人材は最大の経営資源

                               

人材は最大の経営資源

“人材力の強さ”は“企業力の強さ”につながる
 “企業は人なり”といわれるように、企業経営において人材(社員)は最も重要な経営
 資源の一つです。
 優秀でモチベーションの高い社員を多く雇用する企業は活気に満ちており、何らかの課題に
 直面した時に一致団結して立ち向かおうとする機運が生まれてくるものです。
 人材力の強さは企業力の強さにつながります。
 そのため、企業経営者や人事担当者は、社員が意欲的に業務に取り組めるような仕組みを
 作り上げていかなければなりません。

□モチベーションクライシス
 現在、企業規模の大小を問わず、多くの企業でモチべ−ションクライシスが起こっている。
 モチべ−ションクライシスとは、従業員の「働く意欲:モチべーションの大暴落」のこと
 です。
 このことが企業経営に与えるインパクトは大きい。
 近い将来、モチべ−ションクライシスによって崩壊する企業すら出かねない状況です。

 なぜなら、企業成長にとって最大の資源は紛れもなくそこで働く人材であるからです。
 景気の変動にかかわらず、世間の論調は「企業経営にとって最大のコストは人材である」
 という側面が強かったが、この考え方の延長線上には「縮小均衡」による経営破綻が待つ
 のみである。

 人材という資源は他の財と違ってその価値の可変性が大きい。
 人材を財産と見るか、コストと見るか、どちらの視点に立つかは全て経営能力との兼ね合い
 で決まることになる。 
 「人材こそが企業成長の最大最強の資源である」と考えるべきです。
 あなたがこの視点を理解するなら、次の3点について容易に理解できるでしょう。

  (1)従業員のモチベーションの低下は企業活動の根幹を揺るがしかねない。 
  (2)従業員に働く意欲を刺激するステージを提供できない企業は、
    激しい市場競争からの退出を余儀なくされる。
  (3)企業再生を実現するためにはモチベ−ション・マネジメントが
    重要である。

 「歴史は繰り返す」の言葉通り、決算粉飾事件、食品・免震ゴム・耐震偽装事件など
 相次ぐ企業不祥事が世間を騒がせているが、中長期的に見れば他にも恐ろしい問題が
 さまざまな企業内部で発生している。
 あまり表面に表れてこないが、実に多くの企業が従業員のモチベーションクライシスや、
 その結果としての人材流出問題に頭を抱えているのだ。

 「期待して採用した若手社員が、事前に何の相談もなく辞めてしまう」
 「次世代の若手リーダーたちの社外流出が止まらない」 
 「成果主義を導入したところ、逆に現場のやる気が下がってしまった」 
 「希望退職を募ったが、予定を大幅に上回る応募者の数に驚いた」 
 「提案制度も形骸化し、会議でも前向きな発言や提案が出てこない」

 経営幹部たちのこのような嘆きの声は、今、いたるところで聞かれている。
 企業組織はもともと、多様な価値観を持つ人々の集合体である。
 従業員は各々の個人目的(=各人の欲求充足)を達成するために行動するが、その一方で
 企業組織は機能目的(=企業の業績向上)を達成する必要がある。

 「個々人の欲求充足」と「組織としての目標達成」、この両者の間には多かれ少なかれ
 利害の衝突が生じます。
 この葛藤を調整し両者を有機的に結びつけるには、必然的に従業員のやる気を高める
 「モチベーション施策」が経営上重要なテーマとなります。

□「モチベーション問題」を考える 
 だが、これまではこの“単純な公式’’を重視する企業は、非常に少なかった。
 なぜなら、従来の企業と従業員は、お互いに縛りあう「相互拘束型」の雇用システムに
 支えられていたからである。
 終身雇用や年功序列型賃金、あるいは退職金制度などは、雇い入れた従業員の途中退職を
 予防する仕組みです。

 右肩上がりの企業成長下においては、従業員の長期勤続を前提とした習熟度の向上が、
 企業経営にとって重要な価値源泉であった。
 従業員のほうも、その企業内でしか通用しないゼネラリスト的教育を施されても、真面目に
 勤めてさえいれば、定年退職を迎える日まで会社が面倒を見てくれる安心感があったため、
 1つの会社に長く勤め続けるモチべ−ションを維持することはできたのです。

 このような背景から、多くの企業は売上向上や生産性向上のために、従業員の「スキル問題」
 に関心を向けることはあっても、「モチベーション問題」を真剣に考えることはほとんど
 なかったというのが実情でしょう。 
 しかし、このような従業員と企業の「相互拘束的な関係」は終焉を迎え、現在は「相互
 選択的な関係」に変わりつつあります。

 企業は、旧来の高コスト体質からの脱却を目指し、終身雇用や年功序列制度を放棄し始めた
 のです。
 また従業員のほうも、自らの市場価値を高めるためのキャリア形成を真剣に考え始めました。
 企業は「よりパフォーマンスの高い人材」を、従業員は「より自分の市場価値を高められる
 ステージ」を互いに求め合う、「相互選択的な関係」社会が到来したのです。

 企業は、マーケットにおいて競合企業以上の顧客満足を実現しなければ、熾烈な競争に
 負けてしまう。
 そこでは、常に顧客の厳しい選択眼にさらされているからです。
 同様に、これからの企業は、従業員の厳しい選択眼にもさらされることになります。

 顧客満足に加え、働く場としての「従業員満足」を高めなければ生き残っていけない時代に
 突入したといえる。
 昨今の人材の流動化は、企業と従業員の関係が「相互拘束的な関係」から 「相互選択的な
 関係」に変質してきていることを物語っています。

 従業員の立場から見れば、「中途採用を積極化し、即戦力侯禰に対し年間を通して門戸を
 開いている企業」が急増している、といういい方もできるのです。
 終身雇用という幻想が崩壊した世の中で、今勤めている会社に自分自身のキャリア形成上の
 「働く意味」や「働く価値」を見出せなくなったとき、従業員は、場合によっては競合企業
 への転職も視野に入れて、あっさりと退職を決意します。
 産業界のいたるところで、まさにこのような事態が現実化しているのです。

□「自家内生産」をするために必要なこと
 企業はモチベーションファクター(従来であれば報酬原資)を市場から稼げなくなって
 おり、しかも従来の金銭的・地位的報酬はもはや、従業員にとっての最大のモチベーション
 ファクターではありません。 
 しかし、「だから従業員に何も提供できない」という発想では、企業を成長軌道に乗せる
 ことは決してできないでしょう。

 「“会社から得るものは少ない”と感じている従業員の流出→業績低迷」という、負の
 スパイラルに陥ってしまうからです。
 いずれは存亡の危機を迎えることにもなりかねません。
 ここで、外から稼げないのなら内で創り出す、という発想が必要になってきます。

 結論からいうと、企業はモチベーションファクターを「自家内生産」する、つまり、企業内部
 で創り出していくしかないのです。
 従業員のモチベーションアップにつながる報酬を、外に頼らず企業内で提供できれば、
 やがては業績も向上し、金銭的・地位的報酬の調達も可能となります。

 加えて「自家内生産」した報酬により、多様化したワークモチベーションに対応することも
 できます。
 人材流動化社会に対応しつつ、企業と個人の関係を好循環に戻すためには、報酬を
 「内部で創り出す」機能を持たなければ、今後の回復の道はありません。

 では具体的にはどうすればよいのでしょう。
 それは、経営幹部やマネジャーが、自ら「モチべ−ションマネジャー」になることです。

 例えば、周りに次のように酷評されている人はいないでしょうか。 
 「あの人と仕事をしても、手柄を持って行かれるだけ」
 「あと10年この会社で我慢して働いても、自分があんな風になると思うとぞっとする」
 「顔を合わせれば数字の話ばかりでやる気を失う」
 「個々の経験ばかり語られるのでうんざりする」
 しかし、一方で、「あの人のためなら頑張れる」「一度でいいからあの人のそばで学びたい」
 「あの人に引き留められたら会社を辞めないかもしれない」などと、大勢のメンバーに
 とって精神的支柱になっている人もいる。

 前者を「モチべ−ションブレーカー」と呼ぶならば、後者こそが、今必要とされる存在、
 報酬を内部で創り出す「モチベーションマネジャー」である。
 人間誰しも、楽しく仕事したい、意味を感じられる仕事をしたい、誰かに期待されたい、
 誰かに感謝されたい、尊敬できる人と一緒に頑張りたいという根源的欲求を持っています。
 それらは、金銭的・地位的報酬とは別次元で存在します。

 さらに、給料やポストは外から稼いだ限られた原資を配分する構造であるために、誰かが
 たくさんもらえばその分誰かが割を食うというゼロサムゲームの宿命を負っています。
 しかし、これらの根源的欲求を満たす要素は、たとえ外部からの原資が減少しても、
 その気になれば誰にでもいくらでも提供できるというメリットを持っています。

 モチべ−ションマネジャーは、存在自体が多くの従業員にとってのモチべ−ションファクター
 となります。
 彼らは、従業員に対して「社会や顧客に対しての貢献感」「組織の中でのやりがいある使命」
「自分自身の技術の向上感」をリアルに感じさせる資質を備えた人物なのです。

□従業員のモチベーションを高める方法とは
 では、モチベーションファクターを社内で自家生産する機能を担う「モチベーション
 マネジャー」は、何をもって従業員のモチべ−ションを高めていくのか。
 それは「コミュニケーション」の一言に尽きる。
 金銭的報酬や地位的報酬に替わるものとして、いってみれば「コミュニケーション報酬」
 をもって、従業員のやる気を引き出すのです。

 そしてそれは、働く意識が多様化している以上、画一的ではない、それぞれのワーク
 モチべーションに合ったものでなくてはならない。
 与える側が「報酬」と思っていても、受け取る側がそれを「報酬」と感じなければ意味が
 ありません。

 受け取る側に対し、「報酬」として機能するようなコミュニケーション報酬を提供する
 ことが必要です。
 分かりやすい例を挙げれば、「よくやった」という褒め言葉を、最高のタイミングで部下に
 与えたとします。

 部下がそれを1万円と同等の喜びに感じる特性を持っていたとしたら、部下のモチベーション
 は非常に高まるでしょう。
 さらにいえば、仮に1100人のマネジャーがいるとして、1人が1日1回、こうした1万円に
 値するコミュニケーションを行えば、100日で1億円の価値を生み出すことができる
 計算になります。

 企業が自社の「強み」に向かって全社的に取り組み、顧客満足度の最大化を実現する
 ためには、従業員に「コミュニケーション報酬」を与え、「モチべ−ションをマネジメン
 トする」という考え方を持つことが不可欠である。
 もちろん、コミュニケーション報酬だけで中長期的に従業員のモチべ−ションを高く維持
 することは難しいかもしれません。

 しかし、金銭的報酬・地位的報酬の代替として、一時的にせよコミュニケーション報酬を
 提供することで、企業は成長軌道に乗ることが可能となり、好循環が生み出されていきます。
 コミュニケーション報酬は、それまでの重要な「つなぎ」の役割を担うともいえます。
 「コミュニケーション報酬」をマネジャーが創出し、メンバーの特性に応じて提供して
 いきます。
 組織を活性化し、最強の組織を創る道すじは、ここにある。

□マネジャーは「コミュニケーションターミナル」になれ
 「コミュニケーション報酬」を提供するためには、そもそも組織内で円滑なコミュニ
 ケーションが図れていなければならないが、組織においては階層のない「フラットな状態」
 でのコミュニケーションは、非常に困難を極めます。
 なぜなら、人の数が増えれば増えるほど、人と人とをつなぐ線、「コミュニケーション線」
 は増え、複雑化していくからです。 

 例えば、従業員が2人の会社であれば線は1本しかない。
 だが、10人の会社では線は10本ではなく45本にもなる。
 これが100人の規模となると、4950本という、非常に複雑なコミュニケーション線が発生
 することになります。
 このままの状態では意思の統一が図れず、組織としての一体感も薄れがちとなるでしょう。

 線の複雑化が進み、この状態が深刻になれば、意思決定にも時間を要し、経営そのものに
 ダメージを与えることにもなりかねません。
 しかし、例えば100人の会社には、個人単位で見れば4950本もの線が発生するが、それを
 10人のチームに編成し、その上にひとりずつリーダーを置くとする。

 そうすれば、一つのチーム内に発生するコミュニケーション線は45本となります。
 さらにリーダー間を見たとき、そこでも線は45本となる。
 結果、全体のコミュニケーション線は495本、4950本の10分の1にまで減らすことができ、
 「複雑性の縮減」が可能となるのです。

 この、チームをまとめるリーダー、コミュニケーションの「結節点」を担うのが、すなわち
 マネジャーです。
 組織図などを見てみると分かりやすいが、マネジャーは結節点、つまり、自分の上役と
 部下、他部門間など、組織の上下・横の「コミュニケーションターミナル」であることが
 強く求められているのです。

□「伝達」と「受信」
 ターミナルとしての機能は、2種類ある。
 1つは「伝達」、もう一つは「受信」です。
 「伝達」といっても、ただ聞いたことをそのまま伝えるのでは、ターミナルとしての役割を
 果たせません。

 わざわざマネジャーを介さなくとも、メール伝達で十分に事足りてしまう。
 例えば、下に向けて情報を伝えるのであれば、上からの情報を、まず「自分の部署向け」
 「その部下向け」に、オリジナルな言葉に変換します。
 でなければ、本当に腹におちる言葉として、相手に伝わらないからです。
 そして、単なる指示だけではなく、その背景にある目的(意義)をしっかりと伝える
 ことです。

 また、自分の言葉に翻訳していく際には、要約・入れ替えという「情報の編集作業」を
 行う必要があります。
 上からの情報は、分類されておらず、こみ入っていることが多いので、まず情報を、
 「重要かつ緊急」「重要でないが緊急」「重要だが緊急を要するものではない」という
 3つのパターンに分け、情報のファクターの振り分けを考えていくと、伝えるべき優先
 順位が見えてきます。 

 同様に、伝える相手によって、情報を編集し、伝達の仕方をコントロールしていくことが
 大切です。
 次に「受信」についてですが、マネジャーが「コミュニケーション報酬」を創出・提供
 していく重要な役割を果たす以上、部下とのコミュニケーションがスムーズに図られて
 いなければならない。

 そのためには、メンバー一人ひとりのコンディションを把握していることが必要です。
 仕事はどんな感じで進んでいるか、問題は起こっていないかなど、ポイントでしっかり
 報告させる体制をつくり、また報告しやすいコミュニケーションをとることが重要です。
 部下が精神的に安定しているかどうかを含め、常に把握に努めるべきです。
 特に精神的なことは、留意して観察していなければ把握が難しい。今までと異なる要注意
 シグナルを見落とさず、ケアしていくことが必要です。

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組織のモチベーションを向上させる

               

組織のモチベーションを向上

 モチベーションを高めるためには、さまざまなアプローチをしていく必要があります。
 とはいえ、基本となるのは、組織内の人間関係を良好に保ち、仕事に対する意見を自由に
 言える空気をつくることです。
 そのためには、まず経営者や上司から積極的にコミュニケーションを取るように心掛ける
 ようにしましょう。
 また、自由な意見が言えるよう、会議などでは部下に発言を促すような取り組みや、
 部下にチャレンジをする機会を与え、失敗に対してはともに解決案を検討する姿勢が
 重要です。
 組織が前向きな良い空気になったら、そのモチベーションを正しい方向に導くよう、会社の
 方針等を明確化する必要があります。
 場合によっては、社員の役割や責任について、具体的な数値を定めるなど目標を「見える化」
 するようにします。
 仕事が社員の負担になり過ぎないよう調整し、職務遂行が見込める社員に対して権限を委譲
 するとさらなるモチベーションの向上が期待できるでしょう。


■組織のモチベーションの重要性
 1.モチベーションの意味と組織の重要性
  モチベーションとは、直訳すると「動機付け」、簡単にいうと「やる気」という意味です。
  人間は機械ではなく、結果や成果は、何をするにもその精神状態に大きく左右されがち
  です。
  特に仕事は、努力や苦労などがともなう活動であるため、いかにやる気をもって前向きに
  取り組むかによって、その成果には大きな差が生まれます。

  そのため、社員のモチベーションを高めることは、企業にとって重要な経営課題の一つと
  なります。
  さらに近年は、終身雇用の崩壊による社員の企業への帰属意識の低下、社員の仕事に
  対する価値観の多様化などにより、社員のモチベーションを高い水準で維持することが
  困難になっており、この課題を解決すべく数多くの書籍が出版され、セミナーも開催
  されています。

  しかし、苦労して社員個人のモチベーションを高めても、思うように成果が上がらない
  場合も少なくありません。
  例えば、上司が個々の部下と話していると非常に意欲があるように感じられるのに、
  部署内で仕事をするとその意欲が影を潜める、やる気満々だった新入社員がいつの間にか
  ほかの社員のようにやる気がなくなっているといったことがあります。

  こうした問題が発生する原因の一つとして、組織の状況が考えられます。
  多くの企業にとって、仕事とは複数の社員が協力して行うものであり、企業の中には
  仕事の種類などによって区分された部署などの組織が存在します。
  こうした組織の環境や流れあるいは組織間の関係が悪い方向に向かっていると、個々の
  社員のモチベーションに気を配っても、なかなか成果が現れないのです。

  そこでここでは、複数の社員により構成される組織全体のモチベーションを高める、
  すなわち
仕事に前向きに取り組む活気ある組織をつくり上げる方法について考えます。

 2.組織のモチベーションを決める重要なポイント
  個々の社員のモチベーションは、当然個々の社員の気持ちのあり方により決まります。
  一方、組織全体のモチベーションはどうでしょうか。
  企業組織は社員の集合体です。従って、組織のモチベーションを考えるうえでも、個々の
  社員の気持ちは大変重要です。

  しかし、個々の社員の気持ちがそのまま組織のモチベーションに反映されるわけでは
  ありません。
  なぜなら、組織において個々の社員の気持ちは、
「集団心理」の影響を受けるからです。
  集団心理とは、集団を構成する個人が知らず知らずのうちに周囲の状況に流されて
  しまうことを指します。

  例えば、当初は定刻に出勤することが当然と考えていた社員も、周囲に遅刻してくる
  社員が増えると、気持ちに緩みが出て遅刻するようになり、次第にそれが当たり前に
  なったりします。
  逆に、周囲の熱い空気に流され、当初は辛いばかりだった仕事も前向きに取り組む
  ようになることもあります。

  このように、人間は周囲の影響を排除できず、企業のように多くの個人がともに仕事を
  する組織では、なおさら個人の気持ちは集団心理の影響を強く受けます。
  従って、組織のモチベーションを高めるには、
集団心理を常に意識して注意する必要が
  あります。

  さらに、組織の中には、集団心理の核となる社員、あるいはほかの社員のモチベーションに
  大きな影響力を持つ社員がいるはずです。
  組織のモチベーションを高めるには、こうした
ほかの社員への影響力が強い社員を把握
  する
ことも重要です。

□組織のモチベーションを高める手法
 次に、組織のモチベーションを高める手法について考えます。
 いずれの手法も、実際に導入する際は、集団心理の動きや影響力の強い社員の気持ちに
  注意しつつ、その効果を確認する必要があります。

 1.組織内の環境の改善
  組織のモチベーションを高めるには、組織内の雰囲気をよくするとともに、社員の仕事に
  対する意識を高めて組織を活性化させることが必要です。
  そのためには、組織の長が、社員に対して以下のような施策をとることが重要と考え
  られます。

   ◎普段のコミュニケーションを充実させる
    組織の長は、朝と終わりのあいさつはもちろん、できれば毎日1回あるいは
    2日に1回は、社員それぞれに何気なく声をかける
ようにしましょう。
    話題は特別につくる必要はありませんが、場の雰囲気が明るくなる話や、社員が
    答えやすい話のほうが望ましいでしょう。

    コンサートに行った、飲み会があったなど、前日の社員の予定を聞いていれば、
    「どうだった?」「楽しかった?」というように気軽に声をかけましょう。
    また、組織の長と社員の間のコミュニケーションだけではなく、当然
社員同士の
    コミュニケーションを充実させる
ことも重要です。

    社員同士が仕事に関係のない会話で盛り上がっていても、騒がしすぎたり、
    長すぎたりしなければ、特に注意する必要はないでしょう。
    ただ、特定の社員同士がいつも盛り上がっていて、ほかの社員があまりよく
    思っていないようだったら、話を少し抑える必要があるかもしれません。

    しかし、できれば組織の長は、その盛り上がっている話に入っていって、よく
    思っていない社員にも話を広げていくと、コミュニケーションの範囲を広げる
    ことができます。
    こうしてコミュニケーションが充実してくると、何でも話しやすい空気が生まれ、
    組織の雰囲気が次第によくなっていくでしょう。

   ◎社員に考えるくせをつけさせる
    組織の長は、会議などはもちろんちょっとした打ち合せでも、できるだけ
    すべての社員に何らかの意見を出してもらう
ようにしましょう。
    ほとんど意見を言わない社員には、組織の長が直接問いかけます。

    その際は、
     ・いきなり具体的な案を求めるのではなく、先に出ている意見をどう思うか
      など答えやすい質問から誘導する
     ・社員が出した意見は聞き流すことなく、まず肯定的に受け止める
    ようにして、意見を出しやすい雰囲気をつくり上げます。

    こうした雰囲気づくりを、焦らず繰り返し積み重ねることで、社員にとっては
    意見を求められることが当たり前になり、社員が自然と自分の意見を考える
    ようになります。
    このように、
     考えるくせを社員に身に付けさせる
    ことが重要です。

    そうすれば、ただ何気なく仕事をこなすのではなく、
     社員が自ら考えて主体的に仕事に取り組む
    ことができるようになるでしょう。
    そして、社員同士の間でもそれぞれの立場や考えを伝えあい、議論しながら
    仕事を進めていく環境が整えば、組織は少しずつ、活性化して組織のモチベー
    ションが高まります。

   ◎挑戦しやすい環境をつくる
    組織の長は、
     モチベーションが高い社員には、希望する仕事にどんどん挑戦してもらう
     ようにしましょう。
    ただし、組織の長は、その仕事を任せたからといって放ったらかしにする
    のではなく、必要に応じて方向性を示す、相談に乗るなどのサポートをします。

    そして、挑戦させた仕事が成功すれば、組織の長はその社員を評価するとともに、
    社員とともにその成功を喜びあいましょう。
    逆に失敗しても決して怒鳴ったりせず、ともに失敗した原因や対策を考え
    ましょう。
    組織の長がこのような方針をとることで、社員の間に仕事に対する挑戦意欲が
    生まれ、組織は活性化してモチベーションが高まります。

 2.組織の目標と行動指針の明確化と落とし込み
  組織内の雰囲気がよくなり、組織が活性化しても、その組織はどこへどのように向かえば
  よいのでしょうか。
  それを示すのが、
組織の目標と目標を達成するために必要な行動指針です。
  この組織の目標と行動指針がはっきりしていないと、組織としての仕事の優先順位や
  進め方を判断する基準があいまいになります。

  これでは、せっかく活性化した組織も、何が正しいか分からなくなる、あるいは一度
  決定したことが何度も変更されるといった事態に陥り、組織の中に不満が生まれて
  しまいます。
  また、せっかく組織の社員が頑張って成果を上げたつもりでも、その組織に与えられた
  目標とずれていたり、目標を下回っていれば、その組織は評価されず、組織の中に
  不満が生まれてしまいます。

  従って、組織の長は、経営者から与えられた目標をもとに、それを達成するための組織の
  行動指針を定めて、すべての社員に落とし込まなければなりません。
  さらに、
目標や行動指針は、具体的かつ分かりやすくなければ社員に浸透しません。
  仮に行動指針や与えられた目標が分かりにくい場合は、組織の長が数値化を行うなど
  して分かりやすくして社員に浸透させなければなりません。

  そうすることで、組織を構成する社員が一つの方向を向き、乗り越えるべきハードルを
  明確に意識して仕事を進めるようになります。
  その結果、組織はますます活性化してモチベーションが高まるでしょう。

 3.組織の役割と責任範囲の明確化
  組織の目標や行動指針も決まって積極的に動き出した組織にも、まだ障害はあります。
  それは必要以上に仕事がやってくることです。
  概して、前向きで積極的な組織には仕事が集まります。その集まった仕事が目標や行動
  指針に合致している、あるいは組織にまだ余力があり、社員たちが仕事を希望している
  のなら問題ありません。

  しかし、そのどちらでもないのなら、その状態が長く続くことで、社員の間に
  「なぜ私たちがここまでしなければならないんだ」といった気持ちが生まれかねません。
  従って、社長あるいは複数の組織を束ねる長は、組織ごとに担うべき仕事の範囲、
  すなわち
組織の役割と責任範囲をあらかじめ明確にしておく必要があります。

  そして、組織の長は、その範囲を超える仕事がほかの組織から集まってきて、組織に
  負荷がかかりすぎるようなら、上司やほかの組織と相談して、仕事の量を調整しましょう。
  また、役割と責任範囲内の仕事の量が増えすぎた場合、組織の長は、社員の状況を
  みながら人員を補充するなどして、組織のモチベーションを下げないようにしましょう。

 4.組織への必要な権限の付与
  組織の役割や責任範囲が決まり、目標達成に向けて組織が動き出したら、次には、一定の
  権限の委譲を行いましょう。
  上位組織との関係でいえば、アルバイトの雇用や資材の購入など、いちいち決裁を
  仰がなければならない事項が多く、かつそのスピードが遅いと、組織にとって大きな
  ストレスとなります。

  また、特定のプロジェクトチームのような組織の場合、どこまでの仕事を各組織に
  割り振ることができるのかといった権限が明確に定められていないと、トラブルの原因と
  なり、関係する組織に大きなストレスを招きます。
  この問題は、小規模な企業においても同様に発生します。

  仕事を割り振る側と割り振られる側で考えればよく分かるのですが、仕事を割り
   振られる側にしてみれば、それだけ仕事が増えてしまうことになり、それこそ
  モチベーションが高い組織でないと、割り振られる側は仕事をできるだけ減らしたいと
  思うでしょう。

  従って、経営者あるいは複数の組織を束ねる長は、それぞれの組織に
目標を達成する
  のに十分な権限を与える
ことが不可欠です。
  そうしなければ、組織にストレスが生まれ、モチベーションを下げてしまうのです。

 5.組織間の良好な関係の構築
  しかし、経営者あるいは複数の組織を束ねる長が、それぞれの組織に必要な権限を
  与えただけでは、組織間で仕事がうまく進むとは限りません。
  権限とは、あくまで大枠を定めたものであり、また権限の範囲内の行動であっても、
  一方の組織がもう一方の組織に無理をさせ続けると、無理をさせられた組織には不満が
  たまっていきます。

  例えば、極めてよく発生するのが、営業と現場(製造あるいはサービス提供部門)の
  対立です。
  営業が顧客からの急な依頼を受け、現場に短い納期で製造依頼をかけることはよくあり、
  現場にとっては当然負担です。

  いくらモチベーションが高い現場でも、こうした製造依頼が度重なったり、営業が
  「顧客からの依頼なのだから仕方ない」といった態度を取ると、現場には大きな不満が
  生まれ、両組織の関係は悪化し、現場の仕事に対するモチベーションは下がって
  しまいます。

  従って、急な依頼など一方の組織がもう一方の組織に負荷をかける場合は、無理を
  お願いするという姿勢を忘れずに、負荷をかけることになった経緯と理由をしっかりと
  説明して納得してもらわなければなりません。
  さらに、組織間で普段から互いに労をねぎらう、コミュニケーションをとるなどして
  良好な関係を保っておくことが必要です。

  このように、
   小さな配慮を積み重ね、関連する組織同士が良好な関係を保っておく
  ことで、それぞれの組織はモチベーションを下げることなく、仕事に取り組むことが
  できます。

  また、組織の長は、関連する組織の長とよい関係を築いておくとともに、折に触れ
  関連する組織の社員の労をねぎらったり、組織間で社員同士が交流する場を設けると
  よいでしょう。


□最後に
 これまで述べてきた組織のモチベーションを高める手法をまとめると、以下のように
  なります。

   ・社員同士のコミュニケーション、意見交換を活発化させるとともに、組織内に
    挑戦する空気を生み出して、組織を活性化させる
   ・社員に組織の目標と行動指針を明確に落とし込み、組織を一つの方向に向け、
    社員に乗り越えるべきハードルを意識させる
   ・組織の役割と責任範囲を明確にし、組織に負荷をかけすぎない
   ・組織の目標を達成するために十分な権限を与える
   ・関係する組織間に良好な関係を築き、ほかの組織と仕事をする場合も社員が
   ストレスなく仕事を進められる環境をつくる

  社長および組織の長を含めた上司が、こうした手法を取ることで、組織のモチベーション
  は上がり、仕事に前向きに取り組む活気ある組織をつくり上げて、それを維持することが
  できます。
  しかし、このような手法は一朝一夕で成功するものではありません。

  例えば、目標や行動指針、役割や責任範囲、権限を適切に決めても、それを社員の心に
  浸透させるには、社長および組織の長を含めた上司の熱意と根気が不可欠です。
  また、既にモチベーションが下がっている組織を改革する際は、前述した集団心理が
  大きな壁となるでしょう。

  なぜなら、組織の雰囲気を多少改善させても、モチベーションが下がった状態が
  集団心理となっている場合、改善はすぐにまた押し戻されてしまうからです。
  従って、ほかの社員へ影響力が強い社員を正確に把握し、その社員を中心に改革を
  図っていくことが重要です。

  このように、組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありません。
  しかし、組織としてモチベーションが高まるということは、個々の社員がお互いに
  モチベーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、
  一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになります。

  従って、組織のモチベーションを高めることは、経営者および組織の長を含めた上司に
  とって最も重要な課題の一つといえるでしょう。

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モチベーションマネジメント

         

モチベーションマネジメント

  ■モチベーション・マネジメント

   労働市場が大きな変化を続けている中、離職率は依然として高い水準を保っている。 

   2011年時点での3年以内離職率は、高卒者で40.0%、大卒者で32.3%を示して
   います(「平成24年版労働経済の分析」厚生労働省)。

   その中で注目したい点は「1年以内離職率の高さ」です。

   この中には、入社して3カ月もしないうちに退職、あるいは転職する社員も多数含まれ
   ています。

   最近では、入社と同時に転職サイトに登録する社員が増えているという、にわかには
   信じがたい現象も起きており、「新入社員が入社したから安心」とたかをくくってはいら
   れない厳しい現実が示されています。

   では、若手社員はなぜこれほどまでに簡単に会社を辞めてしまうのでしょうか。

   その理由は個人によってさまざまですが、簡単に言えば「会社を辞めても特に困ら
   ない時代になったから」だと言えるでしょう。

   高度経済成長期は、多くの企業の業績が右肩上がりを続け、終身雇用や年功序列が
   当たり前という時代でした。

   就職することが一種のステータスであり、一度就職してしまえば、後は会社が定年
   まで面倒を見てくれます。

   よほど大きな問題を起こさない限りクビになることはなく、長く勤めれば勤めるほど
   給与や退職金も高くなります。

   逆に言えば、会社をクビになったり就職できなかったりした人には、何か問題があると
   思われるような時代だったのです。

   しかし現代では、昔に比べ進学率も高まり、就職自体もそれほど難しくなくなりました。

   また、正社員としての就職以外にも、留学・進学・起業・フリーター・契約社員・派遣
   社員といった選択肢が増え、個人のライフプランに合わせた道を選ぶことができる
   ようになりました。

   最近では、会社の歯車になりたくないという思いから、あえて正社員の道を選ばない
   若者も増えてきています。

   高度経済成長期に就職した人たちにしてみれば、「入社して1年も経たないうちに転退
   職を考えることなどありえない」と思うかもしれません。

   ですが、彼らにとって、正社員雇用という道はあくまで選択肢の1つでしかなく、自己
   実現をするための手段と考えている若者も多いのです。

   だから彼らは、仕事や会社が自分には合わないと思ったらすぐに辞めて、次の選択肢
   に移ってしまいます。

   辞めたところで、お金を稼ぐ手段や就職先は数多く存在しているため、特に困ることは
   ありません。

   何より、若者は仕事に対し「お金」以上に、「やりがい」や「面白さ」を求めているた
   め、1つの会社に固執する意識が最初から希薄なのです。

   このように、個人の価値観や労働環境が大きく変化したことを考えると、3年以内離職
   率が高いことはむしろ必然だと言ってもいいかもしれません。

  □企業が社員に選択される時代

   このような現状の中、企業は今大きな岐路に立たされています。

   これまで、企業の「終身雇用制度」や社員の「愛社精神」によって相互に結ばれていた
   会社組織は、会社が「魅力的な仕事・労働環境・雇用形態」などを提供し、その見返り
   として社員が「労働力」を提供するという、いわば「相互選択の関係」に形を変えつつ
   あります。

   言い換えれば、社員に対して魅力ある仕事を与えられない会社は社員から見捨て
   られてしまうというこの現状を、経営者はしっかりと認識しておく必要があります。

   現代の若手社員の多くは、昔に比べ、愛社精神が低い傾向にあります。

   日本の経済が成熟期を迎え、大企業でも倒産したり、リストラされたりすることが珍し
   くない現代では、それもしかたのないことかもしれません。

   それに対し、「最近の若者は根性がない」とすべての責任を若者自身に押し付け、
   切り捨ててしまう経営者が多いことも事実です。

   今後、自社がより成長を続けていくためには、社員に対し「働く動機」、すなわち
   「モチベーション」を与えていかなければなりません。

   社員が、仕事そのものや会社に愛着を持ち、気持ちよく仕事ができるように働きかけ
   ていく「モチベーション・マネジメント」は、人材を成長の源泉とする企業が、これか
   らの時代を生き抜いていくために必要不可欠な要素だと言えます。

  □企業の財産は「人」

   モチベーション・マネジメントとは何なのでしょうか? 

   例えば「社員を会社にとどめておくための手段」と考えるならば、それを報酬や待遇に
   求めてもいいかもしれません。

   しかし、高い給与と充実した福利厚生があれば社員は辞めずに、会社に忠誠を誓い
   続けてくれるのでしょうか? 

   残念ながら、答えはノーです。

   もちろん、その社員の考えや世代、事業の種類などによっては、報酬や待遇などを
   良くするだけで多大な効果を発揮するケースも少なくありません。

   ですが、実際に周りの会社を見渡してみると、高い給与や充実した福利厚生などが
   必ずしも効果があるとは言えません。

   高給与・高待遇を捨ててまで、別の職種や会社に移るケースもよく見られます。

   モチベーション・マネジメントの持つ本当の意味は、「社員に楽しく仕事をしてもらう
   こと」、もしくは「仕事に価値観を見出してもらうこと」なのです。

   ここで重要なのは「楽しく」と「価値観」という言葉です。

   「楽な仕事をさせる」という意味ではありません。

   人間というものは、楽しいことは寝る間を惜しんで行います。

   多少厳しい仕事であっても、そこに楽しさや価値観を見いだせれば、社員は率先して
   やってくれることでしょう。

   会社の財産は「人」です。

   会社のために働いてくれる「人」に対し、会社がやる気や魅力を与えられれば、その
   効果は相乗効果を生み、大きな成果をもたらします。

   モチベーション・マネジメントが持つ重要性を改めて認識し、社員に見捨てられない
   会社にしていきましょう。

  □社員が働く原動力

   モチベーション・マネジメントを行う際に大切なのは、「それぞれの社員に適したマネジ
   メント手法を用いること」です。

   モチベーション・マネジメントが持つ本来の意味や役割を考えれば、全社員の性格や
   志向を分析・把握し、それぞれの特性に沿ってマネジメント手法を選択、あるいは
   カスタマイズして、個々の社員に働きかけることが最良のやり方だと言えます。

   しかし十数人規模の会社であればそれも可能でしょうが、数百、数千という社員を抱え
   る企業の場合、それぞれの社員に適したマネジメントを行うことは、コスト的にも人員
   的にも不可能と言わざるをえません。

   そこで、多数の社員をある要因に沿っていくつかのグループに分類し、グループごと
   に異なるマネジメント手法を行っていくことが最も現実的なやり方と言えるでしょう。

   社員を分類する項目は、「人種」「性別」「年齢」「能力」「経験」など数多く存在
   していますが、その中でもより顕著な違いを示す分類項目は「年齢」です。

   人間の性格や考え方はその時の時代背景や社会情勢に大きく左右されることが多い
   ため、生まれた時代ごとに人の傾向を把握する「世代」という分類は、非常に大きな
   意味を持ちます。

   最近では年功序列制度が廃止され、実力によって給与や役職を決める企業も増えて
   きています。

   しかし現実問題として、「20代の若手」「30〜40代の中間管理職」「50〜60代の幹部
   クラス」という組織構造を持つ会社が大多数を占めることは間違いありません。

   現在、数多くの会社が抱えている「中間管理職の心の病の増加」や「若手社員とベテ
   ラン社員との溝の深刻化」といった問題は、このジェネレーション・ギャップによること
   がほとんどだと言えます。                         

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女性社員のモチベーションを高める

          

女性社員のモチベーションを高める

  □女性社員のやる気を高めるコミュニケーション

   1.女性社員を戦力として活用するメリット

     現在、業種を問わず多くの企業が積極的に女性社員の活用に取り組んでお
     り、ビジネスシーンにおいて女性社員が活躍する機会は年々広がっています。

     その背景には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などの法令によって
     女性社員の働きやすい環境が整備されてきたことに加え、将来的な労働力不
     足に備えて企業が女性社員を積極的に活用していることが挙げられます。

     2016年2月10日に公表された日本生産性本部第7回『コア人材としての女  
     性社員育成に関する調査
』」によると、女性社員の活躍推進の取り組みが企
     業に与える効果は資料の通りです。

     この調査結果を見ても、女性社員の活用は会社経営に良い結果をもたらすこ
     とがうかがえます。

     女性社員が十分に能力を発揮して活躍するためには、会社としての支援制度
     の充実もさることながら、まずは日常業務の中で女性社員のやる気を高める
     ことが求められます。

     ここでは、女性社員のやる気を引き出すためのコミュニケーションのポイントを
     紹介します。

   2.女性社員のやる気を奪うコミュニケーション

     「女性社員のやる気を高めるコミュニケーション」といっても、具体的にどのよう
     にすればよいのか、特に男性社員は頭を悩ますことが多いでしょう。

     ここではまず逆説的な捉え方として「男性社員の上司が女性社員の部下から
     やる気を奪うコミュニケーション」の例を紹介します。

     それを反面教師として、少なくとも、女性社員からやる気を奪うような行動を慎
     むところから始めてみるとよいでしょう。

     (1)ケース1「取引先で」

       担当者変更のあいさつのため、男性社員の上司が女性社員の部下を連
       れ、取引先を訪問した。

       先方の担当者にあいさつしたところ、「次回からは女性の方が担当なので
       すか」と言われた。

       それを聞いた男性社員の上司は思わず、次のように発言し、それを聞いた
       女性社員の部下は、自分に非があるように感じ、傷付いた。

         「担当者が女性に代わりましたが、大丈夫です」

     (2)ケース2「企画会議の場で」

       男性社員の上司から、次のような言葉を掛けられて、女性社員の部下は女
       性であることを特別視されていることを強く意識してしまった。

         「女性なんだから女性顧客の気持ちは分かるよね。女性向けの新製品
         開発の良い企画を考えてよ」

     (3)ケース3「育児休暇を取ろうとしたら」

       同僚の女性社員が育児休業を取得しようとしたところ、次のようにぼやく上
       司を見て、女性社員の部下は「育児休業を取得してはいけないのではない
       か」と感じた。

         「この忙しい時期に育児休業を取るなんて」

       上記のケースは、いずれも男性社員の上司に特に悪気があったわけでは
       なく、「ちょっとしたはずみ」や「思わず口をついて出た」言動です。

       最近では、女性に対して「差別的な言動を取らないように」と、意識的に心
       がける男性社員が増えています。

       しかし、そうした男性社員であっても、ふとした瞬間に上記のような言動を
       取ってしまうことがあります。

       女性社員の中にはこうした言動に傷付き、やる気を失ってしまう人もいるの
       です。

   3.女性社員とコミュニケーションを取る際の注意点

     ここでは、日ごろのコミュニケーションで女性社員のやる気を奪うことがないよ
     うに、女性社員と接する際に男性社員の上司が押さえておきたい3つのポイン
     トを紹介します。

     (1)「女性であること」をマイナスに捉えない

       「女性であること」はマイナスではないというのは当然のことですが、この点
       は強く再認識しておく必要があります。

       取引先で「担当者が女性に代わりましたが、大丈夫です」と言えば、女性社
       員は自分の存在を否定されたように感じるでしょう。

       実際には、女性であることによって仕事に支障を来すとは考えられません。

       女性社員の部下を持つ上司は「女性であること」を理由にして、女性社員
       の存在を否定するような言動は避けます。

     (2)「女性だから」といって特別扱いしない

       女性の社会進出に伴って、結婚や出産を機に退職するのではなく、「定年
       まで仕事を続けたい」「責任ある仕事を担当したい」と考える女性社員が増
       えてる。

       こうした考えを持つ女性社員に対して男性社員の上司が、「女性だからあ
       まり残業させるのはよくない」などと考えて特別扱いすれば、女性社員は
       「一人前として扱われていない」と感じ、やる気を失ってしまうでしょう。

       この他にも「君は女性なのだから女性顧客の気持ちがよく分かるだろう」な
       どの言い方も決して好ましいとは言えない。

       女性社員は「自分は女性であることにしか価値がないのか」と考えてしまう
       かもしれません。

       確かに女性社員のほうが男性社員に比べて、女性顧客の心理を理解しや
       すいかもしれません。

       しかし、男性が男性の気持ちを必ずしも理解できるとは限らないのと同様、
       女性同士でも分からないことが多いのも事実です。

       「君は女性なのだから」という言い方をされれば、女性社員はプレッシャー
       を感じる可能性があります。

     (3)「性別」ではなく「個人」の能力やキャラクターを重視する

       前述した「女性であること」を否定しない、「女性だから」といって特別扱いし
       ないという2つのポイントからも分かるように、「女性」という「性別」に固執し
       ないことが重要です。

       女性社員は特に「女性だから」と、自身の行動が制限された経験を持つ人
       が少なくありません。

       そのため、「女性だから」というニュアンスの言動に敏感に反応する場合も
       あります。

       女性社員の部下を持つ男性社員の上司は「性別」にこだわらない言動を心
       がけましょう。

   4.女性社員のやる気を高めるコミュニケーション

     先に好ましくない事例として、「女性社員のやる気を奪うコミュニケーション」を
     紹介しました。

     以降では、「女性社員のやる気を高めるコミュニケーション」を図るためにはど
     のような言い方が効果的なのかを紹介します。

     (1)ケース1の場合の言い直し方

       取引先の担当者に「次回からは女性の方が担当なのですか」と言われた
       場合、男性社員の上司は、次のように言ってみてはどうでしょうか。 

         「彼女はわが社でも期待きれている人材なのでご安心ください」

       取引先の担当者に対して「女性かどうかは仕事に関係ないでしょう。
       御社との取引には一切支障はありません」と強い調子で反論するのは問
       題があります。

       そこで、「性別」については触れずにやり過ごし、取引先の担当者に対して
       は「女性社員の資質に問題がないことを自分が保証する」ことを伝えるとよ
       いでしょう。

       また、こうした言葉によって、女性社員に対しては「期待をしている」「信頼を
       寄せている」ということが伝わるはずです。

       しかし、こうした言葉をかけたとしても、女性社員は取引先から言われた言
       葉で傷付き、やる気を失っている恐れがあります。

       そのため、女性社員に対して、取引先との信頼関係を構築するように指導
       するとよいでしょう。

       最初のうちは、取引先の担当者は女性社員が自社の窓口担当者になった
       ことに不安を感じているかもしれません。

       しかし、女性社員が誠実な対応を続けることができれば、やがて取引先の
       担当者と女性社員との間に信頼関係が構築されることでしょう。

       上司は、このことを女性社員に伝えるとともに、女性社員が取引先に対して
       迅速かつ誠実に対応するように指導します。

       その際、取引先の担当者の特徴や効果的と考えられる交渉の方法、何か
       問題があればすぐにサポートすることを伝えるなどして、「上司がバックアッ
       プしてくれている」と女性社員が感じるように指導の方法を工夫するとよい
       でしょう。

     (2)ケース2の場合の言い直し方

       女性社員に対して、「女性なんだから女性顧客の気持ちは分かるよね。女
       性向けの新製品開発の良い企画を考えてよ」と伝えても、女性社員は戸惑
       います。
       こうした場合、次のように伝えましょう。

         「学生時代に化粧品店でアルバイトをしていたんだよね? 
         その経験を生かして、今度の新製品に関して意見してもらえ
         ないかな?」

       女性社員のこれまでの経験や経歴から意見を求めているということを伝え
       れば、女性社員は「自分のことを分かってくれている」「自分を必要としてく
       れている」と実感することができるため、意欲的に仕事に取り組むでしょう。

       また、女性社員の経験や経歴を知っているということは、上司が日ごろから
       関心を持って女性社員に接しているという証しであり、それが女性社員に
       伝わることが重要なポイントです。

       さらに、女性社員に意見を求め、仕事を任せる場合、過去の事例やデータ
       などを目に見える形で提示しながら指導することを心がけましょう。

       これは女性社員に限ったことではありませんが、売り上げや市場の分析結
       果、顧客の声など仕事を理解するための具体的なデータを提示しながら指
       導することで仕事をスムーズに進められるようになります。

       女性社員はこうした指導を受けると、「自分をしっかり育成してくれようとし
       ているのだな」と感じ、意欲的に仕事に取り組むでしょう。

     (3)ケース3の場合の言い直し方

       育児休業の取得を願い出た同僚の女性社員に対し、上司は、次のように
       声をかけるとよいでしょう。

         「君が安心して育児休業を取得できるよう、皆で協力しよう」

       それを横で見ている女性社員は、自分が将来、育児休業や長期の休暇を
       取得しなければならない状況を想定していれば、この上司の答えを聞いて
       安心し、希望を持って会社での長期的なキャリアの形成を検討するかもし
       れません。

       また、こうした言葉とともに、誰もが安心して休暇を取得することができるサ
       ポート体制を構築することが大切です。

       日ごろから社員同士の意思疎通が図れており、欠員をサポートする体制が
       整っている職場であれば、育児休業に限らず病気や急用などの理由で休
       む社員がいる場合も、いつもと同じように仕事を進めることができます。

     (4)社員一人ひとりを尊重したコミュニケーションがやる気を高める

       ちょっとした言葉の使い方で、女性社員のやる気を高めることはできます。

       そして、意欲的に能力を発揮する女性社員を戦力として活用することで、企
       業はさまざまなメリットを享受することができるはずです。

       紹介してきた女性社員のやる気を高めるコミュニケーションの根本にある
       考え方は、女性社員に対してだけに限ったものではありません。

       職場においては「男性」「女性」という性別を問わず、一人ひとりの能力や性
       格などを尊重したコミュニケーションを図ることが最も重要です。

       社員一人ひとりを尊重したコミュニケーションは、女性社員のみならず、す
       べての社員にとって働きやすく、やる気の高まる職場環境の実現に結びつ
       くことになります。

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社員の正しいほめ方、叱り方


              

社員の正しいほめ方、叱り方

  ■「ほめ方」、「叱り方」の原則

   上司は日々の業務のなかで、部下の「手柄」をほめ、「ミス」を叱ります。

   しかしながら「ほめ方」、「叱り方」について、その効果性を十分に考えて実践している
   人は多くはありません。

   1.「ほめる」、「叱る」は上司に不可欠な能力

    上司はあらゆる場面を通じて部下を指導する立場にあります。

    社会人としてのマナーから仕事に対する心構え、日々の実務、さまざまな技術や知識
    など教えるべきことは山ほどあります。

    しかし、いつも機械的に淡々と説明するだけでは、部下の「心」には響きません。

    ほめる、叱るとは指導をより効果的にするために、部下の心に直接アプローチする
    ことであり、上司に不可欠なコミュニケーション能力です。

    そして、その能力の度合いが部下の成長スピードに大きな影響を与えます。

    上司は、ほめ上手、叱り上手になる義務があるのです。

   2.両者の目的は同じ

    そもそも、ほめる、叱るという行為は正反対のように理解されがちですが、どちらも
    その本来の目的は、『部下のモチベーションを高め、正しい方向に導く』ことにあります。

    部下が努力を重ね正しい方向に向かっていれば、「それでいいよ」と確認して励まして
    やり、怠けたり間違った方向に進んでいれば「そうじゃないよ」と指摘するだけのこと
    なのです。

    上司は、ほめる、叱るの本来の目的を常に意識し、相手が増長してしまうような手放しな
    ほめ方や、逆に萎縮して心を閉ざしてしまうような叱り方は慎まなくてはなりません。

   3.対象は「人」ではなく「行為」

    ほめる、叱るの対象は、

    『部下そのものではなく、仕事の結果や取り組みのプロセスなど「部下の行為」である
    ということを認識しておく必要があります。

    つまり、部下が頑張って目標を達成したら、部下のすべてがすごいのではなく、目標を
    達成したことがすごい、逆に目標を達成できなかったら、部下のすべてがダメではなく、
    目標未達成がダメということになります。

    特に叱る場合はこの点に十分に配慮する必要があります。

    人格そのものを否定するような叱り方は許されるはずもありません。

   4.部下は上司の反応を待っている

    部下は上司から自分を認めてもらいたいと強く願っています。

    なかには「オレは上からの評価など関係ない」とクールを装っている部下もいますが、
    ほとんどの場合、それは自分に対して反応してくれない上司へのせめてもの抵抗です。

    大きな成果を上げたらほめてほしいというのは自然な感情です。

    また、明らかにミスを犯した場合はきちんと叱られたほうがむしろ安心します。

    部下にとってもっともイヤなのは上司が自分のことを空気のように扱い、何をやっても
    無視されることです。

    たとえ人事考課上では高い評価をもらっても、日々の業務にやりがいを感じることは
    できません。

    ほめること、叱ることは部下をひとりの人間として見つめ、真剣に付き合っていこうという
    上司の姿勢を示すことでもあるのです。

  □その気にさせる「ほめ方」

   人は誰でもほめられると嬉しいものです。

   部下にとって上司からほめられることは、自分の仕事を認めてもらったことであり、
   何よりも励みになります。

   しかし、効果的にほめることは意外に難しいものです。

   通り一遍のほめ言葉だけでは、部下から「本当にわかってほめているのかな」という
   不信感をもたれることさえあります。

   部下のモチベーションを一層高め、成長をより促進するためには次のような点に留意
   する必要があります。

   1.「ほめ上手になる」と腹を括る

    ほめることが苦手という人の多くは、「自分は普段から部下には厳しく接しているので、
    今さらそのスタンスは崩せない」といいます。

    また、「人をほめるのは自分の性に合わず、何となく照れくさい」という人もいます。

    しかし、ほめることは部下を甘やかすことでもなければ、機嫌をとることでもありません。

    ほめる目的は部下のやる気を高め、正しい方向に導くことであり、それは上司の責務
    です。

    自分のこれまでのスタンスや苦手意識は横において、まずは「ほめ上手になる」と腹を
    括ることが必要です。

   2.具体的にほめる

    たんに「よくやった」「すこいな」といった抽象的な表現ではなく たとえば「受注目標を
    120%達成した」、「難航不落の営業先を落とした」など、より具体的なポイントをあげて
    ほめるようにします。

    余談ですが、女性を口説くことと同じです。 

    これによって「上司は部下の仕事をきちんと理解していること」、「その仕事の難易度も
    十分に認識していること」が部下に伝わります。

    成果だけではなく、それに至るまでのプロセス(発想、業務設計、工夫、粘り強さなど)
    についても併せてほめることで 部下の努力そのものを評価していることを示します。

   3.タイムリーにほめる

    部下がほめられてもっとも嬉しいのは、自分自身が「困難な仕事を成し遂げた」という
    達成感をもっているときです。

    部下が大きな成果を上げたことを知ったら、できるだけ早いタイミシグでほめることが
    大切です。

    出張中などで直接話せない場合には、まずは電話やメールなどで、ねぎらいの言葉を
    贈るようにしましょう。

    タイムリーにほめることで、上司はつねに部下の仕事ぶりを見ているという姿勢を示す
    こともできます。

   4.さらなる成長を促す

    ほめるときは必ず今後の成長に対する期待も加えます。

    部下は達成感のなかで自然とモチベーションが高まっています。

    上司が「今後とも君の活躍に期待している」という言葉をはっきりと伝えることで、
    部下の成長意欲は一層強まるでしょう。

    また、部下の今回の仕事のなかで、こうすればもっとよくなるという改善点についても
    できるだけ具体的にアドバイスしましょう。

   5.こんなほめ方はNG

    部下に対する素直な気持ちを表すことは大切ですが、根拠なくほめ言葉を重ねると、
    相手は逆に「ばかにされているのか」と感じます。

    また、ほかの部下と比較する形でほめると、ほめられた部下と比較された部下との間に
    あつれきが生じることもあります。

    さらに部下を自分の「駒」のように扱ったほめ方も好ましくありません。

    ○NGトーク例

     ×「さすが、すごい、感動した」(ほめ言葉の連発)

     ×「君はA君よりも仕事が速いね」

     ×「君は本当に使えるヤツだ」

     ×「君にしては上出来だ」

  □成長を促す「叱り方」

   叱るということは、部下が間違った方向に向かうのを修正することです。

   それは次のステップからなります。

    1)自分の間違いに気づかせること

    2)部下自身に改善のための選択肢を考えさせること

    3)「頑張ろう」というやる気をもたせること

    4)実際に部下が行動を改善すること

   これらのステップを確実に踏むことで、部下は「叱られたから仕方なく改める」のではなく、
   「自分から進んで改める」ようになります。

   そのためには次のような叱り方が大切になります。

   1.「怒る」のではなく「叱る」

    上手に叱るためにはまずは「怒る」と「叱る」の違いを確認する必要があります。

    怒るとは「自分のために」感情を爆発させることであり、叱るとは「相手のために」
    正しい仕事の仕方を指導することです。

    両者には大きな違いがあります。

    怒っているのか、叱っているのかは、それを受け止めている部下がどのように感じるか
    で決まります。

    上司はきちんと叱っているつもりでも、部下が「また怒られた」と感じている場合は、
    効果は期待できません。

    上司は叱るだけではなく、部下がどのような反応を示しているのかまで確認する必要が
    あります。

   2.ポイントを確認してから叱る

    叱る前には、自分が部下のどのような点を叱ろうとしているのかを確認します。

    たとえば、目標未達成の営業マンを叱るときには、「未達成という結果を叱る」、
    「営業の進め方を叱る」、「途中で相談に来なかったことを叱る」などさまざまな
    ポイントがあります。

    これらを整理する前に部下を叱り始めると、思いつくままに次から次に指摘してしまう
    ことになり、部下はそもそも何を叱られているのかわからなくなってしまいます。

    どのような点を指摘して、それをどのように改善してほしいのかをあらかじめ考えてから
    叱ることが大切です。

   3.相手に考えさせる

    叱る目的は部下を追い込んで「すいません」という言葉を引き出すことではありません。

    「これができていない」という事実を指摘するだけではなく、「なぜできないのか」、
    「どうやったらできるようになるのか」という問題解決型の指導が必要です。

    上司から「次回からはこうしろ」と直接的な指示をするのではなく、部下自身に改善の
    方法を考えさせるほうが部下のやる気は高まります。

   4.原則は一対一で叱る

    自分のミスを自覚していても同僚や後輩の前で叱られるのはつらいものです。

    このような叱り方は部下のプライドを大きく傷つけます。

    また、一対一では素直に聞けることが、大勢の前であるがために意地になって反発
    してしまうこともあります。

    厳しい指導を行う場合や、部下とじっくりと話したい場合は、個室を準備するなどの配慮
    も必要です。

    ただし、遅刻や服装の乱れなど誰の目にもわかる「ルール無視」を繰り返す場合などは、
    組織全体の規律維持のためにあえて全員の前で叱ったほうがよいこともあります。

    これは本人のプライドを傷つけることにはなりません。

   5.「ほめる」と組み合わせる

    失敗して自信を失っている部下に対しては、叱るだけではなくよい部分を見つけて同時に
    ほめてあげることも有効です。

    たとえ結果は失敗だったとしても、そのプロセスには評価に値する部分もあるでしょう。

    「全体としての仕事は失敗だったが、この部分はよかった」というちょっとしたほめ言葉
    が部下の自信を回復させます。

    「本来の君の実力からして今回の結果は物足りないな」といった表現で、相手への期待
    水準の高さを示すこともモチベーション向上の効果があります。

    特に気を付けたいのは、部下の人格や存在を否定する言葉は決して使わないことです。

    このような言葉は部下を精神的に追い込むだけであり、「パワハラ」といわれても仕方
    ありません。

    叱るべきはあくまで部下がやった行為であり、部下そのものではありません。

    ○NGトーク例

     ×「こんな簡単なこともできないのか」

     ×「もういい、お前には頼まない」

     ×「これ以上、周りに迷惑をかけるな」

     ×「お前は本当に使えないヤツだ」

  □社長に必要な「ほめ方」、「叱り方」

   会社のトップである社長にとっては、会社全体、経営幹部、一般社員までが、ほめる、叱るの
   対象になります。

   ここでは社長自らが正しくほめる、叱るためのポイントについて紹介します。

   1.会社全体に対して

    社長が朝礼の場などで、全社員に対してその努力をほめたり、逆に会社全体の業績
    不振を叱ることはよくあります。

    ほめるときは素直に気持ちを述べればよいのですが、問題は叱るときです。

    多くの場合、社員は「会社がピンチなんだな」というおおよその状況理解はできても、
    「自分にも大きな責任がある」という当事者意識をもつまでには至りません。

    これは社長に比べて会社全体の情報量が圧倒的に少なく、経営知識も乏しい社員に
    とってはある意味仕方のないことです。

    社員は自分の日常的な行動と会社経営を直接に結びつけて考えることはできない
    のです。

    社長がさらに声を荒らげれば、「社長自身は何をやっているのか」という反感が高まる
    でしょう。

    ここで大切なのは、「社員の責任を追及する」ことではなく、「会社がこうなったのは
    トップである自分自身の責任であり、自分も変わるから社員もそれについてきてほしい」
    という姿勢を打ち出すことです。

    このようにトップ自らがコミットメント(約束)することで社員の心は動きます。

    社長は会社全体を叱る前に、叱る原因となっている問題と自分自身がどのように向き
    合って、対処するかを考える必要があるのです。

   2.経営幹部に対して

    たとえば、A部門が業績目標達成、B部門が業績目標未達成であれば、通常はA部門長
    はほめられ、B部門長は叱られます。

    しかし、A部門長はA部門の責任者であるとともに、会社業績全体に責任を負う経営
    幹部のひとりでもあるはずです。

    仮にA部門長がB部門の窮地を知りながら、それを放置していたのでは経営幹部と
    しては失格です。

    少数精鋭の中小企業では、経営幹部はさまざまな役割を担っているのが普通です。

    そして、幹部陣がそれらの重責をこなしているかを判断できるのは社長だけです。

    彼らを適切にほめて叱ることによって、幹部自身の成長を促し、会社全体の経営力
    アップに直結させることができます。

    また、社長が経営幹部をほめて叱ることは、経営幹部に正しいほめ方、叱り方を教える
    ことでもあります。

    たとえば、社長が経営幹部の人格を否定するような叱り方をすれば、その幹部も同様に
    自分の部下を不適切に叱ってしまうかもしれません。

    つまり、社長が経営幹部に対して行うほめ方、叱り方が会社全体のスタンダードになる
    可能性が高いのです。

    このように社長が経営幹部をどのようにほめて叱るかということは、会社全体に大きな
    影響を与えることを認識しなければなりません。

   3.一般社員に対して

    一般社員にとって普段はめったに会う機会のない社長から直接ほめられることは、
    大きな励みになります。

    前項のその気にさせる「ほめ方」では「ほめるときは具体的に」と書きましたが、社長から
    直接であれば「最近、頑張ってるな」の一言でも嬉しいものです。

    社長は自分の目だけではなく、上司からも部下の情報を聞くなどして、積極的に一般社員
    をほめるようにしましょう。

    「月間優秀賞」などの制度をつくって、全社員の前で社長が一般社員を表彰する機会を
    もつことも有効です。

    一方、社長が直属の上司を通り越して直接に一般社員を叱る場合は注意する必要が
    あります。

    社長から叱られるということはその社員にとって大変なショックです。

    また、直属の上司にとっては自分のマネジメントを否定されたことになります。

    一般社員は上司に迷惑がかかることを恐れ、二重の心理的負担を強いられます。

    やむを得ず一般社員を叱った場合は、なぜ叱ったのかを上司にも告げて、マネジメントの
    仕方を指導すること、一般社員をきちんとフォローさせること、社員に改善がみられた
    場合は社長が直接ほめることなどが必要です。

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社員のやる気を引き出す

            

社員のやる気を引き出す 

  ■やる気のマネジメント

   1.やる気は指示だけでは伝わらない 

     「もっとやる気を出せ!!」

     この言葉は、社長であれば誰もが一度は口にしたことがあるのではないでしょ
     うか。

     しかしながら、繰り返しいって聞かせても、なかなかその社員の態度が改まる 

     ことはありません。

     社長だけではなく、社員自身にとっても「やる気」をもって働いたほうが楽しい
     はずなのに、なぜうまくいかないのでしょうか。

     社員の「やる気」について考えるとき、社長として覚悟しなければならないの
     は、「やる気」とは基本的には社長自身の心のなかからしか湧いてこないとい
     うことです。

     言葉で表現すると当たり前ですが、やる気のない社員を目の当たりにすると、
     ついこの当たり前のことを忘れてしまいがちです。

     社長としては、「給料を払っているのだから、その分やる気を出してもらわない
     と困る」といいたいところですが、残念ながら問題はそんなに単純ではありま
     せん。

     やる気はあくまで気持ちの問題ですから、社長の指示によって一時的に態度
     が改まったとしても長続きはしないのです。

   2.やる気のマネジメント

     ではどうすればよいかといえば、「やる気を出せ」という直接的な指示によるの
     ではなく、社員が自らやる気を出すためにはどうしたらよいのかという具合に
     発想を切り替えることです。

     どのような環境が整えば社員がその気になるかを考えて、一つひとつ手を
     打っていくしかないのです。

     たとえば、会社の業績確保のためには、社長はありとあらゆる手を講じます。

     計画未達の可能性がある部門に対しては直接指導も必要でしょうし、日々の
     経営環境の変化にも早め早めに対応しなければなりません。

     つまり業績確保のためには、きっちりとしたマネジメントが不可欠なのです。

     実は社員のやる気についてもこれとまったく同じことがいえます。

     つまり社長や部門長には、自分が直接コントロールしている部下に対して、

      ・社長のやる気をどの程度高めておく必要があるか

      ・そのためにはどのような施策が必要か

      ・現時点で実際の社員のやる気はどの程度なのか

      ・あるべき水準までやる気を回復するにはどうしたらよいか

     といった社員のやる気に対するマネジメントが求められているのです。

     会社の業績確保のためのマネジメントの場合も、「売上減少」という問題に対し 
     て、「売上回復」という裏返しの答えではマネジメントとはいえません。

     問題解決のためには、「なぜ売上が落ちているのか」という原因の絞り込み
     と、その解決策の立案が不可欠です。

     社員のやる気のマネジメントにおいても、単に「やる気を出せ」という叱咤激励
     だけではなく、やる気が出ていない原因究明とその対策を示したうえで、社員
     のやる気を引き出すように仕向けることが必要なのです。

   3.適正なやる気度合い

     ところで、前述で「社員のやる気をどの程度高めておく必要があるか」という表
     現をしました。

     この部分について、「全社員がつねに最大限のやる気でいるのがよいに決
     まっている」と考える方もるかもしれません。

     もちろんその状態が持続可能であれば、それに越したことはありません。

     しかしながら、最大限のやる気をもって仕事をするということは「全力で脇目も
     振らずに仕事に邁進する」ということであり、全社員がそのような状態を続けて
     いくことは通常不可能です。

     また、社員の資質によっては、「通常は人並みだが、ここぞというときにはもの
     凄い瞬発力を発揮する」という人もいれば、「突出することはないが、安定的に
     人並み以上のやる気を維持できる」というタイプの人もいると思います。

     さらに、役職の差においても求められるやる気の度合いは変わってくるはず。

     たとえば、経営幹部であるのに、たまにしか人並み以上のやる気を発揮できな
     いようでは明らかに不十分です。

     経営幹部には、社長に匹敵するようなやる気を常時発揮してもらわなければ
     なりません。

     このように、やる気のマネジメントとは社員の資質差、役職差なども把握し、
     個々の社員ごとに、そして部門や会社全体としてそれをどのように高い水準で
     維持していくかということなのです。

     では、実際に社員のやる気を高めていくためにはどのような施策が必要なの
     でしょうか?

  □やる気を高める原則

   社員のやる気を高めるためには、さまざまな手法があります。

   仕事内容や社員個人の資質によって効果の度合いは若干異なってきますが、い
   ずれにも共通するのが、次の4原則です。

    @経営理念の明確化と浸透

    A仕事の価値の認識

    B自己成長の認識

    C平等で公平な評価

   どれも重要ではありますが、もっとも基本的な条件となるのが、@の「経営理念の
   明確化と浸透」です。

   1.経営理念を明確化し浸透させる

     経営理念とは、「自分たちはこうありたい」、「社会に対してこのような貢献をし
     たい」といった会社が存在する意義を明文化したものです。

     私たちは、会社に限らずさまざまな組織に属しています。

     楽しむためだけの趣味の会もあれば、安心できる生活実現のための地域の自
     治会のような組織もあります。

     これらの会では多くの場合、その会則の最初に「本会の目的」が示されてお
     り、会員は目的達成のために自分は何をすればよいのか、どのような心構え
     で臨むべきかを理解することができます。

     ところが、会社のなかには、この目的、つまり経営理念が作成されていないこ
     とも多く、またあったとしても非常に曖昧なもので、一般社員はその意味がわ
     からない場合も少なくありません。

     社員のなかには、もっとも重要な組織のひとつであるはずの「会社」の目的が
     よくわからずに働いている人が多いのです。

     社員は人生の多くの時間を会社で使います。

     膨大な自分の時間を使っている会社は「いったい何をやろうとしているのか」、
     このことを社員が理解し、それに共鳴しているかどうかで「やる気」のベースに
     大きな差が生じることはいうまでもないでしょう。

     社長のなかには、「うちの社員は給料のために働くと割り切っているから仕方
     ない」と嘆く方もいるかもしれません。

     確かにあえてこのような姿勢を示す社員もいますが、いい方を変えれば社員
     が魅力を感じるだけの理念を示せていないから、割り切るしかないのかもしれ
     ません。

     このように、経営理念が浸透しているかどうかは、社員のやる気を十分に引き
     出すための不可欠な条件といえます。

     それなしには、その他の施策の効果も限定的になってしまいます。

     経営理念に必要な条件としては、

      ・会社は社会全体に対して、顧客に対して、社長に対して
       どのような想いをもっているかを示すこと

      ・社長自身の考え・価値観で社長自身が作ること

      ・具休的なわかりやすい言葉で表現すること

     などが考えられます。

     また、経営理念を浸透させるためには、その理念を作成するにいたった背景
     や、理念実現のためにはどのような姿勢が必要かなどをきちんと伝えることが
     大切です。

     朝礼などで繰り返し説明したり、経営理念を書いた紙を事務所に掲げるなど、
     社員がつねにそれを意識する状態を作ることが有効でしょう。

   2.自分の仕事の価値を認識させる

     たとえば、ある工場のラインで、毎日ひたすら「ねじ回し」の工程だけをやって
     いる人がいたとします。

     いろんなパーツが流れてきますが、その人がやるのは「ねじ回し」だけです。

     最終的にそれがどのような製品になるのか、どのような使われ方をするのか
     はまったくわかりません。

     では、この人は長期間に渡って「やる気」を高い水準に維持することができる
     でしょうか? 

     いくら工場長が「もっと効率を上げろ」と怒鳴ったところで、それは難しいでしょ
     う。

     ここまで極端な例ではなくても、一般の会社のなかでもこのようなことは起こっ
     ています。

     やっていることは毎日同じ定型業務で、その仕事を誰がどのように喜んでくれ
     ているのかまるでわからない、つまり自分がやっている仕事の価値がまるでわ
     からないのです。

     また、比較的仕事の価値がみえやすい営業マンについても考えてみましょう。

     ある営業マンは優秀で毎月1000万円の新規受注を決めてきます。

     ここでは、彼が自部門や会社に対して1000万円の価値をもたらしていること
     は明らかです。

     上司からも褒められて、それなりのやりがいを感じることはできるでしょう。

     しかしそれが長期間続き、もはや当たり前になったとき、彼のやる気はどうなっ
     てしまうでしょうか。

     このとき、彼に気づかせるべきは、

      社内的な価値ではなく、社外にもたらす価値

     です。

     つまり彼が販売している顧客に対してどのような価値をもたらしているのかを
     わからせることが必要です。

     さらには顧客への価値提供を続けることによって、社会全体にも大きな価値を
     もたらしていることを認識させることで、営業マンのやる気は高まるのです。

     ●価値の多重構造

      社長や部門長は個々の社員がやっている仕事が、社内的、社外的に
      どれだけ価値があるかを繰り返し説明することが必要です。

   3.自分の成長度合いを認識させる

     また、アウトプットとしての仕事の価値だけではなく、社員自身の価値がどのよ
     うに向上しているのか、つまり社員の成長度合いを認識させることも重要だ。

     人間は「昨日できなかったことが、今日はできるようになった」と実感したとき、
     大きな達成感を味わうとともに、さらに上をめざそうというやる気が高まるもの
     です。

     ところで、この成長実感の度合いは、社員の保有能力によって変わってくる。

     たとえば、新入社員時代には、顧客とのアポが取れたことだけでも日々成長を
     感じることができます。

     ゼロからスタートした社会人としての基礎固めの段階ですから、日々能力向上
     が実感できるのです。

     ところが、中堅社員クラスになって一通りの仕事ができるようになると、「初め
     てできた」という仕事はどんどん減ってきます。

     なかには「5年前の自分と今の自分は何も成長していない」と感じる人もいるで
     しょう。

     そして、成長実感がなければ「さらに上をめざそう」というやる気はなかなか湧
     いてきません。

     最悪の場合は「こんなもんだろう」という具合に淡々と仕事をこなすだけの習慣
     が身についてしまいます。

     社長としては、中堅以上の社員が「社会人平均レベル」の能力を発揮している
     だけで満足できるはずはありません。

     彼らには自分の右腕として、経営幹部として奮闘して欲しいと考えて当然で
     す。

     そこで、特に中堅クラスの社員に対しては、かなり意識的に自分の成長度合
     いを実感させる、逆にいえば「まだまだ成長できる余地があり、十分には成長
     していない」ことをわからせるために「刺激」を与える必要があります。

     そこで重要になってくるのが、

      会社として彼らに将来発揮して欲しい「会社(社長)の期待」と社長
      自身が今後どのように成長していきたいのかという「個人の目標」を
      明確にして、擦り合わせること

     です。

     まずは、社長自身ができるだけ具体的にその期待像を示します。

     たとえば「3年後には現在の中堅幹部の誰かに営業部門を統括して欲しい」と
     いった期待です。

     ここで、重要なのは期限をはっきりと示すことです。

     「そのうちに」、「将来的には」では現実味がありません。

     もちろん、無条件で誰かに任せるわけではありません。

     「営業部門を任せるためには、これだけの能力や実績が必要」とクリアすべき
     ハードルを明確化したうえで、期待を示すことです。

     これは会社(社長)として「こんな風に育って欲しい」という成長の方向性をはっ
     きりと示したということです。

     次に重要なのは、社員自身の目標です。

     社長が密かに「彼であれば」と目星をつけていた社員がいたとしても、その社
     員の目標が「スペシャリストとして独立すること」として固まっていれば、彼の心
     に響くことはありません。

     しかし、「自分は営業のトップとして組織を動かしてみたい」と社長の期待通り
     の目標をもっている社員がいれば、その社員のやる気は強烈に刺激されるは
     ずです。

     また仮に漠然と「いつかは経営幹部になりたい」としか考えていなかった社員
     にとっても、めざすべき選択肢のひとつが明確に示されたことになります。

     自分の目標がクリアになり、大いなる成長のきっかけになるかもしれません。

     このように、特に成長とやる気が停滞気味の中堅幹部に対しては、会社(社
     長)としての成長期待を示し、彼ら自身に自分の将来の目標と真剣に向き合
     わせることが、非常に重要なのです。

   4.平等で公平な評価を行う

     最後に忘れてはならないのが、平等で公平な評価です。

     「いくらがんばっても結局はあの人ばかりが評価される」、「そもそも評価基準
     がさっぱりわからない」、こんな状態が続いていたら社員のやる気は高まるは  
     ずはありません。

     多くの中小企業では、社員の評価は社長自身の「さじ加減」で決めているのが
     現実です。

     社長としては、社員の能力や評価は十分に考慮しているつもりでも、それがあ
     らかじめ明文化されていないために、社長の恣意性が疑われるのです。

     社員も多少の疑問を感じながらも「社長が決めたことだから」と最終的には納
     得します。

     しかし、決して好ましい状況とはいえないでしょう。

     中小企業のあるべき人事評価について、絶対に外してはならないポイントとし
     て「平等」と「公平」の考え方について説明しておきましょう。

     「平等」とは読んで字のごとく、全員が等しいということです。たとえば社員10
     人に対する人件費の総枠が4000万円であれば、完全平等のなかでは一人
     一律400万円ということになります。

     しかし、経験や能力に差があるすべての社員に対して、一律支給は問題があ
     ることは明らかです。

     平等とはもう少し詳しく説明すると、「ある条件のもとで等しい」という意味で
     す。

     たとえば「男女雇用機会均等法」に規定されているのは、「他の条件が同じで
     あるのに、男女という性別によってのみ差をつけてはいけない」ということ。

     能力の差による待遇の違いは禁止していません。

     また、会社の評価における「公平」とはあらかじめ決められたモノサシ通りに処
     遇する、つまりルールに基づいて差をつけるということです。

     重要なのは「社長の頭のなかでは公平である」という理屈は通用しないことで
     す。

     これらをまとめると、社員のやる気を引き出すためには、たとえば、

      ・年齢の高低や社長との血縁開係の強さなどは一切考慮しない(平等)

      ・業績や能力の速いは十分に考慮してルールに従って評価に差を
       つける(公平)

     という具合に、

      「何を考慮し、何を考慮しないか」というルールをあらかじめ示して
      おくこと

     が重要になります。

     ここまで説明してきたように、社員のやる気を十分に引き出すには、さまざまな
     工夫が必要です。

     そして、そのやる気を上手にマネジメントしていくことが求められます。

     不景気のなか、業績確保のために日々奔走している社長にとっては、随分と
     面倒に思えるかもしれません。

     しかし、長期的にみれば、会社の存続・成長には社員のやる気がもっとも重要
     な要素のひとつであり、その比重は時代とともに高まりつつあることも忘れて
     はならない。

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女性社員の活用

          

男性社員と女性社員の違い


  これまで、社員に対するモチベーション・マネジメントを、「若手(新入社員)・中堅・
  ベテラン」といった年代や「部下・上司」といった役職によって区分し、説明してきま
  したが、実はこれら以外にもう一つ重要な視点があります。

  それは性別、つまり男性社員と女性社員という二つの区分によるアプローチです。

  その昔、「会社、あるいは社会というものは男性によって作られ、男性によって維持
  ・発展をし続けるものだ」などという考えが、半ば社会常識ととらえられている時代が
  ありました。

  花形の営業職や高い専門性を誇るエンジニア職は男性社員が占め、事務職やその他
  のバックオフィス的な業務は女性に任せるという体制が社内で常態化し、待遇・昇進
  ・給与・福利厚生など多くの面で男女差を設けているという会社が、十数年前には
  当たり前のように存在していたのです。

  しかし、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などといった女性の労働環境を支援
  する法整備が進むに従い社会や企業の意識も変わり、女性が働きやすい環境が
  徐々に整備されつつあります。

  これまでのような男女差別をなくし、女性を会社に貢献する一人の社会人として見る
  という動きは、個人の意識変革の枠を超え社会全体として大きな高まりを見せてい
  ます。

  ■「男女平等」から「女性力の活用」へ

   現在では、「男尊女卑」から「男女平等」「男女同権」という意識の変化は、着実に
   大きな実を結びつつあります。

   この変化を第一次変革とするならば、今後はさらにそれを発展させ、「女性の力を
   最大限に活かせるような環境整備を定着させる」という第二次変革が、企業や社
   会に求められてくると考えられます。

   特に、女性ならではの視点や考え方を取り入れた事業や、男女差のない労働環境
   作りに積極的に取り組んできた企業が大きな成長を遂げているという実態を考え
   れば、企業の成長にとって、第二次変革こそが必要最低限の要素だと言えるかも
   しれません。

   とはいえ、このように女性の社会進出が著しく、業務遂行力や柔軟性などに富んだ
   女性社員が、男性社員を凌駕する活躍を見せている現代社会にあってさえ、今なお
   旧態依然の体制を維持している企業が実は少なくないのです。

   しかし、世界的な不景気を見せる現代を乗り越えていくためには、男女の区別なく、
   社員が一丸となって努力していくことが必要不可欠。

   今や、「社会は男性のもの」「女性は結婚までの腰かけに就職する」「お茶くみ、コピー
   は女性の仕事」などという意識を持った企業は、女性社員はもちろん、男性社員
   からも見放される時代であるということを経営者はよく理解する必要があります。

  □仕事に対する意識の違い

   では、具体的に男性社員と女性社員では、仕事に対するモチベーションはどのように
   違っているのでしょうか?

   性差を問わず、仕事に対する取り組み方や考え方は人それぞれであるため、一概に
   断言することはできませんが、一般的に男性社員の場合は、仕事は生活を豊かに
   する、あるいは生きていくために必要な手段であり、金銭的な報酬の対価として労働
   を提供するものとしてとらえる傾向にあります。

   一方女性社員はというと、仕事が生活を維持するために必要な手段という認識を
   持ったうえで、仕事を「自己実現の場」「なりたい自分になるためのプロセス」「社会に
   貢献するための手段」ととらえる傾向にあります。

   そのため、男性社員に比べ、仕事に「やりがい」「生きがい」「楽しさ」などを求める
   人が多く、仕事を金銭・待遇・昇進という目で見ている男性社員とは異なる見方をして
   いると言えます。

   当然、働く原動力や転退職を決意するきっかけなども大きく異なるため、モチベー
   ション・マネジメントを行う際には、男性とは違ったアプローチ、すなわち、金銭や待遇
   だけではなく、心や感情に訴えかけるようなアプローチをする必要があるでしょう。

   また、男性社員はキャリアパスを夢や願望を加味したうえで、長期的な視野で考える
   のに対し、女性社員は仕事やキャリアを身近なものとして、より現実的な視点で見て
   います。

   そのため、男性社員が黙って耐えている理不尽な仕事や上司の要求に対しても、女性
   社員は大きな不満を感じ、モチベーションを大きく下げる傾向にあるのです。

   それは決して女性がわがままであるとか、辛抱強くないといったことを表している
   のではなく、目の前にある事象を、あるがままに受け取った結果なのです。

   そして彼女たちは、仕事や上司、会社への不満や文句を他者と共有することで、
   下がったモチベーションを向上させたり、モチベーションを維持したりしています。

   漫画などでよく見られる「(女性社員の)給湯室での噂話」は、一種のストレス・マ
   ネジメントと言えます。

   それを見た上司が、「女性はすぐに文句を言うから困る」などとひとくくりにして、問
   題の本質に真面目に向き合わないと、問題が大きくなるまで気づかないのです。

   一人の女性社員のストレスによって、社内全体のモチベーションが著しく下がったり、
   チームワークが大きく乱されるということも珍しくありません。

   そして、いったんそうなってしまった場合、リカバリーは困難を極めます。

   それを防ぐためにも、女性社員のモチベーションが下がっていると感じた時は、上 司は
   「なぜ、その女性がストレスを感じてしまったのか?」を真剣に考えるように心がけ
   ましょう。

   同時に、「これまでの仕事や指導のやり方に対して、同じく不満やストレスを感じて
   いた男性社員もいたのではないか?」と多面的に考えることで、全社的なモチ
   ベーションアップにもつながっていきます。

   女性社員のケアと同時に、男性社員への対応も再確認することも、モチベーション・
   マネジメントには欠かせない要素と言えるでしょう。

  □働く女性のためのダイバーシティという取り組み

   グローバルな事業を展開する大手企業や金融機関が注目している「ダイバーシティ
   ・マネジメント(Diversity Management)」という言葉(以下、ダイバーシティ)
   は、英語の「Diversity &Inclusion」を省略したものであり、日本語では主に
   「多様性」と訳されます(厳密には「多様性の受容」)。

   これは、組織内に存在するさまざまな個の違い、すなわち国籍・人種・文化・思考・
   制度・年齢・意識・常識・価値観といったあらゆる違い(=多様性)を受け入れ、組織が
   内包する「個」を企業の競争優位性の源泉として最大限に活用することで、組織の
   体制や意識を大きく変革するという経営戦略のことです。

   身近なところで言うと、1986年に施行された雇用機会均等法などが挙げられます。

   このダイバーシティという考え方は、広義的には「女性・外国人・マイノリティ(少数
   民族など)・高齢者・障害者などを広く受け入れ、それらの人材をあるがままに活用
   すること」を意味していますが、現代の日本企業の多くは、その中でも特に「女性力
   の活用」に着目した取り組みを進めています。

   日産自動車は2004年10月、女性社員の活用を目的とした「ダイバーシティデベ
   ロップメントオフィス」を設置しました。

   また資生堂は、「ジェンダー・フリー委員会」を設置し、男女を問わず社員が個性を
   発揮できるような企業作りに取り組んでいます。

   その他、女性社員の登用を推進するため、人事部門において「ジェンダー・ダイバー
   シティ・プロジェクト」を発足したソニーや、ダイバーシティへの貢献度を評価項目に
   盛り込み、その結果を毎年社員の評価に反映させているP&Gなど、女性のための
   商品を提供している企業やグローバルに事業を展開している企業などを中心に、その
   動きは大きな広がりを見せています。

   トップのイニシアチブの下、これらの取り組みを積極的に導入し、上手に活用でき
   れば、女性社員はもちろん、男性社員のモチベーションアップにつながる可能性が
   あります。

   いきなり外国人採用をすることは難しいかもしれないので、まずは「女性が自身の能力
   を活かせる環境を作る」といった身近なところから始めてはどうでしょうか。

    ◎ダイバーシティにおける主な経営的リターンと課題

  □女性の力を活かせる企業が生き残る

   近年、労働力として女性を活用するにあたり、出産・育児などにおける各種支援制度
   やスムーズな休職・復職ができるような制度の確立および導入に各企業が力を
   入れています。

   求人時に、女性のための制度の拡充や福利厚生の充実などを前面に押し出している
   企業も多く見られ、企業や社会の意識に大きな変化が目に見えて表れるようになり
   ました。

   しかし現実問題として、制度は用意されているものの、その運用に問題があり、いざ
   制度を活用しようとしても、周りの社員や上司にイヤミや愚痴を言われて思うように
   活用できなかったという事例も多数見られます。

   出産や育児のタイミングによっては、やむを得ず異動や配置替えなどをせざるを
   得ないという企業の苦心もわかりますが、それらの多くは、男女雇用機会均等法違反
   になる他、女性社員の大幅なモチベーションダウンにつながる可能性もあります。

   今後経営者が、自社の事業を維持・発展させ、成熟した企業として成長したいと願う
   ならば、女性力は必要不可欠。女性の視点を上手に活かした企業が、これからの時代
   を生き残っていくことは想像に難くありません。

   その点を十分考慮に入れ、女性のためのモチベーション・マネジメントに取り組んで
   みてください。

   近い将来、その取り組みが大きく実を結ぶ可能性は大です。

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全社員を活かす会社

          

全社員を活かす会社

  ■若手(新入社員・20代前半)の傾向と対策

   新卒・第二新卒と呼ばれる18歳〜20代前半の社員がこの「若手」です。

   多感な学生時代を、バブル崩壊後のいわゆる「失われた10年」で過ごしたこの世
   代は、既存の社会システムが崩壊したことを背景に、これまでにはなかった新しい
   考え方や多様な価値観を持っていることが特徴です。

   米国流の「個人主義」や「実力主義」という言葉の中で育ってきた彼らは愛社精神 
   が極端に低く、常に自分の権利を主張したり、自分の能力を過大評価する傾向に
   あります。

   よく言えば「自己実現のためなら苦労を惜しまない人間」、悪く言えば「単なるわがまま
   な人間」と言えます。

   また、親や社会に甘やかされて育ってきたため、ストレス耐性や忍耐力が極端に
   低く、会社に入っても「お客様意識」がなかなか抜けません。

   少しでも嫌なことがあったり、怒られたりすると、前述の「個人主義」や「自意識過剰」
   に伴い、「この会社では、自分の能力を十分に発揮できない」と考え、すぐに転職
   決意する傾向にあります。

   「能力を発揮できない」と思うのはまだましな方で、中には「この会社は、自分の能力を
   引き伸ばしてくれない」「この会社は、何も教育してくれない」など、学生時代の受け身
   的な考えも多く見られます。

   コミュニケーション力が低く、従来は花形と言われていた「営業職」を嫌う代わりに、
   自分の得意な分野を追求していく専門職(エンジニアや研究職、プログラマーなど)
   を好む傾向にあるのもこの世代の特徴です。

   対人コミュニケーションに慣れていないため、「挨拶をしない」「報・連・相(報告・
   連絡・相談)をしない」「飲み会やレクリエーションを避ける」「失敗を上司に報告し
   ない(ギリギリになって報告する)」「人の目を見て話さない」「会議で発言しない」 
   などといった、人との付き合いを苦手とする人も少なくありません。

   このように、会社にとってマイナス面ばかりが目立つこの世代ですが、一方では、この
   世代独自の優秀な能力を持っています。

   それは「IT機器の知識および理解度」「ネットワークを使った情報収集能力」「ビジネス
   における知識」「業務の効率化の追求」「言われたことを言われた通りに行う業務遂行
   能力」などです。

    ◎若手(新入社員・20代前半)の特徴・まとめ

  □中堅(先輩社員・20代後半〜30代)の傾向と対策

   会社にとって、若手社員以上に問題を内包しているのが、この「中堅」と呼ばれる世代
   です。

   この世代は、「失われた10年」「平成大不況」と呼ばれる時代に就職を余儀なくさ
   れた、いわば時代の犠牲者。バブルがはじけ、どの企業も事業の維持がやっとで、
   新卒採用および中途採用の枠を極端に制限した時代に就職活動を続けた彼らは、
   「超超就職氷河期」という厳しい時代をくぐりぬけ、やっとの思いで入社しました。

   そんな時代であったため、自分が行きたかった企業でなくても、「とりあえず正社員に
   ならなくては」という思いで社員になった人も多いため、愛社精神に乏しく、チャンス
   さえあれば、転職しようと考えている人も少なくありません。

   また、実力・経験・体力ともに優秀であるにも関わらず、仕事や未来への希望が薄い
   ため、会社が最もモチベーション・マネジメントに力を入れなくてはならない世代と言え
   ます。

   彼らは後述する「ベテラン」と同世代を親に持ち、価値観が大きく変化した時代の
   過渡期に生まれ育っているため、ITに関する知識・社会情勢やシステムの変革・人々
   の思考の変化といった「若手」よりの事象も理解できるし、人と人とのコミュニケー
   ション・現場主義・愛社精神といった「ベテラン」よりの考えも理解しています。

   上司と部下の双方の言い分のどちらにも理解があるが故に、かえって何もできず、
   ストレスを自分の中にため込んでしまう傾向にあります。

   会社はこれまでも、この世代の苦労や立場を十分理解した上で、部下を教育する 
   ための「トレーニング研修」、部下への教育を通じてともに成長していくための
   「コーチング」、精神を病んでしまった人のための、もしくはそれを防止するための
   「メンタルヘルス」など、さまざまな研修や取り組みを実施してきました。

   にもかかわらず、依然として、この世代の転退職率は高いという状況が続いてい
   ます。

   これまで企業はこの世代に対し、過剰ともいえる期待を押しつけてきました。

   経験面でも体力面でも脂の乗り切った彼らに、さらなる飛躍を遂げてほしいという
   気持ちは分かりますが、それがいつしか単なる責任の押し付けになってしまっている
   ことを経営陣はきちんと理解すべきです。

   上司の「若手の考えはわからないから、君に任す」「若手がすぐに辞めてしまうのは、
   君の教育が足りないからではないのか」という教育放棄と、「仕事ができないのは、
   上司が私をうまく使ってくれないからだ」「あの上司は、私の言うことには耳を貸さない
   くせに、上役の言うことにはハイハイ言う」という部下の勝手な指摘に挟まれている
   この世代には、経営陣が親身になって、社員教育や待遇について考えているという
   姿勢を見せることが必要です。

   また、仕事が体力的にも精神的にも過剰になっていないかをきちんと見極め、厳しい
   ようならセーブさせましょう。

   会社にとってなくてはならない世代だからこそ、相応の待遇や環境整備をしなくては
   いけません。

   くれぐれも、「高い給料と役職を与えているんだから、頑張って成果を出せ」と突っ
   ぱねることのないようにしてください。

  □ベテラン(上司・40代以上)の特徴

   最後は、40代以上の「ベテラン」と呼ばれる世代です。この世代には、経営者や役員
   といった「モチベーション・マネジメントを実施する立場の人」も含まれていますが、 
   今回はあくまで「モチベーション・マネジメントを受ける立場の人」として説明をして
   いきます。

   この世代は、「高度経済成長期」や「安定成長期」と呼ばれる、日本全体が未来への
   希望に満ち溢れていた時代に生まれ育ちました。戦後の日本を立て直し、輝かしい
   未来を作るため、この世代は身を粉にして働きました。

   彼らの働きぶりはすさまじく、海外から「エコノミックアニマル」と揶揄されるほどで
   した。

   その結果、日本は見事経済大国として世界に名を轟かせることになりました。

   そのため、性格は粘り強くてエネルギッシュ。

   また、「景気の右肩上がり」「終身雇用」「年功序列」などが当たり前だったため、愛社
   精神や安定志向が顕著であり、同時に競争意識や昇進への意欲が高いという特徴も
   見られます。

   働けば働いただけリターンが来るという時代が作った特徴だと言えるでしょう。

   反面、リストラや異動、M&Aなどを極端に恐れているため、年を経るに従い、勤勉
   ながらも、徐々に無難な仕事に終始する傾向にあります。

   この世代へのモチベーション・マネジメントは、勤労意欲を減少させないような内容・
   量の仕事を割り振ること。

   具体的には、これまでの経験で培った専門知識や人的ネットワークを活かせる管
   理職の他、本人の意向を聞いた上で、現場や営業などの第一線で活躍できるような
   仕事をさせると良いでしょう。

   この世代は、ITに不慣れなことをコンプレックスにしていたり、若手の台頭で居場所が
   なくなることを不安に思っていたりと、さまざまな悩みを抱えています。

   それらを払しょくさせる意味でも、「あなたでなくてはできない」という仕事を上役が
   割り振り、これまで積み重ねてきた経験を活かせるように工夫しましょう。

   また、若手とのコミュニケーションがうまくできないと悩んでいる場合は、若手を経営
   会議に積極的に参加させることで双方の距離を縮め、「教え、教わる」という環境を
   整えることも大きな効果を発揮します。

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部下が考える理想の上司

          

部下が考える理想の上司


  ■部下が考える理想の上司

   本来上司とは、部下に比べ、より長い経験・より大きな権限・より多くの実績を持っ
   た社員に与えられる肩書のことを指します。

   多くの上司は、会社に長い期間在籍し、経験に裏付けられたノウハウを使って、
   より広い範囲の仕事をこなし、部門の中心、あるいは会社の中枢で辣腕を振
   るっていることでしょう。

   ここで問題になるのは、「部下」の存在です。

   上司と呼ばれる以上、当然その下には「部下」が存在しています。

   部下がいなかった若手時代は、自分に与えられた仕事や役割をきちんとこなして
   いれば、会社や上司から、実績として能力を評価されました。

   しかし上司になると、自分の仕事をただこなすだけでは役割を果たしているとはみ
   なされません。

   自分がどんなに仕事を処理していても、その下にいる何十、何百の部下たちが
   ついてこなければ、成果が正当に評価されないばかりか、かえってマイナス評価
   をされる可能性もあります。

   上司に課せられた役割は、部下の能力を引き上げて組織全体の成長を促す
   ことであり、会社や部下が期待する最大のポイントなのです。

   上司としての役割を果たすためには、自らを律して人間力を高め、部下とのコミュ
   ニケーションを密にとり、部下の性格や能力を把握することが必要不可欠。

   そうして初めて多くの部下に認められ、お互いに強い信頼関係を築くことができる

   のです。

  □職場に理想の上司はいる?

   インターネットリサーチ事業の「アイシェア」が、20代から40代を中心とする男女
   のビジネスパーソン370人を対象に、「職場に理想の上司はいるか?」というアン
   ケートを実施した。

   それによると、「理想の上司はいない」と答えた会社員が43.8%と最多で、以下、
   「普通の上司ならいる」が36.8%、「理想に近い上司がいる」が17.8%、「完璧に
   理想の上司がいる」が1.6%という、上司にとってはショッキングな結果が出ま
   した。

   前述のように、上司や部下、組織が大きく成長するためには、お互いの能力や
   性格などを認め合うことが大切です。

   理想の上司がいるというだけで、部下は「いつか上司のようになりたい」という強い
   決意のもと、能力以上の力を発揮するようになります。

   しかし、職場に理想の上司はいないと感じている社員が約4割を占めるという結果
   は、現代日本の会社事情を如実に表していると言えます。

   この結果を社員がどう受け取るかで、その会社の今後の成長が判断できると
   言ってもいいかもしれません。

  理想の上司に求める資質(出典:ガベージニュース)
   では、社員が考える理想の上司とは、一体どのような資質を持った人物なので
   しょうか。

   インターネットを活用した市場調査を手がけるマクロミルが、1985年〜1986年 
   生まれの新入社員516人を対象に実施した「2009年 新社会人の意識調査」に  
   よると、新入社員が理想の上司に求める条件として挙げたのは、「人格が尊敬で
   きる」が68%でもっとも多く、以下、「仕事をよく指導してくれる」が62%、「仕事の
   成果を正当に評価してくれる」が59%という結果になりました。

   結果には、男女間でほとんど差異がなかったものの、男性では、「理念や理想を
   持っている」が女性に比べ高く、また女性では、「人格が尊敬できる」や「いざという
   時頼りになる」が男性に比べ高い割合を占めています。

   また上記のほか、「目標をまとめ上げる力がある」「自分の管轄下の部署の業
   績を伸ばせる」「部下の業務内容や性格をきちんと把握している」「有言実行」
   「明るい性格」「高い向上心」「仕事に誇りを持っている」「部下を教育して能力を
   伸ばしてくれる」「知識ではなく、知恵を持っている」といった能力に関する意見や、
   「おしゃれな格好をしている」「きちんとスーツを着こなしている」「背筋がまっすぐ」
   「いつも磨かれた靴を履いている」「センスのいいネクタイをしている」といった
   外見的なもの、その他、「テクニックやポーズで接するのではなく、愛情と気持ち
   で接してくれる」「言動や行動に品性を感じる」「部下の意見を頭から否定しない」
   「自分の知らない店を多く知っている」といった意見が見られます。

   これらの条件をすべて満たすのは非常に大変ですが、「部下たちはこういう視線で
   上司を見ている」という意識を持って、一つずつ実行に移してみてはいかがで
   しょう。

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部下に嫌われる行動

          

部下に嫌われる言動

  ■部下がいてこそ上司は輝く
   
   
米国の組織論の権威であり、電話会社の経営者だったチェスター・I・バーナードは、
   上司と部下の関係について、「権限受容説」を提唱しています。
   権限受容説とは、「仕事を行ううえでの権限は、肩書や本人に自然についている
   ものではなく、上司の命令が部下に受け入れられ、上司の意図や指示に従って
   部下が行動して初めて成立する」という説のことです。
   そしてバーナードは、「会社が組織として成立し、組織体を維持し続け、
   効率的に動くためには、何より社員間のコミュニケーションが大切であり、
   上司は、その位置や肩書に溺れることなく、常にメンバーから信頼を得、
   コミュニケーションを高める努力をし続ける必要がある」 としています。 
   例えば、部下の状況や意思を顧みず、理不尽な命令を次々に発する上司が
   いたとします。
   最初のうちは、おとなしく部下は従うでしょう。
   上司の持つ肩書や社内での位置、自分のキャリアパスなどを考えての苦渋の
   決断です。
   しかし、上司がその後も同じように理不尽な命令を下し続けたとしたらどう
   でしょう。
   おそらく、精神的にも肉体的にも命令を受容する限界が訪れ、部下たちは、
   さらなる上位管理者に不平・不満をぶつけ、異動や転退職を決意すること
   でしょう。 
   部下に去られた上司は、能力や性格が以前と何も変わっていないにもかかわらず、
   上司としての機能を失い、生産性や効率性が格段に落ちるのは間違いありません。 
   この説は、個人主義や成果主義といった「個人の能力・意思・実績」 などに
   焦点を当てる考え方が浸透してきた現代にあっても、いや、そうなってしまった
   現代であるからこそ、非常に重要な考え方だと言えるでしょう。

  □上司が上司として成立するための四つの条件
   またバーナードは、「部下が上司の命令を受容する=上司が上司として成立
   するための条件」として、以下の四つを挙げています。

   (1) 部下が命令を理解できる=部下が理解できる命令であること 
     上司が命令の意図や目的を理解していない場合はもちろん、部下が理解
     できる命令をしていない場合も上司として失格です。
     根性論を前提にした「とにかくやればいいんだ」という目的不明の命令や、
     「俺が若いころはみんなこうしていた」という時代背景を無視した命令が
     これに当たります。

    (2)命令が組織目的と一致している=会社・部門・チームの目的と、上司の
     言っていることにズレがないこと 
     例えば、エコ活動の実践を事業の目的にしている企業で、環境を汚染する
     ことが確実な「コスト優先」の命令を上司がすると、部下は大きな矛盾と
     懐疑心を抱き、上司に信頼を置かなくなります。

    (3)命令と部下の個人的な目的・利益などが両立している=部下の性格・意思
     ・利益を無視した命令をしないこと 
     会社の目的と上司の命令が一致している場合でも、その命令が部下の性格や
     利益を著しく害する場合も、命令は実行されません。
     プライベートを大切にする社員に休日返上を前提にした仕事を割り振る、
     急な残業で社員の予定を犠牲にする命令などがこれに当たります。
     また、会社の脱法行為に耐えかねた真面目な社員が、監督官庁や世間に
     会社の違法行為を密告するケースも、これに反した結果と考えられます。

    (4)部下が、命令を精神的・肉体的に実行できる=部下の許容範囲を超えた
     命令をしないこと 
     当たり前ですが、できないことはできません。
     上司が部下の許容範囲を把握できない、あるいはあえて把握せずに命令を
     し続けた場合、部下は転退職を決意したり、病気になったり、最悪、
     自殺を決意することも少なくありません。
     もっとも、このような命令を上司が発し続けているような会社は、今以上
     の成功や成長は望めないでしょう。
     大切なのは、頑張れば達成できるレベルの仕事、つまり部下の能力より
     少しだけ高度な仕事を割り振ることです。 
     以上のような組織論における基礎理論を前提として、部下に嫌われる具体的
     な行動について説明します。

  □部下に嫌われる言動〜三つのルールを守る

   会社人にとって、周りの社員に嫌われないように行動することは、直接的な業務遂行
   能力以上に、大切な要素の一つと言えます。

   ましてや部下を持つ上司が部下に嫌われていては、組織が成り立たないばかりか、
   自分が上司として存在することすら危うくなってしまうため、部下以上に細心の注意を
   払わなければいけません。つまり、会社に貢献し、肩書的にも能力的にも成長し続け
   たいと願うならば、「周りの人に嫌われる行動をしない」ことが大前提になります。

   人に嫌われないためには、以下の4つの行動ルールを守る必要があります。

    1.他人の批判・悪口を言わない

    2.責任転嫁をしない

    3.感情的にならない

    4.自分の価値観や常識を他人に押し付けない

   以上の4点は、モチベーション・マネジメントに限ったことではなく、大人が
   大人として行動すべき、基本動作です。

   人に嫌われる、あるいはあまり自分は人から信頼されていないという自覚があれば、
   まずは上記の4つのルールを破っていないかをチェックしましょう。 

   以下に、具体的な「部下に嫌われる行動」をまとめました。自分がこのような行動を
   していないかをチェックし、もしその行動をしていた場合は、上司である・ない
   にかかわらず、大いに反省をして、行動を改めましょう。

   ただし、「自分の出世に響かない程度に気をつけよう」「上司や他社の人間に見られ
   なければ別にいい」といった意識を持っていると、どんなに行動を慎み、好かれる
   行動をしたところで、いずれボロが出ます。

   そうならないためにも、まずは意識を変えるところから始めてみてはどうでしょうか。

    意識が変われば行動が変わる。

    行動が変われば評価が変わる。

    評価が変われば環境が変わる。

   他者を認め、反省するようになれば、いつの間にか部下が信頼の目であなたを見
   つめているかもしれません。

   上司が意識を変えること。

   それが部下のモチベーションと信頼を上げる入り口なのです。

  □部下に嫌われる言動

    ・問題が起こるとすべて部下のせいにする(にもかかわらず、都合がよく
     なると 手柄を独り占めする)

    ・管理職なのに部下の責任を取ろうとしない

    ・言っていることに矛盾がある(自分が過去に言ったことを覚えていない)

    ・仕事を他人に任せない(部下に裁量権を与えない、部下を信頼していない)

    ・パソコンや携帯電話が扱えず、仕事中に聞いてくる

    ・自分の役職にあぐらをかき、派遣社員・出向社員・子会社の社員・パート・
     アルバイト・女性社員・転職者・劣位合併会社の社員を馬鹿にする

    ・学歴差別をする

    ・えこひいきをする

    ・部下が忙しく仕事をしているのに、自分は口だけ出して手を動かさない

    ・部下が成果をあげても、褒めない(逆にあらさがしをする)

    ・部下がミスをすると、必要以上に怒る(フォローもしない)

    ・経営陣や役員にゴマをする

    ・外見がだらしない

    ・男女問わず、セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントを繰り返す 
     (そのことに自身は気づいていない)

    ・女性社員に難しい仕事を与えない(女性社員の活躍を認めない)

    ・ごう慢、感情的、衝動的、優柔不断、短気、頑固

    ・自身の仕事の割り振りの仕方が悪かったにもかかわらず、部下に
     サービス残業を強いる(にもかかわらず、自分は定刻で帰る)

    ・部下が自主的に行動すると「勝手に動くな」といい、上司の指示を待って
     いると「自分で考えて動け」と怒る(上司自身は、その矛盾に気づいて
     いない)

    ・頼みやすい部下(気弱・謙虚・優しいなど)に、きつい仕事を頼む(にもか
     かわらず、その部下に感謝をしない)

    ・飲み会では、昔の自慢話・会社への愚痴・説教のための説教しかしない
    ・「叱る」ではなく、「怒る」しかできない

   以上、主なものを挙げてみました。

   この中でも、特に部下のモチベーションを下げる原因になるのが「矛盾したことを
   言う」です。

   具体的には、「動かない時は動けと言い、動いている時には勝手に動くなと言う」
   「分からないことはいつでも聞けと言うくせに、実際に質問すると自分で考えろと
   言う」「その時の感情で言っていることが変わる」など。

   上司がこう言わざるを得ない時があるのは分かりますが、その場合は言葉上の矛盾
   を部下に説明し、その意図や目的をきちんと理解させないと、部下はどうしていいか
   分からずに混乱してしまい、結果、「何をやっても怒られるなら、何もしない方がマシ」
   と考えるようになります。

   この場合、この上司自身が会社にとっての獅子身中の虫。

   経営陣はこの上司に対し、即座に何らかの対応をする必要があります。

   これ以外にも部下の嘆きは数多く存在します。

   身に覚えがあるからと言って見て見ぬふりをしてはいけません。

   上司は、部下の言葉にならない嘆きをきちんと把握し、自身が手本となることで、部下
   のモチベーションを高めていきましょう。

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社員が会社を辞める時

          

社員が辞める会社・辞めない会社

  ■社員が会社を辞める時

  □会社を辞める三つの原因

   社員が会社を辞める理由には、大きく分けて3種類あります。

    1.辞める社員自身に問題がある場合

    2.会社そのものに問題がある場合

    3.社員と会社の双方に問題がある場合

   会社を辞める原因が社員自身、すなわち「個人」に由来するものである場合、その
   理由は社員の数だけあると言えます。

   「就職難だったから、とりあえず就職しただけ」「コネがあるから入っただけ」「上司の
   采配についていけなくなった」「自分の将来に見切りがついた」「上司に怒られた」
   「仕事でミスをした」「会社や仕事、同僚などに信頼がおけなくなった」「結婚した」
   「もっとキャリアアップをしたい」「家庭の事情」「体力・精神力がもたなくなった」
   など挙げればキリがありません。

   これらの理由による退職を防ぐには、社員の性格や思考、仕事に対する意識や生活
   スタイルなどの違いを把握し、その社員に適したマネジメントを個別に行う必要があり
   ますが、社員数が多い企業ではその方法は現実的とは言えません。

   つまり、ごく個人的な理由による退職を防ぐ方法はないと言えます。

   会社の体制や仕事そのものに問題がある場合は、当然、退職希望者は多くなり
   ます。

   退職理由も「入社説明会の時に聞いた内容と違う」「事業内容や労働環境が法に触れ
   ている」「社員数に対し、仕事量が多い」「業績が悪く、将来的に大きな不安がある」
   など、ある程度一貫した内容が増えます。

   これらが退職理由の大半を占めた場合は、経営者は大いに反省し、状況の改善に
   努めなければ、人材の流出は防げません。

   仮に、採用人数を増やすことで流出した人材を吸収したところで、問題の根本が改善
   されていなければ同じことの繰り返しになります。

   景気が良くなるなど外部環境が劇的に変わらない限り、いずれ会社の体力が疲弊
   し、業績悪化や倒産は避けられないでしょう。

   実際には、三つ目のケースがほとんどだと言えます。

   つまり、仕事を続けていくうちに会社の体制や仕事そのものに不満を募らせ、やがて
   積もり積もった不満に耐えきれなくなって会社を辞める というケースです。

   退職する社員は、「喫煙ルームが少ない」「自分の部署に同性が少ない」「通勤時間が
   かかりすぎる」など実に些細なことをきっかけに次々に不満を見つけて、心の中に積も
   らせていきます。

   会社そのものにそれほど大きな問題がなくても、社員が不満に思うことも多いため、
   経営者は同時期に数人の社員が退職しても、その理由に気づかないことも少なくあり
   ません。

  □新入社員が会社を選ぶ基準

   新入社員が会社を辞めるきっかけの一つに「入社前の期待と入社後の現実に大きな
   ギャップを感じた」というものがあります。

   (財)日本生産性本部と(社)日本経済青年協議会が共同で行った「平成27年度
   新入社員(2,203人)の「働くことの意識」調査結果」によると、「新入社員が会社を
   選ぶ時の基準」の上位回答は下記のようなものになりました。

    1.自分の能力、個性が活かせるから(30.9%)

    2.仕事がおもしろいから(19.2%)

    3.技術が覚えられるから(12.3%)

   また、それらとは対照的に、「会社の将来性」「一流会社だから」「経営者に魅力を
   感じて」「福利厚生施設が充実しているから」など、会社に対する魅力に関する回
   答は軒並み一ケタ台と、会社そのものに期待を寄せている新入社員はごく少数だ
   という結果が出ています。

   特に、昭和46(1971 年)年度には27%でトップに挙げられていた「会社の将来性」
   が現在では9%と、社員の会社に対する意識は大きく変わったことが分かります。

   同調査では、これらの結果に対し「“寄らば大樹”的な思考が廃れ、個々人の技能や
   能力が問われる、成果主義的なシステムに対応した意識に変化したことを物語って
   いる」と結んでいます。

   経営者にしてみればいささかショックな結果ではありますが、これらの結果を踏まえ、
   モチベーション・マネジメントに真剣に取り組む会社こそ、次代を担う人材を惹きつける
   ことになるのです。

  社員が不満を感じるポイント

   では実際に社員たちは、会社のどのような部分に対して不満を感じているので
   しょうか? 

   インターネットリサーチ事業の「アイシェア」が、ビジネスパーソンに対して行ったイ
   ンターネット調査によれば、職場に対する不満のトップは、「給与」という結果が出
   ました。

   年代や性別を問わず、多くの会社人たちは自分の努力に見合う給与をもらっていない
   と感じているようです。

   この調査結果を年代別にまとめてみた。

                  職場への不満(20代〜40代)

職場への不満(20代〜40代).bmp


   これらの結果を見ると、年代ごとに不満を感じるポイントが微妙に異なっていることが
   わかります。

   20代では「人間関係(上司)」が37.2%、「仕事内容」が32.6%と高いポイントを
   占め、30代では「待遇」、40代では「評価」が「給与」に次いで高い割合を示して
   います。

   面白いのは、年代を増すごとに、「評価」を気にするようになっている点です。

   長く勤めた見返りとして社員が求めるものは「出世」であり、その結果として「給与」
   や「評価」を期待するようになると言ってもいいでしょう。

   これらの結果を逆に考えると、これらの不満点に対し、会社が何らかの対応をしな
   ければ、社員が会社を辞める可能性は高くなるということになります。

   そのため、会社がモチベーション・マネジメントをする際は、たとえば20代にはや
   りがいのある仕事や魅力的な先輩・上司がいる職場環境を用意し、40代には褒賞
   制度や人事考課の見直しを通じてこれまでの功労を称えるなど、それぞれの年代に
   よってポイントを変える必要があります。

  □上司との関係

   若い社員、特に20代前半の若者や新卒者が、会社に対して不満を持つ要素の一つ
   が「人間関係」です。

   会社そのものにそれほど大きな期待を寄せていない一方で、若者は上司や先輩と
   いった目上の人とのかかわりあいを重視する傾向にあります。

   多少給与が安かったり仕事がきつかったりしても、人間関係が良好な部署で働いて
   いる若者は会社に留まり、逆に嫌な上司がいる職場で働く若者は仕事や給与に関係
   なく、辞めてしまうケースも少なくありません。

   嫌な上司、すなわち世代間のギャップを理解しない、あるいはできない上司の下に
   いる若手社員が会社を辞めたくなるきっかけは主に以下の3点が考えられます。

    1.上司の主観で指導・評価・説教をされる

    2.形骸化した規則を強要される

    3.仕事外でも説教される

   世代間のギャップを理解できない上司は、若手の思考や時代背景の変化などを理解
   していません。

   そのため、彼らは若手のことを理解する努力をするのではなく、自分の過去の経験を
   彼らに教え込むという方法を取ります。

   しかし上司が生きてきた時代と現代では、社会情勢・景気・仕事のツールなど、あ
   らゆる部分が大きく異なっています。

   上司が「俺が若いころはこんな努力や苦労をした。だから俺は出世したんだ」などと
   真剣に語ってみたところで、景気が右肩上がりで、終身雇用が当たり前だった時代を
   知らない若手社員は、「今、同じことをやっても、同じ結果になるわけがない」「そんな
   苦労をしなくても、もっと効率的に仕事ができるのに…」などと考えます。

   また、効率的に仕事をしたいと願い、しかもそれを実現するツールを持っている若手
   は、一切の無駄を嫌います。

   しかし上司は、1日100件の飛び込み営業や使いもしない書類を書かされると
   いった経験を乗り越え、これまで生きてきました。

   上司は根性論を振り回しながら、それを若手にやらせようとします。

   これだけでも大きな隔たりがあるというのに、若手が上司に対して意見しようもの
   なら、上司は「今の若者は口ばかり達者で根性がない」などと切り捨てます。

   これでは会社を辞めて当然です。上司は、自分が生きてきた時代と現代が違うという
   ことを理解し、若手の気持ちを把握しなくてはいけないのです。

  ■社員が辞めない会社

   入社して1年も経たないうちに会社を変える。

   この一昔前には考えられなかったことが、今の20代には当たり前のことと認識されて
   います。

   また、少子化や団塊世代の大量退職といった社会的な構造変化の影響もあり、現代
   の社長は優秀な社員の確保と維持に頭を悩ませています。

   これが現代の労働環境をめぐる実態であり、常識と言ってもいいでしょう。

   しかし、このことを本当に理解している社長や上司はどれほどいるのでしょうか?

   テレビや新聞で、毎日のように不景気・大量リストラ・大手企業の倒産などが報道され
   ているため、人材確保の難しさと簡単に転職を考える若手の多さについて頭では
   分かっているつもりでも、実際は「ウチに限って、そんな無責任なことをする社員は
   いない」と思っている社長も多いのではないでしょうか。

   しかし、「ウチは週休二日で、残業も少ない。仕事の割には給料もいいし、人間関
   係だって悪くない」と胸を張る社長を尻目に、仕事が終わると同時に転職サイトを
   覗いている若手社員は確実に存在しているのです。

   今後、会社を維持・成長させたいと願うなら、「ウチに限って…」と現実から目をそ
   らさず、きちんと社員と向き合い、会社の実情を把握しましょう。

  ■社内全体の状況を把握する

   「昔に比べ、若者はすぐに転職を考える」というのは、いまや疑問を挟む余地もない
   ほどの周知の事実です。

   しかし、それはあくまで全体的な話であり、すべての若者に当てはまるわけではあり
   ません。

   終身雇用を願う若者もいれば、会社に愛着を感じて楽しく仕事をしている若者も
   います。

   にもかかわらず、上司や社長が「どうせ転退職を考えているんだろう」という気持ち
   で若手社員に接してしまっては、モチベーションを下げてしまうどころか、かえって転退
   職を助長してしまうことにもなりかねません。

   そうならないためにも、モチベーション・マネジメントを行う前に、まずは自社内の状況
   を正確に把握する必要があります。

   もっとも手軽で確実な方法は、定期的に、社長自らが自社内を見回り、社員に声を
   かけることです。

   もちろん、ただ挨拶をしてまわるだけでは意味がありません。

   声をかけながら、社員の表情や部内の雰囲気などを見て生き生きと仕事をしているか
   どうかをチェックするのです。

   また見回りの際「社員同士で挨拶をしているか」「笑顔を見せているか」「声にハリが
   あるか」なども同時にチェックし、顔色が悪いなどストレスを感じている社員がいた場合
   には、直接、あるいは間接的にその社員に連絡を取り、対応しましょう。

   会社が全国各地に点在していたり、社員数が多かったりで直接見回ることが難しい
   場合には、管理職クラスの人間に部内の様子を聞いたり、社員にアンケートを実施
   するなどして、積極的に状況把握に努めましょう。

  OJTをチェックする

   多くの会社では、新入社員に対し特定の中堅社員を専任の教育係につけ、OJTで
   仕事を覚えさせていくという方法をとっています。

   若手社員は、その教育係を通して会社を知り、仕事を身につけていきます。

   この場合、若手社員が会社で接する機会がもっとも多いのが教育係であるため、会社
   の色に染まる前に教育係の色に染まることも少なくありません。

   会社の実情がどうであれ、その教育係の良しあしで、若手社員は会社を評価する
   ケースも数多く見られます。

   これほど重要な「OJT教育」ですが、意外に専任教育者選定を軽んじている会社も
   多いのです。

   大抵の場合、「新入社員が配属される部門にいる、入社3〜4年目の社員」が教育
   係に選ばれます。

   この条件に当てはまる社員が複数人いる会社ならば、その中から人間的にも能力的
   にも優れた人材を選定すればいいので問題はないのですが、当てはまる社員が1人
   の会社では、必然的にその社員が教育係に選ばれます。

   その社員が優秀ならば問題はありませんが、もしそうでない場合は、せっかく優秀な
   若手が入社したにもかかわらず、その教育係のせいで転退職してしまう可能性があり
   ます。

   優秀な若手に会社にとどまってもらうためには、教育係の選定方法や既存の社員
   への教育制度、OJTのやり方などを総合的に見直す必要があります。

   言い換えると、優れたOJT教育(チェックシート)を行っている会社には、優れた人材
   が長期的に残る可能性が高くなるということなのです。

  □若手社員が考えている将来

   社長や上司が入社した時代と現代では、あらゆる点で大きく異なっています。

   これまでは終身雇用や年功序列が当たり前だったので、社員も「この会社で30年 
   働けば、役員クラスになれるかもしれない」という夢を持って仕事に励むことがで
   きました。

   しかし現代では、大企業が突然倒産するという時代になっています。

   そのため、「3年経って昇進していなかったら転職するか」などと短期的にキャリアパス
   を考える若手社員も少なくありません。

   たとえ転退職を考えていなくても、「この会社もいつまで安泰かわからない」と不安を
   抱えながら仕事を続けている社員もいます。

   これから先、社会がどのように変化していくかはわかりません。

   しかし、このような不安定な時代だからこそ、会社の体制・OJTの方法・採用の方針・
   社員のキャリア形成・社員の動向などを、少なくとも3年周期、できれば毎年見直し、
   常に現代の状況にマッチした体制を整えておくことが、優秀な社員を惹きつける会社
   への第一歩になるのです。

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