小売店経営の戦略
 

  ■戦略検討の流れ

   経常環境の変化が激しい今日、明確な戦略をもたずに小売店を経営することは
   難しいといえるでしょう。

   小売店が戦略・戦術を検討する際の一般的な流れは次のようになります。

   経営理念とは、「自分たちはこうありたい」、「社会に対してこのような貢献をした
   い」といった自店が存在する意義を明文化したものです。

   この経営理念を基に、外部環境と内部環境を分析して自店の経営戦略を決め、
   それに従って具体的な運営方法である戦術を決定します。

  □SWOT分析を行う

   外部環境と内部環境を分析する方法に、「SWOT分析」というものがあります。

   これは、「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、
   「Threat(脅威)」という4つの分析視点の頭文字から取った名前で、経営環境を
   判断するために内部的な「強み」「弱み」と外部的な「機会」「脅威」を分析し、その
   結果を検討したうえでこれから自社が進んでいく方向を定めようとする手法です。

   1.SWOT分析の例

     ミニスーパーを例にあげると、次のようなことが考えられます。

   2.SWOT分析を行う際の留意点

     外部環境と内部環境を考えるうえで重要な視点としては、次のような項目があ
     ります。

     (1)外部環境を考える視点

       ・法制度など(規制緩和・強化の動き、税制改正など)

       ・景気動向

       ・社会情勢の変化

       ・市場(ターゲットとする顧客層の人口変化など)

       ・競争(競合他社、他業界からの参入など)

       ・仕入先(メーカーの動向など)

       ・流通環境(物流業者の動向、運送費の相場変動など)

       ・関連先(金融機関の動向、官公庁の施策、業界団体の動向など)

     (2)内部環境を考える視点

       ・経営者自身(経営能力、健康状態など)

       ・従業員(能力、やる気、忠誠度など)

       ・営業力(個々の営業マンの資質・能力、組織的な営業力など)

       ・商品力(品ぞろえの広さ、品ぞろえの深さ、鮮度、品質など)

       ・資金力(調達力、運用力)

       ・情報収集力

       ・保有ノウハウ

       ・保有イメージ(ブランドカ)

       ・保有顧客

   3.分析と結果活用の留意点

     分析を行う際には、経営幹部や従業員にも意見を求めるとよいでしょう。

     また、仕入先や販売先、金融機関担当者などにもヒアリングを行うと、より客観
     的な判断が可能になります。

     そのうえで、「弱み」や「脅威」に対しては、それらによって経営が行き詰まらな
     いよう事前対策を講じ、「強み」を伸ばし、「機会」を十分にいかす経営方針を
     立てるようにします。

     また、経営県境の変化を見過ごさないよう、定期的に分析を行うことも大切です。

  □主要顧客層とニーズを考える

   外部環境と内部環境の分析を受けて、「誰のどのようなニーズを何によって満た
   すのか」という事業範囲の設定を行います。

   小売店が生き残っていくためには、主要顧客層を決定し、ニーズに合った店づくり
   を行う必要があります。

   1.顧客層とニーズ分析の例

     婦人服店を例にあげると、次のようなケースが考えられます。

     このケースでは、「40歳代以上の女性」を主要顧客層とし、さらにそうした女性
     の「お出かけ用の服」というニーズを満たす品ぞろえを中心にすることが考えら
     れます。

   2.分析を行う際の留意点

     (1)顧客分類

       前出の例では、女性客を対象として、年齢を基準に分類しましたが、ほか
       にも「小中学生」、「高校生」、「大学生」、「社会人(若年層)」、「社会人
       (中高年)」、「高齢者」、あるいは商圏内の住居地区別、ライフスタイル
       別、職業別、所得者別など、さまざまな分類方法が考えられます。

       ターゲットとして把握しやすい基準を設定しましょう。

     (2)調査項目

       前出の例では商圏人口と1週間の購入客数を調査項目にしたが、ほかに
       も「店前道路通行客数」や「入店客数」などが考えられます。

       消費者特性については客単価と購入目的を重点的に把握しておきます。

     (3)商圏人口など

       商圏人口などは、市区町村役場の統計資料(住民台帳)などから把握できます。

       また、実地調査の必要なものについてはアルバイトや調査会社を活用する
       のもひとつの方法です。

     (4)主要顧客層の決定

       分析を基に主要顧客層を決定します。

       その際、対象数は十分か、購買力はあるか、現在の自店のノウハウ(強
       み)がいかしやすいか、競合店の状況はどうか、なども併せて考慮すること
       がポイントです。

     (5)店舗運営形態の設定

       主要顧客層のニーズをアンケートなどで再確認するとともに、自店の対応
       力を考慮しながら店舗コンセプトの設定につなげます。

  □店舗の運営形態を考える

   主要顧客層とそのニーズを明確にしたうえで、具体的に店舗の運営形態を検討
   することが、図の「戦略・戦術の検討」にあたります。

   1.運用形態の例

     鮮魚店を例にあげ、主要顧客層として、

      ・経済的に余裕のある層

      ・本物志向が強い層

     のケースをみてくと、次のようなことが考えられます。

   2.店舗運営形態を検討するための留意点

     (1)どのような商品を売るのか

       ①商品の特徴

        ・高品質な商品(新鮮な商品、手作りの商品、ブランド品など)

        ・珍しい商品(輸入品、産地直送品、稀少品など)

        ・顧客の特定ニーズに対応する商品(体によい商品、環境に優しい
         商品など)

       ②品揃えの方針

        ・○○に関する常連商品をどこよりも幅広くそろえる

        ・○○に関する商品を深く振り下げてそろえる

     (2)いつ売るのか

       ・早朝営業、深夜営業

       ・24時間営業 など

     (3)どのような売り場にするのか

       ・ハード面での特徴(造作、広さ、什器、照明、ディスプレーなど)

       ・ソフト面での特徴(レイアウト、POP、陳列、BGM、クリンリネスなど)

     (4)どのような価格で売るのか

       ・低価格での販売(日替わり低価格、エブリデーロープライスなど)

       ・市場相場価格での販売

       ・高価格での販売(同種の一般的な商品よりも高い理由を明確にする)

     (5)どのように売るのか

       ①販売方法

        ・セルフ販売

        ・対面コンサルティング販売

        ・通信販売

       ②サービスによる差別化

        ・購入・金額に応じたポイントサービス

        ・アフターサービスの充実(修理、会員化による情報提供など)
 

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