会議の進め方とルール

会議の環境づくり

■会議の環境づくり

 会議で「何か意見のある人」 と問いかけをしても、返事がまったく返ってこないことはよくある
 もの。

 そういう時は、会議の場が上手くつくられていないのかもしれません。

 「場」 とは、物理的な環境だけではなく、会議に集まる人材のピックアップや会議の事前準備、
 始まってからの雰囲気づくりなどの総体を差します。

 会議に対する参加感や期待感が高い状態が「場がつくられている状態」 です。

□会議は大人が出席する場所である

 会議で好ましいのは意見を出し合える状態です。

 発言が少なくて、進行役が「自由に発言を」 と促す会議の方が多いとしても、考えてほしいのは、
 本当に「自
由に発言」 していいのかということです。

 会議の開始時に「俺、忙しいんだよね」と出鼻をくじかれる。

 または、紆余曲折の後、まとめに差し掛かったときに「俺はやっぱりその方向性は気にくわない」
 と議論を蒸し返される。

 自分が進行役だとしたら、非常に困る状況です。

 そういう状況をつくらないように、参加者は大人になる必要があります。

 全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って理知的に振る舞う。

 そういう人材を必要とするのが、会議という場所です。

□場の形成が人材の提案・調整能力を十二分に引き出す

 会社の人材を眺めてみると、 「全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って理知的に
 振る舞う」ことができそうな人ばかりでないのは、すぐに気付く
と思います。

 世の中にはいろいろな人がいます。

 その人たちの持っている能力、主に提案・調整に関する能力を、一定の手続きに則ることで、
 十二分に引き出せるようにするのが冒頭に述べた「場がつくられて
いる状態」の会議です。

 会議には、問題を解決する会議、報告をする会議、アイデアを出し合う会議など、さまざまな
 目的がありますが、いずれにしても「場がつく
られている状態」 にすることは、会議を有効な
 ものにするためには不可欠です。


□お互いが信頼し合っている状態にするには

 会社のメンバーは、一緒に仕事を進めていく仲間であり、競争相手。

 また人が集まれば派閥もできます。

 そんな中で、会議を「場がつくられている状態」にするために一番大切なのは、参加者がお互いに
 信頼し合っていることです。

 そのためには会議の進行役を扇の要として、安心の輪を広めていく必要があります。

 安心は、信頼感を高める大きな足がかりとなります。会議に対する安心感を高めるには、会議は
 安心できる場所であるということをアピールすることであり、大きく
分けて以下の3つの方法が
 あります。

 1.会議は安心できる場所であると明言する

  会議で発言するのは怖いものです。

  バカにされるのではないか、へんなことを言っているのではないか、良い格好をしていると
  思われるのではないか。

  自分が発言しても結局大勢は変わらないのではないか。

  そういう怖れは、会議の参加者の中に忍び込み、伝播し、まん延します。

  この感覚を、会議という場所から取り去る必要があります。

  一番簡単なのは、そういう怖れを抱かなくても良いということを折に触れて、明言していく
  ことです。

  「誰も、他の人の発言をバカにしないこと」「みんなの意見を平等に尊重します」「どんな
  ことを言っても大丈夫だよ」 などと言うのが効果
的です。

  特に同じメンバーで繰り返される会議であれば、遅効性ではあるものの、もっとも浸透する
  方法です。


 2.進行役が、メンバーの発言に対する肯定表現を行う

  メンバーが発言したとき、あるいは議論に参加したとき、進行役が肯定的な態度を示すことです。

  適切なうなずきや質問、まとめなどが、これに当たります。

  感謝の意を表するのも肯定的な反応になります。

  「ご意見ありがとうございます」「新しい視点ですね」 などの言葉で表してもよいでしょう。

 3.会議を構成しておく

 先ほども述べたとおり、会議にはさまざまなタイプがあります。

 その会議の目的に従って、会議の流れを構成しておくということも大切です。

 これらの作業を進行役が粘り強く行っていくと、会議参加メンバーがしだいに感化されてきます。

 会議のありかたや肯定表現を、メンバー同士で行えるようになると、集団で行う仕事である「会議」
 の成果を最大化する環境が構築されてきた
証拠です。

□大人な会議の構成を考える(基礎編)

 会議において大人な意見を出せる環境づくりをする際に、 「会議を構成しておく」 と触れました。

 これを簡単に説明すると、会議の目的に応じて、会議のゴールと、そこまでの流れを決めておく
 ということ。

 ここでは、会議の構成の基礎となる考え方「自己開示」 と「フィードバック」 について説明します。

□「自己開示」と「フィードバック」のベース:ジョハリの窓という考え方

 「自己開示」 と「フィードバック」 を理論的にとらえるために、ジョハリの窓という考え方を
 ご紹介します。

 ジョハリの窓とは、 「自分や他人から見ると、自分はどんな人間か?」 という観点から作られた
 図です。

 アメリカの心理学者、ジョー・ルフトとハリー・イングラムが共同で考えられたため、二人の
 名前の頭
をとって「ジョハリの窓」 と名づけられました。

□成長するとはどういうことか

 ジョハリの窓で人間像をとらえた場合、「成長」 するとは【明るい窓】を広げることに当たります。

 自分自身の【明るい窓】を広げることは、使いこなせる自分の幅が広がると考えられるからです。

 広げる方法には2種類あります。

 
1.自己開示-オープンにいきましょう

  自分自身を周りにアピールして、自分自身をオープンにすることです。

  自分が見る自分と、他人が見る自分の差を少なくすることにより、「ええかっこしい」 である
  必要がなくなり、楽になります。

  ジョハリの窓の図で考えると、【明るい窓】を【隠された窓】方向に押し広げるという方法です。

  【隠された窓】だった部分が、【明るい窓】に変わっていくということになります。

  楽になるのは、それほど簡単なことではありません。

  自分の格好悪い(と自分が考える) 部分を他人に見せるのは、嫌われてしまうかもしれない
  という怖さが
伴うものだからです。

 2.フィードバック―ダメ出しをする・受け取る

  フィードバックとは、自分自身について他人からコメントをもらうことです。

  コメントを受けることで、自分自身を省みて、成長を促せると考えられています。

  ジョハリの窓で考えると【明るい窓】を【盲目の窓】方向に押し広げるという方法になります。

  【盲目の窓】だった部分が、【明るい窓】に変わることになります。

  フィードバックを分かりやすい言葉で言えば「ダメ出し」です。

  ダメを素直に受け取れるかどうかは、ダメ出しをもらう相手にもよるし、状況にもよります。

  例えば、初めて会った人に「声がこもっていて、話が分かりにくかったです」と言われたと
  します。

  どんなに感じの良い人が言ったとしても、その瞬間に反感を覚えるはずです。

  また、どんな良い内容のダメ出しを受けたとしても、自分が体力的に疲れているときなどは、
  「もう止めてくれよ」と思うこともあるでしょう。

  フィードバックには、相手への「ほめ言葉」も含まれます。

  相手がかなりの自信を持っている分野に対するほめ言葉には、反感を覚える場合があります。

  例えば、オリンピックに出場できるレベルのフィギュアスケート選手に対して、「いやあ、Aさん、
  スケートお上手ですねえ」と言ったとしたら、どうでしょう。

  Aさんがにこやかに「ありがとうございます」といっても、「当たり前だろ」と思うに違いあり
  ません。


□会議の構成は、自己開示→フィードバックが基本

 自己開示/フィードバックは、どちらにしても「怖い」 ものです。

 フィードバックには、他人からさまざまなことを言われる「嫌悪感」 が付きまといます。

 しかし、会議とは、問題解決、進捗報告、アイデア出し、どんなタイプのものでも、この2つの
 活動の組み合わせです。

 したがって、これらをできるだけ適切に組み合わせることが、良い会議を実現するための第一歩と
 なります。

 会議の構成を組み立てるときには、心理的負担の低い方から高い方へ、すなわち「自己開示」 →
 「フィードバック」 という流れが基本となります。

 また、自分開示の中でも言いやすい定型的事柄を話す、いわば自己開示の練習期間を経て、少し
 
話しにくい「こう考えた」「こう思う」という、非定形的自己開示活動に入っていくほうが
 スムーズです。

 フィードバック活動は、自己開示活動がこなれたころ、徐々に絡めていくのが良いでしょう。

 これを、まとめると事実レベルでの定型的自己開示 → 感情や思考を乗せた非定形的自己開示 →
 
事実レベルでの定型的フィードバック → 感情や思考を乗せた非定形的フィードバック
 (→ループ or ゴールへの到達)

 となります。

 参加メンバー間に十分な信頼感が出来上がっていたとしても、一つひとつの会議においては、きちんと
 各段階を踏んでいくことが望ましいです。

 ただし、信頼感が高ければ高いほど、それぞれにかける時間は短くできるでしょう。

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会議の進め方とルール

会議の品質を向上させる

会議の品質を向上させる

■会議の品質を高める
 会議とは、企業の運営、経営上に起こる様々な問題解決を行う目的で組織を集約した、
 最高決議・執行機関であり、社員・幹部の能力向上の道場でもあるのです。
 業績をあげている企業は殆ど例外なく、会議がきちっと行われています。会社の体質が
 会議に表れてくるからです。

 ここでは、社内で行う「会議」の品質を高めるための、さまざまな場のつくり方と実践法
 (会場の設定や小道具)について紹介していきます。
 まずは、「会議の入り方」から述べていきます。

 1.会議の品質を上げる「入り方」
  会議の入り方において、ケジメをつけること(気持ちのオン・オフ)は大事です。
  さらに工夫を加えると、品質はより向上する。その内容は大きく分けると、「参加者の
  緊張をほぐす」「参加への動機付けをより強くする」の二つです。
  それぞれについて、コンサルティング現場で具体的に行っている事例を紹介します。

  (1)参加者の緊張をほぐす
   ①ジャンケンと笑顔
    目的:参加者の笑顔を引き出し、発言しやすい場をつくる
    所要時間:5分以内
    準備するもの:特になし

    「一緒に会議をするのが初めての人」というメンバーが多い場合に有効です。
    具体的には、司会の号令のもと、参加者が全員立ち上がり、まず隣同士で握手
    をする。
    その後、ジャンケンを行い、勝った人は「この1年で1番の笑顔」をする。
    負けた人はその人の笑顔を「この1年で1番の褒め言葉」で褒める。
    司会は「1年で1番の」を何度も強調するとよいでしょう。
    これを3、4人と繰り返して、席に座ってもらう。
    メンバーの顔が開始前に比べ、予想以上に変わっていることが実感できるでしょう。
    この後、すぐに討議に移ることができ、有効な手法です。

  (2)アイスブレイク
   目的:緊張をほぐすとともに、参加者の多様性を学ぶ
   所要時間:5分以内
   準備するもの:正方形の紙(1辺が15cm程度)

   メンバーに紙を配布し、自分の好きなように「二つ折」にする。
   その紙の一部を切り取って、また二つ折にする。
   これを4回繰り返して紙を開き、出来上がった形をメンバーで見比べる。
   同じ指示(インプット)で同じことを行ったとしても、人によってできる形
   (アウトプット)は違ってきます。
   実際に手を動かして「作品」をつくることで緊張をほぐすとともに、会議に参加
   するメンバーの指示の受け取り方、行動の仕方が自分とは異なることを実体験で
   理解することができる。

 2.会議への動機付けをより強くする
  (1)CDの静聴・方針などの唱和
   目的:会議の目的を再認識し、集中力を高める
   所要時間:3〜10分
   準備するもの:CDプレイヤー、CD(格言集など)、方針書

  会議に先立ち、その目的に合った格言CDを静聴したり、メンバーで方針書などを
  輪読することで、会議に対する気持ちを高めることができます。
  特に方針書の輪読は、ものの見方や考え方を再度、共有化することにより、会議
  でのマイナス発言を除くことができる。
  「今よりよい成果」を目指す参加者の心構えをつくる仕組みです。

  (2)ドローイング(単色の線で簡単な図をかくこと)
   目的:視覚的に会議の目的を浸透させる
   所要時間:15分程度
   準備するもの:スケッチブック、サインペン

   参加者をいくつかのグループに分けて、スケッチブックにその会議の目的に合った
   絵を描かせます。
   地域の皆さんが喜んでくれる理想のお店」というお題を出す。

   視覚的に会議の目的を浸透させるのが目的であるので、メンバーで協力して絵を
   描いている間は一切、会話をしてはならない(筆談も禁止)。
   出来上がった絵に関して、グループ間で感想を言う場を設けた後、グループでの
   発表を行う。

   描いた絵は壁に張り付けて、議論が行き詰まったときや休憩時にあらためて見直す
   ように促す。

 3.振り返りの重要性
  会議において新しい試みを行った際には、必ず「振り返り」を行うことをお勧めします。
  実践してみてうまく機能したか、会議の品質が上がったか、参加者から簡単な感想や
  アドバイスを聞くとよいでしょう。

  「最初に最良なし」と言われるように、初めてのことは概して予想外の出来事が起こり、
  思った通りの効果を得られないことが多い。
  しかし、振り返りにより改善点が明確になるとともに、参加者も「当事者」として
  巻き込むことができます。

  アドバイスをした以上、次に実践する時には、より積極的にコミットする可能が高く
  なります。
  せっかくの新しい試みが定着するためにも、ぜひ、実践していただきたい。

□会議の品質を上げる「場の創造」その1
 1.場を創造する仕掛け・小道具
  同じ時間やプログラム内容であっても、事前に仕掛けや工夫をすることで、会議の
  場をよりクリエーティブにすることができます。
  たかが会場の配置や小道具と言うなかれ。

  そこに司会(ファシリテーター)の「意志」を込めることで、充実した場の創造が可能と
  なるのです。

  (1)会場の設定
   会議の会場にも、工夫の余地が多くある。
   例えば、年度方針を発表するなど、会社の重要なイベントを開催する際には、社外の
   施設を借りる企業も多い。

   コストはかかるものの、厳粛な気持ちで社員がトップのコメントを受け入れる効果が
   期待できます。
   社外施設を活用しなくとも、垂れ幕や式次第、社是や経営理念を大きく印刷した
   ものを張り出すことで、まるで違った雰囲気になる。

   営業会議の場合、業績にかかわる資料を大判プリントしたり、業績管理ボードを
   会議室の壁に掲示したりすることで、より臨場感を高めることも可能です。
   多くの意見やアイデアを出すことを目的とするミーティングにおいては、通常の
   会議室を使わない企業も見られる。

   いつもより広いスペースを確保するため食堂を活用したり、生産や物流の「現場」を
   直接見たりしながら会議を行うなど、いつもと違う空間を用いることで、自由な
   意見が出やすいように仕掛けているのです。

  (2)机の配置
   通常の会議では、机を「ロ」の字型に並べることが多いと思われます。 
   この机の配置についても、会議の種類によって変えてみると面白い。
   例えば、議論を多く交わすことが目的であれば、「H」字型にするほうが親密度も
   増し、効果が出やすい。

   また、壁に張り出された資料やプロジェクターを見ながら議論するのであれば、
   「コ」の字型のような形にしてもよいでしょう。
   会議のプログラムに合わせて、席の配置を変える ことも気分転換になってお勧めです。

   あらかじめ誰がどの場所に座るかを司会が決めても面白い。
   会議の内容によって、誰がどこに座るのが最も効果的かを考えて配置します。
   いつもメンバーが同じ席に座っている場合、マンネリ解消に役立つ簡単な方法でも
   あります。

  (3)時間をコントロールするための小道具
   時間のコントロールは、会議の品質向上において非常に重要な要素です。
   ポイントは「全員が時間を意識すること」であり、そのための小道具を紹介します。
   まず、全体の進捗具合を「音」で共有化する手法として、「コールベル」の活用を
   お勧めする。

   使い方として、ある議題の討議時間が10分与えられていたとして、コールベルを
   終了3分前(7分経過時点)に1回、終了時間ちょうど(10分経過)に2回鳴らす
   のです。

   3分前にコールベルを鳴らされると、メンバーは自然と意見の集約に意識が移る。
   そして、時間になったら、議長がその議論をさらに続けるかどうかのジャッジを行う。
   いくつかのグループに分かれて議論をする際には、キッチンタイマーを複数用意して
   各グループで使用してもよいでしょう。

   これらの小道具はコストが安価で手軽に用いることができる割に、効果が非常に
   高いものなので、ぜひ各社でそろえてほしいアイテムです。

  (4)立ちミーティング
   会議を短くするための一つの手段として、「立ちミーティング」の活用をお勧め
   します。

   具体的には、参加者が円状に立って、ミーティングを行うのである。資料がある
   場合は、天板の高いテーブルを用意して、それを囲むようにして集まればよい。
   立って話し合いを行うと、自然と人間は早く 終わらそうとするものです。

   また、あらたまって会議室に集まるよりも、フットワーク軽く集合できます。
   集まった際にケジメの礼をしっかりと行うことで、オフィシャルな気持ちを醸成する
   ことも可能です。

□会議の品質を上げる「場の創造」その2
 1.ホワイトボードの活用
  会議においては、議論をすることが大事です。
  したがって、参加者は資料を見たり、書き込んだりする作業よりも、議論自体に集中
  できるようにすべきです。

  その意味で、板書の役割はとても大切です。
  参加者に下を向かせないで、活発に話してもらうためにはホワイトボードを十分に活用
  することが大事となる。
  次にそのポイントを明記します。

  (1)事前準備を怠らない
   会議の前には、ホワイトボードをきれいにすることをお勧めする。ウエットティッシュ
   などを使って、板面とホワイトボードマーカーの置き場を掃除するのです。
   不思議なことにきれいな板面にすると、よい意見や多くの意見が出やすくなる。

   黒板消しをきれいにすることも同様の理由です。
   手間を惜しまず実践してもらいたい。ホワイトボードマーカーは3色(黒、赤、青)
   を用意すること。

   加えてマーカーの色がかすむと、それだけで盛り上がりに欠ける。司会もしくは
   板書係は、そこまで気を配って事前に準備していただきたい。

  (2)参加者の発言をコントロールする
   板書担当者は単なる書記ではない。参加者の発言をコントロールする重要な役目も
   担っているのです。

   具体的には、次の方法が挙げられる。

   ①ナンバリングによる議論階層の整理
    板書役は、現在、何を論じているかを常に把握して、適切なナンバリングを
    心がけていただきたい。
    適切なナンバリングをすることにより、今どの階層について話しているかを
    参加者に明確に示し、現状の議論を明確にすることができるのです。

   ②発言内容の制限
    ホワイトボードのどの部分まで使うかを示すことにより、発言の内容をコント
    ロールする。
    逆に、自由に意見を出す場合は、複数のホワイトボードを用意するのもテク
    ニックです。

   ③発言内容の分類
    ホワイトボードマーカーの色を使い分けることにより、発言の内容がどの種類の
    発言かを示すことができます。
    例えば、「赤」は「結論」、「青」は「検討事項」などとして、全員に分かり
    やすく明示する。

  (3)参加者の思考を整理する
   板書がしやすいように、参加者の発言をリードすることも会議の品質向上には有効です。
   問題点、対策、担当者、期限が板書できるように発言を確認するのもよいでしょう。
   慣れてくると、発言者が会議議事録のフォーマットに沿った形で発言するように
   なります。

   会議においては、ホワイトボードの使い方(板書)は非常に大切な要素です。
   準備から実際の活用まで、紹介したポイントを押さえて自社の会議を見直して
   いただきたい。

 2.付箋の活用
  コンサルティング先のA社の事例である。A社はおとなしい社員が多く、会議の際に、
  なかなか意見が出にくい風潮がありました。
  社員自身は優秀ですが、人前で発表するのが苦手な人が多く、司会がいつも困る状況が
  続いた。

  そこで、参加者の意見を多く引き出すために、付箋に意見を書いてもらうよう提言
  しました。
  付箋を活用すれば、発言することなく、また無記名であるため、参加者の考えをダイレクト
  に引き出すことができます。
  付箋を活用する時には、次のような配慮をすれば、さらに品質が向上します。

  (1)大きな付箋を準備する
   ホワイトボードに張り、皆で意見を共有化するためには、見えやすいように大きな
   付箋(7.5×15cm程度)を使うのがよいでしょう。

  (2)できるだけ多く準備する
   付箋の数が少ないと、逆に思考を制限する。
   付箋はできるだけ多く準備するとよい。
   また、付箋の色の種類も多く用意することをお勧めします。
   好きな色を選べる自由な雰囲気が、意見を出やすくするからです。

  (3)他人が見やすいようにする
   他人が見やすいように、一つの付箋に一つの意見のみを書くようにする。
   また、鉛筆やボールペンでなく、マジック(太いペン)で書くように促します。
   間違えたら、遠慮なく新しい付箋に書き直させることも重要だ。付箋に書く時間は
   5分程度で十分である。それでも 、思った以上に多くの意見が出るでしょう。

   これを分類して、議論するだけで、会議は充実する。
   ぜひ、実践していただきたい。

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会議の進め方とルール

役員(含む部長)の出席する会議討議事項

役員(含む部長)の出席する会議討議事項

■目的別にみる会議の分類 
 企業において、会議は日々の活動において不可欠なものです。
 会議は、関係者が集まり何らかの問題について互いに情報を交換し合って共通の結論を
 導き出す場です。 
 目的別に会議をみると、以下のように分類できるでしょう。

  【目的別にみる会議の分類】
   ◎情報の伝達会議 
    情報の伝達と確認をする会議です。
    例えば、トップの決定事項を組織の下に周知徹底を図る場合などです。
    また、毎月1回支店長が本社に集合してその月の営業成績を報告する「業務会議」
    もこれに含まれます。

   ◎問題解決会議 
    製品不良や顧客からのクレームなど緊急に解決する必要がある問題について対策
    を話し合う会議です。
    急を要する問題ではなくても、将来発生が予想される問題について対策を立てて
    おく場合もこれに含まれます。

   ◎意見や利害の調整会議 
    個人間・組織間の意見や利害の対立を調整する会議です。
    例えば、役員同士で意見や利害が対立する場合や、開発部と営業部の対立と
    いった部門間で意見や利害が異なる場合に解決を図る場合がこれに当たります。
    対立が激化すれば会議は暗礁に乗り上げてしまうため、双方が歩み寄り合意すべき
    ところを導き出します。

   ◎議案の決定会議 
    討議の結果出された議案について決定を下す会議です。
    議案の決定は会議において最も重要です。
    特に、役員会での決定は組織を左右する大きな影響力を持ちます。
    それだけに決定に関しては十分に議論される必要があります。

□役員、部長の出席する会議における討議事項 
 一般に、企業のエグゼクティブが参加する会議は、

  (1)商法上、開催が義務付けられている「取締役会」、さらには上級役員のみが
    出席する「常務会」といった会議
  (2)「本部長会議」「部長会議」などの部門の長が出席する会議
に大別されます。

 1.役員の出席する会議で討議されること
  <取締役会での討議事項> 
   役員が参加する役員会として取締役会があります。
   この取締役会は、商法上「取締役の全員で構成される会議体であり、業務執行に
   関する意思決定の権限と取締役の業務執行の監督権限とを有する会社の必要的機関」
   と規定されており、3カ月に1回以上は開催する必要があります。

   一般的に、取締役会は「毎月第一月曜日に本社で開催」というように定期的に開催
   されるケースが多いようです。
   また、必要に応じて代表取締役の召集によって臨時に開催されることもあります。 
   この取締役会では、一般的に以下のような内容が討議されることになります。

   ◎株主総会に関して 
    株主総会の召集や議題や議案について

   ◎計算書類に関して 
    貸借対照表、損益計算書、営業報告書などの承認、また、利益処分などについて

   ◎取締役に関して 
    代表取締役の選任、解任や、社長に事故があるときの職務代行順位などについて

   ◎株式および社債に関して 
    新株の発行、社債などの発行、株式の分割などについて

   ◎人事に関して 
    相談役、顧問の委託、および報酬額などについて

   ◎その他 
    重要な財産の処分および譲り受け、支店・工場などの新設、重要な内部情報
    公開の時期および方法など

   <その他の討議事項> 
    上記の取締役会での討議事項以外に、取締役会および常務会では会社の経営に
    関わる全般的な事項が討議されることになります。
    主な討議内容としては、以下のような内容が挙げられます。

   ◎経営全般に関して 
    ・会社の経営戦略について 
    ・長期、中期、短期の経営計画について 
    ・企業の事業内容について

   ◎販売状況に関して 
    ・各部門の販売動向について 
    ・新商品、新サービスの開発について 
    ・競合会社の販売状況について

   ◎人事全般に関して 
    ・人員配置について 
    ・組織体制の見直しについて 
    ・採用について

   ◎財務全般に関して 
    ・資金繰りについて 
    ・利益動向について 
    ・在庫状況について

 2.部門の長が出席する会議で討議されることは
  <会議における部門長の役割>
   部門の長が出席する会議で討議される内容は、企業の意思決定のあり方とも密接
   に関わってきます。
   例えば、意思決定がトップダウン式で行われる会社であれば、会議は会社トップの
   意思を各部門に正確に伝えるための情報確認の場となります。

   一方、これとは反対に意思決定がボトムアップ式で行われる会社であれば、会議は
   各部門の情報を経営トップに伝え、取りまとめる場となります。
   いずれにしろ、経営トップと各部門との接点となる部門長には、

    トップとボトムとの情報中継役としての役割
   が求められます。

  <会議の討議内容> 
   異なる部門の長が出席する部長会議の内容は、前述した目的別会議の分類に照らし
   合わせれば以下のような内容となります。

   ◎役員会での決定事項の伝達 
    役員会で決定された案件は各部門に伝達されます。
    そのため、部長会議では各部に周知徹底を図る内容を確認する必要があります。
    部長会議で確認された内容は、各部内の会議などを通してさらに下の組織に伝達
    されていくことになります。

   ◎異なる部門間で発生した問題解決 
    異なる部門間で問題が発生した場合には、部門間での調整が求められます。
    問題が小さい場合には、各部門の担当者レベルの調整で問題の解決がはかれる
    かもしれません。
    しかし、問題が大きい場合には担当者レベルでの解決が難しいため、部門長同士
    が会議で討議することが必要になってきます。

   ◎部門間の意見や利害の調整 
    異なる部門間では意見や利害の対立が生じることもあります。
    例えば、営業部が商品の改善を求めるのに対して開発部がその改良はできないと
    いう判断を下したとします。
    このような場合には、営業部と開発部との対立が発生してしまうため、部長
    同士による調整が行われることになります。

   ◎部内での出来事の報告 
    各部門長が自らの部門内で生じた出来事を報告しあうことも重要です。
    部の社員のなかには、同じ会社にいながら、他の部門で起きていることを全く
    知らないケースも多々あります。
    部門長間での自らの部内での出来事が話し合われれば、他部門の情報が会社全体
    に伝わり、異なる部門間で問題を共有できることが期待できます。

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会議の進め方とルール

会議の構成

会議の構成

■「自己開示」と「フィードバック」のベース
 「自己開示」 と「フィードバック」 を理論的にとらえるために、ジョハリの窓という
 考え方をご紹介します。
 ジョハリの窓とは、「自分や他人から見ると、自分はどんな人間か?」という観点から
 作られた図です。

 アメリカの心理学者、ジョー・ルフトとハリー・イングラムが共同で考えられたため、
 二人の名前の頭をとって「ジョハリの窓」 と名づけられました。

□成長するとはどういうことか 
 ジョハリの窓で人間像をとらえた場合、「成長」するとは【開いた窓】を広げることに
 当たります。
 自分自身の【開いた窓】を広げることは、使いこなせる自分の幅が広がると考えられる
 からです。
 広げる方法には2種類あります。

 1.自己開示:オープンにいきましょう 
  自分自身を周りにアピールして、自分自身をオープンにすることです。
  自分が見る自分と、他人が見る自分の差を少なくすることにより、「ええかっこしい」
  である必要がなくなり、楽になります。

  ジョハリの窓の図で考えると、【開いた窓】を【隠した窓】方向に押し広げるという
  方法です。
  【隠した窓】だった部分が、【開いた窓】に変わっていくということになります。 

  楽になるのは、それほど簡単なことではありません。
  自分の格好悪い(と自分が考える)部分を他人に見せるのは、嫌われてしまうかも
  しれないという怖さが伴うものだからです。

 2.フィードバック:ダメ出しをする・受け取る 
  フィードバックとは、自分自身について他人からコメントをもらうことです。
  コメントを受けることで、自分自身を省みて、成長を促せると考えられています。
  ジョハリの窓で考えると【開いた窓】を【見えない窓】方向に押し広げるという方法に
  なります。

  【見えない窓】だった部分が、【開いた窓】に変わることになります。
  フィードバックを分かりやすい言葉で言えば「ダメ出し」です。
  ダメを素直に受け取れるかどうかは、ダメ出しをもらう相手にもよるし、状況にも
  よります。 

  例えば、初めて会った人に「声がこもっていて、話が分かりにくかったです」 と言われ
  たとします。
  どんなに感じの良い人が言ったとしても、その瞬間に反感を覚えるはずです。

  また、どんな良い内容のダメ出しを受けたとしても、自分が体力的に疲れているとき
  などは、「もう止めてくれよ」と思うこともあるでしょう。 
  フィードバックには、相手への「ほめ言葉」 も含まれます。

  相手がかなりの自信を持っている分野に対するほめ言葉には、反感を覚える場合が
  あります。

  例えば、オリンピックに出場できるレベルのフィギュアスケート選手に対して、
  「いやあ、Aさん、スケートお上手ですねえ」と言ったとしたら、どうでしょう。
  Aさんがにこやかに「ありがとうございます」といっても、「当たり前だろ」と思うに
  違いありません。

□会議の構成は、自己開示→フィードバックが基本 
 自己開示/フィードバックは、どちらにしても「怖い」 ものです。
 フィードバックには、他人からさまざまなことを言われる「嫌悪感」が付きまといます。

 しかし、会議とは、問題解決、進捗報告、アイデア出し、どんなタイプのものでも、
 この2つの活動の組み合わせです。
 したがって、これらをできるだけ適切に組み合わせることが、良い会議を実現するための
 第一歩となります。 

 会議の構成を組み立てるときには、心理的負担の低い方から高い方へ、すなわち
 「自己開示」 →「フィードバック」という流れが基本となります。

 また、自分開示の中でも言いやすい定型的事柄を話す、いわば自己開示の練習期間を経て、
 少し話しにくい「こう考えた」「こう思う」という、非定形的自己開示活動に入っていく
 ほうがスムーズです。

 フィードバック活動は、自己開示活動がこなれたころ、徐々に絡めていくのが良いでしょう。
 これを、まとめると

  事実レベルでの定型的自己開示 → 感情や思考を乗せた非定形的自己開示 →
  事実レベルでの定型的フィードバック → 感情や思考を乗せた非定形的フィード
  バック(→ループ or ゴールへの到達)

となります。

 参加メンバー間に十分な信頼感が出来上がっていたとしても、一つひとつの会議においては、
 きちんと各段階を踏んでいくことが望ましいです。
 ただし、信頼感が高ければ高いほど、それぞれにかける時間は短くできるでしょう。

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会議の進め方とルール

会議は意見を出し合う場

会議は意見を出し合う場

 会議で「何か意見のある人」と問いかけをしても、返事がまったく返ってこないことは
 よくあるもの。

 そういう時は、会議の場が上手くつくられていないのかもしれません。
 「場」 とは、物理的な環境だけではなく、会議に集まる人材のピックアップや会議の
 事前準備、始まってからの雰囲気づくりなどの総体を差します。
 会議に対する参加感や期待感が高い状態が「場がつくられている状態」です。

■会議は大人が出席する場所 
 会議で好ましいのは意見を出し合える状態です。
 発言が少なくて、進行役が「自由に発言を」と促す会議の方が多いとしても、考えて
 ほしいのは、本当に「自由に発言」 していいのかということです。

 会議の開始時に「俺、忙しいんだよね」と出鼻をくじかれる。
 または、紆余曲折の後、まとめに差し掛かったときに「俺はやっぱりその方向性は気に
 くわない」と議論を蒸し返される。

 自分が進行役だとしたら、非常に困る状況です。 
 そういう状況をつくらないように、参加者は大人になる必要があります。
 全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って理知的に振る舞う。
 そういう人材を必要とするのが、会議という場所です。

□場の形成が人材の提案・調整能力を十二分に引き出す 
 会社の人材を眺めてみると、「全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って
 理知的に振る舞う」ことができそうな人ばかりでないのは、すぐに気付くと思います。
 世の中にはいろいろな人がいます。 

 その人たちの持っている能力、主に提案・調整に関する能力を、一定の手続きに則ることで、
 十二分に引き出せるようにするのが冒頭に述べた「場がつくられている状態」の会議です。

 会議には、問題を解決する会議、報告をする会議、アイデアを出し合う会議など、さまざまな
 目的がありますが、いずれにしても「場がつくられている状態」にすることは、会議を
 有効なものにするためには不可欠です。

□お互いが信頼し合っている状態にするには 
 会社のメンバーは、一緒に仕事を進めていく仲間であり、競争相手。
 また人が集まれば派閥もできます。
 そんな中で、会議を「場がつくられている状態」にするために一番大切なのは、参加者が
 お互いに信頼し合っていることです。

 そのためには会議の進行役を扇の要として、安心の輪を広めていく必要があります。
 安心は、信頼感を高める大きな足がかりとなります。
 会議に対する安心感を高めるには、会議は安心できる場所であるということをアピールする
 ことであり、大きく分けて以下の3つの方法があります。

 1.会議は安心できる場所であると明言する 
  会議で発言するのは怖いものです。
  バカにされるのではないか、へんなことを言っているのではないか、良い格好をしている
  と思われるのではないか。

  自分が発言しても結局大勢は変わらないのではないか。
  そういう怖れは、会議の参加者の中に忍び込み、伝播し、まん延します。
  この感覚を、会議という場所から取り去る必要があります。

  一番簡単なのは、そういう怖れを抱かなくても良いということを折に触れて、明言して
  いくことです。
  「誰も、他の人の発言をバカにしないこと」「みんなの意見を平等に尊重します」
  「どんなことを言っても大丈夫だよ」などと言うのが効果的です。

  特に同じメンバーで繰り返される会議であれば、遅効性ではあるものの、もっとも浸透
  する方法です。

 2.進行役が、メンバーの発言に対する肯定表現を行う 
  メンバーが発言したとき、あるいは議論に参加したとき、進行役が肯定的な態度を示す
  ことです。
  適切なうなずきや質問、まとめなどが、これに当たります。

  感謝の意を表するのも肯定的な反応になります。
  「ご意見ありがとうございます」「新しい視点ですね」 などの言葉で表してもよい
  でしょう。

 3.会議を構成しておく 
  先ほども述べたとおり、会議にはさまざまなタイプがあります。
  その会議の目的に従って、会議の流れを構成しておくということも大切です。
  詳しくは『会議の構成を考える』で説明します。 

  これらの作業を進行役が粘り強く行っていくと、会議参加メンバーがしだいに感化されて
  きます。
  会議のありかたや肯定表現を、メンバー同士で行えるようになると、集団で行う仕事で
  ある「会議」の成果を最大化する環境が構築されてきた証拠です。

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会議の進め方とルール

効果的な会議の方法

効果的な会議

 ■社内会議は企業活動の「肝」
  関係者が集まり何らかの問題について情報の交換を行ったり、議論を戦わせながら共通の
  結論を導き出す場として、「社内会議」(以下「会議」)は企業活動の「肝」といえます。
  しかし、「部課長会議」「販促会議」などの公式的な会議だけではなく、非公式な
  ミーティングなどもあり、「会議数が多すぎるな」と感じている人は少なくありません。
  また、会議の進行についても「時間がかかりすぎる会議」も少なくないでしょう。
  こうした会社では、「ムダな会議の削減」「開催する会議については限られた時間で
  活発な議論が交わされる会議の実現」を図り、“会議の効率化”を進める必要があります。
  しかし、会議そのものは企業活動において欠かせないものですから、ただやみくもに
  会議の効率化に取り組むと、業務に支障を来しかねません。
 

  どの会社でも「会議が多い、会議が長い」など、会議に関する問題が必ずベスト3に
  入ります。

  実際に業務量調査を行うと、業務時間の20〜30%は会議に費やされています。

  また、会議に費やす時間割合は、役職が上がるほど増加していく傾向にあります。

  ある営業企画部長の手帳を見せていただくと、ある週の業務時間の85%が会議でした。

  「残りの時間は何をされてるんですか?」と伺うと、「休憩しているかメールを見て
  いるかの、どちらかですね」と答えが返ってきました。

  この営業企画部長にとっては、会議がいわば本来業務なわけです。
 

  会議には相当なコストがかかっています。

  人件費10億円程度の組織(平均貸金700万円程度の社員が、150人ほどいる組織)では、

  2億円から3億円程度が会議に使われていることになります。

  会議室のコストも見逃せません。

  一般的に、オフィス全体の面積に占める会議室の割合は20%前後といわれています。

  家賃に1億円支払っている会社では、2000万円が会議室椎持のための費用、という
  ことです。

  こういった認識を持つと、会社がまずやり始めるのは「会議の削減」。

  会議をひととおり洗い出し、不要と思われる会議を廃止する。

  あるいは、一律2割削減といった目標を立て、バサッと会議時間を減らそうとする。

  しかし、こういったやり方がうまくいった例を見たことがありません。

  なぜなら、主催者としては必要だから開催しているわけで、いくら参加者が、意味がない
  とまくし立てても、この議論はずっと平行線。

  結果、何の効果も出ないまま、元に戻ります。

  また、会議のスローガンを立てる会社もあるようです。

  その内容は、

   ・5分前集合 

   ・携帯電話はオフ 

   ・時間どおりに終了 

  といった、いわばマナーに近いものがほとんどでした。

  しかし、マナーはどこまでいってもマナーです。

  お客さんから電話の約束があるので携帯をオフにできない、議論が紛糾して長引いて
  しまうなど、現実にはいろんな問題が発生します。

  結局、こういったスローガンもただ掲げられているだけで、単なる紙の無駄遣いに
  終わってしまいがちです。

 □効果が出ないのはなぜ

  会議はムダと感じている人が多いわりには、一向にそのムダが減っていないのが現実
  のようです。

  その原因は大きく2つある、と常々感じています。

  1つは、形式面ばかりに注目して、肝心の中身をよくする部分に手がつけられていない
  点です。

  先ほどのように、単に時間や回数だけ減らす、スローガンを掲げる、といったことは、

  本質的ではありません。

  「どうしたら実のある会議ができるのか?」あるいは、「実のある会議とは、どういう
  会議か?」。

  こうした問いを発することや、組織の文化に合わせた具体的な手法、ルール作りを

  おろそかにしていることが多いようです。

  2つ目が、なかには実効性のある手法やルールをきちんと持っている組織も少なく
  ありませんがそれが組織全体に浸透し、実際に運用されているかというと、疑問符が
  つくケースがほとんどです。

  分厚いマニュアルを作っても、読んで実行する人がいなければ、絵に描いた餅です。

  また、一部の人だけが、会議を効果的に進めようと頑張っても、ルールを知らない、
  あるいは無視した行動をとる人が多ければ、いつまでたっても効果は実現できません。

  つまり、「改善案が実効性に乏しいこと」と「優れた改善案が組織に十分に徹底されて
  いない」、この2点が問題となっているわけです。

 □会社における「会議」の種類

  一般に「会議」と呼ばれるものには、営業部門が全員集まって行う年初の決起集会から、
  日々のちょっとした打ち合わせまで、いろいろとあります。

  ほかにも、社外の人と関係するところでいえば、株主総会、顧客との懇話会、あるいは
  提案をしたり受けたりする場など、さまざまです。

  会議につけられる名前(○○会議)にこだわらず、その目的で会議をとらえてみると、

  業務時間内に行われている会議の80%は、「進捗会議」と、それに付随する「問題解決
  会議」です。

  社内会議においては、役員会をはじめとした役職別会議、営業会議などの部内会議、
  ほとんどはこのどちらかです。

  社外とコラボレーションしている場合においても、大半はプロジェクトの進捗や

  問題解決に関わる会議です。

  組織は、その中期計画・年度計画・四半期・月次といった目標達成のプロセスを
  回しながら運営されています。

  組織の大目標から小目標へ、最終的には個人目標にブレイクダウンされ、定期的に

  会議という形態を取ってそれらがモニタリングされます。

  ここでは、「ちょっといいですか?」という感じで始まる「打ち合わせ」的なものを除き、
  最低1週間前からスケジューリングされ、最低2人から多くて15人くらいが集まる
  進捗会議と、それに付随する問題解決会議を対象とします。

 □非生産的な会議の実態 

  ある会社の進捗会議。

  だらだらと各担当者からの進捗状況に関する報告が終わると、演説家の長話が始まり
  ました。

  彼が話し始めると止まりません。

  参加者の頭の中をのぞいてみると、会議に集中しているメンバーは皆無のようです。

  「この会議、いったい何を決めるんだろう」、「今日の話題は自分とまったく関係ない。

  早く戻って仕事をしなきゃならないのに」、「また演説が始まった。今日の会議は
  長期戦になりそうだ」。 

  議論すべきテーマや、その達成目標を明確にしないまま、関係ありそうなメンバーを
  とりあえず集める。

  特に時間も定めずに各自が好き勝手なことを話して、なかなかまとまらない。

  なかには話し始めると止まらない人もいて、誰もそれを阻止できない。

  結局、だらだらと時間だけが過ぎていき、何も決まらないまま「じゃ、そういうことで」
  となんとなく終わる。

  こんな会議には、共通して以下のような特徴があります。

   ・準備が不十分である 

   ・脱線・紛糾・演説などが発生しても、放置されている 

   ・終了時点で次のアクションが明確化しない 

  会議は、議論を行い、結論を出すことが目的ですが、その本質的な部分に至る以前の

  問題により、会議を台無しにしていることがほとんどです。

  これらは、実は会議のプロセス管理が徹底されていないことが原因で起こります。 

  議論の技術や意思決定の手法うんぬんを語る前に、まずは基本動作として会議のプロセス
  管理を徹底させなければなりません。

  ここでいう「会議のプロセス」には、会議本番における議論の「仕切り」だけでなく、

  事前準備から事後処理までを含め、計画的に「段取り」を行うことにまで及んでいます。 

  会議のプロセスは、「Plan(事前準備)」、「Do(会議実施)」、  
  「Check(事後処理)」の3つの要素から構成されています。 

  まず、企画者が行うべき会議の「Plan(事前準備)」に向けた「段取りの技術」について

  論じていきます。

 □会議準備の必須アイテム3点セット 

  あらゆる会議において、周到な準備なしに、成果を期待することは困難です。

  準備段階で会議の成否の50%は決まっている、といっても過言ではないでしょう。 

  「進捗会議」とそれに付随する「問題解決会議」は、仕事の大きな流れの中の1つの
  活動として行われます。

  そのため、会議を準備するにあたっては、次の3点を必ず押さえなければなりません。

   ・全休の中での会謙の位置付けと進捗状況 

   ・前回の決定事項の実施状況 

   ・各紙題の目的 

  ほとんどの会議は、進捗状況の確認から始まります。

  最初に前回の会議までの議論を振り返り、行われる会諌の位置付けを示すわけです。

  これらを整理するのに、非常に便利なツールとして使われているワークシートがあります。

  それは、以下の3つです。

   ・アジェンダ(検討課題) 

   ・スケジュール表 

   ・課題管理表 

  この3点を詳しく見ていくことにします。

  (1)アジェンダ 

   3点セットの最初は、「アジェンダ」です。

   「議事次第」「議事概要」などとも呼ばれます。

   具体的には、後述の作業計画表と課題管理表の内容を踏まえ、時間や場所、
   プロジェクト全体の中での会議の位置付け、討議したい内容の概略などを示す
   ものです。

   一般的なアジェンダでは、日時・場所・議題・配布資料等の形式的な情報しか

   記載されていない場合が多いようです。

   しかし、本来のアジェンダには、上記に加えて、これまでの作業内容と今後の
   予定が記載されるべきです。

   さらに、議論の目的や主なポイントの詳細も必要です。

   一見、会議だけのために無駄な手間をかけているように見えますが、それは

   間違いです。

   アジェンダ作りに時間をかけることは、以下の2つの重要な意味を持っているからです。

   1つは、参加者の時間の節約です。

   よく、「発表者は会議の前日までに各自資料を準備し、参加者は事前に目を通して

   おくように」という会議ルールが設定されます。

   理想論としては正しいし、筆者も賛成ですが、徹底はなかなか難しいと感じます。

   役員レベルの意思決定の会議など、会社経営の上で最重要な会議に限られる、
   というのが筆者の実感です。

   通常の進捗会議のようなものでは、事前に資料が揃わないことが多いし、参加者も

   事前に資料を読んでおく余裕などない場合がほとんどです。

   それでも、「自分も忙しいけれど、参加者も忙しい」という前提に立ち、全体が
   わかる1枚のアジェンダを示して参加者を支援したほうが、よほど建設的です。

   会議企画者が丁寧にアジェンダを準備することで、参加者の時間が大いに節約

   できるのです。

   もう1つは、アジェンダの作成により、主催者が会議のシナリオや落としどころを
   綿密に検討する機会を持てるという点です。

   丁寧なアジェンダは、綿密に検討しないと作ることができません。

   自分では用意周到なつもりでも、実際に文字で表現してみると、確認や検討が

   思った以上に不十分なことがはっきりわかります。

   紙に書くことで頭の中が整理され、より準備の精度が高まることが、2つめの
   ポイントです。

  (2)スケジュール表 

   「作業計画表」の最大の目的は、計画の現実性を準備段階できっちりとチェック
   することと、進捗をモニタリングすることです。

   そのため、誰が、いつから、いつまでに実施するのかを明示しなければなりません。

   作業計画を表すワークシートは、会社によっていろいろな呼称があります。

   「スケジュール表」、「工程表」、「ワークプラン」などと呼ばれることも多い

   ようです。

   また、最近プロジェクト管理の手法が浸透しつつあります。

   このようなワークシートに基づき、企画者は進捗状況を確認することで、開催する
   会議が明確になるわけです。

   具体的な作業まで見えていない計画や、頭の中にしかない計画では、うまくは

   いきません。

   また、会議という視点でも、現実的な活動計画を立案し、的確に進捗を書き込んで
   いく作業を怠ると、堂々巡りの会議に繋がります。

   面倒に感じるのは、最初だけです。

   なお技術的には、作業計画表はエクセルで作ることが多いと思います。 

   最近は、マイクロソフト社から「プロジェクト」という便利な進捗管理ツールが
   出ています。

   これを使うと、線表作りや、スケジュールの遅れの発見などを自動的にやって
   くれるため、非常に便利です。

  (3)課題管理表 

   「作業計画表」は、あらゆる仕事を進める上で欠かせないツールですが、万能
   ではありません。

   仕事を進める上では、計画表を見直すまでの影響はなくても、さまざまな課題が
   発生するものです。

   それらを、もれなくタイムリーに提起し、関係者と共有し、確実に1つひとつ

   つぶしていくためのツールが「課題管理表」です。

   「イシューリスト」などと呼ばれることもあります。

   見た目は作業計画表と似ていますが、使用目的が違うため、項目は多少異なります。 

   課題が発生するごとに、課題管理表に加えます。

   整理しやすいように、箇条書き部分と説明部分の2項立てで書きましょう。

   課題は、備忘録的なものから、スケジュールにインパクトを与えるものまで、
   大小さまざまです。

   同じレベルですべてに取り組んでいると、時間がいくらあっても足りません。

   そのため、重要度を明示しておくことが有効です。

   重要度の基準は、置かれた状況により異なるので一般論では言えませんが、一般的

   には「解決までに残された期間」と「コストインパクト」で決めています。

   当該課題を提起した人物と、その日付を入れておきます。

   指摘者が書いてあれば、提起の背景を推察でき、紙を読んでもわからない場合に、
   あとで聞くことができるからです。

   ここまでが、課題管理表に特有の部分です。

   「アジェンダ」、「作業計画表」、「課題管理表」の3点セットは、あらゆる会議の

   基本フォーマットとして有効です。

   このようなフォーマットの利用を、社内でルール化することをお勧めします。

   すべて準備が整ったら、会議の案内を送付します。

   3点セットは、できるだけ前日までに、参加者にメール等で配布しておきましょう。


 □「テーマ」と「ゴール」で構成する「会議の目的」 

  「会議の目的」という言葉は、明確なようで、実は曖昧に使われていることが多いと
  思います。

  「会議の目的」は、「テーマ」と「ゴール」の2つから構成されるものとして定義
  しています。

  いささか細かい話のようですが、実はこれはかなり重要な議論です。

  まず、「テーマ」とは、その会議において議論したい「話題」のことを指します。

  例えば、「残業代の削減」「アンケート調査票」「プロジェクトの今後のスケジュール
  変更」といったものです。

  一見、「テーマ」を設定した時点で「目的」は決まったと考えられがちですが、実は
  もう1つの要素である「ゴール」のほうがより重要です。

  「ゴール」とは、その会議において「どこまで決めるか」という目標です。

  例えば、「今後のスケジュール」というテーマについて、単に「スケジュールの
  確認をしたい」、「変更の可能性について議論したい」、「前倒し案を受け入れて
  もらいたい」など。

  「ゴール」を決めるにあたっては、「情報共有」「創造」「調整」「決定」という

  4つの分類を使うと便利です。

  この4つは会議プロセスの中で行きつ戻りつしながらも、基本的には上から下へ
  流れていきます。

  ◎情報共有会議 

   文字どおり、情報を共有することがゴールです。

   ただし、情報共有だけをゴールとした会議は、時間のムダといわれることが多く、
   最近ではメールやグループウエア、社内ポータルなどで代替されています。

   とはいえ、情報共有を目的とした会議のすべてが非効率だというわけでは
   ありません。

   外部に流出させたくない情報を共有したい場合は、対面のほうが望ましいでしょう。

   また、メールはとかく誤解を生みがちです。特にネガティブなニュースを伝える
   ような場合は、対面のほうが無難です。

  ◎創造会議

   創造とは、新商品開発・クレーム対応・コスト削減などのために、新しいアイデアを
   作り出すことを指します。

   これはブレインストーミングなど、さまざまな手法を使います。

   ですが、単に面白いアイデアだけだして終わってはいけません。

   このあとに、「調整」「決定」というプロセスが控えています。

   「ある程度」まとまったものを作っておかなければなりません。

   つまり、発散だけでなく、必ず収束もしておくことが肝要です。

  ◎調整会議 

   調整とは、利害関係の調整をすることです。

   どんな新しい行動を起こすにも、組織の中では他人・他部署の協力が必要に
   なります。

   こうした会議を「すりあわせ」などと呼ぶ会社もあるようですが、的を射た表現
   だと思います。

   お客様センターの改善策を実行するにも、営業現場の協力が不可欠ですし、総務・

   庶務業務の効率化においても、今の時代では情報システム部門の支援を仰がずして
   実行は不可能です。

   主に利害関係の調整や、作業のお願いが目的になることがほとんどですから、適切な
   役職者に参加してもらえるよう、十分な配慮が必要です。

  ◎決定会議 

   以上のような過程を経て、最終的には意思決定が行われます。

   組織における「意思決定」とは、「ヒト・モノ・カネ」の、新しい配分方法を決める

   意思決定をゴールとした会議においては、責任者の出席が必要です。

   また逆に言えば、「ヒト・モノ・カネ」のいずれも動かない提案は、「意思決定」の
   対象とは呼べません。

   よく勘違いされるのですが、「意思決定」と、会議後の「アクションプラン」は

   異なります。

   例えば、「この間題は来週もう1回話そう」といった先送りは、会議後のアクション
   プランではありますが、意思決定とは呼びません。

   一方、「これは今年度中はやらない」という決断は、意思決定である、といえます。


 □ゴールの重要性 

  「ゴール」を重要視するのには理由があります。

  それは、ゴールがないことには、参加者が何を「どこまで」決めるのかがわからない
  からです。

  ゴールが明示されていない会議では、議論の的が練れないため、収拾のつかない議論
  になるリスクが高まります。

  また、いっ、どのように終わるのか、あらかじめ予測がつかないため、参加者に

  ストレスを与えます。

  ただ「走れ」とだけ言われるのと、「5周走れ」と言われるのでは、同じ距離・時間
  であっても、ストレスの度合いは比べものになりません。

  会議によっては、意見を出し合うだけで意思決定をゴールとしていないケースもあります。

  情報共有をゴールとした会議では、アクションプランは当然作りますが、意思決定は

  なされません。

  もしこうしたケースで、参加者から「何も決めないのは時間のムダだ」という文句が
  出たら、せっかく会議を開いた甲斐がありません。

  ゴールを明示することで、議論を効果的に進められると同時に、参加者が不満を

  持ったり、やる気をなくしたりといった問題を未然に防ぐことができるわけです。

  このレベルまで「何を=テーマ」「どこまで決めるか=ゴール」を明示してはじめて、
  目的が決まったことになります。

  一方で、いつも頻繁に議論しているので、状況についてお互いが十分把握しあっており、

  ここまで詳細に書く必要はない、という意見もよく聞きます。

  しかしそれは往々にして、会議を企画する人の思い込みであることが多いようです。

  実際、ある会社での週に3回ほど頻繁に行っていた打ち合わせで、顔を合わす
  ことが多いのを過信して、落としどころのイメージを双方思い込みのまま進めた
  結果、会議時間を読み違えるようなことがありました。

  少なくとも企画者は、自分の意図するところを事前にはっきり明示しておいて損は

  ありません。

 □「根回し」は必要不可欠 

  特に他チームにお願いごとをしたいときや、責任追及になりそうなケースなど、
  慎重な議論が想定される場合には、事前に関係者と打ち合わせしておく必要があります。

  いわゆる「根回し」と呼ばれる活動です。

  「根回し」というと、最近はどこかネガティプな響きがあります。

  意思決定のスピードを遅らせる、日本の代表的な悪習ととらえられがちです。

  しかし、実はその認識は間違いです。

  欧米でも、日本と同じように根回しをします。

  しかも欧米系企業では、根回しは「コミュニケーション・プラン」と呼ばれ、「計画」
  として作業スケジュールの中に明示することになっています。

  例えば、欧米企業で新しいCEOが任命されると、「100日プラン」といった名称の

  計画を発表します。

  そこには、達成すべき具体的な数値目標がまず記され、それを実現するための活動の
  1つとして、必ず「コミュニケーション・プラン」が入っています。

  これにより、1人ひとりの社員と綿密なコミュニケーションを行うための工数(時間)が

  予算化され、人の抵抗による目標未達リスクを可能な限り排除するわけです。

  日本でも、日産社長のカルロス・ゴーン氏の「リバイバルプラン」や「日産180」
  といった計画が有名になりましたが…。

  それ以来、日本においても「○○プラン」といった言葉が頻繁に使われつつあるよう
  ですが、
中身の1つとして、「コミュニケーション・プラン」も是非取り入れたい
  ところです。

  日常的な会議においても、根回しを慎重に行っておくことで、会議での議論を活発にし、
  質の高い意思決定をスピーディに行う素地ができあがるのです。

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会議の進め方とルール

社内会議を効率化

  ■社内会議

  □社内会議への不満

   関係者が集まり何らかの問題について情報の交換を行ったり、議論を戦わせな
   がら共通の結論を導き出す場として、「社内会議」(以下「会議」)は企業活動の
   「肝」といえます。

   しかし、「部課長会議」「販促会議」などの公式的な会議だけではなく、非公式な 
   ミーティングなどもあり、「会議数が多すぎるな」と感じている人は少なくない。

   また、会議の進行についても「時間がかかりすぎる会議」も少なくないでしょう。

   こうした企業では、「ムダな会議の削減」「開催する会議については限られた時間
   で活発な議論が交わされる会議の実現」を図り、“会議の効率化”を進める必要
   があります。

   しかし、会議そのものは企業活動において欠かせないものですから、ただやみく
   もに会議の効率化に取り組むと、業務に支障を来しかねません。

   会議が効率的で形骸化されないためには、参加者全員が共通の会議ノートを使
   用することで意識統一や伝達の明確化が図れます。

  □今すぐに実践できる会議効率化のポイント

   従って、会議の効率化を図る際には、さまざまな点に注意を払いながら進めてい
   く必要があります。

   以降では「今すぐに実践できる社内会議効率化のポイント」として4点について紹
   介します。

  □4つの会議効率化のポイント

   1.会議数の削減は“伝達会議”から手をつける」

     (1)会議の目的

       会議の効率化を図る際の第一歩は、ムダな会議を削減することです。

       その際には会議の種類を把握した上で、削減すべき会議を検討します。

       一般的に、会議はその目的に応じて以下の4つに大別できます。

       ①伝達会議

         経営方針の周知徹底や業況の報告など、情報の伝達・共有化・
         確認などを行うための会議

       ②課題解決会議

         クレーム対策など、緊急かつ重要な問題に関して具体的な解決
         策の検討などを行うための会議

       ③調整会議

         部門間などの利害調整などを行うための会議

       ④決定会議

         討議などを通じてまとめられた議案について正式決定を行う
         ための会議

     (2)IT活用で伝達会議を削減する

       これらの中で、最も削減しやすい会議は伝達会議です。

       なぜなら、情報の伝達などが主目的であれば、わざわざ会議を開催しなく
       とも、通達など紙ベースの媒体に加え、電子メールや社内イントラネットを
       活用した掲示板など、多様化した情報伝達ツールを上手に活用することで
       原則的に代替することができるからです。

       このため、議題などを個別に検討しなければ、会議開催の要否について判
       断することが難しい他の3つの会議に比べて、代替手段のある伝達会議は
       廃止しやすいといえます。

       とはいえ、伝達会議にも「直接顔を合わせて話すことによって、しっかりと
       情報などを伝達することができ、周知徹底を図ることができる」という
       メリットはあります。

       ですから、伝達会議だからといってそれらをすべてなくす必要はない。

       そこで、伝達会議については「原則として会議は開催しない」とし、特別な
       事情や目的などがある場合については例外的に会議を開催すればよい。

   2.焦点を絞った議題を設定する  

     開催する会議については、限られた時間の中で活発な議論が交わされ、実の
     ある議論が行われるように工夫する必要があります。

     その際に、まず行わなければならないのは会議の議題を絞り込むことです。

     例えば「業績不振の中で、どのような対策を講じるべきか」という議題が示され
     た場合、売り上げ向上策を考える人もいれば、コスト削減策を考える人もいる
     でしょう。

     また、特定の事業部門を対象に考える人もいれば、個別の商品について考え
     る人もいるかもしれません。

     このように議題が大きすぎる(あいまいすぎる)と論点がぼやけてしまいます。

     これでは、せっかく会議を開催しても参加者の視点がばらばらで、活発な議論 
     が期待できない上、ムダな時間ばかりが過ぎることになってしまいます。

     従って、会議を効率的にするためには、「業績不振を打開するために、A商品
     の売り上げ向上策を検討する」というようにできるだけ、具体的な議題に絞り
     込むことが重要です。

     こうした問題は、特に課題解決会議や調整会議などで起こりがちなので、注意
     する必要があります。

   3.関連資料は数日前に配布する

     効率的な会議を実現するためには事前準備をしっかりすることも不可欠です。

     中でも、多くの人が気づいていながら、意外と実践できていないのが「関連資
     料の事前配布」です。

     「ほかの仕事が立て込んでいて、関連資料の作成が会議当日にならないと終
     わらない」などといった理由で、関連資料を会場で配布している会議というの
     は誰もが経験したことがあるでしょう。

     しかし、これでは貴重な会議の時間を「資料を読む」ために費やさなければな
     りません。

     また、限られた時間内での不十分な理解に基づく議論では、充実した議論は
     期待できません。

     関連資料は、遅くとも会議の2〜3日前には参加者に配布することです。

   4.トップマネジメント自らが率先垂範

     会議は部門レベルやプロジェクトレベルなど社内の至る所で行われています。

     従って、会議の効率化を図るためには、広く社内に対して会議の効率化に対
     する意識付けを行うことが不可欠です。

     この点においてはトップマネジメントが果たすべき役割は決して小さくない。

     社内に会議の効率化の必要性を説くことはもちろんだが、自らが出席依頼を
     受けた会議については、担当者に「今回の会議の議題を説明してください」「関
     連資料は、会議の3日前までに持ってくるようにしてください」などと働きかける
     ようにして、上記のポイントを自らチェックするなどして率先垂範してください。

     また、トップマネジメントが出席しない会議についても折をみてチェックしてみる
     ことも忘れないようにしてください。

     例えば、自身が出席しなくとも、開催する旨の報告を受ける会議、あるいは会
     議の結果のみ報告を受ける会議などを対象に、上記で紹介したポイントを
     チェックしてみるとよいでしょう。

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会議の進め方とルール

会議の環境づくり


  会議で「何か意見のある人」と問いかけをしても、返事がまったく返ってこないことはよく
  あることです。

  そういう時は、会議の場が上手くつくられていないのかもしれません。

   「場」とは、物理的な環境だけではなく、会議に集まる人材のピックアップや
  会議の事前準備、始まってからの雰囲気づくりなどの総体を差します。

  会議に対する参加感や期待感が高い状態が「場がつくられている状態」です。

  会議で好ましいのは意見を出し合える状態です。

  発言が少なくて、進行役が「自由に発言を」と促す会議の方が多いとしても、考えて 
  ほしいのは、本当に「自由に発言」していいのかということです。

  会議の開始時に「俺、忙しいんだよね」と出鼻をくじかれる。

  または、紆余曲折の後、まとめに差し掛かったときに「俺はやっぱりその方向性は気に
  くわない」と議論を蒸し返される。

  あなたが進行役だとしたら、非常に困る状況です。

  そういう状況をつくらないように、参加者は大人になる必要があります。

  全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って理知的に振る舞う。

  そういう人材を必要とするのが、会議という場所です。

  □会議という場の形成

   会社の人材を眺めてみると、「全力を尽くして情熱的に会議に参加し、進行に従って
   理知的に振る舞う」ことができそうな人ばかりでないのは、すぐに気付くと思います。

   組織の中にはいろいろな人がいます。

   その人たちの持っている能力、主に提案・調整に関する能力を、一定の手続きに
   則ることで、十二分に引き出せるようにするのが冒頭に述べた「場がつくられて
   いる状態」の会議です。

   会議には、問題を解決する会議、報告をする会議、アイデアを出し合う会議など、
   さまざまな目的がありますが、いずれにしても「場がつくられている状態」に
   することは、会議を有効なものにするためには不可欠です。

  □お互いを信頼し合う状態にする

   会社のメンバーは、一緒に仕事を進めていく仲間であり、競争相手。

   また人が集まれば派閥もできます。

   そんな中で、会議を「場がつくられている状態」にするために一番大切なのは、参
   加者がお互いに信頼し合っていることです。

   そのためには会議の進行役を扇の要として、安心の輪を広めていく必要があります。

   安心は、信頼感を高める大きな足がかりとなります。

   会議に対する安心感を高めるには、会議は安心できる場所であるということをア
   ピールすることであり、大きく分けて以下の3つの方法があります。

    1.会議は安心できる場所であると明言する

      会議で発言するのは怖いものです。

      バカにされるのではないか、へんなことを言っているのではないか、
      良い格好をしていると思われるのではないか。

      自分が発言しても結局大勢は変わらないのではないか。

      そういう怖れは、会議の参加者の中に忍び込み、伝播し、まん延します。

      この感覚を、会議という場所から取り去る必要があります。
 
      一番簡単なのは、そういう怖れを抱かなくても良いということを折に触れて、
      明言していくことです。

      「誰も、他の人の発言をバカにしないこと」「みんなの意見を平等に尊重しま
      す」「どんなことを言っても大丈夫だよ」などと言うのが効果的です。

      特に同じメンバーで繰り返される会議であれば、遅効性ではあるものの、もっ
      とも浸透する方法です。

    2.進行役が、メンバーの発言に対する肯定表現を行う

      メンバーが発言したとき、あるいは議論に参加したとき、進行役が肯定的な
      態度を示すことです。

      適切なうなずきや質問、まとめなどが、これに当たります。

      感謝の意を表するのも肯定的な反応になります。

      「ご意見ありがとうございます」「新しい視点ですね」などの言葉で表しても
      よいでしょう。

    3.会議を構成しておく

      先ほども述べたとおり、会議にはさまざまなタイプがあります。

      その会議の目的に従って、会議の流れを構成しておくということも大切です。

      これらの作業を進行役が粘り強く行っていくと、会議参加メンバーがしだいに
      感化されてきます。

      さらに参加者全員が共通の会議ノートを使用することで意識統一や伝達の
      明確化が図れます。

      会議のありかたや肯定表現を、メンバー同士で行えるようになると、集団で
      行う仕事である「会議」の成果を最大化する環境が構築されてきた証拠です。

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会議の進め方とルール

効果的な会議

効果的な会議
 

  ■会議の目的

   会社経営を続けていく上で、変化は避けられません。

   それは景気の変動や同業他社の動向といった外部環境の変化であったり、従業員
   構成や商品構成などの内部環境(資源)の変化であったりします。

   そして、それらの変化によって、企業にはさまざまな懸案事項が発生します。

   会社が成長を続けていくためには、それら懸案事項の一つひとつに適切に対応しなけ
   ればなりません。

   こうした懸案事項に対応していくためには、会社が一丸となって皆の知恵を集めて
   解決策を見いださなければなりません。

   社内の意見を募り、それらを調整する場の一つとして、社内会議(以下「会議」)があり
   ます。

   会議は、「情報の伝達と確認」「問題に対する解決策の検討」「従業員間や部門間の
   利害調整」「調整中の事項についての正式な決定」など、さまざまな目的で開かれ
   ます。

   会議に対しては、「時間の無駄」「コストの無駄」などの問題が指摘されることもあり
   ます。

   しかし、会議は会社経営を行っていく上では欠かせないものです。

  □会議の問題点

   1.多すぎる会議
     よく見られる会議の問題点を整理していきます。

     会議はさまざまな目的で開かれます。

     そのため、時期によっては毎日のように会議が行われ、「会議に参加すること
     が仕事」となってしまうことさえあります。

     会議は、会社経営に当たって必要なものですが、会社経営に関する全てのこ
     とを会議で決定する必要はありません。

     会議を開くまでもない小さな議題に対して毎回会議を行っているようであれ
     ば、こうした体制は見直したほうがよいでしょう。

     例えば、決算業務などで忙しい時期に時間をやりくりして参加した会議が内容
     の薄いものであったとしたら、従業員から不満がでるばかりか、他の業務に割
     くべき時間も無駄にしたことになります。

     また、地方の支社から会議のために出張してくる従業員の場合、時間の問題
     に加えて、交通費など出張コストの問題も出てきます。

     「無駄な会議が多い」という意識は、このように、内容の薄い会議が少なくない
     という状況から生じているのでしょう。

   2.はっきりしない目的
     会議の中には、特に議案もないままに開かれ、会議という名の“座談会”に
     なってしまっているケースがあります。

     実際、参加者から何も意見が出ないばかりか、居眠りする者までいるといった
     状況に頭を抱えている経営者は少なくないでしょう。

     にもかかわらず、「定例のものだから」といった理由だけで会議が開かれるの
     は確かに問題です。

     業務時間を割いて会議を行うのですから、会議には「今日はこの事案につい
     て決定する」など、明確な目的が必要です。

   3.話し下手の発表者
     経営層から従業員に対する経営方針の伝達などを目的にする会議では、発
     表者は社長や役員となります。

     「社長や役員が話をする」という時点で、参加者は真剣にその話に聞き入り、
     理解しようと努めるのが本来の会議の在り方です。

     しかし、会議があまりに長かったり回数が多い場合、発表者の話が上手でな
     ければ参加者が飽きてしまうのは仕方のないことかもしれません。

     発表者が重要な話をしていたとしても、参加者は退屈に感じてしまい、肝心な
     ことを聞き漏らしてしまうかもしれません。

     また、途中で質疑応答の時間などが設けてあれば気分転換もできますが、社
     長からの発表が続くだけの会議では参加者の集中力が低下します。

   4.資料読みだけで終わってしまう
     会議の場で初めて資料が配られて、その説明(説明といいながら実際は担当
     者が資料を読み上げる)だけで会議が終わってしまった、というケースがあり
     ます。

     忙しい中時間を割いて会議に出席しているのに、資料を読むだけで時間を潰
     されてはたまりません。

     事前に資料を配布しておけば、資料読みのための時間は不要になり、会議の
     最初から議論に入ることができるのに、資料が間に合わないなどの理由で、
     上記のような無駄な時間を使う会議が少なくありません。

   5.会議の場での叱責
     例えば、営業会議の場で、営業成績が悪かった従業員を叱責するといった場
     面もあるかもしれません。

     しかし、会議の場で従業員を名指しで叱責することは逆効果となることがある
     ので注意が必要です。

     多くの従業員が集まる場で個人を叱責することは、叱責された従業員の自尊
     心を大きく傷付けるばかりか、周りで聞いている他の従業員のモチベーション
     をも低下させてしまうことがあります。

     こうした会議が続くと、従業員の申で「会議には出たくない」「会議中は上司を
     刺激しないようにできるだけおとなしくしておこう」という意識が芽生え、会議の
     雰囲気はどんどん沈滞していきます。

     それどころか、社内の雰囲気が悪くなり、業務全般に対して悪影響を及ぼす可
     能性もあります。

     時には、従業員の意識を引き締めるために、あえて会議の場で叱責すること
     もあるかもしれません。

     その場合、「業務遂行上の問題点」についてのみ叱責するようにし、従業員の
     人格を否定するような叱責の仕方はしてはなりません。

     また、叱責して終わりではなく、当該従業員に対して会議の後でフォローを
     行ったり、叱責した問題点が解消された場合には賞賛したりすることも忘れな
     いようにしましょう。

  □活気ある会議を実現するために

   1.開催することが目的の会議を抜け出す
     本来、会議は自社の重要事項を決定するための大切な場で、参加者は積極
     的に会議に参加しなければなりません。

     しかし、これまで指摘してきたような問題から、会議の意義が薄れてしまってい
     るケースがあります。

     参加者も会議の意義を見いだせないような会議では、活発な意見など望むべ
     くもありません。

     これでは、本来の会議の目的が達成できず、「会議を行うこと自体が目的」と
     なってしまいます。

     以降では、会議を再び活気あるものとし、会議本来の姿を取り戻すための留
     意点について考えます。

   2.会議の回数を見直す
     決まった日時に開かれる定例会議は、他部門の動向や業績などを知り、従業
     員問のコミュニケーションを図る上で重要です。

     しかし、特に議題も無いままに「定例だから」という理由だけで会議を行ってい
     ると、参加者も積極的に会議に参加しようという意欲が無くなり、だらだらと行
     われる座談会になってしまいます。

     こうした事態を避けるためには、会議の回数を見直して会議運営の効率化を
     図ることも一案です。

     例えば、議題が無いときは定例会議を中止したり、伝達だけなら文書回覧など
     で済ませるなど、不要と考えられる会議は行わないようにしましょう。

     なお、文書回覧については、社内イントラネットを組んで掲示板を作成したり、
     電子メールなどを使うと効率的です。

     全ての事項を会議で決定する必要はありません。

     文書回覧で済む程度の伝達を会議で行っているようであれば、それは時間の
     無駄ですので早急に見直しましょう。

   3.議題を見直す
     例えば、「営業力をどのように高めるか」などのテーマで会議が開かれること
     がありますが、これでは議題が大き過ぎて、意見を求められた参加者もどんな
     発言をしてよいか迷ってしまいます。

     ブレーンストーミングによって、とにかく多くのアイデアや意見を集めることもあ
     りますが、議題が大き過ぎると集まったアイデアや意見がバラバラになってし
     まい、比較検討ができなくなってしまいます。

     会議を行う際には、議題を絞り込むことが基本です。

     「最近の業績不振をどう打開するか」という抽象的な議題よりも、「A商品の販
     売数が伸び悩んでいて、それが利益を圧迫している。A商品の販売数を伸ば
     して利益拡大を目指すにはどうしたらよいか」といった具体的な議題のほうが
     意見が出やすいでしょう。

   4.会議の情報(資料)は事前に提供
     「A商品の販売数を伸ばすための戦略」をテーマに会議を開く場合、参加者に
     日時とテーマを伝えるだけでは活発な意見は期待できません。

     事前に、A商品の最近の販売実績の推移、同業他社の類似商品間発動向な
     どの貝体的な情報を会議の参加者に提供しておくことが必要です。

     これにより、参加者は現状を踏まえて会議の前に打開策を検討するなど、事
     前準備を行った上で会議に参加することができます。

   5.従業員の意見を尊重する
     社長は、会議を行う前から議題に対し、自分なりの考えを持っているはずで
     す。

     会議では従業員からさまざまな意見が出されますが、それらの意見の中には
     社長の考えに沿うものもあれば、そうでないものもあるでしょう。

     このとき、社長が自らの考えに沿う意見だけを採り入れ、そうでない意見を無
     視していたとしたら、会議を行う意味はありません。

     従業員にとっても、せっかく考えた意見が、「経営者の考えと違う」というだけで
     無視されるとしたら、考える気が起きなくなってくるでしょう。

     会議を活性化するためには、従業員から挙げられた意見を尊重し、採用の可
     否について真剣に検討する姿勢を示すことが必要です。

     ただし、中には調べ方が浅く、検討するに値しない意見もあるかもしれない。

     そこで、従業員には、議題についての意見は、その理由や根拠となるデータな
     どと併せてまとめておくよう徹底させます。
     (もちろん、会議の場で優れたアイデアが浮かんだ場合は、データなしでの発
      表も可とします)。

   6.質疑応答の時間を設ける
     業績などを報告するだけの会議の場合、質疑応答の時間がないことが多くあ
     ります。

     誰が見ても明らかな客観的事実を伝えるだけの会議なら、質疑応答の時間が
     無くても問題無いでしょう。

     しかし、入社年次や役職がさまざまな従業員が会議に参加している場合、そ
     れぞれの参加者が持っている情報には差があることを認識しなければなりま
     せん。

     例えば、役職者にとっては当たり前のことでも、一般従業員にとってはよく分か
     らない話であることが多いのです。

     その際、質疑応答の時間が無いまま会議が終わってしまうと、一般従業員は
     疑問を抱いたままで会議を終了することになってしまいます。

     特に入社年次の浅い若手従業員が参加しているような場合、若手従業員は
     会議の内容に疑問を感じていても上司や先輩に遠慮してなかなか質問ができ
     ないものです。

     若手従業員に対しては、会議終了後に内容を理解できたか確認し、上司が個
     別に説明するなどの配慮が必要です。

     あるいは、若手従業員に会議の議事録を作成させるのも一案です。

     議事録を作成するためには、会議の内容をしっかりと理解しなければならない
     ため、会議への参加意識が高まりますし、不明な点は自発的に質問するよう
     になるはずです。

  □会議成功の鍵は議長にある

   1.議長にふさわしい人材
     会議成功のキーマンは議長です。

     議長が適切に会議の進行をコントロールすることができれば、会議は活性化
     する可能性が高いといえます。

     議長には、議題を十分に理解しているだけでなく、雰囲気の明るい人、話の上
     手な人を選出するのがよいでしょう。

     適切な人材がいないときは部門長(経営者)自らが議長を務めます。

     話の上手な部門長(経営者)ばかりではありませんが、「部門長(経営者)が議
     長を務める」だけで、参加者の気持ちは引き締まるでしょう。

     以下では、参考として、会議の議長にふさわしい人材を紹介します。

   2.明るい雰囲気の人
     議長は会議のムードメーカーです。

     議長の人柄によって会議の雰囲気は和やかなものにも堅苦しいものにもなり
     ます。

     会議の議題にもよりますが、理想的なのは、時に応じて冗談を交えて雰囲気
     を和ませることができるような人です。

     「会議が堅苦しくて何が悪い」という意見もあるでしょうが、雰囲気が和やかな
     ほうが、参加者も発言しやすくなります。

     特に、若手従業員にとっては会議の場で発言することはなかなか勇気が要る
     ことです。

     こうしたとき、会議が和やかな雰囲気で行われていれば、発言もしやすくなる
     でしょう。

     また、会議が長時間にわたると、議論が停滞して意見が出にくくなることがあり
     ます。

     時には冗談を交えながら、進行にめりはりをつけるようにしたほうが、会議が
     活性化しやすいのです。

   3.聞き役になれる人
     大勢の参加者の前でも物怖じせずに会議を進めるために、人前に出ることに
     あまり抵抗を感じない人を議長とすることが大切です。

     ただし、人前で発言することが大好きな人を議長にすることは問題かもしれま
     せん。

     議長が積極的に発言してしまうと、参加者は議長の意見に影響されてしまうこ
     とも少なくありません。

     議長はあくまでも会議の進行役であり、他の参加者とは一線を画した位置に
      います。

     議長は、一歩引いて冷静に、事務的に会議を進行させることが求められます。

   4.中立的な立場に立てる人
     議長も議題に対して個人的な意見を持っています。

     発言者から自分と同じ考えの意見が出ればうなずき、反対の意見が出れば首
     をかしげるかもしれません。

     しかし、議長はいつでも中立的な立場で会議を進行することが大切です。

     議長が個人的な意見に基づいて発言・行動してしまうと、参加者の発言を公平
     に判断することができません。

     議長は、常に全ての参加者に公平で、参加者の意見を引き出すことに努めな
     ければなりません。

   5.臨機応変に対応できる人
     会議の場では、参加者が、「キョロキョロと辺りを見回し、落ち着かない」「あく
     びをしている、居眠りをしている」「発言が少ない、議長と目を合わせない」「発
      言が長過ぎる、批判(反対)的な発言が多い」などの問題が起こります。

     こうしたとき、“場の空気”を察して、臨機応変に対応できる議長が理想的で
     す。

     例えば、あくびをするなど参加者に疲労が見えてきたら、適宜休憩時間を設け
     るなどして、参加者の疲労を軽減するようにします。

     また、議長と目を合わせないなど会議へ積極的に参加しない人に対しては、
     思い切って名指しで質問してみるのもよいでしょう。

     さらに、発言時間の長い参加者がいる場合には、あらかじめ「発言は○○分以
     内でお願いします」などと伝えます。

     批判的な発言が出された場合は参加者が感情的になることなく、批判の内容
     を参加者全員で考えるように会議を進行することも大切です。

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会議の進め方とルール

ファシリテーターの役割

ファシリテーターの役割
 

  ■ファシリテーター

   会議やミーティングで参加者に発言を促したり、議論を整理したりして合意形成を
   行うことを「ファシリテーション」と言い、その考え方や技術を使って会議を進める
   人をファシリテーター」と呼びます。

   ファシリテーターは「促進者」と呼ばれ、裏方としての役割に加えて、議事を進める
   責任と合意を形成する権限を有します。

   議長(場における最上位者。経営会議における社長や、営業部門会議での部長など)
   がファシリテーターを務めることは少ないです。


   ルールに則っている限り、議長や上位者がファシリテーターの運営に口を出すことは
   厳禁でです。

   ファシリテーターは会議の品質向上のために、主に次の(1)〜(3)の役割を担う。

  □ファシリテーター(司会者)の役割
    (1)会議のプロセスをデザインする:会議の中身ではなく、進め方のみをコント 
      ロールする

    (2)安全な「場」を創造する:自分の立ち位置や力関係とは関係なく、よい意見
      が出せる場をつくる

    (3)参加者の納得性を引き出す:対立を解消し、合意形成を導く

   (1)〜(3)のように、運営にかかる外的要因と、参加者にかかる内的要因をデザイン
   することで、効果的なアイデアや、対立を超えた合意形成といった「話し合いの

   バイタリティ」が生まれてくるのです。


  □ファシリテーター3つの役割
   会議の品質を高めるスキルとして、ファシリテーションの考え方とファシリテーター3つ
   の役割(会議のプロセスをデザインする、安全な「場」を創造する、参加者の納得性を
   引き出す)について、それぞれの役割について以下に詳述していきます。

   1.会議のプロセスをデザインする
     他の仕事と同様、会議も「準備が品質の8割を決める」と言える。

     会議の準備に消極的な組織もあるが、会議に集ったスタッフの1時間あたりの
     コストを考えると、「議論して結論を出す」ことに注力し、そのほかの時間
     (資料の確認や個人的な検討)をできるだけ排除すべきです。

     その意味でも、ファシリテーターの果たす役割は非常に大きいといえます。

     会議のプロセスをデザインする要素は、大きく「目的」「時間」「役割分担」の
     三つに分けることができる。

     (1)目的
       まず、会議の開催に際しては、その目的とゴールを明確に設定し、事前に
       関係者に通達することが大切です。

       結論をしっかりと出すことが目的なのか、問題点を共有することが目的な
       のか、目的に応じて、会議の準備も変わってくる。

       また、参加者は会議の趣旨に応じて決定する。議事録の配布で十分な関 
       係者もいるし、時間で区切って一部だけ参加すればよい関係者もいる。

       要は、会議のコストを常に考えて、デザインすることである。

     (2)時間

       会議は、必ずスケジュールを事前に配布すること。

       内容はできるだけ具体的なほうがよいでしょう。

       スケジューリングを行う際に、議長または司会(ファシリテーター)の
       「意志」を込めることが大切である。

       議題の重点をどこに置くのか、どのような「仕掛け」で盛り上げるのかなど、
       会議の品質はこの段階で決まると言っても過言ではない。

       また、スケジュールにあらかじめ会議の「ルール」を付加すると、さらに
       ス
ムーズに進行します。

       例えば、「他者の発言を否定しない、遮らない」「発言の際は、必ず挙手し 
       て司会の許可を得てから行う」などを記載します。

     (3)役割分担

       参加者が議論に集中するためには、役割分担も重要である。

       少なくとも議長、司会、ボード、書記などを設定する必要があります。

       議論をホワイトボードや模造紙に書き、全員がそれを見ながら議論します。

       手元の資料を読みこませない、または書き込ませない(下を向かせない)
       ことです。

       なお、議事録は早く共有化することが重要なので、できれば会議終了時点

       で、配布することです。

       これは決定事項に対してすぐに動けるようにするためです。

       手書きでもよいし、ボードをデジカメで撮影してそれを印刷してもよい。

       繰り返しになりますが、会議の品質を上げるには、準備が非常に大事です。

       プロセスをデザインするために必要な会議準備チェックリスト

        □適切な人材が呼ばれているか(不要な人は呼んでいないか)
        □事前に会議の目的・ゴールが参加者に伝わっているか
        □事前に検討資料が参加者に配布されているか(個人的な検討は事前
         に済んでいるか)
        □事前にスケジュールが組まれて周知されているか
        □会議の進め方(ルール)が組まれて周知されているか
        □会議時間に余裕時間が組まれているか
        □役割分担(書記、板書など)ができているか
        □活発な意見が出るための仕掛けがあるか
        □決まったことを実行・チェックする仕掛けがあるか
        □以上のことをファシリテーターが事前に議長に確認しているか

   2.安全な「場」を創造する
     上記のファシリテーターの役割の『(2)安全な「場」を創造する』についてです。

     活発に意見が交わされる会議をつくるには、参加者が「守られている」と感じら
     れるようにすることである。

     そうした場を醸成するため、司会(ファシリテーター)が参加者と信頼関係を
     築くには、

     (1)傾聴の段階:司会は常に発言を聴いてくれている
       最初のプロセスは、会議の参加者に対し、司会から積極的に関与すること
       である。
       せっかく勇気を出して何か発言しても、それが無視されたり、軽視されたり
       すれば「やっぱり、発言などするものか」と思ってしまう。
       そこで、司会は発言をあまりしない人の発言こそ、丁寧に拾うことが重要と
       なります。
       たとえ有効な意見ではなかったとしても、傾聴している態度を示すことで、
       次回の発言のモチベーションにつなげるのです。

       ●傾聴の段階で使うフレーズ事例
        「なるほど、なるほど(深くうなずく)」、「今のはよい意見ですね、ありが
        とうございます」

     (2)安心の段階:司会は絶対に意見を否定しない

       せっかく意見を言っても、頭ごなしに否定されてしまうと、次から意見を言う
       ことをためらってしまうものです。

       発言の否定には、「他の参加者による否定」と「司会自身による否定」がある。

       もちろん、司会者自身が否定するようでは話にならないが、他の参加者に
       よる否定に対しても、十分に気を配らなければならない。

       否定する人間のことも否定しないようにしつつ、発言者の意見の奥にある
       真意にクローズアップして、それを会議の参加者が共有化するようにリード
       する。

       ●安心の段階で使うフレーズ事例
        「そういう視点も大事ですね」、「議題の趣旨とは少しズレていますが、よ
        い意見だと思いますので、別途記録として残しておきましょう」

     (3)自発性の段階:司会はいいところを引き出してくれる

       発言が苦手な人は、自分の意見が整理されていないことがある。

       その場合は、司会が要約する、あるいは別の視点から考えられるような感
       想を述べる。

       「あの人が司会だと、よい意見が出る」と思わせると成功である。

       ●自発性フェーズで使うフレーズ事例
        「○○○ということですね(要約してあげる)」、「あえて視点を変えて
        みたとして、別にどんな方法が考えられますか?」

       司会は、発言者がこれらのどの段階にいるかを想定しながら、前述のよう
       なフレーズで随時反応するとよいでしょう。

       最初は照れなどでうまくいかないかもしれないが、繰り返すことで驚くほど
       効果が出てきます。

   3.参加者の納得性の引き出し方
     上記ファシリテーターの役割の『(3)参加者の納得性を引き出す』についてです。

     (1)成果を左右する納得性
       会議の中でいくら優れた意見が出たとしても、それを実行するメンバーが納
       得していなければ満足な成果は得られない。

       行動が伴わなければ、どんな方策も画餅に終わってしまうからです。

       同じことでも、「無理やり押し付けられた」と感じるか、「腹の底から納得し
       て、やってやろう」と思うかで、結果は全く変わってきます。

       会議のファシリテーターにとって、メンバーの納得性を引き出すことも重要 
       な役割の一つとなる。

     (2)意見の相違の背景

       たとえば、ある会社の営業会議で、販売促進のための新しいツールづくり
       を行おうというアイデアが出た。

       しかし、ある中堅社員がかたくなに反対して、討議はこう着状態。

       そこで進行方法を変えて、なぜ反対するのかを詳しく聞くようにしてみた。

       すると、何か新しいことを行う場合、いつも実行段階でその中堅社員に多く
       の負担がかかっていたことが分かった。

       彼も売上げ向上には賛成だが、自分に負担がかかりすぎて営業に専念で
        きなくなると考え、反対したのだ。

       会議の中では、多くの対立が見受けられます。

       こうした対立は、表面上の意見調整だけでは解決できないことが多い。

       だから、前述のように「対立の背景にあるもの」を明らかにすることが大切
       です。

       その上で、互いの背景を理解し、双方が納得するアイデアを出し合うこと

       で、合意に近づけることができる。

       その際、ファシリテーターは会議の「主目的」を、参加メンバーに常に意識さ
       せておくことが重要である。

       先ほどの例であれば、「売上げを上げたい」という思いは、中堅社員も、ほ 
       かの参加者も一緒である。

       だから、中堅社員の負担が軽減できるように作業を分担できれば、反対す
       る者はいなくなります。

       主目的をベースに互いの背景を話し合うことで、妥協点やよいアイデアも
       出やすくなっていく。

     (3)対立の必要性

       司会者によっては「対立」すること自体を避けようとする人もいるが、必ずし
       もそれが正しいとは言えない。

       むしろ、「対立」を促すことで、次のような効果が期待できるでしょう。
        ①自分や相手の意見の背景を知るよい機会になる
        ②多様な視点を共有化することで、意思決定の品質が向上する

       このように、対立を上手に議論の中に織り込むことで、より深い討議を行う
       ことが可能となります。

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会議の進め方とルール

会議は重要なコミュニケーション手段 


  会議は、マネジメントを展開する上で最も重要なコミュニケーションの手段です。

  経営者や幹部は勤務時間の多くを会議にかけているが、それほどの時間をかけてど
  れだけの効果が上がっているのかと言えば、会議を開いた効果があるとは言えないの
  ではないでしょうか。

  原因は会議が的確に運営されている例がとても少ないのが現状だからです。

  会議のほとんどが責任をあいまいにする場として使われているか、お知らせか伝達ま
  たは訓示に終始しているのです。

  なぜ、会議があるべき形で開かれず、効果を上げられず、的確な運営ができないので
  しょうか。

  それは会議のルールが守られていないか、参加者が会議のルールを知らないためです。

  本来、会議というものは、始まる前に参加者の一人ひとりが大変でも十分な準備をし
  ておかなくてはなりません。

  会議参加者のあるべき姿とは、会議の席上、自分の準備してきた意見が的確に表現
  でき、会議の参加者から多くの賛同者を得られることによって、会議が終わったとき
  に満足感が得られることです。

  そのためには、会議のテーマと必要な関連資料が事前に参加者に届けられているこ
  と、会議に出席する前に十分な準備時間のあることが不可欠な条件となるのです。

  テーマがあらかじめ発表され、参加者の一人ひとりが準備してから来るならば、会議の
  時間中に脱線することはあり得ないことになります。

  一人か少数の常連のみが演説をぶつこともなくなり、参加者全員の意見が公開される
  ことになるのです。

  そして会議の最後には、何らかの結論が示されることになります。

  会議は何かを決定する場であると思い込んでいる人が多いことも確かです。

  一般的な会議は、あくまでも教育訓練の手段か、あるいは討論の場でなければならな
   いのです。

  言い換えれば、会議はあくまでもコミュニケーションの手段なのです。

  つまり、経営意思決定のための会議とコミュニケーションの手段として行なわれる会議
  とは別けて行われる必要があるのです。

  ここで、的確な会議運営を行なうための条件を考えてみましょう。

  第一、

  先に述べたように、会議のテーマと必要な関連資料とが事前に参加者に届いていること。

  第二、

  会議は当然、定刻に始まらなければ準備を  した意味がなくなり、遅刻は許されません。

  会議開始の2分前には着席していることも、絶対原則であるのです。

  第三、

  会議で討論する出席者は7人以内が原則とされ、これ以上多いと適切な討論ができなく
       なるのです。

  会議時間は1時間〜2時間とすべきで、開始時刻と終了時刻とをあらかじめ決め、その
  終了刻限を厳守することも要領の一つです。

  2時間を超えると、討論は堂々巡りになってしまう。

  会議の内容は、最初にテーマの提案理由と結論の範囲(程度)を明示することです。

  会議は本来、全出席者が発言するものであり、同時に、繰り返し発言の場がなければ
  討論にならないので、スピーチは1回1分間、長くても3分間を原則とします。

  提案理由を語る立場の人には、3分〜5分間を与えるが、10分を超えると、聞いて
  いる人たちの緊張感がなくなります。

  討論を効率よく進めるためには、退席や中座、電話取次ぎは、完全なルール違反とし
  て厳禁されねばなりません。

  会議時間が長引くのは、

   ・参加者数が多すぎる

   ・テーマがあいまい

   ・参加者の事前の準備不足

  のいずれかが原因です。

  このマイナス点を議長が指摘し、次回はもっと有効に会議が進行するよう注意をして
  解散します。

  会議で発言をしない人は、議長が指名して発言を求め、それでも発言がない場合は、
  次回に発言がない場合は、参加を停止するべきです。
   
  ■会議の原則   

   会議は、マネジメントを展開する上で最も重要なコミュニケーションの手段です。

   実際、経営者や幹部は勤務時間の4〜8割を会議にかけている。

   主任、係長、課長、部長、本部長、取締役と階層を示す肩書きが上がっていくにつ
   れ、週当りあるいは一日当りの会議への出席時間は増えていくものです。

   では、それほどの時間をかけてどれだけの効果が上がっているのかと言えば、会議
   を開いた効果があるとは言えないのが実態ではないでしょうか。

   原因は会議が的確に運営されている例がとても少ないのが現状だからです。

   会議のほとんどが責任をあいまいにする場として使われているのではないだろうか。

   そうでない場合は、お知らせか伝達または訓示に終始している。

   伝達や訓示だけなら聞き取っておくだけで負担は軽いが、会議の席上しばしば職務
   上の特別な義務が追加されることになって、心重く打ちひしがれて会議を終えるとい
   うのが国内企業の一般的な習慣である。

   お知らせや伝達、訓示をしたければ、「会議指導」とも表現される別の形式の会議を
   開くべきです。

   このような大人の会議の実情を家庭で子供に聞かせれば、とたんに親のほうが馬鹿
   にされるはずだ。

   なぜなら、義務教育では会議の正しいあり方が何度も繰り返しロールプレイングで教
   え込まれているからです。

   なぜ、会議があるべき形で開かれず、
   効果を上げられないのか。

   どうして的確な運営ができないのか。

   それは会議の原則が守られていないた
   めか、参加者が会議の原則を知らない
   ためです。

   つまり、会議のあるべき形が理解されて
   いない。

   本来、会議というものは、始まる前に参加
   者の一人ひとりが大変であっても十分な
   準備をしておくべきものだからです。

   会議が始まる直前は緊張するが、会議の席上、自分の準備してきた意見が的確に表
   現でき、会議の参加者から多くの共鳴者を得られることによって、会議が終わったと
   きは清々しい満足感が得られる、というのが会議参加者のあるべき姿のはずです。

   そのためには、会議のテーマと必要な関連資料が事前に参加者に届けられている
   こと、会議に出席する前に十分な準備時間のあることが不可欠な条件となります。

   テーマがあらかじめ発表され、参加者の一人ひとりが準備してから来ることにな
   れば、会議の時間中に脱線することはあり得ないことになるはずです。

   一人か少数の常連のみが演説をぶち続けることもなく、参加者全員の意見が公開さ
   れることになる。

   そして会議の最後には、何らかの結論が示されるはずです。
 
   この結論には二通りあります。

   一つは、座長か議長になった人が、次の会合につなげるために今回の論旨をまとめ
   る場合である。

   いま一つは、会議に参加している人びとの中で階層が最も上の大きな権限を持つ立
   場の人が、「これからはこのように決定する」という意思表示をする場合である。

   ただし、ここで表明された上司の意志は会議参加者の直属の部下に対してのみ有効
   であって、命令系統の違う者に対しては参考意見ということになる。

   いずれにせよ、会議の最後の結論は、簡単明瞭なことが必要なのです。

   ところが、会議は何かを決定する場であると思い込んでいる人が多い。

   しかし、会議で何かを決定できるのは、株主総会と労働組合大会、取締役会、理事
   会ぐらいである。

   それ以外の会議は、あくまでも教育訓練の手段かあるいは討論の場でなければなら
   ない。

   言い換えれば、会議はあくまでもコミュニケーションの手段なのです。

   つまり、経営意思決定のための会議とコミュニケーションの手段として行なわれる会
   議は、はっきりと区別する必要があるのです。

   会議がお知らせや伝達、訓示と化さないためには、参加者全員が共通のノートを使
   用することで意識統一や伝達の明確化が図れるのです。

 

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会議の進め方とルール

会議の進め方とルール

会議の目的は、『会して議し、議して決し、決して行ない、行って
その責を取る』です。

会議の進め方とルール

会議の進め方とルール


■収益に直結した会議

 あなたは会議の重要性を認識し、正しい会議運営を実践していますか?

 関与先企業の会議に参加して実感することは、会議がセレモニー化され、形骸化されていることです。

 年間の労働時間を通して20%近くを会議に費やしているところもあります。

 しかし、それが収益に反映していません。

 原因は明白です。

 正しい会議の運営ができていないからです。

 会議が効率的で形骸化さないためには、参加者全員が共通の会議ノートを使用することで意識
 統一や伝達の明確化が図れます。

 会議の目的は『会して議し、議して決し、決して行ない、行ってその責を取る』です。
 あなた(会社)が会議をする目的は収益アップを図るためのものであるはずです。

 しかし、

  ・幹部は勤務時間の4〜8割をかけている。

  ・ほとんどは会議を開いた効果がない。

  ・お知らせ伝達または訓示に終始している(これらについては別の会議を開く)

  ・テーマが不明確

  ・1人か少数常連のみが発言

  ・最後の結論が不明瞭なこと

 さらに、
  ・退席・中座

  ・電話取次ぎ

  ・雑談

  ・脱線

  ・茶坊主的発言

  ・発言に意見ではなく、文句を付ける

 など、会議に参加して、会議がルールに基づいて行われていないといったことが感想でした。

 会議には相当なコストがかかっているはずです。

 月間の会議時間×参加者の時間給×12 = 会議に掛かる年間コスト
  
□会議を経営に活かす

 多くの会社はさまざまな会議が日常的に行われています。

 しかし、会議によっては本来の機能を果たしておらず、時間の無駄遣いになっていることも少なく
 ありません。

 組織で業務を行ううえで、会議で物事を決めたり意思統一を図ることは不可欠であり、会議を上手に
 活用することで、大きな成果を上げている会社も多数あります。

 また、社長にとって、自らが有意義で効率的な会議のあり方を示し、実践することで、社内の
 あらゆるレベルでの会議の手本とすることができます。
 
 まずは、社長自身が会議に参加する意義を整理してみましょう。

 中小企業では基本的にトップダウン型のマネジメントが行われており、経営上の意思決定も会議に
 頼ることなく、社長自身が行っていることが多いでしょう。 

 そして、社長の意思決定を受けて幹部陣が「それをどのように実現するか」について幹部会議を
 行うという流れが一般的です。

 幹部会議に社長も出席することはありますが、実質的には「議論の場」ではなく、「指示の場」
 としての意味合いが強いようです。

 その後、幹部陣は会議結果を自部門に持ち帰り、部内会議、課内会議にブレイクダウンして
 いきます。

 つまり、社内の会議体系の中でトップと経営幹部が行う会議の密度が一番低いのです。

 このやり方は社長が社内会議にあてる時間を極力減らし、他の重要業務に時間を使えるという
 点では優れていますが、次のような社長自身が積極的に会議に参加することで生まれるメリット
 は期待することができません。
    
□社長が会議に参加するメリット

 (1)自分の考えを浸透させることができる

   社長は会議での議論を通じてそれぞれの課題の解決策だけではなく、「なぜ自分はそのように
   考えるのか」についての価値基準を示すことができます。

   社長は日頃から経営理念など自分の経営に関する基本的な考え方について社員に話をしていると
   思います。

   会議で取り扱われる議題はその考え方をより具体的に示すためのケーススタディーとして活用
   できるのです。

   たとえば、業績不振の打開策を検討する会議では、さまざまな解決案が議論されます。

   しかし、そのなかにはたとえ「合理的」にみえても、社長の価値観にそぐわない「やっては
   いけないこと」もあるはずです。

   幹部陣が目先の業績改善にとらわれるあまり、「顧客第一主義」などの理念を見失ってしまう
   こともあります。

   その場合に社長が自分の価値観を踏まえた判断を示すことで、経営全般に関する考え方を浸透
   させていくことができます。

  (2)問題解決の知恵を創出することができる

    経営の重要課題について最終的な判断を下すのは社長です。

    しかし、社長自身の知識や経験だけでは判断材料が不足する場合もあることから、多くの
    人が集まる会議を社長の「知恵袋」として活用することを考えます。

    もちろん、妙案がすぐにあがってくることはほとんど期待できないでしょうが、社長は
    知恵を共同で創出できるように会議を上手にコントロールしていく必要があります。

    その際にポイントとなるのは、

     ・論点を整理すること

     ・自由に発言できる雰囲気をつくること

    の2点です。

    前者については社長自身が悩んでいるポイント、たとえば、「メリットとデメリット」、
    「効果と費用」、「新事業の将来性と既存事業への影響」などを明確に示し、参加者なりの
    意見を言わせることが大切です。

    難しいテーマを扱う会議がなかなか進まない理由の多くは「どう考えたらよいかわからない」
    という最初の一歩が踏み出せないことにあります。

    社長が具体的な論点を明確にすることで、議論を適切な方向へ向けてスタートさせることが
    できるのです。

    後者について、参加者がなかなか発言しない理由としては、「意見はあるのだが根拠に
    自信がない」、「突飛な意見を言ったら笑われる」、「自分の発言によって他部門との
    対立を深めたくない」などが考えられます。

    しかし、このような普段は口にしにくい内容のなかにこそ、難問突破のヒントは隠されて
    いるものです。

    また、本人は「取るに足らない意見」と思っていても、それを聞いた参加者がその意見を
    ヒントにして、秀逸なアイデアを思いつくという連鎖反応も会議では起こります。

    社長は議論の呼び水として具体的な論点を示した後は、「全員が必ず発言する」、「発言を
    遮らない」、「批判のみを目的とした発言は禁止」などのルールを示して、積極的な発言を
    促します。

    そして、議論が進んで、社長の最終判断に足る情報や知恵が得られたら、「この会議の
    おかげで判断が可能になった」ことを参加者に伝え感謝します。

    また、当日中に解決しなかった場合には、最終判断までにはさらにどのような情報や知恵が
    必要かを明らかにし、次回会蔑までの参加者への宿題とします。

  (3)参加者の資質・性格を見極め指導できる

    会議参加者にはさまざまなタイプの人がいます。

    「思い込みの自説を延々としゃべり続ける人」、「できない理由ばかりを並べ立てる評論家」、
    「我関せずを決め込む人」、「すぐに感情的になる人」などさまざまです。

    その結果、「いつまでたっても結論が出ない」、「つねに声の大きい人のいうとおりになる」
    といった事態になりがちです。

    社長は会議の正常な進行の妨げになっている人たちに対して、具体的に問題を指摘し、改善を
    指導する必要があります。
 
    逆に、議論進行に貢献するなど議長としての資質ありと認められる人に対しては、会議成功の
    ポイントを丁寧に教え、ファシリテーター(会議促進者)として育成していくことも大切です。

    実力のあるファシリテーターは社長不在の会議でも社長の分身として会議を円滑に進行して
    くれます。

  (4)社内の状況を把握できる

    会議では議題に関連するものだけではなく、それ以外にも社内のさまざまな情報が飛び
    交います。

    そのなかには「社長の耳にはまったく入っていなかった情報」、「聞いてはいたが
    ニュアンスが大きく違う情報」などもあるでしょう。

    社長には日頃からさまざまな情報が入っていますが、それは「報告書やデータ」であったり
    「幹部社員からの個別の報告」が多いはずです。

    なかには自分の都合のいいように「味付け」した報告をあげてくる幹部社員もいるかもしれ
    ません。

    社長はできるだけさまざまな会議に出席することによって、「社内で今何が起こっているか」
    を肌で感じることができるのです。

  (5)社内全体で行われている会議の実態を把握できる

    社内全体で行われている会議のなかで社長が出席対象となるものはごく一部で、その他の
    ほとんどの社内会議は社長の見えないところで行われています。

    社員が会議に使う工数も膨大なものになるでしょう。

    もちろんそれらの会議が有意義に運営され、成果を生んでいるのであれば問題はありません。

    しかし、仮に社長が参加するような幹部クラスでの会議で、「遅刻者が多い」、「必要な
    資料がない」などの基本的な問題があるようでは、その他の会議の運営は推して知るべしです。

    高い役職者の参加しない会議では緊張感も薄く、たんなる時間つぶしの場となっている
    可能性もあるのです。
 
    社長は自分が参加している幹部クラスの会議の運営状況をつねに確認するとともに、少なく
    とも年に数回はその下位クラスの「部内会議」、「課内会議」などにも顔を出し、改善指導
    していく必要があります。

    会議は部門レベルやプロジェクトレベルなど社内の至る所で行われています。

    従って、会議の効率化を図るためには、広く社内に対して会議の効率化に対する意識付けを
    行うことが不可欠です。

    社内に会議の効率化の必要性を説くことを含め、自らが出席依頼を受けた会議については、
    担当者に「今回の会議の議題を説明してください」「関連資料は、会議の3日前までに持って
    くるように」などと指示するようにして、自らチェックするなどして率先垂範する必要が
    あります。

□会議改善のポイント

 社長はこれらのポイントを踏まえ、幹部クラスの会議では自らファシリテーターの役割を果たす
 こと、あるいはファシリテーターに指名した者がその役割を果たしているかどうかを確認する
 ことが求められます。

 社内全体の会議のレベルアップのために、すべての幹部社員のファシリテーターとしての能力を
 高めていくことも必要でしょう。

 1.事前にゴールを共通認識する

  どのような会議であっても会議には、達成すべき目的である「ゴール」があります。

  たとえば、商品改善に関するテーマの会議においては、「改善の方向性を明らかにする」、
  「商品の仕様を明らかにする」、「役割分担やスケジュールを明らかにする」などさまざまな
  レベルでのゴールが考えられます。

  この際、参加者のなかに「方向性だけ決めればよい」と考えている人と「具体的な開発スケ
  ジュールまで決めたい」と考えている人がいると会議はうまくかみ合いません。

  ファシリテーターは議論を開始する前に「今日の会議によって何をどこまで決めるのか」、
  「どこまでの合意を形成するか」といったゴールについて全員に共通認識させる必要があります。


 2.事前に会議を設計する

  ゴールの共通認識ができればその達成に向けた会議の設計を行うことができます。

  前述の商品改善のテーマでは、現状の問題点の振り下げに30分、改善の方向性の検討に60分、
  役割分担とスケジューリングに30分という具合に時間配分を行います。

  また、それぞれのパートでどのような議論を行うかについてもあらかじめ決めておきます。

  たとえば、問題点の掘り下げでは「販売数の推移」、「競合との価格比較」、「顧客アンケート
  結果」の順について議論するといった具体的な進め方を設計しておきます。

  この設計を通じて「必要な資料は何か」、「誰が出席しなければならないか」といった会議成功の
  ための条件を明らかにします。
 
  このように会議の進め方を事前に設計しておくことにより、ゴール達成に向けた効率的な会議
  運営が可能になります。

 3.事後に会議運営を評価する

  会議終了後には今回の会議運営について評価し、今後の改善につなげます。

  評価のポイントとしては、

   ・事前に会議のゴールの共通認識ができていたか

   ・ゴールは達成できたか

   ・必要な資料は配付されたか

   ・活発な議論がなされたか

   ・予定した時間内に終了したか

   ・ファシリテーターの進め方は適切であったか

   ・会議参加者の協力は十分であったか

  といった点があげられます。
   
 4.会議の種類ごとのポイント

  会議をその目的で大きく分けると次の4つの種類があります。

  参加者は会議の目的とゴールを十分に理解して臨む必要があります。

  目的による会議の分類

   (1)決定するための会議

    「決定するための会議」とは、提出された議案について、参加者のさまざまな視点や
    専門性を活用して、より適切な結論を出すための会議です。

    議論するだけではなく「具体的な結論」を決めることが目的です。

    たとえば、新規事業進出を決定する会議では、「やる、やらない」、「投資金額はいくら
    以内」、「納期はいつまで」のように決めなければならないことがいくつもあります。

    これらについて今回の会議で決定すべき事項と決定のための十分な議論ができるような
    事前準備を行っておく必要があります。

     ・「何をどこまで決めるか」を明確にする

     ・討議内容に応じた意思決定権者を参加させる

     ・意思決定に必要な情報や基準を準備しておく

     ・決定方法を明確にしておく(全会一致か、多数決かなど)

     ・社長が出席しない会議では決定の裁量の範囲(どこまで決めてよいのか)を明確に
      しておく


   (2)解決策を打ち出すための会議

    「解決策を打ち出すための会議」とは、今後どのような施策で目標を達成していくか
    について議論するものです。

    業績報告会、部門定例会議、営業会議などがこれに該当します。

    このタイプの会議は「現状を共有するステップ」、「対策を議論するステップ」、
    「具体的な解決策を共有するステップ」の3つに分けることができる。

    たとえば、業績報告会で、各部門長から業績不振や問題点について詳しく報告があった
    としても、それは現状の共有にすぎません。

    問題解決のために必要な対策を十分に議論し、具体的な解決策が示されてこそ、意味の
    ある会議になります。

    目的はあくまで第3ステップである解決策の提示であり、現状共有や対策議論はその手段に
    すぎないと認識する必要があります。

     ・資料のビジュアル化、データ化などによって現状共有に要する時間を短縮する

     ・対策の議論にあたっては当事者以外に参加者の知恵も活用する

     ・解決策については行動がイメージしやすいようにできるだけ具体的なものとする

     ・議論の矛盾や飛躍などがないように論理的な整合性に留意する

     ・ファシリテーターは議論がきちんとステップを踏んでいるかどうかを確認して進行する

   (3)創造するための会議(ブレーンストーミング)

    「創造するための会議」とは、会議を議論する場ではなく、新しいアイデアを創造する
    場として活用するものです。

    このような会議をブレーンストーミングと呼びます。

    ゼロベースで事業アイデアを生み出す際などに有効な手法です。

    リラックスできる雰囲気のなかで、世間全般の常識や社内の制約条件にとらわれない
    自由な意見を吸い上げることが大切です。

    参加者全員の脳を刺激し合ってよりよいアイデアを創出していくことがブレーンストー
    ミングの目的です。

     ・参加者には「思いつき」レベルでもとにかく発言させる

     ・自由奔放な意見、極端な意見など通常の会議では出にくい意見を尊重する

     ・発言内容に対する批判は行わない。

     ・他者のアイデアを組み合わせたり発展させることを歓迎する

     ・書記役は出された意見を取捨選択せずに記録として残していく

     ・会議終了後には出されたアイデアを論理的な視点で整理し、実現可能な施策につなげる

   (4)伝達するための会議

    「伝達するための会議」とは、現場での具体的な段取りなどの業務伝達を行うための
    会議です。

    部門長がメンバーに対して今日一日の業務指示や注意事項を伝える部門朝礼などが
    代表例です。

    この会議の目的は、指示者が自分の意図するところを正確に伝えることにあります。

    行動レベルの指示だけではなく、その指示の背景なども理解させることが大切です。

    また、特に複雑な伝達事項については、図表を使った配布物を用意するなどの工夫も
    必要です。

     ・指示を出す側は、業務指示が個人レベルまで確実に伝わっているかどうかを確認する

     ・指示を出す側は、その指示のもつ重要性など背景についても説明する

     ・指示を受ける側は、指示内容に疑問がある場合はその場で質問する

     ・指示を受ける側は、自分以外のメンバーに出されている指示についても理解に努める

     ・議事録に「指示内容一覧」などの記録を残す


  どの会社でも「会議が多い、会議が長い」など、会議に関する問題が必ずベスト3に入ります。

  会議はムダと感じている人が多いわりには、一向にそのムダが減っていないのが現実のようです。

  効果の出ない原因は大きく2つあります。

   1.形式面ばかりに注目して、肝心の中身をよくする部分に手がつけられていない。

    単に時間や回数だけ減らす、スローガンを掲げる、といったことは、本質的ではありません。

    「どうしたら実のある会議ができるのか?」あるいは、「実のある会議とは、どういう
    会議か?」の問いを発することや、組織の文化に合わせた具体的な手法、ルール作りを
    おろそかにしていることが多いようです。

   2.実効性のある手法やルールをきちんと持っている組織が少なくない。

    それが組織全体に浸透し、実際に運用されているかというと、疑問符がつくケースがほとんど。

    マニュアルを作っても、読んで実行する人がいなければ、絵に描いた餅です。

    また、一部の人だけが、会議を効果的に進めようと頑張っても、ルールを知らない、
    あるいは無視した行動をとる人が多ければ、いつまでたっても効果は実現できません。

    つまり、「改善案が実効性に乏しいこと」と「優れた改善案が組織に十分に徹底されて
    いない」などの2点が問題となっています。

    会議の改善は収益に直結する問題です。

    自社(店)の会議の改善策を洗い出し、経営に活かすための正しい会議体系を構築して
    ください。

□会議の効果が出ない理由

  ・形式面ばかりに注目して、肝心の中身をよくする部分に手がつけられていない

  ・実効性のある手法やルールがない

 改善案が実効性に乏しく、優れた改善案が組織に十分に徹底されなければ効果は実現できません。

 同様に、一部の人だけが、会議を効果的に進めようと頑張っても、ルールを知らない、あるいは
 無視した行動をとる人が多ければ、いつまでたっても効果は実現できないのです。

 議論すべきテーマや、結論を明確にしないまま、時間も定めず各自が好き勝手なことを話し、
 だらだらと時間だけが過ぎ、何も決まらないまま何となく終わるといったことを繰り返して
 いないだろうか。    
 
 ではどのようにしたら効果の出る会議を行うことができるのでしょう。

 議論の技術や意思決定の手法を語る前に、会議のプロセスを標準化させることです。

 「会議のプロセス」には、会議本番における議論の「仕切り」だけでなく、事前準備から事後
 処理までを含め、計画的に「段取り」を行うことにまで及んでいます。

 『会議』の正しい運営は組織人として、身につけなければならない基本動作12項目の一つです。

 ◎会議の進め方とルール

  第一、会議のテーマと必要な関連資料とが事前に参加者に届いていること。

  第二、定刻に始まらなければ準備をした意味がなくなり、遅刻は許されない。

  第三、会議で討論する出席者は7人以内が原則とされ、これ以上多いと適切な討論ができなく
  なります。

  会議の進め方・ルールを改善することは、組織営業を円滑に推進していくために欠かせません。

  あなたはどうでしょう?
  会議自体がお知らせか伝達または訓示になっていないでしょうか?

  会議の正しい進め方は回数を重ねれば改善できるものではありません。

  定期のロープレで会議の体系を身に付けることです。

  会議の目的は、『会して議し、議して決し、決して行ない、行って
  その責を取る』です。
  
  ここで、会議が収益に直結する内容にするために「会議は重要なコミュニケーション手段」
  である
ことについて考えてみましょう。


  ◎会議を体系化していく上での基本原則

   ・時間より中身が勝負。脱線は時間の浪費である。

   ・議事は司会で決まる。り−ダーシップこそ会議の要である。

   ・会議は自らを教育する場である。意識を集中する事が肝要である。

   ・会議は全社員が結束して目的に向かうためのコミュニケーション手段である 

   ・積極的意見提案が命。発言の頻度と内容は参加意識のバロメーター。

   ・抽象的決定は時間のムダ。具体性があって組織・人は動く事を認識。

  ◎会議運営の目的と本質

   1.経営方針を徹底する場である

    業務は常に企業の方針に沿ってなされなければならない。
    あらゆる仕事のやり方を全社的な立場に立ってチェックし、それを徹底させて
    行かなければならない。

   2.全社員の意識統一の場である

     組織人としての物の見方・考え方を調整し統一する場である。
    (問題意識、価値意識、目的意識)

   3.予実績の検討の場である

     業績をチェックし反省する。

   4.問題点解決の場である

    問題とは放っておけば経営を阻害する恐れのあるものをいう。
    故に例外、悪い例外について衆知を集め全社的な形で問題解決に取り組む。
  
    会議は企業の運営、経営上に起こる様々な問題解決を行う目的で、組織を集約した
    最高決議・執行機関である。と共に社員・幹部の能力向上の道場でもあるのです。

    社内における会議が打合せと化さないためには、参加者全員が共通の会議ノートを使用
    することで意識統一や伝達の明確化が図れます。


                        組織力強化マニュアルについてはこちら

   5.教育訓練の場 

    しっかりと訓練の場として機能させていくことで、個人のマインド、スキルはアップし、
    組織力は自ずと強まっていきます。


  ◎会議の方法と在り方

   ◯会議の基本パターン

    (1)定刻の10分前に全員集合

    (2)開会の辞
     「ただ今から○月度△△会議を開催いたします」

    (3)使命感・社訓(社是)の唱和
     「続きまして、使命感の唱和をいたします。使命感・・・」

    (4)参加上司のコメント
     開催に際しての挨拶 

    (5)前回決定事項のチェック

     ①議事録により前回会議での決定事項・保留事項チェック

     ②決定事項の場合は、今回までの進行状況の報告を入れる

     ③報告によって、その結果のチェック


□ファシリテータ

 会議に重要な役割を果たすのがファシリテーター(進行役)です。

 ファシリテーターは、「中立的な立場を維持しながら会議のプロセスをコントロールし、参加者の
 意思決定や問題解決へ導くこと」です。

 ファシリテーターは司会者でも監督者でもなく、会議の場をつくり、人と人をつなぎ、チームの
 力を引き出し、思いをまとめていくことです。

 参加している一人ひとりの主体性や当事者意識を育み、合意形成や問題解決を生み出していきます。

 多くの会議で見られる「この会議、いったい何を決めるんだろう」、「今日のテーマは自分には
 関係ない。

 早く戻って仕事をしなきゃならないのに」などといった、会議への参加意識の希薄さを払拭させる
 ためにも会議の型を作る必要があります。

 ◎会議指導者(ファシリテーター)の心得10

  1.定刻に開催できるようにチェックと指導を行う。

  2.会議の目的を理解し、中心テーマの線に沿って討議を導き整理する。

  3.参加者全員に討議に参加させるように誘導する。

  4.討議が乱れてきたときには発言者を指名する。

  5.討議がテーマを外れた場合、静かに理由を話し、打ち切らせる。
    一人が発言中は他のものの発言を差し控えさせる。

  6.各人の意見を自由に述べさせる。
     特定の人の意見を無視しない、同じ人に長く話させない。

  7.議事進行、秩序維持については、はっきりと発言すべき、しかし 討議の内容に
     ついては個人的意見や感情を入れてはならない。

  8.会議の進行中、随時それまでの討議内容をまとめ、討議の整理進行を行う。

  9.議案の一つひとつについて可否決、修正可決か保留か多数決により決めていく。

   10.会議の結論、解決をはっきりと確認するため、最終段階で本会議の決定事項を発表する。

 ◎会議参加者の心得10

  1.あらかじめ会議の主旨、目的、テーマ資料などをよく検討し、自分としての意見や、
   質疑事項を準備しておく。

  2.開催時間を厳守し、5分前には出席する。欠席の時には必ず事前に報告する。

  3.発言は簡潔にタイミング良く積極的に。

  4.業績向上についてプラスになることは遠慮なく述べる。

  5.全般に関係しない事は努めて避ける、横道にそれないようにする。

  6.意見の違う人の言葉にも耳を傾ける。

  7.反対意見を述べる場合にも親しみを込めて個人感情を入れたり反対のための反対は慎む。

  8.感情に走って判断を誤ったり、枝葉末節の論争は避ける。

  9.一人で会議を独占せず、参加者全員が意見を発表できるようにする。

   10.自分と反対の意見でも決定されたことは快く服し実行する。  

 社内における会議が形骸化さないためには、参加者全員が共通の会議ノートを使用することで
 意識統一や伝達の明確化が図れます。

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