集客から顧客維持までのプロセスを標準化

電話によるアポイント営業

電話によるアポイント営業

■アポイントのための電話
 開拓営業活動を行う上で最初に重要となるのは、訪問や面談の機会をもらうことです。
 飛び込み営業という手もあるが、まずは電話でアポイントメントを取ってから訪問する
 ほうが、事前に準備ができるし、効率もよい。
 ターゲットリストの作成法から電話のかけ方、電話でのトークのポイントなどを、詳しく
 解説します。
 新規顧客開拓に当たって大きな武器となる“アポイントが取れる電話のかけ方”を身に
 付けていただきたい。

 1.ターゲットリストの作成ポイント
  アポイントを取る際には、開拓営業の「質」と「量」を向上していくために、まずは
  良質な「アポイント取得先リスト」の整備が必要となります。
  アポイント取得先リストを作成するには、まずターゲットを「絞る」ことです。
  絞る着眼は、主に次の4点です。

   a.業種
   b.規模(年商・従業員数)
   c.エリア
   d.動きのある会社

  aとbについては、ある程度、経験を積んだ営業パーソンであれば、過去に成功体験が
  ある業種・規模などを加えるとなおよいでしょう。
  逆に、まだ経験の少ない営業パーソンは、自分が好きな業種や興味のある業種などから
  絞っていけばよいでしょう。

  cについては、営業担当先をエリア別に振り分けている会社が多いだろうから、エリア
  ごとに特徴のある業種など着眼点があるはずです。

  dは難しい部分もあるが、新聞の地域版に「元気印企業」として紹介されていたり、
  エリアを日々回っている中で、活気のある様子が肌で感じられたりする会社があれば、
  ターゲットとして認識しておきたい。

  ターゲットを絞る理由は、ターゲットを絞って訪問を繰り返していくうちに、その業種や
  会社の規模特有の問題点・着眼点が経験則で分かるようになり、生きた事例、業界特性、
  問題点に対するソリューションの提案など、面談の質の向上が期待できるからです。

  このレベルに達すると応用が利くようになり、どんな会社にもイキイキと提案ができる
  状態になっているでしょう。

 2.ターゲットリストの整備ポイント
  ターゲットリストをつくるに当たって最も効率的な方法は、会社要覧のコピーを
  ファイリングして持ち歩き、自分で分かるようにマーカーを引いたりして管理する方法
  です。

  コピーをファイリングして持ち歩くメリットは、住所・電話番号はもちろんのこと、
  業績動向、仕入れ先、得意先などが掲載されており、会社でアポイントの電話をかける
  際や、移動中に連絡を入れる際にも非常に便利であるからです。

  ただし、アタック先数がそれほど多くない場合には、部署全体とそれぞれのメンバー間で、
  エクセルなどを使って一元管理してもよいでしょう。
  仕組み化することができれば、部署全体で共有化しやすいし、どんなところでつまずき
  やすいかも明確になりやすい。

  いずれにしても、目的は「リストを作成して管理すること」ではなく、「開拓営業の
  実績をアップさせること」です。
  ターゲット先の数や自社のマネジメントレベルの状況に応じて、判断していただきたい。

 3.アポイントを取る際の心構え
  まず、心がけなければならないのは、「メンタルタフネス」を持つことです。
  メンタルタフネスは「ストレス耐性」とも呼ばれ、「ストレスにどれだけ耐えられるか」
  という強さを意味します。

  開拓営業の新規のアポイントであるので、当然のことながら最初の段階では数多く
  断られます。
  いくら全員参加型で目標を達成していこうと仕組みづくりをしても、メンバーによっては、
  最初のアポイントの段階でめげてしまうことが往々にしてある。

  経験の少ない若手営業パーソンだと、なおさらです。
  最初のアポイントの段階では、断られることを前提に地道に取り組む姿勢が必要です。
  その段階においては、先輩の営業パーソンのサポートが欠かせない。

  先輩営業パーソンは必要に応じてロールプレーイングなどを行い、若手営業パーソンの
  モチベーションが保てるように、部署全体でサポートしていくことです。 
  この壁を越えることは、若手営業パーソンの大き な成長につながるのです。

  誰にアポイントを取るかについては、基本的には購入決定権者に直接アポイントを取る
  ことが原則です。

  ただし、会社の規模・組織体制によっては、直接決定権者にアポイントを取りにくい
  こともあるので、まずは担当者にアプローチをかけることも考慮に入れながら、アポイント
  活動を展開していく。

 4.アポイント取りの事前準備
  アポイントを取る際は、次のようなものを準備してから電話をかけます。

  (1)ターゲットリスト「1.ターゲットリストの作成ポイント」で述べたリストです。

  (2)手帳アポイントの時刻や社名・訪問者などを、その場で書き込むための
    必須アイテム。

  (3)時刻表あるいはインターネットで検索した電車時刻
    移動時間を考慮してアポイントを取るために必要です。

  (4)地図訪問する場所を確認するために必要です。

  (5)重点商品や提案したい商品などの案内
    訪問理由を手短に分かりやすく説明するために必要。
    案内内容の“台本”を事前にまとめておくのもよい。

 5.電話のかけ方
  アポイント取りは、時間を決めて集中して行う。
  机の上をいったん整理してから電話をかけること。

  (1)電話をかけるべき時間
    電話の経験を重ねると、自分なりに“電話のかけどき”が分かる。
    それは、次のようなものがあります。

    【在社時間などの傾向例】
     ・建設業や住宅業の経営者は午前8時前後に在社している確率が高い
     ・小売業の経営者は午前10時ごろから現場に入り(臨店している)、
      本社(本店)へ午後に顔を出すことが多い
     ・月曜日の午前中は会議をしている会社が多い

    継続的な取り組みの中で、一定の傾向がつかめれば、相手が在社している
    タイミングが分かるようになる。
    そのタイミングで電話をする、あるいは会議の終わる時間を聞き出すなど、
    ピンポイントで相手と連絡が取れるようになる。

  (2)トークの基本
    a.元気・明るいこと相手が会ってくれるのであれば、特に話術はうまくなくても
     よい。
     ただ、元気がなくては困る。
     面談してくれる理由が「元気な人間だな…、まぁ会ってみようか」でも
     構わない。

    b.要点・目的を絞る
     目的は何かを明確にすること。
     アポイントを取ることのみが目的ではない。
     アポイントを取って相手と関係をつくり、受注していくことが目的です。
     重点商品や狙いたい商品の案内などを準備しておき、会話の中でどんな
     流れになっても対応できるよう、切り口を2、3点は用意しておきます。

    c.相手のペースに合わせる(シンクロナイズ)
     「メリハリ・緩急・静動を考える」こと。
     電話の相手が早口なら、ある程度こちらも早口で話をする。
     ゆっくりとしゃべる相手なら、ゆっくりとしゃべる。
     元気な人には、こちらも元気に話をする。

  (3)アポイントの先行管理
    基本的には1週間先の先行管理で、アポイントを設定していくことが望ましい。
    まずは、週後半の水・木・金のアポイントをその週前半で設定し、週後半で
    次週の月・火のアポイントを埋めていくという形で、できるところから先行
    管理していくことが重要です。

 6.トークのポイント
  (1)第1の壁(受付突破)
    初めて電話をするとき、多く の人が悩むのが、電話受付です。
    しかし、継続的にアプローチをかけ、電話をしているうちに気が付くことが
    必ずあるはずです。

    a.「決定権者の知り合い?」と思わせる
     「大切なお客さまかな?」と受付の人に思ってもらえるトークを心がける。
     会社には毎日、さまざまな電話がかかってきます。
     多くの会社ではセールス電話を、受付担当者が断るように決めている可能性
     が高い。

     堂々とした態度で接しつつ、受付担当者に大切なお客さまだと思ってもらえ
     るようにする。
     横柄になってはいけないが、自信を持って行うことが大切です。

    b.受付担当者は視点を変えれば味方になり得る
     受付担当は、実権者がいつならいるかを教えてくれる人である。 
     「この人は取り次いだほうがよいかな」と思ってもらえれば、第1の壁は
     乗り越えたも同然である。
     会議の終わり、出張からの帰社、工場から事務所への戻りなど、どの時間
     なら電話に出やすいのかをしっかりと聞き出すことだ。

    c.品位を保つ
     アポイントは、受付担当者の時間をある意味で奪っているとも言えます 。
     失礼のないように、基本は「常に品位を保つこと」です。アプローチの段階
     から、自分自身は会社の顔であるということを忘れないようにしたい。

  (2)第2の壁(訪問希望相手)
    a.最初のトーク丁寧に、元気よく
     ハキハキと「お世話になります。
     私、○○会社の△△と申します」が原則です。
     そして、次に目的を明示する。「今日は○○の件でお話をしたく電話しました」。
     「こんな事例があるのでご紹介したくて…」など、いかに相手をくすぐる
     ことができるかどう かがポイント。

    b.アポ段階でのキャッチボールの仕方(相手の言葉を引用する)
     目的は電話で話すことではないので、あまり長々と説明はしない。
     「○○さまが先ほど△△(会社のお困りごと)とおっしゃいましたように、
     △△についての事例や資料があるのでお持ちします」など、相手との話題
     を拡大して訪問の契機にしてしまう手法もある。

    c.アポイントをもらう
     ・択一式での日程提案日程案が1案のみだとアポイントを取りにくい。
      「○日△曜日の□□ 時、あるいは△日の○○時などはいかがでしょうか?」
      など、複数案を提示することが鉄則。

     ・時間差での日程提案
      提案の結果がダメでも、「では、またの機会にお願いします」とあきらめ
      ずに、「では、○日の△△時とか、□□時はいかがですか?」などと、
      同日程でも代案を出していくとよいでしょう。
      大切なのは、相手に手帳を開かせることです。

     ・アポ時間は分単位で取る
      アポ時間は何時何分という単位で取るといい。
      さらに、最後に復唱して「では、○日△曜日の□□時××分に○○社の△△が
      うかがいます」と明確にし、面談者の手帳に時間と自分の名前が書いて
      あるようにすることです。

                        メルマガ登録(無料)はこちら

                        お問合せ・ご質問はこちら

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

アポイント営業

アポイント営業

■時代背景と若手営業パーソンの特徴
 厳しい環境下にあっても、営業パーソンは必要不可欠かつ会社の花形であり、営業成果
 なくして業績向上はない。
 ここでは、特に次代の業績を担う若手営業パーソンを対象に、新規顧客開拓を楽しく進める
 仕組みについて、述べていきたいと思います。

 1.新規顧客開拓の目的
  営業の形態は「ルート営業」や「新規営業」と分かれているが、営業職に就いていれば、
  新規開拓をするように指示されたことは数多くあるでしょう。
  新規開拓が必要であることは今さら異論がないと思いますが、「なぜ必要なのか?」
  という目的・理由は、各々の企業で共通認識としておきましょう。

  営業パーソン個々のタイプにもよるが、ベテラン社員は多くを説明しなくとも、デキる
  人はデキる。
  しかし、若手社員は目的をしっかりと理解させないと、なかなか動けないものです。

  目的が明確化され、本人の腹に落としこまれていないと、言い訳をしがちになって
  しまいます。
  組織として、新規顧客開拓の目的を明確化することをぜひお勧めします。

  例えば日本のマーケット環境から目的を考えるならば、次の例を参考にしてほしい。
  「日本は2004年を境に『人口減少時代』に突入しました。
  何もしなくても、国内の総需要は減っていくということです。

  すでに2015年からは世帯数の減少も始まっています。
  つまり、何もしなければ、顧客の数は維持できる可能性はあるものの、ボリュームは
  小さく、単価は低くなっていく。

  特に内需依存型企業はその影響を強く受ける。
  それをカバーしていくためには、必然的に新規顧客開拓が必要なのでする」など。

  ただ、新規開拓を指示するのではなく、組織としての取り組みを検討してほしい。
  このことは、後述する若手営業パーソンの特徴とも関連する。

 2.利益の源泉
  会社を支える利益の源泉は、価格・数量・経費・回転率です。
  好況期には、価格・数量ともに伸ばしやすく、他力本願(景気頼み)経営でも伸ばす
  ことができました。

  しかし不況期は、価格・数量を伸ばしにくく、現状維持も大変である。
  自力本願経営で生産性をアップし、その中で新規顧客開拓を行っていかなければ、
  業績はおぼつかない時代に入ったのです。

 3.若手営業パーソンの特徴
  新規開拓が重要であることは分かっていても、特に若手営業パーソンにとってはハードル
  が高く感じられるようです。
  なぜなら、誰かに同行して新規開拓の進め方を覚えるケースは非常に少なく、やり方が
  分かりにくいからです。

  また、その手法は各々に大きな違いがあり、属人的であることが非常に多い。
  加えて、“イマドキの若者”と言うべきか、新入・若手社員研修などを通じて感じる若手
  社員の傾向がある。

  若手営業パーソンはこうした傾向を持っており、できる人間が背中で教える(行動で
  教える)という育成スタイルは、もはや今の時代にはそぐわないものになってきています。
  ただし、目的を自分自身で咀嚼して理解できれば、しっかりと行動できるのです。

  しかも、一人ではなく皆で実行するという仕組みを構築すれば、やる気を出して行動
  できるのです。
  やる気はあるのに、コミュニケーションロスで若手営業パーソンがやる気を失ってしまう
  のは、企業にとって大きな損失です。

  さらに、それが積み重なれば、将来の稼ぎ頭を失ってしまうことにもつながりかねない。
  次項では、若手営業パーソンが新規顧客開拓を行っていく上で、まず入り口となる
  アポイントが楽しくできるような具体的なメソッドを紹介していきたい。

  どの営業パーソンも、新規顧客開拓が重要なことは分かっている。
  分かってはいるが、行動に移せない現実があるのです。
  ハートの面から、仕組みの面から楽しく行動を促すようなバックアップが必要なのです。

□自社商品と自身の強みの明確化

 1.自社商品の強みの明確化

  前項では、組織の中で新規顧客開拓の目的を明確化することをお勧めした。
  次のステップは、自社商品の強みを明確化することです。
  特に若手営業パーソンは、商品の強みをかみ砕いて理解できればしっかりと新規開拓
  営業に取り組めるという特性を持っています。

  現状の経済環境下において、営業パーソンを集めて売れない原因を挙げさせれば、
  「景気が悪い」「商品が悪い」「よいお客さまを担当させてもらっていない」など、
  数限りなく意見が出るでしょう。

  とりわけ経験が少ない若手営業パーソンは、継続的に成功体験が積み上げられないと、
  こうした考えに陥りやすい。
  失敗を嫌う傾向が強いのです。

  自社商品の強みをブレーンストーミングで整理していく手法が有効です。
  あらかじめ個別に分析をさせた上で、営業メンバーでまとまってブレーンストーミング
  を行うと、営業メンバー全体の底上げにつながる。

  もっとも、整理した段階で終わらせてしまうのはもったいない。
  メンバーが集まって時間を取ったのであれば、「自社商品が提供している真の価値」まで
  掘り下げて考えさせると、より若手営業パーソンの内面に落とし込まれる。

  ある会社(電気機械器具卸売業)では、メンバー間でディスカッションを行ったところ、
  初めは商品自体の「表面的な強み」しか出てこなかったが、メンバーがより深く掘り下げて
  考えることで、やっと「自社商品が提供している真の価値」を見いだすことができた。

  ここから、自社の「真の顧客」は誰か、「真の顧客ニーズ」は何かまで掘り下げていく
  ことで、「効率化に対応できるソリューション力と企業対応力」というキーワードを
  導き出せました。

  この過程を踏むことで、若手営業パーソンは今までより自信を持って商談に臨めるように
  なったのです。

 2.営業パーソン自身の強みの明確化
  次に営業パーソン自身の「強み」の明確化である。
  自分のことは自分自身が一番知っているように思えるが、本人が認識している強みと、
  他人が認識している強みは異なるケースがある。

  次の方法によって、本人に自身の強みを明確に認識させ、自信を持たせて営業現場で
  活かせるように動機付けをするとよいでしょう。
  このプロセスでは、若手営業パーソンの特徴である「承認欲求」を満たす効果も狙って
  います。

  簡単だが、効果の高い方法なので、実践をお勧めする。
  買い手市場の環境下でなかなか内定がもらえず、自信を喪失してやっと入社にこぎつけた
  若手社員が多いのが実態です。

  とは言え、個々の人間には必ず強みがある。
  早期に能力を発揮してもらうためには、弱みに着目してそれを克服させるよりも、
  徐々に自信をつけてステップアップさせ、強みを大いに発揮させるほうが効果的でしょう。

  強みを明確に認識させる方法として、1対1で、今までの人生の中の成功体験を
  インタビュー形式で語らせる方法を紹介します。

  互いに役割分担(聞き手・話し手)をし、聞き手が話し手に対して、今までの人生体験
  の中で成功に至ったと思えることを聞き、なぜ、そのようなよい結果につながったのかを
  質問形式で掘り下げていくのです。

  時間は15〜20分程度でよい。
  そこで掘り下げていくと、成功した要素が見えてくるはずです。
  最終的には、強みを三つ程度の単語にまとめていく。

  例えば、「真摯さ」「あきらめない」「行動力」など、成功体験から導き出された要素を
  まとめ、互いに共有するのです。
  過去の成功体験のことなので、話し手は喜んで話をするし、聞き手にとってもヒアリングの
  トレーニングになる。

  そこで導き出された要素が、その人の強みです。
  自身の成功体験から引き出すことと、本人だけではなく聞き手からも導き出されている
  ことから、本人が認識している強み、自身では認識できていなかった強みが明確になる。

  強みを明確化できたら、それを営業現場でどのように活かすかということを本人に考え
  させるのです。
  このプロセスまで行うと、若手営業パーソンのモチベーションは上がっているでしょう。
  早く現場に出て、実践したいと思うはずです。

                        メルマガ登録(無料)はこちら

                        お問合せ・ご質問はこちら

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

集客から顧客維持までの営業プロセスを管理 


  営業会社にとって、集客から既存顧客維持までのプロセスを標準化し、管理することは
  『営業の仕組み』として、マンパワー営業から脱却し、組織営業を実践していく上で欠か
  せない緊急課題です。

  場当たりなセールス活動、営業マン個人に頼ったやり方からは何も生まれません。

  人材に限りのある中小企業にとって、凡人営業マンであっても優秀な営業マンと同
  程度の能力を持つことを可能にするには営業の基本となる『営業マニュアル』が必要
   となります。
   
  ■集客から顧客の維持管理   

   「売れない」、「売れても利益がでない」、「お客様の反応が薄い」、さまざまな業界
   からこんな声が聞こえてきています。

   結果的に社員のモチベーションは下がり、営業マンには叱咤激励するだけ、中期的
   な戦略もなく、目先の収益ばかりに目が行く、といった悪循環に多くの中小企業が
   陥っています。

   商売の原理原則は無視され、場当たり的な行動が日常化している状況から今すぐ
   抜け出さなくてはなりません。

   もちろん、「言うは易し 行なう難し」ですが、今すぐ改革に取り組むことを強くお勧め
   します。

   決して難しいことをやるわけではありません。

   あえて困難である点を言えば「継続」することです。

   それ以外に難しいことは何もありません。

   『集客から顧客の維持・管理』は営業会社であればすべての業種に当てはまる課題
   です。

   それも緊急課題としてです。

   過去の営業活動は「軒並み訪問」「足繁く通う」「夜討ち朝駆け」といった営業方法が
   主流で、私も経験してきました。

   もちろんこれらの方法を全否定するつもりはありません。

   しかし、ここで理解していただきたいのは、右肩上がりの経済成長時のお客様のように、
   義理や人情、熱意にほだされて購入するお客様はいないということです。

   IT環境の進歩により、お客様の知識はあなた以上に豊富であることを忘れないで
   ください。

   これらのことを前提に『営業の仕組み』を構築していきます。
   
  ■どうしても必要な新規開拓

   営業会社であれば新規開拓は欠かせない最優先の課題であることは言うまでもあり
   ません。

   厳しい環境下ですが、それでも新規の顧客獲得のための活動は事業を継続する
   限り続けなければならないのです。

   あなたにとっての顧客とは
    ・新しい顧客を加えなければ増加しない

    ・既存客は「いつまでも」自社(店)のお客とは限らない

    ・既存客は時間が経つごとに目減りしていく

   以上の存在なのです。

   新規の顧客が毎年「0」なら、いずれは確実に瀕死の状態になるわけです。

   そこで重大な意味を持つのが、新規顧客の開拓です。

   集客から顧客の固定化までのセールスプロセスを標準化することは、厳しい経営
   環境(価格競争、マーケットの縮小 等)から抜け出し、競合他社との明確な違いを
   示すことです。

   新規開拓とは、『「どこに」「何を」「どのようにして」販売するか?』ということ
   です。

   「どのようにして、新規開拓を進めるか?」新規
   開拓にはさまざまな手法例がありますが、可能
   な限り属人性を排除して、客観的にデータを
   整理し活用すれば、新規開拓の基本的な手順・
   考え方ができあがってきます。

   市場(マーケット)の開拓には基本データの収集が
   必要となります。

   仕組みづくりを大切にしましょう。

   原因のない結果はありません。

   成果という結果を導くためには周到な仕組みづくり
   が必要となります。

   仕組みづくりを大切にすれば結果は自然とついてくるのです。

   セールスの基本プロセスは、

    1.見込み客を集める(集客)

    2.商品・サービスを実際に買ってもらう(新規開拓)

    3.リピート・紹介などによる単価アップ・他商品・サービスの
      拡販(顧客の維持・管理)

   このプロセスがスムーズに機能している企業は一度関係性を持ったお客様が離れ
   ずに、リピートと紹介を繰り返してくれるため、非常に安定的な経営をおこなうことが
   できるようになっています。

   営業活動においてセールスとマーケティングは違います。

   セールスは目の前の購入見込みのあるお客様に商品説明をし、クロージングに持って
   いく活動です。

   マーケティングは購入見込みのあるお客様を見つけ出す活動です。

   どんなにセールステクニックや商品スキルが高くても、見込み客がいなければ能力を
   発揮することはできません。

   あなたは“いきなり、商品を売ろう”としていないでしょうか?

   これが結果的に、お客様から「売り込まれそうだから営業マンに会いたくない」という
   結果を招くのです。

   あなたは以下の視点を忘れてはならないということです。

    ○ あなたのサービス・商品を欲している相手だけを対象に営業する。

    ○ 良好な関係性を築いてから、クロージングをおこなう。

   あなたがアプローチしている相手は、必ずしもあなたの商品・サービスを必要としてい
   ないからです。

   では、どのようにしたらあなたに関心あるお客様のみを対象として、良好な関係を
   築いてから、クロージングできるのでしょうか?

   あなたの商品・サービスに関心を持ってくださる見込み顧客のリストを集めることです。

   そして、集めたリストと関係性を保つ施策を実行し、お客様になっていただくことなの
   です。

   そのためには、マーケティング的発想をもたなければなりません。

    ○ マーケティングの役割は、あなたに興味・関心をもってもらう(集客)

    ○ 営業の役割は、見込み客を、クロージングすること。

   集客活動は組織が担い、問い合わせてくれたお客様に対しては営業マンが対応し、
   成約後は、営業担当者・事務担当者が細かいフォローをきちんとしていく。

   営業プロセスを組織全体で分担していくことです。

   営業の川上から川下までの全てのプロセスを営業マン個人に任せてはいけません。

   それでは『営業の仕組み』について考えていきましょう。

   
  ■営業の仕組み  

   営業活動の前に必ず、行動計画を練り、台本(トーク)を作ることを強くお勧めします。

   場当たりなトークでは成約に至る成否が何んであったのかを知ることができません。

   優秀な営業マンでなくても、継続して収益を上げるにはこのことが必要なのです。
     
   □1.ターゲットを探す (集客)

    営業における仕組みの基本となるのが集客(見込み客開拓)です。

    まずは、あなたの商品・サービスに興味関心をもつ見込み顧客のリストを集める
    ことが重要であり、営業する対象をしっかりと選ぶ。

    場当たりな営業は効率が悪いのです。

    営業マンにとって訪問先の断りはモチベーションを下げる要因の一つです。

    過去には『営業は断られた時から始まる』(E.G. レターマン著)があるが、断られ
    ないに越したことはない。

    10、20年前の営業活動で主流を占めていた精神論的営業であれば、売る努力の
    ために苦難を乗り越えるといったことも必要であったと思う。

    しかし、今は違う。

    「売る努力より仕組みを作る努力」をすることです。

    「どうしたら売れるか」ではなく「どうしたら買ってくれるか」にポイントを置くこと
    です。

    売る側の視点から買う側の視点に立つことです。

    高度な専門知識やセールススキルを兼ね備えているからといって売れるわけでは
    ありません。

    必要性を感じていない人にどんなにすばらしいプレゼンをしても意味がありませ
    ん。   

    どうしたら『断り』のリスクを軽減するかを考える必要があります。

    まず、集客(見込み客)です。

    集客はあなた(会社)に興味関心を示す見込み客を見つけることです。

    そのためには、あなたの商品・サービスに関連した情報の提供を行います。
     (あなたの扱う商品・サービスついての情報ではない)

    集客の手法には、

     ・テレマーケティング

     ・FAXマーケティング

     ・セミナー

     ・HP

     ・メルマガ

     ・プレスリリース 

     ・小冊子 

     ・ニュースレター 

     ・ポスティング

    など、多種多様です。

    テレマーケティング、FAXマーケティング、HP、メルマガを通じて無料のオファー
    (小冊子、レポート、サンプル)を提供する。

    上記の手法で集客しますが、ここで重要なのがオファーを提供するターゲットを絞り
    込むことです。

    そのためには、
     ○マーケットを絞った集客(セグメンテーション
      「弱者の戦略」にもあるように、弱者はマーケットを絞ることです。

      「誰にでも」は強者のやり方です。


   □集客のポイント
     マスコミを活用したプレスリリースの活用

      ・ 利益が上がっているところ(ニーズがあっても、お金を支払えなけ
      れば、契約は成立しないからです)

     ・ 効率的なエリアを絞る

     ・ 新設事業所はタウンページを新旧比較し、新たに登録されている事
      業所を抽出する。
      (商工会議者会員ならば毎月の会報誌に掲載されている)

     ・ タウンページの中で数の少ない事業所をリストアップするのも狙い目

     ・地域経済情報誌からリストアップする。

     ・ 法務局で調べる。

     ・ 司法書士とタイアップする。

     ・ 商工名鑑(商工会議所で販売されており、HPでも各市の商工会議所
      が会員ページを開設している)
      全国の商工会議所名簿 

      静岡商工会議所 
              
      ・ 中央会 事業協同組合、企業組合、商業組合、工業組合、商工組合、
      振興組合等

      全国中小企業団体中央会 (各県庁所在地にあります)
      
      静岡県中小企業団体中央会

    商工会議所、中小企業団体中央会は地元中小企業・あなたの加入している組合へ
    様々な情報発信しています。

    経営者の中からは「会費を払うだけで何のメリットもない」といった声も聞こえてきま
    すが、これは経営を我流で行っている現れであり、加入目的を明確にしていないこ
    とに原因があります。

    それぞれの組織では、講習会、セミナー、経営相談、情報サービスといった形で
    ノウハウの提供を行っています。

    無料提供のサービスや、有料のサービスであっても民間のコンサルタント会社に
    依頼する金額より低料金で上記のサービスを提供しています。

    使わない手はありません。

    活用次第で大きなメリットをもたらしてくれるはずです。

    収益アップ、組織の活性化、人材育成など社長の抱える問題の解決に積極的に
    活用してみてはどうでしょうか。
    
  □集客(見込み客開拓)の主な方法10項目

   1.飛び込み法

     昔からローラー作戦といわれ、その地域のすべての人、会社にアプローチ
     します。

     不特定多数の方を対象にした一般的なもので、車、保険、証券、健康関連   
     商品等のセールスに向いています。

   2.電話活用法

     資料の鮮度がカギ。

     資料を入手して徹底して電話をかける。

   3.ダイレクトメール活用法

     一度でも来店したり、商品を購入したり、お客様になり得ると思われる層
     に、ダイレクトメールを発送します。

   4.異業種交流会活用

     異業種のセールスマンから見込み客を紹介してもらう。

   5.直接観察法

     普段から人間関係をつくっておいて、タイミングを狙ってアプローチをする。

   6.講演会活用法

     リード(聴衆)を集めてアプローチする。

     たとえば健康に関する講演会を開き、先生を呼んで講演をしてもらう。

     それとは直接関係はないが、健康食品などを会場において販売していく。

   7.展示販売法

     見本市会場やホテルなどで展示会を開いて販売する。

   8.有力者紹介法

     有力なお客様から、有力なお客様を紹介してもらう。

   9.紹介代理店の活用法

     会を組織しているような人に見込み客を紹介してもらう。

   10.お試し法

     パピードッグのクローズといわれるこの方法は、週末に申し出のあった家庭
     に子犬を貸すのです。

      さて、返す当日、親は返そうと思うが子供は嫌だと言い、結局子供に負けた
     親が買い求めるということを狙った方法です。

     試食などもこれにあたります。

     ギブ・アンド・テイクの方法を使っています。

     ギブというエネルギーを出して初めてテイクがあるのです。

     すべての人は見込み客になり得ます。

     アプローチするまでは、その人たちは単に、「人」でしかありませんが、その
     人たちを見込み客にするためには、まず、アプローチしてみること。

     そして、その人たちが商品の必要性を認め、支払い能力を持っているとき
     初めてその人たちは見込み客になるのです。
     
   □セミナーによる集客

    「いつ」、「どこで」、「誰に」、「何を」、「どのように」を明確にする。

    あなたがセミナーを開催する場合、テーマにもよりますが、参加人数に固守しない
    ことです。

    参加者は5名いれば十分ですから、まず5名を目標に参加者を募りましょう。

    「誰に」を明確にしなければなりません。

    職業(業種)、性別、年齢、役職、関心ごと(抱える問題、悩み)

    それでは、どうやって参加者を募ればいいのでしょう?

    参加者が個人対象であれば既存の顧客や名刺交換した人への案内、ミニコミ誌へ
    の案内広告、地域新聞への小広告、あなたの参加している団体など。

    参加者が事業所(経営者、部門責任者)であれば既存客、商工会議所・法人会会員
    (名簿)、組合名簿など。

    弊社の例ですと、参加者を募るには所有データからセミナーのテーマに合った業種、
    地域、従業員数で絞り込み、そこにファックスで案内を送信します。

    このように個人向け、事業所向けどちらであってもデータがいかに大切かを、分か
    っていただきたいのです。

    次に大切なのが、セミナーのタイトルと内容です。 

    案内時のタイトルはセミナーに参加したくなるようなコピーが決め手となります。

    あなたも本を購入するとき、タイトルを見て決めませんか?
   
    タイトル(コピー)は参加者が興味関心(抱える問題・悩み)を示すものにします。

    参加者意識を高めるためも参加費は無料はやめた方がいいです。

    参加費無料で集客すると、「どうせタダだから」といった意識が低い、顧客にはなり
    えない参加者が混じるようになってしまいます。

    初めは3,000 円以内の手ごろな価格で、参加費を設定しておくといいでしょう。

    ここで明確にしておかなければならないのは、セミナー開催は目的ではないという
    ことです。

    セミナーという手段を使って、集客し、新規顧客の獲得が目的です。


    セミナー開催は多くのメリットを生みます。

      ・専門家としての立場を確立できる

      ・信頼関係が築ける

      ・扱い商品が価格競争に陥らない

      ・参加者の情報を集めることが出来る

      ・商談の主導権を握りやすくなる


    「どこで」は会場です。

    セミナーは舞台であり、そのためには会場選びも慎重にすべきです。

    弊社では商工会議所を利用していました。

    そして次に、セミナー参加者をいかに個別相談に導くかです。
   
    セミナーは「集客 → セミナー → 個別相談 → 契約 → 顧客化・リピーター」といっ
    た一連のセールスプロセスの仕組みが確立されていることです。

    セミナーでは内容のすべてを明らかにしてはいけません。

    ゴールである個別相談に導きたいのですから、個別相談を受けたくなるようなオ
    ファー(リスクなしの無料特典が豊富)をセミナーの最中にも、それとなく繰り返し、
    個別相談への誘いを語りかける。

    セミナーを開催すれば、顧客が獲得できるわけではありませんし、セミナーに参加し
    ても、個別相談を希望するかどうかは別問題です。

    セミナーに参加して、いきなりあなたの顧客になる人なんてまずいません。

    顧客化する前に、必ず個別相談というステップを踏んで、あなたの顧客になって
    くれるのです。

    この「流れ」作りを無視してセミナーを開催しても、顧客獲得には繋がりません。

    集客にはさまざまな方法がありますが、セミナーに参加する人の見込み度は高く
    なります。

    そのためにも、自社(店)の商品・サービスが参加者の問題解決にどのように役
    立つかを、売り込みトークにならずに興味関心を惹きつけることがポイントになり
    ます。

   □2.切り口(ニーズ)

    これらのデータを基に事業所、組合、お店の抱えている問題は何か、タイミングを
    考えます。    

    どういう根拠で切り口を選定すれば効果・効率的な開拓が出来るか?

    関心が高いときに、関心が高いテーマを切り口(ニーズ)でアプローチすれば新規
    開拓活動の大きな障害である「初期における無関心の突破」は容易になります。

     ・ 「新商品、新サービス」ができた時

     ・ 法律・制度の制定・改定等「新状況」が発生した時 

     ・ 新学期、交通・労働安全月間

     ・ 大事故の発生時

     ・ 決算月 

     ・ 社会環境(少子・高齢化、震災、原発問題、エコ、etc)

    ニーズがあるから切り口が存在し、ニーズの数だけ切り口があるのです。

   □3.ニーズの推測とポイント

    お客様にどのようなニーズがあるか?

    そしてどのような提案をすれば、あなたの扱う商品・サービスがそれを満たすことが
    出来るか? を予測することです。

    これは、普段あまり意識せずにやっていることですが、
    これを効果 ・効率的に展開するために意識して考える
    必要があります。

    ニーズを類推することは非常に重要です。

    ○企業・個人の一般的なニーズ

     <事業所向け例>

      ・ 企業体質強化(売上げ、資金繰り、教育・訓練)

      ・ 人材確保・定着

      ・ 経費節減

      ・ 人事労務

      ・ 信用(イメージ)

     例えば、事業所で抱える問題の90%が「ヒト」に関わる問題です。

     ですから、切り口として上記のようなテーマでニーズ喚起すれば大きな効果を得る
     ことができます。

     その場合、社労士とのコラボが有効となります。

     <個人向け例>

      ・ 年金

      ・ 介護

      ・ 医療

      ・ 健康

      ・ 教育
 
  □4.ニーズを喚起させる

   よくニーズとウォンツという言葉を聞くが、優秀な営業マンにいえるのは、ニーズを
   創造することに長け
ており、顧客ニーズは聞きだすのではなく、創造することを理解
   しています。

   それは、正確には、質問によってお客様のニーズを聞き出しているのではなく、質問
   によってニーズを顕在化
させているといった方がよいでしょう。

   優秀な営業マンは頭の中でニーズを想定し、そのニーズを顕在化させていくような
   質問を巧にしているのです。

   だからといって、質問をすれば情報が入手できると、ただ闇雲に質問をすればよい
   わけではありません。 

   「自分にとって」というお客様にメリットを感じる「何か」を発信(質問)しなくては
   ならないのです。

   そして、“No needs no presentation”(必要性を感じていないお客様に、どんなに
   説明しても意味がない)です。

   ですから、お客様に必要性を明確にしてもらうまでの手順が必要となります。

   その商品に対してウォンツやニーズが無い場合にはニーズ喚起(必要性を感じさせ、
   欲しくさせること)が先行されない限り、セールスにおいての成功には結びつきません。

   次に、そのニーズが本当に合っているのかを「質問などによって検証していくこと」
   が求められるのです。

   このように「ニーズの創造と検証の繰り返し」
   
のプロセスが商談なのです。

 

   集客の手段は複数あります。

   □5.アプローチ方法の種類

     1. 直訪

     2. テレアポ

     3. ファックスDM、DM(ダイレクトメール)、
       ニュースレター

     4. 紹介、タイアップ

     5. ポスティング

    どのアプローチ方法を選定するのが効果 ・効率的か?

    アプローチ方法の特性、ターゲット、切り口、タイミングをトータルに勘案して、どの
    方法が最も合理的かを考える。  

   □6.アプローチブック(トーク、ツール)の作成・準備

    セールス場面の台本であるアプローチブックは、営業活動で使用している個別の
    資料を統一性をもたせ、ストーリーのある解説ができる営業ツールです。

    具体的なアクションを起こすには、トークの作成まで落とし込むことが不可欠です。

    パターン化できるものはパターン化しておけば、クイックアクション&レスポンスが
    可能となります。

    アプローチ方法毎に作成します。

    出来上がったものは、あくまで「たたき台」であり、最終完成品ではありません。

    営業活動の中で適時修正していきます。

     ○トーク作成の手順

      <直訪の場合>

       1.挨拶 

       2.自社(店)、自己紹介

       3.訪問目的の切り出し

       4.決定権者の把握

       5.面談のお礼

       6.アプローチトーク

       7.メイントーク

       8.次訪課題の獲得

       9.次訪アポの獲得

      10.復唱・辞去

            * 3.6.7.以外は基本的に同じ。従ってこれを作成すれば
          トーク全体が完成します。

      <テレアポの場合>        

       1.導入部の挨拶(自社・自己紹介)

       2.相手の確認

       3.趣旨の説明(アプローチトーク)

       4.相手の了解

       5.メイントーク

       6.状況の把握

       7.約束の取り付け

       8.クロージングor クリンチトーク

   □7.セールストーク作成のポイント

    (1)直訪の場合

     ①商品内容のよさ(特徴)とお客様にとってのメリット(利益)
       提案する商品・サービスが、お客様にどのように役立つか(利益)、
       そして自社の商品・サービスがその手段として効果があるかを
       具体的に考えて、それをトークに落とし込みます。

       ここで注意することは商品のよさを、とうとうと述べないことです。

       「売り込みをしない」こと。

       あなたの扱う商品・サービスはお客様の抱える問題解決のための『手段』と
       位置づけます。

     ②質問

       「方向付け」→「分析」 or 「現状の問題」→「啓発」 or 「解決の方向性」流
       れに沿って質問を作成します。

     ③否定的態度に対する態度(応酬話法

       予想される否定的態度に対するトークを準備します。

       もしくは面談の中で構築していき、可能なものはパターン化して
       いきましょう。

    (2)テレアポの場合

      ①トークスクリプトは事前に十分頭に入れておく

      ②TELアポの目的は面談の取り付けをすること 

      ③詳しい内容は面談時に話すこととし、電話では求められても
        絶対に話さない

   □8.アクション

    (1)アクションプラン(行動計画)の作成

      ①実際のアクションにあたっては『「誰が」「何を」「いつまでに」やるか?』を
       決めておく

      ②行動の役割分担を明確にしておく。

    (2)目標設定(シート) 

      ①「目標なくして計画なし、計画なくして、実行なし、実行なくして成果なし」

      ②何を基準に目標の設定を行うか?

       ・基本は「訪問件数」

       ・過大な目標設定をせず、全ターゲット数の3〜5%を最低目標とする。

      ③達成期間も考える。短期的な取り組みの場合、「3ヶ月」が相当です。

       ※ 必ずしも切り口の成約にこだわらない。どのような形であれ、
       取引が始まることを最優先する。

    (3)スケジューリング

      ①動く日を決めたら、その日はそれに集中することで、他のアポを入れない。

      ②時間が空いた時にやろうという気持ちでいてはアクションは進まない。

    (4)決定権者に会うための努力・工夫

      決定権者に会わなければ、情報収集もでき
      ず、商談も進みません。

      従って決定権者に会うために、最大限努力・
      工夫をする。

       ①訪問先のニーズ(3.ニーズの推測
         とポイント)

       ②訪問時期・時間を考える。
        (経営者→10:00〜12:00、17:00
               〜etc)

       ③雨天(天気の悪い日)に訪問する。

   □9.クロージング 

    見込み客を見つけ、アプローチをし、面会の
    約束を取り付け、プレゼンテーションを行い、
    反論の処理をしても、お客様が最終的に
     『ノー』と言ってしまったら、あなたの苦労は
    水の泡です。

    クロージング段階でお客様に『イエス』と言ってもらえるために、優秀な営業マン
    はあるポイントをおさえたトークをします。

    (1)最終的なクロージングに入る前に、確認しておくこと

      ①顧客との信頼関係が、出来上がっているか?

      ②自社(店)、あなたの信用は得られているか?

      ③顧客は十分な必要性を感じているか?

    これらの項目で十分な相互理解が得られていない場合、あなたのプレゼンテーション
    が、どれほど立派だったとしても、お客様は「ノー」という答えを出すでしょう。

    営業の最終目的は、顧客に商品を買っていただくことにあります。

    従って営業のあらゆる行動はこの最後の目的に集中しなければなりません。

    顧客が買う決意を促すことがクロージングのポイントとなります。

     (1)クロージング話法のパターン化手順

      ○クロージングに入る段階のタイミングを明示する。

       例

       <セールス側>

        ①お客のニーズにぴったり合うセールスポイントを提供したとき。

        ②他社にはない最も強力なセールスポイントを説明したとき。

        ③反論をうまく克服できたとき。

        ④プレゼンをしたとき

       <顧客側>

        ①価格、納期、支払条件などについて質問があったとき。

        ②「もっと詳しく知りたい」と申し出があったとき。

        ③前に置いてある製品やサンプルを取り上げて見入ったとき。

        ④確認質問にお客がよくうなずき出したとき。

        ⑤お客がセールスマンの言葉を繰り返したとき。

        ⑥周囲の人に声をかけたとき。

        ⑦両者のフィーリングがピッタリと合ったと思えたとき。

      以上はクロージングチャンス例ですが、これらは、販売形態を問わず共通した
      ものです。 
      
     (2)クロージング話法の型決めを行う

      アプローチやプレゼンがうまくいっていない場合、クロージングの段階で挽回し
      ようとしてもなかなか成功しません。

      お客さまが提案を採用されるかどうかは、アプローチからプレゼンの段階でおお
      よそ決定されていまうことも考慮してください。

   □10.改善策        

    (1)情報分析・修正

      ・当方の提案に、顧客はどのような反応をしたか?肯定or否定。
       それは何故か?

      ・どういうトークがヒットしたかor ヒットしなかったか?それは何故か?

      ・顧客にはどのようなニーズがあると思われるか?その背景は何か?

      ・何故うまくいったか?いかなかったか?その背景・根拠は?

      ・聞く人(面談相手)には、自分が同じ事をやろうとする場合、どういう
       ことを聞きたいか?

      ・修正内容の背景・理由を「何故そうなのか?」をヒアリング(=掘り下げ
       て聞いていく)し、明確にする。

      ・否定的態度に対する対処法は?   

     (2)商談成立のための5つの条件

       ① 商品を気に入らせる。

       ② 価格を納得させる。

       ③ 何時契約するのかはっきりさせる。

       ④ 競合に打ち勝つ。

       ⑤ 最終決定権者に了解させる。

     (3)見込み度把握のポイント

      ○商品

       ① 商品の説明が的確にできたか?

       ② 商品を気に入ってもらえたか?

       ③ 商品を選ぶ要素は何か?

      ○価格

       ① 価格を納得させたか?

       ② 予算の確認は取れたか?

       ③ 見積もりの提出はしたか?

      ○購入時期  

       ① 契約の時期を確認したか?

       ② 顧客の購入計画は信頼性があると思うか?

       ③ 購入計画が2ヶ月以上の場合、契約を早める対策を講じたか?

       ④ 当月内に契約をして欲しい旨の意思表示はしたか?

      ○競合対処

       ① 当社の商品・サービスと比較検討している競合会社はあるか?

       ② 比較検討の内容は?

       ③ 競合との優位点を把握し説明できたか?

       ④ 他社営業マンと義理関係はあるか?

      ○決定権者の了解

       ① 最終的に誰が決定を下すかの確認は取れているか?

       ② 商品の決定に、他に誰かの意見が必要であるか、確認は取れて
         いるか?

       ③ 他の人の意見が必要な場合は、その人に対する対策を講じたか?

       ④ 反対者がいる場合、反対者への対策は講じたか? 決定権者に、
         競合との優位点を理解させたか? 契約日の合意の確認は取れたか?
       ⑤ 決定権者に、競合との優位点を理解させたか?

       ⑥ 契約日の合意の確認は取れたか?
  
   □11.顧客の維持・管理

    さて、新規のお客様になってもらった後の営業も重要です。 

    一度でもあなたから商品・サービスを購買してくださったお客様を、いかにして顧客
    を維持していくのか、についてお話をしていきます。

    「顧客維持」ということは、要するに、あなたの商品・サービスをいったん利用した
    ら、二回目以降は、必ず他社(店)ではなく、あなたから購入してもらえるようにな
    る、ということです。

    また、高い顧客満足度を得ているために、お客様の友人・知人へのご紹介も頂ける
    ようになる、ということです。

    多くの営業会社にありがちなパターンが、新規顧客になってもらうことに成功して
    いながら、その後の接点が少ないために、再購入してもらえないケースです。

    そして、そのような場合は、顧客と継続的な関係性が保てないわけですから、紹介
    につながることも、ほとんどありません。

    結果的に、「売り切り型」「刈り取り型」と言われる、「一回売ってしまったらそれで
    終わり」、といった売り方になってしまっているということです。

    顧客としても、せっかく「お金を支払う」といった、
    最も高い心理的ハードルを乗り越えたのに、
    その後に何のケアもしてくれなければ、継続し
    てあなたから商品やサービスを買おうという
    気持ちにはなりません。 

    これは、非常にもったいない話です。

    見込み客1件あたりの獲得単価が高騰して
    いる中で、せっかく新規顧客になってくれた
    お客様を大切に扱わなければなりません。

    その結果、さらなる売上向上につなげていく
    ことができるのです。

    あなたとしては、お客様に再購入していただき、
    さらに新規顧客から紹介・推薦してもらえれば、
    これほどありがたい販促手法はないわけです。

    それでは、どのようにすれば、リピートや紹介を得ることができるのでしょうか。

    結論から先に述べると、以下の3点が、リピートと紹介を得るための基本となります。

     1.価格と比較して、商品・サービスの質が高い

     2.仕組み(顧客接点を拡大させる)を持つこと

     3.期待を超える満足度を提供すること

    まず1番目について、これはリピートや紹介を期待する際には大前提となる条件
    です。

    価格と比して、「その価格の割には」非常に質が高い商品やサービスである必要が
    あります。

    これは、顧客満足度という言葉で言い表すことができるでしょう。

    満足度が無ければ、リピートや紹介をしようという気にはならないものです。

    そのため、あなたが取り扱う商品・サービスを単なる「もの」ではなく、周辺知識も
    含めた内容となります。

    小手先のテクニックだけでリピート・紹介を広げることは極めて困難です。

    次に2点目については、自動的に接触頻度を増やす仕組みを持つことで、リピート
    ・紹介の依頼の機会を生み出す、ということです。

    そのためには、まず、実際に購入してくれたお客様に、購買から一定のタイミングで
    自動的に配信されるメール(ステップメール)で、フォローを行なう。

    あるいは、購入から一定のタイミングがきたら、必ず電話・ハガキでのフォローを
    入れたり、定期の有益情報の提供を行う。

    新規顧客になって頂いたら、次はリピートや紹介をしてくれる固定顧客にまでつな
    げていきます。

    新規顧客になっていただいた時点のアクションこそが顧客の固定化のためのター
    ニングポイントといって良いでしょう。

    なぜなら、新規のお客様は自分の買い物が適切だったかどうかの迷いを起こす
    時点だからです。

    あなたも大きな買い物をしたときに、そんな気持ちになったことはありませんか?

    この時点で、お客様の購入の迷いを取り除き、購入したことが正しい選択であった
    と判断させることです。

    そのためには、適切なタイミングでフォローをおこない、良好な関係性を保ちつつ、
    積極的にリピートと紹介を依頼する、という考え方が大切です。

    そして、リピートや紹介を促すには、営業マン個人の能力に依存するのではなく、
    能動的なコンタクトを取れるように、「営業の仕組み」をつくる必要があります。

     「名医の条件」(米国での事例)

      ある歯科医は治療に来た患者に必ず日曜日に電話をするそうです。

      「その後、歯の具合はいかがですか?」

      たったこれだけのことで、この歯科医院は予約で満杯です。

      技術や設備において、どの歯科医院も大差はありません。

    来院者を「患者」として捉えるのではなく、「お客様」として接することが差別化に繋
    がる事例です。

    残念ながら、私自身はそのような歯科医院に出会ったことはありませんが、もしも
    そのような対応をされたなら、私は一発でファンになります。

    更に、そこで良好な人間関係・信頼性が生まれれば、虫歯が完治していたとしても、
    たとえば歯のクリーニング、あるいはホワイトニングといった、スポットのニーズを
    顕在化できるかもしれません。

    当然、リピートするでしょうし、友人にも紹介しますよね。

    ぜひ、あなたも、組織として、このような「仕組み」づくりをしてみてください。

    あなたの商品・サービスをいったん利用したら、二回目以降は、必ず他社(店)では
    なく、あなたから購入していただけるようになるはずです。

    次に、3点目の「期待を超える満足度を提供すること」

    リッツ・カールトンやディズニーランドがお手本です。

    また、これらに共通するのが圧倒的なリピート率と紹介の多さでも有名です。

    この結果には、もちろん様々な努力が積み重なった結果ということが言えますが、
    一言で言い表すと、

         お客様の期待度 < 実際のサービス 

    といった「期待度を超えるサービス」を提供する努力を、「仕組みとして」継続した
    結果だと言えます。

    実際にあなたも、振り返って考えてみたらお分かりになるかと思います。

    私たちが、期待していたレベルよりもはるかに満足度が高かった感動を一度でも
    味わうと、それはリピートと紹介の大きな要因となります。

    そうすれば、「もう一度体験したい!」「ぜひ知人に紹介したい!」という気持ちを
    喚起させることができるのです。

    あとは、紹介を生み出す仕組みとしては、「紹介を依頼する」ルーティーン(決
    まった手順)を顧客とのコンタクトの中に必ず入れておくと良いでしょう。

    実際に、お願いをするのです。

    「ご紹介してください」と。

    ただし、この場合、紹介者と被紹介者の両方にとって、メリットが感じられるオ
    ファーが必要であることは言うまでもありません。

    リピート・紹介を得るためには商品・サービスが「本物」であることは当然なのです
    が、顧客との接点を持つ、半自動的な「仕組み」
    を設けておくことが大切だ、という考え方です。

    「特定の個人」の能力に依存するのではなく、
    会社の仕組み・制度として自動的にリピート・
    紹介が得られる「仕組み」です。

    その点をクリアできれば、あなたの売上は安 
    定して向上すると言えるでしょう。

    「狩猟型の刈り取り」ビジネスではなく、「農耕
    型」ビジネスでお客様と長期間にわたって好な
    人間関係を前提とした
    お付き合いをさせていただく。

    そのようなビジネスを目指していくことを、お勧
    めします。

   以上の話をまとめると、

    1.安定的な売上を求めるなら、リピートと紹介を得る「仕組み」を持つ。

    2.リピートと紹介を求めるには、価格と比較して、商品・サービスの質が高いことが
    前提。

    3.リピートと紹介を求めるには、顧客接点が発生する仕組みを持つ。

    4.リピートと紹介を求めるには、期待を超える満足度を提供する。

    5.購入顧客とは、長期的な人間関係を築くことを前提としたコミュニケーション
      をとる。 

   あなたは顧客になっていただいた方に1年間でどれだけの接点を持っていますか?

   あなたも商品やサービスを購入した後、お礼状やその後の使い勝手について電話が
   あったらうれしく思いませんか。

   私の場合、今まで購入後に心温まる感謝の気持ちを伝えるメッセージをもらった記憶
   はありません。

   このことを見てもほとんどの会社(店)が実行していないことが理解できます。

   言い換えると、だからチャンス(競争相手がいない)なのです。

   50円のハガキを出すだけでいいのです。

   くどいようですが、競合他社(店)との差別化は決してたいそうなことをやることではあ
   りません。

   コストを掛けずに、他がやっていないことをやるだけです。

   新規で顧客を獲得するより、まず既存顧客を維持(深堀)していくことが重要です。

   新規開拓は既存客開拓の5倍かかるといわれています。

   それと比較して、既存顧客開拓は新規開拓にかかるコストの4分の1ですみます。

   一人の営業マンの活動コスト

    ・新規開拓のための1日の訪問コスト・・・

    ・既存客への訪問コスト・・・

   1人の営業マンが新規開拓で1日動けば、人件費と交通費その他を加えると、2万円
   程の費用がかかります。

   それと比較し、既存客開拓(訪問) は4千円。

   新規開拓は重要ですが、優先順位は既存客対策です。
      
   単価アップ、多種目販売こそ増収に欠かせません。

   あなたも自社の(店)の多種目化率を調べてみてください。

   10年ほど前のデータになりますが、代理店の平均多種目販売率は10〜15%でした。

   要は大多数の代理店が単品種目販売に甘んじており、それは今も変わらないのでは
   ないでしょうか。

   顧客との接点が1年に1回では多種目販売化を図る以前の問題だと思うのですが?

   このことを解決すれば増収は確実に達成できます。

                   
組織力強化マニュアルについてはこちら

                   メルマガ登録(無料)はこちら

                   お問合せ・ご質問はこちら

営業の仕組み.gif
営業.gif
アプローチ.gif
商談2.jpg
顧客維持1.jpg
営業マン.jpg

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

商談シナリオ(ストーリー)の構築

商談シナリオ(ストーリー)の構築
 

  ■心の琴線に触れる商談シナリオ

   よくニーズとウォンツという言葉を聞くが、トップセールスマンにいえるのは、
   ニーズを創造することに長けています。

   顧客ニーズは聞きだすのではなく、創造する。

   質問をすれば情報が入手できるからといって、ただ闇雲に質問をすればよいわけでは
   ありません。


   優秀な営業マンは質問がうまく、ニーズを引き出すことに長けている。

   それは、正確には、質問によってお客様のニーズを聞き出しているのではないのです。

   質問によって、ニーズを顕在化させているといった方がよいでしょう。

   優秀な営業マンは頭の中でニーズを想定し、そのニーズを顕在化させていくような

   質問を巧にしている。

   ですから、あなたは、多面的な情報から「お客様のニーズを創造すること」がまず
   必要となるのです。


   次に、そのニーズが本当に合っているのかを「質問などによって検証していくこと」が

   求められます。

   このように商談とは、「ニーズの創造と検証の繰り返し」のプロセスなのです。

   このことを念頭に「商談シナリオ=ストーリー」を作成してみるのです。

  □商談のストーリー

   1.ニーズとウォンツの組み合わせが商談を変える
     当然のことながら、営業は「お客さま」が存在して初めて成り立つものである。

     そして、「相手」がいる営業がマニュアル通りに進むことはない。

     しかし、より適切な営業手法を型決めしておくことはできる。

     つまり、1回の商談における事前準備からアフターフォローまでのストーリーを
     構築しておくのです。

     チャートを有効に活用するポイントは、大きく二つあります。

      (1)その時々の商談の着地を明確にすること。
        最終目的が契約だとしても、今回の商談におけるゴールが契約だとは限
        らない。
        次のステップが、「上司との同行訪問」であれば、上司と会ってもらうメリッ
        トを相手にプレゼンし、クロージングするのである。

      (2)「アプローチ」「プレゼンテーション」「クロージング」の三つのステップから
        成る魅力的なストーリーを構築できるかです。

        ニーズとウォンツの定義はさまざまあるが、ここでは文字通りの意味で
        ニーズを必要性、ウォンツを欲求と定義する。

        「のどの渇き」をニーズとするなら、「水が飲みたい」と思うことがウォンツ
        である。

        消費者が何かを購入する際には、通常、どちらも強く認識している状態で

        あることから、右上を「購買ゾーン」とする。

        ここで大切なのは、お客さまをどの位置から購買ゾーンに誘導するかで
        す。

        「必需品」と呼ばれる商品は、消費者がすでに必要性を認識しているた
        め、売り手が行うべき行動は他社との差別化であり、自社のほうがいか
        に他社より優れているかをアピールして評価を上げること。

        例えば、洗濯洗剤であれば、他社商品よりも洗浄効果や香りの持続効果
        が高いことをアピールする。

        逆に「必欲品」と言われる商品は、なぜこの商品が必要なのかに気付い
        てもらうことが必要です。

        高額な欧州車やスイスの高級腕時計を「欲しいか?」と問われれば「欲し
        い」と答える人は多いだろう。

        ただ、本気で購入を検討する人は限られている。

        これは、単に「値段が高いから」ではなく、「必要性を感じていないから」購
        入するか、購入しないか自体を本気で検討しないのです。

        ベンツのディーラーを訪れたお客さまに、ベンツのよさをアピールする必
        要はない。

        営業担当者の仕事は、お客さまに「なぜ高級車に乗る必要があるか」を
        納得してもらうことです。

        ニーズの訴求とウォンツの喚起は、全く異なるアプローチなのだ。

        さて、問題はニーズもウォンツも感じていないケースでは、どのようにアプ
        ローチすべきかです。

        新規訪問先が既存取引先に特に不満を感じていない場合、この顧客は
        自社商品やサービスに対してニーズもウォンツも感じておらず、左下に位 
        置
している。

        想定されるルートは2通りあります。

        ニーズを確認してからウォンツを喚起するか、ウォンツを喚起してから
        ニーズを訴求するかである。

        実は、すでに答えは決まっているのです。

        先に顧客のニーズを確認してからウォンツを喚起する。

   2.テレビショッピングに見るストーリー構築の原則
     見事な商談ストーリーの宝庫は、テレビショッピングにある。

     次に典型的な例を紹介しよう。

     商品はコードレスの小型掃除機。

     テレビに映し出されるシーンは、米国の一般的な住宅。

     男性がコインや小さなネジ、ワッシャーなどが入った容器をガレージに運ぼうと
     していると、家具に足をぶつけて容器をひっくり返してしまう。

     そこで「おっと、こんな時困るんですよね」とタイミングよくナレーションが入る。

     よくよく考えれば、こんな状況に陥ることはまずないのに、思わず「そうそう」と
     同意してしまう。

     そこへ男性の妻らしきブロンド美女がやってきて、男性に声をかける。

     「どうしたのジェフ?」「やあ、ルーシー。家具に足をとられてこのありさまだよ」
     「それならコレよ」。

     ルーシーの手には見慣れない小型の掃除機が握られており、立ち尽くすジェ
     フを尻目にあっと言う間にコインもネジも吸い上げてしまう。

     得意げなルーシーと、驚いた顔のジェフをバックにナレーションが入る。

     「ルーシーが手にしているのはコードレス小型掃除機の『○○(商品名)』! 強力
     な吸引力でコインもネジもグングン吸い上げます」

     ニーズを共有させ、紹介する商品が問題を解決するのを効果的に演出してい
     る。

     同様のストーリーは、爆発的なヒット商品になった『高枝切りばさみ』でも用いら
     れていた。

     購入者の中には、庭を持たないマンション居住者も相当数いたというから、こ
     の原則に従ったストーリーの説得力の強さがうかがえる。

   3.顧客のニーズを確認してからウォンツを喚起する商談ストーリーの構築
     これまで述べたように、ニーズの訴求とウォンツの喚起は全く異なるアプロー
     チである。

     この違いを理解しない営業担当者はムダが多い。

     商品の説明をどれほど磨いても、必要性を感じていない顧客には無意味。

     「提案ストーリー構築フォーマット」が、営業担当者の“地図”となる。

     「アプローチ」では、仮説をもとに顧客のニーズがどこにあるのかを探り、「プレ
     ゼンテーション」ではニーズを顧客と共有し、自社商品がなぜその課題を解決
     できるかを説明する。

     「クロージング」では自社商品を使用した際のメリットをイメージしてもらい、そ
     のメリットを享受するのに必要なコストなどの条件を提示する。

     商談で求める成果が「展示会参加の合意を得る」ことであれば、アプローチで
     顧客の興味がどこにあるのかを探り、プレゼンテーションでは複数の商品を実
     際に手に取ってみることの必要性を共有し、展示会ならそれが容易であること
     を伝える。

     クロージングでは、スケジュールを調整して来場日時を決定する。

     “地図”を持った営業担当者は、顧客が現在、どの位置かを把握しながら商談
     を進めるので、会話がかみ合うようになり、提案力が飛躍的に向上する。

     これより、顧客のニーズを確認してからウォンツを喚起する原則の応用例につ
     いて考えてみましょう。

  □顧客のニーズを確認してからウォンツを喚起する原則

   1.顧客は必要性を感じない話を聞いていない
     ニーズとウォンツについて、図のAの位置にある顧客には「欲求を刺激するヨ
     コの動き」、Bの位置にある顧客には「必要性を認識してもらうタテの動き」が
     有効であることを述べた。

     さらに、必要性も欲求も感じていないCの位置にある顧客にはニーズを共有し  
     た後(図中の①)に、ウォンツを喚起(図中の②)するストーリーが必要であるこ
     とを述べた。

     どんなに流暢なセールストークを駆使しても、お客さまがニーズを感じていな
     ければ、無意味になってしまう。

     これは、製品・サービスのよさが伝わっていないからではなく、その必要性を感
     じていないから、耳に入ってこないからです。

   2.お客さまは神様ではない
     顧客が口にしていることが、必ずしも“顧客のニーズ”とは限らない。

     ある印刷会社の営業担当者が既存客先へ訪問したところ、B3判のカラーチラ
     シを刷りたいと相談された。

     その時点での顧客のニーズは「とにかく安く」であり、品質や納期に関しては全
     く興味を示してもらえなかった。

     参考までに既存客先の価格を聞くと、相場と比べて決して高くはない。

     そこで、なぜそこまで価格にこだわるのかを確認していくと、

      (1)以前ほどチラシの効果が認められなくなっていること
      (2)成果を出すために以前よりも多く折り込み、チラシをまく必要があると考
        えていること

     などが分かった。

     真のニーズは費用対効果であり、「安くしたい」はチラシの効果が低いことを前
     提にした条件だったのです。

     そこで、この営業担当者は、チラシを特殊なノリで圧着し、興味のある人が自
     分でページをめくる特殊なチラシを提案することで、割高ながらも高い費用対
     効果を上げることに成功し、顧客から信頼を得た。

     最初のニーズに応えるだけでは、こうはならなかった。

   3.タテヨコの動きで価格競争を抜け出す
     価格は決断の重要な要素ではあっても、それ自体がニーズではない。

     顧客はニーズを満たすのに、それに見合った金額かどうかを判断しているだ
     けである。

     競合他社と同じニーズを解決するだけであれば、価格競争に巻き込まれてし
     まうのは自明の理だ。

     価格競争を避けるためには、商談の中で顧客自身が認識していない潜在ニー
     ズを引き出し、他社とは違うニーズを満たす提案を行うことが求められる。

     すでに確認した通り、スタートは常にタテの動きであり、顧客のニーズを探り、
     共有してから提案する。

     提案する商品に素晴らしいオプションや、ライバルが持っていないすごい機能
     が付いていても、顧客の本当のニーズにそぐわなければ、その商談では提案
     しない。

     短い商談時間で顧客のニーズを引き出すには、仮説をぶつけてみるのが効果
     的である。

     訪問する顧客が分かっていれば、事前に仮説をいくつか用意するのは、それ
     ほど難しいことではないはず。

     しかし、的を射た仮説の立案能力は、担当者によって大きなレベル差がある
     のが実情ではないだろうか?

     そこで、担当者間のレベル差を是正し、ニーズを引き出すための仮説をぶつ
     ける手段として、営業ツールの整備・活用をお勧めする。

     営業ツールと言うと、会社案内や実績一覧、サンプル、スペック表などをイメー
     ジする人が多いが、これらはすべて欲求を喚起するためのヨコ(図中の②)の
     ツールであり、多くの企業で顧客のニーズを探るためのタテ(図中の①)の
     ツールは不足している。

     顧客のニーズを引き出すタテのツールとは、顧客の課題解決事例や過去の顧
     客から得たアンケートの集計結果、今後の市場予測データなどである。

     テレビショッピングで思わず「そうそう」と共感してしまうシーンが映し出されるよ
     うに、顧客が「ウチもそれで困っているんだよ」とうなずいてしまうツールを用意
     しておきます。

     用意したツールに顧客が反応しなかったらどうなるのか?

     単にツールを使わない商談を続けるだけであり、持参することで営業に悪影響
     が出ることはない。

     タテヨコの動きを自在に操れる営業ツールを整備・活用し、営業担当者が魅力
     的な商談ストーリーを構築できる環境を、ぜひ整えてください。

                        メルマガ登録(無料)はこちら


                        お問合せ・ご質問はこちら

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

販路開拓の考え方


  ■新規販路開拓の重要性

   1.既存顧客頼みでは受注は「先細り」

     中小企業の取引構造の特徴として、取引先が元請け企業のみであったり、ま
     た、古くから付き合いがある企業だけであるなど長期間「固定化」していること
     があげられます。

     もちろん昔からの取引先を大切にすることは重要ですが、時間とともに先方企
     業や自社の競合企業の状況も変化していきます。

     従来と変わらない受注額を今後も維持していけるかどうかはわかりません。

     特に景気低迷が長く続く昨今の状況においては、固定化した取引構造だけで
     は受注額は「先細り」していくと考える必要があります。

     自社に問題があるわけではないのに、先方企業の都合で受注額が減らされる
     のは決して珍しいことではありません。

     また、取引先の予期せぬ倒産によって、自社の経営が大きな打撃を受けるこ
     とも考えられます。

     自社の取引構造を盤石なものにしていくためには、
     既存顧客の十分なフォローとともに新規顧客獲得に向けた計画的かつ継続的な
     取り組みが不可欠です。

   2.新規顧客獲得のパターン

     (1)紹介による販路開拓

       新規顧客を獲得する方法としてもっとも一般的なのは、「既存取引先」から
       の紹介でしょう。

       おそらくほとんどの社長は取引先に紹介を依頼したことがあると思います。

       自社のことを十分に理解してくれている先からの紹介ですので、紹介さえし
       てくれれば、実際の受注に結びつく確率も高いものです。

       また、紹介先からのさらなる紹介も期待できます。

       紹介はあくまでも取引先の「好意」によるものですから、自社の思惑通りに
       紹介が進むとは限りません。

       しかし、後述のような工夫をすることによってスムーズな紹介を促すことは
       できます。

       既存取引先からの販路開拓は範囲こそ限定されているものの、即効性が
       期待できる方法です。

       紹介に向けて最善の手は打っておくべきでしょう。

     (2)自社独自での販路開拓

       次に考えられるのは、自らが主体となって新規顧客を開拓する方法です。

       取引先からの紹介頼みではなく、独自のアプローチで販売見込み先を発掘
       するところから始める必要があります。

       大企業であれば、これらの活動は営業のための専任部署で恒常的に行わ
       れています。

       しかし、中小企業においては、この部分が仕組みとして確立しているケース
       は意外と少ないようです。

       何かの縁でたまたま知り合いになった販売見込み先について、だんだんと
       親しくなって新規受注につながることはあっても、「いつまでに何社の販売
       見込み先を獲得する」、「そのなかで何社と実際の受注につなげる」といっ
       た明確な方針は立てられていないことが多いのです。

       そのおもな理由は、自社独自の新規顧客獲得の重要性は認識していなが
       らも、「何から始めたらいいかわからない」、「新規営業に割ける人員がいな
       い」などの理由で十分な取り組みがなされていないことです。

       つまり「やりたいけどできない」として最初から諦めてしまっていることが多
       いのです。

       特に数ある未開拓先(販売見込み先になるかどうか不明)のなかから、「ま
       ずは販売見込み先を見つける」という最初の一歩が大きなネックになって
       いるようです。

       大企業は豊富な資金力による大規模な広告宣伝など、「物量作戦」でこの
       最初の一歩を突破していますが、中小企業にも対応可能な施策はたくさん
       あります。

       次項以降では、「紹介による販路開拓」、「自社独自での販路開拓」の2つ
       に分けて、それぞれのポイントについて説.明していきます。

  □紹介による販路開拓

   既存取引先からの紹介はあくまで「相手頼み」であることは間違いありません。

   しかし、うまくいけば、短期間で新規受注に結びつく効果的な方法であることも事
   実です。

   ここでは効果的に紹介を受けるためのポイントについて紹介します。

   1.三者三様の目的がある

     取引先から紹介を受ける際の自社の目的は、「新規顧客を獲得したい」の一
     点です。

     では、この紹介依頼に応じようとする取引先、さらには紹介先の目的はどのよ
     うなものでしょうか。

     以下に自社A社、取引先B社、紹介先C社として整理してみます。

     A社(自社)としては、この3社の目的が実現するように上手にコントロールする
     ことが望まれます。

     ここでB社の立場で考えてみると、べースとなっているのは「A社の役に立ちた
     い」という好意でしょう。

     これは日頃からA社に世話になっているから役に立ちたいという感情と、紹介
     することでA社とさらに関係を強化しておきたいという冷静な判断の両面があ
     るでしょう。

     また、B杜にとってC社はすでに取引先である、あるいは社長同士が友人など
     大切な関係にあります。

     したがって、十分に信頼できない企業をC社に薦めることはできません。

     B社はA社を紹介することで、B社とC社の関係が深まることも期待している。

     当然ながらA社のことをよくわからないのにC社に薦めることなどありません。

     さらにC社の立場で考えてみると、信頼できる新規発注先を探したいというの
     が基本的な目的です。

     C社は信頼できるB社から紹介を受けることで、自力でゼロから発注先を探
     す、あるいはまったく事情のわからない新規売り込み先からの営業攻勢に煩
     わされるという手間とリスクを省くことができるわけです。

     また、B社からの紹介を受けた企業に発注することでB社との関係を強化した
     いという狙いもあるでしょう。

   2.自社および自分(社長)自身をB社に十分理解してもらう

     紹介がスムーズに進むためには、まずはA社のことをB社によく知ってもらう必
     要があります。

     B杜に卸してA社の特徴や強みがきちんと伝わっていないと、B社はC杜に紹
     介してあげようとは思いません。

     A社としてはB社と長い付き合いであり、A社のことは十分にわかってくれてい
     るだろうと考えたとしても、必ずしもそうとは限りません。

     B社はたんに「これまで付き合ってきたから」という理由だけでA社と取引を続
     けている可能性もあります。

     またA社が①②③…という複数の商品を扱っている場合に、B社が購入してい
     るのが①だけであれば、B社はその商品のことしかわかりません。

     仮にA社にとっての強みがもっとも発揮されている商品は②③であったとして
     も、そのことはB社にはまず伝わっていません。

     このままでは紹介してくれる先の幅は限定されたままです。

     したがって、特定の商品だけではなくA社の商品全般やA社の強みとしている
     技術などについてもB社に確実に理解してもらっておく必要があります。

     さらに紹介を行う場合はA社が「会社として信頼できるかどうか」というだけで
     はなく、A社社長が「人間として信頼できるか」ということも大きな判断材料にな
     ります。

     中小企業間の紹介においては、むしろこちらのほうが重要な要素になるかもし
     れません。

     そのためB社のような重要な取引先については、A社社長自らがB社社長と常
     日頃から親交を深めておくべきでしょう。
 
   3.紹介しやすい環境を整える

     B社が誰かにA社を紹介してあげようと考えた際に、実際の行動に移しやすい
     環境を整えておくことも大切です。

     たとえば、自社の会社案内や商品案内などについても、あらかじめB社に何部
     か預けておき、C社など紹介先に対して気軽に渡してもらえるようにしておくこ
     となどは有効です。

     また、B社はC社に対してB社というフィルターを通した紹介をすることになりま
     す。

     たとえば「自分の取引先でA社という会社がある、この会社について自分は『こ
     う思う』、だからあなたにぜひ紹介したい」と紹介します。

     このなかの『こう思う』の部分がB社のフィルターです。

     C社からみると、もっとも重要な情報はまさにこの部分です。

     ここで「お薦めだよ」といってもらえるか「特に問題はないよ」で終わるかどうか
     では天と地ほどの差があります。

     もちろん、このフィルターはあくまでB社の評価次第ですから、A社が直接コント
     ロールすることはできません。

     しかし、それをできるだけ魅力的に伝えてもらうための工夫はできます。

     そのひとつは、A社がもっともアピールしたいことを短いキャッチコピーにして日
     頃の付き合いのなかで繰り返し伝え、相手の頭にその情報をインプットしてお
     くことです。

     そうすることで『こう思う』の部分にその言葉を組み入れてもらいやすくなる。

     たとえば「短納期で高品質」というキャッチコピーを作っておき、B社がそれに
     納得してくれれば、その言葉通りに紹介してくれる可能性は高くなります。

     さらにA社に対するアンケートを定期的にB社に応えてもらっておくことも有効
     です。

     本来アンケートはA杜の商品やサービス改善などのために行うものですが、こ
     のアンケートの目的はむしろその逆、つまり「A社のよい部分を再認識してもら
     うため」に行うものです。

     アンケートに記入することでB社に「A社にはこんな優れた点があるから長く付
     き合っているんだなあ」というA社の強みを改めて確認してもらい、それを紹介
     の際の評価として使ってもらいやすくするのです。

     もちろんアンケートでA社に対する改善要望が出た場合には真摯に対応する
     必要があることはいうまでもありません。

   4.B社に感謝の意を伝え、状況を報告する

     新規の販売見込み先としてC社の紹介を受けた以上、自社とC社がその後ど
     のような関係になったかをB社に報告するのは当然です。

     また、B社にとってA社を紹介したのは、「A社という信頼できる会社を紹介する
     ことでC社の役に立ちたい」という目的もあります。

     紹介したことによって本当にC社のメリットにつながったのかどうか、逆にA社
     が無茶な営業をしてC杜に迷惑がかかったのではないか、という点をB社は大
     変気にかけます。

     したがってB社に対してはC杜に初訪した際の様子や、その後の営業活動、さ
     らには成約後の取引状況などについてもタイムリーに報告する必要がある。

     なお、せっかく紹介してもらいながら取引条件が合わずにA社からお断りせざ
     るを得ないこともあります。

     この場合にはその旨をきちんとB社に伝え、十分に納得してもらうような配慮
     が求められるでしょう。

  □自社独自での販路開拓

   自社独自で販路を開拓していくにあたって、中小企業が特に苦手としているの
   は、最初の一歩、つまり販売見込み先の発掘です。

   ここでは、それを突破するための具体的手法についていくつか紹介します。

   1.交流会などへの参加

     各地の商工会や金融機関、同業者組合など、参加企業同士の交流促進を日
     的とした団体は数多くあります。

     これらの団体に参加することで、さまざまな企業と接点をもつことができます。

     直接に販売見込み先となる相手が見つかる場合もありますし、顧客を紹介し
     合える同業者仲間とつながりをもつことも期待できます。

     まずは自社の存在や特徴を広く知ってもらうためにも、これらの交流会に積極
     的に参加してみましょう。

   2.異業種企業とタイアップ

     自社と直接競合しないような相手とタイアップして互いに客を紹介し合う、ある
     いは競合でセット商品を提供するという方法もあります。

     たとえば、一般消費者向けビジネスでは結婚式場と花屋、法人向けビジネス
     では工事会社とリース会社のようなタイアップが行われています。

     自社の販売見込み先になりそうな顧客と、すでに商売をしているような企業に
     アプローチして、双方に有益な提案をすることができれば、有力なビジネス 
     パートナーになることが可能です。

   3.インターネットによる情報発信

     自社の情報をインターネットで発信して広く販売見込み先を募ることも有効で
     す。

     最近では中小企業においてもほとんどの企業で自社のホームページを作成し
     ていますが、販売見込み先発掘ツールとして有効に機能しているケースはごく
     わずかしかありません。

     有効に機能させるための最初のハードルは「自社サイトにたどり着いてもらう
     ための仕掛け」です。

     顧客が最初から自社サイトにダイレクトにやってくることは、まず考えられませ
     ん。

     インターネット上ですでに知名度が高く、アクセス数も多いさまざまな業界サイ
     トがあります。

     多少の費用はかかりますが、それらのサイトに自社のリンク先を掲載してもら
     い、そこからのリンクを通じて自社サイトに来てもらうのが最初は現実的です。

     また、内容の作成の際には、相手の立場に立った情報を掲載する必要があり
     ます。

     たとえば、自社商品の説明や強みなどについては、できるだけデータなどの客
     観的な根拠を示すこと、自社商品を使うことでどんな問題が解決できるのか具
     体的な利便性を示すこと(消費電力○○%ダウンなど)が必要になります。

     すでに自社商品を使ってくれている取引先の自社商品に対する評価などを掲
     載することも、信頼性を高めるうえで効果がある。

     さらに相手が手軽に連絡できるような問い合わせフォーマットを用意しておくこ
     とや、問い合わせには遅くとも翌営業日中には返信するなどの即応体制も求
     められます。

   4.まったく新しい市場を開拓する

     さらに発想を広げて、既存取引先の同業他社など目前の販路だけではなく、
     まったく新たな市場を開拓していく方法もあります。

     たとえば「ターゲットを地元地域だけではなく全国に広げる」、「法人向けに販
     売していた商品を一般消費者にも販売する」、「代理店制度を導入して協力企
     業を通じて売ってもらう」などがこれにあたります。

     最近ではインターネットを活用して新たな販路を獲得している企業も増えてい
     ます。

     そのなかには、これまでは法人向け(プロ向け)販売が常識だった商品に
     ちょっとした工夫を加えて、広く一般消費者向けに販売することで成功を収め
     ているケースもたくさんあります。

     たとえば、プロ向けに売っていた「レンガ」に若干の手を加えて、素人でも作れ
     るレンガの花壇キットを一般消費者に直販している例もみられます。

     直販なのでより大きな粗利が期待できる点も魅力です。

     これらの一般消費者向けの販売は、おもにインターネット上のショッピングモー
     ル(商品を紹介する仮想の商店が集まったWebサイト)で行われています。

     ショッピングモールへの出店は、商品をインターネット上に掲載して、決済でき
     る仕組みを簡単につくり、サイト運営のプロのアドバイスも受けることができる
     ので、もっとも手軽にはじめることができる直販の方法のひとつだといえる。

     特に現有資産に限りがある中小企業にとって、インターネットの活用は避けて
     通れません。

     中には、今もってHPを作成していない中小企業が少なくありません。

     HPは活用次第で大きな効果を発揮します。

                       メルマガ登録(無料)はこちら

                       お問合せ・ご質問こちら                       

 

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

商談(面談)に欠かせないスクリプト(台本)営業


  ■成功する商談(面談)   

   スクリプト(台本)は営業活動における各ステップごとの営業場面をまとめたものです。

   Ⅰ.初回面談

     営業活動で最も重要なのは、顧客との面談です。

      商品・サービスを顧客に購入してもらうには、面談という説得(納得)の場が不
     可欠である。

     そこで、顧客との初回面談から、受注決定のクロージングにつなげる進め方に
     ついて考えてみましょう。

     まず、初回面談のコツについて紹介します。

     ポイントは、

      1.「相手を知る」

        (1)訪問前の事前準備

          ①仮説の立案

            せっかく努力をして取得できたアポイントです。

            この機会を十分に生かすために、訪問前の事前準備をしっかりと
            行い、自分なりの仮説を持って、相手先へ訪問します。

            仮説を立てるための有効な手段は、主に次の3点です。

             ・訪問先のホームページのチェック(HPを開設している会社は多
              いので、最低限チェックしていく)

             ・東京商工リサーチや帝国データバンクなどの企業情報

             ・『業種別審査事典(きんざい刊など)』やビジネス誌などで業種
              特性が分かる資料に目を通しておきましょう。

            各種資料から押さえておくべき項目は、年商規模や利益、従業員
            規模、販売先、仕入れ先などです。

            もし、年商が分かるのであれば、推移(伸びているのか低迷してい
            るのか)のトレンドは把握しておきたい。

          ②現地への到着時間       

            10分くらい前には訪問先へ到着しておくと、余裕を持って面談に入
            ることができます。

            時間厳守という意味も含め、早めに到着して会社周辺を歩き、外側
            からさまざまなところを観察して、どこか褒められそうなところを探
            すこともよいでしょう。

            面談に入った時の「話題づくり」にもなるでしょう。

        (2)面談時の注意点

          ①面談(話題づくり)

            名刺交換後、場を和ませるトークが必要となります。

            本題に入る前には、当たり障りのない天気や気候の話題などを思
            い浮かぶかもしれませんが、普通に話すのでは相手は何の興味も
            覚えないでしょう。

            ポイントは、次に挙げる三つである。

             ・相手が喜ぶ話題を投げかける

              余裕を持って現地へ到着し、褒めるところを見つけることを前述
              したが、それはこの時のためです。

              気が付いた点を自分の言葉で伝えることが大切です。

              会社を訪問する中で、受付を通る場面もありますが、そこで気
              持ちのよい対応をしていただいた場合は、まず面談者(経営者・
              経営幹部)にその印象をストレートに伝えましょう。

              それにより、非常に喜んでくれ、面談の場が和む効果がある。

              よいと感じたことを素直に伝えるだけでも、とても効果が上がる
              のです。

             ・純粋な疑問を投げかける

              初回面談の場であれば、初歩的な質問でも相手は答えてくれ
              る。

              訪問前に立てた仮説をぶつけてみてもよいでしょう。

              あるいは、相手のより身近なところに入り込んでいくために、

               ・社名の由来

               ・会社のロゴマーク

               ・創業時のエピソード

               ・取扱商品のコンセプトやターゲット

              このようなテーマで聞いていくと、相手の土俵の中の話題なの
              で答えやすく、場も和むでしょう。

             ・共通の話題を見つける

              意識しなくても、誰もが自然にやっている行為です。

              面談の中で共通の趣味などを見つけるといった、話題づくりを
              心がけているはずです。

          ②面談(本題)

            いよいよ本題に入っていきます。

            本題に入る場面では、訪問の目的をあらためて明確にします。

            そうすることで、ウオーミングアップから本題に入るという明確な
            メリハリをつけることができる。

            また、相手の会社の社史や沿革を押さえた上で、「これから提案す 
            ることは重要である」と相手に思わせるためのロジックを展開して 
            いくことができると、説得力のある提案につながります。

            単発の提案ではなく、あくまでも提案先の会社にとって、今必要な
            時期に差しかかっているというストーリーを描き出せればベターで
            ある。

            この段階で、他社の成功・失敗事例を紹介すると、相手の興味を
            引くことができ、本題のヒアリング(ニーズの引き出し)を円滑に進
            められます。

            本題のヒアリングが円滑に進むかどうかは、それまでの会話がうま
            くいったかどうかが大きく影響する。

            この時までに相手の心をつかんでいれば、ヒアリングでこちらがい
            ろいろと質問をしても、身構えたりせずに答えてくれるはずです。

            もし、面談時間に制限が設けられていないのであれば、状況次第
            で臨機応変にウオーミングアップの時間を多めに取ってもよいで
            しょう。

            なぜなら、初回訪問の目的は「次回以降の訪問の目的(提案など)
            を見つけること」だからです。

   Ⅱ.セカンド・アプローチ

     セカンド・アプローチでは、顧客との関係をより深め、その後の提案やクロージ
     ングにつなげる進め方について解説します。

      1.2回目以降の面談目的は提案を行う環境づくり

        初回面談の目的は、「2回目以降の訪問の目的(提案など)を見つけるこ
        と」であると述べてきました。

        2回目以降の面談目的は「提案を行うための環境づくり」です。

        面談を通じて、次の2点を選択肢として持ち、提案書の持参につなげる。

         ・次回以降、提案書を持参できるまでの環境をつくる

         ・必要であれば、上司に同行を持ちかけ、先方のキーパーソンとの面談
          につなげる

        上司に同行を持ちかけるにしても、以後の交渉を有効にするために、効
        果的なヒアリングを行いたい。

      2.ヒアリングの技術

       (1)状況質問

         状況質問とは、顧客を取り巻く状態を間接的に尋ねる導入質問です。
         しかし、日常会話の中で状況を聴き取るだけでは、顧客は何の興味も
         示しません。

          ●質問例

            ・「業界の景気状況はどうですか?」

            ・「業績はいかがですか?」

       (2)関連質問

         関連質問とは、顧客の製品やサービスの周辺にかかわりのある質問の
         ことです。

          ●質問例

            ・「現状の収集運搬サービスの満足度はどうですか?」

            ・「新規出店計画はどのようになっていますか?」

       (3)課題質問

         課題質問とは、顧客の課題を明確にしながら、真の利益を探る質問で
         す。

         課題質問をどれだけ掘り下げられるかが、以降のステップの成功率を
         アップさせるポイントになります。

         2回目以降に提案書を作成するにしても、より顧客の実情に合った提案
         書を作成できる可能性が高まる。

         また、上司との同行においても、上司が顧客と面談する際、仮説を持っ
         て面談をすることができまするようになる。

          ●質問例

           ・「そのような状況なら、収集運搬コストは○○円かかっているのでは
            ないですか? 経営上、△△円以下に抑える必要がありますよね」

           ・「それは先方のサービスに問題があるのではないですか? 貴社は
            差別化のためにもサービス内容の充実化が課題ですね」

           ・「この内容だと収益を圧迫していないですか? コストを□□%以下に
            削減しなければならないですね」

         実際の会話においては、課題をヒアリングするうちに、問題点の話に
         なってしまっているケースが非常に多い。

         問題点とは「本来あるべき姿と現状とのギャップ」であり、課題とは「その 
         ギャップを解消するために何をすればよいか」です。

         問題点を顧客と十分に共有し、そのギャップを顧客とともに課題化を把
         握することができれば、顧客は営業パーソンを、そのギャップを解消す
         るためのパートナーだと考えてくれるようになる。

         ヒアリングで課題を抽出する過程を通じて、営業という立場ではあるが、
         顧客に貢献できる方法をともに考える存在になることで、自社の存在価
         値をアップさせることも可能です。

       (4)事例質問

         事例質問とは、事例を紹介することで客観性を高めながら解決案を絞り
         込む質問のこと。

         事例は多ければ多いほどよい。

          ●質問例

           ・「○○会社は、このような設置方法で収集運搬コストを下げました
            が、貴社ではいかがですか?」

       (5)解決質問

         解決質問とは、「自社商品を提案すれば解決するだろう」と確信できるク
         ロージング型の質問である。

         顧客の課題を自社商品で解決し、顧客にメリットを提案できる確信があ
         れば、積極的に質問してよいでしょう。

          ●質問例

           ・「○○のような解決策が最もよいと考えますが、いかがですか?」

           ・「○○なら△△部門の課題を解決できると思います。いかがです
            か?」

      (1)の状況質問と(2)の関連質問は、若手営業パーソンでも比較的、聞き   
      やすい質問です。

      営業の精度を高めていくためには、(3)の課題質問以降(事例質問、解決質
      問)の場数を多く踏む必要があります。

      特に、問題点と課題認識を混同してしまいがちなので、ヒアリングを行いなが
      ら、課題をすっきり整理できると、顧客からの信頼アップにつながる。

      (4)の事例質問は、経験を蓄積する中で、自然と多くを語れるようになるの
      で、数多くの顧客と面談をして、経験値を高めることが重要となります。

   Ⅲ.クロージング

     ヒアリングの5点を通じ、顧客との関係をより深め、その後の提案やクロージン
     グにつなげる進め方について解説しました。

     最後に「クロージング」について解説します。

      1.企画(見積もり)提案からクロージング

        面談を通じて、「次回以降に提案書を持参するという環境をつくる」、「必 
        要であれば、先方のキーパーソンと上司との面談につなげる」という2点
        を目指した訪問活動を行う。

        次は、いよいよ企画(見積もり)を提案できる環境が整うという段階に至 
        る。

        そこから受注に向けて、最後の一歩へステップアップするために、上司と 
        の積極的な同行をお勧めします。

        上司との同行には、さまざまなメリットが挙げられる。

        特に、同行を通じて、

         (1)上司が顧客とどのように関係をつくっていくのかを学ぶことができる 
          (話法、話題のふり方、質問の仕方など)

        (2)企画・見積もりの提案方法を学ぶことができる
                   (説明の強弱のつけ方、顧客に決断を促すタイミングの取り方など)

        時間をかけて作成した企画(見積もり)提案も、最初のうちは、詳細に説
        明すべきところやそうでないところなど、強弱のつけ方さえ分からないもの
        です。

        もし、機会があれば1人だけではなく、複数人の上司と同行することで、こ
        うしたポイントを早く理解することができます。

        クロージングの進め方を理解したら、最初はマネでよいので、現場で実際
        に顧客へ話をすることが成長の近道である。

      2.上司との営業同行

        上司との積極的な同行は、言い換えれば上司を積極的に活用するという
        ことです。

        取り組みとして、担当者だけではなく、部門長(営業部長クラス)やトップ
        を含めた役員陣と共に、定期的に顧客を訪問し、上から下まで各層にわ
        たって営業活動を行います。

        目的は、営業パーソンの顧客との密着化・固定客化を図るという“点”の 
        つながりではなく、全社を挙げて固定客化を図るという“面”のつながりを 
        促進するためです。

        また、上司を連れて行くという名目で、顧客企業のより上位の役職の人間
        と面談のきっかけをつくりやすくすることも狙いの一つです。

        こうした取り組みにより、顧客開拓活動の中で、個人対会社の関係から 
        会社対会社の関係にスムーズに移行すれば、仮に担当者が変わっても
        会社としては変わらないフォローが可能となり、顧客からの信頼も高まり
        ます。

      3.提案結果のフォロー

        企画(見積もり)提案を行うと、当然、自社の提案が採用されるのか、採用
        されないのかという結果が出ることになる。

        採用(受注)であれば最良の結果であるが、残念ながら採用されない(失
        注)ケースも多いでしょう。

        大事なことは、受注・失注のいずれにおいても、結果に至る要因をしっか
        りと押さえておくことです。

  □受注に至る5つの要素

   (1)ニーズがしっかりと収集できていたか

   (2)キーパーソン・決定権者に提案できていたか

   (3)値ごろ感を満たしていたか

   (4)納期(顧客が必要としている時期に商品を提供する)は適切であったか

   (5)ライバルがいたか

   自社の若手営業パーソンの育成(基本動作ロープレ)や組織の顧客開拓活動には
   仕組みとなる台本(スクリプト)が欠かせません。

   この5つの要素を営業会議や要因分析を行う際に切り口の参考にしてみてください。

                      メルマガ登録(無料)はこちら

                      お問合せ・ご質問こちら                      

 

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

顧客づくりのスタート

顧客づくりのスタート
 

  ■顧客づくりは自社の強みの見直しから

   顧客を均一と見なして均等なサービスを提供するのでは生き残れない。自社の顧客を
   できるだけ多く上得意に変える競争が始まっています。

   そのため購買履歴や属性のデータを分析、顧客像を明確にとらえます。

   ハイテクの仕組みが昔ながらのハイタッチな接客を再び可能に。

   顧客を軸に事業モデルを一新するほどの変革が必要です。

   「顧客づくり」活動とはすなわち新規顧客・新規需要・新規市場の開拓です。

   ただし、この中で営業担当者が力を注ぐ必要性があるのは新規顧客の開拓、企業力に
   依存するのが新商品や新システムの開発による需要・市場の開拓です。

   ここで新規顧客の開拓を促す際に必要なことは、まず“見込み顧客”の選定です。

   現在では場当たり的な営業活動ではほとんど成果は見込めません。

   そのためには精度の高い見込み顧客の選定が必要になります。

   新規顧客とは、生まれて初めて購入体験を持つ個人顧客、会社を設立して初めて
   導入する法人顧客、ライバル他社顧客を、当社の顧客にスイッチを切り替えることを
   意味します。

   しかし、現在のように市場サイズが縮小し、顧客数が減少する状況の中で新規顧客を

   開拓するのは非常に難しいことです。

   おまけに、新規顧客の開拓に要する経費と、既に購入した顧客に再度購入を促す
   際に要する経費を比較すると、前者はアメリカで約5倍、日本では約8倍も余計に
   費用がかかりますから、新規顧客を開拓することにのみ力を注いでいる活動では
   次第に経費増になり、経営は立ちゆかなくなります。

   その上、売った分だけ顧客を失う活動に力を注いでいる企業になってしまうからです。

   顧客数が減少の−途をたどる環境の中でこのような活動に精を出していたのでは早晩、
   対象顧客はいなくなってしまうのがおちです。

   一方、既に購入した顧客対応をしっかりしていないと顧客は目減りしますから、
   新規顧客の開拓は行わなければならないのが道理です。

   ただしこの場合、今後とも継続して顧客として存在してもらうために努力をする

   ことが前提です。

  □自社の顧客はいなくなる

   1.「顧客減少時代」であることを認識
     環境の変化は、顧客の需要や要求、要望を変化・減退させる。

     仮に毎年20%の顧客が減少するとどうなるでしょう? 

     3年後には約5割しか残らない。

     100×80%(1年目)×80%(2年目)×80%(3年目)=51.2%

     国内の企業数は1990年に520万社あったが、2010年には約430万社と 
     20年間で90万社の企業が減少している。

     さらに日本の人口も、04年をピークに減少しており、一般消費者も法人も 
     減少傾向にある。

    このような顧客減少時代のなかで、成長するためには「顧客をつくること」が自社
    の永続性を高めるために必要なことです。

   2.顧客をつくれない会社の共通点
     顧客をつくることのできない会社には共通点があります。

     顧客をつくる準備として、自社の症状をチェックしてみてください。

      (1)顧客ニーズの多様化に対応していると思い込んでいる
        ある食品メーカーでは、バイヤーの言いなりに「欲しい」と言われた商 
        品を数多く開発していた。

        結果、同社のアイテム数は会社規模から考え、あまりに多かった。

        特定企業に特化したため、ほかの買い手もおらず、販売終了の商品
        も多数発生していた。

        揚げ句の果てに、希望通りつくった商品を購入してもらえず、バイヤー
        が同等の商品を他社から購入する始末だ。

        製造も販売も報われぬ努力をしていたことになる。

        使用しない資材が大量発生し、販売不振に陥り、経営状態が悪化。

        これは、顧客の言いなりになることが、多様化に対応することだと誤解
        した例だ。

        業績不振の販売会社に行くと「顧客ニーズが多様化しており、このまま 
        では売れない」という言葉をよく聞く。

        もちろんニーズは多様化しているだろう。

        しかし、顧客はあなたの会社にどれだけの多様化を求めているだろう
        か。

      (2)総合的に対応していると思い込んでいる
        今一度、自社の主要顧客を訪問して見る必要がある。

        そこで、「自社の主要商品を主力顧客がどれだけ知っているか」を確
        認してほしい。

        自社が思っている以上に、顧客は自社の主要商品を知らないことに気   
        付かされるだろう。

        あるメーカーは自社の主力顧客のインストアシェアを調べてみた。

        営業担当者は、「あの主力顧客には、もう目いっぱい売っている」と言
        っていた。

        しかし、調査の結果は自社商品のシェアが15%で、残りの85%は他 
        社からの購入だった。

        85%の中には自社で対応できるものが多くあるにもかかわらず、顧客 
        はそのことを知らないため、他社から購入していたのである。

        顧客は、理由があって商品を購入している。

        顧客があなたに求めているのは、商品品質の良さではなく、顧客企業
        の抱える問題を解決するための手段としてふさわしいから、あなたの
        商品を購入しているのです。

        つまり、顧客の課題を取りまとめて解決する能力が求められているの
        です。

        商品の特徴や品質だけでは、顧客はあなたを選ばない。

      (3)営業力のみで「顧客づくり」を求めている
        営業力で顧客をつくることは有効であるため、否定はしない。

        しかし、「営業力“のみ”で顧客をつくる」ことは間違いである。

        全社的な取り組みが必要だからです。

        その間違いは、
         ①「セールストークのスキルが優秀」と「売れる」ことは違う
           「顧客が欲しいものは何か」「なぜそれを求めているのか」を聞く 
           ことが必要である。

           営業が製品のよさを「話す」から売れるのでなく、顧客からニーズ
           を「聞く」から売れるのである。

           饒舌(じょうぜっ)からは成約向上は生まれない。

           顧客の要望(ニーズ)を聞くことは、営業社員以外でもできること
           である。

          ②営業は短期決戦である
           営業は短期成果を求められるので、「売れる顧客に売る」習性が
           あるが、企業の永続性を高めるために必要な顧客とは、自社と
           長く深く付き合ってくれる顧客である。

           営業社員に、短期的な決戦と中長期的な「顧客づくり」を求めても   
           軸足がぶれ、失敗してしまうことが多い。

          ③営業に顧客探しを強要せず、顧客から探してもらう努力をする
           会社の永続性の条件は、組織営業を実施することにある。

           営業社員に「顧客を探すこと(集客)」と「売ること」を同時にさせる
           と、どっちつかずになり、業績不振に陥ってしまう。

           解決策は、全社的に顧客に見つけてもらう仕組みをつくることだ。

           これが、業績の安定につながるのです。

           属人的な「顧客づくり」は安定を生まれず、組織で顧客をつくる努力
           が必要である。

           顧客が購入するのは、売り込まれるからではない。

           自身の要求を満たせると判断するから購入するのです。

           会社として「お客さまの要求に応えることができる力」を発信する
           ことを怠り、営業部門の“努力不足”を責めるばかりでは、「顧客
           をつくる」ことは不可能に近い。

           自社が、顧客づくりのできない三つのパターンに陥っていないか 
           どうかを確認してほしい。

           「顧客をつくる」ということは、顧客に「自社は何ができるのか」を
           発信することである。

           しかし、すべての顧客に対応することは不可能だ。

           「自社のできること」「自社の強みを理解してくれる顧客は誰か」を
           明確にし、顧客を絞ることが重要です。

           なぜなら、絞るのは選ばれるためだからです。

           自社がこだわりをつくり出し、顧客に認知されるから選ばれるの
           です。

           顧客を選ばなければ、顧客から選ばれることはないのです。

  □顧客づくりの方法は自社に対する顧客価値をつかむ
   1.顧客に貢献している事実を掘り下る
     顧客を創造するとき、第一に考えなければならないのが、「現在、顧客に貢
     献している事実」である。

     「誰に何で貢献」しているのかを社員自身が知る必要があります。

     このことを見失うことは、自社の「存在価値」を見失っていることと同じだ。

     存在価値を見失うということは、「顧客」と「自社の強み」を見失っていること 
     にほかならない。

     言い換えれば、「誰でもよいから自社の商品・サービスを利用してほしい」と 
     言っているということだ。

     このような状態になると、薄利多売になりやすい。

     「目先の売上げや利益にしか目が向かなくなる」と言っても過言ではない。

     事業の存続は、顧客の存在と同義であり、顧客の存在は、顧客の承認と同
     義である。

     当然、顧客への貢献がなければ、顧客からの承認は得られません。

     顧客の承認なき事業は、存続が危ういでしょう。

   2.顧客価値を見直す
     現在、取引している顧客の多くは、社員が入社した時から「すでに存在して
     いるもの」です。

     会社は、創業からの積み重ねで現在(今)があります。

     創業から環境変化に対応し、「顧客に提供する価値」を変化させ、または顧
     客を変えながら存続しているのです。

     では、本当に自社は顧客に価値を提供できているのだろうか? 

     また「現在の顧客で自社は成長・発展できるのか」を考えなければならな
     い。

     自社の価値を理解し、取引している顧客がどれだけ存在しているのかを、 
     感覚ではなく数値でとらえる必要があります。

     自社の顧客マトリクスにおける「①最も価値ある顧客」を維持できている理由 
     には、自社の存在価値が含まれている。

     この数が少ない場合、自社の顧客対策のレビューが必要となる。

     さらに自社が存続・成長していくために、どのような状態が一番よいのかを考
     えていかなければなりません。

     現在、自社はどのような比率になっているのか、自社の強みを理解して取引を 
     してくれている顧客がどのくらいあるのかをつかむことで、今後の戦略も変
     わってきます。     

     カギになるのは、「自社から見た顧客価値」です。

     ここで言う顧客価値とは、将来にわたって自社と取引を行い、利益をもたらす
     顧客のことを指します。

     自社の成長性を高めるためには、将来性のある顧客と取引していかなければ
     ならない。

     「誰と付き合うかで将来が変わる」のです。

     今の顧客の将来性を自社のモノサシで測ることが必要である。

     視点は、「今、自社を支えている顧客が生み出す価値で、将来も自社を支え続
     けることができるのか」ということです。

     自社が成長・存続していくためにどのような顧客と取引をすべきか、取引した 
     い顧客像を明確にしなければなりません。

     これにより自社の進むべき方向性が明らかになり、再設定した顧客を開拓す
     るための行動に重点を置くことができるのです。

   3.顧客の期待に自社の強みで応え、利益に変える
     自社の強みは、三つの基盤で支えられている。

     (1)自社の顧客が明らかである
       これは、「顧客の使用場面が手に取るように分かる」ことである。

       これが分かるからこそ、自社の強みが提供できるのです。

     (2)強み(USP)を基盤にしている
       強みとは「自社ができること」です。

       しかし、「できること」と「したいこと」は違います。

       これを混同しないことです。

       「できること」を考えるときには、「こだわり(差別化)」が必要。

       そして、「捨てる」と「こだわり」はセットで考える必要がある。

       こだわりとは、何でナンバーワン(オンリーワン)になるかということだ。

       つまり、「何で勝つかを決める」ことであり、それを一番になるまで磨き上げ
       るからこそ、オンリーワンそしてナンバーワンになれるのです。

     (3)顧客への貢献
       自社の強みは、顧客が評価して初めて強みとなるのです。

       「自社は何で貢献していますか」と、謙虚に顧客に問い続ける姿勢が、自社
       の強みをさらに強くするのです。

  □顧客づくりを習慣化
   1.先入観が機会をつぶす
     会社経営の現場では、客数や客単価のダウンといった顧客環境の変化によ
     り、新規顧客開拓が緊急課題となります。

     しかし、現場は顧客づくりを進めなければならないことは理解していても、「忙
     しい」ことを理由に顧客開拓に取り組まないのが実態のようです。

     このような状態は、なぜ起こるのか?

     一つには自分たちが忙しいという思い込み、つまり先入観が顧客づくりの機会
     をつぶしている場合が少なくない。

     これを打破するためには、
      (1)時間という機会をつくる
        顧客づくりとは「機会創造」です。

        そして機会創造とは「時間創造」です。

        時間創造のために必要なことは、顧客を格付けし、時間をつくること。

        トップが重点方針として、新規顧客開拓を挙げていても、営業社員は「時
        間がつくれない」「忙しい」ことを理由に取り組んでいないことが、多くの中
        小企業の実態ではないだろうか。

        これが中小企業が売り(営業力)に弱 といわれるゆえんです。

      (2)機会の質を高める
        機会の質を高めるためには、「キーパーソン」への接触回数を高めること
        が必要だ。

        顧客をつくる上で、キーパーソンとの接触を外してはならないことは周知
        の事実です。

        しかし、多くの中小企業が、このキーパーソンとの接触をマネジメントして
        いません。

        機会の質を高めるためには、キーパーソンへの接触にこだわることが重
        要です。

        キーパーソンには、4つのタイプがいます。

        「窓口キーパーソン」「助言キーパーソン」「情報キーパーソン」「決定キー
        パーソン」であり、この人脈を探ることが重要となります。

        窓口キーパーソンからニーズの発掘、受注までのプロセス、決定キー
        パーソンが誰かをつかむ。

        次に助言キーパーソンから、自社の弱み、ライバル他社の強み・弱み、決
        定キーパーソンの特徴などを明確にします。

        情報キーパーソンからは、ライバルの誰が・どのタイミングで来ているの
        か、顧客企業の社風・購入動機・意思決定のポイントを探る。

        そして、決定キーパーソンから予算・タイミングを引き出し、提案するス
        テップが必要となります。

        この基本的な活動なしに、闇雲に顧客開拓に汗を流すのではなく、キー
        パーソンマネジメントを行い、受注機会の質を高めなければならない。
         
      (3)機会の確率を高める
        ○三層営業の実施
         三層営業とは「トップ」「役員・部門長」「担当者」と三層で営業を行う
         ことです。

         この三層開拓スタイルで、ターゲット先のトップに営業を行い、受注確率
         を高める必要があります。

         しかし、実行している企業は少ない。

         さらに、機会の確率を高めるために必要なのが、「営業」「企画・開発」 
         「製造」とという三つの機能を生かして顧客をつくる活動を行うことです。

         「営業以外の部門を顧客に近づける」ことです。

         全社(組織)営業を行うのです。

         顧客づくりを習慣化(営業の仕組み)しなければならない。


                        メルマガ登録(無料)はこちら


                        お問合せ・ご質問はこちら

集客から顧客維持までのプロセスを標準化

見込み客開拓の対策


  ■見込み客開拓のための準備

  □わかりやすいイメージの伝え方

   保険も含めて金融商品は目に見えない商品です。

   そこで、目に見えないものを目に見える形で売るためには、どうしてもたとえ話で
   お客様のイメージに働きかけることが必要になります。

   たとえ話というのはごくごく身近な話題であることがポイントです。

   家族の話題、子どもの話題、親孝行の話、仕事の苦労話や責任感といった話、社
   長の事業で抱える問題(資金繰り、売上、人材)など。 

   身近でありながら、実際にあったような話です。

   ここで大切なことは、身近な話題と言っても、お客様の年齢、性別、既婚か未婚
   か、いまどのような状況にその人が置かれているのか、という点を全て上手に聞
   き出した上での適切なたとえ話でなければ意味がないということです。

   事実を提示する事です。

   たとえ話にも、それを裏付けるデータがあれば、その話の信憑性、メリハリがはっ
   きりと出るので、成約にいたる確立は格段に上がります。

   パンフレットやリーフレットは、プレゼンを飾る重要な小道具ですから、これら道具
   の活用も忘れないようにしてください。

  □効率的なマーケットを選択しよう

   セールスするならば、いいマーケットを選びたい。

   そうすれば、時間を効率的に使える。

   マーケットを間違えれば、どんなに時間をかけてもまったく成果があがらないかも 
   しれない。

   こんなクイズがある。

    「釣りにいちばん必要なものはなにか?」という質問である。

    釣り竿、釣り糸、エサ、ウキ・・・・・ たくさんの答えがあるが、

    正解は「魚」である。

   魚のいない場所(釣り堀)で、どんなに真面目に、誠実に、懸命に釣り糸を垂らし
   ていたとしても絶対に1匹も釣れないだろう。

   ところが、その釣り堀に手づかみで獲れるほど魚がたくさんいたとしたら、どうだろう。

   いままで釣りなどしたことのない素人でも、ちょっと釣り方を教えてもらっただけ 
   で、おもしろいほどたくさんの魚を釣り上げることができるに違いない。

   マーケットというのはそういうものなのです。

   トップセールスマンと凡人セールスマンとの根本的な違いというのは、スキル、ノ
   ウハウといった技術もそうだし、人間的な姿勢、営業マンとしての心構えもそうだ
   が、もっとも異なるのはこの「マーケット設定」をする力なのです。

   売れる営業パーソン、売れない営業パーソンの違いを調べると、結論はそこに行
   き着く。

  □目標達成のためにはターゲットの優先順位を決める

   例えば集客方法の一つにテレアポがある。

   テレアポのポイントは、あくまでも目標達成に役立つアポを取ることである。

   「アポが取れなくて、1人だけ机にへばりついているのは嫌だ」とばかり、誰でもい
   いからアポを取って外に出ようとする営業マンがいるが、これは目標からずれて
   いる。

   営業パーソンの目標は「外に出ること」ではない。

   面談して、「成果をあげること」なのです。

   この目標達成を実現するためには、どういうアポ取りをすればいいかを考えて仕
   事をする必要がある。

   アポ取りすべきターゲットを見つける。

    ・ 利益が上がっているところ(ニーズがあっても、保険料を支払えなければ、
      契約は成立しないからです)

    ・ 効率的にもエリアを絞る

    ・ 新設事業所はタウンページを新旧比較 し、新たに登録されている事業所
      を抽出する。(商工会議者会員ならば毎月の会報誌に掲載されている)

    ・ タウンページの中で数の少ない事業所をリストアップする

    ・ 地域経済情報誌からリストアップする

    ・ 法務局で調べる

    ・ 司法書士とタイアップする。

    ・ 商工名鑑(商工会議所で販売されており、HPでも各市の商工会議所
      が会員ページを開設している)        

       全国商工会議所 (例:静岡商工会議所会員データ) 

     ・ 中央会(事業協同組合、企業組合、商業組合、工業組合、商工組合、
       振興組合等)

       全国中小企業団体中央会 (各県庁所在地にある)

       静岡県中小企業団体中央会

   収集したデータにしたがってアポ取りすることが、目標達成を最短時間で実現す
   る近道となります。

  □1人でも多くの人に面談

   セールスの仕事をひと言でいえば、1人でも多くの人に面談して、熱心に説明し、
   1件でも多くの契約を取る。

   これ以外ないのです。

   セールスを必要以上に考えないことだ。

   これ以外ないのだから、余計なことは考えない。

   「下手の考え休みに似たり」である。

   セールスで最大のテーマ。

   それは1人でも多く面談すること。

   これが見込み客開拓である。

   では、この見込み客とはなにか?

   見込み客とは商品、またはサービスの必要性を認め、支払能力のある個人およ
   び法人である。

   一度でもアプローチをして必要性を認め、支払能力のある人はすべて見込み客な
   のです。

   では、あなたにとっての見込み客はだれか?

   まず、理想の見込み客をイメージしてほしい。

   だれが顧客か、だれが顧客になり得るのか。

   あなたの商品を有効に活用するのはだれか。

   その顧客は、どこでそれを使うのか。

   どのように使うのか。

   これらをすべて考えて、あなたの見込み客のプロフィールをつくるのです。

   次に業種、業態を絞り込む。

   これが先に説明したマーケットの設定です。

   営業パーソンにとって、最小時間で最大の生産性をあげられるマーケットが理想
   なのです。

   逆に、所要時間が長くなれば長くなるほど、利益が薄ければ薄いほど、ダメな
   マーケットなのです。

   もちろん、既存客の存在を忘れてはならない。

   既存顧客への多種目販売、単価アップもより効率的で効果的な新規開拓マー
   ケットといえます。

  □"拒絶への恐れ"を克服

   見込み客開拓の最大の障害である「拒絶への恐れ」について述べてみます。

   あるセールパーソンはこの恐怖から逃れるために、実に色々な言い訳を考える。

   また、直接成約に結びつかない膨張したプレゼンテーションをし、無計画な訪問、
   移動時間・資料作りに無意味に時間をかけ、わざと即決をとらずに成約を先延ば
   しにするといった、あげていけばキリがないほど様々なことをします。

   そして拒絶への恐れが強いときには、そこには行動の停滞が必ず起こります。

   表面的には意欲はあっても、実際の行動がとれないのです。

   資料を長く見つめている、オフィスにいてなかなかセールスの現場に出ようとしな
   いといった現象が起こります。

   そういう状況を目にしたなら、営業マネージャーはすぐ手を打ってください。

   拒絶への恐れというのは、健全な職業観の確立ができていないということです。

   商品を通してお客様の問題解決のお手伝いをしていこうというミッションパワーが
   ないのです。

   もう一度使命感に立ち返った指導が必要です。

   セールス活動の本質は目に見えない、積極的、肯定的、建設的な心構えを確立
   していくところにあります。

   そして常に顧客の立場に立った提案型営業をし、自分自身が本当に役にたって
   いるという実感が持てるような仕事をしていくことが最善の方法ではないでしょうか。

  □商品の特質と利点を理解しているか

   あなたのセールスは単なる“物売り”になってはいないか。

   「あなたはコピー機を売っていると思っているから、訪問をした時に『私どもの会社
   はOA機器の○○でございますが、 御社にはコピー機はありますか?』と、多分そ
   んな風に訊ねているんじゃありませんか?」

    『コピー機のセールスに参りましたので、担当の方にご挨拶させていただきたい
    のですが……』

   と言っています。 

   「だから、門前払いをくらうんです」

   商品には「特質と利点」があり、特質というのは“その商品が持っている特長で、 
   他の商品には無い際立った性能や機能”と定義できます。

   それに対して利点というのは

    “お客様が最終的に手にする満足感やメリット”を利点といいます。

   その商品に対してウォンツやニーズが無い場合にはニーズ喚起と言い、必要性
   を感じさせ、欲しくさせることが先行されない限り、セールスにおいての成約には
   結びつきません。

   ですから、欲しくさせる、必要と感じさせるためにも利点に焦点を当てなければな
   らないのです。

   前述のコピー機セールスの場合では、

    「私どもはOA機器の、○○会社でございますが、
     本日は御社の生産性を120%高めるアイデアを持参致しました。
     本来であれば、有料のコンサルティングレポートですが、今回私が
    この地区の担当になりまして、この件につき御社のご担当者様に
    直接ご挨拶をさせていただくよう、上の者から言われて参りました」

   これは、明らかに利点を売っていますから、相手も聞く耳を持つわけです。

   コピー機やOA機器を売っているのは、分かりやすく言うと、単なる“物売り”になっ
   てしまうのです。

   そうではなくて、セールスでは「利点」を売る必要があるのです。

   それでは、お客様、あるいは会社の求めているものは何か。

   良いコピー機が欲しいわけではない、良いFAXが欲しいわけではない。

   もちろん欲しいんですけども、そういったことを通してもっと売り上げを上げたい、
   もっとコストを削減したいのです。

   これがお客様が考えている利点(「欲しい物」)なのです。

   そのことに直結したトークを打たなくてはなりません。

   単純に物を売ってはいないだろうか。

   様々な職業の人がいると思いますが、果たして、あなたは、何を売っているので
   しょうか。

   お客様に最終的に提供しているモノ(コト)は何なのでしょうか。

   あなたが本当に売っている物、お客様に提供している物は何なのか、考えノート
   にまとめてみてください。

  □見込み客開拓

   営業のプロセスで、最も大事なことは、何でしょうか?

   「見込み客開拓」「見込みを育てアポを取る」「プレゼン」「クロージング
   「新規顧客化」どれか一つが欠けても契約にはなりませんが、これがなければ始
   まらない、というものがあります。

   それは、「見込み客開拓」です。

   売れ続けるコツの基本は、コンスタントに、大量に、「見込み客開拓」をし続けると
   いうことです。

   見込み客開拓を行なう上で意識するべきこと「ソフトコミュニケーションの充実」です。

   「ソフトコミュニケーション」とは会わないで出来るコミュニケーションのことを
   いいます。

   例えば、電話、携帯メール、PCメール、はがきや年賀状、お祝いのカードやメー
   ルなどです。

   特徴としては、対面よりも、安価に、短時間に、大量に、長期的におこないやす
   い、ということです。

   それに対して対面コミュニケーションは、深く、温かく、強烈ですが、会わなければ
   できません。

   一年間に一万人の人と会うことは難しいです。

   しかし、一万人の人とメールや電話によるコミュニケーションならばできるのです。

   あなたは、一度会い名刺交換した人と、どんなコミュニケーションでつながってい
   ますか?

   定期的にソフトコミュニケーションし、上質な情報をGIVEし続ける、ということを
   やってみませんか?

   それをする以上、半永久的に相手の記憶の中に自分がとどまり、将来の見込み
   客を自分のもとにつなぎとめることができるのです。

  □見込み客開拓のための主な方法

   1.飛び込み

     昔からローラー作戦といわれ、その地域のすべての人、会社にアプローチしま す。

     不特定多数の方を対象にした一般的なもので、車、保険、証券、健康関連商
     品等のセールスに向いています。

   2.電話活用

     資料の鮮度がカギ。資料を入手して徹底して電話をかける。

   3.ダイレクトメール活用

     一度でも来店したり、商品を購入したり、お客様になり得ると思われる層に、ダ
     イレクトメールを発送します。

   4.異業種交流会活用

     異業種のセールスマンから見込み客を紹介してもらう。

   5.直接観察

     普段から人間関係をつくっておいて、タイミングを狙ってアプローチをする。

   6.講演会活用

     聴衆を集めてアプローチする。

     たとえば健康に関する講演会を開き、先生を呼んで講演をしてもらう。

     それとは直接関係はないが、健康食品などを会場において販売していきます。

   7.展示販売

     見本市会場やホテルなどで展示会を開いて販売する。

   8.有力者紹介

     有力なお客様から、有力なお客様を紹介してもらう。

   9.紹介代理店の活用

     会を組織しているような人に見込み客を紹介してもらう。

  10.お試し

     ペットショップに入り可愛い子犬を見ていると、すかさず店員が歩み寄ってきます。

     店員は「抱っこしてみますか?」と言い、檻を開けて可愛い子犬を客に抱かせます。

     客は子犬を腕に抱いたとたん愛着がわき、手放したくなくなります。

     これは「パピードッグ・クローズ」というテクニックです。

     試食などもこれにあたります。ギブ・アンド・テイクの方法を使っています。

     ギブというエネルギーを出して初めてテイクがあるのです。

     すべての人は見込み客になり得ます。

   アプローチするまでは、その人たちは単に、「人」でしかありませんが、その人たち
   を見込み客にするためには、まず、アプローチしてみること。

   そして、その人たちが商品の必要性を認め、支払い能力を持っているとき初めて
   その人たちは見込み客になるのです。

  □見込み客に対する効果的なアプローチ手法 

   1.見込み客の定義

     見込み客とは、

      「一度でもアプローチをして、その商品(サービス)の必要性を認めた、支払い
     能力のある個人および法人」と言うのが正しい定義です。

     そのためには、リストを入手したならば、まず電話をしなさい、ということです。

     具体的には、電話で社名と名前を明確に伝えた後こう切り出します。

      「○○様、今日突然お伺いしても大変失礼になると思いましたので、あらかじめ
      お電話をさせていただいた次第です。
      お近くに行った際にはお伺いする前にまたお電話をさせていただきますが、  
      その節はひとつよろしくお願い申し上げます」

     といった挨拶電話をし、自分の仕事の内容と所属する組織を明確に盛り込ん
     だトークを打ちます。

     相手の記憶の中に一度印象を残し、ふるいにかけるわけです。

     その際相手から、「結構です」と言われたならば、「私はこの地域を担当してお
     りますし、上の者からも一度はご挨拶がてらお伺いするように言われておりま
     すので、ぜひよろしくお願いいたします」とあえて“引き”のトークで切り上げれ
     ばいいでしょう。

     そのアプローチ段階で初めて見込み客ができ上がるということです。

   2.理想の見込み客のプロフィール

     「理想の見込み客のプロフィール」を持っていますか?

     当然ながら、全ての人が自分の見込み客ではありません。

      ・誰に商品を売りたいのか

      ・その顧客はどこにいるのか

      ・その顧客はなぜあなたから商品を買うのか

     ・その会社はライバル会社の商品を購入しているのか

     大変シンプルですが、「こういう人をお客様にしたい」という願望を明確にして
     おく必要があります。

     どういう人を一生の協力者にしたいのかというところから逆算して見込み客開
     拓をしていくことが“戦略的セールス”の秘訣です。

     ただやみくもにアプローチをするのではなく、「自分のマーケットはここ」と定め
     て、見込み客開拓を行う。

     そうする内に、その業界の専門知識が身につき、お客様とスムーズに会話が
     できるようになり、あなたからお客様の利益になる情報を提供できるようにも
     なってくるのです。

     同じ時間活動をしても、成功するセールスパーソンと、成功できないセールス
     パーソンがどうして生まれるのか・・・。

     時間の使い方の違いと、マーケット設計の違いから生まれます。

     旧態依然のセールス手法では、お客様に対して「どうすれば売り込めるか」と
     あらゆる方策を練り上げ、「ああ言えばこう言う」と言ったテクニックやスキル中
     心の販売側の発想、つまり自己中心的なセールスが主流でした。

     しかし、今の潮流は完全に違います。

     自分の願望とを満たすべく商品を購入したり、サービスを取り入れる時代です。

     つまり、販売側ではなく、購買側がイニシアチブをとる時代に変わってきている
     のです。

     セールスパーソンもお客様の立場に立ち、お客様側からのアプローチをし、お
     客様の購買代理の手助けをしてあげるような提案をしない限り、満足いく成果
     は残せなくなっているはずです。

     セールスパーソンは、

      お客様の問題解決の手助けができる“プロとしての専門職業人”だけが生き
      残れるようになってきているのです。

   3.実践アプローチ

     今、3回断られるセールスマンはそんなに多くありません。

     お客様の最初の断りは条件反射みたいなものです。

     「どうですか?」って言ったら「間に合ってます!」みたいな感じです。

     普通、「あー、本当に間に合ってるんですか。じゃあいいです!」にはしません。

     「間に合っているからこそ、見直しとか整理が必要なんじゃないですか」という
     姿勢が重要です。

     しかし、「あー言えばこう言う」を余りにもしてしまうと嫌われてしまうので、

     その時は、

      「そうですか。でも、対応してくれて本当にありがとうございます。
      また来ます。失礼します。」と言うのがよいでしょう。

     「また来ます。」の直後に「失礼します。」をつなげることがポイントです。

     間を空けてしまうと「来なくていいわよ。」と言われてしまうので、「また来ます、
     どうも失礼します。」がいいでしょう。

  □見込み客開拓で成功するには 

   1.上手くいく見込み客開拓の着眼点

     どんな時でもマーケット・インの発想で、良い市場に打って出ることを常に考える。

     それは、売る技術の方に焦点を当てるのではなく、良いマーケット(市場)を見
     つける方に焦点を当てる、ということです。

     「ノーニーズ・ノープレゼンテーション:必要性のないところに説明は要らない」。

     セールスというのは、常に必要性の高い人を相手にプレゼンテーション、アプ
     ローチをしていけば、商談がいつも有利に展開できます。

     相手のニーズ、相手のウォンツの中に、こちらの説得力があるからです。 

  □見込み客開拓(有力者紹介)

   営業活動をシンプルに分ければ、見込み客開拓、面会、クロージングを経て成
   約、そして、成約後のフォロー、という一貫した流れになります。

   その成約後に、「単にフォローだけをしている営業パーソン」と、「フォローの中で
   紹介を出してもらえる営業パーソン」の違いが、所得と成績を大きく分けていくこと
   になります。

   新しい見込み客を見つける際には、紹介者を出していただけるところまでを視野
   に入れてセールスを組み立てたということです。

   誰が顧客か、その顧客は何を買うのか、なぜあなたから買うのか。

   いわゆる自分の営業としての存在理由、存在価値に立脚して、もっとも自分が売
   り込みたいという対象に対して、優位に仕事を進めていく手法です。 

   例えば医師、弁護士、会計士、官庁や大企業の上層部といった、社会的に力の
   ある人は、ほとんどが、階層社会、タテの関係にありますから、下部組織はトップ
   ダウンにとても弱い面があります。

   はじめは大変ですが、そういったところの力関係を見据えて、できる限り影響のあ
   る人を自分の最初の見込み客に設定すると、後がとても楽になり戦略的なセール
   ス活動が打てるわけです。

   ところが対象マーケットやキーマンを間違えてしまうと、セールスほど難しい仕事
   はありません。

   案外、大物と言われる人で、敷居が高く見える人でも、一旦懐に入ってしまえば、
   普通にお付き合いできる方が多いものです。

   ただし、そこでの鍵は“こちらがプロである”ということが重要です。

   相手が有力者、社会的にもいろいろな意味で影響力があればあるほど、選ぶ自
   由を持っています。

   当然、様々なセールスパーソンが売り込みに行きますから、選択眼もおのずと厳
   しくなり、目利きの人が多いわけです。


                     メルマガ登録(無料)はこちら
                     

                     お問合せ・ご質問こちら                     

 

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
054-270-5009

静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。

対応エリア
静岡・愛知県内、東京周辺

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

054-270-5009

 (コンサルティング部門 直通<柴田>)

新着情報

2024年3月18日
記事:「効率的な業務計画の立て方」更新しました。
2024年3月15日
記事:「代理店におけるリスクマネジメント」 更新しました。
2024年3月14日
記事:メルマガ703号」更新しました。 
2024年3月13日
記事:自社を変革しよう Ⅰ」更新しました。
2024年3月11日
記事:「仕事で差がつく根回し力」 更新しました。
  • 詳細はこちらへ

ビジネス
ソリューション
仕組み構築

住所

〒422-8067
静岡県静岡市駿河区南町
2-26-501