保険代理店の労務管理

保険代理店の労務管理・福利厚生 


  保険代理店における自社(店)の労務管理、福利厚生は一般企業のそれと比較して整備
  が遅れています。

  労務管理の中でも、時間外労働や休日労働に関しては労働基準法第36条でその内容が
  規定されています。

  この条文に基づいて協定を結ぶことにより残業をさせることができるとしたことから、この
  労使協定を三六協定といいます。

  労働者に時間外・休日労働を命じるには、三六協定が締結されており、かつ、労働協約、
  就業規則、労働契約のいずれかに超過労働の義務規定を置く必要があります。

  また、時間外・休日労働は、協定事項として規定された「延長する時間数の上限」を超えて
  はいけません。

  時間外・休日労働を命じられる労働者とは、原則として役員を除いた全従業員をいい、
  管理者、アルバイト、パートなどを含みます。

  ただし、18歳未満の労働者については、三六協定は適用されないため、時間外労働を
  させることができません。

  □時間外の目安時間は1ヵ月45時間、年間360時間

   三六協定については「一定期間についての延長時間」を協定することが必要ですが、
   これに関しては指針(平成4年労働省告示第72号)が示されています。

   当該指針の目安時間は、次のとおり。

    ○一定期間について週又は月を単位とする場合

      1週間 15時間    2週間 27時間

      4週間 45時間    1ヶ月 45時間

      2ヶ月 81時間     3ヶ月 120時間

      1年間 360時間 

  □フレックスタイム制

   1.フレックスタイム制とは

    出退勤の時間を従業員の自由裁量に任せる
    制度です。

    就業規則に定め、労使協定のもとであれば、
    会社側が任意に対象となる部門や職種を
    決定し、フレキシブルタイムやコアタイムなどを設定することができます。

   2.フレックスタイム制

     (1)労働に対して能動的な姿勢が生まれること

     (2)プライベートと仕事の充実が図れること

     (3)労働時間の効率的な活用が図れる

    などのメリットがあります。

   3. 導入の際の留意点 

     (1)制度の対象として適正な部門や職種を選定すること

     (2)就業規則に定め、労使協定であること

     (3)就業を義務付けられる時間数と実際に就業した時間数の差額を精算
       することなどが求められます。 

    <労働時間の精算について>

     ・フレックスタイム制では、就業を義務付けられる時間数と実際に就業した
      時間数とを精算することが求められます。

     ・精算期間の限度は1ヶ月とされ、その範囲内で定める一定の期間に
      ついて精算が行われます。

     ・就業を義務付けられる時間は標準時間に基づいて算定されます。 
      算定した結果、実際の就業時間が上回った場合、その月内において残業 
      賃金を支払わなければなりません。

     ・また、逆に不足した場合、その月内で処理してもよいし、翌月に繰り越して
      不足分を解消してもかまいません。

     ・不足分の処理方法としては、その時間数分を、

      (1)給与カットする

      (2)賞与の査定に響かせる

      (3)全て免除する

     の三通りが考えられます。

     いずれの方法でも法律的には問題ありません。
 
□裁量労働制

 1.裁量労働制は、成果重視の新たな労働管理形態

  労使協定のもと、業務の遂行方法や時間配分を個人の裁量に委ねることを定める
  とともに、労働時間の算定にあたってはその協定で定めた時間を労働したものとみ
  なします。

 2.業務の遂行方法や時間の使い方を個人の裁量に任せた方が成果が上がる業
   務
もあります。

   法律で裁量労働制が適用される対象業務が定められています。

 3.裁量労働制の導入に際には

   (1)労使協定のもと手続きをきちんと行うこと

   (2)業績評価制度や給与制度など周辺の制度が整備されていること

   (3)従業員がどこで何をしているのか上司がきちんと把握できる管理体制が整っ
     ていることが大切です。

 営業社員を中心とする代理店は裁量労働の対象にはなりません。

 しかし、今後組織規模が拡大し、事業経営に関わる企画業務等も兼務するようにな
 れば、対象とされる場合が考えられます。

 <適用対象業務>

  研究開発業務  プロデューサー・ディレクター業務  情報処理システム業務 

  公認会計士・弁護士等のプロフェッショナル業務  デザイナー業務 

  事業経営に関わる企画業務

 <留意点>

  ①裁量労働の手続き(労使協定で対象業務と労働時間を定める)

  ②業績評価制度の整備(能力や業績に応じた評価制度、給与制度の整備が必要)

  ③従業員の管理体制の整備(従業員がどこで何をしているのか上司が管理
   できる仕組みが必要)

  □休日の種類

   1.休日にはいろいろな種類があります。

     週の定期的な休日(いわゆる週休日)として日曜とか週休2日制の土曜休日
     のほか、国民の祝日、年末年始または会社が独自に定める休日(創立記念日
     など)などがあります。

   2.法律で定められた週1日の休日を法定休日、週休2日制の場合の土曜日や祝
     日などの休日を法定外休日と呼びます。

   3.「代休」と「振替」の大きな違いは、休日の事前に申告しているか、事後に申告
     しているかどうかです。

     事前に他の日を休日として指定している場合は「振替」、休日出勤した後に他
     の日を休日にする場合は「代休」となります。


   <仕事の進め方、コスト面からも「代休」ではなく「振替」をとらせるようにする>

    ・代休は、「忙しかったので日曜日に出勤した。
     その代わり次の金曜日に休ませてほしい」というような申し出があった
     場合です。  
     日曜日という休日に出勤した事実があるため、金曜日に代休をとったと
     しても休日労働の割増賃金を支払う必要があります。

     (例)日給10,000円で働いている人が休日(割増35%のとき)である
        日曜日に出勤した場合の賃金が、

         10,000円+3,500円=13,500円

        となります。

        その代わりに金曜日に休みを取った場合は、10,000円は相殺され
        ますが、3,500円は残り、この割増賃金については支払いが必要に
        なります。

    ・一方、振替の場合は、単に働く日と休日が入れ替わったに過ぎず、割増
     賃金の問題は発生しません。
     ただし、事前に振り替える休日を指定することが要件になります。

    ・仕事を計画的に進めることで突発的な休日出勤をさせないことがコスト的
     にも効率的です。 (詳細は社会保険労務士にご相談ください)

  □休日と休暇

   休日とは、

    法律で必ず休みにしなければいけないと定めた週1日の休日(法定休日)と週
    休2日制で土日が休みの場合の土曜日や祝日(法定外休日)を指します。
    (労働基準法などの休日についての規定は、すべて法定休日についてのみ
     適用されます)


   休暇とは、

    休暇は正式には「年次有給休暇」といいます。
    文字通り、休暇をとってもその間の賃金が差し引かれることなく、支払いが
    保証される休暇のことを指します。

  □社会保険や労働保険について

   社会保険には健康保険と厚生年金保険、労働
   保険には労災保険と雇用保険があります。

   この4つの保険制度をまとめて社会保険制度というのが一般的です。

   健康保険は、被保険者が業務あるいは通勤以外の事由で病気、ケガ、休業、出産、
   死亡などの保険事故に対して給付されるものです。

   一方、業務上や通勤途上での病気やケガであれば労災保険が給付されます。

   厚生年金保険は、老齢、障害、死亡などの保険事故遭遇したときに年金給付を中心
   とした長期の保険給付を行うものです。

   雇用保険は従業員が失業した場合に必要な給付を行います。

  □上記の保険対象者

   役員は、健康保険、厚生年金保険の対象となりますが、労災保険、雇用保険につい
   ては原則として加入できません。

   労災保険と雇用保険は、あくまでも雇われて働く人を対象とした制度と位置づけられ
   ています。

   ただし、中小企業の社長では、社長自らが現場に出て機械を操作するケースや、保険
   代理店主に多い営業兼務の社長など、事故や災害に巻き込まれる可能性が一般の従
   業員と変わらない場合は、特別に労災保険に加入できることもあります。

  □委任型使用人や派遣社員

   委任型使用人の場合は、雇用関係が発生する労働契約を結んでいる訳ではないの
   で、「退職」や「解雇」といった表現は使いません。

   「委任契約の終了」と表現します。同様に、派遣社員も「派遣契約の終了」と言います。

   契約期間中に途中で委任契約を解除する場合は、そのような事が起こりえる旨を事
   前に契約内容に記載しておく必要があります。

  解雇について

   企業には稼ぎ頭となっている部門(または従業員)もあれば足を引っ張る不採算部門
   (または従業員)も存在します。

   現在の厳しいビジネス環境では利益の出る部門に力を入れざるを得ません。

   業績が右肩上がりの時代であれば多少の余剰人員も吸収できましたが、そのような
   体質の現在は許されません。

   やむを得ず、解雇という手段で存続を図らなければならない状況もあり得ます。

   もしも倒産すれば、多くの従業員の人生を狂わすことになるからです。

   しかし、倒産は最悪の事態だからといって、なりふりかまわずリストラを行うことは許さ
   れません。 

   解雇や雇用調整はあくまで最終手段です。まず、そのような経営体質にした経営者自
   身が反省し、責任を取らなければいけません。

   最終的な手段を回避できるよう、労使双方であらゆる努力をすることが必要です。

  助成金制度

   助成金というと、手続きが複雑で面倒ということで法人代理店の経営者は、無関心で
   あったり存在を知らないこともありました。

   しかし、長引く不況の中、企業にとって返す必要のない助成金は魅力的で関心も高ま
   っています。

   ますます進む高齢化社会、一方での若年労働者の激減は、高齢者や女性の採用を
   後押ししています。

   そして、中小企業にも及ぶ年功序列給与体系の崩壊に対する、 能力や成果に応じ
   た給与制度の構築とは、人材の有効活用と積極的な教育を前提とするものです。

   国や自治体はこれらを推し進める企業に対して、助成金を用意しています。

   法人代理店の中には「中小企業雇用創出人材確保助成金」や「中小企業高度人材確保
   助成金」等を獲得したケースもあります。

   ただし、助成金制度は国が管理するものや自治体が管理するものと色々あり、「ど
   んな制度が身近にあるのか?」といった疑問や、組織規模や経営環境などの条件が
   いろいろあることから、「自社(店)にはどの制度が適用されるのか?」といった疑問
   の声が多くあがります。

   まず、より多くの情報を体系的に知っておくと、条件が合えば、複数の助成金を獲得
   できます。

   また、助成金の獲得の実績が積みあがると信用力も高まり、交付される可能性がよ
   り高まるメリットもあります。

   情報は「最新」である必要があります。

   なぜなら、制度の名称や内容及び条件が度々変更されることが少なくないからです。

   インターネットなどで制度の種類や最新の情報を確認することができますが、助成金
   制度を活用するのが初めてであったり、時間に余裕がない場合は、社労士などの
   専門コンサルタントを活用するのも一つの方法です。

  □育児・介護休業制度

   育児や介護のために一時的に休業をとって、その後継続して仕事をできるようにと、
        「育児・介護休業法」により導入が義務付けられた休業制度です。

   育児休業の場合、申し出は1ヶ月前までに行い、子供が満1歳の誕生日を迎えるまでの間
   の連続した期間です。

   一方、介護休業の申し出は2週間前までに行い、期間は3ヶ月が限度です。

   休業中の賃金・賞与は法律の定めがなく、任意事項となっています。

   ほとんどのケースが無給のようですが、無給で
           あることも前もって規定に定めておく必要があります。

  □育児・介護に関する助成金

   従業員の仕事と育児・介護との両立を支援する事業主に対して、以下の助成金・
   奨励金制度が設けられています。

    ☆育児・介護費用助成金
      (労働者が育児または家族の介護に必要なサービスを利用した場合、その費
      用を負担した事業主に対して費用の一定割合を助成するもの)

    ☆育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金
      (育児休業または介護休業を取得した労働者の円滑な職場復帰のために、
      職場適応性や職場能力の低下を防止し、回復を目的とした「職場復帰プログ
      ラム」を実施する事業主に対して支払われる)

    ☆育児休業代替要員確保等助成金
      (育児休業取得者が、育児休業終了後、原職に復帰することを前提に、育児
      休業取得者の代替要員を確保した事業主に対して支給される)

    ☆事業所内託児施設助成金
      (労働者のために事業所内託児施設を設置、運営または増築する事業主に対
      し、その費用の一部が助成される)

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保険代理店の労務管理

給与は労働条件のなかで最も重要なポイント 


  賃金(給与)制度

   給与制度とは、従業員に対して支給する給与の決定方法や支払時期などを定めた
   制度です。

   給与は、生活保障、会社への貢献度、労働市場価値の考え方を中心に、年齢給や
   家族手当、職能給あるいは職務給などを組み合わせて構成します。

   これらの決定における考え方は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、規模などによ
   りそれぞれ異なります。

   支払時期や支払い方法についても個々の事情により異なります。

   また、どのような結果をどの給与要素に反映させるのかといった処遇の対象や、反映
   の際の方法論についてもさまざまなケースが見られます。

   法人代理店の給与制度は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、代理店規模などに
   より各社(店)さまざまです。

   したがって、一概に「給与制度の一般的なものはこれです」とは言えません。

   ただし、業界特性や人数規模などで絞り込むと大枠はある程度類似しているかもし
   れません。

   給与制度や評価制度、資格制度などは、時代の流れで新しい考え方などが登場し、
   少しづつ変化していく傾向もあります。

   保険代理店は給与制度を含む人事制度全体を一つのマネジメントツールと考え、自店
   に合った制度、時代の流れに合った制度を構築していくことが望ましいと言えます。

   また、組織は常に変化していく「生き物」です。その「生き物」を成長させるマネジメン
   トツールの一つである給与制度も常に改善し、固定化しないことが重要です。

   就業規則の賃金に関する事項で、労働基準法で必ず定めなければならない事項と
   して以下の4項目が就業規則に
   定められていれば、就業規則
   とは別に給与規程を新たに定
   める必要はありません。

    1. 賃金の決定及び計算方法

    2.賃金の支払方法

    3.賃金の締切及び支払時期

    4.昇給に関する事項


   ただし、就業規則が膨大になりすぎる場合には、就業規則の本則で「賃金については別に
   定める」などのように記載し、「給与規程」を独立したものにする方が従業員に分かりやすく、
   改訂する場合も別規程だけを改正すればよいので便利です。

   特に賃金は従業員の生活に直接影響を及ぼし、不満や労働力意欲の低下につなが
   る恐れがあるため、別規程にして詳しく定めることが望ましいと言えます。
   (法改正により、どんな項目でも別規程にすることが可能。) 


   <総人件費管理>

   人件費は抑制傾向にあるのが一般的ですが、当然経営者にとって総人件費をマネ
   ージメントすることが必要です。

   特に、売上増が期待できない場合には、限られた給与原資のパイのなかで、いか
   に不満のない分配を行うかが経営者に課せられた課題です。

   したがって、「支払い能力」があることを前提に給与を支給することが代理店存続の視
   点から重要であると言えます。

   支払い能力をチェックする指標として、労働分配率がありますが、業種や規模によ
   り異なるものです。

   法人代理店のケースでは労働分配率は60%程度を目安として考えるのが一般的
   です。 

   給与制度を定めることのメリットは以下のようなものです。

    (1) 給与を支払う条件を明らかにして従業員に安心感を与える。

    (2) 制度はシンプルにすれば従業員も生活設計がしやすい。

    (3) 制度が分かりやすくなれば従業員の仕事に対する士気が上がる。 

   各人の役割期待や業績目標を明確にし、その達成度に応じて公平に給与に格差
   が表れるようにする思想が成果主義です。

   給与は労働条件のなかで最も重要なポイントです。

   人は給与次第でやる気が出たり、無くなったりと、一番大きなモチベーターであると
   言えます。

   しかし、従業員が仕事を給与だけで決めるわけではないことも確かです。

   給与が多いことにこしたことはないのですが、その前に働きがい、やりがいのある
   仕事であるかどうか、やったことに対して納得できる評価がされているか、働きや
   すい職場環境であるか、といった自己実現の場や評価制度、職場環境がきちんと
   整備されていることが大切です。

  最低賃金(令和2年度)

   100%成果主義の給与制度では業績が悪い月には最低賃金法に定められている
   最低賃金を下回る可能性もでてきます。

   したがって、固定給+成果給・歩合給などにするのが望ましいと言えます。

   (最低賃金法)

    賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活を保障することを目的とした
    法律です。

    最低賃金は都道府県別に決定されています。

    対象となる賃金は、臨時の賃金、一ヶ月を超える期間を対象とする賃金(賞与な
    ど)、時間外・深夜割増賃金、休日割増賃金、通勤手当や家族手当などを除いた
    額です。

    パートやアルバイトを含む全ての労働者を
    対象としていますが、精神や身体の障害に
    より労働能力が低い者や労働時間が短い
    人、試用期間中の人などは、適用外です。 

  □年俸制の導入について

   年俸制とは本来年単位で収入を決める制度のことですが、最近では実力主義給与制度
   の総称として用いられる傾向があります。

   年俸制の特徴として、実力・実績評価、総年収管理、毎年ゼロベースで評価することなど
   があげられます。

   ただし、毎年ゼロベースで評価するといっても年俸構成で保障給与的な固定部分が大きければ、            ゼロベースの評価対象は残りの変動部分のみになってしまいます。

   公正で納得性の高い業績評価制度が定着していることが年俸制導入の前提です。

   また、給与体系の再構築や支給方法などをきちんと定め、制度化すること、そして
   導入されたら従業員が期待に応えるように目標管理などできちんとマネジメントする
   ことが大事です。

  ■退職金制度

   退職金を支給する制度を設けるかどうかは自由です。

   退職金制度は高度成長期に人材を確保することを主な目的として多くの企業に普
   及しました。

   支給方法には、退職のときに一括で支給する「一時金」と一定期間に支給する「年
   金」があります。

   退職金制度の種類には、従来の社内積立ての「退職給与引当金制度」は廃止され、
   外部積立ての「中小企業退職金共済制度」、「税制適格退職年金」、「厚生年金
   基金」があります。

   企業年金は改革の傾向にあり、確定給付企業年金や確定拠出年金(日本版40
   1k)へ移行されつつあります。

   <確定拠出年金制度(前払い)と確定給付企業年金制度(後払い)>

   2001年6月に確定拠出年金法と確定給付企業年金法が成立しました。

   確定拠出年金(いわゆる日本版401k)は、「拠出された掛金が個人ごとに明確に
   区分され、掛金とその運用収益との合計額を基に給付額が決定される年金」と定
   義されます。

   一方、「老後において毎年受け取る給付額を企業等が保証する」従来型の企業
   年金は、確定給付企業年金と呼ばれています。

   確定拠出年金制度の最大の特徴は、加入者が自分で指図して運用することにあ
   ります。

   給付は運用結果によって左右され、企業が追加の掛金負担をする必要はありません。 

   注意すべきことは、

    (1)基本となる給付金が60歳まで引き出しができないこと

    (2)年金資産に対して特別法人税が賦課されること

    (3)導入の際には、投資教育や管理手数料の負担につい
      ても十分に検討しておく

   一方、確定給付企業年金制度には、受託機関との契約をベースとする規約型と、
   独立した法人格を持つ企業年金基金を作る基金型の2つの方式があります。

   給付については、年金では原則60〜65歳の間で支給開始年齢を決める必要が
   あり、適格退職年金のように退職時からの単なる分割払いは認められません。

   加入期間が20年以上なら必ず年金を選択できる資格を与える必要があり、加入
   期間が3年以上で年金受給資格を得られない人には脱退一時金を支給する必要
   があります。

   <各退職金制度>

    ○厚生年金基金

     適格退職年金制度とならぶ代表的な企業年金制度。

     厚生年金という特別法人を設立し、厚生年金基金の
     掛金を社外(生命保険会 社・信託銀行等)に積み
     立てます。厚生年金保険の一部を国に代わって
     行う(代行部分)とともに、企業独自の年金を上乗
     せして給付を行う(プラスアルファ部分)ことで、
     従業員により高い給付が実現できるようになります。

    ○適格退職年金

     法人税法に基づき、企業が金融機関(生命保険
     会社・信託銀行等)と契約を結び、平準的に資金を
     積み立てていく年金制度。

     定められた適格要件を満たすことにより、税制の
     優遇措置が認められます。

     また「確定給付型」であるため、金利が下がると
     企業側の負担は増大します。

     確定給付企業年金法により新規設立は認められず、
     平成24年3月31日までに他の制度に移行する必要
     があります。

    ○中小企業退職金共済制度

     中小企業退職金共済法に基づき、事業主が勤労者退職金共済機構と退職金
     共済契約を結び、従業員が退職したときは機構から退職金が支払われる制度。

     退職金額は基本退職金と付加退職金を合算した額となりますが、金利の変動に
     より将来の給付額が変わります。 ・過去の勤務期間が通算でき、また中退共制
     度に加入している企業間を転職した場合は退職金を持ち運ぶことができます。

    ○確定拠出年金

     確定拠出年金法に基づく、新しい年金制度。毎月一定の掛金を負担して老後
     資金を積み立てます。掛金は債権や株式等で運用するため、同じ掛金負担
     でも運用実績により受け取る年金の額は異なります。企業型と個人型があり、
     運用リスクは加入者が負います。

     個人毎に残高管理するのでポータビリティー(転職時において年金資産を持ち
     運びできること)に優れます。


     まずは、貴社の退職金状況を再確認してみましょう。     

      ・現状でどれだけ退職金が準備されているのか?

      ・将来、今のままならどのくらい退職金は準備されるのか?

      ・今の方法でどのくらい退職金が足らなくなるのか? 

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保険代理店の労務管理

保険代理店業の人事評価の対象は「能力」や「意欲・態度」 


  損保、生保の代理店における人事評価には、売上など数値で測られる短期的な
  貢献度を評価する「業績評価」と長期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事
  考課」
があります。

  人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

  評価については、総人件費管理と明確な職務区分が可能なことを考慮すると、能力や
  意欲・態度を中心とした人事考課よりも「実績」や従業員が担う「職務」を対象とした「業
  績評価」に重心
を置いた方が望ましいでしょう。

  考課の際の注意点は、

   ◎従業員へのフィードバックを行うルールを設ける

   ◎評価項目・基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視する。

   ◎昇格や昇給へきちんと反映させるルールを設ける

  従業員を評価をする理由は賃金や賞与、昇格などを決めるためだけではありません。

  評価には経営者から従業員に対する様々なメッセージが込められています。

  まず第一に、長期的に人材を育成しようと考えているケースでは、例えば、その従業員
  が保有している「能力」を評価項目に加え、評価の対象とすることにより、従業員の能力
  開発が期待できます。

  一方で、保有している能力も発揮されてしかも実績として数字に表れなければ意味がない
  と考える場合は、評価項目を実績重視にし、「やったらやっただけの給料がもらえる」「や
  らなかったら給料は少ない」、という成果主義になります。

  大切なことは、自社(店)の経営方針や風土を活かしながら、能力評価や成果評価の項目
  をバランスよく取り入れていくことです。

  このように、評価項目一つとっても、従業員に対する考え方、言い換えれば従業員へのメ
  ッセージを込めていることになるのです。

  どんなに素晴らしい評価制度を設けても、評価結果を従業員に納得のいくようにフィード
  バックしなければ評価する本来の意味が伝わりません。

  「自分がなぜこのような評価なのか」「私は相対的に評価が高いのか、低いのか」といった
  疑問をもつ従業員も少なくありません。

  評価結果とその理由、相対的な位置付け、今後の仕事の取り組み方や能力開発など、
  効果者がきちんと従業員に伝えて、初めて評価
  する意味が生まれるのです。

  なぜなら、評価結果後の従業員の次の活動と成
  長が今後の代理店の成長につながるからです。

  □評価

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長期的な人材育成            を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる「定量的な結果」や、業務効率が
   どれだけ改善されたか、自店としての強みが確立されたか、などの「重点戦略の達成度」
   などを指します。

   一方、

    (1)各人に課せられた使命に相応しい計画を策定

    (2)それを実践の場で検証

    (3)事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出したか

   をチェックすることが「評価」です。

   業績評価とは、今を存続するための収益力確保や、将来の成長のために業務効率の
   改善や強みの確立などを展開してゆくための「マネジメントの仕組み」と言えます。

  □何を業績評価の項目とするか

   業績評価の項目は、職種によって異なります。

   営業職であれば個人の売上や粗利、事務職であれば全社の売上や粗利などが評価項
   目として広く使われています。

   チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても個人業績だけ
   でなく全社業績を加味することも必要です。

   また、このような全社業績と個人業績の評価全体に占める割合などを検討することも
   必要になってきます。

   年度事業計画に示される予算の立て方についても、前年度の実績をもとに慎重に設定
   する必要があります。

   なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るからです。

   重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標についても高い
   志があるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして年度末に実際にどれだけ遂行
   できたかといった「達成度」を評価します。


  □資格等級制度

   資格等級制度は、評価制度・給与制度とともに、基本的人事制度の一つです。

   資格等級制度は、

    (1)能力のレベル

    (2)仕事のレベル

    (3)組織上の位置の高さ

    (4)賃金の額のレベル

   の4つのレベルの関係を決定する制度です。

   資格等級制度は、従業員の能力を基準に決定する「能力等級」と仕事の責任・難易度
   を基準に決める職務等級があります。

   両者とも代理店への貢献度や期待値で等級づけするのは同じですが「能力」の側から
   測定するか、就いている「仕事」から測定するかという違いがあります。

   一般的な能力等級制度は職能資格制度、職務等級制度の一般例には職務資格制度な
   どがあります。

   従業員数名規模では、資格等級制度を設ける必要は現時点ではないでしょう。

   しかし、合併等で規模が大きくなるにつれ、資格等級制度の必要性が出てくるケースも
   想定されます。

  □資格等級制度のメリット・デメリット

   資格等級制度のメリットは、従業員を能力や担う仕事で格付けし、賃金を決定できるこ
   とが挙げられます。

   しかし、実際には、必ずしも能力に対応した仕事を担っている訳ではあ
   りません。

   これは、

    (1)職能基準・要件が曖昧なことが多いこと

    (2)年功的に運用されがちなこと

    (3)職種によっては適さない場合がある

   などの問題点がある。

   資格等級制度も、明確、納得性、公開性を重視し、メリハリのある運用がなされなけれ
   ば、単なる“資格”を与えているだけとなり、モチベーションの向上にはつながりません。

  □資格等級

   「資格等級」に関連する呼称には、「資格呼称」、「役職位」があります。

   資格呼称は資格等級の対外呼称として設けられていますが、役職位の方が広く使われ
   ています。

   資格等級制度を採用しているのであれば、資格等級は賃金(の一部)のレベルを決定
   する大きな要素となります。

   一方、役職位は対外的な呼称としての意味が大きく、給与との関係では役職手当など
   に留まっているケースが多いと言えます。

   資格呼称と資格等級は相互にリンクしていますが、役職位と資格等級は必ずしも一致
   しているとは限りません。

   少人数の代理店の場合(10人未満)、資格等級や資格呼称は必要ないでしょう。

   それらを制度化し、運用することを考えれば、むしろ時間と手間とコストがかかってしま
   い、マイナス効果を生んでしまう恐れがあります。

   また、事務系、営業系、経営管理系と職種が明確に区分されていることもあり、わざわ
   ざ資格を設けなくても、職種別に給与を決定し、業績に応じて賞与を変動させるシンプ
   ルな制度が望ましいとも考えられます。

   ただし、対外的な呼称としての役職位は設けておいた方が好都合といえます。

   このとき、役職手当を設けるかどうかは、代理店の経営方針に基づきます。

  □役員への登用 

   役員は自社(店)の将来を担う人材です。

   役員の役割は、

    (1)従業員や組織の役割期待を明確に
      すること

    (2)従業員の職務遂行をしっかり管理
      すること

    (3)代理店組織としてのパワーを最大
      限に引き出すこと

    (4)そのパワーによる成果を評価すること

    (5)次の戦略を立てて推進すること

   です。

   役員を登用する際には、年功や過去の実績だけでなく、上記にあげたような役員とし
   ての役割を果たせる力量があるかどうか、能力や 資質を厳密に判断することが大切
   です。

   役員選任にあたり、以下の素質を保有しているかどうかを見極める必要があります。

    ○広い視野を持っているか

     役員になるからには、広い視野を持っていることが必要です。
     広い視野というのは全社的な観点からものごとを考えることが
     できるかどうか、ということです。
     特定の分野のことしか分からないといった人は役員として適格
     性があるとはいえません。

    ○先見性があるか

     経営環境は日々変化し、先を読む力も求められます。
     厳しい競争に打ち勝つためには、その変化に的確に対応する
     ことが必要です。

    ○戦略的思考ができるか

     先見性に基づいて戦略を立案できなければならず、そうした
     思考ができることも重要です。

    ○経営的知識があるか

     戦略立案にあたっては、経営的知識は不可欠です

    ○法的知識を持っているか

     コンプライアンスという点からは法的知識も欠かせません

    ○熱意や意欲はあるか

     精神的、肉体的側面では、熱意や意欲がないと始まりません

    ○激務に耐える体力はあるか

     激務に耐えるだけの体力を持っていることも条件となります

   役員になるからには、広い視野を持っていることが必要です。

   広い視野というのは全社的な観点からものごとを考えることができるかどうか、という
   ことです。

   特定の分野のことしか分からないといった人は役員として適格性があるとはいえない
   でしょう。

   また、先を読む力も求められます。経営環境は日々変化しています。

   厳しい競争に打ち勝つためには、その変化に的確に対応することが必要です。

   そして、先見性に基づいて戦略を立案できなければなりません。

   そうした思考ができることも重要であり、戦略立案にあたっては、経営的知識は不可
   欠ですし、コンプライアンス(遵法)という点からは法的知識もなければなりません。

   精神的、肉体的側面では、熱意や意欲がないと始まらないし、激務に耐えるだけの
   体力を持っていることも条件になるでしょう。

  □役員退任に関わる留意点

   役員は、会社の重要な意思決定に関与する立場にあります。

   したがって、不適格な役員を留任させていたのでは、経営にもマイナスの影響を与える
   ことになります。

   こういう場合には、役員を辞めていただくのが望ましいかもしれません。

   役員として不適格かどうかは、役員としての知識・経験が不足、役員としての自覚がな
   い、リーダーシップや実行力がない、などの判断基準がありますが、最も重要な基準は、
   「会社業績に貢献していない」 ことです。

   不正を働いて会社に損害を与えるなどは論外です。 

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保険代理店の労務管理

給与体系と評価制度

  ■給与体系

    1.給与体系の基本的な考え方

    (1)能力主義と年功制

      給与の基本給を決める要素として、属人的要素(年齢・勤続年数・学歴)によ
      るものと、仕事的要素(職務遂行能力)による2つがあります。

      前者を年功給、後者を能力給と呼び、我が国の企業の給与システムは、従
      来の「年功制」から「能力主義」へと大きく転換しています。

      それは、経済の高度成長時代を終え、右肩上がりの成長が約束されない状
      況となった今日、年功制における次のような問題点が顕著になってきたから
      です。

       ・従業員の年齢上昇により賃金コストが大きくなる。

       ・能力と賃金額に格差があると、特に若年層のやる気を喪失させる。

       ・年功給で将来の生活保障があると、安易な仕事の遂行になる。

   2.業績主義(歩合制)について 

     「能力主義」における能力は顕在化された職務遂行能力、即ち、仕事ができる
     能力、実績が出せる能力を言いますが、仕事と処遇、業績と処遇の関係付け
     はどちらかというと間接的で、短期的には仕事・業績と処遇は一致させないの
     が一般的です。

     それらは中長期的に見て一致することを前提に能力主義の人事・処遇制度は
     成立しており、短期的な結果だけに目を向けるのではなく、中長期観点から
     じっくり人材を育てその上で育成、開発した能力を適材適所で発揮してもらい
     成果・業績に結 びつけていく考え方です。

     一方、「成果・業績主義」(歩合制)は短期的な結果を重視し、処遇に反映させ
     る考え方で、合理的な様ですが、短期的な成果は個人のみの力で出せるわけ
     ではなく、以下に起因します。

      ・外部要因(不景気による顧客の倒産、天災、保険料の引き下げ、通販
       会社の参入等)

      ・内部要因(経営者のアドバイス・サポート、他の従業員の協力、担当の
       変更等)

      ・本人要因(病気・けが、個人的悩み等)で大きく左右されます。

     更に、経営規模が小さければ小さいほど成果・業績に変動を受けやすいことを
     考えると、「能力主義」に重点を置いた給与体系が望ましいでしょう。

   3. 総額賃金管理 

     給与を支払う際に経営者として留意すべき事項として、総額賃金管理(組織全
     体の賃金総額の管理)があります。

     この管理手法としては、労働分配率による方法を考えてみます。

     これは付加価値(事業活動の結果、新たに生み出された価値=粗利)に労働
     分配率(粗利の中から支払われた賃金、社会保険・福利厚生費などの割合を
     いう)を乗じ、適正賃金総額を算定するやり方です。

     賃金総額(含む役員報酬)ファンド=粗利総額×55%

     ここで算出された賃金総額には、経営者・役員に支払われる役員報酬・役員
     賞与も含まれますので、従業員だけに支払われる賃金総額は、役員分をマイ
     ナスする必要があります。

   4. 賞与(ボーナス)について 

     賞与には報償金的性格や、企業の利潤分配的な性格がありますが、業績変
     動リスクに対応し、賃金総額を調整する安全弁的な機能を与えることもできる。

     すなわち決算の結果、思うように粗利収入が伸びず(または減収となり)、当初
     予定していた賃金総額の支払いが難しい見通しの場合、その調整を賞与支払
     額で行うことが可能です。

     こうすることにより、自社の経営をより安定させることができますし、従業員に 
     とっても生活給としての毎月の給与(月例給)は保証されることになります。

     <賞与金額の決め方例>

       ・従業員給与ファンドの内、20%を賞与分とする。

       ・決算の結果、賃金総額の調整が必要であれば、賞与フアンドで調整す
        る。

     従って賞与金額については、業績により支給金額を決定するということです
     が、全員が頑張り予定以上に業績(粗利総額)が増えれば、多く配分されます
     し、逆もあるということです。

     従業員個々の賞与金額決定方法は、年間の月例給合計額によって、賞与ファ
     ンドを按分配分する方法が簡便かつ納得感も得られやすいと思います。

     金額を賞与支給の都度、査定するという考え方もありますが、評価スキームが
     複雑になるので、避けた方が良いでしょう。
 
  □評価制度 

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長
   期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

   代理店における評価については、総人件費管理の視点と明確な職務区分が可能
   なことを考慮すると、能力や意欲・態度を中心とした人事考課よりも「実績」や従業
   員が担う「職務」を対象とした「業績評価」に重心を置いた方が望ましいと言える。

   考課の際の留意点は、従業員へのフィードバックを行うルールを設けること、評価
   項目・基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視すること、昇格や昇
   給へきちんと反映させるルールを設けること、などがあげられます。

  □業績評価の目的や考え方

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長
   期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる「定量的な結果」や、業務効
   率がどれだけ改善されたか、自店としての強みが確立されたか、などの「重点戦
   略の達成度」などを指します。

   一方、

    (1)各人に課せられた使命に相応しい計画を策定

    (2)それを実践の場で検証

    (3)事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出したか

   をチェックすることが「評価」です。

   業績評価とは、すなわち自社(店)のビジョンを見据え、存続するための収益力確
   保や、将来の成長のために業務効率の改善や強みの確立などを展開してゆくた
   めの「マネジメントの仕組み」と言えます。

   ◎業績評価の項目

    ○業績評価の項目は、職種によって異なります。
     営業職であれば個人の売上や粗利、事務職であれば全社の売上や粗利
     などが評価項目として広く使われています。

    ○チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても
     個人業績だけでなく全社業績を加味することも必要です。

    ○全社業績と個人業績の評価全体に占める割合などを検討することも必要
     になってきます。

    ○年度事業計画に示される予算の立て方についても前年度の実績をもとに
     慎重に設定する必要があります。
     なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るから
     です。

    ○重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標に
     ついても高い志があるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして
     年度末に実際にどれだけ遂行できたかといった「達成度」を評価します。

  □目標設定時のポイントと導入の際の留意点

   目標管理制度は、従業員が自ら目標を設定し、その達成度合いを評価するもの
   で、納得性が高く、従業員の意欲も向上させることができる有効的な評価ツール
   として広く使われています。

   どのような目標にチャレンジするのか、といった目標の難易度も「意欲度」として評
   価します。

   この際、目標は、

    (1)明確・具体的であること

    (2)計測可能であること

    (3)達成可能な適切なレベルであること

    (4)代理店としての目標とリンクしていること

   の4つの点を踏まえて設定することが大事です。

   途中経過をチェックし、常に上司がフィードバックしながら、従業員の能力を向上
   させることが望ましいでしょう。

   導入の際には、スケジューリングや、対象者の選定、面接などのフィードバック、
   ルールの策定など十分な準備を行う必要があります。

  □資格等級制度の意義と各種制度

   資格等級制度は、評価制度・給与制度とともに、基本的人事制度の一つです。

   資格等級制度は、

     (1)能力のレベル

     (2)仕事のレベル

     (3)組織上の位置の高さ

     (4)賃金の額のレベル

   の4つのレベルの関係を決定する制度です。

   資格等級制度は、従業員の能力を基準に決定する「能力等級」と仕事の責任・難
   易度を基準に決める職務等級があります。

   両者とも代理店への貢献度や期待値で等級づけするのは同じですが、「能力」の
   側から測定するか、就いている「仕事」から測定するかという違いがあります。

   一般的な能力等級制度は職能資格制度、職務等級制度の一般例には職務資格
   制度などがあります。

   ◎従業員数名規模の代理店では

     ・従業員数名規模のケースでは、資格等級制度を設ける必要はこの時点
      ではないかもしれません。
      しかし、合併等で規模が大きくなるにつれ、資格等級制度の必要性が
      出てくるケースも想定されます。

   ◎資格等級制度のメリット・デメリット

     ・資格等級制度のメリットは、従業員を能力や担う仕事で格付けし、賃金
      を決定できることが挙げられますが、実際には、必ずしも能力に対応した
      仕事を担っている訳ではありません。

      これは、

       (1)職能基準・要件が曖昧なことが多いこと

       (2)年功的に運用されがちなこと

       (3)職種によっては適さない場合があること

      などの問題点があるからです。

     ・資格等級制度も、明確、納得性、公開性を重視し、メリハリのある運用が
      なされなければ、単なる“資格”を与えているだけとなり、モチベーションの
      向上にはつながりません。

  □役職や呼称と資格等級との関係

   「資格等級」に関連する呼称には、「資格呼称」、「役職位」があります。

   資格呼称は資格等級の対外呼称として設けられていますが、役職位の方が広く
   使われています。

   資格等級制度を採用しているのであれば、資格等級は賃金(の一部)のレベルを
   決定する大きな要素になります。

   一方、役職位は対外的な呼称としての意味が大きく、給与との関係では役職手当
   などに留まっているケースが多いと言えます。

   資格呼称と資格等級は相互にリンクしていますが、役職位と資格等級は必ずしも
   一致しているとは限りません。

   特に従業員規模が大きい組織では、役職不足であることが多く、昇進が限られて
   いるため、昇格でモチベーションを上げる工夫をしているケースが多いと言えます。

   ◎従業員数名規模の代理店では

    ・少人数の代理店の場合(10人未満)、資格等級や資格呼称は必要がない
     かもしれません。

     それらを制度化し、運用することを考えれば、むしろ時間と手間とコストが
     かかってしまい、マイナス効果を生んでしまう恐れがあります。

    ・事務系、営業系、経営管理系と職種が明確に区分されていることもあり、
     わざわざ資格を設けなくても、職種別に給与を決定し、業績に応じて賞与
     を変動させる、(つまり、資格等級制度のように能力に応じて変動させる
     わけではない)シンプルな制度が望ましいとも考えられます。

    ・対外的な呼称としての役職位は設けておいた方が好都合といえます。
     このとき、 役職手当を設けるかどうかは、代理店の経営方針に基づきます。

  □役員への登用に関するポイント

   役員は自社(店)の将来を担う人材です。

   役員の役割は、

    (1)従業員や組織の役割期待を明確にすること

    (2)従業員の職務遂行をしっかり管理すること

    (3)代理店組織としてのパワーを最大限に引き出すこと

    (4)そのパワーによる成果を評価すること

    (5)次の戦略を立てて推進すること

   役員を登用する際には、年功や過去の実績だけでなく、上記にあげたような役員
   としての役割を果たせる力量があるかどうか、能力や 資質を厳密に判断すること
   が大切です。

   役員選任において、以下の素質を保有しているかどうかを見極める必要がありま
   す。

    ・広い視野を持っているか

     役員になるからには、広い視野を持っていることが必要です。
     広い視野というのは全社的な観点からものごとを考えることができるか
     どうか、ということです。
     特定の分野のことしか分からないといった人は役員として適格性がある
     とはいえません。

    ・先見性があるか

     経営環境は日々変化し、先を読む力も求められます。
     厳しい競争に打ち勝つためには、その変化に的確に対応することが必要で
     す。

    ・戦略的思考ができるか
     先見性に基づいて戦略を立案できなければならず、そうした思考ができること
     も重要です。

    ・経営的知識があるか

     戦略立案にあたっては、経営的知識は不可欠です

    ・法的知識を持っているか

     コンプライアンスという点からは法的知識も欠かせない

    ・熱意や意欲はあるか

     精神的、肉体的側面では、熱意や意欲がないと始まらない

    ・激務に耐える体力はあるか

     激務に耐えるだけの体力を持っていることも条件となる

   代理店業務の複雑・煩雑化する中、ますます代理店経営の質が問われています。

   たんに増収を図るだけの保険販売仲介業であってはならないはずです。

   代理店業は特殊な業種ではありません。

   サービス業なのです。

   小規模な組織が大多数を占める代理店業だからこそ、今ある体制を効率・効果
   的に活かさなくてはなりません。

   マンパワーに頼った旧態依然としたやり方では通用しないのです。

   人に多くを依存する代理店だからこそ、人材を大切にすることが第一です。

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