小規模企業の生き残り策

               


■目指すべき最強の経営
 日本企業は、これまでの価値基準を大きく変えるべき時代を迎えている。
 右肩上がりの市場構造を前提とすることを捨て、新たな「おとなの価値観」「熟成された
 信念」を自らの哲学として再構築しなければなりません。

 欧米企業のベストプラクティスを必死にやり続ける時代は、とうに終幕しているのです。
 独自の哲学、独自の理念を再構築しなければならない。
 安くて良質な製品は、東南アジア諸国にとってかわられている。

 付加価値があり、良質な企業としてのブランドが必要なのです。
 ブランドとは、単なる記号ではない。エルメス・ヴィトン・プラダ・シャネルは、単に
 デザインがいいから、時代のトレンドにのっているから人気があるのではないのです。

 ブランドを築き上げてきた哲学・理念・戦略があるからです。
 歴史があり、文化があるのです。
 難しく考える必要はありません。

 日本にも「暖簾(のれん)」という言葉がある。
 まさに暖簾イコール、ブランドです。
 ヒット商品という単発のホームランを出すのではなく、連続してヒットを出し続ける
 イチローにならなければならないのです。

 そのために、企業は、戦略を超えたあるものをマネジメントしなければならない。
 環境の変化を見極め、常に危機感を持ち、先手先手を「仕組み」として、「仕掛け」と
 して展開し続けられる体質に変わらなければなりません。
 そのあるものこそ、「企業の遺伝子」です。

□企業遺伝子と企業のDNA
 人間の遺伝子とチンパンジーの遺伝子は、約97%が同じもの。
 残り3%で、人間かチンパンジーかの差が出るそうです。
 この3%の遺伝子中のさらに1%で、人種が決まり、ピアノがうまいか、サッカーがうま
 いか、歌がうまいか……が決まる。
 遺伝子の組み合わせは、約10万通りあるそうです。
 これらの「組み合わせ」と「組み合わせの組み合わせ」を解析することが、DNA解析です。
 それでは、この生物の遺伝子と企業の遺伝子の対比を行って、企業遺伝子の定義をして
 おきます。

 遺伝子は、DNAという物質の中にある情報。
 そのDNAは、細胞の核の中にある。
 その細胞が、生物の各種器官をつくっている。
 筋肉・骨・皮膚・内臓・爪……。
 それらの集合体が、固体です。

 その固体の同類的「種」が、人間でいえば、「霊長類ホモサピエンス」となるのです。
 では、これを企業に当てはめてみましょう。
 今の逆をたどる。
 種=企業そのもの。固体が、あるトップのもとでの一定期間の企業。

 つまり、種は、企業の誕生から衰退・死までの大きなライフサイクルを持った一つの
 企業全体。
 固体は、一つの世代(10年くらいを平均とするが、業種によっては、25年もあれば、
 2年もありうる)の企業。

 この構成する器官が、組織の機能。
 つまり、企画・研究・開発・製造・営業・物流など。
 細胞は、人材。
 DNAは、企業内の情報として蓄積された企業理念・企業システム・企業戦略・会議
 体系……という形・形式をはめるとわかりやすい。

 そしてその中にある遺伝子とは、これらの形の中に書き込まれた情報単位。
 企業哲学・企業価値・行動指針・企業文化・社風といった価値基準=情報単位が、企業
 遺伝子の本質です。

 つまり、企業遺伝子とは、企業の存続・発展・衰退を規定する企業内人材の中にある価値
 基準という情報単位です。

□ビジョン遺伝子が企業をつくる
 企業遺伝子にも様々あり、より高い次元のもの、より根源的なもの、より表面的なもの、
 より戦略的なもの、より戦術的なもの、より現場レベルなもの……。
 これらをビジネスヒエラルキーの軸で、大きく3つに階層化した。

 ミッション&ビジョンにからむ情報単位=企業遺伝子を「ビジョン遺伝子」とし、戦略&
 計画のカテゴリーに分類できそうな企業遺伝子を「スキル遺伝子」、そしてより現場に下りた
 管理&業務領域を「スタイル遺伝子」としました。

 最上位の企業遺伝子であるビジョン遺伝子は、大きく分けて、企業の「ミッション=理念」と
 「ビジョン=目標」の2つのカテゴリーに関わる企業遺伝子=情報単位をまとめてビジョン
 遺伝子としました。

 ビジョン遺伝子は、創業期の存在意義、企業価値が重要な意味を持ちます。
 勿論、中興の祖によって、新たなミッション&ビジョンが再設定されるケースもあります。
 しかし、多くの企業は、その創設・創業の時に、企業の理念・哲学が、決まっています。

 問題は、その企業理念や哲学をどう浸透させ、どう進化させるかです。
 ビジョン遺伝子は、理念&哲学系、目標系に大きく分けることができます。
 企業遺伝子で
 最も重要であり、最も経営の枢軸を規定するものであり、最も創業者・トップの存在が影響
 します。

 ビジョン遺伝子のレベルが、その企業の寿命を決めることになるのです。
 スキル遺伝子は、理念や目標というよりも経営方針レベルの遺伝子。
 つまり、コア・コンピタス(中核的競争力)、基本戦略、個別戦略、事業計画レベルでの
 企業遺伝子が、スキル遺伝子といえるのです。

 三階層の最後が、スタイル遺伝子。
 これは、ビジネスヒエラルキーでいえば、「管理」「業務」というレイヤーになります。
 つまり、現場のことです。

 朝礼を毎朝実施する企業もまだまだ多い。
 理念の唱和、社歌の合唱、ラジオ体操の実施、朝の3分間スピーチ……。
 そのタイプは色々です。

 日本企業の「同一価値求心性」「会社人間育成マシーン」「個人ビジョンは会社のビジョン
 の中に」といった、今では懐かしく、恨めしくさえ思える仕組み。
 これらも立派なスタイル遺伝子だ。

□トヨタ遺伝子は「緊張!」にあり
 トヨタ・カンバン方式の原作者である大野耐一氏は、「カンバン方式の本質は、 “緊張!”
 にある」と語っている。
 つまり、ある生産ラインの中でトラブルが発生したらそのラインは、すべて止める。

 そして、何がトラブルの原因か?どのプロセスに問題があるか、をチームで解析し、
 チームで解決策をみつけ、実行する 。
 全員が緊張するのです。

 他のチームにも迷惑がかかるからです。
 だから、短時間に解析・解決策・実行のサイクルが回る。
 トヨタは史上最高の利益を上げてもベアゼロ回答。
 強者であっても絶対に傲らない。

 NO.1でも絶対に、安心しない。
 勝ってもなお、兜の緒を締めなおす。
 ビジョン遺伝子・スキル遺伝子・スタイル遺伝子が、一気通貫で「緊張!」に収斂している。

 問題意識・危機意識・当事者意識の三意識が、トヨタの遺伝子として、いたるところで
 みることができます。
 トヨタが、もし厳しい状況になったとすれば、それはスタイル遺伝子にほころびがみえた
 ときです。
 トヨタのトップは、このことを十分に知っている。
 「緊張!」こそが、トヨタの変革遺伝子であることを。

□生き残るためのベンチャー遺伝子
 企業遺伝子とは、人材という細胞の中に深く刷り込まれた企業存続に関わる情報単位です。
 悪玉も あれば、善玉もあります。変革遺伝子です。
 そして、この善玉遺伝子と変革遺伝子のクロスしたものが、ベンチャー遺伝子という
 ものです。

 ベンチャー遺伝子とは、一体何なのでしょうか?
 リスクを顧みない勇気。失敗を考えない大胆さ。成功をひたすら信じる自信。「社会を、
 市場を変えてやる!」という高き志。 「大金持ちになって大きなビジネスをどんどんやって
 いくぞ!」という見栄。新しいビジネス、新しい技術を創造するクリ エイティビティ。
 人に使われたくないという自立心。

 渋沢栄一、小林一三、五島啓太、本田宗一郎、松下幸之助、井深大、稲盛和夫、牛尾治朗、
 ヘンリー・フォード、
 アンドリュー・カーネギー、ビル・ゲイツ、トーマス・ワト ソンJr.……みな小さな
 会社のベンチャー遺伝子からはじまっているのです。 
 ベンチャーは、冒険ではない。リスクを顧みないことでもない。失敗を恐れないことでも
 ない。
 リスクや失敗が生じるのは結果論です。

 大金持ちになるのも、大成功するのも、 大きな組織に成長するのも……すべて結果なのです。 
 ベンチャー遺伝子の本質は、「主体性」です。
 ビジョンは、主体性から生まれ、主体性を形にしたものが、ビジョンです。
 「新しいビジネスをやりたい!」「新しい価値を創りたい!」「世界一になりたい!」
 「誰も知らない未知のものを創り上げたい!」……。
 これらはすべて主体性からはじまるのです。
 自立も自律も主体性があってはじまるのです。

□致命的な病の中小企業病 
 小さいからベンチャー、大きいからベンチャーではないというのは、本来、おかしい。
 ベンチャースピリットだけみる限り、中小企業や中堅企業以上に、大企業に勤める人たちに
 ベンチャースピリットをみることが多い。

 一般的には、ベンチャー企業と中小企業の区分は、「独自の技術」「独自のサービス」
 「独自のビジネスモデル」があるかないかに置かれているのです。
 独自性があるとベンチャーで、独自性がないと中小企業になるという区分です。
 ベンチャー遺伝子が「主体性」にあるとすると、企業規模は、無関係。

 「護送船団方式業界には、させない!」と雄たけびをあげて、清く正しく美しい競争関係
 にある市場で、正々堂々と闘っている大企業には「主体性」があり、ベンチャー遺伝子も
 多く存在しています。 
 中小企業は圧倒的に数が多い。
 中小企業は、市場における競争優位性によって生き残っているというよりは、顧客との
 関係性によって存在・成長するという構図ができているケースが多い。

 だからこそ、大企業以上に、中小企業のほうが、ベンチャー遺伝子を育てるのは難しいのです。
 もちろん、まっさらな状態から、明確なる意志と主体性を持って、新しい技術やサービスや
 ビジネスモデルで起業するベンチャーには、当然ベンチャー遺伝子は、満ち溢れています。 
 大企業病ということも論じる必要がありますが、中小企業病というのも論じる必要があります。

 大企業のほうが、新しい技術・新しいサービス・新しいビジネスモデルを展開しやすい。
 経営資源が豊富だからです。
 変化の大波にさらされている総合商社の中には、ベンチャー遺伝子が、そこかしこに転がって
 いる企業も多い。
 というより右から左に商品を動かして得る口銭ビジネスモデル自体が、既に終焉を迎え
 つつあるのだから、危機感がないはずがありません。

□生き残るヒントは京都にあり 
 中小企業が健全に発展・繁栄を続け、今日に至った京都の企業には、比較的ベンチャー
 スピリ ットを持った企業が多いことにお気づきでしょう。
 オムロン・任天堂・三洋化成・ローム・京セラ・村田製作所・堀場製作所・ワコール・
 島津製作所・日本電産といった有名どころもベンチャー遺伝子に溢れています。

 何故に、京都にこのようなベンチャー遺伝子があるのか? 
 それは、京都に1200年以上の歴史があるからです。
 しかも、その歴史の中で培った伝統工芸技術が牽引しているのです。
 遺伝子には、歴史と伝統が不可欠と前にも述べました。
 しかも伝統といっても保守的な伝統ではない。
 本質を尊守し、価値を磨く伝統です。

 環境の変化を先回りし、小さな変革をし続けない限り、真の伝統は守れないのです。 
 稲盛和夫氏もよく、 京都にある数百年続いている漬物屋さんの話をする。
 この数百年の伝統は、日々のほんの少しの変革によって築き上げてきたというのです。
 人の味覚は、時代・季節・天候によって微妙に変わる。

 この変化を知り、先回りしてはじめて同じ味(=価値)が出せるという意味です。
 こういう店・工房が、京都には多いのです。
 同じことを同じように守っていても伝統は生まれない。
 環境の変化を知って、変化を創らなければ伝統にはならない。

 京都には、このようなベンチャー遺伝子が、街中に多く染みついています。
 たとえ業種・業態が違っても大事なことは、遺伝子として残せるのです。
 変革を積み重ねてこそ伝統が生まれる。 
 企業に求められるベンチャー遺伝子は、京都にヒントがあります。

□人を育てるのではなく人が育つ土壌をつくる 
 ベンチャー遺伝子は、創業期にその大半が誕生します。
 しかし、変革を重ねないと悪玉遺伝子にとってかわられてしまう。
 したがって、企業遺伝子の見極め、コントロール、変革遺伝子の培養・育成が必要になる。 
 「人材を育成することが、トップの最重要な課題だ!」とよくいわれるが、それは、少し違う。

 いい人材を育てる前に、いい遺伝子を守って、変えて、進化させなければならないのです。
 変革遺伝子やベンチャー遺伝子が培養・育成される組織ならば、自然にいい人材は生まれるし、
 育っていきます。 
 トヨタ・ホンダ・ソニー・花王をみているとこのことがよくわかります。
 勝手に育っている優れた人材が多い。 

 人材以上に、人材という細胞の中に埋まっている、埋まることになる企業遺伝子が、重要
 なのです。
 ト ップは、人材育成よりも企業遺伝子の育成・進化が最も重要な仕事なのです。
 ビジョナリーカンパニーとは、「時を告げるのではなく、時計をつくる」(ジム・コリンズ)
 企業です。
 遺伝子経営も同様です。

 いい種を育てるのではなく、いい種が育つ畑をつくることが、遺伝子経営なのです。 
 換言すれば、次世代を担うリーダーは、育てるのではなく、リーダーは、いい遺伝子を
 持って育つのです。
 自社の企業遺伝子の存在を知らずに、悪玉遺伝子の増殖を抑え切れなかった会社は、
 どんどん市場から退場している。

 生き残りは、日々の遺伝子の変化を見極められるかどうかにかかっているのです。
 一日一日の変化は小さいが、それはある日突然にやってくるのです。
 小さい変化をなおざりにする企業は、ある日突然、死を迎えることになるのです。 
 大企業と比べて、小さな環境の変化を比較的知りえる立場にある、中小企業の社長は、
 「主体性」を持ち、変革を積み重ねて伝統を築いていただきたいと願っております。
 

 

成果主義のマネジメント

■成果主義のトップマネジメント
 成果主義の徹底を言いすぎると、社員は「会社が冷たい」と感じてしまい、モチベーションは
 低下してしまいます。
 マネジャーは、社員にそのように感じさせないよう気を配る必要があります。

 しかしながら昨今、多くの企業においてそういった気配りができていないケースが多い
 のではないでしょうか。
 ここでは、個人業績の成果主義経営を展開するに当たり、ややもすれば殺伐としがちな
 人材育成、人間関係づくりについて、トップマネジメントの注意すべきポイントを述べて
 いきます。

□朝令暮改、ダブルスタンダード
  「時代の変化が激しい昨今、朝礼暮改は当たり前だ」と言わんばかりに、自分の発言を
 すぐに翻す社長はいないだろうか。
 変えて良いものと悪いものがあることを、きちんと分かった上で言っているのでしょうか。

 そうした「不易流行(ふえきりゅうこう)」を理解しないまま、軽々しく発言している
 ように聞こえることが多々見られるように思います。
 自分で決めた「ルール」をコロコロと変えたり、ビジョンや方針として掲げた「戦略」を
 その場の思い付きで変えるといったことは、社員や部下の不信を買うだけです。

 変更に至ったプロセスを、社員はしっかりと見ています。
 なぜ急に変更したのか、前から考えていたことなのか、それとも単なる思い付きなのか。
 社員は、トップや上司の思い付きには従おうとは思わないものです。
 「付き合おう」と思っているのです。

 だからイヤイヤの行動になるし、効果も上がらない。
 逆にマイナスとなってしまいます。
 社長や幹部が1人で秘策を練っていたとしても、その判断基準が社員と同じであれば、
 唐突感はあまり感じないはずです。

 社員が「また社長の思い付きが始まった」と感じるのは、社長の価値判断基準が社員とは
 異なっているということに他ならないのです。

 また、「自分の客に甘く、部下の客に厳しい」「自分の使う経費には甘いが、部下の
 使う経費には厳しい」「自分の行動はいい加減だが、部下の行動は厳しく管理する」
 「自分ができないこと、やったことがないことを平気で部下に命令する」などはダブル
 スタンダードであり、部下の信頼を失います。

 これを平気でやるトップや上司が本当に多い。
 コンサルティングにおいても、各会社で目撃できます。
 恐らく本人たちは自覚していないのでしょう。

 これらの誤りの大きな原因は、1つには結果しか見ていないということが挙げられます。
 そのため、部下が客に譲歩してしまった、余計なコストを発生させてしまった、行動が
 予定通りにいかなかったということが、すべて許せなくなるのです。

 プロセスを理解していれば、交渉内容や部下の努力、環境変化による不可抗力などを把握
 することが可能となり、理不尽な判断をしなくなるはずです。
 もう1つの原因は、部下への不信です。

 部下を信用・信頼していない上司が多い。
 口では「信じている」と言いながら、実際にはそうでない場合が多い。
 失敗して当たり前と思って信頼し、任せるべきです。

□「叱る」と「怒る」、他責化(評論家)
 部下が失敗したり、指示通りにできなかったり、お客さまに迷惑をかけた時は、すぐに
 「叱る」べきです。
 「怒る」のではありません。

 ところが感情的に怒鳴り散らす上司がいます。
 部下との人間関係を自ら壊したいのであれば別ですが、「怒る」は管理者として最悪の
 対応です。

 大事なことは、部下の人格を否定しないことです。
 人格否定は「会社に来なくていい」と言っているようなものです。
 同僚もフォローできないような痛手を与えてしまいます。

 部下のプライドを傷つけないことも大切です。
 部下は自信をなくすと、仕事の質も低下してしまうからです。
 次に、部下の努力を認めること。

 頑張ることは本当なら当たり前のことなのだが、それができていない社員も多い。
 当たり前のことをやり遂げたのなら、結果が出ていなくても褒めることがポイントです。
 努力を認めて褒めるには、当然ながら部下のキャラクター(性格)を把握しておかなければ
 ならない。

 どういう趣味があるか、どういうことに興味を持っているか、何が得意なのか、といった
 さまざまな情報を収集しておく必要があります。
 「最近の若者は食事に誘っても応じてくれない」などとボヤいているだけではダメです。

 嫌がるのを無理に連れ出すのは良くないが、積極的に情報交換を図るべきです。
 一方、自社の業績や社員のことを他人事のように話すのもいけない。
 客観的な視点を持つのは大いに結構だが、あくまで自分のこととして話さなければならない。

 「業績が悪いのは社員の働きが悪いからだ」などとは、口が裂けても言ってはいけません。
 業績は、リーダーの指導力で変わるのです。
 「自責化」ができているかを常に自問自答し、自分が何をすべきかを追求するのがリーダー
 です。

 答えに至るのを焦ってはいけない。
 すぐには見つからないからこそ、迷い、苦しむのです。
 社員が社長と一体感を感じられない理由として、社長が評論家のように話しているケース
 もあります。

 自社のことを他人事にように話していないか、チェックしてみてほしい。
 社員の前では「うちの社員は優秀だ」と言いながら、取引先の前では「うちの社員はダメ
 社員ばかりで…」と言っていると 、いずれ社員にバレます。
 気持ちは伝わるものです。

 「うちの社員はダメ社員」と言う社長は「私の指導力は最低です」と言っているのと
 同じです。
 社長は常に、部下から「一緒に働きたい」と思われる存在でなくてはならないのです。

 よって、「自分はこんなに苦労している」「自分はこんなに大変だ」というコメントや、
 「自分はこんな勉強をしている」「自分はこんなことが得意だ」などという自慢ばかりで
 なく、「社員の○○は、こんなに努力をしている」「社員の△△は、こんな才能を発揮して
 いる」というコメントもすることです。

 部下は、自分の性格や苦労、努力を理解してもらっていると感じられなければ、「分かって
 もらっていない」と判断します。
 この共感に関する部分を、あまり理解できていない管理職やトップが多い。

 経営とは、トップの考えを働く人の協力を得て達成すること。
 人心の把握は重要なポイントであり、もっと真剣に取り組むべきである。
 逆に、共感だけが強くてもダメです。

 部下との距離が近すぎると、牽制ができなくなります。
 部下は「これぐらい構わないでしょ」「分かってくれるでしょ」と考え、マネジャーとの
 関係に馴れ馴れしさや中途半端さ、いい加減さが表れてしまう。

 部下によって、距離が近かったり遠かったりする状態も問題です。
 マネジャーは、あらゆる部下と均等の距離を保つ必要があります。
 「部下が近寄ってこない」「あいつは『報連相』ができていない」などと言い訳を並べる
 人もいるが、自分から近寄ることが大事なのです。

 部下からすれば、幹部や上司というのは心理的に近寄り難いものです。
 自分から飛び込んでいく気構えが必要です。
 ある年商200億円企業の社長は、部下を説得するために酒を持って自宅まで行くという。
 そこで、朝まで飲みながら話したとのことです。
 極端かもしれないが、このような社長の下で働く社員は幸せ者だと言えましょう。

□人材育成の捉え方
 1.注目されている人材育成

  さまざまな会社の経営方針づくりに参加しているが、業種・業態・規模を問わず、
  「人材育成」が経営の重要課題として見直されています。
  今、幹部・中堅・若手の全階層において、課題は山積みです。

  課題山積の要因は、過去の数年間にわたって人材育成に手が回らず、社員の質を向上
  させてこなかったためです。
  企業は、モノを作るのもモノを売るのも「人」であることに気付き、遅ればせながら
  差別化戦略のポイントとして人材育成に注目し始めたのです。

  行動力、特に行動する際のスピードにおいて、教育を受けた社員とそうでない社員では
  大きく異なります。
  生産性を上げたり、情報収集力・分析力を高めようとするならば、ビジネスの要諦や
  原理原則、知識を身に付けておく必要があります。

  大手企業だけでなく中小・零細企業でも、人づくりが企業の体力差となり、差別化に
  つながる時代となっています。

 2.育成をトップ方針に
  人材育成を部門方針にとどめていては、他社に差をつけるレベルには至りません。
  全社方針として、トップがリーダーシップを発揮しなければならない。
  どのような社員を求めているのか、どのような社員を育てたいのかが、全社員に伝わら
  なければダメです。

  人材育成の方針は、文書にするだけでは不十分で、常にトップが口にすべきです。
  社員は、トップが「本気」かどうかを注意深く見守っています。

  「うちは社員が一番の財産」「人材育成は常に最重要テーマ」などと言っておきながら、
  処遇や人事制度を見直さず、教育研修費用を出し惜しみ、社内研修も実施しないような
  会社が、実際は結構多いのです。
  コンサルティングの現場でも、そのような会社が半数以上を占めているのが実態です。

 3.多くの社員は勝手に育たない
  教育研修を実施しまいが、上司が部下の指導をサボろうが、育っていく社員も中には
  います。
  しかし、それは社員のごく一部であり、例外と言えます。
  教育研修を実施しない会社の多くは、この“例外社員”を持ち出してきます。

  「うちでも立派な社員が育っている」と。
  それはあくまで例外なのであって、優秀な社員はどんな環境にいてもある程度までは
  成長するものです。

  大多数の社員は、勝手には成長しません。
  手を掛ける必要があるのです。
  人が育つ環境を整え、機会を提供することが、企業にとって重要です。
  人材育成計画は、特定の社員向けにならないように作成すべきです。

□社員の成長を支える仕組み
 1. 理想の社員像の共有化
  人材育成計画作成の際、まず社員が目指すべき方向を明確に示します。
  どのような社員になるべきか、どのような能力を高める必要があるのかを具体化します。
  これを評価に結び付けたものが「スキルマップ」や「コンピテンシーモデル」です。

  方向を明確化する作業は、簡単なようで難しい。
  トップと現場では、考える社員像が微妙に異なるケースが多いため、スキルマップの作成
  には時間が掛かります。

  しかし、幹部社員全体で作成すれば、社員育成の前提条件である「理想の社員像」に
  ついてコンセンサスを得ることができます。

 2. 社員に選択肢を与える
  会社で働く目的、求めるもの、価値観は、社員により異なります。
  社員1人ひとりにふさわしい育成環境を整えようとすれば、各社員の能力や価値観に
  合った処遇制度、賃金体系を用意する必要があります。

  人材育成という目的に限らずとも、会社が社員の幸福を追求しようとすれば、社員の
  ライフスタイルに合った雇用体系や教育システムが必要となります。

  時間的制約(休日に対する考え方や育児などの事情)の格差が拡大しており、通信手段の
  発達で場所を選ばない仕事のスタイルが広がっていることから、いくつかの選択肢を
  用意することが望ましいでしょう。

 3.「才」+「徳」の育成
  近年では、「心」の教育の必要性も高まっています。
  コミュニケーションをとる目的は意思の疎通ですが、言葉のやり取りだけに終始して
  組織力が発揮できていないケースが出てきているからです。

  コミュニケーションの「第一ボタン」は、相手を認めることです。
  認めなければ受け入れることはできません。

  多くの部下と多くの難題に向かい合わねばならないリーダークラス以上の者は、受け入れる
  「器」を大きくしていかなければ、すぐいっぱいになってリーダーシップを発揮できなく
  なってしまいます。

  さまざまな技術を習得するのは当然大事ですが、「人となり」を磨くこともリーダー
  クラス以上には求められます。
  心の教育が仕組みとして存在しない場合は、そのためのプログラムを計画に組み込む
  ことが必要となります。

□評価制度との連携
 1.自己啓発の評価
  成長とは、ある時点と比べてどれくらい進歩したかです。
  よって、比較するものがあれば評価の対象にできます。
  スキルマップの点数や資格取得、論文や講演の数でも良い。

  自己啓発を社員自身に任せきりにしてはいけない。
  社員が物事を行う前に上司の承認を得ることとし、その際に上司は必ずアドバイスします。

  進め方や参考資料、参考図書、制限時間、チェック方法なども打ち合わせ、「協働の精神」
  を浸透させるのです。

 2. アウトプットの評価
  自己啓発にとどまらず、学んだことをほかの人に提供した場合も評価すべきです。
  社内研修会の講師を務めた、顧客向けセミナーを企画実施した、販促資料を新しく作った
  など、直接業績に結び付かなくても、自己啓発や受けた教育の成果を発揮した社員を評価
  するのです。

  育成計画中にアウトプットの日程を盛り込んでおくと、その日程が締め切りとなって
  実行力が高まる。
  「やらざるを得ない仕組み」をつくるのです。

  アウトプットの場を設けることも、人材育成の環境づくりの一部です。
  朝礼時に行う3分間スピーチや通常の会議も、やり方次第で教育の場となります。
  学んだことを分かち合う能力が高まると、改善力も向上します。

 3. 部下の指導育成を評価
  部下を持った管理職は、その指導・育成によって初めて役割が達成されるものとします。
  手柄を独り占めしたり、取引先を囲い込んだり、業務多忙を理由に部下を教育しない
  上司は、評価が下がる仕組みです。

  部下が全員、目標未達だったり、人事考課点数が半分以下であれば、上司の責任です。
  人事考課は部下の現状を知り、育成の方向性と手段を明確にするものだと認識すべき。

  これらの評価のタイミングも、計画の中に織り込みます。
  管理職のフォローや自己啓発のプロセスを計画化することで、会社としての姿勢も明確
  にすることができます。

□成果主義時代のコミュニケーション
 1. 無関心による阻害要因
  コミュニケーションの目的は「意思疎通」です。
  関係者の意図や目的を共有し、相手の真意を把握することが狙いです。
  しかし、「認識」まで至らずに「認知」レベルでとどまっていることがあります。

  「聞いているが、詳しいことは分からない」「そんなことがあるとは知っているが……」で
  済ませていないでしょうか。
  こうなってしまう第一の要因は、互いの「無関心」です。

  成果主義が個人主義に偏ってしまうと、どうしてもこのようなコミュニケーション阻害
  要因が発生します。
  これはリーダーシップが不足している時に発生しやすい。

  チームメンバー同士の交流をいかに図るかを考えるのも、リーダーやトップの役目です。
  難しい人間関係の調整を避けていると、「無関心」が進行してしまう。

 2.人間関係による阻害要因
  人間は感情の動物です。
  どうしても「好き嫌い」は避けられない。
  第二の要因は、好きな人同士はうまくコミュニケーションが取れるが、いったんマイナス
  の感情を抱いてしまうとコミュニケーションがうまくいかなくなる。

  特に信頼関係におけるマイナス感情は、致命的なコミュニケーションロスになる怖れが
  あります。

  リーダーは、メンバー間の人間関係に気を配る必要があると同時に、自分と部下の関係
  にも気を付けなければなりません。
  権力の使い方を誤ると、簡単に「不信」を買う。
  部下に「責任」を求めると同時に、自分の「義務」も認識しておく必要があります。

 3.仕組みによる阻害要因
  コミュニケーションのパイプは、目的が不明確になったり手段と目的が一致しなくなると、
  当然のことながら機能不全に陥ります。
  問題は、この機能不全のコミュニケーションパイプにかかわるメンバーらに大きな影響を
  与えるということです。

  参加メンバーの士気が低下していき、第一の要因である「無関心」を併発します。
  会議や打ち合わせは、それ自体が一定の時間を要するほか、準備にも時間がかかります。
  それなのに「無意味」だと認識されれば、問題が多発するのは当たり前です。

  会議という仕組みがあれば良いという考え方は改めるべきです。
  会議の回数や時間だけをもって、コミュニケーションが取れていると思うのは幻想に
  すぎない。
  逆に、マイナス効果だけを生み出している可能性すらあるのです。

□「無理なく、楽しく」できる制度の構築
 1. 習慣化のための手段
  コミュニケーションは「意識して」やるのではなく、「無意識に」できるレベルが理想
  です。
  よって、「無理なく、楽しく」できる制度を目指すべきです。

  まず「無理なく」できる制度としては、コミュニケーションパイプの種類に応じて、
  最適な手段・時間・回数を設定します。
  指示・命令はどのように行うのか、相談はどうするのか、報告の方法は、情報の共有化は、
  連絡の徹底は……など、通信手段や時間帯を決めていく。

  いずれにしても、モレがないように「ダブル」の手段を用意しておく。
  指示・命令は個別に出すだけでなく、社内掲示板にも記載する。
  報告内容は、上司だけでなく関係者全員に伝わるようにしておく。

  会議の決定事項は口頭と文書で確認し、欠席者への連絡は特に徹底して伝わったか
  どうかを確認するなど、メーン回路が何らかの事情により機能しない場合でも、補完
  できるようにしておく。

 2.精神面での配慮
  次は「楽しく」できる制度です。
  前述したように、感情への配慮が求められます。
  メールや電話、ファクスなどではどうしても意図が正確に伝わらず、すれ違いが生じ
  がちです。

  上位者は常に部下に感謝や配慮の気持ちを持って指示を出し、報告を聞く姿勢が求め
  られます。
  「指示通りにやって当たり前」「報告して当たり前」といった態度では、部下から「不遜」
  「尊大」と見られ、不信につながりやすい。

  相談しやすい関係(プライベートの相談を持ち掛けられるレベル)を築き、気楽に
  コミュニケーションを取れる関係になれば、すれ違いも起こらない。
  「電話したくない」「顔を合わせたくない」という心理が部下や後輩には起こりがちで
  あることを、上司・先輩は認識して、厳しくしたり優しくすべきです。

  信頼関係があれば、厳しくしても不信にはつながらない。
  上司であることは、信頼すべき対象であることとイコールではないと、肝に銘じておく
  ことです。

 3.回数をこなす
  コミュニケーションは、回数を重ねることによって効果を高められます。
  特に、認識や価値観の違いを修正することができます。
  信頼関係を損なうのも基本的には、回数の不足が原因です。

  率直に話し合えるミーティングは、短時間でも回数を増やした方が効果は高まります。
  悩み事も小さいうちに解決するためには、個別相談の時間を頻繁に設けて問題の共有化を
  図ることが大切です。

  何も会議のような場だけではありません。
  飲み会や家族を招いての食事会、旅行などを企画して、リラックスした環境で皆が意見を
  出し、話ができる機会をつくるのも効果的です。

  人事制度上の面談も活用します。
  目標設定・プロセス管理・賞与評価・昇格査定の時を活用し、会社としての考え、上司
  としての考えを伝えるとともに、本人の認識状況や希望を確認します。

□一方通行から双方向へ
 1.形式にこだわらない
  コミュニケーションは、実施することが目的ではなく、互いの意思疎通を図ることが
  目的です。
  したがって、「報告は部下からするものだ」「部下は上司の指示・命令に絶対服従である」
  という形式にこだわるべきではありません。

  すべては信頼関係が前提であり、新しい上司・部下の間に、肩書きや立場
を前提とする
  形式を主張するのはあまり意味がない。
  まず、上司が率先して部下に対する情報伝達を行うことです。

  「部下は3日で上を知り、上司は3年で部下を知る」のです。
  また「報告(相談)しやすい」と部下が感じることから始めるのが良い。

  「形式にこだわらない」、つまり「目的重視」を徹底することで、結果的にはコミュニ
  ケーションが活発化します。
  上司がそのような価値観を徹底していれば、上司が望む「形式」に落ち着いていくものです。

 2.共有化を目的に
  前述したように、コミュニケーションの目的は情報の「共有化」。
  権力と情報が集中すると、「中央集権的」マネジメントとなる。
  これは、赤字の立て直しなどのために強力なリーダーシップを発揮する必要がある時は
  効果的ですが、リーダーシップのない上司が実行すると逆効果となる。

  リーダーシップにいまいち自信がない(あるいは組織内で確立できていない)上司や
  トップは、まず「民主的」マネジメントを目指します。
  合議制です。
  コミュニケーションの手法が確立できていれば、スピードを遅らせずに意思決定する
  ことは可能です。

  いろいろな意見を聞けてメンバーの参加意識も高まるので、組織力が発揮しやすいという
  利点もあります。

成果主義時代のチームワークとは
 1.成果主義だから個人主義?
  成果主義への批判が続いていますが、多くの場合は次のような勘違いによるものです。

   ①成果主義を入れて、人間関係がギスギスした
   ②結果主義になり、「自分さえ良ければ」という雰囲気になってしまった
   ③高い目標を掲げなくなった
   ④会社への忠誠心が薄れた(終身雇用の崩壊に伴い)

  このうち③と④は、成果主義賃金とは全く関係ない話です。
  ③は目標管理の仕組みの問題であり、④は会社の理念・ビジョンの徹底ができていない
  ことによる使命感欠如の問題です。
  残る①と②について、勘違いの原因を探ってみましょう。

 2.なぜ人間関係が悪化するか
  よく「成果主義を導入して人間関係が悪化した」と耳にします。
  なぜ悪化するのだろうか。
  「他人のことを構っている余裕はない」「同僚もライバル」という状況を
 生み出すと、
  「自分のことだけ」という個人主義になってしまう。

  同僚が「仲間」でなく「敵」という位置付けになれば、協力もなければ話し合いもない。
  疑心暗鬼の中では、コミュニケーションも本音ではなく、建前に終始してしまう。
  「あいつだけには数字で負けたくない」というライバル心が、自分が伸びる方向でなく
  同僚の足を引っ張る方向に働くと、人間関係が悪化してしまう。

  これは、管理職のマネジメントが「競争」にばかり向いているからです。
  「あいつができて、なぜお前にできない」「ほかの部門はみんな黒字。
  うちの部門だけが赤字だ」などと比較しても、部下の士気は上がらない。
  「協働」の意識の中で、モチベーションを高めていかなければならないのです。

 3.ほかの制度との整合性は
  成果主義賃金制度が機能するためには、賃金制度の構築だけでは不十分です。
  運営能力を高めるためには、管理職のマネジメント能力の向上、中間管理職のマネジメント
  意識の醸成、一般社員のキャリアプランへの意識付けなどが必要になります。

  これらを実現するためには、社員教育を充実させるしかないのです。
  評価の面でも、組織やチームへの貢献度を評価する基準をつくっておく必要があります。
  立場やキャリア、職種によって、個人業績の評価と部門業績の評価のウエートを変える
  ことも重要です。

  各自の目標の中にも、個人の目標と組織(全社・部門・チームなど)における目標を
  作成させ、個人目標の達成だけでは、高い評価が得られないことを理解させることも
  必要となってきます。

□チームにおける役割を明確化
 1. 評価制度とのリンク
  前述の通り、チームワークを発揮させるためのモチベーションを高めるには、評価
  項目の中に、チームにおける役割が求められていることを明示しておかなければなり
  ません。

  中間管理職を含む社員には、「協調性」という定性評価の項目が必要となります。
  これは「同僚が忙しい時に、進んで手伝ったか」という項目です。
  管理職には「部下の公正な評価」の項目と「ナンバー2の育成」の項目が必要です。

  特に「ナンバー2の育成」は、部下の指導育成といったあいまいな表現ではなく、自分の
  後継者づくりをしているかを評価するものとします。
  自分が昇進するか、転勤するか、降格するかは別として、自分の後がまを育成する
  ことが管理職として求められる役割だからです。

 2.目標管理制度とのリンク
  求められるものが職種や立場によって違うのであれば、当然それぞれが掲げる目標は
  違うものになってきます。
  OJT(職場内訓練)における行動や、部下の指導育成についての具体的 行動は、数値
  目標と同様にしっかりと作成してもらいたい。

  同行する、勉強会を実施する、ロールプレイング(模擬体験)を実施するといった単純な
  ものではなく、同行によって何を覚えてもらいたいか、勉強会におけるテーマと進め方、
  その効果はどのように測定するか、ロールプレイングを実施して何を克服するかなど、
  上司やト ップが自分のかかわり方を細かく設定しておくことが求められます。

  個別対応ができる環境とし(1人の上司が20人も30人も管理することは実質不可能
  です)、1人ひとりの課題に合わせた指導育成の内容を明確化しておきます。

 3.上司・部下の面接における最終確認
  チーム力発揮のためには、「協働」意識が共有化されていなければならない。
  よって、十分なコミュニケーションが必要です。
  60分を1回ではなく、10分を6回というように頻繁に接触できる機会をつくります。

  言いたいことをため込んでしまうと、本音で話すまでに時間がかかるようになります。
  目標作成や評価の際に個別面談を実施して、しっかりとコンセンサスをとっておく。

□個性の発揮と融合
 1.今の時代に求められる個性とは
  個性というと、周りと異なる面ばかりがクローズアップされるが、個性を発揮するため
  にはチーム内の共通基盤、いわゆる基本動作が共有化されていなければならないのです。
  基礎となる価値観の共有化を前提として、その先に社員の個性の発揮が求められます。

  個性もユニークとか変わっているというのではなく、「独創性」がポイントとなります。
  どのような価値を創り出していくかが求められるのです。

  管理者は自分の価値観を押し付けるのでなく、部下の価値観を大事にしながらうまく
  軌道修正して自分の価値観に揃えていく必要があります。

 2.個性のぶつかり合いによる競争
  社内における競争とは、数値結果だけとは限らない。
  どのような価値を創造し、提供しているかということです。
  この点で切磋琢磨してもらう。

  互いの専門分野について教え合う風土が必要です。
  尊重し合えなければ、チームの信頼感は生まれない。
  何によって競争させるかも考えるべきです。

  絶対数で管理するのか、目標数で管理するのか。
  達成度で管理するのか、それとも成果物で管理するのか。
  競争の中では、各自のプライドや向上心、意欲、人間関係などに配慮する必要があります。

  チーム力を発揮させるはずが、プライドを傷つけて逆にモチベーションを下げないように
  しなければならない。

 3.プロ集団へ
  足の引っ張り合いではなく、互いが刺激し合う相乗効果で成長していくのが、プロ集団
  です。
  組織論では「野球型」「サッカー型」などと言われるが、いずれにしても求める役割を
  明確化して、その役割を発揮させることが、チームを引っ張る者の務めです。

  プロ野球における「プロフェッショナル論」にしても、「勝つ野球をする」から
  「見せる野球ができる」までさまざまです。
  自社の「プロ社員」に求めるものは何か。

  成果主義賃金制度なら明確化されているはずです。
  それをもう一度役割別に見直し、評価とつながっているかどうかを点検することが
  必要です。
 

 

ワンマン経営からの脱却

ワンマン経営からの脱却

■トップダウン経営とワンマン経営の違い
 トップダウンマネジメントを強化する際には、いわゆる「ワンマン経営」に陥る可能性も
 あるので注意が必要です。
 トップダウン経営とワンマン経営、イメージとして似ているような気もしますが、実は
 まったく異なるものです。

 表は多少強調した部分もありますが、トップダウン経営とワンマン経営について、わかり
 やすく対比したものです。
 ワンマン経営は、実は会社がうまくいっている時期には、社長にとっても社員にとっても
 非常に「楽」なやりかたです。

 極端にいえば、「社長は好き勝手して、社員は何も考えずに適当に流す」というスタイル
 でも会社は回っていくからです。
 このような会社では、「マネジメントスタイルを切り替える」ことをどれだけ早く社長に
 納得してもらえるかが、会社改善のスピードを大きく左右します。

 しかし、会社のなかにも、残念ながら結局ワンマン経営から脱却できずに、事業継続が
 できなくなった会社も多数あります。
 最初のうちは、そんな社長のやる気や手腕に対する社員の信頼も厚く、また社長もそれに
 応えるべく頑張ります。

 しかし、業績好調が逆にアダとなって、社長のワンマンぶりが目立つようになります。  
 社員は社長への信頼をもてなくなり、単に「社長というポジションにいる人」に対する
 「恐れや遠慮」によって指示に従うだけになります。

 それでもしばらくの間は大した支障もなく、会社は回っていきますが、やがて急速に売上が
 落ち始めることになります。
 そしてすでに業績は悪化し、とてもそれまでのワンマン経営ではもたなくなってしまいます。

 自分自身では正しいトップダウン経営をしているつもりでも、ワンマン経営に陥ってしまう
 可能性は誰にでもあるのです。
 そして、いったんワンマン経営が当たり前になってしまうと、基本的には社員は誰もそれを
 指摘できなくなります。

 気がつくと取り返しのつかない状況になっていることが多いのです。
 この点は、特に注意する必要があるでしょう。

□ワンマン経営から組織経営への切り替え
 1.組織経営推進の7つのポイント
  創業来続けてきた経営スタイルを変えることはむずかしいことではあるが、規模の
  拡大に伴ない組織経営へ移行せざるを得ません。
  組織経営の本質は、トップが“部下を通じて業績をあげる”ことにある。

  スタートから製造、販売、資金繰りと一人でやって来た社長にとって自分がやって来た
  ことを人にやらせることは不安に違いない。
  組織経営に移行するために、次のことを実行します。

  (1)組織運営
   組織運営とは次のことをいう。
    ①指示命令系統を明確にする
     社長が直接、第1線で指示、命令することなく組織図に従って幹部を通じて
     行なう。
     1人の人間が指示を受けるのは唯一人、即ちワンマンワンボスの原則である。

    ②会議体系の確立
     会議が社長のワンマンショーであったり、単なる連絡会でなく出席者全員が
     自由に意見を述べ、全員の総意を反映した上で、最後に社長が決断を下す。

    ③規則、規定、マニュアルの重視
     社長自身がルールブックであってはならない。
     あらゆる判断や行動を律する成文化された規則が必要である。社長に必要
    なのは高度な経営戦略上の判断である。

  (2)意思決定システムの確立
   一つ間違えば会社の命取りになる様なこと、例えば、
    ・資本取引(土地の取得や売却、借入など)
    ・経営上の重要事項
    ・外部との契約
   などは社長が決断するが、日常の運営上のことは機関決定をする。
   ワンマン社長によくあるのが、社長が現場に来てひとこと言ったことが決定であり、
   幹部はあとで部下から聞くというスタイルす。
   これでは幹部の自主性は育たない。

  (3)権限の委譲
   人間が完全掌握できるのは、5人までだと言われる。
   例えば、100人の会社だと5人の部長と25名の管理・監督者が必要になる。
   社長から順次下へ権限を委譲することによって、社長は間接的に100人の社員を
   統轄することができます。

   権限委譲で大切なことは、
    ・事前の相談
    ・事後の報告
   が不可欠である。

   したがって報告ぐせのない人に仕事を任せることは出来ない。
   社長は事前に相談を受けるから、自分の意見も言うことが出来る。幹部の価値観と
   社長の価値観が全く一致したとき、完全に任せるということもあり得るのです。

  (4)オープンマネジメント
   組織の中で、役職の上下の差は情報量の差です。
   役職の上位の者ほど部下より多くの情報を持ってなくてはならない。
   部下と同じ情報量しか持たない幹部は一般社員と同等であり、役職も名前だけ
   となるのです。

   最もオープンにすべきことは業績です。
   いきなり決算を公開するのではなく段階を経て、幹部から社員へと順次公開して
   いきます。

   注意すべきことは、決算書が読めるだけのレベルに達していない者に公開すべき
   ではない。
   経営会議等を通じて教育を施していきます。

  (5)部門制業績管理システムの導入
   ガソリンスタンドや外食産業のように店舗が分かれている場合は各店の業績が
   明確になり活性化し易い。
   企業特性に応じて業績単位が出来るだけ小さいほうが各人の仕事の成果がわかり
   易い。

   分ける単位としては、・地域別、工場別・得意先別、製品別・ライン別、工程別
   がありますが、チームで仕事をする製造業では部門別に分けるのがむずかしいが、
   最初何年間かは数字上にとどめ、納得性が得られた時点で成果配分に結びつける
   のがベターです。

  (6)計画経営の推進
   まず年度計画書の作成からスタートします。
   年度計画に慣れた時点で、自部門の目標と実践具体策を各人に立てさせる。
   各部門の目標数値の合計は会社の計画とイコールか、それを上回わるものでなけ
   ればならないから、何回かのキャッチボールが必要となります。
 

会社を成長させるための社長の役割

会社を成長させるための社長の役割

■会社の成長
 ほとんどの社長は、その強力なリーダーシップでこれまで会社を引っ張り、そして、今後も
 自らが中心になって会社を成長させていきたいと考えていることでしょう。
 しかしながら、たとえば、創業間もなく従業員が10人程度の時期と、50人程度にまで
 規模が拡大している時期とでは、社長が果たすべき役割は変わっていきます。

 企業は『環境適応業』といわれています。
 究極の目的である「永続発展」のためにも、常に内部環境・外部環境の変化に敏感で
 なくてはならないのです。

□環境適応を阻害する組織内の「エゴと甘え」
 1.組織は年功序列ではない
  「素直な人は伸びる」と故松下幸之助氏も言っています。
  素直な 人は、上司から指示されたらすぐに取り掛かり、分からなければ相談する。
  上司は安心して仕事を任せられるから、どんどん指示を出して期待する。

  本人は期待に応えるべく一生懸命取り組み、結果的にだれよりも経験と実績を積んで
  成長する。
  会社の中で一番伸びた人はどうなるでしょう。
  企業のトップになると考えるのが普通でしょう。

  素直な人は、自分を取り巻く環境を肯定的に受け入れて乗り越える 。
  どんな環境をも肯定的に受け入れるということは、なかなかできるものではありません 。
  降り掛かってくる環境に対して「変わってくれ」と祈ったり、うらんだり、変えられ
  ないのに変えようとすることもある。

  そうではなくて、厳しい環境も肯定的に受け入れ、真正面からぶつかって乗り越えよう
  と努力するのが、素直な人の生きる姿です。
  企業が生き残るには環境適応していくことが条件であり、企業のトップは社員のだれ
  よりも素直でなければその必要条件を満たすことはできません。

 2.上位者ほど厳しさ序列に
  環境適応するためには、己をしっかりと知ることが不可欠である。
  「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」のことわざ通りです。 
  ところが、自分を知ることは難しい。

  どうしても自分を見るときは甘くなるもので、 弱点を弱点と自身では認め難いものです。
  「自分を片目つむって見、他人を両目で見る」ようになり、 真実の自分を見えにくく
  しているのです。
  会社も同じです。

  他人の会社はよく見えるが、自分の会社は見えにくい。
  自分自身を両目で見られる厳しさが必要となるのです。
  自分に甘く他人に甘い、自分に甘く他人に厳しい、自分に厳しく他人にも厳しい、
  自分に厳しく他人に甘いなど、人のタイプはさまざまですが、会社をダメにするのは
  自分(自社)に甘いタイプで、会社組織を迷子にしてしまいます。

  しっかりと環境適応できるのは自分(自社)に厳しいタイプです。
  よって企業組織の序列は、上位者ほど自分に対する厳しさが求められる「厳しさ序列」
  が理想でしょう。

  環境適応できない企業の特徴としては、過去の成功体験に頼って今を変えられない人の
  エゴや、自分は変えずに環境の変化だけを期待する人の甘さとも言えます。

□成長する企業経営者の真の仕事

 1.社長にしかできない仕事、「組織の意思決定」
  (1)すべての仕事は 社長の私事からスタートしている企業は、1人から始めなければ
   何も始まらない、しかし、1人では何もできない。
   創業時はすべてが社長の私事であり、何から何まで社長がやっている。

   それから徐々に仕事が増えてくると、消化するのに 手一杯という状態になり、明日を
   生きていくための営業活動が疎かとなる。
   しばらくすると仕事がなくなって再び営業に歩き、そしてまた忙しくなると消化作業
   に追われて営業活動が疎かになるという繰り返しに陥る。

   だからなかなか企業の安定した業績を維持継続できない。
   企業の業績安定化を図るには、 営業活動を安定させなければならない。
   社長自身が1人で2役も3役もこなしていたのを、人を採用して消化作業をやって
   もらい、営業活動を毎日継続してできるように平準化し、安定させる。
   営業なくして経営なしである。
   零細企業の人材雇用はすべてここから出発している。

  (2)真の社長の仕事は「意思決定」
   経営とは「トップの思いを従業員の協力を通じて実現するもの」です。
   社長は直接仕事をするのでなく、 仕事をさせて思いを実現すること。
   しかし、中小企業はトップが率先垂範で営業したり、生産現場に立っているのが
   実態で、そうしなければ進まないというのも事実です。

   私事として始めた仕事を少しずつ社員に分担していった後には、「社長にしかできない
   仕事」だけが残るはずです。
   それが真の社長の仕事。
   真の社長の仕事とは、会社の 「意思決定」に尽きる。

  (3)成長する会社は部下が上司の仕事を取る、停滞する企業は上司が部下の仕事を取る
   社長が意思決定の仕事に集中できる環境をつくるには 、部下が上司の仕事を積極的に
   取っていく社風を目指すことです。

   それが良い企業、伸びる企業です。
   悪い企業、停滞する企業の 特徴として、上司が部下の仕事をしていることが挙げ
   られます。

   部下が上司の仕事を取るのは難しいが、上司が部下の仕事を取ることは権限を示せば
   極めてたやすい。
   部下が上司の仕事を取る社風があり、行動も伴う良い会社なら、「社員の成長が
   企業の成長」につながっていきます。

   社長が創業時と変わらず何から何まで口も手も出すような会社は、社員が成長できる
   機会を摘む結果となり、企業の成長が停滞してしまうのです。

 2.的確な意思決定は、正しい現状認識と価値判断基準から
  経営者の意思決定は企業の盛衰を左右するため、大所高所からの判断と勇気が求め
  られます。
  経営とは実践であり 、真剣勝負である。

  安易な意思決定によるミスは、取り返しのつかない大きなリスクとなって企業を危機に
  陥れるのです。
  意思決定は決断であり、判断とは違う。

  判断は材料があって決めるが、決断は材料がなくて決める。
  例えば、顧客アンケート調査を行えば、それをグラフ化して数値によって顧客ニーズ
  があるかどうかを判断することができる。

  しかし 、その顧客ニーズを受けて商品を開発するかどうかは、実際に発売してみな
  ければ売れるか分からないという状況下での決断が必要とされる。

  (1)正しい判断を導く3つの価値判断基準
   的確な意思決定を導くには、その前提として正しい現状認識の下で「考え方・行動
   ・数値」の基準に照らして正しい判断を導かなければならない。
   3つの基準は次のようなものです。

   考え方の基準=経営理念・経営哲学・企業使命感・仕事観・人生観・職業観
   行動の基準 =社員心得・職場規律・基本動作・作業標準マニュアル
   数値の基準 =中長期ビジョ ン・利益計画・販売計画・在庫基準

   これらに基づく判断を徹底し、基準と実績を比べたと きに敏感に反応しさえすれば、
   組織は環境変化に適応して生きていけるのです。
   これを実践することが管理なのです。
   基準が明確に設定さ れており、実績に機敏に反応できる組織は管理状態にあると
   言えます。

  (2)正しい判断に基づく意思決定でも成功率は30%
   社長はどんなにつらく苦しくとも、意思決定から逃れることはできない。
   社長が意思決定から逃げ、優柔不断な態度や言動を繰り返しているようなら、その
   会社の先行きは期待できない。

   意思決定の成功率は30%といいます。
   裏を返せば失敗率70%。
   あまりにリスキーな数字に見えます。

   しかし、勇気を持ってリスクに挑戦しなければ、企業の未来はない。
   一方で、経営者にはリスクを最小限に抑えるための卓越した行動力が求められます。
   「槍の名人は引くのがうまい」とは 、退く時はだれよりも早いということで「損切り」
   を指します。

   例えば 、新たに営業所を出したが3年経っても黒字転換できないといったような
   場合にさっと退く。
   新商品を出して1年経っても売れ行きが良くないために撤退する。

   失敗のリスク を最小限にとどめられるのは、社長の行動力がそれを決めるのです。
   社長の真の仕事とは「組織の意思決定である」と説明しましたが、それだけでは
   会社は成長しない。
   会社を成長させる社長の仕事は、顧客創造にほかならない。

□企業を成長させる社長の仕事、顧客創造
 成長する人材とは、上司の仕事を取れる人材、顧客創造できる人材です。
 社長に意思決定の仕事に集中してもらうためには、社員は主任の、主任は係長の、係長は
 課長の、課長は部長の、部長は役員の、役員は社長の仕事をできるものから取っていく
 社風づくりが必要だと説明しました。
 では、社長はだれの仕事を取るのか、それは「お客さまの仕事」です。

 1.幹部に昇進したら何をすれば良いのか
  ある会社の幹部研修会で、幹部を対象とする個別ヒアリ ングの時間があった。
  そこでは幹部が日ごろ抱えている悩みが上がってくる。
  ある幹部から「4月に課長から次長に昇進し、社長からも『次長の仕事をしてください』
  と期待の言葉をいただいたが、これまでの課長の仕事をこなしつつ次長の仕事をする
  ということで、『何を、どのように、どれだけ』やれば良いのか分からない。

  上には部長がいるし、どうしたらいいのでしょう」という相談が上がった。
  答えは簡単です。
  次長への昇進は「部長の仕事をやる権利」をいただいたのであり、「部長の仕事を
  しなさい」ということです。

  部長の仕事で自分にできる仕事はどんどん取っていく。
  意思決定を除く、部長の仕事をすべてできるようになったら、会社はいつでも部長に
  昇進させることができるのです。

  次長が部長の仕事を取るには、部長が本来の仕事をする上で阻害要因になっている案件
  を取り除くこと。
  簡単に言えば、部長が困っていることを解決してあげるのです。

  そのためには部長という仕事と、部長自身をよく知る必要があります。
  「こうすればもっと良くなるはず」と提案し、上司の満足を創造できるかがポイント。
  この判断ができる人材とできない人材の違いが、成長する人材と成長できない人材の
  差です。

 2.社長が顧客満足を創造できない会社は成長しない
  部下が上司の課題を取り除き、仕事を創造していく。
  このような社風は人材を成長させる。
  発展する会社は多かれ少なかれ、この社風を身に付けています。

  そうして最も成長した人材が、会社のトップになるのが会社にとって好ましいといえます。
  要は、会社のトップは顧客満足を創造する達人でなければならないということです。
  社長が顧客の満足を創造できる会社は成長するのです。

 3.駄目なのは小さい会社ではなく、成長していない会社
  お客さまは生きている。
  日々、進化しているのです。
  その環境に自社のベクトルを合わせることが環境適応業である会社の存続条件だから、
  会社も毎日成長し続けなければならない。

  良い会社を定義すると、「毎日、成長している会社」です。
  悪い企業は「昨日よりも悪くなっている企業」であり、企業規模の大小には関係ない。 
  今日、年商1億円であれば、明日は年商1.1億円の企業になれば、いずれは立派な
  企業になる「良い会社」です。

  たとえ100億円企業であっても、明日は99億円に下がる会社はやがて消えてなくなる
  「悪い会社」と言えるでしょう。
  顧客創造を怠れば商品は陳腐化し、売上げは落ち、粗利益も取れない。

  最終的には消えてなくなる運命にあるのです。
  企業が人類のために存続するならば、人類が進化し続けているように企業も永遠に
  成長し続けなければならない。

□社長の器以上に会社は伸びない
 「会社は社長の器以上には伸びな い」とよく言われるが 、器とは何かについて考えて
 みましょう。

 1.企業の価値の大きさで社長の器を測る
  人の器を測るモノサシは決まったものがあるわけではないが、その器以上に会社は成長
  しないわけだから、企業価値の大きさから社長の器を測ることができるでしょう。
  では、企業の価値とは何か?

  「会社はだれのためにあるのか」「自社の使命は何か」と考えれば、答えが見えてきます。
  企業の価値は「どれだけ多くの人の幸せに貢献したか」であり、モノサシは「どれだけ
  長く存続しているか」と「どれだけ多くの売上高を上げているか」だと言えましょう。

  したがって、社長の器とは「ど れだけ先のことを考えているか」と「どれだけ多くの
  顧客の幸せを創造しているか」ではないでしょうか。

 2.社長も貢献しながら育ち、育ちながら貢献する
  器は、現状がすべてではない。
  会社の成長は、社長の器が大きくなっている証拠です。
  中小企業の成長は90%が社長で決まると言っても過言ではない。

  よって会社の成長は、社長の成長と置き換えても差し支えないと思われます。
  そして経営者の能力とは「知っている」「分かっている」というレベルでは通用しない。
  実行を伴ってはじめて能力といえるのです。

  会社経営の実践を通じて、企業、あるいは社長と社員は、社会に貢献しながら成長し、
  成長しながら貢献していくのである。

 3.成長する経営者の条件と姿勢
  成長している会社こそ良い企業であり、そこには成長している経営者がいる。
  成長する経営者は、常に顧客満足を追求し、できるだけ多くの人の幸せに貢献する
  ことに情熱を燃やす人であり、実践・行動する人。

  「ビジョン」「パッション」「デシジョン」「アクション」が成功経営者の 四つの条件
  です。
  今、経営者として10点ならば、明日は12点になろうとする姿勢が大事なのです。
  小規模だからといって卑下することは何もない。
  それよりも、昨日より成長していない今日の自分を恥じることです。

□会社を育てるのは社長、育てることで社長も育つ
 「教育=共育」だと提唱した人がいるが、教育する側も育てることで育つ。
 まさに真理をついた言葉です。
 中小企業の社長は、まさに会社を育てる人であり、既に大人になった会社の経営者とは、
  大学の先生と幼稚園・小学校の先生と同じくらいの違いがある。
  中小企業のトップが社員に多大な影響を与えるのは、そのためである。

 1.起業したら育てよ、大人にするまでの責任がある
  会社を起こしたら、育てなければならない。
  起こすのはだれでもできる、大事なのは育てること。
  人間も子供を生むのはだれでもできるが、育て方次第で子供の人生が決まったりして
  いるのです。
  会社も同様なのです。
  会社を起こしたら、大人にすることを第一に考えるべきです。
  起こした張本人である 創業者=経営者には、企業を大人に育てる責任がある。

 2.企業を大人に育てるためには問題解決能力の育成が不可欠
  「企業を大人にせよ」と言ったが 、具体的な視点を挙げると「組織による問題解決
  能力の向上」です。
  組織力とは問題解決能力そのものなのです。
  生きるとは成長することであり、成長するとは目の前の課題を解決して前に進むこと。
  つまり、会社の組織力とは問題解決能力を指す。
  会社の成長段階を整理すると、

   第1段階:経営の問題を、社長がすべて解決する
   第2段階:経営の問題を、社長と特定の幹部が解決する
   第3段階:経営の問題を、社長を中心に各機能の責任者が解決する
   第4段階:社長に意思決定を仰ぐだけで、各機能責任者で解決できる

  第2段階までは、問題解決の主役は社長であり、組織はまだまだ子供の段階と言って
  よいでしょう。
  第3段階からようやく、会社組織は大人の仲間入りを果たしている。
  問題を解決して会社も人材も成長を遂げる。
  売上げを上げる、利益を出す、経費を最小限に止めるなど、すべての問題を解決して
  いくことが、会社が生きるということです。
  会社を成長させるのは顧客創造であり、問題解決力の向上こそ会社成長の証であると
  述べました。
  次に、会社を成長させる社長の実務についてまとめてみます。

□企業を成長させるための社長の実務
 企業は、社会貢献を果たして働く人の幸せを実現するものです。
 この正しい目的・目標に沿って進み、前進を阻む問題を組織の力で解決し、組織・個人が
 ともに成長を果たしながらさらなる環境変化に適応し、高度な社会貢献へと進化して
 いきます。

 人のための企業であれば、地球上に人が存在している限り、進化し続けなければならない
 ということになります。
 したがって、企業も人も「貢献しながら育ち、育ちながら貢献していく」のです。

 このような企業特性を踏まえると、会社を成長させるための社長の実務は、集団を幸せ
 へと導き、進化する社会ニ ーズに適応するための 社会貢献を追求すること、つまりは
 顧客創造です。

 順を追って説明します。
 社会貢献の方向性から、顧客創造の実務が発生する。
 この 顧客創造の中身を決めるのが「社長の思い=意思」です。

 「どのように幸せになりたいのか?」「何をもって幸せになりたいのか?」です。
 顧客創造から戦略が決まる。
 社会貢献を実現するためには 、顧客を常に創造する実務が発生すると述べました。

 顧客創造は次に、どのようにその顧客に適応していくかという戦略を立てる前提条件と
 なるのです。
 社長の実務は、会社の「バランスとタイミング」を図ること。

 企業は、人が進化し続ける限り進化を続けなければ生き残れない、まさに環境適応業
 なのです。
 よって仕事の目的も進行形で表されます。

 「より良いモノを、より安く、より早く」が仕事の目的であれば、仕事そのものも進行形
 でなければならない。
 絶えず進化してこそ仕事なのです。
 仕事を業務に分解すると、
 大きく分けると「日常業務」と「改善業務」の2つ。

  <社長・幹部・一般社員の仕事>
   一般従業員の仕事:日常業務+改善業務
   幹部の仕事   :部門マネジメント+部門付加価値創造
   社長の仕事   :マネジメント+戦 略

 1.日常業務
  日々行っている定例業務のこと。
  決まったやり方を忠実に守り、「ムダ・ムラ・ムリ」が発生しないように努める。
  部門単位であれば、部門全体で「ムダ、ムラ、ムリ」が発生しないように努め 、もし
  発生しても異常を早期発見して処置し、最小限に抑えるようにする。
  会社で言えば、損益のバランスを取り、黒字を維持する。
  社長の仕事として表現すると「マネジメント」となる。
  マネジメントとは、会社を活かしてい くための社長の実務です。

 2.改善業務
  日常業務の生産性と品質の向上を追求する業務を指す。
   一般従業員なら、自分の担当している業務をより良くするための活動である。
  部門では、「部門付加価値創造業務」(部門の付加価値を向上させる業務)。
  部門の収益性やサービス・品質の向上などを図る。

  会社で言えば、「戦略」です。
  会社の付加価値そのものを向上させる商品戦略・生産戦略・コストダウン戦略・財務
  戦略・組織人材戦略などを指す。

  トップから一般従業員まで、仕事で求められる業務は立場により異なるが、要素は
  同じです。
  日常業務は、仕事の損益を個人・各部門・ 全社の各単位でバランスを図ることであり、
  これができれば生きてはいけるのです。

  しかし、日常業務だけでは成長できません。
  成長するために行うのが改善業務である。
  改善業務とは、仕事の付加価値を高める業務であり、質の向上や、個人・部門・会社の
  仕事そのものを成長させるものです。

  社長の仕事は「戦略」決定であり、これこそが会社を成長させる社長の実務だと言えます。
  改善業務に携わった社員・幹部・社長は、付加価値向上の問題解決を通じて、結果的に
  自らを育てることができる。
  仕事を通じて人が育つとはこのことを言います。

□会社を育てる仕事、会社をつくる仕事
 これまで会社を育てることについて述べてきたが、育てる前につくる仕事があることも付け加えておきます。

 1.マネジメントサイクルから企業づくり
  マネジメントサイクルとは、サイクル(計画→組織化→統制→報告)を指し、企業の
  基盤となる。
  まず「計画」の中には 理念・目的・目標が入る。
  「組織化」は指揮命令系統や役割分担、「統制」は仕事のPDCAサイクル 、そして
  「報告」は決算報告となる。

 2.企業を一からつくる場合、家業から企業へと脱皮を果たす場合
  (1)企業を一からつくる場合
   まず、会社をつくるときに大事なのは、その会社の 存続理由・存続目的を明確に
   することです。
   儲かりそうだから、リスクがないからといった理由で起業するケースもあるが、
   99%失敗しています。

   「儲けるは欲、儲かるは道」と言うように、事業の選択は自分の欲から考えるのでない。
   何をもって社会に貢献するかをまず考えてから、「自分はどうしたいのか」という
   意思をハッキリさせます。

   その中で見えてくるのが「取り組むべき事業」です。
    中小企業が別会社を興して失敗する例は数知れない。
   事業選択の時点で既に誤っているからです。

   次に、正しい考え方を組織として持つこと。
   経営理念や社是社訓で表現し、組織内に浸透させる。
   そして、「やりたいことと、できることは違う 」という認識を持つことです。

   社長も人間だから欲がある。
   甘い誘いや個人的な夢、好きなことにまつわる事業が、必ずしも既存事業に関係
   するとは限らない。

   むしろ、既存事業には無関係なことが多いのです。
   そうすると、技術やノウハウがなく、リーダーになれる人材もいない。
   金がない場合もある。

   それでも技術やノウハウはすべて借り物、リーダーは自分が兼務し、銀行に借金を
   してまで実行に移す人がいます。
   やりたくてもできないことは、会社としてやるべきではありません。

   繰り返しますが、社長は冷静に「やりたいことと、できることは違う」と自覚する
    ことです。
   会社を興すときは、始めることに精一杯で成功することしか考えていない、しかし、
   失敗することだって当然あるのです。

   失敗したときのことを考えて、最初にやめる際の条件を決めておくことです。
   「槍の名人は引くのが上手い」という。
   経営もまた然りです。

  (2)家業から企業へ脱皮を果たす場合
   家業から企業への脱皮を果たす過程で、どうしてもつくらねばならないのが、管理と
   組織の体制。

   家業の段階では組織を形成して管理しなくても、社長がすべてを見て業務をこなし、
   状況を判断できるが、規模が大きくなるにつれて社長は全体を見られなくなり、
   業務も部下に分担、分散していく。

   企業は環境適応業だが 、業務が分散したところへ外的要因が影響して、不適応の
   状況に陥ることはよくある。
   よって、 環境に適応できる企業をつくるためには、全体をまとめ上げるための管理と
   組織をどうしてもつくらねばならないのです。

   企業の体を人間の体のごとくつくり上げることが理想であり、組織の隅々まで
   神経を張り巡らせる作業が必要となるのです。

社長のための遺言書基礎知識

社長のための遺言書の基礎知識

■遺言書
 遺言書を残さなかったために相続人同士が遺産分割でもめるのは、TVドラマの話だけでは
 ありません。
 特にオーナー社長であれば、相続が「争族」とならず、円滑な事業承継が行われるよう、
 事前の配慮が不可欠といえます。

■遺言書作成の必要性
 「自分は現役でバリバリ働いている。
 遺言書を残すにはまだ早い―」 このように考える社長が少なくないようです。
 しかし、ちょっと待ってほしい。 
 オーナー社長の場合、自分の死後、所有する自社株が相続によって分散すると、後継者の
 力が削がれる形となり、将来の事業運営に支障を来たしかねない。

 また、資産家であればあるほど、民法で定められた法定相続人の間で、相続に関する争いが
 生じがちです。 
 こうしたリスクを自分の生前に極力排除し、円滑な相続と事業承継を行うために、遺言書
 は有効な手段となります。 

 遺言書の最大のメリットは、財産を自分の思い通りに処分できること。 
 そして「財産をどのように残すか」だけでなく、「後継者を誰にするか」など後々の
 会社経営の指針を示すことが、遺言書作成の目的なのだ。

□遺言書に関する誤解
 いざ遺言書を書こうとすると、かしこまってしまい、「なかなか踏み切れない」という
 話を聞きます。
 しかし、遺言書は、死を強く意識した「遺書」とは全く異なる法律上の文書です。 

 誤解している向きも多いが、遺言書は何度書き換えてもかまわない。
 最新の日付のものが有効となるのです。
 その際、残された者の誤解をまねかないよう、内容の異なる古い遺言書は必ず捨てておく
 ことです。

 例えば、当初「長男を後継者にしたい」との遺言書を作成したものの、どうも長男は
 経営者としての資質に欠けるようなので、これを「次男にしたい」と書き換えたとする。
 この場合、後々、書き換えの事実が発覚したら、間違いなく親族関係はぎくしゃくする
 でしょう。

□遺言書の有効活用 
 遺言書には、民法で定められた法定相続を破る効果がある。
 遺言書の内容は原則、法定相続よりも優先されるのです。
 前述のように、事業承継に係る経営上のリスクを避けるため、法定相続分と異なる相続を
 行いたい場合、その旨を記した遺言書を残しておく必要があります。

 ただし、遺留分(法律上、相続人に保証されている最低限度の持ち分)への配慮は
 欠かさないようにしたいものです。 
 例えば、「長男にすべての財産を相続させる」との遺言書を残しても、こうした遺留分を
 全く無視した内容では、相続人の間で争いが生じやすいのです。

 遺留分を侵害していても、その遺言書は無効とはならない。 
 しかし、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求をすれば、これを取り戻すことは
 可能となるのです。 

 遺留分減殺請求が発生した時点で既に、争っている状態ともいえるが結局、「禍根を残す
 だけ」になりかねない。 
 遺言書は、遺留分を念頭に作成するのが基本です。

□遺言書の書き方 
 一般に用いられる遺言書には、自筆証書遺言公正証書遺言があります。
 それぞれの作成要件と、長所・短所は表に記した通りです。
 自筆証書遺言は、すべてを自分で執筆した遺言書のこと。
 ワープロや代筆、録音・録画では無効となります。

 一見お手軽で費用がかからないが、法的に有効な自筆証書遺言を書くのは意外と難しい。 
 実際のところ、日付抜け、印鑑抜け、あいまいな表現(例えば「○○に任せる」など、
 何を任せるのかが分からない)といった方式や内容の不備により無効、あるいは争いの
 火種となるケースは少なくないのです。

 自筆証書遺言書を残す場合、少なくとも法律の専門家に内容を確認してもらうことが
 望ましい。 
 一方、公正証書遺言は、公証人によって作成されるため、全文を自分で書かなければ
 ならない自筆証書遺言と比べ、正確で信頼性の高い遺言書が残せます。

 3部作成し、うち1部は公証役場に保管されるため、万一紛失しても安心です。
 遺言書作成の目的、その重要性を考慮すれば、自筆証書遺言より、はるかにリスクの
 小さい公正証書遺言の作成(出典:日本公証人連合会)をおすすめします。

□付言の効用 
 付言とは、遺言書を作成した経緯や理由、家族への感謝の気持ちなどを記したものです。
 近年、遺言書の中に、相続の分割内容だけではなく、この付言を盛り込むケースが増えて
 います。 
 付言に法的な効果は全くありません。

 あくまで社長の強い意思、自分の感情を相続人に伝え、説得するためのものです。 
 とはいえ、遺言書の内容から、その実現が難しいと予想される場合など、この付言は、
 円滑な遺言執行のための一助となるでしょう。
 付言の一例を挙げてみましたので、参考にしてみてください。
 

問題解決のスキルアップ

問題解決のスキルアップ

ロジカルシンキング
 問題の原因を特定し、それを解決するための対応策を策定するという問題解決のスキルを
 ロジカルシンキングといいます。
 ロジカルシンキングは、文字通り、物事を論理的(ロジカル)に考える(シンキング)と
 いうことです。
 論理的に考えるとは「客観的事実に基づき、筋道を立てて考える」ということを意味します。

□問題解決能力
 問題解決の重要性がますます高まってきています。
 なぜでしょうか。
 それは、問題を解決できなければ、その問題に悩まされ続けるからというだけでは
 ありません。

 その「問題の枠を大きく超え、会社全体を揺るがせる問題に発展することさえある世の中に
 なってきた」からです。
 その反対に、優れた問題解決ができる人材がいる組織はどうでしょうか。
 すばやく問題を解決してしまえば、将来の挑戦的な改革に取り組むことができます。

 マイナスの問題がいつまでも解決できない企業との差は開くばかりです。
 問題解決は組織の重要なスキルになっています。
 もう一つ理由があります。
 それは、「問題がユニークになっている」ということです。

 これまで、問題解決というと、ある程度することは見えていました。
 自社製品の性能アップ、コストダウンなど、おおよその問題はそこにありました。
 おおよそ見えている問題をそれぞれの部門に落とし込み、その解決に向かって適進する
 ことが、これまでの問題解決でした。

 しかし、これからは違います。
 問題はとてもユニークです。
 誰に、いつ、どんな問題が発生するのか、予想もできません。
 このような事態に立ち向かうには、組織の構成員一人ひとりの問題解決スキルをアップする
 必要があります。

 一方で、どこかに解決の良いヒントを与えてくれる人は組織のどこかにいるものです。
 “なぜもっと早く言ってくれなかったんだ”という、その人にいち早くたどり着けるように
 しなければなりません。
 それには、自分自身が問題解決スキルをアップさせるだけでなく、「問題解決に悩んで
 いる人がいたらコーチングをしてあげること」が、組織全体としても重要になります。

 ここでどう考えたらいいだろうか、私の考えに間違いがないだろうか、と誰かから問い
 かけられたとき、みんなからの適切な支援と励ましが得られる組織ほど強いものは
 ありません。
 ユニークな問題に前向きに取り組める組織風土になる必要があるのです。

□優れた問題解決者が持つ資質
 問題解決に関するこれまでの研究成果によれば、
 優れた問題解決者には、重要な2つの資質があります。
 1番目は、「問題解決プロセスを知っている」ということです。
 問題解決のプロセスとは、解決の手順、碁や将棋でいえば、“定跡”ということです。

 定跡は、先駆者の知恵のエッセンスをまとめたようなものです。
 定跡は、ここではこのようにするほうがよい、その後、このような展開になるだろう、
 といったことを教えてくれます。
 定跡には、自分が間違って不利にならないようにするにはどうすればよいか、たくさんの
 事例を元に英知がまとめられています。

 問題解決にもこのような定跡があります。
 ここではこれをすればよい。
 次にはこれを抜かしてはいけないといったことを知っていれば、自分自身のガイドに
 なりますし、他の人へのコーチングの道具にすることができます。

 2番目は、「失敗思考の恐怖を知っている」ということです。
 なぜ問題解決に失敗したのか、その原因を扶っていくと、あることをきっかけにして
 問題解決プロセスを外れてしまったことがわかります。
 たとえば、すぐに解決しなくてはいけないとベストの解決策を考え出さずに誰かの
 アイデアに飛びついてしまったり、たぶん間違いないと事実確認を焦ってしまったりと
 いったことです。

 失敗思考のきっかけになったのは、突き詰めて考えると、自分自身の弱さです。
 早く何とかしないとしかられてしまうといった恐怖や、ここでホームランを打てば自分が
 とても目立っことになるという名誉心です。
 これは誰にでもあることで、必ずしも悪いことではないのですが、それだけにやっかい
 です。

 問題解決が上手な人は、ここではこのようにすればよいという正しいプロセスと、ここ
 ではこれをしてはいけないという失敗思考の両方を知っているのです。
 ここでは、問題解決の“定跡”、正しい問題解決プロセスを中心に説明していきます。

□問題解決のプロセス
  1.問題の認識   ※問題は目の前の問題だけではない。
      ↓
  2.ゴールの設定  ※どこに行くかを決めてから走り出す。
      
  3.問題を固定する ※決意し、問題から逃げない
      ↓  
  4.事実を知る   ※事実は自分でも知らないもの
      ↓
  5.原因を究明   ※原因は必ずある
      ↓
  6.解決策を決める ※それが本当に最善の解決策なのか。
      ↓
  7.将来に備える  ※レベルアップした私にできること。

 1.問題は様々あるが、気がついていない 
  問題はそれだけですか?
  それが一番に取り組まなくてはいけない問題ですか?
  このような質問に「ハイ」と答えられる人は少ないものです。
  また、答えた人でも、ちょっと刺激をするだけで、もっといろいろな問題に気づかされる
 ものです。

 目の前の重大な問題に頭を抱えてうなだれてしまう前に、顔を上げてもっと視野を広げ
 ましょう。
 チャンスに浮かれて走り出す前に、落とし穴に気をつけましょう。
 いろいろな問題に気づかせてくれる便利なスキルは、SWOT分析です。

 SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、
 Threat(脅威)で構成される枠組みを使って、自分や組織の問題を整理するための分析
 ツールです。
 以下の質問に答えながら、自分にはどのような問題があるのか、整理してみてください。

  ・(強み)蓄積してきた知識、ノウハウで、これから活かせるものは何だろうか。
  ・(弱み)学習を怠っていたので、自分の弱点になっているものは何だろうか。
  ・(機会)自分には、どんなチャンスがあるだろうか。
  ・(機会)強みを活かし、チャンスをもっと広げられないだろうか。
  ・(脅威)弱みがあることで、どのような心配があるだろうか。
  ・(脅威)強みを活かして、脅威を弱められないだろうか。

 目の前にある問題はすぐに書けます。
 大切なことは、それ以外の問題にも目を向けることです。
 そして、いろいろあることに気がつきます。

 すると、脅威だけでなく、機会もあることがわかりますし、たいしたことがないと思って
 いた機会も改めて見ると、意外にもよいチャンスだということに気がつきます。 
 他の人に問題解決のコーチングをしているときには、「こんな強みを持っているんだったら、
 これが機会にならないかな?」といった問いかけが力を与えることもあります。

 2.ゴールを設定する
  困っている問題がなくなったら、それでどうなるのでしょうか。
  スッキリするという答えでは不十分です。問題がなくなれば誰でもスッキリしますが、
  次には、別の問題が待っているでしょうし、何をもってスッキリしたといえるのか、
  不明確なままだからです。

  たとえば、ライバルの営業所の数字にいつまでたっても追いつけないという問題がある
  として、追いつければ問題は解決するのでしょうか。
  ライバルを遥かに引き離すところまで行かなくてはいけないのでしょうか。
  問題は、問題が解決したときの姿、ゴールを具体的にイメージしなければ、それが
  どれほど難しい問題かわかりませんし、何をすればいいかもわかりません。

  このように、“ゴール”とは、言葉を聞くと簡単そうですが、考えていくと、上記の例
  でもいろいろな答えがあるように、すぐに答えの出るものではありません。
  それは、目先の問題にとらわれていて、改めて意識して考えていないからです。
  けれども、「ゴールが決まらなければ、問題解決は完了しない」のですから、しっかりと
  考えておく必要があるのです。

  問題解決をゴールに至る山登りにたとえるとわかりやすいでしょう。
  ゴールが高ければ、つまり目標を難しくすれば、登り道が急になります。
  解決までの時間が短ければ、ゴールを多少低くしたとしても問題解決は難しくなります。

  かといってあまりゴールを低くしたのでは、簡単すぎて、問題解決をしたことによる
  満足レベルに到達したといえる状態にはなりません。
  それでは、SWOT分析から、ひとつ問題を取り上げてゴールを設定してみましょう。

  <ゴール設定のためのチェック>
   ・どのような状態になったら、その間題が解決したといえるだろうか?
    それは理想的な状態だろうか? それとも理想から遠い、低すぎる
    状態ではないだろうか?
   ・そのほかのゴールは考えられないだろうか?
   ・解決までにどれだけの時間をかけることができるだろうか?

 3.問題を固定する
  ゴールが定まったら、「何としてもその間題を解決するのだという宣言」をします。
  問題解決の過程では、状況がさまざまに変化します。
  柔軟な対応が必要ですが、安易な妥協は禁物です。
  問題が思ったよりも難しいからと別の問題にすり替えてはいけません。

  このために、自分がどのような問題に取り組もうとしているのか、誰にもわかる形で
  表現します。
  私は、これを問題ステートメントと呼んでいます。
  問題ステートメントは、問題から逃げ出すことがないように明確にしなくてはいけません
  し、誰にもわかりやすいように簡潔でなくてはいけません。

  そのために、「〜(①問題解決の対象)に〜(②どのような問題なのか)が起こっている」
  という形で記述してもらいます。
  こうすると、単に「困っている」「解決したい」というだけでは、まったくの記述不足
  であることがわかります。

  では、簡単な例で練習してみましょう。
  「クレーム増加」という問題ステートメントは、何が不足しているでしょうか。
  答えは①問題の対象がはっきりしていません。
  「製品クレーム増加」ではどうでしょうか。

  これは記述としては結構ですが、製品すべてを対象としているので、もっと絞り込む
  必要がありそうです。
  あなたもご自身の問題の問題ステートメントを記述し、チェックしてみましょう。

  問題ステートメント
  対象と問題は明確ですか?
  焦点を絞り込んでいますか?
  “不良”や“遅い”といったあいまいな表現を使っていませんか?

  この後、いよいよ焦点を当てた問題に入り込んでいきます。「やれやれ、やっと
  始まったのか」と思う人は、次の教訓を思い出してください。
  “何が問題なのかがわかれば、問題は、半分解決したようなものだ” 

  これは、焦点を当てるべき問題を間違えてしまい、問題解決に失敗することがない
  ように戒めている言葉です。
  慣れてくれば、問題解決ステートメントまでは、すばやく進めることができるように
  なりますが、くれぐれも手抜きにならないようにし注意てください。

 4.事実を知る
  なぜ改めて、事実を知ろうとするのでしょうか。
  悩んでいる問題のことなど、今さら事細かに調べなくてもよく知っていそうなものです。
  ところが、実際は、そうでもないのです。

  販売不振に悩んでいる製品のことはよく知っていると言いながら、いつから不振が
  始まったのですか?どこで売れないのですか?どのような傾向を示しているのですか?
  と聞いていくと、答えられないということは少しも珍しいことではありません。

  また、一口に事実といっても、「事実にはいろいろなものがあり、使い分けなくては
  いけない」ということを知らずにまとめて事実と言っている場合がほとんどです。
  “わかっているから”と言わずに「謙虚に事実に耳を傾ける」ことが、問題解決では
  重要です。

  まず、事実分析の基本である5WIH(What:何が、Where:どこで、When:いつ、
  Who:誰が、Why:なぜ、How:どのように)に、「Which:どちらが」と
  「How many/much:どのくらい」を加えた6W2Hで事実を収集します。
  このとき、起きていない事実も集めるとヒントになります。

  そして、「確かに発生したという事実」と、「“と報告があった”“と推定されている”
  という報告事実、推定事実を区別する」ことが大切です。
  これらを表にすると次のようになります。
  あなたの問題で、どれほど事実がわかっているかを確かめてください。
  もし不明なことがあったら、それが問題解決の鍵になる可能性があります。

 5.原因を究明する
  どうしてそんなことが起こったのか、事実を整理し、不明点を調査すると、新たな
  気づきがあって、そこから原因を見つけ出すことができるものです。
  W2Hの表を埋めている途中で気がついた方もいるでしょうが、まだわからない場合
  には、次の2つの点に注目することで大きなヒントを得ることができます。 

  ひとつは、「起きたことの“特徴/特異点/違い”に注目する」ことです。
  ある場所で車の事故が多いという問題があれば、その場所に固有の特徴が事故の原因に
  なっていることが多いことにすぐに気がつきます。
  これと同じ事を、6W2tiのそれぞれについて探っていくのです。

  問題が起こったのが夏で、それ以外の季節には起こらないのであれば、夏の何かが
  問題の原因になっていると考えられます。
  ある人に問題が集中しているのであれば、その人の特徴と問題が結びついていると
  考えられます。

  6W2Hの表を眺めながら、WhyとHowを除くそれぞれで特徴がないかを調べて
  みましょう。
  ・What:問題を起こした対象物には、どんな特徴がありますか?
  ・Where:問題が起きた場所には、どんな特徴がありますか?
  ・When:問題が起きた日時には、どんな特徴がありますか?
  ・Who:問題を起こした人には、どんな特徴がありますか?
  ・Which:問題を起こした側には、どんな特徴がありますか?
  ・How many/much:問題が起きた数には、どんな特徴がありますか?

  次に「“変化”に注目」します。
  今までと違うことが行われれば、たとえそれがよいと思ってやったことでも問題の
  原因になってしまいます。

  ここまで来ても問題の原因がわからないとすれば、原因は意外なところにあるはずです。
  自分で忘れていること、思わず誰かがやってしまったことも含めて、変化に注目
  しましょう。

  このように、変化を調べるときには、自分の記憶の中だけでなく、調査の範囲を広げる
  ことが重要になります。

 6.解決策を決める
  原因がわかれば、もう終わったようなものです。
  しかし、だからといって、一気に突っ走っていいかというと、必ずしもそうでは
  ありません。
  いくつか注意をしなくてはいけないことがあります。

  解決策を考えたら、「もっといい方法はないかと必ず考える」ようにしましょう。
  後で気がついても遅いのです。
  他の人にも参画してもらい、知恵を出し合うと、あなたが考えた解決策に磨きが
  かかります。

  つまり案が改良されていきます。
  他の人たちも、自分たちの考えを組み入れた解決策であれば、力の入れ具合が違って
  きます。
  複数の案を考えると、ベストの案がどれほどいいかがわかります。

  飛び抜けていいのか、不満が残るけれども他に有力案がないのでこれで行くしかない
  のか、といったことがわかります。
  選ばれた解決策を実行すれば、問題は解決です。
  それで、ほめられることはあっても、何も困ることはないはずです。

  確かにそうなのですが、これからの時代は違います。
  さらに一歩を踏み込むと、やがて大きな違いになってきます。
  それが、問題解決のプロセスの7番目、将来に備える、になります。

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会社の売り方と買い方

会社の売買方法

 ■M&A(企業の合併・買収)
  M&A(企業の合併・買収) の決断は誰でもできる。
  だが、かかわる労力の90%はM&A後の作業に取られるのです。
  ここで失敗すると、思惑通りに企業価値を高められません。

  タイミングを得たM&A会社を飛躍的に発展させる場合もあるが半面、買収した会社が
  逆にお荷物になったり、あるいは買収後に思わぬトラブルに悩まされることもない
  わけではありません。

  こうしたケースをよく調べてみると、
M&A実行に至るステップに問題があるケースが
  意外に多い
ものです。
  特に、経営企画部といったような事業戦略を練り実行していく専門部署をもたない中小
  企業においては、M&Aが有効であることが分かっていても実際には実務上の不安から、
  チャンスを逃すケースも多いのではないでしょうか。
  ここでは、実際の中小企業のM&Aにおける具体的なステップを見ながら、成功する会社
  買収の方法について考えてみましょう。

 □一般的なM&Aの進め方
  戦略的な意図をもって行われるM&Aにおいて、買収によって期待した成果をあげる
  ためには、実行プロセスの各ステップにおいて適切な意志決定と手続きを欠かすことは
  できません。
  日本におけるM&Aの場合、多いのは一般的に次のようなステップを踏み、成約にいたる
  ケースです。

   ①経営戦略の策定(自社の弱点の分析/将来像の設定)
   ②譲渡企業情報の収集(自社でまたは専門機関に依頼)
   ③秘密保持契約の締結(守秘義務の厳守)
   ④譲渡企業情報の検討(財務諸表等の書類をもとに多角的に検討)
   ⑤工場見学・トップ会談(実態の把握、確認/基本的条件の確認)
   ⑥基本合意書の締結(買収意思の表示)
   ⑦買収監査(会計上の最終チェック)
   ⑧諸条件の詰め、最終交渉
   ⑨最終契約書の締結

  実際には、1件の情報だけで最終契約までに話が進むケースは、ごくまれなので、
  トップ会談までの手続きを何度も繰り返すことになります。
  具体的な事をもとに各々のステップにおけるポイントをみていきましょう。

 □M&Aは経営戦略の策定から
  年商60億円ほどのある中堅婦人服製造卸会社、A社は首都圏に30店舗あまりのチェーン店
  を持つ婦人服小売りの老舗、B社を買収しました。
  この案件は買収当時は業界初の垂直型M&A、すなわち川上から川下への進出として
  大きな話題を呼びました。
  A社の社長は50歳の二代目社長。

  先代から引き継いだA社を近代的な企業へと発展させた情熱的な経営者です。
  製造卸会社であるA社が小売り部門を併せ持つことで、商品の安定供給が可能になった
  だけでなく、消費者のニーズを直接肌で感じ市場動向に合わせた商品企画が可能になり、
  流通コストも削減できるため収益も向上させられました。
  A社の社長はこうした戦略と経営判断に基づきB社の買収に踏み切ったのでした。

  これにより同社は一挙に30数店舗を得て、株式公開を照準に入れるまでに躍進した
  のです。
  成約までわずか2カ月程度でしたが、機を逃さず迅速にM&Aを成功させることができた
  のは、このように
川下(小売り)へ進出するという確固たる経営戦略の裏付けをもって
  M&Aに取り組んだため
です。

 □どうやって戦略を決定するか
  A社の例でも分かるように、M&Aの最大のメリットは経営目標の実現のための『時間と
  労力のリスクを大幅に少なくできる』
点にあります。
  仮にA社が知名度のあるブランドと30以上の店舗を自社で展開しようとしていたならば、
  おそらく十数年かかったでしょう。

  ではM&Aの成功のためにはどのような形で戦略を具体化していったらいいのでしょうか。
  ある海運会社の社長が教育、もしくは電子関係の会社の買収について相談がありました。
  海運と教育、電子では一見何の脈絡もないようですが、その戦略決定のプロセスは
  興味深いものがあったので紹介します(次ページの図1参照) 。

 □効果的なM&A手法の検討
  経営戦略とそれに基づくM&Aの方向が決まると、次に検討すべきは、どのような方法を
  用いれば最も経済的、効率的に戦略が達成できるかという点になります。
  経営戦略を達成するための企業提携の方法は数多くありますが、M&Aによる手法には
  大きく分けて、

   ①株式取得
   ②増資新株の引き受け
   ③営業譲り受け
   ④合併

  の四つの方法がありますが、株式取得と新株引き受けの場合に注意しなければ
  ならないのは、
未上場企業における株式取得比率と経営の支配権の関係です。
  100%の株式を取得すれば、完全な経営権を支配できることはいうまでもありませんが、
  反対株主等がいた場合、

   ①50%超の株式を取得すれば、定款の範囲内で取締役、監査役の選任ができる
    ので、経営権をほぼ取得できる
   ②3分の2超の株式を取得すれば、定款の変更、資本の減少、役員の解任等が実行
    できるので、実質的な経営権を取得することになる
   という点を覚えておく必要があるでしょう。

 □効果的な情報収集の仕方
  自社の経営戦略に本当にマッチするM&Aを実行するためには、よりよい案件を数多く
  収集することが肝要です。
  中小企業の場合、その人材を考慮すると社内に専任者をおくことは困難ですし、
  また独自で集める情報はごく限られたものになります。

  よって、全国的な規模で案件を持っている専門機関、例えば

   ・都市銀行
   ・大手証券会社
   ・会計事務所系仲介機関

   ・独立系仲介機関

  などに依頼したほうが効率的です。
  その場合、信頼のおける機関に自社の経営戦略を十分に説明し、継続的に情報を提供
  してもらうことが重要となります。
  ちなみに、銀行、証券会社は比較的大型な案件が多いのが特徴です。

 □対象企業検討のポイント
  金融機関等の仲介機関では譲渡希望企業の案件を紹介する際には、 秘密保持について
  書面で確約
をするのが普通です。
  いうまでもなく、紹介する案件は現実に営業している会社であり、いかなる理由であれ
  第三者への譲渡を希望しているということが取引先や従業員または金融機関などに
  漏れた場合、経営活動に著しい悪影響を与えるのは必至です。

  最悪の場合、会社倒産という事態さえ考えられます。
  また情報を慎重に扱い秘密の保持を遵守することは、長い目でみれば買い手としての
  信頼性を増し、よりよい情報を入手できるのです。
  秘密保持の契約を結んだ後、実際に案件の具体的検討に入るわけですが、まず以下の
  三つのポイントを的確につかむようにするといいでしょう。

   ①シナジー効果
    対象企業の長所と短所を分析し、自社の経営資源で短所をカバーできるか。
    また、対象企業の長所を使い、自社の短所をカバーできるか。
   ②買収金額は妥当か
    シナジー効果を確認し、今後の経営計画を計数化した上で、企業戦略達成
    のための対価として妥当であるか。
   ③対象企業の無形財産の継承
    M&A後も、対象企業の人材、取引先を円滑に継承できるか。

 □トップ会談〜企業同士の出会い
  検討先企業とのM&Aが自社の戦略に合致すると判断したならば、いよいよ相手側の
  経営者と直接面談(お見合い) することになります。
  どんな企業でも譲渡企業の経営者にとっては、譲渡企業はその生涯の歴史そのものであり、
  お互いに気持ちの理解できる、あるいは人間として尊敬できる経営者に継いで欲しいと
  思っているものです。

  そうした気持ちが理解できずに強引な交渉の進め方をすれば、仮にM&Aが成約したと
  しても社長や従業員の協力が得られないまま結局は高い買い物をすることにもなりかね
  ないのです。
  お見合いは直接相手の経営者を通して対象企業を知る場であると同時に、相互の信頼
  関係を醸成する機会であると考え、一方的に質問するばかりではなく、その会社を継承
  してどのように発展させていきたいか、こちらの意志と構想も伝えるようにしたい
  ものです。

 □基本合意書の締結〜M&A実行の意志表明
  数回のお見合いと資料検討の後、価格、役員の処遇等の諸条件についてほぼ合意した
  時点で、合意事項を明文化するのが普通です。
  これを一般に
『基本合意書』といい、基本合意書を締結した時点で、双方がその企業を
  買収する(譲渡する) あるいは資本提携を行う(資本を受け入れる) という正式な
  意志表示をしたことになります。

  以後、譲渡企業側はその他の企業との間で交渉を行わず、最終契約の調印に向け相互に
  努力していくことになります。
  なお、
基本合意書は、ある程度の拘束力をもつ仮契約に近い場合もありますが、一般的
  には法的拘束力を持たないのが普通です。

 □最終段階の詰め
  基本合資書の締結後、M&Aは新たな段階に入ります。
  すなわち経営戦略上の意志決定から実務レベルの作業に入っていくわけです。
  具体的な手順は個々のケースで異なりますが、一般的には以下のようなスケジュールで
  クロージング(最終契約の締結)に向け進んでいくことになります。

   ①買収監査
    買い手側税理士、会計士により売り手の正確な資産、負債を把握する。
    買収側が上場企業の場合は、株主保護の観点からも欠かせない手続きである。
   ②価格と譲渡方法についての最終決定
    買収監査の結果に基づき、基本合意段階で設定した価格を微調整し、最終価格、
    譲渡方法を決定する。
   ③従業員、役員の処遇の最終決定
    退職役員の退職慰労金の支給、および継続する役員の地位、従業員の雇用条件
    を決定する。
   ④引継方法、手順の確認
    取引先、従業員が円滑に継承できるよう、引き継ぎの手続き、手順についても
    打ち合わせを行う。
    代表者が引退する場合であっても、一定期間、非常勤取締役、あるいは顧問
    などで名目上残ってもらうことにより、円滑な継承がしやくすくなる。
   ⑤最終契約書の作成
    上記の過程で決定した事項を明文化する。主な記載事項としては、次のような
    ものが挙げられます。

     ・譲渡株数、単価、時期、支払方法
     ・従業員、役員の処遇(退職金の支払方法)
     ・社長等の個人保証、物上保証債務の取り扱い
     ・簿外債務が存在しないことの保証と弁済義務
     ・会計処理が妥当であることの保証

   ⑥関係者への根回し
    事前に反対が予想される株主や、キーマンである役員、従業員に対し根回しを
    行う必要がある場合は、タイミングと方法をよく考えて行わないと逆効果に
    なるケースもある。
    金融機関や仲介機関などM&Aアドバイザーのアドバイスに従い慎重に行いたい。
   ⑦クロージング
    最終契約書に調印し、代金の決済、経営権の移譲手続きを行う。この過程で
    特に秘密保持には注意を払いたい。
    M&Aの最終段階では相互のやりとりも多くなり、買収監査、実務担当者など
    経営のトップ以外の人間が入ってくるため、ひょんなことから外部に情報が
    漏れやすい。
    また、従業員へのM&Aの発表は原則的にはクロージング後にすべきである。


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問題解決へのアプローチ

ロジカルシンキング

 ■ロジカルシンキングとは
  文字通り、物事を論理的(ロジカル)に考える(シンキング)ということです。
  論理的に考えるとは「客観的事実に基づき、筋道を立てて考える」ということを
  意味します。 
  ロジカルシンキングは、問題の原因を特定し、それを解決するための対応策を策定
  するという問題解決のスキルを指します。 
  以降では、ロジカルシンキングの手法により問題解決のための対応策を策定する方法
  について説明します。

 □ロジカルシンキングの効果 
  例えば、ある製造業者に「利益が減少している」という問題があった場合、対応策を
  策定する際には、まずその原因が何であるかを特定しなければなりません。
  その場合、原因としては「商品の値引き販売が恒常化している」「原料価格が高騰
  している」「競合他社が高機能な新商品を発売した」など、さまざまな原因が
  考えられるでしょう。 

  しかし、さまざまな原因を思いつくままに列挙していくことは、あまり効率的とは
  いえません。
  また、重要な原因を見落としてしまう可能性もあります。 
  そこで登場するのがロジカルシンキングです。

  問題解決において、ロジカルシンキングの手法を取り入れることにより、重要な原因
  の見落としを防ぎながら、効率的に対応策の策定を進めていくことができます。 
  ロジカルシンキングの手法を用いた問題解決は、大きく分けて「問題の構造化」と
  「対応策の策定」という2つの流れからなります。
  先の例では、利益が減少している原因を複数挙げました。

  しかし、ロジカルシンキングにおける問題の構造化では、まずは一つの原因を
  取り上げ、その原因の背景を探る、言い換えれば原因の原因を探るという作業を
  行います。
  この作業を繰り返し、最終的に問題の根本にある「本当の原因」まで原因を掘り下げる
  のです。

  例えば、
   製造業者の例における問題の構造化は「利益が減少している」→「商品の値引き
   販売が恒常化している」→「海外製品との価格競争が発生している」→・・・
   と進めていきます。 
   問題の構造化について、次項で詳しく説明します。

 □「なぜ」を繰り返す問題の構造化がポイント
  1.繰り返し考える 
   ある問題について、「その原因は何か?(=なぜ?)」を繰り返し考えることで
   問題を構造化し、その原因を発見します。
   ロジカルシンキングにおいては「繰り返し考えること」が重要です。
   繰り返し考えることにより、安易な結論に陥ることを防止することができるから
   です。 

   例えば「利益が減少している」という問題について考えた場合、さまざまな原因
   が考えられますが、そのうちの一つとして「複数の販売ルートのうち、営業社員
   による受注(直販)が減っていた」ということがあったとします(原因の考え方
   は後述)。

   しかし、ここで重要なのは、すぐに「営業社員による受注が減っていることが
   この問題の原因である」と結論付けてしまうのではなく、「営業社員による受注が
   減っているのはなぜか」を掘り下げて考えることなのです。 
   「なぜ?」を繰り返し、この問題をもっと掘り下げて考えていくと、例えば
   以下のような原因がみえてくるかもしれません。

   「利益が減少している」という問題を繰り返し考えていくことにより、「営業社員
   への待遇が他社に劣っている」という原因に達しました(もちろん、どのような
   問題であれ、原因は一つだけでなく、さまざまな原因が存在していますが、
   ここでは、例として一つだけを取り上げています)。 

   この場合には「営業社員への待遇が他社に劣っている」ことが原因となっている
   ので、この問題を解決するためには「営業社員への待遇の強化」が課題と
   なります。
   もしも「営業社員による受注が減っていることがこの問題の原因である」という
   結論で止まってしまっては、この「営業社員への待遇の強化」という課題を
   導き出すことはできません。

   課題に気付かないままに「営業社員を増員する」などの対策を取ったとしても、
   一時的には効果が現れるかもしれませんが、待遇に不満を持つ営業社員はやはり
   離職していき、結局同様の結果になるでしょう。 
   原因を考える際には、「なぜ?」を何回繰り返すか(どこまで原因を掘り下げるか)
   ということも考えなければなりません。

   一般に、本当の原因を見つけるためには、「なぜ?」を5回程度は繰り返す必要が
   あるといわれます。
   このように、問題の本質を正確にとらえるために、繰り返し考え続けることが
   重要です。
   ただし、こうして原因を考える際には、問題と原因との間に因果関係が成り立って
   いる(論理の飛躍がない)ことが必要です。

   この因果関係については、「なぜ?」で導いた原因に対し、逆方向に「だから?」
   と考えることにより、その原因から問題が導けるかどうかでチェックすることが
   できます。

   この場合、原因から結果を導くことができる(双方向の矢印が成り立っている)ので、
   この問題と原因との間には論理的に飛躍することなく、因果関係が成り立って
   いるといえます。

   なお、ロジカルシンキングでは、この「なぜ?」を「Why So?」、「だから?」を
   「So What?」といいます。 
   このように「なぜ?」と繰り返し問いかけることで、原因を掘り下げて考え、
   本当の原因を見つけることが、問題解決の第一歩となります。

  2.全体を要素に分割する 
   実際の問題解決の場面では、一つの問題に対し、複数の原因が存在しているケース
   が多くみられます。
   そのため、一つの問題に対して複数の原因を考えて、その出てきた原因の一つ一つ
   について、またその原因を考えて、と繰り返し考えていく必要があります。 
   複数の原因を考える際に注意しなければならないのは、原因に「漏れ」や「重複」
   が生じないようにすることです。

   この「漏れや重複がない状態」のことをロジカルシンキングでは「MECE
   (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:ミッシー)」といいます。
   ここで重要になるのが、全体を要素に分割するという考え方です。
   例えば、利益は「売り上げ−費用」という式で表すことができます。
   つまり「利益」という全体は、「売り上げ」と「費用」という要素に分割する
   ことができるのです。

   この2つの要素には、漏れも重複もなく、MECEになっています。 
   この「売り上げ」「費用」という要素が変化しない限りは、その要素の全体である
   「利益」も変化しません。
   逆に、「利益」が変化したということは、このどちらか、もしくは両方の要素が
   変化したことを示しています。 

   つまり「利益が減少している」という問題の原因は、「売り上げが減少している」
   あるいは「費用が増加している」のいずれか、もしくはその両方にあると考える
   ことができます。 
   このように、原因を考える際には、まずは問題の全体を要素に分解し、各要素が
   どのように変化しているのか考えることで、漏れや重複をなくすことができます。 

   「利益」は、一般的には「売り上げ」と「費用」に分割されます。
   しかし、MECEな分割方法は必ずしも1種類とは限りません。 
   例えば、「売り上げ」を分割する際には、「客単価」と「客数」に分割することが
   できますが、それ以外にも、販売先という観点から「既存顧客からの受注」と
   「新規顧客からの受注」に分割したり、販売方法という観点から「営業社員による
   受注」「カタログによる受注」「インターネットを通じた受注」「それ以外の方法
   による受注」などに分割することも可能です。

   ここで示した「売り上げ」の分割方法はいずれも、漏れや重複はなく、MECEに
   なっています。
   どのような観点から分割することが問題解決に最も効果的なのかを考えて、分割の
   方法を選択する必要があります。

  3.フレームワーク 
   前述の通り、全体を要素に分割する方法はさまざまであり、その中から問題解決
   に最も効果的なものを選択していくことになります。
   最も効果的なものを選択するためには、選択肢は多いほうが有利です。
   そのためには、自分で分割方法を考えることも必要ですが、既に確立されている
   分割方法も併せて知っておくほうが効率的です。 

   既に確立されている分割方法は「フレームワーク」と呼ばれます。
   以下では、代表的なフレームワークを紹介します。

   【3C/4C】 
    3Cは、「Customer:顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」の
    頭文字をとったもので、経営環境の分析や顧客満足の調査などに用いられます。
    これらを把握することで、市場全体をおおむね漏れなく、かつ重複なく網羅
    することができます。 
    これに「Channel:チャネル」を加えて4Cとする場合もあります。

   【マーケティングの4P】 
    4Pとは、「Product:商品」「Price:価格」「Place:チャネル」「Promotion:
    訴求方法」の頭文字をとったもので、主にマーケティング戦略の構築場面で
    用いられます。
    それぞれについて「どのような○○で」と考えることでマーケティング戦略を
    構築していきます。

   【組織の7S】 
    7Sとは、「Strategy:戦略」「Structure:組織・機構」「System:
    制度・運用」「Shared Value:共通価値」「Style:運営スタイル」「Staff:人材」
    「Skill:技術・能力」の頭文字をとったもので、会社・部門の経営状況の分析
    や問題点の把握などに用いられます。 
    戦略、組織・機構、制度・運用を特に「ハードの3S」、それ以外を「ソフトの
    4S」といいます。

   【マトリクス】 
    縦軸・横軸の2次元で4つのゾーンに分けて現在の位置付けや進むべき方向性
    を表すものです。
    既存の情報を分類する際に用いられることが多いのですが、物事を分割する
    際のフレームワークとすることもできます。
    さらに、代表的なマトリクスとしてSWOT分析やPPMなどがあります。
    1.SWOT分析 
     SWOT分析とは、「Strength:強み」「Weakness:弱み」
     「Opportunity:機会」「Threat:脅威」の頭文字をとったもので、
     事業評価などに用いられます。
     内部要因と外部要因、好条件と悪条件という2次元で表現されます。

    2.PPM 
     PPMとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で、競合企業
    と自社の事業分析に用いられます。
    市場の成長性、相対シェアという2次元で表現されます。

   【その他】 
    フレームワークとしてここで紹介したもの以外にも、分割方法としては以下の
    ようなものもあります。
    また、どうしても適切な分割方法が見つからないときには、ある要素「A」を
    抽出し、「A」と「A以外」に分割すれば、そこには漏れも重複もありません。
    この時「A以外」があまりにも多いようであれば、その分割方法は適切では
    なかったということです。
    その場合、改めて「A」以外の要素「B」を抽出し、同様に「B」と「B以外」
    に分割します。
    これを繰り返すことで、適切な分割方法が見つかることがあります。

 □ロジックツリーを作成する
  1.ロジックツリーとは 
   前項の、ロジカルシンキングにおける問題と原因の関係を表した図を「ロジック
   ツリー」といいます。
   ロジックツリーはロジカルシンキングを進めていく上で非常に重要なツールと
   なります。 

   ロジックツリーが重要なのは、原因をさらに細かい原因に分割し、図示する
   ことで、 
    ・各階層がMECEになっているか(原因に重複や漏れはないか) 
    ・階層間でWhy So? /So What?が成り立っているか(論理が飛躍して
     いないか)
   をチェックすることができるからです。 

   例えば、「利益が減少している」という問題を考えると、「利益=売り上げ−費用」
   であるので、「利益が減少している」原因は「売り上げが減少している」か
   「費用が増加している」、もしくはその両方にあると考えられます。
   これは完全にMECEになっており、かつWhy So?/So What?も成り立って
   います。

   従って、この論理展開には「重複」「漏れ」「飛躍」のいずれもないといえる
   でしょう。 
   こうして考えながら「利益が減少している」という問題について、ロジックツリー
   を作成します。
   図は第3階層までしか表示していませんが、実際には第5階層まで掘り下げる
   (「なぜ?」を5回繰り返す)と考えてください。

  2.ロジックツリーの階層 
   ロジックツリーは、下位階層ほど詳細で、具体的になります。
   その中には人間の性格やし好など、完全に網羅することが不可能なものもあります。
   従って、下位階層では、主要な原因を漏らさないことに注意しておけば、完全に
   MECEであることにこだわる必要はないといえます。 
   逆に、上位階層においては、MECEであることが重要になります。

   上位階層に「漏れ」があると、その漏れた原因の下位に位置する原因は、下位
   階層をどれだけ深く掘り下げていっても出てきません。
   そのため、せっかく時間をかけて考えてもロジックツリー自体が精度の低いもの
   になってしまいます。

   また、上位階層において「重複」があると、その「重複」は下位階層まで影響し、
   同じ原因について何度も考えることになり、結果として全体の効率が下がって
   しまいます。 
   上位階層、下位階層と表現しましたが、実際にどこまでMECEにこだわるかは
   扱う問題によっても異なります。

   より精度の高いロジックツリーを作成するための目安としては、少なくとも
   第2階層まではMECEであるようにしておかなければ、有効な解決策を導けなく
   なる可能性が高くなります。

  3.現状と照らし合わせる 
   こうして問題を原因に分割したら、各原因について「その原因は現状と合って
   いるか」を考えながら、現状と合った部分をさらに掘り下げていきます。
   例えば、現状が「利益は減少しているが、費用は増加していない」というので
   あれば、「費用の増加」という原因についてはそれ以上掘り下げる必要はなく、
   それ以外の原因(ここでは「売り上げの減少」)について掘り下げて考えて
   いきます。 

   このように、
    (1)原因をさらに細かい原因に分割する
    (2)現状と照らし合わせる
   という作業を繰り返しながらロジックツリーを作成していくことで、重要な
   原因を見落とすことなく、効率よく原因を掘り下げていくことができます。

 □対応策を策定する際の考え方
  1.課題を絞る 
   問題の原因を十分に掘り下げたら、今度はその原因を解決するための課題を設定し、
   具体的な対応策を考えます。 
   現状と照らし合わせながら原因を掘り下げていったとしても、おそらく最終的に
   複数の原因が残るでしょう。

   そうした原因のそれぞれが別々の課題になることもあれば、複数の原因に対応
   できる課題もあります。
   課題が多すぎるようだと「どこから手をつけていいのか分からない」という状況
   にもなりかねません。
   課題の間に共通項があれば、それらの課題をまとめることができるかどうかを
   検討します。 

   もし課題が一つにまとまるようであれば、そのまま課題の具体化を進めて
   いきます。
   課題が複数あるようであれば、課題の具体化を進める前に、課題に優先順位を
   つけておきます。
   優先順位をつける際には、以下のような条件を考慮します。

  2.「どうやって?」を考える 
   対応策を考えるときも、原因を発見するときと基本的な流れは同じです。
   課題を要素に分割し、それぞれの要素をさらに掘り下げていくことで課題を
   対応策に落とし込みます。
   この際にもやはりフレームワークを活用するなどして、MECEであることを意識
   して行います。 

   原因を掘り下げるときには、「なぜ?」を考えることで原因を掘り下げていきました。
   対応策を考えるときには、「どうやって?(So How?)」を考えることによって
   進めていきます。
   これを、先の営業社員への待遇という課題で考えてみると、対応策の一つとして
   このように考えることも可能でしょう。

   例として一つの要素だけを掘り下げています。
   実際には、課題を要素に分割して各要素を掘り下げていくため、一つの課題から
   複数の対応策を導くことになります。
   課題から対応策に落とし込むときには、その対応策は、誰がみても「何をするか」
   が分かるようにしておくことが理想的です。

   そのためには「受注額の0.1%を賞与に上乗せする」というように、具体的な
   数値を盛り込むなどしておくことが有効です。 
   逆に、「営業社員の営業力を向上する」といった対応策は具体性に欠け、
   「何をするか」が分からないため、対応策としては不十分です。

   また、「営業社員の営業力を向上する」のように具体性を欠いたものを対応策
   としてしまうと、対応策が実施されたか否かの判断は主観に基づくものとなって
   しまいます。 
   そのため、結果の検証を行うことが難しいという問題もあります。 
   対応策は、策定したらそれで終わりというわけではありません。

   策定した対応策は確実に実施して、結果の検証まで行ってこそ意味を持つのです。
   具体性を欠いた対応策は、結果の検証が行えないという点からも、対応策として
   不十分なものであるといえます。 
   策定した対応策が、こうした不十分な対応策になっている場合には、具体的な
   対応策になるまで、「どうやって?」を繰り返し考えることが必要です。

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ロジカルシンキング

ロジカルシンキング


 ■ロジカルシンキングとは

  1.論理的思考のための手法 
   ロジカルシンキングは、日本語に直訳すれば「論理的思考」ということになります。
   まさにこの意味の通り、物事を論理的に考え、それをコミュニケーションの場で
   生かすための技術に関する手法です。 
   ロジカルシンキングは、もともと米国のコンサルティング会社であるマッキンゼー・
   アンド・カンパニー(以下「マッキンゼー」)が提唱した問題解決のための思考
   手法の一つです。
   現在では論理的な考え方の道筋を指し示すものとして、「論理的思考」を実現する
   ためのさまざまな視点・用語を用いたロジカルシンキングの手法を解説した書籍
   などが出版されています。 
   以降では、ロジカルシンキングを提唱したマッキンゼーが用いている方法論や用語
   に従って、その基本的な概念を解説します。

  2.ロジカルシンキングが必要な理由 
   ビジネスにおけるコミュニケーションで最も大切なことは、言いたいことを正確に
   相手に伝え、相手の言いたいことを正確に理解することです。 
   仕事を円滑に進めるためには、取引先・上司・同僚・部下などの相手に対して
   自分の言いたいことを可能な限り分かりやすく伝え、理解して納得してもらうことが
   重要です。 

   しかし、実際には「思っていることが相手にうまく伝わらない」「相手をうまく
   説得できない」「相手の言わんとすることが理解できない」という場面も少なく
   ありません。
   これは、正確なコミュニケーションにとって必要な「論理的な思考」、すなわち
   ロジカルシンキングがうまくできていないことが多いためです。

   一般的に、日本人は討論ゲームの一種である「ディベート」などに接する機会が
   少なく、欧米人などに比べて論理的な思考が苦手であるといわれます。
   また、日本人同士のコミュニケーションでは「あうんの呼吸」「以心伝心」といった
   言葉に代表される伝統的な慣習によって、言葉にせずとも何となく意思の疎通が
   できているという認識もありました。

   しかし、外資系企業の台頭やビジネスのグローバル化、より合理的な経営戦略の
   推進など、近年の日本のビジネスシーンには大きな変化が起こっています。
   こうした中、あうんの呼吸や以心伝心などを重要視する旧来の日本型コミュニ
   ケーションではなく、グローバルな視点と明確な論理に立脚し、相手を納得させる
   ことのできるコミュニケーションの重要性がますます高まってきています。 

   思い違いや抜け・漏れのない意思の疎通を図るためには、あいまいな表現を避け、
   お互いが正確で論理的なコミュニケーションを心がける必要があります。
   そのための手法が、ロジカルシンキングなのです。

 □ロジカルシンキングの基本的な考え方

  1.相手に伝えるべきテーマを確認する
   ロジカルシンキングにおいて最初に意識すべき点は、「そのコミュニケーション
   において、自分が相手に伝えるべきテーマは何か」を明確にすることです。
   コミュニケーションの手段には会話や会議、メールでの連絡などさまざまなものが
   ありますが、どのような場合においても伝えるべきテーマに「ずれ」があっては、
   伝えたいことが相手に伝わりません。
   仮に、セールスをするときに相手が知りたいと欲する以外のことを丁寧に説明
   したとしましょう。

   そこで説明した内容が非常に価値を持った情報であっても、相手にとっては
   知りたい情報ではないため、商品購入の検討には至らないでしょう。
   例えばソフトウエアのセールスを行うときに、相手の最も知りたいことが
   「導入によるコストダウン効果」だと予想できたとします。それに対して、
   ソフトウエアの機能や操作性のよさをいくら強調してもピントの外れたやり取りに
   なるだけです。

   もちろん、機能や操作性のよさはソフトウエア導入に当たっての重要な要素
   となりますが、この場合、それはあくまでも「コストダウン効果」を前提とした
   上での副次的な要素でしかありません。 
   コミュニケーションを行うときには、伝えるべきことの価値やその方法以前に、
   そのテーマが果たして適切な選択であるのかということを優先して考えることが、
   ロジカルシンキングの考え方となります。

  2.相手の反応を想定する
   コミュニケーションにおけるもう一つの重要な前提条件となるのが、相手に期待する
   反応を確認することです。
   ミーティングやプレゼンテーションで何かを説明したり提案書などを作成する
   ということは、相手に内容を理解してもらい、最終的には何らかの反応を引き出す
   ことを目的とした行為です。
   この点を忘れてしまっては、コミュニケーションはただの一方的な独りよがりの
   行動となってしまいます。

   このため、コミュニケーションに際しては、相手からどんな反応を引き出せば
   成功なのかということを、あらかじめ想定しておくことが大切です。 
   例えば営業活動を行うに当たって、伝えるべきテーマを「ソフトウエア導入による
   コストダウン効果」と定め、さらに「コストダウン効果を相手に認識してもらい、
   その効果についての意見を引き出す」という相手の反応を想定するのが、
   ロジカルシンキングの方法論です。

   これに対して、「ソフトウエア導入によるコストダウン効果」というテーマを
   伝えることだけを考え、「その効果についての意見を引き出す」ことを行わなければ、
   相手がそれを理解できているか、理解できたとしてもそれに対してどのような意見
   を持っているのかを知ることはできません。 
   コミュニケーションが独善的にならないためにも、相手の反応を想定して事前に
   プランを立てる必要があります。

   伝えることはあくまでも相手に「理解してもらう」ための手段であり、目的は
   「反応や回答を得る」ことにあるのです。 
   以下では、こうした要件を満たしてより正確な相互理解が可能となる、論理的思考
   のための技術について解説します。

 □論理的思考のための技術

  1.重複・漏れ・ずれをなくす「MECE」 
   MECE(ミッシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive
   (「それぞれが重複することなく、全体集合として漏れがない」という意味)」
   の略で、マッキンゼーが命名したロジカルシンキングのキーとなる概念の一つです。 
   自分が伝えたいことを伝えるときに、同じ話を繰り返してしまう「重複」、
   肝心の点を説明していないといった「漏れ」、見当違いの点を強調してしまう
   「ずれ」があっては、相手の理解を得ることはできません。

   重複・漏れ・ずれがあっても受け手がそれを認識できるのは、それまでに蓄積
   してきた理解や経験によって、現在話題となっている主題の概要をつかんでいる
   ためです。
   例えば、映画の話をするときに、相手がその映画を見たことがあれば、ストーリーや
   映画の中の人間関係が分かっているため、多少の重複・漏れ・ずれがあっても
   自分の中で補完しながら話を理解することができます。

   しかし、その映画を見たことがない人に対してストーリーに関する細かい話をしても、
   当然のことながら詳しい内容は理解できないでしょう。 
   打ち合わせや連絡など実際のビジネスの現場にあっても、たとえ一見お互いが
   理解したように思えていても、重複・漏れ・ずれがあったために自分の言うべきことが
   相手に間違って伝わっていたり、相手の望むことを勘違いして仕事を進めてしまう
   ことがあります。 

   MECEを「ある事柄を重なりなく、しかも漏れのない部分の集合体としてとらえる
   こと」と意味付けています。
   つまり、MECEとは、現在テーマとなっている事象について、それを全体集合
   としてとらえた上で、さらに重複や漏れのないように分類するという考え方
   なのです。 

   MECEの手法による分類方法は、大きく以下の2種類に分けられます。

    (1)完全に要素分解できるもの
    (2)これを押さえておけば、大きな重複・漏れはない約束事になっているもの 
   (1)の例としては、年齢・性別・都道府県などの地域が代表的なものとして
   挙げられます。
   こうした切り口ならば、さまざまな事象を完全に重複なく、漏れなく分類できる
   でしょう。

   このほかにも、企業ならば売上高や従業員数による分類など、完全に要素分解
   できる分類方式の切り口は枚挙にいとまがありません。 
   一方、(2)の「これを押さえておけば、大きな重複・漏れはない約束事」というのは、
   完全に重複や漏れがないとは保証できないものの、広く一般的に用いられている
   切り口で事象を分類するというものです。
   その例として、具体的には次ページのようなものが挙げられます。

   ◎3C/4C 
    3C/4Cとは、市場を構成する顧客(Customer)・競合(Competitor)
    ・自社(Company)・チャネル(Channel)という3つないし4つの要素
    (チャネルを加えない場合もあります)を表します。
    市場をこれらの3つないし4つの要素に分類することで、一応は市場全体を
    網羅できます。 

    例えば、自社の現状について4Cを用いたMECEで説明しようとした場合には、
     ・市場の現状および顧客の動向(Customer)
     ・同じ市場で競合する他社の状況と動向(Competitor)
     ・自社の売り上げ状況などの業績(Company)
     ・何らかの流通チャネルが経営に大きな意味を持つ企業であれば 
      その状態(Channel)
    に分類して説明することで、自社を取り巻く現況をおおむね重複なく・漏れなく
    把握できます。

   ◎マーケティングの4P 
    4Pとは、マーケティング上で重要とされる、商品(Product)・価格(Price)
    ・チャネル(Place)・訴求方法(Promotion)という4つの要素を表します。 
    こちらについても3C/4C同様に分類して考えることで現況を重複なく・漏れなく
    把握することができます。

    例えば社内ミーティングで、自社製ソフトウエアと他社製ソフトウエアの比較
    説明を行うためにMECEの分類として4Pを取り入れると、自社と競合製品の
    機能的な違いや優位性(Product)、価格はどちらが高いか(Price)、
    主な販売ルートはパソコン専門店かそれともシステム販売業者か(Place)、
    宣伝媒体は専門誌か一般誌か(Promotion)などの要素に分解して考えることが
    できます。

    こうすることによって自社製品と他社製品の良しあしが明確になるでしょう。 
    「これを押さえておけば、大きな重複・漏れはない約束事」という切り口には
    特別なルールはなく、主観に傾きすぎず、またあいまいさを可能な限り排除
    すれば、どのような分類もできます。
    例としては、以下のようなものが挙げられます。
     ・「過去」「現在」「未来」
     ・「短期」「中期」「長期」
     ・「質」「量」
     ・「事実に基づくもの」「事実に基づかない判断」 

    MECEは、論理的な思考を行うための考え方の訓練といえます。
    MECEの技術によって伝えたいことを重複なく、漏れなく分解し、思考の
    落とし穴をふさぎながら全体を網羅的に把握するのが、MECEの効果といえます。
    そのためには、MECEの切り口となる分類項目をなるべく増やす努力をする
    ことが重要です。

  2.話の飛びをなくす「So What?/Why So?」 
   論理的な思考方法の一つとして、「3段論法」があります。
   以下に最も分かりやすい例を挙げてみましょう。

    →商品Aは商品Bよりも高価である。
    →商品Bは商品Cよりも高価である。
    →よって、商品Cは商品Aよりも安価である。 
   上記の論法では、論理に飛躍は生じていません。
   しかし、上記の3段論法から2段目を抜いてしまい、
    →商品Aは商品Bよりも高価である。
    →よって、商品Cは商品Aよりも安価である。
   としてしまったら、聞いている人はなぜ商品Cが商品Aよりも安いのかが全く
   分からなくなってしまいます。
   これが「話の飛び」です。

   自分の結論を説明するときに「よって」「従って」という言葉がよく使われますが、
    その際「よって」の前後の話が常識的に考えてつじつまが合っていない場合、
    受け手は論理の飛躍を感じ「話が飛んでいる」という印象を受けるのです。
    例の場合には、「商品Bは商品Cよりも高価である」という部分を省いたことに
    よって、判断の根拠となる材料が失われてしまったために、話の飛びが発生
    したのです。 

    例では単純に飛躍した論理となっていますが、実際には前述した「相手に伝える
    べきテーマ」と「相手の反応の想定」の設定を間違ったため、判断の根拠と
    なる事柄を理解してもらえないなどの理由で、話の飛びが発生することは少なく
    ありません。 

    こうした「話の飛び」をなくすための技術が、
     「So What?/Why So?」
    です。
    「So What?」とは、それまでに話した内容や提示した情報の中から「結局
    どういうことなのか?」を抽出する作業で、「Why So?」とは、「So What?」
    で抽出された結論に対して「なぜそうなのか?」を検証・確認する作業です。 
    いくつかの情報を提示した上で結論となる部分を導き出す「So What?」とは、
    すなわち物事を要約する作業であるといえます。

    そして、「Why So?」とは、要約した内容が間違っていないかを確認するために
    もう一度それまで述べてきた
    ことや情報を見直すことだといえるでしょう。 
    「So What?/Why So?」は、MECEのようにさまざまな切り口を覚え、増やす
    ことで身に付くものではありません。

    雑誌や新聞を読むときや日常的な会話・報告の中で、日ごろから「結局どういう
    ことなのか?」ということを常に考える訓練と、その結論に対して「なぜそう
    なのか?」を検証することが、「So What?/Why So?」の能力を高めるために
    重要となります。

  3.「横の法則」と「縦の法則」によって組み立てられる論理 
   ロジカルシンキングでは、そのときの課題に対してMECEを「横の法則」、
   So What?/WhySo? を「縦の法則」として、立体的に論理を組み上げていきます。
   例えば、下図はソフトウエア会社が新製品を開発する際に、会議でその方向性を
   発言する際の論理モデルで論理を組み上げるときにチェックしておくべきポイント
   となるのは、以下の3点です。

    ・結論がテーマの回答になっている
    ・結論を頂点として各要素にSo What?/Why So? の関係が成立している
    ・横方向に並んだ複数の要素でMECEが成立している 

   このモデルでは、「新製品開発の方向性」というテーマに対して市場の3Cを分類
   方法として選んだMECEによる考え方を横軸にして、縦軸では「So What?/Why So?」
   を繰り返して結論を導き出しています。
   MECEを使いこなすことで論理を組み立てる判断材料となる情報を重複なく、漏れなく、
   ずれなく網羅した上で、So What?/Why So? によって「結局どういうことなのか?」
   「なぜそうなのか?」を検証しながら、飛びのない論理を構築するというのが
   ロジカルシンキングにおける思考の手順となります。

  4.2種類の論理構築パターン 
   ロジカルシンキングにおける論理構築のパターンには、「並列型」「解説型」の
   2種類があります。 
   並列型とは結論を頂点にして、それをMECEを横軸にした複数の根拠が支えるという
   パターンで、ロジカルシンキングの基本といえます。
   前記の単純化した論理モデルも、並列型の論理構築パターンとなっています。 

   一方、解説型は、横の法則となるMECEの分類を以下の3種類に設定します。
   ・課題に対する結論を導き出すために相手と共有しておくべき「事実」
   ・「事実」から結論を導き出すための伝え手としての「判断基準」
   ・「事実」を「判断基準」で判断した結果、どのように評価されるのか

  という「判断内容」下図は、この3種類のMECEを用いた解説型ロジカルシンキングの
  論理モデルを表したものです。
  解説型の論理構築パターンでは、「事実」→「判断基準」→「判断内容」という、
  演繹(えんえき)的な思考の流れを根拠としながら、最終的には
  「So What?/Why So?」を行いながら一つの結論へと導かれるという流れになります。 
  並列型、解説型の2種類の論理構築パターンを組み合わせることで、どのような
  課題に対しても論理的に思考を組み立てることが可能となるのです。

 
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社長に必要な論理的思考

社長に必要な論理的思考


  ■論理的思考

   論理的思考とは、通常は自分の頭の中で体系的・合理的に物事を考えることを指します。

   もちろんこれ自体は重要なことですが、経営者にとっての論理的思考とは、それを相手に
   正確に理解させるプロセスも含めて捉える必要があります。

   経営者は、部下や取引先など自分とは異なるさまざまな立場、経験、世代の人々と接して、
   自分の考えを伝えたり、相手との合意形成を行うことが求められます。

   自分ではその考えに絶対的な自信があったとしても、相手にわかってもらうためには、
   客観的な根拠を的確にまとめることや、順序立てて説明することなどが必要です。

   この点が不十分であると、自社の経営幹部陣といくら話しても、「自分の真意が伝わらない」、
   「議論がかみ合わない」ということになりがちです。

   部下の理解力不足を指摘することはできますが、その際にも部下のどのような理解力が
   どのように不足しているのかをわからせる必要があります。

   また、取引先に対して、自分がトップ営業で相手の会社にとって最適な提案を行っている
   のに、相手から十分な理解が得られずに最終的な契約に至らないということもある
   でしょう。

   社長はトップとして、自社の経営幹部や取引先などに対して、優れた考えや提案を用意
   するだけではなく、それを相手に確実にわからせることが求められるのです。

   ここでは論理的思考を「自分の中で論理的に考えること(インプット)」と、「相手の立場に
   立ってわかりやすく伝えること(アウトプット)」の2つに分けてそれぞれのポイントについて
   紹介していきます。

  □論理的に考えるために

   1.筋道を立てて考える

    論理的に考えるとは、物事を「筋道を立てて考える」ということです。

    たとえば、売上不振が続いている場合には、すぐに「我が社の最重要課題は営業力の
    強化である」と結論づけたくなります。

    営業力の強化がすべての企業にとって永遠のテーマであることは間違いありません。

    しかし、それが現時点での「最重要テーマ」と結論づけるためには、そもそもの「経営
    戦略」や「商品力」などその他の要因もすべて検討することが必要になります。

    つまり、自分が主張したいことについて、その判断理由や判断の根拠となる事実はどうか
    を必ず確認しなければならないということです。

    経営者に求められる判断は難解なものばかりであり、最終的には自分の経験や勘に
    頼らざるを得ない場合もあります。

    しかし、だからこそ可能な範囲では、できるだけ正確な情報を入手し、論理的に考える
    必要があります。

    そのためには「ここぞ」というときだけではなく、普段から情報収集や情報分析を心掛けて
    おくことが大切です。

    自社業績や業界情報に敏感であるのは当然として、たとえまったくの異業種で
    あっても急成長企業の記事を読んだときには、「成長要因は何か」、「どうやって成長要因
    を獲得したか」などについてつねにアンテナを張り、自分の考えを整理する習慣を身に
    つけるのです。

   2.三角ロジックを徹底する

    論理的思考の基本としてあげられるのが「三角ロジック」です。

    これは、「主張」、「データ」、「論拠」の3つの整合性を保つことです。

     三角ロジックは論理的思考の基本

    (1)主張

      「こうである」「こうすべきだ」という結論、意見、推論
     例)新商品開発に早急に着手すべきだ

    (2)データ

      主張を裏付ける客観的な数値や事例
     例)既存商品の売上が減少している。市場規模も減少している

    (3)論拠

      データと主張を結びつける理由
     例)新たな事業の柱を育てないと経営が成り立たない

    データや論拠などの現状説明ばかりで明確な主張がなければ「結局どうすればよ
    いのか」ということになり、逆に主張ばかりでデータや論拠が伴っていなければ「主
    張が飛躍している」ということになります。

    日常業務の判断から経営戦略の策定まで、考えるあらゆる場面で、三角ロジック
    を徹底させることが大切です。

   3.問題解決プロセスを理解する

    問題を解決するためにはその間題が起きている本当の理由を探り、その解決のための
    課題を緻密に設定していかなければなりません。

    ここでいう問題とは「本来あるべき姿とのギャップ」のことであり、課題とは「そのギャップ
    を解消するために何をすればよいか」ということです。

    たとえば、「売上不振」は問題ですが、単純にそれを裏返しただけの「売上拡大」は課題
    ではありません。

    問題を解決するために具体的にどうすべきかという具体策である、「販促活動の改善」
    などが課題になります。

    問題解決を考える際には頭の中で問題と課題を使い分ける必要があります。

   4.「メタ思考」を意識する

    複雑なことを考えていると頭の中で堂々巡りが始まり、そもそも何のためにそのことを
    考え始めたのかわからなくなることがあります。

    前述したように問題と課穎が混同することも多いでしょう。

    深い思考をするときには、「自分はなぜ今そのことを考えているのか」、「そもそもの目的
    は何だったのか」といったことをつねに確認しておく必要があります。

    そのためには思考している自分とは別の自分を登場させ、その思考が目的に沿ったもの
    かどうかを客観的にチェックする習慣を身につけることが効果的です。

    このように自分の思考プロセスを違う視点から客観的にチェックしていくことを「メタ思考」
    といいます。

    メタ思考によって考えていることが目的に沿っているかどうかだけではなく、前述の
    問題解決プロセスのなかで、自分が今どの段階のプロセスにいるのかもチェックする
    ことが大切です。

    「本筋の思考を深めていく自分」と「その思考の仕方が正しいかどうかをチェックする自分」
    を使い分けていきましょう。

   5.ロジックツリーで分解する

    たとえば、スーパーマーケットを経営している会社で「3カ月連続で売上額が前年比を
    割り込んでおり、このまま放っておくとさらに売上が減少しそうだ」という事態が発生
    したとします。

    このような場合に単純に販売責任者に対して「もっと努力しろ」というだけでは、事態は
    好転しません。

    まずは「なぜそのような事態に陥ったか」という原因を探らなければなりません。

    しかし、「商品の品質が悪化したのか」、「販売力が落ちているのか」など考えられる原因
    は無数にあります。

    これらを手当たり次第にチェックしていくのはあまりに非効率です。

    また、想定できないイレギュラーなことが原因である可能性もあります。

    このようなときには問題をさまざまな視点で段階的に分解していくことが有効です。

    時間がかかりそうに思えますが、じつはこの方法がもっとも効率的に高い確率で本当の
    原因を特定することができます。

    「売上が減少している」を分解する最初の段階として、「客数減少」か「客単価減少」の
    どちらか(あるいは両方)に分けることができます。

    調べた結果、客単価は減少しておらず、客数が減っているとします。

    これをもう一段階分解すると「新規顧客の減少」か「既存顧客の減少」のどちらか
    (あるいは両方)となります。

    さらに調べてみると新規顧客獲得のペースは変わらないが、既存顧客がどんどん減少
    しているとします。

    このあたりまで分解してみると徐々に本当の原因が想像できるようになります。

    たとえば、「常連客向けのポイント制度が陳腐化した」、「商品陳列に変化がなく、常連
    客が飽きてきた」などが原因として考えられます。

    もし新規客も既存客も両方とも減っているとしたら、「強力な競合店が出現した」などの
    原因も考慮しなければなりません。

    こうやって一見解決が難しそうにみえる問題でも順序立てて丁寧に分解していくと、
    本当の原因にたどり着きやすくなります。

    このように因果関係を漏れなく分解した図を「ロジックツリー」といいます。

    ここであげた分解の仕方以外にも、「平日売上」と「土日売上」などの曜日別、「昼間売上」
    と「夜間売上」などの時間帯別などの分解もできるでしょう。

    そして、ロジックツリーで本当の原因が特定できたら、たとえば、「既存顧客フォローの
    ための継続キャンペーンを行う」などの効果的な対策が考えられます。

    また、スーパーマーケットのような小売店以外の業態でもこの考え方は応用できます。

    たとえば、法人向けの継続的なビジネスで、既存の取引先が多数離反しているような
    ケースでは、顧客のフォロー体制について、「訪問頻度」や「訪問時の面談内容の濃さ」
    などについて細かく分解していくと、どのような点に原因があるかにたどり着きやすく
    なるでしょう。

    自社の業態に適したロジックツリーを設計しましょう。

    ここで大事なことは、問題が起こってから慌てて対策を考えるのではなく、あらかじめ
    起こりそうな問題について想定しておき、問題の原因を突き止めるためのデータをとって
    おくことです。

    たとえば、スーパーマーケットの例でいえば、新規顧客と既存顧客がどのくらいいるのか
    というデータがなければ、それ以上深く分解できず、やむなくすべての顧客向けの施策を
    打ち出すことしかできません。

    また、法人向けビジネスの例でいうと、訪問した際の報告書が継続的に作成されている
    ことが条件となります。

  □わかりやすく伝えるために

   1.聞き手のことを理解する

    人間は相手に何か伝えるときは伝えたいこと(メッセージ)をいったん言葉に置き換え、
    相手に伝えます。

    受け取る側はその言葉からメッセージをくみ取ります。

    伝える側は「伝える側の感覚」でメッセージを言葉に置き換え、受け取る側は「受け取る
    側の感覚」で言葉からメッセージを推察しています。

    それぞれの感覚のズレが大きいほど、伝える側のメッセージは相手に理解されにくく
    なります。

    したがって「何を伝えるか」という内容そのものと同じくらいに、「どのような人に対して」
    伝えようとしているのか、メッセージの受け手のことを理解することがとても重要です。

    部下に自分の考えを伝える場合も同様です。

    経営幹部のなかには創業以来、社長と苦楽を共にしている人もいるでしょう。

    そんな彼らにはメッセージが比較的伝わりやすい土台ができているといえますが、それでも
    社長と比較すると「経験」、「知識」、「考え方」、「能力」、「使命感」などさまざまな
    点で大きな差があるのが普通です。

    その差を意識して、経営者自身の頭の中では「言うまでもない」と思えるようなことも
    補足しながら話すというスタンスが必要になります。

   2.要点や全体構成を整理しておく

    わかりやすく話をするためには、あらかじめ話す要点を整理しておく必要があります。

    自分の話したいように話すのではなく、少しでも相手が理解しやすいような工夫をする
    ことが大切です。

    たとえば、冒頭で、「これから話すことのポイントは3つあります。

    第1は……」と話し始めることで、聞き手は最初に「今日は3つのことが話される」という
    ことがわかります。

    また「第1は……」で話されていることを聞いているときに「今聞いていることは、残りの
    第2、第3と並列の関係がある」ということを意識することができます。

    また、聞き手の理解を妨げるような余分な情報は伝えるべきではありません。

    たとえば、「自分はA案、B案、C案のなかからA案を選んだ」ということを伝えるときには、
    A案を選んだ理由の補足としてB案、C案について簡単に触れることは効果的ですが、
    その話が長すぎると、聞き手は混乱してしまいます。

    余計な情報は思い切って省くことが大切です。

   3.相手の理解度を確認しながら話す

    話をしている最中に相手の顔つきや目線などを追うことで、ある程度聞き手の理解度を
    把握することができます。

    それを確実にするためには話をいったん止めて、聞き手にここまで話したことへの感想や
    意見を聞くことも有効です。

    理解度が不十分であれば、補足したり、話し方を工夫します。

    できるだけ双方向に話を進めることが大切です。

    一般に自分の思い入れが強い主張になればなるほど、一方的に話し続けてしまうもの
    です。

    聞き手不在のまま話を進めないように注意しましょう。

   4.できるだけ具体的に定量化して伝える

    わかりやすく伝えるためには、自分の主張をできるだけ具体的に定量化して伝える
    ことが大切です。

    さらに、業務指示を与える場合には「いつまでに」という期限も明示しなければなりません。

    この部分が不足していると相手は経営者がいつまでにどの程度のレベルを期待している
    のかが理解できません。

    <指示を定量化して伝える>

     ×新規顧客開拓に注力せよ
     ○今後1カ月間で見込み客を10件開拓せよ(「見込み客」といえる定義も必要)

     ×新商品開発に注力せよ
     ○今後1年間で新商品候補を5件作れ(「新商品候補」といえる定義も必要)

     ×残業時間を削減せよ
     ○今後半年間で残業時間を50%削減せよ
 
    上記のように数値や期限、言葉の定義も含めてできるだけ具体的に伝えることで、
    社長がいつまでに何をしてほしいという指示が正確に伝わりやすくなります。

   5.自分の思考プロセスも含めて伝える

    相手に伝える際に、結論だけではなく、自分自身で考えた際の思考プロセスも含めて
    説明することも重要です。

    たとえば、部下に対して「今後1カ月問で見込み客を10件開拓せよ」という指示を出す
    際に、指示内容だけでは部下は「社長が無茶なことを言っている」、「社長の思い込み
    ではないか」という受け取り方をしかねません。

    指示を伝える際には「なぜそうすべきという結論に至ったのか」、「そうすべきと思った
    根拠は何か」といった自分自身の思考プロセスも説明します。

    前項で紹介した三角ロジックやロジックツリーの考え方なども含めて説明すると効果的
    です。
 

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環境変化に対応するための分析手法
 

  SWOT分析(経営) 

   1.環境分析の項目

     企業などの環境分析手法のひとつにSWOT(スウォット)分析があります。

     SWOT分析では企業を取り巻く環境を2つの視点から分析していきます。

     つまり、

      ヒト、モノ、カネ、情報に代表される、会社のなかにある経営資源
      (=これを内部環境と呼びます)

      経済、法律、政治、文化、自然などの、会社の外から会社を取り
      巻いている社会環境(=これを外部環境と呼びます)

     の2つの視点から分析するのです。

     一般的には、内部環境の分析で限られた人材、資金、商品力、情報量につい
     てそれをいかに効率的に利用する(どこに重点的に資汲を投入する)かを明ら
     かにします。

     内部環境となる対象は、

      「ヒト」は経営者、従業員などの人的資源

      「モノ」は自社の扱う商品、原材料、不動産、生産設備、機械などの資源です
      が、商品力が大きな柱です。

      「カネ」は資金調達力、自己資金、内部で積み立てた過去からの利益など

      「情報」は、ホームページでの情報収集、システム機器の導入を行っている
      か、顧客情報、競合状況、市場状況などをしっかりと把握しているかなどが

     重要です。

     一方、外部環境となる対象には、たとえば、人口動向(人口の減少・増加、男
     女比率、年齢層の分布、学歴、人種構成など)、経済(景気状況、金利水準、
     為替水準、公共投資金額、所得水準など)、政治(政府、法律、自治体など)、
     自然(環境、天候、天然資源、大気など)、文化(流行、価値観、ライフ・スタイ
     ルなど)、技術(先端技術動向、コンピュータ技術など)といった、自分の力では
     どうしようもない社会環境(統制不可能な外部環境)があります。

     また、お客様(購買決定者は誰か、購買するプロセス、購買に影響をおよぼす
     ものなど)、供給者(仕入業者、原材料の仕入先など)、仲介業者(卸、代理店
     など)、競合企業(自社の直接の競合企業、将来競合となる可能性のある企業
     など)、利害関係者(株主の意向、金融機関、債権者、官庁、マスコミなど)と
     いった、ある程度統制可能な外部環境もあります。

   2.SWOT分析の4つの枠

     環境について内部環境、外部環境の2つの視点からとらえた後、内部環境に 
     ついては、

     自社の「強み」(Strength)と「弱み」(Weakness)の2つに整理していきます。

     一方、外部環境についても、

     「機会」(Opportunity)と「脅威」(Threat)の2つに整理していきます。

     SWOT分析とは、この4つの頭文字をとった呼び方です。

     内部環境の「強み」とは、先に分析した自社の経営資源でまさに「強い」ところ
     がどこにあるのかをみつけます。

     「弱み」は自社の経営資源の「弱い」ところです。

     外部環境の「機会」とは、自社にとって有利なビジネス上のチャンスや魅力的
     な環境変化です。

     たとえば、女性の社会進出は、持ち帰りの総菜店や半調理製品の市場にとっ    
     ては「機会」となります(百貨店の地下食料品売り場、いわゆるデパ地下の盛
     況を思い浮かべてください)。

     「機会」は追い風となる環境変化ととらえてください(SWOTのOは「追い風」の
     Oと覚えてください)。

     一方、「脅威」とは外部環境の変化によって自社の事業が「手痛い逆風」となる
     事態です。

     外部環境の望ましくない変化によって会社の業績や経営に手痛い状況を与え
     る要因を指します(SWOTのTは「手痛い逆風」のTと覚えてください)。

     たとえば、先ほどの女性の社会進出は夜7時までしか営業していない商店街
     の精肉店にとっては脅威となります。

     以上の4つの枠で分析する方法がSWOT分析です。

     具体的に例をみていきましょう、

     A社はスナック菓子を製造販売するメーカーです。

     A社の経営体質を分析するために経営幹部から課長層までにインタビューを
     行い、自社のSWOT分析を行いました。

     さらに販売先、仕入先、外注業者にもインタビューを行い、その情報を基にさら
     に詳しいSWOT分析を行った結果、以下のような意見がまとまりました。

     これらのどれがA社のS、W、O、Tであるかを考えてみます。

      1.A社はスナック菓子の新商品開発力は高く、月に2アイテムの
        新製品を発売している。

      2.スナック菓子のマーケティングは、顧客の年齢層を意識した商品
        開発がされておらず年齢層別にターゲットを絞った製品開発を
        すれば事業拡大の可能性がある。

      3.A社の営業は代理店のフォロー中心で御用聞き要素が高く提案力
        に欠ける。

      4.スナック菓子の主要市場である児童の人口が減少して市場全体
        が縮小している。

      5.旧来からの強固な代理店ルートを確立している。

      6.創立者の社長が75歳と高齢であり、意思決定に時間がかかる。

      7.海外への輸出(とくにアジア市場)が前年比10%以上の伸びで
        好調である。

      8.競合他社も多く、価格競争が激化している。

     強みと機会は区分しにくいところがあるかもしれないが、まずは自分の感覚を
     重視して分類してみてください。

     実際にSWOT分析を行うときには、たとえば、5〜6人ぐらいのメンバーで
     SWOTの各項目ごとに1人5〜10項目をあげていき(これで30〜60項目は出
     てきます)、それを整理しながらまとめ上げていく方法が一般的です。

     この方法をとると、参加者の共同作業意識が高まり、SWOT分析の客観性も
     高まります。

     A社のSWOT分析例(8つの分析)はどのようになりましたか? 

   3.SWOT分析

     SWOT分析では、これは必ず「強み」だ、これは必ず「弱み」だということはあり
     ません。

     一般に「強み」と「弱み」は背中合わせであることが多くあります。

     たとえば、全国ネットの強力な修理体制を敷いているメーカーにとって、この修
     理体制は一般には「強み」ですが、過剰なサービスを提供しているとするとコス
     ト面から考えて「弱み」となる場合もあります。

     また、3年前に強みであったからといってそれが現在も強みであるかどうかわ
     かりません。

     たとえば、焼肉店で「和牛」を売り物にしていた場合、その高級感が「強み」で
     あったでしょうが、狂牛病という「手痛い逆風」によって「和牛」が「弱み」になっ
     てしまった時期もあったのではないでしょうか。

     「強み」にも「弱み」にもなる項目については両者に分類しておくことです。

     無理やりどちらかに絞ることは重要な観点を捨ててしまう可能性があるので避
     けましょう。

     また、「追い風」「逆風」は時代の流れ(たとえばトレンドの変化、新しい法律が
     施行されたなど)で変わっていきますので、定期的に見直すことも必要になり
     ます。

     まさにその見直しが環境変化に対応するコツとなります。

   4.SWOT分析から導く戦略

     さて、SWOT分析で4つの枠それぞれに項目が記入したら、次に、このSWOT
     分析表から、 

      ・自社の「強み」をどのようにいかして「追い風」に乗っていく方法があるか

      ・自社の「弱み」を、「追い風」を利用して克服できないか

      ・自社の「手痛い逆風」を「強み」を利用していかに克服するか

     を検討していきます。

     A社の例でみていきましょう。

     まず自社の「強み」をいかし「追い風」に乗っていく戦略です。

     「強み」のなかに「商品開発力がある」という項目があるので、これをいかし「追
     い風」のなかの「年齢別にターゲットを絞った商品開発の可能性」を利用します。

     すると、商品開発力をいかして年齢別のターゲットを絞った商品を開発すると
     いう戦略が浮かんできます。

     さらに、自社の「弱み」を克服する戦略としては、「御用聞き」的な営業を克服
     するため海外市場の拡大を利用して海外に提案営業を行える営業力の強化
     という戦略が見えてきます。

     「手痛い逆風」を克服するためには、たとえば「競争激化」に対応するため商品
     開発力をいかした新商品を高価格で発売する戦略が考えられます。

  □SWOT分析のヒント

   1.内部環境分析の視点

     SWOT分析の一般的なやり方は前項で説明しました。

     実際、自社でSWOT分析を行う際には、あまり堅苦しく考えずに行ったほうが
     よい結果が出ますが、ここでは、内部環境、外部環境について具体的にどの
     ような視点からとらえていけばよいのかを、より具体的にみていきます。

     まずは、内部環境についてです。

     先ほど内部環境はヒト、モノ、カネ、情報がその対象であると述べたが、どのよ
     うな点に注目していけばよいのでしょうか。

     (1)ヒトを分析する視点

       まずはヒトです。

       人的資源ですから経営者、従業員が対象となります。

       経営者の経営知識、経験、従業員の商品知識(たとえば、酒販店の従業員
       に日本酒やワインに対する商品知識がある、青果店が珍しい野菜の調理
       法を知っている、といったことは重要な強みです。

       自社の商品だけでなく業界の動向に詳しい、商品をコーディネートできる力
       がある、などもあげられます)。

       メーカーであれば熟練した技術力、あるいは最新鋭の機械を使うためのノ
       ウハウ、自社商品の商品知識などがヒトを分析する視点となります。

       また、あの従業員は「声が大きくいつも元気だ」「人柄が明るい」といった項
       目も対象にしていきます。

     (2)モノを分析する視点

       次はモノです。

       自社の商品は他社と比べてどこが優れているのか、どこが見劣りするの
       か、それを分析していきます。

       たとえば、食品関係では、自社で生産する食肉はその生産地、飼料まで情
       報を把握している、生産者から直接仕入れており生産者の顔がみえる、な
       どが強みになります。

       自社にしかない商品、あるいは自店にしかない商品(=たとえばプライべー
       トブランド)も強みにつながります。

       自分たちのモノ(製品、商品、サービス)はどこにこだわっているのかが基
       本的な「強み」につながりますし、こだわりが足りない部分、競合他社に負
       ける部分が「弱み」となります。

     (3)カネを分析する視点
       カネは、簡単に考えれば資金があるかないかですが、そればかりではあり
       ません。

       担保力のある資産をもっているか否か、借金できる力があるか、さらには、
       資金計画を作成しているか、キャッシュフロー計算書を作成しているか、経
       営目標を数値化しているか。

       また、事業計画書、中期経営計画があるかといった経営管理能力も視点
       のひとつとなります。

       不動産などの「担保」で資金調達するだけではなく「事業計画」がきちんと
       作成されているかといった将来性も重要な融資条件となっているためです。

     (4)情報を分析する視点

       内部環境の最後は情報です。

       情報の分析となるとシステム導入の状況やインターネットを利用したeコ
       マースの実施状況などが注目されます。

       もちろんこれらの項目が視点の中心になりますが、たとえば、顧客情報を
       もっているか、業界情報を注意して入手しているか、自社の売上の関連指
       標(たとえば、住宅産業にとっての新規住宅着工件数など自社の売上に影
       響をおよぼす指標)がわかっているか、といった基本的な部分も重要です。

       たとえば、顧客リストが100人分あり、そのお客様ごとの購入費目、金額、
       業務内容、今後の成長方向、購買のキーパーソン、今後の提案方向など
       がしっかりと把握されていることは、大きな強みとなります。

       内部環境に関しては、上記のような視点で分析していけばよいでしょう。

       繰り返しになりますが、あまり堅苦しく考えずに実施してみましょう。

   2.外部環境分析の視点

     次に、外部環境分析の視点をみていきましょう。

     ただし、外部環境は業界、時代によって大きく変わっていきますのでこんな視
     点があるという例をあげてみます。

     (1)業界の状況

       自社の属する業界の状況を分析する視点として、構造(Structure)、成果
       (Performance)、環境(Environment)、運営(Conduct)の4点があげ
       られます(それぞれの英語の頭文字をとってSPECという呼び方をします)。

       ●構造
        その業界の企業数、マーケットシェア、参入障壁(その業界に参入
        しようとするとき、たとえば行政の免許がいるなど参入しにくくして
        いるもの)などの「対象業界」の分析を行います。

        次に、原材料供給者の業界での影響力や力関係、お客様との取引
        上の力関係、現在は競合ではないが競合になりそうな参入可能性
        の高い企業の有無、直接には競合品でないが代替品となる商品の
        4つに関する「関連業界」の分析を行います。

       ●成果

        市場規模、市場成長率、利益率、製品別市場規模などの「活動成果」
        とその市場の平均企業の総資産、従業員数、従業員の平均年齢など
        の「投入資源」の2点を分析します。

       ●環境

        ここでは、「社会トレンド」(先端技術の動向、産業構造の変化、国際
        状況、為替状況、人口動態など)および「社会規制」(法律、法改正
        の動向、環境対策、行政指導など)について分析を行っていきます。

       ●運営

        ここでは、どのような仕組みでそのビジネスが成り立っているかを
        分析します。

        その業界で「勝ち残るためのキーポイント」を分析します。

        たとえば、医薬品業界は研究開発がキーポイントですし、シャンプー
        や歯磨きのようなトイレタリー商品は広告宣伝力がポイントです。

        さらに「業界独自のルール」(契約形態、支払サイト、価格の決め方など)
        を分析します。

     (2)トレンド

       次に、外部環境での続行を押さえる視点を考えてみましょう。

       時代とともに移り変わるものですが、昨今の特徴として以下のような視点が
       あります。

       ●女性の社会進出

        女性が職業をもち、家庭にこもることが減ってきています。

        この減少があなたの会社の事業に影響を与えていませんか? 

        たとえば、働く女性を意識し深夜まで営業している託児所にとっては
        「追い風」ですし、夕食の負担を楽にするため総菜の利用が増え総菜
        業界にとっても「追い風」ですが、夕方7時には店を閉めてしまう商店
        街の食品店には「手痛い逆風」です。

       ●国際化

        親会社の中国への生産移管、低価格商品の輸入、情報・流行の国際
        化、海外旅行の日常化、外国人労働者の増加など、国際化もさまざま
        です。

        外国人労働者の増加により特定国の物産を扱っている商店にとって
        「追い風」となることが考えられます。

        中国からの低価格化など「手痛い逆風」が吹き荒れていますが、「中国
        市場」という「追い風」も考えられます。

       ●高齢化

        日本は世界有数の高齢化社会です。

        健康産業や看護・介護産業成長の基盤です。

        他業界においても高齢化社会は何らかの影響をおよぼしている
        はずです。

        たとえば、建築業界においてはバリアフリー化工事が標準化の
        現象が見られます。

       ●少子化

        子どもの数が絶対的に減少しているなか、学校経営は厳しい「手痛い
        逆風」にあります。

        大学の全入可能な時代に備え、生き残りのための差別化を図って
        います。

        一方、子どもの絶対数は減少していますが少子化ゆえに大切にされ
        親、祖父母の6人が子どもにお金を使うことから「6ポケット」といわれ
        る傾向があり、これを「追い風」にしている会社もあります。

       ●余暇時間の増加

        週休2日制、振替休日制度などで余暇時間は確実に増加しています。

        旅行や趣味に費やす時間が増えるなか、消費にも変化が起きています。

        あなたの会社にどのような影響をおよぼしているかを分析していき
        ましょう。

       ●価値観の多様化

        消費者、生活者の価値観が多様化し、大量生産型の製品だけでは
        満足しない層が現れています。

        自分だけという自己表現を満足させる工夫が必要になってきています。

        消費者の多様な要求にどのように応えていくのかも大切な分析の視点
        です。

        ほかに、SPECの分析と重なりますが、景気動向、法律の改正や新法の
        施行、環境問題、政治動向などを視点として分析していきます。

   3.SWOT分析の実例

     SWOT分析の方法については理解できたことと思います。

     SWOT分析でのキーポイントは自社の「強み」が何であるかをしっかりとつか
     むことです。

     どのような例があるかをみていきましょう。

     (1)蜂蜜店

       もともと東京都世田谷区で養蜂業を営んでいた経営者が蜂蜜および菓子
       の販売をしている商店です。

       この店の「強み」はなんといっても蜂蜜に関する専門的な商品知識です。

       花別のオリジナル蜂蜜が30種類あり、それぞれの特徴や説明を記載した
       パンフレットが用意されています。

       たとえば、紅茶に入れるならミカンの蜂蜜、シナモントーストに合うのはそば
       の蜂蜜だそうです。

       養蜂業を営んでいたからこそ知り得た蜂蜜の情報がこの店の「強み」です。

       「弱み」としては土地柄から店舗の規模が限られる、賃貸料が高いなどが
       予想されます。

       一方、外部環境では「追い風」として健康ブームがあります。

       健康志向の女性客が砂糖を使わない蜂蜜入りの菓子に注目しています。

       「手痛い逆風」としては、ほかの健康食品店舗の進出などがあげられます。

       健康ブームという「追い風」を利用して自己の強みを活かす経営スタイルが
       見えてきます。

     (2)食肉店

       食の安全が注目されるなか自社のブランド牛を使用した商品開発に力を入
       れています。

       静岡県の朝霧高原で飼育した「朝霧放牧豚」や「朝霧牛」を使用した特産肉
       を販売し、生産地、飼料などの情報を把握しています。

       ハム、ソーセージなどの自社オリジナル商品の開発も行っています。

       この会社の「強み」は自社育成の安全な食品の提供です。

       食の安全に対する「手痛い逆風」となりかねない動きを「追い風」に転換し
       ています。

       自社のオリジナル商品という「強み」を活かし肉製品の安全性を明確にす
       ることで食品に対する安全性を求める消費者の要望という「追い風」に乗る
       ことができました。

       もちろん安全性が話題になる前から少々高くても品質のよいおいしい食肉
       がほしいという消費者のニーズに対応していることが基本的な「強み」と
       なっています。

     (3)酒販店

       酒の楽しみを提供することができるという「強み」を核にして経営を行ってい
       ます。

       酒販免許の規制が緩和されるという一般酒販店にとって「手痛い逆風」が
       吹く環境下、この東京郊外の酒販店はお客さまに説明が必要な日本酒や
       ワインの知識を「強み」として活用するとともに酒文化を提供することが酒
       屋の生き残り戦略であると環境を読み取り、酒を売るだけでなく、ロシア民
       謡を聴きながらウオッカを楽しむ会や、フランス料理をワインとともに楽しむ
       イベントを、地元の固定客に提供しています。

       自社の「強み」としてしっかりとした顧客リストを作成していたことも成功の
       一因です。

       お酒を飲むだけでなく関連の文化や楽しい時間を過ごしたいという消費者
       の価値観の多様性と時間消費型サービスの要望という「追い風」をうまく利
       用しています。

     (4)化粧ブラシメーカー

       広島県の熊野地方は書道用毛筆の生産地で有名な地域です。

       この広島県に毛筆の製造技術をいかし、女性が化粧をするとき、たとえば
       アイシャドーなどを引くときに使う化粧用ブラシの製造で世界のトップに立っ
       ている企業があります。

       歴史ある毛筆の製造技術を「強み」として活かし、毛筆需要の減少という
       「手痛い逆風」が予想される状況でそれを克服し新たな製品開発に成功し
       た事例です。

       自社の製品、技術が流行から遅れたと嘆くだけでなく、自社の技術の「強
       み」を明確にして環境変化のなかの「追い風」を探すことも大切です。

     (5)ゴーグルメーカー

       目を守る技術に自社の「強み」をみつけ発展している会社が、スキーゴー
       グル市場で50%のシェアをもつ大阪のゴーグルメーカーです。

       もともとこの会社は眼鏡レンズ加工の会社であり、防塵眼鏡、保護眼鏡な
       ど「目を守る」技術で伸びてきた会社でしたが、一般用を狙い自社の「強
       み」をいかしてスポーツ分野へ進出し、スキーゴーグルで高い評価を受け
       ました。

       しかし「手痛い逆風」も吹いてきます。

       それは、スキーブームの衰退です。

       スキー人口は減り、市場規模は半分以下に縮小しました。

       そのような環境を抜け出す戦略は「強み」である 「目を守る」技術を利用し
       た新たなスポーツ分野への進出でした。

       水泳用のゴーグルや野球で使用するゴーグルなどの新商品展開を行い、
       水泳用ゴーグルで60%のシェアを占めるまでに成長しています。

       自社の「強み」をしっかりと押さえて「手痛い逆風」に対応している企業の戦
       略がみえてきます。

  □SWOT分析で会社を強くする

   SWOT分析でわかることは自社の置かれている環境に対してどのように立ち向
   かうのかということですが、環境を分析するだけでは不十分です。

   SWOT分析を利用して会社を強くするためには、以下のフローに示されるような
   手順が必要です。

   自社の内部環境の強み、弱みを知り、外部環境の追い風と手痛い逆風」を分析し
   た後、これらの情報を利用して「自社の強みを利用して追い風に乗る方法」を中
   心に、どのような戦略がとれるかを検討していきます。

   その際に考えるヒントとなるのが上図のフローにある自社の事業額域、事業ドメイ
   ンという考え方です。

   自分のもっている資源には限りがありますから、すべてのお客様を相手に営業す
   ることは事実上困難です。

   自社の戦う領域を明確にすることが重要です。

   その領域のことを事業ドメインと呼びます。

   事業ドメインを的確に設定することが、強い会社になるための重要な方法です。

   ドメインを決定する際には次の3つのことを明確にしていきます。

   第一は「誰に」、すなわちお客さまです。

   あなたの会社のお客様はどのような特徴をもっていますか? 

   年齢、男女別、所得区分、趣味などをキーとして自社のお客様を明確にしていき
   ます。

   生産財メーカーにおいても、たとえば、自社のお客様が自治体である、売上10億
   円以下の建設会社である、関東地区で特殊な加工ができる業者である、といった
   区分でお客様を明確にしていきます。

   第二は「何を」です。

   そのお客様にどのような製品、サービス、技術を提供するのかを明確にします。

   コーヒーとともにゆったりと過ごす時間を提供する、鉄よりも軽く強い加工ができる
   プラスチック素材を提供する、情報に関する問題の解決を提供する、クリーンで安
   価なエネルギーを供給するなど、自社が社会に、お客様に提供するモノ・サービ
   スを定義していきます。

   第三は「どのように」です。

   ここでは他社とどのように差別化した方法で提供するのかを明確にしていきます。

   同じハンバーガーを提供するにしても、提供するまでの時間(スピード)を一番大
   切にして他社と差別化する方法もありますし、時間はかかっても味を一番重視す
   る差別化もあります。

   以上の3点から事業ドメインを明確に決めていきます。

   そのうえで、マーケティング・ミックスを検討します。

   一般にメーカーは「製品」「価格」「販売ルート(チャネル)」「広告宣伝」について、
   小売業やサービス業は「商品の品揃え」「価格」「サービス」「店舗」について、事業
   コンセプトにあった具体的な内容を決めていきます。

   このとき大切なのは一貫性です。

   ハイクラスなお客さまを事業ドメインで設定したのに、具体的な製品は品質よりコ
   スト重視の製品であっては、一貫性がとれません。

   たとえば高所得層をターゲットとした化粧品であれば、「製品」はその機能、たとえ
   ば保水性やお肌をつやつやにするといった機能性とブランドイメージを重視したも
   のが考えられます。

   高級感のある容器に入れ、パッケージのデザインや梱包にも気を配ります。

   「価格」は高価格とし、高級百貨店などの限られた「販売チャネル」で販売していき
   ます。

   「広告宣伝」も、たとえば高額商品の購買者をリストアップし高級感をアピールした
   案内状を送付します。

    このように、事業コンセプトを意識し、

    統一的な、一貫性のあるマーケティング・ミックスをとることで、

    あなたの会社がお客様に何を訴えたいのかが示されます。

   他社と差別化して自社の特徴を明確にする方法がここにあります。

   SWOT分析から始まり、事業コンセプトを明確にして具体的な戦略を組むことが、
   会社を強くするコツです。

   会社を強くするために、まず第一歩として社員を巻き込んでSWOT分析を実施し
   てください。

   そこであげられた項目のなかに重要なヒントと「気づき」が含まれているはずです。

 

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下請け仕事からの脱却


               

下請け仕事からの脱却


  ■下請け業から脱却

   「国内の中小製造業が中国の下請け」の報道があった。

   理由は明白だ。

   「人件費の安さ」である。

   国内の商品や製品の価格が安いのは「価値を価格に転嫁できない」ことが理由だ。

   作れば売れた高度成長の時代もあったが、今は違う。

   せっかく積み上げてきた技術やノウハウを埋もれさせてしまうことだけはやめよう。

   もったいない。

   下請け仕事をけなすつもりはないが、言われた部品を言われた通りつくるといった
   ことが多くの中小企業で行われている。

   もちろんそうではなく、脱却を図っている会社もあるがそれはほんの一握りにすぎない。

   モノをモノとして作り、モノとして販売している多くの中小製造業においては、モノ 
   づくりは一流だが売り方はどうだろうか。

   本来我が国のモノづくりの技術は天下一品のはずだが、長い間下請け仕事に従
   事していると、依頼されたモノの高品質さだけにとどまってしまっている。

   高品質な技術は他国の追随を許さないのはいうまでもない。

   仕事の移動時、新幹線の中で、元請(大手)企業らしい中堅社員の一人が「下請
   けなんてちょっと脅せば値を下げる」といった仲間内の会話が耳にはいってきた。

   それも自慢げな口調で…。

   なんとも情けなく、腹立たしい話である。

   確かに仕事を依頼するほうは安いほうがいいに決まっている。

   しかし「いやなら他に頼むから、引き受けてくれるところはいっぱいある」といった
   上から目線のもの言いはいただけない。

   こんな記事もあった。 

   ○下請け8割超に不当負担(2019/5/18)

    大手メーカーから製造を委託されている下請け企業の8割超で金型の保管費用
    を不当に負担させられているなど、下請法違反の恐れがある不適切な商慣習 
    が横行していることが18日、政府の調査で分かった。
    年数千万円の保管費用を負担している例も見られ、政府は違反企業への取り
    締まりを強化するほか、適正取引に向けて本格的な対策に乗り出す方針だ。
    金型は自動車や産業機械、情報通信機器の部品を製造する際に使い、日本の
    製造業を支えている。下請法は、発注者が長期にわたって使用しない金型を受
    注者に無償で保管させることを禁じている。

                                出典:共同通信

    どの時代であっても下請けいじめ問題は尽きないものだ。

  □中小企業の社長よ 目を覚ませ

   よく「いい商品なのになぜ売れないんだ」といわれるが、これは売り手側の発想。

   お客が求め、望んでいないから売れないのであって、いい商品と売れる商品は違
   うのです。

   さまざまな厳しい外部・内部要因はあるだろうが、今まで培ってきた技術力やノウ
   ハウを今の時代に合った考え・やり方で活かすことは出来ないだろうか。

   今までのモノづくりからコトづくりに意識改革していくためには、まず考え方を変え
   る必要がある。

    ・万人に売ろうとしない(マーケットを絞り込む)

    ・製品をたんなるモノからコトへ変える

    ・作り手(売り手)視点から買い手視点へ

    ・ガラパゴス化は作り手の自己満足

    ・売りたい商品と買いたい商品は違う

    ・商品が「良い」ことと「売れる」ことは全く別問題

    ・高品質商品だから売れるのではない

    ・マーケティングとは買い手のニーズに基づいて、商品・サービス、
     販売、価格、販売チャネル、販売促進を決めること

  □差別化

   技術の優秀さだけでは認めてもらえない。

    ・見せる技術

    ・なぜ同業他社より値段が高いのかの理由を示す

   モノ発想からコト発想への転換を図ること。

   差別化を図るヒントとして、

    1.便利

    2.自身を良く見せる効果がある

    3.楽しい・幸せにしてくれる

    4.自己の価値を共有または肯定する

    5.自己の時間・空間を豊かにする

    6.希少性  

    7.抱える問題を解決してくれる

     (1〜7を基にストーリーを作成)

   下請け業から脱却するには、体だけ汗を流すだけでなく、脳みそに汗を流すことだ。

   特に規模の小さな組織はオンリーワン経営を目指すこと。

   そのためには、

    ・地域を限定してNO.1(オンリーワン)をつくる

    ・特化(○○限定、○○専用・専門)する

    ・増客するために総力の70%を投入

    ・差別化という武器をつくる

    ・社員の組織人としての品質強化 

    ・ゲリラ的接近戦で戦う

    ・戦線(商圏)を拡大しない

    ・価格競争に陥らない

    ・品ぞろえを増やさない

   当たり前のことかもしれないが、これらができていない会社が多いことだけは確かだ。

  □モノ発想の組織からコト発想の組織へ

   コト発想のスタートは他社との差別化から始まる。

   差別化のためのポイント

    ・あなたの商品は同業他社(店)と何が違うのか

    ・あなたのマーケット(市場)はどこか

    ・あなたの商品が同業他社(店)より売れ続けるためにはどうしたらいいか

    ・あなたの強みは(同業他社(店)がまねできない)なにか

    ・あなたはマーケット(市場)のどの客層を対象にするのか

    ・形のない商品を知覚化(記憶に残る)させるためにはどうしたらいいか

    ・あなたの商品の効用はなにか(商品の特徴ではなく、あなたと契約すると
     どんなメリットがあるか)

    ・商品を知覚化させるために商品を具現化させる(記憶に残る商品名)

    ・あなた(商品)を提案するためにどうするか

    ・販売コストを抑えるためにどうするか(常に費用対効果を計算する)

    ・あなた(自社)のブランドを構築するにはどうしたらいいか

   これらのことを解決する必要がある。

   お金をかけずに解決する手段の参考例として、   

    ・名刺(電話番号は大きく、裏面も活用)

    ・会社案内(売り手視点から顧客視点に立った内容)

    ・NL(ニュースレターの発行)

    ・HPの作成と見直し

    ・顧客にとっての有益情報(業界情報、新聞の記事切り抜き)の提供

    ・異業とのアライアンスにより、顧客の問題解決へのサポート

    ・プレスリリースの活用

   などがある。

  □中小企業のオーナー社長  ゆでガエル状態から抜け出せ

   貴社(あなた)が持っているノウハウをどうしたら活かせるか?

   中小企業社長の高齢化がますます進み、「後継者がいないから」「自分の代で終
   わりだ」といった声がそこかしこから聞こえてくる。

   何度も言うが「もったいない」の一言。

   社長 あなたが築き上げてきた技術やノウハウには大きな価値があることに気づ
   くべきだ。

   謙遜して言っているのか「うちの技術なんて大したものじゃないよ」「うちにはノウ
   ハウなんてないよ」と、のたまう社長もいらっしゃる。

   しかしその判断するのは社長であるあなたではないのだ

   あなたの技術やノウハウを欲しい人は必ずいるのです。

   ただあなた(会社)を知らないだけ。

   スポットライトを浴びたことがない町工場にとって知ってもらうことが重要なのだ。

   どんなに素晴らしいものであっても、知られなければたんなるゴミにすぎない。

   知ってもらい使ってもらうことで価値がわかるのだ。

   なかには長きにわたって部品製造に携わっていると「与えられた仕事をこなす」と
   いった仕事待ち族になってしまっているところもある。

   報道番組などで下請け仕事から抜け出し、独自技術を活かし、モノづくりから製品
   製品作りに成功した中小零細企業が映し出されるが、これはほんの一握りなのだ。

   あなたもその一員になることは可能なのです。

 

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組織は年を重ねるごとに劣化する

  ■自社の知識・ノウハウを伝承させる

   小規模な会社(組織)ほど劣化が早い。

   なぜなら日々の糧を得ることだけに目が行ってしまい、組織は個人の集団となっ
   てしまっているからです。

   組織を永続的に維持し、拡大していくためにはマンパワーに頼った経営を続けて
   いくわけにはいかないのです。

   小規模な組織体制だからこそチーム力で戦っていかなければならないのです。

   そのためには業務の標準化が欠かせません。

   劣化は少しづつ目に見えないスピードで組織を侵食していきます。

   そして組織のほころびが目に見えるようになった時には、最悪の事態を招きかね
   ない。

  □知識を見える化する

   技術を途切れず伝承させることは容易だが、創業時の理念、ビジョンはトップが
   代わるごとに薄まり、創業時の想いはたんなるお題目と化してしまう。

   企業30年説といわれるように、企業の歴史を振り返って見れば一目瞭然である。

   想いは情緒的であることで技術と比較しても長くは維持できない。

   そのためにも社員がもっている「暗黙知」のままのノウハウ、スキルを「形式知」化
   させ、組織で共有化することです。

   「暗黙知」とは経験や勘に基づく知識、「形式知」とは文章や図表、数式などによっ
   て説明・表現できる知識を言い、暗黙知を形式知化することで技術として伝承でき
   るのです。

   この抽象的な知識である「暗黙知」を見える(形式知)化する必要がある。

   それによって形式知化された知識は途切れることなく伝承することができます。

   この課題を解決しなければ、いつまでたっても勘と経験に基づいた経営に終始し
   てしまう。

   結果、いつまでたっても社長のがんばりに頼るしかないのです。

   しかし社長が頑張れば頑張るほど組織は形骸化され、赤字体質に陥ってしまい
   ます。

   組織を劣化させないためにもトップ自らが率先して業務改革を推進していくことで
   す。

   そして会社を後継者に任せられる体制整備が必要となります。

  後継者育成

   自分が社長として会社を成長させていく部分を経営人生の前半部分とすれば、経
   営人生の後半部分とは、

     安心して経営を任せることができる優秀な後継者を育成することです。

   後継者の育成は経営課題と同様に、できるだけ早い時期から緻密かつ適切な計
   画性をもって成し遂げなければならない重要な責務である、という強い認識をもつ
   ことが大切です。

   後継者育成にあたっては、可能な限り早いうちに後継者を決定し、育成を始める
   ことが大切です。

   早いうちに後継者を決めておくことで、

    ・後継者として指名された人物に自覚が生まれ、行動の変革をもたらすことがで
     きる

    ・従業員に、後継者に対する統一した見解をもたせることができる

    ・実際の後継者教育を早くから始めることができる

    ・相続対策を早くから始めることができる

   などのメリットが生じます。

   後継者を決めるのが退陣直前になった場合、

    ・後継者に経営者としての十分な心構えができていない

    ・経営に必要とされる知識が身についていない

    ・古参社員からの賛同を得られない

   という状況が生じかねません。

   また、後継者不在のままで、現社長に不測の事態が発生した場合には、重要な
   意思決定が滞り、会社存続の危機に直面する可能性もあります。

  □後継者に必要な資質

   経営者の役割は、「会社の将来的なビジョンを描き、適切な戦略を策定し、戦略
   実行のために組織を効率的に動かすこと」にあります。

   後継者がその役割を果たすための「洞察力・先見性」、「統率力」を高めていくた
   めには、
    ・経営全般に関する広範な知識

    ・豊富な実務経験

    ・ビジョン実現への情熱

   の3つの要素の習得が必要不可欠になるのです。

  □後継者育成のポイント

   1.経営全般に関する広範な知識を習得させる

     熱意と努力だけで企業経営を成功に導くことはできません。

     経営者として経営全般に関する広範 な知識が必要になってきます。

     特に顧客ニーズが細分化し、かつ変化のスピードが増す現在では、マーケティ
     ングに関する知識を習得することは不可欠となっています。

   2.豊富な実務経験を積ませる

     後継者に実務経験を積ませるためには、自社で採用して行う方法と、一定期
     間他社に勤めさせる方法があります。

     (1)自社で経験を積ませる

       後継者を自社で育てる場合のおもな狙いは、
        ・早くから自社の経営全般にかかわらせ、その勘所を学ばせる

        ・従業員に次期経営者として認知させる

       点にあります。

       なかには我が子が中学生、高校生の頃から、アルバイトなどの形で自社の
       事業に触れさせ、徐々に後継者としての自覚をもたせたり、従業員の間に
       馴染ませようとしたりする社長もいると聞きます。

       ◎社内で経験させるべき業務例

         ・子会社の社長業務

         ・現業部門の部門長業務(複数部門を経験させる)

         ・経理部門の部門長業務、決算書作成などの陣頭指揮

         ・新規事業の立ち上げと推進(不幸にして失敗した場合は撤退処理
          までやらせる)

         ・外部からのクレーム対応 

         ・従業員からの相談対応

         ・各種経営計画策定の陣頭指揮

         ・社内会議体系の整備と運営

         ・主要取引先との交渉

     (2)他社に勤務させる

       特に社会人経験のない実子を将来的に後継者として指名する場合には、 
       現社長の威光がまったく利かない他社で一定期間修行を積ませることで、 
       精神的なタフさを鍛えることも有効でしょう。

       最初から自社に入社させて教育する場合に比べて、目が届きにくいという
       デメリットもありますが、社会人のスタート段階であえて「他人の飯を食わせ
       る」ことは本人にとって貴重な経験になるはずです。

       また、他社に一定期間勤務することで、

        ・自社ではつくれないような外部の人脈がつくれる

        ・異なった分野の体験を通じて見識が広まる

       といったメリットもあります。


   3.ビジョン実現への情熱を喚起する

     (1)経営にかける情熱を現経営者自身が伝える

       後継者に現在の事業に対する使命感を身につけさせるためには、現経営
       者自身が、その事薫にかける思い入れや使命感、あるいは将来の夢を直
       接語りかける方法がもっとも効果的です。

       その際、伝えるべき内容としては、

        ・自社を将来どのような企業に成長させたいかという明確なビジョン

        ・後継者に対する信頼感

        ・事業の面白さや自社を大切にしてほしいという思い入れ

       従業員や得意先、株主に対して、ひいては社会全体に対して、確固たる使
       命感や情熱をもって経営に取り組める人物でなければ、トップとして自社を
       存続・発展させる重責に耐えることはできません。

     (2)経営理念を十分に理解させる

       後継者には自社の経営理念を確実に理解させる必要があります。

       経営理念は「自分たちはこうありたい」、「社会に対してこのような貢献をし
       たい」といった会社の存続意義を示すものであり、この認識に現経営者と
       後継者の間に少しでもズレがあると、事業承継後に会社が現経営者の意
       図しない方向に進んでしまう可能性が高くなります。

       経営理念にはそれを策定した現経営者の信条、人生観などが色濃く反映
       されています。

       特に「創業の経緯、当時の時代背景」、「事業や従業員に対する社長の思
       い」、「これまで直面した危機とそれを乗り越えられた理由」、「理念実現の
       ために自分が日頃から気をつけていたこと」などについては詳しく説明すべ
       きでしょう。

       さらに経営理念はひとつの考え方として理解してもらうだけではなく、後継
       者にそれを事業運営における唯一無二の価値基準として実践してもらう必
       要があります。

 

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社長の仕事

                 社長の仕事


  社長のマネジメント能力

   ビジョン策定能力とそれを実現できる基本的な資質

    ・経営トップは、経営理念・企業存続のためのビジョンを明確にしているか

    ・策定されたビジョンは社会的意義があり、社員の労働意欲を奮い立たせる
     ものであるか

    ・経営環境の変化に対応した、的確な経営戦略や経営計画を策定しているか

    ・経営幹部一人ひとりが、つねにトップの分身・同志としての、ものの見方・
     考え方をつらぬいているか

    ・経営幹部に経常目標、事業方針を着実に達成するための企画立案力はあるか

    ・経営幹部に目標達成に対する意欲があり、自分を高めようとする努力をして
     いるか

    ・経営トップは事業意欲に強く燃えており、旺盛な企業家精神を発揮しているか

   自分の役割を認識し実行

    ・経営トップは、適切な時期・タイミングで的確な意思決定を行なっているか

    ・トップと経営幹部の権限委譲はうまく行なわれているか(ワンマン経営に
     偏り
過ぎていないか)

    ・経営幹部は挑戦すべき基本的課題を理解しているか

    ・経営幹部が業務を遂行・管理するうえでの知識・技能は優れているか、また 
     そのための能力開発を行なっているか

    ・経営幹部は、目標達成のためのマネジメントサイクル
     (計画 → 実行 → 
チェック)を実行しているか

    ・経営幹部は、経営革新の不断の努力を行ない、しかるべき施策を展開して
     いるか


   目標に向かって組織を動かす指導力(リーダーシップ)

    ・経営トップは全社員にとってカリスマ的な存在か

    ・経営幹部は部下社員の士気を高める努力をしているか

    ・トップや経営幹部はそのときの状況に応じた方針を明示し、部下に対して
     的確な指示を行なえるか

    ・経営幹部は難局にぶつかったとき、現状打破をするアイデアと行動力を発揮
     できるか

    ・責任と権限が明確化され経営幹部が自部門の指導力を発挿できる環境にあるか

    ・経営トップは社内外に優秀なブレインや参謀をもっているか

    ・経営幹部は人間味があり部下から信頼されているか

   経営幹部の育成と後継者への事業承継

    ・経営トップは経営幹部や管理者の教育に力を入れているか

    ・一般社員や管理職からの経営参画の機会を与える施策(提案制度、QC活動など)
     を展開しているか

    ・経営トップは、幹部に対し“美点凝視(長所)”でさまざまな資質を有した
     経営
幹部を育てようとしているか

    ・後継者指名が明確にされており、将来の経営者として社内外に認知されているか

    ・後継者育成が適切な方法で行なわれ経営者としての要件を身につけているか

    ・後継者への自社株の移転を計画的に行なっているか

  □「社長の仕事」とは?

   「社長の仕事とは?」と、問われたらあなたはどう答えますか?

   「社長の仕事は、会社を“永続させるために必要なすべて”のことをすること」です。

   経営とは、「関わるすべての人を幸せにする仕組み」であり、経営の最終目的は
   関わる人や社会の幸福にあります。

   経営は一時的に終わる性質のものではなく、継続することが大切だということに
   気付きます。

   なぜなら、本当に喜ばれている商品やサービスが突然なくなってしまうと多くの
   人を困らせてしまうからです。

   ですから、その会社のトップであり責任者である社長の仕事は、簡潔に言うなら
   「会社が永続するために必要なすべてのことをすること」になるのです。

  □正しい現実認識

   「社長の仕事」を「会社を永続させるために必要なすべてのことをすること」だと
   すると、「社長の仕事」のゴールは「会社の永続」にあることがわかります。

   では、その目標に向かって社長が仕事をしていくとき、私たちが認識しないと
   いけない現実は何でしょうか? 

   社長がさらされている環境は、どのようなものでしょうか? 

   何を覚悟しておくべきでしょうか?

   一時的な成功ではなく、永続的な成功を目標としたなら、社長は以下の3つの現実を
   深く認識しておく必要があります。

    1.たいていの成功は“偶然”である

    2.私たちが提供している価値は必ず劣化する

    3.ルールは変わる

   多くの社長は、この現実を忘れたいと思っています。

   この厳しい現実から目をそらし、耳をふさいだままでいたがります。

   なぜなら、この現実を深く認識すれば、行動せざるをえなくなるからです。

  □マネジメントの基本

   1.マネジメントとは
     狙い(戦略)が正しくとも、やり方(戦術)にミスマッチがあるといったケース。

     本来、マネジメントとは、目的に向かって効率的かつ効果的に進むために、プ
     ロセスを設定し、実践を繰り返すことです。

     いわば、レールを敷き、駅をつくり、所要時間やルールを設けて進行し、目的
     地に到達するものです。

     このマネジメント上の課題を発見し、対策を正しく講ずるためには、以下の3点
     を心がけます。
      ①マネジメントは循環的なシステム(仕組み)
      ②経営のステップは8つの仕事からなる
      ③組織内の3つの階層ごとにマネジメントの力点が異なる

   2.社長の仕事
     社長は、経営活動を通じて信用やキャッシュ、そして社員のヤル気・能力を
     向上させることが欠かせません。

     そのためには以下の社長の仕事をきちんと行うことが必要です。

     つまり、①経営方針を立て、②計画を立て、③組織をつくり、④意見を調整す
     るという大きな流れを確立する。同時にその流れの中で、⑤働く意欲を盛り上
     げ、⑥業種を測定し、⑦人物を評価し、⑧人の訓練をするという、もう一つの
     流れにリンクさせるサイクルを構築し、実践しなければならないのです。

   3.トリプル・マネジメントサイクル
     8つの仕事のサイクルをうまく循環させていくために、全社員、上司、社長の3
     階層ごとに自己管理すべきマネジメントサイクルが「トリプル・マネジメントサイ
     クル」です。

     全社員は「(1)PDCAサイクル」、上司・マネージャーは「(2)CAHFサイクル
     (人材育成を図る仕組み)」、社長は「(3)VSOPサイクル」であり、(3)→(2)→
     (1)の順で充実させることになる。

     やはり社長の経営サイクル(Vision、Strategy、Organization、Practice)
     が決め手となります。

     しかし社長者自身は、経営サイクルを回すと同時に、指導サイクル(Check、  
     Advice、Help、Follow)と自らの基本サイクル(Plan、Do、Check、Action)
     を回し続けることが求められる。

     (1)基本(PDCA)サイクル:全社員
       ・手帳を使った自己管理
       ・目標、テーマ設定
       ・年間、四半期、月間、週間、毎日の計画習慣
       ・上記ことの成果確認と、次への計画修正
       ・3〜6カ月の先行管理
       ・区切りごとの報告
       ・タイムリーな連絡・相談

     (2)指導(CAHF)サイクル:上司
       ・(1)の基本サイクルをやっているか、をチェック
       ・できていなければ助言を行い教える
       ・それでもダメなら一緒にやってやる
       ・その後、うまくやれているかどうか継続フォローする
        (報連相をさせる)

     (3)経営(VSOP)サイクル:社長
       ・理念ビジョンを示す
       ・中期計画年度方針として具体化する
       ・組織を構築する
       ・全社実現行動の推進を促す
       ・社長の仕事をきちんとやりながら人材育成を行う 

     マネジメントの基本に立ち戻り、自社の修復項目を大局的に発見し、対策を打つ。

  □「社長の仕事」をチェックする
   1.社長の仕事の本質
     社長が行うべき仕事を自社に引き当てることで、対策を打つべき課題が分
     かってきます。

     中小企業の多くが、計画立案に根拠がなく、社員のモチベーションが低下して
     いたりします。

     こうした症状を持つケースは、業績向上や人づくりという目的が不明確で、マ
     ネジメントの基本が確立しておらず、手段が目的化されたマンネリ会社です。

     そうならないために、社長の仕事の本質をつかむことをお勧めします。

   2.8つの仕事のつながり
     8つの仕事が善循環システムとして有効に機能するために、それぞれのつな
     がりを中心にチェックする。

     (1)「方針の確立」と「意欲の向上」
       方針とは、何を行う場合でも出発点となる当事者の思いであり、志のこもっ
       たリーダーの方向づけと行動のフレームワークづくりのこと。
       したがって、経営方針とは経営陣の思いであり、ビジョンを実現するための
       道程を示すことです。
       伸びる会社として心技体を充実するための具体的なストーリーを策定し、
       会社の成長目標と社員の幸福目標が一致するように行動基準を明示し、
       全社に浸透させる。

       このことにより、「⑤働く人の意欲を盛り上げる」ことができ、企業としての
       総合力を発揮する入り口に立つことができるのです。
       いいかげんな方針であれば、逆にモラールが低下することになる。

     (2)「計画の設定」と「業績の測定」
       経営目的、ビジョンを確認し、その実現に向けて、当面の到達目標とそれを
       クリアするための行動基準を示すのが「①経営方針を立てる」であった。
       次に必要となるのが、それを受けて「②計画を立てる」ことである。
       方針のもとに「とにかく頑張るのみ」では目標達成はおぼつかないし、進行
       途上において、どの程度まで目標に近づいているかも不明瞭となる。

       したがって「何を、いつまでに、どのように」するのかを計画として設定し、早
       めにズレを修正していくレールとして活用することが大切です。
       また、そのレールを敷くことにより、やるべきことがどこまで進んだのかとい
       う「⑥業績を測定する」ことにもつながるのです。

     (3)「組織の構築」と「人物評価」
       誰が計画を推進していくかという、人の役割分担を決める「③組織をつく
       る」ことである。
       また、それを行うことにより、責任権限関係が明らかになり、「⑦人物を評
       価する」という重要な仕事につながる。
       いかにやるかよりも、誰がやるかによって成果が大きく左右されることは
       多々ある。

       適材適所の人選、採用、配置という人事政策と、最大効果が生まれる「仕
       事と人の組み合わせ」が重要ポイントとなる。
       全体最適のチームパワー発揮の対策であり、社長の力量が問われる。

     (4)「意見の調整」と「人の訓練」
       組織を円滑に動かし、総合力を発揮するために、各部門や各人の「④意見
       を調整する」ことが必要となる。
       人はそれぞれの立場、自分の専門分野に固執して「木を見て森を見ず」の
       落とし穴に陥りやすい。
       例えば、営業担当者は営業の立場からだけの意見を主張し、製造部門は
       製造の立場からだけ発想する。

       ときには感情的な対立すら起こすこともある。
       それぞれの意見を一つの企業目的・目標に合致させるように調整を図るこ
       とが、経営者の仕事として極めて重要になってくる。
       また、その意見調整のプロセスで、物の見方や考え方をレベルアップする
       ことができる。
       つまり、「⑧人の訓練をする」ことにもつながる。

       これも大切な社長の仕事です。

       しかし、「人の訓練をする」ための仕組みをつくっても教育担当者の存在が
       欠かせません。

       社内の教育体制は今問題を抱えています。

       それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることで
       す。

       その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

       この問題を解決しなければ、「人の訓練をする」社内教育制度の内製化は
       不可能です。

       ①〜⑧のいずれかの項目が弱ければ、せっかくのよい戦略対応も、よい成
       果を生まないことが多い。

       ぜひ、社長は自身の8つの仕事サイクルの整合性も確認いただきたい。


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社長が変われば会社は変わる


  会社にとって利益より必要なものがあります。

  それは存続することであり、成長することです。

  そのためには『変化への対応』が欠かせません。

  そして、それを可能にするのは社長であるあなたしかいません。

  社長の「会社を変えなければならない」という決意には、当然会社を今よりもプラスの
  状態にもっていきたいという意味合いがあります。
   
  ■社長と経営者

   『「社長」は誰でもなれるが、「経営者」は誰でもできるわけではない』という言葉が
   あります。   

   多くの中小企業では、社長はトップ営業マンと言い換えてもいいのではないでしょうか。

   経営者は会社という組織を機能させていかなくてはなりません。

   会社を経営していくにはさまざまな問題が発生します。

   好景気の時代には名ばかり社長であってもやってこれたが、今は「経営者」でなけれ
   ば生き残り勝ち残れない時代の中にあります。

   
   この厳しい経済環境下で「経営者」が今、成すこととは何でしょう?

   このメルマガの経営指針にもあるように、

    (1)悪条件の中で改革推進できる者が真のリーダー(経営者)である。

    (2)改革とは、それを具体的に不動の決心、覚悟として確立しないと
       始まらない。

    (3)改革は、丹念に、一歩ずつ進め。本質的変化には時間がかかる。

    (4)まず自分が変われ、更に一歩変われ。

   この指針に基づいて考えてみましょう。


  ●経営していくための仕組みをつくる(個人の能力・勘・経験に頼らない)

   ○業務がマンパワーに頼らず、チームで機能するための手順書づくり

   ○社内の見える化を図り、ムリ・ムダ・ムラを排除

   ○営業を中心に他のすべての業務がリンクしている

   ○競合他社との違いを明確に打ち出すことがオンリー1への道
     (鶏口となるも牛後となるなかれ)

  ●営業に魔法の杖はない

   ○仮説→実証→検証を繰り返す
    過去には経営において「重厚長大」が主流でしたが、今求められる経営は   
    一歩一歩確実に「仮説→実証→検証を繰り返す」ことです。

   ○「売る」から「売れる」仕組みが欠かせない

    ・テクニックに頼らない。大多数のセンスのない人はスクリプト(台本)営業を実践

    ・収益の柱をもう1つ

    ・日報を「事後の報告書」から「営業活動計画書」として活用

    ・売る側の立場ではなく、「買う側の立場」で考える

    ・見た目は重要、5Sはもとよりハガキ、NL、会社案内は目に見える商
     品

    ・マーケット(商圏)は決して広げない(片道最大でも30分以内)

    ・場当たりな活動は百害あって一利なし

    ・紹介営業や富裕層向け営業は大切だが、まずは自社の体制作りが先決


   ●社内体制

    トップの仕事は、自身の任期をどこまでと考え、後継者を探し育成すること、 
    そして、マーケティング。

     ○役割分担を明確にする

     ○業務はシンプルに、特定の人に頼らず誰に代わってもできる体制作り

     ○会議朝礼、営業・内務業務の標準化、基本動作の徹底、これらを習得し体
       系化すれば自社のノウハウとなり、商品となる。

    常に考えなくてはならないことは、今自社(店)で実践していることが、どうしたら
    商品・サービスとして、お客様に提供したら喜んでもらえるかを考えることです。
    (このことが上記の収益の柱を作るヒントになります)

  □疲弊する教育体制   

   教育体制は今問題を抱えています。

   今まで世界に誇っていた電化製品やものづくり大国といわれている状況が変わろうと
   している。

   原因には熟練社員のノウハウの伝承や教育(訓練)の低下が挙げられる。

   目先の利益にのみに囚われ、自社にとって重要課題である教育が疎かになっている。

   教育の効果は時間がかかるのは言うまでもないことですが、だからといっておざなり
   にできないことは承知のはずです。 

   しかし実態は中小企業の多くで場当たりで無計画な教育が横行している。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

      
  ■成功に必要なこと

   ビジネスの世界でもスポーツの世界でも成功を収めている人に共通することがあります。

   それは

   真似る」と「素直」です。

   最速で成功したければ成功している人を「真似る」のが一番の近道であり、それは
   あらゆる世界のあらゆる分野のあらゆる億万長者や成功者たちが証明してくれてい
   ます。

   カリスマ社長で有名な株式会社武蔵野の小山昇社長は著書(経営計画は1冊の手帳
   にまとめなさい)のなかで、『「他社からパクる」ことを決定する』があります。

   そこで小山社長は「真似こそ、最高の創造である」といっています。

    私は、自称「パクりの天才」です。「『株式会社武蔵野』の正式名称は、『株式会社盗
    品見本市』」と冗談めかして話すくらい、他社の真似ばかりしてきました。 

   多くの会社(店)が、自社(店)でゼロから物事を生み出そうとします。

   ですが、経験や実績が不足しているために、結局は途中で頓挫してしまい、諦め、
   やめてしまいます。

   だとしたら、すでにできあがっている物事を真似るほうが断然近道です。 

   独力で頑張って成果を出すことを目指すより、他社をまね成果を出すほうがいいと
   思いませんか。

   成功している企業に共通する点は「言われたことを素直に実行する」です。

   しかし、この言葉を行動に移す人はほんのわずかです。

   
   日本におけるイメージトレーニング研究・ 指導のパイオニアの西田文郎氏は、

    トップアスリートの特徴は、負けず嫌いであり、同時に素直であることです。
    負けず嫌いは、スポーツ選手にとって最も大切な素質です。
    けれど、選手が今以上に大きく伸びようとしたら、負けず嫌いだけでは十分ではあり
    ません。
    負けず嫌いの上に、“素直さ”がくっついた、「素直な負けず嫌い」であることが必要
    です。

   あるプロ野球監督も同じことを言っていました。

   「伸びる選手は言われたことを素直に実行する」です。

   しかし、今までにも言い尽くされてきましたが、「真似る」と「素直」を根気よく継続
   実行する人は100人中1人・・・1% と、言われています。

   言い換えると、「素直」に「真似る」を継続実行した人は100人に1人ということです。

   これが、100人中10人であれば成功の確率は低くなりますが、どの時代であっても
   この1%は普遍のようです。

   中小企業にとって前途は決して楽観できる環境ではありません。

   製造業ではメーカーの海外進出に伴って、零細下請けですら海外への進出を余儀
   なくされています。

   この厳しい環境の中で生き残り勝ち残っていくためにも競合他社(店)と同じことを
   していては勝ち目はありません。

   他社との徹底した違い(差別化)をアピールし、お客様から支持されることです。

   そのためにも、常に顧客視点(「私」ではなく、「あなた」)に立った施策を講じていく
   ことです。

   あなたが売っているのは商品というモノではありません。

   お客様の抱える悩み・問題の解決策を販売しているのです。

   その解決の手段としてあなたの商品・サービスがあることを忘れないでください。  

   どんな事業であっても「基本」は変わりません。 

   我流や場当たりなやり方からは何も生まれません。

   大切なことは「仕組みづくり」です。

   素直に真似ることから始めましょう。

   そして、あなたがやり続けた結果の先には成功という大きな果実が実っていることを
   信じてください。

   なぜなら、「人生は自分が思ったとおりにしかならない」からです。
   
  ■既往のシワ寄せ

   倒産の原因はさまざまあります。

   毎年1位は売上げ(販売)不振で、近年80%前後を推移している。

   その中で、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」による倒産があります。(中小企業庁HP)

   業績が実は危機的状況であるにもかかわらず、先代や過去の財産がこれを見えづらく
   し、限界に到達したとき、急激なスピードで倒産に至ります。

   まさに、「ゆでガエル」の状態だったことを示し、「なぜ倒産したのかわからない」状
   況と言えます。

   こうならないためには、平素から自社の状況を定量的に把握し、「この数値がこうなった
   ら危険」という経営指標を認識しておく必要があります。

   倒産原因の1位である販売不振は大多数の中小企業が抱える問題です。

   一時的に収益を上げることはそんなに大変ではない。

   それを継続していくことが重要であり、そうでなくては経営は成り立ちません。

   継続していくためには社長個人の力では限界があり、そのためには組織の総力
   欠かせない。

   しかし、その組織が本来の機能を果たしていないのが中小企業の現状ではないだろ
   うか。

   目先の売上にばかり目がいってしまい、会社が存続していくために欠かせない人材
   育成、ES・CS対策、組織体制の見直し(各業務の改善)などの重要課題を先延ばし
   にしていることです。

   これらをおざなりにしておくことは、継続した収益の確保はもちろんのこと、コンプラ
   不祥事、ハラスメントなどの問題を引き起こし、最悪の事態を招きかねません。

   今日まで何んの問題もなく経営してきたことは、“たまたま”だと理解すべきでしょう。

   目先の収益確保ばかりに目がいっていると足元をすくわれかねません。
   
  ■問題だらけの職場

   職場では、「売り上げが思ったほど伸びない」、「部下の仕事にミスが多い」、「顧客か
   らのクレームが増え始めた」、といった困ったことが出てくる。

   会社は、常にこのようなさまざまな問題に取り囲まれています。

   経営者、管理者の仕事は、日々、将来に向けて、さまざまな問題を解決していくこ
   とです。

   問題があるというのは、企業が生きている証拠であるともいえます。

   「自分の組織ではすべて順調に推移しているので、何も問題がない」、という社長、
   管理者がいれば、むしろ問題です。

   時代とともに、顧客の志向が変化してきているのに気付かず、従来通りのやり方を踏
   襲しているうちに、「いつの間にかお客の数が少なくなった」という事態に陥るかもしれ
   ません。

   顧客への提案がことごとく受注失敗となるのは、「ライバルとの大きな価格差」にあっ
   たことに気付いていなかった、という怖さを私たちはいつも抱えています。
 
   管理者以上の立場になると、ふだんの仕事のなかから問題を発見して、素早く手を打って
   いかないと、会社の存続そのものが危うくなります。

  □職場、現状の点検

   社長、管理者自らが現場に出向き、自分自身の目で見て、点検するのが問題発見の基本
   となります。

   企業活動の最前線で起きている、不具合や問題点、担当者が困っていることなどから、
   問題を発見します。

   現場のちょっとした変化を見逃さず、部下の立場になって、その真意を「聴く」ことが肝
   要です。

   当初の目標・計画通りに業務が行われているか、基準・標準からの逸脱はないか、という
   観点で、自分が預かる職場の現状点検をするなかから、重要度・緊急性の高い問題があ
   ぶりだされます。

   社長、管理者自身が、本来あるべき「基準・標準」を頭に入れて、部下と一緒に現状を観
   て、それとのギャップを共有化するところから、問題が明らかになります。
   
  ■儲かる仕組み

   マスコミを活用して成功している中小企業は少なくありません。

   マスコミに取り上げられる中小企業の多くは自社でパブリシティ活動を行い、マス
   コミにプレスリリースしています。

   景気低迷の中、マスコミ(TV)では成功している企業の事例が多数報道されています。

   カンブリア宮殿、ガイアの夜明けなどを見ていて成功している企業に共通するのは「儲か
   る仕組み」ができていることです。

   それでは、「儲かる仕組み」をもつ企業に共通することとは何でしょう。

    ○競合他社と同じことをしていない

    ○自社の商圏を徹底して絞り込んでいる(距離、業種、性別、年齢 等々)

    ○お客様との距離(近い、接点が多い)

    ○お客様からの感謝・感動がある(自社・自店の強みを生かす)

    ○従業員の教育(訓練)が行き届いている

    ○従業員の笑顔(儲かっているから笑顔? 笑顔があるから儲かる?)

    ○サービス(かゆいところに手が届く、「これでもか」というくらいのお客様サービ
     ス)

    ○徹底したお客様目線(すばやい対応、マナー、身だしなみ)

    ○「ニーズ喚起」から「ウォンツ」への営業プロセス

   上記から見えてくるのは「お客様目線」「見た目(第一印象)」「おもてなしの心
   (Hospitality)」といった言葉ではないでしょうか。

   人は見た目が9割 (著者 竹内 一郎)でも、「会う回数が多いほど 好きになる」、「人は
   0.5秒で判断している」など。

   マーケットの規模に合わせたセールスが必要となります。

   小規模企業で、奥さんが専務という会社あれば、社長に好かれることはもちろん
   ですが、専務である奥さんに好印象を与え、好かれることです。

   これは個人のマーケットにおいても同じです。

   基本的な対策は「ハキハキした言動」「身だしなみ、笑顔」

   「たかが挨拶、されど挨拶」を忘れないことです。

   中堅規模の会社で各部門担当者がいる場合であれば、その担当者のメリットになる
   情報提供など。

   人は理屈では動かないことを理解しましょう。

   たったこれだけの行動が収益に大きく影響するのです。

   経済が右肩上がりの成長期には、我流(売る努力)であっても市場で通用した、幸せな
   時代でした。

   しかし、今の環境で今までのやり方を続けることは、羅針盤のない船で大海原を航海
   するようなものです。

   商売には原理・原則というものがあります。

   今、自社(店)のよい点は残し、羅針盤(仕組み)経営を導入することが船(会社)を
   安全に航海させるための絶対条件です。

   多くの経営者が売上げを伸ばすために、「売るための努力」を続け、経済環境が劇的
   に変化しても今までと何も変わっていない。

   ただ遮二無二がんばっているだけ。

   会社は組織です。

   自分ひとりでは限界があるから組織化したのです。

   せっかくの組織を十二分に活用せず、トップが、がんばれば、がんばるほど結果は悪
   くなるのです。

   トップが「やる」といったことをやっていたら、業績はいいし、やるべきことをやらず、
   やらなくていいことをやっているから業績が悪化するのです。

   商売に近道はありません。

   しかし、無駄な努力をしなくても、正しいやり方・努力の仕方はあります。
   
  ■経営者に求められる能力

   理想的な経営者の姿というのは、千差万別です。

   成功している経営者を評価するときに「あの人は強力なリーダーシップで社員を引っ張っ
   ていったから」や「あの人は社員のなかに自ら入っていって、共に努力する仲間のように
   接し会社を盛り立てたから」というタイプの人もいます。

   これは経営のスタイルの違いであり、一概にどのようなタイプが良いのかとはいえ
   ません。

   しかし、経営のスタイルは異なっても、成功した経営者には共通して備わっている
   能力があります。

   この能力が備わっていたからこそ、千差万別の経営スタイルのなかから、自社に最適なも
   のを選択することができ、それが会社(店)を成功へと導くことになるといえます。

   それでは、経営者に必要とされる能力とはどのような能力なのでしょうか。

    1.ビジョン策定

      社員を魅了する自社の経営ビジョンを明確にし、それを社員に浸透させ、全員に
      同じ目的意識をもたせることは経営者の極めて重要な役割です。

      単なる個々人の集まりであった集団を、同じ目的をもつ組織に変革することを意
      味します。

      同じ人数でも「組織」は「たんなる個人の集団」の何倍ものパワーを発揮します。

      経営ビジョンを明確にすることにより、企業経営実践のための強力な推進力とな
      る組織を構築することが可能です。

    2.人間的な魅力

      経営者は社内外において人を引きつける魅力が必要です。

      そのなかで人間的な魅力とは、経営者が今日まで培ってきた本質的な部分を指
      します。

      言い換えれば、過去の経験により築き上げられた資質で、勇気、忍耐力、明
      るさ、信頼感などがそれにあたります。

    3.コミュニケーション

      コミュニケーションカとは、自分が思っていることを客観的に認識し、それを相手
      の価値観、置かれている状況などに応じて適切に伝える能力と、反対に相手の
      メッセージを的確に読みとる能力のことです。

 


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会社を変える

会社を変える


  ■会社を変える

   社長の「会社を変えなければならない」という決意には、当然会社を今よりもプラスの
   状態にもっていきたいという意味合いがあります。

   会社が危機的な状況に陥り、変わらなければ存続も危ういという切羽詰まった決意や、
   現状は順調だがさらに高い次元の目標を実現したいという前向きな決意など、さまざまな
   思いが込められているでしょう。

   会社を変えることは、変えること自体が目的では
   ありません。

   その結果として、社員や取引先など会社に
   関係
   している人たちにプラスの効果を与える
   ことが本来の目的です。

                         
   会社を現状から変えたい」と思って
   いる経
営者の方は多いのではないで
   しょうか。

   「変えたい」と思っている理由は、会社が危機
   的な状況に陥り、変わらなければ存続も危う
   いという切羽詰まった決意や、社員のモラー
   ルが低かったり、現状は順調だがさらに高い
   次元の目標を実現したいという前向きな決意
   など、さまざまな思いが込められているでしょう。

   しかし、会社はなかなか変われないのが実情では
   ないでしょうか。

   会社を本気で変えるには、まず経営者が変わらなければなりません。

   なぜなら、会社は経営者であるあなたがすべてであり、会社は経営者の考える形
   にしかならないからです。

   会社は人の集まりであり、社員は経営者の発言や行動を良く見ており、経営者の
   考えている方向に向かって行動します。

   社員の行動は、経営者の考えを体現しているといえるのです。

   会社を変革させ、風土を変え、業績を回復させ、会社を更に成長させていくためには
   社長が変わらなくてはならないのです。

   まず、自ら変わることが大切なのです。

   自分だけ変わらずに社員に変化を要求しても社員は受け入れてくれませんし、会社も
   変わりません。

   自分が変わらなければ会社の業績も回復することはないでしょう。

   経営者が変わることが会社変革のスタートであり、すべてなのです。
   
  □変化への対応

     一昔前の営業会社であれば熱意と根性で、そこそこの収益アップは達成できたでしょう。

   しかし、販売チャネルの多様化も含め、お客様の情報収集能力も高まり、単に商品を
   “もの”として販売するといったやり方がすでに限界であることはあなたもご承知のはず
   です。

   今後ますます顧客情報の収集と活用を欠いた営業では通用しないということです。

   場当たりな勘ピュータ経営から仕組みのある体制にチェンジしなくてはなりません。

   顧客との接触が商品・サービスを売りつける時だけ、また、その時だけすばらしい笑顔
   や態度であっても顧客に見透かされるのが落ちです。

   お客様を単なる商品・サービスの販売先と思っていないだろうか?

   あなたのビジネスは顧客や顧客サービスであることを忘れてはいけません。

   近年、“システム化”といった言葉が頻繁に使われていますが、この言葉が独り歩きして
   いるように感じられます。

   まるで魔法の杖のような扱われ方をしているようですが、勘違いされている方も多いよう
   です。

   ご承知でしょうが、PCを駆使することがシステム化ではありません。

   PCは、より効率・効果的に収益アップを図るための営業や他の業務の道具です。

   勘と経験で行われている日常業務の多くは同じ繰り返しが多いはずです。

   これらのパターン化された業務を、誰に代わってもできるような形にすることです。

   そして、システム化に欠かせないのが組織です。

   システム化がもたらす最大のメリットは、チーム力による継続的な増収体制です。

   そこで重要なのが顧客です。

   お客様があなたを必要と感じ、いなくては困るといった環境をつくることです。

   いつもの繰り返しになりますが、「必要で、いなくては困る」をつくるために、あなた
   の存在感(価値)を高めなくてはなりません。

   そのために必要な、ただ1つのこと


                “顧客との接点拡大”です。

   そして、接点拡大に必要なツールであるファックス、HP、ニュースレター、ハガキ、
   メール、電話といった道具を活用します。

   あなたがやりやすい方法を選び、続けることです。

   始めるにあたり、あまり質を優先しないことです。

   そうでないと、行き詰まり続かないからです。
  
   最初は量を優先してください。

   最低1ヶ月に1回以上は発信してください。

   内容はあなた(会社)の近況、専門である自社の商品・サービスがいかにお客様の
   メリットになるか、について、お客様が知りたがっている裏話などを盛り込んだ内容等。

   中小企業にとって、景気回復の波はまだ見えてきません。
    
  □改善ではなく改革 

   物事をよくしていくためには「改善」と「改革」の2つのアプローチがあります。

   改善とは、基本的にはこれまでのルールを踏襲し、よい部分はより強化し、悪い部分は
   改めていくことです。

   多くの会社でも「職場ごとの業務改善活動」などは日常的に行われています。

   たとえば、「利益率を5%上げるために経費を見直す」といったレベルの活動がこれに
   あたります。

   一方、改革とはこれまでのルールをいったん無視して、めざすべき目標達成のための
   ルールを新たに構築していく方法です。

   当然、「職場ごと」という単位ではなく、全社的に取り組んでいくことになります。 

   たとえば「利益を3年間で10倍にする」という目標達成のためには改善レベルの活動の
   積み重ねでは対処できません。

   営業体制、商品構成、人事制度などあらゆる面から手を打っていかなければなりません。

   まさに「劇的な変化」が求められます。

   本当の意味で会社を変えていくためには、このように「改善レベル」ではなく、「改
   革レベル」の決意と実践が必要です。

   しかし、「会社を変えたい」と願っている社長のなかには、従来のルールからなかなか
   抜け出せない人もいます。

   まずは社長自身が「絶対に改革をやり遂げる」という強い決意をもつことが大切です。

  □取引先からの評価を高める

   会社を変えるということは、取引先に「あの会社は(よい方向に)変わった。

   安心して取引できる」と思わせることでもあります。

   さらに「ぜひともあの会社と取引したい」
   と思ってもらえたら、大きな前進でしょう。   

                                  

   逆の立場で考えてみましょう。

   自社の取引先をいくつか思い浮かべてみてく
   ださい。

   そのなかには「あの会社とは今後も取引を拡
   大していきたい」と思う会社もあれば、「でき
   ればもう付き合いたくない」と思う会社もある
   はずです。

   両社の違いはどこにあるのか、取引先の視点
   で考ええてみましょう。

    1.取引したい会社、したくない会社

      会社を変えるということは、取引先に「あの会社は(よい方向に)変わった。

      安心して取引できる」と思わせることでもあります。

      さらに「ぜひともあの会社と取引したい」と思ってもらえたら、大きな前進で
      しょう。

      ここで少し逆の立場で考えてみましょう。

      自社の取引先をいくつか思い浮かべてみてください。

      そのなかには「あの会社とは今後も取引を拡大していきたい」と思う会社もあ
      れば、「できればもう付き合いたくない」と思う会社もあるはずです。

      両社の違いはどこにあるのでしょうか。

    2.取引上の約束をきちんと守るか、守らないか

      まず考えられるのが、「取引上の約束をきちんと守るか、守らないか」というこ 
      とでしょう。

      納期、商品の品質、支払い条件などあらかじめ決めた約束を必ず実行してく 
      れる会社は安心できます。

      逆に「今月はこんなトラブルがあったから」など、何かにつけて条件変更を求
      めてくる会社は信頼できません。

      仮に先方に本当に大きなトラブルがあったとしても、本来的にはこちらには何
      の関係もないことです。

      トラブルを未然に防ぐ、あるいはトラブルが起こっても懸命に努力し、当初の
      約束守る取引先のほうが評価されて当然です。

    3.社長や社員の態度はどうか

      いくら約束を守ったとしても、先方の社長や社員の態度に問題があれば、取
      引先の評価は下がります。

      たとえば「先方社長に連絡を取りたいのに、いつ電話しても不在」、「折り返し
      の電話を頼んだのにまったく音沙汰がない」といった経験をおもちの人も多
      いでしょう。

      その際には「あの会社はいったいどうなっているんだ」と不快に感じたはず。

      先方社長に伝わっているのに電話をかけてこないのか、そもそも社長に伝言
      が伝わっていないのかはわかりませんが、いずれにせよ「管理体制に問題
      あり」の烙印は免れません。

      これ以外にも、「社長同士のアポにいつも先方が遅れてくる」、「日常的に接
      している営業マンの態度がぞんざい」、「クレームをいってもきちんと謝罪しな
      い」、「依頼した書類をいつまでたっても送ってこない」……などなど、社長や
      社員の態度は取引先としての評価に大きな影響を与えます。

   4.他の取引先にはないメリットがあるか

     ここまでは「取引上の約束をきちんと守る」、「社長や社員の態度に問題がな
     い」といったいわば当たり前レベルのことを紹介してきました。

     これらの“当たり前”を守ってくれる取引先はとりあえず信頼はできます。

     そしてこれに加え「他の取引先にはないメリットを与えてくれる」相手とは「取引
     してもよい」ではなく、「ぜひとも取引したい」と感じるでしょう。

     メリットのなかには、「同業他社に比べてコストパフォーマンスが優れている」、
     「支払い条件がよい」といった直接的なものもあれば、「社長の向上心が高く、
     話をしていてこちらも刺激される」、「最新の業界情報を教えてくれる」、「商売
     以外の話でも親身に相談に乗ってくれる」といった間接的なものもあるでしょ
     う。

     このように「だからこそあの会社と取引したい」という強い理由があれば、日常
     レベルで多少の不都合が生じても、取引先としての地位は簡単には崩れな
     い。

   5.変わったことをアピールする

     次に自社が取引先にどう映っているかを考えてみましょう。

     取引先にとって自社はぜひとも取引したいと思われているでしょうか。

     そして、そう思われるための要件を自社は本当に備えているでしょうか。

     もし、この点に不安があれば、まずはそこから変えていかねばなりません。

     また、ここで重要なのは、あくまで取引先の視点で考えることです。

     つまり会社を変えるという強い決意の下、さまざまな取り組みを行ったとして
     も、それが取引先にきちんと伝わっていなければ、相手は「あの会社は変わっ
     た」とは感じてくれないのです。

     取引先に自社が変わったことをアピールするためには、たとえば「弊社はお客
     様のためにこのように変わりました。

     その結果社員一人ひとりの行動もこのように改めました」といった文面をウェブ
     サイトや会社案内に載せたり、主要な取引先に社長名での書状を送るといっ
     た施策が有効です。

     「自社を変える」という社内改革そのものだけでなく、変わったことをきちんと伝
     えることも非常に大切なのです。

     さまざまな取り組みを行ったとしても、それが取引先にきちんと伝わっていな
     ければ、相手は「あの会社は変わった」とは感じてくれないのです。

     変わったことをきちんと伝えることも非常に大切なのです。

  □社員の改革意識を高める

   会社を変える目的はもちろん取引先のためだけではありません。

   社員が生き生きと働き、待遇や能力を向上させていくことも大きな目的です。

   社長がこのような決意をもって「変わる宣言」をしてもうまくいかないことが多いのは、
   おもに3つの点に理由があります。

   1.目的やメリットが社員に十分に伝わっていない

     社長は、社内でもっとも危機意識が高い人間です。

     したがって、誰よりも強く「変わらなければ」と考えています。

     しかし、残念ながらほとんどの社員はそのような高い危機意識をもっていませ
     ん。

     なかには「経営が苦しくなっても、上層部が何とかしてくれるだろう」という依存
     心の強い社員もいるでしょう。

     また、社長は社内でもっとも会社をよくしたいと思っている人間です。

     現状に甘えることなく、会社の業績、経営体質、社風などあらゆる点を高めて
     いきたいと常日頃から考えています。

     しかし、ここでも多くの場合、社員との間に温度差が生じています。

     「現状でも十分会社が回っているのだからこのままでよい。

     会社を変えるのは大変そうだし面倒だ」と感じている社員もなかにはいるかも
     しれません。

     冒頭でも述べましたが、

      社長が「我が社を変える」という決意をしたときには、
      何のために会社を変える必要があるのか(理由と目的)、
      そして変わった結果どのようなメリットがあるのかを社員たちに十分に
      理解させる

     ことがもっとも大切です。

     改革に失敗しているケースの多くが「変わるために何をする、あるいは何をし
     てはいけない」という手順のみが強調され、そもそもなぜ改革をするのかという
     ことを社員に十分に説明していない、あるいは説明はしているがうまく伝わっ
     ていないということが非常に多いのです。

     このような状態のなかでは、社員たちは改革のための苦労をたんなる苦痛に
     しか感じません。

     何のために改革するのか、改革の克にあるものは何かをわかっていないから
     です。

     社長はこの点を十分に留意し、ことあるごとに社員に説明し、また勇気づけて
     いかなければなりません。

   2.既得権益を守ろうとする古参社員の抵抗が大きい

     二代目社長が先代から会社を引き継ぎ、「さあこれから」と改革に取り組む際
     などに起こりやすいのがこのケースです。

     自分以外の役員たちは全員年上で、意見さえまともに聞いてくれないというこ
     ともあります。

     本来であれば、先代社長から引き継ぐ際にこの種の問題をクリアにしておくべ
     きですが、今さらそのようなことをいっても仕方ありません。

     この場合の対処法は、とにかく粘り強く古参社員たちを説得していくことです。

     自分が先代から引き継いだ会社をどのような会社にしたいのか、そのために
     はどのような改革が必要なのか、さらに古参社員たちにどのような役割を果た
     してほしいのかといったことを、情熱をもって話す以外ありません。

     そしていくら説得してもダメだと判断せざるを得ない状況になったら、一時金を
     上積みするなどして退職してもらうことも真剣に考える必要があります。

     会社の黎明期を支えてくれた古参社員には気の毒な気もしますが、会社は変
     わり続けなければ、存続することはできません。

     一定の段階で最後の決断をする必要があります。

     そして、このことは若手社員に社長の決意の固さを示すことにもなり、その後
     の改革に向けた原動力にもなるはずです。

    3.旗振り役のはずの社長自身がじつは変わっていない

      社内改革の旗振り役である社長は、当然ながら自分自身が率先して変わっ
      ていく必要があります。

      そして自分が変わったことを社員に言動ではっきりと示す必要があります。

      多くの場合「自分が100変わった」と思っていても、周囲には「やっと30くらい
      変わった」としか受け止められていないものです。

      特に社長が変わったと認めることで、自分が変わらないことの言い訳を失う
      社員は、些細なことを取り上げて「社長も変わっていないから」などと強調し
      がちです。

      社長の「我が社を変える」という決意は、それ以上に「自分自身を変える」と
      いう決意と一対でなければなりません。

  □会社を変えるためのステップ   

   1.まずは経営理念・中経の確認、見直しを行う

     ここまで述べてきた「会社を変える」ということは、会社のあり方そのものに影
     響を与えるものです。

     したがって会社の憲法ともいえる「経営理念」やその実現のための手引き書で
     ある「中期経営計画」(以下、中経)などとセットで考えることが大切です。

     「会社を変える」ことによって会社として最終的にめざすべき姿も変わるのであ
     れば、必要に応じて経営理念も修正しなければなりません。

     もちろん経営理念は簡単に修正すべきものではありませんが、会社改革の方
     向との整合性は保っておく必要があります。

     また、経営理念を修正するとなれば、当然中経も見直す必要が生じるでしょう。

     このように、会社を変えるための第一歩は経営理念や中経も含めて会社改革
     の必要性・方向性など社長自身の基本的な考え方をしっかりと固めることです。

   2.「改革宣言書」を作成する

     上記のような基本的な考え方がまとまったら、それを明文化する前に幹部陣
     や場合によっては若手の有志も集めた改革に向けた検討会を行うとよいで
     しょう。

     これが後の「社内改革推進委員会」の母体となります。

     そこでは社長の感じている危機感や具体的にどのように変わりたいのかを十
     分に説明します。

     また、経営理念などを修正する場合には、ここで社員たちの意見を十分に聞
     いておくことが大切です。

     さらに社員たちへの直接の影響や担ってほしい役割などについても認識を共  
     有しておきましょう。

     そして、全社員に向けて説明するための「改革宣言書」を作成します。

     宣言書には次のような内容を盛り込む必要があります。

      ・改革の決意をするに至った経緯、理由

      ・どのような姿をめざして改革するのか

      ・社長たちにどのようなメリットがあるのか

      ・取引先や世の中全般からの評価はどうなるのか

      ・実現に向けた大まかなスケジューリング(改革内容にもよるが1〜3年間程
       度)

      ・改革推進委員会を中心とした役割分担

   3.改革宣言をする

     宣言書が完成したら全社員を集めた場でそれを宣言します。

     その際にはたんに宣言書を読み上げるのではなく、社長自身が自分の胸中を
     熱く語りかけましょう。

     また、一方的に伝えるのではなく、社員からの意見にも耳を傾け認識を共有
     し、ともに会社を変えていく仲間としての連帯感を醸成することも大切です。

     また、状況によってはこの段階で宣言書を取引先や金融機関などに送付し
     て、自分たちの改革意欲をアピールすることも有効でしょう。

   4.実際の改革に取り組む

     宣言書に盛り込んだ大まかなスケジューリングを部署ごとの行動計画にまで
     落とし込み、実際に活動をスタートさせます。

     その際には、実際に改革がどの程度進んでいるかを把握するために、できる
     だけ目標を数値化しておくことが大切です。

     そして、改革推進委員会が定期的に全社の進捗状況をチェックし、全社員に
     状況を報告します。

     この際に忘れてはならないのが、社長自身の改革計画・進捗状況もオープン
     にして、社長の決意と実際の行動を全社員に知ってもらうことです。

     これによって多くの社員は「自分自身ももっと変わらなければ」という思いを
     強めますし、一部の改革に否定的な社員を言い訳のできない状況に追い込む
     こともできます。

     ここでもっともしてはいけないことは、改革に着手したもののいつの間にか
     活動が止まってしまい、進捗把握もされなくなる、といういわゆる「なし崩し」の
     状態になることです。

     予期せぬ事情によって途中で改革のスケジュール変更が余儀なくされたとしても、
     最後まで粘り強く活動を行い、最後の「改革完了宣言」にまでつなげることが
     大切です。

   5.改革完了宣言を行う

     苦労の末、改革が完了したと判断できたら改革完了宣言を行います。

     その際には「我が社は社員たちの努力によってこんなに素晴らしい会社になっ
     た」と改革できた点を全社員で確認し合い、同時に社員たちの労を最大限ねぎ
     らいましょう。

     このような改革を一度経験した社員は、会社との一体感、会社をよくしたいと
     いう思い、自分自身が変わることの大切さなど、どれをとっても意識が大きく向
     上しているはずです。

     さらなる会社への貢献や本人の成長に向けた期待の言葉を贈るとよいでしょ
     う。

     また、取引先に対しては前述のように「我が社は生まれ変わりました」というよ
     うな書状を送って積極的にアピールすることも有効です。

    あなたもすでにご存知かもしれませんが、仕出し弁当業で有名な「玉子屋」について
    掲載してみました。

   私も10年以上前から、この「玉子屋」の菅原社長(現会長)の社是を肝に銘じてきた
   一人です。

   「玉子屋」は昭和50年に設立された仕出し弁当業です。

   この会社はカンブリア宮殿でも取り上げられた、人材も理念もユニークで、コンビニ
   などの毎日のお弁当廃棄率が約2〜3%といわれる中、玉子屋では0.1%と、効率
   良く、無駄が無い、突出した会社です。

   あなた自身に当てはめ、噛み締めてみてください。

   社是「事業に失敗するコツ」

    1.旧来の方法が一番よいと信じていること

    2.もちはもち屋だとうぬぼれていること

    3.ひまがないといって本を読まぬこと

    4.どうにかなると考えていること

    5.稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること

    6.良いものはだまっていても売れると安心していること

    7.高い給料は出せないといって人を安く使うこと

    8.支払いは延ばすほうが得だとなるべく支払わぬ工
      夫をすること

    9.機械は高いといって人を使うこと

        10.お客はわがまますぎると考えること

        11.商売人は人情は禁物だと考えること

        12.そんなことはできないと改善せぬこと


  ■変われない経営者のタイプ

  □認識不足

   一番多いタイプが、この「現状の認識不足」のタイプです。

   自社の状況を客観的に見ることができないので、会社や会社を取巻く状況が厳しくても
   現状を正しく認識できておらず、危機感もありません。

   当然、変わらなくてはならないとは思っていません。

   どうみても会社の業績が悪く、業界環境も明るい見通しではないのに、「当社の業績は
   決して悪くない。業界だって今後良くなるはずだ」と根拠もなく思っている社長です。


  □勉強不足

   勉強不足の経営者は多いものです。

   例えば、損益計算書は理解できるが、貸借対照表が理解できず、実質債務超過なのに
   「黒字だから問題ないだろう」と言っていて、会社の状況を正確に捉えていなかったり
   するのです。

   そして、銀行の融資姿勢が厳しくなると銀行批判をしているのです。

   自社に原因があると感じず、資金繰りが厳しくなって急に慌てたりするタイプです。

   また、勉強不足のため業界の動向や顧客の嗜好の変化を感じとれずに、今までと同じ
   ことをやっていればいいと考えており、業績不振の原因を景気のせいにしている社長
   です。

  □現状逃避

   業界環境や自社の収益状況が厳しいことは認識しているが、それを正面から認めて
   対応しようとしない社長です。

   そのため、大きな改革をせずに自分の目先のことだけをして過ごしており、根本的な
   解決ができていないのです。

   忙しい、忙しいといいながら経営者が本来やらなければいけないことをしておらず、
   一社員と同じような仕事をしています。

   会社をどうしたいのか、自分や社員がどうなることを望んでいるのかなどの将来的な
   絵が描けないのです。

   特にオーナー会社では親子間の問題が起きているときに多く見られます。

   二代目経営者が創業者(父)の会長の考えに問題があるのに、会長に直言できず、
   変えることから逃げて現状維持で良しとしているケースは多々見られます。

  □過去の成功体験の呪縛

   今までのやり方で成功してきたため、現状を変えることができないタイプです。

   今まではこれでうまくいっていたのだから、このままで大丈夫と思っていて、このまま
   がんばればなんとかなると考えています。

   自分ですべてをやらないと気が済まないタイプで、当然、人の言うことには耳を貸しま
   せんし、人に任せることができません。

   自分の会社の規模が小さく急成長の過程にあるときは良いのですが、一定以上の規模
   なったときには会社を運営しきれなくなります。

   当然、優秀な社員は残りませんし、人も育っていません。

   変わるということは非常に難しいものです。

   特に今までがんばってきた経営者などは過去を否定されるようでとても嫌がります。

   しかし、会社の業績を好転させたり、更なる発展
   をのぞむためには、会社が変わらなければなら
   ないのです。

   そのために経営者が変わらなければなりません。
   
  ■知識を知恵に変える

   経営者の知識の豊富さに感服することが多々
   あります。

   そして、読書、セミナーへの参加といった知識
   欲が旺盛なのです。

   「目からウロコの内容だった」「大変参考になった」
   といったコメントを多数聞きます。

   しかし、残念なことがあります。

   それは、知識を知識として留めておくことです。

   教育や研修の機会に恵まれ、ビジネス書を読み漁っていながら、なぜ実際の経営を変え
   ることができないのでしょう。

   事業経営に知識を生かすには、知識を行動によって知恵に変えなくてはならない。

   これができないことで、教育や研修がその場限りの自己満足に終わってしまい、1ヶ月も
   すると元の自分に戻ってしまっているのです。
   
  □知識を実行に移せない

   ○言葉を行動と錯覚している
    問題点を話し合っただけで、仕事をこなした気になってしまい、これが知識を実行
    するための障壁になっている。

    何をすべきか議論する、行動計画を練る、データを収集し、分析する。

    これらは行動へのステップであるが、これだけでは足りないのです。

    計画を立てただけでは目標達成はできないのです。

    だれかがなんらかの行動を起こさなければならない。

    しかし、話し合うだけで、実際に行動したと錯覚するトップや責任者がなんと多い
    ことか!

    もちろん、初めに言葉がなければ行動は起こせません。

    組織は言葉がなければ、知識やノウハウを共有できず、活性化できません。

    企業が行動を起こすためにも、

    まず目標を設定(Plan)し、それを具体的な行動計画に落とし込む。

    そして、行動を指揮・命令(Do)する。

    途中で成果を測定・評価(Check)する。

    必要に応じて修正を加える(Action)

    計画を練り、実行し、チェックし、修正していく(PDCA)、一連のサイクルが終わっ
    たら、反省点を踏まえて再計画へのプロセスへ入り、次期も新たなPDCAサイクルを
    進める。

    今ではPDCAサイクルは当たり前に見聞きしますが、言葉だけ知っていても実行に
    移さなければ、知らないに等しいのです。


   ○やらない理由を見つける
    「やらない理由を見つける」だけで、「なぜできないのか」から「どうすれば実行でき
    るか」への転換を図らない。

     知識を行動に移せる組織とそうでない組織には、どんな違いがあるだろうか?

    限られた企業にだけ、優秀な人材がそろっていたのだろうか? 

    そうではありません。

    違いは組織の文化であり、日常の経営にあるのです。

    知識を生み出し、伝え、それに基づいて行動することを高く評価する組織体制があ
    り、それを実践する仕組みがあるのです。

    記憶・経験に頼らず、きちんと考える組織にするには、三つの方法があります。

     1.既存の組織のままで過去のやり方・考えをやめる

     2.新しい組織をつくる  

     3.初めからむだなルールや、形式的なやり方をつくらず、過去の勘と経験に頼
       った行動を許さない組織をつくる

    ○いいかげんな評価方法をやめる
     ・上司は悪い知らせを伝えた人を評価し、各種報酬を与える。

     ・行動して成功しなかったことではなく、行動しないことが深刻な失敗であり、
      行動しなかったことを罰するべきです。

     ・リーダーも率先して自分の失敗を語り、失敗から学んだことを話す。

     ・オープンなコミュニケーションを奨励する。

    ○無意味な評価システム
     ・問題を生む評価
     ・目先の利益を追う
     ・複雑すぎる
     ・結果ばかりを重視してプロセスを評価対象にしない

    ○知識を行動に変える評価方法
     ・全体を見渡す評価であり、組織活動は相互に依存し合っているので、個々
      の評価はしない。

     ・プロセスの過程や、結果に至る活動を評価してあげることで知識が深まり、
      そこから得た情報が、組織としてのノウハウとなる。結果だけの査定からは 
      何も生まれない。

     ・自社のビジョンを反映した評価であること。
      各社(店)それぞれ文化が違うように、評価もそれぞれに違って当然である。  

      価値観を守っているか、採用された人材は定着しているか、協調して仕事をし
      ているか、などを評価。

  ■経営者が変わる

  □自社の状況を客観的に観る

   まず、自社の置かれている状況を客観視することが重要です。

   自分の思い入れや過去の慣習から離れて、一歩退いて観ることが重要です。

   自社を取巻く状況と自社の強み弱みを客観視して、自社を冷静に評価しましょう。

   そうすることによって、これからどうすればよいか、どうしていくべきかが見えてき
   ます。

  □周りの意見を素直に聞く

   自社を評価する時に、周りの評価を聞くことが重要です。

   社員は経営者に対して正直な意見は言えないものです。

   社員に直接聞くよりも、自分の家族や友人に素直な感想を聞いたり、仕事関係以外の
   経営者の話を聞いたりするのが良いでしょう。

   耳の痛い話をしてくれる人の存在が必要です。

  □目標を明確にする

   自分がどうありたいか、どうなりたいのかを明確にし、それを実現する為の目標を短期
   ・中期で設定します。

   目標を達成するために今何をしなければいけないかをじっくりと考え、明確にします。

  □自分の小さな行動を変える

   まず、自分の行動を変えてみましょう。

   自分の行動を変えることにより意識も変わってくるのです。

   大きなことからでなく小さなことから変えましょう。

   散歩を始めたり、日記をつけたり、自宅での行動や家族との対話を変えるなど、今まで
   の習慣を変えててみてはどうでしょうか。

   些細なことから変えていくことにより、変わることへの抵抗が少なくなり意識も変わって
    くるでしょう。

  □変わることを宣言する

   自分で変わることや会社を変えることを宣言しましょう。

   自分や会社をどのように変えるかを明確に示すのです。

   宣言することにより逃げられなくなり、自分を追い込むことができます。  

   そうなると変わらざるを得なくなります。

   現状を変えたいと感じていたり、変えようとしているのであれば、まず経営者自身が変わ
   ることです。

   経営者が変われば会社は大きく変わるでしょう。

   会社が生き残っていき、発展していくためには、市場の変化にいかに適応させることが
   できるかにかかっています。

   そのためには、経営者が市場の変化を敏感に感じ取り、会社の強みを市場に適応させ
   ていかなければなりません。

   特に業績の低迷している会社や急激に成長した会社では、市場の変化に対応できてい
   なかったり、経営者が今までの考えから抜け切れないで成長が止まっている場合が多い
   のです。

   今では経営者が変わることが、会社が生き残る条件ともなっています。

   変わることは勇気が必要です。

   しかし、変わらないリスクよりも変わるリスクの方が低いのです。

   どうしても自分(経営者)が変われないのであれば、「経営者を代わる」ことも必要
   となるでしょう。

   それが会社の将来のためになることは確かです。

   しかし、経営者を代わることは現実的ではないでしょう。

   あなた(経営者)が変わるしかないのです。

  □社長が変われば会社は変わる

   ・変化し続けないと会社は生き残れない

   ・変わるリスクは意外と低い

   ・勇気を持って自ら変わろう

   ・変われなければ“代わる”しかない

   ・あなたが変われば会社は変わる


   会社はなかなか変われないのが実情ではないでしょうか。

   会社を本気で変えるには、まず社長であるあなたが変わらなければなりません。

   なぜなら、会社は社長がすべてであり、会社は社長の考える形にしかならないから
   です。

   会社は人の集まりであり、社員はあなたの発言や行動を良く見ており、社長の考えて
   いる方向に向かって行動します。

   社員の行動は、あなたの考えを体現しているといえるのです。

   会社を変革させ、風土を変え、業績を回復させ、会社を更に成長させていくためには
   社長が変わらなくてはならないのです。

   まず、あなたが変わることが大切なのです。

   自分は変わろうとせず、社員にだけ変化を要求しても社員は受け入れてくれません
   し、会社も変わりません。

   自分が変わらなければ会社の業績も回復することはないのです。

   変化を恐れずに変わるチャンスは今しかありません。

   あなたが変われば会社も変わるのです。

   会社はあなた(社長)しだいです。

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トップダウンマネジメント


  ■トップダウンマネジメント

   中小企業がこの厳しい時代を乗り越えていくためには、明確な経営戦略と社員一
   丸となった取り組みが不可欠です。

   そして、そのなかで社長が果たすべきトップダウンマネジメントの重要性は、一層
   高まっています。

   1.トップダウンとボトムアップ

     マネジメントスタイルの違いとしてよく取り上げられるのが、トップダウンとボト
     ムアップです。

     トップダウンとはトップ自らが方針を定め、会社を強力に引っ張っていくやり方
     です。

     一方、ボトムアップとは、社員自身からの提案も積極的に経営に反映させてい
     こうというやり方です。

     両者のメリット・デメリットをまとめると次のように整理できます。

     トップダウンとボトムアップそれぞれに一長一短はありますが、景気低迷下に
     おいては、トップダウン型のマネジメントの強化が大きな課題になるでしょう。

     なぜなら、厳しい経営環境のなかで会社の進むべき方向性を明確に示し、困
     難な意思決定を次々に行っていけるのは社長だけだからです。

     両者を比較した場合の最大のポイントは、意思決定のスピードの差にあります。

     トップダウンマネジメントにおいては、重要事項について社長はすべて即断即
     決できます。

     ただし、限られた情報のなかでの判断であるため、「思いつき」になってしまう
     危険もあります。

     また、社員は社長の決断を後から聞かされて、慌ててその対応に追われるこ
     ともあるでしょう。

     逆にボトムアップマネジメントを重複すると、社員の意見を吸い上げるための
     時間がかかり、意思決定のスピードは遅くなります。

     精度の高い情報は集まるかもしれませんが、「機を逸する」可能性も高くなると
     いうことです。

     社長としては、

      ・トップダウンマネジメントのもつメリットを最大最発揮すると同時に、
       デメリットをできるだけ防止すること

      ・ボトムアップマネジメントのもつメリットをトップダウン型のなかでも、
       享受できるような工夫をすること

     などが求められます。

     これらのポイントについて、次項以降で説明します。

   2.トップダウン経営とワンマン経営の違い

     トップダウンマネジメントを強化する際には、いわゆる「ワンマン経営」に陥る可
     能性もあるので注意が必要です。

     トップダウン経営とワンマン経営、イメージとして似ているような気もしま
     すが、実はまったく異なるものです。

     表は多少強調した部分もありますが、トップダウン経営とワンマン経営につい
     て、わかりやすく対比したものです。

     ワンマン経営は、実は会社がうまくいっている時期には、社長にとっても社員
     にとっても非常に「楽」なやりかたです。

     極端にいえば、「社長は好き勝手して、社員は何も考えずに適当に流す」とい
     うスタイルでも会社は回っていくからです。

     このような会社では、「マネジメントスタイルを切り替える」ことをどれだけ早く社
     長に納得してもらえるかが、会社改善のスピードを大きく左右します。

     しかし、会社のなかにも、残念ながら結局ワンマン経営から脱却できずに、事
     業継続ができなくなった会社も多数あります。

     最初のうちは、そんな社長のやる気や手腕に対する社員の信頼も厚く、また
     社長もそれに応えるべく頑張ります。

     しかし、業績好調が逆にアダとなって、社長のワンマンぶりが目立つようになり
     ます。

     社員は社長への信頼をもてなくなり、単に「社長というポジションにいる人」に
     対する「恐れや遠慮」によって指示に従うだけになります。

     それでもしばらくの間は大した支障もなく、会社は回っていきますが、やがて急
     速に売上が落ち始めることになります。

     そしてすでに業績は悪化し、とてもそれまでのワンマン経営ではもたなくなって
     しまいます。

     自分自身では正しいトップダウン経営をしているつもりでも、ワンマン経営に
     陥ってしまう可能性は誰にでもあるのです。

     そして、いったんワンマン経営が当たり前になってしまうと、基本的には社員は
     誰もそれを指摘できなくなります。

     気がつくと取り返しのつかない状況になっていることが多いのです。

     この点は、特に注意する必要があるでしょう。

  □成功に必要な姿勢

   ここでは、社長が全社を強力に引っ求っていくための心構えや社員への接し方な
   ど、トップダウンマネジメントを有効に機能させるための土台作りについて考えます。

   基本は「社長自身や全社員がどうやったら元気を出せるか」ということです。

   また、前項で取り上げたようなワンマン経営に陥らないための心構えも大切です。

   1.つねに前向きに明るく振る舞う

     会社を引っ張っていこうという社長が、いつも暗い顔をして下を向いていたの
     では、社員の士気は高まりません。

     経営環境が悪化していることは、社員の誰もが気づいています。

     そんなときだからこそ、社長は「多少無理をしてでも」明るく振る舞う必要があ
     るのです。

     社員には、会社の細かい経営状態までは分かりません。

     彼らは毎日接している社長の「元気さ」からそれを感じ取ろうとします。

     また、社長自身も「不況の今こそチャンス」と思えるぐらいの「大胆さ、楽天さ」
     がないと、精神的に参ってしまいますし、前向きな戦略も浮かんできません。

     実際に不況時に業績を伸ばした中小企業はいくらでもあります。

     社員のためにも、自分自身のためにも、まずは「前向き」な姿勢を保つことが
     不可欠です。

   2.社長が腹を括るという姿勢を示す。

     いうまでもないことですが、会社経営の全責任は社長にあります。

     社長としてはそんなことは分かりきっていますから、社員が失敗したとしても
     「最終的には自分が腹を括るしかない」という覚悟はいつでもできているはずです。

     しかし、残念ながら社長のそのような覚悟は、社員にはなかなか伝わりません。

     プロ野球で監督がリリーフピッチャーを送り出すときには、「もし打たれても、そ
     れはお前を使った俺(監督)の責任だ、臆せずにやれ!」という言葉がよく使わ
     れます。

     選手は監督の言葉を「意気に感じる」ことで実力以上のプレーをすることもあり
     ます。

     会社経営においても、「社長は普段は厳しいが、最終的には必ず社員を守っ
     てくれる」という意識を社員にもってもらうことが重要です。

     そのためには、「社員は失敗を恐れずに頑張って欲しい」というメッセージを繰
     り返し伝えていく以外ありません。

   3.状況ではなく未来を語る

     不況が続くなかで、自社もしばらくの間は苦しい業績が続くかもしれません。

     そんななかで厳しい現状と真摯に向き合い、打開策を考えていくことはもちろ
     ん大切です。

     しかし同時に、その先にあるもの、つまり厳しい状祝を乗り越えたときに、自社
     に訪れる未来についても、できるだけ積極的に社員と話すようにしましょう。

     その際には、単に「不況を乗り越える」という小さな未来ではなく、その先にあ
     るもっと大きな成功をイメージします。

     「業界で首位になる」、「海外に進出する」、「給料を3倍にする」など自社が実
     現したいワクワクできる未来を描くことが大切です。

     最初は社員も半信半疑かもしれませんが、社長が繰り返し語ることが大切です。

     そして、社員が「ひとつやってみるか」という気になれば、会社の雰囲気はガラ
     リと変わるはずです。

   4.自分に足りない部分を自覚する

     トップダウンマネジメントを強化していくということは、社長に集中させた権限を
     大胆かつスピーディーに行使してくことです。

     このことは有効に機能すれば、会社牽引の大きな原動力となりますが、一歩
     間違えば独断専行の「暴走」にもつながりかねません。

     この危険性を少しでも回避するためには、社長が自分に不足している資質や
     知識、陥りやすい判断ミスなどをあらかじめ自覚しておくことが大切です。

     社長といえどもすべての面において社内でいちばんであるはずがありません。

     不足している部分は、他の力を借りることで、最終的な正しい判断につなげれ
     ばよいのです。

     また、特に重要な判断を行うときには、他の経営幹部の意見を必ず聞くという
     ルールを決めておくことなども有効でしょう。

  □成功に必要な論理

   トップダウンマネジメントは「気合い」ではありません。

   確かにそういう部分が必要なときもありますが、基本的にはきちんとした論理が背
   景になければ、継続的な効果を出せるものではありません。

   ここでは、論理的なマネジメントの基本を説明します。

   1.戦略、戦術、実践(戦闘)

     マネジメントには、幹となる戦略が必要です。

     戦略とは、「自社のめざすべき将来の姿を描き、その姿を実現するためのシナ
     リオ」のことです。

     たとえば「業界ナンバー1になって競合他社に対して圧倒的な地位を確立す
     る」というのが経営戦略です。

     そして、戦略実現のためにどういったやり方で臨むのかが「戦術」になります。

     先の例でいえば、「一定水準の技術者を50人育成する」などが戦術になります。

      さらに、戦術にしたがって行う日々の具体的な業務が「実践(戦闘)」になります。

     これも先の例でいえば、「カリキュラムに従って技術者を日々鍛える」などが実
     践といえます。

     時間軸で考えると、戦略は数年程度、戦術は3〜6カ月程度、実践は1日〜1
     カ月程度で計画・実行されることになります。

     さらに「戦略、戦術、実践(戦闘)」は、整合性をもってブレイクダウンされている
     ことが必要です。

     たとえば「業界ナンバー1になって競合他社に対して圧倒的な地位を確立す
     る」という戦略自体が間違っていたら、その実現のためにどんなに優れた戦術
     や実践がなされたとしても決してうまくはいきません。

     また、仮に正しい戦略をとることができても、それが適切に戦術や実践(戦闘)
     にブレイクダウンされなければ、やはり成功しません。

     つまり、

      正しい戦略が策定され、かつそれが適切に戦術、実践に展開された
      場合のみに戦略は成功する

     ということになります。

     トップダウンマネジメントを行ううえでは、これらの整合性、進捗度合い、環境
     変化による修正の必要性などについて、素早く判断を下していくことが必要に
     なります。

     なお、戦略と戦術については、混同しやすいので注意が必要です。

     「一定水準の技術者を50人育成する」するということはあくまでも戦術であり、
     その上位概念である戦略を実現するための手段に過ぎません。

     また、一般社員が対応している「実践レベル」の進捗状況を社長自身がすべて
     把握することは通常は不可能なので、重要情報が選別されて、社長に上がっ
     てくるための仕組み作りも必要になります。 

   2.問題と課題

     問題と課題、どちらも聞き慣れた言葉ですが、マネジメントにおいてはこの2つ
     の言葉を正しく使い分けることが非常に重要です。

     問題とは「現状と本来あるべき姿とのギャップ」のことであり、課題とは「その
     ギャップを解消するために何をすればよいか」ということです。

     つまり、現状分析がきちんとなされ、なおかつどのような姿をめざすのかがき
     ちんと検討されていなければ、問題も課題も特定することはできません。

     また、ギャップのなかには、自分たちの努力だけではどうしても解決できない
     要素もあります。

     たとえば、「円高」、「原油高」、「人口減少」などは、状況そのものを変えること
     はできません。

     このような要素を制約条件といいます。

     たとえば、本来の計画では月商1億円となっているスーパーが、売上8000万
     円しかないとすると、この2000万円の差が問題、足りない2000万円をどのよ
     うに積み上げていくかという具体的な販促策などが、課題ということになります。

     また、制約条件のなかには、一見自らの力では改善できないようにみえるもの
     の、やり方次第では、対応可能になるケースもあります。

     たとえば、このスーパーが単独で仕入れを行っている場合、卸売業者といくら
     交渉してもその仕入れ条件には一定の限界があります。

     この段階では、制約条件です。

     ただし、いくつかのスーパーと共同仕入れを検討することで、この制約条件を   
     外すことができます。

     共同仕入れが可能になれば、単独仕入れよりも有利に仕入れ交渉を行えるよ
     うになるからです。

     これによって「仕入れ交渉の限界」という制約条件は、「近隣スーパーとの共同
     購入の実現」という課題に変えることができたのです。

     このように問題と課題を論理的に考えていくためには、

      ・現状を把握・分析する

      ・あるべき姿を明確にする

      ・ギャップである同類を明確にする

      ・問題を解決するための課題を設定する

      ・何とかして制約条件を外すことはできないかを検討する

     といった、ステップを踏むことが大切です。

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