の高い業績評価制度が定着していることが年俸制導入の前提です。

   また、給与体系の再構築や支給方法などをきちんと定め制度化すること、そして導入されたら
   従業員が期待に応えるように目標管理などできちんとマネジメントすることが大事です。

  □最低賃金法

   最低賃金法とは、賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活を保障することを
   目的とした法律です。

   最低賃金は都道府県別に決定されています。

   対象となる賃金は、臨時の賃金、一ヶ月を超える期間を対象とする賃金(賞与など)、
   時間外・深夜割増賃金、休日割増賃金、通勤手当や家族手当などを除いた額です。

   パートやアルバイトを含む全ての労働者を対象としていますが、精神や身体の障害により
   労働能力が低い者や労働時間が短い人、試用期間中の人などは、適用外です。

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評価制度の真の目的は人材育成

          

評価制度の見直し

  ■人事評価制度全体を確認する

   人事評価制度はすでに多くの会社で導入されています。

   しかしながら制度が十分に機能し、着実な成果を生んでいる会社は少ないよう
   だ。

   なかには人事評価制度導入によってかえって社員の不満が高まり、モラールダウ
   ンにつながっているケースもあります。

   ここでは社長が自社の人事評価制度の現状を確認し、よりよい制度に改善してい
   くためのポイントについて解説します。

   1.真の目的は人材育成

     人事評価制度の目的としてよく取り上げられるのが、「社員の給与を決めるた
     め」、「昇進・昇格の判断基準とするため」といったいわゆる「処遇」に関するも
     のです。

     そして制度を十分に機能させるためには、「より公平でより公正な制度づくりが
     必要」という方向に議論が一足飛びに進んでしまいがちです。

     もちろん公平・公正な評価結果を処遇に反映させることは大切ですが、これ自
     体は目的ではなく「手段」に過ぎません。

     また、公平・公正さを確保するための仕組みのつくり込みは、おもに人事部長
     クラスの仕事であり、社長はもっと高い視点から人事評価制度を捉える必要
     があります。

     人事評価制度の本来の目的は、

       自社の戦略遂行に必要な人材像を明らかにして、社員を計画的・
       効率的に育てる

     ことにあります。

     「公平・公正な処遇」は目的達成の手段として必要になるという位置づけです。

     逆にいえば、仮に社員が100%納得するような処遇がなされていたとしても、
     必要な人材が育っていない(社員全体のレベルが上がっていない、傑出した
     人材が登場しない)のであれば、人事評価制度は十分に機能していないこと
     になります。

     まずは自社の人事評価制度の目的、つまり「どのような人材を、どのように育
     てようとしているのか」という点について確認することが必要です。

     社長自身だけではなく経営幹部陣の認識も聞いてみましょう。

   2.浸透度合いを確認する

     目的に沿った人事評価制度が備わっていたとしても、それが社員に理解され
     ていなければ意味がありません。

     まず、社員に対して「人事評価制度の理解度」についてのアンケートを行う。

     そして多くの場合「制度の存在は知っているが、内容はまったく知らない」と
     いった回答が返ってきます。

     社長としては「朝礼で何度も話した」、「評価制度の基準書を示している」と思っ
     ていても、一般社員レベルにまではなかなか伝わりません。

     次のような点について社員がきちんと理解できているかどうかを確認すること
     が大切です。

      ・人事評価制度の目的は何か

      ・評価制度全体の仕組みはどのようなものか

      ・会社が求めているのはどのような人材か

      ・直属の上司は自分にどのような成果・成長・業務姿勢を期待しているのか

      ・どのような努力をすれば評価が上がるのか

      ・どうやったら給与が上がるのか(評価と給与の連動の仕組み)

     社員の理解が進んでいない場合は、社長自身による再度の説明に加えて、人
     事部長や直属の上司から詳細な説明を行う必要があります。

   3.運用方法を確認する

     制度はきちんと運用されて初めて意味をもちます。

     特に人事評価制度は「人」が「人」を評価するというあいまいさを含んでいるた
     め、運用面には特に留意する必要があります。

     次のような点について確認してみましょう。

     (1)ルールは守られているか

       ・評価のステップ(自己評価、直属の上司による−次評価、役員クラスによ
        る二次評価、社長による最終評価などのステップをきちんと踏んでいる
        か)

       ・評価の時期(四半期ごとなどの決められたサイクルで評価されているか)
       ・目標は期初に設定されているか

     (2)評価項目は明確か

       ・「成果評価」、「能力評価」、「情意評価」などの評価のフレームは明確か

       ・「何をもって成果とするか」など評価項目の定義は明確か

     (3)公平・公正な評価が行われているか

       ・上司は制度の詳細をきちんと理解したうえで評価しているか

       ・個人的な「好き嫌い」によって評価結果が左右されていないか

     (4)十分な動機付けはなされているか

       ・上司は人事評価制度の目的が「人材育成」であることを理解しているか

       ・部下が計画を策定する際に適切なアドバイスを行っているか

       ・評価結果を本人にきちんとフィードバックしているか

     ここまでみてきたように自社の人事評価制度の見直しを検討する際には、まず
     は「本来の目的」、「浸透度合い」、「運用方法」を確認する必要があります。

     社長自身が直接社員に話を聞くなどして、実態を把握することが大切です。

  □それぞれの評価要素を確認する

   人事評価にはさまざまな方法がありますが、ほとんどの会社では「成果評価」、
   「能力評価」、「情意評価」の3つの評価要素を組み合わせて、自社流にアレンジ
   することで対応しています。

   ここではそれぞれの評価要素を確謎する際のポイントについて解説します。

   1.成果評価

     成果評価とはその名のとおり、社員自身が一定期間に生み出した成果に対す
     る評価のことです。

     営業職であれば「受注額」、「売上額」、「粗利額」などがその代表例でしょう。

     評価は実績の大きさ(絶対値)ではなく目標に対する達成率で行うのが基本で
     す。

     たとえば、A課長が「受注目標5000万円、実績4000万円」、B主任は「受注
     目標2000万円、実績3000万円」の場合、金額自体はA課長のほうが高いで
     すが、達成率はA課長80%、B主任150%ですから、B主任のほうが成果評
     価は高くなります。

     あらかじめ目標を立てることで本人は達成までの計画を設計することができま
     すし、会社全件としても年間の業績数字の見込みを把握しやすくなります。

     自社の成果評価について次の点を確認してみましょう。

     (1)初期に妥当な目標が立てられているか

       目標は本人の能力を加味しながら、「努力すれば達成可能な水準(努力し
       なければ達成できない水準)」に設定します。

       たとえば、受注額の目標設定を行う場合、ベテランの営業マンと新人の営
       業マンでは自ずと目標の大きさは異なります。

       目標については上司(評価者)が一方的に「ノルマ」として与えるのではな
       く、部下(被評価者)に自己申告させて、上司と相談しながら決めていくこと
       が大切です。

       これにより部下は自分自身が決めた目標であるという認識をもち、その達
       成に主体的に取り組むことができます。

       また、当然ながら、目標は評価の対象となる期の期初に確定しておく必要
       があります。

     (2)第三者が評価できる目標化

       目標は原則として数値化します。

       たとえば、「顧客満足度の向上」というのはたんなるスローガンであり、その
       ままでは目標といえません。

       顧客満足度の向上によって「継続率を50%アップする」など第三者が客観
       的に評価できるようにすることが大切です。

       スタッフ部門の評価などでは成果を数字にしにくいことがあります。

       その場合は目標が達成されたときの状態をできるだけ具体的に示します。

       たとえば、人事スタッフであれば「新しい人事制度について全社員がその
       有用性を納得している状態」といった目標設定が考えられます。

     (3)自己完結できる目標か

       目標は自分の職務権限の及ぶ範囲で、自己完結できるものでなければな
       りません。

       たとえば、営業マンは顧客との関係強化については自己完結できますが、
       商品の品質そのものの向上については、直接的にコントロールすることは
       できません。

       顧客の意見を基にして製造部門に提言することは必要ですが、品質につい
       て最終的に責任を負うのはあくまで製造部門です。

       目標を自分の権限が及ばない範囲にまで広げると、目標未達成時の言い
       訳になってしまう可能性があります。

   2.能力評価

     能力評価とは、評価時点でその社員が職務遂行に必要な能力をどの程度保
     有しているかという評価です。

     多くの場合、職務遂行能力の高低に応じて「等級基準」を設定し、一人ひとり
     の社員について「職能資格等級」に格付けを行う方法がとられています。

     職能資格等級は役職制度と連動させて、たとえば、「係長になるためには3等
     級以上の格付けが必要」といった運用を行うのが一般的です。

     自社の能力評価について次の点を確認してみましょう。

     (1)評価項目は妥当か

       能力評価の具体的な評価項目には「専門知識」、「技術力」、「企画力」、
       「実行力」、「交渉力」など、その会社にとって重要な能力が複数設定されま
       す。

       必要な評価項目は過不足なく設定されているかどうかをまず確認します。

       さらに何をもって「技術力」というかなど、それぞれの評価項目の定義につ
       いても検証します。

       また、業務遂行に必要な能力については、会社の戦略変更などの内的要
       因や技術革新などの外的要因によっても変化していきます。

       数年前に定めた評価項目やその定義が実情にそぐわなくなっている可能
       性もありますので、定期的なチェックが必要です。

     (2)等級ごとの基準は明確か

       等級基準は自社にとって必要な人材像をレベルごとに明確化したものであ
       り、社員にとっては自分がどのように成長していくかを考えるための道標で
       もあります。

       等級ごとにどのような基準を設定するかが、人事評価制度の根幹にかか
       わる重要事項となります。

       職能資格を定義した基準書には、自社の戦略遂行に必要な能力が難易度
       ごとに並んでいなければなりません。

       たとえば、新入社員は全員1等級からスタートする場合、自分はどのような
       能力をどの程度伸ばせば2等級に上がれるのかが、理解できるように表現
       されている必要があります。

       全体の等級数については、数が多ければ昇級機会が増えることで動機づ
       けしやすくなる半面、基準づくりや評価実務が煩雑になるというデメリットが
       あります。

       会社の規模などによりますが、5〜8段階程度に設定するのが一般的。

     (3)「発揮能力」が対象となっているか

       「能力」の捉え方にはいくつかの種類があります。

       人事評価制度でよく取り上げられるのが、「保有能力」と「発揮能力」の違い
       です。

       保有能力とはおそらく本人がもっているであろうと推測できる能力であり、
       発揮能力とは保有能力のなかで、実際に業務遂行に活用された能力で
       す。

       たとえば、交渉力の評価において、「A君は(実際にやったことはないが)顧
       客と単独交渉できるだろう」というケースと「B君はこれまでに何度も単独交
       渉している」というケースを考えてみましょう。発揮能力ベースではB君のみ
       が評価されますが、保有能力ベースでは両者の差はなくなってしまう。

       人事評価では事実に基づいた客観性が大切ですので、必ず発揮能力ベー
       スで行うことが必要です。

       評価者が「保有能力」と「発揮能力」を混同してしまうと、評価の公平性を欠
       くことになります。

   3.情意評価

     情意評価とは業務に対する行動や姿勢を評価するものです。

     情意評価を行うことによって、成果評価や能力評価が低かった社員に対して
     も、その「頑張り」については評価することができます。

     逆に成果や能力の評価が高い社員に対しても、「協調性」などが欠けていれ
     ば満点にはならないという会社としての評価姿勢を示すことができます。

     情意評価項目の代表例としては、「規律性」、「責任性」、「積極性」、「協調
     性」、「自己啓発度合い」などがあります。

     自社の情意評価について以下の点を確認してみましょう。

     (1)被評価者

       情意評価は、成果評価や能力評価に比べて本人評価と上司評価に差が
       出やすい傾向にあります。

       たとえば、上司からみると「まったく協調性がない」と思える社員でも、本人
       は十分配慮している」と認識していることもあります。

       両者の認識にズレがあるままで評価を確定してしまうことは、部下のモチ
       ベーションや能力向上の観点から大きな問題があります。

       上司は部下本人の主張も十分に聞いたうえで、改めるべき点について
       十分に指導する必要があります。

     (2)評価者の資質に左右されていないか

       情意評価は評価者の資質による差が出やすい評価でもあります。

       たとえば、「行動重視」の上司と「施行重視」の上司とでは、積極性などの評
       価のさじ加減が大きく異なることも考えられます。

       それぞれの評価項目についての定義を評価者の間で統一しておくことが大
       切です。

     (3)たんなるイメージで評価していないか

       部下に対する「イメージ」が評価に影響することもあります。

       たとえば、上司のなかで「A君は優秀である」、「B君は仕事ができない」とい
       うイメージができあがってしまっていると、最初からA君には高めの評価、B
       君には低めの評価をつけてしまいがちです。

       情意評価は評価期間中の被評価者の実際の行動や姿勢といった「事実」
       に基づいて行う必要があります。

     (4)役職者に対する情意評価を重視しているか

       会社によっては役職の高い者に対しては、ほとんど情意評価を行わない 
       ケースもあります。

       その理由は「役職者であれば業務姿勢がよいのは当たり前」、「役職者は
       業務姿勢ではなく成果こそが重要」という考え方によるものです。

       しかし、中小企業においては役職者の情意評価は非常に重要な意味をも
       ちます。

       社員は自分の上司だけではなく、他部門の上司も含めて幹部陣の働きぶ
       りを日常的に目にしています。

       いくら成果を上げていたとしても「欠勤や遅刻が多い」、「あいさつしても返し
       てくれない」といった幹部が高い評価を得ているのでは社員に対して示しが
       つきません。

       高役職者に対しては、より真摯な業務姿勢を要求し、実践度合いをきちん
       と評価することが必要でしょう。

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キャリア段位制度

               

キャリア段位制度

  ■実践キャリア・アップ戦略

   実践キャリア・アップ戦略は、平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」にお
   いて、21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクトのひとつに位置
   づけられていました。

   具体的には、実践的な職業能力の評価・認定制度(キャリア段位制度)を構築す
   るとともに、それに基づく育成プログラムの整備や労働移動の円滑な仕組みづく
   りを含めた全体の戦略として一体的・総合的に整備・推進していくことになってい
   ました。

   実践キャリア・アップ戦略の目的は、部長や課長といった「肩書」ではなく、「キャリ
   ア」や「能力Jで評価される社会、プロフェッショナルとして誇りをもって生きられる
   社会をめざすことにあります。

   このような目的のために、成長分野における新しい職業能力を評価する「キャリア
   段位制度」や、それを取得するための「育成プログラム」、ジョブ・カードなど成長
   分野に「労働移動を促す仕組み」を含めた戦略が進められてきました。

   しかし政権交代後、2012年6月11日に行われた内閣府での事業仕分けにおい
   て、費用かかる割に効果が見えにくいことで事業構想は一時、振り出しに戻った。

   但し、構想が完全に頓挫したわけではなく、2013年1月、介護分野でキャリア段
   位制度が正式に発足した。

   現在ではキャリア段位制度はカーボンマネジャーや食の6次産業化プロデュー
   サーなど成長産業を中心に導入されいます。

    ・介護プロフェッショナル

    ・カーボンマネジャー

    ・食の第6次産業化プロデューサー

   そこで、次項では、上記の3種の共通部分の解説を、それ以降の項では、それぞ
   れの概要について説明します。

  □キャリア段位制度(共通部分)

   1.キャリア段位制度とは

    キャリア段位制度は、成長分野における新しい職業能力を評価する仕組みであ
    り、共通のものさしに基づいた人材育成をめざしたものです。

    これまでの資格制度に不足していた「実際にその現場で何ができるのか」という
    部分を補うため、「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」の両面を評価します。

     ・「わかる(知識)」          ……既存の研修修了 
     ・「できる(実践的スキル)」     ……共通基準で評価

   2.レベル認定とは

    キャリア段位制度では、エントリーレベルからプロレベルまで、7段階でレベル認
    定を行います。

    各分野(介護プロフェッショナル、カーボンマネジャー、食の第6次産業化プロ
    デューサー)共通のレベルとして、次の考え方が示されています。

  □介護プロフェッショナル

   1.介護プロフェッショナルとは

    介護プロフェッショナルとは、介護に関するさまざま能力について共通のものさ
    しで評価を行うことで、現場で何ができるかが客観的に証明された人材のことを
    いいます。

    現在、国内における労働人口の減少が進み、介護の現場では、必要な職員数
    の不足が現実問題としておきています。

    しかし、介護職員の離職率は高く、人手が足りないのが現状です。

    そこで、介護職員の定着率を高めるとともに、介護分野への新たな労働者の参
    入を促すことが求められています。

    また、介護職員は、「仕事内容の割に貸金が低い」、「業務に対する社会的評価
    が低い」といった不満を抱え、「利用者に適切なケアができているか」といったこ 
    とを不安に思っています。

    このようなことから、現場で役に立つ実践的なスキルについて、めざすべき水準
    を明確にするとともに、これを処遇や社会的評価の改善に結びつけていくことが
    重要となっています。

   2.レベル認定について

    介護プロフェッショナルについては、既存の国家資格制度や研修制度との関係
    も考慮し、特に、実践的スキルについて重点的に評価します。

    介護プロフェッショナルのレベル1からレベル7までの基本的な考え方は次のと
    おりです。

     ※ アセッサー……施設や事業所内で職員の評価を行う人

   3.評価基準について

    評価は、「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」の両面から行われます。

    「わかる(知識)」ではレベル1からレベル4までの基準に基づいてレベル認定
    を行います。

     ※ 平成25年度以降は介護初任者研修

    実践的スキルの評価にはアセッサーが必要となりますが、制度開始時点では、
    要件となるレベル4(上記参照)の認定を受けた人がいないため、職員に講習を
    受けさせ、評価の実施方法等について習得させることとなります。

    制度開始から3年間程度は、介護部門のリーダーとして一定の要件を満たせ
    ば、アセッサー講習を受講する要件を満たすこととする予定となっています。

   4.認定を受けるメリット

    介護プロフェッショナルの認定を受けることによって、現場で何ができるかが客
    観的に証明されます。

    また、キャリア段位取得に取り組むことによって、次のようなメリットが期待できます。

    (1)職員にとってのメリット

     ・やりがいやスキルアップの動機づけにつながる

     ・給料や評価を決める際の重要な材料となり処遇改善につながる

    (2)事業所にとってのメリット

     ・キャリア・パスが明確になり、介護分野への労働者の参入を
      促すことができる

     ・質の高いサービスを提供していることをアピールすることができる

  □カーボンマネジャー

   1.カーボンマネジャーとは

    カーボンマネジャーとは、省エネや温室効果ガス排出削減・吸収を進めるため
    のさまざまな取り組みに関する診断やアドバイス、およびその実践を行うことが
    できる人材のことをいいます。

    日本は世界最高水準の省エネ技術をもっていますが、エネルギー自給率が低
    いため、さらなる省エネや再生可能エネルギーの導入など、エネルギーの総合
    的なマネジメントの推進が重要になっています。

    そのため、日本全体でのエネルギー使用の合理化、温室効果ガスの排出状
    況、削減ポテンシャルについて、きめ細かい把握と具体的な取り組みが必要です。

    特に、東日本大震災以降、電力需給がひっ迫しているなかで、節電対策、企業
    活動やライフスタイルの転換などが課題となっています。

    そこで、関連する法制度や対策の高度化に伴い、広範かつ専門的な知識や経 
    験を持った人材が求められていますが、「カーボンマネジャー」として、より高い
    レベルの記定を受けることにより、省エネから炭素クレジット取引まで幅広い知
    識をもち、エネルギーと二酸化炭素CO2の総合的なマネジメントができる人材を
    育成します。

   2.レベル認定について

    「わかる(知識)」では、認証された育成プログラムの履修と修了試験に合格する
    ことが必要です。

    「できる(実践的スキル)」では、第三者の評価を受ける必要があります。

    カーボンマネジャーのレベルは7段階に分かれており、4レベル以上をプロと位
    置づけています。

    また、レベル認定は能力と実務に応じた評価を行うこととされており、レベル1〜
    4については講習制度を導入して講習修了を認定要件に含める方式となってい
    ます。

   3.育成プログラムについて

    育成プログラムの内容については、それぞれの科目ごとに「講義」と「演習」から
    構成されます。

    「集合研修」を原則としますが、レベル1については、同等の研修時間を担保し
    たうえで、e−ラーニング研修も可能です。

    育成プログラムのおもな内容は次のとおりです。

   4.認定を受けるメリット

    省エネや温室効果ガス削減などに携わる部門の担当者が、カーボンマネジャー
    の認定を受けることにより、次のようなメリットが期待できます。

     ・エネルギーやCO2に関するマネジメント能力をアピールすることができる

     ・省エネ法の改正内容や趣旨、提出書類の書き方がより具体的に理解できる

     ・自社ビルの省エネ提案にいかすことができる

  □食の6次産業化プロデューサー

   1.食の6次産業化プロデューサーとは

    食の6次産業化プロデューサーとは、生産(1次産業)、加工(2次産業)、流通・
    販売・サービス(3次産業)の一体化や連携により、地域の農林水産物を活用し
    た加工品の開発や消費者への直接販売、レストランの展開など、食分野で新た
    なビジネスを創出する役割を担う人材のことをいいます。

    現在、日本の食や地域をめぐる課題としては、

     ・消費者……人口の減少、食生活の変化、安全安心へのこだわり

     ・供給者……生産所得の減少、耕作放棄地の発生、後継者の不足、
             原料価格の上昇

     ・地 域……地域経済の悪化、雇用機会の減少、東日本大震災の影響

    などがあげられていますが、このような課題を解決するためには、「食」の付加
    価値の向上や生産性の向上を強固な「経営力」の下に進める人材の育成が急
    務となっています。

    そこで、「食の6次産業化プロデューサー」の認定・育成システムを整備すること
    により、次のような効果が期待されています。

     ・消費者 …… おいしくて作り手の顔が見える「食」に出会えるチャンスの広がり

     ・供給者 …… 商品の差別化や所得の向上・経営の安定化

     ・地 域 …… 集客の増加や雇用の確保など地域課題の解決

   2.レベル認定について

    国が指定する機関で、「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」のレベル認
    定を受けます。

    「わかる(知識)」の認定には、育成プログラムを修了することが必要です。

    「できる(実践的スキル)」の認定には、事業実績を表す書類を提出し、経験や
    実績の評価を受けることが必要となります。

    食の6次産業化プロデューサーには、表のとおりエントリーレベルのレベル1か
    ら、プロレベルのレベル4、トップ・プロレベルのレベル7まで、7つのレベルがあ
    ります。

    なお、レベル2、3では、立場ごとに「事業主」、「法人スタッフ」、「支援スタッフ」コ
    ースを選択します。

    なお、すでに高い実績を上げてプロレベルと認定される場合は、改めてプログラ
    ムを受ける必要はありません。

   3.認定を受けるメリット

    食の6次産業化プロデューサーのキャリア段位取得に取り組むことによって、次
    のようなメリットが期待できます。

     ・「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」がどの程度の水準にあるかを
      客観的にチェックすることができる

     ・さらなるステップ・アップを図るためには何を理解してどのようなビジネスに
      取り組めばよいのか確認することができる

     ・新たにチャレンジする人にとって将来のキャリア・パスや成功モデルが
      明確になる

     ・自分の能力スキルをアピールすることができる

     ・ビジネスパートナーを見つけやすくなるなど、ビジネスモデルの発展・
      拡大が期待できる

 

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フィードバック面談

          

フィードバック面談

  ■フィードバック面談の進め方

   フィードバック面談とは人事考課の結果などを、考課者(上司)が被考課者(部下)
   に対して説明するための面談です。

   部下にとっては自分の長所や短所を確認できる絶好の機会であり、上司にとって
   も、部下のモチベーションアップや能力開発を図るための非常に有効な手段とい
   えます。

   1.「下り」のプロセスは軽視されがち

     人事考課制度を導入している会社では、期末時点でまずは社員が自己評価
     を行い、直属の上長による一時評価など何段階かの評価を経たうえで、社長
     が最終的な評価を決定しています。

     そして、多くの会社では自己評価から最終評価までの「上り」のプロセスには
     多大な手間をかけています。

     しかしながら、最終結果が出た後に、それを本人に戻すまでの「下り」のプロセ
     スについては、十分な注意を払っている会社は少ないようです。

     会社として、社員の来期の処遇を決めるためには、「人事考課結果」を出す必
     要があります。

     そして、その精度をできるだけ上げるために、多段階の評価も行います。

     しかし、いったん結果が出てしまえば、それを賃金などに自動的に反映させて
     人事考課は終了としているのです。

     これでは社員本人は自分が会社からどのように評価されているのかを、賃金 
     の増減などのわずかな情報からしか推測することができません。

     自己評価が正しかったのかどうかもわかりません。

   2.フィードバック面談のおもな目的

     そこで重要になってくるのが、人事考課の「下り」のプロセスの柱ともいえる
     フィードバック面談です。

     適切なフィードバック面談を行うことで、初めて「双方向の人事考課」が実現す
     るのです。

     フィードバック面談のおもな目的を整理すると以下のようになります。

     (1)最終的な人事考課結果を納得させる

       たんに最終評価の結果を伝えるだけではなく、評価基準と照らし合わせな
       がら丁寧に説明します。

       自己評価と最終評価に差異がある場合は、その理由についてもきちんと理
       解してもらうようにします。

       また、総合評価だけではなく、評価項目ごとの内訳も明確にします。

       会社として厳正な評価をした結果であることを納得してもらうことが大切です。

     (2)改善すべき点や期待事項を共有する

       人事考課によって明らかになった、部下の改善すべき事項について明確に
       します。

       本人が気付いていない欠点についても指摘して、行動修正を促します。

       また、さらに伸ばしてほしい能力、達成してほしい業績など、上司として部
       下に期待している事項を明確に示します。

     (3)モチベーションを高める

       面談は部下のモチベーションを高める場でもあります。

       評価結果を淡々と説明するだけでは、部下の心は動きません。

       また、部下の欠点を感情的に叱責するような姿勢も慎まなければなりません。

       上司はつねに部下の気持ちを汲み取りながら話を進めます。

       部下からの質問に対しても丁寧に答えて、最後は部下に本心から「頑張り
       ます」と言ってもらわなければなりません。

   3.上司教育の場でもある

     フィードバック面談の目的として見落とされがちなのが、「上司の職務遂行とマ
     ネジメント力向上」です。

     つまり、フィードバック面談を行うことは、部下のためだけではなく、上司のため
     でもあるのです。

     上司は当然ながら「部下育成」という職務を負っています。

     そして、高いレベルでその職務を遂行していくためには上司自身のマネジメン
     ト力を磨いていかなければなりません。

     フィードバック面談は部下育成のために不可欠であり、上司がそれを怠ること
     は職務放棄と見なされます。

     また、効果的なフィードバック面談を行うためには、上司は部下の成長と真剣
     に向き合わなければなりません。

     周到な準備や話し方・聞き方などのトレーニングも必要です。

     このようにフィードバック面談は上司のマネジメント力を向上させる格好の場と
     もなるのです。

     社長は、フィードバック面談を通じて、上司自身がどのように成長しているかに
     ついても、確認する必要があります。

   4.こまめな実施が効果的

     ここまでみてきたように、フィードバック面談はたんなる評価結果の「伝達」では
     なく、部下と上司双方の成長を促します。

     期末に1回のみ行うのではなく、よりこまめに行うことが望まれます。

     少なくとも半期に1回、できれば四半期に1回の実施を検討しましょう。

     たとえば、3月決算の会社であれば、次のようなスケジュールが考えられます。

     第1四半期と第3四半期に行う面談は、特に「考課」を意識するのではなく、期
     初に立てた業績目標や能力開発の進捗管理を目的とした簡易面談で構いません。

     日常的なマネジメントのなかでも「個々の業務」の進捗管理は行われているは
     ずですが、フィードバック面談ではあくまで「年間の業績目標全体」、「年間の
     能力開発計画全体」に対する進捗を確落することが目的です。

     半期面談では目標の進捗確認に加えて、実際の人事考課基準を使った上長
     による半期評価結果も踏まえた内容にします。

     つまり、上半期のままのペースで行けば、期末の正式考課結果はこの程度に
     なりそうだという見込みを示すのです。

     芳しくない結果が出そうな場合は、下半期に向けての具体的な改善方法を指
     導することになります。

     期末面談においては、最終的な人事考課結果も踏まえ、能力開発と動機づけ
     を行います。

     具休的な進め方については次項に紹介します。

  □面談の進め方

   期末のフィードバック面談は基本的に次のような手順で進めます(それ以外の時
   期の面談では、考課結果の説明を省略して進めます)。

   面談場所については落ち着けるクローズな空間を準備します。

   面談時間については一人につき30分程度は確保します。

   効果的・効率的な面談を行うためには、話すべきポイントの整理、進め方の設計
   など十分な事前準備が必要です。

   1.事前準備

     (1)人事考課結果の確認・理解

       一般的に人事考課は、本人が「人事考課シート」に自己評価を記入し、直
       属の上長による一次評価、部長クラスによる二次評価などが加えられ、社
       長が最終評価を行うという流れで進められます。

       上長は最終評価まで記載された人事考課シートの内容を事前に確認する
       ことが不可欠となります。

       特に自分の行った一次評価の結果について、二次評価以降に修正が加え
       られている場合には、その理由を理解しておく必要があります。

       フィードバック面談はあくまで最終評価に基づいて行うものであり、上長自
       身が納得できていなければ、部下に説明することはできません。

       どうしても腑に落ちない場合は、上位の評価者から評価修正に関する説明
       を聞く必要もあるでしょう。

     (2)「面談設計書」の作成

       人事考課シートの記載内容を確認したうえで、面談の進め方や部下に話す
       べき事項を整理するための「面談設計書」を作成します。

       記載すべき事項は次のとおりです。

       部下に対して「このように育ってほしい」という希望ではなく、「自分(上司)
       がこのように育てていく」という主体的な意思(計画)を記載します。

   2.導入(アイスブレイク)・趣旨説明

     あいさつの後、前述のアイスブレイクフレーズを使って、面談の雰囲気を整え
     ます。

     そして、当日の面談の趣旨・進め方・時間配分などについて説明します。

     たんに人事考課の結果を理解してもらうだけではなく、

      「あなたの成長について一緒に考える場にしたい」という点を強調します。

     趣旨説明の後に、最終評価まで記載されている人事考課シートを部下に渡し
     ます。

   3.部下による自己評価説明

     人事考課シートに従って、部下から自己評価の結果および根拠、今期の活動
     全般を通じた総括についての説明を聞きます。

     その際は、相づちを打つなどして、自分が相手の話をきちんと聞いていること
     が伝わるように心掛けます。

     さらに話の内容だけではなく、声のトーン、表情、しぐさなどから相手の感情を
     読み取ります。

   4.人事考課結果の伝達と説明

     上司の側から最終評価の結果とその根拠について説明します。

     自己評価と最終評価に差異がある場合は、その理由をきちんと伝え、全社共
     通の評価基準に従った公平・公正な評価結果であることを理解してもらう必要
     があります。

     部下の反応を観察して、納得できていないと思われる部分はどこかを探りなが
     ら説明します。

   5.意見交換による合意形成

     最終評価について部下がどのように受け止めたかを質問します。

     このとき上司が威圧的な聞き方、投げやりな聞き方をすれば、部下は「この人
     に言っても仕方ない」と心を閉ざしてしまいます。

     自己評価よりも低い最終評価に対して、すぐに納得する部下はまずいません。

     何かしらの不満は感じているはずです。

     部下からの不満が一切出ないフィードバック面談はむしろ失敗です。

     不満を引き出したうえで、それを解消するのが上司の役割であり、本当のマネ
     ジメント力が試される場面でもあります。

     部下には納得がいかない点について、そう思う理由をあげてもらいます。

     その理由について頭ごなしに否定するのではなく、いったんは「そういう見方も
     あるね」と受け入れます。

     そのうえで、「ただし、君の○○の件に対する行動をみると……」、「全社的な評
     価基準に照らし合わせて考えると……」という具合に最終的な評価に至った合
     理的な根拠を説明します。

     この説明をスムーズに行うためにも事前準備の段階で、部下の最終評価に対
     して上司がきちんと理解しておくことが大切です。

     十分な意見交換をしても、部下の不満の一部は解消されないこともあります。

     しかし、その場合でも「次回からはこのように評価する(評価される)」という今
     後に向けた合意は形成できます。

     面談前と比較すれば、部下との相互理解は大きく進んでいるはずです。

   6.目標設定

     評価結果に対する合意形成ができたら、それを踏まえた今後の目標について
     設定していきます。

     その際には、部下の成長の志向性(マネジメント志向・専門志向など)につい
     ても確認したうえで、「3年後までに職能資格等級を2等級上げる」、「5年後に
     課長になる」など、できるだけ具体的な将来像を描きます。

     また、そこに至るまでのマイルストーンも設計します。

     事前に面談設計書で部下の育成方針・育成方法について自分(上司)の考え
     方をまとめておくことが大切です。

     そして、来期については、より詳細な業績計画や能力開発計画を策定します。

     たんに「専門知識を向上させる」といったスローガンではなく、「何を、どれだ
     け、いつまでに、どうやって」という具体的で進捗管理可能な計画を策定します。

     また、その計画が達成された場合には、人事考課の結果が今期に比べてどの
     程度上がる見込みであるかについても伝えます。

   7.部下への期待表明・まとめ

     フィードバック面談は部下のモチベーションが高まった状態で終了する必要が
     あります。

     「君には本当に期待している」、「いつもムードメーカーになってくれて感謝して
     いる」など、上司としての期待と賛辞の言葉を贈って面談を終了します。

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人事考課制度(規程)と評価

        

あなたの会社には人事考課制度(規程)がありますか

その規程は機能していますか?


  考課とは、業務の指示命令を出したときに的確に果たせなかった場合、その部下に不足
  する経験と知識を発見することです。

  企業にとって人事制度を導入する目的は何でしょうか? 

  言うまでもなく、最終的には、より高い業績を上げるためにあります。

  そのためには、会社は人事制度を導入することにより、継続的に社員のモチベーション
  を上げ続けなければなりません。
  
 ■成果主義制度

  成果主義制度は目標管理をベースに運用されます。

  成果主義の場合、社員の意識が「競争的」「守備的」「短期的」になりやすく、大企業にお
  いては競争意識、期間目標の必達意識が高い傾向にあり、効果的です。

  しかし、中小企業においては経営資源も少なく、成果達成度で評価を決める成果主義の
  場面では高い評価ができない、ということが起こり得ます。

  従って、現在主流となっている成果主義の評価は中小企業にとって最適な人事評価制度
  ではない、という見方もあります。
 
  ■マニュアルと人事評価

   人事評価 : いかに社員が働きやすい環境をつくるか

   業務成績が芳しくない場合では賞与の額が平均より下がる場合でも、

    ・なぜ賞与額が下がるのか

    ・平均とのギャップがどのくらいあるのか

   多くの会社では、   

    ・「○○を使用できる」という項目に対し、○×で評価する

    ・「行動が取れるか取れないか」を評価の判断基準としている

   評価システムの項目は、会社が望むことを「行動基準」で伝えることにもなります。

  □評価と連動した教育システム

   ・評価者と教育担当者が同一であること

   マニュアル活用の流れ 

     (1)業務の説明 → 目的の理解:重要性の説明

     (2)やってみせる → 模範を示す:手順、ポイントを説明しながら

     (3)やらせてみせる → 実践させる:できるまで反復練習

     (4)評価する → できばえを褒める:できない点を指摘する

   ●業務シート(稟議書)の工夫

    ・稟議書に稟議内容を審議するための材料を記載する欄を設ける


   ●就業規則(会社のルールブック)とマニュアル
    ・就業規則は業務マニュアルを作成する上での基準となる


  コミュニケーション 

   ●組織

    ・共通の目的に向かう社員が、機能別に目的達成のために動く

   ●コミュニケーション

    ・組織を混乱させず、意思の統一を図るために必要なコミュニケーション

   ○コミュニケーションの仕組みを設定

    ・命令系統を一元化

    ・専門的業務を集中

    ・業務ごとに分権化

    ・権限の行使を行うものに責任が課せられる

    ・組織は階層によって機能が異なる

         
   報連相 

    報告 → 任務を与えられたものが、その経過や結果などを述べること

    連絡 → 気持ちや考えなどを知らせること

    相談 → 問題解決の他に話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること


   ●見えない組織から目に見える組織に(経営・業務の見える化)

    ・業績をグラフ化する

    ・社是・社訓を文面化し、見えるところに掲げる

    ・組織図がある

    ・就業規則がいつでもどこでも見れるところにある

    ・マニュアル(チェックシート・業務の手順書)の充実


   ●仕事の意味づけ

    日常業務をこなすことばかり集中しすぎると、業務本来の意味がわからなくなって
    しまいます。

    すると、「完成図」がわからなくなり、「自分は何のために働いているのだろう?」と考
    えるようになり、モチベーションの低下につながる。

   ●社員自身が自分のやっている仕事に意味を見出す

    ・自身の仕事の価値に気づきを与えられる環境づくり

    「ただこなしているだけ」「上からの指示だからこなす」 → やらされ感

                環境づくり

            自ら考える組織(チーム)


   ●会社の進むべき方向

    ・「利益追求が手段ではなく、目的となる」から方向感を失う

    ・企業はゴーイングコンサーン


   ●自分の仕事をマニュアル化

    ・仕事が多く、優先順位がわからない

    ・予定を立てて仕事をしているが、割り込み仕事が多い

    ・書類の紛失

    ・PC内の整理ができていない

    ・仕事を整理し、ルーティンワーク(毎日行う業務)とそれ以外の業務とに区分けを行う

    ・毎日行う業務:自動的に、決めた時間でこなすことを体感させる


   ルーティンワークの自動化

    ルーティンワークの洗い出し → 行動する時間の設定 → 同じ時間に行動する →
    意識しなくなるまで行動を継続する → 習慣化し、自動化する


   ●期限の管理

    ・To Do リストの活用:実行したか、していないかを管理


   業務の改革・改善は自社(店)のノウハウとなり、商品となることを理解して
   ください。  
    
 ■中小企業にとって最適な人事評価制度(人事評価シート

  最近の主流となっている人事評価制度は、「仕事のでき」「業務遂行能力」を評価しよ
  うとする傾向にありますが、中小企業に必要な評価対象項目は、「仕事の仕方」「仕事に
  向かう姿勢・意識」
であるほうが適切なのです。

  経営課題を達成するために必要な社員のモチベーションを高める評価制度でなくてはな
  りません。

  企業が存続するためには良いときだけではなく、今のような厳しい時代でも、モチベーシ
  ョンを維持し、活気をなくさない職場風土を作らなければならないのです。

  社員のモチベーションを高めるための人事制度のあり方は、当然、時代の変化に合わせ
  て考え方や手法を変えていかなければなりません。

  時代や世の中が変われば働く人のモチベーションの源も変わってくるからです。

  今、多くの企業では賃金制度の見直し迫られています。

  これまでの年功型の賃金制度のもとでは、業績回復のために不可欠となっている従業員
  の活性化が望めないばかりか、従業員の高齢化による人件費コストの増大が重くのしか
  かっているからです。

  高い料金を払って複雑な人事評価制度を導入しても、その制度が企業規模や企業風土に
  合ったものでなければお金をドブに捨てるだけです。

  大事な利益から捻出してつくる人事評価制度導入に「数百万円かかったけど結局続かな
  かった」・・・ では済まされないのです。

  中小規模企業の人事評価制度は、「社長の思いを形
  にする」ことから始まります。 eyes0803160.jpg

  経営者、管理職、社員が具体的に、人事評価制度の内
  容を理解でき、納得して、実行できる「わかりやすい人事
  制度」でなくてはなりません。 

  例えば、従業員20〜70名以下の中小企業の賃金評価
  制度は、その社員の現在の評価と今まで蓄積された
  評価
を抑えておけばよいのです。

  そして、その評価制度について誰に聞かれても、説得で
  きる理由を持っていればよいのです。

  中小零細企業が大企業の型をそのまま取り入れれば失敗する
  か、あるいはその場凌ぎに決定されてしまい、結果的に機能し
  ない評価制度になってしまっている状況はなかなか改善されま
  せん。

  人事考課制度の成否は「成果と目標」を正しく設定、プロセスを
  検証、的確に修正プロセスを検証・修正
することです。

  人事考課は個々の従業員の勤務態度・職務能力・勤務実績を
  直接に経営者が査定する制度です。

  考課を行う際は、合理的に制定された一定の考課項目・スキームを予め定めておく必要
  があります。

  従業員は誰でも、自身の働き・成果・能力に対し公正に評価されたいと思っている訳です
  が、そうではなく経営者の好き嫌いや、性格の一致・不一致などで 評価されたのでは、
  従業員の能力開発はおろか、定着率は低迷し、専門性のある優秀なスタッフをかかえた
  プロフェショナルな体制を築くのは困難となります。

  そのような人事考課における経営者の主観をなくすために、公平かつ客観的で、従業員
  にオープンにできるような人事考課制度を持つことは、経営を安定化していく上で必要
  です。 
   
  ■人事考課の目的

   (1)従業員の指導・育成の指針とする。

     従業員に必要としている職務や課題と本人の能力や実績を比較・分析し、指導・
     教育、または自己啓発のための指針とする。

   (2)公正・公平な昇給・昇格の査定を行う。

     従業員の能力や実績を一貫した方法で評価し、公正で公平な昇給・昇格に結びつ
         け、処遇に対する納得感を持たせる。

   (3)安心して働けるルール作り

     就業規則もそうですが、給与体系や人事考課制度作成し、従業員にオープンにす
     ることにより安心感や公平感、納得感が得られ、従業員の定着化が図れます。

   人事考課の目的は単に昇給・昇格を決めるだけでなく、従業員の能力開発と育成を
   基本として、処遇に納得感がありやる気のある生き生きとした組織作りと、安心して
   働ける、即ち従業員の定着化を目指す制度であり、その観点に立った運用が求め
   られます。


  □人事考課を行う際のポイント

   (1)考課の評定基準や評価方法を客観的・明確に定めておく。

   (2)経営者以外に管理職がいる場合、第一次考課者をその管理職とし、経営者自身
     は第二次考課者になるなど、 複数名で考課する体制にする。

   (3)考課に当たり、生じやすい心理的偏向をできるだけ是正するよう努める。
     公正にしようとしても考課者が自然におかしてしまう心理的偏向には、

     主に次のようなものがあります。

      @中央化傾向

       評価が平均並みになり、優劣の差が生じない傾向(考課結果が中央に集中)。
       考課者に自信がない場合、考課基準が不明確な場合などに生じます。

      A寛大化傾向

       特定の特性について、評価が実際以上に甘くなってしまう傾向。(考課結果が
       上位に集中)

       考課者の観察不足、部下に対し必要以上に人情が働いている場合に発生し
       ます。

      Bハロー考課

       部下の評価要素の中に、一部特に優れたものや劣悪なものがあると、他の要
       素も良く思えたり、悪く思えたりするという傾向。

       部下についての印象ができあがってしまっている場合に生じます。
   
  □人事考課の進め方

   1.人事考課のステップ

    人事考課には次の2つの要素があります。

    (1)単年度評価

      考課対象期間である1年間の、能力の発揮度及び成果について評価しますので、
      毎年必ず行われることになります。

    (2)等級評定

      上記の単年度評価の結果など、一定条件を満たした者に対し、職務遂行能力に
      基づき等級評定を行います。

    単年度評価が1年間の能力の発揮度の評価であるのに対し、等級評定は入社以来蓄積
    された能力の保有度を評価するものです。

    等級が上がれば昇格、下がれば降格であり、それに連動して給与の職能給が上下する
    ことになります。

   2.単年度評価の仕方(評価給対応部分)

    (1)評価の大項目

      営業職・事務職どちらも基本的には職務能力と取組姿勢と成果の3つの大項目
      を評価項目としていますが、それぞれの求められる役割から、ウェイト配分し
      ます。

      3つの大項目の合計を100として各自でウェイト配分します。

       営業職、事務職の3つの大項目:職務能力、取組姿勢、成果


    (2)評価の小項目

      上記3つの大項目について正しく評価できるように、以下のように小項目を設け
      ます。

       <職務能力>

        営業職:職務知識、判断力、業務遂行力、指導力

        事務職:職務知識、判断力、対人対応力、指導力


       <取組姿勢>

        営業職:計画性、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性

        事務職:マナー、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性


       <成果>

        営業職:短期的成果、長期的成果

        事務職:正確性、効率性


    (3)評価の仕方

      職能等級表に基づき、小項目評価→大項目評価→評価ランク決定の手順とな
      ります。

     ☆小項目評価

       a〜eまでの5段階評価をします。

        a:特に優れている

        b:優れている

        c:普通

        d:努力を要する

        e:特に努力を要する

     ☆大項目評価

      小項目の評価を勘案して、大項目の評価を決めますが、小項目の評価結果と
      大項目評価の間には、点数化するなどのルールは特に設けず、経営者の考え
      で柔軟に対応します。

     ☆評価ランク決定

      「評価」欄を用い、大項目の評点を加算して合計点を出し、評価ランクを決定し
      ます。

      これは大項目の合計点により、次のように区分しています。

       A:91〜100 特に優れている

       B:81〜90 優れている

       C:71〜80 普通

       D:61〜70 努力を要する

       E:50〜60 特に努力を要する

      この評価ランクにより、給与テーブルの評価給が決まります。

  □等級評定の仕方(職能給対応部分)

     (1)実施条件

     等級評定は毎年行うものではなく、次の条件を満たす場合に実施します。

     (a)上位等級への等級評定(昇格)の場合

       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがAである。

       ・等級別の最短在留年数*を満たしている。

        ※「最短在留年数」とは、ある程度の期間一定の等級に在留させ、教育訓練、
         自己啓発により、各人の職務能力をじっくり養ってもらう事が望ましいこと
         から、一定期間は上位等級に昇格できないルールです。

          最短在留年数    等級

             2年       1等級

             3年       2等級

             4年       3等級

             4年       4等級
        
             4年       5等級

             4年       6等級


     (b)下位等級への等級評定(降格)の場合

       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがEである。


   (2)評価の仕方

     職能等級表および下記の職能等級概要記述に基づき、どの等級に格付けするの
     が適当かを判断します。

      1等級:自らの業務について、上司の指示を仰ぎながらも、ほぼ自立して行うこ
           とができる。

      2等級:自らの業務について、ほぼ自立して行うことができる。

      3等級:自らの業務は自立して対応し、下位者の指導も行うことができる。

      4等級:自らの業務は申し分なく対応し、下位者の指導・管理も行える。

      5等級:組織全体に目が行き届き、下位者に対し適切な指導・管理ができる。

      6等級:経営者的な視点から、問題点の把握・分析、対応策を立案し、実行する
           ことができる。


    等級評定における評価区分は次の通りです。

     優:上位等級の業務に十分対応できる (上位等級へ昇格)

     良:上位等級の業務に対応できる ( 〃 )

     可:現等級維持が相応しい (現等級のまま)

    不可:現等級の業務に対応できていない (下位等級へ降格)

   従って、上位等級へ昇格する場合の評価は、優・良のいずれかに、下位等級へ降格の場
   合には、不可が評価結果となります。


   (3)単年度評価ランクの調整

      等級変更があった場合には、単年度評価のランクについて、次の通り調整します。

     これは、給与の大幅な上下を防ぐために評価給で調整をするのと、同じ昇格でも
     優と良の評価で差を設ける意味があります。

      等級評定    単年度評価ランク

       優       上位等級のC

       良       上位等級のD

      不可       下位等級のA

  
  □職能等級と自己申告

   職能等級は職務遂行能力の程度によっていくつかの等級を設け、従業員を該当等級に格
   付けするものです。

   この等級は、職務能力の困難度や責任度などをベースに職能等級を設定し、各等級区分
   に該当する職務遂行能力の種類や程度を明確にした基準を設け、この基準にもとづいて
   人事考課を行う制度です。

   等級のアップが「昇格」ということになります。

   人事考課の限界として一般に言われているのは、あくまでも他人評価であるということ
   です。

   誰しも主観的な傾向から完全には脱し切れるものではなく、勤務成績や業績のような顕
   在的なものでしか見ることができません。

   そこで人事考課に加えて、従業員自身による自己申告制度などの自己評価の要素も入れ
   て調整を図るのが一般的です。

   その際、本人の潜在的能力および顕在的能力の把握を多角的に行い、総合的に勘案し
   て決めるのが望ましいと言えます。

   自己申告の具体的な内容としては、担当職務(職務の遂行状況、目標及び達成状況、
   新たな職務希望等)、自己の能力開発(能力の活用状況、今後伸ばしたい能力等)、
   その他(職場に対する要望、健康状態・家族の状況等)などです。
       

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公平な賃金制度

            

公平な賃金制度


  賃金(給与)制度

   給与制度とは、従業員に対して支給する給与の決定方法や支払時期などを定めた
   制度です。

   給与は、生活保障、会社への貢献度、労働市場価値の考え方を中心に、年齢給や
   家族手当、職能給あるいは職務給などを組み合わせて構成します。

   支払時期や支払い方法についても個々の事情により異なります。

   また、どのような結果をどの給与要素に反映させるのかといった処遇の対象や、反映
   の際の方法論についてもさまざまなケースが見られます。

   中小企業の給与制度は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、規模などにより各社
   (店)さまざまです。

   したがって、一概に「給与制度の一般的なものはこれです」とは言えません。

   ただし、業界特性や人数規模などで絞り込むと大枠はある程度類似しているかもし
   れません。

   給与制度や評価制度、資格制度などは、時代の流れで新しい考え方などが登場し、
   少しづつ変化していく傾向もあります。

   企業は給与制度を含む人事制度全体を一つのマネジメントツールと考え、自社(店)
   に合った制度、時代の流れに合った制度を構築していくことが望ましいと言えます。

   また、組織は常に変化していく「生き物」です。その「生き物」を成長させるマネジメン
   トツールの一つである給与制度も常に改善し、固定化しないことが重要です。

   就業規則の賃金に関する事項で、労働基準法で必ず
   定めなければならない事項として以下の4項目が就業
   規則に定められていれば、就業規則とは別に給与規
   程
を新たに定める必要はありません。 賃金.gif

    1. 賃金の決定及び計算方法

    2.賃金の支払方法

    3.賃金の締切及び支払時期

    4.昇給に関する事項


   ただし、就業規則が膨大になりすぎる場合には、就業
   規則の本則で「賃金については別に定める」などのよう
   に記載し、「給与規程」を独立したものにする方が従業員に分かりやすく、改訂する
   場合も別規程だけを改正すればよいので便利です。

   特に賃金は従業員の生活に直接影響を及ぼし、不満や労働力意欲の低下につなが
   る恐れがあるため、別規程にして詳しく定めることが望ましいと言えます。
   (法改正により、どんな項目でも別規程にすることが可能。) 


   <総人件費管理>
    人件費は抑制傾向にあるのが一般的ですが、当然経営者にとって総人件費をマネ
   ージメントすることが必要です。

    特に、売上増が期待できない場合には、限られた給与原資のパイのなかで、いか
    に不満のない分配を行うかが経営者に課せられた課題です。

    したがって、「支払い能力」があることを前提に給与を支給することが代理店存続の
    視点から重要であると言えます。

    支払い能力をチェックする指標として、労働分配率がありますが、業種や規模によ
    り異なるものです。

    中小企業のケースでは労働分配率は50%前後を目安として考えるのが一般的です。 

    給与制度を定めることのメリットは以下のようなものです。

     (1) 給与を支払う条件を明らかにして従業員に安心感を与える。

     (2) 制度はシンプルにすれば従業員も生活設計がしやすい。

     (3) 制度が分かりやすくなれば従業員の仕事に対する士気が上がる。 

    各人の役割期待や業績目標を明確にし、その達成度に応じて公平に給与に格差
    が表れるようにする思想が成果主義です。

    給与は労働条件のなかで最も重要なポイントです。

    人は給与次第でやる気が出たり、無くなったりと、一番大きなモチベーターであると
    言えます。

    しかし、従業員が仕事を給与だけで決めるわけではないことも確かです。

    給与が多いことにこしたことはないのですが、その前に働きがい、やりがいのある
    仕事であるかどうか、やったことに対して納得できる評価がされているか、働きや
    すい職場環境であるか、といった自己実現の場や評価制度、職場環境がきちんと
    整備されていることが大切です。

  □最低賃金 令和3年度 地域別最低賃金改定(厚生労働省)
   100%成果主義の給与制度では業績が悪い月には最低賃金法に定められている
   最低賃金を下回る可能性もでてきます。

   したがって、固定給+成果給・歩合給などにするのが望ましいと言えます。

   (最低賃金法)
    賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活を保障することを目的とした
    法律です。

    最低賃金は都道府県別に決定されています。

    対象となる賃金は、臨時の賃金、一ヶ月を超える期間を対象とする賃金(賞与な
    ど)、時間外・深夜割増賃金、休日割増賃金、通勤手当や家族手当などを除いた
    額です。

    パートやアルバイトを含む全ての労働者を対象としていますが、精神や身体の
    障害により労働能力が低い者や労働時間が
    短い人、試用期間中の人などは、適用外です。 

  □年俸制の導入について
   年俸制とは本来年単位で収入を決める制度
   のことですが、最近では実力主義給与制度
   の総称として用いられる傾向があります。

   年俸制の特徴として、実力・実績評価、総年
   収管理、毎年ゼロベースで評価することなど
   があげられます。

   ただし、毎年ゼロベースで評価するといっても
   年俸構成で保障給与的な固定部分が大きけ
   れば、ゼロベースの評価対象は残りの変動部分のみになってしまいます。

   公正で納得性の高い業績評価制度が定着していることが年俸制導入の前提です。

   また、給与体系の再構築や支給方法などをきちんと定め、制度化すること、そして
   導入されたら従業員が期待に応えるように目標管理などできちんとマネジメントする
   ことが大事です。

  ■退職金制度

   退職金を支給する制度を設けるかどうかは自由です。

   退職金制度は高度成長期に人材を確保することを主な目的として多くの企業に普
   及しました。

   支給方法には、退職のときに一括で支給する「一時金」と一定期間に支給する「年
   金」があります。

   退職金制度の種類には、従来の社内積立ての「退職給与引当金制度」は廃止され、
   外部積立ての「中小企業退職金共済制度」、「税制適格退職年金」、「厚生年金
   基金」があります。

   企業年金は改革の傾向にあり、確定給付企業年金や確定拠出年金(日本版40
   1k)へ移行されつつあります。

   <確定拠出年金制度(前払い)と確定給付企業年金制度(後払い)>

   2001年6月に確定拠出年金法と確定給付企業年金法が成立しました。

   確定拠出年金(いわゆる日本版401k)は、「拠出された掛金が個人ごとに明確に
   区分され、掛金とその運用収益との合計額を基に給付額が決定される年金」と定
   義されます。

   一方、「老後において毎年受け取る給付額を企業等が保証する」従来型の企業
   年金は、確定給付企業年金と呼ばれています。

   確定拠出年金制度の最大の特徴は、加入者が自分で指図して運用することにあ
   ります。

   給付は運用結果によって左右され、企業が追加の掛金負担をする必要はありません。 

   注意すべきことは、

    (1)基本となる給付金が60歳まで引き出しができないこと

    (2)年金資産に対して特別法人税が賦課されること

    (3)導入の際には、投資教育や管理手数料の負担につい
      ても十分に検討しておく

   一方、確定給付企業年金制度には、受託機関との契約をベースとする規約型と、
   独立した法人格を持つ企業年金基金を作る基金型の2つの方式があります。

   給付については、年金では原則60〜65歳の間で支給開始年齢を決める必要が
   あり、適格退職年金のように退職時からの単なる分割払いは認められません。

   加入期間が20年以上なら必ず年金を選択できる資格を与える必要
   があり、加入期間が3年以上で年金受給資格を得られない人には脱
   退一時金を支給する必要があります。退職金.gif

   <各退職金制度>

    ○厚生年金基金
     適格退職年金制度とならぶ代表的な企業年金制度。

     厚生年金という特別法人を設立し、厚生年金基金の
     掛金を社外(生命保険会 社・信託銀行等)に積み
     立てます。厚生年金保険の一部を国に代わって
     行う(代行部分)とともに、企業独自の年金を上乗
     せして給付を行う(プラスアルファ部分)ことで、
     従業員により高い給付が実現できるようになります。

    ○適格退職年金
     法人税法に基づき、企業が金融機関(生命保険
     会社・信託銀行等)と契約を結び、平準的に資金を
     積み立てていく年金制度。

     定められた適格要件を満たすことにより、税制の優遇措置が認められます。

     また「確定給付型」であるため、金利が下がると企業側の負担は増大します。

     確定給付企業年金法により新規設立は認められず、平成24年3月31日まで
     に他の制度に移行する必要があります。

    ○中小企業退職金共済制度
     中小企業退職金共済法に基づき、事業主が勤労者退職金共済機構と退職金
     共済契約を結び、従業員が退職したときは機構から退職金が支払われる制度。

     退職金額は基本退職金と付加退職金を合算した額となりますが、金利の変動に
     より将来の給付額が変わります。

     過去の勤務期間が通算でき、また中退共制度に加入している企業間を転職した
     場合は退職金を持ち運ぶことができます。

    ○確定拠出年金
     確定拠出年金法に基づく、新しい年金制度。毎月一定の掛金を負担して老後
     資金を積み立てます。掛金は債権や株式等で運用するため、同じ掛金負担
     でも運用実績により受け取る年金の額は異なります。企業型と個人型があり、
     運用リスクは加入者が負います。

     個人毎に残高管理するのでポータビリティー(転職時において年金資産を持ち
     運びできること)に優れます。

     まずは、貴社の退職金状況を再確認してみましょう。     

      ・現状でどれだけ退職金が準備されているのか?

      ・将来、今のままならどのくらい退職金は準備されるのか?

      ・今の方法でどのくらい退職金が足らなくなるのか?
   
  ■退職金の受け取り方

   退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るかについて悩む人も少なくありません。

   受け取り方法が一時金と年金の両方の制度を持つ会社であれば、どう受け取るかを選択
   しなければなりません。

  □退職金を一時金で受け取る
   退職一時金を受け取ると、「退職所得」として課税の対象になります。

   所得税の速算表 (令和3年) 

   上記速算表より、
   課税される所得金額=課税所得金額(a)×税率(b)−控除額(c)

   住民税は一律10%の税率で課税されますが、税額を10%軽減する措置が講じられてい
   ます。

    <退職所得の計算>
     退職所得=(退職一時金の額−退職所得控除額)×1/2

     「退職所得控除額」は、勤続20年までは1年につき40万円(ただし80万円に満た
     ない場合は80万円)、勤続年数が20年を超える部分は1年につき70万円を差し
     引くことができます。

     勤続年数で1年未満の端数が生じた場合は1年に切り上げます。

     源泉徴収のための退職所得控除額の表(令和4年分)

     現行制度では、「退職所得控除」を差し引くことができることです。

     勤続年数が長いほど差し引ける金額が多くなり、結果的に課税の対象を少なくす
     ることができ、その結果所得税・住民税が小さくなります。

     退職一時金の額が退職所得控除額以下であれば、実質的に課税されません。

     超えた場合でもその1/2が課税の所得金額となる点です。
  
     ただし、この措置を受けるためには、退職一時金を支払う会社に「退職所得の受
     給に関する申告書」を提出しなければなりません。

     退職金に対する課税は他の所得と合算しない「分離課税」となっています。

     その年に受け取った給与や公的年金など他の所得と合算しないので、税率が高く
     なることはありません。

  □退職金を年金で受け取る  
   退職年金は雑所得となり、公的年金に準じるという考え方で、次の算式で計算します。

   公的年金等に係る雑所得の速算表より
     雑所得=(a)×(b)−(c)

                
   実質的に課税されない場合も、

   「公的年金等の収入金額」には、厚生年金・国民年金等の公的年金が合算される
   ことです。

    ○65歳未満の場合:公的年金と退職年金の合計額が70万円以下

    ○65歳以上の場合:公的年金と退職年金の合計額が120万円以下


   算出した雑所得からの控除

    ○基礎控除(38万円)

    ○社会保険料を負担していればその全額が社会保険料控除

    ○要件を満たせば ⇒ ・配偶者控除(38万円)
                     ・配偶者特別控除(3万円〜38万円)
                      ・生命保険料控除(最高5万円)
                          ・個人年金保険料控除(最高5万円)
                          ・地震保険料控除(最高5万円)等

                                 (カッコ内の金額はいずれも所得税ベースで現在のもの。)


   したがって、状況によっては、退職年金と公的年金の収入合計額がもっと大きくても、
   実質的に課税されない分岐点となる額は大きくなります。

   受取総額を考えるなら、一時金よりも年金として受け取ったほうが多くなりますが、
   経営環境が悪化したときのリスクを考える必要があります。
    (退職後も、在職していた会社の経営状況をチェックしなくてはならない)

   2009年に報道された某航空会社の事例がその代表的なものです。

   退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るかの選択肢は、税金等を差し引いた後の
   実質の手取り額や、受取総額の相違などの「損得の問題」は重要ですが、退職後の長期
   的ライフプランを立て、上手に受け取ることも視野に入れて考えるべきでしょう。 

 


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営業マンを活性化させる評価方法

         

営業マンを活性化させる評価

 

  人事考課と考課の際の留意点

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長期的な
   人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

   考課の際の留意点は、従業員へのフィードバックを行うルールを設けること、評価項目・
   基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視すること、昇格や昇給へきちんと
   反映させるルールを設けること、などがあげられます。

  □評価は従業員へのメッセージ

   評価をする理由は賃金や賞与、昇格などを決めるためだけではありません。

   評価には経営者から従業員に対する様々なメッセージが込められています。

   まず第一に、長期的に人材を育成しようと考えているケースでは、例えば、その従業員
   が保有している「能力」を評価項目に加え、評価の対象とすることにより、従業員の能力
   開発が期待できます。

   一方で、保有している能力も発揮されてしかも実績として数字に表れなければ意味が
   ないと考える場合は、評価項目を実績重視にし、「やったらやっただけの給料がもら
   える」「やらなかったら給料は少ない」、という成果主義になります。

   大切なことは、自社の経営方針や風土を活かしながら、能力評価や成果評価の項目を 
   バランスよく取り入れてゆくことです。

   このように、評価項目一つとっても、従業員に対する考え方、言い換えれば従業員への
   メッセージを込めていることになるのです。

  □評価結果のフィードバック

   どんなに素晴らしい評価制度を設けても、評価結果を営業マンに納得のいくように
   フィードバックしなければ評価する本来の意味が伝
   わりません。

   「自分がなぜこのような評価なのか」「私は相対的に
   評価が高いのか、低いのか」といった評価.jpg疑問をもつ従
   業員も少なくありません。

   評価結果とその理由、相対的な位置付け、今後の仕
   事の取り組み方や能力開発など、効果者がきちんと
   従業員に伝えて、初めて評価する意味が生まれるの
   です。

   なぜなら、評価結果後の従業員の次の活動と成長が
   今後の自社の成長につながるからです。

  ■業績評価の目的や考え方

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度
   を評価する「業績評価」と長期的な人材育成を目的と
   し、人物を評価する「人事考課」があります。

   「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる
   「定量的な結果」や、業務効率がどれだけ改善されたか、
   自社としての強みが確立されたか、などの「重点戦略の達成度」
   などを指します。

   一方、各人に課せられた使命に相応しい計画を策定し、それを実践の場で検証し、
   事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出したか、をチェックすることが
   「評価」です。

   業績評価とは、今を存続するための収益力確保や、将来の成長のために業務効率の改
   善や強みの確立などを展開してゆくための「マネジメントの仕組み」と言えます。

  □何を業績評価の項目とするか

   業績評価の項目は、職種によって異なります。

   営業マン個人の売上や粗利などが評価項目として広く使われています。

   チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても個人業績だけ
   でなく全社業績を加味することも必要です。

   また、このような全社業績と営業マン個人の業績が評価全体に占める割合などを検討す
   ることも必要になってきます。

   年度事業計画に示される予算の立て方についても前年度の実績をもとに慎重に設定
   する必要があります。

   なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るからです。

   重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標についても高い
   志があるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして年度末に実際にどれだけ遂行
   できたかといった「達成度」を評価します。


  ■営業マン活性化の評価とは

   営業管理者にとって、評価とは、たんに「できたか、できなかったか」という判断を下す
   だけではなく、それによって部下の努力の方向性を明確にするものでなければなりま
   せん。

   そして、評価が確実にモチベーションの向上、教育・育成の効果を上げるためには、
   次のような条件を満たす必要があります。 

  □あるべき姿が明確になっている

   ぶれない評価を行うためには、一般的な優秀な営業マンの姿ではなく、自社にとって
   あるべき営業マンの姿が明確になっていることが必要です。

   たとえば、「顧客第一主義」を経営理念としている会社においては、当然その理念に沿っ
   た形での営業マンの立ち居振る舞いが求められます。

   また、業種によって営業マンが保有しておくべき能力・知識などもさまざまです。

   つまり、全営業マンが自社のあるべき営業マンの姿を理解して、それにより早く近づくた
   めに努力しているという土壌があり、それがどの程度達成されているかを計る尺度が
   評価ということになります。

   評価基準作成の参考に評価シートを載せておきます。

  □役割に応じた目標が明確になっている

   あるべき営業マンの姿は共通していても、個々の営業マンの力量に応じて当面めざすべ
   き目標には違いがあります。

   新人営業マン、中堅営業マン、幹部の営業マンではその役割に応じた目標を達成してい
   かなければなりません。

   それぞれのクラスの営業マンが実際の営業活動に入る前に自分の目標をできるだけ
   鮮明にしておくことが大切です。

   そして、日々の活動を通じて目標の進捗度合いを確認し、それぞれの目標を上司と部下
   が共有して、上司は最終的な目標達成に向けて着実に指導していく営業管理の必要
   があります。

  □売上評価以外の「貢献」も評価

   営業マンの評価としてもっとも一般的に使われているのが、「売上」などの業績数値
   です。

   もちろんこれらの数値が一定期間における営業マンのパフォーマンスを計る重要な指標
   であることは間違いありません。

   ただし、営業マンに求められているのは最終的に数字を積み上げていくことだけでは
   ありません。

   たとえば、強引な営業でつねに高い売上を達成する営業マンがいるとします。

   彼は顧客ニーズや支払能力に対する配慮に欠けるところがあり、一度は売上が上が
   っても、「返品」や「クレーム」、「売掛金未回収」といったトラブルをよく起こしてい
   る、後輩の育成指導や新商品の提案など直接自分の成績にかかわらない活動は
   極力手を抜く、など広い視野でみれば会社にとって貢献度が低い社員です。

   彼に比べれば、目先の売上は上げられないにしろ、こつこつと見込客・新規顧客を
   増やし、確実にその信頼を得て、将来の受注構造を築いている営業マンのほうが余程
   会社にとって貢献度が高いはずです。

   ゆがんだ評価に陥らないためには、何をもって「成果」とするかについてできるだけ
   多面的に決めておくことが必要です。

  □成長度合いも評価する

   評価においては本人がどれだけ成長できたかを評価することも重要です。

   たとえば、顧客からの質問に十分に答えられなかった営業マンが、商品や業界について
   勉強して一人前に対応できるようになった場合などはその成長度合いも評価対象と
   します。

   逆に毎年平均以上の売上を達成している営業マンでも能力面の向上が認められなけ
   れば、その部分は評価しません。

   彼に対しては成長の余地がまだ十分に大きいことを理解させ、能力向上を促すことが求
   められます。

  □公平・公正な評価を行う

   上司は部下に対して自分の「好み」などによる悉意的な評価を絶対に避ける必要があり
   ます。

   「いくら頑張っても結局はあの人ばかりが評価される」というような雰囲気では、部下の
   やる気は高まりません。

   また、異なる部門で同様の成果を上げている営業マンについて、上司の違いによって
   評価に差が出ることも許されません。

   すべての営業管理者には統一した評価基準を正しく理解し、適切に運用することが求め
   られます。

  □その他の人事制度ともリンクさせる

   評価制度は賃金制度、職能資格制度、能力開発制度、人材配置など、その他の人事
   制度とリンクさせることで大きな意味をもちます。

   つまり、高い評価を得た人は昇給し、より重要なポジションに就き、さらなる成長に
   つなげていくといった構造が必要になります。

   ある時期に高評価を得た人が一時的に収入が増えるといったことだけでは評価制度の
   意義は半減します。


  ■評価項目の設定

   一般に人事評価制度の項目は次のような3つの要素から構成されます。

   営業マンの評価についても、これらの要素にしたがって自社に必要な評価項目を決定し
   ます。

   なお、前述のように売上などの業績面だけではなく、ほかの要素もバランスよく取り入
   れることが大切です。

  □人事評価における3つの要素

   1.業績評価

    業績評価とは、評価対象期間に業績面でどの程度貢献できたかを評価するもの
    です。

    具体的には次のような評価項目が考えられます。

    ○業績評価項目例

     ・売上額

     ・受注額

     ・粗利額

     ・売掛金回収額

     ・新規顧客開拓数 

     ・既存顧客満足度

   2.能力評価

    能力評価とは、どのような能力をどのような
    レベルで保有しているのかを評価するものです。

    具体的には次のような評価項目が考えられます。

    ○能力評価項目例

     ・業務知識

     ・専門技術

     ・問題解決力

     ・折衝力

     ・提案力

     ・企画力

     ・表現力

     ・スケジューリング力

    それぞれの評価項目にあらかじめ5段階程度の評価テーブルを設定しておきます。

    たとえば、業務知識については、次のような評価テーブルの例が考えられます。

    D社内のすべての部門における広範な業務知識を有している

    C複数部門の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    B自部門の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    A自分の担当する業務範囲内における広範な業務知識を有している

    @自分の担当する業務範囲内における日常的な業務遂行に必要な知識を有して
     いる

    このような評価テーブルに沿って、本人が現在どのような段階にあるのかを、項目ご
    とに評価します。

    なお、役職者については「リーダーシップカ」、「マネジメントカ」などの項目も評価
    し、役職の高さに応じてそれらの評価のウェートも上げていくのが通常です。


   3.情意評価

    情意評価とは、どのような姿勢で業務に取り組んでいるかを評価するものです。

    能力評価と同様にあらかじめ評価テーブルを定めておき、本人の現状に即して評価
    を定めていきます。

    なお、特に新入社員や若手社員に対しては、情意面の評価を重視することで、成長
    のための基礎を固めていくことが重要です。

    ○情意評価項目例

     ・規律遵守

     ・協調性

     ・積極性

     ・責任感

     ・成長意欲


  □効果的な評価ポイント

   1.営業計画策定段階から部下に関与させる

    営業活動は「計画を策定する」→「計画を実行する」→「実寮を評価する」といったプ
    ロセスで行われます。

    このうちの最初のプロセスである計画策定段階から部下を積極的に関与させ、計画
    値について部下自身が十分に納得していることが大切です。

    個人の営業計画については、上司がそれぞれの部下の能力などを考慮して、「ノル
    マ」として割り振っていることも多いでしょう。

    しかし、部下が自分の計画を「ノルマ」として認識している間は、「やらされ感」が
    強く、未達に終わった場合には「ノルマが高すぎた」という言い訳にもつながりかね
    ません。

    また、部下の成長を考えるうえでも、計画を一方的に与え続けるのは好ましいこと
    ではありません。

    いかに適切に計画策定を行うかということは、それ自体が重要な能力であり、部下
    には自分自身の計画を立てるだけではなく、将来的には組織全体の計画を立てる
    能力を身につけさせる必要があるからです。

    さらに、計画を部下が必ず達成することを約束する目標(約束目標)と、できるかど
    うかわからないが挑戦する目標(チャレンジ目標)の2段階で立てさせることも有効
    です。

    たとえば、月間の受注額について「約束目標400万円」、「チャレンジ目標600万
    円」といった設定ができます。

    なお、会社全体の受注計画を立てるときには、安全のために約束目標の合計を使
    います。

    そして、実際に活動してみて、約束目標はもちろんチャレンジ目標も達成できた場合、
    それは会社としては計画外のプラスなので、社員には特別な評価を与えるようにし
    ます。

    このように目標を2段階に設定することで、会社全体としての数値の見通しも立ちや
    すくなりますし、社員の挑戦意欲も引き出すことができます。

   2.定期的な評価を行う

    営業管理者は週次、月次などさまざまなタイミングで部下を評価し、改善指導や動
    機づけを行っていく必要があります。

    「必要に応じて評価を行う」というスタンスではなく、定期的な評価サイクルを設ける
    ことで、部下も評価を受けるための準備を行いやすくなります。

    たとえば、週次の評価では今週1週間の活動について、行動レベルまで評価します。

    顧客訪問に際してどのような準備をして、実際にどのような面談を行い、その結果営
    業ステップは狙い通りに向上したのかといった点まで踏み込んで評価します。

    さらに、部下にこれからの1週間のタイムテーブルを提出させ、適切な訪問計画が
    できているか、無駄な訪問がないか、社内での無駄な作業がないかということもチ
    ェックします。

    月次評価では今月の業績計画や能力(営業力)向上計画の進捗状況について総括
    します。

    さらに、それらの総括も踏まえた次月の計画について、最終的に年間計画を達成で
    きる水準になっているか、重点課題は明確になっているかなどを確認します。

   3.要因分析を部下自身に考えさせる

    評価を行う際には上司から一方的にコメントするのではなく、部下自身に達成・未
    達成の要因について考えさせることが大切です。

    目標が達成できたときにはその成功要因を、未達成だった場合はどのような問題が
    あったのか、また、その間題を解決するためには、どのような対策を講じるべきかを
    考えさせます。

    その際には、たとえば、(集客から顧客維持までの営業プロセス

     ・どうやって見込み客を見いだすか、客リストはどのように手に入れるか

     ・アポイントの電話はどのようにかけるのがよいか

     ・見込み客への効果的なアプローチには、具体的にどのような方法があるか

     ・見込み客に商品に対する関心を起こさせるプレゼンテーションとはどのよう
      なものか

     ・クロージングにこぎつけるための決め手は何か

    といった具体的な施策についてまで考えさせ、
    指導することが必要です。

   4.「褒める」、「叱る」の原則を意識する

    評価のなかでは目標を達成した部下に対し
    ては「褒める」、未達成の部下に対しては
    「叱る」ことも必要になるでしょう。

    その際つねに意識しておきたいのは「褒め
    る」、「叱る」ということは正反対の行為で
    はなく、どちらもその目的は「部下を正しい
    方向に導く」ことにあるということです。

    手放しで褒めることで慢心してしまう部下も
    いますし、厳しく叱り過ぎることで萎縮し、
    やる気を取り戻せなくなる部下もいます。

    上司には部下の性格や資質に応じた「褒め方」、「叱り方」が求められます。

    また、「褒める」、「叱る」の対象は、「部下そのもの」ではなく、あくまで部下がや
    った仕事の成果やプロセス、業務姿勢など「部下がやった行為」であることも忘
    れないことです。

    特に叱る場合は部下の人格そのものを否定するような言動は厳禁です。

    部下の行為のなかでどの部分が叱る対象となっているのかをはっきりと示す必要が
    あります。

 

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人事評価制度に関する意識調査

            

人事評価に「不満」4割


  日本経済新聞社とNTTコムオンラインマーケティング・ソリューションの NTT
  コムリサーチが共同で実施した人事評価制度に関する意識調査によると、評価制度に
  不満を感じているビジネスパーソンは4割弱だった。

  ここ10年で成果主義が広がり、人事評価制度を整備する企業が増えた。

  だが基準があいまいだったり、評価者の説明が不十分だったりと運営面に課題を
  残しているようだ。

  人事評価の仕組みについて聞いたところ、「不満」「どちらかというと不満」が
  37.8%と「満足」「どちらかというと満足」の19.0% を2倍近く上回った。

  一方で「どちらでもない」は43.3%だった。(中略)

  不満を感じている理由(3つまで回答可)のトップが「評価基準が明確に示されてい
  ない」(41.0%)。

  半数以上の人が評価結果のフィードバックを評価者から受けているものの、納得の
  いく説明がなされていないのが現状のようだ。

  「評価者の好き嫌いで評価される」(38.7%)、「評価者が直属の上司しかおらず、
  評価が一方的」(24.9%)も理由にあげた人が多かった。

  75.0%の人が課長・部長クラスの直属の上司が評価を決めていて、上司との相性
  が評価を左右することに不公平感があるようだ。

  自分の人事評価そのものについては「不満」「どちらかというと不満」と答えた人は
  33.7%となり、「満足」「どちらかというと満足」の22.9%を上回った。

  不満の理由は「評価基準が不明確」(67.0%)が最多。

  このほかに「自らが考える評価制度に比べて低い」「評価が恣意的で不公平」「評
  価に対し昇給が伴わない」といった不満の声が多かった。

  賃金制度を聞いたところ、成果主義が8割を占めた。

  行き過ぎた成果主義の失敗を反省し、企業は広い視野で従業員を評価しようと目
  標管理制度などを導入。

  だが運用する現場は十分な教育を受けておらず、機能していないことも少なくな
  い。

  人事評価で知りたい項目(3つまで回答可)については、「評価された実績や行動・
  態度」が66.4%と最も多かった。

  一方で「あまり評価されなかった理由」や「改善が必要な職務行動・役割意識」と
  いったマイナス面の評価理由ともに40%を超えた。

 

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