自社商品の分析と新商品開発

        

自社商品の現状分析と新商品開発


  ■自社商品の分析と新商品開発

   「お客様にとって、あなたの会社の商品・サービスを購入することに何かメリットがあり
   ますか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた
   の会社の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、
   彼ら(彼女ら)の抱える不満や困ったことなどを解決する商品・サービスだからです。

   ひとつの売れ筋商品が、企業の収益改善に大きく貢献することがあります。

   そして、会社(店)が成長し続けるためにはつねに商品の見直しを行ない、市場に適応
   した商品を開発していく必要があります。

   ここで質問です。

   「あなたの会社の商品は何でしょうか」と尋ねられたとき、どう答えますか。

   「木工ドリル、ベット、紙箱、薬品の包装資材…」といった答え方をする場合もあれば、
   木工ドリルではなく『穴開け技術』、紙箱ではなく『食品の携帯・保存機能』、薬品の
   包装資材ではなく『包装機能』という答え方もあります。

   前者と後者の回答ではその会社の将来はずいぶん変わってくるでしょう。

   マーケティングの事例において商品や仕事の本質を解説した「マクドナルド」、「三人の
   石工の昔話」、そして化粧品の「レブロン」があります。

   マクドナルドの創業者によると、彼がやっているのは飲食ビジネスではなく、不動産
   ビジネスと考えていたらしい。

   フランチャイズ契約の条件として、ほとんどのマクドナルド店舗は、店舗の不動産を
   マクドナルド・コーポレーションが所有する。

   フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルド・コーポレーションに
   支払う。

   マクドナルド創立者の1人であるHarry.J.Sonneborneは
     「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを
     売る唯一の理由は、フランチャイズ会社がハンバーガーを売ったと
     きの利益が、最も多くの賃貸料をわれわれにもたらすからだ」と言った。

   ある人が、エジプトを旅行中、 仕事中の3人の石工職人に出会いました。

   彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の職人は、「これで暮らしを立てている
   のさ」と答えた。

   第二の職人は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をして
   いるのさ」と答えた。

   第三の職人は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっている
   のさ」と答えた。

   化粧品のレブロンの創始者チャールズ・レブロンは、
     「工場では、私たちは香水を作っています」「しかしお店では、希望を
     売っているのです」と。

   石工を自社の社員に置き換えたとき、第三の職人のような答え方ができれば言うこと
   ありません。

   つまり、自社商品の本質をどのように理解するかによって会社の発展の方向性は
   大きく変化します。

   これはどんな業種についても言えることです。

   どこでも、人々が買っている商品の本質は満足感なのです。

   そして、自社の商品の本質を決定するのは社長の重要な役割です。

   社長はつねに自社の商品を分析し、できる限り将来の発展性が見込めるような商品
   概念を案出し続け、全社員に語り続けなけることです。

   このように、消費者(顧客)は商品そのものに対してではなく、その商品がもたらす機
   能・便益に魅力を感じているのです。

  新商品の開発 
   市場の変化と競争の激化の中、一般消費者向けの商品を開発している会社は、社会
   構造の変化や消費者の趣味・嗜好の変化にともなって、その変化に対応した商品を
   提供することが特に必要になります。

   具体的には、環境問題や規制緩和によって商品の仕様変更を余儀なくされ、商品の
   品質のみならず、その製造方法やアフターフォローの方法に至るまで修正することが
   あります。

   さらに自社の市場占有率を高めるためには、新商品の開発なども必要となります。

  商品を分析する 
   1.商品のライフサイクルを正しく認識する
     ご承知のように、商品には研究開発期には
     じまり衰退期まで進むライフサイクルがあり
     ます。

     主力商品のライフサイクルが成熟期を過 
     ぎていれば、売り上げの減少は避けられ
     ないことです。

     したがって、つねに自社の主力商品が今
     どの段階にあるかを正しく認識していな
     ければならないのです。

     また、以下に記したように商品がライフ
     サイクル上のどの時期に位置しているかに
     よって、それぞれ重要となる戦略テーマが異なります。

   2.ライフサイクル上で商品の分布を分析する
     自社の成長発展を確実なものにするためには、ライフサイクル上に自社商品をバ
     ランスよく配置しておく必要があります。

     現在売れている「成長期」「成熟期」の商品が、いつ売れなくなるかを予測するこ
     とは困難です。

     突然、これまでの主力商品が売れなくなったときに慌てないために、次代を担う新

     商品の開発を余裕をもって進めなければなりません。

     業種業態にもよりますが、ひとつの目安として、

     過去3年間に開発きれた新商品が全売上高の20%以上の比率になっていなけれ
     ば、「要警戒」として新商品開発への取り組み状況を検討してみる必要があるとい
     えます。

     一度、自社商品のすべてについてそれぞれを「研究開発期」「導入期」「成長期」
     「成熟期」「衰退期」のいずれかに分布させたときのバラつき具合を確認してみま
     しょう。

     たとえば、どの時期にどの程度の商品が分布するかをみて次のように分析します。

     ・成熟期、衰退期に位置する商品が多く、研究開発期、導入期の商品が少ない

     ・導入期、成長期の商品が多く、成熟期、衰退期の商品が少ない

     ・成長期の商品が多い

     ・すべてにバランスよく商品がある
      
    ●商品のライフサイクル
     (1)研究開発期
        商品発売前の企画・設計段階です。市場調査費用や開発費用などの先行投
        資が必要であり、利益はマイナスになります。

     (2)導入期
        商品の販売を開始した直後の段階です。実際に商品を手に取ってもらうため
        の販路開拓や販促活動が不可欠です。

        少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。

        また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。

        新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在し
        ません。

     (3)成長期
        新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。

        利益も徐々に大きくなっていきます。

        ライバル企業が参入を始める時期で、差別化を打ち出した販促活動が必要
        です。

     (4)成熟期
        商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらに減少に転じる段階
        です。

        また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も減少
        に転じます。

        商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始し
        ます。

     (5)衰退期
        後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。

        市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。

        成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、再
        び成長することも可能です。

   3.市場におけるポジショニングを分析する
     自社商品のポジショニングについては、年に1度を目安にその商品を中心として
     徹底したリサーチを行なうことが必要です。

     そして、市場調査を行なう場合には、
      ・もっと需要を伸ばすことのできる消費者のセグメントはないか
      ・もっと需要を伸ばすことのできる当該商品の使用場面のセグメントはないか
      ・非購買層がなぜ当該商品を購入しないか
      ・ターゲットに対して有効な広告・販売活動を行なっているか
      ・当該商品の機能は相対的に陳腐化していないか
      ・当該商品が消費者に与える心理的機能は陳腐化していないか

     など、入手したい情報をあらかじめ明確にしておくことが大切です。

  □自社商品のチェックポイント
   ここでは、自社の現在の商品に関する課題を
   発見し、今後商品開発を行なう上でのチェック
   ポイントをまとめています。

      
    1.市場性チェック 
      □ 販売ルート : 現在の販売ルートで大
        きな市場が得られるか
      □ 商品力 : 商品の特徴がほかの競合
        商品より優れているか
      □ 市場における新規性 : 機能性、デザ
        イン、価格などすべての面で新しい商
              品であるか
      □ 市場参入の難易 : 参入が容易である
        か(許認可問題など)
      □ マーケットサイズ : 一定の需要が見込めるか
      □ ほかの商品への影響 : ほかの商品販売との相乗効果はあるか
      □ 季節変動 : 季節による需要の変動はどの程度か
      □ 品質と価格 : ほかの競合商品と同品質で安くなるか

    2.安定性チェック
      □ 市場の永続性 : どれくらいまで継続使用されるか
      □ 市場獲得の可能性 : 他社で製造販売していないか
      □ 景気に対する安定性 : 販売量が景気に左右されることはないか
      □ 模倣の難易 : 他社が模倣する場合、4年以上かかることが予想されるか

    3.収益性・成長性チェック
      □ 商品の特性:優れた商品特性があり、使用者の期待を十分満足させるものか
      □ 売上高総利益率:目標利益を確保できる商品であるか
      □ 市場の成長性:十分な成長が見込める分野か

    4.生産性チェック
      □ 開発資金 : 巨額の開発資金が必要となることばないか
      □ 必要設備 : 現在使用中の設備で生産できるか
      □ 必要な知識と要員 : 現在の体制で十分対応できるか
      □ 原材料調達の有利性 : 原材料を独占調達できるか
      □ 商品技術 : 商品技術はすでに確立されているか
      □ 生産技術 : 現在の生産技術で対応でき、開発時間がほとんどかからないか


   自社の既存商品活性化の全体像をつかみ、成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半
   数に達している場合は、新商品開発に向けて危機意識をもって取り組む必要があります。

  ■新商品開発のフレーム
   ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という
   発想から、「顧客が欲しがる物を売る」というマーケティングの発想に完全に考えを
   切り替える必要があります。

   マーケティングは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えて
   いくことです。

   より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える
   商品を適切に提供するために、仕入れ、設計、製造、物流、サービスなど会社のすべて
   の機能を見直していくことといえます。

   たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客
   はそれを手に取ることはできません。

   また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は
   買ってくれません。

   すべてにおいて「まずは顧客ありき」から始める必要があるのです。

  □マーケティングプロセスに沿った商品開発
   新商品開発は基本的には新商品におけるコンセプトを明確にし、次のようなマーケティ
   ングプロセスに沿って進めていきます。

   まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分を
   どのように「変えて進化させるか」を検討するとわかりやすいでしょう。

  □マーケティングプロセス
    (1)環境分析(外部環境・内部環境)
      経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、
      「モノ」、「カネ」、「情報」などの内部環境分析から、自社の強みが
      活かせ、かつ成
長性が高いと思われる市場を抽出します。

     既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。

    (2)セグメンテーション(顧客分類)
      上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。

      一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分
      類が考えられます。

       ●一般消費者を対象とする場合の分類例
        ○統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など)

        ○特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など)

       ●法人を対象とする場合の分類例
        ○統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数
         など)

        ○特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余
         力、得意分野など)

    (3)ターゲティング(顧客の絞り込み)
      上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点
      だけではなく今後強化が見込める部分も含む)がいかせると思われる顧客を絞
      り込みます。

      たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とフ
      ァッションに関心が高い顧客層」、法人を対象とする場合は「成長市場に属して
      おり本業に経営資源を集中したいと考えている中堅企業」といったターゲテット
      例が考えられます。  

    (4)ポジショニング(差別化要因の明確化)
      ターゲットに自社商品の価値や競合他社
      に比べた優位性を理解してもらい、自
      商品を選んでもらうための動機づけを行
      います。

      つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を
      明確化するのです。

      これがポジショニングです。

      万人受けするような広く浅い「ウリ」では
      なく、ターゲット層のニーズに深く切り込
      んだ「ウリ」を設定することが必要です。

      新商品によって顧客ニーズにどのように
      応えるのか、新商品は顧客にどのような
      メリットを与えるのかを具体化します。

    (5)マーケティングミックス(4P)
      ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのが
      マーケティングミックスです。

      次の4つの視点からアプローチしていきます。

      これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。
      @「製品」(Product)
        商品そのものの仕様を明確化します。

        つまり「ウリ」を商品としてどのように具現化するかということです。

        「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケ
        ージ」など
を決定します。

      A「価格」(Price)

        商品に見合った価格を設定します。

        通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。
         ・商品の製造コストに会社として確保したい利益を乗せた価格設定
         ・競合企業との競争を踏まえた価格設定
         ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定

        また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に入
        ったら、量産効果によってどの程度の価格引き下げが可能かといった目安も
        もっておく必要があります。

      B「流通経路」(Place)
        流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。

        たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路とし
        ては、
         自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者

        といった流れが考えられます。

        また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。

        欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を整備
        することが大切です。

      C「販売促進」(Promotion)
        販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格など
        の情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。

        具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝(プレスリリ
        ース
)」、最終顧客や中間業者にインセンティブを提供する「セールス・プ
        ロモーション(SP)活動」、個々の顧客に直接に働きかける「人的販売」に
        大別できます。

        大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売
        るための仕掛けをつくること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が
        目的となります。

        これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切
        です。

 

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