製造業 |
製造業における改善活動のチェックポイント |
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工場の生産性を向上 |
■生産性向上を考える際の視点 生産性向上を考える場合、検討すべきことは数多くあるが、大きく「能率の向上」 それぞれ次のように休系図で整理しました。 *1.7大口スとは、 ・作り過ぎ ・過剰在庫 ・不良品の製作 ・手持ち ・運搬ロス ・動作ロス ・加工そのもの という7つのムダを指す *2.TPMとは、トータル・プロダクティブ・メンテナンスの略で、 生産性の向上を検討するための視点については前述したが、ここでは実際に生 1.ムダ取り7手法 2.VRP(部品半減計画) 3.標準作業の設定 4.TPM(設備保全活動) 5.段取り替えの短縮 6.レイアウトの改善 という代表的な6つの手法について、ご紹介します。 作り過ぎ、過剰在庫、運搬ロスなど、前述した「7大口ス」に代表される様々な (1)標準化生産 「販売のブレ」をできるだけ少なくして、生産現場の毎日の仕事量のばらつ 機械の台数が多くなると、作業者の歩行距離が大きくなりムダな動作にな U字型レイアウトは初工程と最終工程が近くなるため、カラ歩きや不必要な ちょっとしたミスを防止する手法。 具体的には ・作業者がいちいち気を配らなくてもミスを防止できる工夫 ・作業手順を誤った場合でも不良品がでない工夫 ・条件が整わないと機械が作動しない工夫 などがある。 自動化することによって、異常発生時には自動停止装置が作動したり、異 10分未満の段取り替えをシングル段取りという。 シングル段取りを可能にするためには、内段取り(機械を止めて行うもの) 加工する順番に機械を配置し1人の作業者が複数の工程を受け持てるよう 人間の動作のムダを排除するための原則(*)に則る。 *動作琴済の原則について @基本原則 ・動作の種類と数を減らし、不必要な動作をなくす ・最短距離で動く ・最も円滑に動けるようにする ・最も疲労の少ない動作にする ・動作に習慣性を持たせる ・作業標準を用いて事前に動作の訓練を行う ・動作の改善と適度な速度は製品の品質を向上させる ・両手の動作は同時に始めて同時に終わるようにする ・両手の動作は同時に反対方向に、かつ対称的経路になるようにする ・慣性、動力、自然力をできるだけ利用する ・手の動作は低級レベルにする(肩から先を全て使うより肘から ・急な方向転換は避ける ・できるだけ自然な姿勢に近づける ・リズムのある動作にする B作業場所に関する原則 ・作業台や椅子の高さは姿勢に無理のないようにする ・工具、材料は作業に合わせて配置する ・加工品の送りは重力シュートを活用する ・加工品の工員は一目で見え、手の届く範囲内で、定位置に置く ・工具、材料は作業者に近い前面に置く ・工具、材料、設備はできるだけ作業者が歩く必要がないように ・簡単な作業や力の必要な作業は、足を使う器具を使用する ・加工品を長時間持つときは保持具を利用する ・工具、材料は定位置に置くようにする ・複数の工具はできるだけ組み合わせる ・一定の運動経路を規制するには治具、ガイドを利用する ・できるだけ動力工具を利用する ・工具や器具の握りは、できるだけ広く手のひらに当たるようにする VRP(バラエティ・リダクション・プログラム)は、(社)日本能率協会が開発した 「多品種・多部品・多工程」のもとで設計から生産までの総合的なコスト です。 一般的に製品のライフサイクルに従ってその品種数は増加し、それと共に部 そして、ライフサイクルの末期になって売上げが落ち始めても、コストはそれに VRPは、市場の成熟化によって品種が増えても、 という考え方のもとにつくられるプログラムです。 具体的には ・部品や工程の数や種類と、製品設計や生産方法との関連を分析する ・多工程、多部品が原因で発生するコストを分析する ・製品や生産システムの問題点に対して、「製品群」という視点で考える ・製品設計と生産システムの整合性を考える といったことから、生産性向上策やコストダウン策を考えていくわけです。 「標準作業」とは、作業条件・作業手順・作業要領などの作業方法を、様式を また、監督者が作業者の教育訓練を行うときの教材、作業管理の際の指標と 基本的には ・作業遂行の目的(何を加工するか) ・作業条件(使用設備・治工具・標準時間) ・作業域のレイアウト ・作業手順 ・要求される品質規格 ・材料・部品の略図 ・作業上の留意点(安全面、能率面なども含める) の7つの項目について作業方法を検討して、標準作業票を作成します。 「標準作業票」の例を掲載します。 工場内の機械化・自動化・無人化が進んでいますが、せっかくの設備も専門 TPMは、自分たちの大事な設備を、自分たちの手で保守できる部分は積極的 つまり、 TPMとは ・設備効率を最高の状態にすることを目標にして、 ・設備の一生涯を対象とするPM(プロダクティブ・メンテナンス)の ・その状態を維持保管するための人材を養成する。 ・また設備の計画部門、使用部門、保管部門などあらゆる部門に ・小集団自主活動を中心にPMを推進する活動 といえます。 段取り替えの時間短縮の手順は以下の通りです。 (1)実態調査を行い現状を把握する IEの手法である「ワークサンプリング法」で、就業時間内の人と機械の 内段取りと外段取りの作業分解を行い、内段取りを外段取りとして行えるよ 機能の標準化、共同作業、仲介治具の使用、調整作業の廃止、締め付け 効率的なレイアウトは、ものの流れにそって配置することにあります。 このためには、「ものの流れ分析」が有効です。 これは、 工場内のものの流れを把握し工程間の関連の強さを調べる手法 です。 この分析結果にもとづいて、レイアウト改善を検討します。 レイアウトの改善は、以下のような場合に行うと効果的です。 ・販売方法の変更時 ・品種・生産量、流し方などの「生産システム」の変更時 ・作業の機械化・自動化、材料や加工法などの技術の進歩や変化に応じて ・設計変更時 ・現状のレイアウトの欠陥が見つかったとき ・生産量の増減があったとき ・工場の移転があったとき ・新製品を投入したとき |
ポカミスの原因と対策 |
■ミスが発生しやすい時間帯とその対策 現場では、どういうわけか午後2時〜3時に最も「ポカミス」が多く発生する。 入力作業でも入力の欄を間違えたり、数字の桁を間違えるのです。 対策は自分自身を叱咤して「集中力」を確保することです。 「集中力」の持続時間の短い人に「ポカミス」が多いから、このようなタイプの人 会社として「リフレッシュ・タイム」を設けて体操をしてもらったりコーヒー・ブレイクタ ミスをさせない空間、環境の設定が効果があるのです。 特にこの時間帯は「セルフチェック」を入念に行う癖をつけてほしい。 仕事の区切りごとに「セルフチェック」を必ず励行することで「ポカミス」は自分で発 誰でも最大限「慎重さ」なるコンピテンシーを発揮する時間帯なのです。 仕事を一時中断したり、離席後に席に戻って仕事を再開するときに「ポカミス」が 仕事をやりかけていて、休憩時間になる、昼休みになる、上司に呼ばれる、電話 このような場合、仕事を中断したり、離席する。 そして仕事を再開するときにワナが待っているのです。 対策は「離席管理」をしっかりやること。 仕事の中断や席を離れるときは、どこまでやりかけたのかをしっかり分かるように その記録を確認して再開するようにすれば、ミスは激減できるのです。 「離席カード」を作成し、席に戻ったらどこまでやりかけていたかをしっかり確認し 全社的に「離席カード」を活用することをお勧めします。 仕事の中身、仕事のやり方そのものが間違いやすい、あるいは勘違いしやすい 組立現場には部品を反対に取り付けようと思えば取り付く構造や部品がありま そして必ず取り付けミスがある確率で発生するのです。 事務の仕事にもミスを誘うソフトや不明朗な手順があります。 これも「仕事の設計(ワークデザイン)」に欠陥があると考えるべきだ。 部品の取り付けミスを撲滅するなら、反対に、あるいは逆には絶対に取り付かな しかし、設計者はなかなかこれを実行したがらない。 そして現場の作業ミスだと言い張るのです。 この場合は、あらかじめ取り付ける部品の「方向性」を決めて作業台に一旦置い そうすることで取り付けミスは激減するのです。 入力ミスしてもアラームを発してくれたり、「これで間違いないですか」と警告を発 セルフチェックを促すことは、ミスに気付かせる上で有効です。 ポカミスが発生しにくいように仕事のやり方、仕組みを盛り込んで「ワークデザイ 4Mの変更はポカミスの温床になっている。 4Mとは、Man(人)、Machine(設備)、Material(材料など)、Method(やり方、 これらが変更になることは製造現場では日常茶飯事です。 中でも「人が代わる」、「やり方が変わる」の二つは最もポカミスに敏感です。 つまり不慣れが原因と言うわけです。 「何かを変えたらミスが起こる」と考えてほしいのです。 やむを得ずオペレーターが変更になる場合は、対象者にしっかり教育訓練して、 見本を見せて「この通りやってくれ」ではミスの元だ。 技術的にやり方が変更になる場合も同様です。 「5S」は誰でも知っている「整理、整頓、清掃、清潔、躾」のこと。 「言うは易く行なうは難し」で実際できていない現場が多い。 「5S」と「識別表示管理」は一体と考えてほしい。 「5S」ができていない現場はミスが多発することになっているのです。 製造現場なら作業台の上をキッチリ「5S」を実施し、全社運動として定着させるこ 事務部門においてもデスクの上や書類、パソコンのファイルやドキュメントを常日 問題が起こると「言った」、「言わない」、「聞いた」、「聞かない」の言葉が飛び交う 明らかに「報連相不足」だ。 つまりコミュニケーションがなっていない。 そして責任のなすり合いが始まる。 ホウレンソウとは、「報告」、「連絡」、「相談」のこと。 つまり、密接なコミュニケーションを常に図ることを習慣化することです。 意思の疎通が図られればチームワークがよくなり、連係プレーが可能になるのです。 日常的な定型作業は同じことの繰り返しだが、たまにやる重要かつ特別な仕事や 段取りができていないからやるべきことを忘れたり、もの探しであっちにうろうろな ミスを誘うばかりか効率も悪い。 「段取り」をキッチリやってから着手すること。 効率がよく、しかもつまらないミスは激減できるのです。
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ヒューマンエラー |
■ヒューマンエラーに対応する 1.ヒューマンエラーとは 近年、運輸機関における大事故や、金融機関におけるシステム障害や誤発 これらの事故は、さまざまな要因がそれぞれ複雑に影響し合って発生して しかし、その根底には、ヒューマンエラー(人間の誤認識や誤動作によって このように、ヒューマンエラーによる事故はさまざまな分野で起こり得ます。 企業の社会責任が重要視されている昨今、これらの事故は、「信頼の失墜」 また、近年、企業における機械化・IT化の進展により、一人の人間の作業 これにともない、ヒューマンエラーによって引き起こされる事故および損害の こうした背景から、企業にはヒューマンエラーに対する適切な対応が求めら (1)必ず発生するヒューマンエラー ヒューマンエラーへの対応を検討する上で、常に念頭に置かなくてはな もちろん、「ヒューマンエラーを起こさない」という意識を持ち、また、さま しかし、人間は必ず何らかのミスを犯すため、ヒューマンエラーの発生 問題とされるべきは、ヒューマンエラーそのものではなく、ヒューマンエ ヒューマンエラーへの対応としては、 1.ヒューマンエラーの発生の芽をつみとる 2.ヒューマンエラーが発生した場合、迅速に検知する 3.ヒューマンエラーによる事故が発生した場合、迅速に対応する という、ヒューマンエラーの発生を想定した対策を講じることこそが重要 人間の情報処理のプロセスは、 ・入力のプロセス(情報を自身の中に取り込むプロセス) ・媒介のプロセス(取り込んだ情報を判断するプロセス) ・出力のプロセス(判断に基づいて行動を決定、実行するプロセス) の3つに大別することができます。 ヒューマンエラーは、このいずれのプロセスにおいても発生する可能性 以下では、それぞれのプロセスにおけるヒューマンエラーについて具体 ◎入力エラー 情報を入力するプロセスで発生するエラーです。 例としては、 ・ 設計図中の寸法の数字を見間違えたため、欠陥住宅を建築 ・ 顧客の見積もり依頼に関する仕様を聞き間違えたため、規格 などが考えられます。 情報を媒介するプロセスで発生するエラーです。 例としては、 ・ 電車のベテラン運転士が、自身の経験を過信するあまり機器 ・ 「あまり重要ではないだろう」という思い込みにより、顧客から などが考えられます。 判断によって決定された行動を出力するプロセスで発生する 例としては、 ・ 顧客に依頼されていた調査を行うことを忘れてしまった ・ 自動車の運転で、ブレーキとアクセルを誤って操作してしまった ・ パッケージがいつも使用している薬剤と似ていたので、中身 などが考えられます。 なお、各プロセスにおける一つひとつのエラーが軽微なものであって (1)情報収集と分析 ヒューマンエラーへの対応を検討するには、ヒューマンエラーに関する ヒューマンエラーへの対応の検討プロセスは図の通りです。 ヒューマンエラーに関する情報を収集します。 前述の通り、ヒューマンエラーにはさまざまな種類があります。 また、複数のヒューマンエラーが相互に関係することにより、さらに新た こうしたことを判別するために、できるだけ多くの情報(事例)を集める 加えて、ヒューマンエラーには至らなかったものの、それにつながる可 建設業界や医療業界では、これらを「ヒヤリ・ハット事例(エラーを起こ これらは、ヒューマンエラーを「芽」の段階でつみとるための非常に重要 次に、これらのヒューマンエラーに関する情報を分析します。 ヒューマンエラーは、発生するプロセスやその要素、要因により大きく 従って、分析においては、そのヒューマンエラーが、情報処理の「どの それぞれのヒューマンエラーを分析によってタイプ別に分類し、各タイ 以下は、ヒューマンエラーへの対応として「ヒューマンエラー発生の防 前述の通り、ヒューマンエラーは「必ず発生するもの」です。 しかし、さまざまな防止対策を講じることによって、ある程度発生を防止 以下では、各プロセスにおけるヒューマンエラー防止対策を説明しま 入力エラーは、情報を正しく知覚、認知できないエラーです。 具体的な防止対策としては、 ・ 見落としを防ぐために、機器や周辺状況について指差し確認 ・ 見間違いを防ぐために、細かい数字や大量の数字などに ・ 聞き間違いを防ぐために、情報は文書化して伝達する などが考えられます。 媒介エラーは、情報が正しく判断されないエラーです。 従って、媒介エラーへの対応では、正しい判断を行うための正しい知 具体的な防止対策としては、 ・ 機器の操作や業務内容についての正しい知識を教育する ・ 判断基準を統一し(マニュアル作成など)、この基準に基づいて判 ・ 上司によるチェックなど、複数のチェックポイントを設定することに などが考えられます。 出力エラーは、行動が実行されない、もしくは行動が正しく実行され 具体的な防止対策としては、 ・ ToDoリスト(やるべき事柄をまとめたリスト)などを作成し、 ・ 落ち着いて、一つずつ作業や操作を行う ・ 作業、操作に際しては、目視などによる確認を行う などが考えられます。 なお、出力エラーは、無意識の行動において発生しやすい特性をも このため、無意識の行動に一定の制約を加えたり負担を軽減するこ 出力エラー防止対策の一例です。 ヒューマンエラー防止対策によってもヒューマンエラーを防ぐことができ ヒューマンエラーの検知では、確認の機会を多く設け、目標と行為のズ 従って、具体的な対策としては、 ・ エラーを発見しやすい仕組みをつくる ・ チェックリストを作成する ・ 複数の担当者によりダブルチェックを行う などが考えられます。 ヒューマンエラーを防ぐことができず、またそれを検知することができず ヒューマンエラーによる事故への対応では、事故による損害の拡大を 具体的な対策としては、 ・ 伝票処理ミスや検品漏れによる目減りを想定して、ロス予算を ・ 自社の製品により食中毒が発生した場合を想定して、迅速に などが考えられます。 このように、ヒューマンエラーへの対応では、 エラー発生の防止 ⇒ 発生したエラーの検知 ⇒ 発生した事故への対応 という3つが、それぞれ適正に機能することが重要です。 過去に発生したヒューマンエラーによる事故を検証してみると、「決められた これらの多くは、 ・ システム上、エラーの警告が出たが、「問題ないと判断して」作業を続 ・ 自分で「念入りに確認をした」ので、ダブルチェックをしなかった といった担当者の主観的な判断により、防止対策がしっかりと実行されなか 防止対策は、さまざまなプロセスに客観的なチェックポイントを設置すること このため、担当者の主観的な判断によってこれらのチェックポイントを排除 従って、防止対策を運用する際に最も重要なのは、いかなる場合でも、防 このためには、社内に「ヒューマンエラー防止対策委員会」といったチェック ただし、防止対策が実行されていたとしても、それが事実上形骸化してい 例えば、ある機器の操作を行う際に指差し確認が義務付けられているとし このような場合、長い期間を経るにともない防止対策が形骸化してしまい、 このため、各人に、 ・ その行動によって、どのようなヒューマンエラーが起き得るか ・ そのヒューマンエラーによって、どのような損害が起き得るか ということを十分に理解させ、防止対策を実行する重要性を認識させること このためには、社内の各部署で発生した「ヒヤリ・ハット事例」について検証 ヒューマンエラーは、もちろん発生させないに越したことはありません。 しかし、その発生を完全に防ぐことができない以上、「ヒューマンエラーにと
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製造業の経営革新(下請け体制からの脱却) |
■下請体制の変化と経営革新の必要性 (1)日本の高度経済成長を支えてきた構造は、製造業における親事業者と下 下請企業は、複数の親事業者をもち、主要な親事業者とは長期にわたって 下請企業にとっては、仕事量の安定、独自での営業活動が不要、取引に 一方、親事業者側は、生産能力の不足分を外注で補う、外注先の専門的 このように、長期安定的な取引関係を構築し、ネットワークである下請分業 しかし、中小製造業を支えてきた下請分業体制に、1980年代以降、大き 「2013年版中小企業白書」によると、中小企業の下請比率は1981年の 下請比率の低下に関係する大きな要因は、経済のグローバル化や不況が また、日本の下請企業は、個々の部品を相互に調整・最適化しながら統合 部品・半製品メーカーおよび素形材メーカーの状況をみると、10年前と比 また、近年の傾向として、特定の取引先に売上のほとんどを依存する企業 これにより、下請企業が取引先より入手できる情報が、より表面的なもの 大企業を中心に東アジアなどへ生産拠点を移し、生産体制の効率化を とりわけ、電気・情報通信機械器具の分野では、アジア向けの投資が頭打 その背景には、最近の国内景気の回復基調により、企業の投資力がつい 安価な海外製品の流入や親事業者の海外進出による受注減少に苦しむ このような環境の変化に対応して、下請企業の企業活動も変化してきている。 「2005年版中小企業白書」では、近年の中小製造業のおもな動きとして、輸 デザイン・商品企画、研究開発関連の外部委託の増加をあげています。 また、自社で生産設備を持たず生産工程をすべて外注する「ファブレス企 中小企業庁の調べによると、2005年11月末時点で、中小企業新事業活動促 2005年3月末時点で承認を受けた企業の業種別割合をみると、製造業が 承認された中小製造業者の経営革新活動の割合は「新商品の開発又は生 今後も下請体制の変化が進むことが予測されるなか、中小製造業者が自社 経営革新といった場合、どのようなものが経営革新といえるのでしょうか。 もっともわかりやすい定義として、中小企業新事業活動促進法に定義されている 中小企業新事業活動促進法では、経営革新として、 1.新製品の開発又は生産 2.新役務の開発又は渥供 3.商品の新たな生産又は販売方式の導入 4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業法動 という4つを定義しています。 それでは、これらの経営革新を行うためにはどのような工夫ができるかを考えて 以下は、実際に中小企業経営革新支援法(現法は中小企業新事業活動促 金箔などの箔押し業者であったA社は、結婚式に代表されるお祝い物の金 ところが、昨今では結婚式が多様化し、形式にとらわれない人が増えたこと そのため経営革新の必要を感じ、新たな市場開拓を決意した。 現在の市場がなくなるという火急の事態ですので、新たな市場を緊急に開拓 その際考えたのは、今からまったく新しい製品や技術を開発していくことは資 現在は「紙」に箔を押しているが、これを別の素材に応用できるかどうかを検 紙のような形状の食品への箔押しを考え、「海苔」への金箔の箔押しが生み そして、贈答用の海苔や、すしネタに使用する海苔に、金箔で店舗名や広告 このA社の考え方に、経営革新を考えるひとつのヒントがみつかります。 それは、以前からよく使われている方法で、 これは、縦軸に市場を、横軸に製品・製品・技術をとり、それぞれ既存と新規 現在もっている「箔押し」という技術を利用して、それを新しい市場に持ち込 中小製造業の場合、まったく新しい技術とまったく新しい市場からなるマト さらに、既存と新親の間に「他社は知っているが自社にとっては新規」という 他社ではすでに開発されているが、自社はまだ手をつけていない製品分野 このマトリクスを頭の中に入れて経営革新を考えることで、自社の資源を無 もうひとつ、自社の新たな経営革新の対象となる顧客を知ることが、経営革 新製品を開発していく際に、製造業ではとかく自社の現在の技術に依存して そのこと自体は、先のマトリクスの考え方のように正攻法といえますが、問題 新しい製品や事業を考える瞭には、顆客を明確にイメージすることが重要。 新製品を発売する以前に、顧客を絞り込んで、具体的にイメージしておく と経営革新計画が立てやすくなります。 顧客を絞り込む際に使われる基準が、「市場細分化」の基準です。 すべての人を顧客に想定することはできませんので、自社の開発する製 たとえば歯磨きでも、口臭防止を目的に製品を利用する顧客、歯を白くす この 要望=便益によって顧客を区分し、自社の開発した製品の真の顧 市場細分化を考える際には、一般に4つの視点が必要です。 新たに開発した製品が対象としている顧客の購買力を予想できるか 自社の新製品のターゲットを、たとえば「シンプルでナチュラルな生活 そのターゲット市場が採算のとれる規模があるかという視点です。 自社の想定しているターゲットに対して、マーケティング・プログラムの実 (2)5W1H法 このような視点から検討して市場細分化がなされたら、その市場をより具 開発した製品が実際にどのように使用きれるかについて、5W1H=「誰 市場細分化によって、ある程度顧客のイメージは決まっているはずです たとえば、市場細分化で自社の顧客を「40歳代の主婦」と想定していて 「40歳代の主婦」をターゲットとしているといいながら、じつは「大都市に このような誤差をなくすためにも、自社の開発・製造する製品がどのよう 5W1H法は、たとえば以下のように利用していきます。 自社が新たに開発する製品が小型プリンターである場合、 このような選択肢から、たとえば中学生が小型プリンターを使用するシー どこで:学校の休み時間、電車の申 何を:携帯電話で撮影した友達の画像 いつ:その場で なぜ:シールをつくるために どのように:携帯用小型プリンターで出力する その場でプリントできる」というニーズが想定されます。 このニーズに基づいて、さらなる具体的なニーズ(たとえば、色、デザイ 経営革新を推進することが、下請体制の変化に負けない自立した企業となる 自社の経営資源を製品・市場マトリクスで分析し、具体的な顧客を想定した新
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運輸業 |
トラック運送業の経営戦略 |
■運送業の基本戦略 長引く不況による受注量の低迷に加え、平成15年の「改正貨物自動車運送事業 平成28年12月16日付けで「道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を また、運送業は厳しい労働条件、低賃金などのために労働者不足が深刻化して ・仕事に遅れが生じる などの問題が起こっています。 さらに、大手運送業者は、その資金力・組織力を活かし、こうした問題にいち早く このような環境にあって、中小規模の運送業者の採るべき基本戦略は、 ・経営の合理化・効率化 ・取引の改善 ・競争力の強化 ・人材の確保・育成 が主なものになると考えられます。 運送業には、「労働時間の短縮」「労働条件の改善」「環境問題への対応」などの そして、それらに対する取り組みが運送業の合理化・効率化を着実に進めるもの こうした中、各社ともさまざまな取り組みを進めていますが、ここでは、「同業他社 保有車両の回転率の向上とドライバーの労働時間短縮を目的に、異なる地域の ・着地での配送業務を委託しあう輸送体制 ・中継点で車両を乗り継ぎあう輸送体制 を採用することが増えてきました。 物流の合理化に本格的に取り組むには、荷主に対してその必要性をアピールし、 自社の実状や労働時間短縮の必要性などを荷主に訴え、同時に合理的な輸送・ たとえば、このための施策として、 ・荷主企業の計画出荷に合わせた計画的な配車 ・複数荷主企業に対する機動的な配車 などの運行管理を行なうことがあげられます。 これにより、受注産業という意味合いが強かった体質を徐々に取り除き、運送業 運送業におけるコストアップ要素が増加していることを考えると、これを適正に回 まず、コストを適正に回収するためには、 必要があります。 また、輸送の効率化を促進するために、 「閑散時と繁忙期における運賃・料金の格差の設定」などを組み入れる 必要もあるでしょう。 これに対する具体的な方策として、 ・繁忙期割増の設定 ・休日割増の設定 などが考えられます。 逆に、荷主を固定客化するために、 など相互にメリットを生む方向へ誘導することも必要です。 さらに、きめ細かい運賃交渉計画のもとに説得材料としての原価策定資料や輸 運送業は基本的には地域産業です。 したがって、営業地域を中心にして荷主を確実に確保するための施策をとる必要 まず、荷主のニーズを引き出し、自社がそのニーズに対応できるかどうか検討 自社の領域で特徴あるサービスを計画し、提供することが競争力強化のポイント 具体的施策としては、 ・荷主の配送センター管理機能を代行し、センター業務から配送までの ・自社で物流センターを設置し、複数の荷主に対する物流をすべて請け ・その他のサービスとして混載輸送サービスや納品代行サービス などがあげられます。 また、特殊な機能や技術を装備することで他の業者に頼めない業務を獲得すると いう視点で、 ・「危険物の運送許可」を取得する ・「広大なバックヤード」をもち、問屋のような在庫管理の機能をもつ などの方法によるサービス力強化の方向性の検討も必要となります。 運送業は、一般的に労働集約型産業と位置付けられ、労働力確保が不可欠とい しかし、労働条件の整備・改善が遅れていることや定着率の低下などから慢性的 そのため、採用や教育にコストや時間がかかり、負担が大きくなっています。 次に、こうしたことを踏まえて、運送業の人材面における、 ・人材の質的・量的充足 ・人材の多面的活用 ・研修体制の強化 ・福利厚生制度の充実 ・労働条件、社内制度の整備・改善 ・職場環境の充実 ・自社の魅力向上とP R活動 などの課題を解決していくための視点をまとめます。 従来の運送業の多くが、欠員が生じた際に単発的な雇用計画を採ってきた。 そのため、ドライバーの定着率や質が向上しないといった問題を抱えていた。 そこで今後は、 ・中期経営計画に即した要員計画の策定 ・募集活動の体系化 ・将来の経営幹部候補としての新規学卒者の採用 ・教育研修制度の充実 ・作業環境の改善と整備 ・企業イメージの向上とアピール などを行なうことにより問題を解決することが必要となります。 これらの点については、2以下で具体的にご説明しましょう。 自社の経営方針と教育体制を明らかにし、これに沿ったドライバーの教育訓 教育マニュアルや教育研修スケジュールに沿った月単位・年単位での行動計 また、研修時以外でも、日常的に従業員の「提案制度」を導入し、業務のロス 労働力の確保のためには、福利厚生の充実を図り、職場を魅力あるものにす 賃金以外の具体的な福利厚生面での例としては、 ・独身寮、社宅の整備 ・住宅手当の支給や持ち家援助制度の導入 ・フィットネスクラブの法人契約 ・保養所の確保 ・人間ドックなど健康面でのサポート などを実施することが考えられます。 労働力確保が難しいなか、中高年や女性に目を向ける必要もあります。 しかし、これらの人々を採用するには、労働環境についていくつか整備しなけ 中高年であれば、若年層と同一の作業条件で労働させることは困難なので、 ・労働時間の短縮 などといった点を配慮する必要があります。 また、女性を採用する場合、 ・育児を行なう際の労働時間の短縮 ・女性専用トイレ、ロッカー室などの整備 ・男性と区別のない評価制度の採用 などを考慮しなければなりません。 クリーンで活動的なイメージを与えることを目的に、社名を変更する企業が増 これは、CI(コーポレート・アイデンティティー)の一環として行なわれることが いかにクリーンな企業イメージを作っていくかが、雇用確保の面でも重要に 以上、トラック運送業の一般的な経営ポイントを取りまとめました。 経営ポイントにはこの他にも ・営業構造をどう作り上げるか ・財務体質をどう強化するか ・情報収集管理力をどうつけていくか など、さまざまな課題があります。 今後の事業展開に合わせ、順次検討されることをお勧めします。
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運送業の安全確保 |
■運運送業の安全管理 厚生労働省の「平成29年における労働災害発生状況」によると、陸上貨物運送 また、同省の「平成21年における死亡災害・重大災害等発生状況」によると、運 交通労働災害は、従業員である運転者自身だけでなく、一般の市民も巻き込んで 運送事業者は、交通労働災害の防止を図るため、積極的な安全管理体制を 運送業では、交通労働災害の防止に関係する管理者(安全管理者、運行管 なかでも運行管理者は、運送業における交通労働災害防止にとって重要な役 運送業では、自動車運行の安全確保に関する業務を行わせるため、試験を受 運行管理者は、営業所における自動車台数に応じて一定人数以上を選任しな 選任しなければならない運行管理者数は次のとおりです。 ※1 被牽引自動車とは、貨物自動車の形態のひとつ ※2 運行車とは、集貨された貨物を積み合わせて運送する経路に 出典:国土交通省 中部運輸局 運送事業者は、会社全体の安全意識を高めるため、交通労働災害防止の観 この方針に基づき、労働災害防止対策を組織的に実施するため、目標を設定 そして、目標を達成するため、次の事項を盛り込んだ具体的な安全衛生計画 ・適正な労働時間等の管理および走行管理等に関する事項 ・教育の実施等に関する事項 ・交通労働災害防止に対する意識の向上等に関する事項 ・健康管理に関する事項 安全(衛生)委員会等(労使で話し合う会議)において、交通労働災害の防止 また、安全委員会等のなかに交通労働災害防止部会を設置することにより、 なお、安全委員会は、道路貨物運送業・港湾運送業では50人以上、それ以外 交通労働災害事故を発生させないためには、現場における徹底した安全管理が 以下に具体的な内容を解説します。 運送業では、拘束時間(労働時間および休憩時間(仮眠時間を含む)の合計 そのためには無理のない運転時間を設定した走行計画を作成することによ 走行開始または終了の地点と運転者の自宅の間の移動に要する時間を考慮 運送業における拘束時間を適正化するため、厚生労働省では「自動車運転者 表は、トラック運転者の基準(全日本トラック協会)です。 運転者の乗務前および乗務後に、運行管理者は対面による点呼を行い、その ただし、長距離の運行で乗務前、乗務後のいずれも対面点呼ができない場合 また、2011年4月より対面点呼時に飲酒の有無を確認する際には、目視等に (1)雇い入れ時等の教育及び作業内容変更時の教育 運送事業者は、運転者に対して、雇い入れ時および作業内容変更時に、 また、必要に応じて、安全運転の知識や経験が豊富な運転者が添乗する ・交通法規、運転時の注意事項、乗務前点検の励行等の運転者が ・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の遵守、運転 運送事業者は、運転者に対して、安全な運転を確保するため、社内教育の ・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の遵守、運転日 ・警察等からの交通事故発生情報、交通事故の危険を感じた事例、 ・情報や記録に基づいて判明した危険な個所、注意事項等を示した 運送事業者は、運転者に対して、実際の運転場面を想定したイラストシー 運送業における労働時間は長時間になりがちです。 健康障害を防止するためには、健康診断等により、健康状況を総合的に把握 (1)健康診断の実施 雇い入れ時および1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことが義務 また、深夜に乗務する運転者に対しては、6カ月以内ごとに1回、定期に健 長時間(1カ月100時間)にわたる時間外や休日労働を行った運転者に対 運転者の疲労による交通労働災害を防止するため、走行経路の途中で、 |
建設業 |
建設業者の生き残り・勝ち残り策 |
■公共工事の減少 公共工事は1999年度以降、一貫して減少傾向にあり、9年間で半分以下の水準 2008年度以降は景気刺激先としての予算追加等によりわずかに増加に転じまし 一般的に、地方の建設業者は公共工事依存度が高く、公共工事の減少は経営 それに加えて、知名度のあるゼネコンとの競合になれば、受注を確保するため価 しかし、社会資本を整備する役割を担う建設業者は、こうした難局を乗り越え、大 前述したような厳しい環境下で、今後、建設業者が成長していくためには、以下の 1.地域に密着した営業展開を強化すること 2.他社より優れた特殊技術をもつこと 3.正確な情報の収集で利益管理や営業管理を適切に行うこと 4.機械設備の導入、労務管理の徹底などで効率経営に努力すること 5.事業の多角化について、柔軟な考えで対処すること 以下に、それぞれの視点についてポイントをあげていきます。 地元業者では、地域密着型の営業が特に重要です。 顧客の細かい要望に対し、柔軟な設計変更で応じるなど ことが大切です。 また、ちょっとしたクレームや質問に対してすぐ顧客の元に出向き対応すること このように、顧客に誠実な体制を整えることが、企業イメージをアップさせ、口 地域密着型の営業を実践している建設会社のなかには、徹底した地域密着を その大きな理由として、クレームにスピード対応するためということがあげられ 50キロメートル程度だと、電話を受けてから1〜2時間ほどで駆け付けること また、具体的に施工を始めた現場をモデルルーム・ショールームなどの営業 そうした場合には、現場で目に触れやすい仮囲いやシート、看板は、周囲への 現場監督や職人にもマナーや整理整頓の遵守を厳しく徹底します。 現場の職人は、近所の住民に丁寧な応対をする、ゴミやたばこの吸い殻を持 こうした態度を取ることにより、工事現場の近所の住民からの評判もよくなりま 工事現場の様子を見ていた近所の住民から信頼されて、工事を受注するとい 技術力が他社と比較して高ければ、 自社のウリを「技術力」として技能特化型企業となる ことが可能でしょう。 さらに、技能者不足の現状や受注の効率化を考えると、生産性を高めることも 具体的には、マニュアルを作成するなど、合理化手法を開発することで、熟練 こうしたことにより職人不足への対応だけでなく、コストダウンも可能になる。 また、社員などからユニークなアイデアを募集し、それを思い切って採用する 正確な情報を得るためには、現場の営業担当者に、 報告書の提出を定着させることが必要です。 特に営業活動においては、こうした報告によって営業担当者と上司が顧客に また、工事現場において、使用した資材や人員数、工事の進捗状況などの実 この各現場の実績に、当初の予算をつねに対比させることで、より緻密な利益 さらに、各現場の最終費用実績を参考にすると、別の工事の必要経費が予想 効率的な経営を行うためには、職人などの人件費の適切な管理が不可欠で 徹底した作業の標準化や資材の集中処理、営業体制の見直しなどで、 ことが可能です。 効率化のためには、まず徹底して部門内の作業を分解することが必要です。 さらに、コストダウンのために、設計図から施工部材、施工動作、スケジュール 人件費の削減に当たっては、分解した作業ごとに要した時間を調査し、作業 給排水、電気、内装など、専門の職人による施工が必要な場合もありますが、 作業時間が減少すると、貸金が減少する恐れがあるとしてマニュアル化に反 そのほか、インターネットを活用すれば、FAXや宅配便などよりも安く迅速に、 最新である必要はありませんが、情報設備は積極的に導入を検討するように 多角化については、 自社の技術をいかせる関連部門への多角化が中心になります。 もっとも多いのは、個人住宅分野への多角化です。 個人住宅分野も大手ハウスメーカーなどが全国を営業エリアとしています。 そのため、輸入住宅・省エネルギー住宅といった特徴ある住宅に特化するな そのほか、建設廃棄物のリサイクル、現場ごとの利益管理システム作成など、 厳しい環境だからこそ、体に汗をかくだけではなく、頭に汗をかき、知恵を絞り
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建設業の安全管理 |
建設業はほかの産業と比べて、以下のような特殊要因を抱えているといえます。 ・自然条件の影響を受けやすい屋外での作業が多い ・高所作業や擬削作業などの危険な作業が多く、墜落・転落などが起きる ・工事ごとに作業内容が異なる ・複数の下請企業・協力企業に属する作業者による混在作業となることが このため、災害の発生する割合が高くなっているといわれています。 特に、実際に現場で作業をしている作業者を多く抱えている中小建設業者では、 これは、中小建設業者では人材・資金・技術などが不足し、安全管理体制が十分 しかし、事故を起こしてからでは取り返しはつきません。 中小建設業者といっても、工事現場における安全管理を自主的に行う必要性は 安全管理は、作業者個人個人の自主的な行動がなければ効果がありません。 しかし、それと同時に、監督者(経営者)がつねに安全に気を配る必要があります。 そのためには、大きな視野をもって全体の安全管理の状況を見渡し、一人ひとり まずは、基本的な安全管理ができているかどうかの全体的なチェックポイントを紹 安全管理においてもっとも重要なのは、 基本的なことを、いかに忠実に手を抜くことなく遂行するか ということです。 チェックシートを作成して、定期的なチェックを行うことをお勧めします。 危険予知(KY)活動は昭和49年に日本で独自にはじまり、以来国内の労働災害 社員が集まって世間話をするような気軽さで実践でき、しかも自分の知らなかっ 具体的には、 その日の作業を始める前に、作業するグループ全体でミーティングを行う ことにより進めます。 (1)その日の作美から予沸される危険 (2)予沸される危険に対する対策 (3)対策に基づいた安全な作業方法 といったものです。 KY活動のなかでのミーティングが通常のミーティングと違うところは、雑談の延長 つまり、形式ばった通常のミーティングにおいては、つい「まあいいか」と思ってし また、KY活動のミーティングのなかで話題になったことは、その都度シートに記入 このようにしてKY活動を行うことにより、必要なことを漏らすことなく、また、堅苦し また、KY活動の前に「安全ミーティング」と呼ばれるミーティングを行う会社もあります。 安全ミーティングでは、その日の作業を行う前に関係作業者全員が集まって、当 作業者の意誠・責任感を高めるためにも、ミーティングの際に、作業員が具体的 このことで、KY活動の効果をより高めることができるでしょう。 どんなに工事現場の安全管理を厳重に行っても、作業者の体調がすぐれなけれ 作業者の健康管理も安全確保の大きな要素といえます。 ○作業者は進んで健康診断を受けているか ○手洗い、うがいを励行しているか ○ 飲み過ぎ、食べ過ぎをしていないか □夜更かしばかりしていないか 健康保持増進のための具体的指導は、事業場内に専門スタッフを確保するよ ◎労働者健康保持増進サービス機関 ◎労働者健康保持増進指導機関 上記機関の詳細については「中央労働災害防止協会」のホームページで 中央労働災害防止協会 ◎健康測定……生活状況調査、医学的検査、運動機能検査からなる ◎運動指導……運動によって健康的な生活習慣を確立するために行う ◎メンタルヘルスケア ◎栄養指導……食生活の偏りからくる問題の解決のための指導を行う ◎保健指導……健康上の問題を予防、コントロールする方法の指導を行う
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流通業 |
卸売業の経営力強化 |
■営業活動の効率化 1.これまでの営業活動の効率化だけでは限界 今まで生産者はモノを作るだけ、問屋(卸売業者)はモノを集めて流すだ 「販売なくして事業なし」とはいいますが、生産者も問屋も、そして小売店も、 作る、流す、並べるという役割分担を担っていただけにすぎません。 販売とは、コト(意味のある体験を提案する)を実現させるためで、気づいてい そんなことは誰もやっていません。 やる必要がなかったのです、今までは。 生産者は売れ筋をいかに効率よく作るか、問屋は売れ筋をいかに効率よく流 これが今までの売り方でした。 従来、卸売業の営業活動は定期的に得意先の小売店をまわって定番商品の つまりルーチンワークをいかに効率的に行うかということが営業活動の大きな しかしEOSの普及などにより、このような「ご用聞き営業」の比重は小さくなり 一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか したがって卸売業の営業活動の効率化を考えるときには、卸売業の新しい営 注文した商品を届けてくれるだけの卸売業者には魅力を感じなくなってきてい 小売店は自分達と一緒になって自社の経営力向上に努力してくれる卸売業者 小売店の視点からは発見しにくい改善課題などを指摘し、その解決に向けて このように、たんに売れ筋商品を確実に提供するといった狭い範囲ではなく、 リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。 徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとってなくて また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち 営業活動を効率化していくためには、従来の業務のあり方を見直し、営業マンが 自社の業務のあり方に次のような問題点がないか確認してみましょう。 中小の卸売業では、商品の配送も営業マンが行っている例が多数みられる。 また取引先のEOS導入が進んでも、実際の発注作業は卸売業の営業マンが これらの社外業務に加えて、伝票作成からミーティングなどまで、こなさなけれ 従来営業マンが行っていたこれらのルーチン業務は、マニュアル化すること 担当の社員はその確認のみ行うことによって、ルーチン業務以外に時間を振 言い方を変えると、営業マンからこれらのルーチン業務を「取り上げる」こ 「雑務で忙しいから」という言い訳ができない状況を作ってしまうことが大切な 「営業活動の強化=訪問回数の増加」という単純な目標設定により、ただやみ 得意先のなかには取引規模の大きなところと小さなところ、将来の成長が見 にもかかわらず、どの取引先に対しても均等な時間を割くのは得策とはいえま 自社との取引状況や、先方の成長力などに応じて「最優先顧客」、「優先顧 通常、営業担当の分類基準は、取引先の業種別や地域別になっています。 業種別で決められている場合、取引先の業種に精通できるため、顧客のニー 地域別で決められている場合は、メリット・デメリットが反対になります。 いずれの基準で営業担当を分類してもメリット・デメリットはあるため、双方を たとえば、大型の総合卸売業の地方進出に対して地方の中小卸売業がこれら こうした環境もふまえて、より自社の強みを発揮できるように、現在の営業担 いったん出社してから取引先へ向かうのでは、通勤や取引先への移動に無駄 直行直帰の勤務体制を導入することにより、移動に費やす時間を減少させ、 かつては直行直帰では情報交換がしにくい、業務を管理できない、といった問 また、日報などで報告を義務づけることにより、毎日出社しなくても営業マンの 従来の業務のあり方を見直したうえで、営業マンが有効なリテールサポートを行 リテールサポートにはさまざまなメニューが考えられます。 店舗業務を手伝うという日常的なものから、商品ごとの売上情報を提供する、 また顧客の状況によっても提供すべきリテールサポートメニューは違ってきま たとえば前述の顧客ランクによって、リテールサポートをどこまで手厚く行うべ 顧客の状況に応じてどこまでのリテールサポートを行うか、あらかじめ検討し、 「ご用聞き営業」から脱皮し、本当に顧客に喜ばれるリテールサポートを行って リテールサポートとは顧客の経営全般の支援活動ですので、見つけるべき知 自社で教育プログラムを作る方法もありますが、専門機関が提供している教 営業マン各人が取引先の役に立ちたいと考えていても、売れ筋情報や効果的 このため携帯端末を導入する企業も増えている。 企業によっては、小型パソコンのような携帯端末を全営業マンに配布し、取引 このように、情報機器など営業支援ツールを効果的に使うことで、情報提供力 機器類と同様に、情報などのソフト面の充実も不可欠です。 棚割りソフトや売れ筋・死に筋商品情報など、リテールサポートに必要なソフト
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卸売業の営業マン育成 |
■卸売業の営業マンの要件 従来、卸売業の営業マンの仕事は、定期的に得意先の小売店をまわって定番 しかし、小売店のEOS(※)導入が進み定番商品の発注はパートでもできるよ 一方、規制緩和などにより競争が激化した結果、小売業各社は生き残りをか このような新しい環境のなかで、卸売業の営業マンに求められる役割は、 単なる受注・代金回収業発から 取引先小売業の経営支援(リテールサポート)へと、大きく変化 しているのです。 リテールサポートとは、商品や競合状況などの情報提供に加え、販売促進活 リテールサポートを行ううえで重要なことは、「自社の取扱商品を増やすため リテールサポートは短期的な売上増をめざすものではありません。 徹底した小売店支援によって強固な信頼関係を構築し、小売店にとって自社 また今後のリテールサポートは加速する消費者ニーズの変化に対応するため そしてその中でリーダーシップを発揮できる卸売業者こそが同業他社に打ち このように卸売業がリテールサポート力を強化するには、 商品知識、業界知識など専門分野に関する知識に加え、財務分析や (1)業界専門知識 業界動向、商品、物流、販売技術に関する知識、EOSなどの情報化の知 財務分析、マーケティング、店舗開発、組織運営、人材育成に関する知識 問題解決思考技術、企画・提案力、折衝力など 1.人材育成のおもな方法 (2)O ff‐JT (3)自己啓発 の3つがあります。 リテールサポートを行うためにはさまざまな知識や技術が必要であり、それら 育成プログラムは、次のような点に留意して作成します。 (1)十分な動機づけを行う いかに優れた育成プログラムを作ったとしても営業マン自身がやる気を 「業界はどのような状況になっているのか」、「会社としてどのような人材が 業務経験年数や職位と照らし合わせて、どの時点でどのようなことができ 必要な知識や技術とそれを修得させる時期が決まったら、それに合わせて そして、修得させる知識や技術ごとに、それらの教育方法を決めます。 知識や技術を身につけることが目的ではなく、実際にリテールサポートを行 したがって業務の現場でリテールサポートがどの程度行えるのか、遂行状 効果が出ていないようであれば、その他の要件もふまえながら、教育訓練 いくら教育訓練を熱心に行ったとしても、営業マンが育つ環境がなければ教育の 次の環境が整備されていることが、営業マンの育つ条件になります。 (1)評価制度の確立 短期間で能力を高めたり、的確なリテールサポートで取引先の業績を向上さ 能力や実績を客観的に評価し、それらを処遇に反映させる評価制度の導入が 具体的には等級ごとに必要な能力の要件を定めた「職能資格制度」や、業績 (2)能力を発揮しやすい労働環境 取引先の小売業を支援しようという意欲があっても、従来のご用聞き的な業務 会社としてリテールサポート力を強化するというのであれば、単純業務をパー (3)リテールサポートメニューの準備 教育訓練をしただけで実際のリテールサポートメニューがなければ、リテール また、効果的な棚割やEOSなど、全社的な対応が必要なシステムの導入に関 したがって、会社としてどのようなリテールサポートを行うかを検討し、リテール またこのメニューは単に「○○を○○する」といった行動レベルのメニューだけでは さらに実際のリテールサポートを行うなかで当初予定した以外のメニューが必
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事業協同組合 |
事業協同組合の存在意義 |
■事業協同組合の特長 中小企業の組合の種類は多数存在しますが、実際はその8割が事業協同組合。 事業協同組合は、営利法人と公益法人の中間に位置する法人だといわれ、組合 事業協同組合の事業として福利厚生、事務代行、教育情報が大きくとりあげられ 事業協同組合が福利厚生を主要事業としている理由は、組合が中小企業によっ 今組合の存在意義が問われています。 少子高齢化に伴う会員の事業廃止、組合にメリットを感じない、会費だけ取られて 本来であれば組合の活性化や組合活用のためには会員による積極参加が欠か そのようななか、「うちの組合では、何をしたら良いのだろうか?」と思う事業協同 多くの組合では、新規に加盟する組合員がいない一方で既存の組合員が脱退す このままでは、将来的な組合の存続について懸念する声も多数上がっているの 一般的に脆弱と言われる中小企業の経営基盤を相互に助け合うために、各種の 組合を設立することにより、資金調達や共同購入による取引条件の改善や、技術 かつて、組合設立の際は明確な目的に向かって活発な活動が行われていたもの これは、当初の目的がすでに達成されてしまったケースや、環境変化とともに事 一方、組合員の方々にお聞きしてみると、個々の会社では様々な分野で経営課 その中には、同業者と協力することで解決の方向性が見えるようなことや、他社と 事情は組合によって異なりますが、情報共有が出来ていないことや、新たな課題 また、経営者の集まりでもある組合(の理事会)では、一般の会社のように経営 このように組合が新たな課題に取り組む際には、組合員から現状の課題を調査 「今、組合に何をしてもらいたいのか?」を組合員に問いながら、「組合は何をす 組合として魅力ある組合にするための対策として、 ・会員が魅力、メリットを感じるには ・組合参画意識の向上策 ・会員事業所の収益アップ対策 会員が魅力・メリットを感じる、そのような組合改革が欠かせません。
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事業協同組合の合併 |
■事業協同組合同士の合併手順 各種協同組合同士の合併手順は、「中小企業等協同組合法」に定められてい 事業協同組合(以下組合とします)同士の合併までの手順は以下の通りにな (1)まずは計画の段階で、所轄の中小企業団体中央会に相談するのが一般 の3分の2以上の多数による議決を経なければなりません。 て組合員のうちから設立委員を選任します。 そして、設立委員が共同で定款の作成や役員の選任などの必要な行為を る必要があります)にこれを述べるべき旨を公告しなければなりません。 債権者が異議を述べたときは、組合は弁済し、もしくは相当の担保を供し、 ただし実際には、いきなり許可申請するのではなく、行政庁と組合が事前 また、次に該当する場合は許可を受けることができません。 @設立の手順または定款、事業計画の内容が法令に違反するとき の所在地において登記することによって、合併の効力が生じます。 主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地 以上の手続きにより合併組合は、被合併組合の権利義務(その組合が行 行政庁から合併の許可を受けるためには、新規に組合を設立する場合と同 そのため、事前に中小企業団体中央会に相談し、指導を受けることが欠かせ 中小企業団体中央会は組合運営上の問題(法律、会計、税務、事業の運営、 また、組合が特別な問題を抱え、その解決のために特に専門的な知識を必要 税法において組合の合併は、一般事業会社の合併と同様に扱われています。 被合併組合について清算所得課税が発生したり、合併組合に合併差益金に 合併差益金とは、合併組合が被合併組合から承継した純資産の受入価額 この合併差益金は、 (1)合併減資益金部分 (2)資本積立金部分 (3)利益積立金部分 (4)資産評価益部分 からなります。 法人税法では、上記合併差益の中で益金に算入するのは、(4)の「資産評価 詳しくは専門家に相談して、合併条件に関して慎重に決定することが必要。 全国中小企業団体中央会によれば、協同組合と株式会社の合併は「中小企 もちろん協同組合を株式会社化すれば合併は可能となりますが、協同組合を 組合から会社に組織変更する場合、従来はいったん組合を解散して新規に会 この場合、組合員は持ち分返還による清算所得に対して課税されます。 しかし、2000年3月に施行された「中小企業団体の組織に関する法律の一部 この法改正により組織変更の手続きが容易になり、事業活動が停止すること 組合を会社化すれば、共同研究開発の成果を事業化したり、順調に発展した しかし、その一方で、組合としての税制の優遇が受けられなくなるなどのデメ
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物流子会社の設立と経営 |
■物流子会社設立のメリット メーカーや小売業などが、自社(荷主)で物流子会社を設立するケースはもはや 中には、日立物流、川鉄物流、キリン物流、東芝物流など、売上高数百億円を超 また、NTTの物流子会社であるNTTロジスコや、三菱商事の物流子会社である 大手企業を中心に物流子会社が設立されている背景には、次のような目的があ (1)物流コストの削減 物流の領域を明確にすることが可能になり、責任を明確にすることもできる。 そして、物流コストの算定、その変化が容易に分かり、物流管理がしやすくな 分社化によって物流子会社にはコスト意識が芽生え、物流サービスが向上す また、親会社の業務・製品・流通内容を熟知していることから、親会社向けの 親会社のスリム化によって生じた余剰人員の受け皿として、また、定年退職 物流作業は企業内の他部門の作業とは異なるため、別会社にして異なった待 メリットが大きい物流子会社ですが、物流子会社、親会社には問題点も存在しま 一般に、物流子会社の経営上の問題点として次のような点が挙げられます。 (1)コスト面 ・親会社の料金引き下げ要求により売り上げ、利益が減少する可能性が ・物流子会社自身で戦略的なコスト削減を進めることは難しい ・親会社優先の物流サービスとなり、一般荷主の開拓が難しい懸念がある ・トップの任期が短期間で思い切った改革が進まない ・出向者とプロパー社員との確執が発生する可能性がある ・出向者が多いと従業員のモラルが下がる可能性がある ・物流業に不向きな人材の押し付け人事に発展する可能性がある ・パート社員の募集が親企業ほど容易ではない ・親方日の丸的な体質になる可能性がある ・親企業志向が強く、自発性が欠如する可能性がある また、親会社側にとっても物流子会社の設立には次のような問題点がある。 (1)コスト面 ・物流コスト削減が思ったほど図れない ・かえって物流サービスのレベルが低下した ・顧客の声が親会社に届きにくくなる ・物流協力会社との関係が悪化する可能性がある ・親会社からの出向者が多く、ビジネスライクな関係がなかなか築けない 物流子会社と親会社双方の抱える問題点は互いに密接な関係にあります。 例えば、親会社が物流コストの削減を図るために、物流子会社に対して運送 つまり、物流子会社は親企業の物流コスト削減に貢献しようとするほど、自ら また、中高年対策として親会社の余剰人員を物流子会社に大量に移籍させた しかし、物流子会社にとっては、人件費負担が大きくなったり、プロパー社員の ほかにも、親会社がほかの会社と合併などをした場合、親会社にとっては有 このように、親会社のメリットが物流子会社のデメリットになるといった矛盾を ここでは、物流子会社を設立する際の留意点を挙げてみます。 前述したように、親企業が物流子会社に期待するのは「物流コストの削減」「物 しかし、物流会社を設立する際に、単純にこうした期待イコール設立目的とし そのため、経営多角化の一環として物流子会社を考えることや、物流子会社 物流子会社の設立当初は、業務のほぼ100%を親企業およびそのグループ そのため物流子会社の設立に当たっては、親企業を中心としたグループ会社 設立目的や取引条件など、後でさまざまなトラブルを起こす原因となるような 設立を目指す物流子会社が将来どのような方向に進むのが望ましいのか、事 例えば市場については、将来「企業グループ物流業務のみ行うのか」「小売・ また商品については、「将来目指すのは輸送、保管、包装、梱包業務、荷役、 事業戦略が決定したら、具体的にどのようにその戦略を遂行していくのかとい まずは、5〜10年間程度の長期計画を策定する必要があるでしょう。 その長期計画の中では、「自社がどのように物流サービスの総合化を図って この際に留意すべきは、理想は高く掲げながらも、実現可能な計画を中心に 物流子会社の経営に際して物流子会社、親会社双方が留意しなければならない (1)長期的なビジョンの作成 ・経営トップを親会社の都合によって頻繁に変えない ・社長が変わっても経営ビジョンを変えないようにする ・押し付け人事を排除する ・親会社からは出向社員より転籍社員を受け入れる ・プロパー社員の登用を図る ・物流専門家の育成を図る ・物流計画を親会社と子会社双方で立てる ・基本的に物流子会社の経営は独立採算制とする ・親会社と物流子会社との取引において料金は世間並みを基本とする ・物流子会社から親会社への利益の吸い上げや、親会社からの損失 ・物流子会社の業績評価、成果配分のルールを明確にする ・親企業、グループ企業との太いパイプを持った人材をトップに置く ・顧客情報を物流会社を通して迅速にキャッチできる体制を整える 上記で述べたように、綿密な事業戦略、事業計画を立てることが必要不可欠とな |
物流コストの削減 |
■物流コストの削減で利益向上 企業が利益を確保するための手段として、物流の効率化とコスト削減が盛んに叫 たんに売上の増加を追求したり、原価や人件費を削減するという方法以外に、物 物流とは、梱包・包装・荷役運搬・物流加工・入出荷・輪配送・保管・物流管理・物 したがって、まずは自社の物流業務の範囲はどこまでかを明確にしたうえで、そ 自社の物流コストの概要とそれぞれの業務のコスト比率を明らかにすることで、 物流コストを削減すべき業務に応じて、何通りかの改善計画を作成したうえで、そ 物流コストの削減を検討するうえで、まずは自社の物流部門のどこに問題がある そこで、問題を把握する際のいくつかの視点を紹介します。 物流部門に優秀な社員を配属していないために、全社的な視点で物流をとら また、社長の実行力に依存してきた企業では、トップダウンの意思決定の弊害 このような場合には、 物流拠点が分散しており「物流機能の連携がうまくとれない」、あるいは物流 このような場合でも、部門間の連携が円滑であれば、これらのデメリットを補う 物流部門の位置付けや権限を明確にし、積極的な改善提案ができるような環 営業や経理部門などの強化は図ったものの、物流部門は旧態依然とした業務 具体的な業務処理の問題点は、 ・業容の拡大に伴いシステムを手直ししてきたが、現在の物流の業務 ・現状の業務処理のままでは、システムを根本的に見直すことができない。 ・ピークに合わせた人員配置となっており、閑散時の従業員の活用が ・勘と経験に頼った作業方法であるため、ベテランが休暇をとると作業 ・貸切便に関する運行状況や配達件数、あるいは積み合わせ便における ・現物と帳簿在庫が合わない。伝票なしの出荷や、仮伝票の際の出荷 ・営業部員が物流業務を兼務するケースがある。 受注見込みなど物流部門に入る情報の精度が低いことに加え、これらの情報 かといって、中途半端な状態でのシステムの活用は、過剰在庫や欠品の原因 物流部門において受発注に関する正確な情報が把握できることが望ましく、そ 次に、物流コスト削減のための6つの視点を紹介します。 1.標準化 得意先の受注を曜日別に指定する(得意先の協力が必要)。 【入荷】 仕入先へ計画的に発注し、入荷部門と連携して業務を進めます(調達部門の なお、事情により業務の波を平準化できない場合には、波に応じて曜日別・時 【受注】 受注情報の流れを簡素化できないか検討してみることが必要です。 【配送】 営業所が在庫を保有して物流拠点の機能も兼ねている場合、福岡営業 物流コストは、人が介在するほど増加します。 【流通加エ】 ピッキングした後の値札付けなどの流通加工段階で、商品が滞留する 「配送センター → 営業所 → 得意先」の二段階で配送するよりも、「配送 【帳票】 注文書や伝票などの帳票形式を全社的に統一することが改善の前提です。 【コード】 商品コードや得意先コードが合理的であることが改善の前提となります。 【配送】 拠点間輸送の場合、一度に送る量をまとめることでコストを削減できます。 以下に、制約条件の例を紹介します。 ○拠点間輸送 ・施設スペースが狭い(10t車が接車できないなど) ・人員の面で対応できない ・受注のバラツキが多い ・施設スペースが狭い ・同一得意先からの受注をまとめられない ・貸切便の運行実態を把握していない 営業所などに分散している在庫を配送センターに集約することによって、 以上のような6つの視点から、物流コスト削減の糸口を見いだすことが可能です。 ただし、実際に問題点を解決する段階では、物流システムの構築・メンテナンスが 以下に、倉庫・流通センターなどの物流現場において行なうことのできるコスト削 1.倉庫・流通センター全体のポイント (1)マテリアル・フローの把握 マテリアル・フローとは、「倉庫内の作業工程ごとの商品の流れ」をいう。 具体的には、「どのような荷姿をした何種類の商品を何時にどれだけ入 マテリアル・フローが把握できれば、どこに問題があり、どの部分にどのよ また、フォークリフトなどや作業員が実際動いた物流動線を図に示せば、ど ABC管理とは、売上の高い商品を重点的に管理する方法です。 自社の取扱商品を売上額の大きい順に並べ、品目数の上位10%を占め すると、自社の売上高のおよそ70%がA品目だけで占められていることが その場合、A品目を重点的に管理し、残る90%の商品には大きなコストを 残りの90%の商品を在庫していたとしても、所詮は売上高の3割にしか過 このようにABCによる在庫管理を行なうことで、欠品を最少にとどめながら A品目:よく動く商品のため、入念に管理する。 B品目:中程度に管理し、一定の残数になったら定量発注する。 C品目:ほとんど動きのない商品のため、発注方法・保管場所・保管 物流業務のなかで、在庫管理は ・販売量に見合った在庫量を適正に保有する ・先入れ・先出しを完全に行なう という意味で非常に重要な意味をもちます。 このなかで「先入れ・先出し」を完全に行なうためには、倉庫の中に番地(ロ このロケーション管理ができれば入出荷の日付管理が可能になり、古いも なお、ロケーション管理を行なうことで、ピッキングの効率を高めることもで (1)ピッキング方式 商品のピッキングの方式には、「つみ取り方式」と「種まき方式」がある。 いずれの方法を採用するかは、「アイテム数」「取扱量」「ピッカー数」「セン なお、ピッキングの合理化ポイントは次のとおりです。 ・保管している商品は平置きラックによるつみ取り方式とする ・後戻り作業が発生しないように、ロケーション・コード順にピッキング ・ピッキング頻度の高い商品は取り出しやすいように、ラックの中段 ・受注量の多い得意先は、得意先別にピッキングラインを設ける ・ピッキングした商品はコンベヤー・台車を活用して次工程に送る ・ピッキング中の品切れは、電話や表示灯などですぐ連絡できる ・バラ出荷商品は折り畳みコンテナを利用して包装費を減らす ・フローラックを活用し、商品補充は朝か夕方にまとめて行なう ・商品の空き箱はコンベヤーで収集し、再利用する ピッキングと仕分けの時間・ミスを最小にするシステムを導入することで、ミ これらの例としては、「デジタル・ピッキング」や「POS検品」などがある。 倉庫・流通センター内の作業の効率化は、次のような視点で検討します。 ○待たせない 作業上のロスをなくす。 荷役作業の回数が増えると荷傷みが発生しやすくなるので、 無駄な動線を描かないよう商品のロケーションを工夫する。 ロケーション管理を徹底し、パートでも作業マニュアルや教育 ○考えさせない ラックによるロケーション管理を行なうことで、頭を使うことなく 受注情報を紙に打ち出さず、そのままデジタル・ピッキングや (1)トラックの「多停車少走行」の見直し トラックは一日の半分は、積み込み待ちや荷受け待ち、荷卸しのために停 この停車時間をいかに少なくし、走行時間を多くさせるかがポイントです。 具体的には、次のような視点からコスト削減を図ります。 出荷前の仕分けにより配送効率を高める。得意先別の積み合わせ、 ○積載効率・配送効率を高める 1台ごとの積載量を把握し、少しでも積載効率を高めるようにする。 自家用トラックは、店内への搬入や緊急対応など、顧客サービス 運転日報(誌)から配送ルート・配送量、得意先での作業状況などを読み取 (1)パート・アルバイトの活用 物流業務の人件費を下げるには、作業を標準化・単純化・専門化して、社 社員が判断業務や業務改善に従事できるよう、一層の効率化を図ります。 劣悪な環境では従業員のモラールが下がり、事故やミスが起きるなど、労 トラブルを極力避けるためにも、職場環境を整えることが必要です。 具体的には、食堂・休憩室・送迎バスなどの福利厚生設備の充実や、倉庫 部門同士が敵対関係になると、たとえば、「売れればよいということでどんどん値 自部門の利益が他部門の損失にならないようにするためにも、全社的なトータル トータルコストダウンの仕組みづくりには、強力なトップマネジメントに基づくプロ
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流通・サービス業の生産性向上策 |
流通・サービス業の生産性向上策について、主に@付加価値率の向上、A人時生 □付加価値率の向上 流通業・サービス業における生産性向上対策では、まず何よりも付加価値率を A仕入原価・仕入れコストの低減 B物流コストの低減などがあります。 商品・サービスの高付加価値化には、商品・サービスそのものが高い付加価 前者は、有名ブランド商品の取り扱いやオリジナル商品の開発、輸入品の取 高付加価値化を成功させるためには、商品の高度化と店舗の高級化、接客 また、最近の景気低迷下での付加価値向上策として、ディスカウント化によ 以上の二つの方法のうち、いずれをとるかは、店舗経営のあり方に大きくか 仕入原価の低減のためには、共同購入や新しいチャネルの開拓が望まれま (3)物流コストの低減 物流コストは、ロジスティックスすなわち発注・運搬・在庫(保管)など商品の 発注の合理化のためには、EOS、VANなどを活用することが有効ですし、ま このほか、ケースサイズ、単品サイズ、配送経路、ハンドリング方法などにつ さらに、在庫(保管)コスト低減のために、ピッキング(出庫)の改善が重要。 特に、卸売業では少量多品種、多頻度の物流に対応するためのオーダー・ 流通・サービス業、特に店舗展開をしている小売業・サービス業における労働 開店している限り「人」がいなければならないので、省人化は非常に困難にみ しかし、スーパーを例にとりますと、その後方(バックヤード)作業は、100種類 これらの作業を何人でこなすかは、それぞれの店舗によって異なりますが、作 流通・サービス業での従業員の多能化を進めるには、このように業務運営方 また、こうして従業員の多能化を進める一方、伝票・帳票の簡素化、作業時間 流通・サービス業における人的生産性向上対策で、パートやアルバイトの活 確かに、専門店やサービス業の店頭接客には商品知識やセンス、接客術など しかし、専門店を含む小売業やサービス業では、1日のうちの繁閑の差が大き パートやアルバイト活用の視点とその戦力化の対策のポイントは、 @パートやアルバイトを単に正社員の補助的労働力と考えたり、 A特に量販店やチェーン店などでは、パートやアルバイトにも一定 B業務をできるだけ単純化・標準化・マニュアル化し、教育訓練を Cパートやアルバイト向けの職能ランクを設けて、職務内容や 対策が有効ですが、専門性や即戦力という要素を満たそうとするなら、退職社 さらに、専門職のショートタイム従業員の採用を容易にするには、働く側に勤 流通・サービス業での人的生産性向上を考える場合、客待ち時間の有効活用 例えば、専門店の場合、それまで特定の人にしかできなかった作業を標準化・ 量販店では、商品の陳列や補充、ディスプレーの変更などを閉店後でなく客の また、客待ち時間を教育や会議などに利用したり、品揃えの研究などに利用 人の有効活用では、LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)などの時間 これは、あらかじめ一つ一つの作業ごとに決められた標準時間に基づいて、1 その際、ショートタイム従業員の効果的な活用がポイントとなります。 要するに、LSPは作業工数分析による要員管理の手法の一つですが、これを “人時生産性”(1人1時間当たりの売上高または粗利。 が有効です。 し、総労働時間を短縮することが必要ですから、LSPと“人時生産性”管理は また、チェーン展開をしている専門店などの要員管理のポイントには、次のよ @ブロックや物流部門などの店舗のバックアップを行う部門への A近接地域(エリア)での店舗間の応援体制の確立や、大型店・ B早番・遅番・土日集中勤務体制など、繁閑に合わせた勤務 流通・サービス業における設備機械の改善による生産性向上対策には、 @店舗のリニューアル A設備機械、什器の改善 BPOSシステムやEOS、VANの利用 などがあります。 「三年たったら部分改装、五年たったら大改装せよ」という店舗管理の格言があり したがって、店舗のライフサイクルを把握して、計画的にリニューアルやリフレッ 店舗のリニューアルや設備・什器のリフレッシュを行う場合の留意点としては、次 @店舗のリニューアルに際しては、例えば、ファッション性を打ち出すとか、 A客動線(顧客のための通路)、販売員動線(接客動線、作業動線)、商品 B業種や業態を変える場合や販売品目を変える場合に、客層やイメージに また、主として小売業・卸売業の生産性向上のツールとしてPOSやEOS、VANの EOS:電子発注システム(Electronic Ordering System) VAN:付加価値通信網(Value-Added Network) 中小企業の多くでは、こうしたソフトウェアを十分使いこなすだけの経営管理のレ
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