顧客情報の収集・管理・活用

消費者の購買影響要因

 消費者が示す購買行動は、商品に対するし好や直面している問題の大きさなど個々の消費者が抱える
 要因、あるいは最寄品、買回品、専門品などの商品自体の持つ特性などによって大きな影響を受けます。

 ここでは、消費者の購買行動に影響を与える主要な要因について紹介します。

■購買行動に影響を与える主な要因

 1.関与度

  関与度とは商品やブランドなどに対する消費者の「こだわり度」のことです。

  「ファッションにこだわりを持つ人」「食べ物にこだわりを持つ人」など、関与度は個々の消費者
  で異なりますが、特定の消費者集団の中に一定の傾向がみられる場合もあります。

  例えば、一般的に車については、標準装備以外のパーツを付けるなど高い関与度を示す消費者は
  男性のほうが多いようです。

  また、洋服や宝飾品に対しては特定の海外ブランド品しか身に着けないといった高い関与度を示す
  のは女性の消費者のほうが多いといわれています。

  関与度の高低は消費者の購買行動全体に大きな影響を与えます。

  例えば、関与度の低い商品やブランドなどに対する消費者の行動には以下のような特徴がみられ
  ます。

  (1)「情報探索にかける時間を少なくする」「評価する選択肢・属性を少なくする」など
   「購買プロセス」をできるだけ簡素化・単純化する

  (2)こだわりが無いため、当該商品・ブランドに関する情報が自身の中に蓄積されない
   (すぐに忘れてしまう)

  (3)購入する商品・ブランドが頻繁に変わる

  (4)商品に対する知識が浅いため、商品の特徴などを適正に判断できない可能性が高い

  逆に関与度の高い商品に対する消費者の行動には、

  (1)情報探索をはじめとした「購買プロセス」全体に楽しみを感じる。
    そのため、「購買プロセス」が複雑になる

  (2)商品情報に対して高い記憶力を示す

  (3)特定のブランド・商品を愛用する

  (4)そのブランドや商品に対する満足度が高い

  <企業側の視点からみた考え方>
   関与度の高い消費者は、その商品やブランドに対する愛着心が強く、そこから得られる満足度も

   高い傾向があります。

   従って、企業としては自社商品やブランドに対する消費者の関与度を高めることが重要となります。

   関与度を高めるうえでは「自社や消費者間の関係性を強化する」ことが効果的な方法の一つと
   されています。

   例えば、街の酒屋が消費者を招いて定期的に「試飲会」などを行っているケースがあります。

   また、消費者に定期的にメールマガジンを送るといった取り組みもみられます。

   これらの施策は、関与度を高めるうえで効果的です。

   関与度の高低に応じて、消費者に対する対応を変えることも検討する必要があります。

   例えば、DMなどのメッセージについて考えてみます。

   関与度の高い消費者は、その商品やブランドに関する情報を得ることを「楽しい」と感じたり、
   「もっと詳しく知りたい」と考える傾向があります。

   そのため、文章量が多くても詳細な情報が掲載されているほうが関与度の高い消費者には
   効果的です。

   一方、関与度の低い消費者は、文章量が多いDMは「読むのが面倒くさい」と感じて内容に目を
   通してくれません。

   このため、関与度の低い消費者には、文章で伝えるよりも、イラストや写真を多様するなど
   視覚的に訴え、一目みるだけで内容が分かるようなインパクトのあるDMのほうが高い効果が
   見込めます。

 2.計画購買と非計画購買

  消費者の購買には、店舗などを訪れる前に、購買に関する何らかの計画を立てている「計画購買」
  と、店舗に入店した後に購入する商品を決定する「非計画購買」があります。

  「計画購買」の場合は、冒頭で紹介した「購買プロセス」を時間と手間をかけて進めていく傾向が
  あります。

  一方、「非計画購買」の場合は、「購買プロセス」にあまり時間や手間をかけない傾向があります。

  ◎計画購買のパターン

   <狭義の計画購買>
    来店する前に、具体的に購入する商品を決定しておき、店舗に行って実際にその商品を購入
    します。

   <ブランド選択>
    来店前には商品レベルで購入する商品を決定しておき、店舗を訪れて実際の商品を見て
    その場で具体的なブランドを決定します。

   <ブランド変更>
    来店する前に、具体的に購入する商品を決定しているものの、店舗を訪れて商品は結果的に
    購入前と異なる商品を購入します。

  ◎非計画購買のパターン

   <想起購買>
    来店して実際の商品を見たときに、「そういえば、トイレットペーパーを切らしていた」
    など、来店したことをきっかけにニーズを感じて商品を購入します。

   <関連購買>
    購入した商品との関連性から、店舗で商品の必要性に気づいて購入します。

   <条件購買>
    来店時には明確に購入するとは決めていないものの「◯円以下の価格で販売されていれば
    購入する」といったように特定の条件を充足するような状況において購入します。

   <衝動購買>
    ほかの非計画購買のパターンに該当しないタイプの購買パターンです。

    一般的には、計画購買を取る商品は
     ・高額商品など購買リスクが高い商品
     ・関与度が高い商品
     ・専門品

    などを購入する際にみられる傾向が強いといわれています。

    一方、
     ・購買リスクが低い商品
     ・関与度の低い商品
     ・最寄品

    などを購入する際には「非計画購買」を取るケースが多くなります。

   <企業側の視点からみた考え方>
    小売店などでは、これらの点を意識した売場づくりが行われているケースをみることが
    できます。

    例えば、多くの商品が最寄品に該当するスーパーマーケットでは、「非計画購買」を
    促進するためのさまざまな工夫がなされています。

    店内にはいたるところに割引価格などを描いたPOPが掲示されていますが、これは
    「条件購買」を促す効果があります。

    また、レジ横に陳列されている電池やガムなどの小物類は「想起購買」や「衝動購買」を
    促しているのです。

    さらに、カレールーとカレー用の大きさにカットされた野菜や肉を並べて陳列している
    ケースは「関連購買」を促す試みといえます。

    このように、同業種・異業種の取り組みをみると、自社でも活用できる消費者の購買
    行動を考慮した施策のヒントが見つかるかもしれません。

 3.認知的不協和

  認知的不協和とは、心理的に相いれない2つの考え方、行動態度、信念などを持っているときに
  生じるアンバランスな状態を示します。

  人は認知的不協和の状態に陥ると心理的に強いストレスを感じます。

  このため、認知的不協和を感じる人は本能的にアンバランスな状態を解消しようとします。

  認知的不協和の例としてしばしば取り上げられるのは、喫煙者の心理状況です。

  喫煙者は「喫煙は健康に悪い影響を与える」と「喫煙する」という相いれない2つの認知を
  有しています。

  この場合、喫煙者は禁煙することで認知的不協和を解消することができます。

  しかし、多くの喫煙者は簡単に禁煙することができないため、「祖父は喫煙者にもかかわらず
  90歳を過ぎた今も元気である」などと考え、「喫煙は健康に悪影響を及ぼす」という認識を
  軽視することによって認知的不協和を解消(軽減)しようとします。

  購買行動で「認知的不協和」が問題として取り上げられるのは、購買後の評価の段階において
  です。

  消費者は購買前にはさまざまな側面から評価して「優れている」と判断した商品を購買して
  います。

  しかし、実際に買ってみると「事前に思っていたほど優れた商品ではなかった」あるいは
  「事前に気づかなかった欠点がある」といったマイナスの情報があると、事前の評価と事後の
  評価の間で「認知的不協和」を起こすのです。

  このような状況に陥ったとき消費者は

   →購入した商品の長所をあらためて探し出す

   →購入した商品の短所を「軽視」する

   →競合する他社商品の欠点を探す

  などの行動を取り「自分の選択は正しかった」という認識を得ることによって認知的不協和を
  解消しようとするのです。

  <企業側の視点からみた考え方>
   マーケティング活動の目的は「商品を販売する」という視点に力点が置かれがちです。

   しかし、購買後評価において不満足を抱えている「物言わぬ消費者」が、他社商品に乗り
   換えてしまうのを防ぐためには、マーケティング活動などにおいて消費者の認知的不協和を
   解消するという視点を加えることも大切です。

   例えば、細かいところまで行き届いた優れたアフターサービスは認知的不協和の解消に効果が
   あります。

   また、「◯◯調査において、人気No.1」といったプロモーションは不安を抱える消費者に
   自分の選択が正しかったという安心感を与える効果があります。

   また、消費者の持つ認知的不協和を解消しようとする企業の試みは、購買後評価以外の
   プロセスでもみることができます。

   例えば、貴金属類など高額商品を販売する際に、購入するか否か決めかねている消費者に
   「これは一生ものですから」と販売員が購入を勧める場合があります。

   これは、多くの消費者が感じている「その商品を購入したい」「経済的に高額な支出をする
   ことはできない」という認知的不協和を「末永く使用できる商品だから決して高額ではない」
   という情報を提供することで解消を促進しているものと考えることができます。

  消費者が示す購買行動は、さまざまな要因に影響を受けます。

  従って、自社商品を購入する消費者の特長や、自社商品持つ特性などを勘案し、このリポートを
  参考にしながら、消費者心理を考慮したマーケティング戦略を検討するとよいでしょう。

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顧客情報の収集・管理・活用

消費者の購買プロセス

■消費者の購買プロセス

 市場に数多くの競合商品があふれている現在、多くの商品群の中から自社の商品を消費者に選択・購入
 してもらうことは、どの企業にとっても重要かつ困難を極める経営課題の一つです。

 そのため多くの企業では、商品の魅力を高めるような工夫をしたり、消費者の興味を引くような斬新な
 プロモーションを企画するなどさまざまな努力を行っています。

 その際に、消費者の購買行動という視点を取り入れて施策の検討を進めることは欠かせません。

 消費者の購買プロセスは、以下の5つに分類することができます。

 以下では、この流れに沿って消費者の購買プロセスの各ポイントを紹介していきます。

 なお、ここでは製品・サービスをまとめて「商品」として表記しています。

□問題認識

 1.消費者が認識する「問題」とは

  消費者の購買プロセスは問題を認識することから始まります。

  ここでいう「問題」とは、現状と理想(目標)とのギャップのことを示します。

  消費者の購買プロセスとは、消費者が認識した現状と理想のギャップを特定の商品を購買すること
  によって解消(もしくは小さく)する一連のプロセスなのです。

  では、消費者はどのようにして問題を認識するのでしょうか。

  一般的には大きく3つのパターンに分類することができます。

  1つ目は、理想とする水準が上昇することによって現状とのギャップが発生する場合です。

  例えば、写真撮影機能が付加された携帯電話が初めて発売されたときを考えてみましょう。

  それまでは「通話に加えて、メールのやり取りができれば十分である」という理想を持ち、実際に
  メール機能付携帯電話を持っていれば、そこに認識すべき問題は発生しません。

  こうした場合、新たな購買活動にはつながりません。

  しかし、写真撮影機能付携帯電話が発売されたことによって、消費者が「メール機能に加えて写真
  撮影機能が付いていれば、携帯電話をより多様な場面で利用できる」と考えれば理想が上昇し、
  これによって現状と理想の間にギャップが生じます。

  すなわち、「写真撮影機能付の携帯電話を購入したい」という新たな購買活動を促す問題が発生
  することになります。

  2つ目は、満足していた現状への認識に対する評価が低下した場合です。

  例えば、携帯電話を友人に貸した後に「君の携帯電話は電波が途切れやすいね」という指摘を受ける
  ことによって、初めて自分が加入している携帯電話会社の欠点に気が付いた場合などが該当します。

  この場合は「電波の途切れにくい別の携帯電話会社のサービスを利用する」という新たな購買活動を
  促す要因となります。

  3つ目は、理想水準の上昇と現状への認識に対する評価の低下が同時に起きる場合です。

  一般的にはこのケースが最も多いといわれています。

 2.購買活動を促すもう一つの要因

  消費者は問題を認識しても、すぐに商品の購買に向けて行動を起こすわけではありません。

  例えば、「利便性の高い写真撮影機能付携帯電話が欲しい」という欲求を持っていても「通話や
  メール機能があれば相手との連絡を取ることができるから、写真撮影機能付携帯電話の購入は我慢
  しよう」と考えて購買行動を起こさないかもしれません。

  問題を認識した消費者が、実際に購買行動に移る時には、消費者は問題を認識するだけではなく
  「商品を購入することによって、認識した問題を解消したい」という「動機」が存在しなければ
  なりません。

  一般的に動機の強さは、上記で紹介した「現状と理想のギャップ」の大きさに比例して強くなり
  ます。

  人は本能的に理想と現実の間のギャップを嫌い、できるだけそのギャップを解消したいと考えます。

  従って、このギャップが大きければ大きいほど「ギャップを解消するために商品を購買したい」
  という消費者の思いが強くなり、実際の購買行動を起こす可能性が高くなるのです。

  <企業側の視点からみた考え方>

   消費者の購買活動を促すためには、現状と理想との間にギャップが存在することに気付かせ、
   しかもそのギャップが大きいことをアピールすることが有効です。

   実際の企業活動において、このような例は数多くみることができます。

   例えば、自社商品の長所をアピールする一般的なプロモーションは「理想水準を上昇させる」
   ことで消費者に対して現実と理想の間のギャップを発生させ、購買に向けた動機付けを行って
   いるものと考えることができます。

   また、警備保障会社が、盗難などの犯罪リスクを強調した後に「自社のサービスはあなたの
   生活を24時間守ります」といった趣旨のプロモーションを行っているケースがあります。

   これは、警備保障サービスを利用していない現状は多くの危険に満ち溢れているということを
   アピールして「現状への認識に対する評価を低下させる」と同時に、警備保障サービスを利用
   すると、より安全な生活を実現することができるという「理想水準の上昇」をさせることに
   よって購買行動を促そうとしている例といえます。

□情報探索

 1.内的情報探索と外的情報探索

  問題を認識した消費者が次に行うのは、その問題を解消するために必要となる商品などに関する
  情報収集です。

  このステップは2つに分けることができます。

  情報探索に際して消費者はまず、自身の経験、以前目にしたCMや情報誌から得た情報など自分の
  記憶の中に蓄積されている情報を探索します。

  これを「内的情報探索」といいます。

  もし、ここで以下の「評価・選択」「購買」といった意思決定を行うために十分な情報を得る
  ことができれば、情報探索はこの段階で終了します。

  しかし、今まで買った(使った)ことのない商品を買うケースなど、自分の記憶の中に蓄積されて
  いる情報だけでは不十分な場合、消費者はその商品を買った経験のある友人に意見を聞いたり、
  情報誌や商品のパンフレットを読んだり、インターネットで調べたりするなどさまざまな方法で
  情報を収集します。

  これを「外的情報探索」といいます。

  これら2つの情報探索を通じて消費者は商品を購買するために必要となる情報を収集しているのです。

 2.情報探索を左右する要因

  消費者は情報探索を内的情報探索で終えてしまう場合もあれば、外的情報探索を行う場合もあります。

  また、外的情報探索を行う場合でも比較的短時間で探索を終えてしまう場合もあれば、じっくりと
  時間をかけて探索を行う場合もあります。

  このような違いを生み出す要因はさまざまですが、以下では代表的な2つの要因を紹介します。

  ◎消費者の経験・知識量など

   商品に対して持つ経験・知識量などは各消費者によって異なります。

   この経験・知識量などに応じて情報探索にかける時間や収集する情報量などが変わってきます。

   豊富な経験・知識を持つ消費者と経験・知識のない消費者は必要とする情報量は少なく、その
   中間に位置する消費者が最も熱心に情報収集を行う傾向があります。 

   豊富な経験・知識を持つ消費者は、既に十分な情報を持っているため、あらためて情報探索を
   行う必要があまりないのです。

   一方、経験・知識のない消費者は、情報の探索方法や収集した情報の評価方法などを知らない
   ために、多くの情報量を必要としないとされています。

   しかし、経験・知識のない消費者が商品などに関する情報収集を全く行わないわけではありません。

   このような消費者は、商品自体の属性(性能や品質など)に関する情報ではなく、豊富な経験・
   知識を持つ消費者からの意見や価格、ブランド、パッケージ、店舗の雰囲気など自らが評価
   できる情報を重視して収集する傾向があります。

  ◎購買リスク

   購買にともなうリスクが大きいほど、そのリスクを軽減するために、消費者は慎重に情報探索を
   行います。

   購買にともなうリスクにはさまざまなものがありますが、代表的なものは金銭的なリスクです。

   一般的に高額商品は金銭的リスクが高くなりますが、金銭的リスクの大小は商品の金額のみで
   決定するわけではありません。

   例えば、100万円を超える高級腕時計は、年収300万円程度の新入社員にとっては金銭的リスクの
   大きい商品ですが、年収1億円の人にとってはそれほど大きなリスクとはならないでしょう。

   すなわち、金銭的リスクは、商品の価格と消費者の経済状況の格差がその原因となるのです。

   このほかにも、購入した商品が期待していたほどの機能を果たさない場合のリスクである
   「機能的リスク」などがあります。

 3.消費者が情報探索を止めるとき

  消費者が情報探索を止めるきっかけの一つとして「購買を検討するための選択肢の数」があります。

  市場には同じ機能を持つ商品が数多くあります。

  このため、内的情報探索と外的情報探索を行った消費者は、これらの中から購買対象となる商品を
  いくつかピックアップして選択肢を形成します。

  消費者はそれらの選択肢を形成するのに十分な情報収集が行えたときに、情報探索を止めるのです。

  その際、消費者が形成する選択肢の数は非常に限られています。

  ある調査によると清涼飲料水などの飲料を購買する際に、消費者が検討する商品やブランド数は3つ
  程度までという結果が出ています。

  商品特性などによって選択肢の数は異なるため一概にはいえませんが、どの商品カテゴリーでも、
  選択肢に上がる商品やブランド数は多くて5~8つ程度といわれています。

  <企業側の視点からみた考え方>

   自社商品を消費者に購入してもらうためには、非常に限られた選択肢の中に自社の商品を含めて
   もらうことが、その第一歩となります。

   そのためには、積極的にプロモーション活動を展開して自社商品の認知度を高め、自社商品が
   該当するカテゴリーの商品を購入する際に、消費者にすぐに想起してもらうようにすることが
   必要です。

   この点で企業にとって最も理想的な姿は、「商品カテゴリー=自社商品」として消費者に認識
   してもらうことです。

   例えば、「カップラーメン=カップヌードル(日清食品株式会社)」「接着剤=セメダイン
   (セメダイン株式会社)」などは多くの消費者の中に根付いており、企業が考える理想的な姿に
   近い例といえます。

   また、チラシ、情報誌、インターネットなどさまざまな媒体を通じて自社商品の情報を発信して、
   消費者が情報探索を行う際に、いつでも手軽に情報を入手できるように工夫をしておくことも
   重要となります。

   その際には、消費者が疑問に思ったときにすぐに照会できるように、電話番号やメールアドレス
   などを広く公開することも効果的です。

□評価・選択と購買

 消費者は、情報探索を経て形成された選択肢や収集した情報などに基づいて各案の比較・検討を行い、
 購買する商品を決定します。

 消費者が購買する商品を決定する方式は、「相補型意思決定」と「非相補型意思決定」の2つに大きく
 分類することができます。

 ◎相補型意思決定

  商品が持つさまざまな属性の中で、ある特性に対する評価が低くても、消費者が重要視する複数の
  属性についてそれぞれ評価を下し、総合的なポイントが高い商品を選択する決定方法のことをいい
  ます。

 ◎非相補型意思決定

  非相補型意思決定は、相補型意思決定にみられるような属性間の補完関係がないもので、以下の
  ような方法があります。

  ①感情依拠型意思決定
   過去の経験や最もよいイメージを持っている商品やブランドを習慣的に選択する方法です。

  ②連結型意思決定
   複数の評価属性に対して、それぞれ必要最低限となる基準を設けておき、一つでもその基準を
   充足しない属性があれば購買しないという方法です。

  ③分離型意思決定
   複数の評価属性に対して、十分条件となる基準を設けておき、その条件を充足さえすれば
   商品を購買するという方法です。

  ④辞書編纂型意思決定
   最も重視する属性に関して最も評価の高い商品を選択する方法です。
   なお、最も重要視する属性の評価では差がつかない場合は、次に重要視する属性に対する
   評価結果をもとに購買を決定します。

   すべての消費者が厳密にこれらの方法に基づいて購買する商品を決定しているわけではあり
   ません。
   しかし、おおむねこれらの方法に準拠した形で各選択肢について評価を行い、商品を購入します。

  <企業側の視点からみた考え方>

   消費者が購買に際してどのような属性を重要視しているか、あるいは一般的にどのような考え方で
   意思決定を行っているかといった点を知るためには、アンケート調査などを通じて消費者の生の
   声を聞くことが有効です。

   これらの点を知ることができれば、企業のマーケティング活動をより効果的なものとすることが
   できます。

   例えば、「分離型意思決定」に準じて評価を行う消費者が多ければ、消費者が重視する属性を
   強化した商品開発を行ったり、その属性に関する自社商品の優位性を強調したプロモーション
   活動を展開することによって、より効率的なマーケティング活動を行うことができます。 

□購買後評価

 1.はじめに

  商品を購入しても消費者の一連の購買行動は終了するわけではありません。

  実際に購入した商品の使い勝手など、商品から得たさまざまな経験などは消費者の中に記憶され、
  次回の購買行動に影響を与えます。

  次回の購買行動に大きな影響を与える要因は「消費者の満足度」です。

  消費者が実際に商品を購入・使用して大きな満足を得ることができれば、次回に同様の商品を購買
  する際にも同じ商品を購入する可能性が高くなります。

  逆に、消費者が不満を感じれば次回は別の商品を購入することになります。

 2.消費者満足・不満足の要因

  「消費者(顧客)満足」の重要性はあらゆる場面で語られます。

  では、消費者の満足・不満足という評価はどのようにして形成されるのでしょうか。

  消費者は商品を購入する前にあらかじめ商品に対する「期待」を持っています。

  一般的には、この期待と実際に購入した商品から得られる「成果・経験」などの差異が、消費者の
  満足・不満足を決定するとされています。

  すなわち「期待 < 成果・経験」であれば消費者は満足し、逆に「期待 > 成果・経験」であれば
  不満足を感じるようになるのです。

  また、消費者は購買に際して料金を支払ったり、情報の収集を行ったり、実際に商品を購入する
  ために店舗に足を運ぶなど、さまざまな経済的負担や労力を費やしています。

  これらの経済的負担や労力に見合った成果が購入した商品から得られるか否かも、消費者が感じる
  満足・不満足に影響を与えます。

 3.不満足を感じた消費者の行動

  不満足を感じた消費者は、製造メーカーや商品を購買した店舗などに苦情を申し出るなど、なん
  らかの行動を起こす場合があります。

  しかし、製造メーカーや販売した店舗などに何らかの意思表示を行う消費者は非常に少なく、不満
  を感じた消費者の数%程度しかすぎないといわれています。

  最も多いのは製造メーカーや商品を購買した店舗などに対して「何のアクションも起こさない」
  という消費者です。

  これらの消費者は、企業の全く知らないところで、他社の商品に乗り換えているのです。

  <企業側の視点からみた考え方>

   「クレームを申し出る消費者は企業にとって重要な存在である」としてクレーム対応を重要視
   する企業が増加しています。

   これは、クレームを申し出てくれる消費者は多くの物言わぬ消費者の代弁者として商品の改善
   などに役立つ貴重な情報を提供してくれる存在だからです。

   また、適切な対応を行うとクレームを申し出た顧客は、逆にその企業の熱烈なファンになる
   ケースが多いといわれます。

   これは、前述した「期待」と「成果・経験」の関係で考えると分かりやすいかもしれません。

   商品に不満足を感じている消費者の持つ企業に対する期待は非常に低いものとなっているはず
   です。

   そのため、企業が適切な対応を行うと、事前に抱いている期待が低いだけに「期待<成果・経験」
   という関係が成立しやすいのです。

   また、クレームを申し出る消費者は、その企業の商品を購入した消費者ですから、もともとその
   企業に対してよい感情を抱いていたということも関係しているのかもしれません。

   企業としては自社のクレーム対応が適切に行われているか、いま一度確認してみる必要がある
   でしょう。

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顧客情報の収集・管理・活用

CRMによる顧客情報の一元管理

CRMによる顧客情報の一元管理

■CRMとは
 1.CRMの考え方
  蓄積データを基に顧客を自社の収益貢献度に応じて選別し、それぞれに見合った
  サービスを提供することです。
  上得意をつなぎ留め、見込み客を上得意になるよう工夫し、見込みの薄い客には手間を
  かけない。

  顧客を均一に考えて商品ごとのマスマーケティングを行うのではなく、顧客ごとに
  どう収益を上げるかで事業を組み直すのです。
  一度つかんだ顧客を上得意としてつなぎ留めることは、多くの企業の生き残りや成長の
  カギを握ります。
  CRMは、その有効な手段です。

  CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語にすると
  「顧客関係性管理」などと訳されます。
  CRMを簡単に説明すると、各部門に分散している顧客情報をデータベースで一元管理し、
  顧客へのマーケティングを効率的に行うというものです。

  同じ会社の顧客であっても、その顧客の情報は各支店・営業所・通信販売部門・
  アフターサービス部門・直接販売店舗などのエリアや部門ごとに分散している場合が
  あります。
  また、自社と直接ではなく、代理店などを通じて取引がある顧客もいます。 

  このように顧客の情報が分散している場合、それぞれの部門が保有する顧客の情報を
  「有機的なつながりを持って把握できない」というケースも多くみられます。
  有機的なつながりを持って把握できない場合、「部門によって説明・対応が異なる」
  「効果的なマーケティング活動が行えない」といった問題が生じます。

  CRMでは、各エリア・部門から得られる顧客情報をデータベースに蓄積し、一元管理
  します。
  これにより顧客情報が共有化され、効率的な営業活動を行うことができます。

  さらには、データベースに蓄積された顧客情報を分析して、従来にはなかった新しい
  サービスを提供し、顧客満足度を高め、顧客の維持、拡大を図ることを目指しています。 
  CRMを活用することによって、「顧客を購買金額やニーズなどの条件により分類し、
  顧客の個別ニーズに合致するであろう商品をタイムリーに提供したり、取引状況に
  応じて特典を提供する」などの取り組みが可能となります(特に、個別の顧客ごとに
  提案を行うことを「ワン・トゥー・ワン・マーケティング」といいます)。

 2.どのような情報を蓄積し、活用するか
  (1)蓄積する情報 
   各部門から収集してデータベースに蓄積する情報としては、以下のようなものが
   あります。
    ・顧客の名前や住所、家族構成などの特徴  
    ・顧客の取引内容
    ・顧客とコンタクトした履歴        
    ・取引の継続性
    ・機会損失と顧客を失った場合の理由    
    ・取引の収益性 

   蓄積される顧客情報の内容は、CRMを導入した企業のビジネスモデルによって異なって
   きます。

  (2)情報の活用方法 
   CRMの導入意義は、情報の集積だけでなく、集積された情報の活用にあります。
   例えば、「特定の地域に住む50歳代女性」という属性を持つ顧客層をターゲットとして
   新商品の提案をする場合、CRMであれば「地域」「年齢」「女性」の相関関係が
   成立しているデータを抽出できます。

   また、顧客リストと取引履歴が相関付けされているCRMであれば、「一定以上の
   金額を取引している、特定の属性を持つ顧客」に的を絞ったマーケティング活動が
   容易になります。

   また、CRMで対応履歴と顧客属性が相関付けされているのであれば、顧客の声の分析
   をより細かくできます。
   例えば、特定の層に的を絞った商品開発を行うのであれば、同じような属性を持つ
   顧客の対応履歴を抽出し、問い合わせ・意見・クレームなどを分析して活用する
   ことが考えられます。

□CRMの導入事例
 1.A社(ヘアケア商品製造・販売)の事例
  (1)顧客の安心感のためのCRM導入 
   A社は、「顧客情報の1カ所集約」を目的としてCRMを導入しています。
   頭髪についての悩みは、顧客にとって大変相談しにくい問題です。
   そのため、カウンセリングやヘアケアの施術の段階などで担当者が替わるごとに
   何度も同じことを聞くと、顧客に不快な感情を抱かせてしまいます。

   実際に同社でも、対応の不備が原因となり、顧客からクレームを受けるケースが
   多くみられました。
   そこで、同社は、このような不備を改善して顧客満足度を向上させるためにCRMを
   活用しています。

  (2)導入前の課題 
   広告などを見た顧客が最初に同社に接触するのは、資料送付や来店予約、問い合わせ
   などに対応するコンタクトセンターです。
   この段階で顧客の名前や住所、電話番号や相談内容などが記録されます。

   従来、顧客から得られた情報はFAXで全国の店舗に送られ、これを受けたカウンセラー
   が実際に店舗で顧客に対応していました。
   しかし、この間の情報の伝達がスムーズにいかず、コンタクトセンターで質問した
   事項を店舗でも繰り返し質問してしまうことが多くありました。

   また、顧客の詳細な相談内容、それに対してカウンセラーが行ったアドバイス、
   処置の内容は店舗個別の紙のカルテに記載されていたため、顧客に商品やサービスを
   売り込むノウハウを共有することができず、会社全体の営業力強化につながらない
   という問題もありました。

  (3)CRMの導入効果 
   CRMの導入により、まずコンタクトセンターに集まった情報をすべて本社のデータ
   ベースに記録することになります。
   その後、集まった情報に基づき、「対応にはどの店舗のどのブースを使うか」
   「来店を希望する顧客にどのカウンセラーを対応させるか」など、予約に至る対応を
   一括して行うことが可能となりました。

   加えて、顧客との関係や案件に対する判断基準を統一し、セールスの進ちょく状況
   を一括して把握・管理することができるシステムを採用するなど、「カウンセラー
   のノウハウのシステム化」も積極的に進めることができました。

 2.B社(百貨店)の事例
  (1)複数のカード統合のためのCRM導入 
   B社には顧客の属性や店舗によって自社クレジットカード、ポイントカードが複数
   種類存在していました。
   このため、これらのカードには、「異なる店舗間では使用できない」「使用できても
   ポイントが合算されない」などの問題がありました。
   そこで、B社はCRMを導入することにより、顧客が持つ各種カードを整理統合
   しました。

  (2)データ収集の効率化と利便性向上 
   B社が新しく発行したカードは、全国の直営店で使用することができるように
   なりました。
   カード自体はクレジット機能を持っておらず、現金、商品券、クレジットなど
   すべての決済に対してポイントが加算されます。

   また、買い物をしなくても、来店して店頭の登録機にカードを通すだけでポイント
   が加算されるシステムとなっています。 
   B社は、新しいカードを個人属性や購買データの収集に役立てて、より一層のCRM
   強化と固定客づくりを推進できるようになりました。

 3.C社(オフィス用品の通信販売)の事例
  (1)マーケティングツールとしてのCRM 
   C社はCRMによって、購買品目や金額、頻度などを基に、顧客を10〜20のグループ
   に分類しています。
   そして、同じグループの顧客に対して共通性を探り、潜在ニーズの仮説を立て、
   グループごとにマーケティングを行っています。

   例えば、顧客が同社のウェブサイトにアクセスすると、その顧客が購入しそうな
   商品が「お薦め商品」として、自動的に画面に表示されます。
   これは、「データベースに蓄積されている各顧客の購買履歴を自動的に検索し、
   『購買傾向が似ている別の顧客が購入しているもので、該当顧客が購入していない
   商品』を抽出して表示する」という仕組みによるものです。

  (2)ニーズに合わせた商品を提供 
   このほか、膨大なデータを分析することにより、さまざまな顧客の購買法則が
   分かるようにもなり、その情報に基づき、顧客ごとに異なった商品情報を絞り
   込んだダイレクトメールを送付しています。 
   
   このように、顧客の購買履歴を活用して、ニーズに合わせた商品を提供し、C社では
   「顧客満足度」と「売り上げ」の効率的な向上を図っています。

□CRMの導入について
 1.身近になったCRM 
  単に「顧客情報を一元管理する」という意味でのCRMについては、以前からも取り
  組みを行っている企業はあります。
  しかし、近年CRMが注目されるようになったのは、
   (1)インターネットの普及により、ウェブサイトや電子メールによる個別の顧客に
    対するきめ細かいサービスや営業活動が可能になった

   (2)情報機器などハードウエアの価格が下がり、導入コストの負担が少なくなった

   (3)システムの構築、またはシステムそのものをアウトソーシングできる会社が 
    数多く登場してきた

   (4)データ分析が高度化し、従来にはないビジネス手法が登場してきた

  ことなどが要因として挙げられます。
  従来、CRMのような顧客情報を一元管理するデータベースの構築には多大な費用が
  必要であったために、CRMは一部の大企業のものと思われてきました。
  しかし、近年では導入価格の低下に加え、ビジネス用ソフトをインターネットを通じて
  企業にレンタルするASPサービスの普及などの影響により、中小企業へのCRM導入
  事例が増えてきています。

 2.CRMを有効に活用するために 
  前項では、CRMを導入して成功を収めた企業の例を紹介しましたが、目的のないCRM
  の導入は、単にシステム導入・運用のコスト増加を招くだけです。
  CRMは「導入するだけで売り上げ増が期待できる」というものではありません。 
  そのため、CRMの導入を検討する際には、以下の点を検討する必要があります。
   (1)CRM導入により顧客に提案できる新しいサービスが創造できるか
   (2)導入により自社に十分な利益をもたらすか、または導入しないことにより 
    機会損失とならないか

  また、すべての企業にとってCRMが有効であるとはいえません。
  顧客が同じ企業を定期的に何度も利用する通信販売や、購入後も「点検」や「消耗品」
  などで収益が見込める自動車販売などはCRMに向いている業種といえます。
  しかし、一度購入すればほとんど同じ企業から購入することがない商品を扱う業種、
  販売後に継続した収益が見込めない業種、食品製造業などのように消費者と直接接する
  機会が少ない業種などにおいてはCRMは不向きであるといえます。 
  「他社が導入しているから」といった安直な動機ではCRMは成功しません。
  導入に際しては、そのメリット・デメリットを十分に検討する必要があるでしょう。

 3.個人情報保護への対応 
  2005年4月に個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が全面施行され、個人
  情報を取り扱う事業者は、個人情報を適正に取り扱わなければならなくなりました。
  それに反した場合は行政処分が行われ、さらに主務大臣の命令に反した場合には罰則
  が科せられるようになっています。

  また、個人情報を不適切に扱ったことが発覚した場合、企業の信用が低下し、それに
  伴う経営へのダメージは図りしれません。 
  このように、企業における個人情報の管理は厳重に行う必要性が高まっています。

  とはいえ、社内のさまざまな部署がバラバラに個人情報を保有し、利用状況が不明な
  状態では、厳重な個人情報の管理は困難です。
  しかし、CRMを導入することで、社内に散在するすべての個人情報を一元化して集中
  管理ができるようになり、セキュリティーが向上します。
  また、個人情報を含むさまざまな情報の管理コストを最適化できます。

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顧客情報の収集・管理・活用

CRMの実践に不可欠な顧客DBの構築

CRMの実践に不可欠な顧客DBの構築 

  顧客DBの構築はCRM(顧客関係管理)を実践するための前提となります。
  そして、CRMの活用で既存顧客との関係を強化できれば、顧客の離反率は低下します。
  CRMは企業に高効率の経営をもたらす経営手法なのです。
  ここでは、中小企業が収集すべき顧客情報について解説します。

  ■基本情報の整備から始めよう 
   得意客に年賀状などを出すとき、ほとんどの企業がパソコンで宛先面の住所・社名
   を印刷していると思います。
   また、日ごろから、営業日誌などに顧客別の注文履歴や仕入担当者の趣味といった
   情報をメモしている営業担当は少なくないはずです。 
   実は既にこの時点で中小企業の“顧客DBづくり”は始まっているのです。
   顧客DBは、これらの顧客に関するさまざまな情報を再整理し、拡充したものです。 
   では、具体的に見てみましょう。
   顧客DBは顧客に関する情報を3層に分けて考えることが基本となります。 
   まずは、「顧客の基本情報」です。
   上記の年賀状を出す際の住所・会社名などがこれに該当します。
   ただ、この情報の用途は、単に年賀状などを出すためだけにとどまりません。 
   以下のように「顧客の基本情報」 の全体像を認識するとよいでしょう。

   ◎主な基本情報
    ・顧客ナンバー(同姓同名の顧客もあるので必ず顧客番号を付ける)
    ・氏名(会社名)
    ・ヨミガナ・性別(または会社の業種分類など)
    ・郵便番号・住所(所在地)
    ・電話/FAX番号
    ・e-mailアドレス
    ・会社の場合は担当者名
    ・資本金や任意に決めた信用(与信/売掛上限) ランク
    など。 
   ここまでの顧客情報をパソコンで管理すれば、とりあえず顧客の住所・氏名を印刷
   したり、販促のe-mailを出したりできるようになります。
   とはいえ、顧客数は、規模の小さい商店でも100人〜300人程度、中堅クラスの
   製造業であれば5万〜10万社位に上る場合もあるでしょう。
   次で説明する履歴情報の管理に進む前に、これだけの量の「顧客の基本情報」を
   しっかり登録・管理できる体制づくりが欠かせません。

  □履歴情報は顧客DBの要 
   続いて、「購買履歴情報」を入力します。
   上記の基本情報だけならデータベースソフトまで用意しなくても対応できるかも
   しれません。
   いわゆる「年賀状ソフト」で十分でしょう。
   しかし、これから入力する顧客の購買履歴情報は、最低でも表計算ソフト
   (Microsoft Excelなど) 、一般的にはデータベースソフト(Microsoft Accessなど)
   を用いて管理する必要があります。
   この購買履歴情報をデータベース化することで、ワントゥワンマーケティング
   すなわち全顧客共通の対応ではなくて、顧客ごとに最適な対応を行うことが可能
   になります。
   顧客DBの要(かなめ) は、この購買履歴情報にあるのです。

   ◎主な購買履歴情報
    ・購買日(もっとも最近購買した日)
    ・その時の購買商品名
    ・商品型番
    ・その時の購買額
    ・必要に応じてポイント還元額 

    購買日の情報は、一定期間における購買回数をカウントすることにもなるため、
    結局は購買頻度の程度が分かることとなるのです。
    例えば、1年間で2回購買した顧客と、4回購買した顧客では、購買頻度は2倍の
    違いがあります。
    また、1年間(12カ月) で3回購買した顧客は、4カ月ごとに購買している
    こととなり、この履歴情報から、次回購買する時期が予想できるようになります。
    その予想購買時期の直前にダイレクトメールなどは効果的でしょう。 
    さらに、購買商品の傾向を顧客ごとに把握することによって、次回購入しそうな
    商品を予想できます。 
    このように、購買履歴情報は過去の購買履歴から近い将来の顧客の動きを見通す
    わけです。

  □信頼度アップに必要な顧客接触情報
   顧客DBの仕上げは「顧客との接触情報」です。
   特定できない顧客からの問い合わせは記録しようがありません。
   しかし、既に登録されている顧客であれば、「先日購入した商品の別仕様の商品
   はないのか」といった問い合わせ内容を記録しておくことができるのです。
   また、クレーム情報や競合他社のアプローチ情報など、「購買以外」の顧客との
   接触情報を記録していきます。 
   例えば、ある顧客が売り手企業のAという社員に伝えたことを、他の社員BやCも
   共有しているとしましょう。
   この情報共有の事実を顧客が知ったとき、売り手企業への信頼感は間違いなく
   アップするはずです。

   ◎主な顧客接触情報
    ・ニーズ系情報(○○の商品はないのか、など)
    ・クレーム系情報(商品や店員などに対するクレーム)
    ・競合系情報(競合会社の価格や提案事項)
    ・その他、顧客が発した言葉や、顧客を接することで得た情報 

    中小企業ではスタートから無理せず、徐々に情報を積み上げていくことです。

  □エントリーカードの活用 
   今まで顧客管理を行っていなかった中小企業では、「何をきっかけにして顧客
   情報を収集すればよいのか分からない」ことが多いようです。
   例えば、地域内に3店舗ほどを持つ宝石店の場合、以下のようなタイミングで
   顧客DBを構築しはじめるとよいでしょう。

   ◎顧客DBを構築するきっかけ
    ・創業○周年として(顧客には「当店はお陰様で○周年を迎えることが
     できました。
     これを機に一層のお客様サービスの充実のため、お客様の大切な情
     報を管理させていただくこととしました」などと説明する)
    ・競合店が進出する前
    ・後継者に経営をバトンタッチする際
    ・POS(Point Of Sale=販売時点情報管理)システムを一新する際
     に、顧客管理機 能が付加された総合POSにする 

  □分析・使用することをイメージしてから顧客データを収集
   顧客情報の収集に当たっては、その目的、すなわち「収集した情報を何のために、
   どのように使いこなすか」という観点を忘れないことです。
   実際に、その顧客情報を分析・使用する場面を想定しておく必要があります。 
   以下に留意点をまとめたので参考にしてほしい。

   ◎顧客情報を収集する際のポイント
    ・顧客管理はワン・トゥ・ワン・マーケティング(一人ひとりの“個
     客”に対応した商売のこと)を実践するための手段として行う。
     顧客情報そのものに価値があるのではなく、自社にマッチした活用
     をすることに意味がある
    ・収集した顧客情報の管理には十分に配慮する。
     顧客のプライバシー情報保護意識は相当高くなっており、使いもし
     ない情報を収集すると逆効果(不信感を抱かれること)もある

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顧客情報の収集・管理・活用

ナレッジマネジメントの導入と実践 


  ■ナレッジマネジメント(Knowldege) 

   ナレッジマネジメントを簡単に説明すると「個々の社員が持っている知識や情報を、
   会社の財産として共有し、有効活用する」ことです。

   特に現有資産に限りがある中小企業にとって、ナレッジマネジメントの導入は欠かせ
   ない課題でもあります。

   ナレッジマネジメントのナレッジとは知識を意味します。

   そして、知識を前提とするナレッジマネジメントの基本は、企業や社員が持つ知識を
   共有し、有効に活用することです。

   ナレッジマネジメントの基本は普段から行われている知識の共有・活用とほとんど変わり
   ません。

   違いは、知識の発掘、有効な知識の選別、全社的な知識の共有と活用、知識の見直し
   などを体系的に整理していることです。

  □知識・情報の「個人活用」から「共有活用」へ

   ナレッジマネジメントとは、社員個人、社内に存在するさまざまな知識(ナレッジ)や
   情報を組織全体で共有し、有効に活用して経営向上につなげていくことです。 

   大企業に比較して資金や人材などの制約が大きい中小企業にとって、社内の知識や
   情報を最大限に活用することは極めて重要な戦略です。 

   会社には、「優秀な営業マン」、「優秀な管理者」、「優秀な技術者」が少なからず存在
   しており、それぞれの分野において経験で身につけてきた豊富な知識、情報やノウハウ
   を保有しています。

   彼らは自分が直接的に関わっている業務では、その知識や情報をいかんなく発揮し
   ていますが、彼らの知識・情報を会社の共有財産として活用しているところはほんの
   ひと握りに過ぎません。

   優秀な社員の保有する知識・情報は会社共有の資産であり、それらを全社員が活用
   することによって会社全体としての経営向上につなげていくことが重要なのです。  

  □「共有」そして「新たな価値を創り出す」へ

   ナレッジマネジメントの第一歩は「知識・情報の共有化」にありますが、知識・情報の共有

   化をベースに「新たな価値を創り出す」ことにナレッジマネジメントの本質があります。

   ナレッジマネジメントの事例として、優秀な営業マンの知識・情報を活用することを考えて
   みます。

   具体策として、彼らが活用している提案書を営業の場面ごと・課題ごとに整理し、「標準
   提案書」として体系化し、広く公開することなどが有効です。

   そのほかの営業マンも標準提案書を参照することで、自分が担当している営業案件に最
   適な提案書を選び、それをベースに個々の具体的な提案書に仕上げていくことができます。

   ナレッジマネジメントではさらに踏み込んだ「新たな価値を創り出す」ことが期待さ
   れます。

   たとえば、新商品の販売などにおいて、いかに優秀な営業マンが集まっても、効率的
   な販売方法がよくわからないケースなどもあるでしょう。

   このように「既存の知識」が社内にまだない場合は、「まだない」ことを明確に意識する
   ことで、営業マン全員でそれを埋めていく取り組みが可能になります。

   また、優秀な営業マンが作った標準提案書をほかの社員が繰り返し活用することで、
   これまで見落とされていた改善点が明らかになり、さらなる高度化につなげていくことも
   考えられます。

   さらに時代の流れなど外部環境の変化によっても、提案書に求められる要件は変わ
   っていきます。

   また、営業の手順セールストーク間接部門における業務なども同様です。

   ナレッジマネジメントではこのような「知識・情報の陳腐化」に対しても、全社員が、
   いち早く対処することをめざします。

   この際には、営業マン以外に技術担当の社員の意見も反映させていくことが重要に
   なります。

   ナレッジマネジメントの実践において、集める知識を、ある程度選別しなければなら
   ない。

   もちろん、そのためにナレッジマネージャーがいるのですが、形式知化しにくい暗黙知
   だけが集まってもナレッジマネージャーがパンクしてしまいます。

   こうした事態を避けるためにも、ナレッジマネジメント導入前の基盤作りの段階で、

    ・どういった知識が欲しいのか

    ・どういった形でまとめて欲しいのか

   をある程度伝えることが大切です。

   ナレッジマネジメントは全社員が知識・情報の共有化を図りながら、新たな価値を創り
   出す活動を積極的に行うことで可能になるといえるでしょう。

  □ナレッジマネジメントの効果

   ナレッジマネジメントを導入することで期待できる第一の効果は、放っておいては表に
   出ることのない社員の知識・情報を、企業の財産として共有、活用できる点です。

   どんな企業にも特別に優れた知識を持つ人材が少なからずいます。

   その人材が成績トップの営業担当者ならば、その営業の秘訣を皆で共有して、全社的
   な営業成績の向上につなげることができます。

  □利用しやすい環境を作る

   ナレッジマネジメントには、集められた知識が分かりやすい区分で整理され、いつでも、
   誰でも、簡単に利用できる環境が必要です。

   紙による文書管理のように、ただ積み重ねられ、時間が経てば倉庫に移動され、いつし
   か黄色くなって捨てられてしまうようでは文書管理にはなりません。

   従って、集められた知識がデータベースに分かりやすく整理されていて、各社員は
   デスクの端末やモバイルからいつでもアクセスして内容を取り出せる環境が理想と
   なります。

   同時に、各社員がいつでもデータベースに知識を登録できる仕組みも欠かせません。

  □導入の手順と留意点 

   ナレッジマネジメントを自社に導入する場合には、以下のような手順で行われます。 

   1. トップによる意思表明

     ナレッジマネジメントは、現場レベルでの通常の業務改善活動などとは異なり、
     全社の経営システムの根幹にかかわるものです。

     このため、導入にあたってはトップ自らが、
      ・どのような目的で

      ・どのような方針・心構えで

      ・どのようなステップで

      ・いつまでにどのような成果をあげるか

      ・社員にどのようなメリットをもたらすか

     といった明確な意思表示を行う必要があります。

     ナレッジマネジメントを導入しても、実際の成果につながるまでには一定の期間が
     かかります。

     特に導入当初はさまざまな業務が発生するため、社員のなかには「導入のための
     新たな負担業務が増えただけ」という拒否反応を示す人が出ることも考えられます。 

     全社一丸となって取り組むためには、社長自らが会議や朝礼の席で、「自社の現
     状の課題を解決し、将来的にも成長し続けるためにはナレッジマネジメント導入が
     不可欠」という強い姿勢を示す必要があります。

   2. ナレッジマネジメントの導入

     ナレッジマネジメント導入のために実際にどのようなシステムが必要になるかを検
     討します。 

     最終的には市販の「グループウエア」と呼ばれるパッケージソフトを導入すること
     が一般的ですが、グループウエア導入にあたっては、「報連相」などの基本的な
     ルールが策定され、かつそれが守られていることなどが前提になります。

     たとえば、「ベテラン営業マンのなかに営業報告書を提出しない人がいる、周囲も
     それを黙認している」といった状況のなかでは、費用と手間をかけてグループウエ
     アを導入しても大きな成果は期待できません。

     まずは社内でどのような情報がどのように流れるべきかを整理することから始め
     る必要があります。

     これは部下から上司への「報告」だけではなく、各社員が過去に関わった業務、
     現在進行中の業務について、上下関係を問わずに共有しておいたほうがよい
     情報は何かという視点で行う必要があります。

     「先輩社員、優秀な営業マンがいかに難攻不落の営業先を攻略したか」といった
     情報は、後輩社員にとっても大いに参考になるはずです。

     初めからグループウエアを導入するのではなく、情報共有のルールとその適切な
     運用が定着するまでは、既存の社内電子メールを活用していくことも一考です。

     そして、グループウエアを導入することが目的化しないことです。

   3. 既存知識、情報の体系化・データベース(DB)化

     社員の保有する知識・情報を体系化し、いつでも誰でも利用できる状態にデータベース
     化することです。 

     社員の間に蓄積されている知識や情報を整理するためには、「形式知」と「暗黙知」
     いう考え方について理解しておく必要があります。
     
   4.暗黙知と形式知の違い

     ナレッジマネジメントの導入を考える際に、経営者は知識には「暗黙知」と「形式知」が
     あることを理解しなければなりません。

     暗黙知」とは、
     知っていても言葉や文章では表現し難い知識で、何の働きかけもしなければ、表に出る
                 ことはほとんどない知識です。 

     一方、「形式知」とは言葉や文章で表現された知識です。

     一般に「暗黙知」よりも「形式知」のほうが多く利用されており、一説には、「人が
     有する知識のうち80%は暗黙知で、残りの20%が形式知である」といわれてい
     ます。

     つまりは、企業がいくら社員の知識を活用しているといっても、それはわずか20
     %の知識でしかない、ということになります。 

     そこで重要となってくるのは、深く埋もれている「暗黙知」を表に出し、その中から
     有効なものを選別して、それを分かりやすい「形式知」に置き換えて共有、活用で
     きる仕組みを整えることです。

     ベテラン営業マンが自分の経験のなかで独自に身につけてきた感覚などは暗黙知
     ということになります。

     ナレッジマネジメントはPDCAサイクルを繰り返し、

     暗黙知の形式知化⇒ 知識の共有と活用⇒ 知識の習得⇒ 新たな知識の創造
     といったように、さらなる新しい知識の創造サイクルを向上(スパイラル アップ)
     させることです。 

     しかし、そのためにはいくつかの障害があります。 

     (1)形式知とすることへの抵抗感

       ここで問題となるのは、自分の持つ知識を表に出したがらない社員が意外に多
       いという事実です。

       自分だけが知っている優れた知識を持っている社員は、その知識を共有する
       ことを嫌がります。

       良質な知識の共有は会社にとって魅力的である半面、社員は自己の優位性が
       失われることを好まないのです。

       優れた暗黙知をもっている社員は、それを形式知として表に出すことに対して
       抵抗があることが多いということです。

       それはおもに以下のような考えによります。
        ・自分自身が長い間苦労して苦労して手に入れた知識を公開することは、
         組織での自分の優位な存在価値を脅かす可能性がある。

        ・そもそもノウハウやスキルは明文化できるものではなく、長い経験のなか
         で苦労して身につけていくべきものである。 

        ・感覚としてもっている暗黙知を形式知として文章化する作業が面倒である。

       ナレッジマネジメントを推進していくには、これらの抵抗感を払拭することが
       大切になります。

       そこで、実際に知識を共有、活用した取り組みの成功例を示すなどして、ナレ
       ッジマネジメントの効果を分かりやすく伝えることが大切です。

       そして、ナレッジマネジメントの実践において、集める知識を、ある程度選別し
       なければなりません。

       もちろん、そのためにナレッジマネージャーがいるのですが、形式知化しにく
       い暗黙知だけが集まってもナレッジマネージャーがパンクしてしまいます。

       こうした事態を避けるためにも、ナレッジマネジメント導入前の基盤作りの段階
       で、

        ・どういった知識が欲しいのか

        ・どういった形でまとめて欲しいのか

       をある程度伝えることが大切です。

       そして、「ベテラン社員、優秀な営業マンは自分の暗黙知を形式知と
       して発表する責務を負っている」、「その責務を実行した社員に対しては高い
       評価が与えられる」といった認識をもたせることが必要でしょう。

     (2)自分の暗黙知に気づいていない

       優秀な社員は「感覚」で困難な局面を乗り越えることが多いため、「なぜほか
       の社員にできないことが自分にできるのか」という問い対して、うまく説明で
       きないこともあります。 

       「自分の感覚に従っているだけだよ」という答えだけでは、他の社員はそれを
       まねることはできません。

 

       このような場合は、一定の力量をもっている別の社員が、当該社員からさま
       ざまな視点で成功要因をインタビューすることが有効になります。

       たとえば、営業マンであれば、いわゆる「種まき」から大詰めの「クロージン
       グ」までの営業プロセスをそれぞれの段階において、どのようなタイプの顧客
       に対してどのような対策を講じているかといった点を体系的に聞き出してい
       くのです。

       優秀な社員にとっては「当たり前」の感覚で行っていることでも、インタビュー
       によってその当たり前のことをほかの社員はまったくできていないことが明ら
       かになることもあります。

    5. 運用開始・さらなる知識の創出

      社内に存在する知識、情報の体系化・データべース化ができたら、それをもとに
      実際の運用を開始します。

      優秀な社員の知識を参考にするだけではなく、全員参加型で自分の成功体験、
      失敗体験、それぞれの要因分析なども加えることによって、共有する知識の量
      を増やし、質を向上させていきます。

      このような活動を着実に積み重ねることによって、やがて運用当初は誰も考え
      つかなかった、新たな知識の創出も起こるようになります。

      これがナレッジマネジメントの最終的にめざすべき姿です。

    6.ナレッジマネージャーの選抜と教育

      ナレッジマネジメント成功のために欠かせないのは優秀なナレッジマネー
      ジャーの選抜と教育です。   

      ナレッジマネジメントをスムーズに運営していくには、

       ・社員が持つ数多くの知識を集める

       ・集まった知識の中から有効なものを選出する

       ・誰でも利用しやすいようにデータベースに整理する

       ・定期的に知識の棚卸しをして鮮度を保つ

      といった一連の作業が欠かせません。

      ナレッジマネージャーとは、知識の収集、整理、見直しなどを行う人材で、

       ・多分野にわたる大量の知識の中から有効な知識を見つけ出すバランス感覚
        の良さ

       ・有効な知識を即座にデータベースに集積する行動の素早さ

       ・知識、情報を定期的に棚卸しする几帳面さ

       ・大切な知識、情報を社外に漏えいしない信頼性の高さ
      などが求められます。

      ナレッジマネージャーのスキル次第でナレッジマネジメントの導入効果は大きく
      違ってくるため、その選抜は慎重に行わなければなりません。

      経営者は、ナレッジマネージャー候補を積極的に関連のセミナーに参加させる
      など、その教育に努めることが欠かせません。

      社内に適当と思われる人材がいなければ社外の専門家に相談することも考慮
      すべきです。

      ナレッジマネージャーの重要性を理解してください。

      しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

      それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

      その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

      厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の
      事業所が「人材育成に問題がある」と回答しています。

      この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

      
    7.知識提供者に対する評価体制の整備

      ナレッジマネジメントを運営していくうえで意外と難しいのは、知識に対する評価
      です。

      知識を提供した社員の評価方法には、
       ・知識の提供者に対して、昇給などの処遇をする

       ・朝礼や掲示板で提供された知識の素晴らしさを称える

      などがあります。

      実際にナレッジマネジメントの導入に成功している企業では、上記2つの評価を
      併わせて行うことが多いようです。

      分かりやすいのは昇給など賃金での処遇ですが、これを実施するためには透明
      で公平な知識の評価体制の構築が欠かせません。

    8.効果測定、運用面の見直し、新たな計画策定

      ナレッジマネジメント導入から一定期間が経過したら、当初の狙いどおりの効
      果を生んでいるかどうかの効果測定を行い、効果が不十分な場合はその要因
      を分析します。

      その際には最終的な業績向上につながったかどうかだけではなく、そのプロセ
      スでの評価、つまり、 

       ・知識の共有化は進んだか

       ・社員は自分の暗黙知を進んで提供するようになったか

       ・暗黙知の形式知化への変換は進んでいるか

       ・共有されている形式知の利用は進んでいるか

       ・暗黙知と形式知のスパイラルアップは起こっているか

      などについても評価し、運用面全般にわたる改善につなげていくことが大切です。

      そして、これらを踏まえたうえで新たな計画を策定します。

      集められた知識を定期的に棚卸しすることは非常に重要な作業です。

      暗黙知が形式知化すると、一種の情報となって社員に共有されます。

      その中には、業界動向や他社売上高など数字を用いたものもあるでしょう。周知の
      通り、情報は鮮度が命で、これはナレッジマネジメントでも変わりません。

      ナレッジマネージャーは、定期的に知識の棚卸しを行い、

       ・利用頻度の高い知識を分かりやすい場所に保管する

       ・古い知識は新しい知識に置き換える

       ・時系列で確認できるようにする

      などを行わなければなりません。

      知識の重要性を測りかねるときは、必要に応じて社長や知識の提供者に相談
      するのもよいでしょう。提供された知識は企業の資産です。

      この資産は、腐らないように大切に保管しなければなりません。

    9.「学習する組織」の醸成 

      ナレッジマネジメントの導入に成功したならば、企業と社員が持つ知識を全
      社的に共有、活用することができるでしょう。

      しかし、ナレッジマネジメント導入の効果はここにとどまりません。

      ナレッジマネジメント導入の第2の効果は
        「学習する組織」の醸成
      です。

      「学習する組織」とは、ナレッジマネジメントを通じてさまざまな知識を知り、そ 
      れを自己の知識として取り込むとともに、そこから新しい知識を創造する集
      団を示します。

      つまり、

        暗黙知の形式知化 ⇒ 知識の共有と活用 ⇒ 知識の習得
        ⇒ 新たな知識の創造

      といったように、知識を中心に絶えることのない連鎖反応を起こしていく集団
      です。

   ナレッジマネジメントは短期間で劇的な成果を生むものではありません。

   しかし、時間をかけて着実に取り組むことで、一時的な業績アップを超えた
   企業の体質強化につながります。

   重要な経営戦略としてトップ自らが粘り強く推進していくことが求められます。
    
  □「暗黙知」と「形式知」

   体験でしか得られない知恵や知識が、仕事の現場にはたくさんあります。

   これらを「暗黙知」という。

   暗黙知の伝承は、職人が親方の背中を見て学ぶとか、先輩の仕事のやり方を盗む
   というように、手取り足取りの指導ではないため、学ぶ者にとっては努力が必要だ。

   従来の日本企業には、暗黙知が組織内で次の世代へと受け継がれる、企業風土や
   企業文化があった。

   暗黙知の自然な共有が、日本企業の強みでもあったのです。

   それを学びやすく、習得しやすく、企業の制度とかシステムというかたちにした知識を
   「形式知」という。

   企業合併や事業統合、リストラなど経営環境が激しく変化する時代、その成果をより
   早く目に見えるものとするためには、暗黙知を積極的に形式知化し、利用しやすくする
   ことが重要であるとされた。

   では、会社内に存在する暗黙知を、すべて形式知化することは可能だろうか。

   結論からいえば、それは不可能です。

   日々の業務が完全にマニュアル化されていたとしても、現実には必ず「不測の事態」
   が起こり得るのです。  

   そのような事態に直面したとき、その業務に精通した社員であれば、マニュアルは
   なくても、適切な対応で業務をこなしていくことができ、なぜそのようなことが起きた
   のかを推理し、そのような事態を予防する対応も考え出すことができるでしょう。

   ひとたび“コト”が起きてしまえば、それに対する対処などは後に文書化して形式知化
   することができる。

   しかし、「不測の事態」に対する対応をその場で考え出すのは、決して形式知化する
   ことができない暗黙知であり、個々の社員が経験を積むことでしか蓄積することが
   できない「知恵」です。

   いかに多くの形式知を集めようとも、体験に根ざした暗黙知が無ければ、その人や
   組織に本当の意味での「生きた知恵」は形成されません。

   このような体験は社員一人ひとりの宝であるのです。

  □「暗黙知」の伝承こそが大きな柱

   近年、過去の試験問題を解く能力に長けてはいても、新たな問題を解決するために、
   推考できる能力が劣っている学生が増えている。

   この問題は何も学生だけの問題ではありません。

   社会人においても同様であって、前例踏襲を主張することはあっても、問題を解決
   するために、新たな挑戦に取り組もうとする者は意外と少ないのです。

   「ことが終わった後で賢くなるのはだれにでも簡単だ」という、諺通りの人間ばかり増え
   てきているのです。

   体験に裏打ちされた暗黙知を、より多く持つ人は華々しい一線を歩くことは少ないで
   しょうが、「生きる知恵」をしっかりと身につけていると感心させられます。

   中小企業は、この「暗黙知」の伝承こそが、人材育成の大きな柱となります。

   黙知の伝承がうまくいくと、社員は、社長の考えや気持ちを理解した上で行動する
   ようになります。

   この様な社員が2人、3人と増えていくと組織が活性化され、会社の目標達成に向け
   全体をリードする。

   おのずと会社は業績を伸ばし、成果が出て、目に見えた数値に表れます。

   暗黙知の伝承がうまくいってない会社では、与えられた仕事だけをする個人プレー
   がほとんどで、上司も年功序列で役が付き、ぬるま湯の職場環境で、前向きに勉強
   することも無く、部下を指導する方法も単調で、業績が落ちても他人事の社員が多く
   なるのです。

   「自分は一生懸命仕事をしているのに給料が低い」、「ボーナスは少ない、休みを増や
   してくれ」、というのが多くの中小企業が遭遇している組織の実態である。 

   貴社には今日に至るまで多くのノウハウが培われてきたはずです。

   しかしそれが「形式知化」されずに、垂れ流し状態になっている中小企業は少なく
   ありません。。

   せっかく自社にある有益情報を活用する仕組みづくりは貴社にとっての優先課題です。
    
  □中小企業のナレッジマネジメント

   1.コンパクトな組織で効果を発揮

     現時点で、ナレッジマネジメントを盛んに導入しているのは大企業ですが、逆
     に組織がコンパクトな中堅・中小企業のほうがナレッジマネジメントになじみや
     すい面もあります。

     ナレッジマネジメントでは、ナレッジマネジメントに理解を示す組織を醸成する
     こと、集められた知識の中で有効なものを形式知化し、それを共有・活用する
     ことによって企業力を高めていきます。

     それを実現するためには、社員が部課の利益にとらわれず、同じ価値観を
     持って企業力強化という目標に向かわなければなりません。

     は、ナレッジマネジメントによって企業力強化を目指す企業の組織を示した
     ものです。

     企業には経理、人事、営業、総務、開発、製造などの部門があり、ナレッジバ
     ンクに集積された知識を活用すると同時に、新たな知識も提供します。

     大企業の場合、本社以外に多くの支店があり、部課組織も複雑であるため、
     一つの目標に向かってナレッジマネジメントを実践することは大変な作業です。

     企業力強化という最終目標は認識していても、

       ・経理は、新商品の開発コストはできるだけ削減したい

       ・人事は、新商品開発にともなう人事異動などをしなければならない

       ・営業は、顧客に売り込みやすい特徴のある製品を開発してほしい

       ・総務は、各部課の意向をできるだけ統一し、書類手続きをシンプルにしたい

       ・開発は、少しでも高性能の製品を開発したい

       ・製造は、在庫を確認しながら効率よく製品を作りたい

     などのように各部の意向がぶつかり合い、その調整は難航します。

     一方、中小企業の場合は組織がコンパクトで、全社的な意思の疎通が図りや
     すいという利点があります。

     また、社員数が少なくコミュニケーションが容易なため、いつでも、対面で知識
     の有効性を確認し合うことができます。

     全体が見渡しやすい中小企業はナレッジマネジメントに適しているといえるで
     しょう。

   2.中小企業がナレッジマネジメントを導入する意義

     資金など経営資源の量で大企業に劣る中堅・中小企業は、限られた経営資源
     を最大限に活用しなければなりません。

     その経営資源の中に社員が持つ知識、すなわちナレッジがあります。

     ナレッジマネジメントを導入することで、社員が相互に協力し合い、これまで表
     に出ることのなかった新しい知識が企業の資源となって利用できます。

     「三人寄れば文殊の知恵」というわけで、経営資源の小ささをある程度カバー
     することができます。

     一方で、「中小企業にナレッジはない」という人も少なくありません。

     けれども、「今も、自社は活動を続けている」という事実を見逃してはなりません。

     社員は、毎日の積み重ねの中で数え切れないほどのノウハウを確立し、また
     自らの経験とカンにより繰り返し改善を行っています。

     大企業が持つ知識の量には及ばずとも、専門性の面では引けを取らないこと
     も多いのです。

     そして、社員一人ひとりが日常業務の中で確立してきた知識こそが中小企業
     が誇れるナレッジといえ、これに目を向けないのは非常に勿体ない話です。

     また、埋もれていて、放っておいては表に出ることのない知識という経営資源
     を発掘し、それを一つの目標を達成するための手段として共有、活用していく
     ナレッジマネジメントの導入は、「限られた経営資源の最大活用」という中小企
     業の経営手法の原点を振り返る意味でも有益といえるでしょう

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顧客情報の収集・管理・活用

営業力アップのための顧客管理
 

  ■顧客管理の目的

   1.顧客の全体像を把握する 

     顧客管理の目的は自社の顧客ニーズや購買履歴、クレームなどさまざまな情
     報を管理して、顧客がもたらす収益を長期的・継続的に最大化していくことに
     あります。

     一般に顧客は「ロイヤルユーザー」、「リピーター」、「トライアルユーザー」、「見
     込み客」、「潜在顧客」などに分けることができます。

     顧客管理ではこれらの顧客情報を正確に把握して、より上位の顧客に育成し
     ていくこと、途中での離反を防ぎ定着させること、見込み客・潜在顧客の裾野
     を広げていくことなどが重要になります。

     ◎管理すべき顧客の全体像

      <ロイヤルユーザー>
        多数の購買履歴があり自社に対して十分な信頼をもっている。

        自社の対応に余程の不手際がない限り、競合他社へ乗り換える
        ことはない。

      <リピーター>
        2回以上の購買層歴がある。

        自社に対して一応の評価はしているが、ロイヤルユーザーほどの
        信頼感はもっていない。

      <トライアルユーザー>
        自社から1回だけ購入したことがある。

        リピートオーダーするか迷っている、あるいはリピートせずに他社に
        乗り換えた。

      <見込み客>
        自社に関心があるが、まだ利用したことがない。

      <潜在顧客>
        自社を知らない、あるいは関心がない未利用客。

   2.層別と個別に捉える

     実際に顧客を分類するためには、自社のビジネスに即した形で、自社にとって
     のロイヤルユーザー、リピーターなどの定義を明確にしなければなりません。

     さらに、既存顧客がどのグループに属しているかを分類することも必要になり
     ます。

     ◎自社にとっての各グループの定義と既存顧客の分類

      (1)それぞれのグループの定義を明確にする
        たとえば、自社の商品が消耗品である場合と生産財である場合では、ロ
        イヤルユーザーとするための購入頻度や購入金額の基準は当然異なっ
        てくるでしょう。

        また、法人相手のビジネスを行っている場合には、取引の金額や回数だ
        けではなく、「双方の社長同士の信頼関係」、「妥当な支払い条件」、「約
        束通りの支払い実績」なども要件になってくるかもしれません。

        ロイヤルユーザーは現時点での自社の収益を支えてくれている最重要顧
        客層であり、がっちりと囲い込んでおかなければなりません。

        そのためには、他の顧客に比べて優遇策を講じるなどの必要もあります。

        リピーター、トライアルユーザーについては、ロイヤルユーザーになる可
        能性が高い有力顧客層です。

        さらに「見込み客」、「潜在顧客」についても、販促手法の工夫などで、ま
        ずは購入してもらうための働きかけをすることが大切です。

        このように顧客層に応じた適切な施策を講じていくためにも、まずは自社
        の状況に応じた顧客層の定義が必要になります。

      (2)既存顧客を分類する
        さらに、すでに取引のある個々の顧客をそれぞれのグループに分類します。

        ここでロイヤルユーザーと呼べる顧客がほとんどいない場合などは、その
        育成が急務になります。

        また、たとえば、「A社とC社はロイヤルユーザーといえるが、B社は現段
        階ではリピーターに過ぎない」という判断がなされた場合には、B社に対し
        て今後どのような働きかけを行えばロイヤルユーザーになってもらえるか
        を、個別具体的に考えます。

        ここまでみてきたように、自社の状況に即した顧客のグループ化を行い、
        さらに既存顧客をそれぞれのグループに分類していくことで

         ・それぞれの層(ロイヤルユーザー、リピーターなど)に対して
          どのような活動をすべきか
         ・それぞれの顧客に対して個別にどのような活動をすべきか

        が明らかになります。

  □顧客情報の収集と管理

   適切な顧客管理を行うためには、顧客ごとのさまざまな情報を迅速に入手し、い
   つでも分析可能な状態にしておかなければなりません。

   ABC分析やRFM分析、与信管理などを行うためには、あらかじめどのような情報 
   が必要であるかを明確にしておく必要があります。

   その際には購入実績などの定量的なデータだけではなく、「先方を訪問した営業
   マンの感想」といった定性的な情報も併せて入手することが大切です。

   <情報収集の具体的方法の検討>

     ・収集すべき情報の選定
     ・情報収集の手段

   <情報収集に必要なツールの準備>

     ・アンケート用教

     ・顧客管理台帳(パソコン上でデータベース化する)

   <情報収集のための標準化話法の開発>

     ・セールスマニュアルの整備

   <情報収集の教育>

     ・訓練の実施

     ・ロールプレイングの実施

   収集すべき情報の種類によっては、顧客に直接アンケート用紙を送付して記入し
   てもらう方法も考えられますが、一般的には営業マンが顧客との会話のなかで行
   います。

   したがって、営業マンが収集すべき情報が何かを整理し、それをスムーズに聞き
   出せるか、その話法を体得するための教育訓練をどのように実施するか、といっ
   たことが整備されている必要があります。

   また、顧客から情報を収集する方法を身につける一方で、自らも積極的に情報を
   与えていくことも非常に重要です。

   そうすることにより、顧客との信頼関係が強まり、営業力のアップにつながります。

   1.情報の入手

     ◎入手すべき顧客情報

      <基本情報>

       代表者名、住所、連絡先、業績、会社規模、創業からの経緯など

      <業績情報>

       売上、利益、資産の状況など(できれば過去3カ年分の貸借対照表、
       損益計算書を入手)

      <代表者情報>

       年齢、能力、経験、人柄、事業への熱心さ、趣味、家族構成など

      <自社との取引情報>

       初回受注から現在までの受注時期・金額・支払い状況、クレーム
       情報(頻度と重要度)、自社に対する満足度など

      <競合他社との取引情報>

       自社の競合となる企業との取引状況(先方企業における自社の取引
       シェアを把握)

      <営業マンの訪問時の感想>

       先方のニーズ変化に関する情報、新規事業への参入・既存事業
       からの撤退情報、与信管理に反映させるべきマイナス情報(先方
       担当者のモチベーション低下、退職者の急増、経理担当者の頻繁な
       変更、事務所の汚れ・乱れなど)

   2.情報の管理・分析

     収集した情報を有効活用するためには、それらが使いやすく整理されており、
     更新されていることが必要です。

     取引履歴、支払い履歴、営業マンの訪問履歴などを確実に記録し、いつでも
     最新の情報がわかるようにしておきましょう。

     顧客台帳などを使った紙ベースでの管理も可能ですが、今ではシステム上に
     顧客情報のデータベースを構築しておきましょう。

     データベースの構築・運用においては、その効果を十分に発挿できるように、
     次のような点に留意しましょう。

      ・受注書、納品書、請求書などと連動させることで更新がしやすい
       ように設計する

      ・適切なパスワード付与によって必要な人が必要なときに自由に
       閲覧し分析できるようにする

      ・「一定期間取引がない」、「クレーム回数が許容範囲を超えた」、
       「売掛金額が急増している」といった要警戒情報を自動的に表示させる

      ・ABC分析、RFM分析、与信管理などの定型分析を行いやすいように
       設計する。
       データベース構築後はそれらの分析を定期的に実施し、状況把握・
       改善に活用する

      ・個々の顧客だけではなく顧客全体での売れ筋商品の変化などが
       わかるようにする

      ・営業マンの日々の活動を通じて得た定性的な情報を入力しやすい
       ように設計する 

       ◎ABC分析

         参考例にあるように売上高の内訳を調べると、一般的には、
         少数の顧客が全体のなかで大きな比率を占めています。
         「ABC分析」は、これを数字やグラフで分析する方法です。
         まず、顧客を取引金額の大きい順に並べ、各顧客の取引額が
         全体(合計)に占める比率を算出します。
         さらに次表のように、累計比率が全体の7割程度の売り上げを
         占める上位顧客をAランク、全体の7割超から9割程度を占める
         顧客をBランク、9割超を占める顧客をCランクと位置づけます。
         こうしてランクづけされた顧客グループ別に営業戦略を検討します。
         たとえばBランクのなかの有力企業をAランクに上げるために、
         当該企業への訪問回数やアプローチの仕方を見直すなどです。

       RFM分析

         RFM分析とは、顧客を最終購入日、累計購入回数、累計購入金額
         の3つの視点で分類・評価し、それぞれの顧客に対してどのような
         施策が必要かを検討する手法です。

          R(recency 最終購入日) いっ買ったか、最近購入しているか
          F(rrequency:累計購入回数) どのくらいの頻度で買っているか
          M(monetary:累計購入金額) いくら使っているか


         RFM分析はおもに購入頻度が高い商品を扱っている飲食店や小売店
         などの個人顧客分析に使われますが、ルートセールスなど法人相手の  
         ビジネスにおいても、基準値を工夫することにより活用可能です。

          RFM分析例

          上記は1年前を起点として、「R」、「F」、「M」のそれぞれについて
          分析した例です。

          顧客Aは最終購入日からの日が浅く、累計購入回数・金額も多い
          ため、最電要顧客ということになります。

          仮に「F」、「M」の値が大きいにもかかわらず、「R」(最終購入日)
          から、長期間経過している顧客がいる場合には、購買力のある
          優良顧客の足が遠のいていることになります。

          完全に離反してしまう前に早急な対策が求められます。

       与信管理

         法人相手のビジネスでは、売上と実際の代金回収にタイムラグがある
         のが通常であり、先方の支払い能力に応じた与信管理をしていくことも
         重要です。

         これまでの取引実績や先方の企業規模・業績などに応じて取引先それ
         ぞれに与信枠を設けて、そのなかで取引を行うことが大切です。

         自社にとってのロイヤルユーザーの定義には、与信管理か万全である
         ことも加えておくべきでしょう。

         具体的には次のような点をチェックし、異変がある場合はその理由を確
         認しましょう。

          ・売掛金の回収サイトは長期化していないか

          ・取引額の増加ペース以ヒに売掛金残高が増加していないか

          ・取引額の増加ペース以上に1回ごとの売掛金か増加していないか

  □顧客情報の活用方法

   どんなによい顧客情報システムであっても、それを活用して販売に結び付けなけ
   れば何の価値もありません。

   逆にいえば、

    販売の効率と効果が得られるように、
    顧客情報の収集・保管・分析がなされなければなりません。

   したがって、顧客管理のシステムを構築するためには、まずどのように活用する 
   のかを明確にしておく必要があります。

   顧客情報の活用方法として、大きく次の4つが考えられます。

    1.販促企画での活用
    2 商品化計画での活用
    3.販売計画での活用
    4.日々の営業活動での活用

   これらの活用範囲からもわかるとおり、顧客情報は営業部門のみならず広く自社
   全体で活用できるものなのです。

   1.販促企画での活用

     販売促進企画を立案する場合、最低限投資した費用に見合うだけの効果が
     期待できなければなりません。

     そのためには、販促の対象となる顧客の層を明確にイメージする必要があり、
     顧客情報の活用が欠かせません。

     すなわち、顧客情報を分類・分析し、販促企画を実施する前に、どのような商
     品がどれだけ売れるかを予測しておくことが大切です。

   2.商品化計画での活用

     販促企画と同じく、新商品の開発、商品の仕入れ、商品の在庫管理について
     も、顧客情報を分析して計画を立てます。

     この代表的なものが、コンビニエンスストアなどにあるPOS端末からの顧客情
     報を活用したシステムです。

   3.販売計画での活用

     一般に、販売計画の立案は、過去の販売実績を基礎に売り上げ増分を盛り込
     むという手順で行われます。

     しかし、この売り上げ増分の算出は経験値によることが多く、販売計画を実行
     に移す際に何をよりどころにすればよいかがはっきりしません。

     本来、需要あっての売り上げなので、顧客情報を基にすれば販売計画を立案
     しやすくなります。

   4.日々の営業活動での活用

     営業活動では、営業マネージャーと営業マンによる活用が考えられます。

     営業マネージャーは、顧客情報や見込み客リストなどを基に、営業マンの活動
     がどのように進行しているか、というフォローに活用します。

     営業マンは顧客情報から、訪問計画を立案したり見込みがありそうな商品を
     ある程度まで予測します。

     なお、こうした顧客情報は一度集めればよいというものではなく、こまめに追
     加・訂正・削除を行い、つねに生きた情報にしておかなければなりません。

     顧客情報に限らず、収集した情報を活用できるかどうかは、それらが使いやす
     く整理されており、古くなったものが確実に廃棄または更新されているかがポ
     イントになってきます。

     そのためにはルールを定め、情報を体系づけて整理・保管することが必要です。

     具体的な手法としてはさまざまなものがありますが、顧客情報のデータベース
     を構築し、営業マンが新しい情報を入力することでそのメンテナンスを行って
     いる会社も多くあります。

  □既存最客を育成強化する

   既存顧客を育成強化するということは、既存顧客への販売を「増量」と「品種拡
   大」の両面から促進することです。

   既存顧客の育成強化策について整理します。

   1.意欲的な顧客にターゲットを絞る

     顧客自体の業績や所得が増加すれば、それに応じて注文量も増えてくること
     が期待されます。

     このような顧客にターゲットを絞れば、効率的な営業活動が可能になります。

     同時に営業マン自身も、顧客の要求に応えるよう、意欲的に営業活動に取り
     組む姿勢が必要となります。

   2.取引品目数を増やす

     取扱品目数を増やすことは、顧客のさまざまなニーズに対応するうえで非常に
     重要です。

     したがって、営業マンは商品の好き嫌いをせず、商品や関連事項などについ
     て多くの情報収集を行い、顧客に提案していくことが要求されます。

   3.上司の同行で顧客上層部にコネクションをつくる

     上司と同行し、通常会うことが難しい顧客の上層部にコネクションをつくること
     が顧客育成には有効です。

     担当営業マンが顧客上層部とも話ができるようになれば、顧客側担当者の対
     応も変わり、商談がスムーズに進むことも少なくないからです。

   4.営業マンの担当顧客を変える

     長年同じ顧客を担当することは、なじみが深くなる一方でマンネリ化を招くこと
     にもなり、顧客の変化に鈍感になってしまうことが多いようです。

     一般に担当変更のサイクルは、

      ・フォロー体制が確立された営業で1年
      ・一般ルートセールスで3年
      ・機械設備など高額品セールスで5年

     程度が目安といわれています。

  既存顧客を守る

    販売後も十分にフォローして最客の満足度を高めることこそが、
    次々に営業機会をつかむための、重要なステップであるといえます。

   顧客の信頼を得ることができれば、新しい顧客を紹介してもらえたり、買い替えの
   際に商談がスムーズに進むといったメリットも考えられます。

   しかしながら、売り上げ目標が設定される関係上、どうしても目の前の商談が優
   先され、販売後のフォローは疎かになりがちです。

   フォローや、代金の回収まで終わってこそ、ひとつの販売活動が完結したことにな
   ります。

   既存の顧客に対するフォローは、営業マン本人がつねに意識して行い、また管理
   職も営業マンが確実に実行しているかどうか、確認していく必要があるでしょう。

   次に、商品納入後のフォロー手順の例をご紹介します。

    1週間後…取引のお礼状を出す。営業マンの手書きによるものが
           望ましいが、数が多くなるようであれば、書式を決めて
           アシスタントが代筆するなどの対応でもよい。

    2週間後…営業マンが直接訪問し、商品について不都合な点などが
           ないかを尋ねる。
           同時に機会があれば別の顧客を紹介してもらいたい旨を
           伝える。

    1カ月後…営業マンの上司が直接顧客に電話をし、取引の礼を述べ、
           その後不都合な点が発生していないかを尋ねる。

    *1カ月後以降も、最低でも2カ月から3カ月に一度は、電話・メールなどに
      よるコンタクトを欠かさない。

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顧客情報の収集・管理・活用

営業における情報管理

   
  ■営業における情報管理

   営業担当者の仕事は、会社の情報を顧客に伝えると同時に、顧客の情報を会社に
   伝えることである。

   顧客は会社の財産であり、個人のものではありません。

   顧客情報をチームで共有する仕組みがなければ、営業活動は成り立たなくなり、
   属人的な行動しかできなくなります。

   全員で情報を共有し、チームや部署、ひいては全社で顧客に対して提案していく
   ことが必要です。

   顧客の情報管理を行うことにより、顧客の真のニーズや、ライバルの動向といった
   “競合に勝つ情報”を集めていきます。

   また、情報管理をIT化することで、商談が終わった案件に関しても、どこでチャンス
   ロスしてしまったのかがわかります。

   現在進行形の案件に関しても、どのように進み、何がネックになっているかが見え
   てくる。   

  □情報管理をする上で集めるべき情報
   1.顧客の基礎情報である顧客情報や案件(顧客情報)
    集めるべき顧客情報は顧客名、住所、連絡先、ホームページアドレス、代表者名、
    過去3年間の年商、資本金、従業員数、既存取引先情報など。

    既存先であれば、販売実績、請求方法といった顧客に関する基礎情報を入力する。

    これに、業種ごとに必要な情報を付加する。

    例えば、値引きが多い業態であれば平均値引き率の情報など、商談を進める上で
    キーとなる情報を記述していく。

   2.訪問先情報である顧客訪問履歴情報(顧客履歴情報)
    一つの案件情報に対して訪問先情報を入れていく。

    必須情報は面談者、キーパーソンの役職、名前、案件(ニーズの内容)、案件の
    状態である。

    新規であれば顧客訪問のきっかけなどを入力していく。

    また、競合情報、受注のためにネックとなっている要因、顧客の戦略など、訪問で
    知り得た有益な情報を逃すことがないように記入欄を設定し、入力漏れが起きない
    ようにしていく。

    履歴情報には、知り得た事実を入れていく。

    ここでは、時系列で記入し、情報を管理することがポイントになる。

    また、競合の動きを具体的に書くと、全社で情報が共有できる。

    営業担当者一人では、目の前の競合を自分の目線でしか意識できない。

    しかし、情報の見える化を進めることで客観的に他社と自社のポジショニングなども
    分析でき、競合との差別化が図りやすくなる。

   3.顧客との接触履歴から見たプロセス進捗情報(プロセス進捗情報)
    ここでは、プロセス進捗情報を入力していく。

    顧客との接触履歴をセールスプロセスごとにまとめる。

    営業担当者が顧客に何をして、どのような状況にいるのかという形でまとめていく。

    プロセス進捗の欄には、アプローチ、プレゼンテーション、クロージング、ランク、
    内定、決定のどの段階にあるのか、進捗状況が分かるように設定する。

    見積書、提案書、資料などを提出した場合は、その内容(データ)も添付する。

    そして、受注予定日、受注金額も入力する。

    また、商談の段階で受注に至らないこともあるので、受注できなかった場合でも、
    その理由を記述する。

    ソート機能をつけ、企画書、見積書などをテーマ別に検索できれば、似た案件が
    出た時に、カスタマイズして有効活用することができる。

    ここでのポイントは、プロセスの進捗を入力後、商談中に感じた推察を記述する
    ことである。

    その推察をもとに、次回のアクション予定を記述していく。

    こうすることで、営業担当者自身がどう感じ、どう考えたかということと、顧客が
    どう感じ、どう考えたかということが見えるようになり、相手を推察するトレー
    ニングにもなる。

    最初は間違ってもよいが、うわべだけでなく、顧客の頭の中を探っていき、次の
    会話やアクションにどう活かすか、推察の質を高めることが重要である。

    外面からは読み取れない、顧客の本音の中で何に引っかかって、どうすれば
    ネックを解消できるかなどを考えていく。

    これが見えないと営業のプロセスが分からず、よい方向に改善するのは難しい。

    また、チームリーダーは顧客管理でプロセスが見えるので、結果だけでなくプロセス
    の評価も行う。

    数値目標を設定するだけでなく、プロセスも「どのような活動をすると評価されるか」
    を決めておく。

    例えば、「決定権者に提案書と見積書を提出し、いつまでに結論を出したい」と
    いうステップにたどり着けば、単純に提案書、見積書を提出した時よりも高く
    評価します。

    こうすることで、質の高い行動をしている営業担当者がより評価され、結果に
    つながっていく。

    これが、行動の質を伸ばしていく仕組みとなります。

    これらの情報を全社の共有情報とすることにより、商談を時系列で押さえられ、
    全体の流れが分かるようになります。

    例えば、経験の少ない営業担当者は、成功事例や失敗事例を分析することで、
    営業スキルが上がります。

    また、営業チームのみならず、ほかのチームや部署からもアドバイスをもらうこと
    もできます。

  □営業情報管理の重要性(共有化)
   パソコンはデータ入力しなければ単なる箱に過ぎない。

   多くの中小企業がデータの重要性、価値を認識していない。

   PCを活用して営業成績を上げるには、営業現場での有用な情報を、誰でも簡単に
   人出カできるような共通のデータベース・システムを構築する必要がある。

   営業に関するすべての情報を一元化・統合化する営業用のデータベースを作成
   しなければならない。

   全社共有の営業データベースの構築(契約者データではない)である。

   営業スタッフは、まず営業の事前準備として、自社のデータベース・システムから、
   訪問しなければならない得意先情報を収集する。

   そして得意先を訪問し、帰社後訪問の結果をデータベースに入力する。

   このような仕組みが、営業に欠かすことのできない営業支援システムです。

   営業情報は会社の共有情報となり、営業部門全体で協力しあう新しい営業体制、
   営業スタイルができあがる。

   従来のマンパワーからチーム営業へ取ってかわる。

   その結果、営業の生産性が飛躍的にアップするようになるのです。

   電子手帳やパソコンがない時代、営業マンの情報管理は手帳・顧客管理台帳で
   した。

   手帳・顧客管理台帳に見込み客の名前や会社名、購買の意思決定者、いつ頃
   成約しそうであるかの成約見込み状況、すでに顧客になった既存顧客の取引状況
   や電話番号、お客様の誕生日など販売に関する情報を細かく記録している。

   これが唯一のデータベースであり、営業マン個人のデータでした。したがって、営業
   に関する情報は個人情報であって決して会社情報ではなかったのです。

   得意先に関するデータは営業マンが自分で管理していたわけです。

  □データの一元管理
   「顧客に近づく営業活動」を展開するうえで、マーケティング型の顧客情報管理は欠
   かせません。

   マーケティング型顧客情報管理といえるものは、少なくとも次の条件を満たしていな
   ければならない。
    (1)顧客情報がひとつのデータベースに統合化され、一元管理されていること
    (2)顧客情報は会社の情報であると、営業マン全員が認識していること
    (3)顧客情報はチームで利用されるようになっていること
    (4)情報は時系列に管理

   データの統合化・一元管理とは、顧客に関するすべてのデータをひとつのデータ
   ベースに統合することを意味している。

   バラバラにあちこちにデータが保管されていたのでは、顧客の本当の顔が見えて
   きません。

   契約データばかりではなく、接触データもすべてひとつのデータベースに記録する。
    ・いつ、誰に、どんな内容、どんな方法で提案したか

    ・いつ、誰が、何の用件で電話してきたか、その電話に誰がどのように対応し
     たか
    ・いつ、誰が、何の用件で電話したか

    ・営業マンはいつ、(どの部署の)誰に、どんな目的で接触したか

    ・その結果はどうだったか

    ・その見込み客・既存客先の最新状況はどうか

    ・その見込み客との提案(販売)段階は、いま、どの段階になっているか

    ・いつ、(どの部署の)誰から、どんな内容を、言ったか

   以上のようなデータを、すべてひとつのデータベースに保管しておく。

   顧客への営業活動そのものも、チームで共有し分担することが必要です。

   大切な顧客への接触を営業マン個人に任せっぱなしということは、情報の価値を
   理解してないことであり、会社経営においての死活問題といっても過言ではありま
   せん。

   情報は自社の財産であり、利益を生み出す打出の小槌といっても過言ではありま
   せん。

   なるということをあなた自身どれだけ認識しているかです。 

   最近、個人情報の漏えい事件の多発により情報に関する取扱い規制が厳しくなっ
   ています。

   それだけ情報がお金になることを意味しているといっていいでしょう。

   しかし、単に情報を集めるだけではお金になりません。

   5W1Hに基づき、どんな情報をどのように活用するかがカギとなります。

   データベースの構築はあなたにとって最優先に実行すべき課題です。

  □顧客の声をデータ化
   顧客の声をデータ化し、どう優先順位をつけて取り組み、どう営業に活かし、顧客
   満足度および業績の向上につなげていくか。

   大きなクレームがあった時、迅速に対応し、今後の教訓にしていく企業は多いはず
   です。

   しかし、それは顧客の不満の一部分を解消したにすぎません。

   顧客が発した「声」を情報としてまとめることで、顧客の本音が見えてきます。

   そのためには顧客の声を要望の種類や担当部門ごとに分け、入力します。

   例えば、営業活動、商品、納期、価格に関する要望やクレーム、顧客からの評価、
   感謝された言葉、そのほかの要望事項別に分けていきます。

   この時のポイントは、ささいなことでも記録することです。

   例えば、「うちの商品は高付加価値だから価格が高くて当然」という考えでは、「『御社
   の商品は高い』という声をいちいち記録に残す必要はない」と考えてしまいがちです。

   それでは顧客の評価は反映されません。

   一定期間、顧客の声を蓄積することで、顧客の「真のニーズ」が見えてくるのです。

   その要望は、会社として的確な行動を取る判断材料となります。

   顧客の話を冷静に聞いた上で、その判断材料をもとに、どのような対応が適切かを
   考えます。

   すると、場当たりな対応がなくなり、早期に対応すべきことか、将来的な課題か、
   顧客のわがままなのかといった会社としての価値判断を反映した対応ができる
   ようになります。

   つまり、声の大きい顧客を最優先し、冷静に対応を求める顧客は後回しにすると
   いった安易な対応がなくなり、要望を顧客満足度と業績向上につなげていくことが
   可能になります。

    1.情報管理で得たキー情報を分析し、活かしていく
      情報管理を行うことで、いつでもどこでも会社全体の営業活動が読めるよ
      うになります。

      また、成果を上げている営業担当者の見えなかったプロセスも分かり、ほ
      かの営業担当者が、次の営業に役立てることもできるのです。

      またリーダーは、各営業担当者の行動に対して、現状分析した上で、より
      的確なアドバイスが可能になります。

      自社の営業の成功・失敗事例を共有することで、営業担当者自身がその経
      験を擬似体験として吸収できるようになります。

      そして、行動することで実際の経験も加わり、経験値が増えていく。

      案件に関わる営業の動きが見えるようになり、常に顧客をより理解・分析した
      上で適切な提案ができます。

      また、サポート部門や製造部門など営業以外の直接部門からも、顧客への
      アプローチがより正確に見えてきます。

      そのため、「この状況では過去の傾向から別の商品やサービスを提案した
      ほうがよい」とか、「納期をこのような形で案内したほうがスムーズにいく」な 
      ど、営業部門以外からの主体的な提案が可能になります。

    2.新規開拓のプロモーションも「見える化」する
      新規開拓のプロモーション(ダイレクトメール、広告、展示会、セミナー、ホーム
      ページ、FAX、紹介など)の効果を検証していない企業が多いのが実態です。

      顧客開発戦略を練った後、ターゲットとなる新規顧客にさまざまなプロモーシ
      ョンを試み、顧客開拓に励んでいる例は多いが、「どの仕事の内容に、どの
      プロモーションが効果的か」ということをつかんでいる企業は少ないようです。

      仕事の内容別に、どのプロモーションがどれくらいの引き合いがあるか、どれ
      くらいアポが取れたか、どれくらい提案・受注につながったかをまとめます。

      成約率などから、次回はどのプロモーションを展開するか選択と集中をし、
      精度を上げていけるよう取り組むことが重要となります。

      ここで効果が出ると、次のプロセスでスムーズに事が進み、効率的な営業が
      できるのです。

      成果を出し続ける営業チームをつくるために、リーダーは一部の優秀な営業
      担当者に依存しなくても、営業チームが機能する仕組みづくりに取り組む必要
      があります。

      例えば、各営業担当者の行動計画、案件のプロセスをチェックし、質を変える
      アドバイスと前向きな環境づくりなどです。

      そのためには、常に現場に目を向ける必要があります。

      営業現場で実際は何が起きているかをつかめなければ、的確なアドバイスは
      できません。

      その上で、各営業担当者が自身の行動を常に改善しながら、オリジナルの
      勝ちパターンを確立していくことも求められます。

      営業チームとして、「妥協することなくメンバーが仕組みの中で努力すれば
      成果が出る」ということを実感させるのが第一歩です。

      リーダーは、メンバーと密なコミュニケーションを取り、成功事例も失敗事例も 
      的確にフィードバックをして、育成をしながら長期的な成果を出すことにこだ
      わっていただきたい。

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顧客情報の収集・管理・活用

営業活動に不可欠な顧客データベース


  ■契約者データではなく顧客データ   

   顧客情報を業務に生かすためには「顧客データベース」が不可欠です。

   しかし、対応履歴が抜け落ちているため、「単なる住所録」としてしか機能していな
   いケースが多い。

   顧客とどう接したか、どういう話題があったかといった「対応履歴」こそ、顧客獲得、
   満足度向上の決め手となるのです。

   顧客データベースの生かし方、作り方、選び方を紹介します。
 
   優良顧客を囲い込みたい、顧客ニーズやクレームを探り出し顧客満足度を高め
   たい、顧客情報をビジネスに活用したいと考えている経営者や営業担当者は多い
   はずです。

   商品が売れず、しかも顧客ニーズが多様化している現在、従来の“勘と経験”
   だけでは通用しなくなってきました。

   そこで活用したいのが、顧客に関連するあらゆる情報を蓄え、様々な切り口でデ
   ータを活用できる『顧客データベース』の存在です。

   既に顧客データベースくらい持っている、とあなたは言うかもしれません。

   しかし、住所や電話番号などありきたりな情報だけの「単なる住所録」に成り下が
   ってないだろうか。
 
   あなたが顧客(取引先)を訪問したり電話で話をしたときには、必ず何らかの情報
   が得られるはずです。

   世間話のこともあるでしょうが、これから顧客が取り組もうとしている事業の話かも

   しれないし、自社製品への質問やクレームかもしれない。

   この何気ない会話の中に仕事に生かせる情報が眠っているのです。

   新規事業の話であれば新たな売り込み先を開拓できるかもしれません。

   質問してくるということは、その商品に対する関心が高い証拠だ。

   クレームを減らしていけば、顧客満足度を確実に向上できる。

   つまり、仕事に役立つ顧客情報は、住所や電話番号といった「静的な情報」では
   なく、顧客と接した時に得られる「生きた情報(対応履歴)」です。

   データベース・ソフトは蓄えた情報を様々な切り口で縦横無尽に検索・抽出できる
   機能を持っています。

   対応履歴を蓄え、顧客の切り口で取り出せば、営業担当者が顧客ごとの要望に
   応えたり提案したりできる「現場」に役立つ情報となる。

   また、問い合わせやクレームといった分類ごとに取り出せば、潜在的に市場が大
   きい顧客ニーズを発掘したり、顧客満足度を低下させているクレーム要因を特定
   するなど、「経営」に役立つ情報となるはずです。

  □顧客データベース作成の準備

   顧客データベースを作るには、いったい何をどう準備すればよいのでしょう。

     顧客データベースを作る場合、どうしてもデータを蓄える「器(うつわ)」ばかりに目が
   いきがちだ。

   アクセスなどの開発ソフトを使って自前で作るべきなのか、それともパソコン量販店
   で購入できる市販ソフトで十分なのかと、あれこれ悩むでしょう。
 
   要は、「データベースを何で作るか」が重要なのではありません。

   重要なことは、データベースに住所や電話番号といった“静的な情報”だけではなく、
   顧客と接した時に得られる“生きた情報(対応履歴)”を蓄え、それを縦軸(顧客
   ごと)や横軸(分類ごと)に分けて見ることにあります。

   データベースを作ろうと、何も計画がないままパソコンに向かうことはお勧めでき
   ない。

   まずは、データベースに蓄える情報やそれらの分類方法を事前に洗い出しておく
   ことです。

   実態を調査してから、パソコンでの作業を進めるべきだ。

   調査方法としては、紙の顧客カード(顧客カルテ)を作り、1週間から1カ月間を
   かけて顧客情報を書き出してみるとよいでしょう。
 
   例えば、一つひとつの対応履歴を一枚のカードに書き込み、それを顧客(取引先)
   ごとに箱に分類して保管する。

   箱に蓄えられた対応情報が、それぞれの顧客満足度を上げるために役立つ情報
   となります。

   ある程度情報が蓄えられたら、それらのカードを「クレーム」や「問い合わせ」とい
   った分類ごとに分けてみる。

   この作業が潜在的な顧客ニーズを発掘する情報となります。

   パソコンで顧客データベースを作ったとしても、そこから得られる情報は紙のカード
   を使った情報と何ら変わりはありません。

   劇的に変わる部分は、何百件という情報から特定の情報を検索・分類するスピ
   ードだけです。

   「顧客データベースがあれば何か変わるだろう」という漠然とした期待は禁物です。

   顧客カードを使って洗い出しができたならば、実際にパソコンでデータベースを作る
   段階に入る。

   ここで迷うのが、アクセスなどを使って自作を目指すか、出来合いの市販ソフトを
   購入するかでしょう。

   アクセスなどでデータベースを作った経験があれば自作でもよいが、全くの初心者
   であれば市販のパッケージソフトをお勧めします。
 
   自作の利点は、自社の業務にぴったり合ったデータベースを作れる点にある。

   例えば、効率よく営業活動が行えるように「獲得見込み度」や「セールス状況」、
   住宅地図の「地図番号」を書き込める項目を作ることもできる。

   一方で、自作の場合は作るための時間(人件費)がかかることも忘れてはならない。

   途中であきらめてしまったり、出来上がったものがパッケージソフトと変わらない
   ようであれば、苦労が報われません。

   自作ソフトとは逆の利点と欠点を持つのがパッケージソフトです。

   買ってきたその日から使い始められる利点は大きい。

   種類も豊富で宛名書きソフト感覚のものから、販売・会計業務などと連携できる
   ものまであります。

   だが、項目や分類方法を自由に追加/変更できない点が問題となる場合も少なく
   ありません。

   データベースを作る、もしくは購入する場合、「導入しました。みなさん使って下さい」
   と、一方的に器だけを押しつけても失敗するでしょう。

   実際に顧客情報を入力・活用する現場の意見が反映されないと、データベースは
   生かされません。

   まずは「会社のため」ではなく「自分のため」の顧客データベース作りを目指すこと。

   ある程度データが蓄えられ、自分でも“使える”と思えるようになったら、スタッフに
   利用を勧め、使い勝手を良くするための意見を聞いてみよう。

   「こんな項目が欲しい、こういった切り口でデータを取り出したい」といった様々な
   要望が出てくるはずです。

   すべての意見を聞くことは難しいが、この段階をクリアして初めて、自社で使える
   データベースとなるのです。  

   順調にデータベースを活用できるようになったら、残すは後継者の育成です。

   特に自作データベースの場合は、作成者のスキルの限界がデータベースの限界に
   なってしまう。

   データベースをさらに育てていくためにも、意欲のある社員にバトンタッチしてさらに
   使えるデータベースに育てていきたいものです。

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顧客情報の収集・管理・活用

顧客情報の収集・管理・活用 

   
  ■顧客が本当に知りたい商品情報

   営業マンは、自社で販売する商品やサービスについて、十分な知識を持ってい
   なければならない。

   これは当然のことのようだが、以外に徹底できないケースが多く見受けられ 
   る。

   顧客から商品について質問を受けた時、答えられなかったり、あるいはあいま
   いにしか答えられなかった場合、顧客は大きな不信感を持ちます。

   商品はよくても、営業マンがそれを上手に顧客に伝えられなければ、成約は見
   込めません。

   しかし、知識だけをやみくもに詰め込めばいいというものでもありません。

   商品やサービスを購入する理由は、顧客側の事情によってさまざまです。

   例えば、スーツケースを購入した時、顧客の一人は「頑丈さ」で選びもう一人
   は「大きさ」で選ぶ、というように、その決めてとなる
   ポイントは顧客によって異なっています。

   この時、「頑丈な」スーツケースを求めている顧客に、「物がたくさん入ります」と説明しても
   何の効果もありません。

   営業マンは、「頑丈だ」「物がたくさん入る」という情報を知識として持ち、顧客のニーズに
   応じて的確な商品説明を行わなければならないのです。

   断片的な商品知識は役に立ちません。

   また、営業マンが商品を売り込む時、パンフレットなどの販売用資料を使うはずです。

   商談時に、パンフレットに書いてあることをくどくどと説明しても、効果的とは言えません。

   さらに、顧客は競合する複数の会社の営業マンに話を聞いているはずですから、場合に
   よっては、営業マンよりも多くの知識を持っているかもしれません。

   そうした顧客が本当に喜ぶ情報とは、何でしょうか。

   それは、パンフレットには載っていない生の情報、つまり「この商品を他社で
   はどう活用しているか」ということなのです。

   営業マンは自分の足でこうした生きた情報を収集し、顧客に提供しなければな
   りません。

   その積み重ねで、初めて「この営業マンの言うことなら信用できる」という顧
   客からの信頼を得ることができるのです。
   
  □商品の情報を分析

   (1)競合商品との比較

     顧客が物を購入する時、1社の商品だけについて検討するということはま
     ずあり得ません。

     必ず、競合する他社商品と価格、性能、安全性、デザインなどを比較検討
     するはずです。

     このため、営業マンは自社商品だけではなく、他社商品についてもある程
     度の知識をもち、自分なりに比較、評価することが重要です。

     そこで、「競合商品」の欄では、他社商品のデータと特長、セールスポイ
     ントを調査して記入します。

     また「商品力比較」の欄では、品質、価格、知名度などについて、自社商
     品と他社商品を比較評価してください。

     評価の方法は10点満点で点数をつけても、1〜5の5段階評価でもよいで
     しょう。

   (2)自社商品の強み、弱みの確認

     (1)で評価、分析したデータをもとに、他社商品と比べた自社商品の強み、
     弱みを書き込みます。

     この情報分析の狙いのひとつは、単に自社商品についての知識を深めるだ
     けではなく、他社商品と比較することで、より具体的に自社商品のメリッ
     トを説明できるようにすることです。

     ですから、単なる商品知識のメモとしてではなく、顧客に説明するつもり
     で「〇〇社商品と比べてどこが違うのか」という視点からか考えて記入し
     てください。

   (3)自社商品活用事例の記入

     この項目は、実際に自社商品を購入し、使用している顧客のもとへ行き、
     生の意見を集めて記入してください。

     その時に注意するべき点は、「常に新しい事例を探しておくこと」「売り
     込みたい得意先と同じような規模、業種の企業事例を探すこと」、の2点
     です。

     次々と新商品が登場する時代ですから、情報はすぐに陳腐化します。 

     また、会社の規模、環境が違えば、商品の扱い方もまったく違ってくるも
     のです。

     記入の方法は、「この商品を導入したことで、仕事の状況がどう変わっ 
     たか」について、導入前と導入後を比較して書き込むことが必要です。

     ただ単に「A社さんでは、こんなふうに使っていただいています」というよ
     りも、「A社さんではこういう問題があったのですが、この商品を導入して
     いただき、こういうメリットが出ています」というように具体的な効果を
     記入します。

     このほうが、顧客に役立つ情報になりますし、説得力が増します。

   (4)商品知識、情報をどう生かすか

     せっかくの商品知識も、実際の活動で生かせなければ宝の持ち腐れです。

     顧客ごとのニーズにあわせて、どういった情報を提供していくべきかを検
     討してください。

     詳しい商品知識を身につけるには、まずカタログを読み込むことです。

     そして、情報を持っている社内の担当者に直接聞くことです。

     また、顧客からの質問で答えられないものがあれば、必ずその日のうちに
     社内で確認して返答します。

  
  ■顧客のニーズをキャッチ

   (1) 固定客づくり

      シェア・アップ戦略を成功させるカギは得意先が顧客(エンドユーザー)

     をいかに吸引してくれるかという、得意先の自社に対する「協力度」や得意先自体の
     「販売競争力にあります。

     つまり、インストア・シェア(特定の取引先における契約全体のうち、自社が占める
     割合)を、どう高めて行くかが重要となるのです。


     そのためには、得意先との強力な連携と密着をはかり、固定取引先として、
     インストア・シェアの充実を図り、顧客情報を蓄積し、管理して活用していきます。

     
   
(2) ニーズキャッチ

     顧客に対して、いくら約束を守り定期訪問をしていても、それだけでは真の
     固定客にはなり得ません。

     真の固定客化をはかるには、約束を守り、定期訪問をすることにプラスし
     て、常に変化していく顧客のニーズをさぐり、今一番顧客の困っていることは
     何かを的確につかみ、それを満足させ得るように対応していくことが必要となります。

     さらに、これらの情報を顧客情報として収集・管理・活用することも忘れ
     てはなりません。

     そうした顧客のニーズが価格・品質・サービスなどのどこにあるか、的確
     なニーズキャッチによって、先手をとった時、信頼が生まれ、より強固な
     顧客との密着化がはかれ、真の固定客になってもらえるのです。

     「分からないことは、お客に聞いてみよ」、常に顧客の困っているこ
     耳を傾けることが、真の固定客をつくりあげ、業績安定基盤をつくってい
     くキメ手となります。 
  
   顧客密着を促進するためには、その顧客との現在と過去のつながりの深さが一
   つのキーファクターとなります。

   つながりの深さを保つには、その顧客と自社との過去の歴史を、会社、セール
   スマン自身がよく認識し、そのつながりの深さをうまく活用したセールス活動
   をすることが効果的となります。

   そのためにも顧客情報の収集、管理、活用が欠かせないのです。

        情報をもつものが力を持つ。(P.F.ドラッカー)

 

               

顧客情報の収集と活用 


  営業マンにとって、「情報」が重要なものであることは言うまでもありません。

  しかし、どのような情報を集め、どう活用したらいいのか、きっちりと整理(情
  報整理フォー
マット)できている営業マンはあまり多くないようです。

  頭では「情報は重要だ」とわかっていても、実際に顧客情報を収集しそれを管
  理・活用できる営業マンが少ないということは、裏を返せば、それができればラ
  イバルに大きく差をつけられるということです。

  まさに「情報を制する者は営業を制す」といったところでしょうか。

  常に問題意識を持ち、「それを解決するにはどんな情報が必要なのか」というこ
  とを考え続けておくことです。

  例えば、得意先から「おたくの商品はB社の商品と比較して、どこがどう優れてい
  るのか説明してくれ」と言われたとします。

  その場合、自社商品と他社商品のパンフレットを並べてその違いを説明するよう
  では失格です。

  なぜならパンフレットに載っているような情報は既に顧客も持っているケースが
  多く、顧客にとっては何の価値もないのです。


  では、常に問題意識を持っている営業マンの場合
  はどうでしょう。

  偶然訪問した先が、ライバル会社の商品を使っ
  ていたとします。

  その営業マンは自然に、その商品の使い勝手、
  良い点・悪い点について、生の声を聞き出そうと、
  情報収集するはずです。

  そして、それを整理し、情報としてストックしておくでしょう。

  これはパンフレットなどからはわからないユーザーの生の声です。

  こうした情報は、顧客にとってみれば本当に役立つ情報となるのです。

  このように、常に問題意識をもっていれば、これまで、見逃していた貴重な顧客
  情報をしっかりとキャッチすることができるようになるはずです。

  顧客情報はただ多く集めればいいというわけではなく、大切なことは早く」
  「正確」な情報を収集
することです。

  そして何よりもそれを「活用(生かす)」ことです。

  そのためには、収集した情報、知識を整理して理解を深め、ストックしておくと
  ともに、営業マン個人だけではなく、組織の財産として共有化、活用を図り、
  経営向上につなげていきます。

 

営業の標準化に欠かせない顧客情報の収集と管理


           新規開拓、既存客への単価アップ、顧客の流出防止に
           欠かせない顧客情報の収集と管理(データベース)


  収集した顧客情報を有効活用するために整理しましょう。
   
  ■情報内容の整理

   情報の種類の欄から、該当する内容を上記に掲載の情報整理フォーマットでチェ
   ックします。

   その他の場合は、( )内にその内容を記入する。

   また、情報の取り扱いを判断する基準として、「信憑性」「重要性」「緊急性」の度合い
   を判断します。


  □顧客情報の入手先と手段

   営業活動中になんらかの情報を入手したら個人用と法人用それぞれのシートに記入
   して整理する。

   まず、どこから情報を入手したのか、その相手先と入手手段を記入します。

   情報の入手手段が面談によるのか電話か、または文書での連絡を受けたのかを書き
   込みます。 

  □情報内容と入手状況

   入手した情報を具体的に書き込みますが、そのときに注意する点は、誤解が起
   こらないよう、推測(〜のようだ)と事実(〜である)をはっきりと示すこと
   です。

   確認できない事柄については、憶測を避け、事実を書き込むようにします。

   また、「だれ」から「どこ」で得た情報なのか、またその時の「状況」はどう
   だったのかを正確に記入します。

   特に「状況」については、情報の信ぴょう性に関わってきますのでできるだけ
   正確に書き込みましょう。 

  □どのように活用するのか

   入手した情報をどのように活用するかを検討します。

   またそれに伴い、今後どのような情報を入手すべきかも合わせて考えてみまし
   ょう。

   例えば、「新社屋を建設する予定だ」という情報であれば、「いつ建設計画が
   具体化するのか」、「ライバル社(店)はどういう対応をしているのか」とい
   った情報を収集すべきです。

  □上司による対応の判断

   上記のことをフォーマットに記入し終えたら、トップ・上司へ報告を行いま
   す。

   トップ・上司は担当営業マンからさらに詳しく情報を聞き出したうえで、どの
   ような処置をとるかを判断します。


  □情報の共有化

   このフォーマットは営業マン個人だけでなく、トップへの報告はもちろん、必
   要に応じて社内での情報共有化にも活用します。

   このシートを必要部数だけコピーし、会議や打ち合わせ、関係部門への連絡・
   協力要請のために回覧します。

   新たに書類を作成する必要もありませんし、口頭で連絡するよりも正確に情報
   伝達ができるというメリットもあります。

    お客様の「管理」「囲い込み」「保全」「信頼関件の発展」とは、具体的な行動
   としては、何をすることでしょう。

   もちろん通常あなたが行うべき基本的な業務を実行することは、もちろんです
   が、具体的には以下の3点の実行です。

   「顧客管理」とはお客様に対する

    *クロスセリング(その商品に関連する商品を薦める)の実行

    *アップセリング(その商品より高額、上位品を薦める)の実行

    *リレーションシップ・マーケティング(顧客との良好な関係)の実行

  ■お客様との接点を増やす

    お客様とどのくらい接点がありますか?大多数のお客様とは1回の商取引だけ
   で、お客様の顔を思い出せないなんてことはないですか?

   あなたのすべきことは、お客様から情報の収集、そしてお客様への情報の提供
   です。

   すなわち、この情報交換作業こそが、顧客満足のためのサービスの実行に他な
   りません。 

  ■「顧客管理」と「契約者管理」

   あなたのデータベースは契約者管理になっていないだろうか。

   そういう私も、15年前までは顧客管理というには程遠い管理内容でした。

   購入していただいた日付と商品名だけのお客様(契約者)データでした。

   当然集客(営業)活動も熱意と根性に任せたもでした。

   そんな私がなぜ顧客データの重要性を声高に叫んでいるか?

   本場米国の翻訳本、その名のとおりデータベース・マーケティングというタイ
   トルでした。

   この本を読んだとき、もしこれが実践できたらいままでのような営業から開放
   されると真っ先に思ったのでした。

   ですから、あなたには私のようなつらくて苦しい営業活動をいつまでも続けて
   欲しくないのです。

   売上げアップには顧客情報の管理が命です。
   既存客への単価アップや顧客の流出防止は顧客
   満足度の向上にあり、これらを実践していくためには
   お客様の履歴が必要です。

   そして、営業をつらくて大変な活動から開放してくれる
   のも顧客データがあれば解決できるのです。

   今あるパソコンに顧客データを入力・管理し、営業の道
   具として活用することです。

   顧客情報の管理をしなくては売り上げアップのための計
   画も行動も、画餅であって実現不可能となってしまうから
   です。

   パソコンもデータ入力しなければただの箱に過ぎません。  

   ■お客様情報収集の目的

   ここで大事なことは、何故、お客様の情報を集めるのか?情報を集めてどうす
   るのか?

   その意味が正しく理解されないと、情報収集は長続きできません。

   最近は昔と違い「契約情報管理」ではなく「顧客情報管理」と言われていま
   す。

   お客様の「契約内容の把握、管理」だけではお客様のすべてを把握、管理して
   いることになりません。

   これからは一人のお客様全体に対して、一つの会社・店といったワンストッ
   プ・サービスの時代となってきています。

   お客様単位のサービスを考えていかなければなりません。

   お客様情報の収集と管理を考える上でもっとも大事なことは、

    ①何のために情報を収集、管理するのか(収集の目的)

    ②どんな情報を収集するのか(収集の対象)

 

   以上のことを自分でしっかりと確認しておくことです。

   お客様の情報の収集は、お客様を丸ごと抱え管理していくこと、他社(店)にお客

   様を奪われないよう保全すること又、更にお客様とのより良いリレーションシ
   ップ(信頼関係)を維持・発展させていくためです。
   
  ■顧客管理

   営業マネジメントには「業績先行管理」、「行動管理」、「顧客管理」の3点が
   挙げられますが、ここでは顧客管理について解説します。

   売上向上のために必要な顧客管理とは、顧客に優先順位を付けることで、限ら
   れた営業リソースを集中することにあります。

   かつて、「お客さまは神様」であり、購入金額が少ない顧客と大きい顧客への
   対応に差を付けることは悪いことであるという考え方が一般的でした。

   しかし現在では、顧客ロイヤルティーに合わせた対応をすることが当たり前と
   なっている。

   飛行機へのチェックインのためにカウンターで長蛇の列に並んでいるとする。

   その横で、ファーストクラスの搭乗者が並ばずに手続きをしていても、不快感
   を感じる人は少ないでしょう。

   「すべての顧客と分け隔てなく平等にお付き合いすること」と、「適切なお付
   き合いをすること」は違います。

   逆に過剰なサービスは、顧客に不快感を与えることさえあるのです。

   「CS(顧客満足度)の向上」という“お題目”のもとに、すべての顧客に最高の
   対応を心がけようとするのは、全く無意味なことである。

  優先順位の付け方と活用法

    一般に、取引額の上位2割の顧客が8割の売上げを占めると言われている
   (パレートの法則:80対20の法則)。

   その上位2割の顧客に対して、

    1.既存顧客の維持を重視

      ロイヤルティー・マーケティングでは、新規顧客の獲得以上に既存顧客の維
      持を重視します。

      既存顧客の満足度を高めることによって顧客の離反率を下げ、長期的な関
      係づくりを目指します。

    2.顧客を貢献度に応じて区別

      すべての顧客は平等ではないという原則「顧客不平等論」を是とし、企業の
      売り上げや利益に多く貢献する優良顧客とそうではない顧客を明確に区別し
      ます。

      その際には、顧客を区別する基準となるデータが必要となるため、情報シス
      テムを活用して顧客情報の収集と分析が行われます。

    3.優良顧客を優遇

      優良顧客に対してはより多くのサービスや特典を与えるなど優遇する一方、
      逆に非優良顧客へのそれは少なくします。

      つまり、自社のマーケティング資源をより優良顧客に多く配分し、非優良顧客
      への配分を少なくします。

  □顧客情報として把握すべきもの

   実際に現場で使える情報として、次の五つの顧客情報を管理しておきたい。

   (1)年商、拠点数、創立年月日、所属団体、決算月・取引銀行、従業員数、
     車両購入先、車両台数、売り場面積などである

   (2)信用情報

     帝国データバンクやTSR(東京商工リサーチ)など、信用調査会社の
     評点を参考にする。

   (3)決裁ルート

     キーパーソン(決裁者および決定に重要な影響を与える人)、決裁権者・
     ルート、
     など。
     もし会議で意思決定しているのであれば、会議の開催時期など。

   (4)取引履歴および最初の取引のキッカケ

     取引履歴を活用している企業は多いものの、新規取引のキッカケを把握し
     ているところは少ない。
     ここに新規開拓のヒントが隠れているかもしれない。

   (5)商談履歴

     必要最低限のメモ書きが残されていることが望ましい。

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