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社内不正の防止策 |
■社内不正は企業土壌に 最近の新聞記事を見ても、実に多くの「社内不正事件」 があることに気付く ことでしょう。 しかも、表面化した社員不正は、実体から見れば“氷山の一角”に過ぎません。 社員が不正に走るきっかけは様々です。 例えば、取引先と親しくなりすぎてその誘惑に負けるとか、単に現金に直接 触れることが出来るから、それを懐に入れるとか、組織的な社内不正に経理 担当者が巻き込まれるとか、さらに、社内での業績を上げる、いわば出世のため に不正に走る、といったことです。 会社側にも原因がある場合が多いようです。 「臭いものには蓋」 というか、日本企業独特の企業風土といってもいいかも しれません。 例えば、ある社員はとても仕事ができるが、一方で不正を行っているという 噂があるとします。 この場合本来であれば直ちにその不正を究明し、処罰の対象とすべきなのですが、 往々にしてその小さな不正には目をつぶり、むしろ責任者の度量を示すかのごとく 振る舞い、うまく使ってやろうという考えが働くようです。 「責任とその所在」 を明確にせず、うまく事を運ぼうとするその体質が不正の 芽を育てていくのです。 過去の事例では、不正はあらゆる会社にその萌芽があり、特に不正が生まれやすい 会社は2つのタイプに分かれると言います。 1つは、急成長しているが会社の組織、人事など内部体制がその規模の拡大に 追いつかない会社。 もう1つは、業績悪化が何年も続き、社内の雰囲気が暗く、人心が乱れている 会社です。 □事前の調査で不正の温床を探る ここで原因論を云々していても、具体的に今行われているかもしれない不正を 発見し、予防することにはなりません。 病気の原因を調べても、その病の部位の発見、さらには治療を行わなければ 治らないのと同じです。 そこで、未然防止や早期発見をいかにすべきか、ということになります。 ◎「企業健康度リスト」でチェック 早期発見は、まず社内不正の芽があるか、または不正が存在してるかどうか の確認から始めます。 これには社員・従業員の素行、勤務態度、勤務部署など人の動きから、 不正の起こりそうな場所、人物をある程度見極めることです。 その際、一例として「企業健康度チェックリスト」があります。 このリストの中の「休日出勤する社員」「全く休暇をとらない社員」 などは 職務熱心で、通常は社内的に信用のおける社員とされています。 しかし、その社員が同時に「過去に不正をした者」あるいは「サラ金に出入り している者」であったとしたら、ちょっと疑問を感じざるを得ません。 さらに、このチェックリストの“YES”の項目が総体的に多い場合は、はなはだ 憂慮すべき事態と考えていいでしょう。 仮に、これらの者が勤務部署として内部管理の甘い部署に就けば、恐らく かなりの確率で不正を行うことは明らかです。 こういった観点から「企業健康度チェックリスト」を使用し、チェックすべき 部署あるいは人物を特定する方法です。 ◎社内チェックを誰がやるか 次の段階は社内チェック。 ここでは2つの大きな問題があります。 1つは「誰がチェックするのか」ということ、2つめは「社内のチェックに 対するコンセンサスをいかにして得るか」です。 誰がチェックするかについては、それでなくとも忙しい勤務時間の中で総務、 経理担当者が行うのか、それとも税理士に頼むのか、監査役が行うのか、 ということです。 ただ、企業外部の立場である税理士にとっては、こうした業務は税務顧問 としての仕事ではないので、特別に依頼しない限り実行は難しいでしょう。 また、社内チェックに対するコンセンサスは一朝一夕にできるものでは ありませんが、つね日頃からその必要性について説くこと、さらに代表者を はじめとして幹部が身辺を清潔にしておくことが重要です。 チェックの結果、会社の弱い部分が明らかになり、内部牽制組織の充実への 一歩が刻まれていきます。 しかし、チェックの実行やチェックシステム導入の必要性は痛感しながらも、 はっきりと不正が露呈していない限り、実際に特定の部署が担当する業務や 特定の社員が扱った取引についてチェックを入れることは難しいのが事実です。 今まで培われてきた信頼関係にひびを入れるようで、経営者としても心情的に 言い出すだしにくいようです。 そこで、そういった様々な心理的障害をクリアーするために、以下のような 理由設定を行い、他の役員や社員のコンセンサスを得たらどうだろうか。 要は、特定の部署や、特定の社員をターゲットにしているのではないという 雰囲気作りであり、そうすることで、ごく自然にチェックを入れることが 出来るのではないだろうか。 例えば、チェックの実行に際しては、 ①融資を受けている、もしくは融資の追加を依頼している金融 機関からの要請で診断のための監査が必要となった ②近々に税務調査が想定されるので、事前準備のため帳票書類の 見直しが必要になった、 ③新しいコンピューターシステムを導入するために、会計手続き や帳票記録の見直しが必要となった ④将来、合併その他の会社再構築に向けて株式の評価や、体力 評価のために財産債務の洗い出しが必要となった などが理由です。 こうした“大義名分”を用意することで、意外にスムーズに理解が得られます。 チェック対象のターゲット部署だけでなく、他の2〜3の部署も合わせて実行 する配慮も必要でしょう。 さらに、内部チェックシステムの導入に際しては、株式公開における資格 審査事項の中に、内部統制組織の整備と運用の状況が挙げられていることを 示し、「企業内不正をチェックするシステムを持たない企業は、成長企業 としての道を歩めない」ことをトップが力説するのも一法でしょう。 □内部チェックの実行は社内の信頼感が前提 社内不正を防ぐには内部牽制制度を設けることです。 内部牽制というのは、一例を挙げれば、「一つの取引事実を一人の担当者で 完結させない」こと。 さらに「一人の担当者が営業活動をし、受注契約を取り、現金を回収する」 ことをさせない、 「一人の担当者が会社の預金通帳を預り、現金を入金し、 あるいは出金し、さらに小切手を記入し、社印を押印する」ようなことを させない、等です。 させてしまえば、過度の値引販売をするとか、回収を遅らせて取引先の便宜 を図り「バックリベートを収受する」 など、また「現金の横領とそれを隠蔽 するための不正経理」 の恐れがあります。 だから「受注」「販売」「回収」の各部門を担当者別に分けることや、入出金 業務と現金出納帳記帳業務を分け、さらに小切手の記入者とその押捺者を 分けることが、すなわち内部牽制となるのです。 そしてもう一つ重要なことは、これらの内部牽制機能を維持するために社内 基準を策定し、それを社員が順守するよう徹底することです。 こうして内部牽制組織が出来上がりますが、これですべて終わりというわけには いきません。 人が替わり、組織に変更があれば、またその牽制組織の見直しが必要となり、 さらに、不正はその牽制組織の網の目をくぐって行われることもあるからです。 従って、随時行うことで一層、内部牽制組織を充実していく必要があります。 ところで、チェックの手法として一般的には「帳簿」「記録類」「現金」「現物」 の突合があります。 何と何の突合が、あるいはどのようなオーダーで突合するのが容易で効果的 かを、チェック担当者自らが考えながら実行していかなければなりません。 このチェックをする際に使用する道具として、「部門別業務チェックリスト」 があります。 以下その一部を紹介しましょう。 ◎営業部門のチェックリスト例の項目内容 ・未使用の領収書の回収状況、保存状況を確認する ・商品券や印紙などについて、その使用先、使用理由、使用枚数 などを申請書にもとづき確認する ・商品券や印紙などの受払簿の残高と現金を照合する ・売掛債権について半期もしくは四半期ごとに得意先との残高確認 が行われているか確認する ・最近の取引に係わる債権が回収されているにも関わらず、過去の 取引の係わる債権が未回収になっているものはないか確認する ・年間の取引金額に比べて、売掛金残高が過大な取引先はないか 確認する ・取引停止後、長期に滞留している債権についてその原因を究明する ・売掛債権の償却内容について、所定の社内基準と照合する ・売掛債権について紛争が発生している場合、その内容を確認する ・売掛金台帳の売掛残高と得意先元帳の売掛金残高を確認する ・受取手形記入帳の受入金額と得意先元帳の手形決済額を照合する このチェックリストは一応誰にでもできるように体裁を整えています。 各業務の段階別にグルーピングされているものですが、例えば、受注に 関し「受注記録簿と売上日報、納品書、請求書を照合する」 というのがあります。 この場合留意すべきことは、不当に廉価で販売されていないか(バックリベート の収受)ということです。 納品書(控) の単価、日報における取引先と担当者の交渉の経緯などを中心に 調査をする必要があります。 また、記録類の相互の関連と、いつ誰がどこで…という発想から記録相互間の チェックを行い、不突合が発見された場合、その原因を最後まで追及するという ものです。 以上のまとめとして、最低限のチェックポイントを次のように列挙します。 (1)売掛金について得意先に残高確認をすることが出来るか、また、 したことがあるか。 (2)買掛金・未払金について相手先経理担当者に直接確認できるか、 また、したことがあるか。 (3)仮受金・仮払金・預り金・前渡金などの仮勘定等について滞留や 個人別整理をしたことがあるか、また、報告書を提出したことが あるか (4)在庫品の帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の照合を行い、その差を 追及している か。 (5)固定資産の現物と固定資産台帳との照合を年1回行っている か。 このように、企業が行うべきことは簡単ですが、実行されていないし、 その意識も薄いことが問題なのです。 社内に何かおかしなことがあると薄々感じながら、それを放っておくことに よって、社員も何か自分たちが疑われていると感じつつ何事も解決されず 仕事を続けるようでは、モラールも低下し不正も横行する。 悪い部分は早めに的確に摘出し、内部牽制システムを確立し、お互いに信頼 し合える職場を目指さなければなりません。 つまり「暗い中での信頼関係ではなく、会社の中に明かりをつけよう」 という わけです。 トップは自ら襟を正し、社員各々もその明かりを絶やすことなく協力し合って 守り続ける努力こそが必要なのです。 協業のご案内 お問合せ・ご質問はこちら メルマガ登録(無料)はこちらから |
税務調査を受ける際の準備と対応策 |
■税務調査の概要 税務調査とは、 ・納税義務者が税務申告をしたとき、またはしなかったときに、納税義務者の ・更正の請求があったときに、その理由が正当かどうか を、税務署が確認するための事務をさします。 税務調査は、通常 1.準備調査 → 2.実地調査 という流れで行われます。 準備調査とは、調査官が実地調査を有効に行うために、重点調査項目の洗い出しや 各種収集資料や申告書・決算書類・事業概況説明書などをもとにして事業の概括調査と この準備調査で、前期や同業者の数値と比較して異常な部分があれば、実地調査で 実地調査とは、税務調査官が企業や事務所などに出向いて行う調査です。 この調査は大きく次の3つに分けられます。 ・帳簿調査・‥帳簿組織の検証、証憑書類の信憑性の検証、会計処理の ・現況調査…調査日現在の現金預金の実査、棚卸商品の仕入先などの調査、 ・反面調査…帳簿・現況調査だけでは疑問点が明らかにならなかった場合に、 通常は、調査が入る前に顧問の税理士に書類などのチェックを受けます。 そして、不都合な点を直し、調査官への対応の仕方なども税理士に指導してもらいます。 一般的には、次のことを事前に準備します。 ◎金庫、引出、キャビネット、ロッカーの整理整頓 ◎立証資料の準備 ◎会計処理、記帳ルールなどの確認 ◎記帳内容の確認 ◎社員への連絡 税務調査の上手な受け方としては、以下のようなことがあげられます。 ・質問調査に対して、自信をもって対応する ・調査官の質問内容に応じ、会社側の回答者(社長、経理担当者、税理士)を ・会社の不十分な点を指導してもらい、改善するという姿勢をとる ・帳簿、伝票などの取り出し、コピーなどは手早く行う ・質問がありそうなところは事前に説明資料を用意しておく ・回答が遅れるときは、その旨を調査官に知らせる ・顧問税理士に立ち会ってもらう また、言葉・身振り・雰囲気や説明の仕方によって税務調査官の受ける印象は変わっ 次のようなことには注意しておきましょう。 ○質問には迅速・丁寧に応対する 「経理担当者の人はいませんか」という質問に曖昧な回答をしたり、後ろでひそひ 税務署から税務調査の通知があり、その日がどうしても都合が悪い場合には変更 ○雑談の内容に注意する 調査官との応対のなかでもっとも注意が必要なのが雑談です。 調査官 「経済状況は厳しいですね」 社 長 「売上を10%増やすのも大変です。私たちの役員報酬も上げるどころで 調査官 「お子さんはどちらかにお勤めですか」 社 長 「2人ともまだ大学生です。○○大学と××大学なのですが、金がかかるば 調査官 「そうですか。お2人とも私立大学だと大変ですね。それだと役員報酬 社 長 「足りないときには会社から借りていますから」 質問内容に動揺すると思わず目を伏せたり、組んでいる足を揺すったりしてしまいがち このような身体の変化によって調査官の質問方法も変わってくるので、落ち着いて対応 特に問題がこじれたときには、感情的にならず冷静に対応するように心がけましょう。 トイレや急用で席を立つ場合には、きちんと断ってから出ていきましょう。
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株主代表訴訟 |
株主から代表訴訟を起こされたときに、どのように対処したらよいかについての一般的 株主代表訴訟とは取締役や監査役が、会社に対して責任を負うべき事態を発生 株主代表訴訟はアメリカ法にならって昭和25年に導入されたものです。 十分な検討もなされず導入された結果、ほとんど利用されることはありませんでした。 利用されない理由のひとつは、裁判所に納める手数料です。 金銭請求では訴訟金額が増えるにつれて、手数料も高額になります。 数百億円の訴訟だと手数料だけで億を超える金額になってしまいます。 また、訴訟に勝ったとしても、自分がお金を貰えるわけではなくお金は会社にいきます。 株主代表訴訟制度が注目されるようになったおもな要因は、バブル経済が崩壊し、 この改正により、株主代表訴訟による損害賠償請求は一般の損害賠償とは異なり、 そして、勝訴した場合には弁護士費用や調査費用は相当額であれば、会社から その後、株主代表訴訟は増え続け、平成11年末には220件に達しました。 翌平成12年には、大和銀行事件に関して、大阪地裁から取締役1人当たり829億円 株主代表訴訟が起こされるパターンを見ると、次の3つに分かれます。 ・同族会社などの内紛型 ・大企業の不祥事に対して一般株主が起こす市民運動型 ・会社や取締役個人を困惑させ利益を図ろうとする濫訴型 以下、株主代表訴訟はどのようにして起こされるのか、手順を追って説明します。 株主代表訴訟は、株主がいきなり訴訟を起こせるというものではありません。 訴訟を起こそうという株主は、これに先立って会社の監査役に対して書面で取締役 それにもかかわらず監査役が請求後30日(新会社法では60日)以内に訴えを提起 新会社法では、会社が代表訴訟を提起しない場合、株主または取締役の請求 また代表訴訟ができるのは6カ月前から引き続き株式を有する株主に限られます。 ただし、新会社法では定款の定めによって、この要件を引き下げられるとしています。 会社側では代表訴訟を起こした株主の原告適格の有無、株主が不正な利益を図る これらの場合は代表訴訟を提起できません。 またこれまでは自分または第三者の不正な利益を目的とするような不当な訴訟が 新会社法では、訴えが当該株主または第三者の不正な利益を図るものであったり、 株主代表訴訟を提起した株主は、訴訟を提起した後、遅滞なく、会社に対して また会社は、この告知を受けた場合には、遅滞なくこれを公告し、または株主に通知 前者は判決の効力が会社にも及ぶので、会社の利益を守る目的で訴訟に参加する 1.平成13年の商法改正 平成12年9月20日に下された大和銀行事件についての株主代表訴訟に対する この賠償額は、どんな会社の取締役であっても一生をかけて負担できるものでは 経済界から、取締役の責任の緩和および株主代表訴訟制度の改革を求める声が 平成13年の臨時国会において、株主代表訴訟における取締役の責任を軽減する おもな改正点は次のとおりです。 ・株主総会の特別決議によって責任免除を認めた ・責任を軽減できる額を定めた ・定款の規定により社外取締役は責任限定契約を締結できることにした 改正前の商法では、会社に対する取締役の責任を免除するためには、総株主の ただ、この原則は変更せず、一定の要件を満たした場合に、株主総会の決議による 責任を軽減できる額は、取締役が本来負担すべき額から、次の金額を控除した額 ①代表取締役については取締役報酬(ほかに会社から受ける職務の対価 ②取締役については4年分に相当する額 ③社外取締役については2年分に相当する額 なお、報酬のほかに退職金も対象となります。 定款の規定による責任軽減が認められるのは、社外取締役だけです。 これは社外取締役に就任する際などに、事前に責任限定契約を締結できるとする 社外取締役は業務執行の監督という色彩が強く、その人材確保の面から採用 このほかにも、会社の株主代表訴訟への補助参加、前述した株主代表訴訟が提起 平成14年の商法改正によって、新たな機関を設ける株式会社が認められるように これが「委員会等設置会社」です。 ただし、これが認められるのは商法特例法上の大会社です。 委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の設置が義務 各委員会は3人以上で組織し、その過半数は執行役でない社外取締役とされて 委員会等設置会社の執行役・取締役についても、株主総会の特別決議によって、 また、平成14年の改正法では、会社があらかじめ定款に定めを置いているときに これは、株主総会の特別決議による責任軽減だけでは、そのための臨時株主総会 なお、この制度を採用する場合には、株式を取得しようとする者や利害関係者に 平成18年度に施行される新会社法では以下のような改正がなされました。 たとえば、総会屋が訴訟以外の場で金銭を要求する目的で代表訴訟を起こ この不正な目的の証拠収集等の義務は被告の側にあります。 これに該当する場合は、株主は代表訴訟を提起できず、それにもかかわら 株主代表訴訟を起こすためには、過去6カ月前から引き続き株式を保有して 株式を売却するなどして株主でなくなると、原告としての資格(原告適格)を 新会社法では、株主であった当該会社が株式交換または株式移転によって 株式会社は、株主による提訴要求を受けた日から60日以内に責任追及等の 新会社法849条1項で、株主または株式会社は、『共同訴訟人として、又は 従来の商法では「株主又ハ会社ハ前項ノ訴訟二参加スルコトヲ得」とのみ規定 そこで、疑義をなくすために、補助参加することができる旨を条文で明確にし 対策には、提訴の請求が来た場合と訴えを起こされた場合の2段階があります。 株主代表訴訟は、株主から会社への提訴請求で始まります。 株主の提訴請求の目的が、自分のまたは第三者の利益を前提としているもので 新会社法では、株主代表訴訟の対象とはならなくなります。 通常、会社に対する提訴請求は内容証明郵便で行われますから、会社としてはまず、 ①その株主は会社の株式を6カ月以上保有しているかどうか。 ②提訴請求は会社の監査役に対して行わなければなりません。 ③誰の責任を追及せよというのが明らかになっているかどうか。 ④どういう責任を追及せよというのが特定されているかどうか。 もし、これらの点をチェックした結果、ポイントをクリアできていなければ、30日(新 もちろん、一方では、提訴理由となっている事実の調査や資料・証拠の収集にも 絶対にやってはいけないことは、株主代表訴訟を止めさせるために、取締役が訴訟を 与えた取締役はもちろん、株主も贈収賄や利益供与の罪に問われかねません。 次に実際に株主代表訴訟が提起された場合の対策ですが、会社として、その取締役 次いで、会社がその訴訟に補助参加するかどうかを検討します。 補助参加するのであれば、会社が取締役の主張や立証を代わって行えるからです。 最後の切り札は、訴訟費用担保提供の申立てです(商法267粂5項、新会社法 これは代表訴訟が被告(取締役)に損害を与える場合、その損害賠償請求権を担保 これまでの裁判を見てみますと、担保提供命令が認められたケースでは被告勝訴 ポイントは、代表訴訟を申立てた原告の主張がいかに不当なものであるかどうかを 法律にはその内容により様々な特則や例外があります。 個別事例については、弁護士あるいは弁護士会の法律相談所、家庭裁判所の相談
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不祥事の発生とトップの姿勢 |
不祥事は経営陣から末端の社員に至るまで、枚挙にいとまがありません。 規制制度が増えるということは、それだけ企業の不祥事が多発しているということで、 内容においても巧妙になり、複雑多様化してきています。 責任においても大企業であれば、首のすげ替えで済みますが、中小企業ではそう 中小企業にとって、不祥事は廃業という最悪の事態を招きかねません。 規模の大小にかかわらず、「対岸の火事」ではないことを認識しておきましょう。 不祥事対策には起こさない予防対策と起きてしまった場合の対策の2つがあります。 一般的に日本では各種安全法規が充実しており、結果、事故発生率が比較的低いため、目に 就業規則の重要性については言うまでもありません。 貴社では以下のような問題が発生した場合の懲戒処分の対策を講じていますか? ・社員が転勤・出向命令を断ったら ・不祥事を起こした社員の給料を減額するには ・私用メールをしている社員について ・アルバイト禁止のルールを守らなかった社員について ・ミスを隠す社員について ・嘘をついて有給休暇を取った ・問題社員について ・いじめを繰り返す社員について ・経歴詐称について ・協調性が悪い社員について ・細かいミスをする社員について ・試用期間中の社員を解雇したい ・能力不足による社員を解雇したい 従業員数の規模に関係なく自社を守り、従業員を守るためにも就業規則を含め、社内規程の 対策は必ず講じておきましょう。
制度として、コンプライアンス(法令遵守)、CSR(企業の社会的責任)、コーポレー 企業の不祥事は社会的信用を著しく毀損し、最悪の場合はそれによって廃業に追い これほど経営に大きな悪影響を及ぼすことがわかっているにもかかわらず、不祥事は 不祥事を起こしてしまった企業の社長でも最初は悪気などまったくなかった人がほと しかし、経営が厳しくなってきたときなどに「悪いことだとは思うけれども、これぐらい また、社長の知らない、報告がないなどで不祥事が発生したケースでは次のような ・経営理念が全く浸透していない ・短期的な偏った「儲け」の雰囲気が社内に充満している ・役員幹部が絶対的な権力をもち、従業員の進言などい切開かない ・重大事項が上層部のみで秘密裏に決められ、従業員には知らされていない ・日常的な「報・連・相」などのコミュニケーションが非常に悪い ・社内の「見える化」対策がまったくできていない 不祥事発生の責任のすべては社長にあります。 社長が社内の環境整備を怠った結果であり、不祥事を起こした人の責任もありますが、 不祥事を防止するためには管理体制の構築が不可欠ですが、いくら厳格な管理体制を むしろその管理体制を逆手にとって巧妙な手口で不正が行われることも考えられます。 自分の会社の状況を振り返ってみて、少しでもこのような兆候がみられたら、早急に改善 また、会社業務だけではなく、従業員のプライベートな生活態度についても指導していく その際にもっとも簡単な方法は、現状の管理システムを見直すことです。 どのような会社でもすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはず その仕組み(管理システム)をたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止 製造部門では、特別な理由もなく原価が大きく変動することは少ないはずです。 したがって一定のプレ幅を超えた原価変動については、その理由を部門長にきちんと このように各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するため 隠蔽は完全な逆効果となります。 不幸にも不祥事を起こしてしまった場合、それを隠蔽しようとすればするほど会社の 問題そのものに加えて隠蔽姿勢に対しても、社会の厳しい目が向けられます。 不祥事が起きたら事態の収拾を急ぐことはもちろんですが、実際に何が起こったか、 情報公開は直接の被害者だけでなく、必要に応じて主要取引先や銀行さらにはマス 多くの会社ではすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはずです。 未整備の会社であればクレーム対応(マニュアル)、危機管理(マニュアル)等を参 その場合、仕組みをたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止にも役立つ 各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するための仕組み 不祥事発生という緊急時に、事態の収拾と適切な情報公開を同時に進めるのは困難 そのため日頃から起こり得る不祥事を想定して、発生時にどのような対応を取るかを マニュアルには社長に正しい情報が即座に上がってくる仕組み、「危機管理委員会」 事態が収拾してきたら、不祥事が起こった原因を掘り下げます。 たとえば、経理担当者に不正が発覚した場合、担当者個人だけではなく、管理体制 真の原因を特定し、確実な再発防止策を講じることが大切です。 また、その取り組み状況を社内外に十分に説明することも必要です。 企業として社会的な使命を全うしていくための経営(「CSR経営」)が求められます。 その場限りの解決にしないためにも、不祥事を発生させた人への追求よりも、発生の 組織の体質が最もよく表れるのは、負け戦や不祥事が起きた時である。 個々の人間も苦境に陥った時にこそ、その人の真価が問われます。 順調な時・平穏な時は、皆「いい人」でいられるのです。 では、逆境の時に表れる「本質」とは、どのようにして培われるものでしょうか。 結局は、その人の体験や受けた教育、躾を通して培われた「人生観」に帰する。 集団を率いていくためには「信賞必罰」が不可欠でしょう。 特に、してはならないことをした場合、「必罰」が絶対に必要である。 「必罰」がないから、平気でルールを破るのである。 甘さは結局、本人も会社も駄目にしてしまう。 では、これだけで「強い会社が作れるか」となるとそうではありません。 やはり「思想集団」の一面がないと、真に強い組織にはなり得ない。 特に営業、小口のリフォームやメンテナンス業務などは一人で仕事をする機会が多く そのモラルを維持するためには、社員教育を通し「会社の思想」を共有し共振する したがって、このような社員がそろっている会社は強い。 せめて幹部だけでもこのような人材がそろっていれば、会社は大きく変わってくる。 やはり、「経営は思想(企業文化)なり」が基本です。 会社の成長過程においては、特に社員教育の重要性を再認識することです。 決して社員は時間の経過とともに勝手に育つわけではないのです。
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不祥事防止と企業の社会的責任 |
■不祥事発生の原因 企業の不祥事は後を絶ちません。 不祥事は自社の社会的信用を著しく毀損し、最悪の場合はそれによって廃業に 不祥事が発覚した企業の多くは、経営陣の関与を否定し、「現場が突っ走って その真偽のほどはわからないが、仮にそれが本当だとしても当然ながら経営 たとえ社長自身は日頃から「正しい経営」を心掛けていたとしても、それを従業 もちろん社長自身が不正を指示していた場合は、もはや釈明の余地はありま 社長は不正によって消費者に損害を与えただけではなく、社長という権限を 社長が社内外から糾弾されることは間違いないでしょう。 不祥事のなかには、消費者に直接は影響を与えない内部的なものもあります。 たとえば、経理担当者が取引先と共謀していわゆる「カラ発注」によって経費を 実際の被害の大きさもさることながら、このようなことが外部に漏れると会社の ここまで悪質ではなくとも、本来なら経費として認められない費用を会社に請 そして、これらの不正が半ば「当たり前」のような意識で行われるようになると、 これらの不正のほとんどは、ちょっとした工夫で防止することができるはずです。 実態調査を行い、もし不正が発見されたら、不正を行った社員を罰するだけで また、金銭面の不祥事だけでなく、セクハラやパワハラ(上司がその権力を利 被害者を出さない、つまりセクハラやパワハラを防止することが第一ですが、 さらに、従業員がプライベートな時間に飲酒運転や傷害事件などの問題を起 これらの不祥事は会社とは直接関係ありませんが、報道やインターネット上な 1.社長への早期報告が不祥事を防ぐ また、現状の管理システムの延長だけでなく、たとえば、「社長ホットライン」の 現場の従業員が「うちの部門長の行動はおかしいな」と感じることがあっても、 そこで社長が日頃から「疑問を感じたら何でも相談してほしい」という姿勢を示 その際には「社長への直訴は密告ではなく会社をよくするため」、「直訴した内 さらに社長自身も牽制を受ける、つまり社長の判断に対し、周囲が「それはお 社長が「この施策は我が社のために絶対必要」と感じていても、別の角度から 事実、社長が主導して不正を行っていた企業では、会社のために良かれと思 上場企業などの大手企業では、株主総会や役員会といった牽制機能が働き いかに優れた社長であってもつねに正解を導き出せるとは限りません。 特に経営の重要事項を決定するときには経営幹部や専門家の意見にも耳を 1.企業の社会的使命を果たす 前項まで不祥事の防止および発生後の対応について説明してきましたが、不 ここからはそのための代表的な考え方である、「CSR」を中心に説明していきます。 CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で通常は「企業の社会 社会的責任の意味するところは、 企業は、自社の利益を追求するだけではなく、社会の一員としての ということです。 そして、このような社会的責任を積極的に果たしていこうという「CSR経営」を CSR経営という言葉からは何やら大変そうな印象を受けますが、ある中小企 飲食店などでは毎日の店外掃除のときに自店の前だけでなく、「向こう三軒両 しかし、社長は「うちはまだ小さくて金銭的な社会貢献はできないから、せめて やがて社長が強制したわけでもないのに、従業員が自主的に掃除を手伝うよ この活動を通じて実際の社会貢献を果たしているだけではなく、従業員の「奉 この事例のようにどのような企業でも明日からCSR経営を行うことが可能です。 まずはその意志と行動を社長自らが示すことが重要なのです。 東京商工会議所では会員企業に対して、企業行動のあり方を示す「企業行動規範」を これは不祥事の防止につながるだけでなく、さらに進んだCSR経営の推進にも役 以下にその抜粋を紹介しますので、自社の行動規範作成の参考としてご活用くだ 法令を遵守し、立法の趣旨に沿って公明正大な企業活動を行い、社会の信頼 社会の声に積極的に耳を傾け、必要な企業情報を幅広く適時、適切に開示し、 地域の健全な発展と快適で安全・安心な生活に資する活動に積極的に参加・協 環境に配慮した企業活動を行い、環境と経済が調和した持続可能な社会の構 顧客のニーズにかなう商品・サービスとそれらに関する正しい情報を提供すると 公正なルールに則った取引関係を築き、円滑な意思疎通により取引先との信頼 従業員の人格・多様性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、それぞれの 公正かつ透明性の高い企業経営により、出資者や事業資金の提供者の理解と 政治・行政とは健全かつ透明な関係を維持し、不当な癒着や公正さを欠く活動 社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力、団体に対しては、毅然とした態
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ブラック企業(82%の企業が法令違反) |
厚生労働省のブラック企業への集中調査の結果、82%の企業が法令違反でした。 2014年9月、ブラック企業への集中調査が行われ、先般、この集中調査の結果が それによると、調査実施事業場5,111事業場のうち82%にあたる4,189事業場に 調査に対し、その82%にあたる事業場で何らかの労働基準関係法令違反が認めら 最も多かった違反事項については労働時間で、43.8%の事業場で法令違反が認め 調査事業場のうち、1.120事業場に対して過重労働による健康障害防止措置を講じ 調査により是正勧告等が行われた事例については、以下の通りです。 なお、⑤の事例については、その悪質性から、送検に向けて対応が行われています。 ①長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、 ②社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を ③営業成績等により、基本給を減額していた。 ④労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割 ⑤賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導した 今回の調査については、次年度も引き続き行われる予定です。 ブラック企業と言われないためには、以下の3つの取り組みが重要となるので、早急な 1.長時間労働の抑制と過重労働による健康障害防止対策の徹底 (1)時間外労働、休日労働時間の削減 (2)年次有給休暇の取得促進 ・計画的付与制度の活用等により、年次有給休暇の取得促進を図る。 (3)労働者の健康管理に係る措置の徹底 ・健康管理体制を整備して、健康診断を実施する。 ・長時間労働を行った労働者に対しては、医師による面接指導等を実 2.不払残業の解消 (1)労働時間の適正な把握 (2)職場風土の改革 ・経営トップによる決意表明や社内巡視等による実態の把握。 (3)適正に労働時間管理を行うシステムの整備 (4)労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化、チェック体制の ・労働時間を適正に把握するための責任者を明確にするとともに、複数 (1)「職場のパワハラをなくす」ということをトップのメッセージとして明確に示 (2)従業員アンケートを実施する等により、実態把握を行う。 (3)パワハラに関する研修や教育を実施する。 (4)相談や苦情処理の窓口を設置したり、対応責任者を決める等、職場の (5)行為者に対する再発防止研修を行う等、再発防止への取り組みを行う。 |
対応エリア | 静岡・愛知県内、東京周辺 |
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