製造業と安全管理


  ■製造業と安全管理

   製造業における労災事故の件数は、全産業の約4分の1を占めています。

   なかでも多いのが「はさまれ・巻き込まれ」による事故で、全体の約3割を占めて
   おり、この傾向は過去20年以上変わっていません。

   「はさまれ・巻き込まれ」事故の原因を検証していくと、危険部分が露出したままの
   環境で作業を行っていたり、操作中に誤って手を入れてしまったりなどの危険行動
   や、機械の運転停止を省略するといった安全作業手順の無視などの実態がうかがえ
   ます。

   また、製造ラインに従事する派遣労働者や施設内で軽作業をする請負作業員など、
   派遣や請負の増加に伴い、社員以外の作業員が労災事故に遭うケースも増えて
   います。

   それにより、受入先会社の安全配慮義務が厳しく問われる(場合によっては損害賠償
   責任が生じる)ようにもなってきました。

   労災事故の多くは、採用後間もない作業員や作業経験の浅い作業員に多くみられ
   ます。

   労災事故は起きてしまってからでは取り返しがつきません。

   作業に不慣れな新人はもちろんのこと、すべての作業員に対して安全に作業をする
   ことの大切さを教育し、現場での安全管理を徹底することはとても重要です。

  □安全管理体制の整備

   1.安全管理体制の構築

     安全管理は、作業員一人ひとりが自主的に行動しなければ効果がありませ
     ん。

     それと同時に、監督者(経営者)はつねに安全に気を配る必要があります。

     そこで重要となるのが「安全衛生管理体制」です。

     これは労働安全衛生法に定められているもので、業種や規模によって管理者 
     などの選任が義務づけられており、それを守らずに重大な労災事故が起きて
     しまった場合には、安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われることに
     なります。

     事業場における安全衛生管理体制を確立し、それぞれの担当者が労災防止
     のための職務をきちんと運営していくことが重要です。

     製造業の場合、規模(従業員数)に応じて担当者を選任しなくてはなりませ
     ん。

     それぞれに実務経験等の資格要件が設けられており、担当者を選任したら労
     働基準監督署に届け出ることになっています(安全衛生推進者、作業主任者
     については労働者への周知のみ)。

     なお、労災事故防止についてさまざまな方策を行うために、労働者の意見を
     反映させる必要があることから、安全衛生委員会の設置も義務づけられてい
     ます。

     安全衛生委員会とは、労働者の危険防止、健康障害防止のための基本対策
     や労災の原因調査、再発防止対策などを調査審議して、事業者に対して意見
     を述べる機関です。
      
   2.危険予知(KY)

     重大な事故の背後には、29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300
     件のヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則:事故には至らなかったものの、ヒヤリ
     とし、ハツとした事例)があるといわれています。

     このヒヤリ・ハットは見過ごされてしまうことも多いのですが、重大な事故を未
     然に防ぐには、ヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが大事です。

     そこで、個々の作業員が経験したヒヤリ・ハットの情報を共有し、重大な事故
     の発生防止に役立てる活動が有効となってきますが、そのひとつが「危険予
     知(KY)活動」です。

     危険予知(KY)活動とは、ミーティングや職場内研修を通じて、その日の作業
     に潜む危険性などの情報を皆で共有し、事故発生を予測しながら危険回避策
     を話し合うものです。

     この活動が習慣化されることで、日常の作業をただ流れで行うだけでなく、危
     険が潜んでいないかとつねに考えて作業に取りかかる意識を一人ひとりにも
     たせることが期待できます。

     具体的には、その日の作業を始める前に、グループ全体でミーティングを行い
     ながら進めます。

     話し合う内容は、

      ・その日の作業から予測される危険(危険のポイント)

      ・予測される危険に対する対策  (私たちはこうする)

      ・対策に基づいた安全な作業方法 (行動目標)

     といったものです。

     KY活動のミーティングと通常のミーティングとの違いは、雑談の延長に近い感
     覚で行われるところにあります。

     つまり、通常のミーティングでは「まあいいか」と思ってしまいがちな些細なこと
     についても、KY活動のミーティングでは気軽に話し合うことができます。

     このようにKY活動を行うことで、必要な情報を漏らすことなく、また、堅苦しくな
     い雰囲気のなかで危険予知を行うことができます。

     なお、KY活動のミーティングで話題になったことは、その都度シートに記入し
     ていくことが望ましいでしょう。

     また、KY活動の前に「安全ミーティング」と呼ばれるミーティングを行う事業場
     もあります。

     安全ミーティングでは、その日の作業を行う前に関係者全員が集まって、当日
     の作業内容、作業方法・手順、人員配置などの指示・調整を行います。

     作業員の意識や責任感を高めるためにも、ミーティングの際に、作業員が具
     体的に体験した危険を、その場の状況などと併せて報告させることが必要で
     しょう。

     このことで、KY活動の効果をより高めることができます。

  □現場における安全管理

   製造業の現場では、さまざまな機械設備が使用されており、それらによる「はさまれ・
   巻き込まれ」事故が多いことから、そこに重点をおいた対策を講じる必要があります。

   ここではおもに、機械設備による「はさまれ・巻き込まれ」事故の防止ポイントをみて
   いきます。

   安全管理においてもっとも重要なのは、基本的なことをいかに忠実に、手を抜くこと
   なく遂行するかです。

   前記の対策を組み合わせながら、作業員の安全に対する意識を高めて、労災事故の
   危険性を低減していくことが大切です。

  □健康管理

   どんなに現場の安全管理を厳重に行っても、作業員の体調がすぐれなければ事故が
   起こりやすくなるものです。

   作業員の健康管理も安全確保の大きな要素といえます。

   1.基本的な生活態度のチェック項目

     □ 作業員は進んで健康診断を受けているか。

     □ 手洗い、うがいを励行しているか。

     □ 飲み過ぎ、食べ過ぎをしていないか。

     □ 夜更かしばかりしていないか。

   2.安全対策の徹底

     健康保持増進のための具体的指導は、事業場内に専門スタッフを確保するよ 
     うなことが困難な場合には、一定の基準を満たして認定を受けた、次のような
     外部の機関を利用して推進することができます。

      ・労働者健康保持増進サービス機関

      ・労働者健康保持増進指導機関

     上記機関の詳細については「中央労働災害防止協会」のウェブサイトでご確
     認ください。

     参照URL

      中央労働災害防止協会(労働者健康保持増進サービス機関等

   3.会社で行いたい健康保持増進活動

     ・健康測定……生活状況調査、医学的検査、運動機能検査を行う。

     ・運動指導……運動によって健康的な生活習慣を確立するために行う。

     ・メンタルヘルスケア
             ……健康測定の結果、メンタルヘルスケアを受けることが望ましい 
               場合や、本人からの希望があった場合に、援助や指導を行
               う。

     ・栄養指導……食生活の偏りからくる問題の解決のための指導を行う。

     ・保健指導……健康上の問題を予防、コントロールする方法の指導を行う。

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