社内起業家制度
 

  ■社内起業家制度とは

   社内起業家制度とは、社内ベンチャーとも呼ばれ、新事業を開発するため、社内
   で自由に開発グループを作らせ、これをあたかも独立企業であるかのように運営
   させる仕組みであると定義されています。

   このような制度が産業界で注目されているのには、当然理由があります。

   たとえば、企業がある程.度大きくなると、どうしても官僚主義的な支配体系がで
   きてしまいがちです。

   官僚主義がはびこると社内調整などの社内政治に時間が多くとられ、マーケット
   への対応が遅れがちとなります。

   こうして、その会社は小回りのきく企業(新興企業であることが多い)にたびたび
   負けることになります。

   一般に、新事業・新サービスのアイディアは、事業を展開する最前線である「現
   場」から生まれてくるものです。

   ところが、事業化の意思決定が重層化され、何人もの担当責任者の調整が必要
   になると、アイディアが形骸化したり、事業化のタイミングを逸したりしてしまうこと
   も少なくありません。

   これでは、やる気のある社員に失望感を与えるだけです。

   組織はますます硬直化し、完全な大企業病にかかってしまうのです。

    企業内起業家制度には、

     事業アイディアをタイムリーに中枢機関に吸い上げる

    という効果もあるのです。

  □制度設計と運営上のポイント

   企業内起業家制度は、新事業を開発し、立ち上げ、軌道に乗せて、はじめて成功
   したといえます。

   この制度が成功するか否かは、次の4点にかかっています。

   1.新規事業をどう選択するか

     社内ベンチャーに限らず、新規事業がうまくいかない例では、選択した事業分
     野そのものに問題があるケースが非常に多いようです。

     選択段階での基準が曖昧で、製品や市場をよく理解せず、ただ成長分野だか
     らという二理由で選ぶと、ほとんど例外なく事業は失敗します。

     ある研究者グループでは、多数のケーススタディーから、以下の2つが有意義
     であると結論づけています。

     (1)その事業お参入に値する魅力があるか

       a.売上・利益の可能性はどうか

       b.市場は成長するか、またシェアを獲得できるか

       c.どのくらい激しい競争が予想されるか

       d.リスクを分散できるか

       e.革新的技術により業界の再構築ができるか

       f.特別な社会的状況はないか

     (2)参入する事業に自社は適しているか

       a.その事実に必要な資金はどのくらいか、また自社の資金力で
         対応可能か

       b.今ある販路で対応できるか、もしできないなら早期に対応できるか

       c.今ある製造・オペレーション力で対応できるか

       d.技術開発力や、顧客に喜んでもらえるサービスの企画力があるか

       e.原材料・商品・情報入手力は十分あるか

       f.トップの支援は期待できるか、強力な事業推進者がいるか

   2.公募や自己申請が活発となる企業風土をつくれるか

     社内起業家制度では、社員からの自発的な申し出(公募制をとる場合もある)
     が前提となります。

     ひょっとしたら制度を作っても誰も申し出てこないかもしれないと心配されるか
     もしれません。

     ここで、社員の立場から、なぜ申請しにくいのかを考えてみましょう。

     その理由として以下の2点があげられます。

     (1)どうやって申し出ればよいのか分からない

       社員の側に何らかのアイディアがあっても、それをどうやって文書化するか
       は非常に悩むところです。

       一般に「視点」が定まっていないと、散漫な文章になりがちです。

       そこで、先にあげた事業評価の視点を、そのままアイディア申請のフォー  
       マットとして利用すれば、申請する社員にアイデアを整理させるうえでも、ま
       た評価者(経営トップ)と議論を進めるうえでも有効かと思われます。

     (2)応募すると上司や人事部から不穏分子と思われないだろうか

       社員に人事上の不安を抱かせるようでは、社内起業家制度はまず機能し
       ないと考えたほうがよいでしょう。

       企業風土というのは、トップ階層から徐々に下部組織に染み渡っていくもの
       です。

       まず、管理者層の教育に力を入れなければなりません。

       募集ですが、疑心暗鬼にならないまでも、「社内公募?興味ないね」という
       社員が多くても困ります。

       対策としては、何よりも成功者を作ることです。

       身近に成功者がいると、人は奮い立つものです。

   3.起業家としての適性をもった人材を新事業に投入できるか

     新事業の難しさは既存事業とビジネス特性がまったく違う点にあります。

     したがって、既存事業で大きな成果を出している人を新事業のリーダーに据え
     ても、成功するとは限りません。

     むしろ、既存事業で成功体験を積んでいればいるほど、新事業で失敗する確
     率が高いという報告さえあります。

     なぜでしょうか。

     既存事業を進めるうえで必要なことは、そのビジネスでの知識をどれだけもっ
     ているか、そしてもっている知識を最大限に発揮できるか、です。

     これに対して新事業では知識を獲得することからはじめなければなりません。

     つまり、未知の新しいことを積極的に吸収しようとする好奇心(柔軟な頭)が第
     一になってきます。

     そして、新事業に携わる人には、

       内面から自分を支えるポリシーや行動哲学、

       他人を説得できるだけの自信と指導力、

       ハードワークに耐える強靭な肉体と精神力

     が求められます。

     この条件を満たしていない人は、そのアイディアの発案者だとしても、事業の
     責任者として適しているとはいえません。
 
   4.経営トップがどれだけ支援できるか

     事業の立ち上げ時から成功する幸運な例はほとんどありません。

     新事業は、最初は右往左往しながら遅々として進まず、うまくいって数年後に
     黒字転換するのが普通です。

     この最初の時期に社内政治に巻き込まれると、成功の芽はまず出てこないで
     しょう。

     この時期の経営トップの支援は非常に重要です。

     社内の反発から新事業を守り、有用な経営資源や人材を投入することは経営
     トップにしかできないことです。
 

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