ワン・ツー・ワン・マーケテイング

         

ワン・ツー・ワン・マーケティングとは

  ワンツーワン(One to one)マーケティングとは、一人ひとりの顧客と強固な関係を作
  り上げ、長期にわたって多くの種類の商品・サービスを購入してもらうことを目指したマ
  ーケティング手法です。

   
  ■一人の顧客が宝になる

   今、ビジネスはマーケット・シェア(市場占有率)ではなく、一人の顧客シェアを争う時
   代です。

   どんな企業でも、成功させようと思ったら、以下の三つの営業戦略を実施する必要が
   ある
のです。
 
    (1)常に新たな顧客を獲得する(新規開拓)
  
    (2)売上一件当たりの収入を上げる方法を開発する(クロスセル、アップ
      セル

 
    (3)確実に顧客をリピーターにする方法を開発する(固定客の維持管理)

  営業会社にとって、この三つの戦略を同時に進めることなしに、会社(店)の繁栄はあり
  ません。


  □新規顧客の獲得
   手持ちの資源をすべて新規顧客獲得に振り向けるのは、事業を発展させる上では最も
   コストがかかり、かつ利益の少ない戦略です。

   新規顧客の獲得には、既存顧客を引きつけておくのと比べ、平均で6倍のコストが
   かかると言われています。

   これでは、影響が大きすぎてなかなか利益は増えない。

   しかし、お客様がいなければ会社は潰れてしまいます。

   どんな企業でも遅かれ早かれ顧客は失われるのです。


   大切なのは新規の顧客になってもらったあとの行動です。

   新しい顧客はその直後に新しい取引をしてくれる可能性が高いのです。

   そして、収益アップを図りたいなら、少しでも長く顧客を引き留めておく必要があり
   ます。

   顧客を長く引き留めておければ、それだけ買う気になってくれるチャンスが大きくなる
   はずです。

   これが「顧客ロイヤルティー」を高めるということです。

   
  □フロントエンド(集客)商品とパックエンド(本命)商品
   フロントエンドとは、お客様を集めてあなた(会社)が信頼に値すると信じてもらう集客
   (見込み客開拓)のための商品・サービスをいいます。

   大切なポイントはここにあります。
   人は信用している人から、モノを買うのです。

   何かを購入しようとする時、お客様の心には必ず疑問の念(リスクを考える)が起こり
   ます。

   あなたのビジネスで、まずお客様に提供できるものはないでしょうか?

   無料サンプルを提供できないでしょうか?

   無料で情報提供をできないでしょうか?

   一ヶ月間無料でサービスを提供できないでしょうか?

   健康食品や化粧品の通販などでは無料でサンプルを配っています。

   7日間お試しプログラムや14日間お試しプログラム、こういったものが世の中には溢
   れかえっています。

   マーケティングの世界で古くから使われている格言に「ドリルを買いに来た人が欲しい
   のはドリルではなく穴である」というものがあります。

   この例では、店員がお客様のために売場に並ぶ数多くのドリルの中から最適の1個を
   選ぼうと思えば、まず知るべき情報は「どんなサイズの穴を開けたいのか」「穴を開け
   る材質は(木材?、コンクリート?、鉄板?)」といったことであり、さらに「何をする
   ための穴なのか」という目的までを聞かなければならないかもしれません。

   これらの質問による回答から、もしかしたらドリル以外の解決方法があるかもしれませ
   ん。

   この事例をあなたの業界に当てはめて考えた場合、バックエンドは集客商品にあたり
   ます。

   この事例からもわかるように、あなたの扱う商品・サービス(バックエンド)商品を売る
   前にフロントエンド商品を考えなくてはなりません。

   あなたはいきなりバックエンド商品を売ろうとしていませんか?

   まずやるべきことは「質問」です。 

   お客様から的確な情報収集をすることが先決です。

   お客様の問題を解決するための質問をしなくてはなりません。

   あなたの商品・サービスを売るための質問ではないのです。

   「どんな悩み・問題を抱えているのか」を知ることです。

   そのためには質問しなくては知ることはできません。

   この質問により、もしかするとあなたの商品・サービス以外の解決手段もあるかもしれ
   ません。

   あなたの商品・サービスはお客様の抱える問題解決の一手段であることを認識する必
   要があります。

   フロントエンドとバックエンドの流れを作ることは、セールス・ファネル(営業の漏斗)
   といわれます。 
       白地マーケット(市場) → 見込み客 → 新規顧客 → リピート顧客

   このように、「マーケット」から「リピート顧客」になるまでに、だんだんと対象人数が
   絞られ、ろ過されていくステップをいいます。

   収益アップを図ろうとするなら、まず顧客を引きつけて一度商品・サービスを購入して
   もらい、そこでそれ以外のものも提供することで、連続的に利益をあげることです。

   一見すると一度きりの購入のように見える場合でも、簡単にリピーターにすることがで
   きるのです。

   
  □アップセリング(単価アップ)
   もう一つ、利益を増やす方法は、顧客が最初に求めたものより価値の高いものを売る
   ことです。

   これは一般に「アップセリング」と呼ばれています。

   顧客が最初に必要だと思った製品とは少し違うとしても、もっと勧めるべきものがある
   場合にします。

   ただし、その顧客のニーズをより正確に満たしていて、しかもこちらとしても利益が大き
   い時に限る。
 
   大切な点だから繰り返しておきます。

   顧客のニーズを確実に理解し、純粋に相手の望むものを勧めることです。

   アップセリングのチャンスがないか、必ず注意しておこう。

   チャンスは思ったより多い。

   
  □クロスセリング(追加販売)
   顧客がものを買うのは、満たしたいニーズがあるからです。

   しかし人は、一度に二つ以上のものを買ったり、何かを買ったついでに別の買い物を
   したりすることが多いのです。

   このようなことがたびたび起こるのは、一つのニーズが満たされることで、別のニーズ
   が表面に浮かび上がってくるからです。

   顧客はふつう、一つの流れの中で商品・サービスを購入します。

   このことに気がつけば、そこから大きな利益をあげることができる。

   「もうこれ以上は売れないだろう」といった、自分の懐勘定で販売の判断をしないこと
   です。

   マクドナルドを例にとると、「ご一緒にポテトもいかがですか?」である。

   
  □リスクリバーサル(顧客のリスクを取り除く)
   市場で、二頭のひつじが売り出されていました。

   どちらも、年齢も大きさも毛並みも同じくらい。

   さて、どちらを買おうかと考えていたら、二頭で値段が違います。

   一頭の値段は500ドル。

   もう一頭は750ドルです。

   じゃあ、500ドルのひつじを買おうとした時、店主から声をかけられました。

    「お客さん、うちのひつじは750ドルで普通よりも高い。
    でもね、それは他よりも良いサービスをつけているからなんですよ。
    例えば、うちのひつじを買う方は、はじめの一ヶ月間はテストなんで費用を払う
    必要はありません。
    気に入れば買えばいいし、もしも気に入らなかったらここまで連れて来ればいい
    んですよ。
    また、ひつじを育てたことがない方のために一年間の出張フォローもしていま
    す。
    そのフォローの間、他ではやらない餌の出張配送もやっているんです。
    だから、普通の値段よりも高いのです。でも、あなたにリスクは一切ありません
    よ」

   この説明を聞いて納得した人は、躊躇することなく750ドルのひつじを買ったと言われ
   ています。

   さて、このリスクリバーサルですが、あなたのビジネスに適用できるところはないだろ
   うか?

   例えば、返金保証。

   あなたの商品を買って、もしも満足できない場合は全額返金します、とお客様に説明
   するのです。

   例えば、返金保証よりも良い保証。

   もしも、あなたの商品を買って満足できなかった場合は、料金の2倍の金額を返金し
   ます、

   と説明するのです。

   例えば、初めのリスクをなくすために、90日間は無料で使えるというオファーをするこ
   ともできます。

   他にも、1年間あなたの商品を使って、もしも収入が上がらなかった場合は全額の返金を
   します、とオファーすることもできます。

   このリスクリバーサルという手法は、もともとは通信販売で主に使われていました。

   商品を見れない通信販売では、お客様のリスクを減らすためにこの手法が適用されて
   いたのでした。

   今でも、ネット通販などでは主流ですが、これをリアルビジネスに適用することで、一気
   に売上げアップが起こります。

   人が商品を買わない理由として断然多いのは、あなたの会社と取引をすることに何ら
   かのリスクを感じているというもので、全体の80パーセントという驚くべき数字になる
   そうです。

   したがって、そのリスクが実際のものであれイメージだけのものであれ、何とかして売
   る側がそれを取り除けば、取引をまとめるチャンスは自動的に80パーセント増えるは
   ずです。

   そのためには、完全なノーリスクないしはローリスクで取引する機会を提供すればよ
   いのです。

     ・無料のレポートや試供品を提供する、あるいは無料の試用期間を設ける
     ・初回購入価格を低く設定する
     ・無条件での全額返金保証をつける(やむを得なければ条件付きでも可)
     ・満足してもらえなければ110パーセント返金、といった自社に対するペナルティ
      条頂を設ける

   今では通販などでもみられるように、当たり前になってきています。

   「購入者の危険負担」はもう遠い過去の話です。

   競争は激しく、顧客は少ない。

   その上、現在の顧客は以前よりもずっと賢く、よく勉強していて、要求も厳しく、し
   かも、クレームをつける道筋はいくらでもある。

   多くの場合、顧客のリスクを取り除くだけで、他社に差をつけることになります。

   しかし、金融関連業界では上記の条件は当てはまらないことが多いでしょう。

   ですから、

    ・顧客の業界情報
    ・顧客の抱える問題、悩みの解決策
    ・小冊子 
    ・お客様の声 

   などの提供が効果的です。

   以上のことを実行していくために欠かせないのが、

    ・自社(店)の売り、強みを持つ(USP
    ・顧客を知る(顧客情報)
    ・お客様の抱える問題や悩みの解決策の提案

   あなたの扱う商品・サービスそのものを売ることを目的とせず、商品・サービスがどの
   ように役立つかの手段として提案することです。

  ■「買い方」の変化に対応した「売り方」の変化

   長らく続いてきたマスマーケティングの時代は、同じ製品を大量に生産し、販売するとい
   うものでした。

   既に承知のように、近年消費者ニーズは、企業がこれまで用いてきた単純な顧客属性か
   らは顧客のニーズが読みとれない状況となりました。

   こうしたなかで生まれてきたのがターゲットマーケティングであり、ワン・トゥ・ワン・
   マーケティングです。

   顧客との良好な関係性を維持、向上させ、一度お客様になってもらえた顧客を生涯に
   わたってサポートする仕組み(リレーションシップ・マーケティング)を実践するための
   手法にワン・ツー・ワン・マーケティングがあります。   

   古い話ですが、クロネコ宅配便は、米屋さんをチャネル(取扱店)に使って成功しま
   した。

   はたして、米屋さんを取扱店に使うことなくしてクロネコの成功があったかというと、
   答えはノーです。

   米屋さんは「近隣配達機能」という実現手段を持っていて、小回りが効くというのが特
   徴です。

   しかも全国いたるところに散在しています。一方、クロネコは近隣のお客の小口荷物を
   こまめに集配して、お客の役に立ちたいと願っている。

   両方が「近隣の小口荷物もすばやく集配する」という点でコトが共通するから、チャ
   ネル特性があるから、米屋を取扱店に選んだのです。

   そうでなければ、あれだけの全国ネットを自前でつくることはできません。

   しかし、宅急便が欲しいとは誰も思いませんでした。

   宅急便ができたら「え、そんなのあるの?」「これは便利だ」ということになったので
   す。

   荷物を先に送り、身体1つでスキーやゴルフに行くなんて想像もしていなかったのです
   から。

   お客様は、自分で気がついていないニーズを喚起する商品、なかった願望を引き起こ
   させる商品を、実は求めているのです。

   上記の例にもあるように、さまざまな販売チャネルが生まれることで、お客様の「買い
   方」に変化が生じてきたのです。

   あなた(会社)が継続した事業運営を可能にしていくには変化に対応していかなくては
   なりません。

   やり方・考えを変えることです。

   バーチャルな販売チャネルの強み・差別化は低価格です。

   あなたの強み・差別化策を明確にしていかなければなりません。

   それでは、あなたが持つべき強み・差別化とは何でしょう?

   それはお客様を固有名詞でとらえ、そこに埋もれている「知覚されないニーズ」をくみ
   取る力、そのための仕掛け、対応法、言い換えるなら「仕組みづくり」が必要になりま
   す。

   商品の違いを生み出すのは営業の力です。

   そして商品に「価値」を与えるのも営業の力です。

  □ワン・ツー・ワン・マーケティングとは
   ワン・ツー・ワン・マーケティングは、企業が顧客と双方向のコミュニケーションをと
   り、個々の顧客のニーズを理解するということを基本として成り立っています。

   そして、ワン・ツー・ワン・マーケティングのポイントは、

    企業は、個々の顧客ニーズにあった商品・サービスを提供することで、
    当該顧客と継続性のある取引を実現し、その顧客との生涯に渡る取引
    から得られる顧客生涯価値(LTV=ライフタイムバリュー)の最大化
    をめざす

   というものです。

   ワン・ツー・ワン・マーケティングにおいては、その顧客の人生における消費のどれだ
   けの部分を自社が占めることができるかという顧客シェアの拡大が最重要課題となっ
   ているのです。

  □ワン・ツー・ワン・マーケティングの導入

   こうした背景のもとで、企業の間では個々の既存顧客との関係性を重視する取り組みが
   始まりました。

   多くの企業では既存寮客は重要な経営資源であると認識しており、ワン・ツー・ワン・
   マーケティングが実践されています。

   その際にもっとも重要なことは、顧客を個々に捉えるということです。

   たとえばCS(顧客満足度)プログラムを実施するにしても、万人(マス)向けではなく、
   個々の顧客の満足度をいかに高めるかという考え方に基づいて設計する必要がある
   のです。

   通販ならともかく、大多数の営業会社では顧客との接点を担うのは営業マンです。

   その営業マンの顧客対応の品質レベルが低ければどうでしょう。

   どの営業マンが対応しても、同レベルの品質を保つことが顧客満足度向上には欠か
   せません。

   そのためにも人材育成の基本となる基本動作の習得が欠かせないのです。   

  □ワン・ツー・ワン・マーケティングのメリット
   ワン・トゥ・ワン・マーケティングは、一人ひとりの顧客と強固な関係を作り上げ、長期
   にわたって多くの種類の商品・サービスを購入してもらうことをめざした手法です。

   ワン・ツー・ワン・マーケティングを実行する企業は他の企業に対してさまざまな優位性
   をもち、競合企業のマーケティング活動から顧客を守ることができます。

   1.顧客維持率の向上
     ワン・ツー・ワン・マーケティングは商品・サービスを差別化するのではなく、顧
     客との関係のありかたを差別化するマーケティングです。

     そのため、企業と顧客との関係は強固なものとなり、競合企業が現れても顧客を
     奪われる可能性が低くなります。

     なぜなら、自分のことを理解してくれる企業から他の企業に取引を移すときには、
     顧客にとって大きな不安が生じるからです。

     そして、これらの企業の多くがマスコミを活用することに長けています。

     それは、自社の新製品・新サービスについての情報や記事をマスコミに広報活動し、
     記事として無料で掲載してもらうプレスリリースです。

     多くの女性が美容院を利用する場合に、一定の技術をもったなじみの担当者がで
     きると簡単には店を変えないことからも理解できるでしょう。

     ワン・ツー・ワン・マーケティングを実践できる企業は、自社にとって重要な顧客と
     緊密な関係を結ぶことで顧客維持率の向上を実現しているのです。

   2.追加販売(アップセル、クロスセル)による収益拡大
     緊密なコミュニケーションによって、顧客のニーズをつねに把握しておけば、関
     連商品を販売したり、買い換え需要にも応えることが可能になります。

     また、点検・修理といったアフターサービスまで、追加販売の一部であると考えれ
     ば、取引拡大のチャンスは大きく広がっていきます。

     顧客のニーズや環境の変化を読みとり、追加販売を行うことによって1人の顧客か
     ら長期にわたって大きな収益を拡大することも可能になります。

   3.新規客の紹介引き出し
     ワン・ツー・ワン・マーケティングによって、顧客の満足度が高まると、新たな顧
     客を紹介してくれる可能性が高くなります。

     しかも、企業にとってLTVの高い顧客が紹介してくれる顧客は、一般の新規客と比
     べLTVの高い場合が多くなっています。

     ワン・ツー・ワン・マーケティングによる満足度の向上は、継続的なリピートを生
     むだけでなく、顧客の紹介という形でさらなる価値を企業にもたらします。

     実際、ワン・ツー・ワン・マーケティングを行う企業のなかには新規顧客紹介を導く
     ために、既存顧客に対するインセンティブ制度を導入している企業も少なくありま
     せん。

  □ワン・ツー・ワン・マーケティングの導入方法
   1.顧客構造による顧客選別
     最初からあらゆる顧客に対してワン・ツー・ワン・マーケティングを行うことは困難
     です。

     まずは自社にとってワン・ツー・ワン・マーケティングを導入すべき部分を明確にす
     る必要があります。

     その際には、自社に大きな利益をもたらしてくれる優良な顧客を選別することから
     はじめます。

     顧客構造の分析はこの顧客選別のための手法のひとつです。

     LTVの視点によって顧客を検討する場合、企業にとって顧客の価値はそれぞれ大
     きく異なります。

     企業にとって価値の高い部分の顧客シェアを高めることが重要であるのはいうま
     でもありません。

     つまり、ワン・ツー・ワン・マーケティングの導入にあたっては、LTVの視点によっ
     てグループ分けした顧客構造を分析したうえで、本当に個別対応が必要な顧客を
     選別する必要があるのです。

   2.優秀な顧客マネージャーの設置
     ワン・ツー・ワン・マーケティングを導入し、顧客シェアの拡大をめざすためには、
     顧客管理を担当する顧客マネージャーを設置することが必要となります。

     顧客マネージャーを設置する方法としては、顧客構造を分析した際に重要と判断
     されたグループごとに設置するのがよいでしょう。

     顧客マネージャーの役割は、担当するグループ内の顧客と円滑なコミュニケーシ
     ョンをとることで、そのニーズを把握し、さまざまな提案をすることです。

     そのため顧客マネージャーには、コミュニケーションカ、洞察力、理解力、調整力、
     コンサルティングカなどが求められます。

     このような優れた営業マンに必要な能力に加え、企画担当者としての企画・提案力
     も必要となります。

     顧客マネージャーがこうした能力を発揮することで、ワン・ツー・ワン・マーケ
     ティングの目的である顧客シェアの拡大、ひいてはLTVの向上が実現できます。

 

 

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既存顧客をつなぎ止めるワンツーワン・マーケティング

         

既存顧客をつなぎ止めるワンツーワン・マーケティング

  ■ワンツーワンマーケテイング

   厳しい経済環境の中で、自社にとって新規顧客の開拓が重要なのは言うまでも
   ありません。

   しかし、それ以上に注力しなくてはならないのが、既存顧客の掘り起こしです。

   売り上げの減少のなかでも深刻なのが、既存顧客数の減少や顧客一人当たりの
   売り上げの減少です。

   既存顧客に対して何の手も打たないと、固定客はやがて休眠客となり、最終的に
   は「死滅客」となってしまう。

   顧客を捉えたら、その目や耳を自社に向けさせるための工夫を怠らず、継続して
   商品やサービスを売り続ける努力をすべきです。

   新聞の折り込み広告など不特定多数に向けたマーケティング戦略をマス・マーケ
   ティングと言います。

   過去にはこの手法は新規顧客の開拓に一定の役割を果たしてきました。

   それに対して近年、顧客一人ひとりの顔(属性)に応じたマーケティング手法が注
   目されている。

   「ワンツーワン・マーケティング」と呼ばれ、この分野の先進国である米国では広く
   定着している手法です。

   個人名の明記されたダイレクトメールをご覧になったことがあると思います。

   「○○様に3割引きで販売します」といった類の文面です。

   これがワンツーワン・マーケティングの一例です。

   ダイレクトメールを、ターゲットとなる消費者に絞り込んで送付するため、ヒット率
   は飛躍的に向上します。

   しかも、消費者から見ると「自分だけに届いた」という印象を強く受けるので、その
   広告が目に止まる可能性自体も向上します。

   半面、ワンツーワン・マーケティングでは、顧客の顔がある程度見えていないと有
   効な手は打てません。

   例えば百貨店では、外商部門などでなら見込み客の情報も入手できますが、店
   頭部門では難しいでしょう。

   既存顧客の“活性化”にワンツーワン・マーケティングが使われることが多いのは
   このためです。

   1.顧客情報の収集・管理
     まず最初に販売の記録をデータベース化することから始めて下さい。

     「誰が」「いつ」「どこの売場で」「なにを」「いくつ」買ったかという情報が
     すべての基本です。

     しかし、営業部門にだけ依存していては有効なデータベースは作れません。

     自社と顧客の接点のあらゆる場面に目を向ける姿勢が大切です。

     自社の営業部門だけでなく保守や配送など、さまざまな場面で日常的に顧客
     と接しています。

     これらすべての部門で情報の入手とメンテナンスを行う仕組みづくりが重要な
     のです。

     顧客の数は膨大ですし、その顧客データは日々刻々と変化しています。

     手作業によるメンテナンスでは到底追いつきません。

     ワンツーワン・マーケティングを実践する多くの企業で、営業情報の管理にコ
     ンピューターを使い、データベースを駆使しているのは、データの入力、加工を
     スピーディーにこなすためなのです。  

     マス・マーケティングからワンツーワン・マーケティングに移行して大成功を納
     めたのが、宅配ピザ・チェーンのドミノピザです。

     ドミノピザでピザを注文すると、最初に電話番号を聞かれます。

     この電話番号がキーとなっており、一度ピザを頼んだことがあれば、住所や氏
     名などの顧客データが即時に店側のパソコンに表示されます。

     それだけではありません。

     同社ではこのシステムをさらに発展させ、過去1年間に、その顧客がいつ、ど
     の商品を注文したかという情報もデータベース化しており、注文時に確認でき
     るのです。

     さらに顧客が単身者か家庭持ちかというデータも入力されています。

     もちろん注文を受けたときの電話口では、そんなことは聞きません。

     配達を担当するドライバーが玄関口で目で確かめているのです。

   2.収集した顧客情報の活用法
     ドミノピザの応用例は、顧客の消費パターンに合わせた割引チケットの発行。

     顧客が「シーフードスペシャル」というピザを2週間に1回1枚ずつ注文している
     とします。

     データベースにはその顧客が家族持ちであることも入力されている。

     顧客から電話が入り、注文内容をパソコンに入力すると、その顧客専用の割
     引チケットがプリンターから打ち出されるのです。

     例えば、その内容は「シーフードスペシャルを2枚同時に注文すれば10%割
     引き。有効期間は10日間」。

     このチケットには、ピザの注文枚数を1枚から2枚に増やすこと(客単価アッ
     プ)と、次回の注文を2週間後から10日以内に短縮すること(注文頻度向上)
     の2つの狙いがあるわけです。

     同じチケットを大量に印刷し、近隣の家庭に配ったケースを考えてみます。

     ある家庭はシーフードのピザより肉のピザを好むかもしれませんし、別の家庭
     は一人暮らしで1度に2枚ものピザを食べられないかもしれません。

     そもそも、その家庭がピザを食べるのかどうかも分からないのです。

     顧客の顔をデータベース化することで、営業の効率が飛躍的に向上すること
     はおわかり頂けるでしょう。

   3.新規顧客の開拓などへの応用
     顧客の購買行動のパターンは、「顧客の顔」を知るためにもっとも効率の良い
     情報ではありますが、それは顧客情報のすべてではありません。

     営業マンにとって、たとえ営業が見込み段階であっても、先方の会社概要や商
     談の決済者、競合情報、予算枠、スケジュールなど有益な顧客情報は無数に
     あります。

     これらはすべて蓄積すべき情報なのです。

     見込み客からの問い合わせが担当者の不在時にあるかもしれません。

     同僚が商談に役に立つ情報を持っているかもしれません。

     取引が成立した後、顧客をスムースに担当セクションに引き継がなければい
     けません。

     こうしたときに蓄積した顧客情報は必ず役に立つはずです。

     「勘」と「経験」「根性」の3Kで営業マンが勝負できたのは、情報不足の時代の
     過去の話です。

     それに比べて今は、情報過多、人材不足の時代です。

     そういう時代であるからこそ、優秀な営業マンの情報を共有するシステムを作
     り、見込み客を含む個々の顧客に最適な提案をすることが重要なのです。

     そうしてできた営業システムは、その商戦で勝ち抜く武器になるだけにとどまら
     ない。

     自社の営業力全体をレベルアップすることにもつながるのです。

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