営業同行が優秀な新人営業マンを育てる

             

営業同行は新人営業マンと同行者の教育訓練 


  営業同行は新人営業マンの教育訓練だけではなく中堅・ベテラン営業マンを管理者として
  育成することもできるのです。

  どんなに管理職が優秀な営業マンであっても、プレイングマネージャーとして、部下の営業
  力アップのための育成に優れているわけではありません。

  ここでは、上司として次世代の自社のホープを育てるという重要な役割を担っていることを
  肝に命ずることです。

  そして、組織全体のレベルアップにつながる営業管理の仕組みをつくることも重要とな
  ります。


  新人を育てるための営業同行

   (1) 同行指導の期待効果 

     @得意先の現状認識

     Aセールスの現状認識

     B得意先との信頼感アップ

     Cホット情報、ニーズ情報のキャッチ

     Dセールスのパワーアップ

   (2) 同行のポイント 

     @ 同行時の改善すべき点、注意すべき点は、その場で行なう現地現場主義
       をとる。

     A 同行のチェックポイントによる判断資料を活用して、効果的・効率的同行を
       実施する。

     対象者別同行のポイント。

     C 帰社後、同行セールスマンと意見交換の上、現地にて指導した点を今一
       度フォローアップする。

     D 同行のチェック、フォローアップの内容を記録し、今後の動向をチェック、
       指導する。
     
  ○同行営業の準備

   同行営業の際に、上司が行うべき重要な仕事は、部下と訪問先とのやり取りの場面を
   メモすることです。

   会社に帰った後、メモを見ながら、部下を指導できるからです。

   メモは、以下の内容に分けて整理すると参考になります。

    (1)訪問先での活動の目的 : 何を売ろうとしているか

    (2)営業の内容 : 訪問活動でのありのままの内容を具体的に

    (3)コメント : 自分の判断を交えて良い点、悪い点

    (4)本人への確認指導事項

    (5)フォローすべき点


   同行営業を効率よく行うには、事前の準備を十分に行うことが大切です。

   訪問先を決める時は、日ごろからどうもおかしいと思っている得意先(売り上げや利益
   が前年を大きく割り込んでいる、どうも自分と得意先がしっくりいかないなど)も加える
   ように指示します。

   また、訪問先ごとの商談の進行状況に関しては、営業日報を通して把握しておくべき
   です。

   同行営業をすることで、過去と現在のギャップを把握できるからです。

   訪問目的に関しても、確認をしておくことが大切です。

   というのは、不況の時はこれといった商談のネタが無いことがあり、訪問することが
   営業活動の目的となってしまうことが多々あるからです。

  ●営業同行における主役は部下

   実際には、営業同行がうまくいっていないケースが少なくありません。

   多くは管理職がその進め方自体を理解していないのが原因です。

   例えば、実際に企業を訪問した場合ですが、まず上司(営業管理職)が中心となって
   商談を進めるか、部下(営業マン)が前面に出るべきかを見極める必要があります。

   ところが、多くの上司は、同行営業をする際の役割を見極めることができていません。

   かつてはトップセールスマンだったケースが少なくないことから、つい自分自身が前面
   に出て
売ってしまいます。

   上司が前面に出る場面は、クレーム処理や特定商品の販売促進などに限った時だけ
   です。

   主役はあくまで部下です。

   部下の営業活動の邪魔にならないよう、一歩下がって座る位の心構えが必要です。

   そして、部下の営業活動のどこを直したらよいのかを観察することです。

  ○同行営業の見極め

同行営業.gif
   @クレーム処理の時 

     → 上司が積極的に展開し、部下は
       それを補佐する

   A相手が発注先に迷っている時 

     → 上司・部下ともに積極的に
       働きかけ、営業活動を進展させる

   B相手の会社になかなか入り込めない時 

     → 顧客に発言を促し、情報収集・把握をする

   Cキーマンを登場させたい時 

     → 部下が積極的に展開し、上司は援助的役割を演じる

 

  ●営業同行は新人営業マンにノウハウを伝える人材育成の場 

   会社が成長し、存続するためには「売上高」が必要であることは言うまでもありありま
   せん。

   そして、その売上高を確保するのが「営業活動」であり「営業マン」です。

   経営者であれば、「優秀な営業マンを一人でも多く育てたい」と考えるのは当然のこと
   です。

   優秀な営業マンを一人でも多く育てていくには現地現場での教育が欠かせません。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が
   「人材育成に問題がある」と回答しています。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   
   「営業同行」は、新人営業マンに営業活動のノウハウを身につけさせるための教育訓
   練です。

   経験の浅い新人営業マンの教育は、先輩である中堅・ベテラン営業マンが商談に同行す
   ることで行います。

   ですが、何の目的も持たず「ただ一緒に行っただけ」では、せっかくの機会も「何も学ば
   ない」ままで終わってしまいます。

   「営業同行」の目的は、新人営業マンに「営業同行の目的」をはっきりと意識させ、同行
   が「学習の場(ノウハウの習得)」であることを認識させることです。

  ●同行営業終了後

   部下に反省点、改善点などをフィードバックしなければなりません。

   この時、経営者が同席しても構いません。

   しかし、上司と部下が主役であり、経営者はアドバイザーとしての立場を取ることが
   大切です。

  ○部下にフィードバック(反省点、改善点など)

   フィードバックは次の手順で進めることをお勧めします。

    (1)営業活動の中で良いところを素直に誉める

    (2)気になった点を指摘する

    (3)ルール違反があったら指摘する(例:見積書の提出忘れなど)

    (4)改善してもらいたい点を具体的に話す

    (5)これからのフォロー体制について説明する

   フィードバックは、まず誉めて、部下に聞く姿勢を作ることから始めなければなりま
   せん。

   かつてのトップセールスマンである上司から見ると、部下の良いところは見えにくいかも
   しれません。

   しかし、一緒に同行営業をすれば何か良いところがあるはずです。

   これを見つけることです。

   声が大きい、明るい、動きが速い、返事が良い、誠実に見えるなど、小さなことでも
   誉めてあげることです。

   必ずしなければならないのは、ルール違反の指摘です。

   例えば、得意先への見積書を忘れていたり、本来出してはいけないサンプルを出して
   いたなどということに関しては、しっかり指摘します。

   この際、本人にこれをすること、やめることによって営業力がアップするということを
   説明することが重要です。

   最後に、今後の営業活動の中で上司として、どのような形で支援をしていくかという
   ことを話すことです。

   部下は孤独ではなく、温かく見守られているということを認識させることが大切です。

   このような一連の過程の中で、経営者は、同行営業を支援していかなければなりません。


  ○同行営業を支援するポイント

   同行営業は営業マンの育成だけではなく、営業管理職の管理能力アップにもつながり
   ます。

   経営者は同行営業を管理職に任せきりにせず、管理職とコミュニケーションを十分にと
   って、彼らの育成も図ることが大切です。

    (1)上司は、コーチであり、プレーヤーではないということを折りに触れて理
      解させる。

   (2)フィードバックの進め方、指導の仕方が適正であるかをチェックする。

   (3)チェックのための顧客訪問を経営者自ら行う。

     同行または単独で顧客を訪問して、同行営業の成果について細かく
     チェックする。


   また、同行終了後には、商談の内容を振り返り「何を学んだか」「今後の活動にどう生
   かしたいか」を確認
することで、教育の効果を最大限に引き出すことができます。

   また、同行者である中堅・ベテラン営業マンも自分の営業活動を振り返り、客観的に分析
   することがでるのです。

   これにより、「自分が新人を教育する」という意識を持たせることができ、管理者を育成
   するのにも役立ちます。

   営業同行報告書は同行を単なる同行に終わせることなく、以下の手順に沿って活用
   することで、営業ノウハウ構築の基本となります。  

   <営業活動に同行する目的を明確にする> 

    その目的は2つあります。

    一つは「商談の目的」もう一つは「今回の同行で学びたいこと」です。

    「商談の目的」については、同行者に聞いて確認しておきます。

    同時に、「初めての商談なのか、2回目、3回目なのか」「受注寸前なのか、新規取引
    の開拓中なのか」といった営業活動の進捗状況や、「事業拡大のチャンスを狙って
    いるのか、買い替え需要を狙っているのか」といった顧客の経営状況とリンクした
    情報も確認しておきます。

    この作業ができていないと、商談の流れ組み立て方が理解できませんし、何よりも
    商談への参加意識を持つことができません。

    目的を確認した上で、「今回の同行で学びたいこと」を記入します。

    例えば、「顧客のニーズをどうやって聞き出すか」「断りの言葉をどうやって切り出
    すか」というように、できるだけ具体的に書くことです。

    具体的に書くことで、よりはっきりとした目的意識、学習意欲を持つことができるの
    です。

    同行者は新人が記入した内容をチェックします。

    特に商談の内容と「学びたいこと」が合致しているかどうかの確認が重要です。

    例えば「受注OKの最終確認」が目的の商談なのに、シートに「新製品の売り込みを
    学びたい」などと書いてあるのは論外です。

    @商談の内容で理解できなかったこと 

     顧客から受けた質問への回答、同行者が行
     った提案の内容など、顧客との商談の中
     理解できなかったこと、わかりづらかった
     ことなどを記入します。

     わからなかったことは、必ずその日のうち
     に確認する習慣をつけるようにしましょう。

     その積み重ねが、営業マンとしての能力
     を高めていきます。

     特に、顧客からの質問については、新人
     自身に回答を用意させて、同行者が内容
     をチェックすると、より効果的です。

    A商談の組み立て方などで参考になったこと
     この欄には、商談の中で最も勉強になったと思う内容を記入します。

     例えば「顧客のふっともらした〇〇という一言から××の情報を引き出した」など、
     ここでもできるだけ具体的に書き込みます。

     できるだけ具体的に言葉にして記録することで、個人が持っている優れたノウハウを
     共有することに役立つのです。

    Bお客様が興味を示した話題 

     優れた営業マンは「8割聞いて2割で落とす」といわれています。

     顧客の話題に耳を傾け、うなずくことは顧客からの信頼を得ることにつながります
     し、何気ない会話から有益な情報が得られるものです。

     顧客がどんなことに興味を持っているか、常にアンテナを立てておくことは、商談を
     組み立てるうえで重要なポイントとなります。

    C商談の成否の要因 

     商談は「受注できたから成功」「できなかったから失敗」というものではありませ
     ん。

     たとえ受注できなくても、顧客から信頼され「また会いたい」と思わせれば、そ
     の商談は十分成功したといえます。

     この項目は、商談を客観的に分析するための項目です。

     同行した商談が成功だったのか、失敗だったのかを自分の基準で判断します。

     そして、「なぜ成功(失敗)だと判断したのか」という理由、また「成功(失敗)し
     た要因」を書き込みます。

     商談の内容、成果を客観的に分析する作業は、営業マンとしてのスキルを磨くため
     不可欠なものです。

    D今回の同行で何を学んだか、また今後の活動にどう生かしていきたいか
     この項目は、同行前に記入した「今回の同行で学びたいこと」と対応するように記入
     します。

     「当初の目的は果たせたのか」「目的以外に学べたことはどれだけあったのか」
     を確認し、学んだことをどう生かしていきたいのかを書き込んでおきます。

     繰り返しになりますが、ここでも重要なことは、できるだけ具体的に書くことです。

     営業活動は、その成果が個人のノウハウに大きく依存しています。

     ですから、会社全体で成果を高めるには、個人の優れたノウハウ組織として共有
     なければなりません。

     そのために役立つのが、「具体的な言葉で記録に残す」ことなのです。

    E同行者コメントについて 

     @〜Dまでの記入が終わったら、同行者がコメントを記入します。

     新人の持っている不安、疑問に、できるだけわかりやすい言葉で具体的に回答
     するようにします。

     この作業が、商談の内容を客観的に振り返り、成果を確認する作業になります。

     営業同行は、新人の教育の場となるだけではありません。

     新人を「ただ連れて行っただけ」というのでは、同行者にとって負担以外のなにも
     のでもありません。

     「新人を育成する」というはっきりした意識を持って、同行前から同行終了後まで
     新人を指導することが大切です。

     こうした形で新人教育に関わらせれば、中堅・ベテラン営業マンを管理者として
     育成することもできるのです。

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新人営業担当者の顧客訪問

            

新人営業担当者の顧客訪問


  ■新人営業担当者の初めての顧客訪問

   新人営業担当者にとって、初めての顧客訪問はとても緊張するものです。

   訪問間近では、「ポイントとなる話題は何にしようか」「持参する資料に不備はないか」
   など、期待と不安が入り混じった独特の緊張感を持ちます。

   初めての顧客訪問を前に「緊張するな!」というほうが無理な話です。

   しかし、実際に顧客を訪問してみると、そのような心配事はとり越し苦労で、上司と
   顧客の会話が進み、気が付くと訪問は終わっていたりします。

   事前に用意していたつかみの話題を披露する余裕などなかったのではないでしょうか。

   初めての顧客訪問にイメージを膨らませていた新人営業担当者にとってみると、消化
   不良で、物足りないと感じるかもしれません。

   しかし、初めての顧客訪問は往々にしてこのようなものです。

   あいさつのほかには、一言も話せなかったとしても、焦る必要も落ち込む必要もありま
   せん。

   重要なのは、デビュー戦である初めての顧客訪問に向けて、どれだけの準備をしたか、
   また、顧客訪問を終えて、何を学んだかということです。

   具体的には、次の点が重要になります。

   「訪問前の事前準備を怠らず、訪問中は集中して上司と顧客のやり取りを聞き、訪問後
   は訪問中に得た情報を整理するなどして、初めての顧客訪問を次の顧客訪問にどれ
   だけ生かすことができるか」です。

   ここでは、新人営業担当者が初めての顧客訪問を次に生かすために必要となるポイ
   ントを、「訪問前」「訪問中」「訪問後」に分けて紹介していきます。

   なお、以降で紹介するのは新規顧客ではなく、既存顧客への訪問を想定しています。

  □訪問前の準備
   訪問前の事前準備として、顧客や自社などについて最低限の情報を収集しましょう。

   とはいえ、新人営業担当者の立場では、具体的に何を調べればよいのか分からない
   かもしれません。

   そのような場合は、次の10項目について、訪問前に準備しておきましょう。

    (1)顧客を訪問する目的
      顧客を訪問する目的を理解し、訪問中にその目的を意識するようにします。

      顧客を訪問する目的は、商品やサービス(以下「商品」)の営業、年度替わり
      のあいさつなどさまざまであり、それに応じて話す内容が変わってきます。

      併せて、前回訪問時の目的や内容についても確認しておきましょう。

    (2)同行する上司の営業方針
      同行する上司の営業方針を理解し、訪問中にその方針を意識するようにしま
      しょう。

      営業スタイルは人それぞれですが、まずは同行の上司の方針を理解するよ
      うに努めます。

    (3)自社が顧客に販売している「商品
      自社が顧客に販売している商品を調べ、その特徴を把握します。

      併せて、自社商品のラインアップをすべて覚えておきましょう。

    (4)自社と顧客が取引を始めた経緯
      自社と顧客が取引を始めた経緯を調べ、両社の関係の深さを把握します。

      併せて、取引の規模が拡大するきっかけなど、自社と顧客が取引を始めて
      から現在に至るまでにあった特徴的な動きなどについても知っておくことをお
      勧めします。

    (5)自社と顧客の取引金額
      自社と顧客の取引金額を調べ、ビジネスの規模を把握しましょう。

      併せて、ほかの顧客には、同様の商品をいくらで販売しているのかについて
      も知っておくとよいでしょう。

    (6)自社と顧客の取引期間
      自社と顧客の取引期間を調べ、取引履歴を把握します。

      併せて、ほかの顧客では平均的な取引期間がどれくらいなのかを知っておく
      とよいでしょう。

    (7)顧客が自社商品を購入している理由(購買決定要因
      顧客が自社商品を購入している理由を調べ、自社の強みを把握します。

      併せて、競合他社の強みについても自身で考えてみた上で、上司に確認し
      ておきましょう。

    (8)顧客の窓口担当者の考え方や趣味など
      顧客の窓口担当者の考え方や趣味などを調べ、長期的な関係構築に生か
      すようにしましょう。

      併せて、顧客の窓口担当者が属する部署の状況(企業全体の中での位置付
      け、人数、業務内容、上司の性格など)についても知っておくと理想的です
      が、すぐに把握することば難しいため、時間をかけながら関係を構築し、情
      報収集していきます。

    (9)顧客の意思決定権者
      顧客側の決定権者を調べ、顧客内部のビジネスの流れを把握します。

      併せて、顧客の予算取りの時期などについても知っておくと理想的です。

   (10)主な競合とその特長
      主な競合について、その社名と特徴を調べ、業界内における自社の位置付
      けをイメージします。

      併せて、競合の主力商品などについても調べておきましょう。

  □訪問中の姿勢
   初めての顧客訪問において、上司が同行していれば新人営業担当者が中心となって
   会談を進めることは多くありません。

   とはいえ、傍観者としてただそこに座っていればよいというわけではありません。

   上司と顧客の会話に集中し、当事者として会談に参加しましょう。

   そのために、会話の流れ、内容の大枠を理解するように心掛け、話題に上ったテー
   マとそれに関連するキーワードをメモに取りながら整理してみましょう。

   ただし、文章と違い、会話ではしばしば主語が抜けます。

   また、上司と顧客がある程度面識のある仲であれば、話の展開も速くなり、「○○という
   テーマで話していたのに、途中で□□のテーマに脱線し、また○○のテーマに戻る」と
   いったこともしばしばあります。

   ビジネス経験が少なく顧客に対する理解も浅い新人営業担当者が、こうした上司と
   顧客の会話のすべてを理解するのは難しいことですが、話の内容を、5W2Hに整理
   すると理解しやすくなります。

   5W2Hに整理した会話の内容例は次の通りです。

    When(いつ)       年○月○日
    Where(どこで)     (顧客の)本社と各支社
    Who(誰が)        顧客
    What(何を)       メールマガジンを配信したい
    Why(なぜ)        ユーザー囲い込みのため
    How(どうやって)      メールマガジン配信システムを導入することで
    How much(いくらで)  初期費用100万円以下、月額利用料5万円以下

   実際の会話では、5W2Hに関連するキーワードがすべて出てくるわけではありません。

   例えば、「When(いつ)」「What(何を)」「How(どうやって)」に関連するキー
   ワードだけが会話に上り、そのほかの「Who(誰が)」などに関連するキーワード
   は会話の中に出てこないこともあります。

   詳細は後述しますが、新人営業担当者は、会話に出てこなかったキーワードを分から
   ないままにしておくのではなく、訪問後に上司に確認して、話の全体像をつかんでおき
   ましょう。

   どれも重要ですが、特にビジネスでは、 
   「When(いつ)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How much(いくらで)」の
   4つは、会話を理解する上で欠かせないキーワードです。

   この4つに関連するキーワードは必ず明らかにするよう心掛けましょう。

  訪問後のレビュー
  
 新人営業担当者は、訪問後には、訪問前に得た情報や訪問時に記載したメモを整
   理し、分からないことば必ず上司に確認するようにします。

   その際、思い付いたことを順番に質問するのではなく、自分なりに内容を整理して、
   上司に質問するように心掛けましょう。

   内容を整理する際は、ノートや(記載方法)訪問記録を作成して、訪問を振り返る
   のも一つの方法です。

   情報を整理して訪問記録という形で文字にすることで、「分かっていること」「分から
   ないこと」を整理することができるため、上司にも質問しやすくなります。

   また、後日、訪問記録を見返すことで、失念していた情報について思い起こすことが
   できるなどのメリットもあります。

   訪問記録の記載方法

   訪問記録は、都度の訪問の情報(訪問履歴)だけでなく、顧客の基本データ、業界
   動向などの情報が分かるようにしておきます。

   例えば、訪問の回数を経て、顧客に対して新たに商品の提案をする場合、顧客から
   直接伝えられた要望だけでなく、顧客との世間話で耳にした顧客の業界動向などを
   参考に、提案を企画することがあるでしょう。

   こうしたときに、顧客の基本データ、業界動向、訪問履歴などの情報が一緒に記載
   されていれば、商品の提案、顧客との関係深耕化などに必要な情報について簡単に
   見返すことができるといったメリットがあります。

   訪問履歴は訪問ごとにに訪問記録フォーマットに記載して蓄積していきましょう。

  □ステップアップのためのポイント
   ここまでに紹介した準備や心構えにより、顧客や自社と顧客との関係などについて
   基本的な情報を得ることができます。

   新人営業担当者がステップアップするために実践したい4つのポイントを紹介します。

   (1)情報を整理する
     顧客について得られた情報を整理する方法として、参考になるのが、経営分
     析のフレームワークである3C分析です。

     3C分析は、主に企業の外部環境を分析するためのものです。
      ・Customer(顧客)
      ・Company(自社)
      ・Competitor(競合)

     基本は顧客の視点に立ってそのニーズを探り、それに対する競合の特徴や自 
     社の競争優位性を把握します。

     慣れてくると自然に頭の中で整理できるが、初めのうちは図(3C分析のイメージ
     を描いて、そのときに自身が知っている情報とそれらの関連性を整理してみると
     よいでしょう。

     3C分析により、顧客視点で情報を整理したり、自社と競合との相対的な位置付け
     を明らかにすることができます。

   (2)「なぜ?」を繰り返す
     多くの情報を結び付けながら整理できるようになると、ビジネスの流れや、自社が
     顧客に対して取るべきアプローチなどへの理解が深まります。

     さらに一歩進んで、「なぜ、そうするのか」と情報に対して疑問を持ち、その理由を
     考えてみましょう。

     例えば、上司から訪問の目的を「顧客に新商品のパンフレットを届けるため」と言
     われたら、それを言葉通りに受け取るだけでなく、「なぜ?」と疑問を持ち、それに
     対する理由を考えるように心掛けましょう。

     そうすると、例えば、「先日、顧客と上司が電話で話した際に、顧客から既存商品の
     機能について質問を受けた。

     顧客の希望する機能は既存商品にはないが、新商品に付加されている。

     そのため、新商品を紹介し、関心をもってもらうためにパンフレットを届ける」な
     どのような訪問の目的が分かってきます。

     問題の解決において、その原因を深く掘り下げて根本を捉えるには「なぜ?」を
     繰り返し、自問することが重要です。

     「なぜ?」かと繰り返し疑問を持ち、その理由を考えることで、顧客と自社の間で
     交わされているビジネスに対して理解を深めることができます。

   (3)積極的に現場に出る
     新人営業担当者は、「顧客に対する理解を深める」というインプットに加えて、
     「積極的に現場に出る」というアウトプットも心掛けましょう。

     新人のうちは、顧客を訪問するということだけで、とても緊張します。

     緊張の原因は、訪問に慣れていないからです。

     そこで、上司の訪問に同行させてもらうなどして、場数を踏み、訪問の雰囲気に
     慣れていきましょう。

     また、同行訪問は、上司の営業のテクニックを学ぶよい機会でもあります。

     営業はすべての顧客に対して同じように行うわけではなく、顧客の状況、自社との
     関係性、取引の規模などによって異なります。

     顧客に接する上司のさまざまな対応を体感することで、新人営業担当者は顧客と
     接する際のイメージを持つことができます。

   (4)営業担当者としてのスキルの向上を図る
     自分なりに営業担当者としてのスキルを向上させる目標を立てるのもよいでし
     ょう。

     例えば、「毎月1度は異業種交流会や勉強会などには参加して、10人以上の人と
     名刺交換をする」「毎月、業務に関係のある書籍を1冊と、一般教養を養うための
     書籍を1冊の計2冊を読む」などの目標が考えられます。

     目標を立てた後は、目標が達成できているかを定期的に振り返ってみましょう。

     最初から高い目標を設定する必要はありません。

     物足りなくなれば、さらにレベルの高い目標を設定すればよいので、最初に設定
     する目標は達成できる範囲のものとし、無理をしないようにしましょう。

  □日々継続することに意義がある
   顧客訪問前に新人営業担当者がすべき準備や訪問時の心構え、訪問後の振り返り
   に共通するのは、「疑問を持つ」「疑問を明らかにし、知識を得る」という継続した取り
   組みです。

   これにより、顧客・競合・自社の情報が蓄積され、情報と情報とのつながりを理解し、
   営業活動の全体像を把握することができるようになります。

   新人営業担当者は、個別の情報の内容は把握しているものの、情報と情報とのつな
   がりを考えるまでには至らず、視野が狭い状態です。

   ビジネスは多くの情報を把握し、それらを整理することで進めやすくなります。

   営業であれば、前述の3C分析で紹介した顧客・競合・自社に関する多くの情報を整理
   することで、顧客のニーズをよりつかみやすくなったり、競合に対する自社の競争優位
   性などが分かるようになってきます。

   また、「疑問を持つ」「疑問を明らかにし、知識を得る」といった取り組みを継続して
   いけば、営業活動の全体像が鮮明に見えるようになるのです。

   そこで得られた情報は、顧客訪問だけではなく、提案書の作成、商品の提案、商品
   配送のサポート、クレーム対応などさまざまなシーンで利用することができます。


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