製造業

          

製造業
製造業における改善活動のチェックポイント


  品質管理のポイント

  作業管理のポイント

  生産計画・納期管理のポイント

 

ヒューマンエラー

                

ヒューマンエラー

  ■ヒューマンエラーに対応する

   1.ヒューマンエラーとは 
    近年、運輸機関における大事故や、金融機関におけるシステム障害や誤発
    注、医療機関における医療過誤などが社会的な問題となっています。

    これらの事故は、さまざまな要因がそれぞれ複雑に影響し合って発生して
    います。

    しかし、その根底には、ヒューマンエラー(人間の誤認識や誤動作によって
    引き起こされるミス)が存在しています。

    ヒューマンエラーによって引き起こされた事故の例です。

    このように、ヒューマンエラーによる事故はさまざまな分野で起こり得ます。

    企業の社会責任が重要視されている昨今、これらの事故は、「信頼の失墜」
    を招くばかりではなく、「顧客の安全性の損失」「多額の賠償責任の発生」な
    ど、取り返しのつかない大きな損害を顧客や企業に与える恐れがあります。

    また、近年、企業における機械化・IT化の進展により、一人の人間の作業
    により生じる影響力は、従来に比べて非常に大きくなりました。

    これにともない、ヒューマンエラーによって引き起こされる事故および損害の
    規模も増大しています。

    こうした背景から、企業にはヒューマンエラーに対する適切な対応が求めら
    れているのです。

   2.ヒューマンエラーのメカニズム

    (1)必ず発生するヒューマンエラー
      ヒューマンエラーへの対応を検討する上で、常に念頭に置かなくてはな
      らないのは、ヒューマンエラーは必ず発生するということです。

      もちろん、「ヒューマンエラーを起こさない」という意識を持ち、また、さま
      ざまな防止対策を講じることにより、ヒューマンエラーの発生をある程
      度防止することは可能です。

      しかし、人間は必ず何らかのミスを犯すため、ヒューマンエラーの発生
      を完全に防ぐことは不可能です。

      問題とされるべきは、ヒューマンエラーそのものではなく、ヒューマンエ
      ラーによって引き起こされる事故および損害への対応です。

      ヒューマンエラーへの対応としては、

       1.ヒューマンエラーの発生の芽をつみとる
       2.ヒューマンエラーが発生した場合、迅速に検知する
       3.ヒューマンエラーによる事故が発生した場合、迅速に対応する

      という、ヒューマンエラーの発生を想定した対策を講じることこそが重要
      なのです。

    (2)ヒューマンエラーの発生 
      人間の情報処理のプロセスは、

       ・入力のプロセス(情報を自身の中に取り込むプロセス)
       ・媒介のプロセス(取り込んだ情報を判断するプロセス)
       ・出力のプロセス(判断に基づいて行動を決定、実行するプロセス)

      の3つに大別することができます。

      ヒューマンエラーは、このいずれのプロセスにおいても発生する可能性
      があります。

      以下では、それぞれのプロセスにおけるヒューマンエラーについて具体
      的に説明します。

      ◎入力エラー
       情報を入力するプロセスで発生するエラーです。
       「見落とし」「見間違い」「聞き間違い」などにより、情報を正しく
       知覚・認知できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 操作中の機器が異常発生を知らせる警告を表示していた
         にもかかわらずそれを見落とし、事故を発生させてしまった

        ・ 設計図中の寸法の数字を見間違えたため、欠陥住宅を建築
         してしまった

        ・ 顧客の見積もり依頼に関する仕様を聞き間違えたため、規格
         に沿わない仕様の見積書を作成してしまった

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー
       情報を媒介するプロセスで発生するエラーです。
       「誤った知識」「経験への依存」「思い込み」などにより、情報を
       正しく判断・決定できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 新入社員が、商品に関する誤った知識のため、不当に低い
         見積価格を顧客に提示してしまった

        ・ 電車のベテラン運転士が、自身の経験を過信するあまり機器
         の危険表示を軽視し、事故を起こしてしまった

        ・ 「あまり重要ではないだろう」という思い込みにより、顧客から
         のクレームを放置し、結果としてさらに大きなクレームを発生
         させてしまった

       などが考えられます。

      ◎出力エラー
       判断によって決定された行動を出力するプロセスで発生する
       エラーです。
       「やり忘れ」「やり間違い」「勘違い」などにより、計画通りに正しく
       実行できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 顧客に依頼されていた調査を行うことを忘れてしまった
        ・ 自動車の運転で、ブレーキとアクセルを誤って操作してしまった
        ・ パッケージがいつも使用している薬剤と似ていたので、中身
         を確認せずに別の薬剤を患者に使用してしまった

       などが考えられます。

       なお、各プロセスにおける一つひとつのエラーが軽微なものであって
       も、一連の情報処理のプロセスの中でそれらが連鎖することにより、
       より大きな事故を発生させる恐れがあります。

   3.ヒューマンエラーへの対応

    (1)情報収集と分析
      ヒューマンエラーへの対応を検討するには、ヒューマンエラーに関する
      情報を収集し、詳しく分析する必要があります。

      ヒューマンエラーへの対応の検討プロセスは図の通りです。

      ヒューマンエラーに関する情報を収集します。

      前述の通り、ヒューマンエラーにはさまざまな種類があります。

      また、複数のヒューマンエラーが相互に関係することにより、さらに新た
      なエラーを発生させるケースもあります。

      こうしたことを判別するために、できるだけ多くの情報(事例)を集める
      ことが重要となります。

      加えて、ヒューマンエラーには至らなかったものの、それにつながる可
      能性があった事例についても収集します。

      建設業界や医療業界では、これらを「ヒヤリ・ハット事例(エラーを起こ
      しそうになって「ひやり」「はっと」した事例)」として関係者全員で情報を
      共有しています。

      これらは、ヒューマンエラーを「芽」の段階でつみとるための非常に重要
      な情報となります。

      次に、これらのヒューマンエラーに関する情報を分析します。

      ヒューマンエラーは、発生するプロセスやその要素、要因により大きく
      異なります。

      従って、分析においては、そのヒューマンエラーが、情報処理の「どの
      時点で」「どのような理由により」発生したのかを詳細に検証し、エラー
      を発生させた本質を突きとめることが重要です。

      それぞれのヒューマンエラーを分析によってタイプ別に分類し、各タイ
      プの特性を勘案して対策を決定します。

      以下は、ヒューマンエラーへの対応として「ヒューマンエラー発生の防
      止」「ヒューマンエラーの検知」「ヒューマンエラーによる事故への対応」
      をまとめました。

    (2)ヒューマンエラー発生の防止
      前述の通り、ヒューマンエラーは「必ず発生するもの」です。

      しかし、さまざまな防止対策を講じることによって、ある程度発生を防止
      することが可能です。

      以下では、各プロセスにおけるヒューマンエラー防止対策を説明しま
      す。

      ◎入力エラー
       入力エラーは、情報を正しく知覚、認知できないエラーです。
       従って、入力エラーへの対応では、情報が正しく入力されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、
        ・ 見落としを防ぐために、機器や周辺状況について指差し確認
         などを行う

        ・ 見間違いを防ぐために、細かい数字や大量の数字などに
         ついては、複数の担当者の間で読み合わせを行う

        ・ 聞き間違いを防ぐために、情報は文書化して伝達する
         (やむを得ず口頭により伝達する場合は、必ず復唱を行う)

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー
       媒介エラーは、情報が正しく判断されないエラーです。
       誤った判断は、誤った知識および判断基準の不統一によって行われ
       ます。

      従って、媒介エラーへの対応では、正しい判断を行うための正しい知
      識の教育、および判断基準の統一が重要となります。

      具体的な防止対策としては、
       ・ 機器の操作や業務内容についての正しい知識を教育する

       ・ 判断基準を統一し(マニュアル作成など)、この基準に基づいて判
        断を行う

       ・ 上司によるチェックなど、複数のチェックポイントを設定することに
        より、判断の妥当性を多面的に検討する

      などが考えられます。

      ◎出力エラー
       出力エラーは、行動が実行されない、もしくは行動が正しく実行され
       ないエラーです。
       従って、出力エラーへの対応では、行動が正しく実行されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、
        ・ ToDoリスト(やるべき事柄をまとめたリスト)などを作成し、
         動作のもれを防ぐ

        ・ 落ち着いて、一つずつ作業や操作を行う

        ・ 作業、操作に際しては、目視などによる確認を行う

       などが考えられます。

       なお、出力エラーは、無意識の行動において発生しやすい特性をも
       っています。

       このため、無意識の行動に一定の制約を加えたり負担を軽減するこ
       とも効果的です。

       出力エラー防止対策の一例です。

    (3)ヒューマンエラーの検知
      ヒューマンエラー防止対策によってもヒューマンエラーを防ぐことができ
      なかった場合を想定し、それを検知するための対策を検討します。

      ヒューマンエラーの検知では、確認の機会を多く設け、目標と行為のズ
      レを少なくすることが重要となります。

      従って、具体的な対策としては、
       ・ エラーを発見しやすい仕組みをつくる
       ・ チェックリストを作成する
       ・ 複数の担当者によりダブルチェックを行う

      などが考えられます。

    (4)ヒューマンエラーによる事故への対応
      ヒューマンエラーを防ぐことができず、またそれを検知することができず
      に事故が発生した場合を想定し、これに備えるための対策を検討しま
      す。

      ヒューマンエラーによる事故への対応では、事故による損害の拡大を
      防ぐことが重要となります。

      具体的な対策としては、
       ・ 高所からの転落を想定して、安全ネットなどを張る

       ・ 伝票処理ミスや検品漏れによる目減りを想定して、ロス予算を
        計上する

       ・ 自社の製品により食中毒が発生した場合を想定して、迅速に
        被害者に対応するためのマニュアルを作成する

      などが考えられます。

      このように、ヒューマンエラーへの対応では、

      エラー発生の防止 ⇒ 発生したエラーの検知 ⇒ 発生した事故への対応

      という3つが、それぞれ適正に機能することが重要です。

   4.防止対策の運用上の留意点
    過去に発生したヒューマンエラーによる事故を検証してみると、「決められた
    手順通りに防止対策を実行しなかったため、ヒューマンエラーの発生防止
    や検知ができず、事故による損害を拡大させてしまった」という事例が少なく
    ありません。

    これらの多くは、
     ・ 指差し確認が面倒だったので、「安全と思われる」作業の確認を省略し
      た

     ・ システム上、エラーの警告が出たが、「問題ないと判断して」作業を続
      けた

     ・ 自分で「念入りに確認をした」ので、ダブルチェックをしなかった

    といった担当者の主観的な判断により、防止対策がしっかりと実行されなか
    ったことに起因しています。

    防止対策は、さまざまなプロセスに客観的なチェックポイントを設置すること
    でエラーの発生を防ぎ、またそれを検知することを目的としています。

    このため、担当者の主観的な判断によってこれらのチェックポイントを排除
    してしまっては、防止対策としての機能が全く失われてしまうこととなる。

    従って、防止対策を運用する際に最も重要なのは、いかなる場合でも、防
    止対策で定められている原則・ルールを順守し、実行させる
ことだといえま
    す。

    このためには、社内に「ヒューマンエラー防止対策委員会」といったチェック
    機関を設置し、
決定した原則・ルールが順守、実行されているかを定期的に
    確認する
などの施策が有効です。

    ただし、防止対策が実行されていたとしても、それが事実上形骸化してい
    ては意味がありません。

    例えば、ある機器の操作を行う際に指差し確認が義務付けられているとし
    ます。

    このような場合、長い期間を経るにともない防止対策が形骸化してしまい、
    結果として「表面上では指差し確認を実行していても、実質的には、確認者
    はただ無意識に指を差しているだけで確認していない」ということになってし
    まう恐れがあります

    このため、各人に、
     ・ その行動によって、どのようなヒューマンエラーが起き得るか
     ・ そのヒューマンエラーによって、どのような損害が起き得るか

    ということを十分に理解させ、防止対策を実行する重要性を認識させること
    が必要です。

    このためには、社内の各部署で発生した「ヒヤリ・ハット事例」について検証
    する「ヒヤリ・ハット意見交換会」を定期的に開催するなどして、ヒューマンエ
    ラーについての啓発活動を行うなどの施策が有効です。

    ヒューマンエラーは、もちろん発生させないに越したことはありません。

    しかし、その発生を完全に防ぐことができない以上、「ヒューマンエラーにと
    もなうリスクを、いかに少なくするか」という考え方を持つことが重要だといえ
    るでしょう。

 

製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

         

製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

  ■下請体制の変化と経営革新の必要性

   1.下請分業体制の変化

     (1)日本の高度経済成長を支えてきた構造は、製造業における親事業者と下
       請企業とのネットワーク(下請分業体制)でした。

       下請企業は、複数の親事業者をもち、主要な親事業者とは長期にわたって
       取引を行い、所有する資産のうち主要親事業者向けの資産が約半分を占
       め、親事業者の要求によって設備投資や研究活動が行われるなど、親事
       業者による影響を大きく受けてきた。

       下請企業にとっては、仕事量の安定、独自での営業活動が不要、取引に
       関するリスクがない、技術指導が受けられるなどのメリットがありました。

       一方、親事業者側は、生産能力の不足分を外注で補う、外注先の専門的
       な技術や製造設備を活用する、外注先を活用して自社は得意な分野に集
       中するなど、下請企業とのネットワークを上手に利用して自社の強みを特
       化していこうという傾向がみられた。

       このように、長期安定的な取引関係を構築し、ネットワークである下請分業
       体制を、親事業者、下請企業の双方が上手に利用していました。

       しかし、中小製造業を支えてきた下請分業体制に、1980年代以降、大き
       な変化が起こり始めまた。

       「2013年版中小企業白書」によると、中小企業の下請比率は1981年の
       65.5%をピークに減少傾向(製造業で約18.6%、サービス業で
       約9.4%)にあり、この傾向は一部の業種(食料品、化学工業)を除いてほ
       ぼ全業種に共通しています。

       下請比率の低下に関係する大きな要因は、経済のグローバル化や不況が
       長引いたことで、大企業の生産拠点が海外へ移転したことがあげられる。

       また、日本の下請企業は、個々の部品を相互に調整・最適化しながら統合
       し、機能を発揮するように製品づくりを行う技術を得意としているのに対し、
       生産性向上のために、製品を部品ごとに分割、生産し、部品のつなぎ(イン
       ターフェース)の部分を標準規格化することで、単に部品を組み合わせるだ
       けで製品が完成する生産体制が世界的に進んだことも、下請比率の低下
       につながったとみられています。

       部品・半製品メーカーおよび素形材メーカーの状況をみると、10年前と比
       較して、下請取引を行う企業の割合はわずかに増加しているのに対し、各
       企業の売上に占める下請取引の割合は微減している。

       また、近年の傾向として、特定の取引先に売上のほとんどを依存する企業
       の割合が低下し、多数の取引先と薄く広い取引をする企業が増えている。

       これにより、下請企業が取引先より入手できる情報が、より表面的なもの
       や一般的なものとなり、技術開発や成長の方向性をつかみにくくなっている
       と懸念されています。

     (2)必要とされる国内基盤の強化
       大企業を中心に東アジアなどへ生産拠点を移し、生産体制の効率化を
       図ってきたが、近年、並行して国内の生産体制を再び強化する動きがみら
       れるようになった。

       とりわけ、電気・情報通信機械器具の分野では、アジア向けの投資が頭打
       ちとなり、その一方で国内向けの設備投資が持ち直す頼向がみられていま
       す。

       その背景には、最近の国内景気の回復基調により、企業の投資力がつい
       てきているうえに、ものづくりの基盤技術として、国内の中小企業の高い技
       術力が再評価されていることがあるようです。

       安価な海外製品の流入や親事業者の海外進出による受注減少に苦しむ
       中小企業があるなかで、こうした国内での需要に応えていくためには、環境
       の変化に対応し、自立した企業ともて強みを発揮していくことが求められて
       いる。

   2.基盤強化に求められる経営革新
     このような環境の変化に対応して、下請企業の企業活動も変化してきている。

     「2005年版中小企業白書」では、近年の中小製造業のおもな動きとして、輸
     出・輸入・海外直接投資を行う企業の増加、研究開発部門の従業員の増加、 

     デザイン・商品企画、研究開発関連の外部委託の増加をあげています。

     また、自社で生産設備を持たず生産工程をすべて外注する「ファブレス企
     業」、研究開発・試作品開発に特化する「研究開発型企業」、流通ルートを介さ
     ず自社で製造から小売までを一貫して行う「製造小売」など、業態も多様化し
     てきています。

     中小企業庁の調べによると、2005年11月末時点で、中小企業新事業活動促
     進法(旧法は中小企業経営革新支援法)に基づき、都道府県などより経営革
     新計画の承認を受けた計画件数は2万365件となっています。

     2005年3月末時点で承認を受けた企業の業種別割合をみると、製造業が
     43%ともっとも多くなっています。

     承認された中小製造業者の経営革新活動の割合は「新商品の開発又は生
     産」36%、「商品の新たな生産又は販売方式の導入」30%、「役務の新たな
     提供の方式の導入その他の新たな事業活動」20%、「新役務の開発又は提
     供」14%となっています。

     今後も下請体制の変化が進むことが予測されるなか、中小製造業者が自社
     の強みを強化していこうとする様子がうかがえます。

  □経営革新のヒント
   経営革新といった場合、どのようなものが経営革新といえるのでしょうか。

   もっともわかりやすい定義として、中小企業新事業活動促進法に定義されている
   「経営革新」の内容を確認していきましょう。

   中小企業新事業活動促進法では、経営革新として、
    1.新製品の開発又は生産
    2.新役務の開発又は渥供
    3.商品の新たな生産又は販売方式の導入
    4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業法動
   という4つを定義しています。

   それでは、これらの経営革新を行うためにはどのような工夫ができるかを考えて
   みましょう。

    1.製品・市場のマトリクスを利用する
      以下は、実際に中小企業経営革新支援法(現法は中小企業新事業活動促
      進法)の承認を受けた会社の事例です。

      金箔などの箔押し業者であったA社は、結婚式に代表されるお祝い物の金
      箔押しの印刷物が売上の中心でした。

      ところが、昨今では結婚式が多様化し、形式にとらわれない人が増えたこと
      や、パソコン印刷の普及に伴い、売上の激減に直面しました。

      そのため経営革新の必要を感じ、新たな市場開拓を決意した。

      現在の市場がなくなるという火急の事態ですので、新たな市場を緊急に開拓
      することが要求されました。

      その際考えたのは、今からまったく新しい製品や技術を開発していくことは資
      金力、人材力から無理があるため、現在もっている「箔押し」の基本技術をい
      かして市場開拓ができないかというものでした。

      現在は「紙」に箔を押しているが、これを別の素材に応用できるかどうかを検
      討し、たどり着いたのが食品への箔押しでした。

      紙のような形状の食品への箔押しを考え、「海苔」への金箔の箔押しが生み
      出されたのです。

      そして、贈答用の海苔や、すしネタに使用する海苔に、金箔で店舗名や広告
      を箔押しした製品を開発し、中小企業経営革新支援法の承認を受けることに
      成功しています。

      このA社の考え方に、経営革新を考えるひとつのヒントがみつかります。

      それは、以前からよく使われている方法で、
      「製品・技術」と「市場」の2つの軸で考えたマトリクスを利用する方法

      これは、縦軸に市場を、横軸に製品・製品・技術をとり、それぞれ既存と新規
      からなる4つのマトリクスを利用する方法です。

      現在もっている「箔押し」という技術を利用して、それを新しい市場に持ち込
      むという市場開拓の手法がA社の新製品開発にいかされています。

      中小製造業の場合、まったく新しい技術とまったく新しい市場からなるマト 
      リクスを狙うのは無理がありますから、A社のように、自社のもっている技術
      や市場をベースに考えることが一般的です。

      さらに、既存と新親の間に「他社は知っているが自社にとっては新規」という
      区分を入れることも役立つはずです。

      他社ではすでに開発されているが、自社はまだ手をつけていない製品分野
      や市場分野ですから、他社の取り組みを参考にすることによって自社にとっ
      ての経営革新が可能で、すでに先行している他社があるのでリスクも少ない
      分野です。

      このマトリクスを頭の中に入れて経営革新を考えることで、自社の資源を無
      理なく活用した経営革新を検討することが可能となります。

    2.顧客を知る
      もうひとつ、自社の新たな経営革新の対象となる顧客を知ることが、経営革
      新を図るうえで重要なポイントとなります。

      新製品を開発していく際に、製造業ではとかく自社の現在の技術に依存して
      考えがちです。

      そのこと自体は、先のマトリクスの考え方のように正攻法といえますが、問題
      は、自社の技術に縛られすぎて顧客がみえていない場合が少なくないという
      ことです。

      新しい製品や事業を考える瞭には、顆客を明確にイメージすることが重要。

      (1)市場細分化
        新製品を発売する以前に、顧客を絞り込んで、具体的にイメージしておく
        と経営革新計画が立てやすくなります。

        顧客を絞り込む際に使われる基準が、「市場細分化」の基準です。

        すべての人を顧客に想定することはできませんので、自社の開発する製
        品を使ってもらいたい顧客を絞り込んで考えることがポイントです。

        たとえば歯磨きでも、口臭防止を目的に製品を利用する顧客、歯を白くす
        ることを目的にする顧客、磨いたときの爽快感を大切にする顧客など、顧
        客の要望にあわせた製品開発がなされています。

        この 要望=便益によって顧客を区分し、自社の開発した製品の真の顧
        客を絞ることが市場細分化です。

        市場細分化を考える際には、一般に4つの視点が必要です。

        @「測定可能性」
         新たに開発した製品が対象としている顧客の購買力を予想できるか
         どうかという視点です。
         たとえば、二輪車向けに新たに開発された二輪車用カーナビは、
         すでに販売されている二輪車用のアクセサリーなどの市場から
         購買力が測定可能となります。

       A「到達可能性」
        自社の新製品のターゲットを、たとえば「シンプルでナチュラルな生活
        を志向する20歳代の女性」と定義したとしても、そのターゲットに接近
        できる方法がなければ絵に描いた餅となってしまいます。
        たとえば、想定したライフスタイルをもつ消費者をおもな購読層にして
        いる雑誌に広告を出すことでターゲットに到達可能になる、といった
        視点から検討してみます。

       B「維持可能性」
        そのターゲット市場が採算のとれる規模があるかという視点です。
        たとえば、珍しい古着をリサイクルして和装バッグを製造しても、その
        対象となる市場の人口が数十人では採算がとれません。
        自社の生産能力やコストを考慮に入れながら、採算のとれる規模である
        かを確認することが求められます。

       C「実行可能性」
        自社の想定しているターゲットに対して、マーケティング・プログラムの実
        行が可能であるかどうかという視点です。
        中小製造業者が世界規模の販売網を必要とするマーケティング・プランを
        考えても容易には実行できないため、自社のマーケティング資源を確認し
        ながら、実行可能であるかどうかを検討することが求められます。

      (2)5W1H法
        このような視点から検討して市場細分化がなされたら、その市場をより具
        体的にイメージするために利用できる方法が「5W1H法」です。

        開発した製品が実際にどのように使用きれるかについて、5W1H=「誰
        が、どこで、何を、いつ、なぜ、どのように」使用するかを自問して、顧客の
        姿を明確にしていきます。

        市場細分化によって、ある程度顧客のイメージは決まっているはずです
        ので、それをさらに製品が使用されるシーンに従って具体的に想像するこ
        とで、開発製品のイメージを精巧度の高いものに近づけていきます。

        たとえば、市場細分化で自社の顧客を「40歳代の主婦」と想定していて
        も、都会の主婦の行動と地方都市の主婦の行動は買い物に行く手段(徒
        歩か車か)から違いますし、ニーズも異なってきます。

        「40歳代の主婦」をターゲットとしているといいながら、じつは「大都市に
        住む、40歳代で、子どもが高校生の主婦」だけに必要な製品を開発・製
        造しているケースなどが考えられる。

        このような誤差をなくすためにも、自社の開発・製造する製品がどのよう
        に使用されるかを5W1H法で確認することが有効です。

        5W1H法は、たとえば以下のように利用していきます。

         自社が新たに開発する製品が小型プリンターである場合、
         誰が:ビジネスマン、大学生、高校生、中学生
         どこで:仕事で、学校で、出張時に、遊びで、旅行で
         何を(プリントするのか):PCの内容、携帯電話で撮った画像
         (景色、友達)
         いつ:仕事中、帰宅後、学校で、電車の申
         なぜ:仕事の資料をつくるため、手帳に貼るため、写真シール
             にするため、自分の楽しみのため、シールをつくるため
         どのように:職場のプリンターを使用して出力する、家庭用
                 プリンターを使用して出力する、携帯用プリンター
                 を使用して出力する

        このような選択肢から、たとえば中学生が小型プリンターを使用するシー
        ンをさらに具体的に想定していきます。
         誰が:友達の多い中学生
         どこで:学校の休み時間、電車の申
         何を:携帯電話で撮影した友達の画像
         いつ:その場で
         なぜ:シールをつくるために
         どのように:携帯用小型プリンターで出力する

        このように具体的に想定していくと、たとえば「携帯電話で撮影した画像を
        その場でプリントできる」というニーズが想定されます。

        このニーズに基づいて、さらなる具体的なニーズ(たとえば、色、デザイ
        ン、サイズ、形、価格、重さなど)を明確にしていくことで、新製品の仕様を
        決定していくのです。

     経営革新を推進することが、下請体制の変化に負けない自立した企業となる
     ポイントです。

     自社の経営資源を製品・市場マトリクスで分析し、具体的な顧客を想定した新
     規開発をめざしていきましょう。

 

運輸業

          

運輸業
トラック運送業の経営戦略

  ■運送業の基本戦略

   長引く不況による受注量の低迷に加え、平成15年の「改正貨物自動車運送事業
   法」「貨物利用運送事業法」の改正「物流二法」の施行によって運送業への参入
   が容易になったこともあり、企業間競争は激しさを増す一方です。

   平成28年12月16日付けで「道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を
   改正する法律」が公布され、平成29年1月16日付けで施行されました。

   また、運送業は厳しい労働条件、低賃金などのために労働者不足が深刻化して
   おり、
    ・サービス向上ができない
    ・仕事に遅れが生じる

   などの問題が起こっています。

   さらに、大手運送業者は、その資金力・組織力を活かし、こうした問題にいち早く
   対応し、中小運送業者の顧客層にまで踏み込んできているところもあり、中小運
   送業者にとってはますます厳しい状況にあるといえます。

   このような環境にあって、中小規模の運送業者の採るべき基本戦略は、
    ・経営の合理化・効率化
    ・取引の改善
    ・競争力の強化
    ・人材の確保・育成

   が主なものになると考えられます。

  □経営の合理化・効率化
   運送業には、「労働時間の短縮」「労働条件の改善」「環境問題への対応」などの
   さまざまな経営課題が存在しています。

   そして、それらに対する取り組みが運送業の合理化・効率化を着実に進めるもの
   であるといわれています。

   こうした中、各社ともさまざまな取り組みを進めていますが、ここでは、「同業他社
   との関係強化」と「荷主との関係強化」に関してまとめてみます。

   保有車両の回転率の向上とドライバーの労働時間短縮を目的に、異なる地域の
   事業者同士が業務提携し、
    ・着地での配送業務を委託しあう輸送体制
    ・中継点で車両を乗り継ぎあう輸送体制

   を採用することが増えてきました。

   物流の合理化に本格的に取り組むには、荷主に対してその必要性をアピールし、
   理解を求めることも必要になってきます。

   自社の実状や労働時間短縮の必要性などを荷主に訴え、同時に合理的な輸送・
   配送システムを荷主に提案することで、両社の関係が物流合理化という時代の
   流れに沿って深まっていくと考えられます。

   たとえば、このための施策として、
    ・荷主企業の計画出荷に合わせた計画的な配車
    ・複数荷主企業に対する機動的な配車

   などの運行管理を行なうことがあげられます。

   これにより、受注産業という意味合いが強かった体質を徐々に取り除き、運送業
   者サイドの主導でサービスを提供していくというシステムに移行することが可能に
   なると考えられます。

  □取引の改善
   運送業におけるコストアップ要素が増加していることを考えると、これを適正に回
   収するための運賃・料金建ての工夫ならびに荷主との運賃交渉能力を強化して
   いく必要があります。

   まず、コストを適正に回収するためには、
    コストのかさむ「ジャスト・イン・タイム」には割増料金を設定するなど、
    「コストに見合った運賃水準の設定」を行なう

   必要があります。

   また、輸送の効率化を促進するために、

    「閑散時と繁忙期における運賃・料金の格差の設定」などを組み入れる

   必要もあるでしょう。

   これに対する具体的な方策として、
    ・繁忙期割増の設定
    ・休日割増の設定

   などが考えられます。

   逆に、荷主を固定客化するために、
    ・貨物の引き取りと輸送を定期便化できる場合には一定の割引率を適用する
    ・待ち時間のロスをなくす方策を提言する

   など相互にメリットを生む方向へ誘導することも必要です。

   さらに、きめ細かい運賃交渉計画のもとに説得材料としての原価策定資料や輸
   送改善案を作成し、説得力のある運賃交渉を実施していくことも重要となります。

  □競争力の強化
   運送業は基本的には地域産業です。

   したがって、営業地域を中心にして荷主を確実に確保するための施策をとる必要
   があります。

   まず、荷主のニーズを引き出し、自社がそのニーズに対応できるかどうか検討
   し、最終的に「合理的かつ効率的なやり方」でのサービスを展開することになる。

   自社の領域で特徴あるサービスを計画し、提供することが競争力強化のポイント
   となります。

   具体的施策としては、
    ・荷主の配送センター管理機能を代行し、センター業務から配送までの
     業務を一括提供するサービス
    ・自社で物流センターを設置し、複数の荷主に対する物流をすべて請け
     負う物流一貫サービス
    ・その他のサービスとして混載輸送サービスや納品代行サービス

   などがあげられます。

   また、特殊な機能や技術を装備することで他の業者に頼めない業務を獲得すると
   いう視点で、
    ・「危険物の運送許可」を取得する
    ・「広大なバックヤード」をもち、問屋のような在庫管理の機能をもつ
    ・特殊な「積み降ろし機」を保有することで差別化する

   などの方法によるサービス力強化の方向性の検討も必要となります。

  □人材の確保・育成
   運送業は、一般的に労働集約型産業と位置付けられ、労働力確保が不可欠とい
   われています。

   しかし、労働条件の整備・改善が遅れていることや定着率の低下などから慢性的
   な人材不足状態にあるため、年間を通じて募集(公共職業安定所、求人誌、口コ
   ミなど)を行なっている状況です。

   そのため、採用や教育にコストや時間がかかり、負担が大きくなっています。

   次に、こうしたことを踏まえて、運送業の人材面における、
    ・人材の質的・量的充足
    ・人材の多面的活用
    ・研修体制の強化
    ・福利厚生制度の充実
    ・労働条件、社内制度の整備・改善
    ・職場環境の充実
    ・自社の魅力向上とP R活動

   などの課題を解決していくための視点をまとめます。

   1.計画的かつ安定的な雇用体制
     従来の運送業の多くが、欠員が生じた際に単発的な雇用計画を採ってきた。

     そのため、ドライバーの定着率や質が向上しないといった問題を抱えていた。

     そこで今後は、
      ・中期経営計画に即した要員計画の策定
      ・募集活動の体系化
      ・将来の経営幹部候補としての新規学卒者の採用
      ・教育研修制度の充実
      ・労働条件の見直し
      ・作業環境の改善と整備
      ・企業イメージの向上とアピール

     などを行なうことにより問題を解決することが必要となります。

     これらの点については、2以下で具体的にご説明しましょう。

   2.教育・研修体制の強化
     自社の経営方針と教育体制を明らかにし、これに沿ったドライバーの教育訓
     練、能力開発、さらに帰属意識や労働意欲を引き起こすための教育研修を実
     施します。

     教育マニュアルや教育研修スケジュールに沿った月単位・年単位での行動計
     画を個人(あるいはグループ)で作成させると効果的です。

     また、研修時以外でも、日常的に従業員の「提案制度」を導入し、業務のロス
     をなくすアイデア、業務の生産性向上や効率化のアイデア、顧客サービスや
     売上向上のアイデアなどを提言させ、効果を上げた提案については「社長賞」
     「部長賞」などの表彰や報奨金の支給、あるいは給与待遇改善など論功行賞
     で報いることも、定着率や帰属意識を高めるのに大きな効果があります。 

   3.福利厚生制度の整備
     労働力の確保のためには、福利厚生の充実を図り、職場を魅力あるものにす
     ることも必要です。

     賃金以外の具体的な福利厚生面での例としては、
      ・独身寮、社宅の整備
      ・住宅手当の支給や持ち家援助制度の導入
      ・フィットネスクラブの法人契約
      ・保養所の確保
      ・人間ドックなど健康面でのサポート

     などを実施することが考えられます。   

   4.中高年・女性の活用
     労働力確保が難しいなか、中高年や女性に目を向ける必要もあります。

     しかし、これらの人々を採用するには、労働環境についていくつか整備しなけ
     ればならない点もあるでしょう。

     中高年であれば、若年層と同一の作業条件で労働させることは困難なので、
      ・仕事量の軽減
      ・労働時間の短縮

     などといった点を配慮する必要があります。

     また、女性を採用する場合、
      ・育児を行なう際の労働時間の短縮
      ・女性専用トイレ、ロッカー室などの整備
      ・男性と区別のない評価制度の採用

     などを考慮しなければなりません。

   5.イメージの向上
     クリーンで活動的なイメージを与えることを目的に、社名を変更する企業が増
     えています。

     これは、CI(コーポレート・アイデンティティー)の一環として行なわれることが
     多く、自社のイメージをプラス方向に転じさせ、雇用確保や社員定着率の向上
     に大きな効果が期待できます。

     いかにクリーンな企業イメージを作っていくかが、雇用確保の面でも重要に
     なってくると思われます。

   以上、トラック運送業の一般的な経営ポイントを取りまとめました。

   経営ポイントにはこの他にも
    ・営業構造をどう作り上げるか
    ・財務体質をどう強化するか
    ・情報収集管理力をどうつけていくか

   など、さまざまな課題があります。

   今後の事業展開に合わせ、順次検討されることをお勧めします。

 

建設業

 

建設業
建設業者の生き残り・勝ち残り策

  ■公共工事の減少

   公共工事は1999年度以降、一貫して減少傾向にあり、9年間で半分以下の水準
   にまで減少した。

   2008年度以降は景気刺激先としての予算追加等によりわずかに増加に転じまし
   たが、今後も大幅な回復は見込みにくい状況です。

   一般的に、地方の建設業者は公共工事依存度が高く、公共工事の減少は経営
   基盤を揺るがす大問題です。

   それに加えて、知名度のあるゼネコンとの競合になれば、受注を確保するため価
   格競争になり、ますます経営を悪化させるという悪循環に陥りかねない。

   しかし、社会資本を整備する役割を担う建設業者は、こうした難局を乗り越え、大
   きく成長することが求められます。
 
  □建設業者の生き残り・勝ち残るための視点
   前述したような厳しい環境下で、今後、建設業者が成長していくためには、以下の
   ような視点で経営を再検討することが必要でしょう。

    1.地域に密着した営業展開を強化すること
    2.他社より優れた特殊技術をもつこと
    3.正確な情報の収集で利益管理や営業管理を適切に行うこと
    4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営に努力すること
    5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処すること

   以下に、それぞれの視点についてポイントをあげていきます。

   1.地域密着の営業展開を強化
     地元業者では、地域密着型の営業が特に重要です。

       顧客の細かい要望に対し、柔軟な設計変更で応じるなど
       大手ゼネコンやハウスメーカーなどではできないことに丁寧に
       対応する

     ことが大切です。

     また、ちょっとしたクレームや質問に対してすぐ顧客の元に出向き対応すること
     や、施工現場を美しくすること、多様な商品の品揃えをすることなどでも、地元 
     顧客に地域密着のイメージをもってもらうことができます。

     このように、顧客に誠実な体制を整えることが、企業イメージをアップさせ、口
     コミで顧客を広げる有効な手段となるのです。

     地域密着型の営業を実践している建設会社のなかには、徹底した地域密着を
     実現するため、施工エリアを本社所在地から50キロメートル圏内に限定して
     いるところもある。

     その大きな理由として、クレームにスピード対応するためということがあげられ
     ます。

     50キロメートル程度だと、電話を受けてから1〜2時間ほどで駆け付けること
     が可能だからです。

     また、具体的に施工を始めた現場をモデルルーム・ショールームなどの営業
     拠点としているところもあります。

     そうした場合には、現場で目に触れやすい仮囲いやシート、看板は、周囲への
     影響を考えて、統一した美しいデザイン・マークを使用します。

     現場監督や職人にもマナーや整理整頓の遵守を厳しく徹底します。

     現場の職人は、近所の住民に丁寧な応対をする、ゴミやたばこの吸い殻を持
     ち帰るなど、工事の騒音などで近所の住民に迷惑をかけて申し訳ないという
     気持ちを行動で示すようにします。

     こうした態度を取ることにより、工事現場の近所の住民からの評判もよくなりま
     す。

     工事現場の様子を見ていた近所の住民から信頼されて、工事を受注するとい
     うケースもあります。

   2.他社より優れた特殊技能をもつ
     技術力が他社と比較して高ければ、

       自社のウリを「技術力」として技能特化型企業となる

     ことが可能でしょう。

     さらに、技能者不足の現状や受注の効率化を考えると、生産性を高めることも
     重要な特殊技術といえる。

     具体的には、マニュアルを作成するなど、合理化手法を開発することで、熟練 
     した職人以外でも高度な製品を作ることが可能になるでしょう。

     こうしたことにより職人不足への対応だけでなく、コストダウンも可能になる。

     また、社員などからユニークなアイデアを募集し、それを思い切って採用する
     などの姿勢も必要です。

   3.正確な情報収集で利益管理や営業管理を適切に行う
     正確な情報を得るためには、現場の営業担当者に、

       報告書の提出を定着させることが必要です。

     特に営業活動においては、こうした報告によって営業担当者と上司が顧客に
     関する情報を共有することが可能なため、上司が営業担当者の悩みや営業
     方法について適切な指示を与えることができます。

     また、工事現場において、使用した資材や人員数、工事の進捗状況などの実
     績を毎日データベースに入力し、情報共有を図ります。

     この各現場の実績に、当初の予算をつねに対比させることで、より緻密な利益
     管理が可能になります。

     さらに、各現場の最終費用実績を参考にすると、別の工事の必要経費が予想
     できるようになり、受注金額を決定する際に役立てることもできます。

   4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経を強化
     効率的な経営を行うためには、職人などの人件費の適切な管理が不可欠で
     す。

       徹底した作業の標準化や資材の集中処理、営業体制の見直しなどで、
       効率的に職人を使うことにより、人件費を削減する

     ことが可能です。

     効率化のためには、まず徹底して部門内の作業を分解することが必要です。

     さらに、コストダウンのために、設計図から施工部材、施工動作、スケジュール
     管理、予算管理、施工道具まで分解し、経費削減の可能性を分析します。

     人件費の削減に当たっては、分解した作業ごとに要した時間を調査し、作業
     者にも納得してもらえる標準作業時間を設定することにより、適正な人件費を
     把握するようにします。

     給排水、電気、内装など、専門の職人による施工が必要な場合もありますが、
     単純で、施工道具も完備され、完全にマニュアル化されている工程は、アルバ
     イトを利用することも可能となる。

     作業時間が減少すると、貸金が減少する恐れがあるとしてマニュアル化に反
     対する職人がいても、標準作業時間を守ることでこれまで以上の数の現場に
     従事することができるなど、逆に貸金が増加するケースもあることなどを説明
     し、理解を求めましょう。

     そのほか、インターネットを活用すれば、FAXや宅配便などよりも安く迅速に、
     設計図面に関しての修正や確認などの情報を送達できます。

     最新である必要はありませんが、情報設備は積極的に導入を検討するように
     します。

   5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処
     多角化については、

       自社の技術をいかせる関連部門への多角化が中心になります。

     もっとも多いのは、個人住宅分野への多角化です。

     個人住宅分野も大手ハウスメーカーなどが全国を営業エリアとしています。

     そのため、輸入住宅・省エネルギー住宅といった特徴ある住宅に特化するな
     ど、他社との差別化を図る必要がある。

     そのほか、建設廃棄物のリサイクル、現場ごとの利益管理システム作成など、
     従来、建設業者が課題として捉えている分野に注力し、多角化を図っている事
     例もあります。

     厳しい環境だからこそ、体に汗をかくだけではなく、頭に汗をかき、知恵を絞り
     だすことが重要なのです。