社長を支える幹部(リーダー)
 

  ■幹部は社長の分身

   「名将の陰には名軍師あり」といわれるように、成功する社長の周囲には、必ずそ
   れを支える優秀な経営幹部がいます。

   「企業はヒトなり」とは、言い尽くされた言葉ですが、これは社長にとってまさに実
   感できる言葉といえます。

   企業環境の厳しい今日、健全な企業のあり方を模索するならば、まず社長と一枚
   岩になって活躍する経営幹部の発掘・育成にこそ、その答えがあるのではないで
   しょうか。

   1.社長の能力を引き出す名補佐役

     昔から、功成り、名を遂げた人の傍らには、名補佐役ともいうべき人物がいま
     した。

     歴史上の人物でいえば、劉備玄徳にとっての諸葛孔明であり、豊臣秀吉に
     とっての竹中半兵衛です。

     現代の経営者でいえば、「ホンダ」の本田宗一郎氏にとっての藤沢武夫氏や
     「ソニー」の井深大氏にとっての盛田昭夫氏が有名です。

     彼らは、車の両輪に例えられたり、「トップは孤独といわれるが、よき女房役に
     恵まれればその力を何倍も発揮でき、それは1プラス1が2にととまちず、3に
     も4にもなる」などと語られます。

     井深大氏が本田技研工業の創業コンビ、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏を評し
     た「藤沢さんは本田さんの才能を100%生かした賢明な経営者。

     本田さんは藤沢さんの才能を100%信じきった幸運な天才技術者だ」という言
     葉もよく知られています。

     1人の力には限界がありますが、この限界を超えてトップの能力を限りなく高
     めてくれるのが名補佐役といわれる人物の存在です。

     すべての社長は、幹部にこのような名補佐役となってもらいたいと願っている
     のではないでしょうか。

   2.社長の分身

     社長にとって幹部は、「自分の分身」ともいえます。

     会社の存続・発展を考え、日常的に高度な経営判断と意思決定を行わなけれ
     ばならない社長にとって、日常業務に直接携わることは困難です。

     そこで、

     幹部に求められるのは

      社長の考えを的確に察知し、社長の分身として日常業務を指揮すること、
      つまり、自分が預かった組織の力を充分に引き出し、
      社長が直接指揮した場合と同等以上の成果をあげることであり、
      また、不測の事態においては
      社長が不在の時でも社長になり代わって考え、対処する

     ことです。

     そのためには、幹部は社長の「経営に対する考え方」や「性格」を十分理解し
     たうえで、「社長の立場から物事を考える」ことができなければなりません。

  □幹部には社長の人生哲学を知ってほしい

   幹部には社長と同じ価値観で物事の判断を下すことが望まれます。

   そのためには、つねに次の2つを心掛ける必要があります。

   1.社長に感情移入する

     まず、社長に対して徹底的に感情移入することです。

     感情移入とは、相手に自分自身を投影し、相手の心理を理解することです。

     たとえば社長が無理な指示を出した場合、なぜ社長がそのような指示を出さ
     ざるを得なかったのか、その背景を考えるのです。

     必ずしも共感できることばかりではないかもしれません。

     しかし、幹部には社長の心情を理解し、その気持ちに応えるための努力が必
     要です。

   2.社長の人生を知る

     徹底的に感情移入するには、社長の平素のものの考え方や価値観を熟知す
     る必要があります。

     そのためには、社長がこれまでどのような人生を歩んできたかを知ることが重
     要です。

     社長の人生を知ることによって、より深く経営者の気持ちを知ることができるよ
     うになります。

     これら2つのなかでも、特に幹部に求められるのは、「社長の人生、または人
     生哲学を知る」ことです。

     人はそれぞれ自分の価値観をもっているものですが、それらはすべて

      ・その人を育てた人物の価値観

      ・その人がこれまで歩んできた人生

     から形成されたものです。

     社長と同じ価値観をもつためには、社長の人生を知ることが不可欠だと考えな
     くてはなりません。

  □幹部は経営のプロであれ

   たとえば、経費の増加で赤字を出してしまった場合、この赤字解消のためにどの
   ような施策を打てばよいのかということを、幹部なら即座に答えてほしいものだ。

   しかもそれは、論理的な根拠をもった施策でなければなりません。

   「コストダウンしかない」といっても、なぜ売上拡大ではなくコストダウンなのかを、
   幹部会なり役員会なりの席上で論理的に説明できなくてはなりません。

   それができないようでは、社長の求める幹部とはいえないのです。

   幹部として社長とともに会社経営に携わっていく者は、経営のプロとしての知識と
   見識をもつことが望まれます。

   これは、

    ・財務管理

    ・販売管理

    ・労務管理

    ・マーケテイング

   といった経営の基本知識をマスターしていると同時に、

    ・経営に対する確固たるスタンス

    ・自業界における専門知識ならびに高度な見識

   をもっているということでもあります。

  □幹部は社長と同じ問題意識をもつ

   1.社長の問題意識を共有する

     社長が現在自社のもっとも大きな問題として捉えていることは何か、それを幹
     部のあなたは把握できているでしょうか。

     社長は、会社の最重要課題について、幹部にも社長と同じ認識をもってほしい
     と願い、そうあるように働きかけているはずです。

     もしも社長が幹部に対してそのような働きかけをしていない場合は、逆に幹部
     の方から社長の問題意識を引き出さなければなりません。

     そして、「その最重要課題を解決するためには、自分が何をなすべきか」につ
     いて考え続けなければならないのです。

     どれほど優秀な幹部であっても、社長の問題意識を常時把握しておくことは非
     常に難しいことです。

     しかし、少なくとも、「社長ならばこの組織をどうすべきだと考えるだろうか」「社
     長ならわが社の現状をどう考えるだろうか」と自問自答し、

     社長の問題意識を自分の問題意識として捉えようと努力することが必要です。

   2.社長の問題意識の捉え方

     社長の問題意識を自分のものとして捉えようとするならば、まず、社長と危機
     感を共有することです。

     社長が危機感をもつのは、実現したい目標があるからです。

      ・社員が誇りをもって働ける会社にしたい

      ・自社を日本一の会社に育てたい

      ・自社を世界に通用する会社にしたい

     などと漠然とした夢であったり、あるいはもっと具体的に、

      ・3年後にはこれだけの収益をあげられるまでに成長したい

     という場合もあるでしょう。

     なんとしても実現したい目標があり、その目標の実現に向けて何をなすべきか
     をつねに考えているからこそ、現状に対する危機感を抱くのです。

     幹部にとって、そうした問題意識を捉える有効な方法は、まず「社長の夢・目標
     を自分の夢・目標とする」ことです。

     社長の目標は、最終的には「経営理念の実現」にほかなりません。

     幹部という立場は、自社の経営理念の実現を目標として全社的な視野で会社
     の問題点を考えることを期待されているのです。

  □幹部はトップを大器へと導く

   「君が非を行う時、従わざるは臣の忠なり」という中国の諺があります。

   その意味は「君主が非道を行う場合は、それに従わず諫めるのが臣下のつとめ
   であり、従うのはかえって不忠になる」というものです。

   会社経営の場合「非道」という言葉は適切ではありませんが、社長が気づかない
   点までをもフォローし、つねに経営の方向を誤らせぬよう、最良の方向に導いて
   いくことも幹部の役目です。

   企業における最終意思決定者は社長=トップのみであり、施策の有効性に同意
   できない場合でも、それが決定されたときには幹部はその達成に全力を尽くさね
   ばなりません。

   しかし、ゼネラルスタッフ(企業経営者に直属し、経営全般にわたって経営者を補
   佐・援助する部門・幹部)としてトップにアドバイスする努力は怠ってはならないの
   です。

   「トップを“大器”へと導く」には、時に幹部は

    ・トップの方向を変える手助けをする

   こともしなければなりません。

   「大器」「大物」「大人物」といえば、小さなことにはこだわらず泰然自若とした人物
   を思い浮かべがちですが、実は「大器は細事を疎かにせず」といわれるように、大
   人物ほど細かなことにも目配りがきくものです。

   しかし、トップがこのように細かなことに気がつきすぎると、周囲はトップを小人物
   と見なしてしまう可能性があります。

   これは従業員の士気や人材確保など、さまざまな面で好ましくありません。

   幹部は、可能な限りトップを「大器」に見せる努力をする必要があります。

   そのためには、トップの指示を一般社員に伝える役割は自分がかってでるという
   ように、トップが細かいことに直接口を出さなくてもよい状態を作ることも必要。

   また、

    ・一般社員にトップの指示が「ケチだ」「細かすぎる」「横暴だ」というように
     否定的に受け取られる場合には、社長なりの考えがあってのことだと
     説明して誤解を解く

    ・平素からトップに対する尊敬を積極的に表す

   などというアピールも重要です。

   幹部は、トップが受ける批判の身代わりとなってでも、トップの最高権力者として
   の信用と名声を高める努力を欠かしてはならないのです。
 

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