卸売業の経営力強化

                 

流通業
卸売業の経営力強化

  ■営業活動の効率化

   1.これまでの営業活動の効率化だけでは限界

     今まで生産者はモノを作るだけ、問屋(卸売業者)はモノを集めて流すだ
     け、小売店は流れてきたモノを店頭に並べるだけでよかった。

     「販売なくして事業なし」とはいいますが、生産者も問屋も、そして小売店も、
     販売はやっていなかったのです。

     作る、流す、並べるという役割分担を担っていただけにすぎません。

     販売とは、コト(意味のある体験を提案する)を実現させるためで、気づいてい
     ないニ−ズを気づかせることです。

     そんなことは誰もやっていません。

     やる必要がなかったのです、今までは。

     生産者は売れ筋をいかに効率よく作るか、問屋は売れ筋をいかに効率よく流
     すか、小売店は売れ筋をいかに効率よく並べるか、それだけを考えていれば
     経営を間違うことはなかったのです。

     これが今までの売り方でした。

     従来、卸売業の営業活動は定期的に得意先の小売店をまわって定番商品の
     在庫を確認し必要に応じて発注し、その際、商品の代金を回収したり、新しい
     商品の注文をとったりする仕事が中心でした。

     つまりルーチンワークをいかに効率的に行うかということが営業活動の大きな
     テーマだったわけです。

     しかしEOSの普及などにより、このような「ご用聞き営業」の比重は小さくなり
     ました。

     一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか
     けてさまざまな売上拡大や経営改善の方策を打ち出すようになり、卸売業者
     に対しても情報提供や経営力強化策の提案など、戦略的な支援を求めるよう
     になってきた。

     したがって卸売業の営業活動の効率化を考えるときには、卸売業の新しい営
     業のあり方を考えたうえで、新しい活動に積極的に取り組むために、従来の業
     務をいかに効率化するかという視点が必要になります。

   2.リテールサポート力が営業力を決める
     前述のように小売店は生き残りをかけてさまざまな経営努力を行っています。

     注文した商品を届けてくれるだけの卸売業者には魅力を感じなくなってきてい
     ます。

     小売店は自分達と一緒になって自社の経営力向上に努力してくれる卸売業者
     を求めています。

     小売店の視点からは発見しにくい改善課題などを指摘し、その解決に向けて
     支援を惜しまない卸売業者を探しているのです。

     このように、たんに売れ筋商品を確実に提供するといった狭い範囲ではなく、
     小売店の経営全般を支援する活動(リテールサポート)が重要となります。

     リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため
     にとにかく商品を押し込む」のではなく、あくまで小売店の経営改善を第一義
     に考えるということ。

     リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。

     徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとってなくて
     はならない存在になることがその目的なのです。

     また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため
     に、メーカー、卸、仲卸、小売がそれぞれの強みをいかして行う「協調型」であ
     ることが一層求められるでしょう。

     そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち
     勝っていけるものと思われます。

  □従来の業務のあり方を見直す

   営業活動を効率化していくためには、従来の業務のあり方を見直し、営業マンが
   リテールサポートに注力できる環境を整えていかなければなりません。

   自社の業務のあり方に次のような問題点がないか確認してみましょう。

   1.無駄な時間や雑務が多い

     中小の卸売業では、商品の配送も営業マンが行っている例が多数みられる。

     また取引先のEOS導入が進んでも、実際の発注作業は卸売業の営業マンが
     行っているというケースもあります。 

     これらの社外業務に加えて、伝票作成からミーティングなどまで、こなさなけれ
     ばならない社内業務も多く、その結果、肝心の新規取引先の開拓やリテール
     サポート活動に十分な時間が費やせないという状況に陥ってしまいがちです。

     従来営業マンが行っていたこれらのルーチン業務は、マニュアル化すること
     で、その多くはパートやアルバイトに任せることが可能になるはずです。

     担当の社員はその確認のみ行うことによって、ルーチン業務以外に時間を振
     り分けることができます。

     言い方を変えると、営業マンからこれらのルーチン業務を「取り上げる」こ 
     とによって、営業マンはリテールサポートという新しい仕事、頭を使う仕事
     に取り組まざるを得なくなります。

     「雑務で忙しいから」という言い訳ができない状況を作ってしまうことが大切な
     のです。

   2.取引先の状況に応じた労力の配分ができていない

     「営業活動の強化=訪問回数の増加」という単純な目標設定により、ただやみ
     くもに得意先を訪問する営業マンもいますが、これは効率的な営業活動とはい
     えない。

     得意先のなかには取引規模の大きなところと小さなところ、将来の成長が見
     込めるところとあまり見込めないところなど、状況に違いがあるはずです。

     にもかかわらず、どの取引先に対しても均等な時間を割くのは得策とはいえま
     せん。

     自社との取引状況や、先方の成長力などに応じて「最優先顧客」、「優先顧
     客」、「一般顧客」といった具合に顧客の重要度に応じてランク分けを行い、ラ
     ンクに応じた時間の使い方を工夫するようにします。

   3.営業担当の分類基準が不適切

     通常、営業担当の分類基準は、取引先の業種別や地域別になっています。

     業種別で決められている場合、取引先の業種に精通できるため、顧客のニー
     ズにきめ細かく対応できるというメリットがありますが、その一方で、取引先の
     所在地が分散してしまうため、効率的な訪問活動ができないといったデメリット
     もあります。

     地域別で決められている場合は、メリット・デメリットが反対になります。

     いずれの基準で営業担当を分類してもメリット・デメリットはあるため、双方を
     考え、より効率的に営業活動が行える分類基準を選ぶ必要があります。

     たとえば、大型の総合卸売業の地方進出に対して地方の中小卸売業がこれら
     大企業に対抗するためには、地域に特化したきめ細かな対応が求められてい
     ます。

     こうした環境もふまえて、より自社の強みを発揮できるように、現在の営業担
     当の分類基準を見直す必要があります。

   4.勤務体制の硬直化

     いったん出社してから取引先へ向かうのでは、通勤や取引先への移動に無駄
     な時間がかかります。

     直行直帰の勤務体制を導入することにより、移動に費やす時間を減少させ、
     その分、営業活動に時間を振り分けられるようになります。

     かつては直行直帰では情報交換がしにくい、業務を管理できない、といった問
     題もありましたが、最近は携帯端末などの情報機器の導入でこういった問題も
     解決されています。

     また、日報などで報告を義務づけることにより、毎日出社しなくても営業マンの
     営業活動を把握することはできます。

  □リテールサポート力強化のための環境整備

   従来の業務のあり方を見直したうえで、営業マンが有効なリテールサポートを行
   えるように新たな施策を打つ必要があります。

   1.リテールサポートメニューを整備する

     リテールサポートにはさまざまなメニューが考えられます。

     店舗業務を手伝うという日常的なものから、商品ごとの売上情報を提供する、
     販促企画を支援する、経営相談に応じるなどさまざまです。

     また顧客の状況によっても提供すべきリテールサポートメニューは違ってきま
     す。

     たとえば前述の顧客ランクによって、リテールサポートをどこまで手厚く行うべ
     きかも違ってくるでしょう。

     顧客の状況に応じてどこまでのリテールサポートを行うか、あらかじめ検討し、
     営業マン全員が共通認識をもっておくことが大切です。

   2.営業マンに新しい知識を吸収させる

     「ご用聞き営業」から脱皮し、本当に顧客に喜ばれるリテールサポートを行って
     いくためには営業マンはさまざまな知識を身につけなければなりません。

     リテールサポートとは顧客の経営全般の支援活動ですので、見つけるべき知
     識は商品知識、業界知識のみならず、消費者ニーズを収集し分析するための
     知識、企業経営に関する知識など多岐にわたります。

     自社で教育プログラムを作る方法もありますが、専門機関が提供している教
     育訓練を利用すれば比較的容易に教育プログラムが作れます。

   3.リテールサポートに使える情報やツールを整備

     営業マン各人が取引先の役に立ちたいと考えていても、売れ筋情報や効果的
     な棚割りなど有効な情報が社内に整備されていなければ、効果的なリテール
     サポートは行えません。

     このため携帯端末を導入する企業も増えている。

     企業によっては、小型パソコンのような携帯端末を全営業マンに配布し、取引
     先へのタイムリーな情報提供だけでなく、日報管理に利用しているところもあり
     ます。

     このように、情報機器など営業支援ツールを効果的に使うことで、情報提供力
     を高めたり、営業活動を効率化したりすることができるのです。

     機器類と同様に、情報などのソフト面の充実も不可欠です。

     棚割りソフトや売れ筋・死に筋商品情報など、リテールサポートに必要なソフト
     ウエアや各種情報を取り揃えることでリテールサポート力強化につなげること
     ができます。 

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小売業の安全衛生チェックリスト

                

小売業の安全衛生チェックリスト

 安全で健康な職場づくりのためには、まず職場の安全衛生に関する状況について、把握する
 ことが大切です。
 チェックリストを活用して、職場や個々の労働者の状況をチェックし、安全衛生活動を
 強化しましょう。

   小売業 (出典:青森労働局)


小売店の商品陳列

                                   

小売店の商品陳列

■品ぞろえ、低価格への対抗 
 豊富な品ぞろえ、売れ筋商品の絞り込み、低価格販売を実現できるのは、大型店が豊富な
 資本や人員を持つためであり、規模の小さい商店が実現するのは困難かも しれません。 

 そこで、小規模小売店がスーパーなどの豊富な品ぞろえに対抗できる方法として
  →専門性の追求
  →陳列の工夫などの取り組みが考えられます。
 ここでは商品陳列の工夫について解説します。

□商品陳列の意義 
 小売店にとって、商品の陳列は非常に大きな意味を持っています。 
 なぜなら、買い物客の足を引きとめ、商品に興味・関心を持たせ、最終的な購買意思を
 決定づけるのは、陳列の方法によるところが大きく、

  商品の並べ方ひとつが同じ商品の売上を変えてしまうことさえある

 からです。 

 たとえばスーパーマーケットなどでは、買い物客の80〜90%は店内で購入商品を決める
 といわれています。

 したがって、はじめは買うつもりがなくても、商品を買い物客の目にとまりやすい場所に
 陳列し、つい欲しくなるような演出を施しておけば、購入する可能性が大いに高まると
 考えられます。

 そのため、大手チェーン店をはじめとして棚割り(*)や陳列手法に対する関心が高まって
 おり、小売店のそうした取り組みを積極的に支援するメーカーや卸売業者も増えています。
 (*)棟割り:棚割りとは、多種多様な商品を、買い物客が「見やすく、取りや すく、選び
    やすい」ように、用途・機能、デザイン、価格帯などのテーマ設定によって分類

    整理し、関連する商品を効果的に革み合わせて、陳列位置を決めることをいいます。

 ここでは、主にゴンドラ(棚)を用いた陳列について、 
  ・何を陳列するか 
  ・どこに陳列するか 
  ・いくつ陳列するか 
  ・どんな形で陳列するか
 という4つのポイントについて、それぞれご説明していきます。

□何を陳列するか 
 買い物客iま、用途・機能、素材、色、柄、デザイン、サイズ、価格帯、ブランドなど、
 様々な観点で比較検討して商品を選んでいます。

 これらのうち何にこだわるかは、商品により、あるいは選ぶ客により異なると思われ
 ますが、できるだけ選択の際の優先順位にしたがって商品が分類・整理されていた方が
 選びやすいのは間違いありません。
 そこで、

  買い物客がどのような要素を優先させて商品を選ぶのかを考えて商品を分類する

 ようにしましょう。
 こうして分類・整理した商品をグループ毎にまとめて陳列すれば、買い物客にとって
 比較しやすく、選びやすい陳列となるはずです。
 また、関連商品を組み合わせて一緒に陳列することも大切です。

 関連商品とは、かみそりとシェービングクリーム・アフターシェープローション、パスタ
 とパスタソース・タバスコ・粉チーズなど、その商品と同時に使用する商品や組み合わ
 せて用いる商品のことです。

 衣料品店の多くは洋服だけでなく靴やバッグ、アクセサリーなどをコーディネートして
 ディスプレイしていますが、これらも関連商品といえます。
 具体的に買い物客がその商品を使用する場面を思い浮かべてみると、さまざまな関連商品
 が考えられるでしょう。

 なかには思いがけない商品を組み合わせ、意外な使い方を買い物客に提案している店も
 見られます。
 このように、

  買い物客が一緒に購入することが多く、 
  用達商品を一諸に陳列することで買い物客の購買意欲が刺激され、 
  その商品の売上増加や購買点数の増加が期待できる場合などは、 
  商品を組み合わせ、わかりやすく関連づけて陳列するとよい

 といえます。

□どこに陳列するか 
 一般的なゴンドラの場合、

  買い物客の胸から肩の高さが、最も商品が目につきやすく、手に取りやすい位置です。  
  これがゴールデンゾーンと呼ばれる、最も販売力があるスペースです。

 したがって、売れ行きのよい商品や粗利益率の高い商品はゴールデンゾーンに陳列する
 ようにします。 
 一方、1.8メートル以上の高い場所は、商品を眺めることはできても、手に取ることが
 できません。 

 したがって、サンプル商品の展示スペースとしたり、在庫のストックスペースとします。 
 0.3メートル以下の低い場所も膝を曲げて屈まなくては手に放れないため、ストック
 スペースとするか、購入頻度の低い商品などを陳列します。 
 さらに、

  サイズの大きい商品や重い商品は下に、サイズの小さい商品は上に陳列した方が、  
  取りやすいうえ、見た目にも安定感があります。

 また、女性の場合、一般にゴールデンゾーンは0.6〜1.5メートルの範囲ですが、男性の
 場合は高くなり、子供の場合は低くなりますので、自店の客層を考慮して考える必要が
 あります。
  陳列位置と陳列すべき商品
 なお、

  同一グループの商品は、  
  ゴンドラに横長(左右)に陳列するよりも縦長(上下)に陳列した方がよい

 とされています。 
 これは、横陳列の場合、ボリュームを訴求できる、買い物客を店奥へ誘導できる、といった
 メリットがあるものの、商品を比較するためには左右を見渡して移動しなくてはならない、 
 ゴールデンゾーンを外れた商品は売れ行きが鈍る、というデメリットがあるからです。 

 買い物客が一度に見渡せる範囲は幅1.8メートルが限度であり、それ以上横に広げても
 買い物客の 視線は届きません。 
 一方、

  縦陳列は、買い物客が移動せずにグループ内の商品を比較できるうえ、  各グループに
  ゴールデンゾーンが割り当てられる

 というメリットがあります。 
 ただし、各グループの幅が狭すぎると品揃えが貧弱に感じられますので、最低0.9メートル
 は確保するようにしましょう。
  縦陳列と横陳列

□いくつ陳列するか 
 商品をいくつ陳列するかは、売上数量を基準に考えるとよいでしょう。 
 つまり、

  原則として売上構成比に応じてゴンドラスぺ−スを割り当てる

 ようにするのです。 
 主力商品や売れ筋商品などは欠品による機会ロスを防ぐためフェイス数(買い物客から
 見える商品の列数)を増やし、あまり売れない商品はフェイス数を少なくするのが基本
 です。 

 ただし、むやみにフェイス数を増やすと、廃棄ロスが増えたり、在庫負担が重くなるので、
 適切な陳列量(売場在庫量)となるようにしましょう。
  <フェイス数の数え方

 なお、アイテムごとに適度なボリューム感を与えるとともに、全体の品揃え(品数)も
 豊富に感じられるようにするためには、

  正面からみた場合のフェイス将に統一感を持たせるとともに、
  各フェイス幅を広げすぎないように心掛けることが大切

 です。 
 そのためには、

  商品のどの面をフェイス(買い物客から見える面)とするかが問題となります。  
  どの面をフェイスとするかによって、陳列量や陳列面積が変わってくるからです。

 たとえば、書籍を背表紙が見えるように棚に並べる場合と表紙が見えるように平台に積む
 場合とでは陳列量も面積も異なります。 

 また、陳列したい量や面積、使用する陳列什器などによって、縦か、横か、縦と横を
 組み合わせるかなど、陳列の形や方法もさまざまなものが考えられます。

 たとえば缶詰の場合、ゴンドラに並べるならラベルが貼ってある面を前にして積んで
 いきますが、バスケットに入れるならラベルが貼ってある面を上に向けて寝かせて並べ
 ます。 
 そこで、

  通常フェイスは、ラベルが貼ってある面や中身が見える面、  
  もっとも魅力的に見える面、陳列しやすい面などを選びますが、  
  陳列量や陳列面積、使用什器、陳列方法などについても考慮したうえで決める

 ようにしましょう。

□どんな形で陳列するか 
 陳列方法を大別すると「量感陳列」と「展示陳列」があります。 
 これらは業種や業態、あるいは商品によって適切に使い分けることが大切です。

 1.量感陳列
  (1)量感陳列のポイント   

    量感陳列とは、平台やワゴン、ゴンドラなどを用いて商品をまとめて陳列する
    ことで活気とボリューム感、安さを演出する陳列方法

   です。   
    「いかに豊富感を演出するか」がポイントとなります。

   <ゴンドラを用いて陳列する場合のポイント>    
    ○商品の高さに合わせて棚板の間隔をきちんと調整する
     列ごとの棚の高低のアンバランスも少なくした方が、整然として美しく見える。
    ○商品のフェイス(表面)は常に正面に向けて揃え、きちんと並べる。     
     営業時間中も定期的に陳列の修正を行う。
    ○商品が売れると後方に残った商品は隣の商品の間にはさまって見えにくくなる
     ため、こまめに前出し作業を行い、常に最前列にフェイスが揃っているように
     する。

   <衣料品をハンガーなどで陳列する場合のポイント>    
    ○ハンガーに掛ける量は、片側に寄せたときに3分の1が空く程度とする。     
     ただし、大衆品は商品を多めに、高級品は少なめにするとよい。
    ○ハンガーおよび洋服の向きを揃える。     
     とくにフックハンガーは手に取りやすいよう、取り出す向きに揃える。
    ○1本のハンガーには同じイメージの商品を掛ける。     
     また、前方より、丈の短いものからサイズ別・色別に揃えて並べる。
     サイズ分類の多いものはネックに色別票をつけ、選びやすくする。

  (2)具体的な演出方法   
    豊富感を演出するための演出方法として、以下のような方法があります。
    (a)島陳列    
     通路に平台や段ボールなどを臨時に設置して、島のように商品を陳列する
     方法。    
     よく目立ち、季節感や豊富感を強調するのに向いているが、通路が狭くなって
     回遊性が悪くなるため、通路の広さを考慮し、目玉商品などに限って行う
     のがよい。

    (b)飛び出し陳列    
     ゴンドラの棚板を少し伸ばすなどして、フェイス面だけ飛び出させる陳列方法。    
     特売商品などに用いる。

    (c)スロット陳列    
     主に特売用に用い、棚を外して同じ商品をまとめて陳列し、迫力を出す陳列
     方法。

    (d)ジャンプル陳列    
     テーブルやバスケット、ショッピングカートに商品を投げ込むように陳列
     する方法。    
     陳列作業が簡単で手直しの時間がかからず、簡単に移動できるうえ、
     買い物客も商品を触りやすい。
     ただし、安っぽく感じられるため、特売品向き。

    (e)エンド陳列    
     列のエンドに専用台やダンボールで、その列のライン内にある品種と同じ
     ものをまとめて陳列する方法。

 2.展示陳列
  (1)展示陳列のポイント

     展示陳列とは、ショーウインドーやステージ、コーナーなどに商品を展示する
     ことで、商品の魅力を強調したり、特定の商品を目立たせる陳列方法

    です。   
    季節や素材、ブランド、カラーなど何らかのテーマを設定したうえで、何を
    どのように見せるかというストーリーを練り、効果的にディスプレイ(ショーアップ)
    します。   
    なお、展示陳列は、美しく、センスがよく、買い物客の目を十分に引きつける
    ものでなければなりません。   
    マネキンなどの補助器具や小道具も積極的に使いましょう。

  (2)具体的な演出方法   
    買い物客の目を引きつけるための演出方法として、以下のような方法があります。

    (a)集視陳列
     量感陳列をしたゴンドラやショーケースの一部分だけを展示陳列とし、陳列の
     メリハリをつけて目立たせる方法。

    (b)壁面上部陳列    
     手に取りにくい高い場所に展示陳列する方法。スペースが狭いため、陳列
     商品の選択とディスプレイの手法がポイントとなる。

    (c)空間陳列    
     天井から洋服などの商品を吊り下げる陳列方法。

高齢者への接客サービス対策

                                      

高齢者への接客サービス対策

■進む高齢化と高齢者の性質
 1.進む高齢化
  日本社会は、高齢化の一途をたどっています。
  2021年1月に推計した65歳以上人口は 3627万1千人で、前年同月に比べ 25万3千人の
  増加(平成27年国勢調査を基準とする日本の将来推計人口)、2050年には65歳以上の
  高齢者が「3人に1人」になると予測されています。 

  高齢者向けの製品・サービスといえば、真っ先に医療・介護分野が挙げられますが、
  今後は、そのほかの製品やサービスにおいても、高齢者がますます無視できない存在に
  なっていくことは確かです。 
  実際、厚生労働省の調査では、65歳以上の高齢者のうち、長期入院および介護保険
  による介護や支援を受けている高齢者は全体の約20%にとどまっており、多くの
  高齢者がそのほかの消費者と同様に商品・サービスを利用する立場にあります。

  しかし、利用者の大半が高齢者である店舗を除き、衣料品や食料品の販売など幅広い
  年齢層の人々が利用する店舗では、高齢者への接客一つとっても、個々の店舗スタッフ
  任せになっているのが実情ではないでしょうか。
  高齢化が急速に進む中で、高齢者が望むサービスとは何かを考え、接客や店舗の
  レイアウトを改善し、店舗全体に浸透させていくことは必須といえます。

 2.高齢者の一般的な特徴 
  ここで、高齢者がほかの年齢層の人々とどのような違いがあるのかをみてみましょう。
  店舗側が想定しておくべき高齢者の一般的な特徴は以下の通りです。

  ◎感覚器官の機能低下
   人間は高齢になるにつれ、目・耳・鼻・舌・皮膚が感じる感覚、いわゆる五感の
   感度が低下していきます。 
   特に目は、近くがより見えにくくなるほか、視野も狭くなっていきます。
   さらに、白内障の原因のほとんどは加齢によるものであり、白内障になると、
   まぶしさや目のかすみ、視力の低下などが現れます。
   また、耳も特に高い音が聞こえづらくなるといわれています。

  ◎運動能力および体力の低下
   人間は高齢になるにつれ、足腰や手を中心として、動作が不自由になっていきます。
   手足を曲げられる角度が小さくなるなど動作の幅が狭くなるとともに、動作の
   速度が落ちてきます。
   また、感覚器官とのズレも大きくなり、足が思ったより上がっておらず、ちょっ
   とした段差でもつまずくといったことが起こりやすくなります。
   さらに、筋力が低下することで、バランス感覚が悪くなってよろめきやすくなる
   とともに、心肺能力も低下するため、疲れやすい身体になってしまいます。

  ◎記憶力と判断速度の低下
   人間は高齢になるにつれ、最近の出来事や目新しいことを中心に覚えづらくなる
   とともに、物忘れが激しくなります。
   その半面、過去のことはよく覚えているという性質もあります。
   また、物事を判断する速度が遅くなり、話す速度が遅くなる、話に間ができる、
   要領を得ない話になるといったことが起こりやすくなります。

  ◎商品に関する優れた判断能力
   高齢者は、これまで数多くの商品を見てきた実績があります。
   従って、商品を見る目は鋭いと考えておくべきです。
   また、自分が全く知らない商品についてはとても慎重に判断します。
   高齢者をリピーターにするためには、こうした高齢者の一般的な特徴を踏まえた
   うえで、適切な接客サービスや店舗レイアウトのあり方について考える必要がある
   といえます。
   次項では、まずこうした高齢者に適した接客サービスについて考えます。

□高齢者に適した接客サービス
 1.基本的な心構え
  高齢者を接客する際には、どんな場面でも以下のポイントを常に念頭においてサービスを
  提供するようにしましょう。

  ◎老人扱いせず人生の先輩として接客する
   老人扱いをすることは、高齢者の自尊心を傷つけます。
   接客する際は、老人扱いをしているという印象を高齢者に与えないよう注意
   しましょう。
   また、店舗スタッフは高齢者が人生の先輩であるという意識で、尊敬の気持ちを
   もって接客しましょう。

  ◎思いやりを持った暖かいサービスを心がける
   店舗スタッフが実際に高齢者を接客する際は、機械的な印象を与えないように注意
   しましょう。
   高齢者は、店舗スタッフがどのような気持ちで自分に接しているかを感じ取って
   います。
   店舗スタッフは、その高齢者が望んでいることをその都度真剣に考え、思いやりを
   持って人と人との暖かみが感じられる接客を心がけることが大切です。

 2.それぞれの接客場面でのポイント
  では次に、「高齢者が店内を移動する」「高齢者が店舗スタッフと話す」「高齢者が
  レジで会計をする」といったそれぞれの場面における、高齢者に適した接客のポイント
  について考えます。

  ◎高齢者が店内を移動する際の接客ポイント
   <まず見守って観察する>
    店舗スタッフは、高齢者が来店したからといっていきなり手を貸すのではなく、
    まず見守りましょう。
    高齢者が不自由を感じていないかをそれとなく観察することが大切です。
    観察する際は、前述の高齢者の一般的な特徴を考慮し、想定される不自由を
    あらかじめ頭に入れておき、少しでも不自由が感じられたら高齢者にすぐ声を
    かけましょう。
    そうすることで、過度のサービスを防ぎ、高齢者に失礼に当たることもあり
    ません。

   <高齢者のペースを常に優先する>
    高齢者が店内を移動している際は、移動に時間がかかっても決してせかしたり
    してはいけません。
    高齢者がつまずき、転倒などの事故に発展する危険性もあります。
    従って、ほかのお客様に対しても、高齢者に気づかれないように別の通路を
    利用してもらう、店舗スタッフが礼をしてしばらく待っていただくよう促す
    などして、それとなく協力をあおぐようにしましょう。

   <補助する前に声かけと確認を忘れない>
    店舗スタッフは、高齢者が不自由を感じていると思っても、転倒などの危険性
    がない限り、いきなり補助するのはやめましょう。
    まず声をかけて、不自由に思っていることを確認してから手を貸しましょう。

   <補助の方法>
    平面を移動する際は、店舗スタッフは高齢者の横側の少し前に寄り添うように
    立ち、高齢者に店舗スタッフの腕をつかんでもらうようにしましょう。
    店舗スタッフは、高齢者の要望に応じて荷物をもう一方の腕で預かります。
    歩くペースはもちろん高齢者にあわせます。
    段差がある場合は、店舗スタッフが先に前に出てしっかりと体を安定させ、
    それぞれの手で高齢者の手と腰を支えて、段差を越えるように誘導しましょう。
    階段を上る際は、高齢者に手すりをつかんでもらい、店舗スタッフは高齢者の
    後ろ側に立って腰を両手でしっかりと支えましょう。
    階段を下りる際も、店舗スタッフは高齢者の前側に立って両手で腰をしっかりと
    支えましょう。
    降りる際は、高齢者も不安になりがちなので特に注意し、安心感を与えられる
    ように気を配りましょう。

  ◎高齢者と話す際の接客ポイント
   <話を最後までしっかりと聞く> 
    店舗スタッフは、高齢者が望んでいることをきちんと最後まで聞くように
    しましょう。
    話す速度が遅かったり、途中で間が空いてもせかしてはいけません。
    高齢者の話を聞いた後は、店舗スタッフから内容を確認するようにしましょう。

   <話し方のポイント> 
    店舗スタッフは、高齢者が話を聞きやすいように、高齢者の聴力や話を理解
    するペースなどを考慮しながら、以下の点に気をつけて高齢者と話しましょう。

     ・ゆっくりと丁寧に話す
     ・少し大きめの声で滑舌よく話す

     ・少し低めの声で話す(高音は聞き取りづらい場合がある)
     ・カタカナ語はできるだけ避けて分かりやすい言葉を使用する

   <商品説明のポイント> 
    店舗スタッフが商品を説明する際は、できるだけ説明したい部分を指を差し
    ながら分かりやすく説明
しましょう。
    商品に詳細な説明書きがあっても、字が小さすぎて読めない可能性があると
    ともに、何より冷たい印象を与えてしまうので、店舗スタッフの口で要点を
    分かりやすく説明します。
    また、特に高齢者向けの商品に関して、店舗スタッフはあらかじめ分かりやすい
    説明の方法を用意しておくとよいでしょう。
    さらに、
高齢者が好みそうな商品を把握しておき、スムーズに提案できるよう
    にしておく
ことも大切です。
    できれば、高齢者への説明は立ったままではなく、
必要に応じて座れる場所に
    移動して説明を行う
ようにしましょう。

  ◎高齢者がレジで会計をする際の接客ポイント
   <金額と数量をしっかり確認していただく>
    店舗スタッフは、高齢者の勘違いや聞きまちがいを防ぐために、個々の商品の
    価格と数量、総額およびおつりの金額を必ず口で分かりやすくはっきりと伝える
    ようにしましょう。
    レジを通す速度を優先するあまり、言葉が早口になっているケースがよく
    みられます。
    高齢者には特に、
少し時間に余裕を持ってレジを通すことも大切です。

   <代金の受け渡し方> 
    高齢者は手の反応が鈍いあるいは不自由な場合があるので、小銭を受け取る
    ときは、手をそえるようにして受け取る
ようにしましょう。
    また、こちらからおつりやレシートを渡す際は、
お札、小銭、レシートを高齢者が
    サイフにしまうのを待って順番に渡す
ようにしましょう。

   <高齢者のペースを常に優先する>
    高齢者がレジで会計をしている際は、時間がかかっても決してせかしたりしては
    いけません。
    高齢者が金銭を落としてしまったりすると、かえって時間がかかってしまう
    ばかりか、高齢者に恥ずかしい思いをさせてしまいます。
    また、レジで高齢者の後ろに並んでいるほかのお客様は、会計までに時間が
    かかってしまう場合があるので、その際は、高齢者に気づかれないように、
    店舗スタッフが並んでいるお客様と目を合わせて礼をするなどして、しばらく
    待っていただくか、別のレジに代わっていただくよう協力を促しましょう。

□高齢者に適した店舗レイアウト
 ここでは、出入口、通路などの設備と商品ディスプレーに分けて、高齢者に適した店舗
 レイアウトのポイントについて考えます。

 1.高齢者に適した店舗設備
  高齢者向けの建築物に関する基準として、学校・工場などの特定建築物、デパート・
  病院などの特別特定建築物を対象とした「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる
  特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」があります。

  この法律では、高齢者や身体障害者などが円滑に利用できる建築物の基準として、
  義務基準である「利用円滑化基準」および努力義務基準である「利用円滑化誘導基準」
  が定められています。
  高齢者の来店を促進するには、「利用円滑化誘導基準」を満たすような店舗設備が
  求められます。

  またこのほかにも、
   ・エレベーター付近や試着室など適所にいすを配置する
   ・レジの幅を広げる
   ・傾斜路はできるだけ控える
   ・トイレの座いすを高くする
   ・ドアノブは握りやすい形にする
  といった工夫も必要です。

  また、店舗立地としては、自家用車での来店を前提とした郊外ロードサイドよりも、
  バスなどの公共交通機関が利用しやすく、バリアフリー化の進んだ中心市街地のほうが
  高齢者に適した立地といえるでしょう。


 2.高齢者に適した商品ディスプレイ
  店舗設備だけでなく、以下のように商品の見せ方を工夫することで、より高齢者が
  利用しやすい店舗になります。

  ◎商品の配置
   まず、高齢者がつまずく原因になるので、棚からはみ出して床面などに商品を
   置いてはいけません。
   また、高齢者はかがみづらく、また手を高くまで伸ばしづらいことが多いので、
   高齢者向けの商品は特に、床から約100センチメートル〜約160センチメートル
   までの高さに配置したほうがよいでしょう。

  ◎商品名や商品説明、値札などの表示
   商品名や商品説明、値札などは、高齢者が読みやすいよう、カタカナ語は避けて
   大きく分かりやすい文字の日本語で表示しましょう。
   特に商品説明などは、商品の特徴を比較する表が作ってあっても、かなり高い部分
   に設置されているケースがよく見受けられます。
   高齢者は目線が上に行きづらいので、高齢者向けの商品に関する掲示物は特に、
   低めに配置するようにしましょう。

□まとめ
 ここでは、ここまで高齢者に適した接客サービスおよび店舗レイアウトについて考えて
 きました。
 高齢者をリピーターにするうえで
接客サービスと店舗レイアウトはどちらも不可欠な
 いわば車の両輪
です。
 どんなに素晴らしい店舗レイアウトでも、高齢者によっては不自由に感じることもあり、
 また不自由に感じなくとも、店舗スタッフの配慮や思いやりに欠ける接客は高齢者を
 不快にさせてしまいます。
 また、たとえ高齢者に対して店舗スタッフが1対1で充実したサービスができるとしても、
 自分1人で買い物を楽しみたい高齢者もいる以上、店舗レイアウトが不適切なら、高齢者は
 不自由を感じてしまいます。
 何より重要なのは、
店舗スタッフが意識的に高齢者の立場に立つことなのです。
 そして、日々接客サービスや店舗レイアウトを改善していくことが望まれます。
 以下のように、高齢者向けの接客研修や、器具を付けることで高齢者の身体的な不自由を
 身をもって体験できるサービスもあります。

  ◎高齢者・障害者に対する接客サービス従事者研修
   主催:(社)シルバーサービス振興会/(財)総合健康推進財団
       (http://www.espa.or.jp/
      問い合わせ先:(財)総合健康推進財団(TEL:03-5777-2754)

  ◎高齢者疑似体験プログラム「うらしま太郎」
   主催:(社)長寿社会文化協会
      (http://www.wac.or.jp/
      問い合わせ先:(社)長寿社会文化協会 うらしま事業部(TEL:03-5405-1501)

 こうした研修やサービスを店舗スタッフに受講させることも、店舗スタッフの高齢者
 に対する意識を高め、高齢者に適した店舗を作り上げていくうえで役に立つでしょう。


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飲食業の顧客応対

                                

飲食業の顧客応対

■飲食店がお客様に提供するサービス
 接客に携わる者にとって不可欠な要素として、態度、言葉遣い、身だしなみが挙げられます。
 親切で誠意があり礼儀正しい態度は、その人の人間性の評価につながります。
 言葉遣いは、その人の人格が判断されますので、正しい言葉遣いを身に付ける必要が
 あります。
 常に清潔で、衛生的な身だしなみは、人に好感を与えます。
 態度、言葉遣い、身だしなみは第一印象で判断される事柄です。
 第一印象が好印象ならば、次につながる可能性が高くなります。


□企業イメージを左右する接客サービス
 接客教育を行う際、単に接客方法や言葉遣いを教えるのではなく、接客サービスが店や
 企業のイメージを左右するものです。
 このことを徹底的に教育することが大切です。
 飲食店がお客様に提供するサービスは、接客サービス(人的サービス)だけではありません。
 トータルのサービスです。
 トータルのサービスとは、設備的サービスと人的サービスを結合させたサービスのことです。
 設備的サービスは機能的サービスといえるでしょうし、人的サービスは情緒的サービス
 といえるかもしれません。

 たとえば、「嫌な接客サービスを受けた」と顧客が感じたとき、顧客は特定の店員の
 接客サービスだけを批判するのではなく、「あの店で嫌な接客を受けた」「あの店は
 接客がなっていない」と、店員の接客サービスを通じて、店や企業に対して悪いイメージを
 持ちます。

 こうした悪いイメージを持った顧客は、「いかに嫌な接客サービスを受けたか」を家族や
 友人に話すかもしれません。
 そして、それを聞いた人は、本人と同じように店や企業に対して悪いイメージを抱くのです。
 きちんとした接客サービスを提供することができなかったために、一人の顧客を失う
 だけでなく、悪い口コミにより、多数の見込客を失うことになります。
 特に、近年はインターネットの発達により、こうした口コミが伝播する速度や範囲は
 拡大しています。
 もちろん、よい接客を行えば、顧客が店や企業に対してよいイメージを持ち、よい口コミが
 広がることも期待できます。
 しかし、一般に、よい口コミよりも悪い口コミのほうが広がりやすいとされています。
 このことを認識した上で、接客サービスの基本を徹底することが、店や企業に対する
 イメージ低下、ひいては顧客喪失を防ぐためにも重要です。

□飲食店の顧客応対を考える
 1.接客サービスの応対
  接客サービスは、まず基本を徹底させることが大切です。
  では、接客サービスの基本とは何でしょうか。
  それは「お客様に不快な思いをさせないこと」です。
  飲食店において、お客様が接客サービスに対して不快感を感じる点は、「お客様に
  対して失礼な態度をとる」「店員にやる気が感じられない」「心配りが足りない」などが
  考えられます。
  例えば、以下に挙げる行為はお客様に不快感を与えやすいため、店員が決してしては
  ならない行為です。

  ◎お客様に対して失礼な態度をとる
   ・お客様にあいさつをしなかったり、不機嫌な態度をとる
   ・お客様が呼んでいるのに無視をする
   ・お客様をジロジロ見たり、あるいはお客様のほうを見ながらヒソヒソ話をする
   ・お客様をあからさまに区別する
   ・お客様と必要以上に親密に接したり、長話をする
   ・お客様がサンプルケースを見ている時に、その前を通る
   ・スタッフ同士がお客様の頭越しに会話をする

  ◎店員にやる気が感じられない
   ・店員が店内をダラダラと歩く
   ・待機中に壁などに寄りかかったり、だらしのない態度をとる
   ・店員が店内で1カ所にかたまる(店員同士が私語をする)

  ◎心配りが足りない
   ・サービスフロアとキッチンとで大声でやり取りをする
   ・店員のミスをお客様の目の前でしかる
   ・お客様の目の前で、髪の毛や顔を手でなでたり靴ひもを直したりする
   ・料理や備品をぞんざいに扱う
   ・バタバタと音を立てて歩く
   ・ガチャガチャと食器の音をさせたり、後片付けのときに大きな音をたてる
   ・お客様の食事が終わらないうちにお皿を下げる
   ・メニューを脇にはさむ

   これらの禁止項目を十分に理解したうえで、接客サービスの実地訓練をしていきます。
   ここでは、応対事例をいくつか紹介しますが、企業の特色や方針に基づいて、
企業
   独自の応対マニュアルを作り上げていく
のがよいでしょう。

 2.応対事例(応対と行動)
  (1)開店前にお見えになったお客様に
   「開店までもう少々お時間がございます。よろしければ、こちらにお掛けになって
   お待ちください」
   →掃除の済んだ席に案内して、水とメニューを持って行きます。

  (2)席をお探しのお客様に
   「いらっしゃいませ。あちらが空いておりますので、どうぞ」
   →できる限り席に案内します。万一できない場合は、席の方向を示します。
   「いらっしゃいませ。ただいまお席が一杯でございますので、こちらで少々お待ち
   ください」(ウエイティング・シートがある場合)
   →この時、お客様の名前と人数を必ず聞いてウエイティング・カードに書き込んで
   おきます。そして、メニューを渡します。

  (3)団体のお客様がお見えになったとき
   「いらっしゃいませ。何名様でいらっしゃいますか? ただいまお席をご用意
   いたしますので少々お待ちください」
   →できるだけまとまって座れるようにします。
   →すぐに座れるが別々のテーブルに分かれてしまう席と、少し待つがまとまって
    座れる席で好きなほうを選んでもらいます。

  (4)なかなか注文がお決まりにならないお客様に
   (手が空いている場合には)
    「こちらの○○が本日のお勧め品になっております」
    「お客様のお好みはどのようなお料理でしょうか」 
   (忙しくてお客様のご相談に応じられない場合には)
    「後ほどお伺いいたしますので、少々お待ちください」
   (いったん下がり、自分の仕事の区切りをつけ、タイミングをみて)
    「お決まりでございますか?」

  (5)注文をとってくれるように催促されたとき
   「申し訳ございません。ただいまお伺いいたします」
   →そのときの仕事に大至急区切りをつけ、すぐに伺います。
   →一番気をつけなければならないのは、お客様の順番を間違えないことです。

  (6)ご注文を伺ってあるかどうか、分からないとき
   「いらっしゃいませ。ご注文はお済みでございますか?」
   (ご注文を伺っていないと分かったときは)
    「お待たせして申し訳ございません。お伺いいたします」

  (7)これ、前の人のだから早く片付けて」と言われたとき
   「申し訳ございません。ただ今お下げいたしますので、少々お待ちください」
   →片付いている席に案内するのが原則ですが、お客様が自分で席を選んだ場合の
    応対です。

  (8)「急いでいるんだけど」と言われたとき
   (ご注文の品を早く出してほしいと言われた場合)
    「承知いたしました」
    →キッチンにその旨をすぐ連絡します。
   (これからご注文をされるお客様の場合)
    「○○などいかがでしょうか」
    →お客様が食事をする時間に合わせて出せる料理を勧めます。

  (9)「おいしいものはどれ?」と聞かれたとき
   「○○は大変ご好評をいただいております」
   「○○などいかがですか」
   →本日のお勧め品、季節のお勧め品、○○フェア商品など、その日のお勧め品を
    スタッフに周知しておくとよいでしょう。

  (10)ご注文をいただいた後で、その料理ができないと分かったとき
   「誠に申し訳ございません。先ほどご注文をいただきました○○は、あいにく切らして
   しまいました。私の手落ちでご迷惑をおかけいたしました。ほかのものにお取り替え
   願いたいのですが、よろしいでしょうか」
   →お客様の了承をいただいた注文の品は、なるべく急いで作るようにキッチンに
    連絡します。

  (11)時間のかかる料理のご注文をいただいたとき
   「○○は少々(○分ほど)お時間がかかりますが、よろしいでしょうか」
   (ご了解を得たら)
    「はい、かしこまりました」
    →前もって時間がかかる旨を伝えます。

  (12)1人のお客様が2品以上ご注文されたとき
   「どちらを先にお持ちいたしましょうか?」
    →必ずお出しする順序を伺います。

  (13)食器の熱い料理をお出しするとき
   「こちらは食器が熱くなっておりますので、お気をつけください」
    →この言葉は絶対に忘れないようにします。
    →お子様連れの場合は、お子様の手の届かない場所に置くか、別に取り皿を
     用意します。

  (14)「まだなの?」と聞かれたとき
   「申し訳ございません。確認して参りますので、少々お待ちください」
   「申し訳ございません。あと少々(○分ほど)お待ちください」
    →キッチンへすぐ確認し、その結果をすぐお客様に説明します。

  (15)料理の中に異物が入っていた場合
   「申し訳ございませんでした。すぐお取り替えいたしますので、少々お待ちください」
    →丁重におわびし、フロア・マネジャーに連絡します。

  (16)特別のソース類がつくとき
   「こちらは○○のソースでございます」
    →このような言葉を忘れずに添えます。

  (17)料理の味付け、仕上げについてクレームがあったとき
   「さようでございましたか。誠に申し訳ございませんでした。すぐにお作り直し
   いたしますので、もう少々お待ちください」
   →この旨をキッチンへ伝えて、すぐに作り直してもらいます。
   (お客様がお召し上がりになった後で言われた場合は)
    「申し訳ございませんでした。今後十分気をつけます」
   →この状況を後でキッチンに連絡します。

  (18)「サンプルと違う」「メニューの写真と違う」と言われたとき
   「申し訳ございません。今後十分気をつけます」
    →キッチンにすぐ連絡します。
    →あまりにも違う場合は作り直してもらいます。

  (19)「食器が欠けているんだけど」と言われたとき
   「気がつきませんで、申し訳ございませんでした。おケガはございませんでしょうか。
   お作り直しいたしますので、少々お待ちください」
   →お客様がもし料理を召し上がっていた場合は、すぐにフロア・マネジャーに
    連絡して、対処してもらいます。

  (20)お客様の衣服などを汚してしまったとき
   「誠に申し訳ございませんでした。こちらをお使いください」
    →まずおわびをし、乾いたダスターと濡れたダスターをお渡しします。
     そして、急いでフロア・マネジャーに報告します。その後、
   「申し訳ございませんでした。当店ではただいまはこれだけの処置しかできませんが、
   クリーニングにお出しいただきますようお願いいたします。クリーニングの費用は
   当店で負担させていただきます」
   →クリーニングが終わったという知らせがあったら、早速、お宅に手土産を持って
    伺います。
   (店内で何らかの処置を行う場合)
   →周囲のお客様にもおわびします。
   →手の空いている店員もできるだけ手伝います。

  (21)同時に受けた注文が同時に提供できなかったとき
   「誠に申し訳ございませんが、○○はもう少々お待ちください」

  (22)「注文した料理と違うんだけど」と言われたとき
   「私の不注意で申し訳ございません。早速、お取り替えいたしますので、少々
   お待ちください」
   →お客様の勘違いの場合は丁寧に説明をして、納得してもらうようにします。

  (23)「残った料理を持って帰りたいんですが」と言われたとき
   「かしこまりました。少々お待ちください」
   →面倒がらずに快く応じます。

  (24)皿をお下げしようとして「まだ食べているんだけど」と言われたとき
   「大変失礼いたしました。申し訳ございません」
   →必ず「お下げしてよろしいでしょうか」と確認してから皿を下げます。

  (25)「この伝票間違っているんだけど」と言われたとき
   「どうも申し訳ございませんでした。どちらが間違っているでしょうか?」
   →確認の上、お客様から指摘された内容をすぐに訂正します。

  (26)閉店間際にお見えになったお客様に
   「あと○○分で閉店でございますが、よろしいですか?」
   →一応断りを入れ、注文の品をできるだけ早く出します。

  (27)閉店時間になっても、お帰りにならないお客様に
   「お話中誠に恐れいりますが、間もなく閉店させていただきますので、よろしく
   お願いいたします」
   →お客様が席を立ったら、出口まで見送ります。
   「ありがとうございました。またお越しください」

  (28)お忘れ物を尋ねられたとき
   →日時、場所、お忘れ物の特徴を聞きます。
   「お調べして参りますので、少々お待ちください」
   「お待たせいたしました。こちらでございましょうか? 恐れいりますが、こちらに
   ご署名をお願いいたします」(あった場合)
   「お待たせいたしました。お調べいたしましたが、私どもでは保管していない
   ようです。もし見つかりましたら、ご連絡させていただきますので、お名前とお電話
   番号をお教えくださいますようお願い申し上げます」(なかった場合)


□クレーム処理の方法
 1.クレームの持つ意味
  クレームは、お客様から寄せられた貴重な情報です。
  それは、自分達が提供している料理や接客サービスへの評価であるとともに、問題点を
  指摘して改善の糸口を示してくれているのです。
  例えば、料理の味付けや盛り付け、店舗のデザイン(照明の位置、席の配置、バリア
  フリーへの対応など)などは、店員の目線では気付かないことも少なくありません。

  こうしたクレームは、自店を成長させるチャンスであると考えることができます。
  一方、発生する前に避けなければならないクレームもあります。
  これは、店員の態度や行為に起因するものです。
  代表的なものをいくつか紹介してみます。 

   ・料理と一緒に出されるべきもの(水、ソースなど)が運ばれてこない
   ・お茶がぬるい、コーヒーがぬるい
   ・店員を呼んでも来ない、態度が悪い
   ・料理をこぼして衣服を汚された
   ・注文したものと違う料理が出てきた
   ・テーブルの上が汚い、食器が汚れている、欠けている
   ・会計を間違えられた
   ・予約したのに席が用意されていない

  これらは、店員の日ごろの注意で防止できるものです。
  こうしたクレームはできるだけ発生しないように気をつけておかなければなりません。
  こう考えると、接客サービスのキーポイントは自分が客になったときに、どういう
  サービスを受けたいかを考え、
他店で自分がいやな思いをしたサービスを絶対にしない
  こと
であるといえます。

 2.クレーム処理の基本
  誰もクレームなど言われたくありません。
  しかし、起きてしまったクレームは事実として受け止め、それを上手に処理して
  お客様との間に新しい信頼関係を築くことこそが、本当のクレーム処理といえるのです。
  クレーム処理の基本としては3つの心構えがあるといわれています。

  (1)まず、おわびする
   高ぶっているお客様の気持ちを静めるための応急処置が必要です。
   「申し訳ございません」と素直に頭を下げ、誠実に対応する姿勢をまず示します。


  (2)冷静に対処する
   お客様の感情につられて、こちらまで感情的になってしまってはいけません。
   言いたいだけ言ってしまえば、お客様も腹のムシが収まるのです。
   つまり、お客様の言い分を全部吐き出させてしまうのもプロフェッショナルの仕事です。
   話を 途中でさえぎったりせず、最後まで誠意を持って“聴く”態度が大切です。

  (3)上司や責任者に速やかに報告する
   自分だけで処理してしまおうと無理をすることはありません。何をおいても誠実に
   おわびをし、話を一通り聴きます。
   こうしてお客様の気持ちを和らげるよう努力したあとは、直ちに上司に連絡して
   指示を求めるか、引き継ぐようにします。
   クレームの解決で最も重要なのは“スピード”です。
   なお、担当者がクレームをよく聴き、丁寧におわびしているにもかかわらずお客様の
   納得が得られない場合、次の<3変の法則>が効果的とされています。 
   雰囲気が変われば、お客様の気持ちが静まることがあるからです。

    人を変える・・・・上司、店長と交代する
    場所を変える・・・お客様のいる場所から事務所などへ移る
    時を変える・・・・後日改めて訪問する


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食品スーパーの宅配サービス

                    

食品スーパーの宅配サービス

 ■はじめに 
  ここでは食品スーパーが宅配サービスを始める際の留意点についてまとめたものです。 
  特に地方都市では、大手ショッピングセンターの開業地は郊外であり、車社会にあっては
  都合のよい立地ですが、車に乗らない人にとっては不便この上ない立地といえます。
  また、徒歩で行ける距離にあるスーパーマーケットでも、「足が不自由なので重い
  荷物を持っては歩けない」「赤ん坊を置いて買い物にいけない」など、買い物に不自由
  をしているケースは少なくありません。
  今後、ますます進行する高齢化社会では、食品スーパーの宅配サービスは重要性を
  増していきます。

 □宅配サービスにおける留意点

  1.業務の流れと留意点 
   宅配サービス業務は、   
    (1)受注  →  (2)品集め  →  (3)検品・集計  →  (4)配送
   という流れになります。
   (1)受注 
    受注段階で注意すべきことは受注ミスをしないことです。
    注文を受けた内容は、必ず復唱して確認します。
   (2)品集め 
    注文伝票の商品を集めます。
   (3)検品・集計 
    注文伝票と集めた商品の検品を行い、集金しなければならない金額を計算
    します。
   (4)配送 
    注文商品を安全に宅配します。
    生鮮食料品(肉、魚など)の場合、冷温ボックスなどの設備が必要になります。
    また、要冷凍、要冷蔵の商品は配達時に必ず伝えなければなりません。

  2.交通安全対策 
   宅配サービスにおいて、最も気を付けなければならないのは交通事故です。
   事故を起こさないようにすることはもちろんのこと事故に巻き込まれないように
   することも大切です。
   店の看板を背負って宅配サービスを行う以上、道路交通法の順守はもちろんのこと、
   交通安全のみならず交通マナーについても厳しい基準を設ける必要があります。 
   例えば、歩道の走行、信号無視、一方通行の逆走、スピードの出しすぎなどは
   危険であるばかりでなく、見る人を不快な気分にさせます。
   店の大きなイメージダウンにつながります。 
   当初は交通安全について皆が注意を払うものですが、時間の経過とともに疎かに
   なりがちです。
   宅配業務で最も重要なテーマは交通安全です。
   「安全第一」というのは安全が何よりも優先されるという意味です。
   しかし、交通安全の重要性を充分に認識させるには、もう一つの大きな目標を対比
   させる形で掲げることで、その重要性が伝わりやすくなります。
   例えば、「安全第一、効率第二」とした場合、経営効率よりも交通安全のほうが
   優先されなければならないことが理解できます。 
   なお、交通事故などのトラブルはないに越したことはありませんが、万が一
   交通事故などのトラブルが起きた場合の対処方法・手順を事前に定め、スタッフに
   周知徹底しておかなければなりません。

  3.対応エリアの設定 
   業務効率を考慮して宅配サービスの対応エリアを決めておく必要があります。
   宅配ピザなどの宅配ビジネスでは対応エリアはおおむね半径2km程度に設定して
   いるようです。
   この距離はバイクならば「スープの冷めない距離」といえます。
   実際には宅配エリアはドライブテストなどを通して設定します。
   なお、エリア設定は顧客囲い込み戦略といえますが、「市内ならどこでも配送します」
   としたほうが利用者は理解しやすいかもしれません。

 □宅配サービス料金について(参考) 
  宅配サービス料金をどの程度に設定すべきなのでしょうか。
  ここでは、宅配サービスに要する時間を平均13分として宅配サービスに要する費用を
  検討します。
  所要時間の考え方は以下の通りとします。  
   ◎宅配サービス必要平均時間……13分(9〜17分)
     内訳→電話による受注応対時間…………2分
       →商品の手配時間…………………3〜 5分
       →配送時間(往復)………………4〜10分

   ◎宅配費用について
    <労務費> 
     スタッフ1人当たりの人件費を年間500万円、年間労働時間を2000
     時間(時給換算で2500円)とした場合、宅配業務1回における単位
     時間当たり労務費は542円と算出することができます。   
      宅配単位時間当たり労務費  
      =人件費500万円×(宅配所要時間13分/年間労働時間2000時間)  
      =542円 
     次に、宅配サービススタッフをパート(時給1000円)とした場合、
     宅配業務1回における単位時間当たり労務費は217円と算出すること
     ができます。   
      宅配単位時間当たり労務費  
      =人件費1000円×(宅配所要時間13分/60分)  
      =217円

    <減価償却費> 
     デリバリーバイクの購入価額を30万円とし耐用年数の3年で全額償
     却すると年間10万円の償却となります。
     年間営業時間を2000時間とすると宅配1回当たりの減価償却費は10
     円となります。   
      デリバリー1回当たり減価償却費  
      =10万円×(13分/2000時間)  
      =11円

    <維持管理費> 
     デリバリーバイクの保守点検費用、保険費用を年間10万円とします。
     年間営業時間を2000時間とすると宅配1回当たりの維持管理費は10
     円となります。   
      デリバリー1回当たり維持管理費  
      =10万円×(13分/2000時間)
      =11円

    <燃料費> 
     ガソリンの平均単価を120円、1リッター当たりの走行距離を
     30km、デリバリー1回当たりの平均走行距離を3kmとすると、デ
     リバリー1回当たりの燃料費は12円となります。   
      デリバリー1回当たり燃料費  
      =120円×(3km/30km)=12円 
     上記より、宅配サービスにかかわる諸費用はデリバリー1回当たり
     576円または251円と算出することができます。   
      宅配サービスにかかわる諸費用(正社員の場合)  
      =労務費542円+減価償却費11円+維持管理費11円+燃料費12円
      =576円   
      宅配サービスにかかわる諸費用(パートの場合)  
      =労務費217円+減価償却費11円+維持管理費11円+燃料費12円  
      =251円 

    宅配料金は、消費者メリットを考慮すれば無料であることに越したことは
    ありませんが、1回当たりの購入金額が小さいと採算に合いません。
    ほかの企業事例でも無料で行っている例はないようなので、有料サービスと
    することに問題はないでしょう。 
    次に、宅配料金を固定料金とするか、購入金額に合わせた変動料金にするか
    という問題になりますが、固定料金にしたほうが分かりやすく、1回当たりの
    購入金額は増加します。 
    例えば、1日1000円消費する家庭が、毎日宅配料金300円を払って1000円
    の商品を配達させるよりも、1回に3日分の商品を配達させた方が宅配料金が
    安くなります。
    毎日300円を支払うと月間9000円ですが、3日に1回の場合月間3000円と
    なります。
    どうせならまとめて注文をしようということになり、その分平均客単価が上がり、
    収益向上につながるケースもでてきます。

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ホーム・ミール・リプレイスメント HMR

          

ホーム・ミール・リプレイスメント  HMR

 ■ホーム・ミール・リプレイスメント(以下HMR)とは
  「ホーム・ミール・リプレイスメント(HMR)」は、米国で提唱されたマーケティング
  概念の一つで、食品業界で注目されている用語です。 
  HMRとは直訳すれば「家庭料理の代用品」という意味で、食品スーパーや外食産業
  がレストランの味を家庭に提供することをうたい文句に、すぐに食べられる総菜などの
  調理済み食品や持ち帰り部門に注力することです。
  特に現在のコロナ禍においては、このHMRが活況を帯びています。
  食品スーパーでは、顧客の来店頻度や客単価のアップを図るために総菜売り場の強化や、
  店内飲食コーナー(イートインコーナー)、店内焼き立てパンコーナー
  (インストアベーカリー)などの設置によってHMRに対応する売り場づくりを行う
  ことが注目されています。

 □「ミール・ソリューション(MS)」に含まれるHMRの概念 
  このHMRは、広くとらえれば「ミール・ソリューション(MS)」という概念の一部
  ともいわれます。
  MSとは直訳すれば「食事の解決策」ということになりますが、家庭の主婦が抱える
  食事に関するさまざまな悩みを解決し、食事のしたくにかける時間を短縮できる
  ようにスーパーなどが品揃えや売り場づくりを工夫する動きのことです。 
  MSは食品の加工度によって下図のような4段階に分類されます。
  例えば食品スーパーで販売されているピザを例にとれば、小麦粉やチーズといった
  材料が「Ready to Prepare」の段階、ソース付きピザ生地、ピザ用チーズなどが
  「Ready to Cook」の段階、電子レンジで温めればすぐに食べることができる
  冷凍ピザが「Ready to Heat」の段階、店内のイートインコーナーでその場で
  食べられるピザが「Ready to Eat」の段階になるわけです。
  このうちHMRは、加工度の高い「Ready to Eat」「Ready to Heat」の段階に
  当たります。

 □HMR注目の背景
  1.拡大する中食市場 
   コロナ禍の今、このHMRが盛況である。
   総務省「家計調査年報」によると、近年、各家庭の食料費に占める弁当類、総菜類
   など「調理食品」への支出割合は増えていることが分かります(下グラフ)。
   これらは飲食店に出かけて食事をする外食と、家庭で調理して食事をする内食の
   中間であることから中食と呼ばれています。 
   女性の社会進出により「家庭での調理時間をできるだけ短くしたい」という意識
   が高まっていることなどを受け、中食市場は成長しています。
   近年、女性の社会進出や、少子化・高齢化・少人数世帯の増加という社会変化を
   背景に、食の外部化比率が高まっている中で、中食(惣菜)市場は成長分野と目され、
   順調な成長を遂げている。
   2018年も引き続き伸長し、9年連続で市場が拡大。
   前年に市場規模が初めて10兆円の大台に乗ったが、そこからさらに成長した。
   2020年の市場拡大はコロナ禍により黄信号が灯ったと言わざるを得ない。
   そして、調理現場の人手不足はますます深刻化してきており、再成長のためには
   乗り越えなければならない課題となりそうです。
   現在スーパーなどが総菜や弁当類など「調理食品」の品ぞろえに力を入れている
   考え方は、この中食市場を取り込んでいこうという動きといえます。
                                                                  出典 食品産業新聞 

  2.HMRが米国で注目された背景 
   HMRが米国の主に食品小売業で注目されてきた背景には、消費者の時間節約志向の
   高まりがあります。
   米国の成人女性の就業率は既に7割を超え、そのうち7割以上がフルタイムで
   働いているといわれます。
   (但し、2018年9月調査では、日本の15〜64歳の女性就業率を米国(16〜64歳)
   と比較すると、日本70.3%(総務省統計局調べ)、米国68.7%と、日本の女性就業率
   は米国よりも高くなっています。
   かつては米国の女性就業率の方が高かったのですが、2013年頃から日本が逆転
   しており、その傾向が続いています。
           (出典 楽天証券)
   外で一日働いていれば、「家庭で料理に費やす時間をできるだけ短くしたい」と
   いうのが本音で、米国の主婦が食事のしたくにかける時間は平均で15〜20分にまで
   減っているといわれるほどです。
   「時間はないが家族そろって食事を楽しみたい」といった消費者にとって、
   調理時間を節約でき、しかもおいしく手作り感があって、栄養バランスもよい
   といった食へのニーズは高いものがあります。
   HMRはこうした消費者のニーズに応える手段なのです。 
   食品スーパーがHMRに積極的に取り組んでいる背景には、HMRに対応した売り場
   づくりを行うことによって、顧客の来店頻度や客単価の向上を図るという狙い
   があります。
   HMRによって顧客が「おいしい総菜」などを目当てに毎日自店に立ち寄るように
   なれば、顧客の来店頻度の向上につながります。
   また、加工度の高い食品は価格も高めに設定できるため、客単価アップも期待
   できます。 
   食品スーパーの業界全体にとってもHMRは、外食産業などとの業態間競争を
   有利にすすめる手段になります。
   米国では近年、消費者の食費への支出のうち外食への支出額が増える傾向にあります。
   HMRへ取り組むことによって、外食産業に流れていた消費者の支出を再び食品
   スーパーへ呼び戻そうという狙いもあるのです。

  3.HMRは客単価向上の有効な手段 
   HMRは、日本でも食品業界を中心として注目を集めています。
   特に、スーパーや百貨店では、食品売り場で総菜メニューの充実や総菜コーナーの
   拡充などによりHMRの考え方を取り入れた売り場づくりを行う動きが活発化
   しています。
   例えば、話題の“デパ地下”と呼ばれるこだわり商品や惣菜の品揃えに力を入れた
   百貨店の地下食料品売り場はよい例でしょう。 
   スーパーや百貨店がHMRに積極的に取り組んでいる背景には、深刻な消費不況の中で
   売り上げや利益を高める手段としてHMRの考え方が注目されているからです。 
   スーパーや百貨店がHMRに対応して総菜や弁当類などに力を入れれば、商品の
   加工度が高まるため客単価は向上し、また、顧客が「おいしい総菜」などを目当てに
   毎日自店に立ち寄るようになれば、 顧客の来店頻度の向上につながります。
   結果として、HMRに対応した売り場づくりを行うことによって、売上高や利益率を
   高めることが期待されるのです。

 □企業の取り組み
  1.米国小売業の取り組み 
   HMRは、米国外食チェーンのボストンチキン(コロラド州・店名ボストンマーケット)
   が打ち出した企業コンセプト「ホーム・スタイル・ミール(家庭風料理)」が
   始まりといわれます。
   ボストンマーケットの店内では、店内のカウンターであぶり焼きのチキンとターキー
   (七面鳥)、ミートローフ、ハムの肉料理に、コールスローやマッシュポテトなどの
   付け合わせを組み合わせて販売を行ってきました。
   こうした販売方法が消費者に受けて、同社は85年の創業後、96年12月期には
   売上高2億6400万ドル、店舗数も1300店を誇るまでに成長しました(ただし、
   同社は急成長による資金繰りの悪化が仇となり98年に破産しました)。 
   ボストンマーケットの成長に注目した米国の食品スーパーや外食産業などは
   積極的にHMRへの対応に力を入れてきました。
   例えば、食品スーパーでは前述したように「総菜コーナー」「イートインコーナー」
   「インストア・ベーカリー」などの充実に力を入れる店が増えてきましたし、
   外食産業では従来のファストフードとは異なり、グレードの高い家庭風料理を
   持ち帰り(テイクアウト)で提供するところが増えてきました。 
   また、HMRに特化した新業態として、グローサリーストア(食品小売業)と
   レストランを組み合わせた「グローサラント」と呼ばれる業態も登場しています。
   この業態では、客の前でプロの料理人が実際に調理する総菜とそれに合う加工食品
   やワインなどを並べ、店内で作りたての総菜を食べられるイートインコーナーを
   設けたりしています。 

  2.国内で注目されたニッショー守口店 
   国内スーパーのなかで、HMRへの取り組みの先駆け的存在といわれるのが、大阪の
   中堅スーパーのニッショーが97年に大阪府守口市に開設した「ニッショー守口店」
   です。 
   売り場面積約2300平方メートルの同店は、 HMR導入の実験店として、働く女性や
   単身の勤め人をターゲットとして総菜や半調理品の品揃えに力を入れてきました。
   総菜売り場を既存店平均の約3倍に広げるとともに、そこでグリーンサラダや
   中華総菜のコーナーを導入し、できたて感を重視してほとんどの商品を店内で調理
   したのです。 
   このような思いきった戦略が当たり、同店の年間売り上げは当初予想を大幅に上回る
   など大きな成功を収めました。 
   ニッショー守口店の成功例は、多くのスーパー関係者の関心を呼び、日本のスーパー
   がHMRを取り入れるきっかけになったといえるかもしれません。

  3.“デパ地下ブーム”をリードした東急百貨店 
   百貨店の食品売り場は“デパ地下”と呼ばれて注目を集めてきました。
   このデパ地下ブームをリードしたのが東急百貨店の食品売場「フードショー」です。 
   2000年に東京・渋谷にある東急百貨店東横店では、顧客に「出来たて、揚げたて、
   焼きたて」というライブ感、エンターテインメント性が伝わる食品売場にしたい
   という考えから、食品売場のリニューアルを2度行いました。
   リニューアルにともない、働く女性のニーズに応えるため惣菜の品揃えを充実させ、
   女性に人気のベトナム料理の「サイゴン」、フランス料理の「クイーン・アリス」、
   ジェラートの「パリヤ」といった人気店を導入したのです。 
   例えば、「クイーン・アリス」では、オープンキッチンを使って顧客の目の前で
   つくるという演出を行っていました。
   プロの味をそのまま家庭に持ち帰って食べられるし、またイートインということで
   その場でも食べられるのが特徴でした。
   まさにHMRの考え方を取り入れた店といえます。 
   こうした取り組みにより、東急百貨店東横店では、フードショーの導入前には
   年間120億円程度であった売上高が200億円近くにまで増加しました。
   復活を目指す百貨店にとって、デパ地下は欠かせない存在といえます。

 □課題と今後
  1.HMR対応の課題 
   前述した中食に該当するのは、スーパーの総菜コーナーに並べられた総菜だけでは
   ありません。
   コンビニエンスストアの総菜・弁当、弁当屋の弁当、ファストフード店のテイクアウト、
   宅配、出前など、家ですぐに食べることができるものは中食に当たります。 
   今では、成長を続ける中食市場への参入によって、外食産業や食品製造業などが
   「総菜専門店」「持ち帰り弁当店」など、HMRに対応した店を出店しています。
   また、「ホテイチ」と呼ばれる、高級ホテルの1階にある、ホテル内のレストラン
   などの飲食施設が惣菜などを販売するコーナーも、消費者の人気を集めています。 
   積極的に中食市場を取り込んでいこうというこれらの動きは、HMRの考え方を
   取り入れた動きといえるでしょう。 
   拡大する中食市場ですが、既にその市場を巡る競争は激化しており、今後こうした
   店が成功するためには、
    →顧客の健康志向や安全志向に対応したこだわりのある食材の提供
    →顧客のライフスタイルに合った魅力的なメニュー提案
    →売り場(店舗)の効率的な運営ノウハウの習得
   などが重要な課題といえるでしょう

  2.HMR対応の今後 
   HMRに対応する企業の取り組み方にも注意が必要です。
   HMRの市場に参入すれば、どの企業も成功を収められるわけではありません。 
   例えば、HMR対応の一貫としてデリカテッセンや総菜コーナーの拡大に取り組んで
   きた米国の食品スーパーの中には、採算性が悪化し苦しい立場に追い込まれた
   ケースもあります。
   このスーパーでは、HMRは商品ロス率が高く、料理人などの人件費負担が重く
   のしかかったため、経営を圧迫したといわれます。 
   また、日本市場に目を移してみると、前述したように中食市場は今後も確実な成長
   を見込むことのできる市場であることから、多くの企業が中食市場に参入しています。
   このため、中食市場を巡る企業間の争いは非常に激しいものがあります。
   「HMRへの対応が成功の鍵」と騒がれたブームは既に過去のものです。
   今後は、各企業の対応の中身が問われてきています。

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激変する卸売業の姿

          

激変する卸売業の姿

  ■卸売業をめぐる環境

   経済産業省の「商業統計表」によれば、2002年の小売店数は約130万店と、前
   回調査(1999年)から10万店以上も減少しました。

   規模別に見ると、就業者数50人以上の大規模事業所が増加している一方、中小
   規模の事業所は減少を続けており、とくに就業者数4人以下の小規模事業所は9
   万店以上も減少しています。

   また、年間販売額についても、小規模事業所の大幅な減少が目立ちます。

   1.川下からの淘汰

    小売業の就業者規模別事業所数および年間販売額の推移

    こうした中小小売店の減少は、卸売業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

    2016年の卸売業者数は全国で約36万事業所となっていますが、そのうち従業
    員100人以上の企業はわずか3397事業所にすぎません。

    つまり、卸売業者のほとんどが中小規模の企業だといえます。

    これらの中小卸売業者が顧客としているのは、おもに中小規模の小売店です 
    が、その中小小売店がわずか数年で10万店以上という驚くべきペースで減少し
    ているのです。

    同様に、中小規模の飲食店やサービス業も、競争が激化するなかで倒産や廃
    業が急増しています。

    すなわち、

     中小の小売店・飲食店・サービス業を主要取引先とする卸売業にとって、
     現在は、自らの経営努力だけでは既存取引先数の減少を止められない
     という「非常事態」

    にあるのです。

    また、倒産や廃業に追い込まれなかった中小規模店も、この不況下で売上を減
    少させていることから、一取引先あたりの取引額(顧客単価)も減少が続いています。

    さらに、取引先からの値下げ要請が厳しくなっているため、粗利益率も低下して
    います。

    とくに大手取引先については、他社との競合が激しく、まったく利益の出ない状
    態になっているケースも少なくありません。

    一方、取引先が減り、売上・粗利益が減少するなかで、大手取引先を中心として
    無理な要望が増えてきており、販売コストは増加しています。

    たとえば、小口高頻度配送を要求する取引先が増えていることから物流費が高
    騰しているほか、協賛金や売り場支援の要請なども強くなってきています。

    さらに、配送センター使用料などの販売管理費もかさんでおり、卸売業の多くが
    利益率の低下に苦しんでいます。

    そのほか、取引先の小売店や飲食店などが顧客ニーズに合った業態へと転業
    や業態転換を行なうといった動きもあり、それに伴って取引する卸売業者を限
    定、変更するケースも目立ちます。

    たとえばアメリカでは小売店の50%がFC(フランチャイズチェーン)店であるとい
    います。

    日本でもすでにその傾向が進み、酒小売店を中心にF C加盟によるコンビニエ
    ンスストアへの業態転換は、すでにご存じのとおりです。

    これに伴い、従来の取引先であった卸売業者からフランチャイズ本部が指定す
    る卸売業者へとすでに取引先を変更する店も出ています。

    このように、流通の川下である小売業などの変化は、その上流に位置する卸売
    業者(とくに中小規模の卸売業者)に多大な影響を与えているといえるでしょう。

   2.川上からの淘汰

    一方、流通の川上に目を向けると、メーカーの取引制度の見直しやそれに伴う
    リベートの廃止が進んでいます。

    価格を維持し商品の供給ルートを閉鎖的に支配するメーカーの流通政策は、こ
    れまで日本の流通機構の特徴のひとつと指摘されてきました。

    具体的には建値制度を中心に特約店制度を敷き、リベートを保証することで流
    通全体を囲い込み、価格をコントロールしてきたのです。

    そして、こうしたメーカーの主導により形成された互恵的な流通システムに参加
    することで、卸売業者は自らの存続を安定させてきました。

    しかし最近では、

     メーカー自身が建値制度を崩壊きせるような動き

    をしています。

    この背景には、モノ余りの時代になり価格決定権が消費者に移ったことに加え、
    再販価格の見直しなどに見られるように独禁法の運用が強化されていること、
    大店法の運用緩和・廃止などにより小売店間の競争が激しくなったことなどがあ
    ります。

    それにより低価格化が進行し、これに対応できるよう小売業者が流通ルートを
    集約化しはじめたことを受け、メーカーも流通政策の転換を余儀なくされたとい
    えるでしょう。

    また、低価格化が進むなかで、自らの利益を確保するために

     小売店とメーカーが直結する動き

    も出てきています。

    このように、川下である小売業者の影響を受ける形で川上のメーカーも従来の
    販売政策を見直しはじめたことにより、流通全体の構造が大きく様変わりしてき
    ました。

    めまぐるしい変化のなか、卸売業者も真剣にそのあり方を見直さなければなら
    ない状況になっているのです。

    今までのようにメーカーの流通政策に頼ったままでは厳しい環境に適応していく
    のは困難です。

  □求められる卸売業とは

   1.消費者寄りの卸売業になる

    これからの卸売業者にまず必要なのは、

     これまでのようなメーカー寄りの姿勢を改め、消費者寄りの視点をもつこと

    です。

    いうまでもなく、卸売業の基幹機能のひとつはメーカーから商品を仕入れ小売
    店へ卸す機能です。

    しかし、これまでの卸売業はメーカーの流通政策に従うばかりで、ともすれば、 
    取引先や消費者のニーズを汲み取る努力を忘れがちになっていました。

    これでは顧客満足度を高めることはできません。

    現在は、モノ余りの時代であり、価格の決定権はメーカーから消費者に移ってい
    ます。

    メーカーの価格政策に従っているのではなく、流通の川下に目を向け、積極的
    に消費者のニーズをつかむことが卸売業者にも必要となっているのです。

   2.卸売業の位置付けと機能の見直し

    消費者寄りに視点を移し、新しい時代に対応できる卸売業者になるためには、
    もう一度卸売業の位置づけと機能を見直す必要があります。

    流通を段階的に見てみると、メーカーで開発・生産された商品は卸売業者によっ
    て小売店に卸され、そこで消費者に販売されます。

    これからの卸売業者は、この流通の各段階の機能のいずれかを従来の機能に
    付加し、その機能を強化することが重要となります。

    こうした、今後の卸売業者に求められる機能としては、以下のものがあげられます。

    <卸売業者に今後求められる機能>

     ・メーカー機能

     ・本来の卸売業の機能(強化)

     ・小売機能

    以下では、これらの方向性について事例を交えながら具体的にご説明します。

    (1)メーカー機能の付加、強化

      メーカーの機能といえば商品の開発・生産を指しますが、卸売業者がこの機
      能を強化する方法のひとつとして、プライベートブランド(PB)商品の開発が
      挙げられます。

      どこの卸でも扱うナショナルブランド(NB)商品を卸すだけでは取引先との関
      係強化は困難です。

      商品開発力を磨き、他社にはない魅力ある商品を提供することができれば、
      取引先にとってなくてはならない卸売業になれるのではないでしょうか。

      そこで、自社独自のP B商品の開発を進める卸売業も目立ちます。

      大手のNBと同一の分野に自社で開発した低価格商品をもって参入している
      卸売業者もありますが、今後はNBが比較的浸透していない分野に的を絞っ
      たPB商品の開発が妥当と考えられます。

      これは、大手NBが参入している分野では大手小売業者のPBも含めた激し
      い競争が展開されているからです。

     ◎自社ブランド商品開発を積極的に進める「ワタナベ」  

       ワタナベは1975年に、カメラマンだった渡部社長が助手2人を伴って開業
       した化粧品卸売業です。

       同社は、海外の有名ブランドのフレグランス(香水類)の卸売業からスター
       トし、業務用のヘアケア商品を一般の小売店に卸す事業で大きな成功を納
       めました。

       卸売事業が好調であったにもかかわらず、仕入れた商品を小売店に販売
       するだけの卸売業には限界があると危機感を持っていた渡部社長は、自
       社のオリジナル商品の開発に進出しました。

       卸売業者が商品開発をする際にネックになるのが技術力ですが、ワタナベ
       はOEM契約で商品を開発することでこの課題をクリアしています。

       同社は、化粧品メーカーで自然化粧品開発を担当していた技術者が独立
       して興した会社とOEM契約し、自社ブランド商品「パーソナルゲート」を開
       発しました。

       技術力はあるものの流通ルートを持たない新興メーカーと契約することで、
       オリジナル商品を開発することができたのです。

    (2)本来の卸売業の機能の強化

      先にも述べたように、卸売業の基幹機能のひとつは、メーカーから商品を仕
      入れ小売店へ卸す機能です。

      とくにメーカーの数、商品の種類が多い分野では、メーカーと小売業者が直
      接取引をするのは非効率になるため両者を結ぶ卸売業者の役割は重要に
      なります。

      ただし、低価格志向が定着した現在は流通コストをできる限り抑える必要が
      あり、卸売業にも効率性が求められます。

      その方法のひとつとして、キャッシュアンドキャリーの展開を進める卸売業も
      増えています。

     ◎キャッシュアンドキャリー業態で成長した「トーホー」

      業務用食品卸の株式会社トーホーは、1987年から業務用スーパー「A−プ
      ライス」を手掛けています。

      業務用スーパーとは、中小の飲食店や小売業者などの事業者向けに卸し売
      りを行なっている商品持ち帰りの現金問屋です。

      支払い方法が現金(キャッシュ)で、顧客が自分で持ち帰るため(キャリー)、
      「キャッシュアンドキャリーとも呼ばれます。

      同店では和・洋・中あらゆるジャンルの業務用食材を店舗形態で現金卸販売
      しており、おもに注文単位が小さく配送コストがかかる食堂や居酒屋など小
      規模業者のニーズを取り込み、さらに珍しい食材や低価格を売りに一般客
      の需要も取り込んでいます。
 
    (3)小売機能の付加、強化

      これまで卸売業者の小売業への進出は、取引先である小売業者との摩擦を
      考慮し、あまり行なわれていませんでした。

      しかし、製販同盟などにより卸売業者もその存続が危ぶまれている時代にお
      いては、これまでの方針を見直し、通常の小売店より低い原価率を生かし 
      て」小売業への進出も考える必要が出てきているといえるでしょう。

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卸売業の営業マン育成

          

卸売業の営業マン育成

  ■卸売業の営業マンの要件

   1.卸売業の営業マンの役割

     従来、卸売業の営業マンの仕事は、定期的に得意先の小売店をまわって定番
     商品の在庫を確認し必要に応じて発注を行う、商品の代金を回収する、新し
     い商品の注文をとるといった、いわばルーチン的な仕事が中心でした。

     しかし、小売店のEOS(※)導入が進み定番商品の発注はパートでもできるよ
     うになり、商品代金の銀行振込が一般化するなど、これらの業務を営業マンが
     行う必要がなくなってきました。

     一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか
     けてさまざまな売上拡大や経営改善の方策を打ち出すようになり、卸売業者
     に対しても情報握供や経営力強化策の提案など、戦略的な支援を求めるよう
     になってきました。

     このような新しい環境のなかで、卸売業の営業マンに求められる役割は、

      単なる受注・代金回収業発から

      取引先小売業の経営支援(リテールサポート)へと、大きく変化

     しているのです。
      ※EOS(Electronic Ordering System)……POS(バーコードを使用した販売情報管理)
        機能の活用により、受発注をシステム化して、商品の補充を効率化するシステム。


   2.リテールサポートに必要な営業マンの条件

     リテールサポートとは、商品や競合状況などの情報提供に加え、販売促進活
     動の提案、売場の改善や資金繰り方法の改善提案など、小売業の経営をさま
     ざまな角度から支援する活動を指します。

     リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため
     にとにかく商品を押し込む」のではなく、あくまで小売店の経営改善を第一義
     に考えるということです。

     リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。

     徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとって自社
     がなくてはならない存在になることがその目的なのです。

     また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため
     に、メーカー、卸、小売の3者がそれぞれの強みをいかして行う「協調型」であ
     ることが一層求められるでしょう。

     そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち
     勝っていけるのです。

     このように卸売業がリテールサポート力を強化するには、

      商品知識、業界知識など専門分野に関する知識に加え、財務分析や
      マーケテイングなど経営診断に関する知識や問題解決思考技術、
      企画力をもった人材の育成が不可欠になります。

   3.リテールサポートに必要な知識・技術

     (1)業界専門知識

       業界動向、商品、物流、販売技術に関する知識、EOSなどの情報化の知
       識、業界関連法知識など

     (2)経営知識

       財務分析、マーケティング、店舗開発、組織運営、人材育成に関する知識
       など

     (3)その他必要な能力

       問題解決思考技術、企画・提案力、折衝力など

  □営業マンの育成方法

   1.人材育成のおもな方法
      
      (1)OJT

      (2)O ff‐JT

      (3)自己啓発

     の3つがあります。

   2.育成プログラム作成の留意点

     リテールサポートを行うためにはさまざまな知識や技術が必要であり、それら
     をすべて身につけさせるには、長期的な育成プログラムが必要です。

     育成プログラムは、次のような点に留意して作成します。

     (1)十分な動機づけを行う

       いかに優れた育成プログラムを作ったとしても営業マン自身がやる気を
       もって取り組まなければ成長はおぼつきません。

       「業界はどのような状況になっているのか」、「会社としてどのような人材が
       必要か」を十分に説明したうえで、「自分はいつまでにどのような能力を身
       につける必要があるのか」を営業マン自身に考えさせることが必要です。

     (2)必要な知識や技術の基準を決める

       業務経験年数や職位と照らし合わせて、どの時点でどのようなことができ
       なければならないかという業務の基準を定め、これを達成するために必要
       な知識や技術とその修得レベルの測定基準を定めます。

     (3)習得させる知識や技術の教育計画をたてる

       必要な知識や技術とそれを修得させる時期が決まったら、それに合わせて
       計画をたてます。

       そして、修得させる知識や技術ごとに、それらの教育方法を決めます。

     (4)業務での実践状況と教育計画を見直す

       知識や技術を身につけることが目的ではなく、実際にリテールサポートを行
       えることが教育訓練の目的です。

       したがって業務の現場でリテールサポートがどの程度行えるのか、遂行状
       況から教育訓練の成果の評価をしなければなりません。

       効果が出ていないようであれば、その他の要件もふまえながら、教育訓練
       を見直します。

  □営業マンが育つ環境条件

   いくら教育訓練を熱心に行ったとしても、営業マンが育つ環境がなければ教育の
   効果は期待できません。

   次の環境が整備されていることが、営業マンの育つ条件になります。

   (1)評価制度の確立

     短期間で能力を高めたり、的確なリテールサポートで取引先の業績を向上さ
     せても、それらが昇級や給与面で反映されなければ、社員の意欲は減退しま
     す。

     能力や実績を客観的に評価し、それらを処遇に反映させる評価制度の導入が
     不可欠です。

     具体的には等級ごとに必要な能力の要件を定めた「職能資格制度」や、業績
     の一定割合を給与に連動させる「業績給」の導入などが考えられます。

   (2)能力を発揮しやすい労働環境

     取引先の小売業を支援しようという意欲があっても、従来のご用聞き的な業務
     に忙殺されほかに手が回らないという状況であればリテールサポートを行うこ
     とはできません。

     会社としてリテールサポート力を強化するというのであれば、単純業務をパー
     トタイマーに割り振る、効率化のための設備導入を行うなど、営業マンがリ
     テールサポートに集中して取り組める環境整備を行うことが必要です。

   (3)リテールサポートメニューの準備

     教育訓練をしただけで実際のリテールサポートメニューがなければ、リテール
     サポートは営業マン個人の裁量で行われ、質や内容にもばらつきが出てきま
     す。

     また、効果的な棚割やEOSなど、全社的な対応が必要なシステムの導入に関
     しては、個人で対応できる範囲が限られています。

     したがって、会社としてどのようなリテールサポートを行うかを検討し、リテール
     サポートメニューをあらかじめ決めておく必要があります。

     またこのメニューは単に「○○を○○する」といった行動レベルのメニューだけでは
     なく、その結果「小売店にこのようなメリットを与える」という本来の目的が明確
     になっていなければなりません。

     さらに実際のリテールサポートを行うなかで当初予定した以外のメニューが必
     要になることもありますので、順次メニューを追加していきます。

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サービス業におけるP/Aの募集と面接

                 

サービス業におけるP/Aの募集と面接

■サービス業の価値はP/Aの質によって評価
 パート・アルバイト(以下P/A)には、労働契約の期間が数カ月と短く、賃金も低いといった
 特徴があります。
 こうしたP/Aを、多くの企業は短期で廉価な労働力と位置付け、「人数の調節が容易
 (採用から退職までのサイクルが短い)な単純業務の従事者」として活用しています。

 例えば、ショッピングセンターなどの流通業は、年末の繁忙期に合わせて大量のP/Aを
 採用し、商品の配送スタッフなどとして活用するが、労働契約の期間は年内で満了する
 ように短く設定されるのが通常です。

 CS(顧客満足) という言葉が一般的になるきっかけとなった1990年に出版された
 『真実の瞬間』という本 (スカンジナビア航空のサービス戦略はなぜ成功したか:
 ヤン カールソン著)
があります。
 スカンジナビアン航空の事例をCS活動として紹介しているこの本は、「真実の瞬間」という
 タイトルにすべてが込められています。

 サービス業はお客様と直に接するビジネスです。
 お客様と接するわずかな“瞬間”がその企業(店舗)に対する印象を形成し、満足度に
 大きく影響します。
 だから「真実の瞬間」というタイトルにインパクトがあります。

 では、サービス業において「真実の瞬間」にお客様に接しているのはどんな人でしょう。
 小売店や飲食店の場合、P/Aであることが多いはずです。
 つまりサービス業において、企業(店舗) の価値はP/Aの質によって評価されるといっても
 過言ではないのです。

 今では、流通業を中心にパートをより戦略的に活用しており、優秀なP/Aの時給を引き
 上げたり、正社員に登用するなどの動きも活発化しています。
 こうした企業は、正社員の代行が務まるような優秀なP/Aが存在することに注目し、
 そうしたP/Aを正式に社員として雇用し、自社の戦力にしようと考えているのです。

 このような、企業におけるパート活用方法の変化の影響で、P/Aの募集条件にも目立った
 格差が生じてきているのです。

□採用活動を始める前に、辞めさせないことを考える
 サービス業のコスト構造の中で、人件費が大きなウエイトを占めることはいうまでもない
 ことです。
 P/Aが辞めずに長く勤務することが、人件費コストの低減につながります。

 新人を雇うことは、募集にかかわるコストはもちろん、訓練・教育の時間(P/Aと教える
 社員の時間給)がかかりますし、仕事に不慣れな新人の生産性は高くありません。
 それに対し、仕事に熟練したP/Aが辞めずに長く勤務していれば、採用・訓練・教育関連
 のコストは発生しませんし、熟練者は、新人より多くの仕事をこなせますし、ミスも少なく、
 生産性が高くなります。

 いくら新人をとっても、なかなか定着しないという状況であれば、原因を探り、その問題を
 まず解決する必要があります。

 <P/Aの定着率を高める確認事項>
  1.時間給や待遇(交通費など) は近隣の相場に合っているかを同業種店舗の募集
   要項と比較する
  2.給与の支払いに間違いや遅延はないか
  3.勤務をする上での店舗のルール(特に遅刻・欠勤) は守られているか
  4.仕事の割り当てに不公平感がないか
  5.P/A間での対立や、悪口・陰口などが目立たないか
  6. 定期的にミーティングを行い、円滑な職場環境が維持できているか

□募集媒体として何を使うか
 どんな募集媒体を使うかによって、応募者の属性は変わってきますし、店舗の立地条件
 によっても有効な募集媒体は異なります。
 採用したいターゲットと店舗の立地環境に合わせて、募集媒体を選びましょう。

  (1)フリーペーパー
   コンビニやスーパーなどで手に入るフリーペーパーは、エリアごとに分けられた
   地域密着型の媒体です。
   求人広告の掲載料金は大きさにもよりますが、小さいものだと1週間掲載で1万円台
   からあり、学生、フリーター、主婦と幅広い層から応募を得ることができます。
   地域情報誌なので、そのエリアに居住している人が応募者となります。
   夜間人口の多い住宅立地の店舗では有効ですが、都心の店舗での反応は弱いと
   いえます。

  (2)新聞折り込み広告
   新聞折り込み広告は発行エリアが細分化されており、店舗の近隣に居住する人を
   採用したい場合に適しています。
   ただし、新聞を購読している人が対象になるので、応募が主婦、年配者に偏る
   傾向があります。
   掲載料は3万円程度です。

  (3)携帯・PCの求人サイト
   募集媒体として急速に広まっているのが携帯・PC求人サイトです。
   応募者は若い層(30歳くらいまで)が中心です。
   掲載料金は1カ月1万〜2万円程度ですが、最近では掲載期間無制限で、採用者1人
   に付き、いくらという料金体系のサイトも出ています。

  (4)店頭・店内の求人ポスター
   費用のかからない方法です。
   ただし、店頭・店内は、あくまでも商売のためのスペースですので、求人ポスター
   があまりに目立つのは考え物です。
   また、応募者は実際の店舗を見て応募することになりますから、働きたくなる
   ような職場であることが応募者獲得の大前提です。

  (5)友人紹介制度
   既存のP/Aに、友人、知人を紹介してもらう募集活動です。
   紹介者になんらかのインセンティブを出せば、促進されます。
   紹介された応募者も、友人・知人がいるので、安心して勤務を始めることができる
   ので、定着率は高くなります。
   ただし、1人の紹介者からあまりに多くの採用をしてしまうと、その人たちで
   グループができ、悪影響につながることもありますから、要注意です。

□いつ募集するのが最適か
 1年の中でP/Aの応募が多い時期と、少ない時期があります。
 また、企業・店舗側でも、採用が多い時期と少ない時期があります。
 当然ですが、企業・店舗側の求人が少なく、P/Aの応募者が多い時期に採用活動をした
 方が、質の良い人材を採用できる可能性が高くなります。
 景気の動向や、近隣に大型店舗が出店するなどの特情にも左右されます。
 年間を見通して、既存のパート・アルバイトの動向も把握しつつ、効率の良い採用計画
 を立てましょう。

□良い面接のための準備
 求人広告などを出したら、次は店長の面接で採用者を決めることになります。
 良い面接を行うためには、しっかりとした準備が必要です。忙しい店舗の営業をしながら、
 面接の時間を確保しますから、効率の良さも求められます。
 まずはターゲットを絞る必要があります。

 何曜日の何時から何時まで働ける人が必要なのか、どんな職種を求めているのか、どんな
 属性(学生・フリーター・主婦)の人を求めているのかなどをあらかじめ考えておきます。
 店舗の要望に対して、まったく的外れな応募者と面接しても、時間の無駄になるだけです。 
 応募は電話で受け付けることが多いと思いますが、その段階で最低限の条件を示して、
 面接者を絞っておく方がいいでしょう。

 例えば、日本語があまりできない外国人を採用するつもりがないのであれば、断った
 方が効率的ですし、希望勤務時間帯が店舗で求めている曜日、時間帯とまったく合わない
 応募者なども、断った方が無駄な面接をせずに済みます。
 応募の電話は必ずしも店長だけが受け付けるわけではないので、他のスタッフでも受けられる
 ように準備をしておきましょう。

 <面接のために準備すること>
  1.電話で断る応募者の条件を整理しておく。
  2.店長が面接できる日時を指定しておき、店舗側の条件と合う応募者の面接
    日時を確定する。
  3.応募者の氏名、連絡先、属性、希望勤務時間帯などをメモするためのノート
    などを用意する。
  4.面接時に履歴書を持ってくるように伝える。

集客・販売強化のための売場環境

               

集客・販売強化のための売場環境

 小売店が商品を販売する際には、その商品を顧客に購入してもらうため、棚やケースなどに
 商品を陳列する必要があります。
 商品陳列は、単に販売する商品を並べればよいというものではなく、販売戦略全体の流れの
 中で決定されるべきものです。

  品ぞろえの決定 ……… 何を誰に売るのか、取り扱い品目の決定
    ↓
  棚割の決定 …………… 売り場スペースと商品の配置の決定
    ↓
  陳列方法の決定 ……… 陳列什器への商品の並べ方の決定

■集客力強化には顧客ターゲットを絞り込む
 1.顧客ターゲットを明確に
  小売店の集客力は品ぞろえに比例します。
  また、豊富な品ぞろえを可能にするのは物理的な店舗規模の大きさであり、言い方を
  変えれば小売店の集客力は店舗規模に比例するといえます。
  従って、中小の小売店が大規模店と競争するには、大規模店にはない品ぞろえで対抗
  する必要があります。

  限られた店舗スペースを有効に活用するには、取扱商品を絞り込み、絞り込んだ商品の
  品ぞろえを充実させるなど、得意な専門分野に特化した店舗展開は大型店など競合店
  との差異化につながり、集客力・販売力の向上につながります。
  中小の小売店が大規模店と競争して集客するには、店の個性や特長が必要です。
  他店との違いや魅力がなければ大きな集客力を発揮することはできません。

  顧客ターゲットを絞り込んだほうが集客力を発揮しやすいものです。
  その店には誰が買いに来るのか、または誰に売りたいのかを明確にします。
  顧客ターゲットは、居住地域、年齢、性別、職業、収入、趣味などで絞り込まれて
  いきます。

  これを続けていくと最後は個人レベルにまで絞り込まれます。
  顧客ターゲットを絞り込めば絞り込むほど、売場づくりや品ぞろえがより個性的になり、
  他店との差異化につながります。

 2.楽しいショッピング
  通信販売を利用すれば、買い物に出かけなくても欲しい商品を購入することができます。
  しかし、それは消費行動の一部であり、どれだけ通信販売の利用者が増えても、基本的
  には店に行って、自分で見て、聞いて、試して、比較して、購入したいものです。
  この一連の消費行動が消費の醍醐味であり楽しみなのです。

  つまり、楽しい買い物を提供できる店に消費者は集まるのです。
  5月の大型連休などに海外旅行に行ってデューティーフリー(名税)で買い物、東京の
  銀座や原宿での買い物など、実はショッピングは楽しみであり、レジャーの一つとして
  数えることもできます。
  ショッピングの楽しさが提供できれば、売上実績につながります。

  モノがない時代には、店頭に商品を並べれば売れました。
  しかし、モノが豊富に溢れる時代になると、多くの種類の中から好きなモノを選んで
  購入できるようになります。
  どんなに安くても、必要のないものは誰も購入しません。

  必要なもの、欲しいものであれば、値段は高くても購入するものです。
  売場において購入動機を意識させる必要があります。
  そのためには、単に素通りしてしまうだけの店ではなく、少しでも立ち止まり、商品を
  見て触れて試してみたくなるような、売場演出の工夫が必要です。

  来店客に少しでも楽しんでもらうことが大切なのです。
  一般に滞留時間に比例して、商品の購入確率が高まるといいます。
  同じ商品であっても、陳列の場所や見せ方によって売場の雰囲気は大きく変わります。
  どのように来店客に商品をアピールし、目を楽しませ、買う気を起こさせるかが重要です。

□見やすい買いやすい売場
 1.通路 
  店には入口と出口、店内を回遊するための通路が必要です。
  小規模店の場合、入口も出口も同一でしょうが、食品スーパーなどのように店舗
  面積が広くなると、入口と出口、通路のあり方が重要になります。
  入口と出口といっても、来店客を出口からは入れず、入口からは出さないということ
  ではありません。

  店舗立地や人の流れから、メーンとなる入口を設けて、それに対して出口を設けること
  です。
  どちらが入口でどちらが出口でも問題ありません。
  店舗の立地上、道路の人の流れが右から左への流れが多ければ、右に入口、左に出口
  とするのが自然でしょう。

  人の流れが逆であれば入口と出口を逆にします。
  人は無意識の状態だと時計と反対回りに回る習性があるといいます。  
  また、人は無意識のうちに左側通行をする習性があるといいます。  
  入口と出口を設けるのは、商品の陳列構成を考慮してのことです。
  来店客にどのような順序で商品を見て欲しいか、単に商品を並べればよいのではなく、
  商品の見せ方を重視すれば、入口から入って出口まで、商品陳列に工夫を凝らすことが
  できます。

  買い物客は、事前に買うものを決めているケースもありますが、多くの場合、売場で
  決めるケースのほうが多いといわれています。
  例えば、特売品を求めて来店した客が特売品以外の商品を購入するケースなどがそうです。
  また、スーパーの食品売場を見ながら夕飯のメニューを考えるのもそうです。

  A店とB店を見比べて購入するのもそうです。
  店で実際に見て触れて検討してから購入を決定するケースがほとんどといえるでしょう。
  従って、いかに来店客に店内の商品を見てもらうかが重要であり、そのためには効果的な
  見せ方の工夫が必要であり、見せ方の工夫の一つとして、見せる順序も重要な要素
  として考える必要性がでてきます。

 2.売場構成
  主通路に沿った陳列スペースには、顧客の注意を引きつけ購入に結びつきやすい主力
  商品を配置します。
  これは消費量が多い商品であり、購入頻度の高い商品である必要があります。

  より多く消費するということは、生活の中で必要不可欠な商品であり、また、購入頻度が
  高いということは、その来店時にも購入される確率の高い商品です。
  食品でいえば、生鮮3品(青果、鮮魚、精肉)のほか、パン、牛乳、納豆、豆腐、惣菜
  などデイリー商品がこれに該当します。

  一方、米、味噌、しょう油などは毎日消費するものですが、購入頻度という点では
  当てはまりません。
  電気製品であれば、入口付近に配置するのは、テレビや冷蔵庫などの大型家電ではなく、
  電球、蛍光灯、電池、ビデオテープ、電気シェーバーなどの消耗品や小型家電を配置し、
  テレビや冷蔵庫などの大型家電は店の奥ということになります。

  衣料品店の場合、シャツ、トレーナー、ハンカチ、靴下などの小物を入口付近に配し、
  スーツやフォーマルウエアなどは奥に配置することになります。
  商品価格の点からは入口から店奥に向かって低価格商品から高額商品へと陳列する
  ほうが、財布の紐を緩めやすいといわれています。

 3.来店客を店の奥へと引き付けるマグネット
  売場構成にはメリハリをつけて、来店客の注意を引くとともに、顧客を店の奥へと
  誘導し購入意欲を高める必要があります。
  来店客を引き付け、店の奥へ奥へと誘導するマグネットの役割をする商品を配置して
  いく必要があります。

  これはホットな話題性のある商品、売れ筋商品、最先端の商品でなければなりません。
  華やかさがあり、ほかの商品より際立っている必要があります。 
  ほかの商品よりも際立たせるためには、商品の陳列方法にも工夫が求められます。
  段差を設けたり、スポットライトを当てたりして、目立つようにディスプレーする
  必要があります。

  また、このようなマグネット商品は常に同じものであっても陳腐化し、マグネット
  としての力が衰えます。
  マグネット商品は定期的に変更し、売場を常に新鮮で活気のあふれる雰囲気を保つ
  必要があります。

 4.エンド陳列売場
  陳列台(什器)の両端の部分をエンド陳列売場といいます。
  エンド陳列は、主通路を歩く客を副通路に誘導する働きをします。
  エンド部分は比較的目立つ場所なので注意を引きやすく、副通路に陳列してある商品の
  中で、目玉商品といえるものを置くと、それに興味を持った客は副通路の奥へと進んで
  いきます。

  また、副通路の商品よりもエンドに陳列したほうが商品はよく売れます。
  そこで、利幅が大きいなど販売政策上売りたい商品を意図的にエンドに陳列すれば
  販売数量の増加につながります。

□陳列方法の工夫
 1.明るさ
  人は暗い場所より明るい場所のほうが安心できます。
  店の入口は明るいほうが入店しやすいものです。
  また、入店客を店の奥に誘導するには店の奥をさらに明るくする必要があります。
  店全体を同じ明るさにするのではなく、入口と店の奥を明るく見せればよいのです。

  離れたところから明るさの違いを表現するには、床よりも壁面に光を当てることです。
  従って、店の奥を明るく見せるには壁面にライトを当てることです。

 2.見やすさ
  人の視線は、正面よりやや下方向を向いています。
  店内では客の視線は近くのものから店奥に流れていくことになります。また視線は
  左から右へ流れやすくなっています。
  通常、人の見る順序は左側を見てから、右側に視線を移していきます。
  国旗は左側に旗竿が来る配置になっています。

  人物画の横顔は左向きが一般的です。
  これは、人が左から右に視線を移す習性があるためです。
  右利きの人が多いことも影響しているのかもしれませんが、向かって左側よりも右側に
  商品を置いたほうがよく売れます。
  また、腰から肩の高さが、見やすく、手で触れやすい高さで、ゴールデンゾーンと
  呼ばれています。

 3.美しすぎてはだめ
  人はきれいに並んだものを美しいと感じ、好ましく思うものです。
  これはバランスがとれているということでもあります。
  人は色彩、素材、サイズ、形など似たものが一緒になっていると見やすく分かりやすく
  感じます。

  商品陳列をする場合、商品分類をはじめとして、ブランド別、価格別、色別、素材別、
  目的別などで商品グループをまとめることになります。
  見た目を意識すれば、形と大きさでまとめることになります。
  しかし、定規で測ったようにあまりに美しすぎるものは、それを乱すことを避けたい
  という意識が働きます。

  また、人は統一された中に秩序ある変化があると楽しい感じを受けます。
  従って、美しさの中にあえて不規則な陳列を行うことで、緊張感ではなく安心感を演出
  することができます。
  商品を陳列するとき、平面的に並べる方法と立体的に並べる方法があります。

  一般に、人は平面的に並べられたモノより立体的に並べられたものに注目しやすく、
  強い印象を受けます。
  従って、エンド陳列など注意を引きたい場所の陳列などは立体陳列にするなどして、
  注意を引くようにします。

 4.安価なイメージの演出
  八百屋の販売方法に一山で○○円、1かご○○円という販売方法があります。
  安価なイメージを演出するためのオーソドックスな方法ですが、投げ売りという
  イメージで、籐かごなどの中にわざと無造作に商品を盛り込んで、○割引とすると
  安価なイメージを演出することができます。

  この場合、ボリューム感を持たせるために籐かごの中にものを詰めて商品がかごの上に
  大きく盛り上がるようにします。
  また、かごの中が大きく目立つようにかごを斜めに傾けるなどして、かご内の視認性を
  高めるようにします。

  また、商品を台の上に立体的にきれいに並べるのではなく、台の上に放り込んだような
  イメージで商品を盛り込み、○個で○○円などとすると安価なイメージがします。
  しかし、傷みやすい商品は避ける必要があります。
  食品の場合、缶詰など多少乱暴に扱っても傷まない商品が好適です。

  グロッサリー(食品雑貨)など、梱包用のダンボール箱に入れたまま、カッターで
  ダンボールの上部をカットして積み上げて陳列すると、手間をかけていない販売方法が
  安価なイメージを演出することができます。
  また、バックヤードから台車に入れたまま売場に陳列する方法もとられます。
  これも手間をかけていない印象から安価なイメージを演出することができます。

 5.目立たせるための演出
  通常の什器陳列ラインよりも前に張り出させることで、ほかの商品よりも目立たせる
  ことができます。
  エクステンド陳列(張り出し陳列)といい、重点商品を目立たせるのに効果的です。
  また、アイランド陳列(島出し)陳列で、通路の真ん中に陳列台をおいて商品を陳列
  すると、目立ちます。

  エクステンド陳列もアイランド陳列も、売場が整然と整理されている場合に、有効な
  演出方法であり、売場全体が、張り出していたり、島出しされた売場では、その演出
  効果がないばかりか、通路をふさいでしまうことになります。

 6.沈黙の販売員「POP」
  POP(Point of Purchase)は、販売時点広告という意味です。
  POPは商品内容、特徴、価値などを伝えることができます。
  販売員の言葉以上に買い物客に内容が伝わることもあります。
  「私がつくった野菜です」と生産者の顔とコメントがついていたら、それだけでその
  野菜の種まきから育成、出荷など生産段階の様子を想像することができます。

  また、「私のお勧め品」として、店の販売員の顔と名前、さらに勧める理由をつけます。
  店(企業)としての売り言葉というよりも、1人の販売員としての意見のほうが、
  人間味という点でリアルに伝わるものです。
  POPには印刷と手書きが考えられますが、どちらがいいかは一概にいえません。

  印刷は美しさの点で手書きより優れています。
  一方手書きは味や個性の点で印刷より優れています。
  POPの形状は長方形が多いのですが、縦と横の比率が最も優れているのが、1:1.6
  または5:8であり、この比率は黄金比と呼ばれています。

□楽しい雰囲気の売場づくり
 1.行列と人だかり
  行列や人だかりがあると人は興味を持ちます。
  また、その行列や人だかりの先にあるものに価値を感じるものです。
  行列に並ばなければ入手できないという希少価値が生じます。

  店や売場としては、この行列や人だかりは流行っているという印象を与えることが
  できます。
  行列を演出するには、客との応対に少し長く時間をかけるなどして、次の客が並ぶ
  のを待ちます。

  不思議なもので、客が買っている姿を見ると、つい買いたくなるものです。
  2人並ぶと3人、4人となり、5人も並ぶと行列の様相になります。

  もちろん、行列が長くなりすぎては、逆にストレスを感じさせることになり、せっかくの
  販売機会を逸してしまう恐れがあります。

 2.イベントを盛り込む
  マグネット商品の陳列スペースでは、スケジュールを組んで、イベントごとにテーマを
  決めディスプレーを考えるとバラエティーに富んだ展開ができます。
  年間の大きなイベントとしては、正月、節分、バレンタインデー、ひな祭り、ホワイト
  デー、彼岸、子供の日、母の日、父の日、七夕、夏休み、盆、敬老の日、運動会、
  孫の日、クリスマスなどが挙げられます。
  しかし、これでは当たり前すぎるかもしれません。
  ここに地域のイベントを盛り込んだり、店独自のイベントを盛り込むと他店との違いを
  打ち出すことができます。

 3.顧客満足に向けて
  商品を買うのは人です。
  人は商品を収集するために購入しているのではありません。
  食品は食べるために、道具や用具は使うために購入するのです。
  また、買い物の喜びは、それを買う過程が重要なのです。
  同じ商品を買うにも、満足したり、不満であったり、不安が残ったりします。

  店の販売員は、楽しい買い物を手助けするのが仕事なのです。
  購入動機に安さを挙げることができますが、安さは相対的な価値評価であり、絶対的な
  購入動機ではありません。
  もちろん、安いから来週の分も買い置きしておこうという考えは起きるかもしれませんが、
  安いから消費量が増えるということにはなりません。

  安さでしか商品価値を提案できない店では、「商品はたくさんあるのに欲しいものが
  ない」ということになります。
  安さによる満足もありますが、それには価値への満足がともなわなければならない
  のです。

  「今日は、イカが安いよ。焼いてよし、煮てよし、でも今日のは刺身が一番」この
  言葉には「安い」だけではなく「新鮮で、おいしい」というメッセージが入っています。 
  豊かな時代の小売店は、豊かな生活を送るための商品を提供しているのであり、豊かで
  快適なクオリティーライフの提案者である必要があります。

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小売業の接客

           

小売業の接客

接客
  接客に携わる者にとって不可欠な要素として、態度、言葉遣い、身だしなみが挙げられます。
 親切で誠意があり礼儀正しい態度は、その人の人間性の評価につながります。
 言葉遣いは、その人の人格が判断されますので、正しい言葉遣いを身に付ける必要が
 あります。
 常に清潔で、衛生的な身だしなみは、人に好感を与えます。
 態度、言葉遣い、身だしなみは第一印象で判断される事柄です。
 第一印象が好印象ならば、販売につながる可能性が高くなります。
 逆に第一印象が悪ければ、お客様は何も買わずにそのまま店を後にするかもしれません。


 1.接客は購買意思決定に大きく影響する
  私たちがお客として店を訪れたとき、「接客がとてもよくて、買う予定のないものまで
  つい買ってしまった」という経験は誰しもあるでしょう。
  逆に、嫌な接客を受けて、二度とその店に行かなくなったということもあるでしょう。
  お客様が店に最も求めているものは「欲しい商品やサービスを提供してくれること」
  ですが、私たちは経験から、「販売スタッフの接客」が購買に大きく影響していることを
  知っています。

  誰しも嫌な接客を受けた店より、感じのよい接客を受けた店で商品の購入をしたいと
  思っています。
  店側としては、お客様に「感じがよかった」「また来たい」と思わせる接客を提供
  していると自信を持っていえるようにしたいものです。

 2.店が考える「よい接客」はお客様にとってよい接客か
  「よい接客」とはもちろん、お客様の立場に立った接客であることがポイントです。
  しかし、お客様の立場に立った接客を実行しているにもかかわらず、「お客様となかなか
  意思疎通ができない」「お客様が満足しているようにみえない」ということが少なく
  ありません。

  それは、販売スタッフが接客を考えるとき、あくまでも店側の視点で、「お客様が喜ぶ
  であろう」接客を実施しているため、実際にお客様が喜ぶ接客とギャップが出てくる
  のです。
  ここで実際によくある接客のギャップ例をみてみましょう。

  お客様が入店してきました。
  特に買うものが決まっていないようで、端から商品をいろいろと見ています。
  そこで、販売スタッフが「お客様はいろいろと商品を見ている。まだ買う商品を決めて
  いないようだから、いくつか商品をお勧めしてみよう。それぞれの商品の特長をお伝え
  したら喜ぶかもしれないなあ」と考え、接客を始めました。

   販売スタッフ:「いらっしゃいませ。今、お客様が手に取っていらっしゃるのは、
          今日入荷したばかりの商品ですよ。今年の流行を取り入れた
          デザインで、色がとてもきれいですよね」
   お客様   :「そうね。とてもきれいな色ね。でもちょっと派手かしら」(と言い
          ながら、ほかの商品を手に取る)
   販売スタッフ:「あっ、そのシャツはとても人気がありますよ。色と形がシンプル
          なので、どんな上着にも合わせられますし。ほかにも、このシャツも
          人気がありますよ」(と、ほかの商品をお客様に見せる)
   お客様   :「そうなの」(と、今度はセーターを見始める)
   販売スタッフ:(お客様について行き)「セーターでしたら、こちらの商品が
          お勧めです。軽くて着心地もいいし、お値段も手ごろです」
   お客様   :「…そうね」

  結局、このお客様は何も買わずに店を出てしまいました。
  これは「お客様が喜ぶであろう」接客ではなく、実は「商品を売るための接客」をして
  しまったためです。
  これが、お客様が実際に望んでいる接客とのギャップになっているのです。

 3.自分がお客様の立場に立ってみる
  先の例に挙げた接客を、もし自分が客として受けたらどう感じるか考えてみましょう。
  「一緒についてきてしつこい」「自分のペースで見たかった」と思うのではないで
  しょうか。
  もちろん、中にはいろいろな説明を受けたいというお客様もいるでしょうが、自分の
  ペースで見たいと考えるお客様もいることを、販売スタッフは理解しておかなければ
  なりません。

  場合によっては、あえて話しかけない、または一言声をかけるだけにして、自由に
  商品を見てもらうことが「接客」である、ということを知っておく必要があるのです。
  このように考えると、「お客様によって求められる接客が異なるため、接客はとても
  難しいもの」と思えてしまいます。
  確かに、個々のお客様が求めている接客は全く同じではないため、「これが絶対に正しい」
  というものはありません。

  しかし、接客を考える場合、自分がお客様の立場に立ったときに受けたい接客を考えれば、
  本当にお客様にとって「感じのよい接客」「また来たいと思う接客」のヒントは導かれ
  そうです。
  そこでここでは、小売業での接客シーンごとに、お客様の視点からみた「感じのよい接客」
  「来店を促す接客」について考えていきます。

接客のシーン別にみる「お客様の視点に立った接客」
 1.接客の流れ
  通常、小売業の接客は、「来店→アプローチ→会話→会計→退店」という流れに沿って
  行われています。
  そこで、それぞれのシーンごとでお客様の視点に立った「感じのよい接客」
  「また来たくなる接客」をみてみましょう。

 2.お客様が来店する前:「お客様を招き入れる」という気持ちで来店を待つ
  店に入るとき「なんとなく入りにくいなぁ」と感じたことは誰しもあるはずです。
  入りにくい店を思い浮かべてみてください。
  「入りにくい店」に共通しているのは、お客様を緊張させる状況をつくり出している店
  といえます。

  例えば、「店の中に人がいない」「販売スタッフが入り口で客を待っている」という店は、
  なかなか入りにくいものです。
  これらに共通していることは、「動きがない」ということです。この「動きがない」という
  状態が、お客様を緊張させ、「なんとなく入りにくいなあ」と感じさせる原因の一つ
  なのです。


  小売店では、お客様が入りやすい状況をつくらなければなりません。
  「動きがないとお客様を緊張させる」ということを逆に考えると、動きがあれば、お客様が
  緊張せずに店に入りやすい状況をつくり出すことができるということです。
  具体的には、
   「簡単な商品整理などをしながらお客様を待つ」「店の外を軽く掃除する」などの
   ようにあえて動きを出す
  ことで、お客様を緊張をさせない状況をつくり出すのです。

 3.来店:「いらっしゃいませ」に込める意味と気持ちをしっかりと理解する
  自分が客として店に入ったとき、「いらっしゃいませ」というあいさつがないと、
  「あれ?気付かなかったのかな」と少し違和感を感じます。
  また、あいさつがあったとしても無表情で視線を外したままであったり、声に抑揚が
  ないと、機械的な感じがしてあまり気持ちのいいものではありません。

  このような場面で、私たちが違和感を感じるのは、
接客に携わる者はまず、きちんと
  あいさつをするのが当たり前だ
という気持ちがあるからです。
  そのため、「あいさつができない店=接客ができない店」と考えてしまい、最終的には、
  「この店は自分を客としてみていないのだ」という不満をお客様に抱かせてしまいます。

  もちろん店の接客マニュアルでは、「お客様が来店したときには、あいさつをしましょう」
  と決められているはずです。
  しかし、販売スタッフによっては「忙しい」「気付かなかった」などという理由で
  あいさつをしなかったり、決まりごとだからあいさつさえしておけばいいと、おざなりな
  あいさつをしているケースがあります。

  私たちは経験から、あいさつには、
「よく来てくださいました、お待ちしていました」
  という迎える気持ちとともに、「あなたをお客様として認識しています」という意思表示
  という意味が込められていることを知っています。
  逆に、あいさつがないということは、「あなたをお客様として認識していません」という
  メッセージになるのです。

  このように、あいさつをしないことで、お客様に店に対するマイナスイメージを与えて
  しまっては、その後のお客様の購買行動に悪影響を与えます。
  販売スタッフは、このことをよく理解し、「お客様に対する意思表示」として、自然な
  笑顔とともにあいさつをする必要があります。

 4.アプローチ:お客様の行動からその心理を読み取って接客をする
  最初に挙げた例のように、接客に一生懸命になるあまり、お客様に対して過剰なまでの
  アプローチをしてお客様が嫌な顔や生返事をしている場面を見ることがあります。
  逆に、お客様が販売スタッフに話しかけたいそぶりを見せても、販売スタッフがお客様に
  無関心でお客様のそぶりに気づかない場面もあります。
  自分が客であったら、こうした販売スタッフの態度には不満を感じるはずです。

  これはどちらもお客様の行動や気持ちに注意を払えていない状態がもたらした結果と
  いえます。
  お客様の行動や気持ちに注意を払うことは、個々のお客様が求めている接客を考える上で
  基本となるものです。

  お客様の行動や気持ちに注意を払うことで、お客様が望んでいるものが分かり、そこで
  初めて個々のお客様が求めている接客をすることができるのです。
  お客様の行動や気持ちに注意を払うことは、何も特別なことではありません。
  お客様の顔や表情、しぐさに気を配れば、見当をつけることができるはずです。

  例えば、
  ・お客様がゆっくりと商品を見て回っていたり、お客様同士で話に夢中になっている
   など、販売スタッフを必要としていない
    →お客様に意識を置きつつも、視線をお客様から外して適度に距離を置く
  ・お客様が販売スタッフに顔を向けている、辺りを見渡して探し物をしているなど、
   明らかに販売スタッフを求めている
    →すぐにお客様のそばに行って声を掛ける
  というように、お客様の行動から、気持ちを読み取ります。

  ただし、このようにお客様の行動からその気持ちを読み取ることができるようになるには、
  経験が大きく寄与することは否めません。
  新人の販売スタッフが「お客様の気持ちを読み取って接客するように」と言われても
  混乱するだけでしょう。

  経験が足りず、お客様の心理が分からないという場合には、店長など接客経験の豊富な
  人が、どういう場面でどういう対応をしているのかを観察し、まねをしてみるとよい
  でしょう。
  それと同時に「なぜこの場面でこの対応なのか」を考えていけば、お客様の心理が
  何となくでも分かるようになってきます。

 5.会話:言葉のキャッチボールを心掛ける
  販売スタッフが一方的に商品説明をしたり、逆にお客様の質問に満足に答えないなど、
  お客様と会話が成り立たない場合、お客様は販売スタッフや店に対して不満を持ちます。
  例えば、パソコンを見ていて、機能がよく分からないから販売スタッフに説明を求めた
  とします。

  そのとき、A店の販売スタッフは「この機能は○○や△△という場合に使います。
  使い方はこちらのボタンを押していただくだけで簡単に使うことができます」と答え、
  B店の販売スタッフは「この機能は便利ですよ。最近売れていますし、お勧めですよ」と
  答えました。
  どちらの店で商品を買いたいと思うでしょうか。

  同じ商品・同じ価格であったとしたら、A店で商品を買いたいと思うのではないで
  しょうか。
  A店の販売スタッフはお客様からの質問に対して的確に答えているのに対し、B店の
  販売スタッフは「便利」「お勧め」など感覚的な言葉を並べただけで、結局お客様からの
  質問に答えられていないからです。

  これではお客様を満足させることはできないでしょう。
  販売スタッフは、お客様との会話は購買意思決定に関するとても重要な要素であるという
  ことをしっかりと認識しておく必要があります。
  とはいえ、販売スタッフの中には「お客様との会話が苦手」という人もいるかもしれ
  ません。

  そういう人は、会話をするということを難しく考えすぎているのではないでしょうか。
  お客様と会話をするのは、特別なことではないのです。
  お客様が望んでいる会話は「質問に的確に答えてくれる」「事前に説明が必要な事柄を
  きちんと伝えてくれる」など基本的なことです。

  つまり、きちんとした商品知識さえあれば、特別な話術やユーモアが必ずしも求められる
  わけではないのです。
  「お客様との会話が苦手」と考えている販売スタッフは「会話そのものができない」
  のではなく、「商品知識がお客様の求めるレベルに達していない」ため、お客様との
  会話が苦手だと考えてしまうケースが多いのです。

  お客様との会話をスムーズに行うには、
   日ごろから商品知識の充実を心掛けるとともに、
   販売スタッフ同士でロールプレイングを行う
  などして、苦手意識を取り去ることが大切です。

 6.会計: 正確で速く、丁寧な対応をする
  会計時は、正確さ・早さ・丁寧さが求められます。購入を決めたお客様にとっては、
  レジでのやり取りは店側の処理作業でしかありません。
  そのため、特に時間をとられることを嫌います。
  実際、自分が客として店に訪れたとき、レジがなかなか進まなくていらいらしたり、
  使われていないレジがあるにもかかわらず、販売スタッフがレジを開けないことに不満を
  持ったりしたことはあるでしょう。

  このように、待たされることで生まれるお客様の不満をなくすため、レジ処理は素早く
  行うことを心掛けます。
  とはいっても、レジ処理を速く行うことばかりに気を取られ、商品を乱暴に扱ったり、
  金銭のやり取りをぞんざいに行ってはいけません。
  お客様にとって、そうした行為は、自分がぞんざいに扱われているような気分になる
  ものなのです。

  そのため、レジ処理では「丁寧さ」も求められることになるのです。
  また、お客様を対応する順番を間違えるようなことは絶対にあってはいけません。
  販売スタッフの勘違いやレジ処理の効率性を優先して、後から来たお客様を先に接客
  するようなことがあると、先に待っていたお客様の不満は高まります。

  先に待っているお客様にとっては自分が優先して接客を受けるのは「当然」である
  ので、この「当然」が覆されれば、誰しも不満を持つのは明らかです。
  このように考えると、レジでは、
   ・お客様がレジに並び始めたら、フロアにいる販売スタッフは率先してレジに回る
   ・お客様の視線を意識して、商品を丁寧に扱う。お客様からお金をいただくときには
    両手で受け取る、お客様にお金をお渡しするときには、お客様が完全に受け取る
    まで手を離さないなど、一つ一つの動作に気を付ける
   ・順番を守るために「次にお並びの方からお伺いします」と一言声を掛ける
  などが求められます。

 7.退店:「ありがとうございました」に込める意味と気持ちをしっかりと理解する
  来店と退店の際のあいさつはお客様への「あいさつ」という点では同じです。
  しかし、それぞれ持っている意味には違いがあります。
  来店のあいさつは、「お客様として迎えています」という意思表示が目的でしたが、
  退店のあいさつは次の来店促進という意味を持っています。

  心がこもった「ありがとうございました」というあいさつがあると、お客様は「自分は
  大切な客として迎えられ、歓迎されたのだ」と感じることができます。
  客として歓迎されていた、と感じることのできたお客様が再び来店したい、と思うのは
  自然なことです。

  そのため、販売スタッフは「本日はありがとうございました。また、いらっしゃるのを
  お待ちしています」という気持ちで「ありがとうございました」と言うことが大切
  なのです。
  そうした気持ちで「ありがとうございました」とあいさつをすれば、自然と心のこもった
  あいさつになるはずです。

  ここまでみてきたシーンごとに求められる接客はすべて基本的なものであるため、既に
  マニュアル化されているものばかりかもしれません。
  しかし、マニュアル通りの行動がなされているにもかかわらず、冒頭で述べたように、
  販売スタッフや店がお客様とのやり取りでギャップを感じるのであれば、その接客は
  本当の意味でお客様の立場に立った接客にはなっていないといえるのです。

  こうしたギャップを埋めるには、販売スタッフが常にお客様の立場で物事を考え、
  お客様の心理をくみ取った接客を心掛ける必要があります。
  販売スタッフがそうしたギャップに気付き、自分がお客様の立場に立った接客を考え、
  行動することで、お客様が「また来たい」「この店で買いたい」と思えるような接客が
  できる店となるのです。


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在庫費用削減のポイント

                

小売業の在庫費用削減

  ■こんなにある在庫費用

   多くの小売店経営者は売上の拡大には非常に熱心ですが、在庫管理というと後回しに
   してしまいがちです。

   品切れによる販売機会のロスを恐れて、ついつい過剰な在庫を抱えている小売店が多い
   ようです。

   ここでは、そうした小売店経営者に在庫費用削減のための視点をもっていただくため、
   在庫費用の種類をご紹介します。

   <在庫費用の種類>

    ・仕入代金

     いわゆる在庫投資と呼ばれるものです。
     売れないまま倉庫や店にある商品は、資金を固定化させ、資金繰りを
     悪化させてしまいます。

    ・保管費用

     倉庫などに保管する場合は、商品を置いておくスペースが必要になります。
     倉庫を建てるコスト、倉庫の減価償却費が保管コストの代表です。
     また、店舗での在庫スペースは売り場面積を奪っているともいえます。

    ・減耗費用

     商品を在庫としてもっている間には、破損や減耗が生じます。
     在庫が多くなれば多くなるほど減耗費用は増大する傾向があります。

    ・金利

     仕入代金や倉庫の建設費用のために借りた資金の金利も在庫費用の
     一種になります。

    ・保検料

     在庫商品そのものや倉庫にかける保険料も在庫費用です。

    ・運搬費用

     商品をトラックから降ろす、倉庫内で移動させるなど、人手が必要な運搬
     作業では、人件費という形で在庫費用が発生します。

    ・返品費用

     売れなかった商品を返品する場合には、人件費や運送費が発生します。

  □在庫コントロールの基本

   1.適正な在庫量を知る

    在庫を減らすためには、まず、

     商品ごとに適正な在庫量を知ることが必要

    です。

    在庫がないと顧客の注文に的確に応えることができませんが、在庫をもつと資金が
    それだけ固定化されることは先に述べました。

    適正在庫とは、受注チャンスと在庫費用の均衡するポイントで決まります。

    年間を通じて維持すべき適正在庫量については、基本的に次の式で求められると
    いわれています。

     年限平均適正在庫=年間販売高予想÷年間予定商品回転率

    ここでの年間平均適正在庫は、あくまでも平均値であって、在庫管理上のひとつの目安
    となるものにすぎません。

    当然、商品ごとに季節や時間的な要因、安全在庫といった点を考慮して決定する必要が
    あります。

     ※安全在庫とは、出庫予測ミス・作業ミス・発注ミス・保管ミスなどにより
       在庫が過少になった時でも品切れを起こさないで済む在庫量のことです。
       一般的に、発注日から納品日までのリードタイム内で、出庫スピードが
       早くなった場合を想定して数量を決定します。

   2.在庫削減対象の商品を検討する

    各在庫対象品目ごとに適正在庫を決定したら、基準を超えている在庫対象商品を探し
    出し、在庫削減対象商品の候補とします。

    在庫削減対象を考える際には、

     ・適正在庫量の設定がきついと削減すべき在庫が増えすぎて処理が
      大変になる  

     ・適正在庫量の設定があまいと滞留在庫が増えて在庫削減の効果が
      薄れる

    ことを覚えておかなくてはなりません。

    なお、最終的に削減対象商品を決定する際には、次項でご紹介する商品全体の
    バランスを考えた過剰在庫検討の方法を併用することになります。

   3.入庫を調整して在庫を減らす

    在庫とは入庫と出庫の差です。

    在庫を削減するには、入庫のスピードと出庫のスピードをなるべく同じにすればよい
    ことになります。   

    出庫のスピードは、顧客の購買行動によって左右されるため、店舗側での調整は困難に
    なります。

    ですから、

     商品の仕入(入庫)のスピードを出庫のスピードに合わせることで、
     適正在庫を維持し在庫を減らす

    ことが必要になります。

    出庫スピードは、過去の販売データを分析して算出します。

   4.発注方式を工夫して在庫を減らす

    前節3で述べた仕入のスピードを調整するということは、発注を調整することにほか
    なりません。

    そこで、

     発注方法を対象商品ごとに検討することで在庫削減を実現する

    ことができます。

    次に3つの発注方式の内容と特徴を示します。

    <発注方式>

     ・定量発注方式

      この方式は決まった量だけ不定期に発注する方式です。
      たとえば、毎日在庫量をチェックし、ある在庫量(発注在庫量)を
      下回った時に定量発注をかけます。
      在庫チェックを頻繁に行なわなくてはならないことから、売れ筋商品
      などの出入りの激しい商品に向く方式です。

     ・定期発注方式

      この方式は定まらない量を定期的に発注するやり方です。
      たとえば、補充的に毎週月曜日あるいは毎月25日など、一定間隔で
      発注するところに特徴があります。
      在庫管理上あまり手間がかからないことから、在庫コストが小さかったり、
      量のあまり出ない買い回り商品に向いています。

     ・都度発注方式

      この方式は必要な都度、必要な量を発注するやり方です。
      売れ行きの読みにくい高額商品など、在庫をもちたくない商品に
      向いています。

   5.発注量を減らして在庫を削減する

    在庫を削減する方法として、発注量を少なくする方法があります。

    つまり、

     多頻度少量発注をすれば、在庫は当然少なくなる

    ということです。

    多頻度少量発注の基本的な考え方にJIT(Just In Time)の思想があります。

    これは必要な時に必要なものだけをつくるという生産管理の考え方で、在庫ゼロを
    理想としたものです。

    ただし、この方式は納入業者の納入コストアップにつながりますので、仕入代金に
    跳ね返ってくることがあります。

    最初の項で紹介した在庫費用間のバランスを検討したうえで用いる必要があります。

  □過剰在庫商品の決定と対応

   1.過剰在庫の決定

    在庫コントロールの基本で検討した商品ごとの「適正在庫」という基準に加え、商品
    全体のバランスも検討したうえで過剰在庫かどうかを判断することが必要です。

    商品全体のバランスは売上高と在庫高の整合性を見たうえで判断します。

    ここでは、ABC分析を用いて考えます。

    ABC分析は、売上構成比の高いものから、商品をABCなどのランクに分けて分析する
    方法です。

    商品を適切にランク分けしたうえでランクの高い商品を重点的に管理することで、
    合理的な在庫管理を行なうことができます。

    まず、売上高と在庫高においでABCの各ランク付けを行ないます。

    そして、売上高のランクよりも在庫高のランクが高くなっている商品を過剰在庫商品の
    候補として考えます。

    『在庫コントロールの基本』の項の個別商品の分析で在庫高が適正在庫を上回って
    おり、かつ、売上高と在庫高の関係からも過剰在庫の候補となった場合には、処分
    対象商品と考えることができます。

     ※ただし、今後の流行予測などから政策的に大量在庫としている場合は除きます。

   2.過剰在庫商品の処分

    過剰在庫品といっても、今後販売が見込めるものから、売れる見込みのないデッド
    ストック化している商品まで、さまざまです。

    ここで処分すべき商品は、デッドストックや、それに近い不良在庫です。

    この不良在庫の判断基準としては、売上高がCランクでありながら在庫高がAランクや
    Bランクとなっている商品や、売上がないのに在庫が存在する商品ということに
    なります。

    具体的には、

     ・季節はずれ商品

     ・旧タイプ商品

     ・競合商品に敗れた商品

    などがあげられます。

     不良在庫は早急にバーゲン品として処分していくことが必要

    です。

    バーゲン販売では粗利が取れなくても、

     ・集客の材料にできる

     ・固定化した資金を少しでも回収できる

     ・今後の在庫費用を削減できる

    からです。

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小売業のマーケティング

           

小売業のマーケティング

  ■カスタマー・シェアの拡大と顧客差別化の重要性

   これまで小売業では、定期的に特売品の広告を打ち、価格志向の顧客を引きつ
   ければ、いずれその顧客が固定客になり利益をもたらす、と考えられてきた傾向
   があります。

   しかし、小売業において経験的に知られ指摘されていることに、

    価格志向の顧客のうち、優良顧客となるのは一握りであり、
    大多数の顧客は、その後、短期間のうちに来店しなくなっている

   ということがあります。

   こうした実状を踏まえると、顧客を選別してセグメントしたうえで顧客の貢献度
   に応じて販売施策を請じること、つまり、個々の顧客の自店における購入額=「カ
   スタマー・シェア」の拡大を図ることが重要と考えられます。

   そのためには、

    データにもとづき、売上高に貢献している顧客を見極めて、
    的確なプロモーションを実施していくことが必要

   になります。

   これは「ワン・トウ・ワン・マーケティング」と呼ばれているものの実践であり、個別
   の手法としては「フリークエント・ショッパーズ・プログラム(=FSP)」と呼ばれてい
   るものです。

   小売業のマーケティングでは商品管理が中心に据えられています。

   POSによる単品管理により売れ筋と死に筋が把握できるようになり、売れ筋に集
   中した商品管理により販売効率を高めることが販売戦略の最大の要になったた
   めです。

   しかし、

    「カスタマー・シェア」拡大のためには、単に個々の商品の数字を追うだけ
    ではなく、個々の顧客の購買行動を把握して、個々の対応を打ち出して
    いくことが必要

   になります。

   こうした顧客の差別化は決して特別なことではありません。

   実際に、顧客の差別化は、航空会社、ホテルのマイレージ・サービスなどにみら
   れるように、消費者にも受け入れられているのです。

   また、こうした施策を講じるには、大規模なチェーンである必要はありません。

   実際に小売業の顧客の差別化が進んでいる米国小売業界においては、1店舗だ
   けの独立店であっても、こうした施策を成功させている事例をみることができます。

  顧客を差別化する際の考え方

   1.顧客を差別化する必要性

     顧客差別化の必要性は、次のような考え方から明らかになります。

     顧客の購買行動はさまざまで、一人ひとりが異なる利益(あるいは損失)を店
     にもたらしています。

     2割の顧客で8割の売上高を占めているという経験則(パレートの法則)は、長
     期的にみれば小売業についても当てはまり、顧客を差別化する合理性がはっ
     きりするのです。

     実際に、顧客データの分析は予想外の(上位顧客に売上が集中した)実態を
     示すことがあるといわれています。

     たとえば、期間を長くとるほど、継続的に買っている顧客と1回だけの顧客との
     店への貢献度の差が拡大することは明らかです。

     顧客ごとの、来店期間全体における貢献度(生涯価値=ライフ・タイム・バリュー)
     をみた場合、顧客を差別化して対応することの妥当性は明白になるでしょう。

     また、売上高に限らず、

      1回の購入金額が高いほど、単位当たりの固定費負担は少なくなり、
      顧客ごとの粗利益率は向上

     します。

     次表は、こうした例について、一例として考えたものです。

     こうしてみると、不特定多数への販売促進活動がきわめて非効率なことがわ
     かります。

     一方で、

      これまで特売にかけてきたコストを再配分し、上位蕪客への還元を多く
      すれば、公平で効果的なプロモーションが実施できる

     のです。

   2.顧客を差別化することで得られる優位性

     POSをはじめとする情報システムが普及したことにより、現在では個々の顧客
     に対応した販売を実現することはそれほど困難ではありません。

     商品別に構築してきた情報システムを顧客別に適用することで、多く購入して
     いる顧客に、さらに多く購入してもらえるように、

      顧客データベースにもとづいて一人ひとりの顧客に異なった販売条件を
      適用し、その結果の顧客行動の分析を通じて、さらに顧客別の対応を
      改善していくことが可能

     になっています。

     また、顧客差別化マーケティングの競争上の優位を考えると、すべての顧客
     層に同一価格で対応するのは、経済的に不利であるばかりか、店舗の競争力
     を弱めかねません。

     たとえば、

      顧客情報にもとづいて、優良顧客を対象に特売セールを実施したり、
      価格以外の面でもさまざまな特典を提供することで、顧客情報を
      もたない店から優良顧客を奪うのはこれまでよりも容易になる

     と考えられるからです。

   3.顧客を差別化することによる販売の効率化

     広告費を大幅に増やせば、売上高を拡大することは比較的容易かもしれませ
     んが、当然利益率は低下します。

     しかし、顧客を差別化することで、売上高と利益をともに拡大することが期待で
     きるのです。

     これは、先にも述べたように、1回の購入金額が高いほど単位当たりの固定費
     負担は少なくなるため、優良顧客ほど店舗にとって経済性が高いからです。

     また、

      1回当たりの購入金額が高くなるほど、特売品ではない定番の購入が
      増えるために粗利益率の向上が期待できる

     のです。

     実際に、米国小売業界において顧客差別化を実施している小売業では、

      ・利益に貢献しない顧客には低マージンの商品を販売しない
       (1回の購入額に最低限度を設けたり、広告に掲載する特売品を大幅に
       減らす)

      ・商品別の価格設定より、購入総額に応じた価格設定を重視する
       (一斉特売を減らし、顧客の購買実績に応じた特売価格を設定する)

     ことにより、多くの企業が利益改善に成果をあげていると報告されています。

     低収益(あるいは損失)しかもたらさない顧客に効果的にコストを転嫁でき、さ
     らに、高収益の顧客に効果的に利益を還元できるのです。

  □顧客差別化マーケティングの導入

   1.準備

     (1)特典プログラムを決定する

       まず、顧客の情報を集めることが必要です。

       顧客カードを導入して、カード会員に特典をつけることで会員組織を拡大
       し、顧客情報を集めるという手法が一般的です。

       その場合に検討しなければならないことは、メンバー全員に提供する
       特典プログラムの内容、費用対効果です。

       次に、効果的な告知方法が検討事項になります。

       売上高の70%以上、購入件数の半数以上を顧客番号付きにしなければ、
       顧客の全体像を把握することはできないと考えられています。

       そのためには、

        効果的な還元プログラム、会長勧誘キャンペーンによるPRなど、
        顧客にとってプログラムが魅力的になる工夫が必要

       になるでしょう。

       ほとんどの顧客がカードを所持するようになれば、一斉割引と大差がなく
       なってしまいますが、

        まずは顧客情報の収集が目的

       です。

       顧客情報の収集にもとづいて効果的に顧客差別化を進めるほど、広告と
       特売の主要なコストが顧客の収益性に応じて配分されるようになり、増収
       増益が期待できるようになるのです。

     (2)必要となる設備などを検討する

       顧客情報の収集方法(顧客カードの運用が一般的)、店舗に保管するデー
       タの種類、本部に保管するデータの種類と分析項目、また、ダイレクトメー
       ルとの連動方法など、さらにPOSを中心とするシステム要求と具体的な構
       築方法(社内構築、外部委託)などを検討します。

       まず、顧客差別化マーケティングの導入にあたって必要になる設備などを
       あげると、次表のとおりです。

       ここでは、顧客カード、POSシステム、顧客データ分析システムについてポ
       イントを以下にあげます。

       @顧客カード

        ここでいうのはカードの方式の検討です。

        普及している顧客カードには、磁気カード方式、ICカード方式などがあり、

         展開を考えているプログラム内容、顧客データベースシステムの
         仕様、想定される発行枚数、見込まれる経済効果などと導入コスト
         を比較検討して、カード方式を選択する

        ことになります。

       APOSシステム

        通常、小売店における商品管理のシステムにはPOSが使われています。

         顧客差別化マーケティングを実現するには、POSを拡張して、
         顧客データを一元管理するためのシステムを構築することが必要

        になります。

        POSに顧客カード読み取り装置を連動させ、POSデータを蓄積するストア
        コントローラー(店舗コンピューター)のデータ内容に、顧客データが追加
        されるようにシステムを組むことが必要になります。

       B顧客データ分析システム

        顧客データ分析システムにもたせるべき基本機能を検討します。

        主要な分析項目をあげると次のとおりです。

      顧客データ分析用のコンピューターを店舗ごとに設置するか、本部に集中す
      るかは、プログラムの運営方法や、店舗の規模、業態によって検討します。

     (3)ツールを作成する

       運営プログラムの内容、告知方法などにもとづき、店頭看板、店内ポス
       ター、サインボード、POP、会員申込書、などのツール類を作成します。

     (4)従業員教育、テスト導入を実施する

       会員募集の開始までに、従業員にプログラムを十分に理解させておくこと
       が必要です。

       従業員の理解促進とプログラム運用のテストの両面から、従業員に会員購
       入のモニターとして3カ月程度の運用を行うことなどが考えられます。

       また、パイロット店でのモニター顧客を対象にした運用、あるいはメーカーと
       の協同企画などもあわせて実施し、問題点、利点を洗い出すことも考えら
       れます。

   2.運用

     実際の運用において具体的に考えなければならないのが、得意顧客に順次
     還元する特典の内容をどのようなものにするのかということです。

     商品管理ではABC分析などによって管理の方法を変えますが、同様に、累計
     購入額の大きさによって顧客への対応を変えていくのです。

     顧客の購買行動が見返りに左右されるとすれば、単純に考えて、顧客に望む
     行動をしてもらい、それに対して見返りを与えるようにすればよいといえます。

      顧客のどのような行動に対して見返りを与えたいのか、顧客の立場から
      仮説を立てて、

       (1)有意義な顧客のグループ分けを考える

       (2)顧客グループ別の対応(特典)を考える

      必要があります。

      (1)有意義な顧客のグループ分けを考える

        まず、おもに購買実績に応じた単純な分類の例を考えると、たとえば次の  
        ようなものがあげられます。

        実際の運用では、さらに、細かい特徴で一人ひとりの顧客を分類できるよ
        うにすることも可能であり、効果的であると考えられます。

        たとえば、流行商品や特売商品ではなく、得意顧客が愛用している商品
        を知ることができれば、より細かく効果的な顧客別の対応が可能になるで
        しょう。

      (2)顧客グループ別の対応(特典)を考える

        こうした顧客分類を進めながら、価格の差別化、特典の差別化を行います。

        具体的には、顧客がどの程度利益を与えてくれているかによって特典を
        比例配分します。

        一般的に利用されている方法をあげると次のとおりです。

        その他、ソフト面で、より上位の顧客に特別な権利を提供する(サロンの
        利用、アドバイザーによる相談、特別会員用チェックアウト、など個別
        対応を行う)プログラムを実施するなどの差別化策があげられます。

        いずれにおいても、

         きめ細かい価格設定や特典設定によって、
         上位顧客への魅力あるプロモーションを展開することが必要

        です。

        その際、たとえば差別化プログラムを設ける場合には、上限を設けて効
        果をなくしてしまわないように注意が必要です。

        特典に上限を設けることは、優良顧客を、同様のプログラムを実施してい
        る競合店に追いやってしまいかねないからです。

        そうなれば、収益性の高い優良顧客の代わりに、大きなコストをかけて新
        しい顧客を増やきなければならなくなるでしょう。

   3.分析と評価

     一定の運用を行ったら、そこで得られた顧客の購買データを分析し、特典、プ
     ロモーションの見直しなどに生かしていきます。

     購買データの分析にあたっては、購買層、購買時期の分析だけではなく、個々
     の顧客の動向がつかめるデータ分析を行うことが必要です。

     「A商品を頻繁に購入しているのは誰か」「頻繁に来店しているのは誰か」など
     を分析したうえで、優良顧客の維持と販売効率の向上を目指します。

     具体的には、

      顧客に焦点を当てて、
      「いつ」「どこに」「どの商品を」陳列すれば販売効率が上がるか、
      顧客グループ別にどのような商品を購入する傾向が強いかなどを分析する

     ことが考えられます。

     頻繁に購入する顧客に焦点をあわせて売場の戦略を考え、上位顧客により
     ターゲットを絞って品揃え、商品構成を見直していきます。

     顧客の特性が把握できれば、顧客の購買行動を変える(購買心理を刺激す
     る)ようにプロモーションをきめ細かく展開したり、推奨したい商品についてター
     ゲット別にDMをうつといった施策も可能になるでしょう。

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小売店経営の戦略

            

小売店経営の戦略

  ■戦略検討の流れ

   経常環境の変化が激しい今日、明確な戦略をもたずに小売店を経営することは
   難しいといえるでしょう。

   小売店が戦略・戦術を検討する際の一般的な流れは次のようになります。

   経営理念とは、「自分たちはこうありたい」、「社会に対してこのような貢献をした
   い」といった自店が存在する意義を明文化したものです。

   この経営理念を基に、外部環境と内部環境を分析して自店の経営戦略を決め、
   それに従って具体的な運営方法である戦術を決定します。

  □SWOT分析を行う

   外部環境と内部環境を分析する方法に、「SWOT分析」というものがあります。

   これは、「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、
   「Threat(脅威)」という4つの分析視点の頭文字から取った名前で、経営環境を
   判断するために内部的な「強み」「弱み」と外部的な「機会」「脅威」を分析し、その
   結果を検討したうえでこれから自社が進んでいく方向を定めようとする手法です。

   1.SWOT分析の例

     ミニスーパーを例にあげると、次のようなことが考えられます。

   2.SWOT分析を行う際の留意点

     外部環境と内部環境を考えるうえで重要な視点としては、次のような項目があ
     ります。

     (1)外部環境を考える視点

       ・法制度など(規制緩和・強化の動き、税制改正など)

       ・景気動向

       ・社会情勢の変化

       ・市場(ターゲットとする顧客層の人口変化など)

       ・競争(競合他社、他業界からの参入など)

       ・仕入先(メーカーの動向など)

       ・流通環境(物流業者の動向、運送費の相場変動など)

       ・関連先(金融機関の動向、官公庁の施策、業界団体の動向など)

     (2)内部環境を考える視点

       ・経営者自身(経営能力、健康状態など)

       ・従業員(能力、やる気、忠誠度など)

       ・営業力(個々の営業マンの資質・能力、組織的な営業力など)

       ・商品力(品ぞろえの広さ、品ぞろえの深さ、鮮度、品質など)

       ・資金力(調達力、運用力)

       ・情報収集力

       ・保有ノウハウ

       ・保有イメージ(ブランドカ)

       ・保有顧客

   3.分析と結果活用の留意点

     分析を行う際には、経営幹部や従業員にも意見を求めるとよいでしょう。

     また、仕入先や販売先、金融機関担当者などにもヒアリングを行うと、より客観
     的な判断が可能になります。

     そのうえで、「弱み」や「脅威」に対しては、それらによって経営が行き詰まらな
     いよう事前対策を講じ、「強み」を伸ばし、「機会」を十分にいかす経営方針を
     立てるようにします。

     また、経営県境の変化を見過ごさないよう、定期的に分析を行うことも大切です。

  □主要顧客層とニーズを考える

   外部環境と内部環境の分析を受けて、「誰のどのようなニーズを何によって満た
   すのか」という事業範囲の設定を行います。

   小売店が生き残っていくためには、主要顧客層を決定し、ニーズに合った店づくり
   を行う必要があります。

   1.顧客層とニーズ分析の例

     婦人服店を例にあげると、次のようなケースが考えられます。

     このケースでは、「40歳代以上の女性」を主要顧客層とし、さらにそうした女性
     の「お出かけ用の服」というニーズを満たす品ぞろえを中心にすることが考えら
     れます。

   2.分析を行う際の留意点

     (1)顧客分類

       前出の例では、女性客を対象として、年齢を基準に分類しましたが、ほか
       にも「小中学生」、「高校生」、「大学生」、「社会人(若年層)」、「社会人
       (中高年)」、「高齢者」、あるいは商圏内の住居地区別、ライフスタイル
       別、職業別、所得者別など、さまざまな分類方法が考えられます。

       ターゲットとして把握しやすい基準を設定しましょう。

     (2)調査項目

       前出の例では商圏人口と1週間の購入客数を調査項目にしたが、ほかに
       も「店前道路通行客数」や「入店客数」などが考えられます。

       消費者特性については客単価と購入目的を重点的に把握しておきます。

     (3)商圏人口など

       商圏人口などは、市区町村役場の統計資料(住民台帳)などから把握できます。

       また、実地調査の必要なものについてはアルバイトや調査会社を活用する
       のもひとつの方法です。

     (4)主要顧客層の決定

       分析を基に主要顧客層を決定します。

       その際、対象数は十分か、購買力はあるか、現在の自店のノウハウ(強
       み)がいかしやすいか、競合店の状況はどうか、なども併せて考慮すること
       がポイントです。

     (5)店舗運営形態の設定

       主要顧客層のニーズをアンケートなどで再確認するとともに、自店の対応
       力を考慮しながら店舗コンセプトの設定につなげます。

  □店舗の運営形態を考える

   主要顧客層とそのニーズを明確にしたうえで、具体的に店舗の運営形態を検討
   することが、図の「戦略・戦術の検討」にあたります。

   1.運用形態の例

     鮮魚店を例にあげ、主要顧客層として、

      ・経済的に余裕のある層

      ・本物志向が強い層

     のケースをみてくと、次のようなことが考えられます。

   2.店舗運営形態を検討するための留意点

     (1)どのような商品を売るのか

       @商品の特徴

        ・高品質な商品(新鮮な商品、手作りの商品、ブランド品など)

        ・珍しい商品(輸入品、産地直送品、稀少品など)

        ・顧客の特定ニーズに対応する商品(体によい商品、環境に優しい
         商品など)

       A品揃えの方針

        ・○○に関する常連商品をどこよりも幅広くそろえる

        ・○○に関する商品を深く振り下げてそろえる

     (2)いつ売るのか

       ・早朝営業、深夜営業

       ・24時間営業 など

     (3)どのような売り場にするのか

       ・ハード面での特徴(造作、広さ、什器、照明、ディスプレーなど)

       ・ソフト面での特徴(レイアウト、POP、陳列、BGM、クリンリネスなど)

     (4)どのような価格で売るのか

       ・低価格での販売(日替わり低価格、エブリデーロープライスなど)

       ・市場相場価格での販売

       ・高価格での販売(同種の一般的な商品よりも高い理由を明確にする)

     (5)どのように売るのか

       @販売方法

        ・セルフ販売

        ・対面コンサルティング販売

        ・通信販売

       Aサービスによる差別化

        ・購入・金額に応じたポイントサービス

        ・アフターサービスの充実(修理、会員化による情報提供など)

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小売店開業の準備

             

小売店開業の準備

  ■出店地を決める

   1.よい出店地とは

     小売業は一般的に立地産業といわれます。

     立地の良し悪しが売れ行きに大きな影響を及ぼすという意味です。

     それでは、小売店にとってよい立地とはどんなところなのでしょうか。

     簡単にいえば、商圏内の人口が多く人が集まりやすいところがよい立地といえ
     ます。

     以下に具体的なよい立地の例をあげてみます。

     <よい出店地の例>

       a.商圏内の人口が多く、将来も人口の増加が見込める地域

       b.自店がターゲットと考える消費者が商圏内に多いこと

       c.商圏内に購買力の高い人々が多いこと

       d.近くに大きな駅やバスターミナル、車の通りの多い道路などが
         あり、人が集まりやすい場所であること

       e.出店地の前の道路の人通りが多いこと

       f.集客が見込める施設が付近にあること

       g.競合となる店が少ないこと

      bについては、その業種の特性によるところが大きいといえます。

      たとえばスーパーマーケットであれば、学生や独身者が多い土地より、ファミ
      リーが多い地域のほうが適しています。

      gに関しては、同業他社だけがライバルになるわけではありません。

      CDショップの場合、CDを置いている大型家電店や本屋などもライバルにな
      るのです。

   2.商圏調査を行う

     商売を始めるのに適した立地は人気があり、一般的に賃借料や土地代も高い
     ものです。

     いくらよい立地でも、出店コストが大き過ぎてしまうようであれば、安定した経
     営は難しいでしょう。

     自己の資金計画の範囲で無理のない経営ができる場所を探すために、自分
     自身で商圏調査を行ってみることが大切です。

     商圏調査を行う際には以下の点に注意します。

      (1)時間や天気、曜日などを変えて複数回実施する

        異なる条件で調査することで、時間・曜日・天気などによる人の動きの変
        化がつかめます。

        人の動きを正確に把握することにより、出店の可否が判断できるだけで
        なく、曜日や時間帯により店員数を変える、営業時間を工夫するなど、営
        業方針に柔軟性をもたせることが可能になります。

      (2)通行人を観察する

        通行人の職業や年齢だけでなく服装なども細かくチェックします。

        また、歩く速さや、どこに一番人が集まっているかといった点もみて
        おきます。

      (3)立地予定地前の道路及びそこへのアクセス状況をみる

        車で来店する客を対象にする場合、車の通行量だけでなく道路からス
        ムーズに入店できるか、周辺道路からその道路へ入るのに一方通行や
        歩行者天国などの障害がなくアクセスできるかといった点にも留意する必
        要があります。

      (4)将来も含めた地域開発の動向を把握する

        出店する場所が将来も含めて発展していくかを見極める必要があります。

        現在はにぎわっていても、近隣に大型ショッピングセンターが出店したり、
        新しい商店街ができたりすることで、客がそちらに移っていく可能性も出
        てきます。

        また、逆に近隣に駅や役所などの集客が見込める施設ができることで、
        客数が増えることも考えられます。

      (5)公的な資料を活用する

        商圏内の人口構成や世帯数、消費水準など商圏内の消費者の特性や、
        将来の地域の開発計画などについての情報は区役所、市役所などの資
        料で把握できます。

  □店舗を取得する

   1.店舗を借りる際の留意点

     自前で店舗が準備できなければ、貸店舗を利用することになります。

     愛顧客(優良顧客)を作るには同じ場所で長く営業できることが大切です。

     そのためにも適切な物件を探し、きちんとした賃貸借契約を結ばなければなり
     ません。

      (1)建物の状況を把握する

        立地条件だけでなく建物の造りについても現状を把摸しておきます。

        そのうえで、看板をつけたり、内装を変えたり、商品棚を設置したりなど、
        開業するに当たっで建物にどの程度手を加えなければならないかを検討
        します。

        借家に手を加えることは紛争の原因になりやすいため、賃借契約時には
        この点について明確にしておきます。

        また、貸しビルの場合は、共用部分と専用部分の区別もはっきりさせてお
        かなければなりません。

      (2)建物の権利関係を確認

        建物の所有者と貸主が別の場合、貸主に貸す権利があるかどうかを確
        認しておきます。

        この点が不明確なまま契約すると、紛争の種になりかねません。

        建物に抵当権などの登記がついていないかどうかということも確認する
        必要があります。

      (3)契約書記載事項を確認

        貸借契約のおもな要素は、当事者・目的物・賃料・期間ですが、このほか
        にもさまざまな要素があります。

        とくに留意すべき点は、建物の使用目的と改装です。

        貸店舗の場合、業種を限定されることがありますが、将来の商売替えの
        可能性も考慮して、使用目的は弾力的に規定してもらうことが望ましいと
        いえます。

        また、改装については内装を変える程度であれば問題はありませんが、
        改築したり増築したりすることは原則として許されません。

        開業に必要な造作が後の紛争原因とならないよう、事前にどの程度の改
        装が必要かを検討し、その内容を契約書に盛り込む必要があります。

   2.店舗契約時に必要な資金と金額の妥当性

     店舗を借りるにあたっては、家賃・共益費といった費用に加え、契約時に、権
     利金(礼金)・敷金・保証金・不動産業者などの仲介業者への手数料などが必
     要となります。

     これら契約時に借り主が貸主に支払う費用を次に列挙します。

     なお、地域的な慣習によりこれらの費用がそのまま適用されない場合もあります。

     (1)権利金

       権利金は礼金ともいわれ、借り主が貸主に払う賃料・敷金以外のお金です。

       これは、貸主のものになり、契約が終了しても戻ってきません。

       借り主はこれを権利金の効果がおよぶ期間にわたって経費として償却でき
       ます。

     (2)敷金

       賃料、そのほかの債務を担保する目的で借り主が貸主に支払うー時金です。

       契約が終了した際には、未払い分などを差し引いた額を返却してもらえます。

       保証金は敷金と権利金の中間の意味をもち、借り主に返却されない部分
       は「保証金の償却率」という言葉で表されます。

       契約時には、支払額が予定の売り上げからみて妥当か否かを検討する必
       要があります。

       妥当性は実質賃料から判断します。

       実質賃料とは毎月支払う家賃に、1カ月分に換算した敷金・保証金・権利
       金の運用益および返却されない額の償却額を加えたもので表わされます。

       算出方法の事例です。

  □開店の準備

   1.店の位置付けを決める

     出店場所が決まり、店舗を確保できたら開業の準備を始めます。

     最初に決めることはどんな店にするのかということです。たとえば、衣料品店
     でも若者向けの店と年輩者向けの店では、店舗デザイン・品揃え・店員などあ
     らゆる面で違った準備が必要になります。

     このように、店の位置付けは経営の基本になるものですから、最初に明確にし
     ておかなければなりません。

     具体的には、次の点について店の基本方針を固めておくことです。

     <店の基本方針として留意すべき点>

       a.対象とする顧客のイメージ

       b.店のイメージ(何を売りにしている店なのか)

       c.品揃えのコンセプト

       d.価格ゾーン

       e.接客の工夫

   2.店舗を作る

     (1)設計・施行

       a.設計・施工業者を選ぶ

         よい店か否かは店舗の作りに大きく影響されます。
         したがってこちらの意図する店のコンセプトを確実に表現できる、信用・
         実績のある業者を選ぶことが大切です。
         事前にその業者が担当した物件をみたり、その物件の施主の話を聞く
         などしておくと業者の様子がつかめます。

       b.工期を守る

         工期の変更はその後の開業のスケジュールにも影饗してきますので、
         無理のない計画を立てるとともに、工事完了引き渡しの期日を厳守して
         もらうことも大切です。
         また、工程表を作ってもらい、自らも工事の進捗を把握します。

     (2)売り場づくり

       お客が隅々まで歩け、商品がみやすく、選びやすい売り場がよい売り場と
       いえます。

       そのためには、店舗のレイアウト・商品陳列方法・照明に工夫が必要です。

       a.店舗レイアウト

         対象客、店の広さにより理想的なレイアウトは異なります。
         一般的には、購入頻度が高く、購入の意思決定が早い商品を争う店に
         は、間口が広い開放型の店舗が向いています。
         一方、購買決定に時間がかかる商品を取り扱う店や間口の狭い店に
         は、出入りはしにくいものの、いったん店内に入るとゆっくりと中をみて
         歩ける閉鎖型の店舗が向いているといわれます。
         通路の取り方のポイントは、お客の買い方に合わせること、お客の勤務
         づくりを考えること、商品特性に対応したものであることです。
         目的買いが中心の店は通路幅を広くし、ゆっくりとみてから決めるタイプ
         の店は逆に通路は狭くてもよいとされています。

       b.商品の陳列

         商品は業種・業態・サイズ・価格などによってまちまちで一概に決めるこ
         とはできませんが、基本的には商品部門ごとの売上高、粗利益の構成
         比と商品の陳列スペースは同じ割合にします。
         商品の陳列は、みやすく手に取りやすい陳列を心がけることが基本です。
         また、陳列場所の特性により変化をもたせます。
         ウィンドーには店の姿勢やコンセプトを表現できるような商品を演出して
         展示します。
         奥正面の壁面は店内へ回遊するきっかけを作るもので、ウィンドーに次
         いで重要になるため、お客の注意を引くように展示を工夫します。

       c.照明

         照明の基本は商品の特徴を演出できることです。
         たとえば、生鮮食料品売り場は商品の新鮮さを演出するタイプの照明
         が必要です。
         また、衣料品店では、外着売り場は下着売り場と異なり、微妙な色合い
         が識別できる照明を使います。
         これと同時に、明るさを調節できる機器の採用など、省エネの観点から
         も適切な照明を選ぶことが大切です。

   3.商品を揃える

     (1)商品政策を決める

       a.品揃えを決める

         店が対象とする顧客をイメージして商品を揃えます。
         定期的にお客が読みそうな雑誌に目を通したり近隣の競合店調査を行
         うなどして市場の売れ筋商品の情報をつかみ、その商品の充実を心が
         けることも必要です。

       b.価格帯を絞る

         品揃えの豊富さが売り上げを左右しますが、何でも揃えればよいので
         はなく、店の位置付けに沿って取り扱う商品の価格帯も絞らなければな
         りません。
         絞った価格帯のなかで品揃えに変化をつけ、政策的に売れ筋商品を作
         るのです。

     (2)商品を仕入れる

       a.仕入れ先を選ぶ

         仕入れ先は慎重に選定し、できるだけよい仕入れ先を選ばなければな
         りません。
         仕入れ先選定の条件は、仕入れ条件や商品力に優れていることはもち
         ろんのこと、物流機能・情報提供力などに優れていることも重要になり
         ます。
         仕入れ先は、商工会議所などの経営相談所に相談する、商品のメー 
         カー・問屋組合に問い合わせる、問屋街や卸売りセンターへ直接出か
         けるなどの方法で探します。

       b.取引上の注意

         仕入れ先は複数にするのが一般的です。
         一社だけだと力の弱い小資本の開業者側が不利な取引を強いられる
         可能性があることや、仕入れ先に万一の事態が起こったときに商品を
         まったく仕入れることができなるからです。
         最初の仕入れには現金決済を求められることが多々あります。
         また、取引保証金などを要求される場合もありますが、いずれも新規開
         業のリスクを見越しての対応と考えればやむを得ない面もあります。

     (3)在庫管理の仕組みを作る

       売れ筋商品が在庫切れになり販売機会を失ったり、反対に不良在庫を抱
       えてしまったりしないために、あらかじめ在庫管理の方法を決めておきます。

       最初に仕入れ計画を立て、それにしたがって商品ごとの在庫高を算出します。

       在庫を調べる周期は、週・月次・年次のほか季節ごとに調べることもあります。

   4.事業計画を立てる

     (1)利益計画を立てる

       a.必要売上高を求める

         開業するに当たっては、採算がとれるために売上高がどのくらい必要か
         つかんでおく必要があります。
         次に損益分岐点方式による算出方法をご紹介します。
         この方法は費用を変動費と固定費に区分して計算する方法です。
         なお、変動費を売上原価、固定費を販売費および一般管理費として考
         える簡便法により説明します。
         必要売上高のほか、潜在購買力から推定した自店の可能売上高、業界
         平均売上高(1坪当たり)などを総合的に勘案したうえで損益計画表を
         作ります。
         損益計画表は少なくとも3年から5年を予想し作成しておきます。

       b.目標利益を決める

         目標利益の決め方はおもに次の3つの方法があります。

     (2)月別販売計画を立てる

       a.計画表を作る

         必要売上高が決まれば、これをもとに月別の販売計画を立てます。
         計画は行事や消費者の月別の購買動向を考慮に入れながら立てます。
         消費者の購買動向は総務省統計局が発表している「家計調査」などが
         参考になります。

          「家計調査」(総務省統計局) 

         販売計画を一覧表にすると目標を社員全員が共有でき、目標達成状況
         が分かります。
         表には売り上げ目標、商品別の売上高と合計額などのほか、販促計画
         やその月のメーンイベントなどの項目も入れるとよいでしょう。

       b.販促活動を行う

         月別の販売計画が決まれば、それに向けてさまざまな販促活動を行い
         ます。
         販促活動には月ごとの行事向けの活動のほか、新規顧客の開拓・固定
         客化・客単価アップなどテーマ別の活動もあります。
         具体的な方法としては、セールなどイベントの開催、購入金額ごとに点
         数がもらえるポイントカードの発行、複数商品を一緒にして売るセット販
         売などがありますが、販促活動の目的によりもっとも適した方法を採用
         します。

   5.業務管理方針を決める

     販促活動を効果的に行い売り上げ目標を達成し、利益を上げる一方で企業活
     動を低コストで無駄なく行うために、しっかりしたヒト・モノ・カネの管理
     必要です。

     (1)お金の管理

       a.資金繰り

         仕入れ、販売の循環をスムーズに保つために、十分な資金を確保でき
         ることが大切です。
         資金繰りは資金繰り表を用いて行います。
         その月に出・入金する予定の金額とその内訳を−覧表にし、過不足が
         前もって分かるようにします。年間の計画表を作って管理します。

       b.日常の取引の管理

         経営状況を正しく把握するために、日々のお金の流れをきちんと記録し
         ておきます。
         その際には帳簿を利用します。
         帳簿の記録に基づいて、税金の申告をしたり、経営状況を把握したりす
         るので、正確な記録が必要です。

     (2)従業員の管理

       a.販売員教育

         販売員の気持ちのよい応対は店のファンを増やし、固定客化につなが
         ります。
         販売員教育では、言葉遣い・身だしなみ・商品知識などの基本的な事項
         に加え、お客の要望に応じたサービスを心がけることも強調します。

       b.店の価値観を共有する

         同じ教育をしても、すぐに実行されている店とまったく効果のない店があ
         ります。
         販売員の行動や態度は教育だけでなく、その店のもつカラー(社風)に
         も影響されます。
         ですから、日々の業務のなかで社長が社員に対しどんな店にしたいの
         か、どういった行動が望ましいかを説き、社長のもつ価値観を従業員に
         共有させ、自店のカラーをつくり上げることが大切です。

  □届け出をする

   1.許認可を得る

     開業に法令上の許認可が必要となる業種があります。

     一般的に、物販店はこの規制の対象になることは少ないのですが、食品関係
     を扱う業種の多くは許認可が必要になります。

     必要な許認可および届け出先は業種により異なります。

     許認可取得の手続きを行う窓口は、大きく分けて、都道府県庁および他官庁・
     保健所・警察署があります。

     自店が許認可の対象になるかどうかは、地域の商工会議所に確認するとよい
     でしょう。

   2.開業届を出す

     (1)税務関連

       個人で開業する場合は事業開始後一定期間内に「開業届」「青色申告承
       認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」などを所轄の税務署へ提出
       しなければなりません。

       法人で開業する場合は設立後一定期間内に、「法人設立届出書」、「青色
       申告承認申請書」、「給与支払事務所等の開設届出書」などを所轄の税務
       署へ提出します。

       提出期限は事業開始の時期によっても若干異なります。

       詳細については、所轄の税務署にお問い合わせください。

     (2)社会保険関連

       社会保険のうち、健康保険・厚生年金保険については、法人企業では業種
       にかかわらず常時1人以上を雇用する事業所、個人企業の商業・工業着で
       は、常時5人以上雇用する事業所は加入が強制されています。

       個人企業の商業・工業着で5人未満の事業所および個人企業の飲食・娯
       楽・サービス業などは加入が任意ですが、雇用の安定という観点からは積
       極的に加入されることをお勧めします。

       これらは社会保険事務所に届け出ます。

       なお提出期限は、いつまでといった明確な期限は定められてはいません
       が、事業を開始したら、すみやかに手続きを済ませておきましょう。

       一方、労災保険・雇用保険は常時1人以上を雇用する場合は加入が必要
       です。

       労災保険は労働基準監督署に、雇用保険は職業安定所にいずれも事業
       開始の翌日から10日以内にそれぞれ届け出ます。

       詳細は、近くの社会保険事務所、労働基準監督署にお問い合わせください。

  □開業のための相談先

   各地域の商工会議所は、地域の商工業者の動向を把握するとともに、経営相談
   窓口を設け経営者の相談に応じています。

   開業に関しても多くの知識や事例などの情報をもっています。

   開業前に一度ご相談することをお勧めします。

   経験のない業種で新たに開業する場合は、多くのリスクがつきまといます。

   このリスクを軽減するためには、運営ノウハウをもち、仕入れ力があり、マーケテ
   イングや経営指導までしてくれるフランチャイズに加盟することも有効です。

   フランチャイズ本部を選択する際には、開業のための費用が妥当なものか、本部
   からどんなサービスが受けられるかといった点を、実際に本部を訪問したり、すで
   にフランチャイズ加盟している店主に聞くなどして確認し、加盟するに値する本部
   かどうかを判断します。

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物流のアウトソーシング

           

物流のアウトソーシング

 ■進むアウトソーシング 
  レジャー用品(キャンプ用品)などの卸売業を手がけているA社の物流の問題点は、
  季節的な繁閑の変動が大きいことでした。
  繁忙期に合わせて倉庫管理担当者を雇用したり、閑散期には集中管理のため倉庫間の
  商品移し替えが必要になったりするなど、倉庫管理の非効率さが目立っていました。
  そこで、小売店からの注文データが委託先の倉庫に伝わるようなシステムを整備して、
  そこから直接小売店に配送するしくみに変更したところ、納期が短縮し、コストも
  削減できました。 
  また、各種生産財をオープンなスタイル(カタログ通販)で販売するB社は、
  商品企画と購買代理店としての機能のみをコアコンピタンスとして残し、それ以外の
  物流、製造、情報システム運用、顧客対応、総務・経理などは外部事業者にアウト
  ソーシングしました。
  自社の得意分野に特化したことで、この不況下でも増収増益を続けています。 
  ほかにも、研究開発に特化して設備を持たない企業(ファブレス企業)を志向した
  ベンチャー企業のように、初期費用をかけずに、アウトソーシングで物流、製造、
  販売までをまかなっている例があります。 
  こうした事例をふまえて、中小企業でアウトソーシングが進む理由を考えてみましょう。

 □中小企業でアウトソーシングが進む背景 
  中小企業の場合、コストのかかる部門をアウトソーシングして合理化するというよりは、
  むしろ、積極的な意味での「持たざる戦略」の展開と位置付けることもできます。
  つまり、「自社で対応できないので、やむなく他社にアウトソーシングする」 という
  のではなく、「自社に最適な外部経営資源を選択して利用する」という発想です。 
  もともと、中小企業のほうが大企業に比べて、環境変化に柔軟かつ俊敏に対応しやすい
  という特長があります。
  そこで、この長所を最大限に生かし、常に最善の方法を模索した提携(アライアンス)
  を臨機応変に行っていくこともまた、優れた事業戦略の1つであると言えるでしょう。

 □「物流」でアウトソーシングが進む背景 
  荷主である企業が、自社で物流システムを構築し、これを運営していくためには、
  少なからぬ投資資金と運営資金が必要となります。
  しかも、市場の細分化されたニーズに応えながらタイムリーに商品を供給していく
  ためには、従来よりも短納期で納品する必要が生じており、多頻度・多品種・小ロット
  での配送がより一層求められています。
  また、物流をコアコンピタンスとする企業が構築した物流システムと、自社で構築
  した物流システムとの格差もますます広がっています。 
  顧客への商品・サービスの提供において、物流は大変重要な役割を担っています。
  こうした状況下で、あえて自社で物流をまかなわなければならない理由はどこに
  あるのでしょうか。
  自社の物流システムのあり方をあらためて見直し、検討する時期に来ていると言える
  でしょう。

 □アウトソーシングを支えるシステム 
  物流のアウトソーシングが急速に進んだ背景には、技術的な側面もあります。
  以前は自社の物流に関する情報を帳票類などを用いて管理していましたが、
  現在では通信ネットワークが発達し、情報のやりとりは離れたところでも瞬時に
  行えるようになりました。 
  これを支えているのはIT(情報技術) 、とくにインターネット技術を利用した
  社内用のイントラネットと企業間連携用のエクストラネットであると言えます。
  物流情報という機密情報であっても、信頼のおける外部の専門業者と連携することが
  可能になったのです。 
  こうしたIT技術の進展もあって、IT技術に支えられたサードパーティー・ロジスティクス
  (3PL)が登場し、アウトソーシング先として選定されることが多くなってきました。 
  参考までに、物流アウトソーシングの3つのスタイルを以下に示します。

   1.ファーストパーティー・ロジスティクス(1PL) 
    荷主企業が物流のしくみ(システム) をつくり、物流業者が荷役運搬などの
    実作業を請け負うというスタイルです。

   2.セカンドパーティー・ロジスティクス(2PL) 
    共同配送などのしくみ(システム) を物流事業者が荷主企業に提案し、
    そのしくみを、荷主企業側は自社で構築した物流システムの一部に組み入れて
    活用するというスタイルです。

   3.サードパーティー・ロジスティクス(3PL) 
    物流システムの計画・構築、管理、運営などを専門業者にアウトソーシング
    するスタイルです。
    ただし、請け負うサードパーティーは、物流事業者に限りません。
    物流の情報システムを構築、管理する事業者が、実務を請け負う輸送業者や
    倉庫業者と提携して請け負うこともあります。
    こうした選択肢のなかで、自社の物流をどのように強化していくか、自社
    資源の効率よい投下の仕方はどれなのかを検討したときに、物流をコア
    コンピタンスとしたサードパーティーにアウトソーシングすることが有力
    であるという流れが強まっているのです。

 □実際のシステム導入にあたって
  ここまで見てきたように、物流のアウトソーシングにより、経営資源の集中、
  コストの改善、サービス品質の向上などが期待できますが、導入に際しての問題が
  全くないわけではありません。
  受託先の専門能力を活用するためのマネジメントのしくみを整え、人的な面での
  調整を行うことが必要になります。 
  ここに、アウトソーシングのメリットとデメリットをあげておきます。

   ◎メリット
    ・物流事業者の持つスケールメリットと専門性を享受できる
    ・導入により速やかに成果をあげることができる
    ・業務の迅速化やサービス品質の向上が期待できる
    ・固定費だった物流費を変動費化できる
    ・要員を他部門に配置するなど人的資産を有効活用できる

   ◎デメリット
    ・工程が標準化するため柔軟性に欠けるおそれがある
    ・委託事業者のサービス品質がコントロールできなくなる
    ・物流関連の技術が不要になり失われていく
    ・委託事業者の信頼性(セキュリティおよび財務面)に不安が残る
    ・ アウトソーシング対象部門の要員の士気低下

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物流子会社の設立

          

物流子会社の設立と経営

  ■物流子会社設立のメリット

   メーカーや小売業などが、自社(荷主)で物流子会社を設立するケースはもはや
   珍しくありません。

   中には、日立物流、川鉄物流、キリン物流、東芝物流など、売上高数百億円を超
   える大手企業もあります。

   また、NTTの物流子会社であるNTTロジスコや、三菱商事の物流子会社である
   エム・シー・トランス インターナショナルなど、メーカー以外の商社や情報サービ
   ス会社などが物流子会社を設立するケースもみられます。

   大手企業を中心に物流子会社が設立されている背景には、次のような目的があ
   るものと考えられます。

   (1)物流コストの削減
     物流部門を切り離すことによって、親会社の物流コストの削減を図ることが期
     待できます。

     物流の領域を明確にすることが可能になり、責任を明確にすることもできる。

     そして、物流コストの算定、その変化が容易に分かり、物流管理がしやすくな
     ることが期待できます。

   (2)物流サービスの向上

     分社化によって物流子会社にはコスト意識が芽生え、物流サービスが向上す
     ることが期待されます。

     また、親会社の業務・製品・流通内容を熟知していることから、親会社向けの
     物流サービスについては、どの物流会社よりも良いサービスを提供できる会
     社になる可能性があります。

   (3)親会社の余剰人員の活用

     親会社のスリム化によって生じた余剰人員の受け皿として、また、定年退職
     者、高齢の管理者の受け皿として子会社を位置付けることもできます。

     物流作業は企業内の他部門の作業とは異なるため、別会社にして異なった待
     遇で採用すれば人件費を抑制することもできます。

  □物流子会社の抱える問題点

   メリットが大きい物流子会社ですが、物流子会社、親会社には問題点も存在しま
   す。

   1.物流子会社にとっての問題点

     一般に、物流子会社の経営上の問題点として次のような点が挙げられます。

     (1)コスト面

       ・親会社の料金引き下げ要求により売り上げ、利益が減少する可能性が
        ある

       ・物流子会社自身で戦略的なコスト削減を進めることは難しい

     (2)サービス面

       ・親会社優先の物流サービスとなり、一般荷主の開拓が難しい懸念がある

     (3)労務面

       ・トップの任期が短期間で思い切った改革が進まない

       ・出向者とプロパー社員との確執が発生する可能性がある

       ・出向者が多いと従業員のモラルが下がる可能性がある

       ・物流業に不向きな人材の押し付け人事に発展する可能性がある

       ・パート社員の募集が親企業ほど容易ではない

       ・親方日の丸的な体質になる可能性がある

       ・親企業志向が強く、自発性が欠如する可能性がある

   2.親会社にとっての問題点

     また、親会社側にとっても物流子会社の設立には次のような問題点がある。

     (1)コスト面

       ・物流コスト削減が思ったほど図れない

     (2)サービス面

       ・かえって物流サービスのレベルが低下した

       ・顧客の声が親会社に届きにくくなる

       ・物流協力会社との関係が悪化する可能性がある

     (3)労務面

       ・親会社からの出向者が多く、ビジネスライクな関係がなかなか築けない


   3.親会社と物流子会社が抱える矛盾

     物流子会社と親会社双方の抱える問題点は互いに密接な関係にあります。

     例えば、親会社が物流コストの削減を図るために、物流子会社に対して運送
     料金などの引き下げを要求し、物流子会社がこの要求を受け入れれば、物流
     子会社自身の収益性を悪化させることにつながります。

     つまり、物流子会社は親企業の物流コスト削減に貢献しようとするほど、自ら
     の首を絞めるというジレンマに陥ってしまうのです。

     また、中高年対策として親会社の余剰人員を物流子会社に大量に移籍させた
     場合、親会社にとっては「自社の人件費の圧縮ができる」「ポスト不足を解消
     することができる」というメリットがあります。

     しかし、物流子会社にとっては、人件費負担が大きくなったり、プロパー社員の  
     士気を低下させるなどのデメリットにつながります。

     ほかにも、親会社がほかの会社と合併などをした場合、親会社にとっては有
     益な統合であったとしても、双方(親会社と合併先の会社)が物流子会社を
     持っていた場合には、物流子会社がグループ内に複数存在することになって
     しまいます。

     このように、親会社のメリットが物流子会社のデメリットになるといった矛盾を
     はらんでいるのです。

  □設立における留意点

   ここでは、物流子会社を設立する際の留意点を挙げてみます。

   1.物流子会社設立の目的

     前述したように、親企業が物流子会社に期待するのは「物流コストの削減」「物
     流サービスの向上」「親会社の余剰人員の活用」などです。

     しかし、物流会社を設立する際に、単純にこうした期待イコール設立目的とし
     てしまうと、さまざまな問題が生じることになります。

     そのため、経営多角化の一環として物流子会社を考えることや、物流子会社
     の設立を通じて「関連事業を含めた一元管理をする」「同業会との水平的な共
     同化を図る」「流通段階(卸・小売など)との垂直的な共同化を図る」といった共
     同化を図ることなどを目的の中心に据えることが重要でしょう。

   2.重要なグループ全社の支援

     物流子会社の設立当初は、業務のほぼ100%を親企業およびそのグループ 
     会社から受注に頼ることになります。

     そのため物流子会社の設立に当たっては、親企業を中心としたグループ会社
     全体からの支援を得なければなりません。

     設立目的や取引条件など、後でさまざまなトラブルを起こす原因となるような
     内容については、事前にグループ会社の関係者に周知徹底を図っておく必要
     があります。

   3.事業戦略を立てているか

     設立を目指す物流子会社が将来どのような方向に進むのが望ましいのか、事
     前に事業戦略を立て、「どのような市場を将来狙うのか」「どのような内容の物
     流サービスを行うのか」といった市場や商品について明らかにしていくことが重
     要です。

     例えば市場については、将来「企業グループ物流業務のみ行うのか」「小売・
     卸のどの流通段階まで物流業務を行うのか」「同業他社の物流業務を行うの
     か」「親企業とは異業種企業の物流業務も行うのか」といったことを事前に決
     定しておくべきです。

     また商品については、「将来目指すのは輸送、保管、包装、梱包業務、荷役、
     在庫管理、情報処理、集金回収までも含めた総合物流サービスであるが、設
     立当初は輸送、保管業務を中心とした物流サービスを行う」といったように、将
     来の目指す方向性とその実現段階などを明らかにすべきです。

   4.事業計画の策定

     事業戦略が決定したら、具体的にどのようにその戦略を遂行していくのかとい
     う事業計画を策定しなければなりません。

     まずは、5〜10年間程度の長期計画を策定する必要があるでしょう。

     その長期計画の中では、「自社がどのように物流サービスの総合化を図って
     いくのか」「どのように親企業、グループ会社以外の外部取引先を開拓していく
     のか」「プロパー社員をどの程度に増やしていくのか」といった内容を盛り込む
     べきです。

     この際に留意すべきは、理想は高く掲げながらも、実現可能な計画を中心に
     長期計画を策定していくことです。

  □経営における留意点

   物流子会社の経営に際して物流子会社、親会社双方が留意しなければならない
   点を挙げてみます。

   (1)長期的なビジョンの作成

     ・経営トップを親会社の都合によって頻繁に変えない

     ・社長が変わっても経営ビジョンを変えないようにする

   (2)人材活用策

     ・押し付け人事を排除する

     ・親会社からは出向社員より転籍社員を受け入れる

     ・プロパー社員の登用を図る

     ・物流専門家の育成を図る

   (3)設備計画

     ・物流計画を親会社と子会社双方で立てる

   (4)財務戦略

     ・基本的に物流子会社の経営は独立採算制とする

     ・親会社と物流子会社との取引において料金は世間並みを基本とする

     ・物流子会社から親会社への利益の吸い上げや、親会社からの損失
      補填などをなくす

     ・物流子会社の業績評価、成果配分のルールを明確にする

   (5)コミュニケーション

     ・親企業、グループ企業との太いパイプを持った人材をトップに置く
     ・親会社、子会社間のコミュニケーションの強化を図る

     ・顧客情報を物流会社を通して迅速にキャッチできる体制を整える

   物流子会社設立が単なる余剰人員の活用が主目的であっては決して成果は見
   込めません。

   上記で述べたように、綿密な事業戦略、事業計画を立てることが必要不可欠とな
   ります。

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物流コストの削減

            

物流コストの削減

  ■物流コストの削減で利益向上

   企業が利益を確保するための手段として、物流の効率化とコスト削減が盛んに叫
   ばれるようになっています。

   たんに売上の増加を追求したり、原価や人件費を削減するという方法以外に、物
   流の効率化による利潤の追求が求められる時代になってきたのです。

   物流とは、梱包・包装・荷役運搬・物流加工・入出荷・輪配送・保管・物流管理・物
   流情報システム運用など、「一商取引の結果生じる、モノの流れに関する一連の
   活動」を指しますが、企業によってその定義が若干異なることもあります。

   したがって、まずは自社の物流業務の範囲はどこまでかを明確にしたうえで、そ
   れぞれの業務に関するコストデータを収集する必要があります。

   自社の物流コストの概要とそれぞれの業務のコスト比率を明らかにすることで、
   物流コスト削減の対象業務を把握することができます。

   物流コストを削減すべき業務に応じて、何通りかの改善計画を作成したうえで、そ
   れぞれの費用対効果を比較検討し、具体的なコスト削減方法を決定しましょう。

  □物流部門が抱える問題点

   物流コストの削減を検討するうえで、まずは自社の物流部門のどこに問題がある
   かを把握しなくてはなりません。

   そこで、問題を把握する際のいくつかの視点を紹介します。

   1.人材の問題

     物流部門に優秀な社員を配属していないために、全社的な視点で物流をとら
     えることができるような管理者、および社員が育っていない企業があります。

     また、社長の実行力に依存してきた企業では、トップダウンの意思決定の弊害
     からか、物流現場の管理者の意識が低く、担当者の意欲も乏しいといった問
     題が生じています。

     このような場合には、
      各地の営業所や物流拠点をとりまとめ、他部門との調整を行ない、
      業務改革の提案も行なえるような、意識の高い優秀な人材を物流
      部門に投入する必要があります。

   2.物流組織および物流拠点の問題

     物流拠点が分散しており「物流機能の連携がうまくとれない」、あるいは物流
     拠点が手狭で「受発注から配送などの業務を分散した場所で行なっている」な
     ど、物流拠点に問題を抱えているケースがあります。

     このような場合でも、部門間の連携が円滑であれば、これらのデメリットを補う
     ことができますが、実際には、物流が部署ごとに独立しているため、同一企業
     に一日に何度も別部門から配送されるというような非効率的な事態が生じて
     いることもあります。

     物流部門の位置付けや権限を明確にし、積極的な改善提案ができるような環
     境をつくるとともに、物流拠点のあり方についても再度検討してみることが望ま
     れます。

   3.業務処理の問題

     営業や経理部門などの強化は図ったものの、物流部門は旧態依然とした業務
     処理を行なっていることがあります。

     具体的な業務処理の問題点は、

      ・業容の拡大に伴いシステムを手直ししてきたが、現在の物流の業務
       処理に合わなくなってきた。

      ・現状の業務処理のままでは、システムを根本的に見直すことができない。

      ・ピークに合わせた人員配置となっており、閑散時の従業員の活用が
       十分できていない。

      ・勘と経験に頼った作業方法であるため、ベテランが休暇をとると作業
       能率が極端に低下する。

      ・貸切便に関する運行状況や配達件数、あるいは積み合わせ便における
       1件あたりの配送個数・重さといった配送効率が把握できていない。

      ・現物と帳簿在庫が合わない。伝票なしの出荷や、仮伝票の際の出荷
       後の伝票処理に落ち度がある。

      ・営業部員が物流業務を兼務するケースがある。
       物流面でも非効率であり、営業にも注力できないなど、デメリットが多い。

   4.情報の問題

     受注見込みなど物流部門に入る情報の精度が低いことに加え、これらの情報
     が発注業務に十分活かしきれていないケースがあります。

     かといって、中途半端な状態でのシステムの活用は、過剰在庫や欠品の原因
     ともなりかねない。

     物流部門において受発注に関する正確な情報が把握できることが望ましく、そ
     のためには、営業・経理など他部門とのコミュニケーションを強化する必要が
     あります。

  □物流コスト削減の視点

   次に、物流コスト削減のための6つの視点を紹介します。

   1.標準化

     【受注】

     得意先の受注を曜日別に指定する(得意先の協力が必要)。
     →受注件数の曜日の波が少なくなり、受注部門の作業条件が改善される。

     【入荷】

     仕入先へ計画的に発注し、入荷部門と連携して業務を進めます(調達部門の
     充実および仕入先の受け入れ体制づくりが必要)。
     →入荷検品、棚入れ保管をスムーズに行なうことができる。

     なお、事情により業務の波を平準化できない場合には、波に応じて曜日別・時
     間帯別にパートなどを採用するという方法がある。

   2.簡素化

     【受注】

     受注情報の流れを簡素化できないか検討してみることが必要です。
     たとえば、「得意先 → 営業所 → 受注処理セクション → 倉庫」と受注
     情報が流れているのであれば、「得意先 → 受注処理セクション → 倉庫」
     のように単純にできないか検討します。
     情報の流れを簡素化することで、物流関連の人件費を削減できますし、
     物流サービスも向上します。

     【配送】

     営業所が在庫を保有して物流拠点の機能も兼ねている場合、福岡営業
     所から大阪方面、大阪営業所から九州方面というように、担当エリア外
     に交錯して配送すると余分なコストが発生します。
     このような無駄な配送は極力排除し、できるだけエリア内の配送に受注
     をまとめるように見直しする必要があります。
     ただし、このような場合、物流情報システムの見直しを同時に要求される
     ことがあります。

   3.円滑化

     【保管】

     物流コストは、人が介在するほど増加します。
     保管の場合も、段ボール箱を、床に段積みで保管するのではなく、はじめ
     から台車に載せて保管しておくと、商品を取り出して台車に載せる手間と
     時間が省けます。
     棚保管の場合も、ケース出荷する商品は台車に載せて棚の一番下に保管
     しておくと、運ぶのに人手を多く必要としません。

     【流通加エ】

     ピッキングした後の値札付けなどの流通加工段階で、商品が滞留する
     ケースがあります。
     このような場合には、「流通加工場のレイアウト・スペースに改善点は
     ないか」「流通加工の自動化・省力化ができないか」「ピッキング担当者と
     流通加工担当者の業務バランスがとれているか」などの点を見直して
     みる必要があります。

   4.直送化

     【配送】

     「配送センター → 営業所 → 得意先」の二段階で配送するよりも、「配送
     センター → 得意先」と直送化することで配送コストを削減することが
     できます。
     また、この場合、営業所で配送に要した作業が配送センターに集約され
     ることになりますから、作業人員・作業時間も少なくすることができます。
     ただし、指定納品書の作成、指定ラベルの貼付方法など得意先ごとの
     納入条件をマニュアル化しないと、配送センターの定型的な業務になじま
     ないため、納品マニュアルの作成、配送センターの業務処理システムの
     変更など、事前の準備作業を粘り強く行なう必要があります。

   5.標準化

     【帳票】

     注文書や伝票などの帳票形式を全社的に統一することが改善の前提です。

     【コード】

     商品コードや得意先コードが合理的であることが改善の前提となります。
     あまりに複雑なコード体系は、在庫管理を難しくしてしまうため、各部門
     での調整が必要です。

   6.集約化

     【配送】

     拠点間輸送の場合、一度に送る量をまとめることでコストを削減できます。
     たとえば、特別積み合わせで輸送する場合の運賃が2tで3万円、10t車の
     貸切運賃が12万円とすると、貨物を10t単位にまとめれば3万円の運賃を
     削減できます。
     得意先配送に貸切便を使用している場合は、運賃が定額の場合は積載率
     などの効率を上げること、つまり納品をまとめることや一便の配送先を増や
     すことによって1個あたりの運賃を低減させることができます。
     なお、配送の集約化を検討する場合には、現状の物流体制でどうして輸配
     送がまとめられないのかその理由を分析し、それらの制約条件を取り除く
     ことが前提となります。

     以下に、制約条件の例を紹介します。

     ○拠点間輸送

      ・施設スペースが狭い(10t車が接車できないなど)

      ・人員の面で対応できない

      ・受注のバラツキが多い

     ○得意先配送

      ・施設スペースが狭い

      ・同一得意先からの受注をまとめられない

      ・貸切便の運行実態を把握していない

     【保管】

     営業所などに分散している在庫を配送センターに集約することによって、
     保管コストを削減できます。

   以上のような6つの視点から、物流コスト削減の糸口を見いだすことが可能です。

   ただし、実際に問題点を解決する段階では、物流システムの構築・メンテナンスが
   要求される場合があります。

  □物流現場におけるコスト削減策

   以下に、倉庫・流通センターなどの物流現場において行なうことのできるコスト削
   減のポイントを紹介します。

   1.倉庫・流通センター全体のポイント

     (1)マテリアル・フローの把握

        マテリアル・フローとは、「倉庫内の作業工程ごとの商品の流れ」をいう。

       具体的には、「どのような荷姿をした何種類の商品を何時にどれだけ入
       れ、倉庫の中に何日間どれだけ保管して、どのように荷姿を変えて何時に
       どれだけ出していくか」ということを把握します。

       マテリアル・フローが把握できれば、どこに問題があり、どの部分にどのよ
       うな機器を設備し、どのくらいの人員を配置すればよいかがつかめてくる。

       また、フォークリフトなどや作業員が実際動いた物流動線を図に示せば、ど
       こが混雑するのか、無駄な動きがあるのかということを発見できます。

     (2)在庫商品のABC管理

       ABC管理とは、売上の高い商品を重点的に管理する方法です。

       自社の取扱商品を売上額の大きい順に並べ、品目数の上位10%を占め
       る商品群をA品目、中位20%程度をB品目、それ以外をC品目とします。

       すると、自社の売上高のおよそ70%がA品目だけで占められていることが
       わかるかもしれません。

       その場合、A品目を重点的に管理し、残る90%の商品には大きなコストを
       かけないようにするのです。

       残りの90%の商品を在庫していたとしても、所詮は売上高の3割にしか過
       ぎないからです。

       このようにABCによる在庫管理を行なうことで、欠品を最少にとどめながら
       管理費用のコストダウンを図ることができるのです。

        A品目:よく動く商品のため、入念に管理する。
             定期的な発注や納入までの工数短縮を検討する。
             すぐに出荷しやすいように、フローラック(流動棚)で保管する。
             バラ出荷にも応じる。

        B品目:中程度に管理し、一定の残数になったら定量発注する。
             ケース出荷を原則とする。

        C品目:ほとんど動きのない商品のため、発注方法・保管場所・保管
             方法を含め簡易な管理を行なう。
             発注は残り少なくなった時点で行なう。

     (3)ロケーション管理

       物流業務のなかで、在庫管理は
        ・デッドストックを防止する

        ・販売量に見合った在庫量を適正に保有する

        ・先入れ・先出しを完全に行なう

       という意味で非常に重要な意味をもちます。

       このなかで「先入れ・先出し」を完全に行なうためには、倉庫の中に番地(ロ
       ケーション・コード)を付けて商品の所在をはっきりさせて、商品コードでは
       なくロケーション・コードで商品を出し入れする必要があります。

       このロケーション管理ができれば入出荷の日付管理が可能になり、古いも
       のから出荷するよう指示できます。

       なお、ロケーション管理を行なうことで、ピッキングの効率を高めることもで
       きます。

   2.ピッキング・出荷のポイント

     (1)ピッキング方式

       商品のピッキングの方式には、「つみ取り方式」と「種まき方式」がある。

       いずれの方法を採用するかは、「アイテム数」「取扱量」「ピッカー数」「セン
       ターの広さ」などの要素を考慮したうえで、どちらがピッキング効率が高い
       かで判断します。

       なお、ピッキングの合理化ポイントは次のとおりです。

        ・保管している商品は平置きラックによるつみ取り方式とする

        ・後戻り作業が発生しないように、ロケーション・コード順にピッキング
         リストを打ち出す

        ・ピッキング頻度の高い商品は取り出しやすいように、ラックの中段
         (ゴールデン・ゾーン)に置く

        ・受注量の多い得意先は、得意先別にピッキングラインを設ける

        ・ピッキングした商品はコンベヤー・台車を活用して次工程に送る

        ・ピッキング中の品切れは、電話や表示灯などですぐ連絡できる
         ようにする

        ・バラ出荷商品は折り畳みコンテナを利用して包装費を減らす

        ・フローラックを活用し、商品補充は朝か夕方にまとめて行なう

        ・商品の空き箱はコンベヤーで収集し、再利用する

     (2)省力化・自動化

       ピッキングと仕分けの時間・ミスを最小にするシステムを導入することで、ミ
       スを限りなくゼロに近づけることができます。

       これらの例としては、「デジタル・ピッキング」や「POS検品」などがある。

     (3)作業の効率化

       倉庫・流通センター内の作業の効率化は、次のような視点で検討します。

       ○待たせない

        作業上のロスをなくす。
        待ち時間が発生するのはなぜなのか、工程管理能力と負荷、
        段取りの悪さについて検討する。
        ピッキング・リストの様式や発行方法・時間なども重要な検討
        項目となる。

       ○持たせない

        荷役作業の回数が増えると荷傷みが発生しやすくなるので、
        できるだけ荷役回数は減らす。
        トラックからおろした商品をチェック後、いったん仮置きしてから
        所定の棚に移すような無駄な作業は減らす。

       ○歩かせない

        無駄な動線を描かないよう商品のロケーションを工夫する。
        ピッキング通路は一方通行の形でレイアウトする。

       ○探させない

        ロケーション管理を徹底し、パートでも作業マニュアルや教育
        用ビデオを見るだけで商品を迷わずに取り出すことができる
        ようにする。

       ○考えさせない

        ラックによるロケーション管理を行なうことで、頭を使うことなく
        作業がスムーズに運ぶようにする。

       ○書かせない

        受注情報を紙に打ち出さず、そのままデジタル・ピッキングや
        POS検品に活用できることが望ましい。
        ペーパーレス化は、転記ミスを防ぐだけでなく、時間や紙資源の
        節約にもなる。

   3.配送のポイント

     (1)トラックの「多停車少走行」の見直し

       トラックは一日の半分は、積み込み待ちや荷受け待ち、荷卸しのために停
       車していることが多いようです。

       この停車時間をいかに少なくし、走行時間を多くさせるかがポイントです。

       具体的には、次のような視点からコスト削減を図ります。

       ○仕分け・出荷の合理化を図る

        出荷前の仕分けにより配送効率を高める。得意先別の積み合わせ、
        逆配送順の配列、パレットのままの配送、コンベヤーの活用など。

       ○積載効率・配送効率を高める

        1台ごとの積載量を把握し、少しでも積載効率を高めるようにする。
        配送量や商品特性に合ったトラックを使い分ける。
        早朝・夜間配送(無人荷受け)を検討する。

       ○自家用トラックと営業用トラックを使い分ける

        自家用トラックは、店内への搬入や緊急対応など、顧客サービス
        という点で長所は多い。
        しかし一方で、配送業務の繁閑差が大きい場合の遊休車両の発生、
        人手の確保などの問題が生じる。
        したがって、多頻度小口配送などの場合には、営業用トラックの積み
        合わせ便などをうまく組み合わせて活用することで、コストの削減を図る。

     (2)運転日報

       運転日報(誌)から配送ルート・配送量、得意先での作業状況などを読み取
       ることで、積載効率・配送効率の向上に役立てます。

   4.労務管理のポイント

     (1)パート・アルバイトの活用

       物流業務の人件費を下げるには、作業を標準化・単純化・専門化して、社
       員からパート・アルバイトに切り替えることを検討します。

       社員が判断業務や業務改善に従事できるよう、一層の効率化を図ります。

     (2)環境を整える

       劣悪な環境では従業員のモラールが下がり、事故やミスが起きるなど、労
       働生産性も低下しがちです。

       トラブルを極力避けるためにも、職場環境を整えることが必要です。

       具体的には、食堂・休憩室・送迎バスなどの福利厚生設備の充実や、倉庫
       内の色・照明などの改善、安全性の向上、省力化・自動化・快適性の実現
       などが考えられます。

   コストダウンを検討するとき、費目ごと、部門ごとに直接焦点をあてて改善策を
   練っていきますが、これも全社的な調整のなかで進めなくてはなりません。

   部門同士が敵対関係になると、たとえば、「売れればよいということでどんどん値
   下げする販売部門があるから、我々製造部門のコストダウンも水の泡になってし
   まう」という状況になりかねません。

   自部門の利益が他部門の損失にならないようにするためにも、全社的なトータル
   コストダウンの仕組みが必要になります。

   トータルコストダウンの仕組みづくりには、強力なトップマネジメントに基づくプロ
   ジェクトチームを結成し、実行していくことが有効になります。

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流通・サービス業の生産性向上策

          

流通・サービス業の生産性向上策

  流通・サービス業の生産性向上策について、主に@付加価値率の向上、A人時生
  産性の向上、B店舗リニューアルと設備機械の充実の三つの視点からみてみま
  す。

  付加価値率の向上

    流通業・サービス業における生産性向上対策では、まず何よりも付加価値率を
    向上させることですが、流通業・サービス業の付加価値率の向上対策には、
     @商品・サービスの高付加価値化または商品回転率の向上
       (在庫の圧縮)による付加価値の増大

     A仕入原価・仕入れコストの低減

     B物流コストの低減などがあります。

   (1)商品・サービスの高付加価値化または商品回転率の向上

      商品・サービスの高付加価値化には、商品・サービスそのものが高い付加価 
      値をもつ高付加価値商品を扱う場合と、立地や集客条件に見合ったストアロ
      イヤリティーを確立することによって、ハイグレードな客層を吸引して、高付
      加価値化を図るケースとがあります。

      前者は、有名ブランド商品の取り扱いやオリジナル商品の開発、輸入品の取
      り扱い、ヒット商品・ブランド商品の取り扱いなどによって実現されますし、後
      者は、ストア・アイデンティティーを転換し、店舗を高級化することによって達
      せられます。

      高付加価値化を成功させるためには、商品の高度化と店舗の高級化、接客
      演出の高度化を総合的に計画し、トータルな戦略的展開を行うことが重要。

      また、最近の景気低迷下での付加価値向上策として、ディスカウント化によ
      る商品回転率の向上による商法が注目を浴びていますが、これは、店舗施
      設をはじめ、徹底的な固定費削減によって、商品の廉価化を進め、いわゆる
      薄利多売方式によって必要な付加価値を確保しようとするものです。

      以上の二つの方法のうち、いずれをとるかは、店舗経営のあり方に大きくか
      かわる事柄ですので、店舗コンセプトをしっかり確立したうえで方針化するこ
      とが大切です。

    (2)仕入れ価格の低減

      仕入原価の低減のためには、共同購入や新しいチャネルの開拓が望まれま
      すが、その際、セントラル・バイイング(集中仕入れ)方式や物流チャネルの
      短縮などについても検討すべきです(仕入コスト低減の方策は、図のように
      まとめることができます)。

    (3)物流コストの低減

      物流コストは、ロジスティックスすなわち発注・運搬・在庫(保管)など商品の
      流れに伴って発生します。

      発注の合理化のためには、EOS、VANなどを活用することが有効ですし、ま
      た、輸送コスト低減のためには、ロジスティックス全体を総合的に見直し、必
      要によっては、配送の外注化を進めたり、在庫管理の方法を改善します。

      このほか、ケースサイズ、単品サイズ、配送経路、ハンドリング方法などにつ
      いても検討、改善することが大切です。

      さらに、在庫(保管)コスト低減のために、ピッキング(出庫)の改善が重要。

      特に、卸売業では少量多品種、多頻度の物流に対応するためのオーダー・
      ピッキング・システムを導入し、作業を標準化・単純化することが有効で、こ
      のシステムによって、ピッカー(出庫担当者)をパート化、アルバイト化するこ
      とが可能となり、保管コストを低減することが期待できます。

  □人時生産性の向上対策

   (1)従業員の多能化と作業の標準化

     流通・サービス業、特に店舗展開をしている小売業・サービス業における労働
     時間は、従業員の在店時間としてとらえられます。

     開店している限り「人」がいなければならないので、省人化は非常に困難にみ
     えます。

     しかし、スーパーを例にとりますと、その後方(バックヤード)作業は、100種類
     以上にのぼるといわれるように、流通・サービス業でも、店頭の仕事以外に多
     くの作業があります。

     これらの作業を何人でこなすかは、それぞれの店舗によって異なりますが、作
     業マニュアルをつくったり、教育訓練を強化して多能化を進めることによって、
     相当程度の省人化を図ることができます。

     流通・サービス業での従業員の多能化を進めるには、このように業務運営方
     式を見直したり、作業分析・作業動線分析等を行って、一つひとつの作業を単
     純化・標準化・マニュアル化し、できるだけ多くの作業を誰もができるようにす
     ることがポイントです。

     また、こうして従業員の多能化を進める一方、伝票・帳票の簡素化、作業時間
     帯の変更、会議のスケジュール化・短時間化などを進めることによって、省人
     化、省時間化を一層進めることが大切です。

   (2)ショートタイム従業員の戦力化

     流通・サービス業における人的生産性向上対策で、パートやアルバイトの活
     用・戦力化は不可欠です。

     確かに、専門店やサービス業の店頭接客には商品知識やセンス、接客術など
     の専門性が求められるために、パートやアルバイトの導入がむずかしいとか、
     彼らにレジ締めをやらせるわけにはいかないなどといって、その導入に消極的
     な傾向もあります。

     しかし、専門店を含む小売業やサービス業では、1日のうちの繁閑の差が大き
     く、パートやアルバイトなどのショートタイム従業員の活用の場は非常に広い
     はずです。

     パートやアルバイト活用の視点とその戦力化の対策のポイントは、

      @パートやアルバイトを単に正社員の補助的労働力と考えたり、
       人件費の軽減だけを目的とするのではなく、より強力に戦力化
       するという視点に立つこと。

      A特に量販店やチェーン店などでは、パートやアルバイトにも一定
       の権限を委譲し、やる気と責任をもたせるようにすること。

      B業務をできるだけ単純化・標準化・マニュアル化し、教育訓練を
       徹底すること。
       できれば、教育訓練カリキュラムやマニュアルをつくり、パートや
       アルバイト自体を教育訓練の指導者として育てるくらいに徹底
       すること。

      Cパートやアルバイト向けの職能ランクを設けて、職務内容や
       権限、時給などについても職能ランクによって決めるように
       すること。           
       また、必要に応じて社員登用制度を設けること。

     専門店におけるパートやアルバイトの戦力化も基本的には、このような制度や

     対策が有効ですが、専門性や即戦力という要素を満たそうとするなら、退職社
     員の再雇用やセールスアシスタントなどショートタイムの専門職の導入も効果
     的です。

     さらに、専門職のショートタイム従業員の採用を容易にするには、働く側に勤
     務時間を選択させる選択時間制パートタイム制度が有効といえます。

   (3)客待ち時間と要員の有効活用

     流通・サービス業での人的生産性向上を考える場合、客待ち時間の有効活用
     は非常に重要です。

     例えば、専門店の場合、それまで特定の人にしかできなかった作業を標準化・
     単純化することによって、客待ちのため手空きとなった従業員がそれらを代替
     します。

     量販店では、商品の陳列や補充、ディスプレーの変更などを閉店後でなく客の
     少ない時間帯に変更するなど、人と時間を有効に活用することによって省人
     化、省時間化が図れます。

     また、客待ち時間を教育や会議などに利用したり、品揃えの研究などに利用
     することも重要です。

     人の有効活用では、LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)などの時間  
     管理技法を活用すると効果的です。

     これは、あらかじめ一つ一つの作業ごとに決められた標準時間に基づいて、1
     日の作業の繁閑に合わせて必要な人員をコンピューター(マニュアルでも可
     能)によって管理し、必要な要員を適切に配置しようとするシステムです。

     その際、ショートタイム従業員の効果的な活用がポイントとなります。

     要するに、LSPは作業工数分析による要員管理の手法の一つですが、これを 
     利用した流通・サービス業での生産性を計る計数技法として、

      “人時生産性”(1人1時間当たりの売上高または粗利。
      「売上高(粗利高)÷総労働時間」で表示)管理

     が有効です。  

     “人時生産性”の向上のためには、従業員1人1時間当たりの作業工数を増や

     し、総労働時間を短縮することが必要ですから、LSPと“人時生産性”管理は
     表裏一体の働きをします。

     また、チェーン展開をしている専門店などの要員管理のポイントには、次のよ
     うなものがあります。

      @ブロックや物流部門などの店舗のバックアップを行う部門への
       従業員の重点配置を行う。

      A近接地域(エリア)での店舗間の応援体制の確立や、大型店・
       小型店の組み合わせによる要員配置の効率化を図る。

      B早番・遅番・土日集中勤務体制など、繁閑に合わせた勤務
       シフト体制や、曜日特定・時間帯特定のパートタイマー制の
       導入によって、客待ち時間そのものを少なくする。

  □店舗のリニューアルと設備機械の更新

   流通・サービス業における設備機械の改善による生産性向上対策には、

    @店舗のリニューアル

    A設備機械、什器の改善

    BPOSシステムやEOS、VANの利用

   などがあります。

   「三年たったら部分改装、五年たったら大改装せよ」という店舗管理の格言があり
   ますが、店舗にもライフサイクルがあり、衰退期には客足が鈍り、売上高の停滞・
   低迷という現象が起こってきます。

   したがって、店舗のライフサイクルを把握して、計画的にリニューアルやリフレッ
   シュを行うことが大切です。

   店舗のリニューアルや設備・什器のリフレッシュを行う場合の留意点としては、次
   のような点が考えられます。

    @店舗のリニューアルに際しては、例えば、ファッション性を打ち出すとか、
     客層を絞って業態型店舗にするというように、コンセプトを明確にする。

    A客動線(顧客のための通路)、販売員動線(接客動線、作業動線)、商品
     動線(荷さばきや搬入動線)について検討し、店内通路のとり方を工夫する。

    B業種や業態を変える場合や販売品目を変える場合に、客層やイメージに
     合うように、什器・設備の全面的なリフレッシュを行ったり、視認率を改善
     するために照明を工夫する。

   また、主として小売業・卸売業の生産性向上のツールとしてPOSやEOS、VANの
   活用も重要です。

     EOS:電子発注システム(Electronic Ordering System)

     VAN:付加価値通信網(Value-Added Network)

   中小企業の多くでは、こうしたソフトウェアを十分使いこなすだけの経営管理のレ
   ベルにないといった問題点もありますが、研究する必要があります。

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