中小企業企業のブランド力構築

ブランド視点から経営を考える Ⅱ

□ブランド育成のポイント 

 1.消費者にブランドメッセージを伝える2つのルート

  ブランドコンセプトを構築した後は、顧客に対して伝えたいブランドコンセプトやイメージ、製品
  の内容や特長をメッセージとして顧客に発信することになりますが、そのポイントを紹介する前に、
  企業がブランドメッセージを発信できるルートについて理解する必要があります。

  企業がブランドメッセージを発信できるルートは、次のように大別することができます(注)。

   ・マスメディアを利用した広告などを中心とした企業の「プロモーション活動」

   ・消費者が製品・サービスの購入や購入した製品・サービスから得る経験」

  ただし、多くの中小企業の状況をみると、メーンとなるルートは「経験」といえるでしょう。

  経営資源に余裕のある大企業の場合は、ブランドメッセージを発信するツールとして、積極的に
  テレビ・ラジオ・新開・雑誌などのマスメディアを活用することができます。

  しかし、中小企業の場合は、コスト面の問題もあり、大企業のように積極的にマスメディアを
  利用するということは現実的ではありません。

  従って、中小企業の場合は経験を通じてブランドメッセージを発信することが中心になります。

  (注)消暮青の我点からみると、インターネットに流通している消費者の意見、口コミから得た情報、新聞・
   雑誌などの記事など、多様なルートがありますが、ここでは「企業が主体的にメッセージの内容をコント
   ロールできるもの」という視点から2つに区分しています。


 2.経験を管理するために重視するのは従業員

  経験を通じてブランドメッセージを発信する上で、企業が考慮すべき点は多岐にわたります。

  これは消費者の購買プロセスから考えると分かりやすいでしょう。

  例えば、小売店の場合、消費者は「店舗に行く」「店内で商品を選択・購入する」「店舗から
  自宅に帰る」「購入した商品を使用する」といったように行動します。

  こうした一連の行動の中で消費者はさまざまな経験をします。

  従って、企業としては、製品・価格などだけではなく、消費者の購買プロセスなどを分析した
  上で、そのプロセス全般をブランドコンセプトと合致したものとする必要があります。

  例えば、小売店の「店内で商品を選択・購入する1という場面であれば、品ぞろえ・店内レイ
  アウト・通路幅・棚割・POP・レジの台数・店員の接客など多岐にわたる要因について考慮しな
  ければなりません。

  これらの中で、中小企業が留意すべき重要な要因を一つ挙げるならば、それは接客など
  「従業員」が直接消費者と接する部分です。

  製品や設備面などについては、ブランドコンセプトや伝えたいメッセージに合致しているか否かの
  判断は比較的容易です。

  しかし、従業員が直接消費者と接する部分は、個々の従業員の能力やモチべ-ションなどによって
  サービスなどの質や内容に違いが発生します。

  そのため、すべての従業員の活動がブランドコンセプトや伝えたいメッセージに合致しているか
  否かを確認することが困難な場合が多いのです。

 3.従業員の対策

  (1)ブランドコンセプトの周知徹底

   従業員の対策では、従業員教育を通じて能力の維持・向上を図ることも重要ですが、まず
   行わなければならないのは、ブランドコンセプトの周知徹底です。

   その際、中小企業が見落としがちなことは、ブランドコンセプトなどを明文化するということ
   です。

   ブランドコンセプトに限ったことではありませんが、中小企業の場合は、従業員同士が常に
   顔を合わせていることが少なくないこともあり、「わざわざ明文化しなくても、日ごろの
   コミュニケーションを通じて全従業員に伝わっているはずだ」と考えがちです。

   しかし、実際には、全従業員に正確に伝わっていないことは決して珍しいことではないはずです。

   前述したようにブランド構築においては、ブランドコンセプトの下に統一された企業活動を長期に
   わたって継続的に取り組み続ける必要があります。

   全従業員の活動を統一するためには、誰もが誤解することなく、ブランドコンセプトを理解できる
   ように明文化しておくことが大切です。

   明文化の方法はさまざまです。

   ブランドコンセプトとして新たに明文化してもよいですし、経営理念や社是・社訓などに既に
   明文化されているものに盛り込まれているのであれば、それで十分な場合もあるでしょう。

   また、パート・アルバイトを多く活用している企業では、短期間の教育だけでもブランド
   コンセプトや伝えたいメッセージに合致した行動をとることができるように、マニュアルとして
   具体的な形まで落とし込むことも検討しなければなりません。

   また、ブランドコンセプトの周知徹底を図る上では、教育や日ごろのコミュニケーションなども
   欠かすことができません。

   具体的には朝礼や会議などさまざまな場面で、直接、社長が熱意をもって伝えることが大切です。

   従業員は、社長がどれだけ本気であるかをみて行動します。

   社長が本気で取り組もうとしていることが分かれば、ほとんどの従業員は真剣に取り組みます。

   逆に、社長がそれほど熱意を持っていないと感じたら、従業員の中には真剣に取り組まない人も
   出てきます。

  (2)やる気のない人材に対する対処を忘れない

   ブランドコンセプトの周知徹底を図り、必要な従業員教育などを行えば従業員の多くは適切な
   行動をとるようになるはずです。

   しかし、そのような努力を行っても、中には真剣に取り組まない従業員が出てくる場合もあります。

   こうした従業員への対処は注意しなければなりません。

   やる気のない従業員の存在は、その従業員だけの問題にとどまらずに、他の従業員にも伝播する
   場合があります。

   こうした従業員の後輩であれば「こういう仕事の仕方でいいんだ」と思ってしまいかねませんし、
   そのほかの従業員にしても「この程度の仕事をしても大丈夫」と考えてしまう場合があり、最悪の
   場合はブランド構築に関する企業全体の取り組みが失敗に終わってしまいかねません。

   こうした状況に陥ってしまわないように、従業員に対して日ごろから十分なコミュニケーションを
   とり、教育などを行い、意鞍付けをしておくこと、そしてやる気のない従業員がいたら再教育を
   行うなど早期の対策を講じるようにすることが大切となります。

   また、状況によっては、より厳しい態度で臨まなければならないこともあるということは念頭に
   置いておく必要があるでしょう。

 4.社内体制の確認

  一見すると、社内体制という観点はブランド形成と縁遠い要素と思うかもしれません。

  しかし、繰り返しになりますが、ブランド構築に際してはブランドコンセプトの下に統一された
  企業活動を長期にわたって継続的に取り組み授けることが重要になります。

  そのためには、そうした企業活動を長期・継綾的に進めることのできる社内体制を整備することは
  欠かせません。

  人材に限りのある中小企業の場合、能力の高い従業員に依存することでサービスなどを提供して
  いるケースなど、長期・継続的に進める上では閉居を抱えているケースは少なくありません。

  このような場合は、「他の従業員も対応できるように能力を引き上げる」「作業の標準化やシス
  テム化を図るなどして、誰でもできるような業務水準にする」「ブランドコンセプト自体を見直す」
  といった対応をするなどして、社内体制の整備を図るようにしましょう。

  中小企業だからブランドには無関係という考え方は捨てましょう。

  ブランドという視点から経営についてこれまで検討したことのない経営者は、本稿を参考に、
  ブランド構築に取り組むための第一歩を踏み出してみるとよいでしょう。

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中小企業企業のブランド力構築

ブランドという視点から経営を考える Ⅰ

ブランドの重要性

 ブランドの重要性は、以前からさまざまな場面で述べられており、その重要性について認識して
 いないという経営者はおそらくいないでしょう。

 にもかかわらず、中小企業ではブランドという視点をしっかりと意識しながら経営に当たっている
 ケースはそれほど多くないようです。

 これは、ブランドというと、製品に凝ったネーミングを付けたり、マスメディアやインターネット
 などを駆使して大規模なプロモーションを行うものというイメージがあるからかもしれません。

 また、ブランド構築に関する手法や考え方は、複雑な理論やフレームワークなどを用いて説明される
 ことが少なくないことも、「ブランドは中小企業にとって縁遠いもの」という印象を与えている
 のかもしれません。

 しかし、ブランドは日常的な企業活動と密接に関連しているものであり、中小企業にとっても無関係
 ではありません。

 以降では、中小企業がブランドという視点から経営を考える際に留意すべき事項について紹介します。

 なお、ブランドには企業レベルのブランドである「企業ブランド」と、製品・サービスレベルのブラ
 ンドである「製品ブランド」がありますが、ここでは企業ブランドを中心に紹介していきます。

□ブランドを理解する

 1.ブランドとは

  一口にブランドといってもその定義はさまざまです。

  アメリカマーケテイング協会(AMA)では、ブランドを、

   ある売り手あるいは売り手の集団の製品およびサービスを織別し、競合他社の製品および
   サービスと差別化することを意図した名称、言葉、シンボル、デザイン、あるいはその
   組み合わせ

  と定義しています。

  この定義をみるとブランドとは、製品・サービスに付加された名前やロゴ、パッケージだけでは
  なく、企業名や店舗名といった名前までも含む幅広い概念であり、ブランドと無関係な企業はない
  ということが分かるでしょう。

  ただし、AMAの定義はブランドの対象を名前、用語、デザイン、シンボルなどに限定しており、
  やや狭い考え方となっています。

  例えば、消費者の立場に立って、自分の好きな企業や店舗、あるいは製品のブランドを思い浮かべ
  てみてください。

  思い浮かんだのは名前・デザイン・シンボルなどだけでしょうか。

  そのほかに、有名な俳優が出演しているCM、心のこもった温かい接客など、そのブランドに関連
  するさまざまなことが思い浮かんだのではないでしょうか。

  「ブランド構築」「ブランドマネジメント」などという言葉を耳にしますが、この場合、企業の
  取り組むべき課題は、単に名前、用語、デザイン、シンボルなどを創造・管理するだけではあり
  ません。

  名前、用語、デザイン、シンボルを通じて、そのブランドに対して、消費者によりよいイメージを
  連想させることも含まれます。

  購買行動など消費者に対する影響としては、後者のほうが大きいことから、「ブランド構築」
  「ブランドマネジメント」においては、より重要視されています。

 2.ブランド構築の難しさ

  企業がブランド構築に取り組む際に理解しておかなければならない重要なポイントは、ブランドは
  消費者の心の中にあるということです。

  もちろん、名前、用語、デザイン、シンボルなどは企業が主体的に創造・管理することができます。

  しかし、消費者が名前、用語、デザイン、シンボルなどから連想するイメージはあくまで消費者
  自身が形成するものです。

  企業にできることは、さまざまな企業活動を通じて「消費者にブランドから連想してほしい
  イメージ」を発信するなどして、消費者の心に働きかけることです。

  ブランドは消費者の心の中にあり、企業は直接コントロールすることができないという点に、
   ブランド構築の難しさがあるのです。

 3.ブランド構築のメリット

  消費者の心の中によいイメージを連想させるのに成功し人気を集めているブランドは、企業にさま
  ざまなメリットをもたらします。

  例えば、多くの人に知られ、人気のあるブランドであれば、そうではないブランドと比較して
  プロモーションなどを効率的に行うことができます。

  消費者のロイヤルティー(忠誠心)も高くなることから、消費者の囲い込みも容易に行うことが
  できます。

  また、ロイヤルティーの高い消費者は、高い価格でも、そのブランドの製品・サービスを購入する
  傾向があるため、企業は高い利益を確保することができるようになります。

  このように、人気を集めているブランドは企業に対してさまざまなメリットをもたらします。

□ブランド構築に際しての基本的な考え方

 ブランド構築というと「従来の業務と違う全く新しいことを始めなければならない」と考えるかも
 しれません。

 もちろん、新たに始めなければならない取り組みもありますが、多くは従来の企業活動の中で行う
 ことです。

 ブランド構築において重要なことに、次のようなものがあります。

  ・企業活動をブランドコンセプトに沿ったものにする(企業活動における意思決定の
   基準をブランドコンセプトに置く)

  ・ブランドコンセプトの下に統一された企業活動を長期にわたって継続的に取り組み続ける

 ブランドは消費者の心の中にあるということは前述しましたが、消費者の心の中につくられる
 イメージの多くは、製品・価格・プロモーション・人的サービスといった、いわば普通の企業
 活動を通じて形成されます。

 しかし、消費者の心の中のブランドは、一朝一夕に形成されるものではありません。

 何度もその企業の製品・サービスなどを利用し、プロモーションやインターネットなどを通じて得た
 情報などによって、徐々に形成されていくものです。

 そのため、ブランド構築は長期・継続的に取り組み続ける必要があるのです。

 ブランド構築に際しては、ブランドコンセプトの下に統一された企業活動を長期にわたって継続的に
 取り組み続けるということが重要になります。

□ブランドコンセプト構築のポイント

 ブランドコンセプトとは、「誰に対して、何を約束するのか(どのような価値を提供できるのか)
 ということです。

 より端的にいうと「自社はどのようになりたいのか」ということと、ほぼ同じ意味といえるでしょう。

 「自社はどのようになりたいのか」ということが明確でない企業はないはずです。

 従って、ブランドコンセプトのヒントは既にあるのです。

 例えば、経営理念や社是・社訓などが該当します。

 中には経営理念や社是・社訓などの形で明文化されたものはないかもしれませんが、「自社はどの
 ようになりたいのか」という明確な思いは経営者の中にあるはずです。

 また、「誰に」「何を」「どのように」提供していくかということを示す企業(事業)ドメインも
 ブランドコンセプトを検討する際のヒントになります。

 もちろん、市場環境など自社の現状を踏まえながらブランドコンセプトを検討することが望ましい
 ですが、こうしたものをべ-スにブランドコンセプトを検討するとよいでしょう。

 ブランドコンセプトの構築において中小企業にとって重要なことは、ブランドコンセプトの構築自体
 ではなく、むしろ、作成したブランドコンセプトを明文化することにあるかもしれません。

 明文化することの重要性については後述します。
 

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中小企業企業のブランド力構築

ブランドの財産的価値

■ブランド価値

 ブランドの財産的価値を見積もるといっても日常生活ではピンとこないかもしれない。

 しかし長い経営の間には、経営から引退して事業を後継者に引き継ぐ時や事業を売却する時がいつか
 訪れます。

 また他社を吸収合併するといった、M&Aの場面に遭遇することもあるでしょう。

 これらに備えて、いわゆる「のれん」としてのブランドの価値を見積もる方法を知ることは非常に
 重要です。

 価値が分からなかったばかりに、価値のない「のれん」を割高で買い取ったり、逆に低い価格で自身
 の「のれん」を手放したりすることは避けるべきです。

 今回はそもそもブランドの財産的価値とは何なのか、その価値を見積もるにはどうしたらよいのかと
 いう点について基本的な事項を説明します。

□ブランドの財産的価値の本質は?

 「のれん」 を表すものの一例として、自社のシンボルマークを例にして説明します。

 ブランドの価値を考える場面では、このマーク自体に財産的価値があると考えるのではなく、これらの
 マークと一体となっている信用がブランドの本質であり、財産的価値を持つと考えるのです。

 一定のマークが付された商品は、一定の品質を持つことが期待できるのです。

 消費者はその品質を期待して、同種類の商品中から一定のマークが付されている商品を購入するのです。

 このようにマーク自体が取引の対象になるのではなく、マークと一体となった信用が消費者の購買の
 原動力になります。

 このマークは商標法上「商標」 と呼ばれるもので、商標法の条文でも「商標を使用する者の業務上の
 信用の維持を図る」 ことを目的とすると規定され、商標と一体となった信用が保護されることを明確
 にしています。

□ブランドとしての商標権の価値

 自社の「のれん」 といってもそのブランドの中には技術力、営業力など、商標以外の要素も入って
 います。

 ここでは分かりやすくするため、自社のシンボルマークや会社名等についての商標権の価値について
 説明します。

 商標権の対象となるのは、商品やサービスの名前、店名、会社名などネーミングのほか、マーク、
 図形、記号なども、商標法により保護することができます。

 商標権は財産的価値を持つものであり、土地などの権利と同じく、自社で使用することによって
 収益を上げることもできるし、他人に貸したり売却したりして収益を上げることもできます。

 ブランド自体が目に見えないものであるためブランドを他人に貸したり売却したりするということは
 想像しにくいが、商標権を仲介させることにより、取引の対象を明確にすることが可能となります。

 商標権の移転売買は日常でも行われている。

 ただし商標権の移転は特許庁に移転の事実を登録しなければ効力が発生しない点に注意が必要です 。

 当事者同士で契約書を交わし、売買代金の支払いが終了しただけでは商標権は移転しない点に特に
 注意してほしい。

□商標権の財産的価値の算定方法

 商標権を譲渡する際の財産的価値の算定方法には種々の考え方がある。

 代表的な三つを紹介します。

 1.マーケットアプローチ

  マーケットアプローチとは、同種の商標権の売買取引事例を参考に対象の商標権の具体的な価格を
  算定する方法です。

  不動産売買でも周辺地域のビルの取引事例を参考に特定のビルの売買取引価格を算定するケースは
  多い。

  同種の商標権の売買取引事例よりも売価が高すぎると買い手が付かず、逆に売価が低すぎると売り
  手が手放さないことから、自然に一定水準に収斂(しゅうれん)する性質がある。

  マーケットアプローチは、商標権を売買する当事者同士が納得しやすいという長所がある。

  しかしその反面、同種の商標権の売買取引事例が存在しない、取引情報を入手できないなどの事情
  があれば、一方の言い値に合理的根拠を求めることが困難となり最終的な商標権の財産的価値の
  算定ができない短所があります。

  公正な第三者機関が扱う取引事例情報の公開といったインフラ整備が進めば、より商標権の財産的
  価値算定の透明性が増すと期待できる。

 2.コストアプローチ

  コストアプローチとは、商標権を取得維持するのに要した費用を参考に商標権の具体的な価格を
  算定する方法です。

  この方法は企業で商品を製造販売するときによく利用される方法であり、商品を製造販売するうえ
  での固定費、変動費を考慮して、最終的な売買価格を決定する手順と同様のものです。

  しかしながら、商標権の財産的価値にコストアプローチを適用すると、多少の幅はあるにしても
  商標権の権利範囲の広さが同程度であれば、どの商標権も同じ価格帯に収まってしまう問題点が
  ある。

  例えば小さな個人事業主ののれんについての商標権と、大企業ののれんについての商標権とを仮に
  したとして、両者が同程度の価格で取引できると考える者はほとんどいないでしょう。

  このコストアプローチは、取引する商標権の最低価格を決定する際には役立つと考えられるが、
  実際の商標権の取引場面では使用されないと考えられます。

 3.インカムアプローチ

  インカムアプローチとは、商標権を取得した場合に将来得られる利益などを参考に商標権の具体的
  価格を算定する方法です。

  例えば、商標権を保有せずブランド力のない一般的な会社が扱っている商品の利益と、商標権を
  保有した場合の利益を比較すると、商標権を保有している会社の方が利益はよいはずです。

  差引の利益は商標権に由来すると考えて計算を実施します。

  ただし、差引の利益の中には商標権に由来しない利益も含まれることがある。

  その利益の中から商標権に由来すると考えられるものだけを抽出するのです。

  問題点としては、商標権は10年ごとの更新申請を実施することにより、半永久的に権利期間を延長
  することができる。

  このように商標権は権利期間が理論上無限となるため、将来得られる利益が無限大になり、これに
  伴い商標権の価値が無限大になる計算上の問題点がある。

  この問題を回避する一つの方法として、等価な資産価値との比較により商標権の財産的価値を
  見積る方法がある。

  例えば、ある商標権を保有することにより毎年1000万円の利益を得られたとすると、毎年1000
  万円の利益をもたらす資産を保有していると別途考えるのです。

  具体的な考え方としては、米国国債の利率を毎年5%として、税金諸経費、為替変動、インフレ
  などの外部要因を除外したとして毎年1000万円の利益を生む米国国債はいくらか、と考えるのです。

  2億円の米国国債を保有していれば、先の商標権を保有している場合と同じ1000万円の利益が毎年
  得られることになる。

  この2億円の米国国債を参考に、危険係数などのパラメーターを考慮しつつ、商標権の実際の価値を
  絞り込んでいくのです。

  考え方の説明のために概略化し過ぎた面はあるが、実務上の計算手順はこれよりもさらに複雑です。

□ブランドの価値がゼロの場合

 外形的に商標権を保有していても、その商標権の財産的価値がほとんどないか、もしくは価値がない
 場合もあることに注意してほしい。

 商標権の本質的価値は商標と一体となった信用にあると考えられている。

 この信用は商標が実際に使用されることにより維持増進される。

 時代の推移と共に誰にも使用されなくなり、見向きもされなくなった商標には、過去に一体となって
 いた信用がなくなってしまったと考えられている。

 商標法でも一定条件の下、日本国内で3年以上使用されなくなった登録商標には保護すべき価値がなく
 なったものとして取消請求を認める制度が設けられている 。

 自社ののれんについて商標権を取得すれば万事安泰というわけではない。

 自社ブランドの財産的価値を維持するには、日々自社ブランドを維持増進させる取り組みが必要なの
 です。

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中小企業企業のブランド力構築

自社ブランドの構築

老舗(しにせ)

 老舗(しにせ)とは、「代々同じ商売を続けている店」「由緒正しい古い店」という意味です。

 老舗の特徴は、長い歴史を経て、鞘費着からの信頼を獲待している企業であることです。

 ただし、企業は歴史があるというだけでは、厳しい競争を生き抜くことはできません。

 老舗は、創業から日々たゆまぬ努力をすることで、「自社ブランド」を構築し、消費者の信用を獲得
 して、実績を積み重ねてきたのです。

 こうした老舗は、

  競合他社よりもよい、あるいは競合他社と差異化を図った商品・サービス
  (以下「商品」)を提供することで、長期にわたる事業の継続を可能にした実績がある

 といった強みを持っています。

 消費者の信頼を得ることができるよりよい商品の提供という強みは、「自社ブランドの構築」という
 方法によって、老舗だけではなく、新しく創業すろ企業であっても実現することができます。

 ここでは、ブランドの概要や企業のブランドに対する意識に関連するデータとともに、自社ブランド
 を構築するためのポイントについて紹介します。

□ブランドとは

 1.ブランドの種類

  ブランドとは、一般的に商品を表す名称・商標であり、これにより他社商品との区別が容易に
  なります。

  ブランドは、ナショナルブランドとプライべ-トブランドとに分けることができます。

  ナショナルブランドとプライベートブランドの概要は次の通りです。

   ・ナショナルブランド
    商品名などが固有名詞として広く認識されており、全国的に展開されているブランド

   ・プライベ-トブランド
    大手流通業などの企業が独自に開発するブランド

  また、ブランドは、その示す対象によって、企業ブランドと商品ブランドに区分することができます。

  企業ブランドと商品ブランドの概要は次の通りです。

   ・企業ブランド
    企業名、企業ロゴなど企業に関するブランド

   ・商品ブランド
    商品名、商品ロゴなど個別商品あるいは特定の商品群に関するブランド

 2.消費者のブランドに対する意識

  近年では、セブン&アイ・ホールディングスやイオンなどの大手流通業のプライべ-トブランド
  商品や、ユニクロやH&Mなどのファストファッションなど、安価な商品が支持されています。

  一方で、ダイソンの掃除機など、高価格であっても支持されている商品もあり、一部の商品では
  依然として高いブランドカを維持しています。

  商品にもよりますが、消費者は中身が同じでも無名ブランドに比べると有名ブランドのほうが
  高品質であると判断する傾向があります。

  特に、消費者の中には「こだわりのブランド」「お気に入りのブランド」しか購入しない人も
  います。

  このように、消費者は、自身が気に入っているブランドに対して、一定のロイヤルティー(忠誠心)
  を有します。

  消費者は、「有名ブランドの商品は、多くの人が利用しているから安全性が高いだろう」「この
  ブランドの商品は以前に購入したことがあるから安心できる」などと判断しています。

  有名ブランドのような、強いブランドカを持つブランド(以下「強いブランド」)は、「高い信頼」
  「よいイメージ」などによって、消費者から選ばれる商品となります。

 3.ブランドが高付加価値を生む

  仮に、どこの企業の商品も似たようなもので品質に差異が見当たらないとなると、その商品は価格
  競争に巻き込まれてしまいます。

  それは、「品質に差異がないのなら価格の安いものを買ったほうが得」と消費者が考えるためです。

  しかし、強いブランドは、価格以外の訴求ポイントで消費者に満足を与えます。

  従って、価格競争に巻き込まれにくく、企業に高収益をもたらします。

  また、高級ブランドは品質が高いといった点だけでなく、価格が高いことがステータスとなり、
  他社商品との差異化につながっている場合があります。

  従って、値崩れを起こして低価格化した時点で、ステータスとしてのブランド価値は崩壊して
  しまいます。

 4.中小企業にとっても無縁ではないブランド構築

  消費者のブランドに対する意識は企業にとって無視できない存在です。

  また、ブランドが生む高付加価値は企業にさまざまなメリットをもたらします。

  一般的にブランド構築に取り組むのは大企業が中心であると思われがちです。

  しかし、ブランド構築によって他社との差異化を図っているケースがあるなど、中小企業にとっても
  ブランド構築は重要な取り組みであるといえます。

  例えば、特殊ミラーなどの製造・販売を手掛けるコミーは、店舗、交通機関、公共施設などさま
  ざまな企業や施設に商品を納入しています。

  コミーはユニークな商品開発や、それを実現するためのマネジメント手法などが度々メディアで
  取り上げられているため、コミーの商品名までは知らない人も、「特殊ミラーを扱っている、
  埼玉県のユニークな企業」としてその名を開いたことのある人は多いのではないでしょうか。

  このように、他社が真似することができない技術や商品開発など、「自社の強み」を生かすことで
  企業ブランドを構築することができます。

  企業ブランドの構築によって、他社との差異化を図ることも可能であり、これは商品ブランドを
  構築することが難しいと考えている中小企業にとっても重要な取り組みといえるでしょう。

□自社ブランド構築のポイント

 1.ブランド開発の考え方

  ここでは、新ブランドを開発する場合の一般的な考え方を紹介します。

  例えば、商品ブランドの開発であれば、品質・機能性・デザインなどの商品コンセプトを決定し、
  それに基づいた商品の開発を行います。

  この商品のコンセプトがブランドの基本コンセプトの中核となります。

  つまり、消費者ニーズや新商品の市場での位置付けをし、どのような特徴を大きく打ち出すかを
  検討し、ブランドイメージを決定していきます。

  その後、ブランドイメージに基づいてネーミングやロゴマークなどのブランドデザインを実施します。

  まず、考えなければならないのは、

   ブランドを生む前提となる企業の在り方

  です。

  企業スタイルといってもよいでしょう。

  企業スタイルとは、企業理念や企業哲学を背景につくられたものです。

  競合他社と同じ発想で事業展開をしていては、自社の優位性は発揮できず、消費者に自社と自社
  商品の魅力を伝えることはできません。

  ブランドとは消費者と企業がともに追求するスタイルを合致させ、ともにそのスタイルを実現
  させるためのものであるといえます。

  強いブランドを持つ企業には魅力的な企業スタイルが存在します。

  こうしたことから、ブランド構築を検討する際には、企業スタイルの再考・再構築をすることも
  必要となります。

 2.ブランド要素の選択

  ブランド要素は、ブランドの意味や価値を消費者に伝達するために必要な手段です。

  識別の手段としてブランドを考えた場合、

   覚えやすく、目を引きやすいこと

  が重要であり、そのようなブランド名やロゴ・シンボルマークが必要です。

  また、ブランドは認知されるだけではなく、好ましいブランドイメージが消費者に伝わらなければ
  なりません。

  ブランドの力によって消費者が購買意欲を喚起されるようでなければならないのです。

  ブランド要素には、ブランド名、ロゴ・シンボルマーク、キャラクター、パッケージ、カラー
  などが挙げられます。

  名は体を表すというように、名称は大切な要素です。

  覚えやすく、なじみやすく、伝えやすい名称でなければなりません。

  また、一目でブランドの識別ができ、他社ブランドと混同されず、違和感がなく、皆に親しまれる
  ものにする必要があります。

  ロゴ・シンボルマークは商標登録をすることができます。

  将来、模倣される危険性があるため、あらかじめ登録しておきましょう。

  独自のブランドアイデンティティーを確立する上の重要な要素として、また消費者とブランドの
  関係を維持・強化するための強力な手段として、キャラクターが重要な役割を果たします。

  そのため、ディズニーなどの既存の有名キャラクターを利用するケース、または、独自にオリジ
  ナルキャラクターを開発するケースが考えられます。

  また、パッケージもイメージの伝達に重要な役割を果たします。

  パッケージの本来の役割は、中身の保護と物流の容易さにありますが、店頭への陳列段階では、
  目立ちやすさとイメージの表現が重要になります。

  また、目立ちやすさの観点からは、同業他社商品のパッケージがすべて目立つデザインであれば、
  逆にシンプルなデザインにしたほうが消費者の視線を集めることになります。

  パッケージも「ブランドイメージを構成する一部分である」と考える必要があるでしょう。

  このほか、環境問題への関心の高まりを考慮して、パッケージ素材をリサイクル可能なものにする
  などの工夫も有効でしょう。

  こうした工夫は、「環境に配慮している商品あるいは企業」といったよいイメージを消費者に伝達
  することにつながります。

 3.差異化のポイント

  新しいブランドが市場で成功するには、他社商品との差異化が重要なポイントとなります。

  差異化とは他社がまねすることのできない優れた面を持つことであり、これにより他社との競争を
  優位に展開することができます。

  差異化の方法は、

   ・イメージによる差異化

   ・商品の機能による差異化

   ・販売価格による差異化

   ・販売チャネルによる差異化

   ・販売ターゲットの差異化

  などが挙げられます。

  ブランドの知名度と市場占有率は比例する関係にあるといわれます。

  簡単に言うと、「有名なものほどよく売れる」ということです。

  そこで、市場で勝ち残るにはブランドの知名度を上げる必要があります。

  前例のない新商品・新サービスを市場に投入した場合、そのブランドがその商品を代表する名称に
  なりやすく、市場参入した順番がその後の市場占有率に大きく影響することになります。

  これが開拓者利益で、最も早く市場に参入した企業に最も大きなメリットが生じるのです。

  例えば、「味の素」はうま味調味科の代名詞のようになっていますが、このように、ブランドが
  商品の種類を代表するようになるのが理想です。

  それでは、既存市場に後発企業として参入した集合、どのようにすべきでしょうか。

  その他多数のブランドに埋もれずに成功する方法の一つは市場のすき間(ニッチ)を探すことです。

  市場のすき間は消費者や競合他社が見逃している点です。

  「他社にはないサイズ」「他社にはない付加機能」「他社にはないデザイン」などを探し出し、
  商品化し市場に投入することによって他社商品との差異化を図ることができます。

 4.ブランド認知

  ブランドを広く認知させるために、ブランドのイメージや競合商品の広告動向分析に基づく広告
  コンセプト、媒体計画などの広告戦略、プロモーション戦略、さらに新商品の売上予測、販売
  チャネル計画などの策定・実施といったマーケテイング活動を行います。

  消費者の消費行動は、

   認知 → 関心  評価  利用  再評価  再利用

  という段階を経ることになります。

  消費者に認知されるには、広告宣伝活動が不可欠で、さらに関心を得るには訴求力のある広告宣伝
  活動の継続が必要となります。

  認知→関心を高める手段として、広範な広告宣伝が用いられます。

  目に触れ、耳にする機会が多いほど、人は記憶します。

  しかし、無名ブランドを広く認知させるには多くの広告宣伝活動を必要とします。

  ブランドの認知度が低ければ低いほど、広告宣伝活動に要するコストは大きくなると考えられ、
  この点は中小企業にとって、ブランド構築を行う際の課題となるでしょう。

 5.ブランド構築のフロー

  ブランド構築は次のような流れで進むことになります。

  (1)商品力テゴリーの投定

   まず、ブランドの商品カテゴリーを設定します。

   そのブランドはどのような商品群のブランドであるのかを決めなければなりません。

  (2)メーンターゲットの明確化

   次に、メーンターゲットを明確にします。

   誰が買い、誰が使うのかを想定し、中核となる購買層を明確にするのです。

   こうすることで、ネーミング、デザイン、品質・機能、価格設定を絞り込むことができます。

  (3)ブランドの位置付け

   市場には同様の商品や同様の消費者を販売対象にした競合他社が存在するものです。

   競合ブランドが存在し、それらとの差異化が必要となる場合、ブランドの位置付け、メーン
   ターゲットの再調整などが必要になります。

  (4)イメージアップ

   ブランドの提供価値は、機能的な価値のほかに情緒的・情動的価値が重要になります。

   品質・機能は同様であっても、有名ブランドであれば消費者に与える価値は大きく高まるものです。

  (5)陳腐化の防止

   一度構築されたブランドも常に維持管理に努めないと陳腐化する恐れがあります。

   消費者ニーズの変化、競合他社の動向などに留意し、ブランドの陳腐化を防ぐ努力が必要です。

   経済産業省企業法制研究会「ブランド価値評価研究会報告書」では、ここまで紹介した流れを、
   より詳細にした「ブランド価値を最大化するための経営戦略」を紹介しています。

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中小企業企業のブランド力構築

ニッチトップ戦略

■ニッチトップ戦略とは

 ニッチ(すき間)市場は、大企業が手を出さない規模の小さな市場を指します。

 市場全体の一部を構成する特定のニーズ(需要、客層)を持つ規模の小さい市場のこと。
 狭義には、その中でも商品やサービスの供給・提供が行われていない市場とされる。
 隙間市場(すきましじょう)ともいう。(出典:ウィキペディア)

 年商100億円で特徴のないスーパーマ ーケットが勝ち残れるだろうか?

 答えはもちろん、「否」である。

 中小企業がとるべき 戦略は「ニッチトップ戦略」です。

 この隙間市場でNO1になるための戦略について解説します。

 釣り具の“浮き”でナンバーワンの企業があります。

 レジャー産業の中の、釣り業界の中の、釣り具業界の中の、海釣り用釣り具の中の 、堤防用
 釣り具の中の、夜釣り用釣り具の中の、“浮き”であり、そこまで 絞り込んでいるのです。

 また、ある優良企業は、「世界一になれない分野はやらない」という経営方針のもと、商品開発・
 マーケット開発の着眼として年商100億円、経常利益30億円を掲げ、実現しています。

 両社に共通して言えるのは、 トップになれない、大手が 参入するマーケットは捨てていること、
 値決めの主導権を握っているため高収益であること。

 2.戦略展開の着眼点

  ニッチトップになるには、まずトップに なれるマーケットを探すこと。

  これは、マーケットを「切る」、「捨てる」、「絞る」ことと同義である。

  「切る」とは大きな産業分類ではなく、顧客層・用途・価格帯・重量・ニーズ・課題・提供
  価値などで、自社の参入するマーケットを セグメンテーションすること。

  「捨てる」、「絞る」とは、トップになれないセグメン トは捨て、トップになれる セグメント
  にターゲットを絞ることです。

  次に、絞ったマーケットに経営資源を集中させる。まずは「 やらないこと」を決めること。

  そして、そのマーケットに商品開発とブラッシュアップ、マーケット開拓、プロモーション
  集中的にぶつける。

  「若年層の女性」にマーケットを絞った 住宅会社は、1000万円以上の住宅を求める顧客を
  相手にしない。

  その市場にはライバルが多く、競争になることがわかっているからであり、絞ったマー ケットで
  トップになることを優先させているからです。

□ブランディング戦略 ~長期的な信頼関係~

 1.製品・サービスの提供価値+α=ブランド

  ニッチトップ戦略の延長線上ではあるが 、ニッチトップ実現と ともに打つべき手が、ブラン
  ディング戦略です。

  「ブランド」と言うと、グッ チやベンツといった高級ブランドをイメージするかもしれませんが、
  ここで は「企業と顧客の長期的な信頼関係」を意味します。

  製品・サービスの提供価値は、期待値を 超えて顧客を驚嘆させるも のであることがベースです。

  ブランドには、それに 加えて企業の姿勢や考え方、行動など、「企業が発する匂い」のような
  ものが影響します。

  そ うした心理的な提供価値までもが、顧客を取り込んでいるのが強いブランドです。

  「私はあの企業が好きだ。あの企業から買いたい」、「私はあの企業をいつも最初に指名して
  いる」という確固たるフ ァンを増やしていくことが、ブ ランドによって業績向上を図るサイクル
  なのです。

 2.ブランドを形成する5つの要素

  ブランドの要素は、大きく次の5点に分類されます。

   (1)商品・製品ブランド

   (2)サービスブラ ンド(人材ブランド)

   (3)テクノロジー (技術)ブランド

   (4)事業ブランド

   (5)企業ブランド

  商品・製品ブランドとは、「機能価値」「価格価値」「感性価値」が高いこと。

  サービスブランドとは、例えば「納期回答スピードで圧倒的ナンバーワン」「接客対応
  ナンバーワン」といった、主に社員が提供する サービスの価値です。

  総サービス業化している現在は、こうした要素も十分にブランドとなるのです。

  テクノロジーブランドとは、「超音波技術」「切削技術」といった技術がブランド化している
  こと。

  企業ブランドとは、「企業の経営に対する信頼」 が高いことです。

  製品は良くても経営姿勢が信頼されて いなければ、消費意欲は減退します。

  強いブランドを確立するためには、品質・ サービスの基準を自主設計し、それを磨き上げる
  ことです。

  例を挙げ ると、ISO(国際標準化機構) の基準や食品衛生法などは、自社が定めた基準では
  な いため、それに沿っているだけで は、顧客を自社のファンにするまでには至らない。

  顧客価値の高い基準を自社で定めて 順守することによって差別化を図り、顧客を固定ファン化
  する活動がブランディングなのです。

□ファーストコールカンパニーの実現

 1.顧客満足実現に向けた善循環サイクルの確立

  ブランディングが進んでいるかどうかは 、短期的な視点と中長期的な視点から評価できます。

  短期的な視点のチェックポイントは、

   (1)売上げ・利益

   (2)粗利益率

   (3)リピート率

   (4)顧客満足度

   (5)安定収益ベース

   (6)株価・自己資本比率 などが向上しているかどうか。

  中長期的な視点の チェックポイントは、

   (1)成長マーケッ トでトップシェアかどうか

   (2)クチコミや紹介に よる顧客創造ができているか

   (3)高品位顧客が増加しているか

   (4)顧客の課題解決に よって新市場を創出しているか

   (5)社員満足度が向上しているか

  などです。

  顧客を見つけ、顧客の期待・ニーズをつ かみ、ブランドをつくり、それを「深化」させてより
  強くし、結果として収益性が向上します。

  そのことで社員の誇りや満足度が高まり、それが品質向上につながり、顧客が満足する。

 2.ファーストコールカンパニーになるためのポイント

  このサイクルがうまく回り出すと、「ファーストコールカンパ ニー」になることができます。

  顧客が一番に声をかける企業、顧客に とってマインドシェアが一番高い企業です。

  つまり、商品を買おうとするとき、 真っ先に思い浮かべられ る存在になるということです。

  ファーストコールカンパニー になるためのポイントは次の4点。

   (1)商品・製品価値オ ンリーワンを目指す

   (2)サービス価値ナンバーワンを目指す

   (3)顧客とのコミュニ ケーション(接点)を増やす

   (4)ブランド力維持のために 「捨てる」を明確化する

  「商品・製品価値オンリーワン」とは、 自社がトップポジションを とっている商品・製品の
  「機能価値(商品・製品の機能そのものの価値)」「価格価値(手頃感、お得感など)」
  「感性価値(デザイン・好みなど)」をオンリーワンレベル にまで上げることです。

  これを実現するためには、自社の強み( コア技術)を再認識する。

  コア技術を「業種特化型」(自動車産業向け高技術製品の展開など)と、「業種横断型」
  (技術を他分野に展開など)のどちらにするかを定め、機能・価格・感性という三つの価値に
  おいて他社との違いをつくり、 深めることが重要です。

  しかし、商品・製品の差別化が難しい業種や分野もあります。

  その場合は、「サービス価値ナンバーワン」を目指すとよいでしょう。

  サービスで差別化を図り、ブランドを確立するのです。

  企業が商品・製品をユーザーに提供する までのプロセスの中で、顧客のニーズを的確につかみ、
  強化すべ きサービスを定めます。

 3.ファーストコールカンパニーの事例

  ある機械工具商社は、「一発納期回答・一発見積回答」 というキャッチフレーズを掲げ、実践
  することによっ てサービス価値を高めている。

  以前、同社は、納期の問い合わせと見積もり回答に多くの時間と労力をかけており、効率が
  悪かった。

  顧客の 時間も奪っていた。

  しかし、この 不満にニーズを見出した。

  問い合わせがあったときに、その場で納期と見積もりを回答すれば、他社と差別化でき、受注率
  が上がり、効率も良くなると考えたのです。

  さらに、それを顧客にも社員にもわかりやすく伝えるために、 キャッチフレーズを掲げました。

  同社はそれを実現するため、納期と見積もりを即答できるIT システムの構築に投資し、営業・
  事務・倉庫すべての業務を見直して、新しいルールを定めた。

  さらに、キャッチフレーズをつくって顧客にも宣言し、やらざるを得ない仕組みとした。

  すなわち、顧客から問い合わせがあった時点での差別化・高付加価値化を図ったわけです。

  現在、同社は顧客から見て非常に価値の高い会社になり、社員も自社を誇りに思っています。

  この事例のように、人的サービス価値ナ ンバーワンを達成することは、顧客にとっても社員に
  とっても価値の高いサ ービスブランドを確立します。

 4.ファーストコールカンパニーの共通点とブランド力の継続の鍵

  次に、ファーストコー ルカンパニーの共通点は、「顧客とのコミュニケーション(接点)」が
  多いところです。

  接触の方法は人・マスメディ ア・催事・販促ツールなどだが、ニッチトップを目指すには「人的
  コミュニケーション」が有効です。

  顧客ニーズの変化をヒアリングする、訪問や展示会で顧客側のキーパーソンと自社の経営者・
  幹部が直接触れ合うな どして、接点を増やすことです。

  さらに、ブランド力を維持するには「捨てる」を明確化することです。

  売上げを増やすため、むやみに手を出す とブランドは荒廃します。

  次の4項目で「捨てる 」基準を決め、徹底していく。

   (1)総量規制

   (2)売らない顧客・チャネル・ルート

   (3)売らない価格・粗利益率

   (4)行わないサービス


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中小企業企業のブランド力構築

小さな会社のブランド構築

小さな会社のブランド構築

自社ブランドの展開で収益を拡大
 日本は長らくものづくりを得意としてきましたが、安価な輸入品の増加などにより、
 国内製造業の空洞化が指摘されています。
 また、下請けの立場である小企業は発注元と対等な関係を構築することが難しく、 
 「発注元の業況や調達方針に受注量が大きく左右される」「価格の決定権がない」といった
 課題を抱えています。

 小企業がこうした課題を解決していく方法の1つが、自社ブランドの立ち上げです。
 中小企業庁の調査では、事業転換した企業や多角化した企業では、そうではない企業に
 比べて、売上高や経常利益が増加傾向にあります。
 また、事業転換した企業や多角化した企業は、自社ブランドの製品・サービスを保有
 している割合が高いとされています。

□小さな会社でも「ブランド力」は持てる

 「ブランド」と言うと大きな会社の高級商品を思い浮かべるかもしれません。

 しかし、ブランドカというのは小さな会社にも存在しますし、小さな会社でもブランドカを
 持つことは可能です。

 私は多くの会社を見てきましたが、ブランドと聞いて多くの人が想像するような位置づけと
 本質的には同じ力を持っている小さ
な会社を見てきました。

 そして、そういった小さなブランド会社は、他のブランドカを持たない会社よりも圧倒的に

 経営がうまくいっています。

 特に、収益性が圧倒的に高い場合が多いようです。

 今回は、そんな「小さなブランド会社は、一体、どうなっているのか?」を見ていき
 ましょう。


□自社の「ブランドカ診断」

 それでは、まず、自社のブランドカを簡単に診断してみましょう。

 下記の10項目を自社に当てはめて考えて「Yes or No」で答えてみてください。

  1 お客様の行列ができている

  2 関わる人によく感謝される

  3 「一緒に働きたい」という人がよく来る

  4 金融機関が「お金を借りてくれ」と言って来た

  5 「協業しませんか?」という誘いが来る

  6 良い情報が自然に入ってくる

  7 「御社が好きです」と言われる

  8 自社を紹介してくれる人が多い

  9 営業の電話が頻繁にかかってくる

  10 取材がよく入る

 さて、いかがでしたか?

 10個すべてが「Yes」であったなら、あなたの会社は間違いなくブランドカの高い会社です。

 収益性もかなり高いでしょう。

 7〜8個が「Yes」でも、十分にブランドカがあります。

 ほとんどが「No」だった会社は、残念ながら、ブランドカがあるとは言えません。

 かなりの確率で、収益性も低いのではないでしょうか。

 つまり、経営力が低いということです。

 それでは、ブランドカを持っている会社と持っていない会社は何が違うのでしょうか? 

 ぜひ、考えてみてください。

ブランドの核

 ブランドカのある会社には「経営資源が勝手に集まってくる」ようになりますから、
 ブランドとは「引力」のようなものです。

 必要なものを経営体に自然と集めてしまう力です。

 では、その「ブランド(=引力)」を構成する中心となっているものは何でしょうか?

 それは、こんな質問を考えてたら分かりやすいと思います。

 「どんな会社だったら経営資源が勝手に集まってくるのか?」と考えてみてください。

 どうでしょうか? 何が中心的な力になっていますか?

 みなさんが、今、考えてくれた要素は間違いではないと思います。

 どれも、ブランドカのある会社の要素の1つだと思いますが、私は、この要素が決定的
 だと
考えています。

 それは、「お客様に困っていない会社」であるということです。

 会社にはお客様が不可欠です。

 お客様という要素が無ければ会社は存続できません。

 逆に、他の何がなくともお客様さえ存在すれば会社は存続できると言えます。

 それ以外の必要な経営資源はお客様の存在が明確であれば、たいてい簡単に集めることが

 できるからです。

 商品そのものでさえそうです。

 商品がなくてもお客様がいれば商売は成り立ちます。

 昔の商人は、そう考えて「顧客台帳(懸場帳)」を徹底的に大事にしました。

 たとえ火事ですべての商品が燃えてなくなったとしても、顧客情報さえあれば商品は

 どこからか仕入れてきてゼロから商売が始められることを知っていたので、何が起こっても
 顧客台帳だけは守ったのです。

 それだけ、ビジネスにおいてお客様の存在は大きな意味を持つということです。

 もちろん、お客様の重要性は、現代でも変わりません。

 ブランドカのある会社は、この大切なお客様を他の会社とは全く違うレベルで持っています。

 ブランドカのある会社には、お客様を超えた「フアン」が存在します。

 つまり、ブランディングとは、このようなを増やす活動であり、「フンづくり」
 のことであると言っても過言ではありません。

□「ファンづくり」で最初にすべきこと

  それでは、どうやったらお客様をフアンにすることができるのでしょうか?

 小さなブランド会社は実にさまざまなことを実践して、多くのフンに囲まれて幸せな
 ビジネスを展開していますが、ここでは最も大切な要素の1つを−緒に考
えてみましょう。

 それは「お客様の記憶に残る」ということです。

 私たちがビジネスをしている現代は、商品も情報も洪水のようにあふれている社会です。

 しかも、お客様の記憶容量には限界があります。

 そんな環境にあって、記憶に残り続けることは簡単なことではありません。

 たいてい、カテゴリーのトップか強烈な印象を残した商品しか記憶に残らないのです。

 ですから、フンづくりをしたいと思った時に、まず、最初に考えないといけないのは

 「ABC」をしっかりと考えて明確にすることです。

 お客様を超えたファンを持っている会社は、意識的にせよ無意識にせよ、この「ABC」が

 明確になっています。

□「A brand B as C」を徹底的に考える

 「ABC」とは「A brand B as C」のABCであり、A=お客様、B=会社、C=印象/評価
 (どう思われているか?)ということです。

 brand(ブランド)という言葉の由来は、家畜などに付けた「焼き印」が有名ですが、
 動詞としても
 「熔印を押す」とか「記憶に焼き付ける、印象づける」と
いうような意味でも使われます。

 ですから「A brand B as C」は「AはBをCと強く記憶している」というような意味に

 なります。

 このABCのそれぞれを明確にしておかないと、簡単に忘れられる会社になってしまいますし、
 そんな会社がほとんどですから、ABCが明確になっている会社は
強く印象に残っていく
 のです。


 まず、Aでは「どんな人にお客様になってもらいたいのか?」「理想の顧客像」を明確に

 してください。

 「お客様なら誰でもいい」と考えがちですが、そんな態度の提供者が発する商品、会社の
 雰囲気は、結局、誰も惹き付けません。


 「私たちは、こんな人のために価値を提供したい。こんな人たちのために存在する意義

 がある」ということを明確にすべきなのです。

 ですから、あなたにお勧めするのは「理想の顧客10カ条」をつくることです。

 次は、Cです。

 Aで明らかにした「理想の顧客」から、どのように思ってもら

 いたいのか? どういう印象を残したいのか? どのように記憶されたいの

 か? ということを考えてください。この時に私たちがお勧めしているのは、自

 社の「3つのUSP」を明確にしておくということです。

 USPUnique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の頭文字

 取った表現で、簡単に言うと、あなたの会社の「独自の売り」のことです。

 あなたの会社の「売り」は何でしょうか? 

 それをたとえば、吉野家の「早い、安い、旨い」のように簡潔に3つにまとめておきましょう。

 これはお客様が最も必要としている情報であり、記憶に残るか残らないかは、この情報に

 かかっています。

 最後に、Bです。

 Aの「理想の顧客」にCの「独自の売り」で記憶に残ってもらうあなたは「どういう存在で
 あるべきか?」を考えましょう。

 お勧めしているのは、それらを「大切にする信条10カ条」などにまとめることです。

 これらは表現の仕方によってクレドやブランドプロミスと呼ばれたりします。

 「A brand B as C」

  A:理想の顧客10力条

  B:クレド/ブランドプロミス

  C:3つのUSP

□お客様と私たちの関係性を見直す

 最後に、あなたとお客様との関係性を考えてみたいと思います。

 なぜなら、多くの経営者が、これまで説明してきた「小さなブランド会社になる」「お客様
 で
はなくファンに囲まれる会社になる」ことが幸福な経営で理想だと分かっていて、それを
 目指して努力し始めても、なかなか成功できない理由がお客様との関係性
の「思い込み」に
 あるからです。


 お客様と会社の関係を考えてみると、「お客様は神様です」という言葉に象徴されるように、

 お客様が上で会社が下という関係性を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか?

 確かに、提供者であるあなたは、お客様の存在がなければ、存在することができません。

 ですから、お客様を大切にするのは当然のことです。

 しかし、だからと言って価値の提供者であるあなたが下僕のようになるのも、また違う

 と考えています。

 なぜなら、お客様も、提供者であるあなたがいなければ困るからです。

 経済が発展した社会では多くの人が自分以外の多くの人に依存して生きることになります。

 自分が必要とするモノのほとんどは自分独力では用意できません。

 誰かがつくってくれたものを買うことができるだけです。

 つまり、経済が発展するということは、相互依存の進んだ社会になっていくということです。

 そんな中で、価値を通して受益者と提供者が上だ下だと言うのはおかしなことです。

 価値の提供者である私たちと価値の受益者であるお客様は、それを仲介するお金を通して

 「対等」なのです。

 それを決して忘れずに、お客様との関係をつくっていっていただけたらと思います。

 そうやって行動していけば、関係は良くなり、ストレスが少ない経営ができるように
 なります。


 それは私たちにとっても、お客様にとっても良い関係です。

 「あなたの会社のファンです」、そう言ってくれるお客様を超えたファンが、あなたの
 会社にも現れることを心から願っています。

 

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中小企業企業のブランド力構築

商標登録の手続き

商標登録の手続き
 

  ■商標の種類と登録の意義

   1.商標とは

    商標とは、

     他人の商品・サービスと区別するために自己の商品・サービスにつける
     名称やマークのことを指します。

    商標には、商品商標と役務商標があり、いずれも「商標法」で保護されています。

    商品商標とは、形のある商品(たとえば、洋服、自動車などの有体物)に使用する目印や
    呼び名のことをいいます。

    通常、「ブランド」「マーク」などと呼ばれています。

    商標は商品を識別する目印として使用されるときにその権利が認められるため、
    応援ポスターにキャッチコピーとして「がんばれニッポン」「阪神優勝」と表示しても、
    商品の目印ではないので商標とはいえません。

    役務商標とは、形の無いサービス(たとえば、宅配便、銀行、テレビ放送などが提供する
    サービス)に使用する目印や呼び名のことをいい、「サービスマーク」とも呼ばれます。

    レストランなどの看板も役務商標に該当しますが、レストランで出される食事(持ち帰りの
    ものは含まない)は市場で流通性がないため商品とはみなされません。

    なお、問屋・小売店は商品を売買するだけで、商品の製造や保証には関わっていないため、
    商品商標・役務商標のいずれでも保護されません。

   2.商標登録の意義

    商標登録制度は、消費者が商品・サービスを選択するためのシンボルである「商標」を
    登録することで保護し、消費者の混乱を防止することを目的としています。

    たとえば、「シャネル」のラベルを付けた偽物のTシャツが、本物と紛らわしく売られ
    たならば、消費者は偽物を本物だと勘違いして買うことになり、消費者にも、本物を売って
    いる企業にも、不利益をもたらします。

    このため、シャネルという名前やマークを商標として登録し、独占的使用権を与えること
    により、偽物が出現するのを防止して企業を守っています。

    商標権を侵害して偽物を販売すると懲役刑と罰金が科せられます。

    こうして、

     同じ商標(ブランド、ラベルなど)を付けた商品が、
     つねに同じ企業から販売できるように流通形態を保護することで、
     消費者にはつねに同じ品質を償証された商品が届くようになっています。

  □商標法における登録対象

   1.登録される商標

    法律で保護される(登録される)商標は、文事・固形などによる平面商標と人形や
    像などの立体商標とに分けられます。

    平面商標は従来から使用されているラベルやタグなどが該当します。

    立体商標は、店舗の前に置かれた人形(たとえば、フライドチキン店の人形)やビルに
    固定された立件形の看板(たとえば、カニの看板)が該当します。

    また、

     登録できる商標は「自己の業務のため」に使用するものに限られています。

    したがって、将来においても使用する意図の無い商標や、他人に高値で売ることを
    目的としたものは保護の対象とはなりません。

   2.登録されない商標

    文字、図形の平面商標や立体形をした立体商標であっても、すべての商標が登録される
    わけではありません。

    商標は、次に該当する場合は登録できないこととされています。

    1)出所の識別性がないもの

     商品などの普通名称や産地名、ありふれた氏名、きわめて簡単な図形などは、
     誰がその商品を販売しているか、誰がサービスの母体であるかを区別することが
     できないため、消費者保護の観点から、登録することができません(商標法 第3条)。

    2)公共性が高い名称、図形のもの

     日の丸、赤十字、公共団体のマークなどの公共性の高い商標は、特定の民間人に
     商標権として独占させると、多数の国民の不利益となるため、登録することが
     できません(商標法 第4条)。

    3)権利調整のために登録させないもの

     他人がすでに登録してある商標と同一または類似する商標は登録することができません。

     また、先に出願してある商標と同一または類似する商標も、同様な取扱いとなります。

     これは、同じようなブランドが複数の企業から別々に発売されると、消費者が混同する
     ことになるからです(商標法 第4条)。

     この条件に該当する商標は多いため、事前に調査・確認しておく必要があります。

  □商標出願の手続き

   1.出願から登録までのフローチャート

    出願から登録までの大まかな流れをフローチャートで示します。

   2.出願の事前準備

    (1)先行調査

      これから使おうとする商標が決定したならば、
      同一または類似する商標を第三者が先に「出願」あるいは「登録」して
      いないか、調査する必要があります。 

      出願しようとする商標と同一または類似する商標が同一または類似の商品・役務
      についてすでに「出願」あるいは「登録」されている場合、登録できないことも
      あります。

      なお、類似しているかどうかは次の3つの視点から判断されます。

       ・視覚的に紛らわしいもの「外観類似」   例:△▽と▲▼

       ・発音した時に紛らわしいもの「称呼類似」 例:太陽と大洋

       ・同様なものが連想されるもの「観念類似」 例:虎とタイガー 

      調査方法には、インターネット上の特許情報プラットフォームを利用する方法と、
      商標公報などで調べる方法があります。

      特許情報プラットフォーム(特許庁) 

      特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索

      公報は、独立行政法人工業所有権総合情報館の公衆閲覧室か、
      都道府県の知的所有権センターで閲覧できます。

      専門の調査業者や弁理士に依頼して調査してもらうことも可能です。

    (2)商品区分、役務区分の指定

      商標は商品ごとに登録され、商標権は商品ごとに発生します。

      たとえば、指定商品が被服で商標登録したのであれば、菓子などそれ以外の区分
      の商品については独占の権利がありません。 

       商標を出願する場合には、商標(マーク、ロゴ)を決定すると同時に、
       使用する対象の商品又は役務(サービス)を決定し、
       その商品又は役務が記載きれた区分を指定しなければなりません。 

      商品および役務は45種類に分けられており、第1類から第34類までが商品の区分、
      第35類から第45頼までが役務の区分となっています(*)。

      また業務によっては、2つ以上の区分を指定しなければならない場合もあります。

      たとえば、テイクアウトの弁当を販売している食堂では、第30類の「弁当類」と
      第43類の「飲食物の提供」の2つの区分を指定しなければなりません。 

      (*)平成13年に商標法施行令が改正され、従来の第42類が4つの新分類
         (第42類〜45類)に分割されました。各区分に属する商品または役務
         について規定する商標法施行規則別表の一部も改正(追加・変更・削
         除)されました。
         平成13年12月31日までに出願されたものについては第1類〜42類の
         旧分類が適用され、平成14年1月1日以降に出席されたものについては、
         第1類〜45類の新分類が適用されます。

   3.登録手続き

    商標を登録するには、特許庁に商標登録願を提出しなければなりません。

    商標登録願の書類の作成は 

     「商標出願のてびき」(特許庁/社団法人発明協会発行) 

    などの書籍を参考にするとよいでしょう。

    また、自分で登録手続きを行なうのではなく、専門家である弁理士に依頼することも
    できます。

    弁理士に依頼すれば、出願から登録までの一連の手続きを代行してもらえます。

    なお、各都道府県にある弁理士会では弁理士の紹介業務も行なっています。

   4.登録に必要な費用

    商標の選定から出願して登録するまでの費用は以下のとおりです。

    調査会社や弁理士などに依頼する場合には別途調査費用や成功謝礼金が必要です。 

    (1)出願費用

      出願印紙代として1万2千円かかります。

      これは、ひとつの商品区分を指定して1件の商標を出願した場合の印紙代であり、
      商品区分が多くなればその分、印紙代が高くなります。

      印紙代の計算は「3,400円+(8,600円×区分数)」となります。

    (2)登録費用

      登録時には登録料が必要となります。

      登録料はひとつの商品区分につき28,200円×区分数(10年分)となります。

      この金額を一括納付すれば商標権は10年間有効となります。

      分割して前後5年分の登録料を納付する場合には、ひとつの商品区分について
      1万6千4百円となり、10年分を一括で納付する場合より割高となります。

   5.登録されるまでの期間

    商標は出願してもすぐには登録されません。

    特許庁の審査官により、書類が至っているか、必要項目が記載されているか、といった
    手続上または形式上の要件を備えているかどうかの審査(方式審査)と、実体的な
    要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行なわれることになっています。

    以前は出願してから審査官による審査結果の最初の通知(登録査定または拒絶理由
    通知)が来るまでに2〜3年かかることも少なくありませんでしたが、近年は審査期間の
    短縮化が進み、約1年となっています。

   6.異議申立制度

    登録料を納付すると出願した商標は登録され、その内容が「商標公報」に掲載されます。

    公報に掲載されることによって、第三者は、その商標が登録された事実を知ることに
    なります。

    そして、この登録に疑問や不満がある場合には、第三者は誰でも異議申立ができ、
    場合によっては登録を取り消すこともできます。 

     異議申立ができる期間は、公報発行の日から2カ月以内です。

    特許庁が異議申立書を審査した結果、商標登録を取り消す理由があると判断した場合、
    商標権者に「取消理由通知」が送付されます。

    これに対し、商標権者は、意見書を提出し、反論することができます。

  □更新手続き

    商標権の存続期間は10年間です。
    この期簡を満了すると権利は失効します。 

   しかし、その商標をざらに継続して使用したいのであれば、 

    更新手続きをすることでさらに10年間延長きせることができます。 

   つまり、更新を繰り返して行なえば、半永久的に商標権を維持することができます。

   平成9年4月1日より更新手続きが簡素化されています。「更新登録申請書」を作成して
   特許庁に提出し、同時に更新登録料を納付すれば、更新できるようになっています。

   更新登録の申請は、その商標権の存続期間が満了する日の6カ月前から満了日までの
   間に行なわなければなりません。

   ただし、この期間内に申請できなかった場合も、満了日から6カ月以内であれば申請する
   ことができます。

   なお、更新登録料はひとつの商品区分について10年一括納付の場合4万8千5
   百円×区分数となります。

   5年分割納付の場合で2万8千3百円×区分数

   ただし、満了日を過ぎてから申請をした場合には割増更新登録料が必要になるため、
   通常の2倍の更新登録料を納付しなければなりません。

  □相談先

   ・独立行政法人工業所有権総合情報館 相談部

    〒100−8915東京都千代田区霞が関三丁目4番3号(特許庁2階)
      TE L:03−3581−1101(内線2121〜2123)

   ・日本弁理士会 相談室(名古屋、大阪、福岡にも相談室あり)

    無料相談のご案内

     〒100−0013東京都千代田区霞が関3−4−2
       T E L:03−3581−1211

   ・発明協会 総合相談室(各都道府県に支部あり)

    〒105−0001東京都港区虎ノ門2−9−14
      T E L:03−3502−5438
 

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中小企業企業のブランド力構築

中小企業のブランド戦略


  真のブランド力とは顧客と企業の信頼関係

   本当の意味でのブランド力とは、顧客が商品を気に入り、同じ会社の商品を繰り
   返し購入するうちに、次第に「この会社の商品であれば大丈夫だ」、「高くてもこの
   会社の商品が買いたい」といった気持ちになった状態のことです。

   一方、ブランド力をつけたい会社では、「自社の商品はこんなコンセプトで、こんな
   人に、こんな風に使ってもらいたい」と訴え続けます。

   買った人が満足してくれれば、さらに磨きをかけた商品を発売し、顧客をさらに満
   足させたいと考えます。

   つまり、ブランド力は会社と顧客のどちらかの一方的な働きかけではなく、相互に
   「こんな商品を提供したい」、「こんな商品が欲しい」とメッセージを交わしながら育
   てていく「信頼関係」のことなのです。

   また、信頼関係は個々の商品だけではなく、「顧客にとってこんな企業でありたい
   (企業側)」、「顧客にとってこんな企業でいてほしい(顧客側)」といった企業その
   もののブランド力構築への源泉となるものです。

   すべての商品がコモディティ化(目に見える品質での開発競争が限界に達して差
   別化が困難となり、価格のみが価値判断の基準となる状態)の脅威にさらされて
   いる昨今、差別化の源泉を「ブランド力」に求める企業が増えているのです。

  □中小企業にとってのブランド力

   1.中小企業だからこそブランド力が大切

     経営資源に限りがある多くの中小企業は、大企業のような大規模な物量作戦
     はできません。

     もちろん、価格競争になった場合にはまず勝ち目はない。

     中小企業の勝負所は狭い分野に絞り込んで、「あの商品ならA社だ」と取引先
     に選ばれることにあります。

     これは商品のブランド力を育成・強化していくことにほかなりません。

     そして、すでにほとんどの経営者は、この取り組みを日々の業務のなかで意
     識的・無意識的に実践していると思います。

     その活動をさらに効率的に進めることができれば顧客との信頼関係は一層高
     まっていくはずである。

   2.ブランド力保有のメリット

     ここでブランド力を保有することのメリットを確認しておきましょう。

     それらは次のように整理されます。

     (1)固定客を維持できる

       ブランド力によって深い締で結ばれている顧客は、簡単には離れていきま
       せん。

       自社の商品を心から信頼してくれている顧客は、提供する側の企業がブラ
       ンド力の源泉となる「約束」を破らない限り、繰り返し注文してくれます。

       これによって長期間の安定売上が見込めるのです。

     (2)新規顧客へのアピール材料になる

       固定客をたくさん抱えているということは、自社商品の品質の高さの証明で
       もあります。

       それらをアピールすることで、新規顧客営業にプラス効果をもたらすことは
       間違いない。

     (3)高価格設定が可能、価格競争に巻き込まれない

       「シャネル」や「グッチ」のような超高価格設定はともかく、「多少高くても、
       信頼できるあなたの会社から買いたい」というレベルのブランド力はどの会
       社でも勝ち取ることが可能です。

       また、同業他社が値下げに走っても価格競争から一定の距離を置くことが
       できる。

     (4)さらなるブランド力向上への好循環が生まれる

       一定水準のブランド力を保有しているということは、顧客が何を望んでいる
       かを理解し、その要望に沿った商品をきちんと提供できているということ。

       そのサイクルを活用して固定客の要望をさらに深く理解し、それにきちんと
       応えていくことでブランドカはますます高まります。

       また、最初は特定の「商品」に対してのブランド力であったものを、「会社そ
       のもの」に対するブランド力に高めることも可能です。

  □ブランド力向上のための3つの視点

   ブランド力を構成する要素としては次の3点が考えられます。

   1.商品の品質

     まずは商品そのものの品質です。

     ここでいう品質とは単純に「精度が高い」とか「耐久性がよい」という企業側の
     追求する品質ではなく、顧客の要望を満たす品質であることが必要です。

     たとえば、消費者は必ずしも処理能力の高いパソコンを欲しているわけではあ
     りません。

     多くの消費者は自分の使用目的に応じた一定の処理速度さえ確保できていれ
     ば十分で、むしろ「持ち運びしやすい」、「壊れにくい」といった使い勝手に対し
     て要望をもっています。

     つまり、企業が技術の粋を結集して他社に比較して圧倒的な処理速度のパソ
     コンを開発しても、それが購買動機となる消費者は限定されているということ。

     顧客は自社商品の何をもって「品質」と評価してくれるのかを見極めることが
     大切です。

   2.社長、従業員

     社長の考え方、社内での日頃からの立ち居振る舞い、取引先との接し方など
     が会社のブランド力に大きな影響を与えることは間違いありません。

     ブランド力を高めていくためには、

      ・自社は顧客ニーズをこのような方法で把握していく

      ・把握した顧客ニーズにこのような方法で応えていく

      ・そのためには日頃からこのような仕事の仕方をしなければならない

     といった姿勢を社長が明確に示す必要があります。

     それによって営業マンが顧客回りをする際にも、新商品の企画開発や製造現
     場においてもブランド力構築に向けた一貫した取り組みがなされることになり
     ます。

   3.イメージ向上

     いかに顧客ニーズに応える素晴らしい商品を開発しても、それが顧客に十分
     に伝わらなければ大きな成果は期待できない。

     大企業はイメージ向上のために全国的なテレビCMなどを行いますが、このよ
     うに莫大な費用をかけなくてもやれることはあります。

     そのなかでもっともベーシックなのは、「商品案内」や「会社案内」などのパンフ
     レットを見直すことです。

     ほとんどの会社では扱っている商品についてのパンフレットを作っていると思
     いますが、その内容は、商品の写真と簡単な仕様を並べただけのものが多い
     と思います。

     そこにはこの商品で顧客のどのようなニーズに応えようとしているか、あるい
     は自社がこの商品にどのような思いを込めたのかといったブランドカ構築に必
     要な「企業の約束」が提示されていません。

     会社案内でも社名、事業内容、役員紹介、事業所一覧といった必要最低限の
     情報しか掲載されていないものが多く、自社が顧客や社会に対してこのような
     影響を与える存在でありたいといった経営理念まで深く掘り下げているものは
     あまり見受けられない。

     自社の思いが十分に反映された商品案内や会社案内を準備し、社長や営業
     マンがことあるごとにそれをアピールしていく、これだけでもイメージ向上は十
     分に期待できます。

     また、自社のウェブサイトを工夫して、企業の思いをわかりやすく発信したり、
     双方向性をもたせて顧客とのコミュニケーションの場にすることも有効です。

  ブランド力向上のためのステップ

   ※ ロイヤル・ユーザー……商品や企業に対して深い思い入れ(ロイヤルティ
      があり、愛着をもって継続的に付き合ってくれるユーザーのこと

   ステップ0:まだ商品が認知されていない

    ・顧客に自社の情報がまったく伝わっていない状態です。
     積極的な営業活動により認知率を高めることが必要です。

     施策例)飛び込み訪問、ウェブサイト開設とアクセス数向上、ダイレクト
          メール、チラシやビラの配布(地域密着型ビジネスの場合)など

   ステップ1:商品を認知

    ・顧客は商品を知っているが、決め手となる情報がなく、最初の
     購入に至っていない状態です。
     購入のきっかけとなる情報提供が必要です。

     施策例)フォローアップ営業、他社商品との比較情報提供、キャンペーン
          の実施など

   ステップ2:商品を熟知

    ・顧客は商品を購入したことがあるが、評価を決めかねている状態です。
     顧客満足度の把握や購入者へのフォローアップが大切です。 

     施策例)アフターフォロー営業、購買客へのお礼ダイレクトメール、満足度
          アンケートおよびアンケート結果に基づく商品改良など

   ステップ3:商品への好感

    ・顧客が購買した商品に対して好感をもっている状態です。
     顧客の囲い込みや商品に込めた企業の思いなどを伝えることが重要になる。

     施策例)購買客の会員組織化、会員向けの新商品紹介ダイレクトメール、
          紹介キャンペーン、他の購買客の感想の提供など

   ステップ4:商品の信頼感

    ・顧客の評価が好感(ちょっといいな)から、信頼感(安心して購入できる)
     にまで高まっている状態です。
     顧客にとってその商品は他社製品を使うよりメリットがあることを丁寧に
     説明してあげることが大切です。

     施策例)後述

   ステップ5:商品への愛着心

    ・顧客がその商品に愛着心をもっており、余程のことがない限り、他社
     商品に切り替えることがなくなっている状態です。

     施策例)後述

   ステップ6:提供企業への信頼感

    ・顧客が提供企業の商品を複数購入し、商品への信頼感・愛着心が提供
     企業そのものへの信頼感にまで高まっている状態です。

     施策例)後述

   <(後述)ステップ4〜6を通じた施策例>

    このステップにまで高まっている顧客は、企業とともにブランドカを高めていく 
    パートナーとも呼べる顧客です。

    既存商品の改良の方向性、投入すべき新商品などについてきめ細かく顧客の
    要望を吸い上げる努力が欠かせません。

    また個々の商品だけでなく、自社そのものに要望されている企業姿勢なども吸
    い上げて、「企業の約束」をブラッシュアップし、それを確実に実行し、企業その
    もののブランド力向上につなげていくことが重要になります。

    そのためにはアンケート形式だけでなく、実際に面談して意見交換することも望
    まれます。

    なお、このステップにまで達している顧客は少々のことがあっても、自社製品か
    ら離れていくことはありません。

    しかし、企業の決定的な不手際によって「裏切られた」という感情を抱くようなこ
    とになれば、多くの場合、「単純にひとりの顧客を失った」という損害では済まさ
    れません。

    顧客にとっては「心から信頼していたのに裏切られた」のですから、怒り心頭で
    口コミによる企業攻撃に走り、結果として既存顧客を一気に失うという事態もあ
    りえます。

    したがって、特にロイヤルティの高いユーザーについては、ブランド力向上のた
    めの強力なパートナーであると同時に、企業の不誠実な対応が過ぎれば経営
    の屋台骨を揺るがす存在として認識し、細心の注意をもって付き合っていくこと
    が求められます。 

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中小企業企業のブランド力構築

中小企業のブランドづくり
 

  ■「モノづくり」から「ブランド(コト)」づくり

   「よいモノをつくれば売れる」という時代は、もはや過去の話。

   成熟社会の今日、世の中にはモノとしての(コモディティ)商品があふれている。

   モノづくりのレベルはあがり、品質のよい商品を提供できる企業はたくさんある。

   だが、単に品質がよいだけでは、消費者は「買いたい気持ち」にはならない。

   日本の優秀なモノづくり大企業のいくつかが苦境に陥っているのも、ここに要因が
   あるのかもしれない。

   日本のモノづくり力が失われたわけではない。

   日本企業の技術力はきわめて高い。

   「モノづくりでは勝った」しかし「ブランド(コト)づくりで負けた」企業が多いのでは
   ないでしょうか。

   人びとを動かす大きな力は、「モノ」から「ブランド(コト)」へとシフトしている。

   消費者に選ばれるためには、モノづくり志向からブランドづくり志向へと発想を転
   換し、モノ(品質)を超えた「何か」を創造することが不可欠になっているのです。

   そう、品質を超えた「何か」、それが「ブランド」。

   企業の経営者から、こんな言葉を聞くことがある。

   「ブランドの重要性はわかるが、うちには予算の余裕もないし、そこまで手がかけ  
   られない」「規模が小さく、人もいないため、ブランドをつくれない」「歴史も伝統も
   ないし、ブランドづくりは困難だ」

   ブランドは大企業だけのものだろうか?歴史ある企業だけのものだろうか?

   それは違う。

   規模が小さい、広告宣伝費もない、歴史もない、そんな世の中の多くの企業でも、
   ブランドづくりは可能なのです。

   では、強いブランドは、どうすれば生み出すことができるのだろうか?

   どうすれば、既存商品のブランドカを強くすることができるのだろうか?

  □強いブランドの条件

   強いブランドにはどのような条件がそなわっているのでしょうか?

   ここでは、全国の中小企業の経営者1000人を対象とした調査(以下、「経営者
   1000人調査」と呼ぶ 出典:日経BizGate)を利用して、強いブランドの条件を
   探ってみた。

   統計的な分析で抽出された「強いブランド」を規定する条件は、ブランドカへの影
   響度が大きい順に、以下の4つである。

    条件1 コンセプトが明確であり、イメージが明快である。
         「コンセプトが明確に設定されている」、「そのブランドのイメージが
         明快である」

    条件2 感性に訴求する
         「感性に訴える商品である」、「センスがある商品である」

    条件3 情報発生力がある
         「新聞、雑誌、テレビなどのメディアに取り上げられることがある」
         「インターネットで商品名を検索すると、上位に表示される」

    条件4 口コミ発生力がある
         「口コミが発生しやすい」、「口コミ客が多い商品である」

   強いブランドをつくるためには、以下の2点が必要である。

    ①どのようなブランドになりたいのか、ブランドの理想の姿、
     すなわち「ブランド・アイデンティティ」を明確にすること

    ②売り手のセンスやデザインカなどで、顧客の「感性」や「情緒」に
     訴求すること

   中小企業のブランドづくりの取り組みをみると、明確な戦略なしに「ブランド」という
   言葉だけが先行しているケースも多い。

   「こういうブランドをつくろう!」と、ブランドの理想の姿を明確に描かなければブラ
   ンドづくりは始まらない。

   また、単に機能や品質が優れているだけでは、強いブランドにはならないというこ
   とです。

  □ブランドづくりに失敗する法則

   ブランドづくりは簡単にはいかない。

   成功する企業よりも、失敗する企業のほうが多い。

   では、なぜ、失敗するのでしょう?

   「こうするとブランドづくりに失敗してしまう」10の法則を示します。

   ここで一つでも当てはまれば、ブランドづくりはうまくいかない。

   ブランドづくりに成功するためには、すべての項目において、この逆をいくことであ
   る。

    (1)品質管理がしっかりしていない

      ブランドは手段であり、目的ではない。

      にもかかわらず、ブランドづくりに目を奪われ、肝心の品質をおろそかにして
      しまうと、ブランドづくりは失敗する。

      品質は、ブランドづくりの「土台」である。

      品質に問題のある商品を販売すれば、商品に対する信頼は一瞬のうちに消
      え去り、ブランドカは地に落ちてしまう。

      手段と目的を取り違えてはいけない。

    (2)戦略がない

      強いブランドは、成り行きまかせではできない。

      「どのようなブランドをつくるのか」という明確な方向性なしに「ブランド」と
      いう言葉を先行させても、ブランドづくりはうまくいかない。

      ブランドづくりには「羅針盤」が不可欠だ。

    (3)共感性の欠如

      消費者が有するイメージ、期待、信頼にそむく商品は、強いブランドにはなら
      ない。

    (4)コミュニケーションに一貫性がない

      場当たり的なコミュニケーションをいくら繰り返しても強いブランドはできな
      い。

      統一性、一貫性がなければ、消費者の心に明快なイメージをつくることはで
      きない。

    (5)無関係なブランド拡張

      ブランドをむやみに広げると、ブランド価値は希薄化されてしまう。

    (6)なんでも屋になる

      「いろいろあります」「たくさんあります」ではブランドはできない。

      強いブランドは焦点が絞られている。

    (7)消費者の声を聴かない

      消費者に一方的に語りかけるだけでは、強いブランドはできない。

      消費者との情報のキャッチボールをしないと、独りよがりのブランドになって
      しまう。

    (8)値引き競争をする

      価格の安さを売りにする商品は、強いブランドにはならない。

      価格競争に巻き込まれる商品はブランドではない。

    (9)感性に訴えていない

      機能やコストだけによる勝負では、ブランドづくりはできない。

      強いブランドは顧客の感性にも訴える。

   (10)動きがない

      チャレンジせず、現状維持でよしとすると、ブランドカは弱体化していく。

  □ブランドは、積み重ねである

   ブランドは、消費者の心の中にある。

   ブランドは「累積」の概念であり、一日にしてならない。

   ブランドは、「売り手」の前向きなチャレンジの継続と、「買い手」の経験の積み重
   ねによって生まれる。

   ブランドは、消費者がみたこと、聞いたこと、感じたこと、体験したことのかけ算で
   ある。

   どんなに強力なブランドでも、磨かなければ、徐々に陳腐化していく。

   たとえば、「コカ・コーラ」。

   世界的なブランドの評価機関インターブランドの評価でも、コカ・コーラのブランド
   価値は世界トップレベルだ。

   にもかかわらず、なぜ今も、あれだけのテレビCM、店頭プロモーション、PR活動
   を続けているのか?

   そう、いくら強いブランドでも、マーケティング努力がなければ忘れられてしまうお
   それがあるということだ。

   強いブランドは、常に進化をしている。

   コカ・コーラも、マクドナルドも、ディズニーも、ロングセラーブランドでありながら、
   まったく古さを感じさせない。

   ブランドにとって、陳腐化は最大のリスクだ。

   現状維持を続けていると、次第にブランドカは弱くなる。

   ブランドづくりは、進化であり、チャレンジである。

   ブランドに完成形はない。

   強いブランドは、育てるもの。

   タネをまき、毎日水をやり、大切に育てなければ、強いブランドは生まれないし、
   維持できないのです。

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中小企業企業のブランド力構築

自社のファンづくりのポイント
 

  ■自社(店)のファンづくりのポイント

   日々変化する市場環境、個別化・多様化していく顧客ニーズに応える製品を開発し、
   より多くの顧客に販売するために、企業は業界や市場の動向・顧客ニーズの調査など
   に基づいた製品開発や販売促進方法を展開しています。

   一方、市場環境や顧客のニーズは常に変化し続けます。

   市場調査や顧客ニーズの把握、それに基づく自社の製品・サービスの見直しなどを
   おろそかにしてしまい、自社の製品・サービス(以下では商品)を「作りっぱなし」の
   状態にしておけば、たとえ発売当初は市場環境や顧客ニーズに合った商品だっ
   たとしても、時間の経過とともに「顧客ニーズに合わない」製品やサービスになっ
   てしまう恐れがあります。

   そこで、開発当初の状態で放りっぱなしにしておくのではなく、既存の商品が“今の”
   市場環境や顧客ニーズに合っているのかどうかを今一度確認し、改良を加えなが
   ら、さらに顧客に望まれる商品へと成長させていく取り組みが必要になってきます。

  □購入・活用を促進するための手順

   まず、既存の自社商品の「機能」「販売ターゲット」「販売方法」などを改めて把握し
   直します。

   次に、自社の商品を取り巻く市場環境や顧客ニーズの実情を洗い出し、現状を把握
   します。

   把握した既存商品の機能などと、市場環境や顧客ニーズの実情を比較して両者の
   間に差異があった場合は、両者の距離を縮めるため、機能などの改善を行います。

   こうすることで既存の自社の商品が「顧客が本当に望んでいる商品」に近づいていき
   ます。

   また、いうまでもありませんが、自社の商品が顧客に購入されたら、常にアフターフォ
   ローを忘れてはなりません。

   このプロセスを繰り返すことによって、既存の自社商品は常に市場環境や顧客ニー
   ズの実情に即した形となり、結果として顧客により多く購入・活用してもらえる可能性が
   広がります。

  □自社の商品(製品・サービス)の洗い出し

   1.自社の商品を3視点から把握

     まず初めに「自社がどのような商品を、どのような顧客に対して、どのような方法で
     販売しているのか」ということを認識しておかなくてはなりません。

     そこで、これらを把握するための調査を行います。

     この調査は、主に以下の3つの視点に絞って実施します。

      ・What:何を?→既存製品・サービスの機能や性能の洗い出し

      ・Who:誰に?→既存製品・サービスの販売ターゲットの洗い出し

      ・How:どうやって?→既存製品・サービスの販売方法の洗い出し

     以下で、製造業(ジーンズ)のケースを考えてみましょう。

     What(何を?)を洗い出す際には、

      製造部門あるいは製造担当者に対して、製品の機能や性能について調査を
      実施します。

     Who(誰に?)、How(どうやって?)を洗い出す際には、

      営業部門あるいは営業担当者に製品の販売ターゲットや販売方法などを調
      査します。

     こうした調査の際に、逆に、作り手である製造部門あるいは製造担当者に対し
     て「この製品やサービスは誰をターゲットに販売しているのか」「この製品はど
     んな方法で販売しているのか」を調査してみたり、同様に、売り手である営業 
     部門あるいは営業担当者に対して、「自分が営業している製品の特徴やセー
     ルスポイント」を調査したりもします。

     作り手が「誰のための製品なのか全く知らない」「どんな方法で販売している製
     品なのか関知していない」などという状態では、顧客により多く購入・活用して
     もらえる製品が生み出される可能性は低いといえます。

     また、売り手が「製品の長所も弱点も知らない」などという状態では、販売力が
     十分とはいえません。

   2.What(何を?):機能や性能の洗い出し

     自社商品の機能や性能について洗い出し、現状を分析します。

     方法として「SWOT分析」を用います。

     具体的には、自社商品にはどのような長所(強み)と欠点(弱み)があり、自社
     商品の今後の市場における可能性(機会)にはどのようなものがあるのか、そ
     して自社商品の今後を脅かすのはどのような外的要因(脅威)があるのかを
     分析し、把握しようというものです。

     例えば、藍染めを取り入れたり、ベルベットやフェルトなどの面白い素材を活
     用したデザイン性に優れたジーンズの専門店があるとします。

     この企業の自社の製品・サービスをSWOT分析すると、次のようになります。

   3.Who(誰に?):販売ターゲットの洗い出し

     次に、自社では商品(製品やサービス)を、いったい誰に対して販売しているの
     かを把握します。

     商品を販売する際、販売ターゲットを絞らずに漠然と販売しているケースは考
     えにくいでしょう。

     例えば服飾品の場合は「10代後半〜20代前半の若い女性をターゲットにして
     いる」「30代以降の男性で富裕層をターゲットにしている」などがあるでしょう。

     食料品では「ターゲットは30代〜40代で、働き盛りのビジネスパーソンの晩酌
     のつまみ」、あるいは人材紹介の場合は「ターゲットは医療関係機器を製造販   
     売している中堅・中小企業」などのようにです。

   4.How(どうやって?):販売方法の洗い出し

     自社商品の販売方法あるいは提供方法を確認します。

     店頭販売か・インターネットを通じた通信販売かあるいは訪問販売かなど
     です。

     また、販売方法を洗い出す際には、店頭での販売・インターネットによる販売
     などの「販売の手段」だけではなく、「顧客管理を徹底し、それに基づいて季節
     ごとにDMを送付している」「プリントアウトするとクーポン券になるメールマガジ
     ンを定期的に発信している」「地元の情報誌に広告記事を掲載している」「定期
     的に訪問して活用方法や活性化策を提案している」といったような「販売促進
     方法」も併せて洗い出しておく必要があります。

  □市場環境・顧客ニーズの実情の洗い出し

   1.業界・市場の動向や顧客のニーズは常に把握

     自社商品の洗い出しを実施したら、次に業界の動向や実際に自社商品を購入
     している顧客のニーズや特性などを洗い出します。

     自社の商品を気持ちよく購入・活用してもらうためには、業界の動向や顧客が
     何を望んでおり、どのように活用しているのかという実情を把握しておかなくて
     はなりません。

     「どのような機能の商品が消費者に支持されているのか」「どのような商品を販
     売している会社が伸びているのか」などをとらえておくことによって、自社の既
     存の商品を見直したり、販売促進する際のヒントを得ることができます。

   2.業界・市場の動向や顧客ニーズを把握する

     業界や市場の動向、消費者のニーズなどを把握する方法には、一般的に以 
     下の方法があるといわれています。

      ・質問法  ・観察法  ・実験法

     質問法とは、顧客に対して自社の商品(製品・サービス)について質問し、その
     回答によって顧客ニーズなどを把握するものです。

     質問法には、実際に顧客と相対して面接形式で実施する方法や電話で実施 
     する方法、アンケート調査用紙を作成して顧客に郵送し、回答を記入してもら
     うなどの方法があります。

     観察法は、顧客の購買行動や商品の動きなどを観察し、その動きを分析する
     ものです。

     例えば自社の店舗での顧客の購買行動、商品がどのようにして動いているの
     かを観察するほか、自社だけではなく同業他社の店舗に「どのような顧客が来
     店し、どのような商品を購入しているのか」などを観察します。

     そのほか、展示会や見本市、新製品の説明会などで顧客に注目されている製
     品などを観察するのも有効でしょう。

     自社の商品のみならず、業界においてどのような商品がどのような顧客に望
     まれているのか、といった業界の特徴を知ることができます。

     実験法は、地域などを限定して実験的に開発した新商品を投入し、その成果
     によって顧客のニーズを把握するものです。

     あるいは、既存の製品のある機能をリニューアルさせたり、商品は既存のまま
     で販売方法を変えて市場に投入し、変える前と後で購入された数や金額、購
     入した顧客の属性、販売方法の有効性などを比較検討するなどの方法も考え
     られます。

   3.業界・市場の動向や顧客ニーズの把握例

     SWOT分析、質問法、観察法、実験法を活用して、先のジーンズ専門店での
     顧客ニーズを探ってみましょう。

     まず、自社商品の機能や性能の洗い出しの際に実施したSWOT分析によって 
     業界動向には、

      ・ジーンズの活用シーンが拡大している

      ・ジーンズそのものに対する需要が増加している

      ・低価格で高品質な品ぞろえを実現する量販店が台頭している

     などの特徴があることが分かります。

     次に、質問法や観察法などによる顧客ニーズの把握の方法を考えます。

     質問法では次のような項目が考えられます。

      ・どんなシーンでジーンズを活用しますか?

      ・ジーンズを購入する際にはどのようなポイントに注目しますか?

      ・こんな規格のジーンズがあったらいいなと思う例を挙げてください。

      ・当店で購入したジーンズでお気に入りの商品はどのようなジーンズですか?

      ・当店を知ったきっかけは何ですか?

     上記項目のような「購入ポイント・活用シーン・要望」あるいは「自社の商品に
     対する感想」などの質問をする場合は、どの顧客がどのような要望を抱いてい
     るのかを把握して顧客管理に生かすようにするためにも、顧客の顔が見える
     面接形式や記名制のアンケート調査などを実施するとよいでしょう。

     また、「自社商品のお気に召さない点、購入して失敗した点を教えてください」
     といったように、あえて「既存商品に対する顧客からのクレームを引き出す」こ
     とも、顧客ニーズを知るための重要なポイントとなります。

     よく知られている例ですが、衣料品販売の大手ユニクロでは顧客ニーズを探り
     製品開発・改良に生かすために、「ユニクロの悪口を言って100万円をもらお
     う」という「悪口コンテスト」を実施しました。

     顧客の本音を聞きだし、「悪口」として挙がってきた点を改善していこうという試
     みです。

     「悪口を言って100万円をもらえる」という逆説的な面白さにつられた一般消費
     者から数多くの「悪口」が寄せられ、顧客ニーズの把握におおいに役立ったと
     いわれています。

     観察法では、平日、休日、時間帯などによって来店する顧客層や顧客の店内
     での動き、実際に購入に至るまでの顧客の動線などを観察します。

     定点観測用のカメラを設置し、捕えた映像によって顧客の動線を分析する
     ケースもあります。

     先のジーンズ専門店では、質問法と観察法を実施して、以下のような結果が
     得られました。

      ・休日に来店する顧客の中には若い世代の家族連れが多いものの購入に
       は至らない

      ・フォーマルなシーンでジーンズを活用したいとする顧客が増加している

      ・店頭に陳列されているジーンズを活用したコーディネートを店員に相談
       する顧客が多い

      ・ベルベットなどの厚手の素材を取り入れたジーンズは暑い時期には敬遠さ
       れる

  □自社の商品と実情の距離感を短縮

   1.距離感の短縮が自社商品の購入・活用のチャンスへつながる

     自社の製品・サービスと、市場環境や顧客ニーズの実情を洗い出した結果と
     を比較して、その距離を縮める方法を検討します。

     両者の距離を縮めることができれば、自社の商品が市場環境や顧客ニーズに
     則したものとなり、購入・活用されるチャンスは必ず拡大します。

   2.距離感を短縮する方法を検討

     距離を縮めるための方法として、次のような3つの方法が考えられます。

      (1)機能や性能の改良

        これは、自社の製品・サービスの機能や規格そのものに改良を加えリ
        ニューアルしていくものです。

        例えば掃除機や洗濯機などの電化製品の場合には、省エネ機能や地球 
        環境に優しいエコ機能などを付加するケースがあるでしょう。

        また、機能をリニューアルするのではなく、デザイン性を追求してカラーバ
        リエーションを増やすなどの改良方法も考えられます。

      (2)販売ターゲットの改良

        これは、自社の商品の販売ターゲットを変更する方法です。

        例えば、ビジネス街で法人向けに昼食の訪問販売を実施していた業者
        が、販売ターゲットを大学や高校に変更したり、福祉施設向けにホームヘ
        ルパーなどの人材を派遣していた業者が、ホームヘルパーの派遣先を高
        齢者がいる個人宅に変更する例などが考えられます。

      (3)販売方法の改良

        これは、店頭販売、インターネット販売、訪問販売といった「販売方法」 
        や、顧客へのDM送付、定期的な訪問による活用提案、懸賞やノベル
        ティーの活用といったような「販売促進方法やアプローチ方法」を改良す
        るものです。

        小規模な総菜屋さんが、地域限定でインターネットによる冷凍総菜の販
        売を始めたり、スーツとのコーディネートを提案して販売促進していたネク
        タイ製造販売業者が、シーンごとの贈答品としてネクタイを活用して喜ば
        れる方法を提案して販売促進を実施するなどの例が考えられます。

      これら3つの方法は、個別に実施するだけではなくうまく組み合わせて実施
      するとより効果が期待できるでしょう。

      例えば、「販売ターゲットを中高年層に設定し、機能性に優れた実用的な冷 
      蔵庫を製造販売していたが、最近では20代の若い単身者の間でデザイン性
      を追求したおしゃれな冷蔵庫に対する需要が増加している。

      販売ターゲットとする年齢層を若い世代に下げると同時に、カラーバリエー
      ションを増やすという規格の改良を実施した」などのようにです。

      以下では先に挙げたジーンズ専門店を例に、機能や性能の改良、販売ター
      ゲットの変更、販売方法の改良についてみていきます。

   3.機能や性能の改良の例

     ベルベットなどの厚手の素材のジーンズは暑い時期には敬遠されがちで、実 
     際に夏場には売り上げが減少してしまいます。

     そこでベルベットを素材を活用しながら、通気性に優れている、あるいは色合
     いなどを改良し「暑苦しく見えないジーンズ」に改良して販売するなどの方法が
     考えられます。

     また、このジーンズ専門店ではカジュアルシーンでの活用を念頭に製品ライン
     ナップを整えていましたが、フォーマルシーンにおけるジーンズの活用が増加
     していることから、ジーンズの形を細身でシルエットが美しく見えるものに改良
     して「ちょっとキレイなジーンズ」の販売を始めるなども考えられるでしょう。

   4.販売ターゲットの改良の例

     家族連れも来店していることから、10代〜20代の男女だけではなく販売ター
     ゲットを家族連れなどにも拡大し、子供用ジーンズや「30代以上の大人が楽し
     むジーンズ」を陳列するなどの方法が考えられます。

     ただし、販売ターゲットを改良する場合は、自ずと製品やサービスの機能や性
     能を改良する必要が出てきたり、店内の様相や販売促進方法なども併せて改
     良することも考えなければなりません。

     なぜなら販売ターゲットとする年齢層を改良するのなら、デザイン性より機能
     性を重視したジーンズ販売に改良したり、奇抜さを控えて着こなしやすいジー
     ンズに改良する必要があるかもしれないためです。

     同様に、販売ターゲットを家族連れなどにも拡大する場合には、従来は10代
     〜20代の若い世代のみを対象にして趣向を凝らした内装を、製品の見やすさ
     や順路の分かりやすさを念頭においた内装にする必要があるかもしれませ
     ん。

   5.販売方法の改良の例

     店頭に陳列されているジーンズのコーディネート方法を店員に相談してくる顧
     客が多いことから、陳列してあるジーンズを店員に着用させ「動くコーディネー
     トの手本」として店員が販売促進に一役買う方法を取り入れたり、フォーマル
     シーンでのジーンズの活用が増加していることから、常連顧客に対して冠婚葬
     祭などの改まった場でのジーンズの着こなしについて画像付きのDMを送付し
     て提案するなどの方法が考えられます。 

     そのほか、家族連れの顧客が増えていることにも着目し、家族で共通で使え
     るポイントカードを発行したり、家族のうちの誰かの誕生月には、ほかの家族
     もジーンズの価格が割引になるサービスなどを取り入れるのも面白いかもし
     れません。
    
  □アフターフォローを充実させる

   既存の自社の製品・サービスに改良を加え、より多く購入・活用してもらえるように
   なったからといって、「売りっぱなし」であってはなりません。

   購入・活用してもらった後の顧客に対するアフターフォローを充実させることは、より
   一層の購入・活用を促すことにつながります。

   電話やDM、定期的な訪問などで、「自社製品を購入していただいてありがとうご
   ざいます。使い心地はいかがでしょうか?」「既存の製品の新しい活用方法をご提
   案します」「先日ご購入していただいた製品の新色バージョンが登場したのでご案
   内します」などのフォローは欠かせません。

   また、こうしたアフターフォローは、製品やサービスの販売促進につながるだけでは
   なく「製品・サービスの改善点の発見」「自社の顧客管理」に役立つという効果があり
   ます。

   そしてアフターフォローによって得られる効果として最も大切なのは、アフターフォ
   ローを充実させることによって、顧客に「購入後もこんなにアフターフォローを親身  
   に実施してくれるなら、またあそこで何か買おうかな」と思ってもらえるようになるこ
   となのです。

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中小企業企業のブランド力構築

ブランドづくりの条件と留意点

   
  ■ブランドづくり

   21世紀は、ブランドづくりの時代である。

   「モノ」中心の時代は終わり、「よいモノをつくれば売れる」という時代は、もはや過ぎ
   去ったのです。

   成熟社会の今日、世の中にはモノがあふれています。

   モノづくりのレベルはあがり、品質のよい商品を提供できる企業はたくさんある。

   単に品質がよいだけでは、消費者は「買いたい気持ち」にはならないのです。

   日本の優秀なモノづくり大企業のいくつかが苦境に陥っているのも、ここに要因が
   あるのかもしれません。

   「モノづくり」で勝っても「ブランドづくり」で負けては売れません。

   人を動かす大きな力は、「モノ」から「ブランド」へとシフトしています。

   消費者に選ばれるためには、モノづくり志向からブランドづくり志向へと発想を転換
   し、モノ(品質)を超えた「こと(コト)」を創造することが不可欠になっている。

   品質を超えた「何か」がコトであり、それが「ブランド」なのです。

   しかし、中小企業の経営者からは、

    「ブランドの重要性はわかるが、うちには予算の余裕もないし、そこまで手が
    かけられない」「規模が小さく、人もいないため、ブランドをつくれない」「歴史
    も伝統もないし、ブランドづくりは困難だ」

   と言った言葉が聞こえてきます。

   ブランドは大企業だけのものだろうか?歴史ある企業だけのものだろうか?

   規模が小さい、広告宣伝費もない、歴史もない、そんな中小企業でも、ブランドづく
   りは可能だ。

   それでは、強いブランドは、どうすれば生み出すことができるのでしょうか?

   どうすれば、自社商品のブランドカを強くすることができるのでしょうか?

  □強いブランドの条件

   強いブランドにはどのような条件がそなわっているのだろうか?

   条件1 コンセプトが明確であり、イメージが明快である。

    「コンセプトが明確に設定されている」、「そのブランドのイメージが明快である」

   条件2 感性に訴求する
    「感性に訴える商品である」、「センスがある商品である」

   条件3 情報発生力がある

    「新聞、雑誌、テレビなどのメディアに取り上げられることがある」「インターネ
    ットで商品名を検索すると、上位に表示される」

   条件4 口コミ発生力がある

    「口コミが発生しやすい」、「口コミ客が多い商品である」

   上記の条件はブランドづくりに、いかに重要かを理解してください。

   そして、強いブランドをつくるためには、以下の2点が必要です。

    ①どのようなブランドになりたいのか、ブランドの理想の姿、すなわち
     「ブランド・アイデンティティ」を明確にする

    ②売り手のセンスやデザインカなどで、顧客の「感性」や「情緒」に訴求する
     中小企業のブランドづくりの取り組みの多くが、明確な戦略なしに「ブランド」
     という
言葉だけが先行しているケースが多い。

   「こういうブランドをつくろう!」と、ブランドの理想の姿を明確に描かなければブ
   ランドづくりは始まりません。

   また、単に機能や品質が優れている(特徴)だけでは、強いブランドにはならない
   ということです。

  □ブランドづくりに欠かせない留意点

   ブランドづくりは簡単ではありません。

   以下の点の一つでも当てはまれば、ブランドづくりはうまくいかない。

   ブランドづくりに成功するためには、すべての項目において、この逆をいくことです。

    (1)品質管理がしっかりしていない

      ブランドは手段であって、目的ではない。

      にもかかわらず、ブランドづくりに目を奪われ、肝心の品質をおろそかに
      してしまうと、ブランドづくりは失敗します。

      品質は、ブランドづくりの「土台」です。

      品質に問題のある商品を販売すれば、商品に対する信頼は一瞬のうちに
      消え去り、ブランドカは地に落ちてしまう。

      手段と目的を取り違えてはいけない。

    (2)戦略がない

      強いブランドは、成り行きまかせではできません。

      「どのようなブランドをつくるのか」という明確な方向性なしに「ブランド」と
      いう言葉を先行させても、ブランドづくりはうまくいきません。

      ブランドづくりには「羅針盤」が不可欠だ。

    (3)共感性の欠如

      消費者が有するイメージ、期待、信頼にそむく商品は、強いブランドには
      なりえません。

    (4)コミュニケーションに一貫性がない

      場当たり的なコミュニケーションをいくら繰り返しても強いブランドはできま
      せん。

      統一性、一貫性がなければ、消費者の心に明快なイメージをつくることは
      できない。

    (5)無関係なブランド拡張

      ブランドをむやみに広げると、ブランド価値は希薄化されてしまう。

    (6)なんでも屋になる

      「いろいろあります」「たくさんあります」「何でもあります」ではブランドはで
      きない。

      強いブランドは焦点が絞られています。

    (7)消費者の声を聴かない

      一方的に消費者に語りかけるだけでは、強いブランドはできない。

      消費者との情報のキャッチボールがないと、独りよがりのブランドになっ
      てしまう。

    (8)値引き競争をする

      価格の安さを売りにする商品は、強いブランドにはならない。

      価格競争に巻き込まれる商品はブランドではない。

    (9)感性に訴えない

      機能やコストだけによる勝負では、ブランドづくりはできない。
      強いブランドは顧客の感性にも訴える。

   (10)動きがない
      チャレンジせず、現状維持でよしとすると、ブランドカは弱体化していく。

  □ブランドは、積み重ね

   ブランドは、消費者の心の中にある。

   ブランドは「累積」の概念であり、一朝一夕にはいきません。

   ブランドは、「売り手」の前向きなチャレンジの継続と、「買い手」の経験の積み
   重ねによって生まれます。

   ブランドは、消費者がみたこと、聞いたこと、感じたこと、体験したことのかけ算。

   どんなに強力なブランドでも、磨かなければ、徐々に陳腐化していく。

   たとえば、「コカ・コーラ」は世界的なブランドの評価機関インターブランドの評価
   でも、ブランド価値は世界トップレベルです。

   にもかかわらず、なぜ今も、あれだけのテレビCM、店頭プロモーション、PR活動を
   続けているのでしょう?

   いくら強いブランドでも、マーケティング努力がなければ忘れられてしまうおそれが
   あるということです。

   強いブランドは、常に進化をし、いつでも新鮮である。

   たしかに、コカ・コーラも、マクドナルドも、ディズニーも、ロングセラーブランド
   でありながら、まったく古さを感じさせない。

   ブランドにとって、陳腐化は最大のリスクなのです。

   現状維持を続けていると、次第にブランドカは弱くなる。

   ブランドづくりは、進化であり、チャレンジ。

   ブランドに完成形はありません。

   強いブランドは、育てるものです。

   タネをまき、毎日水をやり、大切に育てなければ、強いブランドは生まれない
   し、維持できないのです。

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中小企業企業のブランド力構築

ブランドづくりはファンづくり

中小企業のブランド力強化

 ブランドという言葉は、もともとは牛を放牧していた牧童が、自分の牛を取り違えないように
 焼き印を押していた(burned:焼き印を押す)から派生したといわれています。

 ブランド(brand)とは、「自社製品やサービスを他社製品やサービスと識別するための名前、
 用語、デザイン、シンボル、そのほかの特徴」と定義されています。

□ブランドとは

 「ブランド」という言葉を聞いて「シャネル」や「グッチ」といったいわゆる「ブランド品」が
 もつ「高級感」を連想される人も多いでしょう。

 これらは中小企業経営とは無縁のようにも思えます。

 しかし、企業規模や業種業態を問わず、すべての企業でブランドの重要性は高まっています。

 今では、消費者は商品に対する豊富な情報を持ち、自分に最適な商品・サービスを選択することが
 できます。

 強力なブランドを持つ会社(店)は、常にブランド価値を意識した企業活動を行っています。

 これにより会社は顧客の心をつかみ、会社力を一層高めていくのです。

 本当の意味でのブランド力とは、顧客が商品を気に入り、同じ会社(店)の商品を繰り返し購入
 するうちに、次第に「この会社(店)の商品であれば大丈夫だ」、「高くてもこの会社(店)の
 商品が買いたい」といった気持ちになった状態のことです。

 ブランドとはその会社(店)らしさであり、魅力ある商品・サービスを生み出すのは、会社(店)
 が魅力的なブランドを持っているからということもできます。

 まず、ブランドを生む前提となる会社(店)のあり方(企業スタイル)です。

 企業スタイルは、企業理念や企業哲学を背景に意図的に作られたものです。

 競合他社と同じ発想で事業展開をしていては、自社(店)の優位性は発揮できず、顧客に自社
 並びに自社(店)商品の魅力を伝えることはできません。

 ブランドとは顧客と企業が共に追求するスタイルを合致させ、共にそのスタイルを実現させる
 ためのものです。

 強力なブランドを持つ会社(店)には魅力的な企業スタイルが存在するのです。

 ブランド構築を検討する際に、企業スタイルの再考・再構築をすることも必要です。

 大企業とは一線を画したあなた独自のブランドを知恵を絞って構築しましょう。

 そうでなければ、自社(点)の存在意義がありません。

 競合他社となんら代わり映えのしないその他大勢の中に埋没してしまうだけです。

 あなたの売上はお客様の財布から出ていることを忘れないことです。

 ですから、顧客がどうしたら喜んで財布の口を緩めてくれるのかをもう一度熟考しよう。

 消費者に愛されるブランドを構築できるのは消費者に愛される会社(店)なのです。

 お客様を単なる商品の売り込み先と考えず、自社(店)のファンになってもらうことがブランド
 構築なのです。
   
■ブランドという保証書

 ブランドとは何でしょう?

 それは単なるシンボルではありません。

 一般社会においてブランドとは保証なのです。

 ブランド名を冠されたサービスは、その名への期待に恥じない役割を担います。

 ブランドは保証より大切だとも言えます。

 保証はどうしても充分には行き届かないからです。

  なぜなら、どんな保証もクレーム客の問題を立証するわずらわしさまでは埋め合わせられない
 からです。

 だからこそブランドがいっそう重要になるのです。

 ブランドはあなたの顧客に対し、保証など不必要ですし、クレームを申し立てるわずらわしさも
 ありません。
 
 ブランドはあなたの顧客に対してはさらに重要です。

 ブランドは大企業だけの話ではありません。

 小さな会社であってもブランドの構築は重要な課題なのです。

 「○○さんに任せておけば安心」と言われることこそ重要なのです。

 あなた(会社)を信頼して購入してくれているのです。

 その信頼をより強固な形にしていくことこそブランドといっていいでしょう。

 サービスは約束です。

 そしてブランドを築き上げることは、約束をするのと同じなのです。

 約束を守るためのコストを惜しんではなりません。そしてその約束を飽くことなく唱え続けましょう。

 それこそがサービス・ブランドなのです。
   
■人材のブランド化

 特殊なマーケット(市場)にいないかぎり、どの会社も、似たような商品やサービスを扱っています。

 特別な技術でもなければ、商品で競合他社と、圧倒的な差別(異)化を図るのは、非常にむずか
 しいでしょう。

 商品で差異化できなければ、他の何かで差をつけなければなりません。

 商品やサービスを提供するのは「人」です。

 お客様は、「商品を見て選ぶのではなく、人を見て選ぶ」のです。

 いくら価格を安くしても、「人」が悪ければ商品は売れません。

 だれでも、態度の悪い人からは、商品を買おうとは思いません。

 どんな業種でも、お客様が見ているのは、「人」にほかならないのです。

 ということは、商品や価格で差異化するよりも、「人による差異(ブランド)化」の方が大きな
 コストもかからず、最良の手段です。

 「人」の成長なくして会社の成長はありません。

 業界内のレベルが同じだとしたら、勝敗を決めるのは、「人の成長」です。

 つまり、「社員教育にお金をかけた会社」が生き残るのです。

 中小企業にとって生き残り勝ち残っていく方法は、「仕組み」をつくり、方針を明確にして、
 社員教育を繰り返すしかありません。

社内の環境整備   

 5Sについては既に承知のことと思います。

 整理・整頓・清掃・清潔・躾 をいいます。 

 環境整備は、人材教育と組織改善の基本です。

 5Sを正しく取り入れれば作業の無駄がなくなり、従業員の生産性が向上することは同様です。

 また、清潔に保たれた職場で仕事をすることで、自分自身の身だしなみにも気を使ったり、職場を
 汚さないように気をつけながら仕事をするようになります。

 こうした従業員の意識は、取引先など社外の人に対して好印象を与えることに加え、社内的にも
 気持ちよく働ける職場をつくることにつながり、社員同士の一体感が生まれます。

 最初に始めるのは3S(整理、整頓、清掃)です。

 清潔とは3Sを維持・向上させることです。

 3Sはそれぞれにルールを決めてそれを実行することでいったんは実現します。

 しかし、その状態を維持していくことは簡単ではありません。

 清潔とは3Sを一時的な状態に終わらせずに、長期にわたって維持・向上させていくことなのです。

 会社側ではちょっとしたことでも、消費者やお客様はそのちょっとしたことを判断基準として選択
 することを忘れないでください。

 ただ掃除をするだけでなく、毎日欠かさず継続的に実施することで業務の見える化と改善を習慣化
 し規律を保ちます。

 社内の環境整備は仕事のやり方・手順を学び、気付く人を育て、円滑なコミュニケーションの
 環境に整えていきます。

■小さな会社ほどブランド力が大切

 経営資源に限りがある多くの中小企業は、大手企業のような大規模な物量作戦はできません。

 もちろん、価格競争になった場合にはまず勝ち目はありません。

 中小企業の勝負所は狭い分野に絞り込んで、「あの商品ならA社だ」と取引先・お客様に選ばれる
 ことにあります。

 これは商品のブランド力を育成・強化していくことにほかなりません。

 ブランド力は、顧客が商品を気に入り、同じ会社の商品を繰り返し購入するうちに、次第に
 「この会社の商品であれば大丈夫だ」、「高くてもこの会社の商品が買いたい」といった気持ちに
 なった状態のことです。

 一方、ブランド力をつけたい会社では、「自社の商品はこんなコンセプトで、こんな人に、こんな
 風に使ってもらいたい」と訴え続けます。

 買った人が満足してくれれば、さらに磨きをかけた商品を発売し、顧客をさらに満足させたいと
 考えます。

 つまり、ブランド力は会社と顧客のどちらかの一方的な働きかけではなく、相互に「こんな商品を
 提供したい」、「こんな商品が欲しい」とメッセージを交わしながら育てていく「信頼関係」の
 ことなのです。

 そして、すでにほとんどの経営者は、この取り組みを日々の業務のなかで意識的・無意識的に実践
 していると思います。

 その活動をさらに効率的に進めることができれば顧客との信頼関係は一層高まっていくはずです。

 このように、ブランド力は商品開発力と同じくらい重要です。

 商品の性能や価格が同じであれば、ブランド力がある商品のほうが売れます。

□ブランドの役割と効果

 消費者は購買における失敗を避けるため、知らない商品を購入するよりも知っている商品を購入
 する傾向にあります。

 同様に、使用したことのないの商品を購入する場合、無名のブランドよりも有名なブランドの
 ほうが選ばれやすいといえる。

 企業が強力なブランドを持つことは、販売政策上有利に働きます。

 高いブランドを持つことは、固定客をしっかりつかむことができるため長期的な売り上げが確保
 でき、値引き競争に陥ることもなく、高い利益率の確保につながります。

 消費者にとってのブランドの価値は、知名度とイメージによって決まります。

 従って、企業はそのブランドの存在を消費者に認知させブランド名を記憶させなければなりません。

 それと同時に、企業はブランドイメージを高める必要があります。

□浸透しやすいブランド名

 明確な答えはないが、全国的に知られているブランド名にはいくつかの共通項があります。

 その一つが「カタカナで3〜5文字」にするということです。

 字だらけのブランド名や、カタカナの文字数が長すぎるブランド名はお客様に認知されにくい
 ようです。

 また意外に思われるかもしれませんが、商品の機能をすぐに連想できるブランド名よりも、
 ひとひねりしたブランド名のほうが消費者の記憶によく残るようです。

 ブランド名を聞いただけでは商品を連想できないが、商品機能を知ると意味が何となく理解できる
 ブランド名が理想です。

 新しいブランド名を採用するのにあわせ、検討すべきは社名の変更です。

 ブランド名と社名をそろえると、広告宣伝を展開するうえで相乗効果があります。

□自社ブランドの構築

 1.ブランド価値の基本

  (1)商品の品質

   まずは商品そのものの品質です。

   ここでいう品質とは単純に「精度が高い」とか「耐久性がよい」という企業側の追求する
   品質ではなく、顧客の要望を満たす品質であることが必要です。

   たとえば、消費者は必ずしも処理能力の高いパソコンを欲しているわけではありません。

   多くの消費者は自分の使用目的に応じた一定の処理速度さえ確保できていれば十分で、むしろ
   「持ち運びしやすい」、「壊れにくい」といった使い勝手に対して要望をもっています。

   つまり、企業が技術の粋を結集して他社に比較して圧倒的な処理速度のパソコンを開発しても、
   それが購買動機となる消費者は限定されているということです。

   顧客は自社商品の何をもって「品質」と評価してくれるのかを見極めることが大切です。

  (2)メインターゲットの設定
   次に、メインターゲットを明確にする必要があります。

   誰が買い、誰が使うのかを想定し、中核となる顧客層を明確にしなければならない。

   メインターゲットは法人なのか個人なのか、法人であれば、対象企業の業種、規模、個人で
   あれば男性なのか女性なのか、中高年齢層なのか若年齢層なのか、高所得者層なのか中低
   所得者層なのか、これを明確化することで、ネーミング、デザイン、品質・機能、価格設定
   を絞り込むことができます。

  (3)ポジション設定

   市場には同様の製品を同様の顧客層にした競合他社が存在するものです。

   競合ブランドが存在し、それらとの差異(差別)化が必要となる場合、ブランドの位置付け、
   メインターゲットの再調整などのポジショニングが必要になります。

  (4)経営者、従業員

   経営者の考え方、社内での日頃からの立ち居振る舞い、取引先との接し方などが会社のブランド
   力に大きな影響を与えることは間違いありません。

   ブランド力を高めていくためには、

    ・自社は顧客ニーズをこのような方法で把握していく

    ・把握した顧客ニーズにこのような方法で応えていく

    ・そのためには日頃からこのような仕事の仕方をしなければならない

   といった姿勢を経営者が明確に示す必要があります。

   それによって営業マンが顧客回りをする際にも、新商品の企画開発や製造現場においても
   ブランド力構築に向けた一貫した取り組みがなされることになります。

  (5)イメージ向上に必要なストーリー

   いかに顧客ニーズに応える素晴らしい商品を開発しても、それが顧客に十分に伝わらなければ
   大きな成果は期待できません。

   大企業はイメージ向上のために全国的なテレビCMなどを行いますが、中小企業ではそうは
   いきません。

   このように莫大な費用をかけなくてもやれることはあります。

   そのなかでもっともベーシックなのは、「商品案内」や「会社案内」などのパンフレットを
   見直すことです。

   ほとんどの会社では扱っている商品についてのパンフレット(商品案内)を作っていると思い
   ますが、その内容は、商品の写真と簡単な仕様を並べただけのものが少なくありません。

   そこにはこの商品で顧客のどのようなニーズに応えようとしているか、あるいは自社がこの
   商品にどのような思いを込めたのかといったストーリーやブランド力構築に必要な
   「企業の約束」が提示されていません。

   会社案内でも社名、事業内容、役員紹介、事業所一覧といった必要最低限の情報しか掲載されて
   いないものが多く、自社が顧客や社会に対してこのような影響を与える存在でありたいといった
   経営理念まで深く掘り下げているものはあまり見受けられません。

   自社の思いが十分に反映された商品案内や会社案内を準備し、社長や営業マンがことあるごとに
   それをアピールしていく、これだけでもイメージ向上は十分に期待できます。

   また、自社のウェブサイトを工夫して、企業の思いをわかりやすく発信したり、双方向性を
   もたせて顧客とのコミュニケーションの場にすることも有効でしょう。

  (6)差異(差別)化

   新しいブランドが市場で成功するには差異化が重要なポイントとなります。

   差異化とは他社がまねのできない優れた面を持つことであり、これにより他社との競争を優位に
   展開することができます。

   差異化の方法は、

    ・イメージ

    ・商品の機能 ①

    ・販売価格 ②

    ・販売チャネル ③

    ・販売ターゲット ④

      マーケティングミックス①〜④などが挙げられます。    

  (7)ブランディング

   大きなコストをかけてマス広告で、ターゲットに訴求できない中小企業にとっては、マスコミを
   活用することを経営戦略に入れるべきです。

   ブランドを構築しても、その存在を消費者が知らなければ買ってもらうことはできません。

   新聞や雑誌を使った広告には多額の費用がかかる。

   かといって、これを怠れば商品(製品、サービス)はなかなか売れません。

   ブランディング(顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動)手法として、
   あなたの扱う商品をマスコミに記事として無料で掲載してもらう方法です。

   これをプレスリリースといいます。

   中小企業にとって、マスコミに取り上げられるメリットは大きいです。
     
  (8)価格設定

   価格設定のヒントとして2つの逸話をご紹介します。

    ○ピカソはこうして価格を決めた
     才能や思考の真の価値とは何だろう?

     なぜそんな高額に値するものが存在するのか? 

     どうすれば適正な請求額が割り出せるのか? 

     この問いに答えるために、パブロ・ピカソの逸話をご紹介しましょう。

     ある婦人がパリの街並みを散策しているとき、歩道に面したカフェでスケッチをして
     いるピカソを見かけた。

     その婦人は、やんわりとピカソに自分のスケッチを描いてくれないかと頼んだ。

     料金は言い値で払うから、と。

     ピカソは了承した。ほんの数分のうちに、肖像画が描き上がった。

     ピカソ直筆である。

     「おいくらかしら?」彼女は訪ねた。

     「5000フラン」ピカソは答えた。

     「だって、たった3分かかっただけでは?」彼女はピカソに丁重に指摘した。

     「いや」、ピカソは言った。

     「私はここまでくるのに一生を費やしたのです」


    ○大工界のピカソ

     ある男が、自宅の床のきしみについてずっと悩んでいた。

     何をしても効き目がなかった。

     とうとう彼は、職人中の職人という評判を持つ大工を呼ぶことにした。

     その大工は部屋に入ってきて、きしみに耳を澄ませた。

     そして大工道具を置くと、取り出したかなづちをきっかり三回振るって床にクギを打ち込んだ。

     それっきり床のきしみは消えた。

     大工は請求書の綴りを取り出すと、合計45ドルと書き込んだ。

     合計欄の上に明細が書いてあった。 

     クギ打ち ― 2ドル クギ打ち場所の探し当て ― 43ドル

     扱う商品・サービスの「値決め」は重要であることは言うまでもありません。

     しかし、決めるのは難しい。

     そのときに基準となるのが、「積み重ねたノウハウにこそ値段を付けるべし」

 2.自社ブランド構築の留意点

  中小企業の場合、経営資源に限りがあり、販売ルートや販売地域にも制約があります。

  経営資源に限りのある中小企業が新たにブランドを構築しようという場合、どのようにすべきかを
  考えてみます。

  顧客にとっては、中小企業であっても大企業であっても商品やサービスを提供してくれる対象
  でしかありません。

  顧客の視点からすれば、中小企業も大企業もないのです。

  しかし、中小企業の立場からすると、企業体力の相違から、大企業と同じブランド戦略を展開を
  するわけにはいきません。

  (1)集中化戦略

   ランチェスター戦略(弱者の戦略)は、総合戦ではなくゲリラ戦であり、限られた経営資源を
   一点(局所)に集中させることです。

   それにより、限定された地域で一番を目指すことが必要となります。

   その後、徐々にその地域を広げていく戦略をとるべきです。

  (2)アライアンス 

   中小企業のように広告宣伝費や販売ルートに制約がある場合、同じ目的をもった複数の企業と
   協同でブランドを構築するのも一つの方法といえます。

   ただし、この場合、各企業のターゲットとする顧客層が同じでなければ、アライアンスの
   相乗効果はありません。

   アライアンス事業の難点は、これにより大きなメリットを享受できた企業とあまりメリットを
   享受できなかった企業が生じることです。

   時と共に不満が生じ、足並みがそろわなくなる可能性があります。

  (3)Webの活用

   情報発信の有効な手段として、インターネットが挙げられます。

   インターネットは双方向コミュニケーションを可能にします。

   ホームページをみる人は目的をもって訪れているケースが多く、顧客化につながる可能性が
   高いといえます。

   インターネットの場合、テレビやラジオなどに比べて、より多くの情報を発信することが可能です。

   もちろん、ホームページを設ければ、人がどんどんアクセスしてくれ、売り上げが伸びると
   いうものではありません。

   しかし、製品やサービスの詳細な情報のみならず、企業コンセプト、企業理念など顧客と見込み
   顧客に対して情報発信を続けることが大切なのです。

   ホームページを何度も訪れてもらうには、有益な情報の更新ができるかどうかがポイントと
   なります。

   また、ホームページへのアクセスを待つだけではなく、顧客に更新情報をEメールで送るなど、
   積極的なアプローチも可能です。

   このように顧客とのコミュニケーションを行う際、特に関係を深めたい顧客に絞り込み、徐々に
   広げていくのが現実的な対応です。

   インターネットによるコミュニケーションは顔の見えない多数を相手にしようと考えないことです。

   企業は時間をかけ顧客との関係を深めていくことに注力するためにインターネットを利用する
   のだと考えればよいでしょう。

   インターネットの双方向コミュニケーションを上手に活用することが中小企業のブランド構築の
   第一歩となるでしょう。 
   
■ブランドづくりはファンづくり

 「ブランド」と言うと大きな会社の高級商品を思い浮かべるかもしれません。

 しかし、ブランド力というのは小さな会社にも存在しますし、小さな会社でもブランド力を持つ
 ことが重要です。

 小さなブランド会社は、他のブランド力をもたない会社よりも圧倒的に経営がうまくいっており、
 収益性が高いのが特徴です。

□ブランド力のある会社とは

 1.お客様の行列ができている

 2.関わる人によく感謝される

 3.「一緒に働きたい」という人がよく来る

 4.銀行が「お金を借りてくれ」と言って来た

 5.「協業しませんか?」という誘いが来る

 6.良い情報が自然に入ってくる

 7.「御社が好きです」と言われる

 8.自社を紹介してくれる人が多い

 9.営業の電話が頻繁にかかってくる

 10.取材がよく入る

 ブランド力のある会社の決定的な要素は「お客様に困っていない会社」であることです。

 会社にはお客様が不可欠です。

 お客様がいなければ会社は存続できません。

 逆に、他の何がなくともお客様さえ存在すれば会社は存続できると言えます。

 それ以外の必要な経営資源はお客様の存在が明確であれば、たいてい簡単に集めることができる
 からです。

 商品そのものでさえそうです。

 商品がなくてもお客様がいれば商売は成り立ちます。

 江戸時代から、商人は、そう考えて「顧客台帳」を徹底的に大事にしました。

 たとえ、火事ですべての商品が燃えてなくなったとしても、顧客情報さえあれば商品はどこからか
 仕入れてきてゼロから商売が始められることを知っていたので、何が起こっても顧客台帳だけは
 守ったのです。

 それだけ、ビジネスにおいてお客様の存在は大きな意味を持つということです。

 もちろん、お客様の重要性は、現代でも変わりません。

 ブランド力のある会社は、この大切なお客様を他の会社とは全く違うレベルで持っています。

 ブランド力のある会社には、お客様を超えた「ファン」が存在します。

 つまり、ブランディングとは、このようなファンを増やす活動であり、「ファンづくり」のことで
 あると言っても過言ではありません。

□「ファンづくり」で最初にすべきこと

 それでは、どうやったらお客様をファンにすることができるのでしょうか?

 小さなブランド会社は実にさまざまなことを実践して、多くのファンに囲まれてストレスの無い
 ビジネスを展開しています。

 ここでは最も大切な要素の1つを考えてみましょう。

 それは「お客様の記憶に残る」ということです。

 あなたがビジネスをしている現代は、商品も情報も洪水のようにあふれている社会です。

 しかも、お客様の記憶容量には限界があります。

 そんな環境にあって、記憶に残り続けることは簡単なことではありません。

 たいてい、カテゴリーのトップか強烈な印象を残した商品しか記憶に残らないのです。

  1.どんな人にお客様になってもらいたいのか?

   「理想の顧客像」を明確にしてください。

   「お客様なら誰でもいい」と考えがちですが、そんな態度の提供者が発する商品、会社の
   雰囲気は、結局、誰も惹きつけません。

   「私たちは、こんな人のために価値を提供したい。

   こんな人たちのために存在する意義がある」ということを明確にすべきなのです。

  2.USP(売り)を明確にする

   「理想の顧客」から、どのように思ってもらいたいのか? 

   どういう印象を残したいのか? どのように記憶されたいのか? ということを考えて
   ください。

   自社(店)の「3つのUSP(売り)」を明確にしておくということです。

   あなたの会社の「売り」は何でしょうか? 

   たとえば、吉野家の「早い、安い、旨い」のように簡潔に3つにまとめておきましょう。

   これはお客様が最も必要としている情報であり、記憶に残るか残らないかは、この情報に
   かかっています。

  3.自社(店)の存在

   「理想の顧客」に「独自の売り」で記憶に残ってもらう私たちは「どういう存在である
   べきか?」を考えます。

□お客様と自社(店)の関係性を見直す

 自社(店)とお客様との関係性を考えてみましょう。

 なぜなら、多くの経営者が、これまで説明してきた「(小さなブランド)会社になる」「お客様では
 なく、ファンに囲まれる会社になる」ことが安定した理想の経営であることを分かっています。

 しかし、それを目指して努力し始めても、なかなか成功できない理由にお客様との関係性の
 「思い込み」があるからです。

 私たち提供者はお客様の存在がなければ、存在することができません。

 ですから、お客様を大切にするのは当然のことです。

 だからと言って価値の提供者である私たちがお客様は神様といった下僕のようになるのとは違います。

 お客様も、あなた(提供者)がいなければ困ります。

 経済が発展した社会では多くの人が自分以外の多くの人に依存して生きており、自分が必要とする
 モノのほとんどは自分独力では用意できません。

 誰かがつくってくれたものを買うことができるだけです。

 経済の発展は、相互依存の進んだ社会になっていくことです。

 そんな中で、価値の提供者である私たちと価値の受益者であるお客様は、それを仲介するお金を
 通して「対等」なのです。

 それを決して忘れずに、お客様との関係をつくっていかなければなりません。

 そうやって行動していけば、関係は良くなり、ストレスが少ない経営ができるようになります。

 それは私たちにとっても、お客様にとっても良い関係です。

 お客様を超えた、「私はあなたの会社(店)のファンです」、そう言ってくれるファンづくりが
 重要な時代なのです。

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