経営方針書・経営計画書

利益計画

経営計画に欠かせない利益計画
 

■はじめに

 あらゆる市場が成熟化し、企業間の生存競争は激しさを増している中、企業にはいかに
 環境変化に適応していくかが要求されています。

 また、利益の伸び以上に人件費・諸経費が増加している企業も多く、利益計画がこれまで
 以上に重要性を増しています。

 利益計画とは、目標利益の設定を第一とし、収益および費用を総合的に検討し、経営の
 諸計画を管理していくことです。

 「収益−費用=利益」という従来の考え方は、利益は結果として出るものとされます。

 しかし、市場環境が変化し、売り上げが伸びない一方で費用が増え、結果としての利益が
 出づらくなっている企業も少なくありません。

 このような状況下においても、経営計画を練る際には最低限の利益は確保しなければ
 なりません。

 そして、そのためには、

  ・売り上げをどのように達成するか

  ・費用をどのように低減するか

 を検討し、目標利益を設定します。

 つまり、「収益−利益=費用」の発想が求められているのです。

 また近年では、目標利益がキャッシュを増加させるものであるか、すなわち「キャッシュ
 フロー」までも視野に入れた利益計画が重要視されています。 

□利益計画の6ステップ

 1.利益予想を立てる

  経理部門(または経営企画部門)が中心となり、利益予想を立てます。

  特に積極的な手を打たず、今までの延長線上で1年後、3年後などの一定年度後に、
  どんな損益状況になるか試算してみます。

  ただし、予想時点で明らかに予測できる経営環境・条件などの変化は推計し、利益額を
  予想する必要があります。

  利益額を予想する目的は、収益と費用、および利益に関わる問題を発見することに

  あります。

  売上高、製造原価、材料費、外注費、人件費、減価償却費、支払利息などの損益項目
  の予想を立て、利益額を試算します。

  この損益項目の推移や変化により、損益上の問題点を整理します。

  この予想は、経理部門が中心となって、過去のデータを整理し、各部門からの情報を
  入手し推計していきます。

  次に、主な損益項目の予想方法のポイントをみます。


  (1)売上高の予想

   売上高の予想は利益予想の基礎になる重要な数値です。

   データとして、過去3〜5年の売上高、年間伸び率、製品別売上高などをベース
   として今後を予想します。

   また、販売部門からも情報を人手します。

  (2)製造原価の予想

   製造原価は材料費、労務費、製造経費に分けて、過去3年のデータを基礎に推計
   します。

   材料費は対売上高比率、労務費は対売上高比率、製造部門人員数、1人当たりの
   人件費、対前年伸び率、製造経費は減価償却費を除いて、対売上高比率より推計
   します。

   原材料の価格、作業人員の増減、燃料費、運送費の値上げ、決定済みの設備投資
   などを製造部門に確認します。

  (3)販売費・一般管理費の予想

   これは、人件費と経費を分けて予想します。

   人件費は、人員数と1人当たりの人件費、対前年伸び率から推計します。

   この場合、営業部門、総務部門の人員数はそれぞれの部門の情報を入手し予測します。

   次に経費は、販売費の主なものは営業部門の情報から、一般管理費は過去3年の
   実績から推計します。

  (4)営業外損益の予想

   過去3年の各項目の発生原因を分析してから推計します。

   併せて金利動向も加味します。

  (5)予想損益計算書の作成

   過去3年の損益計算書の実績および各項目の対売上高比率の推移を一表にします。

   そして1〜5で予想した全損益項目を集計して予想損益計算書を作成し、対売上高
   比率を算出
します。

   過去の実績と大きく変化するところをチェックし、問題点を確認します。

 2.目標利益額を設定し、ギャップを認識する

  次のステップは目標利益額の設定です。

  目標利益額が出ると、利益額予想と目標利益額との差額(ギャップ)が確認できます。

  このギャップ、すなわち利益不足額が、具体的利益改善対策を打つべき額になります。

  目標利益額の設定は経営判断であり、経営トップが決定すべきものです。

  経理部門は目標利益額や必要利益額などについて、トップに参考データを提供したり、

  トップが示す大まかな目標を具体的数値にかえる作業を行います。

  経営トップが目標利益額を示すことにより、全社を挙げて利益改善に取り組む体制が
  できるのです。

  目標利益額の設定の仕方として、次の方法があります。

  (1)前年度実績に上積みする方法

   これは、前年度実績の経常利益に10%増、20%増などの上積みの目標利益額を
   設定するものです。

    目標利益=前年度利益×(1+目標伸び率)

  (2)必要決算資金から決める方法

   業績によって支払う配当金、役員賞与などの必要決算資金から目標利益額を設定
   します。
 

  (3)借入金返済額から決める方法

   借入金の返済は、利益から行います。

   このため、借入金の返済ができる利益を目標利益額として設定します。

   (注)(2)と(3)はいずれも税率は40%を目安とします。

 

  (4)売上高目標経常利益率から決める方法

   売上高経常利益率の業界平均、上位企業の経常利益率や自社の過去3年平均の
   指標を参考として、目標利益額を設定します。


    
 

 3.全社の利益計画を立案し、各部門へ改善案を提示する

  目標利益額が決定したら、予想利益額との差額利益ギャップを、全社的にいかに改善
  していくか、これを検討するのが全社の利益計画です。

  利益改善は経営課題であり、経理部門だけではどうにもなりません。

  経理部門は全社の利益計画で、収益費用の各項目について具体的な改善目標を算出し、
  経営トップを通じて各部門に改善の目標・方向を提示します。

  (1)利益改善の視点

   利益改善は、損益分岐点の観点から次の3つが考えられます。

   固定費の低減によって、損益分岐点が下がり利益は増加します。

   人件費の低減は簡単ではありませんが、正社員の仕事をパートに切り替えたり、
   残業の削減などにより、低
減できないか検討します(正社員と同一の仕事をしている
   パートなどの賃金を不当に低
くするとパートタイム労働法に抵触する恐れがあるので
   注意が必要です)。


   製造固定経費、販売固定経費、一般管理費などは、各科目について中身を検討し、

   節減できるものは節減します。

   限界利益率が向上すれば、損益分岐点が下がり、利益が増えます。これには、
   変動費低減があります。

   材料費は歩留まりの向上、材料仕入れ単価の引き下げなどを検討します。

   製造変動経費、販売変動経費は各科目について、効率的使用を行います。

   また、販売価格アップ、製・商品(サービス)の構成改善により、限界利益率の
   向上ができないか検討します。

   売り上げの増加は、新規販売先の開拓、インストアシェア(注)や販売価格のアップ、
   値引きの減少などが考えられます。

   (注)インストアシェアとは店内シェアことで、既存取引先での自社のシェアのことです。

  (2)損益分岐点と利益図表の活用

   利益改善を全社的に検討する場合、損益分岐点と利益図表の活用があります。

   事例のA社(製造業)の次期の予想損益計算書は次の通りです。

   A社の予想利益は300万円であり、目標利益を1000万円とすると700万円の
   利益ギャップが生じます。


   この700万円の利益改善のため、具体的改善が必要になります。

   経理部門としてはまず利益改善について、前記1の3つの観点から改善余地が

   あるかガイドラインを示します。

   A社ではすべての固定費について検討した結果、5%の低減が可能となりました。

   変動費については製造部門と検討して、物流経費の効率化などで変動比率を

   2ポイント低減できることとなりました。

   さらに営業努力により、売り上げ増加を8%と見込みました。

   これらによる利益改善額を試算すると次のようになります。

    a.固定費低減

     固定費3900万円×固定費低減率5%:195万円

    b.変動費低減

     売上高1億円×変動費低減率2%:200万円

    c.売上高増加

     売上高1億円×増加率8%×限界利益率44%:352万円

    d.利益改善額の合計:747万円

  (3)各部門へのガイドラインを提示

   経理部門は全社の利益計画によって利益改善を検討し、これを利益改善の目標・
   方向のガイドラインとしてまとめ、経営トップを通じて各部門に示していきます。

   各部門はこの提示を受けて具体的に検討します。

 4.利益改善策を各部門で具体的に計画する

  利益改善策は経営課題であり、全社で取り組む必要があります。

  ガイドラインを受けて各部門が貝体的利益改善策に取り組むことになります。

  (1)各部門の利益改善計画を練る

   例えば、ガイドラインで「固定費5%の低減を目標」と指示されれば、「修繕費、
   消耗品費5%低減」などがテーマとなり、各部門で利益改善テーマを設定します。

   「材料歩留率5%アップ」「物流費20%低減」などのテーマに基づいて、全員
   参加で会議を開き、具体的な利益改善策を検討します。

   これらをテーマごとに、

    1.改善目標

    2.現状と問題点

    3.改善方法、進め方

    4.日程

    5.利益改善効果

    6.利益改善計画推進責任者

   などについて決定し、次の「利益改善計画書」にまとめます。

  (2)各部門の年度計画、予算の作成

   各部門は検討した利益改善計画に基づいて、営業部門は売り上げ計画、費用予算、
   製造部門は生産計画、費用予算、開発部門は開発計画、費用予算、管理部門は
   費用予算を
作成します。

   従って、固定費の低減は、各部門の経費予算に織り込まれ、売り上げの増加は
   営業部門の売り上げ計画に計上されます。


 5.各計画・予算・経営方針を全社に周知、徹底きせ実施する

  (1)利益改善計画のまとめとチェック

   経理部門は各部門の利益改善計画から利益改善効果を抜き出し、「利益改善総合表
   で集計します。

   総合表の利益の合計が目標利益と予想利益の差額、つまり利益ギャップより多く
   なっていれば、利益計画が各部門の改善対策で裏付けされたことになります。

   部門、テーマ、推進員任者、実施日程などを全社分一覧表にして、スケジュール
   管理に使用します。

  (2)計画・予算をまとめ、年度利益計算書を作成する

   経理部門は各部門からの年度計画・予算を全社分総合し、年度利益計算書(全社分
   予想損益計算書)を作成します。

  (3)経営方針書をまとめる

   経営方針書はその期に全社員が一致協力して到達しなければならない目標や、
   その達成に関連する指針、経営トップが会社全体に真に要請し、訴えたい事項
   などを示します。

    ・経営の現状と見通し

    ・利益目標

    ・販売目標と方針

    ・生産目標と方針

    ・製品開発目標と方針

    ・人事目標と方針

    ・コストダウン目標と方針

    ・そのほかの目標と方針

   経営方針書は少なくとも、幹部全員を集めてトップが説明し、オーソライズします。

 6.利益改善計画を実施し、管理する

  利益改善計画は実行しなければ、利益に結びつきません。

  日常業務に追われて改善活動がおろそかになり、計画倒れに終わる恐れもあります。

  これを防ぐために、改善計画の管理が必要になります。

  各部門の利益改善計画推進責任者は、定期的に改善の進捗状況報告書を作成し、経営
  トップに提出するようにします。


  進捗状況報告書は、テーマ推進責任者とメンバーの進捗状況(どれだけ推進しどんな

  成果が上がったか、当初の計画に照らしてどうか)、推進上の問題点、今後の進め方
  (計
画通りか変更するか)などについて記入します。

  作成に当たっては、3カ月に1回程度、各部門長と経理部門、テーマごとの推進責任者
  が会議を開き検討します。

  状況が変われば、計画を修正する柔軟性も必要です。

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経営方針書・経営計画書

   


   経営方針書・経営計画書
   経営方針書は、企業が計画的に経営を推進し、目標とする成果を収めるためのもの
   です。

   厳しい経営環境のなかで中小企業が存続し、発展していくためには確実に実行でき
   る経営計画が必要です。

   企業が存続し、成長していくためには、将来自社の進むべき目標を明らかにして、
   具体的に数値化し、人、モノ、金の経営資源をどのように正しく調達し、配備し
   ていくのかを、きちんと計画する必要があります。

   そして、計画を作るだけでなく、着実に実行していくことが、安定的に成長してい
   くための要件となります。

   経営計画の進捗については自社の社員のみならず、取引先や金融機関に開示し、
   理解を求めることも必要です。

   経営計画が着実に進捗していることを告知する活動が、内外に対する自社(店)の
   優良性の証明となり、自社の経営環境をより好ましいものに変えていくことになり
   ます。

   経営計画の策定・見直し時に計画をチェックしてみましょう。


   設計図なしで建物を建てることがあるでしょうか?

   当然あり得ないことですよね。

   それでは、「目標達成」という建物を完成させるためにも、経営計画書という設計図
   が必要なのは当然です。

   しかし、現況はどうでしょう?

   中小規模企業の多くが立てていないか、あるいは立てていても作成が目的となり、
   結果的に目標は画餅に帰してしまっています。

       なぜでしょう?

   それは建物の場合、完成までの過程が目に見えるが、目標の場合、達成までの
   過程が目に見えないことが原因ではないでしょうか。

   計画を画餅に帰さないためにも、計画自体を目に見える形にしていくことが必要
   です。

   

経営計画書の作り方


  ■経営計画書策定にあたって

   経営計画を策定する際のおおまかなステップとして、まず第一に、トップ以下全
   従業員の近い将来の「夢」を描く作業を行います。

   この段階では、現実の延長線ではなく、「何としても実現したい」と希望がわいて
   くるような理想像を描くことが重要です。

   これがビジョンとなります。

   具体的には、経営理念、経営方針を再確認したうえ、近い将来の市場の動向を
   分析し、強化すべき事業領域を想定します。

   そしてその事業領域において、勝ち残っていくために必要な会社の経営能力を
   整理、検討します。

   このときに、全従業員がが参加し、将来の実現したい会社の姿について十分な
   コンセンサスをとります。

   ここで、会社のあるべき姿「夢」が明らかとなり、これらを具体的な数値目標に落
   としていきます。

   あるべき理想の姿と現実を対比したとき、大きなギャップに気づくでしょう。

   将来の目標とするものを獲得しうる経営能力と現状のそれとを比較してギャ
   ップを導き出すことで、現在抱えている問題点や課題が明らかになってきます。

   自社の営業構造や、商品力、人材能力や、組織風土、財務体質等々、次々に出て
   くるのではないでしょうか。

   これらの問題や課題を解決していく具体的なアクションプラン(行動計画)こそが
   経営計画の詳細な内容となっていきます。


   「計画なきところに実行なし、実行なきところに成果なし。」

   経営計画(経営方針)書は、企業が計画的に経営を推進し、目標とする成果を
   収めるためのものです。

   単なる理想的数字の羅列ではなく、その目標を達成するための戦略・戦術・戦闘が
   具体的に明示されていなくてはなりません。

   そして、その進捗状況を随時チェック・コントロールすることで、場当り主義から
   脱却を図り、計画経営・羅針盤経営の企業形態になるのです。

   経営方針書は、トップが全て作成するのではなく、トップが戦略を練り、幹部が戦
   術を明確にし、社員が戦闘するのです。

   即ち、全員参加が基本。

   この作成段階が実践的な訓練(教育)になり、経営参加意欲の増進を図ると共に、
   役割の認識、責任意識の高揚にもつながるのです。
    
  ■経営計画策定のステップ 

   まず第一に、社長以下経営陣の近い将来の「夢」を措く作業を行います。

   この段階では、現実の延長線ではなく、「何としても実現したい」と希望がわいて
   くるような理想像を描くことが重要です。

   経営計画を策定するプロセスには社員やパート、アルバイトもしかるべきタイミ
   ングで参画させることです。

   全従業員が参加して経営計画を策定することにより、会社の夢を共有化し、それを
   実現するために、経営幹部をはじめとして従業員の一人ひとりが自社における
   自分の役割を十分に認識できます。

   そのため目標達成に向けて各人が自ら行動するようになり、これが組織の活性化
   につながります。

   また、達成までのステップを明らかにすることで、各時点での進捗度合いを把握
   することができ、それを定期的に伝えることで社員のやる気を喚起することが
   できます。

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経営計画.gif
経営方針書は目標達成のための手順書 


   社員は基本的に価値観がバラバラなものです

   経営方針を掲げても、しつこいぐらい社員に説明しなければ、浸透さ
   せることはできません。

   ある会社では毎年1回、全社員が泊まり込みで経営方針書を作成し、そ
   の後で、全社員を集めて、内容を説明しています。

   さらに、ことあるごとに、トップが直接、社員に経営方針を説明しま
   す。

   経営方針は必ず文書化するべきです。
 
   経営方針を、通常の業務の場合のように、会社のラインを通じて社員
   に伝えようとすると、「伝言ゲーム」のように、末端の社員にはニュ
   アンスが変わって伝わることがよくあるのです。

   現場の論理でニュアンスを変えられたりすることが往々にしてあるの
   ですが、それでは困るのです。

   文書化して、トップの考え方を、社員全員に正しく伝える努力をしな
   ければいけないのです。
 
   経営方針書というと、スローガンばかりを書きたがりますが、そうで
   はなく、会社の置かれている状況やそれに会社はどう対応しようとし
   ているのかを書くことです。

   例えば、なぜ「新市場の開拓」という目標が出てきたのか、社員に分
   かるようにします。

   そして、いつまでに新製品開発を終え、いつごろには新製品によって
   いくら売り上げるといった、数値目標も書き込んだ方がよいでしょ
   う。

   そして、新製品開発ができた場合、できなかった場合のそれぞれにつ
   いて、会社の状況や社員の収入などがどうなっているのかも盛り込む
   ことです。

   「新製品開発に失敗すれば、3年後には10人以上、リストラをしなけ
   ればならなくなる」といった具合です。

   経営方針の実行が社員自身にどうかかわってくるのか、イメージでき
   るようにするのです。

   経営方針を全員に配布しても、なかなか読んでくれないのが実態で
   す。

   各部署が定例的に開く会議に全員が「経営方針」を持って出席するの
   を義務付け、方針書をもとに議事を進めさせます。

   「業務が遅れている」、「販売目標を達成できていない」、「方針
   書」のスケジュールと照らし合わせながら検討するようにします。

   こうすれば、方針書に確実に目を通すようになるし、少なくとも自分
   の業務に関係する部分だけは読んでくれます。

   このようにして経営方針に触れる機会を多くすることで、社長と同じ
   危機感を持ってくれる社員や、使命感を持って仕事をしてくれる社員
   も出てくるでしょう。

   最低限、新製品開発の重要性は認識してもらえるはずです。

   そうした認識が浸透しないと、新分野の開発を任された担当者が「自
   分は出世コースから外れた」と思い込んだり、他の部門の社員が新製
   品開発部門のことを軽く見てしまったりして、担当者がやる気を失っ
   てしまいかねません。

   具体的な目標をスローガンにします。

   経営者がそこまで研究してから社員に伝えた方が、理解されやすいで
   しょう。

   このように、経営方針書は、企業が計画的に経営を推進し、目標とす
   る成果を収めるためのものです。

     経営方針書作成マニュアル(手順書)についてはこちら

   
  ■なぜ経営計画が必要か

   自社(店)が存続し、成長していくためには、将来自社(店)の進むべき目標
   を明らかにして、具体的に数値化し、人、モノ、金の経営資源をどのように正
   しく調達し、配備していくのかを、きちんと計画する必要があります。

   そして、この計画を着実に実行していくことが、安定的に成長していくための必要
   要件となります。

   経営計画の進捗については自社の社員のみならず、取引先や金融機関に開示し、
   理解を求めることも必要です。

   経営計画が着実に進捗していることを告知する活動が、内外に対する企業の優良
   性の証明となり、自社の経営環境をより好ましいものに変えていくことになります。

   経営計画書は、

    1.トップが応接と捺印係となり、日常の仕事に追われて惰性的な毎日となっ
      たとき、企業の革新は止まる。

    2.あなたは自らの運命を切り拓き、従業員の将来を保証し、社会へ貢献する
      ためには、変革を乗り切る計画が必要である。

    3.計画は毎日の仕事を目標からそらさないで、ムダを省いていく判断の尺度
      となる。

      適不適、是非の判断基準がなければ、最短距離を突っ走ることはできない。

    4.教育による人材の育成が可能となり、時代の革新に適応できる。

    5.これによって、はじめて将来をにぎる積極経営の基本ができあがる。 

  ■どうして計画が達成できないのか? (目標の未達

   3つの間違があります。

   第1に、
     計画が具体化していないこと

     第2に、
   行動のための具体的なアイディアが少なすぎること

   第3に、
   スケジュール管理を行っていないこと

   計画書が画餅に帰してしまう原因の多くがこの3点に原因があります。 

   計画達成はトップ1人の力で成せることではありません。

   チーム全員が一体となって以下の3点を理解することです。

    1.経営計画書をつくる目的(何のために作るのか?) 

      事業経営には、これから向かうべき方向を示す計画(中期および各年度)
      を
持つことが重要です。

      また、計画はPLAN−DO−SEE−CHECK−CONTROLのサイク
      ルで見直され修正されていきます。

     経営計画は、あなたを取り巻く環境で変化するお客様のニーズに対応しな
     がら競争相手に打ち勝ち、安定した成長を続けるために不可欠なものです。

     経営計画書は、現状および今後の課題を多面的に分析し、目標達成のた
     めの戦略・戦術を記述したものです。

     計画があなたの経営を今後、いつまでに、どこへ、どうやって向かうのかを
     リードしていくのです。

    2.営計画書をつくるメリット (どんなメリットがあるのか?)

      (1)これから向かう方向とプロセスを明確にでき、必要に応じて修正で
         きる。

      (2)目標の達成およびその目標達成のための戦略や戦術を明確にで
         きる。

      (3)経営計画を策定することで、あなたの会社の課題を浮き彫りにし 、
         効果を予測した行動を、従業員の意思統一をはかりながら実行で
                きる。
         (社内に掲示、会議システムノ−トに計画書を入れておくと更に有
         効)

      (4)経営を「人・物・金・情報」という経営資源の側面からとらえ、それが
         必要な時期や目的、投資の量をあらかじめ明確にすることができ
         る。

      (5)目標達成の可能性を高めることができる。

      (6)経営計画により、適切な時期でのレビュー(批評や検証を行う)と
         フォローアップが可能となる。
      
    3.計画書作成についての注意事項(どのような事柄が必要か?)

      経営計画とは単に数字を羅列したものではなく、あなた自身のビジネスを
      多面的に分析・検討した上での結果を記述します。

      そして、関連する根拠のある数字であることが必要です。

      自社の将来の目標に向けて具体的な実行手順を示したものが計画です。

      計画と行動が結びつくようにするためには、次のような点に注意してつくる
      ようにします。

       <進め方> 
        ・全員参加で経営計画を立てること

       <計画内容>
        ・前年度の反省をいかして計画を立てること

        ・全体計画に基づく実行目標を具体的に掲げること

        ・計画は月別に立て、具体的にイメージしやすいものにすること

        ・利益計画と資金計画が連動していること

       <体  制>
        ・計画の遂行に対する責任・権限体制を明確にすること

        ・計画達成の評価が正しく行えるよう進捗管理体制を整えること

        ・月次での計画と実績のギャップを確認し、原因をつきとめ改善すること

        ・四半期ごとに見直しを行い、再策定を行うこと

     ○ビジョンとプロセスの計画が示されていること
      3年から最長でも5年程度の計画であることが望ましく、中期の目標を達成
      するための単年度目標も必要になります。

      計画の要素としては、下記のものが含まれていることが望まれます。

       ①強み・弱みが把握されていること
         「自社(店)の保有するお客様(マーケット)や他の見込みマーケッ
         トの特徴や将来性」と「自社(店)の得意商品、サービスの有効性」
         を対比して、「強み、弱み」についての把握を行った上で、自社
         (店)にとって機会(チャンス)となるマーケット、商品構成、サービ
         スや脅威(ピンチ)となりそうな競合チヤネル、商品、サービスなど
         を明らかにしておくことが必要です。

       ②自社の主要なお客様(マーケット)の特徴と将来性

       ③重点販売(得意)商品、未販売商品

       ④提供しているサービス内容と今後予測されるサービスの必要性

       ⑤主要なお客様(マーケット)をめぐる競合他社の状況

       ⑥自社(店)のサービス提供のための組織体制

       ⑦自社(店)従業員の知識およびスキル習得状況 等
        継続的に見直しが行われること

    経営計画における各種の目標達成のためには、適時に進捗状況を見直し、必要
    に応じて修正することが必要です。

    場当たりな経営から、羅針盤経営を着実に根付かせるためには、経営者自らが
    『事業経営とは』を理解し、根気よく全社員に啓蒙していかなければなりません。

 

経営計画書作成項目

   
  経営理念(存在目的)

  企業(経営)理念は、自社の存在意義や社会的責任と経営姿勢などを示したもの
  であり、企業活動の羅針盤となるものです。

  なんのために事業を行うのかを明示する(自社の存在意義・使命は何か、社会に
  提供する商品・サービスは何か)

  一番大切なことは経営者自らが経営理念に基づいて有言実行することであり、
  従業員に分かりやすく明確であることが重要である。さらに、理念に基づく行動を
  評価するなど制度に取り入れる工夫も有効である。 
  
  ビジョン(大きな目標)

  あるべき自社の特徴を掲げる(自社は「どのような市場」で「どのような地位」を築
  きたいか) 

  企業(経営)理念は、自社の存在意義や社会的責任と経営姿勢などを示したもの
  であり、企業活動の羅針盤となるものですが、これをより具体化して、未来の夢
  や願望を青写真化することが大切です。

  「こんなふうにしたい、こんなふうになったら」、「こんな会社にしたい」といった
  願望をいくつか目標として掲げたものが「ビジョン」です。

  それは、経営者にとっても、従業員にとっても、明るい未来でなければなりません。

  こうした夢を「ビジョン」にすることによって、企業の活力が生まれてくるのです。

  そこで、5年後、10年後の自社のあるべき姿、ありたい姿を社長はもちろん、   
  幹部、中間管理職、さらには従業員からも収集し、それをもとに成文化します。

  こうして策定した「ビジョン」は、全社の夢と希望を表現した自社の近未来像(目標)
  ですから、これに向かって全社一丸体制をつくることができます。

  つまり、ビジョンの策定に当たっては、経営者と従業員の夢や願望を一体化した
  ものとすることが大切です。

  

  < ビジョンとは>

   将来どのような姿を実現していたいかを表現したもので、    
   現実的かつ実現可能であり、明確な方向が示され
   しかも魅力的であり、現在よりも望ましい結果が
   期待できる未来像である


  ビジョンの策定にあたり、以下の4点の項目を明確にして作成に当たってみて
  ください。

   ○なぜお客様は数ある会社の中から自社(店)を選んでくれているのか
   
   ○自社(店)の商品・サービスはお客様にどのような効用・成果を実現してい
    るのか

   ○自社(店)の本当の商品(売りもの)は何か

   ○自社(店)は何業なのか

  ビジョンは全社員のやりがい・生きがいに繋がる会社の将来像となります。
   
   行動指針(価値観)

  価値観や優先順位を規定するもので、判断や行動に迷ったときの助けとなる道
  標(事業活動を行うに際して、大切にすべきこと、踏み外してはならないこと) 

  経営方針 
  理念やビジョンを実現するために中長期的な観点から自社が進むべき方向を指
  し示すもの。

   目標

  夢とビジョンをより具体化したものが目標です。

  経営方針を受け、ある時点までに到達したい状態について具体的に記述するものです。

  到達すべきゴール(目的)と、そこに至るためのルート(手段)をセットで考えて、
  目標とします。

  手段を下位の目的(サブゴール)と読み替えて、より具体的な手段へとブレークダ
  ウン(掘り下げて考えていく)する。

  一つの目的を達成するために複数の手段を組み合わせることも重要。

  機会・脅威と強みの分析(内部・外部環境分析)

  自社の商品知識、周辺知識、社内体制など、強みや弱みについて重要なテーマ
  を決める。

  各テーマについて競合先に対する自社の優位性や自社が優先して強化しようと
  考えるレベルについて整理する。

  自社のビジネスに影響を及ぼす外部環境の変化を把握・整理する。

  ビジネスチャンス(機会)だけに着目するのではなく、留意点(脅威)についても同
  時に確認する。

  日常的に接する情報を自社のビジネスに関連付けて考える習慣が大事である。

   目標とのギャップ分析

  自社の強みを活かした成長戦略を描くために役立てる。

  機会を逃さぬように補強すべきポイントを明確化する。

  事業領域の選択と経営資源の集中を実現するための検討材料とする。 

   経営(営業・情報・財務)戦略

  戦略の基本的な考えは「目的を定め、それをいかに実現するか」です。

  目的が定まらなければ、それを実現しようなどという発想は生まれず、場当たり的
  で成り行き任せになってしまいます。

  企業にとって、営業ノウハウやお客様や競合などのマーケティング情報を基にど
  のように営業のやり方を考えるか、といった営業戦略が重点となるでしょう。

  営業戦略を上位に置き、「ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ」の経営資源をどのように調
  達し、いかに配置し、有効に活用するための仕組みをどのようにつくるか、が基本
  的考え方です。

  成果主義を強めて処遇にメリハリをつける、などの施策は、「カネ」という資源を優
  秀な「ヒト」という資源に配分し、その結果、モチベーション向上による売上拡大を
  図ることができます。

  環境の変化に応じて3〜5年ごとに変える。

  一般に言う「戦略」とは、中長期的な行動計画であり、「経営戦略」は環境の変化
  に対応し、企業の基本的な行動形式を変えていきます。

  ビジネスの拡大を図るには、「なにを、だれに、どのように」提供するかという点に
  ポイントを置き、成功のための軸を定める。

  自社の魅力をいかにお客様に訴求するかという点にポイントを置き「あなたの強
  み」を固める。

   営業戦略(最も重要)

  ①明確なターゲット層を決める

  ②新規開拓なのか既存客への単価アップなのかを決める

  ③どのような方法で攻めるのかを決める 

   情報戦略

   ①何の情報をどのように蓄積するのかを決める

  ②その情報をどのように共有するのかを決める

  ③情報をどのように営業に活かすのかを決める 

   財務戦略

   ①どの程度稼ぐのかを決める

  ②どの程度コストを削減するのかを決める

  ③資金繰りについて決める 
  
  戦術 

  戦略を実践していくための具体的な方法をテーマごとに検討し、決定していく。

  ここで大切なことは、策定する戦術が戦略に沿ったものであるかを十分に確
  認することです。

  どんなに素晴らしい戦略を策定することができても、それが適切に戦術に反
  映されなければ意味がありません。

  正しい戦略が策定され、かつそれが適切に戦術に展開された場合のみに戦
  略は成功するということになる。

  また、最初は適切な戦術の展開がなされていても、途中のやむを得ない戦術
  変更などで、それが崩れることもある。

  そのため、戦略と戦術の整合性については、定期的に確認する必要がありま 
  す。

  戦略に従っていかに人、組織を動かしていくか。

  営業戦略実現のための適切な組織営業体制やマネジメントの仕組みを言う。
    
   中期経営計画(必要性と策定手順)

  年度経営計画を積み重ねたものが、中期経営計画ではありません。
  3年後、5年後に実ることだけをやる。

  日常業務に追われているから大きく考えることができず、予測が難しく、できない
  ときだからこそ必要なのです。

   ・無駄をなくすため

   ・意欲を盛り上げるため

   ・必要な人材養成のため

   戦略を具体化、スケジュール化して実現可能性を高めるのに必要である。

  行動計画の策定にあたっては、実効性が高く、確実に進捗をチェックできる形に
  することを心がける。

  行動計画の実施にともなって発生する費用や投資、そこから得るべき成果につい
  て数値計画に反映させる。

  中期経営計画は企業の命。

  計画がなければ、ますますムダが多くなって変革にはついていけないし、周到な考
  慮と討議がなければ、お先まっくらのその日暮らししか送れなくなってしまいます。

  経営戦略に沿って行動し、目的を達成することで達成可能な計画となります。

  建築に例えると、完成予想図が経営目標に相当し、建物の基本設計にあたるの
  が経営戦略であり、詳細な施工図や工程表が経営計画だと言ってよいでしょう。

  計画に実効性を持たせるためには、計画の実施に携わるメンバーが具体的にな
  にをすべきか理解していることと、適切な進捗管理によって施策の確認・見直しを
  繰り返すことが重要です。

  実行可能な計画を立てるためには、

   (1)明確なゴールを決める

   (2)ゴールに至る取組施策を描く

   (3)その道を進むために用いる道具や材料(営業ツール)を明確にする

   (4)ゴール到達までのスケジュール

   (5)役割分担を明確にマンパワーではなくチームで活動する
   
  年度経営計画 

  営業会社である限り継続した収益確保は当然ですが、無計画で場当たりな活動か
  ら収益確保を行おうとすることが問題なのです。

  経営計画作成の中で数値(目標数字)にだけ目がいきがちですが、達成のための
  根拠が欠けている計画書が多数見受けられます。

  経営計画作成にあたって、あなた(会社)は事業の全面否定と再構築を基本とし
  ます。

  過去のやり方を一旦全面否定し、否定しきれないものが自社(店)固有のノウハウ
  であり、良さです。

  まず、現在の自社(店)の姿を明確化する事から始まります。
   ・現在の状態を明確化することは、きわめて重要。

   ・現在の状態は、その時点の営業成果や商品特性を認知することが必要。
    さらに、能力と特性などを認識することも重要。

   ・あらゆる視点から自社(店)を分析し、そこから正確な施策(戦略シナリオ)
    を策定することが必要。

   ・目標(ゴール)の明確化。
    (目標とは目的を明確化したものであり、目的を達成したことが認知できる目
    印である)

  中期経営計画と整合性のとれる年度計画(予算)とすること。

  放置すれば目減りする売上見込額と成長に向けた施策の効果を考慮した売上
  予算とすること。  

  売上目標の考え方

  旧来どおりの活動の繰り返しでは、通常は前期の売上を維持できない。

   持続的に成長していくためには、上積みを生み出すための狙いを定めた施策が
  必要である。

  現状の自社のコスト構造を把握し、固定費と変動費を区分する。

  業績を安定させるには、人件費を含めて固定費の水準を引き下げ、変動費化
  を進めることが効果的である。

  計画の実現化

   実現させるためには、常にPlan(計画・目標) ⇒ Do(手段)⇒ Check(点検) 
   ⇒ Action(修正)を繰り返す。

   社員各自の自発的管理がしやすい環境づくりが必要である。

   一番大切なことは経営者自らが経営理念に基づいて有言実行すること 。

 

実効可能な行動計画書の作成と留意点 


  結果を生む計画をどのようにつくればいいのか?

  一言で計画といっても様々な計画を立てる必要があります。

  まずスローガン

  これは今年度の目標を短い言葉で宣言したもの。

  このスローガンは、数ヶ月後に覚えているかどうかはともかく、多くの会社で決定さ
  れています。

  スローガンは計画の方向性を示すものとして、計画策定の第一歩になるものです。

  次に立てる計画は、財務計画。

  「今年は売上を40%増にする」という年度目標をまず作ります。

  そして月次の財務計画を具体化していく。この財務計画も多くの会社で作られて
  いるはずです。

  行動計画は具体化されているか

  あいまいになってくるのが、行動計画です。

  行動計画とは、上記の財務目標を達成するためには、営業は何をすればいいか
  という計画です。

  「売上を40%アップにするためにどのような計画を立てるのか」を考えてみると、
  「40%増の売上を上げるために、今年はどんな行動をする計画があるか」です。

  計画が画餅に帰してしまう原因は、前年より40%増の売上を上げるために、去
  年の40%増しでがんばるといった笑えない話になってしまうのです。

  売上を40%増にするには、営業活動自体も40%増にしなければならないであろ
  うことです。

  去年と同じことをしていて、売上が40%増になるというのは、奇跡が起らない限り
  ありえません。

  目標を達成していくためには、いかに不要な仕事を排除していくかをいつも考えて
  おくことです。

  我々はどうしても日常行動の中では、重要なことよりも緊急なことを優先させが
  ちです。

  その結果、本来やらなければならない重要な仕事をないがしろにしていることが
  よくあるのです。

  行動を起こす前に、もう一度その仕事を今する必要があるか否かを振り返ってみ
  る必要があるのです。

  行動計画をキチンとつめていかないと結果はでません。

  売上を40%増にするためには営業としては、様々な事項を決定していかなければ
  なりません。

   *新規顧客をどれだけ獲得しなければならないか。

    新規顧客数を獲得するため、過去の成約率を前提とすれば、商談に持ち
    込む見込客がどれだけいなければならないか。(どのくらい)

     どの商品で見込客(集客)するのか。(何を)

        上記の見込客をどのように集めてくるのか。(どのように)

   *既存客からどれだけの増収を得られるのか。

     新商品を導入するのか。(何を)

     商品毎の増収目標はどうするのか。(どのくらい)

     キャンペーンを何回すればいいのか。(どのように)

  上記は一例ですが、行動計画は、疑問の余地を挿まないほど、具体的になって
  いる必要がある。

  行動が具体的であればある程、堂々巡りの議論がなくなり、もくもくと行動をするこ
  とができることになるのです。

  具体的な行動計画ができると、あとは計画書にかかれた行動を毎日、規則的に
  こなしていけばいい。

  行動を確実に行うことにより、計画が実現に近づくのです。

  例えばスポーツ選手を例にとってみても、オリンピックにでるという目標があれば、
  目標をクリアするためのトレーニングプログラムをまず作ります。

  そしてプログラムを毎日規則的に進めていきます。

  トレーニングしなければ、気合や根性だけでは結果はでないのです。

  営業も全く同じで、行動をしなければ計画は達成できなません。

  自分の行動を管理し、効果的な成果を上げていくためには、自分自身の価値を時
  間給に置き換えて知っておく必要があります。

  大雑把な把握の仕方ですが、自身の給与÷250(年間稼動日数)÷10(1 日当た
  りの労働時間)=自分の時給

  常にこの時給と今やる仕事内容とを比較し、損か得か考えてみることも大切です。

  行動計画の優先順位の設定

  行動計画表は、財務計画表と一対のものとします。

  すなわち、行動計画表に書かれた行動をしていけば必然的に、財務計画が達成さ
  れるように作りこんでいくのです。

  月次の行動計画表は1年分を作る必要はありません。

  なぜならば多くの場合、行動の結果により得られたデータによって、行動計画自体
  を随時修正していく必要があるからです。

  実際の計画は2〜3ヶ月を目安にするのがいいでしょう。

  計画の実行をさまたげる3つの要因に対する対策

  行動計画ができても、実際に行動に移さなければ結果はでません。

  その大きな原因を3つあげると、

     1)忙しくて実行する時間がない

     2)スケジュールの遅れに気付かない

     3)計画自体を忘れてしまう

  「忙しくて計画を実行する時間がない」は典型的な言い訳であり、大抵の場合、
  やらなくてもいい仕事に時間を費やしているために、本当に重要なことができなく
  なっているのです。

  営業マンの一日を見れば、ほとんどの場合、社内と顧客とに振り回されているの
  が実態です。 

  行動計画の目標が売上の増加であれば、当然のことながら、マーケティング活動
  に時間をかけなければなりません。 

  しかし1日のうち、マーケティングを行う時間はどのぐらいあるでしょうか?

  一般的に営業マンは労働時間のうち、収益に直結する活動は10%以下
  いわれています。(8時間労働であれば収益に直結した活動は48分)

  つまり90%は会議、書類整理、移動中といった時間であり、収益に貢献すること
  がない時間なのです。

  計画的に中身の濃い営業に時間を割くようにしなければ、業績の向上、目標達成
  は画餅と帰してしまいます。

  そのためには、次の3つの活動(マーケティング)に営業マンが費やしている時間
  を計測することです。

   ・優良な見込客を継続的に集める活動(集客:見込み客開拓)

   ・集めた見込客を成約に向けて効率的にフォローする活動(新規開拓

   ・既存顧客から最大限の収益を得る活動(アップセル、クロスセル

  計測すると大抵は、いかに収益に関係ない活動を多くしているかに愕然とするこ
  とでしょう。

  そこで思いきって必要のない仕事は滅らして、徐々に本来の営業に費やしていく
  時間を増やさせるのです。

  実際に収益を生む活動時間を計測することで、生産性を大きく改善することがで
  きます。 

  このように営業活動を計測することは、場当たりな行動を排除することです。

  営業が科学である所以はここにあります。


  何を、どうする(目的、目指すべき水準、数値目標をたてる)
    ↓
  どうやって(目的を達成するための具体的な手段・施策)
    ↓
  なにを用いて(手段遂行のために投入するヒト・モノ・カネ・時間など)
    ↓
  いつまでに(成果をあげるべき期日および進捗を確認するタイミング)
    ↓
  だれが(手段を責任もって遂行する人とそれを支援する人:役割分担)

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経営方針書・経営計画書

経営方針(計画)発表会


  ■経営方針(計画)発表会の意義

   新年度を間近に控えて、来期の経営計画策定や中期経営計画の見直しを急いでいる
   会社も多いでしょう。

   これらの計画は策定するだけではなく、会社全体の行事として「発表会」を行うことで、
   計画の一層の浸透や社員の一体感の醸成につながります。 

   そのため多くの会社で経営計画発表会が行われていますが、なかには「せっかく発表会
   をしたのに何も効果がなかった」と感じている社長もいるようです。

   また、一度このように感じた社長は翌年から開催そのものを取りやめてしまうケースも
   少なくありません。

   ここでは、経営計画発表会の意義と開催までの手順、当日の効果的な進め方について
   紹介します。

   1.経営計画発表会で「区切り」をつける

     私たちは元日や自分の誕生日などの節目のときに「今年こそはこうしたい」と
     いう新たな決意をもちます。

     それまでの1年間を振り返り、できたこと、できなかったことを再確認し、フレッ 
     シュな気持ちでスタートを切ります。

     また、自分を支えてくれている人への感謝の気持ちを改めて感じる人も多いで
     しょう。

     会社経営においてもこのような「区切り」をもつことはとても大切です。

     苦しい経営環境が続く昨今だからこそ、全社員が「来期こそは」と頭を切り替え
     ることが必要です。

     そして、その場としてもっともふさわしいのが年に一度の経営計画発表会で
     す。

     私も多くの会社の経営計画発表会に同席したが、発表会終了後には社長も幹
     部も一般社員も皆やる気に満ちた顔をしていました。

     そして、自分たちが「支えて支えられている」ことを確認し、一層の連帯感が生
     まれています。

     経営計画発表会は年に一度、全社員が自社の現状とめざすべき姿を確認し 
     合う絶好の機会であり、会社行事のなかでも最重要といえるものです。

   2.社長にとっての経営計画発表会

     では、社長にとって経営計画発表会とは何でしょうか。

     それは「自分は会社や社員をこのような方向に導いていく」という決意と約束
     の表明の場に他なりません。

     「自分は腹を括っている」という姿勢を全社員に直接示すということです。

     そして、経営計画発表会は考え抜いてつくり上げた自社の中期経営計画業計画
                「社長だけの羅針盤」から「社員全体の羅針盤」に変えていく場でもあります。

     社長の頭の中だけで経営計画を考えているうちは、多少あいまいな部分が
     あっても目をつぶっておくことができます。

     しかし、それを社員全体の羅針盤として提示するためには、「なぜ自分(社長)
     はこうしたいと思うのか」、そして、「なぜそれができると思うのか」なども含めて
     クリアにしておく必要があります。

     このように経営計画発表会は社長にとって強い決意を示す場であり、経営計
     画をブラッシュアップする(せざるを得ない)ための絶好の機会ということができ
     ます。

   3.社員にとっての経営計画発表会

     社員たちは自分の生活の多くの時間を会社で費やしています。

     そして多くの社員は今後も会社と共に歩んでいこうと考えているでしょう。

     彼らが自分の人生について真剣に向き合うためには、自分の現場だけではな
     く、会社全体の現状や今後の計画についても理解しておく必要があります。

     朝礼などで社長が話す機会を設けている会社もありますが、そのような場では 
     時間も限られており、話題もその時々の問題などが中心になりがちです。

     経営計画発表会は、社員が会社と社長の考えについて、体系的に話を聞ける
     数少ない機会です。

     特に普段社長とあまり接する機会のない一般社員にとっては唯一のチャンス
     といえるかもしれません。

     また、会社への理解を深めるために社員の家族を発表会に招待する会社もあ
     ります。

   4.外部関係者にとっての経営計画発表会

     経営計画発表会には、来賓として主要取引先や金融機関などの外部関係者
     を招くことも有効です。

     彼らに社長の思いや経営計画を十分に理解してもらい、自社の「応援団」に 
     なってもらうことは今後の付き合いのなかで重要です。

     また、来賓代表に挨拶をお願いし、社員に自社が外部からどのような評価を
     受け、どのような期待をされているかについて分からせることで、社員の動機
     づけにもなります。

  □発表会の準備

   経営計画発表会の準備は以下のような手順で行います。

   1.社長による開催表明

     社長自身が全社員に対して経営計画発表会開催を表明します。

     その際には発表会開催の目的や発表会に全社員が集うことの意義などにつ
     いても説明します。

     たんに「我が社でも経営計画発表会を行うことになった」という伝達ではなく、
     「自社の将来のためには絶対に発表会が必要である」という強いメッセージを
     打ち出します。

   2.プロジェクトチームの発足

     発表会の準備、当日進行を受け持つプロジェクトチームを発足します。

     責任者は経営幹部のなかから任命しますが、プロジェクトメンバーは複数の異
     なる部門の若手社員中心に構成し、一体感のある発表会につなげます。

     具体的には以下のようなメンバーを選出します。

      ・プロジェクトリーダー

      ・当日の進行役(司会者)、タイムキーパー

      ・会場設営責任者

      ・当日配布物準備責任者

      ・プロジェクターなどの操作係

      ・写真・DVD撮影などの記録係

      ・来賓受付担当者

     プロジェクトメンバーに対しては、社長から発表会の狙いや伝えたいことなどを
     直接説明し、発表会成功への十分な動機づけを行っておくことが必要です。

   3.開催日時・場所の決定

     (1)日時

       ・新年度スタート日にできるだけ近い日に設定する

       ・原則として全社員が参加可能な日を選ぶ

       ・外部からの来賓を招く場合は先方との調整も必要

     (2)場所

       ・自社会議室で開催できない場合は貸し会議室等の利用を検討する

       ・リラックスして話を聞けるようなできるだけ広いスペースを確保する

       ・会場設営や各種機器チェックなどの準備や後片付けなどの時間も考慮し
        た予約が必要

       ・発表会後に懇親会などを行う場合は別途手配する

   4.社員配布用経営計画書の作成

     経営計画発表会では社員に計画書を配布し、それを説明しながら会を進めて
     いくのが基本です。

     計画書は今後1年間社員が手元に置いて毎日のように見返すものですので、
     計画書の内容をいかに分かりやすく、かつ充実させるかが大きなポイントとな
     ります。

     装丁についてはコピーなどでも構いませんが、厚紙の表紙をつけるなど「特別
     感」の演出も必要です。

     なお、経営計画書は社外秘資料ですので、表紙などにその旨を明記します。

     また、1部ずつ通し番号を振って、どの社員に何番の計画書を渡したかの管理
     も行いましょう。

     社員配布用の経営計画書は次のような構成が目安になるでしょう。
      1.社長メッセージ

      2.経営理念、経営方針、行動指針

      3.前期の振り返り

      4.長期ビジョン、中期経営計画

      5.今期全社事業計画

      6.今期部門別事業計画

      7.個人計画記入用フォーマット

     営計画を社員一人ひとりの目標や行動に結びつけるためにも「7.個人計画記
     入用フォーマット」を必ずつけ、発表会終了直後に本人に記入させましょう。

     具体的な記入項目としては、
      ・3年後の自分の姿(保有能力や会社での役割などについて)

      ・今期の自分の重点目標、キャッチコピー

      ・「これだけは達成します」という宣言

     などが考えられます。

       経営方針書作成マニュアル(手順書)についてはこちら

  □経営計画発表会のプログラム例とポイント

   1.プログラム例

     経営計画発表会当日のプログラム例は次のとおりです。

     あらかじめタイムスケジュールをつくってタイムキーパーは時間管理を徹底し
     ます。

     経営計画発表会のプログラム例(発表者)
      1.経営理念 雀宮方針 行動指針 前期スローガノ唱和(全員)

      2.開催宣言(司会者)

      3.来賓紹介(司会者)

      4.社長メノセーノ(社長)

      5.経営理念 経営方針 行動指針解説(社長)

      6.前期総括と健営計画発表(社長)

      7.各部門の前期総括と部門計画発表(部門長)

      8.各種表彰式(司会者)

        ・業績功労社員  ・永年勤続社員  ・社長特別賞

      9.内定者紹介(司会者)

     10.社員代表による決曹表明(社員代表)

     11.社長による総括(社長)

     12.閉会宣言(司会者)

   2.社長発表部分のポイント

     上記の「プログラム例」より、社長の発表部分のポイントについてまとめます。

    4の「社長メッセージ」
    発表会開催にあたっての社長の思いや、今後の計画を考えるうえで、あらかじ
    め社員に理解して欲しいことなどを説明します。

    発表会全体の基調となる部分であり、社員に確実に伝わるように十分な時間を
    取ります。

    具体的には次のようなことについて説明するとよいでしょう。

     ・事業計画発表会の意義、開催を決意した背景

     ・会社創業または自分が社長を引き継いだ当時の思い

     ・創業から現在までの沿革、主要な出来事、業績推移

     ・会社運営に対する社長の考え方、覚悟、決意、社員への感謝の気持ち

    5の「経営理念経営方針行動指針解説」
    経営理念は「自分たちはこうありたい」という会社の存在意義を示したもので、 
    長期ビジョンや中期経営計画、単年度計画などすべての経営計画策定の基礎
    となるものです。

    そして、理念実践のためにどのような考え方で事業に臨むのかを示したのが
    「経営方針」であり、より業務に近いレベルでの社員の行動を規定するのが「行
    動指針」ということになります。

     ・経営理念(会社のあり方):自分たちの会社はどのような存在であるべきか

     ・経営方針(事業のあり方):理念実現のためにどのように事業を行うか

     ・行動指針(行動のあり方):理念実現のためにどのように行動するか

    これらについて会社によっては「経営理念はあるが、経営方針や行動指針にあ
    たる部分が不明確」ということもあると思います。

    経営計画発表会を機にぜひ策定しましょう。

    また、日頃から経営理念の唱和などはしていても、そこに込められた思いなどに
    ついて十分に理解できていない社員もいるでしょう。

    経営計画発表会のなかで社長自身の言葉で改めて解説します。

    経営理念が今回発表する各種経営計画のなかでどのように反映されているか
    についての発表も必要です。

    さらに理念実現のために社長自身が日頃からどのように考えてどのように行動
    しているかについても説明しましょう。

    6の「前期総括と経営計画発表会」
    前期の業績や社内の状況などを総括し、「会社全体が今どうなっているのか」と
    いう振り返りとともに、「会社はどこへ向かおうとしているのか」という経営計画に
    ついて発表します。

    特に次の点については詳細な説明が必要です。

     ①前期の経営計画と実績対比
       目標未達事項についてはその要因分析も必要。
       売上利益等の計数面だけではなく、方針面の計画実績対比も行う

     ②前期の経営計画にはなかったことについての成果と反省
       期中で発生した計画外の事項についての振り返り

     ③現状および今後の自社の経営環境
       世の中全体の景気・経済、市場動向、顧客動向、競合動向、技術動向など。

       客観的視点だけではなく、それを社長がどう感じているかという視点も必要  
       (何をチャンスととらえ、何を危機ととらえているのか)

     ④長期ビジョン

       「将来的には会社をこのようにしたい」、「社員にはこのような生活をさせて
       あげたい」といった社長の強い意志を示すことが大切。

       また、ビジョン実現までの数年ごとのステップを設定するなど実現までの道
       筋を示して社員に可能性を実感させることも重要

     ⑤中期経営計画

       今後3年間程度を対象期間として長期ビジョン実現のために何をどのように
       やっていくかという明確な方針を説明する。

       営業力、商品力、組織力などの分野ごとに分けて説明すると分かりやすい。

       自社のどのような強みをどこまで伸ばすかという戦略を示すことが重要

     ⑥今期事業計画

       長期ビジョン、中期経営計画を踏まえた今期の事業計画について会社全
       体、部門ごとに詳細に説明する。

       社員が数値目標を「ノルマ」ではなく、長期ビジョン実現のための第一歩とし
       て前向きに捉えられるような動機づけが重要

       なお、発表内容は社員が十分に理解できるように、丁寧に表現することが
       基本になります。

       社長が日頃から経営幹部陣と議論するうえでは「当たり前」になっている前
       提条件についても、発表会当日に初めて経営計画を目にする社員の多くは
       それを知りません。

      たとえば、新規事業進出の計画があるのならば、「どのような新規事業に進 
      出するのか」ではなく、「なぜ  新規事業進出が必要なのか」から説明しなけ
      ればなりません。

      11の「社長による総括」
      各部門長からの部門発表を受け、社長が発表会全体を総括します。

      部門長や社員たちへの期待、発表会で感じた社長自身の新たな決意を表明
      します。

   3.各部門長による発表のポイント

     各部門長は自部門のメンバーに対してだけではなく、出席している全社員に
     対しての発表を心掛ける必要があります。

     自分の発表を他部門のメンバーにも理解してもらい、全社的な一体感の醸成
     や全社経営計画推進につなげることが大切だからです。

     具体的には次のような点がポイントになるでしょう。

      ・自部門の業務内容、全社経営計画のなかでの役割などを示す

      ・前期の振り返り、反省点を明確にする

      ・明確で分かりやすい方針や数値目標を示す

      ・これだけは絶対にやり抜くという必達事項を表明する

      ・他部門への感謝の気持ちを示す

      ・発表時間を厳守する(他部門の発表時間を奪わない)

   経営方針(計画)書作成手順と経営方針(計画)書発表会詳細

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経営方針書・経営計画書

実行可能な年度計画

実行可能な年度計画
 

  ■実行可能な年度計画策定  

   場当たりな経営から羅針盤経営を着実に根付かせるためには、社長自らが
   『事業経営とは』を理解し、根気よく従業員に啓蒙していかなければならない。

   中小企業の多くが経営計画を立ててはいるが、頓挫してしまっているのが実態です。

   なぜでしょう?

   主な原因は

    ①目標が理解できていない

    ②具体的な行動計画がない(目標数値が単に数字の羅列に終わっている)

    ③結果の検証ができていない(数字の検証だけで終わっている)

    ④計画自体に実現の可能性がない(目標計画が願望だけで立てられている)

   経営計画達成の鍵となるのは実行のプロセスを継続して実施していくことです。

   そのためには各プロセスを日常活動につなげてアクションプランの各段階が進め
   られているか管理、見直すことが不可欠となります。

  □年度計画を個人別アクションプログラムにまで落とし込む

   年度計画をつくっても、社員の一人ひとりが真剣に取り組まねば意味がありません。

   年度計画と自己の目標を別ものと考えている風潮もよく見受けられる。

   つまり目標に対して「こう不景気では目標は有名無実です」とか「どうせ達成できない
   のだから、のんびり行こう」など、目標に対しての執念が喪失し、無力感が生まれて
   くる。

   しかし、同じ目標未達でも、努力し尽くした未達と、何もしない結果としての未達とでは
   中身が違う。

   これは、経営基盤が「強くなるか、衰弱していくか」の違いとなり、今後の成果が大きく
   異なってくる。

   したがって、今一度目標に対して原点に戻ることが肝要な時と考えるべきです。

  □管理の基本に戻る

   管理とは、計画(目標)→組織化→実行→調整→検討・評価・反省のサイクルを繰り
   返しながら、当初の目標を達成していくことです。

   加えて管理力が強いとは、次の状態をいう。
    ・立てた目標を達成する力があること
    ・計画通り物事を遂行する力があること
    ・目標達成の障害になっている点(問題点)を見つけ、解決する能力があること
    ・水漏れを防ぎ、活動を充分に利益に結集する能力があること

   そのためには、管理の第1ポイントである計画(目標)についての基本を今一度見直す
   べきでしょう。

  □不況期の年度経営計画の基本

   不況期の経営計画立案の基本は、次の点が肝心となる。

    ・前年の反省、未達の真因をとことん分析し、共通認識するとともに、年度計画
     に組み入れる(全社、部門、個人)。
    ・計画(目標)は個人別アクションプログラムまで落とし込み、かつチェックできる
     仕組みをつくる。

        全社年度経営計画(書)…1年単位
              ↓
        部門別方針実施計画(書)…上期・下期単位
              ↓
        個人別アクションプログラム(書)…四半期単位

     これらのポイントは、以下の通りである。

  □全社年度経営計画(書)の作成ポイント
   年度経営計画(書)の作成は、次の点を強調していく(◎は掘り下げる)。

    1.経営理念

    2.平成○○年度基本スローガン

    3.情勢分析

      (1)対外的情勢分析

      (2)対内的情勢分析(反省・真の原因・課題)◎

    4.平成○○年度基本方針

      (1)基本方針

      (2)基本戦略

      (3)組織・体制

    5.利益計画

      (1)全社利益計画(P/L)(部門別、主要商品別などを含む)

      (2)全社貸借対照表(B/S)

      (3)労働生産性などの目標数値◎

    6.投資計画
      (1)設備投資・技術開発投資
      (2)マーケティング・開発投資
      (3)人材開発投資◎

    7.全社年間実施計画(戦略投資スケジュールなど)◎

    8.全社行事(方針発表会、社員旅行など)

  □部門別方針実施計画(書)作成のポイント
   部門別計画は、全社計画に基づき作成するが、上半期・下半期に分けてより時間を
   細分化してマネジメントするのがよりよいでしょう。

   作成するのは全社計画表に準じるが、特に販売部門は、戦略面についての、きめ
   細かい構築が必要です。

   たとえば、重点地域、重点得意先、重点商品の明確化、さらには新規開拓目標など

   があります。

   そのほか、製造部門はコストダウン目標であるし、開発部門は開発計画とそのスケ
   ジュール化、管理部門は経費削減や間接部門の生産性向上などです。

   なお、各部門共通して充実すべきことは次の2点である。

    ①目標と昨年実績が大きく乖離する場合は6ヵ月差額対策(戦略、戦術)を
      より具体的に明示すること。

    ②部門構成員の目標はもちろん、その他共通役割(会議司会や議事録作成な
      ど6ヵ月先行で担当を決めておくこと)の確立である。

  □個人別アクションプログラム

   3ヵ月単位(四半期)で作成する。

   特に部門別方針実施計画を細分化し、担当者別の役割、課題、目標および3ヵ月以内
   に達成すべきテーマについては90日間(3ヵ月)のスケジュールを明確にして、構成
   メンバーの責任意識を強化する。

   たとえば、ルート営業マンであれば次のようにである。
    ◎月別・得意先別・商品別売上計画および差額挑戦行動計画(商品別、得意先別)
    ◎新規開拓目標および行動計画
    ◎標準月間訪問予定計画(たとえばAランク月間訪問頻度4回・滞留商談時間
     25分、Bランク……など)
    ◎その他目的別行動計画

   ある消費財メーカーでは、過去2年の減収減益の原因の一つに、営業マンの自主
   性を重んじるあまり、放任営業になっていたことを反省、全社方針、部門方針を個人別
   アクションプログラムにまで落とし込んだ。

   ある大手業務用品商社では、今までの月別、担当者別、得意先別販売計画に商品別
   計画も導入した。

   そして「得意先別・商品別販売計画」および6ヵ月先行差額挑戦計画を加味。

   従来のやり方より、さらにきめ細かいマネジメントを行っている。

   いずれにしても「一律、全般管理」から「個別・項目別細分化管理」で水漏れを防ぎ、
   年度計画作成プロセスとチェックプロセスで、精神的にも緊張感を高めていく。

  □日常業務の体系化を推進
   単にものをつくるだけ、売るだけの企業は淘汰される。

   ソフト、サービス面での付加価値をつけていかなければならない。

   その視点に立って中小企業をチェックしてみると、ソフト化、サービス化、システム化
   以前の問題点が多く見受けられる。

   具体的には、

    1.幹部を含めて一匹狼、バラバラ職人集団意識が強く、組織についての考え
      方やその構成員としての役割認識が不充分である。

    2.自分の仕事は充分こなしているが、その内容は本人しか分かっていない。

    3.仕事が体系化されておらず、異動や退職によって新任者が来ても、一からや
      り直しである。

    4.無目的、無意識、惰性による仕事で毎日を過ごしており、そこには仕事内容
      をよくしていこうという改善意欲も不足している。

    5.そのために全般に仕事の効率化が不充分である。

   などである。

   今大切なことは、組織運営の重要性を認識し、各人の業務をまず体系化し、また幹部
   は体系化能力を磨くことです。

   その体系化の主なポイントは以下の通りである。

    1.目的を明確にする
      何のために業務を体系化するのか。

      それによる期待すべき内容は何か、などを充分に理解しておくこと。

      そうでないと体系化したままで活用がなく、無意味な作業となってしまう。

      また、そのやり方のポイントは、
       ・単純化、標準化、専門化(3S)
       ・時系列化
       ・定量化・定性化
       ・重点順位化
       ・相互関連化
      などが考えられる。

      ある中堅消費財問屋では、新任の部課長のマネジメント能力が不足していた。

      自分で売るのは上手でありプロでもあるが、自部門の掌握や業績管理、特
      に日々の管理が不足していた。

      そこで下記項目について重要な点を一定フォームにより記入、前任者、上司
      が、チェックとアドバイスを行った。

      その結果として、各項目をチェックリスト化し、幹部は毎日の出勤時からの業
      務が体系化されたため、モレ、ムダ、チェック忘れなどが少なくなり、会社とし
      てマネジメント力が大いに向上した。

    2.幹部の職務を体系化(事例)
      まず次の項目で職務内容を明確にする。

       ①部課長の必要条件
         ・技術知識
         ・専門知識
         ・性格、健康、年齢的条件

       ②管理責任の範囲
         ・業績
         ・建物、設備、機械、器具、工具
         ・什器、備品、車両、その他
         ・製品、原材料
         ・得意先、仕入先
         ・部下、他部門

       ③幹部としてなすべき日常の管理業務
         ・管理業務内容
         ・管理基準
         ・管理のカン、コツ、ツボ

       ④毎日見るべきデータ、帳票、書類
         ・押さえるべき急所、ポイント
         ・例外処理の要点

       ⑤上司への報告事項
         ・だれに、いつ
         ・毎日、毎週、毎月、毎年

       ⑥幹部としてつくるべき管理資料、統計
         ・用途、作成上の留意事項
         ・関連資料

       ⑦出席する会議と、そのために準備すべき資料
         ・会議名、開催時期
         ・作成すべき資料

       ⑧日常業務遂行上の重要書類
         ・非常持ち出し書類
         ・官公庁届け出関係文書
         ・技術、特許、ノウハウ、図面

       ⑨法的規制を受ける事項と法律名、所轄官庁

       ⑩職場の作業安全上留意すべきポイント

       ⑪部下掌握、指導上留意すべき事項

      このように日常が体系化、標準化されていると、業務遂行上のカン、コツ、ツ
      ボ、ポイントなどが、ソフト化、サービス化に対しての突破口にもなる。

      上記企業においても、問屋業としての小売店活性化のノウハウづくりに、こ
      れらが大いに役立ったこともある。

      まず業務は分散から統一へと、一度は集約されねばならない。

      その意味で計画的に体系化を推進させましょう。

  □営業体制を再点検
   年度計画の一番の推進者は営業である。

   仕事がどんどん入れば、企業は活性化し、多少のムダがあっても業績は上がる。

   多くの企業の実力は、バブル不況に伴う度重なるリストラで弱体化している。

   その中でも顕著なものは、営業力の弱体である。

   自力で頑張っていたと思った営業部門であったが、実はフォローの風を満帆に受けて
   いただけだった。

   従って、アゲインストになると今までの努力不足のツケが回ってくる。

   例えば、

    1.注文は買い手の方からするものと思い込んでいる入社3〜4年までの営業
      マンたち
    2.今までは売り手市場で「売ってやっている」の姿勢が、買い手市場になっても
      まだ改善されていない営業集団
    3.納期は自社中心で相手の立場を考えなくなった営業体質
    4.組織営業よりも個人プレーの自己中心主義営業マン
    5.訪問件数や訪問頻度の低下と情報収集力や活用の不足

   などの現象が見受けられる。

   今こそ企業は、自社の営業力を再点検すべきと考える。そのポイントは以下の通り
   である。

    1.損益分岐点操業度からのチェック
      変換期、減速期には、まず競争激化、それも価格競争中心の営業が展開さ
      れやすい。

      その結果として粗利益率(限界利益率)が必然的に低下し、損益分岐点操業
      度が悪化する。

      それに続いて売上高の低下が発生し、さらに経営を圧迫する。

      また、人件費や営業経費の支出が粗利益(限界利益)や売上高に対して相
      対的にバランスしなくなる。

       損益分岐点売上高=固定費/限界利益率

       損益分岐点操業度=損益分岐点売上高/売上高

      従って各企業は、過去1〜2年にさかのぼって毎月損益分岐点操業度の傾
      向チェックが必要となる。

      具体的には、
       ①粗利益率(限界利益率)②売上高 ③固定費と、可能な限り細分化して算
       出し、現状がどうなのかをチェックすることが大切である。

    2.粗利益率(限界利益率)のチェック
      粗利益率(限界利益率)は商品力を示している。

      そのために企業としては商品力の強い商品を戦略的に、意図的に積極販売
      する必要がある(今までは営業マンは売りやすいものだけ売っていたケース
      が多い)。

      そのためには商品の売上高ABC分析や粗利益率ABC分析、そして構成
      比、交差比率、貢献度ABC分析などを複合的に行い、自社としての重点商
      品を重点販売する体制を至急再整備しなければならない。

      そしてその売り方(狙うべき客層、売るべき価格、商談条件、商談トークなど)
      を標準化する。

      加えてロールプレイング(売り方訓練)を行う。

      そして営業幹部はこれら重点商品を重点的にマネジメントするのである。

    3.売上高のチェック
      商品分析と同様、売上高についても得意先別ABC分析(得意先別商品別
      分析)、地域別・拠点別、担当者別ABC分析などを行い、昨年比、目標比な
      どのチェックやライバル比較を行う。

      そして重点得意先(重点地域)重点訪問や、訪問頻度、一日当たりの訪問件
      数など営業の原点に立ち返り強化する。

    4.固定費のチェック
      伸張した人件費(労務費)が削減出来ないとすれば、一人当たりの生産性
      チェックが必要である。

      社員一人当たり月間売上高、月間粗利益(限界利益)、年間経常利益に加
      え、一日当たり、一時間当たりの単位生産性チェックを行う。

      人件費と同様、上昇著しいのが物流費である。

      この分野は今までも第3のコスト源といわれながらも製造や営業にスポットラ
      イトが当てられ、会議での発言も最終に近い順番、つまり社内ポジショニング
      が低かった。

      しかし現在は逆転しつつある。

      まず自社の物流費(在庫、社内物流、対外物流)の実態チェックから始まる。

      資料が不充分ならば整備もする。

      そして物流工程分析により、どこに「ムダ、ムラ、ムリ」があるかを発見する。

      必要なことは、戦闘、戦術分析から入らず、戦略的つまり大きいダラリから
      チェックすることだ。

      今までのやり方の延長では、業績が低下するのは当たり前となってきた。

      今一度原点に戻り、営業体質を見直そう。

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