製造業 運輸業 建設業 流通業 卸売業 事業協同組合

          

製造業
製造業における改善活動のチェックポイント


  品質管理のポイント

  作業管理のポイント

  生産計画・納期管理のポイント

 

工場の生産性を向上

           

工場の生産性を向上

  ■生産性向上を考える際の視点

   生産性向上を考える場合、検討すべきことは数多くあるが、大きく「能率の向上
   と「稼働率の向上」に分けられます。

   それぞれ次のように休系図で整理しました。

    *1.7大口スとは、

       ・作り過ぎ ・過剰在庫 ・不良品の製作  ・手持ち

       ・運搬ロス ・動作ロス ・加工そのもの

      という7つのムダを指す

    *2.TPMとは、トータル・プロダクティブ・メンテナンスの略で、
        全員参加の設備保全活動のこと

  □生産性向上の具体策

   生産性の向上を検討するための視点については前述したが、ここでは実際に生
   産性向上を実現するための

    1.ムダ取り7手法

    2.VRP(部品半減計画)

    3.標準作業の設定

    4.TPM(設備保全活動)

    5.段取り替えの短縮

    6.レイアウトの改善

   という代表的な6つの手法について、ご紹介します。

   1.ムダ取り7手法

     作り過ぎ、過剰在庫、運搬ロスなど、前述した「7大口ス」に代表される様々な
     ムダをなくす、7つの手法をご紹介します。

     (1)標準化生産

       「販売のブレ」をできるだけ少なくして、生産現場の毎日の仕事量のばらつ
       きを少なく し、製作する製品(数量)をできるだけ均一にする手法。過剰設
       備や過剰人員を防止できる。

     (2)U字型レイアウト

       機械の台数が多くなると、作業者の歩行距離が大きくなりムダな動作にな
       りがち。

       U字型レイアウトは初工程と最終工程が近くなるため、カラ歩きや不必要な
       運搬を防止し、在庫のムダ、運搬のムダ、手持ちのムダ、動作のムダをなく
       すことができる。

     (3)ポカヨケ

       ちょっとしたミスを防止する手法。

       具体的には

        ・作業者がいちいち気を配らなくてもミスを防止できる工夫

        ・作業手順を誤った場合でも不良品がでない工夫

        ・条件が整わないと機械が作動しない工夫

       などがある。

     (4)作業の自動化

       自動化することによって、異常発生時には自動停止装置が作動したり、異
       常の原因を自動検出できるようにすることができる。

     (5)シングル段取り

       10分未満の段取り替えをシングル段取りという。

       シングル段取りを可能にするためには、内段取り(機械を止めて行うもの)
       と外段取り(機械の稼働中に行うもの)の区分、治工具などの取付け・取り
       外し作業の簡素化・標準化、調整作業の廃止などが必要。

     (6)多工程持ち

       加工する順番に機械を配置し1人の作業者が複数の工程を受け持てるよう
       にする。  

     (7)動作経済の原則

       人間の動作のムダを排除するための原則(*)に則る。

       *動作琴済の原則について

         @基本原則

          ・動作の種類と数を減らし、不必要な動作をなくす

          ・最短距離で動く

          ・最も円滑に動けるようにする

          ・最も疲労の少ない動作にする

          ・動作に習慣性を持たせる

          ・作業標準を用いて事前に動作の訓練を行う

          ・動作の改善と適度な速度は製品の品質を向上させる

         A人体の使用に関する原則

          ・両手の動作は同時に始めて同時に終わるようにする

          ・両手の動作は同時に反対方向に、かつ対称的経路になるようにする

          ・慣性、動力、自然力をできるだけ利用する

          ・手の動作は低級レベルにする(肩から先を全て使うより肘から
           先の動作、肘から先全てを使うより手首から先の動作で済ま
           せるなど、できるだけ動かす部分を少なくする)

          ・急な方向転換は避ける

          ・できるだけ自然な姿勢に近づける

          ・リズムのある動作にする

         B作業場所に関する原則

          ・作業台や椅子の高さは姿勢に無理のないようにする

          ・工具、材料は作業に合わせて配置する

          ・加工品の送りは重力シュートを活用する

          ・加工品の工員は一目で見え、手の届く範囲内で、定位置に置く

          ・工具、材料は作業者に近い前面に置く

          ・工具、材料、設備はできるだけ作業者が歩く必要がないように
           配置する

         C工具、設備の設計に関する原則

          ・簡単な作業や力の必要な作業は、足を使う器具を使用する

          ・加工品を長時間持つときは保持具を利用する

          ・工具、材料は定位置に置くようにする

          ・複数の工具はできるだけ組み合わせる

          ・一定の運動経路を規制するには治具、ガイドを利用する

          ・できるだけ動力工具を利用する

          ・工具や器具の握りは、できるだけ広く手のひらに当たるようにする

   2.VRP(部品半減計画)

     VRP(バラエティ・リダクション・プログラム)は、(社)日本能率協会が開発した
     もので、

      「多品種・多部品・多工程」のもとで設計から生産までの総合的なコスト
      ダウンを行うための手法

     です。

     一般的に製品のライフサイクルに従ってその品種数は増加し、それと共に部
     品数や工程数も増加していきます。

     そして、ライフサイクルの末期になって売上げが落ち始めても、コストはそれに
     合わせて落ちていかず、収益を悪化させることになるのです。

      VRPは、市場の成熟化によって品種が増えても、
      部品数や工程数は増加させないような仕組みをつくり、
      それに適した作業の方法を検討する

     という考え方のもとにつくられるプログラムです。

     具体的には

      ・部品や工程の数や種類と、製品設計や生産方法との関連を分析する

      ・多工程、多部品が原因で発生するコストを分析する

      ・製品や生産システムの問題点に対して、「製品群」という視点で考える

      ・製品設計と生産システムの整合性を考える

     といったことから、生産性向上策やコストダウン策を考えていくわけです。

   3.標準作業の設定

     「標準作業」とは、作業条件・作業手順・作業要領などの作業方法を、様式を
     決めてまとめたものであり、作業者が作業を行うときの基準です。

     また、監督者が作業者の教育訓練を行うときの教材、作業管理の際の指標と
     もなります。

     基本的には

      ・作業遂行の目的(何を加工するか)

      ・作業条件(使用設備・治工具・標準時間)

      ・作業域のレイアウト

      ・作業手順

      ・要求される品質規格

      ・材料・部品の略図

      ・作業上の留意点(安全面、能率面なども含める)

     の7つの項目について作業方法を検討して、標準作業票を作成します。

     「標準作業票」の例を掲載します。

   4.TPM(設備保全活動)

     工場内の機械化・自動化・無人化が進んでいますが、せっかくの設備も専門
     知識をもたない作業員が運転していると、ちょっとした作業ミスや故障で機械
     が止まり、著しく稼働率を下げてしまうことになりかねません。

     TPMは、自分たちの大事な設備を、自分たちの手で保守できる部分は積極的
     に整備・修理していこうという活動です。

     つまり、

     TPMとは

      ・設備効率を最高の状態にすることを目標にして、

      ・設備の一生涯を対象とするPM(プロダクティブ・メンテナンス)の
       トータルシステムを確立し、

      ・その状態を維持保管するための人材を養成する。

      ・また設備の計画部門、使用部門、保管部門などあらゆる部門に
       わたって、経営者から第一線の作業者にいたるまで全員が参加し、

      ・小集団自主活動を中心にPMを推進する活動

     といえます。

   5.段取り替えの短縮

     段取り替えの時間短縮の手順は以下の通りです。

     (1)実態調査を行い現状を把握する

       IEの手法である「ワークサンプリング法」で、就業時間内の人と機械の
       稼働率を調査する。

     (2)改善目標を設定する

     (3)治工具を整理整頓する

     (4)内段取りの外段取り化を行う

       内段取りと外段取りの作業分解を行い、内段取りを外段取りとして行えるよ
       うにする。

     (5)内段取り自体の短縮化を行う

       機能の標準化、共同作業、仲介治具の使用、調整作業の廃止、締め付け
       の簡素化、能率・能力の向上などにより、段取りの時間を短縮する。

     (6)総時間の短縮と効果の確認を行う

   6.レイアウトの改善

     効率的なレイアウトは、ものの流れにそって配置することにあります。

     このためには、「ものの流れ分析」が有効です。

     これは、

      工場内のものの流れを把握し工程間の関連の強さを調べる手法

     です。

     この分析結果にもとづいて、レイアウト改善を検討します。

     レイアウトの改善は、以下のような場合に行うと効果的です。

      ・販売方法の変更時

      ・品種・生産量、流し方などの「生産システム」の変更時

      ・作業の機械化・自動化、材料や加工法などの技術の進歩や変化に応じて

      ・設計変更時

      ・現状のレイアウトの欠陥が見つかったとき

      ・生産量の増減があったとき

      ・工場の移転があったとき

      ・新製品を投入したとき

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    ポカミスの原因と対策

            

ポカミスの原因と対策

  ■ミスが発生しやすい時間帯とその対策 

   現場では、どういうわけか午後2時〜3時に最も「ポカミス」が多く発生する。

   入力作業でも入力の欄を間違えたり、数字の桁を間違えるのです。

   対策は自分自身を叱咤して「集中力」を確保することです。

   「集中力」の持続時間の短い人に「ポカミス」が多いから、このようなタイプの人
   は、「集中!集中!」と常に自分に言い聞かせて、意識付けしながら仕事をするこ
   とです。

   会社として「リフレッシュ・タイム」を設けて体操をしてもらったりコーヒー・ブレイクタ
   イムを設けるのも効果的です。

   ミスをさせない空間、環境の設定が効果があるのです。

   特にこの時間帯は「セルフチェック」を入念に行う癖をつけてほしい。

   仕事の区切りごとに「セルフチェック」を必ず励行することで「ポカミス」は自分で発
   見できるのです。

   誰でも最大限「慎重さ」なるコンピテンシーを発揮する時間帯なのです。

  □中断後の仕事再開時のミスと対策

   仕事を一時中断したり、離席後に席に戻って仕事を再開するときに「ポカミス」が
   集中する。

   仕事をやりかけていて、休憩時間になる、昼休みになる、上司に呼ばれる、電話
   に出る、来客に応対する。

   このような場合、仕事を中断したり、離席する。

   そして仕事を再開するときにワナが待っているのです。

   対策は「離席管理」をしっかりやること。

   仕事の中断や席を離れるときは、どこまでやりかけたのかをしっかり分かるように
   記録を残しておくことです。

   その記録を確認して再開するようにすれば、ミスは激減できるのです。

   「離席カード」を作成し、席に戻ったらどこまでやりかけていたかをしっかり確認し
   再開するのも効果的です。

   全社的に「離席カード」を活用することをお勧めします。

  □ワークデザイン拙劣に対する対策

   仕事の中身、仕事のやり方そのものが間違いやすい、あるいは勘違いしやすい
   ように「ワークデザイン(仕事の設計)」されているものが職場には数多くある。

   組立現場には部品を反対に取り付けようと思えば取り付く構造や部品がありま
   す。

   そして必ず取り付けミスがある確率で発生するのです。

   事務の仕事にもミスを誘うソフトや不明朗な手順があります。

   これも「仕事の設計(ワークデザイン)」に欠陥があると考えるべきだ。

   部品の取り付けミスを撲滅するなら、反対に、あるいは逆には絶対に取り付かな
   い構造設計にすることです。

   しかし、設計者はなかなかこれを実行したがらない。

   そして現場の作業ミスだと言い張るのです。

   この場合は、あらかじめ取り付ける部品の「方向性」を決めて作業台に一旦置い
   てから作業させること。

   そうすることで取り付けミスは激減するのです。

   入力ミスしてもアラームを発してくれたり、「これで間違いないですか」と警告を発
   するソフトにすること。

   セルフチェックを促すことは、ミスに気付かせる上で有効です。

   ポカミスが発生しにくいように仕事のやり方、仕組みを盛り込んで「ワークデザイ
   ン」することが大切なのです。

  □4Mの変更管理拙劣に対する対策

   4Mの変更はポカミスの温床になっている。

   4Mとは、Man(人)、Machine(設備)、Material(材料など)、Method(やり方、
   方法)のことです。

   これらが変更になることは製造現場では日常茶飯事です。

   中でも「人が代わる」、「やり方が変わる」の二つは最もポカミスに敏感です。

   つまり不慣れが原因と言うわけです。

   「何かを変えたらミスが起こる」と考えてほしいのです。

   やむを得ずオペレーターが変更になる場合は、対象者にしっかり教育訓練して、
   「これなら大丈夫」というお墨付きを与えて作業をさせることが大事なのです。

   見本を見せて「この通りやってくれ」ではミスの元だ。

   技術的にやり方が変更になる場合も同様です。

  5Sが拙劣に対する対策

   「5S」は誰でも知っている「整理、整頓、清掃、清潔、躾」のこと。

   「言うは易く行なうは難し」で実際できていない現場が多い。

   「5S」と「識別表示管理」は一体と考えてほしい。

   「5S」ができていない現場はミスが多発することになっているのです。

   製造現場なら作業台の上をキッチリ「5S」を実施し、全社運動として定着させるこ
   とをお勧めします。

   事務部門においてもデスクの上や書類、パソコンのファイルやドキュメントを常日
   頃からきっちり整理、整頓し、識別管理をする習慣を身に付けることです。

  ホウレンソウ(報連相)不足に対する対策

   問題が起こると「言った」、「言わない」、「聞いた」、「聞かない」の言葉が飛び交う
   のです。

   明らかに「報連相不足」だ。

   つまりコミュニケーションがなっていない。 

   そして責任のなすり合いが始まる。

   ホウレンソウとは、「報告」、「連絡」、「相談」のこと。

   つまり、密接なコミュニケーションを常に図ることを習慣化することです。

   意思の疎通が図られればチームワークがよくなり、連係プレーが可能になるのです。

  □段取り不足に対する対策

   日常的な定型作業は同じことの繰り返しだが、たまにやる重要かつ特別な仕事や
   初めての仕事に着手すると言うのに「段取り」をキッチリやらない人は多い。

   段取りができていないからやるべきことを忘れたり、もの探しであっちにうろうろな
   どの歩行が多くなる。

   ミスを誘うばかりか効率も悪い。

   「段取り」をキッチリやってから着手すること。

   効率がよく、しかもつまらないミスは激減できるのです。


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ヒューマンエラー

                

ヒューマンエラー

  ■ヒューマンエラーに対応する

   1.ヒューマンエラーとは 

    近年、運輸機関における大事故や、金融機関におけるシステム障害や誤発
    注、医療機関における医療過誤などが社会的な問題となっています。

    これらの事故は、さまざまな要因がそれぞれ複雑に影響し合って発生して
    います。

    しかし、その根底には、ヒューマンエラー(人間の誤認識や誤動作によって
    引き起こされるミス)が存在しています。

    ヒューマンエラーによって引き起こされた事故の例です。

    このように、ヒューマンエラーによる事故はさまざまな分野で起こり得ます。

    企業の社会責任が重要視されている昨今、これらの事故は、「信頼の失墜」
    を招くばかりではなく、「顧客の安全性の損失」「多額の賠償責任の発生」な
    ど、取り返しのつかない大きな損害を顧客や企業に与える恐れがあります。

    また、近年、企業における機械化・IT化の進展により、一人の人間の作業
    により生じる影響力は、従来に比べて非常に大きくなりました。

    これにともない、ヒューマンエラーによって引き起こされる事故および損害の
    規模も増大しています。

    こうした背景から、企業にはヒューマンエラーに対する適切な対応が求めら
    れているのです。

   2.ヒューマンエラーのメカニズム

    (1)必ず発生するヒューマンエラー

      ヒューマンエラーへの対応を検討する上で、常に念頭に置かなくてはな
      らないのは、ヒューマンエラーは必ず発生するということです。

      もちろん、「ヒューマンエラーを起こさない」という意識を持ち、また、さま
      ざまな防止対策を講じることにより、ヒューマンエラーの発生をある程
      度防止することは可能です。

      しかし、人間は必ず何らかのミスを犯すため、ヒューマンエラーの発生
      を完全に防ぐことは不可能です。

      問題とされるべきは、ヒューマンエラーそのものではなく、ヒューマンエ
      ラーによって引き起こされる事故および損害への対応です。

      ヒューマンエラーへの対応としては、

       1.ヒューマンエラーの発生の芽をつみとる

       2.ヒューマンエラーが発生した場合、迅速に検知する

       3.ヒューマンエラーによる事故が発生した場合、迅速に対応する

      という、ヒューマンエラーの発生を想定した対策を講じることこそが重要
      なのです。

    (2)ヒューマンエラーの発生 

      人間の情報処理のプロセスは、

       ・入力のプロセス(情報を自身の中に取り込むプロセス)

       ・媒介のプロセス(取り込んだ情報を判断するプロセス)

       ・出力のプロセス(判断に基づいて行動を決定、実行するプロセス)

      の3つに大別することができます。

      ヒューマンエラーは、このいずれのプロセスにおいても発生する可能性
      があります。

      以下では、それぞれのプロセスにおけるヒューマンエラーについて具体
      的に説明します。

      ◎入力エラー

       情報を入力するプロセスで発生するエラーです。
       「見落とし」「見間違い」「聞き間違い」などにより、情報を正しく
       知覚・認知できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 操作中の機器が異常発生を知らせる警告を表示していた
         にもかかわらずそれを見落とし、事故を発生させてしまった

        ・ 設計図中の寸法の数字を見間違えたため、欠陥住宅を建築
         してしまった

        ・ 顧客の見積もり依頼に関する仕様を聞き間違えたため、規格
         に沿わない仕様の見積書を作成してしまった

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー

       情報を媒介するプロセスで発生するエラーです。
       「誤った知識」「経験への依存」「思い込み」などにより、情報を
       正しく判断・決定できないことをいいます。

       例としては、
        ・ 新入社員が、商品に関する誤った知識のため、不当に低い
         見積価格を顧客に提示してしまった

        ・ 電車のベテラン運転士が、自身の経験を過信するあまり機器
         の危険表示を軽視し、事故を起こしてしまった

        ・ 「あまり重要ではないだろう」という思い込みにより、顧客から
         のクレームを放置し、結果としてさらに大きなクレームを発生
         させてしまった

       などが考えられます。

      ◎出力エラー

       判断によって決定された行動を出力するプロセスで発生する
       エラーです。
       「やり忘れ」「やり間違い」「勘違い」などにより、計画通りに正しく
       実行できないことをいいます。

       例としては、

        ・ 顧客に依頼されていた調査を行うことを忘れてしまった

        ・ 自動車の運転で、ブレーキとアクセルを誤って操作してしまった

        ・ パッケージがいつも使用している薬剤と似ていたので、中身
         を確認せずに別の薬剤を患者に使用してしまった

       などが考えられます。

       なお、各プロセスにおける一つひとつのエラーが軽微なものであって
       も、一連の情報処理のプロセスの中でそれらが連鎖することにより、
       より大きな事故を発生させる恐れがあります。

   3.ヒューマンエラーへの対応

    (1)情報収集と分析

      ヒューマンエラーへの対応を検討するには、ヒューマンエラーに関する
      情報を収集し、詳しく分析する必要があります。

      ヒューマンエラーへの対応の検討プロセスは図の通りです。

      ヒューマンエラーに関する情報を収集します。

      前述の通り、ヒューマンエラーにはさまざまな種類があります。

      また、複数のヒューマンエラーが相互に関係することにより、さらに新た
      なエラーを発生させるケースもあります。

      こうしたことを判別するために、できるだけ多くの情報(事例)を集める
      ことが重要となります。

      加えて、ヒューマンエラーには至らなかったものの、それにつながる可
      能性があった事例についても収集します。

      建設業界や医療業界では、これらを「ヒヤリ・ハット事例(エラーを起こ
      しそうになって「ひやり」「はっと」した事例)」として関係者全員で情報を
      共有しています。

      これらは、ヒューマンエラーを「芽」の段階でつみとるための非常に重要
      な情報となります。

      次に、これらのヒューマンエラーに関する情報を分析します。

      ヒューマンエラーは、発生するプロセスやその要素、要因により大きく
      異なります。

      従って、分析においては、そのヒューマンエラーが、情報処理の「どの
      時点で」「どのような理由により」発生したのかを詳細に検証し、エラー
      を発生させた本質を突きとめることが重要です。

      それぞれのヒューマンエラーを分析によってタイプ別に分類し、各タイ
      プの特性を勘案して対策を決定します。

      以下は、ヒューマンエラーへの対応として「ヒューマンエラー発生の防
      止」「ヒューマンエラーの検知」「ヒューマンエラーによる事故への対応」
      をまとめました。

    (2)ヒューマンエラー発生の防止

      前述の通り、ヒューマンエラーは「必ず発生するもの」です。

      しかし、さまざまな防止対策を講じることによって、ある程度発生を防止
      することが可能です。

      以下では、各プロセスにおけるヒューマンエラー防止対策を説明しま
      す。

      ◎入力エラー

       入力エラーは、情報を正しく知覚、認知できないエラーです。
       従って、入力エラーへの対応では、情報が正しく入力されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、

        ・ 見落としを防ぐために、機器や周辺状況について指差し確認
         などを行う

        ・ 見間違いを防ぐために、細かい数字や大量の数字などに
         ついては、複数の担当者の間で読み合わせを行う

        ・ 聞き間違いを防ぐために、情報は文書化して伝達する
         (やむを得ず口頭により伝達する場合は、必ず復唱を行う)

       などが考えられます。

      ◎媒介エラー

       媒介エラーは、情報が正しく判断されないエラーです。
       誤った判断は、誤った知識および判断基準の不統一によって行われ
       ます。

      従って、媒介エラーへの対応では、正しい判断を行うための正しい知
      識の教育、および判断基準の統一が重要となります。

      具体的な防止対策としては、

       ・ 機器の操作や業務内容についての正しい知識を教育する

       ・ 判断基準を統一し(マニュアル作成など)、この基準に基づいて判
        断を行う

       ・ 上司によるチェックなど、複数のチェックポイントを設定することに
        より、判断の妥当性を多面的に検討する

      などが考えられます。

      ◎出力エラー

       出力エラーは、行動が実行されない、もしくは行動が正しく実行され
       ないエラーです。
       従って、出力エラーへの対応では、行動が正しく実行されているかど
       うかの確認が重要となります。

       具体的な防止対策としては、

        ・ ToDoリスト(やるべき事柄をまとめたリスト)などを作成し、
         動作のもれを防ぐ

        ・ 落ち着いて、一つずつ作業や操作を行う

        ・ 作業、操作に際しては、目視などによる確認を行う

       などが考えられます。

       なお、出力エラーは、無意識の行動において発生しやすい特性をも
       っています。

       このため、無意識の行動に一定の制約を加えたり負担を軽減するこ
       とも効果的です。

       出力エラー防止対策の一例です。

    (3)ヒューマンエラーの検知

      ヒューマンエラー防止対策によってもヒューマンエラーを防ぐことができ
      なかった場合を想定し、それを検知するための対策を検討します。

      ヒューマンエラーの検知では、確認の機会を多く設け、目標と行為のズ
      レを少なくすることが重要となります。

      従って、具体的な対策としては、

       ・ エラーを発見しやすい仕組みをつくる

       ・ チェックリストを作成する

       ・ 複数の担当者によりダブルチェックを行う

      などが考えられます。

    (4)ヒューマンエラーによる事故への対応

      ヒューマンエラーを防ぐことができず、またそれを検知することができず
      に事故が発生した場合を想定し、これに備えるための対策を検討しま
      す。

      ヒューマンエラーによる事故への対応では、事故による損害の拡大を
      防ぐことが重要となります。

      具体的な対策としては、
       ・ 高所からの転落を想定して、安全ネットなどを張る

       ・ 伝票処理ミスや検品漏れによる目減りを想定して、ロス予算を
        計上する

       ・ 自社の製品により食中毒が発生した場合を想定して、迅速に
        被害者に対応するためのマニュアルを作成する

      などが考えられます。

      このように、ヒューマンエラーへの対応では、

      エラー発生の防止 ⇒ 発生したエラーの検知 ⇒ 発生した事故への対応

      という3つが、それぞれ適正に機能することが重要です。

   4.防止対策の運用上の留意点

    過去に発生したヒューマンエラーによる事故を検証してみると、「決められた
    手順通りに防止対策を実行しなかったため、ヒューマンエラーの発生防止
    や検知ができず、事故による損害を拡大させてしまった」という事例が少なく
    ありません。

    これらの多くは、
     ・ 指差し確認が面倒だったので、「安全と思われる」作業の確認を省略し
      た

     ・ システム上、エラーの警告が出たが、「問題ないと判断して」作業を続
      けた

     ・ 自分で「念入りに確認をした」ので、ダブルチェックをしなかった

    といった担当者の主観的な判断により、防止対策がしっかりと実行されなか
    ったことに起因しています。

    防止対策は、さまざまなプロセスに客観的なチェックポイントを設置すること
    でエラーの発生を防ぎ、またそれを検知することを目的としています。

    このため、担当者の主観的な判断によってこれらのチェックポイントを排除
    してしまっては、防止対策としての機能が全く失われてしまうこととなる。

    従って、防止対策を運用する際に最も重要なのは、いかなる場合でも、防
    止対策で定められている原則・ルールを順守し、実行させる
ことだといえま
    す。

    このためには、社内に「ヒューマンエラー防止対策委員会」といったチェック
    機関を設置し、
決定した原則・ルールが順守、実行されているかを定期的に
    確認する
などの施策が有効です。

    ただし、防止対策が実行されていたとしても、それが事実上形骸化してい
    ては意味がありません。

    例えば、ある機器の操作を行う際に指差し確認が義務付けられているとし
    ます。

    このような場合、長い期間を経るにともない防止対策が形骸化してしまい、
    結果として「表面上では指差し確認を実行していても、実質的には、確認者
    はただ無意識に指を差しているだけで確認していない」ということになってし
    まう恐れがあります

    このため、各人に、

     ・ その行動によって、どのようなヒューマンエラーが起き得るか

     ・ そのヒューマンエラーによって、どのような損害が起き得るか

    ということを十分に理解させ、防止対策を実行する重要性を認識させること
    が必要です。

    このためには、社内の各部署で発生した「ヒヤリ・ハット事例」について検証
    する「ヒヤリ・ハット意見交換会」を定期的に開催するなどして、ヒューマンエ
    ラーについての啓発活動を行うなどの施策が有効です。

    ヒューマンエラーは、もちろん発生させないに越したことはありません。

    しかし、その発生を完全に防ぐことができない以上、「ヒューマンエラーにと
    もなうリスクを、いかに少なくするか」という考え方を持つことが重要だといえ
    るでしょう。

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製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

         

製造業の経営革新(下請け体制からの脱却)

  ■下請体制の変化と経営革新の必要性

   1.下請分業体制の変化

     (1)日本の高度経済成長を支えてきた構造は、製造業における親事業者と下
       請企業とのネットワーク(下請分業体制)でした。

       下請企業は、複数の親事業者をもち、主要な親事業者とは長期にわたって
       取引を行い、所有する資産のうち主要親事業者向けの資産が約半分を占
       め、親事業者の要求によって設備投資や研究活動が行われるなど、親事
       業者による影響を大きく受けてきた。

       下請企業にとっては、仕事量の安定、独自での営業活動が不要、取引に
       関するリスクがない、技術指導が受けられるなどのメリットがありました。

       一方、親事業者側は、生産能力の不足分を外注で補う、外注先の専門的
       な技術や製造設備を活用する、外注先を活用して自社は得意な分野に集
       中するなど、下請企業とのネットワークを上手に利用して自社の強みを特
       化していこうという傾向がみられた。

       このように、長期安定的な取引関係を構築し、ネットワークである下請分業
       体制を、親事業者、下請企業の双方が上手に利用していました。

       しかし、中小製造業を支えてきた下請分業体制に、1980年代以降、大き
       な変化が起こり始めまた。

       「2013年版中小企業白書」によると、中小企業の下請比率は1981年の
       65.5%をピークに減少傾向(製造業で約18.6%、サービス業で
       約9.4%)にあり、この傾向は一部の業種(食料品、化学工業)を除いてほ
       ぼ全業種に共通しています。

       下請比率の低下に関係する大きな要因は、経済のグローバル化や不況が
       長引いたことで、大企業の生産拠点が海外へ移転したことがあげられる。

       また、日本の下請企業は、個々の部品を相互に調整・最適化しながら統合
       し、機能を発揮するように製品づくりを行う技術を得意としているのに対し、
       生産性向上のために、製品を部品ごとに分割、生産し、部品のつなぎ(イン
       ターフェース)の部分を標準規格化することで、単に部品を組み合わせるだ
       けで製品が完成する生産体制が世界的に進んだことも、下請比率の低下
       につながったとみられています。

       部品・半製品メーカーおよび素形材メーカーの状況をみると、10年前と比
       較して、下請取引を行う企業の割合はわずかに増加しているのに対し、各
       企業の売上に占める下請取引の割合は微減している。

       また、近年の傾向として、特定の取引先に売上のほとんどを依存する企業
       の割合が低下し、多数の取引先と薄く広い取引をする企業が増えている。

       これにより、下請企業が取引先より入手できる情報が、より表面的なもの
       や一般的なものとなり、技術開発や成長の方向性をつかみにくくなっている
       と懸念されています。

     (2)必要とされる国内基盤の強化

       大企業を中心に東アジアなどへ生産拠点を移し、生産体制の効率化を
       図ってきたが、近年、並行して国内の生産体制を再び強化する動きがみら
       れるようになった。

       とりわけ、電気・情報通信機械器具の分野では、アジア向けの投資が頭打
       ちとなり、その一方で国内向けの設備投資が持ち直す頼向がみられていま
       す。

       その背景には、最近の国内景気の回復基調により、企業の投資力がつい
       てきているうえに、ものづくりの基盤技術として、国内の中小企業の高い技
       術力が再評価されていることがあるようです。

       安価な海外製品の流入や親事業者の海外進出による受注減少に苦しむ
       中小企業があるなかで、こうした国内での需要に応えていくためには、環境
       の変化に対応し、自立した企業ともて強みを発揮していくことが求められて
       いる。

   2.基盤強化に求められる経営革新

     このような環境の変化に対応して、下請企業の企業活動も変化してきている。

     「2005年版中小企業白書」では、近年の中小製造業のおもな動きとして、輸
     出・輸入・海外直接投資を行う企業の増加、研究開発部門の従業員の増加、 

     デザイン・商品企画、研究開発関連の外部委託の増加をあげています。

     また、自社で生産設備を持たず生産工程をすべて外注する「ファブレス企
     業」、研究開発・試作品開発に特化する「研究開発型企業」、流通ルートを介さ
     ず自社で製造から小売までを一貫して行う「製造小売」など、業態も多様化し
     てきています。

     中小企業庁の調べによると、2005年11月末時点で、中小企業新事業活動促
     進法(旧法は中小企業経営革新支援法)に基づき、都道府県などより経営革
     新計画の承認を受けた計画件数は2万365件となっています。

     2005年3月末時点で承認を受けた企業の業種別割合をみると、製造業が
     43%ともっとも多くなっています。

     承認された中小製造業者の経営革新活動の割合は「新商品の開発又は生
     産」36%、「商品の新たな生産又は販売方式の導入」30%、「役務の新たな
     提供の方式の導入その他の新たな事業活動」20%、「新役務の開発又は提
     供」14%となっています。

     今後も下請体制の変化が進むことが予測されるなか、中小製造業者が自社
     の強みを強化していこうとする様子がうかがえます。

  □経営革新のヒント

   経営革新といった場合、どのようなものが経営革新といえるのでしょうか。

   もっともわかりやすい定義として、中小企業新事業活動促進法に定義されている
   「経営革新」の内容を確認していきましょう。

   中小企業新事業活動促進法では、経営革新として、

    1.新製品の開発又は生産

    2.新役務の開発又は渥供

    3.商品の新たな生産又は販売方式の導入

    4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業法動

   という4つを定義しています。

   それでは、これらの経営革新を行うためにはどのような工夫ができるかを考えて
   みましょう。

    1.製品・市場のマトリクスを利用する

      以下は、実際に中小企業経営革新支援法(現法は中小企業新事業活動促
      進法)の承認を受けた会社の事例です。

      金箔などの箔押し業者であったA社は、結婚式に代表されるお祝い物の金
      箔押しの印刷物が売上の中心でした。

      ところが、昨今では結婚式が多様化し、形式にとらわれない人が増えたこと
      や、パソコン印刷の普及に伴い、売上の激減に直面しました。

      そのため経営革新の必要を感じ、新たな市場開拓を決意した。

      現在の市場がなくなるという火急の事態ですので、新たな市場を緊急に開拓
      することが要求されました。

      その際考えたのは、今からまったく新しい製品や技術を開発していくことは資
      金力、人材力から無理があるため、現在もっている「箔押し」の基本技術をい
      かして市場開拓ができないかというものでした。

      現在は「紙」に箔を押しているが、これを別の素材に応用できるかどうかを検
      討し、たどり着いたのが食品への箔押しでした。

      紙のような形状の食品への箔押しを考え、「海苔」への金箔の箔押しが生み
      出されたのです。

      そして、贈答用の海苔や、すしネタに使用する海苔に、金箔で店舗名や広告
      を箔押しした製品を開発し、中小企業経営革新支援法の承認を受けることに
      成功しています。

      このA社の考え方に、経営革新を考えるひとつのヒントがみつかります。

      それは、以前からよく使われている方法で、
      「製品・技術」と「市場」の2つの軸で考えたマトリクスを利用する方法

      これは、縦軸に市場を、横軸に製品・製品・技術をとり、それぞれ既存と新規
      からなる4つのマトリクスを利用する方法です。

      現在もっている「箔押し」という技術を利用して、それを新しい市場に持ち込
      むという市場開拓の手法がA社の新製品開発にいかされています。

      中小製造業の場合、まったく新しい技術とまったく新しい市場からなるマト 
      リクスを狙うのは無理がありますから、A社のように、自社のもっている技術
      や市場をベースに考えることが一般的です。

      さらに、既存と新親の間に「他社は知っているが自社にとっては新規」という
      区分を入れることも役立つはずです。

      他社ではすでに開発されているが、自社はまだ手をつけていない製品分野
      や市場分野ですから、他社の取り組みを参考にすることによって自社にとっ
      ての経営革新が可能で、すでに先行している他社があるのでリスクも少ない
      分野です。

      このマトリクスを頭の中に入れて経営革新を考えることで、自社の資源を無
      理なく活用した経営革新を検討することが可能となります。

    2.顧客を知る

      もうひとつ、自社の新たな経営革新の対象となる顧客を知ることが、経営革
      新を図るうえで重要なポイントとなります。

      新製品を開発していく際に、製造業ではとかく自社の現在の技術に依存して
      考えがちです。

      そのこと自体は、先のマトリクスの考え方のように正攻法といえますが、問題
      は、自社の技術に縛られすぎて顧客がみえていない場合が少なくないという
      ことです。

      新しい製品や事業を考える瞭には、顆客を明確にイメージすることが重要。

      (1)市場細分化        

         新製品を発売する以前に、顧客を絞り込んで、具体的にイメージしておく

        と経営革新計画が立てやすくなります。

        顧客を絞り込む際に使われる基準が、「市場細分化」の基準です。

        すべての人を顧客に想定することはできませんので、自社の開発する製
        品を使ってもらいたい顧客を絞り込んで考えることがポイントです。

        たとえば歯磨きでも、口臭防止を目的に製品を利用する顧客、歯を白くす
        ることを目的にする顧客、磨いたときの爽快感を大切にする顧客など、顧
        客の要望にあわせた製品開発がなされています。

        この 要望=便益によって顧客を区分し、自社の開発した製品の真の顧
        客を絞ることが市場細分化です。

        市場細分化を考える際には、一般に4つの視点が必要です。

        @「測定可能性」

         新たに開発した製品が対象としている顧客の購買力を予想できるか
         どうかという視点です。
         たとえば、二輪車向けに新たに開発された二輪車用カーナビは、
         すでに販売されている二輪車用のアクセサリーなどの市場から
         購買力が測定可能となります。

       A「到達可能性」

        自社の新製品のターゲットを、たとえば「シンプルでナチュラルな生活
        を志向する20歳代の女性」と定義したとしても、そのターゲットに接近
        できる方法がなければ絵に描いた餅となってしまいます。
        たとえば、想定したライフスタイルをもつ消費者をおもな購読層にして
        いる雑誌に広告を出すことでターゲットに到達可能になる、といった
        視点から検討してみます。

       B「維持可能性」

        そのターゲット市場が採算のとれる規模があるかという視点です。
        たとえば、珍しい古着をリサイクルして和装バッグを製造しても、その
        対象となる市場の人口が数十人では採算がとれません。
        自社の生産能力やコストを考慮に入れながら、採算のとれる規模である
        かを確認することが求められます。

       C「実行可能性」

        自社の想定しているターゲットに対して、マーケティング・プログラムの実
        行が可能であるかどうかという視点です。
        中小製造業者が世界規模の販売網を必要とするマーケティング・プランを
        考えても容易には実行できないため、自社のマーケティング資源を確認し
        ながら、実行可能であるかどうかを検討することが求められます。

      (2)5W1H法

        このような視点から検討して市場細分化がなされたら、その市場をより具
        体的にイメージするために利用できる方法が「5W1H法」です。

        開発した製品が実際にどのように使用きれるかについて、5W1H=「誰
        が、どこで、何を、いつ、なぜ、どのように」使用するかを自問して、顧客の
        姿を明確にしていきます。

        市場細分化によって、ある程度顧客のイメージは決まっているはずです
        ので、それをさらに製品が使用されるシーンに従って具体的に想像するこ
        とで、開発製品のイメージを精巧度の高いものに近づけていきます。

        たとえば、市場細分化で自社の顧客を「40歳代の主婦」と想定していて
        も、都会の主婦の行動と地方都市の主婦の行動は買い物に行く手段(徒
        歩か車か)から違いますし、ニーズも異なってきます。

        「40歳代の主婦」をターゲットとしているといいながら、じつは「大都市に
        住む、40歳代で、子どもが高校生の主婦」だけに必要な製品を開発・製
        造しているケースなどが考えられる。

        このような誤差をなくすためにも、自社の開発・製造する製品がどのよう
        に使用されるかを5W1H法で確認することが有効です。

        5W1H法は、たとえば以下のように利用していきます。

         自社が新たに開発する製品が小型プリンターである場合、
         誰が:ビジネスマン、大学生、高校生、中学生
         どこで:仕事で、学校で、出張時に、遊びで、旅行で
         何を(プリントするのか):PCの内容、携帯電話で撮った画像
         (景色、友達)
         いつ:仕事中、帰宅後、学校で、電車の申
         なぜ:仕事の資料をつくるため、手帳に貼るため、写真シール
             にするため、自分の楽しみのため、シールをつくるため
         どのように:職場のプリンターを使用して出力する、家庭用
                 プリンターを使用して出力する、携帯用プリンター
                 を使用して出力する

        このような選択肢から、たとえば中学生が小型プリンターを使用するシー
        ンをさらに具体的に想定していきます。

         誰が:友達の多い中学生

         どこで:学校の休み時間、電車の申

         何を:携帯電話で撮影した友達の画像

         いつ:その場で

         なぜ:シールをつくるために

         どのように:携帯用小型プリンターで出力する

        このように具体的に想定していくと、たとえば「携帯電話で撮影した画像を

        その場でプリントできる」というニーズが想定されます。

        このニーズに基づいて、さらなる具体的なニーズ(たとえば、色、デザイ
        ン、サイズ、形、価格、重さなど)を明確にしていくことで、新製品の仕様を
        決定していくのです。

     経営革新を推進することが、下請体制の変化に負けない自立した企業となる
     ポイントです。

     自社の経営資源を製品・市場マトリクスで分析し、具体的な顧客を想定した新
     規開発をめざしていきましょう。

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運輸業

          

運輸業
トラック運送業の経営戦略

  ■運送業の基本戦略

   長引く不況による受注量の低迷に加え、平成15年の「改正貨物自動車運送事業
   法」「貨物利用運送事業法」の改正「物流二法」の施行によって運送業への参入
   が容易になったこともあり、企業間競争は激しさを増す一方です。

   平成28年12月16日付けで「道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を
   改正する法律」が公布され、平成29年1月16日付けで施行されました。

   また、運送業は厳しい労働条件、低賃金などのために労働者不足が深刻化して
   おり、
    ・サービス向上ができない

    ・仕事に遅れが生じる

   などの問題が起こっています。

   さらに、大手運送業者は、その資金力・組織力を活かし、こうした問題にいち早く
   対応し、中小運送業者の顧客層にまで踏み込んできているところもあり、中小運
   送業者にとってはますます厳しい状況にあるといえます。

   このような環境にあって、中小規模の運送業者の採るべき基本戦略は、

    ・経営の合理化・効率化

    ・取引の改善

    ・競争力の強化

    ・人材の確保・育成

   が主なものになると考えられます。

  □経営の合理化・効率化

   運送業には、「労働時間の短縮」「労働条件の改善」「環境問題への対応」などの
   さまざまな経営課題が存在しています。

   そして、それらに対する取り組みが運送業の合理化・効率化を着実に進めるもの
   であるといわれています。

   こうした中、各社ともさまざまな取り組みを進めていますが、ここでは、「同業他社
   との関係強化」と「荷主との関係強化」に関してまとめてみます。

   保有車両の回転率の向上とドライバーの労働時間短縮を目的に、異なる地域の
   事業者同士が業務提携し、

    ・着地での配送業務を委託しあう輸送体制

    ・中継点で車両を乗り継ぎあう輸送体制

   を採用することが増えてきました。

   物流の合理化に本格的に取り組むには、荷主に対してその必要性をアピールし、
   理解を求めることも必要になってきます。

   自社の実状や労働時間短縮の必要性などを荷主に訴え、同時に合理的な輸送・
   配送システムを荷主に提案することで、両社の関係が物流合理化という時代の
   流れに沿って深まっていくと考えられます。

   たとえば、このための施策として、

    ・荷主企業の計画出荷に合わせた計画的な配車

    ・複数荷主企業に対する機動的な配車

   などの運行管理を行なうことがあげられます。

   これにより、受注産業という意味合いが強かった体質を徐々に取り除き、運送業
   者サイドの主導でサービスを提供していくというシステムに移行することが可能に
   なると考えられます。

  □取引の改善

   運送業におけるコストアップ要素が増加していることを考えると、これを適正に回
   収するための運賃・料金建ての工夫ならびに荷主との運賃交渉能力を強化して
   いく必要があります。

   まず、コストを適正に回収するためには、
    コストのかさむ「ジャスト・イン・タイム」には割増料金を設定するなど、
    「コストに見合った運賃水準の設定」を行なう

   必要があります。

   また、輸送の効率化を促進するために、

    「閑散時と繁忙期における運賃・料金の格差の設定」などを組み入れる

   必要もあるでしょう。

   これに対する具体的な方策として、

    ・繁忙期割増の設定

    ・休日割増の設定

   などが考えられます。

   逆に、荷主を固定客化するために、
    ・貨物の引き取りと輸送を定期便化できる場合には一定の割引率を適用する
    ・待ち時間のロスをなくす方策を提言する

   など相互にメリットを生む方向へ誘導することも必要です。

   さらに、きめ細かい運賃交渉計画のもとに説得材料としての原価策定資料や輸
   送改善案を作成し、説得力のある運賃交渉を実施していくことも重要となります。

  □競争力の強化

   運送業は基本的には地域産業です。

   したがって、営業地域を中心にして荷主を確実に確保するための施策をとる必要
   があります。

   まず、荷主のニーズを引き出し、自社がそのニーズに対応できるかどうか検討
   し、最終的に「合理的かつ効率的なやり方」でのサービスを展開することになる。

   自社の領域で特徴あるサービスを計画し、提供することが競争力強化のポイント
   となります。

   具体的施策としては、

    ・荷主の配送センター管理機能を代行し、センター業務から配送までの
     業務を一括提供するサービス

    ・自社で物流センターを設置し、複数の荷主に対する物流をすべて請け
     負う物流一貫サービス

    ・その他のサービスとして混載輸送サービスや納品代行サービス

   などがあげられます。

   また、特殊な機能や技術を装備することで他の業者に頼めない業務を獲得すると

   いう視点で、

    ・「危険物の運送許可」を取得する

    ・「広大なバックヤード」をもち、問屋のような在庫管理の機能をもつ
    ・特殊な「積み降ろし機」を保有することで差別化する

   などの方法によるサービス力強化の方向性の検討も必要となります。

  □人材の確保・育成

   運送業は、一般的に労働集約型産業と位置付けられ、労働力確保が不可欠とい
   われています。

   しかし、労働条件の整備・改善が遅れていることや定着率の低下などから慢性的
   な人材不足状態にあるため、年間を通じて募集(公共職業安定所、求人誌、口コ
   ミなど)を行なっている状況です。

   そのため、採用や教育にコストや時間がかかり、負担が大きくなっています。

   次に、こうしたことを踏まえて、運送業の人材面における、

    ・人材の質的・量的充足

    ・人材の多面的活用

    ・研修体制の強化

    ・福利厚生制度の充実

    ・労働条件、社内制度の整備・改善

    ・職場環境の充実

    ・自社の魅力向上とP R活動

   などの課題を解決していくための視点をまとめます。

   1.計画的かつ安定的な雇用体制

     従来の運送業の多くが、欠員が生じた際に単発的な雇用計画を採ってきた。

     そのため、ドライバーの定着率や質が向上しないといった問題を抱えていた。

     そこで今後は、

      ・中期経営計画に即した要員計画の策定

      ・募集活動の体系化

      ・将来の経営幹部候補としての新規学卒者の採用

      ・教育研修制度の充実
      ・労働条件の見直し

      ・作業環境の改善と整備

      ・企業イメージの向上とアピール

     などを行なうことにより問題を解決することが必要となります。

     これらの点については、2以下で具体的にご説明しましょう。

   2.教育・研修体制の強化

     自社の経営方針と教育体制を明らかにし、これに沿ったドライバーの教育訓
     練、能力開発、さらに帰属意識や労働意欲を引き起こすための教育研修を実
     施します。

     教育マニュアルや教育研修スケジュールに沿った月単位・年単位での行動計
     画を個人(あるいはグループ)で作成させると効果的です。

     また、研修時以外でも、日常的に従業員の「提案制度」を導入し、業務のロス
     をなくすアイデア、業務の生産性向上や効率化のアイデア、顧客サービスや
     売上向上のアイデアなどを提言させ、効果を上げた提案については「社長賞」
     「部長賞」などの表彰や報奨金の支給、あるいは給与待遇改善など論功行賞
     で報いることも、定着率や帰属意識を高めるのに大きな効果があります。 

   3.福利厚生制度の整備

     労働力の確保のためには、福利厚生の充実を図り、職場を魅力あるものにす
     ることも必要です。

     賃金以外の具体的な福利厚生面での例としては、

      ・独身寮、社宅の整備

      ・住宅手当の支給や持ち家援助制度の導入

      ・フィットネスクラブの法人契約

      ・保養所の確保

      ・人間ドックなど健康面でのサポート

     などを実施することが考えられます。   

   4.中高年・女性の活用

     労働力確保が難しいなか、中高年や女性に目を向ける必要もあります。

     しかし、これらの人々を採用するには、労働環境についていくつか整備しなけ
     ればならない点もあるでしょう。

     中高年であれば、若年層と同一の作業条件で労働させることは困難なので、
      ・仕事量の軽減

      ・労働時間の短縮

     などといった点を配慮する必要があります。

     また、女性を採用する場合、

      ・育児を行なう際の労働時間の短縮

      ・女性専用トイレ、ロッカー室などの整備

      ・男性と区別のない評価制度の採用

     などを考慮しなければなりません。

   5.イメージの向上

     クリーンで活動的なイメージを与えることを目的に、社名を変更する企業が増
     えています。

     これは、CI(コーポレート・アイデンティティー)の一環として行なわれることが
     多く、自社のイメージをプラス方向に転じさせ、雇用確保や社員定着率の向上
     に大きな効果が期待できます。

     いかにクリーンな企業イメージを作っていくかが、雇用確保の面でも重要に
     なってくると思われます。

   以上、トラック運送業の一般的な経営ポイントを取りまとめました。

   経営ポイントにはこの他にも

    ・営業構造をどう作り上げるか

    ・財務体質をどう強化するか

    ・情報収集管理力をどうつけていくか

   など、さまざまな課題があります。

   今後の事業展開に合わせ、順次検討されることをお勧めします。

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運送業の安全確保

          

運送業の安全確保

  ■運運送業の安全管理

   厚生労働省の「平成29年における労働災害発生状況」によると、陸上貨物運送
   事業(以下、運送業)における労働災害による死傷者数(死亡および休業4日以
   上)は、平成21年で1万4706人(うち死亡者数は、137人)となっています。

   また、同省の「平成21年における死亡災害・重大災害等発生状況」によると、運
   送業における死亡事故の6割は交通事故(以下、交通労働災害)によって占めら
   れています。

   交通労働災害は、従業員である運転者自身だけでなく、一般の市民も巻き込んで
   しまうことが多いことから、運送事業者には、「絶対に事故を起こさない」という社
   会的な責任が課せられており、災害の減少に取り組む必要があるといえます。

  □安全管理体制の整備

   1.管理者の選任

     運送事業者は、交通労働災害の防止を図るため、積極的な安全管理体制を
     確立しなければなりません。

     運送業では、交通労働災害の防止に関係する管理者(安全管理者、運行管
     理者、安全運転管理者等)を選任し、その役割、責任、権限を定めることが必
     要です。

     なかでも運行管理者は、運送業における交通労働災害防止にとって重要な役
     割を担います。

     運送業では、自動車運行の安全確保に関する業務を行わせるため、試験を受
     けて運行管理者資格者証の交付されている者のなかから、運行管理者を選
     任し、各営業所の所在地を管轄する陸運支局長に届け出なければなりません。

     運行管理者は、営業所における自動車台数に応じて一定人数以上を選任しな
     ければなりません。

     選任しなければならない運行管理者数は次のとおりです。
      *30車両以上は1+(車両数÷30)=運行管理者数(端数切捨て)

        ※1 被牽引自動車とは、貨物自動車の形態のひとつ

        ※2 運行車とは、集貨された貨物を積み合わせて運送する経路に
            配置する車両のこと

   2.安全衛生に関する方針の表明、目標設定、計画実施

     運送事業者は、会社全体の安全意識を高めるため、交通労働災害防止の観
     点から安全衛生に関する方針を表明し、従業員に周知することが求められます。

     この方針に基づき、労働災害防止対策を組織的に実施するため、目標を設定
     し、一定期間に達成すべき到達点を明らかにすることが大切です。

     そして、目標を達成するため、次の事項を盛り込んだ具体的な安全衛生計画
     を作成し、確実に実施するとともに、内容を評価(チェック)、改善していくように
     しましょう。

      ・適正な労働時間等の管理および走行管理等に関する事項

      ・教育の実施等に関する事項

      ・交通労働災害防止に対する意識の向上等に関する事項

      ・健康管理に関する事項

   3.安全(衛生)委員会等の設置

     安全(衛生)委員会等(労使で話し合う会議)において、交通労働災害の防止
     に関して調査し、審議することが必要です。

     また、安全委員会等のなかに交通労働災害防止部会を設置することにより、
     交通労働災害の防止について、重点的に取り組むことが望ましいとされています。

     なお、安全委員会は、道路貨物運送業・港湾運送業では50人以上、それ以外
     の運送業では100人以上で設置、衛生委員会はいずれの運送業でも50人以
     上で設置が義務づけられています。

  □現場における安全管理

   交通労働災害事故を発生させないためには、現場における徹底した安全管理が
   必要です。

   以下に具体的な内容を解説します。
 
   1.労働時間等の管理

     運送業では、拘束時間(労働時間および休憩時間(仮眠時間を含む)の合計
     をいう)が長くなりがちなため、疲労の蓄積による交通労働災害を防止すること
     が重要です。

     そのためには無理のない運転時間を設定した走行計画を作成することによ
     り、運転者の十分な睡眠時間の確保に配慮した労働時間管理および走行管
     理を行うことが大切です。

     走行開始または終了の地点と運転者の自宅の間の移動に要する時間を考慮
     し、十分な睡眠時間を確保するため、必要に応じて、より短い拘束時間の設
     定、宿泊施設の確保等の措置を講じることがポイントです。

     運送業における拘束時間を適正化するため、厚生労働省では「自動車運転者
     の労働時間等の改善のための基準」というガイドラインを定めており、運送事
     業者はこれを遵守しなければなりません。

     表は、トラック運転者の基準(全日本トラック協会)です。

   2.乗務前後の対面点呼の実施

     運転者の乗務前および乗務後に、運行管理者は対面による点呼を行い、その
     状況を点呼記録簿に記録し、1年間保管しておく義務があります。

     ただし、長距離の運行で乗務前、乗務後のいずれも対面点呼ができない場合
     は、乗務の途中に少なくとも1回、電話や運転者と直接対話できる方法で点呼
     を行い、健康状態について報告を求め、安全を確保するために必要な指示を
     しなければなりません。

     また、2011年4月より対面点呼時に飲酒の有無を確認する際には、目視等に
     よる確認のほか、アルコール検知器を用いて行わなければならなくなった。

   3.安全衛生教育の実施

     (1)雇い入れ時等の教育及び作業内容変更時の教育

       運送事業者は、運転者に対して、雇い入れ時および作業内容変更時に、
       次の事項を含む教育を行わなければなりません。

       また、必要に応じて、安全運転の知識や経験が豊富な運転者が添乗する
       ことにより、実地指導を行うことが大切です。

        ・交通法規、運転時の注意事項、乗務前点検の励行等の運転者が
         遵守すべき事項

        ・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の遵守、運転
         日前日の十分な睡眠時間確保、飲酒による運転への影響、睡眠時
         無呼吸症候群等の適切な治療、体調の維持等の必要性

     (2)日常教育

       運送事業者は、運転者に対して、安全な運転を確保するため、社内教育の
       実施や関係団体が実施する講習会への参加により、次の事項について指
       導することが必要です。

        ・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の遵守、運転日
         前日の十分な睡眠時間確保、飲酒による運転への影響、睡眠時
         無呼吸症候群等の適切な治療、体調の維持等の必要性

        ・警察等からの交通事故発生情報、交通事故の危険を感じた事例、
         デジタル式運行記録計の記録、ドライブレコーダーの記録等から
         判明した安全走行に必要な情報

        ・情報や記録に基づいて判明した危険な個所、注意事項等を示した
         交通安全情報マップの提供・交通労働災害に関する法令等の改正
         に関する行政機関からの情報

     (3)交通危険予知訓練

       運送事業者は、運転者に対して、実際の運転場面を想定したイラストシー
       ト、写真等を用いて、潜在的危険を予知させ、その防止対策を立てさせるこ
       とにより、安全を確保する能力を身につけさせる交通危険予知訓練を継続
       的に行うことが必要です。

   4.健康診断等の実施

     運送業における労働時間は長時間になりがちです。

     健康障害を防止するためには、健康診断等により、健康状況を総合的に把握
     したうえで、適切な保健指導を行うことが重要です。

     (1)健康診断の実施

       雇い入れ時および1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことが義務
       づけられています。

       また、深夜に乗務する運転者に対しては、6カ月以内ごとに1回、定期に健
       康診断を行うことが義務づけられていますので注意が必要です。

     (2)面接指導等

       長時間(1カ月100時間)にわたる時間外や休日労働を行った運転者に対
       しては、医師による面接指導等を行い、必要がある場合には、労働時間の
       短縮等の適切な措置を取ることが大切です。

     (3)運転時の疲労回復

       運転者の疲労による交通労働災害を防止するため、走行経路の途中で、
       肩、腕および腰部のストレッチや体操等により、運転時の疲労回復に努め
       るよう指導するようにしましょう。

   5.交通労働災害防止のためのチェックリスト

 

建設業

 

建設業
建設業者の生き残り・勝ち残り策

  ■公共工事の減少

   公共工事は1999年度以降、一貫して減少傾向にあり、9年間で半分以下の水準
   にまで減少した。

   2008年度以降は景気刺激先としての予算追加等によりわずかに増加に転じまし
   たが、今後も大幅な回復は見込みにくい状況です。

   一般的に、地方の建設業者は公共工事依存度が高く、公共工事の減少は経営
   基盤を揺るがす大問題です。

   それに加えて、知名度のあるゼネコンとの競合になれば、受注を確保するため価
   格競争になり、ますます経営を悪化させるという悪循環に陥りかねない。

   しかし、社会資本を整備する役割を担う建設業者は、こうした難局を乗り越え、大
   きく成長することが求められます。
 
  □建設業者の生き残り・勝ち残るための視点

   前述したような厳しい環境下で、今後、建設業者が成長していくためには、以下の
   ような視点で経営を再検討することが必要でしょう。

    1.地域に密着した営業展開を強化すること

    2.他社より優れた特殊技術をもつこと

    3.正確な情報の収集で利益管理や営業管理を適切に行うこと

    4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営に努力すること

    5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処すること

   以下に、それぞれの視点についてポイントをあげていきます。

   1.地域密着の営業展開を強化

     地元業者では、地域密着型の営業が特に重要です。

       顧客の細かい要望に対し、柔軟な設計変更で応じるなど
       大手ゼネコンやハウスメーカーなどではできないことに丁寧に
       対応する

     ことが大切です。

     また、ちょっとしたクレームや質問に対してすぐ顧客の元に出向き対応すること
     や、施工現場を美しくすること、多様な商品の品揃えをすることなどでも、地元 
     顧客に地域密着のイメージをもってもらうことができます。

     このように、顧客に誠実な体制を整えることが、企業イメージをアップさせ、口
     コミで顧客を広げる有効な手段となるのです。

     地域密着型の営業を実践している建設会社のなかには、徹底した地域密着を
     実現するため、施工エリアを本社所在地から50キロメートル圏内に限定して
     いるところもある。

     その大きな理由として、クレームにスピード対応するためということがあげられ
     ます。

     50キロメートル程度だと、電話を受けてから1〜2時間ほどで駆け付けること
     が可能だからです。

     また、具体的に施工を始めた現場をモデルルーム・ショールームなどの営業
     拠点としているところもあります。

     そうした場合には、現場で目に触れやすい仮囲いやシート、看板は、周囲への
     影響を考えて、統一した美しいデザイン・マークを使用します。

     現場監督や職人にもマナー整理整頓の遵守を厳しく徹底します。

     現場の職人は、近所の住民に丁寧な応対をする、ゴミやたばこの吸い殻を持
     ち帰るなど、工事の騒音などで近所の住民に迷惑をかけて申し訳ないという
     気持ちを行動で示すようにします。

     こうした態度を取ることにより、工事現場の近所の住民からの評判もよくなりま
     す。

     工事現場の様子を見ていた近所の住民から信頼されて、工事を受注するとい
     うケースもあります。

   2.他社より優れた特殊技能をもつ

     技術力が他社と比較して高ければ、

       自社のウリを「技術力」として技能特化型企業となる

     ことが可能でしょう。

     さらに、技能者不足の現状や受注の効率化を考えると、生産性を高めることも
     重要な特殊技術といえる。

     具体的には、マニュアルを作成するなど、合理化手法を開発することで、熟練 
     した職人以外でも高度な製品を作ることが可能になるでしょう。

     こうしたことにより職人不足への対応だけでなく、コストダウンも可能になる。

     また、社員などからユニークなアイデアを募集し、それを思い切って採用する
     などの姿勢も必要です。

   3.正確な情報収集で利益管理や営業管理を適切に行う

     正確な情報を得るためには、現場の営業担当者に、

       報告書の提出を定着させることが必要です。

     特に営業活動においては、こうした報告によって営業担当者と上司が顧客に
     関する情報を共有することが可能なため、上司が営業担当者の悩みや営業
     方法について適切な指示を与えることができます。

     また、工事現場において、使用した資材や人員数、工事の進捗状況などの実
     績を毎日データベースに入力し、情報共有を図ります。

     この各現場の実績に、当初の予算をつねに対比させることで、より緻密な利益
     管理が可能になります。

     さらに、各現場の最終費用実績を参考にすると、別の工事の必要経費が予想
     できるようになり、受注金額を決定する際に役立てることもできます。

   4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営を強化

     効率的な経営を行うためには、職人などの人件費の適切な管理が不可欠で
     す。

       徹底した作業の標準化や資材の集中処理、営業体制の見直しなどで、
       効率的に職人を使うことにより、人件費を削減する

     ことが可能です。

     効率化のためには、まず徹底して部門内の作業を分解することが必要です。

     さらに、コストダウンのために、設計図から施工部材、施工動作、スケジュール
     管理、予算管理、施工道具まで分解し、経費削減の可能性を分析します。

     人件費の削減に当たっては、分解した作業ごとに要した時間を調査し、作業
     者にも納得してもらえる標準作業時間を設定することにより、適正な人件費を
     把握するようにします。

     給排水、電気、内装など、専門の職人による施工が必要な場合もありますが、
     単純で、施工道具も完備され、完全にマニュアル化されている工程は、アルバ
     イトを利用することも可能となる。

     作業時間が減少すると、貸金が減少する恐れがあるとしてマニュアル化に反
     対する職人がいても、標準作業時間を守ることでこれまで以上の数の現場に
     従事することができるなど、逆に貸金が増加するケースもあることなどを説明
     し、理解を求めましょう。

     そのほか、インターネットを活用すれば、FAXや宅配便などよりも安く迅速に、
     設計図面に関しての修正や確認などの情報を送達できます。

     最新である必要はありませんが、情報設備は積極的に導入を検討するように
     します。

   5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処

     多角化については、

       自社の技術をいかせる関連部門への多角化が中心になります。

     もっとも多いのは、個人住宅分野への多角化です。

     個人住宅分野も大手ハウスメーカーなどが全国を営業エリアとしています。

     そのため、輸入住宅・省エネルギー住宅といった特徴ある住宅に特化するな
     ど、他社との差別化を図る必要がある。

     そのほか、建設廃棄物のリサイクル、現場ごとの利益管理システム作成など、
     従来、建設業者が課題として捉えている分野に注力し、多角化を図っている事
     例もあります。

     厳しい環境だからこそ、体に汗をかくだけではなく、頭に汗をかき、知恵を絞り
     だすことが重要なのです。

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建設業の安全管理

              

建設業の安全管理


  ■建設業と安全管理

   建設業はほかの産業と比べて、以下のような特殊要因を抱えているといえます。

    ・自然条件の影響を受けやすい屋外での作業が多い

    ・高所作業や擬削作業などの危険な作業が多く、墜落・転落などが起きる
     確率が高い

    ・工事ごとに作業内容が異なる

    ・複数の下請企業・協力企業に属する作業者による混在作業となることが
     多い

   このため、災害の発生する割合が高くなっているといわれています。

   特に、実際に現場で作業をしている作業者を多く抱えている中小建設業者では、
   労働災害が多くなっています。

   これは、中小建設業者では人材・資金・技術などが不足し、安全管理体制が十分
   でない企業が多いためです。

   しかし、事故を起こしてからでは取り返しはつきません。

   中小建設業者といっても、工事現場における安全管理を自主的に行う必要性は
   高くなっています。

  □安全管理の考え方

   安全管理は、作業者個人個人の自主的な行動がなければ効果がありません。

   しかし、それと同時に、監督者(経営者)がつねに安全に気を配る必要があります。

   そのためには、大きな視野をもって全体の安全管理の状況を見渡し、一人ひとり
   が安全確保のために努力しているかどうかをきちんと把握していなければならない。

   まずは、基本的な安全管理ができているかどうかの全体的なチェックポイントを紹
   介するので、自社(社長自身)の安全管理の浸透度合いを把握してください。

   次項に具体的な安全管理のための取り組み、施策を紹介します。

  □現場における安全管理

   安全管理においてもっとも重要なのは、

    基本的なことを、いかに忠実に手を抜くことなく遂行するか

   ということです。

   現場における安全管理基本項目をまとめました。

   本項目を参考にチェックシートを作成して、定期的なチェックを行うことをお勧めします。

  □危険予知(KY)活動

   危険予知(KY)活動は昭和49年に日本で独自にはじまり、以来国内の労働災害
   減少に大きく貢献してきました。

   社員が集まって世間話をするような気軽さで実践でき、しかも自分の知らなかっ
   た危険を明確にできる安全教育であるといえます。

   具体的には、

    その日の作業を始める前に、作業するグループ全体でミーティングを行う

   ことにより進めます。

   ミーティングで話し合う内容は、

    (1)その日の作美から予沸される危険

    (2)予沸される危険に対する対策

    (3)対策に基づいた安全な作業方法

   といったものです。

   KY活動のなかでのミーティングが通常のミーティングと違うところは、雑談の延長
   のような感覚で行われるところにあります。

   つまり、形式ばった通常のミーティングにおいては、つい「まあいいか」と思ってし
   まいがちな些細なことについても、KY活動のミーティングでは気軽に話し合うこと
   ができるのです。

   また、KY活動のミーティングのなかで話題になったことは、その都度シートに記入
   していくことが望ましい。

   このようにしてKY活動を行うことにより、必要なことを漏らすことなく、また、堅苦し
   くない感覚で危険予知を行うことができます。

   チェックシートの一例を示すので、参考にしてください。

   また、KY活動の前に「安全ミーティング」と呼ばれるミーティングを行う会社もあります。

   安全ミーティングでは、その日の作業を行う前に関係作業者全員が集まって、当
   日の作業内容、作業方法・手順、人員配置などの指示・調整を行います。

   作業者の意誠・責任感を高めるためにも、ミーティングの際に、作業員が具体的
   に体験した危険を、その場の状況などとあわせて報告させることが必要でしょう。

   このことで、KY活動の効果をより高めることができるでしょう。

  □健康管理

   どんなに工事現場の安全管理を厳重に行っても、作業者の体調がすぐれなけれ
   ば事故を起こしやすいものです。

   作業者の健康管理も安全確保の大きな要素といえます。

   (1)基本的な生活態度のチェック項目

     ○作業者は進んで健康診断を受けているか

     ○手洗い、うがいを励行しているか

     ○ 飲み過ぎ、食べ過ぎをしていないか

     □夜更かしばかりしていないか

   (2)健康保持増進機関

     健康保持増進のための具体的指導は、事業場内に専門スタッフを確保するよ
     うなことが困難な場合には、一定の基準を満たして認定を受けた、以下のよう
     な外部の機関を利用して推進することができます。

      ◎労働者健康保持増進サービス機関

      ◎労働者健康保持増進指導機関

       上記機関の詳細については「中央労働災害防止協会」のホームページで
       ご確認ください。

        中央労働災害防止協会 

   (3)企業で行いたい健康保持増進活動

     ◎健康測定……生活状況調査、医学的検査、運動機能検査からなる

     ◎運動指導……運動によって健康的な生活習慣を確立するために行う

     ◎メンタルヘルスケア
            ……健康測定の結果、メンタルヘルスケアを受けることが望ましい 
               場合や、本人からの希望があった場合に、援助や指導を行う

     ◎栄養指導……食生活の偏りからくる問題の解決のための指導を行う

     ◎保健指導……健康上の問題を予防、コントロールする方法の指導を行う

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卸売業の経営力強化

 

流通業
卸売業の経営力強化

  ■営業活動の効率化

   1.これまでの営業活動の効率化だけでは限界

     今まで生産者はモノを作るだけ、問屋(卸売業者)はモノを集めて流すだ
     け、小売店は流れてきたモノを店頭に並べるだけでよかった。

     「販売なくして事業なし」とはいいますが、生産者も問屋も、そして小売店も、
     販売はやっていなかったのです。

     作る、流す、並べるという役割分担を担っていただけにすぎません。

     販売とは、コト(意味のある体験を提案する)を実現させるためで、気づいてい
     ないニ−ズを気づかせることです。

     そんなことは誰もやっていません。

     やる必要がなかったのです、今までは。

     生産者は売れ筋をいかに効率よく作るか、問屋は売れ筋をいかに効率よく流
     すか、小売店は売れ筋をいかに効率よく並べるか、それだけを考えていれば
     経営を間違うことはなかったのです。

     これが今までの売り方でした。

     従来、卸売業の営業活動は定期的に得意先の小売店をまわって定番商品の
     在庫を確認し必要に応じて発注し、その際、商品の代金を回収したり、新しい
     商品の注文をとったりする仕事が中心でした。

     つまりルーチンワークをいかに効率的に行うかということが営業活動の大きな
     テーマだったわけです。

     しかしEOSの普及などにより、このような「ご用聞き営業」の比重は小さくなり
     ました。

     一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか
     けてさまざまな売上拡大や経営改善の方策を打ち出すようになり、卸売業者
     に対しても情報提供や経営力強化策の提案など、戦略的な支援を求めるよう
     になってきた。

     したがって卸売業の営業活動の効率化を考えるときには、卸売業の新しい営
     業のあり方を考えたうえで、新しい活動に積極的に取り組むために、従来の業
     務をいかに効率化するかという視点が必要になります。

   2.リテールサポート力が営業力を決める
     前述のように小売店は生き残りをかけてさまざまな経営努力を行っています。

     注文した商品を届けてくれるだけの卸売業者には魅力を感じなくなってきてい
     ます。

     小売店は自分達と一緒になって自社の経営力向上に努力してくれる卸売業者
     を求めています。

     小売店の視点からは発見しにくい改善課題などを指摘し、その解決に向けて
     支援を惜しまない卸売業者を探しているのです。

     このように、たんに売れ筋商品を確実に提供するといった狭い範囲ではなく、
     小売店の経営全般を支援する活動(リテールサポート)が重要となります。

     リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため
     にとにかく商品を押し込む」のではなく、あくまで小売店の経営改善を第一義
     に考えるということ。

     リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。

     徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとってなくて
     はならない存在になることがその目的なのです。

     また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため
     に、メーカー、卸、仲卸、小売がそれぞれの強みをいかして行う「協調型」であ
     ることが一層求められるでしょう。

     そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち
     勝っていけるものと思われます。

  □従来の業務のあり方を見直す

   営業活動を効率化していくためには、従来の業務のあり方を見直し、営業マンが
   リテールサポートに注力できる環境を整えていかなければなりません。

   自社の業務のあり方に次のような問題点がないか確認してみましょう。

   1.無駄な時間や雑務が多い

     中小の卸売業では、商品の配送も営業マンが行っている例が多数みられる。

     また取引先のEOS導入が進んでも、実際の発注作業は卸売業の営業マンが
     行っているというケースもあります。 

     これらの社外業務に加えて、伝票作成からミーティングなどまで、こなさなけれ
     ばならない社内業務も多く、その結果、肝心の新規取引先の開拓やリテール
     サポート活動に十分な時間が費やせないという状況に陥ってしまいがちです。

     従来営業マンが行っていたこれらのルーチン業務は、マニュアル化すること
     で、その多くはパートやアルバイトに任せることが可能になるはずです。

     担当の社員はその確認のみ行うことによって、ルーチン業務以外に時間を振
     り分けることができます。

     言い方を変えると、営業マンからこれらのルーチン業務を「取り上げる」こ 
     とによって、営業マンはリテールサポートという新しい仕事、頭を使う仕事
     に取り組まざるを得なくなります。

     「雑務で忙しいから」という言い訳ができない状況を作ってしまうことが大切な
     のです。

   2.取引先の状況に応じた労力の配分ができていない

     「営業活動の強化=訪問回数の増加」という単純な目標設定により、ただやみ
     くもに得意先を訪問する営業マンもいますが、これは効率的な営業活動とはい
     えない。

     得意先のなかには取引規模の大きなところと小さなところ、将来の成長が見
     込めるところとあまり見込めないところなど、状況に違いがあるはずです。

     にもかかわらず、どの取引先に対しても均等な時間を割くのは得策とはいえま
     せん。

     自社との取引状況や、先方の成長力などに応じて「最優先顧客」、「優先顧
     客」、「一般顧客」といった具合に顧客の重要度に応じてランク分けを行い、ラ
     ンクに応じた時間の使い方を工夫するようにします。

   3.営業担当の分類基準が不適切

     通常、営業担当の分類基準は、取引先の業種別や地域別になっています。

     業種別で決められている場合、取引先の業種に精通できるため、顧客のニー
     ズにきめ細かく対応できるというメリットがありますが、その一方で、取引先の
     所在地が分散してしまうため、効率的な訪問活動ができないといったデメリット
     もあります。

     地域別で決められている場合は、メリット・デメリットが反対になります。

     いずれの基準で営業担当を分類してもメリット・デメリットはあるため、双方を
     考え、より効率的に営業活動が行える分類基準を選ぶ必要があります。

     たとえば、大型の総合卸売業の地方進出に対して地方の中小卸売業がこれら
     大企業に対抗するためには、地域に特化したきめ細かな対応が求められてい
     ます。

     こうした環境もふまえて、より自社の強みを発揮できるように、現在の営業担
     当の分類基準を見直す必要があります。

   4.勤務体制の硬直化

     いったん出社してから取引先へ向かうのでは、通勤や取引先への移動に無駄
     な時間がかかります。

     直行直帰の勤務体制を導入することにより、移動に費やす時間を減少させ、
     その分、営業活動に時間を振り分けられるようになります。

     かつては直行直帰では情報交換がしにくい、業務を管理できない、といった問
     題もありましたが、最近は携帯端末などの情報機器の導入でこういった問題も
     解決されています。

     また、日報などで報告を義務づけることにより、毎日出社しなくても営業マンの
     営業活動を把握することはできます。

  □リテールサポート力強化のための環境整備

   従来の業務のあり方を見直したうえで、営業マンが有効なリテールサポートを行
   えるように新たな施策を打つ必要があります。

   1.リテールサポートメニューを整備する

     リテールサポートにはさまざまなメニューが考えられます。

     店舗業務を手伝うという日常的なものから、商品ごとの売上情報を提供する、
     販促企画を支援する、経営相談に応じるなどさまざまです。

     また顧客の状況によっても提供すべきリテールサポートメニューは違ってきま
     す。

     たとえば前述の顧客ランクによって、リテールサポートをどこまで手厚く行うべ
     きかも違ってくるでしょう。

     顧客の状況に応じてどこまでのリテールサポートを行うか、あらかじめ検討し、
     営業マン全員が共通認識をもっておくことが大切です。

   2.営業マンに新しい知識を吸収させる

     「ご用聞き営業」から脱皮し、本当に顧客に喜ばれるリテールサポートを行って
     いくためには営業マンはさまざまな知識を身につけなければなりません。

     リテールサポートとは顧客の経営全般の支援活動ですので、見つけるべき知
     識は商品知識、業界知識のみならず、消費者ニーズを収集し分析するための
     知識、企業経営に関する知識など多岐にわたります。

     自社で教育プログラムを作る方法もありますが、専門機関が提供している教
     育訓練を利用すれば比較的容易に教育プログラムが作れます。

   3.リテールサポートに使える情報やツールを整備

     営業マン各人が取引先の役に立ちたいと考えていても、売れ筋情報や効果的
     な棚割りなど有効な情報が社内に整備されていなければ、効果的なリテール
     サポートは行えません。

     このため携帯端末を導入する企業も増えている。

     企業によっては、小型パソコンのような携帯端末を全営業マンに配布し、取引
     先へのタイムリーな情報提供だけでなく、日報管理に利用しているところもあり
     ます。

     このように、情報機器など営業支援ツールを効果的に使うことで、情報提供力
     を高めたり、営業活動を効率化したりすることができるのです。

     機器類と同様に、情報などのソフト面の充実も不可欠です。

     棚割りソフトや売れ筋・死に筋商品情報など、リテールサポートに必要なソフト
     ウエアや各種情報を取り揃えることでリテールサポート力強化につなげること
     ができます。 

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卸売業の営業マン育成

          

卸売業の営業マン育成

  ■卸売業の営業マンの要件

   1.卸売業の営業マンの役割

     従来、卸売業の営業マンの仕事は、定期的に得意先の小売店をまわって定番
     商品の在庫を確認し必要に応じて発注を行う、商品の代金を回収する、新し
     い商品の注文をとるといった、いわばルーチン的な仕事が中心でした。

     しかし、小売店のEOS(※)導入が進み定番商品の発注はパートでもできるよ
     うになり、商品代金の銀行振込が一般化するなど、これらの業務を営業マンが
     行う必要がなくなってきました。

     一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか
     けてさまざまな売上拡大や経営改善の方策を打ち出すようになり、卸売業者
     に対しても情報握供や経営力強化策の提案など、戦略的な支援を求めるよう
     になってきました。

     このような新しい環境のなかで、卸売業の営業マンに求められる役割は、

      単なる受注・代金回収業発から

      取引先小売業の経営支援(リテールサポート)へと、大きく変化

     しているのです。
      ※EOS(Electronic Ordering System)……POS(バーコードを使用した販売情報管理)
        機能の活用により、受発注をシステム化して、商品の補充を効率化するシステム。


   2.リテールサポートに必要な営業マンの条件

     リテールサポートとは、商品や競合状況などの情報提供に加え、販売促進活
     動の提案、売場の改善や資金繰り方法の改善提案など、小売業の経営をさま
     ざまな角度から支援する活動を指します。

     リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため
     にとにかく商品を押し込む」のではなく、あくまで小売店の経営改善を第一義
     に考えるということです。

     リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。

     徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとって自社
     がなくてはならない存在になることがその目的なのです。

     また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため
     に、メーカー、卸、小売の3者がそれぞれの強みをいかして行う「協調型」であ
     ることが一層求められるでしょう。

     そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち
     勝っていけるのです。

     このように卸売業がリテールサポート力を強化するには、

      商品知識、業界知識など専門分野に関する知識に加え、財務分析や
      マーケテイングなど経営診断に関する知識や問題解決思考技術、
      企画力をもった人材の育成が不可欠になります。

   3.リテールサポートに必要な知識・技術

     (1)業界専門知識

       業界動向、商品、物流、販売技術に関する知識、EOSなどの情報化の知
       識、業界関連法知識など

     (2)経営知識

       財務分析、マーケティング、店舗開発、組織運営、人材育成に関する知識
       など

     (3)その他必要な能力

       問題解決思考技術、企画・提案力、折衝力など

  □営業マンの育成方法

   1.人材育成のおもな方法
      
      (1)OJT

      (2)O ff‐JT

      (3)自己啓発

     の3つがあります。

   2.育成プログラム作成の留意点

     リテールサポートを行うためにはさまざまな知識や技術が必要であり、それら
     をすべて身につけさせるには、長期的な育成プログラムが必要です。

     育成プログラムは、次のような点に留意して作成します。

     (1)十分な動機づけを行う

       いかに優れた育成プログラムを作ったとしても営業マン自身がやる気を
       もって取り組まなければ成長はおぼつきません。

       「業界はどのような状況になっているのか」、「会社としてどのような人材が
       必要か」を十分に説明したうえで、「自分はいつまでにどのような能力を身
       につける必要があるのか」を営業マン自身に考えさせることが必要です。

     (2)必要な知識や技術の基準を決める

       業務経験年数や職位と照らし合わせて、どの時点でどのようなことができ
       なければならないかという業務の基準を定め、これを達成するために必要
       な知識や技術とその修得レベルの測定基準を定めます。

     (3)習得させる知識や技術の教育計画をたてる

       必要な知識や技術とそれを修得させる時期が決まったら、それに合わせて
       計画をたてます。

       そして、修得させる知識や技術ごとに、それらの教育方法を決めます。

     (4)業務での実践状況と教育計画を見直す

       知識や技術を身につけることが目的ではなく、実際にリテールサポートを行
       えることが教育訓練の目的です。

       したがって業務の現場でリテールサポートがどの程度行えるのか、遂行状
       況から教育訓練の成果の評価をしなければなりません。

       効果が出ていないようであれば、その他の要件もふまえながら、教育訓練
       を見直します。

  □営業マンが育つ環境条件

   いくら教育訓練を熱心に行ったとしても、営業マンが育つ環境がなければ教育の
   効果は期待できません。

   次の環境が整備されていることが、営業マンの育つ条件になります。

   (1)評価制度の確立

     短期間で能力を高めたり、的確なリテールサポートで取引先の業績を向上さ
     せても、それらが昇級や給与面で反映されなければ、社員の意欲は減退しま
     す。

     能力や実績を客観的に評価し、それらを処遇に反映させる評価制度の導入が
     不可欠です。

     具体的には等級ごとに必要な能力の要件を定めた「職能資格制度」や、業績
     の一定割合を給与に連動させる「業績給」の導入などが考えられます。

   (2)能力を発揮しやすい労働環境

     取引先の小売業を支援しようという意欲があっても、従来のご用聞き的な業務
     に忙殺されほかに手が回らないという状況であればリテールサポートを行うこ
     とはできません。

     会社としてリテールサポート力を強化するというのであれば、単純業務をパー
     トタイマーに割り振る、効率化のための設備導入を行うなど、営業マンがリ
     テールサポートに集中して取り組める環境整備を行うことが必要です。

   (3)リテールサポートメニューの準備

     教育訓練をしただけで実際のリテールサポートメニューがなければ、リテール
     サポートは営業マン個人の裁量で行われ、質や内容にもばらつきが出てきま
     す。

     また、効果的な棚割やEOSなど、全社的な対応が必要なシステムの導入に関
     しては、個人で対応できる範囲が限られています。

     したがって、会社としてどのようなリテールサポートを行うかを検討し、リテール
     サポートメニューをあらかじめ決めておく必要があります。

     またこのメニューは単に「○○を○○する」といった行動レベルのメニューだけでは
     なく、その結果「小売店にこのようなメリットを与える」という本来の目的が明確
     になっていなければなりません。

     さらに実際のリテールサポートを行うなかで当初予定した以外のメニューが必
     要になることもありますので、順次メニューを追加していきます。

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事業協同組合

           

事業協同組合

事業協同組合の存在意義

  ■事業協同組合の特長

   中小企業の組合の種類は多数存在しますが、実際はその8割が事業協同組合。

   事業協同組合は、営利法人と公益法人の中間に位置する法人だといわれ、組合 
   員の利益、業界の利益を最優先にしますが、利益を上げることを禁止されている
   わけでもなく、法人税等の優遇措置まで受けられます。

   事業協同組合の事業として福利厚生、事務代行、教育情報が大きくとりあげられ
   ているように、事業協同組合はこれらの事業を本業としているため、傷害保険、・
   生命保険等について、当然強い関心を抱きますし、事務の軽減や防災等にも必
   ず興味を示す訳です。

   事業協同組合が福利厚生を主要事業としている理由は、組合が中小企業によっ
   て組織されているため、会員の従業員の福利厚生を大企業並に高めていくこと
   が、会員の利益になると考えているからです。

  □協同組合の存在意義 

   今組合の存在意義が問われています。

   少子高齢化に伴う会員の事業廃止、組合にメリットを感じない、会費だけ取られて
   いるといったネガティブな意見が多数を占めています。

   本来であれば組合の活性化や組合活用のためには会員による積極参加が欠か
   せないのだが、残念なことに会員側の多くは求めるだけであって、活性化のため 
   にどうしたらよいかを本気で考える会員は少ないようです。

   そのようななか、「うちの組合では、何をしたら良いのだろうか?」と思う事業協同
   組合の理事長もいるかと思います。

   多くの組合では、新規に加盟する組合員がいない一方で既存の組合員が脱退す
   ることにより、組合員数の減少が少なくありません。

   このままでは、将来的な組合の存続について懸念する声も多数上がっているの 
   が実態です。

   一般的に脆弱と言われる中小企業の経営基盤を相互に助け合うために、各種の
   組合制度が設けられ一定の役割を発揮してきました。

   組合を設立することにより、資金調達や共同購入による取引条件の改善や、技術
   水準の向上のための取り組み、マーケティングに関するノウハウの共有など、 
   個々の企業では成しえなかった成果を挙げる事例が多く見られてきました。

   かつて、組合設立の際は明確な目的に向かって活発な活動が行われていたもの
   の、現在は様々な事情から活動が低迷している組合が多くなってきたことも事実
   です。

   これは、当初の目的がすでに達成されてしまったケースや、環境変化とともに事
   業内容が組合員にとって魅力的でなくなってしまったケースなど、組合事業そのも
   のによる理由からこのような状況に至っているようです。

   一方、組合員の方々にお聞きしてみると、個々の会社では様々な分野で経営課
   題は山積しています。

   その中には、同業者と協力することで解決の方向性が見えるようなことや、他社と
   共同事業(購入)とすることで大幅にコストが低減されることなど、本来、組合とし
   て取り組むことが可能な課題も見受けられます。

   では、何故、このような課題が組合で取り上げられないのでしょうか?

   事情は組合によって異なりますが、情報共有が出来ていないことや、新たな課題
   に対応できる人材がいないなど、組合のリーダーシップにかかわる問題点は共通
   しているようです。

   また、経営者の集まりでもある組合(の理事会)では、一般の会社のように経営
   トップ(理事長)が強いリーダーシップを発揮しづらい環境でもあります。

   このように組合が新たな課題に取り組む際には、組合員から現状の課題を調査
   して、組合員の意向に基づいて新たに事業を組み立てして、利害を調整しながら
   事業を運営していく、という組合のブレーンのような存在が必要です。

   「今、組合に何をしてもらいたいのか?」を組合員に問いながら、「組合は何をす
   べきなのか?」と「どのようにすればよいのか?」を考えることによって、組合の存
   在意義は変わってくるでしょう。

   組合として魅力ある組合にするための対策として、

    ・会員が魅力、メリットを感じるには

    ・組合参画意識の向上策

    ・会員事業所の収益アップ対策

   会員が魅力・メリットを感じる、そのような組合改革が欠かせません。

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事業協同組合の合併

          

事業協同組合の合併

  ■事業協同組合同士の合併手順

   1.合併の手順

     各種協同組合同士の合併手順は、「中小企業等協同組合法」に定められてい
     ます。

     事業協同組合(以下組合とします)同士の合併までの手順は以下の通りにな
     ります。

     (1)まずは計画の段階で、所轄の中小企業団体中央会に相談するのが一般
       的です
       (中小企業団体中央会とは「中小企業等共同組合法」に基づく公的
        機関で、既に認可を受けている組合が会員となっている組織です。
        各都道府県に設置されています)。

     (2)組合が合併するには、組合員の半数以上が出席する総会で、その議決権

       の3分の2以上の多数による議決を経なければなりません。

     (3)合併により新しく組合を設立する場合には、各組合それぞれが総会におい

       て組合員のうちから設立委員を選任します。

       そして、設立委員が共同で定款の作成や役員の選任などの必要な行為を
       行います。

     (4)組合は債権者に対して、異議があれば一定の期間内(30日以上に設定す

       る必要があります)にこれを述べるべき旨を公告しなければなりません。

       債権者が異議を述べたときは、組合は弁済し、もしくは相当の担保を供し、
       またはその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社もしくは信
       託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければなりません。

     (5)行政庁の許可を受けなければ、合併の効力は生じません。

       ただし実際には、いきなり許可申請するのではなく、行政庁と組合が事前
       協議を行なうことになります。

       また、次に該当する場合は許可を受けることができません。

        @設立の手順または定款、事業計画の内容が法令に違反するとき
        A事業を行うために必要な経営的基礎を欠くなどその目的を達成
         することが著しく困難であると認められたとき

     (6)合併後存続または成立する組合(以下、合併組合)が、その主たる事務所

       の所在地において登記することによって、合併の効力が生じます。

       主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地
       においては3週間以内に、合併後存続する組合については変更の登記、
       合併によって消滅する組合(以下、被合併組合)については解散の登記、
       合併によって設立する組合については設立の登記をしなければならない。

       以上の手続きにより合併組合は、被合併組合の権利義務(その組合が行
       う事業に関し、行政庁の許可、その他の処分に基づいて有する権利義務を
       含む)を承継することができます。

   2.相談窓口

     行政庁から合併の許可を受けるためには、新規に組合を設立する場合と同
     様、しっかりとした事業計画を立てることが必要です。

     そのため、事前に中小企業団体中央会に相談し、指導を受けることが欠かせ
     ません。

     中小企業団体中央会は組合運営上の問題(法律、会計、税務、事業の運営、
     管理など)の相談に常時応じるとともに、直接に組合を巡回して相談を受けて
     います。

     また、組合が特別な問題を抱え、その解決のために特に専門的な知識を必要
     とするような場合には、弁護士、公認会計士、税理士、技術士、中小企業診断
     士などの専門家を派遣して指導を行う個別専門指導事業も実施しています。

   3.合併における税務

     税法において組合の合併は、一般事業会社の合併と同様に扱われています。

     被合併組合について清算所得課税が発生したり、合併組合に合併差益金に
     対する課税が発生する場合があります。

     合併差益金とは、合併組合が被合併組合から承継した純資産の受入価額
     が、被合併組合の出資者に対して交付した出資金額、合併交付金額の合計
     額を超える場合の超過額のことをいいます。

     この合併差益金は、

      (1)合併減資益金部分

      (2)資本積立金部分

      (3)利益積立金部分

      (4)資産評価益部分

     からなります。

     法人税法では、上記合併差益の中で益金に算入するのは、(4)の「資産評価
     益部分」とされています(法人税法27条、同法施行令26条)。

     詳しくは専門家に相談して、合併条件に関して慎重に決定することが必要。

  □事業協同組合と株式会社の合併

   1.法的に合併は不可能

     全国中小企業団体中央会によれば、協同組合と株式会社の合併は「中小企
     業等協同組合法」に定められておらず、協同組合と株式会社の合併は現在の
     ところ不可能です。

     もちろん協同組合を株式会社化すれば合併は可能となりますが、協同組合を
     存続させたい場合は、該当する株式会社を存続させて協力体制を組む以外に
     方法はありません。

   2.組合から会社への組織変更

     組合から会社に組織変更する場合、従来はいったん組合を解散して新規に会
     社を設立するしかありませんでした。

     この場合、組合員は持ち分返還による清算所得に対して課税されます。

     しかし、2000年3月に施行された「中小企業団体の組織に関する法律の一部
     を改正する法律」により、組合(事業協同組合および企業組合、協業組合に限
     る)は総会の合意があれば、そのまま有限会社または株式会社へ組織変更で
     きるようになりました。

     この法改正により組織変更の手続きが容易になり、事業活動が停止すること
     もなく、また大きなコスト負担なしに組合を会社化することができます。

     組合を会社化すれば、共同研究開発の成果を事業化したり、順調に発展した
     共同事業を組合員以外にも拡大し、さらなる事業発展を目指すことができる。

     しかし、その一方で、組合としての税制の優遇が受けられなくなるなどのデメ
     リットもあり、組織変更する場合にはその必要性を十分に検討する必要があり
     ます。

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物流子会社の設立

          

物流子会社の設立と経営

  ■物流子会社設立のメリット

   メーカーや小売業などが、自社(荷主)で物流子会社を設立するケースはもはや
   珍しくありません。

   中には、日立物流、川鉄物流、キリン物流、東芝物流など、売上高数百億円を超
   える大手企業もあります。

   また、NTTの物流子会社であるNTTロジスコや、三菱商事の物流子会社である
   エム・シー・トランス インターナショナルなど、メーカー以外の商社や情報サービ
   ス会社などが物流子会社を設立するケースもみられます。

   大手企業を中心に物流子会社が設立されている背景には、次のような目的があ
   るものと考えられます。

   (1)物流コストの削減
     物流部門を切り離すことによって、親会社の物流コストの削減を図ることが期
     待できます。

     物流の領域を明確にすることが可能になり、責任を明確にすることもできる。

     そして、物流コストの算定、その変化が容易に分かり、物流管理がしやすくな
     ることが期待できます。

   (2)物流サービスの向上

     分社化によって物流子会社にはコスト意識が芽生え、物流サービスが向上す
     ることが期待されます。

     また、親会社の業務・製品・流通内容を熟知していることから、親会社向けの
     物流サービスについては、どの物流会社よりも良いサービスを提供できる会
     社になる可能性があります。

   (3)親会社の余剰人員の活用

     親会社のスリム化によって生じた余剰人員の受け皿として、また、定年退職
     者、高齢の管理者の受け皿として子会社を位置付けることもできます。

     物流作業は企業内の他部門の作業とは異なるため、別会社にして異なった待
     遇で採用すれば人件費を抑制することもできます。

  □物流子会社の抱える問題点

   メリットが大きい物流子会社ですが、物流子会社、親会社には問題点も存在しま
   す。

   1.物流子会社にとっての問題点

     一般に、物流子会社の経営上の問題点として次のような点が挙げられます。

     (1)コスト面

       ・親会社の料金引き下げ要求により売り上げ、利益が減少する可能性が
        ある

       ・物流子会社自身で戦略的なコスト削減を進めることは難しい

     (2)サービス面

       ・親会社優先の物流サービスとなり、一般荷主の開拓が難しい懸念がある

     (3)労務面

       ・トップの任期が短期間で思い切った改革が進まない

       ・出向者とプロパー社員との確執が発生する可能性がある

       ・出向者が多いと従業員のモラルが下がる可能性がある

       ・物流業に不向きな人材の押し付け人事に発展する可能性がある

       ・パート社員の募集が親企業ほど容易ではない

       ・親方日の丸的な体質になる可能性がある

       ・親企業志向が強く、自発性が欠如する可能性がある

   2.親会社にとっての問題点

     また、親会社側にとっても物流子会社の設立には次のような問題点がある。

     (1)コスト面

       ・物流コスト削減が思ったほど図れない

     (2)サービス面

       ・かえって物流サービスのレベルが低下した

       ・顧客の声が親会社に届きにくくなる

       ・物流協力会社との関係が悪化する可能性がある

     (3)労務面

       ・親会社からの出向者が多く、ビジネスライクな関係がなかなか築けない


   3.親会社と物流子会社が抱える矛盾

     物流子会社と親会社双方の抱える問題点は互いに密接な関係にあります。

     例えば、親会社が物流コストの削減を図るために、物流子会社に対して運送
     料金などの引き下げを要求し、物流子会社がこの要求を受け入れれば、物流
     子会社自身の収益性を悪化させることにつながります。

     つまり、物流子会社は親企業の物流コスト削減に貢献しようとするほど、自ら
     の首を絞めるというジレンマに陥ってしまうのです。

     また、中高年対策として親会社の余剰人員を物流子会社に大量に移籍させた
     場合、親会社にとっては「自社の人件費の圧縮ができる」「ポスト不足を解消
     することができる」というメリットがあります。

     しかし、物流子会社にとっては、人件費負担が大きくなったり、プロパー社員の  
     士気を低下させるなどのデメリットにつながります。

     ほかにも、親会社がほかの会社と合併などをした場合、親会社にとっては有
     益な統合であったとしても、双方(親会社と合併先の会社)が物流子会社を
     持っていた場合には、物流子会社がグループ内に複数存在することになって
     しまいます。

     このように、親会社のメリットが物流子会社のデメリットになるといった矛盾を
     はらんでいるのです。

  □設立における留意点

   ここでは、物流子会社を設立する際の留意点を挙げてみます。

   1.物流子会社設立の目的

     前述したように、親企業が物流子会社に期待するのは「物流コストの削減」「物
     流サービスの向上」「親会社の余剰人員の活用」などです。

     しかし、物流会社を設立する際に、単純にこうした期待イコール設立目的とし
     てしまうと、さまざまな問題が生じることになります。

     そのため、経営多角化の一環として物流子会社を考えることや、物流子会社
     の設立を通じて「関連事業を含めた一元管理をする」「同業会との水平的な共
     同化を図る」「流通段階(卸・小売など)との垂直的な共同化を図る」といった共
     同化を図ることなどを目的の中心に据えることが重要でしょう。

   2.重要なグループ全社の支援

     物流子会社の設立当初は、業務のほぼ100%を親企業およびそのグループ 
     会社から受注に頼ることになります。

     そのため物流子会社の設立に当たっては、親企業を中心としたグループ会社
     全体からの支援を得なければなりません。

     設立目的や取引条件など、後でさまざまなトラブルを起こす原因となるような
     内容については、事前にグループ会社の関係者に周知徹底を図っておく必要
     があります。

   3.事業戦略を立てているか

     設立を目指す物流子会社が将来どのような方向に進むのが望ましいのか、事
     前に事業戦略を立て、「どのような市場を将来狙うのか」「どのような内容の物
     流サービスを行うのか」といった市場や商品について明らかにしていくことが重
     要です。

     例えば市場については、将来「企業グループ物流業務のみ行うのか」「小売・
     卸のどの流通段階まで物流業務を行うのか」「同業他社の物流業務を行うの
     か」「親企業とは異業種企業の物流業務も行うのか」といったことを事前に決
     定しておくべきです。

     また商品については、「将来目指すのは輸送、保管、包装、梱包業務、荷役、
     在庫管理、情報処理、集金回収までも含めた総合物流サービスであるが、設
     立当初は輸送、保管業務を中心とした物流サービスを行う」といったように、将
     来の目指す方向性とその実現段階などを明らかにすべきです。

   4.事業計画の策定

     事業戦略が決定したら、具体的にどのようにその戦略を遂行していくのかとい
     う事業計画を策定しなければなりません。

     まずは、5〜10年間程度の長期計画を策定する必要があるでしょう。

     その長期計画の中では、「自社がどのように物流サービスの総合化を図って
     いくのか」「どのように親企業、グループ会社以外の外部取引先を開拓していく
     のか」「プロパー社員をどの程度に増やしていくのか」といった内容を盛り込む
     べきです。

     この際に留意すべきは、理想は高く掲げながらも、実現可能な計画を中心に
     長期計画を策定していくことです。

  □経営における留意点

   物流子会社の経営に際して物流子会社、親会社双方が留意しなければならない
   点を挙げてみます。

   (1)長期的なビジョンの作成

     ・経営トップを親会社の都合によって頻繁に変えない

     ・社長が変わっても経営ビジョンを変えないようにする

   (2)人材活用策

     ・押し付け人事を排除する

     ・親会社からは出向社員より転籍社員を受け入れる

     ・プロパー社員の登用を図る

     ・物流専門家の育成を図る

   (3)設備計画

     ・物流計画を親会社と子会社双方で立てる

   (4)財務戦略

     ・基本的に物流子会社の経営は独立採算制とする

     ・親会社と物流子会社との取引において料金は世間並みを基本とする

     ・物流子会社から親会社への利益の吸い上げや、親会社からの損失
      補填などをなくす

     ・物流子会社の業績評価、成果配分のルールを明確にする

   (5)コミュニケーション

     ・親企業、グループ企業との太いパイプを持った人材をトップに置く
     ・親会社、子会社間のコミュニケーションの強化を図る

     ・顧客情報を物流会社を通して迅速にキャッチできる体制を整える

   物流子会社設立が単なる余剰人員の活用が主目的であっては決して成果は見
   込めません。

   上記で述べたように、綿密な事業戦略、事業計画を立てることが必要不可欠とな
   ります。

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物流コストの削減

            

物流コストの削減

  ■物流コストの削減で利益向上

   企業が利益を確保するための手段として、物流の効率化とコスト削減が盛んに叫
   ばれるようになっています。

   たんに売上の増加を追求したり、原価や人件費を削減するという方法以外に、物
   流の効率化による利潤の追求が求められる時代になってきたのです。

   物流とは、梱包・包装・荷役運搬・物流加工・入出荷・輪配送・保管・物流管理・物
   流情報システム運用など、「一商取引の結果生じる、モノの流れに関する一連の
   活動」を指しますが、企業によってその定義が若干異なることもあります。

   したがって、まずは自社の物流業務の範囲はどこまでかを明確にしたうえで、そ
   れぞれの業務に関するコストデータを収集する必要があります。

   自社の物流コストの概要とそれぞれの業務のコスト比率を明らかにすることで、
   物流コスト削減の対象業務を把握することができます。

   物流コストを削減すべき業務に応じて、何通りかの改善計画を作成したうえで、そ
   れぞれの費用対効果を比較検討し、具体的なコスト削減方法を決定しましょう。

  □物流部門が抱える問題点

   物流コストの削減を検討するうえで、まずは自社の物流部門のどこに問題がある
   かを把握しなくてはなりません。

   そこで、問題を把握する際のいくつかの視点を紹介します。

   1.人材の問題

     物流部門に優秀な社員を配属していないために、全社的な視点で物流をとら
     えることができるような管理者、および社員が育っていない企業があります。

     また、社長の実行力に依存してきた企業では、トップダウンの意思決定の弊害
     からか、物流現場の管理者の意識が低く、担当者の意欲も乏しいといった問
     題が生じています。

     このような場合には、
      各地の営業所や物流拠点をとりまとめ、他部門との調整を行ない、
      業務改革の提案も行なえるような、意識の高い優秀な人材を物流
      部門に投入する必要があります。

   2.物流組織および物流拠点の問題

     物流拠点が分散しており「物流機能の連携がうまくとれない」、あるいは物流
     拠点が手狭で「受発注から配送などの業務を分散した場所で行なっている」な
     ど、物流拠点に問題を抱えているケースがあります。

     このような場合でも、部門間の連携が円滑であれば、これらのデメリットを補う
     ことができますが、実際には、物流が部署ごとに独立しているため、同一企業
     に一日に何度も別部門から配送されるというような非効率的な事態が生じて
     いることもあります。

     物流部門の位置付けや権限を明確にし、積極的な改善提案ができるような環
     境をつくるとともに、物流拠点のあり方についても再度検討してみることが望ま
     れます。

   3.業務処理の問題

     営業や経理部門などの強化は図ったものの、物流部門は旧態依然とした業務
     処理を行なっていることがあります。

     具体的な業務処理の問題点は、

      ・業容の拡大に伴いシステムを手直ししてきたが、現在の物流の業務
       処理に合わなくなってきた。

      ・現状の業務処理のままでは、システムを根本的に見直すことができない。

      ・ピークに合わせた人員配置となっており、閑散時の従業員の活用が
       十分できていない。

      ・勘と経験に頼った作業方法であるため、ベテランが休暇をとると作業
       能率が極端に低下する。

      ・貸切便に関する運行状況や配達件数、あるいは積み合わせ便における
       1件あたりの配送個数・重さといった配送効率が把握できていない。

      ・現物と帳簿在庫が合わない。伝票なしの出荷や、仮伝票の際の出荷
       後の伝票処理に落ち度がある。

      ・営業部員が物流業務を兼務するケースがある。
       物流面でも非効率であり、営業にも注力できないなど、デメリットが多い。

   4.情報の問題

     受注見込みなど物流部門に入る情報の精度が低いことに加え、これらの情報
     が発注業務に十分活かしきれていないケースがあります。

     かといって、中途半端な状態でのシステムの活用は、過剰在庫や欠品の原因
     ともなりかねない。

     物流部門において受発注に関する正確な情報が把握できることが望ましく、そ
     のためには、営業・経理など他部門とのコミュニケーションを強化する必要が
     あります。

  □物流コスト削減の視点

   次に、物流コスト削減のための6つの視点を紹介します。

   1.標準化

     【受注】

     得意先の受注を曜日別に指定する(得意先の協力が必要)。
     →受注件数の曜日の波が少なくなり、受注部門の作業条件が改善される。

     【入荷】

     仕入先へ計画的に発注し、入荷部門と連携して業務を進めます(調達部門の
     充実および仕入先の受け入れ体制づくりが必要)。
     →入荷検品、棚入れ保管をスムーズに行なうことができる。

     なお、事情により業務の波を平準化できない場合には、波に応じて曜日別・時
     間帯別にパートなどを採用するという方法がある。

   2.簡素化

     【受注】

     受注情報の流れを簡素化できないか検討してみることが必要です。
     たとえば、「得意先 → 営業所 → 受注処理セクション → 倉庫」と受注
     情報が流れているのであれば、「得意先 → 受注処理セクション → 倉庫」
     のように単純にできないか検討します。
     情報の流れを簡素化することで、物流関連の人件費を削減できますし、
     物流サービスも向上します。

     【配送】

     営業所が在庫を保有して物流拠点の機能も兼ねている場合、福岡営業
     所から大阪方面、大阪営業所から九州方面というように、担当エリア外
     に交錯して配送すると余分なコストが発生します。
     このような無駄な配送は極力排除し、できるだけエリア内の配送に受注
     をまとめるように見直しする必要があります。
     ただし、このような場合、物流情報システムの見直しを同時に要求される
     ことがあります。

   3.円滑化

     【保管】

     物流コストは、人が介在するほど増加します。
     保管の場合も、段ボール箱を、床に段積みで保管するのではなく、はじめ
     から台車に載せて保管しておくと、商品を取り出して台車に載せる手間と
     時間が省けます。
     棚保管の場合も、ケース出荷する商品は台車に載せて棚の一番下に保管
     しておくと、運ぶのに人手を多く必要としません。

     【流通加エ】

     ピッキングした後の値札付けなどの流通加工段階で、商品が滞留する
     ケースがあります。
     このような場合には、「流通加工場のレイアウト・スペースに改善点は
     ないか」「流通加工の自動化・省力化ができないか」「ピッキング担当者と
     流通加工担当者の業務バランスがとれているか」などの点を見直して
     みる必要があります。

   4.直送化

     【配送】

     「配送センター → 営業所 → 得意先」の二段階で配送するよりも、「配送
     センター → 得意先」と直送化することで配送コストを削減することが
     できます。
     また、この場合、営業所で配送に要した作業が配送センターに集約され
     ることになりますから、作業人員・作業時間も少なくすることができます。
     ただし、指定納品書の作成、指定ラベルの貼付方法など得意先ごとの
     納入条件をマニュアル化しないと、配送センターの定型的な業務になじま
     ないため、納品マニュアルの作成、配送センターの業務処理システムの
     変更など、事前の準備作業を粘り強く行なう必要があります。

   5.標準化

     【帳票】

     注文書や伝票などの帳票形式を全社的に統一することが改善の前提です。

     【コード】

     商品コードや得意先コードが合理的であることが改善の前提となります。
     あまりに複雑なコード体系は、在庫管理を難しくしてしまうため、各部門
     での調整が必要です。

   6.集約化

     【配送】

     拠点間輸送の場合、一度に送る量をまとめることでコストを削減できます。
     たとえば、特別積み合わせで輸送する場合の運賃が2tで3万円、10t車の
     貸切運賃が12万円とすると、貨物を10t単位にまとめれば3万円の運賃を
     削減できます。
     得意先配送に貸切便を使用している場合は、運賃が定額の場合は積載率
     などの効率を上げること、つまり納品をまとめることや一便の配送先を増や
     すことによって1個あたりの運賃を低減させることができます。
     なお、配送の集約化を検討する場合には、現状の物流体制でどうして輸配
     送がまとめられないのかその理由を分析し、それらの制約条件を取り除く
     ことが前提となります。

     以下に、制約条件の例を紹介します。

     ○拠点間輸送

      ・施設スペースが狭い(10t車が接車できないなど)

      ・人員の面で対応できない

      ・受注のバラツキが多い

     ○得意先配送

      ・施設スペースが狭い

      ・同一得意先からの受注をまとめられない

      ・貸切便の運行実態を把握していない

     【保管】

     営業所などに分散している在庫を配送センターに集約することによって、
     保管コストを削減できます。

   以上のような6つの視点から、物流コスト削減の糸口を見いだすことが可能です。

   ただし、実際に問題点を解決する段階では、物流システムの構築・メンテナンスが
   要求される場合があります。

  □物流現場におけるコスト削減策

   以下に、倉庫・流通センターなどの物流現場において行なうことのできるコスト削
   減のポイントを紹介します。

   1.倉庫・流通センター全体のポイント

     (1)マテリアル・フローの把握

        マテリアル・フローとは、「倉庫内の作業工程ごとの商品の流れ」をいう。

       具体的には、「どのような荷姿をした何種類の商品を何時にどれだけ入
       れ、倉庫の中に何日間どれだけ保管して、どのように荷姿を変えて何時に
       どれだけ出していくか」ということを把握します。

       マテリアル・フローが把握できれば、どこに問題があり、どの部分にどのよ
       うな機器を設備し、どのくらいの人員を配置すればよいかがつかめてくる。

       また、フォークリフトなどや作業員が実際動いた物流動線を図に示せば、ど
       こが混雑するのか、無駄な動きがあるのかということを発見できます。

     (2)在庫高晶のABC管理

       ABC管理とは、売上の高い商品を重点的に管理する方法です。

       自社の取扱商品を売上額の大きい順に並べ、品目数の上位10%を占め
       る商品群をA品目、中位20%程度をB品目、それ以外をC品目とします。

       すると、自社の売上高のおよそ70%がA品目だけで占められていることが
       わかるかもしれません。

       その場合、A品目を重点的に管理し、残る90%の商品には大きなコストを
       かけないようにするのです。

       残りの90%の商品を在庫していたとしても、所詮は売上高の3割にしか過
       ぎないからです。

       このようにABCによる在庫管理を行なうことで、欠品を最少にとどめながら
       管理費用のコストダウンを図ることができるのです。

        A品目:よく動く商品のため、入念に管理する。
             定期的な発注や納入までの工数短縮を検討する。
             すぐに出荷しやすいように、フローラック(流動棚)で保管する。
             バラ出荷にも応じる。

        B品目:中程度に管理し、一定の残数になったら定量発注する。
             ケース出荷を原則とする。

        C品目:ほとんど動きのない商品のため、発注方法・保管場所・保管
             方法を含め簡易な管理を行なう。
             発注は残り少なくなった時点で行なう。

     (3)ロケーション管理

       物流業務のなかで、在庫管理は
        ・デッドストックを防止する

        ・販売量に見合った在庫量を適正に保有する

        ・先入れ・先出しを完全に行なう

       という意味で非常に重要な意味をもちます。

       このなかで「先入れ・先出し」を完全に行なうためには、倉庫の中に番地(ロ
       ケーション・コード)を付けて商品の所在をはっきりさせて、商品コードでは
       なくロケーション・コードで商品を出し入れする必要があります。

       このロケーション管理ができれば入出荷の日付管理が可能になり、古いも
       のから出荷するよう指示できます。

       なお、ロケーション管理を行なうことで、ピッキングの効率を高めることもで
       きます。

   2.ピッキング・出荷のポイント

     (1)ピッキング方式

       商品のピッキングの方式には、「つみ取り方式」と「種まき方式」がある。

       いずれの方法を採用するかは、「アイテム数」「取扱量」「ピッカー数」「セン
       ターの広さ」などの要素を考慮したうえで、どちらがピッキング効率が高い
       かで判断します。

       なお、ピッキングの合理化ポイントは次のとおりです。

        ・保管している商品は平置きラックによるつみ取り方式とする

        ・後戻り作業が発生しないように、ロケーション・コード順にピッキング
         リストを打ち出す

        ・ピッキング頻度の高い商品は取り出しやすいように、ラックの中段
         (ゴールデン・ゾーン)に置く

        ・受注量の多い得意先は、得意先別にピッキングラインを設ける

        ・ピッキングした商品はコンベヤー・台車を活用して次工程に送る

        ・ピッキング中の品切れは、電話や表示灯などですぐ連絡できる
         ようにする

        ・バラ出荷商品は折り畳みコンテナを利用して包装費を減らす

        ・フローラックを活用し、商品補充は朝か夕方にまとめて行なう

        ・商品の空き箱はコンベヤーで収集し、再利用する

     (2)省力化・自動化

       ピッキングと仕分けの時間・ミスを最小にするシステムを導入することで、ミ
       スを限りなくゼロに近づけることができます。

       これらの例としては、「デジタル・ピッキング」や「POS検品」などがある。

     (3)作業の効率化

       倉庫・流通センター内の作業の効率化は、次のような視点で検討します。

       ○待たせない

        作業上のロスをなくす。
        待ち時間が発生するのはなぜなのか、工程管理能力と負荷、
        段取りの悪さについて検討する。
        ピッキング・リストの様式や発行方法・時間なども重要な検討
        項目となる。

       ○持たせない

        荷役作業の回数が増えると荷傷みが発生しやすくなるので、
        できるだけ荷役回数は減らす。
        トラックからおろした商品をチェック後、いったん仮置きしてから
        所定の棚に移すような無駄な作業は減らす。

       ○歩かせない

        無駄な動線を描かないよう商品のロケーションを工夫する。
        ピッキング通路は一方通行の形でレイアウトする。

       ○探させない

        ロケーション管理を徹底し、パートでも作業マニュアルや教育
        用ビデオを見るだけで商品を迷わずに取り出すことができる
        ようにする。

       ○考えさせない

        ラックによるロケーション管理を行なうことで、頭を使うことなく
        作業がスムーズに運ぶようにする。

       ○書かせない

        受注情報を紙に打ち出さず、そのままデジタル・ピッキングや
        POS検品に活用できることが望ましい。
        ペーパーレス化は、転記ミスを防ぐだけでなく、時間や紙資源の
        節約にもなる。

   3.配送のポイント

     (1)トラックの「多停車少走行」の見直し

       トラックは一日の半分は、積み込み待ちや荷受け待ち、荷卸しのために停
       車していることが多いようです。

       この停車時間をいかに少なくし、走行時間を多くさせるかがポイントです。

       具体的には、次のような視点からコスト削減を図ります。

       ○仕分け・出荷の合理化を図る

        出荷前の仕分けにより配送効率を高める。得意先別の積み合わせ、
        逆配送順の配列、パレットのままの配送、コンベヤーの活用など。

       ○積載効率・配送効率を高める

        1台ごとの積載量を把握し、少しでも積載効率を高めるようにする。
        配送量や商品特性に合ったトラックを使い分ける。
        早朝・夜間配送(無人荷受け)を検討する。

       ○自家用トラックと営業用トラックを使い分ける

        自家用トラックは、店内への搬入や緊急対応など、顧客サービス
        という点で長所は多い。
        しかし一方で、配送業務の繁閑差が大きい場合の遊休車両の発生、
        人手の確保などの問題が生じる。
        したがって、多頻度小口配送などの場合には、営業用トラックの積み
        合わせ便などをうまく組み合わせて活用することで、コストの削減を図る。

     (2)運転日報

       運転日報(誌)から配送ルート・配送量、得意先での作業状況などを読み取
       ることで、積載効率・配送効率の向上に役立てます。

   4.労務管理のポイント

     (1)パート・アルバイトの活用

       物流業務の人件費を下げるには、作業を標準化・単純化・専門化して、社
       員からパート・アルバイトに切り替えることを検討します。

       社員が判断業務や業務改善に従事できるよう、一層の効率化を図ります。

     (2)環境を整える

       劣悪な環境では従業員のモラールが下がり、事故やミスが起きるなど、労
       働生産性も低下しがちです。

       トラブルを極力避けるためにも、職場環境を整えることが必要です。

       具体的には、食堂・休憩室・送迎バスなどの福利厚生設備の充実や、倉庫
       内の色・照明などの改善、安全性の向上、省力化・自動化・快適性の実現
       などが考えられます。

   コストダウンを検討するとき、費目ごと、部門ごとに直接焦点をあてて改善策を
   練っていきますが、これも全社的な調整のなかで進めなくてはなりません。

   部門同士が敵対関係になると、たとえば、「売れればよいということでどんどん値
   下げする販売部門があるから、我々製造部門のコストダウンも水の泡になってし
   まう」という状況になりかねません。

   自部門の利益が他部門の損失にならないようにするためにも、全社的なトータル
   コストダウンの仕組みが必要になります。

   トータルコストダウンの仕組みづくりには、強力なトップマネジメントに基づくプロ
   ジェクトチームを結成し、実行していくことが有効になります。

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流通・サービス業の生産性向上策

          

流通・サービス業の生産性向上策

  流通・サービス業の生産性向上策について、主に@付加価値率の向上、A人時生
  産性の向上、B店舗リニューアルと設備機械の充実の三つの視点からみてみま
  す。

  付加価値率の向上

    流通業・サービス業における生産性向上対策では、まず何よりも付加価値率を
    向上させることですが、流通業・サービス業の付加価値率の向上対策には、
     @商品・サービスの高付加価値化または商品回転率の向上
       (在庫の圧縮)による付加価値の増大

     A仕入原価・仕入れコストの低減

     B物流コストの低減などがあります。

   (1)商品・サービスの高付加価値化または商品回転率の向上

      商品・サービスの高付加価値化には、商品・サービスそのものが高い付加価 
      値をもつ高付加価値商品を扱う場合と、立地や集客条件に見合ったストアロ
      イヤリティーを確立することによって、ハイグレードな客層を吸引して、高付
      加価値化を図るケースとがあります。

      前者は、有名ブランド商品の取り扱いやオリジナル商品の開発、輸入品の取
      り扱い、ヒット商品・ブランド商品の取り扱いなどによって実現されますし、後
      者は、ストア・アイデンティティーを転換し、店舗を高級化することによって達
      せられます。

      高付加価値化を成功させるためには、商品の高度化と店舗の高級化、接客
      演出の高度化を総合的に計画し、トータルな戦略的展開を行うことが重要。

      また、最近の景気低迷下での付加価値向上策として、ディスカウント化によ
      る商品回転率の向上による商法が注目を浴びていますが、これは、店舗施
      設をはじめ、徹底的な固定費削減によって、商品の廉価化を進め、いわゆる
      薄利多売方式によって必要な付加価値を確保しようとするものです。

      以上の二つの方法のうち、いずれをとるかは、店舗経営のあり方に大きくか
      かわる事柄ですので、店舗コンセプトをしっかり確立したうえで方針化するこ
      とが大切です。

    (2)仕入れ価格の低減

      仕入原価の低減のためには、共同購入や新しいチャネルの開拓が望まれま
      すが、その際、セントラル・バイイング(集中仕入れ)方式や物流チャネルの
      短縮などについても検討すべきです(仕入コスト低減の方策は、図のように
      まとめることができます)。

    (3)物流コストの低減

      物流コストは、ロジスティックスすなわち発注・運搬・在庫(保管)など商品の
      流れに伴って発生します。

      発注の合理化のためには、EOS、VANなどを活用することが有効ですし、ま
      た、輸送コスト低減のためには、ロジスティックス全体を総合的に見直し、必
      要によっては、配送の外注化を進めたり、在庫管理の方法を改善します。

      このほか、ケースサイズ、単品サイズ、配送経路、ハンドリング方法などにつ
      いても検討、改善することが大切です。

      さらに、在庫(保管)コスト低減のために、ピッキング(出庫)の改善が重要。

      特に、卸売業では少量多品種、多頻度の物流に対応するためのオーダー・
      ピッキング・システムを導入し、作業を標準化・単純化することが有効で、こ
      のシステムによって、ピッカー(出庫担当者)をパート化、アルバイト化するこ
      とが可能となり、保管コストを低減することが期待できます。

  □人時生産性の向上対策

   (1)従業員の多能化と作業の標準化

     流通・サービス業、特に店舗展開をしている小売業・サービス業における労働
     時間は、従業員の在店時間としてとらえられます。

     開店している限り「人」がいなければならないので、省人化は非常に困難にみ
     えます。

     しかし、スーパーを例にとりますと、その後方(バックヤード)作業は、100種類
     以上にのぼるといわれるように、流通・サービス業でも、店頭の仕事以外に多
     くの作業があります。

     これらの作業を何人でこなすかは、それぞれの店舗によって異なりますが、作
     業マニュアルをつくったり、教育訓練を強化して多能化を進めることによって、
     相当程度の省人化を図ることができます。

     流通・サービス業での従業員の多能化を進めるには、このように業務運営方
     式を見直したり、作業分析・作業動線分析等を行って、一つひとつの作業を単
     純化・標準化・マニュアル化し、できるだけ多くの作業を誰もができるようにす
     ることがポイントです。

     また、こうして従業員の多能化を進める一方、伝票・帳票の簡素化、作業時間
     帯の変更、会議のスケジュール化・短時間化などを進めることによって、省人
     化、省時間化を一層進めることが大切です。

   (2)ショートタイム従業員の戦力化

     流通・サービス業における人的生産性向上対策で、パートやアルバイトの活
     用・戦力化は不可欠です。

     確かに、専門店やサービス業の店頭接客には商品知識やセンス、接客術など
     の専門性が求められるために、パートやアルバイトの導入がむずかしいとか、
     彼らにレジ締めをやらせるわけにはいかないなどといって、その導入に消極的
     な傾向もあります。

     しかし、専門店を含む小売業やサービス業では、1日のうちの繁閑の差が大き
     く、パートやアルバイトなどのショートタイム従業員の活用の場は非常に広い
     はずです。

     パートやアルバイト活用の視点とその戦力化の対策のポイントは、

      @パートやアルバイトを単に正社員の補助的労働力と考えたり、
       人件費の軽減だけを目的とするのではなく、より強力に戦力化
       するという視点に立つこと。

      A特に量販店やチェーン店などでは、パートやアルバイトにも一定
       の権限を委譲し、やる気と責任をもたせるようにすること。

      B業務をできるだけ単純化・標準化・マニュアル化し、教育訓練を
       徹底すること。
       できれば、教育訓練カリキュラムやマニュアルをつくり、パートや
       アルバイト自体を教育訓練の指導者として育てるくらいに徹底
       すること。

      Cパートやアルバイト向けの職能ランクを設けて、職務内容や
       権限、時給などについても職能ランクによって決めるように
       すること。           
       また、必要に応じて社員登用制度を設けること。

     専門店におけるパートやアルバイトの戦力化も基本的には、このような制度や

     対策が有効ですが、専門性や即戦力という要素を満たそうとするなら、退職社
     員の再雇用やセールスアシスタントなどショートタイムの専門職の導入も効果
     的です。

     さらに、専門職のショートタイム従業員の採用を容易にするには、働く側に勤
     務時間を選択させる選択時間制パートタイム制度が有効といえます。

   (3)客待ち時間と要員の有効活用

     流通・サービス業での人的生産性向上を考える場合、客待ち時間の有効活用
     は非常に重要です。

     例えば、専門店の場合、それまで特定の人にしかできなかった作業を標準化・
     単純化することによって、客待ちのため手空きとなった従業員がそれらを代替
     します。

     量販店では、商品の陳列や補充、ディスプレーの変更などを閉店後でなく客の
     少ない時間帯に変更するなど、人と時間を有効に活用することによって省人
     化、省時間化が図れます。

     また、客待ち時間を教育や会議などに利用したり、品揃えの研究などに利用
     することも重要です。

     人の有効活用では、LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)などの時間  
     管理技法を活用すると効果的です。

     これは、あらかじめ一つ一つの作業ごとに決められた標準時間に基づいて、1
     日の作業の繁閑に合わせて必要な人員をコンピューター(マニュアルでも可
     能)によって管理し、必要な要員を適切に配置しようとするシステムです。

     その際、ショートタイム従業員の効果的な活用がポイントとなります。

     要するに、LSPは作業工数分析による要員管理の手法の一つですが、これを 
     利用した流通・サービス業での生産性を計る計数技法として、

      “人時生産性”(1人1時間当たりの売上高または粗利。
      「売上高(粗利高)÷総労働時間」で表示)管理

     が有効です。  

     “人時生産性”の向上のためには、従業員1人1時間当たりの作業工数を増や

     し、総労働時間を短縮することが必要ですから、LSPと“人時生産性”管理は
     表裏一体の働きをします。

     また、チェーン展開をしている専門店などの要員管理のポイントには、次のよ
     うなものがあります。

      @ブロックや物流部門などの店舗のバックアップを行う部門への
       従業員の重点配置を行う。

      A近接地域(エリア)での店舗間の応援体制の確立や、大型店・
       小型店の組み合わせによる要員配置の効率化を図る。

      B早番・遅番・土日集中勤務体制など、繁閑に合わせた勤務
       シフト体制や、曜日特定・時間帯特定のパートタイマー制の
       導入によって、客待ち時間そのものを少なくする。

  □店舗のリニューアルと設備機械の更新

   流通・サービス業における設備機械の改善による生産性向上対策には、

    @店舗のリニューアル

    A設備機械、什器の改善

    BPOSシステムやEOS、VANの利用

   などがあります。

   「三年たったら部分改装、五年たったら大改装せよ」という店舗管理の格言があり
   ますが、店舗にもライフサイクルがあり、衰退期には客足が鈍り、売上高の停滞・
   低迷という現象が起こってきます。

   したがって、店舗のライフサイクルを把握して、計画的にリニューアルやリフレッ
   シュを行うことが大切です。

   店舗のリニューアルや設備・什器のリフレッシュを行う場合の留意点としては、次
   のような点が考えられます。

    @店舗のリニューアルに際しては、例えば、ファッション性を打ち出すとか、
     客層を絞って業態型店舗にするというように、コンセプトを明確にする。

    A客動線(顧客のための通路)、販売員動線(接客動線、作業動線)、商品
     動線(荷さばきや搬入動線)について検討し、店内通路のとり方を工夫する。

    B業種や業態を変える場合や販売品目を変える場合に、客層やイメージに
     合うように、什器・設備の全面的なリフレッシュを行ったり、視認率を改善
     するために照明を工夫する。

   また、主として小売業・卸売業の生産性向上のツールとしてPOSやEOS、VANの
   活用も重要です。

     EOS:電子発注システム(Electronic Ordering System)

     VAN:付加価値通信網(Value-Added Network)

   中小企業の多くでは、こうしたソフトウェアを十分使いこなすだけの経営管理のレ
   ベルにないといった問題点もありますが、研究する必要があります。

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