新規事業開発のプロセスとポイント

          

新規事業開発のプロセスとポイント

  ■新規事業の開発

   企業をとりまく経営環境は、技術革新による競争の激化や、消費者ニーズの多様化によ
   る商品寿命の短期化など、今までにないスピードで変化を続けています。

   このようななかで、「現在の事業のみではいずれ経営が行き詰まってしまう」との危機
   感をもつ経営者も少なくありません。

   会社が生き残っていくためには、自社商品を進化させ続けなくてはなりません。

   それは多くの場合、旧来品よりも優れた、あるいは別の機能をもった「新商品」投入
   という形で実現されます。

   もちろん、この活動は重要ですが、そこにはあくまで「これまでの流れ」という制約条件
   がつきまといます。

   大きな環境変化が起これば、まったく新しい事業、つまり新規事業を打ち出す必要も
   出てきます。

  □新規事業進出の留意点
   新規事業で成功するのは容易なことではありません。

   「儲かりそうな業種だから」「自分にもできそうな業種だから」との理由だけで新規事業
   に進出することは大変危険です。

   誰にでもできそうで儲かりそうな事業ほど新規参入も多く、激しい競争に陥る可能性
   が大きいとも考えられます。

   ですから、自社の企業理念や将来の自社像を実現させるために必要な事業を行うと
   いう心構えで慎重に事業を選ぶことが望まれます。

  新商品開発と新規事業開発
   新商品開発は、その言葉通り新しい商品を考えることです。

   メーカーであればニーズの変化や競合企業の状況なども踏まえて、新商品を開発し、
   市場に投入します。

   技術革新の激しい分野では、半年ごとに新商品が投入されることも珍しくはありません。

   開発された商品は、基本的にはこれまでと同じ流通経路を使って、同じような方法で
   販売されます。

   価格付けなども旧来品の価格を参考に行うことができます。

   つまり新商品開発では新しい商品ができさえすれば、すでに売るための仕組みが整って
   いることになります。

   新規事業開発はすべてをゼロベースで考える必要があります。

   例えば、同じメーカーが競争激化などで苦戦が続き、新規事業として、外食事業を
   立ち上げるとします。

   当然ながらこれまでの製造ノウハウはもちろん、販売のための既存の流通経路も使え
   ません。

   顧客ニーズも、最初はまったくわからないでしょう。

   つまり新規事業開発では、仕入れ、製造、販売といったすべての仕組みをゼロべース
   で構築していかなければなりません。

   これは、はじめて会社を立ち上げて市場に参入するのとほとんど変わらない状況です。

   ここに新商品開発と新規事業開発の決定的な違いがあります。

   このように、新商品開発に比べて新規事業開発の難易度は高く、成功までの道のりも
   長いものになります。

  □新規事業開発(実現)までのプロセス
   新規事業実現のためには、
    1.「コンセプトの組み立て」

    2.「事業モデルの構築」

    3.「事業計画作成」

   のプロセスから成り立ちます。

    1.コンセプトの組み立て
      どのような新規事業を行うのか、その骨
      格を組み立てていくステップです。

      (1)アイデアの創出 
        できるだけ自由な発想でスタートすることが必要です。

        いきなり「どのような新規事業にするか」を考えるのではなく、たとえばディ
        スカッションのなかで、「最近自分が購入した商品のなかで特に満足度の 
        高かったもの」をあげ、なぜそのように感じたのかを発表し合います。

        最近とくにヒットしている商品をいくつかとりあげ、なぜそれがヒットしてい
        るのかの仮説を議論してみるのもよいでしょう。

        多くの新規事業は、このような自由な議論のなかから誕生しています。

        また、職場ではなく、合宿形式など、普段の常識にとらわれにくい環境で議論
        するのも効果的です。

        日常的な仕事から頭を切り換えることで、まったく新しいアイデアが生まれる
        確率も高まるでしょう。

        そしてこのような議論のなかから、自社の現状の強みをいかせる新規事業案
        を絞り込んでいきます。

      (2)事業化の可能
        創出されたアイデアが事業として基本的に成立するかどうかを社内外の環境

        に照らし合わせて評価します。

        同時に、誰に対してどのような商品を提供するのかといった事業ドメイン
        (領域)も検討します。

      (3)コンセプト 
        検討したコンセプトを最終的にまとめていきます。

        コンセプトには次のような顧客の視点から見た「5W2H」の内容が盛り込まれ
        ている必要があります。

        ●コンセプトに盛り込むべき5W2H(顧客が自社商品を購入するシミュ
         レ
ーション)

         ・When      いつ、どんなときに
         ・Why       なぜ、どのような理由で
         ・Who       誰が、どんな人が
         ・Where      どこで、どのような場所で
         ・What       具体的に何を
         ・How        どのように
         ・How much   どのくらいの価格で

        ●新規事業分野の候補をリストアップ
         事業展開の方向が定まったところで、さらに次の3つの視点を加えて新規事

         業分野の候補を検討する必要があります。

          (1)本業との相乗効果が得られる分野への進出
            新分野への進出が従来の商品・サービスにプラスの効果を与え、相
            乗的な売り上げの拡大が見込まれるため、一般的にはリスクも小さく
            なります。

            また、まったくの新分野への進出であっても、現業にそのノウハウ
            が役立つ場合もありますので、そのような視点からの検討も必要とな
            ります。

          (2)異なる事業分野にまたがる領域への進出
            業界と業界との垣根、すなわち業界のすき間への進出です。

            たとえば、割烹、レストランと宅配業との関連事業として、ケータリ
            ングサービスを新規に手がけるケースなど。

          (3)成長業種への進出
            たとえば、
             ・IT関連産業
             ・教育産業
             ・介護、健康関連産業 など

        ●新規事業決定の留意点
         以上の(1)〜(3)の視点でさまざまな事業をリストアップし、進出する分
         野を決めていきます。

         しかし、どの事業に取り組んでもよいわけではなく、新規事業分野の候
         補案を評価し、その結果を比較して進出事業を決定することが必要とな
         ります。

    2.事業モデルの構築
      コンセプトを実際の事業モデルに展開していくプロセスです。

      冒頭で述べたように新商品開発と違い、新規事業開発では既存の社内リソース
      はほとんど使えません。

      事業化のために、必要な機能を一つひとつ構築していく必要があります。

      次のようなマトリクスを使い、必要な機能をもれなく抽出し、現時点でない機能に
      ついてはどのように獲得していくか、あるいは外部を活用するかなどを検討して
      いきます。

      その際、自社の強みに直結する機能についてはアウトソースせずに必ず社内で
      対応することが必要です。

    3.事業計画立案 
      ステップ2で策定した事業モデルをいか
      に構築していくか、また事業モデルを使
      って実際にどのような事業展開を行って  
      いくかを検討します。

      事業開始直後だけではなく、最終的な目
      標に向けたマイルストーン(事業の進捗
      を管理するために途中で設ける節目)も
      作成します。

      たとえば外食事業に取り組む場合は、
      多店舗展開するのか、そうであればどの
      程度の店舗数をどの時点でめざすのかと
      いったシナリオ作りも行います。

      (1)スケジュール
        事業開始から数年後までの節目となる期日とその時点での実現目標に落と
        し込むことでシナリオ化していきます。

      (2)基本計画の策定

        当面の目標および事業開始から数年後までの事業計画をまとめていきます。

        売上、利益といった 数値計画だけではなく、前述の「事業モデル構築マトリ
        クス」で抽出した必要機能をどのように獲得・強化していくのかも時系列で計
        画します。

        その際には以下の点について明らかにしておくことが必要です。

       ●基本計画に盛り込むべき内容

         「誰が」………………実行者、責任者は誰かを明確にする
         「何を」………………具体的にどのような機能を高めるかを明確にする
         「どのレベルまで」…できるだけ数値目標化する
         「いつまでに」………それぞれの納期を明確にする

        収支のシミュレーションは数パターン行い、最悪のシナリオとして撤退する場
        合の基準となる目安も決めておきます。

      (3)資金計画の策定 

        投資金額、必要な資金調達額、資金調達方法、償却方法、返済方法などを
        まとめた資金計画を作成します。

        また単年度黒字化年度、累損一層年度など節目の時期をシミュレーション
        によって明らかにします。

      (4)ビジネスプランの完成

        新規事業を開始するにあたって必要なその他の個別プランを詳細に策定し
        ます。

        具体的には生産販売、物流、採用などの計画が必要になります。

        なおここでも基本計画と同様に「誰が」、「いつまでに」といった責任と納期
        などを明確にしておくことが必要です。
  
  □新規事業開発の体制
   新規事業開発は、これまで説明してきたとおり大変困難な業務です。

   また、経営の屋台骨に影響を及ぼす重要な業務でもあります。

   このため、新規事業開発に社長自らが陣頭指揮を執るケースが多々みられますが、それ
   はあまり好ましいことではありません。

   理由は、社長自身が新規事業開発に没頭してしまうと、既存事業に支障が出るおそれが
   あり、新規
   事業に思い入れが強すぎると撤退時期を見過ごすなど、経営判断を誤るおそれがあるか
   らです。

   そのため、新規事業開発の推進者・責任者には実力のある幹部クラス社員を社長直轄
   で抜擢し、社長は随時進捗状況の報告を受け、指導を行うと同時に冷静な目で経営
   判断を下していくことが大切です。

   また新規事業開発には多種多様な技術・知識・ノウハウが必要であり、実際に推進して
   いくためには強力なパワーも求められます。

   そのため、幹部クラス社員をリーダーにして社内の複数部門の精鋭を集めたプロジェク
   トチームを結成するのが一般的です。

   その際にはプロジェクトメンバーは通常業務と兼務ではなく、できるだけ新規事業開
   発に専任させるほうがよいでしょう。   

 

                        お問合せ・ご質問はこちら 

                        メルマガ登録(無料)はこちらから

 

ビジネスチャンスを逃さない

          

ビジネスチャンスを逃さない

  ■ビジネスチャンスの重要性

   近年、ビジネスのスピードは増す一方です。

   多くの企業が消費者のさまざまなニーズを掘り起こし、多様な商品を次々と世に送り
   出す半面、商品寿命はどんどん短くなっています。

   (社)中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」の調査をみても、2000年代に
   入りヒット商品のライフサイクルが急速に短くなっている現状がよく分かります。

   商品の短命化が進む中、主力事業や商品を転換する企業が相当数あります。

   中小企業金融公庫の調査では、過去10年の間に約半数の中小企業がこうした転換
   を一度以上経験しています。(2015年版中小企業白書

   主力事業や商品の転換には相応の経営資源の投入が必要であり、大きなリスクを
   ともないます。

   しかし、商品の短命化が進行している現状をみると、既存の事業や商品に安住し続け
   ることも、大きなリスクといえるでしょう。

   このような時代に、企業が経営を安定させ、さらに発展していくためには、ビジネス
   チャンスをいち早くつかむことが重要となります。

   ビジネスチャンスをとらえる際の基本的な考え方と、ビジネスチャンスを発見するため
   の具体的な視点について紹介していきます。

  □ビジネスチャンスを理解

   1.ビジネスチャンス
     ビジネスチャンスについて考えてみましょう。

     そもそも、見いだすべきビジネスチャンスとはどのようなものなのでしょうか。

     この点を理解するには、「商品」とそれを購入する「消費者のニーズ(以下「消
     費者ニーズ」)」の関係からビジネスチャンスを考えると分かりやすいかもしれ
     ません(注)。

     消費者が商品を購入するのは、自身の持つさまざまなニーズを充足するため
     です。

     従って、商品が消費者の持つニーズを完全に充足している姿が理想的な関係
     となります。

     しかし、商品と消費者ニーズの現実の関係をみると、特定の商品が消費者
     ニーズを完全に充足しているケースはわずかです。

     むしろ、消費者は「若干の不満はあるものの、自身のニーズに一番近い商品
     なので購入する」といったケースが一般的です。

     例えば、「『購入した商品をすぐに使いたいのに、手元に届くのは3日後にな
     る』『価格が高い』といったように『時間』や『価格』については不満があるが、ほ
     かの商品よりはよいので、これを購入しよう」というように購入を決定している
     消費者が多いのです。

     近年の消費者ニーズは、非常に多様化・複雑化しています。

     このため、商品の持つ機能や特性などは複雑化・高度化する消費者ニーズに
     追いつかず、商品と消費者ニーズの間に多くのギャップが存在しているのが
     実情といえるでしょう。

     しかし、この商品と消費者ニーズの間にあるギャップにこそビジネスチャンスが
     あるのです。

     すなわち、このギャップを発見し、ギャップを解消する(消費者ニーズをより充
     足させる)ような商品を提供することができれば、消費者からの支持を集める
     ことが可能です(商品を販売し、売り上げを上げることができます)。

     例えば、
     「のどが渇いたので、今すぐ冷えたオレンジジュースをコップ1杯飲みたい」と
     考えている消費者に対して、その場でコップ1杯の冷えたオレンジジュースを
     販売している企業が存在していれば、商品と消費者ニーズの間にギャップは
     ありません。

     しかし、アップルジュースを販売している企業しか存在しなければ、商品と消費
     者ニーズの間にギャップ(ビジネスチャンス)が生じます。

     そこで、自社がオレンジジュースという商品を販売することで、消費者ニーズと
     の間のギャップを解消することができます。

     また、ほかの企業がオレンジジュースを販売していても、1リットルのボトルサ
     イズで販売している企業しか存在しなければ、コップ1 杯分のオレンジジュー
     スを販売することで、自社商品を購入してもらうことができます。

     これは、ビジネスチャンスを単純化して考えた例です。

     実際には、「自社が収益を獲得することができるだけの市場性があるのか(ビ
     ジネスとして成立し得るのか)」「競合他社の動向はどうであるのか」など、さま
     ざまな側面から発見したビジネスチャンスについて検討することが必要です。

     しかし、商品と消費者ニーズの間にあるギャップこそがビジネスチャンスであ
     り、そのギャップを埋めるような商品を消費者に販売することで売り上げを上
     げていくという視点が、企業のビジネスチャンスを生かす取り組みの基本とな
     るのです。

   2.ビジネスチャンスの発生要因
     次に、ビジネスチャンスである商品と消費者ニーズの間にギャップが発生する
     理由を考えてみましょう。

     その理由はさまざまですが、大きく分類すると「消費者ニーズの把握の困難
     性」と「商品に関する制約要因の存在」に分けることができます。

     (1)消費者ニーズの把握の困難性
       消費者ニーズを的確に把握することができず、結果として消費者ニーズを
       充足するような商品を開発・販売できないケースがあります。

       消費者ニーズは常に変化し続けています。

       こうした状況では、消費者ニーズに関する情報収集を十分に行っていない
       場合はもちろん、独自の市場調査を実施している企業でさえ、消費者ニー
       ズを的確に把握することは非常に困難です。

       例えば、マーケティングの専門部署を設け積極的に情報を収集している大
       企業でさえ、「消費者ニーズの読み違え」といった理由から事業に失敗する
       ケースがあることを考えれば、消費者ニーズを把握することの困難性は容
       易に理解できるでしょう。 

       当然のことながら、消費者ニーズを的確に把握できなければ、消費者ニー
       ズを完全に充足するような理想的な商品を開発・販売することはできない。

       つまり、消費者ニーズの把握の困難性という要因が、商品と消費者ニーズ
       の間にギャップを発生させているのです。

     (2)商品に関する制約要因の存在
       消費者ニーズには気づいていても、そのニーズを充足するような商品を何
       らかの理由によって開発・販売できないケースがあります。

       そうした場合も商品と消費者ニーズの間にギャップが生じることになりま
       す。

       制約要因にはさまざまなものがありますが、代表的なものとしては、技術面
       の制約要因があります。

       例えば新規開発された機器などに多くみられる例ですが、その機器に必要
       となる技術を確立し、実際に商品(プロトタイプなど)の開発には成功してい
       るものの、その商品を量産する技術が確立されていないため、商品として
       販売できないケースもあります。

       また、コスト面の制約要因がある場合もあります。

       商品として販売することは可能であるものの、それには膨大なコストがかか
       り、商品の販売価格が高くなるため、仮に商品として販売したとしても、ほと
       んどの消費者がそれを購入しないようなケースです。

       これらのケースにおいては、企業が商品と消費者ニーズの間にギャップが
       あることに気が付いていても、商品などが持つ制約要因の存在が、ビジネ
       スチャンスをものにすることを妨げているのです。

  □事例に学ぶビジネスチャンスの見つけ方

   1.商品と消費者ニーズのギャップを知る
     ビジネスチャンスを発見するためには、市場調査などを通じて得た消費者や競
     合他社などの外部環境に関する情報や、自社の商品や商品の製造プロセス
     など内部要因に関する情報などを総合的に勘案しながら、商品と消費者ニー
     ズの間に潜むギャップを発見することが必要となります。

     しかし、こうしたプロセスを経てもなお、ビジネスチャンスを発見するのは容易
     ではありません。

     従って以下では、事例を交えながら、商品と消費者ニーズの間に潜むギャップ
     (ビジネスチャンス)を発見する際に参考となる視点について紹介します。
 
   2.「ビジネスチャンスの発生要因」に注目する
     ビジネスチャンスを発見する基本は、前述した「ビジネスチャンスの発生要因」
     で挙げた「消費者ニーズの把握」と「商品の制約要因」の2点に注目することに
     あります。

     以下では、それら2つの視点からビジネスチャンスを検討する際のポイントを
     紹介します。

     (1)消費者ニーズの影響要因に注目する
       消費者ニーズに変化をもたらす影響要因が分かれば、消費者ニーズの動
       向を的確に把握できる可能性が高まります。

       しかし、実際には、消費者ニーズに影響を与える要因はさまざまであり、そ
       れらすべてを明確にすることは困難です。

       また、仮に把握できたとしても、影響要因は複雑に絡み合っていることか 
       ら、個々の要因が消費者ニーズをどのように変化させるのかといった因果
       関係を明らかにすることはほぼ不可能です。

       しかし、中には影響要因やそれが及ぼす影響を、比較的容易にとらえるこ
       とができるものもあります。

       代表的なものは、法律の改正といったさまざまな制度変更などです。

       制度変更には強制力をともなう法改正や、業界団体などが策定する「ガイ
       ドライン」などのように法的拘束力はないものの、対象となる企業や個人の
       行動を事実上規定してしまうものもあります。

       こうした制度変更があれば、関連する企業や個人は変更された制度に従
       わなければならないわけですから、消費者ニーズの動向を容易に予測でき
       る場合があるのです。

       例えば、2003年に施行された「指定管理者制度による公的施設の管理業
       務の民間委託」は、公的施設の管理業務という新たな市場(ニーズ)を生み
       出しました。

       また、2006年6月から施行された改正道路交通法による違法駐車取り締
       まりの民間委託は、「違法駐車の取り締まり業務」という新たな市場(ニー
       ズ)を生み出した。

       また、違法駐車取り締まり強化は、駐車場に対するニーズの拡大という変
       化をもたらしています。

       消費者ニーズの動向を容易に予測できるこうした動きを早期にとらえること
       で、ビジネスチャンスとすることができます。

     (2)商品に関する制約要因の動向に注目する
       商品に関する制約要因を把握する際のキーワードは、ボトルネックにあり
       ます。

       ボトルネックとは、生産現場や、コンピューター業界などではよく使われる
       概念で、生産プロセスなどにおいて、全体の円滑な進行・発展の妨げとな
       るような制約要因のことをいいます。       

       ボトルネックは大きな問題ですが、逆の見方をすると、ボトルネックさえ解    
       消することができれば、生産性を劇的に改善することができます。

       ボトルネックという考え方は商品の開発などにおいても同様です。

       技術の進展などによりボトルネックが解消されることで、商品の質や性能な
       どが飛躍的に向上し、従来の商品では充足できなかった消費者ニーズを
       充足できるようになる可能性があるのです。

       従って、ビジネスチャンスを検討する際には、「ボトルネック」というキーワー
       ドを常に念頭に置くことが必要といえるでしょう。

   3.「時間・場所・量」に注目する
     企業の「消費者ニーズをとらえた商品づくり」といった取り組みをみると、商品
     の持つ機能や特性といった「商品面」や、消費動向に大きな影響を与える「価
     格面」にのみ注力しているケースが散見されます。

     その結果、商品面や価格面以外のさまざまな消費者ニーズが見落とされてい
     る場合が少なくありません。

     例えば「『必要なときに、必要な場所で、必要な量』の商品が欲しい」といった
     消費者ニーズです。

     一見、当たり前の要素とも考えられがちですが、「時間・場所・量」といった要因
     に注目することで、ビジネスチャンスを発見できるケースも少なくありません。

     「時間」でいえば、宅配便業者が行っている荷物の配送時間帯を指定できる
     「時間指定配送」というサービスが代表的な例です。

     また、「量」という観点でいえば、近年増加している単身者や夫婦2人暮らしの
     高齢者層の需要に対応した小分けの総菜や、1食分ごとにパッキングした豆
     腐などがあります。

     このように、「時間・場所・量」に注目することで、新たなビジネスチャンスを発
     見できる可能性があります。

   4.「業界の常識」に注目する
     「業界の常識を打破しろ」とは、新たなビジネスチャンスをつかんだ企業の経営
     者などがよく口にする言葉です。

     確かに、業界内だけで通用するような商慣行や暗黙のルールといった「業界
     の常識」を打ち破ることでビジネスチャンスが広がる場合があります。

     例えば、近年、葬祭業界では料金体系とそこに含まれるサービスを事前に明
     確にした「葬儀パック」などを提供して人気を集めている企業がみられます。

     「消費者に対して料金を明確に伝える」ことは、普通に考えれば「商売のいろ
     はの『い』」に相当する基本的な条件です。

     しかし、葬儀には、棺・祭壇・霊柩車や送迎用のバスなどさまざまな費用が
     別々になっている上、それぞれにグレードがあり、そのグレードに応じて料金
     が異なるなど、料金体系が非常に複雑になっています。

     こうした料金体系は長い間「業界の常識」とされてきました。

     一方、消費者(利用者)側からみると、葬儀会社を利用する機会はめったにな
     いため、料金体系や費用相場に詳しくないこと、突然の出来事の中でゆっくり
     と費用などを確認している時間がないことなどの理由から、「料金が分かりにく
     い」「当初の説明よりも費用が多くかかっている気がする」というように料金面
     に不満を持つ消費者は少なくなかったのです。

     こうした中、業界の常識 を打ち破り、料金を明確にしている企業が消費者か
     らの人気を集めているのです。

     こうした視点からビジネスチャンスを発見する際に問題となるのが、業界の常
     識に気づきにくい場合が多いことです。

     一つの業界内に長く属していればいるほど、業界の常識に慣れてしまい、それ
     を当たり前のことと考え、見落としてしまうのです。

     そんなときに有効なのが、ほかの業界と自らの業界を比較してみることです。

     そうすることによって、「業界の常識」が持つ盲点に気づくきっかけとなることが
     あります。

     葬祭業界の例も、ほかの業界と比較してみると、不明確な料金体系という「業
     界の常識」に容易に気づくことができるでしょう。

   5.トレンドの「深掘り」を行ってみる
     消費者は、ある商品によって自身の持つニーズが満たされるといったんはそ
     れで満足します。

     しかし、そうした商品を使用するなどして「経験」してしまうと、消費者ニーズは
     より高度なものへとシフトする傾向があります。

     先に紹介したオレンジジュースの例でいえば、最初は、「オレンジ味のする飲  
     み物が欲しい」と考え、果汁10%のオレンジジュースで満足していたものが、
     今度は「より健康的なものがよい」と考え、果汁100%のオレンジジュースへと
     ニーズがシフトする。

     最終的には「果物本来の持つ、新鮮さが味わえるものがよい」と考え、絞りた
     てのフレッシュジュースへとニーズが変化するようなケースです。

     また、消費者ニーズは、高度化する過程で多様化が進むことも少なくありませ
     ん。

     例えば、フレッシュジュースへのニーズが高まる一方で、「コップ1杯じゃ物足り
     ないので、もう少し量の多いジュースが欲しい」というニーズや「○○産のオレン
     ジを使ったジュースが欲しい」といったニーズが出てくることが考えられます。

     こうした高度化・多様化する消費者ニーズをとらえ、ビジネスチャンスにつなげ
     ていくためには、消費者ニーズのトレンドを「深掘り」した商品を販売することが
     有効です。

     例えば、コピー機の分野においては、近年、従来の商品と比較して「コピーの
     スピードが速い」「カラーコピーがきれい」「コピーにかかるコストが安い」といっ
     たさまざまな特徴を「深掘り」した商品が、多様化する消費者ニーズをとらえて
     います。

   6.「逆バリ」を行ってみる
     先の例とは逆に、市場で主流とみられる消費者ニーズに逆らうような商品を開
     発することによって、ビジネスチャンスを見いだすケースもあります。

     「逆バリ」で成功を収めたケースとしては、NTTドコモが1999年10月に発売を
     開始した携帯電話端末「らくらくホン」シリーズがあります。

     当時、NTTドコモは「iモード」を99年2月にスタートさせるなど、サービスの多
     様化を急速に進めていた時期であり、それにともなって携帯電話端末も多機
     能化が急速に進んでいました。

     こうした中で、NTTドコモは、iモード機能を付けないなど機能の単純化を進め
     た「逆バリ」の携帯電話端末「らくらくホン」シリーズを販売しました。

     この「らくらくホン」シリーズは、機器類の操作が苦手な高齢者層を中心に人気
     を集め、2007年4月には累計販売台数1000万台を突破するほどのヒット商
     品となっています。

     また、発泡酒やエンドウ豆などを使用した第3のビールが登場するなど、価格
     の低下が著しいビール業界において、最近では通常のビールに付加価値を付
     けた高額なプレミアムビールが人気を集めているのもこうした例の一つといえ
     るでしょう。

     「逆バリ」商品が人気を集める背景には、消費者ニーズの多様化があります。

     一つのカテゴリーの商品群の中で、質の高い商品を好んで購入する消費者も
     いれば、安価な商品を好む消費者もいます。

     また、同じ消費者でもその商品を購入・利用する状況によって選択する商品は
     異なります。

     例えば、前述したビール系飲料でみると、平日は安価な発泡酒で済ませる
     が、週末はゆっくりと食事を楽しみながらプレミアムビールを飲む人がいます。

     「逆バリ」の商品は当該市場におけるメーン商品となることは少ないものの、一
     定の市場を確実にキャッチすることができるのです。

     紹介したものは、商品と消費者ニーズの間に潜むギャップを発見する際に参
     考となる視点であり、こうした視点から検討をするだけで、簡単にビジネスチャ
     ンスを発見できるわけではありません。

     あくまで、前章で紹介した「基本」に沿って、消費者ニーズや市場動向などの
     情報を収集した上で、こうした視点を参考にしながら新たなビジネスチャンスに
     ついて検討してみるとよいでしょう。

  □ビジネスチャンスを逸しないための経営
   ここでは、ビジネスチャンスの発見方法についていくつかの視点を紹介してきました。

   しかし、実際には、自社の経営資源に見合った実現可能なビジネスチャンスの獲得
   というものは、そうそう都合よくつかめるものではありません。

   ビジネスチャンスをつかむ上でまず重要なことは、ビジネスチャンスをビジネス
   チャンスとして認識できずにビジネスチャンスを見落としてしまわないように、

    ・経営者が前述のような方法で積極的かつ敏感にビジネスチャンスを
     模索し続ける
    ・経営者の下に自社や業界の情報が集まってくる体制をつくりあげる

   ことです。

   また、そうして見いだしたビジネスチャンスを事業化したとしても、収益を生むビジネス
   に育て上げることは決して容易ではありません。

   従って、ビジネスチャンスを見いだしたときにいち早く事業化できるよう、また、失敗
   しても経営が傾くことのないよう、本業で安定した収益を確保しておくことが求めら
   れます。

                      お問合せ・ご質問はこちら 

                      メルマガ登録(無料)はこちらから