歯科医院経営とマーケティング

           

歯科医院経営とマーケティング


  ■歯科医院の動向

   現在、歯科業界は構造不況業種の一つとされており、業界内の競争が年々激しさを増して
   います。

   歯科医師は毎年約2,000人近く増加し続けていますが、歯科医院の多くが個人事業主であり、
   定年による引退がないので歯科医院は増える一方です。 

   しかし日本の人口は減少傾向であることを考えると、患者数が増えるということは考えにくく、
   増え続ける歯科医師が患者を奪い合うという状態が今後も続くことになります。 

   2017年度の歯科医院の倒産数は20件で、前年度と比較して81.8%の増加となりました。 

   厚生労働省の調査によると、2017年時点では歯科医院の数は68,940件となっています。

   コンビニの店舗数は5万5322軒(日本フランチャイズチェーン協会調査17年12月末)で、
   コンビニの数より多い状況です。 

   平成28(2016)における全国の届出「歯科医師数」は104,533人で、「男」80,189人
   (総数の76.7%)、「女」24,344人(同23.3%)となっています。

   平成28年届出歯科医師数を前回と比べると561人、0.5%増加している。

   また、人口10万対歯科医師数は82.4人で、前回に比べ0.6人増加している。 

   1日当たりの患者数は95年以降減少頼向にある一方、歯科医院数は増加しており、限定された
   マーケットの中で歯科医院が増加し、医院間の競争が激化している状況にあります。

   そのために、各医院では他院との差別化を図ることができるように、

    ・ターゲットとなる患者層の明確化

    ・自由診療の増大

   など、来院者の増加と診療単価アップのための対策に苦慮しています。

  □歯科医院経営のポイント

   歯科医院経常のポイントは、医業収入の拡大、維持という観点から次の2点が考えられます。

    1.患者の獲得と固定化

    2.診療単価の向上

   1.患者の獲得と固定化

    患者の獲得と固定化を図る場合、通常以下のステップに分けて対策が行なわれます。

     a.自院を知ってもらう

     b.再び自院に来院してもらう

     c.他の患者を紹介してもらう 

    a.自院を知ってもらう

     広く地域住民に自院が存在することを知らせると同時に自院に対する好ましいイメージを
     もたせ、来院を促すような広報活動を展開することが必要です。

     ただし、広告宣伝を行なう場合、医療法において、

      ・歯科医師であること

      ・診療科名

      ・名称、電話番号および所在地

      ・歯科医師の氏名 

      ・診療日と診療時間

      ・入院設備の有無

      ・紹介をすることができるほかの病院または診療所の名称

      ・診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することが
       できる旨

      ・その他厚生労働大臣の定める事項

     以外は広告をしてはならないことになっています(*)。

     したがって広告のみで、好ましいイメージをもってもらうような十分な告知活動を行なう
     ことは容易ではありません。

     そこで、 

      来院を促すために、

      イベントの開催(来院患者だけでなく、広く地域住民にアピールする
      イベント)や院内報の発行などを積極的に行なうことも検討きれた
      ほうがよいでしょう。 

      *歯科医院には直接の影響はあまりありませんが、このほかにも「療養型
        病床群の有無」についても広告できるとされています。 

    b.再び自院に来院してもらう

     一度来院した患者の転院を防ぎ、再来院を促すには、患者との間に良好なコミュニ
     ケーション関係を築く必要があります。

     そこで、 

      患者の立場に立った臨機応変の応対を行なうことで、
      患者の安心感と満足度を高めることができるよう、
      スタッフ教育に注力する必要があります。
      また、治療方針、治療手順に関して
      患者に十分納得してもらうように説明することを心がけるようにしましょう。 

     さらに、患者を維持・確保する方法として、リコールを積極的に行なうことも大切です。 

      リコールは、患者と継続的にコミュニケーションを図り、
      自院の固定患者となってもらうための有力な手段です。 

     具体的には、治療終了後にハガキを出すことにより、定期健診を促すことになります。

     定期健診が実現することで、歯科医院にとっては患者の固定化が可能となり、また患者に
     とっては虫歯を早期に治療できるというメリットが生じます。

    c.ほかの患者を紹介してもらう

     自院のことをほかの患者に紹介してもらえるまで、患者の固定化を進め、地域の患者は
     確実に自院に吸収するシステムを作り上げることがここでの狙いとなります。

 

      新規患者の大部分は、
      近隣の評判や友人・知人の紹介などによって、
      どの歯科医院に行くかを決めていると考えられますので、
      口コミでの評価を高めることが望まれます。 

     たとえば、自院の親派団体をつくり、そこに所属する患者を確実に自院に吸収するような
     仕組み作りを行なうことが考えられます。

     そのための有効な方法のひとつが、「おやつ教室」「歯周病の予防」「歯のかみあわせと健康」
     などをテーマにした「イベントの開催」です。

     具体的には以下に記すような団体を対象に実施することが考えられます。

      ・保育園、幼稚園、学校

      ・子供会、婦人会、老人会

      ・スポーツクラブ、カルチャーセンター

      ・病医院(一般医科)

      ・一般企業、金融機関

      ・理美容院、エステティックサロン

      ・経営者グループ(JC、ライオンズクラブなど)  

     ただし、「イベント開催」を行なう場合の留意点として、 

      アピールすべき医療技術サービスなどがなければ、
      単なる「客寄せ」として受け取られ、
      逆にイメージダウンとなるリスクがあるということが挙げられます。

   2.診療単価の向上

    競合関係が激化するなかで勝ち残り、収益を拡大していくには、前述した「患者の獲得と
    固定化」を進めると同時に診療単価をアップしていく方法が考えられます。

    診療単価を上げるひとつの方法として、自由診療を増やすことがありますが、この時に
    注意すべきなのは、「保険では診てくれない」という誤った認識を患者に与えないように
    配慮しなければならないという点です。

    そのためにも 

     「保険の枠内では十分な治療ができない」ということを
     患者の納得がいくまで十分に説明することが必要です。

  □歯科医療のマーケティング 

   ラーメン屋さんも天下のアマゾンもお客様がいなければ倒産してしまいます。

   今までは黙っていても患者(お客)さんが来てくれました。

   しかし、少子化・患者ニーズの多様化・医院の増加さらに2002年に予定される抜本的
   医療改革等、歯科医院経営は一般ビジネスと何ら変わらないれっきとしたサ−ビス業です。

   これからの歯科医療経営は大きな節目となり規制緩和が進み、自費治療分野にアメリカ資本
   の導入、国内企業の参入により低価格の自費診療の普及など生き残りをかけた戦国時代の
   到来は必至であります。

   グローバルスタンダードの流入に対応していくためには「ドクター中心の医療」から「患者中心の医療」
   というマーケティング力の強化が急務ではないでしょうか。 

   貴院では下記事項を理解し、対策を講じているでしょか?

    ・うちは最新の技術・設備があるから大丈夫?

    ・「患者」としてではなく「お客」として接しているか?

    ・中断患者の再来院の促進は?

    ・貴院の強みは?

    ・スタッフの育成は?

    ・ドクター中心の医療になっていないか?

    ・患者(お客様)とのコミュニケーション(信頼関係)は?

    ・患者の不満で一番多いのは何?

    ・「おまかせ医療」から「納得の医療」へ

    ・患者のための会報誌は?

    ・貴院の特典は?

    ・院長の意識改革からスタッフの意識改革

    ・貴院に対する患者の不満足は

    ・患者一人ひとりに親切丁寧な治療説明をしていますか

    ・患者(顧客)満足はまずスタッフ満足から

    ・貴院のファンはどれだけいますか

    ・乳児対策は

    ・母子の囲い込みは

    ・治療のアフターケアは

    ・「痒いところに手が届く」経営

    ・患者(顧客)を生涯顧客にしていくための患者教育は

    ・コストをかけずに中断患者の再来院を促進

    ・「歯の治療」から「歯のケア」(ホワイトニングによる白い歯)

    ・貴院でできるテレマーケティングによる増患戦略

    ・患者(顧客)情報のデータベース化がされているか?

    ・DM・インタ−ネット(ホームページ)を活用してますか

    ・診療日時の見直し

    ・往診・患者の会

    ・来院者へのアンケートの活用

    ・院内環境は

    ・治療過程・薬・治療費等の説明が丁寧ですか

    ・インフォームド・コンセント

  □繁盛院の実践具体策 

   繁盛院は患者をお客様と理解し接しています。

   一般のビジネスと同じように患者のニ−ズとウォンツを把握し実践するためのマーケティング力
   を強化していかなければなりません。

   患者の不満で一番多いのは何かご存知だろうか。

   「何で一回の治療をチョコチョコやって何回も通院させるのか」お金儲けのためにやっている
   のではないかと思っている。

   この治療行為がなぜ必要なのかの説明不足からである。

   また、40代以上の患者は理解し納得しなければ治療を受けたくないないという人が多い。
   (言わないのは遠慮か、我慢してるだけ)

   赤ちゃんのいるお母さんが歯医者さんに来れない理由は、子育てが大変でという理由より、
   歯医者さんに迷惑がかかるという不安からである。

   このように歯科医院内の一人ひとりが患者の立場に成り代わってどうしたら喜ばれ、感謝される
   かを院内のミーティングで徹底的に討議し、実践していくことが勝ち組みになる必須条件です。

  □「名医の条件」

   ある歯科医は治療に来た患者に必ず日曜日に電話をするそうです。

    「その後、歯の具合はいかがですか?」

   たったこれだけのことで、この歯科医院は予約で満杯です。

   技術や設備において、どの歯科医院も大差はありません。

   来院者を「患者」として捉えるのではなく、「お客様」として接することが差別化に繋がる事例です。

   残念ながら、私自身はそのような歯科医院に出会ったことはありませんが、もしもそのような
   対応をされたなら、私は一発でファンになります。

   更に、そこで良好な人間関係・信頼性が生まれれば、虫歯が完治していたとしても、たとえば
   歯のクリーニング、あるいはホワイトニングといった、スポットのニーズを顕在化できるかも
   しれません。

   当然、リピーターになるでしょうし、友人にも紹介しますよね。

   ぜひ、あなたも、組織として、このような「仕組み」づくりをしてみてください。

   貴院のサービスをいったん利用したら、二回目以降は、必ず他院ではなく、あなたから
   サービスを受けたくなるはずです。

 

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医療機関のコストダウン

               

 

医療機関のコストダウン

  ■医療機関におけるコストダウン

   病医院を取り巻く経営環境が厳しくなるなかで、

    ・より多くの患者を集めるために資金を投入して院内環境の整備を行なうこと

    ・無駄な経費を減らして効率的な運営を行なうこと

   が病医院に求められています。

   患者サービス向上が重要視されている現在、病医院においては、コストダウンと
   同時に、集患のためにサービスの質を高めることが必要になります。

   病医院のコストのなかで大きな割合を占める項目には、

    ・人件費

    ・材料費

    ・委託費

    ・減価償却費

   があります。

   患者1人あたりの医療従事者数を増加させれば提供できるサービスの質を上げ
   ることはできますが、たんに人員や業務量を増やすのでは人件費の負担が重くな
   るばかりです。

   また、緊急の場合に備えてあらゆる備蓄品を整えておくようにすれば材料費がふ
   くらみ、過剰な在庫を抱えることになりかねません。

   近年では院内の一部業務を外部委託することで患者のアメニティーの充実と人
   員減を図っているところもみられますが、一方で委託費は増大することになります。

   このように、医療機関においてコストダウンの問題を考える場合には、

     その経費を使うことで、どの程度の収益増(患者獲得)につながるか
     という費用対効果のバランスを考えながら検討する必要があります。

  □業務改善によるコストダウン

   医療業は、収入に占める人件費の割合が高い労働集約型の産業です。

   したがって、残業手当やパートタイマーの給与の削減につながる業務の改善は、
   大きなコスト削減効果を期待できます。

   業務の改善を実現するためには、職員のミーティングの場で業務を見直し、次の
   ような視点から無駄を排除するための対策を検討していきます。

    ○不要業務の廃止・省略

     現在の業務の洗い出しを行ない、必要のない業務については、定例業務から
     はずす。 

     ただし、その業務が急に必要となったときは、いつでも要求に応じられるような
     体制だけは整えておく。

    ○簡素化

     定例業務をたえず見直し、短時間でできるよう、業務の簡素化を図る。

    ○OA化の推進

     各種業務にパソコンや一連の事務機器を活用しOA化を図る。

     また、そういった機器を使用して必要情報の共有化を図り連絡・打ち合わせの
     時間を短縮する。

    ○平準化

     1日、1カ月の業務計画を作成し、一時期に業務が集中しないよう、可能な限り
     平準化を行なう。

     どうしても業務が集中してしまう時期には相応の対策(パートの確保など)を検
     討する。

    ○統合化・集約化

     業務の重複がないよう、統合化・集約化を図る。

   ただ、注意しなければならないのは、

    あくまでも無駄な業務は排除するものの、
    患者へのサービスは向上させなければならないという点です。
    効率的に業務を行なうことで生じた時間を
    患者サービスのために振り分けることも大切です。

  ABC分析による在庫管理

   病医院において、人件費の次に医業費用に占める割合の高い項目が材料費、と
   くに医薬品費です。

   そこで、比較的容易に実施できる効果的な在庫管理手法として、ABC分析による
   在庫管理を紹介します。

   1.ABC分析の効果

    A B C分析による在庫管理は、

     ・比較的やりやすく、失敗することが少ない

     ・すでに導入している病医院も多く、効果が確認されている

     ・「小さな努力で大きな成果」を得ることが可能である

    と評価され、医薬品などの材料の在庫費用を圧縮することが可能になります。

    2.ABC分析の方法

     AB C分析の方法は、在庫品をA、B、Cの3つのグループに分け、それぞれに
     応じた管理を行なうことによって管理コストの低減を図るものです。

     具体的な導入の仕方を紹介します。

      (1)全医薬品について、「購入単価×購入数量」によって購入金額を算出する。

      (2)購入金額の多い順に、品目名と購入金額を並べた一覧表を作成する。

      (3)一覧表の上から順に購入金額を合算し、その額が総額の70%を超えた
        ところでやめて、そこまでの品目をAグループとする。

      (4)その次の品目から、上記と同様に合算し、その額が総額の20%になっ
        たところでやめ、そこまでをBグループとする。

      (5)残りの品目をCグループとする(A、B、C各グループの品目の割合は、通
        常、Aが10%、Bが20%、Cが70%程度になる)。

      (6)この分析が終わったら、ABC各グループごとの管理方式を定める。

         Aグループ…品目数は少量だが消費金額の高い医薬品のグループ。
                  Aグループの医薬品については、最低量にまで在庫を
                  圧縮すると同時に、在庫切れを起こさないよう、在庫
                  管理を徹底する。

         Bグループ…中程度の価格の常備医薬品がBグループに属する。
                 Bグループの医薬品については、適正な在庫量や
                 購入のタイミングなどを定めて管理を行なう。

         Cグループ…購入金額は低額だが属する品目数の多いグループ。
                 適正な在庫量の把握、期限切れ品の発生などには
                 留意する必要があるが、AグループやBグループに
                 比べ、 緩やかな管理を行なう。
                 大量購入による値引きを期待することができる。

     以上のことを実行すれば、無駄のない医薬品管理ができ、コストダウンにつな
     げることが可能になります。

  □その他のコストダウン策

   その他の日常業務におけるコストダウンの方法としては、次のようなものがあります。

    ○運搬・歩行のアクションロスをなくす

     ・運搬そのものをなくすよう検討する

     ・運搬業務を簡素化する

    ○パフォーマンスロスをなくす

     ・訓練・指導の徹底により職員の能力向上を図る

     ・誰にでもできる方法に変える

    ○単位別コストを把握する(1人1時間あたりの人件費・1平方メートルあたりの
     スペースコストなど)

    ○院内業務の外注化を検討する

     ・外部委託することで明らかに院内アメニティーが向上するものや人員
      削減につながる業務ほ外注化を検討する。
      その際には事前に費用対効果について十分に検討を行なう

     ・外部委託業者を選定する際には、ほかの病医院から情報を収集する、
      医療関連サービスマーク(*)取得業者を選ぶなど慎重な態度で臨む

      *医療関連サービスマーク

       在宅酸素供給装置(濃)保守点検サービス・滅菌消毒サービス・寝具類
       洗濯サー ビス・患者給食サービス・患者搬送サービス・院内清掃サー
       ビス・検体検査・医療用ガス供給設備保守点検サービスなどを営む
       業者のうち、ある一定の基準を満たしている事業者に対して医療関連
       サービス振興会が交付するマル適マーク

    ○医療機器などの使用状況を確認する

     ・現在、院内にある医療機器が有効に利用されているかどうかを再度確認
      して無駄な機器をなくすようにする。
      あるいは有益な活用法を考える

     ・新たな医療機器を購入する際には、投資額に見合うだけの効果を十分に
      検討してから行なう(リースにする際にも同様の検討が必要)

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選ばれる医療機関の気配り接遇マナー

             

選ばれる医療機関の気配り接遇マナー

  医療機関に対する患者の不満の原因はさまざまです。

  大別すると、医療そのものに対する不満、人的サービスに対する不満、次に、施設
  アメニティなどの物的サービスに対する不満、などに分けられます。

  また、患者が病院を選ぶ判断基準には、以下のようなものがあります。

   患者が病医院を選ぶ判断基準

    @家から近く交通が便利(通院アクセス)

    A医療設備が良い

    B医療技術(医師の能力)が良い

    C医師や看護師が親切

    D地域での評判が良い

    E清潔な施設環境

    F信頼できる(話をよく聞く、よく説明する)

    G待ち時間が少ない

    H治療費が安い

    I救急体制が完備

    J駐車スペースが広い

    K食事がおいしい

  これは、都市圏の大病院を対象にアンケート調査を実施したものですが、ここでは
  通院アクセスの問題は別として、医療設備や技術への関心、待ち時間の問題と同
  程度に、応対や接遇に関するもの、つまり、病医院スタッフが親切で、話をよく聞い
  てくれることに対して高い関心を示していることがわかります。

  要するに、患者さんと多く接触する医師やスタッフの対応の仕方そのものが、病院
  選びの大きなファクターとなっているわけで、病院スタッフの患者さんに対する接遇
  の良し悪しは、医療サービス業としての病院経営のあり方として、重要なテーマで
  もあるわけです。

  病医院を訪れる患者さんは、他の業種とは異なり、サービスを享受する消費者とし
  てのお客様ではありません。

  あえて言うなら、不安や迷い、苦痛や悩みを抱え、やむを得ずに訪れてきた弱者です。

  昨今、言われている医療サービスにおける「患者=顧客主義」については、あくま
  でその一面を表しているに過ぎません。

  つまり、医療機関での接遇は、患者さんが一種の弱者であることを認識して、思い
  やりや労わりの心を持ち、きめ細かな気配りを前提として成立しなければなりません。

  すなわち、医療機関での接遇とは、気配りに始まり、気配りに終わるといっても過言 
  ではありません。

  ■接遇や応対のあり方とは

   前述の通り、患者さんへの接遇マナーは、医療機関という特殊性を考慮しても、
   患者サービスの原点と言えるものです。

   次に、その基本的なポイントを挙げてみます。

   1.望ましい接遇マナーあり方

    (1)相手の立場に立って、話を良く聞く。治療への橋渡しをする意味で、相手の 
      話の腰を折ったり、誘導したりしないこと。

    (2)誰にでも平等に共通の応対を心がける。それが結果的に相手に安心感を
      与えることになる。

    (3)敬語はほどほどにする。あまりにもいんぎんな態度は患者さんの気持ちを
      硬化させることになりかねない。

    (4)いつでも変わらない平静な態度を保つ。スタッフの態度が急変すると患者
      さんの不安が増す。

   2.キーワードは3つのS

    (1)いつも笑顔を絶やさない応対「Smile」を絶やさない

    (2)動作は機敏にテキパキと応対する「Speedy」に行動

    (3)いつも誠実な応対を保つ「Sincerity」を心のなかに

  □接遇マナーにおける気配りの具体例

   医療機関では、患者さん以外にも、ご家族や親戚、見舞い客、さらには仕事上の
   関係者など、さまざまな人々が来院し、そこで職員との接触が繰り返されます。

   接遇マナーにおいても、ちょっとした気配りで、コミュニケーションが円滑になります。

   その事情は、医療の現場においても変わりません。

   ここでは、各部門や診療現場における気配りのある接遇のあり方を具体的に列
   挙してみます。

   1.受付での対応

    (1)来院された方には全てこちらから先に声をかけるようにする。

      患者さんのプライバシーを守るため、質問は口頭で行わず問診表を使って行う。

    (2)受付に手間取る場合は、放置しないで事前にその事情を伝えて、了解して
      いただく。

      その後で患者さんを呼ぶときには「お待たせしました」の一声をかける。

    (3)職員同士の私語は慎む。

   2.待合室での対応

    (1)患者さんへの目配りを忘れず、常に一声かけるなどして、患者さんの気持ち
      をやわらげるように努める。

    (2)診察の順番間違いは極力なくし、起こったときは素直に謝罪する。

    (3)待合室の備品(新聞、雑誌等)は整理し、テレビなどの音量にも配慮する。

    (4)待合室は禁煙(又は分煙)とする。

   3.診察室での対応

    (1)医師や看護師は自らの氏名を名乗ってから、診察に入ることを基本とする。

    (2)長時間お待ちになった患者さんだけでなく、全ての方に「お待たせしました」
      の挨拶が必要。

    (3)インフォームドコンセントは判りやすく、できるだけ専門用語は使わないよう
      に、できれば図表などを活用して説明する。

    (4)患者さんへの支持は命令するのではなく、患者さんの自己決定を促すよう
      にしていく。

    (5)スタッフ同士の私語は、診療に関わる事柄以外は一切禁止する。

    (6)説明するときは必ず患者さんの顔と向き合い、患者さんの心の状態も観察
      するようにする。

   4.検査室での対応

    (1)検査に来られた患者さんには、事前に検査の内容を説明し、不安を除くよう
      に努める

    (2)採血や侵襲のある検査の場合などは、手順や苦痛の程度を詳しく説明しておく

    (3)検査が終わった患者さんの状態を観察し、介助が必要な場合は適切に付き
      添い等を手配する。

   5.会計部門での対応

    (1)医療費明細や領収書を必ず発行し、質問があれば丁寧に説明する。

    (2)診療報酬制度が変わったときや、自己負担が変わったときは、その内容を
      その場で説明する。

    (3)「お待たせしました」「お大事に」などの挨拶の基本動作は、ひとりひとりに徹
      底しておくこと。

   6.その他

    (1)院内表示はわかりやすく、色分けなどして、数ヶ所に表示する。

    (2)病院の入り口付近に総合案内を必ず設けておく。

    (3)掲示物等は患者さんの目線の位置に配置し、文字もできるだけ大きくしておく。

    (4)薬袋や診察券などは、用途や診療部門に応じて色分けするなどして、使い
      やすくなるように配慮する。

   上記のような工夫や気配りは、接遇以前の配慮でもあります。

   しかし、患者さんは職員の態度や応対だけでなく、来院して診察を受け、帰るまで 
   のすべての印象から、その病医院の接遇のあり方を判断するわけです。

   経営者は教育だけでなく、医療環境全てが接遇の良さに繋がることを充分に理解
   する必要があります。

  □接遇教育のポイント(良いスタッフの資質や条件)

   最後に接遇マナーの向上を図っていく上で、スタッフに求められる条件(資質)を
   まとめておきます。

   これは、接遇教育を行っていくための目標設定と能力判定の評価項目としても大
   切なポイントでもあります。

   職員やスタッフの接遇の良さは、その場しのぎであってはなりません。

   そのためには継続的な教育研修の徹底により、人材育成を図っていく必要があります。

   その指針として、以下のような活動が日常的に実践されていることが重要になります。

    @接遇マニュアル等により、院内コミュニケーション・スキルの共有化を
      図っていく。

    A定期的な教育研修のなかで、接遇や患者対応の問題も改めて評価し、
      再検討していく。

    B上司や指導者が身をもって規範となり、患者対応の基本動作を周知
      させていく。

    C 接遇や患者対応のよい職員への評価(顕彰規定や査定基準)を明確
      にして、職員の意識を啓発していく。

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病医院における事業承継

           

病医院における事業承継

  ■後継者問題

   1.後継者育成

    厚生労働省の調べによると、最近の開業医の平均年齢は60歳を超えており、
    世代交代の時期を迎えてきています。

    しかし、親の病医院を継いで資金繰りや人材難を抱えながら忙しく働くより、最
    新設備の中で研究しながら働く勤務医でいることを希望する医師も数多くいます。

    親の病医院を承継する医師は勤務医全体の20%程度にすぎません。

    そこでまず、若い医師が承継したいと感じるような魅力ある環境づくりを行なうこ
    とが電要です。

    開業医院の存在価値とは、

     ・地域密着型のケアができる

     ・診療時間などフレキシブルな対応ができ、患者さんと深くおつき合いできる

     ・「○○病院」というのではなく、「○○先生」という信頼関係のもと、指名を
      受けることができる

    などがあげられます。

    高齢化社会が進むなかで、今後はさらに医療ニーズが増加するとともに、地域
    医療の大切さが求められていることも考える必要があります。

   2.事業承継の時期と引き継ぎ

    (1)時期

      病医院を承継する時期は、後継者の管理能力や育成期日などを考えて決定
      することになります。

      後継者の見習い期間として、一般的には3〜5年は必要といわれています。

      また、事前に後継者と院内職員との間で意思の疎通を図っておくことが望ま
      れます。

    (2)引継ぎ

      承継の成功ポイントは院長についている患者を自然に後継者へと移行させ
      ることです。

      そのために、院長見習い期間は院長と後継者が一緒に診療を行なうようにします。

      後継者のために別の診察室を設けるのではなく、従来からある診察室を2つ
      に区切るなどの工夫をし、並行して診療することが大切です。

      診療時間帯や曜日が極端に異なることもないようにします。

      院長と後継者が一緒に診療することで、院長の診療の仕方や患者との上手
      なコミュニケーションの取り方、薬剤の投与(院長の処方)の仕方などを後継
      者が引き継ぐことが可能になります。

      このような方法で承継を進めれば、患者にとっても抵抗が少なく、自然な形
      で承継を行なうことができます。

      後継者へ事業を譲る時期が決定したら、後継者が中心となって病挺院経営
      の改善を行ないます。

      その際のポイントとして以下の4つが挙げられます。

       ・後継者をメインに病医院の事業の見直しを図る

       ・病医院の特性づくりと差別化対策を検討する

       ・病医院の管理体制の確立と組織の活性化を推進する

       ・上記の項目を実現するための経営計画を策定する

  □相続税対策

   1.相続税対策の必要性

    事業の承継にあたっては、高額な相続税を納税する義務が生じる可能性があります。

    さらに、留意しなければならないのは、2次相続が発生して、再度高い相続税を
    支払う可能性があるということです。

    納税は、原則として現金で行ないます。

    一般に不動産が遺産の70%程度を占めることが多く、納税資金をつくるために
    は不動産を売却しなければならないこともあります。

    ところが、不動産の売却については、譲渡益に税金がかかります。

    納税したら何も残らなかった、ということにもなりかねないのです。

    このため、事前の相続税対策が必要となってきます。

   2.相続税対策とは

    (1)相続税対策とは、次の2つのことを指します。

    (2)相続税の節税

      相続税は、事前に対策を打っておく必要があります。

    (3)納税資金の確保

      相続税は、原則現金で納めますので、金融資産がない場合は、不動産を
      売って相続税の納税資金にあてざるをえなくなります。

      不動産を売るとさらに譲渡所得税が課されます。

      したがって、その分も考慮して納税資金の確保をしなければなりません。

   3.相続税対策の方法

    (1)金銭贈与

      これは、非課税あるいは軽い税負担で相続人や相続人以外にも贈与してい
      くというものです。

    (2)生前贈与

      生前贈与を有効に行なうためのポイントをご紹介します。

       @より低い税率が適用されるよう贈与を行なう

         節税の基本は、税率の低い税法の適用を受けることです。

         生前贈与で節税を行なうためには、まず、相続財産の総額と法定
         相続人の数、あるいは配偶者の有無などから、具体的に納付
         すべき相続税を算定し、総遺産にかかる相続税の割合を算定し、
         この割合よりも低い税率が適用される範囲内で贈与を行なう必要が
         あります。

       A贈与税の基礎控除を十分に活用する

         贈与税の基礎控除となる金額(110万円)を十分に考慮し、
         できれば、数年かけて分割して贈与する形をとるほうが良策と
         なります。

       B現金で贈与せずに物で贈与する

         時価1千万円の建物を贈与しても一般的には、現金l千万円を贈与
         したときほどの贈与税はかかりません。

         なぜならば、固定資産については、相続税の評価額が時価よりも
         低くなる場合が多いからです。

       C価格の下がらない物を贈与する

         相続税対策として、生前贈与を行なう場合は、長期的にみて値上がり
         の可能性の高い物を贈与するのが得策です。

       D贈与税の配偶者控除を活用する

         婚姻期間が20年以上の配偶者に対する、居住用の不動産もしくは
         その購入資金は、一定の条件のもとで、特別控除(2千万円まで)が
         認められています。

       E贈与の証拠を残す

         贈与をした証拠を残すためには、基礎控除を超える贈与を行なって、
         贈与税の申告をし、贈与税を納めることが有効となります。

       F相続時精算課税制度を利用する

         平成15年1月1日以後、65歳以上の親から20歳以上の子に対する
         贈与については、相続時精算課税制度が選択できます。

         これを選択した場合、複数年にわたり通算2500万円までの贈引こ
         ついて、贈与税はゼロになります。

         よって、次世代への資産の移動が加速されることが期待されます。

         しかし、この相続時精算課税制度は相続時まで継続して適用され、
         一度選択をした場合変更することができませんので、細心の注意が
         必要です。

         この制度は、相続時に、生前に贈与した資産も相続財産に含め相続
         税額を計算し、すでに支払った贈与税額を控除することによって、
         生前の贈与税と没後の相続税を一体化させることになります。

         そもそも保有資産額が相続税計算の基礎控除額の範囲内である
         場合には、この制度を活用するべきです。

         なお、相続時には、贈与時の価額で相続財産に含めることになります。

         つまり、贈与対象財産が次のような場合には、相続時精算課税制度
         の利用を検討する余地があります。
 
          @将来価額の上昇が期待できる場合

          A収益を生み出す資産、たとえば、賃貸用マンションや配当が
            期待できる株式等である場合

   4.生命保険の利用

    生命保険を利用した相続税対策としては、「生命保険金を納税資金に充当す
    る」という方法が考えられます。

    これは、「相続財産が家と土地しかなく、相続税が払えない」というような事態に
    備えて、相続発生時の相続額を予想し、それ以上の保険金となる契約に加入し
    ておき、保険金を納税資金にする方法です。

 

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社会福祉法人の設立

           

社会福祉法人の設立

  ■社会福祉法人の要件

   1.社会福祉事業

    社会福祉事業は、社会福祉を目的とする事業のうち、規制と助成を通じて公明
    かつ適正な実施の確保が図られなければならないものとして、事業内容が法律
    上に列挙されています。

    また、その事業内容は、社会福祉法により、「第一種社会福祉事業」と「第二種
    社会福祉事業」に分かれています(詳細は、「社会福祉六法」をご覧ください)。

    (1)第一種社会福祉事業

      利用者への影響が大きいため、安定した長期経営の必要性が高い事業。

       例:救護施設、児童養護施設、知的障害者福祉ホーム、身体障害者療護施設、
         介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、軽費老人ホームなど

    (2)第二種社会福祉事業

      比較的利用者への影響が小さいため、公的規制が低い事業。

       例:保育施設、適所介護(デイサービス)、訪問介護(ホームヘルプサービス)
         知的障害者デイサービス事業、身体障害者短期入所事業など

   2.社会福祉法人の設立

    社会福祉法人は、福祉という公共性の高い事業を行うことを目的として設立さ
    れるもので、通常の公益法人に比べて規制が厳しくなっています。

    社会福祉法人の設立にあたっては、厚生労働省の定める社会福祉法と合わせ
    て、社会福祉法施行令、社会福祉法施行規則により、以下のような条件を満た
    す必要があります。

    <組織>

     理事は、6名以上(法律では3名以上)※

     監事は、2名以上(法律では1名以上)※

     理事には、社会福祉事業について知識・経験をもつ者、地域の代表者
     および法人の経営する施設の長を参加させること。

     関係行政庁の職員や実際に法人運営に参画できない者を名目的に
     選任することは適当ではなく、親族等の関係にある者の選任についても
     制限されている。 

     なお、入所の要件が地方公共団体の長の措置委託によらない施設を
     経営しようとする場合には、評議員会を設置すること。

      ※社会福祉法で定員の数が定められていますが、平成12年に各都道
        府県知事あてに通知された「社会福祉法人審査基準」では、上記の
        ようにより厳しい条件が提示されています。

    <資産>

     事業を行うのに必要な、4種類の資産を有すること。

      ・基本財産(土地や建物など)

      ・運用財産

      ・公益事業用財産

      ・収益事業用財産

     また、事業のために必要な物件について、施設を経営する法人は、所有権
     を有しているか、国もしくは地方公共団体から貸与または使用許可を受け
     ている必要があります。

     一方、施設を経営しない法人については、原則としてl億円以上(委託費
     などで安定した収入が見込める場合は、所轄庁が認める額)の基本財産
     を有していなければなりません。

    <所轄>

     所轄庁は、都道府県知事または、指定都市もしくは中核市の長でなければ
     いけません。

     しかし、その行う事業が2以上の都道府県の区域にわたったうえで、かつ
     1つの地方厚生局の所管内の場合は、地方厚生局長、2以上の地方厚生
     局にまたがる場合は厚生労働大臣が所轄庁となります。

     法人事務所の所在地と施設の所在地は原則として一致していること。
 
    <補助金>

     建設費や運営費に対して国・地方自治体から補助金を受けることができます。

     補助金については個々の条件によって異なってきますので、画一的な規定
     は作成されていません。

     また公共性が高いという特性上、設立の際には窓口となる都道府県庁等の
     担当課と事前に十分な相談を行ったうえですすめる必要があります。

  □設立手続き

   社会福祉法人の設立は、定款の作成、所轄庁による定款についての認可、設立
   の登記の3つの手続きを完了することによってなされます。

   また、設立の認可を受けたときは、財産目録に記載された財産の移転が終了した
   ことを証明する書類を添えて、所轄庁に報告しなければなりません。

   1.定款の作成

    社会福祉法人の設立にあたってもっとも重要なことは、設立者が法人の根本規
    範である定款を作成することです。

    定款には必ず次の事項を記載することが必要であり、そのいずれを欠いても定
    款は無効となります(これを「必要的記載事項」といいます)。

     一   目的

     二   名称

     三   社会福祉事業の種類

     四   事務所の所在地

     五   役員に関する事項

     六   会議に関する事項

     七   資産に関する事項

     八   会計に関する事項

     九   評議員会をおく場合には、これに関する事項

     十   公益事業を行う場合には、その事業の種類

     十一 収益事業を行う場合には、その事業の種類

     十二 解散に関する事項

     十三 定款の変更に関する事項

     十四 広告の方法

    定款の作成にあたっては、設立当初の役員を具体的に定める必要があります。

    また解散に関する事項のなかに残余財産の帰属者に関する規定を設ける場合
    には、その帰属者は社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから選 
    定されるようにしなければなりません。

    さらに社会福祉法人の設立者が上記の必要的記載事項のうち、二から十四ま
    での事項の全部、または一部を定めないで死亡した場合には、厚生労働大臣
    が、利害関係人の請求により、または職権で、これらの事項を定めなければな
    らないこととされています。

    以上のほか、定款には、所轄庁の認可を受けて所要の事項を定めることができ
    ます(これを「任意的記載事項」といいます)。

    ただし、任意的記載事項も定款に記載された以上、必要的記載事項と効力の差
    がなく、その変更については定款変更の手続きをする必要があります。

   2.認可申請

    (1)定款

      社会福祉法人の定款については、社会福祉法施行規則に定める手続きに
      より、所轄庁の認可を受けなければなりません。

      所轄庁はこの認可の申請があったときは、当該社会福祉法人の資産がその
      目的とする社会福祉事業を行うのに十分であるかどうか、その定款の内容
      および設立の手続きが法令の規定に違反していないかどうかを審査したうえ
      で、当該定款の認可を決定しなければならないとなっています。

    (2)設立認可申請書

      社会福祉法人の定款について所轄庁の認可を受ける際、定款とともに次に
      あげる事項を記載した申請書を所轄庁に提出することが必要となります。

       一 設立者または設立代表者の氏名および住所

       二 法人の名称および主たる事務所の所在地

       三 設立の趣意

       四 役員となるべき者の氏名および各役員となるべき者について、他の役
          員となるべき者のうちに、その者と婚姻関係または三親等以内の親族
          関係にある者がいる場合、その氏名およびその者との続柄

    (3)添付書類

      社会福祉法人の設立認可申請書には、次にあげる書類を添付しなければな
      りません。

      なお、これらの書類以外にも不動産の価格評価書等、必要な書類の提出を
      求められることがあります。

       一 設立当初においてその法人に帰属すべき財産の財産目録(基本財
         産、運用財産、公益事業用財産〈公益を目的とする事業を行う場合に限
         る〉 と収益事業用財産〈その収益を社会福祉事業の経常に充てること
         を目的とする事業を行う場合に限る〉 をそれぞれ区分して記載したも
         の)およびその財産がその法人に確実に帰属することを明らかにするこ
         とができる書類

       二 その法人がその事業を行うために一の財産目録に記載された以外の
         不動産の使用を予定しているときは、その使用の権限がその法人に確
         実に帰属することを明らかにすることができる書類

       三 設立当初の会計年度および次の会計年度における事業計画書および
         これに伴う収支予算書

       四 設立者の履歴書

       五 設立代表者を定めたときは、その権限を証明する書類

       六 役員となるべき者の履歴書および就任承諾書

       七 そのほか所轄庁が必要と認めている書類

   3.設立の登記

    社会福祉法人の定款の認可を受けたときは、その認可のあった日から2週間以
    内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることが必要です。

    そしてこの登記をすることによって社会福祉法人は設立されたことになります。

    したがって、このときから正式に法人格を取得し、定款に定める目的の範囲内
    において権利を有し、義務を負うことになるのであって、寄付財産もそのときに
    当該法人の所有に帰することになります。

   4.財産移転の報告

    社会福祉法人は、その設立の認可を受けたときは、遅滞なく財産目録記載の財
    産の移転を受けて、その移転を終了した後1カ月以内に、所轄庁にその旨の報
    告をしなければなりません。

    この場合の証明書類としては、次のようなものがあります。

     一 財産目録(設立認可申請の際に添付したものと同一のもの)

     二 登記簿謄本(不動産の寄附申込があった場合)

      三 受渡書の写し(現金等の寄附申込があった場合でその寄附者宛に発行し
       たもの)

     四 残高証明書の写し(現金等の寄附FP込がありそれを銀行等に預け入れた
       場合または信託会社に信託した場合)

     五 その他財産の移転を受けたことを証明する書類

    なお、政府は、社会福祉法人に対して、会計の情報公開を促進することとしています。

    これは、消費者の選択の幅を拡大するとの観点から、社会福祉法人についても
    株式会社並みに会計監査等の一層の普及を図るなどの取り組みです。

    また、社会福祉法人の公益性にかんがみ、収支決算書、事業報告書、監事の
    意見書等は、インターネット上での公開を促進しています。

  □設立の際の留意点

   1.設立までに要する時間

    社会福祉法人設立においては設立準備会発足などの準備段階、関係自治体と
    の事前相談、実際の認可取得、事業のための建物の建築などさまざまなステッ
    プが必要になります。

    そのため通常は設立の検討をはじめてから実際に設立・事業開始するまでに2
    〜3年程度かかることが一般的です。

    すでに記載した必要書類などは自分自身でも作成することは可能ですが、少し
    でも期間を短縮するためには、事務手続きについては行政書士等の専門家に
    任せることも有効です。

    また事務手続きを外部に任せることによって、自分自身は事業内容の精査など
    に集中できるというメリットもあります。

   2.社会福祉法人の設立によるメリット・デメリット

    社会福祉法人を設立すると、行政より、施設整備等のための補助金が受けられ
    たり、税金の免除・控除が適用される等のメリットがあります。

    また、利用者からの信頼を受けやすいといわれています。

    組織構成や資産、設備などが厳しいため、条件をクリアする環境を整えることが 
    難しいといえます。

    また、利用者の生活に大変影響力がある事業を行うため、簡単に廃業をするこ
    とができません。

    事業内容に公共性が高いこともあり、仮に個人資産を提供したとしても、経営を
    主導できるとは限りません。

    また、法人化することにより経理処理等も複雑になり、正確さも要求されます。

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