「上司の思い・部下の思い」お互いを知る

各々、個性の違う人(=部下)を育成するための方法には、「正解」はありません。

そのため、上司の立場になると、「今の育成方法が部下にとって最良なのか」「部下に適したほかの育成
方法があるのではないか」など、部下に関する悩みが尽きないものです。

しかし、どのような時でも、忘れてはならないことがあります。

それは、部下のことを思い、成長を信じ続けることです。

そうした気持ちは、必ず部下に伝わり、部下の育成においてもよい効果をもたらすはずです。

上司が悩んでいるように、部下も悩んでいるのです。

上司と部下のコミュニケーションがますます重要となります。

以下のことを参考にお互いが理解し合う場づくりをつくっていきましょう。

■部下に対する上司の思い

 1.上司と部下にはギャップがある

  入社年次の浅い若手社員は、日々上司から指導や指示を受けながら仕事を行っています。

  こうした日常の中で、「上司の考えていることがよく分からない」「上司は自分を理解してくれない」
  などと感じ、不満を抱いている人もいるのではないでしょうか。

  部下である若手社員(以下「部下」)が上司に対して抱く不満として多いのは、以下のような、仕事の
  進め方に関するものでしょう。

   ・簡単な仕事しか任せてもらえない

   ・説明が長い(くどい)

   ・仕事の進め方を細かに聞かれる

   ・具体的な指示がない

  上司に対してこうした不満を抱くようになるのは、上司が部下に対して理解がないためかというと、
  そうではありません。

  上司は、部下が思っている以上に部下のことをよく見て理解しているものです。

  それなのに部下からこうした不満が出てくるのは、上司と部下との間に考え方のギャップがあるから
  です。

  部下は多くの場合、自分の仕事のことを考えていれば済みます。

  自分の所属する部署や会社全体のことを考える機会は少なく、そもそもそうしたことを考えるほどの
  情報も持っていない場合がほとんどです。

  一方、上司は自分のことだけを考えているわけにはいきません。

  会社の方針に従い、部署や会社全体の業績を常に考えています。

  また、短期的な業績だけではなく、中長期的な視点を持ち、人材の育成などにも取り組まなければなり
  ません。

  このように、上司と部下では、考える内容や考えるための材料(情報)が根本的に異なっています。

  そのため、上司と部下の間にギャップが生じ、部下としては「上司の考えていることが分からない」と
  感じるようになるのです。

 2.部下は上司の考え方を知ろう

  (1)上司は部下に期待している

   上司は、基本的に「部下に成長してほしい」と考えており、そのために日々さまざまなことを考え、
   実践しているのです。

   部下が不満に感じるような上司の言動も、裏を返せば、上司が部下に対してどのような思いを抱いて
   いるかを表しているのです。

   部下は、上司の言動から、自分がどんなことを期待されているのか考えてみるようにしましょう。

  (2)リーダーシップ論の例: SL理論 (出典:ウィキペディア)

   リーダーシップに関する研究は数多くありますが、ここでは、経営学者のハーシーとブランチャード 
   が提唱したリーダーシップ理論である「SL理論: Situational Leadership理論(状況適応理論)」を
   紹介します。

   SL理論によると、リーダーは、仕事に対する部下の成熟度(以下「成熟度」)に応じて、その接し方
   を変えるべきであるとされます。

   具体的には、成熟度が低い部下に対しては具体的な指示を与え、成熟度が高い部下に対しては積極的
   に権限を委譲するとされます。

   これは、成熟度が低い部下は具体的な指示で導き、成熟度が高い部下は権限委譲により自主性や対応
   力を育てるということです。

   以降では、このSL理論を基に、冒頭で挙げたような部下の不満(簡単な仕事しか任せてもらえない、
   など)の背景にある上司の考えを見ていきます。

 3.上司はこんなことを考えている

  (1)簡単な仕事しか任せてもらえない

   【部下の不満】

    部下はいろいろな仕事をしたいと思っているのに、実際に任されるのは簡単な仕事ばかりという
    ことがあります。

    また、任された仕事についてもスケジュールや仕事の進め方など、事細かに指示されることが
    あります。

    こうしたとき、部下としては、

     「自分はもっと難しい仕事に挑戦したい」

     「結局自分は信用されていないのか」

    などと思うかもしれません。

   【上司はこう考えている】

    上司は、「部下は基礎を固める段階にある」と考え、

     教示型リーダーシップ

    を実践しています。

    まずは簡単な仕事を通じて、仕事の基礎を学ばせたり、流れを把握させたりしようとしています。

    どれほど立派な家も基礎がしっかりしていなければ安定しないように、人間も基礎が固まって
    いない状態では十分な仕事ができないからです。

   【部下はこう行動しよう】

    「簡単な仕事だから」と、仕事を軽く見たり、指示を聞き流したりしてはいませんか。

    教示型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下は、やみくもに仕事の範囲を広げようと
    せず、まずは与えられた仕事をきちんとこなして、仕事の基礎を固めましょう。

    与えられた仕事をミスなくこなせるようになれば、次第に上司からより難易度の高い仕事を任され
    るようになります。

   【部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス】

    教示型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、与え
    られた仕事をミスなくこなせるようになることが大事です。

    そのためには、次のようなことを実践してみましょう。

     ・上司の指示はしっかりとメモを取りましょう

     ・最後に指示の内容を確認し、ヌケモレがないようにしましょう

  (2)説明が長い(くどい)

   【部下の不満】

    部下が仕事を与えられた際に、仕事に関する指示だけでなく、「その指示の意味は何か」「その
    仕事にどのような意味があるのか」といったことを併せて説明を受けることがあります。

    こうしたとき、部下としては、

     「そんな話を聞くよりも早く仕事に取りかかりたい」

    などと思うかもしれません。

   【上司はこう考えている】

    上司は、部下の成長を感じ、徐々に仕事の難易度を上げていこうと考え、

     説得型リーダーシップ

    を実践しています。

    また、ただ上司の指示通りに仕事を進めるだけでなく、仕事の意味を理解し、重要なポイントや
    注意すべきポイントを意識しながら仕事を進められるようになってほしいと考えています。

    そのために、時として「くどい」と感じられるほどの説明を行い、部下に理解してもらいたいと
    思っています。

   【部下はこう行動しよう】

    説得型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下は、上司が話す内容をしっかりと理解
    し、「なぜそうするのか」を考えるようにしましょう。

    上司の指示の意味をきちんと理解すれば、その仕事だけでなく、ほかの仕事にも応用できるように
    なります。

   【部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス】

    説得型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、上司の
    考えをどんどん吸収し、自分なりに応用できるようになることが大事です。

    そのためには、次のようなことを実践してみましょう。

     ・上司の話で理解できない点は、質問して意味を確認しましょう

     ・上司の話がほかの仕事でも当てはまらないか考えてみましょう

  (3)仕事の進め方を細かに聞かれる

   【部下の不満】

    「この仕事はどうやって進めていく予定だい?」「この点についてはどう考えている?」などと、
    仕事に取りかかる前や、取りかかってからも事あるごとに上司から質問をされることがあります。

    また、質問に答えたらさらに質問を重ねられたり、「その点について僕はこう考えるんだけど」
    などと上司が意見を言い、結局上司の言う方法を取らざるを得なくなることがあります。

    こうしたとき、部下としては、「一度自分に任せた仕事なのだから、自分の好きなようにやらせて
    ほしい」などと思うかもしれません。

   【上司はこう考えている】

    上司は、部下の成長をより強く感じ、「そろそろ部下に仕事を任せたい」と考え、

     参加型リーダーシップ

    を実践しています。

    そのために、質問を通じて部下の仕事に対する理解度や考え方を確認するとともに、部下と話し
    合ったり、不足があればアドバイスを与えたりしながら、部下に適切な意思決定のプロセスを
    学ばせようとしています。

   【部下はこう行動しよう】

    「細かく聞かれて面倒だ」と、あいまいな受け答えをしていませんか。

    上司からいろいろと聞かれるのは、次のステップへ進むための試験のようなものです。

    参加型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下は、上司から質問されるのはチャンスと
    考えて自分の考えをどんどん上司に聞いてもらいましょう。そして、自分では気付けなかった点
    などを上司に指摘してもらい、その考え方を学んでいきましょう。

   【部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス】

    参加型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、自分の
    考えやなぜそう考えたかという理由を上司に聞いてもらい、上司からのフィードバックを受けなが
    ら、それを高めていくことが大事です。

    そのためには、次のようなことを実践してみましょう。

     ・上司から質問されそうなことを、事前に想定しておきましょう

     ・質問がなかったとしても、仕事の意味を常に考えながら進めましょう

  (4)具体的な指示がない

   【部下の不満】

    ここまでは上司の干渉に対しての不満を挙げてきましたが、逆に上司が干渉してこないことに
    対して不満を抱く部下もいるでしょう。

    こうしたとき、部下としては、

     「この進め方で合っているのか不安」
     「これでは仕事の丸投げではないか」

    などと思うかもしれません。


   【上司はこう考えている】

    上司は、与えた仕事について「部下は自分で考えてこなせるレベルにある」、もしくは「その
    レベルになってほしい」と考え、

     委任型リーダーシップ

    を実践しています。

    そのため指示は最小限にとどめ、部下の仕事ぶりを見守っています。

   【部下はこう行動しよう】

    「どうすればよいでしょうか?」と、上司にすぐに尋ねていませんか。

    委任型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下は、自分で考える習慣をつけましょう。

    自分らしさを発揮するチャンスです。

    もちろん、スケジュールなどすぐに確認すべき事項はありますが、必要なことだけ確認したら、
    まずは自分で方法を考えた上で上司に相談するようにしましょう。

   【部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス】

    委任型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、任され
    た仕事についてただこなすだけでなく、分からないところはあやふやにせず上司に相談・確認
    する、要所要所で状況報告を行うなど、上司が安心して見ていられるようにすることが大事です。

    そのためには、次のようなことを実践してみましょう。

     ・指示がないからこそ、自分から積極的に「報・連・相」を心がけましょう

     ・「報・連・相」の際は、5W2H(注)を意識してヌケモレをなくしましょう

    (注)5W2Hとは、When(いつ)、 Where(どこで)、Who(Whom)(誰が)、 What(何を)、Why(なぜ)、
        How(どうやって)、 How  much(How  many)(いくら)を表し、情報を
整理する際に使われる切り口です。

 4.自分を知り、やるべきことを理解しよう

  ここまで、部下が上司に不満を抱くパターンを取り上げ、SL理論に基づいて上司の言動の裏にある
  考え方を見てきました。

  もちろん、ここで示したのはあくまで一例です。

  人それぞれ置かれている状況が違うので、同じような言動でもその背景にある意図が異なることは
  あります。

  しかし、変わらないことはあります。

  それは、上司が、

   ・部署や会社の業績を上げること

   ・部下を育成すること

  を常に考えているということです。

  上司は部下をよく見ていて、それぞれのビジネスレベルをある程度は把握しています。

  その上で、各自のビジネスレベルと仕事のバランスを考慮して、業績を上げるためにその時々で最も
  効果的な仕事の割り振りを行おうとしています。

  そして、部下に仕事を割り振る際には、部下のビジネスレベルに合わせて指示の出し方を変えるなど、
  仕事が円滑に進むように腐心しています。

  こうした上司の言動を読み取ることで、部下は現在の自分のビジネスレベルを推し量ることが
  できます。

  そして、自分のビジネスレベルが分かれば、「今自分がやるべきこと」が見えてきます。

  「早く成長したい」と焦って、難しい仕事に挑戦しようと思うこともあるかもしれませんが、自分の
  ビジネスレベルを大きく超えるような仕事にやみくもに手を出すことが成長することではありません。

  まずは自分の現状を知ることが成長の近道です。

  上司の言動にただ不満を唱えるのではなく、その背景にあるものをきちんと考え、自分の成長に結び
  つけていきましょう。

 5.自分からアピールして成長を加速させよう

  部下は、上司の言動から自分のビジネスレベルを知り、そのビジネスレベルに合った取り組みをする
  べきであることは、ここまで見てきた通りです。

  そうすれば、一歩ずつ確実に成長していくことができるでしょう。

  ただし、上司が把握しているのは、あくまで普段の仕事を通じた部下のレベルです。

  それ以外の場面で部下が努力し、学んでいることまでは上司も把握し切れない面があります。

  そのため、部下が自分から成長をアピールすることもあってもよいでしょう。

  例えば、「先日セミナーでこのような話を聞いたのですが…」など、自分が学んできた内容やそこで
  得た情報を上司との会話の中で披露する、もしくはもっと直接に今読んでいる本を机の上などに置いて
  おくのもよいかもしれません。

  このように、部下が「自分を高めるために努力している」ことをアピールすれば、上司が部下を見る
  目にもその点がプラスされます。

  「彼はこんなことを学んでいたな。では、これも分かっているだろうか。ちょっとやらせてみよう」
  と、

  今までよりも少し難しい要求をしてみようと思うわけです。

  こうして出された一段高い要求をこなすことで、部下の成長が加速していきます。

  もちろん、アピールするからには、部下は相応の力をつけていなければなりません。

  上司から出された要求をクリアできない、ということが続けば、上司に「学ぶ姿勢はあるが、学んだ
  内容を仕事に生かせていない」というイメージを抱かせることになってしまいます。

  自分を高めるべく努力することは大事ですし、その姿勢は評価されるものですが、せっかく努力しても
  それを身につけることができなければ意味がありません。

  これでは、上司から見れば、何もしていないのも同然です。

  その点を意識した上で、努力が実になったと自分で感じられれば、その努力をさりげなくアピールして
  みましょう。

部下を成長させる上司

部下を成長させる上司

■部下育成は上司の仕事
 上司には、部下を一人前のビジネスパーソンに育て上げるという重要な仕事があります。
 しかし、部下と真剣に向き合えば向き合うほど、「部下とうまくコミュニケーションが取
 れない」と悩みます。

 「何で分かってくれないんだ」と投げ出してしまいたくもなるでしょう。
 しかし、諦めてはいけません。
 分かってくれるまで根気強く伝え続けることも、部下指導では大切です。
 ここでは、上司の立場から見た部下育成のポイントを紹介します。

□上司の指示が伝わらない理由
 部下指導がうまくいかない理由の
1 つに、上司の指示が意図通りに部下に伝わらず、
 擦れ違いや誤解が生じていることがあります。
 それらをなくすためには、上司と部下が相手の立場を十分に考慮して伝える必要があります。

 しかし、知識や経験が不足している部下は、上司のレベルに合わせることができません。
 そこで、上司のほうが部下に合わせるようにし、部下の「就業意識」「理解力」「集中力」
 「記憶力」などに応じた指導を行うようにします。

□上司の力量が問われるゲーム
 1.伝えることはこんなにも難しい
  上司と部下が、「相手に伝えて、理解してもらうこと」の難しさを体感できるゲームが
  あるので、一度やってみましょう。
  まず、上司と部下がペアになります。

  そして、上司だけが図表
1 を見て、言葉だけで図の形状を部下に伝えます。
  部下が図表
1 と同じ図を描ければ成功です。
  制限時間は
3 分程度とするのが一般的です。

  制限時間がきたら、上司が持っている紙と部下が持っている紙を交換します。
  上司も部下も、自分の予想と大きく異なる図に驚く ことでしょう。
  このゲームは、セミナーでもよく行われます。
  囲の複雑さにもよりますが、成功するのは
10 組に 1 組くらいです。

 2.ポイントは上司が「適切」に伝えること
  多くの上司は、細かく、正確かつ丁寧に伝えることが「適切」だと思っていますが、
  これだけでは不十分です。
  大切なのは、部下の状況を把握し、部下が求める内容を、部下のレベルに合わせて、
  部下が求める順番で伝えることです。

  上司は丁寧に伝えたことで満足し、部下は分かってくれたと勘違いします。
  しかし、上司の指示が部下の求めている内容でなかったり、部下にとってレベルが
  高過ぎる内容であれば部下は理解することができず、ほとんど聞き流される状態です。

 3.「上司が部下に合わせて指導する」ことの意義
  部下指導に成功している優秀な上司は、「伝えることの難しさを知るゲーム」が得意です。
  それは「実物を見てる自分には単純な図でも、それを言葉だけで理解しなければならない
  部下にとってはとても複雑な図である」ことを理解しているからです。

  優秀な上司は伝える情報を自分勝手に決めず、部下が図を描くことのサポーター役に
  徹します。

  ゲームが進んでいくと、部下が求める情報は「図の全体イメージを確認したい」「図を
  構成するパーツの数が知りたい」「四角と星印の重なり具合を知りたい」「もう一度、
  図の全休イメージを確認したい」といったように変化します。

  これに合わせ、必要に応じて上司のほうからも部下に質問しながら、部下の求める情
報を
  伝えます。
  これが、部下が求める情報を部下のレベルに合わせて、部下が求める 順番で伝えると
  いうことです。

  これができれば、上司の指示は、それまでよりもはるかに正確に部下に伝わります。
  部下は、上司が自分が知りたいことを自分のレベルに合わせて説明してくれていることに
  感謝し、期待に応えようとします。
  上司が絶好球を投げれば、部下は力いっぱい打ち返すことができるのです。

□部下の働きが上司の成長エンジンになる
 1. 「上司けん引・部下服従型」のイメージ
  「部下のほうが上司に合わせるべきだ」と考える上司にとって、上司が部下に合わせて
  指導することに抵抗があるかもしれません。
  しかし、部下がしっかり育っていくことを考えれば、上司が部下に合わせることが得策で
  あることが分かるでしょう。

  上司と部下の関係を示すと、どのような配置になるでしょうか。
  多くの人は、上司が先頭に立ち、部下を引っ張る「上司けん引・部下服従型」をイメージ
  するでしょう。
  よくある上下関係です。

  見た目には規律が保たれています。
  しかし、上司の指示が上司の意図通りに部下に伝わっているとは限りませんし、部下は
  これからどこに進もうとしているのかもよく分かっていません。

  また、「上司けん引・部下服従型」では常に上司が前面に出ます。
  部下は「何かあったら上司が何とかしてくれるだろう」「自分は頼まれたことをした
  だけなので関係ない」
  と考えるようになり、業務に対する責任感が弱くなります。

 2.「部下自走・上司補助型」のイメージ
  上司は部下を導かなければなりませんが、その方法はけん引だけではありません。
  部下が前方で自走し、上司は後方から方向やスピードを調整する方法もあります。
  よくある上下関係の立ち位置が入れ替わったイメージです。

  今どきの上司はプレイングマネジャーとして自らも第一線で働いていますが、それは
  部下が上司の業務の一部を引き受けてくれているからであり、部下の働きがあってこそ、
  上司は快調に走り続けることができます。

  また、「部下自走・上司補助型」では、部下も業務遂行の当事者としての意識を持って
  おり、「自分のやる べきことは確実にこなす」「他の人が因っていれば率先してサポート
  する」といった姿勢が見られ、業務に対する責任感も非常に強いものになります。

  「上司が部下に合わせて指導する」ことで、「上司けん引・部下服従型」から「部下自

  ・上司補助型」に移行し、部下の成長を促すことができます。

  上司と部下である以上、上下関係が崩れることはありませんが、「上司は部下を信じて、
  業務を任せる」「部下は上司を信じて、業務を進める」といった信頼関係が生まれる
  ことで、効率的な業務遂行が実現します。

  また、上司と部下が互いにアイデアを出して工夫することで相乗効果が生まれ、プラス
  アルファの力も生まれてきます。
  部下指導で悩む上司は多くいますが、部下指導を通じて上司自身の成長エンジン、会社の
  成長エンジンを育てることにもつながります。


プロの幹部に不可欠な要素

プロの幹部に不可欠な要素

■プロの幹部に不可欠な要素
 1.人事考課
  「成果主義」という言葉が定着して久しいが、「成果主義は自社に合わない」という
  声をよく耳にします。

  その理由は、「社員のモチベーションを上げるはずが、逆にモチベーションダウンに
  つながった」「一向に業績が上がらない」「社内に不公平感が増した」などさまざまです。
  しかし、成果主義そのものが本当にダメなのだろうか?

  「成果主義は自社に合わない」と言う企業に限って、どこかの会社の制度だけをコピー
  して、自社流にカスタマイズしていないことが多い。
  自社の成長過程やトップの方針、社風など、現状を踏まえていないのです。

  また、「成果」の定義が不明確だったり、考課表そのものが適当でなかったりと、
  運用面における問題(考課者の知識不足やフィードバック面接などの不備)から目を
  背けていることが原因であったりします。

  (1)考課者のレベルアップこそ必要
   テーマは「プロの幹部に必要不可欠な要素」なので、特に考課者にスポットを当てて
   解説します。
   あるクライアントの査定会議に参加しました。

   考課表の点数をもとに、社員を「A」から「E」の5段階に分けていた時、次の
   ような話になりました。

    M部長:O君のこの評価は、少し厳しくはないでしょうか?
    コンサルタント:M部長はなぜそう思われたのですか?
    M部長:O君は頑張っていますよ。朝も早くから来ているし、声も大きいし…。

   M部長のように、考課表には書かれていない事項に対して評価し「本人も頑張って
   いるから」という理由で点数を上げてあげたいと考えるケースはよくあります。
   ほかにも、評価にムラがあったり、昔の武勇伝から「能力が高い」と位置づけられた
   ままということもあります。

   考課表はあくまでもスコアボードであり、考課表に関係のない要素を加味して点数を
   つけてはいけない。

   さらにフィードバック面談は、本来会社が社員に何を期待しているかという内容を
   伝え、部下のやる気を引き出すことが目的であるにもかかわらず、「オレは良い
   評価をしたが、ほかのメンバーが悪い評価をした」など、目的から外れた面談をして
   いるケースも多く見られます。

   これでは部下のモチベーションは上がらない。
   考課者が面談の目的をきちんと認識して、面談に臨む必要があるのです。
   M部長のように、戦ってくれる幹部ならまだ良い。

   しかし、部下をほとんど見ずに、分からない項目については5段階評価で適当に
   3をつけ、査定会議でずっと黙っている幹部もいる。
   つまり、考課者によって評価内容が大きく変わるということです。

   だから、本人よりもむしろ考課者のレベルを上げなければ、いくら良い制度を導入
   しても結果は同じなのです。

  (2)人事考課の注意点
   人事考課は人が人を評定するため、陥りやすい誤りがあります。
   正しい評定を行うには、この評定につきものの「誤差」について認識しておく
   必要があります。

    ①中心化傾向…評価格差をつけず、中心に固まる(評価に対する自信のなさ)
    ②極端化傾向…良否を大げさにとらえすぎる
    ③ハロー効果…一つの事実、評価に引っ張られて、ほかの関係ない要素まで
     同様の評価をする(観察不足、評価制度の無理解)
    ④役職偏向…役職者というだけで、とかく全体的に優れていると評価してしまう。
     肩書きだけで思い込みをしてしまう
    ⑤知識偏重…知識があれば他の能力もあると決めつけてしまう。
     知っているのと実際にできることとは別問題である
    ⑥レッテル貼り…過去の失敗や成功で、いつまでも「彼はこういう人間だ」と
     思い込んで評価してしまう
    ⑦期末効果…評価時点に近い事実を大きく見て、遠い事実を小さく見てしまう
    ⑧論理的誤差…評価者が勝手な考え方で評価してしまう(机上での評価)
    ⑨対人比較…等級の基準を無視して、評価者個人の勝手な基準で人物を評価して
     しまう(主観的な評価)
    ⑩イメージ評価…事実ではなく、うわさや経歴などをもとに評価してしまう
    ⑪評価期間の無視…評価の対象期間以外を評価に入れてしまう
    ⑫寛大化傾向…全体的に甘い評価をしてしまう(評価に対するためらい)
    ⑬厳格化傾向…全体的に辛い評価をしてしまう

  人事処遇制度とは、トップの思想そのものです。
  だからこそ、幹部は陥りやすい誤りに注意して、制度の内容を正しく理解し、評価に
  対するレベルを上げなければならない。

  部下が能力を最大限に発揮できるよう考課表を常に見直すことも必要だが、目的は
  モチベーションの向上による業績アップです。
  部下の成長イメージを具体的に示し、その方向に導いてやることが、考課者の大事な
  役割であると認識していただきたい。

□自己啓発
 1.自己投資をしよう
  あなたは、自分自身にどのくらい投資をしているだろうか?
  給与の10%を自己投資に充てるようにしてみてはいかがでしょうか。
  自己啓発の中身は人によってさまざまです。

  本を読むのも良し、資格取得の勉強をするのも良し、また海外旅行に行き視野を広げる
  のも良い。
  ただ、資格取得を目的とした自己啓発に関しては、途中で挫折してしまう人が多い。

  その理由は、「このままのペースでは試験に間に合わない、だから今年はあきらめて
  来年がんばろう」となりがちだからです。
  資格取得はあくまでも「手段」と考え、資格の勉強そのものを「目的」として、自分の
  スキル向上を目指していくという考えで取り組むべきです。

 2.時間の主導権を握れ
  企業の幹部に「自己投資しているか」と質問すると、「時間がないのでやっていない」
  と答える人が非常に多い。

  「時間がない」というのは言い訳であって、通勤時間や移動時間、就寝前の時間など、
  工夫すればいくらでもス キマ時間をつくることは可能です。
  優秀な幹部ほど、このスキマ時間の活用がうまい。人は、「睡眠」「食事」「休日」
  に費やす時間を除くと、年間約5000時間も有しているのです。

  これは、皆に公平に与えられた時間なのでする。
  だからこそプロ幹部になれるか、なれないかは、「何に時間を使ったか」で決まると
  言えるのです。
  時間に追われるのでなく、時間の主導権を握ることです。

 3.ビジョンをしっかり持っているか
  時間を有効に活用できる人は、自分のビジョンというものをしっかり持っている。
  例えば、「あなたは後悔したことがあるだろうか?」と質問してみる。恐らく、ほとんど
  の人が「はい」と答えるでしょう。

  後悔とは、現在から見た過去のことです。
  当然だが、未来に対して後悔はできない。
  過去に選択した判断の結果に対して、後悔しているのです。

  人は毎日、あるいは人生の節目において「○○大学へ行こう」「○○会社へ就職しよう」
  「今日の夕食は○○にしよう」「○○さんと結婚しよう」などと、選択と判断を繰り返して
  います。

  その時々の判断は、いくら後になって悔やんだところで変えられない。
  反省しても良いが、後悔はするだけ時間のムダ。
  変えられない過去を後悔するのではなく、未来が過去になった時に後悔しないように、
  自分は現在、どのような選択と判断をすべきかを考えることです。

  未来は変えられる。
  だから、後ろを向かずに、前を向いて行動しなければならない。
  そのためにも、なりたい自分やあるべき姿を、具体的に決めることが必要なのです。

  優秀な幹部ほど、なりたい自分像について具体的かつ鮮明なイメージを持っており、
  それに向かって果敢に挑戦している。
  しかしながら、多くの幹部は「なりたい自分」を描かずに、日々の業務に追われている
  のが実情です。

 4.「なりたい自分」から逆算しよう
  なりたい自分が決まれば、現状とのギャップが明確になる。
  そのギャップが分かれば、ギャップを埋めるために、何をしなければならないかが
  必然的に分かるようになります。

  しかしながら、ギャップが分かっただけでは不十分です。
  この「なりたい自分に日付を入れること」が大事です。
  日付を入れることで、そこから逆算して今日、今週中、今月中に何をしなければなら
  ないかが明確になる。

  だから、日付入りのなりたい自分を描けている人には、迷いがない。
  過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられるのです。
  あなたにとって、なりたい自分とは何か?

  それをいつまでに実現したいのか。
  これが明確になっているだろうか?
  プロ幹部となるためにも、今一度肝に銘じていただきたい。

□プロ幹部に必要な要素
 1.人望
  まずは、「人望」。
  能力がいくらずば抜けて高くても、部下から人望があるかないかは別の問題です。
  先日、あるクライアント企業で会議が終わった後に、若手社員同士がこう話している
  のを耳にした。

   O君:A部長に言われると頭にくるし、何も聞く気になれないと思わないか?
   S君:そうだよなあ、A部長の言うことを聞こうとは思わない。ただB部長に
      言われると、「頑張ろう」と思えるのはなぜだろう?

  話し方や表情も大事だが、尊敬している人からアドバイスされると、涙が出るほど
  うれしいものです。
  また、素直に頑張ろうと思うものです。

  しかし、尊敬していない人からのアドバイスには、聞く耳を持てないのが本音でしょう。
  つまり、プロの幹部として部下を動かしていく以上、この人望をどう身に付けていく
  のかが重要となる。

  「人望=人間力」と置き換えても良いでしょう。
  部下の成長を心から願う気持ちが伝われば、部下は動く。
  私利私欲のために注意する幹部の言うことなど、人は絶対に聞かないということを
  肝に銘じるべきです。

 2.本質を見抜く力
  次の要素は、「本質を見抜く力」です。
  現在、私たちを取り巻く情報は新聞やテレビにしても、一つの視点から見たものが
  非常に多い。

  そうした中で偏った情報をそのまま鵜呑みにしていたのでは、情報に踊らされて本質を
  見失う。
  情報を「捨てる」ことも必要です。

  本質が見えていない中で仕事を進めると、時間がかかるし中身も薄いものになって
  しまう。
  物事の本質はどこにあるのか、どうやって本質を見抜くのか。

  一つの角度だけではなく、さまざまな角度から情報を見ることのできる目を養うことが
  大切です。
  「目的は何か?」「問題は何か?」「大事なことは何か?」という意識を常に持って、
  具体的に行動し、指示・アドバイスをする必要があります。

 3.仕組みをつくれる人
  プロの幹部として最後に必要な要素は、会社の中で「仕組みをつくれる人」になる
  ことです。
  「業績が上がる仕組み」「部下が育つ仕組み」「社内が活性化する仕組み」など。

  そういった仕組みをつくれず、「業績が上がらない」と慌てふためく余裕のない幹部を
  よく見かけます。
  幹部に余裕がないから、社内の空気も悪くなるのです。

  松下幸之助氏が提唱したダム式経営とは、「好景気には利益を着実に内部留保して
  キャッシュを十分にストックしておき、事業が思わしくない時には蓄えた資金で不況を
  乗り切っていくこと」です。

  そういった余裕が必要だと言っているのです。
  また、同氏は「余裕を持つためには、心の底からそう思わなければできない」とも
  言っている。

  確かにその通りで、顧客も信用も売上げも利益も、すぐにたまるものではない。
  コツコツとためていくことが必要なのです。
  それに対して、どれだけ強く、真剣になれるかです。

  何が言いたいかといえば、「業績を向上させたいと悩んでいるだけで終わっていないか」
  ということ。
  悩んでいるだけでは、何も解決しない。

  多くの幹部は悩んでいるだけで、考えていない。
  悩むことと、考えることは全く違う。
  業績が上がらなければ、数字とにらめっこをして、考えて考え抜くこと。
  やってもできないと追い詰められる。

  追い詰められても考える。
  そんな突き詰めた状態の中でひらめきが起こるのです。
  果たして、そこまで頭を使っているだろうか?

  プロの幹部になれるか否かの分岐点は、困難な試練に直面した時、「自分はここまでの
  人間なのか」とマイナスに思える人です。

  たとえどんな状態になろうとも、常に前向きに行動し、本質を見誤らないことが必要
  です。
  人の成長はあきらめた時点でストップする。

  成功した人はどんな困難な状況に陥ろうとも決してあきらめず、自分に負けなかった
  人です。
  プロの幹部としてやらねばならないことは、山積している。

  一つの能力に長けていてもプロの幹部とは言えない。
  これまで解説してきたすべての能力を包括するのが「人間力」であり、人間力は
  さまざまな苦労や経験から、視野が広がることで高まっていくのです。

  これまでたくさんの幹部を見てきました。
  人間力のある幹部は魅力的であり、さらなる成長を遂げていく。
  また人を感動させて動かすのが非常にうまい。

  さまざまな難局に立ち向かいながら飛躍を目指し、日々、自己を磨いてほしい。
  肩書きや能力だけでは、部下はついてきません。
  「この人のために頑張りたい」「この人について行きたい」と部下から思われ、自らの
  意識で動く人をつくる幹部こそが、プロの幹部なのです。

幹部の職務

幹部の職務

■身についた実行力こそが幹部の「総合能力」
 1.実行力ある幹部の特徴
  知っていることをどう実行するか、身についた実行力こそが幹部の能力そのものです。
  実行力のある幹部に必ず言えることは、まず何といっても反応が速いことです。
  方針が出ると、それをすぐに具現化していく反応の速さがあります。

  2番目は、幹部は常に問題解決をしていかなければならないのだが、行動力のある幹部は
  絶対にそれを先送りにはしない 。
  難しい問題が出ると後回しにして、結局、自分では解決ができないほど問題を大きく
  してしまうのが、駄目な幹部です。
  しかし、実行力のある人は即時、問題解決をしている。

  3番目は、「次はどうする。その次は……」という流れ、あるいは手順といった問題
  解決の工程を頭で組み立てられる頭脳を持っていること。
  だから、見ていても非常に効率がいい。

 2.幹部の総合能力=姿勢×能力×基本素養
  「姿勢」と「能力」、そのベースとなる「基本素養」の3つの要素が備わったとき、
  はじめて真の実行力は生まれてきます。
  「姿勢」とは、自らが主人公だという主体性を持つことを言い、「能力」とは本質を
  見抜いていく力に他ならない。

  本質を見抜く能力がなければ、やることなすことがピンボケになり 、行動を起こしても
  成果にはつながらない。
  では、この2つがあれば身についた実行力になるかといえば、それだけでは充分でない。

  そこにもう1つ「基本素養」 が揃わなければ、真の実行力にはならない。
  ある幹部の例だが、非常に優秀な能力を持っているのに、どうしても受けが悪い。
  聞いてみると、彼は販売のマネジャーをしているのだが、部下の誰もが彼と同行して
  お客様のところに行きたがらないそうだ。

  理由を聞くと、「あの課長と一緒に行くと、お客様のところで恥ずかしい思いをする」
  と言う。
  要するにマナーが悪いというわけです。

  だから、素晴らしい販売力を持っていたにもかかわらず、結局、彼はマネジャーとして
  大成できなかった。
  このケースから分かるように、「基本素養」の中にも能力的なものと態度的なものの
  2つがあります。

  先のマネジャーは、礼節という態度的な基本素養が欠けていたわけです。
  能力的な素養には、コミュニケーションがある。
  チームのリーダーである幹部は、自分の考え、方針が上手く伝達され、徹底されなければ
  自分の意図することができない。

  だから、そこにはコミュニケーションを図っていく、つまり伝達能力が必要になって
  きます。
  また、この能力的素養は、「能力的」と言っているように、素養でありながら訓練を
  すれば備えることができる。

  ある総務部長から「最近の若い人は礼儀がなっとらん」と嘆いていました。
  よく聞くと、新人が入ったので家に呼んで、ご馳走をしたのに、翌日、誰一人「昨日は
  ありがとうございました」という挨拶をしなかったというのです。

  「今は仕方がないでしょう。
  学校で教えていないんだから。部長が、それを教えて
  あげましょう。それが本人のためになるんですから」と総務部長に言ったのだが、
  やはり気づいたときに教えてあげなければ、最後は当人も周りの人も困ることになって
  しまいます。

  やはり、訓練することです。
  ここで述べたいことは、そういう素養を持っていなければ自分の考えは実現できないという
  ことです。

□的確な意志決定をするために
 1.幹部の最大の仕事は意志決定
  幹部の最大の仕事は意志決定です 。
  意志決定なくして行動はない。
  しかも、意志決定は適切なものでなくてはならない。

  そこで、リーダーシップの要訣は、的確な判断になってくるわけです。
  業績責任をまっとうするには、幹部は行動を起こさなければならない。
  営業であれば売りに行く、あるいは電話でやり取りするなど、実際にアクションを
  起こさないことには成果は絶対にあげられない。

  すなわち、実行です。
  しかし実行するためには、まず自ら「これをする」という決定をしなければならない。
  今日はあそこへ行けばモノになるから行こう、という意志決定が必要になる。

  しかもその意志決定は、こうしたほうがプラスになる、こうすれば上手くいくという
  判断をした上で行う。
  つまり、実行の背景には「判断」があるのです。

  誰もがそういう形で動き、実行して、成果を出す努力をしていくわけです。
  しかし、得られる成果は人によって違います。
  A君は非常に素晴らしい成果をあげるのに、同じように動いているB君には成果が
  あがらない。

  その違いはどこにあるのでしょうか。
  人間は誰しも、自分の判断は正しい、と思ってやっている 。
  誰が、こうしたら損するというものをやるでしょうか。
  絶対にしないはずです。

  ということは、正しいと思って下した判断が、どこかで狂っているということです。
  狂っているから間違った方向に動き、思うような成果が得られないのです。
  あなたが実行し、本当に成果を収めていこうとすれば、意思決定する際に的確な判断を
  させるものは何か。

  それは、あなたの「考え方」です。
  1人の人間として、1人の社会人として、1人のビジネスマンとして、幹部として
  どういう物事の見方をし、考え方をしているのか。

  そしてそれは果たして適切なのかどうか、それによって決まってしまうのです。
  自分は幹部だが、幹部の前に企業人である。
  企業人の前に社会人であり、社会人の前に人間である。
  その根本の考え方が確立していないフラフラの人生観では、結果、成果を収めることは
  できない。

 2.的確な意志決定(判断)モノサシ
  的確な意志決定をするには、物差しを持って良い悪いを見極めなければならない。
  その判断の物差しを自分で持っているかどうかは、やはりこれも本人の考え方に
  かかってきます。

  では、幹部という立場で物差しを考えた場合、何があるのでしょうか。
  会社に勤めているのだから、当然会社の考え方、理念、方針が、仕事をする上での
  物差しになる。

  会社の方針に反すれば、いくら成果をあげたとしても目先だけのもので終わっていく
  かも知れない。
  だから、まず会社の方針が物差しになるのです。

  そしてその根底には、会社の理念、考え方という物差しがある。
  すなわち、常にトップの言動を見ていなければ、間違った判断をしてしまうということ
  です。

  自社が存続発展する背景にはすべてお客様がいる。
  そうすると2番目には、お客様にとって良いことなのか、悪いことなのか、ためになる
  ことかそうでないかという物差しで判断することです。

  お客様を放っておいて、内部ばかりに目を向けていては間違ってしまう。 
  これは職場以外のときにも言えることで、相手の立場に立って物事を考えることが
  必要です。

  自分が嫌なことは相手も嫌に違いないのだから、やはりそういう物差しも持たなければ
  ならない。

  3番目は、目的は何か、その目的に添っているかどうかの判断です。
  ある会社での例だが、取引銀行から「この前、資金融資の申請をしてもらったが、
  書類が一通足りない。
  持ってきてほしい」と電話があった。

  それを受けた課長は、女子社員に「急いでいるから、車を拾って行ってくれ」と指示して
  持っていってもらったという。
  するとその女子社員、帰りもタクシーに乗って悠々と帰ってきました。

  彼女にはその判断がつかなかったのです。
  目的があって、手段が選択される。
  目的に照らし合わせて判断すれば、行く時は早く届けることが目的だから、そのための
  最高の方法を選択しなければならない。

  だが、帰りは多少ゆとりがある。
  だから、帰りのタクシー代と自分のコスト時間とを比べてみてどうかという判断を、
  彼女はしなければならなかったのです。

  そして4番目は、お金。
  5番目は、 時間です。
  この5つを常に物差しに当ててプラス、マイナスを考える訓練をすればよいでしょう。

  さらにつけ加えれば、常に1つ上の立場で考えてみることも重要です。
  社長の立場に立って考えてみればどうなのか、1つ次元の高い立場で物事を考える。
  これも1つの物差しです。

  この6つの物差しで判断していても、やはり間違った判断をすることがあります。
  しかし、これが体験なのです。
  的確な判断ができるかどうかは、この6つの物差しをしっかり持ちながら体験を積んで
  いくことしかない。

  こうすれば失敗した、ああすれば成功したという経験を自分なりに積み上げることで、
  的確な判断につながっていくのです。

□性格は変えられないが、考え方と行動は変えられる
 「話」というのは、分かってもらわなければならない。
 だから、何より分かりやすいことがまず第一です。
 もちろん内容が先行しなければならないのですが。

 そして2番目には、やはり面白くなければならないと考えた。
 分かりやすくということでは、工夫をして、模造紙に要諦を書き、それを黒板に貼って
 一つひとつ説明していったことがある。

 自分では性格的に嫌なことでも、それに挑戦して、成功体験を積む。
 そうすれば、性格が変わっていくように見えるのです。
 要は行動、そして成果、最後は自信です。

 本質的には性格はなかなか変わらないかも知れないが、それを繰り返し繰り返し体質化して
 いくことによって、徐々に変わってくるかもしれない。
 性格を変えろと、いくら口で言っても性格は仲々変わらない。

 行動を変えるようなアドバイスをしてあげることが肝要。
 行動を変えていくには、まず「知る」「気づく」という学習です。
 学習は、まず知らないことを知る段階から始まる。

 知らないことはできないからです。
 次は実践、知ったことをやらなければならない。
 これは「倣う(ならう)」という段階になる。

 「アッ、こういう上手い やり方があったのか、これをやってみよう」と思うのは「倣う」
 ということです。
 たとえば営業をやっているとする。

 当然、何人かの営業マンがいて、中には自分よりも良いやり方をしている人がいるかも
 しれない。
 だとすれば、その良いやり方を倣えばいい。

 急速に能力は上がってくるはずです。
 知ったことを実践することから始まり、そして成功体験を積み重ねていくことによって、
 能力は確実に伸びてくるのです。

 確かに、失敗に学ぶということもあるでしょう。
 それは、反省の面では非常に意味があるのですが、逆に能力を拡大していく時は、成功
 体験に習っていくことが大事です。

 成功体験を積めば自信につながり、さらに前向きの意欲が湧いてくるという非常に良い
 循環になってくる。
 そして、良い循環になれば、もう1つ高い段階での「気づく」とい うことが出てくる。

 自分の個性でもって、ここにこういうプラスをすれば、も っといい結果が出るということに
 気づいていくのです。
 人の行動を変えるには、この「気づく」にまでいかなければならない。

 気づかなければ行動は変わらない。
 「知る」「気づく」、そして「自覚」し「発奮」してはじめて能力は 拡大していくのです。
 先ほど、反省する面から言えば、失敗に学ぶことは大事だと述べたが、その反省は必ず
 文章にしてほしい。

 言うことは消える。
 消えるから忘れてしまう。
 だから、文章にして残しておけばいいのです。

 また、衆人環視の環境をつくることも行動を変えるためには必要です。
 「有言実行」をさせ、自分なりに叱咤激励させるわけです。
 つまり、快適環境と戦う環境をつくってあげることが肝要になるわけです。

 以上、述べてきたように、幹部の総合能力としての実行力こそが企業発展・成長のカギを
 握るのです。
 実行なくして、成果なし。
 決断し実行する。
 それが幹部である。

優秀な店長の育て方

優秀な店長の育て方

■店長を育てる
 ただ物を棚に並べて置けば売れる時代は終わりました。
 いかに消費者を引きつける魅力的な店頭を実現できるかが、売り上げ向上の鍵となって
 います。
 そこでクローズアップされるのが店長の存在。

 店長の力次第で店の販売成績は大きく変わります。
 とはいっても、その店長を育てるのはやはり経営トップの役目。
 誰が店長に向いているか見抜いた上で適切な教育を施せるか、トップの腕の見せどころ
 です。 

 ここでは、優秀店長を育てて販売現場を活性化するための3カ条を提示しました。 
  ○売れないのは店長ではなく、本部が悪い 
  ○トップの意志を通じるまでじっくり伝えろ 
  ○店長が経営者、社長は管理者 

 以上3カ条について具体的に解説、さらに顧客満足度ナンバーワン企業、モスフード
 サービスの清水孝夫元社長が「優良店長の条件」を語っていました。

 1.売れないのは店長ではなく、本部が悪い 
  まず、社長が認識すべきは、いかに優秀な店長を現場にすえようとも、その効果には
  上限がある、ということ。
  逆にいえば、売り上げが思うように伸びないからといって、即現場の店長に責任を
  押しつけるようでは、社長として失格です。

  店舗診断を手掛ける流通専門コンサルタントも、「経営者の大半が店長に多くを要求
  するあまり、売り上げが伸びない場合はすぐに店長の責任、と考えがち」とトップの
  問題点を指摘しています。

  首都圏の食品スーパーたいらや(現 株式会社エコス)(注) の平富郎元社長は、
  「店長効果」を冷静に分析し、「いくら優秀店長を据えたところで、売り上げは3割
  アップがいいところ」と語ります。 

  平社長のように売り上げに対する店長の効果を見極めさえすれば、 自社で「優良店長」
  を育てることが可能となります。 
  そのたいらやのケースを眺めてみました。 
  平社長の店長育成法は、 自ら各店の現場を見て個別の問題点を把握、その上で店長と
  改善方法を考えていくきめの細かいものです。

  店の売り上げが伸びないのを店長のせいにせず、まず経営トップが原因をチェックする。 
  これが店長の力を伸ばすための策です。
  平社長は、月に1〜2回、26店舗全てに顔を出します。
  店内をチェックして、その場で店長を指導します。

  「任せれば店長は伸びるというのは誤り。
  青果、鮮魚など主要な売り場を経験して売ることとは何かを学んでからでないと、
  現場は任せられない」と話します。 

  それだけではありません。
  さらにたいらやでは、店長が自店の現状と問題を把握できる場を組織的に設けています。
  業績の推移や平社長の経営方針などを全店長に伝える店長会議の他に、毎週1回1時間
  程度、各店の店長と本部の人間が個別に開催する会議がそれ。

  店長一人に商品部長、店舗運営部長、そして人事部長を交え、その店独自の問題点を
  議論します。
  各店をとりまく状況は千差万別。
  売り上げ向上には、現場を仕切る各店長と本部との「連携プレー」が不可欠と、
  たいらやでは考えているのです。 

  もともと、たいらやは八百屋からスタートしました。
  朝早く市場から野菜を仕入れ、開けっ放しの店先で夜遅くまで働きずくめ。
  暇がないので手の空いた時間に手際良く教え込むのが当時のたいらやの店員教育でした。 
  その苦労を知っているだけに、平社長はたいらやの店長達に「スーパーの店長は誰でも
  できる」と常々釘を刺しています。

  確かに、冷暖房が効いた店内で卸が運んできた商品を売るだけで、毎日レジに売り
  上げが計上されるのがスーパーです。 
  「だから店長は商品と価格ばかりを気にするだけでなく、八百屋の店長の気配り、
  目配り、心配りを見習え」平社長の言葉には説得力があります。 

  たいらやのケースから学ぶべきは、「優秀店長」育成には、本部が販売業務に対して
  応分の役割を持ち、現場の店長をもり立てていくことが大切、という事実です。 
  大手ディスカウントストア(DS) ロヂャースを展開する北辰商事の太田実元社長も、
  「売り上げが不振なのは、基本的には店長ではなく、本部の責任」と、同様の見解を
  示します。

  同社の店長育成はどんな手順を踏んでいるのでしょうか。 
  価格と品揃えが勝負のディスカウントストアの場合、まず仕入れルートの構築など
  商売の仕組みを作ることが大切。 
  この仕組みを本部が作って、店長のやる気を引き出せば、店舗経営は成功します。

  そこでロヂャースでは、 仕入れの権限を本部だけでなく、店長にも応分に持たせ、
  自由裁量の余地を広げる一方、仕入れ責任の一部を負わせています。
  店長に権限と責任を持たせることで、やる気を引き出し、能力を伸ばす戦略です。 

  冒頭の福島氏によれば、「最前線にいる店長だけが、変化する顧客の心理や行動を
  いち早くつかまえられ、策を打てる」 。
  ただしそれには、店長自身が販売のプロとしての知識や経験を持ち、同時に消費者の
  素直な気持ちを察せる、ということが条件となります。
  (注) 99年9月1日より「エコス」 に名称変更

□トップの意志をじっくり伝えろ 
 優秀店長の特徴として、経営トップの方針を正確に理解した上で自己裁量で行動できる、
 という点が挙げられます。 
 いかに、販売実務に長けていたからといって、経営方針とずれた方策しかとれないよう
 では優秀な店長とはいえません。 

 とはいっても、現場の店長に経営者の意志を正確に理解させるのは案外むずかしいもの
 です。 
 トップは忍耐強く、店長が理解するまで自分の考えを教えこむ必要があります。 
 パソコンやAV機器を秋葉原並の価格で首都圏郊外で販売するノジマ。

 同社の野島広司社長は、自らの流通哲学を何度となく教えこむことで、現場の店長を育成
 しようと考えています。 
 パソコン・AV機器販売の業界はライバルが多いだけに、他社にはない「武器」を売り場
 は持っている必要があります。

 そこでノジマがとっている対策の一つが「商品説明日本一に挑戦」とチラシに大書
 すること。
 宣伝している商品を実際に使うとどんなメリットがあるのか、他の商品とどう違うかを、
 消費者の立場で店員が丁寧に説明できるよう、全店で徹底しようとしています。

 ただし、現場の店員全てが的確な商品説明ができるようになるには、それなりに時間を
 かけて勉強させる必要があります。
 何より、経営トップの方針を店長が理解し、店員たちになぜ商品説明が大切かを説け
 ねばなりません。 

 となれば、まず経営トップが自分の意志を正確に店長に知ってもらう努力を欠かさない
 ことが大切。 
 「だから、毎週店長を集め、同じことを何度でも繰り返し言う」と野島社長は語ります。

 野島社長自身、専務時代に業績が悪化した時、店長教育が足りないことを痛感しました。
 多くの店長が商品を並べておけば売れるバブル時代しか経験しておらず、苦労して売る
 ことが身に付いていなかったからです。

 94年に創業者の母親から社長を引き継ぐと、野島社長は,売り場作りや計数管理など
 店長に不可欠な仕事ができているかをチェックする店長資格試験を設けました。
 これをパスしなければ同社では店長になれません。

 毎年,店長の4分の1を降格させる実力主義を導入すると同時に、全員経営を掲げ、社員が
 経営者の視点で働くことを方針に据えました。
 野島社長は、ノジマ流商品説明が根付くまで、これからも何度でも同じことを繰り返し
  店長に伝えていく心づもりです。

□店長が経営者、社長は管理者 
 優秀店長育成の方法の一つが、店長に幅広い裁量権を与え、店舗の「経営者」となって
 もらうことです。 
 約2000店が集まる東京・上野のアメ横商店街。

 当時、その連合会副会長の中田啓之氏は、時にアメ横の大将と呼ばれていました。
 時計や貴金属を売る「サテンドール」のほか、喫茶店やたこ焼き店、ゲームセンターを
 経営するサテンドールの社長です。

 学生時代から長年アメ横に店を構え、自ら多くの店長を育ててきた経験のある中田氏の
 経営哲学がまさに、「店長は経営者、社長は管理者」なのです。 
 店舗を複数展開する小売業の場合、社長の役割は、資金の調達や必要な社員を店に手配
 するいわば管理者。

 一方、商品の仕入れや利益責任を握る店長はまさに現場の「経営者」というわけです。 
 中田社長は、店長に「経営者」としての資質を伸ばしてもらうべく、さまざまな制度を
 設けています。

 例えば、サテンドールの店長には固定給のほかに、店の売り上げに応じて、報奨金を
 用意しました。
 成績如何では、固定給よりも報奨金が上回るケースもあるそうでした。
 その結果、年収が中田社長のそれを超える店長や副店長もサテンドールには存在する
 というから驚きです。

 その一人、同社の企画部長でサテンドールの店長は、「マニュアルのある店長は楽かも
 知れないが仕事におもしろみがない。
 ウチのように店長が仕入れから販売までの裁量と責任を持っていた方が楽しい」と語り
 ました。

 中田社長によると、店長として見込みのあるのは、「もっと給料を取りたいという
 野心がある人物」とのこと。
 同社は、野心と才能を持ち合わせた人物に実力に応じた報酬を用意する、まさにたくみな
 優秀店長育成法を実現しているといえそうです。

社長のリーダーシップ

社長のリーダーシップ

■リーダーシップ発揮の土台
 経営理念を浸透させる。
 経営理念を社員に説明し、浸透させていくことは、社長にとってもっとも重要なコミュニ
 ケーションのひとつです。
 しかし、実際には経営理念が作成されていない会社も多く、また、あったとしても、
 非常にあいまいなもので一般社員はその意味がわからないケースもあります。

 経営理念を社員に浸透させるにはいくつかのステップがあります。
 最初のステップは経営理念を作成し、その意味合いを経営者がしっかりと認識すること
 です。
 経営理念の言葉だけを一人歩きさせずに、その理念を作成するに至った背景や、理念実現
 のためにはどのような姿勢が必要かなどを明確にします。

 次のステップは、それを社員一人ひとりにきちんと伝えることです。
 朝礼などで繰り返し説明したり、経営理念を書いた紙を事務所に掲げるなど、社員が
 つねにそれを意識する状態をつくることが必要です。
 そして最後に、経営理念実現のためには日々の業務のなかでどのような行動をとるべきか
 を社員自身に考えさせます。

 もちろん社長自身も経営理念実現のために、自分はこんな姿勢で業務に臨むということを
 宣言し、実際にそのような行動をとっていることを社員に手本として示す必要があります。
 このようにして経営理念が浸透することで、リーダーシップを発揮するための土台ができた
 ことになります。

 グローバル化の進展による競合相手の増加、強力な競合相手の出現による売り上げの
 落ち込み、環境問題への対応など、近年各企業を取り巻く経営環境は一昔前とは比べものに
 ならないくらい厳しいものになっています。 
 現在は、高度成長を遂げていた時代(60年代)とは違い、「モノは作れば売れる」時代では
 ありません。

 社長は、同業他社との競争に打ち勝つため、他社との差異化をこれまで以上に推し進めて
 いく必要性に迫られています。 
 そのために、経営者はまず自社の置かれた現状を冷静に分析し、それを反映させた経営
 目標や戦略を策定します。

 その後は社長が社員を指揮・監督し、自社の経営目標や戦略を確実に実現させなければ
 なりません。 
 そして、その際に求められるのが社長の強いリーダーシップです。 
 例えば、日産のカルロス・ゴーン社長は、最高執行責任者(COO)であった99年10月、
 当時業績不振にあえいでいた同社の再生を図るため「日産リバイバルプラン(NRP)」を
 まとめ、すぐに実行に移しました。

 同プランでは業績不振の原因を詳細に分析、その結果、「国内5工場の閉鎖」「約2万人
 の人員削減」「部品サプライヤーの削減」などの革新的施策を推し進め、同社の業績を
 よみがえらせることに成功しました。
 ただNRPの実施には、一部社員などから根強い反発があり、必ずしも全社員がNRPを
 支持していたわけではありませんでした。

 しかし、最終的にはゴーン社長の強いリーダーシップが、社員の意思をまとめ上げ、
 NRPの達成を1年前倒しで実現(2002年3月)することに成功しました。
 今では逃亡中の犯罪者に成り下がってしまいましたが…。

 このほか松下電器産業では、2000年に就任した中村邦夫社長(当時)が、早期退職者
 を募るなど2万人以上の人員削減を行ったほか、同社で長年続いていた事業部制を廃止し、
 意思決定の速い組織作りに注力しました。
 さらに、2004年には松下電工の子会社化を推し進めるなど、強いリーダーシップを
 発揮しました。

 この結果、不振が続いていた同社の業績は2006年3月期には営業利益約4000億円
 にまで達するなど、「V字回復」とも呼ばれる業績回復を達成しています。
 以上の例からも分かるように、企業が生き残りを図っていけるかどうかは「トップ(社長
 による強いリーダーシップの発揮にかかっている」と言っても過言ではないのです。

 ここでは、「社長が強いリーダーシップを発揮していくために、求められるものは何なのか」
 という観点から、
  ・組織内における社長の果たすべき役割
  ・社長に求められる基本的な能力
  ・リーダーシップを発揮できる社長の条件(資質)
 などについて考えていくことにします。

□組織内における社長の役割 
 まず始めに、組織内における社長の役割とはどのようなものであるかについてみていく
 ことにします。
 組織内で社長が果たすべき役割は、一般的に以下の3つに大別できます。

 1.目標の設定 
  企業のトップ(社長)は、自らが統率している組織によって、何を実現しようとして
  いるのかということを明確にしなければなりません。
  そのときに留意すべきことは、現状ではどう頑張っても不可能な目標を設定しないと
  いうことです。

  社長のすべきことは、組織の構成員、つまり社員が実現したいと思うような目標で、
  なおかつ努力すればつかみ取ることのできるような目標を設定し、それを社員に周知
  徹底させることです。 
  ただし、目標は「自社の利益のみを追求したもの」であってはなりません。

  過去には構造計算偽装問題など企業の不祥事が相次いで表面化した事件もあり、「企業の
  倫理」に関する消費者や株主の目は厳しいものとなっているからです。 
  このことから目標は、「自社の利益増にもつながり、かつそれが社会のためにも役立って
  いる」という観点から設定するのが理想的でしょう。

 2.経営戦略の策定 
  目標が決まったら、次にどのようにしてその目標に近づいていくかを考えなければ
  なりません。 
  現在の日本では、多くの業種において市場成長率が低いのにもかかわらず、外資や
  ベンチャー企業などの参入によって競争環境は厳しい、という最悪の状態にあります。

  このような時代において、「経営戦略の策定」は非常に重要な作業となります。
  なぜなら、経営戦略を不用意に策定してしまうと、場合によっては「企業の倒産」と
  いう事態に容易に陥ってしまうからです。 
  そうならないためにも、社長は社内の優秀な人間だけでなく、社外の人々(取引先や
  異業種の知人など)の意見にも真摯に耳を傾け、自社の経営戦略を練っていく必要が
  あります。

 3.経営資源の配分
  目標・戦略が決まったら、目標を実現するための社内体制作りを行います。
  具体的には、社内にある経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に配分すること
  です。 
  例えば、「同業他社にはない新商品を開発・販売すること」を目標に据えた場合、
  社長はそれを実現するため、新たな部署の設置や社員の異動、場合によっては中途採用
  により商品開発の知識に秀でた人員を調達することになります。

  なお、社長は、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を配分する際、最も留意しなければ
  ならないのは「ヒト」の配分です。
  なぜなら長期的視点に立った場合、価値や富を創り出す源泉は人的資源だからです。

□社長に求められる基本的な能力 
 次に、前章で示した経営者の役割を的確に果たすために必要な、経営者に求められる
 基本的な能力についてみていきます。

 1.洞察力・観察力 
  社長には、将来を見通す「洞察力」が要求されます。
  自社を取り巻く環境の変化(新しい事業者の参入、さまざまなリスク、業務に関連する
  法規制の改正など)に絶えず注意を払い、これまでの自身の経験などから数カ月後、
  数年後の状況を的確に読み取らなければなりません。 
  また、自社の社員の性格や適性(得意分野、不得意分野)などを、社員の日ごろの
  行動を観察することにより読み取ることも必要です。

 2.情報分析力 
  ここ数年、インターネットなどの急速な発達により、我々はこれまで以上にさまざまな
  情報を容易に入手することが可能になりました。
  とはいえ、インターネット上にはそれほど重要でない情報や、正しくない情報も結構
  あるのが現状です。

  社長には、世の中に氾濫する情報に対して「この情報はわが社にとって有益なもの
  かもしれない。
  もう少し詳しく調べてみよう」「この情報はいま一つ当てにできないし、わが社に
  とって関係ないものだ」などといった、「情報分析力」がこれまで以上に求められます。 

  また、部下から得られる報告(情報)についても、上記同様に情報分析力を働かさ
  なければなりません。
  特に、問題が発生した際の部下からの報告は、部下がパニックに陥っていることが多く、
  情報が正しく入手できないケースが往々にしてあります。
  その際は、まず経営者が部下を落ち着かせ、事実関係の正しい把握に努めてから情報を
  分析していく必要があります。

 3.論理的思考力 
  社長が組織をリードしていくためには、自社の目標や戦略について、社員や株主に
  説得力を持って説明することが大切です。
  それがひいては社員のモチベーションの高揚や株主の企業への信頼増大へとつながる
  からです。 

  その際に必要となるのが、物事を筋道立てて考える「論理的思考力」です。
  論理的思考力を身につけていない社長は、自社の目標や戦略を説得力を持って説明
  できないため、社員や株主からの信頼を得るのは難しいでしょう。

 4.意思決定力・行動力 
  自社の目標や戦略を決定するまでに、社長はさまざまな情報を目にし、部下からの
  意見に耳を傾ける必要があります。
  ただ、最終的に決定された目標や戦略に責任を負うのは社長であることから、社長
  には強い「意思決定力」や「行動力」が求められます。

  意思決定を行う際に、社長が留意すべきことは、
  (1)少数意見にも耳を傾ける
  (2)一度決定したことを修正・撤回することを恐れない
  ことです。

  人間は、ついつい多数意見に流されてしまう生きものですが、社長は常に多数意見に
  潜むデメリットを注視し、かつ一見実現可能性の乏しいような少数意見に潜むメリット
  についても検証を行う必要があります。 
  また、時代の流れが急速に変化する現代社会において、「今日正しかったことが
  数カ月後にも正しい」という保証はどこにもありません。

  そのため、社長は目標、戦略決定後も常に時代の流れを注視し、仮に誤りと気づいた
  決定事項については、早急に修正ないしは撤回しなければなりません。 
  一番怖いのは、自らの権威の失墜を恐れて、決定事項が時代遅れや誤りであるにも
  かかわらず放置しておくことです。

 5.高い倫理観 
  前項でも述べたように、(手段を選ばずに)利益の追求のみを求める企業は、消費者
  からの厳しい評価を受けることになり、やがては淘汰されてしまいます。
  企業が社会的存在として認知されている以上、「倫理的価値を追及する」ということは
  今日の企業活動には欠かせない要素となっています。 
  社長は、高い倫理観を持って企業の目標や戦略を決定していかなければならないのです。

□リーダーシップを発揮できる社長の条件(資質) 
 ここまで、企業活動における経営者の役割や、社長に求められる基本的な能力について
 みてきましたが、いくら社長が素晴らしい目標を掲げていても、それに部下がついて
 来なければ話になりません。
 なぜなら、実際に目標に向かって仕事を行うのは、社長ではなく部下だからです。 

 ここでは、部下に対してリーダーシップを発揮できる社長の条件(資質)についてみて
 いきます。
 強いリーダーシップを発揮できる社長の条件として、一番必要なものは、立派な人格を
 備えていることですが、それ以外にも以下の事項が挙げられます。

 1.「夢」を詳細に語ることのできる人 
  社長は、自らが掲げた企業の目標(=夢)について、詳細に説明できなければなりません。
  社員は社長の語る夢を詳細に聞くことにより、社長に対して共感を抱き、ひいては
  それが社員のモチベーションを高めることになるのです。 

  ただ単に「売上高を上げよう」とか、「新規取引先を開拓しよう」などといった
  漠然とした目標しか語らない社長は、社員の共感を得ることは難しく、真のリーダーシップ
  を発揮するのは困難といえるでしょう。

 2.自ら手本を示せる人 
  中小企業など社員数の少ない企業においては、社長自ら業務経験の浅い社員に対して、
  業務の処理手順を目の前で示してやることは非常に有意義です。
  経験の少ない社員はそれを見ることにより、業務処理方法の習得がしやすくなると
  ともに、社長に対して尊敬の念を抱きやすくなります。

  逆に、自身が働かずに、口先だけで部下を使おうとする社長は社員からの人望は
  得られないでしょう。
  そのため、企業の業績をアップさせることが困難なだけでなく、貴重な人材の流出
  につながりかねないのです。

 3.部下にチャンスを与えることのできる人
  「部下(特に若い部下)にチャンスを与える」というのは、簡単なようでいて難しい
  ものです。
  チャンスを与えられた部下は、その任務を遂行するため最大限の努力をするでしょうが、
  もし与えられた業務が部下にとってあまりにも荷が重すぎる場合、失敗して自信喪失
  に陥ってしまう危険性もあるからです。

  この辺りのさじ加減を正確に行うためには、社長が常日ごろから部下の言動を注視し、
  どの程度の業務までならこなせるかというのを把握しておくことが必要です。

 4.部下に考えさせることのできる人 
  ここでいう「部下に考えさせる」とは、経営上の問題が起こった際などに、社長
  のみで問題処理を行うのではなく、部下にも解決策を考えさせるということを意味
  しています。 
  よく会議などの場において問題点は提起するものの、それを解決するための手段に
  ついては語らない社員がいますが、それは決して好ましいことではありません。

  社長は企業の将来的発展のため、部下に自主性を持たせ、「問題提起型」から「問題
  解決型」へと部下を導く必要があるのです。
  部下に考えさせ判断を下させるのは、社長にとってはかなり勇気のいることですが、
  それを実行に移すことにより、部下の自主性を育んで、「問題解決型」の人間へと
  導こうとしていると考えられます。

  また、その結果がうまくいった場合、部下にとっては大きな自信となり、なおかつ
  社長との絆もより深いものへと発展していきます。

 5.部下を褒めることのできる人 
  「部下を褒める」というのもなかなか難しいことです。
  特に、現場経験を豊富に積んで社長った人は、「自分ならこうするのに、なんで彼は
  あんなやり方をするのだろう」といった具合に、部下の悪い点はすぐ目について、
  怒る材料には事欠かないものの、良い点を見つけだして褒めるというのは容易ではない
  かもしれません。

  しかし、部下の多くは社長から褒められることによって、仕事に対するモチベーションを
  高めることができます。
  そして、次の仕事に対する意欲や経営者に対する信頼感がより一層高まっていくもの
  です。 
  従って、部下に対し強いリーダーシップを発揮するには、時として「部下を褒める」
  ことも大切な要素なのです。

 6.部下や相手の話に耳を傾けることのできる人 
  人は自分に対する苦言や反論よりも、よいことのほうが素直に聞くことができるもの
  です。
  会社の経営においても部下や取引先などの意見が自分と反する場合などに聞く耳を
  もたずに、自分だけで進めて行くのでは、誰もついてこなくなるでしょう。

  前項でも述べたように、時代の流れが急速に変化する現代社会において、「今日正しかった
  ことが数カ月後にも正しい」という保証は全くありません。
  これは、社長が若かった頃に通用した手法が、現代では通用しないことがあるという
  ことを意味します。 

  そのため、社長は「謙虚な姿勢も持つ」ことが必要です。
  定期的に、部下や異業種で活躍している友人などの意見に対して耳を傾けるのは有意義な
  ことでしょう。 
  社長はそれらの意見を聞くことにより、これまでの自分にはなかった発想を得ることが
  でき、さらに部下とのコミュニケーションを密にすることもできるのです。

 7.問題が起こっても慌てない人 
  社長には「謙虚な姿勢」が必要と述べましたが、経営上の問題が起こった際には、
  慌てず泰然自若として問題処理に当たれる器を持っていることも必要です。
  部下はそのような社長の姿勢を見ることにより、「頼れるリーダー」という印象を
  持つことになり、その結果、社長は部下に対しリーダーシップを発揮しやすくなるのです。 

  また、問題は放置せずにすぐに部下への役割分担を決め、早急に処理させることが
  必要です。
  なお、その際に部下に対し「問題処理に当たるのは君だけど、最終責任は私にある」
  との姿勢を明確にしておくことが大切です。

  これにより、部下は安心して問題処理に当たることができ、リーダーへの信頼感も
  増幅するのです。  
  社長が強いリーダーシップを発揮するためには、以上のような資質を持ち合わせている
  ことが必要です。
  もし、これらの中に自分には欠けていると思った要素がある場合、早急に是正していく
  ことが必要でしょう。

□おわりに 
 以上、「社長に求められるリーダーシップとは」という点について考えてきましたが、
 ここまできて「リーダーシップの資質は、先天的なものによる部分が大きいのではないか」
 と感じた人もいるのではないでしょうか。 

 確かに、「強いリーダーシップを発揮できるか否か」には、その人の持つキャラクター
 (性格)がかなり影響しているように思います。
 そしてキャラクターは、先天的なものが大きく寄与しているために、なかなか変える
 のは容易ではないでしょう。 

 しかし、自社で「係長→課長→部長→取締役→代表取締役社長」というステップを踏む
 中で、必ず素晴らしいリーダーシップの資質を持った人(社内・社外を問わず)に会える
 チャンスはあるでしょう。
 そして、その人に近づこうと一生懸命努力することにより、(後天的に)リーダーシップ
 の能力を身に付けることは十分に可能なのです。 

 最初は上司の意見を仰ぎながら仕事を進めていた人も、課長や部長などの段階になると
 部下を持つことになります。
 その段階で、リーダーシップに関する数多くの経験を積むことができるわけで、決して
 「自分には先天的にリーダーシップの資質がないから(社長になりたいけど)無理だ」
 と諦めるのは誤った考えなのです。 

 日本経済の再活性化には中小企業が元気を取り戻すことが条件ですが、中小企業は大企業
 よりも経営者のリーダーシップ力が企業内に直接反映されます。
 こうした意味でも中小企業の社長には強いリーダーシップが求められるのです。 
 強いリーダーシップを持つ社長は一朝一夕に育つものではありません。
 現在社長の地位にいる人は、早い段階から有望な後継者をみつけ、リーダーシップに関する
 教育を行っていくことが必要なのです。



人材マネジメントと管理者

人材マネジメントと管理者

■人材マネジメントと管理者
 人材マネジメントとは企業がビジョンや業績目標の達成を目指し、人材を有効活用する
 仕組みであり、人材を有効活用する仕組みのこと。 
 具体的には、採用した人材に対して適切な教育を施し、働きに見合った評価・配置を行い、
 報酬を与えるという一連のプロセスをいいます。

 従来のマネジメントの教科書では、管理者は“部下を通じて成果をあげる人”といわれて
 いました。
 しか し今日でのそれは、“部下と共に成果をあげる人”と言いあらためねばならない。
 今日のように企業を取り巻く環境が厳しく、なおかつ変化のスピードが激しい時代に
 おいては、過去の経験の蓄積だけでは変化に対応しきれるものでなく、また管理者個人の
 判断だけでは適切な決定を下しにくくなっています。

 押し付けのコントロールではなく、参加、参画させることによって部下にも関与させ、
 関心を持たさなければなりません。
 そこでは、皆で知恵を出し合って衆知結集型のマネジメントが求められるのです。
 企業の人間的側面に基礎を置いて効率的経営管理体制を実現しようとする経営管理の手法
 “目標管理”( Management by Objectives=略して MBO という)も一つです。

 しかし、現実にどの程度の“参加”、“参画”が行なわれているのか、参加や参画の主体が
 どこにおかれているのか、はっきりしないことが多いようです。
 参加、参画を簡潔に定義すると、参加とは“仲間になる”ことであり、参画とは“計画に
 あずかること”といえます。

 もっともこの定義は「広辞苑」から借りてきたものですが、少なくとも経営参加という
 からには、組織の末端に至るまで全員が、経営の仲間になっていなければ参加しているとは
 いえないし、同様に各人が計画にあずかっていなければ、そこには参画は行なわれていない
 ということになります。

 参加、参画という本来の意味からは、どうも“部下を通じて”というイメージがわいて
 きません。

□管理者の役割
 管理者に期待される役割は概ね次の四つに要約されます。
  ①組織統括と部下育成掌握の役割
  ②研究、企画、開発の役割
  ③業務推進の役割
  ④上司補佐の役割

 ところで、よく言われる組織統括、部下育成掌握業務とは何でしょうか。
 いろいろあるでしょうが、はっきり言えば、部下の育て方、使い方の掌握業務は少々下手
 でも良いから、儲けるという業績をあげる人、企業の成果に貢献する人のほうが良いのです。
 儲けさえすれば部下の指導や人間関係をうまくやることは、二の次で良いのかという
 反論もありますが、こうした声も今の企業の厳しさであり、市場競争を貫く経済的合理
 主義の今日的姿です。

 しかし、ここでさらに深く考えるならば、継続して業績をあげるとなれば、果たして部下
 育成掌握が下手で実現できるかということです。
 それは無理なことであり、部下を育て、活かしてこそ可能なことです。
 そこで継続して業績向上を実現できる管理者は、人間関係管理も極めて優れた人で
 なければならない。

 管理者の責任で業績責任と部下育成責任が云々されます。
 そのとき管理者に業績責任に比重を置くと部下育成責任がおろそかになるとか、逆に
 部下育成責任に比重を与えすぎると本来の仕事以外に余計なものまで責任を持たされると
 考えます。

 それでなくても厳しい業績向上の追求があるのになどの話も聞くが、管理者の役割を業績
 責任と部下育成責任に分けることに無理があり、それは一致させることが大事です。
 そもそも二つを区分すること自体、本質論から外れることです。
 次に管理者が行なう活動を一般的に“管理”と呼ぶがこの“管理”という言葉もいろいろな時に、
 いろんな意味に使われて います。

 管理とはコントロール( Control)でしょうか、それともマネージメント( Management)
 なのでしょうか。
 その答えは次の説明から理解してもらわねばなりません。
 管理者は企業理念やビジョンの目的達成のために経営計画、方針に従って、経営の諸要素
 である人、物、金そして情報などを、もっとも効果的に活用していかねばならないのです。

□管理者の人材要件
 これからは人間性が豊かで、懐の深いそんな管理者が求められています。
 管理者の役割は、経営環境の変化が激しい今日ではこれまでやってきた繰り返しの中で
 業務の進捗管理と労務管理とい ったいわば今までの延長線上の業務を管理するという考え方
 では、今やその変化に追いつけなくなってきています。

 このように企業環境が刻々変化しているのに、管理者が現状維持にとらわれて、これまでの
 繰り返しをやっているようでは、企業そのものの存続事態が危うくなってしまうのです。
 今後は厳しい変化と競争に立ち向かうために、管理者は新たな革新と創造を求めて企業の柱
 として経営の中心的存在としての管理が求められます。

 今までの管理者は経験が豊かであればあるほど、余人をもって替えがたい存在でした。
 したがってそこでは年功が決め手となります。
 しかし年功・経験はそれを体で覚えるものであり、そしてそれは再度役に立つ機会が
 なければ価値は低いものとなるのです。

 管理者は変化する経営環境のなかで問題の本質や軽重を見極め、戦略的発想による判断と
 スピードのある意思決定とにより、問題を適切に解決していかなければならないのです。
 いろいろな課題を解決する管理者が即応性を発揮するためには先見力、洞察力が求められ
 ます。

 現在のように変化が激しいときにはむしろ経験よりも業務遂行についての考え方や見識が
 必要となってきます。
 それは高所から広範囲を見分けることの出来る正しい価値判断能力です。
 またそこには強い信念を持って実行に当たる胆力も求められます。

 いかに豊かなノウハウを身につけ、一見物知りそうに見えても、優れた胆力を持たない
 人は変化のテンポが速い時代には管理者にはなれないのです。
 また仕事は出来るが人間味に乏しかったり、部下を仕事だけで評価する管理者では困ります。
 人間味あふれる、飾りっけがなくオープンマインドで物わかりの良い管理者が部下から
 支持されるのです。

 権威を笠に着たり、頭ごなしにハッパをかけたり、俺の言う通りにしろといったやり方では
 部下に受け入れられないばかりか逆に反発を得ることになります。
 管理者が一方的にああせよ、こうせよと指示、命令、その通り実行するように統制し、
 また指示した通りやったかどうかを管理するスタイルでは、部下は思うようには動いて
 くれないだけでなく、そういうやり方では今日の質的変化の経済環境には対応できなく
 なりました。

 人間味にあふれ、それでいて物分りの良い管理者は、部下や周りにいる人達の話にもよく
 耳を傾け、自分に対する反対意見であっても、それをうまく取り入れたりします。
 自分の所信は所信として貫き通す反面、常に部下とのコミュニケーション・パイプをつないで
 おくように努力しています。

 つまり部下と並ぶ、分かつ、そして口と力を合わせる努力をし、部下をパートナーと位置
 づけているのです。
 部下も仲間だという感触が持てるようだと、人間味あふれた物分りの良い管理者として
 支持する気持ちになれるのです。

 そうなると管理者とは、部下を通じてではなく、部下を仲間、つまりパートナーとして
 共に成果をあげる人と言った方がよりぴったりするように思われます。
 これからの厳しい経済状況の中で、部下には一層の努力を求め、苦労を背負ってもらわねば
 なりません。
 また無理を承知で頑張ってもらわねばならない場面も多く出てくるでしょう。

 それだけに管理者の人間性が強く求められてくるのです。
 恵まれた条件の中で、楽なことをやってもらうだけなら誰にでも管理者は務まります。
 しかし厳しい経済環境の中にあっては、管理者の強い役割自覚とそこには真の人間性が
 求められるのです。

 安定かつ成長の時代と違ってそこに革新と創造が求められている今、自主的で突出した
 能力を持つ人々をうまく使いこなさねばなりません。
 何でも自由に言わせ、その中からクリエイティブなものを拾い上げ、新しいビジネスモデル
 を作り出さねばならない。

 硬直した上司と部下の関係ではこのようなことは出来ません。
 管理者は部下を成功させることが自分の役割だという自覚で自分の仕事に取り組まなければ
 ならないのです。

 ただ単に責任感のためだけに部下を評価するのが仕事でもなければ、部下が達成できるか
 どうかを見るために部下の役割を設定するのが仕事でもありません。
 管理者が興味を持つべきものは部下に期待する成果を達成させることそのことです。
 管理者はこのフィロソフィーを持たなければならないのです。

□組織力とは
 もし一人だけでできる仕事であるならば、組織はいらない。
 組織とは一人ではできない仕事を多くの人達が協力してや ろうという考えの下に生まれた
 ものです。
 さらに組織は一人ひとりの力を協働させ、一人プラス一人を二人として考えるのではなく、
 これを 3 にも 4 にもするというシナージ効果を期待するのが組織づくりの目的です。

 このシナージ効果を正しく理解して組織力を発揮させるのが先に述べたように管理者の
 力です。
 今日、企業にとって必要なことは“団結力”と“創造力”であるといわれています。
 しかしこの二つはトレードオフの関係にあります。

 企業の団結力は従業員の等質性を促進し、一人ひとりの突き出しを嫌う。
 それは“右へ倣え”の世界であり金太郎飴の集団主義でもあります。
 一方、創造力の発揮には“出る杭”が必要となります。
 何でも言ってやろう見てやろうの精神からアイデアを出す人材を認める加点主義が必要です。

 しかしこれまでは、社会や組織の中ではどちらかというと等質性を前提としたものであった
 ために、異を認めたがらなかった。
 だが今日、雇用の流動化が進む中で、個人と組織の新たな関係のあり方が問われており、
 “個”と“組織”が共存できる関係づくりが重要となりました。

 つまり一人ひとりの多様な個性や価値観が活かされている状態、あるいはその実現に向けて、
 個人と組織の双方がコミットしている状況を創り出すことです。
 これまでの、皆が同じであることを良しとした時代から個々人の異質を認め、多様性を
 求める時代となったのですが、一部には個人主義が利己主義へと変質する中で、個人が
 人間集団という枠組みから逸脱してそのバランスを失い、組織としての弊害も見られます。

 人間集団には秩序が必要です。
 行き過ぎた個人重視は、組織力を弱める場合もあるのです。
 しかしながら革新的思考や新しい付加価値創造のためには、組織にも個人にも意識改革や
 発想の転換が必要であることには違いない。

 そのための一人ひとりが自覚すべき点や個人と組織の双方の信頼関係のあり方についての
 課題に取り組まなければなりません。
 このようなトレードオフの関係を両立させるための工夫が求められるわけですが、そのため
 には集団的問題意識を持たせるのも一つの方法です。

 またそのような中で、個に求められるものは、自立性と自己責任の課題であり、組織に
 求められるものは公平な人材育成と人材活用のあり方などの課題です。
 創造性発揮の土壌は、自主精神を基にしたもので、これはトップダウンでもなければ
 ボトムアップでもない。

 それは共通の目的を持った塊での組織運営です。
 言うまでもなく、従業員一人ひとりの行動の統合が組織力となるのです。
 しかしお神輿経営の時代は終わりました。
 全員精鋭主義でなければならない。

 一人ひとりが考え方を変え、能力を高め、企業存続のために成果をあげ続けるための努力を
 しなければならない。
 それでこそ経営力は高まりそれは成果にも繋がります。
 組織を進化、強化していくためには、そこには旧来のものを変化させようとする意識と
 新しいものを取り入れていく意識が同時併行して合体していく、そのためのシナージ効果
 をあげなければならない。

 管理者は一人ひとりの多様性を認め、その中での異質の考え方を革新、創造へ繋げることで
 組織の強化とプロモートをせねばならない。
 一人ひとりの個性を認め真の自己実現をはかっていく体制づくりも求められます。
 自己実現の考え方を減点主義の同質性を前提とした組織の中で、総ての者に保障することは
 難しい。

 従業員は一人ひとり皆、異なることは言うまでもありません。
 従って一人ひとりの自己実現を可能とするためには、まずそこには多様なる価値観を認め、
 一人ひとりは皆違うという、異を認め合う組織づくりです。
 価値観が多様化する中で、集団の論理を個人の論理に優先させ、その集団の論理にそむいた
 場合、減点するという減点主義の考え方はこれからの時代には通用しません。

 何でもかんでも組織に合わせるのではなく、まず個と個がぶつかり合うことで新しい価値、
 引いては企業文化をつくり上げる。
 企業に目的と使命のない組織はないように、人生に目的と使命を持っていない人もいない
 でしょう。
 これからはその目的や使命のことを良く知り合うことなしに、企業の活力は生まれません。

 一人ひとりの目的や使命と企業の目的や使命のつなぎ方、それをどう調和させるかが
 管理者の腕の見せ所です。
 “人はパンのみのために働くのではない”と いう言葉はよく言われます。
 仕事のやりがいとか、それを通じての生きがいを確実にするために働く。

 そこでそういうやりがいを求め、仕事を通して自らの成長を求める従業員一人ひとりの
 個人目標と組織目標を一致させ、これを同化させることが出来るならば、従業員のやる気が
 高まり組織の団結力はさらに高まるのです。
 上司に言われたから働くというのではなく、各自が自らの意思で積極的に行動し、組織
 目標の達成を自らのこととして喜ぶ。

 また組織目標の達成のためには相互関係を理解し協働して組織をプロモートする、そういう
 組織文化を創造するのです。
 そのために管理者が考え、そしてなすべきことは、部下の役割は管理者が考え一方的に
 与えるのではなく、上司と部下が一緒になって作り出さねばならないものなのです。

 下表に、減点主義と加点主義の違いをまとめたが、表−(1)でも判るように加点主義の
 考え方の中でこそ、多様性、異質性が認められ自己実現の可能性も高まるのです。

□管理者は組織の連結ピン
 連結ピンとは、アメリカの心理学者であるリッカートが提唱した、人と組織を結びつける
 機能をさします。
 積極的なマネジメント活動を通して経営の確実なプロモートを担う管理者の機能及び
 位置づけは、よく中間管理層と呼ばれます。
 それは組織機構の中で経営層と一般層の中間にある。

 さらには関連する左右の組織との位置づけにもなっています。
 その意味で組織機能の中での位置づけとして、“組織の連結点”といわれます。
 また下図で見られるようにそれは扇の要のようになっており、当然のことながらこの接点
 が曖昧で緩んでいては、組織はバラバラで弱いものになってしまいます。
 組織の連結ピンとしての管理者の位置と機能を一言で言うと

  ①職場のリーダーとして目標達成に向けて部下を育て、 活かしていくリーダーシップ。
  ②上司に対しては、 上位目標が効果的に達成できるように補佐者としてのフォロアー
   シップ。
  ③関連する自部門あるいは他部門の同僚に対して積極的に協力していくメンバーシップ。

 となります。
 具体的には表―(2)を参考。
 このように管理者は、組織の中心的な位置づけの中で、職場のリーダーとして、また上司
 に対する補佐役として、さらには同僚に対しての協力者として、それぞれ機能しなければ
 ならない。
 そしてこれら三つの機能は全てコミュニケーションの働き如何にかかってくることに
 なります。
 コミュニケーションは理屈よりも行動です。
 スタイルよりも心が大切なのであり、しかもそれは現実への即応性が望まれるのです。

  ①リーダーシップとしては
   経営の理念、目標、方針などの情報、その他の情報をよく検討し正しく解釈の上、
   部下が理解しやすいように説明し徹底する。
   また部下の動機づけを行い、チームワークの強化をはかっていく。
   (指導管理力、積極性)

  ②フォロアーシップとしては
   部下の努力の結果を上司に報告し、 また必要により部下の参画を得て部下の提案、
   情報などを提供する。
   上意下達、下意上達のパイプ。
   (判断決断力、責任性)

  ③メンバーシップとしては
   業務の遂行過程から生じる情報をとらえ、 相手が必要とする情報を進んで提供する。
   お互いに必要とする情報を交換し緊密な連携、調整に当たる。
   (折衝調整力、協調性)

 管理者は管理能力によって、管理機能を遂行し、かつ職務機能を果たし、管理対象を
 効果的に活用して、組織目標を達成せねばならないのです。

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課長としての心構え

課長としての心構え

■信念を示す 
 夢を語る場。
 夢をビジョンにする志。
 ビジョンを目標にブレークダウンするスキル。
 目標を行動に移す行動力。
 行動から振り返り修正するシステム。
 そのシステムをどんどん回す仕組み……。

 これら一連の場をつくり、場を動かし、場に意味を持たせ、場を活性化するのがチーム
 リーダーとしての課長の大切な仕事です。
 そして、その中心には、チームリーダーに必要な「たった1つの力」のコアとなる夢と
 ビジョンがあるのです。

 自分が所属するチームの夢がぶれることなく、夢を語り合う「場」があれば、スタッフや
 メンバーのモチベーションは必ずアップします。
 いまを考え、未来を見つめる習慣がなくなったら、進化はありません。
 「夢とビジョン」を語る場づくりが、現場のリーダーができる、いま、そこにある仕事
 なのです。

 課長とは、役職としては中間管理職に相当し、組織の中堅幹部であるとともに、一定の
 部門における監督的立場にある者を言います。
 他部署からの異動でその課の課長になったり、人によっては、その課の課長代理をして
 いて課長に昇格したりするケースもあります。 

 いずれにしても、部下は、今度の課長はどんな人だろうかとか、どんな方針を打ち出す
 のだろうかと、興味津々で新任課長を迎えることになります。 
 まずは、きちんと挨拶をすることです。
 部下より先に、上司が「おはよう」と声をかけるのです。

 当たり前のことと思うかもしれませんが、おろそかにしてはいけません。
 新任当初だけではありません。
 毎日、朝出社してきた部下、上司、同僚に大きな声で挨拶する、そして、退社するときは、
 「お先に失礼します」。

 なかには、「俺が目上なんだから、部下が先に挨拶するものだ」などと考える課長も
 いますが、そんなことはありません。 
 挨拶がきちんとできているかどうかは、ある意味でその職場の活性化のバロメータでも
 あります。

 課というチームの中での信頼関係が活性化の源ですが、そのためには、課のエンジンである
 課長の明るい挨拶が不可欠なのです。
 挨拶をして、始業時間がきたら、いよいよ着任スピーチです。
 何事も最初が肝心。

 もちろん、長い時間をかけてじっくりと自分らしい課の運営をすることも重要ですが、
 最初の段階であなた自身の信念を明示することもとても有意義です。
 部下をハッとさせることは効果的ですし、部下に「今までとは違う」と思わせることに
 つながるでしょう。

 「仕事の進め方」を箇条書きにした「心得」として示すことも大切でしょう。 
 このような方針や考え方は、必ず文書にして渡すことを心がけてください。
 口頭では、人によっては頭の中を素通りしてしまいます。
 文書化することによって、
 自分の考え方を整理することができますし、自分が何を大切にしているかを発見する
 ことにもつながるでしょう。

 もちろん、着任時に文書で示すだけで、新任課長の考え方が浸透するほど甘くはありません。
 とにかく、反復です。
 何度も何度も、繰り返しこの話をするのです。
 課内会議のときは必ず「心得」の内容に触れることも大切です。

 注意してほしいのは、「心得」の文言をそのまま言っても伝わらないということです。
 現場の仕事にあてはめて、具体的に説明してください。
 そして、‘‘耳にタコができる’’くらい繰り返すのです。
 部下に、「また、その話ですか?」と言われても、かまうことはありません。

 こうした努力を積み重ねれば、いずれ「心得」が現実化していることを発見するでしょう。
 なかには、着任時に「方針」「信念」を示しても、そのまま放ったらかしたり、思い出した
 ときだけもち出すような課長もいます。
 そんなことでは、課員は本気では受け取ってくれません。
 要するに、その課長の「信念」など、本物ではないのです。

 課長になるのを機に、自分の「信念」を本気になって考え抜き、そして、本気で部下に
 伝えるのです。
 本気であること。
 これがなければ、何も始まらないのです。

□「時間厳守」を叩き込む 
 ビジネスマンは時間厳守が鉄則。
 当たり前のことですが、着任時に、このことを明確に示すことをお勧めします。
 出勤時間、会議、外部とのアポイント……。
 毎日のことですから、時間に関してほんの少し気持ちが緩んだだけでも、仕事全体に
 深刻な影響を及ぼします。

 だから、着任スピーチのときに、「時間を守らない人には厳しく対処します」と明言
 したほうがよいでしょう。
 最初から徹頭徹尾、強く要求するのです。 
 もちろん、まずは隗(かい)より始めなければなりません。

 例えば、朝は人より1時間ほど早く出社する。
 会議への遅刻は絶対に許しません。
 その代わり、会議はできるだけ早く結論を出すように努め、終了の時間は守る。
 終了予定時間が12時であれば、11時とか11時半には終わるようにする。

 お客さまとの待ち合わせには、必ず10分前に着く。
 重要な人との待ち合わせや社外での会議の場合はもっと早く、15分前には着くように
 する 等です。
 電車が遅れることもあるでしょうし、事故だってあるかもしれません。

 途中で食事をしなくてはならないときは、必ず目的地に着いてからとります。
 途中で何が起こるかわからないからです。
 目的地に着いてからの食事であれば安心ですし、最悪の場合、食事を抜いてもよいのです
 から……。 

 こうして、「時間厳守」をあなたが身をもって示し、部下に対しても厳しく指導し続ければ、
 それは課の文化として定着していくでしょう。
 もしも、時間にルーズな課員がいたら、それは課のマネジメントがうまくいっていないと
 考えて間違いありません。
 十分に気を付けるようにしてください。

 「時間厳守」だけではありません。
 「きちんと挨拶する」、「お世話になったらすぐにお礼を言う」、「ウソをつかない」、
 「間違ったことをしたら、勇気をもって謝る」といった基本的なマナーについては、
 口うるさく言い続けてください。
 これらの基本をはずした部下には、叱りつける必要があります。

 こうしたことは徹底的に身体に刻み付けてあげるのが課長の務めです。
 なぜなら、これらのことができない人は、一生、一人前にはなれないからです。
 そして、それは着任した瞬間から始めるべきことなのです。

□すべての部下と面談する
 着任後、あなたが真っ先にやらなくてはならないのは、
  ・課として成すべき重要課題や緊急テーマ 
  ・課を構成する部下の業務分担、能力、モチベーション、メンタルヘルス、家族状況
  ・上司(部長)の存在感
 など、担当課を取り巻く現状を把握することです。

 その課の「事実」をつかむことと言ってもよいでしょう。 
 このときに注意してほしいのは、前任課長からの引き継ぎ事項を鵜呑みにしないという
 ことです。
 前任課長の話は一応聞いておいて、後は、あなた自身の目と耳で確認しなければ
 なりません。

 「事実」というのは厄介なものです。
 なぜなら、人というのは、どうしても自分に都合のよいように解釈するものだからです。
 ある特定の事象について、ある人は「事実はAだ」と解釈し、ある人は「事実はBだ」
 と解釈する。
 そういうものです。

 どんなに公平を心がけている人でも、そのことから逃れることはできません。
 ですから、“事実’’とされるものについても、さまざまな角度から冷静に検証しなければ
 なりません。
 “事実’’をゆすってみると、たいていの場合、「事実」でないことがわかるものです。

 だから、前任課長の話を「事実」と考えてはいけないのです。
 特に、部下の人事評価を真に受けることは絶対に避けるべきです。
 人事評価は、人が人を評価するので、「絶対水準の視線」に欠けるからです。
 どうしても、その人の価値観や噂好性の影響を受けるのです。

 だから、安易に前任課長の評価を「事実」と受け取ることで、「人材を殺す」ことすら
 あることを肝に銘じなければなりません。
 それでは、課の現状(=事実)を把握するためには、どうすればよいのでしょうか? 
 例えば、課長に就任したら、部下全員と一人ひとり面談することです。

 課員の話を聞くことで、‘‘事実’’をゆすってみるのです。
 できれば、課の中で一番若い人から順番に話を聞いた方がよいでしょう。
 若い人はキャリアが短い分、比較的無防備ですから、あまり慎重にならず好きなことを
 話してくれるからです。

 それに、課長が変わったのをチャンスに、日ごろ抑えていた不満を口にすることも
 あります。
 現状を把握する材料をたくさん提供してくれるのです。
 ベテランの人たちは、若い人が、新任課長に何を言ったか気になって、その分慎重に
 話をするでしょう。

 でも、それでよいのです。
 これから毎日仕事をしていれば、遅かれ早かれ“本音’’はわかってきます。
 とにかく、いろいろ話してくれる若い人からたくさんの情報を引き出すことを心がけて
 ください。
 部下の本音を引き出すためには、多面的に質問することが重要です。

 つい、その部下が担当している仕事について根掘り葉掘り聞いてしまいがちですが、
 それでは、相手の口はなかなか滑らかになりません。
 仕事に関しては、「この課がどんなふうになればいいと思う?」、「会社はどういう
 方向に向かうのがいいと思っている?」、「どんな新入社員がほしい?」など、相手の
 職責とは関係ないレベルのことも聞いてみるとよいでしょう。

 誰でも、それなりの考えをもっているものですし、それを誰かに話してみたいと思って
 いるものです。
 多面的に質問することで、部下の考えていることがよりよく見えてきます。
 そして、仕事のことだけではなく、差しさわりのない範囲でプライべ−トのことも聞いて
 みるとよいでしょう。

 親近感も湧くし、より本音を話してくれるようになるはずです。
 この面接は、とりあえずの現状把握ですから、あまり時間をかけず、簡単に済ませて
 大丈夫です。
 まずは、ざっくりと「事実」を把握できればよいのです。
 それだけでも、前任課長の仕事をより客観的に評価できるとともに、その課の抱えている
 問題点と打つべき対策が徐々に見えてくるはずです。

□「在任中に何を成すか」を決める
 会社員に異動はつきものです。
 いずれは、現在の部署から別の部署の課長などに異動になります。
 現在の職にはタイムリミットがあるのです。
 明確な目標ももたずに漫然と仕事をしているようでは、あっという間に異動になって
 しまいます。
 何の実績も残さないまま……。

 課長たるもの、「在任中に何を成すか」という自分のミッションを決めて、できるだけ
 早く達成する方策を考え、実行していく必要があるのです。 
 常にタイムリミットを意識するようにしてください。

□細かいことは部下に教われ
 「在任中に何を成すか」を決めるためには、現場で起こっている事実を知り尽くさなければ
 なりません。 
 しかし、異動によってはじめての部署で課長になった場合は、現場のことはまったく
 わからないでしょう。

 入社以来はじめて営業担当になった人もいるでしょう。
 ですから、専門知識はまったくのゼロです。
 圧倒的に部下のほうが上のはずです。
 課長は、一から十まで教えを乞う立場のはずです。 
 すべての部下に丁寧に接して、謙虚に教えてもらうことです。

 わからなければ、何度でも聞きましょう。
 当たり前のことです。
 今、現場で何が起こっていて、何が問題なのかを正確につかまなければ、仕事が始まらない
 からです。

 「俺は課長なんだ」などといったつまらないプライドのためにきちんと教えを乞わなければ、
 間違いなく誤った判断をすることになるでしょう。
 一例ですが、「後輩であっても、その人が担当する分野については自分にはかなわない
 アドバンテージがある」と考えましょう。

 だから、先輩、後輩を問わず相手の名前を「○○さん」と呼んではどうでしょうか。
 つまり、仕事については年齢や序列の差はあまり関係がないと考えてはどうでしょう。 
 たしかに、課長のあなたが入社したばかりの石田君を「石田さん」と呼ぶのは変かも
 しれませんが、
 しかし、入社3年も経てば、皆それぞれ一人前です。

 「たかが、名前の呼び方」と思うかもしれません。
 けれど、常日ごろこういうことを実践していると、くだらないプライドに悩まされる
 ことはありません。 
 とはいえ、その分野での経験の浅い上司を馬鹿にする部下というのはいるものです。 

 しかし、そういう部下は、組織とか権限とか人間性にうとい未熟な人で、組織の中で
 成功する確率は極めて低い。
 だから、意に介さないことです。
 そして、気持ちのうえで一段上にたって、かつ謙虚に教えを乞えばよいのです。 

 こうして、問題の背景や事実関係が明確になってくれば、一定の結論と解決策はおのずと
 見えてきます。
 「何が事実か」を正しくつかめば、それほど間違った結論は出てきません。
 会社で起こっていることの解決策というのは、たいていは「常識」で判断できるもの
 だからです。

 ここまで来たら、後は課長が毅然として結論を出すことです。
 そのときには、部下が難色を示したとしても勇気をもって決断する強さが必要です。
 もちろん、部下の意見には真撃に耳を傾ける必要があります。
 批判的な意見が、あなたの判断を磨き上げることもあるのです。

 しかし、あくまで最終決断を下すのはあなたです。
 課長はリーダーです。
 部下の仕事の方向や目標を設定する権限がありますし、部下の評価と異動を決定する
 という武器ももっています。

 部下があなたをどう評価しようと、課長としてのあなたは絶対的優位な立場にあります。
 部下はそのことをよく知っています。
 だから、細かい知識などは、虚心坦懐に部下に聞くとして、大きな流れについては
 あなたが判断し、指示するのです。
 その決断の一つひとつを、自信をもって行使すればよいのです。

 時間はそんなにかけられません。
 普通、1か月もあれば新しい職場の問題は完全に把握できます。
 遅くとも着任2か月以内に、あなたの「在任中に成すべきこと」を明確にして、課員
 全員に明示しましょう。
 課長の本当の仕事が始まるのは、それからです。

□大目標をブレークダウンする
 「在任中に成すべきこと」は明確になったでしょうか?
 ちょっとハードルの高い目標設定をしたくらいでないと、よい仕事はできません。 
 さて、「成すべきこと」が決まったら、次はそれをブレークダウンしていかなければ
 なりません。

 「2年で○○事業を立ち上げる」という大目標であれば、1年目には何をするか、今月は
 何をするか、今週は、今日は……、という具合です。 
 もちろん、計画どおりに進行しないケースがほとんどですから、その都度計画は修正
 しなければなりません。

 しかし、計画をもたずに、成り行きに任せる仕事のやり方は、ときに決定的なロスが
 生じます。
 一般社員であれば、生じたロスを自分の力でリカバーできるかもしれません。
 しかし、あなたは課長です。

 あなたに計画性がないために部下に負担をかけるようなことがあれば、信頼関係は壊れて
 しまうでしょう。
 だから、どういうプロセスで仕事を成功にもっていくのか、具体的かつ明確なイメージを
 早く構築してください。 

 ここで必ず出てくるのが、課の業務のなかでプライオリティをつけなければならない
 という問題です。
 たとえば、「2年で○○事業を立ち上げる」のであれば、それは新規事業です。
 当然、従来の課の仕事にプラスアルファが生じるわけです。
 これまでどおりの業務のやり方では、こなせるはずがありません。

 新規事業までいかなくとも、何らかの「成すべきこと」を達成するには、課金体の仕事の
 やり方を変えなければならないはずです。
 そこで、業務別にプライオリティをつけ、重要度の低い仕事はやめるか、やるとしても
 達成度を6割とか8割の水準で完成させるという調整が必要になります。

 「パレートの法則」という言葉があります。
 「国の富の8割は2割の人に帰属する」といった「8:2の法則」のことですが、「仕事の
 パレートの法則」にも当てはまります。
 つまり、「重要な仕事の2割をやれば、全体の仕事の8割が達成できる」ということです。
 2割の重要な仕事に、もてる資源を振り向けていくのです。

 ポイントは、「今、その課にとって‘‘重要なこと’’は何か?」ということです。
 課の最重要課題として「成すべきこと」を決めたのであれば、それが「重要なこと」です。
 ですから、それを軸に課の業務を組み直していく必要があるのです。
 場合によっては、従来の仕事を「捨てる」ことも恐れてはなりません。

 ところが、ここを勘違いしている課長がたくさんいます。
 たとえば、「新規事業を立ち上げたいので、人員を増やしてください」と要求したく
 なるでしょう?
 まあ、そこまではよしとしましょう。

 しかし、会社全体の人事政策や諸般の事情があって、必ずしもそのようにできないことが
 あります。
 というか、昨今の経済情勢のなかでは、すんなり認められることのほうが少ないでしょう。
 しかし、そこで、一部の課長たちはこう考えます。

 「だったら、新規事業などできない」。
 この発想法をとっている限り、課長としてよい仕事を成すことはできないでしょう。
 そのような課長は、こう考えているのです。
 「会社は社員が戦う武器をすべて用意しなければならない」。

 もちろん、経営陣はそのために最大限の努力をしなければなりません。
 しかし、あなたの会社員人生を振り返ってみても、戦うための武器をすべて与えられた
 などという経験はないはずです。
 そういうものなのです。 

 課長はその課の責任者=Managerです。
 こんなときにこそ、マネジャーとしての手腕が問われるのです。
 つまり、業務にプライオリティをつけて、しかるべき形に組み直すのです。
 こう言ってもよいでしょう。
 「会社は武器をすべて用意すべきだ」と考えている人は「他責」の人なのです。

 こういう人は、「武器を与えてくれない会社が悪い」「結果を出してくれない部下が
 悪い」という考え方をします。
 これでは、課長職は務まりません。
 課長たるもの「自責」の発想をしなければなりません。

 与えられた条件のなかで、「では、何をすべきか?」と知恵を絞って、自らの力を頼って
 実行していくのです。
 仕事は常に工夫と改善の連続です。
 流れに流されていては真のマネジャーにはなれません。
 自分のカで流れに棹さすくらいの気概が欠かせないのです。
 このことを肝に銘じてください。

□部下の仕事に手を出す
 課長とは、社内で唯一、部下の仕事に手を出すことができる職位です。
 顧客訪問をしようとしている営業スタッフに、「AとBの顧客を回るように」 とか、
 「午前中に3件回れ」などと具体的な指示をすることができます。
 あるいは、報告書を書いてきた部下に「もっと簡潔に表現しなさい」とか、「重要な課題が
 抜けている」といった細かい指摘もできます。

 部長や担当役員、社長にはこれができません。
 そのような地位の人たちができるのは、「考え方」や「経営方針」の伝達です。
 ここが、課長の大きな特徴のひとつなのです。 
 ところが、これをやらない課長が多い。

 「A君、これをやっといてくれ」で済ませてしまう。
 その業務の完成度も伝えなければ、納期も設定しない。
 そういうことはすべて部下が決めてしまいます。
 しかし、このようなやり方で、仕事が効率的になるわけがありませんし、設定した
 「成すべきこと」を実現するなど不可能です。 

 もちろん、やみくもに手を出せばよいわけではありません。
 1本スジの通ったやり方が必要です。
 課長であるあなたのやり方の例を紹介します。
 課長として、必ず過去1年間、部下がどんな仕事を何日かけて実行したかということを
 分析しましょう。

 昨年度の「業務報告書」をもとに、すべての担当者がどのような仕事をどのくらいの
 時間をかけてやったのかを調べ上げてほしいのです。
 そうすることで、いろんなことが見えてくるはずです。
 比較的重要でない業務に膨大な時間をかけた人もいたり、重要な業務をやりかけて途中で
 止めてしまった人もいるでしょう。

 さまざまなところで大きなロスがあるはずです。
 そこで、それぞれの業務を何日間でやるべきなのかを判定していきます。
 業務ごとに重要度のランキングをつけるのです。
 たとえば5段階方式にして、最重要業務は「5」、最も軽い業務は「1」と評価します。
 あなたもやってみてください。

 ほとんどの業務は「3」か「2」です。
 それを、生真面目にすべて100%の完成度でやる必要はないのです。
 一般の会社の業務で真に重要な仕事は20%くらいのもので、このような“業務仕分げ’を
 すれば、それを実感できます。
 「5」の業務なんてほとんどありません。

 「5」や「4」の仕事に力を集中して、「3」以下の仕事はそれなりの完成度でやれば
 よいのです。
 むしろ‘‘拙速’’を尊ぶのです。
 このように業務ごとのプライオリティを明確にしたうえで、部下に、業務を始める前に
 「計画書」を提出させることです。

 「やるべき業務の選定」、「完成度」、「納期」などについて計画を立てさせるのです。
 あなたはそれをチェックして、「この仕事はしなくてもいい」とか「君は3週間でやる
 と言っているが、1週間でやりなさい」などと修正していきます。
 つまり、「デッドラインを決めて追い込む」のです。
 もちろん、部下の言い分も聞きます。

 そして、お互いに納得したうえで業務をスタートさせるのです。
 おおげさに言えば、あなたは部下に仕事を発注し、部下はあなたから仕事を受注する
 という方式です。
 こうした取り組みで、3割は業務を効率化できます。
 その分を、「成すべきこと」に振り向ければよいのです。

 社員は、毎週、この1週間のうちにやる業務と所要計画時間の一覧表を完成させます。
 そして、1週間後にその業務にかかった時間を記入させ、計画との対比表をつくって、
 その差異を分析するのです。
 こういうことは、社員はみなイヤがります。

 「好きなようにやらせてほしい」、「そんな計画を立てるなんて時間のロスだ」という
 わけです。
 それでも、実際にやってみると、残業時間の激減につながります。
 反対した社員たちもその効果を実感するはずです。

 最初は計画書をつくるのに手間取っていた人も、慣れると短時間で作成することができる
 ようになります。
 そして、「仕事の予測能力の向上」と「プライオリティ設定の習慣化」につながり、
 仕事のスピードが50%も上がるようになるのです。

 しかも、上司と部下が、その業務の重要度、納期を議論することによって、部下はその
 業務が会社や課にとってどれほどのものなのかを認識できるようになります。
 そして、本当に大事な業務は何なのかがみえてくるようになるのです。
 ひとつだけ言い添えておかなければなりません。
 「礼儀」をもって、手を出さなければならないということです。

 だれだって、自分がやっている仕事について「これは、重要な仕事ではないから、もっと
 適当にやってくれてかまわない」などと言われたら、やる気を失います。
 ですから、「君には、もっと大事な仕事に力を注いでほしいから、この仕事はもう少し
 簡単に済ませても構わない」などと言い方に工夫をする必要があります。

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課長の役割

課長の役割

ミドルマネジメント(以下課長)の役割
 会社の中には、管理職が十分機能しないため、トップの方針や危機感が全社に徹底せず、
 社長と管理者、一般社員との間で意識に大きな段差が生じていることが少なくありません。
 そこで、まず、課長の役割について徹底(教育)することが大切です。
 中間管理職である課長は、「経営目標の推進者」と「経営理念の伝導者」という二つの
 役割をもっています 。

 したがって、課長は、全社的な経営計画や経営方針の策定に参画するとともに、自らが
 責任を持つ部署で経営方針を具体化し、仕事と部下を取りまとめながら経営目標を推進し、
 その一方で、経営理念や企業ビジョンの伝導者として部下の育成、指導に当たらなければ
 なりません。
 また、自らの業務を確実に遂行することも大切です。

□課の立場 
 ー般的に企業では、課長は、役員、部長に次ぐ地位であることが多く見受けられます。
 おもな業務は、現場の監督者という地位であるため、部下の業務のチェックや組織の統括が
 任務です。
 他にも顧客や社外関係者に対して、担当者の上司として対応します。

 このような役割であるため、課長は業務に関して、部下を叱咤激励する機会が多く、
 ビジネスパーソンを主人公とした漫画やドラマでは、「嫌味な人」もしくは「身近な理解者」
 として措かれることがあります。
 今回は、「嫌味な人」もしくは「身近な理解者」としての課長ではなく、社長が求める」
 課長の仕事力について考えてみたいと思います。

 いま課長の質が、より問われる時代になりました。
 若さ、バイタリティ、感性なども当然重要ですが、いま求められるのはプロとしての仕事力
 です。 
 右肩上がりの時代は、“知力”というビジネススキルがなくても課長が務まりました。

 「私のやりかたで実績があがった。だから認められ部長、役員になった」と思い込んで、
 そのままの成功体験と能力でよしとする管理職や経営幹部がいました。
 そのような人を抱えた企業が、いま変化に対応できずに危なくなっているのです。
 大企業といえども、いつ倒産するかわからない。

 いつ合併やM&Aされるか分からない時代にあって、課長のポストは減っています。
 デキる課長しか生き抜くことはできません。
 課長ほどおもしろいエキサイティングな立場はありません。
 まず、管理職の立場でいながら現場と接点があるということです。
 現揚がいちばん多くの情報を持っています。

 会社の改善は、すべて現場の状況・情報に精通していなければ成果は出ません。 
 会社がよりよく成長し変化していくときのキーポジションが、課長なのです。
 課長になったら、「自分はミニ社長」になったつもりで、部下と共にグループで研究し、
 どんどん改善案を出してください。

 そして、改善のリーダーになってください。
 ビジネスパーソンは、部下を1人持った時点からリーダーです。
 真面目に働いていれば、誰でも、チームリーダークラスまでは到達できるでしょう。
 しかし、部署、部門、会社を率いるリーダーとなると、話は別。

 それぞれの段階で高い壁が存在します。
 では、真のリーダーとしてステップアップしていける課長と、途中で壁に阻まれる課長の
 差はどこにあるのか……。 
 真のリーダーになるための条件を抜き出してみます。

□課長に必要な性格
 ある会社の販売会議に、参加したとき、先方の担当社員が配ったプレゼン資料に、小さな
 数字の間違いを見つけました。
 議題に影響するほどの間違いではなかったのであとで指摘するつもりでしたが、どうやら
 課長の1人がそのミスに気づき、会議の流れを止めてまで部下に注意を与えました。

 普通ならば、「細かいところにうるさい課長がいて、社員もかわいそうだ」と考える
 のかもしれませんが、私はむしろ、この会社はリーダーに恵まれているとわかり、業績回復
 に確信を持ちました。
 「物わかりのいい上司」になることは簡単です。

 しかし、優秀なデキる課長ほど、「うるさい、細かい、しつこい、横着しない」という
 厳しさを持つ度胸と、「基本を身につけてしっかり成長してほしい」という愛情を持って
 いるのです。
 この4つの性格が課長には、なぜ大切なのか。

 逆を考えれば、すぐにわかります。
 ミスに寛容なリーダーのもとでは、同じミスが繰り返されます。
 そこでしつこく確認しなければ、同じミスが何度となく起きる危険性があります。
 細部をチェックする能力がなければ、やがて大きなミスが、必ず起こります。 

 また、横着している上司に手抜きを指摘されても、部下は不満を募らせるだけです。
 まさにこの4つのファクターは、部下をマネジメントするための基本なのです。
 「課長が細かいことにいちばん厳しい」組織は、成長します。
 課長が厳しくしなければ、部長がせざるを得ません。

 部長がしなければ、役員が……。役員がしなければ、社長が……。
 社長が厳しくしなければならない組織は未熟な証拠です。 
 逆に言えば、自分の上司にラクをさせるために、自分が厳しさを演じられる人になって
 ください。
 そのキーポジションが課長やマネージャーという職位です。

 細かいことにも厳しいけれど慈愛がある母親役と、人として間違ったことをしたときには
 激怒するけれど大きな夢を与えてくれる父親役の二役が、課長には求められています。
 ときには、上司とのコンビでその効果を上げたいものです。

□社員1人×4人分の責任感
 会社は何のために業績に責任を持つのか。
 最近は「株主価値経営のため」と答える人も少なくないようですが、その風潮には疑問を
 感じます。
 まず、社員満足を優先すべきだと思います。

 計画通りの業績を残すのは、会社を存続させて、社員やその家族の生活を守るためです。
 それを実現可能にするために、顧客満足が求められるのです。
 そのためにも課長が、自分の課の業績に責任を持つのは当然です。
 課長として任務を遂行するときは、自分を奮い立たせるために、自分の課のスタッフ数と
 その家族数をつねに頭に思い浮かべてほしいものです。

 スタッフ数が5人なら、その1人に家族が4人いるとして20人。
 それだけの人の生活が自分の手腕にかかっているのだと思うと、とても弱音は吐いて
 いられません。
 そして、自分の課だけではなく、自分の所属している部のスタッフ数まで意識できる余裕
 と責任感を持てるようになると、部長の器になっていることになるのです。

 当然、社長の場合は、それが「全社員の人数×4人」となります。
 「部下には仕事だけしてもらえれば、プライべ−トは無関心」といって仕事を教える
 だけでは、部下はなかなか育ちません。
 関心と干渉とは違います。

 朝、出社したときの姿や顔色ひとつで部下の状態を察することができるようになりたい
 ものです。
 「健康状態は?」「お子さんが幼稚園に通い始めた。元気かな?」「母親が要介護に
 なったらしい。睡眠不足になっていないかな?」。

 これらは仕事とは直接関係のない情報ですが、仕事に影響の出やすい要因でもあります。
 部下のリアルな生活を知ることで心の架け橋もできます。
 そして、教えるよりも気づくきっかけをつくる。
 それが次の3つです。

  「成長してほしい」という温かいまなざし。
  「なんでも聞くよ」という大きな包容力。
  「黙っているから気づいてくれよ」という小さな声。 
 チームの業績が悪化すれば、自分はもちろん部下の評価も下がり、それが部下の家族の
 生活にも影響していく。
 リーダーとしての責任の重さが課長にはあるのです。

□的確なジャッジメントと迅速なデシジョン 
 経営幹部の多くが「判断」(ジャッジメント)と「決断」(デシジョン)の違いを意識
 していないことです。
 判断とは、複数の選択肢の中から最良な方法を論理的に導き出す行為です。
 例えば、製品のパッケージを決めるとき、デザインAの支持率が60%、デザインBの支持率が
 20%なら、デザインAのほうが受け入れられるという仮説を導き出す。

 これがジャッジメント(判断)です。
 デシジョン(決断)とは、検討結果をもとにして、物事の優劣・良し悪しが、どちらに
 あるのかを選択する行為を意味します。
 先の例でいえば、もし調査の結果、AとBの支持率が同じだったら、優劣は断定できません。

 このときにどちらを選択するかを決めるのがデシジョン(決断)です。
 判断において求められるのは正確さであり、そのためには情報収集や検討に時間がかかる
 場合もあるでしょう。
 一方、決断に求められるのはスピードです。

 時間をかけても判断以上に正解に近づくことはないのだから、あとは決めるだけ。
 迷うのは時間の無駄なのです。
 ところが、この会社の部課長たちは、まったく逆のことをしていました。
 ろくに情報収集もしないで憶測で判断を下して、いざ最終的な決断を迫ると、「もう少し
 検討させてください」といって逃げてしまう。

 その会社が長い間、赤字にあえいでいたのも納得です。
 ビジネスに求められるのは、的確なジャッジメントと迅速なデシジョンです。
 とくに現場の課長クラスがこの2つを混同していると、指示を待っている実働部隊の
 社員たちは大迷惑です。

 決断が遅いから対応が後手に回り、しかも判断が不正確なので失敗もクレームも多く
 なります。
 問題を深く分析することもなく、それでいて決断をだらだらと先送りするような人は、
 部下にとって最悪の課長です。
 もし自分にその傾向があるようなら、いますぐに意識して改めるべきです。

□不正に精通したうえできれいごとを貴く
 利益を上げるために、困難だが社会的に正しい手段と、簡単だが倫理に反する手段が
 あったとします。
 このとき現場のリーダーである課長がどういった対応を取るかで、組織の命運は大きく
 左右されます。 

 好んで不正を働くリーダーが最も危険であるのは当然ですが、意外に気をつけたいのは、
 いわゆる“清濁併せ呑む”タイプのリーダーです。
 このタイプは、一方できちんとした企業活動を行っているのに、利益のためには仕方がない
 と割り切って、反倫理的な行為にも手を染めてしまいます。

 なまじ罪の意識はあるだけに、バレないように隠れて不正を行いますが、発覚したときは
 後の祭り。
 正しかった企業活動のほうも影響を受けて、会社を傾かせてしまいます。
 では、清濁の「濁」さえ呑まなければいいのかというと、そう単純な話ではありません。
 なぜならば本人は正しい手段でビジネスをしていても、相手の不正によって被害を受ける
 場合があるからです。

 例えば、「取引先を信じて商品を卸したのに、相手方の計画倒産で、代金をもらう前に
 逃げられてしまった」「長年つき合いのあった仕入れ先から、とんでもない不良品を
 つかまされて、それを販売した自社の信用にまで傷がついた」といったケースは、けっして
 珍しくありません。

 そう考えると、最も頼れるのは、清濁をよく知ったうえで正しい手段を的確に選べる
 リーダーでしょう。
 ビジネスはきれいごとだけでは済みません。それをよく理解したうえで対策を打ち、
 なおかつ自分はきれいごとに徹して、堂々と明るい道を歩く。
 リスクを避けるには、それが最も有効です。

□前任者を乗り越えてこそ本物のリーダー
 ある中堅メーカーの課長から、こんな相談を受けました。
 「前任者が部長になり、この課を引き継いだのですが、課員の多くはいまだに前任者の
 顔色をうかがって、こちらのいうことを素直に聞いてくれません」。
 これはけっして珍しい悩みではありません。
 とくに前任者の業績が良ければ良いほど影響力が色濃く残ってしまう。

 そのなかでリーダーシップを発揮するのは、たしかに至難の業です。
 例えば前任の課長が作ったマニュアルに縛られたり、実績が多少劣っているせいか、
 自分のカラーを出せなかったり。
 前任者が優秀であればあるほど、後任は動きづらくなるものです。

 そこでリーダーシップを発挿するには、あえて前任者が至らなかった点を克服するくらい
 の強い意識が必要なのです。
 トヨタが誇る世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」をご存知と思います。
 1997年に発表された初代プリウスは、従来のガソリン車と比べて燃費を約2倍に向上
 させて、環境問題に敏感なユーザー層から支持されました。

 環境にやさしい量産車を作るという目的は、見事に達成されたといっていいでしょう。
 初代の評判が良かっただけに、2代目プリウスの開発リーダーは大いに悩んだはずです。
 2代目での燃費のさらなる向上は当然として、それだけで初代を超えられるのか。
 そこで後任の開発リーダーが下した結論は、初代が切り捨てていた自動車本来のスピードや
 換作性を追求することでした。

 運転の楽しみを追求した2代目プリウスは、初代を大きく上回るペースで売れ続けて、
 一般ユーザーにも支持が拡大。
 08年には累計100万台を突破。
 もし後任リーダーが初代の良さを引き継ぐことしか考えていなかったら、プリウスは、
 いまも「環境問題に関心のある人だけが乗る車」だったに違いありません。

□答えを教えずにビジネスの視点を教える 
 医薬品の商社に、部下の指導法が対照的な2人の営業課長がいました。
 Aさんは部下の指導に熱心で、細かいところまで指示を出してサポートするタイプ。
 Bさんも部下と積極的にコミュニケーションをとりますが、具体的な指示は一切出さず、
 考え方のヒントしか与えません。

 Aさんのやり方が親切だと考える人が多いかもしれませんが、部下を育成するという視点
 に立てば、正解はBさんです。
 Aさんのように具体的な答えを教えると、短期的には成果が出ます。
 しかし、答えの出し方が身についているわけではないので、状況が変われば、部下に
 再度、答えを教えなければいけません。

 それでもAさんの目が届くうちはよかったのですが、営業部員を増員したところ、指導が
 行き渡らなくなり、Aさんの営業所の業績は伸び悩んでしまいました。
 一方、Bさんは答えを出す考え方だけを教えたので、部下が答えを見つけて成果を出す
 まで時間がかかりました。

 ただ、答えを出すノウハウを学んだので、環境が変わっても部下は自ら答えを出せます。
 実際、Bさんの営業所は、増員すればするほど業績も伸び、のちに営業所長に出世する
 ような優秀な営業部員を数多く輩出しました。
 では、答えを出すために必要な考え方とは何でしょうか?
 一言でいえば、それはビジネスの物の見方です。

 具体的に言うと、「どんな傾向があるのか」、「何が変化したのか」という顕著性と、
 「その傾向や変化がどんな意味を持つのか」という意味合い。
 この2つの問いをつねに頭のなかに持って物事を眺めることで、問題やその解決方法は
 見えてきます。

 例えば、売上が伸び悩んでいる営業部員がいたら、「あのお客様はもっと買ってくれる
 かもしれないからアプローチしてごらん」と直接的に教えるのではなく、「お客様
 それぞれの売上を調べれば、何か見えてくるかもしれないね。
 売上が減っているお客様がいたら、それはどういう意味だと思う?」というように、
 その意味を考えさせて、自分で答えを出せるように導いてあげる。

 こうした経験を持った部下は他の問題に対しても、同じように自ら答えを見つけ出すはず
 です。
 つまり課長は、成果の出せない部下に対して、「そもそも何が理解できていないのか。
 それが理解できない原因は何か」と原因の原因まで据り下げて洞察することが求め
 られます。

 それさえわかれば、部下が自ら答えを出せるようなヒントを示せるようになり、部下も
 自分で「気づく」喜びを得られるのです。

□自分の本当の適性は3年後にわかる
 営業課長から、突然、人事の課長へ―。
 そんな異動や転職で環境が変わったが、思うような成果を出せずに、「この仕事や職場は、
 やはり自分に向いていないのではないか」と考えてしまう課長は多いかもしれません。
 しかし、1年程度の結果で判断するのは早すぎる。
 自分の適性を見極めるには、少なくても3年間は必死の努力を続けるべきです。

 ビジネス環境は約3年で一巡します。
 その3年の間には必ず好機が訪れるし、逆に危機も迎えます。
 これは商品にもいえることで、例えば発売から3年経ってもそこそこしか売れていない
 商品は、その後も売れずに販売中止になる確率が、反対に3年後にもまずまず売れている
 商品はロングセラーになる確率が高かったのです。

 人材もこれと同じで、3年経っても結果が出ない人は適性なし、3年後に成果を出せている
 人は適性ありです。
 つまり、それまでの成果は途中経過。
 1年目に成果が出なくても落ち込む必要はないし、逆に1年目にうまくいっても、本当に
 適性があるかどうかわかりません。

 最近はビジネスのスピードが速くなり、1年目から結果を求められている人が少なく
 ありません。
 ただ、短期間で結果を出すことと適性の有無は、別の次元の詣です。
 1年で成果をあげられなかったからといって、自ら幕引きをする必要はまったくありません。

 状況が許すなら、3年間は粘り強く頑張ってみる。
 自分の適性を見極めるのは、それからでも遅くないはずです。
 逆に3年間、我慢できない人は適性よりもやる気、前向きさ、ひたむきさなどの面で
 マイナス点をつけられてしまう危険性もありますから要注意です。

 課長のポストでの異動は、部長へのステップアップのための試練を与えられているのだと
 前向きにとらえ、デキる課長になることを期待しております。


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組織を活性化するリーダーとは

組織を活性化するリーダーとは

 組織を常に活力とヤル気に溢れた状態にするのは、リーダーの力如何にかかって
 います。
 特に現場の第一線で活躍しているリーダーの力量が重要です。
 組織のトータルパワーを最大にするには、何を、何時、どのようにやったらいいのか
 というマネジメントの基本的なノウハウを身につけていなければなりません。

 そのためにはリーダーとは一体何をなすべきなのか、という基本をまず押えることです。
 そうしないとマネジメントのノウハウはなかなか修得できないでしょう。
 それではまず、リーダーの条件について 、ここで再確認をしておきましょう。

 ■リーダーの5つの条件
  リーダーに必要な基本的な条件は以下に述べる5点です。
  リーダーはこの5点を充分認識して、マネジメントの実践の中で如何に効果を
  上げるかを考えて努力してほしいものです。

  1.業績向上に貢献する
   リーダーは業績向上に貢献する働きが要求されます。
   業績を上げられないリーダーは失格と言ってもいいでしょう 。
   業績とは、各々リーダーが果たすべき機能を充分に果たしているか否かという
   ことです。
   業績向上に貢献しなければならないのは一般社員とて同じことですが、リーダーの
   場合は業績の上げ方が一般社員とは違う訳です 。

   一般社員は自分の担当業務を一生懸命やって成果を出せば、それでこと足れりと
   なります。
   リーダーの場合は、他人を使って業績を上げなければなりません。
   即ち、自分一人が頑張って業績を上げるのではなく、沢山の人を活用して業績を
   上げると言う点で、一般社員とは大きく違う訳です。
   他人とは部下、同僚、先輩、後輩、上司、他部門の人達、社外の人々等です。

  2.上意下達、下意上達
   リーダーは経営陣と一般社員の間に挟まれて「上と下とのジョイント役」
   としても重要な存在です。
   上の意向を噛み砕いて下に伝えなければならないし、同時に、下の意向を咀しゃく
   リファイン(洗練)して自分の考えとして、上に伝えなければなりません。
   そ れによって方針が下までストレートに伝わり、下の意見や改善点、不平不満
   等々が上まで伝わることになります。

   即ち、風通しのいい組織ができる 訳で、全社員が一致団結しやすい組織風土が
   できるのです。
   風通しの悪い組織は当事者で語り合うことを避けま すので、不平不満が鬱積したり、
   上への不信感がつのったりしてトータルパワーが損なわれてしまいます。
   従って、リーダーが上と一般社員の間に立って、風通しのいい組織を造る努力が
   重要です。

  3.部下の育成
   いつ自分が辞めても仕事に支障が出ないように部下を育てることがリーダーの務め
   でもあります。
   よく仕事を全部一人でかかえ、部下に任せない人がいます。
   もし、その人が休んだりすると業務が止まってしまい、大変です。
   そんなリーダーは実は失格なのです。

   自分の保身を考えれば、仕事を一人占めして部下に任かさないほうがいいかも
   知れません。
   会社もそんな人を異動させると業務が止まってしまいますからなかなか動かせない
   からです。
   しかし、それでは部下は成長しません。

   部下を育てるコツは部下に判断する機会を多く与えることです。
   もし部下が、「この件はどのように処理したらいいでしょうか」と指示を仰ぎに
   きたら、簡単に答えないことです。
   まず「君の考えはどうだね」と逆に部下の考えを聞いてください。
   もし部下の答えが自分と一緒なら、「その通りにやればいいよ」と指示すれば
   いいのです。

   もし違っていたら、その時が教育のチャンスです。
   「君の考えはこれこれの点で違うんじゃないか。私はこう考えるんだが、どうだね」
   と言う具合に、部下の判断の不足部分を指摘し、正解のヒントを与える指導を
   すれば部下は伸びるでしょう。
   そして、次からは、「私はこうしたいと思いますが、如何でしょうか」と自分の
   考えを先に出して指示を仰ぐように指導すれば、更に大きく伸びるでしょう。
   判断の機会をできるだけ多く与え、適切な指導をすれば、部下は必ず大きく成長
   します。

  4.補佐役の立場
   社長以外のリーダーは直属の上司を補佐する役割があります。
   上司が不在の時はその代理として業務遂行ができる実力がないと、補佐役は
   務まりません。
   従って、各リーダーは常に一段高い立場でものごとを考え、判断するように
   心がけることが必要です。

   もし課長なら、もし部長なら、どんな風に考え、判断するのだろうかと、
   自分の役職より一つ上の上司の立場に立って実践してください。
   そんな訓練の中から段々と高度な判断力が身についていきます。
   上司が、「俺がいなくても彼に任かせておけば安心だ」 と思うレベルになれば
   昇進も間近になります。

   もし全リーダ ーがそんな考え方で努力するなら、会社のレベルはグーンと上がる
   でしょう。
   リーダーが一段下の立場でものごとを判断しているレベルの会社と比べ、
   トータルパワーはグッと差がつきます。
   リーダーの精鋭化こそ、今の時代を勝ち抜く一番のポイントと言えます。
   各リーダーは何時でも直属上司にとって代ることができる、という体制こそ
   最強の集団になるでしょう。

  5.職場、業務の改善・改革
   職場や業務の改善・改革は永遠のテーマです。
   リーダーは常に改善・改革の実践者でなければなりません。
   特に第一線のリーダーは現場と直結していますから改善・改革の宝の山の中に
   います。
   特に期待したいことは、機会損失を芽の内に摘み取るということです。
   問題点は大きく三つの側面があります。
   一つは誰にも明らかな目に見える損失です。
   例えば、誰も使っていない会議室に電気がついている等です。
   これは気付いた人が、スイッチを切ればいい訳で、会議終了後は必ず電気を消す
   という基本動作の徹底が問題解決の根本になります。
   もう一つは機会損失です。
   これは無知の損失と、選択ミスの損失による機会損失があります。
   例えば、ある資料を作成するのにA君が3時間かけて一生懸命頑張っていました。
   それを見たB君が「馬鹿な奴だ。あの資料ならこれとこれを組み合わせれば
   1時間でできるのに」と笑っていました。
   するとA君は知らないために2時間も損をしている訳です。
   無知の損失とはそういうことです。
   選択ミスの損失とは、あることをやるのに、二つの方法があり、第一の方法は
   コストが50万円で済みそう、もう一つはどうも100万円くらいかかりそうとの判断で、
   前の方法を選択してやってみたら、予期せぬ障害が出て実際は200万円もコストが
   かかってしまったというケースです。
   これが選択ミスによる損失です。
   リーダーは特に機会損失を撲滅する努力が必要です。
   最後は、今はいいがこのままにしておくと将来必ず会社にマイナスを与えるという
   問題です。
   これは主に社長以下上級管理職が取り組むべき問題です。
   以上を通じ、常に経営の革新を実践して欲しいものです。
   特にリーダーは機会損失を早期発見し、早期に解決する努力をしてください。

 □マネジメントの実践
  どんなにいい考えや役割認識をしていても、それを 実践の中に活かさなければ
  絵に描いた餅になってしまいます。
  マネジメントの実践とは、次の4つの基本的な機能を実践することです。
  以下に各機能について重要なポイントを簡単に述べてみましょう。

  1.業務遂行の計画を立て実践する
   仕事をする上で、「Plan(計画)‐Do(実行)‐Check(点検)
   ‐Action(改善)」の「P‐D‐C‐A」が大切ということを、あなたは
   多分耳にタコができるほど聞いていると思います。
   しかし、リーダーの中でそれを実践の中に意識して取り入れて実行している者は
   どれぐらいいるか疑わしいものです。言葉としては知っていても実行して成果を
   出さなければ宝の持ち腐れです。
   業務遂行の計画とは、誰が、何を、何時までに、ど うやるかということをクリアに
   してスケジュール化し、その進行状況を管理していくことです。
   実務の上でリーダーに最も要求されるのがこの業務です。

  2.各人の役割分担を明確にし、権限と責任の所在を明らかにする
   誰がどの業務を分担し、権限と責任を持って遂行するかということを明確化する
   ことは大変重要です。
   例えば、8人のチームが総務関係の仕事をやっているとしましょう。
   誰が事務所の設備や機械の保繕や維持管理を担当するのか、近隣からの色々な苦情や
   諸問題に誰が当るか等が決まっていないと、一から十まで全てリーダーが解決に
   当ることになってしまいます。
   まず、分担をしっかりと決め、どの程度までなら担当者の裁量で決裁できるかを
   明確にすべきです。
   権限は全くないが責任だけ持て、では上手くいきません。
   これらは一言で言えば、組織づくりということです。
   リーダーが上手に組織づくりをすればチームの連携がスムーズになり、全体として
   イキイキと組織が動きます。
   マネジメントの実践とは組織を上手に創り、運営することです。

  3.リーダーとしての指示・命令を徹底する
   リーダーとはチームを指揮する人です。
   ですから、必要に応じてチームのメンバーにああしろ、こうしろと指示・命令を
   します。
   その指示・命令が効果的に実施された時に良い結果が出る訳です。
   ですから、指示・命令がそれを受けた人に本当に正しく理解されたのか、また、
   納得を得たのかを確認しなければなりません。
   理解され納得を得るには、指示・命令を受けた人の考えや意見を聞く必要が
   あります。
   ケースによりけりですが、指示・命令を下す前に当人の意見や考えを聞き、
   それも汲んで指示・命令を行う演出が時には必要です。
   リーダーが自分を尊重してくれていると本人が感じれば、指示・命令は受け
   入れられ易くなります。
   反発心が強いほど、面従腹背で肚の底では抵抗して実践する力が低くなります。

  4.仕事の進行状況や問題点をチェックし、調整する
   仕事が上手く進んでいるかに目を光らせることが、成果に繋がる重要なポイント
   です。
   どんな仕事でも途上で支障が生じてきます。
   リーダーは如何に早く問題点を発見し、早く手を打つかで力量の差が出てきます。
   ひょっとしたらこんな問題が起こるかも 知れない、過去にこんな問題が生じている
   という視点が大切です。
   万一の時に備えて事前に対策を講じておけば、問題が生じても即対応できますし 、
   問題が生じなければそれはそれでよしと言うことになります。
   『三国志』の中に、赤壁の戦いで大敗した曹操が逃げに逃げ、途中休むたびに
   大笑して、「自分が玄徳の軍師・孔明ならここに兵を伏せ追討してくるものを、
   まだまだ孔明も浅慮だ」と言った舌の根も乾かぬ内に陣太鼓が鳴り響き、曹操は
   命からがら逃げに逃げたという下りがあります。
   つまり、孔明は、先手必勝でここに逃げてくるに違いないと読んで手を打って
   いた訳です。
   リーダーも問題点を先読みして、必要に応じ、役割や仕事内容を調整しながら
   事に当れば難局も切り抜けることができますし、攻撃に当っても大いなる成果を
   出すことができます。

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中間管理職の強化


中間管理職の強化


  社長は様々な悩みを抱えながら日々経営活動に励んでいますが、管理者の意識が
  低く、ほとんど管理職としての役割を果たしていない、業績低迷打破のために、
  管理者の強化を図りたいなどの悩みを抱えている社長も少なくないと思います。 
  こうした状況を解決するためには、何よりも管理者の強化が不可欠ですが、
  そのためには、管理職の役割と職責を明確にし、しっかり自覚させることが
  大切です。

  □ミドルマネジメント(中間管理職)の役割 
   会社の中には、管理職が十分機能しないため、トップの方針や危機感が全社に
   徹底せず、社長と管理者、一般社員との間で意識に大きな段差が生じていることが
   少なくありません。
   そこで、まず、中間管理職の役割について徹底(教育)することが大切です。 
   中間管理職であるミドルマネジメントは、「経営目標の推進者」と「経営理念の
   伝導者」という二つの役割をもっています。
   したがって、ミドルマネジメントは、全社的な経営計画や経営方針の策定に参画
   するとともに、自らが責任を持つ部署で経営方針を具体化し、仕事と部下を
   取りまとめながら経営目標を推進し、その一方で、経営理念や企業ビジョンの
   伝導者として部下の育成、指導に当たらなければなりません。
   また、自らの業務を確実に遂行することも大切です。
   そこで、管理者が以上のような役割を果たすように、しっかりとその役割を
   自覚させることが肝要です。

  □管理職の四つの職責 
   管理者の強化を図るためには、社長は、以上のような役割を自覚させるとともに、
   次の四つの職責を果たすよう指導しなければなりません。 
    ①部門計画と部門方針の策定 
    ②仕事と組識の取りまとめ 
    ③部下の取りまとめ 
    ④独自業務の遂行 
   以上の管理職の四つの職責は、具体的には次のような内容をいいます。

   1.部門計画と部門方針の策定 
    管理者の第一の職責は、経営環境の変化に正しく対応するため、全社計画と
    経営方針を部門に具体化し、担当部門の計画と方針を策定することです。
    管理者が、こうした職責を果たすようにするためには、管理者に全社的な
    経営計画経営方針を正しく理解させるとともに、市場(競合) 動向にも
    目を向け、環境変化に機敏に対応するようよく教育することです。
    そして、計画や方針立案能力の向上のための訓練をすることが大切です。

   2.仕事と組織の取りまとめ 
    管理者の第二の職責は、仕事の取りまとめと部門組織の取りまとめを適宜
    適正に行なうことです。 
    仕事の取りまとめ(業務管理) のテーマには、
     ①日常の業務計画の策定と進行管理
     ②部門目標達成のために必要な業務の提示(指示)と結果の点検
     ③コストマネジメント(原価管理、経費管理など)とプロフィット
      マネジメント(利益管理)の徹底
     ④業務システム、業務方法の改善
    などがあります。 
    また、部門組織の取りまとめ(組織管理) のテーマには、
     ①部下一人ひとりへの業務の分担と目標の割付け
     ②部下一人ひとりの権限と責任の明確化
     ③職場組織のチームワークの形成と職場の活性化
     ④メンバーへのフォロー
    などがあげられます。 
    社長は、管理者が以上の職責を自覚し、実践するように、適切に権限と責任
    を委譲することが大切です。

   3.部下の取りまとめ 
    管理者の第三の職責は、部下の指導育成と就業の管理です。
    部下の指導育成のテーマには、
     ①日常業務を通じた部下の育成指導(OJT
     ②部下の統率(リーダーシップ
     ③部下との適正なコミュニケーション
     ④部下の業績や能力に対する適正な評価と動機づけ
    などがあります。 
    また、部下の就業管理のテーマには、
     ①就業態度の改善
     ②部下一人ひとりへのカウンセリングと苦情処理
     ③メンバーの掌握と職場の人間関係の改善(チームワークづくり)
     ④部下の定着管理
    などがあります。 
    これらについても、管理者一人ひとりに自らの職責として自覚するよう徹底
    することが大切です。

   4.独自業務の遂行 
    管理者の第四の職責は、独自業務を遂行することですが、独自業務には、
     ①担当業務の遂行
     ②上司の補佐とトップとのコミュニケーション(意見具申)
     ③他部門、関係職場との連携、協力、調整
    などがあります。 
    このように、管理者には、仕事と部下の管理だけでなく、
    プレイイングマネジャーとして自らの担当業務に精通し、見るべき成果をあげるように    させなければなりません。
    さらに、社長や他部門、関係職場との連携、調整なども重要な管理者の仕事    であることを教え込むことが大切です。


  □ミドルマネジメント(中間管理職)の強化 
   以上のような管理職の役割と職責を自覚させ、実践させるためには、社長が
   期待する管理職の要件を一人ひとりに提起するとともに、次のような方法を
   講じる必要があります。 
    ①経営理念や経営戦略ビジョンなどの経営方針をよく理解させるため、
     経営会議や幹部会議に参加させる。 
    ②経営情報を可能な限りオープンにすることによって情報を共有化し、
     経営課題に対する共通の認識を得るようにする。 
    ③部下の評価・指導・育成能力を向上させるため、マネジメント理論と
     技法を学ばせる。 
    ④大局的な視野、状況変化への柔軟な対応力、自己革新できる能力、
     戦略的な思考力など、マネジメント全般に求められる能力を練成する
     ため、必要に応じて外部研修に参加させる。  
    ⑤担当業務の専門知識を身につけるよう、自己啓発を奨励する。 

   昨今の厳しい環境下で企業が生き伸びていけるかどうかは、こうした高い能力
   をもったミドルマネジメントを何人擁しているかにかかっています。
   そして、トップマネジメントの役割と職務のうち、最も重要なものの一つは、
   こうした視点から、管理者を養成するところにあります。
   今日の厳しい経営環境下で業績を確保していくために、末端の社員まで経営
   目標を行きわたらせ、機動力のある組織をつくるとともに、このような管理者
   の養成を急がなければなりません。

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ミドルマネジメントによるチームビルディング

ミドルマネジメントによるチームビルディング

ミドルマネジメント
 組織や企業によってミドルマネジメントの適用範囲は異なりますが、一般的には部長や課長、
 係長などの役職を持つ人材がミドルマネジメントして扱われています。
 定例ミーティングや新商品開発プロジェクトなど、企業ではさまざまなシーンでチーム
 活動が行われます。

 チームの活動目的、活動期間、チームを構成するメンバーの業務上の関係性などはさまざま
 ですが、いずれの場合も、チーム活動の基本目的は、
メンバーの多様な知恵を活用し、
 適切な役割分担で効率的に物事を進める
ことです。
 複数のメンバーが「協働」するチーム活動は、個人活動よりも高度な成果を期待する
 ことができます。

 一方で、チーム活動が失敗した場合の時間やコストのロスも個人活動より大きくなります。
 従って、一度に多くの経営資源を投入するチーム活動をいかにして成功に導くかは、
 企業の人材活用戦略において重要な課題です。
 多くの場合、チーム活動を成功に導くキーマンは、チーム活動を指揮する
「ミドルマネジメント
 の社員」(30歳代前半から40歳代の課長職。以下「ミドルマネジメン」)
になります。

 特に中小企業の場合、ほとんどのチーム活動をミドルマネジメントが指揮する組織体制に
 なっているため、その重要性は一層高くなります。
 ここでは、中小企業のミドルマネジメントがチーム活動を成功に導くためのポイントを
 「ファシリテーション」(詳細は後述)などの考え方を参考にしながら紹介していきます。


□中小企業のチームビルディング
 1.中小企業のミドルマネジメントの実情
  一般的に、チーム活動を成功に導くためのポイントとしてリーダー(ミドルマネジメント)
  とメンバーの信頼関係が重視されます。
  確かに信頼関係はとても重要です。
  しかし、実際に信頼関係を築くことは口で言うほど簡単ではありませんし、時間も
  かかります。

  中小企業のミドルマネジメントの実情を考えると、ミドルマネジメントがチーム
  ビルディングに費やすことができる時間は限られているといえそうです。


   ・担当の顧客:プレイングマネジャーであり、担当する業務や取引先などが多い
   ・直属の上司:十分な準備期間なしに、急にミーティングの進行役を命じられる
   ・直属の部下:信頼できる直属の部下(係長)がいない“一人課長”状態である
   ・メンバー :価値観が違う異質のメンバーがいても受け入れなければならない


 2.情報共有を基礎としたチームビルディングの考え方
  中小企業のミドルマネジメントは、さまざまな属性のチームのリーダーに抜てき
  されます。
  企業(社長や直属の上司)はミドルマネジメントに、
どのような属性を持つチームの
  リーダーになった場合でも、チーム活動の基本目的を果たす
ことを期待しているから
  です。

  ミドルマネジメントがこの期待に応えるためには、限られた時間の中で、異質の個性を
  持つメンバーまでも巻き込んで早期にチームを機能させる方法を検討しなければ
  なりません。
  信頼関係に基づくチームビルディングは一つの定石ですが、これには時間がかかる
  ため、中小企業のミドルマネジメントが実践できる機会は比較的限られています。

  そこで、信頼関係に基づくチームビルディングから視点を転換し、
情報共有を基礎
  としたチームビルディング
を実践してみましょう。
  情報共有を基礎としたチームビルディングでは、チームの形成目的や活動方針はもちろん
  のこと、メンバーの趣味などに関する情報も共有し、


   ・私もほかのメンバーも、チームのことを知っている
   ・私はほかのメンバーのことを知っている
   ・ほかのメンバーは私のことを知っている


  といった状況を創り出します。
  より多くの情報を共有することが相互理解へとつながり、協働的関係が実現しやすく
  なります。


 3.ファシリテーター型チームリーダー
  情報共有を基礎としたチームビルディングのポイントは、文字通り、適切な情報を
  スムーズに共有することですが、その際に参考になるのが「ファシリテーション」です。
  ファシリテーションの基本的な考え方は以下の通りです。


  【ファシリテーション】
    チーム活動において、メンバーの参加を促して協働的関係を
    築き、進行プロセスを設計・管理すること

   ファシリテーションを行う人物を「ファシリテーター」と呼びます。
   ファシリテーターはさまざまなテクニックを駆使してチーム活動を進めますが、
   そのテクニックの中には情報共有を図るために効果的なものもあります。

   ミドルマネジメントは、そうしたファシリテーションのテクニックを使ってチーム
   ビルディングができる、
ファシリテーター型チームリーダーを目指すことが重要です。
   そこで、以降ではミドルマネジメントが情報共有を基礎としたチームビルディングに
   役立つファシリテーションのテクニックとして、「リーダーズインテグレーション」や
   「アイスブレーク」などを紹介していきます。

   なお、ファシリテーションの関連団体にNPO日本ファシリテーション協会があります。
   同協会のWebサイトには、ファシリテーションの基本的な考え方などが分かりやすく
   紹介されています。


□リーダーズインテグレーション
 1.リーダーズインテグレーションとは
  チームの進化過程を示した理論に、心理学者のタックマンが提唱する「タックマンモデル」
  があります。
  タックマンモデルによるチームの進化過程は下図の通りです。


  タックマンモデルによると、チームは形成と同時に機能するわけではなく、混乱と
  統一の過程を通るとされています。
  チーム形成当初の混乱は情報量の格差から生じることが少なくありません。
  形成されたばかりのチームには情報の伝達ルールが確立されていないため、情報が
  全体にいきわたりにくく、メンバーによる情報量の格差が生じます。

  そして、「ほかのメンバーは知っているのに、私は情報を与えられていない」という
  心理から不公平感や憶測が生まれ、混乱につながります。
  そこで、リーダーとメンバーが統一し(一体化し)、機能させるためのエクササイズ
  であるリーダーズインテグレーションを実施します。

  情報共有を基礎としたチームビルディングの場合、リーダーズインテグレーションは
  チームが形成された直後に行う“情報共有のためのキックオフミーティング”のような
  イメージです。

  ミドルマネジメントは、リーダーズインテグレーションにおいて、チームの形成目的や
  活動方針はもちろんのこと、メンバーの趣味などに関する情報も共有し、情報量の格差
  から生じる混乱を早期に解消して、チームを統一の過程に進化させます。


 2.「ジョハリの窓」を参考にした情報共有のイメージ
  情報共有については「ジョハリの窓」が参考になります。これは、心理学者である
  ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが考案したもので、両者の氏名に由来して
  ジョハリの窓と呼ばれます。
  コミュニケーションにおける気づきのモデルとして有名ですが、チームの情報共有にも
  応用することができます。


  情報共有においては(ジョハリの窓のイメージ)の左上の「開放の窓」を広げることを
  心がけます。
  例えば、チームに関する全般的な情報については、ミドルマネジメントの積極的な
  情報提供によって左下の「隠された窓」を小さくし、メンバーからの質問や指摘によって
  右上の「盲目の窓」(問題点)も小さくします。

  また、ミドルマネジメントとメンバーの趣味など個人的な情報については、ミドル
  マネジメントやメンバーの自己開示によって「隠された窓」を小さくし、他人からの
  フィードバックによって「盲目の窓」も小さくします。


 3.氷山のイメージでとらえた情報
  リーダーズインテグレーションにおいてチームで共有する具体的な情報は、ジョハリの
  窓をイメージしながらミドルマネジメントが決定します。
  その際、共有する情報を「目的の共有」と「役割の共有」に大別して考えてみると
  よいでしょう。
  ここで、「目的の共有」と「役割の共有」に関する情報を氷山のイメージで考えて
  みましょう。
  氷山のイメージでとらえた情報は下図の通りです。


  【目的の共有(氷山の下部)】
   「目的の共有」に関する情報とは、「チームの形成背景などに関する情報」であり、
   普段は水面下にあるため目にすることがありません。
   この部分がしっかりと共有されていなければチームの土台が脆弱(ぜいじゃく)に
   なってしまい、氷山が崩れ落ちてしまう恐れがあります。
   「チームの形成背景などに関する情報」はまさに目的を共有するための情報です。


  【役割の共有(氷山の上部)】
   一方、「役割の共有」に関する情報とは、「チームの活動方針などに関する情報」です。
   チームの活動計画など、より具体的な情報で、これらを共有することでチームの
   役割分担が明確になります。
   前述した「チームの形成背景などに関する情報」がしっかりと共有されていることで、
   「チームの活動方針などに関する情報」は水面上に安定した姿を現します。
   目に見える状態になれば、チーム全体で活動計画を確認し、問題を改善することが
   できるようになります。


 4.リーダーズインテグレーションを実施する際のポイント
  情報共有を基礎としたチームビルディングで行うリーダーズインテグレーションでは、
  「目的の共有」と「役割の共有」に関する情報を共有しますが、これをスムーズに進める
  ためのポイントは以下の通りです。


  【「知っているはず」だという先入観を持たない】
   相手が「知っているはず」だという先入観を持たずに、素直に自分が知りたいこと、
   相手に知っておいてほしいことについて情報共有を進めます。
   例えば、自己紹介をする際に、

   ほかのメンバーに知っておいてほしいこと(怒りっぽい性格など)について話を
   します。

   また、メンバーに、

    ・チームについて知っていること、聞きたいこと
    ・ミドルマネジメントについて知っていること、聞きたいこと

   などをホワイトボードに書き出してもらい、それについてミドルマネジメントが回答
   していく方法があります。

   この場合の留意点としては、相手が明らかにしたがらない情報を無理に聞き出そうと
   しないことです。
   特にプライベートに関することについては注意が必要です。
   相手のプライバシーは、決して侵害してはいけません。


  【ミドルマネジメントのコミットメント】
   リーダーズインテグレーションにおいて、ミドルマネジメントは自分こそがチームの
   リーダーであることをメンバーに理解してもらわなければなりません。
   これは、その後のチーム活動においてリーダーが主導権を握っていくために不可欠です。
   ミドルマネジメントはチームの活動計画などを示すことと同時に、次のような公約を
   行い、このチームは「ミドルマネジメントのチーム」であることをメンバーに理解
   させます。
   公約は5〜10程度が適当です。
   また、当然ながら一つとして破ることはできません。


   ◎コミットメントの例
    ・快適なチーム活動を約束する
    ・常にリーダーとしての威厳を持って活動することを約束する
    ・メンバーの業務状況、家庭生活に配慮することを約束する
    ・時間厳守を約束する(ムダに活動を長引かせない)
    ・定期的に活動の進ちょくを伝えることを約束する
    ・中立な立場で指揮を執ることを約束する
    ・独断しないことを約束する
    ・チーム活動を周囲の雑音から守ることを約束する
    ・チーム活動の責任はリーダーである自分が負うことを約束する
    ・正当な権利はリーダーである自分が上司と交渉することを約束する


□アイスブレーク
 1.アイスブレークとは
  形成されたばかりのチームはコミュニケーションがぎこちないものです。
  前述したリーダーズインテグレーションは、チームが形成された直後に行いますが、
  この時点のチームの状態はあまりよくないでしょう。

  ミドルマネジメントはリーダーズインテグレーションをスムーズに進めるために、
  ぎこちないメンバーの心を解きほぐす必要があり、そのための手法をアイスブレークと
  呼びます。
  アイスブレークとは、

  氷を溶かすようにメンバー間のぎこちなさやわだかまりをなくすための手法です。
  さまざまな種類がありますが、多くはゲーム感覚で進めるものです。


 2.アイスブレークの具体例
  ここでは、代表的なアイスブレークとして「スノーフレーク」「ウソ・ホント」を
  紹介します。
  なお、前述した、日本ファシリテーション協会のWebサイトには多くのアイスブレークの
  が紹介されています。


  【スノーフレーク】
   スノーフレークは、考え方の多様性を理解するためのアイスブレークです。
   メンバーに1枚ずつA4サイズの用紙を配ります。
   メンバーはミドルマネジメントの指示に従い、「用紙を二つ折りにして、その
   一部分をちぎる」という行為を4〜5回繰り返します。

   その後、ちぎった後の用紙を広げて見比べてみると、メンバーによって用紙の形や
   穴の空き方が異なることが分かります。
   「用紙を二つ折りにして、その一部分をちぎる」という単純な行為にもメンバーの
   個性が表れるのです。

   考え方などが異なるメンバーが対立することがありますが、「スノーフレーク」を行う
   ことで、互いの個性を尊重するようになってきます。
   スノーフレークの手順は下図の通りです。


  【ウソ・ホント】
   ウソ・ホントは、他人のことをより深く理解するためのアイスブレークです。
   メンバーに1枚ずつA4サイズの用紙を配ります。
   メンバーはミドルマネジメントの指示に従い、用紙に「自分自身に関する本当の
   ことを四つ、ウソであることを一つ」書きます。

   その後、メンバーは自分が用紙に書いた内容を順番に読み上げます。
   全員が読み上げ終わったら、最初に読み上げた人から順番に、何がウソなのかを
   ほかのメンバーが推理していきます。
   ウソを推理するために深く考えることで相手に対する理解が深まります。
   また、外見と用紙に書かれた内容のギャップなど、新たな発見ができることもあります。
   ウソ・ホントの例は下表の通りです。


 3.時間に応じたアイスブレークの使い分け
  アイスブレークは、チームが形成された直後にだけ行うものではありません。
  白熱した議論のミーティングでは、終了後もその雰囲気を引きずってしまうことが
  あります。
  そうした際は、ミーティングの終了後にアイスブレークを行うとよいでしょう。
  また、アイスブレークにはさまざまな手法があるものの、決まった型があるわけでは
  ありません。
  大切なのはメンバーのぎこちなさを解きほぐすことなので、ミドルマネジメントが
  自分でアイスブレークを考案し、実施することもできます。
  1時間などミーティングの時間が限られている場合には、ミドルマネジメントが冒頭の
  あいさつで数分間、趣味の話をするだけでもアイスブレークの効果が期待できます。


□そのほかの留意点
 1.メンバーに配慮したチーム活動
  ミドルマネジメントはメンバーの業務状況などメンバーに配慮してチーム活動を進め
  なければなりません。
  例えば、ほかの業務で忙しく働いているメンバーに対して、15分前に突然、ミーティングの
  開催を告げたとします。

  メンバーはミドルマネジメントの命令に従わざるを得ませんが、その影響でほかの
  業務を進めることができず、残業をしなければならない状況になっているかもしれません。
  また、ミーティングに対する準備も不十分なので中身のある議論ができないことも
  あります。
  そのため、ミーティングなどは、事前に開催を告知し、資料も配布した上で進めることが
  ポイントであり、これも情報共有の一環です。


 2.メンバーが順守するルールの策定
  メンバーの役職や得意分野は異なります。だからこそ、多様な知恵を活用し、適切な
  役割分担で効率的に物事を進めることができるわけですが、悪く作用すると、チームに
  悪影響をもたらすメンバーが登場して問題になります。
  問題となるメンバーの例は下表の通りです。


  問題となるメンバーを自由に活動させると、チームの統一が損なわれます。
  そこで、ミドルマネジメントは、メンバーが順守するべきルールを策定します。
  これは、メンバーの自由な発想を制限するためではなく、メンバーの平等性を確保
  して情報共有しやすい体制を維持するために実施します。
  とはいえ、ルールが多すぎるとメンバーに浸透しにくいので、五つ程度を目安に定める
  とよいでしょう。
  また、ミドルマネジメントで4つを定め、残りの一つをメンバーの話し合いで決定
  させる方法もあります。
  例えば、次のようなルールが考えられます。


   1.発言するときは顔を上げましょう
   2.15分に1回は笑顔になりましょう
   3.議論は対等な立場で行いましょう
   4.発言者を批判せず、意見の内容を検討しましょう
   5.ミーティング終了後に決定事項やメンバーを批判するのはやめましょう


□情報共有から信頼関係への進化
 情報共有を基礎としたチームビルディングを実践することで、短期間のうちにチームに
 協働的関係を築くことができます。
 しかし、情報を共有することで統一されているチームは、何かのきっかけで情報量に
 格差が生じたときにもろく、最悪の場合は崩壊する危険性があります。
 そのため、ミドルマネジメントは常に情報の共有を意識し、メンバーが迷子(チームの中
 でのポジションを見失い、チームに所属している実感を失った状態)にならないよう配慮
 しなければなりません。
 こうした活動を続けていくことが信頼関係の構築にもつながっていきます。

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社長を支える幹部(リーダー)

  ■幹部は社長の分身

   「名将の陰には名軍師あり」といわれるように、成功する社長の周囲には、必ずそ
   れを支える優秀な経営幹部がいます。

   「企業はヒトなり」とは、言い尽くされた言葉ですが、これは社長にとってまさに実
   感できる言葉といえます。

   企業環境の厳しい今日、健全な企業のあり方を模索するならば、まず社長と一枚
   岩になって活躍する経営幹部の発掘・育成にこそ、その答えがあるのではないで
   しょうか。

   1.社長の能力を引き出す名補佐役

     昔から、功成り、名を遂げた人の傍らには、名補佐役ともいうべき人物がいま
     した。

     歴史上の人物でいえば、劉備玄徳にとっての諸葛孔明であり、豊臣秀吉に
     とっての竹中半兵衛です。

     現代の経営者でいえば、「ホンダ」の本田宗一郎氏にとっての藤沢武夫氏や
     「ソニー」の井深大氏にとっての盛田昭夫氏が有名です。

     彼らは、車の両輪に例えられたり、「トップは孤独といわれるが、よき女房役に
     恵まれればその力を何倍も発揮でき、それは1プラス1が2にととまちず、3に
     も4にもなる」などと語られます。

     井深大氏が本田技研工業の創業コンビ、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏を評し
     た「藤沢さんは本田さんの才能を100%生かした賢明な経営者。

     本田さんは藤沢さんの才能を100%信じきった幸運な天才技術者だ」という言
     葉もよく知られています。

     1人の力には限界がありますが、この限界を超えてトップの能力を限りなく高
     めてくれるのが名補佐役といわれる人物の存在です。

     すべての社長は、幹部にこのような名補佐役となってもらいたいと願っている
     のではないでしょうか。

   2.社長の分身

     社長にとって幹部は、「自分の分身」ともいえます。

     会社の存続・発展を考え、日常的に高度な経営判断と意思決定を行わなけれ
     ばならない社長にとって、日常業務に直接携わることは困難です。

     そこで、

     幹部に求められるのは

      社長の考えを的確に察知し、社長の分身として日常業務を指揮すること、
      つまり、自分が預かった組織の力を充分に引き出し、
      社長が直接指揮した場合と同等以上の成果をあげることであり、
      また、不測の事態においては
      社長が不在の時でも社長になり代わって考え、対処する

     ことです。

     そのためには、幹部は社長の「経営に対する考え方」や「性格」を十分理解し
     たうえで、「社長の立場から物事を考える」ことができなければなりません。

  □幹部には社長の人生哲学を知ってほしい

   幹部には社長と同じ価値観で物事の判断を下すことが望まれます。

   そのためには、つねに次の2つを心掛ける必要があります。

   1.社長に感情移入する

     まず、社長に対して徹底的に感情移入することです。

     感情移入とは、相手に自分自身を投影し、相手の心理を理解することです。

     たとえば社長が無理な指示を出した場合、なぜ社長がそのような指示を出さ
     ざるを得なかったのか、その背景を考えるのです。

     必ずしも共感できることばかりではないかもしれません。

     しかし、幹部には社長の心情を理解し、その気持ちに応えるための努力が必
     要です。

   2.社長の人生を知る

     徹底的に感情移入するには、社長の平素のものの考え方や価値観を熟知す
     る必要があります。

     そのためには、社長がこれまでどのような人生を歩んできたかを知ることが重
     要です。

     社長の人生を知ることによって、より深く経営者の気持ちを知ることができるよ
     うになります。

     これら2つのなかでも、特に幹部に求められるのは、「社長の人生、または人
     生哲学を知る」ことです。

     人はそれぞれ自分の価値観をもっているものですが、それらはすべて

      ・その人を育てた人物の価値観

      ・その人がこれまで歩んできた人生

     から形成されたものです。

     社長と同じ価値観をもつためには、社長の人生を知ることが不可欠だと考えな
     くてはなりません。

  □幹部は経営のプロであれ

   たとえば、経費の増加で赤字を出してしまった場合、この赤字解消のためにどの
   ような施策を打てばよいのかということを、幹部なら即座に答えてほしいものだ。

   しかもそれは、論理的な根拠をもった施策でなければなりません。

   「コストダウンしかない」といっても、なぜ売上拡大ではなくコストダウンなのかを、
   幹部会なり役員会なりの席上で論理的に説明できなくてはなりません。

   それができないようでは、社長の求める幹部とはいえないのです。

   幹部として社長とともに会社経営に携わっていく者は、経営のプロとしての知識と
   見識をもつことが望まれます。

   これは、

    ・財務管理

    ・販売管理

    ・労務管理

    ・マーケテイング

   といった経営の基本知識をマスターしていると同時に、

    ・経営に対する確固たるスタンス

    ・自業界における専門知識ならびに高度な見識

   をもっているということでもあります。

  □幹部は社長と同じ問題意識をもつ

   1.社長の問題意識を共有する

     社長が現在自社のもっとも大きな問題として捉えていることは何か、それを幹
     部のあなたは把握できているでしょうか。

     社長は、会社の最重要課題について、幹部にも社長と同じ認識をもってほしい
     と願い、そうあるように働きかけているはずです。

     もしも社長が幹部に対してそのような働きかけをしていない場合は、逆に幹部
     の方から社長の問題意識を引き出さなければなりません。

     そして、「その最重要課題を解決するためには、自分が何をなすべきか」につ
     いて考え続けなければならないのです。

     どれほど優秀な幹部であっても、社長の問題意識を常時把握しておくことは非
     常に難しいことです。

     しかし、少なくとも、「社長ならばこの組織をどうすべきだと考えるだろうか」「社
     長ならわが社の現状をどう考えるだろうか」と自問自答し、

     社長の問題意識を自分の問題意識として捉えようと努力することが必要です。

   2.社長の問題意識の捉え方

     社長の問題意識を自分のものとして捉えようとするならば、まず、社長と危機
     感を共有することです。

     社長が危機感をもつのは、実現したい目標があるからです。

      ・社員が誇りをもって働ける会社にしたい

      ・自社を日本一の会社に育てたい

      ・自社を世界に通用する会社にしたい

     などと漠然とした夢であったり、あるいはもっと具体的に、

      ・3年後にはこれだけの収益をあげられるまでに成長したい

     という場合もあるでしょう。

     なんとしても実現したい目標があり、その目標の実現に向けて何をなすべきか
     をつねに考えているからこそ、現状に対する危機感を抱くのです。

     幹部にとって、そうした問題意識を捉える有効な方法は、まず「社長の夢・目標
     を自分の夢・目標とする」ことです。

     社長の目標は、最終的には「経営理念の実現」にほかなりません。

     幹部という立場は、自社の経営理念の実現を目標として全社的な視野で会社
     の問題点を考えることを期待されているのです。

  □幹部はトップを大器へと導く

   「君が非を行う時、従わざるは臣の忠なり」という中国の諺があります。

   その意味は「君主が非道を行う場合は、それに従わず諫めるのが臣下のつとめ
   であり、従うのはかえって不忠になる」というものです。

   会社経営の場合「非道」という言葉は適切ではありませんが、社長が気づかない
   点までをもフォローし、つねに経営の方向を誤らせぬよう、最良の方向に導いて
   いくことも幹部の役目です。

   企業における最終意思決定者は社長=トップのみであり、施策の有効性に同意
   できない場合でも、それが決定されたときには幹部はその達成に全力を尽くさね
   ばなりません。

   しかし、ゼネラルスタッフ(企業経営者に直属し、経営全般にわたって経営者を補
   佐・援助する部門・幹部)としてトップにアドバイスする努力は怠ってはならないの
   です。

   「トップを“大器”へと導く」には、時に幹部は

    ・トップの方向を変える手助けをする

   こともしなければなりません。

   「大器」「大物」「大人物」といえば、小さなことにはこだわらず泰然自若とした人物
   を思い浮かべがちですが、実は「大器は細事を疎かにせず」といわれるように、大
   人物ほど細かなことにも目配りがきくものです。

   しかし、トップがこのように細かなことに気がつきすぎると、周囲はトップを小人物
   と見なしてしまう可能性があります。

   これは従業員の士気や人材確保など、さまざまな面で好ましくありません。

   幹部は、可能な限りトップを「大器」に見せる努力をする必要があります。

   そのためには、トップの指示を一般社員に伝える役割は自分がかってでるという
   ように、トップが細かいことに直接口を出さなくてもよい状態を作ることも必要。

   また、

    ・一般社員にトップの指示が「ケチだ」「細かすぎる」「横暴だ」というように
     否定的に受け取られる場合には、社長なりの考えがあってのことだと
     説明して誤解を解く

    ・平素からトップに対する尊敬を積極的に表す

   などというアピールも重要です。

   幹部は、トップが受ける批判の身代わりとなってでも、トップの最高権力者として
   の信用と名声を高める努力を欠かしてはならないのです。

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管理者(リーダー)次第で会社は変わる

  ■リーダー(管理者)教育のあり方

   社長にとって、管理者とは、自分の経営理念を理解し、その実現のために高い能
   力をもって支援してくれる存在です。

   会社の規模や方針などによっては、社長がすべてを掌握し、とくに管理者をおか
   ない場合もありますが、会社の規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片
   腕となって組織運営を行い、会社の発展を共に目指してくれる存在がいるという
   のは、大変心強いものです。

   そうしたことを任せられる人材がいるということは、自社にとっても大きな強みであ
   るはずです。

   人材教育のなかであらためて管理者教育に注力する企業が増えている背景に
   は、管理者のスキルアップが会社自体の活力の増大に大きく結びつくと見直され
   ていることがあげられます。

   管理者といっても、いくつかの段階に分かれますが、最終的には社長の理念や考
   え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に組織を導くことができ、また社
   長のいないときには、社長の代わりとして業務を遂行できるような、そんな人材を
   育てていかなくてはなりません。

   1.組織における管理者の存在価値

     会社経営をとりまく環境の変化が激しい今日、いちはやくその変化に適応し、
     適切な施策を迅速に進めていくことの実現は、会社が継続的に成長するため
     の鍵となります。

     (1)現場の管理者が、経営者と同じ経営意識(現状認識、問題意識、経営方
       針への理解や、それによって得られる判断力など)をもって、次々と発生す
       る問題にいちはやく手を打っていく

     (2)経営者は打たれた施策についての報告を受け、全社的な視点から改善を
       加え、各部署に指示していく

     (3)管理者は、経営者の新しい方針・施策を正確に理解し、自部門の部下に
       速やかに伝え、確実に、そして迅速に実行させるということです。

     すなわち、これらの実現においては、組織の要である管理者が社長の分身と
     して、自分の組織を率いる職責をいかに適切に果たせるか否かがポイントとな
     ります。

      (1)〜(3)を実現するための成否は管理者で決まり、
      管理者次第で会社は成長もすれば衰退もする

     と考えることができるのです。

     現在では前述のマネジメントをさらに進めて、より迅速な意思決定を行うため
     に、組織の職階を減らし、できるだけフラットな組織をつくることが主流になって
     います。

     これら3点のマネジメントを実行できる管理者はその存在価値を高め、これら
     のマネジメントを妨げるような存在に過ぎない管理者は、居場所を失っていくこ
     とになるでしょう。

   2.求められる管理者とは

     現代において、管理者が期待される役割とはどのようなものでしょうか。

      管理者とは本来、経営者の分身として、
      与えられた組織の力を最大限に引き出し、集積をあげるべき存在です。

     つまり具体的には、

      ・会社および自部門が泡えている問題を正しく理解する

      ・トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、
       その実行計画を立てる

      ・部門目標の達成に向けて部下を動機づけ、自ら先頭に立って業務を
       遂行する

     という3つの行動をすべて行う必要があります。

     その際、管理者に求められる具体的な行動、またそれを可能にする能力・資
     質は、任された組織の社内での位置づけや、その部門の現状、業務内容など
     の要件によって個々に異なってきます。

     たとえば、人材の育っていない組織では、管理者はプレイング・マネージャーと
     して組織の稼ぎ頭となり、かつ、部下の育成やモチベーションの技術も持ち合
     わせていることが求められます。

     また、十分に人材が育っていれば、マーケティング戦略や管理システムの見
     直しを行い、部下がより高度な仕事をする環境をつくったり、自部門の、さらに
     は自社全体の有効な成長戦略を経営者に提言したりといった行動も求められ
     るようになります。

     したがって、管理者教育の方針を考える際には、まず、

      ・自社の進むべき方向性

      ・将来の自社の組織図と、そのなかに占める各管理者の位置

      ・各管理者に将来果たしてもらいたい役割

      ・現在の各管理者の能力・行動

     を明らかにし、そのうえで「期待像」と「現状」のギャップを埋めるためにどのよ
     うな教育を行うべきかを考える必要があるでしょう。

  □最低限これだけは身につけさせる

   管理者が身につけるべき能力や資質はさまざまですが、ここでは業種・規模など
   にかかわらず、最低限身につけさせる能力を整理します。

   管理者の仕事を、

    ・抱えている問題を発見する段階

    ・戦略や計画を策定し意思決定する段階

    ・立てた計画を遂行する段階

   というように3段階に分けると、各段階で必要とされる能力は次のようにまとめる
   ことができる。

    <管理者の仕事>       <必要とされる能力>

     ・問題発見段階 →     情報収集能力と経営者とのコミュニケーション能力

     ・意思決定段階 →   戦略立案能力と決断力

     ・計画遂行段階 →   管理能力と実務能力

    1.問題発見段階

      (1)情報収集能力

        「情報収集能力」とは、必要な情報が自分のところに入ってくるように工夫
        する能力を指す。

        問題を発見し戦略を立てるためには、自部門の状況や経営環境がどうい
        う状態にあるのかを把握していなければなりません。

        そこで管理者は、「戦略の立案に役立つ情報を収集する」という情報収集
        能力が必要なのです。

      (2)経営者とのコミュニケーション能力

        一見順調にいっているような組織において、適切な情報管理を行ってい
        ても、解決すべき問題が発見できない場合があります。

        このような場合、管理者には、「将来的に自部門はどのような役割を果た
        すべきなのかを理解し、現状とのギャップを把握することで問題を発見す
        る」という活動が求められます。

        その際、社長の意向や考え方を理解している管理者ほど的確に問題を抽
        出することができるため、「経営者とのコミュニケーション能力」が重要とな
        ります。

    2.意思決定段階

      (1)戦略立案能力

        「戦略立案能力」とは、収集した情報を基に、効果的な部門戦略を立案す
        る能力です。

        それは、物事を正しく推論する能力であり、あるいは取り組まねばならな
        いテーマを選び出す能力でもあります。

        それらを身につけるためには、論理的な思考とさまざまな経営理論・経営
        手法に対する知識・見識が必要といえます。

      (2)決断力

        「決断力」とは、何か決めなければならないときに、あれこれと悩まずに決
        断できる能力です。

        方向性を定め、決断したならば迷わず、成功させるためにどうすればよい
        のか、何を調査しなければならないか、というように考えを前に進めます。

        管理者には、「とにかく決断して前に踏み出す」という姿勢が必要なのだ。

    3.計画遂行段階

      (1)管理能力

        管理者は、それぞれの部門の長として部門戦略を部下に遂行させていく
        ために、「自部門をマネジメントするための管理能力」が必要になります。

        適切な指示の出し方や進捗管理の技術、部下に対するモチベーショシ
        アップ能力や部下の教育方法など、自部門に必要な管理手法・技術を実
        践できる能力が必要なのです。

        部下に進むべき方向を示し、部下の活動を支援していく、いわゆる 「リー
        ダーシップ」の発揮も、この部分に含まれます。

      (2)実務能力

        「実務能力」とは、実際にその部門の業務を行うために必要な知識と能力
        です。

        業種・職種によって必要となる能力は異なりますが、管理者自身が高い
        実務能力をもっていることは、部下を指導・育成していくうえできわめて重
        要なことであるといえる。

        現在の自部門における業務の進め方を改革し、部下がより成果を発揮し
        やすい環境をつくっていくうえでも、業務に対する専門知識やノウハウは
        欠かせない。

  □教育・育成のポイント

   1.社長自身が教育する

     管理者教育においてもっとも大切なことは、社長自らが管理者と共に自社の
     存在する価値や将来的な経営戦略を語り合い、また、社長が管理者各人に対
     し、期待するイメージを示すことです。

     このとき、「夢を共有する」ということは、管理者が社長に感情移入できるよう
     導くうえで、もっとも効果的な方法です。

     これによって、管理者が何か実行しようとする際、「社長ならどう判断するか」
     を自然に考えることができるようになるのです。

     管理者教育においては、

      ・自社は今後このような方向に向かって事業を進めていく

      ・そのためにこのような管理職を必要としている

      ・ぜひ君には管理者として将来このような役割を果たしてほしい

     などといった、

       社長自らが管理者と親しく事を語り合い、
       各管理者に対する「期待像を示す」ことが

     必要です。

     これは、管理者に対し、

      ・社長と同じ判断をもって自部門の経営戦略を策定できるようになってもらう

      ・今後の研鑽への動機づけを行う

     といったことを期待するならば、社長と管理者との間には上下関係だけでなく
     「同志」としての信頼関係が必要であるからです。

     実際の業務遂行に関しても、社長自身が管理者の日常業務について指導を
     行うことによって、社長の高い見識や能力に触れさせ、管理者を教育すること
     ができます。

     これは同時に、社長が管理者に「自社の将来的な経営戦略について、具体的
     な情報を与える」ことにもつながるのです。

   2.気づきを与える

     教育・育成で効果をあげるためには、管理者自身に「自分はこのままでよいの
     か」と考えさせ、「もっと成長したい」という意欲をもたせることが重要です。

     「自分は今のままでいい」と思っている管理者にどのような教育を行っても、一
     時的な効果しか得られません。

     教育の際には、

      管理者本人が「成長しなくては」と感じられるように、
      「このままではいけない」という「気づき」を与えることからはじめる

     とよいでしよう。

     自己啓発への動機づけのポイントとしては、

      ・本人への周囲(上司・部下)からの期待と評価を知らせ、本人の認識
       とのギャップを示す

      ・本人の、将来に対する希望や理想(ライフプラン)を明確にさせ、実現
       のために何が必要か、現実とのギャップはどれだけあるかを考えさせる

      ・管理者本人に、自分の優れた点と足りない点を考えさせる

      ・今後どのような能力を身につけるべきか、また、どのような方法でそれを
       実現すべきか、会社側の教育プランとキャリア開発プランを示す

      ・新しい力を身につけることで、会社にとってどのような存在になってほしい
       と思っているか、また個人の生活がどのように豊かになるか、といった
       将来像を示す

      ・自分で自分の能力開発プランを立てさせ、その進捗状況をチェックする

     などがあげられます。

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リーダー(管理者)の役割と育成方法

  ■部下が生き生きと働けるためには

   管理者が果たすべき役割のなかでもっとも基本となるのは、あなたの部下たちが
   積極性をもって生き生きと働くための雰囲気作りです。

   管理者は、日々最前線で部下とともに戦っています。

   その部下たちが生き生きした集団である場合と、管理者自身も含めた「やらされ
   集団」である場合とでは、仕事の成果や部下たちの成長に大きな差が出ることは
   間違いありません。

   社長が朝礼などで「仕事は積極性が大切だ」と何度も繰り返しても、直接の指揮
   官である管理者がそれを実践していなければ、末端の社員たちにはなかなか浸
   透しない。

   管理者には、自分自身が積極性をもって生き生きと働くとともに、部下たちも同じ
   ように働けるような環境作りが求められるのです。

   そのためには社長は管理者にどのような指導をすればよいのでしょうか。

  □リーダーとしての自覚を促す

   管理者とはその言葉だけからは、「成果を生み出すために部下たちを管理する」、
   つまりマネージャーとしての役割が強調されがちだが、当然ながら彼らは部下た
   ちを強力に牽引するリーダーでもあります。

   トップであるあなたは、このことを改めて管理者たちに認識させる必要がある。

   ではリーダーに必要な条件とは何でしょうか。

   それは自分自身のめざすべき姿、つまりビジョンをもつことです。

   ほとんどの社長は、自分自身のめざすべき姿、会社のめざすべき姿といったビ
   ジョンをもっています。

   それがあるからこそ仕事に前向きに取り組めるし、困難に直面しても簡単にくじけ
   てしまうことがないのです。

   しかし、残念ながら多くの管理者は自分自身のビジョンをもっていません。

   自分の部門に課せられた目標は意識していますが、それが自分のビジョン実現と
   どのようにつながっているかということはまず考えていないのです。

  □管理者にとってのビジョンとは

   管理者は自分のビジョンを2つの方向性から考えることができます。

   まず最初は会社全体で掲げているビジョンからのアプローチです。

   会社のビジョン実現のために、自分自身や自分が任された部門はどのような役割
   を果たすべき必要があるかを考えます。

   あくまでビジョンであるから「会社全体の売り上げ計画○億円のうち、自部門で△
   億円は稼ぐ」といった数値目標ではありません。

   たとえば「会社全体の生産性をあげるために営業手法を革新し続ける」というの
   がビジョンです。

   もうひとつは、自分自身や自部門に軸をおいたアプローチです。

   「自分たちは将来どのような集団になりたいのだろうか、それが実現したらどんな
   に楽しいだろうか」という具合に考えていきます。

   たとえば前述のように「営業手法を事新し続ける」ことは会社に対して大きく貢献
   しますが、同時に自分たち.も「高度の営業手法を駆使して成果を出す超一流の
   プロフェッショナル集団」になれるというメリットにもつながります。

   もちろん集団としてだけではなく、一人ひとりの営業マンの能力が飛躍的に高まる
   ことも期待できるでしょう。

   このように会社全体と自部門の双方からのアプローチによって、管理者自身のビ
   ジョンを考えさせることで、まずは管理者自身の積極性を引き出すことができるで
   しょう。

  □部下にビジョンを浸透させる

   管理者はビジョンができたらそれを部下たちに浸透させなければなりません。

   そのビジョンがもつ意味、会社全体への貢献度、部下たち自身にどのようなメリッ     
   トがあるかなどを、できるだけ具体的に伝えることが必要です。

   実際に「高度の営業手法を駆使して成果を出す超一流のプロフェッショナル集団」
   となれば、会社での部下たちの評価は一気に高まるでしょう。

   さらに重要な仕事を任されたり、昇進する者も出てくるはずです。

   また個人の営業スキルも飛躍的に向上し、この先のビジネスマン人生で大きくプ
   ラスに影響することは間違いありません。

   このように部下たちに管理者のビジョンを繰り返し伝えることによって、部下のや
   る気を喚起し、生き生きと働く集団に変えていくことができるのです。

  □管理者のビジョン作成・実現を支援する

   また、社長自身も個々の管理者のビジョン作成を支援する必要があります。

   そのビジョンが会社全体のビジョンに反していないか、管理者やその部下たちに
   とって本当に魅力ある内容になっているかなどを指導します。

   会社のビジョンと同様に個々の管理者のビジョンも簡単に変更すべきではないの
   で、時間をかけてじっくりと行うべきでしょう。
   そして、いったんビジョンができあがれば、社長はそれを実現するための支援も行
   う必要があります。

   個々の管理者のビジョンをつねに意識して、彼らがその実現に向けて正しい道を
   歩んでいるかなども定期的に確認する必要があります。

   ここまでみてきたように、社員が積極的に生き生きと働くためには、彼らを日常的
   に指導している管理者たちに自分のビジョンを作らせて、部下たちもそれに共鳴
   して働く環境を整えることがもっとも大切なのです。

  □困難な目標を「何とかして」達成する

   1.目標を簡単にあきらめてしまう管理者

     管理者の役割のひとつに、「困難に直面してもあらゆる手段を講じて目標を達
     成すること」があげられます。

     彼ら管理者は会社から部下という大きな経営資源を自由に使えるだけの権限
     を与えられている。

     当然ながらその見返りとして自部門の目標を達成するという責任を負っている
     のです。

     しかし、管理者のなかには大きな問題に直面しその解決が非常に困難である
     ことがわかると、「これは不測の事態だから仕方ない」と簡単に目標を諦めてし
     まう管理者がいます。

     これは「問題を解決するのは自分自身に課せられた重大な使命である」とい
     う、いわゆる「当事者意識」が低いからである。

     部門全体の目標達成の当事者である管理者には、本来であれば「不測の事
     態」などという逃げ道はない。

   2.管理者の当事者意識が会社経営の生命線

     会社のなかで当事者意識がもっとも高いのは、いうまでもなく社長です。

     とくにオーナー社長の場合は、会社が倒産すれば自分自身が何もかも失って
     しまう。

     まさに正真正銘の当事者です。

     ギリギリの状況に追い込まれても決して諦めずに、何とかそれを乗り切ったと
     いう経験をもつ社長は多いと思います。

     しかし残念ながら、この社長並みの当事者意識の高さを他の社員に求めるこ
     とは、現実的には非常に難しいことです。

     彼らはたとえ目標が達成できずに大きな損失が出たとしても、自分自身が致
     命的なダメージを受けることはまずないことをわかっているからです。

     これは管理職クラスの社員でも同じことです。

     しかし、だからといってそれを放置すべきではありません。

     社員の当事者意識、とりわけ管理者の当事者意識をどれだけ高められるかと
     いうことは、会社経営にとっての生命線ともいえるくらいに重要な課題だからで
     ある。

   3.権限と責任を繰り返し説明する

     管理者の当事者意識を高めるためには、管理者に与えている権限と責任を改
     めて認識させることが基本になります。

     前述のように、管理職には部下という経営資源が与えられています。

     また、必要に応じて予算という会社のお金を使う権限も認められている。

     管理者自身だけの力ではこれだけの資源を用意することはできません。 

     自部門の目標達成という責任と引き換えに、会社からこれらの資源を使う力を
     与えられているに過ぎないこと、つまり管理者という安定したポストが保証され
     たうえで目標達成の責任を負っているのではなく、目標を達成するための手段
     として一時的に管理者の権限を与えられているに過ぎないということを認識さ
     せることが大切なのです。

     そしてポストに見合うだけの成果を出すことについては、その管理者が完全な
     当事者であることを理解させるのです。

   4.部下に向かって目標達成を宣言する

     管理者に、「何があっても最終的には自分自身の力で目標を達成する」と部下
     に向かって宣言させるのも当事者意識を高めるのに効果的です。

     多くの管理者は、「部門目標達成のために懸命に努力はするが、どうしてもダ
     メだった場合は仕方ない」と心のどこかで思っています。

     これではその管理者は部門目標を達成すべき当事者とはいえません。

     「どんな不測の事態が起こっても自分自身の責任で絶対に目標を達成する」と
     決意しないかぎり当事者とはいえません。

     そしてその決意自体が難しいので、あえて部下に宣言することによって、管理
     者に自分自身を追い込ませます。

     そこまで宣言してそれを実現できないということになれば、その管理者は部下
     に顔向けできないはずです。

     何とかしてそのような無様な事態は避けたいという思いが、当事者意識を高め
     るのです。

   5.管理者の「言い訳」を理論的に指摘する

     また日頃から「言い訳をしない」習慣を身に付けさせることも大切です。

     当事者意識の低い人は、問題解決を簡単に諦めてしまうばかりか、問題が解
     決できない責任を自分以外に押しつけようとします。

     「会社が悪い」、「部下が悪い」、「顧客が悪い」、自分以外は何でもありです。

     管理者に「言い訳をしない」と宣言させた後で、管理者がこのような言い訳め
     いた発言をしたときには、社長自身がそれを指摘することが大切です。

     ただしここでの目的はあくまで管理者の姿勢を矯正することなので、頭ごなし
     に叱るのではなく、なぜそれが言い訳に過ぎないのかを、論理的にわからせる
     ことが大切です。

   6.管理者自身の数値目標は持たせない

     会社によっては管理職に部門の目標だけではなく、管理者自身としての数値
     目標を与えている場合もあると思います。

     この場合、管理者には自分の業績も確保しながら、部下の目標も達成させ、
     最終的には部門全体の目標を達成させることが求められているのです。

     しかし、基本的に、管理者自身には数値目標をもたせないほうがよいでしょう。

     それには2つの理由があります。

     最初の理由は、「部門全体の目標を達成する」という管理者本来の当事者意
     識が薄れる可能性があるということです。

     管理者が自分自身の目標をもつと、自分の目標達成のための当事者意識も
     もたなければならなくなる。

     自分の目標達成ばかりに気を取られて部下への指導がおろそかになることも
     考えられます。

     とくに「管理者自身の目標は達成、部下の目標は未達、その結果部門目標は
     未達」という結果に終わったときには、自分の責任を部下に押しつけてしまい
     がちです。

     次の理由は、管理者自身の目標達成というのは、多くの場合、実はどうにでも
     できるということです。

     仮に、管理者の目標が部下たちの2倍といった高い水準で設定されたとする。

     一見達成するのは困難なように思えるが、具体的な営業先を割り振るのは管
     理者自身です。

     受注見込みが高い有望顧客ばかりを自分の営業先に割り振れば、難なく目標
     達成できてしまうのです。

     そして管理者は自分の目標達成のめどを立ててから、本格的に部下の指導を
     開始します。

     これはどう考えてもいびつで非効率なやり方です。

     このように管理者自身に目標をもたせることは、部門全体の目標達成のため
     にはプラスにはなりません。

     彼らには「部門全体の目標を達成させるための当事者」としての役割に集中し
     てもらうほうがよいのです。

  □部下の成長を促進する

   1.自社に必要な人材を明らかにする

     管理者の重要な役割のひとつに「部下の育成」があげられるのは、疑う余地が
     ありません。

     そしてほとんどの管理者はそのことを理解しているはずです。

     では、具体的に部下をどのように育てたいかという話になると、その答えを明
     確にもっている管理者はあまりいません。

     「積極的である」、「責任感が強い」といった世間一般でよくいわれる優秀な社
     員の特徴をあげる人がほとんどです。

     しかし一般論ではなく、あくまで「自部門(自社)で働く社員」の人材育成を考え
     るときには、当然ながら、「自部門(自社)でどのような役割を果たしてもらうか」
     という視点が欠かせません。

     そして、その際には現時点の社内の状況だけからの判断だけではなく、「自部
     門(自社)は将来的にこうなっていきたいが、そのためにはこんな人材が必要
     になる。

     だから部下にはいつまでにこんな能力を身に付けて欲しい」といった長期的な
     視点も必要になります。

     人材育成とは、一般論的な「仕事ができる社員」をインスタントに育てることで
     はなく、自部門(自社)の未来を担ってくれる人材をじっくりと育てることです。

     管理者は自部門の将来像を設計したり、全社的な人材ニーズを社長にヒアリ
     ングするなどして、自部門(自社)に必要な人材像を明らかにする必要がある
     のです。

   2.部下に自分の将来像を描かせる

     自部門や会社の都合ではなく、部下自身に自分の将来像、めざすべき姿を描
     かせることも大切です。

     「専門分野でのプロフェッショナルになりたい」、「幹部として経営にかかわりた
     い」など、いろいろな将来像が出てくるでしょう。

     それらの部下自身の描く将来像と、自部門や会社として必要な人材像を擦り
     合わせることで、その部下がめざすべき方向性が明らかになります。

     それによって管理者もその部下をどのように育てていくべきかの方針を得るこ
     とができるのです。

     このようにめざすべき人材像を管理者、部下の双方ができるだけ具体的に共
     有することが大切なのです。

   3.基本は部下の成長を「支援する」というスタンス

     めざすべき人材像が共有できたら、いよいよ部下の育成にとりかかるわけで
     すが、部下たちをグングン成長させる管理者はすべての部下を手塩にかけて
     育てているかというと、多くの場合、そうではありません。

     彼らが行っているのは、むしろ「部下が自分で成長するための環境整備」の支
     援です。

     本来であれば、すべての部下にマンツーマンで指導してもよいのですが、そん
     なことは通常は時間的に不可能です。

     また仮に可能であったとしても、管理者が一方的に育てようとするよりも、部下
     たちが自主的に育つように仕向けるほうが、その成長スピードが速いことは明
     らかです。

     そのため、部下たちを育てることが上手な管理者は、まず部下が自分の力で
     成長するための仕組みを整えます。

     ここでいう仕組みとは、部下が自分の正しい努力の方向性を見極め、実際に
     それを日々実践していくためのすべての仕組みを指します。

     前述の部下のめざすべき姿を明らかにするというのもそのひとつであるし、部
     下の成長の進捗を確認するための定期的な面談を設けるなども有効な仕組
     みといえます。

     つまりは部下たちに成長は自分の力で勝ち取るものという意識を植え付け、そ
     のための支援は万全に行うというスタンスを取ることが重要なのです。

     もちろんこのようなスタンスであっても、部下が十分に育たない場合の最終的
     な責任は管理者にあること、つまりは「部下を育てることについての当事者」は
     管理者であるという意識をもち、万全のフォローをすることが大切です。

   4.部下を自分の「駒」として扱わない

     部下の能力を育成していくことは、部門を束ねる管理者の戦力全体を強化す
     ることでもあります。

     当然ながら有能な部下が増えれば増えるほど戦力はアップします。

     しかし、そのことしか考えない管理者のもとでは部下は育ちません。

     この考え方の度が過ぎた管理者は、部下を部下自身のためではなく、自分の
     「駒」として育てようと考えます。

     そんな人が部下を育てる動機は「コイツにもう少し仕事ができるようになっても
     らわないと困る」、つまりは自分が使える駒を強くすることだけです。

     そして実際に部下が育つと、部下の成長ではなく「駒が揃ってきたこと」を喜び
     ます。

     ほめる対象は部下ではなく、駒を充実させた自分自身です。

     また思い通りに部下が育たないときには、「何でおまえはこんな簡単なことが
     できないんだ。

     まったく使えないヤツだ」というレッテルを貼り、その成長を見切ってしまう。

     いうまでもなく部下は管理者の駒として成長したいわけではありません。

     このような態度を取る管理者の下では、部下は自分の成長を素直に喜べない
     ため、その成長スピードは確実に落ちます。

     管理者には自分の都合とは関係なく、部下の成長そのものを真筆に望む姿勢
     が求められます。

     そしてそのような姿勢を貫いたほうが、結果として大きな戦力を手に入れること
     ができるのはいうまでもないことでしょう。

     さらにいえば両者の違いは、結局は一人の人間として部下に愛情を注げるか
     どうかということです。

     管理者と部下という関係が、人間対人間というベースで成り立っているかぎ
     り、そこには信頼関係が不可欠です。

     そして信頼関係を作るための愛情を注げるのは、立場上、部下ではなく、管理
     者だけなのです。 

   5.管理者自身も自分の成長を宣言する

     部下を自分の駒としか思わない人のもうひとつの特徴として、「部下には育っ
     て欲しい、でも自分は抜かせない」という防衛本能をもっていることがあげられ
     ます。

     その管理者にとって部下はあくまで自分の駒ですから、駒が主人である自分
     を抜くなど許されるはずがないのです。

     抜かれないために管理者自身も成長しようと努力していればまだよいのです
     が、そのような人は自分の主人としてのポジションを「絶対安定的」なものと考
     えているので、必要な努力をしないことがほとんどです。

     結果としてその管理者が任されている組織は、いわゆる「出る杭は打たれる」
     組織になってしまいます。

     そしてそんな組織が大勢を占めるようになると、会社全体も一定のレベルで成
     長がとまってしまいます。

     管理者が部下の成長を素直に喜び、また管理者自身もそれ以上に成長する
     ことで、その組織は活性化していきます。

     そのような健全な成長のサイクルを築くためには、管理者自身にも自分の成
     長する方向性と、そのためにどのような努力をするかということを宣言させるこ
     とが有効です。

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戦略的思考のリーダー

戦略的思考のリーダー

  ■戦略的思考
   会社の社長や経営幹部の仕事は何でしょうか。
   おそらく「会社を経営すること」という答えが返ってくることでしょう。
   では、「経営する」こととはどのようなことでしょうか。
   社長業の本来の中身はどのような業務なのでしょうか。

   自分は営業が得意だからと営業活動に専念している社長や、管理することが得意
   だからと社員の細かい経費管理まで行なうことに時間を費やす社長なども見受けられ
   ます。
   しかし、本来の社長業は、会社の理念や経営方針を決定して、それを全社員で実行
   していく体制を作り上げること、会社の事業展開を検討して、将来に向けてどの
   ような会社を作り上げるかを考える業務であるはずです。

   会社の経営上の目的を効率的に達成するために役立つのが、戦略的思考です。
   「考えるヒント」という感覚で戦略的思考を積極的に利用していくことが、社長業の
   遂行に役立ちます。

  □戦略思考のリーダー

   「事業の寿命は30年」と言われる。

   国内企業全体の9割以上を占める中小企業の多くが、事業転換せず今までと同じ
   状態で事業を続けている。

   事業と経営の変化に対応する戦略をトップと一緒に考え、行動する「戦略リー
   ダー」の育て方について考えていきたい。

  □戦略的なリーダーとは
   「戦略的なリーダーとは、自社を取り巻く環境変化を的確に読み取り、事業を見直し
   ながら戦略を策定していくリーダーである」。

   これまでの会社経営は、創業社長のマーケットに素直な姿勢と卓越した事業センス、
   そして人心を掌握する経営力で成長してきました。

   また、その創業社長の背中をそばで見てきた2代目社長が、その理念と組織を受け
   継ぎ、経営に取り組む。

   優秀なリーダーのもと、恵まれた顧客基盤と顧客に支持された商品・サービス基盤を 
   活用し、「決めたことを決めた通りに行い、約束を守る」というマネジメント力で成長
   してきました。

   まさに、トップの考えや会社の決めた目標や方針に沿って、“決めたことを決めた通り
   にやる”実行責任者としてのマネジャーが、業績づくりや顧客づくりにおいて重要な
   役割を果たす。

   しかし、環境変化のサイクルのスピードが増し、不確実性が高まる状況下では、決め
   たことを決めた通りに行う「マネジメント力」だけで業績が思うように上がらなくなって
   きた。

   それまでの顧客開拓や商品・サービス開発の手法だけだと、マーケットに通用しなく
   なってしまうのです。

   そこで、社内外の経営環境の現象やデータを総合的に捉え、自社が進むべき方向性
   を「あるべき姿」として描き、その実現に向けた取り組みを考え、行動していくリーダー
   の必要性が高まるのです。

  □マネジャーと戦略思考のリーダーとの違い
   これまでの業績の牽引車であり、これからも実行現場の責任者として活躍が期待され
   るマネジャーと、企業内での育成を提唱する「戦略思考のリーダー」との違いについて
   考えてみましょう。

   1.事業そのものを見直す人
     まず、両者に求められる役割の点から比較してみましょう。

     マネジャーは、前述した通り、トップの“決めた”意思決定に基づいて目標を設
     定し、与えられたヒト(人材)・モノ(商品)・カネ(予算)を使って、顧客(マー
     ケット)に対して決められた通りに実行し、時に発生するさまざまな問題の解決
     を期待される。

     まさに、管理、マネジメントが主となる役割である。

     しかし、戦略思考のリーダーは、トップ自らが今まで決めてきた「事業の見直
     し」や「戦略の設計」、そのために必要な「情報の収集と分析・活用」の分野に
     も、経営感覚を持った事業創造の担い手として関わり、活躍することが期待さ
     れる存在です。

     「誰に(顧客・マーケット)、何を(商品・サービス)」を決めることが事業とすれ
     ば、その事業そのものをどう見直すか。

     それを“決める”ことが求められるのです。

   2.自ら強みを陳腐化させる人
     同一地域で、同一商品を、同一顧客に提供するという競合状態であれば、「誰
     に、何を」という戦略が他社と似たり寄ったりになり、目先の価格や付帯サービ
     スという「わずかな差別化」に終始する経営になりやすい。

     ここでも、戦略思考のリーダーは自社の存続目的から企業使命感をあらため
     て見直すこと、すなわち「自ら自社の強みを陳腐化」させることが求められるの
     です。

     そうしたイノベーション発想により、新たな顧客へ、新たな商品・サービスを、新
     たなアプローチ方法で、新たなチャネル開発に挑戦することが可能となるので
     す。

  □戦略思考のリーダーに向く適性
   戦略リーダーの適性を整理してみる。

   1.事業変革力
     (1)イノベーション発想力
       現状に満足することなく、常に新たな価値を創造し、変革を起こすことがで
       きる。

     (2)決断力
       強い意志と事業に対する熱意を持ち、かつ、冷静で客観的に物事を見るこ
       とができる。

     (3)実践力
       計画を実行に移し、高い成果を出すことができる。

   2.組織推進力
     (1)統率力
       部下や関係者を掌握・リードすることができる。

     (2)コミュニケーション力
       対人関係を円滑に進める力を持ち、チームワークを醸成することができる。

     これらの項目と本人の適性を見極めた上で、戦略リーダーの育成を図ってい
     きます。

  □戦略思考のリーダーに求められる能力と行動
   ここでは、自社が環境変化に対応するため、経営の視点で考え、行動する戦略リー
   ダーを育てるためのあるべき姿(能力と行動)について述べてみます。

   1.戦略思考のリーダーにあるべき「能力」
     
ここで述べる「能力」とは、身に付いている力、すなわち「実行力」である。

     言い換えれば、頭だけで分かっていても、それを実行できないものは能力では
     ない。

     日常の習慣となって、特に力むことなく実行できるものが能力と言えるのです。

     この“日常の習慣”という点がポイントである。

     人は誰しも、同じ行動を繰り返していると、その行動以外の変化を嫌い出す傾
     向がある。

     悪い習慣を改め、良い習慣へと変える。

     この新しい変化に対し、素直に取り組めるかどうかが、戦略思考のリーダーと
     しての知識と経験を習得するスピードを左右する。

     ここで、戦略思考のリーダーが日常で習慣化すべき三つの能力を紹介しま
     す。

     (1)戦略的な判断力
       マネジャーと戦略的なリーダーは、どちらもリーダーとしての“判断力”を求
       められるが、その中身については根本的に異なる。

       マネジャーは、会社の考え方のもとになる経営理念や年度方針に沿って、
       所属する組織が“今やるべきこと”を見極める「価値判断能力」が求められ
       る。

       一般的には、社内の経験豊富な上司・先輩への相談や報告を通じて、この
       価値判断能力は鍛えられるのです。

       ところが、戦略思考のリーダーには、自社の考えはいったん置いて、“顧客
       はなぜ、自社と取引しているのか”という顧客価値の視点を持つことが強く
       求められる。

       過去からの思い込みにとらわれず、「顧客にとって何が正しいのか」という
       観点で考える(戦略的な判断力)。

       場合によっては、ライバル企業もパートナーという発想にもなり得るので
       す。

       この戦略的な判断力を高めるには、自社の顧客価値を高めること。

       つまり、自社が取引する顧客にとっての顧客である最終エンドユーザーに、
       どのようなメリットを与えることができるかを、自社の顧客に成り代わって真
       剣に考えます。

       いわば、「自社の強みの磨き直し」を行うのです。

       その結果、現状よりも価値のある商品・サービスを通じて、顧客自身の価
       値を高める支援ができるのです。

       この“顧客価値を高めること(マーケット)”と、“自社の強み”(固有技術)を
       どう組み合わせるか。

       この仮説設定の経験の数を増やすことが、戦略的な判断力を磨くことにつ
       ながる。

     (2)組織推進力
       戦略思考のリーダーとして組織を推進するには、現状の課題解決にとらわ
       れない“時間軸を持つ”ことが必要です。

       「今さえよければいい」という近視眼的な現場発想ではなく、将来どのような
       会社(職場)にしたいかというテーマについて、受け身ではなく「当事者意
       識」でもって取り組む必要がある。

       そのためには、自分が何を期待されているか。

       今の自分の役職より一段、二段と次元の高い役割意識を働かせ、「自分が
       もし社長だったら」「自分がもし取締役事業本部長だったら」と考えを深め
       て、組織人としての使命感(ミッション)を磨き、高めていくことが必要であ
       る。

       この使命感を磨き、高めるためには、「より多くの人のことを」「より先のこと
       まで」、常に考えることです。

       自分の部署だけでなく関連部署のことも、自社だけでなく、仕入れ先のこと
       までも考える。

       また、今月のことしか考えていなかったのであれば、その期間を3カ月先ま
       で延ばす。

       あるいは今期の業績のことしか視野に入っていなければ、3年先の商品開
       発や5年先の人材の成長のことまで視野に入れることだ。

       この思考の幅を広げることが、組織の未来志向を高め、「将来のために
       今、頑張る」という一体感づくりにつながるのです。

     (3)情報分析力
       現代は、さまざまなチャネルから情報が飛び込んでくる時代である。

       そうした情報群を、いかにうまく処理・整理・管理するかが重要となります。

       常に意識して収集する情報を明確にし、アンテナを張る。

       そして定期的に鮮度の高い情報を分析し、先述した戦略的判断に活用して
       いく。

       「どのように活用するか」というゴール感が明確になればなるほど、情報の
       精度とタイムリーさが高まり、戦略的判断に活用する場面が増える。

       逆に、集めるだけ、集計するだけで活用されない情報は、「労多くして功少
       なし」になりかねない。

       情報収集もコストである。

       生産性を高める情報収集活動を、あらためて組織としての取り組みとして
       見直していきましょう。

   2.戦略思考のリーダーにあるべき「行動」
     戦略リーダーに求められる行動としては、まず精神的若さを保つこと。

     若さ・新鮮さ・集中力を常に意識し、変化に対しては素直に対応するとともに、
     時として貪欲に突き進むバイタリティーも併せ持った行動が必要だ。

     リーダーとしての立場では、自分の思い通りにいかない場合もある。

     その際に、「逃げる」「言い訳をする」「他人に責任を振り向ける」ことをしていな
     いだろうか。

     対策もなければ、行動も起こさないなど、精神的若さを失った「老化現象」状態
     である。

     今、戦略思考のリーダーに求められているのは、「顧客の価値を高める道はコ
     レだ!」という信念に基づいて、周囲に理解させ、組織を動かして将来ビジョン
     を描き、それに近付くことです。


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社員教育

社員教育

  企業の生き残り
   企業の実態は依然として厳しい。
   売り 上げが伸びない、価格が通らない。
   半面、経費だけは予定どおりかかって、利益が残らない。
   へたをすると 赤字となってしまう。
   長い不況トンネル下で、体力を消耗し つくした企業が何と多いことか。 
   ちょっとしたキッカケ(不渡り発生、事故、極端な 受注不振など)で倒産に追いやられて
   しまう予備軍が増えています。
   しかし、他方、高水準の利益を維持し、 年ごとに記録を更新している企業もあります。
   この両者のひらきは体どこから生ま れてくるのか、どんな 違いがあるのか?
   業績をあげている企業は、

    (1)よく働く(時間でなく成果で勝負)
    (2)新しいものの創造にプラスαの努力をかけている(刈りと りだけでなく
      タネまきも)
    (3)寄生虫のような人はいな い、ムダなことはしない(効率化)
    (4)目標・方針が明確になっており、や るべきことが全社に徹底されている
      (意思統一)
    (5)反応の迅速性=スピード行動体質
   などの特性をもっています。

   要するところ、“経営は人なり”の 言葉通り、人が活かされ、組織が活性化されて
   いるか否かのち がいである。数多くの 事例からもこの点こそが企業の生き残り
   条件として必須、かつ 重要な問題として受け とらざるをえません。 

   しかもこのような“活性化”体質をつ くりあげていくうえで 、中堅幹部の果たす
   役割は大きいのです。
   ことにリーダーシップ発揮のいかんでチームは活発にもなり、また沈滞もする。

 

  ■幹部教育の重要性(教育はまず上から、そして下へ)

   会社がしっかりしているかどうかは、幹部によって決まる。

   企業間格差が、その会社の幹部人材の質そのものによって決まる、という傾向は今後
   ますます強くなります。

   幹部は自社を支えリードする人材の要であり、担当部門も部下も、そのリーダーで
   ある幹部の器以上には能力は発揮されない。

   幹部の能力アップを図らずに、若手の優秀な人材を部下につけることは、その部下
   にやめろというのと同じことだ。

  □幹部の機能
   幹部は会社の経営方針・トップ方針の実行責任者です。

   トップの分身として、トップに対し、よきブレーンであると同時に、フォロワーシップ
   発揮こそ幹部の機能である。

   フォロワーシップとは、追随者ということではない。

   トップ方針の理解者であり、推進者のことです。

  □幹部が役割を理解していない
   その弱点を発見と同時に、直ちに治療(意識革新・役割認識)を施すべきです。

   早期治療が困難な場合には、治療が終わるまで隔離する。

   場合によっては手術して切除する。

   幹部教育の第1ステップは幹部自身が、経営方針・トップ方針の実行推進者である
   という意識の高揚である。

  □幹部の役割(教育の視点)
   1.業績をあげる(目標の必達)
   2.部下の育成
   3.全社的立場での担当部門の管理

  □幹部教育のテーマ
   幹部の機能と役割を踏まえた研修テーマの例は以下の通りです。

    1.経営計画経営方針・部門方針のたて方とチェックのやり方
      (実際の策定と結果チェックと問題点対策)
    2.先行管理システム
    3.わが社をとりまく環境、市場動向の共通認識、情報の共有化
    4.幹部の役割認識と具備していなければならない条件
    5.会社における自己の立場と職責の明確化
    6.管理者としてのものの見方・考え方・価値判断基準
    7.問題点の発見と問題解決の進め方
    8.リーダーシップ発揮のポイント
    9.幹部に必要な経営分析と計数管理
   10.仕事の効率(生産性)の高め方
   11.部下指導(育成)のポイント
   12.職場のコミュニケーションとやる気のリズムづくりとケジメづくり
      (指示命令報・連・相・打、会議)
   13.チーム力アップ策と部門間意思疎通
   14.業務に関する専門知識・応用力・固有技術
   15.幹部としての自己革新・自己啓発のやり方

  □幹部教育の成果をどう出すか
   教育がその場限りで終わっては時間と経費のムダである。

   まして幹部の場合は機会コストも大きい。

   成果を出すためには、体系的計画的に、しかも継続して行うことがポイントであるが、
   それ以上にフォローアップが大切である。

   教育に大切なことは、教育を受けた者にその活用の機会を与えることと、教育効
   果の確認である。

   ◎フォローアップ事例
    (1)社外セミナーヘ派遣したときは、1カ月以内に幹部の集まりや職場勉強会で
      「セミナー報告会」を実施し、セミナーで学んだことを受講者に発表させる機
      会をもつ。

    (2)社外セミナー・社内教育研修終了後、3カ月以内に研修を具体的にどう活か
      したか、その結果をレポートにしてトップまたは上司へ提出させる。

  □ヤル気を引き出す
   ヤル気があり、しかも心身ともにバランスのとれた社員を採用できる会社はしあわせ
   です。

   大部分の会社では「不満足ながら」採用し、「不満足ながら」指導しているのが実態で
   ある。

   しかし、それでも会社の成長や社員の定着率に差が出てくるのであるから、あきらめ
   ずに指導の原則を実行して頂きたい。

   1.基本動作がやれない社員は半人前
     当然やるべきことをやらないから腹が立つ→人間関係が乱れる→計画があっ
     ても、まともに実現しないと、悪循環する例をどこの会社でも大なり小なり見受
     けられる。

     いやなことでも、最初に気づいた者が実行するとか、お互いに注意し合う社風
     を築いておくと、少なくとも悪循環はしなくなる。

     「基本動作ができないようでは社員でない」という毅然たる態度が必要だ。

     基本動作をやっているが、ミスやクレームの減らない会社がある。

     原因を突き詰めてみると「基本動作」に対する解釈がバラバラで、個人的な尺
     度が入り込むスキ間がいっぱい、ということが多い。

     社員の意識を「信用第一」とか「一流のビジネスマンをめざせ」など、社会や将
     来へと向けて、向上させるようにすることが必要だ。

     こまめな意思統一や、半人前社員の明確な区別をしておくことが「低きに流れ
     る」傾向を止めるために役立つ。

     性格能力判定テストでは、自分の都合で判断している姿を浮き彫りにする。

     また職場全体が悪循環になっているのか、善循環になっているのか全体傾向
     を判定する。

     そして、この判定に基づき考え方と行動の両面からの変革をアドバイスする。

   2.活性化のもと
     不安や不快な気分のままでいると人間は弱い消極的な性格へと傾いていく。

     変化への順応がうまくいかなくなるし、視野が狭くなる。

     伸びない社員は、狭い視野でバランス感覚に欠ける例が多い。

     活性化の第一条件は不安や不快の原因を取り除き興味を持たせること、およ
     び安心や明るい見通しを与えることだ。

     たとえば、
      (1)もう一押しで成果があがる仕事を与える
      (2)まずくとも、昨日より良くなった点をほめる
      (3)成功事例を見聞させ、本人の体験と結びつけさせる
      (4)全体像を理解させ、準備を整え不安なく取り組めるように導いてやる
      (5)不安になったら、いつでも相談できるようにしてやる。

   3.期待に沿おうとする意欲の芽ばえ
     両親への不満を直接ぶつけられない子供が、拒食症や非行になる例がある。

     そのような記事を新聞や雑誌などで読まれた記憶はないだろうか。

     弱い者が強い者に従うという自然法則の中にも、持っていき場のない不満が
     積もると、何らかのかたちで不満を表現するようになる。

     職場においても同様で、会社や上司に対して持っている不満を、人間関係や  
     職場規律を乱すようなかたちで発散させる。

     向上する職場や意欲に満ちた人材を育てるためには、
      (1)職場規律を明確にすると共に、こまめに意思統一して前向きな仕事をす
        るようにする
      (2)上司は自分の態度・行動が職場に反映すると受けとめてモデルを示し、 
        信頼関係の構築に努める
      (3)社員の生い立ちや性格に原因する「意欲不足」や「環境不適応」を直す
        ため、繰り返し基本動作の徹底と意織のレベルアップをはかっていく。

     上司は自分が助かりたければ、部下を助け、ヤル気にさせることがスジ道だ。

     上司・部下ともに性格能力判定テストを受け、不満の発生原因や因果関係に
     ついて理解を深める必要がある。

   4.成功体験の積み重ね
     消極的なタイプには、未解決の問題を心に残したまま次の仕事に取り組んで
     しまう人が多い。

     また自分に都合のよいことだけを信頼していて、都合の悪い時には「信じてい
     たのに」と不満をいうことが多い。

     これらはケジメやコミュニケーションの問題ではなく、「相手の気持ちがつかめ
     ない」「先が読めない」という根本的な原因があって生じてくる問題だ。

     感度の鋭いエネルギッシュな幹部なら「追いまわし型」の指導でこのような部
     下を使いこなせるが、部下の成長を期待することはできない。

     育てる、活性化するという点からすれば、
      (1)次の機会のことを考えながら行動するようになるまで基本を徹底的にマ
        スターさせる

      (2)毎日のケジメの中で、現状を的確に理解させ次の重点をつかませる

      (3)仕事の目的や他との関連など大きな視野で考える訓練をする。

        人生や仕事についての信念や目標を確立させることも重要だ。

   5.集団の中での人材育成
     自己啓発ができる人なら、集団に入れなくても自分で目標やライバルを定めて
     挑戦する。

     しかし、一般的には集団の中で心身の機能をフル回転させるのが効果的。

     指図した以上のことをやろうとしない社員でも、後輩やライバルが実力をつけ
     てきたとなると何らかのかたちで「存在感」を主張しようとする。

     ここで「出る杭は打たれる」といった悪習を作らないように上に立つ人は第一
     線の社員の意見を吸い上げるコミュニケーションルートを開いておく必要があ
     る。

     外勤の営業マンであっても、会社全体の動きや他のメンバーの活躍ぶりをこま
     めに伝えることによって「集団の中の自分」を意識するようになる。

     また社外に出ていようとも、「職場の役割」を持たせたり、小チームで対抗させ
     るのが効果的だ。

  □新人育成のチェックポイント
   職場には規律があります。

   新入社員も3ヵ月程経つと、慣れと緊張感が薄れてくる時期です。

   また自我と自立心が芽ばえてくるのもこの頃から。

   こんな時、新人個々に「職場の規律チェックリスト」をもたせてチェック。

   エルダー層は適切なアドバイスをすることが大切だ。

   ◎使い方
    表は職場にあらわれる現象を示した。まず「ウエート」の項に、この職場での重
    要度を3・2・1・0で表示する。

    3は業務に差しつかえるから、どうしてもやめなくてはならないもの。

    以下0までは、自分の職場では特に必要のないことの順である。

    「評価」はA・B・Cでつける。

    Aは問題なし、Bは時々問題あり、Cは問題多し。

    「原因追求」はB・Cについて考える。

  □女子社員シェイプアップ作戦
   女子社員の戦力化・活性化が叫ばれる昨今、女子社員に自社の業績向上にインパク
   トを与える後方部隊としての役割の重要性を認識させることが大切です。

   そこで、学ぶ姿勢とやる気のキッカケづくりとして、「自己啓発のためのチェックリスト
   」の活用をおすすめする。


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幹部育成は経営の優先課題

幹部育成は経営の優先課題

  幹部育成は社長の仕事

   自社の規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片腕となって組織運営を行い、
   自社の発展を共に目指してくれる存在がいるというのは、大変心強いものです。

   そうしたことを任せられる人材がいるということは、 会社にとっても大きな強みで
   あるはずです。

   人材教育のなかであらためて管理者教育に注力する企業が増えている背景には、

   管理者のスキルアップが自社の活力の増大に大きく結びつくと見直されていることが
   あげられます。

   管理者といっても、いくつかの段階に分かれますが、最終的には社長の理念や考え、
   気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に組織を導くことができ、また社長の
   いないときには、社長の代わりとして業務を遂行できるような、そんな人材を育て
   たいものです。

  □「幹部育成」の問題点

   1.幹部育成は経営の優先課題

     経営課題の上位にくるのが幹部育成である。

     昨今のデフレ環境下、トップは幹部に何を期待しているのだろうか。
      ・とにかく業績目標を達成してほしい
      ・しっかりトップを補佐してほしい
      ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい
      ・若手人材の育成をしてほしい
      ・社員の手本となるにふさわしい人物になってほしい

     また、企業内における幹部教育は、
      ・経営会議、幹部会議などを通じてのトップ自らの実地指導(OJT)
      ・社内で企画された層別研修
      ・外部の研修機関への集合教育派遣
      ・幹部自らの自己啓発

     が組み合わされて実施されています。

   2.人材は3つの力で育つ
     人材を育てるには3つの力が必要になる。

     自らが育とうとする自己啓発力(育つ力)、指導する側の育てる力、そして理 
     念・方針・制度などの育む力である。

     従って、幹部が育たないとすれば3つの力のどこに課題があるかの点検が必
     要となります。

     (1)「わが社の幹部はだめだ」と口にするトップ
       うちの幹部はダメだと口にされるトップが結構いる。

       そんな社長はとくと以下の点を確認してみてください。

       ① 幹部に「なんとなく、わかったレベル」で終わらせていないか
         ・経営者が幹部に「指導したこと」が行動にどのように活かせるか考えて
          いない。
         ・幹部に対して、どれだけ具体的な指導ができるか考えていない。
         ・そのためには、部署単位でのフォロー体制をいかに形成するかが鍵に
          なるが、考えていない。
         ・経営者を中心に幹部と現状の課題解決に向けての協働体制をとって
          いない。

       ②『幹部を指導する』社長のフォロー不足
        基本的に「指導後の実施過程」をフォローしていない。
        特に幹部は、この実施過程を推進していくリーダーとしての役割がある
        が、このような役割は本来、幹部の中核に位置すべき仕事である。
        しかし現状では、この部分について、まだ十分な能力水準にはない(自分
        が「出来る」ということと、自分が「指導できる」ということは理解のレベル
        が違う)。
        だから「幹部を指導する者」が徹底的にフォローすべきだが、現実には「し
        ていない」のではなく「できない」ことが多い。

       ③「幹部に考えさせていない」社長
        ・例えば幹部として自分のやるべきことは、経営者から伝えられた言葉の
         まま理解はされるが、それを具体的な行動でとらえると、どうなるかが
         「書けない」ということが多々ある。
         「書けない」背景には「考えていない」ということが考えられる。
         このことは「会社方針を正しく理解させる」をとりあげても「覚える」こと
         を優先させ、「できる(行動として実行できる)」ことを、おざなりにする
         可能性がある。
         また「作業を完全マスターする」段階になって、「作業」の目的、その意味
         を明確にしないまま「体得」される可能性がある。
        ・現実の生きた教材をもとにした実践指導が出来ていない。
         各幹部で検討・立案した対応策の「現場での展開」という生きた教材をも
         とに、そこから生じた状況への対応を通じて、知識や技術の現実への適
         用を実際に経験させていくことが、幹部能力向上に重要な意味を持つ。

     (2)価値判断基準、自社のバックボーンが不明確
       企業も、幹部もバックボーンがとおっていないと成長しません。

       理念、方針があっても実践されていないと本物にはならないのです。

       あらためて自社、幹部のバックボーンの点検、確立をすることが必要です。

     (3)幹部自体が啓発テーマを持っていない
       幹部自体が啓発テーマを持っていないことは問題だが、育てるサイドから、  
       個人別の啓発目標を出してもらい、目標管理制度に組み込んで四半期 
        チェックをする仕組みが必要。
       幹部が果たすべき機能をベースに自己啓発計画を出させる。

  □実践的な幹部教育の体系化を図る
   自社にとって最も重要な場所は現場であり、業績に大きく影響するまさに生命線で
   ある。

   この現場をいかに円滑に運営できるかが自社の競争力そのものであるといえる。

   したがって、その運営責任者である幹部の育成は、経営者の主要業務になる。

   よく求人広告などで、人財という言葉を目にするが、「人材」が「人財」にかわるには、
   人件費に見合うだけの付加価値を生み出していなくてはならない。

   幹部が人件費に見合うだけの付加価値を生み出していないならば、むしろ人はコスト
   アップ要因になってしまう。

   つまり、自社にとって一番重要な生命線である現場の運営に関わる幹部がこの条件
   をクリアし、競争力を向上させることができるようにするために、教育体系を構築し
   「人財育成を図っていく」つまり「幹部が勝手に育つ」教育から「幹部を意図的に育
   てる」教育に転換する必要がある。

   なにより「幹部が実務に活かせる教育」をコンセプトとして構築していくことが最重要
   なのです。

   このコンセプト実現のための教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」
   と、「幹部の役割を全うするために必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み
   立てることが必要になります。

   特に注意すべきこととして以下のことが挙げられる。

   1.自社独自の教育体系を構築する
     まず、「うわべだけの教育」、「教育のための教育」を社内から一掃する。

     業務に必要な知識・技術を習得させ「職務遂行能力を向上させ結果がだせる
     実務に即した教育」を行うこと。

     そのためには、「教え教わる文化実現」のために全社的な運動にもっていく。

     中途半端にやっては、効果が薄くなる。

   2.そのために、まずやるべきこと
     (1)各階層毎幹部の基本モデル社員像を明確にする。
       幹部に求められている能力を明確にする。

       経営理念、会社方針、中長期ビジョン、現場からのニーズと基本モデル幹
       部像をリンクさせる。

       例えば幹部は、「自分が具体的な処理や作業を行うのではなく、自分の考
       えを部下の行動を通じて実現する」という役割を担っている。

       個人的な業務遂行能力よりも、部下全員を方向づけ、目標を達成するには
       どんなやり方をとったら効果的かという構想力やコミュニケーション能力、あ
       るいは影響力といった能力が重視されるのです。

       人材の流動化がさらに進む現状を考えると、中途採用者に対して、経験や
       キャリアに応じて育成を図るとき必要なものとして、その根拠となるような基
       本モデル幹部像を設定することが有効である。

       このことにより基本モデル幹部像に照らした各人毎の育成計画が組みやす
       くなる。

     (2)「いつまでに」「どのような業務を」「どのレベルまでできるようになったら」
       「給料はどうなるのか」を人事制度に照らして示す。

       そしてその人事制度と企業教育制度をリンクさせる。

     (3)幹部教育に関しては、特に自社の経営者に代わる幹部教育責任者を育成
       する。

  □幹部教育責任者の条件
   1.名ばかりの幹部教育責任者になっていないか?

     (1)現場の幹部以上に現場を知っている人
       現場のことを知らない人が幹部を教育できるわけはない。

       知らない人がやれば「評論家育成教育」になり、中途半端な知識は現場を
       混乱させるだけである。

       社是、社訓、経営理念、会社方針を社内で一番理解している人、原理・原
       則を重んじる人、公明正大な人、困難に挑戦する人、変化を歓迎する人、
       能動的に仕事に取り組み自ら仕事をつくりだせる人、真にプロを目指す人
       こそ幹部教育責任者にふさわしい人材です。

     (2)これからは、実行力のある人

       例えば、自分の仕事の結果が不安でしかたなく、いつも現場で効果の確認
       を行い次の手が即打てる人。

       さらに全社にとってどうかということが考えられる、全社的な影響力のある
       人、幹部自身以上の教育責任者を育てようという情熱のある人こそ幹部教
       育責任者にふさわしいが、何より重要なのは、「実行力のある人」です。

       この条件を満たさない人が教育責任者(担当者)であれば、即刻、現場に
       戻して再教育すべきです。

       仮に適任者がいない場合は、トップ自ら幹部教育責任者として日常の業務
       の中で意図的に次期幹部教育責任者を育成すべきである。

       幹部教育で結果の出ていないほとんどの会社が人に職務を与えていて、
        職務に人を割り振っていない(役割分担)。

       人事をやっていたから教育をやらせる、能力開発部門にいたから引き続き
       教育を担当させているという状態である。

       実質的には、自社で結果を出せる幹部教育責任者を育てていない。

       これでは名ばかりの企業教育になってしまう。

       育てられないのは社長の責任であり、現場での教育が実行できていないの
       も社長の責任なのです。

   2.これからの「幹部教育」責任者に求められるもの

     (1)スピードを持って対応していくこと
       まずスピードをもって幹部教育を全社的に徹底的に実行せよということ。

       実行を繰り返すことで部署間の壁の高さは必ず低くなり本質的なコミュニ
       ケーションがとれてくる。

       コツは、社長の意を汲んでそれを形にし、全社に周知徹底させ自ら幹部教
       育責任者としての立場で積極的に粘り強く行動すること、経営者への業務
       報告を自ら進んで行うことです。

       今後さらに「市場環境の変化」に対応するのと同様に「自社の幹部教育
       ニーズの変化」に対応することは、非常に難しくなってきます。

       刻々と変化する自社の幹部教育ニーズに対応していくには、なるべく早く結
       論を出して即、実行すること。

       うまくいかなかったら次の手を速やかに打つということです。

       「何もしないのは一番ダメなこと」、また「変化するのが当たり前」だと社長
       自身が行動で示し、全幹部に徹底的に認識させ実行させること。

       当然のことですが、教育効果の測定においては、社長自らが自社教育に
       対して全社で一番辛い評価者になって、徹底して現場で教育効果の確認を
       行うこと。

       「結果の出せない教育責任者」と「結果をだせる教育責任者」との違いは、
       このスピードと実行力と、何より「なにがなんでも出来るまでやりぬく徹底
       力」にある。

     (2)トレーニングコーチの育成
       これからの幹部教育は、外部研修等だけの「おまかせ定食的な企業教育」
       から、外部とのジョイントによる「自社独自の幹部教育」を再構築し実務の
       中で結果の出せるもの、つまり業績に直結していくものにすることがますま
       す必要になる。

       そうすることで自社独自のノウハウが蓄積できるのです。

       「実務に活かせる幹部教育」を行うことで、トレーニングコーチを増やし、日
       常的に現場でのOJTが行われるようにし、「お互いが教え、教えられ成長し
       ていくことが実務における最高の教育だという社風」を作り上げること。

       どんな会社にも、これに関しては全社でNo.1という幹部が必ずいるはず
       です。

       それぞれの得意分野でトレーニングコーチとして他の幹部を指導すること
       は、最も簡単で最も結果がだせることである。

       これこそが実践的であり成功事例の波及になる。

       社内トレーニングの育成によって得られるメリットとしては、
        ①教育実施の運用上の柔軟性が得られ、計画倒れが無くなる。
        ②トレーニングコーチ自身が自己の業務を再認識できる。

     (3)そのための教えやすい仕組みづくりを行う
       教えやすい仕組みをつくり、教えるための技術を身につけさせる。

       教えやすい仕組みづくりとして、自社オリジナルテキスト、指導マニュアル
       等を作成する。

       教え方の指導としては、集合教育、ロールプレイング等を行う。

   上記内容を踏まえて、「短期間に人材で他社と優位化できる」ようにし、自社の競
   争力を高めることが、勝ち抜き戦を勝ち続ける要因の一つです。

  □自社の仕組みづくり
   1.「自社の成功要因」を明示する
     「こんなことを実現すれば、必ず成功する」ということを全員に理解させる。

     幹部には、具体的に現場の業務に置き換えて指導できるレベルまで理解させ
     る。

     例として、以下の内容でまとめる。
     (1)現状の問題点
     (2)問題解決の自社独自の基本的な考え方
     (3)商品政策と顧客に対する考え方と具体的にやるべきこと
     (4)ローコスト経営に対する考え方と具体的にやるべきこと
     (5)自社の目標を具体的に示す
     (6)自社の基本的な考え方を示す
     (7)自社の目標が達成された具体的イメージを示す
     (8)自社目標達成のための必要な機能を示す

    例えば、「顧客の要望を具体化し自社のビジネスに結びつける」ためのマーケテ
    イング&マーチャンダイジングなど

   2.自社で働く人に自社で働く上での、基本的な考え方を経営者が明示し、教育
     ツールとして使い込む
     (1)原理・原則に沿った内容で、自社オリジナルテキスト(マニュアル)である
     (2)幹部に必要な知識の習得のために、「指定図書」を決め幹部全員に丸暗
       記させる
     (3)「社長の発信した文書」を使って、経営者自ら幹部教育を定期的に行う
     (4)指導効果を測定するためにも、「理解度確認テスト」を行う

   3.公明正大・信賞必罰・完全実力主義を実現するための人事制度及び人事考
     課制度を導入し「やる気のある幹部及び幹部候補者を腐らせない」システムを
     構築する

     (1)人事評価項目を日常業務に落とし込む
       現状、この部分が実現されていないので業績に反映されない結果になって     
       いる。

       「やっているか・やっていないのか」の実行度を評価し「職務別のやるべき
       日常業務」を評価項目にする。

       やっている者は報われ、やっていない者は、やらない限り報われないという
       仕組みにする。

     (2)資格認定試験制度の導入

     (3)毎月個人評価で四半期ごとの人事考課

     (4)具体的に「指導 ⇒ 評価 ⇒ フィードバック」をサイクルで回せる仕組みを導
       入

     (5)報奨制度の導入

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中小企業に求められるチームリーダー
 

  ■企業が組織として結束できる理由

   性別、年齢、性格、能力、働くということに対する意識など、企業はさまざまな考え方や
   キャリアを持つ人間の集団です。

   個々の社員の利害が完全に一致することはないため、企業には常に衝突と分裂の
   危険性があります。

   それでも、企業が一定のルールによって統制された「組織」として活動できるのは、
   企業に明確なビジョンやミッションがあるからです。

   「ビジョンやミッションを達成する」といった一つの目的が共有されることで個々の社員
   が有機的に結びつき、結束して活動することができます。
 
    【共通の使命が組織を束ねる】

     明確かつ焦点のはっきりとした共通の使命だけが、組織を一体とし、
     成果をあげさせる。
     焦点の定まった明確な使命がなければ、組織はただちに組織としての
     信頼性を失う。
                         (ドラッカー名言集「経営の哲学」)

   個々の社員によって、ビジョンやミッションの達成に対する情熱、魅力を感じる条件
   
(賃金・地位・権限委譲・顧客からの感謝など)は異なります。

   しかし、ビジョンやミッションの達成が何らかの形で「会社や自分のためになる」と考
   えているからこそ、社員は活動を続けます。

  □リーダーの必要性

   ビジョンやミッションの達成という目的の共有が、社員の活動の原動力であると考えた
   場合、企業という組織にはリーダーの存在が不可欠です。

   リーダーは、社員にビジョンやミッションを示し、またそれらを達成するための具体的な
   行動を起こすように動機付ける存在であるからです。

   事実、どのような企業にもリーダーがいます。

   リーダーは各階層に存在し、それぞれが異なる影響力と支配力を持ちながら、企業が
   組織として結束できるよう活動しています。

   中でも重要なのは社長のリーダーシップです。

   企業経営者が示すビジョンやミッションは企業の方向性や存在意義そのものであり、
   それが社員の心に響かなければ、組織は結束することが難しくなります。

  □中堅リーダーの役割

   ある程度の権限を与えられている中堅社員がチームリーダー(以下「中堅リー
   ダー」)としての役割を果たすことも、組織の活性化のために重要です。

   中堅リーダーは、社長と自分よりも下位に位置する社員の両方の考えを理解すること
   ができます。

   そのため、優れた中堅リーダーは、組織の真ん中に位置しながら全体のバランスを
   取る役割を担っています。

   しかし、中小企業の中堅リーダーが必ずしも組織に貢献できるようなリーダーシップを
   発揮できているわけではありません。

   中小企業のリーダーには、リーダーとマネージャーの両方の役割が期待されますが、
   中小企業の中堅リーダーの多くは、会社での経験の長さや業務推進能力の高さ 
   など、マネージャーとしての資質が評価されて中堅リーダーというポジションに位
   置しています。

   こうして誕生した中堅リーダーは、プロジェクトの運営を指揮することはできます。

   しかし、プロジェクト自体を立案したり、その重要性を社員の心に訴えることが苦手な
   場合が多々あります。

   つまり、マネージャー的な資質は備えていても、リーダー的な資質は不足している堅
   リーダーが少なくありません。

  □中堅リーダーの迷い

   リーダー的な資質が不足している中堅リーダーは、自分にリーダーとしての資質が
   不足していることを認識しています。

   しかし、リーダーシップは書籍などから簡単に学べるものではないため、「自分がリー
   ダーとしてどのように立ち振る舞えばよいのか」を逡巡しています。

   リーダーは常に自信を持っていなければなりません。

   しかし、中堅リーダーは自信を失いがちです。

   自分を信じることができないため、手探りでリーダーシップを発揮しようとしますが、
   その結果、一つ一つの言葉や行動に統一性がなくなって周囲からの信頼を失うという
   ケースもあります。

  中小企業のリーダー

   会社組織にはリーダーが必要です。

   特に、上位の階層と下位の階層を結ぶ中堅リーダーの役割は大きなものです。

   しかし、中小企業にはリーダー的な資質が不足しているタイプの中堅リーダーが少な
   くなく、十分にリーダーシップを発揮できていないケースがあります。

   今、中小企業で中堅リーダーとなっている人は、改めて自分が中堅リーダーとして
   発揮しているリーダーシップを確認してみましょう。

   自分は中堅リーダーとして理想的で成果も順調に上がっている場合は今のスタイルを
   継続すればよいでしょう。

   しかし、自分のリーダーシップに自信が持てず、どのように活動したらよいのかを迷っ
   ている場合は、いま一度、中堅リーダーとしての自信を取り戻すためにリーダーの
   役割について考えてみましょう。

  □中堅リーダー(入社後10〜15年)に求められる能力

   1.中堅リーダーとしての現在のポジション

     (1)リーダーとマネージャーの違い

       社員をマネジメントする立場にある人をリーダーやマネージャーと呼びま
       す。

       リーダーとマネージャーは同義語として紹介されることもありますが、基本
       的な役割は異なります。

       <リーダーとマネージャーの基本的な役割>

        ①リーダー(「示し、動かす」ポジション)

          ・明確なビジョンとミッションを示す

          ・上記項目を達成するための戦略を立案する

          ・企業全体や個々の社員の動機付けをする

          ・実際に行動を起こさせる

        ②マネージャー(「まとめ、推進する」ポジション)

          ・プロジェクトを推進する

          ・具体的な計画を立てる

          ・メンバーのモチベーション管理を行う

          ・進行状況を管理し、リーダーに報告する

       大企業ではリーダーとマネージャーの役割が明確に分担されています。

       例えば、大企業の経営者はリーダーであり、マネージャーのように細かい
       業務指示を出すことはほとんどありません。

       一方、中小企業の社長もリーダーですが、自ら現場に出て営業活動を行い
       ます。

       中堅リーダーについても同様で、マネージャーの役割も求められます。

     (2)中堅リーダーのポジションマップ

       中堅リーダーはリーダーとマネージャーの両方の役割を担うことが期待さ
       れますが、リーダーとマネージャーに求められる資質は同じではない。

       中小企業の中堅リーダーは、図の「マネージャー偏向タイプ(リーダー的な
       資質不足)」に該当する人が少なくありません。

       「ポジションマップ」にあるように、図の左上の「リーダー偏向タイプ(マネー
       ジャー的な資質不足)」や右下の「マネージャー偏向タイプ」である中堅リー
       ダーは、「理想タイプ」になるための努力が必要となります。

       いずれも相当な努力が必要ですが、リーダー偏向タイプから理想タイプへ
       の進化は比較的簡単かもしれません。

       なぜなら、リーダー偏向タイプに不足している資質の一つは、業務の細か
       な進ちょく管理です。

       日ごろから意識することを心がければ、目の届く範囲は広がり、業務の細
       かな進ちょく管理ができるようになるでしょう。

       これに比べると、マネージャー偏向タイプから理想タイプへの進化は困難
       かもしれません。

       リーダーの資質には「人を引きつける話し方」など属人的なものが多く、上
       司のまねなどをしてみても、なかなか自分のものにすることができないから
       です。

       以降では、中小企業の中堅リーダーに多く存在するマネージャー偏向タイ
       プから理想タイプに進化していくために必要な、

        ・中堅リーダーとしての自覚

        ・中堅リーダーとして必要な機能

       を確認していきます。

  □中堅リーダーとしての自覚を持つ

   人は特別な意識をしていなくても、日々の生活の中で自然に適切な役割を果たすこと
   ができています。

   自然に適切な役割を果たすことができるのは、ほかでもない自分自身のスタイルを
   役割に置き換えて行動しているからです。

   リーダーは、「リーダーとしての私」という役割を果たすことになりますが、多くの中堅
   リーダーは、リーダーとしての役割を果たすために「理想のリーダー像」をイメージし、
   その通りに演技をしようとします。

   中堅リーダーが理想のリーダー像をイメージして演じる努力は否定されるものでは
   ありません。

   しかし、最後まで理想のリーダーを演じきることができる中堅リーダーは少ないのが
   現状です。

   例えば、「本来、仕事中は非常に厳しい表情をする人」が中堅リーダーになったことを
   きっかけに「仕事中は常ににこやかな表情をする人」を演じたとします。

   この場合、周囲の社員はにこやかな中堅リーダーに親しみを感じるかもしれません
   が、当の中堅リーダーは常に業務以外のことを意識しなければならず、どこかぎこち
   ないことでしょう。

   また、「にこやかな表情」は一つの役柄にすぎないため、ふとした拍子に、本来の
   「仕事中は非常に厳しい表情をする人」に戻ってしまいます。

   この変ぼうをみた周囲の社員は、一体どちらが本当のリーダーなのだろうと疑問に
   思うことでしょう。

   特にマネジャー偏向タイプの中堅リーダーは、「皆に信頼され、好かれるようなリー
   ダーにならなければならない」と考え、現にその理想像を演じようとします。

   これは「社員のために我慢する」ことが、リーダーとしての美学であると勘違いをして
   いる例といえるでしょう。

   演じることと自分のスタイルを曲げることは違います。

   リーダーの言動には常に一本の筋が通っていなければなりません。

   にこやかでいることが自然なのであれば終始にこやかに、厳しくすることが自然なので
   あれば終始厳しくすればよいということですが、実は、表情はさして重要なポイント
   ではありません。

   リーダーには、

    ・時間をかけてでも、自分のスタイルを周囲に受け入れてもらうこと

    ・組織を力強く導くこと

   が求められているのです。

   リーダーの仕事は、常ににこやかな笑顔を振りまくことではありません。

   必要であれば、多少の衝突も覚悟して、組織を正しい方向に導き、成果を上げること
   なのです。

  □中堅リーダーが果たすべき機能

   1.組織の利益を個々の社員の利益に置き換える

     冒頭で紹介したように、会社という組織は「ビジョンやミッションを達成する」と
     いった一つの目的が共有されることで個々の社員が有機的に結びついている
     面があります。

     これは、社員がビジョンやミッションの達成により、自分も幸福になれると考え
     るからです。

     中小企業の中堅リーダーは、まず、企業のビジョンやミッションを社員の分かり
     やすい形に変換して伝えなければなりません。

     なぜならば、社員は自らのメリットを理解したとき、情熱的に行動しようと考え
     るものだからです。

     例えば、社長が「毎年10%ずつ売上高を伸ばし、○○年後にはシェアを○○%
     アップさせる」とのビジョンを示しても、社員はピンとこないでしょう。

     何やら大きなことを言っているようだが、具体的に自分がどうなるのか、あるい
     は何をするべきなのかが分からないのです。

     中堅リーダーが社員に企業のビジョンを伝えるときは、「毎年10%ずつ売上高
     を伸ばし…」ではなく、「毎年、○○件の新規を獲得することで、10%ずつ売上
     高を伸ばしていく。

     そのために、○○と○○に取り組む必要がある」と、具体的な業務遂行レベルに
     落とし込んで伝えることです。

     社長は数字を重視しますが、一般社員にはピンとこないこともあるのです。

     また、「○○年後にはシェア○○%」という目標が達成された場合の社員のメリット
     (賃金、地位、権限委譲、顧客からの感謝など)も示すことができれば理想的
     です。

   2.社員の信頼を得る

     組織の利益を個々の社員の利益に置き換えることで、社員への動機付けはほ
     ぼ完了したといえます。

     「自分の利益のため」という動機は社員にとって分かりやすく、積極的に活動
     するきっかけとなります。

     また、中堅リーダーが組織の利益を個々の社員の利益に置き換えたことは、
     社員の動機付けのほかにも「信頼」という効果があります。

     社員は「この中堅リーダーは、常に自分たちのことを考えている」とリーダーを
     慕うようになります。

     この効果を期待することは中堅リーダーの一つのテクニックです。

     本来、人(社員)を動機付けて信頼を得ることは簡単なものではありません。

     それを、利益の置き換えによって同時に達成できることがあります。

   3.組織の雰囲気をつくり出す

     中堅リーダーは組織に対して一定の影響力を持っています。

     また、中堅リーダーが考えている以上に、社員はあなた(中堅リーダー)に注
     目しています。

     中堅リーダーの言動により、組織の雰囲気は大きく変わってくるものです。

     中堅リーダーはこうした影響力を利用して組織の雰囲気づくりを進めていかな
     ければなりません。

     社員は業務に対してそれぞれ異なるスタンスを持っていますが、基本的には 
     組織のスタンスに従います。

     雰囲気についても同じことで、和気あいあいとした雰囲気を好む社員でも、組
     織の雰囲気が厳しいものであれば、それに従います。

     中堅リーダーがつくり出す組織の雰囲気は、第一に社長がよしとする組織の
     雰囲気、第二に自分がリーダーシップを発揮しやすい組織の雰囲気であり、両
     者が一致しない場合は社長がよしとする雰囲気に従います。

   4.謙虚な心と礼儀正しさを持つ

     中堅リーダーは常に成長する存在でなければなりません。

     マネジャーを兼務する中小企業の中堅リーダーには多くのことが期待されるた
     め、既存の能力を磨く、新たな知識を習得するといった努力を怠ることができ
     ません。

     たとえ、今の時点でほかの社員よりも多くの権限が委譲されていたり、判断力
     に長けていたとしても決してそれに慢心することなく、謙虚な姿勢で業務に取り
     組まなければなりません。

     また、中堅リーダーは誰よりも礼儀正しくなければなりません。

     多くの権限を与えられていることに慢心し、横柄な態度で社員に接すれば、短
     い期間で社員の信頼を失います。

     同時に、社員は中堅リーダーをよく観察し、その影響を受けます。

     横柄な態度の中堅リーダーが率いる組織は、やはり横柄な組織となってしま
     います。

   5.考えや意見が異なる相手を恐れない

     優れた中堅リーダーであっても、すべての社員がその考えや方針に同意する
     わけではありません。

     社員の考え方はさまざまであり、「中堅リーダーと対立する考えや意見を持つ
     社員」が出てきます。

     これは仕方のないことですが、対立関係に発展してしまうのは好ましくありま
     せん。

     中堅リーダーと対立する考えや意見を持つ社員と接する際は、中堅リーダー
     のほうからアプローチし、話し合いの場を設けることが肝要です。

     中堅リーダーのほうからアプローチするのは、中堅リーダーが相手を理解しよ
     うとしている姿勢を示すと同時に、抵抗勢力の活動をけん制するためです。

     中堅リーダーと抵抗勢力が本音で話し合った結果、どうしても理解し合えない
     ことがあります。

     ケースによっては、中堅リーダーはリーダーとしての権限を使って相手を従わ
     せなければならないこともあります。

     これが正しい方法であるか否かについては意見が分かれるところですが、抵
     抗勢力によって全体の結束が乱されることは避けなければなりません。

   6.協力者を得る

     中堅リーダーは2つのタイプの協力者を獲得しましょう。

     1つ目のタイプは中堅リーダーの考えをよく理解し、ほかの社員に中堅リー
     ダーの考えを伝えてくれる協力者です。

     こうした協力者がいると、中堅リーダーの考えは組織に浸透しやすくなります。

     2つ目のタイプは中堅リーダーの業務をサポートしてくれる協力者です。

     理解力があり、何らかの分野で高い能力を有している社員が好ましいといえます。

     こうした社員は、最低限の指示をするだけで業務を完了してくれるため、中堅
     リーダーの業務負担を軽減してくれます。

   7.組織の利益を優先する

     中堅リーダーは、リーダーといえどもそれほど大きな権限を与えられているわ
     けではありません。

     また、与えられる権限の大きさもケースバイケースです。

     一方、中堅リーダーは日々、判断の連続です。

     限られた権限の中で多くを判断しなければなりませんが、もし、判断に迷うよう
     な場合は組織の利益を優先します。

     組織の利益は、最終的に社員や自分の利益にもつながるからです。

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リーダーに求められる意識改革

  ■組織におけるリーダーの存在意義とポジション

  □リーダーの存在意義

   企業は、部課やチームなどに代表される複数の組織の集合体といってよく、それぞれ
   の組織にはリーダーと呼ばれる人物が存在します。

   「チームリーダー」「プレイングマネジャー」などリーダーの呼称はさまざまで、
   認められている権限も個々に大きく異なります。

   しかし、どのようなリーダーも以下の機能を果たしている点で共通しています。

   幅広い視点で事業活動をとらえた上で、利益向上やリスク回避など自社に貢献する
   戦略を立案し、それを遂行するよう組織を導くリーダーは、組織が進むべき方向を
   示し、従業員に業務の意味を教えて活動を動機付けます。

   こうしたリーダーの機能によって組織の活動は活性化します。

   しかし、すべてのリーダーが、常に活発に機能できているわけではありません。

   社長への不信・プロジェクトの失敗・人間関係の不和などによって自信を喪失した時、
   リーダーの機能は停止します。

   リーダーの機能停止は、組織にさまざまな悪影響を及ぼします。

   例えば、機能を停止したリーダーは戦略を立案することができず、その影響で組織の
   活動も停滞します。

   戦略なき組織では新たな業務が創造されず、改善も行われません。

   従業員は指示された業務を決まった方法で淡々と遂行するようになりますが、その
   ような組織には前向きな工夫・献身的な協力・高ぶる情熱などはありません。

   このような理由から、組織で活発に機能するリーダーは、組織の中心的な存在なの
   です。

  □リーダーのポジション

   リーダーのポジションは社長と従業員の中間にあります。

   そして、社長と従業員の双方と強固な信頼関係を構築することで、磐石の活動基盤を
   確保し、幅広い分野で活躍することができるようになります。

  □中小企業のリーダーの実態

   1.中小企業のリーダーは一人三役

     中小企業のリーダーの多くは、その企業で経験を積み、ある程度のことを自分
     で判断することを社長に許された幹部や幹部候補の従業員です。

     こうしたリーダーは、社長の考え方をある程度は理解し、現場の状況をよく知 
     り、いくつものプロジェクトを管理した経験もあります。

     中小企業のリーダーは、こうした実績を生かすことが求められるため、大企業の
     管理職とは異なり、リーダーとしての機能のほかに、マネジャーやプレーヤーと
     しての機能も求められます。

     例えば、中堅・中小企業の営業プレイングマネジャーの役割を、「リーダー」「マ
     ネージャー」「プレーヤー」に分けて簡単に示すと次のようになります。

      ・リーダー :経営者と相談して営業戦略を立案し、営業部門に示します。
      ・マネジャー:一定の条件の範囲内で、営業活動のやりくりをします。
      ・プレーヤー:一人の営業担当者として現場に立って、営業活動をします。

   2.中小企業のリーダーとしての意識改革

     中小企業のリーダーの多くは、その企業で経験を積んできた「現場からのたた 
     き上げ」的な従業員です。また、中堅・中小企業のリーダーの業務は、過去の
     業務の延長線上にあるものが大半なので(全く新しい領域に飛び出すことが
     比較的少ないので)、それまでの経験や実績を大いに生かすことができます。

     ただし、過去の経験や実績だけを活動のよりどころにしていては、リーダーとし
     て十分に機能することはできません。

     中小企業のリーダーは、組織のための戦略を立案するために必要な一定の 
     「人員・権限・時間・予算など」を経営者から与えられています。

     特に人員は「リーダーの直属の部下」(以下「メンバー」)であり、リーダーはメ
     ンバーと一緒に多くの時間を過ごします。

     自分一人で活動していたころとは状況が大きく異なるため、中小企業のリー
     ダーには、それまで企業で培ってきた経験や実績を生かしつつ、リーダーとし
     ての自覚を持って活発に機能することが求められています。

     これを実現するために、中小企業のリーダーは以下の意識改革に取り組みま
     しょう。

     これらの意識改革を果たすことで、中小企業のリーダーは、今よりも一層優秀
     なリーダーとして活躍することができるようになるでしょう。

     ●中小企業のリーダーに求められる意識改革

      (1)情熱情熱を内に秘めるのではなく、常に表に出して表現することでメン
        バーを動機付ける

      (2)権限権限の範囲に不満を持つだけではなく、より高い権限を認めてもら
        えるよう努力する

      (3)経営者の考え方がその企業の一つの価値基準であると認識し、
        それに従って活動する

      (4)チーム自分に反発しているメンバーを無視せず、自ら歩み寄って分かり
        合えるよう努力する

      (5)意見メンバーから意見が出ないことを危険と感じ、コミュニケーションの
        あり方を見直す

      (6)教育黙って求めるだけではなく、リーダー自らが教育することでメンバー
        の能力を伸ばす

      (7)民主主義的な意思決定には限界があることを知り、時にはリーダー が
        独断で決定する

  □意識改革
   1.失敗を恐れずに情熱的に活動する

     (1)リーダーに求められる情熱

       中小企業のリーダー(以下「リーダー」)は、メンバーに戦略を示し、その遂 
       行を指示します。

       その際、メンバーの自発的・積極的な活動を促すために、リーダーの情熱
       的な言動が求められます。

       メンバーは情熱にあふれたリーダーの力強い言葉に心を打たれ、組織
       (リーダー)のために自発的・積極的に活動するようになるからです。-

     (2)情熱の表現方法

       社長は、確固たる信念を持って情熱的に活動する従業員を評価して、リー
       ダーに抜擢することが少なくありません。

       そのため、リーダーの多くは、もともと情熱家です。

       ただし、リーダーになると情熱の表現方法が大きく変わってきます。

       単なるメンバーであるときは、自分の好きなとき(自信があるとき・気分がい
       いときなど)にだけ情熱を表に出しがちです。

       これは、何かに失敗したときに「あれほど情熱的だったのに、失敗してし
       まった」と周囲に思われたくないからです。

       しかし、リーダーはそうはいきません。

       自信があるときだけ情熱的なリーダーは、メンバーに「都合のいいときだけ
       勢いのある人」という印象を与えます。

       また、情熱を内に秘めた寡黙なリーダーもいますが、内に秘めた情熱を感
       じ取ってくれるメンバーはそれほど多くありません。

       そのため、リーダーは、自身の情熱を常に表現し続けなければなりませ
       ん。

     (3)常に情熱的に活動するために

       リーダーが常に情熱的に活動するためのポイントは自信を持つことです。

       自信は、過去の成功体験や不断の努力、さらには何かをやり遂げたいとい
       う強い思いから生まれます。

       そのため、リーダーは過去の成功体験から生まれるよいイメージを持って
       活動するようにしましょう。

       これだけで自然と笑顔になり、言葉も力強くなってくるものです。

       ただし、過去の成功体験がいつまでも通用するわけではないので、リー
       ダーは誰よりも努力をして能力向上に努めなければなりません。

       また、リーダーにとって最も重要なことは、何かをやり遂げたいという強い
       思いを持つことです。

       この思いこそがリーダーの活動の源であり、思いが強ければ強いほど、情
       熱的に活動することができます。

       そこで、リーダーは、自分の思いを明らかにするために「自分のビジョン」を
       作成してみましょう。

       「自分のビジョン」とは、リーダーが描く自分自身の理想像であり、「○年後、
       自分はかくありたい」といった内容です。

       風呂に入っているとき、通勤途中など、ちょっとした時間を使って「自分のビ
       ジョン」を考えてみるとよいでしょう。

       自分の目標を再確認すると、それを達成したいという思いが強まっていくも
       のです。

       最後に、リーダーは失敗を極端に恐れる必要はありません。

       情熱的に活動しているリーダーは非常に魅力的で、メンバーは「このリー
       ダーについていこう」と決心しています。

       その思いは、リーダーが一度や二度失敗した程度で揺らぐものではありま
       せん。

   2.経営者とうまく付き合って権限を広げる

     (1)権限に対するリーダーの不満
       リーダーの中には、活動領域が広くて責任も重いわりに十分な権限が与え
       られていないと感じている人が少なくないようです。

       しかし、権限と活動領域がアンバランスであると思っているのは当のリー
       ダーであり、その考えが客観的に正しいものであるかは分かりません。

       リーダーが必要以上に高い権限を求めているに過ぎないといったケースも
       あります。

       そもそも、会社ですべてを決定できる権限を持つのは社長(役員会)だけで
       す(実際は、社長でさえステークホルダーを意識して判断するので、全く自
       由に決定できるわけでありません)。

       リーダーは、このことを念頭に置き、社長と自身の権限の違いについて理
       解しておく必要があります。

     (2)形になっていない権限の存在

       リーダーの多くが不十分であると考えている権限の一つに「お金」がありま
       す。

       お金に関する権限を与えられていないと考えているリーダーは、「金額交渉
       もできないのに、商談ができるはずなどない」と考えがちですが、本当にそ
       うなのでしょうか。

       商談において、お金は相応のプロセスを経た後に決定されます。

       いきなり最終的な金額が決定されるのはまれなケースで、多くの場合は、
       何度も繰り返される商談の際の交渉結果の積み重ねによって最終的な金
       額が決定されます。

       実際、社長が最終的な金額を決定する際は、商談に出席しているリーダー
       からの報告(交渉の状況や結果)を重視します。

       簡単にいうと、リーダーがよい報告をすれば社長は高い金額設定ができ、
       逆の場合は低い金額設定になるということです。

       以上から分かるように、リーダーには、「自社にとって有利な金額設定をす
       るための材料を多く獲得して社長に持ち帰る」といった機能が求められてい
       ます。

       これは、社長の意思決定にとって重要な機能であり、ある意味で高い権限
       が与えられているといえます。

     (3)あらかじめ社長の承認を得ておく

       とはいえ、迅速な判断が求められる現在、「お金」の話をすべて持ち帰るよ
       うでは、交渉相手に「このリーダーには大した力がない」と思われてしまう恐
       れがあります。

       実際、商談の場でリーダーが金額を提示したほうがよいケースもあります。

       そのようなときは少し工夫をしましょう。

       リーダーが「次の商談で具体的な金額の提示を求められそうだ」と感じた場
       合、あらかじめ社長に相談をして、自分が交渉できる金額の範囲を決めて
       おきます。

       例えば、「800万円から1000万円の範囲であれば交渉してもよい」という
       社長の同意を得ておけば、「お金」に関する権限を与えられているのと大き
       な違いはありません。

       この方法は、現に多くのリーダーが実践している方法です。

   3.社長の価値基準を意識する

     (1)価値基準に対するリーダーの迷い

       リーダーになると社長と接する機会が増えますが、これはリーダーがそれ
       だけ高レベルの業務を担当している証拠です。

       頻繁に社長と接するようになると、社長の考えとリーダーの考えに相違が
       生じることが増えてきます。

       社長は経営の立場で物事を判断します。

       一方、リーダーの多くは現場からのたたき上げであるため、現場の立場で
       物事を判断する傾向があります。

       特に、リーダーになり立てのころはなおさら、現場の考え方のほうが実感と
       してわきやすいのです。

     (2)価値基準の確定

       リーダーは会社の一員であり、しかもメンバーに大きな影響力を持っていま
       す。

       こうしたリーダーが社長の考えと異なる戦略を打ち出せば、メンバーはどち
       らに従うべきか混乱します。

       また、リーダーがメンバーの前で社長を批判するようなことになれば、それ
       をきっかけに組織の調和が乱れる恐れがあります。

       そのため、リーダーの価値基準は、社長の価値基準にリンクしたものであ
       る必要があります。

       現場の立場のほか、経営の立場にたって物事を判断するという意識改革
       は、リーダーになった後、早い段階で取り組む必要があります。

       これができていないと、リーダーは自分の活動が組織に求められているも
       のであるのかを常に迷うことになり、自ら活動領域を狭くしてしまうことにな
       ります。

     (3)社長との付き合い方

       前述した通り、リーダーの価値基準は社長の価値基準とリンクしたもので 
       ある必要がありますが、実際は社長の考えのすべてをリーダーが理解・納
       得できるわけではありません。

       場合によっては、社長とリーダーの考えが全く異なる場合もあります。

       このような場合、何度でも社長の話を聞く必要がありますが、社長との信頼 
       関係がなければ、社長は貴重な時間を割いてまで胸の内を明かしてはくれ
       ません。

       また、情熱的なリーダーであればあるほど、「やってみたいこと」が多いは
       ずです。

       そのようなとき、「よし、君に任せるのでやってみろ」という社長の了承を得
       られるか否かは、社長のリーダーに対する信頼のバロメーターです。

       このため、リーダーは社長の信頼を獲得できるように努力しましょう。

       リーダーが社長と接する際は、情報収集・分析に基づく客観的な事実を冷 
       静に示しつつ、時には情熱的にふるまって、社長に自分のやる気をアピー
       ルすることが大切です。

       こうして社長の信頼を獲得していけば、社長は胸の内を明かしてくれるよう
       になり、より高い権限が与えられるようになり、リーダーの活動領域は大き
       く広がっていきます。

     (4)自らメンバーに歩み寄る

        ①リーダーに反発するメンバーの存在

         性別・年齢・性格・能力・働くことに対する意識など、企業はさまざまな考
         え方やキャリアを持った人間の集団です。

         個々の従業員の利害が完全に一致することはないため、企業は常に衝
         突と分裂の危険にさらされているともいえます。

         実際、チームの中にもリーダーに反発するメンバーがいます。

         こうしたメンバーと上手に接するテクニックはリーダーにとって不可欠で
         す。

         とはいえ、人を動かすことは非常に難しいものです。

         特に、反発しているメンバーと理解し合うことは容易ではありません。

       ②リーダーから歩み寄る姿勢

         意見の合わない人と話をするのは疲れるものです。

         そのため、リーダーは自分に反発するメンバーとの接触をできるだけ避
         けようとします。

         こうすれば、互いに疲労することは少なく、また、何かで衝突してチーム
         の雰囲気を乱すこともないと考えているからです。

         しかし、そのままの状態では、いつまでたってもリーダーと反発している 
         メンバーは打ち解けることができません。

         また、そうした状態が長く続けば続くほど、打ち解けるチャンスも少なく
         なっていくものです。

         そこで、リーダーは、自ら歩み寄ってコミュニケーションを取るようにしま
         しょう。

         例えば、折に触れて言葉をかけるなどします。

         反発しているメンバーとすぐに理解し合えるわけではありませんが、リー
         ダーが自ら歩み寄る姿勢を持ち続けるうちに、メンバーも少しずつ心を
         開いてくれるものです。

        ③問題メンバーへの対応

         リーダーが特に気を付けなければならないのが、チームに悪影響を及 
         ぼす問題メンバーです。

         具体的には、リーダーやチームへの反発心が自分一人の中ではおさま
         り切らず、ほかのメンバーを巻き込んでリーダーやチームに反発する雰
         囲気をつくってしまうようなメンバーです。

         こうした問題メンバーは驚くほど短期間でチームの秩序を乱し、機能を
         低下させます。

         問題メンバーの存在を知った場合、リーダーは早い段階で話し合いの
         場を設け、わだかまりを解消しなければなりません。

         話し合ってもわだかまりが解消されず、なおかつ、問題メンバーの態度
         が改まらないようであれば、リーダーはそのことを直属の上司や社長に
         相談しましょう。

         最悪の場合、その問題メンバーをチームから外すことを直属の上司や
         社長に提案します。

         これは、決して気分のよいものではありませんが、良好なチームを維持
         する上ではやむを得ないことです。

     (5)意見が出ないことの危険性を知る

        ①リーダーのチームへの影響力
         リーダーとしての活動が定着してくると、チームの価値基準はリーダー
         の価値基準にリンクしたものとなってきます。

         チームが統合してきた証拠ですが、一方でチームの多様性が失われる
         などの問題も生じます。

        ②意見が出ないことの危険性

         ミーティングをしてもメンバーからほとんど意見が出ないことがありま
         す。

         その理由はさまざまですが、例えば、メンバーがリーダーに心酔し、リー
         ダーの考えを客観的に評価できなくなっていることがあります。

         また、リーダーの力が強すぎると、メンバーが「最終的にはリーダーの考
         え通りになるので、自分の意見を出しても無駄だ」と考えていることもあ
         ります。

         こうした状態は好ましくありません。

         放置しておくとメンバーはリーダーの指示に従うだけの指示待ち社員に
         なってします。

         最終的にその組織は「リーダーだけが考え、判断する(リーダーの基準
         だけで運営される)」組織になってしまいます。

        ③活発な意見交換を実現するために

         最近、メンバーからあまり意見が出ていないと考えているリーダーは、ブ
         レーンストーミングをしてみましょう。

         ブレーンストーミングとは、あらかじめ決定したテーマに関してメンバー
         が思いついたことを次々に発言するというミーティングの形態で、他人
         の意見を批判することは禁止されています。

         基本的に何を発言してもよく、他人からの批判も受けないブレーンス
         トーミングでは、活発な意見のやり取りが期待できます。

         ブレーンストーミングを行ってもあまり意見が出ないようであれば、チー
         ムの状態はよくないといえます。

         メンバーから意見が出ない主な理由としては以下が考えられます。

         リーダーに心酔している

          メンバーが「リーダーの考え方が最も正しい」と考え、リーダーが発言
          するのを待っている状態です。
          このような場合の対策として、リーダーは順番にメンバーに意見を求
          めるなど、メンバーが発言する機会を作ります。

         リーダーを恐れている

          メンバーは自分の意見を持っていますが、「何か発言してリーダーに
          否定され、最終的にはリーダーの考え通りになる」などと考え、黙って
          いる状態です。

          このような場合の対策として、リーダーは日ごろのメンバーに対する態
          度を改め、メンバーの意見を最後まで聞くことを習慣づけなければなり
          ません。

          自分の意見をしっかりと聞いてもらえることが分かれば、メンバーも発
          言しやすくなるでしょう。

         もともと意見を持ってない

          メンバーはリーダーに命令されたからミーティングに参加しているだけ
          で、自分の意見を持っていない状態です。

          このような場合の対策として、リーダーはメンバーに「書記」や「副議
          長」などの役割を与えてミーティングへの参加意識を高めるなど、考え
          るきっかけを与える必要があります。

     (6)教育してメンバーの能力を伸ばす

        ①名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず

         優秀な人は「自分ができることは、他人もできて当然だ」と考えがちで
         す。

         よく「名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず」といいますが、その理由
         はここにあります。

         リーダーにもこうした傾向があります。

         本来、リーダーとメンバーでは、経験や能力が大きく異なります。

         リーダーなら1時間で終わる業務でも、メンバーがやると3時間以上か
         かることもあるでしょう。

         しかし、このことを十分に理解していないリーダーは、「なぜ、そんなに 
         時間がかかるのだ」とメンバーをしかったり、メンバーに対する不満を自
         分の内にしまってストレスをためたりします。

        ②求めるのではなく教育する

         リーダーには、メンバーを教育して能力を向上させ、チーム全体の力を
         高めることが求められています。

         メンバーの能力が向上すれば、リーダー自身も業務を進めやすくなりま
         す。

         多くのリーダーはこのことをよく知っているはずですが、実際には、メン
         バーを教育するための時間を十分に割いていなかったり、メンバーの意
         見を最後まで聞かなかったりすることがあります。

         頭ではメンバー教育の重要性を理解していても、内心では「この程度の
         ことは、そのうちできるようになるだろう」と考えているのです。

         こうしたリーダーは、メンバーの自主的な努力による能力向上を求めて
         いるにすぎません。

         リーダーが求めるだけではメンバーの能力が早期に向上することはあり
         ません。

         リーダーが本当にメンバーの能力向上を望むのであれば、自らの時間
         を割いてメンバーを教育することが不可欠です。

        ③メンバーを教育する際のポイント

         リーダーがメンバーを教育する際は、メンバーの性格に合った教育方法
         を選択することが大切です。

         しかることで伸びるメンバーもいれば、しかると深く落ち込むメンバーも
         います。

         リーダーは、日ごろのコミュニケーションを通じて、メンバーの性格を把
         握していくことが大切です。

         メンバーの性格を把握するためにディベートを行ってみるのも一策で
         す。

         ディベートとは、あらかじめ決定したテーマについて、肯定グループと否
         定グループに分かれて議論するものです。

         ディベートの特徴は、個人の意見ではなく、グループの主張で議論をす
         ることです。

         そのため、個人としては肯定でも、否定グループに加われば否定の立
         場で議論しなければなりません。

         こうしたディベートでは、参加者がつい興奮してしまうことが珍しくありま
         せん。

         そうした風景を観察することで、リーダーはメンバーの物の見方や考え
         方を知ることができます。

     (7)最終的な決定はリーダーが行う

        ①全体調和を狙うリーダーの考え

         多くのリーダーは、一人ひとりのメンバーの意見を尊重し、リーダーの独
         断ではなくチームの総意としての方向性を打ち出そうとします。

         リーダーがメンバーの意見を尊重することは、メンバーが意見を述べや 
         すい環境を構築する上でも重要です。

         また、何か新しいことに取り組む際は、リーダーも内心は怖いと思うもの
         であり、できるだけ多くのメンバーでブレーンストーミングなどをしたほう
         がよいでしょう。

         しかし、一つ一つの議題について、始めから終わりまでメンバーの意見
         を聞いて調整しようとしていては必要以上に時間がかかり、決まるもの
         も決まりません。

         一人ひとりのメンバーの意見を尊重する決定方法には限界があり、か 
         えって議論を複雑化してしまうことが多いのです。

        ②決めるのはリーダー

         チームの最終決定権者はリーダーです。メンバー同士の意見が真っ向
         から対立していても、どちらを選ぶか、あるいはどちらも選ばないかは
         リーダー次第です。

         最終決定の段階で多数決を取るリーダーなどいないでしょう。つまり、途
         中の過程はどうであれ、最終的な決定権はリーダーが握っているので
         す。

         リーダーは、ある程度、メンバーの意見を集約した後は、自分でミーティ
         ングを仕切り、最終的な決定を下せばよいのです。

        ③決定のプロセスをメンバーに伝えてみる

         とはいえ、リーダーが多くのことを決定するようになると、それに不満を
         感じるメンバーが出てきます。

         ビジネスでは、その時に最も高い権限を持つ者が物事の決定権を有し
         ているものです。

         しかし、この基本的な仕組みすら知らないメンバーは、「あのリーダーは
         何もかも自分で決めてしまう。

         自分が意見を述べる必要はない」と不満を持ちます。

         これはリーダーにとって頭の痛い状況です。

         物事は決定しなければならず、不満を持つメンバーもフォローしなけれ
         ばならないからです。

         この問題を解決するために、リーダーは、物事を決定した際に、結果だ
         けではなく「なぜ、そう決定したのか」という決定の理由と、その結果に
         至るまでのプロセスをメンバーに伝えるようにしましょう。

         こうすることで、メンバーは「リーダーは自分たちの意見をしっかりと検討
         した上で決定している」ことを知り、大きな不満を持つこともなくなりま
         す。

         また、リーダーが決定の理由とそのプロセスを示すことで、リーダーの
         物の見方や考え方をメンバーがしっかりと知ることもできます。

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リーダー(管理職)の条件


  インターネットやSNSの発達により、誰でも多くの情報を得ることができるだけでなく、
  世界に向かって情報を発信することも可能になりました。

  また、そのような大量の情報の中で多種多様な価値観、働き方が見られるようになっ
  ています。

  このような時代において、組織のトップはもちろんですが、そのトップを支える
  リーダーである管理職(ミドルマネジメント:部長・課長)の存在が非常に重要に
  なってきています。

  これからの時代の管理職はどのような人物を選ぶべきか考えてみたいと思います。
   
  ■管理職(ミドルマネジメント)の重要性

   ミドルマネジメントは会社運営における指揮命令系統の中核的存在です。

   トップがいかに明確な指示を与えても、また、現場からいかに優れた提言が出てきて
   も、ミドルマネジメントが機能しなければ、情報の適切なブレイクダウン、ボトムアップ
   は実現しません。

   トップと現場の両方の視点をもちながら、一体感のある会社運営を推進していくのは、
   ほかならぬミドルマネジメント層なのです。

   また、ミドルマネジメントは、下位にあるロワーマネジメント(係長、主任)を機能
   させる責任も負っています。

   ロワーマネジメントの機能を発揮させることがミドルマネジメントの責任であると同様
   に、ミドルマネジメントの機能を発揮させるのはトップマネジメント(社長)の責任
   です。

   自社のミドルマネジメントが弱いと感じる場合には、ミドルマネジメント強化のために、
   これまで社長自身がどのような取り組みを行ってきたかを改めて確認する必要がある
   でしょう。

<マネジメントの3階層>   

  トップマネジメント ミドルマネジメント ロワーマネジメント
役職 社長 部長、課長 係長、主任
役割

戦略の策定・選択
・明示

 

戦術の策定・遂行、
戦略の提言

実践計画の策定・遂行、
戦術の提言


  □ミドルマネジメントの強化

   ミドルマネジメントを強化することによって、会社運営はどう変わるのか。

   1.社長の意思決定補佐

     具体的には次のような点について改善が期待できる。

      ・重要な意思決定を行う際に必要な情報をミドルマネジメント層から逐一入手
       できる

      ・全社の戦略について社長が思いつかない斬新な提案が期待できる

      ・現場で起こっている問題のなかで、社長が関与すべき重要な問題に関する
       情報をスピーディーに入手できる

   2.組織運営の改善

      ・社長方針の適切なブレイクダウンによって、全社一丸となった効果的な施
       策展開が可能となる。

      ・社長の考え方をミドルマネジメント層が共有することで、会社全体へのより
       正確・迅速な方針浸透が可能となる。

      ・ミドルマネジメント層の情報共有や意思統一によって、より強固でスムーズ  
       な部門間連携が実現する。

      ・ミドルマネジメント層がこれまでよりも一段高い視座をもつことで、会社経営
       への当事者意識が高まる。
       会社変革の提言者・実践者としての役割遂行が期待できる。

      ・ミドルマネジメント層がさまざまなマネジメント手法を学ぶことで、担当してい
       る部門の運営が高度化する。

   3.人材育成のスピードアップ

      ・ロワーマネジメント層全体の効果的・効率的な育成が可能となる。

      ・ロワーマネジメント層のなかから、次代のミドルマネージャーを次々と輩出
       できる。

      ・マネジメントの学習と実践によって、ミドルマネージャー自身のさらなる成長
       が期待できる。
       動機づけを高めることで退職防止効果も期待できる。

     しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

     それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

     その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

     この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

     
  □ミドルマネジメント強化には

   ミドルマネジメント強化は、会社経営において極めて重要な課題です。

   また、社長にしか解決できない課題でもあります。

   次のような点について社長自らが率先して取り組むことが必要です。

    1.あるべきミドルマネージャー像を明確にする

      まずは、自社に必要なミドルマネージャー像を明確にします。

      「自社にとって」のミドルマネージャーのイメージを固める必要があります。

      具体的には次の3つの視点で考えるとわかりやすいでしょう。 

      (1)義務

        ミドルマネージャーが果たすべき義務を明確にします。
        たとえば、任せられた部門の業績目標達成はミドルマネージャーが果た
        すべき義務(職務)になります。

        また、部下の育成計画遂行も同様です。
        ミドルマネージャーの職に就いている以上、これだけはやってほしいとい
        う社長の考えを示します。

      (2)責任

        与えられた義務を果たせなかった場合に、その結果に対して責任を負う
        ことについても明確にします。
        たとえば、ミドルマネージャーが適切な指示を出していたとしても、結果と
        して部門目標が未達に終わった場合はミドルマネージャー自身が責任を
        負うことになります。

      (3)権限

        与えられた義務について責任をもって全うしてもらうためには、ミドルマ
        ネージャーに相応の権限も与えなければなりません。
        部下を自由に使う権限はその代表であり、一定の予算を与える必要もあ
        ります。

        このようにミドルマネージャーに対して、トップは何を期待し、どのような責
        任を求め、その全うのためにどのような権限を与えるのかを明示すること
        が必要です。
        なお、「義務」、「責任」、「権限」の3つの要素はつねにバランスが取れて
        いなければなりません。

    2.PDCA管理能力を高める

      PDCA(「計画:Plan」、「実施:Do」、「評価:Check」、「改善:Action」)
      とは、計画を立案して必要な施策を実施したうえで、定期的に進捗状況を
      評価し、問題点を改善していくという経営に不可欠な管理サイクルです。

      ミドルマネージャーは自分の担当する部門について、主体的にこのサイクル
      を回していなければなりません。

      また、このサイクルを回す能力(精度と対象範囲)を向上させることが、ミドル
      マネージャーとしての成長に直結します。

      通常、社長の経営管理上の関心は部門ごとの最終的な業績数字のみに向
      かいがちです。

      しかし、ミドルマネジメント強化の点からは、彼らがきちんとPDCAサイクルを
      回せているかどうかも確認し、指導する必要があります。

      ミドルマネージャーには業績数字だけではなく、PDCAのそれぞれのステップ
      について、何をどのように行っているのかを報告させるようにしましょう。

      また、ミドルマネージャーには自部門だけではなく、会社全体のPDCAサイク
      ルにも参加することが求められます。

      社長が直接にかかわるべき経営戦略上の重要事項を除いて、日常的な会   
      社運営のPDCAについては、できるだけミドルマネジメント層に任せていくよ
      うにします。

    3.ミドルマネージャー同士の連携を強化する

      ミドルマネージャー同士の連携を強化し、ミドルマネージャーの集団としてさ
      まざまな問題解決にあたらせることも大切です。

      自部門でなかなか対応できなかった問題について、他部門の力を借りたり、
      他部門と協力することで容易に解決の道が開けることもあります。

      また、全社的な問題についても、ミドルマネージャー同士が連携することで、
      より効果的な解決手法を見いだすこともできるでしょう。

      しかしながら、ミドルマネージャーは自部門の運営に精一杯で、他部門との
      連携にまでなかなか気が回らないものです。

      定期的な部門長会議の開催や、会社全体の問題を考える合宿を行うなど、 
      ミドルマネージャーの有機的な連携を促進する機会を増やすことが大切です。

    4.指揮命令系統を整備し遵守させる(マネジメントの3階層)

      会社の指示・命令は「トップマネジメント」⇒「ミドルマネジメント」⇒「ロワー
      マネジメント」⇒「全社員」の順に行われることが原則です。

      このような指揮命令系統のフレームについては、トップ自らが整備し、全社員
      に遵守させなければなりません。

      しかしながら、中小企業の場合は社員数も限られており、距離感も近いこと
      からトップからロワーマネジメント層や一般社員に直接指示が出されることが
      あります。

      逆にロワーマネジメント層や一般社員からトップに直接、相談が行くこともあ
      るでしょう。

      このような「中抜き」の指示・命令は、緊急事態やミドルマネージャー自身に
      問題がある場合など、例外的に必要なこともあります。

      しかし、それが常態化してしまうとミドルマネジメントに大きな支障が生じます。

      ミドルマネージャーにとっては自分の関与していないところでのやりとりにつ
      いては、マネジメントのしようがありません。

      また、一般社員は自分が承認を得たい事項について、組織的な手続きを経
      ずに社長に直接お願いしたほうが早いと考えてしまう可能性があります。

      これではミドルマネジメントの存在自体が否定されているようなものです。

      トップが指示を出す場合は、ミドルマネージャーを通すことが原則です。

      また、一般社員からトップに直接の承認依頼などがあった場合にも、なぜ本
      来のルール通りに行わないのかを確認することが必要です。

    5.十分な動機づけを行う

      ミドルマネジメントは、本来であれば楽しくて仕方のない仕事のはずです。

      多くの部下と予算を与えられ、それらを自分の裁量で動かして大きな仕事が
      できるのは社会人としての醍醐味です。

      しかしながら、実際には多くのミドルマネージャーが、トップとロワーの間で
      「上からは締め付けられ、下からは突き上げられる」と悩んでいます。

      せっかくこれまでの頑張りが認められて、ミドルマネージャーとしてのポジショ
      ンを得ているのに、その役割を果たせる喜びよりもストレスを強く感じてしまう
      のです。

      トップはミドルマネージャーに、彼らの仕事のやりがいについて繰り返し伝
      え、動機づけを行う必要があります。

      ミドルマネジメントの「やりがい」としては、次のようなことが考えられます。

       ・経営全体へ影響力を発揮できる

       ・自部門をあるべき方向に導き、成長させる

       ・部門全体で目標を達成する

       ・部門全体で顧客や地域に貢献できる

       ・部下を成長させる

       ・自分自身が管理者として成長できる

      ミドルマネージャーがいきいきと働くことは、彼ら自身のためだけではなく、そ
      の下のロワーマネージャー、一般社員にとっても「自分も早くポジションアップ
      したい」という動機づけにつながります。

      逆にミドルマネージャーが苦しんでいる姿しか見えなければ、「昇進しても大
      変なだけ」という沈滞ムードが支配してしまいます。

      これでは社員は育ちません。

      社長は、ミドルマネージャーに対して高い要求水準をもち続ける一方で、社
      長自身が彼らを育て、また、彼らが輝けるような環境を整備しなければなら
      ないのです。

  □「コントロール型」から「自律共感型」の時代

   年功序列型の賃金制度が崩壊して久しいといわれますが、日本のマネジメントは上司
   が部下を過去の経験に基づいて「コントロール」するマネジメントが続いてきたといえ
   ます。

   コントロール型マネジメントは、大量生産、大量消費を前提とし、ノウハウを蓄積しなが
   ら会社が持続的成長を遂げる時代には適したものだったのです。

   この時代では「過去の成功モデル」が非常に重要だったからです。

   そのやり方をしっかりと身につけて応用していけば、これまでと同じような成功を得る
   可能性が高くなります。

   よって、新しく入った社員には、「うちの会社はこのようなやり方でやってきた」「この
   業界で成功するためには、このような売り方をしなければならない」「まずは、先輩の
   仕事を見て、まねしてやってみるのがいい。仕事の意味はそのうち分かる」といった
   教育をされることが多かったのです。

   「コントロール型マネジメント」では、一人ひとりの社員には情報も権限もあまり与え
   ずに、できるだけルールをつくって社員をコントロール(規制)していきます。

   組織として過去の成功モデルからはずれないように、慎重に意思決定をすることが
   求められるのです。

   しかし、先ほど述べたように、徐々に社会の多様化や国際化が進み、IT技術を活用
   した情報化とソーシャルメディアが発達することにより、そのようなマネジメントでは
   サービスや商品が進化するスピードについていけなくなるばかりか、消費者からの
   多種多様な要求にこたえることができなくなってきたのです。

   「多様化」「情報化」「スピード化」が進んだ現在では、現場スタッフ一人ひとりが
   自社の方向性ややるべきことを理解したうえで、より早く、それぞれの現場で判断
   することが求められるようになってきています。

   いちいち上司に確認していたのでは、判断が遅れ、チャンスを失うばかりかクレームに
   なってしまうのです。

   このような職場で管理職に求められるのは、「コントロール型マネジメント」ではなく、
   組織の理念や志を理解、共感し、同じ方向に向かって使命感をもって皆が自律的に
   行動できるようになる「自律・共感型マネジメント」の実践なのです。

   では、この「自律・共感型マネジメント」ができるこれからの管理職像とはどのような
   ものなのでしょうか。

  □非金銭的報酬

   まず、法的に「管理職」というものを確認しておきましょう。

   昨今の名ばかり管坤職の判例にもあるとおり労働基準法でいう「管理監督者」とは
   労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい
   ます。

   例えば部下の採用や解雇の権限をもち、自身の出勤時間や退勤時間は当然自分で
   決めることができなければなりません。

   管理職になって、得られるものは? という問いに対して、「給料が高くなる」と
   いうことが真っ先に思い浮かぶような人は、管理職としての適性に疑問を持たざ
   るをえません。

   当然ながら、管理職になれば、給与や手当は増えるでしょう。

   過去の判例でも、そのような待遇を求めていることは事実です。

   しかし、これからの時代に求められる「自律・共感型」の組織のリーダーは、金銭的
   報酬以上に、以下のような「非金銭的報酬」を感じることができなければ、役割を全う
   することば難しいでしょう。

    ・会社から、それまでの働き方、努力が認められ、これからも期待されていると
     いう承認の報酬

    ・より大きな権限、責任をもって仕事をやっていくことができる、やりがいという報
     酬

    ・職位が上がることによって、これまでに見ることができなかった世界を見ること 
     ができるようになるという相酬(例えば、これまで参加できなかった会議や会合
     にでることができたり、取引先のトップと直接話ができる機会が増えることもあ
     るでしょう)

    ・会社のトップや経営陣と、直接話や仕事をする機会が増え、自身のさらなる成
     長のチャンスを得るという報酬

   管理職になった人自身が、単に給与や待遇がよくなることを求めるのであれば、おそ
   らくすぐに「こんなにたいへんになって、これだけしか給料があがらないのであれば、
   割に合わない」と思って、モチベーションがさがってしまうでしょう。

   ついには、「残業代がでない」「責任が重過ぎる」「会社が十分な部下をつけて
   くれない」などの愚痴ばかりがでてきてしまうのです。

   非金銭的報酬を感じることのできない人は、会社の理念に共感し、その方向性にそっ
   て自律的に働くことなどできません。

   仮にスキルだけはあったとしても、いずれそのスキルを、会社が目指す方向とは逆の
   方向に使うことにすらなりかねないのです。

   「自律・共感型マネジメント」を実践していかなければいけないこれからの時代、今の
   会社・職場の中で非金銭的報酬を感じることができる、ということが管理職となるため
   の前提条件ということができるでしょう。

  □管理職への昇格とは「経営に参画させる」こと

   会社の経常的視点からみると、昇格させることは、社内の格付(等級)が上がり、責任
   と権限をより大きくすることを意味します(それに伴い、もちろん賃金も高くなり
   ます)。

   責任と権限が大きくなっていくとはつまり、「経常に参画させる」ことです。

   そのための評価は、賞与の支給時や毎年の昇給の評価とは違った視点をもって行わ
   なければなりません。

   一般的に、成果を出した者には賞与をたくさん支給し、仕事で能力をつけた者や発揮
   した者には昇給させたり手当を支給したりします。

   昇格には、一定の成果や能力を求めるのはもちろんですが、それ以上に会社の理念
   や方向性、やり方といったことを理解しているかどうかが重要になってくるのです。

   「昇進・昇格実態調査(2009年)」(リクルートマネジメントソリューションズ)
   において「昇進・昇格選考において期待し、求める要件」(部長クラス)は何かとい
   う問いに、多くの企業が挙げたのは、

    ・戦略的・革新的思考力

    ・目的達成に向けての実行力

    ・大局的な視野

    ・適切なリスクに挑戦する判断力

   これらの要件によって最終的に企業が求めているのは「組織が持続的に成長する
   ための新たな付加価値を創造し続ける」こと、つまり新たなビジネスを生み、成長を
   続けるということです。

   会社経営は、社長や役員だけが新たな事業を考えるだけでは成長できない時代に
   なってきています。

   すべての社員が自律的に新たなやり方を考え、管理職を中心に現場から新たな事業
   を生み出していくことが強く求められています。

   つまり今の管理職は、10年前であれば役員のみがやっていたような役割以上に創造
   的な役割を担わなければならない時代になっているのです。

  □管理職に求められる要件

   管理職が中心となって組織に付加価値を生み出すためには、具体的には管理職に
   どのようなことが求められるのか?

   1.より経営的な高い視点で、組織全体を見渡せる能力

     昇格することは「より経営に参画していくことだ」。

     役職が上がるにつれ、重要な情報が伝えられ、より高い視点からの責任を 
     もった判断が必要になってきます。

     自分や、自分のチームといった狭い空間ではなく、会社全体、業界全体、日本
     全体への影轡を考えた判断が必要となり、また、今日、明日、1週間後といっ
     た短いスパンではなく、1年後、5年後、10年後といった長いスパンでの判断
     が必要となってくるのです。

     それには、当然責任も伴います。

     ステージが上がった人にとって、最初のうちは相当プレッシャーを感じることで
     しょう。

     しかし、このプレッシャーに打ち勝っていかなければ、経営者のパートナーとも
     いうべき管理職として力を発揮していくことはできません。

     逆にまったくプレッシャーを感じないという人は、自分の視点が上がっていない
     という可能性が高いといえる。

     また、自分がより高い視点になるために、余裕をもてる時間をつくりだすという
     ことも重要です。

     常に一般社員と同じく、現場の仕事に追われているようでは、高い視点で物事
     を考えることなどできないからです。

   2.仕事のプロになり、常に仕事と結びつけた思考が必要

     プロとアマの違いは、そのまま管理職と一般職との違いということになるので
     すが、仕事のプロは1日のうち8時間(会社にいる時間)だけ仕事のことを考え
     るのではなく、常に仕事のことを考えている状態の人のことをいいます。

     いい意味で仕事とプライベートが融合した生活を求められるのです。

     これは決して、24時間仕事をしているといっているのではありません。

     家にいるとき、電車に乗っているとき、遊んでいるときであっても、常に仕事に
     関連したアンテナが立っており、日常の生活の中でも自分の仕事に有益な情
     報があれば、すぐさまそれをキャッチすることができるのが、本当の仕事のプ
     ロであり、経営的感覚なのです。

     これは、一朝一夕で、意識してできるものではありません。

     本当に、その仕事に没頭し、その仕事に誇りをもって接することができるように
     なって、はじめてそのような状態になるといえるのです。

   3.経営者と同じ志をもち、その志に共感できるようにならなければいけない

     これが最も重要な点です。

     組織には多様な個性や考え方が必要ですが、その組織として何を目指してい
     るのか、という点が共有されていなければ、決して強い組織にはなれません。

     真に「経営者と一体になる」ということは、「志」の部分で一体となることです。

     そうなっていなければ、継続的にその組織を経営者と一緒になって動かしてい
     くことはできないのです。

     管理職になる社員は、経常者の志をしっかりと理解し、その志に沿った行動が
     でき、そして、その志を「自分の言葉」で後輩や部下に伝えていかなければな
     らないのです。

     そのような管理職がいることで組織全体が一体となり、各現場でトップと同じ判
     断ができるようになり、スピード感をもって、各現場で高い付加価値の商品や
     サービスを生み出していくことができるようになるのです。

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プレイングマネージャー(リーダー)によるマネジメント体制の強化

プレイングマネージャー
 

  ■自己のマネジメント体系を確立

   プレイングマネジャーには、「企画力」「交渉力」「管理力」「教育力」「学習力」
   「決断力」といった6つの能力が求められます。

   この6つの能力をビジネスシーン別に使い分けることができるのは、非常に優秀な
   営業プレイングマネジャーに限られます。

   マネジャーは、概ねプレイングマネージャーです。

   自ら実務を担当しながら、マネジメントもやらねばならない。

   マネジメントのコツを知ることによって多忙な中で的確な管理が可能となる。

   現状では次のような問題点を抱えている。

    ○目標が達成しているために営業パーソンの気がゆるみ、厳しさを求める営業
     体質がむしばまれている。

    ○全体的に営業マネジメントがおろそかになり、ミスやクレーム、モレの要因が見
     えない所で増殖している。

    ○営業マネジャーが目先に追われ、自部門のマネジメントが出来ていない。
     そのため将来に向けての種まきや、マーケティング戦略構築が不足している。

    ○入社1〜2年のセールスパーソンに対する営業活動の厳しさについての指導
     が不足し、ベテランセールスパーソンに対しては、次のレベルアップ教育が不
     足している。

   こうしたことを改善するためには、営業幹部が今一度、謙虚に自己の役割を認識、
   どちらかといえば苦手なマネジメントを克服していくことが肝要であり、自己のマネジ
   メント体系を確立する必要があります。

   特に、自部門の営業活動に不可欠なマネジメントを書き出し、それを体系化すること
   である。

   例えば顧客管理行動管理、計数管理等は充実させなければ、営業活動そのものや
   生産性追求そのものが不可能となります。

   そのためには、以下の着眼で取り組むことです。

   (1)例外処理
     限られた時間の中で、アレもコレもは出来ない。
     そのためには例外処理の技術を高めること。
     標準や目標・計画に対して「良い、悪い」の例外を摘出し、特に「悪い=問題
     点」について処理をしていく。
     また、クレームやトラブルなどについては「すぐに現地現場へ飛ぶ」などの基本
     や定石を日頃から訓練しておくことが大切です。

   (2)重点集中処理

     マネジメントは、ただ漫然とやっていては時間のムダやロスが発生する。
     大切なことは「今何が大切か」の価値判断基準をもちながら、時間そのものを
     切って使うことである。
     あるセールスマネージャーは、自分のマネジメント業務を毎月、毎週、毎日、
     午前、午後と体系化と時間的割りつけを行い、集中的に処置している。

     例えば、毎朝出社(始業前約1時間)した時の手順は、
      本日の部下の行動予定の再確認 → 前夜チェックしたセールス日報の再確
      認 → 上司への報告事項や他部門への連絡事項の再確認  など、前日退出
      時の確認業務で次週や次月の計画づくりなどを処置している。
      そのために成り行きマネジメントではなく、十分に練られたマネジメントとなっ
      ており成果を高めている。

   (3)スピード処理

     マネジメントの内容は定型業務だけではなく、判断業務がある。
     その1つに上司・部下や他部門からの決裁要請や意思決定項目がある。
     そのためには、価値判断力に加えてスピード処理力が求められる。
     ある会社ではこのような判断業務の処理基準として48時間以内処理を徹底
     し、その間に返事がない時は「決裁了承」というルールをつくり、スピード処理
     が行われている。
     その他にも「今日の仕事は今日中に処置し明日に残さない」といった当然のこ
     とも、スピード処理という点で確認しておきたい。

   (4)情報の先行管理

     業績先行管理だけでなく、マネジメントそのものを先行管理で処置していく。
     例えば与信限度管理や回収管理などに加えて販促企画や社内行事、会議や
     研修会など常々先行処置することにより、成果を大ならしめる内容も多い。
     その意味で情報の先行管理は今後ますます大切になると考えられます。

   (5)バランス感覚

     例外処置や重点処理だけにこだわると、その範疇に入らないものを見失う。
     ある会社では「重点得意先管理」あるいは「重点訪問」として型決めしていた 
     が、重点以外の得意先情報が遅れ、ライバルに負けた例もある。
     また、技術が得意(製造出身)なセールスマネジャーは得意分野中心のマネジ 
     メントになりやすく、不得意分野にスキ間が出来る。
     その意味で、マネジャーは全社的視野とマネジメント項目についてのバランス
     感覚が大切です。
     以上の各項をマネジメント(PDCAサイクル)で善循環で回転させることが、
     セールスマネジャー自身の能力向上につながるのです。

  □業務の優先順位を明確にする

   どの会社でも十分な人員を抱えているわけではない。

   一人二役主義でなければ成り立たないのが現実です。

   そのために、これら会社の第一線のマネジャーは月次業績を必達することは当然の
   役割として、加えて未来経営のための戦略プロジェクトに参加したり、新設事業部門に
   出向したり、あるいは海外での仕入れルート開発、販路開発にも出張したりで、1人で
   数役を背負いながら頑張っている。

   しかしその半面、彼らの悲鳴も聞こえてくる。

   例えば業務が複雑化、多元化して、何から着手すればよいのか、どのようにプロジェ
   クトを軌道に乗せるのか、日常のルーチンワークはどのように処理をすればよいのか
   などに困っているためである。

   しかし管理者は抱える問題を解決し、業務を遂行しなければならない。

   そのために、日頃から業務に対する処理基準を明確にしておくことが肝要となります。

   1.業務の優先度と重要度の明確化

     業務には判断業務と定型業務があるが、その両者を問わず、優先度と重要度 
     が混在している。

     例えば極めて重要な経営課題であるが、今日明日中に解決せねばならない 
     内容ではないとか、反対に全社的な重要問題ではないが、即時解決を図らね
     ばならない問題とかである。

     管理者はそのために、頭の中で、あるいはマトリクスで業務を常に整理してお
     くことです。

     例えばある会社で、従来のサービス業務を別会社として独立させたとします。

     そのために経営幹部がやらねばならない(整理しなければならない)業務は数
     多く発生するはずである。

     その課題を幹部全員で取り組み、その業務体系図を作成する。

     そして、それらの重要度と緊急度を分析し、時系列的に優先順位(着手順位) 
     を明確にし、第一線マネジャーに通達する(例えば新会社の経営理念は1年 
     以内にボトムアップで創るとか、業務管理システムは1カ月以内に完備すると
     かである)。

   2.価値判断基準の明確化
     この場合に重要なポイントが、重要度と緊急度を決定する判断根拠または判
     断ものさし(基準)である。 

     その基準となるポイントは、次のものがある。
      (1)会社の基本理念と基本方針
      (2)トップの意図する内容(目的)と期待水準
      (3)実践する場合の担当者や部下の能力
      (4)手段方法の難易度や必要経費
      (5)他部門の協力度合い
      (6)以上を総合して全社レベルで判断する
        (場合によっては自部門の利害を超えねばならない場合があることを銘 
         記)。

     さらに以上の流れで各業務を位置づけした場合も、思い違い、思い込み、錯
     覚、勘違いなども存在するから、上司には報・連・相で再点検するとか、
     メンバーで検討するとかで、軌道を修正することが大切です。

   3.行動の迅速化・即行動化
     いずれにしても急ぐ内容については、即着手し一気に取り組むこと。

     タイムスケジュール表などを作成し、進行チェックすれば見落としも少なくなり、
     より効率的に推進できるようになります。     


  □失敗に学ぶ
   受注競争激化に伴い、今まで以上に営業力の高度化が求められています。

   しかしながら、現実には従来からのやり方の延長線上にある会社が多い。

   その理由としては、
   ○営業部門全体が目先の目標に追われ、勘や精神論の営業となっており、第一
    線部隊としての戦略志向が不足している。

   ○組織力の営業体制になっておらず、個人の営業力に依存していることで販売技
    術の向上が不十分である。

   ○営業マネジャーのマネジメント力が弱く、日常業務を通じてのノウハウの蓄積が
    弱いなどが指摘できる。

   しかし、これからの営業に求められることは的確な現状認識と分析力によるノウハウ
   の蓄積と活用にあります。

   特に今必要なことは、営業活動上の勝敗の分析を行い、その中から今後に活かす
   着眼を創りあげることです。

   (1)敗因を分析する
      営業活動は1回ごとの商談において勝ったか、敗けたかであり、これはルー 
      ト営業や飛び込み営業においても本質は変わらない。
      しかし営業パーソンの常として、敗け戦(いくさ)はどうしても隠してしまう。
      その結果、なぜ敗れたかが不明となり、同じあやまちを犯すことが多い。
      そのためには敗因の分析を継続的に行うことが大切であり、それを活かすこ
      とである。

      たとえば、ルートセールスであれば、
       ①なぜ、目標が未達であったのか
       ②なぜ、インストアシェアが伸びないか
       ③なぜ、新製品が売れないのか
       ④なぜ、ライバルにやられたのか

      などの分析が必要となる。

      また、受注型セールスであれば、
       ①なぜ、この物件が取れなかったのか
       ②なぜ、ライバルが勝ったのか
       ③自分自身の営業活動に悔いはないか、あるとすれば、それは何か

      などを分析する。

   (2)敗因から学び実戦する

      長い道のりで勝つには失敗や敗因に学ぶ姿勢が大切です。
      ある観光サービス業の会社では、営業会議で固定客のうち「昨年取り引きが
      あって今年取り引きのない企業」については分析していたが、なぜ取り引き
      がなかったのか、中断しているのか、についての突っ込んだ討議が欠けてい
      た。

      そして毎月同じような大口顧客の昨年対比変動があり、その反省も不足して
      いたため、その理由や要因分析を「敗戦分析表」で実施しようとしている。

   (3)勝因分析も併せて行う

      大切となるのは受注の決定要因である。
      売り込みには、すべてライバルが存在します。
      そして、そのライバルを食って成功した要因も必ずある。
      それは何かを明らかにすることにより次の作戦が練れるのです。
      自社が勝った要因は、品質・技術・価格・納期・サービス・システム・人間関係
      などのうち、どれなのか。
      それを、さらに伸ばすにはどうするのか、を全員が認識することである。
      「受注決定要因分析表」で主要物件を分析し、さらに営業パーソンだけの自
      己申告に加えてマネジャーが成約のお礼をかねて訪問、決定要因認識の誤 
      り、営業パーソン自身の思い違いがないか、などを確認し、さらにその精度を
      高めていきます。

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リーダーシップとリーダーの条件と役割


  組織とは一人ではできない仕事を多くの人達が協力してやろうという考えの下に生まれた
  ものです。

  さらに組織は一人ひとりの力を協働させ、一人プラス一人を二人として考えるのではなく、
  これを3にも4にもするシナジー効果を発揮するのが、組織のあるべき姿なのです。

  そして、シナジー効果を正しく理解して組織力を発揮させるのがリーダーの力です。

  ■経営者にとってのリーダーとは

   経営者にとって、リーダーの条件・役割とは、自分の経営理念を理解し、その実現の
   ために高い能力をもって支援してくれる存在です。

   企業の規模や方針などによっては、経営者がすべてを掌握し、とくにリーダー(管理者)
   を置かない場合もありますが、企業の規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片
   腕となって組織運営を行い、企業の発展を共に目指してくれるリーダーの存在は大変心
   強く、大きな強みです。

   リーダーといっても、いくつかの段階に分かれますが、最終的には経営者の理念や考え、
   問題意識を共有し、その意向に沿った方向に組織を導くことができ、また経営者不在時
   には、経営者の代わりとして業務を遂行できるような人材であるべきです。

   リーダーとはその言葉だけからは、「成果を生み出すために部下たちを管理する」、
   つまりマネージャーとしての役割が強調されがちですが、当然ながら彼らはリーダーシ
   ップを発揮し、部下たちを強力に牽引するリーダーでもあります。

   このことを改めてリーダーたちに認識させる必要があります。

   リーダーは本来、経営者の分身として、与えられた組織の力を最大限に引き出し、業
   績をあげるためにリーダーシップを発揮させるべき存在です。

   部下たちを育てることが上手なリーダーは、まず
   部下が自分の力で成長するための仕組みを整
   えます。

   ここでいう仕組みとは、部下が自分の正しい
   努力の方向性を見極め、実際にそれを日々
   実践していくためのすべての仕組みを指しま
   す。

   部下のめざすべき姿を明らかにし、部下の成
   長の進捗を確認するための定期的な面談
   を設けるなども有効な仕組みといえます。    


  
  ■管理(営業マンの行動管理 労務管理 営業管理

   自社(店)は事業を通じて社会に対してどのような
   価値を提供してゆくのか、といった経営者の事業に
   対する思いを従業員が理解していなければ、お客様
   にも伝わりません。

   したがって、経営者は従業員に対して常に経営理念を語り続け、その理念に基づいて自ら
   が行動することが重要です。

    ・経営理念を従業員に語り続け、自らも行動し、従業員に分かってもらう
     → 経営理念の発信・共有

    ・経営理念を理解した従業員がお客様にそれを伝える
      → 経営理念の伝達

    ・お客様はサービスを通してその経営理念に共感する
      → お客様満足(CS)

   一方で、制度や仕組みの中で経営理念を共有していくことも有効な手段です。

   例えば、理念に整合する行動指針にしたがって業務を遂行したか、という項目を評価の
   一つにする方法です。

   中小企業の評価制度にも見られるやり方です。

   また、単純に評価項目にするだけでは十分ではありません。

   理念を浸透させるには、評価結果の処遇(賃金や昇格)への反映、面接によるフィー
   ドバックなどをきちんと行うなど、制度を適確に運用することが大事です。

   「誰」ではなく、効果を上げるための『手段』と、手段による『効果』を管理の対象と
   する考え方を目標管理の基本とします。

   「誰」を管理の対象にしてしまうと、個人の属人的な手段に管理がとどまり、組織全体の
   手段 ⇒ ノウハウとして共有できない恐れもあるからです。

   その『手段』で業務を遂行すれば誰でも『効果』を上げられる仕組みをつくり上げること
   は、特定の個人が属人的に短期的な売上を上げることよりも、組織にはるかに大きく貢
   献していると言えます。

   また、上司によるトップダウン型の管理ではなく、日々の定常的業務の中で『手段』の
   遂行を担う本人が自発的に修正・改善・遂行を繰り返す自己管理型の環境をつくること
   が大切です。

   したがって、上司であるリーダーとしての最大の役割は、
    (1)このような環境を創る

    (2)チェックやアドバイスで部下が採用している『手段』を改善する

    (3)その『手段』を組織としてのノウハウとして蓄積・共有・浸透してゆく

   以上のように、計画の進捗に関する事実(行動を実践した事実、効果が得られた事実)を
   チェックするという体制が必要です。

   ヒトを管理しようとすると、アラ探しや責任追及に目が向いてしまい、事業の推進力が削
   がれてしまうことが多いので、それぞれの役割を担うメンバーが自己管理のもとで業務を
   推進することです。

   営業会社の競争力は、営業担当者のレベルに依存するところが非常に大きいと言えます。

   営業担当者のノウハウを個人的なものとしてとどめておく限り、競争力は向上しません。


  ■組織全体のレベルアップを図る営業管理の仕組み

    (1)PLAN

     営業担当者の行動予定表(営業日報)を作成し、組織として共有します。

     長期計画ほど具体的な訪問予定は入れられませんが、重要なお客様○○社への拡
     販といった戦略的な項目や更改予定等予め長期的なスパンで分かるものが中心
     となります。

     短期であるほど具体的になります。(重点訪問先を入れる等)

    (2)DO

     営業日報が日常の情報収集のツールとなります。

     報告は口頭ベースで記録を残さない会社
     が大半ですが、組織的に営業力を高め
     ようとすれば、情報共有化には営業日報
     が重要となります。

     ここで得る情報は営業進捗情報等の「セ
     ールス情報」と営業戦略のベースともなる
     「マーケティング情報」の2通りがあります。

    (3)CHECK

     「マーケティング情報」は、お客様管理表
     (見込み客・顧客データベース)に蓄積し、
     メンバー全員が共有して営業戦略を検討
     するベースとします。

    (4)ACTION

     上の情報をベースに次の新たな打ち手を講じたり、現在のやり方の軌道修正を行
     い、次期計画に反映します。

   競争の時代に勝ち残り、お客様から選ばれるためには、お客様のニーズに的確にかつ
   迅速に対応し、専門性・個別性の高い企画提案が実施できる、安定した組織体制づく
   りが必要となります。

   また、業務が効率・効果的に推進する意味でも、営業・内務の業務が適切に分担され、
   個々の時間を最大限に活用できるような体制の確保が望まれます。

   なお、個々の時間を最大限に活用できるような組織体制も大切ですが、個々の時間をう
   まく捻出するための「時間管理」も重要です。

 
  ■リーダーの時間管理 

   時間を捻出するということは、なにかをやらずにすませて、より価値の高い仕事のために
   時間を生み出すことです。

   そのためには、
    ア.仕事の優先順位をつける

    イ.計画を立てる

    ウ.計画どおり仕事をこなす

    エ.業務遂行にあたり工夫する

    オ.時間管理のチェックを怠らない

   といった、基本動作(12項目)を習慣づけることが大事です。

   この基本動作をしっかり守りつつ、自分なりの方法で時間管理を行うことが望ましいと
   言えます。

   リーダーは部下育成のためにも時間管理術を身につけてください。


  ■リーダー(管理職)が果たすべき役割

   ・会社および自部門が抱えている問題を正しく理解する

   トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、その実行計画を
    立てる

   部門目標の達成に向けて部下を動機づけ、リーダーシップを発揮し、自ら先頭
    に立って業務を遂行する

   部下たちが積極性をもって働くための雰囲気作り

   部下の能力を伸ばすための環境整備と提供

   人材の育っていない組織では、リーダーはプレイングマネージャーとして組織の稼ぎ
   頭となり、かつ、部下の育成やモチベーションの技術も持ち合わせていることが求め
   られます。

   しかし、幹部による部下の教育を含め、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育の横行です。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が
   「人材育成に問題がある」と回答しています。

      
  ■リーダーに必要な条件 

   ほとんどの社長は、自分自身のめざすべき姿、会社のめざすべき姿といったビジョン
   をもっています。

   それがあるからこそ仕事に前向きに取り組めるし、困難に直面しても簡単にくじけて
   しまうことがないのです。

   しかし、残念ながら多くのリーダー(管理職)は自分自身のビジョンをもっていません。

   自分の部門に課せられた目標は意識していま
   すが、それが自分のビジョン実現とどのように
   つながっているかということはまず考えていな
   いのです。

   会社のなかで当事者意識がもっとも高いの
   は、いうまでもなく社長です。

   とくにオーナー社長の場合は、会社が倒産す
   れば自分自身が何もかも失います。

   まさに正真正銘の当事者です。

   ギリギリの状況に追い込まれても決して諦め
   ずに、何とかそれを乗り切ったという経験を
   もつ社長は多いと思います。

   しかし残念ながら、この社長並みの当事者
   意識の高さを他の社員に求めることは、
   現実的には非常に難しいことです。

   彼らはたとえ目標が達成できずに大きな
   損失が出たとしても、自分自身が致命的な
   ダメージを受けることはまずないことをわかっているからです。

   これはリーダー(管理職)クラスの社員でも同じことです。

   しかし、だからといってそれを放置すべきではありません。

   社員の当事者意識、とりわけリーダーの当事者意識をどれだけ高められるかということ
   は、会社経営にとっての生命線ともいえるくらいに重要な課題だからです。

   これらのことから、リーダとしての条件を満たすためにも、リーダー(管理者)の育成
   社長自らが指導する体制作りが重要となります。 

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経営者によるリーダー(管理者)の育成 


  経営者にとって、リーダーとは、自分の経営理念を理解し、与えられた組織の力を最大限
  に引き出し、その実現のために支援してくれる右腕となる存在です。

  管理者(リーダー)の役割

   ・会社および自部門が抱えている問題を正しく理解する

   ・トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、その実行計画
    を立て、業績目標を達成

   ・部門目標の達成に向けて部下を動機づけ(新人・若手の人材育成)、自ら先頭に
     立って業務を遂行する

   ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革を推進

   ・しっかりトップを補佐し、リーダーシップを発揮し、社員の模範となる人物になる

  以上の行動をすべて行う必要があります。

  リーダーの存在は経営者の理念や考え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に
  組織を導くことができ、また経営者のいないときには、経営者の代わりとして業務を遂行
  できることです。

  人材教育のなかで管理者教育に注力する企業が増えている背景には、リーダーのスキル
  アップ(リーダーシップ)が企業自体の活力の増大に大きく結びつき、管理者次第で会社
  は成長もすれば衰退もするのです。


  ■リーダー(管理者)育成・指導がうまくいかない

   ・経営者が管理者に「指導したこと」が行動にどのように活かせるかが明確でない。

   ・管理者に対して、どれだけ具体的な指導ができるか考えていない。

   ・経営者の管理者指導のフォロー(指導後の実施過程)不足

   ・経営者が管理者に「考えさせる」ことをていない

   ここで、自身を含め管理者(経営幹部)のマネジメント能力を点検し、欠けている部分を
   強化する必要があります。

  ■右腕(幹部)を育てる

   人材の確保・育成は会社において重要な経営課題の一つですが、中でも経営者にとっ
   て切実な課題の一つは、経営者にも意見するような身近な相談相手、あるいは名参謀
   として経営者を支える人材の育成です。

   いくら優れた経営者であっても、一人でこなせることには限界があります。

   また、一人で決断を下すときに迷いが生じることもあるでしょう。

   そうした時に、経営者に近い視点で、経営を考え、実践できる幹部が身近にいるか否か
   で、意思決定の質やスピードに大きな違いが出てきます。

   経営者としては、こうした頼りになる右腕を育成したいところです。

   その際には注意すべきポイントがあります。

   右腕には、相応の高い能力が求められるため、誰もがなれるというものではありません。

   従って、右腕育成の際には、まずは、右腕となる素養を持つ人材の選抜から始めなけれ
   ばなりません。

  □トップが幹部に期待すること

   ・業績目標を達成してほしい

   ・しっかりトップを補佐してほしい

   ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい

   ・若手社員の育成をしてほしい

   ・社員の手本となる人物になってほしい

  □幹部候補は選抜する

   幹部候補には、相応の高い能力が求められるため、誰もがなれるというものではありま
   せん。

   従って、幹部育成の際には、まずは、幹部となる素養を持つ人材の選抜から始めます。

   実績だけではなく、以下のような能力を重視して選抜することです。

    ・知識力
     ビジネスに関する知識に加え、社会・経済・文化などの幅広い知識

    ・理論的思考力
     物事や事象を理論的に把握・説明できる能力

    ・統率力
     部下をまとめ、率いることができる能力

    ・コミュニケーション力 
     社内外の人たちと良好な関係を構築する能力

    ・調整力
     利害の異なる関係者間の意見を調整し、まとめる能力

    ・行動力・実現力
     自ら動き、周囲を巻き込みながら目標を達成できる能力

  □幹部に理解、実践させるポイント

   (1)経営理念、目的について

     ・企業の経営目的を確立している

     ・わが社は一体何を売っているのか

   (2)目標について
     ・短期、中期の目標設定能力

   (3)方針について
     ・目標達成のための方向付け能力

   (4)組織について
     ・目標達成のための手段である

   (5)計画について
     ・計画立案能力と先行管理の理解、運用能力

   (6)スケジュールについて
     ・PDCA(Plan ⇒ Do ⇒ Chack ⇒ Action)を基本に策定

   (7)実行について
     ・決めたことを実行し、確実に実行させる厳しさが必要

     ・実行のための体質作り

   (8)成果
     ・原因・経過(過程)・結果をステップで管理、コントロールする

     ・頑張った者が報われる仕組みづくり

   選抜した幹部候補を、幹部へと育成する際のポイントは、経営者自身が育成を行うこ
   とです。

   幹部となるためには、能力の向上も必要ですが、何より大切なことは経営に関する哲学

   や思考パターンなどを経営者と共有することです。

   そのためには、経営者が、幹部候補を直接育成していかなければなりません。

   幹部は一朝一夕に育成できるものではない。

   多忙な経営者にとっては、時には右腕の育成が負担に感じられることがあるかもしれ
   ません。

   しかし、頼りになる右腕は、経営者の陰から会社を支える大切な人材であることを心に
   留めて、根気強く取り組むようにしましょう。

  ■教育・育成のポイント

   1.経営者自身が教育する

     管理者教育においてもっとも大切なことは、経営者自らが管理者と共に自社の
     存在する価値や将来的な経営戦略を語り合い、また、経営者が管理者各人に
     対し、「期待像を示す」ことが必要です。

    2.管理者教育・育成の方針

     (1)自社の進むべき方向性

     (2)将来の自社の組織図と、そのなかに占め
       る各管理者の位置

     (3)各管理者に将来果たしてもらいたい役割

     (4)現在の各管理者の能力・行動

   以上の点を明確にし、そのうえで「期待像」と
   「現状」のギャップを埋めるためにどのような
   教育を行うべきかを考える必要があります。

   人材の育っていない組織では、管理者は
   プレイングマネージャーとして組織の稼ぎ
   頭となり、かつ、部下の育成やモチベーション
   の能力・技術も持ち合わせていることが求められます。


  ■教育・育成の手順

   1.教育・育成の手順

     (1)現状の問題点

     (2)問題解決の自社独自の基本的な考え方

     (3)商品政策と顧客に対する考え方と具体的にやるべきこと

     (4)ローコスト経営に対する考え方と具体的にやるべきこと

     (5)自社の目標を具体的に示す

     (6)自社の基本的な考え方を示す

     (7)自社の目標が達成された具体的イメージを示す

     (8)自社目標達成のための必要な機能を示す
 

   2.自社で働く人に自社で働く上での、基本的な考え方を経営者が明示し、教育
     ツールとして使い込む

     (1)原理・原則に沿った内容で、自社オリジナルテキスト(マニュアル)で
       あること

     (2)幹部に必要な知識の習得のために、「指定図書」を決め幹部全員に
       丸暗記させる

     (3)「経営者の発信した文書」を使って、経営者自ら幹部教育を定期的に
       行う

   3.報われる人事制度

     やる気のある幹部及び幹部候補者を腐らせないシステムを構築する人事制度
     及び人事考課制度を導入

      (1)人事評価項目を日常業務に落とし込む

        現状、この部分が実現されていないので業績に反映されない結果になっ
        ている。

        「やっているか・やっていないのか」の実行度を評価し「職務別のやるべき
        日常業務」を評価項目にする。

        つまり、やっている者は報われ、やっていない者は、やらない限り報われ
        ないという仕組みにする。

      (2)資格認定試験制度の導入

      (3)毎月個人評価で四半期ごとの人事考課

      (4)具体的に「指導 ⇒ 評価 ⇒ フィードバック」をサイクルで回せる仕組みの
        導入

      (5)報奨制度の導入

   教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」と、「幹部の役割を全うす 
   るために必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み立てることが必要にな
   ります。 

  □実践的な幹部教育の体系化

   企業にとって最も重要な場所は現場であり、企業の業績に大きく影響するまさに生命
   線であるのです。

   この現場をいかに円滑に運営できるかが企業の競争力そのものであるといえます。

   したがって、その運営責任者である幹部の育成は、経営者の主要業務なのです。

   よく「人財」という言葉を目にするが、「人材」が「人財」にかわるには、人件費に見
   合うだけの付加価値を生み出していなくてはならない。

   幹部が人件費に見合うだけの付加価値を生み出していなければ、人はコストアップの
   要因になってしまいます。

   企業にとって一番の生命線である現場の運営に関わる幹部がこの条件をクリアし、
   競争力を向上させることができるようにするために、教育体系を構築し「人財育成を
   図っていく」、つまり「幹部が勝手に育つ」教育から「幹部を意図的に育てる」教育に
   転換する必要があるのです。

   「幹部が実務に活かせる教育」を構築していくことが最重要です。

   このことを実現させるための教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」
   と、「幹部の役割を全うするために必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み
   立てることが必要になります。

    
  □自社独自の教育体系を構築

   まず、「うわべだけの教育」、「教育のための教育」を社内から一掃します。

   業務に必要な知識・技術を習得させ「職務遂行能力を向上させ結果がだせる実
   務に即した教育」を行うこと。

   そのためには、「教え教わる風土実現」のために全社的な運動にもっていくことです。

   中途半端にやっては、効果は薄くなるだけです。

   会社も、幹部もバックボーンがとおっていないと成長しません。

   理念、方針があっても実践されていなければないのと同じ。

   あらためて企業も、幹部も自社のバックボーンの点検、確立をすることが必要です。

   そして、育てる側から自社のバックボーンをベースに、幹部が果たすべき機能を 
   基に、個人別の啓発目標を出してもらい、目標管理制度に組み込んで四半期
   チェックをする仕組みが必要です。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業
   所が「人材育成に問題がある」と回答している。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   
  □教育体系構築のための対策

   1.階層別幹部の基本像をモデル化

     幹部に求められている能力を明確にします。

     経営理念、会社方針、中長期ビジョン、現場からのニーズと基本モデル幹部像
     をリンクさせる。

     例えば幹部は、「自分が具体的な処理や作業を行うのではなく、自分の考えを
     部下の行動を通じて実現する」という役割を担っています。

     個人的な業務遂行能力よりも、部下全員を方向づけ、目標を達成するにはどん
     なやり方をとったら効果的かという構想力やコミュニケーション能力、あるいは影
     響力といった能力が重視されます。

     人材の流動化がさらに進む現状を考えると、中途採用者に対して、経験やキャ
     リアに応じて育成を図るときに必要なものとして、その根拠となるような基本モデ
     ル幹部像を設定することが有効です。

   2.人事制度と教育制度をリンク

     「いつまでに」「どのような業務を」「どのレベルまでできるようになったら」「給
     料はどうなるのか」を人事制度に照らして示し、その人事制度と企業教育制度
     をリンクさせる。

   3.幹部教育責任者を育成

     幹部教育に関しては、特に自社の経営者に代わるトレーニングコーチを育成し
     ます。

     トレーニングコーチの条件は、

     (1)現場の幹部以上に現場を知っている人

       現場のことを知らない人が幹部を教育できるわけはない。

       知らない人がやれば「評論家育成教育」になり、中途半端な知識は現場を混
       乱させるだけ。

       社是、社訓、経営理念、会社方針を社内で一番理解している人、原理・原則
       を重んじる人、公明正大な人、困難に挑戦する人、変化を歓迎する人、能動
       的に仕事に取り組み自ら仕事をつくりだせる人、真にプロを目指す人こそ幹
       部教育責任者にふさわしい。

     (2)実行力のある人

       いつも現場で効果の確認を行い次の手が即打て、さらに全社にとってどうか
       ということを考えることができ、全社的な影響力のある人、幹部自身以上の
       教育責任者を育てようという情熱のある人こそ幹部教育責任者にふさわしい。

       しかし何より重要なのは、「実行力のある人」です。

       幹部教育で結果の出ていないほとんどの企業では「人に職務を与え、職務に
       人を割り振っていない」といった役割分担ができていません。

       幹部教育ができないのは経営者の責任であり、現場での教育が実行できて
       いないのも経営者の責任です。

  □トレーニングコーチ指導の仕組み

   「自社独自の幹部教育」を構築し、業績に直結した結果の出せるものにすることで、自
   社独自のノウハウが蓄積できるのです。

   「実務に活かせる幹部教育」を行うには、日常的に現場での教育が行われるようにし、
   「お互いが教え、教えられ成長していくことが最高の教育だという社風」を作り上げるこ
   とです。

   どんな会社にも、各分野に関して秀でた幹部が必ずいるはずです。

   それぞれの得意分野でトレーニングコーチとして他の幹部を指導することは、最も簡単
   で最も結果がだせることです。

   「教育実施の運用上の柔軟性や計画倒れを無くす」、「トレーニングコーチ自身の業務を
   再認識」するためにも社内トレーニングコーチの育成は急務となります。

   1.教えやすい仕組みをつくり、教えるための技術を身につけさせる
     教えやすい仕組みづくりとして、
      ・自社のオリジナルテキスト、指導マニュアル等を作成する。

   2.教え方の指導としては、
      ・集合教育、ロールプレイング等による指導をを行う。

   今後「市場環境の変化」に対応するのと同様に、「自社の幹部教育ニーズの変化」に対
   応することは、非常に難しくなってくるでしょう。

   刻々と変化する自社の幹部教育ニーズに対応していくには、なるべく早く結論を出して、
   即実行することです。

   うまくいかなかったら次の手を速やかに打つことです。

   「何もしないのは一番のリスクであること」、また「変化するのが当然」だと経営者自身
   が行動で示し、全幹部に徹底的に認識させ実行させることです。

   「結果の出せない教育責任者」と「結果をだせる教育責任者」との違いは、スピードと実
   行力と、何より「なにがなんでも出来るまでやりぬく徹底力」とそのための仕組みづくり
   にあるのです。

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