組織力の強化・向上

組織・人材の活性化

■組織・人材の活性化策の検討

 1.自社の理念・使命感を再確認する

  経済のグローバル化、IT化の進展に伴ない、自社の存在価値を見直し、ビジョンの再構築を
  行う必要に迫られている。

  つまり、どのような分野に自社の存在価値を見出すかを明確にすることが求められているのです。

 2.1~3年後の経営計画・経営目標を決める

  商品・サービス、売上げ・利益、人員、エリアなどについて、短期(1年)と中期(3年)の
  2つの経営計画を作成し、重点を明確にした戦略を展開すること。

  この戦略に基づき、それぞれの戦術にブレークダウンしていくことです。

  
  【例】(1) 短期の場合…①技術開発者の採用(3名)

               ②若手社員の部門長への登用

                                                  ③積極的な人事ローテーションの実施
               (営業部門 ― 製造部門間など)

     (2) 中期の場合…①実力・成果主義の給与・賞与の仕組みづくり
               (評価の定量化)

              ②海外企業との提携

              ③新商品の市場導入など

□方針の浸透とコミュニケーションの大切さ

 1.コミュニケーションのスピードと企業規模との関係

  社内のコミュニケーションのスピードは、企業規模とは無関係です。

  規模が小さければ速く、大きいから遅いということはありません。

  小さくてもコミュニケーションが円滑でない会社はいくらでも存在するし、大企業でも意思の伝達
  にほとんど時間がかからないところもあります。

  そのスピードの違いは何から生まれるのでしょうか。

  それは、その企業が「行動=成果」を重視しているかどうかが大きな要因です。

  トップが、自らの方針を一人ひとりの行動に早く反映させようという意識を強く持っていれば、
  必然的に分かりやすく、かつ早く伝達されることになる。

  「一刻も早く実行してもらいたい」という考えが大切。

  トップの考え方次第で企業内のコミュニケーションは円滑になり、スピードは加速する。

  事例を簡単にご紹介します。

  【事例1】A社(サービス業 社員72名)

    朝礼で伝えたトップの方針は、遅くとも翌朝より各部門でスタートしている。

    ちょっとした声掛けやメモの利用など、意思伝達のために必要と思われる行動を
    一つひとつ積み上げ、そのような行動はライバル会社からもモデルとされている。

  【事例2】 B社(商社 社員130名)

    戦略会議で決定された方針は、即文書化され各部門・拠点に通達される。

    また月2回の部門長・拠点長会議で方針の徹底度合いを綿密に確認し、
    完全に浸透したことが認められるまで確認は何度も繰り返される。

    方針が徹底されるまでのスピードの速さが、企業体質として定着している。

  【事例3】 C社(販売業 社員500名)

    役員が定期的に各部門を巡回する。役員の厳しい目で、方針の浸透度・実行度が
    チェックされている。

 2.まず社風づくりから

  円滑なコミュニケーションは、オープンな社風がその基礎となっています。

  組織力、人材力、システム力を整備する前に社内の風通しのよさを十分チェックしておくことが
  重要です。

  そこで、オープンな社風づくりを行ううえで陥りやすい症状とその対策について記載しておきます。

  (1)方針が文書化され、立派な方針書が社内に配布されただけでは、社員の理解、行動へは
     つながらない

  (2)方針の作成に当たっては、難しい表現を避け、自社の社員のレベルに合わせて分かり
     やすく表現することを心掛ける

  (3)意識的に日頃より、トップや幹部は社員との接点を多く持ち、「いま何が大切か」
     「将来わが社には何が必要か」を意図的に話し掛ける

  (4)方針を押しつけるだけではなく、社員の生の声に耳を傾け、社員一人ひとりのものの
     見方や考え方、困っていることや要望などを引き出すように努める

  (5)具体的な業務においては、特に若手中堅社員の意見・提案を吸い上げ、積極的に
     取り入れていく

  方針の浸透と社風、コミュニケーションとの関係

  「部門間の壁」とは、具体的には部門長間のコミュニケーションの壁であり、部門長同士が日常
  お互いに信頼関係を構築しているか、話し合いを密に行っているか、お互いの業務や命令系統
  などを理解しているかによって、壁が「ある」「少しある」「ない」と変わってきます。

  方針をスピーディーかつ正確に伝達し浸透させるには、トップをはじめ幹部社員がいかに社員の
  意見を吸い上げる工夫をするかが大切です。

  また社員一人ひとりが、個人の利害だけでなく会社全体を考え、方針の徹底こそが自社の繁栄に
  つながることを理解しなければならない。

  コミュニケーションの方法も「その方針を誰が決めたのか」、また「誰が伝えたのか」まで正確に
  伝達することが、方針の本質をとらえ、実践していくうえで非常に重要となるのです。
 

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組織力の強化・向上

組織の現状分析

■組織の現状分析法

 企業を取り巻く環境変化に、いかに対応するか――。

 これは組織リーダーにとっての必須課題です。

 あなたは今の自社・自部門の組織の実力を、果たしてどの程度把握しているだろうか。

 ここでは、自社の事業戦略を正しく運営するために必要な「自組織の現状分析手法」を紹介します。

 自社を知るノウハウとして活用していただきたい。

□組織特性を把握する四つの着眼

 自社・自部門の組織を把握するためには、次の四つの着眼が必要です。

 まず、定性的なものとして「権限委譲」「組織構成」「成長段階」の三つ、そして定量的なものと
 して「組織生産性」がある。

 順を追って紹介します。

 1.権限委譲の実態把握

  まず、組織における権限委譲、「責任範囲の明確化」の度合いの状況把握が必要です。

  例えば比較的、人員規模が大きい企業と言えども、創業当時はトップである創業者と数人の有志、
  同族・親友メンバーなどからスタートすることが多い。

  その時点の役割分担は、極めて明確。

  営業が得意な社長、仕入れが得意な兄弟、数字に詳しい社長夫人といった具合である。

  ところが、年数を経て規模が大きくなってくると、役割分担が追いつかなくなる。

  こうした状況下で、自分が何をどこまで任されているのか、今、自分の立場で一番やるべきことは
  何なのかが見えなくなってしまうのです。

  特に、末端になればなるほど、その傾向は顕著になるケースが多い。

  そこで、まずは「自分の立場で決めること(決裁責任)、やるべきこと(実行責任)、伝えるべき
  こと(報告・相談責任)はそれぞれ何であるか」が明確になっているかどうかを検証する。

  この「誰」に「何」を「どの程度」任せるかという権限委譲の度合いで、組織としての成熟度が
  分かります。

  権限委譲の現場において、事実を正しくつかむ現状認識が出発点となる。

  リーダーには、部下の手は離しても目は離さない関心力と、いつでも相談に応じる包容力の発揮度
  についてのセルフチェックをお勧めしたい。

 2.組織構成の実態把握

  次に、組織構成の実態を把握する必要がある。

  主なものを次に4点挙げるので、確認していただきたい。

  (1)組織階層

   自社・自部門における組織階層は何階層で、組織構成の規模は何人か。

   階層であれば3~5階層、構成員は5、6名以内が一般的に適正と言われています。

   3階層とは役員(兼務部長)、部門長(部長または課長)、一般社員。5階層なら役員、
   部門長(部長・次長・課長など)、部署長(課長・係長・主任など)、ベテラン・中堅社員、
   一般社員など。

   上司が部下の日常活動を把握することを考えれば、多くても上司1人当たり10名以内の構成
   人数が適正でしょう。

   構成人数の多さは、組織におけるコミュニケーションスピードの遅さに直結します。

   上司から部下への指示命令・気付き・アドバイスの質と量。

   また、部下から上司への報告・相談・確認の質と量に気を付け、パンクしないように適正な
   スピードが発揮できる規模かどうか、1チーム当たりの人数規模を検証いただきたい。

  (2)役職数と役職者数

   組織内のチーム数に応じて、リーダーとなる役職数と役職者数が決まってくる。

   年功序列的な発想の組織であれば、長年所属することで何らかの役職が付く場合がある。

   「昇給の代わりに、役職付与は体裁上やむなし」と考え、やみくもに役職数、役職者数ばかり
   増える傾向が、中小企業においても増えています。

   部門を預かる管理職の適正人員規模は、「総正社員の15%以内」が目安とされます。

   確認いただきたい。

  (3)直間比率

   直接人員と間接人員の割合を「直間比率」という。

   直接人員は「ライン」と呼ばれ、営業や生産など現場で付加価値を生むために直接的な業務に
   携わっている人員です。

   間接人員は「スタッフ」と呼ばれ、総務・経理など間接的な業務に携わっている人員です。

   一般的に適正値とされるのは、正社員における直接人員と間接人員の割合が8:2から7:3
   の水準と言われています。

   ただし、ここで大事なのは、単に人数の多い少ないを判定するのではなく、なぜ多い(あるいは
   少ない)のかを分析すること。

   事業戦略上の方針転換の際に、一時的に間接人員の割合が高まる場合もある。

   また、業務上の流れが悪いために、仕事量の割に人員数が多い場合もある。

   直間比率の実態把握に関しては、特に原因分析が必要です。

  (4 )組織年齢

   そのほか、組織における年齢構成の現状分析も重要だ。平均年齢だけでなく、10代から60代
   以上まで、年齢層ごとの人員数や勤続年数の分布状況に偏りはないだろうか。

   また、生産や営業の現場の技術を支えるのが、正社員ではなく嘱託・パート・派遣社員の場合も
   ある。

   現場の技術の伝承が計画的に行われているだろうか。

   目先の業績ばかりに関心が向き、時間のかかる人材育成の分野ほどおろそかになりがちなので
   要注意です。

□組織の成長段階と組織生産性の現状分析

 1.組織の大きな四つの成長段階

  「組織の成長段階が変われば、価値判断の基準も変わる」と言われる。

  自社の事業戦略を正しく運営するための組織改革のステップでは、自社の成長段階における判断
  基準のあり方が問われる。本項は、組織改革のための「組織の成長段階」と「組織生産性の現状
  分析」を紹介します。

  企業における組織には、次にメリットとデメリット別に挙げるように、大きく四つの成長段階が
  あります。

  ただし、自社が取り組む事業の内容・規模・歴史によって成長段階は異なり、どれが正解といった
  ものもありません。

  あくまで、自社の事業戦略に合った段階の組織形態が必要という点を認識していただきたい。

 2.組織形態のメリットとデメリット

  どんな組織形態にも、必ずメリットとデメリットがある。

  ステップごとに、その内容を確認します。

  (1)ライン&スタッフ型組織

   まず、誕生したばかりの初期段階の組織では、攻めと守り、営業と総務といった、ラインと
   スタッフの二つに分けられる「ライン&スタッフ型組織」が基本です。

   この段階は人員規模もさほど多くなく、トップが末端まで十分に状況を把握できる規模です。

   それぞれのポジションの役割も明確かつシンプルであり、組織維持にコストもかからない。

   ただし、トップの目の届く範囲でしかコントロールできないため、ある一定規模の大きさまで
   しか機能しない要素が強い。

  (2)機能別組織

   事業の成長とともに製品・サービスが拡充され、人員規模が大きくなると、営業、生産、開発、
   仕入れ、購買、総務、経理といったそれぞれの機能・役割を組織の単位とする「機能別組織」に
   進化していく。

   この機能別組織こそ、どの業界においても多く見受けられる形態です。

   この組織形態は、各機能の責任体制が明確で、目標設定からコントロールや経験を積むことで
   専門性を高めることができる。

   組織単位では効率的な半面、会社全体での取り組みに関しては部門・部分最適になりやすく、
   経営感覚を持った人材の育成を図りにくい。

  (3)事業部別組織

   事業戦略を行う上で、各事業別の取り組みの責任体制をより明確にした形態が「事業部別組織」
   です。

   取扱製品・サービス単位で分ける場合と、エリア単位で分ける場合の大きく2パターンがある。

   いずれも、各事業部のトップに一定の権限が与えられ、その中で経営資源の投入と成果を求め
   られる独立採算性が明確になるため、経営感覚を持った幹部人材が育ちやすい。

  (4)分社グループ型組織(ホールディングス制・カンパニー制)

   事業部別組織よりさらに権限委譲を進めた形態が、「分社グループ型組織」である。

   事実上、独立した法人と して運営するスタイルであり、戦略実行面では極めてスピーディーな
   判断・行動が可能になる。

   会社の資産運用や管理、中長期計画策定・実行に伴う人材の採用や育成など管理・マネジメント
   を行う組織と、その他のライン・スタッフ分野で、最大限の成果を上げるべく権限委譲を図る
   ことができます。

   ただし、ある一定レベルのマネジメント能力やルール順守の風土がなければ、パワーが分散して
   しまったり、重複した経費が発生したりする可能性がある。

□組織生産性を把握する人的数値基準

 組織生産性の実態を把握し、改善するには「ゴール」を設定する必要がある。

 ここでは、組織生産性の現状分析と改善の取り組みについて、必要な数値基準を紹介します。

 組織の生産性を改善するために把握すべき主な数値基準は、経営効率の視点と現場効率の視点、
 合わせて四つある。

 次にそのポイントと活用法について紹介します。

 1.経営効率視点の2指標

  まず、経営効率視点での二つの指標、人件費率と労働分配率の内容を確認する。

  (1)人件費率

   まず、人件費率であるが、これは人件費を売上高で割ったものであり、低いほどよいとされる。

   計算式は、

    人件費率=人件費÷売上高

  
(2)労働分配率

   これは、人件費が付加価値(粗利益)に占める割合のことを言う。

   人件費率と同じく低いほどよいとされる。

   言い換えれば、組織が上げた付加価値と、その付加価値に占める人件費の割合を示すのが労働
   分配率です。

   業種平均との比較や過去実績との比較を行うことにより、自社の現在のレベルが分かる。

    労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)
     ※付加価値を粗利益と置き換えてもよい

   これらの指標は、その組織全体の人件費を軸にした効率を表した指標です。

   しかし、いかに人件費を下げるかという議論だけで、改善は図れない。

   また率が改善(低下)しても、それが人件費の減少によるものか、人員減少によるものなのか、
   売上高人件費率や一人当たり人件費の推移にも注意し、当初の目的とするところのゴールが
   果たせたのかを確認することが重要。

   さらに、人件費のコントロール以上に、付加価値向上の要素も常に検討していくことが必要。

   どのような人員配置で役割分担すれば、パフォーマンスが高まるかについての検証も行うべき。

   現場の効率を把握し、改善するために、現場の作業時間を軸にした考えを持つこ とが求められる。

 2.現場効率視点の2指標

  生産性の改善を図るには、人件費だけではコントロールが難しいため、より現場で目に見えやすい
  形で作業の改善を図る必要がある。

  このために把握しておくべき指標として、「どれだけの人数がかかったのか」という「人員」と、
  「どれだけの時間がかかったのか」という「作業にかかる時間」を掛け合わせて作業時間を把握
  する考え方がある。

  この作業時間を「人時(にんじ)」と呼びます。

  現場効率視点について、次に代表的な2指標を紹介します。

  (1)人時売上高

   売上高を作業時間で割ったものであり、1人1時間当たり(1人時当たり)いくら売上げたかを
   表したものです。

    人時売上高=売上高÷総人時

  (2)人時生産性

   付加価値(粗利益)を作業時間で割ったものであり、1人1時間当たり(1人時当たり)いくらの
   付加価値を稼いだかを表したものです。

    人時生産性=付加価値(粗利益)÷総人時

 3.目標設定のための数値活用

  生産性の改善を図る上で、何をどのようにコントロールするかを考える。

  例えば、付加価値高(粗利益高)を高めるためには、「付加価値=人時生産性×総人時」の式から
  言えば、人時生産性か総人時のいずれか、またはどちらもを高めることが必要になる。

  ただし、総人時が増やせない(人員や作業時間を増やせない)となれば、いかに人時生産性を高め
  るかを考えねばならない。

  しかし、現状では人件費率が10%、付加価値(粗利益)率25%、労働分配率40%が前提と
  なっている。

  もしこのバランスが崩れれば、付加価値目標を達成できないことになる。

  例えば、付加価値(粗利益)率が1%下がった24%の状況下では、人件費率10%、労働分配率
  40%の数値を目標として掲げることはできない。

  現場での現状数値を把握しておかなければ、立てた目標がやる前から達成不可能なものとなる。

  矛盾が起きないように、目標設定の前提となる現場での生産性の現状と、目標となる基準の再設定
  について、確認していただきたい。

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組織力の強化・向上

社長の行動が組織を変える

■裸の王様であることを知る

 会社のオーナーである社長は、実は裸の王様です 。 

 どの会社の社長も程度の差こそあれ、裸の王様になってしまう。 

 それは、現場のリーダーが悪いから 。

 現場のリーダーが、王様が裸なのに陰でクスクス笑うだけでそのことを社長に言わない。 

 そのクスクスが現場の空気を変えてしまっているのに 。

 腐る会社は、現場から腐る。

 最終的に企業が腐る責任は、もちろん社長にある 。

 しかし、腐るプロセスは、社長ではわからない。

 社長は、現場レスのポストです 。

 上に行けば行くほど現場から離れる。 

 すべては現場に赴き、すべては現場で解決する。 

 社長は現場レスにもかかわらず大きな判断をしなければならない。 

 社長は現場からの問題意識とヒントを常につかんでおく必要がある。

 したがって現場のリーダーと情報を共有し、信頼関係を構築して現場レスのポストである社長を
 支援してもらうことが大切です 。

 腐る現場ほど、腐ったリンゴに化粧をしてしまうもの。 

 腐ったリンゴは、隣に腐ったナシを生み、腐ったミカンを生むようになる。 

 会社は、現場から音も立てずに崩れていく。 

 そして、あるとき突然、一気に砕け散ってしまうものです。 

 腐ったリンゴは、現場のリーダーから始まる。 

 一方、腐りかけたリンゴが復活するのも、すべて現場のリーダーであるミドル。 

 たった一人の勇気あるリンゴが、会社を救うことも多い 。

 腐りかけたリンゴは、その状況を客観的な視野をもってトップに相談すべきである。 

 自分が腐りはじめているとき、実は、隣のナシやミカンも腐りかけているのです。 

 そのことを正面からトップに相談しやすい関係をつくってほしい。 

 何度も言うが、王様は、いつも裸になりやすいから。

□まず、語ることからはじめよう!

 では、どういうかたちで現場のリーダーや社員と信頼関係をつくればいいのでしょうか。 

 中小企業の中には企業としての夢や目標はいらないと考え、それらは大企業が掲げるものだと
 思っているトップが多い。

 ところが小さな会社ほど夢や目標が大切なのです。 

 組織の信頼関係は、トップがもつ夢や考えから生まれてくるものです 。

 社員にとって、夢を真剣に語れないリーダーは魅力がない。 

 本田宗一郎はみかん箱の上で、孫正義はりんご箱の上に乗り世界一への夢を社員に語っていた。 

 日東電工は、「グローバルニッチトップ!」、デンソーも「カテゴリー世界ナンバー1部品」を 
 トップが語っている。

 松下幸之助は、産業報国を理念として語り、稲盛和夫氏は、敬天愛人を哲学として語っている。 

 理念も哲学も一つの生き方を「夢」にしたものです。 

 キヤノンの「共生」、リコーの「お役立ち」という理念も、創業者をはじめ、多くの社員の「 夢」
 にしたものであり、さらに現場を通じビジョンにして、そしてさらに現実化している。 

 ミッション遺伝子、ビジョン遺伝子、夢遺伝子です 。

 渋沢栄一は、500以上の企業を財閥という形ではつくらずに、自立型でどんどん創業化させて
 いきました 。 

 ポリシーとしてその根底には、「 新しい時代の夜明けを率先して切り拓き、多くの雇用と多くの
 事業機会を主体的に創世させていくべきだ!」という彼らしい自我を超えた哲学があった。

 「その事業が個人を利するだけでなく、社会を利してゆくのでなければ、決して正しい商売とは
 言えない」という理念・信条を胸に抱いて。 

 自分へのミッションを投じた彼自身の至上の夢もあったのです 。

 井深大は、「あらゆるいばらの道を切り開き、誰も手がけない新しい創造に取り組め!」と語り、
 夢の実現に向けての心構えを述べている。

 本田宗一郎は、「好きなことをやれ! そうすりゃ、それがやがて社会の役に立つ!」と彼らしく
 語り、夢を持つことが社会に役立つ一歩であると頻繁に語っていた 。

 明治時代のはじめ、多くの産業人は日本という国家を考え、人々の繁栄と幸福を産業の隆盛という
 視点で自分の夢として思い描いた。 

 終戦後も同様です。 

 自分だけが豊かになればいいという企業人は少なかった。 

 人のため、国家のためが、イコール自社のためであった 。

□考え方が変われば成果が変わる

 人々が豊かになり、日本は世界第2位の経済国家になった。 

 夢のプラットフォームがあるわけではない。

 社会を豊かにすることを正面切って思い描くこともしなくていい。 

 自社が豊かになり、店頭公開・株式上場という狭い夢でも十分、社会的に認められるように
 なっている。 

 その意味からは、夢の選択肢は多い 。

 しかし、豊かさは自分の夢・ビジョンを語らなくて済ませてきた。 

 灰じんに帰していた国を目の当たりにしたら、多くの篤志家は、高い志を抱くものです。 

 ところが今は、環境は厳しいが、豊かです。 

 夢・ビジョンが自然に出てくる感じではない。 

 苦しいハングリーな状況のほうが、夢もビジョンも出やすい。 

 ビジョンがなければ、時代的進化も価値観の進化もない。 

 夢・ビジョンが今ひとつ明確でないなら、現場のリーダーたちと一緒になって夢・ビジョンをつくる
 しかない 。

 ではどういうレベルで、どういうタイミングで夢・ビジョンをつくるべきか。

 まずは「つくる場」の設定から考えたい。 

 一番いいのは会社の目標を決めるときです 。

 なぜに来年以降の目標はこうあるべきなのか?

 なぜに今年の目標はこうだったのか?

 その目標を夢・ビジョンというレベルに引き上げて、ディスカッションしてほしい。

 夢・ビジョンを正面から語れないなら、まずは、夢・ビジョンを考え、思う場をつくることから
 始めるのがいい 。 

 夢を語る場・夢を考える場・夢を描く場・夢をビジョンにする場・ビジョンを実現する仕組を
 つくる場・・・夢とビジョンを創出する場が求められているのだから 。

 組織に、今を考え未来を見つめる習慣がなくなったら進化はありえない 。

 夢・ビジョンによって社員一人ひとりの考え方が変わり、行動が変わり、そして成果も変わる
 ことは、成長企業の創業の歴史が証明している 。

□変革期のリーダーシップ

 リーダーシップというのは、時代とともにその求められる要素が異なる。 

 産業が未熟なときはカリスマ型リーダーシップで、ガンガンと引っ張ってほしいと人々は思う
 ものです。

 産業や組織が一定の形になってくると、より効率を求めるようになり、高度化のための戦略構想力
 ・戦略実行力がリーダーには求められる。 

 そして効率化・高度化が実現することで次第に組織は成熟していく。

 そうなると今度はゼロベースにいったん戻して、新たな方向を探索してくれる現状破壊型の変革期
 リーダーを、チームや組織は求めるようになる 。

 さらに組織が進み、閉塞感を迎えると、新たな時代価値・事業価値を構築できるビジョン力をもった
 価値創造型リーダーの登場を期待するようになる 。

 リーダーは、時代環境で求められるものが違ってくる。 

 もちろん時代が変わっても 前段で述べた社員との信頼関係といった普遍的な要素も多い 。

 90年代には、戦略性重視のリーダー、変革型リーダーとしてのチェンジリーダーという事業構造、
 社会構造を変革しうる強いリーダーシップを期待するようになっていった。 

 一方、90年代後半からはコーチングブームもあり、静かなリーダー、ファシリテーター型リーダー、 
 質問重視リーダー、リーダーシップレス組織としてのオルフェウスプロセス( 指揮者のいない
 オーケストラの名前をとった考え方)といった新しい発想も生まれた。 

 リーダー像というよりもリーダーが持つべきスキルやマインドの要素ととらえたほうがいい感じです 。

 2000年代には、市場成長が低迷し、事業構造の停滞感も強くなり、日産のゴーン氏や伊藤忠商事の
 丹羽氏のような現場実証主義型リーダーが、注目を浴びるようになった。 

 いわば、現場起点の価値創造型リーダーである 。

□変革の方程式

 では、構造変革を実現するためにはどのようにすればよいのか。

 今の時代は変化が激しく、常識だけでは組織も企業も変わらない。 

 非常識だけでも事業は成功しない。 

 常識と非常識の2つの次元を併せ持つことが、構造変革のポイントです 。

  「常識×非常識=創造性」

 常識に非常識を加えよ、掛け算せよというのは、ソニーの創業者の井深大の言葉です。 

 ソニーDNAには、たしかにこの非常識を加えたり、掛け算したりの香りがぷんぷんする。

 東京大田区に本社がある「玉子屋」。 

 ソニー本社からも遠くない玉子屋は、年商70億円の仕出し弁当専門企業。 

 一度実際に食べていただくとわかる。 

 思った以上にボリュームがあり、しかもなかなか美味しい。 

 常識以上に非常識の遺伝子が香る企業です。 

 毎日6.5万食の単一お弁当を作り、配達し続けている。 

 一人が配達している量も半端ではない。

 ワンボックスカーに隙間なく詰め込まれている。 

 すごいのは、お弁当の種類が、たったひとつのみという点。 

 米・水・しょうゆ・塩にうるさく、一食の宇宙にこだわり続けている。

 玉子屋の企業理念には、「事業に失敗するこつ」というサブタイトルがついている。

  ◎ 旧来の方法が一番良いと信じていること

  ◎ もちはもち屋であるとうぬぼれていること

  ◎ ひまがないといって本を読まぬこと

  ◎ お客は我がまま過ぎると考えること

 といった12の逆説的な言葉によって構成されている。

 色々な教訓の賜物から生まれた理念である。 

 配達エリアは 、東京23区のなかの13区と川崎の一部と横浜の一部のみ。 

 金額はワンコイン 500円。 

 地域限定・種類限定・材料限定・金額限定・・・といった、“ 限定”を明確にしたニッチャー企業
 です。

 創業者の菅原勇継氏は旧富士銀行出身。

 息子の菅原勇一郎副社長と二人三脚の人情経営で、数多くのアウトロー的な従業員を業界
 ナンバー1の戦う弁当屋集団へと変身させた 。

 ご 飯・おかずの原価率が一般よりも高い 。

 50%を超える 。

 1985年、玉子屋は経営危機を迎えた。

 当時のお客さんの40%を占める三井造船で、玉子屋の弁当が原因で集団食中毒事件を起こして
 しまったのです 。 

 その際、倒産寸前にまで追いやられた。

 そのときの教訓もあり、「常識」である衛生面に対して、恐ろしいほどのこだわりを持つように
 なった。

 やがて安全へのこだわり病は、「非常識」として他の点にまで範囲を広げていった。 

 原材料へのこだわりが原価率50%を超えさせている。 

 また配達技術にもこだわっている。 

 平均的な弁当屋のロス率は3%前後だが、玉子屋の弁当のロス率は、なんと平均0.1%。 

 5万個で50のロスしか出ない。 

 配達エリアを限定し、最低受注ロットを10食にしていることもあり、新規の配達依頼を受けて
 いるのは10%しかない。 

 お客様さえ限定化している。

□非常識人脈を大切にする

 常識だけでは、構造変革は実現しない。 

 非常識だけでも事業は成功しない。 

 常識と非常識の2つの次元を併せ持つことが、組織の構造変革をもたらすポイント。 

 非常識の遺伝子を常識の遺伝子で殺さないことです。

 常識の遺伝子と非常識の遺伝子をシナジー化させることが大切 。

 現場でのちょっとした非常識を大切にしてこそ、新たな常識を見つけることができる。 

 常識とは自分の中にあるもの。 

 非常識とは、自分の中にないもの 。

 だからこそ、常識×非常識は自分だけではつくりにくい。

 自分と同じ価値観ではなく、切り口が違う発想をする人材を重視し、非常識データーベース、
 非常識人脈を自分たちのものにすることを自分へのノルマとするとよいでしょう。 

 どうしても自分自身は、どんどん常識的な発想、常識的な思考に陥ってしまうものだ! という
 自己認識を抱くことが、自己革新のポイントにもなる 。

 「自分の中にある常識×他人の中にある非常識=革新」という公式を無理やりにでも自分の価値
 基準にはめ込まなければならない。

□変革の好循環

 いろいろと組織が悪くなる場合、よくなる場合の変化の要因を上げて説明してきたが、組織を
 自由闊達な成長集団に変えるための一番の近道は、トップ自身が変わることです。 

 社長の成長は会社の成長であり、社長の考えは会社の理念である。

 それだけに社長の影響力は大きい 。

 まずは、日頃の発言から変えてみよう。 

 人を理解するためにはコミュニケーションが欠かせない。 

 近年、フレックスタイムの導入などで、企業の朝会や夕会がなくなり、社員がトップの話を聴く
 機会が減っている。

 変化が激しく、過去の経験が役に立たない今日こそトップは素直に社員の言葉に耳を傾け、自分の
 考えを伝えるべきです。 

 それをすることによって衆知を集め、社員の心を掌握し、変革への第一歩を踏み出すことができる
 のです。

 会社がすぐに変わることは困難を極める。

 運動会の玉転がしの玉が鉄でできているようなもの。 

 最初は押してもビクともしない。 

 押す人が一人増え、また一人増えることによってほんのわずかに動き始める。 

 するといつか勢いがつき、玉自らが動いているように感じる。 

 この慣性の法則こそ変革の好循環である。 

繰り返しますが、トップが最初に玉を押すことが重要なのです 。

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組織力の強化・向上

組織の結束力を強化

■自社の結束力を強化

 結束力の強化は人間関係を築くことから始まります。 

 その際に必要となってくるのが「コミュニケーション」です。 

 とくにビジネスにおける「(社内)コミュニケーション」は、組織の仕事の円滑化、組織力強化のために
 非常に重要な要素となっています。 

 「社内交流が少ない」「社員が育たない」「周囲との関係が希薄」ため、スムーズな問題解決ができない
 といった、「コミュニケーション」の不足に起因する組織停滞を招いていませんか。 

 良好な「コミュニケーション」は、ストレスを溜めない職場を作り、その有効活用法を学ぶことで営業力
 も上がります。 

 人に対して積極的に行動する力、相手の本音や望んでいることを聞き出す力、それがお客様、同僚や上司
 から信頼される力へとつながるのではないでしょうか。

 1.中長期ビジョンの必要性

  ここでは、 自社を一枚岩にし、全社一丸となって成長に向けて突き進むための「トップマネジメントの
  あるべき姿」について述べていきます 。

  (1) 中長期ビジョンは「必要ない」のか

   「成長企業」と目される上場企業のウェブサイトの IR(インベスター・リレーションズ:投資家
   向け広報活動)や会社概要ページをご覧いただきたい。

   ほとんどの企業が何らかの「中長期経営ビジョン」を掲げており、自社が「なりたい姿」を明確に
   表明していることが分かります。

   一方、中小企業はどうでしょうか。

   一昔前まで、多くの企業は中長期経営ビジョン(以下、中長期ビジョン) をきちんと策定して
   いました。

   中長期ビジョンとは、5年、ないしは10 年後の自社のあるべき姿を想定し、それを実現する
   ために、これからどのような戦略を打っていくかを明記したものです。

   しかしながら、最近は作成しない企業が増えているようです。

   自社を取り巻く経営環境が、技術革新などによって目まぐるしく変化しているため、「中長期
   ビジョンを立てても意味がない」と考えている経営者が意外に多いのです。

   しかし、本当にそうでしょうか?

   いや、そうではありません。

   その理由は、「潮流をつかむ」「夢の実現」「大局観」「組織体制づくり 」 の4点です。

   順に解説していきます。

 2 .中長期ビジョンが必要な四つの理由

  まず1点目は、「潮流をつかむ」ことです。

  確かに、昨今の市場環境や社会情勢は猫の目のように変わります。

  だが、そうした変化の裏側には、大きな潮流が間違いなく存在するのです。

  目先の一時的な波の高さに目を奪われ、持続的な潮の流れを見誤ると、進むべき方向を見失います。

  つまり、戦略が意味を成さなくなります。

  例えば、 東日本大震災後、東北地方は震災復興需要で景気が上向きました。

  こうした震災復興に関連する需要は、一過性のある“ブーム”です。

  1~2年では終わらない復興需要を“ブーム”と呼ぶのは違和感があるかもしれないが、大規模な
  事業は5年以内にほぼ終了します。

  復興需要も、やがて収束に向かう。

  区切りがある以上、それは“ブーム”です。

  一方、進行している少子高齢化に伴う人口減少やグローバル化などは、社会的・構造的な変化です。

  持続性があり、区切りがない。

  こうした潮流を押さえておかないと、 “ブーム” による 需要が消えたとき、人口減少による国内市場の
  縮小という問題に直面するのです。

  中長期ビジョンをまだ策定していない、あるいは策定をやめている会社は、“ブーム”の後を見据えた
  中長期ビジョンを描いていただきたい。

  2点目は、「夢の実現」です。

  中長期ビジョンとは経営者の夢であり、社員のプライドやロイヤルティーを高めるバックボーンでも
  あるのです。

  それを実現しようとする意志の強さで、自社の成長は決まります。

  高い目標(夢)と、それを成し遂げようとする強い意志がなければ、自社に残される選択肢は衰退のみ
  です。

  中長期ビジョンという目標は、社員に夢を与えます。

  3点目は、「大局観」。

  会社を成長させるには、大局的な視点に立ち、事業構造や収益構造を抜本的に見直す必要があります。

  もし、単年度の事業計画を作成し続けるとどうなるか。

  既存の事業や収益構造を前提に、過去の延長線上を走り続けるだけです。

  市場構造が大きく変化する、ライバルが積極的な拡大戦略を打つ、新たな競合相手が現れる。

  これらに対し、かつての成功体験を踏襲した前例主義に終始すると 、後手に回ることとなり、有利な
  ポジションを完全に奪われるでしょう。

  強調したいのは、そもそも「中長期」という時間軸において、大局的にビジョンを構築できるのは
  社長しかいないということです。

  目の前の仕事に追われがちな社員、所属する部署の事情に左右される経営幹部は、中長期という時間軸
  で物事を捉えることがなかなか難しい。

  4点目は、「組織体制づくり」のためです。

  単年度の事業計画では、当然ながら時々に応じた組織図を描くことになる。

  しかし10 年もたつと、ほとんどの企業は世代交代によってSBU(戦略ビジネスユニット)の
  長が変わります。

  さらに、社長交代や事業承継も絡んでくるかもしれません。

  人材育成や事業承継は、長いレンジで考え、具体的に計画し、毎年、着実に実施していかねば
  ならないのです。

  そうでないと、いざというときに必要な人材が見つからないことになります。

  しかし、これについても、対応が後手に回っている企業が多いようです。

 3 . ビジョン策定に向けて経営者は「決断」せよ

  最後に、中長期ビジョンの策定において、いくつかの注意点を述べたい。

  まず、 ビジョンをつくる際には、経営のかじ取りを担う経営チーム(取締役会)で自社の価値判断を
  共有し、足並みをそろえてほしい。

  経営チームの足並みがそろわず、一枚岩になれなければ、ビジョンの実現は難しいでしょう。

  その価値判断は、「デフレ時代のリストラ思考・行動からの転換」と、「過去の成功体験からの脱却」
  という2点を前提に置きたい。

  経営チーム全員がこの認識を持っていないと、 今後のビジネスモデル・イノベーションに向けて大胆に
  かじを切れません。

  そして社長は、自社の理念実現と永続発展のためにも、過去の延長線ではない、大胆で夢のある、かつ
  高い志を明らかにする中長期ビジョンの策定を決断していただきたい。

  今、社長に求められているのは、現状に対する鋭い洞察と、それに基づく「決断」です

  「何もしないことも決断だ」と言う社長を見受けるが、それは決断ではなく、“傍観”にすぎない。

  決断なき経営は、結果としてビジネスチャンスをつかみ損ね、イノベーションが遅れ、ゆくゆくは
  時代から取り残されるでしょう。

□役員の結束力

 1.トップが思う以上に現場は方針がブレている

  企業成長の第一ボタンは「役員の結束力」 です。

  というのも、役員の結束力が高い企業と、そうでない企業を比べると、業績格差が如実に表れるから
  です。

  役員が結束できており、社内が一枚岩になっている企業は、トップの方針がブレない。

  指揮命令系統が一貫しているため、社員も安心であり、迷いなく業務を遂行できるのです。

  「そんなことは当たり前にできているよ」と言うトップは多い。

  しかし、再度、自社の現状認識をしていただきたい。

  確認といっても、社員に聞けばすぐに分かります。

  社内が一枚岩かどうかは、社員が最も分かっています(ただ「結束がありません」とはなかなか言い
  にくいでしょうが…)。

  一般的に、社内が一枚岩になっている企業は少ない。

  現場ではトップが思っている以上に方針がブレており、社員が混乱を来たしているケースが多いので
  す。

  社内が一枚岩になり切れない原因は、役員が結束していないからです。

  なぜ、役員は結束できないのか。

  その理由は企業によってさまざまですが、よく目にする 事例を紹介します。

  役員が一枚岩になれない理由

  (1)先代の番頭役員がいる

   まず、トップが「後継者」で、「先代の番頭」が役員にいるケースです。

   このケースでうまくいかない要因は、トップが番頭に気を使い過ぎている ためであることが多い。

   企業人としての先輩に配慮を見せることはとても大事ですが、トップはあくまで社内で1人であり、
   そのトップが掲げた方針には、 誰であろうと従わなければなりません。

   ある特定の人物だけが特別扱いされたらどうなるか。

   先輩への配慮が、遠慮になった瞬間、方針は徹底されなくなります。

   特に、先代社長の右腕として経営を支えてきた番頭的立場の役員は、「私は先代に尽くしてきた。
   ほかの役員とは違う。2代目を指導する立場にある」「2代目社長より、私のほうが現場のことを
   把握している」という自負やプライドが強い。

   大目に見て方針の徹底をためらうと、途端に現場は混乱に陥ります。

  (2)トップが強烈なワンマン

   二つ目は、トップが強烈なワンマンの場合。

   すなわち、トップが唯我独尊、“裸の王様” になっているケース。

   これも中小企業ではよく見受けられる。

   トップが社内で独裁者のように振る舞っていると、周りにいる役員は「イエスマン」となる。

   トップの機嫌を損ねたくないので、悪い情報は役員が止め、良い情報しかトップの耳に入れなく
   なります。

   場合によっては、トップが知らないのをいいことに、指示事項を下部組織に落とさず、その結果、
   「実施したものの成果が出ませんでした」とトップに報告することもあり得るのです。

  (3)役員が“外人部隊”である

   ここで言う“外人部隊”とは、生え抜きの役員ではなく、外部から招聘(しょうへい)した役員
   (傭兵)という意味です。

   もちろん「外人部隊はよくない」と言いたいのではありません。

   企業が成長の壁を破るためには、ときには外部から招聘し、新しい視点を取り入れることはとても
   重要です。

   しかし中小企業においては、大企業から招いた役員の場合、トップの期待感が高く、権限を委譲
   し過ぎるケースが見受けられます。

   そうなると、社員から見れば一体どちらが本当のトップなのかが分からなくなってしまいます。

   特に、トップから直々に請われて、大手取引先から入社した役員の場合、トップの方針を受け
   入れずに、自己流でマネジメントしてしまうことがあります。

   トップに介入されることを嫌がり、現場に対して「トップの言うことではなく、私の言うことを
   信じてやれば間違いない」などと言ったりもします。

  (4)トップが役員を信頼し切れていない

   逆に、トップが役員を信頼し切れないケースも多い。

   いったん役員に任せてみるものの、トップが我慢できずに割って入り、自分でやってしまう。

   これは、役員登用の基準が年功序列であったり、実力で登用していなかったりする企業でよく
   起きています。

   こうなると、物事が思うように進展しないのは当たり前です。

   トップが何にでも口を出して関与し、推進までしようとすると、マンパワーが足りずに中途半端な
   成果に終わるのは目に見えています。

   そうなると、トップは精神的にも肉体的にも疲弊し、さらには役員陣も「私は社長に信頼されて
   いない」とプライドを傷付けられ、モチベーションが下がってしまいます。

  (5)役員が全員兄弟である

   最後が、役員にトップの兄弟(姉妹)が多いケースです。

   これは同族企業で多く見られます。

   兄弟だから、むしろ結束は強いはずだと思われるかもしれないが、そうとは限らない。

   例えば、互いに遠慮してしまうケースや、弟や妹の役員が兄や姉であるトップの方針を全く受け
   入れず、自我を貫くケースがあります。

   いずれにせよ、血はつながっていても、一枚岩にはなっていない。

   前者の場合、 表立ってト ップの意向には反対しないが、言いたいことを言えない状況が続くと、
   次第に経営への関与の度合いが低くなります。

   後者の場合は、役員が兄弟げんかのようにトップ方針にことごとく反対し、物事が決まらない。

   本項では五つの悪い事例ばかりを取り上げました。

   こうしたケース は、「もったいない」と感じる事例の最たるものです。

   役員陣が一枚岩になれないのに、組織全体が一枚岩になれるはずがない。

   業績が上がらないのも必然とも言えます。

   よって、まず初めに役員の結束力を現状認識する 必要があります。

   ここが、マネジメントにおける KFS(重要成功要因)です。

   役員に結束力が見られない場合、まず変わらなければならないのはトップ自身です。

   トップが変わらないのに、役員を変えようとしてもダメです。

   トップはまず、リーダーシップの重要性を再認識し、ほかの役員に対する言動を自分自身で変えて
   いく。

   そうなれば、役員にも変化が表れます。

   トップがリーダーシップを発揮すれば、役員の結束力はおのずと固まります。

   この結束力こそが、自社のビジョンを絵に描いた餅に終わらせない、強力な戦略推進力となります。

   「和して同ぜず、トップが周知英断する一枚岩の経営チーム」。

   そのような役員間の関係を、ぜひ構築していただきたい。

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組織力の強化・向上

組織の一体感

■組織の一体感を生み出す

 もし、 自社の職場で、部下や周りの人と質の高い対話が実現できたら、どのようなことが期待できる
 でしょうか。

 まず、組織が一つにまとま り、一体感が生まれます。

 皆が一体になって仕事に取り組めば、仕事は楽しくなります。

 苦しい状況を乗り越えることもできます。

 ですから、リーダーは、組織の一体感をつくりあげるために、いろいろな工夫や努力をしているはず
 です。

 対話は情報の共有を促進します。

 ITを使ったグループウエアで情報を提供することはできるが、これは一体感を生み出すまでには
 至らないものです。

 やはり、相手との直接の対話を通じて情報を共有すると同時に、情報の裏にある、奥深いところの
 思い出を共有化しなければ、本当の意味での一体感は生まれないのです。

 多くの企業では、必ず、

  ・「上が何を考えているかわからない」

  ・「組織が何を考えているかわからない」

  ・「他の部署のリーダーが何を考えているかわからない」

  ・「現場にどんな問題が起こっているかわからない」

  ・「うちの課題は情報が共有化されていないことです」

 といった問題が出てきます。

 グループウエアを通して情報を共有化する 会社が増えてきていますが、核心部分ではやはり共有化
 できていないというのが実態のようです。

 これも、コミュニケーションが悪いために、組織や個人のあいだに壁が生まれ、組織がまとまらなく
 なってしまっているのです。

 ある会社では定期的に合宿を行い、4~5 時間くらいをトップと現場の管理者との対話にあてています。

 そこでのやりとりは、そばで見ていて感動するほどです。

 「社長:今年の方針の基本は、お客様満足を追求することだと言われましたが、みなさんの取り
 組み方を見ていると、とても本気だとは思えません。自分の上司は、二言目には数字、数字で、
 そのほかのことには興味を示しません。こんなことでは、とてもお客様満足を追求することは
 できないと思いますが……」

 「私は本気です。お客様満足なくして企業は発展しません。ですから、 わが社の活動の基本を
 お客様に置きました。もし、あなたの上司が理解していないとすれば、それは私の力不足です。
 このような場を通して、もっとしっかりと彼らにも基本方針の重要性を訴えていきます。また、
 あなた自身も、そんな上司に負けないで、上司の姿勢を変えるくらいの意気込みで仕事に臨んで
 ください。一緒にすばらしい会社にしようではありませんか」「役員会の討議内容を上司から
 聞きました。私から見ると、役員のみなさんは現場を知っているとは思えません。たとえば、
 某役員の言われたアイデアはまったく現場を理解していません。雲の上から見ている感じです。
 やろうと思っても、物理的なスペースがないので不可能です。もう少し現場を知った上で仕事を
 進めてほしいと思います」「現場がそのような状況だと知りませんでした。お詫びします。確かに
 本社の人間はもっと現場を知るべきだと思っています。また、現場の責任者は、おかしいことを
 本社が言ってきたら、はっきりと間違いを指摘して改善させるように働きかけてください。
 お互いに協力し合う組織をつくっていきましょう」

 言いにくい質問をぶつけるほうも本音なら、答えるほうも本音です。

 質の高い対話をめざすなら、絶対に逃げてはいけないのです。

 ごまかすのはもってのほかです。

 常に誠意をもって、真剣に正面から答え、至らない点は素直に頭を下げることが大切です。

 このような質の高い対話が行われると、一体感が深まり、情報共有化が可能になってきます。

 隣の人間が何を考えているのかがわかってきます。

 上の人間の考えがわかってきて、自分たちがどの方向へ進んでいるのかが理解できるようになります。

 結果として、職場が楽しくなってくるのです。

 なんの話し合いもなく、お互いのコミュニケーションをとっていない組織と、お互いの思いを常に
 オープンにしながら本音でコミュニケーションをしている組織を想像してみてください。

 どちらが楽しいか、言うまでもないでしょう。

□対話の場を設ける

 組織では、「隣の人が何をやっているのかまったくわからない」ということがよくあります。

 そして、お互いに根深い不信感を抱いていることがあるようです。

 ある会社の話ですが、現場の若い部下が次のように言ったそうです。

 「本社というのは、どうしようもない集団じゃないですか。何を考えているのか、さっぱりわかり
 ません。

 何か仕事をしているんですかね。するのは現場の邪魔ばかりではないですか」

 そこで、支店長は本社の人間を支店会議に招き、本社が何を考え、どう いうことをやろうとしている
 のか説明してもらうことにしました。

 そして、本社の考え方について、どんどん質問させたそうです。

 その結果、事前に予想していた以上の素晴らしい効果が生まれたといいます。

 若い部下も、「本社の人間もちゃんと考えて仕事をしているのですね」と、理解してくれたそうです。

 もし、このような対話の場が設けられなかったら、どうなっていたでしょうか。

 お互いが推測と憶測と疑念に凝り固まり、不信感がさらに大きく なっただろうと考えられます。

 ですから、なおのこと対話が大事なのです。

 また、本社の人間が現場を訪れても、建前でしか話をせず、しかもそれが説教口調だったら、現場の
 従業員のあいだにはますます不信感が深まるでしょう。

 このような対話がなされたとき、お互いの信頼が深まっていくことは間違いありません。

 この対話例のように、お互いがわかり合えば協力し合えるのです。

 しかし、不信感のかたまりでは、何か問題が起こったときに責任のなすりあいになってしまうかも
 しれません。

 

 質の高い対話でお互いがわかり合い、苦しさや厳しさが理解できたときに、人は支援の手を

 差し伸べることができるのです。

 そうなると、組織力は飛躍的に向上します。

 

 協力しないで足のひっぱり 合いをしていると、組織力は小さなものになってしまいます。

 組織全体の力を最高かつ最大限にするには、その組織のメンバー一人ひとりがどれだけ

 協力し合えるかにかかっているのです。

 チームワークの促進は、どこの企業でも大きな問題となっています。

 組織横断的に質の高い対話が実践できれば、協力し合える文化ができていま す。

 たとえば、営業部門と製造部門がお互いに本音で話し合えば、営業はいいかげんな発注はできなく
 なります。

 逆に、製造部門でも、営業部門がいかに苦労しながら注文をとっているかがわかれば、注文に対して
 納期を間に合わせるように努力するという協力の姿勢が生まれます。

 ここで一つ提案したいのは、組織横断的に、上下左右でいろいろな話し合いの場をつくることです。

 その際に大事なのは、お互い非難しないことです。

 どちらが勝っても負けても、お客様の満足にはつながらないのですから。

□質の高い対話がやる気につながる

 経営幹部が部下と対話していくと、一人ひとりに非常にやる気が出てくるというのをご存知でしょうか。

 じつは、「やりなさい」と厳しく命令して尻をたたくよりも、質の高い対話を重ねていくほうが、
 はるかに部下のやる気を引き出すことができるのです。

 また、経営トップが現場に出向いて従業員の話を聞くだけで、現場の担当者がやる気を出すように
 なります。

 彼らにとっては、「上の人が話を聞いてくれた」ということが大変な励みになるからです。

 もちろん、この場合、経営トップの一方的な話に終始するかもしれません。

 それでも結果的に、現場のやる気は引き出されるものです。

 やる気のない従業員は、そのままでは自社にとって資産とはいえません。

 やる気のある人が自社にとって最大の資産なのです。

 このやる気を引き出すために、 会社は報奨制度をつくったり、表彰制度をつくったり、給与を上げ
 たり、肩書を上げたり、地位を上げたりしています。

 近年の成果主義、 実力主義も、従業員にもっとやる気を出してもらおうというのが狙いです。

 しかし、いちばんやる気が出るのは、組織全体で質の高い対話を行うことです。

 何よりもコミュニケーションをうまくとることが、やる気につながるのです。

 このいちばんの重要ポイントを、多くの企業や人が見逃しているように思われてなりません。

□話を聞くことで人材育成が促進される

 上司が部下の話を聞くようになると、部下自身、ものごとをより深く考えなければならなくなります。

 また、上司と話をすることによって、なんらかの「気づき」を得ることもできます。

 その対話が質の高いものであれば、そのまま人材育成につながるのです。

 人材を育成するために、人事部門はさまざまな教育プログラムを考えています。

 もちろん、そのすべてが無意味だというつもりはありませんが、人材育成でいちばん大事なことは、
 経験のある先輩や上司と対話していくことです。

 これが本当のOJTであるといえます。

 通常、「わが社の人材育成の基本はOJTです」というケースでは、多くの場合、ほとんど何もせず、
 ほったらかしというのが実情のようです。

 つまり 、「本人任せ」のOJTです。

 真のOJTとは、場を与えて本人に考えさせ、困ったときは対話を通じて本人にさらに考えさせ、
 経験を積ませるというものです。

 時には失敗することもあるでしょうが、その失敗から何を学んだのかを上司が聞く、というサイクル
 を回していくことが、本当の人材育成です。

 一方的な指示を出すだけで本人に考えさせないのは、部下に頭を使わせないようにしているのと
 同じです。

 このように、質の高い対話から、いかに多くのことが期待できるかがおわかりいただけたでしょうか。

 このほかにも、与えられた目標より高い目標に向かって進む情熱、勇気が湧いてくるということも
 考えられます。

 しかし、これだけ多くのことが期待できるにもかかわらず、実際にどれだけ質の高い真剣な対話が
 行われているのでしょうか。

 このことを、一人ひとりが考えていく必要があると思います。

 ところで、質の高い対話の重要性を訴えると、よく次のような質問を受けます。

 「対話の重要性は認識しているし、期待もできるとは思いますが、なかなか時間がとれません。

 とにかく目の前の数字に追われて、ゆっくり対話するだけの精神的余裕も時間もありません。

 そのなかでどうすればいいのでしょうか」これは、対話のための時間がないのではありません。

 「対話は大事なもの」と認識しているものの、目前の業績達成のほうがはるかに優先順位が高いため、
 結果的に対話がなされていないのです。

 仕事は常に優先順位で動きます。

 重要なことに時間を割くという形で進んでいきますから、無理もないかもしれません。

 しかし、これを続けていくと、いずれ自転車操業のようになることも考えられます。

 とはいえ、今日対話したら、明日、その成果が出るというものではありません。

 中期的に成果が期待できるといったほう がよいでしょう。

 対話は大いなる投資と考え、経営トップも、ミドルマネジメントも、現場のマネジャークラスも、
 ぜひとも部下やビジネスパートナーと、質の高い対話を行う努力をしてほしいものです。

□組織・企業に特殊はない

 「役所というのは特殊なところです。とくに県の幹部ともなれば一筋縄ではいかないと思います。

 きわめて特殊ですから、十分に注意したほうがいいですよ」また、 病院長の集まりに呼ばれた
 ときも、「病院というのは特殊なところです。そのなかでも医師というのは特殊です。

 今日はその人たちを相手にするのですから、十分に覚悟されたほうがいいですよ」というような忠告
 を受けました。

 さらにいえば、学校の先生のときも、「教師というのは特殊ですよ」という言葉をずいぶん聞き
 ました。

 行政、病院、学校だけでなく、企業でも「うちは特殊でね」ということをよく言われます。

 企業や組織というのは、基本的に人と業務プロセスの二つから成り立っています。

 そして、その企業や組織力を向上させる基本は同じです。

 共通しているのは人なのです。

 評価されたい、理解されたい、認められたいと いった人の思いは、所違えども同じです。

□お互いがわかり合える

 働いている人たちが、毎日楽しく、イキイキと仕事をしていると、その組織が生み出す力は大変
 大きなものになります。

 反対に、働いている人たちが、毎日苦しくて、できることならほかの会社に移りたいが、この不景気
 では雇ってくれるところがないから仕方なく働いているという組織では、大きな成果を期待する
 ことは不可能です。

 どんな会社でも組織でも、共通している大きな課題の一つは、お互いがわかり合えていない、コミュ
 ニケーションがとれていないということです。

 役員、中間管理者、現場のマネジャーなどに集まって話し合ってもらったとき、必ず出てくるのが、
 縦横斜め、すなわちほかの組織のことがわかり合えていないという悩みです。

 では、その課題を解決するために、さまざまな努力や工夫、仕組みを構築しているかというと、
 意外とそれができていないのが現状のようです。

 ある会社では、今年度の重要な方針について、具体的にどう推進していくかを役員に話し合って
 もらったところ、何も考えていないことが明らかになりました。

 なぜでしょうか。

 三つの重要な方針を掲げているにもかかわらず、その方針についての理解が役員間でバラバラだった
 のです。

 まったく違う認識のもとに話し合いが行われていくのですから、組織力を向上し、成果を生み出す
 ことなど、とうてい期待できません。

 役員間の認識や理解に違いが生じる原因はどこにあるのでしょうか。

 それは、日ごろから役員間のコミュニケーションが極めてよくないからです。

 役員同士がざっくばらんに話し合うことがほとんどないのです。

 これは、中間管理職の人たちにインタビューをしたときにも、よく出てくる問題の一つです。

 「当社は役員間のコミュニケーションがとれておらず、バラバラです、 会社としてまとまりがあり
 ません、これがいちばんの課題です」もっとも、それを指摘した中間管理者も、部下から、「部長
 連中はまるでコミュニケーションがとれていません。言っている ことが バラバラです」と、
 まったく同じ指摘をされるケースが大変多いのが現状です。

 ある会社で、こんなケースがありました。(私は、話し合いを進めるときの席の配置は、教室の
 ような整列型ではなく、「コの字」か「ロの字」にしています。

 少々人数が多くても、なるべくお互いの顔が見えるように座ってもらいます。)

 このときは、私から見て右側に営業部門の責任者たちが、左側に開発・製造部門の人たちが並んで
 いました。

 私はまず、営業部門の人たちに質問しました。

 「みなさんは、第一線の現場で毎日のようにお客様と接しています。お客様から常日頃、いろいろな
 意見や苦情、改善提言、要望といったものが出されると思いますが、その内容はきちんと開発・
 製造部門に伝えている のでしょうか」すると、営業現場の責任者は自信をもって、「もちろん、
 お客様から毎日のように言われています。それらについてはきちんと開発・製造部門に伝えて
 いますが、どういうわけか、言うことを聞いてくれないのです。

 現場の声をもっと聞いてほしいというのが希望です」次に、開発・製造部門の人にたずねました。
 「営業からは毎日のようにお客様の声が伝えられているということですが、それに対してどのように
 対処していますか」答えは、次のようなものでした。「いいえ。お客様の声や要望は、私たちの
 もとには届いていません」そこで、営業部門の人に、「みなさんには開発部門に伝えているのでは
 ないのですか」と確認すると、やはり自信をも って、「はい、もちろん伝えています」と言います。

 しかし、開発・製造部門の答えもまた同じでした。

 「いえ、私は聞いていません」片方は「言った」といい、片方は「聞いていない」と言います。

 いったいどちらが本当のことを言っているのでしょうか。

 すると、開発・製造部門の人たちが、こう言いました。

 「じつは、聞いているといえば聞いているのですが、営業部門の要求は常にいいかげんなのです。

 発注数量もいいかげんだし、こんなものをつくってほしいというのもいいかげんです。

 それを鵜呑みにしてつくったら、 ほとんどいつも売れません。

 生産数量にしても、これだけ売るからというので、それを真に受けてつくったら、ほとんどが不良
 在庫になってしまうのです。

 ですから、私たちとしては、営業部門の声は無視するという方針でやっています。

 これが会社のためには正しいのです」この声を受けて、営業部門に質問しました。

 「営業部門は極めていいかげんであるというのが開発・製造部門の返答ですが、どうでしょう」

 驚いたことに、営業部門の答えは、「いいかげんといえば、結構いいかげんなところがありますね」
 というものでした。

 両方の言い分を聞いていると、この会社はじつにいいかげんな会社ということになります。

 これで経営が成り立っていくのでしょうか。

 しかも、こうしたやりとりをしているあいだ、営業部門も開発・製造部門もお互いに面と向かって
 言おうとはしませんでした。

 進行役である私に向かって話しているのです。

 日本人には、相手に反論したり、否定的なことを言う場合、面と向かって言えない特徴が多く見られ
 るようです。

 しかし、こうした議論をどんどん進めていくと、いちいち進行役の人間とのあいだでキャッチボール
 しているのが面倒くさくなってきます。

 時間の経過とともに当人同士でやり合うようになり、お互いの意見交換が活発に行われるように
 なりました。

 その後、なんと業績はどんどん上向いたそうです。

□社長の思いは正確に相手に伝わっているか

 「あれほど何度もいったはずなのに、部下はなぜ正しく理解してくれないのだろうか」と思った
 ことはありませんか。

 あるいは、「いっておいただろう」「そんなこと聞いていません」というのもよくあります。

 その反対に、相手の思いや考え方を正しく理解していなくて、「エッ、そんな意味だったのか」と
 いう勘違いは、だれもが一度や二度は経験していることです。

 「社長がもっと上手にコミュニケーションしてくれたら」「自分をもっとわかってくれたら」と
 部下が思っていても、社長のほとんどは、「私は部下とちゃんとコミュニケーションを図って
 います。

 部下の気持ちは十分に理解しています」と、かなり自信をもっているものです。

 これらは個人間の問題ですが、これを組織にあてはめてみるとどうでしょうか。

 トップの思いが正確に伝わっている企業など、じつは数えるほどしかありません。

 「社長の考えを役員の方々に伝えましたか」と聞くと、「伝わっているはずだ」という答えが返って
 きます。

 そこで、役員や幹部に、「社長の考えを一般社員に伝えましたか」と聞くと、「だいだい伝えた」と
 いう返事です。

 しかし、一般社員にたずねると、ほとんどが次のように答えます。

 「社長の考えなんか、聞いたことがありません」個人も組織も、まるでそれぞれが別のことを考え、
 意思の疎通がないまま成り立っているかのようです。

 ここでいちばん問題なのは、部下にきちんと伝わっていない状況を、役職の上の人たちや社長が理解
 していないことです。

 希望や誤解、憶測にも とづいて組織運営がなされているようなものです。

 もし、お互いが正確に理解しあえたら、組織は一気に元気になります。

 コミュニケーションがよくなると、仕事をしていても楽しくなります。

 組織全体がイキイキとして、すばらしい成果を期待できるようになります。

 まず、組織の中でコミュニケーションがうまくとれていないことを正確に把握してください。

 そして、ちょっとだけ伝え方や聴き方を工夫すれば、 お互いが正しくわかり合えるようになります。

 その際、上司風を吹かせて、「最近の若い連中は、こちらのいうことをちっとも理解しようとしない」
 などと、部下や目下の人間のせいにしてしまうと、ますます泥沼にはまってしまいます。

 そうではなく、自分の側に、他人と上手にコミュニケーションを図る能力が不足していることを自覚
 する必要があります。

 相手に行動変化を要求したり、期待したりしないで、自らのコミュニケーションの腕を上げることです。

 トップが変われば組織も変わります。

 その一番のコツは、自らのコミュニケーション能力を検証して、聴く能力を高めることです。

 しっかり聴くほうが、相手への理解が深まるのは当然ですが、じつは自分の思いも正確に伝わる
 のです。

 ここでの事例は、 過去に関与先で体験したものです。

 喜劇のような話が多いのですが、それらは悲劇でもあります。

 人や組織はいかに誤解にもとづいて日々を生きているかが、おわかりいただけると思います。

 自分の目で、自分の姿や実態を見ることはできません。

 どうしたら自分の姿が見えるのか、どのように姿勢を変えればコミュニケーションがよくなるのか、
 そして、結果として組織まで変わるのかについて、抽象論や精神論ではなく、具体的な方法を紹介
 しました。

 実際に多くの人や企業に適して効果のあった方法ばかりですから、必ずお役に立てると確信して
 います。
 

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組織力の強化・向上

社長の思いを伝える

社長の思いを伝える
■組織の一体感を生み出す
 もし、 自社の職場で、部下や周りの人と質の高い対話が実現できたら、どのようなことが
 期待できるでしょうか。
 まず、組織が一つにまとま り、一体感が生まれます。

 皆が一体になって仕事に取り組めば、仕事は楽しくなります。
 苦しい状況を乗り越えることもできます。
 ですから、リーダーは、組織の一体感をつくりあげるために、いろいろな工夫や努力をして
 いるはずです。

 対話は情報の共有を促進します。
 ITを使ったグループウエアで情報を提供することはできるが、これは一体感を生み出す
 までには至らないものです。

 やはり、相手との直接の対話を通じて情報を共有すると同時に、情報の裏にある、奥深い
 ところの思い出を共有化しなければ、本当の意味での一体感は生まれないのです。
 多くの企業では、必ず、

  ・「上が何を考えているかわからない」
  ・「組織が何を考えているかわからない」
  ・「他の部署のリーダーが何を考えているかわからない」
  ・「現場にどんな問題が起こっているかわからない」
  ・「うちの課題は情報が共有化されていないことです」

 といった問題が出てきます。
 グループウエアを通して情報を共有化する 会社が増えてきていますが、核心部分ではやはり
 共有化できていないというのが実態のようです。

 これも、コミュニケーションが悪いために、組織や個人のあいだに壁が生まれ、組織が
 まとまらなくなってしまっているのです。

 ある会社では定期的に合宿を行い、4~5 時間くらいをトップと現場の管理者との対話に
 あてています。
 そこでのやりとりは、そばで見ていて感動するほどです。

 「社長:今年の方針の基本は、お客様満足を追求することだと言われましたが、みなさんの
 取り組み方を見ていると、とても本気だとは思えません。自分の上司は、二言目には数字、
 数字で、そのほかのことには興味を示しません。こんなことでは、とてもお客様満足を追求
 することはできないと思いますが……」

 「私は本気です。お客様満足なくして企業は発展しません。ですから、 わが社の活動の
 基本をお客様に置きました。もし、あなたの上司が理解していないとすれば、それは
 私の力不足です。このような場を通して、もっとしっかりと彼らにも基本方針の重要性を
 訴えていきます。また、あなた自身も、そんな上司に負けないで、上司の姿勢を変える
 くらいの意気込みで仕事に臨んでください。一緒にすばらしい会社にしようではありま
 せんか」「役員会の討議内容を上司から聞きました。私から見ると、役員のみなさんは現場を
 知っているとは思えません。たとえば、某役員の言われたアイデアはまったく現場を理解
 していません。雲の上から見ている感じです。やろうと思っても、物理的なスペースがない
 ので不可能です。もう少し現場を知った上で仕事を進めてほしいと思います」「現場がその
 ような状況だと知りませんでした。お詫びします。確かに本社の人間はもっと現場を知る
 べきだと思っています。また、現場の責任者は、おかしいことを本社が言ってきたら、
 はっきりと間違いを指摘して改善させるように働きかけてください。お互いに協力し合う
 組織をつくっていきましょう」

 言いにくい質問をぶつけるほうも本音なら、答えるほうも本音です。
 質の高い対話をめざすなら、絶対に逃げてはいけないのです。
 ごまかすのはもってのほかです。

 常に誠意をもって、真剣に正面から答え、至らない点は素直に頭を下げることが大切です。
 このような質の高い対話が行われると、一体感が深まり、情報共有化が可能になってきます。
 隣の人間が何を考えているのかがわかってきます。

 上の人間の考えがわかってきて、自分たちがどの方向へ進んでいるのかが理解できるように
 なります。
 結果として、職場が楽しくなってくるのです。

 なんの話し合いもなく、お互いのコミュニケーションをとっていない組織と、お互いの
 思いを常にオープンにしながら本音でコミュニケーションをしている組織を想像してみて
 ください。
 どちらが楽しいか、言うまでもないでしょう。

□対話の場を設ける
 組織では、「隣の人が何をやっているのかまったくわからない」ということがよくあります。
 そして、お互いに根深い不信感を抱いていることがあるようです。
 ある会社の話ですが、現場の若い部下が次のように言ったそうです。

 「本社というのは、どうしようもない集団じゃないですか。何を考えているのか、さっぱり
 わかりません。何か仕事をしているんですかね。するのは現場の邪魔ばかりではないですか」
 そこで、支店長は本社の人間を支店会議に招き、本社が何を考え、どう いうことをやろうと
 しているのか説明してもらうことにしました。

 そして、本社の考え方について、どんどん質問させたそうです。
 その結果、事前に予想していた以上の素晴らしい効果が生まれたといいます。
 若い部下も、「本社の人間もちゃんと考えて仕事をしているのですね」と、理解してくれた
 そうです。

 もし、このような対話の場が設けられなかったら、どうなっていたでしょうか。
 お互いが推測と憶測と疑念に凝り固まり、不信感がさらに大きく なっただろうと考えられ
 ます。

 ですから、なおのこと対話が大事なのです。
 また、本社の人間が現場を訪れても、建前でしか話をせず、しかもそれが説教口調だったら、
 現場の従業員のあいだにはますます不信感が深まるでしょう。

 このような対話がなされたとき、お互いの信頼が深まっていくことは間違いありません。
 この対話例のように、お互いがわかり合えば協力し合えるのです。
 しかし、不信感のかたまりでは、何か問題が起こったときに責任のなすりあいになって
 しまうかもしれません。

 質の高い対話でお互いがわかり合い、苦しさや厳しさが理解できたときに、人は支援の手を
 差し伸べることができるのです。
 そうなると、組織力は飛躍的に向上します。

 協力しないで足のひっぱり 合いをしていると、組織力は小さなものになってしまいます。
 組織全体の力を最高かつ最大限にするには、その組織のメンバー一人ひとりがどれだけ
 協力し合えるかにかかっているのです。

 チームワークの促進は、どこの企業でも大きな問題となっています。
 組織横断的に質の高い対話が実践できれば、協力し合える文化ができていま す。
 たとえば、営業部門と製造部門がお互いに本音で話し合えば、営業はいいかげんな発注は
 できなくなります。

 逆に、製造部門でも、営業部門がいかに苦労しながら注文をとっているかがわかれば、
 注文に対して納期を間に合わせるように努力するという協力の姿勢が生まれます。

 ここで一つ提案したいのは、組織横断的に、上下左右でいろいろな話し合いの場をつくる
 ことです。
 その際に大事なのは、お互い非難しないことです。
 どちらが勝っても負けても、お客様の満足にはつながらないのですから。

□質の高い対話がやる気につながる
 経営幹部が部下と対話していくと、一人ひとりに非常にやる気が出てくるというのをご存知
 でしょうか。
 じつは、「やりなさい」と厳しく命令して尻をたたくよりも、質の高い対話を重ねていく
 ほうが、はるかに部下のやる気を引き出すことができるのです。

 また、経営トップが現場に出向いて従業員の話を聞くだけで、現場の担当者がやる気を出す
 ようになります。
 彼らにとっては、「上の人が話を聞いてくれた」ということが大変な励みになるからです。

 もちろん、この場合、経営トップの一方的な話に終始するかもしれません。
 それでも結果的に、現場のやる気は引き出されるものです。
 やる気のない従業員は、そのままでは自社にとって資産とはいえません。

 やる気のある人が自社にとって最大の資産なのです。
 このやる気を引き出すために、 会社は報奨制度をつくったり、表彰制度をつくったり、
 給与を上げたり、肩書を上げたり、地位を上げたりしています。

 近年の成果主義、 実力主義も、従業員にもっとやる気を出してもらおうというのが狙いです。
 しかし、いちばんやる気が出るのは、組織全体で質の高い対話を行うことです。
 何よりもコミュニケーションをうまくとることが、やる気につながるのです。
 このいちばんの重要ポイントを、多くの企業や人が見逃しているように思われてなりません。

□話を聞くことで人材育成が促進される
 上司が部下の話を聞くようになると、部下自身、ものごとをより深く考えなければならなく
 なります。
 また、上司と話をすることによって、なんらかの「気づき」を得ることもできます。

 その対話が質の高いものであれば、そのまま人材育成につながるのです。
 人材を育成するために、人事部門はさまざまな教育プログラムを考えています。
 もちろん、そのすべてが無意味だというつもりはありませんが、人材育成でいちばん大事な
 ことは、経験のある先輩や上司と対話していくことです。

 これが本当のOJTであるといえます。
 通常、「わが社の人材育成の基本はOJTです」というケースでは、多くの場合、ほとんど
 何もせず、ほったらかしというのが実情のようです。

 つまり 、「本人任せ」のOJTです。
 真のOJTとは、場を与えて本人に考えさせ、困ったときは対話を通じて本人にさらに
 考えさせ、経験を積ませるというものです。

 時には失敗することもあるでしょうが、その失敗から何を学んだのかを上司が聞く、という
 サイクルを回していくことが、本当の人材育成です。
 一方的な指示を出すだけで本人に考えさせないのは、部下に頭を使わせないようにしている
 のと同じです。

 このように、質の高い対話から、いかに多くのことが期待できるかがおわかりいただけた
 でしょうか。
 このほかにも、与えられた目標より高い目標に向かって進む情熱、勇気が湧いてくるという
 ことも考えられます。

 しかし、これだけ多くのことが期待できるにもかかわらず、実際にどれだけ質の高い真剣な
 対話が行われているのでしょうか。
 このことを、一人ひとりが考えていく必要があると思います。
 ところで、質の高い対話の重要性を訴えると、よく次のような質問を受けます。

 「対話の重要性は認識しているし、期待もできるとは思いますが、なかなか時間がとれ
 ません。
 とにかく目の前の数字に追われて、ゆっくり対話するだけの精神的余裕も時間もありません。
 そのなかでどうすればいいのでしょうか」これは、対話のための時間がないのではありま
 せん。

 「対話は大事なもの」と認識しているものの、目前の業績達成のほうがはるかに優先順位が
 高いため、結果的に対話がなされていないのです。
 仕事は常に優先順位で動きます。

 重要なことに時間を割くという形で進んでいきますから、無理もないかもしれません。
 しかし、これを続けていくと、いずれ自転車操業のようになることも考えられます。
 とはいえ、今日対話したら、明日、その成果が出るというものではありません。

 中期的に成果が期待できるといったほう がよいでしょう。
 対話は大いなる投資と考え、経営トップも、ミドルマネジメントも、現場のマネジャー
 クラスも、ぜひとも部下やビジネスパートナーと、質の高い対話を行う努力をしてほしい
 ものです。

□組織・企業に特殊はない
 「役所というのは特殊なところです。とくに県の幹部ともなれば一筋縄ではいかないと
 思います。きわめて特殊ですから、十分に注意したほうがいいですよ」また、 病院長の
 集まりに呼ばれたときも、「病院というのは特殊なところです。そのなかでも医師という
 のは特殊です。

 今日はその人たちを相手にするのですから、十分に覚悟されたほうがいいですよ」という
 ような忠告を受けました。
 さらにいえば、学校の先生のときも、「教師というのは特殊ですよ」という言葉をずいぶん
 聞きました。

 行政、病院、学校だけでなく、企業でも「うちは特殊でね」ということをよく言われます。
 企業や組織というのは、基本的に人と業務プロセスの二つから成り立っています。
 そして、その企業や組織力を向上させる基本は同じです。
 共通しているのは人なのです。
 評価されたい、理解されたい、認められたいと いった人の思いは、所違えども同じです。

□お互いがわかり合える
 働いている人たちが、毎日楽しく、イキイキと仕事をしていると、その組織が生み出す力は
 大変大きなものになります。

 反対に、働いている人たちが、毎日苦しくて、できることならほかの会社に移りたいが、
 この不景気では雇ってくれるところがないから仕方なく働いているという組織では、大きな
 成果を期待することは不可能です。

 どんな会社でも組織でも、共通している大きな課題の一つは、お互いがわかり合えていない、
 コミュニケーションがとれていないということです。
 役員、中間管理者、現場のマネジャーなどに集まって話し合ってもらったとき、必ず
 出てくるのが、縦横斜め、すなわちほかの組織のことがわかり合えていないという悩みです。

 では、その課題を解決するために、さまざまな努力や工夫、仕組みを構築しているかと
 いうと、意外とそれができていないのが現状のようです。
 ある会社では、今年度の重要な方針について、具体的にどう推進していくかを役員に話し
 合ってもらったところ、何も考えていないことが明らかになりました。

 なぜでしょうか。
 三つの重要な方針を掲げているにもかかわらず、その方針についての理解が役員間でバラバラ
 だったのです。

 まったく違う認識のもとに話し合いが行われていくのですから、組織力を向上し、成果を
 生み出すことなど、とうてい期待できません。
 役員間の認識や理解に違いが生じる原因はどこにあるのでしょうか。

 それは、日ごろから役員間のコミュニケーションが極めてよくないからです。
 役員同士がざっくばらんに話し合うことがほとんどないのです。
 これは、中間管理職の人たちにインタビューをしたときにも、よく出てくる問題の一つです。

 「当社は役員間のコミュニケーションがとれておらず、バラバラです、 会社としてまとまり
 がありません、これがいちばんの課題です」もっとも、それを指摘した中間管理者も、
 部下から、「部長連中はまるでコミュニケーションがとれていません。言っている ことが
 バラバラです」と、まったく同じ指摘をされるケースが大変多いのが現状です。

 ある会社で、こんなケースがありました。(私は、話し合いを進めるときの席の配置は、
 教室のような整列型ではなく、「コの字」か「ロの字」にしています。
 少々人数が多くても、なるべくお互いの顔が見えるように座ってもらいます。)

 このときは、私から見て右側に営業部門の責任者たちが、左側に開発・製造部門の人たちが
 並んでいました。
 私はまず、営業部門の人たちに質問しました。

 「みなさんは、第一線の現場で毎日のようにお客様と接しています。お客様から常日頃、
 いろいろな意見や苦情、改善提言、要望といったものが出されると思いますが、その内容は
 きちんと開発・製造部門に伝えている のでしょうか」すると、営業現場の責任者は自信を
 もって、「もちろん、お客様から毎日のように言われています。それらについてはきちんと
 開発・製造部門に伝えていますが、どういうわけか、言うことを聞いてくれないのです。

 現場の声をもっと聞いてほしいというのが希望です」次に、開発・製造部門の人にたずね
 ました。「営業からは毎日のようにお客様の声が伝えられているということですが、
 それに対してどのように対処していますか」答えは、次のようなものでした。「いいえ。
 お客様の声や要望は、私たちのもとには届いていません」そこで、営業部門の人に、
 「みなさんには開発部門に伝えているのではないのですか」と確認すると、やはり自信を
 も って、「はい、もちろん伝えています」と言います。

 しかし、開発・製造部門の答えもまた同じでした。
 「いえ、私は聞いていません」片方は「言った」といい、片方は「聞いていない」と
 言います。
 いったいどちらが本当のことを言っているのでしょうか。

 すると、開発・製造部門の人たちが、こう言いました。
 「じつは、聞いているといえば聞いているのですが、営業部門の要求は常にいいかげんな
 のです。
 発注数量もいいかげんだし、こんなものをつくってほしいというのもいいかげんです。
 それを鵜呑みにしてつくったら、 ほとんどいつも売れません。

 生産数量にしても、これだけ売るからというので、それを真に受けてつくったら、ほとんど
 が不良在庫になってしまうのです。
 ですから、私たちとしては、営業部門の声は無視するという方針でやっています。
 これが会社のためには正しいのです」この声を受けて、営業部門に質問しました。
 「営業部門は極めていいかげんであるというのが開発・製造部門の返答ですが、どうで
 しょう」

 驚いたことに、営業部門の答えは、「いいかげんといえば、結構いいかげんなところが
 ありますね」というものでした。
 両方の言い分を聞いていると、この会社はじつにいいかげんな会社ということになります。
 これで経営が成り立っていくのでしょうか。
 しかも、こうしたやりとりをしているあいだ、営業部門も開発・製造部門もお互いに面と
 向かって言おうとはしませんでした。

 進行役である私に向かって話しているのです。
 日本人には、相手に反論したり、否定的なことを言う場合、面と向かって言えない特徴が
 多く見られるようです。
 しかし、こうした議論をどんどん進めていくと、いちいち進行役の人間とのあいだで
 キャッチボールしているのが面倒くさくなってきます。

 時間の経過とともに当人同士でやり合うようになり、お互いの意見交換が活発に行われる
 ようになりました。
 その後、なんと業績はどんどん上向いたそうです。

□社長の思いは正確に相手に伝わっているか
 「あれほど何度もいったはずなのに、部下はなぜ正しく理解してくれないのだろうか」と
 思ったことはありませんか。
 あるいは、「いっておいただろう」「そんなこと聞いていません」というのもよくあります。

 その反対に、相手の思いや考え方を正しく理解していなくて、「エッ、そんな意味だった
 のか」という勘違いは、だれもが一度や二度は経験していることです。

 「社長がもっと上手にコミュニケーションしてくれたら」「自分をもっとわかってくれたら」
 と部下が思っていても、社長のほとんどは、「私は部下とちゃんとコミュニケーションを
 図っています。
 部下の気持ちは十分に理解しています」と、かなり自信をもっているものです。

 これらは個人間の問題ですが、これを組織にあてはめてみるとどうでしょうか。
 トップの思いが正確に伝わっている企業など、じつは数えるほどしかありません。
 「社長の考えを役員の方々に伝えましたか」と聞くと、「伝わっているはずだ」という
 答えが返ってきます。

 そこで、役員や幹部に、「社長の考えを一般社員に伝えましたか」と聞くと、「だいだい
 伝えた」という返事です。
 しかし、一般社員にたずねると、ほとんどが次のように答えます。
 「社長の考えなんか、聞いたことがありません」個人も組織も、まるでそれぞれが別の
 ことを考え、意思の疎通がないまま成り立っているかのようです。

 ここでいちばん問題なのは、部下にきちんと伝わっていない状況を、役職の上の人たちや
 社長が理解していないことです。
 希望や誤解、憶測にも とづいて組織運営がなされているようなものです。
 もし、お互いが正確に理解しあえたら、組織は一気に元気になります。

 コミュニケーションがよくなると、仕事をしていても楽しくなります。
 組織全体がイキイキとして、すばらしい成果を期待できるようになります。
 まず、組織の中でコミュニケーションがうまくとれていないことを正確に把握してください。
 そして、ちょっとだけ伝え方や聴き方を工夫すれば、 お互いが正しくわかり合えるように
 なります。

 その際、上司風を吹かせて、「最近の若い連中は、こちらのいうことをちっとも理解しようと
 しない」などと、部下や目下の人間のせいにしてしまうと、ますます泥沼にはまって
 しまいます。

 そうではなく、自分の側に、他人と上手にコミュニケーションを図る能力が不足している
 ことを自覚する必要があります。

 相手に行動変化を要求したり、期待したりしないで、自らのコミュニケーションの腕を上げる
 ことです。
 トップが変われば組織も変わります。

 その一番のコツは、自らのコミュニケーション能力を検証して、聴く能力を高めることです。
 しっかり聴くほうが、相手への理解が深まるのは当然ですが、じつは自分の思いも正確に
 伝わるのです。

 ここでの事例は、 過去に関与先で体験したものです。
 喜劇のような話が多いのですが、それらは悲劇でもあります。
 人や組織はいかに誤解にもとづいて日々を生きているかが、おわかりいただけると思います。

 自分の目で、自分の姿や実態を見ることはできません。
 どうしたら自分の姿が見えるのか、どのように姿勢を変えればコミュニケーションがよく
 なるのか、そして、結果として組織まで変わるのかについて、抽象論や精神論ではなく、
 具体的な方法を紹介しました。

 実際に多くの人や企業に適して効果のあった方法ばかりですから、必ずお役に立てると
 確信しています。

組織力の強化・向上

組織におけるチームワーク

組織におけるチームワーク

■チームワーク
 チームワークとは、お互いに協力することによって一人では出来ない仕事や成果を上げる
 ことにあります。
 即ち10人いても30人いても、1人でやることの各々10倍、30倍の仕事量という
 のでなく、質・量ともに100倍、1,000倍の力を発揮することにチームワークの意義
 があるのです。

 組織とは、縦横のつながりです。
 そのつながりをうまくもっていけば、個々の力が相乗されて能力が拡大するのです。
 共通目標への考え方と行動の結集がないと成果はあがりません。

 各人がベストをつくせば全体がよくなるのだという考え方は、全体の中において自分の
 役割を知らない限り、1つの力として働きません。
 個人の能力がいくら開発されても、それが組織の能力として表れない限り、虚力であって、
 実力発揮ではない。

 チームワークは職場のもつ環境条件によって決定されます。
 人はその所属する部門によい雰囲気があると、その集団に対する帰属意識が高まるのです。
 チームワークとは、自己の立場よりは、チーム優先、1つの目標に向かって協同心をもって
 創造への意欲を 高めることをいうのです。

 野球で三割打者に対しても、あえてここ一番というときには、バントを命ずる監督。
 鬼といわれようが、全体のためには個人の成績を無視することのできる指揮者。
 このような視野のひろい幹部のいる会社は、やはり勝ち抜き、伸びていきます。

 和とは、チームの共通目標に向かって、力を結集することをいうのです。
 仕事の協力の仕方、仕事をやる上での考え方、セクト主義的なやり方を排し、全体の
 中で会社の方針を生かすためにはどうするか。

 職務だけで割り切れないのが人間関係であるが、上位者と下級者、同僚、他の部、課との
 関係をよくし、あるいは個人的な不平不満をなくしていくためには、苦楽をともにして
 何でもいえる雰囲気がそこになければならない。

 閥があってはならない。
 任務によって個々人の特徴を生かしていく。
 名監督といわれる人の部下の扱い方。
 名将という人の作戦。

 より多くの挑戦とより多くの責任を求める社員、部下には能力いっぱいの困難な仕事を
 与える幹部。
 管理者は完全主義者であってはならない。

 ともかく行動に移し、部下をひきつれ、1つの目的に向かって前進していくところに、
 緊張と挑戦への意欲が湧き、チームの結束が固まるのです。
 幹部は行動力と意志力、決断力がなければ同志を結合させ、統率し、旗をふっていくことは
 できない。

 生きがいということが問題にされる。
 情熱をそそぐ仕事のないところには、生きがいは存在しない。

 「小人閑居して、不善をなす」というが、緊張と弛緩をくりかえしつつ、チームの人心を
 掌握できるよう、仕事に使命を感じ、働きに喜びを見いだすような目標設定とそのやり方、
 結果の評価、適正な待遇をあわせて考えていくべきです。

 同じ仕事のくりかえしでは会社も人も進歩しないだけでなく、力を結集するチームワーク
 も組めなくなることを知るべきです。

□連帯意識を刺激せよ
 日本においては、個々の企業は競争しているようにみえても、いざ対外的なことになると、
 政府も、金融機関も、私企業も団結する。
 国際試合だ、海外旅行だとなると、国の名誉や威信を個人より先に考える。

 だからといって社員の行動や考え方の基本は、会社中心かというとそこに危機感がない
 ときには、そのような行動や思考はでてこない。
 “仕事をゲーム化せよ”というのも、チームとしての勝敗がはっきりわかるようにすれば、
 団結するからです。

 職場単位の出勤や提案競争は、昔からよく使われているやり方であるが、これをもっと
 小グループにして競争本能を刺激していくことです。

 セールスのノルマも個々人に売上げ、回収、粗利益、占拠率、開拓などについて与える
 のでなく、ベテラン、初心者などを組み合わせて、チームをつくり、それを営業会議で
 チェックして、成績を発表していく。

 仕事の結果のみを要求して、出退勤管理、作業量などは小グループに権限と責任を与えて
 いきます。
 過保護的に親が子供の行動をしばるよりは、放任していても幼い子供たちの遊びには
 自然と秩序ができてくるのです。

 会社も同じである。
 ガンジガラメに縛り上げ、上部に権限が集中しているさまは、過保護の教育ママの姿と
 変わりはない。
 仲間に同僚に迷惑をかけたくないという、この意識に訴える管理法を考えていくことです。

□能力の相互補填
 それぞれの職場で仕事をし、働いている人たちの中で、自分の能力を十二分に生かし
 切っている人は恵まれた人であり、その数はうんと少ないといえます。

 それは競走馬の成績が、馬自体の良否、能力だけにかかっているのでなく、育てあげた
 調教師、当日の騎手、それに馬場の条件等々が影響し合っているのと同じである。
 だから、優秀とかダメだとかの判定は、自社の業務において決めるべきであって、他社で
 優秀だから、こちらに迎えてもよくやってくれるだろうと期待すると間違ってきます。

 適材を適所に配置して、本人の力を一杯に生かすのが人事管理の原則であるが、チームで
 作業する業務にあっては、長短相補う人の組み合わせが人事の妙といえる。
 本能寺の異変を知って、急ぎ京に引き返さんとする秀吉勢を迎撃せんと明智光秀は京都の南、
 天王山に強固な陣を構えた。

 ここを奪るか奪られるかが、今後の勝敗を左右する文字通り天下分け目の戦いに際して、
 秀吉は、数ある部将のなかから、気の短いことでは随一の堀尾茂助と、のんびり屋では
 定評のある堀久太郎に天王山を奪取するように命じた。

 作戦の打ち合わせをするにも、時間のなさを気にする茂助は、正面から単独で攻めかけ、
 明智勢の反撃を受けて苦戦をつづける。
 それをみて、ゆっくり慎重派の堀久太郎は、やおら腰をあげ、背後から天王山を一気に
 かけあがり占領するという史実が太閤記に書かれています。

 さすが、天下一の器量人たる秀吉の人使いのうまさだといえよう。
 人事異動をするときには、長とそれを補佐するサブとの取り合わせは、同じ性格の者では
 なく、それぞれがもたない異質の組み合わせ、それも、お互いの長所を生かせるように
 することです。

 現場作業の指揮者には、不得手な事務作業をやらさぬよう、時刻を決めて有能な事務員を
 巡回させて処理させるなど、すべてが本来の能力を生かし、足らざるものをどう補うかの
 着眼で考えることです。

□職場は社交場でない
 働く人の生活の大部分は職場を中心としてまわっている。
 仕事に従事する時間から余暇の過ごし方まで、会社が種々世話をするところが増えて
 きたことから、人間関係のあり方とプライバシー論がさかんになっている。

 「プライバシーとは、仕事にまったく関係や影響をおよぼさない個人的な私事である」
 ということばの意味もわからず、部下や同僚に注意をしアドバイスすることは、人間
 関係が悪くなるとか、プライバシーだからと知らぬ顔をし、そうすることが、なにか
 モノわかりのよい管理者や監督者と思う人が多くなっています。

 なにもわからぬのに、社員は人間関係とプライバシー論をふりまわし、上司や会社は、
 かくあるべしと規制したがるのです。

 このようにみていくと、職場は仕事をし業績をあげるためにあるのではなく、まず
 第一に働く人たちの人間関係をよくし、居心地の良い場所にするためにあるようになって
 きています。

 人間関係と称して社用電話に私的な話をもちこんでビジネスの厳しさを忘れ、それに
 私的なメールを送りあうことが公然化し、挙句の果てには会社の費用を流用して、人生を
 語り、人間関係をよくするためと称して遊びまわる。

 それがこうじてくると、遅刻、早退には目をつむり、デタラメな残業や出張を承認する
 だけでなく、昼食の休みを2時間もとってみたり、勤務時間中に無断外出して個々人の用を
 たすどころか、外部としめし合わせて遊びにいったりするやからが出はじめる。

 職場規律の乱れは、このように長になる人の職場についての考え方の誤りと、指導力の
 なさからはじまるのです。
 職場は断じて社交場ではない。

 また、職場の仲間はそれについて疑義をいだくどころか、これら一部のデタラメ先駆者の
 あとがまにのって、同じようなことをやりはじめる。

 少数のマジメ分子はいても、それを上司に告げること自体が、黙認しあるいは同様なことを
 している上司を批判することにもなり、仲間のプライバシーにふれるだけでなく、同僚と
 協調して仕事をやっていくことはできぬと考えて黙っている。

 業績低下の職場、事業所、会社には、不思議とこのような空気が存在している。
 職場は働くための場所であり、私たちの生活の基盤となる業績をあげるところである
 ことを、まず第一に認識すべきである。断じて社交場にしてはならない。
 昼と夜と、仕事場と遊び場とを、取り違えてはならない。

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組織力の強化・向上

組織力の強化

組織力の強化

■インセンティブ・プラン
 企業において利益を追求する組織である以上、能力主義、成果主義が存在するのは、
 当然かもしれません。
 厳しいようですが、効率的な経営を求められる企業にとって、押し寄せる経済グローバル化
 の時代を生き抜いていくには、能力主義・成果主義の考え方は不可欠なのです。

 1.インセンティブ・プランとは 
  会社が保有する資源(人材、商品、固定資産、ノウハウ、資金、情報など)の中でも、
  「人材」は特に重要です。
  会社が組織である以上、個々の社員の行動によって、その命運は大きく左右されます。
  人間は感情を持っているので、「やる気」の有無によってその行動が大きく異なる
  のは当然です。

  社員の「やる気」を十分に引き出す方法をインセンティブ・プランといいます。
  会社はインセンティブ・プランを上手に策定し、社員の「やる気」をうまく引き出す
  ことができれば、会社が成長していく可能性につながるのです。
  では人はどのようなときに「やる気」を起こすのでしょうか。
  仕事のやりがい、他人に自分の仕事が認められること、金銭、地位の向上など、
  「やる気」を起こす動機は個人の価値観によってそれぞれ異なります。

  一般的には社員の「やる気」を引き出すために、福利厚生によって従業員満足度を向上
  させたり、「給与」や「昇進」といった手段を用います。
  株式公開を志向する企業ではストックオプションなども有効な手段です。
  また、それぞれをうまく組み合わせていくことも、広い意味ではインセンティブ・プラン
  といえます。

 2.インセンティブ・プラン策定の際の留意点
  長期インセンティブ・プランがよく話題になりますが、そのインセンティブ・プランを
  構築する以前に、勤務評定制度確立や職務規定などを完備することが重要になります。

  また、長期インセンティブ・プランの導入を計画している企業が、
   →成長過程(黎明期、成長途上、成熟期)のどこに位置しているのか
   →経営理念・戦略などを確立しているか
  といった要素を十分に理解して最適なプランを選択することが大切です。

  社員の処遇について、「客観的な基準に基づく能力給」「優れた技術開発や商品開発に
  対する報奨金の支給」を導入しようとする企業が増えています。
  例えば、スペシャリストの客観的評価と処遇の制度化や、高度な技能者・技術者に
  対してはホワイトカラー以上に処遇するなど、従来の人事制度を改め、待遇に明確な
  格差をつけることも行われています。

  経営者は、社員の評価を公正かつ客観的に行い、結果を処遇に反映させることが
  「ものづくり力」の強化にとって重要であり、創造的な活動へのインセンティブの付与が
  効果的であると考えていることの表われといえます。

  また、昇給システムが役職とリンクしているため、優秀な技能・技術を持ちつつも、
  管理・監督者になって現場から離れていく場合もみられます。
  このような状況を避けるため、賃金制度の見直しについても検討することが大切です。

 3.株式公開とインセンティブ・プラン
  株式公開を前提としたインセンティブ・プランの場合、自社株式を絡めたものが一般的
  です。
  株式公開を実現するためには、高収益を将来的にも確保していくことが必要です。
  さらにその過程においては、複雑な作業が長丁場にわたるため、一部の管理職だけが
  やる気になっても社員全体の理解を得られなければ、実際に株式公開をすることは困難
  です。

  優秀なスタッフをそろえてその能力を最大限に発揮させることが、実際に株式公開を
  するうえで必要となるのです。
  一方で、株式公開を志向する会社の多くは、資金が必ずしも潤沢でなく、いくら優秀な
  社員であっても高い給与を払えないのが通常です。

  そこで給与の代わりに自社株式を付与することで、社員の「やる気」を引き出すことが
  考えられます。
  未公開の段階では換金性もなく、あまり価値のない株式でも、自分たちが頑張ることで
  会社が公開すれば、株式に換金性が生まれて、価値も市場によって決定されます。

  これをうまく利用することで優秀な社員の採用を容易にしたり、「やる気」を引き
  出すことが可能になるのです。
  こうした株式公開を前提としたインセンティブ・プランには、
   →「自社株式」を実際に購入させる方法
   →「将来的に自社株式を取得する権利(ストックオプション)」を付与する方法
  があります。

  対象となる社員および割当の株数は、法律の枠内であれば会社が自由な裁量で決定
  できます。
  株式公開を志向する会社にとって、社員の「やる気」を引き出すことが重要です。

  そして、自社株式を利用したインセンティブ・プランはその意味で有効な方法ですが、
  誤って利用すると、不公平感をもたらしてほかの社員の「やる気」を阻害したり、一時的
  に大金を手にしたことで、労働意欲が減退するなどということも起こり得ます。
  従って、インセンティブ・プランを策定する際は、役員、社員間のバランス、対象と
  すべき社員や金額の妥当性などを慎重に考慮して決定することが必要です。

□インセンティブ・プランとしてのストックオプション
 従業員持ち株制度やストックオプションといった、社員報酬と企業の株式価値をリンクさせる
 仕組みの導入は、社員に株式価値最大化を達成するような労働サービスの提供を促すほか、
 社員の志気高揚、優秀な人材確保などの効果をもたらすことが期待できます。
 以下ではストックオプションについて述べていきます。

 ストックオプションとは株価上昇による恩恵を経営者や従業員にも分配することで、業績
 向上のインセンティブにする制度です。
 あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で自社株を購入できるため、株価が上がれば株式を
 売却して値上がり益を享受できるというものです。

 ここではストックオプション制度(新株予約権)をみてみます。
 これまでは原則として自社の取締役と従業員にしか付与できませんでしたが、株主総会の
 特別決議があれば、関連会社の役員や社員、経営コンサルタント、弁護士、銀行、投資家
 など、だれにでも付与できることになりました。
  また、付与の上限や権利行使期限も撤廃しました。
  主な改正ポイントは以下の通りです。

  【改正商法の主な内容】 
  (1)新株予約権を創設 
    ・公募発行・新株予約権付社債の発行
    ・融資を受けるために付与
    ・提携強化のために付与
    ・ストックオプションとして付与

  (2)ストックオプション制度を見直し
    ・付与の上限や対象者の範囲、権利行使期間(10年)の制限撤廃
    ・株主総会の決議事項の簡素化

  (3)多様な株式発行が可能に 
    ・トラッキング・ストック(注) の全面解禁
    ・議決権のない株式の発行上限を発行済み株式総数の3分の1から2分の1に拡大

  (注)企業内の一部門や一子会社の収益力を裏付けに発行される株式のことです。
     「事業部門株」などとも呼ばれます。その企業の全体の収益動向にかかわらず、
     特定部門の業績が良ければ、配当の増加や株価の上昇が期待できます。
     企業は、トラッキング・ストックの発行によって、埋もれていた高収益部門の
     価値を顕在化しながら、その部門を手放すことなく、資金調達ができます。
     調達した資金は、当該部門ではなく、その企業に入るため、資金は当該部門
     以外の分野に使うこともできます。また、この部門の役職員にトラッキング・
     ストックのストックオプションを与えることで士気を高めることもできます。

 現在、ストックオプションの導入企業が全上場企業の50%に達したといわれます。
 新たな報酬制度として定着したかにみえますが、一方では株価低迷で権利を行使できない
 社員が増えているのも実情です。 
 制度を導入したものの無配に転落したため、ストックオプションの付与が不可能になった
 企業もあります。

 そうした企業では株価上昇の恩恵を経営陣や社員に配分し、業績向上のインセンティブに
 するというストックオプションの機能が発揮できないままでいるのです。

□異なる視点からのインセンティブ
 1.企業内昇進から、キャリア開発インセンティブへ 
  その企業で働くことで、
   →将来どれだけ使えるスキルが身につくか
   →労働市場での転職可能性を高める能力が高められるか
  ということがインセンティブになることがあります。

  ほかの企業で通用するスキル(Employability=エンプロイアビリティー)を身に
  つけられる仕事や企業こそが高いインセンティブ価値を持っています。
  エンプロイアビリティーの付与をインセンティブとして制度に組み込んでいる企業は
  少ないものの、MBA留学や社外スキルアップ・プログラムへの参加補助などが、
  インセンティブになっている事例は増えています。

  日本経済団体連合会(日本経団連)ではエンプロイアビリティーを今後の企業の人材
  育成の目標としてその強化を打ち出していますが、この「雇用されうる能力」を高める
  ために利用できる国の制度が98年にスタートした「教育訓練給付金制度」です。

  これは、一定期間、雇用保険の被保険者である者(あった者)に対して、厚生労働大臣が
  指定した講座を修了すれば入学金・受講料の一定割合が給付される制度です。 
  2003年5月1日より制度が改正され、給付率(給付上限額)が引き下げられました。
  しかし、会社で必要とする資格ならともかく、社員が自己啓発で取得するものに対しては、
  一時金(奨励金)にとどめるべきで、固定給の中に組み込むことは差し控えたほうが
  よいでしょう。

  資格規定も単純なものにし、むしろ会社として活用できるかどうかに重きを置き、
  奨励金の多寡を決めたいものです。 
  また、同様の視点から、自分でキャリアをつくっていくための一助となる「社内公募制」や
  「自己申告制度」などもインセンティブ価値が高いでしょう。 

  キャリア開発を考えている社員にとって、自分がやりたい仕事へと移っていける仕組み
  は企業の魅力度を高めます。
  企業戦略の選択と集中の時代にあっては、キャリア開発のチャンスが大きなインセンティブ
  価値を持ちます。

  賃金も重要ですが、それはキャリア展開のあとについてくるものであって、キャリア
  を開発するための機会提供と支援こそが社員にとってのインセンティブといえます。

 2.心理的なインセンティブ 
  インセンティブは、人間の心に働きかける方法なので、心理構造に対する知識や研究が
  必要となるでしょう。
  社員のインセンティブを高める以下のような制度の活用も有効です。
  (1)リフレッシュ休暇 
   組織を活性化させるために、心身をリフレッシュし、今後の新たな活力を生み出す
   ことを目的として「リフレッシュ休暇」を付与することがあります。
   例えば、永年勤務に精励した者に対して、会社生活の一定の節目に連続休暇を付与
   することなどです。

  (2)社長賞 
   審査対象者のうち、特に功績、功労抜群の社員に対しては、社長賞を出すことが
   あります。
   報奨金以外にもインセンティブとなる場合もあります。 
   全社員の拍手喝采の中で
    →社長から表彰状を手渡される
    →熟練技術者に対して「マイスター」など、社内で一目置かれる名誉称号を
     与える
   など、まわりからの承認が加わることも本人の働きがいに大きな影響を与えます。 
   昨今の情勢から社員に高給を払う約束はできなくても、社員のニーズをとらえ、
   これに応えるために心理的なインセンティブを与えていくことは可能です。

 3.社内アンケートの実施 
  社員のインセンティブを高めるうえで大事なのは社員が何を望んでいるかを知ること
  です。 
  そのためにも、社員アンケートを年1回など定期的に実施し、社員の満足度を測る
  ことを欠かさないことです。 
  調査項目としては、今の職場環境について、
   →自分が適性配置されていると思うかどうか
   →チームワークの状況について
  などを聞くのが一般的です。 

  回答は3〜5ランクとして、満足度を記入してもらうほか、特に伝えたい内容がある
  場合に備えて記入スペースを設けてもよいでしょう。

 4.社外研修の実施 
  何社かと組んでの社外研修も実施したいものです。
  大企業の社員と比べ、中小企業の社員は社外の環境がどうなっているのか、同世代に
  どんな考え方を持つ人がいるのかといった刺激を受ける場面が少ないのが現実です。 
  そうした研修を通じて自社に適した収穫を持ち帰る機会が持てればよいでしょう。

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組織力の強化・向上

成果を挙げるためには「実務能力」も必要

成果を挙げるための実務能力

  企業が成果を挙げるためには「実務能力」も必要
   もういちど根本に立ち返って考えてみましょう。
   フォロワーシップがなぜ必要なのか。
   企業活動の成果を挙げたいからです。 
   しかし企業が十分な成果を上げるためには、研究者の考えるフォロワーシップの
   二つの要素、「批判的思考」「貢献意欲」だけでは足りません。
   フォロワーの「実務能力」の高さも必要になってきます。
   その例として適当なのが、トヨタ自動車です。
   世界屈指の実務能力の高さを誇る企業といえます。

  □「実務能力」は「批判的思考能力」「貢献意欲」に影響を受ける 
   年々、着実にステップアップを重ねていくトヨタの強さの原動力の一つになって
   いるのが、フォロワーのレベルの高さです。
   トヨタの現場にはJIT(Just In Time) のような考え方や、それを実現するカンバン
   方式という技法があります。
   「なぜなぜ5回」という発想法のように、現場の問題発見・解決を習慣として行う
   文化が浸透しています。 
   階層のあらゆるレベルで、不断の「カイゼン」 活動が組織的に行われ、ただでさえ
   高い実務能力が、フォロワー自身の手によって絶えず高くなり続けています。
   フォロワーが自ら行っている組織力向上のための行動が、そのまま組織の高い
   成果となって表れています。
   これがトヨタ自動車という組織の強さだと言えるでしょう。 
   ここでポイントとなってくるのは、トヨタの行っている事柄そのものには、さほど
   意味はないということです。
   たとえば、トヨタ生産方式を工場に導入する会社はたくさんありますが、それが
   トヨタ以上にうまくいったことはないと言われています。
   それどころか、導入後の少しの間はうまくいったものの、しばらく経つと業界他社
   に比べても実務能力が落ち込んだという例さえしばしばあるのです。
   この理由は簡単です。
   従業員のフォロワーシップをまったく無視した導入作業を行ったからです。
   リーダーのトップダウンでトヨタ生産方式の導入を決定し、コンサルタントが
   仕事の方式を指導し、フォロワーはそれらに従うだけという状態。
   現場の意見が取り入れられることはありません。
   「批判的思考能力」も、「貢献意欲」も非常に低い状態です。
   「批判的思考能力」と「貢献意欲」の低さに引っ張られて、「実務能力」まで
   低くなってしまったのです。

  □「取り入れる」ことで、「批判的思考能力」「貢献意欲」「実務能力」を伸ばす 
   かつての日本社会はフォロワーシップを重視した活動が盛んでした。
   たとえば、日本中の会社で行われているQCサークルは、自分たちの現場の行動と、
   その行動で達成すべきクオリティを絶えず自分たちで自省するという活動です。
   自分たちの現場の行動に対し、自分たちの批判的思考能力を用い、自分たちの
   仕事のクオリティを向上させようという貢献意欲をもって、自分たちの批判的思考
   能力を用い、自分たちでカイゼンのプランニングを行うのです。
   経営側も、QCサークルでの成果・意見を積極的に取り入れ、現場の形を変える
   などの対応を図ります。 
   ここには、まさしく理想的なフォロワーシップとリーダーシップとの関係が実現
   されています。
   「批判的思考」「貢献意欲」をもったフォロワーの意見を、リーダーが敬意を
   持って取り入れることで、「批判的思考」「貢献意欲」をさらに伸ばすきっかけを
   与えています。 
   そして、人間は意見を聞いてもらえる、自分の力が有効に働いていると感じられる
   ときに自己効力感が高くなり、行動する意欲が増します。
   意欲は「実務能力」にも響いていくことになります。
   これが、リーダーがフォロワーの意見を取り入れるべきである、大きな理由の
   一つです。

  □フォロワーの成長過程は、リーダー・組織の成長過程に重なる 
   企業の成果を向上させるためには、実務がこなせ、批判的思考と貢献意欲とが高い
   フォロワーの能力を十分に活かす必要があります。
   そのためには、フォロワーの意見を積極的に受け入れることでフォロワーの意欲を
   高めつつ、全体の理念や計画を考えていく力量を持ったリーダーが必要となる
   でしょう。 
   このことが成り立っている状態を平たく表現すれば、「リーダーとフォロワーとが、
   全体が向上するようにお互い影響を及ぼしあえる組織」 と言うことができます。
   「企業の理念やミッションに向かった努力を皆が重ねつつ、リーダーとフォロワー
   とが対話ができる組織」とも言えます。 
   部下のフォロワーシップを育て、企業活動の成果につなげていく方法を考える
   過程とは、同時にリーダー、フォロワー、そして組織そのものを育てていく方法
   を考えていく過程でもあるのです。 

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組織力の強化・向上

仕事の成果のカギはフォロワーシップ

フォロワーシップは仕事の成果のカギ

  ■仕事の成果のカギ
   仕事の成果はどこから生まれるのでしょうか。
   突き詰めれば、行動からです。
   理念や計画をいくら考えても、行動を起こさなければ、結果には結びつきません。
   したがって、理念や計画を立てた時点すなわち行動を起こす前の時点では、その結果
   を完全に見通すのは、本質的に不可能だということになります。 
   会社において、実際に行動を起こす人間とは誰でしょうか。
   部下です。
   部下は、上司の立てた全体計画に従って、巧拙はあるものの、自らの行動計画を
   立て、計画を実行に移していきます。
   すなわち、仕事の成果を生み出す「行動」の大部分を握っているのは、部下だと
   考えて差し支えないと言えます。 
   つまり、企業においては、部下と呼ばれる人間が動かなければ、十分な成果は
   得られないわけで、企業活動の成果の実質的なカギとなるのは、部下の持つ仕事へ
   取り組む姿勢や能力などだと考えられます。 
   このような視点から組織のパフォーマンスを捉えていこうとする「フォロワーシップ」
   という考え方について、これから解説していきます。
   まずはリーダーシップと比較しながら理解していきましょう。

  □上からのリーダーシップ、下からのフォロワーシップ 
   リーダーシップは上から下の視点、リーダーが部下を引っ張っていくという視点
   です。
   リーダーの力で、組織の仕事の効率を上げようとする考え方といえます。
   フォロワーシップはその逆で、下から上の視点、部下がリーダーに協力する力で、
   組織の仕事の効率を上げようとする考え方のことをいいます。 
   フォロワーシップの考え方では、部下のことを、リーダーという言葉に対応させて
   「フォロワー」と呼びます。
   フォロワーを簡単に定義すれば、「従って行動する人」のこと。
   リーダーが理念や計画を決め、フォロワーがその理念や計画に従って行動する
   という関係となります。 
   会社が立てるような、ある程度の大きさを持つ計画ともなると、リーダー1人で
   遂行することはできません。
   リーダーが「やりたい」と考えることを、代理として行動してくれるフォロワー
   の存在が不可欠です。
   そして、上記したように、成果は行動から生まれます。
   「フォロワーの、リーダーへ協力する行動のパフォーマンスを上げることで、
   会社の成果を向上させよう」 という考え方がでてくるのは、当たり前だとも
   言えます。

  □フォロワーシップの2つの要素
   研究者の世界では部下の持つ「フォロワーシップ」のことを、2つの要素から
   成り立つと考えています。
   「批判的思考能力」 と「貢献意欲」 。
   そして、この両者のバランスによって、フォロワーシップの質が決まるという
   のです。 
   一番良いとされるのが、高い「批判的思考能力」と「貢献意欲」とを持った
   フォロワーで、理想タイプと呼びます。
   現状に甘んじることなく前進し、リーダーの理念や計画に貢献しようとする人。
   しかも、ただ貢献するだけでなく、リーダーや所属組織に問題がある場合は
   それを適切に進言・フォローすることができる。
   そんなタイプです。
   理想的な態度の部下のように思えます。 
   それぞれの要素の高低について、計5つのフォロワータイプがあると、フォロワー
   シップの研究者たちは考えています 。 
   ここでは、メンバーのフォロワーシップを育てて、理想タイプのフォロワーを
   できるだけ増やし、企業活動の成果につなげるための方法について、考えて
   いきます。 
   フォロワーシップの考え方を用いる場合、ひとつ注意すべきことがあります。
   リーダーだけで企業が動かないのと同様、フォロワーだけでも企業は動かない
   ということです。
   理想的なフォロワーシップを発揮するフォロワーがそろっていたとしても、
   その意見や行動を十二分に理解し、尊重するリーダーがいなければ、せっかくの
   フォロワーたちの能力を活かしきることはできません。
   つまり、フォロワーを育てていこうとするリーダーには、フォロワーの批判的思考
   による意見を素直に受け入れるだけの度量を持つことが求められるのです。

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組織力の強化・向上

ミドルマネジメント(中間管理職)の役割

ミドルマネジメント(中間管理職)の役割

  ■中間管理職の役割
   企業の経営者は様々な悩みを抱えながら日々経営活動に励んでいますが、
   管理者の意識が低く、ほとんど管理職としての役割を果たしていない、業績低迷
   打破のために、管理者のパワーアップ図りたいなどの悩みを抱えている社長も
   少なくないと思われます。 
   こうした状況を解決するためには、何よりも管理者のパワーアップが不可欠
   ですが、そのためには、管理職の役割と職責を明確にし、しっかり自覚させる
   ことが大切です。

  □ミドルマネジメント(中間管理職)の役割 
   企業の中には、管理職が十分機能しないため、トップの方針や危機感が全社に
   徹底せず、経営者と管理者、一般社員との間で意識に大きな段差が生じている
   ことが少なくありません。
   そこで、まず、中間管理職の役割について徹底(教育) することが大切です。 
   中間管理職であるミドルマネジメントは、 「経営目標の推進者」 と
   「経営理念の伝導者」 という二つの役割をもっています(図参照) 。
   したがって、ミドルマネジメントは、全社的な経営計画や経営方針の策定に参画
   するとともに、自らが責任を持つ部署で経営方針を具体化し、仕事と部下を
   取りまとめながら経営目標を推進し、その一方で、経営理念や企業ビジョンの
   伝導者として部下の育成、指導に当たらなければなりません。
   また、自らの業務を確実に遂行することも大切です。
   そこで、管理者が以上のような役割を果たすように、しっかりとその役割を自覚
   させることが肝要です。

  □管理職の四つの職責 
   管理者のパワーアップを図るためには、トップは、以上のような役割を自覚
   させるとともに、次の四つの職責を果たすよう指導しなければなりません。 

    (1)部門計画と部門方針の策定 
    (2)仕事と組識の取りまとめ 
    (3)部下の取りまとめ 
    (4)独自業務の遂行 
   以上の管理職の四つの職責は、具体的には次のような内容をいいます。

   (1)部門計画と部門方針の策定 
    管理者の第一の職責は、経営環境の変化に正しく対応するため、全社計画
    と経営方針を部門に具体化し、担当部門の計画と方針を策定することです。
    管理者が、こうした職責を果たすようにするためには、管理者に全社的な
    経営計画や経営方針を正しく理解させるとともに、市場(競合) 動向にも
    目を向け、環境変化に機敏に対応するようよく教育することです。
    そして、計画や方針立案能力の向上のための訓練をすることが大切です。

   (2)仕事と組織の取りまとめ 
    管理者の第二の職責は、仕事の取りまとめと部門組織の取りまとめを適宜
    適正に行なうことです。 
    仕事の取りまとめ(業務管理) のテーマには、
     ①日常の業務計画の策定と進行管理
     ②部門目標達成のために必要な業務の提示(指示) と結果の点検
     ③コストマネジメント(原価管理、経費管理など) とプロフィット
      マネジメント(利益管理) の徹底
     ④業務システム、業務方法の改善
    などがあります。 
    また、部門組織の取りまとめ(組織管理)のテーマには、
     ①部下一人ひとりへの業務の分担と目標の割付け
     ②部下一人ひとりの権限と責任の明確化
     ③職場組織のチームワークの形成と職場の活性化
     ④メンバーへのフォロー
    などがあげられます。 
    トップは、管理者が以上の職責を自覚し、実践するように、適切に権限と
    責任を委譲することが大切です。

   (3)部下の取りまとめ 
    管理者の第三の職責は、部下の指導育成と就業の管理です。
    部下の指導育成のテーマには、
     ①日常業務を通じた部下の育成指導(OJT)
     ②部下の統率(リーダーシップ)
     ③部下との適正なコミュニケーション
     ④部下の業績や能力に対する適正な評価と動機づけ
    などがあります。 
    また、部下の就業管理のテーマには、
     ①就業態度の改善
     ②部下一人ひとりへのカウンセリングと苦情処理
     ③メンバーの掌握と職場の人間関係の改善(チームワークづくり)
     ④部下の定着管理
    などがあります。 
    これらについても、管理者一人ひとりに自らの職責として自覚するよう
    徹底することが大切です。

   (4)独自業務の遂行 
    管理者の第四の職責は、独自業務を遂行することですが、独自業務には、
     ①担当業務の遂行
     ②上司の補佐とトップとのコミュニケーション(意見具申)
     ③他部門、関係職場との連携、協力、調整
    などがあります。 
    このように、管理者には、仕事と部下の管理だけでなく、プレイイング
    マネジャーとして自らの担当業務に精通し、見るべき成果をあげるように
    させなければなりません。
    さらに、トップや他部門、関係職場との連携、調整なども重要な管理者の
    仕事であることを教え込むことが大切です。

  □ミドルマネジメント(中間管理職)のレベルアップ 
   以上のような管理職の役割と職責を自覚させ、実践させるためには、トップが
   期待する管理職の要件を一人ひとりに提起するとともに、次のような方法を
   講じる必要があります。 
    ①経営理念やビジョン、経営戦略などの経営方針をよく理解させるため、
     経営会議や幹部会議に参加させる。 
    ②経営情報を可能な限りオープンにすることによって情報を共有化し、
     経営課題に対する共通の認識を得るようにする。 
    ③部下の評価・指導・育成能力を向上させるため、マネジメント理論と
     技法を学ばせる。 
    ④大局的な視野、状況変化への柔軟な対応力、自己革新できる能力、
     戦略的な思考力など、マネジメント全般に求められる能力を練成する
     ため、必要に応じて外部研修に参加させる。
    ⑤担当業務の専門知識を身につけるよう、自己啓発を奨励する。 

   昨今の厳しい環境下で企業が生き伸びていけるかどうかは、こうした高い能力
   をもったミドルマネジメントを何人擁しているかにかかっています。
   そして、トップマネジメントの役割と職務のうち、最も重要なものの一つは、
   こうした視点から、管理者を養成するところにあります。
   今日の厳しい経営環境下で業績を確保していくために、末端の社員まで経営
   目標を行きわたらせ、機動力のある組織をつくるとともに、このような管理者
   の養成を急がなければなりません。

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組織力の強化・向上

組織力の強化・向上は良好な人間関係から 


  組織力の強化は人間関係を築くことから始まります。

  その際に必要となってくるのが「コミュニケーション」です。

  とくにビジネスにおける「(社内)コミュニケーション」は、組織の仕事の円滑化、組織力
  強化のために非常に重要な要素となっています。

  「社内交流が少ない」「社員が育たない」「周囲との関係が希薄」ため、スムーズな問題
  解決ができないといった、「コミュニケーション」の不足に起因する組織停滞を招いてい
  ませんか。

  良好な「コミュニケーション」は、ストレスを溜めない職場を作り、その有効活用法を学ぶ
  ことで営業力も上がります。

  人に対して積極的に行動する力、相手の本音や望んでいることを聞き出す力、それが
  お客様、同僚や上司から信頼される力へとつながるのではないでしょうか。

  自社の貴重な経営資源であり、経営戦略の実行部隊である「組織と人材」について再点
  検をお勧めします。
   
  ■名ばかりの組織   

   これだけIT環境が整備された時代であっても、10、20年前と経営における悩みの多く
   は変わっていせん。

   中小企業では今日に至るまで『資金繰り』、『売上』、『人』 といった問題が常に上位
   を占めてきました。

   それではなぜ数十年たっても変わらないのだろう。

   それは、

   会社(店)として継続した経営改善として捉えておらず、場当たり的で短期的なテーマ
   としてしか扱っていないことが原因ではないでしょうか。

   過去の延長線上で変化を求めても何も変わりません。

   起業当時を考えてみてください。

   社長は1人での限界があったから人を採用し組織として、より効率的で効果的な利益
   追求を図ろうとしたはずです。

   しかし、現実では社長がトップセールスマンとして奔走し、業務の全てを指揮していた
   りと、せっかく採用した人材は生かされずじまいで、挙句に収益悪化でリストラを始め
   る始末です。

   これでは人が何十人、何百人いようと組織とは名ばかりの烏合の衆と化してしまいます。

   営業会社であれば組織の改革・改善の重要性は充分認識しているはずです。

   組織の中で従業員一人ひとりには明確な役割があります。

   そうでなければ従業員は必要ないはずです。

   「うちの従業員は○○でどうしょうもない」と言っている社長は逆に「私(社長)は○○
   でどうしょうもない」と自分のことを言っているようなものです。
   
   全ては社長であるあなたの責任で、従業員のせいではありません。

   今の組織体制を改善することで、収益は必ず上がります。

   中小企業にとって組織力の強化は待ったなしの課題です。
   
  ■組織づくり

   最近は以前と同様の方法では、業務をスムーズに進めにくくなってきたなど、組織上の
   問題を感じることが多いという経営者は少なくないようです。

   こうした背景には、パート・アルバイト・派遣社員などの非正規社員の増加、あるいは
   若年者を中心に勤労意識の変化がみられるなど、組織内の従業員の多様化が進んで
   いることなどがあります。

   こうした従業員の多様化に対応しながら、組織運営をスムーズに行っていくためには、
   さまざまな対策を講じることが求められます。

                       組織力強化マニュアルについてはこちら

  教育の重要性

   組織は単なる個人の集合体ではありません。

   メンバー全員のベクトルが一致し、トップ、部門リーダー、社員それぞれが自己の役割
   を明確にし、率先垂範していく集合体といえます。  

   全社員が目的・目標に向かい進んでいくための一体感が欠かせません。

   そのためには社員一人ひとりが組織人としての意識改革の教育が欠かせません。

   しかしその教育体制は今問題を抱えています。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が
   「人材育成に問題がある」と回答しています。

   中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。   

    
  □組織のライフサイクル

   組織には誕生・成長・成熟・衰退といった商品のライフサイクルと類似した考え方があり
   ます。

   中小企業が特に注意しなければならないのは、起業(誕生)段階から成長段階に至る
   過程。

   中小企業の中には、会社運営の大部分を経営者の個人的な資質や魅力に依存して
   いるといった、起業段階のように未成熟な組織のままでとどまってしまっている場合が
   少なくありません。
 
   起業段階にみられる未成熟な組織が成り立つのは、従業員の多くが創業当時のメンバー
   であり、創業者の理念や夢に対する熱い思いを共有できているといったところに負う
   ところが大きいのです。

   創業当時から苦楽をともにしている従業員の間には親密なコミュニケーションが図ら
   れています。

   そのため、「自身の担当業務ではなくとも、ほかの従業員が困っていたら協力を惜しま
   ない」というように、指示がなくても相互補完的に業務を遂行するなど、発生する問題を
   自発的に補い合うことから、未成熟な組織であっても組織として成立し得るのです。

   創業者の理念や夢を共有できているからこそ従業員は「それを実現したい」という思いか
   ら、未成熟な組織の中でも高い貢献意欲を持って進んで業務に取り組むことができるの
   です。

   規模自体はそれほど大きくなくとも、従業員の多様化が進めばその中で創業者の理念や
   夢を自然と共有することは難しくなってきます。

   従って、組織運営をスムーズに行っていくためには、何らかの施策を講じる必要が出て
   きます。

  □組織変革の必要性

   「組織を変える」ことは、企業が永続していくためには常に直面する問題です。

   組織のライフサイクルをみても分かるように、企業を取り巻く外部環境の変化や企業
   自身の内部経営資源の変化といった要因、あるいは新規事業進出・既存事業撤退など
   さまざまな要因が、企業に常に新しい組織像を求めてきます。

   しかし、その一方で既存事業を行うために完成された組織を変えることは非常に困難な
   取り組みです。

  □組織全体の問題と従業員個人の問題

   組織変革が難しい理由は、組織には変わることを拒むという性質があるためです。

   変わることを拒む性質を生み出す問題には「組織全体」と「個人」の二つが存在します。

    1.組織全体での問題

      組織変革ということを強く意識せずに、特段の取り組みを行わない場合、組織は
      既存事業の強化など「現在の組織構造を強化する」という方向で変化する傾向が
      あります。

      これは組織内の個々の活動をみると分かりやすいかもしれません。

      例えば、ある事業について考えれば、設備投資は、その事業をより効率的に行
      うことのできる設備などを対象に行われます。

      人事面をみると、その事業に対する高い能力を有する人材を採用したり、そうし
      た能力を少しでも高めることができるように教育・訓練を実施するはずです。

      また、指揮・命令系統や部課などの組織構造も既存の事業などに最適な形に形
      成されていきます。

      このような「現在の組織構造を強化する」という流れは、現在の組織構造を変化
      させる組織変革にとっての大きな障害となるのです。

    2.個人での問題

      組織全体のレベルとは別に、実際に組織を動かす従業員などの中にも変わるこ
      とを拒む性質があります。

      人が変化を好まない理由はさまざまですが、その大きな原因は「先が分からな
      いという不安感」にあります。

      例えば「変革に伴って業務内容が変わるが、私にできるのだろうか?」「今まで
      の業務では高い評価を得られたが、新しい業務でも同様に高い評価を得ること
      ができるのか?」「業務の負担量が増えるのではないか?」など、新しいことに対
      してはさまざまな不安が付きまとうものです。

      その結果「先の分からない『変化』よりも、現状のままがいい」という気持ちが強
      くなってしまうのです。

   実際の組織変革への取り組みをみると、制度面の変更など比較的容易に取り組むこと
   ができる組織全体のレベルでの変革には注意が払われているものの、個人レベルでの
   変革については十分な注意が払われていないことが多いようです。

   実際に組織が直面する問題は非常に多岐にわたり、その状況も複雑です。

   そのため、問題の表面的な部分だけをとらえて施策を講じても、十分な効果を得ること
   が難しい場合が少なくありません。

   従って、問題を解決するための施策を検討・実施する際には、まず最初にこうした組織上
   の問題の特徴をしっかりと念頭に置いた上で、慎重に問題の原因を整理・分析するよう
   に心がけることが重要です。
   
  ■組織力

   組織を十二分に生かしきれている会社は多くありません。

   会社経営における組織の重要性については言うまでもなく、ほとんどの社長は「限ら
   れた員のなかで組織力を最大限に高めたい」と感じているはずです。

   組織力とは、「日々の活動のなかで確実に成果を作り出し、組織自身を成長させる力」
   といっていいでしょう。

   組織力を高めるためにはさまざまな施策があげられますが、そのなかでも効果的なのは、
   組織に「自ら考える力をもたせること」です。

   社長から逐一細かい指示を受けなくても、自分で判断し行動できる「考える(自発的)
   組織」への脱皮を進めることです。

   個々の社員に対して「もっとよく考えろ」という指示を出すことは多いと思いますが、
   これを個人レベル、組織についてもその対象とします。

   組織力強化に欠かせないのがコミュニケーションです。

   「自発的組織」は社長が経営理念や経営戦略の方針さえ示せば、あとは組織自らが
   現場の実情を踏まえた最適な方策を考え、これを実行します。

   これとは逆に「考えない(受動的)組織」は、たんなる個人の集合体(烏合の衆)でしか
   ありません。

   つまり、社長に依存することなく、自らの責任と役割を自覚して、「自立」と「自律」を
   徹底しているのが「自発的組織」の最大の特徴と言えます。

   例えば、目標が未達だった場合には問題点を十分に掘り下げて、解決のための課題を
   設定し、それに取り組むことで組織力を向上させます。

   組織力の現状とあるべき姿を認識し、そのギャップ解消に向けて日々努力できるの
   です。

   さらに、「自発的組織」は日々の活動を通じて、自分たちの組織だけではなく、他部門の
   業務改善や会社全体の戦略にも提言を行います。

   たとえば、「自発的営業部」では自分たちの営業活動を通じて得た商品改善のヒントを
   商品開発部に伝えたり、市場環境の変化を感じ取って全社の経営戦略修正にも有効な
   提言をすることができます。

  □ 「考える組織」、「考えない組織」

   会社経営における組織の重要性についてはいうまでもありません。

   ところで、組織力という言葉はさまざまな意味で使われます。

   いろいろな社長と話をしていても、「結束力がある」、「総合力がある」、「臨機応変
   である」など、そのとらえ方は多様です。

   1.組織力とは何か

     まず、組織力という言葉の意味を考えてみましょう。

     弊社ではこれまでの経験から組織力を次のように定義しています。

     組織力とは、

      日々の活動のなかで確実に成果を創出するとともに、組織自身を
      成長させる力

     つまり、現時点の保有能力を100%いかすこと(短期的な成果創出)と、保有
     能力そのものを強化していくこと(長期的な自己成長)を両立させている状態
     が、「組織力が高い」ということになります。

     同じ事業計画に取り組む際に、組織力が高い場合とそうでない場合では、短
     期的な成果の度合いが大きく異なります。

     そして、組織力が高い組織は自己成長によって、長期的にはよりチャレンジン
     グな事業計画を策定・遂行できるようになるのです。

   2.自ら「考える」ことで組織力は高まる

     では、組織力を高めるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

     さまざまな施策があげられますが、そのなかでも効果的なのは、組織に「自ら
     考える力をもたせること」、つまり社長から逐一細かい指示を受けなくても、自
     分で判断し行動できる「考える組織」への脱皮を進めることです。

     個々の社員に対して「もっとよく考えろ」という指示を出すことは多いと思います
     が、これを個人レベルだけではなく組織についてもその対象とするのです。

     「考える組織」では社長が経営理念や経営戦略の方針さえ示せば、あとは組
     織自らが現場の実情を踏まえた最適な方策を考え、これを実行します。

     つまり、社長に依存することなく、自らの責任と役割を自覚して、「自立」と「自
     律」を徹底しているのが「考える組織」の最大の特徴といえます。

     また、「考える組織」では、目標が未達だった場合には問題点を十分に掘り下
     げて、解決のための課題を設定し、それに取り組むことで組織力を向上させます。

     組織力の現状とあるべき姿を認識し、そのギャップ解消に向けて日々努力で
     きるのです。

     さらに、「考える組織」は日々の活動を通じて、自分たちの組織だけではなく、
     他部門の業務改善や会社全体の戦略にも提言を行います。

     たとえば、「考える営業部」では自分たちの営業活動を通じて得た商品改善の
     ヒントを商品開発部に伝えたり、市場環境の変化を感じ取って全社の経営戦
     略修正にも有効な提言をすることができます。

   3.「考えない組織」とは

     一方、「考えない組織」とは、考えることを放棄している(または、考えたくても
     その方法を知らない)ため、日々の業務を回すことのみに追われている組織
     のことです。

     「いつまでに何をするか」という行動レベルにしか目がいっていないため、日常
     的な問題が生じるたびに社長に逐一「どうしたらよいですか」という指示を仰が
     なくてはなりません。

     また、組織目標の認識が自部門の短期的なアウトプット確保にしかないため、
     「自部門はどうやって成長するか」、「他部門にどのような好影響を与えるか」と
     いう視点はありません。

     このように「考える組織」と「考えない組織」ではさまざまな点で大きな差がある
     ことがわかります。

     自社のすべての部門、とりわけ主要部門について、「考える組織」への脱皮を
     進めることで、会社全体の組織力は大きく高まります。


   4.考える(自発的)組織とは 

     <目標設定>

       ・目標は自ら設定するという認識がある

       ・自ら適切な目標を設定できる

       ・自部門の目標のもつ意義を十分に理解している

     <自立性>

       ・何があっても目標達成へ執念をもって取り組む

       ・自ら主体的に判断して行動する

       ・環境変化をいち早く察知できる

       ・環境変化に応じた適切な戦術修正ができる

       ・問題が生じたら真の原因を探り対処する

       ・判断に必要な情報を積極的に入手する

       ・他部門の動向を注視し、助言や助力を行う

       ・全社経営戦略への改善提案を行う

  □自発的組織(自立と自律)を実現させるには

   1.組織の役割を明確にする

     「考える組織」づくりのなかでもっとも基本的な要件は、組織の役割を明確にす
     ることです。

     たとえば、一般的な営業組織の役割としては、レベルごとに次のようなものが
     考えられます。

     仮にA営業部が「レベル1」の認識、B営業部が「レベル3」の認識だった場合、
     A営業部は自部門の目標達成という限定された範囲内で業務を行っているの
     に対し、B営業部はより幅広い活動をしていることになります。

     同じ会社で並列の関係にある営業部であっても、役割認識が違えば行動は
     まったく異なるのです。

     社長は自社のすべての組織に対して、その部門が本来的に担うべき役割は
     何かを示し、部門長以下全員の共通認識をつくる必要があります。

     一般論ではなく、あくまで「自社の」営業部や製造部が果たすべき役割につい
     てできるだけ具体的にすることが大切です。

   2.考えるべきテーマを明確にする

     組織の役割を明確にできたら、その組織が「何を考えるべきか」についても明
     確にします。

     組織のもつ役割を広くとらえることによって、考えるべきテーマも広がっていく。

     ◎考えるべき事項の一例

      レベル3)営業を切り口として全社へ貢献する

            ・全社経営戦略への提言、商品開発部門・製造部門等への
             目的的な情報提供など

      レベル2)販売機能全般を担う

            ・全社販売戦略の策定・遂行、環境変化に応じた営業組織の
             最適化、商品改善の提言など

      レベル1)自部門の販売目標を達成する

            ・新規顧客開拓、既存顧客深耕、適正な価格設定、商品ごとの
             販促など

     前述のA営業部、B営業部の例に当てはめると、ともに自部門の販売目標達
     成について考えることは同じですが、B営業部ではそれに加えて全社レベルの
     問題意識をもって幅広いテーマについて考えることも求められます。

     「考える組織」が十分に実現できている状況では、ここであげた「何を考えるべ
     きか」というテーマ設定についても、組織自身が自立的に決めることができます。

     しかしながら、最初のうちはそれぞれの組織が考えるべきテーマを社長が選
     定することも必要でしょう。

     まずは、社長自身が経営戦略上の全社的課題について明確にして整理します。

     そして、それぞれの課題解決について、どの部門が主体的に取り組むべきか
     を判断し、当該部門に考えるべきテーマとして与えます。

   3.リーダー(部門長)の意識改革 

     考える組織のトップである部門長にはそれにふさわしい意識と能力が求めら
     れることは言うまでもありません。

     「考える(自発的)トップ」が「自発的組織」を育てるのです。

     部門長がたんなる上意下達の役割しか果たしていなければ、その部門全体に
     も「考える」という習慣は根付きません。

     本来であれば部門長は社長の言葉をそしゃくし、自分の方針も含めて部下に
     伝えることです。

     しかし、会社全体への関心の低さや、自分自身のビジョンが不明である場合、
     たんなる伝達者・調整者としての役割しか果たせていないことが多いのです。

     社長は部門長としての役割を確実に実践し、社長の片腕となるよう指導して
     いかなければなりません。

     そして、いくら指導しても「考えない」、「考えられない」場合については、部門長
     の資格なしとして、相応の処遇も必要になってくるでしょう。

     部門長には担当組織について、部門の成果創出と成長の責任はすべて自分
     自身にあり、日々の活動のなかで自らが中心になって完遂していくという強い
     使命感が求められます。

     また、部門長は意識だけではなく、考えるための能力も磨く必要があります。

     マネジメントの基本である、PDCAサイクル(「計画:plan」、「実施:do」、「評
     価:Check」、「改善:action」)や、問題解決手法などについて理解を深めるこ
     とは不可欠です。

     さらに、社長や部下とのコミュニケーション能力、部下への動機づけ能力など
     も高めなければなりません。

     (1)部門長に求められる要件

       ・どのような困難に遭遇しても、何としても目標を達成するという執念
        をもっている

       ・自部門のビジョンについて自分自身の明確な考えをもち、部下に
        示している

       ・社長からの指示をその背景も含めて正しく理解し、経営戦略全体の
        なかでとらえることができる

       ・トップの経営感覚で俯瞰的に物事をとらえることができる

       ・最前線の現場感覚で部下に個別具体的な指導をすることができる

       ・一般的な問題解決手法、思考法などについて理解し、実践している

       ・自分自身に足りない意識や能力についてつねに自問し、それを克服
        するための努力をしている     

     (2)権限委譲の範囲を明確にする

       「考える」ことによって自らの役割を全うさせるためには、同時にそれにふさ
       わしい権限も与える必要があります。

       いくら組織が自立的に考えて施策を打ち出すことができても、その遂行に
       ついてすべて社長承認を必要とするのであれば、組織活動のスピードは上
       がりません。

       また、そのような状態のなかでは「考える」ことそのものに対しての動機も失
       われていくでしょう。

       権限委譲を効果的に進めていくためには「どこまで委譲するのか」という範
       囲を明確にすることが大切です。

       たとえば次のような視点で権限の範囲を規定することができます。

       ◎権限範囲の考え方

        ・戦略、戦術(例:戦術については委譲、戦略については不可)

        ・事業内容(例:既存事業については委譲、新規事業については不可)

        ・必要経費の額(例:1件につき20万円までは委譲、それ以上は不可)

        ・リスク程度(例:金額換算で100万円までは委譲、それ以上は不可)

        ・人事の範囲(例:主任クラスまでの人事権(異動・昇進など)は委譲、
         それ以上は不可)

       なお、ここでいう権限とはあくまで「執行する段階の責任」であり、「結果に
       対しての責任」ではありません。

       たとえば、ある部門長が20万円を使って販促キャンペーンを行った場合、
       権限の範囲内なので、「経費を勝手に使った」ということにはなりません。

       ただし、キャンペーンがまったく成果を生まなかった場合、その結果責任は
       当然ながら部門長にあります。

       権限委譲に際してはこのような点についても部門長に理解させる必要があ
       ります。

   □外部情報を積極的に入手させる

    「考える」ためにはそのための情報が不可欠です。

    組織は外部情報について、「日々の営業活動などを通じて結果として蓄積する」
    という受け身の姿勢ではなく、「有益な情報を的確かつ迅速に収集する」という
    積極性が必要になります。

    当然ながら情報収集そのものを目的とした活動も求められるでしょう。

    収集すべき外部情報として次のようなものがあげられます。

    ◎収集すべき外部情報

      ・顧客情報

      ・競合情報

      ・技術情報

      ・世の中全体の構造的変化に関する情報

      ・世の中全体のニーズ情報

     また、組織内のポジションによっても得られる情報の種類は異なります。

     たとえば、顧客情報について、営業部長が得る情報には顧客企業の意思決定
     層に関するものが多く、営業マンが得る情報には先方の担当者が感じている
     日常的な問題点などが多く含まれるでしょう。

     収集したこれらの複数の情報については、組織全体で共有し、議論、活用す
     ることで、より有効な問題解決や組織成長のための知恵を得ることができます。

     最前線で活動している担当者クラスが入手した情報を、日報などを通じて組織
     にフィードバックすることはもちろんですが、部門長自らが入手した情報につい
     ても、組織全体に公開する仕組みをつくることが大切です。

      

            組織力強化のための4つの改革は掛け算

  コミュニケーション×モチベーション×従業員満足(ES)×基本動作(ビジネスマナー) 

 

  上記4要素はリンクし、どれが欠けても組織力強化は図れません。

  企業経営に欠かせない「ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ」の中で、最も重要な経営資源が
  「ヒト」であることは言うまでもありません。

  同時に、企業にとって永遠のテーマでもあります。

  ご承知のように、これらが自社に根付くには時間と根気を要しますが、厳しい経済環境
  の中で競合他社との差別化を図るためにもやり遂げなくてはなりません。

  「モノ、カネ、ジョウホウ」も「ヒト」の組織人としてのレベルアップがあってこそ機能
  するものです。

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イノベーション(Innovation) 


  経営者であるあなたは企業経営においてどのような思いを持っていますか? 何を実現
  したいのですか?

  ドラッカーは、
  『ビジネスには二つの機能しかない。マーケティングとイノベーションである』と。

  さらにドラッカーは組織について、
  組織は新しいものの創造に専念しなければならない。

  具体的には、あらゆる組織が三つの体系的な活動に取り組む必要がある。

  第一に、行うことすべてについて耐えざる改善を行う必要がある。

  第二に知識の開発、すなわちすでに成功しているものについて、さらに新しい応用法を
  開発する必要がある。

  第三にイノベーションの方法を学ぶ必要がある。

  イノベーションは体系的なプロセスとして組織化することができるし、まさにそのように
  組織化しなければならない。

  組織の変革(再構築)は「夢」、「思い(志)」が出発点となります。

  経営トップは、従業員一人ひとりに対して会社の目指す方向を明確に示さなければなり
  ません。

  それを示し、それを語り、彼らにも語らせ、力を合わせてやっていくことによって、組織と
  いうのはものすごい力を発揮していくことになります。

  一人ひとりが共通の思いを自ら持つことができたとき、人というのは信じられないことを
  実現することができるのです。

  共通の思い、すなわち夢やビジョンが必要なのです。そしてそれに向かってひとつになる。

  そうすると、人と組織は信じられない力を発揮し、組織力は確実に強化されます。

  今、マーケットのイニシアチブは完全にお客様が握り、売り手の論理だけでは通用しな
  い時代、「顧客主導マーケット」の時代の真っ只中にあります。

  さらに、お客様のニーズはどんどん変化し、変化のスピードは速くなるばかりです。

  企業が生き残るには、ニーズの変化に柔軟に対応できる組織にする必要があります。

  このような変化の激しい時代にあって、大多数の社長は「限られた人員のなかで組織
  力を最大限に強化したい」と感じているでしょう。

  そのためには、企業の構造そのものを変えなければ抜本的な改革にはなりません。

  組織とは単なる個人の集合体ではなく、メンバー全員の
  ベクトルが一致し、トップ、部門リーダー、社員それぞれ
  が自己の役割を明確にし、率先垂範していく集合体と
  いえます。  

  変革の必要ない会社は、ほとんどないでしょう。

  トップや幹部社員だけでなく、20代の若手社員でも、「うちの
  会社は変わらないと駄目だ」と感じている会社は非常に多いの
  です。

  現状が変えなくてはならないことばかりだと、非常に重たい気持
  ちになる経営者も少なくないでしょう。

  しかし、変革は、これまで築きあげたすべてを否定し、何から
  何まで新しいものに切り替えていくことではありません。

  変革すべきポイントを明確に絞り込むことで、変革は成功すると
  いうことでもあります。

  変えるべきではないポイントを発見することが、実は変革を成功に
  導くということです。

  企業にとって、創業時から変わらない大事なことを守り抜き、新しい時代に合わせて磨き
  をかけ、生き残るために変革を起こさなくてはいけないことは、実際非常に多いのです。

  ですから、「何を変えなくてはいけないか」「何を変えたいのか」と同時に、「何を変えて
  はいけないのか」について整理することは、大きな意味があります。

  変革を起こすときに重要なのは、いったいなぜこの変革をやるのかという「変革の理由」
  と、変革を通してどういう未来を目指すのかという「ビジョン」を示すことです。

  それは、リーダーであるトップの役割です。 

  現状から飛躍し、実現を信じることのできる未来像を魅力的に表現したビジョンは、
  変革を起こすときに非常に大きな役割を果たします。

  変革してどういう状況をつくりたいのかということが示されており、しかもそれが魅力的
  なものであればあるほど、人はその変革に共感し、各自が自分も変革に関わりたいと
  思うからです。

  このことが結果として組織力の強化に繋がるのです。

  □イノベーション3つの心得

    ・集中すること‥勤勉、持続、献身 。
     集中しないと出来ない。

    ・強みを基盤とする‥得意不得意あり
     自らの能力を生かしてくれる機会を探すこと

    ・世の中を大きく変えるものでなければならない
     常に市場志向をもつことが大切である。

  □イノベーションの3つのタブー

    ・凝りすぎてはならない
     凝りすぎは失敗の元。凝りすぎたものに時間と金を使う者はいない。

    ・多角化してはならない

    ・明日のためのイノベーションを行ってはならない
     「20年後には、多くの人がこれを必要とする」が、という考え方は間違いだ。
     「必要とする人は既に大勢いる。20年後はもっと大勢いる」という発想が必要

  □イノベーションはシンプルに

    ・イノベーションは、焦点を絞り、シンプルに行わなければならない

    ・イノベーションに対する最高の賛辞は 、「なぜ、自分は思いつかなかったか」
     だ。

     奇をてらったものは成功しないのである。

  □トップ自らが推進役となれ

   「イノベーションとは姿勢であり、行動である。 特にそれはトップマネジメントの姿
   勢であり、 行動である。

   イノベーションを行う組織では、トップマネジメントの役割が違う」
   そのために、トップは、生煮えの非現実的なアイデアを具体化しなければならない。

   ひとつの優れたアイデアを手にするためには 多くの馬鹿げたアイデアが必要で
   ある。

   トップ自身がイノベーションの推進役になって、初めてイノベーションは成功する
   のである。

  □新しいことも、改善も手間は同じ

   「新しいことを行うのも、すでに行っていることを改善するのも、かかる手間は同じ
   である」

    既にあるものの延長や改良ではなく、新しい価値あるものを創造すること。

  □経営者のための「八つの習慣」

    ・なされるべきことを考える なしたいことではない

    ・組織のことを考える 経営者のことでも、従業員のことでもない

    ・綿密なアクションプランを作る

    ・意志決定を行う
    ・コミュニケーションを行う

    ・機会に焦点を合わせる

    ・会議の生産性を上げる( 効率的な会議のためには、参加者全員が共通の
     会議ノートを使用することで意識統一や伝達の明確化を図る)

    ・「私は」ではなく、「我々は」を考える

  □成果をあげる5つの習慣

    ・時間をマネジメントする

    ・貢献に焦点を合わせる

    ・強みを生かす

    ・重要なことに集中する

    ・効果的な意思決定を行う

  □最後に必要なのは勇気

   「いよいよ意志決定の準備は整った。満たすべき条件は検討し、選択肢はすべて俎上
   に載せ、得るべきものとリスクを天秤にかけた。しかし、多くの決定が行方不明になる
   のが、まさにこの時である」

   ドラッカーの言葉は企業経営の真理をついたものばかりです。

   ぜひこのドラッカーの言葉を噛み締め、自社(店)の改革に取り入れてみてください。

    『「企業の目的は、顧客の創造である。」したがって、企業は2つの、2つだけの
    基本的な機能を持つ。それが、マーケティングとイノベーション(革新)だけが成 
    果をもたらす』 

   という。 

            

モチベーション(Motivation) 

   
  ■モチベーションの向上(=業績アップ)

   ドラッカー博士は、業績(成果)をあげることは習慣であるといっています。

   「組織が成果をあげるのは、優秀な人がいるからではなく、成果をあげる習慣がある
   からだ。」

   組織においては、より複雑なコミュニケーションと意思決定が日々繰り返されています
   が、コミュニケーションの良し悪しでモチベーションは変わってくるのです。

   好業績を持続している企業にいえることは、そうでないところと比較し、社員のモチベ
   ーションの高さが決定的に違うということです。

   経営者、部門責任者が最も重視すべきは「社員のモチベーションを高める経営である」
   ことです。

   社員のモチベーションが低下すれば、お客様への対応態度にも影響し、やがてお客様の
   足は遠のき、結果的に他の誠実な社員にも伝播していくのです。

   そして、モチベーションが低い会社(店)の離職率は高いという結果が示されており、
   その離職する社員の能力が高いということります。

   なぜ、社員のモチベーションは低下するのでしょう。

   厳しい経済環境になればなるほど、社員のモチべ−ションの高低が企業の盛衰の要因
   となってくる今、社員のモチベーションは年々低下してきているようです。

   たとえば、オリンパス、大王製紙などの上場企業の不祥事は既にご存知でしょう。

   経営者による不正が多くのステークホルダーに損害を与え、一生懸命働いている社員の
   モチベーションが最悪になるのは言うまでもありません。

   このような例にならないまでも、近年の社員のやる気が低下している最大要因は、
   経営者や上司の経営姿勢や言動にあると言われています。

   厚生労働省の調査によると、最も多かったのは「経営者や上司への信頼感をなくした時」
   (63.3%)、次に「賃金や処遇に対する不満が生じた時」(50.6%)、3位が「職場の人
   間関係が悪化した時」(40.8%)という結果が出ています。

   このことからも、経営者や上司が部下の信頼を得ることができれば、社員のモチベーショ
   ンが自然と上がり、それは必然的に業績アップに繋がってくるということです。

   既にご承知でしょうが、社員のモチベーションが高いことはいいこと尽くめです。

   業績、社内のコミュニケーション、愛社精神、ES(従業員満足)、CS(顧客満足)がアッ
   プするのです。

   前述のP.F.ドラッカーの言葉「組織が成果をあげるのは、優秀な人がいるからではなく、
   成果をあげる習慣があるからだ。」からも理解できると思います。

   さらにドラッカーは人間関係づくり、先々の準備や計画、サービスの改善、健康の維持、
   能力の向上…これらに時間を使わなければ、いつか何倍もの大きさで“緊急事項”と
   して再登場してくると言っています。

   厚生労働省の調査では、中学、高校、大学を卒業した後、3年以内に離職する割合は、
   それぞれ約7割、5割、3割で推移しており、いわゆる「七五三」といわれる現象がある
   そうです。

   また、財団法人社会経済生産性本部が今年度(平成19年)の新入社員を対象に「働く
   ことの意識」について調査したところ、「職場で感じる生きがい」についての設問では、
   上位では「仕事がおもしろいと感じるとき」(24.3%)、「自分の仕事を達成したとき」
   (23.3%)、「自分が進歩向上していると感じるとき」(19.1%)と続き“自分自身の充
   実感”を重視する傾向がうかがえます。

   さらに、経営者や上司の経営姿勢や言動の次に社員のモチべ−ションを低下させる
   要因に、貸金や処遇に対する不満があることも大きいといえます。

   モチべーションを高めるためには形から入ることをお勧めします。

   社会人・組織人として必要な基本動作を徹底すること、トップ・責任者が社員のモチベー
   ションを高めることが役割(使命)と肝に銘じ、経営活動に取り組む姿勢が欠かせま
   せん。

   「自社の業績を高め、会社を成長発展させることが最優先で、社員への愛や社員の幸福
   を実現しようという気持ちがまったく感じられない経営を実践していけば、社員の会社
   への不平・不満・不信感を増幅させてしまうのです。

   経済環境が厳しさを増すほど本物が求められてきます。

   そのためには「人材」ではなく「人財」の育成に取り組むことが急務となります。

   従業員満足を実現させるためには中長期の計画に基づいた仕組みづくりが必要です。

  □モチベーション向上のための実践ポイント

   1.社員同士のコミュニケーション、意見交換を活発化させるとともに、組織内に挑戦す
     る空気を生み出す

   2.社員に組織の目標と行動指針を明確に落とし込み、組織を一つの方向に向け、
     社員に乗り越えるべきハードルを意識させる

   3.組織の役割と責任範囲を明確にし、組織に負荷をかけすぎない

   4.組織の目標を達成するために十分な権限を与える

   5.関係する組織間に良好な関係を築き、ほかの組織と仕事をする場合も社員がスト
     レスなく仕事を進められる環境をつくる

   このように、組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありま
   せん。

   しかし、組織としてモチベーションが高まるということは、個々の社員がお互いにモチ
   ベーションを高め合うことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、
   一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになります。

   従って、組織のモチベーションを高めることは、管理者にとって最も重要な課題の一つ
   といえます。
   
  ■組織のモチベーションを高める

   今、あなたの立場は会社の組織の長(トップ、リーダー)、社員の方、いずれかでし
   ょう。

   厳しい経済環境が続く中、会社(店)は将来にわたって事業を継続していく「ゴーイング
   コンサーン」という考えがあり、これを実現するための計画がBCP(事業継続計画)
   です。

   会社が倒産や廃業をしないように、半永久的に継続していくことが会社の社会的責任
   だと言われていますが、この言葉通りには至っていないのが実態です。

   (オーナー)経営者にとって会社は我が子同然であり、そこに働く従業員にとっては生活
   の糧を得るだけでなく、やりがい・生きがいを見出す場でもあるはずです。

   「ゴーイングコンサーン」を実現するためには時代にあったやり方・考えを取り入れ、
   改革していくことが重要となります。

   そして、規模の大小にかかわらず、会社の一番の目的は「売上や利益を上げること」
   ではなく「存続させること」と言われています。

   会社という組織を、より強固なものとしていくことが「ゴーイングコンサーン」を実現さ
   せるのです。

   そのためには従業員一人ひとりのモチベーションが重要となります。

   モチベーションとは、直訳すると「動機付け」、簡単にいうと「やる気」という意味で
   す。

   結果や成果は、何をするにもその精神状態に大きく左右されがちです。

   特に仕事は、努力や苦労などがともなう活動であるため、いかにやる気をもって前向き
   に取り組むかによって、その成果には大きな差が生まれます。

   そのため、社員のモチベーションを高めることは、企業にとって重要な経営課題の一つ
   となります。

   仕事に前向きに取り組む活気ある組織をつくり上げる方法について考えてみましょう。

   個々の社員のモチベーションは、当然個々の社員の気持ちのあり方により決まります。

   一方、組織全体のモチベーションはどうでしょうか。

   組織は社員の集合体です。

   従って、組織のモチベーションを考えるうえでも、個々の社員の気持ちは大変重要です。

   そのためにも、組織人としての基本動作の習得を徹底することです。

  □組織の環境改善

   組織のモチベーションを高めるには、組織内の雰囲気をよくするとともに、社員の仕事に
   対する意識を高めて組織を活性化させることが必要です。

   そのためには、組織の長が、社員に対して以下のような施策をとることが重要と考え
   られます。

   (1)普段のコミュニケーションを充実させる

     組織の長は、朝と終わりのあいさつはもちろん、できれば毎日1回あるいは2日に
     1回は、社員それぞれに何気なく声をかけるようにしましょう。

     組織の長と社員の間のコミュニケーションだけではなく、当然社員同士のコミュニ
     ケーションを充実させることも重要です。

     コミュニケーションが充実してくると、何でも話しやすい空気が生まれ、組織の雰囲
     気が次第によくなっていくでしょう。

   (2)社員に考えるくせをつけさせる

     組織の長は会議などはもちろんちょっとした打ち合せでも、できるだけすべての
     社員
に何らかの意見を出してもらうようにしましょう。

     ほとんど意見を言わない社員には、組織の長が直接問いかけます。

     その際は、

      ・いきなり具体的な案を求めるのではなく、先に出ている意見をどう思う
       かなど答えやすい質問から誘導する

      ・社員が出した意見は聞き流すことなく、まず肯定的に受け止めるように
       して、意見を出しやすい雰囲気をつくり上げます。
 
     こうした雰囲気づくりを、焦らず繰り返し積み重ねることで、社員にとっては意見を
     求められることが当たり前になり、社員が自然と自分の意見を考えるようになり
     ます。

     上記の事柄はトップ、リーダーによるコーチングが効果的です。
    
   (3)チャレンジしやすい環境をつくる

     組織の長は、モチベーションが高い社員には、希望する仕事にどんどん挑戦して
     もらうようにしましょう。

     ただし、組織の長は、その仕事を任せたからといって放ったらかしにするのでは

     く、必要に応じて方向性を示す、相談に乗るなどのサポートをします。

     そして、挑戦させた仕事が成功すれば、組織の長はその社員を評価するとともに、

     社員とともにその成功を喜びあいましょう。

     逆に失敗しても決して怒鳴ったりせず、ともに失敗した原因や対策を考えましょう。

     組織の長がこのような方針をとることで、社員の間に仕事に対する挑戦意欲が生

     まれ、組織は活性化してモチベーションが高まります。

 

■社員のモチベーションで業績は決まる

   従業員のモチベーションを向上(組織力強化)させるためには、「自己実現を可能にさ
   
ること」および「報酬への期待に応えること」が必要です。

   そして、従業員の自己実現への欲求が高まり続けるように、経営者は職場環境や制
   度、制度運用など(従業員満足)の改善の努力を重ね、対策を講じてゆくことが重要
   です。 

   個々の従業員が業務に関する知識やスキルを向上させていくことは、組織力を強化する
   ことになります。 

   しかし、その能力を発揮する場がなかったり、意欲を減退させるような環境に置いていて
   は、人財という経営資源を生かしているとは言い難いことになります。

   好業績を持続するのも、また不況を克服するのも、その唯一の経営資源は、「ヒト」を
   おいて、他には存在しません。

   企業の盛衰は、「人財」の有無やその優劣にかかっているといっていっていいでしょう。

   優良な企業(規模の大小ではなく組織力)はそうでない企業と比較し、社員のモチベー
   ョンの高さが決定的に違うということです。

   優良な企業の現場は、明るく活気に満ちあふれ、社員が自信に満ち満ちた態度で、
   創造的な仕事に取り組んでいることが分かります。

   一方、業績が思わしくない会社は、まったく逆で、総じて職場は暗く、生きるため、食べ
   るため、与えられた仕事を、ただ黙々と処理しているといった環境です。 

  ■なぜ社員のモチベーションは低下するのか

   「国民生活選好度調査」(内閣府)を見ると、「仕事についての満足感(やりがい)」
   を持つ社員の割合は、1978年調査で30.5%あったものが、2005年では16.6%に
   まで低下しています。

   モチベーションの低下は組織にさまざまな弊害をもたらし、ひいては最悪の事態を招き
   かねません。

    ・従業員満足の低下モチベーション1.jpg

    ・顧客満足活動の低下

    ・お客様からの不満がクレームへと発展

    ・顧客情報の漏洩

    ・従業員が労務問題を労基所へ持ち込む

   (1)経営者や上司への信頼感の低下

     社員のやる気が近年低下している最大の
     要因は、経営者や直属上司の経営姿勢と
     言動にあると思われます。

     やる気を低下させる要因について調査していますが、最も多かったのは「経営者や
     上司への信頼感をなくした時」で回答企業の63.3%に達しました。

     次いで「賃金や処遇に対する不満が生じた時」(50.6%)という結果が出てい
     ます。

   (2)生きがい・やりがい

     一般社員への「職場ではどんな時に一番生きがいを感じますか」という設問に対し、
     最も多かったのは「仕事が面白いと感じる時」24.3%、以下「自分の仕事を達成
     した時」23.3%、「自分が進歩・向上していると感じる時」19.1%

   (3)賃金や処遇の評価への不満

     この場合、気を付けなくてはならないのは、よほどひどいときは別にして、ここでい
     う不満とは、賃金や処遇そのものに対する不満ではないと思われます。

     貸金や福利厚生は他社と比較し、はるかに低いのに、社員のモチベーションが高
     い企業、その結果としての業績の高い企業が多数存在しているからです。

     この場合、不満は2つあると思われます。

      一つは賃金システムの問題であり、

      二つ目は評価システムに関する問題です。

     貸金システムの問題は、行き過ぎた成果主義・能力主義に対する社員の反発や
     不信と思われます。

     評価システムに関する問題では、評価者や評価方法、さらには結果の社員への伝
     え方やその後のフォローの問題と思われます。

   (4)職場の人間関係の悪化

     職場の人間関係の悪化も、社員のモチベーションを悪化させる大きな要因です。

     ある調査結果を見ても、40.8%の企業が職場の人間関係の悪化がモチベーシ
     ョンを低下させる要因としてあげていました。

     職場の人間関係が気まずくなればコミュニケーションの機会は少なくなる上、そ
     ればかりか、他の社員を疑心暗鬼で見てしまうことにもなりかねません。

     よりひどいケースは、それが原因で労働災害の発生や貴重な社員の離職を増大
     させてしまうことにもつながりかねません。

     組織力の低下は最悪の事態を招きかねません。

  ■社員のモチベーションを向上させるポイント  

   社員のモチベーションを向上させるためには、「自己実現を可能にさせること」および
   「報酬への期待に応えること」が必要です。 

    従業員の自己実現への欲求が高まり続けるように、経営者は職場環境や制度、制度の
   運用などの改善の努力を重ね、対策を講じていくことが重要です。

   各人の「自己実現」 ⇒ 「新たな挑戦」 ⇒ 「成功」 ⇒ 「自己実現」といったサイクルを
   実現させることが基本となります。 

   自己実現は、達成感や自己の能力開発・成長などによって可能になります。

   それは、個人目標の達成に向けて各人が仕事を通じて能力を発揮したり、不足し
   ている能力を開発するなどして自己の成長を図ることです。 
   
  □従業員が仕事に打ち込める職場環境

   従業員が仕事に打ち込める環境づくりのポイントは、

    (1)従業員のやる気をいかに引き出すか

      従業員のやる気を引き出すには、「自己実現が可能な環境であること」と「成果
      に対して報酬がきちんと支払われる環境」が整備されていることが必要です。

    (2)やる気のある従業員にどれだけ仕事をしやすくさせるか

      やる気のある従業員に仕事をしやすくさせるには、
      職種に合わせて柔軟に就業時間を設定して生産
      性を向上させるようにしたり、簡単なカウンセリング
      や残業のコントロールなどで従業員の健康管理を
      行うなどが大切です。
モチベーションA.gif
     (3)環境改善 
       社員同士のコミュニケーション、意見交換を活発 
      化させるとともに、組織内に挑戦する空気を生み
      出し、組織を活性化させることで組織力の強化と
      なります。

    (4)目標と行動指針の明確化・落とし込み
      織内の雰囲気がよくなり、組織が活性化しても、組  
      織はどこへどのように向かえばよいのでしょうか。

      それを示すのが、組織の目標と目標を達成する
      ために必要な行動指針です。

      組織の目標と行動指針がはっきりしていないと、
      組織としての仕事の優先順位や進め方を判断する
      基準があいまいになります。

      これでは、せっかく活性化した組織も、何が正しいか
      分からなくなる、あるいは一度決定したことが何度も
      変更されるといった事態に陥り、組織の中に不満が生まれてしまいます。

      組織の長は、経営者から与えられた目標をもとに、それを達成するための
      組織の行動指針を定めて、すべての社員に落とし込まなければなりません。
 
      さらに、目標や行動指針は、具体的かつ分かりやすくなければ社員に浸透しま
      せん。

    (5)役割と責任範囲の明確化

      前向きで積極的な部門には仕事が集中します。

      その集まった仕事が目標や行動指針に合致している、あるいはその部門にまだ
      余力があり、社員たちが仕事を希望しているのなら問題ありません。

      しかし、そのどちらでもないのなら、その状態が長く続くことで、社員の間に「な
      ぜ私たちがここまでしなければならないんだ」といった気持ちが生まれかねま
      せん。

      従って、組織の長は、部門ごとに担うべき仕事の範囲、すなわち組織の役割と
      責任範囲をあらかじめ明確にしておく必要があります。


    (6)組織への必要な権限の付与

      組織の長は、それぞれの組織に目標を達成するのに十分な権限を与えること
      が不可欠です。

      そうしなければ、組織にストレスが生まれ、モチベーションを下げてしまいます。

      組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありません。

      しかし、組織としてモチベーションが高まることは、個々の社員がお互いにモチベ
      ーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、
      一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになり
      ます。

      従って、組織のモチベーションを高めることは、経営者および部門長を含めた上
      司にとって最も重要な課題の一つといえるでしょう。

     
    (7)部門間の良好な関係の構築

      関係する組織間に良好な関係を築き、ほかの組織と仕事をする場合も社員がス
      トレスなく仕事を進められる環境をつくる。
  
  リーダーシップ

   リーダーはコミュニケーションを通じた「和」を形成し、個人の能力を最大限に引き出
   し、組織目標の達成に向けたPDCA『Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action
   (改善)』を実行する役割や行動を担います。   

   リーダーとしての役割には、組織のコミュニケーションを図りながら、やる気のあるチ
   ームワークを作り出し、会議の場での議論を通して何かをやろうとする機運を高めた
   り、ビジョンや経営計画づくりに全員を参画させて経営参画意識を高めたり、組織全体を
   活性化させます。

   部下個々の目標を設定するに当って、それぞれの立場・能力を知った上で助言したり、
   達成に向けての動機啓発を行ったり、教育の機会を与えたりといったことが、リーダーの
   役割になります。

   組織全体が一丸となって取組むべき全体目標では、各人が担う目標を達成させるため
   に、目標・方針・戦略を明示し、共有化し、達成が困難なメンバーに改善点を指摘する、
   といったことが、リーダーの役割となります。

   組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありません。

   しかし、組織としてモチベーションが高まるということは、個々の社員がお互いにモチ
   ベーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、
   一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きな効果となります。

   従って、組織のモチベーションを高めることは、経営者および部門のリーダーを含めた
   上司にとって最も重要な課題の一つといえるでしょう。

   経営者にとってリーダーとは、自分の経営理念を理解し、その実現のために高い能力
   をもって支援してくれる存在です。

   規模や方針などによっては、経営者がすべてを掌握し、とくに管理者を置かない場合
   もありますが、事業規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片腕となって組織
   運営を行い、会社の発展を共に目指してくれる存在がいるというのは、大変心強く、
   大きな強みであるはずです。

   リーダーといっても、いくつかの段階に分かれますが、最終的には経営者の理念や
   考え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に組織を導くことができ、また経営
   者不在時には、経営者の代わりとして業務を遂行できる存在です。



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組織力の強化・向上

職場活性化のための電話応対

職場活性化のための電話応対

  電話は面談と同じ態度で向かう
   電話を受けるとき、「もしもし」と出る人がいます。
   「うん、うん」と返事したり、「ちょっと待ってくださいよ」などとふだんの
   受け答えのまま話す人もいます。
   話し終わると、受話器をガチャーンと放り出すように置く人がいます。
   いずれも電話のマナー失格です。

   受話器をもって、お辞儀を繰り返す人がいます。
   まるで相手が、この場合はお得意様なり、目上の人ですが、その人が目の前にいて、
   直接話しているようにていねいなやりとりの仕方をするのです。
   受話器を置くときは、電話機にまでお辞儀をするようなポーズをとります。

   そんな格好を見て滑稽だと笑う人が多いでしょう。
   お辞儀をしても相手に見えないのだから意味がないというのでしょう。 
   そうでしょうか。

   電話の向こうにいる人には、 その人のお辞儀する気持ちやたいへんにていねいな物腰
   が伝わらないでしょうか。

   電話の相手に集中している様子や気持ちの込めようがよく分かります。
   そのような人との電話のやりとりは、いつもとてもいい気分がします。
   ですから、電話の応対マナーの基本は、 相手が目の前にいるのと同じていねいな
   態度で応じることです。
   受話器にお辞儀にする態度を笑うことはできません。
   その上で、電話特有のマナーがあります。


  □電話はは生きた情報

   1.基本的心構え
     (1)声で伝える会社の心
       電話は、会社を代表する「声」であり「言葉」である。

       声には「心」があり、言葉には「意思」があります。

       その応対の善し悪しが、会社のイメージを変え、会社の信用と業績を決す
       る。

     (2)タイミングとスピードが命

       必要なときにすばやく、簡潔に用件を伝えることが、ビジネスを成功させ、 
       会社を発展へと導く。

       企業活動は生きた情報の流れ、実際に伝える活動がうまくいくかどうかで、
       その運命が決まってしまう。

     (3)私用電話は公私混同のはじまり

       私用電話は、職場の離脱行為であり、会社への背任行為である。

       仕事のリズムを狂わし能率を落とし、電話回線を中断して、得意先に多大
       の迷惑をかける。

   2.応対の原則

     (1)受話器は正しく持つ

       送話口から握りこぶし1つ程度あけて口に近づけ、姿勢を正す。

       同時に、右手にはメモとエンピツ(筆記用具)を欠かしてはならない。

     (2)正しい言葉、ハッキリした発音、明確な語尾

       電話応対は相手の顔が見えないだけに、言葉遣いには、かなり気を配らな
       ければならない。

       発音のまぎらわしいもの「美容院・病院」「私立・市立」などの同音異義語の
       場合は字解をする。

       日時の場合も「何月何日の何曜日、午前○○時」といういい方をする。

       「あります」「ありません」は「す」「せん」で反対の意味になる――など語尾
       を明確にしなければならない。

       話し言葉は「ございます」調がいい。

       一般に電話応対は「ていねいすぎるかな?」と思うぐらいでちょうどいい。

     (3)社内には敬語をつかわない

       社外の人に対しては、たとえ自分の上司であっても「○○は……」あるいは 
       「課長の○○は……」と呼びすてでいい。

     (4)適度の速さ、低めの声量

       早口は聞きとりにくく、大声もハタ迷惑である。

       電話器は約4メートル四方の音声をそのまま伝えるので、電話を取り次い
       だり、通話の途中で打ち合わせをするときは、必ず送話口を手で押さえる。

     (5)誠意、親切、ていねい

       電話で話しながら、盛んに頭を下げる人をよく冷笑する人がいるが、それ
       は電話の怖さを知らない人である。

       声の調子というものは、身体の調子や病気、あるいは姿勢によって大きく
       左右される。

       機械は正直で、思っている以上にこちらの状況フィーリングを先方に伝える
       ものである。

       敬意、誠実、誠意での応対が必要。

       また「○○は電話中です」だけでは不親切。

       「お待ちになりますか、それともこちらからおかけいたしましょうか」と聞くべ
       きです。

        *チェックポイント
          1.応対の善し悪しが会社の信用と業績を決する
          2.用件を5W2Hに整理、話す順序を簡潔にメモ
          3.用件は結果から先に話し、次に過程を

   3.電話のかけ方、受け方

     (1)電話をかける前(準備)

        ①相手の番号、所属、役職名、氏名をよく調べ確かめる。
          自分がよくかける相手の電話番号は、すぐ分かるように自
          分用の電話番号一覧表を作っておくといい。
        ②用件を5W2Hに整理し、話す順序を簡潔にメモしておく。
        ③必要な書類、資料などを手元においておく。
        ④すぐにメモが取れる状態にしておく。
        ⑤FAXファクシミリ・メールですませられないかを検討する。

     (2)電話の応対


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組織力の強化・向上

組織力向上に欠かせない要件

組織力の向上に欠かせない条件


  ■基本にもどる

   1.組織人としての意識の向上
     人間がある集団に参加すると「その集団の一員として行動したい」「集団で仲
     間はずれになりたくない」といった欲求から、その集団のしきたりや慣わしに
     従って行動しようとする。

     よって、その集団に影響力を持つ人の行動や、やり方を真似ようとする。

     組織の長が本当にその部門、職場に強い影響力を与えている人なら、部下は
     絶えず上司の一挙手一投足を注意し見守り、それを真似ているはずである。

     そこで職業意識についても上司の行動や言動を通して、これを感受して、いつ
     の間にかこれに準ずるようになる。

     もし上司の職業意識に共鳴できず、かえって反発を感じるような場合は、非協  
     力的、批判的な行動に出て、さらにその度合いが高まると、反抗したり退社を
     申し出たりするようになります。

     したがって「望ましい職業意識を持つ場合、どのような行いや行い方がなされ
     るか」ということも、上司としては充分考え、管理者なりにある尺度を持ち、そ
     れを実践する必要があるのです。

     単に「やる気が感じられぬ。熱が入っていない」といった評論的なコメントで部
     下の職業意識を云々してはならない。

     ここでいくつかの例を述べると、
      ①つまらぬと思われる仕事も軽くみず、真剣に取り組む。
      ②いやな、厄介な仕事でも文句を言わずに行なう。
      ③新しい仕事、困難な仕事を喜んで受け入れ、また自ら創り出す。
      ④要領よくやろうとか、形だけ整えようとかしない。何か工夫を凝らして
        全力で仕事にぶつかる。
      ⑤仕事に関係する事実は足で集める。机の上だけで考えない。
      ⑥失敗を恐れない。それは自分の能力を高める機会であると考える。
      ⑦他の批判や忠告は自分の成長の糧と考え、喜んで受け入れる。
      ⑧与えられた仕事に対する愚痴や批判はいわない。
      ⑨他の人との関係を考え、必要な連絡や協働は進んで行なう。
      ⑩仕事に関係する読書とかや話し合いをしばしば行なう。

     組織は、今いるリーダーの価値観で動き、それはその集団の基本的ルールに 
     もなる。

     管理者は単なる仕事上の方法論を語るだけでなく、人としてのあり方、人間性
     をどう高め、仲間とどう付き合うか等などを教えていかなければならない。

     部下の能力をどう育成し、それをどう活かすか、そして仕事にどう働きがいや
     夢を持たせるか、態度や躾をどうするかは人事部門では出来ません。

     現場の管理者次第であり、管理者は部下の人事・労務管理に積極的にかか
     わるべきです。

     それは人事部門の仕事、というのは昔の話である。

   2.企業意識
     企業とは社会に役立つ製品やサービスを提供するための活動をする人間の
     集団です。

     人は複雑な人間関係の中に一人ひとりの特質をもって存在します。

     企業意識による行動は、個人プレイにとどまるものであってはならず、集団活 
     動として、仲間との分担、協働、相互補完といった具体的行動で捉えられるべ
     きものです。

     また、そうした組織の生産活動への積極的、自発的、創造的参画が、企業意
     識の発言とみなされるわけですから、単なる情報通や憤慨し、嘆き悲しむだけ
     では、企業意識のある行動とはいえない。

     まして、組織のいいなりになるだけで満足し、悟りきったようなタイプは、組織
     にとってプラスになるはずはありません。

     職業意識は、本人自身がそのおかれた環境なり条件の中から、自分で自分の
     心のなかにつくり上げるものです。

     また、こうした職業意識の行動も、それが企業活動の成果に結びつかぬもの
     であっては、あまり意味がありません。

     自分の職業とそれに対する自分の能力に誇りと自信を持ち、これを職場の中 
     で発揮することで満足感を得て、その発揮のチャンスを与えてくれる職場、会
     社に対して愛着心を持つようになるという形で、企業意識に結びつくことが望
     ましい。

   3.企業人として持たねばならない自覚:規律性
     規律性とは「会社の服務規律を守り上司の指示、命令、指導助言をよく理解
     し、秩序・風紀に即した仕方で職務を遂行する意識、態度」と定義される。

     しかしこうした意識態度は決して先天的なものではありません。

     人が生活体験を通じて徐々に学習され、固定化されていくものです。

     この生活体験の内容は必ずしも意識的なものばかりとは限りません。

     人間は幼少年期から親兄弟、友達そして職場仲間、サークル仲間といろいろ
     な集団に属して生活してきている。

     集団生活では、どうしてもその集団独自のメンバーに共通した行動をとること
     が求められる。

     その集団生活での体験や行動がいつの間にか当人に対してある意識や行動
     を植え付けていくわけです。

     “嫁を選ぶなら、その母親をみよ”という言葉がある。

     この例えは、家庭のしつけが娘の意識や態度に与える影響が大であることを
     意味している。

     (1)率先垂範
        規律性の向上は、責任性や協調性などにも当てはまるが日常の職場の    
        なかで、上司が繰り返し模範を示したり、説明をしたり、アドバイスをした
        り、説得をしたり、場合によっては、ほめたり、しかったり、しながら体得さ
        せていくことになる。

        そこでまず考えられるのが率先垂範ですが、これは相手にマネさせること
        によって学習させる方法です。
        “学ぶは真似るに通じる”とはよく言われることだが、この「まねる」「模倣
        する」という学習方法こそ、人が生まれたときから身につけているもので
        す。

        人間がある集団に属すると、その集団の一員として行動したい、集団で
        仲間外れになりたくないという思いから、その集団のしきたりや慣わしに
        従って行動しようとする。
        そのため、その集団に影響力を持っている人の行動や考えを真似ようと
        します。

        上司が本当にその職場に影響力を与えている人なら、部下は絶えず上
        司の一挙手一投足を注意して見守りそれを真似る。
        上司が自覚していなくても、部下は模倣の習性から、上司の言動を通じて
        見て採ったものを無意識に真似るようになる。
        そのところを上司はしっかり認識していなければ効果的な率先垂範は出
        来ません。

        【率先垂範の行動(基本動作)事例】
         ①与えられた仕事についての批判や愚痴は差し控える
         ②マナーや言葉遣い、そして身だしなみに気を使う
         ③職場のルールやしきたりを遵守する

        率先垂範とは、これだけはどうしても身につけてもらいたいという意識や
        態度について、上司自らがその通り実践してみせることである。

        よく職場規律が維持できないとか、職場規律が乱れているといった言葉を
        耳にするが、その原因は、案外上司にあることにも気づくべきである。

        上司の中には、自分だけは別格だとか俺は管理職だからといった意識を
        働かせ、規律やルールを気にかけない人もいる。

        これは部下の規律性を向上させることから言えば、好ましくはない。部下
        の目から見れば“言うこととやることが違う”ということになってしまう。

        また上司自身が出来ないことを部下に押し付けるということにもなりかね
        ない。

        時間にルーズ、約束もしばしば破る、こんな上司が部下に対して、時間を
        守れ、約束は破るなといったとしても、それははなはだ滑稽であり、矛盾
        している。

        このような上司が規律云々といっても、部下はついていかないし、批判的
        な行動や反抗的な態度を示すようになる。

        これでは職場の規律どころの話しではなくなる。

        部下の執務態度は、上司の日常の行いが写し出されたものです。

        部下としばらく行動を共にし、一緒に仕事をしても、部下の態度が良くなら
        ない時には、まず上司自身が反省してみることも大事である。

        そのような上司の考え方、態度なくして、職場での率先垂範はうまくいくは
        ずがない。

     (2)日常的な助言、提案を行なう
        次に、規律性を身につけさせるには、日常の職場のなかでの部下に対す
        る助言、提案といった方法も有効である。

        そのためには前もって組織の一員として期待される行動規範や態度、心
        構えについて明らかにしておく必要がある。

        また部下には、こうしろ、あれしろと言うよりむしろ、こうしてもらいたい
        がといった提言、あるいは何か職場の雰囲気を良くするための考えはな 
        いかといった提案してもらう形をとると、部下の自主性に訴えることが出
        来る。

        またほめたり、しかったりすることも重要である。

        ほめるにしてもただ形式的に美辞麗句をならべてほめるより、部下に自
        覚の向上や、職場全体の雰囲気の向上に結びつくようなほめ方をとる。

        良いことずくめの言葉を並べるよりも、上司の気持ちをそのまま伝えると
        良いでしょう。

        嬉しいと思えばその気持ちを、良かったと思えば、そう思ったままを率直
        に表す言葉として、部下にストレートに伝える。

        叱るにしても、ただ感情をむき出しにするのではなく、部下の行動が自身
        にとって、また周囲の人にとってどんなマイナスになっているかを考えさ
        せるようにする。

        出来れば自分で気づけるように話してやると良いでしょう。

        叱る場合は、上司の都合や立場で言うのではなく、部下の人間的成長を
        心から望んでいるのだという、部下に対する“思いやり”から出たものでな
        ければならない。

     (3)部下を十分に納得させる
        大切なことは、上司の意見を押し付けたり、部下を意のままにしようとして
        はいけない。

        部下の望ましくない態度を指摘し、改めるべき方向を部下中心にして考え
        ることをポイントに納得させなければならない。

        当然、部下の態度を押しつぶしにかかってはだめである。

        人間は誰でも自分なりの考え方を持つものである。

        上司だからといってその意見を部下に一方的に押し付けてはだめであ
        り、またそんな特権意識を持つことは良くない。

        部下の望ましくない考え方を指摘して、改める方向を示唆することが重要
        である。

        こちらの説明、助言に共鳴、同感、受け入れさせ、それを行動化させるた
        めに行なうのが納得である。

   4.組織人として持たねばならない自覚:責任性
     責任性とは自己の役割を正しく理解し、適時適切にかつ誠実にその職務を遂
     行するために、常に責任つまり自分の守備範囲を最後までやり遂げようとする
     心構えであり、大別するとそれは遂行責任と結果責任に分けられる。

     (1)責任とは
        責任とは、「その人格が、内は良心の呼びかけに対し、外は社会からの
        期待・要請に対し、応答できる態度」とも定義づけることが出来る。

        ここで言う良心とは、当人の職業観、人生観、社会観、企業意識、社員意
        識、価値観、倫理観そして理想などを含む。

        しかし、この良心は、決して特定個人が持つその人固有の思い・考え方で
        はなく、万人ともに知る「人間としての価値的、理想的、規範的な心の働
        き」でもあるといわれている。

        また社会からの期待・要請というのは、当人の周囲の人、または周囲が
        当人に対し、期待する役割や行動及び法律、規則、取り決め、申し合わ
        せ、約束などがある。

        そして応答できるということは、そうした良心の命じる通りに、また周囲の
        期待に合致したように行動できるとか、またもし違約・違反したときには、
        制裁や賠償請求には潔く受け、これに従うことをさし、そこでの責任は以
        下のようにまとめることが出来る。

         ①目的、目標、方針、計画などの遂行のため、自発的そして自主的に
           努力する。
           つまり良心に対する責任。

         ②指示、命令、依頼、連絡などを確実に実施する。
           つまり他からの期待に対する責任。

         ③規則、手順、手続きなどを遵守する。
           つまり規則に対する責任。

        となって具現化される。

        これらを一般的な表現にすると、まず道徳的責任となる。

        つまり人の自分の行為に関する評価を素直に受け入れそれに基づき、自
        責とか、他からの非難とか、さまざまなかたちの道徳的制裁を引き受けな
        ければならない。

        次に法律的責任となる。

        つまり他人に与えた損害に対して法律に従って賠償したり、犯罪のため
        に刑罰を受けねばならない。

        最後に、一般的な意味で用いられる責任だが、例えば業務上で引き受け
        ている責任を怠る場合に何らかの制裁を受けねばならない、といった区
        分と同じである。

     (2)責任性とは
        責任・権限は人間が社会的存在として集団生活をすることから出てくる考
        え方・見方である。

        過去に英国で、働く青少年3000人に対して“責任感とはどんなもの
        か”という調査をしたところ、責任感について思いつくことを何でも自由に
        表現させ、それを収集、整理し統合した結果、次の三つのことに集約でき
        たということである。
         ①他人に言われぬ前に仕事をやる
         ②他人から当てにされる
         ③他人とうまくやる

        つまり責任感の内容は、こうした三つの要素を含んだ幅の広いものであ
        る。

        責任感は他人の期待・要請だけにこたえていれば良いかというと、それだ
        けではない。

        自分が職業人として、会社、職場の一員として持っている信条とか信念、
        先に述べた良心、に基づいて、他からの期待・要請がなくても『かくあるべ
        し』と思ったことを実行していく自発性、自主性もまた自分に対する責任と
        して重要な内容になる。

        自分の責任を体で受け止め、自分自身の中に吸収してしまうことである。

        当然責任感という場合、それは行動の中に具現されなければならない。

        人事考課の定義の中の職務というのは、規則で定められた仕事や上司
        からの指示、命令あるいは同僚、スタッフからの依頼による仕事、さらに
        は会社、職場の目的、目標、方針、計画を分析して抽出される仕事など
        がある。

        そして責任感とはこれらをやり遂げる意欲であり態度であるということに
        なる。

        結果責任ということについては、制裁や賠償請求を甘んじて受けるという
        面が強く強調されるが、これはむしろそれを受けるだけの能力があり、そ
        の能力を他の人々から信頼される程度に発揮、実践できるということで
        す。

        今日、能力主義だけでなく加えてそこに成果主義が叫ばれています。

        それは能力(Competence)を確実に成果に結びつけるための能力
        (Competency)、これを高成果実現能力、つまり実力というが、成果主
        義にはこれが求められる。

        この能力と実力とは、高齢化、構造変革が進む中では必ずしも一致しな
        い。

        それは能力の陳腐化、体力・気力の低下、そして行動特性の劣化などが
        あるからです。

        責任(Responsibility)とは“応答しうる状態、道徳的な責務、信頼できる
        こと、確実性、または支払い能力”と定義されている。

        つまり、支払い能力とか仕事を期待通り確実にやり遂げる能力があり、そ
        れを信頼できると他の人々が認めたとき、責任を持たせるということにな
        り、持たされた責任つまり信頼を裏切らぬという信念が責任感となるわけ
        である。

        一般に“責任をとる”とか“責任を負う”とか言う場合、結末書を書いたり、
        辞職したり、退職したりすればそれですんだように考える傾向がありま
        す。

        つまり社会からの期待、要請に応答するという面のみが強く意識されて、
        内からの良心の呼びかけに応答する面が無視されがちである。

        そこには形式的、表面的な責任のみが云々されてしまいます。

        責任のうちの他からの期待・要請は、単に相手が指示・命令や依頼という
        形で「コトバ」として表示してきたことがらだけをいうのではありません。

        むしろ相手の立場、役割とこちらの立場、役割及び両者の置かれた状況
        などの理解に基づいて相手がこちらに期待するであろうと推察される事
        柄も含まれる。

        こう考えてくると、責任性はある対象や事態に対して特に意識してそれら
        しく振舞おうとか、単にそのようなポーズをとろうとかして、表現できるもの
        ではないようである。

        その人の持つ人間観、職業意識、企業意識、人生観、価値観そして理想
        等に基づく信条・信念の具現化、つまり責任感が外に向かって発揮され
        た状態が責任性といってもよいでしょう。

      (3)責任態勢づくり
        責任性が全人格的なものであるということから、その啓発は単なる指導と
        いう部分的、分割的、抽象的、観念的な、働きかけでは達成できるもので
        はないということになる。

        むしろ全体的、総合的、具体的、実際的な仕事そのものの中から体験的
        に啓発する必要がある。

        ところで仕事を通して、責任性を啓発するためには仕事に関連して責任
        の内容や範囲が明確になっており、責任感のある行動がどんな行動であ
        るかが、はっきりされていなければならない。

        例えば、規則に対する責任性を云々する場合、当然その前提として、次
        のようなことが必要になります。

         ①社員の職場内での行動に必要な規則、手順、手続き、行動
          規範を整備する。

         ②それらは、社員にわかりやすいような表現で成文化する。
           不必要に条文形式をとったり、いろいろな解釈のできるような
           文章にしたり、特定の担当者の手続きを中心に作成したりしない。
           各規則等を実施・運用する者の立場で、利用しやすいように作成
           する。

         ③それらの規則を社員に十分に説明、指導したりして理解させる。
           職場でのミーティングなどは、その説明の手段としては最適である。

           また、他からの期待・要請などに対する責任性を云々する場合は、 
           次のような前提が必要となる。

         ①社員の役割や相互の協力関係について明確にする。
           これは何も従来から言われる指令系統の統一とかライン、スタッフの 
           役割とか、責任権限の明確化についてのみを言っているのではな
           い。
           プロジェクトやグループ活動の場合でも、リーダーとメンバーの関
           係、リーダーの役割や権限は明確にしなければならないはずであ
           る。

         ②会社、部門そして職場が達成すべき目標やその方針等を明確にし
           て、各人に理解、納得させる。

         ③各人に期待する能力像と役割像を明確にして、その期待像のクリ
           アーについて促進援助する。

         ④既に述べたように関係する人々の目標、方針等を理解させる。

         ⑤指示、命令、報告、連絡、情報や意見の交換等について、それぞれ
           の仕方、受け方につき効果的な方法を関係者に指導する。

           さらにまた、良心に対する責任については次のようなことが言える。

         ①会社、部門、職場の目標や方針そして中長期的計画、予測される状
           況や条件の変化、そして当面の課題などについて、当人に関係のあ
           る事柄を十分に理解、納得させる。

         ②全体、つまり会社や部門そして職場及び当人の状況、実績やその影 
           響を出来るだけ早くに知らせる。

         こうした前提は、言うまでもなくマネジメントそのものである。

         つまり職制の長によるこうした目標設定、組織化、動機づけ等の効果的
         な管理の実践が、そのまま部下の責任感の啓発に結びつくのです。

         こうした配慮もせず、抽象的な責任論とか責任感の強かった古人の話
         や職業人としての倫理観等を話しても、効果は薄いのです。

         さらに責任ある行動は、職制の長や先輩が自ら率先垂範の形で、手本
         を示す必要があります。

         自分自身が責任転嫁や責任回避をするような言動をしているなら、部
         下の責任性を云々することは出来ない。

         もし云々したとしても部下の反感を買うだけである。

         今まで述べてきたことを整理しながらこれと並行して、部下各人の行動
         をよく注意してみて、責任感の欠けた行動をしたときは、それを指摘して
         その好ましくない理由、自分及び他への影響、そして「どうすべきだった
         か」を話し合い、必要な助言、注意をするといった方法も有効です。

         つまり是々非々、信賞必罰という職制の長の管理姿勢は、部下の責任
         感、啓発の重要な手段である。

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