組織・人事制度の改革

            

組織・人事制度の改革

■改革
 近年、経営環境の変化などにより、経営戦略を見直したり、新たなマネジメント手法を
 導入するなど自社の改革に取り組む企業が増加しています。
 しかし、このような取り組みが期待通りの成果を生み出さなかったり、「気が付いた
 ときには取り組み前の自社の元の姿に逆戻りしていた」といった企業の改革(以下「改革」)
 に失敗するケースも少なくないようです。

 改革が失敗する原因はさまざまですが、新たな取り組みがもたらすであろう「成果」ばかりに
 目が奪われて、組織内の人々を変革するという視点が欠けていることも主要な要因の一つ
 になっています。

 企業を動かしている内部の人々が、これらの新たな取り組みを受け入れ、真剣に取り
 組まなければ、いくら素晴らしい戦略を立案したり、新たなマネジメント手法を導入しても
 十分な成果は期待できません。
 ここに組織を変革することの重要性があります。

□改革に適した組織構造 
 組織の改革を考える際に検討すべきポイントは、
  1.改革の基本戦略に適した組織構造かどうか
  2.改革の実行に必要な経営資源が配分されているか
  3.改革推進上の責任と権限などのルールが明確にされているかどうか
 といった3つになります。 

 改革は改善とは異なります。
 改善が現状の組織構造、業務手順をいかに効率的にムダなく運営していくかを主題とする
 のに対し、改革は既存の事業遂行方法、あるいは既存事業そのものを根本から見直し、
 企業を新たな姿にすることが強く求められます。

 描くべきなのは改革の基本戦略に基づいた企業の将来の理想像であり、実施するのはそれに
 向けての計画的かつ一貫した活動です。
 現状の組織構造は、これまでの企業の歴史の中で自然発生的に積み上げられてきたものです。

 このような組織構造はこれまでの事業を推進していくのには適していても、企業が考える
 理想像を実現していくには適していないケースが多くあります。
 そのため、改革を実現するためにはどのような経営機能の構成が最適かを検討する必要が
 あります。

 経営機能とは、営業部・製造部というような部門のことではありません。
 一連の企業活動を構成している、企業が保有している「事業上の機能・能力」を示し
 ます。

 企業が顧客に価値を提供するうえで、保有すべき経営機能のつながりをまとめたものが、
 一般的にバリューチェーンと呼ばれます。
 3年後(あるいは5年後)を目標とした企業改革を達成するためには、経営機能それぞれの
 基本方針を策定していかなければなりません。

 そのうえで、改革計画を実現させるためには各機能において、どれぐらいの能力や水準を
 保持する必要があるかを定量的に検討し、現状とのギャップを把握していきます。 
 なお、すべての機能を自社で持つ必要はありません。

 業務提携やアウトソーシングなどによって外部から機能を調達することも検討して
 みましょう。
 例えば、自社の改革の基本方針が「市場開拓」である場合、3年後にはどのような技術
 (研究開発機能)に基づいて、どのような商品(商品開発)を、どれぐらいの目標売上高
 と顧客数で達成するか(仕入・調達、生産、マーケティング、物流)を検討します。

 その際、目標を達成するために成果主義のような新たな人事制度の導入を検討し、顧客
 情報を有効活用しながら、いかに借入金を減らしながら実施していくかについても考えます。
 さらに、進ちょく状況を把握するにはどのような「連絡−報告体制」で行っていくか
 (全体マネジメント)という点も考慮します。 

 改革目標を達成するために獲得していなければならない機能の水準が明確になった場合、
 それが現状の経営資源、特に設備と人員で実現可能かどうかを考えます。

 そして、足りない資源は何か、それはいつまでに手に入れておかなければならないかを
 明確化し、その実現可能性を検討していきます。 
 必要な機能の水準とその実現のために不可欠な経営資源を検討していくと、現状での
 組織構造では対応が難しいなどといった組織上の問題点が浮かび上がってきます。

 例えば、現状では地域ごとの支社制を取っているが、今後は事業分野ごとの事業部制に
 する必要がありそうだとか、職務階層が多くなっているが、機動的に意思決定するため
 には階層を減らしてフラット(水平)なものにするべきだなど、改革の戦略に基づいた
 新たな組織構造のイメージがわいてきます。

 繰り返しになりますが、重要なのは、必ず達成すべき目標とそれに必要な機能を基に、
 組織の在り方を考えることなのです。

□組織運営のためのルール作り 
 新たな組織の姿がみえてきた場合、その組織を運営するためのルールを考えなければ
 なりません。
 具体的には、
  →どの経営機能を、どのような部門に対応させるか
  →各部門のそれぞれの職務階層が持つべき職務上の責任をどこまでにするか
 などを決定していきます。

 さらに、企業の改革という新しい試みを行う場合は、その進ちょく状況や発生している
 問題などは部門間で共有していく必要があります。
 共通認識を持つための場として、これまで以上に会議の持つ意義が重要となります。

 多くの企業で、経営会議、部門長会議、各部門の会議や課単位での会議など、幾つもの
 会議が開催されています。
 これらの会議を有効に機能させるために、それぞれの会議の目的と頻度、決定すべき
 事項などを明確にしなければなりません。

 組織運営のルール作りにおいて見落としがちなのが組織風土の側面です。
 職務権限や会議の在り方は経営側で検討していくことができます。
 しかし、実際にこれを運営するのは従業員です。

 職務上の指示命令は企業の公式のルールに基づいて経営側から発信することができますが、
 実際に職務を遂行する際に従業員が従うのは、企業文化や組織風土などに集大成される
 「職場なりの業務の進め方」です。

 つまり、改革の方向性とこの企業風土が合致していれば問題はありませんが、そうで
 ない場合には、改革したはずの組織が停滞を引き起こしてしまう危険性があるのです。 

 このため、組織風土の改革が必要な場合は、社長自らが改革の方向性とそれによって
 実現される将来像を従業員に対して発信し続けながら、一方では思い切った登用や報奨
 (場合によっては降格や減俸)などにより「目に見える形」で意図的に変化を意識づけ、
 組織風土の革新に取り組む必要があるでしょう。

□中小企業の最大の資産はヒトである 
 自社の成長と発展を実現するうえで、本当の基盤となるものは何なのでしょうか? 
 自社が保有する工場や土地建物のような有形資産でしょうか。
 それとも自社が築き上げてきたブランドや特許、ノウハウに代表されるような無形資産
 でしょうか。

 確かにこれらの資産はそれぞれ重要です。 
 しかし、これらを地道に着々と築き上げてきた主体が何であるかを考えると、中小企業
 にとって最も重要な経営資源はヒト(従業員)であることが分かります。

 従来のような大企業を頂点としたピラミッド型の下請構造が崩壊し、中小企業といえども
 それぞれの独自性を発揮しなければ生き残れない時代において、企業はヒトという経営
 資源が産み出す価値に改めて注目する必要があります。

□改革に適した人事制度 
 それでは中小企業で人材を改革しようとする場合には、どのような注意点が必要になる
 のでしょうか。 
 日本の企業に広く採用されている人事評価制度は「職能資格制度」といわれるものです。

 これは、従業員が保有していると思われる職務遂行能力(つまり、特定のレベルの仕事を
 遂行可能な職務能力)を「職能要件表」と呼ばれる、多数の従業員に適用できるような
 客観的かつ抽象的な基準としてまとめ、これに基づく評価で人事面での処遇を決定して
 いくというものです。

 この職能資格制度で評価の対象となる能力は「〜することができる(はずである)」
 という「保有能力」です。
 例えば、○○大学を卒業しているのだから、1年目でこれぐらいの仕事はできるだろう、
 あるいは当社で10年以上の経験があるのだから課長の仕事ができるだろうというような
 会社側の期待と、実際に業務遂行した成果との差を評価しているのです。

 長期的に人材を育成していく場合にはこのような制度でよいかもしれません。
 しかし、このような保有能力への期待は必ずしも業績向上には直接結びつきません。

 その理由は、
  成果は保有能力ではなく、あくまでも行動の発揮
 保有能力がいかに高くとも、行動がともなわなければ成果には至らない。
 保有能力が少々低くとも、行動が最適であれば一定の成果は達成される。

 自社の業績向上に直結するのは仕事の成果です。
 よくいわれる「目標管理制度型人事」とはこの点に焦点を当て、個々の従業員が計画した
 目標に対してどの程度の成果を実現したかに基づいて評価するものです。
 ただし、あまりに成果のみを追求した場合、次のような弊害も発生しています。

  1.自社が今求めている人材(=すぐ業績を上げる人材)ばかりに目がいき、「将来
   業績を上げてくれる人材の育成」という中長期的な競争力強化の方向で考える
   ことができなくなってしまいがちである。

  2.個々の従業員が計画する目標が会社全体の戦略とは整合性が取れていない。
   あるいは、容易に達成できる低い目標を意図的に設定する従業員が増加し、結果と
   して個人の目標は達成されても企業としての目標が達成されないケー スが頻発
   する。

  3.結果のみを求めるあまり、従業員が個人主義になってしまい、職場でのチーム
   プレーや情報の共有、部下あるいは後輩の指導など個人の成果に反映しない業務が
   おろそかになってしまう。 

 目標管理制度あるいは成果主義そのものは、企業の業績向上を追求するという観点では
 正しい考え方といえるでしょう。
 しかし一方で、前述したような弊害が発生するのは、最終的な成果のみを追い求めるあまり、
 途中のプロセス(つまりどのように仕事を行ったか)が軽視されてしまうのです。

 この業績向上という短期的な目標と、企業体質の強化あるいは人材の強化という中長期的な
 目標の橋渡しを人事制度面で行うのが「コンピテンシー」という評価軸です。 
 コンピテンシーとは、高い業績を上げる人材に特有の行動特性を指します。
 成果とは能力を「発揮」し「行動」することで生まれてきます。

 つまり、「〜している」「〜する」という行動、つまりコンピテンシーを評価の対象に
 加えることによって、結果として成果のみならず、そこに到達するまでのプロセスも評価
 することが可能となります。

 これにより、成果主義が陥りがちな結果至上主義からの脱却を図ると同時に、高業績者
 が業績を上げるときに取っている行動をモデルとすることで、効果的な人材育成を行う
 ことが可能となります。

コンピテンシーを取り入れた人事制度の構築 
 コンピテンシーは目標管理制度と車の両輪の関係にあります。
 目標管理制度は企業の事業戦略に基づく業績目標を、各部門・各社員に十分理解させた
 うえで、個々の従業員から自身の目標を提示させ、その成果との対比によって評価していく
 制度です。 

 この制度は、業績への責任を個々の従業員に持たせるという点で、まさに革新を目指す
 企業に適しているといえます。
 しかし、対象となる評価指標が業績という最終的な成果であるため、途中の業務プロセス
 が軽視されてしまいます。

 また、新たな事業への取り組みなど、業績成果がすぐには現れてこない場合には
 モチベーションの低下を引き起こしかねません。
 この問題点をコンピテンシーという業務遂行の際の行動を評価対象とすることで補完して
 いくことが大切です。 

 目標管理制度に関しては、企業がその経営ビジョンや事業戦略から今年度目標とする
 業績を各部門並びに各担当者に分配することで業績目標として設定できます。
 一方のコンピテンシーモデルでは目指すべき高業績者という人材像の明確化と、育成・評価
 の対象とする行動=コンピテンシー自体をまず規定する必要があります。

 では、コンピテンシーはどのように設定していけばよいのでしょうか。
 設定方法は2種類あります。

  ◎観察・分析型(厳密型) 
   社内で高業績を上げている従業員への面接、行動観察などを通じて、できる限り
   広く詳細に情報収集して行動特性(=コンピテンシー)を抽出していく方法です。
   この場合、成果に直結している行動特性が確実に抽出されるというメリットと
   なります。
   一方、「今、業績を上げている従業員」が必ずしも「将来必要とする従業員」とは
   限らない点や、面接や分析に費用と労力がかかる点、そもそもモデルとなる高業績者
   がいなければ規定できない点などがデメリットとなります。

  ◎経営主導型(簡易型) 
   経営ビジョン並びに革新戦略から「自社が今後必要とする人材像」を各職種・各部門
   ・各階層ごとに明確にしていきます。 
   そして、そのような人材が使命を果たすときに取るべき行動を想定し、それを
   コンピテンシーとして従業員の行動評価基準にします。
   この方法を採用する場合のメリットは、
    ・企業の将来進むべき方向性に適した行動基準が設定可能となるという点
    ・高業績者の行動観察や分析が不要であるため、比較的低コストで設定可能な
     点などとなります。
     一方、規定したコンピテンシーが実際の成果に直結するか否かは運営して
     みなければ検証できないというデメリットも存在します。

     中小企業の場合、「そもそも高業績者が社内に存在しない」という問題が
     あるかもしれません。
     そのため、中小企業が導入しやすいのは「経営主導型」といえるでしょう。
 以下では、「経営主導型」の導入手順を簡潔にまとめて紹介します。

□「経営主導型」の導入手順
 1.経営ビジョンに基づく各職種・職能ごとの役割モデルを明確にする 
  企業改革を進めるために従業員(ヒト)を改革したいと考える場合、最初に取り組む
  べきことは、自社がどのような方向に進もうとしているのかを「経営ビジョン」として
  明確に従業員に示すことです。 
  そして、その経営ビジョンを実現するために、各職種・職能で求められる役割は何で
  あるのかを、経営陣は従業員に具体的に示さなければなりません。

 2.各役割モデルに求められる具体的な行動を示す 
  次に、各役割に求められる具体的な行動基準を示す必要があります。
  ヒトを改革するとは、短期間で従業員の業務遂行能力を計画的に向上させることです。 
  そのためには、どのような業務をいつまでに、具体的にどう変えるのかを示す必要が
  あります。

  これを怠れば、従業員にとって自分は何をどう改革すればよいのか分からなくなって
  しまいます。
  ヒトの改革とは必ず企業の改革と連動して実施されるものであり、社長は企業改革
  実現するために必要な業務と行動とは何かということを、従業員に対して具体的に示す
  必要があります。

 3.評価項目と評価結果は公正かつオープンに行う
  ヒトの改革とは従業員の行動、あるいはその行動に到った考え方そのものを変えていく
  ことです。 
  そのためには、それぞれの従業員が自身の役割に応じた行動(会社から求められて
  いる役割)をどのように考え、どのように実行しているかということを公正に評価
  しなければなりません。

  また、どのような行動を、どのように評価するかを従業員に公表し、実際の評価結果
  をフィードバックする必要があります。
  このような業務遂行のプロセスに関する評価を公正かつオープンに行うことは、
  「命令されて業務を行う」状態から「自分で考えて業務を行う」状態に従業員を成長
  させ、自律的な人材への改革を促進するという効果があります。

 4.キャリア・パスではなくスペシャリティー・パス 
  中小企業において従業員の長期の育成を考える際には、大企業のようなキャリア・パス
  (どのようなキャリアを積んで出世していくか)の考え方ではうまくいきません。
  むしろ、どのような専門性をどのような順序で習得していきたいか、職場において
  どのような将来像を描こうとしているのかを、従業員に自ら考えさせ、表明させる
  べきといえます。

  そしてその実行を会社が制度としてサポートしていくことが、優秀でロイヤルティー
  を持った人材を確保・育成していく早道です。 
  自社の改革においては、従来の仕事の進め方などを根本から見直すことが必要なことも
  あります。

  従業員にとっては、できればやりたくないというのが本音でしょう。
  粘り強く経営陣側から改革の必要性をあらゆる機会を見つけて説明し続けることで、
  従業員は初めて理解し、動き、変わっていきます。
  一度や二度の説明や命令では改革に向けての活動は生まれないのです。

職場の環境整備

                             

職場の環境整備

■経営理念、ビジョン、戦略を明確にする
 自社にふさわしい組織文化を構築するためには、まずは文化の根源ともいえる「経営理念」や
 「ビジョン」について、社員にはっきりと示すことが必要です。
 経営理念とは「自分たちはこうありたい」という会社の存在意義を示したものであり、
 ビジョンとは「このような姿になりたい」という将来像を描いたものです。

 たとえば、「自社商品でお客さまの心を豊かにする」というのが経営理念であり、その理念を
 貫くことで「5年後には地域一番企業になる」というのがビジョンということになります。
 まずは社長自身が経営理念やビジョンを明確にすることが必要です。

□どんな企業にも2種類の職場が存在する

 (1)部下たちが自発的に動いてくれて、高い業績を残せる職場

 (2)部下たちと意思の疎通ができず、思うように機能しない職場

  あなたは、もちろん前者を望んでいるはずです。でも、なかなかうまくいかず苦しんで
 いるところかもしれません。

 「一生懸命やっているのに、空回りしている感じがして……」

  もっとチーム一丸となって仕事に取り組めて、業績を伸ばしていくことができたら
 どんなによいだろうと。

 じつは、そのような「職場づくり」は、決して難しいことではありません。

 なぜ、これまで「いい職場」をつくることが難しかったのでしょうか? 

 それは、部下たちの「やる気」だけに頼ろうとしていたからです。

 「もっと頑張ってくれよ」などと言っていたからです。

 発破をかけるだけで部下を動かすのは無理です。

 報酬が必要です。

 しかし、勘違いしないでください。

 ここで言う報酬とは、金銭のことではありません。

 あなたが部下たちに用意すべきは「非金銭的報酬」です。

 「非金銭的報酬」とは、たとえば達成感や自己肯定感、成長できている実感、あるいは
 うれし
い気持ちや快適さといったことです。

 アメリカでは、金銭的報酬に非金銭的報酬を加えた「総合的な報酬」が「トータル・
 リワード」
と呼ばれ、業績をあげる職場づくりの重要な要素として早くから注目されています。

 総合的な報酬(トータル・リワード/Total Reward)とは、金銭的報酬(お金)と非金銭的
 報酬(上司
の態度、生活のしやすさ、連帯感、成長、働きやすい環境、仕事のスキルなど)
 を合わせたものです。

 非金銭的報酬は、「行動科学マネジメント」(人間の行動原理に基づいた科学的なマネジ
 メント手法)の根幹をなす重要
な概念の1つです。

 あなたが部下の査定をよく書いたところで、それが部下の昇給につながるとは限りません。

 あなたが部下に報いることができるのは、もっと総合的なことです。

 部下たちは、風通しのよい職場で、わかりやすく仕事を教えてもらい、自分なりに成長

 したいと思っています。

 あなたは、それを実現してあげることができ、その結果、部下たちは、想像を超えた
 素晴らしい働きをしてくれるのです。

 非金銭的報酬ならば、すべての人たちに公平に報いることができます。

□課長(ミドルマネジメント)が苦しんでいる

 課長たちは、マネージャーであると同時に、プレイヤーとしての働きも求められています。

 いわゆるプレイングマネージャーでいなければならないのです。

 彼らは、プレイヤーでいることには慣れています。

 もともとプレイヤーとして有能だったからこそ、課長という立場になれたのですから。

 彼らを苦しめているのは、「難しいマネージャーという業務をこなしながら、プレイヤー

 としての働きもせざるを得ない」ということなのです。

 なぜ、優秀な課長たちでもマネジメントが難しいのでしょうか? 

 それは、いまの若者たちを育てる方法など、誰も教えてはくれないからです。

 部下たちは、課長世代とは価値観や仕事に対する意識がまったく違い、自分たちが部下で

 あった時代に上司から受けたやり方(接し方)はまったく通用しません。

 伝えたはずのことが伝わっていないなどということはしょっちゆうで、ちょっと注意した
 だ
けでひどく落ち込んでしまったり、物事を悪い方向へ誤解してとげとげしい態度
 とったり……。

 こうした、「自分が考えているのとは違う反応」を部下から示され、多くの課長がとまどいを

 隠せずにいます。

 仕事の教え方だけではなく、コミュニケーションの方法も、「どうすればよいか、さっぱり
 わからない」のに、自分より年配の
先輩や経営陣に相談したところで答えは得られません。

 つまり、いまの部下たちとうまくやる方法など誰も教えてはくれないのに、課長はそれを

 やらねばならない。

 だから、苦しいのです。

 では、どうすればよいのでしょうか? 

 課長と若い部下たちの間には、価値観に大きな隔たりがあります。

 それは間違いのない事実です。

 しかし、ここにばかり注目していては失敗します。

 価値観の隔たったあなたと部下たちの、たった1つの、しかし、非常に重要な共通点。
 それこそが、非金銭的報酬への希求です。

 あなたは、金銭のみが目的で働いていますか? 

 そんなことはないはずです。

 理解しがたい部下世代を放り出さずに育成しようというのも、少しでも風通しのいい職場を

 構築したいと考えるのも、金銭とは関係のないところに大きな価値を見出しているから
 ではないでしょうか。

 それは部下も同じです。

 部下は、あなたが与えてくれる非金銭的報酬を待っています。

□まずは、当り前の職場をつくる

 「理想の職場」をつくろうなどと思う必要はありません。

 「当り前の職場」で十分なのです。

 当り前の職場とはどういうものかといえば、ズバリ、業績を伸ばすことを目指す職場です。

 あなたは、「自分のチームの業績を伸ばすにはどうしたらよいのだろう」と考えれば
 よいのです。

 チームとしての業績を伸ばすには、あなただけが優秀なプレイヤーでいてもだめです。

 部下1人ひとりが、その人なりによい成績を収めてくれることが必須です。

 部下1人ひとりに、自発的に動いてもらうために、上司はなにをしなければならない
 のでしょう。

 「自発的に動け」と言うだけなら誰でもできます。

 言われて動けるくらいなら、部下は苦労しません。

 あなたがすべきは、「部下が自発的に動けるような職場(仕組み)」をつくることです。

 部下の自発性を引き出す仕組みさえつくれば、部下は勝手に育っていくものなのです。

 いい職場になって最も得をするのは、部下ではなく、その職場をまかされているあなた

 自身なのです。

□「部下が自発的に動ける職場」とは

 トータル・リワードこそがあなたと部下の絆を強くし、部下が自発的に動く職場をつくる
 ことを可能にします。

 いまの日本企業に必要なのは、「部下たちが自発的に動けて、頑張りが報われる職場づくり」
 なのです。

 では、「部下の頑張りが報われる」とは、いったいどういう状況を言うのでしょうか? 

 あなたは、具体的に何をすればよいのでしょうか?

 「自発的行動」とは、部下が自分勝手に動くことではありません。

 あなたは部下に、成果につながる行動を率先してとってほしいと願っているはずです。

 つまり、「チームの業績につながるいい行動」を部下がとってくれたことに対して報いる

 ことが大事になってきます。

 ここで忘れないでほしいのが、部下もチームに貢献できる行動を取りたいと望んでいる
 ということです。

 ただ、それがどういうものかよくわからないのです。

 だから、それを具体的に教えてあげることが「部下に報いる」ことにもなります。

 逆に、なんの基準もなく「とにかく頑張れ」などと言われることは、部下にとってまったく
 報われない話なのです。

□行動を具体的に教える、定着化できるようにする

 行動科学マネジメントでは、一連の仕事を徹底的に行動分解し、誰でも同じように動ける
 ように教えていきます。

 このとき、とくに、成果につながりやすい重要な行動を「ピンポイント行動」として
 非常に重視します。

 あなたは「自分のチームの業績をあげるための行動」を部下に具体的に示す必要があります。

 同時に、それを繰り返して定着化できるようにしなければなりません。

 いま、ビジネスの現場で最もよく聞かれるのが、「最初は頑張ってやったけど、それが定着
 しない」という悩みです。

 「定着化などは個人の問題だろう。飽きっぽくてできないのなら、それは本人の責任では

 ないか」などと考えないでください。

 部下がいい行動を定着化できないのは、その人の意志の問題ではなく、人間ならではの
 クセを上司が理解できて
いないからです。

 行動科学マネジメントでは、「ABCモデル」という概念でこの間題をとらえています。

  「A」=Antecedent(先行条件)

  「B」=Behavior(行動)

  「C」=Consequence(結果)

 人がある行動をとるときには、その理由やきっかけとなる環境が存在します。

 それが先行条件です。

 たとえば、「お菓子をすすめられた」という先行条件があって「お菓子を食べる」という
 行動を取ります。

 そして、その行動を繰り返すかどうかは、行動をとることで得られた結果によるところが

 大きいのです。

 「すすめられたお菓子がとてもおいしかった」のであれば「もう1つ食べる」という
 行動をとるでしょうが、「すごくまずかった」のであれば行動は練り返さ
れません。

 同様に、メガネをかけている人は、「メガネをかけたらよく見えた」というプラスの結果が

 得られたからこそかけ続けているわけです。

 人は先行条件によっても行動しますが、その行動を何度も繰り返すには結果の力こそが
 重要です。

 部下に行動を繰り返しとってもらうためには、あなたが部下によい結果を見せてあげる

 必要があります。

 こうした職場づくりを積極的に行って、部下の頑張りに報いていきましょう。

□非金銭的報酬を組み合わせて、部下の頑張りに報いる

 部下が自発的に動く職場をつくるには、非金銭的報酬を積極的に提供して、部下の頑張りに
 報いる必要があります。

 頑張りに報いる際の基準は「チームの業績につながるいい行動」によって決めていきます。

 非金銭的報酬を6つの要素に整理しました。

  A(Acknowledgement)=承認「部下に接するときの態度」

  B(Balance)=均衡「ワーク・ライフ・バランスへの対応」

  C(Culture)=文化「連帯感を強める仕組み」

  D(Development)=成長「成長欲求に応える工夫」

  E(Environment)=環境「居心地のいい職場づくり」

  F(Frame)=骨組み「仕事の正しい教え方」

 これら6つの要素のどれをとっても、誰か−部の人だけが利益を得るような内容ではない

 ということがおわかりいただけると思います。

 地位も性別も年齢も関係なく、どのような働き方をしている部下にとっても、これらの
 要素の充足は歓
迎されます。

□部下の行動を観察し、褒められるところを探す

 自らが見本になる行動を見せ、相手が理解できる言葉で明確な指示を出し、正しい行動が
 とれているか観察し、できているならば褒める。

 人はみな、誰かの役に立ちたい生き物であり、周囲から感謝されてうれしく思わない
 人などいません。

 あなたが部下を褒める目的は、お世辞を言って喜ばせる、こびることではありません。

 いい行動を繰り返して業績をアップしてもらうことにあります。

 つまり、繰り返してほしい行動を褒めるべきであり、極論すれば、人間性など横に置いて
 おけばよいのです。

 普段から部下を観察し、褒められるところを探しましょう。

 どんな小さなことでもよいのです。

  ・資料を届けてくれたら「ありがとう、助かるよ」。

  ・書類の提出期限を守ったら「偉いじやないか、これからも頼むよ」。

  ・顧客訪問件数が増えたら「頑張っているね、その調子だよ」。

  ・元気にあいさつしてきたら「いっも気持ちがいいね」。

 たったこれだけのことを、言えないはずはありません。

 行動科学マネジメントには、「60秒ルール」というものがあります。

 部下がいい行動をとったら、60秒以内に褒めるようにすると効果が高いというものです。

 「ポジティブ」、「すぐ」、「確か」が重要です。

□人間性でなく行動にフォーカスする

 悪い行動をとった「人」を叱るのではなく、悪い行動そのものを叱るのです。

 取引先との打ち合わせに遅れた部下に、「おまえはだらしがない」とか「何を考えて
 いるんだ」などと言っても意味がありません。

 部下はそれを人格否定と感じるだけです。

 「なにがあるかわからないから、10分前に着く計算で動かないと」

 「準備は出かける直前ではなく、前日に終えておくようにして」

 など、同じ失敗を繰り返さないために、どのように行動を変えていけばよいのかを示して
 あげましょう。

 どんな結果も行動の積み重ねが招いています。

 悪い結果が出たのなら、その原因となった行動が繰り返されているはずです。

 その原因行動について、一緒に考え、指摘しましょう。

 また、叱るときはあなたの感情が落ち着いてからにしましょう。

 怒りなどのマイナス感情は、30秒やり過ごせば収まっていくことがわかっています。

□部下1人ひとりの動機づけ条件を知る

 あなたは、部下たちがどんな理由でいまの職場を選んでいるか知っています か? 

 非金銭的報酬で部下に報いようとするなら、部下1人ひとりの動機づけ条

 「なぜ、その人はその行動(仕事など)をするのか」に無関心ではいられません。

 たとえば、上司と飲むことが好きな部下なら、いい行動をとったご褒美にごちそうして
 あげるのは効果的です。

 でも、子どもとの時間を最優先にしたい部下にとっては、定時で帰れるようにしてあげた

 ほうが喜ばれます。

 部下の中に、あなたと違う価値観の人間がいても、それは当然のこと。

 「なんで?」と思う必要はありません。

 上司であるあなたにとって大事なのは、1人ひとりがその人なりにいい行動をとって

 くれて、チームの業績がアップしていくことです。

 そのために必要とされるのは、全員の価値観が同じであることではなく、全員の動機づけ

 条件が満たされていることです。

 自分と価値観が違う部下に対する先入観は捨て、その人の価値観に合った非金銭的報酬を

 与えていきましょう。

 ただし、部下1人ひとりの価値観や動機づけ条件を把握するということは、相手の内部

 にまでどかどか入り込むことではありません。

 「困ったことがあったら、いつでも話してくれよ」

 あなたの対話のドアはいつでも開いているのだということを伝えたら、それで十分なのです。

□いま、日本企業の課長に求められている能力

 課長に求められている能力とは、優秀なプレイングマネージャーであることです。

 しかし、本来プレイヤーとマネージャーはまったく別の仕事。

 それを両立するためには、大きな矛盾も抱え込むことになります。

 しかも、市場の変化が激しい時代にそれをやり遂げなくてはならないのです。

 真面目な人であれば、プレイングマネージャーという矛盾に悩むはずです。

 そもそも、プレイングマネージャーという立場自体、部下たちから憧れられる存在
 なり得ないのではないかと。

 しかし、そんな大変な状況を理解したうえで、私はあなたにそれを成し遂げてほしいと
 願っています。

 それは、なによりもあなた自身のためだからです。

 これまで、あなたは1人のプレイヤーとして成績を残せば評価されました。

 評価されてきたからこそ課長になりました。

 しかし、課長になったらマネジメントができなければ生き残れません。

 それが課長の使命だからです。

 逆に言えば、いまは大変でも、優秀なプレイングマネージャーになれたら最強。

 どこへいっても通用します。

 そういう課長に、部下は心底憧れるのではないでしょうか。

 どうか気負わずに、今日からいい職場づくりに取り組んでください。


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組織活性化のポイント

                 

組織活性化のポイント

  ■組織風土から組織文化へ

   1.組織風土は変えられる

    組織風土とは、「組織がもつ共通の価値観」と定義することができます。

    社員は規則に明記されていなくても、無意識にその価値観に従って考え行動します。

    たとえば、「残業する人は偉い」という価値観が定着している会社では、社員は仕事が終わっても
    定時に帰宅することをためらうでしょう。

    しかし、この会社の社長が長時間残業を問題視して、定時帰宅の大号令を発した場合、
    社員は最初は戸惑いながらも、定時帰宅のために仕事の仕方を工夫するようになります。

    それが繰り返されるうちに定時帰宅が当たり前となり、これまでとは逆に「残業する人は
    仕事が遅い」という価値観が定着していきます。

    このように組織風土とはそれぞれの職場の従来の「常識」や「雰囲気」を基に形成される
    ものです。

    社長が「常識」や「雰囲気」を意図的に変えることによって、組織風土も変えることができる
    のです。

   2.組織風土と組織文化

    組織風土とともに、よく取り上げられるのが「組織文化」というキーワードです。

    通常、この2つの言葉はあまり区別されることなく使用されていますが、本質的な意味は
    大きく異なります。

    この違いを理解することが重要です。

    簡単にいえば、組織風土とは、何もしない状態で勝手にできあがるものであり、組織文化とは、
    全社員が一丸となって意図的につくり上げていくものです。

    英語で表記すれば風土(climate)には「天候」という受動的な意味しかありませんが、
    文化(culture)には「耕す」という能動的な意味があります。

    特別なことを何もせずに最適な風土が定着すれば一番よいのですが、実際にはそれは
    ほとんど期待できません。

    活力ある組織づくりのためには、成り行きまかせの「風土」に頼るのではなく、自らの意志によって
    「文化」をつくり上げていく必要があります。

    前述の社長は定時帰宅の大号令を発することによって、「残業する人は偉い」という組織風土
    を改めて、「仕事は定時までに終わらせる」という新たな組織文化をつくろうとしたのです。

     ◎組織風土から組織文化へ

   3.組織風土は社長自身がつくってきたもの

    自社の組織風土について考えてみると、そこには社長自身の価値観が色濃く反映されて
    いるはずです。

    会社にとって社長は絶対的な存在であり、多かれ少なかれ社員たちは「社長の顔色」を
    伺いながら仕事をしています。

    社長の日々の言動とまったく懸け離れた組織風土が醸成されることはまずありません。

    現在の組織風土は社長の写し鏡であり、もし組織風土に問題があると感じたのであれば、
    社長自身の言動についても真蟄に振り返ってみる必要があります。

    創業期にはプラスに作用した組織風土が会社の成長や時代の変化によって、今はマイナス面を
    もたらしている可能性もあります。

    そして、自らの意志で新たな組織文化をつくっていくためには、相応の決意とパワーが必要で
    あることを覚悟しなければなりません。

   4.どのような組織文化を構築すべきか

    組織文化はさまざまな視点から考えていかなければなりません。

    その時々の会社の状況や社長の考え方によって、重視すべきポイントは異なりますが、
    一般的には表(組織文化を考える視点)について、どのような組織文化を構築したいのかを
    検討する必要があるでしょう。

    上記についてはそれぞれのバランス・優先順位についても考慮する必要があります。

    たとえば、会社への忠誠心がゆがんだ形で突出すれば、違法行為を「指摘できない」、
    「あえて見逃す」など法令遵守上の問題を引き起こす可能性もあります。

    このような経緯でいわゆる「不祥事」を起こしている会社も少なくありません。

   5.組織文化構築の取り組み

    好ましい組織文化は一朝一夕に実現するものではありません。

    また、組織文化は直接的にはコントロール不可能であり、次のような取り組みを通じて、
    結果として醸成されていくものです。

    次項以降では、

     ・会社の基本的な考え方である「経営理念」、「ピジョン」、「戦略」を明確にし、
      共感させる

     ・会社全体のフレームである組織体制を見直す

     ・人材の育成・活用・評価のルールである人事制度を改革する

    の3つの基本的な取り組みについて説明します。

  □基本的な考え方を明確にして共感させる

   1.経営理念、ビジョン、戦略を明確にする

    自社にふさわしい組織文化を構築するためには、まずは文化の根源ともいえる「経営理念」や
    「ビジョン」について、社員にはっきりと示すことが必要です。

    経営理念とは「自分たちはこうありたい」という会社の存在意義を示したものであり、
    ビジョンとは「このような姿になりたい」という将来像を描いたものです。

    たとえば、「自社商品でお客さまの心を豊かにする」というのが経営理念であり、その理念を
    貫くことで「5年後には地域一番企業になる」というのがビジョンということになります。

    まずは社長自身が経営理念やビジョンを明確にすることが必要です。

    また、ビジョン実現のためには「戦略」が必要です。戦略とはビジョン実現のために、自分たちが
    どのような事業分野で、どのような価値を生み出していくかというシナリオです。

    「5年後には地域一番企業になる」というビジョンがあったとしても、そのためのシナリオが
    なければ「絵に描いた餅」になることは明白です。

    従来と同じ方法で日々の業務をコツコツと積み重ねていくだけではビジョンは実現しません。

    社長は自社の強みや弱み、市場動向、社会動向、競合動向などを総合的に分析し、ときには
    「既存事業からの撤退、成長事業へのシフト」などの大胆な決断をしなければならないことも
    あるでしょう。

    これらの基本的な考え方については、全社員にとっていつでも「見える」ことだけではなく、
    論理的に「理解できる」こと、さらには自分自身の価値観に照らして「共感できる」ことが
    必要になります。

    基本的な考え方が組織文化として定着していない会社では、「理解できる」の段階で止まっている
    ことが多いようです。

    この段階では、社員は「情報」としては基本的な考え方を理解していますが、それらはあくまで
    会社から与えられたものに過ぎず、自ら消化して自分の「行動」にいかそうとは思っていない
    のです。

     ◎経営理念、ビジョン、戦略、組織文化

   2.社員の「共感」を得るために

    (1)会社の目標と社員の目標を一致させる

      社員から共感を得るためには、経営理念、ビジョン、戦略に従って行動することで、
      会社だけではなく社員自身も幸せになることをきちんと説明するようにします。

      社員は「自分の能力を高めたい」、「給料を上げたい」、「より重要な仕事を任されたい」、
      「家族と過ごす時間を増やしたい」などさまざまな要望をもっています。

      そして、これらの要望は会社が成長することで十分に実現可能であることを伝えます。

      つまり会社と社員の目標は一致しており、その実現に向けてともに努力することの大切さを
      理解させるのです。

      そのためには社員自身に自らの仕事や人生について深く考えさせることも必要です。

      「こうなったらいいな」という漠然としたものではなく、5年後、10年後の自分の目標を
      明確にさせます。

      そして、その目標を会社成長のプロセスのなかでどのように実現していくかについて、
      十分にすり合わせを行うのです。

    (2)トップ陣自らが体現する

      好ましい組織文化にふさわしい行動を、社長や幹部陣自らが積極的に体現することも
      重要です。

      たとえば、「自由闊達」、「変革」、「チャレンジ精神」といった組織文化を標榜していても、
      一部の幹部社員が旧態依然としたやり方にこだわり、新しい提案に耳を貸さないようでは、
      組織文化は一向に改善しません。

      むしろ「この会社は有言不実行である」との印象を与え、社員の活力はますます削がれて
      しまいます。

      自社の組織文化にもっとも大きな影響を与えるのは、ほかならぬトップ陣であることを
      忘れてはならないでしょう。

  □組織体制を見直す

   1.目標を実現するための組織体制

    そもそもなぜ会社に組織が必要かを改めて考えてみると、各自がバラバラで働くよりも
    組織を使って仕事をしたほうが目標に到達しやすいからです。

    組織編成はそれ自体が目的ではなく、会社の目標を達成するための「手段」に過ぎません。

    そうであればその目標にもっとも到達しやすい組織編成を行うことが当然の選択となります。

    そして会社の目標は変化していくので、それに合わせて組織体制も最適化していく必要が
    あります。

    たとえば、自社が本格的に新規事業を模索している場合には、新規事業の開発部門、実行部門
    などを独立させて、集中的な取り組みができる環境を整える必要があります。

    逆に撤退を予定している事業があれば、当該部門は縮小・廃止していかなければなりません。

    また、現業部門だけではなく、経理・人事といった間接部門のあり方にも配慮する必要が
    あります。

    自社の現状や将来を見据えて、目標実現のための最適な組織体制を構築することが大切です。

   2.会社の成熟度合いに応じた組織体制

    会社にはその成熟度合いに応じたふさわしい組織体制があります。

    たとえば、創業間もない頃に必要な組織体制と、十分に成熟した後に必要な組織体制は
    まったく異なります。

    これを4つの段階に分けて考えると次のようになります。

    (1)集中段階

      創業社長が立ち上げたばかりの段階であり、会社のすべてについて社長がコントロール
      している状態です。

      ここで必要なのは社長の意思決定がダイレクトに伝わるシンプルな組織体制です。

      また、次の段階を見据えて、信頼できるマネージャー育成にも着手しなければなりません。

    (2)共同化段階

      会社組織が機能し始める段階です。

      社長が直接関与する範囲は重要業務に限定され、日常業務は部門長を通じて遂行
      されます。

      この段階では社長の方針が組織全体に行き渡る仕組みづくり、責任と権限の委譲を
      進めることなどが重要になります。

    (3)公式化段階

      会社組織が本格的に機能している段階です。

      組織は機能ごとに細分化され、階層も増えていきます。

      この段階ではできるだけ合理的に組織設計を行うこと、組織間のコミュニケーションを
      促進することなどが必要です。

    (4)精巧化段階

      組織体制やルールをマイナーチェンジすることで、より洗練した組織運営をめざす
      段階です。

      この段階では組織は一応の完成形となる半面、組織の枠組みやルールに縛られるあまり、
      大胆で創造的な動きは敬遠される傾向が強くなります。

      場合によっては組織を大規模に再構築する必要もあります。

      たとえば、自社がようやく組織運営を始めた(2)共同化段階にあるにもかかわらず、
      いたずらに組織の細分化や階層化を進めると、逆に効率悪化につながることもあります。

      自社の成熟度合いに応じた適切な組織体制を検討することが大切です。

  □人事制度を改革する

   1.人事制度の目的

    人事制度の目的は、会社が社員に対して、「どのような人材を求めているのか」、
    「どのように人材を育てようとしているのか」、「どのような能力・業績・姿勢が評価されるのか」
    などを明確に示すことにあります。

    当然ながら人事制度のあり方は組織文化に大きな影響を与えます。

    合理性や公平性を欠いた人事制度のままでは、好ましい組織文化は定着しません。

    また、人事制度を改革することは、社員に対して、会社が本気で変わろうとしていることを
    示す強烈なメッセージとなります。

    さらに人事制度改革を進めるプロセスのなかでは、多くの場合、社長自身がまだ気づいて
    いない組織の問題点も浮き彫りになります。

    問題点に真撃に向き合うことで、めざすべき組織文化や問題解決に必要な施策もみえてきます。

   2.改革の手順

    人事制度改革では「目的の明確化」、「わかりやすさ」、「公平・公平さ」、「社員の納得」などが
    大きなポイントになります。

    これらを実現するためには次のような手順が必要となります。

    1)基本事項の確認と設計

     ……経営理念・ビジョン・戦略を基に、自社に必要な人材像や人事制度の基
        本方針を決定する。

    2)現状把握

     ……アンケートや面談などによって、社員のモチベーションや能力、現状の人
        事制度への不満などを確認する。

    3)ギャップと課題の把握

     ……上記1)、2)を比較し、現状とあるべき姿のギャップ、ギャップ解消のため
        の課題を抽出する。

    4)基本設計

     ……課題解決策を盛り込んだ新人事制度の概要を設計する。

    5)社員へのフィードバック

     ……新人事制度を社員に説明し、合意を形成する。必要に応じて修正を加える。

    6)制度の詳細設計

     ……人事評価制度(能力評価、業績評価、態度評価)、賃金制度、昇進昇格
        制度、人材育成制度などの各種人事制度を設計する。

        わかりやすく、制度ごとの整合性が取れていることが大切。

    7)制度の導入と検証

     ……実際に制度を導入し、社員のモチベーション向上、人材育成のスピード
        アップ、会社全体の業績向上などの効果を検証する。

        必要に応じて制度を修正する。

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組織体制とビジョンの見直し

                        

組織体制とビジョンの見直し

  ■組織体制
   経営環境の変化などにより、経営戦略を見直したり、新たなマネジメント手法を導入
   するなど自社の改革に取り組む会社が増加しています。
   しかし、このような取り組みが期待通りの成果を生み出さなかったり、「気が付いた
   ときには取り組み前の企業の元の姿に逆戻りしていた」といった企業の改革に失敗する
   ケースも少なくないようです。

   改革が失敗する原因はさまざまですが、新たな取り組みがもたらすであろう「成果」
   ばかりに目が奪われて、組織内の人々を変革するという視点が欠けていることも主要な
   要因の一つになっています。

   企業を動かしている内部の人々が、これらの新たな取り組みを受け入れ、真剣に取
   り組まなければ、いくら素晴らしい戦略・ビジョンを立案したり、新たなマネジメント
   手法を導入しても十分な成果は期待できません。
   ここに組織を変革することの重要性があります。

  □戦略リーダーに求められる組織体制の見直し

   どのような戦略を立てるかによって、その運営機能としての組織は変化する。

   とはいえ、戦略以前に、企業の最大の経営資源である“ヒト”の適正配置がうまく
   いかなければ、いかなる戦略も達成できない。

   次代の経営幹部となる戦略リーダーは、組織体制の見直しや新たな組織づくりの
   際、どのような点に留意すればよいのか。

   次に3つのポイントを示す。

    1.意思決定構造を見直す
      意思決定構造とは、「誰が(何が)、何を、どう決めるか」の流れです。

      例えば、収益性を改善する目的で、今まで訪問していた顧客の絞り込みを行
      う場合で考えてみましょう。

      基本的には、自社に付加価値をもたらす取引先や顧客に割く時間を増や
      す。

      これは必然的に「訪問しない」「取引しない」顧客を決めることにつながる。

      もちろん、いきなり訪問中止・取引停止はできないため、徐々に減らすことに
      なります。

      またターゲット顧客が変わるため、「提供商品・サービス」の重点も変わる。

      「何でも売る、どこにでも提供する」のではなく、自社のお勧め商品や提案商
      品を型決めして取り組む必要があります。

      ここでも「絞る」ことから、「売らない商品」「提供しないサービス」が生まれ

      ることになるのです。

      当然ながら、こうした「見極め」は現場それぞれの意思決定に任せるわけに
      はいきません。

      戦略リーダーが自らの判断基準でジャッジし、現場の行動レベルに落とし
      込む流れを整備せねばならない。

      具体的には、まず部門方針として方向性を示し、ゴールとして目指すべき期

      限や到達目標の数値を示す。

      その上で、部署長が部署の数値目標や達成基準を実現するために必要な
      方策を部門長に提案します。

      承認されれば、その取り組みに関する実行責任と人員を使って実現するた
      めの指示命令権限を持つ。

      どの顧客に、いくらの価格で、どの程度の取引を行うかを部署長が決められ

      るようにし、部門長から部署長に直接指示を出す形から、会議による意思決
      定の仕組みとする。

      また、稟議書などのツールにより、生産性の高い意思決定へとステップアッ
      プさせる。

    2.権限委譲ルールを見直す
      これは「誰に、何を任せるか」ということです。

      まず、社内で公開されている数値について、どの階層にどこまでの数値を
      オープンにするかを決めることです。

      数値を開示することで、責任感を持たせることが狙いである。

      また、「誰に」「何を」「どのように」「いくらまで」の判断を任せるか。

      その決裁基準を決める。与える権限といっても、「提案する権限」「検討する

      権限」「決定する権限」「報告を受ける権限」などがある。

      いきなり何でもかんでも決裁させようとすると、必ず無理が生じる。

      物理的に判断が遅れたり、判断がブレたりすることもある。

      したがって、権限の範囲を決める必要がある。

      さらに、会議体や稟議書などのツールを含め、決める内容と決め方を改める

      こと。

      組織の進化は、分権化と切り離すことはできません。

      中小・零細企業の場合、トップが集中して権限を持つことでスピーディーな判
      断や行動が取れる。

      ただし、企業の規模拡大につれ限界がきます。

      そこで、次のような権限委譲の仕組みを整える。
       @判断をスピーディーにする予算制度などの計画経営の導入

       A判断に必要な事実を意思決定者に集約する報告制度の整備

       B決裁事項を判断するための仕組み(検討会議の発足や決裁書、
         稟議書などのツール)

       C決定事項を現場に伝えるコミュニケーションツールの整備を図り、
         現場に近い部署に責任を下ろし、より実態に合った判断が行えるような
         権限を与える

      自社の組織規模を確認した上で、最適な権限委譲ルールを検討してみてく

      ださい。

    3.経営システムを見直す
      「経営システムを見直す」とは、マネジメントに関するルールを見直す
      ことです。

      例えば、業績をコントロールするための管理会計に基づいた予算制度や原
      価制度。

      業績の何を管理するのか、結果数字でなく、プロセス数字を管理するのであ

      れば、基準づくりが必要。

      営業部門で接待交際費の年間予算を立てれば、その予算内に収まっている
      か。

      収まっていなければ、原因を把握して妥当性を確認します。

      あるいは製造部門なら標準原価を設定し、原価差異をつかんで改善に結び

      付ける。

      このように正常以外は“異常”とし、その異常の程度と原因をつかめるように
      しておくことが必要です。

      また、生み出した利益を配分するための人事処遇制度。

      どのように配分するかのルールについては、外部環境の変化を定点観測

      し、2年ごとに検証を行う。

      内容は、「月収」と「賞与を含めた年収」について、業界平均の賃金相場と
      時間外手当の有無まで比較します。

      年代別や勤続年数別にみることによって、自社の現状を把握できる。

      また5年ごとに運用面を、10年ごとに制度自体の見直しも検討する。

      評価制度については、昨今は全社方針を受けた部門・部署方針の実行度
      を、個人別評価に反映させるウエートが大きくなってきているが、運用面でう
      まくいっていないケースもよく見聞きします。

      制度をつくって安心するのではなく、運用しながら、より妥当性のある修正を

      図りつつ、定着させることが必要になる。

      「仕組み3割、運用7割」と心得ることです。

      最後に教育制度。

      会社の求める人材理想像、自社の職務基準に沿った人事考課表で求める

      要件と、現状とのギャップを把握し、計画的な人材育成を図る。

      会社の戦略に関わる人材の育成については、通常の教育予算と別に、「戦
      略経費」として年間予算を組み、教育を行う必要があります。

      人材開発には時間がかかる。

      だからこそ早く取り組む必要があるのです。

      商品開発だけでなく、人材開発についても、戦略リーダーが旗振り役となっ
      て取り組んでほしい。

  □戦略リーダーに求められるビジョンの見直し
   ここでのテーマは、戦略リーダーに期待される「ビジョンづくり」についてです。

   ビジョンづくりは本来、企業トップが行うべき経営マターの一つだが、経営幹部候
   補である戦略リーダーが取り組むことが趣旨です。

   それでは、戦略リーダーがビジョンづくりに取り組むメリットは何んでしょうか?

   大別して5つのノウハウが習得できること。

   そのノウハウのポイントについて紹介したい。

    1.時流・ニーズ変化を読む力が身に付く
      自社を取り巻く経営環境を的確に把握し、これからの環境変化にどう立ち向
      かうのか。

      これは昨今、よく話題に上るテーマで、中でも次の5点について「読む」ことが
      重要である。
       @グローバル的観点での諸外国の影響(マクロ的視点)

       A少子高齢化に伴う人手不足が経営に与えるインパクト予想
        (内需型産業での視点)

       Bこれから伸びる業態、衰退する業態の把握

       C既存およびターゲット顧客におけるニーズの変化予測

       D他業界・他業態からの越境ライバルを含めた競合先動向の分析

      これまでとは次元の違う市況変化・顧客ニーズ変化・ライバル変化が起こる

      現実に対し、いかに立ち向かうかを経営者目線で検討します。

      この経験を通じて、将来の時流を読む力・ニーズ変化を読む力を養うことが
      できる。

    2.自社の事業力を把握する力が身に付く

      (1)事業ポジショニング分析
        「マーケットの魅力度」と「わが社の事業競争力」を軸に、一定のルールに
        基づき、現在運営している事業を「有望事業」「強化事業」「残り福事業」
        「死に体事業」に分類。

        まず現状のポジショニングを認識。

      (2)経営資源の配分検討

        ポジショニングの現状が分かれば、現状の経営資源の配分実態を確認
        する。

        これは今後の事業展開次第で、経営資源の配分の仕方も異なってくるか
        らです。

        まず、ヒト・モノ・カネ・情報のうち、何がどこまで行きわたっているのか。

        その際の異常事項は何か。

        責任が発生しているのに、現状の数字情報を知らされず、抽象的な取り
        組みに終始している現場はないかを確認する必要があります。

      (3)戦略の方向性検討

        事業ポジションの現状から、これから3年、5年、10年後に向かって事業
        をどう変えるか、どうしたいのか。

        その戦略の方向性をさまざまな案を通じて検討し、最終的にはいくつかの
        候補案にまとめ、その戦略オプションをもとにいつから始め、いつまでに
        黒字化や目標達成のメドを付けるかを決めることが、当面の課題として必
        要となります。

        既存事業であれば、どの事業をどのポジションに持っていくか。

        その際は、売上規模や収益性をどの程度みるかなどを予測し、意志を
        持って10年後の姿(事業ポジション)を描くことです。

        この時に新規事業を考えるなら、既存事業との相乗効果はどうか、戦略
        リーダーとして全社的立場で大局観を持ち、メリット・デメリットまで踏み込
        んで検討しておきたいものです。

    3.競争優位戦略の構築力が身に付く
      事業ポジショニング分析に基づき顧客視点で見た時に、いかにライバルとの
      競争で優位性を保ち、成長戦略を描くのか。

      この「競争優位戦略」を組み立てる力を身に付けることができます。

      何をもって成長するのか、自社の強みや持ち味の中で何に磨きをかけるの
      か。

      「今、何が大事か」の価値判断を、「戦略リーダー会議」などを通じたディス
      カッションで構築する経験を積んでおきたい。

    4.組織戦略・人材戦略の構築力が身に付く
      「組織は戦略に従う」。

      取り組むターゲット顧客や取扱商品・サービスの重点が変われば、配分する
      経営資源も変わる。

      役割分担が変わり、組織として変更点が出てくることは当然だ。

      もちろん、現有人材に不足があれば調達しなければならない。

      ただし戦略リーダーに期待されるのは、場当たり的な採用や人事異動の発
      案ではなく、計画的な要員計画です。

      例えば、同じ部署内だけでなく、他部署も経験することを通じて、将来の部門
      長や役員として活躍する分野を広げていく、あるいは設計部門に配属された
      後、営業部門に異動させる、若いうちにさまざまな分野の営業を経験させる
      ため、定期的に営業担当者を異動させるなどのジョブローテーション。

      組織として環境対応できる人材育成を戦略的に進め、「役員は複数部門を 
      経験しないと登用しない」とルール化するなど、仕組み化を図ります。

    5.収益構造の設計力と財務構造の改革力が身に付く
      安定した業績基盤をつくるため、収益構造の設計に取り組む。

      ポイントは固定費を賄う限界利益を生み出す事業は何か、どうするかの収益
      構造を見直し「設計する力」を身に付けることです。

      次に、中期経営計画策定時における生産性基準としての必須項目である、
      生産性計画づくりが重要。

      企業トップのヒトに対する考え方を労働分配率という数字で表した基準と
      して現状を把握し、未来づくりに生かしていきます。

      最終的には将来に向けた投資判断についても、これまでの習慣を見える形
      にし、判断の機会を増やし、上司に相談する。

      この経験を通じて数字の分かる経営幹部を目指す、戦略リーダーとして財務
      構造の改革力を身に付けていく。

      自社の未来を支える戦略リーダーへの期待は大きい。

      「自社の職場を将来こうしたい!」と、自分の言葉で、目指す理想を語れる戦
      略リーダーになっていただきたい。

 

組織が抱える問題

           

組織が抱える問題

  ■組織が抱える問題

   会社の中には、部・課・チームなどさまざまな組織がありますが、会社経営において
   組織を考えた場合、「会社」がこの中で最も大きい組織単位となります。

   社長は、組織を企業の単位で俯瞰(ふかん)することが主な役割です。

   社長の中には、組織の構成や規模にかかわらず、組織というものについてさまざまな
   問題を感じている人も多いでしょう。

   また、組織が内包する問題を解決するためにさまざまな具体的施策を講じている
   会社も多いでしょう。

   しかし、その一方で、組織上の問題というと、「従業員のモチベーションの問題」あ
   るいは「コミュニケーション不足」といった比較的身近な要素にその原因を求め、 
   対策を講じようとする傾向が概して強いようです。

   もちろん、こうした要素も組織上の問題に関連する重要な要因ですが、より効果 
   的な対策を講じるためには、もう一歩踏み込んで「組織」について考える必要があ
   るといえるでしょう。

   そこで、以下では、組織上の問題を検討する上で参考となる経営組織論の視点
   から、多くの企業、特に中小企業が直面しがちな問題について考えていきます。

  □組織が起こす誤った意思決定の要因

   1.集団における意思決定の落とし穴

     経営の最終的な意思決定は経営者(および経営層)によってなされるものです
     が、意思決定を広くとらえると、企業においてなされる意思決定は、経営者や
     経営層によるものだけではありません。

     各部門の長が出席する会議、部や課で行われる販売会議や営業会議、チー
     ムなどによるプロジェクトの施策の立案など、企業では多くの場面で組織によ
     る意思決定がなされます。

     一見、組織という一定の集団での意思決定は、意見交換を通じて個人で行う 
     場合よりも合理的でより成果の上がる決定がなされるものと考えられがちで
     す。

     しかし、実のところ組織という集団における意思決定で、常に正しい判断や質
     の高い意思決定が行われるわけではありません。

     組織内で行われる集団での意思決定においては、個人であればおそらく行わ
     ないような誤った判断をしてしまうことも往々にしてあるのです。

     経営者が組織についての問題を考えその対策を検討する際は、組織に内在 
     する意思決定の構造的な要因についても十分考慮することが大切です。

     以下では、組織が起こす誤った意思決定の構造的要因とそれに対する考え方
     を紹介します。

   2.組織という集団の持つ特性

     個人の場合における意思決定と組織における意思決定が大きく異なる要因の
     一つに集団圧力の要因があります。

     集団圧力とは、「意見を統一しなければならない」という圧力のことです。

     例えば、正しい選択肢Aと、誤っている選択肢Bがある場合、個人が意思決定
     を行う場合には正しい選択肢Aを選ぶにもかかわらず、集団で意思決定を行う
     場合には、ほかの人(例えば上位者)が選択肢Bを選ぶと個人的には「誤って
     いる」と認識していても、人は選択肢Bを支持してしまう傾向があるのです。

     この集団圧力が組織内にみられる場合、たとえ正しい意見であったとしても
     「ほかの出席者の意見と異なっている」というだけで自己の意見の正当性を否
     定し、ほかの出席者の意見に従ってしまうことがあるのです。

     もう一つ、集団での意思決定において注意しなければならない要因として、集
     団思考があります。

     集団思考とは、集団での意思決定を行う場合、集団としての合意を優先する
     あまり、「集団成員への批判抑制」「自集団の過大評価」「外部集団の過小評
     価」など誤った情報処理を行ってしまい、結果として不適切な決定が下される
     ことをいいます。

     集団思考が発生する要因はさまざまですが、意思決定を行う集団の結びつき
     が強い場合、外部から隔離されるなどして、情報を収集することが困難な状況
     にあるとき、優秀(と思われる)で強いリーダーシップを発揮するリーダーが存
     在する場合に発生しやすいといわれています。

     こうした集団内では、意見の多様性が失われてしまうとともに、絶対的なリー
     ダーの意見に従う傾向が強まります。

     その上、情報の収集ができない(行わない)ために、意見の妥当性を慎重に検
     討することなく意思決定が行われてしまうこととなります。

     これが結果として不適切な意思決定を生んでしまうのです。

   3.集団における誤った意思決定を避けるには

     こうした集団の持つ特性から生じる誤った意思決定の問題を克服するための
     ポイントとしては、

      ・誰かが集団とは異なる意見を述べる

      ・意思決定の場に参加する出席者を変化させる

     などの対策が挙げられます。

     以下でこの2つのポイントについて簡単に紹介します。

     (1)誰かが集団とは異なる意見を述べる

       集団圧力の発生は心理的観点からみると、「ほかの出席者と違う意見を述
       べることで集団内での自己の評価が下がるのではないか」という恐怖感が
       影響しているといわれます。

       この集団圧力を緩和するには、集団とは異なる意見を述べることのできる
       (述べやすい)状況を作り出すことが最も基本的な対策となります。

       集団と異なる意見を述べる出者が集団内にいれば、ほかの出席者も「自分
       だけが違う意見を持っているわけではない」と考え、集団内であっても自分
       の意見を述べやすくなるからです。

       実際、集団圧力についての実験では、ほかの人全員が誤った答えを選択
       した場合と、正しい答えを選択した人が一人でもいる場合とでは、後者のほ
       うが正しい選択を行う割合が高くなるといわれています。

       従って、現在の自社の組織において集団圧力の兆候がみられる場合は、

        ・会議の議題に関して反対意見を持つ人を出席させる

        ・議題について反対意見(問題点)を述べる人を作為的に作る

       などして、経営者自身が集団の特性を意識した上で集団とは異なる意見が
       出る工夫をする取り組みが非常に大切となります。

     (2)意思決定の場に参加する出席者を変化させる

       いつも同じ集団で意思決定を行っていると、集団の凝集性が高まり、集団
       思考が発生しやすくなります。

       組織における集団思考を回避するためには、意思決定を行う集団を変える
       ことです。

       しかし、集団の全員を毎回変えることはできません。

       そこで社長の目からみて、意思決定やアイデアが硬直化しているなど集団
       思考の兆候がみられる場合は、

        ・経験にとらわれず若手社員なども出席させる

        ・他部署の者も出席させるなど、部署横断的組織とする

       といったように、経営者が集団のメンバーにアクセントをつけることで、意思
       決定の過程に多様性を持たせることも重要なポイントです。

   4.発言と退出

     ここまで、組織が起こす誤った意思決定の構造的要因についてみてきました。

     ここで、近年頻発する不祥事について「組織と人(従業員)」という観点から少し
     考えてみましょう。

     不祥事を起こした企業の中には、強力なリーダーシップを発揮しながら企業の
     発展をけん引してきたオーナー社長がいる企業が少なくありません。

     報道などをみると、こうした企業の多くはオーナー経営者の発言力が強く、従
     業員などの声が経営に反映されないという傾向があったようです。

     人は組織に対して不満や問題を感じたときにはさまざまな行動をとりますが、

      ・「その組織を変えよう」として意見を述べるなど、何らかの行動を起こす

      ・その組織を変えることをあきらめて、やめてしまう

     という二つの行動に大きく分類することができます。

     それぞれの行動は、一般的に前者は「発言」、後者は「退出」と呼ばれます。

     当然、このほかにも「何もしない」、すなわち発言も退出もしないという選択肢も
     ありますが、組織が起こす誤った意思決定の修正機会をつくるためには、人
     (従業員)に発言しやすい環境をつくることが何より大切になります。

     退出せずに発言をするか否かということは、その組織に対する忠誠心・愛着度
     などさまざまな要因が影響しています。

     しかし、発言しやすい環境づくりという視点からみた場合「発言したところで何
     も変わらない」という無力感を解消する、すなわち「自身が発言することによっ
     て誤った意思決定を覆すことができる」ということを分かってもらうことが重要と
     なります。

     また、仮に発言した意見が組織活動に反映されなくとも、少なくとも、その意見
     を真剣に検討するといった姿勢が無力感の解消には必要なのです。

     日ごろから経営者が従業員の声を拾い上げる工夫をしていれば、昨今の不祥
     事は未然に防げたかもしれません。

  □従業員の多様化に対応する組織づくり

   1.多様化する従業員

     「以前はそのようなことはなかったのに、最近は『以前と同様の方法では、業
     務をスムーズに進めにくくなってきた』など組織上の問題を感じることが多い」
     という社長は少なくないようです。

     こうした背景には、パート・アルバイト・派遣社員などの非正規社員の増加、あ
     るいは若年者を中心に勤労意識の変化がみられるなど、組織内の従業員の
     多様化が進んでいることなどがあります。

     こうした従業員の多様化に対応しながら、組織運営をスムーズに行っていくた
     めには、さまざまな対策を講じることが求められます。

     ここでは「組織のライフサイクル」という考え方を基に、多様化する従業員に対
     応するための問題を考えてみます。

   2.組織のライフサイクル

     組織に対するひとつの見方として、組織には人と同様に「誕生・成長・衰退」と
     いったライフサイクルがあります。

     ライフサイクルの段階区分はさまざまですが、以下では「1.起業段階→2.共同
     化段階→3.公式化段階→4.精巧化段階」として話を進めていきます。

     なお、各段階ごとに、戦略・マネジメントスタイル・リーダーシップのあり方など、
     さまざまな特徴がみられますが、ここでは組織という視点から簡単にその特徴
     を紹介します。

      (1)起業段階(導入期)

        組織が誕生したばかりであり、規模が小さいことから、組織の柔軟性は高
        く、組織的な活動というよりはむしろ、個々の従業員、特に社長(この時点
        では創業者である場合が多い)の個人的な資質や魅力に強く依存しなが
        ら事業が展開されます。

        また、創業時の理念や夢(あるいはそれを形にした企業理念など)に対す
        る熱い思いが従業員の間で自然に共有されており、従業員はそうした要
        因に強く動機付けられながら業務に携わります。

      (2)共同化段階(成長期)

        組織の規模が大きくなってくるため、次第に社長の個人的な資質や魅力
        に依存した組織運営が難しくなってきます。

        また、人材も多様化してくるため、創業時の理念や夢を自然と共有するこ
        とも難しくなってきます。

        そのため、経営者に求められる能力としては、組織を運営していく上で不
        可欠なマネジメント能力の重要性が増してきます。

      (3)公式化段階(成熟期)

        さらに組織規模が拡大していくとともに組織内での活動が幅広くなり、社
        長がマネジメントできる範囲を超えるようになってきます。

        そのため、組織内において社長からの権限委譲が進みます。

        また、それに伴って組織は部門ごとに分割されるなどして組織区分の明
        確化や組織の階層化が進み、官僚的組織が形成されていきます。

        また、社長の役割は、マネジメント業務から戦略の策定など、組織活動の
        方向付けを行う役割が中心になってきます。

      (4)精巧化段階(衰退期)

        官僚的組織が定着してくるに従って、セクショナリズムや責任回避といっ
        た官僚的組織のデメリットが顕在化し、組織の硬直化が進みます。

        こうした問題を解決するためには、プロジェクトチームやタスクフォースな
        どの横断的な組織制度を導入するなど、組織の柔軟化・活性化が重要な
        課題となります。

        以上は組織をライフサイクルという視点からその特徴を一般化したもので
        あり、必ずしも組織がこうした過程を経るわけではありません。

        しかし、ライフサイクルという考え方は組織を考える際に非常に参考とな
        る視点といえるでしょう。

   3.組織のライフサイクルから問題を考える

     組織のライフサイクルは、本章の冒頭で紹介した従業員の多様化という問題
     を考える上でのひとつのヒントを与えてくれます。

     本来、組織のライフサイクルは、組織の成長の基準を従業員数の増加におい
     て語られることが一般的です。

     しかし、これは単に従業員数の増加という視点だけではなく、従業員数が増加
     することによって進む「従業員の多様化」という問題を考える際にも参考にす
     ることができるのです。

     例えば、規模は決して大きくない中小企業においても、従業員の多様化などを
     原因に組織のライフサイクルと同様の特徴(問題点)がみられるケースは少な
     くありません。

     組織のライフサイクルに準じて考えると、中小企業が特に注意しなければなら
     ないのは、起業段階から共同化段階に至る過程かもしれません。

     中小企業の中には規模が小さいということから、会社運営の大部分を社長の
     個人的な資質や魅力に依存しているといった、起業段階のように未成熟な組
     織のままでとどまってしまっている場合が少なくないからです。

     しかし、起業段階にみられる未成熟な組織が成り立つのは、従業員の多くが
     創業当時のメンバーであり、創業者の理念や夢に対する熱い思いを共有でき
     ているといった要素に負うところが大きいのです。

     創業当時から苦楽をともにしている従業員の間には親密なコミュニケーション
     が図られています。

     そのため、例えば「自身の担当業務ではなくとも、ほかの従業員が困っていた
     ら協力を惜しまない」というように、指示がなくても相互補完的に業務を遂行す
     るなど、発生する問題を自発的に補い合うことから、未成熟な組織であっても
     組織として成立し得るのです。

     創業者の理念や夢を共有できているからこそ従業員は「それを実現したい」と
     いう思いから、未成熟な組織の中でも高い貢献意欲を持って進んで業務に取
     り組むことができるのです。

     規模自体はそれほど大きくなくとも、従業員の多様化が進めばその中で創業
     者の理念や夢を自然と共有することは難しくなってきます。

     従って、組織運営をスムーズに行っていくためには、何らかの施策を講じる必
     要が出てくるのです。

     とり得る施策はさまざまなものがあります。

     例えば、「創業時の理念や夢を共有できるように、従業員に熱意を持って説き
     続ける」といった起業段階の組織を再強化する対策も有効かもしれません。

     その一方で、自社の状況を勘案しながら共同化段階など組織のライフサイク
     ルを参考に、新たな組織づくりに取り組むことも有効な対策のひとつとして検
     討することができます。

  □組織変革の実現は組織の永遠の課題

   1.組織が変わることの必要性

     「組織を変える」(以下「組織変革」)ことは、企業が永続していくためには常に
     直面する問題です。

     前述した組織のライフサイクルをみても分かるように、企業を取り巻く外部環
     の変化や企業自身の内部経営資源の変化といった要因、あるいは新規事
     業進出・既存事業撤退などさまざまな要因が、企業に常に新しい組織像を求
     めてきます。

     しかし、その一方で既存事業を行うために完成された組織を変えることは非常
     に困難を伴う取り組みです。

     そこでここでは、組織にとって常に付きまとう課題ともいえる組織変革について
     考えてみましょう。

   2.組織が変わることの難しさ

     組織変革が難しい理由は、「組織には変わることを拒むという性質がある」た
     めです。

     組織変革について考える際には、まずこの性質について理解する必要があり
     ます。

     ここでは、変わることを拒む性質を生み出す問題を「組織全体のレベル」と「個
     人のレベル」の二つに分類して、その概要を紹介します。

     (1)組織全体のレベルでの問題

       組織変革ということを強く意識せずに、特段の取り組みを行わない場合、組 
       織は既存事業の強化など「現在の組織構造を強化する」という方向で変化
       する傾向があります。

       これは組織内の個々の活動をみると分かりやすいかもしれません。

       例えば、ある事業について考えれば、設備投資は、その事業をより効率的
       に行うことのできる設備などを対象に行われます。

       人事面をみると、その事業に対する高い能力を有する人材を採用したり、
       そうした能力を少しでも高めることができるように教育・訓練を実施するは
       ずです。

       また、指揮・命令系統や部課などの組織構造も既存の事業などに最適な
       形に形成されていきます。

       さらに、従業員の行動様式に影響を与える組織文化も事業遂行に適したよ
       うに形成されていきます。

       このような「現在の組織構造を強化する」という流れは、現在の組織構造を
       変化させる組織変革にとっての大きな障害となるのです。

     (2)個人のレベルでの問題

       組織全体のレベルとは別に実際に組織を動かす従業員などの中にも変わ
       ることを拒む性質があります。

       これは、組織にいる従業員の特徴というよりは、むしろ人が本質的に持つ
       特性といったほうがいいかもしれません。

       人が変化を好まない理由はさまざまですが、その大きな原因は「先が分か
       らないという不安感」にあります。

       例えば「変革に伴って業務内容が変わるが、私にできるのだろうか?」「今
       までの業務では高い評価を得られたが、新しい業務でも同様に高い評価を
       得ることができるのか?」「業務の負担量が増えるのではないか?」など、
       新しいことに対してはさまざまな不安が付きまとうものです。

       その結果「先の分からない『変化』よりも、現状のままがいい」という気持ち
       が強くなってしまうのです。

       組織変革の難しさは、組織全体のレベルでの変革と個人レベルでの変革
       をバランスよく行わなければならない点にあります。

       しかし、実際の組織変革への取り組みをみると、制度面の変更など比較的  
       容易に取り組むことができる組織全体のレベルでの変革には注意が払わ
       れているものの、個人レベルでの変革については十分な注意が払われて
       いないことが多いようです。

       そこで、以下では個人レベルでの変革を行う際の基本的な考え方を紹介し
       ます。

   3.個人レベルでの変革を行う際の基本的な考え方

     個人レベルでの変革を行う際の基本的なポイントは

      (1)組織変革の必要性(現状のままでいることは許されない理由など)を
         理解させる

      (2)組織変革を通じて実現する新たな組織像や、そのためにどのように
         変わる必要があるかという具体的な方向性を示す

      (3)組織変革の成果を実感させる

      (4)(1)〜(3)の取り組みを継続する

     という4点にあります。

     (1)で「現状のままがいい」という甘えを絶ち、真剣に組織変革に取り組まなけ
     ればならないという事実をしっかりと認識させます。

     (2)で「先がどうなるか分からない」という不安感を払拭(ふっしょく)すると
     ともに、自身が組織変革のためにすべきことを具体的に示すことで、組織
     変革に取り組みやすい状況をつくります。

     (3)で具体的な成果を通じて組織変革の正しさなどを実感させ、組織変革に
     取り組もうというモチベーションを高揚・維持させます。

     そして、(4)で従業員の心の中に時折頭をもたげてくる「以前の状況に戻りた
     い」という気持ちを抑え、継続的に組織変革に取り組んでもらうようにします。

     個人レベルでの変革において中小企業が注意しなければならないのは「分
     かっている『はずだ』」という意識です。

     個人レベルでの変革に限ったことではありませんが、規模が小さな中小企業
     では日常のコミュニケーションを図りやすいこともあり、「何度も言わなくても、
     従業員は分かってくれているはずだ」という考えを持っている社長が多いよう
     です。

     しかし、個人レベルでの変革に際しては、こうした姿勢では不十分です。

     人が変革を拒む姿勢は、組織変革によって自身が悪影響を受けることが明ら
     かな場合やどのような影響を被るのか不透明な場合だけではなく、しばしば自
     身にとってメリットの大きい結果が予想される場合においてさえみられる強力
     なものです。

     従って、個人レベルでの変革を行う場合には「分かっている『はずだ』」という思
     い込みは捨てて、「常に、組織変革の必要性や、新たな組織像を熱意を持って
     語り続ける」といったような姿勢が必要となるのです。

     実際に組織が直面する問題は非常に多岐にわたり、その状況も複雑です。

     そのため、問題の表面的な部分だけをとらえて施策を講じても、十分な効果を
     得ることが難しい場合が少なくありません。

     従って、問題を解決するための施策を検討・実施する際には、まず最初にこう
     した組織上の問題の特徴をしっかりと念頭に置いた上で、慎重に問題の原因
     を整理・分析するように心がけることが重要といえるでしょう。

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自社組織の俯瞰と分析

          

自社組織の俯瞰と分析


  ■企業は生もの

   どのオーナー企業の社長も程度の差こそあれ、裸の王様になってしまうものです。

   それは、現場のリーダーが悪いからです。

   社内の腐食は現場から始まり、最終的に会社全体を蝕んでいきます。

   企業が腐る責任は、もちろん社長にあるのですが、腐るプロセスは、現場を軽視した
   社長ではわからないのです。

   職責が上に行けば行くほど現場から離れてしまいます。

   すべては現場に赴き、すべては現場で解決することです。

   社長は現場を認識しないまま、大きな判断をしなければならなくなってしまいます。

   社長は現場からの問題意識とヒントを常につかんでおく必要がある。

   そのためにも現場のリーダーと情報を共有し、信頼関係を構築して現場の認識不足に
   ある社長を支援してもらうことが大切です。

   腐食したリンゴ1個は、隣のリンゴにも伝わり、現場から音も立てずに崩れていく
   のです。

   そして、あるとき突然、会社全体(リンゴ箱)が一気に腐敗し、砕け散ってしまい
   ます。

   腐ったリンゴの発生は、現場のリーダーから始まり、腐りかけたリンゴが復活するのも、
   すべて現場のリーダーであるということです。

   たった一人の勇気あるリンゴが、会社を救うことも多いのです。

   腐りかけたリンゴは、その状況を客観的な視野をもってトップに相談すべき責務が
   あるのです。

   自分が腐りはじめているとき、実は、隣のナシやミカンも腐りかけているのです。

   そのことを正面からトップに相談しやすい関係をつくることです。

   まず、現場のリーダーや社員と信頼関係を築かなければなりません。

  □組織の現状分析

   企業を取り巻く環境変化に、いかに対応するか。

   これは組織リーダーにとっての必須課題である。

   あなたは今の自社・自部門の組織の実力を、果たしてどの程度把握している
   だろうか。

  □組織特性を把握する4つの着眼点

   自社・自部門の組織を把握するためには、以下の着眼点が必要だ。

    1.権限委譲の実態把握
     組織における権限委譲、「責任範囲の明確化」の度合いの状況把握が
     必要。

     例えば比較的、人員規模が大きい会社であっても、創業当時はトップで
     ある創業者と数人の有志、同族・親友メンバーなどからスタートすること
     が多い。

     その時点の役割分担は、極めて明確でした。

     営業が得意な社長、仕入れが得意な兄弟、数字に詳しい社長夫人といっ
     た具合である。

     しかし、年数を経て規模が大きくなってくると、役割分担が追いつかなくな
     るのです。

     こうした状況下で、自分が何をどこまで任されているのか、今、自分の立
     場で一番やるべきことは何なのかが見えなくなってしまう。

     特に、末端になればなるほど、その傾向は顕著になるケースが多くなりま
     す。

     そこで、まずは「自分の立場で決めること(決裁責任)、やるべきこと(実 
     行責任)、伝えるべきこと(報告・相談責任)はそれぞれ何であるか」が明
     確になっているかどうかを検証する。

     この「誰」に「何」を「どの程度」任せるかという権限委譲の度合いで、組織
     としての成熟度が分かります。

     権限委譲の現場において、事実を正しくつかむ現状認識が出発点とな
     る。

     リーダーには、部下の手は離しても目は離さない関心力と、いつでも相談
     に応じる包容力の発揮度についてのセルフチェックをお勧めしたい。

    2.組織構成の実態把握
     次に、組織構成の実態を把握する必要がある。

     主な4点挙げるので、確認していただきたい。

     (1)組織階層
       自社・自部門における組織階層は何階層で、組織構成の規模は何
       人か。

       階層であれば3〜5階層、構成員は5、6名以内が一般的に適正と
       言われている。

       3階層とは役員(兼務部長)、部門長(部長または課長)、一般社員。

       5階層なら役員、部門長(部長・次長・課長など)、部署長(課長・係
       長・主任など)、ベテラン・中堅社員、一般社員など。上司が部下の
       日常活動を把握することを考えれば、多くても上司1人当たり10名
       以内の構成人数が適正でしょう。

       構成人数の多さは、組織におけるコミュニケーションスピードの遅さ
       に直結します。

       上司から部下への指示命令・気付き・アドバイスの質と量。

       また、部下から上司への報告・相談・確認の質と量に気を付け、パン
       クしないように適正なスピードが発揮できる規模かどうか、1チーム
       当たりの人数規模を検証します。

     (2)役職数と役職者数
       組織内のチーム数に応じて、リーダーとなる役職数と役職者数が決
       まってくる。

       年功序列的な発想の組織であれば、長年所属することで何らかの
       役職が付く場合がある。

       「昇給の代わりに、役職付与は体裁上やむなし」と考え、やみくもに
       役職数、役職者数ばかり増える傾向が、中小企業においても増えて
       いる。

       部門を預かる管理職の適正人員規模は、「総正社員の15%以内」
       が目安とされる。

     (3)直間比率
       直接人員と間接人員の割合を「直間比率」といいます。

       直接人員は「ライン」と呼ばれ、営業や生産など現場で付加価値を生むた
       めに直接的な業務に携わっている人員である。

       間接人員は「スタッフ」と呼ばれ、総務・経理など間接的な業務に携
       わっている人員をいいます。

       一般的に適正値とされるのは、正社員における直接人員と間接人
       員の割合が8:2から7:3の水準と言われている。

       ただし、ここで大事なのは、単に人数の多い少ないを判定するので
       はなく、なぜ多い(あるいは少ない)のかを分析することです。

       事業戦略上の方針転換の際に、一時的に間接人員の割合が高まる
       場合もある。

       また、業務上の流れが悪いために、仕事量の割に人員数が多い場
       合もある。

       直間比率の実態把握に関しては、特に原因分析が必要となります。

     (4)組織年齢
       そのほか、組織における年齢構成の現状分析も重要だ。

       平均年齢だけでなく、10代から60代以上まで、年齢層ごとの人員
       数や勤続年数の分布状況に偏りはないだろうか。

       また、生産や営業の現場の技術を支えるのが、正社員ではなく嘱
       託・パート・派遣社員の場合もあります。

       現場の技術の伝承(形式知化)が計画的に行われているだろうか。

       目先の業績ばかりに関心が向き、時間のかかる人材育成の分野ほ
       どおろそかになりがちなので要注意です。

  □組織の成長段階と組織生産性の現状分析

   1.組織の大きな四つの成長段階
    「組織の成長段階が変われば、価値判断の基準も変わる」と言われます。

    自社の事業戦略を正しく運営するための組織改革のステップでは、自社の
    成長段階における判断基準のあり方が問われる。

    ここでは、組織改革のための「組織の成長段階」と「組織生産性の現状分
    析」について解説します。

    会社組織には、大きく四つの成長段階がある。

    ただし、自社が取り組む事業の内容・規模・歴史によって成長段階は異な
    り、どれが正解といったものはありません。

    あくまで、自社の事業戦略に合った段階の組織形態が必要という点を認識
    していただきたい。

   2.組織形態のメリットとデメリット
    どんな組織形態にも、必ずメリットとデメリットがあります。

    ステップごとに、その内容を確認する。

    (1)ライン&スタッフ型組織
      誕生したばかりの初期段階の組織では、攻めと守り、営業と総務といっ
      た、ラインとスタッフの二つに分けられる「ライン&スタッフ型組織」が基
      本です。

      この段階は人員規模もさほど多くなく、トップが末端まで十分に状況を
      把握できる規模である。

      それぞれのポジションの役割も明確かつシンプルであり、組織維持に
      コストもかからないが、トップの目の届く範囲でしかコントロールできな
      いため、ある一定規模の大きさまでしか機能しない要素が強い。

    (2)機能別組織
      事業の成長とともに製品・サービスが拡充され、人員規模が大きくなる
      と、営業、生産、開発、仕入れ、購買、総務、経理といったそれぞれの
      機能・役割を組織の単位とする「機能別組織」に進化していく。

      この機能別組織こそ、どの業界においても多く見受けられる形態です。

      この組織形態は、各機能の責任体制が明確で、目標設定からコントロ
      ールや経験を積むことで専門性を高めることができます。

      組織単位では効率的な半面、会社全体での取り組みに関しては部門・
      部分最適になりやすく、経営感覚を持った人材の育成を図りにくくなり
      ます。

    (3)事業部別組織
      事業戦略を行う上で、各事業別の取り組みの責任体制をより明確にし
      た形態が「事業部別組織」である。

      取扱製品・サービス単位で分ける場合と、エリア単位で分ける場合の
      大きく2パターンがある。

      いずれも、各事業部のトップに一定の権限が与えられ、その中で経営
      資源の投入と成果を求められる独立採算性が明確になるため、経営
      感覚を持った幹部人材が育ちやすい。

    (4)分社グループ型組織(ホールディングス制・カンパニー制)
      事業部別組織よりさらに権限委譲を進めた形態が、「分社グループ型
      組織」です。

      事実上、独立した法人として運営するスタイルであり、戦略実行面では
      極めてスピーディーな判断・行動が可能になる。

      会社の資産運用や管理、中長期計画策定・実行に伴う人材の採用や
      育成など管理・マネジメントを行う組織と、その他のライン・スタッフ分野
      で、最大限の成果を上げるべく権限委譲を図ることができる。

      ただし、ある一定レベルのマネジメント能力やルール順守の風土がな
      ければ、パワーが分散してしまったり、重複した経費が発生したりする
      可能性がある。

  □組織生産性を把握する人的数値基準

   組織生産性の実態を把握し、改善するには「ゴール」を設定する必要がある。

   ここでは、組織生産性の現状分析と改善の取り組みについて、必要な数値基
   準を紹介します。

   組織の生産性を改善するために把握すべき主な数値基準は、経営効率の視
   点と現場効率の視点、合わせて4つある。

   以下にそのポイントと活用法について紹介します。

   1.経営効率視点の2指標
     経営効率視点での二つの指標、人件費率と労働分配率の内容を確認。

     (1)人件費率
       まず、人件費率であるが、これは人件費を売上高で割ったものであり、低
       いほどよいとされる。

       計算式は、

       人件費率=人件費÷売上高

     (2)労働分配率
       これは、人件費が付加価値(粗利益)に占める割合のことを言います。

       人件費率と同じく低いほどよいとされる。

       言い換えれば、組織が上げた付加価値と、その付加価値に占める人件費
       の割合を示すのが労働分配率である。

       業種平均との比較や過去実績との比較を行うことにより、自社の現在のレ
       ベルが分かります。

       労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)         

      これらの指標は、その組織全体の人件費を軸にした効率を表した指標
      です。

      しかし、いかに人件費を下げるかという議論だけで、改善は図れない。

      また率が改善(低下)しても、それが人件費の減少によるものか、人員
      減少によるものなのか、売上高人件費率や一人当たり人件費の推移
      にも注意し、当初の目的とするところのゴールが果たせたのかを確認
      することが重要です。

      さらに、人件費のコントロール以上に、付加価値向上の要素も常に検
      討していくことが必要である。

      どのような人員配置で役割分担すれば、パフォーマンスが高まるかに
      ついての検証も行うべきです。

      現場の効率を把握し、改善するために、現場の作業時間を軸にした考
      えを持つことが求められる。

   2.現場効率視点の2指標
     生産性の改善を図るには、人件費だけではコントロールが難しいため、より現
     場で目に見えやすい形で作業の改善を図る必要がある。

     このために把握しておくべき指標として、「どれだけの人数がかかったのか」と
     いう「人員」と、「どれだけの時間がかかったのか」という「作業にかかる時間」
     を掛け合わせて作業時間を把握する考え方がある。

     この作業時間を「人時(にんじ)」と呼びます。

     現場効率視点について、代表的な2指標を案内するので確認してください。

     (1)人時売上高
       売上高を作業時間で割ったものであり、1人1時間当たり(1人時当たり)
       いくら売上げたかを表したもの。

        人時売上高=売上高÷総人時

     (2)人時生産性
       付加価値(粗利益)を作業時間で割ったもので、1人1時間当たり(1人時
       当
たり)いくらの付加価値を稼いだかを表したもの。

        人時生産性=付加価値(粗利益)÷総人時

   3.目標設定のための数値活用

     生産性の改善を図る上で、何をどのようにコントロールするかを考える。

     付加価値高(粗利益高)を高めるためには、「付加価値=人時生産性×総人時」
     の式から言えば、人時生産性か総人時のいずれか、またはどちらもを高める
     ことが必要になる。

     ただし、総人時が増やせない(人員や作業時間を増やせない)となれば、いかに
     人時生産性を高めるかを考えねばならない。

     現場での現状数値を把握しておかなければ、立てた目標がやる前から達成不可能
     なものとなる。

     矛盾が起きないように、目標設定の前提となる現場での生産性の現状と、目
     標となる基準の再設定について、確認する必要があります。


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組織経営

                               

組織経営

■組織経営の本質
 創業来続けてきた経営スタイルを変えることはむずかしいことですが、規模の拡大に
 伴ない組織経営へ移行せざるを得ません。
 組織経営の本質は、トップが“部下を通じて業績をあげる”ことにあります。
 スタートから製造、販売、資金繰りと一人でやって来た社長にとって自分がやって来た
 ことを人にやらせることは不安に違いありません。


□社長が勘案すべき組織経営
 1.組織は経営目的を達成する手段
  「組織とは何か」という命題をどう考えるかは、会社の成長力を決定づける重要な
  テーマです。
  さまざまな解釈があると思いますが、ここでは、「組織」を「経営目的(トップの
  ビジョン)を達成させるための手段である」と定義したい。
  「物事には、すべてに基本がある」と言われるように、一見、複雑に思われる会社経営
  にも、セオリーがあります。
  ここでは「組織経営」の基本について、そのポイントを解説します。

 2.組織は目的を持たねばならない
  組織経営のあり方と言っても、その内容は十人十色でしょう。
  しかし、本質は共通しています。
  特に重要なことは、「経営意識」と「管理意識」の違い。

  その違いが明確でなければ、社長がすべきこと、幹部陣がすべきこと、そのほかの
  社員がすべきことが混同してしまい、結果として組織経営は成り立たなくなるのです。
  組織経営の本質は、「トップの基本路線にのっとり、組織力(チーム力)を発揮して、
  企業業績を上げること」に尽きるのです。

  したがって、社長は「経営意識」、幹部社員は「管理意識」を確立する必要があります。

  まず、「経営意識」について整理すると、次の3点となります。
  (1)トップの理念、ビジョンを提示し、浸透させること(企業目的の確立)
  (2)企業を取り巻く環境変化の現状認識と、未来予測を行い、示すこと(変化対応)
  (3)企業目的に応じた組織編成づくり(先に目的ありき)そして「管理意識」を
     整理すると、次の3点である。
     @企業目的に応じて線路(業績ストーリー)を敷くこと(ストーリーづくり)
     A常に基本線路から脱線していないか、タイムリーにヒト・モノ・カネの情報を
      チェックすること(日々のチェック体制)
     B脱線していれば即、修正すること(タイムリーな対応)

   いずれにしても、「企業目的」があって「経営管理」(マネジメント)が存在する
   のです。
   先にマネジメントがあるのではない。

   その意味でも「トップのビジョン・理念」が明確でない状況だと、「適正な経営
   管理」は成し得ません。
   基本的な内容をないがしろにして応用力は育たないものです。
   まずは、自社の「企業目的」を総点検していただきたい。

 3.優良企業とは
  ベストセラー『ビジョナリー・カンパニー〜時代を超える生存の原則〜』(日経BP社、
  1995年刊)をご存じでしょうか。
  「ビジョナリー・カンパニー」とは何かを簡単に説明すると、「設立当初の主力商品
  (またはサービス)のライフサイクル(寿命)以上に生存し、業界ナンバーワン企業
  としての地位を長期にわたって守り続けている超優良企業」のことを指します。

  その特徴は、次の7点です。
  (1)業界で卓越した企業である
  (2)見識のある経営者や企業幹部の間で、広く尊敬されている
  (3)私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
  (4)過去に何回か企業存亡の危機(逆境)を乗り越える経験をしている
  (5)最高経営責任者(CEO、トップ)が世代交代している
  (6)当初の主力商品(またはサービス)のライフサイクルを超えて繁栄している
  (7)1950年以前に設立されている

 4.カリスマ性よりも永続性
  特に興味深いことは、ビジョナリー・カンパニーと呼ばれる企業は、それ以外の企業と
  比較して、社外の人材を経営者として登用する確率が6分の1しかなかったという
  事実です。

  加えて、世間的に見て“カリスマ指導者”が存在しないことも興味深い。
  指導者のカリスマ性は、企業存続の弊害にはなっても、プラスにはならない。
  つまり、ビジョナリー・カンパニーとは、潜在的に次代を担う経営者が社内で常時
  育成されている企業なのです。

  逆説的に言えば、社外から経営者を迎え入れなければならない企業が永続的に繁栄
  することは、なかなか難しいということなのでしょう。

  分かりやすく説明すると、例えば、現在のトップが60代であれば50代、40代、
  30代の各世代(ジェネレーション)で将来トップを任せられる人材が潜在的に育って
  いるかどうかということである。

 5.経営者予備軍の育成
  縁あって世に生を受けた企業が発展し、世間に認知され、次世代へ受け継がれて企業
  文化を築くことは、意義の大きいことです。
  そのこと自体が、まさしく社会貢献でしょう。

  「企業の1年先は決算書、5年先は商品、10年先は人材で決まる」と言われます。
  人材と企業繁栄は、切っても切れない経営の本質なのです。
  企業の永続発展に「カリスマ経営者」は要らないが、次代を担うことのできる
  「経営者予備軍」は必要です。

  表面的に派手さはなくとも、肝の据わったバランス感覚のある人材を、時間をかけて
  社内で育成すべきなのです。

□組織を機能させるための人選
 この項では、組織が機能するための推進体制のありようについて考察します。
 一般的には、米国の経営史学者アルフレッド・チャンドラーの言を引いて、「組織は
 戦略に従う」と言われます。

 それに加えて重要なことは、2001年に出版された『ビジョナリー・カンパニー2』
 (ジム・コリンズ著、日経BP社)で紹介された「誰をバスに乗せるのか、そして、
 どの席に誰を座らせるのか」という言葉に表されます。

 簡単に説明すれば、「誰にやらせるのか」という人選がすべてのスタートラインであり、
 最大の意思決定のポイントだということです。
 この点を踏まえ、ヤマト運輸の事例を参考に確認したい。

 1.ヤマト運輸の革命
  1976年に誕生した「宅急便」は、「電話1本で翌日配達」を売り物に、ドア・ツー・
  ドアで荷物を届ける画期的なシステムであった。
  戦後最大級のサービス革命と言われ、日本人の暮らしを一変させたとも言われて
  います。

  この宅急便を始めたのは、1919年に創業した運送業老舗のヤマト運輸(旧大和運輸)です。
  70年代、新興勢力に押され深刻な経営危機に直面していた同社は、2代目社長の
  小倉昌男氏(故人)が社運を賭けて個別配送の決断をしました。

  当時は、コストがかかる個人相手の輸送はリスクが高く、事業化不可能というのが業界
  の常識でした。
  小倉氏が役員会で提案したときも、役員陣全員が反対。

  しかし、長年の取引先から撤退して宅急便にかける小倉社長の気迫に若手 社員が奮い
  立ち、実現に向けて動き出した。
  早速、小倉社長がリーダーとなって、若手社員をメンバーとするプロジェクトが発足。
  作戦会議を開催した。

  その会議の場で出た提案が、「電話1本で自宅まで取りに行く」「全国どこでも翌日配送」
  の2点でした。
  このサービスは後に「宅急便」と命名された。

  当時、個人の荷物は郵便局に持ち込むのが当たり前。
  加えて配達期日は不明が常識であり、まさしく逆転の発想だった。
  この提案を実現するには、全国に拠点を設ける必要があったため、若手社員が各地に
  飛んだのでした。

  社員たちはトップの「人々の役に立ちたい」という使命感に共鳴し、行動したに違い
  ありません。
  経営危機にあった会社が起こした物流革命。

  ただし、当初はまったく注文もなく、不動産を売っての資金繰りを余儀なくされた。
  いつの時代も使命感を持ったリーダーと、それに応える技量を持った協力者がいて、
  初めて革命がなされることを再認識させられる事例です。

  それにも増して、全国に配置した若きリーダーの存在があってこそ、成し得た世紀の
  イノベーションであったと考えるのは、誰もが抱く感想だろう。

 2.変化から目を背けては生きていけない時代
  人も組織も、押し寄せる変化の波から目をそらし、保身に走りがちです。
  しかし、経営環境の変化はそれを許しません。
  世の中は変化を求める時代、あるいは変化しないことを許さない時代となっているのです。

  今までなら嵐が去るまで、じっと耐えに耐え、青空が見えたら顔を上げればよかった
  かもしれない。
  それで事が済めば何の問題もない。

  しかし、自己保身が「座して死を待つ」こととなっては意味がない。
  変化を嫌っても早晩、巻き込まれるのなら、自ら挑戦し変化の潮流を味方にする方が
  いくらかでもチャンスは広がるだろう。

  よく「ピンチこそチャンス」と言われるが、その本質は何か。
  変革期の波に乗れる企業とそうでない企業に大きく分かれるが、総じて波に乗れない企業
  の方が多いため、結果としてチャンスの芽が広がるだけのことです。

 3.人選が最重要ポイント
  こうした内容を前提に考えれば、企業経営には誠実で前向きな「プラス発想」、危機
  意識を共有させる「達意力」、信念を持って断行する「行動力」の3要素が必要だろう。
  それらが、企業経営における戦略推進力を生み出す原動力となる。

  こうした原動力を生かすためにも、企業経営のバックボーン(背骨)を再構築すべき
  時です。

  企業経営におけるバックボーンを簡単に説明すると、
  次の通りです。
   「目的、目標、方針」という経営理念をベースとした経営戦略。
   「組織、計画」という人と仕事の最適な組み合せを行う経営戦術。
   「実行スケジュール、日常の業務活動」という戦闘体制、「成果、評価、配分」
  という戦果(一般的には戦闘に含まれる)である。

  人も企業も弱いところから崩れるものです。
  変化の時代だからこそ首尾一貫した考え方が必要となる。
  一度決めたことは、何があっても守り通す強いリーダーシップが肝心であろう。

  それが信頼を生み、組織の戦略推進力を育て、強い統率力となって集団パワーを醸成
  できるのです。
  いずれにしても、「誰をバスに乗せるのか」、つまり、誰にやらせるのかという、人選を
  間違ってはならない。
  それが、経営判断の最重要ポイントであり、いつの時代にも通用する経営の原理原則
  と言えよう。

組織変革の基本プロセス

          

組織改革の基本プロセス

  ■組織改革

   近年、経営環境の変化などにより、経営戦略を見直したり、新たなマネジメント手法を
   導入するなど自社の改革に取り組む企業が増加しています。

   しかし、このような取り組みが期待通りの成果を生み出さなかったり、「気が付いた
   ときには取り組み前の企業の元の姿に逆戻りしていた」といった企業の改革(以
   下「改革」)に失敗するケースも少なくないようです。

   改革が失敗する原因はさまざまですが、新たな取り組みがもたらすであろう「成果」
   ばかりに目が奪われて、組織内の人々を変革するという視点が欠けていることも主要
   な要因の一つになっています。

   会社を動かしている内部の人々が、これらの新たな取り組みを受け入れ、真剣に取り
   組まなければ、いくら素晴らしい戦略を立案したり、新たなマネジメント手法を導入
   しても十分な成果は期待できません。

   ここに組織を変革することの重要性があります。

   ここでは経営戦略の変更や新たなマネジメント手法の導入などの改革を成功させ、
   期待通りの成果を上げるために不可欠な「人」の変革、すなわち「組織変革」という
   視点から改革を成功させるためのポイントを紹介していきます。

  □組織変革を阻む心理的要因

   組織変革の取り組みに際して、大きな問題となるのが「改革に対する心理的拒否感」
   です。

   経営者・従業員など社内の立場にかかわらず、人は先の見えない不安定な状況を
   嫌い、現状を好む傾向があります。

   この本能的ともいえる改革を拒む心理的要因は、改革によって自らが悪影響を受
   けることが明らかな場合やどのような影響を被るのか不透明な場合だけではなく、
   しばしば自らにとってメリットの大きい結果が予想される場合においてさえみられる
   強力なものです。

   改革に対する強い心理的拒否感は、一般的に以下のような要因に起因していると
   いわれています。

    ・改革が自分たちに悪影響を及ぼすと考えている

    ・改革によって自分たちが慣れ親しんだ習慣(仕事の進め方など)を変更
     しなければならないと考えている

    ・改革の必要性(現状の問題点)を認識していない

    ・改革によるメリットなど、改革後の姿を理解していない

    ・改革の必要性を他人事のように考えて、自分たちの問題として認識して
     いない

   組織変革に取り組む最大の目的は、これらの要因に起因して従業員が抱える心理
   的抵抗感を解消し、改革を円滑かつ効果の上がるものとすることにあります。

  □組織変革の基本プロセスと概要

   1.組織変革の基本プロセス

     組織変革のプロセスやマネジメント手法は多種多様ですが、一般的なプロセ
     スとマネジメント上の目的や注意すべきポイントをまとめると下表の通りになり
     ます。

     以下では、この表に沿って説明を進めていきます。

   2.改革推進のためのチームをつくる

     最初に、組織変革を推進していくうえで中心となるチームを形成します。

     このチームは、基本的に改革全般を推進していくチームと同一になります。

     しかし、組織変革という視点からみた場合、一般的に「改革推進チーム」のメン
     バーに必要と考えられがちな能力や資質とは異なる要素も検討する必要があ
     ります。

     特に、比較的規模の大きい企業にとっては、多くの人材の中から適切な人材
     を選ぶ必要があり、注意を要するステップといえます。

     人選に際しては、以下の要件を充足する人材にチームに参加してもらうことが
     理想的です。

      ・社内に影響を与えることのできる地位の高い人材

      ・課題に取り組むための高い専門知識をもつ人材

      ・リーダーシップを発揮できる人材

      ・地位にかかわらず、社内で大きな信頼を集め、多くの従業員に
       影響を与えることができる人材

     人選は、自己申告制度や上司による推薦などの方法を活用してもよいのです
     が、必ず経営者や経営者に準じた改革全体を管理するリーダーによる面接を
     行う必要があります。

     上記をみると分かるように、推進チームのメンバーとしての適性は、昇進・昇
     格や部門間異動といった通常の人事異動などの基準とはやや異なるのです。

     従って、推進チームに必要となる要件を十分に理解している経営者などが直
     接面接を行い評価を下すことが必要となるのです。

     なお、社内で評価の高い人材が必ずしも、チームのメンバーにふさわしいとは
     限りません。

     改革とは既存の社内システムの一部を壊すプロセスです。

     一方、「仕事ができる」といった評価は、しばしば既存の社内システムと密接に
     関係がある場合があります。

     このため、改革が自分の「優秀さ」の基礎となる既存システムの変更をともなう
     場合は、強い抵抗感を示す人材も少なくないのです。

     例えば、コンピュータへのデータ入力の速さで高い評価を得ている人材が、
     データ入力作業をなくし、すべての作業を自動化するというプロジェクトに対し
     て積極的に協力するかどうかはやや疑問が残ります。

     これはあくまでも例ですが、改革に際してはこのようなケースはしばしばみられ
     ます。

     従って、人材を選ぶ際には改革を進んで受け入れるとともに、ほかの従業員
     の先頭に立って改革をリードできる人材をチームの一員として選ぶ必要がある
     のです。

   3.問題点の分析

     現状の分析や将来に対する予測などを通じて、既存の取り組みの問題点を明
     確にするのがこのステップです。

     この際に注意すべき点は以下の通りです。

     (1)分析プロセスに社内人材を積極的に参加させる

       問題点のなどの分析は、組織変革推進チームを中心とした社内人材を積
       極的に参加させるようにします。

       これは、社内人材が分析を行うことによって、さまざまな分析や検討を通じ
       て自社の危機的状況を実感を持って把握してもらうことができるというメリッ
       トがあるためです。

       しかし、その際には注意しなければならない点もあります。

       無計画に社内人材のみに任せてしまうと、現状分析では悪い要因は過小
       評価し、よい点を過大評価してしまうなど、自社に甘い評価を下してしまう
       危険性がともないます。

       また、このような業務に不慣れな人材のみで行ってしまうと、質の高い分析
       を行えない場合もあります。

       従って、分析プロセスでは、客観的な目を持ってこのプロセスを進めていく
       ことのできる専門的な能力を有する人材が必要になります。

       このような人材が社内にいない場合は、社内人材をうまくコントロールでき
       るコンサルタントなどの社外人材を活用することも一つの方法です。

       ただし、社外人材はあくまで分析のサポート的な役割にとどめ、社内人材
       が中心となって分析を進めていくことが望ましいといえます。

     (2)最悪のシナリオを明確にする

       問題点や課題の分析だけではなく、変革を実施しなかった場合、その問題
       点や課題がもたらす影響も含めて明確にすることが望ましいといえます。

       この結果は、従業員の間に危機感を創出し、改革へのモチベーション向上
       を図るために有効となります。 

       例えば、変革を行わなかった場合の「最悪のシナリオ」を示すのであれば、
       誰もがその事実を認めざるを得ないように豊富な裏付けデータを提示しな 
       がら、「○%の売り上げの低下」あるいは「○部門の閉鎖」というように、想定
       される具体的な結果を導くとよいでしょう。

     (3)シナリオを可能な限り細分化する

       自社全体の問題として示すよりも、部門別、あるいは個人別のレベルまで
       シナリオを可能な限り細分化していくことによって、後述の『5.危機意識と
       改革に向けたビジョン・戦略の共有化』において、従業員により身近な問題
       として認識させることができます。

       例えば、売上高に関することであれば、「全社売上高○%の減少」よりも「△
       部門売上高●%の減少」あるいは「△部門の営業担当◆主任の担当取引
       先×社との取引停止」と示したほうが、現実味のある問題として各人が理解
       しやすくなるとともに、改革に対するモチベーションも高くなります。

   4.ビジョンとそれを成し遂げるための戦略を検討する

     自社の将来あるべき姿を示すビジョンと、問題を克服しビジョンを実現するた
     めの具体的な戦略を検討します。

     改革においてビジョンとは以下のような重要な役割を果たします。

      ・すべての社内人材の行動をまとめあげる際の指針となる

      ・苦しい改革を乗り越えていくうえでの目標を示す

     この役割を果たすような優れたビジョンを策定する際には、下記の点に注意し
     ながらビジョンを検討する必要があります。

      ・将来の企業像がはっきりイメージしやすいものである

      ・企業内外の人々にとって魅力的で、実現することが強く望まれるものである

      ・企業を改革することによって実現可能である

      ・誰もが簡単に理解できるものである

     優れたビジョンはこれらの要件を満たしているといわれますが、優れたビジョン
     というのは非常にあいまいなこともあり、実際にこれらの条件を満たした魅力
     的で優れたビジョンを生み出すことは容易ではありません。

     ビジョンを生み出すための簡単な方法はありません。

     幾度ものミーティングや見直しのための作業などの試行錯誤を繰り返しなが
     ら、数カ月以上かかることも珍らしくありません。

     このため、限られた時間の中で進める必要がある改革に際しては、あらかじめ
     期間を決定して限られた時間内で最大限の努力を行う、あるいは目的や目標
     値の設定などで代用する方法も検討する必要があります。

     ビジョンを作成した後は、そのビジョンを実現するための具体的な戦略を立案
     します。

     導入を進めるさまざまなマネジメント手法や新たな経営戦略などの改革案はこ
     の戦略の一部を形成する要素となります。

     これらのステップを通じて企業の目標とするビジョンとそこに到達するための  
     戦略が示されることから、企業が現状から改革に至る具体的なシナリオが生
     み出されることになります。

   5.危機意識と改革に向けたビジョン・戦略の共有化

     ここでは、前のステップで検討した問題点や課題とそれらを放置した場合(改
     革に取り組まなかった場合、あるいは改革に失敗した場合)の「最悪のシナリ
     オ」と、それを回避するための改革に向けたシナリオ(ビジョンと戦略)を従業
     員に伝え、社内で共有化を図ります。

     「最悪のシナリオ」は、従業員に対して「もう、現状のままではいられない」「変
     わらなければならない」という危機意識を強く植え付け、改革に対するモチ 
     ベーションを高める効果があります。 

     そして、改革に向けたシナリオを示すことによって「最悪のシナリオ」を避ける
     ために取り組むべき具体的な方策を示すのです。

     このステップで注意すべき点は、危機意識や改革に向けたシナリオを全従業
     員に周知徹底させるとともに、改革を他人事ではなく自分の問題として認識さ
     せることにあります。

     『3.問題点の分析の(3)シナリオを可能な限り細分化する』ことは、個々の従
     業員に改革を自身の問題として認識させる際に非常に効果的です。

     また、経営者や組織変革推進チームのメンバーなどが、中心となってさまざま
     なコミュニケーション手段や機会を利用しながら、組織内部に広めていく努力
     も必要です。

     例えば、

      ・スピーチ、社内報などさまざまな機会で伝えていく

      ・ミーティングなど直接的なコミュニケーションを通じて理解を促進する

      ・頻繁に、繰り返し伝える

     などの取り組みは不可欠です。

   6.計画の実行

     計画した戦略などを実行に移していきます。

     注意すべき点は、長い実行段階において、改革に対するモチベーションを持
     続していくことができるかという点にあります。

     このためには以下のような取り組みが求められます。

     (1)改革の必要性やビジョンや戦略を繰り返し伝える

       繰り返しになりますが、社内で共有化の進んだ危機意識や、ビジョンや戦
       略などの改革のシナリオを常に想起させるように、改革が成功するまで継
       続してそれらを伝え続ける必要があります。

     (2)短期的な成果を実現する

       前述したように、人は本質的に先の見えない不安定な状況を嫌う傾向があ
       ります。

       このため従業員は、ビジョンや戦略を十分に理解しても、思うような結果が
       出ないようでは改革に対する熱意は次第に低下してしまい、失敗してしまう
       原因になりかねません。

       このため、小さくても短期的な成果を実現していくことが必要となってきま
       す。

       短期的な成果を生み出し、「私たちの取り組みは正しい」ということを実感さ
       せることによって、改革に対するモチベーションを維持することができます。

       また、成功は改革に対して反対している者や疑問を感じている者に対する
       何よりの説得材料となります。

       短期的な成果を生み出すためには、前項の戦略の立案の際に、短期的な
       成功が見込める段階的な目標値を設定しておくことや、計画の一部を先行
       的プロジェクトとして計画し、集中的に取り組み、短期的な成果を実現する
       などの方法があります。

     (3)成果を適切に評価する

       改革を成し遂げるプロセスは、短期的な成果を積み重ねていくプロセスに
       なります。

       このため、昇進などの人事評価制度などを必要に応じて改正して、成功を
       その都度適正に評価することが大切です。

       また、たとえ小さな成果であっても全社を挙げて喜び、成果を生み出すうえ
       で貢献した人材や部門をたたえるような姿勢が必要です。

       改革に功績のあった人材を適正に評価することは、従業員の改革に対す
       るモチベーションを向上させる効果があります。

  □組織変革における注意点

   1.常に「揺り戻し」を意識する

     人間の心理的抵抗感は根深いものがあります。

     このため、改革が成功しているようにみえる状況においても、従業員の心の中
     には常に以前の状況に戻りたいという「揺り戻し」が働いていることを忘れては
     いけません。

     こうした「揺り戻し」を見落とし、その対処を怠ると、次第に従業員間に「揺り戻
     し」は広まっていき、改革が失敗に終わってしまう危険性があります。

     こうした揺り戻しに流されないようにするため、改革に対するモチベーションと
     勢いを維持することには常に注意を払う必要があります。

     危機意識や改革のシナリオを常に訴え続けることや、実行段階において早い
     成果を生み出していくというのはこの点について注意を払ったものとなります。

   2.反対者への対応

     改革の必要性についてどれほど熱心かつ具体的な説明を行っても、改革に同
     意しない従業員が出てくる可能性があります。

     しかし、一口に反対者といっても

      ・表立って明確な反対行動はとらないが、改革に協力もしない

      ・反対の立場を明確にしたうえで、改革に協力しない

      ・ほかの従業員に悪影響を与えるなど、改革に対してマイナスの影響を
       与える 

     といったように反対の度合いにも「温度差」があります。

     これらの従業員すべてに対して、厳しい対応が必要なわけではありません。

     反対者の意見に真摯に耳を傾けて、改革の取り組みをより多くの従業員が納
     得できるものとしていくことも必要です。

     しかし、その一方で、改革はその成否に企業の命運がかかっているケースも
     少なくありません。

     従って、改革を成功に導くためには、時には毅然とした態度を示すことも必要
     です。

     特に、ほかの従業員に悪影響を与えるなど、改革に対して明らかにマイナス
     の影響を与える従業員に対しては、厳しく望む必要があります。

   3.社長の積極的関与

     社長自らがすべての改革プロセスに主体的にかかわる必要はありませんが、
     改革に対して十分に理解し、社内に明確な支持の姿勢を示すことは欠かせま
     せん。

     また、社長は社内の人々全員から注目される存在です。

     このため、以下のような役割を積極的に果たすことが求められています。

      ・自らが率先して改革に対して積極的な姿勢を示す

      ・改革に対する「語り部」として現在の経営上の問題点や
       「最悪のシナリオ」、改革の意義などを率直に伝える

    改革は社長など一部の人間の強力なリーダーシップによってもたらされると思
    われがちです。

    確かに、社長のリーダーシップは改革には重要な要因です。

    しかし、社長がどれほど強力なリーダーシップを発揮したとしても、従業員が改
    革を拒めば「笛吹けど、踊らず」で会社は何も変わりません。

    繰り返しになりますが、改革の成否は従業員の改革に対するモチベーションを
    高め、改革のプロセスに巻き込んでいくことができるかどうかにかかっているの
    です。

    改革に取り組む際には、この点を忘れずに「組織変革」という視点からの取り組
    みも進めることが重要といえるでしょう。

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ダイバーシティマネジメント

             

ダイバーシティマネジメント

  ■ダイバーシティマネジメント

   ダイバーシティ(diversity)とは、英語で「多様性」の意味を持つ言葉です。

   企業経営でいうダイバーシティとは、企業が多様な社員を受け入れ、その多様性(性
   別、年齢、国籍、価値観など)を生かすことで、各人の能力を引き出し、個人のやりが
   い、企業の利益、競争力の向上につなげようとする考え方です。

   ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に取り組む企業が増加していますが、
   これも社員それぞれのライフスタイルを尊重して、自身の生活を大切にしつつ能力を
   発揮できる環境を作ろうという、ダイバーシティの一環といえます。

   ダイバーシティというと、一般には「女性」「高齢者」「外国人」「障がい者」などの積
   極的な活用が連想されがちであり、実際にそれはダイバーシティを考える上での重要
   な要素といえます。

   しかし、それはダイバーシティを実現するための方法の一つでしかありません。

   ダイバーシティの本来の意味は、あらゆる人たちが最大限に能力を生かせる環境を
   整え、多様な能力を企業の活力としていこうという考え方にあるといえるでしょう。

   特に欧米では異なった人たちのそれぞれの意見を、経営上の意思決定に生かして
   いこうというのが、ダイバーシティの中心的な取り組みとされています。

   しかし、移民の受け入れや人材の流動が盛んな欧米と日本では、従業員の人種・
   性別の構成やビジネス上の慣習も異なります。

   また、中小企業においては、経営上の意思決定で経営者の判断が最も重要である
   という点も忘れるべきではありません。

   上記のような点を考えると、日本の、特に中小企業においては、日本企業が置かれて
   いる経営環境やそこから派生する経営課題に応じた、日本流のダイバーシティへの
   対応(ダイバーシティマネジメント)が必要になるのではないでしょうか。

   社員のモチベーション向上という視点でも、ダイバーシティマネジメントの効果は期待
   されます。

   内閣府「男女共同参画白書」によると、共働き家庭の数は1990年の823万世帯から
   2010年には1012万世帯まで増加しており、家事や育児と仕事を両立している女性
   は増えています。

   また、今後は高齢化が進展し、加えて個性を尊重する教育を受けた若年者層も労働
   力となる時代です。

   こうした状況の中、社員が仕事に対して持つ価値観や意欲は確実に多様化すること
   になるでしょう。

   多様な価値観を持つ社員たちの従業員満足を向上させてモチベーションを高める
   
ためにも、ダイバーシティマネジメントは有効な手段となり得ます。

   以下では、日本が現在抱える経営上の課題を踏まえた上で、日本企業として取り組む
   べきダイバーシティマネジメントの在り方を考えたいと思います。

  □労働力不足という「課題」

   (独)労働政策研究・研修機構によると、産業別就業者数の推移と見通しは、  
   2020年の就業者数合計は、2009年の6282万人から55万人減少して6227万人に
   なると推計されています。

   さらに長期的に考えると、人口減少や少子高齢化によって労働力人口は減少が続く
   と考えられます。

   人材の確保が困難とされる中小企業にとって、この労働力人口の減少は将来的に
   大きな経営課題となってのしかかることになるでしょう。

   加えて、2008年秋からの世界的な景気後退に象徴されるように、経済情勢は経営者
   の意思にかかわらず刻々と変化します。

   それにともなって、市場も変化が続くことでしょう。

   つまり、これからの企業経営は、労働力人口の減少に対応しつつ、変化する市場環境
   に合わせた戦略を取っていかなければなりません。

  □価値観の多様化への対応

   労働力人口の減少に加えて、従業員に大きな変化を与えているのが個人の価値観の
   多様化です。

   前述した通り、近年ワークライフバランスに取り組む企業が増加していますが、これ
   も生活ができればよいと考える人、高い報酬を求める人、家庭生活と仕事のバランス
   を取りたいという人など、多様化した従業員の価値観に対する企業としての回答の
   一つであるといえます。

   人それぞれ、生活していく上での優先順位は異なります。

   そしてそれが、職業選択や働き方の多様化につながっているといえるでしょう。

   終身雇用という過去の日本では当たり前だった制度が崩れつつあることも、従業員
   個人の価値観に影響を与える要因となっています。

   これまでは、多くの従業員が自分の会社や所属する部門という組織に限定して働き方
   の選択をしていました。

   しかし、終身雇用が崩壊しつつある今、彼らは会社や部門の枠を超えて自分自身の
   「キャリア」として仕事を考えるようになりました。

   こうした、組織優先から個人優先という意識の変化に対応し、各個人が自身の力を
   生かす環境を作る必要が生じていることも、ダイバーシティマネジメントが注目される
   理由の一つといえます。

  □変わる「働き方」の形

   働き方の多様性に関連した問題として、非正規従業員の増加もあります。

   総務省「労働力調査」によると、雇用形態別雇用者数の推移は下表の通りです。

   全雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は、1990年代前半には20%前後で
   推移していましたが、その後上昇を続け、2010年平均では34.4%に増加しました。

   2000年以降を見てもパート・アルバイトと契約社員・嘱託の増加が顕著となっており、
   雇用の不安定化が進んでいることが分かります。

   雇用の不安定化の進行は、企業の経営環境の悪化が進む中でやむを得なかった
   という面は否めません。

   また、派遣業法の改正などによる雇用関連の規制緩和も、こうした非正規従業員の
   増加を後押しした感があります。

   一部の企業では、非正規従業員の正規化を推し進める動きも見られます。

   しかし、実際にすべての企業が非正規従業員の正規化に取り組めるわけではあり
   ません。

   現実的な問題として考えれば、非正規従業員の増加が進むという現状の中で、企業
   は正規、非正規従業員という雇用形態の枠を超えた人材の活用を求められている。

  □ダイバーシティがもたらすメリット

   1.日本における「多様性」のあり方とは

     ダイバーシティといってもそのとらえ方はさまざまです。

     最も分かりやすいのはいわゆる性別、年齢、国籍など「目に見える多様性」で
     すが、それ以外にも仕事に対する考え方や職歴、持っているスキル、人柄、生
     活習慣など目に見えない要素もダイバーシティの一つです。

     一方で、それぞれの人が持つ生活環境や事情に応じた「働き方の多様性」に
     対する姿勢も重要な要素です。

     これらの条件はそれぞれが関連し合い、不可分の要素といえます。

     しかし、ダイバーシティの在り方を考える上では、「目に見える多様性」と「働き
     方の多様性」のそれぞれに配慮する必要があります。

     (1)目に見える多様性

       ・男性、女性といった、性別の多様性

       ・高齢者など、年齢の多様性

       ・外国人など、国籍の多様性

       ・障がい者など、身体状況の多様性

     (2)働き方の多様性

       ・働く時間の多様性(短時間勤務、フレックスタイム、育児休業・介護休業の
        取得など)

       ・雇用形態の多様性(正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトな
        ど)

       ・働く場所の多様性(在宅勤務、地域採用社員、転勤のある正社員など)

       欧米でのダイバーシティでは、人種的・宗教的なマイノリティー(社会的少
       数者)の受容という考え方が大きな意味を持っています。

       これは、欧米各国の多くが多民族国家であり、人種問題を解決するための
       一つの手段としてダイバーシティが進展したためです。

       しかし、日本は欧米と異なり、これらの問題は大きな社会問題化するほど
       の影響力を持っていません。

       このように、欧米におけるダイバーシティとは事情こそ異なるものの、ここま
       で述べたような日本企業が抱える人材面での課題を考えると、ダイバーシ
       ティマネジメントへの取り組みは避けて通れないものといってよいのではな
       いでしょうか。

       上記のような事情から、日本における「目に見える多様性」は「女性」「高齢
       者」「外国人」「障がい者」の活用が中心的な考え方となっています。

       そして、これらの人たちに対して「働き方の多様性」を提供することが、労働
       力不足に陥ろうとしている日本企業にとってのダイバーシティマネジメントで
       あり、人材を最大限に活用して組織のパフォーマンスを高めるためのキー
       ポイントといえるでしょう。

       以下では「女性」「高齢者」「外国人」「障がい者」を活用することによる、組
       織にとってのメリットをまとめてみます。

   2.女性活用のメリット

     女性を活用することによる最大のメリットは、女性ならではの感性や発想を生
     かすことができる点にあります。

     化粧品・生活用品メーカーや服飾メーカーなどでは、既に女性を積極的に活
     用して商品開発などで成果を上げている事例がありますが、たとえ女性を直 
     接のターゲットにした商品を取り扱っていなくても、女性ならではの発想を生か
     すことはできるでしょう。

     そして、それは組織の創造性を向上させる大きな要因になるでしょう。

     また、一般論ではありますが、男性は意見の主張が強いのに対し、女性は他
     者との融和を図るという傾向があります。こうした行動特性は、組織内での対
     立を減らし生産性を向上させる可能性をもたらします。

     一方で、建設業など男性中心の業界で女性が働くことで注目が集まり、企業
     の宣伝につながるというのも副次的なメリットとなります。

     こうした性別の違いを生かし、組織に取り入れることで、組織としての力は向
     上するでしょう。

     参考:雇用均等に関する助成金

          キャリア形成促進助成金 

          中小企業両立支援助成金

          ポジティブ・アクション(能力アップ助成金

   3.高齢者活用のメリット

     高齢者を活用することで、過去の豊富な経験を生かせる、組織の管理能力が
     高まる、さまざまな人的ネットワークを利用できるなどのメリットが得られます。

     また、製造業においては、短時間勤務と組み合わせるなどの方法にり、高齢
     社員の持つ熟練技術を活用しながら、その技術を若手社員に継承することも
     可能です。

     高齢社員には体力の低下や、仕事に対する意欲の低下が見られることも少な 
     くありませが、過去の知識や経験に基づく判断が必要なとき、高齢者の活用
     は組織にプラスの影響を与えるでしょう。

     高齢者の活用に当たって重要なのは、高齢者の豊富な仕事経験による多様
     な考え方や見方を生かすということです。

     単純に高齢者を雇用すれば組織の能力が向上するわけではない点には注意
     すべきです。

     参考:高齢者を雇用した場合の助成金

         高年齢者雇用安定助成金(高年齢者活用促進コース)

         特定求職者雇用開発助成金

   4.外国人活用のメリット

     外国人を活用することで、日本人とは異なる新しい発想やアイデアを得られる
     ほか、日本人以外の人的ネットワークを活用できるなどのメリットが得られるで
     しょう。

     民族や国籍は、個人の考え方やものの見方と大きく関係します。

     日本人だけではできなかった発想も、外国人の活用によって得られるかもしれ
     ません。

     仮に、先進国以外の発展途上国の人材であっても高い教育を受け、専門性の
     高い人は少なくありませんし、製造業のライン作業などにおいても、高い能力 
     を発揮する外国人は多いでしょう。

     ただし、日本と外国における習慣や文化の差というものは厳然と存在するの
     は事実です。

     それを踏まえて多様性を受け入れることが、外国人活用のメリットを生かすポ
     イントといえるでしょう。

     参考:雇用調整助成金

   5.障がい者活用のメリット

     障がい者活用は、企業として果たすべきCSR(企業の社会的責任)の一つで
     あり、一定規模以上の企業には法的義務が課されています。

     加えて、社会的弱者とされる人の視点が企業経営に生かされるということがメ
     リットといえます。

     2009年4月1日に「改正障害者雇用促進法」が施行されました。

     これによって、障がい者の雇用率が1.8%に満たない企業に対して支払いが
     義務付けられている「障害者雇用納付金」の適用対象が従来の「常用雇用労 
     働者を301人以上雇用する事業主」から拡大されています。

     具体的には、常用雇用労働者201人以上の事業主は2010年7月から、常用
     雇用労働者101人以上の事業主は2015年4月から「障害者雇用納付金」の
     適用対象となり、法定雇用率に満たない企業は不足している障がい者雇用数
     1人当たり5万円(減額特例により制度適用から5年は4万円)を支払わなくて
     はなりません。

     つまり、常時101人以上を雇用する企業にとって、障がい者雇用はメリット以
     前に法的義務となっており、活用を義務付けられた人材といえます。

     参考:障害者を雇い入れた場合などの助成

          障害者初回雇用奨励金

          障害者トライアル雇用奨励金
  
  ダイバーシティマネジメントを効果的に機能させる

   1.ダイバーシティ実現を妨げる問題点

     「女性」「高齢者」「外国人」「障がい者」の活用は、決して目新しい考えではあり
     ません。

     これまでも、多くの企業がこうした人材の活用を考えたでしょう。

     しかし、実際にはその試みは中途半端な形で止まってしまったり、失敗に終
     わっているケースも少なくないのが事実です。

     それは、「女性」「高齢者」「外国人」「障がい者」それぞれを活用するに当たっ
     ては、考慮しなければならない問題点があるからにほかなりません。

     以下に、それぞれの問題点を列記します。

     (1)女性活用の問題点

       ・結婚や出産を機に早期に退職してしまう

       ・家事や子育てを優先するため、時間外労働や休日出勤を依頼しにくい

       ・出産休暇や育児休業取得による代替要員の確保が難しい

       ・力仕事など任せられない業務がある

       ・昇進や昇格への意欲が薄い傾向にある

       ・男性上位の職場風土が根強い

     (2)高齢者活用の問題点

       ・若手社員との関係がうまくいかない

       ・仕事に対する意欲を失っているケースがある

       ・過去の経験やプライドが、新しい業務への順応を妨げる

       ・高齢者が持つノウハウ、技術、技能の円滑な継承が難しい

       ・新しい技術への対応に不安がある

     (3)外国人活用の問題点

       ・言葉の問題があり意思の疎通が図りにくい

       ・考え方や生活習慣が大きく異なる

       ・企業への帰属意識が低い傾向にある

       ・職場への定着率が低い

     (4)障がい者活用の問題点

       ・健常者に比べて生産性が低下しがちである

       ・身体的な理由で長時間の勤務に耐えられない

       ・障がいの状況により、従事できる業務が限定される

     ダイバーシティマネジメントは、上記の問題点を解決し、それぞれの持つ能力
     を生かすための仕組みづくりにほかなりません。

     これらの問題をすべて解決するのは、理想論にすぎるきらいがありますが、こ
     れらの問題を少しでも減らすための環境・制度づくりは、ダイバーシティを実現
     させる上で避けられない取り組みとなります。

   2.問題解決は多様な「働き方」のための組織づくりから

     前述の障害者雇用促進法の改正に加え、近年は男女間の雇用環境に対する 
     差別的な取り扱いをなくすことを目的とした男女雇用機会均等法や、定年の引
     き上げを軸に高齢者の安定した雇用を確保することを目的とした高年齢者雇
     用安定法、子育てを支援するための企業の義務などを定めた育児・介護休業
     法などの改正・整備が進み、少なくとも法的な面では女性・高齢者の活用を促
     進する制度は整えられています。

     また、外国人についても、2007年10月に外国人雇用状況の届け出が義務化
     されるとともに、外国人従業員の雇用管理の改善および再就職支援について
     努力義務を課した「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適
     切に対処するための指針」が制定され、法的な面での雇用環境は改善しつつ
     あります。

     こうした法的な制度が整いつつある中で、ダイバーシティを機能させ企業を活
     性化させるためには、上記の法制度に加えて、社員の多様な「働き方」を尊重
     するための環境づくりや、社内制度の整備が必要でしょう。

     前項で例として挙げた問題を解消し、従業員がそれぞれの立場で働きやすく、  
     また自身の意見が言いやすい環境をつくることが、効果的なダイバーシティマ
     ネジメントとなり得ます。

     従業員それぞれが自身の生活スタイルや家族の事情に合わせて働くことがで
     き、それでいて自身の持ち味を生かせるような社内制度づくりがダイバーシ
     ティマネジメントを成功させるための重要なポイントとなります。

     以下では、ダイバーシティマネジメントを成功させるために企業としてまず押さ
     えておきたいポイントを挙げてみます。

     (1)経営トップからのメッセージ

       トップ自身がダイバーシティを積極的に受け入れ、活用していくというメッ
       セージを社内外に発信しましょう。

       大企業などではダイバーシティの専門部署を立ち上げて社内外に取り組み
       を宣言している企業も増えてきていますが、中小企業でも同じように、取り
       組みを宣言することで、社内外にそれを強く印象付けることがポイントで
       す。

     (2)コミュニケーションの仕組みづくり

       ダイバーシティとは多様性を受け入れることから始まります。

       お互いの違いを知り、理解し、意見を言うことができるコミュニケーションの
       場を整えることで、相互理解は深まるでしょう。

       これは同時に、少数派や弱者の意見が無視や排除されることのない意思
       決定の仕組みづくりにもつながります。

       具体的には、ダイバーシティを推進するための部署をつくり、そこでさまざ
       まな立場の従業員を参加させることが望ましいのでしょうが、それが難しい
       場合は、職場単位で定期的に意見交換の場を設けることで、相互の理解と
       意見交換を進めるとよいのではないでしょうか。

     (3)将来のキャリアを明確にする

       近年は、パート・アルバイトを店長に登用する企業が増加しています。

       一方で、転勤や異動のある通常の正社員のほかに、勤務地を限定した「地
       域採用社員」制度を取り入れている企業もあります。

       短時間勤務や在宅勤務制度を導入している企業も少なくありません。

       重要なのは、これらの制度を導入するに際してさまざまな立場の人たちが
       能力を発揮できるための明確なキャリアパスを提示することにあります。

       雇用形態によって待遇に差がつくのは当然のことでしょう。

       しかし、それはどのような差であって、将来的にはどのような立場で仕事に
       従事するのかを明確にしなくては、従業員は安心して働くことはできませ
       ん。

       逆に、将来のビジョンが見えていれば、従業員は安心して仕事に取り組む
       ことができるでしょう。

       これは、従業員が安定した気持ちで仕事を進める上で、大きな意味を持つ
       ことです。

     (4)管理者の重要性

       従業員の多様性を見極めるためには、個々人の性格や、置かれた状況を
       常に意識し、それを理解できる人材が不可欠です。

       そして、それができるのは現場で常に従業員と接する管理者しかいないと
       いってもいいでしょう。

       まずは管理者にダイバーシティの重要性を理解してもらうことが、ダイバー
       シティを円滑に運用するためには重要なポイントとなります。

       また、多様性を受け入れるということは、そこにある程度の衝突が起きる可
       能性も避けては通れません。

       そうした衝突が起きた際にも、まず前面に立って対応しなければならない
       のは管理者の職務です。

       そうした事態に的確に対応するために、管理者に対してコーチング、カウン
       セリングなどのスキルを育成するための教育を行うことも、ダイバーシティ
       の実践においては欠かせません。

       しかし、すべてを管理者任せにしていては、管理者の負担が増える一方で
       す。

       前述した意見交換の場なども活用し、多様性を容認できる組織風土を醸成
       していく取り組みも欠かせません。

  □対象者別ダイバーシティマネジメントのポイント

   「女性」「高齢者」「外国人」「障がい者」の活用に向けて、企業として取り組んでお
   きたいダイバーシティマネジメントのポイントをまとめます。

   1.女性活用のためのポイント

     (1)結婚・出産・育児がしやすい職場環境の整備
       出産・育児への支援は法的にも定められた制度として最も基本的なもので
       すが、そのほかにも例えばトイレや談話室の整備など、女性が働きやすい
       環境をつくることも重要です。

       また、結婚などを機に退職した女性社員に対する復職制度なども、既にス
       キルを持つ女性の有効活用策として効果的でしょう。

       結婚・出産・育児によってキャリアが断絶しないような制度をつくることで、 
       女性社員の定着率は向上することでしょう。

     (2)女性ならではの視点が生かせる機会の提供

       女性ならではの仕事を、女性に担当させることも重要です。

       例えば、体力をあまり必要としないなど、男性と比較して女性が不利になら
       ない業務を積極的に女性に担当させることで、女性の持ち味を生かすこと
       ができるでしょう。

       また、女性ならではの繊細さや視点を生かせる業務に積極的に就かせる
       のも、女性活用の基本といえます。

     (3)モチベーション向上のための取り組み

       いわゆる「性差別」は男女雇用機会均等法で原則として禁止されています
       が、実際には男女の区別は多くの企業で行われています。

       生産現場など、一般的には男性が担当する職場であっても女性を積極的
       に登用し、そうした職場でも適性があれば女性の活用を進めるなど、性別
       の先入観にとらわれない女性活用を心がけるとよいでしょう。

       女性のやる気と希望を尊重することが重要です。

   2.高齢者活用のためのポイント

     (1)ベテランの経験・技能の活用

       高齢者の最大の持ち味は、蓄積したノウハウや経験にあります。

       特に製造業などでは、ベテラン技術者が持つ経験やノウハウをマニュアル
       化することで、企業としての技術の蓄積や技能継承につながります。

       また、高齢者の望む職務内容と担当させる業務をうまくマッチングさせるこ
       とで、高齢者自身のモチベーション向上にもつながります。

     (2)若手社員とのコミュニケーションの円滑化

       高齢者と若手社員の「世代間格差」を可能な限り減らし、円滑なコミュニ
       ケーションを取るための雰囲気づくりも重要です。

       さまざまな世代の従業員が意見を交換しながら働ける環境は、ダイバーシ
       ティの理想的な姿です。

     (3)再雇用時などにおける待遇の確認

       定年後の再雇用などの場合、その後もフルタイムで働きたい人もいれば、
       ある程度仕事をセーブして生活を重視したいという人もいるでしょう。

       こうした希望を可能な限り受け入れるためにも、面談などを通じて今後の働
       き方やライフプランについて確認し、より働きやすい環境づくりを進めるとよ
       いでしょう。

   3.外国人活用のためのポイント

     (1)日本人と変わらない公平な待遇

       外国人と日本人で雇用形態や業務などを区別せずに公平な待遇をするの
       が理想的なあり方でしょう。

       外国人という理由で日本人よりも低い賃金で雇用されるケースもあります
       が、これは企業にとっては多様化の機会を損失していると考えるべきです。

       また、外国人の宗教や習慣に応じた柔軟な勤務体制を取ることも、外国人
       活用の一つのポイントとなります。

       なお、不法入国者を雇用しないなど、法令の順守は、外国人活用の基本中
       の基本となります。

     (2)教育訓練・人材育成の充実

       教育訓練制度については、言葉でのコミュニケーションが不自由な外国人
       については、特に入念に行うとよいでしょう。

       意思の疎通ができれば、ほかの従業員との相互理解も深まります。

       日本人従業員が教育係となり、マンツーマンで指導に当たっている企業な
       ども実際にあるようです。

       しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

       それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育の横行です。

       その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

       この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

       
   4.障がい者活用のためのポイント

     (1)障がいの程度に応じた適切な業務配分

       一言で障がい者といっても、身体障がい者も知的障がい者もあります。

       また、障がいの程度も人によってさまざまです。

       一般的には、手足の障がいを持つ人は移動の少ない事務系の仕事を、視
       覚障がいを持つ人には電話応対の仕事などが向いているとされますが、そ  
       れぞれの障がいの状況に加え、スキルや本人の希望・意欲などから総合し
       て業務を配分するとよいでしょう。

       また、障がいの程度に応じた短時間勤務などの導入も考慮する必要があり
       ます。

     (2)職場環境の整備

       車いすで通れる通路の整備や手すりの設置、点字や音声を利用した社内
       表示など、社内のバリアフリー化は障がい者雇用において重要なポイント
       です。

       障がい者が働きやすい施設・設備の整備や安全措置の実施は欠かさず行
       う必要があります。

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ポジティブ・アクション

              

ポジティブアクション


  働く女性の実情(平成25年版)

   『働く女性の実情』について厚生労働省から公表されました。

   その中から「結婚・出産・育児」を中心に概要をご案内します。

   1.平成25年の働く女性の状況

     平成25 年の女性の労働力人口は2,804 万人と前年に比べ38 万人増加し
     ており、労働力人口総数に占める女性の割合は42.6%となりました。

     女性の労働力率を年齢階級別にみると、左右のピークがそれぞれ「25〜29
     歳」と「45〜49 歳」、底を「35〜39 歳」とするM字カーブを描いており、10 年
     前と比べると多くの年齢階級で労働力率は上昇しています。

     これは結婚・出産・子育てなどによって就業を中断し、子育てが一段落したら
     再就職するというサイクルの女性が多く、近年ではM字の底が上昇するととも
     に、年齢が30〜34 歳から35〜39 歳にシフトしてきています。

     その要因として、非婚、晩婚化による影響が考えられ、結婚・出産した女性が
     就業継続できる環境が整備されたとは必ずしも言えない状況にあると考えら
     れます。

   2.働く女性に関する対策の概況

     少子高齢化が進行する中で、減少する生産年齢人口を補うという観点だけで
     なく、経済成長の観点からも女性の活躍促進は重要な課題と言われています。

     しかし、前述のとおり年齢階級別でみますと30 代に労働力率が低くなるM字
     カーブを描いており、結婚・出産・育児によって労働から離れる女性は10 年 
     前と比較して改善していながらも未だ多いのが現状です。

     このため、厚生労働省では、介護離職の問題とも合わせて、子育てや介護を
     しながらも働き続けやすい環境の整備、また仕事と生活の調和が取れた働き
     方を実現するために以下の取組を推進しています。

     (1)仕事と育児・介護の両立のための制度の定着促進として、短時間勤務制
       度の措置義務や所定外労働を免除する制度、パパ・ママ育休プラスなど男 
       女ともに子育て等をしながら働き続ける環境の整備を推進しています。

     (2)次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定企業」に対して税制上
       の優遇措置が取られることを周知して、認定の取得促進を図っています。

     (3)育児や介護をしながら働き続けやすい環境整備の推進として、企業にお
       ける両立支援の取組の周知や職場環境整備の促進、ファミリー・サポート・
       センター事業の推進、保育施策等の充実等などの取組の推進を図ってい
       ます。

     (4)雇用保険制度では、一定の要件を満たす方に対して、育児休業給付や介
       護休業給付を支給しています。

       また平成26 年4 月からは育児休業給付の充実を図り、男女ともに育児休
       業を取得することを更に促進しています。

     (5)マザーズハローワーク事業として、子育てをしながら就職を希望する女性
       に対しての就職支援、保育サービス関連情報の提供など、再就職に向け
       た総合的かつ一貫した支援を行っています。

     (6)全国の女性関連施設等における、女性就業促進支援事業が効果的、効
       率的に実施され、就業促進と健康保持増進のための支援施策の充実が図
       れるよう、相談対応や講師派遣などの支援事業を実施しています。

     (7)母子家庭の母等がその適性、能力にあった職業に就くことができるよう、
       職業相談の実施や、職業訓練を受講する者で所得が一定額以下の方に
       対して訓練手当を支給しています。

       なお、労働力不足が騒がれている昨今、人材戦略として女性が継続就業
       できる環境整備を行う企業も増えてきています。

       そのような場合に受給できる厚生労働省の助成金もありますので、併せて
       検討してみると良いでしょう。

  ■ポジティブ・アクションとは

   男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法などによって、性別で区別される
   ことなく、男女がともにその能力が発揮できる環境づくりが進められています。

   特に、男女雇用機会均等法は、2007年4月に改正され、「性差別禁止の範囲の拡大」
   「間接差別(後述)の禁止」などが盛り込まれました。

   しかし実際は、従来からある固定観念や役割分担意識などによって、特に女性が職場
   においてその能力を十分に発揮しているとはいえない状況にあります。

   こうした状況は、従業員の意識や意欲の低下などを招きかねず、結果として企業力の
   低下につながる恐れがあります。

   そこで、こうした男女間の差を是正し、人材を最大限に活用するための取り組みで
   ある「ポジティブ・アクション」が注目されています。

   厚生労働省「女性の活躍推進協議会」が2002年4月に発表した「ポジティブ・アクション
   のための提言」によると、ポジティブ・アクションは次のように定義されています。

  □ポジティブ・アクションに取り組むメリット

   企業がポジティブ・アクションに取り組むメリットは、

    1.生産性の向上と競争力の強化

      男性が優位な企業風土の場合、そうした風土を見直し、能力や成果に基づく
      公平な評価が徹底されれば、女性従業員の労働意欲の向上につながり、能
      力の発揮を促します。

      また、女性の活躍が周りの男性によい刺激を与え、結果として企業の生産性
      の向上や競争力の強化が期待できます。

    2.多様な個性による新たな発想の創出

      市場が多様化する中、企業は市場のニーズに合った商品やサービスを提供
      することが求められています。

      性別にこだわらずさまざまな個性を持つ人材を確保・登用することは、今まで
      とは異なった新たな発想を生み出すきっかけとなります。

    3.労働力の確保
      少子高齢化が進む中、企業が優秀な人材を確保することはますます難しい
      状況になりつつあります。

      性別にこだわらず優秀な人材を登用している企業は、「人材を公正に評価す
      る企業」として世間に認知され、優秀な人材を確保しやすくなります。

    4.企業イメージの向上

      ポジティブ・アクションは、男女間にある「差」を是正し、従業員の能力の発揮 
      と育成を実現する積極的な取り組みです。こうした取り組みを行っている企 
      業は「人を大切にしている企業」という姿勢を顧客や株主、取引先などに示  
      すことができ、結果として企業イメージの向上につなげることができます。

  ポジティブ・アクションへの取り組み状況調査結果

  □ポジティブ・アクションの実施

   1.ポジティブアクションの実施手順

     厚生労働省では、ポジティブ・アクションに関する情報提供を行う「ポジティブ・
     アクション応援サイト」を開設しています。

     「ポジティブ・アクション応援サイト」によると、ポジティブ・アクションの具体的
     な進め方は、

     ●ステップ1(現状の分析と問題点の発見)

      まずは、自社における女性従業員の状況を分析します。
      状況の分析には、「職場や職務ごとの女性従業員の比率」「女性従業員の採
      用状況や勤続年数」などの把握や、従業員への意識調査などを実施し、女
      性従業員の雇用や労働における自社の現状と問題点の把握を行います。

    ●ステップ2(具体的取組計画の作成)

      ポジティブ・アクションの目標設定と目標を達成するための具体的な取り組
      み計画を作成します。
      設定する目標としては、「男女の均等な待遇の確保」「女性の勤続年数の伸
      長」「職場の雰囲気・風土の改善」などが考えられます。
      目標は、<ステップ1>で見つけた自社の問題点を改善するものであること
      が重要です。
      設定された目標を基に、具体的な取り組み計画の策定を行います。
      計画策定時には従業員への意見聴取を実施し、従業員の意見・要望を反映
      した計画を策定するようにします。

       (1)目標の設定・具体的取組策の策定

       (2)期間の設定

       (3)労働者、とりわけ女性労働者の意見・要望の聴取

     ●ステップ3(具体的取組の実施)

      作成した取り組み計画を実行します。
      ここで大切なことは、全社的に取り組むという意識を持つことです。
      そのためには経営者が率先してポジティブアクションに取り組む姿勢を従業
      員に示すことが重要となります。

     ●ステップ4(具体的取組の成果の点検と見直し)

      目標の達成状況を確認します。
      当初設定された目標がどのくらい達成されているか、計画通りに進ちょくして 
      いるかなどを定期的に見直します。
      目標の達成状況が十分でない場合には、計画の見直しを含めて再度ポジ
      ティブアクションの進め方を検討する必要があります。

   2.ポジティブ・アクションに取り組む際の留意点

     (1)経営者が率先してポジティブアクションに取り組む

       ポジティブ・アクションは、組織の一部が行うのではなく、全社的に取り組む
       ものです。
       そのため、まず経営者自身がポジティブ・アクションを自社の重要な課題と
       とらえ、率先して取り組む姿勢を従業員に提示する必要があります。

     (2)ポジティブ・アクションを継続できる仕組みをつくる

       ポジティブ・アクションは一度目標を達成したらそれで終わり、というもので
       はありません。

       継続的に取り組みを行わなければ、本当の意味でのポジティブ・アクション
       の効果は得られません。

       そのため、ポジティブ・アクションを継続して進めるための仕組みを社内に
       つくっておく必要があります。

       例えば、社内でプロジェクトチームを設置し、ポジティブ・アクションの実施
       状況を定期的に検証することや、ポジティブ・アクションに関する社内研修
       を定期的に行ってポジティブ・アクションに対する従業員の意識を常に高い
       ものとすることなどが必要です。

       「女性の活躍推進協議会」による定義にもあるように、ポジティブ・アクショ 
       ンは単に女性を優遇する取り組みではありません。

       ポジティブ・アクションは、性別を区別することなく、企業が持つ人材を最大
       限に活用する取り組みです。

       人材は会社にとって大切な経営資産です。

       そのため、「人材を最大限に活用する」という点から、ポジティブ・アクション
       は多くの企業にとって、非常に重要な取り組みといえます。

       ポジティブ・アクションに積極的に取り組み、男女の区別なく従業員の能力
       を最大限に活用することで、企業力の向上につなげていくことが期待できる
       のです。

       男女の区別に関して、外見上は性中立的な規定や基準、慣行などが、実
       際には男女一方に不利益を与える規定などとなっている「間接差別」という
       ものがあります。

       間接差別とは、

        @性別以外の事由を要件とする措置であって、

        Aほかの性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の 
         不利益を与えるものを

        B合理的な理由がない時に実施すること

       をいいます。

       具体的には、「身長や体重、体力などを採用の条件に加える」ことなどが当
       たります(業務に必要など、合理的な理由がある場合は間接差別には当た
       りません)。

       2007年4月に改正施行された男女雇用機会均等法では、間接差別の禁
       止が明記されています。

       この法改正により、性別で差別することなく、男女がともにその能力をより
       発揮できる環境が整うことが期待されます。

       男女間の差を解消するための社会的な仕組みが整いつつある中で、今
       後、ポジティブ・アクションは企業にとって重要な取り組みの一つとなります。

  ポジティブ・アクション能力アップ助成金

   1.本助成金の目的 

     働き続けることを希望する女性労働者が就業意欲を失うことなく、その能力を
     伸張・発揮できる環境整備を推進することを目的としています。

   2.受給の条件

     (1) 女性の職域拡大または女性の管理職登用等に関し、ポジティブ・アクショ
        ン(女性の活躍推進)に関する数値目標(※1)を定めていること。
         なお、職域拡大、管理職登用の対象となる女性は通常の労働者であるこ
               と

     (2) 「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」内の「ポジティブ・アクション応
        援サイト」または「女性の活躍推進宣言コーナー」に、数値目標を掲載して
        いること

     (3) (2)の数値目標を掲載後、平成26年4月1日以降に女性の職域拡大また
        女性の管理職登用等に必要とされる能力を付与するため等の研修(「ポジ
        ティブ・アクション研修」といいます)を30時間以上実施すること

     (4) 数値目標について、2で定めるサイトまたはコーナーへの当該目標の掲  
        載日から6か月経過後3年以内に達成され、さらに支給申請日までその状
              態が継続されていること

     (5) (4)の数値目標を達成するに当たり、女性労働者のうち少なくとも1名は
        上記(3)のポジティブ・アクション研修に参加していたこと

       ※1 以下の@またはAの女性労働者に係る目標です。
          @女性の職域拡大に関する目標
            ・ 男性労働者と比較して女性労働者が相当程度少ない(※2)職務 
              において増加させる女性労働者数

          A女性の管理職登用等に関する目標
            ・ 男性労働者と比較して女性労働者の割合が相当程度少ない職
             務において増加させる女性労働者数

            ・ 社内の規定等に基づいて、男性労働者と比較して女性労働者が
             相当程度少ない役職への昇進を行うに当たり必要となる社内試
             験の合格者について増加させる女性労働者数

       ※2 「相当程度少ない」とは、女性労働者の割合が4割を下回っていること
          を言います。 

   3.受給額

     大企業:15万円
     中小企業:30万円
      ※ 1事業主当たり1回限り。

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組織活性化ためのフォロワーシップ

           

組織の活性化に欠かせないフォロワーシップ


  会社の生産力を上げるためにも、フォロワーに「ずっとこの会社にいたい」と思ってもら
  える快適さを作り上げることは、とても大切です。

  快適さとは何でしょうか? 

   人間関係が良いこと。

   給料が高いこと。

   人を使い捨てにしないこと。

   環境が良いこと。

   機会をくれること。

   チャレンジングな職場であること。

   自分の能力を役立たせるために会社がいろいろな手立てを講じてくれること

  など。

  人間は多様であり、快適さの要因はいろいろとあるでしょう。

  何を選ぶかは、個人によって異なるはずです。

  しかし、あえて言いうならば、快適さを生み出す一番根本の要因は「会社の持つ価値観
  が、自分と合うかどうか」です。

  ■成果を上げている組織の共通点

   組織が活性化している現場には一つの共通点があります。

   それは現場がイキイキしているということです。

   店長や現場リーダーがやりたいことをどんどん率先して行なっていることです。

   このイキイキしている雰囲気はどのように作られてくるのでしょうか。 

                      組織力強化マニュアルについてはこちら 

   1.経営陣と現場のコミュニケーションが円滑である

     経営陣側の想いと現場側の想いのすり合わせが、できていない会社が少なくあ
     りません。

     経営者側は「全然、期待通りに動いてくれない」「ほんと駄目だよ」と現場に対する
     不平不満が、驚くほど出てきます。

     一方、現場では経営陣への不平不満が多く出てくるのです。

     現場の不平不満の内容というのも「社長は来ても挨拶がない!」「もっと関心を持
     ってほしい!」など初歩的なものが多く、うまくいっているところは、リーダーシ
     ップ
と現場からのフォロワーシップがうまくかみ合っており、ひとつの目標に対して
     まい進しようという意識が高いものです。

   2.チームとして成果を出そうという意識が高い

     ある小売店では、現場スタッフの間で次のような行動指針があります。

      ・いかにお客さまに快くお買い物をしていただくか

      ・いかにスタッフ仲間と働きやすい環境を作るか

     例えば、接客中に内線がかかってきたり、
     他のお客様に声をかけられたりということ
     も少なくありません。

     そんな時、自分で全てを処理しようとせず
     、お客様をお待たせしないよう、他のスタ
     ッフにやってもらうようにしています。

     裏の作業を一時停止してでも、お客様対
     応を優先する雰囲気があります。

     さらにその際、声をかけあうので、フロア
     中に活気が生まれます。

     会社(店)によっては、裏の作業を黙々と
     こなし、お客様に背を向けるスタッフが多い
     のではないでしょうか。

     チームとしていかに成果を上げるかという
     意識付けを行ない続けなければ、継続して成果は生み出されません。

   3.基本の徹底
     ビジネス・組織人としての基本とは躾・マナー、報連相など成果を生む行動となる
     基本動作12項目)に集約されます。

   基本動作の徹底は現場がイキイキするためのキーワードです。

  □フォロワー(部下)の力の結集が勝ち残りの条件

   リーダーシップは上から下の視点、リーダーが部下を引っ張っていくという視点です。

   リーダーの力で、組織の仕事の効率を上げようとする考え方といえます。

   フォロワーシップはその逆。

   下から上の視点、部下がリーダーに協力する力で、組織の仕事の効率を上げようとする
   考え方のことをいいます。

   フォロワーシップの考え方では、部下のことを、リーダーという言葉に対応させて「フォ
   ロワー」と呼びます。

   フォロワーを簡単に定義すれば、「従って行動する人」のこと。

   リーダーが理念や計画を決め、フォロワーがその理念や計画に従って行動するという関
   係となります。

   組織とはリーダーの存在によって良くもなり、悪くもなります。

   では、フォロワーはただ単にリーダーのいうことをしっかりやっていれば良いのでしょ
   うか。

   フォロワーもリーダーに対して影響力を持ち、全体の成果に大きく関わってきます。

   リーダーシップとフォロワーシップというのは、表裏一体のものなのです。

   どちらか一方が欠けてしまうと機能しません。

   昨今、多くの企業のフォロワー層を見てみると、集団を引っ張って入ってくれる、強い
   リーダーシップを求めるという傾向にあります。

   これをやれば成果が見込めるという活動が以前よりも減ってきているため、現場社員
   が迷っている表れなのかもしれません。

   リーダーは方策を決めかねてばかりいると、フォロワーからの信頼が落ちてしまい
   かねません。

   実際、フォロワーのリーダーへの不信というのは、こういったケースが多いのです。

  □現場が動かないと嘆く前に

   あなたは人の“やる気”を見たことがありますか?

   普通、やる気というのは目に見えません。

   経営者側は「現場が全然やる気がなくて」「こちらの期待以下だよ」と、嘆く前に、次
   のことを確認してみてはどうでしょうか?

   それぞれに対して、具体的に取り組んでいることをスラスラ挙げられるかチェックして
   みましょう。

   以下の3つはやる気が生まれる要素を説明しています。

   (1)心理的成功感

     自分自身が成功したと思えることがポイントです。

     成功は一人の力で成し遂げた場合だけではなく、他人との協働によるものでも良
     いのです。

     また、成功の大きい、小さいも関係ありません。

     むしろ小さい成功体験を積ませることで、より大きい成功へと導いていくパターン
     が効果的です。

   (2)認められる

     仕事を任せられるというのが一番“存在を認められた”と感じるものです。

     最初は些細なものからでも意気に感じて、成果を出していくものです。

   (3)人は自分が必要な人間だと思うと自信が持てる

     さらに率先して創意工夫するようになると、褒められることにより自分の存在感を
     確認できるようになります。

     逆に人間が嫌がること、やる気を失うこと
     としては、
      @ごまかされる

      A押さえつけられる

      B強制される

      C意思を無視される

      D正しく理解されない

     の5つであるといいます(マズロー『自己実
     現の経営』より)。

   コミュニケーションとは伝わったことが全てです。

   経営陣、及び現場リーダーはこまめにコミュニ
   ケーションを図り、ギャップを埋めなければなりません。

   一対一の対話、普段の声掛けを通じて行っていく必要があるようです。

   成功している組織や人というのは常に前向きな言葉を放つものです。

   常に、肯定的な言葉を使うように心掛けていきたいものです。

  □自社で行なう取組み

   基本的なスタンスとしては当たり前のことを当たり前にやり続けるということです。

   決して、特別なことをするわけではありません。

   現場が元来持っている力を引き出していくというプロセスを踏むだけです。

   ●基本の徹底

    繰り返しになりますが、やはり基本の徹底から始めることです。

    @挨拶、A返事、Bマナー、C時間、D整理整頓、E報連相、F納期、Gメモを取
      る等々、仕事の基本と呼ばれている基本動作を徹底することです。

      これらの基本ができていなくては、前に進めません。

      案外、できていないという会社(店)が多いのではないでしょうか。

   フォロワーシップの考え方を用いる場合、ひとつ注意すべきことがあります。

   リーダーだけで会社が動かないのと同様、フォロワーだけでも会社は動かないという
   ことです。

   理想的なフォロワーシップを発揮するフォロワーがそろっていたとしても、その意見や
   行動を十二分に理解し、尊重するリーダーがいなければ、せっかくのフォロワーたちの
   能力を活かしきることはできません。

   つまり、フォロワーを育てていこうとするリーダーには、フォロワーの批判的思考による
   意見を素直に受け入れるだけの度量を持つことが求められるのです。

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組織改革 


  ■組織とは

   従業員一人ひとりがそれぞれもっている力の総和以上の力を創りだし、一つの目的を
   実現するために仕事を分担し合う分業の仕組みです。
   
  ■組織の風土と文化

   組織の風土は社長自身がつくってきたものです。

   組織風土とは、「組織がもつ共通の価値観」と定義することができます。

   社員は規則に明記されていなくても、無意識にその価値観に従って考え行動します。

   たとえば、「残業する人は偉い」という価値観が定着している会社では、社員は仕事が
   終わっても定時に帰宅することをためらうでしょう。

   しかし、この会社の社長が長時間残業を問題視して、定時帰宅の大号令を発した場合、
   社員は最初は戸惑いながらも、定時帰宅のために仕事の仕方を工夫するようになり
   ます。

   それが繰り返されるうちに定時帰宅が当たり前となり、これまでとは逆に「残業する人
   は仕事が遅い」という価値観が定着していきます。

   このように組織風土とはそれぞれの職場の従来の「常識」や「雰囲気」を基に形成される
   ものです。

   社長が「常識」や「雰囲気」を意図的に変えることによって、組織風土も変えることがで
   きるのです。

   そこには社長自身の価値観が色濃く反映されているはずです。

   創業期にはプラスに作用した組織風土が会
   社の成長や時代の変化によって、今はマイナ
   ス面をもたらしている可能性もあります。
 
   そして、自らの意志で今までの組織風土から
   新たな組織文化をつくっていくことが重要で 
   す。

   しかしそれには相応の決意とパワーが必要
   であることを覚悟しなければなりません。


  □組織文化を構築

   組織文化はさまざまな視点から考えていかな
   ければなりません。

   その時々の会社の状況や社長の考え方によって、
   重視すべきポイントは異なりますが、一般的には好ましい組織文化は一朝一夕に
   実現するものではありません。

   また、組織文化は直接的にはコントロール不可能であり、以下の点の取り組みを
   通じて、結果として醸成されていくものです。

仕事に対して 仕事とは何か、基本的な姿勢、やりがい、
成果へのこだわり、創出すべき価値
会社・部門・  
同僚に対して
会社・組織とは何か、忠誠心、貢献の仕方、
上司・部下・同僚とはどのような存在か、信頼
関係、評価方法、チームワーク・一体感
社員自身に対して 成長意欲、成長努力、プロ意識、人生
全般に関する考え方、ワークライフバランス
顧客に対して 顧客満足顧客との関係性、顧客への約束
・責任
社会に対して 社会的使命、法令遵守、礼節、社会貢献、
地域貢献

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


    1.経営理念、ビジョン、戦略を明確にすることで共感を起こす

     (1)経営理念ビジョン戦略を明確にする

         会社の基本的な考え方である「経営理念」「ピジョン」「戦略」を明確にし、
         共感を得る。

        自社にふさわしい組織文化を構築するためには、まずは文化の根源とも
        いえる「経営理念」や「ビジョン」について、社員にはっきりと示すことが必
        要です。

        経営理念とは「自分たちはこうありたい」という会社の存在意義を示した
        ものであり、ビジョンとは「このような姿になりたい」という将来像を描いた
        ものです。

        たとえば、「自社商品でお客さまの心を豊かにする」というのが経営理念
        であり、その理念を貫くことで「5年後には地域一番企業になる」というの
        がビジョンということになります。

        まずは社長自身が経営理念やビジョンを明確にすることが必要です。

        また、ビジョン実現のためには「戦略」が必要です。

        戦略とはビジョン実現のために、自分たちがどのような事業分野で、どのよう

        な価値を生み出していくかというシナリオです。

        「5年後には地域一番企業になる」というビジョンがあったとしても、そのため
        のシナリオがなければ「画餅」に帰してしまいます。 

        従来と同じ方法で日々の業務をコツコツと積み重ねていくだけではビジョン
        は実現しません。

        社長は自社の強みや弱み市場動向、社会動向、競合動向などを総合的に
        分析し、ときには「既存事業からの撤退、成長事業へのシフト」などの大胆な
        決断をしなければならないこともあるでしょう。
 
      これらの基本的な考え方については、全社員にとっていつでも「見える」ことだけ
      ではなく、論理的に「理解できる」こと、さらには自分自身の価値観に照らして
      「共感できる」ことが必要になります。

      基本的な考え方が組織文化として定着していない会社では、「理解できる」の
      段階で止まっていることが多いようです。

      この段階では、社員は「情報」としては基本的な考え方を理解していますが、そ
      れらはあくまで会社から与えられたもの
      に過ぎず、自ら消化して自分の「行動」
      に活かそうとは思っていないのです。

     (2)社員の「共感」を得る

       @会社の目標と社員の目標を一致さ
         せる

        社員から共感を得るためには、経営
        理念、ビジョン、戦略に従って行動す
        ることで、会社だけではなく社員自身
        も幸せになることをきちんと説明する
        ようにします。

        社員は「自分の能力を高めたい」、「給料を上げたい」、
        「より重要な仕事を任されたい」、「家族と過ごす時間を
        増やしたい」などさまざまな要望をもっています。

        そして、これらの要望は会社が成長することで十分に実現可能であることを
        伝えます。

        つまり会社と社員の目標は一致しており、その実現に向けてともに努力する
        ことの大切さを理解させるのです。

        そのためには社員自身に自らの仕事や人生について深く考えさせることも必
        要です。

        「こうなったらいいな」という漠然としたものではなく、5年後、10年後の
        自分の目標を明確にさせます。

        そして、その目標を会社成長のプロセスのなかでどのように実現していくか
        について、十分にすり合わせを行うのです。

       A経営陣自らが体現する

        あるべき組織文化にふさわしい行動を、社長や幹部陣自らが積極的に体現
        することも重要です。

        たとえば、「顧客第一主義」、「変革」、「チャレンジ精神」といった組織
        文化を標榜していても、一部の幹部社員が旧態依然としたやり方にこ
        だわり、新しい提案に耳を貸さないようでは、組織文化は決して改善し
        ません。

        逆に「この会社は有言不実行である」との印象を与え、社員の活力はますま
        す削がれてしまいます。

        自社の組織文化にもっとも大きな影響を与えるのは、ほかならぬ経営陣であ
        ることを忘れてはなりません。

    2.目標実現のための組織体制の見直し

      なぜ会社に組織が必要かを考えてみると、各自がバラバラで働くよりも組織を使
      って仕事をしたほうが目標に到達しやすいからです。

      組織編成はそれ自体が目的ではなく、会社の目標を達成するための「手段」に
      過ぎません。

      そうであれば、その目標にもっとも到達しやすい組織編成を行うことが当然の選
      択となります。

      そして会社の目標は変化していくので、それに合わせて組織体制も最適化して
      いく必要があります。

      たとえば、自社が本格的に新規事業を模索している場合には、新規事業の開発
      部門、実行部門などを独立させて、集中的な取り組みができる環境を整える必
      要があります。

      逆に撤退を予定している事業があれば、当該部門は縮小・廃止していかなけれ
      ばなりません。

      また、現業部門だけではなく、経理・人事といった間接部門のあり方にも配慮す

      る必要があります。

      自社の現状や将来を見据えて、目標実現のための最適な組織体制を構築する
      ことが大切です。

    3.人材の育成・活用・評価のルールである人事制度を改革する

      人事制度の目的は、会社が社員に対して、「どのような人材を求めているのか」、
      「どのように人材を育てようとしているのか」、
      「どのような能力・業績・姿勢が評価される
      のか」などを明確に示すことにあります。

      当然ながら人事制度のあり方は組織文
      化に大きな影響を与えます。

      合理性や公平性を欠いた人事制度のま
      までは、好ましい組織文化は定着しませ 
      ん。

      また、人事制度を改革することは、社員
      に対して、会社が本気で変わろうとして
      いることを示す強烈なメッセージとなりま
      す。

      さらに人事制度改革を進めるプロセスのなかでは、
      多くの場合、社長自身がまだ気づいていない組織の
      問題点も浮き彫りになります。

      問題点に真撃に向き合うことで、めざすべき組織文化や問題解決に必要な施策
      もみえてきます。

      ●人事制度改革の手順

       人事制度改革では「目的の明確化」、「わかりやすさ」、「公平・公平さ」、
       「社員
の納得」などが大きなポイントになります。

       これらを実現するためには

       (1)基本事項の確認と設計

         経営理念・ビジョン・戦略を基に、自社に必要な人材像や人事制度
         の基本方針を決定する。

       (2)現状把握

         アンケートや面談などによって、社員のモチベーションや能力、現状 
         の人事制度への不満などを確認する。

       (3)ギャップと課題の把握 

         上記1、2を比較し、現状とあるべき姿のギャップ、ギャップ解消のた
         めの課題を抽出。

       (4)基本設計

         課題解決策を盛り込んだ新人事制度の概要を設計する。

       (5)社員へのフィードバック

         新人事制度を社員に説明し、合意を形成する。必要に応じて修正を
         加える。

       (6)制度の詳細設計

         人事評価制度(能力評価、業績評価、態度評価)、賃金制度、昇進
         昇格制度、人材育成制度などの各種人事制度を設計する。

         わかりやすく、制度ごとの整合性が取れていることが大切です。

       (7)制度の導入と検証

         実際に制度を導入し、社員のモチベーション向上、人材育成のスピ
         ードアップ、会社全体の業績向上などの効果を検証する。

         必要に応じて制度を修正する。

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  ■組織改革 

   業務改善や新商品開発プロジェクトなど、企業ではさまざまなシーンでチーム活動
   が行われます。

   チームの活動目的、活動期間、チームを構成するメンバーの業務上の関係性など
   はさまざまですが、いずれの場合も、チーム活動の基本目的は、メンバーの多様な
   知恵を活用し、適切な役割分担で効率的に物事を進めることです。

   複数のメンバーが「協働」するチーム活動は、個人活動よりも高度な成果を期待
   することができます。

   一方で、チーム活動が失敗した場合の時間やコストのロスも個人活動より大きく
   なります。

   従って、一度に多くの経営資源を投入するチーム活動をいかにして成功に導くか
   は、企業の人材活用おいて重要な課題です。
 
   多くの場合、チーム活動を成功に導くキーマンは、チーム活動を指揮するリーダー
   である「ミドルマネージャー」(30歳代前半から40歳代の課長職 以下「マネージ
   ャー」)になります。

   特に中小企業の場合、ほとんどのチーム活動をマネージャーが指揮する組織体制
   になっているため、その重要性は一層高くなります。

  □中小企業のマネージャーの実情

   一般的に、チーム活動を成功に導くためのポイントとしてリーダーとメンバーの信頼関係
   が重視されますが、実際に信頼関係を築くことは口で言うほど簡単ではありませんし、
   時間もかかります。

   中小企業のマネージャーの実情を考えると、マネージャーがチーム改革に費やすことが
   できる時間は限られているといえそうです。

   中小企業のマネージャーは、さまざまな属性のチームのリーダーに抜てきされます。

   マネージャーが限られた時間の中で、早期にチームを機能させる方法を検討しなければ
   なりません。

   信頼関係に基づくチームづくりは定石ですが、これには時間がかかるため、中小企業の
   マネージャーが実践できる機会は比較的限られています。

   そこで、情報共有を基礎としたチームづくりを実践してみましょう。

  □組織改革の手法

   これまで1500社以上の会社を見てきて感じることは、会社の規模には「壁」があり、
   70〜80%の会社が従業員10人以上の会社になれません。

   自分の事業が果たしてどれぐらいの規模になるのか、経営者であればこれは必ず熟考
   しなければならないことです。

   会社の将来像(ビジョン)を考えずに事業をすることは大きなリスクです。

   しかし、意外とほとんどの経営者がそれを想像することなく起業や事業をしています。

   自分のビジネスが家族経営で適正規模なのか、5〜6人規模なのか、20人から30人
   規模なのか、はたまた100人を超えるくらいなのか考えずに事業をするのは、羅針盤
   (目的)を持たずに航海に出る船のようなものです。

   経営をする時点で、自分の事業の規模についてどこまで拡大を目指していくのかを明確
   にすることは事業家としての基本姿勢です。  

   組織を強化するということは人材を強化することです。

   組織とは名ばかりの単なる個人の集合体から、一人ひとりの役割が明確な組織
   体制の構築を今から始めましょう。

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  □10人の壁

   多くの会社は、アルバイトやパートを含めても、8〜10人程までの規模には成長します。

   しかし、10人程になると組織が崩壊して退職者などが出て、また5〜6人程度まで戻
   ってしまうのです。

   逆に、「10人の壁」を突彼した会社は、一気に30人規模程度まで大きくなっていきます。

   会社の成長を見ると、この「10人の壁」を超え
   るかどうかが、次のステージに進めるかどうか
   の指標になるようです。 集団と組織.jpg

   では、この「10人の壁」を突破する方法は
   どのようなものなのでしょうか。

   約7、8割の会社が突破できない「10人の壁」。

   これを決めている要因は「集団」から「組織」
   にできるかどうかです。

   社長の下に単に社員がぶらさがるのではなく、
   社長と社員の間に中間管理職が発生します。

   しかも、その中間管理職が名ばかりの管理職
   ではなく、社長と社員の橋渡しができる役目を
   果たせる職責を果たせるかどうか。

   これができれば、「組織化」をクリアすることが
   できるでしょう。

   10人というのは、役割を分担(業務分担)しな
   ければ運営できない規模の目安です。

   営業と管理、もしくは現場と管理、といったように、
   会社内にそれぞれまったく異なる仕事をしている
   部署が存在する状態です。

   この「10人の壁」の時期に、集団を組織体制に改革していくことです。

   そのためにも「組織営業(マーケティング)」「業務改革・改善」「労務管
   理」「経営の見える化」「リスクマネジメント」などの仕組みづくりが欠かせませ
   ん。

   この規模の人数は、社長がそれぞれを直接に管理監督するにはギリギリの規模で、
   これ以上になるとどうしても従業員一人ひとりの行動には目が届かなくなります。

   むしろ人数がこれよりも少なければ、社長は組織内に十分に目が届いていなくてはなり
   ません。

   この規模の段階で本格的な人材育成に着手していかなければなりません。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   「10人の壁」が見えてきた段階で、社長自身の片腕となるリーダー(管理者)の育成と
   管理者の設置をしなければならなくなります。

   この場合、人事の基本は、社長の意のままに動ける人物でなければなりません。

   そして間違えてはならないのは、その中間管理職に仕事を決して丸投げしないという
   ことです。

   この規模の大きさで、社長が自分の仕事を中間管理職に丸投げしては、そのうち社員
   が社長の意に反して勝手に動くようになることは必然です。

   この規模で中間管理職を設置する意義は、あくまでも社長だけでは社員一人ひとりに
   目が届かなくなるのを防ぐためです。

   「10人」という数字は意識しておかなくてはなりません。

   自分が目指す組織が「10人の壁」を超えるものなのかどうかを考えなくてはならない
   のです。

   自分の商売が「10人の壁」を超えてよいものなのかどうか、見極めることが経営者の
   仕事です。

   もちろん、自分の力量も考慮しなければなりません。

   夢を追うばかりが経営ではありません。 

   さらに、従業員数が30人を超えた場合、経営管理ができなければ会社の経営効果は
   決して上がりません。
    
    ○経営管理     

     経営管理には、生産管理、販売管理、財務管理、労務管理危機管理(リスク
     マネジメント)などがあります。

     経営とは事業の種類を問わず、以下のステップの繰返しを意味するものです。

     @大きな長期の目標を設定する

     A目標をより身近なものとするために、その目標を細分化する

     B各目標達成のための活動計画をスケジュールと共に作成する

     C活動計画を実施し、目標への進捗状況をチェックする

     D獲得したお客様の信頼、満足を得るための活動を継続する

    活動計画・スケジュールの伴わない目標は目標たり得ません。

    目標の達成度合いは活動計画の進捗状況によって大きく変るものであり、常に活動が
    その計画やスケジュール通りに推移しているかどうかを確認する必要があります。

    また一方、営業はお客様あっての生き物であり必ずしも計画通りに推移するものでも
    ありません。

    活動計画やスケジュールは、ビジネスの進捗や推移、環境や情勢の変化に合わせて
    見直す事が必須です。

    こうした計画・スケジュールを実績に合わせて見ながら、必要に応じて計画の見直しを
    していくことが経営管理であると言えます。

    計画の無いところに目標はなく、また目標やその目標達成のための計画がないとこ
    ろには管理もありません。

    また、管理は継続して始めて機能するものであり、一時的なものとならない様に努力す
    る事が重要です。

    経営戦略の実行部隊である「組織と人材」の再点検をおすすめします。

   地に足が着いた経営を心がけ、このサイトにある経営の基本を自社に取り入れてみて
   ください。

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