製品の付加価値を高め値崩れを防止

製品の付加価値を高め値崩れを防止

製品市場のライフサイクル 
 製品の生産量、利益の流れを示すライフサイクルは次のような図で表せます。
 このグラフのように製品市場は開発 → 導入 → 成長 → 成熟 → 衰退という
 推移をします。 

 まず、製品の販売開始が導入期の始まりとなります。
 この時期は、今後の需要の増加に備えて生産拡大のための設備資金、製品の認知度を高める
 ための広告宣伝費などの資金のねん出が必要になり、利益が出にくい状況にあります。

 価格に関しては、他社の製品と比べ付加価値の高い商品であれば高めの価格を設定できます。 
 そして成長期になると、需要の高まりが大きくなり、市場規模は大きく拡大していきます。

 それによって、競合他社の市場への新規参入が続き、競争が激しくなります。
 この段階では高いシェアの確保が重要になります。

 競合他社は「同じ性能でより安い価格のものを販売」してきますので、もし製品の付加価値
 が他社よりも優れていない場合は、価格の見直しや、製品に付加価値を与えることが重要と
 なります。 

 成熟期の段階では、企業収益は市場占有率の優劣によって格差が生まれます。
 競合他社の製品との差異化を図るのが難しい製品では、価格が売り上げを左右することに
 なり、価格競争が激しくなります。 

 最後に製品市場の衰退期に入ると、市場からの撤退企業が増えてきます。
 また、残った企業は内部の徹底した合理化が必要になってきます。 
 ただし、製品のライフサイクルにあてはまらないケースもあります。

 長い時間をかけて売り上げを伸ばすとともに衰退期を迎えない、いわゆる「定番」などと
 いわれる製品や、導入期でいきなり急成長し、すぐに衰退期に突入してしまう一過性の製品
 などです。

□値崩れ防止のための施策
 1.製品の分析 
  製品の販売戦略を立てるに当たっては、前ページのような製品市場のライフサイクルが
  重要となります。
  生活必需品などは代替品が出現しない限り製品市場のライフサイクルは長くなります。

  一方、家電製品やファッション衣服、自動車などでは買い替え需要を喚起させるために
  意図的にライフサイクルが短くなるように販売戦略が練られます。 
  ライフサイクルのポジションによっては価格を下げざるを得ないこともあります。

  まずは自社および競合他社の製品を分析し、現状の価格が適正なのか、製品市場で受け入れ
  られる価格設定なのかをきちんと把握することが重要となります。 
  しかし、特に製品市場の成長期においては競合他社の参入は避けることはできません。

  そのため製品の付加価値を高めたり、製造工程の見直しによる価格改定などの努力を行って
  自社製品のシェアをアップさせていく必要があります。 
  もっともどんなに努力しても他社が類似商品を安価で市場に導入してきた場合、値崩れは
  起こります。

  それを防ぐことは難しいかもしれませんが、自社製品の付加価値とシェアが高い場合は、
  ある程度の値崩れの防止が可能でしょう。

 2.付加価値を高める戦略 
  製品の付加価値を高めるにはさまざまな方法が考えられますが、一般的に行われる戦略
  としては、「ブランド力の強化」と「流通チャネルの見直し」でしょう。

  まず、ブランド力の強化に関しては、例えば、SONYの「VAIO」に代表されるように、
  デザインや機能に力を入れて、「たとえ高くても○○がいい」と消費者に認知されるように
  アピールしていくことが重要となります。

  もっとも「高くても売れる」製品にするためには、競合他社の製品よりも機能やデザイン
  において優れていなければ難しくなります。
  特にパソコン市場や自動車市場においては次々と新製品が開発されていますので、頻繁な
  マイナーチェンジ、フルモデルチェンジを繰り返して値崩れの防止を図っています。

  これは、どんな製品にもいえることです。
  「パッケージを変える」「いままでオプションだった部品を標準装備にして新製品にする」
  「製品のデザインを変える」「複数のカラーを用意する」「有名デザイナーやキャラクター
  ライセンスを起用する」「付録をつける」など、製品の性能そのものではなく外観や
  パッケージなどを目新しくする方法や、「バッテリーの持続時間を長くする」「小型化・
  軽量化する」「処理能力を上げる」「耐久性を強くする」といった機能そのものを見直す
  ことによって製品の付加価値を高める努力が必要になります。 

  そのためには、自社製品の分析を自社内だけで行うのではなく、消費者の意見を聞く
  「消費者モニター」制度も有効です。
  競合他社の製品も含め複数の商品を並べ、その機能、使いやすさ、デザインの良さなどの
  分析を行います。

 3.製造工程の見直し 
  例えば、売価1万円の製品で原価が3000円、加工費が3000円かかっており、 8000円
  で問屋に卸していた場合、利益は2000円となります。 
  ライフサイクルが成長期であればそれでも賄えますが、成熟期に入ると競合他社との
  価格競争が始まります。 

  価格競争のために問屋に卸す価格を1000円引いたのでは、単に利益が1000円減る
  だけです。
  材料の仕入れの見直し、加工方法の合理化を図り、製造コストを下げることによって、
  従来と同じ利益がでるように努力していくことが大切となります。

  そのためには、製品自体のデザインを変更したり、あまり使われない機能を省略する
  など、徹底した製造コストの削減が望まれます。

 4.「数量限定」「記念モデル」 
  数量を限定して、消費者の購買意欲を誘うことも戦略としてはよく行われています。
  数量限定のため卸値も高く、消費者への販売価格も高くなります。
  また、「20●●年モデル」「特別カラーバージョン」といった記念モデルを販売することも
  有効でしょう。

  このような数量の限定や記念モデルを販売するメリットは、限定ゆえに卸値や販売価格
  を高く設定することができるため、販売数量が少なくても利益が増える、という点です。

  例えば、消費者への販売価格が1万円の製品で、1個当たりの利益が1000円の場合、
  10万個売っても利益は1億円ですが、販売価格が1万2000円の製品で、1個当たりの
  利益が3000円の場合、半分の5000個を販売できれば1億5000万円の利益となります。

 5.バックマージンの工夫 
  通常、 1000個以上仕入れた場合は仕入れ率を10%減、1万個以上仕入れた場合は
  仕入れ率を20%減といった、仕入れの個数によって割引率を変える取引がなされて
  いますが、これでは販売価格の値崩れを招きます。

  例えば同じ製品をA社には5000円で卸し、B社には7000円で卸していた場合、A社は
  セール品と称してB社への卸価格よりも安い価格で販売してしまうことも考えられます。 
  そういったことを防ぐためには、数量による仕入率の割り引きをなくしてしまうのが
  一番ですが、自社の売り上げを考慮するとなかなかできるものでもありません。 

  そこで、仕入時は数量に関係なく一律とし、完売した後にバックマージンとして「販促
  協力費」「広告宣伝協力費」などの名目で販売店の利益を上げる方法があります。 
  この方法であれば仕入れ価格は一定のため、販売価格も必然的に安定します。

  もっとも、そのバックマージンを見越して「安売り」を行ってしまう危惧はあります。
  販売店との力関係にもよりますが、本当に売れる製品であれば値崩れは防止できる
  でしょう。

□製品管理の見直し
 1.どの製品に重点をおくのか 
  いくら売れ筋製品だからといっても、実は管理費の占める割合が高くて1個当たりの
  利益が非常に少ないA製品もあれば、A製品の10分の1しか売れないが、管理費などの
  占める割合が低いため、利益は10倍あるというB製品もあるでしょう。

  このような場合、B製品の販売個数を伸ばす努力が必要なのはいうまでもありません。 
  複数の製品を販売している企業の場合、どの製品の開発に力を入れて、どの製品の販売を
  やめるのかという見極めが難しくなります。

  どの製品が利益を生み、どの製品の開発へ利益を回すのかなどを考える必要があり、
  製品管理が非常に大切になるのです。

 2.PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント) 
  ここでは、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の手法を紹介します。
  まず、自社製品の製品市場でのシェアと成長率をそれぞれ分析し、その結果によって、
  4つのグループに分けます。

  <PPMによる製品分析
   マーケティングシェアが高く、成長率も高い製品は「花形製品」となります。
   花形製品は将来性がある主力製品です。
   市場の拡大にともない、シェアを維持するための投資額も必要となりますが、
   利益もかなり期待できます。 

   「金のなる木」は、市場でのシェアは高いが、成長率の低い製品です。
   成長率が低いということはシェアの変動も小さいので、何もしなくても勝手に
   売れます。

   シェアの拡大や維持のための投資額があまり必要でないため、「金のなる木」で
   得た利益はほかの製品の開発費に当てられます。 
   「問題児」は市場でのシェアは低いものの、市場自体の成長率は高い製品です。 

   「負け犬」は市場でのシェアも低く、成長率も低いという、このまま販売を続け
   ても意味のない製品です。
   よほどの見込みがない限り見切りをつけて販売を中止したほうが得策と思われます。 

   この分析の結果、「問題児」をどう「花形製品」に育て、将来的に「金のなる木」
   にするのかが重要であることが分かります。
   「金のなる木」で得た利益は積極的に「問題児」を「花形製品」に育成するための
   開発やシェア拡大のための費用に回すことが望まれます。

   もっともどんな製品にもライフサイクルがあり、成熟期のあとには必ず衰退期が
   あります。
   「花形製品」が知らないうちに「負け犬」になるということも考えられます。
   利益を確保した後は、撤退する時期を間違えないようにすることが重要でしょう。
 

工業所有権

工業所有権
 

  ■工業所有権の体系

   知的創造活動から生じるもので、財産的価値をもつもの(小説、美術、音楽、デザイン、
   発明、考案等)を「知的財産」といいます。

   このような知的財産に関する権利を「知的所有権(知的財産権)」と呼んでいます。

   知的所有権は、大きく「著作権」と「工業所有権」に区分され、いくつかの法律によって
   保護されています。

   このうち、工業所有権は、産業上利用できる商品やサービスに関する、発明やアイデア
   (特許権および実用新案権)、デザイン(意匠権)、名称(商標権)などの生産・使用・
   譲渡などを専有する権利です。

 

   <知的所有権を保護する法律の概要図
 

  □特許

    特許とは、技術社会に貢献し、産業上利用しうる新規の発明を公開する
    人に、公開の対価として期間を限定して排他的独占権を与えるものです。

   この排他的独占権を特許権といい、特許法によって保護されます。

   1.特許の対象

    特許権は、発明に対して与えられるものです。

    発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると定義されています。

    また発明が特許として認められるかどうかは、その発明の「新規性」および「進歩性」
    にかかっています。

    新規性とは、特許を受けようとする発明が特許出願前に公知でないことを指します。

    特許出願以前に「公然と知られた発明」「公然実施された発明」「刊行物・インター
    ネットにおいて公開された発明」であれば、新規性は否定されます。

    また進歩性とは、一般の者(いわゆる「素人」)はもちろん、「当業者」(その発明の
    属する分野における通常の知識を有する「専門家」)でさえ先行事例から容易に思い
    つくことが出来ないレベルのものという意味になります。

    さらに、特許の対象は、「産業上利用しうる発明」、つまり物の生産に直接関係のある
    発明と考えられます。

    そのため、電気をつくる方法や物を測定する方法は、特許の対象になりますが、
    たとえば医者が優れた手術方法を考え出したとしても、それは物の生産には関係が
    なく、産業上利用できませんので、特許の対象にはなりません。

   2.ビジネスモデル特許

    ソフトウエア等に関しては、インターネットを介したプログラムの販売・流通が拡大して
    きたことにより、これまでも保護対象として特許法に明記されていました。

    さらに、コンピューター技術や通信技術などの進歩、インターネット利用人口の急増
    等を背景に、ソフトウエアそのものではなく、ビジネスモデルやビジネスアイデアの
    部分に特徴があるものにまで特許の対象が広がり(ビジネスモデル特許)、一時期は
    大きな注目を集めました。

    出願のブームは去りましたが、それまで特許とは緑の薄かった商業やサービス業
    でも出願しやすい特許として利用されています。

   3.特許の効果

    特許権が得られれば、特許出願後20年間は排他的独占権を得ることができます。

    したがって、

     その技術を他者に利用させるかどうか、使用料(ロイヤルティー)を
     いくらにするかなど、特許権を持つ者にすべての事項を決定する権利が
     あります。

    つまり、特許権を得ることができれば、その市場の独占が可能となります。

    一見、技術の進歩の妨げとなるようにも思えますが、このような強い権利を認めない
    場合、発明者は、当然その技術を隠すことで独占的利益を得ようとするでしょう。

    そうなれば、発明が公表されず、かえって進歩の妨げとなってしまいます。

    特許とは、公表により技術進歩に貞献した見返りとして与えられる権利なのです。

    また、

     特許権は、譲渡や相続により他人に移転することも可能です。

   4.迅速な出願が重要

    したがって、特許の権利そのものを売ることも可能です。

    日本の特許制度は先願主義ですから、同じ発明であっても先に出願した発明のみが
    特許となり、後に出願した発明は特許になりません。

    特許に値すると思われる発明をした場合には、一刻も早く出願手続きを行うことが
    重要です。

  □実用新案

   実用新案は、特許とまではいかないまでも、ある程度の創造性がある発明(ミニ発明)
   に対して認められる権利です。

    実用新案が特許と異なる点は、物品のみを対象としているということ

   です。

   したがって、「方法」についての発明は対象になりません。

   権利の保護期間は特許が出願から20年なのに対して、実用新案は出願から10年と
   短くなっています。

   期間は短いのですが、特許より権利化しやすいため中小企業の技術戦略としてよく
   利用されているようです。

   特許は権利の安定性重視の観点から審査主義(出願が新規性・進歩性を有するかに
   ついての審査である「実体審査」を含め、その出願が権利を受けるのに必要な要件の
   すべてを備えているかを審査する主義)を採用しているのに対して、実用新案では
   早期登録の観点から、無審査主義(その出願が権利を受けるのに必要な要件のうち、
   比較的簡単にできる形式的な要件のみを審査する形式審査)を採用しています。

  □意匠・商標

   1.意匠とは

    意匠とは、デザインと同義語です。

    意匠法では、

     意匠とは物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩
     またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの、
     と定められています。

    したがって、見る者の「美観」に訴えるもので、かつ「物品」や「物品の部分」でなければ
    なりません。

    物品の部分とは、たとえばペンのキャップ、携帯電話のアンテナなどが考えられます。

    意匠権は、意匠的創作を奨励することによって、意匠が産業社会に寄与することを
    目的としています。

    出願により、産業界の意匠が豊富になるという社会的な寄与に対しての対価として
    与えられる独占権です。

    意匠は登録されれば、登録の日から15年間の独占権が認められます。

    したがってありきたりの意匠では登録されません。

    登録意匠は「新規性」と「創作性」を兼ね備えていなければならないのです。

    つまり、意匠が何らかの特色を持ち、業界の平均的能力をこえた「創作」でなければ
    ならないということです。

    さらに、

     意匠とは工業上利用できるものでなければなりません。

    自動車・テレビ・電話機というような物品およびその一部分に工業的な方法で実施
    できるデザインに認められる権利ということになります。

    また、ネジのような部品にも意匠権は成立します。

    しかし、彫刻や美術品などの工業品でない芸術作品は、意匠権ではなく、著作権で
    保護されることになります。

   2.意匠権と著作権の違い

    彫刻品を家庭用品に応用したものなど、美術品と工業製品のどちらともとれるものが
    あります。

    このようなものは、意匠権と著作権の両方が成立します。

    それでは、この2つの権利にはどのような違いがあるのでしょうか。

    著作権は、保護期間が70年と長いのですが、排他権のみで独占権が与えられて
    いません。

    この意味するところは、ある製品が存在し、その存在を全く知らない第三者が、それ
    と同一・類似の意匠の製品を販売したとします。

     意匠権は登録されていれば「同じものがあったとは知らなかった」という
     ことは通用せず、意匠権の侵害になります。
     しかし、著作権の場合は、知らずに同一のものができたのであれば
     著作権侵害は成立しません。

    意匠権は偶然に一致した類似物に対しても効果があることが大きな特徴です。

   3.商標とは

    商標とは、ブランド(標章)のことです。

    日本の商標法では、

     商標とは、文字・図形・記号や立体的形状、もしくはこれらの組み合わせ、
     またはこれらと色彩との組み合わせ、と定められています。

    商標は「平面的標章」ばかりではなく、「立体的な標章」も商標と認められています。

     商標権とは、特許庁に一定の商品・役務を指定して商標登録を受けると、
     その指定商品または指定役務について、登録の日から10年間、
     その登録商標に独占使用権が与えられる権利

    です。

     商標が特許・実用新案と異なるのは、10年ごとに期間の更新延長が可能
     であることです。

    したがって、更新手続きをとることさえ忘れなければ、商標権は半永久的に独占
    できます。

    商標権は同様な他社の商品や役務(サービス)との識別力を保護することを目的と
    しています。

    商標登録をすれば、その文字が独占できるのではなく、登録時に「指定した商品
    または役務との結びつき」についてのみ独占権が与えられ保護されます。

    なお、商標は商品等の有体物に付されることを前提に考えられてきましたが、ネット
    ビジネスの増大にともない、パソコンや携帯電話の画面上で表示される商標も保護
    されることになりました。

   4.商標登録できないもの

    商標登録は、特許・実用新案でいう「新規性」「進歩性」、意匠権でいう「新規性」や
    「創作」であることを必要としていません。

    つまり、何も「新しい言葉」や「目新しい図形」である必要はありません。

    しかし、どのようなものでも登録できるというわけでもありません。

     商標の目的は「識別力」にあるので、識別力のない文字・図形は登録できません。

    たとえば、「A」などのローマ字1文字だけでは、それを商品につけても「他と識別する
    力はない」とされます。

    それでは何文字から識別力があるのでしょうか。

    これは、見解の分かれるところですが、現在、特許庁では、ローマ字3文字以上と
    しているようです。

    ただし、ローマ字2文字でも「GM」(ゼネラル・モーターズ)「GE」(ゼネラル・エレ
    クトリック)などは永年使用していることにより「識別力」(永年使用による特別顕著性)
    があるとされ、商標として認められています。

    また、

     自己の業務に係わる商品または役務について使用する可能性や
     意思がない商標は、登録することができないので留意が必要です。

    その他にも、消費者等の間によく知られた他人の未登録の商標やこれに類似した
    もの、国旗等についても登録できません。

  □その他の工業所有権

    不正競争防止法などで

     ・商号

     ・周知商標

     ・商品形態

    などが保護されています。

   これらは、それぞれの法の趣旨に基づいて、意匠・商標以外でも、「競合他社が類似
   商品や商号を消費者・利用者が間違えやすいように使用した場合」に適用するもの
   です。

   考え方の基本は意匠・商標と同じですが、登録で認められるものではなく、通常の
   企業活動からその企業の特質として広く認められた標示や物品・デザインであり、
   それを利用されることによって損害を受けた場合に主張できる権利といえます。

   法律にはその内容により、さまざまな特別や例外や頻繁な改正等があります。

   したがって、個別の事例については、弁理士などの専門家にご相談ください。
 

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原価管理の基本的な考え方

原価管理の基本的な考え方
 

  ■原価管理とは

   「原価管理」とは、広義では、「利益を増加させ、企業を安定的に発展させていくような
   原価引き下げ活動(目標設定、計画策定、統制)のすべて」を意味します。

   この「広義の原価管理」は次の2つの段階に分類することができます。

   (1)原価目標の設定・計画の策定(コストプランニング)

    原価引き下げの目標を設定し、その実施のための計画を策定するという段階です。

    単に「原価計画」ともいいます。

   (2)原価統制(コストコントロール)

    計画したとおりの原価で製品ができるよう、日常の生産・製造活動を統制する段階
    です。

    具体的には、まず、製造部門別・製品別の原価計画と実際の原価を比較して、原価
    計画の達成度を分析します。

    そして比較の結果、差異が発見された場合は、原因を探し出して、改善策を検討
    します。

    上記のうち、(2)の「原価統制」を「狭義の原価管理」といいます。

    ここでは、この「狭義の原価管理」の概要を説明します。

  原価管理(原価統制)の手順

   原価管理における費用の概念は、原価の構成体系に基づいています。

   この体系では製造原価は「材料費」「労務費」「経費」で構成され、それぞれ製品1単位
   についてかかった金額が明確な「製造直接費」と、明確でない「製造間接費」に分類
   されます。

   原価管理においては、まずこれらの金額を明確に算出して、それを製造部門別・
   製品別に割り振って、製品1単位当たりの原価を算出します。

   ここまでの手順を「原価計算」といいます。

   そして、算出された単価(実際原価)を計画値(標準原価)と比較してその違いを分析
   するという手順を踏みます。

   一般的に、原価計算期間は1カ月となっています。

   標準原価は、過去の実際原価や原価計算期間の受注予測を考慮して、適切な備に
   決定します。

  □原価計算の方法

   原価計算は、実際原価・標準原価ともに、

    1.費目別原価計算

    2.部門別原価計算

    3.製品別原価計算

   といった手順で行なわれます。

   ここでは、その具体的な方法についてみていきます。

   1.費目別原価計算

    まず、会社の費用を原価計算に使う費用と使わない費用に大きく分けます。

    原価管理では製造原価を利用するため、販売費や一般管理費は原価計算には
    使いません。

    そのほか、次のようなものも原価には含みません。

     ・製品の製造に関連しない費用(投資目的の不動産の減価償却費、寄付金等)

     ・火災・風水害等による損失

     ・法人税・所得税・地方税

     ・配当金・役員賞与等

    原価計算に必要な費用は以下のものになります。

    <製造直接費>

     直接材料費
        …主材料費、買入部品費等
        消費量×購入価格で計算する

     直接労務費
       …直接工の賃金
        作業時間(または作業量)×賃率で計算する

     直接経費
       …外注加工費等
        原則として、発生額で計算する

    <製造間接費>

     間接材料費
       …燃料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費等
         原則として、原価計算期間の消費額で計算する

     間接労務費
       …間接工の賃金、健康保険料の事業主負担分等
        原則として、原価計算期間の要支払額で計算する

     間接経費
       …減価償却費、賃借料、電力・水道使用料等
        原則として、発生額で計算する

   2.部門別原価計算

    原価管理を行なうためには、どの部門の効率が悪いのかを明らかにして適切な
    処置をとっていくことが望まれます。

    そのためには、費目別に計算した原価を製造部門ごとに振り分けて集計し、各部門
    で発生した原価は、その部門の担当者が責任を持って管理するという仕組みを
    つくることが必要です。

    なお、費目別に明らかになった製造間接費を部門別に配賦・集計する際には、
    製造間接費の費目ごとに「配賦基準」を設けて各部門に割り振ります。

    たとえば、建物の減価償却費や固定資産税は各部門の占有面積、間接材料費は
    各部門で使用する直接材料費など、原価の発生ともっとも関係のあるものを配賦
    基準にして、その割合に応じて名間接費を各部門に割り振ります。

   3.製品別原価計算

    企業では製品の価格設定や市場からの撤退等の意思決定をするために、製品別の
    原価計算も必要です。

    製品別原価計算では、部門別に集計した原価を、各製品の製造にかかった作業
    時間等を配賦基準にして、製品別に割り振って集計します。

    そして製品別に集計された原価を生産量で除して1単位当たりの製品単価を算定
    します。

  □差異を分析する

   以上のような手順で製品1単位当たりの単価が算定されると、それにかかる直接
   材料費(単価・消費量)や直接労務費(賃率・作業時間)等が明らかになります。

   この実績値や需要の見通しなどから、特定の原価計算期間における原価の計画値
   (標準原価)を決定します。

   そして、原価計算期間終了後、実際原価を算出して、標準原価との差異を分析します。

   発生したおもな差異の種類には、次のようなものがあげられます。

    <直接材料責>

     価格差異:    見込価格と実際の価格が異なったことから生じた差異
     消費量差異:  実際の消費量が見込みと異なったことから生じた差異

    <直接労務費>

     賃率差異:    見込賃率と実際賃率が異なったことから生じた差異
     作業時間差異: 実際の作業時間が見込みと異なったことから生じた差異

     差異が特定されたら、その原因を探求します。

     たとえば、消費量差異や作業時間差異の原因としては次のようなものが考え
     られます。

    <消費量差異の原因>

     ・製品の仕様、製造工程、方法が変更された
     ・規格外の原材料を使用した
     ・原材料の歩留まりや仕損の発生度が変わった
     ・原材料の減損、盗難が生じた

    <作業時間差異の原因>

     ・作業員の作業能率が変化した
     ・機械や装置が故障した
     ・作業員の交代や異動が行なわれた
     ・作業条件や環境が変化した

   このようにして考えられる原因を検討した後、明らかになった事項は、管理可能な 
   ものと管理不可能なものに振り分け、差異が生じた責任の所在を明らかにし、そ
   れぞれの管理者に適切な処置をとるように指示します。

 

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商品の活性化

商品の活性化


  ■既存の商品構成を確認する

   商品活性化とは、個々の商品や商品構成を見直し、さらに今後必要とされる新規商品を継続的に
   開発して、自社の商品群をつねに「売れやすい魅力的な状態」にしておくことです。

   ここでは、自社の商品活性化の手順やポイントについて解説します。

  1.商品構成分析のための2つの手法

   (1)ABC分析

     まずは自社の売上がおもにどの商品によってもたらされているのかを確認します。

     そのためには「ABC分析」といわれる手法を使うと便利です。

     自社商品のなかで売上高の高い商品から順に並べて、「売上高」、「シェア」、「累計シェア」を
     計算していきます。

     そして、累計シェアをみながらA・B・Cのランク付けを行います。

     たとえば、累計シェアで上位50%までを構成している商品をA、それ以下で上位80%までの
     商品をB、それ以外をCとします。

     ABC分析を行うと、自社の取り扱っている多数の商品のなかでもごく少数の売れ筋商品が
     経営の屋台骨を支えていることがわかります。

     逆に「ランクC」の商品は、売上にほとんど貢献していないばかりか、商品の在庫管理や
     生産体制の維持などに大きな手間と費用がかかっていることになります。

     商品の改良や販促の見直しなどによって「ランクA」、「ランクB」に育てることを検討する
     とともに、その可能性が低ければ思い切って生産中止にする判断も必要です。

   (2)プロダクトライフサイクル分析

     次にすべての商品を商品寿命のステージごとに分類します。

     新商品を市場に投入してから売れなくなるまでの推移をプロダクトライフサイクルと呼び、
     一般に「研究開発期」、「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」の順に推移します。

   ①研究開発期

    商品発売前の企画・設計段階です。
    市場調査費用や開発費用などの先行投資が必要であり、
    利益はマイナスになります。

    【活性化のポイント】

     ・商品化時期の明確化・早期化
     ・開発に向けた進捗管理の緻密化
     ・ライフサイクルを通じた収益見込みの明確化
     ・やむを得ない場合には開発中止の早期・合理的な判断

   ②導入期

    商品の販売を開始した直後の段階です。
    実際に商品を手に取ってもらうための販路開拓や販促活動が不可欠です。
    少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。
    また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。
    新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在
    しません。

    【活性化のポイント】

     ・認知度の向上に向けたPR
     ・適切な販路の開拓と管理
     ・初期クレームの撲滅
     ・利用者へのアンケートを踏まえた商品や販路の微調整
     ・成長期の販売予測数を踏まえた量産体制の明確化

   ③成長期

    新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。
    利益も徐々に大きくなっていきます。
    ライバル企業が参入を始める時期であり、差別化を打ち出した販促活動が
    必要です。

    【活性化のポイント】

     ・大量商品の安定的供給体制(製造・流通)の確立
     ・シェア獲得に向けた集中的な販促活動
     ・競合商品の研究と差別化ポイントの打ち出し
     ・バラツキ防止など品質管理体制の強化

   ④成熟期

    商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらには減少に転じる
    段階です。
    また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も
    減少に転じます。
    商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始
    します。

    【活性化のポイント】

     ・大量生産によるコストダウン効果の創出
     ・付加機能(パッケージや使い勝手など)追求による差別化
     ・アフターサービスの充実による差別化
     ・新規機能追加などのための第二次研究開発の開始

   ⑤衰退期

    後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。
    市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。
    成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、
    再び成長することも可能です。

    【活性化のポイント】

     ・徹底したコストダウンによる収益の確保
     ・商品ラインナップの絞り込み
     ・撤退時期の検討・決定
     ・第二次研究開発を行った場合は改良商品の投入

  2.売上ランクとライフステージのバランスをみる

   ABC分析とプロダクトライフサイクル分析によって、それぞれの商品のランクとライフステージを
   確認します。

   たとえば、成長期にある商品の多くが、ABC分析のランクAに入っているようであれば、
   新商品開発は総じてうまくいっているといえます。

   逆にランクAに属する商品が成熟期や衰退期に入っている商品ばかりである場合は注意信号です。

   なぜなら、それらの商品は近い将来にライバル企業の類似商品などにおされて、急速に売上を
   落とす危険性が高いからです。

   前述のように成熟期や衰退期の商品についても活性化により延命を図ることは可能ですが、
   その効果はあくまで限定的です。

   次にあげる例でいえば、甲社はランクAに占める「導入期」、「成長期」の割合が40%であり、
   「衰退期」の商品構成は10%に過ぎません。

   また、将来に向けた研究開発期の商品が15%あります。

   ライフサイクルのバランスが上手に取れています。

   一方、乙社ではすでにピークを越えた「成熟期」、「衰退期」の商品が70%を占めており、
   研究開発期の商品もわずかの状況です。

   中長期的には非常に危険な状態といえます。

    ◎好ましい会社の商品構成比の例:甲社

    ◎注意を要する会社の商品構成比の例:乙社
      *数字はそれぞれのランク、ステージに属する商品数の構成比

   ここまでみてきたように自社の商品を「ABCランク」と「ライフステージ」ごとにチェックし、
   そのバランスを確認することで、自社の既存商品活性化の全体像をつかむことができます。

   成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半数に達している場合は、新商品開発に向けて
   危機意識をもって取り組む必要があります。

  □新商品開発のフレーム

   ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という発想から、
   「顧客が欲しが る物を売る」というマーケティングの発想に完全に頭を切り替える必要があります。

   1.マーケティングとは

    マーケティングとは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えていく
    ことです。

    より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える商品を適切に
    提供するために仕入れ、設計、製造、物流、サービスなど会社のすべての機能を見直していく
    ことといえます。

    たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客は
    それを手に取ることはできません。

    また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は買って
    くれません。

    すべてにおいて「まずは顧客ありき」から進める必要があるのです。

   2.マーケティングプロセスに沿った商品開発

    新商品開発は基本的には次のようなマーケティングプロセスに沿って進めていきます。

    まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分をどのように
    「変えて進化させるか」を検討するとわかりやすいでしょう。

    (1)環境分析(外部環境・内部環境)

      経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、
      「情報」などの内部環境分析から、自社の強みがいかせて、かつ成長性が高いと思われる市
      場を抽出します。

      既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。

      また、国内市場が飽和状態であれば、新興国などへの海外市場進出も視野に入れます。

    (2)セグメンテーション(顧客分類)
      上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。

      一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分類が
      考えられます。

      【一般消費者を対象とする場合の分類例】

       ・統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など)
       ・特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など)

      【法人を対象とする場合の分類例】

       ・統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数など)
       ・特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余力、得意分野など)

    (3)ターゲティング(顧客絞り込み)

      上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点だけ
      ではなく今後強化が見込める部分も含む)がいかせると思われる顧客を絞り込みます。

      たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とファッション
      に関心が高い顧客層」、法人を対象とする場合は「成長市場に属しており本業に経営
      資源を集中したいと考えている中堅企業」といったターゲティング例が考えられます。

    (4)ポジショニング(差別化要因の明確化)
      ターゲットに自社商品の価値や競合他社に比べた優位性を理解してもらい、自社商品を
      選んでもらうための動機づけを行います。つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を明確化
      するのです。

      これがポジショニングです。

      万人受けするような広く浅い「ウリ」ではなく、ターゲット層のニーズに深く切り込んだ「ウリ」を
      設定することが必要です。

      新商品によって顧客ニーズにどのように応えるのか、新商品は顧客にどのようなメリットを
      与えるのかを具体化します。

    (5)マーケティングミックス(4P)

      ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのがマーケティング
      ミックスです。   

      通常は、次の4つの視点からアプローチしていきます。

      これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。

      ①「製品」(Product)

        商品そのものの仕様を明確化します。つまり「ウリ」を商品としてどのよう
        に具現化するかということです。
        「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケージ」などを
        決定します。

      ②「価格」(Price)

        商品に見合った価格を設定します。
        通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。
         ・商品の製造コストに会社として確保したい利益を乗せた価格設定
         ・競合企業との競争を踏まえた価格設定
         ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定
 
        また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に
        入ったら、量産効果によってどの程度の価格引き下げが可能かといった
        目安ももっておく必要があります。

      ③「流通経路」(Place)

        流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。
        たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路
        としては、

         自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者

        といった流れが考えられます。
        また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。
        欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を
        整備することが大切です。

      ④「販売促進」(Promotion)

        販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格
        などの情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を
        指します。
        具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝」、最終顧客
        や中間業者にインセンティブを提供する「セールス・プロモーション(SP)
        活動」、個々の顧客に直接に働きかける「人的販売」に大別できます。
        大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売
        るための仕掛けをつくること」 、人的販売は「実際に購入してもらうこと」
        が目的となります。
        これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切です。
 

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マトリクスで事業・商品を考える

マトリクスで事業・商品を考える
 

  ■事業・商品には寿命がある

   1.商品の寿命は消費者ニーズに左右される

    消費者が新しい商品を追い求めるスピードは、時代とともに速くなっているように感じられ
    ないでしょうか。

    過去の一時期には女子中学生や高校生がかならずといってよいほどもっていたポケベルは
    携帯電話に取って代わり、いまではスマホへSNSにとって代わりました。

    あれほど流行した「たまごっち」も見かけることはないでしょう。

    女子高生の「ルーズソックス」などもそうです。

    こうした、いわゆる流行商品だけではなく、一般の商品にも寿命はあります。

    スピード重視の技術進歩に依存するパソコンの世界では、半年ごとにモデルチェンジや
    性能の改善がなされて、古い性能のパソコンは廃棄されていきます。

    自動車にしても、ある時代はファミリーカーがニーズを満たし、ある時代はスポーツカーが
    時代の要請であったり、ある時代はファミリーワゴン車が求められたりするなど、時代ごとに
    消費者のニーズは変化しており、商品の寿命もそれに左右されます。

    したがって、企業には、

     消費者のニーズを敏感にとらえながら、
     寿命の終わった商品を市場から退場させ、
     新たな商品を市場に投入する知恵

    が求められるのです。

    なかには何十年も生き抜いている長寿商品もありますが、じつは、これらも消費者の嗜好に
    合わせて微妙に変化をつけるということがなされています。

    「何十年も変わらぬ味」のお菓子も、甘さの調整や大きさの変化などをつけ長寿商品として
    生き残っている例が一般的です。

    サンリオの人気キャラクターである「ハローキティ」の顔も、時代時代で微妙に変化して
    いるそうです。

    また、たとえばハンバーガー業界では、普通のハンバーガーだけでは成熟してしまうため、
    チーズハンバーガーやテリヤキバーガーなどの新しい商品を投入して、ハンバーガー
    自体の寿命を延ばす工夫がなされています。

   2.製品のライフサイクルとは

    自社の商品の寿命がどのあたりにあるかを知ることは戦略的に大切なことです。

    この商品の寿命のことを、「製品のライフサイクル」という言い方をします。

    商品の誕生から陳腐化して市場を去るまでを、人の一生と同じように、生まれてから死ぬ
    までのサイクルに区分する考え方です。

    一般には、

     (1)導入期

     (2)成長期

     (3)成熟期

     (4)衰退期

    の4つに区分して、商品がライフサイクルのどの段階にあるかをとらえていきます。

    自社の数ある商品のそれぞれがライフサイクルのどこにあるかを知り、それによって
    その商品に対する戦略を区分していくという考え方をとることがポイントです。

    4区分の特徴は次のとおりです。

    (1)導入期

      商品が市場に導入されたばかりの状態です。

      事例として、1990年代に発売されたプラズマテレビをイメージしてみます。

      売上はまだ小さく、一般に利益は赤字の状態でした。

      戦略的には、商品をお客さまに知っていただく=商品認知が戦略の中心となります。

      お客様は、新しいもの好きであったり冒険心が高く、人と違ったことが好きで、リスクを
      好む経済的な余裕のある人(革新者、イノベーター)となります。

      競争はほとんどない状態であり、いかに市場を拡大するかが大切なため、マーケティング
      のための支出は大きくなります。

    (2)成長期

      商品が急速に売れる状態です。

      DVD再生機器の普及をイメージしてください。

      売上の伸びに従って利益もプラスとなります。

      戦略的には市場を広めるとともに、自社ブランドをお客さまに知ってもらうことが重
      要です。

      したがって、競合企業と共同で市場拡大のためのマーケティング活動を行なうことも
      あります。

      利益があがることに注目して他企業の参入も増加します。

      お客さまも、革新者だけでなく、多数のマスのお客さまとなっていきます。

      競合他社と争いながら市場を拡大させ、自社ブランドを知ってもらうことが重要で、
      マーケティングの支出も高いレベルが維持されます。

    (3)成熟期

      売上がほぼ頂点に達し、伸び率が止まる状態です。

      CD再生機器のように、ほぼ普及が一巡した状態が成熟期となります。

      競合企業が多数存在し、利益の取り合いとなるため、利益は減少する械向となります。

      自社ブランドを愛好してもらう、つまり、いわゆるブランドロイヤルティーを高めるこ
      とが戦略の中心となります。

      商品開発では他社との差別化に力が入れられ、自社のマーケットシェアをいかに維持す
      るかが焦点となります。

    (4)衰退期

      需要が衰退して売上が下降する状態です。

      利益はゼロに近くなります。

      現状の生産設備でコストダウンを図り生産性を向上させるか、仕入れを効率化する
      といった視点が重要となります。

      合理化という視点からとらえた戦略が中心となってきます。

      成熟期から衰退期に入った商品は、どのように差別化してライフサイクルを延ばすか、
      あるいは、どのようにして商品を廃棄するかが重要なポイントとなります。

      こうした分析は、事業という視点からもとらえることができます。

  □注力する事業・商品を探すマトリクス

   製品のライフサイクルを事業に応用して、自社の事業に対する戦略的な位置づけを明確に
   していく方法があります。

   歴史の長い企業などでは、従来の事業だけに依存して新しい事業展開を怠っている場合
   が少なくありません。

   前項の分類でいう衰退期の事業・商品ばかりだと、いつ需要がなくなるかということを心配
   しなくてはなりません。

   自社のもっている事業・商品がどのような位置づけにあるのかを知ることが必要です。

   外装補修材のメーカーであるK社は、先代が築いた事業である旧来の接着法による法人
   向けの外装補修を中心に事業を展開してきましたが、建築不況により大きく需要が減りました。

   さらに、手のかかる現場補修ではなく、パネルタイプの簡易施工方法が新工法として浸透する
   ようになり、旧来の法人向け外装補修事業は赤字事業となってしまいました。

   新たに次世代を支える事業を探るために、自社でもっている事業の見直しを行なう必要性に
   迫られ、その際に利用した図のマトリクスです。

   縦軸に市場の成長率、あるいは自社にとってのその事業・商品の魅力の程度をとります。

   横軸に市場における相対的マーケットシェア、あるいは自社の競合ポジションをとります。

   それにより4つの事象が表現されます。

   それぞれの事象の特徴を見ていきましょう。

   (1)事象A:「問題児」

     事象Aは市場成長率が大きく魅力的な市場ですが、自社のシェアが低い市場です。

     一般的にはライフサイクルの導入期の事業・商品が位置します。

     成長させるためにコストをかける、将来の芽となる事業・商品です。

     もっとも、今後成長するかどうかを慎重に見極める必要もあります。

     このように、一般に事象Aにある事業・商品は、育成か撤退かの戦略的な意思決定を
     求められますので、「問題児」と呼ばれます。

   (2)事象B:「花形」

     事象Bは成長期の事業・商品が入るポジションで、市場成長の勢いがあり、売上も大きい
     市場です。

     しかしながら競争も厳しく、広告費や投資の費用もかかるという特徴があります。

     つまり、事象Bはいまを盛りと拡大している事業で、この事象にある事業・商品は集中的に
     資源を投資すべき事業です。

     そこで、「花形」という名称がつけられています。

   (3)事象C:「金のなる木」

     事象Cは成熟期の事業・商品が位置づけられます。

     市場自体の成長率は低いため売上は大きく伸びませんが、すでに投資は一巡しており、
     多額の宣伝は必要でないため、全休的には会社の資金源となっています。

     事象Cにある事業・商品は、収益をあげるいわば利益の稼ぎ頭です。

     事象Bの「花形」が一番利益をもたらしそうですが、「花形」であるだけに投資や維持の
     ために費用がかかり、収益はあまり多くないのです。

     むしろ、投資があまり必要ではない事象Cにある事業・商品が利益を稼ぎ出します。

     そのため、名称は「金のなる木」です。

   (4)事象D:「負け犬」

     事象Dは衰退期の事業・商品です。

     市場も成長が終わっています。

     つまり、事象Dにある事業・商品は撤退などを検討すべき位置づけで、「負け犬」という
     名称がつけられています。

     ライフサイクルの視点から見ると、事業・商品は事象A「問題児」で発生して、成長しながら
     事象B「花形」となり、やがて市場の成長率が落ちるとともに事象C「金のなる木」に
     移っていきます。

     最後には衰退して事象D「負け犬」となり、市場から姿を消していくことになります。

      収益の源泉は事象Cの「金のなる木」ですから、
      ここであげた利益を将来の自社を支えるはずの事象A「問題児」に
      投入する投資方法や、事象Cであがった利益を研究開発に投資して
      新たな「花形」を作り出す投資方法が、一般的とされています。

     個々の位置づけについて考えると、まず、「金のなる木」である事象Cに位置づけられる
     事業・商品は、市場を維持しながら現在のポジションを維持しようとする戦略がとられ
     ます。

     「花形」の事象Bについては、市場の支配力を高めるための積極的な戦略が有効です。

     そして「問題児」である事象Aに位置づけられる事業・商品に関しては、今後積極的な
     投資を行ない、ライフサイクルの成長期にもっていき「花形」へと育成するか、あるいは
     撤退させるかといった戦略的に重要な決定がなされます。

     そして「負け犬」である事象Dについては、いかに撤退するか(売却や縮小も含む)が
     検討されます。

     K社の法人向け外装補修事業の位置づけについて、このマトリクスを利用して各事業・
     商品のとるべき戦略を考えてみます。

     K社では「問題児」である事象Aにどのような事業・商品があるかを探しました。

     その結果見出した事業が、各地における文化財などの復旧工事の業務でした。

     職人のノウハウを利用して文化財の復旧事業が各地で展開されていることを発見し、
     K社のみがもっている長い施工の歴史を活かせるこの業務を、次世代を支える事業と
     位置づけました。

     そして、この事業を戦略的に支援することで、見事に「花形」である事象Bの事業へと
     育成することに成功しました。

      自社の事業・商品をこのマトリクスに位置づけることによって、
      現在自社のもっている事業や商品のバランスが見えてきます。

     現在の事業が事象C〜事象Dに位置づけられる事業ばかりで、将来を支える事業・
     商品となる「問題児」の事象Aに位置づけられるものがなかったり、「花形」の事象Bに
     位置づけられる、将来の資金源になるもの(「花形」は市場の成熟とともに成長率が
     落ち、事象Cの「金のなる木」になっていくはずです)がなかったりする場合は、将来を支
     える事業・商品を開発していくことが求められます。

     つまり、全体にバランスよく事業・商品をもっているかを確認することが重要であり、
     そのために前述のようなマトリクスを利用していくのです。

  □簡単なマトリクスの利用法

   『注力する事業・商品を探すマトリクス』の項で挙げたマトリクスは、事業・商品の相対的
   なシェアを調べる必要がありますので、自社のシェアなどがわからない事業などには単純
   に適用できません。

   ぞこで、

    より簡単なマトリクスを利用して、
    戦略的な事業・商品として重視する分野を見つける方法もあります。
    売上の伸びと絶対金額に注目するマトリクスです。

   縦軸にその事業・商品の前年比あるいは数年前と比較した売上の伸び率をとり、横軸に
   売上の絶対値をとります。

   これもおおまかに4つの事象が現れてきます。

   ここでも先ほどのマトリクスと同じような意味づけがなされます。

   事象Bの事業は成長率も高く売上税模も大きいため、主力の事業・商品として注力すべき
   位置づけです。

   事象Cは、売上兢模は大きいのですが成長性が鈍っている事業です。

   市場自体が縮小している可能性があり、将来 は売上が減少することが予想されます。

   事象Dは今後とも継続するかどうかを考えるぺき事業です。

   そして事象Aに位置づけられる事業が、次世代を支える事業となる可能性を秘めた事業・
   商品となります。

   この分野については慎重に育成するか否かの戦略を考える必要があります。

    自社のもっている事業・商品のライフサイクルを意識しながら、
    どのようなバランスの配置となっているのかをマトリクスを利用して知ることが、
    次世代を支える事業・商品を絶やきないコツとなります。 

 

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自社商品の現状分析と新商品開発


  ■自社商品の分析と新商品開発

   「お客様にとって、あなたの会社の商品・サービスを購入することに何かメリットがあり
   ますか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた
   の会社の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、
   彼ら(彼女ら)の抱える不満や困ったことなどを解決する商品・サービスだからです。

   ひとつの売れ筋商品が、企業の収益改善に大きく貢献することがあります。

   そして、会社(店)が成長し続けるためにはつねに商品の見直しを行ない、市場に適応
   した商品を開発していく必要があります。

   ここで質問です。

   「あなたの会社の商品は何でしょうか」と尋ねられたとき、どう答えますか。

   「木工ドリル、ベット、紙箱、薬品の包装資材…」といった答え方をする場合もあれば、
   木工ドリルではなく『穴開け技術』、紙箱ではなく『食品の携帯・保存機能』、薬品の
   包装資材ではなく『包装機能』という答え方もあります。

   前者と後者の回答ではその会社の将来はずいぶん変わってくるでしょう。

   マーケティングの事例において商品や仕事の本質を解説した「マクドナルド」、「三人の
   石工の昔話」、そして化粧品の「レブロン」があります。

   マクドナルドの創業者によると、彼がやっているのは飲食ビジネスではなく、不動産
   ビジネスと考えていたらしい。

   フランチャイズ契約の条件として、ほとんどのマクドナルド店舗は、店舗の不動産を
   マクドナルド・コーポレーションが所有する。

   フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルド・コーポレーションに
   支払う。

   マクドナルド創立者の1人であるHarry.J.Sonneborneは

     「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを
     売る唯一の理由は、フランチャイズ会社がハンバーガーを売ったと
     きの利益が、最も多くの賃貸料をわれわれにもたらすからだ」

    と言った。

   ある人が、エジプトを旅行中、 仕事中の3人の石工職人に出会いました。

   彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の職人は、「これで暮らしを立てている
   のさ」と答えた。

   第二の職人は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をして
   いるのさ」と答えた。

   第三の職人は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっている
   のさ」と答えた。

   化粧品のレブロンの創始者チャールズ・レブロンは、

     「工場では、私たちは香水を作っています」「しかしお店では、希望を
     売っているのです」と。

   石工を自社の社員に置き換えたとき、第三の職人のような答え方ができれば言うこと
   ありません。

   つまり、自社商品の本質をどのように理解するかによって会社の発展の方向性は
   大きく変化します。

   これはどんな業種についても言えることです。

   どこでも、人々が買っている商品の本質は満足感なのです。

   そして、自社の商品の本質を決定するのは社長の重要な役割です。

   社長はつねに自社の商品を分析し、できる限り将来の発展性が見込めるような商品
   概念を案出し続け、全社員に語り続けなけることです。

   このように、消費者(顧客)は商品そのものに対してではなく、その商品がもたらす機
   能・便益に魅力を感じているのです。

  新商品の開発 

   市場の変化と競争の激化の中、一般消費者向けの商品を開発している会社は、社会
   構造の変化や消費者の趣味・嗜好の変化にともなって、その変化に対応した商品を
   提供することが特に必要になります。

   具体的には、環境問題や規制緩和によって商品の仕様変更を余儀なくされ、商品の
   品質のみならず、その製造方法やアフターフォローの方法に至るまで修正することが
   あります。

   さらに自社の市場占有率を高めるためには、新商品の開発なども必要となります。

  商品を分析する 

   1.商品のライフサイクルを正しく認識する
     ご承知のように、商品には研究開発期には
     じまり衰退期まで進むライフサイクルがあり
     ます。

     主力商品のライフサイクルが成熟期を過 
     ぎていれば、売り上げの減少は避けられ
     ないことです。

     したがって、つねに自社の主力商品が今
     どの段階にあるかを正しく認識していな
     ければならないのです。

     また、以下に記したように商品がライフ
     サイクル上のどの時期に位置しているかに
     よって、それぞれ重要となる戦略テーマが異なります。

   2.ライフサイクル上で商品の分布を分析する

     自社の成長発展を確実なものにするためには、ライフサイクル上に自社商品をバ
     ランスよく配置しておく必要があります。

     現在売れている「成長期」「成熟期」の商品が、いつ売れなくなるかを予測するこ
     とは困難です。

     突然、これまでの主力商品が売れなくなったときに慌てないために、次代を担う新

     商品の開発を余裕をもって進めなければなりません。

     業種業態にもよりますが、ひとつの目安として、

     過去3年間に開発きれた新商品が全売上高の20%以上の比率になっていなけれ
     ば、「要警戒」として新商品開発への取り組み状況を検討してみる必要があるとい
     えます。

     一度、自社商品のすべてについてそれぞれを「研究開発期」「導入期」「成長期」
     「成熟期」「衰退期」のいずれかに分布させたときのバラつき具合を確認してみま
     しょう。

     たとえば、どの時期にどの程度の商品が分布するかをみて次のように分析します。

     ・成熟期、衰退期に位置する商品が多く、研究開発期、導入期の商品が少ない

     ・導入期、成長期の商品が多く、成熟期、衰退期の商品が少ない

     ・成長期の商品が多い

     ・すべてにバランスよく商品がある
      
    ●商品のライフサイクル

     (1)研究開発期

        商品発売前の企画・設計段階です。市場調査費用や開発費用などの先行投
        資が必要であり、利益はマイナスになります。

     (2)導入期

        商品の販売を開始した直後の段階です。

        実際に商品を手に取ってもらうための販路開拓や販促活動が不可欠です。

        少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。

        また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。

        新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在し
        ません。

     (3)成長期

        新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。

        利益も徐々に大きくなっていきます。

        ライバル企業が参入を始める時期で、差別化を打ち出した販促活動が必要
        です。

     (4)成熟期

        商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらに減少に転じる段階
        です。

        また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も減少
        に転じます。

        商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始し
        ます。

     (5)衰退期

        後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。

        市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。

        成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、再
        び成長することも可能です。

   3.市場におけるポジショニングを分析する

     自社商品のポジショニングについては、年に1度を目安にその商品を中心として
     徹底したリサーチを行なうことが必要です。

     そして、市場調査を行なう場合には、

      ・もっと需要を伸ばすことのできる消費者のセグメントはないか

      ・もっと需要を伸ばすことのできる当該商品の使用場面のセグメントはないか

      ・非購買層がなぜ当該商品を購入しないか

      ・ターゲットに対して有効な広告・販売活動を行なっているか

      ・当該商品の機能は相対的に陳腐化していないか

      ・当該商品が消費者に与える心理的機能は陳腐化していないか

     など、入手したい情報をあらかじめ明確にしておくことが大切です。

  □自社商品のチェックポイント

   ここでは、自社の現在の商品に関する課題を
   発見し、今後商品開発を行なう上でのチェック
   ポイントをまとめています。

      
    1.市場性チェック 

      □ 販売ルート : 現在の販売ルートで大
        きな市場が得られるか

      □ 商品力 : 商品の特徴がほかの競合
        商品より優れているか

      □ 市場における新規性 : 機能性、デザ
        イン、価格などすべての面で新しい商
              品であるか

      □ 市場参入の難易 : 参入が容易である
        か(許認可問題など)

      □ マーケットサイズ : 一定の需要が見込めるか

      □ ほかの商品への影響 : ほかの商品販売との相乗効果はあるか

      □ 季節変動 : 季節による需要の変動はどの程度か

      □ 品質と価格 : ほかの競合商品と同品質で安くなるか

    2.安定性チェック

      □ 市場の永続性 : どれくらいまで継続使用されるか

      □ 市場獲得の可能性 : 他社で製造販売していないか

      □ 景気に対する安定性 : 販売量が景気に左右されることはないか

      □ 模倣の難易 : 他社が模倣する場合、4年以上かかることが予想されるか

    3.収益性・成長性チェック

      □ 商品の特性:優れた商品特性があり、使用者の期待を十分満足させるものか

      □ 売上高総利益率:目標利益を確保できる商品であるか

      □ 市場の成長性:十分な成長が見込める分野か

    4.生産性チェック

      □ 開発資金 : 巨額の開発資金が必要となることばないか

      □ 必要設備 : 現在使用中の設備で生産できるか

      □ 必要な知識と要員 : 現在の体制で十分対応できるか

      □ 原材料調達の有利性 : 原材料を独占調達できるか

      □ 商品技術 : 商品技術はすでに確立されているか

      □ 生産技術 : 現在の生産技術で対応でき、開発時間がほとんどかからないか


   自社の既存商品活性化の全体像をつかみ、成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半
   数に達している場合は、新商品開発に向けて危機意識をもって取り組む必要があります。

  ■新商品開発のフレーム

   ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という
   発想から、「顧客が欲しがる物を売る」というマーケティングの発想に完全に考えを
   切り替える必要があります。

   マーケティングは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えて
   いくことです。

   より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える
   商品を適切に提供するために、仕入れ、設計、製造、物流、サービスなど会社のすべて
   の機能を見直していくことといえます。

   たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客
   はそれを手に取ることはできません。

   また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は
   買ってくれません。

   すべてにおいて「まずは顧客ありき」から始める必要があるのです。

  □マーケティングプロセスに沿った商品開発

   新商品開発は基本的には新商品におけるコンセプトを明確にし、次のようなマーケティ
   ングプロセスに沿って進めていきます。

   まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分を
   どのように「変えて進化させるか」を検討するとわかりやすいでしょう。

  □マーケティングプロセス

    (1)環境分析(外部環境・内部環境)

      経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、
      「モノ」、「カネ」、「情報」などの内部環境分析から、自社の強みが
      活かせ、かつ成
長性が高いと思われる市場を抽出します。

     既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。

    (2)セグメンテーション(顧客分類)

      上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。

      一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分
      類が考えられます。

       ●一般消費者を対象とする場合の分類例

        ○統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など)

        ○特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など)

       ●法人を対象とする場合の分類例

        ○統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数
         など)

        ○特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余
         力、得意分野など)

    (3)ターゲティング(顧客の絞り込み)

      上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点
      だけではなく今後強化が見込める部分も含む)がいかせると思われる顧客を絞
      り込みます。

      たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とフ
      ァッションに関心が高い顧客層」、法人を対象とする場合は「成長市場に属して
      おり本業に経営資源を集中したいと考えている中堅企業」といったターゲテット
      例が考えられます。  

    (4)ポジショニング(差別化要因の明確化)

      ターゲットに自社商品の価値や競合他社
      に比べた優位性を理解してもらい、自社
      商品を選んでもらうための動機づけを行
      います。

      つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を
      明確化するのです。

      これがポジショニングです。

      万人受けするような広く浅い「ウリ」では
      なく、ターゲット層のニーズに深く切り込
      んだ「ウリ」を設定することが必要です。

      新商品によって顧客ニーズにどのように
      応えるのか、新商品は顧客にどのような
      メリットを与えるのかを具体化します。

    (5)マーケティングミックス(4P)

      ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのが
      マーケティングミックスです。

      次の4つの視点からアプローチしていきます。

      これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。

      ①「製品」(Product)

        商品そのものの仕様を明確化します。

        つまり「ウリ」を商品としてどのように具現化するかということです。

        「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケ
        ージ」など
を決定します。

      ②「価格」(Price)

        商品に見合った価格を設定します。

        通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。
         ・商品の製造コストに会社として確保したい利益を乗せた価格設定

         ・競合企業との競争を踏まえた価格設定

         ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定

        また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に入
        ったら、量産効果によってどの程度の価格引き下げが可能かといった目安も
        もっておく必要があります。

      ③「流通経路」(Place)
        流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。

        たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路とし
        ては、
         自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者

        といった流れが考えられます。

        また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。

        欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を整備
        することが大切です。

      ④「販売促進」(Promotion)

        販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格など
        の情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。

        具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝(プレリリース)」、 
        最終顧客や中間業者にインセンティブを提供する「セールス・プロモーション
        (SP)活動」、個々の顧客に直接に働きかける「人的販売」に大別できます。

        大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売
        るための仕掛けをつくること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が
        目的となります。

        これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切
        です。

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トレーサビリティ
 

  ■トレーサビリティの概要

   近年、食品に関するさまざまな問題により、消費者の食の安全性への関心は高
   まる一方です。

   食品表示や食品産地の偽装といったように業者が故意に行った事件のほか、基
   準値以上の農薬の混入、製造過程で使用する水質の問題などがありました。

   そのため、食の安心・安全を守るために、国が取り組みを進めてきました。

   そのなかでも、食品小売業、食品製造業、食品卸業の間では、トレーサビリティの
   概念を取り入れ、トレーサビリティシステムを導入する企業が増えています。

   農林水産省によると、トレーサビリティとは、

    生産・加工および特定のひとつまたは複数の段階を通じて、
    食品の移動を把握できること

   となっています。

   なお、トレーサビリティシステムとは、

    トレーサビリティのための「識別」「対応づけ」「情報の記録」、
    「情報の蓄積・保管」、「検証」を実施する一連の仕組み

   をさします。

   それは、ルール(約束事や決まり)や手順、それらを文書化した手順書、組織・体
   制、およびプロセスと経営資源(人員、財源、機械、設備、ソフトウェア、技術・技
   法)、教育・研修などからなります。

   トレーサビリティシステムを導入することで、食の安全に関して次のことが改善さ
   れます。

    ①食品事故や不適合が生じた場合に、その原因を探索するために、迅速
      かつ容易にプロセスを遡ることができる。その食品の安全性に関する
      モニタリング・データが記録されていれば、原因の探索が容易になる。

    ②正確で、迅速な撤去・回収を行うために、事故や不適合が生じた食品を
      絞り込み、その行き先を特定することができる。

    ③食品の履歴に由来する健康への予期せぬ影響や長期的な影響が明ら
      かになった場合、その食品の履歴情報が保存されていれば、データの
      収集を容易にしリスク管理手法の発展を助ける。

    ④事業者の責任を明確にする。

      (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム
            導入の手引き」より)

   国産の牛と牛肉については、平成15年12月に「牛の個体織別のための情報の
   管理および伝達に関する特別措置法」、いわゆる「牛肉トレーサビリティ法」が施
   行されました。

   これは国内牛のすべてに10桁の個体識別番号を記した「耳標」をつけ、生産者
   から食肉処理場までの履歴をデータベースで管理するというものです。

   近年、食品関連業界ではICタグなどを利用して生産流通履歴を管理するトレー
   サビリティシステムの導入が進んでいます。

   大手スーパーなどでは納品業者にトレーサビリティシステム導入・運用について
   対応を求めているところもあり、食品に関わるすべての企業にとって、トレーサビ
   リティシステム導入は重要な検討課題となってきています。

  □トレーサビリティシステムの導入

   1.事業者のメリット

     トレーサビリティシステムを導入することで、事業者にとっては、以下の効果が
     あると期待されています。

      ①原因究明や撤去・回収の迅速化により、事故や不具合による健康や
        社会への影響を減少させることができ、損失を削減できる。

      ②自らの製品の表示を含む情報の信頼性を向上させることを通じて、
        誤認させるような表示や情報提供を排除できる。

      ③クレームなど問い合わせに対して対応しやすくなる。

      ④取引先や消費者からの信頼を確保することにより、取引関係が維持
        される。

      ⑤同様に、製品のブランドが維持される。

      ⑥各事業者の既存システム(安全管理、仕入・製造・販売管理、在庫
        管理のシステムなど)と連携・統合させることにより、業務の改善を
        はかり、業務の経費を削減したり従業員の意識を向上させることが
        できる。また既存システムの効率が向上する。

      ⑦記録された履歴情報を分析することにより、生産・製造・保存等の
        技術の向上に貢献する。

          (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム
           導入の手引き」より)

   2.導入・運用費用

     トレーサビリティシステムに必要なおもな費用は、次のとおりです。

     <導入費用>  

       ①トレーサビリティシステムの基本構想書、手順書の作成費用

       ②ソフトウェアの開発や機器(計量器、情報処理機器など)の整備
         費用(電子情報システムを導入する場合)

       ③教育・研修などの費用

          *中小企業の場合、これらの費用を抑えるために他の事業者と
           共同で取り組むといったことも考えられます。

     <運用費用>

       ①識別、対応づけ、情報の記録・整理・保管等の業務の人件費

       ②識別媒体(ラベル等)や記録用紙等の消耗品費

       ③機器やソフトウェアの保守・更新費用(電子情報システムを導入
         した場合)

       ④システムの信頼性を保証するためのモニタリングや監査の費用
         (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム導入
          の手引き」より)

   3.導入状況

     データは古いですが、農林水産省の「平成19年度食品産業動向調査」による
     と、トレーサビリティシステムを導入している食品小売業は平成19年度で43.
     4%となっています。

     そのうち、すべての食品・製品に導入している企業は20.0%、一部の食品・
     製品に導入している企業は23.4%となっています。

     平成17年度と比較すると、導入している企業の割合は7.6ポイント増加して
     います。

     小売業におけるトレーサビリティシステム導入状況をさらに詳細な業種別にみ
     ると、もっとも浸透しているのが食肉小売業で、「牛の個体識別のための情報
     の管理および伝達に関する特別措置法」の影響もあり68.4%の企業が導入
     しています。

     次いで、米穀類小売業、菓子・パン小売業、各種食料品小売業、その他の飲
     食料品小売業、各種商品小売業、料理品小売業の順になり、導入率が40%
     台になっています。

     一方、小売業のなかでは導入があまり進んでいないのが、野菜・果実小売業
     となり、導入率は27.4%でした。

       食品小売業のトレーサビリティシステム導入状況の推移

       食品小売業 業種別トレーサビリティシステム導入状況

  □近年の傾向

   1.導入している業種の例

     流通業や小売業においては、平成16年12月から個体識別番号をラベルに表
     示することが義務づけられました。

     消費者は店頭や包装パックに表示された個体識別番号により、インターネット
     などで牛の生産履歴を調べることができます。

     ただし、この対象になるのは個体級別番号をもつ牛の精肉で、輸入牛や細切
     れ・挽肉は対象外です。

     また、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキをおもに提供し、売上高の過
     半を牛肉料理が占める飲食店でも、情報開示と記録保存が求められます。

     対象となる飲食店では、食材の製造・生産工程に直接関わったりするほか、
     料理に使用した牛の個体識別番号を店頭やメニューで表示し、顧客からの問
     い合わせがあれば履歴を調べるなどしています。

   2.牛肉以外の食品の例

     牛肉だけでなく野菜、魚、豚・鶏肉など、生鮮食品全般についてトレーサビリ
     ティが強く意識され、JAS法による表示とも関連して、消費者に安心して受け
     入れられるように供給者側が積極的に取り組んでいます。

     JAS法においては、消費者の「食」に対する信頼を回復する目的で「生産情報
     公開JAS規格」が設けられ、食品の生産情報を事業者が消費者に正確に伝え
     る仕組みを第三者機関(登録認定機関)が認証する制度を発足させています。

     他の食品に先駆けて平成15年12月からは牛についての「生産情報公開JAS
     規格」が施行され、次いで平成16年7月に豚、平成17年7月には米、豆類、野
     菜、果実などの生鮮農産物全般が対象となりました。

     牛や豚については個体識別番号、生年月日、管理者の名称、畜者の名称、飼
     養施設、と畜場の所在地、給餌飼料、動物医薬品の使用などに関する情報が
     公表されています。

     また、農産物については、生産者の住所、氏名、連絡先、ほ場の所在地、収
     穫時期、農薬の種類と使用回数、肥料の種類とその施用量などが公表されて
     います。※

         ※ほ場 作物を栽培する田畑、農園

     上記情報に加えて、生産者によっては栽培方法や品種、生産者の顔写真など
     を公表している場合もあります。

     前述のとおり、導入している業界や品目が増加傾向にあります。

     食品のトレーサビリティシステムに関係する任意の規格・ガイドライン等は次の
     とおりになっています。

     <品目別・段階別のガイドライン>

       ・国産牛肉トレーサビリティ導入手引書

       ・原材料入出荷・履歴情報遡及システムガイドライン

       ・トレーサビリティ構築に向けた外食産業ガイドライン

       ・青果物のトレーサビリティ導入ガイドライン

       ・貝類(カキ・ホタテ)トレーサビリティガイドライン

       ・鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン

       ・養殖魚のトレーサビリティシステムガイドライン

       ・海苔のトレーサビリティシステム導入の手引き

   3.食品以外の分野の例

     トレーサビリティシステムは、食品に限らず工業製品や精密機器など、あらゆ
     る分野で応用されています。

     生産や流通の履歴が記録きれるICタグは、小さいながらも情報量が大きいこ
     とから、さまざまな商品の在庫管理などに利用されています。

     たとえば、一つひとつの衣料品につけて管理することにより、消費者が望む色
     やサイズが店頭にあるか、どの倉庫にどれくらい残っているか、といった確認
     を瞬時にすることができます。

     従来は人手に頼っていた棚卸も、ICタグを利用すれば短時間でできます。

     また、建設業ではトレーサビリティシステムを導入し、建材を管理することで建
     材の流通過程を透明にするだけでなく、シックハウス問題への対応や建材の
     リサイクルやリユースにも役立てています。

     医療業界では、総務省の「電子タグの高度利用技術に関する研究開発」の一
     環として、医薬品を出荷から投薬まで管理する実証実験が実施されています。

     投薬間違いの防止や、安全管理の効率化をはかるためにトレーサビリティシ
     ステム導入の効果が期待されています。

     トレーサビリティをいかした新ビジネスやサービス、商品はもとより、システム
     構築にいたるまで、今後トレーサビリティに関連したビジネスはさらに増えてい
     くと推測できます。

     <参考サイト>

      ●農林水産省 トレーサビリティ関係

      ●社団法人食品需給研究センター 

        (導入の手引き、食品トレーサビリティシステムの要件、品目別
         ガイドライン、導入事例集ほか):食品トレーサビリティシステム
         導入の手引き

      ●社団法人農協流通研究所

       (青果物のトレーサビリティ導入ガイドラインほか)

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自社の収益構造を確認しよう
 

  ■自社の収益構造の枠組み

   中小企業にとってまだまだ厳しい経営環境が続くなか、多くの社長は自社収益改
   善のためのさまざまな施策を模索し、実践していることでしょう。

   収益改善の大きな方向性は「売上増」と「コストダウン」の2つに分けることができ
   ます。

   そして、この2つの取り組みは会社のビジネスモデルにかかわる根幹部分から、
   従業員の日々の業務改善までさまざまな段階で行う必要があります。

   また、一部の会社ではいわゆる「リストラ」によって人員整理を進めていますが、
   たんなる人減らしのためのリストラは、将来的に「ジリ貧」に陥る可能性があります。

   1.自社の収益構造を確認する

     ここでは自社の収益改善に向けた取り組みのポイントについて紹介します。

     収益構造とは事業のどの部分にいくらくらいのお金をかけて、最終的に自社
     はどのくらいもうけるかというビジネスの基本的な枠組みです。

     この枠組みが把握できていないと収益改善の方向性を定めることはできません。

     過去には経営再建中の日本航空会長の稲盛和夫氏は就任直後の社内視察
     を終えた感想として、「この会社は事業運営ができていない。

     このままでは(比較的経営がシンプルな)八百屋すら経常することはできない」
     と述べていました。

     自社の収益構造が全体として悪化していると考えるだけではなく、どの部分が     
     どの程度悪化しているのか、なぜそのようなことが起こっているのかを詳しく調
     べる必要があります。

     <さまざまな収益構造>

      ・全社収益構造    全社利益  = 全社売上 − 全社コスト

      ・部門別収益構造  部門別利益 = 部門別売上 − 部門別コスト

      ・製品別収益構造  製品別利益 = 製品別売上 − 製品別コスト

     全社の収益構造については、決算書などで把握していると思いますが、部門
     別、製品別などの収益構造は把握できていないことが多いものです。

     複数の事業部に貢献する社員や、複数の製品製造で使用する機械などもあ
     り、それらを適切に配賦した管理会計の仕組みができている会社は少ないの
     が実情です。

     そのため、「どの事業が、どの製品が足を引っ張っているのか」という部分にま
     で踏み込めないのです。

     また、収益構造は時間によっても変化します。

     たとえば、以前は自社に多額の収益をもたらしてくれていた商品であっても、
     社内外の環境変化によって現在ではよくみると「お荷物」になっていることもあ
     り得ます。

     まずは、「現在の基本的な収益構造はどうなっているのか」、「それは時間経
     過によってどのように変化しているのか」など、自社の現状を正確に確認しま
     しょう。

   2.価格とコストのバランス(コストと付加価値

     世の中には用途に応じたありとあらゆる商品が売られており、また、同じ用途
     の商品でも高額品から廉価品までさまざまな価格が設定されています。

     成功している会社では自社のあるべき収益構造を独自に設定して利益確保を
     狙っています。

     たとえば、ベーカリーでは一斤300円程度のパンを売る店が一般的です。

     仮に材料を120円で仕入れていれば粗利益は180円であり、製造の手間賃
     や家賃などの経費にさらに100円かかるのであれば、もうけは80円ということ
     になります。

     これが一般的なベーカリーの収益構造です。

     ところが世の中には一斤3000円という高額販売で高い利益を上げている
     ベーカリーもあります。

     もちろんこのようなパンを買ってくれる層はごくわずかであり、その購買基準も
     大変厳しいでしょう。

     高級店では「厳選された材料仕入れ」、「特殊な焼釜を使って手間暇をかけて
     焼きあげるなどの製造工程」、「自社のパンがいかに安全でおいしいかという
     告知活動」などさまざまな部分にお金をかけています。

     逆に物流など商品の品質に直接には影響を与えないコストについては、業者
     を厳しく選択するなどして徹底したコストダウンを図っているでしょう。

     それらが奏功して一般的なベーカリーとは異なる高い収益構造が可能になっ
     ているのです。

     自社の収益構造を確認する際には「いくらで売るか」だけではなく、「どこにど
     のようにお金をかけるか」、「どの部分のコストを節約するか」を考えることがと
     ても大切です。

     また、収益はビジネスのそれぞれのプロセスが生み出した付加価値の合計と
     捉えることができます。

     付加価値とは事業活動を通じて新たに加えた商品の価値のことです。前述の
     一般的なベーカリーでは120円という材料費(もともとの価値)に対して、自店
     での製造・販売を通じて価値を高め300円で販売しているのですから、最終的
     な付加価値は180円です。

     高級型ベーカリーで仮に材料費が1000円であれば、2000円もの最終的な
     付加価値を生んでいることになります。

   3.付加価値増大の方向性

     付加価値増大の方向性は大きく分けて2つあります。

     第1はそれぞれのステップの質を高めて総合力をアップする方法です。

     ベーカリーでいえば、いかによい材料を集めて、顧客が好みそうなおいしいパ
     ンを焼き、効率的に販売していくかという力がそれにあたります。

     通常型ベーカリーが高級店を志向するのがその典型です。

     もうひとつは付加価値が発生するプロセスを広げていく方法です。

     たとえば、高級型ベーカリーが店頭で販売するだけではなく、有料で宅配まで
     行うとすると、本来的なベーカリーの仕事とは異なる分野にまで付加価値発生
     の場を広げたことになります。

     また、このベーカリーが厳選素材の調達能力をいかして、自分が調達した材
     料をほかのベーカリーに販売するビジネスに参入したとしたら、これも新たな
     付加価値発生の場を獲得したことになります。

     収益構造改善を検討する際には、あらかじめ想定した守備範囲の質をいかに
     高めていくかということだけではなく、守備範囲をどこまで広げられるかという
     発想も必要です。

  □コストダウンの考え方

   1.コストはかかるものではなくかけるもの

     コストとはいうまでもなく、売上創出のために支払うお金のことです。

     したがって、コストは本来的には「かかる」という受け身の性質のものではなく、
     売上創出のために主体性をもって「かける」ものといえます。

     そして、主体的にコストをかけるとは、そのコストの必要性や額の大きさについ
     て決裁者が完全に納得して判を押すということです。

     そこにはあいまいさは一切許されません。

     このコストの原則をまず再確認することが大切です。

     しかし、会社経営を積み重ね、社長が全社コストの細部にまで日が届きにくく 
     なると、どうしてもこの原則が見落とされがちになります。

     「相場が下がっているのに割高のまま材料を仕入れ続ける」、「不必要な備品
     を購入する」、「意味のない会議費を計上する」ということがあちこちで起こって
     きます。

     やがてその無駄が当たり前になり、毎年その無駄なコストを払い続けることに
     なってしまいます。

     このような会社では無駄なコストのおかげでその期の利益を圧迫しているだけ
     ではありません。

     より長期的には、無駄なコストのために本当に将来のために必要なコスト、す
     なわち「投資」を十分に行うことができず、将来の自分の首をも絞めていること
     になるのです。

   2.コスト削減は2段階で考える

     コスト削減は大きく分けて次の2段階で考えます。

     第1段階の目的は現状のコスト構造を把握し、標準コストに収まるようにコスト
     をコントロールすること(標準を守らせるための管理)であり、第2段階の目的
     は標準コストそのものを下げていくこと(標準を変えるための管理)にあります。

     (1)現状把握と標準コスト構造の実現

       最初の段階は、前述のように、もはやコントロールできなくなっているさまざ
       まなコストの実態を把握して、一つひとつのコストをすべて棚卸ししていくこ
       とから始めます。

       製品別、部門別、勘定科目別などさまざまな視点から分析することが必要
       になります。 

       そして、「これはまったくの無駄である」とか、「項目自体は無駄ではないが
       払い過ぎである」とか、あるいは逆に「これはもっとコストをかけるべきだ」と
       いった具合に、払っているコストの必要性と額の妥当性をすべてチェックします。

       日常的な残業や非効率な仕事の仕方をしていないかなど、労務費や間接
       人件費などについても必ずチェックしましょう。

       コストのなかでその絶対金額が大きいもの、最近増加傾向にあるものなど
       がコストダウンの優先対象となりますので、特に細かく確認します。

       そして、標準的なコスト構造を明らかにし、削減に向けた具体的な取り組み
       を開始します。

       その際には従業員全員を巻き込んだ業務改善活動なども不可欠でしょう。

       取り組みの結果、標準コスト構造に近いレベルでコストをコントロールでき
       るようになったら第1段階の完了です。

     (2)標準コストの引き下げ

       次の段階では、当面定めた、標準コスト構造をさまざまな工夫を行うことに
       よって、さらなるコストダウンにつなげていきます。

       第1段階で定めた標準コストは、以前から実施している方法によって計算さ
       れたものです。

       したがって、より効率的な方法に改善することができれば、現在用いられて
       いる標準コストそのものを引き下げることが可能です。

       ここでは製造方法や販売方法、あるいは管理方法などを改善することで、
       より安価にかつ迅速にできる方法がないかといった視点で考えます。

       たとえば、製品スペックの見直し、生産ラインの組み替え、品種の絞り込
       み、原材料の変更、原材料調達先の変更、物流体制の見直し、多能工化
       の推進、各種アウトソーシングの活用、人件費の安い海外での生産などの
       方法が考えられます。

   3.従業員の意識を高める

     また、従業員のコストダウン意識を高めるためには、「自社は人件費にはでき
     るだけ多額のコストを割り振りたい。

     そのためのコスト捻出に協力してほしい」と宣言し、実際に人件費も重要なコ
     ストとしてしっかり使うことが大切です。

     従来の仕事のやり方では必須にみえたコストも、やり方を工夫すれば大幅に
     削減できることは多いものです。

     「現状の無駄をなくす」というだけではなく、「仕事のやり方を変えてコストを下
     げる」という発想も必要になります。

     そして、コストダウンが成功すれば実際にその一部を従業員に還元します。

     こうすることで、従業員は直接的なメリットを得ることができ、また、「会社は従
     業員のことを大切にしてくれている」と感謝するでしょう。

     コストダウン活動のみならず通常業務のやる気が高まっていくことも期待できます。

  リストラクチャリングの考え方

   1.「リストラ」という経営戦略はない

     「リストラ」とは「リストラクチャリング」の略で、人員整理などで規模を小さくする
     ことだけではなく、「事業構造の再構築」を意味します。

     本来であれば現状を打破して活路を見いだすという前向きに使われるべき言
     葉です。

     しかし、世の中ではほとんどの場合、「リストラ=人減らしによる固定費削減」
     の意味で使われています。

     そして、収益状況が悪化してくると、この誤った意味でのリストラで何とか凌ご
     うという傾向が強まります。

     たとえば、順調に利益を出し続けていた会社の業績が不況によって悪化し、こ
     のままでは大きな赤字が出そうなので、リストラで50名の人員削減を行ったと
     しましょう。

     人件費が圧縮されて、何とか今期は収支トントンに収まるかもしれません。

     しかし、この会社の企業体力はリストラによって確実に落ちることになります。

     そのままの体制で同じ経営のやり方で来期に臨んだとしても、余程の神風(突
     然の景気急回復など)が吹かない限り、業績はさらに悪化するはずです。

     そして、残念ながらまたしてもリストラを余儀なくされ、結果として「ジリ貧」に
     陥っていく可能性は非常に高いといえるでしょう。

     この意味において、リストラそのものは経営戦略とはいえません。

   2.リストラはその後の施策とセットで経営戦略になる

     収益悪化の要因は基本的には2つしかありません。

     売上の減少か経費の増大(あるいはその両方)です。

     安易な「リストラ」に走る前になぜそのようなことが起こっているのかを突き詰
     めて考えて、今後の対策を練る必要があります。

     たとえば、売上が減少しているとしたら「商品そのものに魅力がなくなってきて
     いる」、「営業力が低下している」、「強力なライバル企業が台頭した」、「大口
     顧客が減少している」などの理由が考えられます。

     経費の増大については、「資材調達費の増大」、「人件費の増大」、「光熱費な
     どの販売管理費用の増大」などの可能性があります。

     まずはこれらの原因を分析し、問題の本質を明らかにしたうえで、根本的な対
     策を検討しましょう。

     その結果として、どうしてもいったん人員削減を行って企業規模を縮小し、自
     社の得意な分野に資源を集中化していく必要があるといった結論になれば、リ
     ストラは十分に意味のあることになります。

     このようにリストラとはその後の新たな施策とセットで考えてこそ、本来的な意
     味の前向きなリストラクチャリングとなるのです。

     前述の例にあった経営再建中の日本航空では大幅な人員削減を行っていま
     したが、再生のために「強みである国際線の収益力を高める」などの次のス
     テップを見据えていました。

   3.会社の成長プロセスで必要になるリストラクチャリング

     リストラクチャリングは業績が低迷したときのみに行うものではありません。

     会社が成長していくプロセスでは何度も節目がやってきます。

     これは業績低迷という意味ではなく、次のステージに向けて企業体質を強化し
     ていく節目という意味です。

     「現状のやり方でいくらがんばってもこれ以上の成長は見込めない」と思えると
     きがこの節目といえるでしょう。

     このときこそ、現状の事業構造や会社の仕組みを再構築すべくリストラクチャ
     リングを検討する必要があります。

     この際には先にあげた業績悪化の原因を裏返して「いかに商品力を高める
     か」、「いかに大口顧客を数多く獲得していくか」、「売上を伸ばしつつ経費を低
     減する方法はないか」といった前向きな視点で考えればよいのです。
 

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