自社商品の分析と新商品開発

        

自社商品の現状分析と新商品開発


  ■自社商品の分析と新商品開発

   「お客様にとって、あなたの会社の商品・サービスを購入することに何かメリットがあり
   ますか?」

   自社と他社との違いを明確にしたうえで、これを分かりやすく説明できるなら、あなた
   の会社の商品・サービスは、まず間違いなく競争力のある商品といえます。

   顧客にとって購入するメリットのある商品・サービスとは、顧客のニーズを満たし、
   彼ら(彼女ら)の抱える不満や困ったことなどを解決する商品・サービスだからです。

   ひとつの売れ筋商品が、企業の収益改善に大きく貢献することがあります。

   そして、会社(店)が成長し続けるためにはつねに商品の見直しを行ない、市場に適応
   した商品を開発していく必要があります。

   ここで質問です。

   「あなたの会社の商品は何でしょうか」と尋ねられたとき、どう答えますか。

   「木工ドリル、ベット、紙箱、薬品の包装資材…」といった答え方をする場合もあれば、
   木工ドリルではなく『穴開け技術』、紙箱ではなく『食品の携帯・保存機能』、薬品の
   包装資材ではなく『包装機能』という答え方もあります。

   前者と後者の回答ではその会社の将来はずいぶん変わってくるでしょう。

   マーケティングの事例において商品や仕事の本質を解説した「マクドナルド」、「三人の
   石工の昔話」、そして化粧品の「レブロン」があります。

   マクドナルドの創業者によると、彼がやっているのは飲食ビジネスではなく、不動産
   ビジネスと考えていたらしい。

   フランチャイズ契約の条件として、ほとんどのマクドナルド店舗は、店舗の不動産を
   マクドナルド・コーポレーションが所有する。

   フランチャイズ会社は売り上げの一部を賃貸料としてマクドナルド・コーポレーションに
   支払う。

   マクドナルド創立者の1人であるHarry.J.Sonneborneは

     「われわれの商売は不動産業である。われわれがハンバーガーを
     売る唯一の理由は、フランチャイズ会社がハンバーガーを売ったと
     きの利益が、最も多くの賃貸料をわれわれにもたらすからだ」

    と言った。

   ある人が、エジプトを旅行中、 仕事中の3人の石工職人に出会いました。

   彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の職人は、「これで暮らしを立てている
   のさ」と答えた。

   第二の職人は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をして
   いるのさ」と答えた。

   第三の職人は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっている
   のさ」と答えた。

   化粧品のレブロンの創始者チャールズ・レブロンは、

     「工場では、私たちは香水を作っています」「しかしお店では、希望を
     売っているのです」と。

   石工を自社の社員に置き換えたとき、第三の職人のような答え方ができれば言うこと
   ありません。

   つまり、自社商品の本質をどのように理解するかによって会社の発展の方向性は
   大きく変化します。

   これはどんな業種についても言えることです。

   どこでも、人々が買っている商品の本質は満足感なのです。

   そして、自社の商品の本質を決定するのは社長の重要な役割です。

   社長はつねに自社の商品を分析し、できる限り将来の発展性が見込めるような商品
   概念を案出し続け、全社員に語り続けなけることです。

   このように、消費者(顧客)は商品そのものに対してではなく、その商品がもたらす機
   能・便益に魅力を感じているのです。

  新商品の開発 

   市場の変化と競争の激化の中、一般消費者向けの商品を開発している会社は、社会
   構造の変化や消費者の趣味・嗜好の変化にともなって、その変化に対応した商品を
   提供することが特に必要になります。

   具体的には、環境問題や規制緩和によって商品の仕様変更を余儀なくされ、商品の
   品質のみならず、その製造方法やアフターフォローの方法に至るまで修正することが
   あります。

   さらに自社の市場占有率を高めるためには、新商品の開発なども必要となります。

  商品を分析する 

   1.商品のライフサイクルを正しく認識する
     ご承知のように、商品には研究開発期には
     じまり衰退期まで進むライフサイクルがあり
     ます。

     主力商品のライフサイクルが成熟期を過 
     ぎていれば、売り上げの減少は避けられ
     ないことです。

     したがって、つねに自社の主力商品が今
     どの段階にあるかを正しく認識していな
     ければならないのです。

     また、以下に記したように商品がライフ
     サイクル上のどの時期に位置しているかに
     よって、それぞれ重要となる戦略テーマが異なります。

   2.ライフサイクル上で商品の分布を分析する

     自社の成長発展を確実なものにするためには、ライフサイクル上に自社商品をバ
     ランスよく配置しておく必要があります。

     現在売れている「成長期」「成熟期」の商品が、いつ売れなくなるかを予測するこ
     とは困難です。

     突然、これまでの主力商品が売れなくなったときに慌てないために、次代を担う新

     商品の開発を余裕をもって進めなければなりません。

     業種業態にもよりますが、ひとつの目安として、

     過去3年間に開発きれた新商品が全売上高の20%以上の比率になっていなけれ
     ば、「要警戒」として新商品開発への取り組み状況を検討してみる必要があるとい
     えます。

     一度、自社商品のすべてについてそれぞれを「研究開発期」「導入期」「成長期」
     「成熟期」「衰退期」のいずれかに分布させたときのバラつき具合を確認してみま
     しょう。

     たとえば、どの時期にどの程度の商品が分布するかをみて次のように分析します。

     ・成熟期、衰退期に位置する商品が多く、研究開発期、導入期の商品が少ない

     ・導入期、成長期の商品が多く、成熟期、衰退期の商品が少ない

     ・成長期の商品が多い

     ・すべてにバランスよく商品がある
      
    ●商品のライフサイクル

     (1)研究開発期

        商品発売前の企画・設計段階です。市場調査費用や開発費用などの先行投
        資が必要であり、利益はマイナスになります。

     (2)導入期

        商品の販売を開始した直後の段階です。

        実際に商品を手に取ってもらうための販路開拓や販促活動が不可欠です。

        少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。

        また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。

        新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在し
        ません。

     (3)成長期

        新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。

        利益も徐々に大きくなっていきます。

        ライバル企業が参入を始める時期で、差別化を打ち出した販促活動が必要
        です。

     (4)成熟期

        商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらに減少に転じる段階
        です。

        また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も減少
        に転じます。

        商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始し
        ます。

     (5)衰退期

        後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。

        市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。

        成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、再
        び成長することも可能です。

   3.市場におけるポジショニングを分析する

     自社商品のポジショニングについては、年に1度を目安にその商品を中心として
     徹底したリサーチを行なうことが必要です。

     そして、市場調査を行なう場合には、

      ・もっと需要を伸ばすことのできる消費者のセグメントはないか

      ・もっと需要を伸ばすことのできる当該商品の使用場面のセグメントはないか

      ・非購買層がなぜ当該商品を購入しないか

      ・ターゲットに対して有効な広告・販売活動を行なっているか

      ・当該商品の機能は相対的に陳腐化していないか

      ・当該商品が消費者に与える心理的機能は陳腐化していないか

     など、入手したい情報をあらかじめ明確にしておくことが大切です。

  □自社商品のチェックポイント

   ここでは、自社の現在の商品に関する課題を
   発見し、今後商品開発を行なう上でのチェック
   ポイントをまとめています。

      
    1.市場性チェック 

      □ 販売ルート : 現在の販売ルートで大
        きな市場が得られるか

      □ 商品力 : 商品の特徴がほかの競合
        商品より優れているか

      □ 市場における新規性 : 機能性、デザ
        イン、価格などすべての面で新しい商
              品であるか

      □ 市場参入の難易 : 参入が容易である
        か(許認可問題など)

      □ マーケットサイズ : 一定の需要が見込めるか

      □ ほかの商品への影響 : ほかの商品販売との相乗効果はあるか

      □ 季節変動 : 季節による需要の変動はどの程度か

      □ 品質と価格 : ほかの競合商品と同品質で安くなるか

    2.安定性チェック

      □ 市場の永続性 : どれくらいまで継続使用されるか

      □ 市場獲得の可能性 : 他社で製造販売していないか

      □ 景気に対する安定性 : 販売量が景気に左右されることはないか

      □ 模倣の難易 : 他社が模倣する場合、4年以上かかることが予想されるか

    3.収益性・成長性チェック

      □ 商品の特性:優れた商品特性があり、使用者の期待を十分満足させるものか

      □ 売上高総利益率:目標利益を確保できる商品であるか

      □ 市場の成長性:十分な成長が見込める分野か

    4.生産性チェック

      □ 開発資金 : 巨額の開発資金が必要となることばないか

      □ 必要設備 : 現在使用中の設備で生産できるか

      □ 必要な知識と要員 : 現在の体制で十分対応できるか

      □ 原材料調達の有利性 : 原材料を独占調達できるか

      □ 商品技術 : 商品技術はすでに確立されているか

      □ 生産技術 : 現在の生産技術で対応でき、開発時間がほとんどかからないか


   自社の既存商品活性化の全体像をつかみ、成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半
   数に達している場合は、新商品開発に向けて危機意識をもって取り組む必要があります。

  ■新商品開発のフレーム

   ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という
   発想から、「顧客が欲しがる物を売る」というマーケティングの発想に完全に考えを
   切り替える必要があります。

   マーケティングは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えて
   いくことです。

   より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える
   商品を適切に提供するために、仕入れ、設計、製造、物流、サービスなど会社のすべて
   の機能を見直していくことといえます。

   たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客
   はそれを手に取ることはできません。

   また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は
   買ってくれません。

   すべてにおいて「まずは顧客ありき」から始める必要があるのです。

  □マーケティングプロセスに沿った商品開発

   新商品開発は基本的には新商品におけるコンセプトを明確にし、次のようなマーケティ
   ングプロセスに沿って進めていきます。

   まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分を
   どのように「変えて進化させるか」を検討するとわかりやすいでしょう。

  □マーケティングプロセス

    (1)環境分析(外部環境・内部環境)

      経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、
      「モノ」、「カネ」、「情報」などの内部環境分析から、自社の強みが
      活かせ、かつ成
長性が高いと思われる市場を抽出します。

     既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。

    (2)セグメンテーション(顧客分類)

      上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。

      一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分
      類が考えられます。

       ●一般消費者を対象とする場合の分類例

        ○統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など)

        ○特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など)

       ●法人を対象とする場合の分類例

        ○統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数
         など)

        ○特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余
         力、得意分野など)

    (3)ターゲティング(顧客の絞り込み)

      上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点
      だけではなく今後強化が見込める部分も含む)がいかせると思われる顧客を絞
      り込みます。

      たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とフ
      ァッションに関心が高い顧客層」、法人を対象とする場合は「成長市場に属して
      おり本業に経営資源を集中したいと考えている中堅企業」といったターゲテット
      例が考えられます。  

    (4)ポジショニング(差別化要因の明確化)

      ターゲットに自社商品の価値や競合他社
      に比べた優位性を理解してもらい、自
      商品を選んでもらうための動機づけを行
      います。

      つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を
      明確化するのです。

      これがポジショニングです。

      万人受けするような広く浅い「ウリ」では
      なく、ターゲット層のニーズに深く切り込
      んだ「ウリ」を設定することが必要です。

      新商品によって顧客ニーズにどのように
      応えるのか、新商品は顧客にどのような
      メリットを与えるのかを具体化します。

    (5)マーケティングミックス(4P)

      ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのが
      マーケティングミックスです。

      次の4つの視点からアプローチしていきます。

      これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。

      @「製品」(Product)

        商品そのものの仕様を明確化します。

        つまり「ウリ」を商品としてどのように具現化するかということです。

        「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケ
        ージ」など
を決定します。

      A「価格」(Price)

        商品に見合った価格を設定します。

        通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。
         ・商品の製造コストに会社として確保したい利益を乗せた価格設定

         ・競合企業との競争を踏まえた価格設定

         ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定

        また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に入
        ったら、量産効果によってどの程度の価格引き下げが可能かといった目安も
        もっておく必要があります。

      B「流通経路」(Place)
        流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。

        たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路とし
        ては、
         自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者

        といった流れが考えられます。

        また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。

        欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を整備
        することが大切です。

      C「販売促進」(Promotion)

        販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格など
        の情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。

        具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝(プレスリリ
        ース
)」、最終顧客や中間業者にインセンティブを提供する「セールス・プ
        ロモーション(SP)活動」、個々の顧客に直接に働きかける「人的販売」に
        大別できます。

        大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売
        るための仕掛けをつくること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が
        目的となります。

        これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切
        です。

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トレーサビリティ

            

トレーサビリティ

  ■トレーサビリティの概要

   近年、食品に関するさまざまな問題により、消費者の食の安全性への関心は高
   まる一方です。

   食品表示や食品産地の偽装といったように業者が故意に行った事件のほか、基
   準値以上の農薬の混入、製造過程で使用する水質の問題などがありました。

   そのため、食の安心・安全を守るために、国が取り組みを進めてきました。

   そのなかでも、食品小売業、食品製造業、食品卸業の間では、トレーサビリティの
   概念を取り入れ、トレーサビリティシステムを導入する企業が増えています。

   農林水産省によると、トレーサビリティとは、

    生産・加工および特定のひとつまたは複数の段階を通じて、
    食品の移動を把握できること

   となっています。

   なお、トレーサビリティシステムとは、

    トレーサビリティのための「識別」「対応づけ」「情報の記録」、
    「情報の蓄積・保管」、「検証」を実施する一連の仕組み

   をさします。

   それは、ルール(約束事や決まり)や手順、それらを文書化した手順書、組織・体
   制、およびプロセスと経営資源(人員、財源、機械、設備、ソフトウェア、技術・技
   法)、教育・研修などからなります。

   トレーサビリティシステムを導入することで、食の安全に関して次のことが改善さ
   れます。

    @食品事故や不適合が生じた場合に、その原因を探索するために、迅速
      かつ容易にプロセスを遡ることができる。その食品の安全性に関する
      モニタリング・データが記録されていれば、原因の探索が容易になる。

    A正確で、迅速な撤去・回収を行うために、事故や不適合が生じた食品を
      絞り込み、その行き先を特定することができる。

    B食品の履歴に由来する健康への予期せぬ影響や長期的な影響が明ら
      かになった場合、その食品の履歴情報が保存されていれば、データの
      収集を容易にしリスク管理手法の発展を助ける。

    C事業者の責任を明確にする。

      (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム
            導入の手引き」より)

   国産の牛と牛肉については、平成15年12月に「牛の個体織別のための情報の
   管理および伝達に関する特別措置法」、いわゆる「牛肉トレーサビリティ法」が施
   行されました。

   これは国内牛のすべてに10桁の個体識別番号を記した「耳標」をつけ、生産者
   から食肉処理場までの履歴をデータベースで管理するというものです。

   近年、食品関連業界ではICタグなどを利用して生産流通履歴を管理するトレー
   サビリティシステムの導入が進んでいます。

   大手スーパーなどでは納品業者にトレーサビリティシステム導入・運用について
   対応を求めているところもあり、食品に関わるすべての企業にとって、トレーサビ
   リティシステム導入は重要な検討課題となってきています。

  □トレーサビリティシステムの導入

   1.事業者のメリット

     トレーサビリティシステムを導入することで、事業者にとっては、以下の効果が
     あると期待されています。

      @原因究明や撤去・回収の迅速化により、事故や不具合による健康や
        社会への影響を減少させることができ、損失を削減できる。

      A自らの製品の表示を含む情報の信頼性を向上させることを通じて、
        誤認させるような表示や情報提供を排除できる。

      Bクレームなど問い合わせに対して対応しやすくなる。

      C取引先や消費者からの信頼を確保することにより、取引関係が維持
        される。

      D同様に、製品のブランドが維持される。

      E各事業者の既存システム(安全管理、仕入・製造・販売管理、在庫
        管理のシステムなど)と連携・統合させることにより、業務の改善を
        はかり、業務の経費を削減したり従業員の意識を向上させることが
        できる。また既存システムの効率が向上する。

      F記録された履歴情報を分析することにより、生産・製造・保存等の
        技術の向上に貢献する。

          (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム
           導入の手引き」より)

   2.導入・運用費用

     トレーサビリティシステムに必要なおもな費用は、次のとおりです。

     <導入費用>  

       @トレーサビリティシステムの基本構想書、手順書の作成費用

       Aソフトウェアの開発や機器(計量器、情報処理機器など)の整備
         費用(電子情報システムを導入する場合)

       B教育・研修などの費用

          *中小企業の場合、これらの費用を抑えるために他の事業者と
           共同で取り組むといったことも考えられます。

     <運用費用>

       @識別、対応づけ、情報の記録・整理・保管等の業務の人件費

       A識別媒体(ラベル等)や記録用紙等の消耗品費

       B機器やソフトウェアの保守・更新費用(電子情報システムを導入
         した場合)

       Cシステムの信頼性を保証するためのモニタリングや監査の費用
         (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム導入
          の手引き」より)

   3.導入状況

     データは古いですが、農林水産省の「平成19年度食品産業動向調査」による
     と、トレーサビリティシステムを導入している食品小売業は平成19年度で43.
     4%となっています。

     そのうち、すべての食品・製品に導入している企業は20.0%、一部の食品・
     製品に導入している企業は23.4%となっています。

     平成17年度と比較すると、導入している企業の割合は7.6ポイント増加して
     います。

     小売業におけるトレーサビリティシステム導入状況をさらに詳細な業種別にみ
     ると、もっとも浸透しているのが食肉小売業で、「牛の個体識別のための情報
     の管理および伝達に関する特別措置法」の影響もあり68.4%の企業が導入
     しています。

     次いで、米穀類小売業、菓子・パン小売業、各種食料品小売業、その他の飲
     食料品小売業、各種商品小売業、料理品小売業の順になり、導入率が40%
     台になっています。

     一方、小売業のなかでは導入があまり進んでいないのが、野菜・果実小売業
     となり、導入率は27.4%でした。

       食品小売業のトレーサビリティシステム導入状況の推移

       食品小売業 業種別トレーサビリティシステム導入状況

  □近年の傾向

   1.導入している業種の例

     流通業や小売業においては、平成16年12月から個体識別番号をラベルに表
     示することが義務づけられました。

     消費者は店頭や包装パックに表示された個体識別番号により、インターネット
     などで牛の生産履歴を調べることができます。

     ただし、この対象になるのは個体級別番号をもつ牛の精肉で、輸入牛や細切
     れ・挽肉は対象外です。

     また、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキをおもに提供し、売上高の過
     半を牛肉料理が占める飲食店でも、情報開示と記録保存が求められます。

     対象となる飲食店では、食材の製造・生産工程に直接関わったりするほか、
     料理に使用した牛の個体識別番号を店頭やメニューで表示し、顧客からの問
     い合わせがあれば履歴を調べるなどしています。

   2.牛肉以外の食品の例

     牛肉だけでなく野菜、魚、豚・鶏肉など、生鮮食品全般についてトレーサビリ
     ティが強く意識され、JAS法による表示とも関連して、消費者に安心して受け
     入れられるように供給者側が積極的に取り組んでいます。

     JAS法においては、消費者の「食」に対する信頼を回復する目的で「生産情報
     公開JAS規格」が設けられ、食品の生産情報を事業者が消費者に正確に伝え
     る仕組みを第三者機関(登録認定機関)が認証する制度を発足させています。

     他の食品に先駆けて平成15年12月からは牛についての「生産情報公開JAS
     規格」が施行され、次いで平成16年7月に豚、平成17年7月には米、豆類、野
     菜、果実などの生鮮農産物全般が対象となりました。

     牛や豚については個体識別番号、生年月日、管理者の名称、畜者の名称、飼
     養施設、と畜場の所在地、給餌飼料、動物医薬品の使用などに関する情報が
     公表されています。

     また、農産物については、生産者の住所、氏名、連絡先、ほ場の所在地、収
     穫時期、農薬の種類と使用回数、肥料の種類とその施用量などが公表されて
     います。

         ※ほ場 作物を栽培する田畑、農園

     上記情報に加えて、生産者によっては栽培方法や品種、生産者の顔写真など
     を公表している場合もあります。

     前述のとおり、導入している業界や品目が増加傾向にあります。

     食品のトレーサビリティシステムに関係する任意の規格・ガイドライン等は次の
     とおりになっています。

     <品目別・段階別のガイドライン>

       ・国産牛肉トレーサビリティ導入手引書

       ・原材料入出荷・履歴情報遡及システムガイドライン

       ・トレーサビリティ構築に向けた外食産業ガイドライン

       ・青果物のトレーサビリティ導入ガイドライン

       ・貝類(カキ・ホタテ)トレーサビリティガイドライン

       ・鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン

       ・養殖魚のトレーサビリティシステムガイドライン

       ・海苔のトレーサビリティシステム導入の手引き

   3.食品以外の分野の例

     トレーサビリティシステムは、食品に限らず工業製品や精密機器など、あらゆ
     る分野で応用されています。

     生産や流通の履歴が記録きれるICタグは、小さいながらも情報量が大きいこ
     とから、さまざまな商品の在庫管理などに利用されています。

     たとえば、一つひとつの衣料品につけて管理することにより、消費者が望む色
     やサイズが店頭にあるか、どの倉庫にどれくらい残っているか、といった確認
     を瞬時にすることができます。

     従来は人手に頼っていた棚卸も、ICタグを利用すれば短時間でできます。

     また、建設業ではトレーサビリティシステムを導入し、建材を管理することで建
     材の流通過程を透明にするだけでなく、シックハウス問題への対応や建材の
     リサイクルやリユースにも役立てています。

     医療業界では、総務省の「電子タグの高度利用技術に関する研究開発」の一
     環として、医薬品を出荷から投薬まで管理する実証実験が実施されています。

     投薬間違いの防止や、安全管理の効率化をはかるためにトレーサビリティシ
     ステム導入の効果が期待されています。

     トレーサビリティをいかした新ビジネスやサービス、商品はもとより、システム
     構築にいたるまで、今後トレーサビリティに関連したビジネスはさらに増えてい
     くと推測できます。

     <参考サイト>

      ●農林水産省 トレーサビリティ関係

      ●社団法人食品需給研究センター 

        (導入の手引き、食品トレーサビリティシステムの要件、品目別
         ガイドライン、導入事例集ほか):食品トレーサビリティシステム
         導入の手引き

      ●社団法人農協流通研究所

       (青果物のトレーサビリティ導入ガイドラインほか)

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