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エスクロー制度の仕組みと活用

エスクロー制度の仕組みと活用

■エスクローとは 
 90年代半ば以降、インターネットの発達により、インターネットを利用した通信販売や
 ネットオークションなどのいわゆる電子商取引(以下「EC」)市場は拡大の一途をたどって
 います。 

 しかし、インターネットを介した見ず知らずの相手との商取引には、当然のことながら
 リスクが付きものです。

 例えば、買い手側からみた場合「お金を先方の口座に振り込んだのに商品が届かない」
 「説明と違う商品が届き返品したいのだが、先方が返品に応じない」などといったリスクが
 考えられます。

 また売り手側からみた場合、「商品を送ったのにいつまでたっても金額を入金してこない」
 「商品に(利用上まったく問題ない程度の)些細な傷があるといって買い手からクレームを
 つけられ、落札金額の大幅な減額を要求された」などといったリスクが考えられ、これらの
 リスクは実際に起きています。 

 このような状況の中、近年「エスクロー(escrow)」と呼ばれるサービスを行う事業者が、
 わが国においても出現するようになりました。

 エスクローとは、ネットオークションなどのECにおいて、「商品購入→代金支払い→商品
 発送」といった買い手が売り手から商品を受け取るまでの一連の動きを第三者が仲介・
 管理するサービスのことをいい、商取引が確実に行われることを保証するサービスと
 いえます。

 日本語では「第三者預託」などと訳されています。
 日本よりもECが盛んな米国では、エスクローサービスは「売り手・買い手双方に安心感を
 与えるサービス」として広く普及しています。

 日本では米国ほど普及していませんが、物流事業者や金融事業者、商社などが同サービスを
 取り扱っており、普及の兆しがみられます。 

 一方、同サービス発祥の地である米国では元来、エスクローサービスは不動産取引を円滑に
 進めるために活用されていたことから、日本でもこの仕組みを不動産取引に取り入れる
 動きも盛んになってきています。 

 以上のことからここでは、ネットオークションや不動産取引の場においてエスクローサービス
 がどのような役割を果たしているかについてみていくことにします。 

□ネットオークションとエスクロー
 1.ネットオークションの普及とエスクローサービス 
  インターネット上において、消費者同士が中古品や不用品を売買するネットオークション
  ですが、パソコン普及率の上昇やブロードバンド(高速大容量)通信の進展にともない、
  その市場規模は着実に拡大してきています。

  しかし、見ず知らずの相手同士の商品売買には、「相手が信用できる人間かどうか
  分からない」という大きな問題があり、前述したようなリスクはどうしてもつきまとい
  ます。 

  日本において、エスクローサービスを行う事業者は、ネットオークションが盛んになり
  始めた2000年ごろから出現し始めました。

  ネットオークション最大手の「ヤフー」と提携しているデジタルチェック社やイオン
  クレジットサービス社、他にも「宅急便」でおなじみのヤマト運輸など、物流や決済に
  得意分野を持つ既存企業やベンチャー企業などが消費者向けに同サービスの需要を開拓
  しています。 

  なお、各事業者の行うサービス内容は、基本的に前ページに示した図の通りです。
  中には、商品の購入代金の払い込みを銀行振り込みだけでなく、コンビニエンスストア
  からでもできるサービス(デジタルチェック社)や、クレジットカードを使って決済が
  できるサービス(イオンクレジットサービス社)を扱っている事業者もあり、利用者の
  利便性向上に努めています。

 2.事例紹介:宅急便エスクローサービス 
  「宅急便エスクローサービス」は、物流業界最大手のヤマト運輸が手がけるエスクロー
  サービスで、2007年でサービスを終了し、新たに「オークション宅急便」を開始。 

 3.ネットオークションにおけるエスクローサービスの課題 
  エスクローサービスは、ネットオークションの円滑化に重要な役割を果たしている
  のにもかかわらず、ネットオークションでの商品購入時にエスクローサービスを利用
  する人はそれほど多くはありません。 

  前項で紹介したヤマト運輸の「宅急便エスクローサービス」ですら、コンスタントに
  サービス依頼はあるものの、その件数は当初目標を下回っていたといいます。

  そして「オークション宅急便」も2017年に終了しました。
  このような状況から、一時期は10数社あったエスクローサービスを行う事業者も、
  現在では数社程度に収束しているといわれています。 

  エスクローサービスがなかなか普及しない理由として、
   ◎値段の問題
    (ネットオークションでの決済金額は少額のものが多く、それにエスクロー
    サービスによる費用が加わると、相対的に購入金額が割高になってしまう)
   ◎手続きの煩雑さの問題
    (エスクローサービス事業者の介在で、商品購入手続きが煩雑化してしまう)
   ◎認知度の問題
    (そもそも「エスクロー」の存在すら知らない利用者も多い)

  などが挙げられます。 
  上記のほかにも、今ではオークションサイト自体が、「出品者に対する評価制度を
  設ける」「オークション参加者から定額の利用料を徴収する(広告まがいの出品
  などを防ぐため)」などのトラブル減少策を講じており、これらのこともエスクロー
  サービス利用者の伸び悩みに直結していると考えられます。

□不動産取引とエスクロー
 1.個人間取引の事務支援としてのエスクローサービス 
  冒頭でも述べたように、元来エスクローサービスは、米国において主として不動産取引
  において活用されていたサービスです。

  米国における同サービスの事業者は、個人間の中古住宅売買などにおいて、公正中立
  な立場で「決済機能(売買代金の一時預かりなど)」や「登記手続き」などをまとめて
  担い、不動産取引の促進に大きな役割を果たしています。 

  最近では、日本でも米国のエスクローサービスを模した「個人間の不動産取引支援
  サービス」を行う事業者も出てきています。

  ただ、日米の商慣習や登記制度の違いや、日本においてエスクロー関連法規がまだ整備
  されていないなどの理由から、完全な米国型のエスクローサービスではなく、「個人間に
  おける不動産取引のスムーズな進ちょくをサポートする」形式のエスクローサービスと
  なっています。 

  具体的には、「該当物件の現地調査」「取引価格についての妥当性の助言」「所有権、
  抵当権などの権利調整」「公正中立な契約書の作成、立会い」「買い主に対する住宅
  ローン選定のサポート」などです。

  これらの業務を行うことによりエスクローサービスを行う事業者は、売り主・買い主の
  双方から売買価格の1〜1.5%程度の手数料を徴収しています。

 2.建設会社や工務店などの信用補完としてのエスクローサービス 
  バブル経済崩壊後の長引く不況の影響で、金融機関は信用力の高くない企業に融資する
  ことに極めて慎重になっています。

  その結果、実績や信用のあまりない中小の建設会社や工務店などは、金融機関から直接
  融資を受けるのは困難な状況になり、それが時として事業(建設工事)の運営に支障を
  きたす場合もあります。 

  このような状況の中、建設会社や工務店などの信用を補完するための仕組みとして、
  エスクローサービスを導入するケースが出てきています。 

  具体的には、建設会社や工務店が個人(施主)の住宅建設を受注して作業を行う際、
  エスクローサービス事業者が金融機関や施主との間に入り、工事途中の段階で進ちょく
  度合いに応じ、これまで実際にかかった建設費用を、建設会社や工務店に対して
  (完成までの間に数回に分けて)出来高払いするというものです。

  この際、エスクローサービス事業者は、施主が金融機関から借りた住宅ローン融資資金を
  施主に成り代わって預託し、それを建設会社や工務店に対する出来高払い資金に充てる
  ことになります。 

  また、エスクローサービス事業者は、建設会社や工務店の信用を補完する立場にある
  ため、その建設会社や工務店がしっかりとした設計図や積算書、施工工程などに基づいて
  作業を行っているかどうかを確認する必要があります。

  そのため、エスクローサービス事業者には、CAD(コンピューターによる設計)を利用
  した建設支援システムを手がけている企業の関連会社や提携会社がなるケースが多い
  ようです。 

  このようなエスクローサービスの利用により、建設会社・工務店側は「進捗状況に応じ
  出来高払いが受けられるため、建設資金不足が解消される」、施主側は「(エスクロー
  サービス事業者を介しているため)建設工事に対する安心感が得られる」というメリット
  をそれぞれ享受することができるのです。  

□最後に 
 以上、日本におけるエスクロー制度について、ネットオークションや不動産取引の側面
 からみてきましたが、現時点ではネットオークションなどの個人間取引(CtoC)よりも、
 企業間取引(BtoB)や企業対個人の取引(BtoC)において、エスクローサービスが有効に
 機能するようにみえます。

 その理由としては、
  →CtoC取引よりもBtoB、BtoC取引の方が金額的に大きく、その結果相対的に
   エスクローサービスのフィーの割合が低くなること
  →長引く不況下では企業に対する「信用」は必然的に低くなる傾向にあり、
   「信用補完」を目的とするエスクローサービスの仕組みの有効性が高くなること

 などが挙げられます。 
 とはいえ、米国と違い日本でのエスクローサービスの歴史は浅く、同サービスに対する
 法的仕組みもまだ整備されていません。 

 エスクローサービスに関する関連法規が制定され、エスクローサービスが企業や消費者に
 とって一般的なものになれば、企業や個人の商取引はこれまで以上に活発になることが
 予想されます。

 このことからも、政府による早急な法的整備や、エスクローサービスの浸透を図るための
 普及活動の促進が強く望まれているのです。


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リスクマネジメント情報

会社を守るリスクマネジメント情報


  すでに「水と安全はタダ」の時代は過去のものとなり、企業経営を脅かす多種多様な事件・
  事故は、企業に経済的損失・信用の低下・社会的責任の発生といった経営を疲弊させる
  要因となっています。                 

  もう「対岸の火事」「大企業の話」といってはいられません。

  厳しさを増す「消費者の目」、「各監督官庁」、「マスコミ」、「内部告発」など「対岸の火事」
  としてではなく、あなた自身に置き換え、利益追求が先行した企業の結末 (マスコミでの記者
  会見と謝罪場面)を思い起こしてください。

  このようなリスクに対する備えが企業にとって従来にも増して重要となってきています。

  万一の場合にも損失を最小限にくいとめるためには、これらの様々なリスクを予め
  的確に把握することが必要不可欠。

  また、これら把握されたリスクを無害化し、企業活動の健全性を保つためには、事前
  の対策立案とその実践が必要です。

  これは、経営を左右するリスクを排除・無害化する活動そのものであり、言葉を換え
  れば企業経営の舵取りそのものといえます。

  企業を取り巻くリスクは、日々刻々とその影響力を増してきている。

  時として、企業の存在そのものを揺さぶる。これらの刻々と変化するリスクに対処を
  する、すなわちリスクを先取りするための仕組みが企業リスクマネジメントである。

  リスクマネジメント情報は、あなたを脅かすさまざまなリスクに関する最新情報を適時
  提供してまいります。

  

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リスクマネジメント各種情報


  企業を守る車両管理

  多くの企業が社員のマイカーによる通勤を許可しております。

  しかし、通勤途上の事故や業務にマイカーを使用し、おこした事故など、会社に
  とって安易な許可が、なんらかの形で会社が賠償責任を問われる事例が増加
  してきております。

  たとえ、会社に責任がないケースでも、従業員が大きな経済的損失を受けたり、
  欠勤したり、仕事に手がつかなかったりすれば、企業にとってもダメージになり  
  ます。

  「交通事故を絶対に起こさない」ための運転者への安全教 
  育・指導は、企業の安定経営のために欠くことのできない 
  施策になっています。                                    

  社有車の管理やマイカー通勤の管理は大丈夫ですか?

   

  

  45億の損害賠償請求

  管理者責任の強化

  クレーム(苦情)対応

  日本建築防災協会「誰でもできるわが家の耐震診断」

  リーフレットによる診断
  
  インターネットによる診断  


  中小企業におけるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策

  東日本大震災により、被災地はもちろんのこと、被災地以外においても
  サプライチェーンの枠組みの中で、他企業の事業停止、計画停電などの
  事業の継続を妨げる多様な問題が発生しています。

  不測の事態が発生したとき、できるだけ中核業務を中断させず、中断が
  あった場合でも、いかにして短時間で通常業務に復帰できるようにするか
  にあります。

  BCP策定に当たって重視すべき点は、事業継続によって収益の構造を維
  持することも含め、顧客へのサービス提供を継続するという考えを持つこと
  です。

  BCPについては、(内閣府 防災担当)
  事業継続ガイドライン 第二版
  
  BCP策定・運用状況の自己診断(基本コース)    

  安全衛生情報センター  
   
  ■企業秘密の保全 

   既にマスコミを通してご存知のように、顧客情報の不正流出が止まりません。

   会社は保有する個人(顧客)情報の重要性を本当に認識しているのか、目を疑いたくな
   ります。

   あなた(会社)は、自社の秘密をどのように守っていますか?

   従業員が退職した場合、その秘密は保全されますか?

   また、就業規則に「秘密保持」の規定はありますか?

   実際に重大な情報が漏れ、会社が大きな打撃を受ける事があります。

   情報の漏洩に最も敏感にならなくてはならない保険業界ですが、その「予防を具体化」し
   ているところは多くありません。

   なんとなく「漏れたらまずい」としか考えていないところが多いことです。
  
   これでは予防になりません。

   それでは、どのように予防したらいいのでしょうか。

   会社における秘密は一般的に以下の2点に分けられます。

    (1)営業の秘密・・・販売マニュアルなどのノウハウ

    (2)情報の秘密・・・見込み客情報、顧客情報など


   (1)は不正競争防止法により
     ○不正使用の差し止め

     ○損害賠償請求

     ○信用回復の救済措置  

   が可能です。

   (1)の営業秘密を不正に持ち出した場合、刑事罰(3年以下の懲役または300万円
   以下の罰金)が科せられます。

   しかし、(2)については不正競争防止法が適用されません。

   つまり、「何も対策しない = 情報が漏れても制限できない」のです。

   だから、(2)の情報は雇用契約で守ります。

   具体的には、雇用契約の中で「守秘義務を課す」のです。

   そして、「違反 = 罰則」という内容を就業規則に決めます。


   具体的な対策の流れは、

     (1)就業規則に守秘義務の規定を設ける

     (2)入社時に秘密保持の誓約書を結ぶ

     (3)退職時に改めて秘密保持契約を結ぶ


   □「契約書・就業規則」を整備
    ○守秘義務が記載された就業規則

    ○入社時の誓約書

    ○退社時の守秘義務契約書

   □「社内体制」を整備
    ○情報管理責任者の配置など社内組織の整備

    ○営業秘密に関する規定の整備と運用

    ○管理体制の評価と改善

    ○漏えいした場合の対処体制の整備


  □「物理的管理体制」を整備
 
   ○情報収録媒体(CDーRなど)や保管場所の管理

    ○情報を収めたコンピュータの管理(アクセス権者の特定)

    ○アクセス権を持つ者に課す義務の明確化


   「情報が漏れる」ことは会社の存続に影響し、

    ○経済的損失

    ○信用の低下

    ○社会的責任の発生

   準備をきちんとしておくことが大切です。


  <参考資料>

   経済産業省 

                         組織力強化マニュアルについてはこちら
   
                         お問合せ・ご質問こちら 

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交通事故による損害賠償のリスク
 

  ■損害賠償金はどのように計算されるものか

   交通事故などで被害者が損害を被ったときは、加害者はその損害を賠償しなくては
   なりません。

   その損害賠償金は、どのように計算されるのでしょうか?

   訴訟となった場合の基本的な計算は次の通りです。
   ①直接的な損害(治療費・葬儀費など)+②間接的な損失(休業損害・逸失利益など)
    +③慰謝料+④その他

   中でも、特に金額が大きくなる②の逸失利益の計算は、被害者の死亡の場合、
   次の通りです。

   基礎収入×(1−本人生活費控除率)×稼働可能年数(67歳まで)における中間
   利息控除(ライプニッツ係数)

   つまり、67歳まで仕事をしていた場合に得たであろう累積した収入をベースに、そこ
   から生きていた場合の「本人の生活費分(一家の支柱で30%〜40%)」と(将来に
   わたって累積する金額を一時金で得るので)「逆の利息分」を差し引いた金額が、遺族
   が失った利益ということになります。

   退職金制度がある会社に勤めていたならば、これに定年まで勤めた場合に得たで
   あろう退職金の額に中間利息控除を掛け、そこから死亡退職金を差し引いた金額が
   加わります。

   ③の慰謝料は、本人の年齢・家族内での立場によって決定されます。

   一家の支柱で2400〜3000万円です。

   <計算例>
    40歳、子供2人、直前の年収750万円、死亡退職金320万円(定年時退職金
    1500万円)
    稼働可能年数67歳までの27年間(年齢別ライプニッツ係数14.643)
    定年まで20年間(年別ライプニッツ係数0.377)

    ①葬儀費150万円
    ②逸失利益750万円×(100%−35%)×14.643=7138万4625円
     (退職金)1500万円×0.377−320万円=245万5000円
    ③慰謝料3000万円計 1億533万9625円
      *賃金表による定期昇給制度がある会社に勤めていた場合で、死亡時よりも
        年収が上昇していたであろうことが認められると、逸失利益の金額も上昇します。


  □労災保険だけでは済まなくなる傾向
   死亡ではなく、後遺障害の場合の逸失利益の計算では、(生きているので)「本人の
   生活費分」を控除せず、「労働能力喪失率」を掛けます。

   ただし、障害等級1級〜3級の喪失率は「×100%」で、もう働けないものとして計算
   されます。

   最近の裁判例では、そのような逸失利益の積算に加え、被害者に重い障害が残っ
   た場合に、直接的な損害として「将来の介護費用(職業介護人費用等)」、「住宅改築
   費用」や本人を介護するために「充分に働けなくなった家族の逸失利益」も認められる
   ようになりました。

   そのため、損害賠償金が2億円を超す判例は、もう、めずらしいものではありません。

   社内においても、過労死・過労自殺・過労後遺障害や仕事・セクハラ・パワハラなどに
   よるメンタルヘルス不調を含め、発生した業務上災害の原因に、安全配慮義務違反や
   使用者責任などがあったとされると、会社(使用者)に損害賠償義務が生じます。

   その場合の考え方や高額化傾向は、これまで述べた損害賠償のリスクと全く同じです。

   業務上災害は、通常労災保険で補償されています。

   労働者保護を目的とし、原則として過失相殺が適用されないなど、本人には有利な
   補償となることが多いものです。

   しかし、その補償内容に「慰謝料」や「見舞金」は入っていません。

   労災保険から「既に得た」療養補償給付(直接的な損害に相当)と休業補償給付(間接
   的な損失の一部に相当)については、「損害賠償金に充当すべき」との判例はあり
   ます。

   しかし、そのような調整は、「将来に向けた」金額の大きな(逸失利益に相当するよう
   な)障害補償年金や遺族補償年金の全部には、認められていません。

   自動車に乗るときに自賠責保険だけでは安心できないように、「人を雇う」ことについ
   ても、労災保険だけでは充分なリスクヘッジができなくなっていく傾向にあり、民間の
   上乗せ労災保険や使用者賠償責任保険の必要性が高まっていると言えます。

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天候デリバティブ


  ■『デリバティブ』とは

   あなたも聞いたことのある言葉だと思いますが、きちんと理解している人が少ない
   のも事実です。

   ここで『天候デリバティブ』について考えてみましょう。

   日本語では『金融派生商品』と訳されます。

  □天候デリバティブ
   企業経営において、天気は自分の力ではどうしようもないリスク・ファクターです。

   天気しだいで思わぬ利益が上がる場合もある半面、手痛い損害を受けることも
   あるため、天気の変化が生み出すリスクは企業経営者にとって、無視できない。

   そうした天候リスクを回避するための手法が「天候デリバティブ」と呼ばれる、一種
   の金融商品です。

   仕組みとしては損害保険に似ているが、前もって料金(保険料)を払っておくと、
   気温や雨量などが一定の条件を満たした場合に、払った料金の何倍かの補償金
   (保険金)を受け取ることができるというものです。

   損害保険と違うのは、契約者が損害を受けたかどうかに関係なく、天候という外
   的な条件が満たされればお金が支払われるという点。

   そのため、煩雑な手続きが要らず、利用しやすいというメリットがある。
 
   この仕組みは、米国の総合エネルギー会社エンロンが開発し、97年に最初の取引
   を成立させたといわれるが、日本でも損害保険会社と銀行が組んで提供し始め、
   既に食品・飲料メーカー、電機メーカー、アパレル、外食産業、レジャー産業旅行
   会社、電力・ガス、イベント、建設、デパート・小売りなど、さまざまな業種の企業
   で利用されています。

   中堅・中小企業では、企業収益の大部分を一部商品に依存している場合が多く、
   それが天候により大きく影響を受けるものであれば、ニーズは高くなっており、金融
   機関は天候デリバティブの販売を強化しています。

   小口の定型商品の開発や信託を活用した天候デリバティブの開始など、商品の多
   様化も進んでおり、今後契約する企業数や業種も広がるとみられる。

   天候デリバティブの仕組みでは、前提となる天候条件と保険料、保険金の関係を
   どう設定するかがポイントになる。

   そこで用いられるのが、金融工学の考え方と手法です。

   天候デリバティブという言葉には、金融工学の手法を使って天候リスクを売買する
   商品という意味が込められています。

   金融ビジネスでは、資金のやり取りの仲介以上に、さまざまなリスクをいかに管
   理するかという機能が重要視されている。

   中心となるのは、個々の企業の事業活動にともなうリスクだが、それと並んで、金利
   や為替レートといった人為的に動かしようのない環境変化のリスクをどう管理する
   かも重要な課題となっているのです。

   企業にとっては、金融市場で決まる金利や為替レートも、自分の力では動かしよ
   うがないという意味では、天気と同じようなものです。

   そもそも、金利や為替の変動にともなうリスクを回避(「リスクヘッジ」)する手段と
   して生まれたデリバティブも、その原点を探っていくと、主として天候リスクに対処
   するための農産物の先物取引に行き着きます。

  □天候デリバティブの特徴
   天候デリバティブは金融取引の一種ですが、通常のデリバティブとは次の点が異
   なります。

   ○通常のデリバティブ(金融派生商品)
    ・目的=当初は為替などの価格変動リスクの回避

   ○現在では投機目的で利用されることも多い
    ・指標=金融指標(金利、為替、株価など)

   ○天候デリバティブ
    ・目的=異常気象、天候不順など想定外の天候によって企業が被る損失を
         回避すること(投機目的で利用することはできない)

    ・指標=気象データ(気温、降雨量、日照時間、積雪量、風速など)
     (例)8月の31日間に東京の気温が1日平均で××度を上回る日数が
        △△日を超えた場合、契約した金融機関が○○○万円を支払う

   天候変動が契約で定めた条件を満たせば、実損に関係なく補償額が支払われ
   ます。

   天候デリバティブはオプション料・補償額とも事前に確定しているので、予想外の
   損失が発生することはないが、金融取引であることは事実である。
 
  □天候デリバティブのメリットとデメリット
   ○メリット
    (1)予期せぬ天候変化による損失を軽減し、収益を安定化させる
    (2)実損の有無にかかわらず、補償額が支払われる
    (3)企業の要望に則して、オーダーメードの柔軟な商品設計ができる
    (4)付随的効果として、自社のリスクマネジメントの姿勢を株主・投資家など
       対外的にアピールできる

   ○デメリット
    (1)契約時にオプション料を支払う必要がある。
    (2)実損の有無にかかわらず補償するため、保険に比べ相対的にヘッジコ
      スト(リスクを回避するためのコスト)が高くなる可能性がある。

      従って、指標が契約で定めた条件を満たさなければ、保険料は掛け捨て
      になる。
    (3)補償金の支払いに限度があるため、極端な異常気象の場合十分な補償
      が得られないケースがありうる。

  □天候デリバティブの手法
   例えば、土日・祝日に集客力のある遊園地にとって「雨の日」は大きく売り上げが
   減少するため、雨の日が続く場合の売り上げ減少リスクを回避したいと考えると
   します。

    (1)観測期間(3カ月後から8カ月間の土日・祝日のみ)
    (2)観測所(札幌)
    (3)支払条件(観測期間中に降水日が30日以上あった場合)
    (4)30日を超えた1日当たり200万円
    (5)最大支払額(3000万円)
    (6)オプション料(200万円)

   この場合、観測期間中の降水日が36日になったと仮定すると、遊園地側の受取
   金は、200万円×(36日−30日)=1200万円

   となり、オプション料を引くと、損益は1200万円−200万円=1000万円となる。
  
  □契約に際しての留意点
   (1)天候デリバティブ契約の検討に際しては、取引の妥当性・必要性・リスクお 
     よび効果を十分に理解のうえ、判断しなければならない。

   (2)天候デリバティブ取引は保険契約ではないため、保険契約者保護機構の
     補償対象ではない。

   (3)受け取る金額は、実際に生じた収益減少額によらず、支払要件となる気象
     観測の結果に基づいて決定されるため、実際に生じた収益減少額に比べ
     て少ない場合がある。

   (4)会計上および税務上の取り扱いについては、会計士・税理士に確認するこ
     とが必要。

  □天候デリバティブの活用事例
   ある老舗うなぎ専門店では、土用の丑(うし)を中心とする夏場の需要に期待する
   が、梅雨明けが遅れ冷夏が続いた場合の客足低迷が心配だった。

   そこで猛暑の日数が少なかった場合に補償を受ける天候デリバティブ契約を
   結びました。
 
   契約は7月26日から8月31日までの37日間。

   最高気温が33度以上となる日が6日間を下回った場合、下回った日数につい
   て一日あたり36万円を受け取る。

   この老舗うなぎ専門店では保険会社に50万円の契約料(オプション料)を支払
   う。
 
   この老舗うなぎ専門店は過去3年間の売上高と天候の関係を調査。

   その結果「降雨の影響は小さいものの、日中の気温次第で売り上げが2〜3割
   も変動する」という"法則"に着目した。

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ハインリッヒの法則
 

  ■ハインリッヒの法則

   29件の軽災害の先に重大事故がある。

   ハインリッヒの法則と言うともう聞き飽きた感があるが、ハーバート・ウィリアム・ハ
   インリッヒが論文で発表した 1:29:300 の法則である。

   当時、彼は米国の損害保険会社に勤めており、労働災害の発生について、1件の
   重大災害の背後には29件の軽災害、300件のヒヤリ・ハットがあるということを述べた
   ものです。

   ほとんどの場合何事もないから、危険をはらんだ決定をしてしまう。

   すなわち、事象がいったん進行し始めると、それが事故となるか、何事もなく過ぎるか
   は確率の問題です。

   そして、ほとんどの場合何事もなく過ぎるから、私達はつい危険をはらんだ決定を良し
   としてしまいます。

   問題は、この1つの重大災害がどの程度のものであるかだ。

   近年、世間を震撼させた事故として、六本木ヒルズの回転ドア事故(2004年)、JR
   西日本の福知山線脱線事故(2005年)などがあった。

   これらの事故では、亡くなった人々が最大の被害者であるが、事故を起こした加害者
   は二度と同じような事件を起こさないよう、世間に提供しているサービスの形態や、
   組織の中の仕組みを変えなければならない。

   六本木ヒルズからは大型自動回転ドアが姿を消し、JR西日本ではATS、ATCといっ
   た自動制動装置を増やしているようだが、運転手の注意に頼らざるを得ないところは
   否めない。

   運転速度を、安全速度と合わせて客室に常時表示するなど、もっと根本的な解決が
   望まれます。

   これらの大事件の規模まで至らなくても、怪我をして病院に運ばれたりすると、軽症
   (軽災害)ではなく、ハインリッヒの重大災害に数えられる。

   経営者はそのような事故が起こらないように、常に現場の危険箇所を根絶する努力を
   しているのだが、普通の目で観察していてもその危険箇所がどこに潜んでいるのかが
   分かりにくい。

   ハインリッヒの法則は、ヒヤリ、ハットとするようなことがあれば、それを「何事もな
   くてよかった」とやり過ごすのではなく、せっかく危険箇所が露呈したのだから、それを
   なくす対策を講ずれば重大災害を防ぐこともできると示唆してくれている。

  □失敗を「隠さないことがいいこと」という文化を醸成
   ひと昔前の日本では、よく職場や学校などで人が人をどやしつける場面を見たもの
   だった。

   会社では上司が部下を大声で叱責したり、先生が生徒を怒鳴りつけたりしたものです。

   それは良からぬいたずらや、とんでもない失策を犯したものに対する腹立ちもあっ
   たのだろうが、それよりも叱りつけることで、本人の注意を喚起して同じ間違いを繰り
   返さないようにしてほしいという教育効果を期待してのことでしょう。

   しかし、昨今の人権に対する認識の向上や、怒鳴られることによる精神的苦痛がその
   人の人格に与える影響が取り沙汰され、そのような場面はもっぱらテレビドラマの中に
   限るという風潮になってきています。

   また、いたずらに対する叱責は効果があるが、仕事上の失敗についてはどうだろうか。

   もちろん、失敗を起こした当事者がそれを問題と認識していなければ、それが問題
   であることを知らしめる効果はあります。 

   しかし、本人も自分が失敗をしたことを認識していれば、それを必要以上に叱責する
   ことはかえってネガティブな気持ちを生み、仕事に対する意欲が失せたり、それ以降の
   失敗を隠そうとする動機を生んだりする。

   特に日本の場合は、仕事をしている自分、それと人間としての自分の区別があまり
   なく、仕事で失敗をすると人間失格のような意識ができて、通勤や家庭生活までもが
   辛くなってしまう。

   失敗を隠匿しようとするのは、人間が自分を守ろうとする自然な心理の表れである
   ことを、上の立場から管理をするものは認識しなければなりません。

   だから、組織は常日ごろから「隠さないことがいい」という文化を醸成しなければなら
   ないのです。

   米国では、仕事をしている自分と人間としての自分が比較的うまく分離している。

   すなわち仕事で失敗をしても、それは設計技師や営業部長としての失敗であって、
   人間としての自分とは関係ないという意識が強い。

   そのため、設計の失敗は十分な訓練や設計審査を行わなかった組織の問題であり、
   営業の失敗は営業活動に必要なリソースを組織が与えなかったからと考える。

   当人だけではなく、周りもそういう意識を持つから仕事のストレスが比較的少ない文化
   である。

  □「ヒヤリ・ハット」は企業の問題点を発見する絶好の機会
   先に紹介したハインリッヒの法則をうまく利用して失敗を自ら申告する風土を作り出し
   ている会社もあります。

   一般的に、失敗を報告するのでは、自らの報告が自分の立場を悪くするのでどうして
   も情報が十分に引き出せない。

   そのため、ある会社ではヒヤリ・ハット(ヒヤリとした、ハッとした事例)を発表する
   定例会を設けている。

   ヒヤリ・ハットなのだから、失敗をする前であり、つまり自分の責任を問われることは
   なく、逆に組織の問題点が失敗に発展する前に指摘し、修正する機会を作ったのだか
   らむしろよくやったとほめられることになるのです。

   これを実践している会社では、それまで何気なく過ごしていたのが、この発表会のため
   に、みんなが組織の中の問題点や事故になりそうなところを探すようになったという。

   次々と自分たちのよくない部分が露呈し、それを正すことで労働災害がどんどん減っ
   ていった。

   さらに、従業員たちの失敗に対する意識も変わり、今ではこのヒヤリ・ハット報告会を
   利用して実際にやってしまった失敗を自ら発表する人も出てきた、とのことだ。

   最近では、このヒヤリ・ハット報告会を実践している会社が増えてきたようだ。

   しかし、これも形式的にやっていたのでは時間の無駄となるでしょう。

   組織の責任者が自分たちの問題を見つけ出し、それを潰す絶好の機会と考えること
   で、組織はまた一つ進化することができるのです。

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大地震発生時の対応


  □屋外にいるときに地震が発生したときの対応

   屋外を散策中などに、大きな地震が発生したら、カバンなどで頭部を保護しつつ、身を
   低くしながら揺れが納まるのを待ちます。

   近くにビルがある時は、落下物を避けるため、屋外や近くの公園、空地などに避難し
   ましょう。

   また、ブロック塀や石垣、自動販売機などは倒壊する危険性があるため、近寄らない
   ようにしましょう。

   山間部やがけに近い場所、急傾斜地などでは、地震によるがけ崩れ等によって危険
   が差し迫った場合、避難勧告が発令されます。

   各自治体の広報やマスコミの情報に注意しましょう。

   ただし、地震発生後、以下のような兆候が見られたらすぐに避難します。

   いずれにしても危険な場所から離れて、安全な場所に避難するように心掛けることが
   大切です。

   ●がけ崩れの発生する兆候例

    ・水抜き穴から濁り水が出始める

    ・小石がパラパラと落ちている

    ・がけに亀裂が生じている

    ・水が湧き出てくる

    ・地面にひび割れが生じている

    ・隆起・陥没が生じている

   ●地下街

    パニックを起こして出口に殺到すると非常に危険です。

    とにかく落ち着いて行動しましょう。

    万が一、停電になっても、出入口や非常口への誘導灯が点灯するので、係員の
    指示に従って行動しましょう。

   ●海岸付近

    海岸付近は、大きな地震が発生した場合、津波が発生する危険性があります。

    以下の「津波から身を守る避難のポイント」に沿って、適切な行動をとりましょう。

   ○津波から身を守る避難のポイント(危険が迫ったら)

     ・グラッときたら、すぐ避難
      強い揺れ(震度4以上)、または、弱くても長くゆっくりとした揺れを
      感じたら、情報を聞くより先にまず避難。

      また、地震を感じなくても、警報や注意報を耳にしたら、すぐに避難
      してください。   

     ・一刻も早く、高いところへ津波は凄まじい速さで陸上を駆け登り、家や
      車をさらっていきます。

      危険が迫ったら、とにかく一分一秒でも早く、高いところ(避難ビルや高台
      など)に避難してください。

     ・素人判断はしない
      津波の前に潮が引くなどとよく言われますが、前触れなしにいきなり
      大きな波が来る場合もあります。

      過去の経験則を過信して「まだ大丈夫」などと判断するのは危険です。

     ・避難先で、正しい情報を得る
      安全な場所に避難できたら、ラジオやテレビなどで津波情報を聞きましょう。

      災害の後にはデマが広まりがちですが、惑わされないこと。

      正しい情報を得た上で、次の行動に移ってください。

     ・危険が去るまで、決して海に近づかない
      津波は繰り返し襲ってくるので、警報や注意報が解除されるまでは、
      決して海岸に近づかないでください。
      荷物を取りに戻るのは、大変危険です。

    非常持出袋は、家を出て避難するときに、当面の生活に最低必要と思われる品物を
    入れて、あらかじめ用意しておきます。

    災害発生時には、避難のための持ち物を準備している余裕がないこともあるため、
    日頃から準備しておきましょう。

   ●保管場所

    非常持出袋は、災害発生時にすぐに持ち出せるように、リュックサックなどに入
    れて、いつも目に付く手に取りやすい場所に置いておきましょう。

    また、持ち出せないときのために非常持出袋を2つ用意して、1つは屋内に、も 
    う1つは屋外の物置、車の中などに置いておけば準備万端です。

   ●持出品

    救援物資が届くまでの数日間を自活するためのものとして、以下のものを中心 
    に、最低3日分程度の非常食、水、生活用品を持出品として用意しておきましょ
    う。

    また、赤ちゃんや年配の方、体の不自由な方がいる場合は、家族の状況に応じ
    て準備しましょう。

    一度に持って運べる重さは、男性で15kg、女性で10kg程度と言われています
    ので、無理にたくさん持ち出す必要はありません。

    状況にもよりますが、不足しているものがあれば、避難場所から自宅に取りに
    戻ることもできます。

     ・飲料水

     ・食料(カンパン、インスタントラーメン、缶詰・缶切りなど)

     ・携帯ラジオ ・懐中電灯(予備の電池も)

     ・防災頭巾 ・ヘルメット ・ロウソク ・ライター

     ・ナイフ ・医薬品(傷薬、常備薬)

     ・貴重品(保険証券、印鑑、通帳)

     ・その他(軍手、下着、タオル、毛布) など

   ●その他

    長期的な避難生活も視野に入れて、以下のものを日頃から備えておくとよいで
    しょう。

    ・食料:缶切りのいらない缶詰、レトルト食品やお米などがあると重宝します。

    ・カセット式コンロとガスポンベ:ガスの復旧には時間がかかるため、ガスポンベ
     を何本か買い置きしておくと、料理をすることも可能です。

    ・大きなポリタンク:飲料水用に、また給水対応用としても使用できます。

    ・厚手の業務用ゴミ袋:ポリタンクの代用にも、ゴミを入れることができるので衛
     生面でも有効です。

    ・濾過機と飲み水衛生剤:汚れた水を濾過機で濾した後、薬剤を数滴落とすと
     飲料水になります。

    ・新聞紙:包んだり、敷いたり、防寒にも使えます。

    ・下着:洗濯ができないときのために揃えておきましょう。

    ・洗面用具:水のいらないドライシャンプーとボディ洗浄剤。
     不衛生にしておくと病気になりやすく、気分も滅入ります。
     特に暑い夏は必要。

    ・紙皿、紙コップ、ウェットティッシュ:水道が使えないときのために、重宝します。

    ・ラップ:洗い物に水が使えない場合、紙皿などに敷いて使うことができます。

    ・アイマスク、耳栓:避難所では、多くの人がいるので寝るときのために。

    ・ペットフード:ペットの食料は自分で確保しておく覚悟が必要です。

    ・笛:大きな声が出せないとき、建物の中に閉じ込められたときなどには、笛で
       合図する。

   お年寄りのいる家庭では是非用意しておきましょう。

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被災者生活再建支援制度  内閣府
 

  ■被災者生活再建支援制度

   暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、津波、噴火、地震、地震による液状化、などの自然
   災害によって、住宅に著しい被害があった人を対象に現金が給付される制度があり
   ます。

   これが「被災者生活再建支援制度」です。

   火災保険や地震保険の補償内容にプラスして、被災者の生活を再建することに寄与
   する制度と言えます。制度内容、受給できる要件、手続き等を知っておき、いざという
   ときにすぐに対応できるようにしておきましょう。

  □支援金の内容と支給対象
   支援金は、住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅の再建方法に
   応じて支給される「加算支援金」からなります。市町村が発行する「り災証明書」で、
   原則として「全壊」または「大規模半壊」と認定された場合に支給されます。

   また、住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体
   した世帯や、噴火災害等で危険な状態が継続し、長期にわたり住宅が居住困難に
   なった世帯も含みます

  支給額

   基礎支援金と加算支援金の合計額が支給されます。

   世帯人数が1人の場合は、複数世帯の75%の水準となります。

  □支援金の申請
   申請書に以下の必要書類を添えて、地元の市町村役場に申請します。

    ・「り災証明書」  ・「住民票(外国人登録済証明書)」  ・「預金通帳の
     写し」 

    ・全壊の場合は市町村発行の「解体証明書」、法務局発行の「滅失登記簿謄
     本」 

    ・敷地に被害がある場合は「敷地被害証明書類」

   なお、加算支援金を申請する場合には、住宅の建設・購入、補修または賃借の内容
   を確認するための「契約書等の写し」も必要です。

   申請期間は、基礎支援金は災害があった日から13月以内、加算支援金は災害の
   あった日から37月以内です。

  □当制度の留意点

   (1)制度が適用されるためには適用される自然災害の被害の大きさが、法律に
     より決められています。

     したがって、局地的な自然災害の場合は給付を受けられない可能性もあります。

     適用される場合は、都道府県から公示があります。

   (2)支援金の使途支援金は自由に活用することができます。返済の必要はあり
     ません。

   (3)再建方法が重複する場合の加算支援金の支給額例えば、一度住宅を賃借
     した後に住宅を建設・購入する場合は、両者の合計額の250万円ではなく
     200万円となります。

     一度住宅を賃借した後に補修する場合も同様、150万円ではなく100万円と
     なります。  

   (4)居住用以外の建物居住用以外の空き家、別荘、他人に貸している物件につ
     いては、この制度の対象にはなりません。

   (5)東日本大震災の運用緩和長期避難エリアを設定し、その居住地域に住む人
     について、り災証明書の取得を不要化。

     り災証明書の代わりに、全壊であることが確認できる写真の添付で可。

     住民票の提出に代えて、本人の申告のみでも可。
 

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裁判外紛争解決手続(ADR)

  ■裁判外紛争解決手続(ADR)

   平成19年4月1日に施行された等制度の認知度・活用度はまだまだ浸透していないのが
   現状のようです。

   会社経営者と個々の従業員との間で 、解雇、雇止め、労働条件引下げ、セクハラなど
   のトラブル(個別労働紛争)が多発しています。

   これらの労働紛争の解決方法として、 特定社会保険労務士の資格を有する社会保険
   労務士が、トラブルの当事者の言い分を聴くなどしながら、個別労働関係紛争を「あっ
   せん」という手続きにより、和解の仲介をします。

   「あっせん」とは、当事者間での紛争または問題について、解決が促進されるよう第三者
   が世話をすること」です。

  □「あっせん」で問題を解決するメリット

   ○あっせんでの金銭解決相場は、裁判や労働審判に比べると、かなり低いといわれて
    いる。

   ○紛争が長期化、泥沼化するのを未然に防止できる。

   ○弁護士費用など多額の費用、時間がかかる裁判に比べるならば、手続きが簡単に
    すむ。(原則として、あっせんは1日で終了します。)

   ○あっせんを受けるには、費用がかからない。

   紛争当事者同士で、あっせん案に合意した場合は、そのあっせん内容は民法の和解
   契約の効力を有します。 

   ADRとは、裁判によらない方法で、主として当事者双方の話し合いに基づき、あっ
   せんや調停、あるいは仲裁などの手続によって紛争の早期解決を図ろうとする制度の
   ことです。

   裁判と違い、時間と費用を大幅に削減でき、ADR制度の最大の利点は、裁判のように
   白黒決着をつけることを目的とせず、お互いの主義主張の中から話し合いを基に合意
   点を導き、トラブルをを円満に解決することを主とし問題の解決が可能なところです。

   

   社会環境が複雑・多様化していく中で、経営における問題も多岐にわたっています。

   消費者意識の高まりにより、日本でも欧米のような訴訟社会に向かっていることは
   確かです。

   あなたが被告(民事裁判において訴えを提起された者)の立場にならないためにも、
   あなた(会社)の体制を再構築することは言うまでもありません。

 

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しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
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