〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町2-26-501
・新商品開発のプロセス
・商品を地域・顧客特性により分析
・意匠登録制度
・製品の付加価値を高め値崩れを防止
・工業所有権
・原価管理の基本的な考え方
・商品の活性化
・マトリクスで事業・商品を考える
・自社商品の分析と新商品開発
・トレーサビリティ
・自社の収益構造を確認しよう
■新商品開発の必要性
1.市場の変化と競争の激化
社会構造の変化や消費者の趣味・嗜好の変化にともない、特に一般消費者向けの商品を開発して
いる企業にとっては、その変化に対応した商品の提供が常に求められています。
環境問題や規制緩和によって商品の仕様を変更することも余儀なくされ、商品の品質のみならず、
その製造方法やアフターフォローの方法に至るまで修正を必要とされることもあります。
業界や商品の種類によって事情は異なりますが、他社との競争に打ち勝ち、自社の市場占有率を
高めるためには新商品の開発なども必要です。
2.商品のライフサイクル
商品にはライフサイクル(導入期→成長期→成熟期→衰退期)があります。
導入期は新商品を市場に投入した時期です。
販売が開始されたばかりのため競合商品は少なく価格も高めです。
成長期は競合商品も増え、市場でのシェア獲得のための販売戦略が重要となります。
そして成熟期に入ると値引きが行われ、価格競争が始まります。
衰退期では販売量は減少し、商品によっては大幅な値下げや在庫処分が行われます。
ライフサイクルは商品の種類によって異なりますが、例えば、調味料などの場合、安定した
需要が見込めるため、ライフサイクルは非常に長くなります。
一方、流行りの食材や人気のキャラクターなどを利用した商品の場合はライフサイクルは短く
なります。
自社の商品が成熟期や衰退期にある場合、将来的に成長を続けることは難しくなります。
そこで新商品を開発して、新たな主力商品を確保する必要があります。
□新商品開発のプロセス
1.アイデア
新商品の開発方法はさまざまですが、まずは一般的なプロセスを紹介します。
新商品のアイデアは、新商品の開発を目的に創出されるケースと、偶然のアイデアをもとに
新商品を開発するケースがあります。
前者の場合、ある一定期間を設けてアイデアをスタッフから募ったり、ブレーンストーミング
などの手法でアイデアを集めるのが一般的です。
後者の場合は、アイデアを出そうと思って考えたわけでなく、「こんな商品があったら売れる
のでは?」という偶然のアイデアから商品開発するものです。
しかし、いざアイデアを捻出しようと思ってもなかなかよいアイデアは浮かばないものです。
偶然のアイデアを吸収する意味でも、社内で「提案制度」などを設けて定期的にアイデアを募集
する体制が求められます。
また、アイデアの創出という意味では、顧客からのクレームなどをデータベース化しておき、
商品開発のアイデアとして利用したり、消費者調査などを通じて、「消費者の生の声」を集める
ようにするのもよいアイデアを創出する仕組みとして役立つでしょう。
2.マーケット分析
新商品のアイデアが出そろい、どのアイデアを採用するのかという段階では、それぞれの
アイデアのマーケット分析を行います。
「市場規模」「競合商品」「将来性」などの市場分析を行い、一番よいアイデアを選定します。
その際、「消費者へのアンケート調査」などを実施して好評だったアイデアを選ぶのも一つの
方法です。
なお、自社に市場分析を行うノウハウがない場合は、外部へのアウトソーシングを検討すると
よいでしょう。
3.企画
この段階では、各種スケジュールや予算、製造方法などを企画します。
具体的には「試作品」「消費者モニター」「販売代理店募集」「製造」「営業」「販売日」などの
スケジュールとともに、「開発費」「材料費」「人件費」などのコスト算出や、「外注先の選定」
などの製造方法を検討します。
同時にそれぞれの項目ごとに、スケジュール、予算、品質などの管理責任者を決めます。
また、できれば企画の段階で、「販売数の見込み」とともに、開発費、材料費、人件費などを
考慮に入れた「利益の見込み」も立てておきたいものです。
その結果、利益の確保が望めないような企画であれば商品化は見送るようにします。
4.開発
開発の段階では、まず仕様書を作成し、それを基に試作品を完成させます。
試作品はなるべく完成品に近いものが望ましいのですが、ここで問題となるのは製造コストです。
いくらよいものでも製造コストが多大にかかるのであれば大量生産ができません。
大量生産を念頭において材料・素材の選定を行い、場合によっては外注を検討します。
自社の技術レベルや機材の有無によっては外注の方が結果的に安く上がることも少なくありません。
いかに製造コストを下げることができるのかという点を踏まえながら開発することが重要です。
5.テストマーケティング
試作品が出来上がったら、その商品が本当に計画通りに売れるのかどうかを検証します。
消費者モニターのほか、限られた地域での市場テストや営業テストなどを行い、予想通りの販売が
見込めるのかを調べます。
その際、期待通りまたは期待以上の販売結果が得られれば、すぐにでも商品化し、全国に向けて
販売することができます。
逆に期待通りの結果を得られなかったときは、たとえ企画の段階で売れるという結果が出ても
「実際は売れない」と割り切り、商品化は見送るべきでしょう。
ここまでの開発費は無駄になりますが、売れない商品を市場に導入する意味はありません。
再度アイデアまたは企画の段階からやり直します。
6.商品化
テストマーケティングが終了したら、いよいよ商品化となります。
大量生産を踏まえた製造方法の確立、パッケージの選定、広告戦略の推進などを行い、販売を
開始します。
その際、商品の種類にもよりますが、流通ルートの開拓も重要となります。
企画の段階で定めていた営業方法のほかに、代理店の選定や特殊なルートでの販売方法など、
さまざまな拡販方法を推進します。
また、顧客へのアフターフォローの仕方や、クレーム処理の対処方法などもこの段階で明確に
しておきます。
7.販売後のフォロー
販売を開始した後は、ただ売ればよいというわけではありません。
顧客からのクレームや意見を集め、商品の仕様やパッケージの見直しを図ります。
また、競合商品が出回るときのために、「価格競争の強化」や「高付加価値化」などが必要に
なります。
□マーケティング分析と販路の確保
1.新商品の分類
新商品の開発に当たっては、ただ開発し販売するだけでは、売れるものも売れません。
正確なマーケット分析とともに、販路の確保が重要となります。
通常、新商品というと
(1)今までにない全く新しい商品
(2)他社では販売しているが自社にとっては初めて生産する商品
(3)既存商品に何らかの改良を加えた商品
などに分類できます。
それぞれの分類ごとにマーケット分析や販路の確保の手法は異なってきます。
また、商品のライフサイクルによっても商品の仕様やコンセプトを変更する必要があります。
以下では、それぞれの分類ごとに新商品を開発・販売するうえで留意することをまとめます。
2.今までにない全く新しい商品
今までにない全く新しい商品を開発し販売する場合、その市場規模は未知数となります。
商品を購入する消費者の「年齢層」「性別」「し好」のほか、「デザイン」「販路」「年間販売量」
「将来性」などを考慮し、確実に売れることが見込めた段階で参入することが求められます。
これらのノウハウを自社が持っている場合は問題ありませんが、そうでない場合は自社のノウハウ
だけに頼らず、次のような業種と協力することによって商品を企画していくことが近道といえます。
・商品企画会社(売れる商品の企画)
・テレマーケティング会社(消費者へのアンケート調査)
・市場調査会社(マーケット分析)
これらのなかで最も頼りにすべきは、商品企画会社(企画デザインプロダクション)です。
テレマーケティング会社や市場調査会社の場合、それぞれの商品に対して調査や分析を行うのが
仕事であり、売れるかどうかの見込みはあくまで予想となります。
参考とはなるものの、実際の販路の開拓は期待できません。
一方、商品企画会社にはさまざまな会社がありますが、なかには強力な販路を持ち、その販路で
販売することが期待できる商品を企画している会社もあります。
そのような商品企画会社と提携し、将来的には自社で企画開発ができるようにノウハウを吸収
することが重要でしょう。
なお、優れた商品企画会社を見つけるためには、今までの実績のほか、「具体的な販路を提示
できるか」が最大の見極めポイントとなります。
商品企画が決定した後は、販路を探すこととなります。
販路はできれば企画の段階で見込みを立てておくことが望ましく、「このような商品があったら
取り扱ってくれますか」といった問い合わせをするとともに、「○○円以下であれば○○個発注
してもよい」というレベルの販路をいくつか開拓し、確実に採算が合うと判断できた段階で
商品化することが求められます。
なお、このケースを商品のライフサイクルに当てはめると、今までにない全く新しい商品のため
「導入期」となります。
当然、価格競争による値下げを行う必要もなく、価格も強気に設定できます。
しかし、競合商品が現れたときにはさらなる高付加価値化や生産コストの見直しによる低価格化
が必要となります。
競合商品の動向を見据え、常に売れる商品開発を行うことが大切です。
3.他社では販売しているが自社にとっては初めて生産する商品
他社では販売しているが自社にとっては初めて生産する商品の場合、既存市場への参入となる
ため、市場の把握はもとより、消費者へのアンケート調査が重要となります。
「他社商品と比べどう思うか」「いくらなら購入するのか」などという商品そのものの
アンケートのほか、「パッケージのデザイン」「購買意欲をそそるキャッチコピー」など、
十分な調査を重ねたうえで商品化することとなります。
できれば消費者アンケートの専門企業(テレマーケティング会社など)に依頼し、正確で
客観的な情報を入手するとよいでしょう。
既存市場への新規参入は、通常「既存品よりも安くていいもの」、「既存品よりも高いが付加
価値が付いているもの」のいずれかを販売することになります。
前者の場合は、商品1個当たりの利益は少なくなりますので、大量に販売しなければ利益の確保が
難しくなります。
後者の場合は逆に高付加価値を前面に押し出し、なるべく商品1個当たりの利益が大きくなる
ようにすることが求められます。
販路に関しては、大手の販売店や問屋への営業のほか、通信販売やインターネット上での販売
など、独自の販売ルートも検討したいものです。
営業先の選定は、それぞれの業態や商品のカテゴリごとに業界団体を調べ、その業界団体から
名簿を入手するのが早道となります。
名簿を公表していない業界団体に関しては、大手企業を数社紹介してもらうなど、効率的な営業を
心がけます。
4.既存商品に何らかの改良を加えた商品
既存商品に何らかの改良を加えたものを新商品として販売する場合は、従来のデザインや
パッケージをそのまま踏襲するのではなく、何らかのリニューアルを加えたほうがよいでしょう。
もっとも、現在の売れ行き状況や、競合の度合いによってデザインやパッケージのリニューアル
方法は異なってきます。
例えば、「市場でのシェアはナンバーワンだが、競合商品によって販売数が減少している」
という商品の場合、何らかの改良を加えて商品の高付加価値化を図ることは非常に有効です。
その際、商品が成長期にあるときは、機能強化や容量の増加、新材料の採用など、高付加価値化を
アピールするにとどめ、大幅なリニューアルはしないほうが得策です。
せっかく構築した認知度を下げてしまうことを避けるためです。
一方、商品が成熟期にあり、「買い換え需要を狙う」という状況の場合は、デザインやパッケージ
の大幅なリニューアルが効果的でしょう。
商品の種類にもよりますが、新商品としての販売は、競合商品よりも新鮮な商品として販売する
ことができるからです。
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■地域・顧客特性分析の仕方を教える
同じ商品でも地域によって需要量や需要パターンが異なります。
また顧客のニーズや購買力によっても需要量は変化します。
従って自社の商圏については地域の特性や顧客の実態を十分につかまねばなりません。
1.地域特性のつかみ方
統計諸資料(家計調査年報、朝日新聞社「民力」、当該地商工会議所発行資料等)からもつかむ
ことができますが、現地、現場、現物主義で押さえることが大切です。
そのポイントは次の通りです。
a.自社の商圏を正確に把握する。
b.商圏内の文化、風俗、歴史、伝統、祭事等を押さえておく。
c.人口、人口構成、民力度、その他経済指標からつかむ。
d.同業他社や、得意先の分布状況、競合関係およびマーケットシェアの状況等をつかむ。
2.顧客の実態のつかみ方
一番重要なことは「真の顧客ニーズは何か」の把握です。
具体的には、
a.顧客は何に困っているか、何に悩んでいるのか。(顧客の問題解決屋になり切る )
b.顧客はわが社に何を期待しているのか。(顧客の期待水準をキャッチする)
c.顧客は何をしようとしているのか。(顧客の方針、今後の方向をつかむ)
d.顧客の購買の重点、購買の決定要因は何か。
e.顧客の期待する品質基準、サービス基準は何か。
等を十分につかむことです。
3.商品特性と地域特性
女性用下着の訪問販売会社S社の顧客分布を見ると、農村部は少なく圧倒的に都市集中となって
います。
都市部では自宅の近くに沢山の店がありますので、農村部の方が顧客が多いように思われます。
これは、都市では近所の人とつき合うのが大変難しいという都市の特性にポイントがあります。
S社の商品は試着を必要とするため、販売員の自宅へ近隣の人を集めますが、その際商品の売買
自体は手段化し近隣の人々の人間関係づくりが目的となっている要素が強いのです。
このように、売り方が地域特性に合っている場合もあります。
また漢方薬のように、地方に根強いファンが多いのも商品特性と地域特性が合致する例です。
□ライバル対策を指示する
1.ライバル分析
戦略とは「自社の強みをライバルの弱みにぶつけて勝利に導くこと」です。
そのためにはライバルの弱み強みを十分に分析しておくことが大切です。
2.ライバルとの差別化
ライバルに打ち勝つためには、自社の強みを強化しその分野でナンバーワンになることです。
a.小売店の場合
◎どこよりも品質・品揃えがよい
◎どこよりも地域密着で顧客管理が行き届いている
◎どこよりも活気がある
◎どこよりも安売りに徹している
◎どこよりも情報量が多い
◎どこよりもマナー、サービスがよい
等の“どこよりも作戦”を徹底させることです。
b.卸売業の場合
◎小売店に対して情報、ノウハウが提供できる
◎小回り配送に徹底している
◎どこよりもマーチャンダイジングカが強い
◎企画力に優れている
◎小売店に対して販売の提案
等ができるところが伸びています。
c.メーカーの場合
◎商品開発力がある
◎どこよりもコストダウン力がある
◎どこよりも配送力がある
◎どこよりもブランド力がある
◎ディーラーヘルプ機能が優れている
等が差別化の要素となります。
ライバルにつけ入るスキを与えないように、 自社の強みをさらに強化することが、勝つための
条件となります。
□創注型企画提案営業力を強化する
企画提案型セールスとは「顧客の立場にたって、顧客の役に立つものを提供すること」です。
だから顧客全体の経営力や販売力(体質)を強化するという観点に立つことが、何よりも大切です。
企画提案の営業をどの顧客にも同じように展開しても成果は上がりません。
顧客は多種多様、ニーズも千差万別です。
自社にいくら企画提案機能が充実していても、 顧客に喜ばれないものを押しつけては、その価値は
無意味なものとなります。
そのうえ、どこにでもフル・サービスを提供していては、セールス効率も著しく低下します。
反対に、顧客が欲しているサービスが提供できなければ不満が残り、成果は上がりません。
「顧客にとっての効用」と「セールス活動の効率」の両面から、コンサルティング的立場から
効果的に進めていくことです。
<企画ご提案書記載事項例>
1.はじめに(挨拶文、提案の主旨・目的)
2.現状の問題点と改善の方向
3.提案とそのメリット
4.提案内容の概要
5.実施計画・スケジュール
6.予算(概算の例を3案ほど)
7.その他添付資料(データ、参考資料その他)
■意匠とは
意匠法によると、「意匠」とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの
結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものと定義されます。
つまり、意匠とは物品のデザインのことであり、物品を指定しないキャラクターデザインなどは意匠
と認められません(キャラクターを意匠登録してそのキャラクターを用いる全てを意匠権で保護する、
ということはできません)。
創作した意匠を、特許庁に登録することで「意匠権」が発生し、登録された意匠を独占的に利用する
権利が認められます(意匠の登録には要件があります。詳細は後述)。
こうして特許庁に登録された意匠を「登録意匠」といいます。
なお、意匠として登録できるのは、工業上利用できる(量産ができる)意匠に限られます。
そのため、自然物をそのまま利用したものや、彫刻・絵画などの美術品などは意匠として登録でき
ません。
□意匠権の存続期間
以前は意匠権の存続期間は最長で登録の日から20年間とされていましたが、2020年以降に出願された
意匠については、意匠権の存続期間が、意匠登録出願の日から25年になりました(意匠権の存続
期間をカウントする開始時期が「意匠権の設定登録日」から「意匠登録出願の日」に変更)。
□画面デザインの保護
意匠は、原則として物品の形状などを保護するものですが、情報機器などの操作画面も、意匠法に
よって保護されます。
意匠法では、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る)
の用に供される画像であって、当該物品またはこれと一体として用いられる物品に表示されるもの
が、保護対象となっています。
「物品の操作の用に供される画像」とは、物品が持つ機能に従って働く状態にするよう指示を与える
ための画像を指します。
例えば、DVDプレーヤーでDVDを再生するための機能選択の画像などが該当します(再生中の画像
は保護対象とはなりません)。
「当該物品に表示されるもの」とは、例えば、本体に液晶画面を備えたDVDプレーヤーで、その液晶
画面に表示される画像などを指し、「当該物品と一体として用いられる物品に表示されるもの」とは、
例えば、DVDプレーヤーの操作のためにテレビ画面に表示される画像などを指します。
□部分意匠
部分意匠とは、物品の部分について意匠登録を受けられる制度です。
部分意匠は、物品の全体から物理的に切り離すことができない部分に特徴を持つ場合で、物品全体
として出願すると「特徴的な部分」の保護が不十分となってしまうような場合に有効です。
例えば、「カメラ付き携帯電話のカメラ部分」などは、部分意匠としての登録が有効です。
仮に「カメラ付き携帯電話」が、全体としてしか意匠登録していない場合、携帯電話自体のデザイン
が異なっていれば、カメラ部分のデザインが同一であったとしても、意匠権侵害とはみなされない
可能性が高くなります。
部分意匠として登録することにより、携帯電話自体のデザインがどのようなものであっても、「登録
意匠と同一または類似のカメラ部分を有するカメラ付き携帯電話」に対して、意匠権侵害を訴える
ことができます。
なお、部分意匠について登録を受けるためには、「全体の意匠が掲載された意匠公報」の発行日前
までに出願をしなければなりません(注)。
(注)意匠公報とは、意匠権が設定登録された際に発行されるもので、意匠登録番号、意匠権者、
図面など意匠権の内容が掲載されます。意匠公報は、意匠権の設定登録後、1 カ月程度で
発行されます。
具体的な発行日は、特許庁ウェブサイト内「公報発行予定表」で確認できます。
□関連意匠
関連意匠とは、類似する意匠のうちから選択した一つの意匠を本意匠とし、それに類似する意匠を
その関連意匠としてそれぞれ意匠登録を受けられる制度です。
デザインの創作においては、一つのコンセプトから多数のデザインが同時期に創作される場合が
あります。
関連意匠は、これらの同時期に創作された多数のデザインについて、本意匠と同等の価値を有する
ものとして保護するものです。
関連意匠として登録された意匠も、それぞれ独自に権利を行使することが可能です。
ただし、専用実施権を設定する場合(注)は、すべての意匠権について同一の者に対して同時に
設定しなければならないとされます。
なお、関連意匠について登録を受けるためには、「本意匠が掲載された意匠公報」の発行日前
までに出願しなければなりません。
(注)「専用実施権の設定」とは、登録意匠を独占的に使用する権利を他者に認めることを指し
ます。専用実施権を設定した場合、意匠権者であっても、専用実施権者に無断で登録意匠を
使用することはできません。
□意匠権を取得するには
1.取得の流れ
意匠権取得の手続きの流れ(出所:特許庁)は図の通りです。
以下では、各項目について説明していきます。
(1)意匠登録出願
意匠権を取得するためには、創作の内容を記載した書類を提出する必要があります。
(2)方式審査
特許庁に提出された出願書類は、所定の書式通りであるかどうかの審査を受けます。
審査の結果、書類に不備が見つかった場合は、補正命令が発せられます。
(3)審査
出願したデザインが、意匠登録を受けるための要件を満たしているかどうかの審査を
受けます。
意匠登録を受けるための要件としては、
1.意匠であること
2.その意匠が工業上利用できること
3.その意匠がこれまでにない新規なものであること
4.その意匠が容易に創作できたものでないこと
5.先願意匠の一部と同一または類似でないこと
6.その意匠が公序良俗に反するものでないこと
などがあります。
この審査は、「(2)方式審査」に対して、実体審査と呼ばれます。
なお、方式審査を通過した意匠は、すべて審査されます(審査請求は不要です)。
(4)拒絶理由通知書
「(3)審査」において、意匠登録を受けるための要件を満たしていないと判断された
場合には、それを出願人に通知するため、拒絶理由通知書が送付されます。
(5)意見書・補正書
出願人は、拒絶理由の通知に対して、要件を満たしていることを主張する意見書や、拒絶
理由を解消する補正書を提出することができます。
(6)登録査定
「(3)審査」において意匠登録を受けるための要件を満たしていると判断された場合や、
意見書や補正書によって拒絶理由が解消された場合には、登録すべき旨の査定がなされます。
(7)拒絶査定
意見書や補正書によっても拒絶理由が解消されておらず、登録できないと審査官が判断した
場合には、拒絶すべき旨の査定がなされます。
(8)拒絶査定不服審判請求
審査官の拒絶査定の判断に対して不服がある場合には、出願人は、拒絶査定不服の審判請求を
することができます。
(9)審理
拒絶査定不服審判の審理は、3人または5人の審判官の合議によって行われます。
審理の結果、拒絶理由が解消されたと判断された場合は、登録審決がなされます。
拒絶理由が解消されておらず、登録できないと判断された場合は、拒絶審決がなされます。
(10)設定登録(登録料納付)
登録査定がされた意匠については、出願人が登録料を納めれば、意匠登録原簿に記載され、
意匠権が発生します。
(11)公報発行
意匠権が登録されると、権利内容を記載した意匠公報が発行されます。
(12)無効審判請求
意匠権が登録された後でも、無効理由がある場合、誰でも無効審判を請求することができます。
(13)審理
無効審判請求が行われた場合、3人または5人の審判官の合議によって審理が行われます。
審理の結果、登録に無効理由がないと判断された場合には登録維持の審決がなされます。
登録に無効理由があると判断された場合には、登録無効の審決がなされます。
(14)知的財産高等裁判所
拒絶査定不服審判、無効審判の審決に対して不服がある場合は、知的財産高等裁判所に出訴
することができます。
2.取得にかかる費用
意匠権の取得にかかる費用には、出願時に必要な出願料と、登録および更新に必要な登録料が
あります。
登録料は毎年支払わなければなりません。
特許庁「産業財産権関係料金一覧(2012年4月1日以降)」)によると、意匠権取得にかかる出願料、
登録料は表の通りです。
また、出願書類の作成を弁理士などに依頼した場合には、別途費用が必要です。
弁理士などに支払う費用としては、出願書類や意見書・補正書の作成費用と、意匠権登録後の
成功報酬が一般的です。
金額は弁理士などによって異なりますので、確認が必要です。
3.出願から登録までの期間
特許庁「特許行政年次報告書」によると、意匠登録出願を行ってから、登録査定がなされるまでの
期間は、平均で10.2カ月程度とされます。
自社が既に実施している(または実施の準備を相当程度進めている)意匠を、他者が許諾なく実施
している場合など、早期に登録・権利化が必要な場合には「早期審査に関する事情説明書」を提出
することで、早期審査制度を利用できます。
早期審査制度を利用した場合、出願から2~4カ月程度で登録査定がなされます。
□中小企業が意匠権を活用する際のポイント
1.防衛手段としての意匠権
ここまで、意匠権の取得方法についてみてきました。
以降では、中小企業にとって意匠権とはどのような意味を持ち、どのように活用すればよいかを
考えてみましょう。
前述の通り、意匠権とは物品のデザインを保護するものです。
デザインは、時として製品の機能以上に売れ行きを左右します。
このように製品の売れ行きに大きな影響を及ぼすデザインは、創作するのが大変ですが、既に
創作されたデザインは容易に模倣できます。
人気のあるデザインは、他者から模倣されることも考えられます。
大きなコストを払って創作したデザインを、後発の他者に模倣されてしまうことは避けなければ
なりません。
意匠権を取得しておけば、登録したデザインを、独占的に使用することができます。
もし他者から模倣された場合には、意匠権に基づいて、差止請求や損害賠償請求をすることが
できます。
大手企業に比べて製品数が少なく、特定の製品への依存度が高い中小企業にとって、自社の人気
デザインを模倣されることは、大きな問題です。意匠権を取得する最大の目的は、他者による
模倣を防ぐ「防衛手段」を確立することです。
2.意匠権で機能も保護
意匠権とは製品のデザインを保護するためのものですが、機能とデザインとが一体不可分となった
製品については、デザインを保護することで、機能についても同時に保護することが期待できます。
このような製品には、例えば、ユニバーサルデザイン製品などがあります。
製品の機能を保護するためには、特許権を取得することが一般的です。
しかし、特許権を取得するためには、厳しい審査を通過しなければなりません。
また、特許権を取得するためには、意匠権を取得する場合より多くの費用と時間が必要となります。
そこで、こうした機能とデザインが一体不可分となった製品であって、
(1)特許権を取得するのが難しい場合
(2)製品のライフサイクルが短く、特許権を取得するのに向かない場合
などは、機能を保護することを目的に意匠権を取得することも考えられます。
また、ライフサイクルが長い製品であっても、早急に権利化して保護したい場合には、特許権と
意匠権を両方出願し、特許権が成立するまでの期間は意匠権で製品を保護するという使い方も
できます(特許権成立後に意匠権を存続させるか放棄するかは、自社の戦略に応じて選択します)。
ただし、機能の保護という点では、やはり特許権のほうが有効です。特許権の取得が可能であれば、
特許権を取得したほうがよいのは言うまでもありません。
3.秘密意匠の活用
意匠権に関する制度の一つに「秘密意匠」というものがあります。
これは、意匠権者の請求に基づき、登録後、最長で3年間は登録意匠を公開しないというものです。
その場合、意匠公報には、出願人の氏名や出願番号など、意匠の内容にかかわらない事項のみが
掲載されます。
秘密意匠制度を利用するためには、出願時または登録料納付時に、秘密意匠の請求を行う必要が
あります(請求料として5100円が必要となります)。
秘密意匠制度は、「製品デザインは決定したが、実際の発売時期はまだ先である」という場合に
有効です。
これは、新製品発売時にも有効ですが、既存製品のデザインを一新してリニューアルする場合
などで、「古いデザインの在庫がなくなったら新しいデザインに切り替える」といった場合にも
有効です。
ただし、秘密意匠もメリットばかりではありません。
意匠が秘密とされている期間は、事前に、意匠の内容を記載した書面(特許庁長官の証明が必要)
を送付して警告を行わなければ、侵害品に対して差し止め請求を行うことができません。
また、警告を行った後も、すぐに差し止め請求を行うわけではなく、通常は相手方からの返事を
待つための期間を設けます。
そのため、侵害行為を発見しても、権利を行使するまでには時間が必要になり、その間にも侵害
品が流通し続ける可能性があります。
また、侵害者に対する損害賠償請求にも影響が出ます。
十分な損害賠償を受けるためには、侵害者が故意または過失により侵害行為を行った(侵害者に
責任がある)ことを立証する必要があります。
意匠が公開されている場合は、侵害行為が認められた時点で、侵害者の過失が認められます
(過失の推定)。
しかし、秘密意匠制度を利用する場合、意匠が秘密とされている期間の侵害行為に対しては、
過失の推定が適用されません。
そのため、侵害者が故意または過失により侵害行為を行ったことを、意匠権者(または専用
実施権者)が立証しなければならず、十分な損害賠償を受けることは難しいといえます。
万が一、発売前に秘密意匠の情報が漏洩した場合や、偶然にも秘密意匠に類似したデザインの
製品が出回った場合、上記のようなデメリットがあります。
秘密意匠制度を利用する場合には、こうしたデメリットについても十分に理解し、製品を発売
したら速やかに意匠を公開するよう請求することが必要です。
4.意匠の出願時期
他者による製品デザインの模倣を防ぐために、意匠登録出願は早い段階で行うのが効果的です。
しかし、開発の過程でデザインが変更になる可能性もあります。
最終的な製品デザインとかけ離れたデザインを意匠登録してもあまり意味がありません。
意匠権の取得には費用がかかるため、最終的な製品デザインがおおむね決まってから出願した
ほうがよいでしょう。
なお、最終的な製品デザインは決まっていないが、製品のポイントとなる特徴的な部分や部品に
ついてデザインが決まっいるという場合には、「部分意匠として出願する」「部品だけで出願
する」ことも検討します。
また、前述の通り、デザインの決定後、発売まで期間があるようであれば、秘密意匠制度の利用も
検討します。
5.意匠権取得後に製品デザインを変更する場合
意匠権取得後に、製品デザインを変更する場合には、変更後のデザインについても出願します。
ただし、変更後のデザインについては、意匠権の取得を目指すというよりも、意匠権が取得でき
ないことを確認するために出願すると考えます。
変更後のデザインで出願し、「既に登録されている意匠(変更前のデザイン)と類似である」
ことを理由に登録を拒絶されるようであれば、現在取得している意匠権の効力が変更後のデザイン
にも及ぶということです。
変更後のデザインを模倣した製品が出てきても、現在取得している意匠権で対応することができ
ます。
逆に、変更後のデザインで意匠権が取得できるようであれば、現在取得している意匠権では
変更後のデザインにまで効力が及ばないということになります。
この場合は、他者による模倣を防ぐために、変更後のデザインについて意匠権を取得しておか
なければなりません。
出願書類のひな型
記載方法などの詳細は、特許庁のガイドラインで確認できます。
製品の付加価値を高め値崩れを防止 |
■製品市場のライフサイクル 製品の生産量、利益の流れを示すライフサイクルは次のような図で表せます。 このグラフのように製品市場は開発 → 導入 → 成長 → 成熟 → 衰退という 推移をします。 まず、製品の販売開始が導入期の始まりとなります。 この時期は、今後の需要の増加に備えて生産拡大のための設備資金、製品の認知度を高める ための広告宣伝費などの資金のねん出が必要になり、利益が出にくい状況にあります。 価格に関しては、他社の製品と比べ付加価値の高い商品であれば高めの価格を設定できます。 そして成長期になると、需要の高まりが大きくなり、市場規模は大きく拡大していきます。 それによって、競合他社の市場への新規参入が続き、競争が激しくなります。 この段階では高いシェアの確保が重要になります。 競合他社は「同じ性能でより安い価格のものを販売」してきますので、もし製品の付加価値 が他社よりも優れていない場合は、価格の見直しや、製品に付加価値を与えることが重要と なります。 成熟期の段階では、企業収益は市場占有率の優劣によって格差が生まれます。 競合他社の製品との差異化を図るのが難しい製品では、価格が売り上げを左右することに なり、価格競争が激しくなります。 最後に製品市場の衰退期に入ると、市場からの撤退企業が増えてきます。 また、残った企業は内部の徹底した合理化が必要になってきます。 ただし、製品のライフサイクルにあてはまらないケースもあります。 長い時間をかけて売り上げを伸ばすとともに衰退期を迎えない、いわゆる「定番」などと いわれる製品や、導入期でいきなり急成長し、すぐに衰退期に突入してしまう一過性の製品 などです。 □値崩れ防止のための施策 1.製品の分析 製品の販売戦略を立てるに当たっては、前ページのような製品市場のライフサイクルが 重要となります。 生活必需品などは代替品が出現しない限り製品市場のライフサイクルは長くなります。 一方、家電製品やファッション衣服、自動車などでは買い替え需要を喚起させるために 意図的にライフサイクルが短くなるように販売戦略が練られます。 ライフサイクルのポジションによっては価格を下げざるを得ないこともあります。 まずは自社および競合他社の製品を分析し、現状の価格が適正なのか、製品市場で受け入れ られる価格設定なのかをきちんと把握することが重要となります。 しかし、特に製品市場の成長期においては競合他社の参入は避けることはできません。 そのため製品の付加価値を高めたり、製造工程の見直しによる価格改定などの努力を行って 自社製品のシェアをアップさせていく必要があります。 もっともどんなに努力しても他社が類似商品を安価で市場に導入してきた場合、値崩れは 起こります。 それを防ぐことは難しいかもしれませんが、自社製品の付加価値とシェアが高い場合は、 ある程度の値崩れの防止が可能でしょう。 2.付加価値を高める戦略 製品の付加価値を高めるにはさまざまな方法が考えられますが、一般的に行われる戦略 としては、「ブランド力の強化」と「流通チャネルの見直し」でしょう。 まず、ブランド力の強化に関しては、例えば、SONYの「VAIO」に代表されるように、 デザインや機能に力を入れて、「たとえ高くても○○がいい」と消費者に認知されるように アピールしていくことが重要となります。 もっとも「高くても売れる」製品にするためには、競合他社の製品よりも機能やデザイン において優れていなければ難しくなります。 特にパソコン市場や自動車市場においては次々と新製品が開発されていますので、頻繁な マイナーチェンジ、フルモデルチェンジを繰り返して値崩れの防止を図っています。 これは、どんな製品にもいえることです。 「パッケージを変える」「いままでオプションだった部品を標準装備にして新製品にする」 「製品のデザインを変える」「複数のカラーを用意する」「有名デザイナーやキャラクター ライセンスを起用する」「付録をつける」など、製品の性能そのものではなく外観や パッケージなどを目新しくする方法や、「バッテリーの持続時間を長くする」「小型化・ 軽量化する」「処理能力を上げる」「耐久性を強くする」といった機能そのものを見直す ことによって製品の付加価値を高める努力が必要になります。 そのためには、自社製品の分析を自社内だけで行うのではなく、消費者の意見を聞く 「消費者モニター」制度も有効です。 競合他社の製品も含め複数の商品を並べ、その機能、使いやすさ、デザインの良さなどの 分析を行います。 3.製造工程の見直し 例えば、売価1万円の製品で原価が3000円、加工費が3000円かかっており、 8000円 で問屋に卸していた場合、利益は2000円となります。 ライフサイクルが成長期であればそれでも賄えますが、成熟期に入ると競合他社との 価格競争が始まります。 価格競争のために問屋に卸す価格を1000円引いたのでは、単に利益が1000円減る だけです。 材料の仕入れの見直し、加工方法の合理化を図り、製造コストを下げることによって、 従来と同じ利益がでるように努力していくことが大切となります。 そのためには、製品自体のデザインを変更したり、あまり使われない機能を省略する など、徹底した製造コストの削減が望まれます。 4.「数量限定」「記念モデル」 数量を限定して、消費者の購買意欲を誘うことも戦略としてはよく行われています。 数量限定のため卸値も高く、消費者への販売価格も高くなります。 また、「20●●年モデル」「特別カラーバージョン」といった記念モデルを販売することも 有効でしょう。 このような数量の限定や記念モデルを販売するメリットは、限定ゆえに卸値や販売価格 を高く設定することができるため、販売数量が少なくても利益が増える、という点です。 例えば、消費者への販売価格が1万円の製品で、1個当たりの利益が1000円の場合、 10万個売っても利益は1億円ですが、販売価格が1万2000円の製品で、1個当たりの 利益が3000円の場合、半分の5000個を販売できれば1億5000万円の利益となります。 5.バックマージンの工夫 通常、 1000個以上仕入れた場合は仕入れ率を10%減、1万個以上仕入れた場合は 仕入れ率を20%減といった、仕入れの個数によって割引率を変える取引がなされて いますが、これでは販売価格の値崩れを招きます。 例えば同じ製品をA社には5000円で卸し、B社には7000円で卸していた場合、A社は セール品と称してB社への卸価格よりも安い価格で販売してしまうことも考えられます。 そういったことを防ぐためには、数量による仕入率の割り引きをなくしてしまうのが 一番ですが、自社の売り上げを考慮するとなかなかできるものでもありません。 そこで、仕入時は数量に関係なく一律とし、完売した後にバックマージンとして「販促 協力費」「広告宣伝協力費」などの名目で販売店の利益を上げる方法があります。 この方法であれば仕入れ価格は一定のため、販売価格も必然的に安定します。 もっとも、そのバックマージンを見越して「安売り」を行ってしまう危惧はあります。 販売店との力関係にもよりますが、本当に売れる製品であれば値崩れは防止できる でしょう。 □製品管理の見直し 1.どの製品に重点をおくのか いくら売れ筋製品だからといっても、実は管理費の占める割合が高くて1個当たりの 利益が非常に少ないA製品もあれば、A製品の10分の1しか売れないが、管理費などの 占める割合が低いため、利益は10倍あるというB製品もあるでしょう。 このような場合、B製品の販売個数を伸ばす努力が必要なのはいうまでもありません。 複数の製品を販売している企業の場合、どの製品の開発に力を入れて、どの製品の販売を やめるのかという見極めが難しくなります。 どの製品が利益を生み、どの製品の開発へ利益を回すのかなどを考える必要があり、 製品管理が非常に大切になるのです。 2.PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント) ここでは、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の手法を紹介します。 まず、自社製品の製品市場でのシェアと成長率をそれぞれ分析し、その結果によって、 4つのグループに分けます。 <PPMによる製品分析> マーケティングシェアが高く、成長率も高い製品は「花形製品」となります。 花形製品は将来性がある主力製品です。 市場の拡大にともない、シェアを維持するための投資額も必要となりますが、 利益もかなり期待できます。 「金のなる木」は、市場でのシェアは高いが、成長率の低い製品です。 成長率が低いということはシェアの変動も小さいので、何もしなくても勝手に 売れます。 シェアの拡大や維持のための投資額があまり必要でないため、「金のなる木」で 得た利益はほかの製品の開発費に当てられます。 「問題児」は市場でのシェアは低いものの、市場自体の成長率は高い製品です。 「負け犬」は市場でのシェアも低く、成長率も低いという、このまま販売を続け ても意味のない製品です。 よほどの見込みがない限り見切りをつけて販売を中止したほうが得策と思われます。 この分析の結果、「問題児」をどう「花形製品」に育て、将来的に「金のなる木」 にするのかが重要であることが分かります。 「金のなる木」で得た利益は積極的に「問題児」を「花形製品」に育成するための 開発やシェア拡大のための費用に回すことが望まれます。 もっともどんな製品にもライフサイクルがあり、成熟期のあとには必ず衰退期が あります。 「花形製品」が知らないうちに「負け犬」になるということも考えられます。 利益を確保した後は、撤退する時期を間違えないようにすることが重要でしょう。 メルマガ登録(無料)はこちら お問合せ・ご質問はこちら |
工業所有権 |
■工業所有権の体系 知的創造活動から生じるもので、財産的価値をもつもの(小説、美術、音楽、デザイン、 このような知的財産に関する権利を「知的所有権(知的財産権)」と呼んでいます。 知的所有権は、大きく「著作権」と「工業所有権」に区分され、いくつかの法律によって このうち、工業所有権は、産業上利用できる商品やサービスに関する、発明やアイデア
□特許 特許とは、技術社会に貢献し、産業上利用しうる新規の発明を公開する この排他的独占権を特許権といい、特許法によって保護されます。 特許権は、発明に対して与えられるものです。 発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると定義されています。 また発明が特許として認められるかどうかは、その発明の「新規性」および「進歩性」 新規性とは、特許を受けようとする発明が特許出願前に公知でないことを指します。 特許出願以前に「公然と知られた発明」「公然実施された発明」「刊行物・インター また進歩性とは、一般の者(いわゆる「素人」)はもちろん、「当業者」(その発明の さらに、特許の対象は、「産業上利用しうる発明」、つまり物の生産に直接関係のある そのため、電気をつくる方法や物を測定する方法は、特許の対象になりますが、 ソフトウエア等に関しては、インターネットを介したプログラムの販売・流通が拡大して さらに、コンピューター技術や通信技術などの進歩、インターネット利用人口の急増 出願のブームは去りましたが、それまで特許とは緑の薄かった商業やサービス業 特許権が得られれば、特許出願後20年間は排他的独占権を得ることができます。 したがって、 その技術を他者に利用させるかどうか、使用料(ロイヤルティー)を つまり、特許権を得ることができれば、その市場の独占が可能となります。 一見、技術の進歩の妨げとなるようにも思えますが、このような強い権利を認めない そうなれば、発明が公表されず、かえって進歩の妨げとなってしまいます。 特許とは、公表により技術進歩に貞献した見返りとして与えられる権利なのです。 また、 特許権は、譲渡や相続により他人に移転することも可能です。 したがって、特許の権利そのものを売ることも可能です。 日本の特許制度は先願主義ですから、同じ発明であっても先に出願した発明のみが 特許に値すると思われる発明をした場合には、一刻も早く出願手続きを行うことが 実用新案は、特許とまではいかないまでも、ある程度の創造性がある発明(ミニ発明) 実用新案が特許と異なる点は、物品のみを対象としているということ です。 したがって、「方法」についての発明は対象になりません。 権利の保護期間は特許が出願から20年なのに対して、実用新案は出願から10年と 期間は短いのですが、特許より権利化しやすいため中小企業の技術戦略としてよく 特許は権利の安定性重視の観点から審査主義(出願が新規性・進歩性を有するかに 1.意匠とは 意匠とは、デザインと同義語です。 意匠法では、 意匠とは物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩 したがって、見る者の「美観」に訴えるもので、かつ「物品」や「物品の部分」でなければ 物品の部分とは、たとえばペンのキャップ、携帯電話のアンテナなどが考えられます。 意匠権は、意匠的創作を奨励することによって、意匠が産業社会に寄与することを 出願により、産業界の意匠が豊富になるという社会的な寄与に対しての対価として 意匠は登録されれば、登録の日から15年間の独占権が認められます。 したがってありきたりの意匠では登録されません。 登録意匠は「新規性」と「創作性」を兼ね備えていなければならないのです。 つまり、意匠が何らかの特色を持ち、業界の平均的能力をこえた「創作」でなければ さらに、 意匠とは工業上利用できるものでなければなりません。 自動車・テレビ・電話機というような物品およびその一部分に工業的な方法で実施 また、ネジのような部品にも意匠権は成立します。 しかし、彫刻や美術品などの工業品でない芸術作品は、意匠権ではなく、著作権で 彫刻品を家庭用品に応用したものなど、美術品と工業製品のどちらともとれるものが このようなものは、意匠権と著作権の両方が成立します。 それでは、この2つの権利にはどのような違いがあるのでしょうか。 著作権は、保護期間が70年と長いのですが、排他権のみで独占権が与えられて この意味するところは、ある製品が存在し、その存在を全く知らない第三者が、それ 意匠権は登録されていれば「同じものがあったとは知らなかった」という 意匠権は偶然に一致した類似物に対しても効果があることが大きな特徴です。 商標とは、ブランド(標章)のことです。 日本の商標法では、 商標とは、文字・図形・記号や立体的形状、もしくはこれらの組み合わせ、 商標は「平面的標章」ばかりではなく、「立体的な標章」も商標と認められています。 商標権とは、特許庁に一定の商品・役務を指定して商標登録を受けると、 です。 商標が特許・実用新案と異なるのは、10年ごとに期間の更新延長が可能 したがって、更新手続きをとることさえ忘れなければ、商標権は半永久的に独占 商標権は同様な他社の商品や役務(サービス)との識別力を保護することを目的と 商標登録をすれば、その文字が独占できるのではなく、登録時に「指定した商品 なお、商標は商品等の有体物に付されることを前提に考えられてきましたが、ネット 商標登録は、特許・実用新案でいう「新規性」「進歩性」、意匠権でいう「新規性」や つまり、何も「新しい言葉」や「目新しい図形」である必要はありません。 しかし、どのようなものでも登録できるというわけでもありません。 商標の目的は「識別力」にあるので、識別力のない文字・図形は登録できません。 たとえば、「A」などのローマ字1文字だけでは、それを商品につけても「他と識別する それでは何文字から識別力があるのでしょうか。 これは、見解の分かれるところですが、現在、特許庁では、ローマ字3文字以上と ただし、ローマ字2文字でも「GM」(ゼネラル・モーターズ)「GE」(ゼネラル・エレ また、 自己の業務に係わる商品または役務について使用する可能性や その他にも、消費者等の間によく知られた他人の未登録の商標やこれに類似した 不正競争防止法などで ・商号 ・周知商標 ・商品形態 などが保護されています。 これらは、それぞれの法の趣旨に基づいて、意匠・商標以外でも、「競合他社が類似 考え方の基本は意匠・商標と同じですが、登録で認められるものではなく、通常の したがって、個別の事例については、弁理士などの専門家にご相談ください。
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原価管理の基本的な考え方 |
■原価管理とは 「原価管理」とは、広義では、「利益を増加させ、企業を安定的に発展させていくような この「広義の原価管理」は次の2つの段階に分類することができます。 原価引き下げの目標を設定し、その実施のための計画を策定するという段階です。 単に「原価計画」ともいいます。 計画したとおりの原価で製品ができるよう、日常の生産・製造活動を統制する段階 具体的には、まず、製造部門別・製品別の原価計画と実際の原価を比較して、原価 そして比較の結果、差異が発見された場合は、原因を探し出して、改善策を検討 上記のうち、(2)の「原価統制」を「狭義の原価管理」といいます。 ここでは、この「狭義の原価管理」の概要を説明します。 原価管理における費用の概念は、原価の構成体系に基づいています。 この体系では製造原価は「材料費」「労務費」「経費」で構成され、それぞれ製品1単位 原価管理においては、まずこれらの金額を明確に算出して、それを製造部門別・ ここまでの手順を「原価計算」といいます。 そして、算出された単価(実際原価)を計画値(標準原価)と比較してその違いを分析 一般的に、原価計算期間は1カ月となっています。 標準原価は、過去の実際原価や原価計算期間の受注予測を考慮して、適切な備に 原価計算は、実際原価・標準原価ともに、 1.費目別原価計算 2.部門別原価計算 3.製品別原価計算 といった手順で行なわれます。 ここでは、その具体的な方法についてみていきます。 まず、会社の費用を原価計算に使う費用と使わない費用に大きく分けます。 原価管理では製造原価を利用するため、販売費や一般管理費は原価計算には そのほか、次のようなものも原価には含みません。 ・製品の製造に関連しない費用(投資目的の不動産の減価償却費、寄付金等) ・火災・風水害等による損失 ・法人税・所得税・地方税 ・配当金・役員賞与等 <製造直接費> 直接材料費 直接労務費 直接経費 間接材料費 間接労務費 間接経費 原価管理を行なうためには、どの部門の効率が悪いのかを明らかにして適切な そのためには、費目別に計算した原価を製造部門ごとに振り分けて集計し、各部門 なお、費目別に明らかになった製造間接費を部門別に配賦・集計する際には、 たとえば、建物の減価償却費や固定資産税は各部門の占有面積、間接材料費は 企業では製品の価格設定や市場からの撤退等の意思決定をするために、製品別の 製品別原価計算では、部門別に集計した原価を、各製品の製造にかかった作業 そして製品別に集計された原価を生産量で除して1単位当たりの製品単価を算定 以上のような手順で製品1単位当たりの単価が算定されると、それにかかる直接 この実績値や需要の見通しなどから、特定の原価計算期間における原価の計画値 そして、原価計算期間終了後、実際原価を算出して、標準原価との差異を分析します。 発生したおもな差異の種類には、次のようなものがあげられます。 価格差異: 見込価格と実際の価格が異なったことから生じた差異 賃率差異: 見込賃率と実際賃率が異なったことから生じた差異 差異が特定されたら、その原因を探求します。 たとえば、消費量差異や作業時間差異の原因としては次のようなものが考え ・製品の仕様、製造工程、方法が変更された ・作業員の作業能率が変化した このようにして考えられる原因を検討した後、明らかになった事項は、管理可能な
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商品の活性化 |
商品活性化とは、個々の商品や商品構成を見直し、さらに今後必要とされる新規商品を継続的に ここでは、自社の商品活性化の手順やポイントについて解説します。 (1)ABC分析 まずは自社の売上がおもにどの商品によってもたらされているのかを確認します。 そのためには「ABC分析」といわれる手法を使うと便利です。 自社商品のなかで売上高の高い商品から順に並べて、「売上高」、「シェア」、「累計 そして、累計シェアをみながらA・B・Cのランク付けを行います。 たとえば、累計シェアで上位50%までを構成している商品をA、それ以下で上位80% ABC分析を行うと、自社の取り扱っている多数の商品のなかでもごく少数の売れ筋商品が 逆に「ランクC」の商品は、売上にほとんど貢献していないばかりか、商品の在庫管理や 商品の改良や販促の見直しなどによって「ランクA」、「ランクB」に育てることを検討 次にすべての商品を商品寿命のステージごとに分類します。 新商品を市場に投入してから売れなくなるまでの推移をプロダクトライフサイクルと呼び、 ①研究開発期 商品発売前の企画・設計段階です。 【活性化のポイント】 ・商品化時期の明確化・早期化 商品の販売を開始した直後の段階です。 ・認知度の向上に向けたPR 新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。 ・大量商品の安定的供給体制(製造・流通)の確立 商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらには減少に転じる ・大量生産によるコストダウン効果の創出 後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。 【活性化のポイント】 ・徹底したコストダウンによる収益の確保 ABC分析とプロダクトライフサイクル分析によって、それぞれの商品のランクとライフ たとえば、成長期にある商品の多くが、ABC分析のランクAに入っているようであれば、 逆にランクAに属する商品が成熟期や衰退期に入っている商品ばかりである場合は注意信号 なぜなら、それらの商品は近い将来にライバル企業の類似商品などにおされて、急速に売上を 前述のように成熟期や衰退期の商品についても活性化により延命を図ることは可能ですが、 次にあげる例でいえば、甲社はランクAに占める「導入期」、「成長期」の割合が40%で また、将来に向けた研究開発期の商品が15%あります。 ライフサイクルのバランスが上手に取れています。 一方、乙社ではすでにピークを越えた「成熟期」、「衰退期」の商品が70%を占めており、 中長期的には非常に危険な状態といえます。 ◎好ましい会社の商品構成比の例:甲社 成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半数に達している場合は、新商品開発に向けて ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という発想 マーケティングとは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えていく より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える商品を たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客は また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は買って すべてにおいて「まずは顧客ありき」から進める必要があるのです。 新商品開発は基本的には次のようなマーケティングプロセスに沿って進めていきます。 まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分をどの 経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、「モノ」、 既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。 また、国内市場が飽和状態であれば、新興国などへの海外市場進出も視野に入れます。 一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分類が 【一般消費者を対象とする場合の分類例】 ・統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など) ・統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数など) 上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点だけ たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とファッ これがポジショニングです。 万人受けするような広く浅い「ウリ」ではなく、ターゲット層のニーズに深く切り込んだ 新商品によって顧客ニーズにどのように応えるのか、新商品は顧客にどのような ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのがマーケ 通常は、次の4つの視点からアプローチしていきます。 これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。 商品そのものの仕様を明確化します。つまり「ウリ」を商品としてどのよう 商品に見合った価格を設定します。 流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。 自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者 といった流れが考えられます。 販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格
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マトリクスで事業・商品を考える |
■事業・商品には寿命がある 1.商品の寿命は消費者ニーズに左右される 消費者が新しい商品を追い求めるスピードは、時代とともに速くなっているように感じられ 過去の一時期には女子中学生や高校生がかならずといってよいほどもっていたポケベルは あれほど流行した「たまごっち」も見かけることはないでしょう。 女子高生の「ルーズソックス」などもそうです。 こうした、いわゆる流行商品だけではなく、一般の商品にも寿命はあります。 スピード重視の技術進歩に依存するパソコンの世界では、半年ごとにモデルチェンジや 自動車にしても、ある時代はファミリーカーがニーズを満たし、ある時代はスポーツカーが したがって、企業には、 消費者のニーズを敏感にとらえながら、 が求められるのです。 なかには何十年も生き抜いている長寿商品もありますが、じつは、これらも消費者の嗜好に 「何十年も変わらぬ味」のお菓子も、甘さの調整や大きさの変化などをつけ長寿商品として サンリオの人気キャラクターである「ハローキティ」の顔も、時代時代で微妙に変化して また、たとえばハンバーガー業界では、普通のハンバーガーだけでは成熟してしまうため、 自社の商品の寿命がどのあたりにあるかを知ることは戦略的に大切なことです。 この商品の寿命のことを、「製品のライフサイクル」という言い方をします。 商品の誕生から陳腐化して市場を去るまでを、人の一生と同じように、生まれてから死ぬ 一般には、 (1)導入期 (2)成長期 (3)成熟期 (4)衰退期 の4つに区分して、商品がライフサイクルのどの段階にあるかをとらえていきます。 自社の数ある商品のそれぞれがライフサイクルのどこにあるかを知り、それによって 4区分の特徴は次のとおりです。 商品が市場に導入されたばかりの状態です。 事例として、1990年代に発売されたプラズマテレビをイメージしてみます。 売上はまだ小さく、一般に利益は赤字の状態でした。 戦略的には、商品をお客さまに知っていただく=商品認知が戦略の中心となります。 お客様は、新しいもの好きであったり冒険心が高く、人と違ったことが好きで、リスクを 競争はほとんどない状態であり、いかに市場を拡大するかが大切なため、マーケティング 商品が急速に売れる状態です。 DVD再生機器の普及をイメージしてください。 売上の伸びに従って利益もプラスとなります。 戦略的には市場を広めるとともに、自社ブランドをお客さまに知ってもらうことが重 したがって、競合企業と共同で市場拡大のためのマーケティング活動を行なうことも 利益があがることに注目して他企業の参入も増加します。 お客さまも、革新者だけでなく、多数のマスのお客さまとなっていきます。 競合他社と争いながら市場を拡大させ、自社ブランドを知ってもらうことが重要で、 売上がほぼ頂点に達し、伸び率が止まる状態です。 CD再生機器のように、ほぼ普及が一巡した状態が成熟期となります。 競合企業が多数存在し、利益の取り合いとなるため、利益は減少する械向となります。 自社ブランドを愛好してもらう、つまり、いわゆるブランドロイヤルティーを高めるこ 商品開発では他社との差別化に力が入れられ、自社のマーケットシェアをいかに維持す 需要が衰退して売上が下降する状態です。 利益はゼロに近くなります。 現状の生産設備でコストダウンを図り生産性を向上させるか、仕入れを効率化する 合理化という視点からとらえた戦略が中心となってきます。 成熟期から衰退期に入った商品は、どのように差別化してライフサイクルを延ばすか、 こうした分析は、事業という視点からもとらえることができます。 製品のライフサイクルを事業に応用して、自社の事業に対する戦略的な位置づけを明確に 歴史の長い企業などでは、従来の事業だけに依存して新しい事業展開を怠っている場合 前項の分類でいう衰退期の事業・商品ばかりだと、いつ需要がなくなるかということを心配 自社のもっている事業・商品がどのような位置づけにあるのかを知ることが必要です。 外装補修材のメーカーであるK社は、先代が築いた事業である旧来の接着法による法人 さらに、手のかかる現場補修ではなく、パネルタイプの簡易施工方法が新工法として浸透する 新たに次世代を支える事業を探るために、自社でもっている事業の見直しを行なう必要性に 縦軸に市場の成長率、あるいは自社にとってのその事業・商品の魅力の程度をとります。 横軸に市場における相対的マーケットシェア、あるいは自社の競合ポジションをとります。 それにより4つの事象が表現されます。 それぞれの事象の特徴を見ていきましょう。 事象Aは市場成長率が大きく魅力的な市場ですが、自社のシェアが低い市場です。 一般的にはライフサイクルの導入期の事業・商品が位置します。 成長させるためにコストをかける、将来の芽となる事業・商品です。 もっとも、今後成長するかどうかを慎重に見極める必要もあります。 このように、一般に事象Aにある事業・商品は、育成か撤退かの戦略的な意思決定を 事象Bは成長期の事業・商品が入るポジションで、市場成長の勢いがあり、売上も大きい しかしながら競争も厳しく、広告費や投資の費用もかかるという特徴があります。 つまり、事象Bはいまを盛りと拡大している事業で、この事象にある事業・商品は集中的に そこで、「花形」という名称がつけられています。 事象Cは成熟期の事業・商品が位置づけられます。 市場自体の成長率は低いため売上は大きく伸びませんが、すでに投資は一巡しており、 事象Cにある事業・商品は、収益をあげるいわば利益の稼ぎ頭です。 事象Bの「花形」が一番利益をもたらしそうですが、「花形」であるだけに投資や維持の むしろ、投資があまり必要ではない事象Cにある事業・商品が利益を稼ぎ出します。 そのため、名称は「金のなる木」です。 事象Dは衰退期の事業・商品です。 市場も成長が終わっています。 つまり、事象Dにある事業・商品は撤退などを検討すべき位置づけで、「負け犬」という ライフサイクルの視点から見ると、事業・商品は事象A「問題児」で発生して、成長しながら 最後には衰退して事象D「負け犬」となり、市場から姿を消していくことになります。 収益の源泉は事象Cの「金のなる木」ですから、 個々の位置づけについて考えると、まず、「金のなる木」である事象Cに位置づけられる 「花形」の事象Bについては、市場の支配力を高めるための積極的な戦略が有効です。 そして「問題児」である事象Aに位置づけられる事業・商品に関しては、今後積極的な そして「負け犬」である事象Dについては、いかに撤退するか(売却や縮小も含む)が K社の法人向け外装補修事業の位置づけについて、このマトリクスを利用して各事業・ K社では「問題児」である事象Aにどのような事業・商品があるかを探しました。 その結果見出した事業が、各地における文化財などの復旧工事の業務でした。 職人のノウハウを利用して文化財の復旧事業が各地で展開されていることを発見し、 そして、この事業を戦略的に支援することで、見事に「花形」である事象Bの事業へと 自社の事業・商品をこのマトリクスに位置づけることによって、 現在の事業が事象C〜事象Dに位置づけられる事業ばかりで、将来を支える事業・ つまり、全体にバランスよく事業・商品をもっているかを確認することが重要であり、 『注力する事業・商品を探すマトリクス』の項で挙げたマトリクスは、事業・商品の相対的 ぞこで、 より簡単なマトリクスを利用して、 縦軸にその事業・商品の前年比あるいは数年前と比較した売上の伸び率をとり、横軸に これもおおまかに4つの事象が現れてきます。 ここでも先ほどのマトリクスと同じような意味づけがなされます。 事象Bの事業は成長率も高く売上税模も大きいため、主力の事業・商品として注力すべき 事象Cは、売上兢模は大きいのですが成長性が鈍っている事業です。 市場自体が縮小している可能性があり、将来 は売上が減少することが予想されます。 事象Dは今後とも継続するかどうかを考えるぺき事業です。 そして事象Aに位置づけられる事業が、次世代を支える事業となる可能性を秘めた事業・ この分野については慎重に育成するか否かの戦略を考える必要があります。 自社のもっている事業・商品のライフサイクルを意識しながら、 お問合せ・ご質問はこちら
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自社商品の現状分析と新商品開発 |
「お客様にとって、あなたの会社の商品・サービスを購入することに何かメリットがあり 自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた 顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、 そして、会社(店)が成長し続けるためにはつねに商品の見直しを行ない、市場に適応 「あなたの会社の商品は何でしょうか」と尋ねられたとき、どう答えますか。 「木工ドリル、ベット、紙箱、薬品の包装資材…」といった答え方をする場合もあれば、 マーケティングの事例において商品や仕事の本質を解説した「マクドナルド」、「三人の マクドナルドの創業者によると、彼がやっているのは飲食ビジネスではなく、不動産 フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルド・コーポレーションに 「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを と言った。 彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の職人は、「これで暮らしを立てている 第二の職人は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をして 第三の職人は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっている 「工場では、私たちは香水を作っています」「しかしお店では、希望を つまり、自社商品の本質をどのように理解するかによって会社の発展の方向性は これはどんな業種についても言えることです。 どこでも、人々が買っている商品の本質は満足感なのです。 そして、自社の商品の本質を決定するのは社長の重要な役割です。 このように、消費者(顧客)は商品そのものに対してではなく、その商品がもたらす機 市場の変化と競争の激化の中、一般消費者向けの商品を開発している会社は、社会 具体的には、環境問題や規制緩和によって商品の仕様変更を余儀なくされ、商品の さらに自社の市場占有率を高めるためには、新商品の開発なども必要となります。 1.商品のライフサイクルを正しく認識する 主力商品のライフサイクルが成熟期を過 したがって、つねに自社の主力商品が今 また、以下に記したように商品がライフ 自社の成長発展を確実なものにするためには、ライフサイクル上に自社商品をバ 現在売れている「成長期」「成熟期」の商品が、いつ売れなくなるかを予測するこ 突然、これまでの主力商品が売れなくなったときに慌てないために、次代を担う新 商品の開発を余裕をもって進めなければなりません。 業種業態にもよりますが、ひとつの目安として、 過去3年間に開発きれた新商品が全売上高の20%以上の比率になっていなけれ 一度、自社商品のすべてについてそれぞれを「研究開発期」「導入期」「成長期」 たとえば、どの時期にどの程度の商品が分布するかをみて次のように分析します。 ・成熟期、衰退期に位置する商品が多く、研究開発期、導入期の商品が少ない ・導入期、成長期の商品が多く、成熟期、衰退期の商品が少ない ・成長期の商品が多い (1)研究開発期 商品発売前の企画・設計段階です。市場調査費用や開発費用などの先行投 (2)導入期 商品の販売を開始した直後の段階です。 実際に商品を手に取ってもらうための販路開拓や販促活動が不可欠です。 少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。 また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。 新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在し (3)成長期 新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。 利益も徐々に大きくなっていきます。 ライバル企業が参入を始める時期で、差別化を打ち出した販促活動が必要 (4)成熟期 商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらに減少に転じる段階 また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も減少 商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始し (5)衰退期 後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。 市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。 成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、再 自社商品のポジショニングについては、年に1度を目安にその商品を中心として そして、市場調査を行なう場合には、 ・もっと需要を伸ばすことのできる消費者のセグメントはないか ・もっと需要を伸ばすことのできる当該商品の使用場面のセグメントはないか ・非購買層がなぜ当該商品を購入しないか ・ターゲットに対して有効な広告・販売活動を行なっているか ・当該商品の機能は相対的に陳腐化していないか ・当該商品が消費者に与える心理的機能は陳腐化していないか など、入手したい情報をあらかじめ明確にしておくことが大切です。 ここでは、自社の現在の商品に関する課題を □ 販売ルート : 現在の販売ルートで大 □ 商品力 : 商品の特徴がほかの競合 □ 市場における新規性 : 機能性、デザ □ 市場参入の難易 : 参入が容易である □ マーケットサイズ : 一定の需要が見込めるか □ ほかの商品への影響 : ほかの商品販売との相乗効果はあるか □ 季節変動 : 季節による需要の変動はどの程度か □ 品質と価格 : ほかの競合商品と同品質で安くなるか □ 市場の永続性 : どれくらいまで継続使用されるか □ 市場獲得の可能性 : 他社で製造販売していないか □ 景気に対する安定性 : 販売量が景気に左右されることはないか □ 模倣の難易 : 他社が模倣する場合、4年以上かかることが予想されるか □ 商品の特性:優れた商品特性があり、使用者の期待を十分満足させるものか □ 売上高総利益率:目標利益を確保できる商品であるか □ 市場の成長性:十分な成長が見込める分野か □ 開発資金 : 巨額の開発資金が必要となることばないか □ 必要設備 : 現在使用中の設備で生産できるか □ 必要な知識と要員 : 現在の体制で十分対応できるか □ 原材料調達の有利性 : 原材料を独占調達できるか □ 商品技術 : 商品技術はすでに確立されているか □ 生産技術 : 現在の生産技術で対応でき、開発時間がほとんどかからないか
ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という マーケティングは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えて より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客 また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は すべてにおいて「まずは顧客ありき」から始める必要があるのです。 新商品開発は基本的には新商品におけるコンセプトを明確にし、次のようなマーケティ まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分を (1)環境分析(外部環境・内部環境) 経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、 既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。 上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。 一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分 ●一般消費者を対象とする場合の分類例 ○統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など) ○特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など) ●法人を対象とする場合の分類例 ○統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数 ○特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余 上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点 たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とフ ターゲットに自社商品の価値や競合他社に比べた優位性を理解してもらい、自社 つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を明確化するのです。 これがポジショニングです。 万人受けするような広く浅い「ウリ」ではなく、ターゲット層のニーズに深く切り 新商品によって顧客ニーズにどのように応えるのか、新商品は顧客にどのような ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのが 次の4つの視点からアプローチしていきます。 これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。 ①「製品」(Product) 商品そのものの仕様を明確化します。 つまり「ウリ」を商品としてどのように具現化するかということです。 「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケ ②「価格」(Price) 商品に見合った価格を設定します。 通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。 ・競合企業との競争を踏まえた価格設定 ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定 また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に入 ③「流通経路」(Place) たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路とし といった流れが考えられます。 また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。 欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を整備 ④「販売促進」(Promotion) 販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格など 具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝(プレリリース)」、 大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売 これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切 お問合せ・ご質問はこちら
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トレーサビリティ |
■トレーサビリティの概要 近年、食品に関するさまざまな問題により、消費者の食の安全性への関心は高 食品表示や食品産地の偽装といったように業者が故意に行った事件のほか、基 そのため、食の安心・安全を守るために、国が取り組みを進めてきました。 そのなかでも、食品小売業、食品製造業、食品卸業の間では、トレーサビリティの 農林水産省によると、トレーサビリティとは、 生産・加工および特定のひとつまたは複数の段階を通じて、 となっています。 なお、トレーサビリティシステムとは、 トレーサビリティのための「識別」「対応づけ」「情報の記録」、 をさします。 それは、ルール(約束事や決まり)や手順、それらを文書化した手順書、組織・体 トレーサビリティシステムを導入することで、食の安全に関して次のことが改善さ ②正確で、迅速な撤去・回収を行うために、事故や不適合が生じた食品を ③食品の履歴に由来する健康への予期せぬ影響や長期的な影響が明ら ④事業者の責任を明確にする。 (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム これは国内牛のすべてに10桁の個体識別番号を記した「耳標」をつけ、生産者 近年、食品関連業界ではICタグなどを利用して生産流通履歴を管理するトレー 大手スーパーなどでは納品業者にトレーサビリティシステム導入・運用について 1.事業者のメリット トレーサビリティシステムを導入することで、事業者にとっては、以下の効果が ①原因究明や撤去・回収の迅速化により、事故や不具合による健康や ②自らの製品の表示を含む情報の信頼性を向上させることを通じて、 ③クレームなど問い合わせに対して対応しやすくなる。 ④取引先や消費者からの信頼を確保することにより、取引関係が維持 ⑤同様に、製品のブランドが維持される。 ⑥各事業者の既存システム(安全管理、仕入・製造・販売管理、在庫 ⑦記録された履歴情報を分析することにより、生産・製造・保存等の (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム トレーサビリティシステムに必要なおもな費用は、次のとおりです。 <導入費用> ①トレーサビリティシステムの基本構想書、手順書の作成費用 ②ソフトウェアの開発や機器(計量器、情報処理機器など)の整備 ③教育・研修などの費用 *中小企業の場合、これらの費用を抑えるために他の事業者と ①識別、対応づけ、情報の記録・整理・保管等の業務の人件費 ②識別媒体(ラベル等)や記録用紙等の消耗品費 ③機器やソフトウェアの保守・更新費用(電子情報システムを導入 ④システムの信頼性を保証するためのモニタリングや監査の費用 データは古いですが、農林水産省の「平成19年度食品産業動向調査」による そのうち、すべての食品・製品に導入している企業は20.0%、一部の食品・ 平成17年度と比較すると、導入している企業の割合は7.6ポイント増加して 小売業におけるトレーサビリティシステム導入状況をさらに詳細な業種別にみ 次いで、米穀類小売業、菓子・パン小売業、各種食料品小売業、その他の飲 一方、小売業のなかでは導入があまり進んでいないのが、野菜・果実小売業 食品小売業 業種別トレーサビリティシステム導入状況 1.導入している業種の例 流通業や小売業においては、平成16年12月から個体識別番号をラベルに表 消費者は店頭や包装パックに表示された個体識別番号により、インターネット ただし、この対象になるのは個体級別番号をもつ牛の精肉で、輸入牛や細切 また、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキをおもに提供し、売上高の過 対象となる飲食店では、食材の製造・生産工程に直接関わったりするほか、 牛肉だけでなく野菜、魚、豚・鶏肉など、生鮮食品全般についてトレーサビリ JAS法においては、消費者の「食」に対する信頼を回復する目的で「生産情報 他の食品に先駆けて平成15年12月からは牛についての「生産情報公開JAS 牛や豚については個体識別番号、生年月日、管理者の名称、畜者の名称、飼 また、農産物については、生産者の住所、氏名、連絡先、ほ場の所在地、収 ※ほ場 作物を栽培する田畑、農園 上記情報に加えて、生産者によっては栽培方法や品種、生産者の顔写真など 前述のとおり、導入している業界や品目が増加傾向にあります。 食品のトレーサビリティシステムに関係する任意の規格・ガイドライン等は次の <品目別・段階別のガイドライン> ・国産牛肉トレーサビリティ導入手引書 ・原材料入出荷・履歴情報遡及システムガイドライン ・トレーサビリティ構築に向けた外食産業ガイドライン ・青果物のトレーサビリティ導入ガイドライン ・貝類(カキ・ホタテ)トレーサビリティガイドライン ・鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン ・養殖魚のトレーサビリティシステムガイドライン ・海苔のトレーサビリティシステム導入の手引き トレーサビリティシステムは、食品に限らず工業製品や精密機器など、あらゆ 生産や流通の履歴が記録きれるICタグは、小さいながらも情報量が大きいこ たとえば、一つひとつの衣料品につけて管理することにより、消費者が望む色 従来は人手に頼っていた棚卸も、ICタグを利用すれば短時間でできます。 また、建設業ではトレーサビリティシステムを導入し、建材を管理することで建 医療業界では、総務省の「電子タグの高度利用技術に関する研究開発」の一 投薬間違いの防止や、安全管理の効率化をはかるためにトレーサビリティシ トレーサビリティをいかした新ビジネスやサービス、商品はもとより、システム ●農林水産省 トレーサビリティ関係 (導入の手引き、食品トレーサビリティシステムの要件、品目別 (青果物のトレーサビリティ導入ガイドラインほか) |
自社の収益構造を確認しよう |
■自社の収益構造の枠組み 中小企業にとってまだまだ厳しい経営環境が続くなか、多くの社長は自社収益改 収益改善の大きな方向性は「売上増」と「コストダウン」の2つに分けることができ そして、この2つの取り組みは会社のビジネスモデルにかかわる根幹部分から、 また、一部の会社ではいわゆる「リストラ」によって人員整理を進めていますが、 ここでは自社の収益改善に向けた取り組みのポイントについて紹介します。 収益構造とは事業のどの部分にいくらくらいのお金をかけて、最終的に自社 この枠組みが把握できていないと収益改善の方向性を定めることはできません。 過去には経営再建中の日本航空会長の稲盛和夫氏は就任直後の社内視察 このままでは(比較的経営がシンプルな)八百屋すら経常することはできない」 自社の収益構造が全体として悪化していると考えるだけではなく、どの部分が ・全社収益構造 全社利益 = 全社売上 − 全社コスト ・部門別収益構造 部門別利益 = 部門別売上 − 部門別コスト ・製品別収益構造 製品別利益 = 製品別売上 − 製品別コスト 複数の事業部に貢献する社員や、複数の製品製造で使用する機械などもあ そのため、「どの事業が、どの製品が足を引っ張っているのか」という部分にま また、収益構造は時間によっても変化します。 たとえば、以前は自社に多額の収益をもたらしてくれていた商品であっても、 まずは、「現在の基本的な収益構造はどうなっているのか」、「それは時間経 世の中には用途に応じたありとあらゆる商品が売られており、また、同じ用途 成功している会社では自社のあるべき収益構造を独自に設定して利益確保を たとえば、ベーカリーでは一斤300円程度のパンを売る店が一般的です。 仮に材料を120円で仕入れていれば粗利益は180円であり、製造の手間賃 これが一般的なベーカリーの収益構造です。 ところが世の中には一斤3000円という高額販売で高い利益を上げている もちろんこのようなパンを買ってくれる層はごくわずかであり、その購買基準も 高級店では「厳選された材料仕入れ」、「特殊な焼釜を使って手間暇をかけて 逆に物流など商品の品質に直接には影響を与えないコストについては、業者 それらが奏功して一般的なベーカリーとは異なる高い収益構造が可能になっ 自社の収益構造を確認する際には「いくらで売るか」だけではなく、「どこにど また、収益はビジネスのそれぞれのプロセスが生み出した付加価値の合計と 付加価値とは事業活動を通じて新たに加えた商品の価値のことです。前述の 高級型ベーカリーで仮に材料費が1000円であれば、2000円もの最終的な 付加価値増大の方向性は大きく分けて2つあります。 第1はそれぞれのステップの質を高めて総合力をアップする方法です。 ベーカリーでいえば、いかによい材料を集めて、顧客が好みそうなおいしいパ 通常型ベーカリーが高級店を志向するのがその典型です。 もうひとつは付加価値が発生するプロセスを広げていく方法です。 たとえば、高級型ベーカリーが店頭で販売するだけではなく、有料で宅配まで また、このベーカリーが厳選素材の調達能力をいかして、自分が調達した材 収益構造改善を検討する際には、あらかじめ想定した守備範囲の質をいかに 1.コストはかかるものではなくかけるもの コストとはいうまでもなく、売上創出のために支払うお金のことです。 したがって、コストは本来的には「かかる」という受け身の性質のものではなく、 そして、主体的にコストをかけるとは、そのコストの必要性や額の大きさについ そこにはあいまいさは一切許されません。 このコストの原則をまず再確認することが大切です。 しかし、会社経営を積み重ね、社長が全社コストの細部にまで日が届きにくく 「相場が下がっているのに割高のまま材料を仕入れ続ける」、「不必要な備品 やがてその無駄が当たり前になり、毎年その無駄なコストを払い続けることに このような会社では無駄なコストのおかげでその期の利益を圧迫しているだけ より長期的には、無駄なコストのために本当に将来のために必要なコスト、す コスト削減は大きく分けて次の2段階で考えます。 第1段階の目的は現状のコスト構造を把握し、標準コストに収まるようにコスト 最初の段階は、前述のように、もはやコントロールできなくなっているさまざ 製品別、部門別、勘定科目別などさまざまな視点から分析することが必要 そして、「これはまったくの無駄である」とか、「項目自体は無駄ではないが 日常的な残業や非効率な仕事の仕方をしていないかなど、労務費や間接 コストのなかでその絶対金額が大きいもの、最近増加傾向にあるものなど そして、標準的なコスト構造を明らかにし、削減に向けた具体的な取り組み その際には従業員全員を巻き込んだ業務改善活動なども不可欠でしょう。 取り組みの結果、標準コスト構造に近いレベルでコストをコントロールでき 次の段階では、当面定めた、標準コスト構造をさまざまな工夫を行うことに 第1段階で定めた標準コストは、以前から実施している方法によって計算さ したがって、より効率的な方法に改善することができれば、現在用いられて ここでは製造方法や販売方法、あるいは管理方法などを改善することで、 たとえば、製品スペックの見直し、生産ラインの組み替え、品種の絞り込 また、従業員のコストダウン意識を高めるためには、「自社は人件費にはでき そのためのコスト捻出に協力してほしい」と宣言し、実際に人件費も重要なコ 従来の仕事のやり方では必須にみえたコストも、やり方を工夫すれば大幅に 「現状の無駄をなくす」というだけではなく、「仕事のやり方を変えてコストを下 そして、コストダウンが成功すれば実際にその一部を従業員に還元します。 こうすることで、従業員は直接的なメリットを得ることができ、また、「会社は従 コストダウン活動のみならず通常業務のやる気が高まっていくことも期待できます。 1.「リストラ」という経営戦略はない 「リストラ」とは「リストラクチャリング」の略で、人員整理などで規模を小さくする 本来であれば現状を打破して活路を見いだすという前向きに使われるべき言 しかし、世の中ではほとんどの場合、「リストラ=人減らしによる固定費削減」 そして、収益状況が悪化してくると、この誤った意味でのリストラで何とか凌ご たとえば、順調に利益を出し続けていた会社の業績が不況によって悪化し、こ 人件費が圧縮されて、何とか今期は収支トントンに収まるかもしれません。 しかし、この会社の企業体力はリストラによって確実に落ちることになります。 そのままの体制で同じ経営のやり方で来期に臨んだとしても、余程の神風(突 そして、残念ながらまたしてもリストラを余儀なくされ、結果として「ジリ貧」に この意味において、リストラそのものは経営戦略とはいえません。 収益悪化の要因は基本的には2つしかありません。 売上の減少か経費の増大(あるいはその両方)です。 安易な「リストラ」に走る前になぜそのようなことが起こっているのかを突き詰 たとえば、売上が減少しているとしたら「商品そのものに魅力がなくなってきて 経費の増大については、「資材調達費の増大」、「人件費の増大」、「光熱費な まずはこれらの原因を分析し、問題の本質を明らかにしたうえで、根本的な対 その結果として、どうしてもいったん人員削減を行って企業規模を縮小し、自 このようにリストラとはその後の新たな施策とセットで考えてこそ、本来的な意 前述の例にあった経営再建中の日本航空では大幅な人員削減を行っていま リストラクチャリングは業績が低迷したときのみに行うものではありません。 会社が成長していくプロセスでは何度も節目がやってきます。 これは業績低迷という意味ではなく、次のステージに向けて企業体質を強化し 「現状のやり方でいくらがんばってもこれ以上の成長は見込めない」と思えると このときこそ、現状の事業構造や会社の仕組みを再構築すべくリストラクチャ この際には先にあげた業績悪化の原因を裏返して「いかに商品力を高める
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対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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