全員参加型経営

        

全員参加型経営とは 


  社長であれば「社員が一丸となった全員参加型経営を実現したい」と望むでしょう。

  少数精鋭で勝負している中小企業にとって、社員の一人ひとりの能力を最大限に引き出
  し、目標達成に向けて組織力を強化し、結束することは最重要課題といえます。

  しかし、「全員参加型経営」を実現させるには具体的に何から始めればよいのでしょう。

  全員参加ということは、全社員のベクトルが同方向に向かっていなければなりません。

  そのために欠かせないのが基本動作です。

  基本動作は組織人(プロ)として身に付けなくてはならない必須項目です。

  基本動作の習得と人材育成は企業としての優先課題となります。


  ■全員参加型経営とは

   経営理念、ビジョン経営計画の策定、計画
   の実行、社内ルールの遵守など社内のすべ 
   ての業務プロセスについて、全社員が知恵
   を出し、能力・努力を結集していく経営スタイ
   ルをいいます。

   社員は経営方針や部門方針などを十分に理
   解・納得し、自分にできることは何かを自発
   的に考えて行動します。

   また、日々の業務のなかで自分が経験したこと
   や収集した情報を積極的に会社にフィードバックし、
   必要に応じて方針変更の提言なども行うことが可能となります。

   これと対極にある経営スタイルが「ワンマン経営」です。

   社員同士の関係では、自分の担当業務の成果のみを考え、ほかの人のことを考えない
   「我関せずスタイル」を完全に否定するものです。

   全員参加型経営を実現するには、社員からの提言などについて広く門戸を開いている
   という「受動的」な姿勢ではなく、社員が参加せざるを得ない仕組みや社員が自主的に
   参加したくなる雰囲気をつくるための「能動的」な働きかけが必要になります。
   
  □全員参加型の基本は少数精鋭
   人材に限りのある中小企業にとっては、社員全員が戦闘要員です。

   仮にデキのわるい社員が一人いるとか、一人辞めたりすると、業務はギクシャクして上
   手くまわりません。

   人員に余裕がほとんどないのが普通ですから、即損益に響くことになってしまいます。

   しかし、実態は各人がムダのない効率的な仕事をしているかと言えば、必ずしもそうで
   ないことが多いことです。

   従って、規模の小さな会社では、各人のやっている業務が本当にムダのないものか否か
   を徹底的にチェックし、業務の標準化が必要となります。

   社員が少数だと各人が色々な仕事を兼務しなければなりません。

   その結果、どうしてもやらなければならない仕事を少人数で分担することになります。

   ムダな仕事は全て排除し、効率・効果を上げて少数の人員で業務をまわすことは、総人
   件費は低く、一人当りの賃金は高くということにもなります。
  
   例えば、通常5人で分担している仕事を精鋭社員が3人でこなすと、総人件費は2人分
   浮きます。

   浮いた人件費の1人分を3人に分配したなら、総人件費は1人分浮き、1人当り人件費
   は1/3人分増えることになります。

   これによって、会社にも社員にもプラスとなります。

   従って、徹底的な合理化対策を断行して、最小限の人員で運営することを考えていかね
   ばならない。

   しかし、この体制は数年も続けると必ず次の年代に引き継ぐという場面に遭遇します。

   特に小さな会社の場合、今現在の社員パワーを最大にする努力が必要で、そのために
   は徹底した少数精鋭主義を貫くことが大切です。

   しかし、長期的には社員を採用して将来に備えることも併せて考慮することが重要です。

   現有勢力をよりレベルアップするには、徹底した合理化、標準化を実施し、仕事の効率
   を上げる努力が必要です。

   社員、特にリーダーの教育は社長が先頭に立って実施すべきです。

   社長の情熱や人格が社員に影響を与えるなら成功と言えます。

   仕事は厳しく、人には優しくが大原則です。

   もちろん、利益が出たら、社員に公平な成果配分をしなければダメです。

   頑張って成果を上げれば必ず見返りがあるというシステムがきちんと整備されていない
   と、社員のヤル気が高まりません。

   従って、人事考課をオープンにし、社員各人に自分はどのような評価をされたのかが解
   るシステムにすべきです。

   評価に不満があれば上司に申し出て、いつでも説明してもらえる透明性が必要となり
   ます。

   全社員が力を合わせて稼ぐんだという雰囲気を社内に徹底させれば、利益は自ずから
   上がります。

   いずれにしろ、トップが会社は俺のものという考えを捨て、全てをオープンにして社員と
   一緒に仕事をして稼ぐという気持ちになることです。

   それを実践すれば、ヤル気に溢れた高収益会社に脱皮できるでしょう。

   中小企業だからこそ少数精鋭の環境を構築し、全員参加型経営が実践できるのです。

   そして、会社は社長の考え方、経営手腕次第で成長発展もし、衰退もするのです。

  ■中小企業だから「全員参加型経営」

   大手企業のなかにも全員参加型経営を志向する会社はたくさんあります。

   しかし、それが十分に浸透し機能している例は少ないようです。

   多数の社員をひとつにまとめるためには、複雑で大掛かりな仕組みの構築と、その仕
   組みを長期的に維持するための多大な労力とコストが掛かります。

   その点、社員数が限定され、社長と社員、また、社員同士の距離が物理的・心理的に
   も近い中小企業だからこそ、成果を生みやすい経営スタイルといえます。

  ■「全員参加型経営」実現のための条件

   社員からの提言などについて広く門戸を開いているといった「受動的」な姿勢ではなく、
   以下の5つの条件が欠かせません。

   1.社長が全員参加型経営を宣言している

    社長自らが全員参加型経営実現をめざしていることを宣言し、社員がその必要性
    を理解したうえで、十分な動機づけがなされている状態が必要です。

    厳しさを増す経営環境のなかで、中小企業が存続・成長していくためには、それ
    ぞれの社員が与えられた仕事を黙々とこなすだけではなく、全社員が一丸となっ
    て、より高い価値を創出していくことが求められます。

    社長は自社の現状を踏まえたうえで、全員参加型経営の必要性、実現のために
    は全社員の協力が不可欠であることを説明します。

    また、実現に向けて社長自身がどのように変わっていくのかについてもその決意
    と覚悟を表明します。

   2.全員参加型経営の基本的なルールが理解されている

    全員参加型経営とは、社員が無秩序に「言いたいことを主張し合う」経営ではありま
    せん。

    組織として会社を運営していくためには、当然ながらルールが必要です。

    これらのルールを十分に踏まえたうえで、会社全体の力を合理的・目的的に最大
    化していくのが全員参加型経営の本質です。

    社員にはこのことを十分に理解させる必要があります。

   3.十分な信頼関係ができている

    社員が会社全体のことを考えた改善案をも 
    っていたとしても、「こんなことを言ったら叱 
    られる、生意気だと思われる」という意識が
    強ければ、その社員は口を閉ざしたままで
    しょう。

    社内に十分な信頼関係があれば、社員は
    そのような心配をすることなく、自由に発言
    することができます。

    特に社長と社員の間には大きな壁があります。

    社長自身は部下を信頼し「最終的な責任は自分が取るので、社員は自由にやっ
    てほしい」と考えていても、その気持ちはなかなか社員には伝わりません。

    そのためにも会議の場などを活用し、コミュニケーションの活性化を図ります。

   4.会社のめざすべき姿について共通認識がある

    全員参加型経営の本当の目的は社員が結束することそのものではなく、それによ
    って会社のめざすべき姿をより早期に、より合理的に実現していくことにあります。

    したがって、会社がどこへ向かおうとしているのか、そのために何をしようとして
    いるのかといった経営方針経営理念、行動指針、中期経営計画、単年度経営計画
    について、全社員が十分に理解し、納得していることが必要です。

   5.全社員が自分の役割を全社的立場から理解している

    社員一人ひとりが、自分の日々の業務が全社的にどのような意味をもち、どの
    ような役割を担っているかを理解しておくことも重要です。

    たとえば、営業マンが自分の役割認識を「受注額のノルマ達成」だけに限定して
    いる場合と、「自社の営業力強化への貢献」と広く捉えている場合とでは、問題意
    識のもち方は大きく異なってきます。

    後者の認識であれば、自分の成功体験のフィードバック、営業部門全体の仕事の
    進め方に対する改善提案なども積極的に行ってくれるはずです。

    社長や部門責任者は一人ひとりの社員に対して全社的な見地からの役割と期待
    を繰り返し説明することが大切です。    

  ■全員参加型経営を推進・定着させるために

   全員参加型経営を推進して定着させるためには、基本的なマネジメントサイクルであ
   る、計画(plan)⇒ 実行(do) ⇒ 評価(check) ⇒ 改善(act)に沿った取り組みが
   必要になります。

   PDCAサイクルは、まず目標を設定して、それを実現するため計画を設計する、計画
   を実施し、その達成状況を確認・分析する、そして、分析結果を次回の計画策定や実
   行プロセスの改善に活かしていこうという一連のステップのことをいいます。

   そして、PDCAサイクルを廻していくためにも全員が組織人としての基本動作
   習得が欠かせません。
   
  ■アメーバ経営

   今、小さな組織が見直されている。

   パナソニックは本社部門の約7千人を大幅に減らした新本社体制を2012年10月1日
   に敷いた。

   「内向きの仕事」(津賀社長)が増えた反省から、機能を絞り込んだ「小さな本社」を
   実現し、意思決定のスピードを速める。

   「お客さま向けの価値の提供を最優先とし、本社機能の無駄を徹底的に省く」と語った。

   これは昭和34年に稲盛和夫(現 京セラ名誉会長)が実践した京セラ独自の経営管理
   手法「アメーバ経営」に共通するものがある。

   大きな発展を遂げた京セラ(グループ)は、「心の経営」を貫く稲盛経営哲学に基づいた
   アメーバ経営の企業内小集団による部門別採算制度の徹底により支えられてきま
   した。

   <稲森談>
    複雑である会社組織を、どのように切り分けていくのかという問題である。

    組織の分け方というのは、事業の実態をよく把握し、その実態に沿ったものでなけ
    ればならない。

    そのために、私は三つの条件があると考えている。

    第一の条件は、切り分けるアメーバが独立採算組織として成り立つために、「明確
    な収入が存在し、かつその収入を得るために要した費用を算出できること」である。

    第二の条件は、「最小単位の組織であるアメーバが、ビジネスとして完結する単位と
    なること」である。

    第三の条件は、「会社全体の目的、方針を遂行できるように分割すること」である。

    この三つの条件を満たしたときに、はじめてひとつのアメーバを独立させることがで
    きる。
 
    「アメーバ組織をどのようにつくっていくのかということは、アメーバ経営の始まりで
    あり、終わりである」といっても過言ではない。

    アメーバの組織づくりは、アメーバ経営の要諦である。
       
                                     −以上−


  □アメーバ経営の目的
   アメーバ経営の目的は小さな会社化です。

   ○第一の目的
    市場に直結した部門別採算制度の確立。

    会社経営の原理原則は、売上を最大にして、経費を最小にしていくことである。

    この原則を全社にわたって実践していくため、組織を小さなユニット(6〜7名)に
    分けて、市場の動きに即座に対応できるような部門別採算管理をおこなう。

   ○第二の目的
    経営者意識を持つ人材の育成。

    組織を必要に応じて小さなユニットに分割し、中小企業の連合体として会社を再構
    成する。

    そのユニットの経営を、アメーバリーダーに任せることによって、経営者意識を持っ
    た人材を育成していく。

   ○第三の目的
    全員参加経営の実現。

    全従業員が、会社の発展のために力を合わせて経営に参加し、生きがいや達成感
    を持って働くことができる「全員参加経営」を実現する。

     この小集団の適正人員が6〜7名については、効果的な会議開催の適正人員と同
    じである。

    アメーバ経営は「チームカンパニー制」とも言われ、少数、独立採算チーム性で生産
    性を向上させる。

    チームのリーダーは、「社長」として、他チームの社長達と業績を競わせる。

    単に与えられた仕事をこなすという意識から、いろいろな業務ができ仕事のが面白
    さ、責任感、やりがいがも増す。

    時代に即したやり方に変えていく勇気が必要です。


   全員参加型経営の実現には、トップが社員にビジョンや問題点を問いかける仕組みを作
   り、社内の議論を盛り上げて、変革を実践することが肝要です。 

 

                       お問合せ・ご質問こちら


                       メルマガ登録(無料)はこちらから 

 

全員参加型経営のためのPDCAサイクル

          

全員参加型経営のためのPDCAサイクル

  ■全員参加型経営はPDCAサイクルで進める

   全員参加型経営を定着させるためには、会社の基本的なマネジメントサイクルで
   ある、「計画(plan)」⇒「実行(do)」⇒「評価(check)」⇒「改善(action)」に
   沿った取り組みが必要になります。

   DCAサイクルとは、まず目標を設定して、それを実現するため計画を設計する、
   計画を実施し、その達成状況を確認・分析する、そして、分析結果を次回の計画
   策定や実行プロセスの改善にいかしていこうという一連のステップのことです。

   1.計画(Plan)
     全員参加型経営はめざすべき姿を全社員でつくり上げていくことから始まる。

     社長や上司が一方的に計画を提示するのではなく、計画策定プロセスから全
     社員を参加させることが大切です。

     社員は自分自身でつくった計画だからこそ、「やらされ感」ではなく、「ワクワク
     感」をもってその実現に向けて自発的な努力を行うのです。

     中期経営計画や事業計画を策定する場合には、社長や幹部陣で骨子の素案
     を検討した後、それをできるだけ早い段階で社員に公表します。

     その際には「意見がある人はどうぞ」という一方的な投げ掛けではなく、希望
     者が全員参加できる骨子検討会を開催するなど、社員が骨子の理解を深め、
     意見を述べやすい環境をつくることが必要です。

     骨子検討会では、「自社のめざすべき姿」、「現状分析」、「現状とめざすべき
     姿のギャップ」、「ギャップ解消策」などを徹底的に議論し、より深いレベルでの
     認識共有を図ります。

     可能であれば合宿形式で行うことで心理的結束も一層強めることができます。

     骨子検討会は小規模の会社であれば、一般社員も含めて一堂に会して行う
     のが望ましいですが、それが不可能な場合でも、少なくとも部門長クラスは参
     加必須とすべきでしょう。

     個々の社員レベルの計画を策定する場合にも、部門長がノルマを押しつける
     ような目標数字の割り振りではなく、一人ひとりが自らの目標を設定し、それに
     よって全社にどのような貢献をしていくのかを考えさせることが大切です。

   2.実行(Do)
     計画を実行していく段階では、「自己責任の全う」、「他者への積極的関与」、
     「適切な権限委譲」について特に留意します。

     (1)自己責任の全う
       会社全体を強くしていくためには、一人ひとりの社員が自分に与えられた
       役割を正しく認識し、それぞれが「自己責任を全う」することが前提となる。

       まずは自分のやるべきことをやったうえで、会社全体のことも考えていこう
       というスタンスです。

       能力不足などで自己責任を十分に果たせていない場合には、自己研鑽に
       努めなければなりません。

       それができない社員は全員参加型経営のメンバーとしての資格はない。

     (2)他者への積極的関与
       自己責任を果たすだけではなく、ほかの社員の業務内容や立場を理解し
       て、自らが積極的に関与する姿勢も大切です。

       困っているメンバーを助けられないか」、「部門全体の業務改善のために自
       分ができることはないか」などつねに周囲への関心をもち続けなければなり
       ません。

     (3)適切な権限委譲
       社員に責任を求めるためには、それに見合った権限委譲も必要です。

       役職に応じた適切な権限委譲を行うことで、社員の自立心は高まり、より高
       い次元での問題意識をもてるようになります。

       また、裁量の範囲内では自分の判断で臨機応変な対応が可能になり、経
       営のスピードもアップします。

   3.評価(Check)
     社員は自分自身の役割について、十分に遂行できたかどうかを全社的な見地
     から確認します。

     また、自部門全体の計画、他部門の計画、全社計画などの達成状況について
     も自ら情報を入手し、理解する必要があります。

     全員参加でつくった計画ですから、その達成状況の評価も全員で行うのです。

     全社計画が未達成だった場合には、幹部社員から一般社員まで全員がその
     原因を分析します。

     そうすることで、さまざまな立場・経験からの解決策検申が可能になります。

     そのためには、計画の達成状況に関する情報をできるだけわかりやすい形
     で、全社員に公開することが必要です。

     たとえば、「月次単位の売上・利益のデータ(会社全体および部門別)」、「全社
     的な重点取り組み課題に関する進捗状況」、「それらに対する社長や担当部
     門長のコメント」などを公開することなどが考えられます。

     社員はこれらの情報を入手し、分析することで、当事者意識をもって全社の経
     営改善に向けた提言を行うことができます。

     そして、社長や部門長は、たとえ自分にとって「耳が痛い」提言であっても、社
     員の声に積極的に耳を傾ける姿勢が求められます。

   4.改善(Action)
     全社員で行った評価を次回の計画策定や実行プロセスの改善にいかします。

     中期経営計画や事業計画を新たに策定したり修正を加える際には、ステップ1
     の「計画(plan)」と同様の手順で、全社員で再び議論して合意形成を行いな
     がら進めていきます。

     また、個々の業務の実行プロセスについて明らかになった改善点について
     は、できるだけ業務レベルにまで落とし込んだうえで、ルール化・マニュアル化
     して社員にその徹底を求めます。

     さらに、全員参加型経営の仕組みについての改善も必要です。

     社長は、全員参加型経営が狙い通りの成果を生んでいるか」、「社内全体に
     しっかりと定着しているか」、「進め方に関して改善すべき点はないか」などを
     総括して、さらなる社員の意識・行動改革につなげていきます。

     社長自身が「全員参加型経営実現のために自分はこう変わる」と宣言した項
     目についても、真筆な姿勢で振り返りを行い、新たな決意を表明することも必 
     要でしょう。

                       お問合せ・ご質問はこちら  

                       メルマガ登録(無料)はこちらから