売れる営業マンの基本スキル

顧客の心をつかむ

■他社との差別化を図る

 1.なぜ顧客は自社を選ぶのかを考える

  顧客はなぜ自社と取引をしてくれているのか? 昔からよく知っているからなのか、顧客の利益に
  つながっているからなのか。今一度、考えてほしい。

  「昔からよく知っている」ということは、長く継続して取引があるという面では良いことです。

  半面、長くお付き合いをしていることによって、自社が以前とは違う商品・サービスを取り扱って
  いても、顧客の頭の中に昔のイメージが残っており、「あの会社ができる範囲はここまでだ」
  「あの会社が提供できる商品・サービスはこれだけだ」と決め付けられている場合があります。

  顧客は自社が思っているよりも自社について知らないことが多い。

  顧客が自社のできることを知らなければ、顧客の頭の中にイメージされた「自社のできること」
  以上に仕事は膨らまない。

  顧客は、自分の頭の中にあるTPO(Time:時間、Place:場所、Occasion:場合)によって、
  付き合う先を選別しています。

  その結果によって、顧客内における自社のインストアシェアが決まってくるのです。

  要は、今以上に自社を選ぶ理由が、顧客の中にあるかどうかです。

  その理由がなければ、今以上に自社の業績が上がらないのは当たり前です。

  よく「既存顧客の売上げが減ってきた」「新規開拓が進まない」という声を耳にします。

  これは顧客側から見れば、自社を選ぶ理由がないのです。

  選ばれる理由を顧客に与えることが必要になります。

  では、売る側は何をしなければならないか?

  まずは、顧客から選ばれるために必要なことは何かを考えることから始めましょう。

 2.顧客が選ぶ理由をつかむ4ステップ

  (1)顧客が過去、どのような理由で取引先を選んできたのかをつかむ理由を考える際は、
    顧客が今まで付き合ってきた先と自社を必ず比較します。

    要は「過去」と比べるのです。

    顧客が取引先を選ぶ物差しを把握することが第一ボタンです。
 

  (2)ライバルが顧客に提供している利益をつかむ

    顧客が今まで取引している先、自社よりもインストアシェアが高い先は、「どのような
    利益を提供しているのか」について考えていただきたい。

    「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)からず」(『孫子・謀攻篇』)です。

    これをつかまなければ、差別化するためにどのような情報が必要なのかが分からない。

  (3)顧客が自社と取引をしたときの利益を考える

    商品・サービスを売る側が陥るワナは、自社の利益を中心に考えてしまうことです。

    「これをあの顧客に売れば目標達成できる」などと、身勝手なそろばんをはじき過ぎると
    ミスをします。

    顧客が望んでいないもの、買いたくないものを勧めても、利用したい気持ちや買いたい
    気分にはならない。

  (4)顧客の利益を最大化するために必要なことをつかむ

    「顧客の利益とは何か」を考える。

    その次に、「どうすれば自社が顧客の利益を最大化できるのか」を考える。

    この順番を間違うと、顧客に提供すべき情報を間違えてしまいます。

    顧客は、入ってくる情報で判断します。

    それがテレビCMなのか、ウェブ検索なのか、SNSなのか、店頭POPなのか、
    クチコミなのか、調査資料なのか、見積もりなのか。

    情報を届けるツールは、さまざまあります。

    多くの企業から見積もりを取れば取るほど、購入の際の選択肢が増えれば増えるほど、
    選択肢の個々の特徴や利点、利益は顧客の頭に残らない。

    残るのは、往々にして価格だけです。

    顧客の頭の中に価格の情報しか入っていなければ、顧客は価格でしか選びません。

    つまり、顧客は頭の中に入ってくる「情報」により、どこと付き合うのか、何を買う
    のかを決めているのです。

    したがって、「自社が提供する利益 > ライバルが提供している利益」となるよう顧客に
    伝え、納得させることが必要となります。

    自社の提供する価値が、ライバルを上回るために何が必要かを考えることです。

    その際のポイントは、「顧客が聞きたいことは何か」を常に考えることです。

    商品説明や機能説明だけでは、顧客は動かない。利益を感じたときに動く。

    行動する理由が見つかれば、顧客は行動する。

    顧客に理由が伝われば、選ばれるのです。

    それ故、顧客に選ばれる理由は、売り手が用意し、伝えていかなければならない。

 3.見せる商品・売りたい商品・売れる商品で選ぶ理由をつくる

  以前、ある小売チェーンの社長が、「“売れ筋”ばかりを集めても売れない」と言っていました。

  一見、売れないモノは無駄のように思えるが、売れ筋の横に売れない商品(見せる商品)を
  置くと、よく売れるのだそうです。

  顧客の頭の中で比較が行われ、売れ筋商品を購入する理由が明確になるためです。

  売りたい商品を売るときも、この「見せる商品」が必要となるのです。

  売りたい商品のフェイス(買い物客から見える商品陳列)を取るだけでは売れません。

  その横に見せる商品を置き、売りたい商品を顧客が選ぶように仕向けます。

  引き立て役の役割は大きいのです。

 4.あなたの会社のウリ(選ばれる理由)は何か

  自社の「ウリ」は何か?

  ウリとは、自社の強みです。

  自社の強みとは、自社ができることです。

  自社ができることで顧客から選ばれる理由を、自社が顧客に伝えなければならない。

  自社の強みが伝わらなければ、顧客には価格しか見えない。

  自社のウリ(強み)を伝え、顧客の利益を最大化することで、自社が選ばれるのです。

  顧客は安く買いたいのではない。

  自身の利益を最大化したいのです。

  売る側も売上げを上げたいのではありません。

  利益を上げたいのです。

  売上げは、利益を得るための手段です。

  利益を出し、企業の永続性を高めていくためには、顧客から選ばれ続けなければならない。

  顧客にとって「自社の利益を最大化してくれる重要なパートナー」としての位置付けを構築して
  いただきたい。

□ライバルが言えないことを発信

 1.戦略を理解しているか?

  最近、「情報発信を行っているのに売れない」との声を耳にします。

  情報発信の方法を間違えているのか、メッセージの内容に問題があるのかなど、現場では脳に
  汗をかくような苦労をしながら、売るための試行錯誤を行っています。

  ここで、よく考えてほしい。

  メッセージとは、自社を選んでくれる=自社の良さを理解してくれる=自社を必要としている
  企業(個人)に、自社を選んでもらうための理由を発信するものです。

  つまり、発信しているのは自社の強みであり、それがライバルでなく自社を選ぶ理由であるため、
  「売れる」ことにつながるはずです。

  なのに売れないのであれば、発信しているメッセージが間違っていることになるのです。

  その原因は、メッセージが自社の戦略と合致していないことにあります。

  戦略とメッセージに一貫性がない――つまり、戦略をうまく現場に落とし込めていないのです。

  営業社員、マーケティング部門問いたい。

  戦略を理解していますか?

  惰性で行動していないか?

  惰性での行動は「作業」であり、戦略の成果は出てきません。

  考えない行動は無価値です。

 2.今のやり方で顧客から選ばれるのか?

  「全ては顧客から始まる」。

  顧客を見据え、戦略を構築し、自社が勝てる場と勝てる条件(自社が顧客から選ばれる理由)を
  整備し、現場に落とし込みを行う。

  これが正しい方法です。

  しかし、戦略から現場へ落とし込む段階で、一貫性が崩れることは多い。

  自身の行動に再度、目を向けてほしい。

   ①今、行っていることで、顧客から選ばれるのか?

   ②今のやり方、考え方、行動で、利益は出るのか(儲かるのか)?

   ③今のやり方、考え方、行動で、顧客の要望以上のことができるのか(勝てるのか)?

   ④今のやり方、考え方、行動に、信念を持っているのか?

  ①~④のうち一つでも崩れると、戦略は機能しなくなる。

  担当者自身が「こんなことをやっていても、顧客から選ばれないのに…」と思って行動する
  限り、顧客から選ばれないのは当然です。

  顧客ごとに、自社の強み=自社のできること=顧客が望むことを伝えていく必要があります。

  現場こそが、それをメッセージとして伝えていかねばならないのです。

 3.突き刺さるメッセージで差別化を図れ

  「この商品はとても使いやすくなっております」「ご使用になっていただければ、ご理解いた
  だけると思います」などと、通り一遍で独自性のないメッセージは、顧客の頭には刺さらない。

  誰にでも言えることは、自社の強みではありません。

  誰にでも言えることは、顧客が自社を選ぶ理由にならないのです。

  あなたは、「ライバルが言えないこと」を顧客に伝えなければならない。

  もちろん、自社ができることです。

  “空箱”を売ってはいけない。

  それは詐欺であり、犯罪です。

  あるシステムを販売しているA社の社員が、顧客に突き刺さるメッセージを伝えていました。

  そのメッセージとは、「自社のシステムを活用すれば、売上げは1割落ちますが、経費は半分、
  利益は約2倍になります」です。

  もちろん空箱ではなく、自社ができることであり、顧客から高く評価されているシステムです。

  顧客は、真剣なまなざしで耳を傾けていました。

  独自性のあるメッセージで独自のノウハウを伝え、顧客の利益になれば勝てるのです。

 4.信念を持って行動せよ

  顧客から自社を選んでもらうための行動を、信念を持って行っているだろうか。

  何も考えず、「やれ」と言われたからやっているだけの、全く気持ちが入っていない提案シーン
  をよく目にする。

  そうした提案になってしまうのは、戦略の納得性が不足していることと、行動に対する迷い、
  勝てるかどうかの不安に起因します。

  しかし、信念のない行動では、顧客は何を言っても振り向かない。

  ここで、社長に考えていただきたい。

  「信念を持てないのは、理念が事業化できていないからではないか」と。

  これは、理念先行型の社長に多いことです。

  顧客や社会のお役に立ちたいという思いは理解できます。

  しかし、行動や商品・サービスが、売上げと利益につながっているのかを、再度検証していた
  だきたいのです。

  社長の思いが事業化できていないと、社員は不安になる。

  社長の言う通りにやっても売上げや利益に結び付かないから、「やる意味があるのか」と不安に
  なるのです。

  社長は思いを事業にしていかなければならない。

  さらに、付き合うべき顧客や売るべき商品、価格は、社長が決めなければ、社員が勝手に決める
  ことになります。

  付き合うべき顧客を定めなれば、担当者は行きやすい顧客だけを訪問する。

  売るべき商品も分からない。

  また、値決めは経営です。

  その価格で利益を出し、自社の経営や資金繰りにどのように影響するかも考えなければならない
  のです。

  値決めを営業に任せているようでは、勝てる場をつくり出せていない可能性が高い。

  「戦略的である」ということは、「計画的である」ということです。

  営業の活動は有限、時間も有限、お金も有限。

  これらを何に集中させ、いかに効率的に回収するのかを、社長も現場も考えなければならないのです。

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売れる営業マンの基本スキル

モノが売れない時代

■売れない時代の営業
 このモノが売れない時代に、いかにして販売するかがあらためて重要な課題となっています。

 売れないから安くするというのも一つの手法かもしれません。

 しかし、売れないからといって、何でも「今なら○割引きですよ」というセールストーク
 なってしまっては、それは販売の本来あるべき姿ではないような気がします。

 いまこそ原点に立ち返り、営業販売というものを考え直す必要があるのではないでしょうか。

 売れない時代の営業販売について、セールストークを考えていきたい。

□セールストークを考える

 よく、「ステーキを売るな、シズルを売れ」と言われますが、このシズルとは、ステーキを
 焼くときのジュージューという音のことです。

 ステーキを売る場合に重要なのは、肉そのものよりも、ジュージュー焼ける音や肉の焼ける
 美味しそうな匂いです。

 これはウナギや焼き鳥などの場合も同様といえますが、これらは商品の最大のセールス
 ポイントとなり、 お客がそれを買いたくなる理由になります。

 このように、 あらゆる商品にはこのような購入要因となる魅力が隠されているといえます。

 ですから、それぞれの商品の魅力を見つけて、販売に利用することが大切です。

 まず、魅力となる言葉をぶつけることによって、お客様に欲望を喚起します。

 そうすれば、必要な技術的な説明にも楽に入っていけることになります。

 次に、ものを売る場合、常に相手の立場で考えて、商品のプレゼンテーションすることが
 大切です。

 お客様によって、それぞれに魅力を感じるものは異なります。

 そのためには、お客様のニーズの探索をして、それに沿ってプレゼンテーションを展開する
 必要があります。


 セールストークには、さまざまな見込み客を想定して、さまざまなトークを事前に用意して
 おくと同時に、お客のニーズを探索するための言葉を用意しておくことも必要になる
のです。

 そしてその次に重要なことは、できるだけ少ない言葉で、見込み客の直接の好意的な注意を
 引き付けるということです。

 最初の言葉を、キチッと伝えられなかったら、見込み客はその場を立ち去らないまでも、
 気持ちが離れていってしまいます。

 せっかく訪問しても、「ちょっと用事があるので」の一言で終わってしまいます。

 すぐれたプレゼンテーションであるためには、できる限り少ない言葉数で、お客様の注意を
 引き込むことです。

 セールスに役立たない言葉をしゃべることは、せっかくの売り込みをだめにしてしまう危険が
 あります。

 ですから、特に、最初のセールストークは長いものにせず、極力短いものにすることが大切に
 なってきます。


 人は、とかく即断しがちなものです。

 人はだいたい第一印象である程度のイメージを作り上げて、そのセールスの内容や商品に
 
ついての評価を決めてしまいます。

 ですから、最初に発する言葉で、その後に続くセールストークに耳を傾けてもらえるような、
 お客様に興味を起こさせるような言葉を投げかけることができるかが重要なポイントとなります。

 お客様の態度を決定づけるのは、この最初の10秒間にかかっているといえます。

 すぐれたプレゼンテーションは、できるだけ少ない言葉から成り立っているものです。

 たとえ、多くの魅力をもっていても、それをくどくどと話していたら、たいした効果は上げられ
 ません。


 最初の短い時間で、相手の興味や注意を引き付けなければ、その後、お客様は話を聞いてくれ
 ません。

 ですから、見込み客に会ったときは、くどくど説明したり、口ごもったりなどしないで、最初の
 一言ですばらしい第一印象を与えるように努めなければなりません。

 お客は、 最初の10秒間でセールスパーソンやその商品についてのすばやい判断を下している
 ものなのです。


 最初の10秒で好感触がつかめたところでプレゼンテーションに入ります。

 商品説明は充分に練り上げたものでなければなりません。

 商品の利点と長所を数多くピックアップしておいて、相手のニーズを探索しながら、相手の

 購買意欲をそそる最も効果的な言葉を繰り出します。

 相手の質問にもあわてずに丁寧に答えます。

 相手の質問が一段落したら、クロージングの言葉を自然になげかけてみます。

 クロージングでは、「お求めいただけますでしょうか」などと聞くのではなく、「どのような
 方法でお求めいただけますか」というスタイルでクロージングへと導きます。


□効果を上げるための条件

 素晴らしいセールストークを身に付けた後に、さらに、それを伝える声が重要な役割を果たします。

 そのためには、声の調子に幅をもたせる訓練を積む必要があります。

 例えば、本を音読してみるのも一つの方法です。

 そして、耳に手をあてて、自分の声を聞いてみます。

 これは、自分の声の調子を知るのによい訓練法になります。

 機械的で単調な調子にならないように、抑揚を考え、強調点をのがさず、時には低く、
 時には高く、ゆっくりと、あるいは劇的に速くすることによって、話は聞き手に興味深く
 伝わることになります。

 また、 微笑みをふくんだ声で話すことが大切です。

 もし、 微笑み方が悪かったり、 荒々しく見えたり、意気消沈しているように見えたり、
 疲れているように見えたり、高圧的に見えたり、自信過剰に見えたりしたら、見込み客
 対して『気を付けろ』というサインを送っているようなものになってしまいます。
 

 また、人前で赤面してしまったり、あがってしまっては、せっかく練り上げたセールス
 
トークも何の役にも立たなくなります。

 特に、新入社員や実績が上げられないセールスマンは、自信喪失に陥りやすいものです。

 実績さえ上げられればすぐに自信につながるわけですが、そこまでいくのが大変なことです。

 人前で話をする場合には、ゆっくり話すように気を付けることです。

 特に電話でのアプローチでは、早口は禁物で、相手の反応を確かめながら話すことが重要です。

 常にゆっくりでは問題ですが、まず最初は、ゆっくり話すことを心掛けることが大切です。

 慣れてきた段階で緩急をつけた話し方を心掛ければよいのです。

 人が緊張するのは自信がないときなのですが、 その緊張をときほぐすにはどのようにしたら
 よいのでしょうか。

 例えば、緊張が極まりますと、手がふるえ足がふるえてきます。

 これでは、人前で話すこともできません。

 このような時に人の身体はどうなっているのかを考えてみますと空気を吸いすぎていることに
 気がつきます。


 ですから、緊張してきたと感じたら、胸にたまっている空気を抜くことが必要です。

 よく深呼吸をすると緊張がほぐれたりしますが、 これは胸にたまった空気を抜く効果がある
 ためです。


 深呼吸をする場合には空気を抜くことを念頭におかなければなりません。

 もし、空気を吸い込むことに重点を置きますと逆効果になってしまいます。

 人は空気を出し切ったときに、最大の力を発揮できるものです。

 例えば、腕相撲をするときには、空気を吸ってやるよりも空気をはき出してやる方が力が
 出せます。

 しかし、人前では深呼吸もできません。

 そこで、空気を抜く方法なのですが、まず、腹式呼吸を心掛けることです。

 空気をはき出し、さらにお腹を絞り込みます。

 お腹をへこませると、それだけ空気を絞り出すことができます。

 後は、小さな腹式呼吸を心掛ければ大丈夫です。

 また、イメージで緊張をほぐすには、片手に針を持って、その穴に糸を通す場面を想像
 してみてください。

 自然に呼吸が小さくなり緊張がほぐれてくるはずです。

□自信が実績に

 何を販売するにしても、その商品知識を身に付けることが必要で、この商品知識を身に
 付けることが自信につながると同時にセールストークの元にもなります。

 さて、商品知識を身に付けてセールストークを練り上げるまでの作業は、インプット作業
 と言えます。

 当然インプットした知識は、 営業や販売の場面でアウトプットしなければ商売にはなり
 ません。

 そこで、営業や販売の数値に成果として結び付けるためには、このアウトプットの方法が
 重要で、その練習は不可欠なものとなります。

 このアウトプットの練習には、ロールプレイングがよいでしょう。

 営業・渉外・販売の担当者がお互いに、顧客や見込み客の役を演じてもらい、それぞれの
 営業の場面を設定して、疑似交渉を行います。

 このロールプレイングの目的は、本人が練り上げたセールストークや考え上げた殺し文句の
 有効性を検証することにもなります。

 実際の交渉の進捗状況に合わせて、 その交渉の目的と場面を想定してロールプレイングを
 行い、セールストークの内容確認と話の進め方について、チェックを行います。

 もっと相手のメリットをわかりやすく説明する必要があるとか、 具体的な例をあげたほうが
 わかりやすいなど、 本人には気がつかないような問題点が浮かび上がったりする
ものです。

 その問題点を克服すれば、より良い内容にすることができます。

 後は、自分を信じ、相手を信じて、あきらめずに接客・交渉をすることになります。

 なお、相手を信じるというのは、相手の言うことを信じるという意味ではなく、交渉相手は必ず
 購入してくれる、顧客になってくれると信じるという意味です。


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売れる営業マンの基本スキル

ビジネスにおける交渉力

ビジネスにおける交渉力

 ビジネスに於いて交渉力が重要な能力であることはいうまでもありません。
 私たちは交渉についてその重要性を認識していながらも、同時に「交渉とは強引に相手を
 言いくるめて、自分の主張を押し通す」ことと考えてしまいがち。
 しかしながら、交渉とは「物事に白黒決着をつけること」でもなければ「相手を打ち倒す
 こと」でもありません。
 交渉とは、利害の異なる双方が歩み寄って、合意を形成し合いながらビジネスを前に進める
 ことです。

■交渉の目的はWin-Winの関係を築くこと 
 交渉とは、自分の要求を一方的に相手に認めさせることではありません。
 交渉とは、「当時者が主張と譲歩を繰り返しながら、双方が納得できるWin-Winの妥協点
 をみつけること」です。

 例えば、Aさんが30万円の3D対応テレビを25万円に値切って購入した場合、30万円
 という「パイ」の大きさが変わらなければ、Aさんが得をした分だけ家電量販店は損を
 します。
 これを「ゼロサム・ゲーム」といいます。

 しかし、理想的な交渉では、ゼロサム・ゲームを脱し、何かで損をしても別の何かで得を
 するように「パイ」を広げる「プラスサム・ゲーム」に転換することを目指すべきです。
 Aさんの場合は、「3D対応テレビを値引きしてよ。その代わりブルーレイレコーダーも
 セットで買うから」といったように「パイ」を広げて、家電量販店の譲歩を得る方法が
 考えられます。

 ビジネスやプライベートを問わず、交渉はさまざまなシーンで行われています。
 交渉というと、ビジネスにおける販売交渉や価格交渉の印象が強くありますが、プライベート
 においても前述したAさんのように交渉は頻繁に行われています。

 例えば、夕食のおかずにお肉を食べたい夫が健康にうるさい妻に電話をして、「晩の
 おかずをお肉にしてほしい」とお願いすることも、一種の交渉です。 
 交渉に勝つことができれば、ビジネスもプライベートもより充実したものになります。

 特に、ビジネスは社内外を問わず複数の関係者が互いの主張を調整し合いながら進めて
 いくものであり、交渉を避けて通ることはできません。
 交渉がうまくなれば、ビジネスの幅が広がります。

 加えて、ビジネスでは、主張すべきところは主張し、妥協すべきところは妥協しなければ、
 相手と良好な関係を築くことはできません。 
 以降では、ビジネスに不可欠な交渉スキルとして、交渉に勝つために必要な事前準備と
 実践的なテクニックを紹介します。

□交渉の勝利とは、相手からより大きな譲歩を得ること
 1.交渉に勝つために必要な事前準備 
  交渉において一方の主張が全面的に受け入れられることはほとんどなく、当事者は
  主張と譲歩を繰り返して妥協点を探ります。
  こちらが譲歩する代わりに相手にも譲歩を求めることになるため、相手からより大きな
  譲歩を得たほうが交渉の勝者となります。 

  ただし、相手から譲歩を得ることは簡単ではなく、事前準備とテクニックが必要です。
  ここでは、交渉に勝つための事前準備についてみていきましょう。
  交渉の事前準備は、「交渉の目的を明らかにし、自分の主張を固めること」「相手が
  最も重視している事項について仮説を立てること」に大別されます。

  (1)交渉の目的を明らかにし、自分の主張を固めること 
   多くの交渉担当者は、「交渉の目的や自分の主張は、言うまでもなく明確である」
   と思っているでしょう。
   例えば、製品を販売する立場にあるA社担当者の山田さんの頭の中は次のような
   ものです。

    ・A社担当者の山田さんが考える交渉の目的と主張:
     今回の交渉の目的は、相手に製品を販売することである。他社に対する
     同規模の取引では10万円で販売しているので、今回も10万円で提案する。 
   山田さんが交渉に臨んだところ、交渉相手から次のようなオファーが出されました。

   これに対して、山田さんはどのように切り返すことができるでしょうか。
   おそらく、即答することはできないでしょう。
    ・交渉相手のオファー:
     金額は10万円で結構です。その代わり、納期を半分に短縮してください。 
   山田さんが頭の中で整理していたのは、交渉の目的は「販売」、主張は「他社に
   対する同規模の取引事例を基準にして販売金額は10万円」ということだけであり、
   交渉に臨むにはあまりにも準備不足です。 

   少なくとも、次の点について明確にしておく必要があります。
    ・販売金額を含め、納期やアフターサービスなどでどこまで譲歩できるのか
    ・なぜ、他社に対する同規模の取引事例を基準に販売金額を決定したのか 
   特に、相手のオファーをどこまで受け入れるのかを必ず決めておかなければなり
   ません。

   初めから譲歩の限界を落とし所に交渉をするわけではありませんが、「8万円まで
   なら値下げできる」といったように譲歩の限界が明確でないと、交渉相手のオファー
   に応えることができません。 

   また、販売側が他社に対する同規模の取引事例を基準にした条件を主張するのは
   珍しいことではありませんが、購入側にとってはあまり興味のない話です。
   そもそも、全く同じ取引などほとんどありませんし、相手が交渉上手だと、山田さん
   の主張は逆手に取られ、うちは、御社が事例として挙げた取引先よりも多くの数量
   を購入することになるはずなので、値下げをご検討いただけますよねと切り返されて
   しまいます。 

   このように、自分では交渉の材料が準備できているつもりでも、実は交渉の目的が
   曖昧であったり、主張の根拠が弱かったりすることがあります。
   上司や同僚にも意見を求めながら、少なくとも次の点は明らかにして交渉に臨み
   たいものです。

    ・交渉の目的と背景を把握しているか?
    ・最も重視する交渉事項(金額、納期、数量など)は何か?
    ・自分の主張は明確か、またその主張の正当性を証明する根拠はあるか?
    ・自分が譲歩できる限界を決めているか?

  (2)相手が最も重視している事項について仮説を立てること 
   「交渉はテーブルに着く前から始まっている」といいます。
   これは、事前に交渉相手に関する情報を多く入手しているほうが有利になることを
   示しています。 

   先の山田さんは、交渉相手から「金額は10万円で結構です。その代わり、納期を
   半分に短縮してください」とのオファーを受けましたが、ここで初めて「納期を
   半分に短縮できるだろうか?」と考えるようでは、交渉には勝てないかもしれません。 

   交渉前に、山田さんと交渉相手は電話やメールで何度もやり取りをします。
   いきなり交渉相手が、今日でも構わないので、お会いして話がしたいです。
   こちらから訪問しますなどと言ってきた場合、山田さんは交渉相手が急いでいると
   認識すべきでしょう。

   山田さんと交渉相手との取引実績の有無などによって異なりますが、通常、
   「今日にでも会いたい」といった急なアポイントは取りません。
   一般的に、購入する側の立場のほうが強いため、交渉相手は山田さんに自社を訪問
   するよう依頼するのが慣例でしょう。

   こうしたやり取りから、山田さんは次のような仮説を立てることができるでしょう。
    ・交渉相手は急いでいるようだ。もしかすると、とにかく早く商品を仕入れ
     なければならない事情があるのかもしれない。短納期を要求される可能性
     がある。 

   山田さんが事前にこのような仮説を立てていた場合、交渉相手から「金額は10万円
   で結構です。
   その代わり、納期を半分に短縮してください」とのオファーを受けたときに、
   「やはり、急いでいるようだ」と、自分の仮説が正しかったことを確認することが
   できます。

   交渉相手が最も重視している事項は、こちらからみれば相手の弱点です。
   それを受け入れる代わりに別の大きな譲歩を要求することもできます。
   交渉相手の状況が把握できている山田さんは有利な立場になり、交渉相手からの
   オファーに対して次のように切り返すことができます。

    交渉相手:金額は10万円で結構です。その代わり、納期を半分に短縮して
    ください。
    山田さん:分かりました。しかし、その納期を実現するためには工場のラインを
    もう一つ確保する必要があるため、価格は10%増しになります。(もちろん、
    工場のラインを確保できることは既に製造部門に確認済みです。)

   交渉は、その場で主張や譲歩の内容を考えるものではありません。
   入念な事前準備の末、いくつかの交渉シナリオを準備し、状況に応じて自社に
   とって最も有利な方向を目指すことが基本です。

   そこで、相手の状況について次の点を調べることが重要になります。
   特に、複数の会社が競合する商談では、商談相手に関する情報を競合先より
   少しでも多く集めるようにします。

    ・交渉相手の主張が適正(不適正)であることを示す客観的な資料はあるか?
    ・交渉相手が最も望んでいる事項について仮説を立てたか?
    ・交渉相手はどのような人柄か?
    ・交渉相手のキーパーソンは誰か、その人は交渉に出席するのか?
    ・交渉相手の出席者の役職と人数は?

 2.相手の主張は、相手にとって都合がよい内容である 
  交渉のスタイルは人によって異なりますが、ある程度の経験を積んだ人は、交渉が
  双方の譲歩によって成立することを知っています。
  そこで、あらかじめ販売価格などに譲歩する分を上乗せしてくることが珍しく
  ありません。

  例えば、販売会社のY社が、70万円で販売したい製品の価格交渉を100万円から
  スタートするような場合です。
  ここで交渉相手のZ社が「100万円は高いが、80万円なら買う」とオファーして
  くればY社のシナリオ通りです。

  Y社は、「それでは、両社の間をとって90万円で手を打ちましょう」と切り返し、
  交渉を合意に持ち込みます。
  この場合、見た目上は、双方が10万円ずつ譲歩した平等な結果となっていますが、
  実際はY社が20万円(90万円−70万円)の得をしています。

  しかし、Z社はそのことを知らないため、「Y社と10万円ずつ譲歩して購入する
  ことができた」という満足感を得ているかもしれません。 
  この例はY社が悪いわけではありません。
  ビジネスにおける交渉の多くは、このように決着しているものです。

  留意しなければならないのは、交渉相手の主張は相手にとって都合がよい内容であり、
  その主張の真意をきちんと見極めなければならないということです。 
  先の事例ではY社が交渉に勝っていますが、仮にZ社が入念な事前準備を行い、Y社の
  製品の適正価格は70万円であることを把握していたら、他社の製品も調べたが100万円は
  高すぎる。

  60万円にしてくれたら2つ購入してもよいなどと切り返すことができたでしょう。
  あるいは、いきなり高額を提示してくるY社に不信感を持ち、交渉を打ち切ってしまう
  かもしれません。
  あらかじめ譲歩する幅を持つことは交渉の常とう手段ですが、さじ加減を間違えると
  相手からの信頼を損ない、交渉の機会すら失ってしまうことにもなりかねません。

□実践で使える交渉テクニック 
 ここまで紹介したように、交渉に勝つためには入念な事前準備を行って多面的に交渉を
 評価し、多くのカードを持つことが重要です。
 次は、そのカードをどのように切っていくか、つまり駆け引きやテクニックと呼ばれる
 ものを身に付けておくと理想的です。
 以下で、実践で使える交渉テクニックを3つ紹介します。

 1.「良い警官」と「悪い警官」 
  刑事ドラマの取り調べシーンで、高圧的に厳しく尋問する悪い刑事役と、優しく
  接する良い刑事役を目にしたことがあるでしょう。
  「良い警官」と「悪い警官」は、交渉相手にとって好ましくない主張をする「悪い警官」
  と、それをなだめて交渉相手にとって好ましい主張をする「良い警官」がチームに
  なって交渉に臨むテクニックです。
  よくある方法は、上司を「悪い警官」役にすることです。

  そして、「上司はなかなか値下げを認めませんでしたが、私のほうで何とか説得し、
  御社に15%引きで販売できるよう社内調整をしました。上司はこれがぎりぎりで、
  見積もりの有効期間も1カ月だといっています。これ以上の値下げはできません。ぜひ
  ご検討ください」
  といったように交渉します。

 2.譲歩の回数を決め、その幅を小さくしていく 
  交渉に譲歩はつきものですが、交渉相手に言われるたびに譲歩を繰り返していたのでは
  いけません。
  あらかじめ、譲歩できるラインと譲歩の回数を決めておく必要があります。
  例えば、値引きは最大10万円まで、譲歩するのは3回と決めた場合、「1回目は6万円、
  2回目は3万円、3回目は1万円」といったように譲歩の幅を小さくしていきます。
  これにより、交渉相手に「本当にギリギリの金額なんだな」という印象を与えることが
  できます。

 3.時間を上手く使う 
  交渉には時間がかかりますし、期限もあります。
  これをうまく使うことで交渉を有利に進めることができます。
  まず、頻繁に交渉の機会を設けるなど、交渉相手に多くの時間を使わせるようにします。

  人は過去の投資をなかなか捨てることができないため、「このように多くの時間を
  割いて交渉してきたのだから、何とかして成立させたい」と考えがちです。 
  次に、交渉の期限を切って相手に本気で動いてもらいます。

  「夏休みの宿題」と同じで、時間に余裕があると、どうしても物事を先送りにして
  しまいがちです。
  そこで、「交渉期限は今月いっぱいです。それまでに明確なご回答がいただけない
  のであれば、これまで提示した条件はすべて白紙にさせていただきます」といった
  ように、交渉相手に差し迫った気分にさせるのです。

□交渉しなくてもよいケース 
 交渉の勝ち負けが譲歩の大きさで決まることは、これまで紹介してきた通りですが、
 目先の利益だけを考えて相手に交渉を挑むのはよいこととはいえません。
 例えば、交渉相手が自社にとって厳しい条件を提示してきたとしても、「今、その
 条件を受け入れるか否か」だけを考えてはいけません。

 仮に、その条件を受け入れることで、相手との末長い安定した取引が見込めるというので
 あれば、長期的な利益を優先して相手の条件を受け入れるのも悪い話ではありません。
 言い換えれば「損して得取れ」ということです。 

 また、ビジネスはギブ・アンド・テークによって成り立っている面があります。
 過去、自社に対して大きな譲歩をしてくれた取引先が、「今回についてはどうしても
 譲歩することができない。こちらの提案を受け入れてくれないか」
 とお願いしてきたら、今回はこちらが譲歩する番かもしれません。

 これは、その取引先との過去の実績はもちろんですが、それ以上に将来的にわたって
 良好な関係を維持していくために必要な譲歩だといえるからです。 
 交渉はビジネスにおいて不可欠です。
 しかし、あえて交渉を避けたほうがよいケースがあることにも留意しなければなりません。


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売れる営業マンの基本スキル

営業の基本

営業の基本

■営業担当者の気持ち
 1.営業担当者の悩み 
  営業という業務は、長い時間を他人と接しなければならず、また活動の成果が数字
  として現れやすいものです。
  自分自身で向き不向きや好不調を自覚しやすい業務でもあるため、営業担当者の中には
  次のような悩みを持っている人が少なくありません。

  <営業担当者の悩み> 
   私は営業には向きません。昔から気の利くほうではなかったですし。
   かといって、サボっているわけではないんですよ。「提案営業」の重要性は
   随分前から認識していて、書籍を読んだり、セミナーに参加したりして勉強
   しました。
   今の時代、確かに顧客本位の営業スタイルは重要ですよね。 でも、そんな
   ことより、どうしても売り上げが気になるんです。結局のところ、営業は売り続け
   なければならないじゃないですか。営業という仕事を任された以上、「売らなければ
   駄目だ」と自分を鼓舞しているのです。ですから、毎日のように取引先のご機嫌を
   うかがって、取引の増額をお願いしています。
   非効率な面もありますが、飛び込みで新規顧客の開拓も続けています。
   しかし、最近はこうした活動もままなりません。スランプが長く続いていて
   少し落ち込んでいるのです。特に新規顧客への訪問は怖くて仕方ありません。
   相手が不在だと、心のどこかでホッとしてしまうんです。明日は営業会議。
   部長から営業見込みを聞かれるはずです。同僚のO君は既に目標を達成した様子。
   まるで見込みの立っていない私は何と答えればよいのか。

 2.前向きに取り組む 
  「私は営業に向いていません」という人が少なくありません。
  その原因の一つは、営業という仕事がよくも悪くも成果が数字に現れるところに
  あります。

  企業は毎期の販売計画を立案し、営業チームごと、あるいは個々の営業担当者ごとに
  「新規顧客を○○件獲得する」「年間取引額を○○○万円(対前年比○○%増)にする」と
  いった具体的な目標を与えます。

  個々のチームや担当者に目標を与えていない企業もありますが、営業担当者は「企業全体の
  販売計画は自分たちの成果の積み重ねで達成される」ことを知っているため、自分の
  役割を数値目標に置き換えて意識します。
  営業担当者は、常に数字と向き合わなければならない立場にいるのです。

  そして、数字は客観的で分かりやすいものであるからこそ、達成できなかったときの
  ショックは大きく、気分が後ろ向きになってスランプに陥ってしまうのです。 
  けれども考えてみてください。

  プロ野球の一流打者でさえ3割をキープするのは困難です。
  営業担当者が100件飛び込み営業をして30件の成約を得るのは、これよりもはるかに
  難しいといえるでしょう。

  営業は製品やサービスを販売するという相手ありきの仕事である以上、成果にムラが
  あり、時にはスランプに陥るのは仕方がないことです。
  問題は、スランプのときに営業の基本を忘れてしまうことです。 
  いま一度、営業という仕事を考え、基本に立ち返ってみましょう。
  今、やらなければならないことが多くあるでしょう。

□営業担当者に求められる基本的な機能
 1.営業担当者の仕事 
  営業の基本は販売ですが、その成果を高めるためには、
   ・関係者との良好な関係構築など、商品を販売しやすい環境をつくり上げる
   ・つくり上げた環境を生かし、顧客に適切な提案をする
  ことなども不可欠です。

  これらの活動は数字には現れませんが、優れた営業担当者は、その重要性を十分に
  理解し、取り組んでいます。 
  営業は農作業に似た面があります。
  成約(収穫)を迎えるためには、田畑を耕し、種をまいて水をやらなければなりません。

  荒れた田畑の手入れをしなければ実りの秋は訪れないということです。
  このように考えた場合、営業担当者に求められる機能を「商品販売」「関係構築」
  「情報収集」「アラーム」といった4つに分類できます。
  「商品販売」機能の活性化は、営業担当者の最終目標です。

  この機能を十分に発揮するためには、「関係構築」「情報収集」「アラーム」の3つの
  機能が欠かせません。
  また、「関係構築」「情報収集」「アラーム」機能から「商品販売」機能に向かう途中に、
  最後の壁が立ちはだかっていることが分かります。

  最後の壁を突破できなければ「商品販売」機能を十分に発揮することはできないようです。 
  以降では、「商品販売」「関係構築」「情報収集」「アラーム」の各機能について確認
  した後、最後の壁を突破するための考え方を紹介します。

 2.「商品販売」機能 
  「商品販売」機能とは、自社商品を販売することであり、営業担当者の中心となる活動
  です。
  ただし、営業担当者が販売(最終的な営業成果)のことだけを考えていればよいわけでは
  ありません。

  「商品販売」機能を十分に発揮するためには、営業担当者は、以下で紹介する「関係構築」
  機能などにも積極的に取り組まなければなりません。 
  一方、「関係構築」機能などが不十分でも(不十分にみえても)、コンスタントに成果を
  上げる営業担当者がいます。

  こうした営業担当者の多くは、
   ・事前準備が不十分でも、最後の壁を突破する力が強い
   ・本当に重要な場面で、上手に「関係構築」機能などを果たしている
  ものです。

  あるいは、たまたま自社の商品などを求めている顧客をタイミングよく訪問するなど
  強運の持ち主であることもあります。
  いずれにしても、他人がまねをすることは難しいでしょう。 
  営業の基本は、あくまでも「関係構築」「情報収集」「アラーム」の各機能を十分に
  果たすことであり、地道に進めていくことが重要です。

 3.「関係構築」機能 
  「関係構築」機能とは、仕事を進めやすくするために、社内外を問わず、関係各所と
  良好な関係を構築する活動です。
  もし、営業担当者が「営業成果は自分の手柄。だから、社内でも社外でも一匹狼でいい」
  と考えているのなら、今すぐに改めましょう。

  顧客の要求が高度になっている現在、営業担当者だけの力には限界があります。
  少し乱暴な言い方ですが、「利用できる相手は利用する」姿勢が必要で、そのためには
  周囲との関係構築が重要となるのです。 
  営業担当者が「関係構築」機能を発揮すべき主な相手は以下の通りです。

  <社内との関係構築>
   ・上司との関係を良好に保って信頼を獲得します。上司の信頼を得れば自分の
    提案などが承認されやすくなり、営業の幅が広がります。
   ・ほかの営業担当者の好成績をうらやむだけでは前に進みません。
    自分よりも優れている営業担当者と積極的に情報交換を行い、そのノウハウを
    自分のものとしていきましょう。
   ・製造部門、経理部門など他部門との連携を深めましょう。
    営業と製造の連携がスムーズでない場合、次のような失敗が起こりがちです。

    例)営業担当者は受注が欲しいばかりに、通常よりも短い納期を約束します。
      帰社後に製造部門に依頼したところ、「そんなむちゃな納期には対応できない」
    と言われ、結局、顧客に謝罪することになってしまいました。

  <顧客との関係構築>
   ・既存顧客、見込み客を問わず、営業担当者は、顧客にとって常に頼れる味方
    でなければなりません。
    営業担当者は複数の顧客を担当しますが、顧客に「自社は○○さんが担当している
    営業先の一つ」と意識させては失格です。
    あたかも専属の営業担当者であるかのようにふるまい、「○○さんは、いつも
    自社のことを考えてくれる面倒見のよい担当者だ」と思わせることが重要です。
   ・営業担当者の中には、「自分は顧客の窓口担当者と取引している」と考える
    人がいますが、これは大きな間違いです。
    窓口担当者の背後には、上位の意思決定層がいます。その存在を常に意識して
    おきましょう。
   ・窓口担当者の上司と商談できる機会は限られています。
    その貴重な機会をムダにせぬよう、臆せず、自信を持って提案していきましょう。
    営業担当者の自信ある姿は相手に安心感を与え、信頼へとつながっていきます。

  <業界との関係構築>
   ・多くの業界には、いわゆる業界団体があります。
    必要に応じて、業界団体との関係を構築しておくと、業界全般にかかわる
    規制強化・緩和などの情報を入手しやすくなります。
   ・業界団体との関係を構築する上で注意が必要なのは、業界団体は、あくまでも
    業界全体の成長を目的とする公平・公正な立場の組織であるということです。 
    無理に取り入ろうとすれば、かえって不信感を抱かれます。
    まずは、ことあるごとに連絡するなど、自社の存在、自社の取り組み、自分の
    名前を知ってもらうよう心掛けましょう。

  <他社との関係構築>
   ・同じ業界には競合先がいます。
    しかし、競合先だからといって意識しすぎるのは問題です。
    競先の営業担当者もあなたと同じ悩みを抱えているはずです。 
    競合関係である以上、一線を引くことは重要ですが、営業担当者レベルで適度に
    良好な関係を築き、互いに情報交換できる体制を整えておくことは非常に重要
    です。
   ・直接の競合先には当たらないものの、同業界で類似した商品を販売している
    企業があります。
    営業担当者の多くはこうした先を無視しがちです。
    しかし、これは大きな間違いです。
    顧客層が異なる(競合先ではない)分、ざっくばらんに情報交換ができますし、
    信頼関係が強まれば、互いに見込み客を紹介し合う間柄にまで発展することが
    あります。

  <友人・知人との関係構築>
   ・営業担当者の優劣は情報の収集・分析力にあります。
    社内や顧客などから得ら れる情報は、営業担当者には非常に重要です。
    さらに、家族・友人・知人など 営業担当者の私的な人脈から得られる情報も
    あります。
    家族だけでなく、趣味 などで広げた友人・知人の輪を大切に育むことが非常に
    重要です。

 4.「情報収集」機能 
  「情報収集」機能とは、幅広く適切な情報を収集することであり、提案営業を実践
  する上で不可欠な活動です。
  営業担当者が収集すべき情報は多岐にわたります。前述した「関係構築」が果たされ
  ていれば、比較的スムーズに情報収集できるはずです。

  情報収集機能に取り組み始めた当初、集まってくる情報は“点”にすぎないかもしれません。
  しかし、“点”は少しずつ連続して“線”となり、何本も“線”が引かれることで最後は大きな
  “面”となります。
  “面”となった情報は、攻めるか守るかを決める際の羅針盤となります。

  目標は、すべての情報が自分(自社)に集まるような体制を整えることです。 
  そのために、例えば、以下のような情報の収集に取り組みましょう。

  <商品情報の収集>  
   ・同業他社の商品情報も徹底的に収集します。
    一通りの情報は他社のウェブサイトなどから収集可能です。
    また、前述した「他社との関係構築」ができていれば、少なくとも「関係構築」
    機能を果たしていない営業担当者よりも多くの情報が収集できます。
   ・自社商品と他社商品の機能などの違いをまとめた一覧表を作成することは非常に
    重要です。
    ただし、これは多くの営業担当者が実践していることなので、そこで一歩踏み
    込んだ情報を作成するために、自社商品と他社商品を顧客の窓口担当者の上司、
    窓口担当者の立場で整理してみましょう。
    その際の視点は以下の通りです。

  <窓口担当者の上司> 
   窓口担当者の上司(以下「上司」)は、ある程度の権限を持ち、企業全体の利益を
   考えて判断する傾向があります。
   通り一遍のメリットや機能は、既に窓口 担当者(詳細は後述します)からの報告で
   把握しています。 
   上司が興味を示すのは、ライバル企業の動向、商品導入後に自社がライバル企業より
   優位に立てる点です。
   また、「費用対効果」についてもシビアなので、価格に見合ったメリットを提示
   する必要があります。

  <窓口担当者> 
   窓口担当者は、複数の企業の商品を比較し、どの企業の提案が最も上司に報告しやすい
   かを考える傾向があります。
   また、自分と相性が良かったり、自分の意図を正確に理解してくれる営業担当者を
   好みます。 
   窓口担当者が興味を示すのは、各社の商品の機能や価格などを一目で比較できる
   ような資料です。

  <業界情報の収集>
   ・業界団体のウェブサイトや業界紙などを確認し、業界の動向を把握します。
    規制強化・緩和など業界の方向性を左右する重要な情報は、必要に応じて、業界
    団体に直接問い合わせて確認します。
    この確認作業は、業界団体との関係構築 にもつながります。

  <顧客情報の収集>
   ・業界団体のウェブサイトや業界紙などを確認し、顧客に関する基本的な情報を
    継続して収集します。
    例えば、顧客の窓口担当者からの連絡で「先月、当社は新しい顧客管理システム
    を導入したんですよ」などと、事後報告を受けるようでは失格です。
    顧客より先に連絡し、「御社は新しい顧客管理システムを導入されたようですね」と
    先手を打つようでなければなりません。
    これは、電話が先か後かの時間的な違いではありません。
    先手を打って連絡することで、窓口担当者が「この営業担当は自社のことをよく
    理解している。信頼できるな」と感じるようになるのです。
   ・業界団体のウェブサイトや業界紙などからは収集できない情報は、積極的に窓口
    担当者に連絡して確認しましょう。
    窓口担当者と良好な関係を構築できていることが前提ですが、窓口担当者は自分が
    採用した取引先を上手に使いたいと考えており、そのために必要な情報は提供して
    くれるものです。
   ・家族や友人などから貴重な顧客情報を収集できることもあります。
    友人の学生時代の後輩が顧客企業に勤めているなどのケースは意外とあるもの
    です。

  <他社情報の収集>
   ・一通りの情報は、他社のウェブサイトなどから収集可能です。
    より踏み込んだ詳細な情報は、顧客の窓口担当者から収集できることもあります。
    窓口担当者は、自分の立場を維持するためにも、自分が選択した取引先に、一番で
    いてほしいと考えます。
    そのため、同業他社について「先日、○○社さんがこんな提案をしてきたよ」などと
    いった貴重な情報を教えてくれることがあります。
    顧客がこうした情報を教えてくれたときは、素直に感謝しましょう。
   ・顧客の窓口担当者が情報を提供してくれるとはいえ、それに頼りすぎることは
    禁物です。
    窓口担当者は、こちら側の情報収集力を疑い、「実は何も知らないのではないか」
    と考えます。
    一度、そのように思われてしまうと、信頼を回復することは容易ではなく、最後は
    取引を打ち切られるといった最悪のケースもあり得ます。
   ・同じ業界に属している企業は情報の宝庫です。積極的に情報交換しましょう。

 5.「アラーム」機能 
  「アラーム」機能とは、業界、顧客、他社などのちょっとした変化も見逃さず、
  自社のチャンスになる場合も危機になる場合も必ず上司に報告する活動です。
  この「アラーム」機能が果たされなければ、前述した「情報収集」機能は意味が
  ありません。 

  例えば、顧客の窓口担当者が「先日、○○社さんが来て、新しいサービスの提案をして
  きたよ」と貴重な情報を教えてくれたにもかかわらず、何の対策も講じず、上司
  にも報告しない営業担当者がいたとします。
  最悪の場合、この営業担当者は取引先を○○社に奪われてしまいます。

  また、最悪のケースを回避できたとしても、顧客の窓口担当者は「○○社の提案内容を
  教えているのに、今の取引先から何のリアクションもない。もしかすると、○○社の
  サービスのほうが優れているのではないか?」と信頼を失う結果になりかねません。

  こうしたことがないように、営業担当者は業界、顧客、他社などのちょっとした変化も
  見逃してはなりません。
  例えば、次のような変化には注意が必要です。

  <業界の動き> 
   ・顧客が属する業界で新たな規制強化(緩和)が実施された   
    →自社商品が規制強化(緩和)に対応しているかを即座に確認しましょう。
     自社商品は既に対応しているが、他社商品はまだ対応していないのであれば
     大きなビジネスチャンスです。
     逆の場合は危機であり、早急な対応が求められます。 
   ・業界団体が、業界標準のサービス構築を進めている   
    →自社商品が業界標準になるチャンスである半面、同業他社の商品が業界標準
     となれば、多くの顧客を失う危険性があります。

  <顧客の動き> 
   ・顧客からの電話が途絶えている 
    →頻繁に連絡のあった顧客から、プッツリと連絡が途絶えたら危険信号です。    
     こちらから連絡して状況を確認しましょう。 
   ・顧客が同業他社のことについて質問してきた 
    →同業他社を必要以上に気にし 始めたら危険信号です。
     「同業他社から提案がきているのか」「その提案はどのような内容か」を
     素直に質問し、対策を講じましょう。 
   ・顧客が突然、訪問したいと言ってきた  
    →通常は営業担当者が顧客を訪問するものです。
     にもかかわらず、顧客のほうが訪問を申し出てきたら、大きな危機かもしれ
     ません。
     落ち着いて、訪問の理由を聞いてみましょう。 
    ・顧客が値下げ要請をしてきた 
     →値下げ要請は危険信号ですが、大切なのは値下げの金額ではありません。
      顧客が値下げを要請してきた理由です。
      顧客企業内のコスト削減の対象となったのか、他社が自社を下回る価格で
      提案をしてきているのかを確認しなければなりません。
      場合によっては、窓口担当者が“言ってみただけ”ということもあります。
      値下げ要請を受けると、多くの営業担当者は慌てますが、こんなときこそ
      冷静に対応しなければなりません。 
     ・顧客がまともに話を聞いていない 
      →営業担当者としての信頼を失っている危険性があります。
       一から関係を構築し直す必要があるかもしれません。
     ・顧客の窓口担当者が異動になった 
      →状況に応じて、危機的なことにもチャンスにもなりますが、前提として
       認識しなければならないのは、新たな窓口担当者は、自社商品に何の思い
       入れもないということです。 
       そのため、ちゅうちょなく取引先を変更したり、それまでの提案の差し戻し
       を求めることがあります。
      →一方、前任の窓口担当者になかなか採用してもらえなかった商品を、
       仕切り直しで提案するチャンスでもあります。
      →いずれにしても、慎重に一から関係を構築し直さなければなりません。 
     ・顧客の主要な営業エリアで大きな事件や事故があった 
      →顧客への影響が心配です。
       プレスリリースやインターネットから必要最低限の情報を入手しておき
       ましょう。
       ただし、こちらから質問することは控えます。 
     ・顧客の窓口担当者が、訪問前の事前の資料提出を求めている
      →これまで提出してきた提案書などが、窓口担当者のイメージ通りでなかった
       場合は危機です。
       半面、窓口担当者が“本気”で上司に商品導入を進言しようとする際も、
       同様の動きがみられます。
       その場合はチャンスです。 
     ・商談の場に窓口担当者の上司、あるいはさらに上役が出席すると言っている   
      →顧客は営業担当者の提案を本気で検討する姿勢をみせています。
       大きなチャンスであるため、臆することなく、自信を持って提案しましょう。 
     ・門前払いが多かった見込み客が、話を聞きたいと言っている
      →商品の導入をしたいのか、情報収集だけをしたいのかは微妙です。
       ただし、見込み客との関係を深めるチャンスであることに違いはありません。

  <他社の動き> 
   ・他社が新しい商品を開発した
    →新商品に関する情報を収集し、特徴・機能を整理しましょう。
     仮に、自社商品よりも優れているようであれば、その点は素直に認め、顧客
     から質問されれば事実を伝えます。
   ・新たな競合先が誕生した 
    →危機であるかチャンスであるかは分かりません。
     「強力なライバル」になる可能性と「頼れる提携先」になる両方の可能性が
     あるためです。
     「関係構築」機能と「情報収集」機能を発揮し、状況を見守りましょう。 
   ・顧客から他社の悪評を頻繁に耳にする 
    →顧客の言葉は受け流し、悪評の事実関係の確認を急ぎましょう。
     決して、顧客と他社の悪口で盛り上がってはいけません。

□ブラックボックスを解き明かす「Win-Win関係創造」機能
 1.「Win-Win関係創造」機能がブラックボックスを解き明かす 
  営業担当者に求められる機能として、
   ・最終目標:商品販売
   ・事前準備:関係構築、情報収集、アラーム
  を紹介しました。
  営業では「商品販売」機能が注目されがちですが、実際は「関係構築」「情報収集」
  「アラーム」の各機能も欠かせません。

  そして、実は多くの営業担当者は、ここまでのことは頭では理解しています。
  事前準備を周到に行うだけでは営業成果に結びつかないこと、あるいは事前準備を
  疎かにしてはコンスタントに営業成果を上げることができないことを知っているのです。 
  実際、多少のビジネスセンスのある営業担当者は、事前準備として「関係構築」
  「情報収集」「アラーム」の各機能を発揮しています。

  にもかかわらず、なかなか「商品販売」機能に結びつかないのは、事前準備から最終
  目標である販売に向かう途中に立ちはだかる最後の壁を突破することができないから
  です。
  最後の壁は営業のブラックボックスといえ、それを解き明かす鍵となるのが、
  「Win-Win関係創造」機能です。
  「Win-Win関係創造」機能の発揮のイメージは下図の通りです。

 2.「Win-Win関係創造」機能の基本は想像力 
  「Win-Win関係創造」機能は、「関係構築」「情報収集」「アラーム」の各機能に
  よって明らかになった状況を確認し、自社と顧客の双方にメリットがある Win-Winの
  関係をじっくりと想像してみることにあります。
  要はWin-Winの関係が構築できるように、さまざまな仮説を立ててみればよいのです。 

  営業担当者が立てた仮説がそのまま実現することは少ないかもしれません。
  しかし、仮説を立てて検証するという一連の思考を何度も繰り返すことで、
  「Win-Win関係創造」に近づくことができます。
  こうした創造のための想像力(仮説立案とその検証)が研ぎ澄まされてくれば、最後の
  壁を打ち破るための本当の営業力が養われていきます。

  <ケーススタディー> 
   次のような場面に遭遇した際、あなたはどのような仮説を立てますか?
   <前提条件> 
    ・自社   :顧客にシステムの一部を納入している。 
    ・顧客C社  :自社の既存顧客であり、ライバル社とも取引関係にある。 
    ・ライバル社:競合先。顧客C社にシステムの一部を導入している。 
    ・同業他社 :自社とライバル社のいずれとも競合関係にない同業他社。         
           自社の営業担当者は、同業他社の営業担当者と関係を構築している。 

   現在、自社とライバル社は顧客C社にシステムの一部を販売しています。
   自社とライバル社は競合関係にありますが、顧客C社に関しては、一応、営業上
   のすみ分けができており直接的な競合関係にはありませんでした。 
   ところが、顧客C社の業界に直接関係する新法が施行されることになって状況が
   一変します。

   顧客C社は新法に対応した新システムの導入を検討し始めました。
   その一環として複数のシステム業者と取引している現在の体制を見直し、取引先
   を一本化することも検討しています。 
   ライバル社はいち早く新法に対応した新システムを開発し、活発に営業活動を展開
   しています。
   当然ながら、顧客C社にも積極的にアプローチしています。

   <例えば、こんな仮説が立てられるのではないでしょうか?>
    ・顧客C社の業界では、新法への対応が重要な課題となっている。
     近々に業界指針が出るらしく、急いで対応しなければならないようだ。
    ・顧客C社は、新法対応とコストダウンのため、システム業者の一本化を図って
     いるようだが、それに対応できる業者は限られてくる。
    ・そこで、現時点で有力な選択肢の一つとなっているのが、ライバル社の開発
     した新システムなのだろう。
    ・ただし、同業他社からの情報通り、ライバル社の新システムは高価らしい。 
     顧客C社の窓口担当者とは良好な関係を築いていはずなのに、わざわざその
     上司から連絡があり、見積もりが欲しいというのは迷っている証拠だ。
    ・いずれにしても、顧客C社は新法に対応したシステムを一手に引き受けて
     くれるシステム業者を探していることは間違いない。
     しかも事前に資料提出まで要求しているところをみると、商談の場に上位の
     役職者が出席するかもしれない。 

   この仮説が妥当であるか否かは分かりません。
   しかし、このような仮説を立てた営業担当者は、上位の役職者が出席するかもしれない
   商談をチャンスととらえることができます。
   そして、顧客C社のシステムを一手に引き受けるために、新法に対応できるシステム
   を提案するでしょう。

   また、顧客であるC社との交渉では価格が一つのポイントとなることも分かって
   いるため、事前に自分の上司である営業部長に通常よりも低価格で提案をすることの
   承認も得てあります。
   顧客C社からみれば、この提案は求める要求の多くを満たすものであり、十分に
   検討に値するでしょう。 

   最終的に、顧客C社に自社システムを導入できるか否かは分かりません。
   もしかすると、ライバル社が大幅な値下げをしてくる可能性もあります。
   仮に、ライバル社が大幅な値下げをして、自社が顧客C社を失うことになったと
   しても、それは営業担当者の責任ではありません。

   自社のシステムがライバル社より価格競争力に劣っていたための結果であるからです。 
   営業担当者が臆する必要はありません。
   大切なことは、継続して「関係構築」「情報収集」「アラーム」の各機能を発揮して
   営業の事前準備を行い、常に「Win-Win関係創造」機能を発揮するといった、
   正しい営業のプロセスを踏んでいればよいのです。

   これを続けていけば、いずれは最終目的である「商品販売」機能が高まるでしょう。

□スランプの時こそ基本に立ち返る 
 ここでは、営業という仕事を改めて見直すために、営業担当者に求められる機能を、
  ・商品販売
  ・関係構築
  ・情報収集
  ・アラーム
  ・Win-Win関係創造
 の5つに分けて紹介してきました。

 これらは、いってしまえば営業の基本であり、今さらという感もあります。
 しかし、スランプに陥った営業担当者は、得てして営業の基本を忘れてしまいがちです。
 大切なのは、スランプのときこそ、基本に立ち返ってコツコツと営業活動を展開していく
 ことなのです。

 また、「商品販売」機能は、一足飛びに達成できるものではありません。
 田畑を耕すように事前準備を進め、吹き出た芽が枯れないように慎重に収穫までこぎつけ
 なければなりません。 
 営業の仕事は毎日続くものです。

 そして、営業の仕事には高いモチベーションとその維持が求められます。
 このような仕事だからこそ、正しいアプローチを常に継続し、それを自信につなげて
 いきましょう。
 今は数字が上がっていなくても、正しいアプローチを続けてさえいれば、必ず収穫の
 ときが訪れます。

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売れる営業マンの基本スキル

売れる営業パーソンの行動

売れる営業パーソンの行動

■今こそ、実力をつける正念場 
 長引くコロナ禍の中、「こんな時代だから売れない」「商品が悪いから売れない」と、
 売れない理由を、周りの環境や自分以外の物事のせいにしてしまう営業担当者も少なく
 ありません。
 一方、同じ状況下で、以前にも増して売り上げを伸ばしている人や、同じ商品を着実に
 売っている人もいるものです。

 好景気の中では、熱意と根性の営業により数多くのお客さんを訪問することで、営業パーソン
 が、商品・サービスを売ることができました。
 しかし、今は過去のやり方が通用しない時代なのです。
 過去の延長線上で、今までのやり方・考えを続けていても売れば売るほど赤字になり、
 営業マンが御用聞き営業をすればするほどお客様から疎ましがられるだけです。


 今の世の中は、バブル崩壊後の営業現場の状況と同じように映ります。
 バブルの頃は、商品を作ればあまり努力をせずとも売れていき、皆がその状態に慣れて、
 売れるのが“当たり前”だと思われていたものです。
 そのため、バブルがはじけた後は、「昔は良かった」と過去の時代を懐かしむばかりで、
 「今は時代が悪い」あるいは「お客様の財布の紐が堅くなった」と、努力をせぬまま、
 不満をを口にする営業担当者もいました。

 それまでは、周りの環境や状況が良く、たまたま売れていただけで、彼ら自身が、売るための
 「実力」を身につけていなかったのが問題だったのです。 
 これに対して、バブル崩壊後の厳しい状況の中で営業を初めてスタートした人たちは、
 まるでイソップ寓話の“アリとキリギリスガのアリのように、コツコツと努力しました。

 不況が‘当たり前であった彼らは、少々のことではへこたれず、仕事に果敢に取り組み、
 着実にカをつけていったのです。 
 このように考えると、今の時代こそが、自分自身に力をつける正念場であり、むしろ
 自分を鍛えるチャンスであるととらえ、時代に感謝しながら、実力をつけていきたい
 ものです。

 考え方を変えれば、今の時代に通用するだけの実力をつけておけば、今後景気が回復
 した時には、間違いなくその実カを、今以上に発揮することが可能となるでしょう。

□売れている人は、何をしているのか?
 売れている人は、何か特別な手法を用いたり、奇抜なスタイルで売ったりしているように
 思われることもありますが、実際には、ごく普通の営業スタイルです。
 先ほどの“アリとキリギリスガのアリのごとく、地道に当たり前のことを、当たり前に、
 日々弛まぬ努力をしているだけなのです。 

 それでは、売れている営業担当者と、売れていない営業担当者とでは、具体的に、どの
 ようなところが違うのでしょうか?

 <売れている営業担当者と、売れていない営業担当者の違い>
  ◎売れている営業担当者  
   ・入念な準備をしている
   ・計画的かつ戦略的に営業している
   ・常に勉資学び、努力を欠かさない
   ・お客様にファン(招介受注)が多い
   ・アフターフォローに注力している
   ・時間管理、行動管理ができている
         ↓ 
   自分の営業スタイルを確立している

  ◎売れない営業担当者
   ・準備不足で営業している
   ・その日暮らしの営業をしている
   ・勉強不足、努力不足
   ・お客様にファン(紹介受注)が少ない
   ・アフターフォローをしない
   ・時間管理、行動管理ができていない
         ↓
   自分の営業スタイルがセきていない

□入念な準備をしている
 商談がスムーズに進むか否かの8割は、事前の準備で決まります。 
 営業の準備とは、カタログや提案資料、営業ツールなどを整えることだけ ではありません。
 そもそも、営業の原点は、「お客様の視点に立ち、お客様に求められている商品やサービス、
 価値観を提供すること」です。

 お客様のニーズに合わせた提案をするためには、営業する前に、まず、お客様をよく
 知らなくてはならず、そのための準備が必要なのです。
 例えば、企業を対象とした法人営業なら、相手先企業のホームページやカタログなどで、
 企業理念や経営方針、商品構成、重点的に扱っている商品、ターゲットとしている地域や
 顧客層などの情報、最新情報(新着ニュースなど)等をチェックします。

 そして、お客様の状況や興味を持っているポイントなどを把握した上で、自社の商品や
 サービスのうち、何に興味を持っていただけるかをあらかじめ予測して、準備して
 おきます。 
 個人のお客様を対象とした個人営業の場合には、お客様の家族構成や職業、ライフ
 スタイルやこだわりなどから、「このお客様は、どのようなことに興味を持ち、どんな
 ふうに暮らしているか」をイメージして、それに合った提案ができるよう、準備します。

 これまでの顧客の中から、同一地域に住む、同じような家族 構成や職業の方の資料を
 見て、事前に研究してみるのもよいでしょう。 
 法人営業、個人営業ともに、お客様が興味を持っていることが事前にわかる場合には、
 それについて、徹底的に情報収集して準備をしましょう。

 また、こちらの売り込みばかりでなく、お客様の役に立っ情報や資料などもいろいろと
 取り掃えて持参すると、お客様との接点が増え、喜ばれるでしょう。
 こうした入念な事前準備が、お客様との初回面談を成功させ、商談をスムーズに進める
 ポイントなのです。

□計画的かつ戦略的に営業している 
 次に、そのお客様に対して、「どのように商談を進めていくか」という計画を立てます。
 具体的には、“商談のシナリオ”を組み立てるのですが、これは航海のための 海図のような
 ものです。
 船がどのルートで、いつどの地点を通過するか、万一天候が悪い時には、迂回路はどう
 するか。

 そして、最終目的地はどこで、いつ到着するか、などという計画を事前に明確にして
 おかなければ、船ほ安全に進めません。
 商談も同様に、毎回「今回の商談では、○○する。そのためにお客様とは△△の話をする」
 といった目的を持ち、それに向けて着実に歩みを進めるからこそ、契約に至ることが
 できるのです。

 また、あらかじめ予測される障壁(競合商品、反対者、契約しない理由)には、最初から、
 どうそれらを乗り越えるかという、戦略も必要です。
 中には、毎回「競合会社に契約を取られました」というような失注理由をあげる営業
 担当者がいますが、競合対策は営業の常識です。

 競合を打破するための戦略を事前に練り、準備しなくてはならないのです。
 売れている営業担当者は、毎日コツコツ継続的な営業活動や努力を欠かさず、勉強熱心
 です。
 トップセールスの講演会を受講したり、自己啓発やモチベーションアップの研修会、
 あるいは異業種交流会等にも、積極的に参加したりしています。

 本もよく読むなど、常に勉強しており、今以上のレベルに向上するための努力を欠かし
 ません。
 勉強すればするほど、話題が豊富になって、お客様との会話の中にも、自社の商品や
 サービス以外のいろいろな知識や情報を取り入れられますし、何より、こうした経験や
 努力によって、人間的な膨らみが増し、器が大きくなっていきます。

 勉強や努力は、慣れないうちは辛いもので、なかなか成果につながらないものです。
 今は、『○分間勉強法』とか、『たった○時間で、□△がわかるメソッド』などといった
 本などで、短期間で結果を得ようとする僚向があり、すぐに成果が出ないと簡単に
 あきらめてしまう人もいます。

 しかし、コツコツと地道な努力を継続していくと、ある時から、まるで加速度がついた
 ように、成果を得ることができるのです。
 勉強や努力も「継続はカなり」ですから、最初のうちは少々大変でも、習慣化することを
 目指しましょう。

 余談ですが、研修会やセミナーを実施すると、成績の良い人は比較的熱心に受講するもの
 です。
 しかし、本当に研修が必要な、実績が上がらない人の中には、「どうせ研修を受けても、
 簡単にほ売れるようにならない」と、受講前からあきらめムードで、真剣に受講しない
 人もいます。
 これでは、結果的に売れている人との差がますますついてしまうことになってしまうのです。

■お客様にファンが多い(紹介受注が多い)
 売れている営業担当者は、おしなべて紹介受注の比率が高く、中には8割以上が紹介客
 だという凄腕もいます。
 紹介受注は、最も効果的で効率がよい営業方法です。
 営業活動の中では、「新規のお客様を獲得すること」が最も難しく、そのために、広告
 などを活用することもありますが、経費がかなりかかってしまいます。

 また、初めて会ったお客様は、営業担当者に対して「この人大丈夫かしら?」といった
 警戒心を持つため、うちとけて話をしてもらうこともなかなか難しく、商談では「初回面談」
 をいかに成功させるかがポイントとなります。
 お客様に会う前に入念に準備するのも、せっかくのチャンスで出会ったお客様との
 「初回面談」を成功させるためなのです。

 しかし、紹介受注なら、お客様が友人や知人を紹介してくれるのですから、初回から
 安心感を持って話ができます。
 もちろん、広告などの経費もかかりませんから、大変効率がよいものなのです。 
 とは言え、お客様に「誰か、お友達を紹介してください」とお願いしても、そのお客様
 自身が、商品やサービスだけでなく、その営業担当者の対応に満足していなければ、
 紹介してはもらえません。

 紹介受注が欲しければ、まず、目の前のお客様のために、誠心誠意尽くし、お客様の
 気持ちを徹底的に考え抜いて、「こんなに私のために考えてくれるのか」、「ここまでして
 もらえてありがたい」といった、きめ細やかな対応をすること。
 そして、お客様の方から、「こんなにすばらしい営業担当者なら、誰かに紹介してあげたい」
 と言われるほど、営業担当者の熱烈なファンになってもらえるような営業を心がけたい
 ものです。

 営業担当者は、毎月の契約目標を達成するために、「契約を取ること」に必死です。
 1件契約が取れたら、次の契約を取るために、次のお客様へと気持ちが傾いてしまい
 ますが、ここのところで注意が必要です。
 それは、‘‘お客様の気持ちは、契約後にぐっと高まる”ものだからです。
 対する営業担当者の気持ちは、契約獲得後は一気に冷めてしまいます。

 お客様から「契約前はあれほど足しげく通ってきていたのに、契約した途端、パッタリと
 音沙汰がなくなった」という不満やクレームが少なくないのは、契約後のお客様の気持ちと、
 営業担当者の気持ちの大きな差が原因です。
 しかし、売れている営業担当者は、あらかじめお客様の気持ちを考えて、契約後も熱心な
 フォローを欠かしません。

 例えば、「契約はしたけれど、本当に自分はよい買い物をしたのだろうか?」という
 お客様の不安を先に読み取り、契約した翌日に、「ありがとうございました。
 この先も、私がきめ細やかに対応させていただきますので、ご安心ください」と電話を
 します。

 実は、お客様からのキャンセルは、契約や購入の翌日に多いものだが、こうしたたった
 1本のフォロー電話が、キャンセルを防ぐ効果もあるのです。
 売れている営業担当者は、そのあたりのお客様の心の状態を、よく理解しています。

□自分の営業スタイルを確立している 
 営業担当者は、「時間管理行動管理が命」と言っても過言ではありません。
 「忙しい」が口癖で、訪問はいつも遅刻ぎりぎり、納期もスレスレといった状態の営業
 担当者がいますが、時間管理はお客様の信用にもかかわるものです。
 時間管理は自己責任ですから、十分余裕を持って対応できるよう、自分自身の営業活動を
 効率化しなくてはなりません。

 営業担当者の行動管理は、日報、週間行動予定表、月間スケジュールなど、「日」「週」
 「月」の実施をお勧めしています。
 よく、日報をその日が終了してから書き込んでいる人を見かけますが、これでは、記録を
 残すだけの日記です。

 あらかじめ前日に、翌日の行動計画を立てて、朝一番から時間のロスなく動かなくては、
 効率は上がりません。
 出社して、ゆっくりコーヒーを飲み、新聞を広げて、「今日はどこに行こうか?」などと
 考えていては、無計画で、時間の無駄も甚だしいものです。

 また、月末の〆日の前に、契約獲得のためにバタバタ走りまわることがないよう、常に、
 実際の〆日の1週間程度前に、契約の獲得を目標としておけば、業務をすべて前倒し
 することができます。
 このように、自分自身の行動管理次第では、〆日には余裕を持って目標を達成でき、
 お客様へのアプローチにもゆったりとした気持ちで臨めるのです。

 いつも目標や時間に追いかけられるような生活はやめて、ぜひ、自分自身で契約予定や
 時間をコントロール(管理)できるようになりたいものです。
 このように、売れている営業担当者は、事前準備から計画、アフターフォロー、時間・
 行動管理までを含め、自分の営業スタイルを確立しているものです。

 ただやみくもに営業活動を繰り返すだけでは、「今日は売れた」「今日はダメだった」
 というような、その日暮らしのスタイルから脱却できず、進歩がないばかりか、自身に
 とっても“売れないストレス”を抱え込むことになってしまいます。
 自分の営業スタイルを確立するためには、まず、営業の基本的パターンを作り、改善を
 続けていきます。

 「初回面談⇒見極め⇒提案・見積り提示⇒問題点・課題の解決⇒契約⇒アフターフォロー
 ⇒紹介依頼」というように、営業活動の流れに沿って、「どのようなタイミングで」
 「どのような営業をするか」を‘‘仕組み化”しておきましょう。
 営業活動が効率よく効果的にでき、実績もアップして、生産性が上がっていきます。

 また、基本の営業スタイルがあれば、「今回は、こう工夫したら、もっとうまくいった」
 というように、毎日営業をすればするほど、スキルが確実に上達していきます。 
 逆の方法として、売れている営業担当者の営業パターンを分析して、それを社内の営業の
 基本パターンとして「共有化」する方法も、大変有効です。

 このようなしくみを作っておけば、新しく採用した人材も短期間での育成が可能であり、
 社内のマネジメントもスムーズで効果的にできるものです。

□着実な“今’’の行動が、‘‘未来”を切り拓く
 厳しくストレスフルな時代に、無力感を感じ、挫折しそうになってしまうこともある
 でしょう。
 契約が取れず、お客様からの断りが続いたり、失放したりすると「次も売れないのでは
 ないか」と、落ち込むこともあるものです。

 しかし、契約が取れなかったことや失敗は、それ自体、既に“過去’’なのです。
 ‘‘今’’の瞬間に最大限のカを込めて、“今’’を変える努力をすれば、“未来’’は必 ず切り拓いて
 いけるものです。
 これは、営業担当者に限らず、スポーツ選手なども、‘‘今’’の瞬間に最大限に パワーを発揮
 するために、心のトレーニングをしています。

 サッカーの試合を例にあげれば、相手チームに先に得点を取られて心のダメージを受けた
 ままでは、さらに失点してしまいます。
 失点は、既に‘‘過去”なので、即座に、“今”の瞬間に気持ちを集中して、体勢を立て
 直さなくてはなりません。

 雨に弱いチームの場合には、雨が降ってきただけで、「負けるかもしれない」という
 気持ちが心をよぎるものですが、これも、“未来’’に対する杞憂にすぎません。
 このような時、彼らは、「今、今、今……」と、“今’’という言葉を100回唱える、という
 メンタルトレーニングをするのだそうです。

 日頃からこのような事態に備えて、基礎トレーニングを欠かしません。
 優れた選手ほど、基礎トレーニングやメンタル強化を怠らないものです。
 先が見えない不況だからこそ、「当たり前のことを当たり前にする」。
 そして、「自分自身の、輝かしい未来のために、“今’’の瞬間を大切すること」を、
 心がけたいものです。

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売れる営業マンの基本スキル

営業パーソンに必要なスキルⅡ

業パーソンに必要なスキル Ⅱ
 

  □企画提案力
   ここでは、「質」を最大限に生かすための「企画提案力」について解説していく。

   これまで築き上げてきた顧客との人間関係を土台とし、「企画提案」することで
   「質」を高め、顧客満足度を上げて、さらに受注の決定率を向上させるための重要な
   ポイントとなります。

   人間関係を構築しないまま顧客の要望ポイントのみを聞いたり、上司から渡された
   資料で企画・プレゼンテーションを行っている営業パーソンをよく見かける。

   しかし、これでは表面的な課題・ニーズは分かっても、本質的な顧客の課題・ニーズ
   を捉えることは難しいでしょう。

   本質的な顧客の課題・ニーズを捉えるには、やはり顧客から本音を引き出さなければ
   ならない。

   そのためには、前項で説明した人間関係構築力が必要なのです。

   これを踏まえないと、ただの表面上での提案書になってしまう。

   ここでは「企画提案力」について解説していくが、あくまで顧客との人間関係を
   構築した上での企画提案であることを理解していただきたい。

    1.企画書・プレゼン資料作成の留意点

      よく目にする企画書・プレゼン資料の悪い点は、以下の2点である。

       (1)自社で扱う商品・サービスの説明資料になっている

         これでは、会社が作成したパンフレットで十分であり、わざわざ
         企画書として出す意味がない。

         今まで顧客からヒアリングしてきた内容を整理し、何が顧客の課題・ 
         ニーズで、自社で何を提供できるのか、ストーリーを立てて企画書の
         中で表現したい。

         ある優秀な営業パーソンは、企画書・プレゼン資料作成を「顧客に
         ラブレターを書く思いで書きなさい」と言っている。

         それほど重要だと思って企画書・プレゼン資料を書いているだろうか。

         また、さらに良くなるポイントとして、他社との商品・サービスの
         違いや自社の事例を加えるとよいでしょう。

         ともあれ、一工夫が大事である。

       (2)章が多く、冗長的な内容である

         顧客視点からすれば、文章だけの資料は分かりにくい。

         また、文章はダラダラ書かず、ポイントを絞って箇条書きに整理
         します。

         グラフや画像などを添付して、ビジュアル的に訴えることも有効。

         モノクロではインパクトに欠けるため、効果的に色を使って見やすい
         ものにする。

    2.受注への問題点(取引条件、価格など)のクリア
      顧客へ提案する際、今一度確認してもらいたいことがある。

      課題・ニーズを抽出し、提案につなげることも重要だが、その他にもクリア
      すべき要件がある。

      確認するポイントを整理すると、
       ①キーパーソンと会っているか(購入業者を選択する立場の人、
         決定権者)同時に、提案内容をおおむね理解してもらっているか
                どうかも確認する
       ②顧客の予算(値頃感)をクリアしているか
       ③購入時期を把握しているか
       ④取引条件(手形、現金、ファクタリングなど)をクリアできているか

      これら諸条件をクリアした段階で提案を行う。

    3.提案の場では上司との同行営業を実施

      顧客との人間関係が構築できていれば、「次回訪問の際、○○について提案
      いたしますので、上司の方のご同席をお願いします」と依頼をすれば、
      断られることはないでしょう。

      ここで断られるようであれば、人間関係が構築されていないことになる。

      訪問する際、営業パーソンだけでなく、決裁権を持った上司にも同行して
      もらうとよいでしょう。

      上司と同行するメリットは以下の通り。
       ①信用:上司が同席することで、顧客に安心感を与える

       ②実績:幅広い視点(会社視点での実績)での情報提供ができる

       ③交渉:一担当者である営業パーソンには解決できない相談事も、
         上司がいればその場で解決できる

      提案・プレゼンテーションが終わったら、お礼も兼ねて手紙やメールを送付す
      るとさらに印象が良くなる。

    4.適切なタイミングでクロージングをする

      勢いに任せて「先日提案させていただいた件、その後のご検討状況はいかが
      でしょうか」と繰り返し、しつこく連絡を入れるのは、あまり印象が
      良くありません。

      あなたも、何回も連絡を入れられると気分的にどうだろうか。

      相手の立場になり、適切なタイミングでフォローするのがよいでしょう。

      これも人間関係を構築していれば、状況を詳しく教えてもらえる。

      その状況に沿って、フォローしていけばよい。

      また、テストクロージングという手法がある。

      例えば、納期が迫っているのであれば、それを口実にフォローする。

      「ご提案している○○商品は、工期が○カ月と迫っております。ご検討状況は
      いかがでしょうか」と軽くクロージングを行うと、検討を急いでくれる場合
      もあります。

      しかし、これで受注できるとは限らない。

      顧客の課題・ニーズや条件はいくらでも変わる可能性があり、それに応じた
      対応をきちんと繰り返せば、受注への決定率は上がっていくでしょう。

 

  □行動力とスピード対応力

   1.行動力
     行動力は、営業パーソンが“感覚や嗅覚”を身に付けるためにも必要不可欠な
     ものです。

     例えば、よくベテランの営業パーソンが「この会社から受注できる匂いがする」
     「直感だが、ここの会社はいける」などと言う。

     これはベテランの営業が、多く行動することで多くの人と出会い、またさまざま
     な経験をしてきたことによるものだろう。

      (1)ターゲットを明確にする
        行動に移す前に、まず必要なのが、「ターゲットを明確にする」こと。

        しかし、ターゲットである顧客の整理ができていない会社は多い。

        具体的には、以下の2つのパターンがよく見られる。
         ①数多くの会社と取引があるが、誰が担当者なのか不明確
         ②重点顧客の設定基準が不明確(売上高〇〇万円以上など)

        まずは、顧客のメーン担当者は誰なのか、重点顧客の基準は何かを明ら
        かにし、これを踏まえてランク付けをするとよいでしょう。

        また既存顧客だけでなく、新規顧客や過去(睡眠)客にも目を向けなけれ
        ばならない。

        既存顧客だけでは、いくらインストアシェアを高めたとしても、限界がある
        からです。

        顧客創造の第1は、「どこをターゲットにするか」。

        戦略レベルでターゲットを定めるケースが非常に多いが、これは現場レベ
        ルでも十分に可能である。

        現場レベルでのターゲット設定は、過去に培ってきた実績をひっくり
        返してみるとよいでしょう。

        意外と知らないところで実績が上がっていたりするものです。

        そのノウハウを水平展開することが、一番手っ取り早いと考える(ただし
        顧客の許可が必要になる場合もある)。

        これをもとに、業種・業態を絞り込んでいきます。

      (2)行動量の確保

        近年では、がむしゃらに外回りをする営業パーソンが少なくなっている。

        なぜかの理由では、「非効率だから」との回答である。

        しかし、若い営業パーソンほど、行動量のパイを広げてもらいたいし、
        広げる必要がある。

        行動することによって顧客との接点が増え、書物やインターネットから
        では得られない情報や経験を蓄積できる。

        受注するためには何が自分に必要なのか、肌で感じ取ることができる
        からである。

        若手営業パーソンがむしゃらに動くことは、決して非効率ではない。

        やり方次第なのです。

         ①主力商品を小まめに配送していたら、主力商品以外の商品も
           頼まれるようになった
         ②何回も訪問していたら、顧客の担当者が変わり、新規受注に
          つながった
         ③ローラー作戦で飛び込み営業をしていたら、タイミングよく
          注文がもらえた

        つまり、数多く顧客を回ることで、「せっかく来てもらったから、
        ついでに別のものを」といったように、タイミングよく注文を取れる
        ことがあります。

        これは若い営業パーソンでも、十分に可能だ。

   2.スピード対応力

     スピード対応力も、今の時代の営業パーソンにとっては必要不可欠な能力で
     ある。

     営業パーソンに求められるスピード対応力とは、大きく分けると以下の2点。

      (1)言われたことに対し、迅速に動く
        顧客や上司・先輩から言われたことに対して、迅速に動いてほしい。

        よくあるケースは、顧客から見積もりや提案の依頼をもらったのに、
        何も対応していないことである。

        「どのように対応すればよいか分からない」、あるいは「今抱えて
        いる仕事がいっぱいで、これ以上は対応できない」というのであれば、
        すぐさま上司・先輩にアドバイスを仰げば済む話だ。

        それを怠って後回しにしているから、顧客や上司から「どうなって
        いるんだ」とクレームの連絡や叱責の声が飛んでくるのです。

        これでは会社の信用、担当者としての信頼まで失うことになりかねない。

        迅速に対応しないと、当然失注する可能性が上がる。

        業種・業態によってさまざまだが、見積書や提案書の提出が遅れた
        だけで、他社に受注をさらわれることもよくある。

        もちろん、何でもかんでも「早く出せばいい」というわけにはいかない。

        慌てて不完全なものを出してしまえば信用を失う。

        また他社に先んじて見積書を出したところ、それを顧客が他社との価格
        交渉のたたき台に使い、失注した上に価格情報まで他社に漏れてしまう
        など、泣くに泣けないはめに陥ることもある。

        要は、タイミングよく迅速に動くことも大事というわけだ。

      (2)きめ細かく対応する

        単にスピード感を持って対応すればよいという話でもない。

        当然ながら、顧客へ対応するのであれば、適当な回答をするわけには
        いかない。

        外注先、社内スタッフ、上司・先輩などと事実確認をした上で、対応
        しなければならない。

        個人の見解をどれだけ丁寧に説明しても、個人の見解にすぎない。

        これらは当然のことのように思われるだろうが、現場の実態を見ると、
        こうした当たり前のことができていないケースが多い。

        今一度、わが身を振り返って、自社の営業部門の指導の見直しに
        当たってもらいたい。

  ストーリー構築力
   これは、営業活動を「量」から「質」へ転換する上で非常に重要なポイントである。

   「量」を追って、さらに受注の決定率を上げていくには「質」を高めていくしかない。

   「見積書を出しました。あとは承諾待ちです」「カタログを送りました。

   今は引き合い待ちです」と言う営業パーソンも少なくない。

   「量」を追えば、このようなやり方でも100件中1件くらいは受注があるかも
   しれませんが、これでは本来の営業パーソンとしての役割を果たしておらず、ただの
   “ブローカー”にすぎません。

   営業パーソンには、単に商品・サービスを売ることではなく、「お客さまが喜ぶには  
   どうしたらよいか」「こうすれば、お客さまの悩みが解決するだろう」と、事前に
   情報収集を行い、受注に至るストーリーを描くこと(仮説の組み立て)が求められます。

   そして、商談の中でお客さまのニーズを押さえ、受注に至るまでのさまざまな課題を
   クリアし、仮説・検証の繰り返しで受注につなげていきます。

   経験豊富な営業パーソンも、ぜひ「質」を追ってほしい。

   次に、事前準備や商談を次回の提案につなげるプロセスを具体的に述べ、受注
   に至るまでに必要なストーリーの組み立て方の基本ポイントを説明する。

    1.仮説の組み立て

      (1)訪問先のことをよく知る
        訪問時には、ターゲット企業の業界動向や会社概要をよく知る必要が
        ある。

        どの若い営業パーソンもお客様から「うちの会社のこと、ちゃんと
        分かってる?」「あなた、この業界のこと、よく知らないでしょう」
        などと、注意を受けた経験がありませんか。

        そのような状況になると、信用失墜である。

        特に新規訪問先であれば、最初の段階で、すでにお客さまから不審の
        目で見られてしまう。

        訪問先のことを調べるには、以下のポイントを押さえます。

         ①訪問先のホームページを閲覧し、会社概要(売上高・決算期・
           社員数)、沿革、事業概要を確認する

                    ②訪問先が所属する業界団体のホームページや業界誌を見て、
           業界動向を押さえる

         ③東京商工リサーチや帝国データバンクの信用情報を活用し、
            訪問先の具体的な経営状況を押さえる

     (2)自社の強みを把握する

       お客様から、「御社が最も得意とする点は何ですか」「他社と何が違う
       のですか」と質問されるケースがある。

       大体の営業パーソンは「価格はどこにも負けません」「品質は他社に
       絶対負けません」「納期をきちんと順守します」など、抽象的な表現に
       とどまることが多い。

       だが、これらはライバル企業も同じことを言っていると考えてよい
       でしょう。

       営業パーソンでありながら、実は自社のセールスポイントを明確に把握
       している人は少ない。

       当然のことで、自社の強みが漠然としているから、明確に説明できない
       のです。

       自社の強みを具体的に把握するポイントは、

        ①自社のバリューチェーン(営業力、仕入力、商品・サービス力、
          配送力、施工力、アフターサービス力など)を分解し、特長を
          整理する

        ②上記①と同様に、ライバル各社の特長を分析する

        ③自社とライバルの特長を踏まえ、自社がより優れている点を
          強みとし、劣る点を弱みとする

        ①〜③は営業パーソン個人で行うのではなく、他の営業パーソンと共有
        化を図り、組織営業活動に生かすことです。

     (3)仮説を組み立てる

        お客様の状況や業界動向、そして自社の強みを踏まえ、何を提案
        するかの仮説を組み立てておくことが大切です。

        顧客は「何か提案があるのだろう」と考えるからこそ訪問に応じて
        くれるのに、訪問する側の目的が不明確では本末転倒である。

        事前に仮説を組み立て、それをぶつけることで、お客さまとの商談の
        「質」が高まっていく。

    2.商談(プレゼン)技術

      (1)顧客のニーズを探り出す
        商談に入ると、ひたすら自社の会社概要や商品・サービスの説明に
        終始し、「それではご検討願います」という一言で商談を終わらせる
        営業パーソンを見掛ける。

        これで事が足りるなら、お客さまはパンフレットを見るだけでよく、
        時間をとって会う必要はない。

        商品・サービスの内容だけなら、インターネットでも確認することが
        できます。

        重要なのは、「お客さまが望んでいるものは何か」という課題やニーズを
        探り出すことである。

        それを解決するための手段として商品・サービスを提供してこそ、営業
        パーソンの存在価値が発揮できるのです。

        課題・ニーズを探り出すには、さまざまな状況を踏まえた仮説をぶつける
        ことが重要となってくる。

        それをぶつけ、ピントが合っていると感じたら、それに適合した商品・
        サービスを次にぶつければよいのです。

        合わなければ商談の中でをピント合わせる。

      (2)受注するためにヒアリングすべきこと

        商談では、決定権者や予算を必ず聞き出す必要がある。

        これを踏まえないと、いくらニーズが合っていても、こちらの提案が
        ズレる可能性が出てくる。

        決定権者次第で課題・ニーズが変わることもあるし、予算に合わない
        ものを提案しても、予算を理由に断られるだけである。

  □人間関係構築力
   人間関係構築力は、受注決定率を向上させるために重要なポイントである。

   繰り返すが、商品・サービスをお客さまに納めるだけでの『モノ売り』では、営業  
   パーソンは特に必要とされない。

   インターネット上のモールに商品を掲載し、「カートに入れる」ボタンがクリック
   されたら、仕入れ先に発注書をそのまま流せば済む話である。

   受注までのストーリーを描き、仮説・検証を行い、提案する商品・サービスの絞り
   込みを行う。

   ここまでが前項で説明した流れである。

   次に、具体的に商品・サービスを提案するまでに必要なのが、顧客との人間関係
   です。

   いくら自社の商品・サービスが良くても、担当者である営業パーソンが顧客と密着
   できていなければ、他社に注文が流れる可能性が高くなってしまう。

   自社の営業担当者は、「顧客から一番に声がかかる営業パーソン」になることを
   意識しているだろうか。

    1.顧客とのコミュニケーション

      顧客とのコミュニケーション方法としては、人それぞれの性格や特徴に合っ
      たやり方があるはずです。

      「営業は営業トークが大事だ!」と叱咤激励する営業部長もいるが、全ての
      営業パーソンがそれに当てはまるとは限らない。

      実際、口下手でも多くの受注ができる営業パーソンはいる。

      そうした人は、口下手を何でカバーしているかというと、顧客に喜んでもらう
      ため、デザイン性に優れた提案書や顧客にとって有益な情報を作成して説
      明していることが多い。

      顧客からすれば、「わざわざ私のために時間をかけて、素晴らしい提案書を
      つくってくれてありがとう」、「うちの業界をよく知っているね」と感動を
      覚える。

      ただし、コミュニケーションを図るに当たって、押さえなければいけない
      ポイントがある。

       ①顧客の特徴を押さえているか

       ②顧客と商談以外にプライベートな会話ができる仲か

       ③顧客の状況に応じた商談ができているか(空気が読めるか)

       ④一方的なセールストークではなく、顧客の話を聞いている

      よく見かける「悪い営業パーソン」は、終始、自分の主張ばかりで顧客の
      話を全く聞かない。

      これでは顧客の本音を知ることができないし、受注に至るちょっとしたヒント
      すらもつかむことができない。

      コミュニケーションで大事なのは、こちらの話を顧客に聞かせることではなく、
      いかに顧客から本音を聞き出すかである。

      その基盤となる人間関係を構築しないまま、「予算はいくらですか?」「使用 
      時期を教えてください」「同業他社はどこですか?」などと尋ねたところで、顧
      客は答えてくれるはずがない。

      営業パーソンの基本は、あくまでも顧客の話をしっかりと聞くことである。

    2.定期的なフォローを行う
      顧客へ一度訪問し、それに満足して、あとは結果が出るまで待つ営業パーソン
      を多く見受ける。

      このような状況だと、同業他社が先手を打ち、定期的に訪問され、その間に
      話を固められ、自社に失注の連絡が舞い込むはめになる。

      こうした事態を避けるためには、訪問後も定期的にコミュニケーションを取る
      必要がある。

      効果的なのは、訪問後の「サンキューレター」(お礼状)である。

      お礼状を送ることで、こちらの存在を印象付ける。

      当然、もらった方もうれしい。

      その後のフォロー方法は会社によってさまざまであるが、より顧客密着度を
      深めるためには、受注確度や企業規模など、ある一定の基準を設け、優先
      順位を付けて定期的にアプローチを行うことです。

      アプローチをするためには、顧客先への有益情報の提供、新商品の案内や
      他社導入事例など、「連絡をする」ための口実になることを見つけ出すのが
      大切である。

      もちろん、メールでのアプローチも効果的だ。

      せっかく商談の機会をもらったのだから、接点を得た顧客をそのまま眠らせ
      るのはもったいない。

      必ずフォローをして、顧客との接触を増やし、より密着した営業展開を図って
      いくことをお勧めする。

    3.顧客が顧客を呼ぶ善循環をつくる
      顧客が自社に対し、違う会社や別の部署を紹介してくれることはないだろう
      か。

      もしあるなら、それは長い付き合いによる信用の蓄積で、営業パーソンが顧
      客に信頼されている証しなのです。

      このように、顧客が顧客を呼んでくれるような関係を構築するため、今一度、
      顧客との接点の結び方を見直してみてください。

      顧客を紹介してくれる顧客との接点を増やすことにより、何もせずとも顧客が
      さらに広がっていく土壌ができる。

      営業パーソンが受注に至るために最も必要なのは、こうした関係をつくるた
      めの環境づくりです。

      顧客のためを思い、苦心して仕上げた提案がいっこうに前に進まないのは、
      顧客との接点が不足している場合が多いのです。

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売れる営業マンの基本スキル

アプローチ・プレゼン・クロージングにおける応酬話法 


  営業は、第一印象や、熱意、商品説明のうまさで成功、不成功が決まる場合が多いですが、
  すんなり何らかの抵抗もなく買ってくれるケースはごく稀であり、「断り文句」が出て当然
  である。  

  そんな時、この「断りや否定的な文句に対する対応のし方」を応酬話法といいます。

  応酬話法を「ああ言えば、こう言う」といった反論的な話法と誤解しないことです。

  アプローチの段階やクロージングの段階では、何らかの「断り(否定的)文句」が出てき
  ます。

  従って「断り文句に対する反応の仕方」即ち、応酬話法の優劣が決め手となるのです。 

  場当たり的な返答ではなく、状況を想定した話法を準備することで、次につなげることを目
  的とします。

  そして、この営業における問題を解決するのが応酬話法マニュアルです。

  応酬話法マニュアルの作成法

  (1)現状認識を行う。

    ①インタビュー、ロールプレイング、あるいは営業同行を通じ実際の商談の場における
     販売話法を調べお客様の断りの実態を把握する。

    ②販売ツール、商品、サービス等を調べ、そのセリングポイント、長所、短所、ライバ
     ルとの比較を表し書き出してみる。

    ③その表を基に、断りの内容とその根本原因と対策を営業マン全員で議論しあう。

  (2)すべての断わり、反対話法に対して2〜3種類の応酬話法をつくり
     マニュアル化する。

  (3)マニュアルをベースに社内でロールプレイング
    実施し、応酬の訓練を行う。

 

   応酬話法の例

    ①正面撃突法

    お客の断わりに対して真正面から反撃をする

    かなりハードな方法、そうしても大丈夫という細心の注意と見極めが必要。

    場面によってはセールスマンの自信と熱意を示すことになり効果的。

    <例>

     お客:「他社製品の方がもっと安いのではないか」

     営マ:『何をおっしゃいますか、とんでもありません、絶対にそんなことはござい
         ません。』

   ②間接否定方(オウム返し法)

    はじめに、お客の断わり言葉を、一応は「お客様のおっしゃる通りだと思います。」
    と素直に受け入れる。

    そのあとで「しかしですね」と反論する。

    いきなり反論するのと違ってかなりソフトな感じをお客は持ってくれる。

    <例>

     お客:「もうしばらく様子を見てから買うよ」

     営マ:『そうですね。近頃の機械は非常によくできてますからまだまだその気
         になればお使いになれると存じます。でも今の製品を下取りに出して、
         新しい製品をお使いになれば電気も3/4しか食いませんし、第一ほと
         んど故障しません。修理費はかからないし、安全第一、新しいものは、
         とても使い心地がよろしいかと存じます』

   ③くり返し法

    お客の断わり文句をそのまま受け入れ、しかもお客が使った断わり言葉をそのまま
    答え(応酬)に用いて、逆にセールスのきっかけをつくっていく方法である。

    <例>

     お客:「こんな不景気に、いらぬ出費は一銭でもおさえたいのだよ」

     営マ:『いや、お客様、なるほど不景気ですね。だからこそこれをお使いになって
         儲けて頂きたいのです。』

   ④質問法

    お客の反対に対して逆に質問する方法で次の利点がある。

     ・議論がさけられる。

     ・多くしゃべらなくてすむ。

     ・相手の欲求を相手に自認させる。

     ・相手の弱点がわかる。

    つまり「なぜですか」と聞くことにより顧客の反対が本当のものか、見せかけのものか
    を見分けることができる。

    はっきりした反対には、顧客の理性に訴え理論的に説明する。

    <例>

     (営マ)

      「何か証拠でもおありでしょうか」
      「どこの会社のセールスがそのようにいったのですか」
      「本当にお客様がお使いになってみたのでしょうか」

     (お客)

      「いいのは、わかった。しかし先立つものがないのでしばらく見合わせたい」

      『しばらくとおっしゃっても、なかなかご決断
      にならない方が多いのですよ。しばらくとは
      どの位の期間お待ちすればよいのでしょうか』

   ⑤実例話法

    お客の反対を判断して、それによく合う例話や第
    三者の実例を持ち出す方法で、人間の模倣本能
    を利用する。

    <例>

     お客:「こんな高価なマンションなど私みたいな
         若僧に買えるはずがないよ」

     営マ:『いいえお客様、とんでもございません。
         今月の初めに32才のサラリーマンの方
         が、もっと高い部屋をお求めになりました』

     お客:「こんな高価な車、私のような安月給のサラリーマンにはとうてい手が出
         ないよ」

     営マ:『いいえ、最近の若い人は、多少お高くても、いざというとき安全だからと
         皆さん2,000㏄クラスものをお求めですよ。この間は学生さんがこれを
         お求めになられました。もっとも親ごさんがお金をお出しになったのでし
         ょうけれど…』etc。

   ⑥聞き流し法(無視話法)

    お客の口からはたいていの場合、習慣的に「いま忙しいから」「間にあっている」
    「考えておく」等の言葉がでてくるものである。

    このような重要でない口実や単なる言いのがれの反対にはそれを聞き流して、別の話
    をする。

   ⑦資料活用法(カタログ提示話法)

    お客の断わりに対して、カタログ、パンフレット、写真、図表、統計表、証明書、
    VTR、見本、実物などあらゆる補助手段を活用して断わりを突破する方法。

    <例>

     お客:「まだ、古い製品で十分間に合っているよ」

     営マ:『でしたら、この表を見て下さい。今お替えになった方がかえって経費節
         減になると存じます………』    

     営マ:『このカタログをごらん下さい。これは実物とまったく同じですから、お決
         めになる参考にして下さい。』

   ⑧お客自身による解決話法

    お客の断わりを、自分自身の手で解決させるやり方。セールスはその断わりに反論せ
    ず側面から援助してあげる。

    落ちついてお客の断わりに「なるほど」とうなずきながらその文句を子守り唄のよう
    に二、三度繰り返す。

    そしてお客の気持ちを前向きに誘導するよう仕向ける。

    <例>

     お客:「女房がまだ早いといっているので買えないよ」

     営マ:『奥様がまだ早いといっておられる……』

     お客:「家族の反対があるので買えない」

     営マ:『御家族の反対がなければお買いあげて頂けるというわけですね』

   ⑨話題転換法

    同じ人が同じことをするにも少しの間を入れることにより、新鮮な行動や考えが入り
    込み、もつれた糸が一挙に解決することがある。お客がなかなかウンといわないとき、
    話題を変えてしばし商談からはずれる。

    例えば、

     『あの庭の花はなんですか。フリージャの花ですか』

     『最近、飛行機の事故が多いですね』

    など関心ありそうな話題にそらし、商談の手づまり状態を打破するのも一手である。

   ⑩同情話法

    自分も相手の立場と同じ考えなのだということを理解させ共感を覚えさせ、商談をスム
    ーズに運ぶ方法。

    <例>

     お客:「女房がうるさくてね」

     営マ:『そうですか、実は私の妻も、うるさくて何でも反対して困っているんです』

   ⑪駆け引き話法

    買う気はあるが条件づけや値引き強要する客に、では買ってもらわなくてよいとはぐら
    かし、引きとめようという衝動を誘引して一気にクロージングにまでもっていく方法。

    <例>

     お客:「どうも予算不足だな、○○円ぐらいになれば買うこともできるのだけれど」

     営マ:『解りました。これでもかなり勉強しているつもりです。これ以上まけろと
         おっしゃるのでしたら、私の力ではどうしようもありません。残念ですが
         あきらめざるを得ません。』  

    このように「駆け引き」の応酬話法はお客の心の動きを読んで対応するのがミソで
    ある。

   ⑫比較話法

    自社の商品を他社のものと比べて有利な店を強調してお客の断わりを突破する方法。

    セールスマンの販売態度や、商品のセールスポイント、およびその流行度合(人気)、
    値段の点、アフターサービス体制などについて、できる限り我田引水にならないように
    する。

    そして、説得力のある客観的資料を通じて、競争他社製品などと比較して、その中から
    自分の扱っている商品の特徴なり有利な点を強調し、断わりを突破するやり方である。

   場当たりなセールストークからは何も生まれません。

   応酬話法を標準化し、自社独自のマニュアルを作成してください。 

                        組織力強化マニュアルについてはこちら

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売れる営業マンの基本スキル

営業プロセスを考える
 

  ■営業プロセス設定による効率アップ

   1.営業プロセス設定の意義

     組織全体で効率的な営業活動を行うためには、営業のプロセスを標準化する
     ことが効果的です。

     営業プロセスとは、見込み客の発見から代金の回収に至るまでの一連の流れ
     のことを指します。

     一般的な営業プロセスは、図のような流れになっています。

     このように、

      営業プロセスを明確にすることで、営業担当者は「自分が現在何を目的に活
      動しているのか」ということを明確に理解することができます。

     つまり、たんに見込み客のところに行って世間話を繰り返すだけでは第3段階
     から先に進めておらず、営業プロセスは進んでいないということを意識できます。

     そうすると、この営業担当者は上司や先輩に対して、第4段階に進むためには
     何をすればよいかという具体的なアドバイスを求めることもできるのです。

     さらに、

      プロセスごとの適切な話法や営業ツールを開発することができ、
      組社全体の効率化につながります。

     実際、営業担当者がそれぞれ思いのままに営業活動を行っていた組織が、営
     業プロセスを設定することによって、飛躍的に営業活動が改善された例が数
     多くあります。

     営業活動改善の必要性を感じている場合には、営業プロセスの設定を検討す 
     ることをお勧めします。

   2.営業プロセス活用のポイント

     自社、あるいは、営業チームでつくり上げた

      独自の営業プロセスについては、
      つねに改善の余地がないか継続して検討することが必要です。

     たとえば、前記の営業プロセスの例で考えると、良好な人間関係をつくりなが
     ら、上手く顧客ニーズを引き出す手法を開発できれば、第3段階と第4段階を
     ひとつにまとめることが可能です。

     また、前記の例では見込み客と面談するまでには2つの段階があります。

     かりに飛び込み訪問を成功させることができたとすると、1回のアクションで第
     3段階の「良好な人間関係づくり」に挑戦できることになります。

     ただし、実際には飛び込み訪問をしても留守宅が多い、あるいは、門前払いが
     多いといった問題が生じがちです。

     こうしたときに、

      門前払いに遭わないようなツールや話法を発見することができれば、
      営業プロセスを改善できる

     可能性があるわけです。

     さらに、

      プロセス自体の改善を検討することも重要ですが、
      もうひとつ検討すべきことは「いかにプロセスを速く進むか」です。

     つまり、ひとつの段階で何回も無駄な訪問を繰り返さないようにするということ
     です。

     「人間関係づくりが大切だ」といっていつまでも訪問を繰り返していては営業成
     績につながりません。

     効率的な営業のためには、次の段階の「自社商品に対するニーズ発見」に進
     まなければならないのです。

     このように

      営業プロセスを改善したり、速く進めるためには、
      営業マネージャーや優秀な営業担当者の話法を皆で学ぶ、
      効果的なセールスツールを開発する

     という努力が必要になります。

  □営業プロセスに応じた能力開発

   営業担当者が営業成績を伸ばすためには自己の能力開発が欠かせません。

   また、営業マネージャーが自分の担当する組織の営業成績を上げようと思えば、
   部下の育成について真剣に考えなくてはなりません。

   ここでは、営業プロセス別の必要能力とその向上策についてご紹介します。

   1.営業プロセスと必要能力

     営業プロセスを中心とした考え方では、

      営業能力とは営業プロセスを進む能力

     と言い換えることができます。

     営業プロセスの段階ごとに必要な能力が求められますので、指導時や能力開
     発時に留意してください。

   2.営業マネージャーの指導方法

     営業マネージャーが部下を指導するにはいくつかの方法がありますが、その
     代表的な方法を4種類ご紹介します。

     営業プロセスに応じた必要能力をふまえ、その場にあった方法を用いるように
     してください。

     1)指示法

       具体的に行動を明示してやらせる方法です。

       経験が浅く十分に自分で考えることができない新人営業担当者などを指導
       する方法です。

     2)助言法

       指示法とは異なり、質問や簡単なヒントを与え、部下に考えさせることを中
       心としたアドバイス方法です。

       2年目から3年目の営業担当者を指導する際の指導方法です。

     3)説明法

       部下が誤った方向に進んでいるときなどに、頭ごなしにストップさせるので
       はなく、理論的に説明して方向性を変えさせる方法です。

       十分な経験を積んで独り立ちしている営業マンに指導する際に適した方法
       です。

     4)モデル法

       言葉だけでなく実際にやってみせる方法です。

       代表的な方法としては、同行指導があげられます。

       言葉では表現しにくい場合や、部下がどうしてもうまくいかない場合など
       に、実際に上司が見本を示すことによって、理解を深めさせる指導方法です。

   3.営業担当者の能力開発

     営業担当者の多くは営業能力を高めるために自己啓発に取り組んでいます。

     営業担当者へのインタビューによると、

      営業関連の書籍を読む

     という方法が圧倒的に多くなっています。

     実際、営業関連の書籍は数多く出ており、新入社員でも良書を3〜4冊読めば
     営業担当者としての基本的な知識を身につけることができます。

     それ以外にも、

      話し方教室に通う
      パソコンスクールに通う(営業ツール作成のため)

     といったものがあります。

     自己啓発にはこれらの方法以外にもさまざまなものがありますが、目的を明
     確にして取り組むことが効率的な能力向上につながります。

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売れる営業マンの基本スキル

法人向け営業のプロセス強化『クロージング』

■クロージング1

 商談を前に進めたいとき

  「もし導入していただけるとすると、いつからになりますか?」

□いよいよクロージングの段階に

 目標達成に向けて、ラストスパートを掛けていきたいところです。

 これまでプレゼンしてきた相手に改めて働き掛け、成約につなげていきましょう。

 この段階では、「ご提案内容はいかがでしたか?」「ご検討状況を教えていただけますか?」と
 相手に聞くことに
なりますが、すぐにうれしい返事を聞けるとは限りません。

 「まだ検討していない」と言われることも多いでしょう。

 そうしたときに使ってみたいのが、冒頭で紹介した「クロージング」での営業最強フレーズです。

□「まだ検討していない」と言う背景は……

 クロージングの段階で必要なのは、「相手の背中を押す」「最終的な決断を促す」などのように、
 商談を進めるための
一言です。

 相手が「まだ検討していない」と答えるのは、「検討しようと思ってはいたが後回しになっている
 (忘れている)」
という場合が少なくありません。

 これに対して「導入してもらえるならいつか?」という質問をすれば、相手は活用シーンや予算を
 考え、採用することを
具体的にイメージしてくれるようになります。

 「使うとすると(相手の会社の)営業強化月間である○月かな」「上別の予算では難しいので下期に
 なると思う」などのように。


□成約までの手続きを確認してダメ押し

 “仮の話”とはいえ、導入時期を答えてもらうことができたら、そこからさらに背中をもう一押し
 しましょう。

 例えば、今後の実務的な手続きについて、次のように“仮のスケジュール”を確認してみるのです。

 「仮に○月にご活用される場合は、その1カ月前までには発注していただくことになります」「まず
 契約書を交わし、
それに基づいて発注書を出していただくという流れです」

 こうして「それでは、この案件は○月までに決めましょう」というコンセンサスが得られれば、
 相手はその時期を
目指して検討しやすくなります。

□期限を区切るもう1つの意味

 具体的に期限を区切るのは、相手を動かすためだけではありません。

 「A社が難しかった場合は、次にB社に提案を」など、こちら側も戦術を立てやすくなります。

 また、他への販売状況や内部のリソースの状況などによって、提案内容などは変わってきます。

 期限を区切るのは、そうしたリスクを避けるという意味もあるのです。

“家に帰るまでが……”

 クロージングに苦手意識があり、おろそかにする営業担当者は少なくありません。

 “家に帰るまでが遠足”と同じ、“クロージングまでが営業”です。

 最後まで気を抜かず、しっかり果実を収穫するようにしましょう。

■クロージング2

 最後の最後に背中を一押ししたいとき

  「全力で取り組みますので、ぜひ当社にお任せください!」

□最後の最後に背中を一押しするものは?

 商品・サービスのメリット、自社の優位性、これまでの実績、他社導入事例……。

 これらできることを全てやり尽くしたプレゼンの後、最後の最後に相手の背中を一押しするのは
 「熱意」です。

 なぜなら、熱意は相手に「よし、この人になら任せても大丈夫だろう」と思わせることができる
 からです。

 “安心感”を与えられるといってもいいかもしれません。

 そこで、プレゼンの最後や、後日改めて状況確認の連絡をしたときなどに、営業フレーズを使って
 みましょう。

 これは相手を大船に乗った気持ちにさせる、まさに最強のフレーズです。

□相手が最後に見るものは……

 商品・サービスに価値があること、適正な金額であること、メリットが感じられることなどは
 大前提として
重要ですが、最後には、相手は「人」を見るものです。

 営業担当者があまりに自信がなさそうだったり、ネガティブな発言を繰り返したりするようでは、
 相手は不安になります。

 「この人に任せても大丈夫だろうか」と。

 相手は、営業担当者を通して(営業担当者の)会社を見ています。営業担当者に対する不安は、
 「この会社に
任せても大丈夫だろうか」という会社全体への不安につながります。

 自信を持って「全力で取り組むので、当社に任せてもらいたい」と背中を押せるようになりましょう。

□前向きなフレーズを入れれば効果アップ

 「全力で取り組む」というフレーズの前に、もっと貝体的な言葉を入れてもよいでしょう。

 例えば、ヒアリングで出てきたキーワードなどが効果的です。

 「御社が地域で一番の企業になるために」「5年後に御社の新しいビジネスが日本一になるように」
 というように。

 そのときは、大きな視点で捉えたフレーズ、前向きなフレーズ、将来を見据えたフレーズを入れる
 ように心掛けましょう。

 相手に、「この人(会社)となら、一緒に前に進むことができる」と思ってもらうことが大切です。

□“とってつけた感”はNG

 ただし注意したいのは、“とってつけた感”です。

 今まではそれほど一生懸命でもなかったのに、最後になって突然、熱意を見せても相手には響き
 ません。

 逆に不信がられます。

 アプローチの段階から、しっかりと相手のことを調べ、考え、「本当に相手のためになることを
 提案しているんだ」と
誇りを持って営業していなければならないのです。

□クロージングだけのフレーズはない!

 クロージングは、いわば営業の集大成です。

 クロージングのときだけ最強のフレーズを使っても意味はありません。

 これまで、いかに誠実に熱意を持って営業してきたかが問われます。

 「価値ある商品・サービス×相手を思う日ごろからの熱意」こそが成果を上げる秘訣です。

クロージング3

 最終的に断られたとき、付け加えたい一言

  「参考までにお聞かせくだきい。どこが一番ネックになったのでしょうか?」

□凹んでばかりはいられない

 これまで紹介したフレーズを使っても、残念ながらうまくいかない場合もきっとあります。

 検討してもらった結果、最終的に断られると営業担当者としては意気消沈するでしょう。

 断られてしまうのは残念なことですが、そこから学べることもたくさんあります。

 営業担当者なら、「凹んで終わり」ではなく、成果が上がらなかったことを、次の“営業の肥やし”
 にしましょう。

 そういう意味で使えるのが、冒頭で紹介したフレーズです。

 クロージングのときには、こうしたフレーズを使って“次に生かす”ことも考えてみましょう。

□相手が断る理由はさまざま

 断られたことを次に生かすには、「相手が断る理由」がポイントです。

 これを相手に尋ねるのには、2つの意味があります。

 1つ目は、「他の営業先に使える」ことです。

 相手が断る理由はさまざまです。

 「予算が下りなかった」「タイミングが合わなかった」「プレゼン内容が、イマイチ、ニーズに
 応えていなかった」「(相手の)上司の壁を突破できなかった」。

 こうした理由は、他の営業先に当てはまることも少なくありません。

□他の営業先に生かすには

 相手が教えてくれた「断る理由」を踏まえて、他の営業先には、次のような対策を取ると結果が
 変わってくるかもしれません。

 「おおよその予算と、予算取りの時期をあらかじめ確認する」「プレゼンした後も、相手のニーズ
 から外れていないか何度か連絡をして確認する」「相手が社内でどのように話を進めているか、
 途中経過を確認する」など。


□例えば「タイミング」が理由だったら?

 相手に「断る理由」を尋ねるもう一つの意味は、同じ相手に対して、「次回からの営業に使える」
 ことです。

 例えばタイミングが合わなかったからという理由だったら、「今度からは○○様にタイミングよく
 新サービスを案内したいと思っています。

 例えばどのようなタイミングがよろしいですか?」、あるいは「それでは、次回からは次年度の
 予算を決めるタイミングでご案内できればと思います。

 その時期はいつごろですか?」と尋ねてみましょう。

□一度断られてからが本当の営業スタート

 確かに今回は断られたかもしれませんが、少なくとも「相手とやり取りをした」という実績は
 残ります。

 新規の営業であれば特に、相手との関係はまだ始まったばかりなのです。

 「一度断られてからが本当の営業スタート」くらいの気持ちで、少しでも相手の社内の状況を
 つかみ、次に生かしましょう。

クロージング4

 成約できた!そのとき、すかさず尋ねる一言

 「どの点を一番ご評価いただいたのでしょうか?

□成約が取れたその瞬間から……

 「やった!成約できた!」。

 クロージングの場面で相手から、「導入することに決めました」と言われたそのとき、営業担当者
 のテンションは一気に上がります。

 成果を素直に喜び、相手と、支えてくれた周囲の人々に感謝しましょう。

 ただし、浮かれてばかりはいられません。

 相手(相手の会社)との関係は、今まさに、ここがスタート地点。

 しっかり関係を築き、長く取引をしてもらえるようにするのも、営業担当者の大切な役目です。

 そこで、営業がうまくいったときは相手に感謝の気持ちを伝えた後で、すかさず冒頭で紹介した
 フレーズを使ってみましょう。

 そうして成約が取れたその瞬間から、相手のニーズをヒアリングするのです。

□“ラブラブな状態”のチャンスを生かす

 相手も「導入することに決めました」という良い返事をするときは、営業担当者が喜んでくれる
 ので、断る場合に比べ気持ちがいいものです。

 しかも、じっくり考えたり上司に説明したりした直後なので、相手の頭の中には、プレゼンした
 内容が鮮明に残っています。

 営業担当者とも気持ちが近づいている“ラブラブな状態”ともいえるでしょう。

 そうしたときこそ、相手から、「気に入っている点」や、「将来的にはもっとこうしたい」という
 今後のニーズを聞き出すチャンスです。


□“関係強化ツール”になる

 相手が教えてくれた「気に入っている点」「今後のニーズ」は言わずもがな、相手との関係を
 強化するのに役立ちます。

 例えば、今後、相手が気に入っている点に関する情報を、「お耳に入れておきたいことがあります」
 と伝えることができます。

 相手は「この営業担当者は自分を大事にしてくれる」と感じてもらえるでしょう(営業フレーズ
 アプローチ「一つだけ、お耳に入れておきたいことがあります」参照)。


□アップセルにも生かせます

 もちろん、相手の「気に入っている点」「今後のニーズ」はアップセルの提案にもつながります。

 もっというと、アップセルに向けた提案の結果がどうであれ、「継続して提案する」という姿勢
 そのものが大切です。

 「釣った魚にエサはやらない」のでは、相手はいつか離れていってしまいます。

 「導入時にご評価いただいた点をさらに強化するご提案を持ってまいりました」と言えるよう、
 成約が取れた今のうちから種をまいておきましょう。


□どこまでも続く道をつくろう

 営業活動は「売ったら終わり」ではありません。

 売った瞬間がスタート、そこから“道”が始まります。

 どこまでも続く長い道にするのか、すぐに行き止まりになってしまうのか。

 全ては営業担当者であるあなたの“腕次第”と心得ましょう。  


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売れる営業マンの基本スキル

法人向け営業のプロセス強化『プレゼン』

■プレゼン1

 「予算が無い」と断られたときに使える一言

  極端な話ですが、もし、金額が今の半分だったらいかがですか?」

□「予算が無い」で引き下がるべからず

 どんなに相手のニーズをしっかりヒアリングしたつもりでも、プレゼンテーション(以下
 「プレゼン」)をすると、
相手の反応が芳しくないことば少なくありません。

 特に、「今は予算が無いから」という理由断られることが多いかもしれません。

 「予算が無い」と言われると、多くの営業担当者は引き下がってしまいます。

 リアクションできたとしても、「では次回の予算の検討時期に合わせますので、いつか教えて
 ください」と尋ねるに
とどまっているのではないでしょうか。

□「予算が無い」は常とう句?

 多くの営業担当者が引き下がってしまう「予算が無いから」という言葉は、“断るための常とう句”
 だったりします。

 単に相手が「プレゼンを聞いても本当に必要だと感じることができなかった」だけかもしれません。

 そこで、冒頭で紹介した営業フレーズを使って、「本当に『予算が無い』という金額だけの問題
 なのか、それとも
提案内容に問題があるのか」を確認し、相手の不満点がどこにあるかを切り
 分けてみましょう。


□不満点が金額(予算)ではなかったら?

 相手が「う-ん、半分ねえ……。それでも採用は難しいかな」という反応だったら、相手の不満点
 は、おそらく
「金額(予算)」ではありません。

 この場合は、「そうですか。それではプランをもっと○○様のニーズに合うものに見直したいと
 思うので教えてください。

 今回の提案の中で、一番引っかかるのはどこですか?」と尋ねてみましょう。

 こうすれば、相手の不満点を確認しつつ、改めてニーズを具体的にヒアリングすることができます。

□不満点が金額(予算)だったら? 

 相手が「そりゃ半分だったらいいよ。できるの?」という反応だったら、相手の不満点は金額
 (予算)の可能性が高くなります。

 この場合は、「半分というのは難しいですが、金額が問題なのであれば、ご要望の金額にできる
 だけ近いプランに調整
したいと思います。

 どのくらいならご検討いただけますか?」と尋ねてみましょう。

 併せて、「プランを見直す参考にしたいので教えてください。

 今回の提案の中で、これは必要だとお考えなのはどれですか?」と尋ねれば、相手のニーズを掘り
 下げることができます。


□プレゼンは「ギャップを埋める」作業

 プレゼンの目的は、「買いたい」と思う相手の気持ちと、「売りたい」という営業担当者の思いの
 間にあるギャップを
埋めることです。

 ただ商品やサービスのメリットや機能を伝えるだけでなく、相手のリアクションを見ながら不満
 点を明らかにし、それを
除いていくトークが必要です。

■プレゼン2

 相手が「選ぶ」ときに背中を押す一言

  「品質重視ならA案、価格重視ならB案、バランスが取れているのはC案です」

□選択権を相手に委ねる

 人は、何かを営業されると、抵抗を感じることがあります。

 これは、「押し付けられている」ような感覚に陥るからです。

 そこでプレゼンテーション(以下「プレゼン」)では、相手が「押し付けられた」と感じること
 のないように注意して
話を持っていきましょう。

 そのために、プレゼンでは、複数のプランを用意することが大切です。

 いくつかのプランの中から「自分で選ぶ」ことで、相手は、「押し付けられた」という印象を
 あまり持たなくなります。


□用意するプランの種類は多過ぎないように

 複数のプランを用意するときには、種類が多くなり過ぎないように注意しましょう。

 あまり選択肢が多いと、相手は「迷って選べない」「これらのプランを全部理解した上でどれ
 かを選ぶのは手間だ」と感じます。

 壁いっぱいにメニューが貼ってある居酒屋で、「たくさんメニューがあるけど、お勧めはなん
 ですか?」と聞きたくなるのと
同じです。

 ケースバイケースですが、「プランは3つ用意せよ」といいます。

 人は、選択肢が2つでは選ぶのに迷いますが、3つあると真ん中のプランを選びやすいから、と
 いわれています。


□“お勧めポイント”を案内する

 プランを複数用意して相手にプレゼンするときは、より相手が選びやすいようにトークする
 ことが大切です。

 そこで、冒頭で紹介した営業フレーズを使って、それぞれのプランの“お勧めポイント”を案内し、
 相手に貝体的な
イメージを持ってもらいましょう。

 先に挙げた居酒屋の例でいえば、店員が「お腹にたまるものを食べたいならご飯ものの△△、
 ご注文した日本酒に
合うものならおつまみ系の××がお勧めです」と案内してくれるのと同じ
 です。


□事例を加える

 さらに相手の背中を押すために、事例を加えてみましょう。

 「品質重視ならA案です。例えば実際にA案をご採用いただいた他社様では、このような効果が
 あったと聞いています」と
伝えれば、相手は、自社(自分)が採用した後のことをイメージ
 しやすくなります。

 「A案ですと、確かに金額は高いと言われることがありますが、メンテナンスがしっかりして
 いるので費用対効果が
一番高いという評価をいただいています」というように、デメリット→
 メリットの順番で事例を伝えるのも一策です。

 誠実さをアピールしつつ、「相手が感じるかもしれないデメリット」を先回りして解消できる
 でしょう。


□「分かりやすさ」と「選びやすさ」が肝心

 プレゼンは、第一に「分かりやすいかどうか」が肝心です。

 相手が内容を理解しやすく、判断しやすいように、常に「どうすれば選びやすいか」を考えて
 説明することが大切です。

プレゼン3

 競合他社のプレゼン内容を確認したいときの一言

  「□□社のプレゼン内容で一番気に入っているのはどこですか?」

□必ず確認したい競合他社の存在

 法人営業の場合、恐らく相手は複数社から話を聞き、その内容を比較検討するはずです。

 できればヒアリングの段階で「この件について当社の他からも話を聞いていますか?」と確認
 しておきましょう。

 競合他社の存在が確認できたら、プレゼンした後に競合他社のプレゼン内容を聞き出して、
 自社とどこが違うのか確認
しておくことが大切です。

□相手に本気度合いを示すことにも

 相手との関係にもよりますが、ダイレクトに「他社様のプレゼン内容を教えてください」と
 お願いしてみるのも一策です。

 もし、ダイレクトに聞きにくい場合は、冒頭で紹介したフレーズを使いましょう。

 相手が競合他社のプレゼン内容のどこを評価しているかを確認みるのです。

 そのときは、「お話を聞き、当社で足りない点があったら上司に掛け合ってみようと思っています。

 ぜひ御社のお役に立ちたいのです」と一言添えましょう。

 そうすれば、相手に本気度合いを示すことにもなります。

□次の戦術を立てやすくなる

 相手が競合他社のプレゼン内容のどこを評価しているかを確認すれば、次の戦術を組み立て
 やすくなります。

 状況にもよりますが、自社でも実現できることなのであれば、それを盛り込んで再度プレゼン
 させてもらっても
よいでしょう。

 仮に自社では実現できないことであれば、対抗策として、「自社の強みをさらにプッシュする」
 という戦術を取るのが
よいかもしれません。

 そのときは、「自社の強みが相手のニーズに応えられる」ことをしっかり伝えるよう工夫しま
 しょう。

 具体的な実績、他社での導入事例などを伝えるのが効果的です。

□変化球を投げるのも有り

 相手が競合他社のプレゼン内容のどこを評価しているかを確認したら、次の戦術として“変化球を
 投げる”のも有りでしょう。

 例えば、自社と競合他社との「ゼロサム」ではなく、「プラスサム」に視点を変えてみるのです。

 「確かに□□社のそのサービスは、御社にとってメリットがあると思います。

 □□社と当社それぞれから御社にとって必要なサービスを“いいとこどり”して、御社オリジナルの
 一番良いものを
つくってはいかがでしょうか」というようにです。

□営業担当者はチャンスを創るべし

 “いいとこどり”を提案すれば、全ては無理でも一部は成約ができて、売り上げにつながるかも
 しれません。

 また、その話が競合他社の耳に入れば、共同で新企画や営業ルートを創り出すチャンスになる
 かもしれません。

 このように、競合他社のプレゼン内容を確認することは、チャンスを創り出すことにもつながって
 いくのです。

プレゼン4

 相手の心を動かしたいときの一言

  「これが、御社からの宿題の答えです」

□プレゼンの最終目的は何か?

 プレゼンの一番の目的は、「相手を動かすこと」です。

 プレゼンするときは、「相手の心を動かす一言」を添えることを心掛けてみましょう。

 「相手の心を動かす一言」は、相手の考えていることや置かれている立場、状況によって変わって
 きます。

 つまり、相手をよく見て、何を考えているか想像しなければなりません。

 今回は、相手の考えていることについてある例を挙げ、その場合の「相手の心を動かす一言」を
 考えてみましょう。


□営業担当者を困らせる欲張りな相手

 「相手のニーズを聞き、それに応える提案をする」。

 これが営業のセオリーです。

 しかし、相手が「これを実現したいから、そのための提案をしてください」と分かりやすく説明
 してくれるとは限りません。

 「あれもこれも、やりたいことがあり過ぎて絞り込めない」という“欲張りな柑手”のときもある
 でしょう。

 こうした相手に対して、あなたならどのようにプレゼンしますか?

□どうする?「従順タイプ」の場合

 “欲張りな相手”に対して、営業担当者の応え方はだいたい3つのタイプに分かれます。

 まず考えられるのは、「従順タイプ」です。

 このタイプは、セオリー通り、とにかく相手のニーズに応えようと1つ1つの要望に応えるプレゼンを
 します。

 一見、誠実な対応に感じますが、結局まとまりが無く、現実的ではないプレゼンをすることになり
 かねません。


□どうする?「質問攻めタイプ」の場合

 2つ目は、「質問攻めタイプ」です。

 このタイプは、相手の欲張りなニーズをなんとか絞り込もうと、たくさん質問をします。

 「一番優先したいのは何ですか?」「上司の方は、どれを重視されていますか?」などなど。

 従順タイプと同じように、一見誠実な対応に見えますが、実はそうでもありません。

 忙しい相手から見れば、時間が取られてかえって迷惑に感じることもあります。

□まねしたいのは「答えを出すタイプ」

 営業担当者が実践したいのは3つ目の「答えを出すタイプ」です。

 “欲張りな相手”の話から「相手が実現すべきこと」を導き出し、必要な内容に絞ってプレゼン
 します。

 「お話の内容と、御社や御社の競合他社の現状から今必要と考えられるプラン△△をお持ち
 しました」と伝えた上で、
冒頭のフレーズを添えてみましょう。

 “欲張りな相手”は、自分では取捨選択できなくなっています。

 そうした相手の心を動かすのは、明確な答えを示す一言です。

 営業担当者は、相手の言うことにただ応えればいいのではありません。

 相手が見えていなかった「相手自身の中にあるはずの答え」を発見して示すのも、営業担当者の
 重要な役割の1つです。


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売れる営業マンの基本スキル

法人向け営業のプロセス強化『ヒアリング』

■ヒアリング

 ヒアリング1

 初回訪問でヒアリングするときの一言

  「同業他社からは、最近、○○という課題を聞きますが、御社はいかがですか?」

□相手の本音は、最初からは分からない

 新年のスタートとともに、新たな目標達成に向けた営業活動が本格化します。

 前回の『アプローチ』(この項の下段)の次のステップとして、アプローチについて解説します。

 これまでの“種まき”によって、新年早々に訪問できる先も少なくは無いでしょう。

 ただし、初回訪問の段階から欲張ってはいけません。

 相手が初めての営業を受ける目的は、大別すると次の4つになります。

  1.本当にサービスを検討しているため

  2.情報を収集しておきたいため

  3.つながりだけを持っておくため

  4.時間漬し

 相手の目的が1.であれば、アプローチの段階である程度提案の道筋が見えているため、問題
 ありません。

 しかし、こうしたケースは多くありません。

 営業担当としては、上の2.~4.を目的としている相手と信頼関係を築く必要があり、ここが
 腕の見せ所になります。


□「相談される人」を目指す

 初回訪問の段階では、相手にとってのあなたは、「飛び込み営業に来たうちの1人」にすぎません。

 そこから、「何かあったときに相談したい特別な人」にレベルアップすることで、ニーズが顕在化
 したときに、「あの営業担当者に頼んでみよう!」ということになります。

 そうした関係構築に効果的なのが、今回の営業フレーズです。

  「同業他社から最近こういう課題を聞いた」など、さまざまな情報を提供することで、相手に
  「この営業担当者は業界全体や同業他社の動向に明るい『事情通』だ。
つながっておく価値がある!」

 と認識してもらうのです。

□「もしかしたら感」を感じてもらう

 今回の営業フレーズには、「相手にヒントを与える」という意味もあります。

 最初のうちは、相手はそもそも自身のニーズに気付いていないことがほとんどです。

 同業他社の事例がヒントとなって、「もしかしたら、うちも何かしたほうがよいのでは?」と感じて
 もらえれば、そこからニーズが顕在化していくことも珍しくありません。

 相手がヒントと感じやすいテーマは、「売り上げ増、利益増」「リスク回避」「コスト削減、効率化」
 「競合他社との差異化・同質化」などとなるので、事例として話せるように準備をしておきましょう。


□雑談も忘れずに

 ヒアリングで他社の事例を出すときは、「この事例が御社の今後の参考になります。
 
なぜなら……」という理由もきちんと説明しましょう。

 ただし、こうした話をしたところで、相手がすぐにあなたのことを信頼してくれるわけではありません。

 初回訪問は入り口です。

 「営業、営業!」とがっつかず、雑談なども交えて和やかな雰囲気をつくり、腰を据えて相手との
 関係を構築することを心掛けましょう。


 ヒアリング2

 相手のニーズをうまく聞き出したいときの一言

  「○○について、理想的なのはどのようなものですか?」

□営業担当は「質問」が苦手

 営業は相手と対話をしながら進めていくものです。

 相手に質問したり、逆に相手からの質問に答えたり、提案内容を説明したり‥‥‥。

 営業経験が長いにもかかわらず、会話に苦手意識を持つ人は番外と少なくありません。

 特に、「相手にうまく質問できない」と悩む人は多いのではないでしょうか。

 試しに、営業セミナーや社内研修で、相手に質問してニーズを明らかにするロールプレイングを
 やってみてください。

 自分が、いかに相手からニーズをヒアリングできないかが分かるでしょう。

□「決めつけ」という落とし穴

 ニーズをヒアリングするとき、相手にいきなり「ニーズはなんですか?」と聞いても、なかなか
 答えてもらえません。

 そこで、営業フレーズ集ヒアリング1で紹介したように、「同業他社からは、最近、○○という
 課題を聞きますが、御社はいかがですか?」などのように質問していきますが、ここに「決めつけ」
 という落とし穴があるので要注意です。

 ニーズヒアリングのとき、話の入り口として同業他社の事例を出したり、ニーズを想像して
 おいてから質問するのはとても有効です。

 けれど、それだけでは相手のニーズをきちんと聞き出せないときもあります。

□「旅行」に望むものは……

 例えば「旅行プランを提案する」で考えてみましょう。

  「50代の方には、最近アジアが人気なのですがいかがですか?」「この間開催した欧州ツアーが
  大変好評でした。欧州はどうですか?」

 こんなことばかり聞いていては、そのうち相手から「どれも興味無いからいいや」と言われかねません。

 一見、質問しているようでいて、実は相手のニーズを「決めつけ」て、それに対して「Yesか、Noか」
 を聞いているだけだからです。

 そこで、冒頭で紹介した営業フレーズの出番です。

 「旅行するとしたら、理想的なのはどのような旅行ですか?」

 相手が「のんびりした感じかな」と答えたら、「もう少し具体的に言うとどうですか?」と重ねて
 質問します。

 こうしていけば、相手の考えをきちんと掘り下げられるのです。

□「質問」するのは怖い?

 なぜ、「決めつけ」て聞いてしまうのか?

 それは、質問するのが怖いからです。

 相手が答えにくいのではないか。

 答えてもらえなかったらどうしよう。

 そんな思いが怖さにつながります。

 質問は営業の基本です。

 相手の考えを聞かなければ、営業は前に進めません。

 ヒアリング1と2のフレーズを上手に組み合わせて、しっかり相手に話してもらいましょう。

 
ヒアリング3

 予算を聞き出したいときに使える一言

  「これ以上は検討も難しい、という金額はどのくらいですか?」

□「予算」のことを聞きたいけれど……

 あなたは、これまで次のような経験をしたことはありませんか?

 訪問先から戻って会談内容を上司に報告。

 すると、上司から「で、先方の予算は?」と質問されました。

 相手に予算を確認していなかったので冷や汗をかきながら上司に「確認していません」と答えました。

 上司からは「なんで予算を確認してこないんだ!それが一番肝心だろう!」と叱られるも、
 「そうは言ってもお金のことは聞きづらいんだよな、どうすればいいんだろう」と思ってしまう…。

 営業活動で、予算などお金の話はとても大切です。

 購入の決定打になることもあるので、一番肝心と言ってもいいでしょう。

 「お金の話ができるようになって初めて営業担当者として一人前」と言う人もいるくらいです。

 にもかかわらず、お金の話をしっかりとヒアリングできない営業担当者は少なくありません。

 「聞いてもはっきり答えてくれないのではないか」と思って二の足を踏んだりするからです。

□はっきり答えてくれない相手には……

 「できるだけ確度の高い金額を提示して成約に結び付けたい。だから予算が知りたい」と考える
 のが営業担当者です。

 それに対して相手は、「具体的に予算が決まっているわけじゃない。

 まず、どの程度なのか、出された金額を見てから考えたい」と思うもの。

 だから、はっきりと答えてくれなかったりするのです。

 そんなとき、ぜひ試したいのが冒頭で紹介した営業フレーズです。

 この質問には大きく2つの意味があります。

 1つ目は、相手の予算感を確認するためです。

 多くの場合、相手は、「これ以上いったら無理」という金額よりも少し下を答えるものです。

 そのため、相手の答えで、ある程度予算感がつかめます。

□どうやったら相手は答えやすいのか

 2つ目は、相手が答えやすくするためです。

 商談の初めの段階では、予算は決まっておらず、相手も答えようがありません。

 そこで「これ以上は」という“絞り込む”言葉を添えてみるのです。

 「この間購入したと言っていた新車の値段より下ですか?」など相手と自分との間で共通認識の
 ある金額を例にしてもよいでしょう。


□次の質問にもつなげやすくなる

 相手の答え次第で、次の質問もしやすくなります。

 例えば「1000万円くらい」と相手が答えたら、その金額はどこから出てきたのかを聞きましょう。

 同業他社から同じような提案を受けていて、その金額かもしれません。

 繰り返しになりますが、お金のことは、営業担当者にとって最重要事項の1つです。

 相手が「答えやすいように」という点を考慮して質問を工夫してみましょう。

 
ヒアリング4

 意思決定者を聞き出したいときに使える一言

  「それはどなたのご発案なのですか?」

□意思決定者を見つけるには……

 具体的な提案内容を練るに当たって、予算やスケジュールなど必ず確認しておかなければならない
 ことがいくつかあります。

 そして、意思決定者もその1つです。

 とはいえ、「意思決定者」を見つけるのは簡単ではありません。

 あなたが話をしている相手は、ほとんどの場合、意思決定者ではないでしょう。

 しかし、単刀直入に、「あなたには決定権がありますか?」「意思決定者の方に会わせていただけ
 ませんか?」と尋ねるのは、いくらなんでも相手に失礼です。

 意思決定者を見つけるためには、尋ね方に工夫が必要です。

□「誰が」という相手の答えから想像する

 例えば、

  「この機能の付いた新しいツールが欲しい」「新企画を立ち上げようとしているのでアイデアを
  探している」

 など相手の要望や課題が明らかになったとき、冒頭で紹介した営業フレーズを使ってみましょう。

 「それはなかなか面白いお考えですね。

 どなたのご発案なのですか?」と言葉を増やしてもよいかもしれません。

 話の流れがとても自然です。

 相手が「社長です」「部長です」と明らかに立場の上の人を答えたとすると、その人こそが意思
 決定者だろうと想像できます。

 また、相手が「私です」と答えたとすると、この件はまだ「相手が頭の中で考えているだけ」なの
 かもしれません。

 その場合、「今後、上司の方と方針を詰めていくことになりますか?」と尋ねてみましょう。

 今後の進め方をヒアリングしながら、意思決定者の存在を探るのです。

□なぜ意思決定者を見つけるの?

 意思決定者を見つけるのは、購買決定要因をつかむためです。

 意思決定者は、いったいどこを重視して購入を決定するのか。

 それを踏まえて提案すれば、成約に一歩も二歩も近づきます。

 だから、意思決定者を早く“つかまえる”ことが大切なのです。

 そこで、もし、話している相手に意思決定者のことを尋ねるのが難しければ、次のようなフレーズ
 を使ってみましょう。

  「この件を上司の方に伝えるとき、どこを重点的に説明なさいますか?」

 意思決定者を見つけられずとも、購買決定要因につながるヒントがもらえるに違いありません。

“妻”の要望を早く見つけましょう

 「意思決定者と購買決定要因を見つける」というと、難しく聞こえるかもしれませんが、そんな
 ことはありません。

 夫婦に車を勧めるのと同じです。

 車好きの夫に詳しく説明しつつ、妻の要望も聞いて応える。

 これは、財布を握っているのは往々にして妻だからです。

 日ごろの営業活動でも、早く“妻=意思決定者”とその購買決定要因を見つけて、確度の高い提案に
 つなげていきましょう。


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売れる営業マンの基本スキル

法人向け営業のプロセス強化『アプローチ』

法人向け営業のプロセス強化
 

  ■法人営業のプロセス強化

   組織全体で効率的な営業活動を行うためには、営業のプロセスを標準化することが
   効果的です。

   営業プロセスとは、見込み客の発見から代金の回収に至るまでの一連の流れのことを
   指します。

   一般的な営業プロセスは、図のような流れになっています。

   まだまだ多くの営業パーソンが勘と経験、我流に頼った営業活動に終始しています。

   『アプローチ』から『クロージング』までのプロセスで、基本(標準化されたフレー
   ズ)に忠実な活動にしていきましょう。

  □アプローチ
    アプローチ1
     ◎アポイントをとりたいときの一言
       「御社と同じ○○業の企業様での最近のご活用事例をお持ちします」

       (1)用件は堂々と
         新規開拓の営業では、まず、「会ってもらう」ことが第一の壁に
         なります。

         何件電話をかけてもアポイントが取れずに悩む営業担当者は少なく
         ないでしょう。

         相手に「時間が無いから」と断られることを警戒して、「ご挨拶だけ
         なので」「名刺交換だけでも」「ほんの5分程度ですから」など、
         つい、「お願いトーク」をしたくなるものです。

         しかし、こうしたお願いトークは、相手に不信な印象を与えてしまい、
         かえって逆効果になることもあります。

         アポイントを取るときは、お願いトークではなく、「なぜお会い
         したいのか」という用件を堂々と伝えるほうが好印象を持って
         もらえます。

         このとき、「相手にとって役に立つ情報がある」という、「会うことの
         メリット」を伝えるようにすることがポイントです。

       (2)いかにメリットを伝えられるか?

         法人営業の場合、相手が「会って役に立つかもしれない」と感じる
         情報は、相手の同業他社や顧客に関連するものです。

         そこで、冒頭のような言い方で会うことのメリットを伝えましょう。

         「御社のお客様の○○業界での〜」という言い方に置き換えることも
         できる。

         「最近の」というフレーズを挟むことで、相手に「自分の知らない
         新しい情報が入手できるかもしれない」という期待感を持ってもらう
         ことができるかもしれません。

       (3)釣り糸を垂らすのは……

         会うことのメリットを伝えるトークを展開するときには、提案する
         商品・サービスを活用すると想定される部門、もしくは担当者に
         たどり着いておくことが大切です。

         魚のいない釣り堀に、いくら釣り糸を垂らしても魚を釣ることは
         できない。

         魚のいる釣り堀を探して釣り糸を垂らすから魚が釣れるのです。

         そこで、初回の電話のときには、これまでの営業経験や上司・先輩
         社員の事例などを参考に関連部門のあたりをつけ、「△△部門の方
         をお願いします」と伝えて担当者につないでもらうようにしましょう。

       (4)異動があったら後任の担当者を

         一度担当者にたどり着けば、今回はアポイントが取れなかったとしても、
         次回からは直接担当者に連絡できるようになります。

         担当者が異動した場合でも、「後任の方をお願いします」と伝えれば、
         新しい担当者にたどり着くことができるでしょう。

         新しい担当者には、「前任の□□様には何度かお話しさせていただき
         大変お世話になりました。

         ご後任の●●様にも一度ご挨拶をさせていただきたいと思いご連絡
         しました」と具体的な名前を出せば、相手との距離感が少し締まり
         ます。

         不信感を与えることなくアポイントを取ることができるでしょう。

    アプローチ2
     ◎なかなか会ってもらえないときの一言
      「御社と同地域の他社で○○という効果があった事例です。全くご興味
      ありませんか?」

       (1)メリットをより分かりやすく

         新規開拓の営業では、いきなり連絡をしてもアポイントを取るのは
         難しいのではないでしょうか。

         初めのうちは、相手がこちら側の商品・サービスにほとんど興味を
         持っていないからです。

         そこで「営業フレーズ集:アプローチ1」で挙げた「御社と同じ
         ○○業の企業様での最近のご活用事例をお持ちします」というフレーズを
         使って、会うメリットを伝えるわけですが、それでも「必要ないから」
         と断られるかもしれません。

         そう言われたら、冒頭のような言い方で実際の効果を分かりやすく
         伝え、相手に少しでも興味を持ってもらいましょう。

         例えば、相手にとっての競合他社や顧客が「販路開拓に成功した」
         「コスト考削減することができた」などの効果を伝えるのが理想的です。

       (2)具体的な数字が効果的

         このとき、「具体的に」「簡潔に」「インパクトのある言葉を使って」
         成功事例を伝えることがポイントです。

         「△件の販路開拓に成功した」「□%のコストダウンが実現できた」
         など具体的な数字を挙げると分かりやすく、インパクトを与えやすい
         かもしれません。

         数字を挙げることが難しい場合には、「〜が増えた(減った)」
         「〜できなくて困っていたのができるようになった」というように、
         ビフォーアフターの違いが分かるようなフレーズを使うと効果が
         伝わりやすくなります。

         相手にとっての競合他社や顧客に関する具体的な効果を挙げ、「それ
         でも全くご興味ありませんか」と尋ねると、相手は断りにくく
         なります。

         自分(相手)のビジネスに関わりがあるのではないかという気持ちが
         強くなるからです。

         「全くない、というわけじゃないけど」と言ってくれるかもしれません。

       (3)「食い下がらない」ことも選択肢に

         逆に、そこまで伝えても「必要ない」と言われたら、今の段階では
         成約の可能性は低いと考え、諦めたほうがよいかもしれません。

         ここで食い下がって印象を悪くするより、他の見込み先にアプローチ
         するほうが効率的です。

         ただしその場含も、資料と名刺を送り、時期を置いてから改めて
         連絡してみましょう。

         相手の状況は、いつどのように変化するか分かりません。

         状況が変わったとき、思い出してもらえる可能性が少しでも高まる
         ように布石を打っておくのです。

       (4)初回アポイントは工夫のしどころ
         新規開拓の営業では、初回のアポイントを取るのが一番難しいと
         いっても過言ではありません。

         相手に、少しでも会うことのメリットを感じてもらえることを目標に、
         内容や言い方を工夫して伝えることが大切です。

    アプローチ3

     ◎忙しい時期でも会っていただくための一言

      「一つだけ、お耳に入れておきたいことがあります」

       (1)営業担当者と相手との間には……
         例えば年度末などは、計画達成に向けてラストスパートをかけつつ、
         将来の有力な見込み客を獲得するために、営業活動に一層力が
         入る時期です。

         年度末の営業では、“予算消化”で思わぬ成果が上がることもあります。

         しかし、基本的には相手も忙しく、アポイントが取りにくい時期です。

         「今は時間がないので、年度が替わってからにして!」と門前払い
         される先が増えることも覚悟しなければなりません。

         年度末は、「年度末に何とか成果を上げたい!」という営業担当者と、
         「忙しくて営業の相手をしている暇はない……」という相手の間に、
         いつも以上に大きなギャップが生まれる時期です。

       (2)ギャップを埋める言い方

         営業担当者と相手とのギャップを埋めるには、相手に「忙しくても
         聞く価値がある」と感じてもらうことが肝要です。

         そんなとき、ぜひ試してみたいのが冒頭の営業フレーズです。

         このフレーズには二つのエッセンスが隠されています。

         一つ目は、「一つだけ」が示す希少性。

         あれもこれもではなく、たった一つに絞り込まれた情報に、相手は
         「何か特に重要な話かも=聞く価値がありそう」と感じます。

         二つ目は、「お耳に入れておきたい」というプレミア感。

         お耳に入れるとは、内緒話の感覚です。

         相手は、ある情報を自分だけが知ることができる状況に優越感を
         覚えます。

         これは大勢が参加するパーティー会場のヒソヒソ話に似ています。

         大勢の中からわざわざ自分に近寄ってきて、しかも耳元でそっと
         情報を伝えてくれたら、誰でも悪い気はしません。

         これと同じ心理で、相手も営業担当者の話を「聞いてあげてもいいよ」と
         いう気になるのです。

       (3)「一つだけ」に秘められた別の機能

         「一つだけ」と言うのには、もう一つ理由があります。

         相手に「短い時間で済む=それなら聞いてみようか」と思ってもらえる
         確率が高くなるからです。

         ただでさえ忙しい年度末。

         営業の話を聞く時間は取りにくいですが、「自分だけに重要な情報を
         “短時間で”教えてくれるならいいかな」と感じる人は少なくありません。

       (4)言葉を付け足せば「聞く価値」を高められる

         今回は年度末を想定して説明しましたが、冒頭の営業フレーズは、
         時期を選ばずに使える便利なモノです。

         例えば、「今年の12月から義務化されるストレスチェックに関連して、
         一つだけ、お耳に‥‥‥」といったアレンジをすれば、相手は
         ますます興味を持ってくれるでしょう。

         このように、会ってもらうのが難しいアプローチの段階では、「時期に
         応じたキーワード」「相手の仕事内容」などをしっかりと捉え、
         「聞きたい」と思わせるプレミア感を演出することが成功の秘訣です。

    アプローチ4
     ◎「(金額が)高いんでしょ?」と言われたときの一言
       「高い、というのはどのくらいの金額をお考えですか?」

       (1)営業ではカードを隠す人が多い?

         営業は交渉事の連続で、その戦法は次の二つに分かれます。

         一つ目は、自分のカードを隠し続け、最も有効なタイミングを待って
         切る戦法。

         もう一つは、あえてカードを相手に見せつけ、自分はこんなに強い
         のだから降りたほうが得ですよと、懐柔する戦法。

         通常の営業の現場でどちらの局面になることが多いかといえば、
         当然、前者のほうです。

         特に、お金に関する話になると、「高いんでしょ?」「いやいや、
         お安くできますよ」等、具体的な基準もないまま曖昧な話が続く
         ことがあります。

         しかもこの状況は、売り手である営業側が不利になるのが常で、
         「もしかして他社より高いのかも?」等とついつい弱気になって、
         当初の想定よりも安い金額を提示してしまいがちです。

       (2)「高いんでしょ?」の本音は?

         お金の話はとても大切なのに有利に進めることができない。

         そんな状態に陥らないために、相手に「高いんでしょ?」と聞かれても、
         ビビることなく冷静に状況を判断することです。

         例えば、「高いんでしょ?」の言葉から、次の二つのシナリオが思い
         浮かびます。

         一つ目は、相手が断る理由を探している状況です。

         この場合、こちらが頑張って安値を提示しても「高いな〜」等と
         断られます。

         二つ目は、相手が割と本気で検討している状況です。

         こちらにとってはチャンスであり、不用意に値引きをしたくありません。

       (3)さて、相手の答えはどっち?

         この正反対の二つのシナリオ。

         相手の本音はどちらにあるのかを探るときに、ぜひ、投げかけて
         みたいのが、冒頭の営業フレーズです。

         相手の反応から、ある程度、本音を推測できる場合があります。

         相手が「断る理由を探している」場合、具体的な答えはまず返って
         きません。

         「何か高そうじやない?」といった具合です。

         このとき、安値を出すのは、後のことも考えてタブーです。

         丸めた金額を示すにとどめます。

         一方、「割と本気で検討している」場合、相手の口から「例えば
         ○百万円?」といった具体的な金額が出てくることがあります。

         これは、相手の予算が決まっていたり、既に競合他社から話を
         聞いている可能性があります。

         この場合、「定価だと○百万円になりますが、仕様によって‥‥‥」
         等、交渉の幅を広げるようにし、必要に応じて、ボリュームディス
         カウント等、値引きのカードも切ります。

       (4)「高いんでしょ?」に慌てることなかれ

         「高いんでしょ?」と聞かれると、つい値引きを口にしたくなったり
         します。

         そうしないと、買ってもらえないという思いに駆られるからです。

         しかし、その対応は正しくありません。

         慌てずに、相手の出すヒントから本音を見極めて、しっかりと
         チャンスにつなげていきましょう。

         お金の話になって初めて、営業の交渉は本格的に始まったような
         ものなのです。

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売れる営業マンの基本スキル

営業パーソンのためのスキルⅠ

 営業パーソンのためのスキルⅠ

  営業パーソンの仕事
   営業の基本は販売ですが、その成果を高めるためには、
    ・関係者との良好な関係構築など、商品を販売しやすい環境をつくり上げる
    ・つくり上げた環境を生かし、顧客に適切な提案をする

   ことなども不可欠です。

   これらの活動は数字には現れませんが、優れた営業パーソンは、その重要性を
   十分に理解し、取り組んでいます。
   営業は農作業に似た面があります。
   成約(収穫)を迎えるためには、田畑を耕し、種をまいて水をやらなければ
   なりません。
   荒れた田畑の手入れをしなければ実りの秋は訪れないということです。
  
 

  □営業パーソンに必要なスキル

   経営者から一般の営業パーソンに至るまで、それぞれが抱える現在の営業活動の
   課題にはいくつかのパターンがある。

    1.社長・幹部から見た営業パーソンの課題
      「今の営業パーソンはただの“ブローカー”になっている」という話をよく聞く。

      これは営業パーソンにとって、存在価値を問われる衝撃的な発言である。

      ここでいう“ブローカー”の事例を具体的に挙げてみます。

      (1)訪問するだけ

        わざわざ顧客のもとに出向いて、商品カタログやパンフレットを置いてくる
        だけの営業パーソン。

        自社の会社概要を説明し、商品のパンフレットやサンプルを広げて、「検
        討してください」「見積もりだけでもお願いします」と言い残し、辞去する
        ケース。

      (2)仲介するだけ

        顧客から受けた要望に対し、「じゃあ今度、詳しい人間を連れてきますよ」
        と言って、商談を終わらせる営業パーソン。

        自身で自社商品の詳細を知ろうとせず、専門スタッフや外注先などにつ
        なぐだけで、企画・提案を他人に丸投げしているだけ。

      (3)説明するだけ

        顧客の話を聞かず、自社の“売りたい”商品の説明だけに終始している営
        業パーソン。

        営業として全く価値のない商談に陥ることが多い。

        これでは、顧客にとっても会うメリットがありません。

    2.現場の営業パーソンが抱えている課題
      一方、現場で働く営業パーソンも、多くの課題を抱えている。

      具体的には、

      (1)顧客の専門化
        顧客自体が専門化している。

        インターネットやスマートフォンの普及によって、顧客(消費者)が欲しい
        情報は、ほぼ収集することができます。

        つまり、営業パーソンから得たい情報はインターネットから拾うことが可能
        であり、情報提供は必ずしもセールスの武器にならなくなっている。

      (2)コミュニケーションの変化

        SNSやウェブサイトの動画など、顧客とのコミュニケーションを図るツー
        ルが多様化している。

        また、法人を対象とした企業(BtoB)では、「営業に来られても、会う
        時間がもったいない」という理由で、顧客から提案書や見積書をメールで
        送るよう指示されるケースも増えています。

      (3)商取引の電子化

        現在は、大抵のものならネットで直接注文して簡単に購入できる。

        しかもネット専業企業は実店舗の経費がない分、価格競争力がある。

        ネット上には、実際に商品を買ったユーザーの評価や意見が掲載されて
        おり、他の顧客はそれを踏まえて商品を選別・購入することができます。

        そのため営業パーソンを経由して商品を買うメリットが薄れているので
        す。

      (4)競争要因の同質化

        自社とライバルとの違いがなくなりつつある。

        そのため顧客から自社の特長や他社との違いを聞かれても、「品質には
        自信があります」などと抽象的な表現しかできず、結果として価格のみの
        勝負となっている。

        自社の営業パーソンは、果たして顧客に対して存在価値を発揮できてい
        るかどうかを、あらためて考える必要があります。

        そのために、顧客に必要とされる営業スキルを整理し、自社のセールス
        に生かして、顧客から一番に選ばれる営業パーソンを目指してほしい。

    3.営業パーソンの成長に必要なステップ
      セールスにおいては、「若手らしい」または「ベテランらしい」スタイルが
      あります。

      つまり、若手のセールスは「量」を追い、ベテランになれば「質」を追う
      というものです。

      ベテランのセールスがチラシを片手に飛び込み営業をしたり、毎日オフィスで
      アポイントの電話をかけたりするケースを見るが、ベテランであればこれまで
      に培ってきたノウハウや経験を生かした営業スタイルがあるはずです。

      また、若手セールスが頭で考えるばかりで行動が伴わず、社内で資料作成
      に終始していることもあります。

      営業活動は、実際に行動して量をこなさないと分からないことが多いのです。

      もちろん結果も大事であるが、まず営業経験を積むことが優先されるべき
      でしょう。

      営業パーソンには、経験や年数によって踏むべきステップがあります。

      自社の営業パーソンは、次のような正しいステップを踏んでいるでしょうか。

       (1)組織人力
         営業パーソンの土台になるスキルである。

         忍耐力、執着心、モチベーション、誠実さなどが当てはまる。

         これがなくては、たとえ営業スキルが高くても、顧客は商品を買ってくれ
         ません。

       (2)行動・スピード対応力

         動かなければ顧客と接することはできないし、自社を知ってもらうことも
         できないし、商談も始まらない。

         また、顧客の依頼事に対して早く対応しなければ失注の可能性や、
         クレームにつながるケースもある。

       (3)ストーリー構築力

         なかには顧客を訪問する目的すら理解していない人を多く見る。

         訪問前から商談内容をイメージしながら、しっかりと事前準備をすること
         が重要です。

         また、顧客から聞いた情報内容を踏まえ、仮説を立てて商品提案につ
         なげなければならない。

       (4)人間関係構築力

         顧客はロボットではない。人間である。

         商機に結び付く糸口を探るためにも、人間関係構築力は不可欠。

         また人間関係を構築すれば、別の顧客を紹介してくれるチャンスも
         あるのです。

       (5)企画提案力

         顧客から言われたことだけに対応するのでは、価値は高まらない。

         顧客が想像(期待)する以上のものを提供するのが、営業パーソンの
         存在価値です。

  □組織人力
   営業パーソンの「量」に必要な2つのスキル、「組織人力」と「行動力・スピード
   対応力」について述べます。

   初めに営業パーソンの土台となる「組織人力」について解説します。

   表は、社会人として必要な基本動作から、モチベーション、モラール(目標に対する
   意識の持ち方)までを、「組織人力」を構成する諸要件をまとめました。

    1.基本動作

      (1)組織人として身に付けるべき基本動作
        新入社員に対し、組織人として身に付けるべきこととして、あいさつの仕
        方や身だしなみ、電話応対、名刺交換などについて指導する機会は多い
        でしょう。

        しかし、教える本人が年齢を重ねるにつれ、初心を忘れておろそかになっ
        ているケースをよく見かけます。

        特に営業においては、あいさつが重要である。

        正しいあいさつを続けることで、相手に良い印象を与えることができる。

        新規で訪問した際、経営者から「元気がいいね」と言われ、商談が終始、
        良い雰囲気で進んだことがないだろうか。

        営業パーソンにとって、あいさつの印象は大事である。

      (2)誠実さ・素直さを併せ持つ

        ある若手営業パーソンの事例を紹介します。

        彼と同じ職場で働くベテラン・中堅メンバーに、「彼はなぜよく
        売っているのか」と聞いたところ、皆、口をそろえて「誠実で良い人
        だから」と答えた。

        行動量やテクニックではなく、人間性で売っているというのだ。

        上司の言うことをしっかりと聞くし、同僚や後輩に対しても誠実だという。

        考えてみれば当たり前のことで、普段の生活における行動は、顧客の前
        でも態度に出てしまうのです。

        あなたの普段の態度はどうだろうか。

        周囲に対して誠実だろうか。

        自ら問い正してみてほしい。

    2.モチベーション

      (1)目標に対する意識を高める
        「あなたの売り上げと利益の目標はいくらですか」と聞かれて、すぐに
        答えられる営業パーソンは意外と少ないのではないでしょうか。

        目標数字を把握していないのに、成功している営業パーソンはいません。

        もし仮に、あなたの会社で個人目標を与えていないのであれば(最近は
        チームや部署単位で目標を与えていることが多い)、何かしら数値化した
        ものを指標として与える方がよいでしょう。

        目標と実績・見込みの数字を個人で把握できていればこそ、自ら率先して
        先行して手を打てるし、それに向かって行動できる。

        チームや部署単位での目標しかなければ、「誰かがやってくれるだろう」と
        他人任せになりやすいものです。

        ある会社では、数字に対して執着心がない社員の意識を変えようと、マネ
        ジャーが毎日、彼の日報に個人目標の数字と差額を記載した。

        それを続けることで結果として、その社員は自ら数字を記載するように
        なり、彼の目標に対する意識が大きく変化したそうである。

        口やかましく言うだけでなく、そうした意識付けについての工夫も必要で
        ある。

      (2)何事にも前向きになる

        新規アポイントの電話を1件かけるだけで、くじけてしまう営業パーソンも
        少なくない。

        また新規開拓に1回訪問しただけで、その後のフォローをしない人もい
        る。

        理由を聞くと、「お客さまに煙たがられた」「全く相手にされなかった」と
        いうものが多い。

        だが、このような理由で逃げていては、当然ながら次のステップ(フォロー 
        や提案)など期待できない。

        何事も前向きに捉え、突き進むことが営業パーソンの基本姿勢である。

        そのためには、常にプラス発想で考える習慣を身に付けてもらいたい。

      (3)目標とする先輩・上司を設定させる

        上司・先輩が「忙しい」を理由に、若手を指導することを避けているケース
        が少なくない。

        若手の頃は、さまざまな上司や先輩と同行し、それぞれの良い部分を自
        分に取り入れるのもよい。

        部下に目標数字だけを追わせるのではなく、目指すべき人を追いかけさ
        せることも重要です。

        要は競争意識を植え付けるのである。

        目標を人に置くことで、営業成績が目覚ましく向上する例は多い。

    3.モラール(士気)
      営業パーソンの中には、自社の商品・サービスを批判する人もいるが、自社
      の商品・サービスを受け入れられない人が、顧客に進んで提供できるはずも
      なく、また、顧客が受け入れてくれるはずもない。

      こうした営業パーソンは、他社の商品・サービスとの違いを説明できない人、 
      あるいは価格競争に巻き込まれている人であることがほとんどだ。

      このような場合、自社(商品・サービス)の強みについて、営業パーソンに
      再教育する必要があります。

      自社の商品・サービスについて、カタログに書いてある通りに説明している
      だけの“提案”をやめさせるべきだ。

      これらのいずれも営業パーソンとしての土台となる部分である。

      これらができているか、できていないかをチェックリストに基づき、確認してみ
      ましょう。

      一つでも欠けているようであれば、指導・アドバイスを行いましょう。

  □行動力とスピード対応力
   1.行動力
     行動力は、営業パーソンが“感覚や嗅覚”を身に付けるためにも必要不可欠な
     ものです。

     例えば、よくベテランの営業パーソンが「この会社から受注できる匂いがする」
     「直感だが、ここの会社はいける」などと言う。

     これはベテランの営業が、多く行動することで多くの人と出会い、またさまざま
     な経験をしてきたことによるものだろう。

      (1)ターゲットを明確にする
        行動に移す前に、まず必要なのが、「ターゲットを明確にする」こと。

        しかし、ターゲットである顧客の整理ができていない会社は多い。

        具体的には、以下の2つのパターンがよく見られる。
         ①数多くの会社と取引があるが、誰が担当者なのか不明確
         ②重点顧客の設定基準が不明確(売上高〇〇万円以上など)

        まずは、顧客のメーン担当者は誰なのか、重点顧客の基準は何かを明ら
        かにし、これを踏まえてランク付けをするとよいでしょう。

        また既存顧客だけでなく、新規顧客や過去(睡眠)客にも目を向けなけれ
        ばならない。

        既存顧客だけでは、いくらインストアシェアを高めたとしても、限界がある
        からです。

        顧客創造の第1は、「どこをターゲットにするか」。

        戦略レベルでターゲットを定めるケースが非常に多いが、これは現場レベ
        ルでも十分に可能である。

        現場レベルでのターゲット設定は、過去に培ってきた実績をひっくり返して
        みるとよいでしょう。

        意外と知らないところで実績が上がっていたりするものです。

        そのノウハウを水平展開することが、一番手っ取り早いと考える(ただし
        顧客の許可が必要になる場合もある)。

        これをもとに、業種・業態を絞り込んでいきます。

      (2)行動量の確保

        近年では、がむしゃらに外回りをする営業パーソンが少なくなっている。

        なぜかの理由では、「非効率だから」との回答である。

        しかし、若い営業パーソンほど、行動量のパイを広げてもらいたいし、広
        げる必要がある。

        行動することによって顧客との接点が増え、書物やインターネットからで
        は得られない情報や経験を蓄積できる。

        受注するためには何が自分に必要なのか、肌で感じ取ることができるか
        らである。

        若手営業パーソンがむしゃらに動くことは、決して非効率ではない。

        やり方次第なのです。

         ①主力商品を小まめに配送していたら、主力商品以外の商品も
           頼まれるようになった
         ②何回も訪問していたら、顧客の担当者が変わり、新規受注につながっ
           た
         ③ローラー作戦で飛び込み営業をしていたら、タイミングよく注文がもら
           えた

        つまり、数多く顧客を回ることで、「せっかく来てもらったから、ついでに別
        のものを」といったように、タイミングよく注文を取れることがあります。

        これは若い営業パーソンでも、十分に可能だ。

   2.スピード対応力
     スピード対応力も、今の時代の営業パーソンにとっては必要不可欠な能力で
     ある。

     営業パーソンに求められるスピード対応力とは、大きく分けると以下の2点。

      (1)言われたことに対し、迅速に動く
        顧客や上司・先輩から言われたことに対して、迅速に動いてほしい。

        よくあるケースは、顧客から見積もりや提案の依頼をもらったのに、何も
        対応していないことである。

        「どのように対応すればよいか分からない」、あるいは「今抱えている仕事
        がいっぱいで、これ以上は対応できない」というのであれば、すぐさま上
        司・先輩にアドバイスを仰げば済む話だ。

        それを怠って後回しにしているから、顧客や上司から「どうなっているん
        だ」とクレームの連絡や叱責の声が飛んでくるのです。

        これでは会社の信用、担当者としての信頼まで失うことになりかねない。

        迅速に対応しないと、当然失注する可能性が上がる。

        業種・業態によってさまざまだが、見積書や提案書の提出が遅れただけ
        で、他社に受注をさらわれることもよくある。

        もちろん、何でもかんでも「早く出せばいい」というわけにはいかない。

        慌てて不完全なものを出してしまえば信用を失う。

        また他社に先んじて見積書を出したところ、それを顧客が他社との価格
        交渉のたたき台に使い、失注した上に価格情報まで他社に漏れてしまう
        など、泣くに泣けないはめに陥ることもある。

        要は、タイミングよく迅速に動くことも大事というわけだ。

      (2)きめ細かく対応する

        単にスピード感を持って対応すればよいという話でもない。

        当然ながら、顧客へ対応するのであれば、適当な回答をするわけにはい
        かない。

        外注先、社内スタッフ、上司・先輩などと事実確認をした上で、対応しなけ
        ればならない。

        個人の見解をどれだけ丁寧に説明しても、個人の見解にすぎない。

        これらは当然のことのように思われるだろうが、現場の実態を見ると、こう
        した当たり前のことができていないケースが多い。

        今一度、わが身を振り返って、自社の営業部門の指導の見直しに当たっ
        てもらいたい。

  ストーリー構築力
   これは、営業活動を「量」から「質」へ転換する上で非常に重要なポイントである。

   「量」を追って、さらに受注の決定率を上げていくには「質」を高めていくしかない。

   「見積書を出しました。あとは承諾待ちです」「カタログを送りました。

   今は引き合い待ちです」と言う営業パーソンも少なくない。

   「量」を追えば、このようなやり方でも100件中1件くらいは受注があるかも
   しれませんが、これでは本来の営業パーソンとしての役割を果たしておらず、ただの
   “ブローカー”にすぎません。

   営業パーソンには、単に商品・サービスを売ることではなく、「お客さまが喜ぶには  
   どうしたらよいか」「こうすれば、お客さまの悩みが解決するだろう」と、事前に
   情報収集を行い、受注に至るストーリーを描くこと(仮説の組み立て)が求められます。

   そして、商談の中でお客さまのニーズを押さえ、受注に至るまでのさまざまな課題を
   クリアし、仮説・検証の繰り返しで受注につなげていきます。

   経験豊富な営業パーソンも、ぜひ「質」を追ってほしい。

   次に、事前準備や商談を次回の提案につなげるプロセスを具体的に述べ、受注
   に至るまでに必要なストーリーの組み立て方の基本ポイントを説明する。

    1.仮説の組み立て
      (1)訪問先のことをよく知る
        訪問時には、ターゲット企業の業界動向や会社概要をよく知る必要があ
        る。

        どの若い営業パーソンもお客様から「うちの会社のこと、ちゃんと分かって
        る?」「あなた、この業界のこと、よく知らないでしょう」などと、注意を
        受けた経験がありませんか。

        そのような状況になると、信用失墜である。

        特に新規訪問先であれば、最初の段階で、すでにお客さまから不審の目
        で見られてしまう。

        訪問先のことを調べるには、以下のポイントを押さえます。

         ①訪問先のホームページを閲覧し、会社概要(売上高・決算期・
           社員数)、沿革、事業概要を確認する

                    ②訪問先が所属する業界団体のホームページや業界誌を見て、
           業界動向を押さえる

         ③東京商工リサーチや帝国データバンクの信用情報を活用し、
            訪問先の具体的な経営状況を押さえる

     (2)自社の強みを把握する

       お客様から、「御社が最も得意とする点は何ですか」「他社と何が違う
       のですか」と質問されるケースがある。

       大体の営業パーソンは「価格はどこにも負けません」「品質は他社に
       絶対負けません」「納期をきちんと順守します」など、抽象的な表現に
       とどまることが多い。

       だが、これらはライバル企業も同じことを言っていると考えてよいでしょう。

       営業パーソンでありながら、実は自社のセールスポイントを明確に把握し       
       ている人は少ない。

       当然のことで、自社の強みが漠然としているから、明確に説明できないの
       です。

       自社の強みを具体的に把握するポイントは、

        ①自社のバリューチェーン(営業力、仕入力、商品・サービス力、
          配送力、施工力、アフターサービス力など)を分解し、特長を
          整理する

        ②上記①と同様に、ライバル各社の特長を分析する

        ③自社とライバルの特長を踏まえ、自社がより優れている点を
          強みとし、劣る点を弱みとする

        ①〜③は営業パーソン個人で行うのではなく、他の営業パーソンと共有
        化を図り、組織営業活動に生かすことです。

     (3)仮説を組み立てる

        お客様の状況や業界動向、そして自社の強みを踏まえ、何を提案
        するかの仮説を組み立てておくことが大切です。

        顧客は「何か提案があるのだろう」と考えるからこそ訪問に応じて
        くれるのに、訪問する側の目的が不明確では本末転倒である。

        事前に仮説を組み立て、それをぶつけることで、お客さまとの商談の
        「質」が高まっていく。

    2.商談(プレゼン)技術
      (1)顧客のニーズを探り出す
        商談に入ると、ひたすら自社の会社概要や商品・サービスの説明に終始
        し、「それではご検討願います」という一言で商談を終わらせる営業パー
        ソンを見掛ける。

        これで事が足りるなら、お客さまはパンフレットを見るだけでよく、時間を
        とって会う必要はない。

        商品・サービスの内容だけなら、インターネットでも確認することができま
        す。

        重要なのは、「お客さまが望んでいるものは何か」という課題やニーズを
        探り出すことである。

        それを解決するための手段として商品・サービスを提供してこそ、営業
        パーソンの存在価値が発揮できるのです。

        課題・ニーズを探り出すには、さまざまな状況を踏まえた仮説をぶつける
        ことが重要となってくる。

        それをぶつけ、ピントが合っていると感じたら、それに適合した商品・サー
        ビスを次にぶつければよいのです。

        合わなければ商談の中でをピント合わせる。

      (2)受注するためにヒアリングすべきこと

        商談では、決定権者や予算を必ず聞き出す必要がある。

        これを踏まえないと、いくらニーズが合っていても、こちらの提案が
        ズレる可能性が出てくる。

        決定権者次第で課題・ニーズが変わることもあるし、予算に合わない
        ものを提案しても、予算を理由に断られるだけである。

  □人間関係構築力
   人間関係構築力は、受注決定率を向上させるために重要なポイントである。

   繰り返すが、商品・サービスをお客さまに納めるだけでの『モノ売り』では、営業  
   パーソンは特に必要とされない。

   インターネット上のモールに商品を掲載し、「カートに入れる」ボタンがクリック
   されたら、仕入れ先に発注書をそのまま流せば済む話である。

   受注までのストーリーを描き、仮説・検証を行い、提案する商品・サービスの絞り
   込みを行う。

   ここまでが前項で説明した流れである。

   次に、具体的に商品・サービスを提案するまでに必要なのが、顧客との人間関係
   です。

   いくら自社の商品・サービスが良くても、担当者である営業パーソンが顧客と密着
   できていなければ、他社に注文が流れる可能性が高くなってしまう。

   自社の営業担当者は、「顧客から一番に声がかかる営業パーソン」になることを
   意識しているだろうか。

    1.顧客とのコミュニケーション

      顧客とのコミュニケーション方法としては、人それぞれの性格や特徴に合っ
      たやり方があるはずです。

      「営業は営業トークが大事だ!」と叱咤激励する営業部長もいるが、全ての
      営業パーソンがそれに当てはまるとは限らない。

      実際、口下手でも多くの受注ができる営業パーソンはいる。

      そうした人は、口下手を何でカバーしているかというと、顧客に喜んでもらう
      ため、デザイン性に優れた提案書や顧客にとって有益な情報を作成して説
      明していることが多い。

      顧客からすれば、「わざわざ私のために時間をかけて、素晴らしい提案書を
      つくってくれてありがとう」、「うちの業界をよく知っているね」と感動を
      覚える。

      ただし、コミュニケーションを図るに当たって、押さえなければいけない
      ポイントがある。

       ①顧客の特徴を押さえているか
       ②顧客と商談以外にプライベートな会話ができる仲か
       ③顧客の状況に応じた商談ができているか(空気が読めるか)
       ④一方的なセールストークではなく、顧客の話を聞いている

      よく見かける「悪い営業パーソン」は、終始、自分の主張ばかりで顧客の
      話を全く聞かない。

      これでは顧客の本音を知ることができないし、受注に至るちょっとしたヒント
      すらもつかむことができない。

      コミュニケーションで大事なのは、こちらの話を顧客に聞かせることではなく、
      いかに顧客から本音を聞き出すかである。

      その基盤となる人間関係を構築しないまま、「予算はいくらですか?」「使用 
      時期を教えてください」「同業他社はどこですか?」などと尋ねたところで、顧
      客は答えてくれるはずがない。

      営業パーソンの基本は、あくまでも顧客の話をしっかりと聞くことである。

    2.定期的なフォローを行う
      顧客へ一度訪問し、それに満足して、あとは結果が出るまで待つ営業パーソン
      を多く見受ける。

      このような状況だと、同業他社が先手を打ち、定期的に訪問され、その間に
      話を固められ、自社に失注の連絡が舞い込むはめになる。

      こうした事態を避けるためには、訪問後も定期的にコミュニケーションを取る
      必要がある。

      効果的なのは、訪問後の「サンキューレター」(お礼状)である。

      お礼状を送ることで、こちらの存在を印象付ける。

      当然、もらった方もうれしい。

      その後のフォロー方法は会社によってさまざまであるが、より顧客密着度を
      深めるためには、受注確度や企業規模など、ある一定の基準を設け、優先
      順位を付けて定期的にアプローチを行うことです。

      アプローチをするためには、顧客先への有益情報の提供、新商品の案内や
      他社導入事例など、「連絡をする」ための口実になることを見つけ出すのが
      大切である。

      もちろん、メールでのアプローチも効果的だ。

      せっかく商談の機会をもらったのだから、接点を得た顧客をそのまま眠らせ
      るのはもったいない。

      必ずフォローをして、顧客との接触を増やし、より密着した営業展開を図って
      いくことをお勧めする。

    3.顧客が顧客を呼ぶ善循環をつくる
      顧客が自社に対し、違う会社や別の部署を紹介してくれることはないだろう
      か。

      もしあるなら、それは長い付き合いによる信用の蓄積で、営業パーソンが顧
      客に信頼されている証しなのです。

      このように、顧客が顧客を呼んでくれるような関係を構築するため、今一度、
      顧客との接点の結び方を見直してみてください。

      顧客を紹介してくれる顧客との接点を増やすことにより、何もせずとも顧客が
      さらに広がっていく土壌ができる。

      営業パーソンが受注に至るために最も必要なのは、こうした関係をつくるた
      めの環境づくりです。

      顧客のためを思い、苦心して仕上げた提案がいっこうに前に進まないのは、
      顧客との接点が不足している場合が多いのです。

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売れる営業マンの基本スキル

売れる営業


  ■KDDやGNP

   あなたは買い手側から「これ高いから、もっと安くならない」と言われたら、どのように
   答えますか。

   どのように打開(応酬)するかについて、今でも多くがKDDやGNPで対応するよう
   です。

   KDDとは「勘・度胸・出たとこ勝負」、GNPは「義理・人情・プレゼント」のことを言
   います。

   相当のベテランセールスでも、このスタイルが多いようです。

   プロのセールスパーソンとしては、完壁な答えを用意しておかねばなりません。

   そして相手を納得させることで、購入してもらうことです。

   客の断り文句や反論にうまく対応して、クローズまで持っていく技術を身につけねば
   なりません。

   誰でも値段を下げれば簡単に売れます。

   価格を下げずに、適正な利潤を確保して売るのが腕のみせどころです。

  □価格に対する断り文句

   買い手側の断り文句のなかでも「そんなお金がない」、「ウチには必要ない」、「商品が
   気に入らない」などがあります。

   中でも特に、セールスパーソンがぶつかる最大の壁と言えるのは、価格に関する断り
   文句でしょう。

   見積書を見せたら、お客様は当然のように「高いね」という断り文句を言ってきます。

   しかし、ここで重要なのは、「高いね」という言葉の真に隠れているお客様の心理
   です。

   「高いね」という断り文句は、本当にお金がなくて高いと思っているのか、それともただ
   断る理由として言っているだけなのかという、お客様の言葉の真に隠れている本音を
   知る必要があるのです。

   では、本音を見抜くために、ここで価格に関する、よくある断り文句を見てみましょう。

   ◎価格に対する断り文句

     ・「お金がないんで」

     ・「高いね、もっとまけてよ」

     ・「他社のほうが安いから」

     ・「余裕がないんだよ」

     ・「ランニングコスト(経費)がかかりすぎるから」

     ・「○○円以下なら考えるけど、○○円しか予算がないんだ」

     ・「もっと安ければ考えるよ」

    大体この7つくらいではないでしょうか。

    共通するのは、「お金がない」ということです。

    ところで、「お金がない」、あるいは「高い」とはどういう意味なのでしょうか。

    「高い」と言う根拠は絶対の事実ではなく、今の時点のお客様の意見、お客様の
    見方でしかありません。

    しかも、買い手は値下げさせようと意図的に嘘をつく可能性もあります。

    アメリカの伝説のセールスマンと言われたフランク・ベトガー(著:私はどうして販
    売外交に成功したか)は次のように言っています。

    「お客様の断りの62%はウソである」、真実の断りは38%にすぎないと断言して
    いる。

    実に、断りの半分以上はウソだと言っているのです。

    一方、お客様は今の時点で、あなたの商品やサービスのよさをわかっていない 
    ために、「高い」と言っているのかもしれません。

    まけさせようとして「高い」と言っているのでしょう。

    ということは、セールスパーソンは辛抱強く会社、商品、サービスのよさをお客様に
    伝え続けなければなりません。

    そして、よさをわかってもらう必要があります。

    お客様の言う「高いね」の意味は、

     ①その商品は値段ほどの価値がない 

     ②他社と比べて高い 

     ③その値段では払いきれない

    というものです。

    つまり、そのときの感覚で言っているにすぎないのです。

    絶対的に高いという意味ではないのです。

    この商品と全く同じ品質のものを、同じ条件で日本中の他の業者から見積もりを
    出させて比較して、「君のところが一番高い」と言うのであれば、これは本当に高
    いことになるかもしれません。

    しかし、日本中の業者から見積もりを取ることなどしていないでしょうし、ただ
    フィーリングで高いとコメントをしているのです。

    つまり、高いとは、お客様の主観的な判断にすぎません。

    しかし、お客様から、「高い、まけろ」と言われると、セールスパーソンは絶対的
    に高いものだと思い込んでしまいます。

    値段を下げれば誰でも簡単に売れますが、これではいけません。

    適正価格で売るのがセールスパーソンの使命であり、価格を下げずに売り込む
    のが、プロの力の見せどころです。

    そこで、セールスパーソンであるあなたは、こうしたお客様との価格交渉を効率
    的に進めるために、断り文句に対する答えを事前に考え、準備しておく必要が
    あります。

  □お客様の真のニーズ

   価格はお客様のニーズが決める。

   ですから、セールスパーソンは根気よく、商品やサービスがお客様のニーズを満たす
   ということを説明し、納得してもらわなければなりません。

   成功するまで(お客様が納得し、購入に至るまで)、違うやり方で(訪問したり、
   メールを出したり、時にはパンフレットや業界情報を持参するなどして)、やり続け
   る(決してあきらめないで、何度でも行う)ことです。

   そこで、お客様の真のニーズは何か、ということになります。

   一般的に、価格、性能、品質、経済性、簡便さ、耐久性、納期、デザイン、色、サイズ
   などがニーズとされています。

   別の言葉でいえば、お客様の“主要関心事”ということになりますが、果たして本当の
   ニーズでしょうか。

   ニーズには2種類あります。

   1つはこの主要関心事であり、表面に現れている理性的な分野についての(顕在)
   ニーズです。

   もう1つは、感情的な部分のニーズです。

   人間は感情の動物と言われています。

   感情的な満足感を求めているのです。

   自己の幸せ、達成感、相手からの評価、名声、出世、仕事上の成功などのニーズ
   です。

   つまり、お客様の求めている感情的(潜在的)ニーズである購買動機は、このよう
    な精神的な満足のことです。

   では、どうすればお客様のニーズを知ることができるのでしょうか?

   それは聞くことです。

   答えはお客様が持っているわけですから、聞けばよいのです。

   優秀なセールスパーソンは聞き上手、質問上手なのです。

   あなたはセールスパーソンとして、徹底的に聞き役になり、お客様の2つのニーズを
   確かめ、あなたの商品やサービスを買うことによって、これらのニーズが満たされ、
   満足が得られることを強調するのです。

  □価格交渉を進めるためのステップ

   1.プラン(Plan)

     交渉の前に計画を立てる。

     よく「段取り八分(事前準備)」と言われるように、事前に周到な計画を立てて
     交渉にあたるべきです。

     「経験からいって、まあ何とかなるだろう」「あとは現場対応で何とかします」で
     はいけない。

     お客様との交渉を甘く見てはいけません。

     交渉の場は真剣勝負です。

     相手も自らの生活をかけて交渉にあたるのですから、こちらとしてもいい加減
     な対応はできません。

     しっかりとした交渉プランを立て、十分な準備をして交渉にあたってください。

     例えば、お客様の断り文句に対する応酬話法を事前に用意し、ロープレなど
     で普段から練習しておくことです。

     そうすることによって自信を持って事にあたることができます。

     仮に想定していなかった断り文句が返ってきたとしても、応用力を利かせて何
     とか乗り切ることができます。

     セールスパーソンとして、お客様と価格交渉を始める第一歩は「計画を立て
     る」「事前準備をする」ということです。

     このことは、しっかりと頭の中に入れておいてください。

   2.エンカウンター(Encounter)

     よい人間関係がなければ交渉はうまくいきません。

     当事者同士が出会い、交渉の雰囲気作りを行い、よりよい人間関係を作り上
     げるということです。

     私たちは知らない人とどんなによい条件でも取り引きしたくないのです。

     つまり、価格交渉に先立つよい人間関係作り、雰囲気作り、これがとても重要
     なのです。

   3.アグリーメント(Agreement):折衝して合意する

     ここからが交渉スタートです。

     話し合い、軌道修正、譲歩、妥協といった具体的な交渉のテクニックを駆使す
     るわけです。

     事前に練習してきた応酬話法を使って、お客様の断り文句を受け、話し合いを 
     進めるのです。

   4.リレーションシップ(Relationship)

     セールスパーソンの仕事は、事前に計画を立て、お客とのよい関係を構築し、
     そして交渉に臨んで価格を決定する、それだけではありません。

     交渉後の実行、契約の履行、相互のよい関係の持続も大変重要な仕事です。

     「その後、エアコンの調子はいかがですか?」「今度新しい洗濯機が発売にな
     りました。買い換えはいかがですか?」

     こうしてお客様のアフターフォローを行い、次の交渉に備えます。

     価格交渉は、4つのステップを永続的に繰り返していくことを言います。

  □値上げ交渉を上手に進める

   最後に、長く営業活動をしていると、モノを売り込む、という活動だけでなく、納入価格
   を上げていただくという、いわゆる「値上げ交渉」も必要なときがあります。

   セールスパーソンにとって、お客様に値上げをお願いする仕事ほど骨の折れることは
   ありません。

   できれば避けたいと思う、とても厳しい交渉です。

   そこで、スムーズな値上げを実現するためには、相手に納得してもらえるだけの 
   「大義名分」が必要となります。

   例えば、原油高、通貨高による原料高、全般的な人件費の高騰、海外でのストライキ
   など、こうした理由なら、取引先も理解を示してくれる可能性が高いのです。

   「前年から続いている円安によって、わが社の生産コストは10%も上昇してしま
   いました。生産性の向上や、経費の削減、賃金のカットなど、考えられるあらゆる
   手段を講じて対処してきましたが、コスト上昇分をすべて補うことはできていない
   のが現状です。
   かといって、商品の品質を落とすことはできません。それこそお客様にご迷惑をお
   かけすることになります」と言って、円安に対するこれまでの取り組みを説明しま
   す。そして、値上げのお願いをするのです。「そこで、ご相談です。わが社もこれま
   で以上の経営努力を行っていく覚悟ですが、それだけではこの難局を乗り切るこ
   とができません。ぜひ、御社には5%の値上げにご協力いただけませんでしょう
   か」。取引の打ち切りを恐れてビクビクするより、「事業を安定して続けるために
   は、値上げは必要」と自信を持って切り出すことが得策です。

   大義名分があれば、必ず成功するわけではありません。

   相手にとっても、値上げに応じることは自社の大事な利益を減らすことにつながるから
   です。

   値上げ交渉を有利に進めるためには、事前準備を重ねることです。

   その準備の1つとして、綿密な想定問答を用意し、交渉の模様を実際にシミュレー
   ションすることです。

   そうすることで、交換条件を持ちかけるチャンスがやってきます。

   交換条件というのは、保証期間の延長や分割払いに応じるなど、金銭以外のサー
   ビスを提供することです。

   買い手は、値上げ要求だけでは受け入れにくいものですが、有利な交換条件が提示
   されれば、値上げを了承する大義名分になります。

   上司や社長に説明しやすくなるからです。

   「先方が値上げをしたいと言ってきたので、受けました」では、相手の言いなりに
   なった印象しか与えませんが、一方、「値上げはやむをえないと思います。

   ただし、交渉を重ね、保証期間を1年間延長させました」と言えるような交換条件を
   出せば、交渉が円滑に進みやすいでしょう。

   このように、相手から納得を得られるのがポイントですが、交換条件として提供できる
   新たなメリットとしては、以下を使ってアプローチるとよいでしょう。

    ・Quality(品質)

     基本は、値上げと同時に品質向上を打ち出すことです。
     製品のモデルチェンジを実施し、性能をアップしたり、新規機能を追加したりし 
     ます。
     サービス提供の場合は、新たなメニューを加えてもよいでしょう。

    ・Service(サービス)

     モデルチェンジが難しい場合はサポート・サービスの向上を考えます。
     製品を売るだけでなく、使い方を丁寧に教える窓口を用意するのもよいでしょ
     う。

    ・Condition(条件)

     それも難しい場合は、条件面で相手に譲歩することを考えます。
     代金の分割払いを認めたり、通常より短期間で納めたりすることがこれにあた
     ります。

    ・Sales Person(営業担当者)

     最後は、担当者同士の知恵比べになります。普段はセールスに同行しない開
     発担当者に新機能のメリットを詳しく説明してもらうなど、それまでと違う深み
     のある情報をプラスして相手の納得感を引き出すのも効果的です。

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売れる営業マンの基本スキル

しゃべらない営業


  しゃべらないで売る“技術”

  営業は、明るくてしゃべりがうまくて根性があって押しの強い人が向いている。

  どこでどう教わって来たのかはわかりませんが、とかく営業というと一般的にそんなイメ
  ージが持たれてきました。

  ■時代は変わったが営業スタイルは変わらない

   高度経済成長期やバブル期など、これまで日本はいくつかの好景気を経験してきま
   した。

   ところが、近年では長い不況が続いていて、回復の兆しすら見えない状態です。

   そんなときに、かつての好況時にやっていた営業スタイルをそのまま使っても、成果に
   結びつかないというのは、薄々気づいているはずです。

   その理由には、以下のようなものがあります。

    ①欲しいものが減っている
     カラーテレビの次はエアコンで、その次は電子レンジ……。

     かつては、新しい家電をひとつひとつ買い足していくというのが、多くの家庭の
     夢でした。欲しいモノがたくさんあった時代です。
     ところが、今ではもうほとんどそろっているのが現状です。
     あとは故障したときの買い替え需要だけ。
     ニーズがないところに売るというのが、現在の営業の主流です。

    ②インターネットの普及

     かつては商品説明をいかに上手にできるかというのが、売れるポイントでした
     が、今ではインターネットがそれを代行してくれます。
     ほかにも、事例紹介やお客様の声など、かつては営業担当者が持参していた
     ものをネットがやってくれています。
     一瞬にして営業の役割が大きく変わったのです。

    ③営業手法の飽和状態

     かつては有効だった営業テクニックも時間が経つに連れて陳腐化します。
     どんどん新しい手法が開発されるにつれて、お客様も鍛えられてきます。
     結果としてお客様は、営業が来たとわかると瞬時に警戒してガードを上げるよ
     うになり、だまされたくない心理が強くなってきたのです。

   このように営業をとりまく環境が変わり、お客様のニーズや心理も変わってきている
   なかで、相変わらず昔ながらの営業スタイルを続けていては、売れないのは明白
   です。

   それは、現場の営業担当者が一番感じていることでしょう。

   しかし、それでもかたくなに、かつて自分がやっていた営業を部下に強制している上司
   のなんと多いことか。

   上司から言われたセールス手法がお客様には通じない。

   そんな板ばさみで悩んでいる営業担当者はかわいそうです。

  □初対面の人に笑顔で接していないか

   ところで、あなたが街を歩いていて、見ず知らずの人が親しげに近づいてきたらどう
   しますか? 

   警戒するか、無視して通り過ぎるでしょう。

   その理由は、だまされて何か売りつけられるのではないかと思うからです。

   このように普段の生活では、にこやかに近づいてくる営業を避けるのに、自分が営業
   する場面では同じように笑顔で接していないだろうか。

   もちろん、既存の相手に対してはいいのです。

   初対面の相手にも笑顔で行くから断られるのです。

   多くの人が勘違いをしているのですが、新規のアポ取りや飛び込み営業というのは、
   お客様になるような相手を探している状態です。

   つまり、営業ではなくリサーチの段階なのです。

   そこで営業っぽく接してしまうと、相手は当然ながら警戒して、逆に正確なリサーチが
   できなくなります。

   話をする前からシャットアウトされてしまうと、もうそれ以上何もできません。

   ですから初対面の相手に対しては、営業色を一切消さなければならないのです。

   営業が苦手な担当者に多くみられる行動が、まわりと同じように明るく元気なふうを
   装ってお客様のところへ行くことです。

   それが営業だと思っていたからです。

   そして、当然のように門前払いをされ続けているのです。

   そこで開き直って、内気で大人しい素の性格のまま行動してみてください。

   苦手な笑顔も封印しましましょう。

   するとお客様はそれまでの対応とうって変わって、ごく普通に接してくれるようになる
   でしょう。

   相手が受け入れてくれて、なおかつあなたもラクなスタイルにるので、一石二鳥です。

   営業スマイルという言葉があります。

   かつては「親しみやすさ」を伝えるためのものでした。

   しかし、現在では「うさんくさい」と思われて警戒されるのがオチです。

   それではいくら上手に商品説明ができたとしても、聞いてもくれません。

   とくに近年は、巧妙な詐欺なども横行しており、ちょっとでも怪しいと思う相手にはすぐ
   に心のシャッターを閉めてしまう傾向にあります。

   どんなに自分では正直だと思っていても、相手にはそれが通じません。

   だとしたら、最初から怪しまれるような接し方をしないほうがいいのです。

   営業だからいつでもどこでも笑顔でいなければいけないという時代は、もう終わった
   のです。

  相手にしゃべらせる

   営業側がしゃべらないということは、裏を返せば相手側がしゃべっているということ
   です。

   お客様は自身がしゃべるほどに警戒心を解き、心を開いてくれます。

   つまり営業がしゃべらないということは、相手の心のシャッターを開くための行為でも
   あるのです。

   営業は最初から仕事の話をせずに、まずは世間話から始めなさい、とよく言われます。

   いわゆる雑談をして場を和ませようという意味です。

   ここで勘違いしている人が多いのが、面白い話をすればいいと思っている傾向があり
   ます。

   営業担当者が一生懸命にネタを披露して、お客様を笑わせるのが雑談だと思って
   いないだろうか? 

   それでは効果はありません。

   営業の場面での有効な雑談とは、相手にしゃべらせることなのです。

   営業担当者はできるだけ聞き役にまわって、相手が主になって会話をするのが理想
   です。

   可笑しいときには声を出して一緒に笑い、まじめな話のときには神妙な顔で黙って
   うなずく。

   そこには営業スマイルや相手を持ち上げる感じなどありません。

   だからこそ、相手も本気で話してくれるのです。

   そうして相手の気持ちを和らげてから、徐々に仕事に関する質問、つまりヒアリングを
   していくと、本音で答えてくれやすくなるのです。

   この相手が本音で答えてくれるということが、次の商品説明に不可欠な要素になり
   ます。

  □お客さまは「商品説明」を求めていない

   さて、どうして営業はついつい「しやべり」を重視しがちなのかというと、それは商品
   説明にあります。

   かつては営業の仕事のメインと言えば、商品を説明することにありました。

   お客様の知らない情報を伝えるので、相手もきちんと聞いてくれたものです。

   ところが、インターネットの出現によって、お客様は知りたいことを何でも手軽に調べる
   ことができる世の中になりました。

   当然ながら、いままで営業担当者が説明してきたことも、すべてネット上に公開されて
   います。

   つまりお客様がすでに知っている可能性があるのです。

   知っているかどうかもわからない相手に対して、丸暗記してきた商品説明をしゃべると
   どうなるでしょう? 

   もし相手がすでに知っていたとしたら、それはとても失礼なことになります。

   そして説明を続けるにしたがって、相手はどんどん不機嫌になっていきます。

   それはそうですよね。

   自分が知っていることをわざわざ説明されたら、誰でも気分が良くありません。

   最悪は怒り出してしまいます。

   これからの商品説明は、もう憶えた知識をそのまましゃべるという従来の手法では
   通用しません。

   言い換えるなら、お客様は決して商品説明を求めてはいないのです。

   なぜならちょっと調べればわかることなのですから。

   では営業はなにをすればいいのでしょうか。

   それは、「目の前のお客様専用の説明」です。

   相手の知識と興味の度合いを知ったうえで、お客様にピッタリの説明をすることなの
   です。

   商品について詳しい人には、そもそも説明する必要もありませんし、全く知らない人
   には一から説明したほうがいいでしょう。

   このように相手に合わせて説明を変えることが重要なのです。

   ホームページに載っている情報は、不特定多数の人に対して説明するものです。

   興味がある人はそれをすでに見ている可能性があります。

   それに対して営業担当者は、目の前の相手に特化した説明をすればいいのです。

   相手に特化すればするほど、お客様はどんどん引き込まれていきます。

   自分のことをよくわかってくれる営業担当者に対して、信頼を寄せ始めます。

   そうなれば、ライバル他社よりも大きくリードすることができるのです。

   もちろんそのためには、事前のヒアリングが必須であることもわかります。

   いずれにしても、商品説明を上手にしゃべることだけを念頭に置いたトレーニングは
   無意味だといえるでしょう。

   営業はできるだけ「しゃべらない」ほうが良い結果がでるのです。

  □営業担当者の声よりも相手に響くものとは?

   私はセミナーなどで最後に伝えていることがあります。

   それは、「営業の言葉は軽い」ということです。

   都合の良いことばかり言う営業のセリフは、ほとんど信じてもらえていないと思って
   おくべきなのです。

   相手が聞いているからわかってもらえたと思ったら大間違い。

   お客様は一応聞いているように見せかけて、じつは他のことを考えていたりするの
   です。

   これは営業の言葉は鵜のみにしないという、現代人の防衛本能のようなもので
   しょう。

   営業担当者はその現実を、まずは受け入れなければなりません。

   ではどうすればいいのか?

   いままで口で伝えていたことを、別のもので伝えればいいのです。

   例えば、「この商品は耐久性に優れています」と伝えたいときは、「こちらをご覧くだ
   さい」とだけ言って、そっとデータを差し出だす。

   「これは女性に人気の商品です」と口で言う代わりに、アンケート結果を見せる。

   このように、言いたいことをグッとこらえて別のもので伝えるように心がけてみてく
   ださい。

   相手の反応が明らかに違ってくるのがわかるはずです。

   他にも、新聞記事や公共の資料など、自社で作成したものではないものも有効です。

   そのなかでもっとも効果的なのは、ずばり現物です。

   商品そのものを見せることができるのなら、それに越したことはありません。

   どんなに「手触りがいいですよ」と力説するよりも、黙って現物を触ってもらったほうが
   わかりやすいのです。

   もちろん、これは私のようなロベタな営業担当者にとっても有効でした。

   何しろしゃべらないで済むのですから。

   しゃべって伝えることが苦手な人は、同じことを何かに置き換えて考えるクセをつけ
   ましょう。

   営業という仕事は、「売れる」というゴールに向かう道筋が何通りもある職業です。

    なにもまわりの人と同じことをしなければいけないルールはありません。

   自分に一番合ったスタイルでゴールにたどり着くのがベストなのです。

   営業担当者は自分の言葉の軽さを自覚するのと同時に、何か別の伝え方がないかを
   常に考えて実行しましょう。

   自分の言葉で伝えるときは、すでに相手に信頼を与えてからです。

  □営業は、しゃべらないほうが「売れる」

   こうして考えてみると、現在の営業スタイルというのは、かつての営業像とは反対に、
   落ち着いていて誠実で頁面目なタイプが求められているというのがわかるでしょう。

   景気の良い時代には、営業の手法も進化してきましたが、不況の時代には、逆にお客
   様の対応法がより進化しているのです。

   うるさい営業をどうやって断るか? 

   “居留守”も、営業から逃れる手法として当たり前のように使われてきました。

    営業がだまそうとしているのなら、客側もウソで応戦しなければならない。

   そんなゆがんだ関係がずっと続いてきたのです。

   しかし、もうそろそろ正常なビジネスに戻したいと思いませんか?

   人を疑ったり、腹の中を探り合ったりするようなやり取りは、健全とはいえません。

   それはお客様も望んでいることなのです。

   「しゃべらない」ということ自体は、テクニックでもなんでもありません。

   相手の話をじっくりと聞き、それに基づいて適確な提案をし、資料やデータで納得して
   もらう。

   そのためには営業の不要なしゃべりをやめたほうがいい。

   営業担当者とお客様という関係ではなく、人と人とのコミュニケーションを重視した結果
   が「しゃべらない」なのです。

   そして本当に信頼できる人からのアドバイスを求めています。

   お客様にとっての信頼できる人物になる方法こそが、「しゃべらない営業の技術」なの
   です。

    これからの時代に合った営業スタイルを確立するためにも、ぜひ自社の営業体制の
   見直しをしてみてください。


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売れる営業マンの基本スキル

売れる営業マンに必要なスキル 
 

  ■営業で成果を上げるコツとは?

   営業活動の中で営業マンであれば、多かれ少なかれそう思うことがあるでしょう。

   しかし、営業のノウハウには属人的な面が多くあり、顧客特性や商品・サービスによって
   効果的な手法は異なるなど、成果を上げるコツというのは一概には言えません。

   ただし、どのような営業であっても、考えなしに、場当たり的な対応をしていても成果は
   上がらないことだけは確かです。

   営業には必ず相手がいて、その相手が購買すると決めなければ成果は生まれません。

   営業マンは、相手をよくみて、その考えを知り、商品・サービスを購買したいと思うよう
   な提案をする必要があります。

   そのために営業マンに求められるのは、

    ・予測:ニーズを予測し、商談をシミュレー
         ションする

    ・質問:ニーズや要望などを聞き出す

    ・提案:Win-Winの提案を考え、分かりや
         すく伝える

   という3つの技術が必要です。

   これらは、営業活動であれば顧客特性や商品
   ・サービスを問わず必要となるスキルですが、
   法人営業では特に重要となります。

   法人営業では、「購買決定にかかわる人が複数
   にわたることが多い」「厳密に予算が定められて
   いる」ことが一般的です。

   営業マンは、「予測」「質問」「提案」を駆使しながら、こうした要因を見極めて、商談
   を進めていくことが求められます。

   3つのスキルは、営業活動のすべての場面で必要となりますが、特に、アプローチ
   するときには「予測する」、ヒアリングするときには「質問する」、プレゼンテーション
   するときには「提案する」が重要になります。

   以降では、売れる営業マンに求められる基本的な3つのスキル「予測」「質問」「提案」
   について紹介していきます。

   ただし、ここで注意すべき点は、以下に記載したスキルの習得を営業マン個人に期待
   したり、求めるのではなく、組織(会社)としての営業の仕組み(標準化されたトーク、
   ツール)を作成し、全員が活用することです。

   そうすることで、売れる営業マン同様に、そうでない営業マンも同程度の品質を保つこと
   が可能となります。

  □予測する

   1.予測とは

     予測するとは、顧客のニーズをあらかじめ予測し、「どのような商品・サービスを
     いくらで提案するか」という商談のゴールを事前に想定するスキルです。

     また、商談ごとに、「今回の商談の目的」「今回の商談で示される顧客のネガティブ
     な反応」などを事前にシミュレーションしておくことも予測力に含まれます。

     商談ごとに得た新たな情報を加味し、必要であれば想定したゴールを見直すことも
     大切です。

   2.事前の情報収集

     営業活動では、「とりあえずこの商品で売り込みを行ってみる」という、商品ありき
     の方法では計画的に成果を上げることはできません。

     あらかじめ、「顧客のニーズは何か?」ということを予測し、「顧客のニーズを満た
     すためにどのような自社の商品・サービスを提案するか?」ということを想定しな
     がら、商談を進めていかなければなりません。

     もちろん、相手に詳細な話を聞く前のアプローチ段階では正確なニーズを知るこ
     とはできません。

     ですから、アプローチ段階では、さまざまな情報源を利用して関連情報を収集した
     上で、過去の経験などを基に、顧客が持っているであろうニーズを、自分なりに予
     測する必要があります。

     また、アプローチ段階では難しいかもしれませんが、現在利用している競合製品
     (商品)やその利用状況、あるいは競合他社との商談状況についても情報収集し
     ておくとよいでしょう。

     現在利用している競合商品やその利用状況が分かれば、顧客が解決したいと考
     えている課題を知るためのヒントが見つかるかもしれません。

     また、競合他社が営業を行っている商品・サービスが分かればそこから顧客のニ
     ーズを推察し、自社のどの商品・サービスが訴求力があるかを予測する上で参考
     になります。

     こうした情報は自社内の上司や同僚などから情報収集したり、可能であれば顧客
     に聞いてみることも必要です。

   3.ロープレ(商談のシミュレーション)

     商談の前には、商談の流れをシミュレーションしておくことが大切です。

     その際のポイントは2点あります。

     (1)商談ごとの目的を設定する

       商談の前には、「今回の商談の目的」を決めておかなければなりません。

       例えば、「顧客のニーズを聞き、次回の自社の商品・サービスを提案するため
       のアポイントをもらう」「自社の商品・サービスの提案内容の評価を聞き、相
       手が不満に思っている点を明らかにして再提案する機会をもらう」といったよう
       にです。

       目的が決まったら、商談の流れを具体的にシミュレーションしていきます。

       シミュレーションするときには、「相手が知りたいと思うことは何か」を考えな
       がら進めることが大切です。

       また、シミュレーションすることで、「相手に確認しなければならない点」「伝
       えなければならない点」を想定することができます。

       こうした点は、抜けや漏れがないようにリストアップしておきます。

       なお、実際の商談の場でも、商談の目的を最初に明らかにし、相手と商談の目
       的を共有しておくことで、商談をスムーズに進めることができます。

       例えば、「今日は前回のご提案内容について、ご不明な点や改善すべき点を
       お伺いし、その上で、改めて次回、ご提案のスケジュールを詰めさせていただ
       きたいと思っています」といった形で、最初に話しておきます。

     (2)相手の「ネガティブな反応」を予測

       商談の流れをシミュレーションしていると、「これについて
       聞かれたらどうしよう?」という、顧客に対して説明しにく
       い質問、自分の権限では答えられない質問などが出てく 
       るものです。

       そうした点については事前に対応方法を検討しておかな
       ければなりません。

       また、商談の締めにさしかかっているなど商談の段階に
       よっては、特に大切なのが、相手が示すかもしれない
       「ネガティブな反応」を予測しておくことです。

       ネガティブな反応とは、不満・不安・心配などのことで、
       「それほどメリットがあると思えない」「活用シーンがピン
       と来ない」「価格が高い」といった例が挙げられます。

       商談の締めの段階でこうしたネガティブな反応を示してくれるとすれば、それは
       相手が本気で購買を検討してくれている可能性が高いとも考えられます。

       事前に対応を決めておくことで、成約に結びつきやすくなるかもしれません。

       ネガティブな反応を予測するには、営業経験豊富な上司や同僚を相手にロー
       ルプレイングをすると効果的です。

       実際の商談では、自分では考え付かないようなネガティブな反応を相手が示す
       ことがありますが、営業経験豊富な上司や同僚を相手役にロールプレイングを
       行うことによって、こうした点に対する準備不足を補うことができます。

       なお、ロールプレイングの相手役には、過去の経験を踏まえてできるだけ意地
       悪な顧客になってもらうと、よりきめの細かい準備をすることができます。
   
  □無意識の要因

   お客様から受け入れられる要素のうち95%が無意識の要因だといわれています。

   つまり、営業マンを好きだ、嫌いだ、信用できる、信用できない、のどれかを選んで
   いるのです。

   たった30秒で人の中身を知ることはできないはずですが、ただ、あの営業マンは嫌い
   だ、と無意識に判断しているのです。

   お客様から受け入れられるための条件として、以下のことを理解しておくといいで
   しょう。

   セールスにおいて、ほとんどの営業マンがお客様を説得しようとします。

   説得ではなく『質問する』です。

   売れる営業マンはそうでない営業マンの3倍質問をします。   

   多弁すぎる営業マンがいますが、お客様はあなたの商品やサービスについてすべて
   聞く必要はないんです。

   営業マンは皆、あまりにも自分たちの仕事に熱心で、お客様の気持ちを読むという
   ことを忘れて、どんどん売り込みモードに入ってしまうのです。

   そして、お客様をうんざりさせてしまいます。

   人は、自身のために行動するのですから、あなたが話すこと、あなたが伝えることは
   全て、彼らの立場に立って表現され、まとめられなければなりません。

   あなたは自身のセールスにおいて以下のことに気付いているでしょうか。
 
   ○理由について

    あなたは、お客様になぜこれを買うといいか、理由を言っていますか?

    ただ話し続けただけではないでしょうか。

    お客様にとって必要であること、欲しいものであること、買う理由を言っていなかっ
    たのです。

   ○金額について

    お客様が否定の言葉として、「高すぎる」と言うとき、そのうちの60%以上は本当
    にそう思ってはいないということです。

    そう言ったほうが、あなたとの話を早く終わらせられると知っているのです。

    この台詞を聞く場合、二つのことが起きています。

    お客様があなたに嘘をついているか、あなたがプレゼンテーションに失敗したか
    の、どちらかです。

   ○共通性について
    人は自分と共通する点があると親近感を覚えます。

    私達は自分とつながりのある人や、どこか似ていると感じる人を受け入れたいも
    のです。

    それはその人の意見であったり、ライフスタイルであったり、バックグラウンドであ
    ったりします。

    あなたが良く見えれば、それだけ信頼でき、賢い人だと思われ、お客様は自動的
    にあなたをより良い人だと思うのです。


    他国の例ですが、裁判所においても、醜い囚人のほうがきれいな囚人より、長い
    刑を言い渡されるそうです。

    10%:90%のルールでは、お客様に好かれていなかったら10%のチャンスしか
    なく、好かれていれば受け入れられるチャンスは90%です。

    以上のことをまとめると、問題はコミュニケーションに関するもので、その基本は
    「聞く」ということなのです。

    私達は自分達が聞きたいものだけを聞いたり、やりたいことだけやったりしています。

    その結果営業においても、本当に「聞く」ということを知りません。

    あなたは「言いたいことを言う」のではなく、お客様が「聞きたいことを言う」ので
    す。

    「聞きたいことを言う」、言い換えるなら、『質問する』と言っていいでしょう。

    セールストークはテクニックではありません。

    『的確な質問をし、聞く』が重要なのです。
   
  □質問する

   1.質問とは

     質問とは、商談を進める上で必要な情報を相手から聞き出すスキルです。

     法人営業では「ニーズ」「予算」「意思決定者の意向」「時期」「提供方法」など聞
     かなければならない事項や、聞いておいたほうが、より効果的に商談を進めること
     ができる事項があります。

     しかし、商談の進ちょく状況や顧客との信頼関係の深さなどにもよりますが、一
     般的にニーズや予算、意思決定者の意向は簡単に教えてくれるものではありません。

     そのため、質問に工夫をしながら、聞き出していかなければなりません。

   2.顧客からニーズを聞き出す

     言うまでもなく、営業に当たって顧客のニーズをつかむことは不可欠ですが、顧
     客のニーズを聞くことは簡単なことではありません。

     ニーズが知りたいからといって、唐突に「御社のニーズは何ですか?」と聞いて、
     相手が率直に答えてくれることはほとんどありません。 

     また、漠然とした問題意識を持ってはいるものの、相手自身が解決すべき課題な
     ど、真のニーズに気がついていないことも少なくありません。

     こうした相手に対して「ニーズを教えてください」と聞いても、「そんな大ざっぱ
     な質問をされてもどう答えていいか分からない」と相手を困らせてしまうだけです。

     そこで、ニーズを聞き出すためには、情報収集した客観的事実を交えながら、相
     手が答えやすいように、より具体的な質問をするということがポイントになります。

   3.相手から「予算」や「意思決定者の意向」を聞き出す

     法人の場合、厳格に予算が定められており、その予算内でなければ、どれほどよ
     い商品・サービスであっても購入してもらうことは容易ではありません。

     また、購入に関する意思決定には複数の人が関与することが一般的であり、相
     手の判断だけで購入を決定することはほとんどありません。

     そのため、営業マンとしては「予算はいくらか?」「意思決定にかかわっている人は
     誰で、その人はどのような意向か?」などの点はぜひとも知っておきたい情報です。

     とはいえ、予算も意思決定者も顧客内部の情報であり、なかなか答えてもらえま
     せん。

     そこで大切になるのは、明確に答えてもらえなかったとしても、相手の答えから推
     測できるような質問を試してみることです。

     (1)予算についての質問

       上記と矛盾しますが、予算については、はっきりと「予算はどのくらいです
       か?」と聞いてしまうのも一策です。

       相手が本気で購買を検討している場合などは、予算を明確に答えてくれること
       があるからです。

       また、予算を聞くことによって、顧客の立場に立った提案をしようとしていると
       いうことを知ってもらうこともできるでしょう。

       予算について推測できるような質問としては、次のような例が考えられます。

       【例1】

         「以前、このサービスをおおよそ○万円ほどで販売したことがありま
         す・
    
         率直に言って、この金額は高いと思いますか、安いと思いますか?」

       高いか安いかを、「思いますか?」という言い方をしているので、明確な金額を
       聞かれるよりは相手が答えやすくなります。

       この質問に答えるとき、相手は、これまで見聞きしたことのある金額や、「こ
       のくらいだったら予算内でなんとかなる」という金額など、ある程度具体的
       な数字を思い浮かべながら答えるはずです。

       そのため、相手が高いと答えた場合には予算を上回っている恐れがあり、安
       いと答えた場合には予算を下回っていると推測することができます。

       また、相手と比較的ざっくばらんに話ができるようであれば、相手と自分とが分
       かる共通のものの金額に置き換えて質問してみるのもよいかもしれません。

       例えば、金額を「おおよそ○万円」ではなく、「△△様(相手)が以前購入され
       たいと言っていた国産自動車を新車で購入したくらい」と言い換えるなどの
       方法が考えられます。

       【例2】

       「金額は次回ご提示させていただきますが、御社に最適な商品・サービス
       です
と、おおよそ△万円くらいかと考えておりますが、予算的にい かがで
       すか。もし、厳しいようでしたら、予算の範囲内でご提供できるような商品
       ・サービスを検討してきます」

       相手が「別にそれくらいで大丈夫」と答えた場合には、「△万円は予算内に収ま
       っているのだろう」、あるいは「改めて予算に計上するつもりがない、つまり、
       購買意欲は高くない」と、2通りに推測することができます。

       一方、相手が「少し見直してほしい」と答えた場合には、「△万円は予算を
       少し上回っているか、ギリギリ予算内くらいなのだろう」ということと同時に、
       「購買を本気で検討してくれている」と推測することもできます。

     (2)意思決定者の意向

       一般的に、法人営業では、直接話をする相手が最終的な購買決定権を持っている
       ことはまれで、最終的な意思決定者は、相手よりも役職が上の部門長などです。

       また、最終的な意思決定者は相手の部門長であっても、その部門長は、実
       際のユーザー、費用について決裁権のある部門、品質について決裁権の
       ある部門の了承を得て決めるといったように、多数の部門や、相手が意思決
       定に関与することも少なくありません。

       営業マンは、なるべく早い段階で、意思決定者か、意思決定者に対して「意思
       決定者が意見を重んじる人」と接点を持ち、意思決定者の意向を知ること
       も必要です。

       しかし、相手からすると、「自分が責任を持って担当している業務である」と
       いう意識があるため、商談の最終段階など重要な場面以外は、営業担当者と
       意思決定者などが直接会う機会を設ける必要性は感じていないのが一般的です。

       そのため、営業マンが意思決定者に直接会うことは容易ではありません。

       そうした場合は、意思決定者や「意思決定者が意見を重んじる人」、それらの
       人の持つ意向を推測できるような質問をしてみます。

       例えば、次のような質問が考えられます。

       【例1】

        「△△様(相手)が導入の最終決定をされる方にこのサービスをご説明さ
       れる
ときに資料が必要でしたら、弊社で準備させていただきます。どのよ
       うな資料が必要ですか?」

       他社商品・サービスとの比較、過去の販売実績、機能詳細、費用の詳細な内
       訳など、相手が必要な資料を具体的に答えてくれれば、意思決定者が何を考
       慮して意思決定するのかといったことを推測することができます。

       【例2】

       「導入の最終決定をされる方に、この商品・サービスをご説明されるとき、
       △
△様がご説明しにくい点や、もう少し詳しい情報が必要と思われる点は
       ありま
せんか?」

       こうした質問に対する相手の答えは、裏を返せば、「意思決定者に対してしっ
       かりと説明する必要があると相手が考えている点」です。

       そこから意思決定者が意思決定に際してどのようなことが知りたいかを推測す
       ることができます。

       相手との関係性が良好で比較的話がしやすいのであれば、直接的に「導入
       の最終決定をされる方にこの商品・サービスをご説明されるとき、ポイントとな
       る点はどこでしょうか?」と聞いて、意思決定者の意向を明らかにしてもよいで
       しょう。

  □提案する

   1.提案とは

     提案とは、顧客と自社、双方にメリットのある提案内容を考え、それを分かりやす
     く相手に伝えるスキルです。

     商品・サービスの機能や価格などを説明するだけではなく、顧客視点に立った顧
     客のメリット(価値)も含め、「どのような提案内容であれば顧客と自社の双方にメ
     リットがあるか」を考え、「どのように伝えれば分かりやすいか」を工夫することが
     求められます。

   2.Win-Winの提案内容

     提案内容は、「『予測する』で予測し、『質問する』で明らかにした顧客のニーズを
     満たす商品・サービス」である必要があります。

     また、法人営業の場合、「質問する」の項でも紹介した通り、予算や意思決定者の
     意向などを踏まえたものでなければなりません。

     このように、提案内容は、顧客の視点に立って考えることが大前提です。

     しかし、顧客の視点にだけ立てばよいということではなく、提案内容は、自社にと
     ってのメリットについても考えなければなりません。

     例えば、コスト面で自社が赤字になるような無理のある提案内容では、いくら顧客
     にとってよい提案であっても実現する可能性はありません。

     そこで考えるのは、顧客と自社の双方にメリットのあるWin-Winの提案内容です。

     提案内容の検討は、まずは顧客に焦点を当てて検討し、その後に自社の視点を
     加えて検討すると整理しやすいでしょう。

     顧客の視点からは、「ニーズ」「予算や意思決定者の意向」「スケジュールや提供
     方法など顧客の要望」などを検討する必要があります。

     また、自社の視点からは「利益」「将来性」「企業活動への影響力」などを検討しな
     ければなりません。

     顧客の視点、自社の視点のすべてを満すことができれば理想的ですが、そうでな
     ければ、今回の商談で優先すべき点は何かを考えてみるとよいでしょう。

     そのほか、その顧客に対して自社にとっての競合他社が存在する場合には、競
     合他社に対して品質や価格などの面から優位性があるかも考えなければなりま
     せん。

   3.分かりやすく伝える

     「自社の商品・サービスを活用することで顧客のニーズを満たすことができる」と
     いうことを相手に伝え、それを相手が納得して初めて成約に結びつきます。

     営業マンは、相手がそうした点を正しく理解できるよう、分かりやすく伝えなければ
     なりません。

     提案内容を伝えるときには、最初に、商品・サービスを活用することで期待できる
     効果を明示します。

     そうすることで相手は自社のニーズを再確認できると同時に、提案内容の方向性
     を理解しやすくなります。

     その上で、提案内容の詳細などを伝えていくことになります。

     その際には、以下の2点に注意します。

     (1)具体的に話す

       抽象的な説明よりも、具体性のある話のほうが理解しやすく、印象にも残りや
       すいものですし、相手が意思決定者をはじめとした他の人にも伝えやすくなり
       ます。

       例えば、  
       「大幅なコストダウンが見込めます」といった説明よりも、「現在よりも約○%
       ものコストダウン効果が期待できます」と、おおよそでもよいので数字を使っ
       たほうが分かりやすいでしょう。

       また、他社の成功事例も相手にとっては分かりやすく、実績のある提案内容と
       して信頼性のあるものとして受け止めてくれるでしょう。

     (2)相手と歩調を合わせる

       相手にうまく伝わっていない、相手が疑問に思うといった点は、相手が話
       を理解する上で阻害要因になります。

       話のポイントごとに相手に伝わっているか(理解しているか)を確認し、うまく
       伝わっていない、あるいは疑問に思う部分があるようであれば、それを取り
       除きながら話を進めるように心掛けます。

       また、説明などに際して、見落としがちなのが使用する用語です。自社の商品
       ・サービスに関する説明が中心となるため、つい自社内でしか通じない用語や
       難解な専門用語を使ってしまいがちです。

       こうした用語は相手の理解を妨げる要因となるので、平易な用語にしたり、相手が
       使用している用語に置き換えたりする必要があります。

     上記のような方法で提案内容を相手に分かりやすく伝え、理解してもらった上で、
     最終的に「いかがでしょうか?」と提案内容の検討結果を聞きます。

     このとき、相手から「予測」の項で紹介したネガティブな反応(不満・不安・心配
     など)が返ってくることがあります。

     ニーズを十分に満たしていない、あるいは予算、意思決定者の意向、時期や提供方法
     などの要望に十分に応えられていないのかもしれません。

     もう一度「質問」を使って、相手がネガティブな反応を示した理由を聞き、場合に
     よっては提案内容を調整するなどして再度提案することになります。

     このように、提案内容を伝えることとニーズを聞き出すことを、必要に応じて繰り返
     しながらゴールを目指して進めていきます。

     商談を前に進めていくのも提案のうちです。

  □営業マンに求められる能力

   ここまで、法人営業において営業マンに求められる3つの基本的なスキル「予測」「質問」
   「提案」を紹介してきましたが、これらはあくまでも“基本的なスキル”でしかありま
   せん。

   売れる営業マンとなるためには、その他にも、例えば相手との距離感を縮め、信頼関
   係を築くためにコミュニケーションを図る「会話」や、要所要所で適切な判断をする
   「判断」なども大切です。

   営業は営業マンの持つ「総合力」が試される業務なのです。

   営業の現場では、最終的な購買決定の判断は相手が下します。

   そのため、時にはあなたがどれほど努力したと思っていても成果が上がらないことも
   あります。

   しかし、そこで「自分は営業に向いていない」と心が折れてしまわないことです。

   成果が上がらなかった理由を組織(組織営業)で考え、仮にあなたの商談プロセス
   改善点が見つかったなら、それを改善して次のチャンスに生かすことが大切です。

   そうした意味では、日々、チームで知識と思考の幅を広げて自身を成長させ、たとえ成果
   が上がらなかったとしても、次の営業機会につなげようとする、継続力こそが、売れる
   営業マンに求められる何よりも重要なスキルといえるでしょう。

   ですから、最初に述べたように、これらの総合的なスキルを営業マン個人に求める
   のではなく、組織として仕組みをつくることが求められます。 

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