組織営業力の強化

営業力向上計画

営業力向上の視点

 1.検討すべき3つの視点

  営業力とは、手持ちの商品をいかに売り切るかという営業マンの人的能力のことではありません。

  もちろんそれも重要な要素のひとつではありますが、会社全体としての営業力強化を考える際には、
  
次のような視点で「営業戦略」や「営業体制」といった基本的な部分にまで踏み込む必要があり
  ます。

   <営業力向上の視点>

  (1)営業戦略

   「営業戦略」とは自社が「誰に対して、何を売っていくのか」という自社の営業のあり方を決定
   づけるもっとも基本的なものです。

   まずはそれが明確になっているのかどうか、市場性や競合状況などから考えて妥当であるかどうか
   などを検討し、より明確で適切な営業戦略を策定することが大切です。

  (2)営業体制

   「営業体制」とは営業戦略の実現に向けて、適切な組織体制やマネジメントの仕組みがあるか
   どうかということです。

   たんなる営業マンの集団ではなく、組織として十分に機能させることが重要です。

  (3)営業マンの能力

   「営業マンの能力」とは一人ひとりの営業マンの能力・資質・やる気などは十分であるかどうか
   ということです。

   営業マンが勝手に育つのを待つのではなく、彼らをやる気にさせ成長スピードを高めるための
   施策が求められます。

 2.バランス良く向上させる

  これらの3つの視点から現状の自社の営業力を分析して、会社全体としての営業力をバランス良く
  強化していくことが求められます。

  たとえば、個々の営業マンの属人的な営業力が飛躍的に上がったとしても、それを組織として
  うまく活用する仕組みが未整備であれば、会社全体としての営業力は不安定なままです。

  また、正しい営業戦略がなければ営業体制も営業マンの能力も活用することはできません。

□現状の評価

 営業力向上計画策定のためには、まずは自社の現状を把握・評価して問題を整理することから始める
 必要があります。

 1.現状の営業戦略を評価する

  自社の現状の営業戦略について次のような視点で検討します。

  (1)顧客・販路
   ・ターゲット層は明確になっているか

   ・ターゲット層のニーズを把握しているか

   ・顧客数は拡大しているか

   ・顧客からの注文頻度は上がっているか

   ・1顧客当たりの受注額は増加しているか

   ・顧客のバランスは適正か(偏り過ぎていないか、分散し過ぎていないか)

   ・顧客の動向(ニーズ、業績、競合との取引状況)などを把握し、管理しているか

   ・重要な顧客について関係強化のための活動を組織的に行っているか

   ・新規顧客開拓のための計画的な活動を行っているか

   ・新たな市場(対法人に加え、対消費者など)開拓への活動・検討を行っているか

   ・新たな販路(対面販売に加え、ネット通販など)開拓への活動・検討を行っているか

   ・既存販路での新商品販売の可能性を検討しているか

   ・既存商品を新しい販路で販売する可能性を検討しているか

   ・新規販路で新規商品を販売する可能性を検討しているか

   ・商品の提供方法やアフターサービスなど顧客の利便性は向上しているか

   ・自社販売網の構築や他社ルートの活用など販売網の工夫はなされているか

   ・効果的な販促手法の開発・実施がなされているか

   ・材料や商品の仕入れ先の情報を十分に入手できているか

   ・材料や商品の仕入れ先のバランスは適正か(偏り過ぎていないか、分散し過ぎていないか)

  (2)商品
   ・既存商品の成長性はどうか

   ・既存商品の収益性はどうか

   ・顧客ニーズに対応した商品になっているか

   ・商品は競合他社との差別化要因を保有しているか

   ・商品の主要機能は競合他社に比べて優れているか

   ・商品の使い勝手は競合他社に比べて優れているか

   ・商品のデザインは競合他社に比べて優れているか

   ・商品の品揃えは競合他社に比べて優れているか

   ・商品の価格は競合他社に比べて優れているか

   ・商品の改良は継続的に行われているか

   ・今後の商品開発の重点分野は明らかになっているか

   ・新商品開発は計画的・継続的に行われているか

   ・市場ニーズを吸い上げる活動を行っているか

   ・商品開発のべ-スとなる技術力は向上しているか

   ・自社の核となる基礎的な研究開発は行われているか

   ・収集した情報から実際の商品開発につなげる企画・設計力は向上しているか

   ・生産管理レベル(原価、品質、納期、安全など)の強化ができているか

 2.現状の営業体制を評価する

  自社の現状の営業体制について次のような視点で検討します。

  (1)組織
   ・ターゲット別、商品別、地域別などの適切な組織編成がなされているか

   ・組織全体としての年次、月次、週次の目標が策定されているか

   ・目標と実績の差異分析を行い計画修正につなげているか

   ・営業部門長は、営業面はもちろん、会社全体の戦略についても十分に理解しているか

   ・営業部門長が部門全体の現状を把握するための仕組みはあるか

   ・営業部門長は部下を指導するための十分な能力があるか

   ・営業部門長は部下を指導するための十分な時間があるか

   ・営業組織内の横の連携は十分にとれているか

  (2)マネジメント
   ・営業マニュアル作成などノウハウの共有化は進んでいるか

   ・顧客別の購入金額、購入頻度、満足度などの管理が行われているか

   ・営業結果だけではなく営業プロセスも管理されているか

   ・ベテラン営業マンの成功ノウハウが会社として蓄積され、かつ共有されているか

   ・適切なセールスツールが準備されているか

   ・初訪、決裁者面談、成約、入金などの「営業ステップ」が構築されているか

   ・営業ステップごとに次のステップに進むための要件が明確になっているか

   ・どの営業マンがどの程度の実績が見込めるかについて把握しているか

   ・どの営業マンがどのような強みや弱みをもっているかについて把握しているか

   ・営業マンの能力や資質に応じた指導を行っているか

   ・営業マンのやる気を引き出す指導を行っているか

   ・営業マンの能力とやる気を高める適切な評価制度はあるか

 3.現状の営業マンの能力を評価する

  自社の現状の営業マンの能力について次のような視点で検討します。

  (1)発揮能力
   ・商品や業界に関する知識は十分にあるか

   ・自分の個人目標を適切に設定しているか

   ・個人目標を上回る水準での成果を出し続けているか

   ・自社の営業ステップを正しく理解し、計画的な営業活動を行っているか

   ・自分の担当客の状況を深く理解し、関係強化を図っているか

   ・日報提出の遵守など上司への「報連相」を適切に行っているか

   ・新規顧客開拓に積極的に取り組んでいるか

   ・製造部などの他部署とも積極的に連携を取っているか

  (2)意欲・姿勢
   ・「自分はこのようになりたい」という具体的な目標をもっているか

   ・上司の指導や優秀な先輩から学ぼうとする姿勢を十分にもっているか

   ・能力開発に向けた自己啓発活動を継続的に行っているか

   ・当事者意識をもち、何としてもやり抜くという強い意志をもっているか

   ・自分の弱みや強化すべきポイントなどを理解し、実現に向けて努力しているか

 4.問題の抽出と課題設定

  ここまで評価してきた「営業戦略」、「営業体制」、個々の「営業マンの能力」について、問題を
  抽出します。

  問題は網羅的に捉えることが大切ですが、すべての問題を一気に解決しようとせずに、自社の営業
  戦略強化に向けて特に優先度の高い問題から取り組むことが有効です。

  なお、特に自社の新商品開発、新市場進出に関して検討する際には、次のようなフレームを活用
  することで、わかりやすく整理できるでしょう。

  <商品・市場(顧客)を検討するフレーム

  a.現業の強化
   現在の市場(顧客)に現在の商品をさらに浸透させる方法です。
   現商品のための増産体制整備、シェア拡大のための販促強化などが該当します。

  b.新商品の展開
   現在の市場(顧客)に対して新たな商品を提供する方法です。
   既存商品が将来的に低迷することに備え改良商品を開発したり、既存商品とはまったく異なる
   商品を開発して新たな需要を獲得するための開発などが該当します。

  c.新市場への展開
   現在の商品をこれまでと異なる市場(顧客)に販売する方法です。
   小売店を通じて販売していた商品をインターネットで直販するためのシステムの開発などが
   該当します。
   また、商圏を広げて新たな地域で販売を開始する際の出店などもこれに該当します。

  d.新市場・新商品の展開
   新しい商品を新しい市場(顧客)に販売していく方法です。
   これまでの商品や市場(顧客)に頼らずにまったくの未知の分野を開拓していくやり方です。
   有望分野に参入することによって収益構造が劇的に向上することも期待できますが、ゼロから
   のスタートですので失敗する確率も高まります。

□計画の策定

 1.めざすべき営業力と計画

  冒頭で述べたように、営業力向上とはたんに現状の営業力を向上させるということではなく、その
  結果としてめざすべき営業力に近づけていくことです。

  そのためには現状の評価結果とめざすべき姿とのギャップを明らかにしたうえで、そのギャップを
  埋めていくための「計画」を策定する必要があります。

  解決すべき問題を特定したら、問題解決のための施策であるそれぞれの「課題」について設定
  します。

  そして、課題をどのように実践していくかという手順が営業力向上計画になります。

  計画を策定するときに特に留意しておきたいのが、次の5点です。

   ・「何をめざすのか」
    どうなったらめざすべき営業力を獲得したといえるのか指標を示す

   ・「いつまでにやるのか」
    最終的な達成時期を示す

   ・「どのようなステップを経るのか」
    最終的な達成に向けた途中段階での指標(月ごと、四半期ごとなど)を示す

   ・「どのようにやるのか」
    めざすべき営業力獲得のため具体的にどのような施策をどのように行うのか

   ・「誰が責任者・実行者なのか」
    各施策の任者、実行者は誰か

  これらを不明確にしたままで営業力向上に取り組んだ場合、自社の営業力が本当に計画通りに向上
  しているのかがわかりません。

  また、進捗状況に問題がある場合にどのような施策を打てば軌道修正できるのかについても判断
  できません。

  営業力向上のための3つの視点である「営業戦略」、「営業体制」、「営業マンの能力」それぞれに
  ついて、上記の留意点を踏まえた計画を策定することが大切です。

  さらに、それらの計画が実現した場合に見込める「売上」、「受注」などの業績目標についても
  設定します。

 2.計画期間

  計画期間は3年程度に設定することで、現状の延長線上ではない大胆な施策を計画しやすくなります。

  3年後に獲得すべき営業力を3つの視点で考えて、その実現のためにまずは1年後にはどのように
  なっているべきか、そのためには今後3カ月間で何を行うかといった流れで、短いスパンの計画に
  落とし込んでいきます。

 3.計画書フォーマット例

  3年後をゴールとした営業力向上計画のフォーマット例を記載します。

  なお、縦項目は前項で取り上げた「営業戦略」、「営業体制」、「営業マンの能力」に対応して
  います。

   <営業力向上計画のフォーマット例

  まずはフォーマット右上の、3年後の「全体イメージ」について記載し、そのための「重点課題」、
  「必要な施策」、「判定指標」の各項目について記入します。

  同様に3年後の全体イメージ実現のためには、2年後、1年後にそれぞれどうなっているべきかに
  ついて途中の全体イメージを設定し、それぞれの項目を埋めていきます。

  また、今後1年間の計画については、アクションプランとして具体的な行動計画も記載します。

  ここではアクションプランを月次にしていますが、個人レベルでのプランは週次、日次にしていく
  必要もあるでしょう。

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組織営業力の強化

営業効率の向上

 営業パーソンはみな懸命に働いていてくれるのだが、どうも効率が悪いように感じます。

 こんな悩みを持つ中小企業経営者は少なくありません。

 基本的な営業パーソンの活動管理がなされていない状態に陥っていないでしょうか。

■営業パーソン管理の基本

 管理ということですから「PLAN→DO→CHECK→ACTION」 のサイクルをまわせばよいのです。

 現在セールスパーソンごとの活動計画がないのであれば「CHECK→ACTION」 から始めても
 構いません。

 具体的な手順を説明します。

 1.PLAN

  まずは基本となる訪問計画を作成します。

  そのためには顧客を分類する必要があります。

  やみくもに訪問しても効率は上がりません。

  図表は顧客の魅力度と自社との取引関係をもとに4タイプに分類したマトリクスです。

  それぞれ次のような基本的対応策をとることになります。

   ①パートナー企業=自社との取引は強く、魅力度も高い
    →強力な協力関係を保つために提案を多くする

   ②アタック企業=自社との取引は弱いが、魅力度は高い
    →攻撃対象を選別し、徹底して接触機会を増やす

   ③ディフェンス企業=自社との取引は強いが、魅力度は低い
    →少ない訪問頻度で現状維持を図る

   ④ルック企業=自社との取引は弱く、魅力度も低い
    →可能な限り訪問頻度を下げ情勢を見守る。取引終了もある

  この顧客分類には、図表のような顧客評価表を作成すると便利です。

  評価項目・評価基準・ウエートについては実情に合わせて変更します。

  注意したいのは、分類基準を取引高や粗利益高だけで判断してはならないということです。

  なぜなら、取引高や粗利益だけで評価をすると顧客の企業規模が強く影響を与えるため、自社
  との関係の強弱とは結びつかないからです。

  例示した表は自社との関係についてのものですが、顧客の魅力度についても同様の考え方で
  評価します。

  評価項目については、顧客自身の成長性、商品構成の自社との合致度、後継者の有無、経営
  計画の有無などが考えられます。

  こうしてタイプ分類した結果を基に、顧客ごとの月間あるいは週間の訪問基準回数を決定し、
  訪問計画を作成します。

 2.DO

  計画ができれば実行あるのみ。

  ただし次の「CHECK」 の段階で成果や問題点をチェックできるように記録だけは正確に残して
  おいて下さい。

  この記録を残すということが大切なことで、多くの中小企業が苦手としているところです。

 3.CHECK・ACTION

  定期的にマネージャーがセールスパーソン一人ひとりと面談を行い、計画通りに実行に移せたか
  どうかをチェックし、どうすれば良いかをアドバイスしたり、共に考えたりします。

  これを個人レビューと呼びます。

□個人レビューの方法

 具体的にはまず、総訪問回数が計画通りかをチェックします。

 続いて顧客別ではどうか、さらに活動内容を見ます。

 これには図表のような記録(活動実績表)が必要になります。

 例示した活動実績表をもとに具体的なアドバイスを考えてみましょう。

 まず、目につくのは、D君とE君の販売達成率の低さでしょうが、問題はそれより右側にあります。

 担当者ごとに見ていきます。

  【A君】今のところ問題はありません。皆の手本となるような活動を続け、より高い目標に

      向かうか、他のメンバーのフォローをして下さい。

  【B君】金額的には問題ないのですが、受注率がやや劣ります。足で稼いだ営業成果でしょう。
      受注率を上げるための行動を起こして下さい。

  【C君】訪問率が低いです。受注率が高いということは営業スキルが高いと思われます。
      目標金額を計算しながらの余裕ある営業活動かもしれません。計画通り訪問する努力を
      すべきです。

  【D君】問題です。何とか訪問はしているのですが、受注率が低すぎます。営業スキルを高め
      なければなりません。

  【E君】訪問回数さえクリアすれば何とかなりそうです。

 以上のようなコメントができるでしょう。

 では「訪問数を増す」「受注率を上げる」 ためにはどうすればいいのでしょうか。

 まず、訪問数を増やすには、毎日の行動計画を確実に立て、それを実行するという「凡事徹底」
 しかありません。

 マネージャーが根気良く取り組むことです。

 受注率を上げるには、マネージャーが本当に個人の活動内容を詳細に聞き出し、何が問題なのかを
 知る必要があります。

 代表的な問題点と解決策は次の通りです。

  ①キーマン・ライトマン(決裁者)に会えていない
   →その都度チェックをする

  ②まともな話になっていない
   →ロールプレイング等のトレーニングを行う、営業ツールの開発をする、上司が同行する

  ③見積り・提案の内容が悪い、数が少ない
   →個別に対応する、成功事例の研究会を行う

  ④商品知識が低い
   →勉強会を開催する

 長期化している景気低迷の中、現有勢力で営業活動の生産性を上げるために、現状を一度見直して
 みて下さい。

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組織営業力の強化

営業の生産性を高める

■チーム営業を強化し生産性を向上させる

 あらゆる営業組織には、「2・6・2の法則(優秀な営業担当者2割、普通の営業担当者6割、
 ダメな営業担当者2割)」が当てはまると言われています。

 生産性を上げるためには、6割を占める「普通の営業担当者」の底上げが効果的であるとされ、
 各企業はこの中間層に対して各種のスキルアップ対策をとり、業績アップを
果たしてきました。

 しかし、これは右肩上がりの経済環境下で通用することであって、市場のパイが縮小し、競争が
 激化している現在はあまり効果を発揮しません。

 むしろ2割の「優秀な営業担当者」の割合を高めることが、生産性アップにつながるのです。

 情報化が進み、技術革新スピードが速くなっている現在、顧客ニーズは高度化かつ複雑化して
 おり、一人でできることは限られてしまいます。

 いくら2割の「優秀な営業担当者」が頑張っても、その人頼りでは限界があります。

 これを解消するのが、2割の“スーパー営業担当者”を中心としたチーム 営業を展開することなの
 です。

 これより、チーム営業の強化策について述べていきます。

 1.チーム営業を成功に導くための三つのポイント

  (1)競争意識の醸成

   個人目標と同時にチーム目標を設定し、個人主義をベースとしたものから、チームベースの
   マネジメントへの転換をお勧めします。

   個人営業では獲得することができない、複雑なビジネスをチームワークで獲得するためです。

   個人営業だと自分だけでできる範囲の仕事をしがちですが、チームで対応できるのであれば、
   その限界を克服できるのです。

   よって、営業手法の選択肢が大幅に増えます。

   また、この手法を体系化することが、チーム内における個人の営業手法のレベルアップに
   つながるのです。

   さらに、チーム間で競わせれば、ボトムアップにもつながります。

  (2)顧客を個人任せにしない

   顧客を個人任せにし、数字が上がらない原因を、担当者の責任にしている企業をよく見受け
   ます。

   これは間違った考え方です。

   営業担当者には顧客に合わせていくことが求められますが、営業担当者も人間です。

   ウマの合う人と合わない人がいます。

   このような場合、その顧客に対応できるチームの営業担当者を同行訪問させるとよいです。

   例えば新規開拓の際、商談が進んでニーズや相手の性格が見えた段階で、相手に合った営業
   担当者をアプローチ担当として同行訪問させて受注率アップを図ります。

   「常に上司が同行訪問することで受注率が上がる」という考え方は捨ててほしい。

   上司はクロージング時のあいさつに同行する程度で十分です。

   とは言え、上司は商談状況や顧客のことを十分に営業担当者から聞き出さなければなりません。

   なぜ商談が進まないのか、なぜこちらの提案が受け入れられないのかを把握することで、それに
   見合ったメンバーを派遣することができるからです。

   また、新規開拓が思うように進まない企業に取り入れてほしい作戦があります。

   それは日を決め、全員で徹底して新規顧客訪問を展開する「全員ローラー作戦」です。

   コンサルティングをしている企業でも、これを実施することで連帯感が生まれ、成功している
   事例も多い。

   新規開拓は不安なものであり、やり方が分からずに成功しないケースも多くあります。

   事前に綿密な打ち合わせを実施し、新規開拓を成功させてもらいたい。

  (3)ナレッジマネジメントの強化

   ◎提案書をデータベース化

    営業における商談成功のポイントは「スピード」であると言っても過言ではありません。

    いくらよい提案であっても、ライバルより遅ければ失注する可能性は高くなります。

    また、よい提案書とは、お客さまの困りごとを解決するための対策をしっかりと記した
    
ものです。

    その他の部分はさほど重要視されないと言ってよいでしょう。

    営業担当者はそこに重点を置き 、短期間で質の高い提案書を作成する必要があります。

    このために必要なのが、提案書のデータベース化です。

    ほかの営業担当者が過去に作成した提案書をデータベースの形で分類・整理・保存し、
    これらをもとに、
お客さまの困りごとを解決する内容へのカスタマイズを行います。

    こうすることで、生産性の向上を図ることができます。

   
◎成功事例や失敗事例の共有化

    多くの企業は、成功事例・失敗事例を共有化する必要性が高いと感じており、朝礼や会議
    などで発表させています 。

    しかし、単に成功事例の結果報告に終わってしまっている企業が多い。

    営業担当者は、商談の進め方や、顧客の求めているニーズに対してどのような提案書を
    提出したのか、その時の提案トークはどのようなものであったかなど、商
談成功までの
    流れとポイントを知りたいのです。

    決してありきたりな商談プロセスを聞きたいわけではありません。

    若いメンバーは特にそうでしょう。

    そのため、成功事例・失敗事例の共有化にあたっては、チーム会議などでしっかりと
    時間を確保
することです。

    その際、提出した提案書を持参させ、どこが良かったか、あるいはどこが悪かったかを
    メンバー全員でディスカッションする必要があります。


 2.顧客とのコンタクトを増やす仕組みをつくる

  「営業を成功させるポイントは、顧客への訪問回数です」と言う経営者は多い。

  事実、訪問回数を増やし、顧客との関係を構築したほうが、受注確率は高くなると言えます

  しかし、ただ増やすだけでは生産性向上につながりません。

  今のところ提案を必要としていない企業に何度も足を運ぶ必要はないが、半年後にその提案が
  必要となり、購入に至る場合もあるでしょう。

  顧客を見極める基準を設け、それと同時に見極めた顧客との接点を継続させるための仕組み
  づくりが必要となります。

  この対策としては、後述するITの活用によって顧客とのコンタクトを補っていく仕組みが
  あります。

  また、もう一つ忘れてはならないのが、内勤社員の営業社員化も効果的な仕組みとなること
  です。

  ある業界では、「営業担当者は来ないけど問い合わせ時にしっかりとサポートしてくれる内勤
  社員がいるから、この会社に依頼しました」と 言う人もいました。

  これは、顧客から問い合わせをいただいた際、いつでも内勤社員が対応できる仕組みをつく
  って
いたからこそできたことです。

  潜在顧客を顕在顧客へ導くには時間がかかることを肝に銘じ、前述のような仕組みづくりに
  励んでもらいたい。

  業績が伸び悩んでいる企業や営業担当者の目標達成率の格差が大きくなってきている企業や
  生産性向上対策がうまくいっていない企業は、ぜひこの仕組みを取り入れ、
業績向上を
  果たしていただきたい。

□ITを活用した生産性向上

 多くの社長は「生産性」という言葉が大好きです。

 企業の中には、「生産性を上げよ」と繰り返し営業会議で言う社長がいました。

 この社長は営業担当者だった時代、成績は常にトップでした。

 そして当時、いかに多くの顧客を訪問するか、つまり営業活動量をいかに増やすかによって
 自分の成績をつく
り上げてきた経験の持ち主です。

 確かに、営業活動量が業績をつくるという考え方は間違っていません。

 しかし、単に「足」で稼ぐだけでは間に合わない時代になったことも忘れてはならない事実です。

 これより、情報化時代の営業活動に活用できるIT活用法について解説します。

 1.営業支援システムの導入

  (1)SFAとは?

   SFAという言葉をご存知でしょうか。

   SFAとはSales Force Automationの頭文字を取ったもので、ITを使って営業活動のムダを
   排除し、営業効率を向上させ
るための支援システムです。

   過去には、システム導入に多額の投資が必要で大手企業を対象に販売されていましたが、現在は
   パッケージ化も進み、比較的安い投資コス
ト で中小規模の会社でも導入しやすくなっています。

   システムの標準的な仕組みは、営業パーソンがデータベースに顧客情報のほか、日報などの
   商談内容や進捗状況を入力し、データを蓄積して営業部内で共有化する
というものです。

   これらの情報が共有化されることで、それまでの営業パーソンの暗黙知を形式知に転換できる
   ため、営業部門全体で顧客にアプローチすることが可能となります

   また、営業パーソンは自己の営業プロセスを振り返ることができるので、営業効率の向上に
   役立てることもできます。

   SFAの一般的な機能として、

    ①商談履歴管理

    ②営業プロセス管理

    ③販売履歴管理

    ④グループウエア管理(掲示板活用による情報共有など)

  (2)生産性向上のための活用事例

   過去に付き合いがあった顧客でも、何らかのトラブルにより、疎遠となっていること
   少なくありません。

   そのような休眠顧客に対し、過去の実績を踏まえて新たに取引を行うためのストーリー
   を展開することで取引を復活させることは可能です。

   また、営業パーソンが突然辞めてしまい、担当していた顧客の引き継ぎができていな
   場合でも、過去の取引履歴を見ることでその顧客を失うことを防ぐことができます。

   SFAはこうした顧客との関係構築・維持に効果を発揮します。

  (3)SFA導入成功のポイント

   こうしたシステムをすでに導入しているものの、うまく活用できていない企業があるのも
   事実です。

   活用できていない企業は、単に生産性向上ができると聞いて導入しただけである場合が多い。

   導入を成功に導くポイントは「なぜ導入したのか(目的)」「今後どのように活用できる
   のか」を事前にしっかりとメンバーに伝え、
理解を得ることです。

   SFAは、営業パーソンがデータを入力して蓄積しないと効力を発揮しないものです

   日報を入力してもそれに対して上司からのフィードバックや評価がもらえなければ、営業
   パーソンは入力作業を億劫に感じ、作業そのものを敬遠してしまう。

   これでは決して成功しません。

   このような点に注意して、ぜひ導入を検討してもらいたい。

 2.生産性を上げるためのその他IT活用方法

  (1)メールマガジンによる顧客との関係維持

   一般的なメールマガジンと言えば、B to Cの販促ツールとして思い浮かべる人が多いでしょう。

   しかしB to Bとしてこれを活用し、顧客との関係構築・維持に効果を発揮するツールとして
   考えることもできます。

   使い方の事例を次に挙げます。

   B to Cほど配信頻度を上げず(1年に2~4回程度で十分)、定期的に、営業パーソンが
   過去に訪問して名刺を入手したもののすぐ
には取引に至らなかった顧客や、取引がしばらく
   ない休眠顧客に対して、あいさつ
文と商品紹介、あるいは自分の私見などを配信します。

   たとえすぐ問い合わせが入らなくても、相手が必要になれば問い合わせをもらうことができます。

   次の取引のためにはあくまでも顧客との接点を持っておくことが重要なのです。

   売上げが足りないときに名刺をめくって突然訪問しても、関係をつくるにはしばらく時間が
   かかるでしょう。

   メルマガには、それをサポートする効果があります。

   注意しなければならないのは、個人ベースで違う内容のメールを送っていては時間がかか
   ため、ある程度ひな形をつく っておき、最初か最後の部分を営業パーソンが顧客
別にカスタ
   マイズするとよいでしょう。


  (2)メールの効果的活用方法

   IT化が進み、今ではほとんどの人が何かしらのITツールを活用しています。

   重要な商談に対面でのコミュニケーションは欠かせないものの、スピードが求められる時代に、
   地理的・時間的な障害を越える手段としてITツールを活用したコミュ
ニケーションの重要性
   がますます高まっています。

   ここではメールに焦点を当て、営業活動の武器に変える使い方を説明します。

   営業パーソンは、日中に顧客を訪問し、夕方あるいは夜に会社に戻って、その日訪問した
   お客さまに対してお礼のメールを送ることが多いのではないだでしょうか。

   しかし、実際はそれすらもできていない営業パーソンが多い。

   どうしてもその日、会社に戻ってやらなければならない仕事がたまっていた場合、お礼メールは
   優先順位
が下がり、翌日になってしまっているのが現実でしょう。

   これを防ぐために、スマホでのメールを活用することをお勧めする。

   スマホメールであれば、移動中であっても簡単に送ること ができます。

   お客さまを訪問し、次のお客さまを訪問する前に簡単なお礼メールを送ると、ライバルの
   営業パ
ーソンに差をつけることができます。

   宿題など、正式に送らなければならないものは、会社に帰ってからあらためて送付すれば
   よいのです。


 3.IT技術に頼り過ぎる危険性

  ここでは生産性を上げるためのIT活用方法について述べてきましたが、決して忘れてほしく
  ないのは、ITはあくまで手段であるということです。

  SFAであれば、入力したら終わりということではなく、その蓄積データを分析して顧客
  アプローチを成功さ
せる、顧客との関係強化を図るのが目的であることをしっかりと理解し、
  活用してい
ただきたい。

  これがひいては営業生産性向上につながるのです。

□生産性を上げる会議の進め方

 近年、会議の進め方に関する書籍が書店にあふれています。

 これは非効率な会議や効果的でない会議が多いことの表れでしょう。

 実際に今までも、何も決まらずにあいまいなまま終わる会議や、「TO DO」が決まっても実行
 されず、次の会議でまた同じような内容が議
論されるといった、いわゆる「悪い会議」に複数
 参加してきました。

 「良い会議・効果的な会議」へ変え、生産性を上げる会議の進め方について解説します。

 1.会議でPDCAサイクルを回す

  (1)会議は対策を検討し、やるべきことを決める場

   前月の数値結果の報告に時間を取られて、対策が検討されない営業会議はまだまだ多い。

   しかし、結果は配布された前月のデータを見れば一目瞭然です。

   だいたい未達成の言い訳を聞いても、生産性が上がるわけではありません。

   それよりも差額を埋めるために何をすべきかをメンバー全員で検討し、決めることが生産性を
   上げるための最も重要なポイントです。

   現状の時間配分が「結果報告:対策検討=6:4」であれば、今後は「2:8」の割合と
   なるようにしてほしいです


  (2)議事録を使った仕組み

   その際に活用してもらいたいのが議事録です。

   前回の会議で決まったことを実行していなければ目標未達となるのは当然であり、会議に参加
   する資格はありません。

   このような状況を招かないために、前回の決定事項の実施状況や進捗状況の確認から、会議を
   スタートさせます。

   こ うすれば決めたことをやらざるを得ない状況になります。

   つまり、「仕組み化」することが重要なのです。

   なお、議事録の作成も、この仕組みに見合うものにしなければなりません。

   発表内容や検討内容など、会議中のすべての発言をベタ打ちしている議事録では意味がない。

   具体的な対策内容と決定事項だけを記載すればよいのです。

  (3)デッドライン・マネジメント

   やるべきことや決定事項については、担当者と期限を必ず明確にします。

   期限のない仕事は生産性を生まないし、仕事ではありません。

   期限があるからこそ効率を追求して、何とかその期限内に間に合わせようと努力するのです。

   また、仕事は自分一人でするものだけではありません

   一つの仕事をメンバーと共にする場合、自分の工程が遅れれば後工程の仕事に影響し、
   全体に遅れが出る可能性もあります。

   そうならないためにも、やるべき決定事項はすべて期限を決めてそれを守ることを追求
   させる「デッドライン・マネジメン
ト」を採用しなければなりません。

   この仕組みを導入し、しっかりPDCAサイクルを回すことが、営業の生産性を向上させる
   ことにつながります。


 2.会議の生産性を上げるためのテクニック

  (1)議題で目的を明確に示せ

   効果的な会議にするためには、事前準備が重要です。

   会議資料や分析データ作成などの準備は当たり前。

   それ以上に必要なのは、事前にメンバーが未達要因を頭の中で整理・分析し、対策案を考えて
   参加することです。

   そのためには明確な議題をメンバーにあらかじめ伝えておかなければならない。

   「うちは事前に伝えているから問題ない」と考える幹部も多いでしょう。

   しかし、その伝え方が問題なのです。

   例えば、「営業コスト削減に関して」という議題では、メンバーは具体的に何から検討すれば
   よいかイメージできません。

   それよりも、議題を「集客効率を落とさない販売コスト削減手法を決める」と伝えれば、何を
   考えなければいけないかが分かります。


  (2)会議の迷走をなくせ

   議論をしているうちに、そもそも議題が何かが分からなくなり、やがて関係のない議題が
   からまって、勝手に話したいことを話し始めてしまうことがあります。

   そんな、空中戦の議論では最終的に何が決まったのかさえ分からなくなる可能性もあります。

   これをなくすためには、ホワイトボードなどを活用し、メンバー全員に注視させる方法が
   有効です。

   今、どのトピックを話しているのかを全員が意識しやすくなり、自然と脱線が少なくなります。

   もし、ホワイトボードがなければ、プロジェクターにパソコン画面を投影する方法などでもよい。

  (3)時間を区切り、集中力を持続させよ

   会議はスケジュールを明確にして、タイムコントロールをすることが集中力の持続につながり
   ます。

   時間が限られていれば、いかに効率的に議論をしなければいけないかという意識が芽生えます。

   さらに発表時間を決めることも有効です。

   例えば、「○○部門の発表を10分間」と設定すると、伝えなければいけないことを時間内
   しっかりまとめて余分なことを話さなくなります。

   また、休憩時間を取ることも重要。

   2時間を超える場合、最低でも1時間半に1回は休憩を挟むと効果的です。

   議論が続くと休憩を取りづらくなりますが、無理にでも入れた方がよいでしょう。

   何時間も休みなく人の話を聞くことなど、普通の人間にはできない。

   人間の集中力は本来、1時間以上もたないものです。

   頭をすっきりさせて戻ってくると、アッという間に結論が出た経験が過去になかった
   でしょうか?


  (4)メンバー全員から意見を出させる

   会議中にメンバーに意見を求めても、全員黙ってしまって意見が出てきません。

   また、特定メンバーのみが発言して、他のメンバーがその意見に同調してばかりいる。

   これでは集まっている意味がない。

   全員から意見を引き出すには、意見を求める前に自分の意見を紙に書かせて、その内容を
   そのまま読ませるとよいでしょう。

   これだと声の大きい人の意見に流されず、いろいろな意見が出てきます。

   もう一つの方法は、意見を求める前に隣の席の人とディスカッションさせます。

   その後に意見を求めれば、自然と意見が出てくるものです。

   ある会社では、自分の発表後にアドバイスをもらいたいメンバーを指名し、意見を求める
   スタイルを導入して
メンバーから意見を引き出しています。

   会議の生産性を上げるポイントを整理すると、

    ①議題は具体的に示し、事前準備をさせよ

    ②ホワイトボードなどを活用し、議論の空中戦を防げ

    ③タイムコントロールで集中力を上げよ

    ④メンバー全員から意見を引き出せ

    ⑤議事録を活用し、 PDCA サイクルをしっかりと回せ


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組織営業力の強化

自社の営業力を診断する

自社の営業力を診断する

■営業力診断のポイント 
 自社の業績アップのためには、「営業力を向上させ、商品販売を促進することが第一
 である」と誰もが考えることでしょう。
 しかし、一口に営業力向上といっても、それを実現するために単に「営業担 
 当者に研修を行い、営業担当者の能力を向上させればよい」というものではありません。

 ここでは、「自社の営業力の弱点はどこにあるのか」、「何を克服すれば営業力は強化
 できるのか」など営業力を診断する際のチェックポイントについて、その考え方をまとめて
 みました。 
 一口に営業力といっても、各社それぞれ求められる営業スタイルは異なります。

 例えば、製造業・卸売業・小売業・サービス業などの業種別、取扱品目、サービス内容別、
 また企業規模や業界内における当該企業の位置付けによっても営業スタイルのあり方は
 変わってくるでしょう。

 営業力を評価するポイントは、営業部門内はもちろんのこと、商品開発力、資金調達力、
 事業所や販売店などの営業拠点の展開方法、商品の仕入れ、物流関係、人事労務関係など
 企業経営全般に広がります。
 また、社内の問題だけでなく、業界、取引先、競合企業の状況など外部環境の問題も考慮
 する必要があります。

□販売力のチェック例
 1.質問表の例 
  ここでは販売力を「商品開発」「販売活動」「販売組織」「商品展開」「業績分析」
  「情報収集」の6分野に分けたチェック表を紹介します。
  各項目の回答は、
   ①できていない(当てはまらない)
   ②どちらかといえばできていない(どちらかといえば当てはまらない)
   ③どちらともいえない
   ④どちらかといえばできている(どちらかといえば当てはまる)
   ⑤できている(当てはまる)
  の5つの選択肢とします。

  ◎販売組織
   ①販売組織は地域別、顧客別、商品別などで合理的に分けているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②販売員の教育訓練は機能しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③業績を評価し報奨する制度はあるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④販売員の士気は高いか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤販売員全員の販売手法、販売能力を標準化し向上させるための仕組みはできて
    いるか
   (回答:1 2 3 4 5)

  ◎販売活動
   ①販売員の士気は高いか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②営業手法は標準化されているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③販売活動は販売計画に基づいて行われているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④販売活動に対して組織的に取り組んでいるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤販売目標と実績の差異分析を行っているか
   (回答:1 2 3 4 5)

  ◎情報収集
   ①顧客は商品やサービスなどによって層別されているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②顧客ニーズを把握しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③顧客の不平不満・クレームを収集し、それをフィードバックする仕組みは
    あるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④4.競合先企業の商品やサービスなどの情報を収集・分析しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤業界全体や競合先企業の動向について情報を入手しているか
   (回答:1 2 3 4 5)

  ◎業績分析
   ①計画の立て方は正しいか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②販売員の行動に問題はなかったか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③業績分析において営業部門長と販売員との見解は一致しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④計画と実績の差異の実態を把握しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤商品別のチェックは十分であるか
   (回答:1 2 3 4 5)

  ◎商品開発
   ①市場調査に基づく需要予測は行っているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②販売する商品は製品市場のライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)の
    どこに位置しているのか把握しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③ターゲットとする客層は明確になっているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④販売する製品の品質、デザインなど顧客ニーズに合致しているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤競合他社商品に比べて価格設定は妥当であるか、商品の差異化はできているか
   (回答:1 2 3 4 5)

  ◎商品展開
   ①手持在庫は適正であるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ②商品の回転率は適正であるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ③仕入予算の編成は適切であるか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ④不良在庫の処分はできているか
   (回答:1 2 3 4 5)
   ⑤新商品の導入展開はタイムリーであるか
   (回答:1 2 3 4 5)

 2.評価例 
  1.の各質問項目の回答の番号数字をそのまま点数として利用します。
  商品開発の全項目が5点であった場合、商品開発の総点数は25点(5点×5)になります。

  各分野の点数の合計を図(レーダーチャート)に落とし込むと、各分野の強い点、
  弱い点を把握するのが容易になります。 
  人は往々にして明確な回答を避けたいという意識が働くことがあります。

  そのため質問を誰を対象として行うのか、その対象者のそれぞれの立場によっても
  回答に差異が生じるものです。
  質問表を作成し、その回答を評価する際には、こうした点にも留意する必要があります。

□実際に営業力の診断をするに当たって 
 前項の質問項目はすべての企業の実態を反映した内容になっていません。
 実際には、各企業の業種、企業規模、営業内容、営業手法などを考慮しながら作成
 しなければなりません。 

 例えば、営業部門の強化改善策を検討することを目的に、現状の営業力を診断するので
 あれば、営業部門におけるQC活動などの導入を検討してはどうでしょうか。

 1.QCとは 
  QC(Quality Control)とは「品質管理」の意味で、日本では主に製造業において
  製品の品質管理や業務改善のための手法として用いられてきました。
  80年代以降、総じて日本企業の製品が高い品質を誇ることができたのも、積極的に
  取り入れられたQCによるところが大きいといわれています。 

  QC(QC活動)が品質管理・業務改善の手法として有効に機能したのは、
   ・現場の声を取り入れ、個々の従業員の自発的な取り組みを引き出すことができる
   ・統計的手法を用いることで、結果を明確に把握することができる
  といった理由からです。

  現場の従業員一人ひとりが、品質管理・業務改善の実行者として主体的に取り組む
  ことで組織全体が活性化するとともに、その効果を数字として確認することで仕事への
  参加意識を高めることができたのです。

  QC活動は小グループごとに取り組むのが一般的です。
  このグループをQCサークルといいます。

  QCサークル活動は、従業員が
   ・継続的に製品、サービス、仕事などの質の管理、改善を行う
   ・運営を自主的に行うことで、自己啓発、相互啓発に役立てる
   ・一人ひとりのスキルアップ、自己実現を図る
  といった効果を期待できます。 

  また、企業の経営者・管理者にとっては、人材育成、職場の活性化といった効果を
  期待できます。 
  QC活動は、基本的にPDCAサイクルと呼ばれる手法に則って進められます。
  PDCAサイクルは、問題解決のための基本的な過程(プロセス)を示したものです。

  具体的には、
   1.改善すべき目標を設定し、その達成のためのプログラムを立案する(Plan)
   2.プログラムを実施する(Do)
   3.定期的に達成状況を点検・評価する(Check)
   4.改善方法やPDCAサイクルの運用に不都合があれば処置・是正を行うAction)
  という手順となります。
  PDCAサイクルは、この1〜4を繰り返し実行するサイクルを指します。

 2.QC活動の流れ 
  QC活動は一般的に次の手順によって行われます。
  1〜3の順番は、場合によっては前後します。
   (1)テーマの選定
   (2)活動計画(スケジュール)の作成
   (3)現状把握と目標設定
   (4)要因解析
   (5)対策の検討と実施
   (6)効果の確認
   (7)標準化と管理の定着

  (1)テーマの選定 
   QC活動は、まずそれに適したテーマを選定する必要があります。
   普段業務を行ううえで、不便に感じていることや、改善した方がいいと感じて
   いることなど、さまざまな問題点を抽出してテーマを選定します。

   テーマとなる問題点の洗い出しには、次のような手法があります。
    ・ヒアリングによって直接問題点を聞き出す
    ・ムリ、ムダ、ムラはないかといった視点で、業務を見直してみる
    ・アンケート形式で問題点を指摘する
    ・直接観察法・ブレーンストーミング(自由に意見を出し合うこと)

  (2)活動計画(スケジュール)の作成 
   テーマが決まったら、そのテーマ(問題)をどのようなスケジュールで改善して
   いくかを決定します。
   計画的にQC活動を遂行するために、手順ごとにおおまかなスケジューリングを
   行います。

  (3)現状把握と目標設定 
   テーマを選定した後、現状把握を行います。
   現状を把握するには、できるだけ多くの情報を収集する必要があります。
   ここでも、さまざまな統計的手法を用いて、データを整理することが有効です。
   重要なポイントは、なるべくデータ化(図表化)し、分かりやすくするという点です。
   具体的な数値に表すことで、現状把握と目標設定が明確化するからです。

  (4)要因解析 
   現状把握により具体的な状況を確認した後、どうしてそのような状況が生じて
   いるか原因を調査します。
   先に大きな要因をいくつか挙げておき、それに関連する細かな要因を追加して
   いくことで、より詳細な要因の把握が可能です。
   要因を挙げるには、前述したブレーンストーミングなどが有効です。

  (5)対策の検討と実施 
   要因解析の後、具体的な対策の検討に入ります。
   特性要因図などから、その原因が分かっているはずですから、そこから対策事項
   を挙げていきます。

  (6)効果の確認 
   対策を決定し実施したら、一定期間後にどの程度の効果が表れたかを確認します。
   確認は、現状把握で用いた方法をそのまま使用すると、比較しやすくなります。

  (7)標準化と管理の定着 
   効果の確認によって、取り組んだテーマに対する結果がでます。
   しかし、QC活動でもっとも重要なのは、やりっぱなしではなく、上がった成果を
   定着(標準化)させることにあります。

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組織営業力の強化

営業力を強化

営業力を強化

 ■営業力の強化策 
  営業力の強化策としては、大きく、営業スタッフの人員増強と営業スタッフの能力向上
  (人材育成)の2つの方法を挙げることができます。

  ◎人員増強 
   営業スタッフの数が増えれば、その分、販売力は強化されます。
   人員の増強策は、単に人数を増やすだけではなく、新たに営業所を開設したり、
   または営業所を統合・拡大して1つの地域の営業を強化させるなどの戦略も
   とられます。 
   営業所の新設や統合、人員増強・配置転換などは営業戦略上決められることであり、
   営業現場サイドの意向だけで決められるものではありません。

   よく営業戦略に用いられるのがランチェスター戦略論です。
   強者は物量作戦のできる総合戦を選び、弱者は体力消耗の激しい総合線を避け
   ゲリラ的な局地戦に持ち込むと強者に対しても互角の戦い方ができるという
   ものです。 
   例えば、大手企業は全国の各都道府県に支店や営業所を設けて営業活動をすることが
   可能かもしれないが、中小零細企業にはそのような真似はできません。
   地域を限定してその中でシェアを広げていく戦略をとるしかないのです。

   競合他社を圧倒したい地域がある場合、その地域に重点的に営業スタッフを投入
   するなどして、その地域での営業の優位性を高めます。 
   人員の増強は販売力の増強につながりますが、必ずしも増えた人数の割合に比例
   して売り上げもアップするとは限りません。
   適切な営業戦略をとらないと売り上げの伸び以上に人件費が増えるおそれも
   あります。

  ◎人材育成 
   営業スタッフの能力向上は、現有の人員を維持したままで各スタッフの能力アップ
   を図り、営業力を強化させることを目的としています。
   能力向上策としては、まず研修が挙げられます。
   この研修は社内研修社外研修とに分けることができます。社内研修は社内で研修
   を実施するものであり、社内の営業のエキスパートと呼ばれるスタッフが講師を
   務めることになります。

   一方、社外研修は社内のスタッフでは対応できない専門的な内容を研修する
   ケースが考えられます。 
   研修制度のほかに営業スタッフの能力向上策としては、知識やノウハウの共有化
   を進め、比較的成績のよくない営業スタッフの能力の底上げを図るなどの方法も
   あります。

   例えば、好成績を上げている営業スタッフの知識やノウハウを社内でデータベース化
   し、全スタッフが共有することで、全体の営業力を強化しようというものです。 
   古い例ですが、プロ野球でいえば、2003年のシーズンオフは、堀内新監督率いる
   読売ジャイアンツは昨年同様に外部から強力な選手(ダイエーの小久保選手や
   近鉄のローズ選手など)を獲得し、戦力の増強を図りました。 
   一方、対照的なのが落合新監督率いる中日ドラゴンズです。落合監督は「現在の
   選手の能力が20%アップすれば十分に優勝を狙えるチームになる」という考えから、
   現有戦力の能力アップによる戦力の増強を図りました。
   戦力アップの手法が対照的な2チームといえます。

 □モチベーションの持続 
  人員の増強、あるいは研修制度の充実などにより、営業力を強化するための条件は
  そろうことになります。
  しかし、これだけでは十分に機能しません。
  陣容(人員)が整い武器(能力)があっても、やる気(モチベーション)が
  ともなわなければ力はでません。

  このモチベーションとは仕事の「やりがい」です。 
  いくら成果を上げても何らかの見返りがないと、努力の継続は難しいものです。
  そこで、重要になるのはモチベーションです。
  いかにモチベーションを高く保つことができるかが重要です。
  これには、成果実績が反映された給与制度、営業成績優秀者への報奨制度などが
  必要です。

  しかし、ここで重要なのは給与制度や報奨制度によりモラール(士気)は高まる半面、
  モラル(倫理観)の低下を招く危険性があるということです。
  成果実績がすべてに優先されるとなると、社会的に問題になるような営業を行う
  者がでてきます。
  これを放置しておくと、企業イメージを損なうことにもつながりかねません。

 □営業スタッフにも求められる経営感覚 
  営業は販売することだけを考えていればよいのではなく、販売代金の回収についても
  留意しておく必要があります。
  たとえ、どんなに売り上げがあっても、その売掛金が回収されないとそれは損失に
  なります。
  売れば売るほど損失が拡大するようでは、営業活動はマイナスにしか作用しません。

  新規取引に当たっては、相手先企業の信用調査を行い、信用格付けに基づいて
  取引量を制限するなど一定の基準を設ける必要があります。
  そして、常日頃から、営業スタッフに売掛金の状況を認識させておかなければ
  なりません。 
  また、企業経営に必要な財務の知識を身に付けさせることもよいでしょう。 

  例えば、正規の価格による売上高と割引販売によって上げた売上高とでは売上総利益
  に大きな差異が生じます。
  売り上げだけを追求するのではなく、それによってどれだけの利益を得ることが
  できたのかを十分認識させたいところです。

  以下では、営業力の強化策として、上記のうち人員増強策以外の、営業スタッフの
  能力向上(人材育成)の観点から、
   ・営業力強化のための研修
   ・営業力強化のためのマネージャーの役割
   ・営業力強化のためのシステムについてまとめます。

 □営業力強化のための研修 
  営業スタッフは、毎日の営業活動の中で何らかの問題点をかかえているはずです。
  研修では、そのような問題がわずかでも解消され、今後頑張る動機付けができれる
  ようにしたいものです。
  逆に、受講者に何の動機付けもできなければ、研修会としての意味がありません。
  単に体裁を整えただけの研修では、受講者の眠りを誘うだけで、ほとんど益はない
  ととらえたほうが良いかも知れません。 

  また、研修が成功しても、それがその後の成果につながらなければ意味がありません。
  研修中は、受講者が感心するような成功を得ても、研修後、職場に帰ると元に戻って
  しまうのでは、時間とお金の無駄です。
  従って、研修中とその準備時間にどうしてもやっておかなければならないことが
  あるのです。 

  研修の講師は「では一体何を勉強・研究すべきか」を、受講者に示さなければ
  なりません。
  講師は研修に臨む前に、最低限このテーマに関しては、十分な準備をしておかなければ
  ならないのです。 
  社外講師を使う研修に、しばしば見るべき成果がないのは、社外講師に、売り上げを
  伸ばすには何をすべきかを具体的に示せない人が多いからだといえるでしょう。

  講師となる人は、研修後に何を自習・自主研究させるかについては、十分時間を
  かけて具体的に準備する必要があります。 
  研修は重要です。
  一生懸命取り組めば、講師にも受講者にも、予想以上に大きな成果をもたらすことが
  できます。 

  しかも、考えることが不可欠な最近の情勢の中では、管理者に講師をつとめさせる
  ことが管理者への研修にもなることを忘れるべきではないでしょう。 
  外部講師に多くの料金を支払うくらいなら、育てたい管理者に、育てたい営業社員
  の研修講師をさせて、その研修を経営者や幹部が見守るくらいの注力を惜しみたく
  ないものです。 

  また、研修という形で社員の能力向上を図るほかに、社員の自主性を大切にして、
  社員自らが自己啓発に取り組めるような社内環境や制度の整備も効果があるでしょう。 
  専門の研修機関には以下のような研修メニューがあります。

   (1)営業活動基礎  (2)商談技術習得  (3)商談技術向上
   (4)新規開拓推進  (5)提案営業推進  (6)小売店育成提案営業
   (7)小売店業績向上研究  (8)店頭接客販売技術 
   (9)商品知識&ツール  (10)価格交渉技術向上
   (11)営業マナー向上     (12)営業計数研究
   (13)営業活動効率化研究  (14)営業力向上施策研究
   (15)プレゼンテーション  (16)営業管理者基礎
   (17)営業指導力強化    (18)営業戦略策定  
   (19)営業の問題解決    (20)CS向上施策研究

 □営業力強化のためのセールスマネージャーの役割
  1.セールスマネージャーの仕事と役割 
   営業力を強化するための重要な方策の一つに、戦略的な思考ができ、それを実践
   するセールスマネージャーの育成があります。
   マネージャーの中には管理職であるにもかかわらず、適切な仕事の進め方や部下の
   育成法などが分からない人も見受けられます。
   このようなスキル不足のマネージャーは、営業スタッフに間違った指示を与えがち
   で、ひいては業績の足を引っ張る原因ともなります。 

   企業の求めている管理職とは、与えられた目標の達成が困難となる環境変化が
   起きた時、何とか知恵を絞り、創意工夫して目標を達成するか、目標に限りなく
   近づける人なのです。

  2.根拠のある目標を設定する 
   実際のところマネージャーは、自部門の目標を営業スタッフ別に細分化し、
   全営業スタッフに目標を与えはしますが、その達成方法については、営業スタッフ
   に任せ切りにしているといったケースが多いのが現実です。
   そのため、当然、営業スタッフも、目標達成の方法が分からないからそれを実現
   できないといったことになります。

   その結果、「売る」ことを忘れた営業スタッフが増殖してしまうのです。
   目標達成のためには、それ相応の準備が必要で、その方法は全社的に活用できる
   ものでなければなりません。 
   マネージャーは目標について「営業部門の方針は全社の方針に基づいた具体的な
   ものになっているか」「自部門の目標は事前に予測した変化の方向と合致した
   根拠のあるものになっているか」などをチェックしておくことが必要です。

   そして部下の営業スタッフにも同じことをやらせてみる必要があります。
   具体的な方法としては、得意先別、商品別、エリア別に根拠のある目標を設定させ、
   その目標と設定した理由を目標設定表に記入させるのがよいでしょう。

  3.決定事項を忠実に実践 
   目標達成方法が決まったら、それを営業スタッフに決めた通り実践させるのが
   マネージャーの仕事です。 
   マネージャーは会社の戦略、目標およびそれを成功、達成に導くための方法を
   部下の営業スタッフに正確に伝え、部下の意欲を引き出さなければなりません。
   このことが簡単なようで意外に難しく、マネージャーを非常に悩ませています。 

   目標達成方法を理解し、それをきっちりこなす能力を営業スタッフは十分に
   持っていますが、何かの原因で意欲をなくしている部下が時々いるものです。
   部門目標を達成するためには、この部下の意欲をなんとかして向上させなければ
   なりません。
   従って、マネージャーは、ありとあらゆる手を駆使してこの課題の解決を図ら
   なければなりません。

  4.決めた通りできたか調べる 
   決めたことを決めた通りに実践することが、組織でいい仕事をするための第一の
   基本です。
   もし、決めた通り部下がやっていなければ、マネジメントは崩壊します。 
   そこで、決めたことを決めた通りやったかどうかを徹底的に調べることが必要に
   なります。

   部下が決めたことを決めた通りに行えたかどうかをマネージャーがすぐに把握
   できるようにするために、決めたことと、実績とがはっきりするようなフォーマット
   を作成しておけば、この仕事が容易なものとなります。

  5.営業力アップのための販売管理システムを設計する 
   マネージャーの役割強化を通じて営業力強化のステップを説明してきましたが、
   これだけでは営業力強化は完全に実現できません。
   つまり、これまでのことを十分に盛り込んだ販売管理システムを設計することが、
   企業として営業力強化を図る最後の詰めとなるのです。 
   多くの企業では、この販売管理システムが不十分なままになっているか、
   十分なものであっても、その運用方法に不備がみられるかのどちらかです。

   そのために営業スタッフの仕事を複雑にしたり、本来の仕事をさせないように
   しているといえます。 
   販売管理システムは営業スタッフの仕事を標準化して、営業スタッフをロボット
   のように機械的に使うものではありません。 
   営業スタッフは、目標の設定から達成までの間に非常に多くの仕事をしなければ
   なりません。

   しかし、営業以外の仕事の処理に無駄な時間が費やされると、業績を上げるために
   費やさなければならない時間が自然に少なくなるのです。
   つまり営業スタッフが事務処理の仕事を楽に遂行できるような仕組みを作り、
   業績を上げるための時間を多く生み出せるようにすることが大切といえます。 
   営業スタッフの生産性向上は、いかに得意先での効率的な商談時間を増やすかに
   かかっています。

   そして、この商談時間を増やすためには、営業スタッフの社内時間、移動時間を
   思い切って縮減する以外方法はないといえます。
   実際には、移動時間をゼロにすることはできません。
   (しかし、コロナ禍の今、リモートでの営業が始まっています)
   社内時間をどう短縮するかが、営業スタッフの生産性向上の最大のポイントと
   なってきます。
   そのことを念頭に置いた販売管理システムを作らなければ、営業力強化はできない
   と考えるべきなのです。 
   パソコンなどIT機器を有効に使うことにより、営業スタッフの社内時間を少なく
   することも今では可能になっています。
   ITを活用すれば、営業部門の人間は、顧客を相手に頭を使った創造的な仕事に
   注力することができるのです。

 □営業力強化のためのシステム
  1.SFA(Sales Force Automation)とは 近年、パソコンなどに象徴される
   コンピューターの価格がきわめて安価になり、日本社会は急速にIT化が進んで
   います。 
   IT化といっても、必ずしも高度な技術を要するものではありません。

   コンピューターを利用して、さまざまな情報を蓄積・管理・運用することは、
   パソコンを使って容易にできるようになってきているからです。

   しかも、それは何も経理や財務といったもともと数字を扱う業務だけに限られ
   ません。
   ITは営業にも活用できるのです。 

   例えば、営業担当者は外回りが多いためオフィスにいる時間が限られており、
   上司や同僚と営業情報を共有することが難しい状況にあるとします。

   これまでなら、営業担当者が営業日報という形でノートに記入して、皆で回覧
   する程度でしか具体的な対策は取れませんでした。

   SFAとは、こうした日々の営業によって得られたさまざまな情報やノウハウを
   コンピューターに蓄積し、簡単に皆で共有することができるシステムなのです。 
   SFAは、個人の経験やカンに頼る部分が多い営業のノウハウを、パソコンや
   携帯情報端末などを利用してデータベース化し、情報をやり取りすることによって
   営業担当者全員で共有し、かつ顧客サービスの向上などを図るものです。 

   SFAでは営業担当者が営業の現場で入手した情報(顧客の名前や住所・業種・
   規模、顧客との接触履歴と商談の進捗状況など)をデータベースに送ります。
   これらの情報を蓄積することにより、さまざまな効果が得られます。

  2.SFAによる効果
   ◎営業ノウハウの共有 
    営業活動では「どのような相手に営業をかけるか」「この顧客にはどのような
    商品を提供するか」「納期はいつごろになるか」といった、各状況でさまざまな
    判断に迫られます。
    そして近年、顧客からは決定スピードの速さが求められるようになっています。 
    SFAでは営業担当者が製品の情報や分析データ、他の営業担当者の過去の事例
    など、営業の各状況における判断に役立つさまざまな情報をデータベースから
    引き出すことによって、顧客に対して効果的、かつスピーディーに営業をかける
    ことができます。

   ◎顧客情報の共有 
    各営業担当者がデータベースに顧客情報を入力するよって、どの社員も自社
    すべての顧客についての情報が共有できます。
    これにより、担当者以外でも顧客からの問い合せに迅速に対応できたり、
    営業部門から関連部門への作業依頼を円滑に行うことができます。

   ◎スケジュール管理 
    営業の進捗状況や予定をデータベースに入力すると、SFAのソフトが営業の
    各段階のスケジュール設計を支援してくれるため、計画的に行動できます。
    営業担当者本人のスケジュールの管理が容易になるだけでなく、上司が営業
    担当者の行動を把握できるため、営業の進捗状況に対する、より適切な指導を
    行うことができます。

   ◎業務支援 
    見積もりの計算や業務日報、各種経費の清算など、営業担当者が行う各種の
    事務手続きを支援してくれる機能です。
    SFA導入により営業担当者はわずらわしいこれらの手続きを効率的に行う
    ことができ、それだけ本来の業務である営業に時間を割くことができます。

  3.SFAが与える営業部門以外への影響 
   SFAは営業担当者レベルの業務を効率的・効果的に行うためだけのシステムでは
   ありません。
   SFAを他部門も含めた全社的な取り組みとして位置付けることによって、
   さらなる相乗効果も期待できます。
   むしろ、こうした相乗効果が得られて、初めて企業は大きな成果を上げることが
   できるのかもしれません。

   ◎営業担当者の見直し 
    各営業担当者は随時、スケジュールや販売目標、実績をデータベースに入力
    するため、上司は従来に比べて各営業担当者をきめ細かく管理することが
    できます。
    例えば、上司は各営業担当者間の顧客量の偏りをなくしたり、逆に新入社員
    には重要度の低い顧客を担当させることなどが容易になります。
    こうして各営業担当者に対する顧客の配分を調整することによって、新規
    顧客獲得のための戦力を確保することが可能になります。

   ◎在庫管理システムとの連携 
    営業部門と調達・生産部門の情報のやり取りがうまくいっていない状況では、
    余剰在庫を抱えたり、納期の遅延などの問題が発生します。 
    しかし、各営業担当者がデータベースに蓄積した過去の販売実績を分析すれば、
    今後必要となる商品の数や種類の予測が立てやすくなります。
    また、営業担当者も、在庫や納期のリアルタイムな情報をデータベースから
    得ることにより、顧客へ間違いのない納期を伝えることができ、発注も即時に
    行うことができます。
    ただし、在庫管理などの基幹システムとのデータ連携には多くのコストがかかる
    場合があります。

   ◎顧客ニーズの収集 
    従来、経営陣は各営業部門から上がってくる売上高や利益率などの数字を重視し、
    営業部門を管理してきました。
    足で稼げばモノやサービスが売れた時にはこうした管理でも十分でしたが、
    右肩上がりの成長がすでに終わった現在、顧客の生の声を収集することが
    経営戦略上欠かせません。
    しかし、多くの企業では「なぜ売れたのか、なぜ売れないか」という分析が
    不十分であることは否めません。 
    SFAを導入することによって、各営業担当者が送る顧客のニーズや問い合わせ、
    クレームなどを参考にすることにより、経営陣は市場のトレンドを発見しやすく
    なり、経営方針策定の材料にすることができます。また、商品企画部門も、
    新商品開発に役立てることができます。

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組織営業力の強化

情報活用による営業力強化

情報活用による営業力強化

  ■営業活動における「情報収集」機能の重要性

   1.営業担当者が発揮する機能 
    多くの人は、営業活動という言葉から「商品やサービス」(以下「サービス」)
    の「セールス(販売)」を連想します。
    確かにセールスは営業活動の中心だが、これだけがすべてではない。
    実際、営業活動の開始からアフターフォローに至る一連の流れをイメージ
    すると、セールスは営業活動の一端にすぎないことが分かってきます。 
    例えば、営業担当者は営業活動のスタートからゴール(セールス)までの間、
    社内外での人脈形成や有効情報の収集に努める。
    これは、ゴールまでの距離が最も短く、かつ障害も少ない安全なルートを
    見極めるためです。 
    そもそも、セールスはゴールではありません。
    分かりやすく言うと、今どきの営業活動はセールスに成功した後も何らかの
    フォローが求められます。
    これは、フォローを通じて顧客との関係強化を図り、取引の長期継続や次の
    セールス機会の獲得を目指すためです。 
    このように営業活動の範囲は幅広く、これらを営業担当者が果たすべき「機能」
    として整理した場合、7つの主要な機能に集約することができます。
    7つの機能の関係と概要は下図の通りです。

    (1)「情報収集」機能:営業に関する多様な情報を収集・分析する機能
    (2)「関係構築」機能:社内外の人間と良好な人間関係を構築する機能
    (3)「価値創造」機能:相手が求める新しい価値を創造・提案する機能
    (4)「セールス」機能:実際にサービスを販売し、顧客を獲得する機能
    (5)「関係強化」機能:セールスに成功した先との関係を強化する機能
    (6)「関係維持」機能:セールスに失敗した先との関係を維持する機能
    (7)「アラーム」機能:チャンスや危険を知らせる情報に反応する機能

   2.「情報収集」機能によって効率的な営業活動を実現
    営業力強化を目指すうえで、前述した7つの機能はどれも重要だが、中堅・
    中小企業では、特に「情報収集」機能がポイントとなります。
    これに取り組むことによって、営業力強化だけではなく、営業活動の効率化を
    も図ることにつながるのです。 
    中堅・中小企業では、一人ひとりの従業員が異なる複数の業務を遂行しており、
    営業担当者も例外ではありません。
    そのため、営業担当者が訪問営業などに割り当てられる時間は限られてきます。
    一方、営業活動には、「売上高対前年比10%増、新規取引先20件獲得」など
    一定の「目標」が求められます。
    以上のことから、中堅・中小企業の営業担当者は、限られた時間の中で数字を
    達成するために、効率的に営業活動を進めなければならないのです。 
    しかし、7つの機能の中で「セールス」機能を意識しすぎると、「とにかく
    見込み客を訪問して、何とかして顧客化する」との発想になりがちになります。
    年度末など締め切りが間近で、どうしても目標を達成しなければならない場合は、
    こうしたアプローチも一考に値しますが、日ごろから継続して取り組む営業活動
    としては効率性に欠けます。 
    こうした問題点を解決し、営業活動の効率化を図るうえで、「情報収集」機能が
    非常に重要となるのです。
    例えば、先の訪問活動を例にとっても、単に右から左に訪問していくよりは、
    少しでもセールスが成功する可能性の高い先を重点的に訪問したほうが効率的
    なのは明白です。
    そして、そのような訪問先を見つけるためには情報が必要であり、それを
    収集するための活動が「情報収集」機能となるのです。 
    以下では、「情報収集」機能に注目し、営業活動に役立つ情報の種類や活用の
    考え方を紹介していきます。

  □営業活動において収集する2種類の情報

   1.「基本(ベーシック)
情報」と「潜在(シーズ)情報」
    営業活動で活用する情報は、「ベーシック情報」と「シーズ情報」に大別
    できます。
    ベーシック情報は営業担当者なら知っておかなければならない基礎的な情報
    であり、シーズ情報は何らかの活動の“種”になる情報を指します。
    
   2.ベーシック情報を活用するための情報マトリックス 
    ベーシック情報とは、自社や競合他社のサービスの特徴、関係する法改正情報
    などを指します。
    これらの情報はパンフレット、テレビ、日刊紙、業界誌などから容易に収集
    することが可能で、そのうちの多くは既に営業担当者が知っているものです。 
    ベーシック情報は、事実を“知っている”だけでは大きな意味を持たないことが
    多いです。
    ベーシック情報を活用するうえで重要なのは、それをしっかり分析して、
    “知っている”レベルから“理解している”レベルに進むことです。 
    例えば、営業担当者は自社と競合他社のサービスについて、金額、機能などの
    違いを知っています。
    しかし、それはパンフレットなどに記載された内容を比較したものにすぎず、
    最も重要な当事者の立場というエッセンスが欠如しています。
    同じサービスであっても、自分、顧客、競合他社では評価が大きく異なります。
    営業担当者が、自分では万全と思うセールストークを展開しても、顧客の
    反応が芳しくないことがありますが、それは、そのセールストークが顧客の
    立場から練られたストーリーではないためです。 
    このような点を踏まえ、営業担当者は、自社と競合他社のサービスを、
    少なくとも自分、顧客、競合他社の立場から比較した「情報マトリクス」を
    作成してみるとよいでしょう。 
    情報マトリクスのイメージは下表の通りです。
    自分の立場に加え、顧客や競合他社の立場も埋めていくことで、自社サービスの
    ポジショニングや顧客ニーズをより鮮明にイメージすることが可能となります。
    ただし、後述するシーズ情報がなければ、客観的に顧客や競合他社の視点を
    埋めていくことは難しくなる。

  □シーズ情報を収集するためのポイント

   1.シーズ情報とは 
    シーズ情報とは、通常は表に出てこない、競合他社の営業戦略、顧客の本音、
    自社従業員のモチベーションなどを指します。
    このうち、競合他社の営業戦略は日刊紙などで紹介されることがありますが、
    日刊紙に紹介される内容は前述したベーシック情報にしかなりません。 
    シーズ情報は、ここからさらに踏み込んだ情報であり、この場合は、競合
    他社の営業戦略について、実際にそれを遂行する(競合他社の)営業担当者が
    どのように感じているのか、あるいは現場でどのような作戦を立てているのか
    といった情報となります。
    こうした情報を把握していれば、顧客へのアプローチ方法や提案内容が的を
    射たものとなってくるのです。 
    シーズ情報を収集するためには社内外での人脈形成が不可欠となります。
    シーズ情報を収集するための人脈形成のポイントは以下の通りです。

   2.社内からのシーズ情報を収集 
    社内からシーズ情報を収集するためのポイントは、営業担当者を中心とした
    良好なコミュニケーションの実現であります。 
    「セールス」機能を発揮する営業担当者は、自分一人が営業活動を取り
    仕切っていると考えがちですが、実際は異なります。
    何らかのサービスをセールスする際は、同じ営業部門の上司や部下のほかに、
    製造・開発・企画などの他部門の従業員の協力が必要となります。
    そこで、営業担当者はこうした協力者とコミュニケーションを取り、業務の
    状況や本音を聞き出すことのできる良好な関係を構築することがポイントと
    なります。
    その際、営業担当者のほうからも、営業活動の進ちょく度合いや自分の本音を
    伝えることも重要となります。 
    このような結果、営業担当者に社内の雰囲気やモチベーションなど、貴重な
    シーズ情報が集まってくるようになります。
    営業活動では、とかく社外に目が向けられがちですが、前提は磐石な社内体制
    であり、それを把握するうえで社内のシーズ情報は非常に重要となります。
    例えば、営業担当者が一生懸命に新規顧客を獲得してきても、そのフォローを
    担当する従業員が不足する状態では、本来喜ぶべき新規顧客の獲得が、
    逆に不満の原因になってしまうことがあります。
    その点、あらかじめ社内のシーズ情報を収集していれば、営業担当者は、
    営業計画の修正、企業経営者への進言などによって、無用なトラブルを回避
    することができます。

   3.社外からのシーズ情報を収集する際の留意点 
    社外からシーズ情報を収集する主な相手は、競合他社の営業担当者、顧客の
    取引先、顧客自身となります。
    それぞれ付き合い方は異なるが、特に競合他社の営業担当者と顧客の取引先から
    シーズ情報を引き出す際の基本はギブアンドテイクとなる。
    相手から情報を引き出すばかりの関係は長続きしないので、こちらからも
    何らかの情報を与えなければならない。
    かといって、10の情報を教えてもらったお返しに10の情報を返す必要は
    ありません。
    問題は情報の質です。
    こちらが10のベーシック情報を与えても相手は退屈するだけかもしれません。
    一つだけでも、相手が求めているシーズ情報を与えたほうが感謝は大きいのです。
    また、その際、シーズ情報のすべてを事細かに伝える必要はなく、本当に重要な
    部分は隠しておくことです。
    いくらギブアンドテイクとはいえ、一から十までべらべらと話すことは問題だし、
    相手もすべてをこちらに伝えているわけではないと考えるべきです。
    なお、シーズ情報をめぐるギブアンドテイクの関係は、一種の交渉であるため、
    「ここまでは、相手から聞き出せる」、あるいは「ここまでは相手に伝えても
    よい」といった交渉のラインを持つ必要があります。
    このラインが持てないうちは、外部からのシーズ情報の収集は行わないほうが
    無難でしょう。

   4.シーズ情報の情報源
    (1)競合他社の営業担当者 
     競合他社の営業担当者は、自分と類似したサービスを取り扱い、共通した
     悩みを抱えているよき理解者であることが多いようです。
     そうした意味で、競合他社の営業担当者は打ち解けやすい相手となるのです。 
     競合他社の営業担当者との関係構築は比較的簡単で、はじめの一声さえ
     かければ、ある程度は打ち解けることができるでしょう。
     問題は、どこまで親密になるかですが、やはり、一線を引いておいたほうが
     無難なことは間違いないでしょう。
     営業担当者は情報交換のつもりでも、競合他社の営業担当者と仲良く話して
     いる姿を不審に感じる者がいるからです。 
     ただし、一線を引いた関係であっても、競合他社の営業担当者から得られる
     情報は非常に貴重です。
     例えば、「リテール用の商品を開発したが、一般家庭まで販売先を増やした
     ことで訪問先が増え、十分に対応することが難しくなってきた」などの話を
     聞いたとします。
     一見、何気ない会話に思えますが、これは競合他社の営業の現場の本音です。
     あらかじめ競合他社の営業戦略などをベーシック情報として収集していれば、
     なおさら使いやすいシーズ情報となります。

    (2)自社の顧客と取引している企業 
     自社の顧客と取引している企業(以下「顧客の取引先」)は競合他社の営業
     担当者と並ぶ貴重な情報源です。
     特に、同じ顧客に類似したサービスを導入しているが、直接的に競合しない
     取引先は理想的です。
     こうした取引先は、顧客の担当部署が自社と同じであるケースが多いです。
     場合によっては担当者も同一人物かもしれません。 
     顧客は直接的に競合しないサービスについては比較的よく話すのです。
     例えば、営業担当者が世間話からの流れで上手に誘導すれば、取引先の
     サービスに対する評価を聞き出すことができます。
     これとは逆に、取引先も顧客から自社サービスの評価を聞き出すことが
     できるのです。
     顧客の取引先から、自社サービスに対する顧客の評価を聞き出せる関係に
     なれば理想的といえるでしょう。
     例えば、顧客の取引先から「顧客は、あなたのところの商品の○○を評価して
     いるが、××には改善の余地があると感じている。
     また、最近は競合他社が営業に来ているらしい…」といった顧客の本音を
     教えてもらうのです。
     このようなシーズ情報があれば、次の提案方針はおのずと明らかになって
     いくはずです。

    (3)顧客自身 
     ここまで競合他社の営業担当者や顧客の取引先から得られるシーズ情報に
     ついて紹介してきましたが、これらのシーズ情報の多くは、本来は当の本人
     である顧客から直接、収集すればよいものです。 
     一方、顧客としても、自分が導入しているサービスを今よりもよいものに
     したいため、営業担当者が質問しさえすれば、少なからずシーズ情報を提供
     してくれるはずです。
     しかし、多くの営業担当者は顧客になかなか質問をしません。
     それは、顧客がサービス改善のために伝えてくれるシーズ情報を、自社
     サービスに対する不満だと勘違いして臆病になっているからです。
     営業の本質は、顧客にとってメリットのあるサービスを提供することで満足
     してもらう一方で、自社は適正な費用を受け取り、互いにメリットを享受
     できる関係を築き上げることだといえます。
     顧客への質問を通じてシーズ情報を聞き出すことは、そのための第一歩なのです。
     顧客に積極的に質問し、シーズ情報を収集するように努めてみましょう。
     顧客も、よく質問してくる営業担当者をみて「自社のことをよく考えて
     くれている」と感じるはずなので、質問をすることは、結果として顧客との
     関係深耕化につながるのです。

  □会社のサポート 
   営業活動において「情報収集」機能は非常に重要であるが、営業担当者のセンス、
   キャリア、権限などによって収集できる情報の範囲が異なります。
   そのため、会社は営業担当者ができるだけ多くの有効な情報を収集できるように
   サポートしていかなければならないのです。
   その際、社内と社外の2つからアプローチするとよいでしょう。 
   社内的には、営業担当者に社内の情報が集まりやすい環境をつくります。
   例えば、部下からの報告などによって情報が集まりやすくするために、営業
   担当者に一定の権限を与えるなどの方法があります。
   社内ミーティングによる情報交換の徹底も効果的でしょう。 
   社外的には、営業担当者にいろいろな場所を訪問する機会を与え、人脈形成を
   サポートすることがポイントとなります。
   例えば、社長は主要顧客や業界団体を訪問する機会が多いはずなので、そうした
   場に同行させるとよいでしょう。 
   最後に、情報は収集するだけでは大きな効果は得られません。
   収集した情報を効果的に活用していくためには、その情報からいろいろなことを
   イメージする訓練をしなければなりません。
   「風が吹けば桶屋が儲かる」といった言葉がありますが、何らかの情報を収集した
   際に、桶屋が儲かるところまでイメージを膨らませることができるか否かが一つの
   分かれ道となるのです。
   そこで、企業経営者は自ら有している情報や直面している課題の一部を営業担当者
   に伝え、共に、その情報の活用方法や課題の解決方法を考えてみるとよいでしょう。
   営業担当者にとっても、社長の考えは非常に興味深いものなので、本気でいろいろな
   ことを考えることでしょう。
   また、こうした活動を通じて、社長のスタンスを知らせることは、営業担当者に
   自社の営業方針を理解してもらううえで非常に有効な手段となるのです。

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組織営業力の強化

展示会営業

展示会営業

  ■展示会の出展効果
   展示会への出展効果には、商品のPR効果や、顧客開拓につながる商談効果などが
   あります。
   中でも、新規顧客を開拓することが出展の“極意”と言えます。
   出展には独自の告知活動を含め、来場者を呼び込む工夫をしたいものです。
   そして商談の成約につなげるためには、ブースへ立ち寄った客を「見込み度」 で
   絞り込み、会期後すぐに営業活動に入ることが重要です。

  □出展目的を明確に、“極意”は新規顧客の開拓 
   展示会・見本市は、ターゲットとなる来場者によって2つに大別されます。
   一般消費者を対象にする「パブリックショー」 と、取引先や業界関係者などを
   対象にする「トレードショー」 です。
   「商談日」 と「一般公開日」 という形に分けて開催する折衷型もあります。 
   欧米では展示会場で商談から成約まで即決することが多いのですが、日本の展示会
   では商慣習の違いから、その場で取引契約がまとまることは少ないようです。
   むしろ、契約を結ぶきっかけとなる商談の場ととらえた方が正しいでしょう。 
   展示会に出展する場合、まず来場者層などを把握した上で、自社が何を狙う
   のかを明確にすることが重要です。
   主な狙いには、新製品などのPR効果、顧客開拓による商談効果、試作品などを
   出品することで来場者の意見や反応を探る調査・開発効果が挙げられます。

  □出展の狙いを明確にする
   狙いによって出展ブースの構成はおのずと異なります。
   多くの来場者の注目を集めたい場合は、映像・音響機器を使ってのPRや、
   コンパニオンによるプレゼンテーションが効果的です。 
   一方、商談志向の場合は、製品技術や販売計画などについて専門的な知識を持つ
   社員を揃え、関心を示した来場者に応対することが必要となります。
   営業担当者が話しかけるきっかけをつくりやすい滞留の場や、簡単な商談コーナー
   をブース内に設けることも欠かせません。 
   最近の傾向としては、費用対効果を厳しく評価するようになったこともあって、
   派手なブース演出を控える企業が多くなりました。
   装飾には組み立て直して何度でも使え、コストも割安なシステムディスプレーの
   利用も増えています。1小間の出展ならば、100万円程度の総経費でまかなう
   こともできます。

  □出展企業独自の告知活動 
   展示会の会期前に必ずやっておかなければならないのが独自の告知活動です。
   展示会では主催者がマス媒体やDMなどを使って開催告知を行います。 
   だが、集客を主催者に頼るだけでは、会場はにぎわっているのに、自社ブース
   には誰も来ないということになりかねません。
   日頃の取引先への招待状のほか、主催者からDMの発送リストを提供してもらう
   などして、狙った層に自社ブースの位置や目玉となる出品物を列記したDMを
   発送するようにしたいものです。 
   出展企業の事例を、PR効果を狙ったものから見てみましょう。
   少し古くなりますが、タバコから出る煙を吸い込む分煙機器を販売するトルネックス
   (東京・新宿) は、2013年の「ビジネスシヨウ」 を製品PRの場に活用しました。
   同社は従業員約50人の中小企業で、普段は企業の総務部などへの訪問営業を展開
   しています。
   そんな中、約40万人の来場者を集めるビジネスシヨウは絶好のPRの機会と
   考えたのです。 
   会場では、タバコの煙を吸い取っていく様子をデモンストレーションを行って
   見せました。
   展示会には言葉や写真で説明するだけでなく、実物を見せられるという利点が
   あります。
   トルネックスのようなPR目的の場合、商品デモは必須条件となります。にぎわいを
   演出する効果も期待できるでしょう。

  □来訪客の「見込み度」の把握がカギ 
   企業が出展の最終目標とするのは、ビジネスにどれだけ直結するかという商談
   効果です。
   わけても、新規顧客の開拓が展示会の“極意”と言えるでしょう。
   セグメントされた多くの来場者が集まる展示会では、通常の営業活動で見落として
   いた見込み客や、予想外の顧客層を見い出すことが期待できるからです。
   それにはブース来訪者の管理が重要となります。 
   後の商談やリストづくりのため、ブース来訪客に資料などを手渡す際、名刺を
   受け取るのは言うまでもありませんが、加えて、取引につながるかどうかの
   「見込み度」 をその場で判断する必要があります。 
   絞り込みが欠かせないのは、セールス機会を逸するのを防ぐためです。 
   集めた名刺から見込み客をふるい分けるのに手間取り、実際の営業活動を開始する
   までに1カ月以上要してしまう企業が多く見受けられます。
   とにかく、展示会での関心が冷めないうちにフォロー作業を行いたいものです。 
   例を挙げましょう。
   日本たばこ産業(JT) の食品事業部は、出展した「土地・空間有効活用展」で
   来場者アンケートを実施、見込み客を絞り込みました。
   食品事業部の出展の狙いは、同社の飲料「ハーフタイム」の自動販売機の設置先
   を見つけること。
   そこで、ブース客からターゲットを次のように絞り込みました。
   まず、ブースの目立つところで「ハーフタイムに関心を持ったか」「自動販売機
   の設置に関心があるか」 といった内容のアンケートを実施、約3000人から回収
   しました。
   その結果、自販機設置に関心を示した回答者に対しては、即座にブース内の商談
   コーナーでセールスを開始。
   残りの中から、ターゲットとして有望と判断した約800人に対して、展示会終了
   翌日から早速営業活動に入ったのです。 
   もっと簡単な方法もあります。
   ネットワーク関連の展示会「インターロップ」 に出展した昭和電線電纜は、
   名刺を受け取った際、その裏に「資料を受け取っただけ」「商品について質問」
   などと簡単なメモを記すようにしました。
   このメモや応対した営業担当者の感触を参考に、同社は3日間の会期で集めた
   ブース来訪客約1000人の名刺から、会期後すぐに100人ほどの有望な見込み客
   リストを作成できたのです。 
   バブル経済の破綻後、展示会市場は冷え込んできたといわれました。
   だが、96年に東京・有明の臨海副都心に国内最大級の展示会場「東京ビッグサイト」
   がオープンしたことで、2018年の国内イベント全体消費規模金額は17兆3510億円
   (前年比104.2%)、中でも見本市・展示会規模は1兆3402億円と拡大傾向に
   あります。
   (出典:日本イベント産業振興協会(JACE))
   欧米の見本市専門業者が主催する展示会が増えるなど、商談の場としての機能も
   高まってきています。
   改めて展示会の販促宣伝効果を見直しても良いのではないでしょうか。

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組織営業力の強化

営業力の再構築
 

  ■自社営業力を客観視する

   すべての会社にとって、「営業」がもっとも重要な機能のひとつであることはいうま
   でもありません。

   自社の営業力を何とかして高めたいと考えている社長も多いでしょう。

   ここでは、自社の営業力強化について、より体系的・網羅的に考えるためのポイ
   ントについて解説します。

   1.自社の営業力

     自社の営業力強化について検討する際には、まず「自社のめざすべき営業力
     とは何か」という定義について確認する必要があります。

     なぜなら、単純に「商品を売る力=営業力」ではないからです。

     たとえば、受注目標を達成した営業マンA君と未達成の営業マンB君がいれ
     ば、数字上ではA君が評価されて当然です。

     しかし、その裏に「A君は自社の理念を無視してお客様に不要なオプションま
     で強引に販売している、B君は直接の数字にはつながらなかったが、会社全
     体の信頼向上に大きく貢献した」という実態があれば、本来的な評価は別なも
     のになるべきでしょう。

     は地域密着型工務店における営業活動のイメージです。

     自社の営業力について考える際には、太線で囲った「数多くの受注を獲得す
     る」、「見込み客数を確保する」といった数字の成否のみに注目しがちです。

     しかし、「地域貢献で会社の信頼度を増す」、「アフターフォローを充実する」と
     いったことも長期的に考えればとても重要な営業の要素です。

     一方で、「不要なオプションをつけ客単価を上げる」といったやり方は短期的な
     数字の上積みにはなっても、明らかに経営理念に反するものであり、即刻排
     除しなければなりません。

     営業力強化を考える際には、手持ちの商品をいかにたくさん売るかという短期
     的な数字のみではなく、経営理念実現のために、商品をいかに継続的に売っ
     ていくかという長期的で広い視野で捉える必要があります。

   2.営業戦略の明確化とブレイクダウン
     自社のめざすべき営業力を明確にして、それを現場の営業マンまで浸透させ
     るためには、自社の「営業戦略」が「営業戦術」、「営業実践(日々の営業行
     動)」としてブレイクダウンされている必要があります。

      営業戦略〜営業実践のブレイクダウン

     営業戦略とは経営理念実現のためにどのような営業を行っていくべきかとい
     う、自社営業の原理原則です。

     幹部陣はもちろん、現場の新人営業マンまでが日々の行動の判断材料にでき
     る明快さが求められます。

     先の工務店の例でいえば、「地域密着で満足度ナンバー1、地域シェアナン
     バー1をめざす」などが営業戦略です。

     営業戦略は全社レベルで統一され、また、同じく重要な戦略である「商品戦
     略」などと整合性が取れていなければなりません。

     そして、営業戦略実現のためにどのようなやり方で臨むのかが「営業戦術」に
     なります。

     先の例でいえば、「顧客満足度データベースの構築・活用」などが営業戦術に
     なります。

     営業戦術はその戦術を採用する部門で共通認識されている必要がある。

     また、個々の営業戦術との整合性も必要です。

     さらに、営業戦術に従って行う日々の具体的な業務が「営業実践」になる。

     これも先の例でいえば、「定期的なアフター訪問の徹底」などが営業実践とい
     えます。

     また、実践レベルでもそれぞれの整合性が必要です。

     このように自社の営業力について考える際には、目にみえやすい業績数字の
     みにとらわれるのではなく、まずは経営理念に沿った営業戦略が明確になっ
     ているかを確認し、戦術レベル、実践レベルについても、それぞれの整合性も
     含めて検討することが必要です。

  □営業戦略の構築

   ここからは前項で取り上げた「営業戦略」、「営業戦術」、「営業実践」のそれぞれ
   について、より有効なものにするためのポイントを解説していきます。

   営業戦略とは前述のように経営理念実現のためにどのような営業を行っていくべ
   きかという、自社営業の原理原則です。

   この部分が定まらないと戦術、実践へとブレイクダウンできません。

   1.なぜその戦略なのかを明確にする

     前項で取り上げた工務店は「お客様に安価で良質な住環境を提供する」という
     経営理念の下、「地域密着で満足度ナンバー1、地域シェアナンバー1」という
     営業戦略を掲げています。

     しかし、この経営理念実現のためには必ずしも地域密着である必要はなく、た
     とえば、自社工法を代理店やFC方式で全国展開するという選択もあります。

     このように経営理念実現のために選択できる営業戦略はひとつではない。

     すでに自社の営業戦略がある場合は、なぜその戦略を採用しているのかにつ
     いての根拠を確認する必要があります。

     戦略策定当初は合理的であったとしても、状況変化によって現在では適切な
     戦略とはいえない可能性もあります。

     また、これから営業戦略を策定する場合は、最初からひとつの営業戦略に絞
     るのではなく、複数の異なる営業戦略候補を策定して、有効性や実現可能性
     を評価しながらもっとも妥当な戦略を採択するというプロセスが必要です。

   2.営業戦略検討のための手法

     自社の営業戦略を検討する際の代表的な手法として「SWOT分析」と「商品市
     場マトリクス」があります。

     これらの手法を使い営業戦略を検討します。

     その際には同時に商品戦略との整合性にも留意する必要があります。

     (1)SWOT分析

       SWOT分析とは自社を取り巻く環境を、「内部環境(ヒト、モノ、カネ、情報
       など会社のなかにある経営資源)」と「外部環境(人口動向、経済、政治、
       自然、文化など会社を取り巻いている環境)」の2つの視点から分析する手
       法です。

        SWOT分析のフレーム

        (内部環境)
         ヒト  経営者の人望、経営能力、経営者の年齢、従業員のスキルなど

         モノ  商品力、原材料、生産設備、店舗、機械など

         カネ  資金力、資金調達力、過去からの利益の蓄積など

         情報  システム導入状況、顧客情報、競合・市場状況把握、
              ノウハウ共有など

        (外部衆境)

         人口動向   人口減少・増加、男女比率、年齢など

         経済      景気、金利、為替など

         政治      政府、法律、自治体など

         自然      天候、環境、天然資源など

         文化      流行、価値観、ライフスタイルなど

         技術      先端技術など

         お客様      購買プロセス、購買決定者など

         供給者      仕入業者、原材料購入業者など

         競合企業     現在および将来の競合企業など

         利害関係者    株主、金融機関、債権者など

     (2)商品市場マトリクス

       商品市場マトリクスとは、商品と市場を軸にした表を作り、今後の成長の方
       向性を「市場浸透」、「商品開発」、「市場開拓」、「多角化」の4つに分類して
       考える手法です。

       商品市場マトリクスのフレーム

        「SWOT分析」や「商品市場マトリクス」などの手法を使って、経営理念実
        現のために自社にとってもっとも合理性の高い営業戦略を固めます。

        たとえば、先の工務店の例において、SWOT分析によって、自社周辺の
        状況が「人口流出が著しい」、「大手による新規参入が激しい」などの脅
        威が大きいことがわかれば、地域密着よりも全国展開のほうが有効であ
        る可能性が高くなります。

        市場浸透には限界があり、今後の成長のためには新規市場開拓が不可
        欠と考えられるのです。

  □営業戦術の明確化と遂行

   1.部門長は自部門の戦術を明確に示す

     営業戦術とは営業戦略を実現するために、どのように臨むかという方針です。

     複数の営業部門がある場合にはすべての営業部門共通の戦術もありますし、
     それぞれの営業部門固有の営業戦術もあります。

     営業部門の部門長には、

      ・全社の営業戦略を受けて自部門がどのような営業戦術を採用すべきか
       を明確に示す

      ・自部門の組織で営業戦術を実行するための仕組みを構築する
       (例「報連相」の強化など)

      ・自らがプレイングマネージャーとして営業戦術を体現する

      ・部門全体の営業戦術の進捗状況をつねに把握し、必要な指導を
       与えるなどが求められます。

   2.営業戦術に必要な視点

     営業戦術には次のような点をできるだけ具体的かつ定量的に盛り込む必要が
     あります。

     (1)ターゲット(誰に売るか)

       ①消費者向け営業の分類例

         ・基本属性による分類(性別、年齢、地域、所得、職業、家族構成など)

         ・価値観による分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度
          など)

       ②法人向け営業の分類例

         ・基本属性による分類
          (業種、業態、資本金、売上高、本社所在地、従業員数、創業
          年数など)

         ・自社との係わりによる分類
          (既存優良顧客、既存通常顧客、見込み顧客、新規顧客、過去
          離反顧客など)

     (2) ニーズ(ターゲットのどのようなニーズに応えるか)

     (3)商品(どのような商品を販売するか)

     (4)価格(どのように価格を設定し維持するか、どの程度の値引きに応じるか)

     (5)販路(自社の営業マンによる直販以外の代理店などを使うか)

     (6)販促(キャンペーン、インターネット活用、パブリシティ活用、口コミ誘発
       など)

     (7)営業ステップ(初訪から受注・アフターフォローまでの営業プロセスの
       設定、各ステップに応じた営業ツールの開発など)

     (8)標準化(営業マニュアル、成功事例、失敗事例、応酬話法の共有化など)

  □営業実践の成果向上

   営業戦術に従って営業マンが行う日々の具体的な業務が「営業実践」になる。

   営業実践でより成果を上げるためには次のような点が重要になります。

   1.戦略、戦術とのつながりの理解促進

     現場の最前線で働いている営業マンにとって、「営業戦略」、「営業戦術」など
     の上位概念は、頭では理解できても、自分の日々の業務とのつながりを認識
     するのは難しいことです。

     目先の目標数字達成に追われるあまり、戦略・戦術と正反対の行動を取って
     しまうこともあるでしょう。

     社長や営業部門の部門長は、戦略・戦術について繰り返し伝えると同時に、
     自社にとってふさわしい営業スタイル(自社営業の基本的ありかた、お客様と
     の接し方、やってよいことと悪いことなど)について行動レベルにまでかみ砕い
     て教える必要があります。

   2.本人による目標設定

     ほとんどの営業マンは受注額などの目標数字をもっています。

     目標数字の設定においては、上司が部下の顔を思い浮かべながら、「A君は
     まだ入社2年目だから1000万円、B君はもう一人前だから3000万円」という
     具合に、決めていくことがほとんどでしょう。

     部下の能力も考えながらの目標配分ですので、一見妥当なようにも思えます
     が、この決め方には致命的な欠点があります。

     それは目標を実際に遂行するA君、B君の意思がまったく反映されていないこ
     とです。

     彼らにしてみれば、いかに上司が苦労して配分した受注目標だとしても、「与
     えられたノルマ」という意識しかありません。

     目標とは自分で決めてこそ、やる気がわくものです。

     目標設定は可能な限り自己申告にすることが好ましいでしょう。

     もちろん、部門全体で確保しなければならない目標もありますし、部下の怠け
     心からの低い目標設定を認めるわけにはいきません。

     目標を過少申告してくる部下に対しては、部下に対する期待感などを説明する
     ことで、部下自らの意思で適正水準に上積みさせることが上司の役割です。

     また、業績数字に直結する目標だけではなく、営業ツール開発など間接的な
     貢献に関する目標を設定させることも有効です。

   3.振り返りの強化

     個々の営業活動がうまくいかなかった場合、通期目標が達成できなかった場
     合などには、その原因を本人に徹底的に考えさせます。

     たとえば、通期の受注目標額が未達の場合は、次のように掘り下げていく。

     <要因掘り下げの例>

      目標未達 ⇒ なぜ? ⇒ 受注件数未達 ⇒ なぜ? ⇒ 成約段階での離反客
      増加 ⇒ なぜ? ⇒ 意思決定権者のニーズの理解不足 ⇒ なぜ? ⇒ 顧客
      の業界動向変化の把握不十分

      この掘り下げが浅いと、「ではどうする」という次の課題を適切に設定すること
      ができません。

      そして、掘り下げは上司が答えを教えるのではなく、部下自身に考えさせ、
      気づかせることで、課題取り組みへのモチベーションアップや、問題解決能
      力そのものの向上につながります。

      また、これまでにない大きな成果を上げた場合にも、「なぜ大成功したのか」
      という成功要因分析を行うことで、再現性が高まります。

      ここまでみてきたように、営業力とは単純に個々の営業マンの「売る力」だけ
      ではありません。

      売上が伸び悩んでいる原因は、個々の営業マンの「実践」レベルにあるので
      はなく、「戦略」、「戦術」の不明確さ、整合性の欠如にあることも多い。

      自社の営業力の実態を把握し、強化を図るためには、戦略レベル、戦術レベ
      ル、実践レベルでの問題を客観的にとらえ、総合的な対策を講じることが求
      められます。

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組織営業力の強化

営業力強化のためのスキル

組織営業力強化のためのスキル
 

  既存顧客深堀のための営業教育

   1. トップセールスに必要なポイント
     “トップセールスパーソン”と言われる人の多くが、「新人時代や若手のときは、
     売れない営業パーソンだった」と言う人が多い。

     要は初めから売れた人などほとんどいないということです。

     売れない経験から、自分を見つめ直し、営業のやり方を変えてトップセールス
     と言われるまでになっていくのです。

     ここでは、まずトップセールスに必要なポイントを5点挙げる。
      (1)ニーズを把握したければ、まず相手の話をじっくりと聞く
        先方が話をしないのなら、質問形式でもよい。
        相手に話をさせること

      (2)どのような点で困っているのかを、うまく聞き出すこと

      (3)ニーズを把握せずに、自分の売りたい商品を提案するから、相手が嫌 
        がって次回の訪問につながらない。
        ニーズと商品が合致していれば、先方から質問が出てくる

      (4)相手の話の中にある小さなサインも敏感に感じ取り、話を膨らませること

      (5)トップセールスになりたければ、まず聞き上手になること

     営業担当者は、言いたいことや伝えたいことをすべて口にしようとして、しゃべ
     り過ぎてしまう傾向にある。

     その結果、商談時間が長くなり、多くの話をしたことで「営業した」と勘違いして
     しまう。

     これは営業担当者の自己満足でしかない。

     先方が必要と感じていないものを提案したところで、相手は困るだけで、押し
     売りにしか感じてもらえない。

     営業担当者が「聞き上手」になるポイントは、相手に気持ちよく話をさせること
     です。

     商談相手の話の内容からどんなことに困っているのか、興味を持っているの
     かを聞き逃さないことである。

     自分ばかりが話をする営業をしていないかどうか振り返りつつ、以下で説明す
     る営業スキル強化研修を参考に、部下のスキルアップを図っていただきたい。

   2. 営業研修の概要
     営業教育の手法としてはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などの手法が挙
     げられる。

     中でも、多くの企業で行われているのが営業研修である。

     営業においても、自社の営業担当者の使命(ミッション)やアプローチ → ヒア
     リング → プレゼンテーション → クロージングまでの流れを研修を通じて型決
     めし、統一を図っていくことが重要となってきます。

     基本的なパターンとしては、講義での各テーマに沿った営業テクニックの基本
     から自社に置き換えた事例紹介と、ロールプレーイングでの実践演習を行
     い、個人の営業スキルの確認や共有すべきトーク(自社紹介、ヒアリング内
     容、商品説明、応酬話法など)の型決めを検討していく。

     最近の営業研修の傾向は、ロールプレーイングの時間を多く取り、成果を挙
     げるための実践的カリキュラムとなっている。

     ロールプレーイングの概要を紹介をすると、2人の営業担当者がセールス役と
     顧客役になり、実際の商談の場面を想定した商談訓練を行う極めて実践的な
     教育訓練手法である。

     「知っていることとできることは違う」という言葉の通り、ヒアリングやクロージン
     グの進め方をいくら頭で思い描いていても、イメージ通りに実践できるとは限ら
     ない。

     したがって、まず訓練してみることが大切である。

     最近では簡単に動画が収録できるため、その様子をビデオで撮影し、営業担
     当者に見せることで、本人も気付いていなかった身ぶり手ぶりの癖、話し方や
     ニーズのとらえ方、商談におけるリードの方法などを認識することができ、非
     常に効果的です。

   3. 営業研修の内容事例
     営業研修の内容事例について、簡単に説明します。

      (1)「アプローチの基本」
        営業担当者は、従来の売上至上主義にのっとって、数字を上げることが
        自分たちの役割と思っていることが多い。

        トップの営業に対する思いや、今の環境変化の中での役割・責任、顧客
        満足や利益重視などを再認識することから始めなければならない。

        また、既存顧客営業において、自社紹介や普段取引していない商品の説
        明をする機会は少なく、その対応には、個人間のばらつきがある。

        したがって、営業トークを型決めし、ロールプレーイングを実施していく。

      (2)ヒアリング力(アプローチの応用編)の向上を目指す
        目的は、顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力の強化。

        ヒアリング力の強化は、研修の中で一番重要になってきます。

        既存顧客の担当者や窓口(部署)が変われば、ニーズや課題も違ってくる 
        ため、ヒアリング内容も十分に検討する必要がある。

        ヒアリング内容のポイントとしては、
         ①現状把握(現状の商品・サービスの状況)
         ②顧客の評価(商品・サービスに対する不安や不満)
         ③今後どのような取り組みを考えているか

        などがあり、質問の項目や聞き方の整理をしていく。

        重要なのは、ヒアリングを行い顧客の話をしてもらうインタビュー力を体得
        することにあるのです。

      (3)提案する際のプレゼンテーション力の強化
        プレゼンテーションは、単に商品やサービスを説明するだけではなく、ヒア
        リングで確認した内容を踏まえて分かりやすく、丁寧に伝えていかねばな
        らない。

        人には話すときの癖(スピード、抑揚、間)があるため、正しい説明の仕方
        と話し方を体得することが必要となる。

        したがって、商品・サービスごとの特徴や利点の整理、プレゼンツールの
        使い方を全員で検討し、プレゼントークに落とし込んだ上でロールプレー
        イングを行う。

      (4)クロージング
        良いプレゼンテーションができても、購入までのフォローをしっかり行わな
        いと、せっかく上がった情報も枯れてしまうことになる。

        クロージングでは、購入までに確認すべき事項(キーパーソン・予算確保・
        購入時期・条件の解決策)を洗い出したり、顧客の断り文句に対する切り
        返し(応酬話法)を考えていく。

        特に、若手営業担当者は、切り返しができずに失注することが多いので、
        ロールプレーイングを通じてスキルアップを図らねばならない。

   4. 各ロールプレーイングの指導(チェック)ポイント
     ロールプレーイングについてのチェックポイントをまとめました。

     アプローチのポイントは、主に「態度・話法」「セールスステップ」にある。

     特に、「適度なアイスブレーク(緊張をほぐす手法)で関係づくりができている
     か」「顧客の状況やニーズを探り、次回のアポイントを取ることができている
     か」をチェックする。

     ヒアリングでは、状況把握 → 問題・課題の発見 → 掘り下げ → 共有というス
         テップをたどる。

     ここでは、「終始聞き役に徹し、顧客の話を最後まで聴く姿勢ができているか」
     「顧客の現状・環境について客観的に事実を聞いているか」に注意が必要だ。

     プレゼンテーションでは、オープニングから特徴・利点、利益、プレゼン力のス
     テップで指導してほしい。

     ここでは、それぞれのステップで「顧客が理解・納得していることを確認してい
     るか」、また全体を通して「あいまいな言葉遣いはしていなかったか」がポイント
     である。

     クロージングでは、その場での確認事項、応酬話法、仮クロージングを、チェッ
     クリストに基づいて確認いただきたい。

     全体を通して「他社や過去の納品・導入事例を説明して、より購買意欲を高め
     ることができているか」がポイント。

  □組織営業の再構築

   1. 売れる営業チームづくり
     既存顧客を深堀するには、「経営トップ+営業マネジャー+営業担当者」の三
     位一体で組織営業に取り組む必要がある。

     そうでなければ、成果が出るスピードも上がらない。

     まずは、「コミュニケーション」「チームを動かす仕組みづくり」の2点について強
     化を図っていきます。

     順に解説します。

     (1)コミュニケーション
       営業部門の場合、報告・連絡・相談は、定期的なミーティングや日報など
       の形で頻繁に行われる。

       顧客業績管理においても、ITを活用し、マネジメントしていることが多いで
       しょう。

       しかし、強い営業チームをつくるために最も重要なのは、ツールや手段で
       はなく、コミュニケーションそのものの充実である。

       各人の能力を超えて成果を伸ばすためには、顧客情報や、ライバルの成
       功例など、情報を持ち寄り、議論し、アイデアを出し合うという、コミュニケー
       ションが活発な風土づくりが求められる。

       自ら考え、工夫し、行動するには、中身の濃いコミュニケーションを取ること
       が不可欠です。

       営業マネジャーは、部下が議論や前向きな提言をしたことに対し、「前例主
       義」や「会社の意向」「偏見や思い込み」などで頭ごなしに否定しないこと。

       ここでの否定は、新たなアイデアの芽を潰してしまう。

       こうした状況下では、コミュニケーションを高めて議論し、アイデアを出して
       いくという風土は生まれない。

       相手(部下)を尊重して議論の過程をしっかりと聞いた上で判断やアドバイ
       スを行い、中身の濃いコミュニケーションを育む風土をつくらなければなら
       ない。

       こうした営業マネジャーの管理項目についてまとめました。

       いずれの管理項目においても、しっかりとしたコミュニケーションが前提とな
       る。

     (2)チームを動かす仕組みづくり
       営業部門が成果を出すためには、各人の仕事が計画通りに進んでいるか
       どうかのチェックが必要。

       顧客にどんな問題があって、どのように行動していくかを部門全体で共有  
       し、改善策を加えながら営業活動を展開していくことが大切になる。

       そのためには役割を分担し、個人の活動が生きるように、メンバー間の情
       報についてコミュニケーションを密にし、結合させながら営業活動を行う仕
       組みが必要となります。

       その指揮を執るのが、営業マネジャーである。

       マネジャーはメンバーが力を発揮しやすい仕組みづくりに着手していく。

       ここでのポイントは、営業担当者のつながりの中心にいるマネジャーが、そ
       の役割を果たす“決意”を持っているかどうかです。

       組織が疲弊することなく長期的に成果を出していくためには、リーダーが個
       の活動を効果的に生かし、営業部門を徹底して動かさねばならない。

       また、こうしたチームワークを通じて個人の成長があり、ひいてはチーム全
       体が成長していくのです。

   2. 成果を挙げるための目標管理のポイント
     売れる営業チームには、明確な目標が必要だ。

     年度の営業目標を立てるためのステップは、以下の通りです。

      STEP1(どれだけ売れるか)
      担当者(チーム)の過去の実績や、取り巻く環境など客観的な見通しから「ど
      れだけ売れるか」を求める。

      STEP2(どれだけ売らなければならないか)
      目標利益(粗利益・営業利益)および人件費、販売管理費や間接共通費など
      から必要な金額を算出する。

      STEP3(どれだけ売るか)
      STEP1と2を踏まえた上で、意欲的で政策的、かつ全員の納得(合意)を得
      た目標を設定する。
      これが「真の目標」と言える。
      要は、どれだけ売れるかという客観的な環境・業界予測と、自社の経営を維
      持するために必要な金額という二つの側面から検討し、真の目標を設定しな
      ければならないということです。
      経営の本質は「永続発展」である。
      つまり、企業を永続的に成長させ続けるためには、「目標」が優先することは
      言うまでもない。

      目標を立てる時に問題になる点としては、次のようなものがある。
       (1)トップからの押し付けで、営業担当者自身のものになっていない
       (2)営業担当者だけの狭い視野から見た、消極的目標になっている
       (3)目標が高すぎて、絵に描いた餅になっている

      理想とするのは、目標達成のための裏付けや根拠があり、直近実績の
      1〜2割を新たに負荷することによって達成可能な目標である。

      目標の設定に当たっては、結果として前年実績に上乗せする形であってもよ
      いが、単純に「前年の何%アップ」という機械的な決め方では意味がない。

      また、目標設定においては細分化を行い、実績管理のきめ細やかさや異常
      事項の早期発見に役立てていく。

      細分化の設定としては、
       (1)時系列(月、週、日)
       (2)地域別(売り場別)
       (3)得意先別(顧客別)
       (4)商品別
       (5)販促別(キャンペーン別、催事別)

      などが挙げられる。

   3. 営業PDCAの徹底
     営業マネジャーは、売れるチームづくりのために、PDCAを徹底させることが
     必要だ。

     特に、次の3点について確認してください。
      (1)行動計画の徹底(スケジュール化)
        最終的には営業担当者の個人の力量に頼ることになるものの、前提とし
        ては目標を行動に直結させ、先行管理を行うことが求められる。

        営業担当者の業績は時間との戦いであり、計画性のある行動で時間を
        有効に使った人が、良い結果を出すことができる。

        また、顧客との商談時間の多さで、得られる情報量に大きな差がつく。

        わずかな時間をムダにせず、「もう1軒、あと1分の商談」という行動力を
        積み重ねることの効果は大きい。

      (2)中間チェック・フォロー
        「あと何日でいくら(金額)売らなければならないか」「現在の未達成分(差
        額)の対策は十分であるか」が意識されなければ、せっかくの目標もムダ
        になる。

        1カ月が終わり、目標未達でもまだ残された時間があり、何をどうするか
        十分に討議し、今までのやり方の悪い点をあらためることによって、目標
        に近づくことができる。

      (3)目標と実績の差額(差異)分析と対策の明確化
        二つ目の真の目標は、「差額(差異)」とも言われる。

        個人(チーム)の目標に対して、実績(+見通し)を引いていくらの差額が
        あるかを常に頭に入れておく必要がある。

        差額の概要を押さえてから、
         ①目標、実績、差額の内訳の把握
         ②差額の原因は何か
         ③差額を埋めるための対策
         ④営業活動への落とし込み

        という順序で、対策を明確化する。

        繰り返し述べるが、売れる営業チームは、「経営トップ+営業マネジャー
        +営業担当者」の三位一体の組織営業に取り組んでいる。

   売れる営業チームづくりのために、営業力強化のためのスキルアップを実践して
   いきましょう。

 

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組織営業力の強化

組織(チーム)営業の構築

組織(チーム)営業の構築
 

  ■チームプレー

   ほとんどの社長が、強力なリーダーシップで会社を引っ張ってきたことでしょう。

   そしてこれからもあなたが中心となって会社を運営していきたいと考える社長も
   多いでしょう。 

   果たしてそれでこれからも安定した事業運営が可能でしょうか。

   答えはNOです。

   作れば売れる時代は終わり、熱意や根性といった精神論を振りかざした営業のやり方

   も今の時代通用しません。

   個々の社員の力(マンパワー)は劣っていても、力が結集したチーム力が勝っている
   ことは北京オリンピック400メートルリレーで日本チームが銅メダルを獲得した
   ことで実証済みです。

   日本チームは徹底してバトンパスの練習をしたそうです。

   個人の力を発揮する個人競技なら有力候補が勝つ可能性は大であるが、リレー競技は
   まさしくチームの力を結集しなければ勝てないのです。

   ここに掲載した内容を、あなたの会社の仕組みづくりの手引書として活用して
   いただければ幸いです。

  □チーム営業を成功させる機能

   チーム営業とは、営業活動を営業パーソン個々の能力に依存するのではなく、

   チーム単位で展開して成果を上げていくものです。

   チーム営業について言及するにあたり、まず欠かせない事柄は、営業マネジャー
   営業リーダー、すなわち複数の営業パーソンを統括する人の役割である。

   多くの営業マネジャー(リーダー)が部下について語る時、「要領が悪い、仕事(段
   取り)が遅い、言い訳をする」など、良い面ではなく、悪い面をよく挙げることです。

   いかに普段から部下をマイナス視点で見ているかが分かる。

   営業マネジャーは、プロ野球に例えると「監督」と同じです。

   チームのメンバーの特性や得手・不得手、コンディションを十分に把握した上でチー
   ムを編成し、勝負に挑む。

   上司が部下の欠点ばかりに目を向けていては、結果はおのずと知れよう。

   成長する組織は、勝負の中で強くなると言われます。

   そこには、マネジャーの部下に対する理解が不可欠であり、部下との信頼関係を築く
   ことができなければ勝利もままならない。

   「チーム営業を成功させる組織」では、次の点がうまく機能している。
    ・部下のモチベーション
    ・部下を育てる風土(成長する組織)
    ・売れる仕組みの構築

   1.部下のモチベーション
     モチベーションの高い組織は、モチベーションを下げる要因を徹底的に排除し
     ている。

     その要因とは、
      a.上司の指示が思いつきであるため、結果として無理なスケジュールを部下
        に押し付けている
      b.部下が意見を具申しているにもかかわらず、それを頭ごなしに否定する
      c.決めたことを上司自身が最後まで行わない
      d.会議などでの決定事項を上司の都合でよく変更する
      e.上司が自分にとって扱いにくい部下と距離を置いている

     これらの点に留意して、要因の排除を徹底している組織はモチベーションを維
     持している。

     また、上司が部下一人ひとりに関する興味を持っているかどうかも重要であ
     る。

     部下が、どんなことに感動するのか? 何を目標に置いているのか?
     どんなことにやる気を出すのか? など、

     上司が彼らに対して、これらのことを全く把握せずにいるとすれば、上司のい 
     かなるアプローチも効果が薄いと言わざるを得ません。

     部下とのコミュニケーションを大切にし、小さな成功を繰り返させ、よいことは
     褒める。

     そういう単純な連鎖を、上司がつくり上げることです。

   2.部下を育てる風土(成長する組織
     営業組織における部下の成長に最も効果的なことは、「本人に売らせる(売れ
     る成功体験)」ことである。

     「強いから勝つのではない、勝つから強くなる」という言葉があるように、営業
     パーソンが自信と気力に満ちあふれているから売れるのではなく、売れるから
     自信と気力に満ちあふれ、さらに経験を積んでいくことができるのです。

     そのためには、営業組織が彼らに勝ちグセをつけさせることが重要である。

     つまり、飛び込み営業や電話営業を徹底的に実践するという、断られてナンボ
     の体力勝負ではなく、会社全体で集客や見込み顧客の育成(創造)をするとい
     う組織力を生かすことである。

     本人の努力は不可欠であるが、無意味な精神論で貴重な戦力をムダ遣いす
     ることは最も避けたいことです。

   3.売れる仕組みの構築
     ある会社は営業拠点を新たに出す際には、対象地域でチラシを徹底して配布
     する。

     その後、配置された営業パーソンは、地域で大きな苦労なく、営業活動がス
     ムーズに行えると喜んでいる。

     この会社の社長は、「営業パーソンが最小の努力で最大の効果を出すための
     方策を考え、実践するのが社長の役割である」と言い切っている。

     また、別の会社では、「電話でアポイントを取る人」と「訪問して提案する人」に
     分け、1件の顧客攻略のためにチームで当たる方法を採っている。

     アポイントを取る役割の人は徹底してアポイントの電話(テレアポ)をし、アポイ
     ント獲得率を高める。

     訪問、提案する人は面談に集中でき、しかも有効面談確率が高いために受注
     確率も高い。

     このように、組織で営業パーソンが「売る」というパフォーマンスを発揮しやす
     い体制をつくっている。

     これら三つの点を機能させる組織が、チーム営業を成功させるのです。

     いずれも高度なスキルやテクニックを要することではなく、ごく当たり前のレベ
     ルの事柄です。

     組織をまとめ、組織力を発揮させるためには、組織の上に立つキーパーソン
     が当たり前のことを率先し、チーム全体に実践させることに尽きる。

  □組織(チーム)営業の実践
   あなたが運営する、あるいは、あなたが属する組織の営業力を向上させる最短の
   近道は、営業を「組織」としてとらえ、その組織力を強化することです。

   1.組織営業の特長
     なぜ、組織営業を指向するのか?

     それは、「営業頼みの売れる時代」から、「過去の経験が目減りする(経験が減
     価する)時代」になってきたからである。

     今や、買い手の選択力は売り手の提案力を上回っている。

     これまで営業パーソンを支えてきた取引のあり方が崩れており、過去の経験
     や営業スキルが通用しなくなってきているということです。

     KKD(経験、勘、度胸)による営業スタイルが終焉を迎えてしまった今、組織営
     業の実現のためには、従来の営業と組織営業の違いを理解した上で、営業
     活動に取り組む必要がある。

     上記表に挙げた項目(1)〜(5)について、簡単に説明します。

     (1)体制
       体制面における従来型の営業と組織営業との違いは、個人主体か、チー
       ム主体かである。

       もちろん、営業パーソンが顧客を担当するという点では、どちらの営業手法
       であっても、それぞれ個人の特性に大きく左右される。

       しかし、バックアップ体制を組織でとる点が大きく異なります。

       営業リーダーや営業以外の支援部署が、密に連携を取って、営業パーソン
       を支えているのだ。

     (2)目的
       営業という職種である以上、数字から逃れることはできない。

       営業の目的は月次予算の達成だけではなく、顧客との関係づくりである。

       この点で、三層営業(担当者・上司・役員による営業活動)が有効となる。

       その理由は、顧客接点が担当者のみでは、その担当者の行動いかんに
       よって関係が断絶してしまうリスクがあるためだ。

       したがって、組織営業は顧客との関係づくりを目的とする。

     (3)期間
       短期的に今日、今週、今月と見るのではなく、先行で数カ月先の見込み情
       報を収集、さらに追跡から数年後までを見越した長期の視点を持つ必要が
       ある。

       短期と長期をつなぐマネジメントのツールとして、業績先行管理を多くの会 
       社がすでに導入している。

       もちろん、短期をおろそかにするのではなく、短期の積み重ねが長期の取
       引を維持していることは言うまでもありません。

     (4)スキル
       応酬話法頼みの“カケヒキ”では、組織営業を維持することはできない。

       チーム単位で商談を意識的にコントロールし、顧客づくりの提案に注力す
       る必要がある。

     (5)接点
       (2) の目的でも触れたが、組織営業は点の活動ではなく、面の活動であ
       る。

       顧客接点を最大化することが、組織力を生かす意義でもある。

   2.組織営業のメリット
     上記に述べた組織営業の特長を前提にして、組織営業のメリットを整理する。

     「スピードアップ」「(ムダの)削除」「成長の継続」「質の高いサービス提供」の
     四つである。

     (1)スピードアップ
       5W2H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どうする、いくら)のすべてに
       おいて、責任と権限を明確にすることで、顧客開拓から提案、契約などの
       それぞれの過程を迅速に行うことができる。

       スピードが遅ければクレームになり、速ければ付加価値となり得る貴重な
       経営資源である。

       また、これが組織営業の最大のメリットとなる。

     (2)ムダの削除
       個人では限界がある顧客フォローも、組織力を生かすことで効率的となり、
       機会損失の削除(解消)にもなる。

       行動の効率化が進むため、経費の削減にもつながり、スピードと併せて有
       効な時間を捻出することができる。

     (3)成長の継続(営業力の底上げ)
       組織営業の実践により、特に経験の浅い若手営業パーソンは、効果的に
       成功事例、失敗事例を共有することができ、自己流の営業スタイルに陥ら
       ず成長できる。

       結果として、業績のよい営業パーソンの好事例が社内標準となり、営業
       パーソンのセールススキルの底上げにつながっていく。

     (4)質の高いサービス提供
       組織で情報を共有し、営業をサポートする体制下では、個人のレベルを超
       えた、より質の高い顧客対応が可能となる。

       営業パーソン個人でなく、専門的な対応も可能となり、顧客満足の向上
       もつながる。

       組織営業の実践に本気で取り組む企業は、上記の4S(組織営業の四つの
       メリット)を実現し、業績面でも実績を上げている。

       新たなことに取り組む際には、抵抗がある。

       しかし、その抵抗を乗り切らねば変化は起こせないし、ましてや企業体質の
       転換など不可能である。

       まずは、組織営業の実現のために、経営者・リーダーが自社の営業体制に
       ついて本気になって考え、当たり前の事柄から一歩ずつ取り組むことをお
       勧めする。
 

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組織営業力の強化

中小企業の営業戦略

中小企業の営業戦略 
 

  ■営業戦略

   営業戦略(達成手段・手法)は経営計画実現に向けて、具体的に何に取り組むか
   を決めることです。

   営業戦略が曖昧だと、事業計画の実現は困難となるため、各項目につき、達成
   方法や達成時期について具体的に定めていきます。

     ◎トップの姿勢
     従業員の営業推進をはかるためには、まずはトップの姿勢が重要です。
     従業員の模範となるべく、自らの時勢を定めていく。
     トップとして、現在の状況を見極め、事業計画を達成するために何を
     するのか具体的な行動を明確に定める。
      (例:従業員に対する目標面談の実施、既存顧客からの紹介獲得推進等)

    ◎営業推進項目
     ターゲット選定から、具体的アプローチ手法、また達成時期を明確に定める。   
     規模の拡大を実現するには、新規顧客の獲得、既存顧客へのクロスセル、単
     価アップ等、その手法は様々です。

     また、それに対するアプローチ方法も、紹介、飛び込み、DM送付等、様々で
     す。

     営業推進を行うにあたり、どのターゲットにどのようにアプローチを行い、いつ
     までに達成を目指すのか全従業員(もしくは営業担当者全員)で知恵を出し合
     い、意識の共有化を図りながら、具体的かつ明確に定めます。

    ◎業務改善項目
     事業を営む上で、業務力の向上も重要な課題です。

     現在の各種内務事務指標から自社の弱点を洗い出し、その改善に向けて具
     体的に取組む項目を定める。

     役割分担の明確化も併せて行う。

     また、業務力は様々な場面で影響があり、営業数字のみならず、内務事務指
     標についても、全従業員が意識するように徹底することが重要です。

  □戦略的営業活動
   1.戦略的営業活動
     営業活動を行う上で、企業は戦略を立案する。

     しかし、その戦略に基づいて実績が上がっているかと言えば、実際にはうまく
     いっていない方が多いのではないでしょうか。

     これは戦略面そのものに問題がある場合と、現場で活動する営業担当者の動やその管理
     といった戦術面に問題がある場合が考えられます。

     国内の企業の約99%を中小企業が占めています。

     もちろん規模の大きさだけで優劣が決まるわけではなく、地域や商品・サ−ビ
     スによっては、大企業よりも中小企業の方が優位に立っている場合もあります。

     弱小に見られている企業が実は強者であり、大きな企業の方が弱者ということ
     も多々あります。

     地域・商品・ライバル・得意先をよく分析し、営業戦略を立てなければ今の時代
     は結果がついてこない。

     いかにして「売るのか」からいかにして「買ってくれるか」、そしてどうすれば成
     果が上げられるのかについて検証します。

   2.3つの営業戦略
     営業戦略として、大きく「絞り込み戦略」「差別化戦略」「オンリーワン戦略」

    (1)絞り込み(狙い撃ち)戦略
       第1の戦略として必要なのは、「絞り込み」である。 

       絞り込み(狙い撃ち)とは弱者が強者と互角以上に戦うために、どこか一点
       にエネルギーを集中させること。

       よく聞かれる言葉に、「何でもできます」とか「何でもやります」という言葉を
       うたい文句としている会社がある。

       しかし、こういった会社はほとんどの場合、業績が低迷している。

       「何でも」とは「何にも」に通じ、特徴がなく他社に負けないと言えるものがな
       いということです。

       最終的には、すべてで「勝つ」ことが理想だが、まずは重点を1つに絞って
       特徴を出さなければ勝ち残れない。

       ①地域の絞り込み
         自社よりも強いライバルに勝つためには、ライバルの営業が行き届いて 
         いない地域を重点的に攻める。
         そこだけは絶対的に他社よりも勝っているという地域をつくるのです。

       ②業種の絞り込み
         得意先となる業種が幅広い場合は、すべての業種に対して自社の商品
         を売り込むのではなく、ターゲットを細分化して1つの業種に集中して攻
         撃することが重要だ。
         それによって自社が精通している業種ができ、信頼を勝ち取りやすくな
         る。

       ③ライバルの絞り込み
         ライバルの絞り込みも重要である。
         特定のライバル(敵)を集中的に攻撃する。
         言い方は悪いが「弱い者いじめ」である。
         絶対に勝てる戦いしかしない。
         間違っても、自社より強いところにけんかを売ってはならない。
         (負けるけんかはしないこと)
         つくれば売れる時代は過ぎ去ったのだから、他社のパイを食っていくし
         かない。
         そのためには、確実に勝てるところを狙わなければならない。
         これで勝ちパターンを身に付けるというプラス面もある。

       ④商品の絞り込み
         商品の絞り込みについては、2つのパターンがある。
         まずは、自社が一番強い商品や営業担当者が精通している商品を重点
         として、得意先から信頼を得やすいものに絞り込みます。
         商品を絞り込むことで「○○の△△社」というように、自社の知名度やイ
         メージの向上につなげることができる。
         次に、得意先ごとに「この商品がお勧めです」と重点商品を絞り込む方
         法である。
         「どれも良い商品です」ではインパクトが弱いため、情報と信念に基づき
         相手に合った商品を売り込むようにする。

     (2)差別化戦略
       第2の戦略として「差別化」が挙げられる。

       自社がライバルより強者であれば必要ないが、弱者であればどの部分でラ  
       イバルと差別化するのかを明確にしなければ勝てないし、生き残れない。

       ライバルのシェアを奪うということは、得意先から選ばれること。

       そのためには、セールスポイントを明確にしなければ勝ち残れません。

       ①商品の差別化
         今は、どの会社も性能や品質においてほとんど差がないのが実情で
         す。
         そうであれば、営業担当者の商品プレゼンテーション能力を高めないと
         ライバルには勝てません。
         「商品」として差がないものでも、営業担当者の売り込む能力次第で「商 
         品」として優れていると得意先に認めさせることができる。
         大事なことは、商品の良さに加えて得意先にどのようなメリットがあるか
         を説明できるような資料を準備することである。

       ②地域の差別化
         ライバルの弱い(力を入れていない)地域を狙い撃ちにする。
         ライバルよりも得意先への接触頻度を高められる地域を選定する。
         重点地域が重なるような場合、投入人数を増やして数で攻勢をかける。

     (3)ナンバーワン(オンリーワン)戦略
       第3の戦略としては「ナンバーワン(オンリーワン)」づくりである。

       自社がナンバーワン(オンリーワン)となる地域があるか、自社がナンバー
       ワン(オンリーワン)の得意先があるか、ナンバーワン(オンリーワン)の自
       社商品があるかである。

       先述した絞り込みや差別化を徹底し、1つでもナンバーワン(オンリーワン)
       を増やして、ライバルを寄せ付けない部分を増やすことに全精力を傾けな
       ければならない。

  □実践に活かす情報収集の方法
   1.情報の重要性
     「情報なくして戦略なし」と言われるように、営業活動におけるさまざまな場面
     で情報は必要不可欠である。

     前項では、営業という戦いで成果を上げるには「3つの戦略」に基づいて戦わ
     なければならないと述べた。

     その戦いを有利に、また勝利の確率を高めるためには、情報が絶対に必要だ。

     営業とは、基本的に市場のパイの奪い合いであり、自社が他社に比べて優れ
     ているか、あるいは劣っているかを把握することが重要となる。

     優れていればそれをどう維持し、さらに伸ばしていくか。

     劣っているのであればどこが弱点で、どうすれば逆転できるか。

     こういったことを考えなければならない。そのためには何が必要かをはっきりと
     認識し、どのような情報が必要で、どのように活用するのかという、情報収集
     の目的を明確化しなければならない。

     その上で、市場の規模・立地・売り先(得意先)の業種や業態によって「3つの
     戦略」を立案するのである。

   2.データを分析する
     戦略を立案する際には、現状把握のためにデータが重要となるが、単なる事
     実で終わってしまっては意味がない。

     データに基づく事実を踏まえた上で、どのように活かすかがポイントになる。

     例えば、ある地域でベビー服の店を出す場合、事前にその地域の商圏の範囲
     や人口、世帯構成などの調査をする。

     しかし、その調査結果を漠然ととらえるだけでは成功は怪しい。

     つまり、入手したデータをいかに活用するかが重要なのです。

     人口動向を調べるのであれば、実際にベビー服を着用する乳幼児の数はもち 
     ろん、購入ターゲットとなる親の数、さらには孫を持つ世代の数なども調べた
     上で、具体的な戦略の立案を活かしてこそ、情報に価値が生まれる。

     さらに、分析の過程でグラフや表・マップなど、いわゆる「見える化」を図ること
     によって、情報の価値が高まる。

     併せてデータの細分化も重要なポイントだ。

     商圏や人口・世帯調査も、単に面積や数を見るだけではあまり意味がないが、 
     乳幼児や親の数、さらには孫を持つ世代の数まで見ることで活きた情報になる。

     細分化することにより、戦略が立てやすくなる。

     細分化するデータは、一般的に「地域別」「商品別」「顧客別」「担当者別」など
     が考えられる。

   3.必要な情報とは?
     情報は大きく2種類に分けられる。

     1つは「定量的情報」で、もう1つは「定性的情報」である。

     定量的情報とは数値で表せる情報のことであり、定性的情報とはそうでない情
     報だ。

     そして別の見方をすると、情報は営業(販売)情報とエリア(地域)情報に分け
     ることもできる。

     それぞれを組み合せて考える。

     定量的な営業情報とは得意先の売上高・仕入高・生産高に対する自社の商品
     別・拠点別の占有率(シェア)や他社(ライバル)の情報(立地・拠点数・売上
     高・得意先内におけるシェアとその中でのナンバーワン(オンリーワン)比率・
     営業人員数・訪問件数など)がある。

     特にライバルに関する情報は、常に新しい情報に更新しなければならない。

     どのようなマーケットでも、ライバルがいないことはあり得ない。

     営業活動において必ずライバルとぶつかるのだから、勝つには「敵」を知らな
     いと戦えない。

     ライバルのことを知り、強いところは避け、逆に弱いところを攻める。ライバル
     が嫌がることをして勝率を高めるのだ。

     定性的な営業情報とは、得意先のトップや担当者の性格・嗜好や取引上の暗
     黙のルールなどが考えられる。

     定量的情報を活かすために押さえるべき定性的情報は多い。

     次に定量的なエリア情報とは、商圏人口・売りたい商品の需要高・事業所数・
     工場数・商品の販売額や製品出荷額など、量的に計測できる情報である。

     これらの情報を細分化することで、より活きた情報になります。

     そして、情報を見る時に実数や伸び率が全体の総需要やシェアと関連してい
     るかどうかを知ることも重要だ。

     また、そのエリアが商業エリアか工業エリアか、閉鎖的か開放的か、成長性が
     あるか成熟しているか、隣接エリアと重複しているか独立しているかなどと
     いった情報を見ることも必要になる。

     定性的なエリア情報とは、そのエリアの気候・風土・地形・歴史や人間性、商
     習慣など数値化できない情報です。

     これらの情報も、定量的情報と組み合わせて活かす必要がある。

     情報収集の1つの方法として「ローラー調査」がある。

     ローラー調査とは、ある特定のエリアや業種を選定し、その中で得意先やユー
     ザーの全件を対象に実施する調査である。

     調査内容は、売上げ規模・インストアシェア・他社との競合状態・販売対象先・
     営業人員などが考えられます。

     ローラー調査を行う際の留意点は、調査機関など外部に依頼するのではなく、
     自社の人間(営業担当者)が行うこと。

     1人で専従的に、あるいは複数の人間が一斉に期間を決めてチームを組ん
     で、対象先をすべて調査できるまで徹底しなければならない。

     その結果、担当者は自分の足で稼いだ生の情報を手にすることができる。

     そして、予想とは違った生の情報や未訪問対象先の把握など、意外な発見が
     期待できます。

     そのことを実際に体験することが重要なのです。

  訪問計画の立て方
   1.訪問計画の必要性
     営業情報を収集して分析したら、それに基づいて訪問計画を立てる。なぜ訪 
     問計画が必要かというと、

     一番目の目的は
     営業活動の効率を高めて無駄な時間を減らすことです。

     ただやみくもに訪問しても業績が上がらないのは、誰が考えても当たり前で
     す。

     しかし、計画を立てないまま場当たり的に訪問している営業担当者が多いの
     ではないでしょうか。

     その日の優先訪問先・訪問ルート・訪問順序を把握し、効率良く訪問すること
     が業績アップに直結するのです。

     二番目の目的は
     訪問する得意先の重要度(ランク付け)に応じて、訪問頻度・先方での商談時
     間(滞在時間)を標準化します。

     得意先ランクに基づいて、月の訪問回数や訪問1回当たりの滞在時間の目安
     を決める。

     標準化することで、重要顧客への接触不足をなくし、個人の好き嫌いによる訪
     問を防ぐことができます。

     三番目の目的は
     計画を立てると営業担当者の量的な目標が明確になり、訪問計画をクリアす
     る達成感を味わい、モチベーションアップにつながる。

     「とにかく回れ、1件でも多く回れ」という指示より、基準を明確にすれば訪問件
     数に対する受注確率もデータとして残せる。

     重要なのは、計画はその日の朝に立てるのではなく、少なくとも週間計画を立
     て、変更があればその時点で修正をすることだ。

   2.得意先訪問の基本的な回り方(訪問順序の原則)
     得意先を訪問する順序として、得意先の規模・内容とその得意先に対する自
     社のシェアを考慮しなければならない。

     この2つの組み合わせが前述のランク付けになるのです。

     規模が大きく、自社のシェアも大きい得意先はVIP(最優先)顧客であり、訪問
     順序も最優先としなければならない。

     次に、規模は大きいが自社のシェアはまだ小さく、この先シェアを伸ばせる可
     能性がある得意先。

     そして、規模はそれほどでないが自社のシェアが大きく、そのシェアの維持の
     ために訪問をする必要がある得意先と続く。

     このことを踏まえて、ABCランク付けをする。

     優先順位の高い得意先から、朝一番・午前中・午後一番・夕方と時間帯を変え
     て訪問する。

     先方に特別の事情があれば別だが、上得意ほど早い時間に訪問するのが基
     本である。

     もちろん、その日のルート設定や交通状況など諸条件によって変わることはあ
     るが、基本は「上得意から訪問」です。

     とはいえ、得意先の日常業務の中での決まりごと、例えば朝礼やミーティング
     などの時間帯を把握し、その時間を外す配慮は必要である。

     なぜ上得意から順に訪問するかと言えば、上得意に対して取り組み優先順位
     が高い点をアピールすることと、ランクの高い得意先ほど自社に有益な情報を
     提供してくれる可能性が高いためです。

     内容の濃い情報を早い時間に得られれば、対応も素早くできる。

   3.ランクに応じた訪問の量的バランス
     月あるいは週に訪問する回数や1回当たりの滞在時間についても、Aランクと
     Cランクの得意先では差をつけるべきです。

     例えば、Aランクの得意先は月4回訪問で1回の滞在時間は1時間、Bランク
     の得意先は月2回訪問で滞在時間は30分、Cランクの得意先は月1回訪問で
     滞在時間は15分というように配分を変えて差をつける。

     ランクが高い得意先ほど、情報収集やフォロー訪問などルーティン以外の訪
     問が必要であり、訪問回数が増えると密着度は高まります。

     ランクの低い得意先は、集金や配達などルーティン訪問が中心になる。

     当然、情報収集ではいかに得意先から話を聞き出せるか(情報を引き出すか)
     が勝負になるため、時間がかかる。

     一方、配達だけでは時間はかからないので、訪問回数、1回の滞在時間に差
     をつけなければならないのです。

     特に訪問回数については、ルーティン以外の訪問の場合、いわゆる「ご機嫌
     伺い」のように「売り」の行為が全くない訪問も意外と重要である。

     売りの行為がないと言っても、先方に「売り込まれている」という意識を持たせ
     ないだけで、売る気もない訪問が良いのではない。

     わざとアポイントを取らずに「近くに来たので」などと言って訪問し、さりげなくい
     つもと違う商品やサービスの案内を置いてくるといった訪問活動です。

     アポイントなしに訪問するため、ターゲットが不在の場合もある。

     ただ計画性もなく訪問するのではなく、あらかじめターゲットの在社予定をつ
     かんでおけば、面談率は格段に上がる。

     訪問順序の原則と同じで、得意先の日常業務の把握が必要となります。

     また、自社の役員や上司との同行訪問も、普段の訪問活動とは違うプラスア
     ルファの効果をもたらします。

   4.未訪問・失注を防ぐには
     現実には、計画通りの訪問活動ができないことの方が多い。

     原因は、行きにくい得意先が未訪問になるから。

     具体的には、
      ①自分より知識や技術のレベルが高い
      ②競合が激しい
      ③訪問に不便な立地
      ④遠い
      ⑤要求ばかり多く、自社のメリットがあまり期待できない

     などの得意先である。

     ⑤の場合は状況に応じてランクを下げればよい。

     それ以外はライバルにとってもマイナス要因になっていると考え、クリアできれ
     ばチャンスにつながるよう対処しなければならない。

     それが可能であれば、他社のシェアを奪うことはあっても、奪われることはなく
     なるはずです。

     以上のことを考慮し、ABCという顧客ランク付けと訪問のバランスを図り、常に  
     最良の計画を立てられるよう、訪問活動のルールを標準化することが非常に
     重要となる。

  □目標の立て方

   1.販売目標についての考え方
     本来、販売目標は販売割当とは違うはずだ。

     目標とは、予算策定において最低でも経費を上回る売上げを上げるものでな
     ければならない。

     これが必要最低限の必達目標となる。

     目標を拠点別・担当者別に振り分けると販売割当額、いわゆる販売責任額と
     なる。

     もちろん、経費をカバーできるだけの売上げを上げればそれで良いというもの
     ではない。

     しかし、設定された目標数字の根拠が不明確であれば「何とかしろ」「気合で
     頑張れ」といった精神論になってしまう。

     これでは計画とは言えず、戦略もない状態で販売活動を行うという状況に陥っ
     てしまいます。

   2.目標を立てる時の注意点
     大半の会社は目標を立てる時に、前年の実績や経費、利益について検証せ
     ずに、対前年比だけで目標を設定している。

     つまり、ただ単純に前年より売上げを伸ばすことだけに着目して、目標を設定
     しているのです。

     会社は業績を伸ばしていかなければ成長しないが、現場の担当者が納得でき
     る目標でなければ、常に成長を目指すモチベーションを高く保つことは難しい
     でしょう。

     現場担当者のモチベーションを維持するためにも、営業活動に携わるすべて
     の人が販売割り当ての目標決定に参加する仕組みにすることが望ましい。

     「これだけの実績を上げろ」とトップが一方的に目標を与えるのではなく、担当
     役員から部長・幹部、一般社員にいたるまで全員が目標額を提出する機会を
     与える。

     順序としては、現場担当者から順に上司に目標額を提出していきます。

     ほとんどの場合、少しでも自分が楽に達成できるようにとの心理が働いて低い
     目標数字を出すため、段階ごとに目標額の加算調整を行う必要がある。

     そうした調整を経た後、最終的にトップの承認を得て、上から順に戻す。

     その手順の中で必ず目標の根拠を明示し、必達数字であることを全員の共通
     認識としなければならない。

     この点がとても重要なのです。

   3.目標数字の割当基準
     全社の目標数字がトップから示された後、目標数字を拠点ごとに振り分ける。

     各拠点は、戦略的にその構成メンバーで担当地域の全顧客を回れる範囲をエ
     リアとして設定すべきです。

     そして、そのエリアにおける販売可能額を割り出し、拠点の人員数を設定する
     ことになる。

     さらに、その拠点の責任者が営業担当者の実績やキャリア、能力などを考慮
     し、担当者から出た目標額が妥当か否かを判断して、拠点全体の目標額を算
     出することとなる。

     過去の実績を見る場合は「対象期間が短すぎないか」「外部要因(環境)がど
     の程度の影響を与えているか」「実績は実力に応じた必然的なものか(偶発的
     なラッキー受注はどの程度の割合か)」「今後の成長可能性(伸びシロはどのく
     らいあるか)」などを考慮して、調整しなければならない。

   4.営業担当者のモラール低下を招かないために
     営業担当者に目標数字を割り当てる際、明確にその根拠を示す必要があると
     述べてきました。

     これを怠ると、「頭ごなしに数字を押し付けられた」「前年同期に比べて、ただ
     単に数字を上乗せされただけだ」といった不満が必ず発生します。

     このような状態であれば、最初に担当者から出る目標数字は上乗せを前提に
     した低い数字となってしまう。

     「どうせ上乗せされるから、実際の80%程度の数字を出しておけば、最終的に
     自分が考えているところに落ち着くだろう」となる。

     つまり「100%達成できる数字を出す」ことを前提とした考えしか出てこなくな
     り、営業活動に求める方向性にズレが生じてしまう。

     業績の評価はそれとは別に考えなければならないが、混同されてしまうことに
     なる。

     こういった傾向は、経験を積んだベテラン営業担当者ほど顕著に現れます。

     厳しい状況の中で目標設定を行っても、担当者が目標をきちんと理解・納得
     し、自らの意思で達成に向けて具体的に何をすべきかを考えれば、高いモチ
     ベーションを維持しながら日々の営業活動に取り組めるものです。

     そのためにトップは、売上げ増に向けた目標数字の根拠や、会社が健全に成
     長するために必要な活動は何かを、明確に説明する必要がある。


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組織営業力の強化

組織営業のための営業チームを育成

営業チームの育成
 

  ■チーム

   チームとは、一つの目的を達成するために結成された集団です。

   規律を守り、互いを信頼し、勝利のために迷うことなく前進し続けます。

   こうしたチームのあり方は野球でもラグビーでも同様です。

   そして、営業の現場において、営業プレイングマネジャーを中心に展開されるチームの
   営業活動も、こうしたサッカーのワンシーンと似ています。
   さて、先のフォワードは見事にゴールを決めることができたのでしょうか。

   もちろん、ゴールを奪って勝利することが理想ですが、それだけがすべてとは
   いえません。

   もっと大切なことは、ミッドフィルダーからのパスを信じてダッシュしたフォワードの
   姿勢、フォワードを信じてパスを繰り出したミッドフィルダーの判断といったような
   “信頼感に支えられたプレー”そのものだからです。


  □営業チームをつくるためのレビュー

   顧客目線を放棄して、自社都合のみで商品を売り込んで売れる時代は過去の話です。

   このことを無視した営業を続けることは、会社の未来、営業パーソン個人の未来まで
   奪ってしまう。

   成果を出し続ける営業チームをつくるには、まず自社の営業チームの現状を正しく
   認識する必要がある。

   そこで、現状認識を行う上でよく見られる課題と対策について述べていきます。

   1.営業のプロセスが見えているか
     リーダー(部門長)が目標売上げに届かない原因を、営業パーソン個人のセン 
     スや力量に求める限り、チームとして成果を上げる方法を考えるのは難しい。

     なぜなら、成果を上げる営業チームにできるかどうかは、チームそのものをい
     かに構築するかが重要なポイントだからである。

     リーダーが営業担当者時代にトップセールスだったからと言って、成果を出せ
     る営業チームをつくれるとは限らない。

     個人の営業能力の向上とチームの成果向上には、それぞれ違うアプローチが
     求められます。

     営業チームは、会社の目標数字を達成するために、結果を出さなければなら
     ない。

     しかし、多くの営業会社が結果だけに執着している現状は少なくありません。

     「結果至上主義」で営業会議などを行っていると、営業活動のプロセスが見え
     なくなってしまい、営業パーソンの活動がどんどんブラックボックス化してしまう。

     したがって、営業のプロセスを「見える(標準)化」する必要があります。

     それによって、「運・勘頼み」の営業活動から、先が読める「情報提案型営業」
     に変えることができる。

   2.やる気を引き出す仕組み、ストーリーづくり
     旧態依然とした営業戦略の再考をうながしても、「理屈は分かるが、ウチの業
     界には合わない」「手っ取り早く売上げをアップする方法を教えてくれ」と言う経
     営者もいる。

     しかし、それでは成果を出すための善循環の仕組みづくりはできない。

     経営陣、営業の部門長が柔軟性を持って、よりよい仕組みづくりに取り組むこ
     とが必要となります。

     つまり、あらゆるツールを使い、営業プロセスを見える化し、仕組みとして継続
     的に管理することです。

     そうすることで、数字の背後にある営業パーソンの動き、顧客のレスポンス、
     市場の動向などが見えてくる。

     そのような事実を押さえたら、今度は全体目標を達成するためにストーリーを
     つくり、数字に落とし込むことで、チーム、また個人としての行動パターンが明
     確になる。

     ストーリーがあることで記憶に残り、具体的な情景がイメージできるものです。

     伝えたいことを“物語”にして語ると人は興味を持ってくれやすい。

     物事の仕組みや構造、伝えたい内容を決めるのに、ロジックは必要です。

     ですが、伝えたいことをただ論理的に話しても、相手がそれを受け入れて動い
     くれるとは限りません。

     まず最初は、相手の琴線に触れ、共感を創り出すことが大切です。

     そのために、ストーリーはとても重要な役割を担うのです。

     社員の動かし方には大きく二つのパターンがある。

       (1)社員のモチベーションを高める風土をつくり、社員が積極的にトライで
        きる環境をつくっている会社。

      (2)与えられたノルマをクリアすることを評価の最大のポイントとし、それを達 
        成するために結果のみを徹底的に追求し、常に個人を否定的な言葉で叱
        責している会社である。

     後者は、一時的には業績を達成することも多いでしょうが、たとえ目標達成意
     欲の強い社員が集まり、目標に向かって執念を持ってトライしたとしても、長い
     目で見れば社員が疲弊するのは明白です。

     そして、次第に高いモチベーションで仕事に取り組むことが難しくなり、結果と 
     して会社の成長も望めないものとなってしまう。

     チーム力を最大限に引き出すモチベーションの上げ方は、大きく二通りある。

      (1)「プロセスをしっかりと見守り、評価する仕組みづくりをしているか」評価と
        聞くと、すぐに給料アップを思い浮かべる経営者もいるでしょうが、評価と
        言っても金額を多くするだけではなく、そもそもお金のみで人は動かな
        い。

        営業のプロセスを評価し、営業パーソンが戦いやすい環境を整えること
        で、人は成長していくものです。

      (2)「メンバー全員がチームの目標を達成するために、より一体になるムード
        をつくり出す」

        営業テーマに対してプロジェクトを発足するなど、全員で目標達成のため
        にチームと仕組みをつくることが大切です。

        ツールを使って定期的に管理するだけでなく、リーダーを中心にメンバー  
        が「オレもやってやる」という雰囲気をつくり出すことで、全員がプレッ
        シャーを楽しみつつ熱く目標にトライできる環境整備が重要となる。

   3.顧客視点を持つ
     受注がないからと言って、顧客が望んでもいない、自社に都合のよい商品ば 
     かりを売ってはいないだろうか。

     ニーズを聞きながら本音を引き出し、顧客を深く理解して最適な価値を提案す
     る姿勢が、真のパートナーシップ確立につながるのです。

     しかし、それを実現している会社はまだまだ少ない。

     真のパートナーシップを確立するためのポイントは大きく2点ある。

      (1)クレームを分析する
        顧客自身に何が起きているかがリアルタイムに分かり、顧客満足度の向
        上のヒントを見つけることができる。

      (2)自社から仕事を奪った競合相手を分析する

        これによって、全社の共通認識ができ、自社をどう差別化していけばよい
        かが明確になる。

        現状認識のポイントについて述べてきたが、これらの中に当てはまる課
        題がなく、正しく営業が機能している会社はまれで、ほとんどの会社が何
        かしらのネックを抱えている。

        過去において、国際社会では、組織力では日本にかなわないというのが
        一般的な見方でした。

        しかし、近年は日本の集団プレーの弱さが指摘されており、優位を誇って
        いたアジア市場でも苦戦を強いられている。

     徹底した顧客志向、きめ細かいマーケティングがおろそかになり、有益な情報
     を持って展開することも、創造性を発揮することさえもできなくなっている。

     では、どうすれば組織力を強化し、成果を出し続ける営業チームをつくること
     ができるのか。

     自社の営業チームの現状をとらえるポイントとして、営業プロセスやモチベー
     ション、顧客視点について解説しましたが、その前提で組織として目指すべき
     方向が定まらなければ、チームは継続的に機能できません。

  営業プロセスの見える(標準)化で善循環の連鎖を起こす

   まず、「ビジョンが明確になっているか」が、チームとして活動する上で最も大切なこと
   である。

   会社として、チームとして、何を目指すのかが定まっていないと、個人としての目標
   設定も、売上げ目標を追いかけるだけになってしまい、使命感を持ち、やりがいのある
   仕事をする上で本質的に大切なことが描けなくなってしまう。

   チームとして大きなパワーを生み出すには、会社やチームとしての目的(存在意義)を
   明確にしなければならない。

   その上で、目的を達成するための行動目標の設定。

   そして、結果目標である売上目標を達成しがいのあるものに設定し、全員が一丸と
   なって高い目標に取り組む環境を整備することが大切です。

   そのステップを踏み外してしまうと、業績が右肩下がりになっても、社員が日常の仕事
   の処理のみに追われ、業績に対する危機感が薄くなってしまう。

   社員の意識を変えるには、まず会社として、チームとしてのビジョンを明確にする必要
   があります。

   1.プロセスを見える(標準)化し、営業プロセスを設計する
     各々で活動している営業においては、その営業プロセスが属人化してしまうこ
     とが多い。

     属人化し、ブラックボックス化した各人の営業プロセスを分解し、「何がよくて何 
     がネックであったか」について洗い出しをしていく必要がある。

     今まで、特に意識や注意をせずに行ってきたことも含め、どのようなプロセスを
     踏んできたかということを意識的に見ていくことから始めます。

     プロセスを「見える化」し、自社の営業プロセスを営業チームとして構築するに
     は、以下のような手順で進めると効果的な落とし込みができる。

     (1)参加メンバーを決める

       各々の営業パーソンの個性や経験値がバラバラなので、営業の進め方に
       違いが出てきてしまうのは当然である。
       プロセスを見える化し、スピーディーに自社の営業プロセスを設計してい
       くには、メンバー全員の意見を集約するより、営業パーソンの中から経験値
       が高い営業パーソン(商品・顧客知識が豊富)と、実績を残している営業
       パーソン(売り方をつかんでいる)をピックアップする。
       そして、営業マネジャー(部下の営業方法を押さえている)が中心となって、 
       討議をしていく(全員が発言しやすい人数で構成し、多くても7、8名に集約
       する。
       事業部によって売るものやアプローチが全く変わる場合は、そのつど編成
       してよい)。

     (2)営業プロセス検討会議を行う

       この時、会議を行う目的をはっきりさせることが重要である。
       経験値の低いメンバーでも、基準になる仕事の進め方があれば、効率的に
       活動ができることを説明する。
       同時に、行動のよりどころとなる基準づくりであって、行動を縛るマニュアル 
       ではないことも説明する。

       ①メンバーを集めたら、自社の大きな営業プロセスに分解する
         まず、顧客の設定から契約後のアフターフォローまで分解する(多くとも1
         0個以下にまとめる)。

       ②プロセスごとに各自がどんな作業をしているか、主要なものを列挙する
         プロセスごとにどんな活動をしているかを出す(細分化しすぎると分かり
         にくくなるので、主要な行動をピックアップする)。

       ③プロセスごとの目的(ゴール)を明確にする
         ここを明確にしないと成果が測れない上、ステップを踏んでいく過程が不
         透明になる。

       ④プロセスごとに使用するツールを確認する
         準備段階で使う社内ツールから、商談先で使う営業ツールまですべてを
         ピックアップし、社内で統一して使用したほうがよいツールは何かを討議
         していく。

        そして、成果を出しているメンバーが作成した基準行動パターンを、会議に

       参加しなかったほかのメンバーに見せることで、自分と基準行動パターン
       がどう違うかを意識させる。

       足りないものは何かを分からせ、そのノウハウが見えるようにする。

       これを実行に移していくことで、営業パーソンの行動に大きなバラツキがな
       くなる。

       だが、その一方で、営業は顧客との対人間のやり取りで進めていくもので
       あるから、臨機応変な対応力を持って個々に対応していくことも望まれる。

   2.将来の売上げの見える化(先行管理
     よいプロセスを踏むことは称賛に値するが、それだけでは評価に値しない。

     チーム全体のプロセスを管理する手法として、将来の売上げの見える化(先行
     管理)が必要になる。

     3カ月、6カ月先の将来を見て打つ手を決め、行動することが大切となる。

     目先の業績を追いかける対策を立てても、ドタバタの対策しか打てず、業績が
     よくなったとしても、結果オーライで原因が分からず、場当たり的な営業になっ
     てしまう。

     先行管理指標を使って「真の業績をつくること」とは、「次のアクションはどうす
     るか」という日々の積み重ねができるかどうかです。

     先行管理表で更新することで「将来の売上げの見える化」による管理ができる。

     この管理によって、チームがいつまでに何をすればよいかが明確になります。

     さらに個人レベルの行動も営業プロセスに基づいた戦略管理をすることで、問
     題点が明確になり、具体的な対応策を検討することが可能となる。

     先行管理を行うに当たり、先行管理表に基づいて、実績と差額に対する穴埋
     めをすることになる。

     このとき、ネタがどれくらいかということが穴埋めのポイントである。

     A、B、Cランクの確率(例80%、50%、30%)や、どのネタをどのランク
     にするかの基準を決め、そのつど話し合いの中で設定したり、マネジャーが 
     チェックする中で設定したりして、メンバーの価値判断を合わせる作業が大切
     です。

     その中で、案件のランクを上げるにはどうしたらよいか、その物件を追うかどう
     かの見極めなどを議論していきます。

     先行管理は、金額を入れていくことで、いつまでに種まきをしてどこで刈り取る

     かが具体的になる。

     また、売上げの見込みの内容は、「従来のリピートオーダー分」と「戦略的に新
     規獲得していかなければならない売上げ」に分けられる。

     リピート分は、従来通りの努力によって達成できる予算であり、計算ができる
     売上げ(ベース売上げ)です。

     結果管理で見たときに、ギャップがあるのであれば、リピートを積み上げること
     は困難だから、予算を修正しなくてはならない。

     これに対して、新規に創造していかなければならない売上げは、営業戦略を
     実行した結果、達成できる予算です。

     さらに、その特性により「ニューベース売上げ(新たにベースとなる売上げ)」、
     もしくは「スポット売上げ(一時的な売上げ)」に分解し、新規売上げの中身も検
     証するのです。

     先行売上げ目標の中身でベース部分が少なければ、達成までに相当なテコ
     入れをしなくてはならず、攻撃的な戦略を描いていくということになる(目標差
     額を埋めるのは、ニューベース、スポットの売上げである)。

     先行管理の目標売上げは、最終的には市場規模とシェアを計算し、シェアの
     水準が適切かどうかを確認し、数字を決めていきます。

     数字を読むに当たっては、計算が立つ大手顧客の状況から前述の切り口 
     (ベース、ニューベース、スポット)で検討し、その後、新規分を検討するのが
     鉄則です。

     それを踏まえてマネジャーから担当者に対して指示をすれば、常に戦略的で
     明確な指示ができます。

     指示が気まぐれや場当たり的なために、担当者がしらけてしまうということがな
     くなる。

     また、先行管理の精度を上げるため、営業パーソン特有の「隠していた有力
     ネタを急に出す」ということがないように、ルール決めや雰囲気づくりをしていき
     ます。

     つまり、会社の都合で前倒し受注を強要したり、担当者の意向を無視した対策
     を講じたりせず、担当者の話をよく聞いた上で、アドバイスをするような風土づ
     くりが必要となります。

     当月の売上げにジタバタするより、先を見越しながら手を打つほうが、業績も
     上がり、営業活動もよいプロセスを踏むことによって、精度が向上していくのです。 


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組織営業力の強化

中小企業の営業力を強化 

   
  ■中小企業の営業力

   多くの中小企業が「売れない」と悩んでいる。

   弊社HPでも解説しているが当然のことだと言ってもいいでしょう。

   過去の成功事例は参考にならないのです。

   誤解を恐れずに言えば、今まで、ものが売れたのは営業力があったからではないのです。

   顧客の商品知識も少なく、好みの変化も激しくなかったため、営業マンはお客を単なる
   商品・サービスの販売先と見るだけで「売る」という一方通行的な仕事であっても、
   問題はありませんでした。

   お客の方も、どうせ注文するなら、よく通ってくれた営業マンに注文をするのも当然で
   あり、営業マンも用がなくても足繁く顧客を巡回することに、それなりの意味がありま
   した。

   その結果、「顔見せ」、「足で稼ぐ」、「夜討ち朝駆け」などの行為が営業の基本にな
   り、習慣化してきました。

   しかし、今はどうでしょう?

   世の中はモノで溢れ返っています。

   今までのようにいくら顧客に会っても、要らないものは結局要らないのです。

   義理人情で買ってくれるような余裕などありません。

   営業側の姿勢として重要なのは、あなたの扱う商品・サービスを理解して、そのうえで
   どのように顧客の抱える課題を解決するかなのです。

   結果にしか求めない営業管理をしていると、社員は、モチベーションが下がり、会社は
   戦略も戦術もなく、仕組みのない営業を続け、社員には精神論を唱え犠牲を強いている
   のです。

   これでは人材も育たず、仕組みを作ることもできません。

   精神論信者が増え、管理職は権威と権限にしがみつき、井の中の蛙になるからです。

   そして最後に、経営者は裸の王様になります。

   過去の成功事例にしがみつき、トップの威厳を振りかざして組織を叱咤激励するだけで、
   営業現場や顧客の中で起きている変化を読み取ろうとしなくなるからです。

   多くの営業マンがトップ営業マンの講演やセミナーに参加しますが、参加した彼らが成績
   優秀な営業マンになったという話は聞きません。

   トップセールスマンはほんのひと握りしかいません。

   これは彼らが持ち合わせているセンスに基づくものだからです。

   これらを考えずに、無意味な飛び込みや人海戦術を奨励する営業スタイルは実に多いの
   です。

   □中小企業に求められる営業力とは

    ・時代に沿ったやり方、考え方

    ・あなたの商品(サービス)の価値は明確か

    ・「理念の共有化」、「情報の共有化」はできているか

   顧客は、企業に支払った金額に相当する商品やサービスを営業マンにではなく会社側に
   求めています。

   決して担当営業マンの優秀なセールススキルを求めているわけではないのです。

   また、企業が財産として所有すべき顧客との接触情報を担当者個人のみに持たせる
   ことは、企業の大事な財産を捨てるようなものです。

  教育

   会社が行う教育は、あくまでも業務の遂行に必要な知識を伝える教育で、 訓練(トレ
   ーニング)にあたります。

   本当に顧客のために、社員のために、そして自社のためになる教育があるとすれば、
   それは効率的に自社(店)の商品やサービスを必要としている顧客に届け、理解して
   もらえるような「トレーニング」です。

   しかし、今その教育体制は問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育(トレーニング)制度の内製化は不可能です。

   
   より少ないコストと時間で、本当に必要としている顧客に必要な商品とサービスを、
   最適なタイミングで、必要な分だけ提供するためのトレーニング。

   これが会社が行うべき営業マン教育です。

   優秀な営業社員でなくても、少ない労力で多く売れるほうがよいのは当然です。

   売れるためのプロセスを仕組み化し、それを実行させる。

   「どうして失敗したのか」、「こうすればうまくいくはずだ」とか、だから「次からは
   この方法に変えてみよう」などの具体的な指導・仕組みを、「売れない」営業マン
   たちは待ち望んでいるはずです。

   売れないモノは、どんなに頑張っても売れません。

   上司が、どのようなプロセスが売れることにつながるのか、どのようなプロセスが売れ
   ることにつながらないか、を把捉していれば、部下に無駄な根性論を言う必要がなく
   なります。

   正しいプロセスに従って営業を行わない社員を指導するだけで済みます。

   ノルマだけを評価するのではなく、プロセスの実行状況をチェックすれば自然によい業績
   につながります。

   すぐに売り上げが上がらなくても、きちんと評価してあげる制度をつくるべきです。
   
  営業活動の中身

   数値目標を立て、目標達成に向け、計画に則った行動をとっている中小企業がどれだけ
   あるのだろう。

   達成が「たまたま」といったことではなく、計画にのっとって実行した結果の目標達成
   でなければならないのは当然のことです。

   ドラッカーの言葉にもあるように、

    計画とは未来に関する現在の決定である。
    全力を注がなければ、単に約束と希望があるだけで、計画ではない。

   そのためにも、目標達成可能な計画と実行が欠かせません。

   競争が激化する中で、会社(店)が存続していくためには我流、場当たりといった営業
   活動は決して避けなければならないのです。

   営業会社にとって、継続した収益アップを図っていくためにも『仕組み』づくりは急
   務です。

   ある調査によると、営業活動において、営業マンが成約するまでの訪問回数はおよそ、
   1回の訪問ではわずかに4%、2回の訪問では7%、3回の訪問では25%、4回訪問では
   22%、5回訪問では16%、5回以上訪問での成約は26%となっています。

   つまり、1回での成約は非常にまれで、少なくとも3〜5回の訪問が必要となります。

   しかし、訪問回数が増えるほど、揖益分岐点は高くなります。

   利益を拡大するためには、訪問回数を減らさなくてはなりません。

   つまり訪問効率を上昇させることです。

   営業環境が変われば、営業マンの行動や考え方が当然変わらなければならないはず
   です。

   競争激化の市場環境下で、新しい営業の仕組みを至急構築していきましょう。

   御用聞き営業から提案営業への質的変化を目指さなくてはならないのです。

   以上のことからも、同業他社(店)、異業からの参入組に対抗していくには差別化を図っ
   ていかなければならないのは既にご承知のことです。

   増収するには、お客様との接触回数を増やすことが第一ですが、だからといって「直接
   面談しかない」では能がありません。

   あなたの存在を、お客さんの頭の片隅にインプットさせることです。

   そのためにDM(ダイレクト・メール)・NL(ニュースレター)・はがき(礼状)・
   ビジネス情報(お客さんが興味関心を抱く内容)を発信(受信)し続けることです。

   ここで受信と書いたのは、情報発信の一方通行ではなく、必ず受信(返信)してもらう
   双方向のコミュニケーションがなくてはなりません。

   商品・サービスを提案していくあなたにとって、自分はどんなことが得意で、こんなに
   お客様の役に立つといったことをアピールしていくのです。

   多くのお客様は高度なセールススキルを求めているわけではありません。

   日常のちょっとした問題、疑問の解決をサポートしてあげることを心掛ければいいだけ
   です。

   個人対象なら、日常でのちょっとした面倒なこと、お得なこと、心配事を見つけ、解決策の
   提案をしてあげるのです。

   法人であっても、面倒なこと、お得なこと、抱える問題などの解決策を提案すればいい
   のです。

   今、旬な話題をテーマに、「○○○を甘く見てませんか?」といったタイトルで法人に問題
   提起し、「もし対策を怠れば、こんなことが企業を襲う」といったレポートをオファとして
   無料進呈し、レポート進呈先(見込み客)に次のステップで、解決策の提案をしていく
   のです。

   個人マーケットであれば主婦層、性別、年代別にホットな情報提供しニーズ喚起して
   いきます。

   お客さんに情報発信しなければ、いつまでたっても反応はありません。

   反応させるには、「お客様にどうやって興味を抱かせるか」です。

   そのためには、内容はともかく発信すること。

   継続していく中で、自然に精度は上がってきます。

   まずやってみよう!

   競合他社との違いを出さなければ、その他大勢の競合社と同じです。

   一歩でなくていいのです。

   半歩先を行くだけです。

   生存競争に生き残っていくためには変化に対応していかなくてはなりません。

   過去の成功事例に引きずられないことです。

   あなたにとって今が一番苦しい時かもしれません。

   しかし、このときを乗り越えれば、あなたの望む結果は必ずついてくることを信じる
   ことです。
   
  新規開拓がうまく進まない

   今日に至るまで、大多数の中小企業ではマンパワーに頼ったやり方を続けています。

   企業の多くは特定顧客との継続的な取引によって事業基盤を確保しているところが
   少なくありません。

   このこと自体は事業活動の効率化、営業基盤の安定化という側面から考えれば、決して
   間違っているわけではありません。

   いわゆる「選択と集中」という考え方からすれば、正しい事業活動であるといえます。

   このような顔の見える相手を中心とした営業活動に「偏っている」ということは、一見
   リスクが少ないように思えますが、実はハイリスクな経営状況といえるのです。

   営業活動が「選択と集中」という考え方の下、既存の特定優良顧客との関係強化に重点
   を置き過ぎる状況は、一部の特定顧客からの売上に依存する状況を生み出してしまう
   からです。

   仮にこうした優良顧客との取引が何らかの原因でなくなってしまった場合、企業全体の売
   上に対する影響は甚大なものとなります。

   また、特定顧客とあまりにも密接になり過ぎた結果、自社(店)の事業基盤が特定顧客か
   らの売上げに過度に依存することになってしまい、売上確保のために無理な条件での
   取引をやむを得ず受け入れなければならなくなるケースなども見受けられます。

   新規開拓活動に関してはどうかといえば、見込み客開拓の実施率は低くなっています。

   多くの中小企業の営業活動は、特定顧客へのルートセールスが中心となっており、
   新規開拓活動にはあまり力が注がれていないということがいえます。

   なぜ営業活動がこのようになってしまうのかを考えてみましょう。

   それは目標が売上高予算という「今日の糧」中心だからです。

   少しずつ減り続ける顧客数を気にしながらも、特定顧客に対して必要以上の販売攻勢を
   かけてしまい、結果として顧客への押しつけ営業となり、これを嫌がるお得意様は離れて
   いという負のスパイラルに陥ります。

   これが営業力の弱い中小企業の実態です。

   もちろん、あなたが事業を営んでいくためには売上とそれに基づく利益の確保が最重要
   課題です。

   しかし、目先の売上確保のための活動だけでは事業を継続させていくための「明日の
   糧」は見出すことはできません。

   明日の糧、つまり新たな顧客候補としての新規顧客の開拓が必要不可欠なのです。

   販売(sale)という活動のみでなく、営業(business)という活動を、自社の営業のもう
   一つの基軸と位置付け、継続的かつ計画的に行っていく必要があります。
    
  □新規開拓活動3つのポイント
   新規顧客の開拓があなたにとって必要とされていることには異論はないと思います。

   しかしながら、新規開拓がうまく進まないと感じている企業が多いのも事実です。

   これは、なぜなのでしょうか。

   それは、新規開拓に関して各営業担当者任せになってしまっているからです。

   営業担当者レベルでも新規開拓の必要性は確かに感じています。

   しかし、新規開拓活動が本格化することはなく、営業担当者は時間が余った時に「つ
   いで」に行う、気になる見込み客の近くに来たので「ついで」に訪問するなど、その場
   その場での思いつきによって行われているのがほとんどです。

   ついでに行っているのですから、他業務で多忙になると新規開拓活動は後回しになっ
   てしまいます。

   そしてせっかく構築しかかっていた見込み客との関係も消失してしまい、顧客化できず
   に終わってしまうのです。

   既存の顧客は永遠に自社のお客様ではありません。
  
   そのことを理解し、集客、新規開拓、既存顧客の維持管理を計画的に実行して行か
   なければ、どこかの時点で行き詰まってしまいます。

   企業の戦略として新規顧客の獲得を目指すならば、当然企業として活動をコントロー
   ルしていく必要があります。

   ここではこの活動への考え方を「誰に」「何を」「どのように」という3つのポイントに分
   けて検討していきます。   

   1.誰を対象として新規開拓をするのか

     通常の営業活動である販売(セリング)では、自社の製品やサービスをどのよ
     うにお客様に購入あるいは採用してもらうかが焦点となります。

     つまり、

      →自社のある製品を購入してくれそうなのはどのような顧客か
      →顧客の興味を引くためにはどのようなアプローチが求められるか

     など、自社の製品やサービスという「モノ」を起点として営業活動を検討してい
     くことになります。

     一方、新規開拓は将来のお得意様を開拓していくという活動ですから、自社を
     高く評価している既存の優良顧客に似たタイプが最も有望なターゲットとなりま
     す。

     つまり、
     自社の優良顧客が活動検討の起点となるわけです。

     以上のことから、ターゲットとなる既存の優良顧客のプロフィールをしっかり把
     握・分析することが、効率的な新規開拓活動の原点となります。

     優良顧客の検討は、売上高と利益率の両面から行います。

     特に大手企業との取引がある場合、その売上の大きさから「この大手企業こ
     そが優良顧客である」と判断しがちです。

     しかし実際には大手企業との取引は、取引条件面で非常に厳しい内容になっ
     ているものや、営業利益面での貢献度合そのものは小さい(あるいは赤字に
     なる)ケースが数多く見受けられます。

     自社を適正に評価してくれている顧客ならば、適正な利益の享受も認めてくれ
     ているはずです。

     顧客の事業規模に惑わされることなく、自社の商品や技術・ノウハウなどを高
     く評価し、継続的に取引を行ってくれている顧客層をみつけなければなりませ
     ん。

     企業や事業所向けの事業の場合は、次の観点で分析を行い、自社が得意と
     する顧客タイプを明確化します。

      ・業種、業界

      ・事業規模(売上規模のみならず、従業員数、事業所数・工場数なども検討)

      ・地域的な特性(地理的なものだけでなく、都市圏か郊外かなども注意)

     消費者向けの事業においては、顧客のプロフィールデータとこれまでの購買
     履歴を基に顧客タイプを次のような観点で整理し明確化します。

      ・人口統計学的特性(年齢、性別、職種など)

      ・地理的特性(地域、気候風土、都市圏・郊外など)

      ・心理的特性(想定されるライフステージやライフスタイル、トレンド
       感受性など)

      ・購買行動的特性
       (日用品なら購買頻度、専門品ならば1回当たりの購買金額など)

     店頭販売が中心の場合、個別顧客のプロフィールの把握は困難です。

     ポイントカードなどを導入することで顧客情報を得ようとする企業もあります
     が、実態を表しているとは言いにくい面もあります。

     このような業態の場合、正確なデータ収集にこだわるよりも、実際に店頭での
     接客を通じて顧客を観察し、上記特性に当てはめて整理することで十分でしょ
     う。

     このようにして明確化した優良顧客にプロフィールが類似した見込み客を、自
     社の営業展開エリア内で具体的にリストアップしていくことで、新規開拓活動
     のための準備の最初のステップが完了します。

     このような検討方法は、ある程度多数の顧客との取引実績があり、かつ顧客
     情報や購買履歴が明確になっている場合に有効です。

     しかしながら下請に特化してきた会社や創業間もない会社の場合、顧客数が
     極端に少ないかあるいは特定顧客以外への販売実績がほとんどないというのが
     現実でしょう。

     そのような場合はどうやって新規開拓の対象先を見つけていけばよいのでしょ
     うか。

     このような場合には自社が提供している製品や商品・サービスが、既存顧客
     においてどのように使われているかという「用途」を中心に考えていきます。

     企業向けの事業であれば、自社が提供した製品やサービスが顧客企業の業
     務プロセス上のどのような部分でどんな使われ方をしているかを調査し、似た
     ような業務プロセスを有すると思われる業種・業態、事業規模、地域について
     仮説を立てていきます。

     販売実績がほとんどない場合は、どのような業務プロセスに適合するように製
     品やサービスを企画したかを基に、やはり仮説を立てていきます。

     そしてこの仮説に基づいて自社の営業展開地域内における見込み客をリスト
     アップします。

     一方消費者向けの場合は、自社の提供している商品やサービスがどのような
     タイプの消費者にどう使われるのかを想定して企画をしたのかを考え、想定さ
     れる顧客像(人口統計学的特性・地理的特性など)に近いと思われる見込み
     客候補の名簿を作成していきます。

     この際の名簿はあまり絞り込まず、かなり大まかな基準に基づいたもので構
     いません。

     なお、見込み客リストを営業担当者に個別に作らせて個人管理をさせるのは
     避けるべきです。

     多くの企業で見込み客リストを作ったらすぐにそれを各営業担当者に分けてし
     まい、あとは各担当者の管理に委ねてしまう傾向があります。

     これでは新規開拓の成果判断などが困難になるので注意しましょう。必ず組    
     織として作成し、管理者による一元管理ができるようにしておく必要がありま
     す。

   2.何を使って新規開拓をするのか

     見込み客リストを作り、これに基づき新規開拓活動を行っているにもかかわら
     ず一向に成果が上がらないという企業が少なくありません。

     このような企業の場合、新規開拓の目的をそもそも履き違えている場合が大
     多数です。

     新規開拓では、明日の糧である「顧客数の量的な拡大」が活動目的となりま
     す。

     しかし多くの企業では、顧客数だけでなく、売上高の拡大という「取引の量的
     拡大」や、利益率の高い商談の実現という「取引の質的拡大」まで一度に目指
     そうとします。

     このため、新規開拓に向かない高額商品を新規開拓用の商材として選択す
     る、提案型営業と称して商談プロセスが複雑な商材を選択するなど、誤った商
     材やサービスを用いて新規開拓活動を行ってしまう傾向があります。

     新規顧客との初回の取引だけでは、相互の信頼関係は構築されていません。

     このような段階で高額商品を薦めることは時期尚早です。まず新規顧客との
     信頼関係を十分に強化することを優先しましょう。

     また、提案営業に関しても自社の技術力やノウハウなどに関し、顧客から十分
     な信頼を受けてからでなければ実現しません。

     新規開拓の目的はあくまでも、将来のお得意様の候補となるような新規顧客
     を、できるだけ数多く獲得することです。

     この新規顧客の内の、例えば1割が大口取引を行ってくれるような優良顧客に
     育てていけばよいのです。

     また、新規開拓は換言してしまえば確率論です。どれだけ多くの見込み客に
     対して自社と自社の製品やサービスを紹介できるか、見込み客にどれだけ効
     率的にアプローチできるか、そして興味を持ってくれた見込み客とどれだけ効
     率的に商談ができるかという点が重要です。

     この観点から、新規開拓に向く商材とは次のような3つの特性を持つものにな
     ります。

      (1)商材の特性が明確であるもの(聞けば、あるいは見れば、すぐに
        理解できる)

      (2)製品仕様や取引条件に関して複雑な商談を必要としないもの

      (3)その販売において業界における営業経験の長さが必要とされないもの
        (新人でもベテランでも、あるいは営業担当者以外でも説明できる)

     この条件から考えると、企業向けの事業の場合は、顧客別にカスタマイズを必
     要としない標準仕様製品もしくは新製品であり、価格的には高額ではないもの 
     (低価格である必要は必ずしもなく、業界における標準的な価格であれば問題
     ない)が新規開拓に向いた商材ということになります。

     また、消費者向けであるならば新商品や季節限定品など商品特性について顧
     客が理解しやすく、価格的にあまり高額でないものが対象となります。

     次にどのように効率的かつ効果的に商談を進めていくかという点ですが、これ
     に関しては「FABE」という手法を使って、商材のセールスポイントとセールス
     トークをまとめたものを事前に準備するとよいでしょう。

     FABE(ファブ)とはセールスポイントを

      (1)Feature(特徴)

        その商品やサービスの性能や品質、素材などの客観的な事実

        その商材に関する客観的な事実であり、数値などで表され、箇条書きに
        網羅できるものです。

        顧客にとってはカタログを読めば済むようなことです。

        せっかく面談までたどりついた見込み客に、商品やサービスの特徴を
        長々と説明し続けると、商談が打ち切られてしまいます。

        できるだけ簡潔に事実のみを伝えられるようにまとめておく必要がありま
        す。

      (2)Advantage(利点)

        その商品やサービスが持つ一般的な優位性

        簡便さや使いやすさ、汎用性あるいは専門性、安全性や顧客満足度など
        の一般的なメリットの説明です。

        金銭的あるいは経済的な効果に関しては含みません。

        なお、利点の説明についても十分注意を払う必要があります。

        実際の商談において、利点の説明は話していて楽しいですし、見込み客
        も身を乗り出して聞いてくれるかもしれません。

        特に商談の初期の段階では非常にインパクトがあります。

        ただし、利点までで商談を区切ってしまうと、見込み客は次のように言う
        かもしれません。

          「なるほど説明はよく分かりました」

          「・・・しかし、当社(私)には当てはまりませんね」

          「・・・当社(私)で必要となるのはかなり先のことでしょう」

        利点は一般的な優位性でしかありません。

        この段階で見込み客からこのような発言が出てしまうと、その商談はその
        時点で打ち切りとなる危険性が高くなります。

        成果の出ない営業担当者が陥る典型的なパターンです。

      (3)Benefit(利益)

        その商品が見込み客に具体的に与える金銭的・経済的な優位性

        その商材を相手が採用することによって相手が得られる具体的な利益で
        す。

        例えば「他社製品と比較して費用対効果が勝っている」「コストが安い」
        「省エネ・省力が実現できる」「人手がかからない」などがこれに当たりま
        す。

        この段階まで言及できて初めて商談として成り立ち始めます。

        新規開拓においては個別の見込み客ごとの利益はなかなか事前に話法
        の準備ができませんから、事業所向けであれば業種・業界や事業規模別
        に、消費者向けであればライフステージやライフスタイル別にいくつかの
        パターンを想定しておくとよいでしょう。

      (4)Evidence(証拠)

        特徴・利点・利益を保証する具体的な採用事例など

        利点、利益の説明の根拠となるような事実をできるだけ集め、商材に対
        する信頼性を増し、採用に踏み切らせるためのものです。

        大手企業や同業者での採用実例や、公的試験機関でのテスト結果、新
        聞や業界誌での紹介記事など、第三者による評価が受けられたものが有
        効です。

        実際の商談では「FABE」という順で説明するのではなく、必ず、下の商談
        事例のように
          B → FABE
        という順で行うように心がけます。

        これは、FABEの順で説明を行うということは、カタログ内容の説明から入
        るということになり、見込み客にとっては退屈なセールスになってしまうか
        らです。

        つまり、見込み客に

          こちらの話も聞かずに、いきなり堅苦しい説明が始まった…
          ⇒この営業担当者は、こちらのニーズには全く興味がないのか?

        と感じさせてしまい、悪い印象を最初に与えてしまうことになるからです。

        ダイレクトメールやテレフォンセールスのように、時間やスペースが限定さ
        れる場合は「B→E→F→A」という流れで構成してもよいでしょう。

        以上の4段階に分けて説明しながら、顧客に提供していくという手法で
        す。

     この手法の利点は、新人・ベテランを問わず誰でも同じように顧客へ納得性の
     あるセールストークを展開できること、商材のセールスポイントが明確化される
     ので短時間かつ効率的に説明可能なこと、ダイレクトメールやテレフォンセー
     ルスなど限られたスペースや時間で説明を行う際にも有効であることなどが挙
     げられます。

    ●FABEに基づく商談事例
     Benefit(利益)

      「この装置をご採用いただけますと、○○%の生産性向上が図られ、
      年間で○○台の生産台数増加が期待できます」

     Feature(特徴)

      「なぜなら、この装置は従来問題となっていた○○部分に関する不良
      発生を○○%未満にする、当社特許の△△技術に基づく○○という部
      品が組み込まれています」

     Advantage(利点)

      「そのため、現在の不良発生率を劇的に減少させることができます」

     Benefit(利益)

      「従いまして、おうかがいした話を基にシミュレーションをすれば、○○
      部分での歩留まりが○○%向上し、1ライン当たりの生産性が○○%
      向上します。これを年間に換算しますと○○台の生産台数増加が期待
      できます」

     Evidence(証拠)

      「実際、本装置を昨年導入していただいた○○業界のX社のY工場では、
      ○○%生産性が向上され、大変、喜んで頂いております」

   3.どのように新規開拓を進めるか

     新規開拓活動の運営において最も重要なのは、営業担当者の個々の裁量に
     任せてしまわないということです。

     どのような企業においても、営業担当者は既存顧客との商談を中心とした売
     上確保の活動を最優先させています。

     新規開拓は必要と思っていても、その優先順位は低くなりがちです。

     新規開拓活動においては、商材・スケジュール・活動目標を明確化したうえ
     で、営業部門の管理者もしくは経営者自らがリーダーシップを取って、全営業
     担当者で一斉にローラー作戦を採ったほうが効率的といえるでしょう。

     当然、新規開拓活動は思いついたときに行うのではなく、年間スケジュールを
     計画し、定期的・継続的に行う必要があります。

     新規開拓は「働きかけた見込み客数×成約率」という確率論です。

     できる限り多くの見込み客に働きかけ続けることが成功への近道です。

  ■新規開拓の意義・目的

   中小企業に限らず新規開拓は、企業にとって非常に大切であるが、営業担当者・営業
   マンにとっては、一番嫌な仕事ではないでしょうか。

   彼らにとって、既存の得意先は、通いなれた道、いつも会っている人たち、いつもの
   ペースで、売りなれた商品をいつもの条件で売るので楽である。

   それに対して、新規開拓は、知らない道、初めて会う人たち、どんな条件で、何を売れば
   よいのかわからない。

   訪問しても、入ってから出てくるまで緊張の連続である。

   しかも、努力しても成功に結びつくとは限らない。

   だから、できれば新規開拓はやりたくないのです。

   しかし、それでは困るので、なぜ、新規開拓が必要なのか?営業担当者・営業マンに
   わかってもらわなければならない。

   多くの中小企業では新規開拓は、営業担当者・営業マンだけの仕事と思っているところ
   が少なくありません。

   これは大きな間違いである。

   限られた人材の中で収益アップを実現させるには、大企業のようなマンパワーに頼った
   やり方では赤字を垂れ流すだけです。

   新規開拓は必要に応じて幹部も経営者も一緒に行動しなければならない、会社にとって
   大切な仕事であるという認識が必要であり、共に力を合わせて成功させることが大切
   なのです。

  □新規開拓の意義とは

   (1)既存顧客の売上減を補うため

     既存の顧客だけでは、

      ・よくても、前年実績止まり

      ・通常は、前年比95%前後

      ・悪い場合は、前年比90〜95%

     前年実績を維持するためにも、新規開拓は欠かせません。

   (2)今年の売上高を確保するため

     あなたが健全な経営を進めていくには、前年対比の経費増の分を、売上増によっ
     て吸収していく必要がある。

     例えば、経費が前年比103%とすると、売上高も前年比103%以上となる。

   (3)得意先構成をよくするため

     あなたの顧客は優良顧客ばかりとは限らない。

     そのため、新規開拓を行って、入れ替えを行う必要があります。

   (4)市場占有率を高めるため

     経営の目的は、「売上アップ」「利益アップ」「シェア・アップ」です。 

     シェアを高めるには新規開拓は欠かせない。
     (既存顧客の「シェア・アップ」も同様に欠かせない)

   (5)訪問効率を高めるため

     現在の得意先に、新規開拓見込先、さらに新規取引先を加えれば、1日の訪問件
     数を多くすることができる。

     ただし、単に訪問件数を増やすだけの御用聞き営業では時間の無駄であり、相
     手も忙しい。

     直接訪問をしなくても、同様の効果が期待できるのがメールやFAXを活用した
     情報提供である。

   (6)営業担当者・営業マンが役割を果たすため 

     集客から顧客の維持・管理までを営業マン個々に任せることは至難の業といえる。
     本来、集客は会社が行い、集客した見込み客に対してセールスを行うのが営業マ
     ンの役割である。         

   (7)企業の営業力強化のため

     営業力とは、社員全員が営業に関わる営業力強化の仕組み(営業改革)をつくり、
     組織を効率的・効果的に活かして利益をあげる「売れる仕組み」をつくることです。

     せっかくの組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業
     力強化のためであり、企業の将来を切り開いてくれる。

  □新規開拓は計画的・組織的に行う

   新規開拓は、企業にとって重要な経営課題です。

   売上不振になると、トップから、「新規開拓をやれ!」と号令がかかったので、不承不承
   ながら形だけでもつけなければといった、小細工では成功しません。

   新規開拓は会社をあげて取り組まなければならない。

   新規開拓を行うことで、企業の大切な財産である得意先が増えることになる。

   単に、売上が足りないから新規開拓を行うというような問題ではない。

   そこには、企業の戦略が求められるのです。

   「よい企業にはよい得意先がつき、悪い企業には悪い得意先がつく」といわれるが、
   新規開拓を行いながら魅力のある企業づくりを進めなければならない。

   また、「価格で取った得意先は、価格で取り返される」ので、商品価格を下げて新規開拓
   を行うことは邪道であって好ましいことではない。

   新規開拓を真剣に行うなら、企業の経営陣も乗り出さなければならない。

   新規開拓のための組織図にも顔を出していて当然である。

   経営陣が真剣に取り組めば、幹部も真剣にならざるを得ない。

   そうすれば、営業担当者・営業マンもやらざるを得なくなる。

   新規開拓は、全社的に計画的・継続的に行えば必ずうまくいく。

   大切なのは、全社の力を結集させて外へ向けることです。

  □競争力を高めて新規開拓を成功させる

   営業マン・営業担当者が訪問し、「ぜひ、当社とお取引いただけませんか?

   よろしくお願いいたします」と、言った場合、「急に取引してくれといわれても困るな。
   しかし、うちの会社にとって何かメリットがあるなら、考えないでもないがね」と、言う
   のが一般的です。

   多くの中小企業にとって、少しでも売上高を大きくしたい、1円でも多く利益が欲しいと
   願っているのです。

   現在の仕入先よりもプラスの効果があるなら、新しい仕入先を増やすか、条件によっては
   入れ替えを行ってもよいということである。

   現在の仕入先と比較して何もメリットがないのならば、何回、訪問しても取引はして
   くません。

   そこで、手っ取り早いのは商品を安く売ることだが、ライバルも対抗して値段を下げて
   きたらどうなるでしょう。

   価格競争に拍車がかかり、下手をすると赤字を垂れ流し、最悪のときは倒産につながり
   かねません。

   それを避けるには、自社の強み・特長を伸ばし、競争力を高めるしかありません。

   それでは、会社の競争力としての強み・特長はいくつあれば、見込先に提示した場合、
   効果に結びつくのでしょう? 

   一般に、3つ以上になると力を発揮します。

   1つか2つでは威力を発揮しないと思ってよいでしょう。

   新規開拓の見込先の業種・業態によって、こちらが提示する特長の内容を多少変えなけ
   ればならないので、最低5つぐらいは用意しておく必要があります。

   社内で、営業関係者が集まってつくるとよいでしょう。

   営業担当者・営業マンが納得したものでなければ、実践で使うことは難しいでしょう。

   努力も準備も無くして、新規開拓は成功しません。

   新規開拓は、同業他社以上に知恵を絞り努力して、企業として競争力を持てるかどうかに
   かかっているのです。

  □訪問実績をきちんと記入(行動計画)して継続していく

   新規開拓は、1〜2回の訪問で結果が出るものではない。

   1回の訪問で成功することもあるが、それは、例外と考えておくべきです。

   では、初回訪問で取引が始まるケースの中身を考えてみよう。

   通常、どんな会社でも仕入先を持っているし、決まっている。

   それなのに、もし1回の訪問で「取引しましょう」と言われたら、あなたの会社が素晴ら
   しい会社で、相手の会社は以前から、取引したかったのです。

   そしてもう1つのケースは、相手の経営内容が悪くなって、従来の仕入先から見放されて
   いた場合です。

   「ああ、ちょうど、いいところへ来てくれた。さっそくお願いします」などと言われて、
   大量に仕入れて、翌月には倒産されたのではたまったものではありません。

   通常は、数回、訪問して新規に取引をしてもらえるのが一般的です。

   場合によっては、2年、3年かかることも珍しいことではありません。

   見込先が、大企業や官庁関係なら、初めから3年くらいはかかると思っておいたほうがい
   いでしょう。

   せっかく見込み客開拓をしていても見込先を管理しなくては、忙しさにかまけて忘れてし
   まいます。

   見込み先カードに記入しておくことで、いつ、誰がカードを見ても状況がつかめるように
   しておきます。

   新規開拓は、営業担当者・営業だけではなく、いつ、誰が見てもわかるようにしておか
   なければならない。

   一般的に中小企業は「売り」に弱いと言われています。

   従来と同じことをしていると、従来以上の数字は上がらないということを認識すること
   です。

   それは困るという企業は、従来のどこを変えるか、従来のどこを新しくするかという2つの
   対策を打ち出すことです。

   既存客だけを相手にした営業では、売上は伸びないどころか、減少する可能性が高くな
   ります。

   変化の激しい時代には、自社の顧客先を見直し、これから成長する新規の得意先の
   開拓と育成が不可欠となります。

   会社は、個々の営業担当者・営業マンに依存した営業体質から脱却するためにも、
   組織的な営業活動が展開できる環境と仕組みを作ることが重要となります。

  個人情報 

   新規開拓見込先カードなどを作成する場合、訪問先から頂いた名前・住所・電話番号
   ・メールアドレス等の顧客情報を、発送業務や連絡以外には一切利用せず、いかなる
   外部に対しても漏らさないことが大切です。

   個人情報の扱いについてはもちろんのこと、新規開拓には企業の信用を保つための
   全社的な徹底した情報管理が求められています。

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組織営業力の強化

組織の営業力強化

   
  ■営業を中心とした組織体制

   「営業は大変だ、難しい」と営業部門が敬遠されがちですが、果たしてそうでしょうか。

   中小企業は全般的に営業に弱いと言われています。

   収益を上げる営業部門を中心とした組織体制づくりが必要です。

   少数精鋭で勝負している中小企業にとって、社員の一人ひとりの能力を最大限に引き出し、
   目標達成に向けて組織力を強化し、結束することは最重要課題といえます。

   全員参加ということは、全社員のベクトルが同方向に向かっていなければなりません。

   限られた人材を効果的に活用するためにも、部門を超えた全員営業を目指すことです。

   中小企業の多くが営業を営業担当者だけに負担のかかるやり方をやっていることが組織営業
   力の強化・向上を阻害している原因となっています。

   せっかくある組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業力強化の
   ための優先課題です。

   他部門も巻き込んだ営業体制を構築するには営業のプロセスを標準化しなくてはなりません。

   営業に限らず業務を標準化することは様々なメリットをもたらします。

    ・ムダ、ムラ、ムリを排除できる

    ・業務の見える化が可能となる

    ・マンパワーによる特定の人への負担がなくなる

    ・凡人営業マンであっても優秀な営業マンと遜色のない品質を保てる

    ・リスクマネジメント(危機管理)対策に有効

    ・収益に直結した業務に専念できる

   中小企業の多くが売りに弱いと言われている理由は、

    ・営業体制が小規模なのに大企業と同じやり方をやっている

    ・扱う商品そのものを売るために努力している

    ・計画(経営計画、行動計画)に基づいた活動が行われていない

   今まで多くの営業マンは売るための努力をしてきました。

   扱う商品やサービスその物を売る「もの売り」を辞めることをお勧めします。

   あなた(会社)の『売り』はなんですか。

   『売り』とは、扱う商品やサービスの特徴ではなく、お客様にとって価値があり、何かよそには
   ないもの、顧客がまったく予測していないものを言います。

   「お客様にとって、あなたの会社の商品やサービスを購入することに何かメリットがあり
   ますか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた(会社)
   の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、お客様の
   抱える不満や困っていることなどを解決する商品・サービスだからです。

   せっかくの組織をマンパワー営業に頼らず、営業をチーム体制に改善することが営業力を
   強化します。  

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  ■組織の営業力強化

   リスクを回避するためにも、チーム営業の体制づくりは全社をあげて行なわなければならない。

   そのために、次の3つの改革課題が大きな柱となります。

    (1)チーム営業の構築

    (2)営業用データベースの構築

    (3)データベースの活用方法の決定

     新しい組織編成を取り入れ、顧客データベース、得意先データベースを構築し、共有財産とし
   て誰もが使えるようなデータベース作成ルールを検討し、活用方法を決定します。

   データの資産化、データの共有化である。

   データベースは経営の貴重な資産であり、会社の貴重な財産として管理する仕組みを構築
   します。

   過去には「ヒト」「モノ」「カネ」が経営の三要素でしたが、現在は「ヒト」「モノ」「カネ」
   に「ジョウホウ」が加わりました。

   ところがデータ、情報は、あまり適切に管理されていないのが実情です。

   中小企業の多くが情報の重要性の認識に欠けています。

   現実には、営業活動状況、顧客からの相談や苦情データをほとんどの会社(店)が管理して
   いない。

   営業支援(内勤)スタッフが、機能的に役割分担するチーム営業、見込み客の発見から提案、
   成約、サンキュー・レター(コール)、その後のアフターフォローなど、すべてを営業マンに
   一任していたことを、効率的に分担して担当する仕組みを作ります。

   上記仕組みの構築により、情報はしっかりと共有されることで、顧客は複数の営業マンと接触
   しも、満足感を損ねるようなことはない。

   顧客がチーム営業に接したときに、どのスタッフからも同品質な対応を得られるぐらい、機能が
   統合された組織であることが理想であり、我々が目指すべきものです。


   中身の濃い顧客との面談時間の拡大が成約につながる。

   そのためには、日常の作業部分を直接面談しなくても、お客さんに継続して接触している場面
   をつくることです。

   再度あなたの就業時間の中身を検証してみることです。

   そして今からもう一度あなたの営業体制を再構築してみてはどうですか?
 
   見直しのチェックポイントは、

    ・同業他社(店)と同じやり方をしていないか。差別化できる商品やサービスはあるか 

    ・ナンバーワンではなくオンリーワンを目指した体制か 

    ・対象(マーケット)を絞って(細分化)いるか 

    ・商品を得意なもの1〜2つに絞っているか 

    ・アクションプランは常に5W1Hで行っているか 

    ・競合相手、人口の多いところを狙わない 

    ・名刺、会社案内、パンフ等は独自性があるか 

    ・信頼性を強調しているか 

    ・基本動作12項目(挨拶、電話の応対、整理整頓等々)は実践されているか 

    ・あなたのサービス(それはどんなサービス)はお客様から評価されているか 

    ・お客さんへの感謝の気持ちを行動に表しているか 

    ・あなたの本当の売りは人間関係であることを理解しているか

    ・競争相手は同業者ではなくお客さんであることを理解しているか 

    ・あなたは何業であるかを認識しているか 

    ・出会い頭をないがしろにしていないか(見た目の重要性)

    ・セールストークはあなたが言いたいことではなく、お客様が聞きたい、知りたい
     ことをメインに組み立てられているか  

    ・行動の前の段取り八分を心がけているか

    マーケティングを車に例えるならエンジンです。

   経営をしていく中で心臓部となる。

   事業の成功も失敗も、すべてはマーケティング・スキルの良しあしにかかってくるのです。

   正しく活用すれば、マーケティングは大きな利益を生んでくれる道具となるでしょう。

   理解しておかなければならないのは、あなたが開拓しようとしている市場に最も適した商品や
   サービスが必要だということなんです。

   営業マン個人に集客から顧客の維持・管理までを任せっぱなしにしていないだろうか?

   既存客を担当しながら「空き時間」を使って、数の増えた営業対象へとアプローチ活動を展開
   するのはかなり困難です。

   それを可能にするためにも、顧客開拓を全社(店)的な仕事としてとらえ、営業部門のフォ
   ローにあたる必要があるのです。

   営業力を熱意や根性といった精神論で語る時代は終わりました。

   自社の営業力を強化するためにも以下の問いかけに答え、営業の仕組みづくりの参考にして
   ください。

        組織の営業力強化コンサルティング・セミナー・研修・講演のご案内

    
   □営業戦略

    ○購入行動の動機付け

     計画とは、目標達成の手順・方法・内容を決める
     ための設計書です。

     収益を伸ばしている営業マンは、例外なく計画作
     りがうまいものです。

     目的を明確にその目的からビジョンを生みだし、
     そのビジョンから明確な目標をつくっていきます。

     ご承知のようにセールスは場当たりな行動によっ
     て成績が出せるものではありません。

     目標数値から逆算して、日々の行動計画を自分で
     管理していくことが重要となってきます。

     お客様がはじめて購買を考えるきっかけは、

      1.お客様が購入の必要性を理解した

      2.お客様が、その商品をぜひとも購入したい、という欲求を感じた。

     この2点が満足されなければなりません。

     しかも、最終的に購買行動を決定するときには、購入行動におけるコストとリスクが、
     購入決定に複雑な抵抗をつくりだします。

     買いたいという気持ちに動いても、「ほんとうにその商品でよいのか?」「コストの面は適
     正か?」「購入した場合のリスクは?」「周囲が反対をしないか?」「このセールスパーソ
     ンから購入してよいか?」「他社の商品のほうが良いのではないか?」など、購入決定に
     対するマイナス要素が働きかけてきます。

     理屈的にはその商品を買うことに問題はなくても、それを決定するのは、理屈ではなく、
     人間の感情だからです。

     あなたは、このことを頭の中に入れて、購買行動の動機付けを行わなければなりません。

     購入の決定を下すということは、リターンとリスクを天秤にかけるむずかしい作業といえ
     るでしょう。

     あなたは、そのお客様の不安定な購入決定の作業を、お客様が買いたいと思う欲求を
     刺激し、躊躇させるものはなにかをすばやく見抜き、お客様をリラックスさせてあげる必
     要があります。

     お客様のためらいは、コストとリターン、不安と支持、リスクと保証とが拮抗した形をと
     っています。

     そこで、コスト以上のリターンが期待できること、リスクについては保証があるというこ
     と、不安に対しては支持のほうが大きいこと、などを明確にしてあげなければなりません。

     トークの内容は、

      (1)リスクについて、もう一度、アフターフォローなどの保証があることを強調する。

      (2)購入してよかったという顧客の資料(お客様の声 等)を提示して、お客様の
        気持ちに安心感を与える。

      (3)商品がどのようにお客様の欲求を満たしていくか、という利点(お客様の
        メリット)を述べる。

      (4)お客様の現状に対して、その商品がない場合のデメリットをはっきり述べる。

     ということを、繰り返します。

     同時に、あなたは、挨拶、言葉遣い、清潔感のある服装、身振りなどで、お客様に自分
     が信用できることを示します。

     企業が「誰に、何を売っていくのか」を明確にします。

     ①誰に(顧客と対象となるマーケット)

      ・対象マーケット(販路)層は明確か

      ・対象マーケット層のニーズの把握は

      ・顧客数は増加しているか

      ・顧客からの注文頻度は上がっているか

      ・1顧客当たりの受注額の増加は

      ・顧客のバランスは適正か(偏り・分散し過ぎて
       いないか)

      ・顧客の動向(ニーズ、業績、競合他社との取引状況)を把握、管理しているか

      ・優良顧客について関係強化のための活動(リレーションシップ) を組織的に
        行っているか

      ・新規開拓活動は計画的に行っているか

      ・新たな市場(法人、ユーザーなど)開拓への活動、検討を行っているか

      ・新たな販路(対面販売、ネット通販など)開拓への活動・検討を行っているか

      ・既存顧客への新商品販売の可能性を検討しているか

      ・既存商品を新しい販路で販売する可能性を検討しているか

      ・新規販路で新規商品を販売する可能性を検討しているか

      ・商品の提供方法やアフターサービスなど顧客の利便性は向上しているか

      ・自社販売網の構築や他社ルートの活用など販売網の工夫はなされているか

      ・効果的なセールス手法の開発・実施がなされているか

      ・材料や商品の仕入れ先の情報を十分に入手できているか

      ・材料や商品の仕入れ先のバランスは適正か(偏り・分散し過ぎていないか)

     ②何を売っていくのか(商品・サービス)

      ・既存商品(サービス)の成長性、収益性はどうか

      ・顧客ニーズに対応した商品、サービスになっているか

      ・商品(サービス)は競合他社との差別化策を保有しているか

      ・商品(サービス)の主要機能(特徴)は競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の使い勝手、デザインは競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の品揃え、価格は競合他社に比べて優れているか

      ・商品(サービス)の改良は継続的に行われているか

      ・今後の商品(サービス)開発の重点分野は明らかになっているか

      ・新商品(サービス)開発は計画的・継続的に行われているか

      ・市場ニーズを吸い上げる活動を行っているか

      ・商品(サービス)開発のべ−スとなる技術力は向上しているか

      ・自社の核となる基礎的な研究開発は行われているか

      ・収集した情報から実際の商品(サービス)開発につなげる企画・設計力は向上
       しているか

      ・生産管理レベル(原価、品質、納期、安全など)の強化ができているか

   (2)戦術(組織の営業体制)

     戦術とは営業戦略実現のための適切な組織営業体制やマネジメントの仕組みを言
     います。

     組織体制

      ・セールス活動においてターゲット、商品、地域
       などが適切に選別されているか

      ・組織全体としての年次、月次、週次、日次の目
       標計画が策定されているか

      ・目標と実績の差異分析を行い計画修正につな
       げているか

      ・営業部門長(リーダー)は、営業面、会社全体の
       戦略について理解しているか

      ・リーダーが部門全体の現状を把握するための
       仕組みはあるか

      ・リーダーは部下を指導するための十分な能力、時間があるか

      ・営業組織内の横の連携は十分にとれているか

     ②マネジメント

      ・広報活動(プレスリリース)を行っているか         

      ・営業マニュアルの作成、ノウハウの共有化はできているか

      ・顧客別の購入金額、購入頻度、満足度などの管理が行われているか(顧客管理)

      ・営業結果だけではなく営業プロセスも管理されているか

      ・ベテラン営業マンのノウハウ、知識が会社として蓄積され、共有化、活用されて
       いるか

      ・適切なセールス(営業)ツールが準備されているか

      ・初訪、決定権者面談、成約、入金などの「営業プロセス」が標準化されているか

      ・営業プロセスごとに次のステップに進むための要件が明確になっているか

      ・個々の営業マンがどの程度の実績が見込めるかについて把握しているか

      ・管理者として部下の行動管理は適切に行われているか

      ・個々の営業マンがどのような強みや弱みをもっているかについて把握しているか

      ・営業マンの能力や資質に応じた指導を行っているか

      ・営業マンやる気を引き出す指導を行っているか(モチベーション

      ・営業マンの能力とやる気を高める適切な評価制度はあるか(人事考課

   (3)営業マンの能力

     営業マン個々の能力・資質・やる気などは十分であるかどうかです。

     営業マンの能力は時間が経てば向上するものではありません。

     彼らをやる気にさせ、収益に貢献できるための仕組みが求められます。

      ・自社第一の商品が人であることを認識し、基本動作の習得を徹底。

      ・商品や業界に関する知識は十分にあるか

      ・自分の個人目標を適切に設定しているか

      ・個人目標を上回る成果を出し続けているか

      ・自社の営業プロセスを正しく理解し、計画的な営業活動を行っているか

      ・自分の担当客の状況を深く理解し、関係強化を図っているか

      ・日報提出の遵守など上司への「報連相」を適切に行っているか

      ・新規顧客開拓に積極的に取り組んでいるか

      ・他部門とも積極的に連携を取っているか

      ・各営業マンは具体的な目標をもっているか

      ・上司の指導や優秀な先輩から学ぼうとする姿勢、意欲を十分にもっているか

      ・能力開発に向けた自己啓発活動を継続的に行っているか

      ・当事者意識をもち、何としてもやり抜くという強い意志をもっているか

      ・自分の弱みや強化すべきポイントなどを理解し、実現に向けて努力しているか

   (4)意欲・姿勢

     ・「自分はこのようになりたい」という具体的な目標をもっているか

     ・上司の指導や優秀な先輩から学ぼうとする姿勢を十分にもっているか

     ・能力開発に向けた自己啓発活動を継続的に行っているか

     ・当事者意識をもち、何としてもやり抜くという強い意志をもっているか

     ・自分の弱みや強化すべきポイントなどを理解し、実現に向けて努力しているか

   (5)問題の抽出と課題設定

     ここまで評価してきた「営業戦略」、「営業体制」、個々の「営業マンの能力」について、
     問題を抽出します。

     問題は網羅的に捉えることが大切ですが、すべての問題を一気に解決しようとせず
     に、自社の営業戦略強化に向けて特に優先度の高い問題から取り組むことが有効です。

     なお、特に自社の新商品開発、新市場進出に関して検討する際には、次のようなフレーム
     (商品・市場(顧客)を検討するフレーム)を活用することで、わかりやすく整理でき
     るでしょう。

      a.現業の強化

       現在の市場(顧客)に現在の商品をさらに浸透させる方法です。
       現商品のための増産体制整備、シェア拡大のための販促強化
       などが該当します。

      b.新商品の展開

       現在の市場(顧客)に対して新たな商品を提供する方法です。
       既存商品が将来的に低迷することに備え改良商品を開発したり、
       既存商品とはまったく異なる商品を開発して新たな需要を獲得
       するための開発などが該当します。

      c.新市場への展開

       現在の商品をこれまでと異なる市場(顧客)に販売する方法です。
       小売店を通じて販売していた商品をインターネットで直販するための
       システムの開発などが該当します。
       また、商圏を広げて新たな地域で販売を開始する際の出店なども
       これに該当します。

      d.新市場・新商品の展開

       新しい商品を新しい市場(顧客)に販売していく方法です。
       これまでの商品や市場(顧客)に頼らずにまったくの未知の分野を
       開拓していくやり方です。
       有望分野に参入することによって収益構造が劇的に向上することも
       期待できますが、ゼロからのスタートですので失敗する確率も高まります。

   
  ■営業力の強化・向上計画

  □営業力向上の留意点

    1.検討すべき3つの視点

    営業力とは、自社(店)の商品をいかに売り切るかという営業マンの人的能力のことでは
    ありません。

    もちろんそれも重要な要素のひとつですが、会社全体としての営業力強化を考えるには、
    次のような視点で「営業戦略」や「営業体制」といった基本的な部分にまで踏み込む必要が
    あります。

     ◎営業力向上の視点

   (1)営業戦略 

     「営業戦略」とは自社が「誰に対して、何を売っていくのか」という自社の営業のあり方を
     決定づけるもっとも基本的なものです。
 
     まずはそれが明確になっているのかどうか、市場性や競合状況などから考えて妥当で
     あるかどうかなどを検討し、より明確で適切な営業戦略を策定することです。

   (2)営業体制 

     「営業体制」とは営業戦略の実現に向けて、適切な組織体制やマネジメントの仕組みが
     あるかどうかということです。

     たんなる営業マンの集団ではなく、組織として十分に機能させることが重要です。

   (3)営業マンの能力

     「営業マンの能力」とは一人ひとりの営業マンの能力・資質・やる気などは十分であるか
     どうかということです。

     営業マンは勝手に育つわけではありません。

     彼らのモチベーション、基本動作を向上させ成長スピードを高めるための施策が求めら
     れます。

   2.バランス良く向上させる

    これらの3つの視点から現状の自社の営業力を分析して、会社全体としての営業力を
    バランス良く強化していくことが求められます。

   たとえば、個々の営業マンの属人的な営業力が飛躍的に上がったとしても、それを組織と
   してうまく活用する仕組みが未整備であれば、会社全体としての営業力は不安定なまま
   です。

   また、正しい営業戦略がなければ営業体制も営業マンの能力も活用することはできません。
   
  □営業マンの能力向上のための教育・研修

   (1)座学教育

     営業担当者のレベルアップのため、商品知識や顧客へのアプローチトークなど
     の研修を必要に応じて実施する。

     全体で実施するもの(新商品説明会など)や、階層別に実施するもの(課長・係
     長・主任などの役職者研修、一般社員研修、若手・新入社員研修など)などを、
     目的と時期を設定して行う。また、会社の規模によって全国から集合して、ブロッ
     ク、エリア、県、支店・営業所に分けて実施する。

     ただここで問題があります。

     中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

     その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

     厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所 
     が「人材育成に問題がある」と回答しています。

     この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

     
   (2)ロールプレイング 

     商談を想定して擬似商談訓練を行う。

     自分では気づかない営業活動中の話し方などの癖は必ずあるので、訓練者とチ
     ェック者に分かれて行うと効果が上がる。

     その状況を録画して本人に見せながらアドバイスを行えば、より効果は高まる。

     これは不定期に実施するよりも、定期的に数多く実施することが望ましい。

     丸1日時間を取ることは難しいため、週1回1〜2時間や毎日30 分というよう
     に、時間を取って実施することをお勧めします。

     毎日実施するのであれば、訪問時のあいさつなど部分的なもので構いません。

     担当者の弱点強化を目的に実施することも必要です。

   (3)OJT 

     研修やロールプレイングで行う教育だけでなく、実際の営業活動に上司や先輩
     社員が同行(営業同行)し、具体的な指示やアドバイスをして営業担当者のレベ
     ルアップを図る。

     顧客の状況や訪問先の特徴(経営者、担当窓口の人柄・癖・趣味・好みなど)の
     固有情報を伝達する場にもなるので、より現実的な教育の場として重要である。

   これまで述べた内容について目的を明確にし、営業担当者に「何のために必要なのか」
   を理解・納得させていただきたい。

   目的が明確になると求める成果もはっきりするため、具体的な効果が目に見えて表れる
   ようになります。
   
  □営業力向上計画の策定

   1.めざすべき営業力と計画

    営業力向上とはたんに現状の営業力を向上させるということではなく、その結果としてめ
    ざすべき営業力に近づけていくことです。

    そのためには現状の評価結果とめざすべき姿とのギャップを明らかにしたうえで、そのギ
    ャップを埋めていくための「計画」を策定する必要があります。

    解決すべき問題を特定したら、問題解決の施策であるそれぞれの「課題」について設定
    します。

    そして、課題をどのように実践していくかという手順が営業力向上計画になります。

    計画を策定するときに特に留意しておきたいのが、以下の5点です。

     (1)「何をめざすのか」

       どうなったらめざすべき営業力を獲得したといえるのか指標を示す

     (2)「いつまでにやるのか」

       最終的な達成時期を示す

     (3)「どのようなステップを経るのか」

       最終的な達成に向けた途中段階での指標(月ごと、四半期ごとなど)を示す

     (4)「どのようにやるのか」

       めざすべき営業力向上のため具体的にどのような施策をどのように行うのか

     (5)「誰が責任者・実行者なのか」

       各施策の責任者、実行者は誰か

    これらを不明確にしたままで営業力向上に取り組んだ場合、自社の営業力が本当に計画
    通りに向上しているのかがわかりません。

    また、進捗状況に問題がある場合にどのような施策を打てば軌道修正できるのかについ
    ても判断できません。

    営業力向上のための3つの視点である「営業戦略」、「営業体制」、「営業マンの能力」そ
    れぞれについて、上記の留意点を踏まえた計画を策定することです。

    さらに、それらの計画が実現した場合に見込める「売上」、「受注」などの業績目標につい
    ても設定します。

   2.計画期間

    計画期間は3年程度に設定することで、現状の延長線上ではない大胆な施策を計画しや

    すくなります。

    3年後に獲得すべき営業力を3つの視点で考えて、その実現のためにまずは1年後には
    どのようになっているべきか、そのためには今後3ヶ月間(3ヶ月先行管理)で何を行い、
    1ヶ月間の活動月報を明確にするなど、短いスパンの行動計画に落とし込んでいき
    ます。

    個人レベルでのプランは週次(週報)、日次(日報)にしていく必要があります。

   3.計画策定(計画フォーマット)

    計画の方向性が定まったら、その実現のための戦略を練ります。

    具体的には、マーケテイング、販促計画、研修実施、新規ツール作成、広報、セールス
    トークの開発、勉強会の実施、報告ツールの作成などの内容とタイムスケジュールを
    検討・決定します。

    現状の評価結果とめざすべき姿とのギャップ(差異)を明らかにしたうえで、それを埋めて
    いくための「計画」を策定する必要があります。

    解決すべき問題を特定したら、問題解決のための施策であるそれぞれの「課題」につい
    て設定します。

    そして、課題をどのように実践していくかという手順が営業力を強化・向上させる計画にな
    ります。

    特に先行管理は営業力を向上(売上達成)のための差異(差額)対策といえます。

    営業力の強化向上は営業会社にとって最優先に取り組む課題です。

    中小企業の多くは営業力が弱いことです。

    その要因は、

     1.チーム(組織)営業が確立されておらず、大企業と同じマンパワー(営業マン個
       人)に依存

     2.売る努力が先行し、営業の仕組み、業務の標準化ができていない

     3.人材育成が定着していない

    収益アップが進まないのには原因があるからです。

    手遅れにならないためにもその原因を究明し、早急に対策を講じることです。

  □計画を策定するときの留意点

    ・「何をめざすのか」(What)

      どうなったらめざすべき営業力を獲得したといえるのか指標を示す

     ・「いつまでにやるのか」(When)

      最終的な達成時期を示す

     ・「どのようなステップを経て、どのようにやるのか」(How to)

      最終的な達成に向けた途中段階での指標(月ごと、四半期ごとなど)を示し、めざすべ
     き営業力獲得のため具体的にどのような施策をどのように行うのか

     ・「誰が責任者・実行者なのか」(Who)

      各施策の責任者、実行者は誰か

 
  ■組織営業力

   中小零細企業が生き残り、勝ち残っていくために今何をしなければならないか?

   「営業は大変だ、難しい」と営業部門が敬遠されがちですが、果たしてそうでしょうか。

   中小企業の多くが営業を営業社員だけに負担のかかるやり方をやっていることが営業力の
   強化・向上を阻害している原因となっています。


   営業力とは、、社員全員が営業に関わる営業力強化の仕組み営業改革)をつくり、組織を
   効率的・効果的に活かして利益をあげる「売れる仕組み」をつくることです。

   せっかくある組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業力強化の
   ための優先課題です。 

   今でも10年20年前と同じやり方(戦略も戦術もない)を続けて、違う結果を求めている。

   これでは一生やり続けても何も変わりません。

   営業力強化を推進していくのは、凡人営業マンでもコンスタントに売り上げを上げる
   ことができる仕組みをつくるためです。

   業務を分業化することで、社員一人ひとりが与え
   られたポジションで役割を担い、結果、組織力
   (チームパワー)により、継続した収益を確保する
   ことができるのです。

   うちの社員は能力がないと嘆いている社長もいら
   っしゃるが、これは

   社員に能力がないのではなく、社員に環境(売
   れる仕組み)を与えて
いないことが原因
なのです。

   社長自らがトップセールスマンとして毎日飛び回っ
   ている。

   これでは、いつまでたっても人材は育たず、社内に仕組み
   もできません。

   小さな会社がやっていけるかどうかは、社長の営業力に
   かかっているが、社長の営業(トップセールス)は営業マンと同じことをするわけではあり
   ません。

   ここで「社長営業のコツ」を、6つあげておきます。

    (1)アポをとらないハッピーコールを継続的に実行。

    (2)顧客には、社長1人だけで会う。

    (3)顧客の要望だけを聞く。

    (4)訪問は繰り返し継続的に行う。

    (5)社長の日程の半分は外回りに使う。

    (6)話す時間は10〜15分以内。

      いかなる事業にあろうとも、責任ある立場の者は、多くの時間を社外で
      過ごさなければならない。
      ノンカスタマー(自社の顧客ではない)を知ることは至難である。
      だが、外に出てノンカスタマーを知ることだけが、知識の幅を広げる唯一
      の道である。 (P.F.ドラッカー)
   
  ■お客様との関係強化 

   営業会社にとってお客様がいなければ倒産してしまいます。

   経済環境を見てみても、縮小するマーケット、デフレ、価格競争などネガティブな報道ばかりが
   目に留まります。

   しかし、本当に売り上げ停滞の要因はこれだけでしょうか。

   どれだけの会社が定期の集客活動を行い、顧客固定化のための関係強化を図っているで
   しょうか?

   集客(見込み客開拓)⇒ 新規顧客 ⇒ 顧客の固定化のサイクルが好循環することが継続した
   売り上げを約束します。

   見込み客が安定的にいて、新規顧客を固定化(顧客の流出防止)することで売上は安定
   します。

   結果的に継続的な売上が読めるのです。

   また、広告の反応率も読めますので、今後、効果的な広告も打てます。

   更に、顧客データが手に入るわけですから、定期的、継続的に有益情報を発信することに
   より、自社へのロイヤリティを高めていけます。

   将来お客様になってくれそうな見込み客を獲得し、そして育てていくのです。

   商売は商品やサービスが良いからといって必ずしも売れるわけではありません。

   むしろ、どんなに良い商品やサービスでも「売り込み」が前面に出てはなかなか売れません。

   お客様に本当に喜んで頂くことが原点です。

   そして、その原点を実践するのは「人」です。

   まずはそこに働く社員一人一人が信頼されることが必要です。

   そのためには、人材を『人財』に育成することが欠かせません。

   中小規模の企業は『売りに弱い』といわれています。

   これは人材育成に問題があります。

   企業規模が小さいほど人材育成(訓練)に時間もコストもかけていない傾向にあります。

   その結果、トップ自らが営業の最前線に立ち、従業員にも精神論を振りかざし、叱咤激励する
   スタイルを続け、トップが収益の多くを稼ぎ続けなければならないという悪循環に陥ってしまっ
   ているのです。

   明日の糧より今日の糧を優先することで、全ての行動が場当たり的になり、売り上げアップ
   のためにインスタントな手法に手を出してしまっています。

   短期間で成果を求める気持ちは分かりますが、果たしてそんなに簡単にできるものでしょう
   か?

   それはあなた自身がよくご存知のはずです。

   組織において営業部門はもちろん、全ての部門において『仕組み』づくりは不可欠なもの
   です。

   これらすべてのことはお客様との関係強化を目的としたものです。
   
  ■「売り」に弱い会社は伸びない

   すでにご承知のことでしょうが、中小規模企業に総じて言える弱点は「営業力」です。

   結果として、会社は成長(適正規模、安定した収益確保)しません。

   物理的な規模(売上高が多い、資本金が多い、社員の人数が多い、社屋や設備が大きい、
   販売地区が広く、営業所の数がたくさんある)のことを言っているではありません。

   少ない人材であるにもかかわらず、大企業のように業務の多くをマンパワーに依存しているこ
   とが営業力の強化を阻んでいるのです。

   1日の労働時間の多くが収益に直接関係のない日常業務に費やされ、目先の売り上げに翻弄
   されているのが現状ではないでしょうか。

   業務の優先順位も関係なく、中期的戦略は掲げても掛け声だけ、営業マンには声高に精神論
   で叱咤激励し、業務の全てが場当たり的に行われています。

   営業活動のムダを徹底的に排除しよう。

   小さな会社の社長が日夜、「儲けのために!」努力をしている姿は、なみなみならぬものが
   ありますが、その努力の甲斐もむなしく余り儲かっていないのが、多くの会社の現状です。

   その理由を具体的に考えれば、特に小さな会社はやはり「売りに弱い」からだということです。

   もっと細かくいえば、 「営業開発(マーケティング)」をやっていないこと。

   ほとんどの会社は、「商品開発」については全力投球するが、「営業開発」という活動には、ど
   うしても疎いのです。

   今まで多くの営業は売るための努力をしてきました。

   扱う商品やサービスその物を売る「もの売り」を辞めることをお勧めします。

   あなた(会社)の『売り』はなんですか。

   『売り』とは、扱う商品やサービスの特徴ではなく、お客様にとって価値があり、何かよそには
   ないもの、顧客がまったく予測していないものを言います。

   「お客様にとって、あなたの会社の商品やサービスを購入することに何かメリットがありま
   すか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた(会社)
   の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、お客様の
   抱える不満や困っていることなどを解決する商品・サービスだからです。

   「売上げがアップしないのは、営業マンがいないから」と営業マンの人数不足をなげいたり、
   「営業マンの質が悪い」とグチってばかりいる小さな会社の社長が多いことにも驚かされる。

   実際はそうでなく、営業の労働生産性が悪いの一言につきるのです。

   1人の営業マンが1日動けば、人件費と交通費その他を加えると、2万円程の費用がかかり
   ます。

   その2万円を使った訪問件数は、せいぜい平均6〜7件で、仮に7件訪問するとして、これを
   1件当たりの金額に算出すると、<2万円÷7>で約3,000円のコストがかかっていることに
   なります。

   「いつもお世話になっております、ありがとうございます」と、何の情報収集もなく、顧客1件
   訪問するだけで3,000円かかる現実をみると、営業マンが多くいればいるほど儲からなく
   なるのは当然ではないでしょうか? 

   訪問先の「顧客不在率」は、平均約30%程度も発生している現実があるのです。

   だから営業マンは、アポも取らずに行ったら、顧客(相手)はいないのが当たり前であることを
   強く認識しなければならない。

   ただガソリンをバラまいて車を走らせている、お客を乗せないタクシードライバーのようなもの
   です。

   従来の営業マンを使った営業活動の仕方は、ただちに考え直したほうがいい。


   「営業なくして企業なし」とよくいわれるが、この営業活動そのものが「金食い虫」では困っ
   たものでは済まないのです。

   そうなると、トップ営業マンは社長しかいないことになってしまうのです。

   社長は体を使った営業活動ではなく、頭をめいっばい使わなければならない。

   営業マンが1件の訪問に3,000円かけて出かけて行く以外の、他の方法はないのか? 
   訪問は何のために行くのか? 考えるべきです。

   多くの営業会社で行われている営業活動は、

    1.見込み客開拓(集客)のためのインフォメーション活動

    2.交渉する活動(プレゼンテーション)

   これら2つの活動を考えると、「インフォメーション活動」に全営業活動の80%〜90%を費
   やしていることがわかります。

   つまり営業活動のほとんどは、単に新商品のお知らせや価格を提示するインフォメーション
   活動なのです。

   こういった活動ならば、何も大の男が1日2万円もかけて交通渋滞の中を行かなくても、FAX
   
や郵便、電話、PCなどでできるはずです。

   FAXや宅急便、DM、パート社員の巡回PR要員等々をうまく使えば、営業活動はずっと効率的
   に、低コストでできるのです。

   ただし、電話やFAXおよびDMによる情報提供は、思いついきで実行したのでは効果もなく、
   効率もあがりません。

   定期的に情報を流していかなければ、本当の効果が出ないからです。

   だから、電話やDM作戦などを展開しようとする場合には、的を絞ったユーザーに継続的に
   アプローチ
することが肝心になります。

   このことがわかれば、「請求書の中に情報を入れる」というアプローチがコストが低く、定期的
   に実行できる方法であるといった知恵も、自然にわいて出てくるはずです。

   小さな会社のトップはそうした形で一生懸命、脳みそに汗をかき、「営業開発」に取り組まなけ
   れば、やっていけないのです。

   『売り』に強い会社にしていくためのポイントは次の5つ。

    1.企業の営業活動は、ベテラン営業マンだけに頼らない

    2.今、やっている営業活動の中身を分析して「費用対効果」を考える

    3.顧客の困っていることを、一覧表にする

    4.自社、または他社の成功事例を一覧表に書き出す

    5.自社独自(他社が真似のできない差別化策)の強みをつくる

   5の差別化策を構築する場合のポイント

    ・営業時間を差別化する(早朝、または夜の営業)

    ・商品の質を差別化する(他社にない商品を扱う)

    ・営業マンの質(基本動作の習得)が他社と違う

    ・品揃えに工夫する

    ・情報や技術など、相手にプラスになるものを定期に提供する

    ・特に小口顧客を重要視する

    ・トップが得意先を訪問する(トップセールス)

    ・サンキューレター作戦をとる(継続的に)

    ・不在で面談できなかった場合は、 「不在表」を置き、帰社した後ハガキを郵送する

 

 まず手始めに、現在、自社内でどんな「営業開発」をやっているか、他にどんなことがや

   れるかを、書き出してみてはどうでしょう?

 

   最後に、

 

   『現状維持是即落伍』です。

 

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