組織の営業力強化

          

組織の営業力強化

   
  ■営業を中心とした組織体制

   「営業は大変だ、難しい」と営業部門が敬遠されがちですが、果たしてそうでしょうか。

   中小企業は全般的に営業に弱いと言われています。

   収益を上げる営業部門を中心とした組織体制づくりが必要です。

   少数精鋭で勝負している中小企業にとって、社員の一人ひとりの能力を最大限に引き出し、
   目標達成に向けて組織力を強化し、結束することは最重要課題といえます。

   全員参加ということは、全社員のベクトルが同方向に向かっていなければなりません。

   限られた人材を効果的に活用するためにも、部門を超えた全員営業を目指すことです。

   中小企業の多くが営業を営業担当者だけに負担のかかるやり方をやっていることが組織営業
   力の強化・向上を阻害している原因となっています。

   せっかくある組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業力強化の
   ための優先課題です。

   他部門も巻き込んだ営業体制を構築するには営業のプロセスを標準化しなくてはなりません。

   営業に限らず業務を標準化することは様々なメリットをもたらします。

    ・ムダ、ムラ、ムリを排除できる
    ・業務の見える化が可能となる
    ・マンパワーによる特定の人への負担がなくなる
    ・凡人営業マンであっても優秀な営業マンと遜色のない品質を保てる
    ・リスクマネジメント(危機管理)対策に有効
    ・収益に直結した業務に専念できる

   中小企業の多くが売りに弱いと言われている理由は、
    ・営業体制が小規模なのに大企業と同じやり方をやっている
    ・扱う商品そのものを売るために努力している
    ・計画(経営計画、行動計画)に基づいた活動が行われていない

   今まで多くの営業マンは売るための努力をしてきました。

   扱う商品やサービスその物を売る「もの売り」を辞めることをお勧めします。

   あなた(会社)の『売り』はなんですか。

   『売り』とは、扱う商品やサービスの特徴ではなく、お客様にとって価値があり、何かよそには
   ないもの、顧客がまったく予測していないものを言います。

   「お客様にとって、あなたの会社の商品やサービスを購入することに何かメリットがあり
   ますか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた(会社)
   の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、お客様の
   抱える不満や困っていることなどを解決する商品・サービスだからです。

   せっかくの組織をマンパワー営業に頼らず、営業をチーム体制に改善することが営業力を
   強化します。  
   
  ■組織の営業力強化

   リスクを回避するためにも、チーム営業の体制づくりは全社をあげて行なわなければならない。

   そのために、次の3つの改革課題が大きな柱となります。
    (1)チーム営業の構築

     (2)営業用データベースの構築

     (3)データベースの活用方法の決定

     新しい組織編成を取り入れ、顧客データベース、得意先データベースを構築し、共有財産とし
   て誰もが使えるようなデータベース作成ルールを検討し、活用方法を決定します。

   データの資産化、データの共有化である。

   データベースは経営の貴重な資産であり、会社の貴重な財産として管理する仕組みを構築
   します。

   過去には「ヒト」「モノ」「カネ」が経営の三要素でしたが、現在は「ヒト」「モノ」「カネ」
   に「ジョウホウ」が加わりました。

   ところがデータ、情報は、あまり適切に管理されていないのが実情です。

   中小企業の多くが情報の重要性の認識に欠けています。

   現実には、営業活動状況、顧客からの相談や苦情データをほとんどの会社(店)が管理して
   いない。

   営業支援(内勤)スタッフが、機能的に役割分担するチーム営業、見込み客の発見から提案、
   成約、サンキュー・レター(コール)、その後のアフターフォローなど、すべてを営業マンに
   一任していたことを、効率的に分担して担当する仕組みを作ります。

   上記仕組みの構築により、情報はしっかりと共有されることで、顧客は複数の営業マンと接触
   しも、満足感を損ねるようなことはない。

   顧客がチーム営業に接したときに、どのスタッフからも同品質な対応を得られるぐらい、機能が
   統合された組織であることが理想であり、我々が目指すべきものです。


   中身の濃い顧客との面談時間の拡大が成約につながる。

   そのためには、日常の作業部分を直接面談しなくても、お客さんに継続して接触している場面
   をつくることです。

   再度あなたの就業時間の中身を検証してみることです。

   そして今からもう一度あなたの営業体制を再構築してみてはどうですか?
 
   見直しのチェックポイントは、

    ・同業他社(店)と同じやり方をしていないか。差別化できる商品やサービスはあるか  
    ・ナンバーワンではなくオンリーワンを目指した体制か 
    ・対象(マーケット)を絞って(細分化)いるか 
    ・商品を得意なもの1〜2つに絞っているか 
    ・アクションプランは常に5W1Hで行っているか 
    ・競合相手、人口の多いところを狙わない 
    ・名刺、会社案内、パンフ等は独自性があるか 
    ・信頼性を強調しているか 
    ・基本動作12項目(挨拶、電話の応対、整理整頓等々)は実践されているか 
    ・あなたのサービス(それはどんなサービス)はお客様から評価されているか 
    ・お客さんへの感謝の気持ちを行動に表しているか 
    ・あなたの本当の売りは人間関係であることを理解しているか
    ・競争相手は同業者ではなくお客さんであることを理解しているか 
    ・あなたは何業であるかを認識しているか 
    ・出会い頭をないがしろにしていないか(見た目の重要性)

    マーケティングを車に例えるならエンジンです。

   経営をしていく中で心臓部となる。

   事業の成功も失敗も、すべてはマーケティング・スキルの良しあしにかかってくるのです。

   正しく活用すれば、マーケティングは大きな利益を生んでくれる道具となるでしょう。

   理解しておかなければならないのは、あなたが開拓しようとしている市場に最も適した商品や
   サービスが必要だということなんです。

   営業マン個人に集客から顧客の維持・管理までを任せっぱなしにしていないだろうか?

   既存客を担当しながら「空き時間」を使って、数の増えた営業対象へとアプローチ活動を展開
   するのはかなり困難です。

   それを可能にするためにも、顧客開拓を全社(店)的な仕事としてとらえ、営業部門のフォ
   ローにあたる必要があるのです。

   営業力を熱意や根性といった精神論で語る時代は終わりました。

   自社の営業力を強化するためにも以下の問いかけに答え、営業の仕組みづくりの参考にして
   ください。

        組織の営業力強化コンサルティング・セミナー・研修・講演のご案内

    
   □営業戦略
営業力.gif

    ○購入行動の動機付け
  
   計画とは、目標達成の手順・方法・内容を決める
     ための設計書です。

     収益を伸ばしている営業マンは、例外なく計画作
     りがうまいものです。

     目的を明確にその目的からビジョンを生みだし、
     そのビジョンから明確な目標をつくっていきます。

     ご承知のようにセールスは場当たりな行動によっ
     て成績が出せるものではありません。

     目標数値から逆算して、日々の行動計画を自分で管理していくことが重要となって
     きます。

     お客様がはじめて購買を考えるきっかけは、

      1.お客様が購入の必要性を理解した
      2.お客様が、その商品をぜひとも購入したい、という欲求を感じた。

     この2点が満足されなければなりません。

     しかも、最終的に購買行動を決定するときには、購入行動におけるコストとリスクが、
     購入決定に複雑な抵抗をつくりだします。

     買いたいという気持ちに動いても、「ほんとうにその商品でよいのか?」「コストの面は適
     正か?」「購入した場合のリスクは?」「周囲が反対をしないか?」「このセールスパーソ
     ンから購入してよいか?」「他社の商品のほうが良いのではないか?」など、購入決定に
     対するマイナス要素が働きかけてきます。

     理屈的にはその商品を買うことに問題はなくても、それを決定するのは、理屈ではなく、
     人間の感情だからです。

     あなたは、このことを頭の中に入れて、購買行動の動機付けを行わなければなりません。

     購入の決定を下すということは、リターンとリスクを天秤にかけるむずかしい作業といえ
     るでしょう。

     あなたは、そのお客様の不安定な購入決定の作業を、お客様が買いたいと思う欲求を
     刺激し、躊躇させるものはなにかをすばやく見抜き、お客様をリラックスさせてあげる必
     要があります。

     お客様のためらいは、コストとリターン、不安と支持、リスクと保証とが拮抗した形をと
     っています。

     そこで、コスト以上のリターンが期待できること、リスクについては保証があるというこ
     と、不安に対しては支持のほうが大きいこと、などを明確にしてあげなければなりません。

     トークの内容は、
      (1)リスクについて、もう一度、アフターフォローなどの保証があることを強調する。

      (2)購入してよかったという顧客の資料(お客様の声 等)を提示して、お客様の気持
        ちに安心感を与える。

      (3)商品がどのようにお客様の欲求を満たしていくか、という利点(お客様のメリット)
        を述べる。

      (4)お客様の現状に対して、その商品がない場合のデメリットをはっきり述べる。

     ということを、繰り返します。

     同時に、あなたは、挨拶、言葉遣い、清潔感のある服装、身振りなどで、お客様に自分
     が信用できることを示します。

     企業が「誰に、何を売っていくのか」を明確にします。
     @誰に(顧客と対象となるマーケット)

      ・対象マーケット(販路)層は明確か

      ・対象マーケット層のニーズの把握は

      ・顧客数は増加しているか

      ・顧客からの注文頻度は上がっているか

      ・1顧客当たりの受注額の増加は

      ・顧客のバランスは適正か(偏り・分散し過ぎて
       いないか)

      ・顧客の動向(ニーズ、業績、競合他社との取引状況)を把握、管理しているか

      ・優良顧客について関係強化のための活動(リレーションシップ) を組織的に
        行っているか

      ・新規開拓活動は計画的に行っているか

      ・新たな市場(法人、ユーザーなど)開拓への活動、検討を行っているか

      ・新たな販路(対面販売、ネット通販など)開拓への活動・検討を行っているか

      ・既存顧客への新商品販売の可能性を検討しているか

      ・既存商品を新しい販路で販売する可能性を検討しているか

      ・新規販路で新規商品を販売する可能性を検討しているか

      ・商品の提供方法やアフターサービスなど顧客の利便性は向上しているか

      ・自社販売網の構築や他社ルートの活用など販売網の工夫はなされているか

      ・効果的なセールス手法の開発・実施がなされているか

      ・材料や商品の仕入れ先の情報を十分に入手できているか

      ・材料や商品の仕入れ先のバランスは適正か(偏り・分散し過ぎていないか)

     A何を売っていくのか(商品・サービス)

      ・既存商品(サービス)の成長性、収益性はどうか

      ・顧客ニーズに対応した商品、サービスになっているか

      ・商品(サービス)は競合他社との差別化策を保有しているか

      ・商品(サービス)の主要機能(特徴)は競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の使い勝手、デザインは競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の品揃え、価格は競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の改良は継続的に行われているか

      ・今後の商品(サービス)開発の重点分野は明らかになっているか

      ・新商品(サービス)開発は計画的・継続的に行われているか

      ・市場ニーズを吸い上げる活動を行っているか

      ・商品(サービス)開発のべ−スとなる技術力は向上しているか

      ・自社の核となる基礎的な研究開発は行われているか

      ・収集した情報から実際の商品(サービス)開発につなげる企画・設計力は向上
       しているか

      ・生産管理レベル(原価、品質、納期、安全など)の強化ができているか

   (2)戦術(組織の営業体制)
     戦術とは営業戦略実現のための適切な組織営業体制やマネジメントの仕組みを言
     います。

     @組織体制 行動計画2.gif

      ・セールス活動においてターゲット、商品、地域
       などが適切に選別されているか

      ・組織全体としての年次、月次、週次、日次の目
       標計画が策定されているか

      ・目標と実績の差異分析を行い計画修正につな
       げているか

      ・営業部門長(リーダー)は、営業面、会社全体の
       戦略について理解しているか

      ・リーダーが部門全体の現状を把握するための
       仕組みはあるか

      ・リーダーは部下を指導するための十分な能力、時間があるか

      ・営業組織内の横の連携は十分にとれているか

     Aマネジメント

      ・広報活動(プレスリリース)を行っているか         

      ・営業マニュアルの作成、ノウハウの共有化はできているか

      ・顧客別の購入金額、購入頻度、満足度などの管理が行われているか(顧客管理)

      ・営業結果だけではなく営業プロセスも管理されているか

      ・ベテラン営業マンのノウハウ、知識が会社として蓄積され、共有化、活用されて
       いるか

      ・適切なセールス(営業)ツールが準備されているか

      ・初訪、決定権者面談、成約、入金などの「営業プロセス」が標準化されているか

      ・営業プロセスごとに次のステップに進むための要件が明確になっているか

      ・個々の営業マンがどの程度の実績が見込めるかについて把握しているか

      ・管理者として部下の行動管理は適切に行われているか

      ・個々の営業マンがどのような強みや弱みをもっているかについて把握しているか

      ・営業マンの能力や資質に応じた指導を行っているか

      ・営業マンやる気を引き出す指導を行っているか(モチベーション

      ・営業マンの能力とやる気を高める適切な評価制度はあるか(人事考課

   (3)営業マンの能力
     営業マン個々の能力・資質・やる気などは十分であるかどうかです。

     営業マンの能力は時間が経てば向上するものではありません。

     彼らをやる気にさせ、収益に貢献できるための仕組みが求められます。

      ・自社第一の商品が人であることを認識し、基本動作の習得を徹底。

      ・商品や業界に関する知識は十分にあるか

      ・自分の個人目標を適切に設定しているか

      ・個人目標を上回る成果を出し続けているか

      ・自社の営業プロセスを正しく理解し、計画的な営業活動を行っているか

      ・自分の担当客の状況を深く理解し、関係強化を図っているか

      ・日報提出の遵守など上司への「報連相」を適切に行っているか

      ・新規顧客開拓に積極的に取り組んでいるか

      ・他部門とも積極的に連携を取っているか

      ・各営業マンは具体的な目標をもっているか

      ・上司の指導や優秀な先輩から学ぼうとする姿勢、意欲を十分にもっているか

      ・能力開発に向けた自己啓発活動を継続的に行っているか

      ・当事者意識をもち、何としてもやり抜くという強い意志をもっているか

      ・自分の弱みや強化すべきポイントなどを理解し、実現に向けて努力しているか

   
  ■営業力の強化・向上計画

  □営業力向上の留意点
   営業力とは、自社(店)の商品をいかに売り切るかという営業マンの人的能力のことでは
   ありません。

   もちろんそれも重要な要素のひとつですが、会社全体としての営業力強化を考えるには、
   次のような視点で「営業戦略」や「営業体制」といった基本的な部分にまで踏み込む必要が
   あります。

   (1)営業戦略 
     「営業戦略」とは自社が「誰に対して、何を売っていくのか」という自社の営業のあり方を
     決定づけるもっとも基本的なものです。
 
     まずはそれが明確になっているのかどうか、市場性や競合状況などから考えて妥当で
     あるかどうかなどを検討し、より明確で適切な営業戦略を策定することです。

   (2)営業体制 
     「営業体制」とは営業戦略の実現に向けて、適切な組織体制やマネジメントの仕組みが
     あるかどうかということです。

     たんなる営業マンの集団ではなく、組織として十分に機能させることが重要です。

   (3)営業マンの能力
     「営業マンの能力」とは一人ひとりの営業マンの能力・資質・やる気などは十分であるか
     どうかということです。

     営業マンは勝手に育つわけではありません。

     彼らのモチベーション、基本動作を向上させ成長スピードを高めるための施策が求めら
     れます。

   これらの3つの視点から現状の自社の営業力を分析して、会社全体としての営業力をバラ
   ンス良く強化していくことが求められます。

   たとえば、個々の営業マンの属人的な営業力が飛躍的に上がったとしても、それを組織と
   してうまく活用する仕組みが未整備であれば、会社全体としての営業力は不安定なまま
   です。

   また、正しい営業戦略がなければ営業体制も営業マンの能力も活用することはできません。
   
  □営業マンの能力向上のための教育・研修
   (1)座学教育
     営業担当者のレベルアップのため、商品知識や顧客へのアプローチトークなど
     の研修を必要に応じて実施する。

     全体で実施するもの(新商品説明会など)や、階層別に実施するもの(課長・係
     長・主任などの役職者研修、一般社員研修、若手・新入社員研修など)などを、
     目的と時期を設定して行う。また、会社の規模によって全国から集合して、ブロッ
     ク、エリア、県、支店・営業所に分けて実施する。

     ただここで問題があります。

     中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

     その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

     厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所 
     が「人材育成に問題がある」と回答しています。

     この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

     
   (2)ロールプレイング 
     商談を想定して擬似商談訓練を行う。

     自分では気づかない営業活動中の話し方などの癖は必ずあるので、訓練者とチ
     ェック者に分かれて行うと効果が上がる。

     その状況を録画して本人に見せながらアドバイスを行えば、より効果は高まる。

     これは不定期に実施するよりも、定期的に数多く実施することが望ましい。

     丸1日時間を取ることは難しいため、週1回1〜2時間や毎日30 分というよう
     に、時間を取って実施することをお勧めします。

     毎日実施するのであれば、訪問時のあいさつなど部分的なもので構いません。

     担当者の弱点強化を目的に実施することも必要です。

   (3)OJT 
     研修やロールプレイングで行う教育だけでなく、実際の営業活動に上司や先輩
     社員が同行(営業同行)し、具体的な指示やアドバイスをして営業担当者のレベ
     ルアップを図る。

     顧客の状況や訪問先の特徴(経営者、担当窓口の人柄・癖・趣味・好みなど)の
     固有情報を伝達する場にもなるので、より現実的な教育の場として重要である。

   これまで述べた内容について目的を明確にし、営業担当者に「何のために必要なのか」
   を理解・納得させていただきたい。

   目的が明確になると求める成果もはっきりするため、具体的な効果が目に見えて表れる
   ようになります。
   
  □営業力向上計画の策定
   1.めざすべき営業力と計画
    営業力向上とはたんに現状の営業力を向上させるということではなく、その結果としてめ
    ざすべき営業力に近づけていくことです。

    そのためには現状の評価結果とめざすべき姿とのギャップを明らかにしたうえで、そのギ
    ャップを埋めていくための「計画」を策定する必要があります。

    解決すべき問題を特定したら、問題解決の施策であるそれぞれの「課題」について設定
    します。

    そして、課題をどのように実践していくかという手順が営業力向上計画になります。

    計画を策定するときに特に留意しておきたいのが、以下の5点です。
     (1)「何をめざすのか」
       どうなったらめざすべき営業力を獲得したといえるのか指標を示す

     (2)「いつまでにやるのか」
       最終的な達成時期を示す

     (3)「どのようなステップを経るのか」
       最終的な達成に向けた途中段階での指標(月ごと、四半期ごとなど)を示す

     (4)「どのようにやるのか」
       めざすべき営業力向上のため具体的にどのような施策をどのように行うのか

     (5)「誰が責任者・実行者なのか」
       各施策の責任者、実行者は誰か

    これらを不明確にしたままで営業力向上に取り組んだ場合、自社の営業力が本当に計画
    通りに向上しているのかがわかりません。

    また、進捗状況に問題がある場合にどのような施策を打てば軌道修正できるのかについ
    ても判断できません。

    営業力向上のための3つの視点である「営業戦略」、「営業体制」、「営業マンの能力」そ
    れぞれについて、上記の留意点を踏まえた計画を策定することです。

    さらに、それらの計画が実現した場合に見込める「売上」、「受注」などの業績目標につい
    ても設定します。

   2.計画期間
    計画期間は3年程度に設定することで、現状の延長線上ではない大胆な施策を計画しや

    すくなります。

    3年後に獲得すべき営業力を3つの視点で考えて、その実現のためにまずは1年後には
    どのようになっているべきか、そのためには今後3ヶ月間(3ヶ月先行管理)で何を行い、
    1ヶ月間の活動月報を明確にするなど、短いスパンの行動計画に落とし込んでいき
    ます。

    個人レベルでのプランは週次(週報)、日次(日報)にしていく必要があります。

   3.計画策定(計画フォーマット)
    計画の方向性が定まったら、その実現のための戦略を練ります。

    具体的には、マーケテイング、販促計画、研修実施、新規ツール作成、広報、セールス
    トークの開発、勉強会の実施、報告ツールの作成などの内容とタイムスケジュールを
    検討・決定します。

    現状の評価結果とめざすべき姿とのギャップ(差異)を明らかにしたうえで、それを埋めて
    いくための「計画」を策定する必要があります。

    解決すべき問題を特定したら、問題解決のための施策であるそれぞれの「課題」につい
    て設定します。

    そして、課題をどのように実践していくかという手順が営業力を強化・向上させる計画にな
    ります。

    特に先行管理は営業力を向上(売上達成)のための差異(差額)対策といえます。

    営業力の強化向上は営業会社にとって最優先に取り組む課題です。

    中小企業の多くは営業力が弱いことです。

    その要因は、

     1.チーム(組織)営業が確立されておらず、大企業と同じマンパワー(営業マン個
       人)に依存
     2.売る努力が先行し、営業の仕組み、業務の標準化ができていない
     3.人材育成が定着していない

    収益アップが進まないのには原因があるからです。

    手遅れにならないためにもその原因を究明し、早急に対策を講じることです。

  □計画を策定するときの留意点

    ・「何をめざすのか」(What)
      どうなったらめざすべき営業力を獲得したといえるのか指標を示す

     ・「いつまでにやるのか」(When)
      最終的な達成時期を示す

     ・「どのようなステップを経て、どのようにやるのか」(How to)
      最終的な達成に向けた途中段階での指標(月ごと、四半期ごとなど)を示し、めざすべ
     き営業力獲得のため具体的にどのような施策をどのように行うのか

     ・「誰が責任者・実行者なのか」(Who)
      各施策の責任者、実行者は誰か


   
  ■組織営業力

   中小零細企業が生き残り、勝ち残っていくために今何をしなければならないか?

   「営業は大変だ、難しい」と営業部門が敬遠されがちですが、果たしてそうでしょうか。

   中小企業の多くが営業を営業社員だけに負担のかかるやり方をやっていることが営業力の
   強化・向上を阻害している原因となっています。

   営業力とは、、社員全員が営業に関わる営業力強化の仕組み営業改革)をつくり、組織を
   効率的・効果的に活かして利益をあげる「売れる仕組み」をつくることです。

   せっかくある組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業力強化の
   ための優先課題です。 

   今でも10年20年前と同じやり方(戦略も戦術もない)を続けて、違う結果を求めている。

   これでは一生やり続けても何も変わりません。

   営業力強化を推進していくのは、凡人営業マンでもコンスタントに売り上げを上げる
   ことができる仕組みをつくるためです。

   業務を分業化することで、社員一人ひとりが与え
   られたポジションで役割を担い、結果、組織力
   (チームパワー)により、継続した収益を確保する
   ことができるのです。

   うちの社員は能力がないと嘆いている社長もいら
   っしゃるが、これは

   社員に能力がないのではなく、社員に環境(売
   れる仕組み)を与えて
いないことが原因
なのです。

   社長自らがトップセールスマンとして毎日飛び回っ
   ている。

   これでは、いつまでたっても人材は育たず、社内に仕組み
   もできません。

   小さな会社がやっていけるかどうかは、社長の営業力に
   かかっているが、社長の営業(トップセールス)は営業マンと同じことをするわけではあり
   ません。

   ここで「社長営業のコツ」を、6つあげておきます。

    (1)アポをとらないハッピーコールを継続的に実行。

    (2)顧客には、社長1人だけで会う。

    (3)顧客の要望だけを聞く。

    (4)訪問は繰り返し継続的に行う。

    (5)社長の日程の半分は外回りに使う。

    (6)話す時間は10〜15分以内。

      いかなる事業にあろうとも、責任ある立場の者は、多くの時間を社外で
      過ごさなければならない。
      ノンカスタマー(自社の顧客ではない)を知ることは至難である。
      だが、外に出てノンカスタマーを知ることだけが、知識の幅を広げる唯一
      の道である。 (P.F.ドラッカー)
   
  ■お客様との関係強化 
   営業会社にとってお客様がいなければ倒産してしまいます。

   経済環境を見てみても、縮小するマーケット、デフレ、価格競争などネガティブな報道ばかりが
   目に留まります。

   しかし、本当に売り上げ停滞の要因はこれだけでしょうか。

   どれだけの会社が定期の集客活動を行い、顧客固定化のための関係強化を図っているで
   しょうか?

   集客(見込み客開拓)⇒ 新規顧客 ⇒ 顧客の固定化のサイクルが好循環することが継続した
   売り上げを約束します。

   見込み客が安定的にいて、新規顧客を固定化(顧客の流出防止)することで売上は安定
   します。

   結果的に継続的な売上が読めるのです。

   また、広告の反応率も読めますので、今後、効果的な広告も打てます。

   更に、顧客データが手に入るわけですから、定期的、継続的に有益情報を発信することに
   より、自社へのロイヤリティを高めていけます。

   将来お客様になってくれそうな見込み客を獲得し、そして育てていくのです。

   商売は商品やサービスが良いからといって必ずしも売れるわけではありません。

   むしろ、どんなに良い商品やサービスでも「売り込み」が前面に出てはなかなか売れません。

   お客様に本当に喜んで頂くことが原点です。

   そして、その原点を実践するのは「人」です。

   まずはそこに働く社員一人一人が信頼されることが必要です。

   そのためには、人材を『人財』に育成することが欠かせません。

   中小規模の企業は『売りに弱い』といわれています。

   これは人材育成に問題があります。

   企業規模が小さいほど人材育成(訓練)に時間もコストもかけていない傾向にあります。

   その結果、トップ自らが営業の最前線に立ち、従業員にも精神論を振りかざし、叱咤激励する
   スタイルを続け、トップが収益の多くを稼ぎ続けなければならないという悪循環に陥ってしまっ
   ているのです。

   明日の糧より今日の糧を優先することで、全ての行動が場当たり的になり、売り上げアップ
   のためにインスタントな手法に手を出してしまっています。

   短期間で成果を求める気持ちは分かりますが、果たしてそんなに簡単にできるものでしょう
   か?

   それはあなた自身がよくご存知のはずです。

   組織において営業部門はもちろん、全ての部門において『仕組み』づくりは不可欠なもの
   です。

   これらすべてのことはお客様との関係強化を目的としたものです。
   
  ■「売り」に弱い会社は伸びない

   すでにご承知のことでしょうが、中小規模企業に総じて言える弱点は「営業力」です。

   結果として、会社は成長(適正規模、安定した収益確保)しません。

   物理的な規模(売上高が多い、資本金が多い、社員の人数が多い、社屋や設備が大きい、
   販売地区が広く、営業所の数がたくさんある)のことを言っているではありません。

   少ない人材であるにもかかわらず、大企業のように業務の多くをマンパワーに依存しているこ
   とが営業力の強化を阻んでいるのです。

   1日の労働時間の多くが収益に直接関係のない日常業務に費やされ、目先の売り上げに翻弄
   されているのが現状ではないでしょうか。

   業務の優先順位も関係なく、中期的戦略は掲げても掛け声だけ、営業マンには声高に精神論
   で叱咤激励し、業務の全てが場当たり的に行われています。

   営業活動のムダを徹底的に排除しよう。

   小さな会社の社長が日夜、「儲けのために!」努力をしている姿は、なみなみならぬものが
   ありますが、その努力の甲斐もむなしく余り儲かっていないのが、多くの会社の現状です。

   その理由を具体的に考えれば、特に小さな会社はやはり「売りに弱い」からだということです。

   もっと細かくいえば、 「営業開発(マーケティング)」をやっていないこと。

   ほとんどの会社は、「商品開発」については全力投球するが、「営業開発」という活動には、ど
   うしても疎いのです。

   今まで多くの営業は売るための努力をしてきました。

   扱う商品やサービスその物を売る「もの売り」を辞めることをお勧めします。

   あなた(会社)の『売り』はなんですか。

   『売り』とは、扱う商品やサービスの特徴ではなく、お客様にとって価値があり、何かよそには
   ないもの、顧客がまったく予測していないものを言います。

   「お客様にとって、あなたの会社の商品やサービスを購入することに何かメリットがありま
   すか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた(会社)
   の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、お客様の
   抱える不満や困っていることなどを解決する商品・サービスだからです。

   「売上げがアップしないのは、営業マンがいないから」と営業マンの人数不足をなげいたり、
   「営業マンの質が悪い」とグチってばかりいる小さな会社の社長が多いことにも驚かされる。

   実際はそうでなく、営業の労働生産性が悪いの一言につきるのです。

   1人の営業マンが1日動けば、人件費と交通費その他を加えると、2万円程の費用がかかり
   ます。

   その2万円を使った訪問件数は、せいぜい平均6〜7件で、仮に7件訪問するとして、これを
   1件当たりの金額に算出すると、<2万円÷7>で約3,000円のコストがかかっていることに
   なります。

   「いつもお世話になっております、ありがとうございます」と、何の情報収集もなく、顧客1件
   訪問するだけで3,000円かかる現実をみると、営業マンが多くいればいるほど儲からなく
   なるのは当然ではないでしょうか? 

   訪問先の「顧客不在率」は、平均約30%程度も発生している現実があるのです。

   だから営業マンは、アポも取らずに行ったら、顧客(相手)はいないのが当たり前であることを
   強く認識しなければならない。

   ただガソリンをバラまいて車を走らせている、お客を乗せないタクシードライバーのようなもの
   です。

   従来の営業マンを使った営業活動の仕方は、ただちに考え直したほうがいい。


   「営業なくして企業なし」とよくいわれるが、この営業活動そのものが「金食い虫」では困っ
   たものでは済まないのです。

   そうなると、トップ営業マンは社長しかいないことになってしまうのです。

   社長は体を使った営業活動ではなく、頭をめいっばい使わなければならない。

   営業マンが1件の訪問に3,000円かけて出かけて行く以外の、他の方法はないのか? 
   訪問は何のために行くのか? 考えるべきです。

   多くの営業会社で行われている営業活動は、

    1.見込み客開拓(集客)のためのインフォメーション活動

    2.交渉する活動(プレゼンテーション)

   これら2つの活動を考えると、「インフォメーション活動」に全営業活動の80%〜90%を費
   やしていることがわかります。

   つまり営業活動のほとんどは、単に新商品のお知らせや価格を提示するインフォメーション
   活動なのです。

   こういった活動ならば、何も大の男が1日2万円もかけて交通渋滞の中を行かなくても、FAX
   
や郵便、電話、PCなどでできるはずです。

   FAXや宅急便、DM、パート社員の巡回PR要員等々をうまく使えば、営業活動はずっと効率的
   に、低コストでできるのです。

   ただし、電話やFAXおよびDMによる情報提供は、思いついきで実行したのでは効果もなく、
   効率もあがりません。

   定期的に情報を流していかなければ、本当の効果が出ないからです。

   だから、電話やDM作戦などを展開しようとする場合には、的を絞ったユーザーに継続的に
   アプローチ
することが肝心になります。

   このことがわかれば、「請求書の中に情報を入れる」というアプローチがコストが低く、定期的
   に実行できる方法であるといった知恵も、自然にわいて出てくるはずです。

   小さな会社のトップはそうした形で一生懸命、脳みそに汗をかき、「営業開発」に取り組まなけ
   れば、やっていけないのです。

   『売り』に強い会社にしていくためのポイントは次の5つ。

    1.企業の営業活動は、ベテラン営業マンだけに頼らない

    2.今、やっている営業活動の中身を分析して「費用対効果」を考える

    3.顧客の困っていることを、一覧表にする

    4.自社、または他社の成功事例を一覧表に書き出す

    5.自社独自(他社が真似のできない差別化策)の強みをつくる

   5の差別化策を構築する場合のポイント

    ・営業時間を差別化する(早朝、または夜の営業)

    ・商品の質を差別化する(他社にない商品を扱う)

    ・営業マンの質(基本動作の習得)が他社と違う

    ・品揃えに工夫する

    ・情報や技術など、相手にプラスになるものを定期に提供する

    ・特に小口顧客を重要視する

    ・トップが得意先を訪問する(トップセールス)

    ・サンキューレター作戦をとる(継続的に) 

    ・不在で面談できなかった場合は、「不在表」を置き、帰社した後ハガキを郵送する

   まず手始めに、現在、自社内でどんな「営業開発」をやっているか、他にどんなことがや
   れるかを、書き出してみてはどうでしょう?

   最後に、

   『現状維持是即落伍』です。

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営業力の再構築

            

営業力の再構築

  ■自社営業力を客観視する

   すべての会社にとって、「営業」がもっとも重要な機能のひとつであることはいうま
   でもありません。

   自社の営業力を何とかして高めたいと考えている社長も多いでしょう。

   ここでは、自社の営業力強化について、より体系的・網羅的に考えるためのポイ
   ントについて解説します。

   1.自社の営業力
     自社の営業力強化について検討する際には、まず「自社のめざすべき営業力
     とは何か」という定義について確認する必要があります。

     なぜなら、単純に「商品を売る力=営業力」ではないからです。

     たとえば、受注目標を達成した営業マンA君と未達成の営業マンB君がいれ
     ば、数字上ではA君が評価されて当然です。

     しかし、その裏に「A君は自社の理念を無視してお客様に不要なオプションま
     で強引に販売している、B君は直接の数字にはつながらなかったが、会社全
     体の信頼向上に大きく貢献した」という実態があれば、本来的な評価は別なも
     のになるべきでしょう。

     次の図は地域密着型工務店における営業活動のイメージです。

     自社の営業力について考える際には、太線で囲った「数多くの受注を獲得す
     る」、「見込み客数を確保する」といった数字の成否のみに注目しがちです。

     しかし、「地域貢献で会社の信頼度を増す」、「アフターフォローを充実する」と
     いったことも長期的に考えればとても重要な営業の要素です。

     一方で、「不要なオプションをつけ客単価を上げる」といったやり方は短期的な
     数字の上積みにはなっても、明らかに経営理念に反するものであり、即刻排
     除しなければなりません。

      ●強化(評価)すべき営業活動、排除すべき営業活動を見極める

       営業力強化を考える際には、手持ちの商品をいかにたくさん売るかという 
       短期的な数字のみではなく、経営理念実現のために、商品をいかに継続
       的に売っていくかという長期的で広い視野で捉える必要があります。

   2.営業戦略の明確化とブレイクダウン
     自社のめざすべき営業力を明確にして、それを現場の営業マンまで浸透させ
     るためには、自社の「営業戦略」が「営業戦術」、「営業実践(日々の営業行
     動)」としてブレイクダウンされている必要があります。

      ●営業戦略〜営業実践のブレイクダウン
       営業戦略とは経営理念実現のためにどのような営業を行っていくべきかと
       いう、自社営業の原理原則です。

       幹部陣はもちろん、現場の新人営業マンまでが日々の行動の判断材料に
       できる明快さが求められます。

       先の工務店の例でいえば、「地域密着で満足度ナンバー1、地域シェアナ
       ンバー1をめざす」などが営業戦略です。

       営業戦略は全社レベルで統一され、また、同じく重要な戦略である「商品戦
       略」などと整合性が取れていなければなりません。

       そして、営業戦略実現のためにどのようなやり方で臨むのかが「営業戦術」
       になります。

       先の例でいえば、「顧客満足度データベースの構築・活用」などが営業戦
       術になります。

       営業戦術はその戦術を採用する部門で共通認識されている必要がある。

       また、個々の営業戦術との整合性も必要です。

       さらに、営業戦術に従って行う日々の具体的な業務が「営業実践」になる。

       これも先の例でいえば、「定期的なアフター訪問の徹底」などが営業実践と
       いえます。

       また、実践レベルでもそれぞれの整合性が必要です。

       このように自社の営業力について考える際には、目にみえやすい業績数
       字のみにとらわれるのではなく、まずは経営理念に沿った営業戦略が明確
       になっているかを確認し、戦術レベル、実践レベルについても、それぞれの
       整合性も含めて検討することが必要です。

  □営業戦略の構築
   ここからは前項で取り上げた「営業戦略」、「営業戦術」、「営業実践」のそれぞれ
   について、より有効なものにするためのポイントを解説していきます。

   営業戦略とは前述のように経営理念実現のためにどのような営業を行っていくべ
   きかという、自社営業の原理原則です。

   この部分が定まらないと戦術、実践へとブレイクダウンできません。

   1.なぜその戦略なのかを明確にする
     前項で取り上げた工務店は「お客様に安価で良質な住環境を提供する」という
     経営理念の下、「地域密着で満足度ナンバー1、地域シェアナンバー1」という
     営業戦略を掲げています。

     しかし、この経営理念実現のためには必ずしも地域密着である必要はなく、た
     とえば、自社工法を代理店やFC方式で全国展開するという選択もあります。

     このように経営理念実現のために選択できる営業戦略はひとつではない。

     すでに自社の営業戦略がある場合は、なぜその戦略を採用しているのかにつ
     いての根拠を確認する必要があります。

     戦略策定当初は合理的であったとしても、状況変化によって現在では適切な
     戦略とはいえない可能性もあります。

     また、これから営業戦略を策定する場合は、最初からひとつの営業戦略に絞
     るのではなく、複数の異なる営業戦略候補を策定して、有効性や実現可能性
     を評価しながらもっとも妥当な戦略を採択するというプロセスが必要です。

   2.営業戦略検討のための手法
    
 自社の営業戦略を検討する際の代表的な手法として「SWOT分析」と「商品市
     場マトリクス」があります。

     これらの手法を使い営業戦略を検討します。

     その際には同時に商品戦略との整合性にも留意する必要があります。

     (1)SWOT分析
       SWOT分析とは自社を取り巻く環境を、「内部環境(ヒト、モノ、カネ、情報
       など会社のなかにある経営資源)」と「外部環境(人口動向、経済、政治、
       自然、文化など会社を取り巻いている環境)」の2つの視点から分析する手
       法です。

       ●SWOT分析のフレーム
        (内部環境)
         ヒト  経営者の人望、経営能力、経営者の年齢、従業員のスキルなど
         モノ  商品力、原材料、生産設備、店舗、機械など
         カネ  資金力、資金調達力、過去からの利益の蓄積など
         情報  システム導入状況、顧客情報、競合・市場状況把握、
              ノウハウ共有など

        (外部衆境)
         人口動向   人口減少・増加、男女比率、年齢など
         経済      景気、金利、為替など
         政治      政府、法律、自治体など
         自然      天候、環境、天然資源など
         文化      流行、価値観、ライフスタイルなど
         技術      先端技術など
         お客様     購買プロセス、購買決定者など
         供給者     仕入業者、原材料購入業者など
         競合企業    現在および将来の競合企業など
         利害関係者  株主、金融機関、債権者など

     (2)商品市場マトリクス
       商品市場マトリクスとは、商品と市場を軸にした表を作り、今後の成長の方
       向性を「市場浸透」、「商品開発」、「市場開拓」、「多角化」の4つに分類して
       考える手法です。

       ●商品市場マトリクスのフレーム
        「SWOT分析」や「商品市場マトリクス」などの手法を使って、経営理念実
        現のために自社にとってもっとも合理性の高い営業戦略を固めます。

        たとえば、先の工務店の例において、SWOT分析によって、自社周辺の
        状況が「人口流出が著しい」、「大手による新規参入が激しい」などの脅
        威が大きいことがわかれば、地域密着よりも全国展開のほうが有効であ
        る可能性が高くなります。

        市場浸透には限界があり、今後の成長のためには新規市場開拓が不可
        欠と考えられるのです。

  □営業戦術の明確化と遂行

   1.部門長は自部門の戦術を明確に示す
     営業戦術とは営業戦略を実現するために、どのように臨むかという方針です。

     複数の営業部門がある場合にはすべての営業部門共通の戦術もありますし、
     それぞれの営業部門固有の営業戦術もあります。

     営業部門の部門長には、
      ・全社の営業戦略を受けて自部門がどのような営業戦術を採用すべきか
       を明確に示す
      ・自部門の組織で営業戦術を実行するための仕組みを構築する
       (例「報連相」の強化など)
      ・自らがプレイングマネージャーとして営業戦術を体現する
      ・部門全体の営業戦術の進捗状況をつねに把握し、必要な指導を
       与えるなどが求められます。

   2.営業戦術に必要な視点
     営業戦術には次のような点をできるだけ具体的かつ定量的に盛り込む必要が
     あります。

     (1)ターゲット(誰に売るか)
       @消費者向け営業の分類例
         ・基本属性による分類(性別、年齢、地域、所得、職業、家族構成など)
         ・価値観による分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度
          など)

       A法人向け営業の分類例
         ・基本属性による分類
          (業種、業態、資本金、売上高、本社所在地、従業員数、創業
          年数など)
         ・自社との係わりによる分類
          (既存優良顧客、既存通常顧客、見込み顧客、新規顧客、過去
          離反顧客など)

     (2) ニーズ(ターゲットのどのようなニーズに応えるか)

     (3)商品(どのような商品を販売するか)

     (4)価格(どのように価格を設定し維持するか、どの程度の値引きに応じるか)

     (5)販路(自社の営業マンによる直販以外の代理店などを使うか)

     (6)販促(キャンペーン、インターネット活用、パブリシティ活用、口コミ誘発
       など)

     (7)営業ステップ(初訪から受注・アフターフォローまでの営業プロセスの
       設定、各ステップに応じた営業ツールの開発など)

     (8)標準化(営業マニュアル、成功事例、失敗事例、応酬話法の共有化など)

  □営業実践の成果向上
   営業戦術に従って営業マンが行う日々の具体的な業務が「営業実践」になる。

   営業実践でより成果を上げるためには次のような点が重要になります。

   1.戦略、戦術とのつながりの理解促進
     現場の最前線で働いている営業マンにとって、「営業戦略」、「営業戦術」など
     の上位概念は、頭では理解できても、自分の日々の業務とのつながりを認識
     するのは難しいことです。

     目先の目標数字達成に追われるあまり、戦略・戦術と正反対の行動を取って
     しまうこともあるでしょう。

     社長や営業部門の部門長は、戦略・戦術について繰り返し伝えると同時に、
     自社にとってふさわしい営業スタイル(自社営業の基本的ありかた、お客様と
     の接し方、やってよいことと悪いことなど)について行動レベルにまでかみ砕い
     て教える必要があります。

   2.本人による目標設定
     ほとんどの営業マンは受注額などの目標数字をもっています。

     目標数字の設定においては、上司が部下の顔を思い浮かべながら、「A君は
     まだ入社2年目だから1000万円、B君はもう一人前だから3000万円」という
     具合に、決めていくことがほとんどでしょう。

     部下の能力も考えながらの目標配分ですので、一見妥当なようにも思えます
     が、この決め方には致命的な欠点があります。

     それは目標を実際に遂行するA君、B君の意思がまったく反映されていないこ
     とです。

     彼らにしてみれば、いかに上司が苦労して配分した受注目標だとしても、「与
     えられたノルマ」という意識しかありません。

     目標とは自分で決めてこそ、やる気がわくものです。

     目標設定は可能な限り自己申告にすることが好ましいでしょう。

     もちろん、部門全体で確保しなければならない目標もありますし、部下の怠け
     心からの低い目標設定を認めるわけにはいきません。

     目標を過少申告してくる部下に対しては、部下に対する期待感などを説明する
     ことで、部下自らの意思で適正水準に上積みさせることが上司の役割です。

     また、業績数字に直結する目標だけではなく、営業ツール開発など間接的な
     貢献に関する目標を設定させることも有効です。

   3.振り返りの強化
     個々の営業活動がうまくいかなかった場合、通期目標が達成できなかった場
     合などには、その原因を本人に徹底的に考えさせます。

     たとえば、通期の受注目標額が未達の場合は、次のように掘り下げていく。

     <要因掘り下げの例>
      目横未達 ⇒ なぜ? ⇒ 受注件数未達 ⇒ なぜ? ⇒ 成約段階での離反
      客増加 ⇒ なぜ? ⇒ 意思決定権者のニーズの理解不足 ⇒ なぜ?
      ⇒ 顧客の業界動向変化の把握不十分

      この掘り下げが浅いと、「ではどうする」という次の課題を適切に設定すること
      ができません。

      そして、掘り下げは上司が答えを教えるのではなく、部下自身に考えさせ、
      気づかせることで、課題取り組みへのモチベーションアップや、問題解決能
      力そのものの向上につながります。

      また、これまでにない大きな成果を上げた場合にも、「なぜ大成功したのか」
      という成功要因分析を行うことで、再現性が高まります。

      ここまでみてきたように、営業力とは単純に個々の営業マンの「売る力」だけ
      ではありません。

      売上が伸び悩んでいる原因は、個々の営業マンの「実践」レベルにあるので
      はなく、「戦略」、「戦術」の不明確さ、整合性の欠如にあることも多い。

      自社の営業力の実態を把握し、強化を図るためには、戦略レベル、戦術レベ
      ル、実践レベルでの問題を客観的にとらえ、総合的な対策を講じることが求
      められます。

 

中小企業の弱み

         

中小企業の営業力を強化 

   
  ■中小企業の営業力

   多くの中小企業が「売れない」と悩んでいる。

   弊社HPでも解説しているが当然のことだと言ってもいいでしょう。

   過去の成功事例は参考にならないのです。

   誤解を恐れずに言えば、今まで、ものが売れたのは営業力があったからではないのです。

   顧客の商品知識も少なく、好みの変化も激しくなかったため、営業マンはお客を単なる
   商品・サービスの販売先と見るだけで「売る」という一方通行的な仕事であっても、
   問題はありませんでした。

   お客の方も、どうせ注文するなら、よく通ってくれた営業マンに注文をするのも当然で
   あり、営業マンも用がなくても足繁く顧客を巡回することに、それなりの意味がありま
   した。

   その結果、「顔見せ」、「足で稼ぐ」、「夜討ち朝駆け」などの行為が営業の基本にな
   り、習慣化してきました。

   しかし、今はどうでしょう?

   世の中はモノで溢れ返っています。

   今までのようにいくら顧客に会っても、要らないものは結局要らないのです。

   義理人情で買ってくれるような余裕などありません。

   営業側の姿勢として重要なのは、あなたの扱う商品・サービスを理解して、そのうえで
   どのように顧客の抱える課題を解決するかなのです。

   結果にしか求めない営業管理をしていると、社員は、モチベーションが下がり、会社は
   戦略も戦術もなく、仕組みのない営業を続け、社員には精神論を唱え犠牲を強いている
   のです。

   これでは人材も育たず、仕組みを作ることもできません。

   精神論信者が増え、管理職は権威と権限にしがみつき、井の中の蛙になるからです。

   そして最後に、経営者は裸の王様になります。

   過去の成功事例にしがみつき、トップの威厳を振りかざして組織を叱咤激励するだけで、
   営業現場や顧客の中で起きている変化を読み取ろうとしなくなるからです。

   多くの営業マンがトップ営業マンの講演やセミナーに参加しますが、参加した彼らが成績
   優秀な営業マンになったという話は聞きません。

   トップセールスマンはほんのひと握りしかいません。

   これは彼らが持ち合わせているセンスに基づくものだからです。

   これらを考えずに、無意味な飛び込みや人海戦術を奨励する営業スタイルは実に多いの
   です。

   □中小企業に求められる営業力とは
    ・時代に沿ったやり方、考え方
    ・あなたの商品(サービス)の価値は明確か
    ・「理念の共有化」、「情報の共有化」はできているか

   顧客は、企業に支払った金額に相当する商品やサービスを営業マンにではなく会社側に
   求めています。

   決して担当営業マンの優秀なセールススキルを求めているわけではないのです。

   また、企業が財産として所有すべき顧客との接触情報を担当者個人のみに持たせる
   ことは、企業の大事な財産を捨てるようなものです。

  □教育
   会社が行う教育は、あくまでも業務の遂行に必要な知識を伝える教育で、 訓練(トレ
   ーニング)にあたります。

   本当に顧客のために、社員のために、そして自社のためになる教育があるとすれば、
   それは効率的に自社(店)の商品やサービスを必要としている顧客に届け、理解して
   もらえるような「トレーニング」です。

   しかし、今その教育体制は問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育(トレーニング)制度の内製化は不可能です。

   
   より少ないコストと時間で、本当に必要としている顧客に必要な商品とサービスを、
   最適なタイミングで、必要な分だけ提供するためのトレーニング。

   これが会社が行うべき営業マン教育です。

   優秀な営業社員でなくても、少ない労力で多く売れるほうがよいのは当然です。

   売れるためのプロセスを仕組み化し、それを実行させる。

   「どうして失敗したのか」、「こうすればうまくいくはずだ」とか、だから「次からはこ 
   の方法に変えてみよう」などの具体的な指導・仕組みを、「売れない」営業マンたちは
   待ち望んでいるはずです。

   売れないモノは、どんなに頑張っても売れません。

   上司が、どのようなプロセスが売れることにつながるのか、どのようなプロセスが売れ
   ることにつながらないか、を把捉していれば、部下に無駄な根性論を言う必要がなく
   なります。

   正しいプロセスに従って営業を行わない社員を指導するだけで済みます。

   ノルマだけを評価するのではなく、プロセスの実行状況をチェックすれば自然によい業績
   につながります。

   すぐに売り上げが上がらなくても、きちんと評価してあげる制度をつくるべきです。
   
  ■営業活動の中身

   数値目標を立て、目標達成に向け、計画に則った行動をとっている中小企業がどれだけ
   あるのだろう。

   達成が「たまたま」といったことではなく、計画にのっとって実行した結果の目標達成
   でなければならないのは当然のことです。

   ドラッカーの言葉にもあるように、

    計画とは未来に関する現在の決定である。
    全力を注がなければ、単に約束と希望があるだけで、計画ではない。

   そのためにも、目標達成可能な計画と実行が欠かせません。

   競争が激化する中で、会社(店)が存続していくためには我流、場当たりといった営業
   活動は決して避けなければならないのです。

   営業会社にとって、継続した収益アップを図っていくためにも『仕組み』づくりは急
   務です。

   ある調査によると、営業活動において、営業マンが成約するまでの訪問回数はおよそ、
   1回の訪問ではわずかに4%、2回の訪問では7%、3回の訪問では25%、4回訪問では
   22%、5回訪問では16%、5回以上訪問での成約は26%となっています。

   つまり、1回での成約は非常にまれで、少なくとも3〜5回の訪問が必要となります。

   しかし、訪問回数が増えるほど、揖益分岐点は高くなります。

   利益を拡大するためには、訪問回数を減らさなくてはなりません。

   つまり訪問効率を上昇させることです。

   営業環境が変われば、営業マンの行動や考え方が当然変わらなければならないはず
   です。

   競争激化の市場環境下で、新しい営業の仕組みを至急構築していきましょう。

   御用聞き営業から提案営業への質的変化を目指さなくてはならないのです。

   以上のことからも、同業他社(店)、異業からの参入組に対抗していくには差別化を図っ
   ていかなければならないのは既にご承知のことです。

   増収するには、お客様との接触回数を増やすことが第一ですが、だからといって「直接
   面談しかない」では能がありません。

   あなたの存在を、お客さんの頭の片隅にインプットさせることです。

   そのためにDM(ダイレクト・メール)・NL(ニュースレター)・はがき(礼状)・
   ビジネス情報(お客さんが興味関心を抱く内容)を発信(受信)し続けることです。

   ここで受信と書いたのは、情報発信の一方通行ではなく、必ず受信(返信)してもらう
   双方向のコミュニケーションがなくてはなりません。

   商品・サービスを提案していくあなたにとって、自分はどんなことが得意で、こんなに
   お客様の役に立つといったことをアピールしていくのです。

   多くのお客様は高度なセールススキルを求めているわけではありません。

   日常のちょっとした問題、疑問の解決をサポートしてあげることを心掛ければいいだけ
   です。

   個人対象なら、日常でのちょっとした面倒なこと、お得なこと、心配事を見つけ、解決策の
   提案をしてあげるのです。

   法人であっても、面倒なこと、お得なこと、抱える問題などの解決策を提案すればいい
   のです。

   今、旬な話題をテーマに、「○○○を甘く見てませんか?」といったタイトルで法人に問題
   提起し、「もし対策を怠れば、こんなことが企業を襲う」といったレポートをオファとして
   無料進呈し、レポート進呈先(見込み客)に次のステップで、解決策の提案をしていく
   のです。

   個人マーケットであれば主婦層、性別、年代別にホットな情報提供しニーズ喚起して
   いきます。

   お客さんに情報発信しなければ、いつまでたっても反応はありません。

   反応させるには、「お客様にどうやって興味を抱かせるか」です。

   そのためには、内容はともかく発信すること。

   継続していく中で、自然に精度は上がってきます。

   まずやってみよう!

   競合他社との違いを出さなければ、その他大勢の競合社と同じです。

   一歩でなくていいのです。

   半歩先を行くだけです。

   生存競争に生き残っていくためには変化に対応していかなくてはなりません。

   過去の成功事例に引きずられないことです。

   あなたにとって今が一番苦しい時かもしれません。

   しかし、このときを乗り越えれば、あなたの望む結果は必ずついてくることを信じる
   ことです。
   
  ■新規開拓がうまく進まない

   今日に至るまで、大多数の中小企業ではマンパワーに頼ったやり方を続けています。

   企業の多くは特定顧客との継続的な取引によって事業基盤を確保しているところが
   少なくありません。

   このこと自体は事業活動の効率化、営業基盤の安定化という側面から考えれば、決して
   間違っているわけではありません。

   いわゆる「選択と集中」という考え方からすれば、正しい事業活動であるといえます。

   このような顔の見える相手を中心とした営業活動に「偏っている」ということは、一見
   リスクが少ないように思えますが、実はハイリスクな経営状況といえるのです。

   営業活動が「選択と集中」という考え方の下、既存の特定優良顧客との関係強化に重点
   を置き過ぎる状況は、一部の特定顧客からの売上に依存する状況を生み出してしまう
   からです。

   仮にこうした優良顧客との取引が何らかの原因でなくなってしまった場合、企業全体の売
   上に対する影響は甚大なものとなります。

   また、特定顧客とあまりにも密接になり過ぎた結果、自社(店)の事業基盤が特定顧客か
   らの売上げに過度に依存することになってしまい、売上確保のために無理な条件での
   取引をやむを得ず受け入れなければならなくなるケースなども見受けられます。

   新規開拓活動に関してはどうかといえば、見込み客開拓の実施率は低くなっています。

   多くの中小企業の営業活動は、特定顧客へのルートセールスが中心となっており、
   新規開拓活動にはあまり力が注がれていないということがいえます。

   なぜ営業活動がこのようになってしまうのかを考えてみましょう。

   それは目標が売上高予算という「今日の糧」中心だからです。

   少しずつ減り続ける顧客数を気にしながらも、特定顧客に対して必要以上の販売攻勢を
   かけてしまい、結果として顧客への押しつけ営業となり、これを嫌がるお得意様は離れて
   いという負のスパイラルに陥ります。

   これが営業力の弱い中小企業の実態です。

   もちろん、あなたが事業を営んでいくためには売上とそれに基づく利益の確保が最重要
   課題です。

   しかし、目先の売上確保のための活動だけでは事業を継続させていくための「明日の
   糧」は見出すことはできません。

   明日の糧、つまり新たな顧客候補としての新規顧客の開拓が必要不可欠なのです。

   販売(sale)という活動のみでなく、営業(business)という活動を、自社の営業のもう
   一つの基軸と位置付け、継続的かつ計画的に行っていく必要があります。
    
  □新規開拓活動3つのポイント
   新規顧客の開拓があなたにとって必要とされていることには異論はないと思います。

   しかしながら、新規開拓がうまく進まないと感じている企業が多いのも事実です。

   これは、なぜなのでしょうか。

   それは、新規開拓に関して各営業担当者任せになってしまっているからです。

   営業担当者レベルでも新規開拓の必要性は確かに感じています。

   しかし、新規開拓活動が本格化することはなく、営業担当者は時間が余った時に「つ
   いで」に行う、気になる見込み客の近くに来たので「ついで」に訪問するなど、その場
   その場での思いつきによって行われているのがほとんどです。

   ついでに行っているのですから、他業務で多忙になると新規開拓活動は後回しになっ
   てしまいます。

   そしてせっかく構築しかかっていた見込み客との関係も消失してしまい、顧客化できず
   に終わってしまうのです。

   既存の顧客は永遠に自社のお客様ではありません。
  
   そのことを理解し、集客、新規開拓、既存顧客の維持管理を計画的に実行して行か
   なければ、どこかの時点で行き詰まってしまいます。

   企業の戦略として新規顧客の獲得を目指すならば、当然企業として活動をコントロー
   ルしていく必要があります。

   ここではこの活動への考え方を「誰に」「何を」「どのように」という3つのポイントに分
   けて検討していきます。   

   1.誰を対象として新規開拓をするのか
     通常の営業活動である販売(セリング)では、自社の製品やサービスをどのよ
     うにお客様に購入あるいは採用してもらうかが焦点となります。

     つまり、

      →自社のある製品を購入してくれそうなのはどのような顧客か
      →顧客の興味を引くためにはどのようなアプローチが求められるか

     など、自社の製品やサービスという「モノ」を起点として営業活動を検討してい
     くことになります。

     一方、新規開拓は将来のお得意様を開拓していくという活動ですから、自社を
     高く評価している既存の優良顧客に似たタイプが最も有望なターゲットとなりま
     す。

     つまり、
     自社の優良顧客が活動検討の起点となるわけです。

     以上のことから、ターゲットとなる既存の優良顧客のプロフィールをしっかり把
     握・分析することが、効率的な新規開拓活動の原点となります。

     優良顧客の検討は、売上高と利益率の両面から行います。

     特に大手企業との取引がある場合、その売上の大きさから「この大手企業こ
     そが優良顧客である」と判断しがちです。

     しかし実際には大手企業との取引は、取引条件面で非常に厳しい内容になっ
     ているものや、営業利益面での貢献度合そのものは小さい(あるいは赤字に
     なる)ケースが数多く見受けられます。

     自社を適正に評価してくれている顧客ならば、適正な利益の享受も認めてくれ
     ているはずです。

     顧客の事業規模に惑わされることなく、自社の商品や技術・ノウハウなどを高
     く評価し、継続的に取引を行ってくれている顧客層をみつけなければなりませ
     ん。

     企業や事業所向けの事業の場合は、次の観点で分析を行い、自社が得意と
     する顧客タイプを明確化します。

      ・業種、業界
      ・事業規模(売上規模のみならず、従業員数、事業所数・工場数なども検討)
      ・地域的な特性(地理的なものだけでなく、都市圏か郊外かなども注意)

     消費者向けの事業においては、顧客のプロフィールデータとこれまでの購買
     履歴を基に顧客タイプを次のような観点で整理し明確化します。

      ・人口統計学的特性(年齢、性別、職種など)
      ・地理的特性(地域、気候風土、都市圏・郊外など)
      ・心理的特性(想定されるライフステージやライフスタイル、トレンド感受性な
       ど)
      ・購買行動的特性
       (日用品なら購買頻度、専門品ならば1回当たりの購買金額など)

     店頭販売が中心の場合、個別顧客のプロフィールの把握は困難です。

     ポイントカードなどを導入することで顧客情報を得ようとする企業もあります
     が、実態を表しているとは言いにくい面もあります。

     このような業態の場合、正確なデータ収集にこだわるよりも、実際に店頭での
     接客を通じて顧客を観察し、上記特性に当てはめて整理することで十分でしょ
     う。

     このようにして明確化した優良顧客にプロフィールが類似した見込み客を、自
     社の営業展開エリア内で具体的にリストアップしていくことで、新規開拓活動
     のための準備の最初のステップが完了します。

     このような検討方法は、ある程度多数の顧客との取引実績があり、かつ顧客
     情報や購買履歴が明確になっている場合に有効です。

     しかしながら下請に特化してきた会社や創業間もない会社の場合、顧客数が
     極端に少ないあるいは特定顧客以外への販売実績がほとんどないというのが
     現実でしょう。

     そのような場合はどうやって新規開拓の対象先を見つけていけばよいのでしょ
     うか。

     このような場合には自社が提供している製品や商品・サービスが、既存顧客
     においてどのように使われているかという「用途」を中心に考えていきます。

     企業向けの事業であれば、自社が提供した製品やサービスが顧客企業の業
     務プロセス上のどのような部分でどんな使われ方をしているかを調査し、似た
     ような業務プロセスを有すると思われる業種・業態、事業規模、地域について
     仮説を立てていきます。

     販売実績がほとんどない場合は、どのような業務プロセスに適合するように製
     品やサービスを企画したかを基に、やはり仮説を立てていきます。

     そしてこの仮説に基づいて自社の営業展開地域内における見込み客をリスト
     アップします。

     一方消費者向けの場合は、自社の提供している商品やサービスがどのような
     タイプの消費者にどう使われるのかを想定して企画をしたのかを考え、想定さ
     れる顧客像(人口統計学的特性・地理的特性など)に近いと思われる見込み
     客候補の名簿を作成していきます。

     この際の名簿はあまり絞り込まず、かなり大まかな基準に基づいたもので構
     いません。

     なお、見込み客リストを営業担当者に個別に作らせて個人管理をさせるのは
     避けるべきです。

     多くの企業で見込み客リストを作ったらすぐにそれを各営業担当者に分けてし
     まい、あとは各担当者の管理に委ねてしまう傾向があります。

     これでは新規開拓の成果判断などが困難になるので注意しましょう。必ず組    
     織として作成し、管理者による一元管理ができるようにしておく必要がありま
     す。

   2.何を使って新規開拓をするのか
     見込み客リストを作り、これに基づき新規開拓活動を行っているにもかかわら
     ず一向に成果が上がらないという企業が少なくありません。

     このような企業の場合、新規開拓の目的をそもそも履き違えている場合が大
     多数です。

     新規開拓では、明日の糧である「顧客数の量的な拡大」が活動目的となりま
     す。

     しかし多くの企業では、顧客数だけでなく、売上高の拡大という「取引の量的
     拡大」や、利益率の高い商談の実現という「取引の質的拡大」まで一度に目指
     そうとします。

     このため、新規開拓に向かない高額商品を新規開拓用の商材として選択す
     る、提案型営業と称して商談プロセスが複雑な商材を選択するなど、誤った商
     材やサービスを用いて新規開拓活動を行ってしまう傾向があります。

     新規顧客との初回の取引だけでは、相互の信頼関係は構築されていません。

     このような段階で高額商品を薦めることは時期尚早です。まず新規顧客との
     信頼関係を十分に強化することを優先しましょう。

     また、提案営業に関しても自社の技術力やノウハウなどに関し、顧客から十分
     な信頼を受けてからでなければ実現しません。

     新規開拓の目的はあくまでも、将来のお得意様の候補となるような新規顧客
     を、できるだけ数多く獲得することです。

     この新規顧客の内の、例えば1割が大口取引を行ってくれるような優良顧客に
     育てていけばよいのです。

     また、新規開拓は換言してしまえば確率論です。どれだけ多くの見込み客に
     対して自社と自社の製品やサービスを紹介できるか、見込み客にどれだけ効
     率的にアプローチできるか、そして興味を持ってくれた見込み客とどれだけ効
     率的に商談ができるかという点が重要です。

     この観点から、新規開拓に向く商材とは次のような3つの特性を持つものにな
     ります。

      (1)商材の特性が明確であるもの(聞けば、あるいは見れば、すぐに理解で
        きる)
      (2)製品仕様や取引条件に関して複雑な商談を必要としないもの
      (3)その販売において業界における営業経験の長さが必要とされないもの
        (新人でもベテランでも、あるいは営業担当者以外でも説明できる)

     この条件から考えると、企業向けの事業の場合は、顧客別にカスタマイズを必
     要としない標準仕様製品もしくは新製品であり、価格的には高額ではないもの 
     (低価格である必要は必ずしもなく、業界における標準的な価格であれば問題
     ない)が新規開拓に向いた商材ということになります。

     また、消費者向けであるならば新商品や季節限定品など商品特性について顧
     客が理解しやすく、価格的にあまり高額でないものが対象となります。

     次にどのように効率的かつ効果的に商談を進めていくかという点ですが、これ
     に関しては「FABE」という手法を使って、商材のセールスポイントとセールス
     トークをまとめたものを事前に準備するとよいでしょう。

     FABE(ファブ)とはセールスポイントを
      (1)Feature(特徴)
        その商品やサービスの性能や品質、素材などの客観的な事実
        その商材に関する客観的な事実であり、数値などで表され、箇条書きに
        網羅できるものです。

        顧客にとってはカタログを読めば済むようなことです。

        せっかく面談までたどりついた見込み客に、商品やサービスの特徴を
        長々と説明し続けると、商談が打ち切られてしまいます。

        できるだけ簡潔に事実のみを伝えられるようにまとめておく必要がありま
        す。

      (2)Advantage(利点)
        その商品やサービスが持つ一般的な優位性
        簡便さや使いやすさ、汎用性あるいは専門性、安全性や顧客満足度など
        の一般的なメリットの説明です。

        金銭的あるいは経済的な効果に関しては含みません。

        なお、利点の説明についても十分注意を払う必要があります。

        実際の商談において、利点の説明は話していて楽しいですし、見込み客
        も身を乗り出して聞いてくれるかもしれません。

        特に商談の初期の段階では非常にインパクトがあります。

        ただし、利点までで商談を区切ってしまうと、見込み客は次のように言う
        かもしれません。
          「なるほど説明はよく分かりました」
          「・・・しかし、当社(私)には当てはまりませんね」
          「・・・当社(私)で必要となるのはかなり先のことでしょう」

        利点は一般的な優位性でしかありません。

        この段階で見込み客からこのような発言が出てしまうと、その商談はその
        時点で打ち切りとなる危険性が高くなります。

        成果の出ない営業担当者が陥る典型的なパターンです。

      (3)Benefit(利益)
        その商品が見込み客に具体的に与える金銭的・経済的な優位性
        その商材を相手が採用することによって相手が得られる具体的な利益で
        す。

        例えば「他社製品と比較して費用対効果が勝っている」「コストが安い」
        「省エネ・省力が実現できる」「人手がかからない」などがこれに当たりま
        す。

        この段階まで言及できて初めて商談として成り立ち始めます。

        新規開拓においては個別の見込み客ごとの利益はなかなか事前に話法
        の準備ができませんから、事業所向けであれば業種・業界や事業規模別
        に、消費者向けであればライフステージやライフスタイル別にいくつかの
        パターンを想定しておくとよいでしょう。

      (4)Evidence(証拠)
        特徴・利点・利益を保証する具体的な採用事例など
        利点、利益の説明の根拠となるような事実をできるだけ集め、商材に対
        する信頼性を増し、採用に踏み切らせるためのものです。

        大手企業や同業者での採用実例や、公的試験機関でのテスト結果、新
        聞や業界誌での紹介記事など、第三者による評価が受けられたものが有
        効です。

        実際の商談では「FABE」という順で説明するのではなく、必ず、下の商談
        事例のように
          B → FABE
        という順で行うように心がけます。

        これは、FABEの順で説明を行うということは、カタログ内容の説明から入
        るということになり、見込み客にとっては退屈なセールスになってしまうか
        らです。

        つまり、見込み客に

          こちらの話も聞かずに、いきなり堅苦しい説明が始まった…
          ⇒この営業担当者は、こちらのニーズには全く興味がないのか?

        と感じさせてしまい、悪い印象を最初に与えてしまうことになるからです。

        ダイレクトメールやテレフォンセールスのように、時間やスペースが限定さ
        れる場合は「B→E→F→A」という流れで構成してもよいでしょう。

        以上の4段階に分けて説明しながら、顧客に提供していくという手法で
        す。

     この手法の利点は、新人・ベテランを問わず誰でも同じように顧客へ納得性の
     あるセールストークを展開できること、商材のセールスポイントが明確化される
     ので短時間かつ効率的に説明可能なこと、ダイレクトメールやテレフォンセー
     ルスなど限られたスペースや時間で説明を行う際にも有効であることなどが挙
     げられます。

    ●FABEに基づく商談事例
     Benefit(利益)
      「この装置をご採用いただけますと、○○%の生産性向上が図られ、
      年間で○○台の生産台数増加が期待できます」

     Feature(特徴)
      「なぜなら、この装置は従来問題となっていた○○部分に関する不良
      発生を○○%未満にする、当社特許の△△技術に基づく○○という部
      品が組み込まれています」

     Advantage(利点)
      「そのため、現在の不良発生率を劇的に減少させることができます」

     Benefit(利益)
      「従いまして、おうかがいした話を基にシミュレーションをすれば、○○
      部分での歩留まりが○○%向上し、1ライン当たりの生産性が○○%
      向上します。これを年間に換算しますと○○台の生産台数増加が期待
      できます」

     Evidence(証拠)
      「実際、本装置を昨年導入していただいた○○業界のX社のY工場では、
      ○○%生産性が向上され、大変、喜んで頂いております」

   3.どのように新規開拓を進めるか
     新規開拓活動の運営において最も重要なのは、営業担当者の個々の裁量に
     任せてしまわないということです。

     どのような企業においても、営業担当者は既存顧客との商談を中心とした売
     上確保の活動を最優先させています。

     新規開拓は必要と思っていても、その優先順位は低くなりがちです。

     新規開拓活動においては、商材・スケジュール・活動目標を明確化したうえ
     で、営業部門の管理者もしくは経営者自らがリーダーシップを取って、全営業
     担当者で一斉にローラー作戦を採ったほうが効率的といえるでしょう。

     当然、新規開拓活動は思いついたときに行うのではなく、年間スケジュールを
     計画し、定期的・継続的に行う必要があります。

     新規開拓は「働きかけた見込み客数×成約率」という確率論です。

     できる限り多くの見込み客に働きかけ続けることが成功への近道です。

  ■新規開拓の意義・目的
   中小企業に限らず新規開拓は、企業にとって非常に大切であるが、営業担当者・営業
   マンにとっては、一番嫌な仕事ではないでしょうか。

   彼らにとって、既存の得意先は、通いなれた道、いつも会っている人たち、いつもの
   ペースで、売りなれた商品をいつもの条件で売るので楽である。

   それに対して、新規開拓は、知らない道、初めて会う人たち、どんな条件で、何を売れば
   よいのかわからない。

   訪問しても、入ってから出てくるまで緊張の連続である。

   しかも、努力しても成功に結びつくとは限らない。

   だから、できれば新規開拓はやりたくないのです。

   しかし、それでは困るので、なぜ、新規開拓が必要なのか?営業担当者・営業マンに
   わかってもらわなければならない。

   多くの中小企業では新規開拓は、営業担当者・営業マンだけの仕事と思っているところ
   が少なくありません。

   これは大きな間違いである。

   限られた人材の中で収益アップを実現させるには、大企業のようなマンパワーに頼った
   やり方では赤字を垂れ流すだけです。

   新規開拓は必要に応じて幹部も経営者も一緒に行動しなければならない、会社にとって
   大切な仕事であるという認識が必要であり、共に力を合わせて成功させることが大切
   なのです。

  □新規開拓の意義とは

   (1)既存顧客の売上減を補うため
     既存の顧客だけでは、
      ・よくても、前年実績止まり
      ・通常は、前年比95%前後
      ・悪い場合は、前年比90〜95%

     前年実績を維持するためにも、新規開拓は欠かせません。

   (2)今年の売上高を確保するため
     あなたが健全な経営を進めていくには、前年対比の経費増の分を、売上増によっ
     て吸収していく必要がある。
     例えば、経費が前年比103%とすると、売上高も前年比103%以上となる。

   (3)得意先構成をよくするため
     あなたの顧客は優良顧客ばかりとは限らない。
     そのため、新規開拓を行って、入れ替えを行う必要があります。

   (4)市場占有率を高めるため
     経営の目的は、「売上アップ」「利益アップ」「シェア・アップ」です。 

     シェアを高めるには新規開拓は欠かせない。
     (既存顧客の「シェア・アップ」も同様に欠かせない)

   (5)訪問効率を高めるため
     現在の得意先に、新規開拓見込先、さらに新規取引先を加えれば、1日の訪問件
     数を多くすることができる。

     ただし、単に訪問件数を増やすだけの御用聞き営業では時間の無駄であり、相
     手も忙しい。

     直接訪問をしなくても、同様の効果が期待できるのがメールやFAXを活用した
     情報提供である。

   (6)営業担当者・営業マンが役割を果たすため 
     集客から顧客の維持・管理までを営業マン個々に任せることは至難の業といえる。
     本来、集客は会社が行い、集客した見込み客に対してセールスを行うのが営業マ
     ンの役割である。         

   (7)企業の営業力強化のため
     営業力とは、社員全員が営業に関わる営業力強化の仕組み(営業改革)をつくり、
     組織を効率的・効果的に活かして利益をあげる「売れる仕組み」をつくることです。

     せっかくの組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業
     力強化のためであり、企業の将来を切り開いてくれる。

  □新規開拓は計画的・組織的に行う
   新規開拓は、企業にとって重要な経営課題です。

   売上不振になると、トップから、「新規開拓をやれ!」と号令がかかったので、不承不承
   ながら形だけでもつけなければといった、小細工では成功しません。

   新規開拓は会社をあげて取り組まなければならない。

   新規開拓を行うことで、企業の大切な財産である得意先が増えることになる。

   単に、売上が足りないから新規開拓を行うというような問題ではない。

   そこには、企業の戦略が求められるのです。

   「よい企業にはよい得意先がつき、悪い企業には悪い得意先がつく」といわれるが、
   新規開拓を行いながら魅力のある企業づくりを進めなければならない。

   また、「価格で取った得意先は、価格で取り返される」ので、商品価格を下げて新規開拓
   を行うことは邪道であって好ましいことではない。

   新規開拓を真剣に行うなら、企業の経営陣も乗り出さなければならない。

   新規開拓のための組織図にも顔を出していて当然である。

   経営陣が真剣に取り組めば、幹部も真剣にならざるを得ない。

   そうすれば、営業担当者・営業マンもやらざるを得なくなる。

   新規開拓は、全社的に計画的・継続的に行えば必ずうまくいく。

   大切なのは、全社の力を結集させて外へ向けることです。

  □競争力を高めて新規開拓を成功させる
   営業マン・営業担当者が訪問し、「ぜひ、当社とお取引いただけませんか?

   よろしくお願いいたします」と、言った場合、「急に取引してくれといわれても困るな。
   しかし、うちの会社にとって何かメリットがあるなら、考えないでもないがね」と、言う
   のが一般的です。

   多くの中小企業にとって、少しでも売上高を大きくしたい、1円でも多く利益が欲しいと
   願っているのです。

   現在の仕入先よりもプラスの効果があるなら、新しい仕入先を増やすか、条件によっては
   入れ替えを行ってもよいということである。

   現在の仕入先と比較して何もメリットがないのならば、何回、訪問しても取引はして
   くません。

   そこで、手っ取り早いのは商品を安く売ることだが、ライバルも対抗して値段を下げて
   きたらどうなるでしょう。

   価格競争に拍車がかかり、下手をすると赤字を垂れ流し、最悪のときは倒産につながり
   かねません。

   それを避けるには、自社の強み・特長を伸ばし、競争力を高めるしかありません。

   それでは、会社の競争力としての強み・特長はいくつあれば、見込先に提示した場合、
   効果に結びつくのでしょう? 

   一般に、3つ以上になると力を発揮します。

   1つか2つでは威力を発揮しないと思ってよいでしょう。

   新規開拓の見込先の業種・業態によって、こちらが提示する特長の内容を多少変えなけ
   ればならないので、最低5つぐらいは用意しておく必要があります。

   社内で、営業関係者が集まってつくるとよいでしょう。

   営業担当者・営業マンが納得したものでなければ、実践で使うことは難しいでしょう。

   努力も準備も無くして、新規開拓は成功しません。

   新規開拓は、同業他社以上に知恵を絞り努力して、企業として競争力を持てるかどうかに
   かかっているのです。

  □訪問実績をきちんと記入(行動計画)して継続していく
   新規開拓は、1〜2回の訪問で結果が出るものではない。

   1回の訪問で成功することもあるが、それは、例外と考えておくべきです。

   では、初回訪問で取引が始まるケースの中身を考えてみよう。

   通常、どんな会社でも仕入先を持っているし、決まっている。

   それなのに、もし1回の訪問で「取引しましょう」と言われたら、あなたの会社が素晴ら
   しい会社で、相手の会社は以前から、取引したかったのです。

   そしてもう1つのケースは、相手の経営内容が悪くなって、従来の仕入先から見放されて
   いた場合です。

   「ああ、ちょうど、いいところへ来てくれた。さっそくお願いします」などと言われて、
   大量に仕入れて、翌月には倒産されたのではたまったものではありません。

   通常は、数回、訪問して新規に取引をしてもらえるのが一般的です。

   場合によっては、2年、3年かかることも珍しいことではありません。

   見込先が、大企業や官庁関係なら、初めから3年くらいはかかると思っておいたほうがい
   いでしょう。

   せっかく見込み客開拓をしていても見込先を管理しなくては、忙しさにかまけて忘れてし
   まいます。

   見込み先カードに記入しておくことで、いつ、誰がカードを見ても状況がつかめるように
   しておきます。

   新規開拓は、営業担当者・営業だけではなく、いつ、誰が見てもわかるようにしておか
   なければならない。

   一般的に中小企業は「売り」に弱いと言われています。

   従来と同じことをしていると、従来以上の数字は上がらないということを認識すること
   です。

   それは困るという企業は、従来のどこを変えるか、従来のどこを新しくするかという2つの
   対策を打ち出すことです。

   既存客だけを相手にした営業では、売上は伸びないどころか、減少する可能性が高くな
   ります。

   変化の激しい時代には、自社の顧客先を見直し、これから成長する新規の得意先の
   開拓と育成が不可欠となります。

   会社は、個々の営業担当者・営業マンに依存した営業体質から脱却するためにも、
   組織的な営業活動が展開できる環境と仕組みを作ることが重要となります。

  個人情報 
   新規開拓見込先カードなどを作成する場合、訪問先から頂いた名前・住所・電話番号
   ・メールアドレス等の顧客情報を、発送業務や連絡以外には一切利用せず、いかなる
   外部に対しても漏らさないことが大切です。

   個人情報の扱いについてはもちろんのこと、新規開拓には企業の信用を保つための
   全社的な徹底した情報管理が求められています。