営者によるリーダー(管理者)の育成 


  経営者にとって、リーダーとは、自分の経営理念を理解し、与えられた組織の力を最大限
  に引き出し、その実現のために支援してくれる右腕となる存在です。

  管理者(リーダー)の役割

   ・会社および自部門が抱えている問題を正しく理解する

   ・トップの立案した経営戦略にしたがって、部門の成長戦略を立案し、その実行計画
    を立て、業績目標を達成

   ・部門目標の達成に向けて部下を動機づけ(新人・若手の人材育成)、自ら先頭に
     立って業務を遂行する

   ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革を推進

   ・しっかりトップを補佐し、リーダーシップを発揮し、社員の模範となる人物になる

  以上の行動をすべて行う必要があります。

  リーダーの存在は経営者の理念や考え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に
  組織を導くことができ、また経営者のいないときには、経営者の代わりとして業務を遂行
  できることです。

  人材教育のなかで管理者教育に注力する企業が増えている背景には、リーダーのスキル
  アップ(リーダーシップ)が企業自体の活力の増大に大きく結びつき、管理者次第で会社
  は成長もすれば衰退もするのです。


  ■リーダー(管理者)育成・指導がうまくいかない

   ・経営者が管理者に「指導したこと」が行動にどのように活かせるかが明確でない。

   ・管理者に対して、どれだけ具体的な指導ができるか考えていない。

   ・経営者の管理者指導のフォロー(指導後の実施過程)不足

   ・経営者が管理者に「考えさせる」ことをていない

   ここで、自身を含め管理者(経営幹部)のマネジメント能力を点検し、欠けている部分を
   強化する必要があります。

  ■右腕(幹部)を育てる

   人材の確保・育成は会社において重要な経営課題の一つですが、中でも経営者にとっ
   て切実な課題の一つは、経営者にも意見するような身近な相談相手、あるいは名参謀
   として経営者を支える人材の育成です。

   いくら優れた経営者であっても、一人でこなせることには限界があります。

   また、一人で決断を下すときに迷いが生じることもあるでしょう。

   そうした時に、経営者に近い視点で、経営を考え、実践できる幹部が身近にいるか否か
   で、意思決定の質やスピードに大きな違いが出てきます。

   経営者としては、こうした頼りになる右腕を育成したいところです。

   その際には注意すべきポイントがあります。

   右腕には、相応の高い能力が求められるため、誰もがなれるというものではありません。

   従って、右腕育成の際には、まずは、右腕となる素養を持つ人材の選抜から始めなけれ
   ばなりません。

  □トップが幹部に期待すること

   ・業績目標を達成してほしい

   ・しっかりトップを補佐してほしい

   ・新たな仕事のやり方、提案の仕方など業務改革をしてほしい

   ・若手社員の育成をしてほしい

   ・社員の手本となる人物になってほしい

  □幹部候補は選抜する

   幹部候補には、相応の高い能力が求められるため、誰もがなれるというものではありま
   せん。

   従って、幹部育成の際には、まずは、幹部となる素養を持つ人材の選抜から始めます。

   実績だけではなく、以下のような能力を重視して選抜することです。

    ・知識力
     ビジネスに関する知識に加え、社会・経済・文化などの幅広い知識

    ・理論的思考力
     物事や事象を理論的に把握・説明できる能力

    ・統率力
     部下をまとめ、率いることができる能力

    ・コミュニケーション力 
     社内外の人たちと良好な関係を構築する能力

    ・調整力
     利害の異なる関係者間の意見を調整し、まとめる能力

    ・行動力・実現力
     自ら動き、周囲を巻き込みながら目標を達成できる能力

  □幹部に理解、実践させるポイント

   (1)経営理念、目的について

     ・企業の経営目的を確立している

     ・わが社は一体何を売っているのか

   (2)目標について
     ・短期、中期の目標設定能力

   (3)方針について
     ・目標達成のための方向付け能力

   (4)組織について
     ・目標達成のための手段である

   (5)計画について
     ・計画立案能力と先行管理の理解、運用能力

   (6)スケジュールについて
     ・PDCA(Plan ⇒ Do ⇒ Chack ⇒ Action)を基本に策定

   (7)実行について
     ・決めたことを実行し、確実に実行させる厳しさが必要

     ・実行のための体質作り

   (8)成果
     ・原因・経過(過程)・結果をステップで管理、コントロールする

     ・頑張った者が報われる仕組みづくり

   選抜した幹部候補を、幹部へと育成する際のポイントは、経営者自身が育成を行うこ
   とです。

   幹部となるためには、能力の向上も必要ですが、何より大切なことは経営に関する哲学

   や思考パターンなどを経営者と共有することです。

   そのためには、経営者が、幹部候補を直接育成していかなければなりません。

   幹部は一朝一夕に育成できるものではない。

   多忙な経営者にとっては、時には右腕の育成が負担に感じられることがあるかもしれ
   ません。

   しかし、頼りになる右腕は、経営者の陰から会社を支える大切な人材であることを心に
   留めて、根気強く取り組むようにしましょう。

  ■教育・育成のポイント

   1.経営者自身が教育する

     管理者教育においてもっとも大切なことは、経営者自らが管理者と共に自社の
     存在する価値や将来的な経営戦略を語り合い、また、経営者が管理者各人に
     対し、「期待像を示す」ことが必要です。

    2.管理者教育・育成の方針

     (1)自社の進むべき方向性

     (2)将来の自社の組織図と、そのなかに占め
       る各管理者の位置

     (3)各管理者に将来果たしてもらいたい役割

     (4)現在の各管理者の能力・行動

   以上の点を明確にし、そのうえで「期待像」と
   「現状」のギャップを埋めるためにどのような
   教育を行うべきかを考える必要があります。

   人材の育っていない組織では、管理者は
   プレイングマネージャーとして組織の稼ぎ
   頭となり、かつ、部下の育成やモチベーション
   の能力・技術も持ち合わせていることが求められます。


  ■教育・育成の手順

   1.教育・育成の手順

     (1)現状の問題点

     (2)問題解決の自社独自の基本的な考え方

     (3)商品政策と顧客に対する考え方と具体的にやるべきこと

     (4)ローコスト経営に対する考え方と具体的にやるべきこと

     (5)自社の目標を具体的に示す

     (6)自社の基本的な考え方を示す

     (7)自社の目標が達成された具体的イメージを示す

     (8)自社目標達成のための必要な機能を示す
 

   2.自社で働く人に自社で働く上での、基本的な考え方を経営者が明示し、教育
     ツールとして使い込む

     (1)原理・原則に沿った内容で、自社オリジナルテキスト(マニュアル)で
       あること

     (2)幹部に必要な知識の習得のために、「指定図書」を決め幹部全員に
       丸暗記させる

     (3)「経営者の発信した文書」を使って、経営者自ら幹部教育を定期的に
       行う

   3.報われる人事制度

     やる気のある幹部及び幹部候補者を腐らせないシステムを構築する人事制度
     及び人事考課制度を導入

      (1)人事評価項目を日常業務に落とし込む

        現状、この部分が実現されていないので業績に反映されない結果になっ
        ている。

        「やっているか・やっていないのか」の実行度を評価し「職務別のやるべき
        日常業務」を評価項目にする。

        つまり、やっている者は報われ、やっていない者は、やらない限り報われ
        ないという仕組みにする。

      (2)資格認定試験制度の導入

      (3)毎月個人評価で四半期ごとの人事考課

      (4)具体的に「指導 ⇒ 評価 ⇒ フィードバック」をサイクルで回せる仕組みの
        導入

      (5)報奨制度の導入

   教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」と、「幹部の役割を全うす 
   るために必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み立てることが必要にな
   ります。 

  □実践的な幹部教育の体系化

   企業にとって最も重要な場所は現場であり、企業の業績に大きく影響するまさに生命
   線であるのです。

   この現場をいかに円滑に運営できるかが企業の競争力そのものであるといえます。

   したがって、その運営責任者である幹部の育成は、経営者の主要業務なのです。

   よく「人財」という言葉を目にするが、「人材」が「人財」にかわるには、人件費に見
   合うだけの付加価値を生み出していなくてはならない。

   幹部が人件費に見合うだけの付加価値を生み出していなければ、人はコストアップの
   要因になってしまいます。

   企業にとって一番の生命線である現場の運営に関わる幹部がこの条件をクリアし、
   競争力を向上させることができるようにするために、教育体系を構築し「人財育成を
   図っていく」、つまり「幹部が勝手に育つ」教育から「幹部を意図的に育てる」教育に
   転換する必要があるのです。

   「幹部が実務に活かせる教育」を構築していくことが最重要です。

   このことを実現させるための教育内容としては、「実務に直結した即効性のあるもの」
   と、「幹部の役割を全うするために必要な基礎能力を身につけるもの」の両面で組み
   立てることが必要になります。

    
  □自社独自の教育体系を構築

   まず、「うわべだけの教育」、「教育のための教育」を社内から一掃します。

   業務に必要な知識・技術を習得させ「職務遂行能力を向上させ結果がだせる実
   務に即した教育」を行うこと。

   そのためには、「教え教わる風土実現」のために全社的な運動にもっていくことです。

   中途半端にやっては、効果は薄くなるだけです。

   会社も、幹部もバックボーンがとおっていないと成長しません。

   理念、方針があっても実践されていなければないのと同じ。

   あらためて企業も、幹部も自社のバックボーンの点検、確立をすることが必要です。

   そして、育てる側から自社のバックボーンをベースに、幹部が果たすべき機能を 
   基に、個人別の啓発目標を出してもらい、目標管理制度に組み込んで四半期
   チェックをする仕組みが必要です。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業
   所が「人材育成に問題がある」と回答している。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   
  □教育体系構築のための対策

   1.階層別幹部の基本像をモデル化

     幹部に求められている能力を明確にします。

     経営理念、会社方針、中長期ビジョン、現場からのニーズと基本モデル幹部像
     をリンクさせる。

     例えば幹部は、「自分が具体的な処理や作業を行うのではなく、自分の考えを
     部下の行動を通じて実現する」という役割を担っています。

     個人的な業務遂行能力よりも、部下全員を方向づけ、目標を達成するにはどん
     なやり方をとったら効果的かという構想力やコミュニケーション能力、あるいは影
     響力といった能力が重視されます。

     人材の流動化がさらに進む現状を考えると、中途採用者に対して、経験やキャ
     リアに応じて育成を図るときに必要なものとして、その根拠となるような基本モデ
     ル幹部像を設定することが有効です。

   2.人事制度と教育制度をリンク

     「いつまでに」「どのような業務を」「どのレベルまでできるようになったら」「給
     料はどうなるのか」を人事制度に照らして示し、その人事制度と企業教育制度
     をリンクさせる。

   3.幹部教育責任者を育成

     幹部教育に関しては、特に自社の経営者に代わるトレーニングコーチを育成し
     ます。

     トレーニングコーチの条件は、

     (1)現場の幹部以上に現場を知っている人

       現場のことを知らない人が幹部を教育できるわけはない。

       知らない人がやれば「評論家育成教育」になり、中途半端な知識は現場を混
       乱させるだけ。

       社是、社訓、経営理念、会社方針を社内で一番理解している人、原理・原則
       を重んじる人、公明正大な人、困難に挑戦する人、変化を歓迎する人、能動
       的に仕事に取り組み自ら仕事をつくりだせる人、真にプロを目指す人こそ幹
       部教育責任者にふさわしい。

     (2)実行力のある人

       いつも現場で効果の確認を行い次の手が即打て、さらに全社にとってどうか
       ということを考えることができ、全社的な影響力のある人、幹部自身以上の
       教育責任者を育てようという情熱のある人こそ幹部教育責任者にふさわしい。

       しかし何より重要なのは、「実行力のある人」です。

       幹部教育で結果の出ていないほとんどの企業では「人に職務を与え、職務に
       人を割り振っていない」といった役割分担ができていません。

       幹部教育ができないのは経営者の責任であり、現場での教育が実行できて
       いないのも経営者の責任です。

  □トレーニングコーチ指導の仕組み

   「自社独自の幹部教育」を構築し、業績に直結した結果の出せるものにすることで、自
   社独自のノウハウが蓄積できるのです。

   「実務に活かせる幹部教育」を行うには、日常的に現場での教育が行われるようにし、
   「お互いが教え、教えられ成長していくことが最高の教育だという社風」を作り上げるこ
   とです。

   どんな会社にも、各分野に関して秀でた幹部が必ずいるはずです。

   それぞれの得意分野でトレーニングコーチとして他の幹部を指導することは、最も簡単
   で最も結果がだせることです。

   「教育実施の運用上の柔軟性や計画倒れを無くす」、「トレーニングコーチ自身の業務を
   再認識」するためにも社内トレーニングコーチの育成は急務となります。

   1.教えやすい仕組みをつくり、教えるための技術を身につけさせる
     教えやすい仕組みづくりとして、
      ・自社のオリジナルテキスト、指導マニュアル等を作成する。

   2.教え方の指導としては、
      ・集合教育、ロールプレイング等による指導をを行う。

   今後「市場環境の変化」に対応するのと同様に、「自社の幹部教育ニーズの変化」に対
   応することは、非常に難しくなってくるでしょう。

   刻々と変化する自社の幹部教育ニーズに対応していくには、なるべく早く結論を出して、
   即実行することです。

   うまくいかなかったら次の手を速やかに打つことです。

   「何もしないのは一番のリスクであること」、また「変化するのが当然」だと経営者自身
   が行動で示し、全幹部に徹底的に認識させ実行させることです。

   「結果の出せない教育責任者」と「結果をだせる教育責任者」との違いは、スピードと実
   行力と、何より「なにがなんでも出来るまでやりぬく徹底力」とそのための仕組みづくり
   にあるのです。

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