時間管理によるコストダウンで生産性を向上


  ■時間管理によるコストダウン

   会社が取り組むコストダウンの方向性はさまざまです。

   近年では、景気低迷を背景として、残業の削減によってコストダウンを図る会社が
   多くなっています。

   そして、「残業代ゼロ」法案が閣議決定(2015年4月)された。

   ここで改めて注意したいのは、「残業の削減によるコストダウンは、生産性の向上に
   つながる取り組みでなければならない」という点です。

   「とにかく残業を減らしてくれ」という号令の下、やみくもに残業を減らした結果、やら
   なければならなかった業務が後回しになるなど業務に支障をきたすようでは、生産性
   の向上につながる取り組みとはいえない。

   そこで、重要となるのが「時間管理」の考え方です。

   全社的に時間管理を徹底することで「業務のムダ」をなくすなど業務効率化を図り、
   これまで業務に費やしてきた時間を短縮すれば、残業の削減、ひいては生産性の
   向上が実現できます。

   時間管理の徹底は、残業代の削減と同時に生産性の向上をもたらす、企業にとって
   効果的なコストダウンといえるでしょう。

   時間管理を徹底することでコストダウンを実現し、さらには生産性を向上させる手法に
   ついて考えてみましょう。

  □時間管理の考え方

   時間管理とはどのようなものであり、それがどのようにコストダウンに結びついていく
   かを整理してみます。

   生産現場における時間管理とは、もっとも効率的な作業内容を追求し、経常数値として
   取り扱えるレベルに定量化し、それを管理することです。

   身近な事例で時間管理を考えてみましょう。

   例えば、ある企業が新しいOA機器を導入するとします。

   100万円と50万円のどちらかの機器を導入する場合、「うちの会社は規模が小さい
   から、安い50万円のほうでよい」とすることは、一見当たり前のように思えるかもしれ
   ません。

   しかし、それは正しい選択のようにみえて実はそうではないこともあるのです。

   かといって単純に、値段の高い機器を導入すればよいということでもありません。

   包括的なコストダウンに立脚して考えた場合、機器導入に際しては、どちらの機器を
   導入すれば作業の効率化が図れるかに視点を置く必要がある。

   100万円の機器は、すべての従業員のコンピューターとネットワーク化され、印刷する
   原稿を自動で振り分けることができます。

   一方、50万円の機器は印刷した原稿を従業員の誰かが整理し、振り分けまでしない
   と、100万円の機器によるものと同品質になりません。

   従業員の生産性を向上させるのがどちらの機器であるかは一目瞭然です。

   この場合、50万円の投資を惜しむことで、その従業員がほかに振り分けられるであろう
   時間を奪ってしまうことになりかねません。

   この余分な時間が積み重なることで、会社全体の生産性を大きく低下させるかもしれ
   ないのです。

   ここで挙げた100万円と50万円のOA機器の話は非常に簡素化した事例ですが、
   身近にあるこのような事例こそ改善できる時間管理の一つといえるでしょう。

   つまり、時間管理とはまさに工夫、短縮、能率であり、それがコストダウンにつながる
   ということです。

  □意識改革から始める時間管理の徹底

   時間管理は社長と従業員の距離が近く、意思疎通が図りやすい中小企業が取り組み
   やすいコストダウンの一つです。

   時間管理を徹底することで、はっきりと効果が現れるのは残業にかかるコストの減少
   です。

   残業には「業務が過剰である」という理由よりも、「業務の効率が悪い」「従業員の意識
   に問題がある」ケースのほうが多いのです。

   業務の効率が悪くて発生する残業は、業務の手順を見直すことで大幅に改善します。

   また、従業員の間には「残業は美徳で、残業することが当たり前」という意識がある
   など従業員の意識に問題がある場合は、意識改革から取り組む必要があります。

   例えば、社長が日ごろから時間管理の大切さを口にすることで幹部社員にも時間管理
   の大切さが浸透し ひいては各従業員が業務時間中の時間の使い方を工夫するよう
   になります。

   これだけでも残業の削減につながるはずです。

   社長の中には、「我が社は実際に残業があったとしても一定枠以上の残業代を支給
   しなくてもよいのだから、従業員には残業をさせたほうが得である」と考える人がい
   ます。

   社長がこうした考え方では、残業に対する従業員の意識に変化は起きません。

   このままでは、企業は永続的に一定枠までの残業代を支給し続けなければならず、
   残業にともない発生する電気代などの光熱費の負担も減少しません。

   従業員の意識改革を行い、時間管理を徹底させる場合には、まず、社長自身が「時間
   管理の徹底で、絶対に残業を削減する」という意識を持って取り組む必要があります。

  □残業時間削減の取り組み

   残業を前提とした業務の進め方では生産性は向上しません。

   社長が時間管理を徹底させることで、幹部社員、従業員が時間の使い方を工夫する
   ようになり、そしてその工夫が生産性の向上につながるのです。

   そのために大切なのは、社長が「時間管理を徹底することで残業を廃止する」と宣言
   することです。

   この「残業廃止宣言」を行うと、営業部門の部門長が「うちの部門から残業をなくす
   ことは不可能です」と言ってくるかもしれません。

   そのほかの部門からもこうした意見が寄せられることもあるでしょう。

   確かに季節的要因などから業務過剰となり、止むを得ず残業が発生する部門がある
   かもしれません。

   しかし、残業をなくすことが不可能だという部門長の意識を経営者が戒めないと、自社
   が持つ残業体質は改善しません。

   仮に、止むを得ず残業が発生するのであれば「残業時間のすべてに対して残業手当
   を支給する」というルールを徹底させます。

   その上で、残業手当を含まない人件費に対する残業手当の比率を部門ごとに算出し、
   競わせましょう。

   あるいは、残業手当全額支給を前提に部門における年間残業費用に一定の枠を設け
   ましょう。

   止むを得ず残業をしなければならない従業員がいる場合は、残業申請書を提出させ
   るのも一案です。

   残業申請書の提出は残業当日の終業時間3時間前まで、申請書の内容確認は必ず
   直属の上司が行うこととします。

   上司は、重要度が高く緊急性が認められる事項以外は原則として残業は認めない
   ようにします。

   申請書の内容を直属の上司が確認することで、部下が行っている業務の内容・難易
   度・進ちょく度合いを正確に把握できるようになります。

   部下の業務の進め方に問題点があれば、それを修正する絶好の機会が到来したと
   いえるのです。

   時間管理は、工夫、短縮、能率を上げること(が直接コストダウンにつながる)そのもの
   なのです。

   そのためには、
    ・時間管理徹底の体質改善に対して、経営陣が明確な方向付けできるか
    ・従業員一人ひとりに時間に対して高い意識を持たせられるか
    ・従業員の能率を上げるためには、自社としてどのような施策が考えられるか
    ・自社の事務、作業の工程に工夫や短縮の余地はないか

   など、徹底的にとらえなおすことがまず時間管理の第一歩といえ、それに対しての
   取りみを行うことが、結果として企業全体の時間管理を有効なものとするのです。

     組織の焦点を合わせ、戦略を定め、実行し、目標とすべき成果を明らかにす
     る人間が必要である。
     このマネジメントには、大きな力が付与される。
     しかし、知識組織におけるマネジメントの仕事は、指揮命令ではない。
     方向付けである。
                          (ドラッカー名言集「経営の哲学」)

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