営業同行が優秀な新人営業マンを育てる

             

        営業同行は新人営業マンと同行者の教育訓練 


  営業同行は新人営業マンの教育訓練だけではなく中堅・ベテラン営業マンを管理者として
  育成することもできるのです。

  どんなに管理職が優秀な営業マンであっても、プレイングマネージャーとして、部下の営業
  力アップのための育成に優れているわけではありません。

  ここでは、上司として次世代の自社のホープを育てるという重要な役割を担っていることを
  肝に命ずることです。

  そして、組織全体のレベルアップにつながる営業管理の仕組みをつくることも重要とな
  ります。


  新人を育てるための営業同行

   (1) 同行指導の期待効果
     @得意先の現状認識

     Aセールスの現状認識

     B得意先との信頼感アップ

     Cホット情報、ニーズ情報のキャッチ

     Dセールスのパワーアップ

   (2) 同行のポイント
     @ 同行時の改善すべき点、注意すべき点は、その場で行なう現地現場主義
       をとる。

     A 同行のチェックポイントによる判断資料を活用して、効果的・効率的同行を
       実施する。

     対象者別同行のポイント。

     C 帰社後、同行セールスマンと意見交換の上、現地にて指導した点を今一
       度フォローアップする。

     D 同行のチェック、フォローアップの内容を記録し、今後の動向をチェック、
       指導する。
     
  ○同行営業の準備
   同行営業の際に、上司が行うべき重要な仕事は、部下と訪問先とのやり取りの場面を
   メモすることです。

   会社に帰った後、メモを見ながら、部下を指導できるからです。

   メモは、以下の内容に分けて整理すると参考になります。

    (1)訪問先での活動の目的 : 何を売ろうとしているか
    (2)営業の内容 : 訪問活動でのありのままの内容を具体的に
    (3)コメント : 自分の判断を交えて良い点、悪い点
    (4)本人への確認指導事項
    (5)フォローすべき点


   同行営業を効率よく行うには、事前の準備を十分に行うことが大切です。

   訪問先を決める時は、日ごろからどうもおかしいと思っている得意先(売り上げや利益
   が前年を大きく割り込んでいる、どうも自分と得意先がしっくりいかないなど)も加える
   ように指示します。

   また、訪問先ごとの商談の進行状況に関しては、営業日報を通して把握しておくべき
   です。

   同行営業をすることで、過去と現在のギャップを把握できるからです。

   訪問目的に関しても、確認をしておくことが大切です。

   というのは、不況の時はこれといった商談のネタが無いことがあり、訪問することが
   営業活動の目的となってしまうことが多々あるからです。

  ●営業同行における主役は部下
   実際には、営業同行がうまくいっていないケースが少なくありません。

   多くは管理職がその進め方自体を理解していないのが原因です。

   例えば、実際に企業を訪問した場合ですが、まず上司(営業管理職)が中心となって
   商談を進めるか、部下(営業マン)が前面に出るべきかを見極める必要があります。

   ところが、多くの上司は、同行営業をする際の役割を見極めることができていません。

   かつてはトップセールスマンだったケースが少なくないことから、つい自分自身が前面
   に出て
売ってしまいます。

   上司が前面に出る場面は、クレーム処理や特定商品の販売促進などに限った時だけ
   です。

   主役はあくまで部下です。

   部下の営業活動の邪魔にならないよう、一歩下がって座る位の心構えが必要です。

   そして、部下の営業活動のどこを直したらよいのかを観察することです。

  ○同行営業の見極め 同行営業.gif
   @クレーム処理の時
     → 上司が積極的に展開し、部下はそれを補佐する

   A相手が発注先に迷っている時
     → 上司・部下ともに積極的に働きかけ、営業
        活動を進展させる

   B相手の会社になかなか入り込めない時
     → 顧客に発言を促し、情報収集・把握をする

   Cキーマンを登場させたい時
     → 部下が積極的に展開し、上司は援助的役割を演じる

 

  ●営業同行は新人営業マンにノウハウを伝える人材育成の場
   会社が成長し、存続するためには「売上高」が必要であることは言うまでもありありま
   せん。

   そして、その売上高を確保するのが「営業活動」であり「営業マン」です。

   経営者であれば、「優秀な営業マンを一人でも多く育てたい」と考えるのは当然のこと
   です。

   優秀な営業マンを一人でも多く育てていくには現地現場での教育が欠かせません。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が
   「人材育成に問題がある」と回答しています。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   
   「営業同行」は、新人営業マンに営業活動のノウハウを身につけさせるための教育訓
   練です。

   経験の浅い新人営業マンの教育は、先輩である中堅・ベテラン営業マンが商談に同行す
   ることで行います。

   ですが、何の目的も持たず「ただ一緒に行っただけ」では、せっかくの機会も「何も学ば
   ない」ままで終わってしまいます。

   「営業同行」の目的は、新人営業マンに「営業同行の目的」をはっきりと意識させ、同行
   が「学習の場(ノウハウの習得)」であることを認識させることです。

  ●同行営業終了後
   部下に反省点、改善点などをフィードバックしなければなりません。

   この時、経営者が同席しても構いません。

   しかし、上司と部下が主役であり、経営者はアドバイザーとしての立場を取ることが
   大切です。

  ○部下にフィードバック(反省点、改善点など)
   フィードバックは次の手順で進めることをお勧めします。

    (1)営業活動の中で良いところを素直に誉める

   (2)気になった点を指摘する

   (3)ルール違反があったら指摘する(例:見積書の提出忘れなど)

   (4)改善してもらいたい点を具体的に話す

   (5)これからのフォロー体制について説明する

   フィードバックは、まず誉めて、部下に聞く姿勢を作ることから始めなければなりま
   せん。

   かつてのトップセールスマンである上司から見ると、部下の良いところは見えにくいかも
   しれません。

   しかし、一緒に同行営業をすれば何か良いところがあるはずです。

   これを見つけることです。

   声が大きい、明るい、動きが速い、返事が良い、誠実に見えるなど、小さなことでも
   誉めてあげることです。

   必ずしなければならないのは、ルール違反の指摘です。

   例えば、得意先への見積書を忘れていたり、本来出してはいけないサンプルを出して
   いたなどということに関しては、しっかり指摘します。

   この際、本人にこれをすること、やめることによって営業力がアップするということを
   説明することが重要です。

   最後に、今後の営業活動の中で上司として、どのような形で支援をしていくかという
   ことを話すことです。

   部下は孤独ではなく、温かく見守られているということを認識させることが大切です。

   このような一連の過程の中で、経営者は、同行営業を支援していかなければなりません。


  ○同行営業を支援するポイント
   
同行営業は営業マンの育成だけではなく、営業管理職の管理能力アップにもつながり
   ます。

   経営者は同行営業を管理職に任せきりにせず、管理職とコミュニケーションを十分にと
   って、彼らの育成も図ることが大切です。

    (1)上司は、コーチであり、プレーヤーではないということを折りに触れて理
      解させる。

   (2)フィードバックの進め方、指導の仕方が適正であるかをチェックする。

   (3)チェックのための顧客訪問を経営者自ら行う。
     同行または単独で顧客を訪問して、同行営業の成果について細かく
     チェックする。


   また、同行終了後には、商談の内容を振り返り「何を学んだか」「今後の活動にどう生
   かしたいか」を確認
することで、教育の効果を最大限に引き出すことができます。

   また、同行者である中堅・ベテラン営業マンも自分の営業活動を振り返り、客観的に分析
   することがでるのです。

   これにより、「自分が新人を教育する」という意識を持たせることができ、管理者を育成
   するのにも役立ちます。

   営業同行報告書は同行を単なる同行に終わせることなく、以下の手順に沿って活用
   することで、営業ノウハウ構築の基本となります。  

   <営業活動に同行する目的を明確にする>
    その目的は2つあります。

    一つは「商談の目的」もう一つは「今回の同行で学びたいこと」です。

    「商談の目的」については、同行者に聞いて確認しておきます。

    同時に、「初めての商談なのか、2回目、3回目なのか」「受注寸前なのか、新規取引
    の開拓中なのか」といった営業活動の進捗状況や、「事業拡大のチャンスを狙って
    いるのか、買い替え需要を狙っているのか」といった顧客の経営状況とリンクした
    情報も確認しておきます。

    この作業ができていないと、商談の流れ組み立て方が理解できませんし、何よりも
    商談への参加意識を持つことができません。

    目的を確認した上で、「今回の同行で学びたいこと」を記入します。

    例えば、「顧客のニーズをどうやって聞き出すか」「断りの言葉をどうやって切り出
    すか」というように、できるだけ具体的に書くことです。

    具体的に書くことで、よりはっきりとした目的意識、学習意欲を持つことができるの
    です。

    同行者は新人が記入した内容をチェックします。

    特に商談の内容と「学びたいこと」が合致しているかどうかの確認が重要です。

    例えば「受注OKの最終確認」が目的の商談なのに、シートに「新製品の売り込みを
    学びたい」などと書いてあるのは論外です。

    @商談の内容で理解できなかったこと
     顧客から受けた質問への回答、同行者が行
     った提案の内容など、顧客との商談の中
     理解できなかったこと、わかりづらかった
     ことなどを記入します。

     わからなかったことは、必ずその日のうち
     に確認する習慣をつけるようにしましょう。

     その積み重ねが、営業マンとしての能力
     を高めていきます。

     特に、顧客からの質問については、新人
     自身に回答を用意させて、同行者が内容
     をチェックすると、より効果的です。

    A商談の組み立て方などで参考になったこと
     この欄には、商談の中で最も勉強になったと思う内容を記入します。

     例えば「顧客のふっともらした〇〇という一言から××の情報を引き出した」など、
     ここでもできるだけ具体的に書き込みます。

     できるだけ具体的に言葉にして記録することで、個人が持っている優れたノウハウを
     共有することに役立つのです。

    Bお客様が興味を示した話題
     優れた営業マンは「8割聞いて2割で落とす」といわれています。

     顧客の話題に耳を傾け、うなずくことは顧客からの信頼を得ることにつながります
     し、何気ない会話から有益な情報が得られるものです。

     顧客がどんなことに興味を持っているか、常にアンテナを立てておくことは、商談を
     組み立てるうえで重要なポイントとなります。

    C商談の成否の要因
     商談は「受注できたから成功」「できなかったから失敗」というものではありませ
     ん。

     たとえ受注できなくても、顧客から信頼され「また会いたい」と思わせれば、そ
     の商談は十分成功したといえます。

     この項目は、商談を客観的に分析するための項目です。

     同行した商談が成功だったのか、失敗だったのかを自分の基準で判断します。

     そして、「なぜ成功(失敗)だと判断したのか」という理由、また「成功(失敗)し
     た要因」を書き込みます。

     商談の内容、成果を客観的に分析する作業は、営業マンとしてのスキルを磨くため
     不可欠なものです。

    D今回の同行で何を学んだか、また今後の活動にどう生かしていきたいか
     この項目は、同行前に記入した「今回の同行で学びたいこと」と対応するように記入
     します。

     「当初の目的は果たせたのか」「目的以外に学べたことはどれだけあったのか」
     を確認し、学んだことをどう生かしていきたいのかを書き込んでおきます。

     繰り返しになりますが、ここでも重要なことは、できるだけ具体的に書くことです。

     営業活動は、その成果が個人のノウハウに大きく依存しています。

     ですから、会社全体で成果を高めるには、個人の優れたノウハウ組織として共有
     なければなりません。

     そのために役立つのが、「具体的な言葉で記録に残す」ことなのです。

    E同行者コメントについて
     @〜Dまでの記入が終わったら、同行者がコメントを記入します。

     新人の持っている不安、疑問に、できるだけわかりやすい言葉で具体的に回答
     するようにします。

     この作業が、商談の内容を客観的に振り返り、成果を確認する作業になります。

     営業同行は、新人の教育の場となるだけではありません。

     新人を「ただ連れて行っただけ」というのでは、同行者にとって負担以外のなにも
     のでもありません。

     「新人を育成する」というはっきりした意識を持って、同行前から同行終了後まで
     新人を指導することが大切です。

     こうした形で新人教育に関わらせれば、中堅・ベテラン営業マンを管理者として
     育成することもできるのです。

 

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