リーダーに求められる意識改革
 

  ■組織におけるリーダーの存在意義とポジション

  □リーダーの存在意義

   企業は、部課やチームなどに代表される複数の組織の集合体といってよく、それぞれ
   の組織にはリーダーと呼ばれる人物が存在します。

   「チームリーダー」「プレイングマネジャー」などリーダーの呼称はさまざまで、
   認められている権限も個々に大きく異なります。

   しかし、どのようなリーダーも以下の機能を果たしている点で共通しています。

   幅広い視点で事業活動をとらえた上で、利益向上やリスク回避など自社に貢献する
   戦略を立案し、それを遂行するよう組織を導くリーダーは、組織が進むべき方向を
   示し、従業員に業務の意味を教えて活動を動機付けます。

   こうしたリーダーの機能によって組織の活動は活性化します。

   しかし、すべてのリーダーが、常に活発に機能できているわけではありません。

   社長への不信・プロジェクトの失敗・人間関係の不和などによって自信を喪失した時、
   リーダーの機能は停止します。

   リーダーの機能停止は、組織にさまざまな悪影響を及ぼします。

   例えば、機能を停止したリーダーは戦略を立案することができず、その影響で組織の
   活動も停滞します。

   戦略なき組織では新たな業務が創造されず、改善も行われません。

   従業員は指示された業務を決まった方法で淡々と遂行するようになりますが、その
   ような組織には前向きな工夫・献身的な協力・高ぶる情熱などはありません。

   このような理由から、組織で活発に機能するリーダーは、組織の中心的な存在なの
   です。

  □リーダーのポジション

   リーダーのポジションは社長と従業員の中間にあります。

   そして、社長と従業員の双方と強固な信頼関係を構築することで、磐石の活動基盤を
   確保し、幅広い分野で活躍することができるようになります。

  □中小企業のリーダーの実態

   1.中小企業のリーダーは一人三役

     中小企業のリーダーの多くは、その企業で経験を積み、ある程度のことを自分
     で判断することを社長に許された幹部や幹部候補の従業員です。

     こうしたリーダーは、社長の考え方をある程度は理解し、現場の状況をよく知 
     り、いくつものプロジェクトを管理した経験もあります。

     中小企業のリーダーは、こうした実績を生かすことが求められるため、大企業の
     管理職とは異なり、リーダーとしての機能のほかに、マネジャーやプレーヤーと
     しての機能も求められます。

     例えば、中堅・中小企業の営業プレイングマネジャーの役割を、「リーダー」「マ
     ネージャー」「プレーヤー」に分けて簡単に示すと次のようになります。

      ・リーダー :経営者と相談して営業戦略を立案し、営業部門に示します。
      ・マネジャー:一定の条件の範囲内で、営業活動のやりくりをします。
      ・プレーヤー:一人の営業担当者として現場に立って、営業活動をします。

   2.中小企業のリーダーとしての意識改革

     中小企業のリーダーの多くは、その企業で経験を積んできた「現場からのたた 
     き上げ」的な従業員です。また、中堅・中小企業のリーダーの業務は、過去の
     業務の延長線上にあるものが大半なので(全く新しい領域に飛び出すことが
     比較的少ないので)、それまでの経験や実績を大いに生かすことができます。

     ただし、過去の経験や実績だけを活動のよりどころにしていては、リーダーとし
     て十分に機能することはできません。

     中小企業のリーダーは、組織のための戦略を立案するために必要な一定の 
     「人員・権限・時間・予算など」を経営者から与えられています。

     特に人員は「リーダーの直属の部下」(以下「メンバー」)であり、リーダーはメ
     ンバーと一緒に多くの時間を過ごします。

     自分一人で活動していたころとは状況が大きく異なるため、中小企業のリー
     ダーには、それまで企業で培ってきた経験や実績を生かしつつ、リーダーとし
     ての自覚を持って活発に機能することが求められています。

     これを実現するために、中小企業のリーダーは以下の意識改革に取り組みま
     しょう。

     これらの意識改革を果たすことで、中小企業のリーダーは、今よりも一層優秀
     なリーダーとして活躍することができるようになるでしょう。

     ●中小企業のリーダーに求められる意識改革

      (1)情熱情熱を内に秘めるのではなく、常に表に出して表現することでメン
        バーを動機付ける

      (2)権限権限の範囲に不満を持つだけではなく、より高い権限を認めてもら
        えるよう努力する

      (3)経営者の考え方がその企業の一つの価値基準であると認識し、
        それに従って活動する

      (4)チーム自分に反発しているメンバーを無視せず、自ら歩み寄って分かり
        合えるよう努力する

      (5)意見メンバーから意見が出ないことを危険と感じ、コミュニケーションの
        あり方を見直す

      (6)教育黙って求めるだけではなく、リーダー自らが教育することでメンバー
        の能力を伸ばす

      (7)民主主義的な意思決定には限界があることを知り、時にはリーダー が
        独断で決定する

  □意識改革
   1.失敗を恐れずに情熱的に活動する

     (1)リーダーに求められる情熱

       中小企業のリーダー(以下「リーダー」)は、メンバーに戦略を示し、その遂 
       行を指示します。

       その際、メンバーの自発的・積極的な活動を促すために、リーダーの情熱
       的な言動が求められます。

       メンバーは情熱にあふれたリーダーの力強い言葉に心を打たれ、組織
       (リーダー)のために自発的・積極的に活動するようになるからです。-

     (2)情熱の表現方法

       社長は、確固たる信念を持って情熱的に活動する従業員を評価して、リー
       ダーに抜擢することが少なくありません。

       そのため、リーダーの多くは、もともと情熱家です。

       ただし、リーダーになると情熱の表現方法が大きく変わってきます。

       単なるメンバーであるときは、自分の好きなとき(自信があるとき・気分がい
       いときなど)にだけ情熱を表に出しがちです。

       これは、何かに失敗したときに「あれほど情熱的だったのに、失敗してし
       まった」と周囲に思われたくないからです。

       しかし、リーダーはそうはいきません。

       自信があるときだけ情熱的なリーダーは、メンバーに「都合のいいときだけ
       勢いのある人」という印象を与えます。

       また、情熱を内に秘めた寡黙なリーダーもいますが、内に秘めた情熱を感
       じ取ってくれるメンバーはそれほど多くありません。

       そのため、リーダーは、自身の情熱を常に表現し続けなければなりませ
       ん。

     (3)常に情熱的に活動するために

       リーダーが常に情熱的に活動するためのポイントは自信を持つことです。

       自信は、過去の成功体験や不断の努力、さらには何かをやり遂げたいとい
       う強い思いから生まれます。

       そのため、リーダーは過去の成功体験から生まれるよいイメージを持って
       活動するようにしましょう。

       これだけで自然と笑顔になり、言葉も力強くなってくるものです。

       ただし、過去の成功体験がいつまでも通用するわけではないので、リー
       ダーは誰よりも努力をして能力向上に努めなければなりません。

       また、リーダーにとって最も重要なことは、何かをやり遂げたいという強い
       思いを持つことです。

       この思いこそがリーダーの活動の源であり、思いが強ければ強いほど、情
       熱的に活動することができます。

       そこで、リーダーは、自分の思いを明らかにするために「自分のビジョン」を
       作成してみましょう。

       「自分のビジョン」とは、リーダーが描く自分自身の理想像であり、「○年後、
       自分はかくありたい」といった内容です。

       風呂に入っているとき、通勤途中など、ちょっとした時間を使って「自分のビ
       ジョン」を考えてみるとよいでしょう。

       自分の目標を再確認すると、それを達成したいという思いが強まっていくも
       のです。

       最後に、リーダーは失敗を極端に恐れる必要はありません。

       情熱的に活動しているリーダーは非常に魅力的で、メンバーは「このリー
       ダーについていこう」と決心しています。

       その思いは、リーダーが一度や二度失敗した程度で揺らぐものではありま
       せん。

   2.経営者とうまく付き合って権限を広げる

     (1)権限に対するリーダーの不満
       リーダーの中には、活動領域が広くて責任も重いわりに十分な権限が与え
       られていないと感じている人が少なくないようです。

       しかし、権限と活動領域がアンバランスであると思っているのは当のリー
       ダーであり、その考えが客観的に正しいものであるかは分かりません。

       リーダーが必要以上に高い権限を求めているに過ぎないといったケースも
       あります。

       そもそも、会社ですべてを決定できる権限を持つのは社長(役員会)だけで
       す(実際は、社長でさえステークホルダーを意識して判断するので、全く自
       由に決定できるわけでありません)。

       リーダーは、このことを念頭に置き、社長と自身の権限の違いについて理
       解しておく必要があります。

     (2)形になっていない権限の存在

       リーダーの多くが不十分であると考えている権限の一つに「お金」がありま
       す。

       お金に関する権限を与えられていないと考えているリーダーは、「金額交渉
       もできないのに、商談ができるはずなどない」と考えがちですが、本当にそ
       うなのでしょうか。

       商談において、お金は相応のプロセスを経た後に決定されます。

       いきなり最終的な金額が決定されるのはまれなケースで、多くの場合は、
       何度も繰り返される商談の際の交渉結果の積み重ねによって最終的な金
       額が決定されます。

       実際、社長が最終的な金額を決定する際は、商談に出席しているリーダー
       からの報告(交渉の状況や結果)を重視します。

       簡単にいうと、リーダーがよい報告をすれば社長は高い金額設定ができ、
       逆の場合は低い金額設定になるということです。

       以上から分かるように、リーダーには、「自社にとって有利な金額設定をす
       るための材料を多く獲得して社長に持ち帰る」といった機能が求められてい
       ます。

       これは、社長の意思決定にとって重要な機能であり、ある意味で高い権限
       が与えられているといえます。

     (3)あらかじめ社長の承認を得ておく

       とはいえ、迅速な判断が求められる現在、「お金」の話をすべて持ち帰るよ
       うでは、交渉相手に「このリーダーには大した力がない」と思われてしまう恐
       れがあります。

       実際、商談の場でリーダーが金額を提示したほうがよいケースもあります。

       そのようなときは少し工夫をしましょう。

       リーダーが「次の商談で具体的な金額の提示を求められそうだ」と感じた場
       合、あらかじめ社長に相談をして、自分が交渉できる金額の範囲を決めて
       おきます。

       例えば、「800万円から1000万円の範囲であれば交渉してもよい」という
       社長の同意を得ておけば、「お金」に関する権限を与えられているのと大き
       な違いはありません。

       この方法は、現に多くのリーダーが実践している方法です。

   3.社長の価値基準を意識する

     (1)価値基準に対するリーダーの迷い

       リーダーになると社長と接する機会が増えますが、これはリーダーがそれ
       だけ高レベルの業務を担当している証拠です。

       頻繁に社長と接するようになると、社長の考えとリーダーの考えに相違が
       生じることが増えてきます。

       社長は経営の立場で物事を判断します。

       一方、リーダーの多くは現場からのたたき上げであるため、現場の立場で
       物事を判断する傾向があります。

       特に、リーダーになり立てのころはなおさら、現場の考え方のほうが実感と
       してわきやすいのです。

     (2)価値基準の確定

       リーダーは会社の一員であり、しかもメンバーに大きな影響力を持っていま
       す。

       こうしたリーダーが社長の考えと異なる戦略を打ち出せば、メンバーはどち
       らに従うべきか混乱します。

       また、リーダーがメンバーの前で社長を批判するようなことになれば、それ
       をきっかけに組織の調和が乱れる恐れがあります。

       そのため、リーダーの価値基準は、社長の価値基準にリンクしたものであ
       る必要があります。

       現場の立場のほか、経営の立場にたって物事を判断するという意識改革
       は、リーダーになった後、早い段階で取り組む必要があります。

       これができていないと、リーダーは自分の活動が組織に求められているも
       のであるのかを常に迷うことになり、自ら活動領域を狭くしてしまうことにな
       ります。

     (3)社長との付き合い方

       前述した通り、リーダーの価値基準は社長の価値基準とリンクしたもので 
       ある必要がありますが、実際は社長の考えのすべてをリーダーが理解・納
       得できるわけではありません。

       場合によっては、社長とリーダーの考えが全く異なる場合もあります。

       このような場合、何度でも社長の話を聞く必要がありますが、社長との信頼 
       関係がなければ、社長は貴重な時間を割いてまで胸の内を明かしてはくれ
       ません。

       また、情熱的なリーダーであればあるほど、「やってみたいこと」が多いは
       ずです。

       そのようなとき、「よし、君に任せるのでやってみろ」という社長の了承を得
       られるか否かは、社長のリーダーに対する信頼のバロメーターです。

       このため、リーダーは社長の信頼を獲得できるように努力しましょう。

       リーダーが社長と接する際は、情報収集・分析に基づく客観的な事実を冷 
       静に示しつつ、時には情熱的にふるまって、社長に自分のやる気をアピー
       ルすることが大切です。

       こうして社長の信頼を獲得していけば、社長は胸の内を明かしてくれるよう
       になり、より高い権限が与えられるようになり、リーダーの活動領域は大き
       く広がっていきます。

     (4)自らメンバーに歩み寄る

        ①リーダーに反発するメンバーの存在

         性別・年齢・性格・能力・働くことに対する意識など、企業はさまざまな考
         え方やキャリアを持った人間の集団です。

         個々の従業員の利害が完全に一致することはないため、企業は常に衝
         突と分裂の危険にさらされているともいえます。

         実際、チームの中にもリーダーに反発するメンバーがいます。

         こうしたメンバーと上手に接するテクニックはリーダーにとって不可欠で
         す。

         とはいえ、人を動かすことは非常に難しいものです。

         特に、反発しているメンバーと理解し合うことは容易ではありません。

       ②リーダーから歩み寄る姿勢

         意見の合わない人と話をするのは疲れるものです。

         そのため、リーダーは自分に反発するメンバーとの接触をできるだけ避
         けようとします。

         こうすれば、互いに疲労することは少なく、また、何かで衝突してチーム
         の雰囲気を乱すこともないと考えているからです。

         しかし、そのままの状態では、いつまでたってもリーダーと反発している 
         メンバーは打ち解けることができません。

         また、そうした状態が長く続けば続くほど、打ち解けるチャンスも少なく
         なっていくものです。

         そこで、リーダーは、自ら歩み寄ってコミュニケーションを取るようにしま
         しょう。

         例えば、折に触れて言葉をかけるなどします。

         反発しているメンバーとすぐに理解し合えるわけではありませんが、リー
         ダーが自ら歩み寄る姿勢を持ち続けるうちに、メンバーも少しずつ心を
         開いてくれるものです。

        ③問題メンバーへの対応

         リーダーが特に気を付けなければならないのが、チームに悪影響を及 
         ぼす問題メンバーです。

         具体的には、リーダーやチームへの反発心が自分一人の中ではおさま
         り切らず、ほかのメンバーを巻き込んでリーダーやチームに反発する雰
         囲気をつくってしまうようなメンバーです。

         こうした問題メンバーは驚くほど短期間でチームの秩序を乱し、機能を
         低下させます。

         問題メンバーの存在を知った場合、リーダーは早い段階で話し合いの
         場を設け、わだかまりを解消しなければなりません。

         話し合ってもわだかまりが解消されず、なおかつ、問題メンバーの態度
         が改まらないようであれば、リーダーはそのことを直属の上司や社長に
         相談しましょう。

         最悪の場合、その問題メンバーをチームから外すことを直属の上司や
         社長に提案します。

         これは、決して気分のよいものではありませんが、良好なチームを維持
         する上ではやむを得ないことです。

     (5)意見が出ないことの危険性を知る

        ①リーダーのチームへの影響力
         リーダーとしての活動が定着してくると、チームの価値基準はリーダー
         の価値基準にリンクしたものとなってきます。

         チームが統合してきた証拠ですが、一方でチームの多様性が失われる
         などの問題も生じます。

        ②意見が出ないことの危険性

         ミーティングをしてもメンバーからほとんど意見が出ないことがありま
         す。

         その理由はさまざまですが、例えば、メンバーがリーダーに心酔し、リー
         ダーの考えを客観的に評価できなくなっていることがあります。

         また、リーダーの力が強すぎると、メンバーが「最終的にはリーダーの考
         え通りになるので、自分の意見を出しても無駄だ」と考えていることもあ
         ります。

         こうした状態は好ましくありません。

         放置しておくとメンバーはリーダーの指示に従うだけの指示待ち社員に
         なってします。

         最終的にその組織は「リーダーだけが考え、判断する(リーダーの基準
         だけで運営される)」組織になってしまいます。

        ③活発な意見交換を実現するために

         最近、メンバーからあまり意見が出ていないと考えているリーダーは、ブ
         レーンストーミングをしてみましょう。

         ブレーンストーミングとは、あらかじめ決定したテーマに関してメンバー
         が思いついたことを次々に発言するというミーティングの形態で、他人
         の意見を批判することは禁止されています。

         基本的に何を発言してもよく、他人からの批判も受けないブレーンス
         トーミングでは、活発な意見のやり取りが期待できます。

         ブレーンストーミングを行ってもあまり意見が出ないようであれば、チー
         ムの状態はよくないといえます。

         メンバーから意見が出ない主な理由としては以下が考えられます。

         リーダーに心酔している

          メンバーが「リーダーの考え方が最も正しい」と考え、リーダーが発言
          するのを待っている状態です。
          このような場合の対策として、リーダーは順番にメンバーに意見を求
          めるなど、メンバーが発言する機会を作ります。

         リーダーを恐れている

          メンバーは自分の意見を持っていますが、「何か発言してリーダーに
          否定され、最終的にはリーダーの考え通りになる」などと考え、黙って
          いる状態です。

          このような場合の対策として、リーダーは日ごろのメンバーに対する態
          度を改め、メンバーの意見を最後まで聞くことを習慣づけなければなり
          ません。

          自分の意見をしっかりと聞いてもらえることが分かれば、メンバーも発
          言しやすくなるでしょう。

         もともと意見を持ってない

          メンバーはリーダーに命令されたからミーティングに参加しているだけ
          で、自分の意見を持っていない状態です。

          このような場合の対策として、リーダーはメンバーに「書記」や「副議
          長」などの役割を与えてミーティングへの参加意識を高めるなど、考え
          るきっかけを与える必要があります。

     (6)教育してメンバーの能力を伸ばす

        ①名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず

         優秀な人は「自分ができることは、他人もできて当然だ」と考えがちで
         す。

         よく「名プレイヤー、必ずしも名監督にあらず」といいますが、その理由
         はここにあります。

         リーダーにもこうした傾向があります。

         本来、リーダーとメンバーでは、経験や能力が大きく異なります。

         リーダーなら1時間で終わる業務でも、メンバーがやると3時間以上か
         かることもあるでしょう。

         しかし、このことを十分に理解していないリーダーは、「なぜ、そんなに 
         時間がかかるのだ」とメンバーをしかったり、メンバーに対する不満を自
         分の内にしまってストレスをためたりします。

        ②求めるのではなく教育する

         リーダーには、メンバーを教育して能力を向上させ、チーム全体の力を
         高めることが求められています。

         メンバーの能力が向上すれば、リーダー自身も業務を進めやすくなりま
         す。

         多くのリーダーはこのことをよく知っているはずですが、実際には、メン
         バーを教育するための時間を十分に割いていなかったり、メンバーの意
         見を最後まで聞かなかったりすることがあります。

         頭ではメンバー教育の重要性を理解していても、内心では「この程度の
         ことは、そのうちできるようになるだろう」と考えているのです。

         こうしたリーダーは、メンバーの自主的な努力による能力向上を求めて
         いるにすぎません。

         リーダーが求めるだけではメンバーの能力が早期に向上することはあり
         ません。

         リーダーが本当にメンバーの能力向上を望むのであれば、自らの時間
         を割いてメンバーを教育することが不可欠です。

        ③メンバーを教育する際のポイント

         リーダーがメンバーを教育する際は、メンバーの性格に合った教育方法
         を選択することが大切です。

         しかることで伸びるメンバーもいれば、しかると深く落ち込むメンバーも
         います。

         リーダーは、日ごろのコミュニケーションを通じて、メンバーの性格を把
         握していくことが大切です。

         メンバーの性格を把握するためにディベートを行ってみるのも一策で
         す。

         ディベートとは、あらかじめ決定したテーマについて、肯定グループと否
         定グループに分かれて議論するものです。

         ディベートの特徴は、個人の意見ではなく、グループの主張で議論をす
         ることです。

         そのため、個人としては肯定でも、否定グループに加われば否定の立
         場で議論しなければなりません。

         こうしたディベートでは、参加者がつい興奮してしまうことが珍しくありま
         せん。

         そうした風景を観察することで、リーダーはメンバーの物の見方や考え
         方を知ることができます。

     (7)最終的な決定はリーダーが行う

        ①全体調和を狙うリーダーの考え

         多くのリーダーは、一人ひとりのメンバーの意見を尊重し、リーダーの独
         断ではなくチームの総意としての方向性を打ち出そうとします。

         リーダーがメンバーの意見を尊重することは、メンバーが意見を述べや 
         すい環境を構築する上でも重要です。

         また、何か新しいことに取り組む際は、リーダーも内心は怖いと思うもの
         であり、できるだけ多くのメンバーでブレーンストーミングなどをしたほう
         がよいでしょう。

         しかし、一つ一つの議題について、始めから終わりまでメンバーの意見
         を聞いて調整しようとしていては必要以上に時間がかかり、決まるもの
         も決まりません。

         一人ひとりのメンバーの意見を尊重する決定方法には限界があり、か 
         えって議論を複雑化してしまうことが多いのです。

        ②決めるのはリーダー

         チームの最終決定権者はリーダーです。メンバー同士の意見が真っ向
         から対立していても、どちらを選ぶか、あるいはどちらも選ばないかは
         リーダー次第です。

         最終決定の段階で多数決を取るリーダーなどいないでしょう。つまり、途
         中の過程はどうであれ、最終的な決定権はリーダーが握っているので
         す。

         リーダーは、ある程度、メンバーの意見を集約した後は、自分でミーティ
         ングを仕切り、最終的な決定を下せばよいのです。

        ③決定のプロセスをメンバーに伝えてみる

         とはいえ、リーダーが多くのことを決定するようになると、それに不満を
         感じるメンバーが出てきます。

         ビジネスでは、その時に最も高い権限を持つ者が物事の決定権を有し
         ているものです。

         しかし、この基本的な仕組みすら知らないメンバーは、「あのリーダーは
         何もかも自分で決めてしまう。

         自分が意見を述べる必要はない」と不満を持ちます。

         これはリーダーにとって頭の痛い状況です。

         物事は決定しなければならず、不満を持つメンバーもフォローしなけれ
         ばならないからです。

         この問題を解決するために、リーダーは、物事を決定した際に、結果だ
         けではなく「なぜ、そう決定したのか」という決定の理由と、その結果に
         至るまでのプロセスをメンバーに伝えるようにしましょう。

         こうすることで、メンバーは「リーダーは自分たちの意見をしっかりと検討
         した上で決定している」ことを知り、大きな不満を持つこともなくなりま
         す。

         また、リーダーが決定の理由とそのプロセスを示すことで、リーダーの
         物の見方や考え方をメンバーがしっかりと知ることもできます。

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静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です
 
  私たちは、静岡・愛知県内および東京周辺を中心に、中小規模企業の問題解決を支援しています。
 企業運営に欠かせないマーケティング、業務改善、リスクマネジメントの3つの仕組みづくりを
 サポートしています。
 
 経営者にとって最も重要な課題は、会社を倒産させないことです。しかし、毎年1万件以上の中小企業が
倒産に見舞われています。「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産を防げたはずの企業が多く存在する
ことを、私たちは数多く見聞きしています。
 
 少しでも多くの企業がこのような危機に直面せず、最悪の事態を回避できるように、私たち専門家集団は、
事業運営に欠かせないマーケティング、業務改善、リスクマネジメントの分野で全力を尽くして支援して
まいります。
対応エリア
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新着情報

2024年10月10日
記事:「定額残業代制度更新しました。
2024年10月4日
記事:「小規模企業の戦略」 更新しました。
2024年10月3日
記事:購買心理を促進させる手法更新しました。 
2024年10月2日
記事:“思い”を伝え、組織を動かす朝礼」更新しました。
2024年10月1日
記事:「顧客を最優先にする」更新しました。

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