コンピテンシーマネジメント

                                  

コンピテンシーマネジメント

■人材マネジメント
 1.はじめに 
  今日のように企業を取り巻く環境が厳しく、なおかつ変化のスピードが激しい時代に
  おいては、過去の経験の蓄積だけでは変化に対応しきれるものでなく、また管理者
  個人の判断だけでは適切な決定を下しにくくなっています。
  押し付けのコントロールではなく、参加、参画させることによって部下にも関与させ、
  関心を持たせねばならないのです。

  企業は、法改正、規制緩和、同業他社の進出などの変化に適切かつ迅速に対応しなければ
  なりません。
  企業は“変化対応業”といわれます。

  現在のように環境変化のスピードが増している時代には、企業の変化対応力が強く問われる
  ことになります。
  急速な環境変化に対応するには、時には専門家のサポートを受けながら、組織全体が
  一丸になって取り組まなければなりません。 

  例えば顧客と直に接する営業部門では、かつてのような個々の担当者任せの体制では
  複雑・多様化する顧客ニーズに応えきれなくなってきています。
  中にはコンスタントに成果を上げる優秀な営業担当者もいるでしょう。
  しかし、ごく一部の営業担当者の力には限界があります。

  もし、その営業担当者が退職、転職してしまったとしたら、企業はその穴埋めに苦慮
  します。 
  そこで多くの企業では、営業担当者のほかに製造担当者などを加えた営業チームを組織
  して営業に臨むようになっています。

  また、従業員の営業活動支援も徹底されています。
  例えばカゴメでは、「カゴメディア」と呼ばれる営業活動支援のデータベースを構築して
  います。

  「カゴメディア」には、同社の商品情報(基本情報、料理レシピ)はもとより、生活者
  情報(消費動向など)などが蓄積されていて、関係者はいつでもそれを閲覧、活用する
  ことができます。
  また、「カゴメディア」は絶えず更新されるため、蓄積される情報は常に新鮮です。

 2.顧客志向で共有する 
  企業が急速な環境変化に対応するためには、組織力強化とともに“顧客志向”を徹底する
  ことが欠かせません。
  顧客志向とは、顧客の立場にたって商品製造、サービス提供をする姿勢です。
  顧客(消費者)は、できるだけ安くて良い品を探すことに余念がありません。

  また、価格や品質が同じ商品であっても、自分のことを本当に考えてくれる企業から購入
  したいと強く望んでいます。 
  こうした顧客のニーズに応えるために多くの企業が実践し始めているのが、いわゆる
  ソリューション営業(提案型営業)です。

  ソリューション営業とは、徹底した顧客情報の収集とその分析を通じて顧客が抱える
  課題を把握し、その課題を解決に導くべく自社製品を提案する顧客志向の営業手法です。
  家電メーカーの営業担当者や開発担当者は、顧客が求める冷蔵庫をイメージするために、
  デパートの食材売り場、調理器具売り場などを回って情報収集するといいます。

  そのうえで、人気の食材が収納しやすい冷蔵庫、新しい冷凍機能が付いた冷蔵庫を顧客に
  提案しているのです。 
  顧客志向のソリューション営業を実践するためには多大な時間と労力が必要です。

  しかし、顧客志向を徹底することができなければ、一層シビアになってきている顧客の
  支持を得ることはできません。
  今の企業には全社的にノウハウを共有し、顧客志向に徹した強固な組織力が求められて
  いるのです。

□コンピテンシーとは行動特性
 1.ナレッジ(知識)とコンピテンシー(行動特性) 
  組織力を強化するためには、個々の従業員が有する優れた知識やノウハウ、行動特性を
  共有することが早道です。
  これを実現できる共有型人材マネジメントの代表例が「ナレッジマネジメント」や
  「コンピテンシーマネジメント」です。 

  ナレッジマネジメントは、個々の従業員が有する知識(個人知)を分かりやすく整理し、
  組織全体が共有する知識(組織知)として活用していくモデルです。
  ナレッジマネジメントはITの普及とともに大企業で盛んに採用されるようになりました。
  前述の「カゴメディア」もその一例です。 

  ナレッジマネジメントと同様に、“共有すること”をキーワードとする人材マネジメントに
  コンピテンシーマネジメントがあります。
  コンピテンシーとは、コンスタントに高業績を上げる人材(ハイパフォーマー)の行動
  特性を示します。

  例えば、優秀な営業担当者とそれ以外では、対人関係構築力、顧客志向の強さなどが
  異なります。
  当然、優秀な営業担当者は対人関係がスムーズで、顧客志向で物事を判断することが
  できます。

  コンピテンシーマネジメントとは、高業績者の行動特性をコンピテンシーモデルとして
  分かりやすくまとめ、それを人材評価の指標にするとともに、企業全体で共有、活用する
  仕組みなのです。 

  ナレッジマネジメントとコンピテンシーマネジメントは別々の考え方ですが、ナレッジ
  マネジメントにおいて、ぜひとも共有したい要素の一つがコンピテンシーといえる
  でしょう。

 2.成果主義と結果主義の混同から始まった 
  コンピテンシーマネジメントは、「年功主義から成果主義へ」といった日本企業の人事
  制度改革とともに大きな注目を集めるようになりました。
  年功序列の人事制度改革が進んでいる細かな背景は省略しますが、分かりやすい例では
   ・従業員高齢化により、年功序列型賃金が増加している
   ・企業は、能力や成果によって企業への貢献度を図り、賃金を決定したいと考え
    ている
  といった問題があります。

  企業は業績と従業員の成果を反映した賃金処遇を可能とする人事制度を求めるようになり、
  その結果、成果主義が注目されるようになりました。 
  ところが、成果主義の人事制度を導入した企業で幾つかの問題が表面化しています。
  それは「成果と結果の混同」です。

  本来、成果主義の人事制度は、従業員の成果のみならずそれに至るまでのプロセスも
  評価対象とする仕組みであるべきです。
  にもかかわらず、ここ数年で成果主義の人事制度を導入した企業の中には、最終的な
  結果だけを評価の対象とする仕組みを作り上げてしまったところがあります。

  このような企業に、
   ・普段は高業績を上げるが、たまたま運が悪くて平均的な成績に終わったA氏
   ・普段は平均的だが、たまたま運が良くて高業績を上げたB氏
  がいた場合、B氏のほうが高い評価を受けてしまうこともあります。
  おそらくA氏はその評価結果に納得できないでしょう。

  また、「結果のみを評価する企業の姿勢」を従業員が怖がり始めると、従業員は簡単に
  達成できる目標を掲げるようになります。

 3.コンピテンシーが取り入れられた成果主義 
  成果主義の人事制度は今後も多くの企業で導入されていくでしょう。
  しかし、成果と結果を混同した不完全な成果主義では導入の意味がありません。
  これを避けるためには、最終的な結果だけでなく、成果に至る一連の流れを総合的に
  評価できる仕組みが欠かせません。

  それを実現できるのは、成果に達するまでの行動特性に注目したコンピテンシー
  マネジメントです。
  コンピテンシーマネジメントが有効に機能すると、これまでの成果主義の問題である
  「結果のみの評価体制」を改善することができます。

□コンピテンシーマネジメント導入前の確認
 1.コンピテンシーとは 
  コンピテンシーマネジメントでは、コンスタントに高業績を上げる人材の行動特性
  (以下「コンピテンシー」)を分析します。
  そして、コンピテンシーを体系的にまとめたものを「コンピテンシーモデル」と呼びます。 

  コンピテンシーは、コンピテンシーマネジメントを導入する企業の考え方や対象となる
  職種で大きく異なってきます。
  ここでは、多くの場合に当てはまるような中心的なコンピテンシーを紹介します。

 2.高業績者(ハイパフォーマー)は必ず存在する 
  中小企業の経営者の中には、「自社にはコンピテンシーマネジメントの対象となるような
  高業績者は存在しない」と考える人がいるかもしれません。
  しかし、これは大きな誤解かもしれません。

  社長自身や専門家と比較した時に見劣りすることはあっても、コンスタントに成績を
  残す従業員は存在するはずです。
  そうした人材こそが、その企業における高業績者といえるのです。

  もし、そうした人材すら見当たらないようであれば、社長自身のコンピテンシーを共有
  すればよいでしょう。
  これが本来のコンピテンシーマネジメントの在り方であるかは別の話ですが、社長の行動
  特性を従業員に理解させるきっかけとなることは確かです。

  これにより、自社は共通した価値観(バリュー)を持つようになり、それに基づく行動
  ・思考ができるようになります。

 3.コンピテンシーモデルの設計単位 
  コンピテンシーモデルの設計単位には次のようなものがあります。
  企業は、自社の職務内容、組織編成、業務分担を考慮したうえでコンピテンシーモデルの
  設計単位を決定します。

  ケースによって異なりますが、中小企業の場合には「職種単位」あるいは「人材単位」が
  適しているでしょう。
  「職務単位」で設計するほどの明確な役割分担がされているケースは少ないと考えられる
  からです。 

  一般的には、初めてコンピテンシーマネジメントを導入する企業は「職種単位」で
  コンピテンシーモデルを設計しています。
  内容が分かりやすく、メンテナンスも比較的容易といえるからです。

□ゼロベースから始めるコンピテンシーマネジメント導入
 1.企業が考える成果の明確化 
  コンピテンシーマネジメントのベースとなる高業績者のコンピテンシーを知るためには、
  「企業は何を成果と考えるのか」を明確に定義しなければなりません。
  成果が明確でなければ、それを達成するために必要なコンピテンシーも明らかにならない
  からです。

  また、ここでいう成果とは数字のみで表される成績ではなく、
   ・事業の社会的な意義(ミッション)
   ・企業が尊重する価値基準(バリュー)
   ・企業が望む将来像(ビジョン)
  といった考え方が加味されていなければなりません。

  例えば、高業績を上げたA氏とB氏の2人の営業担当者がいたとします。
  A氏は企業が持つ価値を常に意識しながら高業績を上げ、B氏は企業が持つ価値を全く
  無視して高業績を上げました。

  「高業績こそが成果」としてしまうと、企業(社会人)として正しくない行動をとって
  高業績を上げたかもしれないB氏のコンピテンシーをモデルにまとめかねません。
  企業として好ましくないB氏のコンピテンシーを全体で共有してしまったとしたら、
  企業が尊重する価値観は損なわれ、その存在意義すら危ぶまれることになります。

  コンピテンシーマネジメントの導入において、成果の定義は困難ではあるものの、
  非常に重要な作業なのです。
  この作業は企業経営者や個々の職種のリーダーが慎重に取り組むことが大切です。 
  その後は次のような手順でコンピテンシーマネジメントを導入していきます。

 2.高業績者の選出 
  成果が明確に定義された後には、その成果をコンスタントに達成している高業績者を
  選出します。
  そして、高業績者に対してインタビューを実施してコンピテンシーを探り、それを
  基にコンピテンシーモデルを設計します。

  高業績者は、一つの職種につき2〜3名選出されるのが通常です(職種単位でコンピ
  テンシーモデルを作成する場合)。
  選出のポイントは以下の通りです。

   ・属性(ポスト、勤続年数など)判断:年齢などに偏りのない選出が可能
   ・実績判断:過去の成果を基に選出が可能・経営者の意見:企業の価値基準に
    見合った選出が可能
   ・上司の意見:現場の声を反映した選出が可能

  また、高業績者1人のみを選出することは、個人的な生活背景などが過度に反映されて
  しまう恐れがあるため避けましょう。

 3.インタビューの実施 
  選出された高業績者のコンピテンシーを探るためのインタビューを実施します。
  インタビューは個人単位、グループ単位で行うことができますが、60〜90分程度を
  目安に個人単位で行うとよいでしょう。 

  また、インタビュアーは必ず2人以上とします。
  1人では、高業績者の話を客観的に判断できないからです。
  万全を期すために、インタビュー内容を録音することも効果的です。

  この場合、インタビュアーのうち1人が質問をし、もう1人は録音テープを補足できる
  ようなメモをとります。
  インタビューの際に使用するシートイメージの一例は次の通りです。

 4.日常業務の観察 
  先のインタビュー結果だけでコンピテンシーモデルを設計することは好ましくありません。
  例えば、インタビューを受ける高業績者は、現実とは異なる理想的な回答をするかも
  しれません。
  また、日常的に行っている業務について、その際の行動や思考を言葉で表現することは
  意外と難しいもので、インタビュー結果と現実には大きなギャップが存在することが
  少なくありません。 
  そこで、コンピテンシーマネジメントの導入担当者は、日常の業務風景を観察して
  インタビュー結果と現実のギャップを埋めていかなければなりません。
  また、業務観察の終了後に2〜3人のサンプル従業員を決定し、「その1日、何を考えて
  業務に励んでいたのか」「自分の業務遂行スタンスの中で特に工夫している点、人と
  違う点は何か」などをインタビューしてまとめます。

 5.暫定コンピテンシーモデルの設計 
  インタビューや日常業務の観察から収集した情報を分析してコンピテンシーモデルを
  設計します。
  この際、職種や人材によって必要となるコンピテンシーが異なる点に留意しましょう。
  例えば、営業担当者に適用されるコンピテンシーモデルには、「顧客志向」「他者理解」
  などが盛り込まれているべきです。
  一方、顧客とあまり接することのない経理担当者には「細部への注意力」「コンピューター
  スキル」などが求められます。 
  また、コンピテンシーモデルを設計する際は、長い表現や固有名詞は使用せず、適度に
  抽象化された一般的で分かりやすい語句を用いることが重要です。
  例えば、「A氏は、●●という事案について部下B氏の話を聞いた。B氏は、すべてを詳細に
  報告したわけではないがA氏は即座に本質を理解した」では長すぎます。
  このような場合は、「他者理解」のように簡潔に表現します。

 6.コンピテンシーモデルの修正と完成 
  暫定的なコンピテンシーモデルを設計した後は、企業経営者などがその内容を確認します。
  確認する内容は、「コンピテンシーモデルが、企業が定義した成果に対応したものである
  のか」「内容に矛盾が生じていないか」などです。 
  インタビューの対象となった高業績者にも暫定的なコンピテンシーモデルを確認して
  もらうとよいでしょう。
  優れたコンピテンシーであっても、それは特定の個人しか実践できないものである場合も
  あります。
  全体で共有するコンピテンシーとして不適切なものは排除します。 
  以上のようなステップを経て、コンピテンシーモデルを完成させます。
  その後は、完成したコンピテンシーモデルを人材評価の基準に組み込むとともに、
  なかなか成果が上がらない従業員にコンピテンシーモデルに沿って行動することを推奨
  します。

□コンピテンシー活用で何が実現するのか
 1.コンピテンシーを基軸とした人事戦略の展開 
  コンピテンシーマネジメントの導入によって、採用、配置、教育などの各場面でより
  整合性のとれた人事制度を展開することが可能となります。

  ◎採用 
   人材採用の最重要テーマは、「企業にとって必要な人材をいかに獲得するか」に
   つきます。
   面接の場でコンピテンシーモデルを活用すれば、応募者がその時点でどのような
   コンピテンシーを持っているのか、そのレベルはどの程度なのかなどを明確に
   することができます。
   営業担当者を採用するのであれば、「他者理解」や「顧客志向」の高い人材を
   選抜することができます。

  ◎配置 
   人材配置の基本は適材適所です。これまでは、企業は従業員に複数の職種を担当
   させるジョブローテーションで適所を発見していました。
   コンピテンシーモデルの活用で人材の行動特性を把握できていれば、おのずと
   最適な職種が発見できます。
   例えば、「細部への注意」に優れた人材であれば、経理が適しているかもしれ
   ません。

  ◎教育 
   中堅・中小企業における人材教育はOJTが基本です。OJTは臨場感の高い、より
   実践的な教育方法ですが、教育者となる先輩従業員が教育目標のすべてとなりがち
   です。
   コンピテンシーモデルを意識したOJTであれば、先輩従業員は自分以外にも
   高業績者のコンピテンシーを基準に教育することができます。

  ◎評価 
   日本企業の人事制度は年功主義から成果主義へと向かっています。
   しかし、成果主義の人事制度を導入する企業では、短期の成果のみを評価対象
   としたために発生した弊害に悩んでいます。
   コンピテンシーマネジメントでは、最終的な成果のみならず、それに至るまでの
   プロセスも評価します。
   より多角的な視点から人材評価を行うことが可能となるのです。

  ◎共有 
   高業績者の優れたコンピテンシーは、コンピテンシーモデルとして明確になって
   います。
   それを可能な限り全体で共有することで、従業員は成果を生み出すための正しい
   行動をとれるようになります。
   つまり、ナレッジマネジメントの一環として、コンピテンシーを共有するという
   ことです。

 2.共有に呪縛されるな 
  年功主義に基づく人事制度では、企業は数十年という長い期間をかけて従業員を育て
  上げてきました。
  しかし現在、企業にそのような余裕はありません。

  そこで、成果を評価対象とすることで従業員に刺激を与え、より高いモチベーションで
  業務に励む活性化された企業体質を目指すための取り組みが行われました。
  しかし、短絡的な成果主義は結果として失敗に陥ることになりました。

  年功主義から成果主義への過度な移行に労使が消化不良を起こし、成果と結果を混同
  してしまったのです。 
  そこで新たに注目されたのがコンピテンシーマネジメントです。

  高業績者の行動特性を分析、活用することで短期の業績向上を目指すとともに、それを
  評価対象に加えることで成果主義に関する過去の失敗を克服しようとしているのです。 
  コンピテンシーマネジメントは、年功主義から成果主義への移行を始めた日本企業に
  適した人材マネジメントのモデルといえます。

  実際、ソニー、ユニ・チャーム、アサヒビールなどで導入されています。 
  ただし、誤解してならないのは、コンピテンシーマネジメントも万能ではないことです。
  例えば、コンピテンシーモデルとなるのは、過去において実現された高業績者の行動
  ・思考特性です。

  現在のように企業を取り巻く環境変化が急速な状況下では、半年後にそれが通用する
  とは限りません。
  また、ナレッジマネジメントについても同様ですが、すべてをデータベース化して
  共有する必要はありません。

  大企業では何百、何千という情報をデータベースに構築し、そのメンテナンス専属の
  従業員を配置しています。
  中小企業がそこまで行う必要はないでしょう。 

  大切なのは、本当に必要なものだけを選択して共有することです。
  精緻なネットワークシステムは必ずしも必要ではありません。
  たとえ紙ベースでも、あるいは口頭であっても、価値あるものを分かち合うことを
  徹底すればよいのです。

□顧客志向が貫かれた組織を目指す 
 大企業では、顧客と日常的に接するのは営業担当者やクレーム処理部門など一部の従業員
 です。
 一方、営業、製造、人事、総務といった縦割り的な組織が明確でない中小企業では、
 どんな従業員も顧客と接する機会に恵まれています。

 中小企業の従業員の顧客志向は必然的に高いものとなるでしょう。
 とかく顧客志向は大企業で盛んにいわれていますが、実は顧客志向を全社徹底すべきは
 中小企業のほうであるともいえるのです。 

 それを実現するためには、企業経営者の意向を組織の隅々まで行きわたらせるとともに、
 顧客志向の高い従業員の行動・思考特性を全社的に共有することが大切です。
 そして、企業経営者の方針や顧客志向の高い従業員のコンピテンシーを全社的に徹底する
 手法のヒントがコンピテンシーマネジメントであるわけです。 

 コンピテンシーマネジメントは、成果主義の人事制度における新しい評価方法の一つ、
 あるいは企業(従業員)の強みを認識するためのモデルとしていわれることが多くあります。
 しかし、コンピテンシーマネジメントの可能性はそこにとどまりません。

 中小企業において重要なコンピテンシーが顧客志向であれば、顧客志向の強い従業員を
 高く評価すると同時に、その行動・思考特性を共有すればよいのです。 
 何も教科書通りにコンピテンシーマネジメントを導入する必要はありません。

 今一度社内を見回し、顧客志向の高い従業員の行動・思考特性を改めて全従業員が認識
 してみましょう。
 それが顧客志向の組織に成長していくための確実な第一歩となるのです。

経営の見える化

              

経営の見える化

  ■経営の見える化とは

   近年「経営の見える化」という言葉をよく耳にするようになりました。

   中小企業においても、この考え方を取り入れて全社一丸となった取り組みが推進されて
   いますが、十分な成果につながっていないケースも多いようです。

   ここでは、「経営の見える化」を自社経営にいかすためのポイントについて紹介します。

   1.単純な情報公開は逆効果になる

    見える化とは、その言葉通りに解釈すれば、それまで見えなかった、あるいは見え
    にくかった情報を誰が見ても分かるようにすることです。

    中小企業では、経営陣と社員、あるいは社員間の関係が密接であり、つねに誰が何を
    しているか様子をうかがうことができるため、すでに相互理解ができている、つまり
    見える化ができていると考えがちです。

    しかし実際には、経営者から社員に対してビジョンや方針が十分に伝わっていないこと
    は多いものです。

    ビジョンや方針は社長の頭の中だけにあり、社員は指示に従うだけ、というケースも
    あるでしょう。

    また、社員同士も自分の目先の業務遂行に注力するあまり、全社の動向やぼかの
    メンバーの様子に関心を寄せる余裕がないという事態もみられます。

    このような状況を解決するために、情報システムを使って積極的に情報を公開している
    会社もあります。

    しかし、単純にシステムを導入するだけでは、「見ようと思えばいつでも見られる」との
    安心感がアダになり、逆に以前よりも状況の認識や問題の発見が遅れることもあり得る
    のです。

   2.見える化と可視化

    見える化の本当の意味を考えるために、見える化と、いわゆる「経営の可視化」との
    比較をしてみましょう。

    経営の可視化とは会社にとって都合のよいこと悪いことの区別なく、すべての情報を
    オープンにして誰もが目にすることができる状態にしておくことです。

    そのおもな目的は情報を公開することそのものにあると認識されていることが多い
    ようです。

    一方、見える化の目的はあくまで「経営上の問題を解決する」ことにあります。

    見える化された指標は、経営者と全社員が一丸となって問題解決していくための共通の
    指針やモノサシにならなければなりません。

    また、可視化はできるだけ多くの情報を公開することに主眼が置かれているため、「手の内
    は全部明かすから見たい人は勝手に見てね」というのが基本的なスタンスです。

    これに対し見える化では、情報を相手に確実に理解してもらうために、公開すべき情報の
    吟味、分かりやすい見せ方の工夫などがなされていなければなりません。

    つまり、ガラス張り化が会社から社員に対する一方的な働きかけの側面が強いのに
    対して、見える化では問題解決という共通の目的に向かった相互理解が要求される
    のです。

    また、見える化では、可視化だけでは見えにくい情報についても、問題解決に必要と
    思われれば、何とか工夫して見えるようにすることが求められます。

    このように見える化の本当の意義は、

     システムなどで情報を羅列的に見えるようにするだけではなく、
     共有すべき情報が体系的に整理されており、社員がその情報を
     自立的かつタイムリーに入手し、自らの問題解決に活用すること

    にあるのです。

   3.社長にとっての見える化

    社長にとっての見える化の最大の目的は、自らの意思決定の精度を上げることに
    あります。

    たとえば、パイロットが飛行機を操縦する際には、飛行に必要なさまざまな情報が計器に
    よって正確に表示されていなければなりません。

    いかにベテランパイロットといえども、経験や勘だけに頼ることなく計器によって自機の
    状態をつねに把握しておくことが求められます。

    社長が会社を導いていくこともこれに似ています。

    見える化された指標は飛行機に設置された計器と同じです。

    最終的な意思決定は社長自身が行うことには変わりありませんが、見える化された指標
    を活用することで飛行の安全性・効率性を高めることができます。

    社長はこれらの経営上の重要指標を見極めて、つねに把握しておかなければなりません。

    ところで会社のなかでもっとも見える化が進んでいない人は誰でしょうか。

    それは残念ながら社長自身であることが多いのです。

    社員たちは程度の差こそあれ「うちの社長は何を考えているのかよく分からない」と
    感じているものです。

    これは社長と社員の立場の違い、仕事の幅の違い、知識や経験の違いなどからくる
    もので、ある意味仕方のないことです。

    しかし、だからこそ社長は全社の見える化推進にあたって、まずは自分自身の考えや
    想いを社員たちにできるだけ理解してもらう必要があるのです。

    社長が社員に対して見える化すべきもっとも重要なことは、「会社はどこへ向かっている
    のか」(経営理念など)、「そのために何をすべきか」(中期経営計画など)について、
    社長自身がどのように考え、どのような「想い」をもっているのかということです。

    社員にとって肝心のこの部分がよく分からないと、どのように見える化を行っていけば
    よいのかが分かりませんし、見える化実現のためのやる気もわいてきません。

  □見える化実現によるメリット

   経営の見える化は社長だけではなく、一般社員も含めた会社全体に大きなメリットを
   もたらします。

   おもなメリットを整理すると次のようになります。

   1.ビジョンや経営戦略に対する社員の理解が深まる

    会社全体のビジョンや経営戦略について明確化し、それを社員にきちんと提示できて
    いる会社は多くありません。

    また、仮にそれができていたとしても、社員がそれを自分のものとして積極的に理解
    しようとする動機付けができておらず、結果として浸透していないといったこともある
    でしょう。

    見える化が実現すれば会社全体の姿がつねに共有され、かつ社員の経営参画意識も
    高まるため、ビジョンや経営戦略への理解が深まります。

    また、採用時に会社が必要とする人材を伝えやすくなるため、それに共感できる人材を
    獲得しやすいというメリットもあります。

   2.ビジョン、戦略、戦術、運営に一貫性をもたせることができる

    見える化によって全社員が共通の判断基準・行動基準をもつことで、ビジョンを戦略、
    戦術、運営のレベルまで正しくブレイクダウンすることが可能になります。

    経営幹部から一般社員までそれぞれの立場に応じて「自分は何を目標とすべきか」、
    「そのために何をすべきか」が明らかにになり一貫性をもった取り組みが可能になる
    のです。

   3.一枚岩の組織をつくることができる

    見える化によってビジョンや戦略を社員が共有することで、全員の力で何とかしてそれを
    達成したいという一体感が生まれます。

    自分自身の目標達成はもちろんのこと、ほかの部門やメンバーの目標も共有することで、
    未達部門や未達メンバーのフォローも積極的に行おうとする姿勢も期待できるでしょう。

    私たちは人の頭の中をのぞくことはできません。

    したがって相手が何を考えているのかは、その人の言動から推測する以外ありません。

    しかし、同じ職場で働く人間として、少なくとも仕事に関して相手がどのように感じている
    かはできるだけ深く知っておきたいところです。

    相互理解が進んでいない集団では全社一丸となった取り組みなど期待できません。

   4.現場の変化に即応したスピーディーな意思決定をおこなうことができる

    社長は定期的な会議や報告書などによって会社の状況を把握していることが普通です。

    しかし、そこで入手しているのは「売上・利益」などのすでに結果として現れている業績
    情報が中心であり、たとえば、「取引先の満足度低下」などの経営悪化の予兆ともいえる
    情報は見過ごされがちです。

    見える化によって各部門の業務内容や課題に応じた指標をあらかじめ設定し、それが
    社長のもとに集約されていれば、社長はその変化に応じて問題が深刻化する前に
    スピーディーな意思決定を行うことができます。

   5.個人のノウハウが組織のノウハウとして蓄積される

    社員は日々の業務を通じてさまざまなノウハウを獲得していきます。

    そして、通常そのノウハウは個人に蓄積されていくだけで、部門全体には十分にフィード
    バックされません。

    ごく基本的な業務の段取りやよくあるクレーム対応などについてはマニュアル化されて
    いることもありますが、マニュアル化は大変手間がかかる業務です。

    また、現場は日々変化していますから、1年前のマニュアルはもう使えないということも
    あります。

    見える化によって全社員の日々の活動内容を共有することによって、日報などの報告書
    自体を組織のノウハウとしてマニュアル化し、さらに日々更新していくことが可能になり
    ます。
  
   6.より多面的な視点でのトラブル回避が可能になる

    業務のなかで問題が生じた場合、部下は上司にそのことを報告します。

    しかし、部下自身は「この程度は問題ない」と認識していても、上司の感覚では「これは
    まずい」と感じることはよくあります。

    また、部下はできるだけ悪い報告はしたくないと考えていることもあるので、このギャップ
    は起こって当然なのです。

    見える化によって活動内容のポイントが確実に上司に伝わるようになれば、上司は
    トラブルの予兆を感じ取って未然に手を打つことができます。

    さらに部門を超えた情報共有を行うことで、たとえば、営業マンの日報を読んだ経理部長
    が、「この会社の信用状況は大丈夫か」といった視点での指摘を行うことも可能に
    なります。

   7.内部統制・コンプライアンスが強化される

    見える化とは「やるべきこと」、「今やっていること」を明らかにすると同時に、「やっ
    てはいけないこと」を明らかにすることでもあります。

    明らかに法令に反することをやってはいけないのは当然ですが、白か黒か個々の社員
    レベルでは判断しにくいグレーゾーンもあります。

    また、それぞれの会社の経営方針によって、「法令違反ではないが、自社ではこのような
    ことはやってはいけない」ということもたくさんあるでしょう。

    会社としてはこの部分に関するスタンスをはっきりさせておくことも重要でしょう。

    たとえば、自社の経営理念に反するような行動は許されるはずがありません。

    見える化によって「自社としてやってはいけないこと」と、社員が実際に「今やっている
    こと」を明らかにすることによって内部統制・コンプライアンスの強化につながります。

   8.公正・公平な評価につながる

    多くの会社では成果主義の人事考課制度が導入されており、評価項目として受注額や
    売上高など最終的な成果指標が取り入れられています。

    これらの指標は客観的であり合理的なように思えますが、成果指標による評価だけでは、
    社員の地道な努力や他者への貢献など見えにくい部分は考慮されません。

    営業部門などにおいては顧客に恵まれたかどうかの「運」に左右される部分も大きい
    でしょう。

    また、そもそも間接部門などでは客観的な成果指標を設定しにくい場合もあります。

    その結果、成果主義の導入を進めれば進めるほど社員の不満が高まることもあります。

    見える化によって、あらかじめ「何をもって成果とするか」を明らかにしておき、最終的
    な成果指標だけではなく、見えにくい部分も積極的に評価することで、評価に対する
    公正感・公平感が高まります。

   9.取引先などの外部からの信頼を得られる

    見える化の範囲は社内だけにとどまりません。

    機密事項などの一部の情報を除いて、会社に今何が起こっているかをできるだけ包み
    隠さず分かりやすく公開することで、外部からの信頼を得やすくなります。

    また、自社の見える化を進めて外部からの信頼を得ることによって、逆に外部からの
    情報も入手が容易になり相互理解が深まるという効果も期待できます。

  □見える化への3つのステップ

   では、見える化実現のためには何から始めればよいのでしょうか。

   すでに述べたように見える化の本当の意義は「共有すべき情報が体系的に整理されて
   おり、社員がその情報を自立的かつタイムリーに入手し、自らの問題解決に活用すること」
   にあります。

   このように見える化とは大変広い意味であるため、見える化への取り組みや定義は企業
   によってさまざまです。

   ここでは、見える化を3つのステップに分けて、それぞれのポイントとおもな要件を紹介して
   いきます。

   1.第一ステップ

    「ビジョン」・「戦略」・「ルール」の見える化

    社長が社員に対して「ことあるごとに目標や組織のあり方を伝えている」つもりでいても、
    社員によって受け止め方が違っていたり、それが会社のビジョンに基づくものであると
    理解されていないようでは、見える化されているとはいえません。

    見える化において、重要なのは「めざすべきビジョンが示され、ビジョン実現のための
    戦略・ルールが共有できていること」にあります。

    スポーツ同様、経営においても同じルールがあってこそ、めざすべき目標に向かって
    何をすべきかが伝わるようになるのです。

    <「ビジョンやルールの見える化」のためのおもな要件>

     ・会社のあるべき姿、経営ビジョンなどが明文化されている

     ・社員の行動指針があり、会社として「やるべきこと」、「やってはいけないこと」
      が示されている

     ・ビジョンに基づいた中期計画、年度計画が策定され、かつ公開されている

     ・3年先の自社の中期目標について、その骨子部分は全社員が深く理解して
      いる

     ・社長は少なくとも月に1回は自分の言葉で社員にビジョンや戦略について
      語っている

     ・経営幹部陣はビジョンや戦略について社長とほぼ同レベルで理解している

   2.第二ステップ

    「問題」と「課題」の見える化

    見える化の次のステップは、現在自社に起こっている「問題」を把握したうえで、
    「では何をすべきか」という「課題」が明らかになっている段階です。

    活力ある企業体であるためには、「問題」(あるべき姿と現実のギャップ)の把握と 
    「課題」(ギャップ解消のための施策)の設定を全社員が自立的に行っていく必要が
    あります。

    たとえば、自社商品の既存顧客からの注文が減少している場合、「既存顧客への営業
    強化」、「新規顧客の開拓」、「新商品の開発」などのさまざまな課題が考えられます。

    また、問題をさらに掘り下げると「社員のモチベーション向上」などにも力を入れる必要が
    あるかもしれません。

    これらに優先順位をつけ、特定の課題に絞り込んだり、複数の課題を組み合わせたり
    して、「今何をするべきか」を明らかにするのが、見える化の第二ステップです。

    なお、問題には「誰の目にも見えやすい情報」だけではなく、「注意しなければ見えにくい
    情報」、さらには「見えないように隠されている情報」などもあります。

    解決すべき問題を漏れなく取り上げることが必要です。

    <「問題と課題の見える化」のためのおもな要件>

     ・社長は全社の状態把握のために必要なさまざまな経営指標を入手し、経営
      判断に活用している

     ・全社や各部門にとって何が問題かについての定義が明らかになっている

     ・問題が起こったときには要因分析などで再発防止策を徹底している

     ・社長、経営幹部、部門長など役職に応じた裁量範囲が明文化されている

     ・部門目標、チーム目標、個人目標が明確になっており、全メンバーが共有
      している

     ・部門長は他部門の業績状況を把握し、必要に応じて提言を行っている

   3.第三ステップ

    「進捗管理」の見える化

    見える化の第三ステップは第二ステップで設定した「今すべきこと」について、実際に
    どの程度取り組みが進んでいるかを把握し、必要に応じて新たな手が打てるようにする
    こと、つまり進捗管理ができている状態です。

    たとえば、「既存顧客への営業強化」というテーマに対しては、実際にどのような取り組み
    を行っていくのか、また、どのような状態になったら目標を達成したことになるのかに
    ついて明確にします。

    具体的に営業マンの訪問回数や最終的な注文額などの管理指標を設定し進捗を管理
    していくのです。

    <「進捗状況の見える化」のためのおもな要件>

     ・ビジョン・戦略に基づく重点分野について具体的な管理指標があり進捗
      管理されている

     ・数値計画の進捗状況は少なくとも週次単位で集計され、幹部陣で共有
      されている

     ・経営会議、部門会議など会議体系が整理されており、適切に運用されている

     ・報告・連絡・相談の基準が明確になっており適切に運用されている

     ・部門長はメンバーの定期報告から行動結果だけではなくプロセスを読み
      取っている

     ・メンバー全員のスケジュールが共有されている

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全員参加型経営のためのPDCAサイクル

          

全員参加型経営のためのPDCAサイクル

  ■全員参加型経営はPDCAサイクルで進める

   全員参加型経営を定着させるためには、会社の基本的なマネジメントサイクルで
   ある、「計画(plan)」⇒「実行(do)」⇒「評価(check)」⇒「改善(action)」に
   沿った取り組みが必要になります。

   DCAサイクルとは、まず目標を設定して、それを実現するため計画を設計する、
   計画を実施し、その達成状況を確認・分析する、そして、分析結果を次回の計画
   策定や実行プロセスの改善にいかしていこうという一連のステップのことです。

   1.計画(Plan)

     全員参加型経営はめざすべき姿を全社員でつくり上げていくことから始まる。

     社長や上司が一方的に計画を提示するのではなく、計画策定プロセスから全
     社員を参加させることが大切です。

     社員は自分自身でつくった計画だからこそ、「やらされ感」ではなく、「ワクワク
     感」をもってその実現に向けて自発的な努力を行うのです。

     中期経営計画事業計画を策定する場合には、社長や幹部陣で骨子の素案
     を検討した後、それをできるだけ早い段階で社員に公表します。

     その際には「意見がある人はどうぞ」という一方的な投げ掛けではなく、希望
     者が全員参加できる骨子検討会を開催するなど、社員が骨子の理解を深め、
     意見を述べやすい環境をつくることが必要です。

     骨子検討会では、「自社のめざすべき姿」、「現状分析」、「現状とめざすべき
     姿のギャップ」、「ギャップ解消策」などを徹底的に議論し、より深いレベルでの
     認識共有を図ります。

     可能であれば合宿形式で行うことで心理的結束も一層強めることができます。

     骨子検討会は小規模の会社であれば、一般社員も含めて一堂に会して行う
     のが望ましいですが、それが不可能な場合でも、少なくとも部門長クラスは参
     加必須とすべきでしょう。

     個々の社員レベルの計画を策定する場合にも、部門長がノルマを押しつける
     ような目標数字の割り振りではなく、一人ひとりが自らの目標を設定し、それに
     よって全社にどのような貢献をしていくのかを考えさせることが大切です。

   2.実行(Do)

     計画を実行していく段階では、「自己責任の全う」、「他者への積極的関与」、
     「適切な権限委譲」について特に留意します。

     (1)自己責任の全う

       会社全体を強くしていくためには、一人ひとりの社員が自分に与えられた
       役割を正しく認識し、それぞれが「自己責任を全う」することが前提となる。

       まずは自分のやるべきことをやったうえで、会社全体のことも考えていこう
       というスタンスです。

       能力不足などで自己責任を十分に果たせていない場合には、自己研鑽に
       努めなければなりません。

       それができない社員は全員参加型経営のメンバーとしての資格はない。

     (2)他者への積極的関与

       自己責任を果たすだけではなく、ほかの社員の業務内容や立場を理解し
       て、自らが積極的に関与する姿勢も大切です。

       困っているメンバーを助けられないか」、「部門全体の業務改善のために自
       分ができることはないか」などつねに周囲への関心をもち続けなければなり
       ません。

     (3)適切な権限委譲

       社員に責任を求めるためには、それに見合った権限委譲も必要です。

       役職に応じた適切な権限委譲を行うことで、社員の自立心は高まり、より高
       い次元での問題意識をもてるようになります。

       また、裁量の範囲内では自分の判断で臨機応変な対応が可能になり、経
       営のスピードもアップします。

   3.評価(Check)

     社員は自分自身の役割について、十分に遂行できたかどうかを全社的な見地
     から確認します。

     また、自部門全体の計画、他部門の計画、全社計画などの達成状況について
     も自ら情報を入手し、理解する必要があります。

     全員参加でつくった計画ですから、その達成状況の評価も全員で行うのです。

     全社計画が未達成だった場合には、幹部社員から一般社員まで全員がその
     原因を分析します。

     そうすることで、さまざまな立場・経験からの解決策検申が可能になります。

     そのためには、計画の達成状況に関する情報をできるだけわかりやすい形
     で、全社員に公開することが必要です。

     たとえば、「月次単位の売上・利益のデータ(会社全体および部門別)」、「全社
     的な重点取り組み課題に関する進捗状況」、「それらに対する社長や担当部
     門長のコメント」などを公開することなどが考えられます。

     社員はこれらの情報を入手し、分析することで、当事者意識をもって全社の経
     営改善に向けた提言を行うことができます。

     そして、社長や部門長は、たとえ自分にとって「耳が痛い」提言であっても、社
     員の声に積極的に耳を傾ける姿勢が求められます。

   4.改善(Action)

     全社員で行った評価を次回の計画策定や実行プロセスの改善にいかします。

     中期経営計画や事業計画を新たに策定したり修正を加える際には、ステップ1
     の「計画(plan)」と同様の手順で、全社員で再び議論して合意形成を行いな
     がら進めていきます。

     また、個々の業務の実行プロセスについて明らかになった改善点について
     は、できるだけ業務レベルにまで落とし込んだうえで、ルール化・マニュアル化
     して社員にその徹底を求めます。

     さらに、全員参加型経営の仕組みについての改善も必要です。

     社長は、全員参加型経営が狙い通りの成果を生んでいるか」、「社内全体に
     しっかりと定着しているか」、「進め方に関して改善すべき点はないか」などを
     総括して、さらなる社員の意識・行動改革につなげていきます。

     社長自身が「全員参加型経営実現のために自分はこう変わる」と宣言した項
     目についても、真筆な姿勢で振り返りを行い、新たな決意を表明することも必 
     要でしょう。

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経営は全社一丸

          

 経営は全社一丸

  ■総力戦の時代

   社長であれば誰もが「社員が一丸となった全社一丸経営を実現したい」と考えている
   でしょう。

   少数精鋭で勝負している中小企業にとって、社員の一人ひとりの能力を最大限に引き
   出し、目標達成に向けて力を結束することは最重要課題といえます。

   現有資産を最大限に活かすことが中小企業の生き残り勝ち残り策なのです。

   経営理念や各種の経営計画策定、計画の遂行、社内ルールの遵守など社内のすべての

   業務プロセスについて、全社員の知恵・能力・努力を結集していこうという経営
   スタイルです。

   全社一丸経営では、社員は全社方針や部門方針などを十分に理解・納得し、自分に

   できることは何かを自発的に考えて行動します。

   営業には三層営業という言葉がある。

   既存客であれ、見込み客であれ営業担当だけに任せておくと情報の量、質が担当
   レベルにとどまり、本来、取れるべき受注がとれなかったり、ライバルにシェアを奪わ
   れたりしてしまう。

   特に上位の顧客、得意先がそうなると業績に与える影響が極めて大きなものになっ

   てしまいます。

   そのためにここぞという時に上司の部課長が訪問し、とどめの一発に社長も訪問して
   受注を確実なものにしてしまうのです。

   これが三層営業で多くの企業でとりいれられていた。

   しかし、最近の厳しい環境下、顧客のニーズが極めてシビアになり、縦の三層でなく、
   横の部門の専門家が揃って顧客ニーズを解決してゆくチーム営業やプロジェクト営業
   の時代となった、総力戦の時代です。

  □全社的対応が必要なコスト競争環境
   このような厳しい経営環境時に、従来のように部門別発想で対策を考えていては顧客
   ニーズに到底応えられない。

   会社がなぜ変われないのか、それは部門意識であり、保身本能が組織の壁を越えて
   対策を考えていこうという、真剣かつ謙虚な行動を起こさせなかったからに過ぎない
   のです。

  □理念、方針を明確にし、組織の一体化(ベクトルの一致)を図る
   大企業であれ、中小企業であれ、ただ人が集まった集団ではまさに「烏合の衆」に
   他ならない。

   全社員のベクトルが一致せず、反対をむいた人間がいるとマイナスになってしまう。

   会社というのはトップの考えを幹部、社員が理解し、実践し実現してゆこうとする運命

   共同体です。

   したがって社長のやるべき仕事は次の通りであり、それを通じて社員のベクトル(力)
   をひとつの方向に集約させることが大事なのです。

   すなわち
    @方針を明確にし、
    A社員を迷わせない
    B組織をつくり
    C社員を正しく評価し適材配置を行なう
    D計画をつくり
    Eタイムリーに軌道修正する仕組みをつくり
    F部門間調整しながら
    G社員を教育する。

   この基本を確実にまわすことである。

   たとえば「わが社はCS(顧客満足)経営を通じて地域ナンバーワンの○○業となる」と

   いうトップ方針を出したとするなら、そのためにどう考え、行動するのかという考え方、
   行動の基準を明確にしないと絵に描いた餅となり成果につながらない。

   顧客クレームは顧客の生の声、最重要処理事項であり、これをないがしろにする社員

   はわが社の社員ではない。

   具体的にはこうするんだと明確にし、徹底しないと一味ちがうオンリーワンの会社には
   なれない。

   しかしどんなにすばらしい仕組みをつくっても、動かすのは社員である人です。

   Gの社員教育ができていなければ仕組み自体が画餅に帰してしまう。

   しかし、その社内の教育が問題を抱えています。

   厚生労働省「能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が「人材育成に
   問題がある」と回答しています。

   中小企業の多に見られる場当たりで無計画な教育の横行です。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。 

   
  □方針徹底のためのコミュニケーションパイプ
   トップの考えを末端まで徹底するための手段であるコミュニケーションパイプ。

   たとえば、経営方針発表会、経営会議、営業会議、朝礼、終礼、社内報、親睦会、
   社内旅行、社内研修会、代理店会議などをいう。

   ある中小企業は、全員で方針書をつくりあげ、毎年、社員が項目別にブラッシュアッ

   プし、見事なCSマニュアル、業績向上ツールに仕上げている。

   中途採用社員が入社してきたら、まずはこの方針書を写させ、頭に叩き込ませる。

   そして毎日の朝礼で1項目づつ確認しあい、習慣化するまで反復訓練していく。

   さらには月1回の方針徹底会議であらためて年度方針、部門方針の実施状況を確認
   します。

   この方針の実施度が部門や個人の考課項目になっており、社員の最大価値基準と

   なっているのです。

   ここまでしないと方針は徹底しないものです。

  □部門の壁を取り除き、複合チームで案件に対応
   1.案件対策会議の型決め
     営業対策にしろ、開発、コストダウン対策にしろ、さらには社風刷新対策にしろ
     組織横断的にメンバーを編成した案件対策会議を型決めし、全社的に案件対
     応し、失注とかタイミングロスにつながらないようにする。

   2.見込み情報検討会議
     参加者…社長、営業担当役員、営業メンバー、設計課長、資材課長、製造課
           長、総務課長

     (1)開会宣言
     (2)前回議事録チェック
     (3)トップコメント
     (4)業績先行管理から見た現状目標差額の確認(真の目標は3カ月累計目標
       差額)
     (5)差額対策とランク別見込み情報確認
       担当からの状況報告。それにもとづくチーム営業対策の明確化
     (6)決定事項確認
     (7)閉会宣言

  □第一線担当の情報感度レベルアップとトップの現場掌握によるクイック対応
   1.第一線担当の感度レベルアップ
     チーム営業対策を明確にするためには、顧客と接点を持っている営業担当や
     売り場担当者の顧客ニーズ探知力や、受注のためのキーファクターが何であ
     るかの分析力が問われる。

     第一線担当の感度が鈍いとなぜ受注が取れないのか、売上げが伸びないの

     か、根本問題を押さえない会議の繰り返しになる。

     そこで前述の三層営業で、まずはトップ、幹部の現場掌握が必要となり、会う
     べき相手を変えたり、視点を変えることで、根本問題を明らかにする。

     そうすることにより真の購買決定者は誰であるのかとか真のライバルはどこで

     あるのか、 その上で勝つためのチームを再編して早期にクロージングにもっ
     ていく対策に取り組む。

   2.顧客の声をあるがままに掴み、会議の場に吸上げる
     たとえば小売の店頭において、来店客に聞かれた事や、なにげないつぶやき
     から顧客のニーズを掴み、品揃えやサービス政策に反映させる必要がある
     が、担当者の意識レベルが低かったり、顧客の声を引き出す方針や仕組みが
     ないと、業績アップのための声を聞き逃したり無視・放置等されてしまう。

     従って顧客のあるがままの声を即、手帳などに控えさせる仕組みにし、終礼な

     どで確認するようにし、即、改善指示をトップが出すことによりクイックレスポン
     スで顧客ニーズに対応する組織体質を作り上げることが重要である。

  業績先行管理の仕組みづくり(全社員に目標差額意識を持たせる)
   1.全員経営にもっていくための管理レベルのアップを図る
     管理レベルや社員の業績意識、改善意識のレベルをチェックするには「あなた
     の今月の実績はどうですか」と質問してみることです。

     「だいたい○○です」とか「パソコンのデータを見れば分かりますが‥」と回答す
     るようでは落第。

     さらに事務担当者にも質問してまったく数値を意識していないようでは問題外。

     営業が外で奮闘しているのに社内の事務担当者がいい加減な顧客対応をし
     て、顧客を怒らせ商談がふいになるといったケースはよくある。

     「昨日までの実績は累計粗利でいくらです。対目標何%、昨対何%、何日遅れ

     です。今月の目標を達成するには日割り目標はいくらです。そのための今日
     の行動計画は・・・」と営業担当が即答すれば管理レベル、業績意識レベルは
     合格点である。

   2.業績先行管理の仕組みづくり(全社員に目標差額意識を植え付けさせる)

     今月の業績は3カ月前に打った手の結果であり、今月の行動が3カ月後の実
     績に反映される。

     従って、目標とは今月の当初計画目標ではなく、3カ月先の累計目標から先月
     までの累計実績を差し引き、これから3カ月の当選確実の実績読みを引いた
     もの(3カ月累計目標差額)と捉えることが業績先行管理です。

     その差額目標を個人別に割り振り、今月の差額対策行動に具体化させるのです。

     すなわち3カ月先の累計目標を達成するために今月何をすべきか、種まきは、
     根回しは、刈り取り活動はと行動計画に落とし込ませるのである。

  □朝礼を全社リズム作りの場、人づくりの場として見直す
   朝礼の狙い、本質はやる気作りの場、方針徹底の場、成功情報共有の場、教育
   の場、今日の行動の狙い、やり方を定める場である。

   この狙いに合致していない朝礼はまさに、1日のスタートをだらけさせる場であり、
   即刻改善が必要です。

   朝礼には必ずトップ、幹部が参画し全員経営を推進するリーダーシップを発揮し

   なければならない。

   徹底すべきことは、
    1.今、何が大事か常に明示し、明確な方向性をしめす
      最大かつ最重要な判断基準は経営理念であり、年度経営方針であり、さら
      には具体的な数値目標であり、今月目標差額数値である。

      毎朝、部門別、担当別の差額を確認し、今日の日割り目標を確認徹底する。

    2.決めたことを守り、守らせる社風をつくる

      経営は理論ではなく実行であり、予定ではなく結果である。

      朝、行動予定を発表させ、終礼で実行結果を確認する。

      この段階で妥協がないよう、トップ幹部の徹底指導が必要であり、この反復
      が強い会社体質をつくる。

    3.きめ細かい指導をタイムリーに行う

      社員の計画、実行、検討、修正行動(PDCA)のリズムをトップ幹部の
       チェック(C)→アドバイス(A)→ヘルプ(H)→フォロー(F)で
       行動が成果につながるよう指導してやる。

    4.部下をヘルプし、勝ちリズム作りを行う

      今日の重点客へのヘルプ体制を確立し、勝ちリズムを作ってやる。

      弱いから負けるのではない。

      負けるから弱くなるのである。

      全員経営で勝ちリズムを作っていくことが肝要。

    5.眼で見る管理で全社一体感を作り上げる

      全員が目に付く場所に差額対策管理ボードをつくり、
       (1)今月の目標累計差額
       (2)昨日までの実績
       (3)残目標
       (4)日割り目標
       (5)見込み情報一覧

   全員が差額を意識し、決定案件の担当者は朝礼で発表。

   全員が成功ノウハウを共有化するのです。

全員参加型経営

        

全員参加型経営とは 


  社長であれば「社員が一丸となった全員参加型経営を実現したい」と望むでしょう。

  少数精鋭で勝負している中小企業にとって、社員の一人ひとりの能力を最大限に引き出
  し、目標達成に向けて組織力を強化し、結束することは最重要課題といえます。

  しかし、「全員参加型経営」を実現させるには具体的に何から始めればよいのでしょう。

  全員参加ということは、全社員のベクトルが同方向に向かっていなければなりません。

  そのために欠かせないのが基本動作です。

  基本動作は組織人(プロ)として身に付けなくてはならない必須項目です。

  基本動作の習得と人材育成は企業としての優先課題となります。

                        組織力強化マニュアルについてはこちら


  ■全員参加型経営とは

   経営理念、ビジョン経営計画の策定、計画
   の実行、社内ルールの遵守など社内のすべ 
   ての業務プロセスについて、全社員が知恵
   を出し、能力・努力を結集していく経営スタイ
   ルをいいます。

   社員は経営方針や部門方針などを十分に理
   解・納得し、自分にできることは何かを自発
   的に考えて行動します。

   また、日々の業務のなかで自分が経験したこと
   や収集した情報を積極的に会社にフィードバックし、
   必要に応じて方針変更の提言なども行うことが可能となります。

   これと対極にある経営スタイルが「ワンマン経営」です。

   社員同士の関係では、自分の担当業務の成果のみを考え、ほかの人のことを考えない
   「我関せずスタイル」を完全に否定するものです。

   全員参加型経営を実現するには、社員からの提言などについて広く門戸を開いている
   という「受動的」な姿勢ではなく、社員が参加せざるを得ない仕組みや社員が自主的に
   参加したくなる雰囲気をつくるための「能動的」な働きかけが必要になります。
   
  □全員参加型の基本は少数精鋭

   人材に限りのある中小企業にとっては、社員全員が戦闘要員です。

   仮にデキのわるい社員が一人いるとか、一人辞めたりすると、業務はギクシャクして上
   手くまわりません。

   人員に余裕がほとんどないのが普通ですから、即損益に響くことになってしまいます。

   しかし、実態は各人がムダのない効率的な仕事をしているかと言えば、必ずしもそうで
   ないことが多いことです。

   従って、規模の小さな会社では、各人のやっている業務が本当にムダのないものか否か
   を徹底的にチェックし、業務の標準化が必要となります。

   社員が少数だと各人が色々な仕事を兼務しなければなりません。

   その結果、どうしてもやらなければならない仕事を少人数で分担することになります。

   ムダな仕事は全て排除し、効率・効果を上げて少数の人員で業務をまわすことは、総人
   件費は低く、一人当りの賃金は高くということにもなります。
  
   例えば、通常5人で分担している仕事を精鋭社員が3人でこなすと、総人件費は2人分
   浮きます。

   浮いた人件費の1人分を3人に分配したなら、総人件費は1人分浮き、1人当り人件費
   は1/3人分増えることになります。

   これによって、会社にも社員にもプラスとなります。

   従って、徹底的な合理化対策を断行して、最小限の人員で運営することを考えていかね
   ばならない。

   しかし、この体制は数年も続けると必ず次の年代に引き継ぐという場面に遭遇します。

   特に小さな会社の場合、今現在の社員パワーを最大にする努力が必要で、そのために
   は徹底した少数精鋭主義を貫くことが大切です。

   しかし、長期的には社員を採用して将来に備えることも併せて考慮することが重要です。

   現有勢力をよりレベルアップするには、徹底した合理化、標準化を実施し、仕事の効率
   を上げる努力が必要です。

   社員、特にリーダーの教育は社長が先頭に立って実施すべきです。

   社長の情熱や人格が社員に影響を与えるなら成功と言えます。

   仕事は厳しく、人には優しくが大原則です。

   もちろん、利益が出たら、社員に公平な成果配分をしなければダメです。

   頑張って成果を上げれば必ず見返りがあるというシステムがきちんと整備されていない
   と、社員のヤル気が高まりません。

   従って、人事考課をオープンにし、社員各人に自分はどのような評価をされたのかが解
   るシステムにすべきです。

   評価に不満があれば上司に申し出て、いつでも説明してもらえる透明性が必要となり
   ます。

   全社員が力を合わせて稼ぐんだという雰囲気を社内に徹底させれば、利益は自ずから
   上がります。

   いずれにしろ、トップが会社は俺のものという考えを捨て、全てをオープンにして社員と
   一緒に仕事をして稼ぐという気持ちになることです。

   それを実践すれば、ヤル気に溢れた高収益会社に脱皮できるでしょう。

   中小企業だからこそ少数精鋭の環境を構築し、全員参加型経営が実践できるのです。

   そして、会社は社長の考え方、経営手腕次第で成長発展もし、衰退もするのです。

  ■中小企業だから「全員参加型経営」

   大手企業のなかにも全員参加型経営を志向する会社はたくさんあります。

   しかし、それが十分に浸透し機能している例は少ないようです。

   多数の社員をひとつにまとめるためには、複雑で大掛かりな仕組みの構築と、その仕
   組みを長期的に維持するための多大な労力とコストが掛かります。

   その点、社員数が限定され、社長と社員、また、社員同士の距離が物理的・心理的に
   も近い中小企業だからこそ、成果を生みやすい経営スタイルといえます。

  ■「全員参加型経営」実現のための条件

   社員からの提言などについて広く門戸を開いているといった「受動的」な姿勢ではなく、
   以下の5つの条件が欠かせません。

   1.社長が全員参加型経営を宣言している

    社長自らが全員参加型経営実現をめざしていることを宣言し、社員がその必要性
    を理解したうえで、十分な動機づけがなされている状態が必要です。

    厳しさを増す経営環境のなかで、中小企業が存続・成長していくためには、それ
    ぞれの社員が与えられた仕事を黙々とこなすだけではなく、全社員が一丸となっ
    て、より高い価値を創出していくことが求められます。

    社長は自社の現状を踏まえたうえで、全員参加型経営の必要性、実現のために
    は全社員の協力が不可欠であることを説明します。

    また、実現に向けて社長自身がどのように変わっていくのかについてもその決意
    と覚悟を表明します。

   2.全員参加型経営の基本的なルールが理解されている

    全員参加型経営とは、社員が無秩序に「言いたいことを主張し合う」経営ではありま
    せん。

    組織として会社を運営していくためには、当然ながらルールが必要です。

    これらのルールを十分に踏まえたうえで、会社全体の力を合理的・目的的に最大
    化していくのが全員参加型経営の本質です。

    社員にはこのことを十分に理解させる必要があります。

   3.十分な信頼関係ができている

    社員が会社全体のことを考えた改善案をも 
    っていたとしても、「こんなことを言ったら叱 
    られる、生意気だと思われる」という意識が
    強ければ、その社員は口を閉ざしたままで
    しょう。

    社内に十分な信頼関係があれば、社員は
    そのような心配をすることなく、自由に発言
    することができます。

    特に社長と社員の間には大きな壁があります。

    社長自身は部下を信頼し「最終的な責任は
    自分が取るので、社員は自由にやってほしい」
    と考えていても、その気持ちはなかなか社員には伝わりません。

    そのためにも会議の場などを活用し、コミュニケーションの活性化を図ります。

   4.会社のめざすべき姿について共通認識がある

    全員参加型経営の本当の目的は社員が結束することそのものではなく、それによ
    って会社のめざすべき姿をより早期に、より合理的に実現していくことにあります。

    したがって、会社がどこへ向かおうとしているのか、そのために何をしようとして
    いるのかといった経営方針経営理念、行動指針、中期経営計画、単年度経営計画
    について、全社員が十分に理解し、納得していることが必要です。

   5.全社員が自分の役割を全社的立場から理解している

    社員一人ひとりが、自分の日々の業務が全社的にどのような意味をもち、どの
    ような役割を担っているかを理解しておくことも重要です。

    たとえば、営業マンが自分の役割認識を「受注額のノルマ達成」だけに限定して
    いる場合と、「自社の営業力強化への貢献」と広く捉えている場合とでは、問題意
    識のもち方は大きく異なってきます。

    後者の認識であれば、自分の成功体験のフィードバック、営業部門全体の仕事の
    進め方に対する改善提案なども積極的に行ってくれるはずです。

    社長や部門責任者は一人ひとりの社員に対して全社的な見地からの役割と期待
    を繰り返し説明することが大切です。    

  ■全員参加型経営を推進・定着させるために

   全員参加型経営を推進して定着させるためには、基本的なマネジメントサイクルであ
   る、計画(plan)⇒ 実行(do) ⇒ 評価(check) ⇒ 改善(act)に沿った取り組みが
   必要になります。

   PDCAサイクルは、まず目標を設定して、それを実現するため計画を設計する、計画
   を実施し、その達成状況を確認・分析する、そして、分析結果を次回の計画策定や実
   行プロセスの改善に活かしていこうという一連のステップのことをいいます。

   そして、PDCAサイクルを廻していくためにも全員が組織人としての基本動作
   習得が欠かせません。
   
  ■アメーバ経営

   今、小さな組織が見直されている。

   パナソニックは本社部門の約7千人を大幅に減らした新本社体制を2012年10月1日
   に敷いた。

   「内向きの仕事」(津賀社長)が増えた反省から、機能を絞り込んだ「小さな本社」を
   実現し、意思決定のスピードを速める。

   「お客さま向けの価値の提供を最優先とし、本社機能の無駄を徹底的に省く」と語った。

   これは昭和34年に稲盛和夫(現 京セラ名誉会長)が実践した京セラ独自の経営管理
   手法「アメーバ経営」に共通するものがある。

   大きな発展を遂げた京セラ(グループ)は、「心の経営」を貫く稲盛経営哲学に基づいた
   アメーバ経営の企業内小集団による部門別採算制度の徹底により支えられてきま
   した。

   <稲森談>

    複雑である会社組織を、どのように切り分けていくのかという問題である。

    組織の分け方というのは、事業の実態をよく把握し、その実態に沿ったものでなけ
    ればならない。

    そのために、私は三つの条件があると考えている。

    第一の条件は、切り分けるアメーバが独立採算組織として成り立つために、「明確
    な収入が存在し、かつその収入を得るために要した費用を算出できること」である。

    第二の条件は、「最小単位の組織であるアメーバが、ビジネスとして完結する単位と
    なること」である。

    第三の条件は、「会社全体の目的、方針を遂行できるように分割すること」である。

    この三つの条件を満たしたときに、はじめてひとつのアメーバを独立させることがで
    きる。
 
    「アメーバ組織をどのようにつくっていくのかということは、アメーバ経営の始まりで
    あり、終わりである」といっても過言ではない。

    アメーバの組織づくりは、アメーバ経営の要諦である。
       
                                     −以上−


  □アメーバ経営の目的

   アメーバ経営の目的は小さな会社化です。

   ○第一の目的

    市場に直結した部門別採算制度の確立。

    会社経営の原理原則は、売上を最大にして、経費を最小にしていくことである。

    この原則を全社にわたって実践していくため、組織を小さなユニット(6〜7名)に
    分けて、市場の動きに即座に対応できるような部門別採算管理をおこなう。

   ○第二の目的

    経営者意識を持つ人材の育成。

    組織を必要に応じて小さなユニットに分割し、中小企業の連合体として会社を再構
    成する。

    そのユニットの経営を、アメーバリーダーに任せることによって、経営者意識を持っ
    た人材を育成していく。

   ○第三の目的

    全員参加経営の実現。

    全従業員が、会社の発展のために力を合わせて経営に参加し、生きがいや達成感
    を持って働くことができる「全員参加経営」を実現する。

     この小集団の適正人員が6〜7名については、効果的な会議開催の適正人員と同
    じである。

    アメーバ経営は「チームカンパニー制」とも言われ、少数、独立採算チーム性で生産
    性を向上させる。

    チームのリーダーは、「社長」として、他チームの社長達と業績を競わせる。

    単に与えられた仕事をこなすという意識から、いろいろな業務ができ仕事のが面白
    さ、責任感、やりがいがも増す。

    時代に即したやり方に変えていく勇気が必要です。


   全員参加型経営の実現には、トップが社員にビジョンや問題点を問いかける仕組みを作
   り、社内の議論を盛り上げて、変革を実践することが肝要です。 

                       組織力強化マニュアルについてはこちら

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