就業規則は会社のルールブック 

            

就業規則を見直していますか? 


  ■就業規則の重要性

   会社を取り巻く経営環境や雇用環境がめまぐるしく変化する昨今、労働条件や就業ルール
   をまとめた就業規則も変化に合わせて定期的に見直す必要があります。

   しかし、長い間、就業規則の見直しを行っていない会社も少なくないのではないで
   しょうか。

   近年、法律の知識や権利意識を強くもつ労働者が増えており、全国の労働基準監督署に
   寄せられる相談件数も年間110万件を越えています。

   その多くは、就業規則を作成していなかったり、就業規則どおりに運用されていなかった
   り、就業規則の見直しをまったく行っていないことで起こります。

   自社の実態に合わせて就業規則を整備し、労働条件や就業ルールを明確にすれば、会
   社にとっても従業員にとってもリスクや不安を軽減することができます。

   従業員との労務トラブルを未然に防ぐためにも、定期的に就業規則を見直しましょう。

   1.就業規則は会社のルールブック

    就業規則とは、貸金や労働時間、休日、休暇、服務規律や懲戒などについて、従業員
    の入社から退職までの労働条件や就業上のルールを定めた会社の憲法です。

    就業規則がしっかりと整備され、その内容が正しく従業員に伝わっていれば、労使間の

    トラブルや従業員の不祥事も起きづらくなります。

    また、従業員が訴えを起こしたとしても、責任の所在が明確となるため、会社側の責任を
    限定的にすることができます。

    それだけでなく、経営理念セクハラ対策・メンタルヘルス対策などへの取り組みを示す

    ことで、会社に対する信頼度も増し、モチベーションのアップにもつながります。

    一人ひとり違うライフスタイルや価値観をもった従業員が、会社という組織で共に働く

    わけですから、一定の秩序や明確なルールづくりは必要不可欠です。

    就業規則は、会社にとっても従業員にとっても、なくてはならない社内のルールブック
    です。

   2.法律による約束事

    就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場のみ作成・届出が義務づけられ
    ています。

    しかし、常時10人未満の事業場であっても、労使間のトラブルを防止するためには

    作成しておくのが望ましいでしょう。

    なぜなら、従業員が問題を起こした場合、あらかじめ処分内容を定義しておかなければ
    懲戒処分を下すことができないからです。
 
    なお、就業規則には、必ず定めなくてはならない取り決め(絶対的必要記載事項)と、
    会社のルールとして存在している場合に記載しなくてはならない事項(相対的必要記載事項
    とがあり、それぞれ法律に違反しないよう定める必要があります。

    会社と労働者との関係は、労働契約という契約関係で成り立っています。

    労働者である従業員は労働を提供し、使用者(会社)はこれに対して賃金を支払う
    関係です。 

    労働契約の内容(1日何時間働くか、休憩・休日は、就業規則1.jpg
    など)をそれぞれの労働者と個別に契約することは、
    事務作業が膨大となり困難であることから、労働者
    が就業上遵守すべき規則、労働条件に関する具体
    細目 を定めることとしているのが通常です。

    これが就業規則であり、法律上は、常時10人以上の
    労働者を使用する会社には、就業規則の作成と届出が
    義務づけられています。

    ただ、義務だから就業規則を作成するといった考えは
    今は通用しません。

    さまざまな角度から戦略的に就業規則の作成や改定を行う必要があります。

    社会環境が激変した今、今までの内容そままだったらどうなるかは経営者、担当責任者で
    あるあなたが一番よくわかっているはずです。

    そして、「このままではまずい」と思っているはずです。

    就業規則を作成および変更する場合には、従業員の過半数を代表する者または従業員の
    過半数で組織する労働組合(以下、従業員代表)の意見書を添付したうえで、所轄の
    労働基準監督署に届出なくてはなりません。

   3.従業員への周知

    就業規則を作成および変更したら、それを従業員に周知する必要があります。

    従業員に周知していない就業規則には効力がありません。

    従業員がいつでも自由に就業規則を見ることができるよう、次の方法で周知します。

     ・常時、各事業囁の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける

     ・書面を交付する

     ・磁気テープ、磁気ディスクなどに記録し、その内容を各事業場の従業員が
      常時確認できる機器を設置する

    各事業場には最低限、就業規則を一部常備しておくか、パソコンのある環境に就業規則が
    収録された記録媒体(CD−ROMなど)を用意するようにしましょう。

   4.非正規社員用の就業規則

    パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員など、正社員以外にも従業員 がいる
    場合、非正規社員用の就業規則も必ず準備しましょう。

    正社員と非正規社員では労働条件や待遇なども異なりますが、非正規社員用の就業
    規則がない場合には、非正規社員にも正社員用の就業規則が適用されてしまいます。

  □次はあなたの会社!?

   インターネットを含めた情報媒体の多様化により、従業員個々の権利意識の高まり、情報
   収集による理論武装により、会社に権利を主張してくるのです。

   さらに、近年マスコミは、不祥事を起こした企業を取り上げ、その企業を丸裸状態にし、
   過去にさかのぼって徹底的に追求するといったありさまです。

   各監督官庁も厳格に法を適用せざるを得ない状況になってきています。

   しかし、これだけ多くの事件事故がマスコミをにぎわしているにもかかわらず、多くの経営
   者がこれらのことを「対岸の火事」と見過ごしているといった危険な状況にあります。

   しかし、中小企業経営者が「これら事件・事故は大企業の話で、うちみたいな中小企業に
   は関係ないよ」と、真剣に思っているのです。

   今までの制度をこれからも使用し続けることは、企業防衛上リスクの拡大につながるだけ
   です。

   最悪の事態に見舞われかねません。

   次の7つの質問に答えてみてください。

    ・ 各種規則・規定は本当に会社防衛も含めた内容になっていますか?

    ・ 各種規則・規定(賃金・退職金)が昔のままになっていませんか?

    ・ 管理マニュアル(苦情対応・危機・個人情報)は整備されていますか?

    ・ 各種規則・規定と会社を守るべき企業保険が連動していますか?

    ・ 規則・規定の作成が目的となり、作成物が机の引き出しに入ったまま
     ではないですか?

    ・ 作成物がきちんと機能していますか?

    ・ 作成物を機能させるため、外部専門家から定期の情報提供・アドバイスは
     ありますか?

   これらの質問は事業を運営していく上で欠かすことのできない事柄です。

   企業の抱えるリスクはますます複雑多様化し、管理しなくてはならないリスク対策も増す
   ばかりです。

   『転ばぬ先の杖』として、就業規則の作成・変更を早急に実施することは経営者である
   あなたのやるべき最優先課題です。

   就業規則を作る場合に必要な手続きは、

    (1)従業員の代表から意見を聞き、意見書を提出してもらい、この意見書を添 
      付して、会社が作成した就業規則を労働基準監督署に届け出るのです。   
       (代表社員の署名または記名と押印が必要)

      この意見書が「反対意見」や「批判的な意見」があっても労働基準監督署は「法的
      に」受け取る義務があるので、受け付けます。

      いずれにせよ意見書などがないと受付をしてくれません。

    (2)就業規則の周知については作っても、「保管場所が社長の机の中」では意
      味がありません。

      作成した就業規則は事務所に備え付け、閲覧可能な状態にします。社員に知ら
      せないとその効果が無いのです。

      したがって、就業規則が有効となるのは「労働基準監督署の受付印が押印され
      た時から」ではなく、「就業規則を社員に周知させた時から」となります。

      労働基準法では

       ○事業所に紙媒体で備え付け、誰でも閲覧できる状況にする

       ○社内のイントラネット等で誰でも閲覧できる環境にする
        (PDFなどをサーバーに保存も可)

      などが「法的に」求められています。

   中小企業では、単に義務だからといった考えで就業規則を作る経営者も多数見受けられ
   ますが、企業防衛も含めた戦略的就業規則の策定・変更が急務です。

   そして、就業規則が従業員の体系ごと(正社員、パートタイマー別)に条件が整理されてい
   ることです。


  □就業規則(社内の規定と労務問題)

   1.社員が10人以上の場合に作成

    10人という人数の基準は正社員、パートの合計(正社員4名+パート6名の場合、
    作成義務あり)。
        ※パートの場合、一定の労働時間を満たした人

    しかし、常時10人未満の事業場であっても、労使間のトラブルを防止するためには作成
    しておくのが望ましいでしょう。

    なぜなら、従業員が問題を起こした場合、あらかじめ処分内容を定義しておかなければ
    懲戒処分を下すことができないからです。

   2.員数は事業所(支店、支社、工場)単位でみる

    事業所ごとに所轄の労働基準監督署に就業規則を届け出る。

   3.変更した就業規則の効力について

    常時働く従業員が10人以上の場合、作成が義務となり、これを労働基準監督署に
    提出しなければなりません。 

  □就業規則見直し

   1.就業規則見直しの時期

    就業規則のメンテナンスは、定期的に行うの
    が理想的ですが、特に見直しが必要となるの
    が、労働関連法令の改正や新設時、新たな
    人事制度や健康管理体制の導入時、経営状
    況の変化に伴い労働条件を変更せざるをえ
    ないときなどです。

    その際に注意しなくてはならないのが、労働
    条件の不利益変更です。

    就業規則に書かれている労働条件は従業員
    に対する約束事なので、従業員にとって労働
    条件が悪くなる場合(貸金引き下げ、退職金
    制度の廃止など)には不利益変更となり、一方的に
    変更することができません。

    ただし、従業員の同意がある場合、合理的な理由がある場合には変更が可能です。

    合理的な理由かどうかは、

     (1)労働者の受ける不利益の程度

     (2)労働条件変更の必要性

     (3)変更後の内容自体の相当性

     (4)労働組合などとの交渉の状況

     (5)その他の事情を総合的に考慮したうえで判断されます。

    合理性が認められるか否かはケース・バイ・ケースなので、会社としては、いかにして
    従業員の同意を得るかに注力しましょう。

    特に貸金・退職金に関する不利益変更は、従業員の理解を得るのが難しいため、
    不利益を緩和する代替措置などを準備したうえで、会社の事情を真撃に説明し納得
    してもらうことが、後でトラブルを生じさせないポイントとなります。

   2.労働関連法令の改正・新設に注意

    近年、増加する労務トラブルや経済構造の変化、雇用の多様化や新しい働き方の登場
    などを受け、労働関連法令の改正や新設が頻繁に行われています。

    会社が守らなくてはならない労働関連法令は労働基準法を始め多岐にわたりますが、
    会社は労働関連法令の動きをしっかり押さえ、法令に違反することのないよう、就業
    規則を定期的に見直す必要があります。

   3.就業規則見直し手順

    (1)就業規則の見直し案を作成

    (2)従業員代表の意見を聴取(意見書への記入、記名押印)

    (3)就業規則変更届、変更した就業規則、意見暮を添付し、所轄の労働基準監督署
      に提出

    (4)従業員に周知

      就業規則の見直し案をみてもらい、それに対する意見を聴く従業員代表の選任は、

       ・労働基準法第41条2号に規定する管理監督者でないこと

       ・投票、挙手などの方法によって選出された者であること

      なお、従業員代表の意見を尊重する姿勢は大事ですが、その意見を取り入れるか
      どうかは会社の自由です。(同意を得たり協議を行ったりすることまでは求められて
      いません)

      貸金規定や退職金規定など、就業規則の一部を別規定にしている会社も多くみら
      れますが(その場合、就業規則において「貸金については、別に作成する貸金規定
      によって支給する」などと記載している)、就業規則に付随する規定を変更する場合
      にも、就業規則の変更と同じ手続きが必要になります。

      また、複数の事業場で共通の就業規則を使用している場合、次の要件を満たして
      いれば、本社で一括して就業規則の変更手続きを行うことができます。その場合で
      あっても、従業員代表の意見は事業場ごとに聴かなくてはなりません。

       ・事業場の数と同じ部数の就業規則を提出すること

       ・各事業場の就業規則の内容(変更前・変更後)が同一であり、その旨明記されて
       いること

       ・各事業場の従業員代表の意見書が添付されていること

       ・各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署の一覧を提出すること

   就業規則の見直しに当たっては、社会保険労務士などの専門家にも目を通してもらい、
   問題がないことを確認するのも重要です。

   就業規則のほかにも、企業と従業員の間には労働協約などのルールがあり、企業と
   従業員はこれらを誠実に順守しなければなりません。

    1.労働契約:企業と個々の従業員が交わす個別の契約

    2.就業規則:常時10人以上の従業員を雇用する企業が定める規則

    3.労働協約:企業(経営側)と労働組合が交わす契約
 
   それぞれの効力は、基本的に、

    労働契約 < 就業規則 < 労働協約 < 法令

   といった順に強くなります。

   法令の規定が最も優先されます。

   ただし、こうした効力の関係は、従業員が不利益をこうむらないよう、労働条件の最低基準
   を労基法などの法令で担保するためのものです。

   就業規則の見直しに当たっては、社会保険労務士などの専門家にも目を通してもらい、
   問題がないことを確認するのも重要です。

   □就業規則を作成、変更する場合

    (1)従業員代表や労働組合の意見を聴き、意見書を提出してもらう

    (2)労働基準監督署長への届出(就業規則(変更)届) 、改定箇所

    (3)従業員への周知(閲覧可能な状態にする)

   の3つの手続きが必要です。

   就業規則の効力は従業員に十分に伝えた日以降で、施行日として記載された日に有効
   となります。

   変更した旨を従業員に伝えるまでは効力は発生しません。

   よって、労働基準監督署に未提出(提出前)でも、従業員に周知していれば、有効であ
   るということです。

   法律で決められている就業規則の掲示方法は、(4)〜(6)のいずれかです。

    (4)常時、作業場の見やすい場所へ掲示し、または、備え付ける

    (5)書面を従業員に交付する

    (6)社内サーバー等に保存し、かつ、従業員がいつでも確認できる

   □就業規則の備え付け場所

    全ての建物(支店、作業場)に備え付けます。

    就業規則はあなたの会社を守り、従業員を守るものです。

    労働基準監督署の調査も、従業員とのトラブルの解決も就業規則が判断基準となり
    ます。

    就業規則が会社にとって不利な状況にならないようにしましょう。

    最近多発する労働問題の中でも、 以下の点に注意しましょう。

    セクハラ>  <解雇 残業

 

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コンプライアンス経営とは

        

中小企業のコンプライアンス経営とは


  今、企業経営における「コンプライアンス(compliance)の徹底」が強く求められている
  ことから、中小企業においてもコンプライアンス経営を進める企業が増えています。

  コンプライアンスとは、

  基本的解釈は「法令順守」です。

  企業活動に適用される法令を間違いなく順守することが『コンプライアンス経営』の基本
  となります。

  また、コンプライアンス経営の範囲は法令順守にとどまりません。

  法令順守を徹底するためには企業倫理の確立が必要となります。

  さらにコンプライアンス経営は、不祥事を未然に防ぐためのものでもあり、リスク管理と
  いう意味合いも持っているのです。
  
  リスク管理 

   企業の経営者がコンプライアンス経営の重要性、とりわけ社内不正を防ぐことの大切
   さをより強く意識しなければいけない時代になりました。

   中小企業においてコンプライアンス経営が、社内不正を防ぐための一つの手段として位
   置付けられる点は、大企業と変わりありません。

   さまざまなリスクコントロールを行い、それを制度として整え、マニュアル化する手法
   は、中小企業においても有効です。

   ただ、大企業と違い、経営資源に乏しい中小企業の場合、コンプライアンス経営のため
   だけに多くの人手や労力、時間をさくことはできません。

   大企業の制度をそのまま真似しても、何も実践できずに制度だけが残ってしまいかね
   ません。

   中小企業の経営者には、ただ単に法令を覚えることよりも、法令感覚として「もしかし
   たらこれは危ないかもしれない」「非常に危ないことになってしまうかもしれない」「単
   に違法というだけではなく重大な違法かもしれない」というような感覚を身に付ける
   ことです。

   こうした体制を整えるには少なからぬコストが発
   生するが、危機管理に敏感な企業は、「コンプラ
   イアンスに未対応であることこそが、企業経営の
   大きなリスクとなる」ことを理解しています。

コンプライアンス経営.jpg   企業は、顧客、取引先、従業員などと密接なつ
   ながりを持っており、それぞれの関係には法令
   など、順守すべきルールがあります。

   企業がルールを順守し、倫理を守って活動して
   いれば不祥事は起こらないはずですが、ご承知
   のように現実はそうではありません。

   「法令の存在すら知らない」「表面化しなければ
   問題ない」など、ルール順守に対する意識の希
   薄さが一連の不祥事の引き金となってしまって
   いるのです。

   企業が起こす不祥事は、時として取り返しの
   つかない結果を招き、従業員すら知らなかった、
   企業のずさんな経営体制が露呈され、社内外
   からの信頼を一瞬にして失ってしまうといった
   事例は枚挙に暇がありません。

   これからコンプライアンス経営に取り組もうとする中小企業は、

    ・企業経営者が掲げる企業倫理がすべての従業員に認知されているか

    ・自社に関連する法令は何であるか

   など、あらためて企業内部、外部の状況を確認してみる必要があります。

   こうした活動から、自社が順守すべきルールや企業としての倫理観の高さが明らかに
   なります。

   これらを知ることこそが、コンプライアンス経営の第一歩につながるのです。 

  ■企業体質の問題

   多大な悪影響の発生が明白であるにもかかわらず、企業の不祥事が続発するのは、「
   企業体質」に問題があるからです。

   例えば、

    ・オーナー企業の場合、経営者に権限が集中し誰も意見することができない

    ・利益至上主義で、従業員に過剰なセールス目標が与えられている

   などの企業では、「自分(経営者)のやり方」「企業のメンツ」「売り上げの拡大」が重
   視されがちです。

   その結果、

   企業は社会の一員として法令を順守し、倫理的な行動を取らなければならないとの意識
   が希薄になって、賞味期限の改ざんなど不祥事が発生します。

   企業が不祥事を防止するための制度を整備しても、それを実践する誠実な企業風土が
   なければ防止の効果は望めません。

   こうした問題は多くの企業が抱えるもので、逆にいえば、多くの企業が不祥事発生の
   リスクを持っていることになります。

  ■消費者から選ばれる条件

   企業の不祥事が続発する中で、消費者は不誠実な企業に厳しい目を向けています。

   その一方で、「公益性を重視した、透明で誠実な経営を行う企業」「目先の利益だけで
   はなく、従業員の生活にも配慮する企業」を高く評価しています。

   最近のキーワードは「環境」「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」などで、
   例えば、消費者はCO2削減など環境に配慮し
   た企業の商品を優先的に購入していますし、育
   児休業などワークライフバランスに配慮する
   企業に、よいイメージを持っています。

  ■コンプライアンンス経営の重要性

   例えば、消費者保護の代表的な法令である
   消費者契約法をとってみよう。

   同法を順守し、商品のメリット、デメリットを包
   み隠さず丁寧に説明する企業の姿勢は、顧
   客からの高い評価につながります。

   日ごろから法令などのルール順守を徹底する
   ことで必然的に企業内の倫理観が高まり、不
   要なトラブルに巻き込まれることも少なくなる
   でしょう。

   コンプライアンス経営を行う企業では、トラブルが発生した場合でも、営業担当者あ
   るいはクレーム処理担当者が的確かつスピーディーに対処しているのです。

   また、複雑な事案については弁護士など専門家の助力を受ける準備もされています。

   一方、消費者契約法を知っていながらもその対応をおざなりにしている企業には、
   突然のクレームが寄せられることもあります。

   コンプライアンスの徹底をおろそかにしている企業はクレーム処理の体制も未熟で
   あることが多く、取り返しのつかないレベルにまで状況を悪化させてしてしまうケース
   も少なくありません。

   消費者契約法は企業が順守すべきルールの一例にすぎない。

   ほんの出来心であったとしても、企業がルール順守を怠れば、
   それがきっかけで大きな不祥事につながることを忘れないで
   ください。


   企業間の取引に際しても、コンプライアンスに 
   積極的な企業は、そうでない企業に比べて信
   頼度が高く、新規取引や既存取引の拡大な 
   どのビジネスチャンスを獲得できる可能性が
   高まります。

   また、トラブルに巻き込まれる頻度や有事発
   生時の対処に大きな差が出ます。

  規定の整備 

   コンプライアンス経営を行う際の基本となる
   書類(規定)を整備します。

   整備する規定はさまざまですが、「コンプライ
   アンスガイドライン(企業倫理規定)」などと
   呼ばれる、コンプライアンス経営の目的や
   行動規範を定めたものが中心となります。

   ほかには、個々の業務ごとに「業務遂行マニュアル」が作成されることもあります。

   従業員の日ごろの活動の基本になるだけではなく、コンプライアンス経営を対外的に
   アピールするツールにもなります。
   
   複数の規定を整備することが難しい場合は、最低限、就業規則の服務規定に従業員の
   法令順守(具体的な不正取引、飲酒運転、セクシャルハラスメントの禁止など)を定め
   ます。

   同時に、それに違反した場合の懲戒規定も定め、「○○した場合は、○○の罰を受ける」
   ということを従業員に周知します。

   他社との差別化は決して高度なテクニックや規模、営業スキルが優れているといった
   ことではありません。  

   正しいことを決められたとおり継続実行することです。

   目先の利益も大切ですが、会社が存続していくためにはルールを守ることです。

  ■経営者のリーダーシップ

   中小企業がコンプライアンス経営を行う際は、
   経営者の強いリーダーシップが求められます。

   経営者自身が社内外での言動に留意して規範になるとともに、朝礼などの場を利用
   して、自社が社会の一員として果たす役割を伝える必要があります。

   朝礼の都度、企業理念を唱和して、組織への定着を図ります。

   また、経営者が従業員に訓示をする際は、従業員の誤解を招かないように分かりやすい
   言葉で伝えるとともに、間違った伝わり方をしていないかを定期的に確認しなければなり
   ません。

   そうでないと、経営者の言葉が歪曲されて従業員に伝わり、不祥事につながることが
   あります。

   コンプライアンス経営を実行していくためには、日々の正しい報連相と組織人としての
   基本動作(マナー・ルール)の徹底が欠かせません。

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中小企業のCSR

           

中小企業のCSR

  ■CSRの基本は「三方よし」

   東日本大震災からの復興プロセスのなかで、企業経営におけるCSRの重要性は
   ますます高まっています。

   CSRとは「corporate social responsibility」の略で、通常は「企業の社会的
   責任」と訳されます。

   言葉の響きからは難しそうな印象がありますが、その基本は近江商人の精神とし
   て伝わる「三方よし」の理念と変わりありません。

   また、CSRは大企業のみに課せられた義務ではありません。

   むしろ伸び盛りの中小企業にとって重要なテーマといえます。

   ここでは、中小企業におけるCSRの意義と経営へのいかし方について解説します。

   1.CSRの基本は「三方よし」

     「三方よし」とは、「売り手」、「買い手」、「世間」の三方を大切にすべしという、
     近江商人の精神です。

     商売では売り手(自分)の利だけではなく、買い手の利、さらには世間全般の
     利にも気を配ることが必要であるというものです。

     近江商人は諸国にまたがって活躍しましたが、地縁も血縁もない遠方の人々 
     と信頼関係を築き、末永く商売を続けるためには「三方よし」の精神が不可欠
     と考えました。

     自分たちはあくまで社会の一員であるとの認識をもち、社会全体で支え合いな
     がら、共存共栄を図ろうとしたのです。

     特に商売を売り手と買い手だけの閉じた関係ではなく、それを通じて社会全体
     とのかかわりを大切にしたところに「三方よし」の神髄があります。

     彼らは大商人に成長してから、改めて社会貢献のために「三方よし」を唱え始
     めたのではありません。

     まだ商売が小さいうちから、「三方よし」を商売拡大の秘訣として位置づけてい
     ます。

   2.CSRの4つのレベル

     CSRとは「自社の利益を追求するだけではなく、社会の一員としてのルールを
     守り、さらには広く社会に貢献していこう」というものであり、「三方よし」の精神
     をより現代的に実践するための考え方であるといってよいでしょう。

     CSRで企業に求められている社会的責任は、「法的責任」、「経済的責任」、
     「倫理的責任」、「社会貢献的責任」の4つのレベルで考えることができます。

     これらには優先頓位があり、たとえば、もっとも基本的な責任である「法的責
     任」の遂行なしには、その上位にある「経済的責任」、「倫理的責任」などの遂
     行は意味をなしません。

     (1)法的責任

       「法的責任」とは、企業が活動していくうえで守るべき法律を遵守するという
       ことです。

       企業を取り巻く法律としては、「会社法」、「商法」、「法人税法」、「労働基準
       法」といったすべての会社に共通の法律のほか、業界ごとに定められてい
       る、「特定商取引法」、「建築基準法」、「製造物責任法(PL法)」、「食品衛
       生法」などの法律があります。

       また、地域ごとに定められている条例もあります。

       これらのルールを遵守することは「社会の公器」たる企業にとって最低限の
       責務です。

     (2)経済的責任

       経済的責任とは、活動を通じて経済的利益を確保し分配するということです。

       それによって株主に対しての「配当」、従業員に対しての「賃金」、国や地域
       に対する「税金」、取引先への「支払い」などが可能になります。

     (3)倫理的責任

       倫理的責任とは、法的責任を果たしたうえで、さらに自主的な規制などを通
       じて、自社事業に対する社会の共感を得るということです。

       たとえば、環境対策として自社商品のリサイクル運動を行ったり、顧客満足
       度向上のための相談センターを設けるなどの活動がこれに該当します。

     (4)社会貢献的責任

       社会貢献的責任とは、企業本来の業務と直接関係のない分野(倫理的責
       任がおよばない分野)においても、公益増進のために貢献していくというこ
       とです。

       たとえば、地域の抱える諸問題解決への支援、文化芸術活動への支援、
       障害者の積極雇用などがこれに該当します。

       今日まで日本各地で震災や風水災復興のために、全国のさまざまな業種
       の企業から寄付やボランティア派遣などが行われています。

   3.CSRの対象

     CSRは誰に対して責任を果たすのかという「対象」で分類することもできます。

     対象となるのは企業がかかわるすべてのステークホルダー(利害関係者)です。

     企業とステークホルダーの関係は一方通行ではなく、互いに影響を与え合う
     相互性をもっています。

     そして、ステークホルダーから好意的な認識や行動を得るためには、まずは企
     業側からそれぞれのステークホルダーに対してアプローチして、自らの責任を
     果たしていく必要があります。

     たとえば、良質の商品を提供するのは「顧客」に対する責任、貸金を払うのは
     「従業員」に対する責任、配当は「株主」に対する責任ということになります。

     さまざまな責任をより高いレベルで果たすことで、それぞれのステークホル
     ダーの満足度向上につながります。

   4.CSRマトリクス

     ここまでCSRのレベルと対象について紹介してきましたが、両者を組み合わせ
     ることで、CSRをより具体的に考えるためのマトリクスを作成することができます。

     図はCSRマトリクス例(食品メーカー)です。

     たとえば、顧客に対する責任を軸に考えると、絶対に果たすべき法的責任とし
     て、「食品衛生法等の法令遵守」などがあげられます。

     また、経済的責任として「適正価格」の維持も不可欠です。

     さらには倫理的責任として「工場の環境負荷低減」を行うことで、企業姿勢に
     対しての理解を深めることができます。

     加えて、社会貢献的責任として経済的に修学困難な学生に対する「奨学資金
     の提供」なども考えられるでしょう。

     同様に従業員や株主などに対する責任についても、マトリクスに沿って段階的
     かつ具体的に検討することができます。

  □CSR堆進による効果

   1.「欠かせない企業」としての地位確立

     企業がCSR活動に取り組む最終的な目的は、ステークホルダーから「敬愛す
     べきパートナー」として認めてもらうことにあります。

     「財務状態がよい」、「技術力が高い」といった一面的な評価の枠を超えて、す
     べてのステークホルダーにとって「欠かせない企業」としての地位の確立をめ
     ざします。

     このような状態が実現すれば、自社を中心とした、強固な信頼関係の輪が構
     築され、ステークホルダー全体が互いに好影響を与えながら発展することがで
     きるのです。

   2.各ステークホルダーとの信頼関係構築による効果

     それぞれのステークホルダーと信頼関係を構築することで、次のような効果が
     期待できます。

     (1)顧客

       ・愛着心をもって自社商品を購入し続けてくれる。競合他社へ離反しない

       ・自社商品改善についてのアイデアを提供してくれる

     (2)従業員

       ・自社および自社事業に対してプライドをもてる

       ・従業員満足度が上がり、やる気や生産性が高まる

     (3)株主

       ・会社の経営方針や運営手法への理解が深まる

       ・増資などの資金調達が行いやすくなる

     (4)仕入先

       ・長期的・安定的な仕入れが可能になる

       ・品質向上やコストダウン要請などに応じてくれやすくなる

     (5)地域社会

       ・地域共生企業として住民から愛される企業になる

       ・自社入社を希望する地元人材が増加する

     (6)社会全般

       ・CSRに熱心な企業としての知名度やブランド力が高まる

       ・潜在的な見込み客の増加が期待できる

  □進め方とポイント

   CSR経営を本格的に進めていくためには、社長自身がその概要と重要性を認識
   し、自ら陣頭指揮を執る必要があります。

   具体的には役員などからCSR推進に関する実務責任者を選任し、次のような手
   順で進めていくとよいでしょう。

   1.現状分析

     まずは現時点での自社のCSR経営の状況を確認します。

     なかでもCSRの土台となる「法的責任」については、詳細な確認が必要です。

     (1)会社全体と社員の意識

       「会社全体としてCSRにどの程度取り組んでいるか」、「社員がCSRの考え
       方やその重要性についてどの程度理解しているか」、「日々の業務のなか
       でCSRを意識した行動を取っているか」、などについて確認します。

       通常は会社全体のなかでも温度差がありますので、役職別や部署別など
       のグループごとに確認することも必要です。

     (2)「法的責任」の遂行状況

       「事業を行ううえで遵守すべき法律をすべて把握しているか」、「法律遵守
       に向けた取り組みは万全か」などを確認します。

       特に環境に関する法律については頻繁に改正されており、また、適用範囲
       もすでに大企業から中小企業に広がっています。

       必ず最新の情報を入手するようにしましょう。

     (3)現状のCSRマトリクス作成

       最初に紹介(CSRの基本は「三方よし」)したCSRマトリクスを自社の現状
       に合わせて作成します。

       「現状でできていること」、「やりたいと思っているができていないこと」などを
       整理します。

       顧客や地域社会からの満足度調査を行うなど、客観的な視点をもたせるこ
       とも大切です。

   2.CSRビジョンの策定と教育

     現状分析、自社の事業内容、経営理念、経営環境などを総合的に分析し、自
     社にとってのCSRのあるべき姿(CSRビジョン)を明らかにします。

     同時に一般的なCSRの考え方や、自社のビジョンに関する教育を行います。

     (1)CSRビジョン策定

       自社が中長期的にどのようなCSR活動を行うかという「方針」と、結果とし
       てどのような存在として認められたいかという「ゴール」を明らかにします。

       最終的にめざすべき姿だけではなく、1年後、3年後、5年後など期限ごと
       のマイルストーンも設定します。

       なお、CSR活動は必ずしも全方位的に進める必要はありません。

       たとえば、「自社はまず顧客に対する責任遂行に重点をおく」といったスタ
       ンスでも全く構いません。

     (2)CSRマトリクス評価表作成

       CSRビジョンをさらに具体化するために、CSRマトリクスの評価表を作成し
       ます。

       現状とめざすべき姿を比較することでどの部分を強化したいかがわかりや
       すくなります。

     (3)従業員への教育

       従業員に対して山般的なCSRの考え方や、自社のCSRビジョンに関する
       教育を行います。

       たんに知識として教え込むだけではなく、意識改革・行動改革につながるレ
       ベルにまで浸透させる必要があります。

       特に管理職については、CSRを意識したマネジメントスタイルを徹底させる
       ことが大切です。

   3.個別計画の策定

     CSRビジョン実現のための個別計画を策定します。

     少なくともCSRマトリクスで「×→△」、「△→○」のように、より上位をめざすと
     決めた部分については個別計画が必要になります。

     たとえば、「顧客に対する経済的責任」をより高いレベルで果たすためには、
     「生産効率向上による価格引き下げ」などの施策が必要になるでしょう。

     これらの施策について「いつまでに」、「誰が」、「どのように」行うのかなどにつ
     いて具体的な計画を策定します。

     また、計画が達成されたかどうかを判断するための数値目標設定も必要です。

   4.実施と進捗管理・評価・改善

     個別計画に沿った施策を実施し、定期的に進捗状況を評価します。

     評価を行う際には「何となく顧客の満足度が上がった」というあいまいなもので
     はなく、「満足度アンケート向上目標10ポイントに対して実績12ポイント、よっ
     て120%達成」というように客観的かつ定量的に行うようにします。

     また、未達成の場合はその要因を探り、次の施策につなげます。

     このようにCSR推進については、「計画(plan)」→「実行(do)」→「評価
     (check)」→「改善(action)」のマネジメントサイクルを確実に回していくこと
     が大切です。

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