顧客を差別化する
 

  ■お客様は「平等」か?

   ちょっと財布を開いてみてください。

   あなたの財布の中には何枚のカードが入っているでしょうか。

   カード社会といわれる昨今、クレジットカードの枚数も多いことでしょうが、いわゆ
   る「ポイントカード」と呼ばれるカードも増えているはずです。

   百貨店のポイントカード、家電量販店のポイントカード、スーパーのポイントカー
   ド、さらに航空会社のマイレージカードなどがその代表です。

   ポイントがたまると、キャッシュバックや無料航空サービスなど、さまざまな特典が
   受けられます。

   一方、各企業がポイントカードを発行するメリットはどこにあるのでしょうか。

   じつは、ポイントカードを使用して消費者はポイントをためていますが、発行企業
   は情報をためています。

   そして、この蓄積した情報を利用してお客様の差別化を図っているのです。

   来店してくれたお客様を平等に扱い、同じようなサービスを提供するのが、今まで
   の一般消費者向け対応の基本でした。

   実際、百貨店は「エブリワン」を顧客としすべてのお客さまに等しいサービスを提
   供すべきだとする考え方がありましたが、今日では顧客を絞り込み、選ばれたお
   客様に選ばれたサービスを提供するという考え方に変わってきています。

   マーケティングでいうところの「市場細分化」が進み、

    細分化された市場にいるお客様を自分のお客様と捉える考え方が
    広がってきているのです。

   これにともない、特定のお客様、それも自社にとって「優良」な客様に標的を絞り
   込んでいくことが必要になってきました。

   まさに「差別化するのは顧客だ」という時代にあります。

   「顧客差別などけしからん」という概念は、皆が成長でき、お客様を増やせば自動
   的に売上が伸びた時代の感覚なのです。

   現代では、お客様を差別化するツールが求められています。

   それを可能にしたツールがポイントカードに代表される顧客データベースであり、
   その目的はお客様の情報を収集することにあります。

   週に3回来店され1回に1万円以上の買い物をしていただけるお客さまと、月に1
   回来店され1回に千円程度の買い物をされるお客さまを「平等」に扱う必要がある
   でしょうか?

   月商が1億円の販売店と月商1千万円の販売店に同じように営業マンを訪問させ
   るなど「平等」に扱っていませんか?

   とにかくお客様を増やせば儲かる、訪問回数を増やせば売上が上がるという「高
   度成長時代」の方法をまだ盲信して続けていませんか?

    お客様の情報を活用できる時代のマーケテイングは、「選択と集中」です。      
    お客様は決して「平等」ではないのです。

   多くの企業が、ポイントカードなどの手段で集められた情報でお客様の差別化を
   行なっています。

   米国の例ですが、お客様を「サスペクト=疑似客」「プロスペクト=見込み客」
   「リード=有力客」「カスタマー=顧客」「リピーター=継続客」と5つの区分に分け
   る手法があります。

   もちろん、継続客を「優良顧客」として差別化していきます。

   つまり、固定客、リピーターを大切にしようという発想にもつながります。

   新しい顧客開拓が難しい環境下、新規客よりも既存顧客を重視することが求めら
   れているのです。

   新車を買うお客様でも、まったくの新規客より既存のお客様のほうが販売に結び
   つきやすいことはわかりやすい例です。

   また、コストの面からも既存顧客の重要性が指摘されています。

   たとえば、新親客を開拓するマーケティングコストは、既存の顧客維持コストの5
   倍程度かかるとされています。

   今では、

    お客様を「平等」に扱うのではなく、

    お客様の自社に対する「ロイヤルティー」に応じた対応を考えるべきです。

    このように戦略的に顧客を差別化することが不可欠となる。

  パレート(80:20)の法則

   1.アメリカン航空の例

     お客様を「差別化」して捉える考え方の例を見てみましょう。

     有名な例は航空会社の事例です。

     1970年代初頭の話です。

     米国のアメリカン航空は今後のマーケティング戦略策定のためにお客様の調
     査を行ない、予想外の結果を手に入れました。

     なんと自社の収益の約65%が3.2%のお客様からもたらされていたのです。

     すなわち、年間搭乗顧客数2500万人のうちの3.2%、80万人のお客様、年
     間平均搭乗回数13回の「最良顧客」が利益の源泉だったことを知りました。

     この結果に基づいて、アメリカン航空はお客様に接するスタイルを従来のもの
     から変更していきました。

     テレビや雑誌の広告を通じて「アメリカン航空は最高のサービスを提供します。

     すばらしいシートの座り心地をお試しください」とすべてのお客様に訴える見込
     み客へのアピールを目的とした広告は、いったいどれくらいの利益をもたらし
     ているでしょうか。

     必要なのは「いつもご利用ありがとうございます。ご利用いただいているお礼
     の意味をこめてあなたさまだけに特別の待遇をさせていただきます」と特定の
     お客様、年に平均13回利用してくださる優良顧客により一層のご愛顧を促す
     方法でした。

     こうした発想が「差別化するのは顧客」であるという考え方の基本にあります。

     企業の収益の7割弱をもたらしてくれるお客様を大切にし、ほかのお客様は、
     極端な言い方をすれば、切り捨ててもよいとする発想です。

     不特定多数の「見込み客」に向かって膨大な広告宣伝費をかけるよりも、利益 
     の65%をもたらしてくれる3.2%の「リピーター」を特別待遇してさらにアメリカ
     ン航空を利用してもらうアプローチが、この調査から導かれたマーケティング
     手法でした。

     顧客すべてを平等に扱うというのは聞こえがいい言葉ですが、お客様と企業
     の対話という点から見ると問題があります。

     企業はすべてのお客様を同一に扱うことで、じつはお様まとの対話を拒否して
     いたのです。

     すべてのお客様一人ひとりと対話することはできませんが、自社の製品・サー
     ビスを使用してくださるロイヤルティーの高い差別された「優良顧客」との会話
     は可能です。

     お客様のなかから自社にとって利益に大きく貢献してくれる「優良顧客」を見つ
     け、お客様を差別化し、手厚くサービスしていくことで、お客様を「パートナー」
     として扱うことができ、そのお客様と対話をすることができます。

     多くの一般客の嗜好はつかむことができませんが、自社の製品・サービスへ
     のロイヤルティーが高い特定のお客様の嗜好はつかむことが可能なのです。

     できるだけ多くのお客様にたくさんの商品・サービスを買ってもらうことを目指
     すのでなく、自社の製品・サービスを利用してくれる特定のお客様に1回でも多
     く自社の製品・サービスを利用してもらうことが利益増大につながる道だった
     のです。

     それを知った企業はさまざまな仕組みを考えて顧客の差別化を行ないだしま
     した。

     あるガソリンスタンドでは、来店する車のナンバーを登録して月ごとの来店回
     数ランキングを集計し、ランキングのトップ50位に入る顧客に対して特別な
     サービスを提供しています。

     米国のある小売店は、自店にとっての「優良顧客」を分析するシステムを導入
     して、「優良顧客」にはクリスマスに七面鳥のサービスをするなどお客様の差
     別化を徹底して行なっています。

     また、ナショナル・オーストリア銀行では個人顧客の口座を分析し、その利益
     金によって順位付けを行なってサービスの差別化を図ることで、順位付けの高 
     いグループの構成比率を2割から3割まで引き上げることに成功しました。

     日本でも、航空会社のマイレージサービスなど、自社のサービスを利用するお
     客様を優遇していく流れが明確になっています。

     銀行でも残高の金額によってATMの利用料を無料にするなど、お客様への
     サービスを差別化する時代です。

      “利益をもたらす「優良顧客」を大切にする”
      “重要でないお客様は無視してもかまわない”

     これがアメリカン航空の調査から得られたマーケティング手法であり、「高度成
     長時代」の無差別攻撃と異なる、現代のピンポイント攻撃によるマーケティン
     グであるといえます。

   2.80:20の法則

     「80:20の法則」という考え方があります。

     投入と算出、原因と結果などの間には不均衡があり、その比率は80対20で
     あるという法則です。

     たとえば、

      ・売上の80%を占めているのは製品の20%である
       (在庫管理のAB C分析はこの考え方の応用例です)

      ・売上の80%は20%の優良顧客からもたらされる
       (だからこそ、その20%の優良顧客を知る情報を集め、
       そのお客様のロイヤルティーを高める必要があります)

      ・離婚件数の80%は20%の人で占める

      ・カーペットの擦り切れや汚れの80%は20%の部分で発生する
       (その部分だけ変えればよいという発想がタイルカーペットの発見です)

      ・試験問題の80%はその科目に関する知識の20%の知識で答えられる
       (効率よく試験に合格する秘密がここにあります)

     といった具合です。

     たとえば、100人の人が1カ月に飲むビールの本数を多い俄に並べていった
     ら、上位20%の人で全体の本数の80%を占めているということになったとします。

     ビール会社が効率的に販促活動を行なっていこうとすれば、上位20%の人に
     焦点を絞ればよいということになります。

     数値を入れてもう少し具体的に見ていきましょう。

     ここでは例として、顧客の売上高比率と利益比率の関係を見てみます。

       顧客タイプ別の売上高と利益

     顧客A、B、Cで売上の累計は20%程度ですが、利益では半分以上を稼がせ
     てくれています。

     顧客タイプ別に利益に責献している「優良顧客」を見つけることが大切です。

     このような表を貴社のお客様を対象に作成してみてください。

     「80対20」の法則をうまく利用すること、「80対20」の不均衡を利用してお客
     様を差別化していくことが、マーケティングで成功するコツです。

     「自社の製品やサービスを頻繁に利用しくれるロイヤルティーの高いお客様」
     「毎日利用してくれるお客様、気前のいい常連客」がマーケティングのターゲッ
     トとなります。

     たまにしか買ってくれないお客様を無視する「選択と集中」が必要です。

     重要なのは一部のお客様なのです。

     その一部の重要なお客様を差別化して見つけることがポイントになってきてい
     ます。

     「80対20」の法則を利用した考え方を、『80対20の法則』の著者リチャード・
     コッチの書籍からいくつかご紹介します。

      ・化粧品の20%の商品が80%の利益を生んでいます。
       小売店にとって重要なのは店のイメージを傷つけることなく残りの
       80%の商品をどこまで削れるかが重要です。

      ・80%の収益を占める20%の顧客を絶対に放してはいけません。
       毎週、日曜日の夜にはその20%に相当する顧客のファイルに目を
       通し、ご無沙汰している顧客があったら、手紙を書くか電話をかけます。

      ・売上の80%、利益の80%を生み出す20%の顧客に販売努力を集中
       すべきです。
       販売員には最良の20%の顧客に時間の80%を使うように指導します。
       そのために、重要でない顧客は無視してもかまわないと教えます。

      ・重要なのは一部の顧客であり大半の顧客ではありません。

  □顧客情報を使って差別化を図る方法

   「選択と集中」「特定の優良顧客を大切にすること」が重要なことは理解していた
   だけたと思います。

   では、どのようにしてお客様を差別化すればよいのでしょうか。

   いくつかの方法を見ていきましょう。

   1.売上と伸び率によるマトリクス分析

     まず、お客様ごとの売上高と売上伸び率を利用して、以下のようなマトリクスを
     作成します。

     このマトリクスから自社にとっての「優良顧客」を選別していきます。

     この事例で見ていくと、右上のマトリクスにあるお客様であるA社、B社が現状
     の「優良顧客」と捉えることができます。

     営業担当者を頻繁に訪問させるなど手厚いサービスを提供すべきお客様です。

     C社は今後どのように取り扱うか、将来性のあるお客様なのかを慎重に検討
     すべきお客様となります。

     E社は売上高こそ低いのですが成長率の高いお客様です。

     今後戦略的に開拓していくことが必要となるお客様という位置づけが考えられ
     るので、お客様の動向をつかみながら今後の対応を会社として戦略的に検討
     していく必要があります。

     営業担当者にもお客様の今後の成長動向を聞きだすスタイルが望まれます。

     最後のD社、F社にはなるべく手をかけない、お金をかけない対応が求められ
     ます。

     営業担当を訪問させるのではなく電話で対応するなどの差別化した対応が必
     要になります。

     このように、すべてのお客様を同じように定期的に訪問する、あるいは訪問回
     数を増やせば売上増につながるという短絡的な考え方でなく、お客さまを差別
     化して、

      自社にとって重要なお客様は毎日訪問するなど万全のサービスを
      提供する一方、重要でないお客様にはコストをかけない対応を考えます。

     ことによると、そのお客様はよそのお客様になってもらったほうが、自社に利益
     をもたらすかもしれません。

     自社にとって重要でない顧客を見極めて、利益をもたらさないお客様と上手に
     別れていくことも、必要な経営判断になってきます。
       
   2.RFM分析

     小売業など多数のお客様を相手にする業態では、これから説明するRFM分析
     が役に立つはずです。

     横文字でわかりにくそうですが、難しい考え方ではありません。

     これまで説明してきた「差別化するのは顧客」であるという考え方と「80対20」
     の法則を実践的に説明しているものと理解してください。

     日本でもコストコの出店(1999年)、そしてウォールマートの進出(2002年)
     と、外資小売の参入が盛んになり、「EDLP」(エブリデイ・ロウ・プライス)という
     売り文句が一般的に使われるようになりました。

     最近ではネット販売においても、アマゾンのビジネスマーケットへの躍進が際
     立っておりスタート時は書籍販売に特化していたが、今ではアスクルの牙城を
     切り崩す勢いでいます。

     こうした企業では、一時的な「特売」ではなく「毎日、低価格で商品を提供する
     仕組み」、たとえば大量仕入れによるコストダウン、店舗建設費用を抑える工
     夫、人件費を抑える工夫などがなされています。

     しかし、「EDLP」は「優良顧客」にもそうでない顧客にも同じサービスを提供す
     るわけですから、「優良顧客」の「自分は利用金額が高いのだから特別な扱い
     を受けてもいいはずだ」という欲求には対応できません。

     また、店舗としても、低コストの商品をあまり自店で利用しないお客様にも提供
     することは顧客の差別化ができていないことになり、優良顧客から得た利益を
     そうでない顧客につぎ込むことになってしまいます。

     そこで、「よく来店してくれるお客様」「高額のお金を使ってくれるお客様」「最近 
     よく買い物をしてくれるお客様」を「優良顧客」として差別化して優遇する手法
     が「EDLP」の反省から生まれてきました。

     米国で理論化されたFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム=高頻度来
     客優遇策)という手法があります。

     日本語の名前のとおり、高頻度=よく来店してくれるお客様を優遇していく作
     戦です。

     「80対20の法則」で紹介したように、来店客別の売上高とその構成比を調査
     していくと、購買金額が多いお客様の上位3割で売上の7割から8割を占める
     という事実が示されています。

     この3割程度のお客様を「優良顧客」としてもっとも大切にすることが戦略の要
     です。

     このお客様に対して、ほかのお客様と差別化した「優遇策」をとり、自社、自店
     舗へのロイヤルティーを高めてもらう戦略です。

     ちなみに、購買金額の下位から5割のお客様の合計購買金額が全体の売上
     に対してどの程度の比率になると思われますか?

     ある調査ではなんと10%に満たないという結論がでたというデータがあります。

     この5割のお客様にかけるコストをいかに削減するかということも、FSPにおけ
     る、もうひとつの重要な視点です。

     ぜひ、自社のお客様をFSPのための顧客分析表のマトリクスを利用して分析
     してみてください。

     自社のお客様の分布が「80対20」の法則にあてはまることが理解できるとと
     もに、「優良顧客」とそうでないお客様がみえてきます。理論だけでなく実践が
     重要です。

     仮に、500人のお客様をもっている場合、10%ごと=50人ごとに構成比を区
     分して分析していきます。

     FSPを支える「差別化するのは顧客だ」という考え方をより具体的に分析する
     手法が、RFM分析です。

     RFMの3つの軸を見ていきましょう。

      RはRecency=直近の来店日、購買日を基準とした軸

      FはFrequency=購買頻度を基準とした軸

      MはMonetary=購買金額を基準とした軸

     この3つの軸を重視して分析するのは、以下の理由からです。

     R(リーセンシー)は最近来店してくれているお客様は今後の販促活動や店内
     企画に対して反応しやすく、逆に足が遠のいたお客様は当店から離れたお客
     様であると判断することができ、主として販促や企画に対する反応を分析する
     視点に利用できます。

     F(フリークエンシー)は来店頻度ですので、店舗に対するロイヤルティーを示
     しています。
     顧客の満足度を示す指標でもあります。

     M(マネタリー)は売上金額ですので売上に重点をおいた販促の企画に活かす
     ことができます。

     RFM分析はこの3つの軸を利用して自社にとっての「優良顧客」を選別しようと
     いう方法です。

     具体的には、たとえば以下のようにポイント付けを行ないます。

                              RFM評価ポイントの例

     さらに、R、F、Mごとに自店の戦略にあわせてウェートづけを行ないます。

     店舗ロイヤルティーを最優先し、次に売上金額、最後に直近来店期間とする
     のであれば、R:F:M=2:5:3といったようにウエートをつけて評価します。

     この基準によって「顧客」の差別化を行ない「優良顧客」を見つけ、優遇的な
     サービスを提供していくのです。

     海外の例では、上位の顧客にはクーポン券の提供や、先に書いたように七面
     鳥のプレゼントなどの優遇策を提供しています。

     貴社でも顧客を差別化していく手段を身につける必要があります。

     2割の「優良顧客」が利益の8割を提供してくれているのです。

     最後に、『80対20の法則』の著者であるリチャード・コッチのアドバイスを紹介
     します。

     コツチは、核になる優良顧客を離さない4つの秘訣として、

      (1)核になるお客様が誰かを突き詰めること

      (2)核になるお客様には特別なサービス、場合によっては「常軌を逸した」
       サービスを提供すること
      (3)製品・サービスの開発時には核となる20%のお客様を念頭に置き、
        その20%のニーズを満たすことだけを開発の目標とすること

      (4)核となるお客様からは絶対に目を離さないこと

     を挙げています。

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差別化を図るには顧客の心理をつかむ

  ■顧客の心理

   1.なぜ顧客は自社を選ぶのか
     顧客はなぜ自社と取引をしてくれているのか?

     昔からよく知っているからか、顧客の利益(メリット)につながっているからか。

     「昔からよく知っている」ということは、長く継続して取引があるという面では良
     いことです。

     逆に、長くお付き合いをしていることによって、自社が以前とは違う商品・サー
     ビスを取り扱っていても、顧客の頭の中には昔のイメージが残っており、「あの
     会社ができる範囲はここまでだ」「あの会社が提供できる商品・サービスはこれ 
     だけだ」と決め付けられている場合が多々あります。

     顧客はあなた(自社)が思っているよりも自社について知らないことが多い。

     顧客が自社のできることを知らなければ、顧客の頭の中にイメージされた「自
     社のできること」以上に仕事は膨らまないでしょう。

     顧客は、自分の頭の中にあるTPO(Time:時間、Place:場所、
     occasion:場合)によって、付き合う先を選別している。

     その結果によって、顧客内における自社のインストアシェアが決まってくるので
     す。

     要は、今以上に自社を選ぶ理由が、顧客の中にあるかどうかです。

     その理由がなければ、今以上に自社の業績が上がらないのは当たり前。

     よく「既存顧客の売上げが減ってきた」「新規開拓が進まない」という声を耳に
     するが、これは顧客側から見れば、あなた(自社)を選ぶ理由がないのです。

     選ばれる理由を顧客に伝えることが必要になる。

     では、売る側は何をしなければならないか?

     まずは、顧客から選ばれるために必要なことは何かを考えることから始めよ
     う。

   2.顧客が選ぶ理由をつかむ4ステップ

     (1)顧客が過去、どのような理由で取引先を選んできたのか
       自社を取引先に選んだ理由を考える際は、顧客が今まで付き合ってきた先
       と自社を必ず比較するはずです。

       要は「過去」と比べるのである。

       顧客が取引先を選ぶ物差しを把握することが第一ポイントである。

     (2)ライバルが顧客に提供している利益をつかむ
       顧客が今まで取引している先、自社よりもインストアシェアが高い先は、「ど
       のような利益を提供しているのか」について考えてほしい。

       「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」である。

       これをつかまなければ、差別化するためにどのような情報が必要なのかが
       分からないからです。

     (3)顧客が自社と取引をしたときの利益を考える
       商品・サービスを売る側が陥るワナは、自社の利益を中心に考えてしまうこ
       とです。

       「これをあの顧客に売れば目標達成できる」などと、身勝手なそろばん勘定
       をはじき過ぎるとミスをする。

       顧客が望んでいないもの、買いたくないものを勧めても、利用したい気持ち
       や買いたい気分にはならない。

     (4)顧客の利益を最大化するために必要なことをつかむ
       「顧客の利益(メリット)とは何か」を考える。

       次に、「どうすれば自社が顧客の利益を最大化できるのか」を考える。

       この順番を間違うと、顧客に提供すべき情報を間違えてしまう。

       顧客は、入ってくる情報で判断します。

       それがテレビCMなのか、ウェブ検索なのか、SNSなのか、店頭POPなの
       か、クチコミなのか、調査資料なのか、見積もりなのか。

       情報を届けるツールは、さまざまあります。

       多くの会社(店)から見積もりを取れば取るほど、購入の際の選択肢が増え
       れば増えるほど、個々の特徴や利点、利益は顧客の頭に残らない。

       そして残るのは、往々にして価格だけである。

       顧客の頭の中に価格の情報しか入っていなければ、顧客は価格でしか選
       ばない。

       つまり、顧客は頭の中に入ってくる「情報」により、どこと付き合うのか、何を
       買うのかを決めているのです。    

       したがって、「自社が提供する利益 > ライバルが提供している利益」となる
       よう顧客に伝え、納得させることが必要となる。

       自社の提供する価値が、ライバルを上回るために何が必要かを考える。

       その際のポイントは、「顧客が聞きたいことは何か」を常に考えることです。

       商品説明や機能説明だけでは、顧客は動かない。

       利益(メリット)を感じたときに動く。

       行動する理由が見つかれば、顧客は行動する。

       顧客に理由が伝われば、選ばれるのである。

       それ故、顧客に選ばれる理由は、売り手側が用意し、伝えていかなければ
       ならない。

   3.「見せる」・「売りたい」・「売れる」商品で選ぶ理由をつくる
     ある小売店の社長が、「“売れ筋”ばかりを集めても売れない」と言っていた。

     一見、売れないモノは無駄のように思えるが、売れ筋の横に売れない商品(見
     せる商品)を置くことで、よく売れるのだそうだ。

     顧客の頭の中で比較が行われ、売れ筋商品を購入する理由が明確になるた
     めです。

     売りたい商品を売るときも、この「見せる商品」が必要となる。

     売りたい商品のフェイス(買い物客から見える商品陳列)を取るだけでは売れ
     ない。

     その横に見せる商品を置き、売りたい商品を顧客が選ぶように仕向けるので
     ある。

     引き立て役の役割は大きいのです。

   4.あなたの会社のウリ(選ばれる理由)は何か
     自社の「ウリ(強み)」は何か?

     ウリとは、自社の強みです。

     自社の強みとは、自社ができることである。

     自社ができることで顧客から選ばれる理由を、自社が顧客に伝えなければな
     らない。

     自社の強みが伝わらなければ、顧客には価格しか見えない。

     自社のウリ(強み)を伝え、顧客の利益を最大化することで、自社が選ばれる
     のです。

     顧客は安く買いたいのではなく、自身の利益を最大化したいのです。

     売る側も売上げを上げたいのではなく、利益を上げたいのです。

     売上げは、利益を得るための手段なのです。

     利益を出し、会社の永続性を高めていくためには、顧客から選ばれ続けなけ
     ればならない。

     「自社の利益を最大化してくれる重要なパートナー」である顧客としての位置
     付けを構築していただきたい。

  □ライバルが言えないことを発信する差別化戦略
   1.戦略を理解しているか?
     最近、「情報発信を行っているのに売れない」との声を耳にする。

     情報発信の方法を間違えているのか、メッセージの内容に問題があるのかな
     ど、現場では脳に汗をかくような苦労をしながら、売るための試行錯誤を行っ
     ている。

     メッセージとは、自社を選んでくれる=自社の良さを理解してくれる=自社を必
     要としている企業(個人)に、自社を選んでもらうための理由を発信するもので
     す。

     つまり、発信しているのは自社の強みであり、それがライバルでなく自社を選
     ぶ理由であるため、「売れる」ことにつながるはずである。

     なのに売れないのであれば、発信しているメッセージが間違っていることにな
     る。

     その原因は、メッセージが自社の戦略と合致していないことにある。

     戦略とメッセージに一貫性がない。

     つまり、戦略をうまく現場に落とし込めていないのです。

     営業社員、マーケティング担当に問いたい。

      ・戦略を理解しているか?
      ・惰性で行動していないか?

     惰性での行動は「作業」であり、戦略の成果は出てこない。

     考えない行動は無価値である。

   2.今のやり方で顧客から選ばれるのか?
     「全ては顧客から始まる」のです。

     顧客を見据え、戦略を構築し、自社が勝てる場と勝てる条件(自社が顧客から
     選ばれる理由)を整備し、現場に落とし込みを行う。

     これが正しい方法。

     しかし、戦略から現場へ落とし込む戦術の段階で、一貫性が崩れることは多
     い。

     自身の行動に再度、目を向けてほしい。
      ①今、行っていることで、顧客から選ばれるのか?
      ②今のやり方、考え方、行動で、利益は出るのか(儲かるのか)?
      ③今のやり方、考え方、行動で、顧客の要望以上のことができるのか(勝て
        るのか)?
      ④今のやり方、考え方、行動に、信念を持っているのか?

     ①〜④のうち一つでも崩れると、戦略は機能しなくなる。

     担当者自身が「こんなことをやっていても、顧客から選ばれないのに…」と思っ
     て行動する限り、顧客から選ばれないのは当然である。

     顧客ごとに、自社の強み=自社のできること=顧客が望むこと

     を伝えていく必要がある。

     現場こそが、それをメッセージとして伝えていかねばならないのです。

   3.琴線に触れるメッセージで差別化を図る
     「この商品はとても使いやすくなっております」「ご使用になっていただければ、
     ご理解いただけると思います」など、通り一遍な独自性のないメッセージは、顧
     客の琴線に触れることはできない。

     これは誰にでも言えることで、
      ・自社の強みではない。
      ・顧客が自社を選ぶ理由にならない

     のです。

     あなたは、「ライバルが言えないこと」を顧客に伝えなければならない。

     もちろん、「自社ができることを」である。

     “空箱(粗悪品)”を売ってはいけない。

     それは詐欺であり、犯罪だ。

     あるシステム会社の社員が、顧客の琴線に触れるメッセージを伝えていた。

     そのメッセージとは、「自社のシステムを活用すれば、売上げは1割落ちます
     が、経費は半分、利益は約2倍になります」のトーク。

     もちろん粗悪品ではなく、自社ができることであり、顧客から高く評価されてい
     るシステムである。

     顧客は、真剣なまなざしで耳を傾けていたのは言うまでもない。

     独自性のあるメッセージで独自のノウハウを伝え、顧客の利益になれば“鬼に
     金棒”である。

   4.信念を持って行動する
     顧客から自社を選んでもらうための行動を、信念を持って行っているだろうか。

     何も考えず、「やれ」と言われたからやっているだけの、全く気持ちが入ってい
     ない提案シーンをよく目にする。

     そうした提案になってしまうのは、戦略の納得性が不足していることと、行動に
     対する迷い、勝てるかどうかの不安に起因する。

     しかし、信念のない行動では、顧客は何を言っても振り向かない。

     ここで、社長に考えていただきたい。

     「信念を持てないのは、理念が事業化できていないからではないか」と。

     これは、理念先行型の経営者に多いことである。

     顧客や社会のお役に立ちたいという思いは理解できる。

     しかし、行動や商品・サービスが、売上げと利益につながっているのかを、再
     度検証していただきたいのです。

     社長の思いが事業化できていないと、社員は不安になります。

     社長の言う通りにやっても売上げや利益に結び付かないから、「やる意味があ
     るのか」と不安になるのです。

     社長は思いを事業にしていかなければならない。

     さらに、付き合うべき顧客や売るべき商品、価格は、社長が決めなければ、社
     員が勝手に決めることになる。

     付き合うべき顧客を定めなれば、担当者は行きやすい顧客だけを訪問する。

     売るべき商品も分からない。

     また、値決めは経営である。

     その価格で利益を出し、自社の経営や資金繰りにどのように影響するかも考
     えなければならない。

     値決めを営業に任せているようでは、勝てる場をつくり出せていない可能性が
     高い。

     「戦略的である」ということは、「計画的である」ということです。

     営業活動は有限、時間も有限、お金も有限。

     これらを何に集中させ、いかに効率的に回収するのかを、社長も現場も考えな
     ければならないのです。

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お客様が何を望んでいるかを理解する


  ■ちょっとした心遣いがすべて

   あなたはお客さんが何を望んでいるかを理解できているだろうか?

   あなたの仕事がお客様の抱える問題・課題を解決する「問題解決業」であることを理解
   していないことが、多くの営業会社が増収できない最大の理由ではないだろうか。

   自分たちのニーズや望みを満たしてくれて、不満や不安や心配を取り除いてもらえ
   るなら、お客様はいつでも喜んでお金を払うのです。

   そのためには、それを欲しいと思わせるだけの理由を、感情と理論の両面から
   提示しいく。

   それを買った方がいいと思わせるだけの理由、同じ買うならよそよりこちらの方が
   いいと思ってもらえるだけの理由を。

   その商品やサービスが何らかの感情的心理的なニーズを満たすからお客さんは
   買うのだ。

   あなたの商品、サービスを買おうというお客さんの感情の高まりを作り出すことは
   大切だが、それと同時に、契約して良かったと顧客に思わせるだけの、筋の通った
   理由が必要です。

   そうでなければ継続した増収は望めない。

   お客さんとの直接面談は、大事な情報収集の場である。

   顧客の声に耳を傾け、それを一歩進めることだ。

   あなたのことを好意的に見てもらえるようにするには、よそと違うことをしなくては
   いけない。

   常識にとらわれずに考えよう。

   誕生日のお祝いカード・花、会社設立お祝い、ハガキの活用、子供の七五三、等
   ほとんどコストのかからないちょっとしたことでも相手にはしっかり気持ちの伝わる
   ことをすることです。

   「このちょっとしたことがすべてなのだ」。

   なぜならほとんどの営業会社がやってないからです。

  □差別化戦略とはよそにない「売り」をつくる

   商売を成功させるための最大の秘訣は、よそにはない「売り」があること、よそとは
   違っていることです。

   商品でもサービスでも、よそにはないものを提供しなくてはならない。

   ほとんどの中小企業はただ漫然と、よそと同じようなものを、特に顧客からは同じとし
   か見えないモノを売っている。

   よそとの違いがなければ、単に店頭に並べたダイコンを売っているのとなんら変わ
   らない。

   よそにない売り(サービス)をつくるとは、「仕組みづくり」です。

   すぐに真似されるようなものであっては、お客さんが「なぜあなたから買わなけれ
   ばならないか」という問いかけに対し、強烈なインパクトを与えることができないから
   です。

   新規開拓において、見込み客があなたの商品(サービス)と、現在取引している競合
   他社の商品との間には、どんな違いがあるだろうか。

   多くは何も変わらないはずである。

   多少の違いといえるのは価格ぐらいだろう。

   これではお客さんが、あえてあなたに取引変更をする理由はないはず。

   あなたに「売り」がないから、いつもの得意の「熱意と根性」営業に走り出す。

   あなたは自分で思っている以上にありふれているということだ。

   自分に問い掛けてみるべきだ。

   お客さんが“あなたでなければ”と言ってくれるには?

   大きく増収している営業会社に共通していえることは、他との違いである「売り」がある
   から。

   これこそ事業を成功させる最大の秘訣である。

   他との違いを開発するには、自分には何ができるのか? 

   自分だけでできなければ誰とどのように協業(コラボ)すればいいのか? 

   あなたがビジネスドクター(法人向け)であり、ホームドクター(個人向け)なら
   既存客・見込み客を往診(訪問)し、これらの答えをお客さんから聞くことです。
   
  ■カスタマー・インティマシー(顧客との親密さ)を築く

   顧客との親密さを築くには、事前に顧客に関する知識を蓄えておかないと、誰が
   本当の顧客なのかがわからなくなってしまいます。

   お客様が何を望んでいるかを理解できていないことが、大半の中小企業が利益を
   あげられない最大の理由です。

   お客様は自分たちのニーズや望みを満たしてくれて、不満や不安や心配を取り除いて
   もらえるなら、いつでも喜んでお金を払ってくれるのです。

   “人がものを買うのは理屈ではなく、感情だ”と言われています。

   大半の人は理屈でものを買ったりはしない。

   その商品なりサービスなりが何らかの感情的心理的なニーズを満たすから買う
   のです。

   マーケティングで、よく引用されるのが「ステーキを売るな。焼いている音(シズル)を
   売れ」という言葉です。

   これは、視覚と聴覚の両方を同時に使ってアピールできるので、よりお客様を納得
   させられる。
   (人間の五感は視覚と聴覚で93%を占め、言葉だけでは、7%しか相手には伝わら
   ない)

   ふつうの顧客はまず買ってみて、それから、「あれで良かったのだ」と後から理屈
   づけして納得するのです。

   何を売るにしても、あなたの商品なりサービスなりを買おうという感情の高まりを
   作り出すことは大切ですが、それと同時に、買って良かったと顧客に思わせるだけ
   の、筋の通った理由が必要なのです。

   そうでなければ増収は期待できません。

   顧客の声に耳を傾け、それを一歩進めることです。

   こちらから出向いていって直接顧客と顔を合わせることです。

   あなたの会社のことを好意的に見てもらえるようになるはず。

   顧客や見込み客、さらに、一度はあなたを拒否した人たちも、喜んで何らかの意見
   を返してくれるでしょう。

   それらの意見が、これからどうやって顧客側の抵抗感や障害を克服したらよいか
   を教えてくれるでしょう。

   プロセスはシンプルです。

   丁寧に、以下のような質問をして、後は注意深く耳を傾ければいいのです。

    ・今回、なぜ買ってもらえなかった理由は何か。

    ・次回からはどう改善すればいいか。

    ・気に入ってもらえたところがあるとすれば、どのような点か。

    ・同業他社(店)から取り入れるべきところは、どのような点か。

   そして、あなたとの取引を相手の記憶に残すことです。

   ポジティヴな印象がいつまでも顧客の記憶に残り、「またあなたに頼みたい」という
   気持ちになります。

   利益を得るためには、この行動を最も重要な一部として営業に組み込むことです。

   そうすれば、いつでも、どの顧客に対してもこの行動を起こせるようになりまする。

   しかも、一人ひとりの顧客にとっては特別な同業他社に無い体験に思えるはずです。

   営業の仕組みをつくりだすには、よそと違うことをしなくてはいけない。

   常識にとらわれずに考え、ルールは、「よそがしていることは絶対にしない」ことです。

   顧客に、心を込めて、「ありがとうございました」のハガキを出すことから始めてみ
   よう。

   ちょっとした言葉やカードや花、あるいは贈り物を届けたり、後で電話して、加入
   してもらった感謝の気持ちを伝えるのもいいでしょう。

   バースディカードや、顧客企業の設立日にお祝いのファックスやハガキをだすと
   いう手もあります。

   ほとんどコストのかからないちょっとしたこと、でも相手にはしっかり気持ちの伝わる
   ことをすることです。

   こんなことで? といった「このちょっとしたことが大きい のではなく、これがすべ
   て」なのです。

   自分に提供できるものの枠を広げ、細部に気を使うこと。

   仕事に楽しさを持ち込んで、顧客と一緒に楽しみ、喜びを分かち合うこと。

   まず一歩踏み出してみよう。
   
  ■差別化戦略

   過去には、どの商品もサービス価格も横並びの時代もありました。

   モノ発想でいけば、時計は時計屋さんで、本は本屋さんで、酒は酒屋さんで、という
   チャネル(販売拠点)で売られてきました。

   そして、タテ割りの業界別に、生産者問屋小売店とうい流通ルートが確固として
   できています。

   なぜそうなったかというと、「業界の都合」と「会社の都合」に合っていたからです。

   生産者はモノを作るだけ、問屋(卸売業者)はモノを集めて流すだけ、小売店は流れて
   きたモノを店頭に並べるだけでよかった。

   誰も販売なんかしていません。

   「販売なくして事業なし」とはいいますが、生産者も問屋も、そして小売店も、販売は
   やっていないのです。

   作る、流す、並べるという役割分担を担っていただけにすぎません。

   販売とは、意味のある体験を提案することで、気づいていないニ−ズを気づかせる
   ことです。

   そんなことは誰もやっていません。

   やる必要がなかったのです、今までは。

   生産者は売れ筋をいかに効率よく作るか、問屋は売れ筋をいかに効率よく流すか、
   小売店は売れ筋をいかに効率よく並べるか、それだけを考えていれば経営を間違う
   ことはなかったのです。

   社会生活にモノがなかった時代、モノが不足していた時代はそれでよかったし、それが
   お客さんの都合にも合っていたのです。

   足らないモノ、不足するモノを買いたいお客にとって、どこで買えばいいかがわから
   ないでは困ります。

   花が欲しければ花屋さんで売ってるよと、明確に示しているからです。

   しかし、今や時代はモノ不足ではありません。

   むしろモノを手に入れてしまって、モノ余りの時代です。

   モノがなかった時代は、モノを手に入れることが目的でしたが、手に入れてしまえば、
   モノを買うことは目的ではありません。

   今やモノそれ自体は手段にすぎません。

   何の手段かというと、コトを実現するための手段です。

   意味のある体験をするための手段です。

   手段であるモノが主役ではありません。

   主役はコトです。

   意味のある体験です。

   お客は意味のある体験を手に入れるために、手段としてのモノを買うのです。

   逆に言えば、それしか他社に勝つ方法がなかったのです。

   しかし、規制緩和、自由化の波を受けた今はどうでしょう?

   今、あらゆる業界が「成熟化市場」や「少子高齢化」といわれ、それでモノが売れない
   ことの原因ように言われていますが、はたしてそうでしょうか?

   ただ言えるのことは営業マンだけが頼りであった時代は終わり、商品・サービスに関
   する情報量は、お客様の方が多いと認識すべきでしょう。

   様々な負の要因があるでしょうが、すべての顧客が買い控えているわけではありま
   せん。

   欲しいお客さんはいるのです。

   ただし、今までの経済が右肩上がりの時代のように、体に汗を流すだけでは売れない
   時代になったことだけは確かです。

   シーズンごとに向こうからやってくるチャンスに、顧客と直接面談しなくても接触(顧客
   との関係を深める)は数多くあるのです。

   お客様(見込み客)・顧客の購買タイミングに向けて販売促進していくマーケティングを
   抜きに増収は望めません。

   競合他社(店)との差別化は営業会社にとっての緊急課題です。

   勝ち残るためのキーワードはまさしく「差別化」しかありません。
   
   しかし、「差別化」という言葉だけが踊るだけで、どのような対策を講じているのか、
   はなはだ疑問ではあります。

   大多数が業務の改革・改善はできておらず、今までのやり方を継続しているだけでは
   ないでしょうか?

   確かに業界のシステム化は急速に進歩してきていますが、それは取引相手を主体と
   した保全管理に限定され、顧客管理までには至っていません。

   営業会社にとって優先課題であるデータベースマーケティングが欠けているのです。

   簡単に言えば、業務のやり方(社内業務の標準化、営業を狩猟型から農耕型)へ変え
   ることです。

   狩猟型営業は成約すると次から次へと狩場を変えていく、刈り取り型ともいえます。

   一方、農耕型営業は畑に種(見込み客開拓)を蒔き、水・肥料(ニーズ喚起)を与え
   果実(新規顧客)に育てていくやり方です。

   農耕型営業を実践していくには、商品の特徴を主体とした売り方から、お客様が成約
   後に得られる利益(メリット)を中心にした売り方に変えていくことです。

   「特徴」は、商品自体の優位性(その商品が持っている特長で、他の商品には無い
   際立った性能や機能)をいいます。
   
   「利益」は、お客様が最終的に手にする満足感やメリットをいいます。

   あなたは自分が何を売っているか、明確に理解することです。

   決して扱い商品を売っていると考えないことです。

   あなたの扱う商品は、あくまでも手段であって、お客様が最終的に得られる利益を   
   どれだけ分かりやすく伝え、売ることができるかが重要なポイントということです。
    
  □専門化と付加価値

   多くの営業会社が、自社を○○業と思い込んでいる。

   だから、同業他社と同様のサービスしか思いつかない。

   これでは、周囲に埋没しこそすれ差別化どころではない。

   お客様は基本的な疑問を抱いている。

   あなたと取引すべき理由は何か? 

   あなたがよそと何が違うのか? 

   「口ではああいっているけど、あなたに取引を切り替えることで、前の会社より対応が
   悪くならないだろうか」、「そんなリスクを考えるなら、今までのところでそのまま続けた
   方が気が楽だ」。

   お客さんは頭の中で、こんな値踏みをしている。

   結果的に、「どこも同じだろう」と頭の中で考える。

   お客さんの言ってることが正しい。

   感心も感動もさせられない会社なんて、どこも同じである。

   差別化をするのにお金は掛からない。

   要は、他社(店)がやらないことをやればいいのです。

    ・名刺(電話番号は大きく、裏面も活用)

    ・会社案内(売り手視点から顧客視点に立った内容)

    ・NL(ニュースレターの発行)

    ・ハガキ(礼状、四季のあいさつ、クレームに対し)

    ・顧客にとっての有益情報(業界情報、新聞の記事切り抜き)

    ・創立記念お祝い、社長のバースデー

    ・異業とのアライアンスにより、顧客の問題解決へのサポート

   これらのなかで、1つでも継続実行していることがあるだろうか?

   同業他社(店)と徹底的に差別化していくには商品ありきの提案していくには困難極
   まりない。

   必然的に切り口(ニーズ喚起)商品が必要となる。

   切り口商品で提案することで、商品に付加価値が付き、売り手側主導で値決めが
   できるのです。

   あなたが同業他社(店)と競合しないためには、どこにもまねのできない得意分野を
   持つことです。

   同業他社(店)が真似できない商品企画を専門家とアライアンスを組むことで、顧客
   から専門家と認められる。

   このことは重要です。

   あなたの得意分野で専門化し、お客様にメッセージとして伝えることで、存在価値を
   認知してもらい、専門化したものを商品として提供し、お客さんからの感謝と感動を
   得ることです。

  □差別化のためのポイント

   ・あなたの商品は同業他社(店)と何が違うのか

   ・あなたのマーケット(市場)はどこか

   ・あなたの商品が同業他社(店)より売れ続けるためにはどうしたらいいか

   ・あなたの強み(同業他社(店)がまねできない)はなにか

   ・あなたはマーケット(市場)のどの客層を対象にするのか

   ・形のない商品を知覚化(記憶に残る)させるためにはどうしたらいいか

   ・あなたの商品の効用はなにか(商品の特徴ではなく、あなたと契約すると
    どんなメリットがあるか)

   ・商品を知覚化させるために商品を具現化させる(記憶に残る商品名)

   ・あなた(商品)を提案するためにどうするか

   ・販売コストを抑えるためにどうするか(常に費用対効果を計算する)

   ・あなた(自社)のブランドを構築するにはどうしたらいいか


  以上を参考に、あなた独自のマーケティング計画を立ててみて欲しい。

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「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
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