社内不正の防止策

            

社内不正の防止策

  ■社内不正は企業土壌に 
   最近の新聞記事を見ても、実に多くの「社内不正事件」 があることに気付く
   ことでしょう。
   しかも、表面化した社員不正は、実体から見れば“氷山の一角”に過ぎません。 
   社員が不正に走るきっかけは様々です。
   例えば、取引先と親しくなりすぎてその誘惑に負けるとか、単に現金に直接
   触れることが出来るから、それを懐に入れるとか、組織的な社内不正に経理
   担当者が巻き込まれるとか、さらに、社内での業績を上げる、いわば出世のため
   に不正に走る、といったことです。 
   会社側にも原因がある場合が多いようです。
   「臭いものには蓋」 というか、日本企業独特の企業風土といってもいいかも
   しれません。
   例えば、ある社員はとても仕事ができるが、一方で不正を行っているという
   噂があるとします。
   この場合本来であれば直ちにその不正を究明し、処罰の対象とすべきなのですが、
   往々にしてその小さな不正には目をつぶり、むしろ責任者の度量を示すかのごとく
   振る舞い、うまく使ってやろうという考えが働くようです。
   「責任とその所在」 を明確にせず、うまく事を運ぼうとするその体質が不正の
   芽を育てていくのです。 
   過去の事例では、不正はあらゆる会社にその萌芽があり、特に不正が生まれやすい
   会社は2つのタイプに分かれると言います。
   1つは、急成長しているが会社の組織、人事など内部体制がその規模の拡大に
   追いつかない会社。
   もう1つは、業績悪化が何年も続き、社内の雰囲気が暗く、人心が乱れている
   会社です。

  □事前の調査で不正の温床を探る 
   ここで原因論を云々していても、具体的に今行われているかもしれない不正を
   発見し、予防することにはなりません。
   病気の原因を調べても、その病の部位の発見、さらには治療を行わなければ
   治らないのと同じです。
   そこで、未然防止や早期発見をいかにすべきか、ということになります。

   ◎「企業健康度リスト」でチェック 
    早期発見は、まず社内不正の芽があるか、または不正が存在してるかどうか
    の確認から始めます。
    これには社員・従業員の素行、勤務態度、勤務部署など人の動きから、
    不正の起こりそうな場所、人物をある程度見極めることです。 
    その際、一例として「企業健康度チェックリスト」があります。
    このリストの中の「休日出勤する社員」「全く休暇をとらない社員」 などは
    職務熱心で、通常は社内的に信用のおける社員とされています。
    しかし、その社員が同時に「過去に不正をした者」あるいは「サラ金に出入り
    している者」であったとしたら、ちょっと疑問を感じざるを得ません。
    さらに、このチェックリストの“YES”の項目が総体的に多い場合は、はなはだ
    憂慮すべき事態と考えていいでしょう。 
    仮に、これらの者が勤務部署として内部管理の甘い部署に就けば、恐らく
    かなりの確率で不正を行うことは明らかです。
    こういった観点から「企業健康度チェックリスト」を使用し、チェックすべき
    部署あるいは人物を特定する方法です。

   ◎社内チェックを誰がやるか 
    次の段階は社内チェック。
    ここでは2つの大きな問題があります。
    1つは「誰がチェックするのか」ということ、2つめは「社内のチェックに
    対するコンセンサスをいかにして得るか」です。
    誰がチェックするかについては、それでなくとも忙しい勤務時間の中で総務、
    経理担当者が行うのか、それとも税理士に頼むのか、監査役が行うのか、
    ということです。 
    ただ、企業外部の立場である税理士にとっては、こうした業務は税務顧問
    としての仕事ではないので、特別に依頼しない限り実行は難しいでしょう。
    また、社内チェックに対するコンセンサスは一朝一夕にできるものでは
    ありませんが、つね日頃からその必要性について説くこと、さらに代表者を
    はじめとして幹部が身辺を清潔にしておくことが重要です。 
    チェックの結果、会社の弱い部分が明らかになり、内部牽制組織の充実への
    一歩が刻まれていきます。
    しかし、チェックの実行やチェックシステム導入の必要性は痛感しながらも、
    はっきりと不正が露呈していない限り、実際に特定の部署が担当する業務や
    特定の社員が扱った取引についてチェックを入れることは難しいのが事実です。
    今まで培われてきた信頼関係にひびを入れるようで、経営者としても心情的に
    言い出すだしにくいようです。  
    そこで、そういった様々な心理的障害をクリアーするために、以下のような
    理由設定を行い、他の役員や社員のコンセンサスを得たらどうだろうか。
    要は、特定の部署や、特定の社員をターゲットにしているのではないという
    雰囲気作りであり、そうすることで、ごく自然にチェックを入れることが
    出来るのではないだろうか。 
    例えば、チェックの実行に際しては、
     @融資を受けている、もしくは融資の追加を依頼している金融
      機関からの要請で診断のための監査が必要となった
     A近々に税務調査が想定されるので、事前準備のため帳票書類の
      見直しが必要になった、
     B新しいコンピューターシステムを導入するために、会計手続き
      や帳票記録の見直しが必要となった
     C将来、合併その他の会社再構築に向けて株式の評価や、体力
      評価のために財産債務の洗い出しが必要となった
    などが理由です。 
    こうした“大義名分”を用意することで、意外にスムーズに理解が得られます。
    チェック対象のターゲット部署だけでなく、他の2〜3の部署も合わせて実行
    する配慮も必要でしょう。
    さらに、内部チェックシステムの導入に際しては、株式公開における資格
    審査事項の中に、内部統制組織の整備と運用の状況が挙げられていることを
    示し、「企業内不正をチェックするシステムを持たない企業は、成長企業
    としての道を歩めない」ことをトップが力説するのも一法でしょう。

  □内部チェックの実行は社内の信頼感が前提 
   社内不正を防ぐには内部牽制制度を設けることです。
   内部牽制というのは、一例を挙げれば、「一つの取引事実を一人の担当者で
   完結させない」こと。
   さらに「一人の担当者が営業活動をし、受注契約を取り、現金を回収する」
   ことをさせない、 「一人の担当者が会社の預金通帳を預り、現金を入金し、
   あるいは出金し、さらに小切手を記入し、社印を押印する」ようなことを
   させない、等です。 
   させてしまえば、過度の値引販売をするとか、回収を遅らせて取引先の便宜
   を図り「バックリベートを収受する」 など、また「現金の横領とそれを隠蔽
   するための不正経理」 の恐れがあります。
   だから「受注」「販売」「回収」の各部門を担当者別に分けることや、入出金
   業務と現金出納帳記帳業務を分け、さらに小切手の記入者とその押捺者を
   分けることが、すなわち内部牽制となるのです。  
   そしてもう一つ重要なことは、これらの内部牽制機能を維持するために社内
   基準を策定し、それを社員が順守するよう徹底することです。
   こうして内部牽制組織が出来上がりますが、これですべて終わりというわけには
   いきません。
   人が替わり、組織に変更があれば、またその牽制組織の見直しが必要となり、
   さらに、不正はその牽制組織の網の目をくぐって行われることもあるからです。
   従って、随時行うことで一層、内部牽制組織を充実していく必要があります。
   ところで、チェックの手法として一般的には「帳簿」「記録類」「現金」「現物」
   の突合があります。
   何と何の突合が、あるいはどのようなオーダーで突合するのが容易で効果的
   かを、チェック担当者自らが考えながら実行していかなければなりません。
   このチェックをする際に使用する道具として、「部門別業務チェックリスト」
   があります。
   以下その一部を紹介しましょう。

   ◎営業部門のチェックリスト例の項目内容 
    ・未使用の領収書の回収状況、保存状況を確認する 
    ・商品券や印紙などについて、その使用先、使用理由、使用枚数
     などを申請書にもとづき確認する 
    ・商品券や印紙などの受払簿の残高と現金を照合する 
    ・売掛債権について半期もしくは四半期ごとに得意先との残高確認
     が行われているか確認する 
    ・最近の取引に係わる債権が回収されているにも関わらず、過去の
     取引の係わる債権が未回収になっているものはないか確認する 
    ・年間の取引金額に比べて、売掛金残高が過大な取引先はないか
     確認する 
    ・取引停止後、長期に滞留している債権についてその原因を究明する 
    ・売掛債権の償却内容について、所定の社内基準と照合する 
    ・売掛債権について紛争が発生している場合、その内容を確認する
    ・売掛金台帳の売掛残高と得意先元帳の売掛金残高を確認する 
    ・受取手形記入帳の受入金額と得意先元帳の手形決済額を照合する

   このチェックリストは一応誰にでもできるように体裁を整えています。
   各業務の段階別にグルーピングされているものですが、例えば、受注に
   関し「受注記録簿と売上日報、納品書、請求書を照合する」 というのがあります。
   この場合留意すべきことは、不当に廉価で販売されていないか(バックリベート
   の収受)ということです。
   納品書(控) の単価、日報における取引先と担当者の交渉の経緯などを中心に
   調査をする必要があります。
   また、記録類の相互の関連と、いつ誰がどこで…という発想から記録相互間の
   チェックを行い、不突合が発見された場合、その原因を最後まで追及するという
   ものです。  
   以上のまとめとして、最低限のチェックポイントを次のように列挙します。

   (1)売掛金について得意先に残高確認をすることが出来るか、また、
     したことがあるか。
   (2)買掛金・未払金について相手先経理担当者に直接確認できるか、
     また、したことがあるか。
   (3)仮受金・仮払金・預り金・前渡金などの仮勘定等について滞留や
     個人別整理をしたことがあるか、また、報告書を提出したことが
     あるか
   (4)在庫品の帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の照合を行い、その差を
     追及している か。
   (5)固定資産の現物と固定資産台帳との照合を年1回行っている か。 
   このように、企業が行うべきことは簡単ですが、実行されていないし、
   その意識も薄いことが問題なのです。 
   社内に何かおかしなことがあると薄々感じながら、それを放っておくことに
   よって、社員も何か自分たちが疑われていると感じつつ何事も解決されず
   仕事を続けるようでは、モラールも低下し不正も横行する。
   悪い部分は早めに的確に摘出し、内部牽制システムを確立し、お互いに信頼
   し合える職場を目指さなければなりません。
   つまり「暗い中での信頼関係ではなく、会社の中に明かりをつけよう」 という
   わけです。
   トップは自ら襟を正し、社員各々もその明かりを絶やすことなく協力し合って
   守り続ける努力こそが必要なのです。


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税務調査を受ける際の準備と対応策

           

税務調査を受ける際の準備と対応策

  ■税務調査の概要

   税務調査とは、

    ・納税義務者が税務申告をしたとき、またはしなかったときに、納税義務者の
     計算した課税標準や税額が税法上正しいかどうか

    ・更正の請求があったときに、その理由が正当かどうか

   を、税務署が確認するための事務をさします。

   税務調査は、通常

    1.準備調査 → 2.実地調査

   という流れで行われます。

   1.準備調査

    準備調査とは、調査官が実地調査を有効に行うために、重点調査項目の洗い出しや
    調査方法、調査手順の検討をすることです。

    各種収集資料や申告書・決算書類・事業概況説明書などをもとにして事業の概括調査と
    財務分析が行われます。

    この準備調査で、前期や同業者の数値と比較して異常な部分があれば、実地調査で
    重点的に調査されます。
 
   2.実地調査

    実地調査とは、税務調査官が企業や事務所などに出向いて行う調査です。

    この調査は大きく次の3つに分けられます。

     ・帳簿調査・‥帳簿組織の検証、証憑書類の信憑性の検証、会計処理の
      正確性の検証など

     ・現況調査…調査日現在の現金預金の実査、棚卸商品の仕入先などの調査、
      営業記録・記帳のルールの調査など

     ・反面調査…帳簿・現況調査だけでは疑問点が明らかにならなかった場合に、
      その会社の取引先に直接出向いて行われる調査

  □税務調査の事前準備

   通常は、調査が入る前に顧問の税理士に書類などのチェックを受けます。

   そして、不都合な点を直し、調査官への対応の仕方なども税理士に指導してもらいます。

   一般的には、次のことを事前に準備します。

    ◎金庫、引出、キャビネット、ロッカーの整理整頓
     金庫などには、不必要な書類や個人的な持ち物が入っていることがあります。
     このようなものは、日頃からの整理が必要ですが、税務調査の前には特に念入り
     に整理しておき、調査官に余計な疑惑をもたせないように配慮します。
     また、金庫や引出などが乱雑だと、それをみた調査官が書類などの保存について
     不信感をもったり、印象を悪くする可能性もあります。

    ◎立証資料の準備
     税務調査で生じるトラブルの多くは立証資料の欠陥によるものです。
     ですから、きちんと要件を備えた立証書類を整理・保存しておき、提出を求められ
     たときにすぐに出せるようにしておくことが必要です。
     また、シワ・汚れのまったくない資料は税務調査直前に用意したのではという疑い
     を生じやすいため気を付けましょう。
     *立証書類のチェックポイントをまとめてありますのでご参照ください。

    ◎会計処理、記帳ルールなどの確認
     書類の締め日など実務処理方法についての質問にきちんと回答できるように、 
     ルールを再確認しておきます。

    ◎記帳内容の確認
     調査が入る前に顧問税理士に内容を確認してもらうとよいでしょう。
     *主要勘定科目のチェックポイントをまとめてありますのでご参照ください。

    ◎社員への連絡
     社内の書類の整理、税務署からの電話・訪問への応対などは、経理部門だけでは
     対処できないところがあります。
     税務調査があることを事前に社員に連絡して協力を仰ぎましょう。

  □税務調査官への対応方法

   税務調査の上手な受け方としては、以下のようなことがあげられます。

    ・質問調査に対して、自信をもって対応する

    ・調査官の質問内容に応じ、会社側の回答者(社長、経理担当者、税理士)を
     事前に特定しておく

    ・会社の不十分な点を指導してもらい、改善するという姿勢をとる

    ・帳簿、伝票などの取り出し、コピーなどは手早く行う

    ・質問がありそうなところは事前に説明資料を用意しておく

    ・回答が遅れるときは、その旨を調査官に知らせる

    ・顧問税理士に立ち会ってもらう 

   また、言葉・身振り・雰囲気や説明の仕方によって税務調査官の受ける印象は変わっ
   てきます。

   次のようなことには注意しておきましょう。

   <電話応対>

    ○質問には迅速・丁寧に応対する

     「経理担当者の人はいませんか」という質問に曖昧な回答をしたり、後ろでひそひ
     そ話をするのが聞こえるのは感じが悪いものです。
     また、「御社の決算書をみているのですが、この数字はどういうことですか」という
     質問に「ちょっと待ってください」といっていつまでも待たせるようなことをすると、社
     内の連絡や書類の管理が悪い会社と判断されてしまっても仕方ありません。
     経理の責任者などが、迅速・丁寧に応対をすることが必要です。

    ○調査日の変更は丁重に

     税務署から税務調査の通知があり、その日がどうしても都合が悪い場合には変更
     の連絡を行います。
     「勝手を申し上げるようですが、ちょうどこの日は○○の用事で○○へ参らなければな
     らないため○日に変更していただくことはできないでしょうか」など、変更の理由と都
     合のよい日を簡潔・丁寧に伝えます。
     しかし、変更日として1週間以上先を希望すると、その間に不正が行われないかな
     ど、調査官の心証が悪くなる可能性もありますので気を付けましょう。

   <調査中の応対>

    ○雑談の内容に注意する

     調査官との応対のなかでもっとも注意が必要なのが雑談です。
     一見何の関係もないような雑談でも調査官に疑いを抱かせてしまうことのないよう
     に気を付けましょう。
     たとえば、 

      調査官 「経済状況は厳しいですね」

      社 長 「売上を10%増やすのも大変です。私たちの役員報酬も上げるどころで
           はないですよ」

      調査官 「お子さんはどちらかにお勤めですか」

      社 長 「2人ともまだ大学生です。○○大学と××大学なのですが、金がかかるば
           かりでこちらも大変です」

      調査官 「そうですか。お2人とも私立大学だと大変ですね。それだと役員報酬
           △△万円では足りないのではないですか」

      社 長 「足りないときには会社から借りていますから」

     などという雑談の後、社長への立替金や貸付金があるのかどうかを帳簿(元帳な
     ど)で確認されるということもあります。

    ○目の動きや身体の揺れなどに注意する

     質問内容に動揺すると思わず目を伏せたり、組んでいる足を揺すったりしてしまいがち
     です。

     このような身体の変化によって調査官の質問方法も変わってくるので、落ち着いて対応
     しましょう。

     特に問題がこじれたときには、感情的にならず冷静に対応するように心がけましょう。

    ○断ってから席を立つ

     トイレや急用で席を立つ場合には、きちんと断ってから出ていきましょう。
     何もいわずに離席し、なかなか戻らないと、何をしているのだろうかと調査官に余
     計な疑いをもたせてしまいます。

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株主代表訴訟

             

株主代表訴訟

  株主から代表訴訟を起こされたときに、どのように対処したらよいかについての一般的
  な知識をご紹介します。

  ■株主代表訴訟とは

   株主代表訴訟とは取締役や監査役が、会社に対して責任を負うべき事態を発生
   させたのに、会社がこれを放置し責任を追及しない場合、会社の利益(株主の利益)
   を保護するために、株主が代わりに損害賠償請求をする訴訟のことを言います。

   株主代表訴訟はアメリカ法にならって昭和25年に導入されたものです。

   十分な検討もなされず導入された結果、ほとんど利用されることはありませんでした。

   利用されない理由のひとつは、裁判所に納める手数料です。

   金銭請求では訴訟金額が増えるにつれて、手数料も高額になります。

   数百億円の訴訟だと手数料だけで億を超える金額になってしまいます。

   また、訴訟に勝ったとしても、自分がお金を貰えるわけではなくお金は会社にいきます。

   株主代表訴訟制度が注目されるようになったおもな要因は、バブル経済が崩壊し、
   その間に行われた会社の不祥事が明るみに出てきたことと、平成5年の商法改正
   です。

   この改正により、株主代表訴訟による損害賠償請求は一般の損害賠償とは異なり、
   会社に対する株主の監督権の行使であるとされ、何億円請求しようが手数料は一律
   8200円となり、その後1万3000円となりました。

   そして、勝訴した場合には弁護士費用や調査費用は相当額であれば、会社から
   払ってもらえるようになったのです。

   その後、株主代表訴訟は増え続け、平成11年末には220件に達しました。

   翌平成12年には、大和銀行事件に関して、大阪地裁から取締役1人当たり829億円
   から75億円という損害賠償を命じる判決が出され、経済界を震撼させ、取締役の責任
   軽減と株主代表訴訟制度の見直しを盛り込む商法改正へとつながりました。

   株主代表訴訟が起こされるパターンを見ると、次の3つに分かれます。

    ・同族会社などの内紛型

    ・大企業の不祥事に対して一般株主が起こす市民運動型

    ・会社や取締役個人を困惑させ利益を図ろうとする濫訴型

   以下、株主代表訴訟はどのようにして起こされるのか、手順を追って説明します。

   1.株主から会社への書面による請求

    株主代表訴訟は、株主がいきなり訴訟を起こせるというものではありません。

    訴訟を起こそうという株主は、これに先立って会社の監査役に対して書面で取締役
    (監査役、執行役)の責任を追及する訴えの提起を求めなければなりません。

    それにもかかわらず監査役が請求後30日(新会社法では60日)以内に訴えを提起
    しない場合にはじめて株主代表訴訟を起こすことができます。

    新会社法では、会社が代表訴訟を提起しない場合、株主または取締役の請求
    があれば提訴しない理由を示した書面等による通知を株主または取締役に行
    わなければならないとしています(874条4項)。

    また代表訴訟ができるのは6カ月前から引き続き株式を有する株主に限られます。

    ただし、新会社法では定款の定めによって、この要件を引き下げられるとしています。

   2.会社側のチェック

    会社側では代表訴訟を起こした株主の原告適格の有無、株主が不正な利益を図る
    目的ではないか、会社に損害を与える目的ではないかをチェックします。

    これらの場合は代表訴訟を提起できません。

    またこれまでは自分または第三者の不正な利益を目的とするような不当な訴訟が
    起こされた場合には、担保の提供を命じる制度以外に商法に規定はなかったため、
    訴権の濫用等の一般条項に頼らざるを得ませんでした。

    新会社法では、訴えが当該株主または第三者の不正な利益を図るものであったり、
    会社に著しい損害を与えることなどを目的とする場合には、株主は訴えを提起
    できないとしています(847条1項)。

   3.訴えた株主は会社に訴訟告知をする

    株主代表訴訟を提起した株主は、訴訟を提起した後、遅滞なく、会社に対して
    訴訟を起こした旨を告知しなければなりません。

    また会社は、この告知を受けた場合には、遅滞なくこれを公告し、または株主に通知
    しなければなりません。

    前者は判決の効力が会社にも及ぶので、会社の利益を守る目的で訴訟に参加する
    機会を与えるためであり、後者は原告以外の株主にも訴訟に参加する機会を確保
    できる情報を与えるために、平成13年の商法改正により設けられたものです。

  □株主代表訴訟と法律の改正

   1.平成13年の商法改正

    平成12年9月20日に下された大和銀行事件についての株主代表訴訟に対する
    大阪地裁の判決で、巨額(取締役1人当たり829億円から75億円)の損害賠償額
    は経済界に衝撃をもたらしました(ちなみに、その後の控訴審の大阪高裁で取締役
    49名全員が連帯して合計2億5000万円を支払うことで和解が成立しています)。

    この賠償額は、どんな会社の取締役であっても一生をかけて負担できるものでは
    ないからです。

    経済界から、取締役の責任の緩和および株主代表訴訟制度の改革を求める声が
    高まったのも当然です。

    平成13年の臨時国会において、株主代表訴訟における取締役の責任を軽減する
    商法改正案が議員立法として提出され、平成13年12月5日に成立しました。

    おもな改正点は次のとおりです。

     ・株主総会の特別決議によって責任免除を認めた

     ・責任を軽減できる額を定めた

     ・定款の規定により社外取締役は責任限定契約を締結できることにした

    改正前の商法では、会社に対する取締役の責任を免除するためには、総株主の
    同意が必要とされていました。

    ただ、この原則は変更せず、一定の要件を満たした場合に、株主総会の決議による
    責任の軽減を認めることにしたものです。

    責任を軽減できる額は、取締役が本来負担すべき額から、次の金額を控除した額
    です。

    @代表取締役については取締役報酬(ほかに会社から受ける職務の対価
      としての利益を含む=以下同じ)の6年分に相当する額

    A取締役については4年分に相当する額

    B社外取締役については2年分に相当する額

    なお、報酬のほかに退職金も対象となります。

    定款の規定による責任軽減が認められるのは、社外取締役だけです。

    これは社外取締役に就任する際などに、事前に責任限定契約を締結できるとする
    ものです。

    社外取締役は業務執行の監督という色彩が強く、その人材確保の面から採用
    されたと言われています。

    このほかにも、会社の株主代表訴訟への補助参加、前述した株主代表訴訟が提起
    された場合の告知、会社自身が和解できるようになったことについての改正も
    行われました。

   2.平成14年の商法改正

    平成14年の商法改正によって、新たな機関を設ける株式会社が認められるように
    なりました。

    これが「委員会等設置会社」です。

    ただし、これが認められるのは商法特例法上の大会社です。

    委員会等設置会社とは、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の設置が義務
    づけられた会社で、委員会を組織する取締役は取締役会の決議で決められます。

    各委員会は3人以上で組織し、その過半数は執行役でない社外取締役とされて
    います。

    委員会等設置会社の執行役・取締役についても、株主総会の特別決議によって、
    前述の株主代表訴訟の責任限度額まで免除されることになっています。

    また、平成14年の改正法では、会社があらかじめ定款に定めを置いているときに
    限り、法令・定款に違反する行為をした取締役の責任について、取締役会の決議
    によって一定限度まで責任を軽減することを認めました。

    これは、株主総会の特別決議による責任軽減だけでは、そのための臨時株主総会
    を招集しなければならず、費用や手続きが大変であること、株主総会まで責任を
    軽減できないとなると、不明な状態が継続し、ひいては経営が萎縮することが理由
    として挙げられています。

    なお、この制度を採用する場合には、株式を取得しようとする者や利害関係者に
    知らせるため、定款の内容を株式申込証に記載して、登記することが必要である
    としています。

   3.新会社法による改正

    平成18年度に施行される新会社法では以下のような改正がなされました。

    (1)株主代表訴訟の提起が制限された

      たとえば、総会屋が訴訟以外の場で金銭を要求する目的で代表訴訟を起こ
      す、あるいは事実無根の名誉棄損的な主張をすることにより会社の信用を
      傷つける目的で代表訴訟を起こす場合などのように、自分または第三者の
      不正な利益を図る目的で、あるいは会社に損害を与えることが目的で、株主
      代表訴訟を提起することばできないとされました。

      この不正な目的の証拠収集等の義務は被告の側にあります。

      これに該当する場合は、株主は代表訴訟を提起できず、それにもかかわら
      ず提起した場合は、不適法な訴えとして却下されます。

    (2)株主の地位を失った者の訴訟遡行が認められます

      株主代表訴訟を起こすためには、過去6カ月前から引き続き株式を保有して
      いることが要件です。

      株式を売却するなどして株主でなくなると、原告としての資格(原告適格)を
      失います。

      新会社法では、株主であった当該会社が株式交換または株式移転によって
      親会社の株式を取得するようになった場合、また当該会社が合併によって消滅し、
      合併後存続する会社の株式を取得するようになった場合は、原告適格を失
      わないことにしました。

    (3)株主から提訴要求があった場合の通知が必要になりました

      株式会社は、株主による提訴要求を受けた日から60日以内に責任追及等の
      訴えを提起しない場合、提訴を請求した株主などから請求を受けた場合は、
      請求をした者に対して、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面
      その他法務省令で定める方法によって株主または取締役に対して通知しな
      ければならないことになりました。

    (4)会社が株主代表訴訟へ訴訟参加することが明確にされました

      新会社法849条1項で、株主または株式会社は、『共同訴訟人として、又は
      当事者の一方を補助するため』責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することが
      できる、と規定しています。

      従来の商法では「株主又ハ会社ハ前項ノ訴訟二参加スルコトヲ得」とのみ規定
      しており、この参加の意味について解釈が争われていました。

      そこで、疑義をなくすために、補助参加することができる旨を条文で明確にし
      たのです。

  □会社の株主訴訟対策

   対策には、提訴の請求が来た場合と訴えを起こされた場合の2段階があります。

   株主代表訴訟は、株主から会社への提訴請求で始まります。

   株主の提訴請求の目的が、自分のまたは第三者の利益を前提としているもので
   あったり、会社の名誉を著しく傷つけるものであれば、不適法なものとなるため、
   担保提供命令の申立てをしたり訴権の濫用であるとして対抗すべきです。

   新会社法では、株主代表訴訟の対象とはならなくなります。

   通常、会社に対する提訴請求は内容証明郵便で行われますから、会社としてはまず、
   その書面を以下のような視点でチェックすることが必要です。

   @その株主は会社の株式を6カ月以上保有しているかどうか。

   A提訴請求は会社の監査役に対して行わなければなりません。
    請求の宛名が監査役になっているかどうか。

   B誰の責任を追及せよというのが明らかになっているかどうか。

   Cどういう責任を追及せよというのが特定されているかどうか。

   もし、これらの点をチェックした結果、ポイントをクリアできていなければ、30日(新
   会社法では60日)を経過して株主代表訴訟が提起された場合に、その前提となる
   提訴の請求が不適当で、訴権の濫用であるとして、裁判所に訴えの却下を求めれば
   いいのです。

   もちろん、一方では、提訴理由となっている事実の調査や資料・証拠の収集にも
   努めなければなりませんし、また、弁護士との相談、和解交渉を行うかどうか等に
   ついても検討しておくことが大切です。

   絶対にやってはいけないことは、株主代表訴訟を止めさせるために、取締役が訴訟を
   提起した株主に金銭などの財産上の利益を与えることです。

   与えた取締役はもちろん、株主も贈収賄や利益供与の罪に問われかねません。

   次に実際に株主代表訴訟が提起された場合の対策ですが、会社として、その取締役
   のために、顧問弁護士などの弁護士を代理人として立てることを検討すべきです。

   次いで、会社がその訴訟に補助参加するかどうかを検討します。

   補助参加するのであれば、会社が取締役の主張や立証を代わって行えるからです。

   最後の切り札は、訴訟費用担保提供の申立てです(商法267粂5項、新会社法
   847条7項)。

   これは代表訴訟が被告(取締役)に損害を与える場合、その損害賠償請求権を担保
   するために悪意の株主に対して、裁判所が命ずる制度で、被告である取締役保護の
   制度です。

   これまでの裁判を見てみますと、担保提供命令が認められたケースでは被告勝訴
   の可能性が高いので、担保提供が命じられると原告が逃げ出してしまうケースが多い
   ようです(担保を提供すれば訴訟は継続します)。

   ポイントは、代表訴訟を申立てた原告の主張がいかに不当なものであるかどうかを
   証明することに尽きます。

   法律にはその内容により様々な特則や例外があります。

   個別事例については、弁護士あるいは弁護士会の法律相談所、家庭裁判所の相談
   窓口などにご相談ください。

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不祥事の発生とトップの姿勢

         

不祥事の発生とトップの姿勢


   近年、社会的責任を全うしなかったことに起因する企業イメージの低下や、企業を
   舞台とした不正の発覚などが大きく取り上げられるようになりました。

   不祥事は経営陣から末端の社員に至るまで、枚挙にいとまがありません。

   規制制度が増えるということは、それだけ企業の不祥事が多発しているということで、
   様々な規制を設けても、いたちごっことなっています。

   不祥事は大企業を筆頭に中小企業においても同様です。

   内容においても巧妙になり、複雑多様化してきています。

   責任においても大企業であれば、首のすげ替えで済みますが、中小企業ではそう
   はいきません。

   中小企業にとって、不祥事は廃業という最悪の事態を招きかねません。

   規模の大小にかかわらず、「対岸の火事」ではないことを認識しておきましょう。


   「企業は人なり リスクも人なり」といわれるように、企業が抱える問題の80%が人に
   関わるものです。

   制度として、コンプライアンス(法令遵守)、CSR(企業の社会的責任)、コーポレー
   ト・ガバナンス(企業統治)といった企業の守るべきルールはあるが、不祥事は後を
   絶ちません。

   企業の不祥事は社会的信用を著しく毀損し、最悪の場合はそれによって廃業に追い
   込まれることもあります。

  ●不祥事はなぜ起こるのか

   これほど経営に大きな悪影響を及ぼすことがわかっているにもかかわらず、不祥事は
   なぜ次々に起こるのでしょうか?

   不祥事を起こしてしまった企業の社長でも最初は悪気などまったくなかった人がほと
   んどでしょう。

   しかし、経営が厳しくなってきたときなどに「悪いことだとは思うけれども、これぐらい
   なら許されるだろう」と一線を越えてしまうと、後は「これぐらいなら」の範囲がどんど
   ん大きくなって、最終的にはとんでもない不祥事につながってしまいます。

   また、社長の知らない、報告がないなどで不祥事が発生したケースでは次のような
   原因が指摘されます。

    ・経営理念が全く浸透していない

    ・短期的な偏った「儲け」の雰囲気が社内に充満している

    ・役員幹部が絶対的な権力をもち、従業員の進言などい切開かない

    ・重大事項が上層部のみで秘密裏に決められ、従業員には知らされていない

    ・日常的な「報・連・相」などのコミュニケーションが非常に悪い

    ・社内の「見える化」対策がまったくできていない

  ●不祥事防止の基本

   不祥事発生の責任のすべては社長にあります。

   社長が社内の環境整備を怠った結果であり、不祥事を起こした人の責任もありますが、
   不祥事が起こりやすい環境であると肝に銘じる
   べきです。

   まずは社長が確固たる姿勢を示すことです。

   不祥事を防止するためには管理体制の構築
   が不可欠ですが、いくら厳格な管理体制をつ
   くったところで、それをきちんと運用しようとい
   う意識が低ければ事態は改善しません。

   むしろその管理体制を逆手にとって巧妙な手
   口で不正が行われることも考えられます。

   自分の会社の状況を振り返ってみて、少しでも
   このような兆候がみられたら、早急に改善して
   不祥事のもとを排除していくことが大切です。

   不祥事を防ぐためにはまず社長自らが「我が
   社はどんな小さな不祥事も起こさない」という
   強い姿勢を示し、そのためにはどのような心構えで働くべきかを繰り返し全従業員に
   説いていくことが非常に重要です。

   また、会社業務だけではなく、従業員のプライベートな生活態度についても指導していく
   ことが求められます。

   社長が姿勢を示した後は、それを実現していくための管理体制づくりが必要になり
   ます。

   その際にもっとも簡単な方法は、現状の管理システムを見直すことです。

   どのような会社でもすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはず
   です。

   その仕組み(管理システム)をたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止
   にも役立つように充実させるのです。

   たとえば、部門ごとにその業務特性を踏まえた「不祥事につながる可能性があるリス
   ト」を作成します。

   製造部門では、特別な理由もなく原価が大きく変動することは少ないはずです。

   したがって一定のプレ幅を超えた原価変動については、その理由を部門長にきちんと
   報告することを義務づけるといったことが考えられます。

   このように各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するため
   の仕組みづくりが重要なのです。

  ●隠蔽

   隠蔽は完全な逆効果となります。

   不幸にも不祥事を起こしてしまった場合、それを隠蔽しようとすればするほど会社の
   受けるダメージは大きくなります。

   問題そのものに加えて隠蔽姿勢に対しても、社会の厳しい目が向けられます。

   不祥事が起きたら事態の収拾を急ぐことはもちろんですが、実際に何が起こったか、
   誰がどのような被害を受けたのか、不祥事が起こった原因は何かなどについてわかっ
   ている範囲の情報を迅速に公開します。

   情報公開は直接の被害者だけでなく、必要に応じて主要取引先や銀行さらにはマス
   コミなどに対しても行います。

  ●対応マニュアル(管理システム)の作成と見直し

   多くの会社ではすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはずです。

   未整備の会社であればクレーム対応(マニュアル)危機管理(マニュアル)等を参
   考に作成を試みてください。

   その場合、仕組みをたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止にも役立つ
   ように充実させるのです。

   管理システムを見直す場合、部門ごとにその業務特性を踏まえた「不祥事につながる
   可能性があるリスト」を作成します。

   各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するための仕組み
   づくりが重要です。

   不祥事発生直後の対応によりダメージがどこまで拡大するかを大きく左右します。

   不祥事発生という緊急時に、事態の収拾と適切な情報公開を同時に進めるのは困難
   を要します。

   そのため日頃から起こり得る不祥事を想定して、発生時にどのような対応を取るかを
   示したマニュアルを作成しておくことが大切になります。

   マニュアルには社長に正しい情報が即座に上がってくる仕組み、「危機管理委員会」
   などの解決チーム、経営幹部の役割分担、弁護士など相談できる専門家のリストなど
   を盛り込んでおきましょう。

  ●再発防止

   事態が収拾してきたら、不祥事が起こった原因を掘り下げます。

   たとえば、経理担当者に不正が発覚した場合、担当者個人だけではなく、管理体制
   や組織風土にも問題があることが考えられます。

   真の原因を特定し、確実な再発防止策を講じることが大切です。

   また、その取り組み状況を社内外に十分に説明することも必要です。

   企業として社会的な使命を全うしていくための経営(「CSR経営」)が求められます。 

   その場限りの解決にしないためにも、不祥事を発生させた人への追求よりも、発生の
   原因を究明し、再発防止の対策を講じていくことが重要です。
    
  □不祥事における(信賞)必罰

   組織の体質が最もよく表れるのは、負け戦や不祥事が起きた時である。

   個々の人間も苦境に陥った時にこそ、その人の真価が問われます。

   順調な時・平穏な時は、皆「いい人」でいられるのです。

   では、逆境の時に表れる「本質」とは、どのようにして培われるものでしょうか。

   結局は、その人の体験や受けた教育、躾を通して培われた「人生観」に帰する。

   したがって、強い会社を作るためには「会社は、社員一人ひとりの『人生観』にまで
   関わっていかなければならない」という理屈になります。

   集団を率いていくためには「信賞必罰」が不可欠でしょう。

   特に、してはならないことをした場合、「必罰」が絶対に必要である。

   「必罰」がないから、平気でルールを破るのである。

   ケジメのない会社は、これが甘いのです。

   甘さは結局、本人も会社も駄目にしてしまう。

   では、これだけで「強い会社が作れるか」となるとそうではありません。

   やはり「思想集団」の一面がないと、真に強い組織にはなり得ない。

   特に営業、小口のリフォームやメンテナンス業務などは一人で仕事をする機会が多く
   なります。

   その場合、仕事の品質については各人のモラルに期待するしかない。

   そのモラルを維持するためには、社員教育を通し「会社の思想」を共有し共振する
   レベルにまで深める必要があります。

   したがって、このような社員がそろっている会社は強い。

   せめて幹部だけでもこのような人材がそろっていれば、会社は大きく変わってくる。

   経営者をして、「よくやってくれた」と言わしめるような幹部・社員は、「会社の思想
   (企業文化)」を社員に教育している会社にしか育ちません。

   やはり、「経営は思想(企業文化)なり」が基本です。

   会社の成長過程においては、特に社員教育の重要性を再認識することです。

   決して社員は時間の経過とともに勝手に育つわけではないのです。


   「一つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背後には300の異常が
   存在する」といわれるハインリッヒ(ヒヤリハット)の法則を基本とした取り組みが必要
   です。

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不祥事防止と企業の社会的責任

              

不祥事防止と企業の社会的責任

  ■不祥事発生の原因

   企業の不祥事は後を絶ちません。

   不祥事は自社の社会的信用を著しく毀損し、最悪の場合はそれによって廃業に
   追い込まれることもあります。

   1.「知らなかった」ではすまされない 

     不祥事が発覚した企業の多くは、経営陣の関与を否定し、「現場が突っ走って
     しまった」などと釈明します。

     その真偽のほどはわからないが、仮にそれが本当だとしても当然ながら経営
     陣は管理責任を問われることになります。

     たとえ社長自身は日頃から「正しい経営」を心掛けていたとしても、それを従業
     員に徹底できなかったことへの責任を免れることはできません。

     もちろん社長自身が不正を指示していた場合は、もはや釈明の余地はありま
     せん。

     社長は不正によって消費者に損害を与えただけではなく、社長という権限を
     使って善良な従業員を組織ぐるみの犯罪に加担させたことになります。

     社長が社内外から糾弾されることは間違いないでしょう。

   2.こんな不祥事もある

     不祥事のなかには、消費者に直接は影響を与えない内部的なものもあります。

     たとえば、経理担当者が取引先と共謀していわゆる「カラ発注」によって経費を
     流用する、飲食業や小売業で店長やアルバイトが売上をごまかすなどがこれ
     にあたります。

     実際の被害の大きさもさることながら、このようなことが外部に漏れると会社の
     信頼感が大きく損なわれることになります。

     ここまで悪質ではなくとも、本来なら経費として認められない費用を会社に請
     求する、交通費を水増し請求する、会社の備品を持ち帰って私的に流用する
     といった「小さな不正」については見落としてしまいがちです。

     そして、これらの不正が半ば「当たり前」のような意識で行われるようになると、
     いずれは大きな不祥事を引き起こす可能性が高まっていくのです。

     これらの不正のほとんどは、ちょっとした工夫で防止することができるはずです。

     実態調査を行い、もし不正が発見されたら、不正を行った社員を罰するだけで
     はなく、今後そのようなことが再発しない管理体制の整備が求められます。

     また、金銭面の不祥事だけでなく、セクハラやパワハラ(上司がその権力を利
     用して通常許される範疇を越える指示などで部下の人格を傷つけること)など
     の人間関係に関するトラブルも大きな不祥事に発展することがあります。

     被害者を出さない、つまりセクハラやパワハラを防止することが第一ですが、
     万一そのような疑いがあるトラブルが発生した場合には「社内倫理委員会」を
     発足するなどして、中立な目で解決の道を探ることなどが必要になってくるで
     しょう。

     さらに、従業員がプライベートな時間に飲酒運転や傷害事件などの問題を起
     こす可能性もあります。

     これらの不祥事は会社とは直接関係ありませんが、報道やインターネット上な
     どで社名が明らかになることも多く、会社全体のイメージダウンは避けられな
     いでしょう。

  □不祥事防止の基本は経営者の姿勢

   1.社長への早期報告が不祥事を防ぐ

     また、現状の管理システムの延長だけでなく、たとえば、「社長ホットライン」の
     ような、すべての従業員の声を聞く仕組みを新たにつくることも有効です。

     現場の従業員が「うちの部門長の行動はおかしいな」と感じることがあっても、
     それを部門長に問いただしたり、ましてや社長に直訴することは大変勇気が必 
     要です。

     そこで社長が日頃から「疑問を感じたら何でも相談してほしい」という姿勢を示
     し、従業員の心のハードルを下げるようにします。

     その際には「社長への直訴は密告ではなく会社をよくするため」、「直訴した内
     容が勘違いであってもとがめることは一切なし」といつたことをアピールしてお
     くことも欠かせません。

   2.索制機能が不祥事を防ぐ

     さらに社長自身も牽制を受ける、つまり社長の判断に対し、周囲が「それはお
     かしい」といえる雰囲気づくりを行っておくことも大切です。

     社長が「この施策は我が社のために絶対必要」と感じていても、別の角度から
     みると、その施策は「消費者軽視につながる」ということはあり得ない話ではあ
     りません。

     事実、社長が主導して不正を行っていた企業では、会社のために良かれと思
     うあまりに消費者の顔が見えなくなっていたというケースが少なくありません。

     上場企業などの大手企業では、株主総会や役員会といった牽制機能が働き
     やすいといえますが、オーナー色の強い中小企業の場合は、実質的には「社
     長の判断がすべて」という状況に陥りやすいものです。

     いかに優れた社長であってもつねに正解を導き出せるとは限りません。

     特に経営の重要事項を決定するときには経営幹部や専門家の意見にも耳を
     傾けることが必要でしょう。

  CSRという考え方

   1.企業の社会的使命を果たす

     前項まで不祥事の防止および発生後の対応について説明してきましたが、不
     祥事を起こさないということはあくまで企業としての最低ラインであって、本来
     であればもう−歩進んで企業としての社会的な使命を全うしていきたいものです。

     ここからはそのための代表的な考え方である、「CSR」を中心に説明していきます。

     CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で通常は「企業の社会 
     的責任」と訳されます。

     社会的責任の意味するところは、

      企業は、自社の利益を追求するだけではなく、社会の一員としての
      ルールを守り、さらには環境対策や地域振興など広く社会に貢献して
      いく姿勢が求められる

     ということです。

     そして、このような社会的責任を積極的に果たしていこうという「CSR経営」を
     継続することで、企業としての本質的な強さやイメージが向上し、結果として企
     業存続の基盤が強化されると考えられています。

   2.どんな会社でもCSR経営はできる

     CSR経営という言葉からは何やら大変そうな印象を受けますが、ある中小企
     業(従業員10名程度)では会社の前の道路の掃除によってCSR経営を実践し
     ています。

     飲食店などでは毎日の店外掃除のときに自店の前だけでなく、「向こう三軒両
     隣」まで掃除をするということをよく耳にしますが、先にあげた企業はIT系の開
     発の仕事がメインであり、通りがかり人をターゲットにした商売ではありません。

     しかし、社長は「うちはまだ小さくて金銭的な社会貢献はできないから、せめて
     道路掃除で社会に貢献したい」と考え、週1回それを自ら実践し続けたそうです。

     やがて社長が強制したわけでもないのに、従業員が自主的に掃除を手伝うよ
     うになり、今では掃除が毎日になり、その範囲も広くなっているとのことです。

     この活動を通じて実際の社会貢献を果たしているだけではなく、従業員の「奉
     仕の心」が高まり、結果として顧客第一主義が徹底してきたと、社長は語って
     います。

     この事例のようにどのような企業でも明日からCSR経営を行うことが可能です。

     まずはその意志と行動を社長自らが示すことが重要なのです。

  □企業行動規範の実践

   東京商工会議所では会員企業に対して、企業行動のあり方を示す「企業行動規範」を
   公開しており、この規範を自社の業務内容に当てはめてアレンジし、独自の行動
   規範を作成して実践することを勧めています。

   これは不祥事の防止につながるだけでなく、さらに進んだCSR経営の推進にも役
   立つものです。

   以下にその抜粋を紹介しますので、自社の行動規範作成の参考としてご活用くだ
   さい。

   1)法令の遵守

    法令を遵守し、立法の趣旨に沿って公明正大な企業活動を行い、社会の信頼
    に応える。

   2)社会とのコミュニケーションの促進

    社会の声に積極的に耳を傾け、必要な企業情報を幅広く適時、適切に開示し、
    「開かれた企業」として社会とのコミュニケーションの促進を図る。

   3)地域との共存

    地域の健全な発展と快適で安全・安心な生活に資する活動に積極的に参加・協
    力し、地域との共存をめざす。

   4)環境保全への寄与

    環境に配慮した企業活動を行い、環境と経済が調和した持続可能な社会の構
    築に寄与する。

   5)顧客の信頼の獲得

    顧客のニーズにかなう商品・サービスとそれらに関する正しい情報を提供すると
    ともに、顧客情報等を適切に保護・管理し、顧客の信頼を獲得する。

   6)取引先との信頼関係の確立

    公正なルールに則った取引関係を築き、円滑な意思疎通により取引先との信頼
    関係を確立し、相互の発展を図る。

   7)従業員の自己実現への環境づくり

    従業員の人格・多様性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、それぞれの
    能力・活力を発拝できるような職場環境をつくる。

   8)出資者・資金提供者の理解と支持

    公正かつ透明性の高い企業経営により、出資者や事業資金の提供者の理解と
    支持を得る。

   9)政治・行政との健全な関係

    政治・行政とは健全かつ透明な関係を維持し、不当な癒着や公正さを欠く活動
    を行わない。

  10)反社会的勢力ヘの対処

    社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力、団体に対しては、毅然とした態
    度で対処し、あらゆる関係をもたない。

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ブラック企業

          

ブラック企業(82%の企業が法令違反) 

  
  ■ブラック企業 

   厚生労働省のブラック企業への集中調査の結果、82%の企業が法令違反でした。

   2014年9月、ブラック企業への集中調査が行われ、先般、この集中調査の結果が
   発表されました。

   それによると、調査実施事業場5,111事業場のうち82%にあたる4,189事業場に
   おいて何らかの労働基準関係法令違反が認められました。

  □違反状況

   調査に対し、その82%にあたる事業場で何らかの労働基準関係法令違反が認めら
   れています。

   最も多かった違反事項については労働時間で、43.8%の事業場で法令違反が認め
   られています。

  □健康障害防止に係る指導状況

   調査事業場のうち、1.120事業場に対して過重労働による健康障害防止措置を講じ
   るように指導がなされています。

  □違反事例

   調査により是正勧告等が行われた事例については、以下の通りです。

   なお、Dの事例については、その悪質性から、送検に向けて対応が行われています。

    @長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、
     その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた。

    A社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を
     支払っていなかった。

    B営業成績等により、基本給を減額していた。

    C労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割
     増賃金の単価を低く設定していた。

    D賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導した
     が、是正されない。

  □ブラック企業と言われないために

   今回の調査については、次年度も引き続き行われる予定です。

   ブラック企業と言われないためには、以下の3つの取り組みが重要となるので、早急な
   取り組みを進めていきましょう。

    1.長時間労働の抑制と過重労働による健康障害防止対策の徹底

      (1)時間外労働、休日労働時間の削減

      (2)年次有給休暇の取得促進

         ・計画的付与制度の活用等により、年次有給休暇の取得促進を図る。

      (3)労働者の健康管理に係る措置の徹底

         ・健康管理体制を整備して、健康診断を実施する。

         ・長時間労働を行った労働者に対しては、医師による面接指導等を実 
          施する。

    2.不払残業の解消

      (1)労働時間の適正な把握

      (2)職場風土の改革

         ・経営トップによる決意表明や社内巡視等による実態の把握。

      (3)適正に労働時間管理を行うシステムの整備

      (4)労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化、チェック体制の
        整備

         ・労働時間を適正に把握するための責任者を明確にするとともに、複数
         の者を労働時間の管理責任者とし、ダブルチェックを行う。

    3.職場のパワーハラスメントの予防と解決

      (1)「職場のパワハラをなくす」ということをトップのメッセージとして明確に示
        す。

      (2)従業員アンケートを実施する等により、実態把握を行う。

      (3)パワハラに関する研修や教育を実施する。

      (4)相談や苦情処理の窓口を設置したり、対応責任者を決める等、職場の
        パワハラの相談や解決の場を設置する。

      (5)行為者に対する再発防止研修を行う等、再発防止への取り組みを行う。

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